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40回国会衆議院1962/02/14

科学技術振興対策特別委員会 第6号

発言数
41
登壇者
6
会派数
2
開催日
1962/02/14

会議録

前田正男自由民主党

○前田委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興に関する件について調査を進めます。科学技術振興の基本施策に関する三木国務大臣の所信表明に対する質疑を継続いたします。質疑の通告がありますので、これを許します。西村英一君。

西村英一自由民主党

○西村(英)委員 私は、先般の長官の所信表明につきまして若干質問をいたしたいと思いますが、もうすでに齋藤さんからいろいろお尋ねがございました。私のお尋ねしたい範囲もおおむね齋藤さんの質問したところと同じようなことでございます。しこうして、長官もそれに対しまして意志表示をいたされましたが、多少のニュアンスも違いますので、またあらためて一つ、長官にお尋ねしたいと思っております。  その第一点は、これは齋藤さんからお尋ねがありましたが、科学技術振興費の問題であります。長官は先般の御答弁でも、科学技術振興のためには即効薬はないということを申されました。私たちもそれはお気持は十分わかりますが、しかしさればといって、この科学技術は国の産業、国民生活に必要である、これを何とか振興しなければならぬということについては、その施策がよろしきを得て、そして科学技術の振興のため政府、あるいは民間もですが、多大の投資をするという二つ以外になかろうと思うのであります。従って、そういう意味からいきまして、いわゆる科学技術の振興費というものは、これが多ければ多いほど科学技術は振興することは明らかでございますから、どうしても科学技術の振興に力を入れる者は、振興費について関心を抱かざるを行ないのでございます。  そこで、過去十カ年くらいのこの科学技術振興費を見て参りますると、ちょうど昭和三十年ごろまでは、国の予算といたしましても、科学技術振興費としては見るべきものがなかったのでございまするが、昭和三十年、三十一年にかけまして、時代の非常な要請があったのと、また国会等におきましても非常ないろいろな動きがありまして、諸施策が起こったのでございます。つまり従来には例を見なかった科学技術庁というものもできたのでございます。従いまして、予算も、昭和三十一年、三十二年にかけて、今までわれわれが想像もできなかったほど科学技術振興費は伸びたのでございます。昭和三十二年ですか、国家財政に対する振興費の割合というものは一・五九、約一・六になんなんとする科学技術振興費があったのでございます。以来、三十三年、三十四年と引き続いて、国家財政が膨脹するにもかかわらず、それにつれて同じくらいな比率でもっていたのでございますが、三十五年、六年からだんだんそれが落ち始めて、いま国会に提案されている昭和三十七年度予算で見ますると、非常に落ちておるのでございます。それで、このままで推移いたしますると、おそらく来年も再来年も、国家財政はいろいろな意味でふえる、膨張するにもかかわらず、振興費というものはますます落ちる。従って、科学技術の振興上非常に私は心配になるのでございます。長官は、この振興費を拡大するにはやはり受け入れ態勢を考えなければならぬと言われる。その通りでございます。その通りでございますから、こういうような予算ではいけないのでございまして、振興費を多額に政府が投資をするのには、やはり関係者がその施策を施さなければならぬと思うのでございます。長官もこの点につきましてはおそらくいろいろお考えがあると思いますが、いわゆる科学技術振興費は頭打ちだ、何とか新しい観点に立って進まなければ、今後はこれ以上のことはできない。のみならず、だんだん漸減していくという傾向がありますから、新しい観点から一つこの振興費をふやすということに力を入れなければならぬと思います。  ここに幸いなことに、非常にいいチャンスがございますのは、政府において先般例の臨時行政調査会を作って、国全般の行政の建て直しをやろうとしております。この臨時行政調査会は、科学技術の振興費あるいは科学技術振興にとりましては、私は絶好のチャンスだと思うのでございます。従いまして、この臨時行政調査会ができましたことについて長官がどういうようなお考えを持っておるか。またそれと関連いたしまして、昨年の九月でしたか、長官は国立研究所に関しまして科学技術会議に諮問いたしておりました。この答申もことしの六月か七月ごろあるというようなことですが、これ等も重大な関係がありますので、勉強して早目に答申を出していただいて、この行政調査会の意見の取りまとめの際に十分反映させるようにしてもらいたい。絶好のチャンスであります。施策を施さなければならぬ、受け入れ態勢を作らなければ振興費が伸びないということには私は同感でございますから、この調査会ができますことを契機といたしまして、長官もいろいろとお考えもあろうかと思いますし、なお、秘密である点を私は申せとは言いませんが、長官の所信を承ってみたいと思っております。

三木武夫自由民主党科学技術庁長官

○三木国務大臣 西村委員御指摘のように、どうも科学技術振興費というものが予算の伸びと並行して伸びてないことはお説の通りであります。何とかこれを飛躍的に増大できないかということは、西村委員も私もそういう気持で、いろいろ努力を願い、私自身も努力をして参ったのですが、予算はどうもなかなか飛躍せず、そういう点でやはり受け入れ態勢といいますか、科学技術庁の従来のあり方を検討をする時期にきているという感じがしておったのでございます。ところが、たまたま政府の方においても行政機構を根本的に再検討しようというので、臨時行政調査会ができました。これは一つのそういう心境に私がなっておった場合に、非常によい機会でありますので、その調査会にも科学技術の専門家を数名入れたいと思って、今人選をしているところであります。そして科学技術行政のあり方についても、その調査会を中心にして再検討を加えてもらいたい。一方においては、御指摘のように国立研究機関の刷新強化策というものを諮問してありますが、これもお話のように、そういうことも臨時行政調査会などとも軌を一にしてそういう答申が取り入れられるように、今五月までと言っておったのですが、時期をできるだけ早めてもらって、そういうことも取り入れて、科学技術行政のあり方を根本的に再検討したい。また大きくは、科学技術の基本法のごときものも、これは次の通常国会にはぜひ提案の運びに持っていきたいと考えておりますので、科学技術行政全般にわたって検討を加えて、予算の面においても、ただ平面的にこの予算を少しふやしたというような形でなく、もう少し角度を変えて、予算なども相当増していけるような方途を講じたい、こういうのが私の現在の考えでございます。

西村英一自由民主党

○西村(英)委員 私もこれが絶好のチャンスであろうと思いますから、どうか一つ……。  なお、政府が科学技術振興を重要施策としていられるにかかわらず、それはやはりどうも羊頭狗肉の策をやっているようで、今度の三十七年度の三百十九億という予算がありますが、それの内容を見ますと、今まで振興費にいっておらないようなものを入れたりして、大蔵省はなかなか表面的なやり方はやっているようですが、これは心からやっていないようですから、長官のお気持も十分わかりますが、施策を一つ十分考えていただきたい。  第二点は、これはよく言われることでございまして、わが国の科学技術の振興につきましては、制度から申しましても、これは表面は非常に整っておるけれども、弱体である。これがどうも困る、これはよく言われることでございます。総理大臣を議長とする科学技術へ会議があって、それにいろいろなことが相談されても、やはりこの予算等を見ますれば同じことだ。はなはだ申しわけない言い方ですが、あの科学技術会議についても、ほんとうに心配しているのは、科学技術庁の長官と二、三の委員の方々であって、ほかの大臣方はうわのそらで聞いているのだと思う。それであるから、政府が重要施策としているにかかわらず、ちっともそれが行政に反映しないということであります。また科学技術庁にいたしましても、これは途中でできた官庁でありまして、なかなかやりにくいということはわかります。科学技術について調整事務をとると申しますが、これもなかなかやりづらい。一言にして申しますと、いわゆる弱体である。弱体であるから、だれが責任を持っておるかわからぬ。これは一般に日本の科学技術振興上指摘されておることでございます。従いまして、科学技術会議にいたしましても、あるいは科学技術庁にいたしましても、今度改組する場合は、ぜひともどの部分かで総括的な責任体制をとる機関ができなければならぬと私は考えているのでございます。おそらくこれは長官も同意見であろうと思われますが、一つその点につきましてお考えがありますればお伺いしたいと思います。責任体制の確立ということが私は振興上最も重要なことだ、かように考えております。どうか一つ長官からも所信を伺いたい。

三木武夫自由民主党科学技術庁長官

○三木国務大臣 科学技術の行政というものは割合各省にまたがっているわけでありまして、科学技術庁長官が全責任を負うという建前にはなっていないわけです。そこでやはり科学技術会議が、そういう行政機構が非常に多岐に分かれておるときに果たすべき役割というものは、非常に大きいのではないか。そういう点で、科学技術の基本法の場合にも、この科学技術会議のあり方というものは検討さるべき重要な問題でございます。今までもなかなか科学技術会議がよくおやり願って、私は相当な評価はしておるのであります。しかし、これが十分だとはむろん思ってないのでありますから、基本法の場合、この科学技術会議が相当重要な役割を果せるように、これを持っていきたいという考えを持っておるわけでございます。

西村英一自由民主党

○西村(英)委員 国会に対する責任、いやしくも科学技術に対して国会でいろいろ問題がありましたときは、これは総理大臣は別ですが、長官が最高の責任者ですから、国会内では科学技術庁長官が表に立たなければならぬ。しかし、実際仕事の面では、そういう責任を持たせられておるが、責任に似合った権限を待たせられておらないと思うのです。あなたの仕事は非常にやりにくいと思うのですが、どうですか。

三木武夫自由民主党科学技術庁長官

○三木国務大臣 それはお説の通りで、科学技術に関する行政は各省にまたがっていますから、行政機構の改革の場合は、そういう点は多少改革になる点もありましょうが、しかし、これを科学技術庁長官のもとに科学行政を一元化するということはなかなかできませんから、どうしても、ある程度行政機構の改革によってそういう点は補い得るとしても、やはり科学技術会議のようなものが果たす役割は相当大きいし、また各省にまたがる調整機能と申しますか、こういうことは科学技術庁本来の大きな職務でありますから、調整機能を強化していく。予算なども単にあとから相談でなくして、もう少し事前に各省にまたがるような場合には調整を行なって、そういう点で一元化することは至難であるという前提の上に立って、これを今申したようなことで補っていくよりほかにはない。科学技術行政というものを全部一元化した方がやりやすいことは申すまでもないのですが、それはなかなか実現可能だとは思いませんので、そういう場合における一つのそれを補っていく方法として、今申したようなことを考えておるわけであります。

西村英一自由民主党

○西村(英)委員 私の責任体制という言葉は、科学技術庁で科学技術のことは何でもかんでも抱き込むという意味の責任ではございません。それは各省に分担してやらせるべきことはやらせるべきです。抱き込むことはない。しかし、今の科学技術庁長官ができると言うような調整の程度では、これは好ましくない、促進ができないということを言っておる。それですから、責任体制という意味は、全部の機関が科学技術庁に所属していなければならぬという意味とはだいぶ違うのでございますから、その辺は一つ長官もお考えになっていただきたいと思います。しかし、少なくともいま長官が何をやろうとしても、これから総合性がますます出てくるのでございますが、それを指揮し、企画をするといっても、思うままになっておらないと私は思うのです。なっておらないから振興ができないんだ、こういうふうに考えまするから、今後の機構改正等につきましても、責任体制——現在の科学技術会議は、あのように表面的にはりっぱなあれでございますけれども、私は責任がないと思うのです。どこを突っついていいかわからぬような格好でございますから、ことに今は諮問機関になっておりますから当然でございましょうが、その点を改めてもらいたい、こう私は希望をするのでございます。  第三点でお尋ねしたいのですが、もう一つ振興上世間で識者が指摘しておる欠陥は、日本の科学技術について大学、研究機関、あるいは産業というものがきわめてばらばらである、連絡がとれていない。研究機関が連絡がとれないのみならず、研究者の間の連絡がとれてない。従って、いかに科学技術振興費をよけい出せといっても、状態としてはそう諸外国ほどは出せないのでございますから、最も効果的に金を使わなければならないにかかわらず、重複がある、連繋もなく、ばらばらに勝手なことをやっている。従いまして、今回の国立研究機関の刷新ということも長官のお考えで諮問されたと思うのですが、あまりにばらばらである。そこで、今後どういうふうな組織ができようとも、人的交流ということは絶対に必要である、私はかように考えるのであります。すなわち大学から研究所、研究所から産業、産業から大学という、いわゆる産学協同というようなことが先般来いわれておったのもその一つの現われでございまして、この人事交流を大学、研究機関、産業界でやるということは、私はどういう組織になりましても絶対に必要だと思うのであります。それかといいましても、日本の今までの行政の建て方、あるいは給与の建て方、また習慣等から見ますると、これはなかなか容易ならぬ問題だと私は思うのでございます。しかし、絶対に必要であると思いまするから、現行の制度でもできるだけその気持を持ってやる。また、幸いこの新制度のできるにあたりましては、この人事の交流、研究所間の連絡、こういうことが十分できるような制度を考えることが最も必要であろうと思うのであります。この点につきまして長官はどうお考えになりまするか。

三木武夫自由民主党科学技術庁長官

○三木国務大臣 今お話しの研究機関相互における人事の交流というものは、全く同感であります。ところが、待遇、環境がいろいろ違いますから、その交流をはばんでおるいろいろな事実が存在しておるのであります。これを国立研究機関などにおいても、いろいろ研究施設であるとか待遇というようなものを改善いたしまして、交流ができるような前提条件をできるだけ整備していきたい。まだほかにもいろいろ方法があると思います。交流を促進する方法は、単に国立研究機関の待遇環境の改称ばかりでもない。何か新しい考え方というものもあり得ると思いますが、これはぜひ促進するようにいかないと、タコつぼに入ったような状態になっておることは、日本の科学技術振興のために非常にネックになっておるというふうに感ずるわけでございます。全く同感でございます。

西村英一自由民主党

○西村(英)委員 一応賛成はしていただきましたが、これはなかなか簡単にできることではないと思いまするが、ぜひとも、現行の制度のままでもやれるところはやっていただく。また、現行の制度ではなかなか容易にできそうもありませんので、機会あるごとに、この人事交流ができるようにお考えを願いたいと思うのでございます。  第四点の問題でございまするが、先般科学技術庁に研究調整局ができることになった。これは齋藤さんからもお話がありました通り、われわれも非常に喜んでおるものでございますが、この科学技術庁設置法の一部改正という法律も出ておるのでございます。局が科学技術の事務について総合調整をするんだ、こういうことになっております。今の制度におきましてはその程度しか書けないのかもしれませんが、これは私は総合について一歩前進ではあろうと思いますが、あまり期待ができないのであります。というのは、従来の科学技術庁のやり方を見ておっても、調整は十分できる予算になっておっても、それほどやっておるとは思いません、それは君が知らないので、これだけやっておるんだと自身のあるところを示してくれれば別でありますが、そういうふうには見受けられないのでございます。今度調整局ができましたのを契機としまして、長官としてはもっと強力にこの総合推進ができるような体制をここにとってもらいたいと思うのであります。科学技術と申しましても非常に範囲が広いのでございますが、今科学技術庁が考えており、またわれわれが考えておる重要な研究——総合研究という事項をあげておりますが、環境科学であるとか、あるいは宇宙科学であるとか、防災科学であるとか、これは国民生活上、産業上最も早く解決しなければならぬものだ。国家財政を立てて、その一部分が解決しても相当に国民生活に好影響を与えるものであるから、一日も早くこれを解決と申しますか、いい方に導いていかなければならぬというときに、今のような調整の仕方、お世話の仕方では、なかなか急速にいかぬと思うのでございます。いわんや、その予算を見ますと、まことにいずれも微々たるものでございます。それですから、ここでやはり研究を推進し、少しでも効果を早めるということについては、一段の工夫を、調整局ができるのを契機として考えてもらわなければならぬと私は思うのであります。  例を宇宙科学にとりましても、宇宙科学というものは、あるいは宇宙開発というものは、日本にとりまして科学のうちでもきわめて特殊なものでございます。ところが、これを推進する場合に、それは今度は調整局で調整の労はとりましょうけれども、これあたりは一元的にやってもいいんじゃないかと私は思うのです。ところが、電波については、郵政省が今まで電波をやっておるから郵政省が関係し、あるいは文部省が天文台を持っておるから文部省も関係し、科学技術庁も関係する。また、環境科学の点につきましては関係省が実に多いのでございまするが、宇宙科学等の問題につきましても、これは予算が各省分属でもって、三十七年度の予算はもうどうにもなりませんが、これを推進していく上において、今度は調整局ができたのを契機といたしまして、一つ何か新しいシステムを作っていただきたいと思うのであります。電波には郵政省が関係しておるからといって、宇宙開発のものまで向こうでやる。やるのはいいですが、歩調が合うはずがない。そこで、科学技術庁でも、今回はそれらの総合研究をやるのについては総合的な推進合同委員会を作るといっております。それも必要でしょうが、私は宇宙開発等につきましては、宇宙開発本部というようなものをお作りになって、関係した予算は、たとい郵政省がやり、文部省がやっても、宇宙開発のものについては科学技術庁長官が一応預かって、全般的な施策のもとに進めていくというような方法を閣議でとれないかと思うのであります。わずかな予算、なけなしの予算を出して、しかも特殊な宇宙開発というようなものについて、その推進をはかろうという場合に、あるいは文部大臣が、あるいは郵政大臣が勝手なことをされては、私は調整はそううまくはできないと思うのです。環境科学についてもしかりと思われます。まあ環境科学というのは、スタートが微細なところから入らなければならぬと思われますが、宇宙開発等につきましては、予算がどうあろうとも長官が本部を作る。その本部を作るときに閣議に提唱して、これらあたりは一元的に同じ施策のもとにやるのだ、一元的な計画のもとにやるのだ。やること自身は、電波に関しては電波研究所でいいでしょう。また、観測は天文台でいいでしょう。けれども全般の進め方につきましては科学技術庁長官が責任を持って、三十七年度はこうやる、三十八年度はこうやる、ずっと年次的計画的に責任を持つのでなければ、私は予算の使い方はもったいないと思うのです。また、進まぬと思う。あれだけの小さな金で宇宙開発をやっていこうというのですから、有効な使い方をしなければいかぬと思うのです。今までの科学技術庁の考え方からすれば、まあ事務の総合調整をして、何か委員会を作って、そこでごちゃごちゃやろう。こういうような考えに見えるのでありまして、調整局ができたのを一つの契機として、この宇宙開発だけでも取り上げて閣議の了解を取りつけて、そうして名実ともに責任体制をとっていく。こういうことが私は必要であろうと思うのでありまして、環境科学についてもあるいは防災についても一工夫する必要があろうと思うのであります。防災等につきましても、これは非常に関係省が多いのですが、どういうふうにしてやられておるのか。これあたりも、われわれはよく知りません。おそらく各省ばらばらで、合同委員会を作ってそのお世話をするのが科学技術庁の今の仕事ではなかろうかと思われますが、いや君それは違うよ、そんな認識不足じゃいかぬよというならば、一つ大臣からでなくても、ほかの方々からでも、このように成績をあげてこうしているのだという御説明を願いたいと思います。今の総合調整と今度の研究調整局と、重要に考えておる研究事項との関係、これについての体制をもう少し強力に、現在の制度のもとでも強力に進める方法について、なかんずく宇宙科学について私の提案をどう思われますか、一つ御所見を伺いたいと思います。

三木武夫自由民主党科学技術庁長官

○三木国務大臣 研究調整の機能というものが十分果たされていなかったということは、御指摘の通りでございます。いろいろ具体的に申し上げてもいいのですけれども、こういうことをしたというふうなのはまれです。非常に顕著な事例も実際問題として乏しかろうと思う。そこで、こういう研究調整局のような部局ができましたのを機会に、問題ごとに一つの推進の母体を作って、総合計画を立てる。先に計画を立てる。そうして各省が研究の分担をきめる。予算が一緒になったら、西村委員の言われるように理想的でしょうが、それでも総合計画を立てて責任の分担をきめてやれば、予算は各省庁別につけても従来よりだいぶ改善になります。宇宙開発の問題についても西村委員の指摘は一つの考え方だと思います。しかし、これは各省庁もあるものですから、ここで私がそのようにいたしますという答弁もなかなかしにくいのであります。一方、各省庁との連絡をもっと緊密にするという点で、そういう点までも検討を加えていきたいと考えておる次第であります。もう少しほんとうに一体になって推進のできるような体制を考えていく。その場合に、御指摘になったようなことも、そういう方法が可能かどうかということは検討をしてみたいと思います。

西村英一自由民主党

○西村(英)委員 長官は少し御遠慮なさっておるように見受けるのです。日本がなけなしの金を出して宇宙開発をやろうというのだけれども、宇宙開発ということはきわめて特殊なことです。それですから、国が一本で考える。その責任をどこか本部でもって見るというようなことで——それはいかぬ、各省が自分のところで勝手に宇宙開発に関する予算はとるぞ、というようなやぼな大臣はおるまいと思うのです。宇宙開発あたりは一本でやるのが当然だと思う。今までの惰性上各省でもって勝手に——それは各省の予算に計上されておることはいいと思うのです。それを私は言うのではありません。全体の振り合い、総合性を見ていく。話がそこまでいきますれば、例の生産技術研究所ですか、ああいう研究体制を一体文部大臣が——それは大学というような教育機関は文部大臣が持っているのでしょうが、きわめて教育と離れた研究機関で、しかもそれが宇宙科学の本体になっておるようなものを、どうして文部大臣が見なければならぬのか、私にはわからぬのです。しかも、それが予算を一番よけい使うのです。しかし、文部大臣が宇宙開発の全般を一人で統括してみようというならば、私はそれでもいいと思うのですが、だれも分散して責任がないのです。ですから、長官も御遠慮せずに、宇宙開発のごときは、なけなしの金を使うのですから、これを計画的に一本でやる。生産技術研究所なんか科学技術庁につけるのがあたりまえです。文部大臣がお世話しているとは思われません。また、大学が所管すべきものではありません。こういうふうに私は考えるのですが、どうも大臣、少し御遠慮なさっておるのじゃないかと思われます。だから、宇宙開発については、これから一本でいくぞ、そうしなければこれは全体の計画としても立たないし、なけなしの金を出してやるのだから、と言えば、ほかの大臣も、いやそれはおれの方の所管だ、というようなやぼなことはおそらく言うまいと思いますが、それだけのおつもりができるかどうか。もう一回お聞きしたいのです。

三木武夫自由民主党科学技術庁長官

○三木国務大臣 御指摘のように大学の研究所でして、これはなかなかむずかしい問題で、いろいろな今までの歴史がありますから、理想的にいえば、やはり教育と研究所のようなものは分離するのが理想的かもしれない。一つの行政機構の問題点だと私は思う。現在の建前で大学の研究所を科学技術庁が統括するということについては、やはりなかなか困難性があろうかと思います。だから、できることなら、そういう宇宙開発のごときものは一本になってやることが、わずかの予算を効果的に使うためにはそれが好ましいことは申すまでもないのです。何かそれを一本化して、予算を一ところに持ってきて科学技術庁から出すということになれば抵抗もあるでしょうが、つけるのは別々につけてもいいということになれば、宇宙開発のごときは、各研究機関においても予算額の少ないということについては非常に苦心をしておるのでしょうから、何か本部といいますか、そういうことで統括をして総合的な計画を立て、研究を分担するというようなことは考えていい問題だと思います。ただ、大学の研究機関をこの際一気に一緒にするということはなかなかむずかしいので、全般的なお話としては私はもっといろいろ慎重に検討しなければならぬと考えておりますが、今のような宇宙開発なんかの問題は、お説の通りこれを一本化といいますか、もっと緊密な連絡をとってやるべき性質のものであって、これに対して私は熱意がないわけではない。これは考えてみたいと思っておるものであります。

西村英一自由民主党

○西村(英)委員 大学の付置研究所を全部科学技術庁に持っていけという意味ではありません。私が今例をあげた生産技術研究所というのは特別な機関でございますので、あれは私は大学では不適当だと考えております。ほかの研究所も全部持ってこいとは言いません。しかも、その中で宇宙開発をやっておるのだから、これあたりは一つ、すぐには直らないが、今度調整機構ができるについて——科学は総合的にやらなければならないが、その中でも宇宙科学はもっと総合性のなければならないものだから、ここあたりは閣議の了承を得て本部を作る。その場合は、予算も一定の計画のもとに科学技術庁長官がコントロールする。そういうような了承を得て推進し、しこうして、三十八年度以降の予算もこれを一本で考えていこう、こういうことが私は必要ではないかと思う。これも大きく考えれば行政機構とつながるのですが、そう言えば行政機構はいつやるか、それまで全部待てばいいということになるのですが、できることならば先にやってもらいたい。  私はまだほかに小さい問題がありますが、一応以上四点につきまして私はお尋ねしたのでありまして、これもおおむね齋藤さんから話されましたが、どうか一つ私の出しました具体案について再考をお願いしたい。この宇宙開発というものは特殊なものであるから、今度調整局ができるのを好機として一つ名案はないか、こういうことでございます。私の査問はこれで終わります。

前田正男自由民主党

○前田委員長 次に、山口鶴男君。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 過日わが党の河野委員から基本的な問題についてお尋ねがございましたので、幾つか具体的の問題について大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  まず最初の問題は、アメリカのケネディ大統領が二月七日、イギリスのクリスマス島で大気圏内の核実験を再開する、こういう声明を発せられました。また、これに対して英国のマクミラン首相もそれを許可する声明を出されておるわけであります。長官は、昨年設置せられました放射能対策本部を主宰いたしておる立場もございますが、このアメリカの大気圏内の核実験再開に対していかにお考えであり、また政府としていかなる態度をおとりになろうとしておりますか、お聞かせいただきたいと思います。

三木武夫自由民主党科学技術庁長官

○三木国務大臣 核爆発実験については、日本政府の態度は、国のいかんを問わず、きわめて遺憾である、あらゆる機会に、ソ連に対してもアメリカに対しても、核爆発実験による大気の汚染により、関係のない人類が被害を受けることは非常に好ましいことではない。それで核爆発実験はやめてもらいたいという強い立場をとって、あらゆる機会にそういう発言をいたしておることは事実でございます。なかなかこれを直接とめる方法がないことは非常に残念ではありますけれども、しかし、そうといって、世界の世論を喚起することにいたずらに無力だという感じであきらめるわけにはいかない。あらゆる機会にその声を大にして、そして一日も早く核爆発実験あるいは核兵器の貯蔵、製造の禁止というところまで世界がいかなければならぬ、これは政府の強い決意でございます。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 昨年ソビエトにおきまして実験再開をいたしました際には、政府は即刻これに対する意思表示をなされました。今回に対しては、いまだ政府として正式な意思表示はされておらぬように伺っておるのでありますが、この点はどうでしょうか。

三木武夫自由民主党科学技術庁長官

○三木国務大臣 ケネディ・池田会談にもこの問題が議題になり、それはやめてもらいたいという発言があったと私聞いております。現に、まだやってないのですから、それでやってもらっては困るということは、今申したようにそういう会談にも議題にしておるわけでありますから、日本の政府は、ソ連の核爆発実験に対してはきびしくて、アメリカには寛大だという、そんなことはございません。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 ただいまの御意向でありまするならば、それを正式な具体的態度で表わしていただくことをお願いいたします。  大臣もお忙しいようでありますから、次に移ります。原子力利用の問題に関してお尋ねをいたしたいと思います。  原子力産業会議におきましては、二月の九日、経済面から見た原子力産業の実態という白書のようなものを発表せられたそうであります。これによりますと、この五年間における各原子力産業が投資をいたしました額が、二百五十八億円円に達しておる。ところが、収入については四十億円程度で、現在頭打ちの状態であって、日本における原子力産業の経営の状態というものはきわめて赤字であり、困難である。従って、政府はこの原子力産業に対してより経済援助をしてもらいたい、こういうような趣旨だそうでございます。  そこで、私ども考えますのは、かってコールダーホール購入の問題に対しまして、いかなる機関がこの日本における原子力発電を担当していくかということについて、国会においても議論があったわけでございます。その結果、電源開発会社なり九電力なりが共同出資をいたしまして、現在の原電ができ、現在工専を進めておるわけであります。当時、われわれといたしましては、まだ原子力産業というものに対する研究は緒についたばかりであり、その経済性の問題あるいは安全性の問題においても、これから十分に開発できる段階であるのであって、すぐ飛びつかなければ損だというような形で、直ちに民間がそういうものを引き受け、あわててこれを受け入れていくということについては問題があるのではないか。従って、現在の日本における原子力の問題は、基礎研究に重点を置くべきであって、もしこのような原子力発電に手を染めるということでありまするならば、これはやはり国営ないしは公的な機関においてやることが正しいのだということを主張いたしたのであります。しかるに現在におきましては、あのような状態になり、当時バスに乗りおくれるなというような形で民間産業がこの原子力産業に手を染め、現在五つの原子力グループがあり、そうしていろいろな投資が行なわれてきました。当時あのような形で、バスに乗りおくれるなということで、あわてて飛びついて、現在に至って赤字だから政府助けてくれというようなことは、どう考えても、われわれとしては虫のよ過ぎる話ではないかと思うのであります。このような現在における原子力産業の実態、それに対する原子力産業会議の政府に対する要請、こういうものに対して、長官としてはどのような考え方で対処なされようとしておりますか。この点をまずお聞かせいただきたいと思います。

三木武夫自由民主党科学技術庁長官

○三木国務大臣 原子力開発の長期計画にも、十カ年間というものは開発研究の時期であるという見通しを持っているわけで、いろいろ将来原子力が広範にわたって利用されるまでの試験研究の時期である。こういう時期は、企業採算の上からいっても非常に苦しい時代であることは明らかであります。原子力産業会議が、山口委員の言うように、虫がいいとも私は思っていない、同情をしているわけです。十年間くらいは、なかなかえらいだろうという感じは持っておるのであります。しかし、それならば、民間が国営企業を望むかといったら、やはり自主的に民間でやりたいという強い希望をもっているのです。また、何でも国営主義というのは、自民党内閣のとらないところでありますから、できるだけ民間で企業は育成することが望ましいという原則に立っているのであります。従って、いろいろ苦しい点が述べられてはおりますが、しかし、その苦しさを乗り越えてこそ原子力産業の将来の発展があるわけであります。しかし、政府も十分だとは思っていない。もう少しやれる面もあると思いますが、これは民間の企業というものを原則にしておりますから、政府のやれることにも限度があって、やれる点は今後政府も力を入れていきたいと思うが、民間もこの当然に企業が経過しなければならぬ一つの過渡的な時期、試験研究の時期というものを乗り越えてもらいたいという希望を持っているわけでございます。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 政府の建前とすれば、民間企業でやれるものはやっていくということは、私ども立場は違いますけれども、理解できないことはございません。ただ問題は、この原子力の問題は、第三の火といわれ、第二次産業革命を引き起こすと言われるほど非常に重要な問題であることは事実でございます。従いまして、その開発も、初期におきましては特に安全性の問題、経済性の問題等について、まだ各国においてもいろいろと議論のあった段階でございますから、そういうときにあわてて、何が何でもこれは全部民間企業にさせなければいかぬということは、少なくとも言ないのではなかろうかというふうに思うのです。そういう自体でありましたのに、結局幾つもの原子力グループができまして、聞くところによりますと、さらにこの原子力グループがふえようとしている傾向があるそうであります。そういった採算が非常に大ごとなときに原子力グループというものがやたらできていくというようなことについては、政府としても何らかの行政指導というものはなし得ると思うのです。そしてまた、確かに今経済的には非常に困難であろうということも私は推察はいたします。しかし、当時の出発が、われわれの希望するような出発だったら、これは問題なかったのでありますが、ああいう形でできていった以上は、あのときはわれもわれもという格好で乗り込んでいって、ここへきて手のひらを返すような形で、また政府に対していろいろな要求を出してくる。こういうふうなことでは、少なくとも首尾一貫性がないじゃないか。こういうものに対して、政府が直ちに、それではかわいそうだからこれは見てやろう、こういうことは、私はやはり筋が通らぬ問題じゃないかと思うのです。今言った原子力グループに対する行政指導の問題、それからまた、今後原子力開発を政府がやるといたしまするならば、現在の原研を拡充し基礎研究をきちっとやっていく、こういう方面に政府は全力を注ぐべきであって、民間企業の経営が大ごとだから直ちにこれを育成する、こういう形では私はやはり問題ではないかというふうに思いますが、この二点について一つ伺いたい。

三木武夫自由民主党科学技術庁長官

○三木国務大臣 ますます原研の基礎研究の面を強化していくべきだということは、私もそう考えております。ただしかし、民間にもいろいろな研究機関ができまして、民間の力は応用の面から入って基礎研究にいったわけであります。その民間と原子力研究所との結びつきというものは、もっとやっぱり考えていきたい。この点をもう少し、象牙の塔に立てこもるようなものでなしに、民間の研究所とももっと関連を密にするように持っていきたい。そういう点で、運用の面について改革を加えたいという考えは持っております。しかし、全体として原研を強化していきたいという考え方は同感であります。民間の方が今困っておるから何とか救済策を政府がやるのかというのでありますが、今救済策は考えていない。ただ、原研を充実するのは原子力産業に対しても間接的にプラスになるし、あるいはまた委託研究費というものも今後できるだけ政府が出していくという面における原子力産業への協力の方法もあるでしょう。そういう間接的な面において原子力産業を育成するという方針は持っていくつもりでございますが、直接に困っておるからといってこれを救済するというような、そういう角度で原子力産業の現在の苦境を打開するという考えは持っていないということを申し上げておきます。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 原子力グループの統合等についても、指導するおつもりはありますか。

三木武夫自由民主党科学技術庁長官

○三木国務大臣 イギリスなどの例を見てみましても、イギリスは昔五つあったのを、最近三グループにした。これは日本とはだいぶグループの組み方が迷うようでありますが、しかし、日本の場合も現在五グループあるのが、これがさらにふえていくというようなことは、現在からいって好ましいことではないと私は思っておるわけであります。従って、現在の五グループから今後またいろいろ新しくグループがふえていくということについては、できるだけ行政指導をしたいと考えております。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 時間もあれですから、次に他の問題についてお尋ねします。   国際交流の問題であります。過般、日米科学委員会がございましたあと、大臣ちょうどお留守でございまして、政務次官その他の方々にいろいろお尋ねをいたしたのでありますけれども、日米科学委員会を通じて、日本とアメリカとが完全に平和という点を厳格に考えまして交流をやっていく、こういうお話でございました。日本とアメリカとが平和利用を目的にしていろいろ会議をされる、その場合の平和という問題を厳格に一つ考えていただきたいということを当時も申したのでありますが、同時に、単にアメリカとの国際交流を盛んにするということだけであっては、これはやはり片寄るわけでございまして、国際交流ということを考えまするならば、当然ソビエトあるいは東独、こういった国々との、いわゆる社会主義諸国家における、しかも科学水準の相当進んだ国との国際交流というものを考えなければならぬのじゃないかというふうに考えます。ところが、当時も私お尋ねをいたしましたところが、科学技術庁としては特に具体的にどういうふうな国際交流を進めていくというプランはないのだ、こういうお話でありました。それならば、何か池田首相が外国へ行って、そして回復でもしなければ国際交流が手につかぬというようなことでは、いかにも科学技術庁として主体性がないのじゃないかというように私は考えざるを得ません。で、長官といたしましては、この科学の国際交流、あらゆる国との国際交流、この問題について、具体的にどのような形でこの交流を深めていこうとお考えになっておられるか、その抱負についてお尋ねをいたします。

三木武夫自由民主党科学技術庁長官

○三木国務大臣 山口委員御指摘の通り、やはり科学技術に国境はないと私は思います。ただしかし、現在世界は東西の対立があって、そうして、どうも自由諸国の方が交流をやるだけのいろいろな前提条件が——たとえはアメリカの場合でも、人事交流をやるようないろいろな機関があるし、そういう点において前提条件において、そういう自由諸国の方が交流がしやすいような状態になっておるという現実は認めざるを得ないわけであります。しかし、原則としてはこれは国境はないわけでありますから、共産圏との間にも科学技術者の人的交流ということは今後考えていかなければならぬ。それには、ソ連などでは文化協定が今いろいろ外交のチャンネルで検討されておるわけですから、そういうものができれば、多少促進の役目を果たすことになる。あるいはソ連の技術なども、共産圏の技術はこれを締め出す考えは持っていないですから、現にソ連からの技術導入もやっておるし、わずかですけれども東欧圏からも、チェコなどから、燃料公社からも技術者が来ておるでしょう。数量的にはなかなか東西比較にならないのでありますが、門戸は閉ざしていないのだ。今後やはりそういう点で、共産圏との間にもそういう科学技術者の交流を盛んにしていくことは好ましいと私は考えております。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 それは一つ、今の抱負で具体的にお進めいただきたいと思うのです。  次に問題は、やはり科学が平和の目的に奉仕をしなければならぬという問題であろうと思う。この点は、過日も河野委員からいろいろお話がございましたが、私は具体的な問題でお尋ねをいたしたいと思うのであります。政府がだいぶん出資をいたしております日本原子力研究所で、いろいろな基礎研究をやっておられる。たまたまその結果幾つかのパテントを原研がお持ちのようであります。そのパテントのある一つをアメリカがロケットの一部に使いたい、こういうことで、これを買いに来ておるというお話があるそうであります。原研としては、例の原子力基本法にうたわれた平和の原則、そしてまた自主、公開、民主のいわゆる三原則に照らしまして、アメリカのロケットということになるならば、当然これは軍事目的にも直接関係のある問題でありますから、この原子力基本法の三原則に照らして問題があるというので、現在保留をしておるというお話を聞くのであります。そういう事実はございますか。それからまた、ただいまのような形でアメリカがこのパテントの購入にかりに移ったといたしますならば、例の自主、公開、民間、平和の原則に照らしまして、政府としてはいかなる態度で臨まれまするか。この点を一つお聞かせ願いたいと思います。

三木武夫自由民主党科学技術庁長官

○三木国務大臣 今のことは私聞いておりません。しかし、いずれにしても、原子力基本法にきめられておるこの原則というものは、いかなる場合にも曲げてはならないと考えております。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 ただいまの答弁で非常に安心をいたしました。もしそういうような形で、軍事に直接関係のある形で原研のパテントを購入するというようなことがあった場合には、ただいまの御説明をもって断固たる態度で一つ対処されることをお願いいたします。  次に、国産技術の開発の問題でお尋ねをいたしたいと思うのです。最近、日本の大企業は非常に目ざましい発展を示しておるといわれております。特にアメリカを除いた世界各国の大企業の売上高との比較におきまして、日立のごときは十七番目、あるいは八幡においては二十六番目というような、相当高い水準に達しておるようでございます。こういう形で、日本の大企業は国際的にいえば中小企業だというような概念はあてはまらなくなってきておると私は思うわけでありますが、これに対して政府は、租税特別措置とか、いろいろな形で現在優遇措置をおとりになっておられる。そこで、私が問題にいたしたいのは、日本の大企業も相当大きな水準に逃してきた。しかし、現実にこれらの企業がそういった大きな売り上げを持ち、利潤を上げ、そしてまた政府からは租税特別措置その他でもって相当な優遇をされておる。にもかかわらず、これらの経費を多額に、新技術の開発企業にみずからが努力をするという方向に力を向けていきますならば、私はあえて言う必要はないと思うのでありまするが、最近の日本の傾向は、広告宣伝なんかには非常に莫大な金を使っております。しかるに、売上高のうちで一体幾ら新技術開発に企業が努力をいたしておるかという率は、まさにりょうりょうたるものがある。最近の統計では、日本の企業は新技術開発に使う経費の二倍以上を実に広告宣伝費に使っておる、こういう実情だといわれております。もちろんこれは民間の問題でありまするし、政府が一々どうこうというわけには参らぬと思うのであります。しかし、いま日本の技術開発の重要性が叫ばれ、そしてまた政府もこの新技術開発に力こぶを入れよう、こういうときに、日本の企業が政府からいろいろな形の優遇をされておるときに、やはり会社としてそれぞれ新技術開発に企業みずからが努力していくことが私は必要ではなかろうかと思うのであります。長官としてこれらの傾向に対していかに考え、またこれに対して具体的な措置をおとりになろうとしておられまするか、お聞かせいただきたいと思います。

三木武夫自由民主党科学技術庁長官

○三木国務大臣 これは今統制経済ということをわれわれはやっておるわけでないのですから、広告費を出し過ぎるとかなんとか、いろいろこれに対して規制を加えることは、なかなかできないところであります。しかし、御指摘の通り、もう少し試験研究と申しますか、新しい技術を開発しようという意欲が日本の企業の中に、もっと起こってこないならば、これはある意味において、将来はこういう冷戦も一つ長期化していくだろうし、その経済を中心とした世界が競争になってくる。その中心をなすものは科学技術だと思いますから、そこでわれわれとしては、税制上いろいろな優遇策を講じておりますが、私はもっと根本的に考えてみたい、企業自体がそういう新技術の開発のための金を使うことが、企業自体としても非常にその方が得なんだというような状態に持っていって、そして、相当その企業自身が試験研究の費用を出すような、そういう風潮を作りたい。あるいは研究法人なども今検討しておりますが、何よりもまず試験研究のために企業が力を入れることが、国際競争力の上からいっても大事だし、会社の方では、企業の採算の上からいっても、この方が非常に工合がいいのだというふうに持っていけるようなことに仕向けなければいかぬ。そのために税制というものを根本的に検討してみたいという感じを、私は強く持っておるものでございます。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 大臣は幸い実力者でもあり、閣内における非常に大きな発言力をお持ちなわけでありますから、そういう立場に立って、ただいまのように税制の問題について根本的に再検討し、そういう中から企業の内部において新技術開発のムードを大いに作っていきたい、風潮を作っていきたいというお考えは、大へんけっこうであると思います。一つそういう点につきましては、現在政府が即刻どうということにはいかぬということは承知しておりますけれども、やはりそういう観点で、日本の大企業の企業内の努力を大いにするという方向に、一つ政府としても力を尽くしていただきたいということをお願いいたします。  同時に、技術開発がややともすれば現状状では日本の中における経済の二重構造、特に大企業に新技術開発が非常に作用いたしまして、大企業はさらに大きくなって、中小企業との格差をますます開かしていくという傾向があることは事実であります。この点についても、新技術開発事業団等の出資もふやしたようでありますが、画期的にふえたとは言えぬと思うのです。一方において大企業に対してそういう努力をさせると同時に、やはり中小企業の新技術開発、導入に大いに力を尽くしていただくことをお願いいたしたいと思うわけであります。  最後に、もう時間もありませんから、一つだけお尋ねをしたいと思うのです。今回政府の予算を拝見をいたしましても、放射線化学中央研究所を設置するというお話が出ておるようであります。これはたとえば、繊維あるいは合成繊維等に放射線を照射することによって新たな繊維を作り出すなり、あるいは合成繊維にある程度の力を付与するなり、いろいろな形で異議のある研究開発だと存じておりまするが、この放射線化学中央研究所では、三十万キュリーのコバルト六〇をお使いになっていろいろな研究をされると聞いております。現在、東海村におきましても、特に線量の問題については相当きびしく措置しておられまして、放射線障害に対する予防あるいはまた資金性ということについては、いろいろと努力されておることは承知いたしておるわけであります。この施設も同じように、原子炉ほど危険性があるとはもちろん私どもも思いませんが、この安全性の確保という点について、政府としても十分対処していただくことが必要だろうと思うのであります。この安全性の問題について、政府としてはどのような確信があり、今後どういう処置をとって安全なんだ、こういうお考え方がありますか、お聞かせいただきたいと思います。

三木武夫自由民主党科学技術庁長官

○三木国務大臣 御指摘の通り、コバルト線源なども原研を初めとして五十三カ所に使われて、安全上いろいろな問題は起こしていない、危険はないという考えでございますが、もう少しこれは詳しく申し上げる方が適当だと思いますので、原子力局長から補足説明をいたすことにいたします。

杠文吉総理府事務官(科学技術庁原子力局長)

○杠政府委員 御説明を申し上げます。この放射線化学中央研究所に設置しようといたしております施設のおもなるものは二つございます。一つはコバルト六〇の三十万キュリーの線源を持つもの、これが一つでございます。いま一つは粒子の加速器でございます。この二つのものをもちまして、先ほど山口先生がおあげになりましたようないろいろの新製品の中間規模の実験をしたいということでございますが、ただいままで最高の線源を使っておりますのが五万キュリーのものでございます。ただいまも大臣から御説明がございましたように、五十三カ所において現在用いられております。今までの実績によりますと、何ら事故を起こしておりません。このコバルトにつきましては、ほかの原子炉等と違いまして、同じく放射能を出すといいましても、それ自体が核分裂をして、その分裂の結果放射能が出るというような性質のものでございませんので、原子炉等よりも法規上もゆるやかに取り締まられるというようなことに相なっております。しかしながら、今の五万キュリーを最高としての現在までの実績は無事故であるということでございますが、三十万キュリーということになりますと、やはり相当に慎重を期する必要があるということで、設置にあたりましては十分に遮蔽等につきまして安全度を高めたい、そういう設計をいたしたいという考えでおります。  次に、粒子加速器の件でありますが、粒子加速器も全国的に今それぞれの原子力研究機関等においては置かれつつあります。また現に置かれているところもございます。これまた電気でもって加速させるという装置でございますので、万一事故が起こりそうなことがわかりましたおりには電源を切ってしまう。そうすると直ちに機能はとまってしまい、それ以上に放射能を出すというようなことはございません。これまた過去の事例におきまして、まだ一つも事故を起こしている事例はございません。従いまして、両施設ともに、付近の住民はもちろんのこと、従業員につきましても、事故を起こすというようなことは何らないという確信を持っております。確信は持っておりますが、ただいまも申し上げましたように、なお一そう慎重に設計等に注意いたしまして設置をしていきたいという考えでおります。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 最後に、先ほどお尋ねいたしました原子力産業会議の要望等もございまして、結局原子力産業が経済性を高めていこうということになりますと、原子力関係のいわゆる安全基準と申しますか、放射線の線量の許容量等の問題についても、ある程度これを低めていくことが具体的に経済性を高める形になろうかと思うのです。聞くところによりますと、アメリカあたりでは、許容量についてはもう少し高めても差しつかえないのじゃないかというような意見が出ておることも聞いているのでありますが、私は原爆の惨禍を経験した日本においては、特にこの問題は国民が非常に神経質でもあり、また危険であることは事実であるわけでございますから、そういった原子力産業の収益性を高めるという観点や、あるいはアメリカの方で許容量が下がったからこれを下げるというような安易な考え方でなく、日本において厳格に許容量の問題については対処していただく、こういった考え方が私は必要ではないかと思うのであります。こういう点に対する大臣の初心をお伺いいたしまして質問を終わりたいと思います。

三木武夫自由民主党科学技術庁長官

○三木国務大臣 これはやはり、そう政治的に考えるべきものではない。純然と科学的に考えるべき問題で、政治的な考えに妥協しようという考えは持っておりません。

前田正男自由民主党

○前田委員長 次に、石川次夫君。

石川次夫日本社会党

○石川委員 私が質問したいと思いますのは、科学技術行政の基本に関してでございますけれども、大体前に齋藤さん、西村さん、山口さん、その他の方からの質問で重要な基本的な問題についてはほとんど尽きていると思いますので、なるべく重複を避けまして、時間の関係もありますから簡単に質問をしたいと思います。  私が申し上げたいと思うのは、特に感を深くしましたのは、昨年前田委員長が団長になって海外に行って参りまして、その結果日本の現状に照らし合わせて、ぜひこれだけは最低限やってもらいたいという感を深くした点についてでありますし皆さん方も、アメリカやその他ヨーロッパというところはおいでになった経験のある方が多いと思いますので、今さら私からひけらかして申し上げるつもりは毛頭ございません。ただ、アメリカで感じましたのは、御承知のように非常な国際収支の赤字、月々ことしは二十億ドルで最低必要保有量の百八十億ドルを大きく下回っているというような実態や、あるいは失業者が恒常化して、景気が上昇しても減らない、あるいは経済成長率が低いというような経済的な非常な悩み、障害というものを持っていることであります。それからさらに、人工衛星なんかに見られますような若干の点における立ちおくれ、従って国防上、経済上の欠点を克服するのにどうしたらいいか、非常なあせりみたいなものも感ぜられないわけではありませんけれども、ここでどうしても生活様式まで変え、あるいは産業構造まで切りかえていかなければならぬということのための根幹としては、科学技術というものを飛躍的に上昇させなければならぬというのが結論である、従って、科学技術行政という言葉ではなくて、科学技術、それはとりもなおさず政治であるという体制のもとに、あそこは日本と違いまして、官と民との差が非常に不分明の形でありますだけに、官民全く不離一体という形で、非常な熱情を持ってこれに当たっているという姿を見ましたときに、振り返って日本を見ましたときには、民間における応用化学という面では非常に優秀な才能を発揮しているけれども、政治的にはこれを盛り上げていくという体制に非常に欠けているのではないか、こういう感を深くしたのであります。  それから、各国ともいろいろ科学技術に対しましては非常に熱意を持って当たっておりますけれども、よく言われますドイツのマックス・プランク協会の存在というものは、大げさに言いますと、われわれは息をとめてしばらく目をみはって言葉がなかったといっても過言ではないほどであります。現在マックス・プランク協会に従事している研究者の中で、八人ノーベル賞をもらっておりますけれども、実に自信満々と研究に従事しております。いかなるものの干渉も受けない。政府あるいは州政府、民間から必要なだけ金を出させる。出させるけれども、おれの研究には干渉させない。そして、やっていることは、学者の良心に従って実に地味な基礎のまた基礎の研究というようなことであって、いつ日の目を見るかわからぬというような研究に従事している。こういう機関は、残念なことには日本にはないわけです。これこそドイツ興隆の源泉になっているのではなかろうかというふうに見るときに、日本の現状は、はたしてどうだろうかと考えると、暗たんたる気持になるといっても過言ではないのであります。  モスクワにもちょっと行って参りましたけれども、これは御承知のように、七対三という工合に、人文科学と自然科学を分けまして、自然科学重点という線を打ち出しておりますから、これは論外といってもいいような体制になっております。  しからば、日本で政治的にどうやったらいいかと申しますと、これは何回も質問がありますから繰り返しません。また科学技術基本法の中でいろいろ問題点が指摘をされて、これから結論を出そうという過程にありますから、いずれ具体化する暁におきましていろいろまた検討を加えられるということになるわけでございます。今まで言われました科学技術関係の予算の調整、科学技術庁だけではきわめて力が足りないということで、何とかこれを組織的に大きく変革を加えなければならぬという点は、全くわれわれとしても同感であるし、これについては長官としても同感であるという答弁がなされておるわけであります。従って、科学技術会議という現在のものを改革するかどうかということは別にいたしましても、そういうふうな調整機関というものに強力な権限を与えて、予算の編成権も勧告権も持たせる、この予算の勧告についてはこれを承服するという一つの筋道を確立をしなければいかぬのじゃないか、こういうことを痛感をするわけです。従って、私はこの予算の勧告権を、科学技術会議というようなものが果たしていいかどうかはこれからの検討にまかせるといたしまして、そういうものを作る必要はわれわれはどうしてもある、こう考えるわけでありますが、その点についての御意見を一つ伺いたい。これが一つでございます。  それから、もちろん科学技術を振興しようと思いましても、人材を養成する、特に優遇するということでなければならぬわけであります。仄聞したところで、確認はいたしておりませんが、大体日本の核物理、基礎科学の研究者の五百人くらいがアメリカの方に行っておるようであります。しかも、初めは安い給料で雇え都合がいいというような、簡単な気持で日本の技術者を雇ってみますと、きわめて優秀である。だんだん給与も上がる。給与も上がれば、従って日本に帰って安い給与で設備の、不十分なところでやるのはどうも気が進まないということになって、全部居残ってしまうという状態になっておることは、われわれも仄聞いたしておるところでございますけれども、こういうように日本の優秀な技術——私は日本人の才能というものは決してほかの国に劣っておらないという確信を持っておるわけでございますが、このすぐれた日本の才能というものは全部その成果が外国にとられてしまうということは、何と考えても残念であります。私はいたずらにナショナリズムを鼓吹しようという気持は毛頭ございませんけれども、少なくとも日本民族の繁栄というものの基本はこの技術の上になければならぬ、こう考えるので、いい意味での科学技術におけるナショナリズムというものをどうやって確立をするか。そのためにはやはり人材を養成するということに、もっと思い切った施策がなければならぬ。  最近また別な面で聞きますと、これも確認しておりませんが、アメリカの科学技術庁のようなところで勧告案、答申案というものを出しまして、科学技術関係の研究者といいますか、学者といいますか、こういう人には五割給与を上げるという思い切った答申案が出ておるということを聞いております。これはまだ確定的なものにはなっておらぬようでありますけれども、アメリカにおける科学技術の促進に対する熱情というようなものは、そういう点でもうかがわれると思うのであります。そういう点で、この人材養成は、なかなかほかの給与とのバランスも困難でありましょうけれども、しかし、これはどうしてもやらなければいかぬ。やらなければ日本の科学技術の水準は上がらない。民間における——私は日立製作所と関係が深いのでございますが、日立製作所は日本一の日立研究所という研究所を持っております。持っておりますけれども、これはいつの場合でも、これを何とか応用化する、何とか製品化するということに——基礎科学をやっているとはいいながら、どうしてもその方向に頭が向いてしまう。十分な成果が上がっておりません。そう言っては大へん失礼かもしれませんが、もっと基礎的な、 じみちな、いつ日の目を見るかわからぬというような研究に没頭しておるという機関が日本に一体どこにあるでしょう。これがなければ、日本の科学技術を飛躍的に振興させるということは絶対不可能です。また、これさえやれば日本への優秀な頭脳を十二分に生かすことによって、日本の隆々たる興隆というものを実現させることができるのだという熱情を持って、科学技術庁長官はこのことの実現のために当たってもらいたいということを衷心からお願いしてやまない次第であります。  それで、あと一つは、研究機関の統合ということはどうしても必要だと思いますけれども、七十二ほどある国立の研究機関の中で、科学技術庁に所属するのは三つでございます。非常に微々たるもので、そういうところから見ても、科学技術庁が統合的に日本の研究機関というものを育てていくということは不可能に近いような状態になっているのですが、なかなかこれはむずかしい。むずかしいことはわかります。しかしながら、最近研究機関の団地を作るという問題が一つできておるわけであります。それから、行政調査会というふうなもので、行政機構の改革ということをやろう、こういう機運も止まれておるわけであります。従って、この研究機関の統合というものを、あるいは一つの大きな政府機関にすれば非常に困難だというのならば、給与を上げるとかなんとかいう点でいろいろな問題があるとするならば、この団地化するというようなこと、あるいは行政機構の改革という機運が向いてきたというこの非常に絶好な機会に、これを公団化するというようなことが一つ考えられないのか。なるほど、人文科学とのつり合いとかいろいろな関係で、ほかの公務員の給与とのバランスというようなことで困難があるとすれば、そういうふうなことも考えられないものかどうかということを、一つ真剣に検討してもらいたいと思います。これはどうしてもやらなければいかぬ。これは民間では、どうしても応用科学だけしか頭が向きません。そうかといって、政府の現在のあり方では、あのものさびしい設備では、だれも学者の良心を満たしてくれるわけではありませんし、給与も少ないということで、そう言っては大へん失礼ですが、一流の人材がここに集まるとは考えられない。学者にしても、大学にしても、その通りであります。従って、この基礎研究の、ほんとうに日の目を見ないような研究に学者が良心を持って従事することのできるような総合的な機関というものは、どんなことをしても作る。あなたが実力者大臣だといわれるならば、その名にふさわしい成果を上げようとするならば、このことだけはぜひやってもらわなければいかぬ、こう私は痛感をするわけであります。  それと、これは基本的なことにつながる問題でありますけれども、マックス・プランク協会あるいはドイツの研究協会あたりへ行って、ことごとに強調いたしますのは、政府の干渉は絶対許さない、学者の良心に従って研究するという、この厳然たる態度であります。日本では、民間に補助金を与えますけれども、すぐ報告書を出せといって、報告書を出すような方向に研究がゆがめられてしまう。あるいはすぐに大きなアドバルーンを上げて、海洋工学あるいは電子工学というふうな大きなアドバルーンを上げないと予算がとれないという、予算折衝上の技術が伴うと思います。しかしながら、これではなくて、ほんとうに学者にまかせてしまう。金だけはとにかく科学技術会議か何か知りませんが、そういうところで予算をとれば十分に与えるという形にしておいて、あと研究の内容については一切関与しない。この態度がないと、健全な科学技術の基礎的な併発というものは進展をしない。これは痛切に私は感じたわけであります。従って、この点についても、科学技術基本法あたりでもそういう問題は出るかと思いますけれども、アドバルーンを上げて、それでもって予算をとるというふうなことではなくて、基礎科学は大事なのだ。従って、これは学者の良心にまかせる。予算はできるだけ、十分とはいわないまでも、学名の良心を満たすに足るだけの予算を確保してやる。研究機関は統合する。こういうふうな問題が基本的に打開されない限りは、日本の将来の繁栄は望めない。トランジスターと同じように、向こうの原理、研究を製品化することは非常に日本はうまい。頭の回転は早いけれども、それを土台として上に上がるという基礎的な知識の積み上げというものは何もないということでは、いつまでたっても物まねの域を出ないということを、これは多くの人に指摘されておるところでございますけれども、痛感をするわけであります。  従って、私は質問の要点をしぼりまして、予算の編成とまでいかなくても、勧告をして、これを尊重するような機関を確立できるかどうか。あるいはまた、せっかくこういう団地ができる、あるいは行政機構の改革というような機運になったときに、この研究機関の統合ということはむずかしいと言わないで、政治生命をかけてもこれはやらなければ日本はだめだという熱情を持って一つこれに当たってもらえるかどうかという点と、さらにほかにいろいろございますけれども、政府の干渉を排し、学者の良心にまかせるという意味での研究体制というものをしくことをあなたはどうお考えになるか。こういう点で一つ御所見を伺いたいと思います。

三木武夫自由民主党科学技術庁長官

○三木国務大臣 一つの予算編成権ということになってきますと重大な変革でありますから、編成権という問題に触れなくても、科学技術庁はその調整機能という本来の大きな役割があるのですから、予算編成を、一つの研究題目についてはこれを一元的に大蔵省とも折衝して、そして計上できるような仕組みに持っていく必要があるというふうに考えます。今後の予算編成に強力に、そういう調整機他というものを発揮していきたいと考えております。  第二の人材養成、これは全く説の通りでございます。しかし、研究施設とか、あるいは待遇条件とか、いろいろな点で民間あるいは国立研究機関等においてアンバランスがあることは事実であります。これを公団のような組織にしたらどうかというお話でありましたが、国立研究機関のあり方という点に、これは研究してみたいと思っておるのであります。現存の機構を一つ検討してみたい。公団ということはどうかということも、検討の一つの問題として取り上げたい。ただ、都市の人口集中などの面から、少し研究機関を郊外に、という意見が有力に政府の内部にも起こり、研究都市のようなものを作って研究機関の団地化をやることは必要なのではないかという考え方も起こっておるわけでございます。かたがた、そう機運もあるわけですから、研究機関の一つのあり方と申しますか、公団という問題もひっくるめて検討を加えてみたいと考えております。  それと、研究の自由、これはもう非常な大原則だと思う。研究を政治的にいろいろ曲げるということは邪道でありますから、やはり研究の自由という原則は、これは大きな学問に対する大原則だとは思いますが、しかし、やはり究極において人類の福祉に寄与するという大きな役目をそれは持っておることは、これはもう否定するわけもないのであります。そういう点で、研究の自由の原点の上に立ちながらも、研究者が、それは人類の福祉に寄与するんだという、そういう科学技術の一つの目標というものは持たなければいけないのではないか。そういう大きな一つの制約の上に立つことは、これはもう人間社会として当然だと思う。しかし、原則としては石川、委員の言われる通りだと思います。

石川次夫日本社会党

○石川委員 長官の御答弁はきわめて常識的で、弁駁の余地はないと思うのです。しかし、私が言いたいのは、科学技術庁の予算の調整権ぐらいでは、飛躍的に科学技術行政を振興させるための予算をとることは不可能だ、どうしても別の権威ある機関を設けることによって、編成権まで持たなくても、勧告することによってそれを尊重するというような措置だけは少なくとも必要じゃないか、というふうに考えます。それから、公団にするかどうかというふうな問題につきましては、これはまだ研究の余地があります。これは言うまでもなく、これからわれわれとしてもまた研究しなければならぬというふうに考えます。あれやこれやずっと含めまして、きわめて常識的な答弁で、私は弁駁もできない形でありますけれども、要は現在の形ではどうにもならぬ。せっかくあり余る優秀な才能を日本は持っておると私は確信をしておるのですが、これが全部埋もれて単なる物まねということであったのでは、本質的な日本の発展というものは望むことはできないという意味で、政府の体制というものを根本的に変えるということはぜひ必要なんだという基本理念に立って、一つ勇断をふるうということを望みたい。いずれ、こまかい点については、あらためて質問したいと思います。きょうは時間がないようでございますから、これで打ち切ります。

前田正男自由民主党

○前田委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明十五日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、南極地域観測等に関する問題について調査を進め、同日午後一時、科学技術の基本問題に関する小委員会を開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十五分散会

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