科学技術振興対策特別委員会 第3号
- 発言数
- 7 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1962/01/26
会議録
○前田委員長 これより会議を開きます。 この際、小委員会設置の件についてお諮りいたします。 理事会における協議に基づき、科学技術の基本問題について調査を行なうため、小委員十四名よりなる科学技術の基本問題に関する小委員会を設置することとし、その小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○前田委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。それでは小委員に 赤澤 正道君 齋藤 憲三君 中曽根康弘君 西村 英一君 山口 好一君 菅野和太郎君 佐々木義武君 岡 良一君 河野 正君 山口 鶴男君 石川 次男君 松前 重義君 内海 清君 前田 正男 以上十四名を指名いたします。 なお、小委員長には私が当たることにいたしますが、御了承のほどお願いいたします。 ————◇—————
○前田委員長 次に、科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。 本日は、三木国務大臣より科学技術振興のための昭和三十七年度における基本的施策についてその所信を承り、また昭和三十七年度科学技術庁関係予算の説明を聴取することといたします。 時間の関係で、先に昭和三十七年度科学技術庁関係予算の説明を聴取することといたします。松田会計課長。
○松田政府委員 昭和三十七年度の科学技術庁の予算案について御説明申し上げます。 まず、昭和三十七年度一般会計予算といたしまして、歳出予算額百二十七億二千九百万円、国庫債務負担行為額三十一億五千三百万円を計上いたしました。これを前年度予算、歳出予算額百十九億三千九百万円、国庫債務負担行為額二十四億四千九百万円に比較いたしますと、歳出予算額七億九千百万円、国庫債務負担行為額で七億四百万円の増額となっております。右のうち原子力関係といたしましては、昭和三十七年度歳出予算額七十八億五千七百万円、国庫債務負担行為額十五億二千百万円でございまして、前年度の歳出予算額七十五億六百万円、国庫債務負担行為額十八億三千九百万円に比較いたしますと、歳出予算額で三億五千百万円の増額、国庫債務負担行為額で三億一千八百万円の減額となっております。 次に、科学技術庁予算要求額のうちおもなる事項につきまして、お手元に提出いたしました予算要求総表の順を追って、その大略を御説明申し上げます。 第一に、研究機関等の刷新整備、充実をはかりますために歳出予算額八十八億七千万円、国庫債務負担行為額三十億六千五百万円を計上いたしました。これを前年度予算歳出予算額八十七億六千七百万円、国庫債務負担行為額十八億一千九百万円に比較いたしますと、歳出予算額で一億三百万円、国庫債務負担行為額で十二億四千六百万円の増額となっております。 試験研究機関の施設、設備等を刷新整備いたしまして、試験研究の推進をはかることは、当庁の大きな事業の一つでありまして、その予算の増額について努力いたして参りましたが、主要施設の一部が完成し、または完成に近づいたためと、第二次計画として着工するものの支払いが、昭和三十八年度以降に行なわれる予定のものがありますため、歳出予算額の増に比べまして国庫債務負担行為額が相当増額になっております。 (一)、航空技術研究所におきましては、昭和三十一年度以降遷音速並びに超音速機関係の施設を中心に第一次整備計画の完成に努力して参りましたが、昨年十二月航空技術審議会が当面の重要研究目標及びその推進方策について答申をいたしましたので、その線に沿って、垂直及び短距離離着陸機の試作開発及びロケットに関する技術の基礎研究に必要な研究設備の整備をはかることといたしました。このほか第一次整備計画のうち、未着手でありました実験用航空機並びにその付属測定機器の整備をはかることといたしました。このため歳出予算額十七億二千三百万円と国庫債務負担行為額十一億四千六百万円を計上いたしました。 (二)、金属材料技術研究所におきましては、昭和三十一年度以降金属材料技術に関する基本的設備に重点を置いて整備をはかって参りましたが、明年度も引き続き材料試験、化学分析試験、鋳造実験関係の設備の整備をはかるほか、低温実験関係の設備の完成をはかることといたしております。このため歳出予算額八億千二百万円を計上いたしました。 (三)、放射線医学総合研究所におきましては、放射線の医学的利用、放射線による人体の障害の予防、診断及び治療に関する研究設備の整備が逐次完成して参りましたので、これらを利用して本格的な試験研究を開始するための試験研究費の増額をはかりましたほか、放射線防護剤の研究を拡充するため薬学研究部の新設及び放射能調査の万全を期しますための放射能検査機能の充実並びに動物を実験体とするための施設の整備等をはかることといたしております。このため歳出予算額四億五千九百万円を計上いたしております。 (四)、国立機関の原子力試験研究につきましては、各省庁の試験研究機関等において原子力に関する試験研究を実施いたしておりますが、この分野に属する研究の実施に必要な経費は、当庁に一括計上することになっておりますので、明年度は原子力船、原子炉用材料、放射線の測定、放射線の障害防止、同安全対策及び放射線の利用等の試験研究に必要な設備の整備をはかることといたしております。このため六億五千五百万円を計上いたしました。 (五)、日本原子力研究所におきましては、まず新規事業としまして、放射線化学の工業化中間試験研究を行ないますため、放射線化学中央研究所を現在の東海研究所とは別個に設置することにいたしております。次に、原子炉の整備関係につきましては、動力試験用原子炉を昭和三十七年度末までに、また原子力船の遮蔽研究用原子炉を昭和三十八年度末までに完成させる予定にいたしております。また試験研究関係といたしましては、原子炉を中心とした各試験研究のほか、プルトニウム研究の本格的な開始、大型電子計算器の設置及びラジオ・アイソトープの製造試験工場の建設等を行なう予定にいたしております。 以上の諸事業を行なうため必要な経費に充てるため、政府出資金四十四億九千万円と国庫債務負担行為額十四億三千三百万円を予定いたしております。 (六)、理化学研究所におきましては、まず移転関係につきましては、移転予定地の正式転用許可があり次第、物理棟の建設をはかることにいたしております。このほか、多年の懸案でありました大型サイクロトロンの建設を開始することにいたしております。また、経常事業といたしましては、特別招聘研究員のための研究室、農薬の開発を目的とした有機合成研究室等三研究室を新設するほか、研究設備の整備、研究費の充実等をはかることにいたしております。このため政府出資金七億三千万円と国庫債務負担行為額四億八千六百万円を予定いたしております。 第二に、重要総合研究の推進といたしましては、生活環境の改善、宇宙科学技術の開発及び原子力平和利用等を目的とする研究開発をいたしますために、それぞれのテーマを総合的観点から推進いたしますことは科学技術振興上きわめて重要な事業と考えられますので、六億八千百万円を計上いたしました。これを前年度予算に比較いたしますと、九千九百万円の増額となっておりまして、そのおもなる事項の内訳は、 一、原子力平和利用研究の助成につきましては、原子炉及びこれに関連する機器、材料等の国産化、核融合、原子力船、ウラン濃縮、原子炉の安全性及び放射性同位元素の利用等の研究を前年度同様民間企業等に実施させるため研究費補助金及び研究委託費を三億百万円計上いたしました。 二、宇宙科学技術の開発につきましては、前年度に引き続き内外の開発状況の調査及び日米両国の科学技術者会議の開催等基礎的な調査研究を行ないますとともに、昭和三十五年度から部分的に開発研究を行なって参りました気象観測用ロケットの試作研究の完成と、その打ち上げに必要な経費を計上いたしております。このほか本年度に引き続き人工衛星に装備されます計測装置等の技術を開発して参る計画でありまして、このため一億二千三百万円を計上いたしました。 三、多数部門関連試験研究の助成につきましては、多数部門の協力を要する試験研究及び各種研究に共通する試験研究を総合的に実施しようとするものに対する研究費補助金及び研究委託費としまして七千四百万円を計上いたしましたが、これは人工降雨の試験研究を南九州及び北関東の二地区で行なうほか、環境科学技術の振興をはかるため、大気汚染、水質汚濁、及び騒音の防止研究等を行なうことにいたしております。 四、特別研究促進調整費の活用につきましては、予見しがたい事態が生じた場合に、各省庁の所管にかかわる研究業務の相互間の調整をはかりまして、特に推進する必要のある特別な研究を、総合的に促進するためにきわめて効果的役割を果たしております特別研究促進調整費を本年度よりさらに増額をはかって、一億八千百万円を計上いたしました。 第三に、国産新技術の開発でございますが、技術革新の重要性にかんがみ、国産新技術の開発利用、特許発明の実施化試験等を積極的に行なう必要がありますので、政府出資金、助成金等を合わせて四億七千三百万円を計上いたしましたが、前年度予算に比較いたしますと一億一千九百万円の増額となっております。その内訳は、まず (一)、新技術開発事業団については、理化学研究所より分離独立した第二年目になりますことと、機構、人員等も一新され、本格的活動が明年度に期待されますので、開発委託費を増額して大いに事業の発展をはからしめたいと考えております。このため政府出資金四億二千万円を計上いたしました。 (二)、発明実施化の促進をはかるため、優秀な発明考案であるにもかかわらず、経済的理由からその発明品の試作をすることが困難な個人または中小企業者に対して、発明実施化試験費補助金を引き続き交付することにして二千五百万円を計上いたしました。 (三)、地方発明センターの増設につきましては、昭和三十五年度以降全国主要地区に設立されて参りましたが、明年度もその設置を予定されている地区が二カ所ほどありますので、その助長育成をはかるため施設費の一部を補助することとし、二千八百万円を計上いたしました。 第四は、原子燃料の開発でございますが、核原料物質、核燃料物質の開発及び濃縮ウラン等の購入等、原子燃料につきましては歳出予算額十七億八千五百万円、国庫債務負担行為額八千八百万円を計上いたしました。前年度予算と比較いたしますと歳出予算額で三億三千二百万円の増でございまして、国庫債務負担行為額で五億四千二百万円の減となっております。その内訳は、まず (一)、原子燃料公社におきましては、核原料物質の探鉱は前年度に引き続き人形峠及び東郷鉱山に重点を置いて探鉱を行ないますほか、山形、新潟県境の小国地区及び新潟県三川赤谷地区等の精査を組織的に行なうことにいたしております。 また、採鉱については人形峠鉱山において二段採鉱試験を実施するほか、洗鉱試験中間規模プラントの建設を行なう予定にいたしております。次に粗製錬・精製錬につきましては、東海製錬所において中間規模試験を続行し金属ウラン約十六トンを生産する予定にいたしております。このほか燃料検査技術の開発を一段と強化いたしますとともに、燃料再処理関係の調査を促進し再処理試験施設の建設を実施する予定にいたしております。このため政府出資金十二億五千万円を計上いたしました。 (二)、次に核燃料物質の購入等につきましては、日本原子力研究所を初め、各大学等に設置されている原子炉または臨界実験装置等に使用される濃縮ウラン等の購入費及び賃借料でありまして、総額五億三千一百万円と国庫債務負担行為額八千八百万円を計上いたしましたが、そのおもなるものは日本原子力研究所の動力試験用原子炉の燃料であります。 (三)、また核原料物質の探鉱奨励につきましては、民間鉱業権者の行ないます核原料物質の探鉱につきましても、引き続きこれを奨励助長していく考えでおります。このため四百万円を計上いたしました。 第五に、放射能調査及び安全対策についてでございますが、核爆発実験の再開に伴なう放射性降下物の防護はもとより、原子炉及び各種放射線取り扱い施設の急増に伴う安全対策もきわめて重要なことでありますので、すでに申し述べました国立機関及び民間等に研究費、補助金等をそれぞれ計上して、その対策研究を進めて参りますが、それらの経費とは別に九千二百万円を計上いたしました。これを前年度予算に比較いたしますと、四千二百万円の増額となっております。 その内訳は、まず (一)、放射能調査につきましては、放射能調査分析及び対策研究等について、昭和三十六年度一般会計予備費を一部充当して、その強化をはかって参りましたが、放射性降下物の影響が長期間に及ぶことを考慮いたしますと、これらの調査研究を一層充実強化する必要がありますので、七千六百万円を計上いたしました。 (二)、放射性廃棄物処理事業の助成につきましては、放射性廃棄物による障害防止をはかるため、病院及び研究機関等より発生する放射性廃棄物の収集及び処理事業等の業務を一元的に行なう者に対して、その施設の拡充、収集能力の強化をはかるため七百万円を計上いたしました。 (三)、放射線監視につきましては、原子力施設周辺特に東海村原子力施設周辺の環境調査のため、モニタリング・カーを設ける等、放射線監視を強化するため、新規事業費として九百万円を計上いたしました。 第六は、国際交流の促進でありますが、外貨収支悪化の状況にかんがみまして、外貨を要する支出は極力抑制しておりますが、国際交流の強化は科学技術の振興上きわめて有効適切な事業であると考えられますので、一億一千六百万円を計上いたしました。これを前年度予算と比較いたしますとわずかな減額となっております。 その内訳は、まず (一)、国際科学技術会議等の出席につきましては、科学技術に関する国際会議に出席して意見の交換を行ない、または海外諸国のすぐれた研究施設等の調査を行なうため、一千七百万円を計上いたしました。 (二)、次に国際科学技術者の交流につきましては、わが国の研究者と海外の研究者と相互に交換して、その技術の交流をはかることは、国内科学技術水準の向上をはかるばかりでなく、国際協力の一助ともなり得るものと考えられますので、前年度よりも人員の増加をはかることにいたしております。このため六百万円を計上いたしました。 (三)、また在外研究員の派遣につきましては、海外先進諸国へ、そのすぐれた科学技術を習得するために、研究公務員を派遣して、留学せしめる経費として九千三百万円を計上いたしました。 第七は、科学技術情報活動と普及啓発でございますが、科学技術に関する情報の収集整理及びその提供等の事業を強化し、また科学技術に関する普及啓発事業を活発に行なうために三億三百万円を計上いたしました。これを前年度予算に比較いたしますと五千三百万円の増額となっております。その内訳は、まず (一)、日本科学技術情報センターにおける情報の提供業務は逐年着実な伸展を続け、特に受託調査サービス件数は急速な増加を示して参りました。明年度は収集誌数を増加してその内容の充実をはかって、真にわが国の唯一の科学技術情報の中枢的機関としての機能を発揮させたいと考えております。このため政府出資金及び補助金として、一億五千一百万円を計上いたしました。 (二)、次に日本科学技術振興財団の助成につきましては、明年度末には名古屋市における科学館、大阪市の科学センタービルが相次いで完成するほか、昨年末起工式を行ないました東京都における科学技術館が完成する予定になっております。従いまして、これらの会館に展示する科学技術に関する模型品等の設備費の一部を補助して、日本科学技術振興財団設立目的の一つである科学技術に関する普及啓蒙の事業を強化充実させることにいたしたいと考えております。このための補助金として一億五千万円を計上いたしました。 第八は、資源総合利用方策等の調査を強化することでありますが、資源調査会を中心として、土地資源、水資源、保全防災及びエネルギー等資源の総合的利用方策の一般問題について調査を継続的に行ないますほか、特に資源構造の変動に伴う特別の調査を実施する予定にいたしております。このため、二千六百万円を計上いたしました。これを前年度予算と比較いたしますと三百万円の増額となっております。 以上の諸事業のほか、科学技術会議、原子力委員会及び科学技術庁の一般行政を実施いたします人件費、事務費等に必要な経費として三億八千三百万円を計上いたしました。 最後に、長官が所信表明におっしゃるはずになっております研究調整局の新設でありますが、これは当庁の重要な任務であります研究の総合調整機能を画期的に強力に推進するための機構改革でありまして、所要の予算を計上いたしております。 以上簡単でありましたが、昭和三十七年度の科学技術庁予算についてその大略を申し述べた次第であります。
○前田委員長 次に、三木国務大臣より科学技術振興のための昭和三十七年度における基本的施策について、その所信を承ることといたします。三木国務大臣。
○三木国務大臣 近年におけるわが国経済は急速な発展を遂げ、国民生活も着実に向上を遂げて参りました。その基盤となり原動力となったのは科学技術の発展であることは申すまでもないところであります。政府におきましても、つとに科学技術の振興の重要性を認識し、明年度の予算編成にあたり新時代に即応する科学技術の開発に最も力点を置いたところでありますが、国民所得倍増計画を効率的な遂行し、貿易自由化計画を実現するためにも、かつまた最近の諸外国における驚異的な技術革新のさなかにおいてわが国が先進諸国に伍して繁栄するためにも、科学技術の振興をはかることはまさに刻下の急務でありまして、私に課せられた責務の重大性をあらためて痛感する次第であります。 以上の観点に立ちまして、私は明年度におきましては、わが国にふさわしい科学技術振興施策を確立し、その具体化に努力して参る所存であります。特に次のごとき諸施策を強力に実施して参りたいと存じています。 まず、近年科学技術の著しい発達は、一面において専門の細分化をもたらすとともに、他方研究の総合性を必要としております。このような情勢にかんがみ、特に各部門の協力を要する重要研究については、重要総合研究として関係各省庁等と調整をとりつつ、その総合的計画的推進をはかることが緊要であります。特に大気汚染、水質汚濁、騒音等、産業の発展がもたらす災害を防止し、さらに国民生活環境の積極的向上をはかる科学技術に関する研究については、従来総合性に欠け、必ずしも十分に行なわれておらず、これらは国みずからが早急に取り上げねばならない重要研究でありますので、その強力な振興をはかりたいと存じています。次に、宇宙科学技術の推進につきましては、最近の宇宙科学技術の急速な発展にかんがみ、わが国に即応した宇宙開発に関する科学技術を一段と促進するような措置を講じていく所存であります。なお、台風、集中豪雨等、各種災害の予知及び対策に関する防災科学技術、さらには海洋科学技術、電子科学技術等、多数部門の協力を要する総合的試験研究についても積極的な推進をはかって参りますとともに、三十五年度より実施されてきた特別研究促進調整費制度につきましては、今回この事業を拡大し、不測の事態に対処する重要研究の総合的推進に遺憾なからしめたいと存じます。以上の重要総合研究の推進をはかるためには科学技術庁の機構を強化する必要がありますので、これらの事務を中心に、新たに研究調整局を新設する予定にしております。 第二に、国立試験研究機関につきましては、技術革新の目ざましい伸展に伴いますますその任務の重大性を増しつつありますが、この事態に即応すべくそのあり方を再検討し、国立試験研究機関を刷新充実する必要があります。政府は、先般これがための方策を科学技術会議に諮問しておりますので、その答申を待ってその刷新充実策を実施して参りたいと存じます。また、国立試験研究機関において研究に従事する研究公務員の処遇の改善につきましては、さらに一そうの努力を払って参る所存であります。なお、当庁所管の試験研究機関につきましては、航空技術研究所において第二次五カ年計画の初年度として垂直離着陸機、短距離滑走離着陸機等の研究を開始させることとなり、金属材料技術研究所及び放射線医学総合研究所についてもそれぞれさらに充実した研究を行なわせるとともに、理化学研究所につきましては、その研究陣容を拡充すると同時に、移転のための工事に着手する運びにする予定であります。 第三に、科学技術者の需給は今後ますますその逼迫度を加えることが予想されますので、科学技術者の養成につきましては特に当庁としても意を用いてきたところであります。今般文部省において大学理工系学部及び高専の新増設により、かなりの科学技術者の確保が将来においてはかられることになったことはまことに喜ばしいことでありますが、さらに私は、青少年に対する科学技術知識の普及をはかるため、日本科学技術振興財団を助成し、その活動を一そう活発ならしめたい所存であります。 第四に、科学技術の国際交流につきましては、科学技術研究が今や国際的規模において行なわれるべき時代となり、科学技術に関する国際交流はますますその重要性、必要性を増しつつあるところであります。従いまして、今後とも国際機関の行なう研究には積極的に参加し、アジア地域ラジオ・アイソトープ訓練センターを日本に設置する等、技術援助の推進をはかり、国際会議への参加を積極化するとともに、科学技術に関する国際会議のわが国における開催を大いに努力する所存であります。特に三十七年度におきましては、アジア原子力国際会議をわが国において開催するとともに、すでに実施されている日豪間のほかに、主要な西欧諸国との研究者の交流を開始する予定であります。さらに日米間におきましては、昨年十二月日米科学委員会の第一回会合を持ちまして、科学協力の方針、分野についての方向づけができましたので、今後科学協力の具体化をはかって参りたいと考えております。 第五に、原子力利用につきましては、さきに定められた原子力開発利用長期計画の円滑なる推進をはかるため、従来の研究、開発の上に立って基礎及び応用面の拡大強化をはかる所存であります。すなわち、既定計画に基づく動力試験炉、遮蔽研究炉の建設、燃料再処理、プルトニウム燃料及び原子力船等の分野における研究開発の活発な推進を期するほか、昭和三十七年度は特に放射線化学中央研究所を新設して、この分町における研究開発の画期的な伸展を期したいと存じています。また、核爆発実験に伴う放射能対策につきましては、昨年十月以降、内閣に放射能対策本部を設け、各般の措置を講じて参りましたが、降下放射能の長期化に対処して、原子力局において各省庁における放射性降下物の障害の防止のための対策に関する事務の総合調整事務を所掌せしめることとする等、これが対策に万全を期して参る所存であります。 第六に、わが国技術の海外依存体制からの脱却をはかり、国産新技術を育成する必要があります。これがため、昨年発足いたしました新技術開発事業団の業務の画期的強化拡充をはかるとともに、他方民間の研究活動を促進強化するため、研究法人制度を創設し、科学技術に関する研究を行なう研究法人に対しては、税制上の優遇等強力な助成措置を講ずべく研究法人法案の作成について目下鋭意検討を進めつつあるところであります。 第七に、科学技術に関する普及啓発、情報活動の強化についてであります。国民各層に対する科学技術思想の普及啓発を行なうため、前にも述べました日本科学技術振興財団に力強い援助を行なうとともに、科学技術情報の収集提供の中枢機関としての日本科学技術情報センターの機能の増強をはかる予定でありますが、その他経済の高度成長と技術革新による資源利用構造の変化、公害の拡大等の諸問題については、特に地域開発を推進する観点から資源総合利用の調査活動を強化し、発明奨励活動の充実等につきましても十分配慮いたして参りたいと存じます。 最後に、科学技術を画期的に振興するためには、統一的な指針が必要でありますので、科学技術に関する基本理念を明らかにし、総合的基本的態勢を整備することを目途として、研究のあり方、国のとるべき施策、科学技術振興計画の策定等の内容を盛り込んだ科学技術に関する基本法を制定すべきであると考えており、目下科学技術会議で慎重審議中でありますので、その答申を待って法案の作成を進めていきたいと存じます。 以上、当面の施策の大綱について申し述べたのでありますが、わが国科学技術振興施策の重要性にかんがみ、その施策に微力ながら万全を期して参りたいと考えております。委員各位の御支援御協力を切にお願いしてやまない次第であります。
○前田委員長 以上をもって三木国務大臣の所信表明並びに予算説明は終わりました。 これらに対する質疑は後日に譲ることといたします。 次会は公報をもってお知らせいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時三分散会