予算委員会 第8号
- 発言数
- 431 件
- 登壇者
- 30 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1961/10/20
会議録
○委員長(小山邦太郎君) これより予算委員会を開きます。 昭和三十六年度一般会計予算補正(第1号)、昭和三十六年度特別会計予算補正(特第2号)、以上両案を一括して議題といたします。 昨日に引き続き質疑を行ないます。小柳勇君。
○小柳勇君 労働大臣に質問いたします。 昨日炭鉱地帯の不況について視察して帰られて、閣議があれば報告するという話でございましたが、本日閣議がございまして、その報告並びに閣議でおきめになりましたものを具体的に詳しく御報告願います。
○国務大臣(福永健司君) 私が帰りましてから、初めての閣議が今朝あったわけでありますが、非常に筑豊地区を見たなまなましい感覚といたしまして、深刻な事態にあることを報告説明いたしました。恒久的な対策も、これは大いに検討して早く確立しなければなりませんが、同時に応急対策については、これは急遽処置しなければならぬということを力説いたしまして、全閣僚に了承を得たわけであります。本日さらにお昼の時間に、当委員会休憩になりました際に、石炭対策関係閣僚の協議会を行ないまして、ただいまお話のような具体的な問題につきまして、さらに打ち合わせ等をいたしまして、できるだけのすみやかな措置をとりたい、こういうふうに考えます。
○小柳勇君 石炭問題は緊急を要しますので、ただいま大臣の御答弁のように処置を願い、緊急に具体的な措置がとられるように希望いたします。 厚生大臣に質問いたします。今度の予算で生活保護費が五%引き上げられておりまするが、これはどういうことを意味するものでございますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) お答えいたします。生活の保護費の基準につきましては、御承知のように本年度の当初予算におきまして一八%ばかり引き上げまして、保護の徹底を期することにいたしましたことは御承知のとおりでございます。その後の物価の増高等にかんがみまして、年度半ばではございましたけれども、とりあえず五%ほど生活保護費の基準の引き上げを行なったわけであります。本格的には来年度通常予算において保護費の問題を検討すべきであると考えております。最近の状況にかんがみまして、この程度はとりあえず上げておこうということで上げたわけであります。
○小柳勇君 大臣の御答弁は、一貫いたしまして物価の値上げということが主たる理由のようでありますが、物価の値上げという理由でありますと、委員会でも相当問題になりましたように、もう少し上げなければせっかく上げましたのが無意味のようになりますが、いかがでございますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 生活保護費の基準はかなり慎重に検討をしてきめなければならぬものと思います。また単に飲食物とかその他の問題だけで片づけられる性質のものではない、いわば最低生活にある人の生活の程度を引き上げていくということが基本の考え方でなければならぬと思うのであります。今回とりました措置は、今お話にもございましたとおりに、最近の物価の増高にかんがみまして、とりあえずの措置として五%ほど引き上げた、いずれ来年度通常予算の際におきまして、生活保護費の本格的な改訂をさらに実は行ないたいと、かような考え方をもって検討を進めておるようなわけでございます。 物価の問題につきましては、いろいろ御議論もあろうかと思うのでございますが、これもその月々の物価の変動でもって改訂する性質のものでもないと思います。ある程度の幅をもって物価の動向を見まして、それに応じて措置するのが適当ではないかと考えるのでございますが、昨年とことしの状況と比較しまして、まずこの辺のところで引き上げていこうというのが今回の措置でございます。
○小柳勇君 厚生大臣、生活保護基準ということでございますが、生活保護基準は生活保護法の第一条によって求められておると思いますが、現在の生活保護基準につきましてどのような御見解でございますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 生活保護の基準と申しますか、どの辺に線を引くかという問題はなかなかむずかしい問題だと思います。そのとき、その時代の国民生活全般の状況とにらみ合わせて考えていかなければならない問題だと思いますが、私どもの考え方といたしましては、今日いわゆる最低限度の生活を保障するという建前でやっております。生活保護基準は国民生活の上昇、国民所得の増大というような点をにらみ合わせまして、これは引き上げていくのが至当であるという考えのもとにいろいろ検討いたしておるわけでございます。なるべくならば、他の方面の方々との間のいわゆる格差を縮めて参りまして、所得保障という意味において遺憾のないようにいたしたいという目的のために検討を進めておるようなわけでございます。
○小柳勇君 生活保護基準は年々改訂されて参りまするが、次はいつごろどのように改訂しようと考えておられますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 現在の経済の成長、国民所得の増大という状況下におきましては、私はできれば毎年でも引き上げて参りたいと考えておるのでございます。来年度予算の問題といたしまして、この点についてせっかく部内において検討いたしておるところでございます。
○小柳勇君 経済審議会の社会保障小委員会などで、この生活保護基準については早急に検討して改訂すべきであるという意向のようでありますが、こういうことについては積極的に取り上げておられますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 国民の健康にして文化的な生活を保障するということが憲法で示されておる理念でございます。われわれといたしましては、この大精神にのっとりまして、事情の許します限りこの基準を引き上げていきたい、いわゆる国民生活の底上げをやっていきたいというのが私どもの気持でございますので、ただいまお話になりましたような趣旨において、私どもは積極的に検討を進めておる次第でございます。
○小柳勇君 労働大臣、厚生大臣の答弁によりまして、生活保護基準はまだ前進しなきゃならぬという答弁でございますが、いま日雇い賃金は、生活保護を受けている方のこの生活保護基準よりも、働いてその得た日雇い賃金の方が少額でございますが、このいきさつ、この間の事情を御存じでございましょうか。
○国務大臣(福永健司君) 同じ低所得者であっても、働いてなおかつ非常に低い所得であるという事情について私は深く憂えておる次第でございます。そこで過般の補正予算提出にあたりましても、この点について私は私なりに鋭意努力をいたしたつもりでございますが、遺憾ながら補正予算に数字的なものが現われるに至らなかったということが現実であって、非常に残念に存じておる次第でございます。
○小柳勇君 具体的に申しますと、東京都で標準世帯で生活保護を受けるならば一万五千円、ところが日雇い賃金は二十一日働きまして約八千円、あとの残額を生活保護で受けて一おるという実情でございます。働いて生活保護で残額を受けておるという実情、このいきさつを十分御存じでございますか。
○国務大臣(福永健司君) 承知いたしております。
○小柳勇君 労働大臣、生活保護の基準は五%今次の予算で引き上げられましたが、日雇い賃金については何らこの補正で出ておりません。この点いかがでございますか。
○国務大臣(福永健司君) 数字的にお話のとおりであることを深く遺憾といたします。
○小柳勇君 日雇い賃金がPW方式でその地域の同種の労働者の賃金よりも一割、二割低い賃金で定められておる、この方式に大きな原因があると思いますが、これを改めるというようなつもりはございませんか。
○国務大臣(福永健司君) この点につきましてはいろいろまあ意見があるのでありますが、これを改めるというようには私は考えておりません。まず、こういう方法よりいたし方がないのじゃないかと、こういうように考えております。
○小柳勇君 労働大臣、ただいまの答弁まことに遺憾でございます。厚生大臣の意見を聞きましても、生活保護基準は今でも低いからもっと前進する方向で検討したいと言っておられる、それよりも、なお四割くらいの日雇い賃金を、それで決定方式がよろしいということについては納得できませんが、いま一度御見解を伺います。
○国務大臣(福永健司君) 直ちに立法化するかどうかというような意味においては、私は先ほどお答え申し上げました程度のことの表現でありますが、考え方といたしましては、こういう低所得者の対策というものは非常に重大であり、何とか改善するように検討をしていきたいということは、これは私は重々考えておるところでございます。
○小柳勇君 そういう低所得の日雇い労働者すら今請負業者などが締め出そうとしている、失対事業でも締め出そうといたしておりまするが、このような現象を御存じでございますか。
○国務大臣(福永健司君) 一部そういう事情もあるわけでございますが、まあ見方いろいろでございまして、もっと働かなきゃ困るというようなことで、私どもの方にもだいぶ苦情も来ておりますが、しかしこの労務者の性質上なかなか意のごとくならざる次第等もありまして、私どもそういう問題には苦慮いたしておる次第であります。
○藤田藤太郎君 関連。私は今労働大臣のお話、厚生大臣のお話を聞いておるわけですけれども、失対賃金が昔と違って、この会議でもお話がありましたが、だんだんと労働の密度が高くなり、そして失対労務者自身が社会に貢献するという状態の中で全部が一生懸命に働きたいという態勢になっておる。それでいて小柳委員からいわれましたように、生活保護より安い、こういう状態、それを生活保護だけは五%上げて失対事業はそのままにしておる、それも一二・五日の稼働である、職安の窓口はたくさんの失業者が何とか失対事業をやらしてもらいたいといって押しかけてくる、これについてもきびしい資格審査をやって受け付けない。たとえば農家で少し二反、三反のたんぼがあってもとても食えないのでありますけれども、そういう人でも失対の労務には参加させない。こういうことでいいのか、経済が向上しておる中で、ほんとうに働きたいという人が働いてみんなが勤労の喜びの中に人生を送るということでなければ意義がない。それに生活保護は憲法の二十五条に基づいておやりになっているのですけれども、私もやはり昨日も少し議論をいたしましたけれども、完全雇用の形の中で、民間就労のように常用工にだんだんと失業をしている人を入れていくという手当のやり方の議論はいたしませんけれども、そういう点はございます。しかし働きたくても仕事がないので、せめて失対労務でもその道をつけなければ仕事を得られないということがあるわけでありますから、私はやはり失対賃金を上げる、それから国がやはり施策をもっと拡大して、失業しておる人をほんとうに失対事業を通じて社会に貢献さすという道はもっと真剣に考えるべきではないか、それは遺憾と思いますが——というような御返事だけでは私は聞いておっても、これはなかなか納得ができない問題だ。こう思うのです。だから私は何といっても労働大臣のもっと確固たる決意をお聞きしたいと思う。
○国務大臣(福永健司君) 就労対策事業、就労者を常用化するということにつきましては、鋭意努力をいたしておりますが、なかなかいろいろの事情がございまして、まあずっとそういう境涯にあるという人もかなりの数あるわけでございます。そして相当労働意欲にも燃えている諸君もおるわけであります。したがって、今お話のように私はこの賃金はぜひ上げていきたい、こう思っておりまするし、またいろいろの角度からこの制度自体について検討せよという、再検討せよというような声等もございます。これらも考慮をいたしておるわけでございますが、差し迫っておる現実の問題といたしまして、生活保護基準が上がった。性質は違いまするけれども、とにかく同じ低所得者で、しかも働いている失業対策事業就労者のほうが上がらぬということは、私は非常に残念であります。そこでちょうど大蔵大臣も聞いてくれておるところでありますが、何らか所得を増す方法を講じなければならぬというので、強くこれにつきまして主張するところは主張をし、ただいま何らかの方法と申し上げることは、やがて発表できることを私は期待しながら申し上げておるのであります。あまりあとそんなに日数を要せずして、何らかの具体的な措置を講じたい、また漸次そういう結論にいくことについて理解が得られつつあるように、私は存じておる次第でございます。
○小柳勇君 大蔵大臣に質問いたします。ただいまお聞きのとおりでありまして、生活保護、日雇賃金ともに前進しなければならぬ段階でございます。しかも税の増収は五千億とまで予想されておる。こういう段階で、大蔵大臣の見解を聞いておきたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 生活保護というものと失対事業というものは全然建前の違ったものでございまして、考え方は別にしなければならぬと思います。生活力の乏しい人に最低生活を保障するというのが生活保護の処置をとっている目的でございますので、じゃこれをどういうふうにやったらいいかということは、この間もここでお話をいたしましたが、なかなか都会といなかではまた生活程度が違う。生活保護にかかっている人と、ちょうどボーダー・ラインでかかっていない人との区別の問題もございますので、いなかにおいては生活保護を受けている人と受けてない人の区別というものが、その差異というものが生活上そうはっきりしてないというようなところにはいろいろな問題が起こっておって、なぜあすこだけ生活保護を受けているのか、自分たちとどう違うかというような問題も起こっていることは御承知のことと思います。したがって、この生活保護基準というものをきめるのはなかなか実情から言ってむずかしゅうございますが、問題は生活保護階層をいつまでも生活保護者にしておくということは問題でございまして、早くその階層から卒業して上の階層に持っていくということを考えなければなりませんし、またいろいろな事情で新たに生活保護者の階層に入ってくる人もあって、始終これは新陳代謝をすべき問題だと思います。そうしますというと、生活保護者をいかにして早くその被保護階層からもっと上に向上させるかということになりますというと、生活保護を受けている人たちの気持を聞きますというと、やはり最低の生活保護をしてもらいたい。そうしておいて自分たちが逐次立ち直っていく余裕を与えてくれることが一番自分たちには親切だ。したがって自分たちはその間に、たとえば病気が直ってきたり、あるいはいろいろ条件が変ってきたときに就職をしたりほかの仕事をやる。そのとき所得を得るというと、これが厳格に少しよそから所得を得たので、それじゃこれだけ生活保護を切りますよと、これをすぐにやられるということは立ち直りがむずかしいので、そこを少し大目に見てくれた方が自分たちは非常にいいのだがという実際の声がございますので、私たちはそういう意味で生活保護基準も上げます。上げるが、しかしその所得控除の問題もこれは合わせて考えなければならぬ。これは一厘二厘上げるよりもかえってそちらの方が生活保護を受けている人たちにとってもっと大きい恩典であるかもしれませんので、そういう点を勘案してこの生活基準というものをこの前きめたつもりでございます。どうしても生活力が足らないという人は、そういう制度で全国民に対して政府は生活力をつけるという、こういう保障制度を持っているのですから、これとは別に今の日雇い問題などは考えるべきであって、必らずしもこれと関連した問題ではございません。じゃそれはどういうふうにそういう低所得者に対する援助をやったらいいかといいますというと、これはいろいろ今問題が出ておりまして、この制度発足十年たっていろいろな実情が出ておりますので、関係省においてはここでこの制度自身にもう少し根本的な検討を加えて、合理的な賃金の値上げというようなことも考えたい。それには失対事業そのものというものの検討もここで必要ではないか。そういうような問題が今出ておりますので、こういうものともにらみ合わせて、もう少し根本的な、マンネリズムでない解決をしたいというのが政府当局の考えでございまして、それには来年の予算編成のときに関係省でそういう問題を十分検討の上でこの解決をはかろうというような方向に今打ち合わせになっている。したがって、それと合わせての解決がいいということで今回は見送るということに政府の考えが一致したということでございますので、私どもはその方向でこの賃金をどうするか、それから失業対策、今藤田さんのおっしゃられましたように、できるだけこういう人手の足らぬときですから、民間企業の中にどう常用化していくか、そういう方向に持ていくほうが実際は親切な措置でございますので、そういう方向に持っていけるような施策等の関連でこの賃金とかというようなものも決定するのが私はやはり妥当な、むしろあたたかいやり方ではないかというふうに考えておりますので、そういう方向で真剣に私どもは対処したいと思っております。
○小柳勇君 人事院総裁と労働大臣と厚生大臣に質問いたします。公務員法に生計費という言葉が使われておる。国公法の六十四条に生計費、それから人事院では標準生計費をお使いになる。それから最低賃金法の三条では労働者の生計費という言葉があります。厚生省では生活保護基準という言葉があります。このいずれも憲法二十五条に根を発しております。そのいわゆる国民の生計費というものについて各省ばらばらのように私は感じます。したがって、この生計費というものをどういうようにとって施策をされておるか。人事院総裁からお聞きしたいと思います。
○政府委員(入江誠一郎君) お答え申し上げます。人事院で考えております標準生計費というのは、御存じのように端的に申しますると、東京都の全世帯の標準的な生計費から一定の率によりまして算出いたしました十八才の青年男子の標準生計費でございます。これを公務員の給与にどういうようにかみ合わせておるかと申しますと、これは御存じだと思いまするけれども、公務員の賃金体系といいますか、給与体系はどこまでも民間の給与体系に合わせております。ただ十八才の男子、つまり新制高校卒業者の初任給をきめます場合に、少なくとも標準生計費を割らないようにいたしますためにきめておりますので、ことしは御参考までに申し上げまするけれども、民間賃金が全規模に比べまして、たしか八千八百円でございます、初任給は九千五百円でござ、いまして、その点は民間賃金よりも七百円商いのでございますが、これは標準生計費からそれだけのものが出ましたので、それだけを保障いたしました。
○国務大臣(福永健司君) 生計費という言葉を同じように使っておりますが、今おあげになりましたような法律がそれぞれ違った目的のものであって、そういうことから御指摘のように同じ文字でありながら若干違った内容になっているということになっております事実はよく承知いたしておるのでありますが、これをまちまちであるから一つにするということになりますと、先刻申し上げましたように、それぞれの目的が違うということ等からいろいろの調整が必要であろうかと思うわけでございます。少なくとも現状においては目的が違うのであるから、現状のままということがむしろ適当ではないかというように私は考えております。
○国務大臣(灘尾弘吉君) ただいま労働大臣からお答え申し上げましたような趣旨でございますから、それぞれの制度の目的がありますので、生活保護のほうにおきましては、いわば国民の最低生活を保障するという立場から考えて参っておりますので、現在のような行き方で行く以外にはないと思います。
○小柳勇君 人事院総裁、標準生計費で十八才の男子八千八百円は、これは労働者の賃金として妥当でございますか、そうでございませんか。
○政府委員(入江誠一郎君) 今年の標準生計費は九千八百円でございますから、この九千八百円を保障するために九千五百円の初任給をきめているのでございまして、これは先ほど申しましたとおり、現在の民間賃金の新制高校卒業者の初任給よりは七百円ほど上回っておるわけでございます。少なくとも民間においてはそういう賃金をもって新制高校卒業者を採用しておる。また生計費としてどうかという問題につきましては、少なくとも国民各層中の標準的な生計はそれで営まれておるわけでございます。やはり公務員でもその程度でしんぼうするということが、これは国民に納得していただく以外にないかと思っております。
○小柳勇君 ただいま標準生計費についてお話になりましたが、内部の技術的な問題で相当問題がございます。一々ここで私の方から申し上げられませんが、昨日申し上げましたように、この計算の方法についてもっと改めなければ人事院の勧告が今後出されましても、公務員諸君は納得しないのではないかと思います。この技術的な矛盾について今後どのようにされるか、いま一度見解を聞いておきたいと思います。
○政府委員(入江誠一郎君) これは御存じのようにマーケット・バスケット方式及び換算常数方式によってやっております。ただいまこの矛盾があるとかあるいはいろいろ御不満があるというお話でございます。これはなかなかわかりにくい一つのこまかい方式でやっておりますので、実はまあ組合等につきましても、公務員組合の諸君につきましても、最初なかなか誤解がありまして、だんだん説明をいたし、相当な時間をかけてある程度納得していただくという問題で、人事院といたしましては、現在のところこれが最も合理的なものと考えております。
○小柳勇君 労働大臣に質問いたします。現在の最低賃金法によって保護されている最低賃金労働者の実態について御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(福永健司君) 当面三カ年間に二百五十万人ぐらいに最低賃金の普及をというように考えて、鋭意努力をいたしておりまして、現在百五万人程度というところまで参っておりますが、今後さらに努力をいたしまして、今目標といたしておりまするものは、もとよりさらに、あとうべくんばより一そうこれを広く普及することに努力いたしたい、こういうように存じておる次第でございます。
○小柳勇君 ただいま実施されておりまするこの最低賃金法は、ほとんど九条適用の最低賃金であって、業者間協定でございます。こういうようになりますと、年々格差が増大なる、企業別の格差、地域格差が増大いたします。それから三年前に締結したものは、もうことしはうんと低い、こういう格差の解消についてどのように検討されますか。
○国務大臣(福永健司君) さような問題もございますので、ずっと前にできて、うんと低いものはこれを改正するように、高めるようにというようなことが望ましい次第でございます。御承知のように三十七件ばかり最初にきめたものから改めて高くしたというような実例等もございます。著しく低いものについてはそういうような措置がより一そう行なわれるように、労働省においても配慮いたしたいと考えております。
○小柳勇君 今業者間協定でおもにきまっております金額、日給はどのくらいでございましょうか。
○国務大臣(福永健司君) 政府委員からお答えさせます。
○政府委員(大島靖君) 現在きまっております最低賃金の金額でございますが、大体百六十円程度のものから三百円前後まで散在いたしておりますが、大体多いのは現在のところ二百三十円見当が多うございます。それから二百円以下のものは最低賃金制施行の当初において多かった、最近におきましては、ほとんど全部が二百円以上の金額をもってきめられております。
○小柳勇君 ただいまの答弁によりますと、たとえば二百三十円といたしましても、二十五日稼働で五百七十円でございます。標準生計費にいたしましても、あるいは日雇い賃金にいたしましても、これではならぬというような答弁がございました。この業者間協定における二百三十円ぐらいの最低賃金を法定賃金と認めることについては、私は納得ができませんが、労働大臣、いかがでございますか。
○国務大臣(福永健司君) 法律の建前上、さようなことになるわけでありますが、しかし現実には先ほども申し上げましたように、今の国民経済の実態等にかんがみまして、もっと上がっていくことが望ましいわけであります。ただ業者間の協定でございますので、強制的にわれわれがそれを引き上げるようにというようなわけにも参りませんけれども、適切な行政指導を行ないまして、今の国民経済の実態に順応したようなところに引き上げていくような配意は、労働省において行ないたい、こう考えております。
○小柳勇君 労働大臣、この業者間協定についてはILO条約にこれは違反するのではないかという、われわれ見解を持っておりますが、これを規制する方向で検討するような気持はございませんか。また、そのような機関はございませんか。
○国務大臣(福永健司君) 今後の最低賃金法の運営等につきまして中質の小委員会——労使、公益三者構成のもので検討を急いでおるわけでありますが、これらの検討によりまして、その結論を得ますならば、これによって考えたいと、こういうように私は存じております。
○小柳勇君 労働大臣、給与担当大臣として今度は質問いたしますが、きのうから私は、今度の給与の勧告並びに地方公務員の給与、並びにきょう低賃金労働者の賃金について質問いたしましたが、いずれにいたしましても、公務員についてはストライキ権のない職員、労働者に対する給与が一方的にきめられる危険性がある。低賃金労働者については、もっと保護しなければならないように考えますが、こういうような制度全般について前向きの姿勢で検討される意思がございますか。
○国務大臣(福永健司君) そうした点については、常に前向きであらねばならぬ、こう存じておりますが、まだ具体的にそうしたことで法案等をどうこうというようなところまでの考えには至っておりませんけれども、今おっしゃったような気持で私は善処したいと考えております。
○小柳勇君 公害について通産大臣並びに厚生大臣に質問いたします。京阪地区、あるいは北九州などで煤煙あるいはセメント工場などの煙害によって相当被害を受けておりますが、公害に対してどのような対策、どのような予算を考えておられますか。通産大臣並びに厚生大臣からお聞きしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 煤煙等による大気汚染、最近の経済高度成長によってそういうことが問題になりますし、あるいは汚水が出るとか、いろいろ問題があるようでございますが、今日までは御承知のようによるべき法律がございません。しこうして、一昨年来調査にかかっております。とりあえず最も煤煙をよけい出しておると考えられる平炉であるとか、あるいは発電用のボイラーとか、こういうものに対しまして除塵装置をするような指導をして参っております。これらは比較的成績が良好であります七今後さらに調査を拡大して、これらに対する対策を立てて参りたい、こう考えております。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 公害の問題につきましては、厚生省におきましても関係各省と連絡いたしまして、国民の保健衛生を守る見地からその問題と取り組んでおるわけでありまして、各種の調査研究を進め、専門家の意見を聞いて、対策を検討している次第であります。最近の状況は、決してこれを軽々に看過すべきものではないと考えます。明年度以降におきましては、もっと積極的にこの問題をつき詰めていきたいと考えている次第であります。いろいろ検討いたしておるところでございますが、大気汚染とか騒音とか振動とか、というふうなことによるすべての公害問題を調査いたしますために、全国的に公害の実態調査をしていきたい、あるいはまた特に大気汚染の著しい府県におきまして、五十カ所ばかりの工場の周辺地区の大気汚染状況の調査をやりたい。あるいは都道府県の大気汚染防止対策を行なう上に必要な器具、設備等を整備するような場合に、これを援助したい。あるいは公害防止思想をもっと普及したい、公害防止対策に関する審議会を設けたい。かような考えのもとにいろいろ検討いたしておるような次第であります。できるだけ積極的に進めて参りたいと存じております。
○小柳勇君 今の問題で重ねて両大臣に質問いたしますが、三十五年度は通産省、厚生省とも調査費を組んであるようであります。しかし残念ながら立法措置がないために、十分にこれが活用されていないような実情になっておりますが、立法措置を含めて特別措置を講ずるという御答弁に承ってよろしゅうございますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 厚生省としましては、立法措置について毛検討をいたしております。
○国務大臣(佐藤榮作君) 研究問題として検討いたします。
○小柳勇君 ただいまの問題は、セメント工場などの多い所では、もう農作物が枯れてしまって、ほとんど農業ができないというような情勢です。園芸もできないというような情勢でございますので、緊急に措置して、ひとつこの対策を講じてもらいたいと思います。 最後に漁業問題について質問いたします。現在農地造成並びに工業用地造成による沿岸の埋め立てによって漁業が非常に損害をこうむっておりますが、この漁業補償について農林大臣はいかがな見解をお持ちでしょうか。
○委員長(小山邦太郎君) 小柳君、持ち時間が来ましたから、あと続いて御質問がありましたら続いて御質問を願います。
○国務大臣(河野一郎君) 御承知のとおり、最近沿岸の埋め立てが非常にすべての角度から要請されておりますが、これに対する漁業補償は、一定の基準がまだできておりませんので、最近非常に各地で相互の間で話し合いをやっておりますが、非常に割高なものが多い。ただし大都市周辺と地方とでは違うようでございますから、せっかく検討して善処したいと思っております。
○小柳勇君 部分的な問題については、担当官のほうで御検討願いまして、質問を終わります。
○委員長(小山邦太郎君) 石田次男君。
○千田正君 ちょっと待って下さい。一体今までのあれは……、十二時近くになってなお石田君の質問が二十五分であるから一時間を要する。そういう問題については理事間で十分お諮りになったのですか。そういうことなしに……。
○委員長(小山邦太郎君) お答えいたします。理事からお話がありまして質問者にお尋ねをしました。質問者がこの程度ならば続けて質問をいたすという御意思でありましたので、さよう取り計らいました。
○千田正君 どの理事が、だれでしょう。
○委員長(小山邦太郎君) 米田委員から話がありました。
○千田正君 私は無所属クラブを代表しておる理事なんです。代表者間の何らそういう了解もなしに勝手なことをやっては困る。そういうことで議事運営がスムーズにいくと思っておりますか。
○委員長(小山邦太郎君) 私は、きょう大臣の出席がおくれたために議事が予定よりだいぶおくれて参りました、したがって、なお二十分残っておりまするので、質問者が同意をしていただくならば、この質疑を続けていただきたいという考えは委員長においてもあったので、米田君を通じて委員長から質問者の御意向を伺ったのでございます。幸いにして石田君から御了承をいただきましたので、議事の進行をなめらかにするために、予定も大かた五時ごろに終わらすというような理事間の御意向もありましたので、それに合わせるためには少しく窮屈ではありますけれども、質疑を続けていただきたい、したがって、十二時が過ぎましても大臣においては引き続きその質疑者に対しての答弁は十二分に願いたいと、こう思っておるような次第でございます。
○千田正君 委員長はそういうお考えであっても、私は理事としてそういうことを聞いていないのですよ。ですから、やはり理事としては理事間の協力を得ようとするような場合に一応了解を得るのが当然だろうと私は思うのです。私はそういう理事会を招集をして……。われわれは応ずるわけにいきません。今後やるとするならば一応私の了解を得てからそういう話をして下さい。
○委員長(小山邦太郎君) それではこの際、理事同士でお打ち合わせをお願いいたしたいと思います。(「必要なし」と呼ぶ者あり)理事同士の御相談はありませんか。——それでは委員長の考えで、これは委員長は、よしそういう考えを持ちましても、委員諸君の御同意がなければいたし方ありません、理事諸君の間に御相談を願いましたが、理事の間にはその必要なしということでありますので、委員全体にひとつお諮りをいたします。——それでは理事間のお話もととのいましたのでございますから、質疑を続けます。
○委員長(小山邦太郎君) 石田次男君。
○石田次男君 私は外交問題を中心として、あと国内問題を若干お伺いしたいと思います。 それで、最初にベトナムの賠償の支払いの件をお伺いしたいと思うのですが、報道によりますと、南ベトナムの軍事情勢がだいぶ逼迫しているようですが、最近の情勢をひとつ簡単に外相にお願いしたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 南ベトナムの情勢は、お話のようになかなか逼迫した事態に立ち至っておりまして、外電によりますと、昨十八日南ベトナムにおいて緊急事態の宣言が発せられております。しかし、私のほうも賠償関係でダニム発電所の問題もございますので、当方の公館に問い合わせましたところ、宣言は発せられておるけれども、実際この工事の現場等について危険の及ぶような事態は現在のところ全くない、しかも発電所自体の土盛りをやっているような程度でございます。こういうことをやっている程度のものには現在のところ何ら支障はない、かようなことでございます。 一般の情勢につきまして、簡単にということでございますから、できるだけ切り詰めて申し上げますと、この共産ゲリラの活動がだんだん強化されて参りまして、本年初頭にかけまして北越の正規軍三部隊が逐次デルタ地帯に侵入したとか、あるいは一月から三月にかけて南デルタ地帯の政府軍施設がひんぴんと攻撃を受けたというようなことがございましたのでありますが、最近に至りましてだんだんこのゲリラ戦術に加うるに、正規軍が入ってきたと、こういう状況でございます。九月一日、ラオス国境沿いの中部高原のコントン、この地帯に北越の正規軍が二個大隊入って、そして破壊力の大きい新兵器を使って南越政府軍を攻撃したというふうに伝えられております。ゲリラ攻撃とあわせて、共産側が北越正規軍を投入しておるというふうに伝えられておりまして、近代兵器による本格装備を持っているようで、その実勢も一万数千名に上るというふうに伝えられております。こういう事態の緊迫化を重視いたしまして、自由主義諸国、特にアメリカ及びイギリスが、事態改善のために南越政府の援助強化を行なっております。アメリカにおいては、今年五月中旬、ジョンソン副大統領が訪問いたしまして、この際の共同声明によりまして米国の南越援助が明らかにされました。これは、ゲリラ隊の専用教官を約百名南越に送るなど、ゲリラに対して有効なる対策をするということでありますが、御承知のように、ケネディ大統領の軍事顧問のテーラー大将が、国務省の専門家とともに、一昨十八日、サイゴンへ到着いたしておるのであります。なお、イギリスの側におきましても、トンプソンという前のマラヤの国防次官が行っておりまして、マラヤは御承知のように、十年間にわたりまして共産匪討伐その他の経験を持っておるということで、トンプソン国防次官は、その共産ゲリラ討伐に対しての専門的見地というものを買われまして派遣されておるということになっております。わが国としましても、こういう事態がすみやかに改善されて、ベトナム国民が平和と安定を得ます日が一日も早いことを期待いたしております。
○石田次男君 今の外相の説明によりますと、事態の解決は割合に簡単にできそうな、そういう感じの御答弁なんですが、今までのラオスの例を見てもそのほかを見ても、この問題だけは、実例としては全部こじれてきているんですね。で、ベトコンの根拠地は、最初は南部のデルタ地帯で、それから北部の山岳地帯に勢力を持って、それがだんだん岡側から中央に進出してきておる。現に州政府の攻撃が白昼堂々と行なわれている、こういうようなこともございます。それで、ごく最近のヴィエンチャンの外交筋の話によりますと、ダニムのダム建設の地域にも相当に入ってきている、それで労務者とか技術者とか、あの工事には行きたがらない、そういうような情報が入ってきておりますが、その点についていかがですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 私の答弁が、非常に簡単に事態が解決するというふうな印象を与えたといたしますれば、これはちょっと私の申しようが悪かったかと思います。そう簡単なものではございませんと思います。しかし、何とかして事態を平穏に終息せしめるような努力をわれわれとしては払わなきゃならぬ、こういう意味で申し上げたわけでございます。ただ、現在の時点におきまして、発電所工事周辺に非常に危険な状態があるということになりますると……現在のところはさような状態はないと、こういうことを現地で確かめましたので、さよう申し上げた次第であります。
○石田次男君 今の外相のおっしゃったのは、いつごろのどの筋からの情報でしょうか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 昨夜入りましたわが方の高野大使からの公電並びにこちらにおります駐在の先方の大使館に問い合わせたものでございます。
○石田次男君 あの工事については、すでにことしの四月ですか六月ですか、起工式が行なわれておりますね。それ以降ベトコンの脅威があるということで労働者が非常に集まらない、こういうことで、今後の見通しはなかなか困難じゃないか、こういうような情報があるのですけれども、その点いかがです。
○国務大臣(小坂善太郎君) どうもこの問題は、みな顔が同じでございまして、これがベトコンだという認定はなかなかむずかしい。マラヤの場合は、そういう点がかなりはっきりしてやりよかった。今度の問題は、それが非常に障害になっているというふうに聞いております。ただ、最近の状況については今申し上げたとおりで、ございまして、一般の労務者が集まらないというような、特に非常に困っているというような状況は、私どもは承知しておらないのでございます。
○石田次男君 このダムは日本工管で請け負ってやっているわけですが、外務省の報告によりますと、すでに昨年だけで十八億ぐらい払っておりますね。ことしの分を含めればどのくらいの支払い済みになっているのでしょうか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 今年の八月末までに八十一億八千万円の契約が認承されております。このほか二十七億円の消費財が供与されることになっておりますが、この契約は本年度に入りましてから順調に行なわれているという状況でございます。
○石田次男君 今後の向こうの軍事情勢の推移を見なければ、今まで注ぎ込んだ金額はもちろん、今後払われるべきものも、場合によってはむだになってくる、こういう可能性も考えられるのですが、その点についての外相の御所見はどうです。
○国務大臣(小坂善太郎君) 今後の見通しについては、これは十分われわれとしては判断していかなければならぬと思いますが、現在の時点で私は申し上げているわけで、今後のことはなおよく研究させていただきます。
○石田次男君 きょうから日韓会談が始まったわけですが、日韓会談についてちょっとお伺いします。 この日韓会談はすでに第六次、こうなっておりますが、今までの会談の内容をずっと見ておりますと、ほとんど李ラインをめぐる抑留漁夫と、こちらへ来ている不法入国者の送還の問題、この点でずいぶん論議がかわされているのですが、根本的な話になりますと、一向にらちがあかない、これが今までの状態だと思います。これについて、今行なわれている会談についてここで論議することは、ある程度離しさわりも考えられるわけですが、ひとつ外相として公表できるだけの範囲でもって所見を聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) お話のように、十年以上にわたる日韓会談が、内容的には何も深く論議されなかったということはお話のとおりであります。この第五次会談におきましては、請求権の問題に初めて触れてきたわけでございます。実は、先方としましては、請求権の問題は一番大きい問題であり、わが方としては、李ラインの問題、漁業問題というのが一番の問題ということになっているのですけれども、この大きな問題が二つ今度の第五次会談から日程に上ってきたわけであります。しかしながら、日程に上ったというものの、実際はすれ違いでございまして、一方交通で両方話し合っているというようなことでございましたのですが、今度は一つこれを煮詰めていこう、ここで腹を打ち割って話し合って会談をしてみよう、すなわち、事務的な問題と政治的な問題と、解決のよりどころを二つに並行して進めていこうじゃないかということを今度の第六次の会談においては考えているわけであります。そういう意味からいたしまして、実業界で第一級の人物であり、多年の経験を持った非常にりっぱな人格者である杉道助氏を特に首席に選びまして会談を進めることにいたしておりまするが、今度の会談においては、特に両方の差異をあげつらうよりも、一致点を見出すことに努めていこうではないか、話をまとめるという方向で、大いに言うべきことは十分に言いつつも、その中において議論はしつつも、まとまる方向をお互いで考えていこうじゃないかという点を特に強く考えておる次第であります。
○石田次男君 李ラインの問題でありますが、李ラインを引いて、中に竹島が入ったものですから、その辺を根拠にして領土権を主張してきたんだと思いますが、この点について、二十九年以来、ほとんど議論が途絶しているようですが、国の内外に対する外務省としてのPRが少し足りぬ、私はこういうふうに考えるのですが、特に竹島は、だれがどう見ても日本の領土でありますし、そこへ李ラインを引いているということになりますと、李ラインに対する突破口の一つが竹島の問題じゃないかと思うのです。それにも今まで四、五年は全然触れていない、こういうような状態でありますから、この際、竹島の問題について、特に外務省として考え直す必要があるんじゃないか、こう思いますが、いかがですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 公海の中に一方的に李ラインというものを設定して、そして、そこで排他的な自国の権益を主張するということは、これは国際法上あり得べからざることで、したがって、李ラインが設定された一つの目的である漁業の問題については、これは双方の漁業従事者の繁栄とか、あるいは魚族の保護ということを中心に話をしていけば、必然的にこの問題は解決することになる。 もう一つは、国防上の考えというものがあるわけですが、これは友好関係を結ぶ国と国との間に国防上の線を引くということも、これまたおかしなことでございます。公海上に線を引くことそのことは、国際法的に認められないことであります。そういう線から、今御提議の問題についても、十分に話をつけて参りたいと考えております。
○石田次男君 特に竹島の一件については、はっきりした領土問題でありますし、この点は、国の内外に対して、もう少しはっきり政府の見解なり、あるいは要求なり、そういうものを明らかにしていただきたいと思いますが、この点はいかがですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 竹島に対しまする政府の考え方、これは明らかに日本の領土であるということは、これはもう一貫いたしております。ただ、この問題の解決を、ある時期においては国際司法裁判所に求めたことがございますが、これは先方が応訴しませんのでそのままになっておるわけでございます。しかし、今日明々白々のことについて、先ほど申し上げたような趣旨で、一分に先方と話し合いによって解決したいと思っております。竹島はもちろん日本の領土でございます。
○石田次男君 どうです、今度の会談に出てくる可能性はありますか。出てくるというより、こちらが出す可能性はありますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) これは、話をしてみる段階のことについて、今からこうするつもりだということは、会談をやる性格上、差し控えたいと思いますが、私の先ほど申し上げたことで御理解を願いたいと考えております。
○石田次男君 では次に移ります。 一般請求権の問題が今度の大きなポイントになっておると思いますが、たしか先月ですか、韓国側の経済企画院長の金という方がこちらへおいでになって、日本政府の意向というものを打診して帰ったはずですね。それは事実でしょうか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 金裕澤、これは元こちらで大使をしたこともある人でございます。この人が今副総理格で、経済企画院長ですか、そういう立場になられますが、この方が見えまして、私どもの請求権問題に対する考え方をいろいろ聞かれましたのですが、何か若干誤解があるようで、日本へ行って私どもと会って話をすれば、ある程度の日本側の腹は固まっているのだからというような先見を持っておいでになったようなふうにみえましたので、私どものほうは、そういうものについての腹というものを今申し上げる段階ではないというふうに申し上げた次第であります。
○石田次男君 ある報道によりますると、その際、日本側の腹としては五千万ドルぐらい、向こうの要求は八億ドルくらい、そういうふうに金額まで出して報じている向きもあるのです。この点についていかがです。
○国務大臣(小坂善太郎君) 金額の点については、はっきりした話し合いはいたしておりません。先ほど申したように、日本へ来れば腹ができているというふうな、情報といいますか、そういうことを思われて来られたような節もありましたので、さっき申し上げたように、請求権問題というものについては、十分な資料をこちらも実はもらっておらぬ。こちらにあったいろいろな施設等についてのその後の経過はどうなっておるか、これもわれわれとしては承知しなければならぬし、韓国側のいわゆる請求権という問題で、八項目というものを出しているわけです。ところが、このうち六項目まで説明を聞いたところで先方のクーデターがございまして、政権がかわってしまいまして、その後会談が中絶しており、その話も十分聞いていない。ましてや、それが幾らになっているという金額の提示も受けておらない。そういうことでは腹も何もないわけであります。したがって、金額の問題というものには触れておらないわけであります。
○石田次男君 では、この金氏が八億ドル云々と言ったことは、これは外務省としては数字は聞いていないのですね。
○国務大臣(小坂善太郎君) 正式には聞いておりません。
○石田次男君 もちろんこれは正式にあれじゃありませんから、非公式な話でなかったかと思うのですが、そういう非公式の話の中で、向こう側の要求する金額というもの、それは話し合いの中には出てこなかったのでしょうか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 私は、この席で外務大臣としてお答えいたしまする場合には、そういう問題はないと申し上げるほかないと思います。しかし、新聞を非常に精力的に熱心にお読みになりますから、どこかでそんなふうなにおいをかがれた場合もあったのではないかと思うのでありますが、これは私どもとしては、それにこだわる必要は全然ないと思っております。
○石田次男君 この請求権の件は、今の韓国の政府事情からいたしましても、慎重に取り扱わなければならぬと私ども思うのです。もちろん今会談が始まったばかりですから、深く触れることはこちらとしても差し控えなければなりませんし、政府としても答えにくいと思いますが、その辺の事情はよくお考えの上で、慎重に進めていただきたいと希望申し上げて、この問題は打ち切っておきます。 次に、ビルマ賠償の問題をお伺いしたいと思いますが、ビルマ賠償の件については、突然打ち切りになりまして、問題をあとへ持ち越した、これは何も交渉自体が決裂というよりも、非常に政治的なにおいがするのですね。池田さんは今度東南アジアにおいでになる。そうすると、交渉の舞台がラングーンへ移るのじゃないか、そういうような予測もされているわけですが、この点いかがです。
○国務大臣(小坂善太郎君) 池田総理の東南アジアの訪問は、あくまで親善旅行でございまして、交渉のために行かれるのではございません。その際にラングーンにおいて交渉が行なわれるということは、訪問の趣旨からは違いますので、そういうことはないと思います。
○石田次男君 もちろん今度の総理の外遊の目的が違いますが、当然ビルマへ行けば、こういう問題も出てくるんじゃないかとまあ常識的に考えているわけです。それに対する——まあ総理がいらっしゃらないわけなんですけれども、外相としての見通しですね、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) ビルマ側から、九月ごろでございましたか、タキン・ティン大蔵大臣が日本を訪問をしたいというような話があり、その後、どうもからだの調子の関係でこれは延期するというような話になりまして、その後またタキン・ティンを団長とするビルマ側のエリートをすぐって、与野党、実業界、言論界、議会関係等全部そろって国がこちらへおいでになるというお話でございまして、そのときは、賠償再検討条項についての話し合いをしたい、こういうお話がございました。で、先般この一行がお見えになったわけでございます。私どもも、この団をお迎えいたしまして、この問題について日本側の意見を申し上げ、先方側の御意見も伺いました。その経過等については、新聞等に発表したほうが、いいというお話でございましたので、発表いたしましたが、これは先方の御希望もありましてそういたしたのでありますから、これは御承知と思います。ところが、ウ・ヌー首相が外国に親善旅行に出かけられ、タキン・ティン大蔵大臣はセカンドである、したがって、総理の不在中代理をする関係があるので、どうしても帰らなければならない。この交渉は、あくまで決裂とか打ち切りではないので、そういう関係で一時先に繰り越すということであると、こういうお話がございました。そういう事情ならやむを得ない、こういうことで、私どもも了承したのであります。したがって、先方の言われるには、日本のほうから、今度は自分のほうで招待するからラングーンヘしかるべき団を作って来てもらいたいというお話がございました。私どもは、それに対して、いかようにするかということを今関係部内においていろいろ研究をいたしております。そういうような状況でございます。したがって、総理訪問とはこの問題は一応無関係であるわけでございまするけれども、しかし、まあ行かれる場合に、両国の関係について、いろいろお話がある場合に、それは私どもがここでもって、そういう問題について触れないということを断言することは、もちろんできないのであります。まあそういうような次第でございます。
○石田次男君 次に、タイの特別円の問題をお伺いしたいと思います。 すでに五十四億円は支払い済みで、九十六億円の支払いの問題で今もめているわけであります。で、日本側の見解とタイ側の見解は、全然食い違っていた。そこのところは日本のほうが譲歩した、こういう形になっておりますが、いかんせん、九十六億という金額は非常に問題の性質上大きいと思うのです。日本の政府としては、もちろん、九十六億の線をそのままのむ、こういうようなことはないと思いますが、これについてのひとつ見通しをお願いしたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) この特別円関係を解決することが、日タイ両国の非常な友好の強化になるという見地から、この特別円の問題はクレジット・オア・ローンの形式で九十六億円を払う、こういうことになっていますけれども、先方においては、結局はとるけれども、実態は贈与である、こういう主張をして、わがほうはクレジット・オア・ローン、そういう形で先方に出すと、こう言ってずっときたわけでありますが、この際、やはり何かの方法で解決したほうがいいんじゃないか、こういうことで問題の解決に乗り出しておるわけでございます。しかし、まだ交渉を十分煮詰めておりません段階でございますので、見通し等については、これは差し控えたいと思いますが、どうしても、こちらがクレジットあるいはローンの形で考えておったものを、形を変えて今度は全部そのまま贈与ということにいかぬことは当然であります。
○石田次男君 では、この問題は、九十六億は、そのままは目下としてはのむ意向はないと了解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 事柄の性格上、そういうことは無理であろうと思います。
○石田次男君 次は、東南アジアに対する輸出ないし経済援助その関係でありますが、宿命的な問題として、東南アジアのほうに対する貿易量を拡大していくのが、日本の方針でなければならぬと思うのです。この点について、今までは賠償関係であるとか、援助の関係であるとか、そういう方向できておりましたが、実際的になかなか実効が上がっていない。結局、貿易といえば、工業原材料の七割がアメリカのほうから入ってくる、こういう関係もありまして、ほとんどアメリカ一辺倒の貿易関係になっているわけです。これについて東南アジア方面の諸国に対してもっと市場の開拓をすべきじゃないかと、こう考えるわけですが、それに対する外相の御所見、通産相あたりにもお伺いしたいのですが、ちょっと今出ているようでありますので……。
○国務大臣(小坂善太郎君) 御意見は、私も全く同感でございます。ただ先方、東南アジアの諸国から日本が買うものということになりますと、どうしても一次産品になってくるわけでございます。一次産品のうち、石油とか、それから最近イラクのナツメヤシなども買っております。そういうもの以外になりますと、どうも米であるとか、そういうものになりがちでございます。そこでやはり、わがほうが買えるようなものを指導して作ってもらうということも必要になってくるわけでございますので、農業センターとか、技術訓練センターとか、あるいは中小企業のセンターとか、そういうものをこちらから作りまして、先方と話をして作りまして、そうして営農指導なり、その他中小企業の指導なりというものに乗り出していく。そしてできたものをこちらが買うというような形を考えているわけであります。たとえば、タイから従来非常に多額の米を買っておった。これが買えなくなってくるわけであります。したがって、これはいきなり中小工業とかなんとか言っても急に間に合うものではありませんし、何といっても、トウモロコシに転換してもらうとか、こちらが買えるものをいろいろ転換してもらっているわけであります。それから一次産品の中でも工業原料、こういうようなものについては、先方の調査をいたしまして、こちらが買えるものを開発していかなければならぬ。そこで、たとえばインドネシアのカリマンタンの木材であるとか、あるいは北スマトラの石油であるとか、いろいろやっているわけでありますけれども、何といってもそのためには、こちらがそうしたものを開発する資金援助をしていかなければならぬ。そこでやはり先方に援助し、あるいは先方の営農指導をして、先方にこちらが買えるものを作らし、しかも、先方の購買力というものを高めて、そしてこちらも一緒に栄えていくような形をとらなければならぬ、こういうことになって参りますと、ある税度時間がかかるわけでございます。ことに東南アジアの諸国は、ヨーロッパの市場等に物を出すというふうな形で育成強化されてきたのが、戦前の形であるわけでありますので、やはりわがほうとしては、わがほうの利用する品物を先方に作ってもらうようなそういう指導をしていかなければならぬ。長期的にはそういうことであるわけであります。短期的には、私どものほうとしては、各省間でできるだけ連絡をとりまして、買えるだけのものを買う。やはり片貿易になることは先方にとって非常に困ることでございますから、そういうふうにならぬように努力をする、こういう次第でございます。
○石田次男君 この問題について、最後に一点だけお伺いしておきます。通産相いらっしゃらぬようですから、大蔵大臣にお願いします。 市場の開拓になりますと非常にこれは長期の問題でありまして、目先の効果だけを追ったのじゃほんとうの力のある政策にならぬ。それで企業進出ということが大きく考えられていいと思います。これについてひとつ。東南アジア諸国に対する企業進出ということはお考えになっておりませんですか。
○国務大臣(水田三喜男君) これは、−もう早くから考えられていることでございまして、実績も最近相当多くなっておると思います。で、先般ウイーンに会議がありましたときにも、いわゆる節二世銀とそういう問題も私どもは話し合いましたが、今まで中南米諸国への応援をやっておる機関でございましたが、やはり今度は東南アジアに自分たちは力を尽くしたい。そういう場合には、結局、日本の企業が進出するということとからんで、向こうがその出資をするとか、資金援助をするとかというような形でいくことがやはり現実的ではないか、こういう問題について、ひとつ今後相談したい。日本側からも東南アジア諸国の要望がある場合には十分検討して、自分たちに連絡をとってもらいたいという話がございまして、私どもも、今後そういう問題を十分研究するからという相談をしてきた次第でございまして、今後そういう方面も十分考えたいと思います。
○石田次男君 次に、移住問題をお伺いしますが、最近、ドミニカで農業移民と漁業移民の両方失敗して帰国せざるを得ない、こういう事情になってきた気配がございますが、これについて概略お願いします。
○国務大臣(小坂善太郎君) ドミニカの政府は非常に日本の移民を歓迎するという態度でございます。このためには、特別に助成金までくれるというような態度であったのは御承知のとおりであります。ところが、トルヒーヨ政権が非常に近隣の国との間にあつれきがございまして、国交が断交されたような情勢もあって、非常にその地域における観光収入も激減するし、あるいは産業等も萎靡するというような状況に至りまして、日本から行かれました方々におかれても、非常な困難に逢着してしまったわけでございます。そこで、われわれとしましては、農林省の方にもお出かけいただいたり、外務省から係官を出したり、いろいろ現地について情勢を調査したのでございますが、どうも、何分にもそういう情勢で、このまま置かれたのでは、なかなかお気の毒である、それで本人たちの希望に沿うようなことを考えよう、一部、中南米諸国にかわられるという方については、その要望を満たし、どうしても帰国せざるを得ないという考えの強い方には帰ってもらうということを、やむなくしておるわけでございますが、将来の問題としましては、そういう点がもう再び起きないように、もっと移住をする先について現地調査等十分させた上で出すというふうに心がけねばならない。これは私の責任でございますから、非常に申しわけなく思っておる次第でございます。 ただ、私として一点希望を申し上げますと、従来、移住というものを考えました場合に、なるべく安い土地を買っていったわけでございます。これは安いから買うということは、大蔵省もそういう方針のようでございます。ところが、安い土地というものは、経済効果が悪いから安いのでございます。高い土地を思い切って買えば、そこに行って数年ならずして相当繁栄を来たすことができる。だれも行き手のないような土地を買って、そこに人をやるという移住政策、その根本的考え方そのものについてひとつ構想を新たにしていただきたいというのが私の希望でございます。
○石田次男君 大蔵大臣、この点について、資金源のほうをどうお考えになりますか。
○国務大臣(水田三喜男君) ちょっと申しわけありませんが、きょうは歯が痛んで顔が半分はれておりますが、ちょっと今それが痛かったので、御質疑聞き漏らしましたので申しわけありません。
○石田次男君 外相、もう一回説明して下さいよ。
○国務大臣(小坂善太郎君) 移住を考えまする場合に、安い土地だから買って人を行かせるというのではなく、相当経済効果の高いような土地を買っていくという方針で、できるだけひとつ今後進みたいと私は考えておるということを申し上げたのであります。
○石田次男君 大蔵大臣、おわかりと思いますけれども、移住地、つまり高い土地を買いたい、こういう外相の希望なんでございますが、これについては予算措置が要りますので、大蔵大臣にお尋ねしたわけです。
○国務大臣(水田三喜男君) その問題は、結局実情によるのではないかと思います。安い土地ばかり買って、実際に意味のない、効果のないことであったら何にもなりませんし、移住に最も適当で効果が上がるというところは、当然地価の問題もそれだけ高いことになりましょうし、問題は、結局、計画遂行にどうしたらいいかという計画自体が一番問題であって、それに即応して金の問題もこれが必要であるとすれば出せばいいのだし、計画によって金の措置をする以外には結局方法がないだろうと思っております。
○千田正君 関連質問。ただいまの、石田委員の質問に対して外務大臣からは、従来の移住政策というものは、十分に肥沃な土地を買えなかった、安い土地しか買えなかったから、移住民が行ってもなかなか成果が上がらなかった、それは金融面において、そういう土地を取得するだけの十分な了解を財政当局が持たなかったからであるがごとく、われわれは聞こえた。私はこの問題については、時間がありませんから、そう論ずることは控えたいと思いますが、幸いに、農林大臣もおられます。過去、移住問題は、われわれは何回となくこの場でも議論したのでありますけれども、セクショナリズムの山積であった。そのために、移住も十分できなかった。農林省と外務省の出先におけるいろいろな問題あるいは国内の不統一、そういう面で今まで相当紛争が絶えなかった。幸いにして一本にまとまった。まとまったときに、今の外務大臣のおっしゃるように、肥沃な土地をある程度の金を出しても買って、すみやかに移住民の成果を上げるようにしたいという外務大臣の要望に対して、それに対して大蔵大臣としての今のお話は、われわれはまだはっきり納得ができませんので、そういう面がはっきりしたならば、大蔵当局は十分に考えるかという点であります。その点をお伺いしたい、大蔵大臣に。
○国務大臣(水田三喜男君) 移住政策がなかなかうまく今までいかなかったということは私も聞いております。これが単に土地の問題だけであったか、どうであったかということについても、いろいろ私は問題があったと思います。それだけが問題であって、その問題だけが解決すれば、この政策はうまくいくのだということでございましたら、これは私ども協力を十分したいと思っておりますが、今までの移住政策のいろいろな問題については、私の聞いているところでは、それ以外のいろいろな計画上の問題の不統一がやはり一番大きな問題でなかったかというふうに私は聞いております。
○千田正君 河野農林大臣からも、今の問題についてひとつ御方針を承りたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) 農林、外務の間におきましては、移住先のことは外務大臣、外務当局にこれをお願いいたしまして、出かけて参りまする適格者、これらの方々の希望等については、よく聞いてやっておりますので、今のお話のような点は、外務当局において万遺憾なきを期していただきたい、こう私は期待しておるのであります。
○佐多忠隆君 関連。ドミニカの特に漁業移民の問題ですが、一カ月くらい前に、ほうほうさんざんな体で、こじきのようにして帰ってきたのであります。私の郷里の鹿児島県の諸君であります。その諸君の、前からのいろいろな通信、特に帰って参りましてから詳しくいろいろな事情を聞きますと、これは単に外務省の問題だけでなくて、もとは農林大臣の問題だということがあまりにも明瞭なのであります。というのは、農林省のほうから、いろいろな漁業調査と称して——あるいは、したのかもしれませんが、実に非常に楽観的な希望的な報告書を作って、それに基づいて移民を選出をして——全く見込み違いな、ずさんきわまる報告をやり、それに基づいてかり立ててやって、しかも、四年の間、まるでこじきのごとくあちらこちらを追い回し、放浪させ、最後には、外人部隊に強制的に入らせるというようなことまでやって、それに耐えかねて、いろいろな抵抗なり、いろいろな陳情をやって、命からがらに、実は一カ月くらい前に帰ってきております。これらの事情は私から申し上げるまでもなく、農林大臣がよく御承知のことだと思いまするが、もう少し、当初の調査からその後の扱い、措置、それから帰ってきてから後のこれらの諸君に対するいろいろな措置等々は、まず農林大臣のほうから責任のある御説明と答弁をお願いしたい。その上で外務大臣その他にもお聞きをしたい。
○国務大臣(河野一郎君) 事務当局から答弁いたさせます。
○佐多忠隆君 では、詳しくまず実情だけ話して下さい。そのあとで大臣から……。
○政府委員(斎藤誠君) ただいまドミニカの五戸の漁業移民につきまして御質問があったのでありますが、この漁業移民につきましては、三十一年に鹿児島県から工世帯の募集によりまして現地に入ったのでございますが、これは外務省のほうから農林省のほうに、こういう受け入れ計画があるということで、農林省としては募集をいたしたのであります。その前におきます水産庁としての調査は、実はいたしておらなかったのでございます。その後、三十二年におきまして、たまたま中南米漁業調査船といたしまして東光丸が現地に参りましたとき、その間の事情の調査もあわせて実施いたしたのでございます。入りました当初におきまする漁業の内容といたしましては、主として沿岸漁業を中心にやるということで、当初の現地からの受け入れの条件といたしましても、きわめて小型の漁船を用意すれば間に合うだろうというようなことであったようでございますが、しばらく沿岸漁業としても続けておったのでありますけれども、沿岸漁業だけでは十分に参らない、そこで、さらに沖合いに出るということになりますと、二、三百メートルの沖合いに行きますと、急速に水深も深まってくるというようなことで、相当の大型の漁船も必要になってくる、あるいは漁場の地形からいいまして、必ずしも底びきにもなかなかむずかしい条件もあるというようなことがわかったようでございまして、漁業移民としましては、当初の状況は必ずしも思うようにいかなかった、こういうことに相なっておるわけでございます。農林省といたしましては、先ほど申し上げましたように、現地の受け入れ計画に基づきまして募集をいたして、そうして送出するということにいたしております。現地の調査につきましては、現地公館を通じまして、いろいろ調査をいたし、なお、あわせまして募集担当の農林省といたしましても、必要に応じましては、既往の入植地についての調査もいたす、こういう建前になっておるわけでございます。不幸にしまして、お帰りになりました漁民の方に対しましては、農林省としてもできるだけ就職等のあっせんもいたしたい、こういうことで、鹿児島県とは今いろいろと連絡をいたし、また、それ以外の方につきましても、外務省を通じまして、どういうふうな就業の希望を持っておいでになるか、これらの調査もいたしておるような状況でございます。
○佐多忠隆君 今のお話を聞くと、何か調査その他については、農林省にはあまり責任のないようなお話ですが、どうも、あの前後の事情からしまして、必ずしも農林省に責任がなかったと逃げられる事情ではないようです。ことにいろいろ……
○委員長(小山邦太郎君) 関連質問ですから、どうぞ……。
○佐多忠隆君 はい。ことに話を聞くと、船の問題なんかは、何か十トンと言ったか、八トンと言ったか、その程度の伝馬船程度のものを持ってくればいいと言った。それにしても、行った漁民の諸君は、非常に貧窮ですから、漁具その他を準備するのに非常な苦労をして、家屋敷を全部売り払ってそれらを持って行ったのですが、行ってみたら、まるで違う。百トン以上、三百トンぐらいの船でなければ問題にならぬのだといって、初めから受け入れない。どうしてそういう間違いが生じたのだといって、向こうでいろいろあれしたら、いや、これは通訳の間違いでありまして、まことに申しわけなかったと言うのです。そうしてそこらになると、どうも農林省の責任であるのみならず、外務省の責任かもしれない。そこらは一体外務大臣は、そういうずさんな、全くほんとうに、こじきみたいな格好で帰ってきた。お会い下さったと思うからよくわかると思う。あれで一体移民政策を非常に積極的にやっておるということを言えるのかどうか。どういう顔をしてぬけぬけとそういうことを言われるのか。私たちは心外にたえない。ことに、はなはだしきに至っては、いよいよ困ってきて、それから現地当局の、ドミニカの政府当局の勧めだというので、外人部隊に半強制的に今度は入れる。それを現地の日本の出先公館が、向こうの移民協会ですか、あれの総務部長その他と結託して、ぐるになって、半強制的に、おどすようにして、その外人部隊に参加させて、演習をさせる。それはドミニカのことですから、ああいう対外関係で、非常に危機的なあれで、総動員計画その他をやっておるのでしょう。だから、国内ではあるいはそういうことがあり得るかもしれませんけれども、日本から連れて行った移民諸君が非常に生活が困っておるからといって、かり立てて半強制的にそういうことに引っぱり出してやらせるということは言語道断だと思うのです。しかも、それを外務省の出先当局が半強制的にやったというのだけれども、そういうことをやらしたのですか。何とか少しその辺の事情を詳しく御説明を願って責任をひとつはっきり考えてもらいたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) お話のようなことを私がさせるということは、これはあり得ないことでございまして、そういうことは毛頭考えておりません。ただ、なお詳しくは政府委員からお話し申し上げます。あり得ないということがもしあれでしたら、私の言い方が悪いのですが、そういう意味じゃございませんで、そういうことを考えることはあり得ないことだと、こういうことなんでございます。
○政府委員(鶴我七蔵君) ただいま外人部隊に日本の移住者が強制的に登録させられたというお話がございましたが、この外人部隊につきまして、私ども、どういう性質のものであるか、非常に心配しまして、現地の大使館に照会したわけでございますが、現地の大使館から説明が参りましたが、それによりまして概略その内容を申し上げます。 昭和三十四年の六月十四日にはトルヒーヨ政権に不満を持つドミニカ自由解放運動の反政府分子約五十六人が空中からDC4機でドミニカ中央部のコンスタンサ地区に進攻してきたケースがございます。さらに六月の二十日に他の一部隊約百四十名がドミニカ北部海岸のマイモン及びエステロ方面に快速艇二隻で攻めてきた、こういうことがございましたが、これはいずれも政府軍によって撃退された事件でございまして、これを契機にしまして、ドミニカ政府は、国防力の強化をはかることになったわけでありますが、たまたまドミニカのダハボン支部長から、ダハボン日本人会会長に対して、日本人の入植者は外人部隊に参加しないかという申し越しがありましたので、同会長は、現地の小長谷大使に対しまして邦人入植者のとるべき態度を照会してきたわけであります。大使は、外人部隊の参加は、各自の自由意思及び自発的行動にまかせ、大使館当局としては、特別の指示を行なわないという回答をしたわけであります。それで入植者の大部分は、第三者の立場を留保しましたが、そのうち五十九名は自分の自発的意思でドミニカ支部に出頭して外人部隊の参加に署名したということでございます。しかし、こういう事実はありますが、軍事教練に参加を強制されたという事実はなく、地区によっては、若干教練のようなものに参加した模様はありますが、営業に影響しないということで、さほどきびしい訓練ではなかったということであります。で、大使館の調査によりますと、外人部隊の結成に対するドミニカ政府の真意は、愛国的政治的考慮から出た民心収攪のジェスチュアでありまして、その装備、編成の関係は、戦闘を目的とするようなものでなく、むしろ自警団的な性格を持ったものでありまして、宣伝的効果をねらったものであったそうであります。しかるに、本年五月三十日、トルヒーヨ元帥暗殺事件がありまして、その後政府が諸般の民主化をする措置をとりましたので、外人部隊はことしの八月二日付で解散した次第であります。で、外人部隊につきましてこういう報告が参っておりまして、国内の治安を気にしておりましたドミニカ政府が、要するに自警団的な意図で邦人入植者に勧誘したということでございます。
○佐多忠隆君 今の御報告は、小長谷大使の報告をそのままさらに報告をされたんでありまするが、あなたは現地に行って実情をごらんになって、そうして協会の諸君の話もお聞きになり、それから移民諸君の実情もよく聞いておられる。もっとそういうものに即したあなた独自の判断なり、独自のあれも御説明になったらどうか。それから、今の御説明と、この外務委員会でお話しになった今の問題に対するお話とは、かなり食い違っている。だから、もう少しそこのところはフランクに率直に実情を御説明願いたいと思います。 どうもあまり長くなりますから端折りますが、それらの事実を見ますと、農林大臣の政治的な責任の問題あるいは外務大臣の政治的な責任の問題、非常に重要な問題があると思います。それからさらに帰ってきました移民諸君は、まだ今でもこじきのような生活をしておりますが、それに対する措置もまだほとんどできていない。これから百人近くの諸君が続々と帰って参ります。それらに対する措置も今後やらなければならないと思うし、これらはどの所管になりますか、厚生省の所管になるのか、外務省の所管になるのか、どこの所管になるのかわかりませんけれども、政府として、一体これらをどういうふうに措置しようとしておられるのか、どう責任をとり、どう措置しようとしておられるのか、それらの点について、名大臣から責任のある答弁をお願いいたしたい。
○政府委員(鶴我七蔵君) それでは、ただいま御質問のありましたドミニカから今後帰ってくる人たちをどういうふうに政府として措置、いわゆる処遇するか、どういうふうに援護するかという御質問でございますが、この点につきましては関係各省、ことに農林省、厚生省並びに関係の地方庁とも連携をとりまして、目下相談をしておるところでございます。特に帰って参りました当座の職業のあっせん、それから住宅等につきましては、各関係府県にお願いしまして、移住者が帰ってこられてからすぐに困らないように、それぞれの当局者にお願いしておるわけでございます。なお移住者が帰国当初、郷里に帰られるまでの措置につきましては、外務省としましても、厚生省と連絡をとりまして、不自由をおかけしないように措置するつもりでおります。
○国務大臣(河野一郎君) 先ほど申し上げましたように、現在移民につきましては、農林省といたしましては、外務省から現地の情勢、要請等にこたえて、これをあっせん申し上げておるというのが、今のことでございます。
○国務大臣(小坂善太郎君) 関係の各省で緊密に連絡をとりまして、できるだけの措置をとりたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 国の援助を必要とする帰国者に関する法律が出ておりますので、これに基づきまして私の方は九月二十九日の閣議決定を行なって、帰ってくる金を四千百二十七が六千円予備費をもってとりあえず大蔵省は支出してございます。
○佐多忠隆君 帰ってからのやつはどうする。
○国務大臣(水田三喜男君) これは、また関係庁のいろいろな話によって、やることになるかもしれませんが……。
○佐多忠隆君 関係庁に政府のしりを押しつけて、市町村が手をあげているんだ、国家があんなぶざまなことをやっておいて……。
○委員長(小山邦太郎君) 佐多委員にお諮りいたします。これはたいへん大事な問題とも思いますので、あなたの持ち時間もありますので、ひとつその際に、お話を願いたいと思います。
○石田次男君 問題がやや発展していきましたが、この漁業移民の失敗の原因は何でしょうか、もう一度ひとつ。
○政府委員(斎藤誠君) お答えいたします。先ほど申し上げましたように、当初沿岸漁業を中心とした漁業をやるということで移民いたしたわけでございますが、その後の状況によりまして、漁業自身といたしましては、やはり沿岸漁業だけではだめである、さらに沖合いに出ていくような漁業をやりたい、それに必要な船舶その他の十分なる用意ができなかったというのも一つの原因だと思います。 しかしそれ以外におきましても、先ほど外務大臣からお話がありましたように、ドミニカ国全体の財政事情、あるいはまた政治事情、そういうふうなこともありまして、救済のいろいろの措置につきましても、当初の計画よりも若干そごがあったというようなこともあるように聞いております。私のほうはいずれにいたしましても、現地に入りました後の事情につきましては、外務省を通じて事情を聞いておりますが、詳しくはひとつ外務省の方から……。
○石田次男君 今の御答弁非常におかしいと思うのですけれども、委員会で高木移住局長にお伺いしたときには船が小さ過ぎた、三十トンの船でなければ漁業ができないのに、一トンの船で行ってしまった、こういう返事だったのです。ところがあとでわかったことですが、高木さんの答弁も間違いなんですね。現地でもって一トンの船でよろしいという事前の調査がございまして、それに基づいて一トンの船で行った、これが真相なんですよ、その点いかがですか。
○政府委員(鶴我七蔵君) 最初漁業移住者入植予定地であるマンサニーリョ湾というところがございますが、そこを調査しました横田という海協連のドミニカ支部長の報告によりますと、漁船については、マンサニーリョ湾には普通ドミニカ人の漁船としては特別のものは見当たらない、漁夫の乗る船は本邦の内海航路の旅客船の救命ボートに類似しているというような報告がありまして、一トンということは明示しておらなかったわけでございますが、小型船でも漁撈ができるという意味の報告は参ったわけであります。(「それが間違いだったんだろう、結果的には。それを聞きたい。」と呼ぶ者あり)先日帰国して参りました鹿児島の漁業移住者のお話を聞きますと、当初一年間くらいは割合魚もとれて、自分たちもびっくりするほど漁量があった。とり尽くして一年たちますと、魚がとれなくなりましたということでございました。そういう事情でございます。
○石田次男君 いや、あんまりこまかにつつきたくなかったと思いましたが、もう少し誠意のある答弁はできないのですか。じゃあ報告書では、一トンの伝馬船でいいという報告書になっていませんか。読んで見て下さい、報告書を……。
○政府委員(鶴我七蔵君) 私のほうにございます記録によりますと、トン数のことは明示してございませんで、漁船はとりあえずのところ、伝馬船二隻くらいあればいいだろうという報告でございます。
○石田次男君 伝馬船ということになれば、三十トンあるのですか、どうですか。
○佐多忠隆君 それは農林省の調査団だよ、河野さんしっかりやらせなさいよ。
○国務大臣(河野一郎君) 農林省の調査団が行って調査した結果、この移民が行ったのじゃないそうでございます。古いことでございますから、私はわかりませんが、事務当局から聞きましたが……。 一言申し上げておきたいと思いますことは、最近事務調整いたしまして、移民のことにつきましては、外地のことは外務省、これによってその要請にこたえて農林省は協力する、こういうことに事務調整いたしておりますので、私は、それを先ほど来、お答えいたしているのでございます。
○佐多忠隆君 それ以前のことですよ。
○国務大臣(河野一郎君) それ以前のその当時のことにつきましては、以前のことにつきましては、今申し上げたとおり、農林省がこれは調査したのじゃないということをお答えしているのでございます。
○石田次男君 実は移住行政全体の不備について、政府でもう少し本腰を入れてまとめていただきたい、そういうことで一、二の事例をただしたいと思ったのですが、どうもあんまり誠意のない回答で、私のほうも困っているわけです。 時間がありませんから、農民の方へちょっと移っていきます。漁民のほうの失敗の根本の原因は、要するに船です。この船についての事前の現地からの調査報告がいけなかった。今年ネーバへ入った農業移民が全滅して帰ってくるのです。こっちのほうの失敗した原因を伺いたいと思います。
○政府委員(鶴我七蔵君) ネーバ地区の移住者の状況についてお答えいたします。ネーバには当初二十家族入ったわけでございます。昭和三十二年に最初入りましたわけでございますが、ネーバ地区は、後方にさらに二千メートル近い山がございまして、そのすそ野みたいな状況になっている地形でございますが、山上には、かなりの雨が降るのでございますが、ちょうど移住者の入っている地区には非常に雨が少なくて、年に雨量約五百ミリということでございます。ドミニカ政府は日本の移住者を迎え入れますにつきまして、山上から水路を引きまして、山の上に降った雨を、そのすそ野である日本人の移住者のおるネーバ地区に導入しておったわけでございます。土地の状況上、山上に降った雨が、そのまま土の中に吸い込まれまして、下までこないので、特別なそういう水路を必要としたわけでございますが、その水路を使用しまして、最初に入植した日本人には、一日に十二時間給水をしておったわけであります。 ところが、二年ぐらいたちますと、だんだんドミニカ人の農業者が日本人の移住地の周囲に入って参りまして、これらが日本人と同じような種類の作物を植え始めたわけでございまして、それに対して水が必要となってきたわけでございます。ドミニカ政府の管理官は、日本人移住者に対して、好意を持ってこの水を配給してくれたわけでございますが、自国人であるドミニカ人から非常に苦情がだんだん出て参りまして、外国人である日本人に、どうしてそういうふうに優遇措置をとって、われわれには水を少ししかくれないのだというような苦情が出て参ったわけでございまして、そういう関係から、次第に現地のドミニカ人のほうにも水を回わすようになりまして、それがため日本人に回わしておりました十二時間の給水時間がだんだん減って参りまして、八時間に減り、六時間に減り、特にことし三月集団帰国を申し出た当時には、四時間程度の給水時間しかない。十二時間給水がある間は−現地ではバナナとブドウ等の作物でございまして、土質は割合砂れきの多い土地でございますが、水さえ豊富にやれば、何とかこれを切り抜けてきたわけでございます。したがいまして、四時間の給水に制限されますと、水不足から作物が思うようにできないということで、移住者の営農状態が立ち行かなくなって、帰国を願い出てきたわけでございます。 その間一度、昨年の五月だったと記憶しますが、全員ドミニカ国内の別の土地に移りたいという申し出がありまして、大使館でかえ地をあっせんして用意をしておったわけでございますが、当時ちょうどネーバで生産しておりますバナナの値段が割合よくなったので、一時その転入を見合わせようという移住者側の要望もありまして、そのままネーバにおったわけであります。さっき申し上げましたように、ドミニカ全般の経済事情の悪化に伴いまして、やはり移住者の生産する生産物の価格も下落しますし、いろいろの面で生活が苦しくなってきたので、集団帰国ということになったわけでございます。
○石田次男君 失敗した原因は、水ですか、土地ですか、どっちですか。
○政府委員(鶴我七蔵君) 一番大きな原因は現在のところ、水だと思います。それで、その作物によりまして−ネーバではバナナとブドウを植えておりまして、水をやれば、今までも相当できておったわけでございまして、ことしの三月ごろまでに、現地の人たちから家族その他に対する通信を見ましても、非常にいいところだというようなことで、自分たちの豊作の状況を知らせる写真と一緒に、割合喜んでいるような通信も参っておったようなわけでありまして、ことしの三月ごろから、急激に生活が苦しくなってきたというような状況であります。
○石田次男君 今のお答えですと、水が原因だと言っておりますが、土地ではありませんか。
○政府委員(鶴我七蔵君) 土地そのものも、ほかの作物に転換できないという観点から見ますと、やはり一つの原因だと思います。水と土地両方の原因だと思います。
○石田次男君 移植する前の事前調査ですか、農林省の中田技官と海協連の横田支部長が現地調査をしたときには、いい土地だという報告なんです。それから、海協連の村上技師と大使館が調査しているのです。そのときには、農耕不適地である、こういうような文面が出ている。この報告は、前の報告に遠慮しているから、幾らか可能性があるような文面になっておりますけれども、よく見ると、移植できるような土地じゃないという報告なんですね。これは、移住局長も、委員会で認めていたわけです。移住局長とあなたの見解とどっちがほんとうなんですか。
○政府委員(鶴我七蔵君) 上地そのものもよくないということであります。その点は局長と同意見であります。
○石田次男君 ですから、さっきから伺っているとおりに、水と土地と、どっちが根本原因なんですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) いろいろ申し上げまして申しわけございませんけれども、はなはだやはり調査も欠陥があったと認めざるを得ないと思います。それから、先ほど申し上げたように、トルヒーヨ大統領が独裁政権をやっておったわけでありますが、その後同国の事情が、近隣諸国との間に断交があったというようなことで、経済情勢も非常に悪化したということも重なりまして、それも一つの原因だと心得ますが、以後こういうことがないように、十分に注意をいたしたいと思います。
○石田次男君 水か土地かの議論は、ここで打ち切っておきます。 それから、佐多さんがさっき言った軍事訓練の件です。実は、現地へ到着してから一年たたないうちに起こった事件だと思うのです。当然、開墾のほうで相当苦しい、窮迫している時期なんですね、その最中に軍事訓練に参加さしておる。こういう点から、非常に移住行政というものが乱脈になっているということを感ずるわけです。この件については、小長谷大使も承知なんです。これは憲法違反じゃありませんか。
○国務大臣(小坂善太郎君) ちょっと聞き取れませんでしたが……。
○石田次男君 小長谷大使が承知をしておるのです。
○国務大臣(小坂善太郎君) どういうことなんですか。(「日本大使の権限においてと言っておる」と呼ぶ者あり)
○委員長(小山邦太郎君) 静粛に願います。
○国務大臣(小坂善太郎君) ちょっと、今の最後のところが聞き取れなかったのです。
○石田次男君 向こうへ行った人たちが、ちょうど土地を耕さなきゃならぬ、開墾しなきゃならぬという一番忙しい最中です。一年以内だと思います。たしか四月と思いましたが、当時の海協連の支部長が中心になって、現地の人を説いて、軍事訓練に参加をさせた。その軍事訓練に参加をするということは、小長谷大使も承知しているのです。この点については、これは明らかに憲法違反だと思うのですが、いかがでしょう。
○政府委員(鶴我七蔵君) 外人部隊に日本人の入植者の参加を勧誘に来たのは、昭和三十四年でございます。ハイチから侵入がありまして、あのあたりはごちゃごちゃしたころでございまして、コンスタンサという山の中に、ちょうど日本の軽井沢みたいなところでございますが、そこの飛行場にハイチから侵入者が入ってきたわけです。どこに外国から侵入者が入ってくるかわからぬというように、ドミニカ国内が相当一般に情勢が不安な状態が続いたわけでございまして、そのときに、自警団的に、その部隊の署名の話がありまして、現地でお世話している海協連の支部長から大使館のほうへ、こういう問題があるのだけれども、いかが取り計らうべきやということで照会したわけでございます。そういうことにつきましては、大使館として、各個人個人で、自分はトルヒーヨ元帥をサポートするということであれば、こういう強い意思を持っておれば署名するのもいいだろう。しからざれば署名する必要はないということで指示したわけでございます。
○石田次男君 今お答えになっていたことと、私の手元にある資料と違うのです。実はドミニカのネーバの人たちからこういう手紙が来ております。詳しいものがこんなに何回も来ております。それは出そうとは思いませんけれども、軍事訓練を受けさしたというのは、入植してから翌年の事実だと思っております。向こうの書類によると、そうなっております。今聞くと、三十四年となっていますが、その点いかがです。
○政府委員(鶴我七蔵君) 昭和三十四年ということで、私どもの記録はそうなっております。時期的には、移住者が最初入りましたのは、昭和三十一年でございます。一年から入り出して、五回続けて入っております。三十四年まで五回にわたって入っておりますから、移住者からのお手紙で、入植早々というお感じを持たれたのは、あるいはおそい段階で入った人たちが、入って間もなく、外人部隊等の問題にぶつかったのじゃないかと考えます。
○石田次男君 時間がないのであまりできないのですが、あとで委員会でやります。 こういうふうにしてみますと、現地に行ってからの、結論的には踏んだりけったりなんですよ。大使自体が軍事訓練を受けるのを平気で見ておる。こういう状態では推して知るべしだと思います。現地の人は、青いバナナを食って、政府から一合五勺の牛乳の配給をもらって、そんなことでかつかつ命をつないでおったのです。それがどうにもこうにもならなくなって帰ってくるわけです。漁業移民のほうは、まず事前調査がでたらめ、農業移民のほうも、やはり地質調査が、しかも公式に調べたのが二つとも内容が違うと、こういうような状態です。行った人たちには軍事訓練を受けさしたり、窮乏して大使館に生活費を借りに行っても、なかなか貸してくれない、こういうことが非常にたくさんあるのです。こまかくそういった一つ一つを取り上げれば、これはたくさんあります。 要するに、移住政策というものが、こういう点から根本的に改革されなければ、単にドミニカだけではなくして、今後に非常に大きな悪影響が残ると思うのです。その点について、外相の移住政策に対する今後の改善策といいますか、そういう点についての御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 移住の隘路として、いろいろなものが考えられまするが、移住行政そのものも、また、移住の業務執行の方法にしましても、いろいろと問題があるわけでございまするが、こういう問題をできるだけ関係各省間において、円滑に話し合っていきたいというふうに考えております。現在、その点では、従来より関係各省間に非常な改善が見られておると考えております。先ほど申し上げたように、できるだけやはり同胞を出すのでございますから、条件のよいところに出したいという根本の考え方において進めたいと思っております。先方が補助金をくれるから出すというような考え方は、そもそもとるべきではないと私は思っておるのでございますが、そういうことがありませんように、今度十分注意していきたいと考えます。
○石田次男君 それからブラジルの方ですが、イズベラ地区だと思っておりますが、一たん募集していながら、募集中止になったことがありますね。これは外相御存じでしょうか、つい最近ですが。
○政府委員(鶴我七蔵君) おそらく北伯のイタペクルーという地区のことだと存じますが、この地区につきまして、ことしの五月、ベレーンの総領事に対しまして、現地の知事から、日本人約五十家族ほど導入して、州営の植民地において働いてもらいたいというような希望がございましたので、いろいろ現地でも営農の目標、土地の性質等調べまして、結果、これに応じて、十一月末ごろまで入植適期の関係もありますので、入植させたいということで、準備を進めてきたわけでございますが、ちょうどその予定地内にブラジル人の農耕者がすでにおりまして、その土地を日本人の入植者に開放するためには、すでに入っておりますブラジル人たちの補償の問題があったわけでございます。この補償に関します話し合いが、州政府とすでに入っておりますブラジル人の間につかなかったものでございますので、この地区に対する入植は困難になって参りまして、来年の五月というような話もございましたが、先行きはっきりしないので、一応この地区に対する入植は見合わして、これにかわるべき、近隣のほかの地区に入植できるように、今努力しているところでございます。
○石田次男君 だから、これは一たんは募集に着手したんでしょう。そうして中止になったんでしょう。その点をはっきりして下さい。
○政府委員(鶴我七蔵君) そのイタベクルーの州営入植民地の話がございましたのは、ことしの五月でございます。それで、ブラジル側は、ことしの十一月ごろまでに入植者を入れてほしいという希望でございまして、これは・ちょっと期間的に無理だと思いましたが、要するに、現地の海協連の方も、州の方も、非常に急ぎまして、現地を調査して、そうしてそれに間に合うようにということで、正式に募集する前に、すでに予備募集と申しますか、予備的な話を持っていったわけでございます。この関係で、時間不足と申しますか、中止の段階になって、行けないところも出てきたということであります。
○石田次男君 要するに、予備募集とか何とかいっておりますが、募集をして中止をしている。その原因は、現地からの報告にあるのですが、報告がオーケーといってきたから募集に着手した。いざ実際になってみたらだめだ、こういうふうに、本省と出先機関の連絡というのが実にまずい、これが移住行政をはばんでいる一つのガンになっている。その点について、外相の御所見をひとつ。
○国務大臣(小坂善太郎君) できるだけ出先と本省との間の連絡を密にしたいと考えております。
○石田次男君 行政機構の点もひとつ、ぜひ考えていただきたいと思うのですが、企業の進出になれば通産省で、技術移民は労働省で、開発青年隊は建設省で、募集や現地調査は農林省、移民輸送船の問題はもちろん運輸省ですが、資金の貸し出しは移住協会、そのほか、とにかくあまりにも仕事がばらばらになり過ぎて、それから問題を起こしている点もずいぶんあるわけです。 これについて、閣内で意見を統一して、海外庁とか何とか一本にするような意見はないのですか、総理がいらっしゃらないから、外相から。
○国務大臣(小坂善太郎君) 移住の問題につきましては、海外移住の審議会におきまして、いろいろと御検討をいただいておりますが、今機構の問題をいうよりも、現実の状態のもとにおきまして、さらによく連絡を密にするということが、まずもって必要だと思いますので、現段階においては、さような方針で進めたいというふうに考えております。
○石田次男君 詳しくお話ししている時間がないのは非常に残念であります。移住問題は、それで打ち切ります。 次に、防衛庁長官に伺いますが、米軍基地の問題ですが、そのうちで特に福岡の板付の飛行場、これが全市をあげて移転を要望しているわけです。実際問題として乳幼児の死亡率なんかにも関係しているんです。これはコンベアが入ってきてから、えらく騒音被害が増加したわけです。こういう点について、防衛庁長官の御意見を伺いたいのですけれども。
○国務大臣(藤枝泉介君) 福岡の板付の基地につきまして、相当爆音によるいろいろな問題が起きておるわけでございます。で、防音工事については、すでに御承知の通り教育施設、病院施設等について、相当の金額をもちましてやっておるわけでございまして、乳幼児を含めまして人体に対する影響等について、的確な資料は持ち合わせておりませんが、できるだけその騒音の軽減のために、今後も努力をいたして参りたいと考えておる次第でございます。 なお大都市にありまする飛行場でございますので、地元の皆様方がこれが移転について非常な御希望を持っておられるわけでございますが、御承知のようにあの板付の飛行場は、国内にありまする米空軍の基地としても相当な重要度を持っております。したがいまして、もしやるといたしますならば相当な地域を考えなければならぬわけでありますが、そうした地域がなかなか困難でございまして、しかし地元の方々の非常な御希望もございます。今後さらに研究は進めてみたいと思いますが、あれにかわるべき土地を取得するということは、なかなか困難ではないかと存じまして、できるだけそうした騒音その他の被害の軽減防止に今後も努力をいたして参りたいと考えている次第でございます。
○石田次男君 板付の米軍基地は、これは大都会の郊外にありまして、大阪の伊丹飛行場あたりとは全然事情が違うのですね。また千歳と札幌なんかの関係とも違うわけです。で、千歳と三沢と板付、これが三大基地と言われているわけでして、しかもあすこに民間航空が雑居をしておる。民間航空は、これからローカル・ラインの方が発展してきます。どうしても民間航空の充実ということが必然的だと思うのです。ところがジェットがだんだん強力になって参りまして、今後どんなやつが出てくるかわからぬ。現にコンベアがきただけでも、被害地域が相当広がっているわけです。とにかく夜中の一時ごろから、ぶんぶん飛んでおりますから、非常にこの問題は、今広がっているわけです。 そうしまして現に単に学校の授業ができないとか、そういう程度のもんじゃなくて、生まれた赤ん坊が一カ年間で死ぬ死亡率、これもいわゆる福岡の博多部と比べると一割三分程度が上がっているわけです。もちろん老人の死亡率、そういう目に見えないほうに災害が広がっておりまして、だんだん人権問題化する傾向にある。そうなりますと、民間航空の要求のほうからいきましても、また基地の拡張の問題からいきましても、あそこは御存じの通りに広げるとすれば、もう海がないのですから、陸地だけですから、たんぼを潰して市街地に接近せざるを得ない。このままにしておくと、ますますこの災害は拡大するばかりでありまして 騒音防止とか何とかいっても、これは事実問題不可能なんです。 ところが、これに関連して申し上げるのですが、農林省でもって、有明海を干拓しておりますが、諌早地区は諌早地区、福岡方面は福岡方面、佐賀県側は佐賀県側、ばらばらにやっている。あの海底に石炭もありますし、今のような、ただ農地を広げる、それが一本やりでは、あそこの高度利用には当然ならないわけでありまして、今の飛行場の問題と関連して、大局的な見地から有明の干拓部分、こっちの方に軍事基地の方は移転させる、そういうような計画があったら非常にいい解決策じゃないかと、こう感じておる次第でございます。 これについて農林省側の意見もありましょうし、農林大臣やら防衛庁長官やら関係閣僚の御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) お話のように有明海がそれぞれの立場から、部分的に干拓工事をやっておりますことは御承知の通りであります。それを総括的に、有明を大規模にやろうということで、目下調査はいたしております。この結果が、どういうふうになりますか、今後の推移を見まして、またこれから先に商工業関係から、これをどういうふうに使って参るかという総合的な利用の研究も当然進められると考えます。お話の点につきましては、十分考慮に置きまして研究を進めようと思う次第であります。
○国務大臣(藤枝泉介君) 先ほど申しましたように、板付の飛行場は非常に大都会の中にある飛行場でございますから、適当なところがあればもちろんそれがよろしいのでございます。ただいま御指摘の点につきましては、なお関係方面の御意見等も伺わなければならぬと思いまして、それも含めまして、さらに研究を進めたいと存じます。
○石田次男君 最後に……。時間不足でこの問題、内容まで入れないのは残念でありますが、ぜひこの問題については、干拓の高度利用の面からも考え、あるいは基地対都市という関係からも考え、ぜひ総合的な対策をお願いしたいと思います。どうせ米軍基地というのは、五年や十年でもって簡単になくなるものとも今の情勢上では考えられませんし、五年、十年ということになりますと、福岡の市民あたりは相当、親子二代にわたって被害を受ける、こういうようなことも考えられますので、善処をお願いしたいと思います。 あと、ほかの、要求大臣には時間がなくなりまして非常に失礼いたしました。この点は御了承願いたいと思います。 以上です。 —————————————
○委員長(小山邦太郎君) この際、委員の変更について報告いたします。 横山フク君、向井長年君及び大矢正君が辞任せられ、その補欠として北畠教真君、基政七君及び加藤シヅエ君が選任されました。 再開は午後二時十分といたします。 休憩いたします。 午後一時二十九分休憩 ————・———— 午後二時二十九分開会
○委員長(小山邦太郎君) これより委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き質疑を行ないます。森中守義君。
○森中守義君 福永労働大臣と大蔵大臣に最初にお尋ねしますが、きのう日経連の総会で前田専務理事が、この際賃金ストップをやったほうがよろしい、こういうような演説をされたよう、です。しかるに先般のこの委員会におけるわが党の羽生質問に対して、池田総理は、そういう賃金ストップ等は今日の成長政策からして適当でない、いたしません、こういう答弁をされております。また、その他の会合においても同様に池田総理が述べております。今回そういったような日経連の賃金ストップ政策に対して政府はどういうようにお考えですか。
○国務大臣(福永健司君) 私、新聞の見出しは見ましたが、詳細には実は読んでおりません。おりませんが、ストップというか、あまりこれ以上の賃金値上げは困難であるとかなんとかいったような表現があったように思うのでありますが、労働大臣といたしましては、労働条件が逐次向上していくことが望ましいと考えておるのでございます。政府が賃金ストップないし賃金統制といったような措置をとろうなどということは、全然考えておりません。
○国務大臣(水田三喜男君) 国際収支の改善策で今回イギリスのとった措置は、賃金ストップというような措置をとりました。しかし、イギリスの場合と日本の場合は全く違いまして、イギリスは一、二年前まで一・七、八%くらいの伸び率で、せめて三%くらい経済成長をやらなければイギリス経済は困るんだ、国際収支の改善策をやりながら、抑えをやりながら、しかも経済の伸び率はもう少し伸ばさなければならぬというのがイギリスの苦しみでございますので、そのためにいろいろなきつい措置はとりながらも、たとえば税制の特別措置というようなものは、これはむしろイギリス経済を伸ばすために、ストップしないで、これは逆に強化するというような方向をとっておるし、それから、どうしてもイギリスの生産力を伸ばすというためには、ここで賃金ストップをしなければいけないという事態にいっているんだということでございますが、日本のほうはそうじゃなくて、成長力がないので困っているというのでなくして、伸び過ぎてこれを押えるんだという措置で、全然経済の実態が悪いためにどうしようかということを中心にした措置じゃございませんので、イギリスあたりのやり方と日本のやり方は、全く実際は違っていいというのですから、そういう面から見まして、今の日本の場合において、ここで賃金ストップをしなければならぬというような性格のものでは、私は全然ないと思っております。
○森中守義君 そういうことになりますと、日経連の意見と政府の意見は異なっているわけですが、これら先、日経連のそういうような考えを是正していくような指導をおとりになりますか。
○国務大臣(福永健司君) 立場々々によりまして、いろろいな考えの人があるわけでございまして、この日経連の考え方を、賃金についてどうでなければならぬというようなことを、私どもは言うわけには参らぬと思うのでございますが、日経連はやはり政治にも関心を持ちましょうから、われわれのこうした考えについては、向こうでも参考にするものと存ずるわけでございます。正式にどうもお前らの考えはどうだからどうというようなことは、私としては申すわけには参りませんけれども、まあ非公式に会う機会等でもございましたら、意見の交換はいたすようにいたしたい、こう思っております。
○国務大臣(水田三喜男君) 私のほうは別にこの問題について指導者になる立場ではございませんので、別に日経連の指導ということはいたしません。今の日本の経済にどう対処するかという点から見まして、大蔵省のとるべき措置、必要な措置はこうだという確信のもとにいろいろな措置をとっておりますが、今言ったように、これが賃金ストップというものまで伴わなければ改善されない事態じゃないと見ておりますので、その点については民間にいろいろ意見がございましても、私どもはそういう考えは持っておりません。
○森中守義君 次に、労働大臣にいま一つ伺いますが、第四十五回のILO総会で、労働者住宅に関する勧告というものが採決をされて、すでに日本政府にもその内容が送付されてきておると、これはどういうようにお取り扱いになりますか。
○国務大臣(福永健司君) お話のような事情になっておりますので、私どもは、これはやはり全体として尊重していかなければならぬ、こういうように考えております。なかなか細部にわたりますといろいろございまして、これはむしろ私どもより建設省のほうの関係のことではございますが、労働省の立場におきましては、ただいま申し上げましたように、全体として尊重していきたい、こういうように存じておる次第でございます。
○森中守義君 これは少し苦情を大臣に申し上げるようですが、もう少しこまかに言って下さい。要するにILO憲章の十九条六項目によれば、国会に報告の義務がある、そういうような措置を一体いつおとりになるか、そういうようなことをおっしゃっていただかないと、私は時間がないので……。もう少し丁寧にひとつ説明していただきたい。
○国務大臣(福永健司君) 勧告は、従来次の通常国会に提出するようにいたしておるわけであります。今次臨時国会には提出いたしませんでしたけれども、従来の例にも従いまして、来たるべき通常国会には提出いたしたいと考えておるような次第でございます。
○森中守義君 それから、この問題で私は少し理解できないのは、昨年でしたか、十一月の十日までくらいと時間を切って、ジュネーヴの事務局に日本政府の意見を出せと、こういつてきたのに、政府が出されておるのは十二月二十二日で、どうしてこういうように国際信用を落とすようなことで時間をずらして出したのか。
○国務大臣(福永健司君) お話のように、おくれましたことは、私も残念に存じておるのでありますが、実は昨年の場合は、議題、資料の到着がたいへんおくれまして、労働省の入手したのが十月半ば過ぎであったというように私は聞いております。このために翻訳とか、あるいは各省の意見を取りまとめるとか、また、その取りまとめた結果を向こうに送るというようなことに時日を要しまして、回答の送付が十一月二十五日の期限より若干おくれたというようなわけでありまして、いずれにしてもおくれたということは、私はこれはまことに遺憾なことであると存じまするし、したがって、今後こういうようなことのないように十分努力をしなければならぬと存じます。 なお、ILOに対しましても、前回のように、資料発送上の手違いがあったかどうかわかりませんが、いずれにいたしましても、向こうからくるのがたいへんおくれたというようなこと等にもかんがみまして、今後こういうことの起こらないようにもお願いもしておかなければならない、こういうように存じます。
○森中守義君 この問題については次の通常国会ということでありますが、問題は具体的な立法措置あるいは政策の設定、こういうようなものは寄り寄り政府の内部でお話になっておりますか。
○国務大臣(福永健司君) ただいまのお尋ねの点につきましては、建設省のほうが主体でございますので、建設省のほうにおいてそういうことを進めておられるものと存じまするし、私どもは、そういう意味において建設省に協力いたしまして促進をはかりたい、そういうように存じております。
○国務大臣(中村梅吉君) 産業の労働者の住宅に関するILOの関係につきまして、私どもも自来検討をいたしておる次第でございますが、なるほど本質的には、従業員が社宅に居住するということは、いろいろ企業に隷属したような姿が、考え方によりましては伴いまするし、また、組合活動に影響があるおそれがある、こういう趣旨で、ILOの今度の勧告もあったことと思うのでありますが、まあ、これにつきましては、現在、われわれの住宅政策としましては、努めて住宅不足の現況にかんがみまして、住宅公団あるいは住宅金融公庫等の資金によりまして社宅をできるだけ増強させまして、従業長の住宅に困らないようにしようというのが、日本の世相としての現状から見て、まあ急を要する問題でございますので、そういう角度で現在は進めておる次第でございます。なるほど理想としては、ILOの勧告の要旨というものはよくわかるのでありますが、やはり日本の国情から見まして、今の段階では現在のような方法によるにいたしましても、早く住宅を充足することに努めるということのほうが先決問題かを考えておる次第でございます。今度の勧告におきましても、御承知のとおり、その国の一般的な社会、経済政策のワク内で、そして国内の諸条件に基づいてふさわしいと認められる方法でという前置きをされておりますので、われわれとしましては、できるだけ国力の伸展に伴いまして、このILOの勧告の精神に沿うようにいたして参りたいとは考えておりますが、直ちに今の政策を放棄するということは、住宅難の現状にかんがみまして、いかがなものかと考えておる次第でございますが、いずれにいたしましても、ILOのこのような勧告の精神はよくわかるのでございますので、今後十分検討をいたしまして、勧告の精神には沿うように、国情の伸展とにらみ合って進めて参りたい、こう考えています。
○森中守義君 これは御承知のように、前後二回政府が会同をいたされ、しかも、住宅局長がこの会同に出席をしているようです。したがって、内容からいきますと、大半は賛成、日本政府としては、ある一部分については反対、こういうことであれば、今、大臣も言われたので、まあ一応けっこうですけれども、おおむね、いつごろまでにこの住宅政策の構想を建設省としておまとめになる、いつごろ立法措置を、さらには予算措置をおつけになる、その辺をいま少しく具体的に御説明お願いしたいと思います。
○国務大臣(中村梅吉君) お答え申し上げます。 ただいま申し上げましたように、日本の住宅事情及び国情の伸展と伴って進めないと、かえって産業労働者のために仕合わせをそぐようなことになっは困ると思いますので、それらの状況とにらみ合って今後検討をいたし、実現を期して参りたいと思いますので、目下の段階では、いつまでということは申しかねる状態であると思います。
○森中守義君 次に、沖繩における遺骨の収集状況及び経過について、外務大臣、厚生大臣おいでになりますね。総務長官、大蔵大臣、外交交渉もありましょうし、予算の関係もありましょうから、これら関係の皆さんより、それぞれ所管について御説明をお聞きしたい。
○政府委員(小平久雄君) 沖繩におきまする戦歿者の柱数につきましては、厚生省の資料によりますと、陸軍関係で十二万、海軍関係で一万四千六百、これら軍関係を合わせますと十三万四千六百柱、民間が約四百柱、合計いたしますと十七万四千柱——約十七万五千柱と推定をされておるわけであります。このうち、すでに収骨を終わりましたのは、地元民によりまして十三万六千二十三柱、予算によりまして国の手でやりましたものが、三十一年度におきまして一万四千百九十五柱、三十四年度におきまして三千百八十四柱、三十六年度、本年度の予定が三千八十二柱、合わせまして二万四百六十一柱となっております。したがいまして、三十六年度末の残は約一万八千百十六柱となる見込みでございます。御承知のように、沖繩の地形の関係等からいたしまして、発見がなかなか容易でない場合もございます。政府といたしましては、発見され次第、全力をあげて早期にこれを収容申し上げたい、かように考えております。
○森中守義君 ちょっと小平さん、沖繩四百と言われましたが、ちょっと違うのですが。
○政府委員(小平久雄君) いや、四万です。
○森中守義君 四百と言われた。
○政府委員(小平久雄君) 四万と申し上げました。
○森中守義君 四百と言った。
○政府委員(小平久雄君) ああ、そうですか。四万でございます。
○国務大臣(水田三喜男君) 予算関係を申し上げますと、三十一年度に四百三十二万四千円を計上しまして、収骨に当たり、なお、中央納骨堂を建てて収容、供養いたしました。その後も、状況の判明したつど、予算を計上しておりますが、三十四年度に五十一万四千円、三十六年度に七十六万四千円を計上しまして、その後、沖繩全島に散在する遺骨の状況が漸次はっきりして参りましたので、この収容については、三十七年度の予算で考慮したいと考えております。
○国務大臣(小坂善太郎君) 行政機関の形から申しますと、これは特連局でございます。ただいま小平総務長官のお答えしたとおりでございます。
○森中守義君 総務長官、この総柱十七万四千六百というこの戦没者の確認されたのは何年ですか。
○政府委員(小平久雄君) ただいま申し上げました数は、三十一年四月に沖繩における遺骨収集のために、わが国から在日アメリカ大使館に了解を求めるために申し入れた際の数字でございます。
○森中守義君 地元の人たちによって十三万六千二十三柱の確認をされたのはいつですか。収骨の確認です。
○政府委員(大竹民陟君) 地元の数が確認されたのはいつかということでございますけれども、ちょっとただいま正確に申し上げかねますが、昭和二十七年の南方連絡事務所が邦覇にできまして遺骨の関係などを調べました。その際に多分確認したものだろうというふうに考えます。
○森中守義君 厚生大臣を呼んで下さい。厚生大臣がいないと確認の日付がわからない。質問が続けられませんから。
○委員長(小山邦太郎君) 厚生大臣は今衆議院の本会議におりますようですから、それではこの質問をなにして他の質問にお移り願いたいと思います。
○森中守義君 呼べないですか。おとといですよ、通告を出したの。
○委員長(小山邦太郎君) 今呼んでおります。
○森中守義君 そうしますと、確認の日付がはっきりしませんけれども、結局、総柱十七万四千六百から地元の人たちで収骨されたのが十三万六千であれば、やはり約三万八千体近くは依然として放置されている。しかるに、政府が予算をつけて本式に乗り出したのは三十一年ということになりますから、約十年近くはこのままほうってあったということに私はなると思う。そこで、この問題、総務長官と外務大臣に尋ねたいんですが、アメリカ側が沖繩の収骨を拒んだのですか、どうですか。それで日本が入っていかなかったのか。アメリカは拒まなかったけれども日本がいかなかったのか、どっちですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 私のほうではそういうことは考えたことはございません。なかったと思っております。今念のために特連局のほうとも打ち合わせたのでございますが、アメリカ側がそういうことに反対した事実はございません。
○政府委員(小平久雄君) 総理府関係といたしましても、アメリカのほうが反対したということは聞いておりません。
○森中守義君 いや、それで前段の聞いた質問に答弁ないと困るんですよ。確認された日付ですね。三万は残っているんだから、それはほっといたんだろう。三十一年からですからね、予算をつけたのは。その間三万八千というのが残っているということが明らかでありながら、なぜ手をつけなかったのか、こういう質問なんです。それをアメリカが拒んだからしなかったのか、日本政府自体がしなかったのか。それを私は前段に聞いたわけです。
○政府委員(小平久雄君) ただいま外務大臣から答弁がありましたとおり、アメリカが拒んでいたという事実はないものだと承知をいたしております。
○森中守義君 だから、それで日本がしなかったということですか。
○政府委員(小平久雄君) 三十一年までの間の経過につきましては特連局長から答弁させます。
○政府委員(大竹民陟君) 日本政府としてほっておいたのかということでございますけれども、沖繩の御承知のように主として南部地区でございますけれども、非常な戦死者があったわけでございます。終戦直後に地元の青年団あるいは各種の団体、市町村等が協力いたしまして、もとより判明しております限りの十分の調査をいたしまして、遺骨の収集を行なったわけであります。通常目につく場所に遺骨が放置されておった、そのままになっておったというようなことは、もとよりあり得ないことでございます。なかったわけでございます。ところが御案内のように非常な激戦が行なわれまして、壕などに入っておりました者がそのまま埋没いたしまして、当時わからなかったというふうなものもあったわけです。南方連絡事務所が開設されましたあとになりまして、いろいろ雨が降って穴があいてのぞいて見たら、まだあるらしいというふうなことで自然に判明してきたわけでございまして、目についているものを日本政府としてそのまま放置しておったということではございません。自然の経過に従いまして、わかり次第私どもといたしましては全力をあげてやったわけでございます。昭和三十一年に判明しておりますものは、昭和三十一年に全力をあげて全部収集するということであったわけでございますが、ただいま申し上げましたような事情から、また昭和三十四年になって幾つかそうい4場所が発見されてきた。こういう自然の経過と申しますか、放置したと申しますより、むしろあそこの地形の状態でございますとか、自然の状態でございますとか、そういうものの経過に従いまして、ただいままでのような状況をたどっているということでございます。
○森中守義君 先ほど大蔵大臣でしたか、状況判明のつどとか、今また特連局長は自然の推移の中からと、こういうようなことをよく言われる。しかし沖繩は御承知のように、そうたとえば昔の中支とかあるいは南方というようにああいう広大な戦線じゃなかった。残体が明らかに三万八千あるということははっきりしているんですから、いま少し私は積極的にやる方法があったと思うんです。もちろん現地における南連の諸君の血のにじむような努力は見て来ております。しかし金がないから遺骨の収集ができない、こういう説をなしている人もありますよ。その間の事情をいま少し詳しく御説明願いたい。
○政府委員(大竹民陟君) 三万八千柱というふうに御発言ございましたけれども、先ほど総務長官から数字を御説明いたしましたので、いろいろ差し引きをいたしますと、そういう数字が出てくるということであると存ずるわけでございます。この数につきましては、若干の注釈が要るわけでございまして、当時の戦没者の総数、これは厚生省におきましていろいろな公的な資料から推算をいたした数字でございますから、私ども今日におきましては最も確実な見込数であるというふうに考えております。収容いたしました遺骨の柱数、これは激戦のさなかに戦死されました方々でございまして、平時の遺体を収容する場合のように、遺体の数をはっきり確認できるというふうなことは、実際問題としてなかなかむずかしいと思うのでございます。特に昭和三十一年、三十四年と収集をいたしました。相当年月を経ておりますので確認の方法ということもなかなかむずかしいと思います。しかしまあいろいろ工夫をいたしまして、私どもとしてはそういう一つの数字を考えておったのでありまして、発見のための努力というものは、地元の市町村にお願いをいたしまして、あるいは各種の団体にお願いをいたしまして、私どもとしてはできる限りの力を注いでいるつもりでございます。広大な地域でないから当然もっとわかりやすいはずだというふうな御意見でございますが、ごもっともだと思うわけであります。あそこの地形がごらんになりましたように多くの自然のサンゴ礁のほら穴と申しますか、鐘乳洞式のものがたくさんあるわけです。戦闘中に埋没してしまっておるというふうなものがたくさんあるわけです。そういう主として壕であるとかそういうものが、遺骨の発見を今日までおくらせておるというおもな理由であるというふうに考えております。
○森中守義君 せんだって私は沖繩に視察団で行きましてこういう実情を見てきた。南部戦線は特連局長も総務長官もご存じでしょうが最後の激戦地、あそこで牛島兵団長、長参謀長が自決している。その下のほうにかなり広い斜面があります、今ここは雑木雑草が密生、族生している、この中に相当数の参謀長あるいは兵団長と行動を共にした軍人あるいは軍族、あるいは民間人が果てたということは、当時の情景からしておおむね適当な私は判断だと思う。しかるにここに今あなた方が言われる一万八千百十六体の大部分があるのではないかという説をする人がおります。これは私はいろんな報道記録であるとか当時の戦線の状況等から判断して適当だと思う。ところがこの地域は容易におりて行けません、それはなぜか、ハブがおる。しかもそういう説をする人に言わせると、残骸の中に、たとえば頭蓋骨とかあるいは肋骨にハブがとぐろを巻いておる、こういう事情がある。一体これを見たことがありますか。一万八千体の残体の大部分がここにあるだろうという判断が容易に私はできると思う。どうですか。
○政府委員(大竹民陟君) 御説明の場所は大体戦争が最後に行なわれまして追い詰められた場所でございますから、その場所におきまして相当の戦死者があったろうということは当然推測されるわけであります。私どもといたしましては、遺骨の調査ということに十分力を尽くしておるつもりでございまして、最近もその方面に特別に念を入ました調査を行なっております。ただいまお話ございましたように、そこにかたまって今日残っておるということはないというふうに、現在の状態としては遺骨がそこにかたまって残されておるという状況はないというふうに、私ども報告を受けております。
○委員長(小山邦太郎君) 森中委員に申し上げます。厚生大臣は衆議院本会議に出席中でありまして、三時十分ごろこちらへ参るということでございます。御了承願います。
○森中守義君 そういうことはないと言い切るのは少し行き過ぎじゃないですか。見たことありますか、現場を。見もしないで、ありませんなんというそんなばかな答弁ないですよ。もう一回一つ。
○政府委員(大竹民陟君) 少し言葉が足りなかったと思いますが、調査の結果を申し上げたわけであります。
○森中守義君 だからそこにおりて行って見たのかどうかと聞いておるのです。
○政府委員(大竹民陟君) そういう、先生おっしゃいましたような話もございますので、特に確認を求める意味の指示をいたしましたので、おそらく十分な調査をした結果を報告いたしたものというふうに考えております。
○森中守義君 まあ調査の結果とはいろんな態様がありましょうけれども、一番具体的な問題として、雑木雑草が族生しているその土地におりて行って見たのかどうかということなんですよ。その現地の確認がはっきりしていないで調査の結果だといっても、それは答弁になりませんよ。どうですか、あのあたりは。
○政府委員(大竹民陟君) 私どもといたしましては、できるだけの手を尽くして調査をするように、こういう問題を長く放置するということは問題でございますから、十分な手を尽くして調査してもらいたいということを現地にお願いしたわけでございます。なおしかし世間にはそういういろいろな御疑問の点もありますれば、さらに念を入れまして今後とも調査を行ないたいというふうに考えております。
○森中守義君 大蔵大臣、予算をつけなかったから遺骨の収集ができない、こういう現地における意見もあるのですよ。それで三十一年、三十四年、三十六年、三回につけてある予算は五百二十四万程度ですね。こういう尊い生命を失った同胞の遺骨を収集することに対してでも大蔵省は予算を削るのですか。金を出さないのですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 今まで五百六十万ぐらい出ていると思いますが、これは御承知のように予算要求があって、要求官庁との相談によってつけているものでございますので、特に調査できないように予算を切ったというようなわけではございません。
○森中守義君 あまり持ち時間がありませんから、私はこれでひとつ結論的に聞いておきたいのですけれども、私どもが行ったときにも本土から子供や夫の遺骨を探しにきている遺族がたくさんおりました。非常にこれは重大な問題です。それで十七万四千六百というのが、私もやはりよって立つ数字の根拠については、まあ、これが一番事実に近いものだと思う。しこうして今なおそれを差し引いていくならば一万八千自十六体というものが残っている。しこうして先ほど申し上げたようにハブが頭蓋骨にとぐろを巻いている、こういうような話もあるものだから、しかも、とてもこれは収集が困難だという広大無辺な地域じゃありません。この機会にどうですか、遺骨の収集のためには金も出そう、しかも大がかりな収骨を行なおう、こういう方針が政府のほうにおありですか。これはひとつ大蔵大臣及び総務長官、こういう重大な問題ですから皆さんより誠意のほどを披瀝してもらいたい。しかも具体的に実行してもらいたい。これが私は全国の沖繩戦没者の遺族が十六年間こいねがってきた一つの問題だと思う。どうでしょう。
○政府委員(小平久雄君) 先ほど持連局長から答弁させました通り、現地のほうにおいてまだ遺骨がある、どこそこにある、こういったような話もあるようでありますから、現地とも連絡をとりまして十分ひとつ調査をさせて、もし万一事実がありますならば大蔵当局とも相談の上に、ぜひとも一日も早く収集をはかりたい、私のほうとしてはさように考えております。
○国務大臣(水田三喜男君) 三十七年度の予算要求にもきているそうでございますから、その際十分考えます。
○森中守義君 総務長官のお答えに私は釈然としない。事実があるならばということなんですけれども、事実に近い数字を根拠にして収骨したものを差し引いたのが二万八千百十六体である。さっきあなたがおっしゃったじゃないですか、その事実がある。それを私は収骨するようにしてほしい、こういうのですよ。
○政府委員(小平久雄君) そのまだ残があることは先ほどお話申し上げたとおりでありますが、ただ地域の関係や何やらで、これは一挙にということも事実上参らないと思います。そこで調査を十分さして、それが発見できますならば全力をあげて収集したい、こういうことでございます。
○森中守義君 政府の一応の所信がわかりましたから、それで一つぜひお願いしたいと思う。 それから次に、沖繩への渡航の問題ですけれども、これは渡航を拒否されて非常に困っている国民がたくさんあります。この渡航の制限を何を根拠にやっているか、また渡航手続はどういう状況なのか、何名の者が渡航を拒否されたのか、それらの事情を外相、総務長官、こういう関係の皆さんからお答えを願いたいと思います。
○政府委員(小平久雄君) 沖繩への渡航につきましては、アメリカの沖繩駐在の高等弁務官の許可を得まして、許可があった者につきましてはわが国として身分証明書を発給いたしまして、そうしてその渡航が実現する、こういう状況になっておるわけでございます。昨年の渡航者は約一万五千程度になっております。そのうち、この希望者のうち渡航できなかった者はきわめて少数でありまして、全体の〇・九%以下、〇・八九%くらいになっておるようであります。
○国務大臣(小坂善太郎君) 沖繩については総理府の所管になっておりまして、総務長官が主としてやっておられます。外交交渉をするというのには、沖繩はわがほうの国民でありますので外務大臣としては総務長官におまかせしております。
○森中守義君 それで問題になりますのは、渡航を拒否された人の理由が明らかになっておりますか。どういう理由で渡航できなかったかということが……。
○政府委員(小平久雄君) その点につきまして高等弁務官の方でもかくかくの理由で許可しないということを説明をいたしておりません。わがほうといたしましてはその理由ははっきりいたしておりません。
○岩間正男君 関連。私は簡単にお聞きしたいのですが、〇・八九%、この件数ですね、これを具体的に出してもらいたい。それからもう一つはこの内容です。これは階層別に拒否された人の数はわかるだろうと思うのです。これを階層別に発表していただきたい。
○政府委員(小平久雄君) 発給件数でありますが、先ほど三十五年のを申し上げましたが、昨年のは正確に申し上げますと、発給件数が一万四千九百二件であります。そのほか不許可になりました件数は百三十四件であります。その率が〇・八九、こういうことです。
○岩間正男君 階層別……。
○政府委員(小平久雄君) 階層別の点はわかっておりません。
○岩間正男君 まだ調査してないのですか。
○政府委員(小平久雄君) 遺憾ながら存じません。
○岩間正男君 事務当局わからないのですか、政府委員……。
○政府委員(大竹民陟君) 調べたものはございません。
○岩間正男君 それでは調査をして出してもらいたいのです、資料を……。いいですね。階層別に調べるくらいすぐだろう。
○政府委員(大竹民陟君) 階層別というお話でごさいましたけれども、私ども渡航に必要な事項だけを伺っておるわけでありまして、氏名とか年令とか住所とか職業とか、こういうことだけを伺っておりますので、階層別ということはわからないと思います。
○岩間正男君 職業がわかれば階層別はわかるのです。冗談を、言ってはいけませんよ。
○森中守義君 トラヴェル・ユニットのほうで、渡航申請をした場合に、渡航者の思想動向の調査を日本の国内でやっておる、こういう話をよく聞くのです。総務長官はそうでないという顔つきをしておるけれども、九千四百万の日本人の思想であるとか動向であるとか、そういうものを一々アメリカ側はチェックできますか。今あなたが言われる百三十四名が三十五年度だかにあった。これは明らかにチェックされておる。そうなると、これは何といっても非常に大きな問題です。憲法十九条にいう居住、移転、まあそういうことの国民の権利を日本の国内においてアメリカが侵しておることになる。こういうことはどうなんですか。
○政府委員(小平久雄君) 先ほども申しましたように、アメリカ側がどういう方法でまたどういう点について調べておるのか、私どもといたしましては何ら判明いたしておりません。
○森中守義君 そこで外務大臣、こういうようなケースがほかにありますか、世界のどこかに。
○国務大臣(小坂善太郎君) 沖繩渡航の問題については、これは成規の手続また所定の材料をそろえて申請があれば、これは渡航を許可すべきものだと考えております。先ほど階層云々というお話がありましたが、階層ということは、これはあらゆる場合に問題になる。大体階層とは何だということがございますが、これはございませんと思います。今あなたに対する御答弁はそういうことはないと思うということです。所定の手続を経て申請があれば、これは許可すべきものであるということでありますから、その方針でやるということであると思います。
○森中守義君 そうでないのだ小坂さん。こういうようなケースが、二回も同じことは言わないよ。今日の世界にこういうようなケースがほかにありますかと聞いておる。
○国務大臣(小坂善太郎君) どうも私は御質問の趣旨がわかりませんが、旅券法というものがありまして、旅券法の十三条にこの旅券を出すとか出さないとかいうことの基準がございますが……、
○森中守義君 どうも少し答弁が私はちょろまかされておるように思えてしようがない。私が聞いておるのは、今日高等弁務官がやっておるようなケースが世界のほかに例があるのかないのかということを聞いておる。こういうはっきりしたことがわからないのですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 要するに旅券法の手続によって拒否される場合はあるわけですね。それから高等弁務上官がやっておる例といいますと、高等弁務官がおる国というのはなお調べて返事いたしますが、そうたくさんはないと思いますが、国によっても、たとえばシンガポールあたりはちょっと条件が違いますし、沖繩には沖繩だけの形があるように存ずるのでありますが、なお、これは打ち合せてお答え申し上げます。
○森中守義君 外務大臣、ユニットが申請者の思想動向を調査しているという国民の疑惑は、それはある。この事実を日本政府は知らないとこう言っているけれども、国民にそういう疑惑がある限り、正確にアメリカは日本の憲法を明らかに侵していますよ。国連憲章の主権平等の原則を侵しますよ。だとするならば、そういう事実があるかないか、トラヴェル・ユニットが何をしているか、何を根拠に許可しないのか、その辺のことを外交交渉に乗せることは私は当然だと思うのですが、今までそういうことをやったことがありますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 先ほども申し上げましたように、潜在主権という形でありますものは、ちょっと私の記憶では、なかったのですが、やはり調べてもらいましても世界中にないようでございます。したがって、同一類似のケースはないわけでございます。 そこで、御質問でございまするが、私はさっきお答えしたように、所定の手続を経て申請するものは原則的に許すべきものであると存じておりますということを申し上げたのであります。
○森中守義君 そこで、日本政府は政令二百十九号によって発給した身分証明書が、外交交渉権も何も持っていない高等弁務官の手で一方的に拒否されていいものですか。高等弁務官は日本の主権を侵している、明らかにそういうことを私は言えると思う。外務大臣、どうですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) さっき申したように、手続が完全であれば許可すべきものであり、その方針でおるだろうと思います。 それから今の点ですが、これはサンフランシスコ条約によりまして、これは第三条の規定にございますが、アメリカにおいて三権を掌握しているわけです。そのもとにおける高等弁務官の権限を持ってしているということでございます。
○森中守義君 旅券法ですらも十四条では、こうしなかった場合には、その理由を公開しなければならない、十五条では異議の申請ができる、こういう救済規定すら設けているのですよ。しかも日本政府が発行した身分証明書が高等弁務官の手によって拒否されるというならば、実にこれはゆゆしい国際問題だと私は思うのです。したがって、今まで沖繩問題についてしばしば交渉をやってきたとこう言われるから、はたしてこの種具体的な問題等についてどういうような話し合いをしたのか、そういう経過をもう少し明らかにしてもらわないと、渡航を拒まれて困っている日本人に私は相済まないと思う。しかも、憲法十九条では明らかに国民の権利としてそれらのことが保障されているのです。どうですか、外務大臣。
○国務大臣(小坂善太郎君) 現在、沖繩渡航は高等弁務官の許可を必要として、その許可のあった者について政府が身分証明書を発給している、こういうことでございます。そこで、沖繩と本土との渡航者は著しく増加しておりまして、アメリカ側の渡航許可を得られなかった者は、先ほど総務長官のお話のようにきわめて少数に限られておるわけです。しかしながら、政府としては今後双方の往復が一そう自由にできまするように、できるだけ努めて参りたい、こう考えております。
○森中守義君 この場で非常に時間に制限がありますから十分にできないのが非常に残念です。しかし、私の質問に対し一つもあなたは的確な答弁をしていない。適当にあしらっていますよ。国民の権利をどうするか、憲法十九条の保障をどうするんだ、答えていない。しかし、時間がありませんから、これはまた機会を改めます。ただしかし、そういう事実がある、しかも国内においてトラヴェル・ユニットが思想動向の調査をやっている事実もある。これらのことは一つ外務大臣として腹に持って対米交渉をやってもらう必要があると私は思う。 それで郵政大臣にお尋ねいたしまするが、先般遅配問題に対して審議会から答申が出たようですが、これはどうなんですか。郵政省自体が遅配解消の行政能力がなかったのですか。それで審議会にお知恵を借りたものなのか、どうなのか、まずその辺を一つ聞かしてもらいたい。
○国務大臣(迫水久常君) 遅配の問題が起こりましてから、世間では、省側ではとかく労働組合が悪いというようなことをいうし、労働組合の方では省側が悪いというようなことをいっているといううわさがありまして、そういうことで第三者の御意見というものを一ぺん聞いてみようじゃないかということになって、前郵政大臣の小金さんのときに諮問をしたものと思います。そしてあの答申を得たことと思います。
○森中守義君 そこで答申が非常にきびしい論難を加えていますね。私もいろんな答申を見たけれども、今回郵政省に出されたような、きびしく郵政省の経営問題、これに論及している答申を見たことはありません。これらのことは、郵政省が今まで遅配の要因は、これとこれであるというようなことを一応考えられたと思う。そういうものと、今回の答申が指摘している遅配原因、要因というものは非常に違っておりますか、どうですか。
○国務大臣(迫水久常君) 私は郵政大臣に就任しましてから、遅配解消の問題を郵政省の一番大事な仕事と考えて勉強いたしました。大体私が認識しているのとほぼ同じような答申を得たと私は考えております。
○森中守義君 まあそうであれば、今までそういうようなことをお考えになっていたならば、これを排除するような努力はどういうようにしてきましたか。それをまず具体的に一つお示しいただきたい。
○国務大臣(迫水久常君) 答申の示しておりますところは、簡単にいえば、郵政事業の近代化が足りないというのと、近代化が足りないということにはいろいろなことが含まれておりますけれども、経営的な感覚も足りない。それは省側が九十年の伝統を墨守しておった。同時に労働組合の方も独占事業の上に安座して、自覚といいますか、そういうような点も足りなかったというようなことも指摘しているようでございます。それで私は就任以来、郵便の物数並びに容積の増大ということに対して、人的、物的の施設がおくれているその事態を考えまして、現在の予算を差し繰って、できる範囲内においてはできるだけそれを実行すると同時に、来年度の予算要求には、その点を独立採算制を建前とする限界においてなし得る最高限度のことをしたい、こう考えて予算要求をいたしております。
○森中守義君 ちょっとどうも言葉をとるようで恐縮ですが、予算要求はすでに八月の末に財政法では出さなければならぬ。答申が出たのは九月二十四日でしょう。そうするとこの概計の出し直しをするのですか。
○国務大臣(迫水久常君) 答申が概算要求をしたあとに出て参りましたけれども、答申を得ましてから予算要求について考えて、まあこれだけの予算要求をしてあれば、大体答申の言われているのとは合っている、こう思いました。
○森中守義君 これは遅配の問題については恐らく年末については十数億の年賀郵便が出されるでしょう。非常に大きな問題なんです。もう少し一つ実のある話をしようじゃないですか。ただ切り口上で私は聞いているのでもない。そこで、この答申の中に言っているのは、国民の信託にそむくのだ、こうきめつけています。同時にまた、九十年の伝統の上に安座して、他産業に比べて何ら郵政省は事業の近代化をやろうという意欲を持たなかった、こうきめつけておる。それで、近代化がこの際どうしても必要なのです。そこで、答申をあなたは実施するおつもりのようだから、それではそれは一体金が幾らかかりますか。これを現年度内において、少なくとも年末対策については幾ら、あるいは恒久的な、恒常的な近代化のために予算は幾ら要ると試算をしておりますか。それを試算しておるのならばちょっとそれもあわせてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(迫水久常君) 今日まで人的、物的施設が比較的おくれておりました一つの原因というのは、独立採算制でやっているので、資金の余裕が少し足りなかった。昨年、臨時国会でお許しを得まして本年度から値上げをいたしましたので、それで若干のゆとりが出て参りましたので、一応建設勘定を除きますれば、今の余裕金でほぼまかなえていくように考えております、この答申を実行することは、建設勘定を除けば——建設勘定の方は簡易保険の方からお金を借りていくわけでありますけれども、これはただお金だけがあったのではだめなんで、土地の買収の問題その他からいいまして若干の時間を必要としますので、長期計画の線に沿うてこれは実行していきたいと思っております。年末のために用意しました金は約十八億の金を年末のために用意しております。昨年は十五億でありました。
○森中守義君 これは私は昨年が十五億だったから、まあことしは十八億、こういうようなことですが、はたしてそれで答申がいきますか。答申が言っておるのは、近代化のためには金が要る。しこうして外部資金を大いに活用せよ、あるいは現行料金制度ではこれはいくまい、現行料金では。暗に郵便料金の値上げを示唆しております。そうまでしなければだめだと、こう言っておるのに、答申を完全に実施しようという際に、昨年十五億だったから・ことしは十八億というようなことでは、私は答申の趣旨を実施しようというならば少し理屈が合わぬと、こう思うのですが、どうなんですか。
○国務大臣(迫水久常君) 答申には、お話のとおり、郵便料金は今のままに固定したものに考えずに、場合によっては値上げしてもいいじゃないかと言わぬばかりのことが書いてありますけれども、私たちが検討いたしました結果では、値上げしなくても、今のところは答申に盛られているような人的、物的施設の省側でやるべき問題については、やっていけるのじゃないかという計算のもとに今計画をしているわけです。
○森中守義君 そうしますと、これは外部資金の大幅な活用とか、あるいは料金の改訂とか、そういうようなことを求めなくても、経常予算のワク内でできる、すなわち現在の事業収入の状態で自己資本をもって充当できると、こういう意味ですか。
○国務大臣(迫水久常君) 建設のためには簡易保険の方からの借り入れをいたしますけれども、その外部資金という言葉の意味が、一般会計から金を借りてこいという意味ではないと私は了解いたしておるわけです。しこうして料金の値上げということは当分やらないで済むだろう、こう思います。
○森中守義君 重ねて聞きますが、やはり遅配解消の最大の問題は要員対策である、こう言っておりますね、対策である。要員配置がなっていないのだ、こう言っておる。ところが先般、鈴木善幸大臣がいるときに非常な努力で、定員法からはずれましたあとの要員をどうするかということは大臣の権限でこれはできるはずです。金さえあればいい。したがって、これは今日の郵政省の定員事情はどうかよくわかりませんけれども、少なくとも遅配を解消するだけの、かりにそこに四万という増員が出るなり、三万と出るなり、二万と出るなり、それはあなたの方でおやりになります仕事であるけれども、必要だとする要員については、確実に配置しますか、その自信がありますか。
○国務大臣(迫水久常君) 一つの算出のフォーミュラ、形式がございまして、それによって算出されてくる物数、業務量の増加に応ずる定員の増加というものは今度の予算にも要求しておりますが、ぜひ獲得して、その数を確保してその配置を適正にしたい、それが一番これはわれわれの方としてやるべき仕事の大事な点だと思っておりますから、それに重点を置いてやりたいと思っております。
○森中守義君 ちょっと大事なところを抜かさぬようにしてもらいませんと、私は時間がないのですから。確実に消化していく自信があるのか、予算を基礎にしてものを考えるのではなくて、答申が言っているのは、完全に遅配をなくせ、そのためには人が必要だと、こう言っておる。だから、もう一回やり直してみて、出た数字が四万、三万、二万、それはあなたのほうがやる仕事だけれども、必要だとする人員については、予算にかかわらず新しい角度から検討して人員の配置をやるのかどうか、その自信があるかどうか聞いている。
○国務大臣(迫水久常君) 実は本年の予算の進行中にも約四千人という定数、非常勤の職員を増置いたしたような次第でございまして、今のところ要求予算が獲得できれば、それで間に合うと思いますが、来年度の物数の増加等が今日予想しないような大きなものにかりになりましたならば、来年度の予算の進行中にもまたそれを考えなければならない場合が出てくると思いますが、人の数の問題というものは、私はまかなえていけると思っております。ただ問題は、人の数をふやしただけでは足りないので、これの労働意欲の問題もございまして、さらにもう一つの問題というのは、答申が指摘しておりますように、労使間の関係の正常化ということがきわめて重大な遅配解消のためには要件と考えますので、私どももできるだけ答申の趣旨に沿う方法によって労使間の関係を正常化したいと考えておりますし、また、審議会のほうでも労使間の正常化の問題については別に答申を出すということを言っていてくれますので、その答申をいただきましたならば、それを参照して、その点についてさらに努力したいと思います。
○森中守義君 やはり大臣は、すでに出されている概計を基礎にしてものを言っている。私は答申の趣旨はそうではないと言っている。あくまでもこの答申の趣旨に沿って事業の近代化をはかり、遅配の抜本的な解消のための方法をとるというならば、定員の算出というのは、概計や予算にこだわることなくすべきじゃないか、それをするのかしないのか、した結果、四万、三万、二万というふうに出たならば、その数字だけは投入するのかしないのか、それによって遅配解消する、しないということがきまるのだ、それはどうなんだと聞いている。あまり回りくどい答弁は要りませんから、ずばり言ってもらえば……。
○国務大臣(迫水久常君) 明年度の物数の増加、業務量の増加については一応の予想を立てまして、それに応ずるための要員というものは、これだけあればいいというふうに概算で要求いたしたわけです。したがって、業務量、物数の増加が、予想しておりますものとほぼ一致する限りにおいては、概算要求をしたものでまかなえる。もし、それが違ってきたときには、そこにまた考え方があることは当然でございます。
○森中守義君 どうもやっぱりものの考え方が違うようです。あなた、そんなことを言われるならば、もし遅配が解消しない場合どうしますか。なるほど人のやることだから、読み違いということはありましょう。しかし、やはり予算概計を基礎にしてものを考えられるものだがら、そういう答えになる。答申はそういっちゃいないのですよ。抜本的に定員の問題を検討せよ、こういつている。それは定員の算出基準にこだわることなくやれと、こういつている。やるのですか、やらぬのですか。それがはっきりしない。
○国務大臣(迫水久常君) 私は今御答弁申し上げているのは、大体それの答申に書いてあることを具体的に予算に要求した場合には、今の概算要求の数字になるという考え方で申し上げているわけです。その算出方法が、もし計算に誤りがあったり、見通しに間違いがあったりした場合には、それはそれで考えなければならぬと思いますけれども、今現在の段階では、概算要求をしました数字がすなわち答申に盛られているところの必要なる要員の数、こういう建前でいっているわけです。
○森中守義君 大体、大臣のお考えになっている意向がよくわかりましたから、その以下のことはまた次の機会に委員会でやりましょう。 それで、いま一つの問題は労働対策だと、こう言っておりますが、この中には、今まで郵政省がやってきたことは、すべての事業経営の中心は、何かこそく的な労務対策に終始をしておる、そこに根本的な労使のよき慣行ができていない、こう言っておる。したがって、ほんとうに必要なことは話し合うことだ。しかも組織、そして人間、そういう関係がもっと高度な密着性を持たなければならぬ、こう言うのですが、相手のほうに進んで会おう、進んで事態の解決を話し合おうという意思がありますか。今まで郵政省の中に残っている何か妨害をするとか妨害といえば、事実はありますけれども、そういったようなこそく因循な方法でなくて、これこそ大乗的な立場から遅配解消のために相手に呼びかける、胸襟を開いてものを言う、進んで会う、こういう意思がありますか。
○国務大臣(迫水久常君) 私の一番熱望しておりますることは、労働組合も、縁あって国民の負託にこたえるべく郵政事業に従事している人たちですから、郵便物をためる、遅配を起こすということを闘争手段にするようなことは私はしないでほしいということを心から念願しておるわけですけれども、現実の状況によりましては、郵便物をためることをもって闘争の手段としているような事例も出ておりますことは、われわれとしては非常に遺憾に思います。思いますが、しかし、これもお互いに話し合いをすることによって逐次解消していき得るものと考えますので、私は答申のいっているとおり、進んで会いたいと思っておりますが、これは私のほうのものの考え方と労働組合のほうのものの考え方と共通の広場があって、お互い受け入れ態勢ができないときにはなかなかうまくいかないんじゃないか、そういう一つの根回しを実は今したいと考えておりまして、当局の人事部その他については、積極的に組合側と話し合いをすべきことを指示いたしておりまして、人事部の官側の窓口は十分その意を体してやっておるものと私は考えております。
○森中守義君 国鉄は本年の九月までは特急十八本、それ以降は五十二本を走らしていますよ。さらに電通の場合には、六十万個という電話をつけました。異常なこれは近代化だ。しかもその中に介在する幾多の問題がある、にもかかわらず労使の協力によって、労使の善意によって比較的に問題は円滑に進んでいるようです。ひとり郵政だけなぜこういう遅配が片づかないのか、それはあなたは相手のほうを多少誹謗されたようですけれども、それが私はいけないと思う。そういうことを言っちゃいかんぞというのが答申だと思う。法律とか規定とかで労働運動を規制すること自体がこれは時代錯誤ですよ。そういう規定や法律を越えて話し合うところに私は生きた政治があると思う。そういう意味で国鉄あるいは電通に見られるようなそういう態勢を進んで作ろうという意思があるのかどうか、その辺をもう一回聞かしてもらいたい。
○国務大臣(迫水久常君) 郵便のほうはとにかく一軒々々配って歩かなければならぬわけでありまして、国鉄とか電電のように非常に形式的に近代化していくことのできない立場であることはまことに宿命とも思っておりますが、私は少なくとも労使の関係はほんとうに正常化していきたいということをもう衷心から念願してやっております。今、森中さんから相手を若干誹謗したとおっしゃっておりますが、私は決して誹謗した気持はなく、そういう共通の立場で話し合いをしたい、どうか労働組合のほうも闘争々々と——こういう所で言っちゃ悪いですが、指令第四号という中に敵、敵と書いてある、私はもう敵らしいのです、向こうから申しますと。私はそういう立場で一度話し合うことができるだろうかということが、私は労働問題には経験がありませんで初めての経験でございましたから、私にとっては非常なショックでありました、率直に書って。そういうことでなしに、少なくも敵としての話し合いというものはできないのじゃないか、共通の問題として遅配解消をどうするかという立場に立って初めて話し合うことができるのじゃないか。そういった受け入れ態勢を向こうでも作ってもらいたい、私のほうには十分あるのですから。どうか全逓出身の森中さんあたりの根回しを願いたいと思います。
○委員長(小山邦太郎君) 森中委員に申し上げます。持ち時間が終わりましたので、あと御一問にとどめていただきます。
○森中守義君 それは御意見として私も聞いておきましょう。 もう時間がありませんからこれ一問で終わりますが、答申がいっているのは、先ほどちょっと申し上げたように、国民に対する責任の遂行を怠っていることばかりでなくて、国民の信託にそむいておる、実にこれはきびしい一つの警告ですよ。これは私はやはり郵政省は理屈を越えて、いろいろありましょう、在来の労働問題に対する行きがかりもありましょう、ただこういうところが問題だということがきわめてことこまやかに懇切丁寧に答申は指摘しております。この点について大臣は率直に反省される必要があると思います。またかりに在来の行きがかり等にこだわってあなたの方針に多少そぐわない事務官僚がいないとは限らない、それらの人はあなたの責任において善導すべきだと思う。しかして先ほどから多少お尋ねいたしましてはっきりしたのですが、問題は要員、局舎、さらに労働問題、しかして各般の事業の近代化を必要としているのであります。これがなし遂げることができるか、できないかで遅配の解消ができるか、できないかということがきまると思います。またその答申は、この年末が答申が生かされるかどうかの試金石だといっております。年末の遅配を完全に解消して、失墜した郵政事業の威信を挽回する自信はありますか。それはただあなたが話し合いをしたいと思う単なる希望や期待ではだめなんです、実行に移さなければ。あるいは要員対策の問題も、もしこの年末に不測の事態がかりにも発生したとするならば、あえて私は郵政大臣の責任だと言う。その責任をとりますか。また年末はそういう不測の事態が発生しないように、完全に取り計らっていくという約束が、この予算委員会で国民に向かってできますか、私に対してでなく、国民にできますか、そういう約束が。それひとつ、最後に、あなたの決意として承っておきたい。
○国務大臣(迫水久常君) 私は、先ほどから申し上げておりますように、答申が指摘しましたとおり、郵便に遅配がありますことは、国民の信託にそむいているのだということについては、全く恐縮しまして、そのとおりだと思って、みずから戒めて、それで省をあげて、今、その解消に向かって努力をしているわけでありますが、年末の問題が試金石だと書いてあります。全く私もそのとおりだと思いまして、年末は紛争が——問題があまり紛糾しないでうまくいけるようにと思って、全力をあげて努力するつもりでおります。少なくとも官側としては、こういうことをすべきだったのにしなかったなどということはなくなって、少なくとも官側でやるべきことは全面的にやりたい、こう実は今努力をしている最中でありまして、こいねがわくば、労働組合との間に共通の広場においてひとつ話し合いができるようになりたい、こう考えておる次第でございます。
○森中守義君 これで終わります。 実は佐藤さんほか二、三の大臣には、時間がありませんで、お越しいただきながら質問できなかったことを御了承願いたいと思います。 —————————————
○委員長(小山邦太郎君) 山本伊三郎君。
○山本伊三郎君 まず最初に、官房長官にひとつお伺いしたい。 これは実は総理に聞いてもらいたかったのですが、来ないので、代理という意味において答弁してもらいたい。農地解放後の旧地主に対する補償問題については、岸内閣当時から変わっておるか変わっておらないか、これをお伺いしたい。
○政府委員(大平正芳君) 別に変わっておりません。
○山本伊三郎君 それじゃ小平総務長官に聞きます。 農地被買収者問題調査会がすでに発足して一年有半、その間に討議された内容について御説明願いたい。
○政府委員(小平久雄君) 総会は、昨年十二月に発足以来六回の総回及び数回にわたる専門委員会等を開催いたしております。その間、従来は主として調査の方法等につきまして検討を加えて参ったわけでございますが、最近に至りまして、調査の方法等について結論を間もなく得る、こういう段階に至っております。したがって、近く総会を開きまして、最終的な結論が——調査方法についての最終的な結論が得られますならば、さっそく調査に取りかかりたい、こういうただいま段階でございます。
○山本伊三郎君 私が聞いておるのは、そういう日程のことを聞いておるのじゃないのです。あれは二年間の有効期間、もうすでに一年半を過ぎておる。したがって、この調査会においていろいろ論議されたことだろうと思うのですが、それを聞いておる。というのは、これは今一つの大きな関心事になっておるんですよ。今官房長官は、簡単に、変わっていませんと言うけれども、これは相当問題がある。したがって、どういう取り上げ方をしておるかということを、これを聞きたい。ついでに、各二十何名かの任命した調査委員ですね、名前をひとつ言って下さい。
○政府委員(小平久雄君) 調査会に対しまする政府の諮問は、被買収者の社会的問題及びこれに対しますところの方策の要否——要るか要らぬか——こういう諮問をいたしたわけでございます。それを受けまして、先ほども申しましたとおり、この諮問をどういう方法によってこの調査をするか、もっぱら従来はその方法につきまして数回にわたる総会あるいは専門委員会をやって参った、こういう事情でございます。 なお、委員の氏名につきましては、ただいま手元にございませんから、後ほど提出いたします。
○山本伊三郎君 すぐ取り寄せて下さい。 一年半かかって六回もやっておる。今の答弁を聞くと、何か方策を諮問した、それをどういう方策を諮問して、どうなっておるかということを聞きたい。それを聞きたい。もう少し親切に、初めての予算委員の質問だと思って侮ったらだめですよ。
○政府委員(小平久雄君) どういう方策を、こちらが示して、その適否を審議してもらっておるのではありませんで、方策が要るかどうか、こういう諮問の仕方なんであります。したがって、この問題は調査自体も非常に困難だと思います。したがって今まではどういう方法によって調査をするか、こういうことを、あるいは専門的にあるいはまた全体の総会において、委員の諸君が討議をされて参った、さように承知をいたしておるのであります。
○山本伊三郎君 では、そこにおって下さい。——何か二十名程度の権威ある経験者、学者がやっておるということを聞いておるんですよ。それを何か、今やっておりますと、どういう内容でどういう方向に進んでおるかということを聞きたい。それで、やっておると思うと。あなたが主宰しているのじゃないですか、総理府の管轄でしょう。そういうあいまいなことで、問題になったあの調査会、しかも手数百億の国費を使っているんですよ。もう少し詳しく言って下さい。
○政府委員(小平久雄君) その調査会の主宰は、これは言うまでもなく調査会長がやっておられます。そこで、先ほど申しましたとおり、この問題は非常に農地の被買収者の生活、あるいは生業上いろいろ問題があるようであるから、どういう点に今問題があるのか、またそれに対して、はたして何らかの方策が必要であるかないか、こういったきわめて抽象的な諮問となっておりますので、どういう方法で調査をいたしたならば適切な答申ができるか、このもっぱら方法論について従来検討が進められてきた、かように私は承知をいたしておるのであります。
○山本伊三郎君 一体、権威者が六回も集まってどういうことをやるかという、その相談している問題点すらわからないのですか、総理府は。
○政府委員(小平久雄君) それは御承知のように被買収者も相当多数に上っております、また全国的でもあります。したがって、その調査を現実的にやる場合において、非常に困難性があるわけであります。たとえば被買収者が今日どういう状況にあるかということ、あるいはまた、現在の状況というものが農地の買収ということと、どういう関連性があるのか、そういった点をいかにして調査したならば正確に把握できるものか、こういうことで今日まで検討を続けてきた、かように承知いたしております。
○山本伊三郎君 なかなか言いにくいらしいのですが、この法案が審議のときに、これは政府自体が調査すべきであるという主張をわれわれはしておったわけです。それをああいう農地被買収者問題調査会というものを作って、しかも千数百万円を使って一年半過ぎてまだそういう程度じゃ、いつ結論が出ますか。
○政府委員(小平久雄君) その点は、先ほど御指摘のとおり本調査会は法律によりまして来年六月末まで、こういうことになっておりますから、それまでには結論が出るものと存じております。
○山本伊三郎君 それを官房長官に確認しておきます。岸内閣当時から変わらない、岸総理大臣がわれわれに答弁したやつは、昭和三十五年の五月十三日の金曜日の日に、総理が内閣委員会で、はっきり言明されております。したがって、この買収したその事項については、最高裁の判決もあるし、これに対する国家の補償というものは絶対にあるべきでない、こういうことを言っておりますが、それに間違いないですね。
○政府委員(大平正芳君) そのように承知いたしておりまして、今度の調査会は補償問題という角度から取り上げているのではないと承知いたしております。
○山本伊三郎君 もう一ぺん念のため言っておきます。あなたに質問しているのは、農地被買収者問題調査会の問題でない、政府の方針がそうだということを聞いているのですから、その点でいいですね、そこをもう一ぺん。
○政府委員(大平正芳君) さよう心得ております。
○山本伊三郎君 しからば調査会の結論いかんにかかわらず、将来はどう考えているか。
○政府委員(大平正芳君) 調査会の答申を拝見した上で、政府の方針をきめたいと思います。
○山本伊三郎君 あなたは前の岸内閣当時のことはそのとおりだと、前提で言っているのです。その岸総理があの委員会で、調査会に、これは設置の結果、どういう結論が出ようとも、政府が賠償するということはありませんと言っているのですよ。議事録を見てごらんなさい。あなたの答弁は違うじゃないですか、さっきの答弁と違うじゃないですか、どうなんです。
○政府委員(大平正芳君) 先ほどお話し申しましたように、補償問題という角度からこの問題を取り上げていないのでございまして、したがって、理が言明されたとおりに心得ております。
○山本伊三郎君 それじゃ、将来もそういう方向であるということは確認しましたので、この問題は、いいですね、これでやめます。 それじゃ建設大臣、ちょっと先に簡単な問題から片づけます、時間がたちますから……。今度の第二室戸台風で、実は非常に大阪を中心に地盤沈下で被害が増高したということは御存じのとおりだと思います。これに対する陳情者に対しては、なかなかいいお話をしておられますが、政府として地盤沈下に対する対策を親切にひとつ説明してもらいたい。
○国務大臣(中村梅吉君) 地下水の利用規制ということをまず第一に考えまして、沈下防止の方策を講じて参りたい、かような角度で目下立案作業を進めております。 一面、防潮堤のかさ上げをできるだけすみやかにやりたい、すでにこれは五カ年計画がございまして、スケジュールはありますが、できることならばこのスケジュールを一そう促進をして実施に移して参りたい、かように考えております。
○山本伊三郎君 その地下水くみ上げの具体的な措置はどうするのですか、親切に言って下さい。
○国務大臣(中村梅吉君) 工業用水につきましては、工業用水法がございまして規制の道がございますが、ビル用水、ことに冷房用水につきましては、何らの制度上規制の措置がないわけでございます。わずかに大阪府及び市等が条例等によってやっておりますが、これらは励行されない状況にありますので、われわれとしましては法律を制定いたしまして、これらの地下水使用というものを規制して、それによって地盤沈下の防止の一助にいたしたい、かように考えておるわけでございます。
○山本伊三郎君 どうも少し不親切だと思うのです。いっそういう法律を、次の通常国会にそういう水のくみ上げ規制の法律を出すのか、現在もある程度は制限されておりますから、そういう点。そういう工業用水を、これを完備するといいますが、法律が変わったからといってできないのですよ。御存じのとおり莫大な費用が要るのですよ、これに対して各自治体、公共団体に対して政府の態度はどうなのです。
○国務大臣(中村梅吉君) ビル用水の規制につきましては、来国会にはできるだけ早々に提案するようにいたしたいということで、いろいろな角度から検討をいたしております。同時に、工業用水にせよビル用水にせよ水道用水にせよ、水を充足することは近時大都市及びその周辺におきましては非常に緊要な問題に相なっておりますので、われわれとしましては、今国会にも水資源関係の法案を提案いたしまして、これらの成立と待ちまして、極力水資源の開発及び総合的な利用の道を講じて参る考えでございます。
○山本伊三郎君 具体的に聞きましょう、それじゃ大阪の場合ですね、工業用水は完備し、あるいは冷房用水、この用水が完備するという、それは一体政府としてはいつごろぐらいに完成できると思いますか。
○国務大臣(中村梅吉君) まだ水資源関係の法案も成立を見ない過程にございますので、今の段階でいついつとわれわれ予想を立てることは困難でございます。これらの法案が成立をいたしましたら、できるだけすみやかに可能な部分から着工いたしまして、できるだけ早く水の総合的な利用をはかって参りたいと思っております。
○山本伊三郎君 時間がないのでなかなか意を尽くした質問ができないのですが、実際この地元では毎年関西地方に台風があり、また全国にあるのですね。そういうことで、もう夜の目も不安でおるのですね。そういう、法律は作ってからどうこうということではなくして、やはり工業用水はこういう計画で政府としても力を入れるのだ、こういう熱意のある答弁はできないのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま建設大臣がお答えいたしましたが、工業用水法という法律のあることは御承知のとおりであります。沈下の激しい地域につきましては、そこで新規に地下水くみ上げをこの法律で禁止することができる、そういう指定地域、これがただいまの大阪にあるわけであります。そうなりますと、新たに工業が興るわけに参りませんから、その片一方で沈下を防止する意味の工業用水法の運用をしますが、地下水を工業用水道に変える、こういう意味の今度はそのほうの助成措置をとっておるわけでございます。最近は大阪におきましても堺地区等がどんどん発展いたしますので、その方面のただいまの工業用水道、これはそれぞれ計画され、その企画、遂行が行なわれておる最中であります。また、建設大臣が先ほど申しましたように、水資源公団ができて参りますと、利根川並びに淀川水系を中心にしてそうして水の総合利用、治水、利水、その二つの計画を立ててこれを遂行して参る、かような次第でございます。
○山本伊三郎君 執拗ですが、大事な問題ですから、もう一ぺん確認しておきますが、大体建設大臣としては、大阪を中心とした工業地帯に対し、これはほかの地区も一緒ですが、大体いつごろまでに工業用水が完成するという見通しでありますか、その点ちょっと。
○国務大臣(中村梅吉君) 阪神地区につきましては、できるだけ早く完成をする、早く工業用水等を充足するという点からいいますと、水源地の開発も必要でございますが、さしあたり淀川の河口ぜきを早く完成することが一番利用を早める上において必要であるとわれわれ考えております。かような角度から水資源関係の法案が成立しましたら、淀川河口ぜきによる海に放流しております水を有効に使うということは策一番に取り上げて参りたいということで、いろいろ技術陣営の手によってそれらの予想的な企画をいたしておるわけでございます。
○山本伊三郎君 法律をどうこう、そういう計画をしておるというのですが、私の聞いておるのは、あなたは専門家なんですから、その行政の最高主管者として、いつごろ地盤沈下がなくなる、そういう工業用水の管理ができるかというその見通しですね、そういうものが各自治体、公共団体の首長との話し合いで一応見通しがついておるならば、ひとつ聞かしてもらいたい、こういうことなのです。
○国務大臣(中村梅吉君) 実は私のほうでも申し上げたい点でございますが、しかしながら、まだ法律も成立いたしませんし、公団も発足いたしませんので、着工くらいの程度までいけばおよそ何年の何月のいつごろというめどがつきますが、今の段階では、まだそういう見当もつきかねるものですから、申しかねるようなわけでございますので、その点御了承いただきたいと思います。
○山本伊三郎君 建設大臣、そういうことで政治的な発言では、われわれは理解できても、地元の人には非常に不安だというのです。だから、三年なら三年、五年くらいなら完備するであろう、何も責任を追及するのじゃないのですから、その程度ぐらいは言えないのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 一般工業用水は、ただいまある程度地下水をくみ上げておりますが、新規なものができないという状況であります。そこで、ただいま大工場を誘致するという計画で、八幡製鉄がそれぞれ計画を進めております。大体三十八年にはこの八幡の製鉄所が動き出すんじゃないか。その所要の工業用水第一期工事というものは、この工場の完成と合わしての計画でございまして、ただいまそれを実施しておるわけでございます。これは、ただいま申しますように、第一期工事あります。おそらくお尋ねになりますものは、工業都市大阪としての豊富にしてしかも低廉な工業用水の確保と、こういう意味だろうと思いますので、そういうことになりますと、先ほど来建設大臣が申しておりますように、水資源公団が発足しないとそういうことはなかなか見当がつかないのじゃないか、かように私も考えておりますが、とりあえずの大工場に対する工業用水確保方策が立ててあるわけでございます。
○山本伊三郎君 残念ながら時間が非常に制約されておりますので、もう少し具体的に聞きたいんですが、非常に矛盾があると思うんですよ。実は工業用水が低廉とかなんとか言われましたが、もちろん低廉でなければいかないんですが、それが完備しなければ地下水のくみ上げというものはこれは完全に禁止はできない、大阪の産業が停止すれば別として。そこに大きい問題があるんですね。まあしかし、これはいずれまた各種の委員会で追及するとして、極力これに対して政府は力を入れて、再びああいう地盤沈下による災害の増高のないようにやってもらいたい。この点どうでしょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは建設大臣のほうがよろしいかと思いますが、工業関係におきましても必要な工業用水の確保に十二分に努力して参るつもりでございます。同時に、大阪はいろいろの方法をとりましてもやはり沈下がある程度行なわれるだろうと思いますので、それに対する対策としての防潮堤のかさ上げ、これはもう絶対に必要だと思うので、この意味の防護施設も完備すべきだろうと、かように存じます。
○山本伊三郎君 それじゃ次に、きのう小柳委員から若干概括的な質問をされたんですが、労働大臣に給与担当大臣としてちょっと尋ねておきます。簡単にします。 きのう、いろいろと政府部内で人事院勧告を検討したと言われますが、今公務員の連中が不満を持っておるのはどの点だか、それをひとつ伺いたい。
○国務大臣(福永健司君) 公務員諸君からはまあいろいろ話が参っておりますが、最も大きなものは、一律にたとえば五千円上げてくれろと、こういうような要求等がございます。そういうようなことになっていないというようなことについての強い不満もあることを承知いたしております。
○山本伊三郎君 この人事院勧告について七・二%の民間との格差について、政府部内で人事院の格差比較について検討されましたか。
○国務大臣(福永健司君) 公務員制度調査室のほうでは御承知のように、十分のスタッフを持っておりませんけれども、可能な限り事務的にも検討し、それらの報告も受け、人事院勧告をどうするかということを決定いたしました次第でございます。
○山本伊三郎君 それじゃ具体的に聞きますが、民間との給与の格差の比較のいわゆる方式、方程式もいろいろあると思う。人事院は公務員に有利な形の方式をもってやられたかどうか、人事院がどういう方式で比較をしたか、この点ちょっと御報告願いたい。
○国務大臣(福永健司君) 人事院が公務員に有利という表現が使い得るかどうか。まあいろいろの観点からして適当な比率においてと、こういうことであろうと思います。いろいろな点が考慮されておりますので、必ずしも有利なことばかりではない。総合的に判断して、適当な比率においてこういうことになろうかと思います。
○山本伊三郎君 意地悪い質問を、労働大臣は非常に人のいい方ですから私はいたしませんが、それは全然やっていないのですよ。もちろん調査の対象についても問題でありますが、私の言っているのは、これは経済学上いつでもとられる方法ですが、二つのグループを比較する場合には、ラスパイレスとフィシャー、パ一シェの三の方式があるのですね。どちらの方式をとられましたか。
○国務大臣(福永健司君) やや専門的なことになりますので、政府委員をしてお答えいたさせます。
○政府委員(増子正宏君) 官民比較の方法につきましては、すでに山本委員も人事院から御説明を十分お聞きになっておることと存じますが、御承知のように、ラスパイレス方式でございます。
○山本伊三郎君 この三つの方式で、どれが使った場合に格差が小さく、または大きく出るかという、その説明をちょっと聞きたい。
○政府委員(増子正宏君) 二つの数字を比較いたします場合の方法といたしまして、御指摘のように、ラスパイレス、フィッシャー、パ一シェ方式、三者ございますことは申し上げるまでもないことでございますが、これは単純に出て参りました数字の点から言いますれば、ラスパイレスの場合には、一番少なく出る場合でございます。それからパーシェが比較的大きな数、フィッシャー方式がその中間ということでございます。
○山本伊三郎君 大臣、聞かれたと思いますが、格差が一番数字的に小さく出る方法を人事院が使った、それは増子さんが今答弁したとおりです。こういうことですから、公務員に不服があるというのは、単に自分からの要求が通らなかったということだけではないのです。標準生計費の取り方でも、並数階層をとっておって、少なく出るようにばかりとっておる。公務員はそれは無理ではないかと言って、不平を言っているのですよ。それで大臣に会いたいと、こう吉っておる。どうですか、この点。
○国務大臣(福永健司君) いろいろの点を考慮して人事院が最も適切な方法だというように判断をして出しておるというふうに信頼をいたしておりますので、私は先刻申し上げましたような次第でございますが、ただいま御指摘のようなことにつきまして、私も何回か公務員の代表諸君ともお目にかかりましたが、そういった不満が私に対して述べられたのは聞いておる次第でございます。
○山本伊三郎君 実はあなたが言われましたように、人事院が非常に公平な立場に立つとかなんとかというけれども、私は人事院に同情する場合もある。時間がないから詳しくは言いませんが、大蔵大臣ここにおられますけれども、人事院はいつも大蔵省を気にしているのですよ。正当に出すと非常に大きくなるので、何か財政措置のできる程度のものということでみな低く出しておる、これが実態です。きょうは人事院総裁を呼びませんでしたが、非常に気の毒だから呼ばなかったのです。そういうことなんです。したがって、人事院は公正にやろうと思っているけれども、政府の、特に大蔵省あたりの制約があるかどうか知りませんけれども、遠慮してこうなるのですよ。その点どうですか。
○国務大臣(福永健司君) 人事院は、その性格上いろいろな点を考えてああした結論を出しているのでありますが、私は特に大蔵省から制約を受けているというほどには考えておりません。
○山本伊三郎君 大蔵大臣、どうですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 私に関する限りでは、あまり大蔵省を気にしていない役所じゃないかと思っております。
○山本伊三郎君 それはそれほど認めるぐらいの同情のある政治家ではないと思うのですね。それはおそらく表面上そういうことは言いませんよ。どれをとってもとにかく低く出るデータばっかり出している。それは人事院でもそんな良心のない人ばかりでもないのですよ。しかし、これは政府の立場はわかります。そのとおり出したら、財政措置をどうやるかわからない。おそらく大蔵大臣としては、国の財政上どうもできないという文句が出ることはわかるが、この点は一応財政措置ができなければこうだと言わないということが公務員の不満の第一の原因なんです。したがって、今後よくわかるように措置してもらいたい、この点労働大臣もう一ぺん聞いておきます。
○国務大臣(福永健司君) 御意見は十分承って、今後の参考にいたしたいと存じます。
○山本伊三郎君 それからこれについて政府の皆さん方、各有力大臣が見えておられますから、ちょっと参考までに聞いておきますが、戦前いわゆる経済の基準年度であった昭和九年から十一年の間に、その当時の官吏に大学を出て就職をした人がどれくらいの月給であったか、それをちょっと聞いておきたい。経験がみなあると思うのです。
○国務大臣(福永健司君) たしか七十五円くらいだったと存じております。
○山本伊三郎君 正直です。七十五円、人事院総裁もそういうことを言っております。七十五円を今の物価指数の三百二十倍にかけたら幾らになりますか。
○国務大臣(福永健司君) おおむね二万三千円くらいになる数字と思います。
○山本伊三郎君 現在の大学を出た初任給は、今度上がって多分一万五千円程度と思います。二万三千円とすると八千円も違うのですね。私はすぐそれを改めてもらいたいとは言わないのですが、実はここに来ておられる政府の委員がたくさんおられて、これは口では言われないが非常に困っていると思う。あなたらの前と比較すると、非常に困っていると思うのです。それを考えていただけますか。ちょっと聞いておきます。
○国務大臣(福永健司君) 大いに心いたしたいと思います。
○山本伊三郎君 それじゃその点でこれは終わります。 次に、じみな問題ですが、都市清掃——厚生大臣、現在非常に都市が清掃問題で行き詰まっていることは御存じだと思います。その実情について何か都市清掃十年計画で厚生省でやっていられるらしいのですが、その概要なり、それからそれに対する財源措置、そいつをひとつ御説明願いたい。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 都市清掃の問題でございますが、実はこれは最も頭を悩ましている問題の一つでございます。最近における都市の人口増加、あるいはまた、いわゆる屎尿の肥料としての需要が減ったというような関係で、都市における屎尿の処理というものが非常にむずかしい状態になっております。各都市の市民も非常に因っておる、こういうことはいなまれない事実でございます。厚生省といたしましてもこの解決には頭を悩ましておる次第でありますが、お話の中にもございましたが、何とかこの問題を解決したいと存じまして、本年度を初年度といたしまして、大体十カ年くらい、いわゆる十カ年計画と申しましょうか、そのくらいの間に特別清掃地域、大体都市でありますが、それに対しまして、下水道の終末処理施設または屎尿処理施設というものを整備いたしまして、いわゆる不衛生な処分の行なわれないようにやって参りたいということで、本年度から予算を計上して参っておるような次第でございます。また、都市におけるごみの処理の問題にいたしましても、最近急速に重要性が増してきたように存じますので、これまた本年度を初年度といたしまして、ごみ施設の整備計画というもので十カ年計画を立てて、地方を督励して整備をさせておるような状況でございます。詳細な内容につきましては、御必要によって政府委員から答えさせたいと思います。
○政府委員(五十嵐義明君) ただいまの答弁の中にございました清掃十カ年計画の概要につきまして御説明申し上げます。この計画は、ただいまお話のございましたように、四十五年度を最終年度といたしまして、十カ年で特別清掃地域内の汚物の処理をすべて衛生的にいたしたい、こういう基本的な考え方で出発いたしております。清掃の中身といたしましては、屎尿処理とごみとに分かれます。大臣のお話もございましたように、屎尿処理につきましては、この十カ年計画の対象となります総人口が七千三百六十万人になっておりますので、その中で屎尿処理の一番理想的な形といたしまして、御承知の下水道終末処理施設、それによりまして処理する対象人口を二千四百八十四万人と見込んでおります。また、くみ取りました屎尿を投入いたしまして消化いたします、いわゆる屎尿消化槽、これによります処理人口を三千九百八十一万人、さらに各家庭で浄化槽を備えまして、家庭の水洗便所から流れました屎尿処理する浄化槽、これによって処理します人口を八百九十五万人、こう見込んでおるわけであります。また、ごみにつきましては、この七千三百六十万の家庭から出て参りますごみが、大体一日当たり三万八千トン余りになるわけであります。これを焼却あるいはコンポストによりまして処理いたして参りたい、こういうような考えでおりまして、これを十カ年間に、特に最初の五カ年間に重点を置いて処理していきたいというふうに考えておる次第であります。
○山本伊三郎君 この計画の財源は。
○政府委員(五十嵐義明君) この計画に要します総事業費は、下水道終末処理に要しますのが約七百二十億、屎尿消化槽に要します費用が約三百五十億、それからごみ処理に要します費用が二百四十億程度。これに対しまして補助金、起債等の処置によりまして、来年度から急速に処理して参りたいというふうに考えている次第でございます。
○山本伊三郎君 厚生大臣に聞きますが、千三百十億というこの十カ年計画の総費用で、来年度どのくらい予算要求されますか。
○政府委員(五十嵐義明君) 下水道終末処理施設といたしまして三十六億円、屎尿消化槽二十四億円、ごみ処理といたしまして約六億円、この要求をいたしております。
○山本伊三郎君 これを合わせて来年度六十六億、それが十年やって六百六十億。これで厚生大臣、この計画完成できますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 十年間には、必要な予算は全部獲得するつもりで努力いたして参りたいと思います。
○山本伊三郎君 大蔵大臣、どうですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 私は、この環境衛生施策が今やはり一番必要な施策であって、従来特に農村都市、田園都市は農家にみな屎尿類が使用されて処理ができたのですが、今どんないなかでもこれを使う農家がないというために、工業都市はいろいろ施設が発達していますが、そうじゃなくて農村都市がこの問題で最も困っているというのが実態でございますので、これをどういうふうにやったらいいかということを私ども考えていますが、幸いにいろいろな各種の年金拠出とかいうようなものがこれから多くなってきますし、やはり還元融資の意味においても、一般から拠出させた金の使い方としては、こういうところへの融資に多くの力を入れてやるべきじゃないか。そういう構想のもとにやはり年次計画を立てて処理するのが一番好ましいじゃないかと考えておりますので、厚生省がそういう計画を立てるのでございましたら、予算措置はこれに対応するような方法で考えたいと思っております。
○山本伊三郎君 これは将来十年計画の問題ですが、現状はきわめてみじめなんです。それで、今十万標準都市における基準財政需要額の衛生清掃における測定単位と単位費用は一体どうなっているか。これはちょっとあなたわからなければ、自治大臣のほうがよく知っていますから。
○国務大臣(安井謙君) 清掃関係につきましての基準財政需要額は、標準十万都市で三十五年は千三百万円程度に見ておりましたが、三十六年度は千六百万円程に見込んでおります。
○山本伊三郎君 人員はどうなっていますか。
○国務大臣(安井謙君) くみ取り人夫が八人であったものを五割増しの十二人に見ておりますが、必ずしもこれで十分であるとは思っておりません。
○山本伊三君 必ずしも十分でないといって、よう自治大臣もぬけぬけ言えたと思うのです。現状は、十万都市で厚生省すら七十人要ると、こう言う。現在、私の調査では、吏員が二名で、雇員が五名、あと六名、しかも賃金支弁の費用は一人三百円ですよ。それで来いと言う。東京では今ようやくにして八百円でやっている。大阪では千円、吹田が千二百、こういう状態なんです。それでわずか十二人くらいでできますか。
○国務大臣(安井謙君) 私の言っておりますのは、今の直接にかかっている人員のことを言っているので、これはそんな七十人と十二人の違いというような、省の間で格差の出ている問題じゃないと思っております。むろん十分じゃないかもしれませんが、おそらく厚生省で、それぞれのいろいろな係りの計算の基準の取り方が違って何か話しておられるのだと思います。
○山本伊三郎君 それでは、あまり安井さん責めませんが、厚生大臣ね、今担当のあなた主務相ですが、十万都市で、それで厚生省としてはやり得る自信があるのですか、また現実にやっておるのか、それを一ぺん厚生大臣から……。できっこない。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 厚生省といたしましては、現在の、今御指摘になりましたような数字は、必ずしも十分とは考えておりません。だんだん増すような方向に向かって努力して参りたいと思います。
○山本伊三郎君 現に、もう三年後にはオリンピックがあるのですよ。外国人が来たら実に困りますよ。それをあなた方は笑いごとのように思っているのですか。(笑声)十万都市で屎尿のくみ取りだけで十人、一体緊急財政需要額において幾ら認めておるのですか。それを聞きたいのですよ。
○国務大臣(安井謙君) 実は山本さんから八人とか十人とかお話を聞いて調べたのですが、直接の人員、人夫というやつは十二人なんです。屎尿処理、清掃関係でまた別になります。また作業員であるとか、そういったようなものを入れれば、またこれは数がずっと違ってくるのでありまして、基準の数をお問い合わせだと思っているのです。今七十人要るものが十人や十二人で済ましているということは、これはペースが違うと思います。
○山本伊三郎君 これが、自治相が出てきたのですが、幾らでやれるのですか。自治省は都市清掃について幾ら適正に要るか、それを言うて下さい。
○国務大臣(安井謙君) ちょっと数字がこまかいですから……。
○委員長(小山邦太郎君) 山木委員、時間がもう切れましたから……。
○国務大臣(安井謙君) たとえば十万人単位を基準財政需要額に勘定しております場合に、吏員でも乙、丙、用員で甲、乙、そういうふうにございまして、乙吏員が一人、丙吏員が一人、甲用員が三人、乙用員が三人、人夫その他都庁費の人夫が八人、それからいろいろなこの直接のくみ取り人夫が十二人、それから作業員、これが屎尿関係でありまして、そのほかに塵埃のほうでは乙吏員が一人、丙吏員が一人、甲用員が十七人、乙用員が四人、都庁費の人頭庁費で三十二人、それから人夫が五人、さらにこれが自動車、大型、小型が三台と一台、こういうふうなことになっております。
○委員長(小山邦太郎君) 山本委員、あなたのお時間はもう終えましたので、その一問で終わるようにお願いをいたします。
○山本伊三郎君 それじゃ最後にまだこれは実は新産業都市の問題があるが、これは割愛します。きょうはこの問題だけは明らかにしておかなければならない。これは厚生大臣ね、ただしたいと思いますよ。困った問題ですよ。先日環境衛生の大会があって、何かあなたかあるいはあなたの代理者が演説されたそうでございますが、非常に気負って、みな都市へ帰っておりますよ。今、自治大臣がそっけなく人夫をなにするとやったけれども、これだけでは絶対やれない、もしやれる自信のある方があれば、ここではっきりやれますと言えば、各市長は喜んで請け負いさせます。大臣でもだれでもよろしい、できないのですよ、十万都市といっても、この人口を標準にしておりますが、東京、大阪の場合は別として、できない。厚生大臣御存じだと思う。これを私は強調しておるのです。しかも外国人が大挙オリンピックに来るんですから。東京だけではございませんよ、各地に来るのです。とにかく外国人がこの屎尿のにおいで嫌悪するといううわさがあるのです。十年計画をされましても、これに対して私はもっと時間があれば分析をして追及したいのですが、委員長からは時間の催促をやられておりますから、おきます。おきますけれども、私は、私の話術が非常に下手ですから笑ってとられるかもしれませんが、真剣な問題として厚生大臣は考えてもらいたい。生産の問題とか、そういう処理の問題はみな言うけれども、最後出てきた問題の処理についてはきわめて冷淡なんです。これが一番大事なんです。この点が、厚生大臣あるいは自治大臣また大蔵大臣は、先ほど非常に希望のある発言をされたが、これに対して三大臣こもごも今後極力これに対して力を入れるという一言を聞いたら私は終わりたい。
○国務大臣(水田三喜男君) 今年度の予算査定におきましても、補助金は昨年度の五割もこの問題は増額いたしますし、起債のワクも、昨年の百億に対して本年度は百六十五億という起債ワクもきめて、六割以上の起債の増をやったということでございまして、私どもはこの問題は特に重要だと考えておりますので、今後もそのように処理したいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 御意見のとおりにこの問題は非常に重要な問題と心得ております。幸いに大蔵大臣もこの問題に対しましては理解を示していただいておりますので、来年度の予算要求については極力努力いたしたいと思います。
○国務大臣(安井謙君) 今の数え上げましたものが大体七十人になるのですが、さらに十分検討いたしまして、御希望のように今後善処したいと思います。
○加瀬完君 関連。二点伺います。自治大臣に伺いますが、人頭庁費で何名という大ワクはありますけれども、屎尿処理の人員で何名、あるいは塵埃処理の人員で何名という、交付税の単位費用の計算というものは確立されておらない、この点が一点。 それから厚生大臣に伺いますが、塵埃処理場も、屎尿処理場も、市制を施行してある大体単位以上の自治体へは割合に補助の対象として与えておりますけれども、町村へはほとんど現在まで与えておらない。ですから市制施行の地域は割合厚生省の計画が進められますけれども、町村で、むしろ実態は都市形態をしておりますところでも、連檐戸数の多いところではこれからはずれておる、こういう傾向があります。この点もどうなさいますか。 それからもう一つは、予算の問題ではなくて、たとえば東京湾の近海といいますか、房総半島、三浦半島の少し沖合いになりますと、東京なりその他大都市でも屎尿船がここへ持っていって糞尿を放棄する、そのためにほとんど海水浴客を当てにしておりました営業者は営業に支障を来たす、あるいは魚介の生育というものに支障を来たす、そういう現状がそのままに放置されております。これは大阪でも同じような問題がございます。こういった点をあわせてお答えをいただきたい。
○国務大臣(安井謙君) 人頭庁費は、先ほど読み上げましたのは、今の御指摘とまあ違っておりますので、これは直った計算になりますから、別に除いて、今の人数が出てくるわけでございます。
○加瀬完君 単位費用に正確に計算がしてないじゃないか。
○国務大臣(安井謙君) いや、見てあります。あまり数字がこまかくて恐縮ですから、いずれまた事務当局からも詳細に加瀬委員に御説明に上がらせますから。そうかけ違った違いはないと思いますが、大事な問題でありますことは、私もこの間地方に参りまして、十万ぐらいの都市が一番困っておるということもよく聞いて参っております。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 今日までのところ、実はこの問題に対する地方の御要望が非常に強く、また多いのであります。なかなか厚生省がこれに応じ切れないというのが実情でございますが、だんだんと計画を整備いたしまして、さような方面につきましても実情に応じて、つかえないようにして参りたい。そういう意味で十分検討して参りたいと思っております。 それから、東京湾等の例についてのお話でございますが、これらも実に困った問題でございます。厚生省といたしましては、一定の地域を限って、そこに捨てさせないように指導はいたしておるわけでありますが、これが必ずしも徹底しないところに遺憾な点があるわけでございますが、十分関係当局に対しまして、その辺のことについては注意を怠らないように絶えず督励はいたしておるわけでありますが、思うように参りませんのでまことに残念に存じておりますが、ますます御趣旨の徹底をはかって参りたいと思います。
○委員長(小山邦太郎君) 加藤シヅエ君。
○加藤シヅエ君 最初に厚生大臣に伺いたいのでございますけれども、最近家族計画の問題が非常に普及いたして参りまして、これに関連いたしまして、外国から避妊の薬が輸入されようとしている。この薬は飲み薬です。経口避妊薬。こういう薬が新しく日本に輸入されようとしているということを聞いておりますけれども、大臣はそのことをお聞きになっていらっしゃるでしょうか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 最近そのような薬が参っておりまして、これが避妊の薬として許可の申請をいたしておるという事実は聞いております。
○加藤シヅエ君 薬の名前は一々あげていただく必要はございませんですけれども、私が大臣に伺いたいと思いますことは、この新しい薬が輸入されてあるいは許可されるというような場合に、これは医学の進歩によりまして、全然今までなかった種類の薬だということを聞いております。そういうような薬が輸入されまして、これが一般に普及するというような場合に、それがどういう目的に使われるかということは非常に問題になると思います。たいへんに大げさな言い分かもしれませんけれども、科学が進歩いたしまして、原子力が平和目的に利用されるというときには、これは人類の大きな幸福になると、こう考えますけれども、反対にこれが破壊力に使われました場合には、人類そのものが滅亡するであろうということを私どもは非常におそれているわけでございます。こういうようなことに比べますと、話が少し大げさかもしれませんけれども、今私が問題にいたしたいと思います薬は、その内容が非常に新しいものでございまして、私ども戦前から家族計画運動というようなものをいたして参りました。その目的はあくまでも母体の保護であり、そうして家庭生活の幸福、子供たちも質のよい子供が生まれて育てられる、そういうようなことが目的で家族計画というような運動が広く行なわれ、また認められて参ったわけでございます。ところが、それに沿う目的であるかのごとく考えられておりますこのたびの今問題にしております薬は、もしその使用を誤りましたならば、今私が申し上げましたような幸福を目的とすることとは正反対に、非常な危険を含んでいる、こういうことを私は医者、研究家の方たちから聞いているわけでございます。それで、ことにこの薬の非常な新しい作用によりまして、簡単にその薬を飲めば避妊ができるというような薬が、もしそれが事実であって、そうしてそれが簡単に日本でも薬局から買えるというようなことになりまして、そうしてそれが悪用されましたような場合には、私どもの夫婦関係、男女関係の性道徳そのものが破壊されるおそれもある。そればかりではございませんで、母体に非常な破壊的な力を持っているのではないか、こういうことがすでに医学方面の研究をしている方々から発表されております。私が伺いたいのは、こういうような全然新しい内容を持った薬を許可なさいますその基準は、薬事審議会がそういうことを審議なさるのだと思いますけれども、薬事審議会におきましてもこういう新しいものの審議の基準というものをどこに置くか、こういう問題を、この点についてまず厚生大臣のお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 仰せのとおりに、外国からいろいろな新しい薬が入ってくる、それがどんどん使われるというふうなことは、放任が許されない問題だと思うのであります。その使用の目的というふうなことについては特に考えなければならぬと思うのでありますが、ただいまのお話の中に含まれておる薬につきましては、現段階におきましては薬事審議会に諮問をする前の段階としていろいろ調査をいたしております。学者の間にもこれにつきましては非常な慎重論が多いのでありますが、また外国等での実例等を見ておりましても、かなりきびしい制限のもとに使っておるようであります。日本といたしましても、いろいろデータも集めてみる必要もあろうかと思いますが、十分慎重な取り扱いをいたしまして、その上で基準というものを考え、許可するかしないかということはその後の問題ということになりますが、極力慎重な扱い方をいたして参りたいと存じております。
○加藤シヅエ君 今、大臣の答弁によりまして、今申しました薬が薬事審議会の審議の対象になる段階の前であるということを伺いまして、私も非常に安心したわけでございます。それならばなおさらのこと、ただ薬というような立場以外に、これが社会問題、あるいは性道徳の問題、あるいは民族の質の問題、こういうような問題にも関連があるという場合には、これは薬事審議会で扱う以外の問題だと思うのでありますけれども、そういうような場合にはどういうふうにお扱いになるのでございましょうか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) これが薬として有効なものであるということになりますれば、一応認めるということが考えられるわけでございますが、しかし、その使用方法を誤るとか、また、みだりにこれが妙な方向に使われるとか、こういうふうなおそれがなしとしないという場合には、やはりその薬の販売については厳重な制限を設けて、そうして考えていく以外にはないと思います。
○加藤シヅエ君 そういたしますと厚生大臣は、薬に関連した社会問題とか、あるいは道義の乱れるおそれのある問題とか、そういうような問題に関連しても、やはり責任をお持ちになるわけでございますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 薬が本来の正しい姿において用いられないで、そうして社会的な弊害をかもすというようなことになりましては、厚生大臣としては責任を感ぜざるを得ないわけであります。十分気をつけて参りたいと思います。
○加藤シヅエ君 それでは厚生大臣に御参考といたしまして、この薬を特に私が心配いたします点は、このプロジェストロンとかいう新しい物質でございますが、この薬の作用によりまして婦人の生殖作用に今まで考えられなかったような状態がかもし出されるというようなおそれがある、また、この作用によって避妊の目的をも達すると、そういうことでございますから、そういうような作用によりまして婦人の内分泌系統を非常に撹乱する影響もある。こういうことになりますと、これは相当長い期間、臨床実験を必要とするものである。これが相当長い期間ということになりますと、これはよほど慎重にたくさんのデータを継続的におとりになる必要があるということを、私は特に御注意申し上げまして、この点を考慮していただきたいと思います。 それから第二点は、今問題になっております、薬を長く使う——連用いたしますと、このホルモンが投与されます結果、ガンの発生の危険もあるかもしれない、こういうような学説もございますが、そういうような危険がないということが確実に保証されるかどうか、この点も考慮していただきたい。 それから第三点は、この薬が月経障害あるいは常習流産などの薬剤としてすでに許可されているのでございますね。ところが、それはそういう目的で許可されているものが、広告の面で非常に逸脱しておりまして、そして許可されない部分のつまり避妊の目的にもこれが効果があるというような広告がすでに出ておるのでございます。こういうような点も、これは非常に逸脱なことでございますけれども、こんなことを、もしこの広告を見た婦人たちが、そのように信じて、これを利用したりすると、これはたいへんなことになるわけでございます。こういうようなことが現在放任されておりますので、この三つの点は特に今後厚生大臣が責任をもって留意していただきませんと、日本の母体保護の問題でたいへんなおそろしいことになるかもしれない、このことを心配いたします。 で、さらに私が厚生大臣に伺いたいのは、この避妊薬を今問題にして、非常に私が心配いたしますのは、すでに許されております薬が乱用されまして、そして薬事法にきめられていることをも少しも守られていないことです。これは最近の十月十八日の朝日新聞の記事でございますけれども、睡眠薬遊びというようなのが報道されておりまして、ことしの一月から全国で百十六件、百三十六人の少年がこういうような睡眠薬遊びの件数として報告されて、そのうちで罪を犯した少年少女が全国で五十八人、非行行為に及んだ者が四十人、こういうようなことが報告されております。こういうようなことになって参りましたのは、さっき申し上げましたように、薬事法で決定されております薬の取り締まりということが少しも行なわれていない。警察庁の調べによりますと、この補導されました少年が使った睡眠薬は、十四種類に及んでいて、そしてそのうち劇薬が五種類、それから要指示薬が三種類、こういうようなことを少年が警察で述べているそうでございますが、そのうちの少年たちの話によりますと、薬局が何にも聞かないですぐ売ってくれたと答えた者が八〇%以上ある、それで、こういうように取り締まりが少しも行なわれていないというようなことに対して、厚生大臣は今後どういうふうに対処なさるお考えであるか、それを伺いたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 先ほどお話の避妊薬の問題については十分慎重に扱いたいと存じております。また、本来許可の目的を逸脱したことに対する広告等がありますれば、これに対しましても取り締まりをはっきりいたしたいと思います。 なお、後段の御質問でございますが、私も新聞で承知いたしたのでございますが、まことに遺憾な事態と考えております。事務当局にただしましたところが、この十月三日に薬務局長名をもちまして、各都道府県知事あてに、医薬品の販売業者に対して薬事法の規定を厳守させるというような方法によりまして、睡眠薬の取り締まりの強化についての通達を発しております。できるだけ地方当局を督励いたしまして、遺憾のないようにいたしたいと存じております。また睡眠薬のうちには・現に医者の指示がなければ買えない薬、いわゆる要指示医薬品と申しますかに指定されていないものもある、これを要指示医薬品に指定するというような事柄につきましても、法令の改正措置について目下検討をいたしております。いずれにいたしましても、今後とも各都道府県と緊密な連絡をとりまして、薬事法に基づく取り締まりの強化徹底をはかっていきたいという方面で努力して参りたい。新聞で見ましたような例はまことに残念なことと思います。
○加藤シヅエ君 大臣は、今後大いに取り締まりを徹底するとおっしゃっていらっしゃいますけれども、実情は保健所のこうした取り締まりの役人が一年に四回かそこいら薬局を回って聞いて歩くという程度で、まことにルーズなことを現在はやっている。それに対して今後予算でもたくさんおもらいになって、もっと保健所の所員をふやすとか、そういうような具体的なことをお考えにならなければ、ただやります、やりますだけでは、ちょっとあまり安心ができないのじゃないかと思います。いかがでございますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 保健所の整備拡充につきましては、ひとりこの問題だけでなく、もっともっとやって参らなければならぬと存じておりますので、その方向で努力もいたしております。お示しの点は、実情を十分検討いたしまして、取り締まり上遺憾のないようにいたしたいと存じます。
○加藤シヅエ君 特に取り締まりの面で今後守られなければならないということは、医者の処方せんによる、医者の処方せんによって、医者の指導によって使われなければならないという薬が、現在ペニシリンその他クロマイとかいろんな薬が、薬局に行きさえすれば簡単に買えるわけでございますね。それは今後とも見のがしておおきになるんでございますか。それとも医者の処方せん、指示によるというものを、もっと厳密に守らせようとなさるのですか。もしなさるなら、どういうような方法をお講じになりますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 問題は仰せになったところにあるわけであります。医者の指示によらなければならないものを、医者の指示によらずして売っておる業者があるという事実でございます。これはいわゆる薬事法による取り締まりを強化していきたいということになってくるわけでございますが、一つには業界の自覚、業界の反省に待たなければなりませんが、同時に薬局の巡視等につきましても、もっと従来より充実した巡回、巡視等もやらせたいと考えております。
○加藤シヅエ君 それでは時間が迫って参りましたから、厚生大臣には、今申し上げましたことを十分責任を持っていただきたい。ただ取り締まりだけではなくて、非常にすぐれた方法を考えていただきたいということをお願いいたして、厚生大臣に対する質問を終わります。 次に農林大臣に伺いたいのでございますが、農林大臣は、学校給食の問題については、全面的に非常に積極的でいらっしゃるということを伺っておりますのですけれども、今までの農林行政を拝見しておりますと、お米の足りないときには、粉食奨励でパンを食べろ、あるいはめん類を食べろと言い、そして粉食、パン食と同時に、牛乳、バターというような動物性蛋白質を一緒に大いに奨励して、日本の食生活を改善していかなければならない、そういうような方向で政府が施策、指導された。子供たちは、学校で、今まで食べつけなかったそういう方面のものをも、今日では非常に喜んで、習慣になって、子供たちだけではなくて、今の若い世代の人は、だんだん米食の習慣から、粉食を加味するというような食生活に変わりつつある。こういう食生活の習慣が民族の中で変わるということはなかなかあり得ないことだというふうに考えられたものさえ、学校給食の奨励、その他でようやく変わりつつある。これは非常にいい傾向ではないかと思うのでございますが、農林大臣は、そういう傾向をどういうふうにお思いになりますか。
○国務大臣(河野一郎君) わが国の米作、米の収穫が需要にこたえるに不足しておりまして、今お話のように、粉食を奨励し、食生活を改善して参ろうということが各面で行なわれました。私はこれは正しくないという考えはむろん持っておりません。けっこうなことだと考えております。しかし、一面において、御承知のとおり、今粉食と申しましても、パンの製造につきましては、アメリカ、カナダ、豪州等からの輸入麦に依存する面が非常に大きくございます。そこで反面、また国内の米の生産が非常に順調に伸びて参りまして、十分に需要にこたえるようになって参っております。そこで私が考えますのに、従来わが消費面の食生活から考えまして、動物蛋白の需要、もしくは消費が非常に少なかったことが一番遺憾に考えられますことでございまして、それがパン食でなければ適当でない、米食であっては悪いということにはならなかろう。要するに問題は、米食であるとか、パン食であるとかいうことのほかに、動物蛋白をできるだけ供給するという面に重点を注いで考えるということが必要であって、この点についてはいろいろ御意見があるかもしれませんが、私は従来のように米だけ食べて、副食に非常に乏しいものがある。そこで米を食べ過ぎて、そこにいろいろな将来の保健上の問題があるということではなかろうかと思うのでありまして、これらにつきましては、いろいろ今後研究の余地がある、こういうふうに考えます。
○加藤シヅエ君 私が特に強調したい点は、食生活の習慣というものは、なかなか一朝一夕で変えられるものではございませんで、どうしても米食の習慣というものが長年の日本人の習慣であったために、動物性蛋白質が欠乏しているとか、脂肪が欠乏しているとか、いろいろな難点があったわけでございまして、それを変えていくには、やはり米食をあまりにも奨励しない方法を今みんな望んでおるのじゃないかと思います。米食及び粉食というように、種類を多くしていく、そういうような方向に向かっていかなければならない場合にさらに今度は、米がたくさんできたから、学校給食は、今度はパンでなくて御飯だというふうに、農林省のほうの生産の都合だけで学校給食のほうを変えていくというようなことは非常に問題があるのじゃないか。このことを私は申し上げたいのでございます。 それからさらに、時間がございませんので、もう一言申し上げたいのでございますけれども、まあお米がたくさんできたことは非常にけっこうでございますけれども、私ども主婦の立場から見ますと、新鮮な野菜が非常に欠乏していると思います。これは野菜を作る農家が野菜を作る場合、もっと安心して作れるような状態になっていないということから、将来は、新鮮な野菜というものは非常な貴重品になりつつある。どうも野菜が貴重品でございますけれども、値段の点が、もっと主婦が安心して買えるようなものとして、豊富に生産させるような政策は、どういうふうにしてお考えになっていらっしゃるか、それをちょっと聞かしていただいて終わりたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) ただいまお話でございますが、決して積極的にパン食を米食に変える奨励をしておることまではいっておりません。地方の御要望にこたえまして、それならばという程度でございまして、まだ学校給食を米食に変えることを奨励するというようなことはまだやっておりませんし、まだそこまでいっておりません。将来の問題として御協力を願いまして、十分検討の上考えていくべき問題だろう、こう考えます。 それから野菜についてお話がございましたが、これは非常にむずかしい問題でございまして、たとえば、われわれ男性はあまりそういう記憶がないのでございますが、加藤さんなどよく御記憶だろうと思いますが、昨年の今ごろでございますと、野菜物で、もうトラック賃も出ないというような野菜物があったわけでございます。ちょっと天候に恵まれますと非常によけいできる。ことしのように、夏非常に暑く、次に集中豪雨というようなことが参りますと、そのために根底から産地がやられてしまう。そうすると、今日のような状態になるということでございまして、これは計画的にまた指導いたしまして、生産はいたしましても、それはさて収穫というときになりますと、今のような結果が生まれてくる、非常に因ったものだと思っておりますが、そこで実は明年度からタマネギであるとか、そういったような多少でも保管に耐える野菜について、これをひとつ貯蔵するというようなことをしてみたらどうだろうか、そして需給の緩慢をはかるようにしたらどうだろうかというので、せっかくその施策をするように予算的にも法律的にも今準備をいたしておるところでございます。何分にも日本の野菜が今申し上げましたように、短時日の間にできますけれども、それが非常に天候に影響せられるというようなことで、計画を立てるにも立てにくいような状態である。これが欧米のような野菜でございますと、天候、気候的にも恵まれております。台風等の襲来が割合少ないということで、欧州などは、特にアメリカの場合は多少そういうことがある。アメリカはカリフォルニアとかで大部分野菜がとれるということでございますが、日本は御承知のようなことでございまして、さあというときになってめちゃめちゃにやられるということでございますから、これについてはなかなか結論的に満足のいくような案は立てにくいのじゃないか。でもせっかく果樹、蔬菜類については積極的に奨励しよう、そうして改善をはかろうということで、今、果樹、野菜の、農林省の中に行政機関を新たに設置いたしまして、そしてやってみよう、こう考えております。
○委員長(小山邦太郎君) 明日は午前十前に開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十一分散会