科学技術振興対策特別委員会 第13号
- 発言数
- 49 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1962/03/14
会議録
○前田委員長 これより会議を開きます。 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。科学技術行政一般に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許します。齋藤憲三君。
○齋藤(憲)委員 私は、長官の所信御表明につきまして、きょうは最後の締めくくりをしておきたいと思いまして、大へん御多忙中長官の御出席をお願いしたわけであります。 この前、長官の所信に対しましては私も御質問を申し上げて、大体そのお考えを了解いたしたのであります。きょうお伺いいたしますことは、科学技術を振興するには一体基本的な考えとしてどういうことをお考えになっておるのかという点であります。これは非常に当たらないかもしれませんが、私といたしましては、やはり科学技術というものは、人間個々の頭脳から生まれる、英知から生まれる創意工夫に基盤があるのであって、これを引き出すにはどうしても科学技術教育を徹底した形において盛んにするということ。それからもう一つは、平均的なレベル・アップをしてもなかなか科学技術の飛躍的な進歩発達というものはできないから、これはやはり秀才教育をやらなければいかぬ。そうして個人の創意工夫を生かすと同時に、それを総合的に力強く押し進めていくということが科学技術を振興する上において非常に基盤的な重要な施策になりはせぬか、こう私は思うのであります。もう一つは、どうしても行政機構の拡大強化を徹底的にはからなければならぬ。というのは、やはり科学技術の振興を策せんとするならば、科学技術の振興というものを政治の中核に入れて、そしてこれを強力に施行するところの行政機構を持たなければならぬ。同時に、官公立の研究機関の充実をはかる。それと相提携して民間研究機関、特に生産事業におけるところの研究機関というものの充実をはかる。こういうことを強力にやり得れば、日本の科学技術の振興の基礎というものも築き上げられると思うのでありますけれども、今日のごとく口だけは科学技術の振興を唱えておっても、そういう要所々々にきっちりした強力なくさびを打ち込めないような状態であっては、結局科学技術振興というものは空文に帰するのではないか。 なぜこういうことを御質問申し上げるかと申しますと、先日来、先輩同僚諸君が科学技術振興に関して科学技術当局に質問をいたしました。それの感じは、科学技術庁というものは実に弱い何をやっているか、ちょっと見当のつかないような官庁であるという下馬評が生まれたのであります。私といたしましてもこれは非常に残念でありますので、きょうは特に長官に科学技術振興そのものに対する基礎的なはっきりとした考え方を承っておかなければ相ならない、そう感じて、あえて御質問を申し上げる次第でございます。一つ御所信のほどを承りたいと思います。
○三木国務大臣 科学技術庁の連中が弱体であるという御印象を与えたということでありますが、御承知のように、科学技術庁の庁員は人柄はみないいのです。だから、あまり何か気負いばってはおりませんけれども、しかし、科学技術振興に対しては非常な熱意を持っておるわけでございます。その点は少し酷に過ぎると思うのでございます。 ただ、科学技術は、齋藤委員からも御指摘のように、これはすぐに効果が現われないのですから、科学技術振興を唱える方々には非常にもどかしく思われるに違いないと思うのですが、相当な時間をかけなければならぬ。今齋藤委員の御指摘になったことは、いずれも私は同感であります。 第一番に教育からということを御指摘になりました。こういうことでも、教育というものは一年や二年ですぐに効果が上がらないものですから、非常な長期的な考え方をせなければならぬ。やはり今御指摘の中にあったように、もう少し科学技術の振興が日本の国策として太い線で貫かれていくということが大事だと思う。それにはやはり国策として貫かれてそれを受けるだけの一つの体制というか、それも要る。ただ、国策として貫けということだけでは問題は解決できないわけです。だから、今御指摘になっておったような問題を私どもはもう少し真剣に取り組んで、総合的に科学技術振興というものの一つの画期的な振興をはかるように仕向けていきたいと考えております。そのためには教育、これは基礎的に大事なことでございます。あるいは御指摘になった英才教育なども考えるべきアイデアの一つだと思います。しかし、全般として一つの日本の科学技術教育といいますか、義務教育から始まって、理科教育の面についても、地方と都会ではいろいろな施設、教育条件というものも格差が非常にあって、そしてそういう少年の科学技術に対する関心を引き出すような点が欠けておるという面が全国的に見れば非常に多いわけであります。こういう点で、教育という面から考える。それからまた一つには、今お話がありましたごとく、政府のいろいろな研究機関なども整備強化する。また、民間の側においても、工業と結びついた技術の開発ということについては民間の果たす役割が非常に大きいわけであります。そういう点で、きょうも庁議のときに私は申したのでありますが、税制上の処置なども思い切った処置をとって、そしてそういう新しい技術を開発しようという意欲が民間の中でも起こるような空気を助成するような、思い切った処置を一つ考えてみようじゃないかということを、けさ私は申したのであります。そういう点で民間の創意工夫というものを助長する。そしてまた、それを推進していく行政機構としては、齋藤委員の御指摘のように、どうも科学技術庁といいましても、総合調整をやるといってもなかなか機構的にも問題が多い。そこで、臨時行政調査会などにも篠原君のような、こういう科学技術行政に対してかなり経験を持っている人を専門委員に今度入ってもらっております。そうして一つ臨時行政調査会の内部からも、そういう科学技術行政に対する経験者を入れて、行政機構の面からも科学技術行政というものを再検討する機会にしたい。こういうことで、今齋藤委員の御指摘になったことは、私どもが科学技術振興のための重要な問題点として考えておる点でございます。全く御意見通りだと思うのでございます。
○齋藤(憲)委員 どうか一つ文部省ともよく御協議になりまして、でき得べくんば、この世界の急激な科学技術の進展に即応する人材のできますように、英才教育の点も今後一つ大きな問題としてお取り上げを願いたいと思うわけであります。 それから、私が先ほど申し上げました個人の創意工夫の表現というものは、結局法律的に見ますと、特許法に集約をされている。特許行政の全般を科学技術行政の中に入れたらいいじゃないかということは、これは前々から問題があったわけで、大臣もこの点は私の前の質問に対して御所信を述べられておりますから、それは了解をするわけであります。 ちょっと蛇足でございますが、特許法を見ますと、「この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与することを目的とする。」と書いてある。「この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」とあるのであります。特に「特許及び特許出願」というところを見ますと、「産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。」ですから、そのいわゆる個人的な、あるいは個人的と申し上げなくても、ある一つの研究機関なら研究機関から出てくる創意工夫、オリジナリティというものをどこで認めるかということになりますと、結局特許で認めていく以外に法治国においては方法がないわけであります。御承知の通り、今日の特許を許可いたしますときには、世界の文献にあれば公知の事実として、これは全部特許にならないわけです。いやしくも特許の許可を受けられたということは、いまだかつて類似的な考え方も出てこないし、世界の文献にもないし、しかもこれが工業的な価値があって、産業に寄与し得るものであるという個人の創意工夫だけが特許となって、登録されていくわけなんですね。ですから、科学技術の振興というものが一つの創意工夫の上に置こうとすれば、どうしても特許というものをにらみ合わせて、どこに一体優秀な科学技術の根本をなす創意工夫があるかということを探究していかない限り、科学技術を実際に振興せしめるところの拠点いうものはつかめないと私は思っているのです。そこに、特許行政と科学技術行政というものは一体不可分の関係になければ科学技術の振興というものははかれないという私の考え方が生まれてきておるわけなんです。 そういう点で、前田委員長その他の方が、特許庁というもののあり方についてずいぶん努力をされたのでありますが、現状は御承知の通り。そこで、発明奨励の部分だけを特許庁から切り離して、科学技術庁の振興局に今あるわけなんです。これに対しての従来の処置というものは、これはこの前も申し上げましたが、きわめて私としては不満なのであります。と申しますのは、予算措置を見ましても、最近は地方の発明に対するところの、何か地方発明センター補助金というものをやっておるということで、予算は多少ふえておるようでありますが、実際科学技術庁がみずからの手によって発明実施化試験の補助金としてやっております金額というものは、三十一年から三十七年まで、最高が二千五百四十七万円、最低が二千二百七十六万円。その最も重点的な施策を行なわなければならない発明奨励に関する助成金というものが三千万円以下であったというその一点から科学技術庁における科学技術振興に対するいわゆる情熱と具体策というものを推理して参りますと、まずゼロにはひとしくないけれども、ナンセスにひとしいという結論が生まれてくるわけです。今の特許行政を見ますと、特許庁は特許の登録をする、実用新案の登録をする、その審査をするというだけであって、審査し登録したら、あと、向こうは任務は終わりです。そこにどんな国家を動かすだけの重大な発明があろうとも、それに対しては無関心、ノー・タッチなんです。ところが、その発明奨励の部分を科学技術庁がとってきて、その特許、実用新案の中にどれだけ大きな国民的な創意工夫があるかということについて、一つ大いに発明奨励をやろうじゃないかというのが振興局につけられたところの発明奨励課なんです。その予算が、科学技術庁の補助金が二千五百万円。地方発明センター補助金というのが三十五年から行なわれておりますが、これは二千八百五十万円。三十七年度は、これは減りまして二千七百六十四万円となっております。何年たっても発明奨励の予算がふえないような実態において、一体どこに情熱的な科学技術振興の具体策が考えられておるかということを私は非常に疑問に思うのです。この発明実施化試験費補助金というのは、全般に及ぶのだろうと僕は思うのですが、こういう予算で、そういう大きな仕事ができるはずはないと思うのであります。特許庁というものがこっちに来る来ないは別として、ぜひともこの点だけは、一つ長官のお考えによって飛躍的に充実をはかっていただきたい、こう思うのでありますが、その点はどうお考えですか。
○三木国務大臣 齋藤委員から、前回も、金額が少な過ぎるでないかという御指摘があって、振興局の者にも、どうして——金額はあまりふえないのですね、二千五百万円前後である。それは、やはり今までの助成金というものが、どうも中小企業的な零細なものが多い。従って、必要があればもっと組みたいと思うけれども、いろいろ審査をしてみるとあまり大きな金額にならないんだということを述べておりました。ほかにも、通産省などにおいてもこれに似たような制度もあるわけです。しかし、御説の通り、発明の助成ということが科学振興に果たす役割は大きいのですから、私もこの金額がほんとうに少ないという感じは、齋藤委員と同じように持っておるのです。実際に具体的に一つ一つ当たってみると、どうも零細なものが多くて、飛躍的にこの助成金をふやすようなことにはならぬのだということでございます。しかし、これは科学技術振興のために一つの重要な事項でもございますから、何とか今後新しい工夫を加えて、こういう予算などもふやしていく余地はないかどうかということは、十分検討いたしたいと思っております。
○齋藤(憲)委員 これは、長官、今科学技術庁の振興局奨励課でやっておるような組織では、私はそうだと思います。長官のおっしゃる通りになると思う。私の申し上げておるのは、特許庁が特許の登録をやり、実用新案の登録をやり、意匠の登録をやる。この全般にわたって科学技術庁が発明奨励の立場において検討を加える必要があるということです。一年に何万という特許、実用新案が出てくるわけですね。それはどこもノー・タッチなんです。登録しっぱなしなんです。そうしてわずかに、科学技術庁に補助金を申請してよこすものの審査をやるだけなんです。消極的なんです。ですから、これは、言うてきたものを見るとくだらないものが多いから、このくらいの予算でいいということになりますけれども、一体国家的な立場から見ると、その年々にどいうう特許が登録されたか、どういう実用新案が登録されたか、そのアイデアというものは一体どの業態にどれだけの技術革新が及ぼされてしかるべきかという検討を加えなかったならば、国民の創意工夫なんというものは、特許をとった、実用新案の登録ができたというそのことだけでみんなカットされているというのが、日本の現状です。ですから、この間資料を請求いたしました通り、これはノー・ハウ及び特許料をやりますと、今まで数年間に非常な金額になっている。三億五千二百四十一万九千ドル。ですから千億を抜いておるわけですね。この中に、調べてみますと、ノー・ハウ及び特許料がたくさん出ております。長官の所信の表明にも、第六に、わが国技術の海外依存体制から脱却をはかる、とこう書いてある。海外の技術依存から脱却をはかるのには、日本の創意工夫をもってこれに対抗するという以外にないわけです。それに対しては、振興局長がきょう来ているからおそらくよくわかると思いますが、特許及び実用新案が何ぼ特許庁において登録されても、どういうものにどれだけのアイデアが盛られたかなどということは一体日本の行政官庁のどこに聞けばわかるのですか。特許の内容、実用新案の内容が一体どの産業にどういうふうな関連性を持っているか。そして、この特許でここに技術革新が行なわれるであろうなどという検討を加えているところが、日本の行政官庁の一体どこにありますか。
○前田(陽)政府委員 特許がどういう産業でどういうふうに生まれているかというふうなことは、特許公報その他の資料による以外に今のところ方法はございません。科学技術庁におきましては、注目発明及び実用発明という制度を特許庁と協力いたしまして実施しておりまして、その中で、まだ完璧とは申せませんけれども、非常にすぐれたアイデアで優秀なものを注目発明として選び、また、実用性が非常に高いというふうなものは実用発明として発明奨励審議会の議を経まして外部に公表し、かつ、業界その他にも通知をいたしておるようなわけでございます。全般的に毎年の特許の趨勢に応じましてすぐそれを分析するような機構は今のところないかと存じます。
○齋藤(憲)委員 私は、注目発明とか実用発明とかいうものもずいぶん知っておりますけれども、特許庁から発明奨励の部分だけを科学技術庁が分けてここへ持ってきたということは、科学技術の振興を日本の創意工夫の方に求める上からいくと、当然一切の特許及び実用新案というものを願別して、どういう発明が生まれておるか、その発明と業態を結びつければその業態にどういう大きな技術革新が生まれるか、あるいはどう近代産業的な色彩を帯びていくか。そういうことをやらないで、単にわずかな発明実施化試験費補助金を出してそれでお茶を濁しているというのが今までの発明奨励に関する実態じゃないかと私は思う。とにかく長官御承知の通り、今、日本の特許庁は、特許を出願してから特許の登録が終わるまでにどうしても二年半か三年かかるわけです。ですから、科学技術庁といたしまして発明というものを見る一番の近い道は——審査委員が特許出願者に対して登録すべきものと決定するという決定通知書を出します。それから公報に載りますのに、おそいと半年かかる。公報に載ってから三カ月間の異議申し立て期間がある。ですから、ほんとうに日本が創意工夫をもって外国技術依存の体制を除こうとすれば、公告すべきものと決定するというそのときに特許庁と連絡をとっておってその内容を検討するというくらいにして時間を詰めていかなければ、なかなか私は発明奨励というものの、実質をつかむわけにはいかないと思います。ですから、この点に十分御留意を願いたいと思います。 それから、発明協会、発明振興会というものがある。こういう発明協会とか発明振興会というものと科学技術庁の連絡というのは、一体どういうふうになっておりますか。
○前田(陽)政府委員 発明協会は特許庁と科学技術庁との共管の社団法人でございまして、発明奨励関係の問題につきましては、科学技術庁振興局の方で監督と申しますか、いろいろお世話をいたしているわけでございます。特に発明協会の関係では表彰関係の仕事が多いのが実情でございます。 発明振興協会と申しますのは、数年前生まれました社団法人でございますが、発明によりましてかなりの成功をあげられました方々が相寄りまして社団法人を作っておられまして、毎年適宜発明奨励のための事業を、実施いたしておりますが、当庁といたしましては、そういうときに後援をしていくという状態でございます。
○齋藤(憲)委員 そうすると、社団法人発明協会には科学技術庁が助成措置をしている、何か補助金をやっている。社団法人発明振興協会には何か事をやるときに後援をするだけで何らの措置を講じていない、こういうことですか。
○前田(陽)政府委員 発明協会に対します助成は特許庁から行なわれております。発明振興協会に対しましては、補助金その他によります助成はございませんが、後援その他によりまして、また、法人としての公益性を保つ、こういう点につきましては、われわれ相談も受けましてアドバイスもしておりますが、特に金銭的な援助はいたしておりません。
○齋藤(憲)委員 私よく内容は知りませんけれども、今のお話を承りますと、発明振興協会の方も、相当発明に貢献をした人がメンバーになって発明振興をやっているということですね。ですから、これも長官お目をかけていただいて、もしこういうものを大いに伸ばす必要があるとすれば、これは科学技術庁の力によって伸ばしていただきたい、こう思うのであります。 と申しますのは、ここで申し上げる必要もないと思うのでありますけれども、わが国にエレ協と称するものがある。エレクトロニクス協議会、これは政官民合同の団体なんです。今会長が商碕達之助先生、これは中でちょっと、とぎれたことがありますけれども、やっておられる。松前重義先生は副会長をやっており、われわれもメンバーに入っている。一体何のためにエレ協というものを作ったかといいますと、行政を見ますと当時エレクトロニクスというものは非常に弱かった。と申しますのは、通産省の重工業局ですかの中に電子工業に関する満足な課がなかったと思うのです。何か課を三つに仕切ったような小さなもので、世界の大勢が電子工業に躍進的な歩調を示しておるにかかわらず、強力な行政力というものがない。それで、われわはといたしましては、科学技術庁ができましたときに、正力長官を初め、電子局の設置に対して大いに力をいたしたのでありますが、これはセクショナリズムで、できなかった。そこで、同志相はかって電子工業振興法というものを国会に出そうという運動をしたのに対して、通産省は電子工業振興脇町措置法というものを出してきて、そしてとうとう臨時措置法の方が通ったわけであります。そういうふうなこともございまして、この際行政官庁では電子工業が非常に弱体であるけれども、民間を見ると電子工業というものは非常に躍進を遂げている。だからこれを政官民合同の協議会を作って、そうして日本の電子工業の発展に対処すると同時に、外国から来るところの電子工業浸透の勢力を一つ押えなければいけないというので、昭和三十二年でありましたか、エレクトロニクス協議会というものを開いて——ここに参考資料がございますが、ほとんどあらゆる有名な民間業者もこれに入っておるわけであります。そして、昨年ようやく科学技術庁の助成を得まして、アジア・エレクトロニクス協議会というものを開いた。これは長官もここへ出て祝辞を述べられておるし、総理大臣、通産大臣、みな祝辞を述べられておる。その予算を見ますと、二百万円のほかに、そのエレクトロニクス協議会に入っておりまする会社等が六百四十万円の金を出 している。八百四十万円金をかけているわけですね。それが三十七年度には何らの助成措置が講ぜられていない。これは私らも非常に不勉強でまことに汗顔の至りなんですが、あの二百万円の助成措置を講じてアジアのエレクトロニクス会議が開かれたのですから、当然昭和三十七年度予算にもエレ協に対する助成措置が講じられておるものだとばかり思っておったのが、何も講じられておらない。もちろん三十六年度予算書には二百万円の助成は本年一回きりだぞということが書かれておるそうです。しかし、それは大蔵省の主計官がそういう意図を持って書いたのかどうか私は知りません。よく内容を聞いてみると、大蔵省でけられたのなら、われわれにもわかるはずなんです。ところが、エレ協に対する昭和三十七年度の助成措置というものは科学技術庁でドロップしているのです。私が今まで民間の研究云々ということを口にいたしておりますのは、そういう民間業者がうんと協力して三十二年から今日までずっと何十回というほど会議を開いて、そうして昨年はようやく官民合同のアジア・エレクトロニクス会議を開き得て、そこでぽんと一年きりで助成をやめてしまうということは、私は科学技術庁の民間業者育成に対する一貫性がないのじゃないかと思う。言うことは口だけで、やることはちっとも情熱が入っていないのじゃないか、こう私は思うのですが、一体長官はそうお感じになりませんか。
○三木国務大臣 私の承知いたしておることは、エレクトロニクス協議会の第二回アジア大会は、予算編成のときにすぐ昭和三十七年度にやるということが決定的でなかったということで計上しなかったというふうに——これは政務次官の方が詳しいのでしょうが、そういうふうに私は承知いたしておるわけでございます。それで、引き続いて第二回目のアジア大会というものをおったのでございます。これはその果たしておる役割りというものも相当に評価しておりますから、そういうふうな理由がなければ特にこの予算を削除するという積極的な理由がないわけでございます。そういうことだと私は承知いたしておるのでございます。
○齋藤(憲)委員 どうも、そういうことをおっしゃられると質問が長くなるわけです。八月三十一日付で第二回アジア・エレクトロニクス大会開催とこれに対する政府の助成についての要望書というものが、ちゃんと出ているのです。昭和三十六年八月二十一日というと、まだ予算編成の序の口なんです。ちゃんと要望書が出ておるのに、どうも要望書がなかったから落ちたのだなどという御答弁を承ると、勢いこれは問題にして争っていかなければならぬということになるわけですね。これはそうじゃないと思うのです。それはもう、全くエレクトロニクス協議会というものに対する当局の熱意の欠除である。それはエレクトロニクス協議会に出席をしておるところのメンバーを見れば、わかる。篠原次官がおったときには、しょっちゅう篠原さんは出ておりましたよ。篠原さんがやめたら、もう来はせぬ。ただ連絡員が一人いるだけです。局長も出はしない。だから、エレクトロニクス協議会の内容というものがわからない。わからないから、つい予算書に書いてあるように、一年こっきりだなんて、主計官とどんな約束をしたか知らぬけれども、そんなことに藉口して科学技術庁は予算要求のときにオミットしておるのですよ。科学技術行政の充実、発展というものは、先ほど長官がおっしゃった通りに、一朝一夕にいくものではない。長い時間をかけていくものだ。ですから、前任者のいいこと、前任者の情熱というものは、後任者が受け継いでいって初めて科学技術行政というものは充実、発展していくものだと思う。それが、前任者があれだけ情熱をかけて二百万円の助成金をとって、第一回アジア・エレクトロニクス協議会を聞いたのを、その次に来た者は一体何をやったかというと、大蔵省にも要求をしなかった。しかも、りっぱにここに要望書が出ておるにかかわらずやらなかったということは、一体、科学技術庁を支配し科学技術行政に対して責任を負われておるところの長官としても、責任を痛感されていなければならない。もし長官が今おっしゃったように、この問題は、第二回アジア会議を開くところの要望がなかったために予算に載らなかったのだということをお考えになっておるならば、それは間違いです。ちゃんと要望書が出て、われわれは当然もう行なわれるべきものだと考えておった。全アジアのエレクトロニクスに関するところの人々を日本に集めて、あれだけの成果が上がったなら、それ一回こっきりでやめるということは、助成金をどぶに捨てるに同じとは言わないけれども、非常に効果が減殺される。東南アジア諸国に対して日本は技術的に協力して、そうしてお互いに手を携えて国家の繁栄をはかっていくというのは、これは日本の大国策なんです。それを具体的に一歩前進したものに対して、科学技術庁が大蔵省にも予算を要求しないで、科学技術庁自体においてその予算を切ったということです。これは私は本来からいうと、こんなところで質問したくらいではとにかく腹がおさまらぬのでございますけれども、それに対して何らかの措置を講ぜられるところのおぼしめしがあるならば、がまんしろとおっしゃるならばがまんします。一つ長官のお考えを……。
○三木国務大臣 そのいきさつ、私も今言ったような的確な、予算折衝の経過に対してつまびらかに承知いたしておらない。そういう記憶が私にあるように思ったので申し上げたのでございますが、エレクトロニクス協議会の果たしておる役割は私は評価しておる。従って、これは方法についてはいろいろ検討したいと思いますが、第二回の大会をやられるということについては、何らかわれわれとしてお力になりたいと考えております。
○齋藤(憲)委員 私はなぜこういうことを申し上げているかというと、エレクトロニクス協議会の問題を一つ取り上げてみても、ほんとうに科学技術庁というものはどれだけの情熱を傾けて民間と手を握り合っていくかということ、それが私は疑問なんです。たとえて言いますと、宇宙開発がありますね。宇宙開発の問題に対して民間業者の協力を求めておるメンバーは、みんなエレクトロニクス協議会に入っているのです。だから、科学技術庁がエレクトロニクスを通して宇宙開発をやろうとするときに、個々に交渉していかなくたって、そのメンバーというのはみんなエレクトロニクス協議会に入っているのだから、エレクトロニクス協議会において責任を持って、この宇宙開発のエレクトロニクス部分に対しては協力をしろと、これでいけるわけでしょう。そのためにエレ協というものを作っているわけなんです。ところが、あなたの部下はこれに対してちっとも情熱を傾けていない。そんなことで一体、口では民間と相提携して民間の力を高度に引き上げて、そうして科学技術の振興——みんなうそでしょう。長官だけが本気になってやっていても部下は全部だめだということであったら、それは長官としての責任は私は重大だと思う。ですから、ほんとうに長官が民間の力を引き上げていきたいというならば、民間というものはどういう体制を今作りつつあるのか。その体制の検討を長官の部下に命じて、よくこれを把握して、そして民間と協力をするにはこの部分はこれと総合的に一つ協力をしてやっていく、というような体制をお作りにならないとできないのじゃないか、私はこう思うのです。私はそういう団体が、エレ協だけでなく、日本には民間の団体というものが相当あるのじゃないかと思う。そういう点に対して十分な調査が行き届いておるのかどうか。もし行き届いておらないとするならば、調査を進められて、官民の協力体制を強化せられることを一つ大いにやっていただきたい、こう思うのでありますが、いかがですか。
○三木国務大臣 ごもっともで、やはり民間の協力あるいは民間のそういう科学技術振興、ことに今の問題は東南アジアの技術協力にも関連をするわけです。こういうことに対して、科学技術庁として力を尽くさなければならぬことはお説の通りだと思います。いろいろ民間団体があって、民間団体と科学技術庁との結びつき、必ずしも完全だとは申せない、相当今のような場合も起こる場合もあると思います。今後こういう民間団体と科学技術庁との結びつきについては、私も一そう関心を持って今後やっていきたいと考えております。
○松前委員 関連。長官に、私は攻撃の論議でなく、お礼を申し上げなければいけません。この間インド洋の問題、大へんありがとうございました。非常に学者ども喜んでおり決して、来年は本格的に一つ取っ組んでいただきたいと思います。 そこで、関連質問でありますから、関連して御質問します。ただいまの齋藤委員からの御質問は、全くその通りでありまして、私はエレクトロニクス協議会の責任者の一人でありますから、御遠慮しておったのでありますが、ただいま科学技術庁であの予算がけられたということは、私はこれは非常に重要な問題でなかろうかという感じを持つものであります。何となれば、エレクトロニクス協議会が発足いたしましてから、エレクトロニクス協議会は、科学技術庁内に電子技術研究所を作れ、すなわちエレクトロニクスの研究所を作れということを、私が委員長になって科学技術庁との協力のもとに成案を得たのです。その成案を得て、これを予算を作って推進しようとしたときに、やはりセクショナリズムの影響として通産省の猛烈な反対があった。そうして通産省は別に、エレ協のほかに電子なんとか振興会というのを直ちにお作りになって、そうしてこれと対立的な体制をおとりになり、しかもこの研究所ができないように徹底的な運動をされたのであります。そのためにあまりにも深刻な状態に到達したものだから、一応ことしは休もうというので、その電子技術研究所は日本にとって絶対に必要な研究所であるのにもかかわらず、これをやむなくやめざるを得なかった。しかも、電子技術の中における基礎研究をわれわれはやろうとした。応用研究は、これは通産省の電気試験所でおやりになってもよかろう。しかし、基礎研究はどこかに物理学的な研究をやるところがなければならない。日本の産業を興すベースをここに作ろうという基礎であったのですが、これも非常な反対によって、ついに遠慮せざるを得ないというような歴史がある。エレクトロニクス協議会というものが、このようにして、どっちかというと、そのとき以後科学技術庁の外郭団体であるかのごとき姿をとるように自然になった。そうして電子なんとか振興会というのが、これが通産省の団体であり、両者相対立して、どうも電子技術が進まないという情勢にあるのが現状なのです。私は、政治家として一つ大師の御努力を願いたいことは、そこなのです。どうしてもこれはやらなければいかぬことなんです。やらなければならぬことはおわかりでしょうけれども、それがなぜやらないかというと、やはりセクショナリズムのためです。言いかえると、どこかに科学技術庁というものの強化に対するレジスタンスがあると同時に、もう一つは電子技術に関しては、エレクトロニクス協議会の強化というものに対して、少しどこかにこれに対するレジスタンスがあるということを私どもは知っておかなければいかぬだろうと思う。ところが、それにもかかわらず、科学技術庁がなぜ一体これを最初にお落としになるのか。しかも、アジア全体のいわゆるラジオその他のエレクトロニクス関係の人たちが集まって、日本の技術を中心にして、これから日本の学術振興にまでも影響し得るというようなものであるにもかかわらず、これをとめなければならないという遠慮をなさらなければならないのか。これはどういう遠慮をなさったか。この辺のところのいきさつを、大臣はおそらく御存じないかもしれませんが、一応一つ伺わせていただいて、われわれ通産省と科学技術庁との関連性において重要視しなければならないと実は思うのです。
○杉本政府委員 昨年行ないました三十七年度の予算の事務に関しまして経過を申し上げます。事務当局といたしましては、第二回目のアジア・エレクトロニクス会議を開催するに必要な予算といたしまして、三十六年度よりも多額なものを計上したわけでございます。それで庁内でこの事務局案につきましていろいろ協議したわけでございますが、当時まだ国際会議と申しますか、アジア会議の内容が判明しておりませんので、ずっと後になりましても、外地まで出かけて状況を見ないと実際に開けるかどうか心配だというような情報がございまして、強力に大蔵省に対しまして推進する方法につきましていろいろ協議しておりましたが、八月になりまして、いつまでも考えておられませんので、一応名前を変えましてアジア地区の科学技術官会議——科学技術官と申しますのは、アジア地区では大体そういうような会議に御参集される方が国家に属しておられるのが大部分でございますので、そういう名前にいたしまして要求をいたしました。それで、十二月でしたか、行なわれます実際の第一回の会議の状況をつぶさに報告して、その会議を実際には三十七年度にエレクトロニクスの問題を中心としてやりたいというふうに考えて予算を提出いたしました。これはずいぶん最後までねばったわけでございますが、国際会議となりますと外務省の関係もございますので、外務当局ともいろいろ相談いたしました。反対は受けませんでしたけれども、申しわけないのでございますが、最後に通らなかったわけでございます。これが事務局のありのままの運動でございまして、結果におきまして非常に申しわけないことと存じております。
○松前委員 その申しわけないということは、まことにおかしな話なんであまりして、私どもに申しわけないもくそもあったわけじゃないのです。どうでもいいのです。通らぬなら通らぬで、やらぬだけの話です。やらなければ日本のアジアにおける立場というものが、一度やって、あとはしり切れトンボということになるので、まずいのです。これは国として考えるべきことであって、何もあなたに申しわけないなんというおわびをされる必要はありません。それだけの話なんです。それだけ日本が損したというだけの話なんです。どうしてもこれはやらなくちゃならぬというのにもかかわらず、これをどうしてつぶされたのであるか。私があまりうがったことを考えちゃいかぬけれども、どうも科学技術庁でこれがつぶれたというところに疑問があると実は考えておる。通産省からの何かがあったのじゃなかろうかというところまで言わなくちゃならぬのでしょうか、どうでしょうか。そこのところまでは言いたくないけれども、しかしながら、そこに何か連絡があるような感じがして仕方がない。これは、あるとはあなた方おっしゃらぬでしょう。しかしながら、電子関係の問題についての神経質な姿というものは、そこにまで私は、でき得る問題だという気がする。しかも、セクショナリズムのあのかきねを作って、自分のかきねは絶対に破壊しない。自分の省さえよければ国はどうなってもかよわぬというような、そういう概念の上に立っておるということが行政の中にはあり得ると思うのです。その影響を受けるものはありますよ。科学技術庁が通産省の出店であるならば、それはありますよ。この点について、どういうふうな事情がもう少し具体的にあったのか、一つ官房長から承りたい。
○島村政府委員 去年でなくて、おととしの予算を要求いたしましたときに、実はお聞き及びと思いますけれども、事務的折衝におきましては、この会議の補助金が大体非常に見込み薄な状態で最後まで残りまして、いわゆる次官折衝というところに持ち込まれまして、その段階で獲得いたしたわけでございます。そのときには私も実は一緒に参りまして、大蔵省に対しまして予算折衝をいたしましたので、承知しておったわけでございます。昨年の予算要求の際に、庁内でも一応は当初、おそらくは協議会の方から要請のありましたような予算の原案というものができておったと思うのでございますけれども、ただいま計画局長から申し上げましたように、予算の原案を作成いたします当時は、まだ第一回の国際会議としてつきました予算の実行が非常に危ぶまれておったような時期でございました。と申しますのは、協議会の方からはいろいろ御苦心をなさって東南アジア各国に呼びかけておるけれども、人が集まる見通しが立たない。ついては、科学技術庁から人を派遣して勧誘に回ってもらえぬだろうかというようなお話もきておったそうでございます。これは一例ではございますけれども、そのように、第一回の会議がはたして順調に開催されまして成功を見るようなことになるかどうかという点が、非常に危ぶまれておった関係から、第二回も続いて——つまり第一回を開催した実績をまだ見ないうちに第二回のものを要求するというところまでは、どうも踏み切れないという事情があったわけでございます。従いまして、これにかえまして、アジア地区の行政官会議という形の要求を大蔵省に出すことにいたした次第でございます。 松前先生から、相当はっきりと、電子関係については従来通産省と科学技術庁との間に対立的なものがある、そのような配慮からこれを要求すること自体もやめたのではないかという御意見がございました。私自身エレクトロニクスの関係をそう深く承知しておりませんものでございますから、さような業界におきましても二団体が併存して互いに競い合っているというようなこともよく存じませんでした関係もございますが、当時予算要求をしないということにきめ、あるいは別の形において要求するということをきめました。当時におきまして、通産省からの働きかけによってこれを取りやめたというような事情は、官房長といたしましてはそういうような空気を読み取ることができませんでしたし、おそらくそのような事実はなかったものと信じているわけでございます。従いまして、ただいま申し上げましたような経過等、結果的にどうこうということを離まれして、経過はそのようであるということを御説明申し上げる次第でございます。
○松前委員 通産省の影響もなければ、電子技術研究所設置に関する波紋がそこにきたのではない、科学技術庁独自の立場においてことしはお取りやめになった、こういうことなんですね。それで先ほど来、大臣のお話があったように、こういう予算——ちょうどインドにおけるインド洋の調査と同じように、しかるべき処置を考えるというようなお話でありましたが、この点に対しては特に一つ科学技術庁の外郭として相当有力に動いてくれているあの団体に対して、私どもが当事者として申し上げるのはまことに恐縮ですけれども、何らかの処置をもって東南アジアその他の地域にこれをだんだん拡大していって、日本のエレクトロニスクの技術と、そしてまたその技術を通じて海外への貿易の増進というような方向に寄与せしめるように、特に一つ御配慮を願いたいと思うのでありますが、いかがでしょう。
○三木国務大臣 いろいろ方法については検討してみようと思いますが、何らか力になるような方法は考えてみたいと思います。
○松前委員 先ほど来、電子技術の研究所設立に関しまして、この必要性というものは世の中のだれもが認めているところでありますが、なるほど必要性があるにもかかわらず誕生しないというところに、今日の非常に大きな政治的問題があると思うのです。この問題を通産大臣との間に一つトップ・レベルで解決願って、もし話がきまったら、それに反対する役人は首切っちまう、そのくらいの気持で前進してもらわなければ、下の方にまかしておけばこれはできはしません。われわれが国会を通じていろいろやろうとしても、だんだん商工委員会との間に問題が起こるというようなことになりますし、なかなかうまくいきませんので、とにもかくにも一つトップ・レベルでこの点を解決していただきたいと思うのです。少なくとも御在任中に目鼻だけはつけていただくように、再来年度予算等においては必ずこれが計上されるように、具体化するようにお願いしたいと思う。しかし、これが国立でやるのか、あるいはその他の特殊法人であるのか、あるいはもっと自由な民間の財団法人等でやるのか、この辺の問題は今後の研究問題に属すると思うのであります。いずれにしても、これに対する一つの政治的な取りきめだけはしておいて、少なくとも基礎技術に関して、基礎科学に対する、あるいはエレクトロニクス技術の応用以外のもの、多少応用を含んで両方でやってもかまわぬと思うけれども、少なくとも基礎に重点を置いたすべてのメーカーすべての研究所その他のものを傘下におさめるというよりも、一つの組織体の中に置いて、日本のエレクトロニクス技術の総動員体制といいますか、これの協力体制をととのえるという意味で中央のエレクトロニクスの研究所を作るということは、民間であろうと特殊法人であろうと、国立でやるとにかかわらず、必要だと思うのです。この点について特にあなたの政治力と御熱意にわれわれは期待しておるのですが、いかがなものでございましょうか。
○三木国務大臣 私と通産大臣との間でよくこの問題について相談をいたして、こういう重要な問題が官庁のセクショナリズムの犠牲になるということは好ましくないので、何らか解決をはかるように努力をしていきたいと思います。
○齋藤(憲)委員 この問題は関連質問がございましたから、私はあと打ち切りたいと思いますが、私が先ほどから申し上げておるのは、科学技術行政というものは、前任者、後任者と、次々と一貫した科学技術行政というものを守っていくところに協力体制の実現がある。官房長のお話を聞くと、何か三十六年度のアジア・エレクトロニクス会議が第一回目のように考えられるのです。これは昭和三十四年の八月七日に前々長官中曽根康弘氏が、はっきり、エレクトロニクス協議会を通じて全アジア・エレクトロニクス会議を今後開催していくという声明を出しておるのです。それに沿うて昭和三十五年度はNHKが呼んで、いわゆる全アジアの放送関係者の中から会議を開いているのです。外国側は十五名出席しておるのです。そして、三日も四日も準備会を開いておる。ですから、相当前から計画をして、二百万円の助成金があったために民間会社からは六百四十万円という金を出して第一回を開催した。これに従事しておった人は、当然第三回も行なわれるものだという前提のもとで第一回をやったわけです。ですから、そういうものをちょきんとちょん切られるような科学技術行政では心もとない、ということを私は言っておるのです。警告を発しておる。その警告がわからないようではしょうがないけれども、私から見るとそういうのが幾らもあるということです。そういう一貫性を欠いた科学技術行政でもって、科学技術上の協力化をはかろうと思っても、なかなかむずかしいのじゃないか。もちろん行政改革が行なわれても、そういう一貫性を欠いたことでは私は協力化がむずかしいじゃないかということを考えて、あえて貴重な時間をさいて質問をしておるわけですから、その点を十分よくお考えを願いたいと思うのです。 それから、長官に一つこの際、お願いをしておきたいのは、科学技術庁の中にある資源局の問題です。きょうは資源局長に来てもらっておるのですが、これは前々から気になっておるのです。科学技術庁設置法第十条に「資源局においては、次の事務をつかさどる。」「資源の総合的利用のための方策一般に関すること。(他の行政機関の所掌に属することを除く。)」と書いてある。この資源の総合利用のための方策一般に関することで他の行政機関の所掌に属することを除くと、やる仕事で一体何か残っておるのがあるのですか。
○黒澤説明員 行政目的であって行政措置になることを除いてございますので、実際的な行政はやっておりませんが、調査並びに基本的方策のお互いのからみ合いということに関する調査をやっているわけでございます。たとえば鉄道電化というような場合に、鉄道ということはそれの所管のところがございますので、鉄道電化そのものをどうこうということはございませんが、鉄道電化が日本のエネルーギ資源の利用上においてこういう地位を占める重要な問題であるというようなことを調査しているわけでございます。
○齋藤(憲)委員 それでは、総合利用のための方策一般に関することといって、鉄道といえば運輸省だ、電気といえば通産省だ、そういう考え方ですか。それは鉄道を走らせるのに電気をつけるのはあたりまえのことで、どこだって考えられることです。私の言っているのはそうじゃない。資源局において実質的に日本の資源というものにタッチする余地が、こういう条文が書かれている限りにおいては、どこにあるかというのです。水、火、鉱物、いろいろな分野において、他の行政機関の所掌に属するものを除いてしまって、実質的に資源局のやるものがあるのかというのです。それは人のやっているものの上をまた調査するとか、人のやった統計を集めてきて冊子を出すとか、そういうこの次に書いてあるのはやれる。やれるけれども、この第十条第一項の一番重要な資源の総合的利用のための方策一般に関することで、他の行政機関の所掌に属するものを除いたら、一体何があるかということです。
○黒澤説明員 ただいまのからみ合いということは、それぞれの担当のところでも考えておらないというわけではございませんが、私どもの方がそういう点においてはあれだと思います。ただ、たとえばどこの地区に砂鉄が幾らあるかボーリングをするというような問題になりますと、通産省の工業技術院の地質調査所の所管でございますので、ボーリングを実際にやって回るということはいたしませんが、日本全体の砂鉄の中の鉄分がどれくらいあるというようなことを通産省において調査した結果を見、世界全体の鉄の資源の状況を見て日本の鉄の問題がどのくらいの地位を占めておるか、というような大局的な判断をするというようなところが私どもの仕事かと思っております。
○齋藤(憲)委員 どうもわかりません。、長官、一つこの資源局のあり方というものをよくお調べを願いたいと思うのです。私の感覚からいいますと、こういうカッコでもって他の行政機関の所掌に属することを除くといったら、作文を書いているよりしょうがないのです。しかも、こういうことでは作文も満足に書けないのじゃないかと思うのです。自分が行って調査することはできないのですから、みんな他人のやった調査書とかデータをもらってきて、それをつなぎ合わせて作文を作るのですから、これには信憑性がないわけです。そうすると結局、私は資源局という名にそむく存在じゃないかと思うのです。こういうことで一つの局を作っておくということが、私は科学技術庁の弱体化をもたらすところの最大の原因になりやしないかということをおそれておる。ほんとうに局を置くなら、その局がその目的に向かって完全に行政をやり得るという体制に置かないと、みんなカッコでもって制約されておるというのではだめなんじゃないか、私はそう考えておるわけでありますから、一つこの点よく御検討をお願いいたしたいと思います。 それからもう一つ、この際承っておきたい。大へん御迷惑でしょうけれども、所信に対する質問はきょうで終わろうと思っておるものですから。 今度は研究調整局をお作りになるわけです。この研究調整局の最重点的な行政事務というものは、一体何を考えておるのか。御所信にありますところの事務の総合調整というだけに限られるのですか。どういうことをお考えになって、これから研究調整局を出発させる御予定ですか。
○三木国務大臣 非常に共通的な一般的な問題については、計画局で総合調整をやっていくことになると思います。しかし、もっと個々の具体的な問題について、共通でない、具体的な問題については研究調整局が総合調整をやるわけです。だから、計画局は横割りのような調整、研究調整局は縦割りのような調整、こういうところで、もっと研究調整というものをきめこまかくやるために、研究調整局というものの役割を考えておるわけでございます。
○齋藤(憲)委員 縦割り、横割り、これはともに総合調整というものには不可欠な方法だと思いますから、計画局が横で、今度の研究調整局が縦でいくんだ、私はその構想は非常にいいと思う。しかし、各省に対するところの実質的な研究機関の内部検討というものは、どうして行なえるか。たとえば研究調整をやりますね。それを縦割りでいく。そうすると、先ほどから問題になっておりますところの一つのエレクトロニクスの問題がある。これは郵政省にもあるし、通産省にもあるし、これを縦に割っていくということになりますと、勢い郵政省の付置研究機関及び通産省の付置研究機関に対してこの実質的なメスを入れていかなければならぬ。ですから、その研究調整を縦割りにはかっていくというその具体的な方法として、今の官制でほんとうに実質的な研究調整をはかるだけの能力が調整局で生まれるかどうかということです。たとえば、向こうから要求するところの予算書を、ただ紙面の上において検討を加えて、いいとか悪いとかいうことでやるのか。それとも、今度は研究調整局を作ったならば、各官庁から要求されるところの研究に関する予算は、実際現場に行って、その実態を見て、適当であるか適当でないかというところまで踏み込んでいく研究調整局を考えておられるのか。そういうことは今の官制でございますから、従来のものをもう少しきめこまかくやっていくんだというようにお考えになっておりますか。
○三木国務大臣 こういうふうに考えておるわけです。具体的な研究題目があるわけです。それで、各省にまたがっておるわけです。この研究調整局で推進する一つの母体を作る。そうして、その研究というものがばらばらに分かれておるものが、総合的に研究の成果が上がるように仕向けていきたい。だから、いろいろメスを入れるというそういうよりも、皆、力が分散されるのを総合的に組み立てていけないか。だから、問題ごとに作るわけです。ばらばらになっておるのが寄って、名前は何々推進、何といいますか、そういう母体を作って、そうしてもっと皆の力を有機的に発揮できるようにしていく。そこで、一つの研究題目について関係をしておるほかの各省、あるいは各機関も、何かこちらから権限を取り上げるんだ、こういうことになればいろいろセクショナリズムの考えからしてこれに抵抗してきますが、お互いの研究をもう少し伸ばしていくためにわれわれがそういうサービスをやる、役目を果たしていく、こういうことに重点を置いていく。予算の場合なども、出かけていってというところまではいかぬと思いますが、今まではやや形式的に予算査定がなっておりますから、予算査定というものについても研究調整局のようなものができれば、その査定というものが今までのような形式的のものから、もっと実質的に、きめこまかく検討をするようなことになろうと思います。しかし、ほんとうの一番力を入れていきたいというのは、ばらばらになっておる力を有機的に組み立てていく、それが一つの母体の役目を果たしたいということが、一番私は考えておる点でございます。
○齋藤(憲)委員 この研究調整局でいわゆる国家の繁栄、国民の福祉増進のためにいかなる研究を重点的に行なうべきであるかというようなテーマをきめておいて、そうしてこれが縦割りにやっていく。ですから、科学技術行政の眼目というものは、総合調整力を持たせてあるという限りにおいて、国家の繁栄、民族、国民の幸福という建前からいくと、何と何と何というようなものが重点的に研究せらるべきものであるというテーマがきまって、そのテーマによって縦割り、横割りをやっていくというならば、私は縦割りも横割りもきわめて切れ味がよくいくと思うのです。しかし、科学技術庁そのものが、一体何をやったらよかんべいというような、とまどまったような関係で横割り、縦割りをやるといっても、カボチャだってスイカだって、うまく割ればしませんよ。科学技術庁に研究調整局を作って今度は縦割りにいくんだ、一体何を目標にして縦割りをやるのか。何の研究を充実してやっていけば、こういう点において日本の生産力が増して技術革新が行なわれて、海外市場にも品物が売れるから日本の国力は増加するのだ、この線に向かってきちっと縦割りをやって、各官庁の付置機関の充実をはかってやるのだという、そういう目標が科学技術庁にあれば私は安心です。それは十分おやりになれるだろうと思う。そういう目標を、一体だれが科学技術庁できめるのですか。そういう大きな国家伸展の目標に向かって、科学技術的見地からこれはどうだ、あれはどうだというような論議は、一体科学技術庁のどこできめるのですか。
○三木国務大臣 具体的にこまかい問題については科学技術庁でやるわけですが、そういう大きな方針については科学技術会議なども役割を果たすべき問題だと思っております。
○齋藤(憲)委員 科学技術会議というものは、もちろんそういうもののために作られたものでございましょうけれども、あれは諮問に答えるのです。科学技術の進歩というのは、私から申し上げるまでもなく一刻々々進展しているのです。その一刻々々進展しつつある大勢を見て、科学技術行政というものはこうなければならぬ、科学技術進展に対するところの研究というものはこうなければならぬ、だから各省庁の付置機関においてどういう研究が行なわれておるか、どれだけの研究が進展しておるかというバロメーターを持っていないと、科学技術行政というものは行なわれないのではないかと思う。そういうことを意図して、科学技術庁を設置するときには、先輩諸公は皆審議官制度、調査官制度というものを重視するということに思いをいたしたのです。ところが、審議官とか調査官というものは、こう言っては悪いが、おるのかおらぬのか、さっぱりわからないような状態です。これは、長官初め政務次官、次官、特に長官、政務次官の責任だと私は思う。と同時に、局課長の責任だと思う。私は審議官と局長の間にセクショナリズムがあるのではないかと思う。課長と調査官の間にセクショナリズムがあるのではないかと思う。一体、審議官というものは局長以上の待遇を与えておき、調査官を課長以上の待遇を与えておいて、そうして科学技術庁というものは日本全体の科学技術行政においていかにあるべきかという大きなテーマをこの審議官、調査官に与えずして、何をやらせようとしておるのですか。私はこういうところに科学技術庁行政としての普遍的な大きな欠陥があるのだろうと思います。一つこの点に思いをいたして、もし審議官が人材を得ておらなかったら審議官の、更迭をおやりになって、こういう立場から、ほんとうに日本の科学技術行政はかくあらねばならぬということを考えさせる一つのグループを作っていただきたい。私は、今はどうか知りませんけれども、フォード会社において一番高給を取っておる人は、りっぱな部屋に住んで、ソファに朝からどんと腰をおろして、高級の葉巻きをくゆらしておる人だ、という話を聞いた。その人は一体何をやるのかというと、フォードは何をなすべきかということを考える人だ、というのです。われわれは審議官、調査官というものはそういう任務を帯びておるのだと思う。ですから、審議官というものにあれだけの待遇をしておる。自動車を持っておる。村長以上の待遇を受けておるのです。その審議官が一体何をしておるかということをわれわれが疑うようなことでは、だめだと思う。ですから、たとえて申し上げまするならば、石炭問題に対して、科学技術庁は科学的な見地から意見を発表すべきはずです。一切の日本の問題に対して、科学技術庁が一ぺんだって意見を発表したことはないですよ。こそこそっと印刷物は出すけれども、新聞で堂々とこの問題に対して、科学技術庁は日本の科学技術的見地からこう考えるのだというような上向きの発表をしたのを私は見たことがないのです。それじゃ私はだめだと思う。ですから、その点よく御勘考願いたいと思います。僕が悪口言わないと悪口言う人がいないようですから、がまんをして聞いていただきたいと思います。 それからもう一つは、科学技術庁の付置研究機関に対して、科学技術庁は、もう足かけ五年半も経たのでありますから、どのくらいの信憑性をお持ちになっておりますか。科学技術庁の付置研究機関が発表した問題は、科学技術庁全体の責任としてこれを認め得るの体制に立ち至っておるのかどうか。長官、どうお考えになりますか。
○三木国務大臣 付置機関に航研とか、金属材料技術研究所があるわけです。この発表に対しては科学技術庁としては信頼を置いておるわけでございます。付置研究機関は世間に対して相当な貢献もしておると考えております。
○齋藤(憲)委員 他の省庁に付置せられておるところの研究機関の実態を把握するということ、及び民間の研究機関についての実態を把握するということ、これはともに大切だと思うのでありますが、科学技術庁は科学技術庁に付置せられておるところの研究機関及び監督下にある研究機関の実態というものは、十分に把握していますか。これは担当局長はだれですか。
○前田(陽)政府委員 把握しておるつもりでございます。
○齋藤(憲)委員 把握しておるなら、科学技術庁の付置研究機関から出てきた結論というものはどんどん世間に公開をし、公開することによって生産体制と結びつけるということをやらなければ、付置機関として金をかけて研究をさせることは減殺されると思うのです。なぜかというと、科学技術庁設置法の第三条は、あくまでも国民経済の発展に寄与するためであると言っている。ですから、まず自分の庁にある付置機関が、ある一つの目的に対して研究をやり、その研究の結果が他の官庁に及ぼすべきものであるとしたならば、勇敢にその研究結果をもって他の官庁の行政に対して勧告なり注意を促すということは、当然の務めだと思う。そんなことをやったことはありますか。
○前田(陽)政府委員 勧告をいたしたことは今までございません。ただ、航空技術研究所につきましては、航空技術審議会等の組織もございますので、そういう組織を通じまして、できるだけ、航空技術に関する重要問題審議の際に、ただいまの航空技術研究所の状況を御連絡し、また、すぐれた成果等もございました場合には、もちろんそれはお話しするなど、科学技術研究所につきましては他の機関にないような設備を備えておりますので、そういうものによらなければならないようなものは、他の官庁からも進んで受けるようにいたしております。 それから、金属材料技術研究所につきましては、庁内に金属材料技術連絡会という参与をもって構成している組織を設けまして、参与会を年に数回開催いたしまして、研究成果の問題でありますとか、あるいは研究計画の問題等を披露し、また意見の交換を行なっております。そういうときに関係官庁の人に必ず来てもらいまして、そういう会を通じまして研究成果を流し、あるいは御要望を承る。こういう方針で今まできております。 なおそのほか、研究機関の成果につきましては、研究所報告あるいは研究発表会等を催すことはもちろんでございますけれども、ほかに学会誌を通じて発表いたしましたり、また、問題によりましては研究連絡会を開き、個々の問題ごとに関係の官民の方々にお集まりいただきまして研究成果の普及に努める、こういう措置はとっておるわけでございます。
○齋藤(憲)委員 理化学研究所等からは相当のアイデアが流れておるのじゃないかと私は思うのです。また、理化学研究所に対して科学技術庁としてどういう要望をしておるか、私はよく知りませんけれども、とにかく相当のアイデアは流れておるだろうと思う。そういうアイデアが流れてきたときに、日本の産業には一つのアイデアが及ぼす相当の分野がある。それは会議を開いたとかなんとかいうことだけでなくて、一つの大きなアイデアが流れてきたときに、それで技術革新を促せるかということになると、私はなまやさしいことでは技術革新というものを促していけないのじゃないかと思う。そのために新技術開発事業団があるのだという逃げ口上もあるけれども、新技術開発事業団が取り扱えるところの件数なんていうものは、ごく限られている。いろいろな研究所から流れてくるところの技術革新を呼び起こすに足るだけのアイデアがきたときに、ただ会議を開いて、御用はございませんかというような消極的な技術革新に対してのやり方でもって、日本のいわゆる外国依存の技術を払いのけることができるかどうかということなんです。私はその点を疑う。それは役所におっての仕事は、情熱を傾けるか情熱を傾けないかということをはかるバロメーターはないです。もう局長になれば、だれも局長室を十分ごとにのぞいて、ストップ・ウオッチを持っていって能率を計算する人もない。ただ私は、科学技術庁というものは、そういう日本の科学技術の総合調査の力を持っておる限りにおいては、自分の付置機関の研究から出てくるところのいろいろのアイデアというものを、常に積極的に持っていって、たとえばある一つのアイデアが流れてきたときに、通産省に行って、おれの方ではこういう研究ができている、お前の研究機関ではこういうことを研究しておるじゃないか、それを一体なぜ実際の仕事に応用してみないのか。——これはこの前、松前委員の質問がありましたように、私も参考資料をとってみたが、アメリカからはおびただしいパテント及びノー・ハウの量です。その一々を検討して、この技術はこれに置きかえられるじゃないか、この技術はこれに置きかえられるじゃないか、というような積極的行政指導がない限りは、幾ら長官が外国技術依存を脱却しようと言ったって、それは口ではいうけれども、実際の手足というものはその実を追うていかないから、私はできないのじゃないかと思う。私はそういうように考えるのだが、先ほどからの関連したことになりますけれども、業態別にどういうノー・ハウがあるのか。どういうパテントがきてパテント料を払っているか。これに置きかえるべきところの日本の技術というものはあるのかないのか。そういうことをよく検討して、いわゆる自分の手中にある研究機関に対して信憑性があるなら、そういうものを積極的にやっていくというのが、われわれの希望する科学技術行政なんです。会議を開きました、関係の筋には書類を流してあります、そういうことで日本の科学技術行政ができておるのだという頭で局長がやられては困ると僕は言うんだ。もっと積極的にやっていただく。やれないなら、一体どこにやれない原因があるか。科学技術庁設置法というものがかたわな法律であって、やれないから、これを直さなければわれわれはやれないということなら、はっきりこういうところで言ってもらいたい。何もここは速記録に上手に答弁を残すということじゃないのですよ。われわれが言っていることは、科学技術行政というものをどうしてレベル・アップして、日本全体の力を増すかというのでやっているのだから、だめなところはだめだ、こんな官制じゃ私はやれません、あなたがそんなことを言うなら、早いところこの官制を直せ、それならおれはやる、とか、そういう積極性を帯びた答弁を一つしていただきたいと思うのです。そういうことは、今まで科学技術庁を見ていると、なかったと思うのです。やったことがあるなら、どこでどういうことをやったか、一つ話して下さい。
○前田(陽)政府委員 決して速記録に上手に残すために答弁しておるわけではございません。ただ、齋藤先生も御承知の通り、金属の研究所につきましても、航空機の研究所につきましても、比較的歴史が新しいものでございますから、研究成果がやっと最近になって出て参った。こういう状況から、従来はそういうことが行なわれていなかったのだろうという気がするわけでございます。 なお、例をあげろというお話でございますので、あげさしていただきます。これはかなり前のことでございますが、理化学研究所におきまして非常に画期的な研究成果が生まれたわけでございます。これはまだ新技術開発公団等のない前でございまして、科学技術庁といたしましては、当時の局長初め関係の方々がかなり熱心にこれを関係の民間の業界にあっせんに努力されたということがございます。ただし、ちょうどその類似の技術の導入を希望するところがございまして、残念ながらそれを阻止するわけには参りませんでしたけれども、幸いこの生まれました技術を独自で育てようという会社が生まれまして、現にりっぱにその技術を育成している例がございます。積極的にあっせんした今までの例は、私の記憶しております範囲ではたいたくさんはございませんけれども、今後は研究所の方も大体第一期計画を終わるか、あるいは終わりに近づいてくるような状態になりまして、研究設備その他もだいぶ整って参りました。また同時に、研究員も非常に整備されて参りましたものですから、今後研究成果もどしどし出て参ると思います。私といたしましては、もちろん積極的に関係の業界その他に流すように、研究所等とも十分連絡をとりまして措置をしたい、そう考えておるとこでございます。
○松前委員 関連して。今の齋藤委員の質問は私が前から考えておったことを全部言われたので、私はその質問にまことに敬意を表しておるわけであります。それはどういうことかというと、大体科学技術庁ができたゆえんのものはどこにあるかということが問題です。もちろんいろいろな意味において、民間から自然発生的というわけでもありませんが、民間の努力によってなし遂げられた研究というものをどんどん引き出してくるということ、やはり一つのやり方だと思うんです。また、それを事業化するためにしかるべき手段を講じてやるというのも、やはり非常に有力な行政の一つだと思いますけれども、特に今日わが国のような後進国家として考えなければならない点、そこを私は申し上げたいと思うんです。 この前も申し上げましたように、日本の経済学者や、あるいは経済企画庁の役人どもは何を考えておるかというと、西ドイツや、あるいはアメリカなどの経済学者たち、あるいはまた経済企画の当事者たちがやっておるような公式を、そのまま日本にアプライすることによって経済企画ができたというので、いろいろな計画をなさる。だから失敗するということを私はこの前申し上げました。これは事実その通りでありまして、科学技術のレベルの高い国が、どこの国にでも自由に輸出ができる、どこからも束縛されないというようなコンディションのもとにおいての企画というならば、それはその教科書を持ってきてやれば、ある程度はいくことはいくでしょう。計画通りにはいきませんけれども、努力すればある程度のところまでいきます。しかし、科学技術のレベルの低い国がそういう教科書を持ってきてやった場合においては、これはとんでもないことになる。外国の技術をどんどん導入しなければ日本の製品も海外に売れないのでありますから、そういうつもりでやる。 ところが、その裏には、技術を導入し、特許権を買ってくれば、市場制限を受けるというこの問題。このために、そういう西ドイツやアメリカ等の企画者たちがやるようなことでは、とうてい日本の経済の復興というものはできない、相当なあやちを犯すであろう、私はこういうふうに実は申し上げたのでございます。 ところが、今日わが国において、まずもって必要なことは、先ほどお話ししたように、自然発生というか、あるいは民間の努力による着想、発明、発見等、これを何とか引き出してやる、そしてまたこれを実用化するというような手段を講ずることは、行政の重要なものの一つではあります。それはある程度ただいままでの答弁から見ればなされておるのではないか、こういうふうに一思うのであります。ところが、なされていないことは後進国であるという自覚であります。後進国であるという自覚の上に立たなければ、日本の科学技術行政の出発点はない。その出発点はどこにあるかというと、ただいま齋藤委員が指摘したところのものであります。三百億の外貨を海外に出しながら、たくさんの技術を日本に導入してござる。そして、その技術というものは、一つの技術的な目的を達するために、それぞれ違った特許権を、違ったアメリカその他の会社から、それぞれの違った日本の会社が興ってきて、そして大同小異の特許権を輸入して、たくさんの外貨を払って、しかも市場制限はされて、海外への輸出は禁ぜられて、国内市場のみを争っておる。この現状をすみやかに脱却する。その調整はだれがやるか。これは科学技術庁の使命でなければならないと私は思う。 ですから、科学技術庁の使命は二つある。民間に限らず、一般からいろいろな学者たちの着想によって新しい研究、発明ができてくる。それを引き出してやる。企業化するお手伝いをする。これはまた非常に必要なことですけれども、その前に一つ必要なことは、この日本のいわゆる事業界の中で、生産事業家たちが外国から特許権を買ってきてやっておる。その特許権の姿をずっと調べると、日本人の発明によって置きかえられるものがたくさんあるはずだと思います。私は、それをしっかりやれば半分くらい減るだろうと思う。そうすれば、それだけ海外市場に対する自由を回復してくる。まず経済の根本はそこになければならないのではないかと私は思います。それを、一体特許の一覧表はできておりますか、一々の特許に対して何か審議会でも設けておられますかと質問すれば、おそらく特許に対しては、外貨審議会くらいのところでちょろちょろ狭い知識でやっておるだけだと思います。これこそ、こういう技術があるから、これにかえられるものはこれをやったらどうかということで、もちろんそれにはいろいろな条件が付置されるでありましょうが、それらに対する条件をしかるべく解決してやるような行政措置が講ぜられる。そうして初めて日本の技術というものが海外にだんだん近づく、というよりも政治的独立性を持ってくる。そうして市場獲得の自由へ一歩々々と近づいていく。この作用を科学技術庁としてなされなければならないじゃないか、また、してもらわなければいかぬのじゃないか、私はこういうふうに思うのであります。これは科学技術庁よりほかにやるところはございません。これをやって、この特許権は外国から輸入しておるけれども、こういう技術が日本の特許にもあるし、これを使えばかえられるのではないかというような問題を一つ一つ解決して、そうしてアメリカ本国とかなんとかいう表現を持っている日本の大きな会社、こういうものはだんだん独立せしめる方向に持っていく。市場制限を受けないようにしていく。これが何といっても私は大事じゃないか、こういうふうに思う。 私ども若いころ、工業国産化運動をやったのであります。私は別に権限も何もありません、逓信省の一役人でありましたけれども、国民の有志の研究者の一人としてやったことがあります。電気学会、機械学会あるいは工業化学会、物理学会あるいは何々学会と学会がたくさんあります。電気通信学会その他幾らでもあります。そういうすべての学会にいわゆる国産化に対する調査会を作るような国民運動、研究者運動を起こしました。そうして、その連合体を作ったことがあります。輸入特許に関する調査会、それをまず一括して集めて、そうして一体その学会の中でもって、この特許を日本の特許に入れかえるにはどうすればいいか、日本に一体そういう特許があるのか、あったらそっちの方に置きかえさせようじゃないか、そうでなければ事業界にはわれわれ研究者は協力せぬというような態度で進むような連合体を作ったことを覚えております。その後戦争になりましたから、何もなしでそのままになってしまいましたが、このようにしてお役所ならばできるし、また、お役所がやるべき仕事じゃなかろうか。何も役所の中にそういう学者を集めてきておやりにならぬでもいい。各学会に協力を求めれば喜んでやります。協力費を出せば、会合費さえ出せばやります。そうして、当然半分ぐらいの特許権は現在の日本の力からいえば、海外から輸入しなくても済むと思う。たとえば電気通信やエレクトロニクス関係を見てみますと、同じようなものを作るのに何しろ十ぐらいの特許を入れている。ところが、みな五十歩百歩、どれもこれも大した差はないわけです。Aの会社はアメリカの某会社から特許の使用料を出しながらこれを使わしてもらって、しかし外国には出せませんと制約している。Bの会社はまたアメリカの何がしの会社から別の契約をやっている。Cはまた別。こっちはRCAこっちはウエスティングハウス、これはGE、そうして日本の国内市場でがちゃがちゃやっていて、海外にはみな出せないでお手上げです。そうして設備投資をしておる。こんなばかな経済自立はありません。この突破口を作るのは、私は科学技術庁だと思う。一番じみな仕事でめんどうくさい仕事ですけれども、そこに出発しないと日本の工業の独立はできないし、経済の自立も私はできないと思うのであります。どうかこの点に対して、特に一つ大臣の施策として、現在ある日本の機関を使ってできるのですから、それに対して研究調整費等がありましたら、具体的な計画をもって各学会に呼びかけてもらいたい。そうすれば、みな喜んでやります。みなそれを欲しているのです。ただ、事業界の人たちは、自分がおくれちゃいかぬというので、あの会社はアメリカから持ってきた、おれはこっちからだと、争って入れておる。そうしては、外貨審議会の方に運動してやりおる。こういうような状態では、全く例のクマのサケで、ササに刺しておるけれども、どんどんあとから抜けていくというようなことだと思う。科学技術庁にそのクマのササの一番先を縛ってもらって、一ぺんつり上げたサケでもマスでも絶対に抜けないようにしてもらいたい。そして、けじめを正しくして進んでいくということが、非常に日本にとって必要じゃなかろうかと思うのであります。これについて一つ大臣の所感を承りたいと思います。
○三木国務大臣 今、松前さんから御指摘の通りだと思います。私も現在のような状態で、安易に外国の技術に依存している日本の将来というものが、非常に憂慮にたえないものがあると考えております。そこで、科学技術行政というものにもう少し活を入れていく、その御忠告はありがたく承っておくわけでございます。科学技術行政というものは、やはり意欲的な行政だと私は思う。じっとしておれば大したことをしなくてもいいわけであります。やはり意欲的に、ただいま御指摘のような面は非常に重要な点だと思いますので、私も微力ながらも、そういう点に今後一つわが国の技術行政に活を入れていくことにしたいと考えております。
○松前委員 これはぜひ一つお願いいたします。くれぐれも申しますが、研究者その他の着想発明、発見等がどんどん出てくるように向けるということは絶対に必要なことです。ただ、しかし 先ほど来くどくど申し上げておりますように、まず第一に日本としてやるべきことは、特許というものを外国から輸入しなくてもいいようにすること。それに対してどのくらいの特許を、どういう特許を一体海外から入れているかということを、まずリストをもって調べる。一々の項目に対してそれを置きかえられるものを調査させること。そして置きかえられる調査があるとして——もし置きかえられるものがないとするならば、これこそ科学技術庁の一つの研究テーマとして助成金の対象としてどんどん研究させる。こういうふうにするならば、私は非常に科学技術行政は日本の経済発展に対して大きな影響を及ぼすだろうと思いますから、少し老婆心ながら、ちょっと今までやってきた体験を通じて申し上げたのです。一つしっかりお願いいたします。
○齋藤(憲)委員 私もこれで科学技術庁長官の所信表明に対する質問は終わります。今、松前委員のおっしゃいました甲種技術援助契約の特別認可件数は、昭和二十八年から三十六年の九月を入れまして、千五百五十二件、これの金額は、先ほど申しましたように三億五千二百四十一万九千ドルです。それから乙種の技術援助は 三十年から三十六年までの累計で千五百億円です。ですから件数も、それから金額も、相当大きなものですね。 そこで、最後に長官にお願いしておきたい。私も若いときに野球をやったのでありますが ホームランを打つにも、自分が一人でバッター・ボックスに立って打っても一点しかかせげない。しかし、フル・ベースのときにホームランを打つと四点かせげる。私は歴代の科学技術庁長官に対して、これだけ情熱を傾けて所信表明に対して質問をしたことはない。今ホームランを打ったら四点入ると思っているから、やっているのです。それほど私は三木長官の現在の政界における地位と力量を買って、科学技術庁長官として今おられるのだからやれる、こう思って、私は情熱を傾けてこれだけ一生懸命やっている。これで一つも科学技術振興に対してレベル・アップしなかったら、齋藤憲三というものは何ぼやっても価値のない、ぬかにくぎみたいになるわけであります。それですから、この際まず第一に長官に検討していただきたいことは、長官はほんとうに自分の考え方を行なうに足る自分の部下を握っているかどうか、一体部下に人材がいるかどうかということ。よく浪花節にいうでしょう、太閤秀吉にはだれがついている、みんな一人相撲はできない。やはり部下の能力というものを一応長官として把握して、これならばやれるとかやれないとか、やれないならばやはり人事異動をやる。でくの坊ばかり並べておったら、吶喊命令を幾らかけたって、みんなあとすざりするばかりで、前に進まない。そういう状態では、いかに名長官といえども科学技術振興をはかることはできないのではないかと思う。ですから、そういう点から長官は、本式に日本の科学技術行政を政治の中核の中に入れて、これによって日本をひっ立ててやるのだ、日本人の創意工夫は、一体その実態はどうか、というようなところへ情熱を傾けていただきたいと思う。 同時に、私が今非常に心配いたしておりますのは、この十月に行なわれる貿易の自由化がほんとうの貿易の自由化なんです。きのうも通産省の話を聞いたところが、今まで貿易の自由化をはかっても影響の少ないような品目をどんどん入れていって、今度十月に九割まで持っていくという。残された品目の中には、これをやると日本の経済界に非常に大きな影響を及ぼす品目が入っておるわけですね。こういうものに対して、いわゆる通産行政を上回った科学技術の立場から、貿易の自由化に対して示唆を与えていくというぐらいの総合調整の力を発揮していただきたいと思うのです。私、やれると思うのです。先ほど松前委員のおっしゃった通り、日本の科学技術のレベルは低いのです。ときどき高いものもあります。八木アンテナとか、あるいはいろいろなもので高いものはありますけれども、それは低いのですから、今の行政全般を見渡してみても、科学技術の裏づけをもって強力にやっている行政というものは少ないと思うのです。そういう科学技術の裏づけのない行政は、場当たり行政になりやすいから、それに対して一々科学技術庁が科学技術の裏づけをしてやるというのが、われわれ科学技術庁を設立するにあたって情熱を傾けた大きな原因です。それを、常に各官庁の下におって、どんな事態が起きようとも科学技術の建前から裏づけができないという官庁なら、つぶしてしまった方が経済的だと思っておる。それを長官にぜひともやっていただきたい。そういうことをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思うのであります。 長官、それに対して、確固不動の信念を述べていただきたい。
○三木国務大臣 齋藤委員、あるいは松前委員もそうでございますが、うんちくを傾けての御質問、敬意を表する次第でございます。私も、はからずも、と申し上げていいわけでありますが、こういう職務についたわけでございますから、できるだけのことをやってみたい。全く齋藤委員、松前委員のおっしゃる通りだと思う。こういう状態で、相当日本が経済状態がいいから、いい気にはなっておるけれども、日本の実態はそんな楽観できるものじゃない。これはやはり科学技術における後進性だと私は思う。自由化になってきて、世界の荒波に日本がもまれたときに、それに打ちかっていくだけの体制ができておるとは思わない。やはりその中心になるものは科学技術。そこでこれがむずかしいのは、一日にしてでき上がらないという点にむずかしさがありますので、あまりせっかちな御期待を願うと、御期待に沿い得ないので、これは皆さんの御協力を得て、相当時間をかけて、この科学技術の後進性を取り戻していくようにわれわれも全力を尽くしてみたいという決意であります。
○前田委員長 本日はこの程度にとどめ、明十五日は午前十時より委員会を開会し、午後一時より科学技術の基本問題に関する小委員会を開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十五分散会