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40回国会衆議院1962/04/25

科学技術振興対策特別委員会 第22号

発言数
116
登壇者
12
会派数
2
開催日
1962/04/25

会議録

前田正男自由民主党

○前田委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。  すなわち、お手元の名簿の通り、ガン対策に関する問題について、医学博士、茅野市立茅野町病院院長牛山篤夫君、医学博士荻原正雄君、医学博士、財団法人癌研究所附属病院院長田崎勇三君、医学博士、東京医科歯科大学教授太田邦夫君及び財団法人日本抗生物質学術協議会常務理事八木沢行正君を参考人と決定し、御意見を伺いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

前田正男自由民主党

○前田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————

前田正男自由民主党

○前田委員長 それでは、ただいまよりガン対策に関する問題についての参考人に関する議事に入りますが、本問題の調査にあたりましては、あくまでも科学技術振興の見地に立つこととし、特定薬品名をあげその宣伝にわたることのないよう十分に配慮するとの理事会の申し合わせもありますので、この点あらかじめ御了承のほどをお願い申し上げる次第です。  この際、ただいま御出席の牛山、荻原両参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多用のところ御出席をわずらわしまして、まことにありがとうございました。よろしく本委員会の調査に御協力のほどお願い申し上げます。  それでは、牛山、荻原参考人の順にて約三十分間程度において御意見の御発表をお願いいたしまして、そのあと委員各位の質疑にお答え下さいますようお願いいたします。  牛山参考人より御意見の御発表をお願いいたします。牛山参考人。

牛山篤夫医学博士(茅野市立茅野町病院院長)

○牛山参考人 ただいま御紹介にあずかりました牛山篤夫であります。それでは、私の意見をこれから述べさしていただきます。  一昨年の十二月十八、十九日両日の日本癌学会におきまして、私と、ここにいらっしゃいます慈恵医大の荻原正雄博士の、私の発見した新ガン治療薬に関する基礎的研究の発表が、あらかじめ発表の許可を受けて会場に臨んでいたにもかかわらず、発表寸前に、時の日本癌学会会長田崎勇三氏の独断によりまして阻止されましたことは、ここにおられます衆議院科学技術振興対策特別委員会の皆様方の熟知のことと存じます。われわれはかかる学会における権力を利用しての抑圧にもかかわらず、ししとして人類の大敵であるガンの撲滅並びにガン患者救済に向かって日夜精進し、研究を重ねておりましたところ、はからずも本委員会におきましてわれわれの意のあるところを了とせられ、本日ここに意見を述べる機会を与えられましたことをはなはだ光栄と存じます次第でございます。それとともに深く感謝にたえない次第であります。  私は、人間の血液の中には特殊の菌が存在して、種々の疾患に対して抵抗力を持っておることを発見しました。ガン患者にあってはその血液中に同様の菌が存在し、特異的にガン細胞を破壊することがわかりました。私はこの細菌をガン患者の血液から採取して、抗生物質の製造方法と同様の方法でタンク培養しまして、その培養濾液から一種の薬剤を精製しました。  その製造方法でございますが、まずガン患者の静脈血を無菌的にとりまして、その血漿を分離してこれを無菌五プロの——これは市販でありますが、ポリタミンの中に三十七度Cにて十日ないし二十日間培養して得た点状、球菌状の細菌からさらに芽胞を形成する桿菌に発育する細菌を、かりにガン免疫菌と名づけまして、これをアミノ酸を主とする液体培養液中に三十五度Cないし四十度Cにてタンク培養し、その培養濾液に活性炭を加えまして、有効物質をこれに吸着せしめ、さらにこれを純メタノールに溶出させ、次いでこれに熱を加えて濃縮した後、減圧乾燥して得たものが黄褐色結晶性の本薬剤でございます。この薬剤の粉末を注射用蒸留水一%に溶解し、さらに二%の割合にブドウ糖を〇・五%の割合に局方石炭酸を加えて一〇CCずつバイヤルびんに充填して市販に供しておる次第でございます。  本物質は、その毒性を申しますと、マウス、つまりハツカネズミに対してはその皮下注射でLD50つまり中間致死量でございますが、二千七百ミリグラム・パー・キロ、一キロに二千七百ミリグラム、ごくわずかなものでございます。また、本物質を家兎の耳静脈内に注射しますと、発熱性物質を含んでおらないのであります。さらに犬に対してはその胃液の分泌を促進し、その酸度を増加します。そういう作用を持っておるものであります。   〔牛山参考人、写真を示す〕  本製剤の元の細菌はここにございますが、これは電子顕微鏡でございますが、七千倍に拡大した写真で、これは非常に小さいのは濾過性のもの、大きくなっているものは球菌ないし桿菌でございます。その大きさは濾過性のものは〇・〇五ミクロン、大きなものは三・三ミクロンの長さ、幅が〇・六四ミクロン、そのくらいのものでございます。本菌はその培養の性質が非常に特異的でありまして、これは人体内の血漿中にありましては濾過型で、ありまして、普通の光学顕微鏡では見えない。これを先ほど申し上げましたようにアミノ酸を含んだ培地に培養しますと、五、六日で点状の菌に発育して参ります。それからさらに五、六日しますと、球菌状になります。多少固有運動を持って参ります。これが、点のように見えるのが球菌でございます。さらに培養が進みますと、球菌状態から桿菌状態に移り変わる時期がございます。これが球菌からやや桿菌になりかけた、そういう時期でございます。さらに培養が進んで二十日くらいになりますと、かくのごとく桿菌になって参ります。さらに芽胞を形成して、この丸い点々としたところは芽胞で、菌体内にも芽胞ができて参ります。成長したものは一見枯草菌、いわゆる枯れ草の中に存在する細菌に似ておりますが、これを某大学に依頼して細菌学的に調べましたところが、バチルス族に属するバチルス・リフェニホルミスに大体一致しはしないか、こういう見解でございます。まだこれは決定したものではございません。この細菌をタンク培養しまして得られた物質は、ここに示しますように、これが本菌の生産物、私が薬剤に使っているものの結晶でございます。このように多面性の結晶がある。これは黄色の色素を持った部分と、それから白色の結晶と、二つからできております。  次に本製剤をガン患者に皮下注射することによって、ガン患者の血液中に減少あるいは弱力したこの有効な抵抗菌が賦活増殖されまして、ガン細胞及びガン組織を破壊して、ガンが治癒するのであります。これは次に示すような写真でわかると思いますが、これは胃ガンから腹水ガンになった患者の腹水でございまして、ここに三つ存在するのがガン細胞、この腹水にこのガン免疫菌と私が仮称するものを加えまして、三十七度の培養基中において、時間を三十分ごとに検査しますと、まずガン細胞に向かって本菌が集結して参ります。その下に存在するのはリンパ球で、これには集まっておりません。さらにその培養が進みますと、中央に存在するガン細胞が変形して参りまして、原形質が変わって参りまして、ここに細菌がくっついて参ります。さらにその培養が進みますと、ガン細胞はここに矢印に示したように、ガン細胞の中にガン免疫菌が入りまして、その原形質の中に存在する私がガン微小体と呼ぶガンの病原体だろうと思うものの破壊が起こって参りまして、この細胞は変化を起こします。こちらはガン細胞のまだ未変化のものでございます。かくして、ガン細胞はついに本菌のために破壊されて、菌に食われてしまいます。菌に貧食されるわけです。この上もガン細胞が菌によって破壊されたものであります。こういう現象は、今まで申しましたのは実験的にガン細胞にガン免疫菌を加えて、これを三十七度において検査したのですが、これは実際本薬剤を患者の皮下に——肺ガンで肋膜に水がたまった患者に注射をして、その肋膜の変化を調べますと、皮下注射をしますと、同じ細菌がガン細胞をこの矢印のように破壊しているのがわかります。本薬剤は前ガン、たとえば胃ガンにおきましては慢急萎縮性胃炎——慢性胃炎には過酸性胃炎、萎縮性胃炎というのがありまして、その八割は大体萎縮性胃炎である。それから胃かいよう、この萎縮性胃炎と胃かいようは、そのあるものは胃ガンの前提である、こう考えられるのです。あるいは乳ガンにおける乳腺症——女の人が乳がはれまして、乳ガンだろうと思っておりますが、それが乳ガンでない場合がありまして、乳腺症などは容易にこれをなおすものであります。つまり慢性胃炎では九七・七%、胃かいようは八五・五%が本薬剤によってなおるのであります。つまりガンの予防にもなり得ると考えられるのであります。  次に、ガンの未期症状でありますはなはだしい疼痛だとか、嘔吐、胸内苦悶感、こういうのは肺ガンでありますが、咳嗽、せきなどは注射五、六回でなおってしまいます。つまり五、六日でなおります。  次に、臨床例をあげますと、現在本剤によって治療したガン及び肉腫の患者は全部で八千ないし一万名に日本中で達しておるのでありますが、私はこれに対して半年ないし一カ年ごとにアンケートを出しまして、その成果を調べております。昨年七月に得た結果は、ただいま皆様に差し上げましたこの薄い紙の方にその結果が出ております。   〔牛山参考人、印刷物を示す〕 肺ガン、胃ガン、直腸ガン、結腸ガン、肝臓ガン、すい臓ガン、食道ガン、喉頭ガン、乳ガン、子宮及び卵巣ガン、鼻腔及び上顎ガン、舌、口唇ガン、甲状腺ガン、じん臓ガン、膀胱及び前立腺ガン、皮膚ガン、肉腫、これはホドキン氏病を含んでおります。脳下垂体腫瘍、白血病、多発性骨髄腫、こういうようなガン及びガンに近似の症患に対しまして五百九例の返事を得まして、そのうち八十例、つまり一五・七%は治癒、軽快が百七、二一・二%、不変の症状が八十、一五・七%。死亡した例、これはもちろんたくさんあります。私のところへ来るのは末期の患者が非常に多いので、死亡例が二百四十二、四七・四%、これは医師の非常に厳密な検査のもとにこうしたデータが出ます。   〔牛山参考人、書類を示す〕  また、全国の権威のある病院及び医師による組織標本に基づく厳格な資料によって証明された治癒、軽快例四十例がこのリコピー、少し厚いパンフレットでありますが、これに載っております。これは国立公衆衛生院のガン統計の権威であります某博士の示唆に基づいて作成したアンケートの用紙でございます。この中には、ごらんになりますように、方々の大学の付属病院、県立病院並びに癌研の付属病院なども含まれております。その治癒例及び有効例がありまして、これを上から申しますと、肺ガンの三例はこれは明らかになおっております。その一例は軽快。次の舌ガン、これは一例が治癒、それから口唇のガン、これは治癒が一例。その次は食道のガン、治癒一、軽快一。それから次は胃ガンでありまするが、治癒が十一、軽快が四。すい臓ガンは治癒が一。大腸ガンは治癒一、軽快一。上顎ガンは治癒が二。鼻腔の腫瘍、これはガンだろうと思いますが、治癒が一。乳ガンは軽快が二。子宮ガン及び卵巣のガンは治癒が四に軽快が二。ホドキン氏病は治癒が二。細網肉腫——肉腫はガンより悪性ですが治癒一、以上でございます。  次に、信州及び東京からわざわざこの傍聴席に来てもらったのですけれども、増田今朝雄さんは七十一才で松本の方ですが、昭和三十一年の二月の三日に信州大学の星子外科で胃ガンの診断のもとに開腹手術を受けましたところ、すい臓ガンで切除不能であります。それでそのまま手術を終わって、その十二日後から本剤の注射を九十回行なって、三カ月後に治癒しまして、現在では体重が十七貫五百匁あるそうであります。その次は両角すまさん、これは上諏訪の人ですが、五十一才で、昭和三十四年の七月三十一日諏訪の日赤で開腹手術を行なったが、肝臓ガンで手術ができなかった。同年の八月十七日から本剤の注射を四十回行ないまして、全治して、現在では体重が十六貫もあるそうです。次は、リコピーのパンフレットの九ページにございますが、鮎沢八重さん、これは岡谷の方ですが、五十三才で、昭和三十四年の十月八日岡谷病院で開腹手術をしましたが、胃ガンは摘出ができませんで、三十五年の九月、一年くらいたってから全身衰弱でかなりひどかったのですが、これは私がみたのですが、本剤の注射四十回くらいで治癒して、現在体重が十三貫あります。次は、リコピーの一〇ぺ−ジですが、持田与志雄さん、これは六十才の方で、東京の吉祥寺の方ですが、昨年の二月二十二日、吉祥寺の松井病院で手術をなさったのですが、切除不能で、昨年の三月九日から本剤の注射を受けて、現在まで一カ年以上注射を続けておりますが、はなはだ元気で、もうほとんど健康状態であります。そのレントゲン写真は、ちょっと遠くておわかりにくいかもしれぬですけれども、今ここに傍聴に来られておるお医者さんに貸していただきましたが、初め手術の前はこの幽門部にこぶがありまして、それがもとで衰弱して、それから手術を受けまして、そのこぶはとれなかったのですが、腹と胃をつなぎまして、それがこれであります。ここにこぶがあります。ここで腹と胃をつないであります。それからさらに一カ月たって、もちろんずっと私の製剤を続けておるのですが、そのこぶはだんだん小さくなりまして、こんなふうにだんだん状態はよくなってきております。それで、本年の一月ですか、とった写真は、大体そのこぶはなくなって、わずかに切った傷口にかたいものがあるという程度で、非常に元気であります。   〔牛山参考人、写真を示す〕  次に、肺ガン、食道ガン、胃ガンの治癒状況のレントゲン写真及び胃カメラの写真または皮膚ガン及び乳ガンの治癒状態の写真をお目にかけます。  これは五十四才の女性で、諏訪の日赤で写真をとったところが、この右の肺のかいよう、すなわち矢印をしましたような肺の中にガンがあったわけです。この人は二年前に乳ガンをやって、そのあと肺ガンになったのですが、それに対して本剤を三十八回注射したところが、ほとんどそのこぶがなくなって、肺ガンが治癒した例であります。  その次は食道ガン、四十七才の男でございますが、これは昨年の七月ごろ某大学病院で、食道ガンで、もうむずかしいといわれて来たのですが、本年の三月十七日に私のところに入院したときの写真がこれでありまして、通過障害が起こっております。通りませんから、食道の上がふくらんでおります。それから入院してすぐ本剤を注射いたしまして、このように今ふくれたところはなおりました。わずかにその食道ガンの痕跡だけがこの矢印のところに残っております。  次は胃ガンでございます。これは四十九才の男性ですが、一度胃ガンを手術して、そこに再発した胃ガンです。噴門部にこういうかたまりが矢印の黒いところにありまして、 この下にもちょっとしたガンができておりましたが、これに対して本剤を2cc毎日二カ月間続けた後には、上の方はほとんどなおって、通過障害がなくなって、非常に元気であります。  今度は胃カメラ——胃の中にカメラをのんでガンの写真をとるしかけを最近五、六年やっておりますが、胃ガンはこういうふうに胃のまわりのところに大きく矢印のようにできておりますが、こういうようなものに本剤を注射しまして、六十回、二カ月注射した後には、こんなふうに小さくなっております。この患者は現在ほとんど治癒の状態にあります。  そのほか、これは七十四才の老人の皮膚ガンでございますが、ここにガンができました。それで私のところに参りまして注射をしまして、三十八回やりましたが、そのガンはほとんど痕跡がなくなっております。  次は乳癌ですが、これは七十三才の女性ですが、この上に乳ガンがございます。これに対して本剤を使用したところが、このようになおっております。  以上のように従来化学薬品及び抗生物質によって全く治癒例を見なかったガン及び肉腫が、本剤によってかくのごとく治癒することが明らかとなったのであります。ガンの治療は、手術及び放射線療法以外にないというのが従来の医学界の通念でありましたが、末期ガン患者がかくのごとく本剤によって多くの治癒例を見ておる事実から、手術及び放射線療法が無効である患者あるいは再発した患者を手をこまぬいて放任せず、百方手を尽くすのが医師の責任ではないかと思うのであります。ガンの病原がヴィールスによって起こるという研究が内外に台頭しておる現在、本剤の研究はさらに重大性を加えておると存じます。本剤は、いまだ種々の点で研究の余地がございますが、現在私の病院では、本剤と副腎皮質ホルモンのコーチゾンあるいは異性ホルモン、そういうものを併用して非常に効果を得ております。  私のお話はこれで終わりますが、御清聴を感謝いたします。

前田正男自由民主党

○前田委員長 次に、荻原参考人より御意見の御発表をお願いいたします。荻原参考人。

荻原正雄医学博士(東京慈恵会医科大学附属東京病院分院第三病院)

○荻原参考人 私、参考人として呼ばれました荻原でございます。本日の私の発言は個人的な発言として御了承を願います。  私が、牛山博士が作られた薬について研究を始めましたのは、昭和三十四年の九月ごろでございます。その動機といたしまして、そのころ他の制ガン剤によって治療中であった二人のガン患者の家族が本剤を持参しまして、この薬はガンにきくそうですからぜひ使用してほしいと要望されましたので、この薬剤について調べましたところ、すでに低酸性胃炎の薬として発売されており、ほとんど副作用が少ないとのことで、胃ガン患者でもあるので、家族の要望にこたえて使用し始めましたが、ただ単に副作用がないからといってガン患者に使用するということは、研究者である私の良心が許しませんので、また本剤の制ガン能力についても一当時相当の疑いを持っておりましたので、私は動物実験の基礎的研究を始めたのであります。  私は、本剤がどの程度抗腫瘍能力を有するか、またその作用機序はほぼいかなる機転に基づくかを検討するため、スクリーニングの第一歩として、吉田肉腫を移植したラッチを用いて実験いたしました。  実験方法としては、使用したラッチは、体重八十から百二十グラムの累代移植した大沢ラッチ三百例を用いました。吉田肉腫移植量〇・〇五CCでの今までの移植成績は大体一〇〇%でありました。四十例の吉田肉腫移植後の生存期間は八ないし十三日で、平均九・六日でありました。本剤の注射開始は、吉田肉腫の移植したことを確めてから施行いたしました。そして百日以上生存したものを効果ありとしてパーセントで表わしました。  治療成績を申し上げますと、本剤二十ミリグラム・パー・キログラムを腹腔内に同一条件で毎日注射した成績では、移植後第四日目及び五日目よりの群では、百日以上生存したものが四〇%であります。第六日目よりの群では二〇%でありました。三十ミリグラム・パー・キログラムの注射群で、第四日目よりのものは五〇%、五日目よりのものは四〇%でありました。本剤四十ミリグラム・パー・キログラムの注射群で、四日目より腹腔内に注射した群は三〇%、同じ時期より皮下注射した群は一六%でありました。五十ミリグラム・パー・キログラムの注射群で四日目よりの群は二〇%で、五日目よりの群は一〇%でありました。  次に、細胞検査群というのを作りまして、治療前後の細胞の変化について検索しました。吉田肉腫移植ラッテの五日目に本剤五十ミリグラム・パー・キログラムを一回投与して、時間を追って観察しましたところ、四時間日のものでは、吉田肉腫細胞はわずかに膨化する程度ですが、非常に好中球が増加して参ります。六ないし七時間と変化が強くなりまして、八ないし十時間目に変化が最も強く細胞の萎縮、原形質の破壊などが見られました。その後は、時間とともに再び肉腫細胞の復原がございます。  次に、肉腫細胞数の変動でございますが、八ないし十時間目に最も減少し、二十四時間では投与前のほぼ三分の二くらいに戻ります。腹水中の細胞像の時間的変化では、肉腫細胞の減少に逆化例的に好中球、いわゆるわれわれの白血球でございますが、好中球の増多を見ます。またごく初めと終わりに好酸球が増加いたします。  次に、本剤の三十ミリグラム・パー・キログラムを毎日腹腔内に一回注射し、日を追って観察しますと、三日目では細胞の萎縮、濃縮、裸核が見られます。十五日目では好中球がきわめて多数変形した吉田肉腫細胞の周囲に集まっている像が見られます。それより日を追って吉田肉腫細胞数は少なくなり、三十五日目では吉田肉腫細胞はほとんど見られません。  次に、日を追って腹水細胞像の変動を見ますと、分裂期の細胞の著減に並行して核分裂のない肉腫細胞の減少がありまして、それと逆比例的に好中球が非常に増加して参ります。  次に、細胞化学的に検索した結果を申し上げますと、フォスファターゼ染色では、対照例に比して治療例では強く陽性を示します。吉田肉腫細胞のパス染色でも日を追って調べましたものでは、細胞が膨化したりまた小さくなり、細胞の周囲より強く陽性となって参ります。フォイルゲン反応でもだんだんと陽性部が少なくなり、また片寄ったりします。  ラッチに吉田肉腫の腫瘍を作り、本剤の治療をした三例と対照例とを比較してみますと、方法は一定期日に人工殺後直ちに固定処理した組織を化学染色を施し検索しました。まず核酸の染色であるU−P染色では、対照例では明らかにピロニン好性のRNAの部分とメチルグリーン好性のDNAの部分とが検出され、核仁も明らかにピロニン好性を示しております。これに比べて治療群では肉腫組織の部分は少なく、溶解壊死部またはメタクロマジーを起こし、死滅した細胞及び線維増殖いわゆる結締織増殖の部分が見られます。  フォイルゲン反応でも、無治療例では陽性でありますが、治療例ではほとんど陰性でグリーンに染まり、軟化壊死を示します。またパス染色でも、対照例ではわずかに陽性を示すのみですが、治療例では細胞の形態不明瞭で、全体に強く陽性を示します。  以上を簡単に要約しますと、本剤で治療したラッチに平均三〇ないし四〇%、百日以上の延命効果が見られます。また、本剤の肉腫細胞及び組織に及ぼす影響はRNA及びのDNAの核酸の減少と多糖類及びホスファターゼの増加が見られ、細胞及び組織の萎縮、壊死、不活性化及び一部に線維すなわち結締織の増加が見られます。  第二に、人ガン患者に本剤を用いて人体に及ぼす影響を見ました。本剤注射により白血球数は多少増加します。また血液中の好酸球が著明に増加する症例と全く増加しない症例とあります。この好酸球数の増す症例は症状が好転する例が多く、増加しない例は症状改善を見ない例が多いようであります。  次に、本剤〇・一CCの前膊皮内反応を四十分後に観察いたしますと、対照の健康者では直径一センチメートル前後にすべて陽性を示しますが、ガン患者では陽性を示すものと陰性すなわちアネルギーを示すものとあり、治療により反応がますます増すものでは症状改善例多く、反応が増さぬ例では症状の改善が少ないようであります。また、しばしば見られる三十七度五分くらいの発熱はプレドニン投与により解熱いたします。  以上のような反応より見て、本剤はアレルギーのような性質の方向に向かわしめる作用があるようであります。そのため被ガン体はヒポエルギーよりヒペルギーの方向になるような傾向があるのであります。  以上、私は本剤の吉田肉腫のみについての影響を観察した結果を申し上げました。今後なお多くの他の動物腫瘍、動物のガンにつきまして研究される必要があると思われます。なお人体の反応についても、多方面よりなお一そう究明される必要があります。  そこで、この写真を照覧いたしまして申し上げます。   〔荻原参考人、写真を示す〕  これは顕微鏡でとったものですが、これが治療前、これは治療一時間月の像、こういうふうに吉田肉腫の細胞はあまり変化がございません。治療四時間目になりますと非常に細胞が膨化いたして参ります。それから好中球が、好中球というのは白血球ですが、非常に出て参ります。治療八時間目はこのように非常に細胞の破壊された像、萎縮された像が出てくるわけであります。それから、これは治療三日目であります。やはり萎縮細胞の原形質と核との境が非常に不明瞭です。このように好中球も出てきております。治療七日目ですと、こういうふうに好中球が出て、細胞の萎縮した像が多いのであります。それから治療十五日目で、残った細胞、白血球いわゆる好中球が非常に増加しておって、この腫瘍細胞のまわりに非常に集まっているような像が見られております。二十日目でも同じような像が見られます。好中球が非常に出て、細胞が萎縮しております。空砲形成が出て参ります。萎縮したり、あるいは裸核などが見られます。それから治療三十日目くらいになりますと、いわゆる好中球とか喰細胞が出て参りまして、腫瘍細胞の存在がほとんどなくなります。  次に、これは化学染色したものでございまして、これはアルカリ・フォスファターゼ染色ですが、対照例ではこのようにあまり陽性になっていませんが、治療例では陽性に出ております。パス染色を施したものでは、やはりこちらが対照例でございまして治療しないもの、こちらが日を追って治療したもの、こういうような症状でありますけれども、三日目では細胞が膨化したり萎縮したりしておりまして、周囲から非常に強く陽性になっております。これはU−P染色でございまして、対照例ではやはり核及び原形質は強く陽性になっております。核仁も強く陽性を示しております。  それから吉田肉腫の組織を作りまして、いろいろ治療の対照例のやつを人工殺した腫瘍を取り出して組織を見た。U−P染色。パス染色、こういうものは非常に陽性を示しておりますが、DNA、RNAが非常にはっきりしております。それが対照例であります。これは治療例であります。こういうように治療して参ります。これはもう細胞の境とかそういうものはほとんどなくなって、染色体、U−P、DNA、RNA染色がほとんどなくなってきております。ほとんど細胞の形態がなくなっております。これがやはり違う例でございますけれども、こういうふうに壊死を起こしまして、それからその境をとったものでございますが、これももう細胞のいわゆる核酸染色が非常に落ちております。  これから吉田肉腫の同じものを三例並べて、これが対照例、これが壊死を起こしたり裸核になったり、いろいろして参ります。ここがちょっとおもしろいところですが、こういうところの、まあ三十日くらい治療をしますと細胞の中に非常に線維が増殖して参ります。これは今後非常に検討を要すべき問題だろうと思います。この点は治癒であるとか治癒でないとかいう問題になるところでありますから検討を要する問題であります。  それからフォイルゲン反応では、対照例では陽性、治療例では陰性です。パスパード反応でございますけれども、パスパード反応は対照例では陰性、治療例では陽性であります。あとは普通のヘマトキシリンエオジン染色ですが、これは化学染色ではございませんけれども、これが対照例で、これに対して治療例ではこういうふうに壊死及び細胞の萎縮、あるいは裸核あるいは破壊というような像が見られます。  以上でございます。

前田正男自由民主党

○前田委員長 これにて牛山、荻原両参考人の御意見の発表は終わりました。

前田正男自由民主党

○前田委員長 本問題で質疑の通告がありますので、順次これを許します。齋藤憲三君。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 ただいま参考人の牛山博士、荻原博士のお話を伺いましたが、事はきわめて専門のお話で、しろうとの私にはほとんど、従来関係のない問題でございますので、了解は困難でございますが、これは岡先生その他専門の方があとで御質問下さることと思いますので、私といたしましては、ただ政治的に、ガンというものを将来日本はいかなる方法によって克服すべきものであるかというような観点から一つ御質問申し上げて、お答えをいただきたいと思うのであります。  ガンの最近の猛威は、われわれの同僚をたくさん幽明境を異にさしておるのであります。昨日の夕刊にもありましたが、私の親友であります前代議士佐竹晴記君が食道ガンでとうとう倒れられたのであります。ちょうどその新聞記事を見ながら、きょうはガン対策を科学技術振興対策特別委員会でやるんだということを考えて、これは非常に力を入れてやらなければ——結論は、科学技術振興といっても、一番大切なことは国民に対する安心感を与える、その一つとしてやはりガンというものを、科学技術の大きな目標として解決していかなければならないのじゃないかということで、この委員会がガン問題を取り上げたものと私は解釈いたしておるわけであります。  それで問題は、過日の委員会で私も当局に対して御質問申し上げて、本日参考人として両先生のおいでを願ったのでございますが、牛山博士が癌学会に、御自分の理論及び臨床例を御兆表なさる直前に、突如そのことがさたやみになった。これに関して「週刊現代」の四月八日号にガン新薬論争というのが出ておりますし、また昨年の「文芸春秋」三月特別号に、田崎勇三博士が「薬で癌は癒らない」、こういうことで牛山博士の治療方法に対して論評を加えられておるわけであります。しろうとでございますから、私はいずれが正しいとか、いずれが間違っておるとかということを考えておるのじゃございません。中原医学博士の「癌」という岩波書店から出されました本を読んでみましても、ガンというものはきわめてむずかしいものであって、いろいろな理論が打ち立てられ、またこれに対する療法も考えられているようでありますが、われわれといたしましては、一歩でもガン征服の歩が進められれば非常に願ってもないことだ、そういう観点から御質問申し上げるのでございますから、一切は科学技術振興という範囲における一つの問題であるガンを取り扱っているのだという観点で、一つお答えを願いたいと思うのであります。  田崎博士の、牛山博士の治療方法に対する論評の焦点をしろうとなりに検討いたしてみますと、「文芸春秋」の一〇二ページに「怪しい新薬の理論」というのがございまして、ここに全部が集められておるように思われるのであります。それには、「今度の事件は、三つに観察することができると思う。その一つは、会長たる私の名前で一旦発表を許可しておきながら、これを中止させたということ。第二は、いわゆる新薬の理論と価値。第三は、学会で演説討議させることの可否。」こういう三点をあげておるのであります。その一つの「会長たる私の名前で一旦発表を許可しておきながら、これを中止させたということ。」というのは、これは問題ないようであります。問題は、第二、「いわゆる新薬の理論と価値。」というところなのであります。この第二の問題で、先ほどの牛山博士のお話によりますと、静脈から血液をとって、それを無菌状態に培地に培養するというお話であったのでございます。この血液を無菌状態に培地に培養するということになりますと、結局濾過をする。そうしますと、これは——しろうとでございますから、間違ったらお数えを願いたい。——無菌状態にするには、やはり濾過作用を行なう。そしてこれを培地に培養すると、無菌状態で培地に培養しても、これは菌の発生というものは考えられない。もしそこに菌が発生してくるとすれば、その濾過性のいわゆるヴィールスが培地に作用して、一種の特異な菌の発生をするのではないかというように考えられるのですが、それに対してこういうことが書かれておるのであります。「いわゆる新薬の理論と価値であるが、この薬は癌免疫物質と言って居り、癌患者の血液中にはビールス様の微小体(それを抗癌菌といっている)があって、これがだんだん発育して大きくなって球菌となり、さらに大きな枯草桿菌となるので、それから抽出した物質であるということである。だが、私たちの医学の常識では、無菌的に採取した患者の血液中に、ビールス様の濾過性の微小体があって、これが抗癌菌であるなどということは、到底考えられないのである。」こう書いてあります。大体こういう考え——私の持っているような考えとこの田崎博士の持っている、ここに書かれた考えとは近似しているように思われるのでありますが、これを一つ、なるべくしろうとわかりのするように、しかも時間がございませんから、簡潔に御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。

牛山篤夫医学博士(茅野市立茅野町病院院長)

○牛山参考人 ただいま齋藤先生から御質問がありました、私の一昨年の癌学会に発表する予定の抄録がここに出ております。これを私読みますけれども、この中にあるのは、今齋藤先生がおっしゃられたような、田崎先生が本に書いておられるようなこととは、ちょっと違っております。  発表する予定の演題は、「SICの本質とその人癌に対する作用機序」ということでありまして、その内容は、「人癌患者血漿のポリタミン培養より得たバチルス族に属する一種の細菌は選択的に癌細胞を破壊する作用を有するので癌免疫菌と仮称し本菌のタンク培養濾液の精製物質である結晶性粉末をSICと命名した。SICは白色針状結晶と黄褐色の色素とからなり、 マウスに対する急性毒性はLD50=2700mg/kgであり、発熱性物質も含まない。イヌに注射して胃液分泌量および酸度を増加せしめまた、臨床実験的に人癌腹水および胸水中の癌細胞を選択的に破壊しまた、一%水溶液の反復皮下注射により癌組織の壊死を来さしめる。これすなわちSICにより患者血漿中癌免疫菌が賦活された結果と考えられる。」こういうことでございますが、田崎先生の言うところの臨床例を報告するということは、この中には決してなかったわけであります。  それから、無菌的にガン患者の血液からとるということ。無菌的ということは、これは細菌学的に用いる常識の言葉であって、外から菌が入らないように血液をとるということで、決してこれは細菌を濾過するという意味ではありません。つまり患者周囲を石炭酸で消毒して、その血液をとる場所を消毒し、さらに滅菌しました注射器をもって血液をとるという意味であって、これは田崎先生の曲解、あるいはしいて曲解したのじゃないかと私は考えるのであります。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 そうしますと、ここに書いてある、ヴィールスじゃない、ただ無菌的に他から菌が入らないようにアミノ酸培地に静脈からとった血を培養していくわけですね。

牛山篤夫医学博士(茅野市立茅野町病院院長)

○牛山参考人 そういうことであります。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 わかりました。  もう一つ、ここに書いてございますのは、これはヴィールスの例でございますから、よくわかりませんが、「癌患者の濾過性のビールス用の微小体が発育して、枯草桿菌に似たものになり、これが抗癌菌だと説明しているが、今日の細菌学の常識では、ビールスは何代培養してもビールスであり、球菌も桿菌も同じように何代何十代培養しても球菌であり桿菌である。その間に、発育して大きくなったり、形が変ったりすることはないのである。同じ球菌であるにしても、ブドウ状球菌は何代経ってもブドウ状球菌であるし、連鎖状球菌は何代経っても連鎖状球菌である。これが細菌学の常識であって、今度の新薬の議論はこの原則を無視したものだ。」こう書いてあります。先ほどもお話がございましたが、アミノ酸培地に静脈からとった血液を無菌状態にして培養して参りますと、最初は球菌になり、それから桿菌になる。それから芽胞を持つに至る。こういうようないわゆる細菌の培養における変化というものは、オーソドックスな細菌学では認められない、こういう説のようでございますが、これはどうですか。

牛山篤夫医学博士(茅野市立茅野町病院院長)

○牛山参考人 その点についてお返事申し上げます。  一九三七年にグロバーというドイツ人が人ガン組織内に、私と同じような細菌を培養することに成功しております。それから一九四七年に石原という人が、ガン患者の血液の中に、やはり私の言うような同じ細菌、つまり濾過型から点状になり球菌状になり、それからさらに桿菌になる、こういうことを述べております。これを二人ともガンの病原体だと言っておりますが、これは私の考えとは違って、私はこれをガンの病原体を殺すものである、こう考えております。  それから、田崎先先がその文章に述べられておるように、細菌の常識としてヴィールスが球菌や桿菌になるはずはないじゃないか、こういうことでありますが、それは田崎さんの勉強不足だ、こう思います。つまり、その例を申し上げますと、「日本医師会雑誌」の昭和二十三年六月十五日号に「PPLO」として慶応大学の細菌学の助教助の佐々木正五さんがこういうことを言っております。途中から読みますと、「非常に多形性で種々の形態を示し、その中の再生可能な最小顆粒は、大きなウイルス程度の大きさ(百五十ミリミクロン)で、しかも人工培地上に肉眼では認めがたいほど小さい集落を作る。この点ではウイルスと一般細菌の中間の性状を持っているわけである。更に興味のある点はその特異な増殖型式であって、通常の姿の細菌の一部が次第に膨大し、その内部に前記の最小顆粒が現われ、それが破れて外に出て、顆粒は再び元の細菌の姿に帰るという、いわば一つの生活環を持っていることが知られている。」こういうことが載っております。しかし、こういうような事実が確実に認められているのも、今日のところ主としてL型菌であって、種々の病原菌、たとえば連鎖球菌とか赤痢菌、サルモネラ菌、プロテウス菌、ジフテロイド、バクテロイドがL型菌を作ることが知られている。こういう小さいものを作ることができる。そこに一つの生活環があることが知られている。だから、そういうことを言うのは田崎さんの勉強不足であって、内科の先生としては無理のないことだ、こう思うのであります。  さらに、アメリカのメリーランド大学のドッジ教授が、プロテウス・ブルガーリスが同様な見解で濾過性のものから桿菌になると述べております。それから、パリ大学及びスイスのローザンヌ大学の教授であるオーデュロアなどは、結核菌は一種の桿菌でありますが、これに濾過型があるということをはっきり述べております。  以上であります。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 これはどうも私、あまり詳しいことはわかりませんから、お説を承っておくにすぎませんで、あとで速記録ができましたら一つ勉強をして、またお教えを受けたいと思うのであります。血液を無菌状態にしてアミノ酸基に塔養する。そうしますと、いつでも一定の微生物が発生するのですか。

牛山篤夫医学博士(茅野市立茅野町病院院長)

○牛山参考人 はい。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 それをさらに純粋培養して結晶体をお作りになるのですか。

牛山篤夫医学博士(茅野市立茅野町病院院長)

○牛山参考人 それをタンク培養して、その培養濾液の精製物質が本物質です。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 ここには、田崎博士のお説によりますと、「その新薬の発見者が言うように、そのようなバイ菌がもしも出たと仮定するなら、それは培養の過程中に偶然混入した雑菌、つまり枯草桿菌ではないかと考えられるわけだ。そして多少の薬効があるならば、この枯草菌からとった多糖類の効果かも知れないと私は想像している。」ということが、今の話によると全く当たらない。無菌状態において静脈からとった血液を純粋培養して、それから製薬したものである。これは了解いたしました。  ところが、これは厚生省当局に一つお尋ねをしたいと思うのでありますが、こういうことが書いてあるのです。「ところが、今度の新楽は、この重大難関である癌の楽事審議会の特別委員会を通らないで、普通の医業として許可をとり、許可後に癌の薬であると世間に宣伝していることになっている。この点は、薬事審議法違反ではないだろうか、と私は疑っている。こういうことがあるのです。」これは一つ当局から御答弁をいただきたいと思います。

平瀬整爾厚生技官(薬務局製薬課長)

○平瀬説明員 お答え申し上げます。このSICの経過についてちょっと申し上げたいと存じます。これは昭和三十三年三月に申請されまして、御承知のように新医薬品調査会を通り、新医薬品特別部会を通りまして、常任部会を通って、昭和三十四年五月七日に登録許可になっております。そのときには、今申されましたように低酸性無酸性胃炎という薬効で許可になっておりますので、今齋藤先生の申されましたように、もしガンの薬効があるということになれば、もう一ぺんこの新医薬品調査会にかけていただきたいと思っております。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 それは遠慮なしにはっきりお願いいたします。現状のままだとやはり薬事法違反になる。こういうのですか。

平瀬整爾厚生技官(薬務局製薬課長)

○平瀬説明員 現状のままといいますか、薬事法の六十六条でございましたか、広告、記述、流布してはいけないというのがございますので、それを新聞広告なんかすると薬事法違反になるわけでございます。

牛山篤夫医学博士(茅野市立茅野町病院院長)

○牛山参考人 ただいま新聞広告等をSICがしておる、そうおっしゃられるかもしれませんが、SICが新聞広告などしたことは一回もございません、ガンのことについて。いつも低酸性無酸性胃炎の薬、これは県、厚生省の指令によってしております。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 その問題はまたあとであれしますが、その次にこういうことが書かれてあるのですが、これはどうですか。私はこの前の委員会においてもこの問題を取り上げたのでありますけれども、こういう問題は非常に重大な影響があると思うので、お伺いいたします。田崎博士の書かれました中に「外国でもパテントをとったと週刊誌に書いてあった。が、それは胃の薬としてとっているので、癌の薬としてではない。薬としての価値には何らの重みも加えないのである。」ですから、日本においてもガンの薬として、製薬方法として特許をとっておるが、目標は胃の薬である。外国特許もその製薬方法の特許には違いありませんが、その治療対象は胃ですか。

牛山篤夫医学博士(茅野市立茅野町病院院長)

○牛山参考人 昭和三十一年からまず西ドイツ、それから英国、カナダ、ベルギー、アルゼンチン、ノルウェー、インド、豪州、日本も加わっておりますが、そういう十カ国においての特許の申請はすべて製薬法でございますが、その効果はガン及び慢性胃炎に有効である、はっきりそううたってあります。もし御必要ならば、これをごらんになっていただけばわかりますが、これに外国特許がありますからどうぞ。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 そうすると、当局に伺いますが、外国特許はガン及び胃で特許をとっておる。日本はどうなんですか。

牛山篤夫医学博士(茅野市立茅野町病院院長)

○牛山参考人 ガンも……。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 そうすると、これは薬事法違反にはならないということですか。「薬事審議法違反」、こう書いてある。

平瀬整爾厚生技官(薬務局製薬課長)

○平瀬説明員 これは一般の製薬の許可についてちょっと申し上げたいと思います。製薬の許可につきましては、いわゆる新薬が出ましたときには、われわれは新医薬品調査会、特別部会をやり、それから常任部会で審議されて許可しております。そして、これもいわゆる新薬でございますので、そういう手続を踏んでいただいて許可することになっておりますので、当時は低酸性無酸性胃炎でありますので、われわれとしては現在のところ低酸性無酸性胃炎までの効能としか考えておりません。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 そうすると、日本の特許がガン及び胃というものを目標にして製薬方法の特許を許可しておる。世界各国もそれを許可しておる。単に手続上低酸性無酸性胃炎とかなんとか、むずかしいことはわかりませんけれども、そういうもので製薬の許可をとっておる。ガンにきくといっても、それは事実を言うておるだけでもって、違反にはならないじゃないか。それは訂正を求めれば訂正をするわけですか。

平瀬整爾厚生技官(薬務局製薬課長)

○平瀬説明員 それは先ほどもちょっと申しましたように、この薬事法違反というのは、六十六条で誇大広告と書いてございますが、広告をしておるかおられないかは私はそこは知りませんけれども、ここに「何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。」というのがあるわけであります。これに当たっておるか当たってないか私どもは検討しておりませんが……。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 そうすると、この「外国でもパテントをとったと週刊誌に書いてあったが、それは胃の薬としてとっているので、癌の薬としてではない。薬としての価値には何らの重みも加えないのである。」というのは、そこに外国特許の原本をお持ちになって、私外国語があまり読めませんからわかりませんけれども、それは立証できる、そういうことになると思うのであります。  私、もう一つ当局に承っておきたいのでありますが、この間の委員会でもいろいろ日本のガン対策の大要を厚生省の川上局長にお伺いしたわけであります。その中に「予算は、三十六年度の予算が九億五千四百六十六万五千円、三十七年度が九億五千百十万二千円でございます。私どもはこれを全国的なガンの診療と研究のセンターにいたす考えであります。」こういう御答弁を願っておるのでありますが、この「全国的なガンの診療と研究のセンターにいたす考えであります。」こういうものができたときに、そこの研究目標になる民間研究者のデータというものは、学会に発表するという段階を経るとか経ないとかということが条件になるのですか。たとえば、私の申し上げておるのは、アメリカですと、そういう一つでも人体に試みてガンと診断されておるものがなおったというような事例があると、片っ端からそれを国立研究所に持っていって、そして研究としておるのもあるわけなんです。ですから、日本の将来に対するガンの研究体制というものはどういう形でやっていかれようとお考えになっておるわけですか。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 これはそのセンターができて、センター長なんかの考え方によるわけでありますが、私自身といたしましては、学会を経なければセンターではそういう問題を取り上げない、研究助成をしないというようには、一がいに考えていないわけであります。学会を経ないでも、効果があるということで問題になったものは、やはり取り上げて研究していくべきだと考えております。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 ここに、「スロアンケテリング癌研究所のように、全然無方針で、手当り次第の化学物質をかたっぱしから試験しているところもある。」と書いてあるのです。私の申し上げておるのは、この前も問題にいたしましたが、田崎博士が学会発表するということをきめておいて、その前日その発表を禁止する。そして、こういう薬ではガンはなおらないといって、これを読んでみると、牛山博士のやっておることは取るに足らない問題だというふうに書かれておるわけです。これはお読みになったろうと思う。これを読みますと私はそういう感じを受けるのです。そこで、僕はなにも牛山博士に味方するわけではありませんけれども、こういうことを書かれてしまうと、牛山博士は医学博士だからいい、そして病院の経営をしておられるからいいです。今までたくさんの実施例を持っておられるからいいけれども、もしある民間の人が一つの大きな発明発見をやった場合に、こういうことが一つ出れば、これは抹殺されてしまうわけです。抹殺されると私は思うのです。幸いに牛山博士は医学博士でおって、そして今までたくさんの実施例を持っておるからいい。しかも、こう読んでみると、何かしら軽々しく扱われておる。その前提は、薬でガンはなおらないと言っておる。  しかし、私がいろいろな本を集めて読んでみると、薬で的確にガンはなおらないというまだ状態であるけれども、薬でガンがなおるということもだんだんわかってきておる。いわゆる化学療法の時代に入ってきているのだというのが、私は世界的な考え方のように思うのです。ですから、今までのように早期発見によって手術をする、それから放射能治療をやるというようなことのかわりに、人類の要求しているのは、何というのですか、薬品、化学療法というのが非常に発達してもらえばいい、そして的確になおってもらえばいいというふうに考えているわけです。ですから、早期発見をした場合という、その早期発見というものはいろいろな方法があるけれども、その早期発見をした場合に、これを手術してとってしまう。これはもう私は、手術の方法とか早期発見という場面においては多少の進歩発達はあるかもしれぬと思いますけれども、ガンを根治するという根本的な対策にはどこまでいってもならないのではないか、こう思うのですが、厚生省当局はどうお考えになりますか。早期発見をする、早期発見をして手術をする。これは手術の技術が進めば多少の進歩は認められる。それから放射線をやる。その局部を放射線によってガン細胞を破壊する、あるいはレントゲンで焼き切る。これも早期発見の度合いによって多少は進歩するかもしれぬけれども、ガンの根治対策には私はならないのではないかと思うのです。それと化学療法とを比較すると、もし化学療法が進歩をすると、化学療法でガンに対する抜本的な治療対策ができるのではないか、こう私は考えられるのですが、こういう考え方はあやまちでありますか。厚生省当局はどういうふうにこの点をお考えになっているか。ガン治療対策、ガン対策としてどうお考えになっておるか。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 私もガンにつきましてそう詳しく学問をしたわけではございませんので、その辺のことについてはなかなかむずかしいのでありますけれども、根治対策といいますと、それで完全になおるということなんですから、たとえば手術にいたしましても、あるいは放射線をかけましても、それが完全になおればこれは一つの根治対策だということになるわけであります。あるいは前ガン状態、まだガンに至らない、ガンになる一歩手前のような状態を早く見つけて、そしてそれをなおしていくということも、ガンの発生を防ぐ根治対策になるかと思います。しかし、非常にガンに効のある薬ができまして、そうしてそれで完全になおれば、それも根治対策になると思います。根治対策というものは、必ずしも薬でなければならぬものだというようにも考えないわけであります。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 私の御質問申し上げておるのは、切開手術及び放射能療法でガンというものの根本的な対策にはならないのではないか、ガンの対策というものはやはり化学療法じゃないかということなんです。  こういうことが書いてあるのです。中原博士が四十年間のガン研究の建前から、「現在では癌の治療は依然として外科手術か、放射線療法かにかぎられ、すなわち薬で癌を治すことはいまだ成功していない。しかし考えて見ると、外科手術は手のとどく範囲の癌をナイフで切りとることであり、放射線療法はそれより少し広い範囲で癌を「焼き殺す」ことであり、いずれもいわば原始的な方法であることは否定できない。なんとかして薬品の注射なり、内服なりで癌を退治することはできないものか。それができれば、手のとどかない場所にある癌でも、身体中方々にひろがった癌でも治せるはずである。こうした希望のもとに、これまで世界の研究者がためしてみた薬品の種類は、文献に記録されているだけでも一万種以上にたっしている。記録されていない、いわゆる未発表の分がどのぐらいあるかわからないが、それを合わせたらじつに大へんな数になるにちがいない。それでもほんとうに癌を治す薬は見つかっていないのである。」こう書いてあるんですね。  ですから、いやしくもガン対策というものに精進をする者は、今薬はガンをなおす力がない、現在はそういう状態にあっても、あくまでも切ったり焼いたりするという原始的方法でなく、どこにガンができておってもガンというものはなおせるんだ、むしろ予防的にはガンというものは発生させないで済むんだという目標を掲げて、ガン対策というものを確立するのが、いわゆる世界におけるガンの根本的な考え方であり、日本の根本的な考え方ではないだろうか、そういうふうに御質問申し上げておるのであります。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 今中原さんの言われたような点では、私も同感でございます。やはり手術をしたりあるいは放射能をかけるということになりますと、その場所とかによって必ずしも手が届かないところもございますが、全身的に効果を及ぼすにはその方がより有効だということでございます。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 そういう点で、この前もこれを私は問題にいたしたのでありますけれども、牛山博士の御研究、それから荻原博士の牛山博士の御研究になった一つの化学療法に対する御見解、そのほかそういう事例というものは、私は世の中にたくさんあると思うのです。そういう問題に対して、一つ今後私は対策を立てていただきたいと思うのです。  ここへパンフレットがきております。蓮見博士の研究です。  「蓮見癌研究所長、英国王室医学協会会員、医博蓮見喜一郎。  蓮見博士は一九四七年初めて人ガンビールスを発見し、その分離と電子顕微鏡写真撮影に成功したといわれる。同博士の研究は海外で認められ、一九五八年十月英国王室医学協会会員となったが、同年七月王室大学から招待がきたときは国内の学者の反対で渡航断念のやむなきに至った。」ということが書いてあるんですね。これに対して参考意見として、東京大学名誉教授、医学博士永井潜氏が、「蓮見博士はガンビールスを発見すると共に、ガンビールスを抗原として抗体をつくりその抗体(ワクチン)をガンの治療に応用するに至った。さらにチゼリウス電泳法等により、血液中のガンビールスの測定を可能とし、ガン患者の病状を詳しく判断しうるようになった。これは蓮見博士の独創にかかるものでビールス研究史上特筆大書すべきものと思う。」こういうことがあるんです。  それで、私もこのヴィールスとガン細胞との関係というものを本によって見たところが、やはり最近の学説においては、ガンの中にはヴィールスの作用によって発生するものもたくさんある。全部が全部ヴィールスによってガン細胞というものが作られないけれども、あるものはヴィールスによって作られる。今度は、ヴィールスの正体というものはどういうものかと思って、「生物と無生物の間」というような本を見ると、まだヴィールスというものに対しては、単なる核酸と蛋白質、いわゆる核蛋白質というものだけが見きわめがついておって、それ以上深く、どの範囲がヴィールスであって、そのヴィールスの作用によってガン細胞のすべてのものができ上がるものであるかないかということもまだわからないんですね。  それですから、私といたしましては、その限られた人がガンの対策に力を尽くしているということでなく、アメリカ式に、広く国民一般に、ガンに対するところの研究をやっている者は全部ここに出てこい、それを大きな組織でもって一々検討を加えて、そして国立研究所でもってこれを実験する。ある場合には厳密な立ち会いでもいいから検討を加えて、総合的な研究体制の中からほんとうの科学的なガン治療対策というものを早期に見出していくということをやらなければ、一方ではこんなにガンにきく薬ができたというと、一方ではそれは鼻くそじゃないかとこう言う。そうすると一方では、なんだ、早期発見なんというものはできるか、レントゲンに早期発見の悪性腫瘍が写ったときには、もうその細胞は全部血液の中におるじゃないか、それを切ったり張ったりしたって、やっぱり再生というものが出てきて、結局、統計をとってみれば何分の一しかそれがなおらないじゃないか、というけんかばかりやっておる。総合的なガン対策を立てない限り、この対立した意見さえも調整することができないというようなみじめなガン行政であっては、幾ら金をつぎ込んだってむだだと考える。(「そこにガンがある。」と呼ぶ者あり)(笑声)私もそう思います。それが一番のガンである。一体、そのガンの取り去りはどこでやるかというと、われわれ国会でも大いにガン削除運動をやらなければいかぬといって、私はしろうとですけれども、やっているわけです。  結局、私たちもどういうことを考えているかというと、中原博士の言う通りに、「もし人体に自分の身体からできた癌細胞を殺す力が多少なりともあるならば、なんらかの方法でその殺癌力を増強することはできないものであろうか?問題は自然に発生した癌に対する抵抗力である(これを移植癌に対する抵抗力と混同すると、むかしの混迷時代に逆もどりする)。そして、その抵抗力の人工的増強である。もしそれが可能なら…もし……夏の暑い午後など、眠くなって実験ができなくなると、私はときどきこんな迷想にふけっていることがある。「真夏の昼の夢」であろうか?」これでこの本はおしまいになっておるのでありますが、これを通読してみますと、中原博士もやっぱり人間の血液の中には抗ガン性というものがあると書いてある。ですから、動物実験をやってみても、ガンを移植してみて、移植できるマウスと移植できないマウスがある。同じマウスでガンを移植して、一方にはガンがついて、一方にはガンがつかないということは、これは血液の中には、酵素であるかヴィールスであるか知らないけれども、抗ガン性の何ものかがあるということになる。ですから、私はしろうとながら、牛山博士の今までの研究に国家の機関として重大な関心を持っていただかなければならぬと思ったのは、とにかくしろうとですから、できるかできないか私はわからないけれども、血液をアミノ酸基に培養して、これから出るところの芽胞菌にまでこれを成長させて、それから血漿をとってこれを注射していって、血液の中の抗ガン能力というものを強めて、それによってガン細胞を破壊していく、こういうのでありますから、これは中原博士の書いたものを読んでみても、そういう境地が開き得られればそれが一番いい方法であると書いてある。中原博士が何で学位をおとりになったか、私は知りませんけれども、長年の間、細胞の研究をやっておられて、そういう特殊の力を持つところのあるものを作って注射できるという、これは全部のガンにきかなくともある一つの乳ガンであるとか胃ガンにきいても、それが端緒となってそういう境地というものが急速に開けていけば、これはわれわれもガンにかからないで済むであろうし、また有材有用の士も短命に終わらないで済むような場合もたくさんできてくる。むしろ全人類が自分のガンによって脅かされる、生命の危険というものがなくなることになれば、これは科学技術の進歩として非常に喜ぶべきことだ、そう考えてこの問題に取り組んだわけでありますから、そういう点について当局も一つ大いに努力をしていただきたいと私は思うのであります。  なにか、田崎博士の牛山博士の治療に対する論評で私の質問は終始したようでありますけれども、当局として、私が申し上げた点に対して、そういうような方向に今後の対ガン対策を持っていけるものか持っていけないものか、御所見を承って私の質問を終わらせていただきます。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 先般も申し上げましたように、ガンのセンターを作りまして、それが中心となって診療の研究を大いに推進したいという考えを持っておるわけでありますから、ただいま御質問のように、総合的に、そのように推進したいと考えております。

前田正男自由民主党

○前田委員長 次に、原茂君。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 昨年の秋、この委員会におきまして、特に川上局長その他には厚生当局としてこの問題をどう考えるか、どういうふうに処置をしなければいけないかという問題の話し合いをしたことがあるわけなんです。当時まだSICその他のこうしたものを実際の例として取り上げるまでに至っておりませんでしたが、きょう、今齋藤委員も申しましたように、ここでこの問題の討議をしようという前提になりますのは、少なくとも今日各種の病気に対する医薬品が出ています。これもある意味では薬事法に違反するのではないだろうかと思われるような誇大宣伝等もあり、ものによっては長期に使用することで副作用があったり、毒性等があって、かえってよくないというものまでが、しろうとが薬局でいわゆる売薬品を買って用いる。これがそのうちには何か大きな、われわれ全体の生活に害を及ぼすのではないだろうかという心配も相当程度今持たれ始めている。その反面には、しかし隠れた非常に優秀な研究等があって、その結果、実際の事例としては幾多の患者が、とにかく自分がなおったという状態、気持よく働く状態に戻ったというようなことが、たとえばガンにおいても幾多の例があるわけであります。その例を先ほど牛山博士から発表される中で、きょう傍聴者の中にも何人かおいでになるということも伺いました。こういうような、反対に、何といっても早く取り上げなければいけない問題がたくさんあるわけであります。そういったものをやはり個々の研究あるいは個々人の努力だけにまかせずに、国家の機関として政府が正式にこういう問題の是非を検討する。しかも、効果のあるものについては、個人あるいは地方の単なる医院ではなくて、一研究機関ではなくて、国としてこれに大きな助力を与えていく。こういうようなことがどうしても早期になされなければいけない段階にきているだろうということを前提に、やはりこの委員会を中心に政府当局に、そういった高度な国家機関を作り得るようなことを前提に、それを希望しながら、そういうものを実現したいという念願でこの種の討議を今進めているわけであります。やがて、きょう午後ないしは明日にも、そういった問題をこの委員会において、厚生省当局を中心に、どうすべきかというようなことも検討していきたい、こう考えるわけであります。きょうは政府当局に対するそういった問題は、時間の関係もあり、参考人の来られておりますことですから、参考人に関して二、三、齋藤委員の質問に続けて補足的にお伺いしておきたい、こう思うわけであります。  最初に荻原博士にお伺いしたいのです。これもしろうとの私たちが聞きたいところでございますから、わかりやすく簡潔に述べていただきたいのです。私も今自分で胃の工合が少しよくないような気がして、ガンではないかなと思い、毎朝胃をさすっている一人なのですが、一体どんな状態のときがガンというものが発生しやすいのか。私なんか、自分ではわかりませんが、先ほど御発表になった研究の過程で、先生の感じておられるままをおっしゃっていただいてけっこうなんです。どういう状態のときがガンになりやすいだろうかということを一つ。  その二つ目には、そういうことが大体わかった、あるいはある程度自己診断ができるかどうか知りませんが、先生方にみてもらった後、どうも危険がある。こうなったときに、予防するのには一体どうしたらいいのだろうか。ガンの予防でございますが、予防をするには一体どういう方法があるかということ。  三つ目には、先ほどから齋藤委員を中心に貴重な意見が発表されて参ったのですが、今後ガンの研究というものを促進していく必要があるわけです。しかも一国家的な機関で高度な中立公正な、権威のある研究をしなければいけないと考えているわけです。荻原先生のお考えで、一体ガンの研究を今後促進するためにどういう方策があったらいいとお考えになるのか。  こういう点を、三つに分けてお聞かせを願いたい。

荻原正雄医学博士(東京慈恵会医科大学附属東京病院分院第三病院)

○荻原参考人 第一の、どうした状態においてガンが発生しやすいか、これは非常にむずかしい問題であると思います。私は、過去一年ちょっとでございますけれども、ガンと病主——人間のことですけれども、いわゆる被ガン体との関係という問題を取り上げて研究して参りました。それはガン患者について、確実にガンと診断された日から五カ年前の状態を、ガン患者直接に、医師がいろいろな非常に精細な調書を作成して、その調書によって聞きただした総計的な観察。それからもう一つは、入院患者で、ガンと診断された患者がどんな状態にあるかというようなことを研究して参りました。その結果を簡単に申し上げますと、胃ガン患者、あるいは肺ガン患者などでは、その状態が非常に違って参ります。肺ガンの患者では、たばこをほとんどの患者が非常に吸っております。一日二十本以上という非常に大量のたばこを、長期にわたって吸っておるというような状態がありました。胃ガン患者では、全部が全部たばこを吸っているのではなくて、約二〇%くらいたばこを吸わない慰者があるというようなことがわかりました。また、胃ガン患者の方では、酒の量、あるいは食事の不規則、あるいは熱いものを好む、あるいは非常に塩辛いものを好む、甘いものを好む、というような非常に詳しい質問の結果、胃ガン患者だけでなく全体で百例のうち胃ガン患者は四十例でございますが、その結果を見ますと、やはりほかのガン患者に比べて非常にそういった点が極端でございます。熱いものを好む、あるいは甘いものを好む、あるいは塩辛いものを好むというようなことが極端にあるようでございます。  それから、全般的な統計的な観察でございますけれども、ホルモン代謝の変化する時期、すなわちからだの代謝、ホルモンの代謝が非常に変化してくる時期によくガンが発生するようでございます。更年期の移り変わりのときだとか、あるいは若年性のガンの場合でも、少年期から青年期へ移っていくような、いわゆるホルモン代謝が移り変わる時期にガンが発生するような感じがいたします。それからホルモンの注射です。よく乳ガン患者とかにホルモンの注射をしていた時期に起こってきたというようなこと、あるいは糖尿病の患者とかが、ある程度糖尿病がなおったかのような感を受けたとき、あるいは関節リューマチの患者が、関節リューマチが一度よくなったような感を受けた場合に、ガンが発生しているような感があります。そこで、いわゆるホルモン的な、そういう変化の時期だとか、あるいはもう一つ統計的に見ましたところでは、からだが非常に疲労した状態があるとき。これは二、三の例でございますけれども、外遊をして非常に疲れたあとに発生しているような場合、あるいはほかの心身の疲労をしたようなことが長年続いたというような時期に起こってきておる。そういうようなからだの疲労した状態が考えられます。  こういったガン患者の入院した後の状態を調べましたところ、反応でございますけれども、ツベルクリン反応というものは、私たち健康者は青年期に入って参りますと大体九〇%、九五%まで陽性になって参ります。あるいはパスパード反応というものがございます。いろいろほかの反応もございますけれども、そういった反応がガン患者は非常に低下しておる状態が見られます。普通の健康者ではあまり低下しておらぬにもかかわらず、反応が非常に低下しておる。そのほかに、ガン患者では体質が非常に変わっている。いわゆる代謝的な要素が非常に落ちてきておる。そういったことで、いろいろありますけれども、ヒペルギーという状態とヒポエルギーという状態がある。ヒベルギーというのは、からだがアレルギーのような状態、すなわちぜんそくのようなものを持っておるとか、あるいはリューマチでいえばリューマチが発生した当時のこと、あるいはからだが感染症を来たすというのがヒペルギーの状態。その逆がヒポエルギーで、ガン患者は私の感じではヒポエルギーの状態にあるような気がします。こういつた点で、ヒポエルギーのような状態にガンが発生しやすいのではないか。今までこもっておった小さなガン原の物質があって、そこに発生しようとしておったところに、そういったからだの一つの反応があればそこにガンが発生をしていくのではないかというような感じを受けております。  それから、第二の予防的なことであります。これも非常にむずかしい問題ではないかと私は考えております。先ほど申し上げました通り、外国で毛日本でも、たばこが肺ガンその他の原因になるというようなこともいわれております。これは確定したわけではありません。しかしながら、そういった傾向があるということでありますので、長期にわたってたばこを吸うとか、あるいは胃ガン患者が非常に塩辛いものを好む、あるいは酒を飲む率が多いとか、そういう点で消化器患者が多いという点では、やはりこういったガンの過程にあるようなものの中では、そういったものをよく注意する。ごく最近私のところでも、友だちの父が肺ガンに倒れまして、友だちは医師でございますが、その日からたばこをやめてしまったという例もございます。そういったように、たばこは絶対やめられないものではないという感がいたしますが、非常に好きなたばこをやめてしまったという例もありますから、予防的には、そういった肺ガンのような過程のある方はたばこをなるべく控えるような状態がいいのではないか、こうも思います。これはたばこという非常に大きな問題でありますから、一がいに私としては申し上げられません。  その他、ガンにならないような物質が何かあったら、その物質が発見されれば、そういったものを予防的に注射していけば、ガン家系においてはまあ予防になることもあるんじゃないか。ガンにならないような体質を作る、あるいはそういったことに対して予防するというようなものが発見されればいいんじゃないかというような予防的、たとえばワクチンみたいな、そういったものがもしあったとすれば、それは非常に大きな問題ではないかと私は考えております。ガン患者に対するいわゆる免疫ということは非常にむずかしいのでございまして、ガンがからだの中にあって免疫体ができるということは、今まで非常に困難とされておりました。そういうようなことで、非常にむずかしいのでありましょうけれども、そういったものができ上がれば、今後非常なガン予防になるんじゃないか、そういうような感がいたします。  それから、第三の対策でございます。私たち研究者といたしましては、非常に大きなところ、また小さなところ、いろいろございます。それで、結局は研究費という問題がぶち当たる問題でございますので、いろいろな面で、これはガンに確実にききそうだというような研究者がおられれば、その方面にもやはり研究費を回して、学会その他で討論できるような状態にしていただきたい。こういうような面が一そうガン研究の進歩になるんじゃないかというような感もいたします。また、国家的にこのガンの研究に対して、現在も非常に御助力をいただいておるのでございますけれども、もっともっと研究に対して広い面の、研究者たちに研究費を与えられまして、そうして非常に自由な立場で研究ができるようにたくさん予算をとっていただきたいというのが、私のお願いでございます。  以上でございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 一点だけ荻原先生にお伺いします。今第二番目におっしゃったような、ガンを避けるといいますか、予防したいと考えても、なかなか私たちにはわからないわけです。しかし、第一におっしゃったようなこと、できるだけ避けようという意味では、そういうことはやればできるわけですね。しかし、何といっても理想的には、最後に先生もおっしゃったように、免疫体にしてしまうということが一番いいことなんです。特にきのうあたり、おとといですか、新聞を見ますと、厚生省の発表ですが、最近の死亡率は脳卒中が第一で、第二がガンになっている。ガン、脳卒中で死んだ年令は、三十五才から五十五才、働き盛りの年令が圧倒的に多いわけです。そういうことを考えますと、免疫体といいますか、そういう措置ができるなら一番いいことなんです。そういう点では、たとえば今例に出ましたSICなんですが、先生の研究されたSICというものが、いわゆるガンだと診断をされた後にのみきくとお考えになるのか。あるいは今言ったガンの予防というか、免疫という点で、少しでも疑わしいと考えたようなときに、あるいはその危険があるんじゃないかと自己診断したようなときに、このSICという薬を用いることでいわゆるガンの免疫性あるいは抗ガン性といいますか、制ガン性といいますか、どういう言葉か知りませんが、とにかく、ガンにならないような予防措置としてこの薬を用いるというようなことが可能なのか。あるいはそういうことが事実何か研究の中でいいとお考えになっているか、ということを一つ……。

荻原正雄医学博士(東京慈恵会医科大学附属東京病院分院第三病院)

○荻原参考人 この薬が、ガンにきくかどうかということも、今後大いに研究されなければわからないと私は思います。大いにもっともっと研究されて、そうして確実にガンにきくのだという研究報告が出てからでなければ非常にむずかしい問題でございますけれども、先ほど申し上げました通り、本剤を注射することによって、からだをアレルギーのように体質の方向に向かわしめる作用があるようです。そのため被、ガン体はヒポエルギーよりヒペルギーの方向になる傾向があるというような、私のささやかな研究から先生がそういう御質問になったと思うのでございますけれども、これも今後大いに究明されなければならない問題で、即これをガン予防薬と言うことは非常にむずかしい問題であります。しかしながら、本剤がガンに確実にきく、また副作用が健康人に用いても全くないというようないろいろな研究がなされた暁には、何かこういうものがガンを予防する能力を持つではないかというような感じを受けるだけでございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 そこで、牛山先生にお伺いしたいのです。今荻原先生からもお話がございましたが、先ほどの発表されました事例は、ことごとく治癒とかあるいは全快に近くなったとかいうような発表があったわけです。いわゆるガンだと診断されたもの、あるいはガンと先生が診断されたものに対しての治癒効果の発表があったわけですが、今の予防という見地からいくと、SICという先生の現在扱われているこの制ガン剤といいますか、薬が、一体どういう位置にいるのだろうか。先生が今まで予防という見地からSICというものを使った事例があるのか、あるいは今の研究の過程で、予防ということがこのSICで可能だとお考えになっているのか、そういう点が一点。  それから、ついでに二つ目にお伺いしたいのは、この注射法なんです。どういう注射法を用いておられるのか、見たこともありませんし、聞いたこともありませんので。それから、注射による副作用というものが何かかつてあったのか、今あるのかないのか。次には、いわゆる荻原先生がさっきちょっと触れたようでしたが、毒性という問題ですね。インターヴァルの問題等も前にはあったと伺っておりますが、こういう問題等に対して、今までの経験から一体どのようにお考えになっているのか。  それから、最終的には、やはり荻原先生と同じように、特に先生方は一昨年の十二月、癌学会で発表された前後を通じてある意味の苦労をされたわけですが、日本のガンの研究、いわゆるガンを征服しようというこれからの大きな命題に対して、日本の癌学会、あるいはガンの研究の、今は大した母体がないようですが、国家的な母体等に対して、どういうものがあったら、町の研究者あるいは地方の研究者、学究の先生方の立場からいったら、こうあれば自分たちの研究がもっと推進されるだろう、こうあってほしいという希望等がおありだろうと思うのです。今荻原博士もおっしゃったように、少くとも国家の予算をもっとたくさんとって、これを研究者に多額に一つ使わしてもらいたいということも一つ必要ではないかという御意見がありました。そういうようなことに類する御意見というものを三つ目にお聞かせ願いたい。

牛山篤夫医学博士(茅野市立茅野町病院院長)

○牛山参考人 第一のガンの予防という点ですが、この私の製剤は、先ほども申し上げましたように、前ガン状態、つまり胃ガンでいえば慢性萎縮性胃炎あるいは胃かいよう、乳ガンでいえば乳腺症などに対しては非常に効果がありまして、漫性胃炎では九七・七%、胃かいようでは八五・五%、乳腺症ではほとんどなおってしまう。こういうような時期は、一般に学界によって、前ガン状態というものは将来ほうっておけばある。パーセンテージはガンになるということになっておりますから、その意味でこの薬を予防薬に使うということは非常に有効だろうと思います。つまり、こういう病気は非常に世の中に多いものですから、こういうものを使えば、日本に非常に多い胃ガンは大部分はなくなってしまうのではないか、こう考えておる次第であります。  この注射方法は、一般に予防、つまり慢性胃炎あるいは胃かいように対しては、毎日一回一CC、これを二十回か三十回やれば、おおむねなおってしまう。つまり、食欲がないのがなおる。あるいはレントゲンでかいようのあるのが現になくなってしまう。一カ月か、一カ月半前後の経過でなおってしまう。つまり皮下注射をする。それからブドウ糖に混じて静脈注射も可能である。その量は、皮下注射の場合は四CCくらいにしてもいいし、静脈注射は二CCくらいにしてもいい。腹水ガンのような場合には、これを腹膜の中へ注射しても差しつかえない。直接にガン細胞をそれでこわす。あるいは腹部内に存在するガン性のリンパ腺炎、そういうものはそれを注射で撲滅する、そういう方法をとります。それから、腫瘍そのものの中に注射をする局所性の使用法もあります。量は大体同じです。軟膏としてワセリンにまぜて、皮膚ガンのかいようなどに使って非常に有効です。  副作用でございますが、まれに注射をした場合に微熱が出ることがあります。微熱といいますのは三十六度Cそれから七度五分くらいの熱ですが、それくらいの熱が二、三回出ることがありますが、続けていくうちに熱が引けてしまうというようなことがあります。あとは注射の局所の多少の腫脹あるいは疼痛、これの少しはなはだしい場合には湿布をすればなおってしまう。こういうようなことは普通の注射でもございますが、そんな程度です。  毒作用の点ですが、急性磁性は先ほど申し上げましたように、マウスに対しては皮下注射でその中間致死量は二千七百ミリグラム・パー・キロ、非常にわずかなものです。ほかのいろいろな制ガン剤がございますけれども、そういうもののような強い議性はないし、それから白血球の減少ということがない。それから食欲の減退ということはさらにありません。ウサギの静脈内に注射をして熱を出すこともございますが、目立った毒性はございません。  それから、将来医学界はどんなふうにあるべきか。これは大きな問題ですけれども、とにかく現在の癌学界のような状態は、これは一つ改革をしてもらいたい。特定な人たちが特定な意見のもとに、集まった発表の抄録を見まして癌学界に発表する演題を選ぶ、こういうようなことは、民主主義の今日の日本のあり方にあっては非常に遺憾なことである、こう思っております。だから、癌学会のおもな人の幹事の意見でなければ通らない。それに反するような研究は生まれない。つまり非常に医学の進歩の障害になる、こういうことを是正してもらいたい、そういうことのないりっぱな学会を持ちたい、こう思っておる次第であります。  以上であります。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 大体わかりました。  そこで、先ほどちょっと問題になりましたような薬事法上の問題で、厚生省に対して、いわゆる制ガン剤といいますか、抗ガン剤といいますか、ガンの薬だという再申請をなさる段階ではまだないのですか。

牛山篤夫医学博士(茅野市立茅野町病院院長)

○牛山参考人 先ほども話がありましたように、本剤は慢性低酸性無酸性胃炎の薬として昭和三十四年の五月七日に許可になったのであります。その後において、さらにガンの薬として許可を受けるべく、方々の大学へお願いをしてデータが出て、それを一昨年の十二月の癌学会に臨んで、そのデータ及び多少の臨床データを発表しようとしたのが阻止された。そういうようなことでありますと、これは厚生省の規定の現段階においては、こういう新しい薬はいつまでたってもガンの許可はおりない。ガンの薬として申請された場合に審査する特別の委員がありますが、これはいわゆる癌学会の大御所、権威というものが審査する。そういう意向に沿ったものでなければ通らない。こういうような現状でありますから、非常にむずかしいのでありますけれども、われわれは将来研究を積んで、たくさんのデータのもとにこれをガンの薬として許可を願いたいと思っておりますが、その際は一つ御協力をお願いします。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 そこで一つ、先ほど忘れましたが、荻原博士にお願いをしたいのです。去年ソビエトの、特にこの面の中心的な、名前は忘れましたが、アカデミー会員の先生に、先生の研究の成果というものを差し上げたわけです。それに対して、行った当時、日本で貴重なこういう研究が進められているかという直接反応といいますか、言葉を私は聞いてきたわけですが、何かソ連からその後意思表示が先生のところにこの問題についてございましたでしょうか。

荻原正雄医学博士(東京慈恵会医科大学附属東京病院分院第三病院)

○荻原参考人 別にございません。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 それは次期にソ連その他に行くときには、きっとまたその後の成果といいますか、研究されている約束ですから、何かの回答が得られるようにしたいと思いますが、そのときにはまたお届けします。  牛山博士にあと三、四お伺いしたいのです。実はきょうの午後、田崎博士もここにおいでになるわけであります。それで、先生にお伺いするのに必要な事項としてお伺いするわけです。大部分は先ほど齋藤委員から質問をされましたので、よくわかりましたが、その第一は、多分一昨年の帝国ホテルですか何かの、国際癌学会において、ザルコマイシンの創成者の梅沢博士ですか、その研究発表に先生が何か質問をされようとしたときに、手続は正式に踏んだのですが、事務当局に申し出たところが、何か協議をやった結果、その質問をさせないということになったと聞いています。そういう事実がおありなのか。その前後の事情がもしおわかりでしたら、お伺いしておきた  い。  それからもう一つは、これも一昨年の暮れですが、いわゆる癌学会に発表しようとされたあの事件です。あのとめられたあと、先生から田崎博士に対して公開討論といいますか、あるいはこの研究についてお互いのディスカッスといいますか、そういうものをしたいという申し入れをされ、その申し入れが拒否されたように聞いていますが、そういう事実がおありだったかどうか。  それからもう一つは、今年の七月ごろに、ソ連のアカデミー主催で国際癌学会に対する資料を集める会議か何かがソ連で持たれるのかどうか。それに対して川本の癌学会に研究発表をする機会をソ連から与えるという何かの通告が日本にあって、それに対しては広く学会の先生方の研究発表というものはどういうものをしようかということをソ連に通告するために調査する、ある一定の期間その調査をやったらしいのですが、その締め切り日がたとえば去年の十一月なら十一月の三日だったのに、あるいは十二月の末までにそういうものをソ連に発表したいのだったら提出をしろという癌学会からの通知があったらしいのです。その通知が先生なら先生のところに行ったのに、締め切り日が過ぎてからその通知が来たというようなことも聞いていますが、癌学会からそういうような通知があったのか。あるいは、それが入手されたときにはすでに締め切り日を過ぎていたのかどうか。こういうようなことを、事実をそのまま一つお聞かせ願いたい。  それから四つ目には、先生が、特に田崎博士が日本癌学会であれを中止されたあと、何かの機会に、廊下でお会いになっのかどうか知りませんが、お会いになったときに、しっかりあなたも勉強しなさい、こう言われた。「文芸春秋」にもそういうことが書いてあります。その言われたあと先先から、時期があったら一つぜひ病院も見てもらいたい、自分の研究の内容も見てもらいたいというような手紙を田崎博士にお出しになったそうです。その返事があったかどうか。あるいはないかもしれませんが、あったかどうかということを一つお伺いしておきたい。  これは言えないのかどうか知りませんが、その毒性試験というものは、昭和医大か何かの先生に研究を依頼されたと聞いているのです。その毒性試験の結果が、正式に昭和医大の何々先生という方から、毒性はこうだ、先ほどちょっとお話がありましたが、そういった証明が正式にされているのかどうか、こういうようなことを一つお伺いしたい。  これは荻原先生でも牛山先生でもよろしいのですが、その次には、いわゆるこの種の物質に対する構造式といいますか、何か非常に複雑なものに違いないのですが、その構造式についてまだまだこれから研究しないと完璧なものにはならない、今はまだその構造式を発表する段階にきていないとか、あるいはもうそれが発表する段階にきているのだというようなことを、率直に、これも現段階で両先生どちらでもけっこうですから、御説明を願いたい。  先ほどもちょっと説明がございましたけれども、その次には、国際的にたとえばSICでけっこうですが、これに対して英国なら英国の王室癌研究所ですか、こうしたような権威のある研究所、あるいはその他の国のこの種の研究機関における何かSICの研究があって、あるいはそれを実際に使ったとか、ないしその製薬法についての研究をされて、これがいいとか悪いとか何かの反響が皆さんのところに届いているかどうか、あるものかどうか。何かの機会にこうしたものを理論的にもあるいは実際の薬としても届けたのだが、それの反響は全然ないのか。そういうことがもしあるとするならば、その反響を一つ国際的な反響という意味で御発表を願いたい。  最後に、これはあとで田崎先生にお伺いする一番重要な問題なのですが、日本の癌学会に先生なら先生の研究を発表しようとするときには、その癌学会のどういう機関が、この種の研究は発表させるとかさせないかということをきめているのか、おわかりでしたら。あの問題があったのですから、あとで調査されたり聞いたりして、多分先生は先生なりの知識をお持ちだと思うのです。想像するところでけっこうですから、癌学会がたくさんの研究成果を発表させるさせないというものを、学会のどういう機関で、あるいは何人ぐらいで、どういう人が決定するのか。できれば、一昨年の十二月のあのときに、先生の分も中止になりましたが、先生以外の研究者の発表しようとしたものが、たとえば百の申請があったのに対して二十とか十五とか、何%が学会発表になったのかというようなことまでわかりましたら、最後にそれだけお伺いしておきたい。

牛山篤夫医学博士(茅野市立茅野町病院院長)

○牛山参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。国際癌学会が一昨年の十月七日に化学療法学会というものを持ちまして、こちらにおられる荻原先生も見えられたわけでありますけれども、私たちもその会議に出席を許可されたわけなのです。ところが、その会議が招待者と傍聴者と二組に分けられておることを私どもは知りませんで、その会議に臨んだのですが、発言のできるのは招待者だけという規則があったらしくて、梅沢浜夫さんの、これは招待者でありましたが、細菌から培養してガンに有効な物質をこしらえるという演説があったあとで、私がSICのことを付随的に発表しようとしてそのときの国際癌学会の事務局に申し込んだところが、しばらく事務局の人たちが相談をしたあとで、これは招待者だけしかできませんからしないで下さいと拒否されたわけです。  その次の、公開討論を一昨年の十二月の癌学会で申し入れた。実際あのときには正式に私に対して拒否はなかったので、東大の田坂内科教授を通じて、十二月十九日の十時二十分ごろ電話がありまして——私の発表するのは示説、つまり午前八時半から十時半まで二時間の間デモンストレーションをやる。先ほどお話ししたような写真をお見せして、その場に来た人たちに説明をするという方法でありました。私は十時二十分までそれをやりまして、そこへ田坂教授が電話をかけてこられたものですから、そこで中止したわけです。私は発表に朝参りましたが、私の机はもうそのときはなかったわけで、実はそれを無理に請求して、なぜ私の机がないのか、私は正式に拒否をされていないのだから発表するのだと、持ってこさせてやったわけです。ところが、十九日にその抄録を私は英文で出しましたけれども、私の分は、発表したにもかかわらず、発表はされませんでした。で、私の済んだあと十二時半ごろ公開討論を申し込んだのですが、そのときには、少し基礎的にまだ研究する余地があると思われますから勉強しなさい、と言われたわけです。実は田崎さんが私の発表の抄録を読んだかどうかわかりませんけれども、臨床データを発表に行ったのではなくて、その基礎のことを発表に行ったわけです。勉強をしなさいと言われれば、私も学者ですから勉強しないわけにはいかない、もちろん勉強します。田崎さんは公開討論は拒否したわけです。私は、それはできませんと拒否しました。  その次の、今年ソ連において行なわれる国際癌学会の通知に関してです。これは国際癌学会の機関誌である「癌」という雑誌がありますけれども、この九月号が十一月三日に私のところに参りました。それを見ると、末尾に、ソ連で国際癌学会が七月挙行される。だが、その発表の原稿は十月末までにソ連に届くように出しなさい、こういうことがあって、実はそれには私は間に合わなかったわけです。  それから、四番目のSICに毒性があるかどうかという研究は、昭和三十二年以来、私の母校であります昭和医大の角尾薬理学教室に依頼して、そこで厳重な試験をしておりまして、毒性が先ほど申し上げたようにLD50が二千七百ミリグラム・パー・キロ、その他心臓に対する作用とか、腸に対する作用とか、いろいろ薬理学的に試験をして、これは厚生省へ提出して、三十四年に許可になったわけです。  それから構造式の決定。これは現在日本大学の薬学科の平山教授が担当しておられるのですけれども、この物質は非常に複雑な物質で、白色の結晶と色素とが混合したものでありまして、その色素の方がガンに対してより有効であるが、その色素の分析が非常にむずかしくて、これはまだ決定する段階になっておりません。  次の国際的な反響でありますが、これは昨年の十一月でしたか、ちょっと名前は忘れましたけれども、アメリカの一つの民間の大きな会社がございます。そこへ私が英文で出しましたアメリカの雑誌をごらんになって、その影響として、アメリカのガンの子供を持ったお父さんがその会社を訪れて、ぜひガンというものを早く駆逐してもらいたい、それには日本にこういう研究があるから、それをもしアメリカで実行できるかどうか、アメリカへ私を呼んでそこで私の方法で治療ができるかどうか、また個人的に私たちが英語をしゃべれるかどうか、それから日本のガン研究機関はどこにあるか、そういうことを二十カ条くらい質問して参りまして、それに対して一月初めころでしたか、返事をやった。その後返事はありませんでしたが、そういうことがございました。あとは、患者は海外からも参りますが、アメリカなどでも使っている。ブラジルの日本人とか、ペルーなどからも来ております。  癌学会の演題の選定ですけれども、これは日本癌学会の理事が中心となって、評議員の方で決定するだろうと思います。今までに癌学会で拒否されたという例は、私たちの先ほどの例だけだと覚えております。以上です。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 最後に一つだけ。今まで先生の扱ったガンのクランケの中に、いわゆる癌研でガンだと診断をされて癌研の治療を受けてきた患者で、先ほどここにプリントをもらいましたけれども、見ておりませんが、それが全快治癒とかあるいは寛解という状態になった例がおありかどうか。

牛山篤夫医学博士(茅野市立茅野町病院院長)

○牛山参考人 この八ぺ−ジの食道ガンの吉岡という女性ですけれども、埼玉県の幸手町の明治二十二年生まれのおばあさんです。前にかかった医者というところをごらんになっても、癌研と書いてあります。この病人はお医者のお母さんです。前に食道ガンで癌研にかかったことがあります。その後SICを使いまして、非常に経過がよかった。この文章をごらんになればわかりますけれども、そういうことが記載してございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 なおったのですか。

牛山篤夫医学博士(茅野市立茅野町病院院長)

○牛山参考人 軽快の中へ入れておきました。これは一時はほとんどなおってしまったようなことがありましたが、その後多少また病気が悪くなった、少し衰弱をしたというようなことが書いてあります。一応は非常によかったわけであります。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 薬を途中でやめちゃったわけですね。

牛山篤夫医学博士(茅野市立茅野町病院院長)

○牛山参考人 これは昨年の十月八日まで、アンケートを出すまでは使っていたわけです。  それから、三十ページの乳ガンですが、その前にかかった医者は、これは癌研だけしかかかっていませんが、癌研のお医者さんが使って、相当に効果が上がったという例でございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 けっこうです。

前田正男自由民主党

○前田委員長 次に、山口好一君。

山口好一自由民主党

○山口(好)委員 大体今までのお二人の御質問で、われわれしろうとの質問としては尽きておると思うのです。牛山さんや荻原さんの御研究を承りまして、われわれしろうととしますと、今日医学が非常に進歩して、大体もう肺結核も、肺炎その他、今まで不治の病気とされていたものもなおるようになってきた。従って、薄命が非常に延びて、十年から十五年、人生五十年が六十年から七十年というふうに延長されておるということで、いわゆる特効薬のできないのは脳溢血とガンだ。私などは最もそれにふさわしい体表を有しております。また、近親者で食道ガンでなくなった者、あるいは脳流血で倒れたというのもございまして、自分でもだんだん心配をして、非常にありがたい御研究だということで、感謝をいたしておるのでございます。  私は、本業は弁護士でございましたが、いろいろ医薬の問題などについても関係が深いのです。自分の郷里の栃木県で、かつて普通のお医者から見放された患者が、しろうとの正式のお医者さんではありませんが、大橋式治療法ということで、そこへ参りますと、医薬も若干与えるし、それから何かおきゅうのようなこともいたしまして、大ていなおるというようなことで、非常に門前市をなした。それで、医師法違反ですか、そういうようなことで取り上げられたのですが、調べていきますうちに、非常に効果があって、その研究も深い。ところが、事件を扱っておる裁判官がからだの工合が悪い。ほかの医者から見放されておりました。そこで、行って実験してみようかというようなことで、その裁判長が参りまして実験をしたところが、大へん工合がよい。判決をしばらく延ばして試みまして、われわれも大いに弁護をいたしました。こういうものは、やはり正式に違反にならない方向において指導していく。そして広く一般大衆のため、患者のために、その療法を用いてもらう方がよかろうというような結論に到達いたしたのであります。  この牛山先生の御研究に対しましても、われわれ弁護士的な立場から言うと、研究の自由とこれを発表する自由というものは当然認められてしかるべきものだ、こういうふうに考えますが、一部の方のどういう考え方でありますか、反対にあってその発表ができない。その研究も、何か研究が足りないというようなことを言われておるようなお話を承ったのであります。こういう場合には、先ほど齋藤委員から御質問があり、他の委員からもお話がありましたように、厚生省が、SICというものはどういう正体のものであるか、その研究はどういう研究でうわさに上がっておるものであるか、というようなことを一応検討すべきものと思うのでありますが、そういう御検討を厚生省当局においてはなされましたかどうか、承りたい。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 厚生省としては、まだこのSICを取り上げて研究をいたしておりません。将来このがんセンターなどの中に薬効試験を置きましたら、やはりこういう問題もそこで取り上げて研究していきたいと考えます。

山口好一自由民主党

○山口(好)委員 がんセンターができてからというお話ですが、その前にもやる方法はあるのではないか。しかし、田崎さんの方に回して研究してもらうということになれば、これはまだまだというようなことで、厚生省もそれで抑制されるということにもなると思います。われわれは科学技術の基本法あるいは科学研究の基本法というものを作らんといたしておりますが、その大眼目は研究の自由、その公開もまた自由ということがうたわれておるようであります。やはり厚生当局としてはその線に沿って、その独善的なお考えによって阻止されるというようなことのないように今後は御注意を願いたいと思います。  牛山さんの御研究について、これを非常にまた御熱心に御支持になって御研究になっております荻原博士の御研究に対しましても、敬意を表するものであります。しかし、荻原さんも、先ほどこれはなお研究を要する、予防としての薬剤というような点については十分な効果を御両所ともお認めになっておるようでありますが、治療そのもの、これを治癒する、あたかも手術によってガンの核を削除するというような、ガンが起きましてから的確にこれをなおす特効薬だというようなところまでは参っておらないようにお聞きしたのですが、さようでございましょうか。

牛山篤夫医学博士(茅野市立茅野町病院院長)

○牛山参考人 現在外科手術によって胃ガンをなおす場合に、胃ガンがどのくらいなおるかということを統計的に、私自身とったわけではありませんが、今の臨床雑誌等によりますと、これはアメリカでも大体同じようですけれども、胃ガンと診断をして、実際腹を開いてガンがとれるものは二分の一。それから、ガンをとったけれども、それが再発しないで五年以上生きるというものは切った中の四分の一。つまり胃ガンというものは全体の八分の一しかなおらない、こういうようであります。そういうような胃ガン手術をした直後に、その再発の予防に、私は常にSIC、私の薬を使っておるわけであります。その場合には、再発をしないで済むのが相当数ありまして、私のところでまだ例は少ないですけれども、大体百例くらいまとめておりますが、その三分の二くらいは再発の防止ができるという段階であります。そんな意味で、予防というものは可能ではないかと思っております。

荻原正雄医学博士(東京慈恵会医科大学附属東京病院分院第三病院)

○荻原参考人 この研究を私から見ますと、牛山先生をさておいて申し上げるのもどうかと思いますけれども、基礎的研究がまだ不十分な点があるように感じております。というのは、まだ構造式も立ってない。それから、私の研究したのは、吉田肉腫という一つのガンの一種でございますけれども、それについての結果でございまして、もっとなお多くの動物ガンなどもございますけれども、そういったガンについてもなおいろいろ検討なされないと、ほんとうに確実にどうかという、細胞効果というようなものはほんとうにわかってこないのではないかという感じがいたします。  しかしながら、吉田肉腫だけの範囲で見てみますと、これも先ほど申し上げた通り、治療した例では、組織の壊死だとか、あるいは細胞不活性化だとか、あるいは一部に線維化が起きております。これは、私がここで線維化ということを言うのはまだ早いのでありますけれども、それが見られましたの—で、今後それを研究したらもっと大きな大切な問題ではないかと思います。線維化というのは、これはいろいろな病気の治癒過程でございます。この治癒過程というものは非常にむずかしいものでございまして、結締織化、線維化ということが起こらなければ治癒ということが言われない。そういうようなことで、私の見解としては、そういう点が一部に見られるのでありますから、もっともっと深く研究なされていかれる必要があるのではないか、こういうように考えております。

山口好一自由民主党

○山口(好)委員 この治療例を見ますと、乳ガンなど外部的に塗布した場合、これは非常に数も少ないようですが、治癒率が非常に高いようでございます。外部に見えておるところに塗布した場合には非常に効果はいいようでありますが、さようですか。胃ガンなどのパーセンテージは非常によろしいように思いますが、乳ガンの場合には、甲状腺がこれは一〇〇%、これはどういうところから出て参るのでしょうか、発見が早いということでしょうか。

牛山篤夫医学博士(茅野市立茅野町病院院長)

○牛山参考人 乳ガンの場合は、この例は割合に末期の状態で来た場合で、治癒率が悪かったのです。それから、胃ガンというもののなおる率は、ここでは一二・七%と、非常に悪いのですけれども、結局消化器官のガンというものは栄養に関係がありまして、胃ガンになればものが通らぬ、栄養がとれない。従って、私の注射の薬もききにくいということが多いわけです。甲状腺の場合に、これは軽快例が三例で、三人軽快しておる。実際に甲状腺というものはなおる例も出ております。これは直接に栄養には関係のない臓器でして、首のところがはれるだけで、直接に栄養に関係がないからなおりやすい。このようなことであります。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 関連して。荻原先生に御質問申し上げなかったのでありますが、今の吉田肉腫の移植ですね。これは実験的におやりになってどうですか。ガンは細胞である。ですから、このガンの移植をおやりになってガンがつかないというような状態は、結局やはり血液に抗ガン性の何ものかがあるから、その血液によって培養されている細胞には肉腫のガン細胞がつかない、そういうことが考えられるかどうかということです。

荻原正雄医学博士(東京慈恵会医科大学附属東京病院分院第三病院)

○荻原参考人 吉田肉腫の場合でも、ラッチと申しますけれども、私の実験では大沢ラッチでありますけれども、それには私の過去の成績では一〇〇%できます。しかしながら、ほかのラッチを用いますと七〇%余りしかつかないということであります。腫瘍特異性という言葉がありますけれども、ある特殊の動物がガンと宿主との関係がありますけれども、その間の状態が、腫瘍の特異性があって、この動物にはつくけれども、この動物にはつかない、こういうことがまだ研究のされていない分野でございます。たとえば胃ガンの場合は、これを動物に移植してもなかなかつきません。しかしながら、プレトニンとかコーチゾン、こういうものを投与しておいて、それで胃ガンを移植しますと、ある程度つくことがあります。そういうようなことで、ある程度動物のからだに変化を起こし、いわゆるホルモン的な変化だとか、いわゆるさっき言ったようなヒポエルギーの状態にしておいてガンをつけると案外つくものだそうであります。私はやった経験がありませんで、それは二、三の文献を見ただけであります。これは医学の成本の中にも載っております。そういうようなことで、いわゆるガン特異性の問題とからんで、そういったある種のホルモンをやっておいて、そしてガンを移植させるというような方法があるようであります。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 それは、ここに「いわゆる癌の免疫」という項目がございまして、これをずっと読んでみると、「われわれの身体はそれに対抗してその菌を殺す力をもった物質を生産するようになる。免疫学の言葉では、前者と抗原といい、後者を抗体という」と書いてある。  そこで、最後に参考のためにお伺いいたしておきたいと思います。どなたでもけっこうですが、なくなられた細谷省吾博士が、いわゆる抗ガン性の血液というものがあってしかるべきだということで、長らく顕微鏡病院に立て込もられて研究しておった。私は一週間に三回くらいその研究の状態を見せていただいておったのでありますけれども、結局そのガンを移植してみると、つくやつとつかないやつがある。ある物質を投与しておいてガンを持っていって移植する。ですから、結局ガンは細胞であるという見地に立てば、その血液の状態が正常に保たれておれば、どんなガン細胞を移植しようと思っても、抗ガン性があれば受けつけない。と同時に、そういう安定した血液の状態というものが保たれれば細胞の突然変異というものもないし、ガン細胞の繁殖というものもないじゃないかという観点における私は研究であったのじゃないか、こう思うのです。こういうことは一体理論的になり立って、研究の対象とし得られるかどうかという点に対して、これはお考えだけでけっこうです。どなたでもけっこうです。

牛山篤夫医学博士(茅野市立茅野町病院院長)

○牛山参考人 そういう研究は、研究として成り立つのではないかと、私は自分自身の研究から思うのであります。

山口好一自由民主党

○山口(好)委員 私の親戚などでも、千葉の医大でもう十二、三年前に早期発見でガン摘除しまして、胃ガンでしたが、丈夫になって、その後六十幾つでしたか、子供ができた。その後も丈夫で、弓道に一生懸命精進をいたして丈夫にやっておる。そういう実例を見ますと、やはり手術はよくきくんだなというような気が、しろうとの私としてはいたしております。  それから、これは三十年くらい前ですが、私の近親者が食道ガンになった。そのときは体は丈夫だのに食べるものがのどを通らない。まことに悲惨な状態を毎日見ておりまして、医者も何とかできないものかなというふうに、三十年も前ですから、手がつけられないためにみすみす殺してしまったというようなこともありまして、ガンの本もいろいろ読んでおりますが、しろうとですからよくわかりません。  ここでいただいた、先ほど齋藤君から言われた蓮見喜一郎博士の蓮見癌研究所と書いてある、この蓮見博士の本を見ますると、今はそれにコバルト療法とか、レントゲン療法とかいうようなものが行なわれて、そしてダレス長官の例が引かれております。ダレス長官の場合も、私もこの間アメリカに参りまして、ブルックヘブンのガン研究所などを見て参りましたが、ダレスさんもいろいろ手を尽くしてコバルト照射というのでしょうか、レントゲン照射などをやりまして、一時はよくなった。ところが、そういうことをやると、副作用と申しましょうか、かえって今度はより強いところの菌が発生するような結果になって、第二のガン、第三のガンができて、さような結果ダレス長官もついになくなってしまった。やはり牛山先生の御研究になっておりますこういう免疫療法というか、これが一番いいんだ、手術とかそうした放射線などによる療法よりも、もっと副作用がなくて確実なものは免疫療法であるというふうに書かれております。牛山さんや荻原さんの研究がやはりそうした研究の面に進まれておることと考えますが、副作用その他の点についてはいかがお考えになっておりますか。

牛山篤夫医学博士(茅野市立茅野町病院院長)

○牛山参考人 副作用は、先ほど申し上げましたように、一般に従来の制ガン剤は白血球が減少したりして衰弱を起こすわけでありますが、その点は私の製造した薬はそういう副作用はございませんし、わずかにごくまれに微熱が注射のために起こって参りますが、それ以外はほとんど副作用はございません。

山口好一自由民主党

○山口(好)委員 皆さんの御研究に実際に共鳴してやっておられます他の方々、医院とかあるいはガン研究所とかいうものはどれくらいございますか。

牛山篤夫医学博士(茅野市立茅野町病院院長)

○牛山参考人 現在のところ、全国を通じまして百五十カ所くらいそういうところがございます。

前田正男自由民主党

○前田委員長 次に、岡良一君。

岡良一日本社会党

○岡委員 時間もなにですから、ただ一点だけお伺いをいたしたいと思います。主として荻原先生にお伺いをいたしたいと思います。  今、原委員も申しましたように、ガンの死亡率は結核にとってかわっておるという状態でございます。従って、このガンの予防ないし治療というものは、国民医療の重大な課題であるだけではなく、公衆衛生上の大きな問題です。特にこれがヴィールスに基づくものであるとすれば、公衆衛生上の重大問題として政府も一段と力こぶを入れてもらいたい。というのは、御存じのように、結核が日本でなぜ少なくなったか。これは環境衛生の改善とか、公衆衛生対策の向上とか、直接ベッドの増床とか、社会保険の結核に対する重点的な顧慮もありましょうが、やはり何と申しましてもツベルクリン、同時にBCG、これによる全国民的な規模における早期発見、あるいはまた早期に免疫を与えるという、この施策が結核を減少せしめた大きな原因だと私は思う。であるから、もしこれがヴィールスに基づくものだとすれば、今小児麻痺において用いられておるようなあれがもっと組織的に国民的な規模で、特に後発年令の働き盛りの三十五才以上の国民を対象とした対ガン政策というものは、一本化すべきだと私は思う。  私どももしばらく医学の分野を離れておりますので、萩原先生にお伺いをいたしたいことは、そういう構想が可能であるかどうかは別といたしまして、ガンというのは何で起こるかということです。現在の学説を御紹介いただけばいいわけですが、大体の潮流でけっこうです。国際的な潮流あるいは国内の潮流。牛山先生はヴィールスに基づくと言われる。いただいた資料を見ても、ヴィールスを発見したという報告があり、これが国際的にも好感を持って迎えられておる向きもあるようです。しかし、国際的にだんだんとそういう趨勢になりつつあるのかどうかという点。  なおまた、先生のお話を聞けば、肺ガンになった人は一〇〇%たばこを飲んでおる。それは陳腐な学説で、ニコチンの持続的な刺激が肺ガンの発生一の原因とも考えられる。ですから、最近のガンがなぜ起こるかということについての、国内的なあるいは国際的な学問研究の立場からする趨勢をこの際お教えを願っておきたいと思うのです。

荻原正雄医学博士(東京慈恵会医科大学附属東京病院分院第三病院)

○荻原参考人 私は先生にお教えするだけの知識を持っているかどうか疑いがあります。しかしながら、研究者として趨勢を私自身の考え方から申し上げますれば、少し前までは刺激説、いわゆる胃ガンであれば胃の中に何かの刺激物質があって、だんだん刺激されてその付近が変化して増殖する。いま一つは、先天性のそういったガンの奇型のような細胞があって、それがある一定の時期に、からだの出やすい状態のときに出てくるというような遺伝説。最近では、いろいろ鳥類であるとか動物のガンの中にヴィールスが発見されるようになりました。これは私がいろいろ名前を申し上げるまでもなく、皆さんの方が早く御存じであろうと思いますから申し上げませんけれども、多くの人によって、ガンはヴィールスにより起こるというような趨勢になって参りました。しかしながら、ガンのヴィールスは、健常な生体の組織の中にもあるのかどうか。それから、ガン組織の中に発見されたヴィールスがはたしてそのガンを起こしたガン原性のヴィールスであるかどうかという点は非常にむずかしいのでございます。同じようなヴィールスの形態を持つものが生体の中のほかにもあったりして、非常に区別が困難でございます。いろいろな実験からして、確かにそのヴィールスがその腫瘍を形作ったものであるという発表も相当出て参りました。将来もおそらくガン原性のヴィールスというものが多くの学者によって立証されるのではないかと私は感じております。しかしながら、またそこにガンと宿主という問題で、先ほど申し上げました通り、多くの人にそういったガン原性のヴィールスがあっても、もしからだがガンを育て得ないような、ヴィールスの環境を与えないような状態にあって、ガンが発育しないで済んでしまった者もあるではないか。それから、ガン患者であれば、そういった状態があったために案外そこに発生してしまったのかもしれません。それは今後たくさんの学者の研究結果によって立証されるでしょうけれども、そういった状態があるというように感じております。

前田正男自由民主党

○前田委員長 これにて両参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、牛山、荻原両参考人に一言ごあいさつを申し上げます。長時間にわたり貴重な御意見の開陳を承り、本委員会の調査のため多大の参考となりましたことを、本委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。まことにありがとうございました。  暫時休憩いたしまして、午後二時より理事会、二時十五分より委員会を開きます。  休憩いたします。    午後一時二十七分休憩      ————◇—————    午後二時二十八分開議

前田正男自由民主党

○前田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  それでは、午前の部に引き続き、ただいまよりガン対策に関する問題について午後の部の参考人に関する議事に入りますが、午前中以来本問題の調査にあたりましては、あくまでも科学技術振興の見地に立つこととし、特定薬品名をあげその宣伝にわたることのないよう十分に配慮するとの理事会の申し合わせにより議事を進めておりますので、この点あらかじめ御了解のほどお願いいたしておきます。  この際、各参考人に一言ごあいさつを申し上げます。本日は、御多用中のところ御出席をわずらわしまして、まことにありがとうございました。よろしく本委員会の調査に御協力のほどお願い申し上げます。  それでは、最初に田崎参考人、次に太田参考人、次に八木沢参考人の順にて、約二十分間程度において御意見の御発表をお願いいたしまして、その後委員各位の質疑にお答え下さいますようお願いいたします。  それでは、田崎参考人より御意見の御発表をお願いいたします。田崎参考人。

田崎勇三医学博士(財団法人ガン研究所附属病院院長)

○田崎参考人 ガン対策に関する問題と申しますと非常に範囲が広くて、どうもそう簡単に述べることはなかなかむずかしいのでありますけれども、わが国は昨年度の厚生省の調べによりますと、大体九万八千人くらいがガンで死亡しておるということになっております。この人数は脳出血の十四万に次いで第二位でありまして、第三位が心臓でございます。これは世界各国の例をとりましても、ガンが死亡順位の第二位を占めるということは世界一流の文化国家の通例でございまして、日本も五年くらい前からガンが死亡の第二位にのし上がってきているわけです。ところが、日本人のガンと西洋人のガンとは非常に趣きを異にしておりまして、日本人は九万八千人のうち約半数以上と私は考えておりますが、胃ガンの死亡が非常に多いということがわが国のガンの特質であります。その次に多いのが子宮ガンでありますが、乳ガンなどは米英に比べて六分の一くらい少ないということが民族の特徴であります。でございますから、ガン対策を国として推進する場合にどういうことが一番望ましいかと申しますと、死亡の順位の商いガンに対する対策ということが真剣に考えられなくちゃいけないと思うのです。ガン全般に対することももちろんでございます。そうしますと、せんじ詰めますと、ガン対策の第一歩は、胃ガンをいかにして根治するか、根本的になおすか、それから次は、子宮ガンをいかにして根本的になおすか、ということの二つがおもな問題のように思います。その次には、最近増加しつつある肺ガンの問題なども出て参るのであります。  ところが、ガンの初期の症状というものは、胃ガンにおきましてはほとんどないといっていいのであります。場所によって多少の差異はございますが、半年ないし一年というものは無症状の時期がありますので、これを絶対的潜伏期という名前をつけている人もございまして、そのあと医者に参りますときに、多少の症状がある。これを精密な検査によって早期の診断ができる。初期とは申せませんが、比較的早期の診断、この早期の診断というのは根治療法ができるということを目標にいたしております。根本的になおり得る時期、これがやはり早期に、一年くらいに症状が出て参りましてから、三カ月か半年以内にそういうことをいたしませんと、ガンが非常に広がりまして、転移をこしらえます。飛び火でございますが、局所のリンパ腺、あるいは遠隔のリンパ腺、あるいは他の臓器に転移をこしらえます。そうなりますと、ガンはもはや救うことができない時期になるのであります。いわゆる手おくれの状態、こういうことで、私どもは国家がまだこれほど力を入れていただく前から日本対ガン協会という財団法人を厚生省にお願いいたしまして、全国的にガンの啓蒙、啓発という運動を展開しております。朝日新聞の後援でやっておりますが、その目的といたしますところは、国民一般のガンに対する知識が少ないために、せっかく根治いたしますガンを手おくれにしておるという状態がかなり多いのでございます。いなかに行って集団検診などをやっておりますと、子宮ガンなどはもう全然ひどくなっているのを発見することがございます。私の方で山梨県に行って、二例そういうのを発見しております。全然医者にかかっていない。あるいは乳ガンなども、都会地ではごく早期に医者のところに参りますから、手術あるいは予防照射というふうな完全な治療ができますけれども、いなかに参りますと、ガンということを知らないので、ザクロのように口をあけてわきの下のリンパ腺が累々と張れておるような手おくれの状態になっておるのが間々見受けられるのであります。こういう状態になさないで、比較的早期にガンを発見して、早く正しい治療をするということが望ましいわけであります。正しい治療と申しますと、現在の段階におきましては、手術切除ができるものは根本的に手術切除をするという形、付近のリンパ腺の廓清をいたします。たとえば胃ガンにおきましても、主病巣のしこりをとるばかりでなく、付近の近接のリンパ腺を廓清いたします。そしておしまいになるわけでありますけれども、乳ガンのような場合には、乳房を完全に切断の手術をいたしますほかに、その腋下のような場合には、乳房を完全に切断のリンパ腺の廓清をいたす、あるいは鎖骨上下のリンパ腺の廓清をいたします。そのほかに予防照射といたしまして、ラジウムあるいはレントゲンの深部治療、あるいはコバルトなどを照射する方法があります。こういうことをもちましてガンの再発を予防するわけでございます。  私どもがガンがなおると申しますことは、比較的の治癒あるいは一時的の治癒を目ざすのではなくて、根治をなおるというのであります。根治療法、生命を救うことができるかどうかということが第一の問題であります。いかにしてガンの死亡率を少なくするか、こういうことでございまして、こういうことを推進するために、国がもう少し予算を出して、国がわれわれの研究なりあるいは治療なりの補助をしていただきたいということを私はかなり前から申しまして、厚生省、文部省その他科学技術庁などから、莫大な経済的の援助をちょうだいしておるわけでございます。しかしながら、国全体としてこういう施策をいたしますには、どうしても国にガンのセンターというものがほしいということを私どもは申しておりました。そして、日本全国大体八つの地区に分けまして、その地区に中心を一ずつ置く。小センターといったらよろしいと思いますが、北海道地区、東北地区、それから関東地区、あるいは北陸地区、それから東海地区、近畿地区、それから四国中国地区を一区にいたす、それから九州、この八つの地区であります。そして膨大な設備、高価な設備は東京に——現在できておりますが、その当時は将来できるであろう——東京に置いて横の連絡を緊密にして、地方で治療できないものは東京に送って、そとで完全なる治療をするということが望ましい、ということをたびたび申して参ったのでございます。その第一段階として、厚生省が、国が東京に国立がんセンターを作られた。研究所並びに病院を併立いたしまして、ガンの対策に乗り出されたということは、私どもとして非常にありがたく存ずる次第で、国会の皆様方にも心から感謝をささげる次第でございます。なおしかしながら、まだそれでもってガン対策が終わったわけではございませんので、いろいろ基礎的な研究もございますし、あるいはガンの治療に関する研究もございますので、国として何分の御援助をいただきまして、東京ばかりでなく、地方に、あるいはいなかの大学に行っておりまして研究費が少なくている方々にも、十分な研究をさしていただくならば、私どもはまことに力強く、感謝にたえない次第であります。そういうふうに研究がどうして必要かということを一言申し上げますと、ガンの発生機転と申しますか、ガンがどうしてできるかということは、いまだ全然わかっていないのでございます。それでございますから、その点を明らかにするということになりますと、ガンの治療ということにつきましても、もっと一大躍進ができるだろうと考えるからであります。  以上、はなはだ簡単でございますが、ガンの対策に関する一般的の問題について申し上げた次第でございます。

前田正男自由民主党

○前田委員長 次に、太田参考人より御意見の御発表をお願いいたします。太田参考人。

太田邦夫医学博士(東京医科歯科大学教授)

○太田参考人 私は病理学を専攻いたしております基礎医学者でございますので、ガンの対策に関しましても、そういう立場から申し上げたいと思います。  先ほど田崎博士からお話がございましたように、ガンの対策ということが本題でございますけれども、ガンの本体ということが、実はまだほんとうには解明されていないのでございます。敵を知りおのれを知れば百戦何とかということがあるそうでございますが、実はおのれの方はかなりよくわかっておりますけれども、敵の方はよくわかっていないのであります。  ごく簡単に、ガンがどういうものであるかということを申し上げますと、ガンというのは、たとえば結核菌がからだの中に入って結核病を起こすように、よそから入ってきたものに対するからだの反応態勢としての病ではどうもなさそうだ。人間のからだの中——人間のからだと申しますのはたくさんの細胞からなっておりますが、そのからだの中に、もとからあった細胞のあるものが急に性質が変わりまして、そうしてどんどんふえ始める。普通正常の人間のからだの細胞というものは、一方ではこわれていきまして、一方ではそれを補充するだけの数がふえていくわけでございますけれども、ガンの場合にはどんどん細胞がふえる一方でございまして、とまるところがないのであります。正常のからだでありますと、一定の数の要求がありますと、それだけふえまして、そこでその成長がとまる、増殖がとまるのでございますが、ガンの場合にはとまらない。先ほど申しましたように、からだの細胞が何か性質を変えてガン細胞になるだろということを申しましたが、その性質を変えたというその性質の違い方は、おそらくからだ全体を支配しておって、ある一定の量だけ細胞がふえますとその細胞が増殖をとめるようなブレーキ機構が働く。そのブレーキ機構が働いても、それを受け入れるブレーキがない、そういう細胞じゃないかという考えが、今生物学者の中ではかなり支配しております。しかし、これは一つの仕事仮説でありまして、まだ、それじゃそのブレーキ機構というものはどういうもので、外からどういうものが働いて、どういう仕組みでとまるのかということは、よくわかっていないのでございます。ガンと申しますのは、からだの方々にできます。たとえば鼻にもガンができますし、胃にもガンができる、肝臓にもガンができる、肺臓にもガンができるというふうに、からだの方々の細胞が食われましてガンができるのであります。ガンという病が、たとえば結核という一つの病と同じような単位で考えられがちでございますけれども、一人一人の持っておるガンはみな性質が少しずつ違うのでございます。このことは、今直接関係はございませんけれども、たとえば薬を作用してガンをなおすというような場合に、ある人のガンはよくなおるが、他の人のガンは全然なおらない、あるいは、ある人のガンでも、一度はなおったけれども、次にはもうなおらなくなるというような変化が起きる、違いがあるということと関係があるのであります。それで、ガンの本体ということにつきましては、今申しましたように仕事仮説はいろいろできておりまして、ほんとうらしい仮説はあるのでありますけれども、それ自体がほんとうにはよくわかっていない。これをうんと研究してその本体を確かめなければ、よく落ちついたほんとうの実力のある治療というものはできないわけであります。  現在は、からだのある場所でガン細胞ができて、それがその場所でだんだん大きくなる、あとでは飛び火をいたしますけれども、飛び火を起こさないうちにその場所をとってしまう、あるいはレントゲン線とかその他の放射線で焼き殺すというようなことをいたしまして、とにかくその場所で殲滅してしまうということを考えて、その方法がかなり成功しております。それで、飛び火ができないうちにということは、非常に早期に発見しなければならないということで、人間の治療は早期発見というところに非常な重点が置かれておりまして、それがかなり成功しております。たとえば、ガンというものは、昔は不治の病であるというふうにいわれたのであります。ガンだという診断を受けたらもう死んだと同じだというふうに考えられておったのでありますが、最近では、たとえば子宮ガンのような場合、ガンでは非常に死亡率が減ってきております。これは世界的の傾向でありますが、日本でも非常に減っております。たとえば癌研の婦人科の成績によりますと、二期くらいのガンまでの治療成績は約六〇%くらいの治癒率ということでございます。そういうわけで、ガンの本体はまだよくわからないけれども、早く見つけて早く処理するという方針で進んでいって、ある程度の成功はおさめておる。現在の段階では、とにかくそこまでは確かなことであります。  しかし、それでは飛び火を起こしてから、今まで手おくれだと思われたようなものをどうしてなおしたらいいかということになりますと、飛び火はどこへ行っておるかわかりませんから、からだじゅうに何か薬を与えてガンを殺したいということを考えるのは当然であります。その薬についてもいろいろの研究がなされております。それで、その研究はどういう方向に進んでおるかということを御説明する必要があると思うのであります。ガン細胞と申しますのも、他の生物の細胞と同じように、外から物質を取り入れまして、そしてエネルギー代謝をしながらその物質を自分の細胞質に変えていくわけでありますが、ある程度以上細胞質がたまりますと、その細胞が二つに分かれます。一つの細胞が二つに分かれる。だから、一つの細胞は物を取り入れて合成をして、そして二つの細胞になる準備をする。そういうふうにして、そういう経過が繰り返されまして、ネズミ算式に数がふえていく。ですから、外から物を与えなければガン細胞は死んでしまうだろうということが考えられます。また、特定の、どうしてもガン細胞が必要とする物質、たとえば核酸というような、核の中にある一つの物質がありますが、その核酸の前段階にあってどうしても必要なもの、そういうものに似ているけれども、化学構造がちっと違う。まあくわせものです。にせものを与える。そうすると、ガン細胞の方はにせものと知らずにそれを取り込んでいく。そうして合成をしたつもりだったところが、ほんとうにちゃんとした合成ができないでつぶれてしまう。そこでガン細胞はふえていかないで死んでしまうということが起こるのであります。そういうふうな薬を作りまして、いろいろの研究をしております。たとえば核酸であるとか、あるいは多糖類であるとか、脂質であるとか、そういうおのおのの化学物質について同じようなことをいたしております。また、毒物がからだの中に入りますと、からだの一部が死んだりするのでありますが、それと同じように、毒物を食わして、だまして殺してしまうというようなことも考えております。そういうふうな機構を研究する必要があるわけであります。それでは、正常の細胞についてそういう機構が全部わかっておるかと申しますと、実はまだほんとうにはわかっていないのであります。生物学が近代科学になりましてから、まだそんなに時間がたっておりません。まあ大体百年ぐらい科学的に研究しておりますけれども、まだほんとうには、細胞の中でどういうことが行なわれているかということがすっかりはわかっていない。ですから、ガンの治療をするためには、細胞の中で行なわれる機構全体を知らなければならぬということが問題になってきます。ですから、細胞の研究をすることはガンの治療の研究をすることに非常に密接につながっておるというわけであります。  一方、ガンの原因になるいろいろな条件ということもいろいろわかって参りまして、それには、御承知のような放射能のような物理的なもの、あるいはこのごろ新聞でも書かれておりますが、たばこの中にあるといわれておりますベンツピレンのような化学的の物質、あるいは最近ではヴィールス性の微生物というようなものも原因としてあげられてきております。しかし、人間の場合に、それでは確かにあの人の胃ガンはどういう物質で、どういうふうにして入ったからできたのだということは、まだわかっていないのであります。現在の段階では、動物を使いまして、これらのわかったものとか、あるいは不明のものを材料にして、いろいろ研究をしておる段階であります。  しかし、そういう研究が全部できなければガンはなおらないかといいますと、必ずしもそうではない可能性もあるわけであります。たとえば、ほうそうが種痘によって予防できるようになったのは、ほうそうがヴィールスで起こるということがわかる前であります。ジェンナーがやりました種痘が非常に有効であるということが科学的に証明されたのは、ほうそうのヴィールスが見つかって、それに対する免疫をこうやって作れば予防ができるのだということの説明が何十年もたってようやくできたというようなこともありますので、一歩々々進めていくことだけが科学的の方法であるということは必ずしもいえません。ですから、ある場合には、非常に優秀な人が、オーソドックスの方法で順序を立てて研究しないために白眼視されるというようなことはあり得るかと思います。  今まで申しましたことは、ガンの研究には、ガンの対策としては基礎研究が非常に大事であって、その基礎研究の基盤となる広さというものは、かなり全生物学にわたるほど大きなものであるということであります。ですから、ガンの研究を正確に科学的に進めるためには、生物化学のすべての方面を振興しなければならぬということがいえると思います。  次に、ガンの場合には、田崎博士が言われましたように、直接臨床と関係のある研究ということがございますし、また臨床と基礎の間にありまして、ちょうど私どもがやっておりますように、どういう細胞が出てきたらこれはガンである、どういうガン細胞の集まりは普通はどういうふうなふるまいをして、どういうふうにして人を殺す、だから対抗するにはこうしなければいかぬというようなことを研究する研究もあるのであります。  現在のところ、それらの研究は、各大学、研究所、病院等で行なわれておるのでありますが、今、国家からガンの研究費として直接ひもつきで出ておりますお金は、おそらく文部省関係で二千六百万円程度じゃないかと思います。それらのものが、多数の研究者の中にばらまかれまして、一人当たり大体十万円から三十万円ぐらいの年間の究研費となっておると思います。このほかに、国立のがん研ができまして、厚生省の方でも御研究になるようになりましたので、多少金額はふえておると思います。しかし、私ども役所の外におりまして考えますのは、この文部省と厚生省の両省のなさっております同じガンの対策というものが、一つの線ではなくて、ある意味ではばらばらに行なわれているのじゃないかというようなところがあるのであります。なるべくなら、これらが一つになって、ガン対策という大きな線を打ち出していただきたいということが一つであります。  それからもう一つは、その文部省から出ますお金も、大体十万円とか三十万円とかいう程度でありまして、最近の研究費の高騰、ことに機械類が優秀になりまして値段が上がりましたために、その程度の研究費というものは、いただくとありがたいのでありますけれども、非常に助けになるという程度ではないのであります。たとえば外国等でガンの研究をいたしますときに、フェローとしてもらうようなお金は大体一万ドルとか二万ドルというようなオーダーでありますので、研究費としてはやはりまだ望むレベルにはないのじゃないかということが考えられます。また同時に、研究者、ことに基礎的の研究者になりまして、余分の収入のない人の待遇というものはやはりあまりよくない。そのために基礎研究にじっくり取り組む人が非常に減っております。ことに医科大学系統から申しますと、新制大学の制度になりましてから、基礎の研究をする者が一般的に減っております。そのためにガンの方にも人が回ってこないというようなことがあります。そういうことを御紹介しておきたいと思います。  まあ、基礎的の方面から申しましたのでありますが、多少とも御参考になれば幸いと思います。

前田正男自由民主党

○前田委員長 次に、八木沢参考人より御意見の御発表をお願いいたします。八木沢参考人。

八木沢行正医学博士(財団法人日本抗生物質学術協議会常務理事)

○八木沢参考人 ちょうどだだいま田崎先生が臨床の方面から、また太田先生が基礎の方からお話しになりました。私の方の専門は、どちらかと申しますと製造の方の関係で、ガンの薬としての製造の方の関係のことでございますので、その方面から申し上げます。現在のところ、確かにガンの対策としては、一番大事なのは、田崎先生のおっしゃった早期発見と早期治療であることは間違いございません。そしてまた、太田先生のおっしゃったように、その原因がわかればまたそのほかの予防的な対策も見つかるわけであります。田崎先生もおっしゃいましたように、まず人種的な差がどんなガンにもございますし、日本だけ取り上げても、地域的なガンの発生の差がございます。そのほかいろいろなことから、両先生のおっしゃったような方法が一番正しいガンの対策であることは間違いございません。しかし、ごく最近になりまして、いろいろな、たとえば抗生物質その他化学療法剤等ができて参りますと、ガンにも何かそういった薬ができないかという考えから、さまざまな薬が出てきております。その中を分けますと、合成された医薬品と、それからまたいわゆるペニシリン、ストレプトマイシンのような、菌の培養で作られる抗生物質の部類、もう一ついろいろな植物、動物から抽出したもの、生薬の類があげられると思います。もちろん、最初に申し上げないといけませんが、こういったすべての薬が出ましても、こんな、今出ているものでガンを根治できるということは、とうていまだ望めない段階であります。しかし、ガンの患者の中には、もう手術もできない、そのほかの方法もできない、注射してもきき目がないといった、いわゆる絶望的な例がかなりあることは確かであります。こういった例にこれを使って、臨床的な若干の症状の改善を見るということもまた方々で認められることであります。しかし、現在の段階はそうであっても、やはり最後には、ちょうどかつて肺炎なり結核なりが非常に高い死亡率であったのが、あるいはペニシリン、あるいはストレプトマイシンにより、またその他の抗生剤によって、現在はほとんど患者の死亡というものがなくなってきたのと同じように、やはりできれば将来はガンを根治する薬を見つけたいというのが、ガンの薬剤を研究している人間の考えだと思います。現在ありますものを大体あげてみますと、まず合成のものとしては、アルキル化剤としてナイトロジェン・マスタードに始まる一連のものがございます。また、合成のものでそのほかに、先ほど先生のお話にもございましたような細胞のエネルギー代謝に関係するものとして、8アザグアニンとか6メルカプトプリンとか、そういったさまざまなものがございます。抗生物質としては、やはりこれは代謝に影響するものでありまして、この研究は日本が主としてやられているわけでありますが、ザルコマイシンから始まってカルチノフィリン、マイトマイシン、アクチノマイシン、クロモマイシンといったような類のものが出ております。しかし、これはもちろん臨床家に試験されてみて、先ほど田崎先生のおっしゃったように、これをもってガンをなおすというふうな大きな望みを持っている研究者はいないと思います。しかし、絶望例には使えるといった段階かと思います。こういった医薬品がたくさん出ておりますが、しかし、これの一番の欠点は、何といっても非常に毒性が強いという点であります。確かに動物の実験その他では、動物をほとんどなおせるに近い感じのするところまで持って参れますが、しかし、さて人間に使ってみますと、むしろこれを使った方が白血球の減少その他のいろいろな副作用が出て、使った方が長生きしたのか、使わなかった方が長生きしたのか、わからないような例もあります。ただ一つ救いになるのは、絶望例にこういった薬を注射しますと、これは多分に主観的な問題も入っておりまして、患者の主観も入って参りますが、少なくとも患者は救われた感じがして楽になるという例も決して少なくありません。ただいま申し上げましたのは、現在ありますいわば有毒なガンに対する薬でありますが、将来はもっと無毒なガンに対する薬も見つけられる可能性があるのでありまして、昨年あたりから、先ほど太田先生のおっしゃった文部省の研究費の中で二千六百万円の中から百八十万円が抗生物質の研究費として出ております。また、それとほぼ同額のものが合成剤の研究費として出ているはずであります。百八十万円出ました研究費を約十カ所の研究室に分けて、そして新しい抗生物質のグループの抗腫瘍剤を、またその中の二カ所ではもうちょっと高等な菌のもの、それから植物成分といったものの中から新しい抗ガン剤を探しております。  ここで、抗ガン剤を合成と抗生物質に分けましたが、それぞれに特徴があると思われます。合成剤の場合には、たとえばナイトロジェン・マスタードが見つかれば、それの誘導体を作っていって、それよりもよりいいもので、よりきくようなものを見つけるという方向に参ることと思います。従いまして、一つのものが見つかればそれの似たものしか見つかってこないということも言えます。一方、抗生物質の方は、これは動物のガンを使うわけでありますが、そういった方法で実験に使いますが、その方法で次々にそれに多少の作用のあるものを見つけて参りますので、出てくるものがそれぞれ違ったものが出てきます。  現在、先ほど申し上げました六種類の抗腫瘍性の抗性物質は、化学的には全く無関係なものであります。また、現在それ以外に使われてない動物実験またはそれ以前の段階である抗腫瘍剤にしても、それぞれが化学的に非常に違ったものであります。その中には、往々にして無毒なものも知られております。こういった無毒のもので、もし抗腫瘍作用を持つものがあれば、あるいはガン根治に向かって近づけるのではないかという考え方もあると思います。この方面の研究を一番やっておりますのは、日本が一番先に手をつけて、世界的に日本が非常に有名なわけでありますが、何と申しましても日本の研究者たちは十分な研究をするだけの研究費に恵まれておりません。おそらく実験方法としては、実験動物——ハツカネズミまたはシロネズミ、ダイコクネズミを使う実験、もう少し先へ行ってサルを使う実験等が考えられるわけでありますし、また、試験骨内の試験として種々の培養できるガンの細胞、そういったものを使って実験する方法がありますが、いずれも非常に金を食うわけであります。そういったところから日本でも非常に困難しておりますが、これは何も日本ばかりじゃございません。日本はむしろかなり近道の方法をとっております。いわば目的に達するために途中のことをかなり除いて仕事をしております。もしこれをオーソドックスにやろうとすると、もっと非常に金を食うわけであります。先ほどアメリカの研究費が一万ドル、二万ドルということを言われましたが、アメリカにおきましてもガンの研究というものは非常に金を食う仕事であって、現在アメリカの国立のガン研究所が中心になってやっておりますが、アメリカの非常にもうけている製薬会社等でも、ガンの研究は金がかかるからできないといったような現状であります。また、問題がむずかしいから期間がわからぬというような問題もあると思います。  そういったところから、ガンの医薬品は現在のところ全くいわば気休め程度のもの、また少しの効果がある、しかし毒性があるためにそう使えないといった程度の段階でありますが、将来は決して失望すべきものではないとは思います。現在のところ、繰り返して申し上げますが、ガンの治療対策としては、あくまでもやはり早期発見、早期治療が必要でありまして、また、予防的には病理的ないろいろな研究が必要であると思います。そして、こういった新しい抗ガン剤の研究というものは、現在のところではすぐ役には立ちませんけれども、将来の研究としては絶対必要であると思います。  先ほどからお話がございました国立のがん研究所ができ、またそのほかそういった設備ができますが、こういうところの目的とするところは、現在あるガンの患者を救うということにやはり集中されます。従いまして、そういうところが並立されてガンの研究所を作られたりしても、こういった新しい薬を見つけていこうというようなきわめて長期の計画は、その中にはなかなか入りにくいのではないか。それにはもう少し力を入れる必要があるのではないかということはもちろん思っております。ただ、この場合に申せますことは、現在の科学の研究はすべて総合研究になってきております。日本で抗生物質が戦後非常に伸びたことは御承知だと思いますが、抗生物質の研究にしても、農科の人間、理科の人間、その理科の人間の中でも化学の人間、生物の人間、また工科の人間、あらゆる自然科学の人間、ときには経済の人間、そういった人間が入って抗生物質を進歩さしてきたのでありまして、ガンのような大きな問題に取り組んで新しいものを見つけていこうというときに、総合研究的な考えがなければとうてい新しいガンの薬を完成することはできないと思います。  また、後ほど御質問がありましたら申し上げます。

前田正男自由民主党

○前田委員長 以上をもって各参考人の御意見の御発表は終わりました。     —————————————

前田正男自由民主党

○前田委員長 それでは、本問題について質疑の通告がありますので、順次これを許します。原茂君。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 きょう三先生の非常に貴重な御意見をお伺いし、私たちしろうとでございますが、先生方の御意見を中心にいろいろとある意味のお教えをいただきたいと思うわけであります。  きょう午前中からこの委員会が開かれておりまして、私どもの念願としますのは、終局的にはなるべく早期に国家的な高度の機関を作っていただきまして、ガンというものを撲滅するといいますか、ガンに対する日本的な権威のある対策、その一部としての治療法なり薬剤なりというものが、今も八木沢先生の言われたように、総合的な研究の成果として急速にそれができ上がることを念願しているわけであります。現在特にガンの問題の権威ある機関としては、日本癌学会があるわけでございますが、この学会、あるいは大学の各研究室、厚生省のがん研究所といったような、それも先ほど太田先生の言われたばらばらという感もまだある状態を、なるべく急速に総合的に、もう少し高度に、ある薬剤に対しましても、はなしてこれが抗ガン剤であるのか、あるいは制ガンの役目をするのか、ガンの免疫薬品として効能があるのかといったような判定を下して、そうした薬のはんらんによる国民大衆へのある意味の迷惑などの防げるようにしたいといった意味のいわゆる総合的な機関、権威のある機関というものが国家の手で急速に作られるように念願しながら、その前提で一昨年以来今日まで、時に応じてこの問題を科学技術の立場から検討をさせていただいてきたわけです。私たちの念願はそういうところに眼目を置いておりますので、どうかそういう点を十分御理解の上で、しろうとですから非常に失礼な質問をしてみたり、あるいは新聞、雑誌等に出ておりますものを基礎にいたしまして、ざっくばらんに質問を申し上げるようなことになるかと思いますが、そういう点はお気を悪くなさらないように、やはりガンのおそれを持つ国民の一人が、自分のからだということを心配しながら真摯に御質問をしているのだという立場でお教えいただきたい、こう思うわけであります。  特に田崎先生にはおしかりを受けるかもしれませんが、一昨年癌学会における牛山先生の発表を中心にしたその前後に、「文芸春秋」誌上に、先生のいわゆるガンというものは薬でなおるとかなおらないといった見解の発表があったわけであります。これはしろうとの私たちには非常に興味を引く問題でございますし、ある意味では先生の所見が非常にわかりやすくわれわれの記憶にあるわけであります。しかし、どうもその後の関係者、私の知る範囲内の人々の意見を聞きますと、先生の言われていることが曲解をされているといいますか、何か曲げて理解をされているような点もあるのではないだろうかということも実は率直に感じておりますので、こういう点、記事になっておりますものを中心に、しかも時間的にもできるだけ簡潔にお伺いをしてみたいと思いますので、どうか一つ、これもおしかりなく御答弁願いたい、こう思うわけであります。  最初に、順序が逆でございますが、八木沢先生に一つお伺いしたいと思います。今各種の抗生物質その他の医薬品に関する概略的な御説明をいただいたわけであります。薬のことも病気のことも私はわからないのでありますが、先生の言われた中できつく印象に残りましたのは、どんなガンに対する現在発売されている薬も毒性が強くて、これを使うことがいいか悪いか、あるいはそのために長生きしかのか短命になったのかが疑問だ、こうおっしゃった点が非常に強く印象に残りました。私はきょう午前中に、実は今「文芸春秋」のことをちょっと申し上げましたが、SICという薬を発明され、製造せられている牛山先生の所見を伺ったわけであります。それに関連してのみ私はこれからいろいろ申し上げるわけですが、このSICという薬に対しても八木沢先生が検討をされたことがおありになるのかどうか。特に毒性という点では、昭和医大の権威ある先生の研究を通じて、まずほとんど顕著な毒性はないのだ、こういうふうな説明を午前中伺いました。もしSICに対して、その薬の検討を他の薬と同じようになされておるのならそれをお伺いしたい。  それから、時間の都合でついでに太田先生にお伺いいたします。今のお話ですと、基礎研究の上から動物のみ何か実験をされてきたようにお伺いしたのですが、いわゆる臨床的に人間のからだ、人体において実験といいますか、いわゆる基礎研究の成果をためしてみるというか、そうしたことはおやりになったことがありますかどうか。  先に両先生からこの二点だけお伺いして、あと田崎先生にお伺いしたいと思います。

八木沢行正医学博士(財団法人日本抗生物質学術協議会常務理事)

○八木沢参考人 先ほど私が申し述べましたように、毒性が一般に強いということを申し上げました。一般に強いということでございまして、毒性の低いもの、高いものも中には含まれているわけでございます。私の一番近いところの問題を取り上げて、抗腫瘍性の抗生物質を取り上げてみますと、抗腫瘍性の抗生物質の中でザルコマイシンと申しますのがございますが、これは一グラムぐらいの量を注射しても毒性は現わさないぐらい低いものであります。もっとも、現在のところ出ておりますザルコマイシンは、製造法の関係もありますか、やはり静脈炎等を起こしますので、全く毒性がないということは申せませんが、毒性は非常に低いものだということは申せます。大体われわれが毒性を表わすときは、マウスに静脈注射をしたときにマウスの半数が死ぬキログラム当たりの量でそれを表わすわけでございます。これをLD50という言葉で呼んでいるわけであります。ザルコマイシンの場合にはLD50が二百とか三百とかいったオーダーのミリグラム・パー・キログラムといった、キログラムあたり二百ミリグラムといったもので、そのほかのたとえばストレプトマイシン等とあまり毒性の違わない弱いものでありますが、カルチノフィリン、マイトマイシン、クロモマイシンといった類は、いずれも毒性が一ミリグラム程度またはそれ以下の強いものであります。そういったことから、今毒性が強いということを申し上げた現在発売されている抗生物質、または合成剤の場合も同じようなことが申せますが、一般に強いと思います。ただ、この場合に毒性が強い弱いというときには、いつも作用と毒性を兼ね合わせて考えなくてはならないもので、作用が弱いもので毒性が弱くても、これは意味がないわけであります。作用と毒性とを兼ね合わせて考えると、やはり一般的にいって毒性が強いということは申せると思います。その毒性も急性毒性ばかりではなくて、白血球減少等、直接ではない影響を人体に与えるものもかなりたくさんあるわけであります。これで今の毒性の問題は一応終わります。  その次にSICの問題でございます。ちょうど私今おっしゃいましたSICを、さらにその二年ほど前に一回見せていただいたことがございます。それ以後SICの方も非常に進歩したかもしれません。私はそれ以後の進歩は存じません。しかし、私の考えといたしましては、ただいま一番最後に申し上げましたその作用と毒性という問題は、やはりいつも考えなくちゃいかぬ問題だと思います。この場合、SICが毒性でないとおっしゃったけれども、私も正確には存じませんが、あるいは確かだと思います。ただ、今まで私がそのほかの合成剤、抗生物質等を見て参りましたときに、いつも抗ガン剤がありますとその有効成分いうものがはっきりわかって参ります。抗生物質の場合にも、もちろん発見された初期にはその化学構造等はわかりませんが、その中のどの化学構造のものがきくということがわかって参るわけであります。一般に新しい医薬品というのは有効成分がわかるということでありまして、中にはわからない血清類もありますが、これは化学的な方法、生物学的な方法、免疫学的な方法で一般に有効成分はわかるわけであります。私は不幸にして、SICの有効成分というものは何であるかということをまだ十分な研究を拝見しておりませんので、SICの毒性の問題は、SICの有効成分というものがもうちょっとわかってくると御返事しやすいのじゃないかと思います。率直に申しまして、SICなるものが確かにございますが、SICを何でSICときめていくかというと実は自信がないのでありまして、ほかの医薬品の場合には、抽出をするなり、化学的研究をして、その中の有効成分を確かめられるのが通常であります。この場合も、SICの有効成分を何かほかの方法で確かめることができたら、もうちょっと議論が進められるのじゃないかと存じます。

太田邦夫医学博士(東京医科歯科大学教授)

○太田参考人 結論的に申すと、私は制ガン剤の人体実験ということを手伝ったことはございます。私自身としてはかなりの経験を持っておるということは言えると思います。制ガン剤の人体実験と申しますのは、二つの大きなカテゴリーに分けることができると思います。一つは、直接にガンを持った人に制ガン剤を適用してみてその効果を見ることでございまして、私ども病理組織学的にこれを検査いたしまして、確かにこのものが人体のガンを阻止するような働きを持っているかどうかということを顕微鏡の下で確かめます。また、電子顕微鏡的にこれを確かめることもできます。それから、現在日本で方々の研究者がやっておりますことは、先ほども申しましたように、ガンは一つ一つ違うのでありますから、人間のガンのどれに対してもきくということは言えないわけでありますから、どうしてもある治療をしようという人のガンの一部を切りとってきまして、それを試験管の中に飼いまして、その中に薬物を非常に薄めて、人体で作用させることのできる濃度あるいはそれよりも何十倍、何百倍というような濃度を加えまして、そしてそれに対する細胞毒性ということを調べるのであります。この二つの方法がございます。後の試験管内でいたします方法は私自身やったことはございません。しかし、人体に直接応用しまして効果をみた薬品といたしましては、ザルコマイシン、アクチノマイシン、マイトマイシン、クロモマイシン、サイオテパというようなものであります。これらはいろいろ特徴がございますけれども、たとえば先ほど八木沢先生がおっしゃいましたアルキル化剤というようなものでありますと、細胞体の小器官に変化がありまして、また細胞が分裂いたしますときにその分裂機構を非常にこわすということが見られております。ある種のほかの薬剤でありますと核が融けてくるというような、いろいろな有効物質の性質に従いまして比較的特徴ある所見が見られるのであります。しかしながら、部分的にはそういう所見が見られるのでありますが、時を追って組織をとって調べてみますと、私の経験しました例で、そういう薬剤ですっかりガンがなおってしまったというのが、残念ながらないのであります。部分的にはなおりますけれども、またあとが出てくる。ですから、おそらく百匹のガン細胞を百匹やっつけたということは言えないのであります。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 すみませんが、もう一度ずつお伺いしたいのです。八木沢先生のおっしゃった、二年前に一度SICをごらんになって、その後ごらんになっていない、そういうことと、その有効成分というものがどういうものであるかがわかったらずいぶん便利だ、こういうお話でした。少なくとも先生のお立場は、抗生物質学術協議会の常務理事をされておるのですが、二年前に一度ごらんになったあと、田崎先生の「文春」に発表された見解が出たり、あるいはその他の週刊誌等にも相当程度このSICを中心にしていろいろと論議されてきている。その間、今おっしゃったように、切実に有効成分がわかったらなというお気持があるのでしたら、牛山博士に対してその有効成分を知らせろとか、どういうものであるかということを問い合わせをなすったことがあるのか。少なくともその価値がないから聞かなかったのか、あるいは問い合わせをされた結果どういうことが判明をせられたか、これをお伺いいたしたい。  それから太田先生に——一緒にして申しわけございませんが、今のお話のザルコマイシンその他の薬の中で、性質は違うのかもしれませんが、マーフィリンというものもお使いになった経験がおありなのかどうか。

八木沢行正医学博士(財団法人日本抗生物質学術協議会常務理事)

○八木沢参考人 四年前に私拝見いたしましたときに、製造しておられるところを実は拝見したわけであります。その際に、私たちの抗生物質その他抗生剤の常識から参りますと、製造していく各工程で何が幾らできているかチェックするわけでございまして、その方法は必ずしもそのものずばりの方法ではございません。たとえばペニシリンの場合にしても、ペニシリンは肺炎の患者に使いますが、しかしそのときには、ほかの菌を使って、試験管あるいはペトリ皿を使いましてペニシリンとして調べて参ります。そういう方法で培養を続けて参りまして、最後にそのものの培養した中から有効成分を抽出していくわけでありますが、その抽出していく各工程でも、ペニシリンがどのくらい入ってくるかをチェックしながらとっていくわけであります。もちろんペニシリンを培養いたしますときに、培養温度等がちょっとふれますと、これはペニシリンを作ったり作らなくなったりいたします。また、培養基の状態がちょっと変わっても、ペニシリンと申しましたが、抗生物質一般論でございまして、やはりたくさんできたりできなかったりするわけであります。ただ、先ほどのSICを拝見いたしましたときに、SICを、これでできているんだとおっしゃいますが、私、何でそれを確かめておられるのか、培養後何時間でSICができているか、SICがどこで確かめられているか、実は私全くわかりませんで帰って参りました。培養温度等に関しても、どの温度で培養したら一番いいかということは、私は実はわからないで帰って参りました。もちろんやっておられる方は、ある程度目算を持っておっておられるでありましょうが、いわば客観的に見てわかるような御説明はいただけなかったと思います。そういったところがら、いわゆる今までの合成剤、抗生物質等のものとSICとは全く違うものだ、別の範疇のものだと思います。そういうところがら、有効成分に関してももちろん伺わなかったわけであります。

太田邦夫医学博士(東京医科歯科大学教授)

○太田参考人 私は、組織学的に人体に応用された制ガン剤の効果を判定するのは、系統的に時間を追ってその組織を少しずつとって調べる方法が一番いいと思っておるのでありますが、そういう観察をマーフィリンについてやったことはございません。ガンでなくなった患者さんの病歴を調べますと、マーフィリンをある時期に使われておるというような例は見ておりますけれども、先ほど申しましたような意味での系統的の検索はいたしておりません。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 もう一点八木沢先生にお伺いしたいのです。たとえば、さっきおっしゃったペニシリンでございますが、あれもわが国に入って使用されまして、あるいは国際的にこれが使用されて、おそらく数年たった後に今御説明になったような、いわゆる有効成分といいますか、それを総称した構造式といいますか、こういうものもあとででき上がっている。決して前からそれがわかったり、その過程が全部分明になって、しかる後に薬として使用され効力を発生してきたという順序ではないように私は聞いているわけなんです。これと今の御説明とどういう関係でございますか。

八木沢行正医学博士(財団法人日本抗生物質学術協議会常務理事)

○八木沢参考人 ペニシリンの例が非常にいい例でおっしゃったと思いますが、ペニシリンが化学構造その他がきまりましたのは、確かにおっしゃる通り、はるかあとであります。一九二八年にペニシリンなるものが見つけられて、四一年にそれが新しいペニシリンになりまして、かなりのものがわかった。実際に化学構造が決定されたのは、私の記憶では四七年ごろだったと思います。しかし、化学構造が決定されるまでのペニシリンは、最初からほかの方法でこれがペニシリンだということが確かめられておったわけでございます。それと、ただいまのとだいぶ違うと思います。私が先ほど有効成分のことを伺わなくていたと申しましたのは、二次的な、間接的な作用があるいはあるかということも考えられる、と言ったわけでございます。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 ことによるとあとでもう一度両先生にお伺いいたします。田崎先生に、先ほど前段に申し上げましたように、おしかりのないように、しろうとの私が、国民的な疑問を持たされた——ジャーナリズムに持たされたかもしれませんが、そういう観点から、くどいような質問を申し上げるのでありますが、あしからず一つお答えを願います。  まず第一に、一昨年の十二月の癌学会の経過であります。「文芸春秋」の先生の御所見を見ると、大体先生のおっしゃったことがそのまま出ているのじゃないかと思いますが、そのうち一つ一つを私の感じたままにお伺いしてみたいと思います。総括的に最初にお伺いしたいのは、牛山先生に午前中に伺った内容から言うと、どうもあの癌学会で発表をさせていただいて、広く学者先生方に研究をしてもらった方がよかったのじゃないだろうか、しろうとの私にはどうも惜しいように考えられる、私はそう思うのです。先生の立場から言うと、まだその原理、どうしてこれがきくのか、どういうふうな作用をしてガンにきくということがいえるのかということも分明になっていない、はっきりしていないから、そういうものを今学会を通じて発表させるということはかえっていろいろな意味の弊害が伴うのじゃないか、そういう御懸念から発表を差し控えたというふうに、集約すると私は記憶しているわけです。  そこで、第一に問題として私が考えますのは、SICというものに対する八木沢先生のお話も今ありまして、一部わかったのですが、一体これがガンにどのような作用をするものか、どういうふうな影響をガンに与えていくものかというような研究といいますか、検討といいますか、そういうことを先生がなさった上で、あれに対して今は発表すべきではないという判断を下されたのかどうか。そのSICというものに対する先生の認識の度合いというと語弊がありますが、どういうものだということを研究した結果、つかんで、だからこういうものでは発表してはいけない、こうお考えになったのか。その発表すべきではないと考えたまでのSICに対する先生の研究、あるいはこれをよく検討をされたその内容について、ちょっとお聞きしたい。

田崎勇三医学博士(財団法人ガン研究所附属病院院長)

○田崎参考人 SICの問題が出ましたから、一応癌学会の組織を、皆さん御存じかもしれませんけれども、一言申し上げます。特に終戦後民主主義の問題が大きくなって参りまして、癌学会は非民主的であるかのごとく伝えられているのでありますが、私も当面の責任者として一言、はたして日本癌学会は非民主的であるかどうかということを簡単に申し上げます。  会員が大体千八百から、ときによって二千名、全国にまたがっております。その中から三年以上会員であって、地方の大学あるいは研究所などにおいて相当な実績をあげている人、すなわち日本でいえばやむを得ず教授格になりますが、あるいは病院の部長、院長格になりますが、そういう方を、初めは五十名でございましたが、七十五名推選いたします。これは二千名の、投票ではございませんが、七十五名推選いたしまして、その七十五名の単記無記名の投票によりまして十二名の幹事が選出されるわけであります。この七十五名の評議員というのは任期が一年でございます。ところが、投票によって選出されました幹事の任期は二年でございます。ここがちょっとおかしいかもしれませんけれども、しかしながら、その幹事の中から会長を選挙いたします。会長の任期はただし一カ年でございます。その一年の間に会長のやるべき仕事は、癌学会を主催するということと、それから総会の議事の論文集を出すということでございます。その総会は大体十月ごろございますが、二月と八月にシンポジウムをやりまして、五、六百の人が集まる例になっております。これはなるだけ地方に持っていくようにしております。ことしは北海道に持っていくことになっております。  それからもう一つは、この会期は二日間でございます。ガンの研究が非常に隆盛になりまして、私のときに集まりました演題が二百九十二でございます。これを二日間にやりおおせますのには非常な苦労が要りますので、示説、デモンストラチオンといって、演説をさせないで、そばの部屋である時間を区切って説明をするということをいたします。二百九十二題のうち百二十九題が示説に回る。ほとんど半数になります。演説に回りますのは百六十三題でございます。しかしながら、時によりましては演説にも示説にも回らぬような論文も来るわけであります。そういうのは論文審査委員会で却下するわけであります。  例の薬は示説の方に回っております。それから、その研究をしている某大学の研究は、一つは演説の方に回っております。これが一応発表いたしまして、それで本人にもそういう通知を出しましたあと、幹事会の問題になりました。十二名の幹事会であります。私ももちろん出席しております。それで、満場一致で、あれは発表さすべきでないという議論になりました。それで私が会長としてそういう処置をとったわけであります。しかしながら、それに対する一年間の責任というものは会長たる私にあるわけでございますから、これは取り扱いが実にまずかったと思うのであります。大体論文を演説させるかさせないかといいますのは、選考委員会で決定するわけでございますが、発表したあとそういう取り消しをやったということは、非常に手続がまずかったと考えて、これは世間一般に対して、新聞紙などを通じてたしかおわびしたと思います。でございますから、運営そのものには大してそういうワンマン的な、あるいは非民主的なことはなかった、多数決の原理に従って運営されているというふうに私は存じております。  それから、あの薬について研究してやったかという御質問のようでございましたが、それは別に私自身がそれを研究はいたしておりません。しかしながら、そのもののいろいろのうわさ、地方の会合などで、こういうことだったというふうなことは前から聞いて耳に入っております。で、ああいうものができている、やっているということは、私耳にしております。その程度でございます。しかも、あの地方の医師会長や、あるいはいろいろな人からの投書なども私のところに参っているのも材料になったかと思います。あるいは入院患者からの投書も来ておるのでございます。そういう点も私個人の判断の材料にはなります。しかしながら、決定はあくまでも十二名の幹事が決定したということでございます。  そこで、あの方が申しております理論でございます。アブストラクトが参っておったので、その理論というものを私は見たのでございます。それによりますと、「人癌患者血漿のポリタミン培養より得たバチルス族に属する一種の細菌は選択的に癌細胞を破壊する作用を有するので癌免疫菌と仮称し本菌のタンク培養濾液の精製物質である結晶性粉末をSICと命名した」ということがございます。それ以下まだ少しございますが、この理論はおそらく世界じゅうの細菌学者が承諾しない理論ではないかと思うのです。結局ガン患者の血漿の中にばい菌がいるということです。しかも、あの方の発表したものを見ますと、ヴィールスよりも小さい、極微小体が現われる、それが培養の道程においてヴィールスみたいになる、それが球菌になり、さらに桿菌になる、その桿菌の最後の状態というのは枯草菌様である、こういう経過をたどっておる。この理論と申しますか、これも現在世界じゅうで通用しております細菌学の理論には合っておらぬことでございます。結核菌は何代培養いたしましてもあくまでも結核菌でありますし、肺炎菌は何代培養いたしましても肺炎菌であります。大腸菌は、いろいろございます、大腸菌に類似のものもございますけれども、それも何代やってもその菌の特性がございまして、小さいヴィールスから桿菌になるというようなことは、われわれとしては考えられないことでございます。もしもそういう点に御不審がございましたならば、細菌学の権威者をお呼び下さってお尋ね下さるのも一つの方法だと思いますし、あるいは血液の権威の方にお尋ねなさってもけっこうだと思いますけれども、細菌学者が一番適当かと存じます。そういう理論の上に立ったある薬がまくきかないというような問題は、学会でさほど問題にすべき点ではないのでございます。その根本的な理論にもしも間違いがあれば、その薬がどうしてできたかというようなこと、あるいは構造式、あるいは本体、そういうものが不明であるものをきいたきかぬでは、これはどうも学会で取り上げる前の問題だと学会では考えるわけでございます。しかもその薬は、これは厚生省の薬務局に関係があることでございますけれども、胃の薬として薬事審議会を通過して、いわゆる売薬になっておる薬でありまして、その効能書には、胃液の分泌を高め、低酸、無酸をよくするというふうな効能書が書いてある。しかも、そのレッテルにはSICというマークが入っておる。このマークは、厚生省の薬務局では御存じなかったかもしれませんが、サブスタンチア・インムニターテス・アンチカルチノマトーザ、いわゆる抗ガン性物質というものでございます。そういうふうな売薬になっておるものを、われわれの学会でその効果だけを判定するのは、取り上げないというのは当然のことであると思うのであります。たとえばここに仁丹がある。仁丹が頭痛にきいた、あるいは胃ガンの痛みにきいたというようなことがありましてもこれを取り上げないのと、多少の違いはございますけれども、同一のことでございます。  それから、効果だけの判定ということを申しますと、たとえば抗生物質であるところのストレプトマイシンは結核の特効薬でございますけれども、これを肺ガンに使いますと、レントゲンで見ておりますと、肺のガンのまわりの陰影が小さくなり、ガンにきくのではないかと思うことがある。これは一時的の現象でございますけれども、そういうことがある。それで、実際は解剖してみますとガンであったということですが、そういう場合に効果の判定は非常に困難でありますが、そうかといって、レントゲンで小さくなったものをきかないとは言えない。効果があるではないか、結核のストレプトマイシンは肺ガンにもきくではないかというふうなことは、言えないとも限らないわけです。だから、そういうことは動物実験なんかやるとすぐわかるわけでありますけれども、詳しい動物実験とかいろいろ基礎的な研究をいたしませんと、そこはまずい。それから、たとえばアスピリンを飲ませますと、肺ガンの非常に激烈な疼痛が軽快する。これは肺ガンにきくではないか。でございますから、私が今日申し上げたいことは、しろうとの方あるいはマスコミの人たちがきくというデフィニチオンをきめなければならぬ。われわれが効果を判定する場合には、私どもがきくと申しますときには、やはり現在の段階では五年以上再発をしない、あるいは永久治癒ということになる可能性のあるものを根治、なおると申します。ただ一時的の軽快、今のストレプトマイシンによる肺の陰影の縮小のごときはなおるという部類には入らないのでございます。  それからもう一つは、なおるなおらないというよりも、きくきかないという方が少し言葉がやわらこうございます。なおるというと非常に言葉が強いが、きくきかないといいますときに、私どもは効果の判定といたしまして、自覚的の効果と他覚的な効果と二つに分けております。自覚的の効果と申しますと、一時的でありますが、気持がよくなる、あるいはその精神作用で食欲が増進する、あるいは胸の痛みが幾らか軽くなった、そういうことを自覚的効果といいます。他覚的効果と申しますと、確かによくなっておるという証拠でございますが、幾らが軽快しておる、先ほどもレントゲンの例を申し上げましたが、やはりそういう場合も他覚的に効果があったと言えると思うのです。あるいは血たんがとまるというようなことも、他覚的にそういうことがあり得るということです。そのほか、体重が増加してくるとか、あるいは血液が貧血の状態からだんだん回復してくるというようなことも、他覚的に証明できることです。それでございますから、ある薬の効果の判定のときに、完全になおるということは、現在の医学の段階では、ガンが注射一本で完全になおるということは世界じゅうにないということです。ただ自覚的、他覚的の多少の効果があるものはたくさんございます。それは枚挙にいとまがない。ソ連でもやっておりますし、その他先進国では盛んにやっています。これはどういうわけであろうかと申しますと、やはり薬でガンはなおらないだろうかというふうなことにもとを発しておるわけであります。  それからもう一つは、手術をしても結局再発するではないか、放射線治療をやっても再発するではないか、寿命という点からいえば三年か五年ではないかということで、何かもう少しという意味もありますし、それから、手術いたしましたあとに再発したり、あるいは初めから手おくれでどうにもならぬというような場合もございます。そういう患者に対して、多少の精神的の慰安あるいは自覚症状の軽快という程度のことがございますならば、家族としても本人、本人としても非常に喜ばしいことでございますから、そういうためにも使う。それからもう一つは、手術あるいは放射線療法のあとに、いわゆる根治的療法をいたしましたあとに、補助的に用いる。血液の中のガン細胞を私五、六年前から研究しておりますけれども、普通のガンは局所の病気でありますけれども、すぐ血液の中に流れて全身性の疾患になる危険があるということを見ております。二百例ばかりのあれをなにしますと、大体三〇%くらいには血液の中にガンの細胞が見える。ひじの静脈の中に。それから、もちろんリンパ管の中にもそういうガンの細胞がいっているわけです。こういうものに対してガンの薬を用いると、全身的に働きますから、幾らか延命効果がありはしないか、あるいは再発を予防することができはしないか、というふうな効果はあるかと思います。  一九六〇年の十月に、東京で国際癌学会がございました。その中に世界じゅうのガンの学者が百人ばかり集まって討議をいたしましたが、結局ガンの薬だけでガンをなおすという行き方じゃございません。やはり二大療法である手術療法と放射線療法と合併療法として、手術の前あるいは手術中あるいは手術後にも用いて再発を予防しよう、あるいは延命効果をもたらせよう、そういうふうな行き方が今の化学療法の研究の段階で、そういうことを目ざしておりますので、薬だけで、薬一発でガンをなおそうという大それた望みを持っている人は今いないと思うのです。それはあくまでも理想でございまして、薬でなおって、ああいう強烈な放射能を当てたり、あるいはかたわになしたりしないでなおる時期がくることを私は心から望んでいるわけで、そういう研究をしております。いろいろと制ガン剤を人体実験と申しますか、人間に用いている経験もたくさんございます。これは何百例もあります。そういうことでよろしゅうございましょうか。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 先生の説明はよくわかりましたので、一つ一つまたお教えを願いたいのです。  最初にガン学会というものの組織の説明があった。これは非民主的だといわれているが民主的なんだ、こういう御説明があった。私聞いていて、少し民主的じゃないなと思ったことが一点ある。というのは、選考委員会が、このアブストラクトは発表すべきである、あるいはこういうテーマのものは学会の発表にしかるべきものときめたものを、選考委員会の方が数がきっと多いだろうと思うのですが、多いか少ないか知りませんが、一応の機関として階段を踏んだのに、幹事会では、今先生のおっしゃっただけくらいの理由でその発表を急に停止できるということは、ちょっと民主的な組織のあり方としては考えられない。非民主的なんです。そういうことを民主的でないというと私は理解しているのでありまして、少なくとも選考委員会が、これは発表してしかるべきものだ、こうきめたものを、よっぽどの理由のない限り、幹事会というわずか十二名の先生方が、これはやめようときめられたのを、そのままそれが通ってしまうところに、何かこの学会というところに非民主的なにおいを、私も今の御説明で感ずるのです。根拠が薄弱だと申しましたのは、私がお聞きしたのに、先生は十分にまだSICというものの研究をしていない、御自分では研究はしていない、しかしうわさは耳にしたことがある、地方の病院長の手紙だとか、あるいは患者からの投書とかいうことで、うわさを耳にしたことはあるという程度であって、御自分でこれを確かめていない。他の十二名の先生も、おそらく幹事といわれる先生方も同じ程度じゃなかったかという印象を今受けたわけです。その程度のことで、この選考委員会がきめたものを幹事会が、発表すべきでない、急に取りやめをしてしまうようなことでは、これは民主的ではないのだというふうに私は考えますから、この点は先生の民主的なんだとおっしゃることと少しく違うということを申し上げておきたいわけです。あとでこれもきっと関連すると思いますが……。  それから、どうもアブストラクトの問題になってくると、そこで読まれましたが私には全然チンプンカンプンで、正直言うとわかりません。ほんとうのことは私にはわからないのですが、いろいろこまかく、しろうとわかりのするように例をあげておっしゃっていただいたので、その点で申し上げます。たとえば結核菌とか大腸菌というようなものは、どこまでたっても同じ結核菌であり大腸菌なのだ、こうおっしゃった。私も多分そうだろうと思うのです。思うのですが、さてしからば、ガン菌というものが今すでにつかめているのかどうか。ガンの菌というものがもしあるとするならば——先生は結核菌だの大腸菌というものを例にとられたのですが、そういう菌はどこまでもその菌だとおっしゃるのです。まだしかし、私は、ガンに対して菌という状態のものがこれなのだと、つかめているのかどうかということを寡聞にして知らないものですから、そういう菌という状態をもしつかめているとして、その菌はどこまでも菌であることに間違いなかろうと思うのですが、その菌のいわゆる生々発展というか、菌になるまでの過程においては、先生がさっきおっしゃったような、いわゆる世界の細菌学者が納得すまいとおっしゃったような理論といいますか、論理というものは、どうも午前中のこの委員会におけるお話を伺ったのでは、先生が不勉強でよく知らないのじゃないだろうか。田崎先生の方がその点は不勉強なのだ、いわゆるビールスが球状になり、球菌になり、桿菌になるということはあり得ないというような断定を下すこと自体が、世界でいろいろ勉強をされ、研究をされた結果、そういうことがあり得ると発表されている幾多の例があるのに、その例を先生がどうも不勉強で見ていないのではないかというように私は感ずるわけなのです。従って、そういうことから類推して、今のガン菌というもの自体が、結核菌だの大腸菌だのと比較して今論ずることのできないほど、ガンに、はたして菌という状態の、これがそうなのだといういわゆる定説がもうできているのかどうか。どうも私は比較するのに、何かどっかに一段大事なものが抜けて比較をさせられているような感じを受けました。この点もう一度お伺いして、先生からお教えを願いたいわけです。  それからもう一つは、病気がなおるという状態は、少なくとも五年なら五年再発をしないということが大体前提で根治ということが言えるのだという御説明があったわけです。私はもちろん、先生方の立場からいうとそのくらいきびしく言っていただいてけっこうなのですが、たとえばかぜを引いて、卵酒を飲んで一晩寝たら、くさめも出なくなったし熱も下がったなんという経験をよくやっているわけなのです。これは一日か二日で根治したと私は考えている。だから、病気というものは、全部なおった状態というものは、少なくとも五年以上再発しないという状態でなければ根治したとは言えないし、なおった薬とは言えないということになると、かぜ薬もおかしくなってくるし、どうも飲み過ぎて胃の薬を飲んだときのこれも、ちょっとおかしくなるのではないかという気がするのです。それもお教え願いたいのです。  もう一つは、厚生省の薬務局に関係するという、前段でお話がございましたいわゆる低酸性とか無酸性というやつですね。これにきく胃の薬なのだというものが、いわゆるSICという名をつけて、いわゆる抗ガン剤ですか、そういう物質だというレッテルを張られているというのが原因で、あの学会の発表もやはりすべきではないという一部の理由になったというように、説明が先ほどありました。そのおもな説明は、やはり御自分では研究していないが、うわさを耳にしたということで、それがおもな理由になって拒否したようですから、その点で申し上げるのではないのですが、私はやはりこの種の薬というものは、低酸とか無酸とかいうものにきくということ自体が、実は低酸であるということ、無酸であるといとことがガンになりやすい一番近似した状態というか何か知りませんが、ガンという状態になる一歩前を見ると、低酸、無酸ということが非常に大きな原因になってガンという症状になってきた患者が多いというように聞いているわけです。ということは、逆に言うと、低酸、無酸にきくということは、ガンをある程度防ぐし、ガンというものに対するいわゆる抗ガン剤といいますか、制ガン剤というか、そういう言葉を使っていいほどに、今の段階では間接にはやはりガンにきく薬なんだと一部考えられるような、そういう認識があっていいのではないだろうか。低酸とか無酸ということにきく胃の薬であるということが、すなわちガンに一番かかりやすい状態の病気に対してこれを制圧していく薬になっている。だから、間接的には抗ガン、制ガンといったような効果が、この低酸、無酸に対する薬であるということがイコールそれになるのだというふうに言えるのじゃないだろうか、というふうにしろうとの私は考えますので、こういう点を四つ目に一つまたお答えを願いたい。  最後に五つ目には、これは午前中にちょっとお伺いしたのですが、SICというので実際になおったという例が先生のところにもあるかどうか知りませんが、こんな膨大なりプリントをもらいました。ここに各患者を扱った先生方の報告書みたいなものがあるわけです。それからなお、SICの治療統計というものが一枚ここにございます。こういうのを見ますと、大体先生方の報告を受けたそういうものを集計した例数の中で、五百九例のうち八十が治癒している。その治癒というのは、その後五年間再発をしなかったという意味の治癒ではないと思いますが、少なくとも本人はぴんぴん働くようになり、酒も飲む。ある者は、ガンだというので、さいてみた、これはもうとても手術してもだめだから、そのままもう一ぺん縫って、お前どうせ死ぬならうちへ帰って死んじまえ、こう言われたというようなものまで、このSICというものをやった結果元気になった。その後四、五年、酒を飲み、普通に飯も食いながら働いている、太っている、というような状態になったのを含めた、いわゆるなおったというそういう現象というものは八十例、一五・七%ある。それから、軽快になったという例が百七例、二丁二%、両方合わせますと、とにかく有効に作用したという率が三六・九%というものが、このSICの——誇大かとうか知りませんが、少なくともある種のデータをつけてこの委員会に午前中に報告されました。先生は何といってもガンの大家でございますが、一体、先ほど最後に御説明になりましたような放射線療法ですとか、外科手術による療法ですとか、ないし化学療法等をいろいろと研究もされ、見てこられたと思うのです。今のSICの療法を除いた放射線ないし外科手術による療法で、やはり有効率というものが今までの先生の例で三六・九%くらい、こんなような例であるならば、やはり現在までやってきた放射線療法ですとか、外科手術療法によっても、そのくらいの有効例というものはあるのだというふうに、今までの経験から言うことができますかどうか。そういう数字が頭にないので答えられないというならそれでけっこうでございますが、一体、こんな例というものは珍しくないことなんだということになりますかどうか。それもあわせて一つお答えを願いたい。

田崎勇三医学博士(財団法人ガン研究所附属病院院長)

○田崎参考人 最初の非民主的運営であるというおしかりは、つつしんで拝聴いたしました。何らかの機会に、近い機会に幹事会があると思いますから、その席で十分みんなにそう申しておきます。ただ、選考委員会の人数は三名でございます。それで、あの方は十二名。  それから第二の、お前不勉強じゃないかというようなことでおしかりを受けましたが、私も、細菌が横ばいして、そういうふうな説をなす人はフランス学者に非常に多いということを知っております。しかし、私が知っているところでは、細菌学者が世界じゅうに千名いるといたしますと、九百九十八人か九人はそういう説を信奉いたしておりません。私は東京のある大学、あるいは数大学の細菌学者に、そういうことは実際あり得るかどうか、細菌学を習ってからもうだいぶ年数がたちますから、聞いてみたのですけれども、どうもああいう理論というものはあり得ないということが、日本では全部の意見です。世界じゅうにそういうことを言っている学者があることは存じております。  それからその次に、第三におっしゃいましたが、ガンのばい菌というもの、まだ未知のものをもしもつかまえたら、そういう横ばいの発育をする可能性があるんじゃないかというお話ですけれども、このSICというのはばい菌ではございますけれども、ガン免疫菌といって、ガンの発生の原動力になるばい菌とは言ってないのです。ガンにかかった患者の、ガンに抵抗する免疫的の物質だとこの先生は言っているのですから、ちょっと違います。  それから、免疫の関係を一つここで申しておきますが、外から入ったばい菌の場合、結核とか、あるいはかぜとかなんとか、いろいろな場合に、免疫ということが、ばい菌によっては抗原になって抗体ができるわけですけれども、ガンの場合はそういうことが非常に弱いのですね。ばい菌であればですけれども、そういう免疫物質ができるということは、ある程度動物では証明されております。北海道大学の武田勝男さんという病理学者でありますが、そういう人がガンの免疫について、それから一九六〇年にソ連から参りましたジルベルという人がやはりガンの免疫について研究を発表しました。ですから、将来はそういう方向にも参るでございましょうけれども、免疫というものが確かであれば、免疫の方面からガンをなおすという行き方があると思うのです。これは大いに将来性のある問題でございます。ただ、今のところでは、ガンになりますと、かえってガンの細胞の増殖に対しては抗体が弱くなるというのが定説であります。たとえば私がガンになりますと、ガンのばい菌を殺そうという力が私のからだの中から消失して弱くなってくる。ところが、あなたが全然ガンがなければ、たとえばガンになろうとしても抗腫瘍剤といいますか、からだの中で生産されているいろいろな網状内皮系統とか脾臓とか骨髄とかございますけれども、そういうところで抗腫瘍、抗ガン性の物質をこしらえているわけです。それのために、むしろガンの細胞を殺すようなものを人間の力で持っているわけです、丈夫な人は。だから、この理論とちょっとそこが違うわけです。  それからもう一つは、ガンはばい菌ではなさそうなんです。ヴィールスによって起こるガンというのは、動物ではたくさんございます。初めは四種類ございましたけれども、最近はいろいろございまして、ヴィールスで確かに起こる、起こし得る。ところが、人間の場合は、そういうことの証明が一つもないし、逆で、むしろヴィールスじゃないだろう。やはり先ほど太田教授が言われましたように、心臓が悪くなったり、あるいは高血圧になったりするように、からだの中に持っておる細胞がミューテーションといいますか、突然変異を起こしまして、ある変化をして別の性格を持ってくるということで説明しております。これが発ガンの理由でありますが、ばい菌でもない、ヴィールスでもない、しかしながら、発ガンに至る過程においてはヴィールスが何らかのエネルギーを提供するかもしれない、ということは考えておる学者もあるわけであります。  それから、低酸、無酸の問題は、私もそれを考えたわけです。先生が非常に熱心に言っているから、なおる、なおると言っているけれども、おそらくガンの場合に無酸、低酸が多いですから、そういうのの診断が間違っていて、無酸がある、便に出血がある、これはガンだというふうな診断が間違っている場合にあれをやりますと、酸が出てくるということがあるとしますと、これは酸が出てきたからガンがなおったというような、そういう錯誤に陥る危険はあると思うのです。これを見ますと、胃ガンが半数ちょっと下回りますけれども、肺ガンその他いろいろなガンにきくというわけで、なおったものの中にも、胃ガンだけじゃなくて、いろいろなガンがある。しかも、私は胃ガンの無酸を千人ばかりの患者で調べましたが、大体六〇ないし七〇プロが無酸でございまして、ほかの三〇プロは酸が出ております。中には過酸症といって、胃酸過多症の人もございます。そういうことを申しますと、どうも無酸がなおるからガンがなおるというのとは違って、あるいは予防的意味ということならば、その酸が出るということは一種の予防になるかどうか知りませんけれども、ある程度無酸はなおる、低酸はなおる、軽快するということは言えるのじゃないかと思います。  最後に、統計。外科的あるいは現在の治癒率との比較でございます。今、私どもの方の癌研でやっております、たとえば子宮ガンが非常にわかりがいいと思います。大体子宮ガンが何%なおったかというと、子宮ガン及び卵巣で三〇%ということが出ております。そこで、私の方でいわゆるオーソドックスな方法、手術、放射線というようなものをやった場合を申し上げます。子宮ガンは大体四期ございます。一期から四期まで。これは外からよく見える器官でございますから、胃ガンと違って、はっきりわかる。その場合に、キャンサー・イン・サイチュと申しますか、上皮内ガン、ガンがまだ深部増殖しない前の、粘膜の中だけに限局されている場合のガンでございます。そういうガンをゼロ期としますと、ゼロ期は一〇〇%なおります。第一期は、十年ばかり前は八〇プロでしたが、現在は九〇プロなおしております。それは五年治癒でございます。それから、第二期が七〇プロでございます。これは昔は六〇プロ、一〇プロくらい上がっております。第三期が三〇プロくらいございましたのが、最近は四〇プロなおしております。第四期と申しまして、これはほとんど手のつけようがないという、昔は捨てられたようなものでも、十年ばかり前は八%くらい五年治癒があったのが、最近は一二%というふうに上がってきております。子宮ガン全体を平均いたしますと、まあこれは平均ということは非常に不可能ですけれども、六〇%か六五%でございましょう。乳ガンなどにつきましては大体六五%ぐらいと記憶しております。直腸ガンもやはりそんなものでございます。大腸ガンは七〇%ぐらい。非常になおりがいい。肺ガンは今のところ非常になおりが悪いわけなんです。まだ正確な数字は記憶しておりません。胃ガンは、私のところで早期発見をいたしまして、早期に完全に根治手術をいたしましたものが三四・四%でございます。しかしながら、先ほどのようないわゆるゼロ期といいますか、上皮内ガンみたいな、粘膜ガンという状態のときに発見できますと、ほとんど九〇%近く五年治癒を示しております。それは特殊なガンであります。そういうものもございますから、九〇%というと、ほとんどみんななおるような高率でございますから、胃ガンについてはやはり早期に発見をして、早期にとってしまうということが一番安全な方法であります。  それから、先ほどもう一つ、かぜを引いたときに卵酒でなおるとおっしゃった。そのときは、それはなおります。あるものはなおるでしょうが、それは生命に別条がない。まず肺炎を起こしても、このごろはなおります。ところが、ガンの場合は、一歩誤りますと、これは死につながるということを私は非常に心配しておるわけです。たとえば、なおるなおると喧伝されますと、だれでも手術したりなんかすることはいやだし、莫大な費用もかかります。たとえば放射能に当たりますと、からだが参ってしまいます。非常に肝臓なんかに障害を与えますし、がっくりきますから、そういうことをしないで注射でやってもらいたいというふうな立場をとります。それが三カ月、半年たちますと、もう手おくれになって、どうも死につながる。その三カ月、半年前ならば確かに命は保証できる状態というようなことを、われわれは三十五年ぐらいの経験でございますけれども、間々経験しております。  そういうことを考えますと、現在の状態で薬でガンがなおるぞというようなことを言うのは、学会の場でそういう討議をするだけじゃなくて、マス・コミで取り上げてそういうふうなことをいたしますのは、非常に私は遺憾なことだと考えているわけです。外国には科学記者というのがおりまして、科学専門に記事を書く学者みたいな記者がいるわけであります。そうして、そういう人たちがディスカッションして出すわけであります。これはガンの薬ばかりじゃございません。薬をマス・コミで取り上げるときには、委員会がございまして、これをマス・コミに流していいかどうかを決定して、そのあとでマス・コミに出すというのが外国の行き方でございます。まして、ガンの薬のような、生命に重大な影響を及ぼすというような場合に、マス・コミが、あまり科学的の知識が十分でない方がそういうことをやって喧伝いたしますと、せっかく早期発見と早期の適正な治療によってなおるものもなおらなくなるという例も間々私も存じておりますし、ある、名前もはっきり覚えている人もございますし、そういうことがないために、こういうふうに薬ではなおらぬというふうな立場をとっているわけですけれども、薬の研究はいたしております。十分われわれのところでいたしているわけであります。

原茂日本社会党

○原(茂)委員 今の先生の治癒統計の例ですが、午前中に何か説明がありまして、先生の言われる一期、二期、三期、四期、どうも四期といいますと、もうだめだといって来られた患者がほとんどなんだそうです。ですから、先生のお話を聞いて、なるほど大差はないように見えるが、なおることはなおるんだなということがはっきりわかったわけです。というのは、このSICですね。結局先生の言ったのは、非常にパーセントが高いのじゃなくて、四期といいますか、よく知りませんが、もうだめだといわれた者がほとんど来ている、そういうのをやった例なんだという説明がありましたから、そういう点もあわせて参考までに申し上げておくわけです。  これは反論みたいになって参りますが、先生の今おっしゃった最後には、やはり薬でガンがなおるという考え方は非常に危険だ、現在のところでは早期発見した上で、悪いところは手術によって切除すべきだ、その方がいいのだ、現在のところでは放射能をやるという合併療法がよろしい。先生はその立場で、薬ではなおらぬ、こうおっしゃっているんだというお話がありました。たとえばこのSIC、そのほか蓮見喜一郎先生ですか、蓮見研究所の先先にしたところで、そのほかまだ先生が大ぜいおいでになるかもしれませんが、そういう先生方は切らないでなおそうという立場をとり、いわゆる化学療法でなおるんだという立場をとっているわけなんです。それに対して田崎先生は、そんなことをいったって、まだまだ学理的に十分究明されていないし、納得できないし、それは信用できないという立場をおとりになる。だがしかし、田崎先生は何といっても癌学会における大権威者でございますから、その先生が薬ではなおらない、こうおっしゃると、やっぱり薬ではなおらないのかなと、こう思ってしまう。薬でなおった方がいいと私などは考えている。私は切るのはいやなんです。うっかりコバルト六〇だ放射能だとやられて、肝臓が痛たんだのなんだのといって、予後の悪いのもいやだ。もちろん今はガンかもしれませんし、ガンじゃないかもしれませんが、もしガンだといわれても、どうも切りたくないなという気持がやまやまある。僕は、本来人間というものをなおすのに、切ってなおすなんていうのはへぼ医者だと思っているわけです。切らないでなおすのが一番よろしい、名医だという考え方を持っているわけです。私の親戚にもたくさん医者がおりますが、常にそういうことを冗談を言っているわけです。この場合でも、切らずに化学療法でなおるのだという先生のある学説があるとするなら、気持の上では、もし私がガンになればそれにたよりたいわけです。  そこで、癌学会の一昨年の問題にも多少触れることになりますが、私は、先生がそういうお立場を今とっておられるにしても、わが国における癌学会の権威であられる先生のお立場では、そういうふうな考えを持っているかたわら、もう少しSICその他化学療法による治療というものに対して——最後には先生も、免疫ができることが一番いいんだとおっしゃっておられますし、そういう免疫性を作るということもあわせて、急速にその道が開けるように先生自身の力で協力をしていただく必要があるのじゃないかと思うのです。先ほどの細菌学の点からいっても、ヴィールスが球菌になり桿菌になるということは、九八%ぐらいまではおそらく世界じゅうががえんじないだろう、そうおっしゃるわけですが、少なくとも先生の言のように二%にしても、そういうことを学説として述べて、しかもいろいろと研究をした結果こういうデータがあるんだといって国際的にも発表されている以上、数が少ないからといってこれを否定する立場をとると、今までの医学の進歩もなかったろうと私は思うのです。どんな薬ができたにしたって、一番最初に全部十分に研究され、いわゆる科学的な原理というのが説明され、その後にこれはかぜ薬になった、何になったということで富山の万金丹ができたのじゃないと思う。昔々あった薬というのは、やはり何か知らぬ、どこか歩き回っているうちに、野の草なりその根っこを、だれかが痛いときに、困ったときに、煎じてみたら、食べてみたら、なおった。これはきくんじゃないだろうかという順序で、やはり薬というものは今日まで大部分はできてきたのじゃないかと思うのです。今私たちが科学的に、少しでもむだなく、効率的に、われわれの生命を維持する上に少しでも効果の多い方法をとりたいと考えるために、いわゆる合理主義に徹して今日のような薬に対する考え方ができているに違いない。これは正しいと思いますが、とにかく今までできた薬のほとんど大部分というものは、先に学理があったのじゃないと私は思う。やはりやってみて、ためしてよかったから、これはきくらしい、きくのだろうということから、逆になぜきくのだろう、どういう成分があるのだろう、ということで調べた後に薬ができてきたのじゃないかと思う。そういうふうに順序立てて考えてくると、たとい二%であろうとも、やはりヴィールスから球菌、球菌から桿菌というような、そういう二、三の例であろうとも、学説を国際的に唱えて、そのデータを揃えている者があるとするなら、それもことによっては有効であったとするならば、それによってガンというもののいわゆる免疫体を作ることもでき、あるいは薬種によって治すということができたら、人類のためにこれほど幸せなことはない。そういう立場から、たとい一、二%の可能性であっても、権威ある先生の立場でその可能性というものを十分に検討し、十分に援助し、推進し、その研究が完全にだめなものであるとか、いいものであるという判定を下だすための大きな協力、助力、助成というものを癌学会というものがやっていただく立場をとらなければいけないんじゃないか。そういうふうに考えていただくことが、私ども国民の立場からいうと非常にありがたいし、そうあってほしいという前提から言うなら、一昨年の十二月の癌学会におけるこのSICを中心の研究発表というものが中止になったということは、前段に戻るわけですが、まことに遺憾千万だったというふうに私は考えるわけです。  まだ、あと多くの質問者がありますので、こまかく先生にお伺いしたいことをうんと用意して参ったわけですが、こうしたことを今一々先生にお伺いするまでもなく、おそらく他の委員からも御質問等があるかと思いますから、時間もございませんので、今結論めいたことを申し上げるようですが、自今、癌学会は、先生が今会長ではないようでございますが、幹事のお一人とされまして、少なくともこの種の問題に関しては、単なるうわさを聞いたとか、あるいは投書があったとかいうことだけでなくて、あるいは同じアブストラクトをごらんになりましても、その中に先生が納得できないものがあったにしても、それは先生が納得できないのであって、先生と違った立場で研究を進めている学究あるいは科学者、こうしたものが二人でも三人でも長く熱心に研究した成果というものは、広く学会にあまねく知らせるようにして、それを土台にした、広い、全学会の研究というものが進んでいって、その一%か二%の可能性が正しかったとか、そうでないとかという結論を早く出してやることの方が、私は国民に対する義務だと思います。そういう観点から、今後学会のあり方として——ことしも学会がやがてまた持たれるだろうと思いますが、そういうときには、この学会における発表というものは、謙虚に、民主的に、公平に、しかもすべて国民の立場に立った態度で、権威ある先生の御協力あるいは助言というものがほしいものだ、こういうふうに私は考えるわけです。  なお、これはきょうこのあとか、明日、厚生省当局にもお伺いしたいのです。今がんセンターが、ようやくことし、もうすぐ発足できるだろうと思うのです。そのがんセンターで、広く、私が今希望するような、いわゆる国家的立場でこの種の研究をやってもらおうということになったときに、これは田崎先生のお考えで、やはりそういうものを取り上げる。民間の研究なりあるいは論文なりを思い切って取り上げようとするセンターとしては、癌学会というものがその間に入る。癌学会というものに全然関係なしに、がんセンターというものがやがてこの種の試験研究機関を作ったときには、直通で取り上げられていく。その成果というものは癌学会を通じないで、全学者あるいは世間に対する発表がされるようになってよろしいのか。この点一つ、入るとき、出ていくときに、癌学会がそこに介入しなければいけないのか、しないでよろしいのか。私は介入しないでほしい。逆に、癌学会も一つの研究機関として、これを、大ぜいの学者と同じように、受け取った側で比較検討、研究をされることが望ましいと思うのです。癌学会というものが今あるからといって、がんセンターの中にこれからできるであろうこの種のものを、民間の調査研究機関のそこに取り上げるか、あるいはその成果というものを今度は出そうとしたときの、出る入る両方に、癌学会というものがいわゆるフィルターのように介入しないでよろしいという立場か。私はそういうことを厚生当局にも検討するようにお願いをしたいと思っていますが、そういうものががんセンターの中にできたときに、先生は一体、癌学会というものをどういう位置づけにすべきだとお考えになっているか。これを一つお伺いして終わりたいと思います。

田崎勇三医学博士(財団法人ガン研究所附属病院院長)

○田崎参考人 一番大事なことは、癌学会がそこへフィルターとして入るか入らないかという問題のようですね。癌学会は、そういうフィルターの役目はいたさないと思います。その薬についていえば、基礎的研究が足りないと思いますけれども、ただ、きくきかない、ある程度いいかどうかというスクリーニング・テスト、ふるい分け試験、そういうことをいたしますには膨大な費用がかかります。ニューヨークにスルアンケタリング・ガン研究所というのがございますが、そこにスクリーニング・テストをやっている六十五才になる日本人で、名古屋の人で杉浦兼松という篤学者がいるわけです。その先生がやっておりますけれども、一年に出てくる薬というものは膨大な数です。たしか、今まで検査したのが二万とか三万とかいっております。アメリカではガンが多いですから、あちこちでやっておりますけれども、そういうのを一々ふるい分けて、これは多少研究の価値がある、これはだめだということをやっている。これはどうしてやるかと申しますと、人間ではできないから、動物実験でやる。動物実験でやるのには、非常にたくさん動物を使います。大体普通の動物実験をやりますときの移植ガン、いろいろなガンの種類がございまして、大体二十五種から三十種くらいのガン、固形ガンもありますし、流動体のガンもございますし、そういうのを植えて、それから一日目とか三日目とか五日目とか、そういう時期に薬を入れて、なおるかなおらぬか、ずっと見ていくわけですけれども、そういう審査をするようなものが国立がんセンターにもできる予定でございます。大体スクリーニング・テストをやる、薬効の審査機関ができますから、そこがやはり国立がん研究所の方に属しますから、研究所長の意向で最高の責任は決定できる。あるいは研究所の所員の会議などでこれを取り上げるか取り上げないかということは決定していただきたいので、癌学会としては、そういうところにふるい分け試験の中には入りたくない。またもう一つ、この薬を方々で分けていただいた人は、それはやるということもありますけれども、これを基礎的にすっかりやるとしますと、今申しましたように莫大な費用と時間と労力を費やして、これがいい結果になるか悪い結果になるかわからぬ基礎の仕事でございますから、それをやる人、追試といいますか、ナハプリューフング、そういうことをやる人が、金の問題もありまして、なかなかないわけであります。どうしてもそういうことをもしも国民の皆様が希望されるならば、国立でそういうことはやっていただきたいと思っております。

前田正男自由民主党

○前田委員長 次に、齋藤憲三君。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 ただいま原委員の田崎先生に対する御質問で、大体私のお尋ねを申し上げたいと思うことも尽きたわけでございます。申し上げるまでもなく、この委員会でガン問題を取り上げましたのは、科学技術の振興という過程において、ガンもその重大目標であるという建前で、これにタッチをいたしておるわけでございます。  午前中は牛山医学博士、荻原医学博士、御両所の説を伺ったのであります。伺っているというと、これは決していかさまなものじゃない、やはり確固たる実験と理論の体系の上に組み立てられたデータであるというふうに感じられるわけです。ただいま先生のお話を承るというと、また先生の理路整然たるお話は、長年のガンに対する体験から理論的に伺われ、これもまた正しい。だから、一方では薬効が非常にあるという主張、一方では薬効はなかなか認めがたいという主張、この相対立した関係をいかにして解決していくかということが、やはり一つの科学技術の進歩であるとわれわれは考えておる。あくまでも原委員の言われたように、こういう問題が起きて甲論乙駁、相決せざる場合には、行政指導によって、国立がん研究所でも大きく作って、そこでその実相を把握していくということがわれわれとしては望ましい、そういう体制を作りたいというのがこの委員会がガン問題に取り組んだ一つの目的であります。そういう意味も十分御了察下さいまして、今度は一つ従来よりももっと視野を広めて、化学薬品の実効というものにも先生がお取り組み下されば、先生の御持論というものもまた反面からはっきりしてくるところもあるのじゃないか、私もそう考えているわけなんです。  ただ、私は過去の経験において、なくなられました細谷省吾博士、特に伝研をやめられてから市ケ谷の顕微鏡院に立てこもられまして、晩年脳溢血で倒れられた四、五年の間、私はある問題を細谷省吾先生に提起いたしまして、御研究を願ったことがあるのであります。そういう点から、バクテリアの繁殖形態というものは、ずいぶん先生から顕微鏡ものぞかせられて、教えを受けたこともあるのであります。先ほどの牛山博士がお話しの、静脈から血をとって、無菌状態でアミノ酸培養基に培養していくと、ついには枯草菌−のようなものに到達する。がしかし、そこまで到達する過程で点菌になり、球菌になり、桿菌になって、そうして枯草菌の形に及んでくるのだ。ですから、どうもその点が先生の考えておられるのと牛山博士が実験をやってみたときの状態が食い違っているのじゃないかと思うのです。これは静脈から血をとって、無菌状態でアミノ酸培養基に培養するのでありますから、私はヴィールスが働くのか何が働くのかこれはまだわからぬが、とにかく無菌状態ですから、無菌状態で血液の赤血球が働くか、白血球が働くか、あるいはその他のものが働くか知らぬが、とにかくガンにかかっておる人の血液をアミノ酸基に培養すると、それが最初は点菌の形になるが、あとは球菌になって、それから樺菌になって、枯草菌の形になっていく。これをタンク培養して、そのタンク培養したものの中から、あるエンザイムか何か知りませんけれども、それを摘出して、それを注射薬にするのだ。この形は一定にできる、こういうのです。そうすれば、血液の中に抗ガン性の何ものかがあるから、われわれなんかはガンにかかりたくてもガンにかからないわけですね。ガンは細胞でありますから。ガンは細胞で、私も中原先生の「癌」というものを読んでみますと、ガンは何ものでもない、細胞なんです。ですから、ガンを誘発するところの原動力は一体ヴィールスか、あるいは細胞の突然変異によってそれが猛烈な繁殖体形をとるのか、いずれかで今世界は苦しんでいるわけです。ある者はヴィールスだと言い、ある者は突然変異だと言っておる。しかし、とにかくガンというものは細胞にしかないのですから、その細胞というものは血液が培養しているに違いないのですから、その血液に対して抗ガン性のある特殊のものを注射してやれば、それから猛烈にその血液の中の抗ガン性というものは活力を増して、ガン細胞を征服するというのは、ばい菌が血液の中に入ったときに白血球がこれを征服すると同じ状態を作らぬものとも限らぬのじゃないか。そういうところに、いわゆる何というのですか、今先生のおっしゃるオーソドックスな手術をする、放射能で焼き切る、これは中原先生は、まことに野蛮時代の方法だと書いている。その野蛮時代の方法を脱却して、いかに近代的な化学療法にのっとって、そうして根本的に対ガン療法の確立をはかり、あるいは予防方法を確立せんか、そこに世界の焦点がやってきておるのでありますから、これは薬はきかないのだということでギブ・アップしてしまうということは、神様ならいざ知らず、人間としてはそれはやれないことじゃないか。むしろ世界的にそういう方向に問題が向かっていれば向かっているほど、抗生物質の研究あるいは抗ガン性の物質というもの々研究して、そうしてたとえばそれが全部治癒しなくても、それを事前に用いておればガンに侵される率が少ないとか、そういう線でもって国民一般の不安を除去していくということが、やはり科学技術の面からいったガン解決の一つのテーマじゃないか、こう私は私なりに考えておるわけです。  その血液を、私はヴィールスかと言ったら、いやヴィールスじゃないと言っているのです。ヴィールスだけをとろうとするならば、血液を濾過しなければならぬわけですね。それは濾過しなければ、ほかのものがみな入っちまいますから、そうじゃない。ただ、ガンにかかったところの病人の血を静脈からとって、それを無菌状態にアミノ酸培養基に培養するのだ。そうすると最後には、その形態は違ってくるけれども、枯草菌になるのだ。これをタンク培養するのだ。だから私は、枯草菌——とういう形の枯草菌であるか、まあ牛山博士はそうはおっしゃらなかったけれども、これは従来発見された枯草菌じゃない。何か違った形の枯草菌である。まだしかし、その結論は突きとめていない。しかし、最後は枯草菌の形になってくる。その過程において点菌になり、球菌になり、桿菌になり、枯草菌になる。私はこの形はあっていいと思う。私が細谷省吾さんに伺ったときには、そういう菌の形の変動というものはあってもいいというふうに教わったのですが、ここにちょっと食い違いがある。先生は、ヴィールスはあくまでもヴィールスだ、それはそうかもしれません。赤痢菌はあくまでも赤痢菌だ、そうかもしれません。しかし、赤痢菌になるまでの間は、カエルがオタマジャクシになってくると同じような形の変動は、いわゆる微生物の世界にはあってもいいのじゃないかと思っているのです。これを読んでみますと、それを先生は否定しておられるようなんで、そこがちょっと食い違っておると思うのですが、それはどうです。

田崎勇三医学博士(財団法人ガン研究所附属病院院長)

○田崎参考人 大へん有益なお話を承りました。この製造の過程については八木沢博士が専門でありますから、八木沢博士から……。  今申しましたが、菌が固定してしまいますね。小さいところからここまでいって、枯草菌の状態だとここでフィックスするわけです。それでよろしいとおっしゃるわけですね。われわれがちょっとこれを、非常にこの先生に同調して考えますと、初めから枯草菌ならばある程度きくということは考えられる。多糖類というのがばい菌にあるわけです。ポリサッカライドと申しまして、どんなばい菌にも多糖類がありますが、これが人間のガンにある程度の効果を表わすということはずいぶん昔からわかっていることです。ここにもちょっと書いておきましたけれども、一八九一年に発表されたコーリー氏のワクチン、そういうのができております。これは人間がガンにかかったときに——淋病のマラリア療法みたいなものです。マラリアを植えてやって、マラリアで高熱を発すると淋病がなおった。こういうふうに、偶然にガンの初期の人が高熱を発する病気、たとえば猩紅熱とかそういうものがありますが、連鎖状球菌のワクチンを作ってガンの患者にやってためしたところが、毒性が強くてそれは失敗に終わりましたけれども、世界の文献にガンの自然治癒ということが報告されている。そういう場合に、どんなことかと申しますと、ガンの初期にある猛烈な高熱を発する、猛毒を発する伝染病にかかると、ガンの発育が停止したり、あるいはぴしゃっとなくなってしまうということがある。そういうことは、やはりそういうアイデアなんです。ばい菌の菌をもって菌を制する。菌体から出る毒素がガンに働く。だからこの理論というものは悪くない。ただ、そこまでいく道程に何かありはしないかということが疑われるわけです。そういう細菌みたいなものが固定するまでにある経過をとっていくということも——細谷さんは私はよく知っておりますし、仲よくしていた人です。あの人はガンマイシンというものを研究しておりましたが、大成に至らなくてなにしましたけれども、そういうことがあってもいいのです。たとえば結核菌なら結核菌は、あれだけが一つの単位じゃなくて、結核菌が粒々になっていますが、粒々一つをとっても結核菌の価値があると言う学者もあるわけです。結核菌は長い桿菌ですから、マイクロトームで切ってそれをよく見ますと、粒々がある。その粒々一つが結核菌の値打があるという学者もあるわけです。それを否定する学者もございます。だから、そういう考えでいきますと、あなたがさつきおっしゃったような発育の過程ということが考えられるわけなんです。それを私は頭から否定しているわけじゃないですけれども、この場合にどうも合点がいかないとわれわれは思うのです。私の「薬で癌は癒らない」ということ、これは雑誌社が勝手につけたのです。そのサブ・タイトルの「日本癌学会会長としての私の考え方」というのが私のつけた題です。マス・コミがあんまり騒いで、どうもこうもならなくなったから、私も一言いわしてもらおうというわけで書いたのがこれなんです。そうしたととろが、そういうタイトルをつけて出してしまった。これはちょっとオーバーなことをやった。私は現在の段階ではこう、とやりたかったわけです。ところが、これは学者に読んでもらうよりも一般の人に読んでもらう意味では、薬でガンはなおるぞと書きますと、私らの立場で申しますと、手術みたいな野蛮なことをやる、あるいは放射能をかけて命のどたんばまで追い込むようなことはまっぴらごめんだ、注射でいこうという考えが国民一般大衆に浸透いたしますと、助かるガンも助からなくなる、という国民的立場ですね、そういうことで書いたわけですから、あしからず御了承願いたいと思うのです。

八木沢行正医学博士(財団法人日本抗生物質学術協議会常務理事)

○八木沢参考人 今お話の中に、初めバイラスのものが桿菌になるということがありました。私ちょうど現場を見ておりますので一番申し上げられるのですが、私の結論は、バイラスが桿菌になって枯草菌になるのではなくて、培養法が悪いから雑菌が混入してきたのだ、明らかにそれが言えると思います。もう一つ、初めのうちには細菌濾過器を通して、こした液からまた菌ができてくるというのでありますが、この滅菌が不完全ならば始終そういうことが起こります。科学的にはあくまでも再現性がなければならぬ。一人の人がやってもほかの人がやっても同じことができなければならぬ。あの場合に、ほかの人がやったら同じことができません。そういう再現性がないものは——それは二%残っているかもしれませんが、その二%は非常にひねくれた質の二%であって、九八%が真実であるということは、やはりあくまでも正しいと言っていいと思います。もしか九八%のものに間違いが少しでもあれば、現在存在している抗生物質もできませんし、細菌製剤ができません。もし細菌製剤を作っている最中に菌が変わってしまえば細菌製剤になりませんし、抗生物質の方も、菌がそういうように変わればできないわけであります。やはりその説の中で一番最初のバイラスが枯草菌になってくるというところは、あくまでも間違いだと思います。  しかし、枯草菌の作るものの中に何かガンに作用するものがあるかという問題でありまして、田崎先生もちょっとおっしゃいましたように、これはあるかもしれません。この問題は、もしかやって研究として伸ばしていくならば、もっといろいろな枯草菌をとって、そしてそれがそういうものを作るかどうかということを−科学というものは必ずアナロジーなことがあるわけでありますから、ほかの方法で再現してみれば、もうちょっと信じやすくなる。現在のところ、今のバイラスが枯草菌になるということは、雑菌が入ったものと私は結論いたします。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 バイラスが枯草菌になるということは、牛山博士も言うておらぬのです。私らもバイラスがいきなり培養基において枯草菌になるなんということは考えていないのですよ。けさ質問したのです。そうかと言ったら、そうじゃないというのです。ただ、無菌状態で血をアミノ酸培養基で培養していくのだ。そうしてできた枯草菌をタンク培養にするのだ。こういうことなんですね。ですから、そういう食い違いは、もうこれは根本の問題ですから、こういうところを一つしっかり国家機関なら国家機関でつかんで、そういう事実があるかないかということを検討するということでなければ、問題は解決しないと思うのです。これはさすがの細谷省吾さんも、若き学徒の提案を初めは理論的に拒否しておったが、自分でやってみたらその通りになってしまった。それから三年も、いわゆる倒れるまでその研究をやっておられたという実態を私は見たんです。神様でない限り、この森羅万象のすべてを理論的に解決していくということにはならないのですから、そういうところを謙虚にやるべき国家機関というものを設立するということが大切じゃないかと言っている。牛山博士が学位を持っておらぬならいいですが、ちゃんと医学博士ですよ。医学博士ということになったら田崎先生と同じことだ。あなたと同じことだ。そうでしょう。しかも、あなたが、牛山博士と同じようなこういう問題を対象として、これだけ熱心に実験をやられたのじゃないでしょう。一体科学技術の問題を解決するのは、理論というものも大切だけれども、実際は実験なんですよ。そうして科学技術には偶然はない。奇蹟はないのです。やはりある一つの結果というものに対して、あと何十年もかかって理論づけていって、これが正しい真理だといって確立されたのが、この世の中のほとんどすべてだろうと思うのですよ。ですから、こういうことを謙虚に取り上げて、そうして学会にも発表させて、それでなお不審があったならば、立ち会い実験をやって、臨床実験をやって、そうしていずれが正しいか正しからざるものであるかということを決定するということが、厚生省なら厚生省、文部省なら文部省の行政指導であるから、これを確立しなければならない。こういう立場をとっているのです。これは五度や十度や二十度や百度の無菌培養からやっているのじゃないと私は思う。そのたびに同じ雑菌が入ってきて、同じ枯草菌が出てくる、そんな器用なことはできませんよ。そうでしょう。まあ、私はそう思っている。雑誌に田崎先生が書かれたのは、とにかくサルが人間に変わるとか、あるいはネコがトラに変わる以上の変化が起こったことになる、とあるが、そういう意味じゃないと思う。ある一つの目的とする菌が出てくる間の変形を言うておるのであって、トラがネコに変わったのじゃないと私は思う。けさ御説明を聞きますと……。それは一つ今度また機会あるときに、今度は両方お集まり願ってやっていただきたいと思うのです。必ず委員長にその機会を頼んで作りますから……。  それからもう一つ、私はここでけさ質問したのでありますが、薬事法違反ではないかということを厚生省に尋ねたのです。厚生省は、まだどっちともこれは返事ができないような状態ですから、これは一つの田崎先生のお考えとして保留いたしておきます。  それからもう一つは、「外国でもパテントをとったと週刊誌に書いてあった。が、それは胃の薬としてとっているので、癌の薬としてではない。薬としての価値には何らの重みも加えないのである。」こういうことで、その真偽を言ったら、外国特許をとった原文を持参されました。そして、日本においてもパテントをとったのは、やはりガン及び胃の薬として特許をとっておる、こういうことですから、これは先生ここでお書きになったのとちょっと違うのです。  それから、これはよけいなことですけれども、一ぺん家へお帰りになったらお読み願いたいのです。一〇六ぺ−ジの上段の最後の方で、「それが科学である。科学でないものを学会に発表する要はあるまい。」と書かれておる。一体……。

田崎勇三医学博士(財団法人ガン研究所附属病院院長)

○田崎参考人 その少し前を……。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 前は、「何百例、何千例の患者に使用してどうであったというようなことは、マスコミや世間にとっては極めて興味があるかもしれない。が、学問の世界はどこまでも基本となる理論と体系づけが問題となるのだ。それが科学である。科学でないものを学会に発表する要はあるまい。」  サイエンスというものは、私はいろいろな形があると思うのですよ。実験してある一つの形が出たら、これをどうして学理的な体系づけをするかといって、深みを掘っていくのと、ある一つの基礎実験から大きな利用面を開くのと、二つ形があると思う。これは全部サイエンスの中に入るのです。そのサイエンスというものが、理論と体系がなければサイエンスとして見られないというようなことになったら、それは大へんなことになってしまう。私はうそかほんとうが知らないけれども、やはりニュートンがリンゴの落ちるのを見て、ニュートン力学というものを考え出したという。それは最初は理論も体系も何もない。物が落っこった。また、ワットが蒸気機関を発明するのに、蒸気でもって鉄ビンのふたがぽっぽっと持ち上がった。何も知らないことを、体系はないのですが、これを理論体系づけて、初めてあの大きな産業革命というものをやったわけですね。ですから、牛山博士が実際そういうものでもって作ってやってみたところが、ガンが非常に有効的に怪症の形をとったとか、あるいはなおったという実験例から、はたしてこれは何だろうかといくのも、私は一つの科学の体系だと思う。私は先生の説を何回も読んでみた。何回も読んでみて、どうもそういうことがふに落ちないのです。ですから、そういうことはまあ御高説を拝聴できるならば拝聴いたしますが、そういう点読んでみますと、たくさん私は不審の点がある。先生の説にも不審の点がある。まして、牛山博士のけさの説を聞くと、牛山博士の説にも、ここはもっと研究してもらわなければならないというところもあるし、なるほどうまい研究をやったもんだというところもある。それが両者相分かれて一つの手を握らないで、お前のやつは間違いである、いやおれのやつは正しいんだ、というような態勢を長く放置して、マスコミの道具にさしておくというのは、やはり厚生省の行政指導が悪いんだ。そういうのをいわゆるガンと称するのです。それをなるべく早く取り除かなければならないというのが、われわれの今とっておる立場でございます。その線に向かって今後もわれわれはできる限りの精進を続けていきたい、こう思っておるわけです。何か私の申し上げたことに対して御所信がありましたら承りたい。

八木沢行正医学博士(財団法人日本抗生物質学術協議会常務理事)

○八木沢参考人 先ほど私の申し上げたことでございますが、牛山さんのところにちょうど参りまして、そのときに牛山さんの説は、細菌濾過器を通したものが、その中からまたガンの免疫菌がはえてくるというお話です。そういうことはないと言ったのです。それだけではいけない、お説の通りでありまして、彼はちょうど昭和医大の卒業生であります。昭和医大としても非常に関心を持っております。そういったことで、昭和医大の中央検査室に頼みまして、もう一回十分滅菌した細菌濾過器を使いまして、十分滅菌した容器に入れてみましたら、菌がはえて参りません。彼の説の中の一番最初の、バイラスから出てくるというのは、もしか設備がよければ、取り扱いがよければ、ないと言っております。それから、先ほど血液から無菌的に血液を採血してこれを培養すると、それから枯草菌がはえてくるというお話でありますが、これも、もしか牛山さんの持っておられた設備ですれば、枯草菌がはえることは常識的に考えられます。そうしますと、その最初のところでまず問題がある。枯草菌というものは、御承知のように、百度に熱してもこわれないものでありますから、普通の蒸気滅菌では枯草菌が死なないのはあたりまえであります。注射器を蒸気滅菌しましても、注射器についている枯草菌の多くは死なないのが普通であります。そしてこれを培養基に入れますと、枯草菌がはえてくるのが常識であります。そうしてみると、いわゆるガンの免疫菌は、そこに雑菌として存在しておる枯草菌であるという結論が出てくると思います。それを申し上げたかったわけであります。

田崎勇三医学博士(財団法人ガン研究所附属病院院長)

○田崎参考人 それは、そういうことならそれでもいいのですよ。私はそれでもいいのです。枯草菌をわれわれはつかまえておるんだ、その枯草菌はガンにある程度効果があるんだ、こういう言い方ならいいのです。何か理論づけが、無菌的にとってずっとやっておるわけです。その間に、先生が言ったような雑菌が入るチャンスがある、こう言われると、そこを否定できない立場にある。だから、われわれは初めから枯草菌をつかんだ、その枯草菌は多糖類か何か知らぬが、ガンにある程度きくんだ、こういう表現でくれば、これは非常にいいわけです。  これはアメリカでも、国立ガン研究所のドクター・シアーという人が、日本にも何べんも来ましたが、この人はやはりばい菌の毒素を研究しておる。いまだに研究しております。そのコーリーの毒素と同じようなものを、いろいろのばい菌にしてておる。そして動物実験では成功しています。動物実験と人間のガンと違いますところは、動物実験では移植ガンでございます。動物は丈夫なのにガンを移す。だから、自然に放置しておいてもガンはなおる場合もある。そして何パーセントしかつかない。それになおさら、注射をするとなくなるという可能性がございます。そういうことで、動物試験で、たとえば八〇%ガンがなおってしまったといっても、それをそのまま人間に持ってさて八〇%なおるかというと、そうはいかない。人間のガンはがっちりできるべくしてできたガンであります。それから、動物実験でも、移植して早くそういう薬を使えば使うほどなおりがいい。三日、四日、一週間、二週間たちますと、もうなおらなくなる。そういうものであります。  それから、先ほど何らの実験の根拠もなくとおっしゃいましたが、私も実験していないように申しましたけれども、多少のあれは動物実験でやっております。   〔田崎参考人、写真を示す〕 ちょっと説明を申し上げます。これがコントロール、対照でございます。それから、これはトリーテッド。そしてこの薬は五日間使いました。移植して四十八時間日から五日間連続使いまして、この程度の移植ガンです。多少のあれはやっております。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 もう一言だけ……。何も八木沢博士に抗議を申し入れるわけじゃないのですけれども、私の体験から、圧力がまで百五十度でも百八十度でも殺菌して、全然微生物が出ないのかというような試験も、ずいぶん世の中で行なわれておるようなことも知っておりますし、また、えてして、見も知らないような菌が出てくると、これは雑菌が入ったと片づけていく。片づける方の落ち度がある場合もあるわけですね。ですから、そこをもう一ぺん。——私は今度お目にかかったら、牛山博士にもよく申し上げますが……。何回も、無菌状態でもって培養して、同じ枯草菌と称するものが出てくれば、それはやはり考えなければいけないのじゃないか。それがたまに出てきたり、たまに出てこなかったりするなら、それは雑菌が入ったということもあるが、一方ではタンク培養してそういう物質を抽出するのだ、こう言っているのです。ですから、そういう点は、一方でもってそういう主張をしたときに、その実験を、長く立ち会ってやってみて、そうしてその実態をつかまえないと、やはりそれは否定できないのじゃないか。ほんとうにそういうものでタンク培養ができて、牛山博士の言うがごとく注射薬が大量にできるということ、それは僕はあるのじゃないか、こう思うのです。  私のおいっ子が一人、医学に志しているのがいるのですけれども、一生懸命になって研究して、いまだ発見せられないコハク酸の結晶を植物から作っている。それを移植ガンにやると相当の効果がある。これは学会にも発表した、こう言っている。私は、お前なんか言うことは当てにならぬと言って、取り上げませんけれども、世の中は広大無辺ですから、私はそこを言うているのです。  だから、田崎博士の書いたのを拝見いたしますと、何かのっけから、カン詰めの中に石ころを入れて売ったとか、鯨の肉を牛カンにして売ったとか、こういう前提のもとに書かれると、どうも牛山博士のやっていることはみんなインチキじゃないか——僕は初めこれを読んだときに、牛山博士のSICはインチキ論としてきめたんだ、こう思ったのです。きょうお話を承ると、そうでもないんですね。決してそういう意図でお話しになったのじゃないということがよくわかりますけれども、きょう田崎先生のお話を承らないと、田崎先生は牛山博士のやっていることはインチキ論だとしてきめつけたんだということに、だれが読んでもなるのです。そうすると、こういう文章というものは非常に大きな影響を及ぼす。万が一、牛山博士の今やっているのが抗ガン性の物質であって、他日、これはガンに非常に有効な物質であるということがわかってきたときに、こういう文章というものは、相当ブレーキをかけたのじゃないかということになりはせぬかと私は思うのです。そういうことは別問題といたしましても、私たちの立場は、何も先生の言っていることが正しい、それから牛山博士の言っていることが正しくないと言っているのじゃないのです。国家の力をもち、行政の力をもって、何とかしてガン征服に一歩前進したい。これは、一切のガン研究者が仲よく自説を話しすることができるような体制、そうしてお互いにその説の正しきか正しからざるかを検討するような体制でもって一歩ずつ前進をしていただきたい、こういうことなんですから、私の申し上げたところを、一つ誤解のないように申し上げます。

田崎勇三医学博士(財団法人ガン研究所附属病院院長)

○田崎参考人 今日、齋藤先生あるいは原先生からいろいろお話を承りまして、国民の代表であられる皆様方の中にこれほど科学研究に対する熱心あふれる討議があったこと、私はガン研究者の一人として心からありがたく存じております。どうぞ今後とも、いろいろそういう問題点について国民の立場において、学会にもいろいろ不備なところもございましょうし、あるいは偏見もございましょう、そういう点について御注意、御勧告なり何なり、お願いしたいと思います。  それから最後に、あの理論——理論というのは一人の人が立てるので、それを信用するか信用しないかはこっちの勝手でございます。牛山君も、こういう非常に同情されるというか、あるいは理解されるというか、そういう人がたくさんあると思うのですけれども、あの研究がもう少し——マスコミも悪いのですが、騒ぎ過ぎたために、ああいうふうになってしまったということは、むしろこれはマスコミも何も騒がないで静かに研究して、ある程度業績があったときに学会に出すということならば非常にいいのでございます。何か後援者が盲信の余り、あまり早く世の中に引き出し過ぎたうらみはないだろうかということを、私は先輩として牛山君のために非常に気の毒に思うわけです。見受けましたところ、牛山君は非常に朴訥な学級的な人のようでございまして、あなたの研究は基礎的研究が非常に不十分だから、十分研究して、あなたの研究の発展を私は望む、もう一度よくやって出直していらっしゃいと言ったら、そうしますと言って帰ったのです。そういうわけですから、われわれとしても何も一これは私、十二分の一しか投票権はないわけですけれども——幹事会といたしましても、ガン学会で絶対にあれを取り入れないとか、そういう意図は毛頭ございませんことを御了承願います。  化学療法の研究は、世界じゅうの学者がやっております。日本も化学療法の研究では世界で一、二を争ういい研究がたくさん出ておるのでありますから、先ほどニュートンか何かのお話がございましたように、こういう牛山理論も脚光を浴びることはあるかもしれない。それは未知の世界ですからわかりませんけれども、もう少し静かにしてあげて、あの研究が基礎的研究なり何なり、そういうことがよく行なわれるということを私は念願しております。  どうもありがとうございました。

前田正男自由民主党

○前田委員長 岡良一君。

岡良一日本社会党

○岡委員 僕はお尋ねすることは尽まておるのです。齋藤さんや原さんの熱心なお尋ね、それに対する参考人の諸君の率直な御答弁を聞きまして、最後に強く私は希望しておきたいと思います。  ガンの治療対策については、基礎研究が非常に足りないという御指摘がございました。これはガンだけではなく、日本における研究体制の致命的な欠陥でございます。従いまして、日本の研究体制の大きなマイナス点としての基礎研究の充実、それにはやはり施設なり設備を改善し整備する。また人をそろえる。そのためには必要な予算を出す。これは国会の仕事でもございます。  同時に、私は質疑応答をお聞きして感じましたことは、なぜまじめな研究者の間に、もっとお互いが研究するものだという友情、協力という気持がないのだろうかということです。何と申しましても、研究といえば、やはり予算は切りのないものでございますから、乏しい、まじめな研究者が研究を発展させようとすれば、いい成果をねらおうとすれば、やはり協力しなければならぬ。この協力をするという気持が、学界の諸君、科学者の諸君、若い学究の諸君にも、もっと人間的にその気持が芽ばえてほしいということが、私が質疑応答を聞いての大きな一つの印象でした。これはやはり特に田崎先生のような権威ある指導者としては、ぜひ一つ身をもってお示しを願いたいと思います。  そのことと不可分な問題として私が申し上げたいのは、日本の学界にはまだ誤れる権威主義があるということです。これはもう至る分野にあるようでございまするが、特に私は医学の分野においては強いように思われます。医科大学の現実は田崎先生も御存じの通り、ほとんど割拠主義です。病理の教室ではガンの研究をやる。そうかと思えば、細菌の教室では依然として古い教授のテーマのままに梅毒の研究をやる。協力もなければ、ただ教授の意図のままに、その権威のままに、教室の諸君は学位論文をあせっておる。こういうことでは、絶対に日本の正しい基礎研究の進歩というものはあり得ない。こういう権威主義を打ち破るということが、われわれ科学技術に関心を持つこの委員会の大きな任務なんです。そういうことがまた、先生を参考人として御出席を願った大きな意図でもあるわけです。先ほど原君に対する御答弁で、論説発表に関する委員会は決定したにもかかわらず、十二名の幹事会の諸君が満場一致拒否された。私はその理由を重ねてここで聞こうと思いません。しかしながら、日本のジャーナリストの科学的知識がどうであるとか、あるいはまた一介の市民病院の院長でありまするから、それが基礎的な、体系的な底辺の広い幅の上に成果を持ち出してくることは無理でしょう。それは一個のアイデアであっても差しつかえはないと私は思う。もしそれが培養の過程において枯草菌が入ったものであるならば、そういう問題は学会が明らかにする。学会に発表させて、学会で明白な判断をつける。それが私は学会の当然な使命であると思う。にもかかわらず、そういうことを、いわば学会の本来の使命とは離れたことを理由にして、そうして一介のまじめな研究者の発表を拒む、こういう学会の運営というようなもの、私は誤れる権威主義が横行しておるというのは、そういう点を申し上げたいのです。  田崎先生は、お見かけしたところ、老いの一徹というふうな、なかなかがんこな表情をしておられるお方ではございますが、どうか一つそういう意味で、今後も若い学究、特にガンのためには先生の跡を継ぐりっぱな成果を育てるためには、大きな広い心で日本のガン研究を国際的な水準を数歩抜くようなところまで、ぜひ一つ畢生の事業として今後も御精進を願いたい、このことを申し上げて私の質問を終わりたいと思います。

田崎勇三医学博士(財団法人ガン研究所附属病院院長)

○田崎参考人 ありがとうございました。

前田正男自由民主党

○前田委員長 この際、各参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  長時間にわたり貴重な御意見の開陳を賜わり、本委員会調査のため多大の参考となりましたことを、本委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。まことにありがとうございました。  本日はこの程度にとどめ、次会は明二十六日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会いたします。  これにて散会いたします。    午後五時十四分散会

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