運輸委員会 第28号
- 発言数
- 138 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1962/05/06
会議録
○簡牛委員長 これより会議を開きます。 議事に入ります前に、一言申し上げます。 去る三日夜、国鉄三河島駅付近における列車衝突事故により、多数の犠牲者を出しましたことは、まことに遺憾に存じます。委員会を代表いたしまして、犠牲者の方々並びに遺家族の皆様に、この際、深く哀悼の意を表したいと存じます。 国鉄の経営に関する件について、調査を行ないます。 この際、去る三日、常磐線の三河島駅構内において発生した衝突事故について、運輸省当局より発言いたしたい旨の申し出がありますので、これを許します。齋藤運輸大臣。
○齋藤国務大臣 今回常磐線の三河島駅構内におきまして、重大な列車衝突事故を惹起いたし、多数のとうとい人命を失いますとともに、多くの重軽傷の方々を出すようになりましたことは、まことに遺憾のきわみでございまして、申しわけない次第と存じます。つつしんでなくなられました方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、遺族の方々に対しましては、心からお見舞を申し上げ、また、負傷された方々の一日もすみやかに御快癒になられることをお祈りいたしておる次第でございます。 事故の概況について申し上げますと、発生をいたしましたのは、五月三日の二十一時三十七分、場所は常磐線の三河島駅構内でございます。下りの貨物列車が田端操車場を定時に発車をいたしたのでありますが、三河島駅では、下りの六両編成の電車を所定通り先行させますために、貨物列車に対して停止の措置をとったわけであります。ところが、この貨物列車は、停止することなしに三河島駅の出発信号機の停止信号を越えまして、そうして行きどまり線に突入をし、機関車及びこれに続く貨車一両が脱線をいたしまして、下り本綿を支障いたしました。たまたま三河島駅を四分おくれて出発をいたしました下りの電車が、これに接触をいたしまして、前から二両目までの電車が脱線をして、上り本線を支障いたしたのであります。このときに、電車の多くの乗客が上り線側の方に下車をいたしました。そうして歩行を開始いたしたのであります。ちょうどおりから三河島駅に二分おくれて到着する予定で進行して参りました上り電車、これは九両編成でありますが、これが前に申しました下りの電車に接触をいたしまして、前から四両目まで脱線大破をいたしました。うち二両目と三両目とが築堤下に転落をいたしたのであります。なお、このときに下りの電車、先ほど脱線をいたしたと申しましたが、その電車の前から二両目までが大破をいたしました。このために、両電車の乗客多数が死傷をせられたわけでございます。 きょう、五月六日の九時現在判明をいたしておりますところによりますと、死亡が百五十五名、負傷が二百五十一名、計四百六名となっております。なお、負傷者のうち、重傷の方々が六十六名おられます。中程度の負傷の方が九十名、軽傷の方が九十五名ということになっております。重傷、中傷の方々は、入院中でございまして、できる限りの治療を国鉄当局でいたしておるわけでございます。 次に、事故の原因について申し上げますと、詳細は目下取り調べ中でございます。ことに司直の手で厳重な取り調べを進められているのでありますが、大体われわれの見ますところでは、下りの貨物列車の機関車の乗務員が、出発信号機の停止信号を確認しなかったということが一つ、さらに下りの電車の脱線の際に、上り電車がやって参りますについて、適当な防護の措置を欠いたということが重要な原因である、かように考えております。いずれも市大な過失あるいはこれに類することでございまして、この点、まことに申しわけない次第だと存じております。直接これらに関係のあります機関士、機関助士、車掌あるいは駅の助役、信号掛等十二名でございますか、そのうち、五角の関係者がただいま逮捕せられて取り調べ中でございます。 次に、国鉄の行ないました当座の処置といたしましては、事故発生と同時に、東京の鉄道管理局の幹部及び鉄道病院救護班を現場に急行いたさせまして、三河鳥駅に現場対策本部を設けまして、職員約二千七百名を動員いたしますとともに、警視庁約千五百名、消防庁約九百三十名、及び地元各位の熱誠あふれる応援を得まして、死傷者を付近の病院等に収容、救護に当たったのであります。関係各庁を初め、地元の方々のこれらの応援、御声援に対しましては、心から感謝をいたしておる次第でございます。 一方、本社及び東京鉄道管理局に対策本部を設けまして、事後の処置に遺憾なきを期して参っておるわけでございます。しかし、ああいう際のことでございますから、いろいろの手落ちその他があることをおそれておるわけでございます。 なお、当座の見舞金といたしまして、香典料としてなくなられた方に対しましては十万円、それから負傷された方には最高三万円のお見舞金をさしあたり国鉄当局からお出しをいたしておるわけでございますが、御遺族に対しましては、慰謝金はできるだけのことをいたさせるように国鉄当局に申し入れておるわけでございます。さしあたって御要望のある場合には、内金として二十万円は正当の債権者に対して無条件にお支払いをするようにいたさせておるわけでございます。 以上で、概況の報告を終わるわけでございますが、私といたしましても、事の重大性にかんがみまして、四日早朝、国鉄総裁が御報告にお見えになられました際に、十分事故の原因を究明をいたしますとともに、今後かかることのないように、厳重に措置をせられるよう警告を申し上げておいたわけであります。 なお、国鉄当局でも、これらの遠因、近因を十分調べるはずでございまするが、私といたしましても、監督の責任上、十全を期したいと存じまして、国鉄の監査委員長あてに、今回の事故に関する特別監査命令を出しまして、特に国鉄管理体制のあり方について、徹底的に調査をいたさせることといたしまして、再びこういう重大事故の起きないように万全の措置をとりたい、かように決意をいたしておる次第でございます。 何とぞ御了承をいただきたいと存じます。
○簡牛委員長 次に、国鉄当局より発言を求められておりますので、これを許します。十河国鉄総裁。
○十河説明員 ただいま運輸大臣から詳細御報告がありましたように、このたび、とんでもない大事故を起こしまして、百五十五名という多数のとうとい犠牲者を出し、二百五十一名という多数の重軽傷者を出したということは、まことに申しわけない次第であります。私は、心から国民に対しておわびを申し上げ、これらの犠牲となられた方々の御冥福を祈り、また御遺族の方々に対しましては、今後あらゆる努力をいたしまして、でき得る限りのお世話をいたしたい。また、負傷せられました方々に対しましては、先ほども大臣からお話がありましたように、われわれの持っておりますすべての力、特に医療機関を総動員いたしまして、でき得る限りのお手当をいたしたい。そうしてすみやかに快癒せられることを祈っておる次第であります。 私、当日旅行いたしておりまして、旅行先でその報告を受けまして、列車がありませんから、自動車で夜通し帰って参りました。自来、現場を見、犠牲となられた方々の御家庭を弔問いたしまして、心からのおわびを申し上げ、また、御冥福を祈り、病院をお見舞して、皆様に手落ちがないようにお手当のできるようにということを努力いたしておるような次第であります。 このたびの事故は、先ほども運輸大臣からお話のありましたように、信号の確認が十分でなかった、あるいは防護措置が適切を欠いたというふうな、われわれの側の落度で、この点に対しましては、何ともおわびのしようがない。ただこの上は、今後こういう事故を起こさないように、さらに一段と努力をするということでないかと考えまして、いろいろと今後の処置につきましても、本社に対策本部、また支社、特に現地にも対策本部を作りまして、万全の策を講じたい、こう考えております。 事故の原因、責任等の究明につきましては、先ほど運輸大臣からお話のありましたように、運輸大臣の方で監査委員長に特別の命令をお出しになり、国鉄部内におきましても、委員会がありますから、その委員会で慎重に究明をいたしまして、事後の措置をとりたいと考えておる次第であります。 重ねてこの機会に、私は、犠牲者になられた方々、その御遺族、負傷せられた方々、その他国民一般に対しまして、国鉄を代表する責任者として、深くおわびを申し上げる次第であります。
○簡牛委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。關谷勝利君。
○關谷委員 まず、なくられた百五十余名の方々に対しまして、深く弔意を表しますとともに、負傷せられた方々の一日も早く回復せられんことをお祈り申し上げる次第であります。 今回のこの惨事は、実に目をおおわしめるようなものがあるのでありまして、しかも、これが国鉄の一方的な責任ということがはっきりといたしておるのでありまして、今回は、今までの事故と比べまして、世論も非常にきびしいのであります。まず、この点を、よく国鉄当局は銘記してもらいたいと思います。ただいまも、総裁から、いろいろと特別監査を命じておる、あるいは遺族の方々に対しましては、十分な補償をするとか、いろいろ治療方面についても万遺憾なきを期しておる、こういうふうなお話があったのでありまするが、私は、今回の事故に対しては、ただそれだけの物質的な面等だけでは済まされないものがある、このように考えておるのであります。今まで事故がありますると、国鉄当局は、まことに遺憾である、まことに相済まぬ、こういうふうなことを、紋切り型のようなあいさつをいたしております。なお、そういう場合におきまして、いつも言いまするのは、国鉄当局におきましては、言いわけのようなことばかりをいたしております。労組もまた、そういう際には、何かオーバー・ロードだ、何かが足りないのだというふうな要求めいたことばかりを言うて、いささかも反省する空気が見えないのであります。経営者にいたしましても、従業員にいたしましても、反省の色が見えておりません。それがこうして次から次への事故となって現われ、さらに今回のような大惨事を引き起こすことになったと、世間はきびしく批判をいたしておりまして、両者に対しましては、何の容赦もない批判を浴びせかけておるのは、御承知であろうと思います。私たちが、今回あたりは、どこへ行ってみましてもこの話が出て、このごろの国鉄は労使ともに弛緩をしておる、たるんでおるということをみんなが言っておるのであります。こういうふうなことについて、総裁はどのようにお考えになっておりますか。私は、この事故を二度と起こさないようにするというふうなことを、これが総裁の責任だというふうなことを言われておりまするが、二度と起こさないということについて、特別監査あたりをやっただけで、これでできるものではありません。どういうふうなことで二度と起こさないようにできるか、そういうふうなことをする自信があるのか、お尋ねをしてみたいと思います。
○十河説明員 今後、こういう事故を起こさないようにいたしますためには、精神的あるいは物質的両面のいろいろな処置を講ずる必要があると思います。私は、先ほども申し上げましたように、まずもってあの事故の起こった状態、その原因等を究明いたしますとともに、運輸大臣の特別の命令をお出しになった監査委員会の報告を待ちまして、その上でさらにいろいろと考慮いたしまして、適当な処置を講じたい。そうして今後事故の絶無を期するように処置をいたしたい、こう覚悟いたしております。
○關谷委員 二度と起こさないために、物質的にも精神的にもと申しますが、物質的な、面は、今起こりましたその事態そのものに対して行なわれるのでありまして、その物質的の事柄が、二度とこういうことを繰り返さないという努力にはならないのでありまして、ただ今回の大きな事故に対しまする罪滅ぼしにしかならないのであります。そうしてこれから先二度とこういうことをなくしようといたしますためには、その精神的な面はどのような事柄かと申しますと、私は責任をどうとるかということであろうと思います。こういうふうなことに対して、総裁はどのようにお考えになっておりますか。
○十河説明員 ただいまも申し上げましたように、私ども自体でも十分に事故の原因等を究明いたしますし、さらに運輸大臣の命ぜられた特別の命令によって監査委員会で行なわれますその調査も待って、今後これらの事故を絶無にするためにはどうすればいいか、どういうふうにわれわれとして責任をとるべきかということについて、慎重に考慮いたしたいと考えております。
○關谷委員 あとにもたくさんの質問者があるようでありますし、時間の点もありますので、私は、二度とこのような事故を繰り返さないようにいたしますためには、その責任の所在をはっきりすることである、これだけを申し上げて、これから国鉄当局がどのようにせられますか、それを見守ることにいたしまして、私の質問を終わります。
○簡牛委員長 久保三郎君。
○久保委員 この事故に対して、私も、その犠牲者となられた皆さんに心からお気の毒を申し上げたいのでありますが、ただ単に気の毒である、これから一生懸命にやりますということだけでは、残念ながら、なくなった方の霊も浮かばれないのではなかろうかと思う。そういう意味で、私は二、三御質問を申し上げたいのであります。 まず第一に、本年度の予算審議の際にもくどく私から申し上げたのは、たとえば、ことしの国鉄の予算を見まして、当然、昨年の列車ダイヤの大改正に伴って、ともすればおくれがちの固定施設あるいは運転施設、そういうものを含めて、幾多改良せねばならぬのにもかかわらず、改良費は昨年に比して六十二億の削減になっている、この点についてはどうであるか、こういう質問をしているわけであります。私は、決してこの大惨事を予想して申し上げたわけではございませんが、昨年秋の列車大増発の実態から見ますれば、今日、国鉄自体は背伸びをした列車運転計画をしている、そこに大きな問題があるということを何回か指摘したわけであります。国鉄当局の御答弁は、いつもの紋切り型で、絶対に心配はございませんというのが答弁であります。この三河島の惨事一つ見ても、われわれが心配したことは、残念ながら事実となって現われた、こういうふうに私は思うのであります。特にこの列車ダイヤの問題でありますが、一つは、この貨物列車の二八七列車でありますか、この列車と、下りの二一一七H電車との問題があります。当然所定のダイヤならば、一七Hが先行して、貨物列車はそれに続くということでありますが、この電車が四分おくれでちょうど貨物列車と同時刻に三河島を通過するというか、出発した。そういう場合の防護処置というものが全然ない。しかも、きのう現地を見て参りましたが、電車の方に対しては、三河島の出発信号がある。さらにその先に、ちょうど貨物線との渡り線のところに、閉塞信号機が一本立っている。ところが、一方貨物列車は、三河島の駅に入るいわゆる場内信号があって、今度は出発信号は、先ほど言った本線の閉塞信号機のわきに、同じ高さに出発信号機として立っている。だれが考えてもわかりますのは、本線と副本線というか、そういう信号の装置が大体違っている。これに対しても、今まで十分わかっているはずだと私は思うのであります。こういうことについての改良計画というか、それはどう考えているか。 さらには、運転整備は厳格にやるべきだと思うのでありますが、運転整備もこれは漫然とやっていたのではなかろうか。 さらにもう一つは、安全側線の置き方でありますが、古い時代には、安全側線の中には、砂盛り線の中にかなり長距離にわたってレールを敷いておいて、砂の厚さは非常に浅くしておる。それによって、列車は転覆はしない格好になっておる。少なくともそこで自動的にもある程度ブレーキがかかる。ところが、最近の安全側線を見ますと、砂盛り線の中に入れるレールは非常に短い。その上に砂盛りの量はうんと多くなっている。この三日の三河島の安全側線を見ますと、砂盛りが非常に高い。高いために、機関車はこれに乗り上げてしまった。乗り上げたから、結局これが傾斜して、そこに電車が入ってきた。結局安全側線とは、単なるこれでもって列車の防護ができるのだという形式的な形になっていやしないか。安全側線が不安全側線になっているのではないかと私は思うのです。こういうことについての検討が今までなされているのかどうか、これも私は疑問の一つであります。 さらにもう一つは、従来何回かこの委員会を通して国鉄なり運輸省には各委員からもお話が出ている通り、今日の国鉄には大きなゆがみがある。そのゆがみをそのまま直さぬで、いわゆる経営第一主義に陥っている。公共企業体という、その公共企業体が、企業性だ力点を置かざるを得ないような立場に追い込められている。それに抵抗することも一切せずして今日までやってきていることを、何回か指摘している。そこに今日の問題があると思う。なるほど、国鉄総裁のもとにはいろいろな委員会なり諮問機関があるようでありますが、安全運転その他について指摘される事項は数少ない。いわゆる経営、経理の問題だけであります。しかも、片方には公共負担というものをしょいながら、これも合理的に実情にマッチした解決をとろうとは一切していない。 さらに、河村職員局長が新聞で談話を発表しておりますが、これは毎日新聞の談話でありますが、冒頭記者の質問に答えて彼がどう言っているかというと、後段でありますが、「むしろ根本的には狭い東京都に一千万人をこえる人々を集中させている政治のあり方に問題があるのではないか。」と、こう言っている。なるほど、これも一つの理由ではある。理由ではあるが、事故を起こした当面の人間の労務管理にあずかるところの職員局長が、この際この場所においてかかる言をはくことについては、われわれは納得がいかない。なぜならば、少なくとも労務管理の担当に当たる者は、国鉄内部に起きた事件についてのみ、今日談話を発表すべきだ。その責任についてこれを回避して、政治の貧困に片寄せようとするがごときは、断じてこれはとるべき筋ではない。むしろ、労務管理のまずさに今日問題がありはしないかということであります。しかも、この新聞は、あとで一線記者の座談会をやっております。こういう談話を聞いて、一体国民が納得するものかと言っている。その通り、私はそう思う。第一、こういうことについての反省があるのか。国鉄が引き受けた仕事は、無理でもあろうが、一たん引き受けたのであるから、労使を問わず、完全に遂行しなければならぬ。事故が起きてから、過労であったとかどうであったとかは理屈にならぬと私は思う。職員局長が言うのは、まさしくこれは他に責任を転嫁するものである。断じて国鉄幹部としての資格はないと私は思う。 もう一つは、合理化の問題であります。これも限度があることを何べんか言っておる。ところが、先ほど申し上げた経営第一主義というか、そろばん勘定だけを目の前に置いて今日までやってきたところに問題があるという。なるほど、今日この事故の大きな原因は、何といっても固定施設、保安施設の不備である、あるいは労務管理のまずさであり、あるいはそのほかに運転計画のまずさである。この三点を追及することがまず第一ではなかろうかと、私は思うのであります。国鉄総裁としていかように考えますか。
○十河説明員 いろいろ御指摘がありましたように、現在の国鉄の施設は、線路の地上設備にいたしましても、車両にいたしましても、決して私どもは十分だとは思っていないのです。非常に足りない、非常に不備であるけれども、遺憾ながら、これを一朝一夕に改善することはできないのであります。改善しつつある間に、輸送の需要の方が先にどんどん伸びていくというのが、遺憾ながらただいまの現状であります。私どもの努力の不足に対しましては、私深く反省いたしておりますが、われわれは、いつでも、日本の鉄道は非常に能率がいいといって外国人にほめられるたびに、いやそれはわれわれが深く恥じておるのだ、こういう旅客、貨物の輸送の量に対して施設が不足しておるということは、われわれの努力の足りないところで、われわれはもっと努力して、むしろ輸送の施設は需要をオーバーしてゆとりがあるということが本体であるということを、私どもは深く反省して、そういうふうに持っていきたいと日夜努力いたしておりますが、遺憾ながら今日までこれが実現できないのです。昨年暮れにも、フランスの国鉄副総裁が東京駅を見まして、これだけの施設で二千二百回の列車を発着させるということは、まことに驚くべき事実だ。フランスであったならば、少なくともこの十六本の線路が五十本なければ、これだけの仕事はできない一そういう無理な仕事をさせなければならぬということに対しまして、私は、私の部下に対しても非常に気の毒に思って、何とかしてこれを改善したいということを考えておるのでありますが、今日まで、今申し上げましたような事情で、なかなか思う通りに参りません。今後さらに一そう努力いたしまして、そういう点を改めていきたいと考えております。 また、労使の問題につきましては、私は、労使が一心一体になってこの企業を運営していくということが必要である、だから、なるべく話し合いによって問題を解決して、紛争を起こさないようにしたい、こう考えて努力いたして参ってきたのであります。今後事故をなくす上においても、さらにこの点が一そう必要になってくるのではないかと考えております。今後も、さらに一段とそういう方面に対して努力して参りたいと思っております。 砂利線、安全側線の点につきましては、なるほど仰せの通り、いろいろな不満足の点がたくさんありましょう。ありましょうけれども、これもまた、場所の関係とか、あるいは金の関係もありましょうし、いろんな事情でできない。そういう悪条件のもとに、われわれは安全第一に考えまして、これならまずまず安全だ、こう信ずる列車ダイヤを組んで参ったのであります。しかしながら、これも見ようによれば、先ほど申し上げましたように、フランスの専門家ですら、これは大へんなことだと言われるような状態であります。しかし、今日の現状、これをどうするといっても、一朝一夕にこれはどうにもならぬのであります。たとえば中央線のお茶ノ水-東京駅間を、もう一つ複線を作る必要があるということは、前から認められておりまして、予算もちょうだいいたしておるのでありますが、われわれの力が足りなくて、その用地買収がどうしてもできない。そのために遷延いたしておりますので、今度は地下鉄の五号線と連携をいたしまして、そちらの方へ切りかえて、無理な点を幾らか緩和しようということになったような次第であります。今のところ、まず安全側線がもう精一ぱいのところをやったことを、一つお許しをいただきたいと思います。
○久保委員 いろいろこまかいことをお尋ねするのはあとにしましても、ただいま総裁からお話しがあった二、三の点で申し上げたいのでありますが、輸送力が輸送量に追いつかないからという、その通りでありましょう。その通りでありましょうが、危険を冒してまで国民はあなたにその責任を負わせようとはしていないのであります。国鉄自体にこれを強要いたしておらないのであります。国鉄のいわゆる安全運転というか、そういう限度において国鉄に要求しているのであります。その点も十分考えてもらわなければいかぬと思います。それをただ単に、もう追いつけないけれども、やむを得ずやっているのだというだけでは、これは納得がいかない点であります。 さらにもう一つは、防護措置についてもいろいろ問題があるようでありますが、昨日見て参りました信号所の信号掛の勤務形態は、二名の勤務だそうでありますが、その時間には一名が休憩でありました。睡眠時間でありましょう。一名があの信号所に残って操作をしておったそうでありますが、私は、実際を見ておりませんからわかりませんけれども、常識として考えた場合に、かかる貨物列車に下り電車が衝突した非常に大きな事故であります。電話一つかけるにしても、一人では、後続列車もある、あるいは目の前の事故もある、どこへ連絡したのかわかりませんけれども、転倒して、少なくとも一人では手配が間に合わなかったのではなかろうかと私は思うのであります。これは非常に残念だと思います。少なくとも常磐線は、夜の九時か十時ごろは、電車もまだ盛んに通る時期であります。なおかつ、貨物列車のひんぱんに出る時期であります。そういうときに、当直勤務が一人である。電話と信号というようなものを扱うということ自体にも、私は無理があったのではなかろうかと思う。せめてこれが二人が当直であったならば、あの時期に、一人は発炎信号か何か知りませんが持って出て、この被害をさらに最小限度に食いとめることができたのではなかろうかと思って、非常に私は残念に思います。そういうところにも間違った合理化がありやしないかということであります。 さらにもう一つ申し上げたいのは、労使の関係でありますが、これは当面の逮捕された五人、これは責任の容疑をもって今逮捕をされております。いずれ司直の手によって原因と責任が究明されまして、それぞれ処断されることでありましょうし、責任もとることでありましょう。これを今日とやかく私は申し上げません。しかしながら、労使一体となるということをあなたはたびたびおっしゃるけれども、今日国鉄全職員の間に巻き起こっておる気風というか、残念な傾向というのは、あなた御存じでありましょう。大へん言いにくいことでありますが、現在の末端の職員は、残念ながら国鉄の首脳部について、心から信頼しているとは私は言えないのであります。なるほど、労使関係には、いろいろ紛争はあります。紛争はあるけれども、気持がぴったり合っているならば、これは決して気に病むことはないと思います。しかし、紛争はなくても、気持がぴったり合っていなければ、これは残念ながら、完全なものとは言いがたいのであります。なるほど、十河総裁はりっぱな方であります。あなたも、鉄道の線路をまくらに討ち死にする覚悟で国鉄に乗り込まれて、いろいろおやりになりました。しかし、当初のあなたに対する見方と、今日では大へん変わっておるということです。それ以上は、私は申し上げません。そこに何らかあなたの前に障壁があるか、あなた自身の何か方針が変わったか、そういうことも反省する時期ではないかと私は思う。もちろん、酒に酔って運転台に乗るような機関士は、断じて置くべきではない。さらに、今日きめられておる勤務がどんなにつらくても、その勤務を承諾して乗るならば、断じて居眠り運転をすべきではないと思う。かかる機関士を機関士として採用すべきではないと私は思う。しかしながら、単に現われた現象だけで今日の問題を解決することは、いけないと私は思うのであります。いかがです。
○十河説明員 もちろん、先ほどから申し上げますように、私に足りないところはたくさんあります。たくさんありますから、私は、この前の参宮線の事故が起こって以来、できるだけ広く職員の皆さんにもお目にかかり、さらに進んでは家族の方々ともよくお話をし合って、職員が明るく、愉快に勤務のできるように、それが事故を防止するゆえんだと、こう考えまして、職員の家族の方々にもできるだけ広くお目にかかって、どういうふうにしたならば皆さんが満足していただけるかということを、私は一生懸命に努力しておるのであります。もちろん、まだ不十分でございまして、今後もさらにこの点において一そう努力いたしまして、二年にいっぺんは必ず鉄道局所在地を回っていって、そうして職員並びに職員の家族の方々にお会いして、何かわれわれのできることで改められることがあれば改めるというつもりで、皆さんに直接お話を伺って、努力をしておるような次第であります。今後も、さらに一段と努力を傾倒したいと覚悟いたしておる次第であります。
○生田委員 久保君の御質問中でございますから、御遠慮しておったのでございますけれども、総裁の御発言の中には、ゆゆしきことがございますので、関連質問としていま一度お尋ねしておかなければなりません。 久保委員の御質問に答えて、総裁は、国鉄の施設が不備であり、不完全であり、老朽化しておる。これを改善したいのであるが、国鉄経営の予算の関係上、早急にその実現を果たし得なかった。われわれは経営に努力をするかたわら、すみやかに施設の改善をして完全な国鉄にしたいと考えておったけれども、そのことのできざるままに今日の珍事を引き起こした、そういうお答えでございました。なおまた、その引例として、フランスの政府の方がおいでになって、東京駅の施設で、十六本の路線で二千数百回の発着をするということが、どれほど困難であるか、フランスでは五十本の線がなければ、とうてい二千数百回は出すことはできないであろう、こう言われた。そして日本の国鉄は、なんと離れわざをしておるのであろう、こういうお話があったということを引例として出しております。私はこのことを伺っておりまして、良識をもって判断ができないことでございます。総裁は、国鉄の三十六年度、三十七年度の予算を御要求になりましたときに、どういうお考えで御要求になりましたか。私たちは、国鉄の方で要求されました予算に対して、大きな削減はいたしておりません。また、三十六年度におきましては、少なくとも国鉄の運賃というものは値上げをいたしました。その結果は、経営に余裕も出て参りましたので、これからは大いに改善もしたいし、国鉄の経営内容はよくなりますというのが、皆さんのお話でございました。そして国鉄の経営については、多少御自信もありげな口吻でもございました。今突如として、私たちは、とうてい人わざではできないことなのである、それを私たちはやっておったのであるということになりましたならば、今の総裁のお言葉をそのまま国民に伝えたならば、何人か国民が安心してこの国鉄に乗って参りましょう。それをあなたの口からおっしゃるということは、どういうことでございますか。私は、総裁の心中をお察しするならば、総裁は、自分が一人かかえて苦しんでおったものを、今ここではっきりものを言わなければなるまい、こうおっしゃるならば、これは大きな間違いであると思う。あなたはりっぱな人だと私も考えておりましたし、人格の上においても、また志の上においても、衆にすぐれた人だと思っておりましたが、今のお話を聞きましたならば、私は合点が参らない。あなたは、政府に対しましても、自分の所信をよう語っていなかった。運輸省に対しましても、あるいはときの政府に対しましても、あなたはその責任を果たしていなかった。それをあなたが今日みずからここで告白なさっている。われわれはそれをお聞きいたしておって、何という考えを持ちましょうか。一体国民は安心して汽車に乗れましょうか。もしあなたが心中そうお考えになるならば、真実そうお考えになるならば――そう考えておるとお察しいたしますが、それならば、いかがでございましょう、あなたが果たすべき責任と仕事は、今のあなたのお考えを私たちにお話し下さる前に、たくさんあると思う。また、三十五年度、六年度、七年度の予算をわれわれに対して要求なさったときにおいても、もう少しお話しの筋があっていいはずであります。先ほど關谷君からお話しがありましたときに、この責任の所在はどこにあるのかと言われましたが、最高の責任は、私は総裁にあると思う。確かに二日間も休んで、三分目に事故を起こした、そういう乗務員の責任もございましょう。けれども、もっと大きな全責任というものは、あなたの今の御発言にあると思うのです。あなたがほんとうにそう考えておるなら、あなたが責任を負うべきである。いかがでありますか。あなたがその言葉を言われる前に、まず自分が果たされ、自分がなさる。そして最後にもし今のお話しになるならば、私は承ってもよろしゅうございますが、今ここですべての問題について、調査もまだ行なわれない。また、起訴された人間の処分もまだこれからの問題である。一切の問題が未解決のままにおいて、あなたが、最高の責任者が、実は国鉄はあぶないのだ。あぶないのを、実はわれわれが離れわざをやっておったとおっしゃるならば、国民の方として安心して汽車に乗れますか。その責任はあなたがとりますか。これは運輸大臣にしても、今ここでお聞きになっておって、どういうお考えでお聞きになりましたか。また、今のお話が国民の前に発表になったならば、国民は国鉄に対してどのような世論、どのような批判を加えるであろう、私はこれを憂うるものであります。私は、総裁が、今にしても、あなたの御発言がいささか場所をわきまえず、あるいは時をわきまえざるものであったならば、あなたはこれを適当に御訂正されるお心があってよいのではないか。また、これを訂正することが必要がないとおっしゃるならば、私は、最大の責任はあなたにある。あなたが即刻その責任をおとりになること以外に、国民は安心いたしません。また、政治的に考えましても、そのようでございます。あなたは、ただいま私たちの受けとっておる感じというものを、あなたの言葉でもう一度解消されるような、そういうお答えが私は望ましいと思いますが、いかがでありますか。
○十河説明員 私の発言、特に引例が、場所と時がきわめて不適当であったという御指摘で、私はつつしんで解消したい。引例を取り消します。私の申し上げたつもりは、われわれが、これが適当な輸送量に対する施設である、こう考えても、輸送量の需要が、経済の発展が、文化の向上が、われわれの予想以上に多くなったために、これでよかろうと思っておった施設が、いつも足りなくなってくるというのが、今日までの状態でありまして、そういうふうになっておるということを説明するつもりであったのであります。決して私は、私の責任を回避するなんという意思は、毛頭持っておりません。私は、国鉄の経営につきまして、全責任を負っておるものであります。すべての問題について、私は絶対に責任を回避することはいたしません。ただ、今申し上げましたように、日本の今日の状態は、外国人から見ると、非常に急速な発展を遂げて、われわれ日本人にしても、予想を上回る発展の事実がどんどん現われてくるのであります。従って、いろいろな施設が非常におくれがちになっております。そのことを私は申し上げたつもりであります。
○生田委員 今のお答えで大体わかりましたから、私はこれ以上ここで申し上げませんが、また、今のお話で、先ほどの総裁のお話が必ずしも妥当でなかったということでお取り消しになったことと了承して、これ以上追及することはいたしませんが、ただ一つこの際申し上げておきたいと思いますことは、たとえば国鉄の性格と申しまするか、こういう公共企業体の問題であります。 実は、累年人口の増加に伴い、確かに輸送量の増大することは争うべからざることでございますが、それに対しては、国鉄は当初の御計画を立てて、そして年間の御計画をされるのでございますが、しかし、人口の自然増に設備が追いつかないというお話を、それを唯一無二のお考えとして申されるならば、私は、ここに公共企業体につきましては、市大なる疑問を持つものであります。すなわち、政府の予算あるいは年間の予算に縛られて、そして国鉄が背負い切れないような輸送の増大というものを背負わされるということになりまするならば、確かに国鉄の公共企業体の性格というものは半身不随にならざるを得ませんので、むしろ人口の自然増に対処する自由な経営力の増加ということを、あなた方がやっていかれるような企業体に直した方がいいのではないか、こういう疑問がわいてくるわけであります。そこで私は、総裁のお話のごとくならば、公共企業体である国鉄というものに対して、重大なる問題を提起したと思います。そして国鉄のあり方については真剣に考えていかなければならないという重大問題を、総裁みずからが提起したと思います。昨日あるいは一昨日の新聞でございましたか、事故の起きました直後に、国民の声として、公共企業体の日本国有鉄道の性格の問題である、こういった意見が出ておりましたが、私はそれを読んでおったのでございますが、確かにそういう意見も世論としてはある。ここにわれわれも大いに考えなければならぬ問題があるということでございます。でありますから、どうか総裁は、現状における国鉄というものの性格を逸脱して御答弁をされたり、御意見を吐かれるということは、問題をますます複雑にするばかりでございますので、この点を十分に御慎重にお考えになって、そして御発言をなさらないと、問題は問題を生み、また無限に拡大をしていくことになりますから、私といたしましては、御注意を申し上げておきたいと思います。私の関連質問は、問題を善処したいという気持で申し上げたのでございますから、どうぞ御了承されて御発言願いたい、そう思うわけでございます。
○久保委員 総裁、ただいま生田委員の御質問で、先ほどの言葉を取り消しなされたのでありますが、それも言い方の相違でありましょうから、とやかく私は申し上げませんが、あなたを国鉄に迎えたのは、あなたの、国鉄を国民のものにするという強い決意があったから快くお迎えし、今日に至ったと思うのです。もしも取り消されたことが誤りであったとするならば、今日の事故の原因の一つや二つはなかったはずであります。ところが、あなたもお認めになっている事故の原因は、そういうところにあり、予算の問題一つとりましても、あります。それは決して改良費自体だけではなくて、予算全体の問題、これもあるわけです。これを今取り消されたことについては、私は非常に残念だと思うのです。何をこの期に及んではっきりできないのだろうかという歯がゆさが、私にはあります。しかし、私は、決してあなたに強要はいたしません。いたしませんが、抜本的な国鉄経営の改善というのは、あなたの考えていることを、だれにも憶せず主張できる立場の確立が先決ではないかと私は思う。それなくして、何もかも風当たりの強いところはよけて通ろうかというようなことだけでは、問題の基本的な解決の方策は見出し得ないだろうと私は思うのであります。これは、政治的に見ても非常にむずかしい。しかし、あなたは国鉄の先輩であり、政治家としての古い経験を持っている方であります。あなたならやるだろうという期待を、国鉄の全職員は今日まで持ったんです。しかし、今の一言において、私が先ほど申し上げたすき間風が入るというのは、そこにも一つありはしないか、こういうふうに残念に思います。いずれにしても、この問題は、技術的な問題、経営全体の問題にもなりますので、われわれは、これを引き続きわれわれの立場から調査をして、昔の国鉄に戻すように努力しなければいかぬと思うのであります。 そこで、私はあなたに最後にお伺いしたいのは、この席ではっきり申し上げにくいのでありますが、責任のとり方にはいろいろございます。これをはっきり今お聞きすることはできないと思うのでありますが、ただ単に一生懸命にやりますという従来からの繰り返しでは、お互いは納得できないと思う。これについて、あなたは決意をされておるかどうか。いかがでしょう。
○十河説明員 私は、絶えず決死の覚悟で仕事をいたしております。その決意は、依然として変わりません。私は、何とかして国鉄をよくしたい、日本の国のためによくしたい、こう考えております。今日、もはや、そのために精神的あるいは物資的の欲望は、何もありません。そういう決意で今後もやるつもりでおります。
○久保委員 あなたの決意は、従来と同じだそうであります。同じではだめなんです。従来の決意でこういう事故ができたのでありますから、従来の決意では足りないということではないでしょうか。私があなたに対してそういうことを言うのは、大へん失礼でございますが、しかしながら、従来と同じでは困るんですね。これは一つの気持の問題だけをお尋ねしても、お話にならぬ。あなた自体の決心は、その通りかたくても、その決心があなたから副総裁に伝わり、理事会に伝わり、職員の末端まで伝わるようにしてあるかどうか。これにすき間風が入っているのはそれだと私は思う。あなたの決心は、なるほどりっぱかもしれぬ。ところが、あなたの決心が下までずっと通っていかないというところに問題がある。そういうことも、一つ反省をしていただかなければならぬと思うのであります。 私は、それぞれまだ御質問があるそうでありますから、この程度にしますが、最後に運輸大臣に一言申し上げたいのであります。 今まで国鉄の監督について、具体的にどういうことを要求されておりましたか。われわれの側から見ている形としては、国鉄の要求を押える立場には回ったが、運輸省は積極的にこれを伸ばす工夫が足りなかったのではないかという気持もするわけです。なるほど、齋藤運輸大臣はりっぱな方でありましたから、就任以来、いろいろ御考慮はいただいておると思うのであります。しかし、公共企業体としての国鉄経営全体の伸ばし方について、あなたが工夫と積極的な対策をとられたためしがあるかどうか。いまだに聞いておりませんので、この際お聞きしたい。
○齋藤国務大臣 私は、鉄道の運行にはしろうとでございまするけれども、いやしくも人命を預かっておりまする国鉄といたしましては、人命を損傷しない、安全運転ということが、第一でなければならぬと考えております。今までの委員会その他におきましても、いろいろそれらに触れた御質問もございました。あるいは人員減少の際にも、いろいろお話がございましたが、国鉄当局といたしましては、これで安全運転に支障がないということを責任を持って言っていられましたから、私は国鉄総裁を信頼いたしておりましたから、施設の面においても、人員の数の面においても、私は、非常に不安全な状態において国鉄が運行しているとは、今まで考えておりません。予算の面におきましても、安全の必要上どうしても要るという予算を切ったことはございません。従いまして、私は、今日国民の方々が、非常に不安心な状態の、施設や人員のもとにおいて国鉄が運行されているというようには、考えておられないと思いまするし、また、総裁もさようであろうと思います。先ほどお話しの中に、若干誤解を招くような総裁の発言がありましたが、これは生田委員の関連質問によってお取り消しになられましたから、御了解はいただいたと思いますけれども、しかしながら、若干でもそういうことがあるならば、私は、今後考え直さなければなるまい、こう思います。この点について、今後さらにとくと国鉄当局の考えを新しい見地から聞き直す必要があるという感じを、今受けておるわけであります。今までは、私は、安全施設あるいは人員等において、もっとよくすればいいには違いはないけれども、これで危険だというような感じは、一つも受けていなかった。また、おりません。さらに、この点を国鉄当局に今後特別監査も命じておるわけでございます。現実に、最近の責任事故件数は、走行キロに応じまして減少をいたして参っております。私は、統計も見て安心をいたしておるのでありまして、戦前よりも責任事故件数は約半分以下に減ってきておるという実情でございます。たまたま数年来ないこういう事件を今回起こしましたことは、非常に残念でございますが、これは、先ほど申しますように、もちろん施設をもっとよくしておけばよかったじゃないかという点もありましょうが、しかしながら、何といっても信号を十分確認しなかったことは、信号によって動いている鉄道が、その信号を確認しないということは、これは重大な事柄であり、施設の面よりも、やはり先ほど言われまする労務管理の面、あるいは管理体制の面というものの強化をさらにする必要があるのじゃなかろうかという感じをいたしております。これも、今そういう面で調査をいたさせております。
○久保委員 大臣から新しいお話は聞けませんで、しかも、お話の中には、国鉄のダイヤ改正についても、これで安全運転ができるというような国鉄総裁からのお話なので、それを信用していた。ところが、われわれは、先ほどから申し上げているように、この席で何回か国鉄のそういうお話とは違うお話を申し上げていた。そうしますと、運輸大臣というのは、国鉄総裁が言うことならば何でも聞いているということになりますか。われわれは、少なくとも国民の代表として国会に参っておる。なるほど、この意見が完全であるかどうかは別として、少なくとも違った意見を申し上げておる。これについて、国鉄総裁のお話も入れながら、国会での発言なり世間での声も聞きながら、監督行政なり指導をしていくのが、あなたの立場ではないかと思う。どうも今のお話だと、責任のがれで御答弁をなさっておるのではなかろうか。予算については押えはしない、十分であるというから、われわれはしろうとだから――別にあなたは汽車の運転を勉強する必要はない。私たちは、そういう問題について申し上げているのじゃないのであります。少なくともこの際、こういう大事故ができた場合には、お互いが素っ裸になって話をすることが、問題の解決だと思うのです。ところが、何か国鉄総裁としても努力した、ただいまの運輸大臣の御答弁も、運輸大臣として万全を期してきたのだと言うだけであって、しかも、一方的な意見で今日まできたということについては、私は了承しかねます。こまかいことをいろいろお話を伺うのもどうかと思いますが、少なくとも私はそれだけは申し上げておきたい。 さらに、お話でありますが、あなたは、信号の確認ができなかったからかかる事故ができた、こう断定されておる。しかし、これはただいま原因究明中であります。いずれの責任であるかはわかりません。私も現場の事情等はよくわかりませんから、先ほど申し上げたように、たとえば貨物線が、場内が青で入ってきた場合に、中途で電車が四分おくれて入ってきた。これは所定通りの運行として同時刻だが、電車を先に出そうという場合に、はたして渡り線を本線に直し、貨物線を安全側線に直して、信号機を赤にできる装置になっているのかどうかわかりません。そういう場合は、必ずしも信号機確認云々のことは言えないと思うのです。これはどこまでも仮定であります。でありますから、少なくとも信号確認ができなかったからかかる事故ができたという断定は、今日すべきではない。あらゆる角度から事故の原因というのを探求してからにしていただきたいと、私は思うのであります。そうでないと、問題の本質を解決するのに、非常に私は間違えると思うのであります。具体的な事故の原因については、私は、的確なる調査も遂げるべきだと思うのです。検察当局はおりませんけれども、特に私が申し上げたいのは、単に予断や推測によってかかる事故の原因究明なり、責任をとやかく言うべきではないと思う。科学的な調査、どこまでも綿密な調べによって結論をつけなければいかぬと思うのです。いまだはっきりしておりません。しかも、構造上においても幾多の欠陥がありそうに私は見ておる。そういう責任の問題も出てきます。安全側線と称しながら安全側線でない場合、いかなる責任が出るのかということも考えていかなければならぬと私は思うのです。 以上申し上げましたが、少なくとも単に自分自身は責任がないということだけではだめだ。運輸省を含めて総ざんげの形で、これは労使ともにやらなければならぬと私は思うのであります。いかがでしょうか。
○齋藤国務大臣 もちろん、私は、今回の事件の原因というものは、これは司直の手で取り調べ中でありますると同時に、国鉄におきましても、運輸省におきましても、謙虚な気持で十分原因を突きとめて、そうして将来かかることのないことを期さなければならぬ、かように考えております。決して信号だけの点を断定をしておるわけではございません。一応さように思えるがという程度でございます。十分検討をいたして参りたいと思います。そうしてなお、国鉄当局、運輸省、あるいは労組も含めまして、さらにこの事柄を契機といたしまして、災いを福とするように、それぞれ謙虚に反省すべき点は反省して参らなければならないということは、強く感じておるわけでございます。
○井岡委員 関連して。私は、今度の事故で特に感じたことは、従来の国鉄の経営の中に、いわゆる技術革新と称されて、経営に重点が置かれて、いわゆる企業それ自体の成績を上げることに重点が置かれて、保安設備あるいは保安に力点が若干うとんじられておったのではないか、こういうような気がしてならないのです。先ほど同僚の久保君が、当直の人が一人だったということを言って、総裁に質問しておりましたけれども、総裁は、これはお答えになりませんでした。少なくとも午後九時から十時ということであれば、まだ夜のラッシュの時間であると考えるのです。ここでダイヤを見せてもらったのですが、片道十三本、従って往復二十六本という列車が、その時間に通過をするわけです。こういう中で、一人で信号から、あるいは監視、非常措置、こういうものがはたしてやれるであろうかどうか、こういうように考えるのです。それから昨日私は現場に行って説明を聞いたのでありますが、三輪から三河島までくる列車の時間というものは、何ぼかかるのかというと、二分だ、こういう話でした。そうしてこの事故は、大体最初の事故が発生してから第二の事故が発生するまでに、五分ないし六分の余裕があったということです。そこでもしあそこに非常措置の非常ベルとかなんとかということがあれば、一々電話をかけて三輪まで連絡するのではなくて、非常措置を講ずるベルがつけておられれば、ボタンを押せば三輪についたということです。そうして第二の事故を防げたかもわからない、こういうことを考えるわけです。そういうように考えて参りますと、今までの国鉄経営というものは、主として技術革新に名をかつて、企業性の向上のみを考えて、保安のことがややおろそかにされておったのではないだろうか、こういうように考えるのですが、総裁の御答弁をいただきたいと思います。
○十河説明員 先ほども申し上げましたように、国鉄の経営は、安全を第一に考えておる次第であります。安全を第一に考えて、その他の処置を講じております。今お話しの信号所に二人あるいは三人置いておけばいいかもしれませんが、大体われわれは、二人おって、交代に休んで、そして見ておるということで安全を確保することができる、そう考えまして、ずっと長い間やってきておる次第であります。
○井岡委員 あなたの考えだけであって、現実に事故は起こったのです。私は事故が起こらなければ、あなたの考え方は、先ほど齋藤大臣がおっしゃったように、それでよかったかもしれないのです。しかし、現実に事故は起こっておるわけです。しかも、この事故というものを見てみますと、二十六本ということになれば、二分に一台の車が動いているわけなのです。そうしてそれは、信号から、転轍から、みなやっているわけですね。そこで指示をしているわけです。そういうことが、人間わざとして――今まで事故がなかったからそれでよかったものの、現実に事故が起こってきたということ、しかも非常な大きな悲惨事を起こしたということについて、あなたは、もう一度今までの考え方を改める意思があるのかどうか、こういうことを聞いているのです。そうでないと、あなたは今のままが正しいと言われるのであれば、今のままおやりになる以外の方法がないのですから、その場合、再びかかる事故が起こったら、だれを責めたらいいのです。同時に、なくなられた人は、だれを恨んだらいいのです。この点を明確にして下さい。
○十河説明員 改善の方途につきましては、絶えず研究をいたしておりますから、将来も続々改善していくと思っております。また、技術革新にあまりに重きを置き過ぎたというお話がありますが、人間というものは、機械のできないこともやりますが、また、ときどき誤りを犯す。そこで技術革新をでき得る限り利用して、機械でもって人間の足りないところを補うということも、これまた必要じゃないか。従って、あやまちを犯さないように、技術革新は、今後もでき得る限り取り入れてやりたいと考えております。
○井岡委員 私の尋ねているのと、あなたの御答弁になったのと、私の尋ね方が悪いからそういう御答弁になるのかもわかりませんが、まっとうな御答弁をされておらないように思うのです。私は、原則として人間はあやまちがあるという立場をとっているのです。起こしちゃいけないけれども、あやまちはあり得るということです。錯覚はあり得るということなんです。このことをあなたは否定しますか。お伺いします。
○十河説明員 否定しないから、今そういうふうに申し上げたのであります。
○井岡委員 錯覚があり得るということであれば、その錯覚がないようにするためには、従来の考え方でやっておったのでは、これは再び問題が起こることがあり得るというのです。従って、従来は一人でいいだろうと考えたけれども、現実に錯覚があり得るということであれば、これらのことについて再検討をして、万全の措置を講ずる意思があるのかどうかと、こう聞いているのです。それをあなたは、技術というものに重点を置いて、これがあやまちを犯さないように人間が監視するのだ。こうでなくて、技術というもの、機械というものは人間が使うのだという原則に立たない限りは、私の言っていることにあなたは答弁していないということになる。
○十河説明員 初めにその問題についてお答えいたしましたように、改善の方策は絶えず考究いたしておりますから、今後も、人的の面においても、物的の面においても、あらゆる面において改善いたしたいと考えております。
○井岡委員 具体的に私は聞いているのですよ。ですから、今具体的に答弁ができないのであれば、私はそれでけっこうです。しかし、そこで問題は、私は発展をします。国鉄の経営について、いろいろな経営調査会とか、あるいはいろいろななにがあります。この中であなた方が答申をされて、われわれに常に言われることは、この答申に基づいてこうやるのだ、こう言われるけれども、この答申に基づくものについては、人間ということについて少しも触れておられない。そうしてあなたは、私は現場の意見をよく聞き、家族に会う、こら言っておいでになりますけれども、現場の意見というものは、もっとこうしてもらいたいという意見を持っておるはずだと思うんです。現にダイヤの問題にしても、このダイヤではわれわれは十分な責任を持つことができないと言って、あなたに交渉され、あなたはそれにこたえて、今日案を考究されつつある現状というものを、あなたは認めておいでになるだろうと思うんです。従って、もう少しあなたが下の現場の意見を聞く機関というものを作る意思があるのかどうか。そうでないと、幾らたっても、あなたは自分の命令をしたことだけが下に通っておると思って、先ほど久保君の言った管理上における欠陥というものは、依然として解消できない、こういうように考えるんですが、どうです。
○十河説明員 私は、できるだけ広く職員の声を聞きたい。そうしてとるべきものはとる。人間の面についても、足りないところはふやす、削っていいところは削る、こういうことをやっていきたいと考えております。
○井岡委員 最後にもう一ぺんだめを押しますが、職員の意見を絶えず聞いて、増員すべきものは増員をする、こういう立場だと言うが、その職員とはどなたに相談しますか。
○十河説明員 私は、できるだけ広く、すべての職員の声を聞きたい。それゆえに、私は地方を回って、地方の職員の声を直接聞きたい、こういうことに努力をしておるということでございます。
○井岡委員 子供だましみたいなことを言わないようにして下さいよ。今の経営は、労使というものがあるわけです。この労使というものを、あなたはまず頭の中に考えておいでになるのかどうか。あらゆる人に聞く。個人的に聞いたら、言いにくい言葉を言うようだけれども、あなたのやり方に対して文句を言うようなことは、あなたの前に行ったら言わないですよ。あなたにしかられることがこわいから、言わないですよ。今あなたに、積極的に間違っておることを間違っておると言うのは、組合だけしかないじゃないですか。あらゆる人に聞きます――四十五万のあらゆる人に聞くと言うのが、聞けますか。あなた、子供だましみたいなことを言いなさんな。どうです。その点は。
○十河説明員 組合の意見も、今までも聞いておりますし、今後もできるだけ広く聞きたいと思っております。
○井岡委員 ですから、事故防止についてあなたが聞こうとする機関を具体的に言うなら、事故防止委員会というようなものを自分は作る。その作るのには、労使双方と同時に専門家を入れて聞く、ここまであなたが発展しない限り、幾らあなたがしゃっちょこ立ちになったって、どうにもならないですよ。あなたが運転をしておるわけじゃないんですから。そうでしょう。これでいける、いけると言うが、いけないじゃないですか。私はあの現実を見てきました。そうして信号その他の点について、これは司直でやっておりますから言いません。言いませんけれども、われわれとしては、もっと改善すべき問題があると考える。しかし、あなたは、そのことに今まで気がつかなかったのじゃないですか。ついていたのですか。どうなんです。
○十河説明員 もちろん、安全を第一に考えますから、事故防止についても、組合の方々の意見を十分聞きたいと思っておりますが、ただこれが団体交渉になって……。
○井岡委員 私は、具体的に提案しているじゃないか。何で団体交渉と言うんです。事故防止委員会というようなものを作って、第三者も入れて、そうして改善に努力する意思はないのか、こう言っているんです。何が団体交渉です。あなた、何を言っているのだ。
○十河説明員 そういう意思は十分ありますが、形式的に全員一致を見なければ実施することができないというふうなことになると、仕事の運営がとまりますから、意見を十分に聞きまして、とるべきものはとり、とることのできないものはとることができないということにいたしたいと思います。
○井岡委員 私は、何も団体交渉だとか、意見の一致を見なければやれないとか、そういうことを一つも言ったことはありません。言っておらないのです。事故防止をするために、委員会等を開いて、そうしてお互いこういう点がこうだというようなことを出し合うだけでも、十分効果があるじゃないですか。それを直ちに団体交渉などと言って問題を発展さすということは、あなたの一番ずるいところなんだ。そういう考え方だから、労務管理以外にこの解決の道がないなどといって、職員局長が堂々と発表する。労務管理の問題だけじゃない。もっとお互いが謙虚になって考えるべき性質のものがある、こう言っているんですよ。それは間違っている意見もあるでしょう。あるいは正しい意見もあるでしょう。これらを取捨選択するのが幹部じゃないですか。経営を担当しておるあなたじゃないですか。それをあなたは、そういうことを一緒になって話をすることがいやなものだから、いろいろなことを言って逃げようとしておるけれども、そこにあなたの労務管理上における大きな失敗があるというのですよ。経営上における大きな見間違いがあるというのですよ。もっと意見を率直に聞くという態度になりなさい。どうです。
○十河説明員 私は、意見を率直に聞きたい。しかも、責任当局からでなく、直接に聞きたいというので、私は現地を回っておるのです。現地の組合員にも意見を聞いておるということを申し上げたのです。私は、率直に意見を聞きたい、こう思っております。
○井岡委員 あなたが現場を回って聞くこともそうだろうけれども、現場を回っておったって、なかなか回り切れるものじゃないじゃないですか。そのために、機関というものがあるわけなんです。集約するものがあるわけじゃないですか。その集約をするところと、なぜ率直に話し合いをしないのです。それを含めて、まだあなたが現場をお回りになる、これはいいですよ。しかし、あなたの場合は、主客転倒しているのですよ。おれは現場の意見を先に聞くのだ、回っているのだ、そうして皆の意見を聞くのだ、その中で組合とも話し合いをする、こう言っている。そうでなくて、職員の団体があるのだから、職員の団体と話をする。その中には無理なものがあるかわからぬ。自分が現場を回ってみて取り入れられないものもあるかもしれない。入れらるべき性質のものがあるかもしれない。そういうことで問題を解釈することの方が、より合理的だし、同時に実際的じゃないか、こう言っている。それをあなたは、自分が全国を回っているからということの先入観を持っているから、だめなんです。そんなことで取り入れられるものじゃないですよ。あなたの前に行った職員が、何と言っているのです。三河島に行って、奥さんを集めてやった。奥さんは喜んだ。それくらいのことじゃないですか。何を言っているのです。もっと具体的に、経営をどうするか、問題をどう解明していくか、その取り組みをあなたはやる意思があるのか、こう言っているんです。
○十河説明員 繰り返して申し上げますが、そういう意思を持って私はやってきております。中央においても、組合と当局とが団交をいたします。地方においても、それはやっておる。その結果を聞くだけで私は満足しないで、地方に出かけて直接聞いておるということを申し上げた次第であります。
○勝澤委員 関連して今の問題について私一つだけ質問したいのですが、これは重大な問題なんです。今事故が起きてたたかれているのは、国鉄当局と国鉄労働組合です。あるいは動力車組合なんです。たたかれているわけです。そこで労使が協力して事故の絶滅を期す。労使とは何だ。十河さんも、事故防止委員会に組合を参加さすことは、公労法の建前からいって、管理運営に関する事項は団体交渉の範囲外だからだめだと言う。大体事故を防止しようというのに、現場で働いている職員の代表である労働組合の人たちを入れずに、事故を防止するための努力をするなんて不可能なんですよ。あなたは、この三河島の事故が起きて、職員については通達を出したでしょう。大体事故が起きれば、幾つ通達が流れますか。運輸大臣から流れますよ。総裁から流れますよ。運転局長から、職員局長から、各局長からみんな通達が流れる。支社長から流れる。管理局長から流れる。現場長から流れる。とにかく六つも七つも、現場にはこんなに厚い紙が来る。訓辞が来る。これじゃ直らないのですよ。そしてそれに対して、あなたは、三河島の事故について、国鉄の労働組合なりあるいは動力車の労働組合なりに、腹を割って、事故を防止するためにお互いに手を握って協力しようじゃないかと言って努力したことが、一回でもありますか。今日まで私は聞いてないのです。事故を防止するということは、管理運営事項とか、団体交渉とかいう問題じゃない。それ以前の問題なんだ。それがあなたの観念の中には、どこかから言われておる団体交渉だ、管理運営事項だからだめなんだ、それしか頭にない。そこに事故の原因がある。それをあなたは、組合の代表を参加させて、一緒にお互いに今後事故を絶滅するために努力したらどうだという今の井岡委員の提案について、何らの答弁ができない。ここに大きな今日の問題がある。これはだれでも言っております。東京電力の会長青木均一さんも言われておるじゃありませんか。政治色を抜きにして、国鉄の当局者と組合と第三者を加えた事故調査委員会を作って、事故絶滅について努力をすべきだ。これはだれでも企業者はみなそう思っている。あなたは、企業者じゃない、管理者の考え方でものを言いながら、片方には企業意識を吹き込んで、徹底的に合理化々々々をやっている。よく言われておりますが、このごろ客車はデラックス、線路はスクラップだ。まさに今日の国鉄の状態だ。あなたはそれを先ほど取り消されたのです。しかし、その取り消したことが重大な問題だと思う。もっと基本的にものの考え方を改めなければ、事故を絶滅するための前進にはならないと思う。もう一度、先ほど井岡委員から言われた、国鉄労使が協力し合って事故を防止するのだという問題について、明確な御答弁を願いたい。
○十河説明員 本日も初めに申し上げましたように、今後の基本的対策としては、労使が一心同体となって国鉄の安全確保をやりたい、そういうことを申し上げた次第であります。 それからフランス国鉄副総裁の……(「よけいなことを言うものではない。質問だけに答えておればいいのだ。」と呼ぶ者あり)だから、申し上げておるのです。労使が一体とならなければ、国鉄の経営は健全にならない。そこで……(「評論家みたいなことを言わぬで、私はやりますと言いなさいよ。」と呼ぶ者あり)、原則を、私は私の根本的な考え方を言っておるのであります。(「考え方じゃないよ。やると言ったらいいのだ。」「今事故が起こっておるのだ。これをどうするか。」と呼ぶ者あり)だから、それについてできるだけ広く意見を聞いて、事故の絶滅に邁進したい、私はこう考えておるのであります。
○簡牛委員長 細田吉藏君。
○細田(吉)委員 去る二月二十八日の当委員会におきまして、当時東海道線に起こりました貨物列車の二つの事故に関連いたしまして、私、運輸当局並びに国鉄当局に質問をいたしたのであります。その際に、たまたま貨物列車の事故でありましたがために、天下の耳目を聳動ずるような事故にならなかったが、いつこのような事態が起こらぬとも限らないので、十二分のお手配なりをお願い申し上げたいということを私申し上げたのでありますが、五月三日、三河島でこのような重大事故が起きまして、大へん遺憾にたえない次第であります。 昨年の末以来悪質な列車事故が重なって参りまして、今回の事故に及んでおると見ることができると思うのであります。事故の原因につきましては、今いろいろ取り調べ中でございますから、よくわかりませんが、少なくともいろいろな角度からこの事故の原因について徹底的な厳粛な調査をし、またこれに対する万全の策をとらなければならぬことは、今まで同僚議員の御質問中にもあった通りだと思うのであります。私は、特にこの際いろいろな点を申し上げたいのですが、一点、最近の事故につきまして共通な原因があるように見受けられるのであります。と申しますことは、先般の二月の委員会でも申し上げましたが、精神的な弛緩があるのではなかろうか。これは新聞等でも、たるんでおるのではないかということを盛んに言われておるのでありますが、どうもこういう点につきまして、共通の点が重なって参っておるように思うのでございます。こういった点から、現在の組織の問題、あるいはまた乗務員の事故が多いのですが、乗務員の訓練の問題につきまして、その中でも特に心がまえというようなものにつきまして、欠けておるのではなかろうかという点を、この一連の事故を通覧してみて非常に感じを深くいたしておるのでありますが、こういった点につきまして、先般の委員会でも申し上げたのでありますが、どのようにお考えになっておりますか。そういう点につきまして、最初にお伺いいたします。
○十河説明員 今お話のありましたように、精神的の面が最も大切だと考えます。従って、安全確保の精神を徹底させる。たとえば事故発生のおそれのありそうな場合には、むしろちゅうちょなく列車を徐行するとか、とめるとかいうことをすべきではないか。また、事故を併発することを――今回の事故は併発が非常に被害を大きくしたのでありますから、併発することなくするためには、前方ばかりでなく、後方の防護にも同時に注意をする。下りの運転をしておる者が、隣接の上りの方面にも注意をするというふうなこと、また、指導、訓練を強化するということも、これも足りないのではないか。従来、そういう点についても不十分ではなかったか。そういう点をさらに強化するということが必要ではないか、こういうふうに、精神的の面で精神の徹底、また指導、訓練の強化というふうなことを十分に行なっていきたい、こう考えております。
○細田(吉)委員 今の総裁のお話は、抽象的には非常によくわかるのですが、私は、現場の区長なり、駅長なり、あるいはその補佐をする助役なり、またさらには第一線を扱っておられる鉄道管理局のそういった指導とか訓練とかいったような面に対して、非常にやりにくくなっているのではなかろうかと思う。従って、この点については、今回の事故があるまでもありませんが、根本的にもう少し考え直していかなければならぬのではないか。もちろん、戦争前に返せとか何とか言うのではございません。しかし、この安全に関する問題に関しては、先ほど来もいろいろ話が出ておりましたが、根本的に考え方を直していかないと、どうしても抵抗のあるところは避けて通るというような格好になりがちではなかろうかというふうに、率直に感ずるのでございます。非常にむずかしい問題だとは思いますけれども、どうしてもこれをやらなければいかぬというふうに強く感ずるのでございますが、いかがでございましょうか。
○十河説明員 その点はまことにごもっともでありまして、地方のいわゆる現場長、駅長であるとか、機関区長であるとかいったような現場長が、従来、民主主義といいますか、そういう世間の思潮の変わり方に戸惑いしたといいますか、そういうふうなことで、指導、訓練が前よりか非常にルーズになっておる。それをいろいろ現場長の訓練等をいたしまして、その点は、だんだん現場長の指導力が強化して参ったように考えております。特に最近の国鉄の精神的、物質的にきれいにする運動を行なって以来、現場長の指導力がだいぶ変わってきたというふうな報告を受けております。
○細田(吉)委員 その点に関連しまして、国鉄では在来運転考査というものをおやりになっておったと思うのですが、こういうものにつきましては、今どのようにおやりになっておりますでしょうか。事務当局からでけっこうです。
○磯崎説明員 お許しを得まして、私から御答弁いたします。 従来、運転考査と申しまして、主として機関車常務員あるいは駅の運転関係の職員の適性考査をやっております。その適性考査が、数年前からいろいろな関係で実施ができなくなりましたので、その後内容を改めまして、現在は、三年に一回精神機能の検査をする、二年に一回身体機能の検査をする、こういう検査をやっております。精神機能と申しますのは、主として作業素質とか、知能とか、あるいは注意の配分とか、神経の反応とか、まあこういうことの検査をやっております。また、身体機能と申しますのは、目とか、耳とか、あるいは内臓疾患というようなことの検査でございます。このほかに、以前は、何と申しますか、学問的な検査もいたしておりましたが、それは最近はやっておりません。この両検査を、ごく一部の場所を除きましては、二年ほど前から全国的に施行するように相なっております。
○細田(吉)委員 運転考査等につきましては、もちろんそれだけが全部とは申しませんが、私は、必要があればまたあると思いますし、その方法等につきましては、十分検討されなければいかぬと思いますが、強化される必要があるというふうに存じております。 なお、今回の事故で、設備上の問題、あるいは人のやりましたことにつきましても、遺憾な点が私は非常にたくさんございますが、その中で、私は現地に一昨日参りまして、特に痛切に感じております点を申し上げたいのでございます。 申し上げるまでもなく、貨物列車と第一の電車が衝突いたしました際の死傷事故というものは、おそらく蓼々たるものであったと思うのであります。上り電車が参りましてあれだけの大きな事故になったことは、申し上げるまでもないところでございますが、人命尊重という見地から、防護の措置が、現地へ参りまして私が聞きました限りにおきましては、ほとんどとられておらない。これは単に一人、二人の問題じゃございませんので、乗務員も数人おるわけでございます。また信号所も近くにございます。信号所は一人で、一人寝ているのを起こしたということでございますが、四分ないし五分という時間がございまして、その間にあるいは間に合わなかったかどうかという問題は、調べてみなければわかりませんが、私の聞いた範囲では、人命を尊重するという見地からのいろいろな努力がされたというふうには受け取れない。少なくとも私が見て参りました範囲では、どうもそういうふうに思われてならないのでございます。これは私は非常に重大な問題じゃなかろうか。もちろん、事故はどの事故でも悪いにきまっておりますけれども、人命尊重という、最も第一に考えられなければならぬ問題が、何らかの努力をしたけれども間に合わなかったのかどうかというような点について、これはほとんど努力がされておらなかったに近い――少なくとも近い。いろいろできるだけやってみたがというような点が、見当たらないように考えられて仕方がないのでございます。その点、先ほど精神訓練の問題等申しましたが、いろいろな事故の中でも、特に人命の問題はこれまでも強調されておるところと思いますけれども、今度の事故に関しましては、最初の事故が起こりましてから第二の事故が起こりますまでの間に、どうも私は、現地で聞きますところでは、むしろ逆に――ドアをあけて線路に行くというようなのは逆な話でございますが、何か列車が反対から来ないというふうな感じを持っておったような――そんなことはもちろんないはすでございますが、とさえ思われるような印象を現地で私受けたのでございます。こういう点につきまして、今度の問題について徹底的に究明されなければならぬと同時に、今後人命尊重第一という点をさらにもっともっと強調してもらわなければ困ると思うのでありますが、この点いかがでありましょうか。あるいは私が現場で聞いて参りましたのが、もちろん関係者等が皆さんおいでになるわけじゃございませんから、間違っておったのかもしれません。これは将来のことでわかりませんけれども、どうもそういう感じがいたしておるのでありますが、この点いかがでございましょうか。
○十河説明員 その点については、先ほども申し上げましたように、処置が不充分であったのではないか、私も、今から考えて、そういうふうに考えます。下りの電車の乗務員が発炎信号をもし適当に早くやったならば、上りの電車をとめることができたのではなかったかというふうなことも考えます。また、信号所、駅等の方面におきましても、そういう点を何とかならなかったか。今お話のありますように、この間五、六分という時間があるのでありますから、その間に何とかならなかったか。その防護の手段、人命尊重の何といいますか、反射的に動くような処置が望ましかったのではないか。ところが、ああいう事故で、従業員も、ぼう然としたといいますか、驚いて、お客の処置等にも、今お話のように十分に指導ができなかったんじゃないか。また、大勢のお客で、指導してもそれが徹底することができなかったんじゃないかというふうに考えております。そういう点について、今後指導、訓練を十分にやっていきたいと考えます。
○細田(吉)委員 総裁の言葉の中にもありますが、事故が起こりまして、貨物列車の機関士も車掌もいたわけです。第一の電車の乗務員も、両方におったわけです。それから駅の者もおったわけです。三輪の信号所にも電話で知らせたという話ですが、すぐ向こうからの上り列車なり下り列車が来るぞということの、総裁の言葉でいえば反射的といいますか、一番肝心なものをやった者があまりおらないというのが、私は、今回のたまたまそういう人がそうであったから責めるということでなくて、根本に抜けているんじゃなかろうか。これは一人のことでないものですから、相当大勢――それは数人かもしれませんが、とにかくそら防護だぞ、前後の防護をしなくちゃいけないぞという切迫したものが現われておらない。ここに私は精神の弛緩、また訓練の不足、そういうものがどうも根本にあるような感じがして仕方がないんです。現地の空気を聞きますと。 そこで、当面の人がどうこうしたということを責める云々の問題は、これは調査した今後の結果ですけれども、大騒ぎして、来る列車をとめようという、そのときの気魂といいますか、気持というものが、どうも受け取れない。ここで列車を守って人命を尊重するという、根本的な大きなものがぽかっと抜けてしまっている感じがするので、その点は、今度の事故で、もちろん遺憾な点、直さなければならぬ点がたくさんありますが、私は現地へ行って大きく感じて参りました点でございます。これ以上申し上げましても同じことでございますが、特にこの人命の尊重につきまして、特段な訓練なり、また日ごろからの心がまえをぜひ持っていただくようにお願いをいたしたいと思うのでございます。 それから設備等の問題につきまして、私いろいろ考えを持っておりますが、私は、列車の運転回数がふえたから、それが直ちに事故になる――もちろんオーバーロードさせることが事故の原因になることは事実でございますが、これが全部の事故の原因であるとかいうような考え方、一般的にどうであるからというような言い方は、また、それだけを非常に強く見るという考え方は、変えていかなければならぬと思うのでございます。もちろん、これも考えなければなりませんことは申し上げるまでもございませんが、何か列車がふえたらすぐ事故が起こるんだ、そうではないと私は思います。いろいろな角度から総合して、その一番悪い点で事故が起こってくるわけでございます。こういう点につきまして、常磐線のあの三河島という事故の起こりましたところは、非常に特別な地点でありまして、もう申し上げるまでもなく、常磐の貨物線と旅客線があそこでつながっておる非常な重大なポイントでございまして、こういう点につきまして、私は、実はかねがねから、あの設備につきましては、多少現職中にも存じておったのでございますが、徹底的に直す必要があったんじゃなかろうかというふうにも考えて参ったのでございます。しかし、少なくともあの地点が非常な常磐のネックになっているということは、もう鉄道の職員、特に駅員にしましても、乗務員にしましても、三河島に関係のある者は、全部知っておるはずです。そういう重大なところでああいった事故が起こる、こういうことにつきましては、これまたほかのところと違いまして、ああいう肝心かなめな、一つ間違えば非常に大きなものになりそうなところが注意が抜けたということを、私は特に今まで申し上げた事柄で強調しておきたいと思います。 なお、先ほど久保先生からも話が出ましたが、設備につきましては、予算が云々ということはございましたけれども、安全に関する予算というものは、もちろん改良費の中の、非常に広い意味の安全といえば大きくなりますけれども、狭い意味の安全ということになりますと、私は、そう非常にべらぼうなものになって、どうにもならなくなるようなものでないものが、たくさんあると思うのでございます。こういった点につきまして、これまでもいろいろやっておられると思うのでございますが、この機会に、三河島のようなああいう重大な地点を初めといたしまして、国鉄ではいろいろ重大な地点、もし間違ったら事故が大きいものが起こるというようなところは、おわかりになっておるのじゃないかと思うのですが、根本的にこういうところを見直されて、洗い直される。また、列車のいろんな保安装置につきましても、この事故を契機として、私は予算の問題はそう非常に大きな問題――大きいに違いありませんが、何とかなる問題だと思いますので、こういう点につきまして、今後根本的に直していただく、あらためて見直していただく必要があろうと思いますが、こういう点につきまして、総裁のお考えを承りたいと思います。
○十河説明員 私も同様に考えております。今後、そういう点を十分に検討いたしたいと存じます。今までの施設によってこれで安全に運転ができるということを十二分に検討いたしまして、それでやっていくつもりであります。また、先ほど申し上げましたのは、お客様が非常に多くなって、時間がおくれるとか何とかいうふうなことが、しばしば事故の原因になりがちであります。そういうふうなことをつい申し上げた次第でございます。
○簡牛委員長 加藤勘十君。
○加藤(勘)委員 私は、私の質問に入りまする前に、不時の災害のために一瞬にして尊い生命を失われた百五十数名の方々の霊に対して、心から敬弔の意を表したいと思います。同時にまた、その家族の方々に対するお慰め、負傷者に対するお見舞の言葉を、心から申し上げたいと思います。 そこで、私の質問に入るわけでありまするが、私は、以下、第一には人命の尊重、第二には原因の徹底的な究明、第三には今後の対策、この三点について当局の所信をお伺いしたいと思います。 第一の人命の尊重という点でありまするが、この点につきましては、直接の犠牲となられた方々の霊を慰めるという点から申しましても、当然原因をあらゆる角度から究明して、余すところなく事態を明らかにして、今後再びこのような問題が起こらないように措置する。ここに、第一の人命尊重の観念が働かなければならないと思うのであります。それについて、あの事件を起こした現場の責任者、個々の機関士の方であるとか、あるいは運転士の方であるとか、あるいは車掌、信号手の方、これらの諸君は、今いわゆる過失致死傷害の刑事被疑者としてとらわれておられます。もとよりこれらの諸君の責任については、刑事上の糾明が行なわれるでありましょう。従って、私は、これらの点に触れようとはいたしません。大体一昨日現場を見、当局からもおおよその報告を聞きまして、多分そうであろうという感じを抱きましたので、この点については、何もこれ以上にお伺いしょうとは思いませんが、ただ問題は、こういう事態を発生せしむるに至った原因が、単に機関士の信号を誤認したとか、あるいは車掌が適切な措置を誤ったという疑いをかけるというだけで済むかどうか。もし他に適切な措置が講じられておったならば、こういう事態は起こらないで済んだのではないか。このことにつきましては、日ごろ国鉄の経営上、国鉄は言うまでもなくとうとい人の生命を預かり、人の輸送をつかさどる任務を持っております。その国鉄当局の国鉄運営に関する心がまえが、はたして人命尊重の強い責任観の上に立って運営に当たっておられるかどうか。私は、先ほど来、国鉄総裁や運輸大臣からそれぞれの意見をお伺いしましたけれども、現実に見る国鉄の運営の形の上には、人命を尊重する、人命尊重の上に人を輸送しておる、そういう責任観が乏しいのではないか、こういうことが、具体的にわれわれは日常の国鉄運営の上に見受けられるのであります。これは決してひとり現場の現業員の責任ではございません。国鉄の総裁を初め、最高運営の責任者が、全体として負わなければならない責任であると思うのであります。総裁は、しばしば、事故が起こるたびに、事故が起こらないように今後十分戒めるようにという警告を全従業員に発し、また、これが防止については、できるだけ広い範囲に職員から意見を聞いて、適切な措置を講じておる、こういうことを言っておられますけれども、現実はそうではない。逆に、かえって今度のような大きな事態を引き起こしておるということは、総裁がどんなに文字の上で、言葉の先で、言葉を発しられても、文字をつづられても、それは現業員にはしみ込んでいないということになってしまうのであります。これは朝晩、駅におけるあのラッシュアワー当時の客扱いの状態、駅の混雑の実情等を見ますと、人はまるで貨物と同じように扱われておる。ほとんど無意識に、人としての、とうとい生命であるということが忘れられておる感じであります。われわれも、幾たびかあのラッシュアワーの混雑時に、まるで貨物と同様に扱われておる経験を持っておる。おそらく朝のラッシュアワーに国鉄を利用した諸君は、この感じを抱いたろうと思う。そういうことが知らず知らずに習い性となって、つい大事の場合に適切な応急措置を講ずることが忘れられるという結果を引き起こすのではないかと思うのであります。このことにつきまして、それならば、現業員の諸君はどういう考えを抱いてきたかということ、このことを、今日の問題が起こりまして、読売新聞が国鉄当局と組合の責任者とに五つの問題を提供して、そのアンケートを求めております。全文は長いものでありますから、私は全部を引用することを省略しますが、そのテーマは「一、原因は何と思うか。不注意ではないか。二、なぜ不注意が重なるようになると思うか。三、訓練も十分でないのではないか。四、人命を預かる職場の責任についてどう思うか。五、幹線とローカル線や貨物の乗務員に待遇や素質の違いがあるのではないか。」こういう五つのアンケートに対しまして、当局側は吾孫子副総裁が答えられており、組合側は山田書記長が答えられております。その中で、われわれが両者の言い分を聞いて、どうしても見のがすことのできない事実が、人命尊重という点にからんであるわけであります。今総裁は声を大きくして、労使一体となってやっていくんだ、こういうことを幾たびも繰り返されました。ところが、吾孫子副総裁は、第四番目の「人命を預かる職場の責任についてどう思うか。」 こういう質問に対して、こういうことを答えておられる。「乗務員だけが注意しても駅や線路、送電線の保守をやるものなどが、十分な自覚と責任感のもとに一体になって連絡協調してやってくれなくてはならない。この点について全職員に徹底させるようさらに努力する。組合は事故防止委員会に組合を参加させろというが、公労法の建前からいって、管理運営に関する事項は団交の範囲外なので入れるわけにはいかない。しかし労働条件に関係のある面もあり、そういう点で不満があってうまくいかなくては困るので、なるべく話し合いで了解をつけるようにしている。」この点に対して組合の責任者は、「今度の事故には私たちとしても重大な責任を感じている。」 責任を感じていると、はっきり言明しておられます。「しかし責任を負う以上、実際に乗務しているものの声も聞いてもらいたいと、事故防止対策委員会に参加を申し入れているのだが、当局は経営権の侵害だといって拒否している。われわれは第一に安全、次に敏速をモットーにしているが、当局は一に敏速、二に多量輸送で、安全は第三に回している。」 こういうように、安全ということ、人命尊重ということに対して、現業員を代表される組合の代表者と、経営の責任を負われる副総裁の間には、非常に大きな考え方の相違があるのであります。もちろん、ここでお尋ねをすれば、吾孫子副総裁も、人命尊重は第一ですとお答えになるに相違ないと思いまするが、現実に日常にわれわれが見るところからいって、そうは見受けられないということを、私ははなはだ遺憾に思うのであります。そういう点から見まして、今も総裁は四角ばって団交云々と言って、われわれの同僚から大きい声でどなられたのでありまするけれども、私はきわめて冷静にお尋ねをするのでありまして、決して大きい声を出してどうこうと言いませんが、とにかくそういう事故を防止する――実際に事故の発生は、直接は何といっても現業員の諸君なんです。事故を起こすか起こさぬか、決して上の方で管理の指揮をとったり、あるいは運営の衝に当たる、机に向かっておる人ではなくして、現実にハンドルを握ったり、あるいは転轍をやったり、あるいは信号機を握る、そういう人が事故を起こすか起こさないかということであって、そういう人の集合的な意見を取り入れる、そしてそれらの人々の意見を聞くということなくして、どうして机の上だけで事故防止ということがほんとうに行なわれるでしょう。このことに対しまして、この両者の意見を慶応大学の池田潔さんという先生が、批判をしておられます。それによると、この池田さんはどういう観点からか知りませんが、どうも組合側には、この事故に便乗したような格好で人員をふやしたいとか、平素の主張や要求を押し通そうとするのは、大へんおかしな話だ、こういうことが述べられております。そしてまた、申しわけないという気持が組合側には少ない、こういうことも言っておられる。これは何か池田さんが組合に対する非常な偏見を持っておられるんじゃないかという疑いを、私どもは率直に読んでそういう感じを抱くのですが、それはその本人の御意向だから何とも言われませんが、組合は決してこういう事件が起こったから、これに便乗して人員をふやしてくれとか、設備をどうしてくれとかということを言うておるのでは、みじんもないわけです。これはもう御承知の通りなんです。それは昨年のダイヤ改正のときに、こういう激しいダイヤの編成では、とうてい責任を負うことができないから、責任が負えるように、安全を確保することができるように、適切な人員配置をしてほしいということを、そのときに求められておる。それに対して吾孫子さんは、いやそういう組合から要求があったけれども、最後には組合も賛成をしてやってくれるようになったから、もうそれでいいと思っておった、こういうことをここで言うておられまするけれども、決して池田教授が言うように、この事件に便乗して組合がそういう要求をしたなんということはもってのほかでありまして、第一、そんなことを組合の方は言うちゃいない。組合は、ただ今後のこともあるし、今後の事故を防止するという建前から言うならば、どうしても安全を確保しなければならない。安全を確保するためには、直接その衝に当たる現業員の要望を入れてもらわなければならないから、事故防止の対策委員会ができるならば、そこに現業員の意見を反映するような組合の代表の意見を入れてくれ、こういうのでありまして、少しも無理なことはないと私は思う。先ほど東京電力の社長が言うておられたように、経営者と組合の代表者が話し合って手を握って、それこそ総裁の言う労使一体となってやるということは、そういうことではないか。総裁が言うように、労使一体とは、管理者の意向を現業員に押しつける、それは断じて一体ではありません。形の上では、ああそうですかと言って、職制なんかで頭を下げていい顔をするかもしれないが、腹の中では、何を言っておるかというのだったら、そんなことは一体でも何でもない。ほんとうに、一体になるには、腹を打ち割って話し合って、意見の一致を見ていく。意見の一致が見なければ、それならばどうしたらいいかということで最善の道を選んでいくことが、私は労使一体になる具体的な方策だと考えるんです。 まず、私はいろいろお尋ねしたいと思いまするけれども、そういう人命尊重という点から見て、今までの国鉄経営の上において、自分は意識しないで、無意識の間に人命を預かるというとうとい責任観が忘れられがちであったのではないか。これに対して、そうでないとあなた方は断言できるかどうかということと。今後の事故防止、安全を確立するということのために、事故防止委員会等に、現業員の意見を直接代表する意味において、組合の袋を――団交とか何とかというしちむずかしい角ばったことでなく、ほんとうに国鉄部内の意見として、そういう意見を話し合う機関として、何もこの防止委員会というものは正式の団交機関でも何でもないのでありますから、そういうところに現業員の意見を反映させるために、組合の代表をお加えになるお考えがあるかどうか。まず、これをお伺いしておきたいと思います。
○吾孫子説明員 ただいまお話のありました第一の基本的な人命尊重ということにつきましては、私どもといたしましても、何よりも大切なことと考えて、従来も業務の運営指導に当たってきたつもりでおるのでございますけれども、その点に対する徹底を欠いているのではないかというような御批判を受けてもやむを得ないような事故が起こりまして、この点は、なお一そう自戒いたしまして、安全第一の考え方をあらゆる場面に徹底させるように、努力をさらに行ないたいと思っている次第でございます。 なお、事故の防止その他の方策につきまして、過去において組合との間で話が出たこともございまするが、ただいま加藤先生が仰せられるような純粋の意味において意見を伺うということは、私ども少しもやぶさかではございませんで、先生のおっしゃるような意味で、組合の諸君の意見も十分聞いて参りたいと思っております。 ただ、その新聞に出ておりますことは、口頭で尋ねられました項目について、私としてはいろいろなことをもっと申したわけでございますが、相当省略して、要点をつままれたことと思うのですけれども、昨年のダイヤ改正その他に際して、乗務員の勤務時間でありますとか、勤務のやり方等につきましては、これは組合等との間でも話し合いをつけて、組合が反対をしていることを何か一方的に押しつけたとか、あるいはまた、従来よりも列車の増発等によって個々の職員に対する勤務負担が非常に過大になるというような処置は、とっておりません。その意味を申したことが、そういうふうに書かれたのでございます。
○加藤(勘)委員 これは、吾孫子副総裁から、率直に、そういう団交というようなかた苦しい形ではなくして、ほんとうに事故防止のために、経営者と労組代表とが話し合って、防止に当たる方策を講ずる、こういうことをお述べになりましたことは、私どもは、あなたの卒直さを受け入れてよいと思います。今言う通りに、事故を起こすのは、あなた方ではないので、ほんとうの現業員です。だから、その現業員の意見がすなおに反映されるような組合員の代表をやはり入れていただかなければ、ほんとうに防ぐことにならぬと思いますから、その点は、重ねて一つ私からも強く希望を申し上げておきます。ぜひそうして下さい。私は決して新聞の記事の文句を一々取り上げるわけじゃありませんけれども、おおよそのところだけを今例にあげただけなんです。 もう一つ、組合側の意見の中で、これもまた私どもが見のがすことのできない点でありまするが、国鉄現業職員というものの仕事は、労働時間はそんなに長くないにしても、仕事の性格が非常に心身を過労せしむるということがうかがわれるわけなんです。それはここに山田書記長があげました数字が立証されるものとしますれば、一般公務員の平均寿命が六十二、三才、国鉄職員の平均寿命が五十九・六才。約二、三才の差があるわけなんです。これはどういうところからくるかといえば、やはり長い間の心身の過労が集積して、いわゆる寿命の上に影響をもたらすということは、もう今日ほとんど一般の通説となっておると思います。私は、かつて、警視庁の機関雑誌の「やよい」という雑誌に、警官の職をやめて恩給を受けるようになって、恩給受給年数が平均二年半、こういう数字が出ておったことを記憶しておるのです。これは少し古いときの数字でありますけれども、そういう数字を記憶しております。これはもう戦争前のことでしたけれども、今日でも忘れない。ということは、警官という職務がどんなに過重であるか――なるほど、時間は一日勤めれば翌日一日は休むし、八時間やれば次の八時間は休むというように、交代制になっております。年じゅう休みなしに働いているわけじゃないけれども、その勤務時間は他と同じであっても、心身を労する点において非常に過酷である。従って現業をやめて引退して恩給をもらうようになると、ころっといってしまう。これは一つは環境の変化ということもあるかもしれませんが、現職中の過酷な職務上の労働がそういう結果を来たしておるということを、私は当時から感じておったのでありますが、今この数字を見まして、どうして同じ公務員といわれる職員の中で二、三才の違いが起こるかといえば、やはり国鉄職員の平素の勤務の心身ともの過労が蓄積されて、こういう結果を生み出すのではないかと思うのです。こういう蓄積された過労というものは目には見えません。結果にならなければわからないのですが、結果にそういう数字が出ておるとすれば、それだけ日ごろの仕事が過酷である、過重であるということがいわれるわけなんです。従って、こういう過重な仕事をされておる、特に今度の直接貨物の運転に従っておった機関士の方は、聞けば十八年も勤務しておられる。私は優秀な技術者だと思うのです。この間に事故はなく、同じ職務を貫いてこられたのですから、優秀な技術を持った方だと思うのです。その人が、あるいは信号を見誤ったのかわかりませんが一むろん常識的には信号を見誤ったということになっておる。ところが、国鉄は、われわれはしろうとだからわかりませんが、聞けば大体一キロに一つずつ信号がある割合になっておるそうですね。そうすると、百キロを往復すると二百の信号が目に入るわけなんです。時によるとそういう信号の数が多いことからくる錯覚を頭の中に生み出すのではないか。これは目に見えない心身の過労がそういう反作用を起こすのじゃないか、というふうに疑われるわけなんです。というて、もちろん、この人が信号を見誤ったとするならば、その責任を免れるというわけじゃありませんけれども、そういう感じを私は印象づけられたわけなんです。そうすると、目には見えないけれども、他の職業に従っておる人以上に過労が加わっておる。ならば、この過労をどうするならば軽くすることができるかということを、労務管理上当然考えられなければならないんじゃないか、こう思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
○吾孫子説明員 国鉄の、特に現業の職員諸君の勤務内容というものが、先生もおっしゃいます通り、夜も昼も、雨の日も風の日も、非常に骨の折れる仕事をしておられるということにつきましては、私どもも感謝もいたしておりますし、またその労苦に対しては、何とかしてそれにふさわしい待遇は確保しなければならないと常々考えております。ただしかし、それがほんとうに十分であるかどうかということになりますと、まだまだ十分だと申し切れない面もあるかと思いますが、国鉄職員の賃金ベース等の問題に関する公労委の仲裁裁定等を見ましても、やはり国鉄職員は、一般公務員等と比較いたしまして、勤務時間等も長い、また夜間勤務その他非常に骨の折れる勤務もあるというような要素がある程度考慮されまして、ベースの上においても格差を認められるという姿になっております。しかしながら、今後とも勤務の諸条件を少しでも改善いたしますための、物的な面における設備の改善というようなことは、これも十分であるとは申せないかもしれませんけれども、努力いたしておりますし、また勤務時間等の問題につきましても、労働時間の短縮ということを取り上げまして、これはまだ組合との間で妥結するところまではいっておりませんけれども、交渉を進めるというような段階にありますので、今後とも勤務条件の改善並びにこれに対する待遇の向上ということについては、私ども当然のことと考えて努力をいたして参るつもりであります。
○加藤(勘)委員 今副総裁が言われたように、一つそういうまるい気持で現業員諸君の代表である組合と話し合ってもらえば、私は話はつくと思うのです。いつもかどばって、敵視しながら、憎み合いながら話したのでは、話はいよいよかどばっていくばかりで、四角が五角になり、さらに六角になっていったら衝突ばかりです。そうでなく、ほんとうに相手の立場を十分に尊重してやっていかれるならば、私は、労働組合の方といえども、必ず当局の意のあるところを了解されると思う。それにはやはり率直に、経費は少しよけいかかるかもしれぬけれども、先ほど総裁が言われたように、ふやさなければならぬところには人をふやし、改良しなければならぬところは改良をして、まず人命の尊重ということを第一にし、また旅客の人命を尊重すると同時に、従業員の人命もやはり尊重されなければならぬと思うのです。他の公務員に比べて二年も三年も平均寿命が短いということは、全体の事業としては決して感心したものでない、こういう点からいって、従業員の人命も同時に尊重されなければならぬと思います。今度なんかも上りの電車の運転士は死亡されております。この方が死亡されておるために、原因がわからないことがたくさん出てきておるようですが、これなんかも、他の多くの乗客の犠牲のために、ほとんど埋没されてしまって、一言も声が上がっていない。やはり人の命を大事にするという点から見れば、お客様の命も大事だが、従業員の命もまた大事でなければならぬ。こういうところにも国鉄の経営者としてはやはり私は意を注いでもらわなければならぬと思います。十分そういうところも意を注いで、その従業員の人命を尊重する。ことに機械――私は、もう時間もだんだん迫りまするから、次の段階に移りますが、今度の常磐線のごときは、俗に綱渡り線といわれておるように、先ほど総裁が、十六本の線で二千何回走らせておる、フランスの鉄道の専門家が来てびっくりした、まるで手品だと言われたと言われるが、常磐線も俗に綱渡り線と言われる。これもまた不思議なくらいに、ほんとうの危険すれすれのところで運転されておるわけなんです。そういう線路で、しかもこの常磐線は、他の東海道線その他の線に比べると、設備の点においては非常に虐待されておる、これも私は国鉄当局としてはどういう弁明をされるか知りませんが、事実虐待されておる。たとえば、私もにわか勉強でよくわかりませんけれども、しかし、少なくとも東海道線においては、貨物列車と客車とは平塚までは別な線を走っておる。中央線は三鷹までは完全に別な線を走っておる。東北線も大宮までは別な線を走っておる。ところが、常磐線だけは、田端から出た貨物車と上野から出た客車とが、あの三河島で、今度事故を起こしたところで接触して、単線、一つの同じ線の上を走っておる。そうして、聞けばこの常磐線は単線の上を電車、列車、貨車、これ三つが一日のうちに二百二十何本走る。この線路の最大許容量は大体百本だ、百回だ、それが二百二十何回も走っておるということ、百回はオーバーしておる、こういうことが言われておるわけであります。そうすると、こういう最大許容量をさらに百回も上回るような運転がなされておるということで、何かちょっとしたはずみで非常な大きな事故が起こるであろうということは、当然予測されたことでないかと思うのですが、こういうことについて、当局としては事故が起こるということを予測されなかったのだろうか、あるいは予測されたけれども、手が回らなかったのでしょうか。どちらでしょうか。
○吾孫子説明員 常磐線の私の方で申しております線路容量というものに対して、列車回数が非常に多くなっておるということは事実でございます。しかし、今先生は単線とおっしゃいましたけれども、単線ではございませんで、複線でございます。それで、その片方の線の上を通っております列車、電車の回数というのは、おおむね二百五十本くらい通っておるのでございまするが、これは、そのほかの、たとえば東海道線でございますとか、あるいは高崎線でありますとか、そういう複線区間に比べまして、特に常磐線がほかよりも並みはずれて多いというような姿ではございません。で、列車運転の安全ということにつきましては、私どもといたしましては十分配慮をいたしておったつもりでございまして、列車回数が多かったということが、必ずしも今回の事故の原因であったとは考えられないのでございます。 なお、今間違えました。二百五十本ということを申し上げましたが、これはやはり先生のおっしゃいましたように二百三十本程度の間違いでございましたので、訂正いたします。
○加藤(勘)委員 それから、この線路には車内警報機が設備されていなかったわけであります。三十一年の参宮線の事故が起こりました直後の当局の対策方針として、今後三年間の間に全線にこの車内警報機をつける、こういうことが方針として打ち出されておる。それから、労働組合の側においても、安全を確保する意味からいって、ぜひ車内警報機を備えつけてくれという要望がなされておる。それで、その後現在におきましては、この車内警報機がつけられておるのは、限られた東海道の線と、それから北陸を回る縦貫線と、それから大阪、東京周辺の国鉄線、横須賀線あるいは湘南線ですか、そういう限られた線路であって、まだ常磐線にはつけられていない。しかも常磐線は御承知のように沿線の人口が非常に密集して参りまして、最近においての鉄道利用乗客はこの十年間におよそ倍以上に伸びておる、列車の数も六割から増発されるようになっておる、こういう事態で車内警報機が全然設けられていなかったということ、かりに車内警報機があったから事故が免れたかといえば、それは私は人と機械設備と両方相待って初めて完璧を期するものであって、設備があるからそれで全部一切の事故が防止できるとは思いません。やはり人の訓練も大事です。大事ですけれども、少なくともその二つ相待って完璧を期するべく、一方の機械設備がなかったということが、今度の事故を一そう大きくせしめたゆえんではないか、こういうように思われるのですが、そういう点についてのあなた方のお考えはどうなんでしょうか。
○吾孫子説明員 ただいまお尋ねのございました車内警報機のことでございまするが、常磐線関係におきましても電車の方はつけてございます。ただ貨物列車の機関車の方にはまだついておりません。御指摘のありましたように、参宮線の事故のあと、急速に車内警報機の整備をしようということで着手いたしたわけでございまするが、いろいろな技術的な事情その他がございまして、主要線区全体の列車、電車全部に車内警報機をつけるというところまでは今参っておりません。ただ現在できておりますのは、東海道、山陽線及び東京、大阪近郊の電車、それに裏縦貫線、青森-米原間というようなところ、大体二千百キロにつきましては、車内警報機の整備ができております。しかしながら、今後の計画といたしまして、さらに約七千五百キロくらいの主要幹線区間につきまして、車内警報機の設備をいたすべく、計画をいたしておるような次第でございます。
○加藤(勘)委員 それから、読売新聞の座談会で、御手洗辰雄さんが質問しておられることに対して磯崎さんがお答えになっているが、御手洗さんの質問は、ダイヤ改正、これはおそらく昨年十月の改正をさすのだろうと思いますが、「ダイヤの改正以来事故が多くなっているように思う。実力以上の運転をしていることが原因といえないか。」こういう質問をしておられるのです。これに対して、磯崎さんは、「多くなっているのは事実だ。しかしどうも事故の起こる波とダイヤ改正の時期が一致したというように考えている。」こういうように答えられておるのですが、一体事故の起こる波というのはどういうことをさすのですか。われわれしろうとにはわからないんですがね。
○磯崎説明員 その座談会は、一昨日の午前中にあったものでございます。実は速記なしにやった座談会でございます。従いまして、いろいろ長い話の出たものを、そばにおられた新聞記者の方々が書かれたわけでございまして、必ずしも、私が御手洗さんのおっしゃったことに対して申した、それを全部そのまま書いてあるわけではございません。御質問の内容は、昨年の秋のダイヤ改正以来、ことに昨年の暮れの事故あるいは最近の事故というふうに重なっているじゃないか、こういう御質問があったわけでございます。確かに最近は、ことに乗務員関係の事故が重なっております。こういうふうに申し上げたわけであります。それかといって、ダイヤ改正したから事故がふえたということではなしに、事故全体としては漸減の傾向にあるということも、数字をあげて申しております。それはここに書いてございません。ただ、今までの結果から見ますと、どうもこれは私どもでもよくわかりませんけれども、事故が起こるときにはときどき続けて起こるということがございます。私自身地方の局長をいたしておりましても、全然事故がない、起こり出すと二、三回続けて起こるというような、何か一つの波というようなものがございました。そういう御説明を詳しく申し上げて、たまたまそういう波とこれがぶつかったのかもしれないということを申し上げたのでございまして、それをかいつまんで書かれておりますので、大へんおわかりにくいかと思いますが、そういう趣旨でございます。
○加藤(勘)委員 私は、言葉の先をとがめるなんて、そんな気持はみじんもないのです。ただ、原因はあくまでも追及して、真相を明らかにして、今後の対策に処さなければいかぬという意味でお尋ねしているんです。ただしかし、今全体として、あなたが波とおっしゃったような意味の連鎖反応的な現象が起こるということは、やはり現業員の諸君のどこかにそういう連鎖反応を起こすような、反応を受け入れる要素があるのじゃないか。これはどこから生まれてきておるのだろうかということは、やはり突き詰めて考えてみないと、今後の対策上欠けるところがあるのじゃないかと思います。こういうことについても、当局は十分に一つ考慮してもらいたい。そういうことなんかは、実際現業員でなければわからぬです。その気持なりその心理作用というのは。そういうことをやはり組合の代表なんかからお聞きになれば、私は真実が聞けると思うんです。そういう点からいっても、さっき言ったことは重大だと思いますが、とにかくそういうことで、一応常識的に見ると、私も、きのう、おとといの新聞に出ました各方面の批判を全部――全部といっても私は六つの新聞しか見ていませんが、六つの新聞の見た限りの全部の記事を切り抜いて持っております。そしてしさいに二度、三度読み直して、ほんとうにお互いに国のために原因を追及して、今後こういうことが絶対にないようにしなければいかぬ、それがためにはどうしたらいいかということで、及ばずながら知識のない私が一生懸命に研究してみたわけなんです。そういう点からいきまして、今申しましたような波の起こる連鎖反応は多分連鎖反応的な現象を言うのではないかと思ったのですけれども、そういうことについての心理状態は現業員でなければわからないのですから、そういうことも十分一つ究明して、今後の対策に当てていただきたい。 それから、もう時間もあまりございませんから、最後の結論に入りまするが、今後の対策の問題です。先ほど来総裁も、それから今副総裁も言われたように、技術の面あるいは予算の面等で思うように改良が施されなかったと言われておりまするけれども、三十七年度の予算は、数字に現われておりまする通り、三十六年度に比べますると、六十二億円という改良費が削減されておるのですね。これは一体、この何年来大きな事故がなかったから、まあ大体大丈夫だろうというようなあなた方の安心感が、この改良費を削らせるようになったのですか、もう改良の必要がないというので費用を削減されたのですか、どちらでしょうか、その点は。
○吾孫子説明員 三十七年度予算で前年度に比べまして改良費が減りましたことは御指摘の通りでございまするが、これは全体の資金調達力との関係、並びに三十七年度に入りまして東海道新幹線工事等が最盛期に入ってくるというような関係もございまして、改良費の方に割り当てる予算が昨年よりも若干減額になったわけでございますけれども、しかし、列車運転の安全というようなことにつきましては、そのゆえにその安全が脅かされるようなことは万々ないという考えのもとに、予算は御承認をいただいたわけでございまして、六十二億減額になったということはございまするが、実質的に見まして、現在国鉄が着手いたしております第二次五カ年計画の遂行を、おおむね所定の計画の線に沿うて進め得る内容になっております。
○加藤(勘)委員 今おっしゃるように、東海道新幹線の予算には百七十何億というものが前年度に比べてふえておりますね。一方において改良費が減っておる。そうすると、改良費を削って新幹線の方の予算に回された、こういうことになるわけなんですね、今御説明があったように。そうしますと、改良費は大丈夫だと思われてやっておられた。今度の事故が直接設備の不備からきたということは言われないにしても、もし車内警報機等が取りつけられておったならば――ことしの予算ですぐどうこうということは言われないでしょうけれども、前々からの心がけとしてそういう設備が備えつけられておったとするならば、少なくとも上り電車を食いとめる非常措置が――上り電車の運転士が死ななくても済んだのじゃないかということも考えられるわけなんです。ところが、そういう設備費全体が削られておるから、今年もまたそういう設備の改良に手が回らぬ、それを技術の点に口をかりて予算を削ったことを合理化されるということは、私はどうもその当を得ないと思います。ことに今度のような大事故が発生してみますと、これがためにまた数十億という費用が立ちどころに要るわけです。こういうことを考えますならば、最初にそういう設備を改良すべきものを改良しておけば、こういう大きな事故を発生せしめなくても済んだ、済み得るということも考えられるわけなんです。そういう点において、新幹線の方に力を入れられる、これも無理じゃない、もっともだと思いまするけれども、しかし改良すべき個所は非常に多い。新しい適切な設備をしなければならない個所が多い。そういう費用を削ってまで新幹線の方に力を入れられる。他の財源から持ってきて新幹線を促進されることはけっこうですけれども、必要欠くことのできない設備をさいて、そうしてその費用を他に回されるということは、私は考え直されなければならぬのじゃないかと思うのです。そういう点についてはどうお考えでしょうか。
○吾孫子説明員 大へん御心配をおかけいたしまして申しわけないと思っておりまするが、五カ年計画は、申し上げるまでもなく年次計画になっておりまして、継続して改良を続けて参るわけでございまするが、全体のワクの中で若干運転保安に関係のない取りかえ、改良工事等について時期をずらしたものでございまするけれども、運転保安関係について手を抜くというようなことはいたしておりません。なお、経営費の内容といたしましても、保守その他のために必要な修繕費等につきましては、三十六年度よりも増額をいたしております。 それから、車内警報機のことでございまするが、これは事故に関係しました上り電車には車内警報機はつけてあったのでございます。不幸にして乗務員の方がなくなられました。ただ、現在の警報機と申しますのは、まだ遺憾ながらセルフストッパー、自動制御機と申しますか、それまでにはなっておりませんで、ただ信号が車内でも見られるようになっており、信号が赤の場合にブザーが鳴るというしかけにはなっておりますけれども、ひとりでにとまるというところまでは、まだ今のものはできておりません。それで、今後設備いたしますものは、そういう自動制御機も一緒に働くようなものも整備するように、研究をいたしておるわけでございます。
○加藤(勘)委員 私はそういう技術的なことはよくわかりませんけれども、自動停止機と自動警報機との相違はなるほどおっしゃる通りでしょう。今後は、経費はどういうことになるか知りませんが、できれば旅客の安全を保障するという意味において、自動停止機がつけられるように、これは早急に取り計らってもらわなければならない。それこそ人命尊重の第一要件だと思います。こういう点について、おそらく今後の対策としては、国鉄当局はお考えになるだろうと思います。これは経費の問題ではないと思うのです。経費を超越した、経費前の問題だと思いますから、そういう点について十分考慮を払ってもらいたいと思う。 それから、私は最後に一言申しますが、まだ原因が十分に究明されていない今日、直ちに将来の対策について当局の意見を聞くということは無理かと思いますけれども、十分一つ原因を究明されて、早急に事故の再発をでき得る限り、人的、機械的に防止できるような措置を講ずる、これがためには、さっき私は池田さんの例をあげたんだが、池田教授は、国鉄内部だけの知識ではいかぬから、民間の知識まで動員して対策を講ずるようにということを、あなた方の座談会のあとで批判して警告しておられる。それくらいですから、国鉄内部において、総裁の言葉をかりれば、あらゆる方面のということになるのだけれども、四十何万――あらゆると言ったって、そんなことは事実上不可能です。だから、現業員の集約された組合の意見なりさらに民間専門家の意見なりを動員して、そこで具体的な対策を講ずるように取り計らってもらいたい。これは、今度の問題でもし不幸にして五名の現業員の方が刑事訴追で起訴されて、原因がほぼ明らかになりましたならば――それはいつになるかわかりませんが、その直後の運輸委員会において、国鉄当局からその構成なり方法なりについて一つ報告として承りたいと思います。これだけを要望して、私の質問を終わります。
○十河説明員 先ほど来安全運転のために機械施設を充実しろという御要望がありまして、私もそれは当然すべきであるということを考えまして、ただいま問題になっております自動停車器等、電子光学を応用してやる最近の技術につきまして、国鉄部内だけでなく、一般の民間の権威者もお願いして、数年前から検討を続けておる次第であります。先ほど技術上の問題がいろいろあると申しましたのも、そういう点でまだ技術的にはっきりした結論が出るところまで至っておりません。いろいろな形式のものを作ってみたり、試験してみたりして、検討をいたしておるところであります。今後の対策といたしましては、できるだけそういうふうなことを取り入れまして、車内警報装置等も整備促進してやりたい、こう考えております。
○簡牛委員長 午後三時より委員会を再開することとし、休憩いたします。 午後一時五十六分休憩 ――――◇――――― 午後三時十分開議
○簡牛委員長 再開いたします。 国鉄の経営に関する件について、午前中に引き続き調査を行ないます。 質疑の通告がありますので、これを許します。肥田次郎君。
○肥田委員 先ほどから質問の要点が全般にわたってありましたが、その質問の中で、直接この事故の起こった原因についての質問の点は、ある程度ぼやけておったように思います。 そこで二、三この点について質問いたしたいと思いますが、まず、国鉄当局としては、最近頻発するところの貨物列車の事故について、この事故の起きた場所は今度の三河島とは条件が少し違いますけれども、しかし、総体に起きるところの貨物列車の事故というものと、それから今度起きた三河島の事故と、この点についてどういうふうに理解をしておられたのか。あれはただ単に貨物列車の事故、こういうふうに単純に考えておったのか、それともああいう事故が起きた場合に、これが場所が異なっていた場合には、これに併発する事故というものを予想するような措置をとっておったかどうか、こういう点について質問いたすのでありますが、この点についてまずお答えをいただきたいと思います。
○吾孫子説明員 最近貨物列車の事故が確かに御指摘の通り、五月三日の日にも朝早く東北本線の古河の駅で追突事故を起こしておりますし、また先般東海道線の鷲津あるいは函南等でも事故が起こっておりまするが、これらの事故の起こりました原因は、それぞれ事情の相違がございまして、三日の朝の古河駅構内の事故、それから三河島の事故というものの直接原因は、乗務員の過失にあったのではなかろうかと推定せられるのでございまするが、たとえば鷲津の事故の場合には、線路の保守に当たっておりました保線関係の職員の過失に基づいた事故であるように考えられております。さらにまた、その前に起こりました函南の事故の場合は、これは貨車の荷物の積みつけが悪かったというようなことが原因でございまして、貨物列車について最近数回の事故が起こっておりますけれども、ある場合は乗務員の過失と認められるものもあり、またある場合は、線路保守の関係が原因しておる場合もあり、あるいはまた貨物の積みつけが悪かった場合もあり、原因はいろいろでございまして、たまたま貨物列車について最近引き続いて何回か事故が起こったのでございますが、事故の起こりました原因は、ただいま申し上げましたように、それぞれによっていろいろと違っておるわけでございます。
○肥田委員 今おっしゃったように、函南は牛が原因で事故を起こした、それから九州の方では、たまたまこれは心中事件によって貨物列車が脱線転覆した、こいうふうに貨物列車が最近事故を起こす場合には大多数が脱線転覆をやっておる。そうして乗務員も重傷を負ったり、死亡したりしておる。この貨物列車の事故というものが、ただ単に条件が異なるから、あるいはその原因がはっきりしておるからということだけで割り切れない面があるのじゃないかと私ら思うわけです。この点についてどういうふうにお考えになっておるのでしょうかということを、まず一つ聞いておきたいのです。 それは御承知のように、貨物列車が最近特に近代化した国鉄のいわゆるスピード・アップといいますか、これにマッチされたような特別な構造が講じられておるということも聞いておらない。車両は、先般の函南のときの報告では新しいような報告でありましたけれども、しかし現実に私は貨車というものはそう新しいものはないずだと思う。ですから、そういう条件と、逐次スピード・アップされてくるところの貨物列車の速度というものとこういうもの、いわゆるスピードと車体という関係が一つ問題になってくる。それから、逐次廃止されつつあるところの機関車の関係、それから、さらには線路状態、こういう関係を考えないで、ただ単に、ちょっとしたところの人為的なものが原因であったとか、あるいは乗務員の過怠の状態が事故を起こしたとか、こういうことだけで問題の究明をするということは、いささか軽率ではないか、こういう気がするのです。ですからこれは、それぞれで報告をされるときに、一応筋の立った報告はされておりますけれども、しかしそれは前後を収拾するための報告ではないか、こういう気がいたします。この点は、最近貨物列車の脱線事故が頻発しておるので、将来の貨物列車の事故については、もう少し各方面から調査される必要があるだろう、もちろん専門家がやられておることですから、われわれはけちをつけるわけじゃありませんけれども、とにかくいろいろな問題が結果的に発表されるときには、何か集約をされて、合理的な発表がされておる、こういう気がしてなりません。 それからもう一つは、これは最近の状態がよくわかりませんから、そういう意味でもお伺いしたいのですが、国鉄の列車の運行は、夜間における場合にはほとんど線路状態を直視して運転することは不可能だと思っておるのです。ヘッドライトはほんとうに言いわけのように、ホタルのような灯が、行灯のような灯がぼうっとついておるだけで、これで線路の状態を見ようといったって無理な話です。現在の国鉄のスピードからすれば。そうすると、いわゆる保安措置というものは、一体運転士は何をたよりに走行しておるのか。いわゆるあのスピードで夜間における列車の運行というものは、ただ単に信号だけをたよりにして運転をしているのではないか、こういう気がいたします。この点について一つお答えをいただきたいと思います。
○吾孫子説明員 まず貨物列車関係で非常に事故が多い最近の傾向から、その事故の原因を簡単に集約しておるのではないのかという意味のお尋ねであったように思いまするが、先ほども申し上げましたように、それぞれの事件の原因というものは、そのつどやはり事情がいろいろございますので、今後の事故防止の対策ということもございますから、私どもといたしましては、この事故の原因の探究ということにつきましては、あらゆる角度からやっておるつもりでございます。従いまして、決して単純に、機関車乗務員あるいは運転士の責任に簡単に結びつけるというような考え方は毛頭いたしておりません。事故の原因が非常に複雑でありますために、その原因の究明等がおくれておる場合もございまするが、それはあらゆる角度から研究をいたしておるためにひまがかかっておるようなわけでございまして、決して事故の原因を簡単に集約するというようなことはいたしておりませんので、その点は御了承願いたいと思います。 それから、貨物列車の運行が夜間に非常に多いことは、御指摘の通りでございます。その場合に、ヘッドライトが及び得る光の範囲というものは、これまたおっしゃる通り、思いのほかに短距離のものでございまして、あの機関車の前方をヘッドライトの光をたよりに注視するということは――きわめて限られた範囲内しか見えないのはお言葉の通りであります。それで、やはり信号というものが、乗務員にとりましては、列車運転の場合の最大のよりどころになるわけでございますので、そういう意味で、信号の扱い並びに信号の指示に従って運転をするということにつきましては、厳重に平素から訓練もし、また努力もいたしておるのでございまして、列車のスピードがだんだん上がって参りますにつれて、なおよりよく信号の状況というものを乗務員が絶えず把握できるようにいたすために、午前中もお話の出ました車内警報機というようなものの整備にも力を入れておるような次第でございます。
○肥田委員 車内警報機――これは私ちょっと名前を忘れましたが、先ほどから何人か質問されておった中にあったように、車内警報機を取りつける予算をとって一時それに着手したけれども、数年前からこれは廃止というか立ち消えになったというような、こういうことがございますか。
○吾孫子説明員 車内警報機の整備ということは、数年前から継続して実行いたしておりますので、これも午前中お答え申し上げましたが、現在、東海・山陽線にはA型という車内警報機を、これは全線にわたって整備をいたしております。それから東京、大阪付近の電車に対しては、これは種類はちょっと違いますが、B型というものを、これも全面的につけておりまして、今回の事故に関係しました電車にも、この警報機はついておったわけでございます。それから裏縦貫線の青森-米原間に対しては、C型というやはり車内警報機をつけております次第でございまして、技術的にいろいろ研究いたしました結果、さらに今後主要幹線約七千六百キロに対して、新たな自動列車停止装置を付した車内警報機をつけることを目下予定をいたしておるような次第でございます。
○肥田委員 若干技術的にわたるわけですが、これも念のためにお知らせをしておいてもらいたいと思います。というのは、今おっしゃった車内警報機、自動停車装置というようなものは、これはいわゆる電気的に線路が閉塞された場合、あるいはその他の機械的に閉塞された場合、こういう場合はこれは可能だろうと思うのですね。ところが今度のような場合に、それが一体役に立ちますか。
○関説明員 お答え申し上げます。今度のような場合という御質問でございますが、最初の貨物列車が参った場合に――電車には東京付近全部ついておりますが、午前中に申し上げましたように、貨物列車の方にはまだついておりません。それで、これが車内警報機があったらどうだったかということでございますが、もし車内警報機がついておれば、警報を車内に現示したということになると思います。しかし、今の御質問は、おそらく下り電車がすでに脱線して傾斜しておりました場合に、上り電車が向こう側から来る、これに対し車内警報機があったら防護できたか、こういう御質問じゃないかと思います。これは電車の方は全部ついておりますが、これが線路の中の軌道回路を使っております関係上、軌道回路が閉塞状態にならない限り、車内警報機は働きませんから、対向列車の防護には車内警報機は今のところ役に立つようなものはできていない、こういうことでございます。
○肥田委員 その通りだと思うのです。実はたまたま数人の人が、あちらの方面に行って、そしてそのうちの半数ほどが前の列車で帰ってきて、あとの人がその電車に乗っておった、たまたまこれはけがなしで帰ってきました、そこで話をこういうふうにしていました。 ですから私は、警報機々々々という、車内警報機の機械的な面ですが、これについては、従来の考え方では、やはり手抜かりができてくるのではないか、やはり事故の性質も変わって参りますし、線路を閉塞した状態においてのみ警報機が操作をするというようなものでは、いわゆる電気的に閉鎖するとか、あるいはその他の閉鎖ということは、機械が操作をしても、その上を人が歩いておったというような場合には、これはどうにもならぬじゃないかということが一つ出てきます。たとえば、もっと精密な、いうところのレーダーのようなものがついておるとすれは、土砂がくずれて――土砂がくずれたような場合には重量で線路が閉塞するような装置もできます。ただ軽い人が上を歩く、大ぜいの人が避難をして歩いている、そういう際に、たまたまヘッドライトは全然役に立たない、めくらと一緒、そういう列車が走ってきた場合には、これは防ぎようがないんじゃないか。今度の事故の場合、根本的な問題はそこにあったと思うのです。ですから今度の事故の場合に、これはあなた方も答弁されておったように、ただ貨物列車にあとから後続の電車が衝突した場合には、ただ前の二車両ほどが被害を受けたという程度であった。ところが、そこから避難させた人々が歩いておるところに、今度は上り電車がやってきて、それによって事故が起きた、これが大部分です。 だから、今度の事故の原因というものは、一にかかってそこにある。運転士に責任を負わすということは、これは無理だと思うのです。ヘッドの視野というものはきまっておるのですから、昔の機関車で、ほんとうに前についておるぞというしるし程度のもの、それで六十キロあるいは百キロで走っておったか知らないけれども走ってきて、そうして運転士にもわからない、それから避難をしておる人もわからない、まるでやみの中を戦車が上にかぶさってきたような格好で起きてきたのが今度の事故だと思うのです。 先ほどから警報機々々々という話が出ておりましたけれども、この警報機と称するものは、いわゆる機械的に、電気的に現われる場合の警報機というものは役に立っても、今度のような場合には役に立たぬではないか、こういうことが私は言えると思うのです。ですから、こういう問題を考えながら、いわゆる事故防止の安全度というものを上げていただかなければ――私はこの悔いを将来に残すようなことがあってはいけない、こういうように考えます。ですから、具体的には当面そういう措置ができないのなら、ヘッドの光力をもっと上げて、そして、少なくとも一般の私鉄で走っているような、とにかくヘッドで幾らかの視野が確認できる、そうしてそれに対する対策がとれる、あるいはまた、そういう事故の際に最も適切なる処置としては、これはいろいろと言われておりましたが、その場所の状態を知らせる方法、こういうことが関連して考えられなければ、私は、貨物列車の事故というものが、今日までたまたま都市の中心を離れたところにあったからよいけれども、列車の回数がひんぱんであるところでは、必ずこういう事故が将来起こってくるのではないか、こういうことを考えるわけです。従って、そういう面について将来の対策を早急に立てることが必要ではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
○関説明員 お話のように、車内警報機をつければ万全だということではございませんで、これは少なくとも車内警報機が全体についておりましたら、最初の事故はある程度防ぐ可能性が多くあったのではなかろうかということが言えると思いますが、これはたとえばヘッドライトは現在相当光力を強くしましても、確実に認識できるというのはせいぜい百メートルから百二、三十メートルというところではないかと思いますが、これは大体六十キロ、七十キロというような速度で走ってきますと、非常ブレーキをかけましても、その限度一ぱいくらいになるということで、ヘッドライトだけでもこれは防ぎ切れない問題ではないかと思います。 それで、これに対しては、対向列車に対する防護ということは、従来から、運転心得に準拠して出しております通達によって、対向列車の防護手段というようなものがきめられておりますものを確実にやりましたならば、これはある程度防げるではないか。 もう一つは、これは今後当面の事故対策として、これに対して対向列車をどういうふうに防ぎとめるかということは、あらゆる角度から検討していかなければならないのではないかと思いますが、一つには、自動信号区間でありますと、線路の短絡――ただいま踏切でやっておりますようなものを、もしも確実にできる方法がありましたら、そういうことで防げるではないか、こういうふうなあらゆる角度から、今後ともこの可能性について検討し、できるものは実施に移していきたい、こういうふうに考えております。
○肥田委員 もう一つお伺いしたいのですが、これは総裁にお伺いしたいのです。総裁は言葉のあやということで取り消されましたが、実は私は、これは取り消されたのが間違いじゃないかという気がするのです。 別に裏の裏をというようなものの言い方を私は考えているわけじゃないのですけれども、私は総裁の最初に言われた言葉は、あなたほんとうのことを言われているのではないかと思う。予算を取ろうとする場合に、予算は削られがちだ。これはあたりまえのことだ。削られがちだから、削られた予算の中で何とかやり繰りをしてやっておる。これは私は不思議なことはないと思うのです。そこで、そんな予算で一体やっておったのか、こういう質問があったとたんに、あなたはそれを取り消された。これは私はどうも納得できない。これは私は運輸大臣にも、運輸省の予算というものはこれでよろしいのですかということをお聞きしたときにも、やはり満足な予算が取れたとはおっしゃっていない。まあ何とかこれでやらなければ仕方がない、こういうふうにおっしゃっておる。国有鉄道が幾つかの計画をかかえてそれを実現しようという際に、そんな完全な予算が取れるはずはないですよ。ですから、総裁が最初におっしゃったのは、これはおそらく総裁が常日ごろ腹の中へしまっておられるものがとたんにぱっと口から出た。私はそれが正しいと思う。それでなければ、私は将来の国鉄のいわゆる完全な対策というものは立てられない、こう思うのです。どうなんでしょう、もう一度それを取り消されますか。
○十河説明員 私の引例をしたところが不適当である、それでそういういろいろな誤解を引き起こしますから、私は取り消したのであります。予算につきましては、私、就任の当時、工事費の予算が大体五百億でありました。それを千億にしてもらいまして、さらにまたそれを二千億にしてもらったのであります。かなり倍に倍にと飛躍しておるのであります。 それで第一次五カ年計画は、当初の予定を上回って経済が非常に発展いたしましたので、第四年で打ち切ったのであります。そして第二次五カ年計画に乗りかえたのであります。ところが、第四年までの実績を見ますると、保安、安全等に関する予算、取りかえ、改良といいますか、そういう予算は、四年目にもうすでに五年分の割当を全部使っておるのであります。そういう状態で、いつも私たちは大体それでよかろうという見込みを立ててやりますが、実際の必要度はそれを上回ってくるのであります。それでいろいろな困難が生じてくるということを申し上げた次第であります。
○肥田委員 総裁、あなたどっちつかずというのですか、お答えですけれども、私はやはり後段にあなたが言われた言葉、これは大体納得できるのです。少々予算をもらっても、経済というものは動いているのですから、その通りにやっていけない。だから、ふやしふやしして今日こういう状態になっている。これでいいのですよ。それがあたりまえなんです。ですから私は、総裁が最初に、とにかく無理に無理をしてやってきておるのだ、こう言われた言葉を、予算を結びつけられて言われたら、直ちにあなたは取り消されたけれども、その必要はないのですよ。十分な状態でやれるはずはないのだし、だれもそれでやれていると思っていない。これが一つです。 そこで、また総裁は、当初の五カ年計画は四年間でやって、それで第二次五カ年計画だ、こうおっしゃいましたが、これも言葉じりじゃありませんけれども、これは第二次というような言葉は一つもない。新五カ年計画と、全く生まれ変わった立場で五カ年計画ということになっておる。これは何ですか、前の延長になるのですか。いわゆる五カ年計画を四カ年で打ち切って、そうして新五カ年計画という形で、私らはこの説明を新しく生まれた計画だ、こうとっておったのですけれども、総裁の今のお言葉で言うと、やはり第一次五カ年計画、第二次五カ年計画というふうに頭の中にしまっておられるのですか。同じでしょうかね。私の言うのは、最初の第一次五カ年計画は不成功に終わって、そして第二次五カ年計画だ、たまたま昨年は、新五カ年計画だということで御発表になった。これは国鉄当局というよりも、むしろどこかよそだろうと思いますけれどもね。 そこで、そういう予算の中でものが完全にやれるはずはないということになりますと私は納得ができるのです。そうなると保守の問題、それからさらに、線路の整備の問題――私は今ここで合理化の問題と結びつけようとは思いませんけれども、実際に事故が起こるというこの事故の原因というものは、これは二つある。動かしているのは人間ですから、この人の問題と、それから施設の問題と、この二つはどちらが重いとも言えません。ですから、その計画を完全なものにやろうということになりますと、これもどなたか言われたように、まるで軽わざのような運転をやらなくても済むような、そういう対策を早急に立てられなければいかぬ。それでないと、百五十五名の方にお気の毒でございましたということになってしまう。二度とこういうことはいたしませんという表われにはならないと思う。 そこで総裁、こういう事故が起こった直後でもありますし、それから交通問題ということで一般が非常に注目している時代でもございますし、国鉄の予算というものは、この四月に立ったところでございますが、そういう施設の改良に対して、あるいは改良の中に含まれるところの保安装置、そういうもの一切に対して新たに予算をもっとつけ加えて、それによって一般の利用者のいわゆる軽わざ列車に対する不安を除いていく、こういうお気持はございませんか。
○十河説明員 軽わざ列車というお言葉、また第二次であるとか、新五カ年計画であるとか、その言葉はどういうふうにお使いになっても、日本の経済の発展がわれわれの当初予想したよりか急速に成長してくる、そこで予算の不足を生じて参るのであります。それゆえに、予算を立て直して新しく五カ年計画を作ったのであります。今後も日本経済が発展する以上は、そういう場合が来ないとは限らない。われわれは、絶えず経済の実勢に応じた施設をすべく予算を検討いたしております。今後もそういうふうな検討をずっと続けて参りたいと存じております。
○肥田委員 総裁、こういう問題を控えた場合においては、話はもう少しざっくばらんに話された方が、われわれもわかりがいいし、それから、これを聞く人もわかりやすいだろうと思うのです。この際、何も政治的にいろいろな将来のことを配慮して答えられる必要はないのじゃないかという気がしますよ。いいですか、私が今お聞きしているのは、あなたが言われるように、実際に不備な点があるけれども、そういう面に予算が十分にいかない点は、私らもわかっていると言っている。だからこの際、そういう面を少しでも少なくするためには、あなたが不足だと思っている予算をもっと復活するとか、今できなければ、何らかの手でこの次に予算対策を講ずる、こういうお考えがありますかということを私は聞いている。何も通り一ぺんに、経済がどう変わるかわからない、若干の変化があるのはあたりまえだ、足らぬようになるのもあたりまえだ、その論法でいくと、あなたがもっともらしい答弁をされている、そのもっともらしい答弁のうらはらに、百五十五人死のうと死ぬまいと、これは仕方がないじゃないか、経済の発展に伴って国鉄を整備しているのだから、おれらの方には文句はないのじゃないか、これくらいの事故が起こるのはあたりまえだ、こういうことになりはしませんか。総裁、どうお考えになりますか。こういうときには率直に答えてもらった方が、われわれは納得しやすいし、気持がいいのです。
○十河説明員 国鉄の施設は、御承知の通り相当長い年月を要するのであります。だから、急にどうこうすることはできません。ただいま問題になっております車内警報というようなものにしても、この車内警報の技術的のいろいろな問題を解決しなければならない。また、それに伴う工業力というものもあります。金があるからすぐできるという問題でもないのであります。だから、われわれは絶えずそういうふうな検討をして、安全を第一に考えて、先ほど申し上げましたように、第一次五カ年計画でも当初の予定を多少変えまして、安全第一の方針で取りかえ予算をふやして、五年分を四年分に使ってしまったというようなことにいたした次第であります。絶えず安全のことを考え、事故をなくすることに努力しておりますが、この際は、さらに一そうそういう方面に力を入れて検討いたしたい、こう考えております。
○肥田委員 しつこいようですが、総裁にもう一つお伺いしますが、そうすると、総裁の言われたフランスの専門家が来て、日本はずいぶんえらいことをやっている、十六本の線で二千数百本の列車を動かしている、こう言われた言葉に対して、総裁は、どうだおれのところの腕前は、こういうふうに思っておられるのですか。それとも今言われるように、ひやひやしながらやっておると考えておられるのですか。一体どっちなんですか。私はこれに対する総裁のものの考え方が、将来の国鉄をどういうふうに実際に整備されていくかということのキー・ポイントになるのじゃないかと思います。国鉄はこれほどの腕前だと思っておられるのですか。
○十河説明員 一面においては、国鉄の経営能率が相当上がっているということをほめられたと同時に、他面においては、われわれが今後さらに施設の増強をして、国鉄が時勢の要求におくれないように、旅客、貨物についていけないような状態でなく、これを引っぱっていくような状態になりたい。われわれに対する、これは一面においては戒めであり、一面においては能率が上がっているということでのおほめの言葉である、こういうふうに両様に解して、私深くみずからを反省いたしております。
○肥田委員 私は、総裁の言われることは、総裁が長い人生の間で持っておられる定見だろうと思いますから、これ以上は言いません。 しかし、実際に三六のレールの上に、その三倍からの列車を走らせている、しかも百キロを越すスピードを出さなければならぬ、これは最大限度なのですよ。だから、あぶないことをやっているなというのが、よその国の人の目から見たところの現実ではないかと私は思うのです。おれのところはこんなに無理をしてやっているぞといばれた姿ではないと私は思うのですよ。そういうふうなものの考え方自体が、無理に無理をさせている。この無理に無理をさせている、あるいはしているといいますか、この姿が、経済と結びつけてということならば、これはやはり国民はあぶない軽わざみたいな列車に乗っているのだということになる。私はそういう点はもう少し実際の問題と関連をさせて、直結をさせて考えてもらう必要があるのじゃないかと思う。改良という面と、改良するところのスピードというもの、この考え方が私は特にこの際必要ではないかと思います。 そこで、これ以上総裁に――どうも総裁がここでそういうような無理をしている面があるのだから、ここでやはり国鉄の今の不足の面の予算は、運輸省当局にも話をして、とにかく今あぶない点は、今からでも手をつける、こういうお気持を持っておられるかというつもりで実は私はお伺いした。ところが総裁は、その点では非常に政治的な発言をされているので、これ以上総裁にどうお答えを願っても無理だろうと思います。ただ、そういうことで総裁に、えらいなまいきですけれども、私はこういうことを申し上げておきたいと思います。 御承知のように、総裁が国鉄総裁になられたときには、これは先ほどから委員がみな申し上げておったように、とにかく十河さんなら国鉄をりっぱなものにしてくれるだろう、こういう非常に大きな期待をかけておった、ところが、これは池田内閣と同じで、最初の信頼はだいぶ薄らいできたのじゃないか――ということを先ほどから言われておった。私はこのことがどうこうという問題ではありませんけれども、私は総裁が最初にそういう気持を持っておられたら、最後までそれを貫いてもらいたい。 私は今思うのですけれども、あの世界大戦が終わった直後に、例の西欧同盟を作り上げて、やり方はけしからぬけれども、とにかくああいうやり方をやって、そして西欧同盟というものを作り上げたマーシャルさん、この人があれを一潟千里にやって、なしとげたときに、私はもう疲れたから、それから女房も一ぺん休ませてやるのだからということであっさりと退いてしまった。私は、仕事というものはそういうものであるべきだと思うのです。やるときには全力を注いでやる。そうして自分の任務が終わったならばさっさと引き揚げていく、そういう姿こそ今の日本に必要ではないかと思う。私は、総裁がレールをまくらに、国鉄とともに討ち死にするという気持はりっぱなものだと思いますけれども、金魚のふんみたいに、切れるか切れぬかわからぬようにずるずるいったんでは、私は、国鉄の総裁としてレールをまくらに討ち死にせられるほどの成果は上がらぬと思う。上がったとしても、金魚のふんで、成果が上がったやらわからないうちに時代が過ぎてしまう。ほんとうに総裁が国鉄をよくしようと思うならば、あなたは全力をあげてやってもらう、それが私は国鉄総裁がみなの信頼にこたえられる道ではないかと思う。はなはだなまいきですけれども、私はそういうことを感じました。どうか一つあなたは自分の思われること――私はあなたの経験で間違いないと思います。ですから、そういうことをやろうとするためには、実現するためには、運輸省あるいは関係方面のあらゆる人々を説いて、そうして実際にあなたが考えておられる通りをすみやかにやっていく、これ以外に道はないと私は思う。五年が十年になり、これでは意味がないのですよ。私はこのことを、つくづく最近のたび重なる事故かとか、それから労使間における紛争だとか、こういうものを考えながらそういう結論を、実は私なりに持っているわけです。特にそういう点についてこの際総裁の大発奮をお願いしたいと思います。 質問を終わります。
○簡牛委員長 内海清君。
○内海(清)委員 私は、質問申し上げます前に、今朝来それぞれ同僚委員から述べられましたが、まず今回の事前において死没せられました方々に心からの弔意を表したいと存じますし、同時に、その御遺族並びに負傷された方方に対しましても、衷心からお見舞申し上げたいと存ずるのであります。 今朝来からいろいろ承っておったわけでございますが、運輸大臣あるいは国鉄総裁の御答弁を承っておりまして、私どもはなはだ遺憾に存じますことは、運輸大臣は、この安全運転については国鉄を信頼して参った、こういうお話でございます。国鉄総裁は、十分その点は考えておるけれども、今日わが国におきまする産業経済の発展が国鉄の予感を上回った、従って、設備の面におきましても不備な点があり、不完全な点がある、かような意味合いの御答弁があったのであります。私どもはわが国の産業経済が非常な発展をいたしますことはひとしくこいねがうのでありますけれども、そのために国鉄が、その能力を越えた無理な運転をしてかような事故が起きることは、国民ひとしくこれはこいねがってはいないと思うのであります。そこにけさほど来いろいろ言われた、国鉄の経営がある程度押しつけの経営になっているのではないかという疑惑は、こういうところから生まれてくると私は思うのであります。 この点につきましていろいろお話がございましたので、私は時間の関係でなるべく簡単にいたしたいと思いますが、その点に関しまして国鉄は、今日まで自主性を持って、そうして押しつけられた経営をやっているのではないという総裁の御答弁でありますけれども、いま一度その点についての御所見を伺いたいと思うのであります。
○十河説明員 事故と施設の関係をいろいろお話がありましたが、今回の事故は、施設との直接の関連はないものと私は考えておるものであります。もちろん国鉄の経営につきまして、自主的にいろいろな検討をいたし、施設を進めていきたいと思っておりますけれども、およそ社会、世の中で、自分の思う通りにいくことというものは私はないと思うのであります。いろいろな制約がありまして、金があっても工事能力がないとか、あるいは機械の輸入が非常に困難であるとかいうふうないろいろな制約がありますから、そういう点において、必ずしもわれわれの満足する通りに施設が行なわれていないということは、これは遺憾ながら認めなければならぬと思うのであります。そういう点においては、いろいろと不満足な点も不十分な点も多々あろうかと思います。それと、今回の事故とは直接には何も関係がないものと考えております。
○内海(清)委員 総裁のお話は、いろいろ設備においても不満足な点があり、不十分な点があるが、それは今回の事故とは関係がない、こういうお話であります。ところが私ども、新聞その他で聞き知り得たことは、今回の事故の発端は、貨物が行きどまり線に突っ込んだ場合に、これが横に倒れていった、このことがまず発端になっておるのであります。このことは、やはりこの行きどまり線の設備に一つの不完全なものがある。これはずっと――砂か砂利か私よく存じませんが、それの中に入っていってとまるのが常態ではないか。これがああいうことになりますところに、やはり設備の不完全、安全に対する注意が十分行き届いていないということにあるのじゃないかと思います。この点いかがですか。
○十河説明員 通常の場合に、信号に従って運転をいたしますと、ああいう事故は全然起こらなかった。ある速力で――どれだけの速力が出ておったか知りませんが、重い列車を引っぱって突破すると、ああいうふうな事故に相なる。それでありますから、通常赤信号になっている場合に、停車すれば、万全の処置はとれると思います。
○内海(清)委員 私どもが今日まで承知いたしておりますのは、ああいう行きどまり線の場合、その向こうに盛ってあります土砂の中に車が入りまして、それに乗り上げてとまる場合が多いでありましょうが、今回の場合はきわめて少ないのではないか。そこには、やはり設備の不完全ということが言えるのじゃありませんか。
○十河説明員 先ほど申し上げましたように、どれだけのスピードで走ってきたかわかりませんから何とも言えませんが、いかなる列車がどんなスピードで走ってきても、絶対にこれをとめるというふうな施設は、私はこれは困難で、できないかと思います。
○内海(清)委員 ちょっと技術当局にお願いいたします。
○滝山説明員 今御指摘の、貨物線と電車線が全然別であるならば、ポイントがありませんから事故は起きません。従って、先生御指摘のような設備状況になるかもしれません。しかし現状は、貨物線と電車線とがどうしても一緒にならなければならないという場合ですので、分岐器が存在し信号機があります。この信号機を守っておれば事故は起こりません。万一信号機を守っても、誤って過走したような場合に、砂利の中で自然にとまるような仕組みになっております。しかし、それを無視した速度のような場合には、どんな設備でも、やはりある程度脱線事故が起きると思います。
○内海(清)委員 そうすると、この場合、速度によってこういう事故が起きた、かように判断していいですね。 それでは次に承りたいと思うのでありますが、これは時間の関係で一々申し上げませんけれども、私どもの承知いたしておりますのでは、戦後大体六回くらいあるんですな。今回の場合も含めて六件くらいの大きな事故があったと思います。そういうふうなものを調べてみますと、死者はずいぶんの数になっておると思います。負傷者に至りましては、実に千百名をこしておると思いますが、こういう場合の原一因が、現在まで私どもが承知しているのでは、やはり速度の出し過ぎというようふうなもので、これは当局の方がよく御存じでありますのであれでございますが、私ども承知しているのでは、大体速度の出し過ぎによる大きい事故が二回と、信号の関係によるものが三回くらいあったと思うのです。今朝来の国鉄当局の御答弁を承りましても、いろいろ話がありますが、結局、今後はこういうものを絶対になくしたい、なくする覚悟だ、こういうことでございます。従来の事故の場合も、この言葉は繰り返されておった。しかるに、同様な原因によります事故が出てくるということ、ここには何か大きな原因があり、欠陥があるのじゃないかと思うのでありまするが、その点についてお伺いいたしたいと思います。
○十河説明員 その点につきましては、今朝来お答えいたしておりますように、国鉄の部内においても、十分に事故の原因、責任の究明をいたします。また、運輸大臣からお答えのありましたように、運輸大臣の任命ぜられました監査委員によっても、また事故の原因、責任の究明がされるものと思います。そういうふうないろいろな人によって、いろいろな角度から、この事故の原因と責任を究明したいと考えております。
○内海(清)委員 今後はそうするということでございます。今までもそのことが言われてきて、それがなお重なって事故が起きつつある。今まではたしていかなるそういう処置が行なわれてきたか、こういうことでございます。 もちろん今日の交通状態から言うて、こういうふうなものも非常な困難な問題もあると存じます。ところが、今までの原因とされたようなものによって今日なおそれが繰り返されておるとするならば、そういうものの原因を、今までも調査されたでありましょうが、今回も調査し、それを明らかにしたのみでは、決してこういう事故は今後もやまないと思う。そこに私どもは最も関心を持つものであります。 過去の事故のたびごとに研究されて、それぞれの処置はされたと思いますが、けさほど来の質問の中にありましたけれども、結局、この問題は人の問題に帰するのではないか。ことに、非常に多くの人命を預かる人の教育、訓練というものが基本になる問題です。もちろん技術の面は言うまでもございません。それに対して今日まで国鉄が教育、訓練をいかにされたか。さらにもう一歩突っ込んで申しますならば、国鉄の現業員、これがほんとうに自分の職務に対しまするプライドを持って、心魂を打ち込んで仕事に当たるということ、この気がまえがなければ、いかに原因を調査され、その当事者に対する処罰がありましても、決して今後絶えていくものではないと私は考えます。これらの点につきましていかにお考えですか。なお、過去どういうふうな教育、訓練が行なわれていたか、こういうこともあわせてお伺いいたします。
○十河説明員 事故の絶滅を期するために、われわれといたしましては、人の問題と物の面と両面から絶えず研究し、努力を続けて参りました。物の面におきましては、今朝来お話のありますように、車内警報機とか、あるいは列車自動停止装置というふうなものを次々と研究して取り入れつつあるのであります。人の面におきましても、新しい技術の進歩もありますが、人間を、現在の職員を再教育する必要があるということで、中央、地方に再教育の施設を設けまして、そこには現実に動かしておるのと同じ車、機械を据え付けてあります。そこで実際の訓練を先生がついて継続してやっておるのであります。その教育を受けた人数も相当な数に上っておるような次第であります。 そのほかに、専門家が、講習といいますか、訓練といいますか、そういうものは絶えずやっておるのでありまして、具体的には私は申し上げかねますけれども、そういうふうに努力してやってきておりますが、なお足りなくてこういう事故を起こしました。今後はさらに一そうそういう面を強化して参りたいと考えております。
○内海(清)委員 いろいろ再教育の面について意を用いられておるということでありまするが、しかし、今、総裁に承りましたのは主として訓練方面での技術的なものが多いと思います。私は、特に多数の人の命を預かる人に対しましては、人としてのもっと精神的な面における訓練を行なう必要があると思う。 私どもいろいろ工場で従業員として働いて参りましたが、工場におきましても、安全の面については、ここ十年来非常な力を入れておる。そのためには、特に安全教室を設けて、安全教育をし、そうして一人の従業員がけがをいたしますと、これに関連したものを加えますと非常な莫大な損害になる。そういうことからいたしまして、工場としても、経営者としても、この安全に対する施設に多くの金をつぎ込んでおり、それが今日十年後におきましては実に見違えるようになった。この問題は、これは経営より一歩前に人道的の問題である。国鉄におきましても、人の命を預かるのでありますから、この点に関しては最も意を注がれなければならぬ。 さらに、工場におきましては、工場従業員の多くの災害は、これを調べてみますと、週でいえばいろいろあります。休みの直後、休みの前、あるいは時間で申しますと、休憩時間の直後、前あるいは就業の前とか、国鉄は工場とはかなりそういう方面は違いまするが、そういうふうなことも調査して、それに対処する。さらに家庭生活というものが非常な影響がある。大災害を工場で起こす場合は、ほとんどその七、八割は家庭に原因があると言ってもよい。こういう面から考えまして、なるほど国鉄の従業員の方は、毎日の勤務でございませんから、休養時間はそのつもりになれば十分あるはずでありますけれども、やはりその私生活というものが自分の職務に大きな影響があるということを、本人も考えなければならぬでしょうし、国鉄当局としても、その面に対する教育をしなければならぬ。そこで今日、工場等におきまして、いわゆる新生活運動を盛んに興しておるゆえんは、ここなのであります。こういう点につきまして、今日まで国鉄当局はいかに考えておられるか、その点を一つお伺いいたしたい。
○吾孫子説明員 安全運動ということにつきましては、国鉄といたしましてももとより重視いたしておりまして、組織の面におきましても、本社の厚生局に安全衛生課というような課を設けまして、事故の防止、安全を期するための種々の訓練、あるいは職場の整備改善というようなことは、かなり前からやっておりまして、実際の状況のありのままを申し上げますと、国鉄というところは、職場の関係上、かつては一年間に数百人以上の殉職者を出し、一万人をこえるような公傷者を出すような状態であったのでございますが、最近におきましては、それらの殉職者の数はかつての三分の一以下くらいになりまして、百名前後にまで少なくなって参りました。また公傷者の数も数年前に比べますと著しく減ってきてはおります。そういう面におきまして、職場の安全に対する措置というものは、かなり効果は上げてきております。職場によりましては厚生大臣等から表彰をいただいたというようなところもございます。しかしながら、残念なことに、全体を見ますと、まだなかなか徹底的に事故をなくすということは困難でございまして、数は減りましたけれども、依然として殉職者もございますし、公傷者も相当数出ておりますので、これらの点につきましては、今後なお一そう力をいたしたいと思います。 それから、御指摘のございました国鉄職員の勤務体制が、間に非番日が入りましたり、公休日が入りましたり、また出勤いたします時間がいろいろでございますので、その間、職務と職務の間の休養の時間の使い方というようなことにつきまして、せっかく休養すべき時間に、かえって疲労の原因となるようなことをやっておりはしないかというような点につきましても、これもしばしば問題になることでございますので、できる限りその面の指導管理というようなことにつきましては、特に現場の第一線の長の諸君にはそういう点を注意してもらうように、平素も指導いたしておるのでございますけれども、これまた時おりいろいろなことが起こりますので、私どもの力の足りません点につきましては反省いたしておりまするが、たとえば乗務員が仮泊いたします休憩所の設備その他につきましても、最近では往年に比べますとよほど改善はいたしておるのでございますけれども、これまたまだまだ完全ではございませんので、そういう点に対する設備の充実というようなことにつきましても、なお一そう力を入れて参りたいと存じております。
○内海(清)委員 安全一面につきましても、いろいろ意を用いられて、国鉄の職場内においてはだんだんと災害が減ったという、これはまことにけっこうでございます。ただ国鉄の場合は、多くの人命を預かるという、そういう役目があるのであります。ただ自己の安全ということだけでございません。ここに最も大きな問題があると思うのであります。そういう点から申しますならば、安全に対しまする国鉄の考え方というものは、この際基本的に考え直していただかなければならぬのじゃないか、私はかように思うのであります。このことは、ただ職場で職場の長が指示し指導したのみでいくものではございません。私どもの工場の経験から申しましても、結局これは労務管理の問題であります。人の和――お互いに信頼し合ってやっていくということが基本でございます。何と申しましてもこれが基本です。ただ一つの通達や一つの命令でそういうことが完全にいくと思ったら、大きな間違いであります。その辺にはたして欠陥がないか。今日までいろいろな労務の面におきまする問題があるわけであります。これらにつきまして、今度の問題につきましても、あるいは職制に乱れがあるのではないかというふうなことまで出て参りますことは、結局そういうところに私はあると思う。けさほどからいわゆる労使一体ということを言われておりますが、はたして国鉄がその姿でいかれておるかどうか。お互いの信頼感の問題だと思う。ことに安全の問題は、これがなかったら決していきません。私がおりました工場にいたしましても、最初はこれがむずかしかった。このお互いの安全に対する人道上の問題としての信頼感ができて、初めてこれで成績が上がっていくのであります。これらの点につきまして十分一つお考えいただきたい。同時に、お互いに信頼感を作りますためには、そういう危険な仕事をし、無理な仕事をしておる、こういう面に対しまする物心両面の一つの待遇と申しますか、こういうことも考え及ばなければならぬと思うのであります。これらにつきましてどういうふうにお考えになりまするか、重ねてお伺いいたしたい。
○吾孫子説明員 ただいまお話のございました、人命を預かっておる国鉄職員の場合に、特に安全を重視しなければならないということ、またそれが根本的には労務管理のあり方、ひっきょうは人の和ということにつながっておるものであるというお言葉は、全くそのお言葉通りでございまして、私どもまだ及ばない点がたくさんあることを恐縮いたしておりまするけれども、なお一そうお話の御趣旨を体しまして努力をいたしたいと思います。
○内海(清)委員 今申し上げました意味からいたしまして、けさほども論議されましたが、たとえば労使の安全委員会等を作られますならば、必ず現場のその衝に当たる人の意見も聞かれることが最も重要であると思う。その人が得心してやるときに、初めてそこに成果が上がってくるのであります。けさほど総裁からもお話がありましたが、こういう問題は、団体交渉とかそういう問題ではございません。それより一歩前の問題であります。少なくとも人命に関する問題であります。今後の国鉄の安全運転という面につきましては、当局はもちろんでありますが、十分にその衝に当たっておる従業員の意見も取り入れられ、格段の御努力を願いたい。再びこういうふうな問題が起きますならば、国鉄はいかに言いわけをされるか、この点を一つ十分お考えいただきたいと思います。 さらに、運輸大臣にもお願い申し上げておきますが、今日まで国鉄の安全運転については信頼しておったということでございまするが、もちろん信頼されることはけっこうであります。しかし、信頼して全然まかすということは、はたしてほんとうに信頼したことになるかどうか、もっと運輸当局におかれましてもこの点につきましては十分お考えになりまして、そうして国鉄当局に対する指示、指導といいますか、今後におきましてこういう災害の再び起こりませんように、運輸当局と国鉄当局の完全な協力によりまして対処していただきたい、これを強く要望しておきたいと思います。
○簡牛委員長 勝澤芳雄君。
○勝澤委員 今、内海委員から言われ、なおそれについて吾孫子副総裁からも答弁がありました。その中で、事業は人だ、そしてなお人の和が一番大事なことだ、そのためにはお互いに信頼し合うことだということについて、同感の意が表されました。そこで、私は総裁にお尋ねしたいのですが、今日の国鉄の労使はこのような形になっておると思いますかどうですか。今回の事故に対しまして、世論は大へんきびしく国鉄労使のあり方について指摘をしております。同様の立場でその責任の所在の追及をされております。このことは、過般の三・二一の闘争にあたって、私は何回となくこの点を申し上げておいたはずです。とにかくお互いが信頼し合うことだ、職場の中でお互いが理解して尊敬し合い助け合うことだ、こういうことを何回となく申し上げておったわけでありますけれども、残念ながら、私の見る国鉄の労使というものは、そのような形にはなっていないように思うのです。事故の一端がここにあるとは私は申し上げませんけれども、本質的に事業をやる立場から考えるならば、これはやはり人であり人の和だ、それが今日どういうふうになっておるとあなたはお考えになっておりますか。まずその点をお聞きいたしたいと存じます。
○十河説明員 私も、事業は人であり、人の和が基本であるということを絶えず考えております。しかし、現状はどうかと言われますと、現状は今お話がありましたように、遺憾ながら完全にそういう状態になっていない。それゆえに、われわれはこれを改善していきたいということで、日夜努力いたしておる次第であります。
○勝澤委員 改善をするために、どのような努力を日夜なされて参りましたか。
○十河説明員 たとえば、労組との間の交渉につきましては、闘争とか戦闘とかいうようなことはいやしくも口にも出してはいけない、われわれは、お互いに信頼して、お互いに一つの企業の同僚である、手を握って相和していかなければならぬというつもりで、そういうふうにやって参っております。
○勝澤委員 あなたはことしになって何回組合の幹部とそういう問題でお話しになりましたか。
○十河説明員 何回話したか、私十分記憶しておりませんが、私からも組合の幹部に会見を申し込んだこともありますし、組合の幹部の方から私に会見を申し込まれたこともあります。お互いにみんな忙しいものですから、なかなかこちらの思う日、時と、向こうさんの余裕のある日と時とがぶつからないというふうなこともありまして、この点もなかなかお互いの希望するように参っておりません。しかしできるだけそういうふうにいたしたいと考えております。
○勝澤委員 あなたは日夜とにかく努力されていると言うが、日夜の努力が、実は私が知る範囲内においては、そんなに組合の幹部と話をされている機会は少ないと思うのです。国鉄経営の中でも、毎週一回理事会を開かれていろいろやられるでしょう。だから、せめて月に一回や二回程度は最も大事な組合の幹部と話し合って、そうして直接その不平や不満を聞き、世の中の話をお互いにし合うくらいに胸襟を開くということは、私は事業を行なう上に一番大事なことだと思う。それがなぜなされていないかというと、これは私は率直に言うと、国鉄は企業者の立場になっていないのです。合理化をやる、近代化をする、こういうときには企業者の立場に確かになっておるでしょう。しかし、三十六人もの大量の首を切り、あなたが就任をして以来百何名という世界で例のない大量の首切りをする。五万数千人という大量の処分をしている。賃金カットまで含めたら十五、六万の人たちが処分を受けている。こういう企業者はないのです。このときは企業者ではないのです。このときにはあなたは管理者になっている。ここに問題があるのです。いい悪いはともかくも、労使の紛争が起きて、そのときに三十六名という大量の首を切った。しかし、おれは管理者だからといって、総裁以下の責任は今日までほったらかされているじゃありませんか。これがもし民間会社だったらどうでありましょうか。三十六人も首を切らなければならないような労務管理をやってきた重役は、とたんに失脚させられていると思うのです。ですから、都合のいいときには、あなたたちは管理者という立場で逃げている。そうして何を言うかといえば、職場秩序を維持する、職場規律を確立する、こう言われている。片方において、合理化を進めるときには、おれは企業者だと言っている。そこに一番大きな問題点がある。運輸大臣にお尋ねしたいのですが、最近このような事故が国鉄の中に続発している。そしてあなたが監督官庁である国鉄のもとにある一番大きな国鉄労組なりあるいは動力車の労組なり、こういう組合と運輸大臣とが胸襟を開いてお話し合いをしたことがあるでありましょうか。
○齋藤国務大臣 私は今日の国鉄の労使のあり方が完全だとは思っておりません。一日もすみやかにこの労使関係をもっと民主的ないい関係に持っていくことを念願いたしているわけであります。私は国鉄の労組の団体と今まで不幸にして直接接触をする機会がありませんでした。労使お互にいろいろ話し合いの場を持っておられますが、私は運輸大臣として労組の幹部の方々と直接話し合うという機会を持っておりません。しかし、私といたしましては、先ほど申し上げますような観点から、必要があれば幾らでも労組の幹部の方々とお目にかかるのにやぶさかではございません。その方がよければ私の方からも進んで会いたいと思わぬでもないのでありますが、今までそういう機会に恵まれておらなかったわけでございます。このたびの事件につきましても、率直な国民の声の中には、労使がどうもうまくないのじゃないかという声を聞くわけであります。従って、私は、今日の労使関係がもっと改善されまして、ほんとうに私の得られた労使関係に進んで参るように、今後私自身も、外側からではありますが、できるだけの努力をさしてもらいたい、こう思っております。
○勝澤委員 労使関係の改善をさせるために、監督官庁である大臣としてはやはり十分の留意をしなければいけないと思う。そこで、大臣もお考え願いたいことは、とにかく今日まで国鉄の中の多くの労働組合の幹部というものは、十河総裁によってみんな首を切られたのです。しかし、十河総裁から不信任だといって首切られても、国鉄の従業員の中では、この人たちがわれわれの代表として最も適任だという人たちもまたたくさんあるわけです。言うならば、国鉄の管理者のやっているやり方についてはこれは間違いなんだ、われわれ働く従業員の立場から見たならば、このやり方が間違いなんだということが言われているわけです。そのことが積み重なっておるわけです。ですから、国鉄の労使関係を改善をするために一体どこを改善をすべきかということは、明らかになっていると思う。いつも責任をとらされるのは、労働組合の幹部から一番末端の職員なんです。片方の方は依然として残っている。そして不信感がずっと積み重なっている。そういう不信感が積み重なっているのを、腹を割った話し合いをすればいいものを、お互いに忙しいので話し合いがしていない。話し合いはしたいと思っている、組合にそういう希望があるならばしてもよろしい、大臣は管理者だからそれでよろしいと思うのです。しかし企業主たる国鉄総裁がそれではいけないと私は思う。用意があるならば話をしてもよろしい。しかし民間の社長はそれでは勤まりませんよ。取締役や専務で話ができなければ、社長が、おれが出ていって組合側と話をしようというのが、民間企業の今日のあり方なんです。企業を運営していくためには当然ですよ。そのことが今日行なわれていない。行なわれていないところに問題があると思う。どうでしょうか、総裁、最近のこの事故の頻発にあたって、事故防止のために、あるいは三河島のこの事故の問題について、組合との間に話し合いをいたしたことがありますか。あるいはこれからいたすつもりになっているのですか。その点どうでしょうか。
○十河説明員 先ほども申し上げましたように、私からも労組の幹部にそういうふうにしたい――今お話のありましたように、せめて月に一回くらい会見しようではないかということを申し込んであります。ありますが、不幸にして今日までそういう機会がまだやってこない。お互いに顔の違うように意見の相違があるわけであります。意見の相違は、あくまでも平和裏に話し合いをし、調整をしていこうじゃないか。われわれが相和するということが一番大切なんであります。相和するためにはどうすればいいかと申しますと、どうしても筋を通さなければならない。めいめい思い思いのことをやっておったのでは、どうしても相和することはできませんから、筋を通して、その筋にみんな寄ってくるということで、初めて相和するということになるんだと思います。その筋というのはいろいろありましょうが、私は第一には法律を守ることがなくてはならない。法律を守るという範囲内でなければ相和することが困難じゃないか、こう考えまして、法律を守ってほしいということを、私の側においても、また労組の側においても、そういうことをいろいろと話し合いをしておる次第であります。
○勝澤委員 この間私は話したと思うのですが、早稲田の吉村という教授が参りまして話を聞いたのですが、大体日本の国は何でもかでも法律で法律で、こう言う。法律でなくてなぜもっと常識でものが解決できるようなことにならないだろうかという話をされました。私はその通りだと思うのです。あなたの話を聞いていると、法律々々、こう言っておる。私は、この間の委員会で大臣に聞いた。あるいは自治大臣にも聞いた。それは、とにかく車を道路に放置しておいちゃいけないという法律が出て参りました。これは常識なんです。あるいはこの国会の構内は十六キロ制限になっているそうです。十六キロ以下で走っている車はないのです。なぜ取り締まらないのだ、こういう話をいたしました。東京の交通事情の中で、みな何キロと制限があります。これで自動車は走っていますか。だから法律というのは一体どこまで守ったらいいでしょうかと、まあやぼな質問ですけれどもいたしました。あなたの話を聞いておると、何でもかでも法律だ法律だ。ここに国鉄の労使の問題があるのです。だから、私は、あなたに、直接組合の幹部に会いなさい、こう言っておるのですよ。あなたはいつも、河村職員局長の話を聞き、そうして第三者の話を聞いて、それで判断している。ですから、あなたの話を聞いていると、先ほど私が言いましたように、吾孫子副総裁が読売新聞で言っていると同じように、事故なんというのは管理運営事項だから、組合の代表を入れて事故の防止委員会なんかを作ることは団体交渉の対象でない、こういう頭でやっておったら、いつまでたっても事故はなくならないのです。働いている人たちの中に飛び込んで、お前たちの意見はどうなんだという気持にならなければ――その意見を聞くに、これは管理運営事項だ、これは団体交渉の対象ではない、聞きおく、これではだれも信頼をしないではありませんか。このことを私は先ほどからよく話しているのです。もう少し総裁はおわかりになっていただけると思っておったのですが、一体これだけの大きな事故を起こして、世論の中でも、もっと組合と話し合って、お互いに啓発し合って、事故防止のために努力して、こう言っておるにかかわらず、あなたの話を聞いておると、そういうことについて何らお考えになっていないようでありますけれども、もう一度お答え願いたいと思う。
○十河説明員 たびたび申し上げておりますように、考えてないどころでなく、そういうことを申し込んで、この前労組の幹部に会ったときも、そういう提案をしておるのであります。しかしながら、労組でも、いろいろ忙しいと見えて、その機会がまだないという状態であります。今後は、この事故を契機といたしまして、できるだけたびたびそういう機会を持つように努力して参りたいと考えております。
○勝澤委員 当面の事故対策について組合と腹を割って話し合う用意があるのですか。話し合うのですか。
○十河説明員 私の申し込みましたのは今回の事故の前でありますから、事故後はまだそういう申し込みはしておりません。何どきでも、私は、組合の幹部と会って、ひざ突き合わせて懇談をする用意があります。
○勝澤委員 それは組合の要求によってやるのではないですよ。企業者が必要によってやることなんです。そこの認識をあなたにしていただきたいと思うのです。企業者の必要によって労働者に協力の要請を求める、労働者は企業主の熱意によって協力し合い、信頼し合っていく、こういう姿になる。どうでしょうか、その点、あなたの方で進んで国民一般の世論にこたえて、積極的にそういうことをおやりになる、こういうことなのですか。
○十河説明員 事故が起こりましてから、今朝も申し上げましたように、私は、まず当面の負傷者のお見舞いをする、あるいは犠牲になられた方々の弔問をする、そういうことに忙殺されておりますから、今すぐにということはなかなか困難だと思います。しかし、そういう当面の事態が一応落ちつきますれば、そういうことをいたしたいと考えております。
○勝澤委員 やられる用意があるようですが、これは私が言っているのではない。経営者としての東京電力の会長の青木均一さんが、新聞の談話として発表しているのです。「経営者も組合も、事故防止について真剣に啓発し合うべきだ。」これは、困難なときこそ、お互いに話し合って、お互いに助け合っていくべきだ。「また二度と事故をくり返さないために、国鉄当事者、組合に第三者を加えた政治色ぬきの事故調査委員会」を作って、そうして事故の原因を細大漏らさず究明して、この結果を公表すべきだ、こう言われているわけです。これは企業者として考えれば、私は当然なことだと思うのです。この点についても、あなたは同意をされますか。
○十河説明員 それも必要な一つの案だと思います。その他いろいろやるべきことがあろうと思いますから、今後どういう対策をとったらいいかということは、まず当面の事故の原因ということを究明して、それに応じていろいろな対策を実施して参りたいと考えております。
○勝澤委員 いつかも話しましたけれども、大臣、よくお聞きしておいていただきたいと思うのですけれども、一番基本になるのは、先ほどから言っておりますように、人だ、人の和だ、人の和のないところに仕事がうまくいく道理はないわけです。それが今日、いつかも指摘しておりますように、国鉄の中には、十六とか十七とかの労働組合がある。そして今度の三河島の乗務員を見てみましても、機関士、機関助士は動力車の労働組合員だ、車掌は国鉄の労働組合員だ、こういう形で、今の国鉄の労働組合の中では最も中心的な組合であるから、直接的には問題はなかったとは思うのですけれども、しかし、今日十六の組合が分かれておって、なおかつ機関士や機関助士あるいは車掌もあるいは荷扱手もみんな違う組合だ、一緒に車掌が乗り合わせても話もしない、こういう状態が東海道の中にあるのです。車掌が二人とか三人とか乗っていると、組合の所属が違うと、なかなか仕事もうまくいかぬのです。ましてや今度は施設の方を見ましても、あるいはまた電気掛を見ましても、こんなに分かれておって――車掌が国労で、機関士、機関助士が動労で、それから旗を振っているのが職能別労働組合で、保線が施設の労働組合で、電気の人が電気の労働組合、こんなふうにばらばらに分かれておったらどうなるかということを、私はやはり常識でお考えになっていただきたいと思う。それが組合の主体的な力によってそうなってきたなら、私はやむを得ないと思う。しかし、そうではないのです。国鉄の労務管理の欠陥によって、相当な部分がこうなったと私は思うのです。そういうことを考えたら、私は、まさに危険な――先ほどから、総裁は、施設についても不十分な点があると言われております。こういう危険な状態の中で、いろいろに分かれておっていがみ合っておる人たちによって、そういう運行が行なわれておったら、一体どうなるでありましょう。一体そういう原因はどこにあると思いますか。総裁はその点について真剣にお考えになって、これは何とかしなければならぬというふうにお考えになったことがあるのですか。
○十河説明員 私は相なるべくは単一の組合であってほしいということを念願いたします。念願いたしますが、民主主義の今日、これをわれわれの力でどうこうするということは、これはできないんじゃないかと思います。
○勝澤委員 総裁、ここであなたがお答えになっていることと企業の実態というのは、だいぶ違っておるのですよ。あなたはとにかく一つの企業の中には一つの組合があるのが望ましい、望ましいのが幾つも分かれている、分かれている原因はどこにあるか、それはあなたは民主主義だと言う。そういうことではないのです。ほかの郵政省を見てもおわかりになると思うのです。あるいは電電公社の組合を見てもわかると思うのです。なぜ国鉄だけがそうなっているか。だから、その点を、先般来社会労働委員会でも、問題はどこにあるか、河村労政にあるんだといわれているじゃないか。河村労政がどうなっているか、今日までどういうことをやってきたかということを、あなたは研究したことがあるのですか。確認したことがあるのですか。あるいは河村労政がどうだということを、ほかの理事の方々、ほかの組合員の方々に聞いたことがあるのですか。それをあなたは聞いておるかどうか、よく知りませんけれども、そういうこともこの際やはり気がつかなければ、国鉄の問題というのは解決しないということくらいは、せめてお知りになっていただきたいと思うのです。 時間もありませんので、最後に私は申し上げておきますけれども、ダイヤモンドの社長の石山さんはこう言っております。「もちろん組合員だけの気のゆるみというより、むしろ国会に始終ペコペコ頭を下げて全く自主性のない十河総裁以下全職員の弛緩といえる。」これは、先ほどの生田委員の質問についてのあなたの取り消しを見てみますと、まさに私は一せめてこの際、これだけの大きな事故が起きたのですから、もっと赤裸々な、なまなあなたの持っているものをさらけ出して、そして世間に国鉄の安全のあり方について批判を請う、積極的に再建をする、これくらいのことは、この委員会であなたの気持として、何年間となく国鉄を愛してきたあなたとして、私は訴えられると思う。まことに残念だと私は思うのです。 私はこの前も鉄道運賃の値上げのときに言いました。鉄道運賃の値上げをしたら、これだけサービスをよくする。大へんけっこうだ。しかしそのやり方が問題だ。だから、あなたは、一方において大へんりっぱな事業をなし遂げておりますよ。しかし、片一方においては、それをどこにしわ寄せしているか。それが今日欠陥となって、何回となく現われてきているこの現象だと思うのです。合理化もけっこうです。新線を作ることもけっこうです。しかし、赤字の政治路線を作って、あなたが自分で判こを押して――国の方針のためには赤字路線も作らなければならぬでしょう。それを押えつけられて運輸大臣に出して、片一方では合理化合理化とやっている。やり方がちぐはぐです。せめてこの辺は改めなければならぬですよ。去年おととしまでは線路をはずして、そして自動車を通すのだと言っている。ことしになったら、そんなはずしたところにまた線路を敷く、こういった一貫をしない方針は、せめて、欲も得もない、おれは国鉄のために最後を捧げるのだという言葉をあなたがここで吐く以上は、この辺で行動において示してもらいたいと私は思うのです。 時間がありませんので、またあらためて機会を得て質問することにいたしまして、私はこれで終わります。
○簡牛委員長 暫時休憩いたします。 午後四時五十分休憩