科学技術振興対策特別委員会 第20号
- 発言数
- 79 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1962/04/12
会議録
○前田委員長 これより会議を開きます。 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。 まず、科学技術行政一般に関し、発明奨励等の問題について前田振興局長より説明を聴取することといたします。前田政府委員。
○前田(陽)政府委員 発明奨励の問題につきましての概略を、簡単に御説明させていただきます。 まず、発明奨励の問題は、科学技術庁の振興局で担当いたしておりますけれども、そのほかにも若干、都道府県でありますとか、民間団体等でも担当しておるわけでございます。 まず最初に、科学技術庁の担当しておりまする分野につきまして申し上げますと、発明実施化試験費補助金という制度がございます。この制度は大正年間から継続されておる問題でございまして、中小企業の発明家、あるいは個人発明家、こういうふうな方を対象といたしまして、せっかくいい発明ができましたけれども、資金の調達が非常に困難だというふうな方に対しまして、その発明の試作品を作りましたり、あるいは見本を作る、あるいは最低規模の設備でその発明を実際にやってみる、こういうふうなことを対象にいたしまして、発明実施化試験費補助金の配分を行なっておるわけでございます。予算は三十六年度、三十七年度二千五百万余りの金額でございまして、三十六年度につきましては、この二千五百万余りを約三十五件の発明の実施化のために配分をいたしております。 次に、発明実施化試験費の二千五百万余りの補助金の一部、約二百万足らずでございますが、それを用いまして、個々の発明ではございませんで、発明家が共通的に使いまする設備の援助に充てております。それは発明の開放研究室と申しておりまするが、都道府県の試験研究機関、あるいは公益法人の研究機関に対しまして、発明家が共通に使えますような設備に対しまして助成を行なっております。最近の例といたしましては、富山県及び長野県の工業試験場に対しまして、旋盤その他発明関係で主として使いまするような設備の援助をいたしまして、それを各発明家が共同で使ってもらう、そういうふうなことをこの発明実施化試験費の一部でいたしておるわけでございます。 なお、一昨三十五年度から、発明奨励の関係といたしまして特に新たに加えましたものは、発明センターというものでございます。この発明センターは、いわば先ほど申しました開放研究室を非常に大きくして、発明家の便宜を一そうはかるというふうな趣旨でございまして、開放研究施設及び発明のための相談室、それから発明家の便利のために特許公報、実用新案公報等、発明に関する文献を備えました図書室、なおそのほかに発明関係の陳列室、これは主として青少年関係等を対象にいたすわけでございますが、優秀発明の陳列、こういう四つのものを主体といたしまして一つの法人を作るということを助成しておるわけでございます。三十五年度には広島並びに京都に地方発明センターが生まれました。昨三十六年度には新潟並びに姫路に発明センターを作ることを助成いたしました。本年度は岡山、群馬にこの発明センターを作るべく準備を進めているところでございます。 次に、お手元に資料もお配りいたしてございますが、やはり発明を金銭的に援助するのではございませんけれども、優秀なる発明を公表いたしまして広く各界に推薦をする、こういう趣旨で注目発明及び実用発明というものを選定し、公表するということを行なっております。この注目発明及び実用発明は昭和十五年ごろから実施されておる制度でございまして、最初は特許庁において行なわれておったわけでございますが、科学技術庁が三十一年に発足いたしましてから、科学技術庁の方で実施するようになっておるわけでございます。この注目発明と申しますのは、お手元に配付いたしてございます二枚をつづりました資料の二枚目の紙の、上から六行目ぐらいのところにございますが、注目発明は「技術的着想又は思想がその分野における技術水準を遙かに越える発明で新技術の開拓に役立つか若しくは実施効果が顕著なものと認められるもの。」というものでございます。それから実用発明は「実施化が比較的容易でかつその完成後は経済上若しくは実用上の効果が顕著なものと認められるもの。」というものでございます。これにつきましては、特許庁から候補になりまする発明につきましての推薦を受けまして、それを当庁におきまして発明奨励審議会に諮問いたしまして、選択いたしておるわけでございます。選択の結果は公表いたすわけでございまして、お手元にごく最近に実施いたしました例を掲げてございますが、これは注目発明四件並びに実用発明七件を最近選定したものでございます。 そのほかの発明奨励施策といたしましては、優秀なる発明者の表彰という問題がございます。この優秀なる発明者の表彰を大きく分類いたしますと、褒賞関係と、それから科学技術庁で行なっておりまする科学技術庁長官賞の授与、こういうふうなことに相なります。 褒賞関係につきましては、発明のための紫綬褒章、優秀なる発明を育成し、りっぱに産業に移されたという方のための藍緩褒章、発明関係に長年功労されました黄緩褒章、こういうふうな制度がございまして、科学技術庁におきまして選定いたしまして内閣総理大臣の方に上申するということを行なっております。三十六年度におきましては発明関係の紫緩褒章二十九名、藍緩褒章六名、黄緩褒章二名という実績でございます。 以上は褒賞関係でございまするが、褒賞とは別に、科学技術庁におきまして産業上に非常に貢献された発明、りっぱな発明をなされた方あるいは研究に対しまして、また優秀なる国雄技術を育成された方の側の経営に当たる方、あるいは発明奨励につきまして非常に功績があった方、または科学技術の普及奨励に非常に力を入れられました方等に対しまして科学技術庁長官賞を授与するという制度を三十五年からいたしておりますわけでございまするが、本年は来週から始まりまする科学技術週間におきまして、その第一日目に科学技術功労者に対しまする表彰を行なうというふうに計画をいたしております。 なお、工場の工員その他の方々でありまして、職場におきまして非常にりっぱな創意工夫をされた方、あるいは中学校、小学校等におきまして非常に創意工夫について顕著なる功績のあった学校等に対しまする創意工夫功労者の表彰ということも行なっております。これも一昨年から行なっているわけでございますが、本年は来週から始まりまする週間の第二日目にこれを実施する。そして、科学技術庁長官賞を四百五十名ばかりの方々に授与するという予定で進んでおります。 以下が当庁で実施しておりまする発明奨励関係のあらましでございますが、なお、このほか都道府県におきましても、発明関係の助成ということに最近非常に注目されまして、たとえば東京都におきましては三十七年度一千万円ばかりの補助金を計上するとか、額は大小さまざまでございまするけれども、その他の各都道府県におきましても発明奨励のことに力を入れるというふうになりつつございます。 また、政府機関ではございませんけれども、社団法人発明協会と申しまする民間団体では、古くから発明奨励につきましての仕事をいたしておりまするが、発明関係の表彰を独自の立場で地方並びに全国を通じまして実施する、あるいはいまだ実施されてない優秀な発明のための展覧会を催す等、種々の方法によりまして発明の奨励に尽くされておるようなものもございます。 以上でございます。
○前田委員長 何か御質問ありませんか。齋藤憲三君。
○齋藤(憲)委員 今の御説明を承りまして、選定基準ですが、注目発明「新技術の開拓に役立つか若しくは実施効果が顕著なものと認められるもの。」そうしますと、新技術開発事業団の対象となるものは特許の中でも注目発明がおもであるかどうかということです。「新技術の開拓に役立つか若しくは実施効果が顕著なものと認められるもの」それ一つと、それから「実施効果が顕著なもの」ということは、この発明が特許になって、そして特許を実施して効果があったと認められなければならないわけですから、必ず特許を一ぺん実施させるわけですね。実施をするときに、官庁が立ち会ってその効果を調べるのかどうか。 それからもう一つは、実用発明「完成後は経済上若しくは実用上の効果が顕著なものと認められるもの。」実用発明というものは必ずこれがどこかで行なわれておらなければ実用発明と認められないという結論になるのかどうか、これだけちょっと……。
○前田(陽)政府委員 この注目発明並びに実用発明につきましては、先ほど申しましたように、発明奨励審議会に諮問いたしまして、発明奨励審議会の方で専門家の方々が検討されまして、選択されるわけでございまして、この新技術の開拓に役立つかあるいは実施効果が顕著なものと認められるものというものでございまして、すでにやっていないものでありましても、多分これを実際実行したならば新技術の開拓に非常に役立つかあるいは実施効果が非常に顕著なものであろうというふうな立場で選んでおるのであります。実用発明につきましても同様でございまして、ある程度の実績から見まして、多分これは実用上の効果が非常に顕著であろうというふうなことから発明奨励審議会において選択するということでございます。 それから、事業団との関係でございまするが、新技術開発事業団で取り上げまする問題は、新技術でありまして企業化の著しく困難なものということになっておりまするので、今の注目発明のようなものが将来新技術開発事業団の取り上げるテーマになることが非常に多くなって参るだろうということは想像されるのでございます。
○齋藤(憲)委員 いや、私御質問申し上げましたのは、その点が実際問題として非常にあいまいなのです。私も、注目発明を獲得した発明者を援助してその効果のいかなるものかをためしてみたこともあるのですが、今お話を承りますと、発明奨励審議会に付議して、注目発明たるの価値あるか、実用発明たるの価値あるかということを検討してもらうのだというのですけれども、ここに書いてございますように「新技術の開拓に役立つか若しくは実施効果が顕著なものと認められるもの」ということは、これは実施をしてみなければわからないわけですね、いかに発明奨励審議会で検討を加えてみたところが。えてして世の中では、注目発明というと、これはすでに実施されて、その効果というものは立ち会い検討を加えた上で確かなものであるというふうな感じを受けておるわけです。それからもう一つ、実用発明に至っては、もっとそれ以上に広くその発明の効果というものを経済的に認められておるのだということで、そこが非常にあいまいなんですね。ですから、発明奨励審議会に付議して、机上の論議を戦わされて、これは注目発明だ、これは実用発明だといったって、実際行なってみて、はたしてその効果というものがてきめんに現われるかどうかということは、やってみると非常な疑問が生まれてくるのですね。ですから、今私が質問申し上げておるのは、注目発明と実用発明というものとにもつと実質的な効果を確認せしめる、もっとはっきりした結論を与えるということでなければ、注目発明とか実用発明というものの価値はないのじゃないか。どこかで実験してみたのだ、立ち会ってそれを調べてみたのだ、データはこうだからこれは注目発明にする、実用発明にするというのでなければ、名前だけは注目発明、実用発明で、その実質は特許に対する実施効果に対しての何らのデータを持っておらないということは、やはり世人を惑わすだけになって、何ら効果がないのじゃないか、こう思うのですが、そういう点は一体どう考えておられるか。
○前田(陽)政府委員 配付いたしましたプリントにもございますが、最初に注目発明、実用発明の趣旨が書いてございます。「登録された特許及び実用新案のうちから、注目発明及び実用発明を選定公表することにより、その実施化を促進し、わが国における科学技術水準の向上に資するものとする。」こういうことでございまして、趣旨は実施化を非常に促進したいということがねらいでございます。ただ、それでは図上だけでデータも全然なくてやっているかと申しますと、そうではございませんので、それは広く実施はいたしておりませんけれども、ある程度の今までに得られました、試験いたしました結果のデータをもとにいたしまして、それを発明奨励審議会におきまして検討していただいておる、こういうことでございます。
○齋藤(憲)委員 そのデータは特許権者がやるのですか。それとも、特許権者がやるときにだれか係官が立ち会ってそのデータを確認するのですか。われわれからいうと、そこが非常に困るのです。実際、注目発明をこうだといってやってみると、それと同じ効果が現われないやつが出てくるわけなんです。ですから、持っているデータを注目発明としてきめるときに、だれか責任者がそれに立ち会って、そのデータを確認して注目発明とするのか、実用発明とするのか、特許権者が持ってきたデータを信じてやるのか、そこがはっきりしないのです。
○前田(陽)政府委員 多くの場合には特許権者と申しますか、発明者と申しますか、が提出いたしましたデータを、その道の専門家でございます発明奨励審議会の方々が判定するということでございますけれども、審議会におきます質疑その他の問題によりまして、現地を係官が調査する。そして、そのデータにつきましての詳しい説明を求め、確認をするというようなことも行なわれておるようでございます。多くの場合は発明者の提出されましたものを毛とにいたしまして、その道の専門家の方々に御検討願うという方法をとっておるわけでございます。
○齋藤(憲)委員 それは特許理論というものは、その道の権威が審査して理論的にはあやまちがないということで特許になるわけですから、その理論が非常にすぐれておれば、注目発明とか実用発明になってもいいわけですけれども、私の申し上げるのは、実際それを行なってみると、えてしてその発明者が持っているデータと一緒のデータというものが出ないことが往々ある。ですから、今局長が言われたように、「その実施化を促進し、わが国における科学技術水準の向上に資する」という建前で、注目発明とか実用発明というものを、非常に価値あるところの発明としての資格を与えるのですから、こういうところに予算をとって、実際発明奨励審議会に付議してみたところが、理論的に、またいろいろな角度から検討を加えてみたところが、これは注目発明に値するものだ、これは実用発明に値するものだ、だからこれを、国家機関であってもどこでもいいから、どこかに一つ実施さしてみる、そしてその効果というものが、なるほど特許権者の出すところのデータと符合して、これは確かであるというところに、高い位に値する注目発明とか実用発明というものを与えていく。それなら世人が信頼して、すぐおれの方でもやりたいということになるのじゃないかと私は思うのです。そういうところが、発明奨励という建前からいくと、どうも私は非常にルーズだと思うのです。だから、えてしてインチキ発明かインチキ発明でないかわからない問題が世の中を騒がすようになってくるわけですね。ですから、私の申し上げているのは、今までは仕方がないとしても、三十八年度の予算には発明実施化に関する予算をもっととって、注目発明とか実用発明とかをきめるというときに、その特許権者が出したところのデータというものが、実際行なってみて正しいデータであるか正しいデータでないかということを一ぺん検討して、そして注目発明、実用発明というものを選定すれば、世人というものはこれを信頼してもいい。それなら喜んで事業家はこれを実施する。そうすると、あなたが最初に説明したその趣旨にかなうのではないか。今までは、理論だけでもって発明審議会でやったのだと言っても、実際やってみると実にうまくいかない実例がたくさんある。私も持っているのです。そういうところを、もっとはっきりした資格を与えたらいいのではないかと私は思うんだが、一体どうですか。
○前田(陽)政府委員 趣旨は全く仰せの通りだと思うのでございます。ただ、そのやり方に関しまして、国の研究機関でそれを再実施する方法がいいかどうか、なお検討いたしたいと思うのでございますが、いずれにいたしましても、できるだけ発明者の出しましたデータを客観的に検討できるような、そういうことは必要だと思いますので、そういう点十分に検討をさしていただきたいと存じております。
○齋藤(憲)委員 昭和三十七年度の直接発明奨励に関する予算というものは、わずか二千七百万円ですね。ですから、そんなちっぽけな金でもって数多くある特許の実施化を促進しようと思っても、むだなことです。また、そういうようなわずかな発明奨励の金でもって注目発明、実用発明にほんとうに技術的な価値を確定させようと思っても、私はとうていできないと思うのです。科学技術振興の基本であるところの発明奨励というその行政面を科学技術庁が持っておって、歴年の予算を見ると、直接発明奨励に使われる金は常に二千七百万円、二千八百万円、こんなスズメの涙みたいなものを上からたらしてきて日本の発明奨励を助成するといっても、羊頭を掲げて狗肉を売るよりももっとひどい体制であるから、なぜこんなちっぽけな予算でもってがまんしておるのかということを、再三私はこの委員会で言っておる。しかも、この予算はちっともふえない。だから、科学技術庁存立の意義というものを本末転倒しているのではないかということも私は考えているのです。きょう幸いにしてこの委員会で発明に関する問題が論議されましたから、特に私は政務次官にもお願いしておきたいのですが、昭和三十八年度予算にはこういうところに重点的な力を注いで、うんと予算をとって、発明というものを土台として日本の科学技術の振興体制というものを整えるようにしていただかなければ、いかにかけ声だけ科学技術振興、科学技術振興と言ったって、科学技術の本元である人間の英知というものから出るところの発明というものをないがしろにして日本の科学技術の振興というものはあるべからざるものであると思う。こういう点、今まで過去五カ年において科学技術庁というものは不徹底な本末転倒した予算の組み方をしておったと思う。だから、昭和三十八年度の予算においては、発明奨励というものを重点的に考えて、ここに大きな予算をとって優秀な発明をどんどん事業化して、外国依存の技術体制からの脱却をはからなければ、お題目のように科学技術の振興ということを言ったって、技術だけは実績が一つも上がらないようになるのではないか、こう私は思うのであります。ですから、特にこの点は御留意を願いたいと思う。この点について一つ政務次官の御所信を承りたい。
○山本(利)政府委員 ただいま齋藤委員から御発言のありましたことは、まことにごもっともなことでございまして、わが国の科学技術の進歩という点からも、この発明の奨励及びその結果の実施ということは非常に重大な問題でございますから、今年度の予算の獲得におきましても、それぞれ努力はいたし、また側面からも御協力をいただいたわけでございますけれども、来年度からはさらに格段の飛躍をいたしますように、科学技術庁としても努力いたしたいと考えます。
○前田委員長 この際、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。 すなわち来たる四月十八日午後一時三十分より発明奨励等の問題に関し、参考人より意見を聴取いたし、その調査を進めたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○前田委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。 なお、参考人の人選につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○前田委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。 ————◇—————
○前田委員長 次に、ガン医療に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許します。齋藤憲三君。
○齋藤(憲)委員 現在の日本におけるガン対策の大要を、一つ簡単にお話し願いたいと思います。
○川上政府委員 ガン対策全体の問題につきましては実は医務局が所管しておりませんが、医務局で考えておりますところのガンに対する医療施設についてまず申し上げますと、これは御承知のように三十六年度から国立のがんセンターを設けるということで、現在築地のもとの海軍病院の施設を利用しまして準備をいたしております。三十七年度予算と合わせまして、大体本年の五月から一応開設をすることができる運びに至りました。 予算は、三十六年度の予算が九億五千四百六十六万五千円、三十七年度が九億五千百十万二千円でございます。 私どもはこれを全国的なガンの診療と研究のセンターにいたす考えであります。 そのほか、各地方におきましても最近はだんだんガンの病院を作るような情勢になって参っておりまして、たとえば大阪府で成人病センターを作っておりますし、兵庫県でも近くガン病院を作る準備をいたしております。また、愛知県や神奈川県でもガン病院を作る用意をいたしております。さように地方にも最近はガンの医療施設をだんだん整備して参っております。私どもも、さきに申し述べました国立のがんセンターのほかに、地方の各ブロックに少なくとも一つずつくらいのガン病院が設けられることを希望しております。それから、保健所あるいは病院などでガンの早期発見、早期治療の面で努力いたしているわけであります。
○齋藤(憲)委員 今国立がんセンターのお話がございましたが、この国立がんセンターの組織内容というものはどういうものですか。
○川上政府委員 国立がんセンターの組織について申しますと、がんセンターには運営部と病院と研究所がございまして、運営部には病院と研究所の共通の事務を取り扱っている庶務課と、そのほかに共同研究を推進する仕事や、国の内外におけるガンに関する資料を収集したり頒布する仕事をする課を持っております。
○齋藤(憲)委員 それは何という課ですか。
○川上政府委員 それは調査課ということにいたしております。 それから、病院の方は、ガンというものはほとんど各臓器に発生しますから、ほとんど総合病院のような組織を持っておるわけであります。病床は四百三十、外来は約五百を予定している程度の規模のものでございます。それから研究所の方は、現在病理と生化学の二部門を一応設けることになっておりますが、本年度はそのほかさらに二部を加え、四部門で出発したいと思っております。研究部門は将来大いに拡充して参るつもりでございます。
○齋藤(憲)委員 日本癌学会というのがございますが、それは一体どういうものですか。
○川上政府委員 日本医学会というのがございますが、その中の一部門といたしまして日本癌学会がございます。
○齋藤(憲)委員 そうしますと、先ほどお話しになりました国立がんセンターの組織態様というもの、運営部と病院とそれから研究所がある。その中の運営部に調査課というものがあって、そして全国的なガンの治療対策その他に関する資料というものを収集してこれを頒布する、そのガンに関するいろいろな人々の臨床的な研究結果を発表するという、その発表というものは、運営部のいわゆる調査課の資料として発表されるのであるか。または日本癌学会というような、いわゆる医学会ですね、そういう学会で発表されるものであるか。どちらですか。
○川上政府委員 それは学会でございます。
○齋藤(憲)委員 その学会というものは、学会の内容として正鵠を射た調査かどうか知りませんけれども、私のところへ日本癌学会の運営についてこういうことを言ってきているのであります。癌研の事務局である助手三名で、二千人の癌学会会員のうち二百数十人の一年間の研究を発表するか発表しないかということを決定するのだ、こういうようなことを言っているのですが、学会である特定人の研究を発表してしかるべきかしかるべきでないかというような決定をするということは、一体どういうことですか。どういう組織で決定するのですか。学会である一つの研究を発表するとか発表しないとかいうことをどうして決定するようなことになっておるのでしょうか。
○川上政府委員 これは学会が自主的にやっておるわけでございますが、癌学会に設けられておりますところの研究発表題目選定委員会というものがございまして、そこで学会に発表させる題目を選定しているわけであります。その選定委員会のメンバーは、学会の理事のほかに数名を加えて、構成人員が現在十数名になっておると聞いています。
○齋藤(憲)委員 そうすると、これはほんとうですか。「日本癌学会の組織もその運営もきわめて民主的であり、学閥などを超越した全国的にわたる組織であることを強調したい。日本は日本癌学会を通して国際癌学会(UICC)のメンバー国になっていて、年間五百ドルの会費を納めている。 その組織は全国凡そ二千名の会員からなり、日本全地区から四十八名の評議員が選出され、この評議員からさらに選挙によって十二名の幹事が選出される仕組である。会長は十二名の幹事の中から互選によって選出されて、年一回の大会を開き、その学会誌を出すことがその重大な使命になる。そのほか地方在住の幹事が会長になって運営される二月及び八月と、年二回のシンポジウムが開かれるのである。」こういうふうなことが書いてある。これは正しいのですか。
○川上政府委員 私も詳しく存じないのでありますが、おそらくそれは前の田崎癌学会会長の書かれたものではないかと思いますので、間違いないものと思います。
○齋藤(憲)委員 今厚生省で考えておるガンの治療対策というものは、一体どういうものですか。これは早期発見とかあるいは放射能治療とかあるいはその他あると思うのでありますが、一体ガンというものに対して厚生省として治療対策としてはどういうことが行なわれておるのですか。
○川上政府委員 厚生省としてということでなしに、ガンの医学の教えるところに従って早期発見や治療が行なわれているわけであります。やはり薬物による治療、放射線による治療、それから外科的な治療というものがおもなものだと存じます。
○齋藤(憲)委員 私はきょうはガンに関しての御質問を申し上げておるのは、今は世界的に結核はおそるるに足りなくなってきた。人命尊重の立場から一番おそれられているのはガンである。従って、科学技術庁といたしましても三十四年度の諮問にガンを重要研究項目に指定して、研究調査費をこれにさいて、そしてガン対策に対して科学技術庁としても大いに努力をしなければならないという立場をとっております。しかし、その本家本元は何といっても厚生省の所管に関する問題だと思うわけです。ところが、ガンに対していろいろな問題が提起されておりますが、ここに持っております「週刊現代」の中にもそのことが書かれておるし、昨年三月の「文芸春秋」特別号にもその問題が提起されている。私はあえて私の質問が特定の人ないしは特定の品物に対して宣伝的なにおいが出たり何かすることをおそれまして、一切そういうものには触れませんけれども、第一ここに癌研病院長の田崎勇三博士が昨年の「文芸春秋」三月特別号に寄せられた論文は、その表題が「薬で癌は癒らない」と書いてある。これは私の考え方としては非常に大胆な表現であって、今薬事法を見たのでありますけれども、薬事法中においての薬という広範囲な分野から推していくと、薬でガンはなおらないと言い切れるのは神様しかないと思うのです。人間のとうてい口にすることのできない表題じゃないか、私はこう思うのです。ところが、この「週刊現代」の記事を読んでみますと、ガンに対して非常に的確な効果のある治療法があるといわれておる。もちろんわれわれのごときしろうとは、いずれが正しくていずれが間違いであるかはよくわかりませんけれども、一体一方は薬ではなおらないと言っているし、一方は薬でもってどんどんなおっている、こういう対立した問題ができたときに、厚生省としてはどういうような態度をとってこの問題を処置せられようとしておるのか、それを一つ承りたいと思うのです。
○川上政府委員 薬でなおらないというように言い切ることは私もいかがかと思うわけであります。現に相当薬の効果も学会あたりで認められておりますから、完全になおるかどうかという問題はあるかと思いますけれども、相当効果のある薬もあると私は思います。ある人がそれをきかないといい、ある人がきくという場合に、厚生省としてはどういうようにこれを処置するかというような御質問だと思いますが、それは学会で研究結果の発表等でだんだん定まることで厚生省がその結論を待たないできくとかきかないとかいうことを言うわけにはいかぬ問題でございます。
○齋藤(憲)委員 いや、私の御質問申し上げておるのは、最初に国立がんセンターというものをお伺いいたしたのは、一方では薬でなおらないというし、一方では薬でなおる、そして臨床実験も数千人に及んでいる、治癒したパーセンテージも二〇数%だと出ておる。そういうものが出てきたときに、がんセンターは一方的に薬ではガンはなおらないのだという説をとって、そして一方では薬でなおるのだという人をとにかく排除するという形が現われたときに、そういうことじゃいけないのだ、薬で実際なおるのだという主張をするについて、臨床実験も相当に証明すべきところの数があったなら、そのお医者ごとがんセンターに入れて、大いにその薬でもってなおるかなおらないかをためすという行政指導というものがあってしかるべきなんじゃないか。こういうふうに私は考えたものですから、厚生省はそういう問題に対していかなる態度をもって臨まれますかという御質問を申し上げたわけです。
○川上政府委員 むろんがんセンターにおきましては、今さしあたりそういうような研究部門を設けてはおりませんけれども、将来のわれわれの予定では薬効試験部門を設けるような考えでおるわけでございます。そういう薬はこういうところで場合によっては取り上げて研究をして参りたいと存じます。むろんある人がある薬がきかないと言ったから取り上げないということでなしに、公平に取り上げるに値するものは取り上げて、研究なり試験なりをやる考えでおるわけでございます。
○齋藤(憲)委員 がんセンターの組織の中に研究部門、研究所を設けて全国の総合的な研究を行なうのだという御説明がありました。それから「週刊現代」の中には、これはうそかほんとうか知りませんけれども、一方厚生省でも「三十四年に市販されたときは低酸性無酸性胃炎用の薬として認めたものである。厚生省としてはガン薬として認めてはいない。ただし臨床実験などで実績を上げてきた場合、考えなおすということもありうるわけだが」などと言うてある。ところが、実際は臨床実験でどんどん治癒の効果を証明されるような状態になっているらしいんですね。ですから、私は、そういう問題が起きたときには、がんセンターというものはやはり積極的に、こういう一方では薬ではなおらない、一方では薬でどんどんなおっている。しかも、薬でガンはなおらないということを言われた方は、当時の癌研病院長なんですね。そこに問題が出てきているわけなんです。ですから、私がさっき申し上げたように、薬でガンはなおらないと考えている人が癌研病院長なんだから、いかなる薬を持ってきたってこれはなおらないのだ。そうしたら、ガンというものは何だといったら、早期発見と放射能だ。だから、早期発見をして開腹手術をやる、それでなければレントゲンでもってそれを焼き切るかあるいはコバルト六〇の照射によってこれを治癒していく。薬では絶対になおらないのだ。それじゃ薬でなおそうと思って研究している方は取りつく島がないということになるのです。それで結局「ハナクソ論議」というものが出てきているわけでしょう。ここに「ハナクソ論議」に対する解釈もついておるので、私も非常に興味を持ったのでありますけれども、ところが一体、ガンであろうが肉腫であろうが、結局はガン細胞、肉腫を形成する細胞というものの働きなんでしょう。ですから、結局血液中にガン細胞が発生しないような条件を与えればガン細胞というものは出てこないわけなんでしょう。そういう血液中にガン細胞の発生しないような作用を与えるというものが、薬事法の中の薬でしょう。そうでしょう。だから、薬でガンはなおらないなんていう、こんなことを言うということは、私はお医者さんとしては、はなはだ不謹慎きわまるものだと考えるのです。一体血液中にガン細胞が発生しないという条件があるかどうかということは、これは科学技術庁がガンという問題を大きく取り上げた原因じゃないかと思うのです。われわれなんかそういう条件が血液に備わっているから、ガン細胞ができたくたってできっこないわけなんですね。しかし、その血液の中にいろいろな要素が含まっていて、その血液がガン細胞を発生するような条件になってくると、やはり一番刺激性の強いところにその細胞ができたりして、ガン細胞というものができていくのじゃないか、その条件を一体どう見きわめようかといって研究をしているのが、薬でガンはなおらないという方の主張らしいんですよ。抗ガン性というものは、血液中にあるところのある一種のビールスを純粋培養して、そしてそれの持っているところのエンザイムを抽出したものだという、結局酵素作用ですね、そういうものがあっていいわけでしょう。血液中に抗ガン性のビールスがある。これは釈迦に説法だけれども、ビールスというものは核酸と蛋白質なんですね。これを摘出して、そして純粋培養して、そこに桿菌、球菌あるいは鞭毛を持ったところの微生物が発生して、これの有するエンザイムを抽出する。そしてそれを血液に注射していく。そうすると血液中の抗ガン性というものが活発に活動してガン細胞をなくしていくのだからガンはなおるのだ。これは理論的に正しいと思う。それを薬ではなおらないと断定して、鼻くそ理論で片づけてしまうということは、われわれはどうしても承服できない、こういうふうに思うのです。 ですから、私がきょう厚生当局においでを願ったのは、一体こういう問題に対しての行政指導というものはどうおやりになるおつもりであるか。局長でおわかりにならなければ、これはやはり厚生大臣でもおいでを願って伺わなければならないと思うのでありますけれども、大臣はしろうとだから、むしろ私は局長においでを願った方がいいだろうと考えたわけであります。一方は薬でなおらない、一方は薬でなおる。しかも、薬でなおるという方は特許を申請しておるとこういうのです。私のところへ来た。しかも、特許は全部外国特許であって、ガンの薬として特許を申請してある。これはどうですか。こういうことがあるのですか。ガンの特効薬として特許を取ることができるのですか。これは外国特許で、英国、ドイツ、カナダ、アルゼンチン、ノルウェー、ベルギー、インド、豪州、この八カ国でガンの薬として特許を取っている。それから今出願中のやつが五件で、米国、フランス、スイス、オランダ、ブラジル。ガンの特効薬として外国特許をとることができますか。
○前田(陽)政府委員 私も特許法のことは詳しくは存じませんけれども、医薬品自体といたしましては特許にならないというふうに記憶しておりまするが、医薬品の製造法につきましては、わが国の特許法では特許になる、こういうふうに記憶いたしております。それからなお、きょうは持っておりませんけれども、衛生上害があるようなものは特許にはできないというふうな規定もあったかと存じておりますが、これはわが国の特許法がございまして、外国のものは若干差があるんじゃないかというふうに記憶いたしております。
○齋藤(憲)委員 日本の特許法によって医薬品の特許は許可されない。がしかし、局長の言われるように、医薬品の製造方法の特許というものはあるわけですね。ですから、今私が申し上げた外国特許も、結局ガンをなおすためにこういう医薬品をこういう方法によって製造するのだというその製造上の特許なわけですね。ですから、外国でもそういう特許を認めている。日本でも製造上の特許を認めている。そうすると、理論的にはそういう薬は作り得られるのだ。しかも、そういう理論からいくと、ガンに効果があるということも認められるということになるのだろうと私は思うのです。荒唐無稽なものではない。しかも、特許を出願した人はりっぱに学位を持っている人だとすれば、学位を持って理論的に推進して、そしてそれを実際臨床的に実験をしてみると効果がある。だから、そういう主張が出てきた。なぜ私がそういうことを言っているかというと、今も岡委員に伺ったのでありますけれども、われわれは、昭和三十五年選挙以来八名なくなっているというのですね。そのうち四名は高血圧で、四名はガンだ、こういう。ですから、国会議員に対してもガンの早期診断及び早期治療というものを、何とか国家の手でもって早急に実現するように一つわれわれはやらなければいけないんじゃないかという相談をやっているわけです。これはわれわれにおいてしかりでありますけれども、一般の大衆においても、やはりある年令に達するというと、少しからだの工合が悪ければガンじゃないかというふうになってくる。それが薬ではなおらないのだ、早期発見だという。しかし、早期発見といってレントゲンにかけたときに、一体それが早期発見かどうかということが非常に問題なんですね。悪性腫瘍がレントゲンに写ったときは、もうすでに血液中にガン細胞が一ぱい充満しておって、そこを切開したって、また再発方々でもって死んでいる例はたくさんあるのです。ですから、早期発見でもってレントゲンに写ったときにそれを切ってしまえばガンというものは必ずなおるということであったら、われわれは心配ないかもしれないけれども、そんなことは信用できない。一生懸命になってレントゲンをとって、ああこれは怪しいのだということを見つけたときに、開腹してみたらもう手がつかぬ実例というのはたくさんあるのであります。そういう際に、もし抗ガン性の薬品というものがあって、ガンにもきくし、それを常に服薬していると抗ガン性の血液の働きというものができて、ガンにかかる率が少ないのだということになれば、これは人類に対するところの非常な恩恵であって、これを世界がみなねらっているわけでしょう。私はそう思うのです。私もそういうふうに感じて、科学技術の最高の目標というものはやはり生命現象の追究にあるのじゃないかとまで考えておる一人でありますけれども、ガンによって倒れる人が少なくなって、ガンがなおるのだ、しかも薬でなおるのだということになったら、これは人類に対するところの非常な福音だと私は考えております。そういうことが、どんどん今実施例によってここであるのだと手が上がっているのに、しかも、外国特許も取っているし、それから学位も持っているし、何千人という人にこれを実施してみて、二〇%か三〇%なおるという臨床上の証明もできておるやつを、一方のガンの権威が、薬ではガンはなおらないのだ、あんなものは鼻くそかなんかわからないじゃないかというような論でもってこれを一蹴してしまうというような体制というものは、いわゆる厚生省の行政指導的な見地に立ってこれは是正する必要があるのじゃないか。私はそう考えるのですが、局長は一体どう考えられますか。
○川上政府委員 私も、薬ではガンはなおらない、こういうふうなことを断定する人があるとすれば、それはやはり独断だと思うわけでありまして、厚生省としましては、そういうような考えは決して持っておらないわけであります。
○齋藤(憲)委員 まだたくさん御質問したいことがございますけれども、しろうとの私が時間をとって御質問申し上げても、これはあまり効果がないと思うのであります。 そこで、委員長に一つお願いがあるのでありますが、薬でガンはなおらないという人と、薬でガンはなおるという人をこの委員会に呼んでいただきたいと思います。これは私は重大な問題だと思うのです。科学技術の建前から、一方では薬でガンはなおらないと言い、一方では薬でガンはなおると言う人がいる。この両者相対立する問題をとらえて、そしてこれを厚生省の行政指導に移して、一刻も早く真相を突き詰めて、大衆に対して安心感を与えるということが、科学技術の一つの進歩過程における大きな問題だと私は考えておる。だから、なるべく世間にその薬の宣伝効果が、ここにそういう人を呼んできたがために不当な売名的な余地が出ないように、真剣にそういう問題を解明するような段取りを一つ委員長において考案せられまして、この問題に何らかの解決の曙光を与えるように御配慮をお願いいたしたいと思います。 これで私の質問を終わります。
○前田委員長 ただいまの御発言については、理事会で相談させていただきまして、なるべく御希望に沿うように善処いたしたいと思います。 ほかに御質問がなければ、次の問題に移りたいと思います。
○前田委員長 それでは次に、米国の人工衛星のための追跡ステーション設置の問題について、質疑の通告がありますので、これを許します。岡良一君。
○岡委員 大臣が来られましてから政府の責任ある御方針を承りたいと思います。 最初、外務省あるいは科学技術庁からそれぞれ事務的な御答弁を願っておきたいと思います。先般の委員会で、すでに四月二日の大平官房長官の談話として、日本にアメリカの人工衛星の追跡基地を置きたい、そのために二名程度の調査員がNASAから派遣をされる、こちらとしては目的に問題もなく受け入れる方針だが、このことは科学技術庁で十分検討をして閣議に諮ってもらう。翌日の新聞では、閣議に諮った結果、いよいよこの二人の調査員の入国は認める、しかしこれは実地調査ではなく、具体的な説明を聞くためである、こういう新聞記事が出ております。さらにまた七日の新聞によると、結論を申し上げますと、日本国民の間にこの観測所を軍事目的とからめて疑惑が持たれておる、あるいはまた協議がされて、調査するかどうかはそれからあとの話であるというようなことにもなるというような事情もあって、この衛星観測所は見送りになるかもしれないという記事が、ワシントンの六日付の特派員の報道として出ております。先般私は、この委員会で、もし受け入れるということになり、また追跡基地を置くということになれば、すでにこのような基地が置かれてあるカナダあるいはオーストラリアとの間にどういう協定が結ばれておるか、これを資料として御提出を願いたい、こう申し上げておいたはずでございます。ところが、なるほど資料はいただきました。この資料は委員会で私が正規に発言をし、委員会に提出を要求した資料でありますから、当然全委員に御提出あってしかるべきだと私は思う。しかも、これは英文で書いてある。でありますから、われわれ語学に弱いものにとっては、この資料の内容の理解にも非常な困難を感じておる。 そこで、まずお尋ねをするが、一体こういう英文の資料二通を、委員会で正規に要求した私の手元へ届けることだけで、あなた方は資料の提出が済んだと思っておられるのかどうか。
○竹内説明員 英文にてお手元まで差し上げましたけれども、御下命によりまして、日本文も作成の上、時間を要しますけれども、委員会に提出いたすことにいたします。
○岡委員 これはそんなに時間のかかる問題じゃないと思う。私は昨日念のために、私のところへ出入りしている大学生に頼んだ。けさもうすでに翻訳して持ってきておる。あるいは衆議院の渉外課に頼んだ。これも二通とも翻訳して持ってきておる。あなた方外務省の役人は、せめてもの取り柄は語学なんだ、それが大学生よりも翻訳ができなかったり、衆議院の渉外課よりも語学能力がないというのですか。われわれが要求しているのは国会の調査権に基づいてですよ。それを無視しておるじゃありませんか。それで済むと思うのですか。あとでお手元に提出すると言って、問題は、きょう私は質問するから、そのために不可欠の資料として要求しておる。そういうことで済むのですか。
○竹内説明員 特に日本文で提出せよということではございませんでしたので、(「日本の国会だぞ」と呼ぶ者あり)とりあえず英文にて差し上げましたけれども、外務省で日本文に作成いたしまして委員会にお届けいたします。
○岡委員 結局同じことを言っておる。結局責任というものをあなた方はとろうとしていない。不届き千万だと思うんだ。特に今後の科学技術行政というものは、国際的にも常に国際協力というものが中心になってきておる、原子力にしても、大気圏外平和利用の問題にしても。従って、外交文書がわれわれの委員会の審議に不可決の資料なんだ。だから、あなた方が科学に弱いからと正直におっしゃるならばそれでいい。しかし、せめてもの取り柄の語学で、それも大学生が半日でやれるような仕事がやれないないんというばかなことがあるものか。委員長、これは一つ外務大臣に厳重に申し入れておいてもらいたいと思う。将来の委員会の運営の問題としても重大な問題であって、来られた、アメリカ局か何か知らぬが、諸君は実に怠慢だと私は思う。 さて、あなた方を怒ってみたところで始まらぬから、質問を始めますが、アメリカ側から大使館の科学アタッシェを通じて何か申し入れが事前にあったということだが、どういう申し入れでありましたか。内容をずらりとここで一つ言っていただきたい。
○竹内説明員 本件につきましては、去る二月二十七日アメリカ大使館の科学担当官が外務省に参りまして、申し入れをいたしました。それは、NASAの人工衛星観測ステーションを設けたい。ついては日本に、できれば九州にそれを設けたいので、そのためのNASAの調査員を二名派遣したいが、日本側の同意を得たい、こういう申し入れがございました。その際の説明によりますと、このステーションの活動は、平和目的のための観測であって、施設は公開され、観測の結果は世界の科学界の用に供する。業務は主として電波の受信であって、送信は合図のシグナル以外には行なわない。敷地には約八十エーカーを必要としたい。できるだけ正方形であることを必要とする。しかし、この敷地の周囲一マイル以内には、発電所などの電波障害物の存在しないことが必要である。また、周囲十マイル以内、これは国際的に科学目的のために使用を許可されておる周波数電波源の存在しないことが望ましい。さらにまた、その敷地の上空は航空路に当たらないことが必要である。敷地については一応十年間の賃借ということにしたいけれども、その他の方法によってもけっこうである。いずれにしても、この点については協定を結ばなければいかぬだろう。施設はNASAの所有でありまして、米国製品をもって建設したい。これはアメリカの衛星との連絡をとるのに、他の地域のステーションと同じ規格の機械を使いたいからである。施設の運用のためには約四十名のアメリカ人の科学者がこれに必要だ。ある期間たちましたならば日本人の科学者も参加していただきたいと思うが、当初はアメリカ人の科学者で運営したい、というものでございまして、その観測する対象はディープ・スペース探求というのであって、これはマーキュリー計画あるいはミニトラック・ネットワークというものとは別のものである。日本に設けたいと考えておる同タイプのステーションはアメリカではノースカロライナとアラスカにある。ただ、ディープ・スペースの探求については、同じステーションが南ア連邦、オーストラリア並びにカナダにあるということでございました。 以上が大略そのときのアメリカ側の説明でございます。
○岡委員 そのことについて、おそらく科学技術庁としても御検討になったと思うが、井上調査官、どう御検討になっておりますか。
○井上説明員 お答え申し上げます。ただいまの外務省からの御相談がございまして、科学技術庁といたしましては、日本の国内の施設、それからこれの対象とされました九州ということにつきまして、その設置の目的と申しますか、業務の内容というような点、それから主要な施設はどういった機器であるかというような点、それからなぜ九州を選ばなければならないのかというようなことにつきまして技術的に検討を加えまして、大体こちらで予想される施設としての内容に対しまして外務省の方にお調べ願いたいということで、御調査をお願いいたしました。
○岡委員 このNASAのヒヤリングの調査資料を見ると、ディープ・スペース・ステーション・カバレージというものが載っておる。ディープ・スペース・ステーションとはどういう役割を持つものなのか、どういう人工衛星を飛ばそうというものなのか、専門的にどう思われますか。
○井上説明員 ディープ・スペース・プローブというものを追っかけるステーションでございます。私どもは日本語でこれを一応宇宙探索機と呼んでおります。人が乗ります場合には宇宙船というふうに船という字を使いますが、ディーブ・スペース・プローブと申しますものは、一般的に申しまして探索をする機器を積みました乗りものをいうわけでございます。それで、ディープ・スペースと申しますと深い宇宙という名前になりますが、実際は月、それから惑星、特に金星、火星の付近、あるいは火星、金星そのもの、そういったものをいろいろな機械ではかる、そういう計測機でございまして、これを追っかけてその情報を地上でレコードしまして記録するというのが、 ディープ・スペース・ステーションということでございます。
○岡委員 そうすると、この人工衛星というものは、結局俗にいう科学衛星といいますか、あるいは探知衛星と申しますか、大気圏外における電離層なりその他のもろもろの観測というものをやはり目的といたすものであるのでしょうか。 〔井上説明員、地球儀を示す〕
○井上説明員 ただいま御説明を申し上げました月あるいは火星、金星というものに近づく途中、地球のまわりに大体この大きさくらいのところに、いわゆるバンアレン帯と申します放射線の非常に強い層があります。そういうものを今人工衛星でいろいろはかりますが、それはやはり子午線と申します地球の経度でございますが、これに沿って衛星を飛ばせば非常によくわかるわけでございます。従いまして、そのずっと手前の方に電離層があるわけでございますが、ずっと外の方に参りますと、電磁現象の相当不思議なものがあるように観測されております。今度は黄道というのが、太陽系の星がその中にみな入っております面でありまして、その中に金星、火星、そういう星があるわけであります。それからさらに、月は白道といいまして、これよりもう少し上に上がりますけれども、そういった軌道面を運行いたします。従って、そこへ物体を入れまして、その面内でなければ火星、金星、月というものの近くへは行けない、またその付近の状況がわからない。そういったものを調べますのがディープ・スペース・プローブでありまして、今御指摘の人工衛星の方は、この地球の外側にありますいろいろな現象を調べるというものでございます。
○岡委員 外務省の先ほどの御説明では、これはマーキュリー計画とは関係ないのでございますか。
○竹内説明員 マーキュリー計画とは関係がないという説明を聞いております。
○岡委員 それじゃ井上君、結局今御説明のように、電離層、宇宙塵、大気観測、地球の形、いろいろなものを調べるわけでございますね。
○井上説明員 その通りでございます。人工衛星について申しましてもそういうものをはかるわけでございまして、ディープ・スペース・プローブについては、そのほかに月あるいは火星、金星の上でのものをはかりたいというものがあります。
○岡委員 そこで、大臣がお急ぎだそうですから、どうせこの問題は今しばらくいろいろ調べさせていただいた上で政府の方針を承りたいのでございますが、大臣どう思っておられますか。現在における米ソの人工衛星プロジェクトというものは、完全に平和目的のものであると思っておられますか。
○三木国務大臣 私は平和目的のものだと考えております。
○岡委員 御存じのように、大気圏外平和利用と申しますか、宇宙空間平和利用については会議が開かれつつあるわけでございますが、その中で、たとえばフルシチョフ首相は、この会議に寄せた書簡の中で、全面完全軍縮が締結されるまでは大気圏外平和利用の面の協力の可能性は米ソとも限られている、こう言っておる。また、内容はわかりませんが、新聞は概括的に、ソ連の評論誌「国際問題」は、かつて米航空宇宙局の計画を一つ一つ分析し、これらはすべて軍事目的につながっていると述べたこともあるし、そうかと思うと米国では「USニューズ・アンド・ワールド・リポート」という雑誌が、NASAのこれはマーキュリー計画でありますが、月計画が軍部の圧力によって軍事研究を含むように拡大されたと指摘したこともある。こういうように、宇宙空間の平和利用についての国際協定が結ばれていない現在の時点においては、米ソの人工衛星競争というものは一般の軍事的目的を持っておる、こう双方とも申しておるわけです。双方ともおそらく専用家がそのように分析をしておるわけです。してみれば、どう考えてみても私どもは、純粋に平和目的の人工衛星というものはまだ今の時点においては考えられないのではないかと存じますが、重ねて御所信を承っておきたい。
○三木国務大臣 科学の面において、軍事面あるいは平和利用の面というものの境界線をはっきりつけることはなかなか困難でしょうが、私が言うのは、主たる目的は平和目的である。そのことによって軍事的にいろいろ利益をするような場合もあるんでしょう。しかし、やはり主たる目的は、今日平和目的ということが主たる目的であるということを私は信じておるということを申したのでございます。
○岡委員 国連の宇宙空間の平和利用に関する審議の模様はその後どういう経過をたどっておるか、詳しい情報は私持っておりませんが、最近まではやはり大国の軍事利用の禁止に触れがたい状態になっておるということも聞いておるわけです。具体的な例を申しますると、専門家の所論でございますが、たとえばICBM、大陸間弾道弾の照準度が今非常に問題になっていることは御存じの通りです。たとえば地球の形がまるくなくて楕円形だが、実測的にどういうものであるか、弾道弾の通る軌跡においてどういう状態が大気圏外にあるのかということは、やはり大気圏外における科学探究の二面の意義を持っておる。仰角が、それらの諸条件を考えて、わずかプラス・マイナス〇・二度の仰角の差異でも、六千マイル飛んだ大陸間弾道弾は百三十マイルも目的地より離れるのだというようなことにもなるので、ICBMの照準の正確性のための大気圏外の科学探究というものは、少なくとも米ソ両国にとっては大きな関心事になっておる。こういう事実を見まするときに、大平官房長官は、平和目的と申しておるから平和目的である、受け入れてもよさそうだが、しかし科学技術庁の意見を中心に一つ考えたいと言っておる。政府は何を根拠にこれは平和利用のためのものであると断定されるか、非常に私としては懸念にたえない次第なんですが、大臣としては御所信いかがでしょうか。
○三木国務大臣 これはアメリカ側から申し出のあったことで、アメリカ側の意図によってわれわれもさように了承をしておるわけでございます。
○岡委員 ただアメリカ側が平和利用であるから、そう言うのであるからこれは平和利用と信頼をして考えるのであるという御答弁では、政府としての責任ある御答弁とはなり得ないと私は思います。それは核実験の損害賠償と同じことで、アメリカ側はやはり損害賠償を払う義務はないといわば居直ってくる、日本は泣き寝入りをしたいという苦い事例があるわけです。でありまするから、これは正確なたとえにはならないといたしましても、今の人工衛星の状態というものは決して純粋に平和利用と考えることはできぬとわれわれは断定せざるを得ない。だから、あなた方の方で平和利用に限定をされ得るのだという科学的な根拠を示されなければ、私どもとしては平和利用と納得ができないし、アメリカが平和利用と言ったら、あなた方の方でこれは平和利用であるという具体的な内容を十分に分析をし、十分に把握された上で、平和利用であるかいなかという判断をなさるべきだと思う。向こうから文書でそう言ってきたから平和利用とは、私は政府の態度としてはちょっと無責任であり性急にすぎると思いますが、いかがですか。
○三木国務大臣 もし軍事的利用ということならば今後話し合いに応ずるというわけのものではないのであります。今、岡君のお話では無責任と言いますが、これはまだ日本にそういうステーションを置くことを認めるとか認めないとかいう段階でない。向こうが一応そういう申し出であるから、詳細に一つ話し合ってみようというところまでいったわけです。従って、今後日本の科学陣営におきまして、向こうはそういうことであるが、ほかの方面にも検討しなければならぬ面がございますが、平和目的というような面からもこれを検討する。日本の国内法の問題あるいは日本の航空関係、いろいろな角度からこの問題を検討しようというので、まだこれを置くときめたわけでないのでありますから、責任論が出る段階ではないのであります。話し合いをしてみようということで、平和目的でもないということなら、話し合いをする必要もないのでありますが、入口はまずそういうことなら話し合いに応じてもいいということでございます。責任論が出る段階ではないということでございます。
○岡委員 このディープ・スペース・ステーションを見ますると、大体ロスアンゼルスの郊外のゴールドストーンですか、それから南アのヨハネスブルグ、そして地球の自転のままにウーメラで追跡ステーションを持つということで、大体地球の南を回っておるようです。ところが、今度は沖縄、カナダというふうにして、地球に対しての角度が三十度くらいで打ち上げておったのが、今度相当高い角度で、ソ連は六十五度といいまするが、相当高い角度で打ち上げて、しかもその軌道も南北極を四角を描くというようなものになりそうだということも、私は一つの大きな関心事だと思うのです。きょうの新聞を見ると、ミダス、サモス等の人工衛星については完全な軍事的機密のベールの中にとどめるという発表が国防総省からありました。まさか日本に置く追跡ステーションが——今のステーションでは、この軌道では中共やソ連の写生はできないわけです。だから新しくそういう軌道、中共、ソ連の岡方を通る軌道を通って、そして偵察衛星を回す、それに関連するステーションを置くなどということは私は考えたくない。考えたくはないが、しかしそういう計画もあるということ。であるから、特に私はこの問題に対しては慎重な態度で検討願いたいと思う。現にウーメラに設けられておるステーションは、ディープ・スペースのためのステーションだということにはなっておるけれども、DOD、アメリカにおける軍事的な人工衛星と密接な関係を持っておることもこの報告書にちゃんと書いてある。非常に相互に緊密なる連絡を持って、その協力が順次進められておるということがここに書いてある。でありますから、問題は、そこに出てくるデータは平和利用のデータなんです。公開されてもいいでしょう。しかし同時に、そのことが軍事的な利用としても重要なデータになっておるということ、なり得るということ、そういうところに人工衛星というものの特質があるということ、私はそのことを特に強調して、よほどこれは慎重にやっていただかなければならないし、わが党としても、政府の協定というものに対する態度については真剣に考慮したいと思っております。 それから、もう一つある問題は、これは先般長官も、IAEAの総会に御出席になって名演説をされておる。ところが、IAEA国際原子力機関というものが今どんな現状にあると思われますか。はたしてあの憲章にうたわれたような運営を十全に行なっていると思われましょうか。
○三木国務大臣 私も昨年出席いたしまして、あの国際原子力機構の内部が、いろいろやはり世界政治の影響を受けて複雑な内容を持っておるということは、自分の実感を通じて考えたわけでございます。何分にもいろいろな点で——単に国際原子力機構に限らず、世界の東西の対立というものが問題を曲げていく。これは国際原子力機構に限らず、いろいろな点で——岡委員はどういう点を御指摘になっておるのかわかりませんが、それは国際原子力機構も例外ではない。すべての世界問題を非常に曲げるような結果になっておる。やはり国際政治の問題の余波を受けずにはいない。一番影響を与えるものは国際政治の現状であります。不自然な状態ですから、あらゆるものが、その影響を受ける。こういう点で、国際原子力機構も理想的に運営されているとは思われない。国際原子力機構の憲章から見まして、いろいろこれは改革すべき余地はあるものと私は考えるものでございます。
○岡委員 国際原子力機構憲章については、当時私どもいろいろ意見も申し上げたこともございます。それはさておきまして、たとえば先般私どもが事務総長に会ったとき、かねてより長官の御抱負であるアジアにおけるアイソトープ・センターの設置、これについても、直ちにこれを理事会にかけるということも事前にいろいろな工作が必要なんだ、それを一つぜひやってくれ、私どもから考えれば、これは非常にけっこうな話じゃないか、おくれたアジア諸国の諸君のためにも、日本が立ち上がって積極的にこのような国際協力を、アイソトープの平和利用の面ですべきだと私は思う。しかし、その真意がやはり押し曲げられて、実現しがたいという条件がIAEAの中にあるわけです。なぜそういう状態になったか。三木長官は、現在における東西対立があらゆる国際機構の中に持ち込まれてくるのだ——それはその通りでございます。しかしさらに、私はもう一つ理由があると思う。日本も責任を持たなければならない重大な理由があると私は思う。この点について長官の御所見、ございませんか。
○三木国務大臣 それは日本もいろいろ責任というものを感じなければならぬ問題があると思いますが、岡委員がどういうことを御指摘になっているのか、問題を具体的にお話し願えれば、お答えいたすのに非常に便宜でございます。少し問題を具体的にしていただきたいと思います。
○岡委員 それでは具体的に申し上げます。実はこれもこの国会で、何度われわれが口をすっぱくして申し上げたかわからないことなんです。ということは、御存じのように、国際原子力機関は、たしか一九五四年の十二月の八日の国連総会で、アメリカのアイゼンハワー大統領が提唱されて、一九五六年の九月にその創立総会がウィーンで持たれたはずでございます。ところが、この二年ばかりの間に、アメリカを中心とする原子力平和利用のための協力協定国が、二十数カ国できてしまった。負けてはおれじということで、今度はソビエトを中心とする協力協定の国々が、十数カ国できました。ドゥブナに原子力共同研究所ができて、共産圏の若い科学者がそこに数百人押しかけて研究をする。問題は、原子力というような、いわば新しい科学の頂点を行く、しかも国際的な協力なくしてはその完全な発達があり得ないと科学者が断言をしておる原子力の分野で、国際的な協力をやろうではないか。憲章一条にうたってあるような平和利用のために、そして人類の福祉の貢献のために、ぜひ全世界の国国、少なくとも国連加盟の国々が協力してやろうじゃないかという憲章を、一方では審議しておる。一方では、それを尻目にかけて、双務協定、バイラテラルの協定をどんどん結んでいく。アメリカを中心に結んでいく、ソビエトを中心に結んでいく。われわれはこのときに、せっかく国際的な協力関係が、今協定として成文化されようとしておるじゃないか、だからもうしばらく待てないのか、待って、そうして国際原子力機関の中の一員としてその協力方式に協力をする。特に日本はおくれたアジアの国々の代表として理事国になっておる。運営の将来に責任を持っておる重要な立場にあるのだから、今ここでどの国がどうという、われわれは感情的なものの考え方ではないのだ。原子力の国際協力の上における平和利用を進めるためには、双務協定はいましばらく待てということを、われわれはこの委員会でも、外務委員会でも申し上げた。しかし、それがむげに退けられました。そういう形で国と国が、IAEAの場合は双務協定が、もうすでにアメリカを中心に四十カ国近いものができておる。ソ連を中心にも二十カ国近いものができているはずです。そういうものが総会を開き、理事会を開くと、ぶつかってくる。ちょうど長官が行かれたときには事務総長の選挙のときだったと思いますが、ごらんのような体たらく。ソ連がトロイカ方式を持ち出し、言い分が通らなければ脱退をするというようなことを言い出すというような、ああいう混乱を起こしてはならぬと思う。私はこれがIAHAというものの現状——少なくとも憲章のままに運営をされていない、十分な運営を見ていない大きな原因だと思う。そうしてまた、その意味において日本にも責任があるんだ、こう申し上げておるわけです。これが長官の聞きたいという私の具体的な所信でございますが、長官、どう思われますか。
○三木国務大臣 どうも大国は、ソ連、アメリカにしても、バイラテラルな原則を持っておる。これは私はフルシチョフとも話したときに問題に取り上げたのであります。原子力ではないのですけれども、後進国援助の問題で、こんなにみんなが勢力拡大の対象のような形で後進国援助を取り上げることが冷戦を激化しておるわけですから、やはり何か国籍をつけないような国際的なファンドで後進国を援助できるような、まあ国連なとも利用できましょう、そういう方式が考えられないかということに対して、やはり責任が明らかでない多数国間のような協定は、そういう点でバイラテラルであるということを強調しておる。アメリカでも、見ておりますと、やはり日本がいろいろ提案をした東南アジア開発基金のような場合でも、ああいう形には賛成してこない。やはりバイラテラルな協定を結ぼうという関心を持っておる。そういうことで、これは原子力の平和利用の問題ではないのでありますが、どうも米ソにしてもバイラテラルな方式というものを非常に持っておるわけでございますから、これはいろいろな面で、原子力の平和利用の面においても必ずしも私は好ましい行き方ではないと思うのであります。こういう点で、日本の立場としては、できれば国際原子力機構というようなああいう機構がせっかくあるのでありますから、もう少し全体のものとして原子力の平和利用というものが促進できることが好ましいわけで、そういう立場で努力することは必要だと思いますが、何分にも米ソのような、世界に一つの影響力を持っておるような国がバイラテラル方式というものをやはり原則として堅持しておるところに、岡さんは政府の責任だといって責められますけれども、われわれの理想のようにはなかなか参らぬような現実の状態がある。しかし、努力をしていくことは必要だということは私は否定はいたしません。
○岡委員 このバイラテラルの方式を長官は一方的に申されますが、しかし、少なくとも原子力とか、あるいはスペースの平和利用、こういう問題に限局して考えていただきたいと思う。原子力とか、あるいは宇宙空間の平和利用、宇宙空間の開発という問題は、これは人間の英知の最高の所産である。人間の英知の最高の所産には国境もなければ、あるいは東西の対立もあり得ない。あってはならない。しかも、非常な資金が要る。これは双方の国が言っておる。NASAにしたって、ことしは七千二百億円の金を出しておる。日本の予算の三分の一をNASAにつぎ込んでおる。おそらくそれ以上のものをつぎ込んでおるかもしれない。こういう膨大な資金の要るもの、しかも、これは国際的な協力の上に初めてよりよき前進ができるもの、しかもまた、人間の英知のあり方としても当然そうあるべきもの、国境を越えたなのであるべきもの。こういう問題について、今は大気圏外平和利用に双方の代表も技術者が出ておるようです。アメリカの側、ソビエトの側でも、やはり技術者が出ておる。これは非常にけっこうなことだと思う。しかも、日本はもちろんこれに対しては積極的な努力をお約束もしておられたし、現に国連総会の岡崎さんの演説なんか読んでみると、地球人などというような表現をされておる。もはや宇宙開発ができたら人類は一体的な連帯親に立つべきだというような御趣旨のように私は承知をしたのです。——笑いごとじゃない。そうなるかもしれません。宇宙開発が国際的な協力の上に進められた場合に、あるいは新らしい文化なり新らしい生命が太陽系の中にないという保証はない。そうなれば、当然われわれは地球人という一つの連帯的な意識の上に立った新らしい宇宙政策というものを、地球人全体が一つとなって打ち立てなければならぬという時代がおそらく来ないとは限らないと私は思う。そういう重大な科学の開発について、またしても原子力機関のようにバイラテラルを求めて作る、協定を作ってせっかくの国際条約ができても、国際機関ができても、それが十分に守られなかったり、あるいはまたその機関の運営が十分でないということは、この時代に住むわれわれの大きな責任だと私は思う。 そういう意味で、この際アメリカとの間の双務協定的なものはお控えあってしかるべきだと私は思う。長官の御所信を重ねてお聞きいたします。
○三木国務大臣 原子力の場合にはいろいろ軍事利用の面もあったりして、なかなか複雑なものを含んでおりますが、宇宙開発のような部門でこそ国際的な協力ができることが好ましい。米ソの協定なども宇宙開発に関してできることをわれわれは希望しておるわけでございます。従って、将来そういう方向に進むべきことを希望いたしますが、現実にはごらんの通り、なかなかそういうところまで一気にいかないわけです。従って、全般として日本がこの段階で宇宙開発に関係する双務協定を、そういう世界が国際的に開発される時期まで日本はバイラテラルな協定は一切結ばないというような方針を打ち出すことは、私は無理だと思います。それは、一方においては国連等の場面において、そういう世界的な一つの機運を助長するために日本外交は努力する責任が非常にある。現にもうやっておるわけですが、もっと積極的に努力をする必要がある。しかし、現在の場合としては、一気にそこまでいかないにしても努力はしなければならぬが、日本の場合としてそれができないからといって、一切の双務協定はやらぬのだというような方針を打ち出すことは現実に即さないのではないか。従って、アメリカのステーションの場合にも、われわれ考えるのは、そういう双務協定をやるべきではないという原則から反対というのではなくして、先方はこのデータは全部世界の科学界は大きく公開をするのだ、また、日本の科学者が協力してもらってもいいのだ、平和利用に対して関連をする、こういうことを申してきておるわけでございますから、そういう面で向うの計画というものを検討して、日本がノー、イエスをきめるべきだ。これは国際協力をすべきで、双務協定は反対だというような原則を打ち立てて、アメリカのステーションの問題も検討しようという意思では、私はない。その内容を吟味して、平和目的かどうかということ、あるいは国内法との関係、そういうことでこの問題も検討しようと考えておる次第でございます。
○岡委員 十二時半までということですから、最後に私は希望を申し上げておきます。 私は、元来三木国務大臣は非常に進歩的なセンスを持った方だと思う。実力者と言われるが、私はあなたの実力者という内容は、いわば理想主義者だと思っておる。ところが、今の御答弁は、現実に屈服をせられるような気がして、まことに私は遺憾だと思う。私は、IAEAの実績、あのわだちを踏むべきじゃないということを申し上げておるのです。その方に力こぶを入れながら、一方でバイラテラルをやる、IAEAのわだちをまた再び踏むような、そういう大気圏外の平和利用の機関的な協定を作るということを避けることが、私は常識的な政治方針だと思う。しかし、これは水かけ論になりますから、この際さらに資料の御提出を要求したい。一体ディープ・スペースのリサーチとは何をやるかということです。私はディープ・スペースのリサーチに用いる人工衛星というものは、先ほど幾つかの例をあげて、軍事的な意味を持っているということを申しました。これは私だけの言ではない。フルシチョフやアメリカの新聞でも言っておる。アメリカが大気圏外平和会議に出しておる提案の中にも、ケネディさんもはっきりそう言っておる。それを否定される根拠があるならば、具体的な事例として一つ根拠を示してもらいたい。 最後に、るる申し上げましたような事情で、私は現在におけるこの協定は大気圏外平和利用の国際協定の機関が発足しない限りは、米ソとも軍事的意義を持っておると思う。もしこれをバイラテラルのアグリーメントを結ぶ、双務協定を結んで追跡基地を与えるということは、科学の世界における新しい軍事基を与える危険がある。同時にまた、将来発足しようとする国際宇宙平和利用機関の健全な、発展的な運営のためにも、日本みずから大きな障害を作ることになるので、この点を政府としても十分戒心をしていただきたいということを強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。 ————◇—————
○前田委員長 この際、お諮りいたします。 委員の異動に伴いまして、科学技術の基本問題に関する小委員が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行なわなければなりませんが、これは先例によりまして、小委員の補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○前田委員長 御異議なしと認め、それでは同小委員に安倍晋太郎君及び内海清君を指名いたします。 本日はこの程度といたし、次会は公報をもってお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十二分散会