予算委員会 第6号
- 発言数
- 245 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1961/10/18
会議録
○委員長(小山邦太郎君) これより予算委員会を開会いたします。 委員の変更について報告いたします。 本日金丸富夫君が辞任せられ、その補欠として谷口慶吉君が選任されました。 —————————————
○委員長(小山邦太郎君) 昭和三十六年度一般会計予算補正(第1号)、昭和三十六年度特別会計予算補正(特第2号)、以上両案を一括して議題といたします。 昨日に引き続き質疑を行ないます。加瀬完君。
○加瀬完君 公営住宅について先に伺います。公営住宅の予算単価と実際工事費の開差の問題は、このたびの修正で解決されたかどうか、大蔵、建設両大臣に伺います。
○国務大臣(中村梅吉君) 公営住宅につきましては、昨年度の実績と、今年の六月に至るまでの人件費及び木材等の物価の値上り、こういうものを織り込みまして、御承知のような単価是正をいたしまして、補正の御審議をいただきましたような次第であります。
○国務大臣(水田三喜男君) 今、建設大臣からお答えになりましたように、三十五年の六月に対する三十六年ことしの六月の資材費、労務費等の上昇率に今年度の予算単価をかけて、そうして大体単価を策定した、こういうことであります。
○加瀬完君 建設省の要求単価と補正決定額は違いますね、この経緯について、建設大臣から伺います。
○国務大臣(中村梅吉君) 実は労力費につきまして、私のほうの見る実態調査の実態の考え方と、大蔵省としてはやはりPWの制度がありまする以上は、労働省の出した基準単価によるべきである、こういう点が主として意見の調整上困難をいたしましたが、結局、私のほうの建設省といたしましても、労働省が各職種ごとに賃金調査をいたしておりまする以上は、やはりこれに現在の制度としては従うのがやむを得ない線である、こういうことでおり合いまして、御承知のような是正数字に落ち着いたわけでございます。
○加瀬完君 建設省と大蔵省の算定方法をもう少し詳しくお聞かせいただきたい。
○国務大臣(水田三喜男君) 主計局長からお答えさせます。
○政府委員(石野信一君) 建設省の要求は経済調査会という民間の団体の統計を基礎にされまして、たしか三七・五%の上昇を見ておられたと思うのでございますが、結局話し合いの結果、法的に労働省のやっております毎月勤労統計の前年度六月対六月という比率で一九・五%の上昇率をとる、こういうことに話がきまったわけでございます。
○国務大臣(中村梅吉君) ただいま大蔵省主計局長からお答え申し上げたとおりでございます。
○加瀬完君 建設省は三十三年に比べて、三十五年は木造で二五%、ブロック平屋で二五・六%値上がりがしているという発表をなさいましたね、このとおりですか。
○国務大臣(中村梅吉君) 数字については確かなところを記憶いたしておりませんが、公営住宅につきましては、予算単価としては三十五年以降据え置きでございます。したがいまして、当初われわれの方としましては、三十三年を基準にしてその後の物価値上がり等を織り込んでもらいたいという希望を持っておったのでございますが、従来とにかく昨年度まで各公営住宅を建設します地方公共団体は、そういう負担においてやってきておるので、やはり昨年の六月を基準にして、その後の値上がり分を年度の途中ではありますし、補正するのが妥当である、こういうところに落ち着きまして、御承知のような結論を得たわけでございます。
○加瀬完君 おかしいじゃありませんか。三十三年と三十五年を比べて、三十五年ですでに木造で二五%、ブロックで二五・六%の値上がりが必要だとあなたの方でお出しになっておる。今度の補正では一九%と一四%でしょう。三十五年度でも間に合わなかったものが、三十六年度さらに低い。パーセントの引き上げで間に合うはずがないじゃありませんか。この間の経緯をもっと詳しく御説明いただきたい。
○国務大臣(中村梅吉君) 三十三、四、五と、この年間はなるほど実施単価から見ますると物価の値上がり、労銀等の関係で変化を来たしておりますが、補助単価としましてはその据え賢きできておりますので、三十五年以上優遇をすることは無理であるという財政当局の主張もございますので、最終的なおり合いとしましては、三十五年の実績と三十五年から今年に至るまでの値上がり分を織り込むと、こういう線で、あとはどういう算定でどういう算出をするかという先ほど御指摘もございましたような賃金との関係等、考慮に入れまして最終的にきめたわけでございます。
○加瀬完君 建設省は各地域の状況を御存じですか、これは自治省大臣にもあわせて伺いたい。たとえば京都盛岡、福島、神奈川、愛知、こういう各地域が公営住宅をどういう形で建造をしておるか、この点を御説明をいただきたい。
○国務大臣(中村梅吉君) 御承知のとおり、賃金にいたしましても、また若干材料費にいたしましても地域によってある程度の差のあることは現実の状態でございます。しかし、これに一々対応しまして国の補助費を組み上げるということもむずかしいので、その実態に沿わない点はあるかもしれませんが、われわれとしましては、やはりそういう地方別の、また地方の財政事情も、したがってそれに見合ってと申しますか、若干の相違があるわけでございますから、国としましては、補助の率等につきましては一定の方法をとっておるようなわけであります。
○国務大臣(安井謙君) 自治省といたしましては、建設、大蔵の協定できめましたいわゆる政府の単価値上がりの線でございまして、国の補助費も当然ふえます。その不足の額につきましては、起債、あるいはその団体の自然増を見込んで処置をさせるということに一般的にいたしております。個々の状況につきましては、もう少し経過を見まして、さらに必要なものが、どうしてもやむを得ないという状況があれば、特別交付税等で今後考えていきたい、こう思っております。
○加瀬完君 私の質問は地域の状態を知っているかどうか、それを聞いているのですから、地域の状態を話して下さい。それがわからなければ対策が立たないでしょう。
○国務大臣(中村梅吉君) その点は事務当局からお答えをさせます。私ども一々地域差について明確な数字的な知識を持っておりませんので、後刻資料、あるいは事務当局の答弁、いずれかによりまして明確にいたします。
○加瀬完君 委員長、自治省に答弁させて下さい。自治省は知っているはずです。
○国務大臣(安井謙君) 自治省といたしましては、先ほどのように政府できめました単価に従ってそれぞれの財政措置を一般的にやる、こういう建前をとっておりまして、現在のところ、まだ地域それぞれの分については直接具体的な調査をいたしておるわけじゃございません。
○加瀬完君 それはおかしいです。京都では二百七十二戸の計画に対して木材、れんが等が二〇%から四〇%値上がり、大工は八百円から千五百円と倍近く引き上げられたため、八月現在では一戸も建っておりません。盛岡では第一種住宅三十六戸は入札が放棄されました。福島では五回入札をしましたが、決定をいたしておりません。神奈川では国の算定は四十九万円でありますけれども、七十六万九千円で話をつけております。愛知では三十六年度の持ち出し分は四四・八%という数字を出しております。こういう実情に対して今度の補正で解決ができますか。この点を三大臣に伺います。
○国務大臣(中村梅吉君) 公営住宅に対する国の補助につきましては、御承知の通り実施単価に対する補助ではありませんので、いわゆる補助単価に対する補助率でございますから、各府県によって若干の相違はあると思いますが、それぞれにおきまして、その県の財政の許す範囲で建設のできるように実施をしてもらうのが建前でございます。それによって地方財政に欠陥を生ずるような部分につきましては、地方財政上の措置を自治省中心にとっていただく、こういうことでございまして、大蔵省及び建設省が補助額算出の基礎にした数字であくまで入札をしようということは私は無理ではないかと思うのです。県がその実態に応じたやはり実施のできるような実施単価というものは作っていただかなければ実施できないのじゃないか、こう思っております。
○加瀬完君 何のための補正ですか。大蔵大臣と自治省大臣答弁して下さい。
○国務大臣(水田三喜男君) この建築費の値上がりによって現在の政府の補助というものをもとにしてはなかなか地方がやれないということがございまして、いろいろな問題が起こっておりますので、国が補助率を上げてやる算定の基礎としてこの単価是正というものをやっておるわけでございますので、やはり各地方々々に実情は違うと思いますが、問題は、これは各地方公共団体がする仕事を国が補助してやろうということでございますから、建設大臣が言われたように、地方々々においていろいろ実行単価が違うという場合は当然出てくると思いますが、国が大体どれだけのその仕事に対して補助してやるかというための国の単価是正でございますので、実際に現にもうこれによって入札のきまっていくところもございましょうし、まだなかなかむずかしいというところも出るかと思いますが、私は大体やっていけるのじゃないかと思っております。で、一つにはずいぶん地方から陳情がございまして、いずれ単価は少しは直さなければならぬだろうというようなことも政府当局者から出ておりますので、それを見ない間はなかなか入札に応じられないというような事情も地方に発生したというふうにも私ども聞いておりますので、こういう今回特に計画的に低所得者階層のためにやると政府がきめたこの問題だけは単価是正によって解決する。そのほかのものはやらなくてもこれだけはやるという方針で立てたものでございますから、私はやはりこの程度の単価是正でやっていけるのじゃないかと思っております。
○加瀬完君 補正をすれば家が建つという目安で補正が行なわれたのでしょう。しかし実質的にはこれでは建てられないというのが地方の実情なんです。この点をどう把握しているか。今度の補正で建つという目安をどうしてつけられるか。この点を伺っているのですよ。三大臣答えて下さい。
○国務大臣(水田三喜男君) ほうっておきますというと、まだまだ今の実情からはこの建築費は上がる傾向にあると思いますが、これは非常に問題でございますので、今度私どもがああいう総合政策をとったというのも、この木材の使用に関しても、建築についても不急と思われるものはできるだけこれをこの機会には延ばしてもらおうというためにいろんな抑制措置をとっておる。ことに大口建築については強い行政指導もやるという方法をとっておりますが、こういうことによって建築に対する今までの傾向というものは今後私は相当是正されると思っております。こういう先行きの見通しともからんだ一つの単価是正でございますので、私は、これによってこの公営住宅、学校施設は建てられるような方向へ私は向かっていくのじゃないかと思います。
○加瀬完君 建設大臣、もう一度答えて下さい。
○国務大臣(中村梅吉君) 従来の当初予算の単価で参りますと、地方財政をはなはだしく圧迫することになりますし、したがって、地方団体が公営住宅を建設するということも非常に至難になると思われますので、われわれとしましては十分とは参らなくても、できるだけ可能な限り努力をいたしまして補助単価の是正をし、補助額のふえるようにいたしまして、実施の可能になるように努力をいたした次第でございます。しかし先刻来申し上げましたように、これは補助額を算出する算定の基準になる補助基準単価でございますから、必ずしもこれで各県とも、各地方団体とも実施できるとは限らないわけでございますが、その分はやはり地方財政において負担をして実施のできるようにして、極力公営住宅の計画戸数というものは達成していただきたいというのが私どもの考え方でございます。
○加瀬完君 建設省が昭和三十五年の単価プラス地方の持ち出し分、これに物価指数をかける、それを補正の単価としようとしたのでしょう。しかしこれはいれられなかった。ですから当然足りなくなりますよ。足りなくなる分は各地方団体で持てということになりますと、各地方団体は設計を変更したり工費を節約したりする傾向が非常に多い。手抜き工事が当然行なわれるわけです。自治省大臣に伺いますが、手抜き工事が行なわれないか、これは災害復旧なんかにも当然波及いたします。これに対する財源措置を交付税なりあるいはその他でまかなう計画があるのかどうか、この点を伺います。
○国務大臣(安井謙君) 値上がり分につきましては、今の御承知の国費の補助の増加分の配分が建設省で行なわれるわけでありまして、それに見合った起債等の手配をいたしておるわけでございます。ところが、まあ全体としまして、今おっしゃるような特殊の事情についていろいろございましょうし、ことに災害地等におきましては、まあ今般は起債のワクなり、あるいは特例法なり、特別交付税といったような面でさらに全体の財政を見てやむを得ない分についてはできるだけの補給をしたい、こう考えておるわけであります。
○加瀬完君 建設省に伺いますが、あなたのほうでは主要職種賃金表というものを大蔵省に説明されたはずです。大蔵省はこれを断わられた。この経緯を説明して下さい。
○国務大臣(中村梅吉君) 私のほうでは、労働省の毎月職種別に調査をされております賃金水準というものが、前年の六月を毎年基準に調査をしまして、これを公表いたしますのは翌年でございます。まあそういうズレもございますから、これでは困ると、民間の団体でございますが、経済調査会が調査をしました数字がございますので、このほうがかえって実態に即しておるのではないかという角度から、それに基づきまして、積算の基礎を置いて補正予算の際の予算要求をいたしたわけでございます。しかしながら、いろいろ論議をかわしました結果、民間の資料を採用するということは予算積算の基礎として妥当でないというのが大蔵省の堅持された御主張でございます。結局やはり補正予算の組み上げをいたしますについてもおのずから期限のある問題でございますから、このことでいつまでも議論をいたしまして結論を得ないということは困りますので、今日のような結果に相なったわけでございます。
○加瀬完君 労働省に伺いますが、常用労務者の平均賃金の上昇率と大工、左官の指数は同じですか。
○説明員(大宮五郎君) 大工、左官等建設業の職種別の賃金の調査は、ただいま今年度分につきましては実施中でございまして、今地方から調査表が集まってきております段階でございますから、それらについて今年度の状況はわかりませんが、全体の常用労働者の賃金並びに建設業の全体の労働者の賃金の上昇率を、ことしに入ってからの状況について申し上げますと、ことしの上半期平均で全体の産業の労働者の賃金の上昇率は七・八%でございます。それから建設業につきましては、前年の上半期が一万九千二百二十五円、ことしの上半期が二万一千二百六十三円になっております。
○加瀬完君 上昇率は。
○説明員(大宮五郎君) 上昇率は一四・二%でございます。
○加瀬完君 大蔵省は常用労務者平均賃金上昇率をもとにしたわけでありますが、これはPWじゃありませんね。昨日からPWの説明をしておりますけれども、これはPWじゃありませんね。常用労務者の平均賃金の上昇率が、大工、左官の上昇率と同じだという根拠を示されたい。大蔵省。
○国務大臣(中村梅吉君) 毎月勤労統計を基礎にいたしております。
○加瀬完君 大蔵省は常用労務者平均賃金上昇率というものをもとにしておるじゃありませんか。だからその根拠を示せと言っているのですよ。
○政府委員(石野信一君) ただいまの御質問でございますが、労働省の毎月勤労統計の建設業の常用の平均をとっておりまして、一九・五%、先ほどの労働省のお話は一四・三というお話でございますが、一九・五でございます。
○加瀬完君 大工、左官とどう違うか、同じかということですよ。
○政府委員(石野信一君) 大工、左官の統計が先ほど労働省からお話がありましたように、適切な資料がなくて経済調査会という民間の団体の、東京の大工というのが、さっき三七・五という数字がございましたけれども、そういう意味におきまして適切な大工、左官の資料というものがございませんで、労働省の建設業の常用を見た次第でございます。
○加瀬完君 労働省に伺いますが、大工、左官と常用労務者の日給の開きは幾ら。それから今後の上昇率の見通しはどうか。
○説明員(大宮五郎君) 大工、左官等職種別の賃金は、昨年の場合には平均して一日六百二十八円、これは八時間、換算をしない前の数字でございます。それに対しまして、常用労働者の賃金は、昨年の平均で月額しか出しておりませんが、二万一千二百十三円でございます。しかし、日額に直します場合には大体二十四日で割ったものでございます。
○加瀬完君 見通しは。
○説明員(大宮五郎君) 見通しは、私よくわかりませんですが、ことしに入ってからの建設業の賃金の上昇率は強くなっておるということだけは申し上げられると思います。
○加瀬完君 大蔵省は常用労務者の平均をとりましたけれども、常用労務者は、内閣の統計で見ても、三十五年六月では日給に直すと六百五十四円ですよ。大工は七百五十四円、左官は七百六十三円ですよ。上昇率はさっき統計調査部長がおっしゃったように、一般は七・八%でしょう。建設関係の労働者は一四・二%の上昇率でしょう。大工、左官は、これは建設省の統計でも三十四年と三十六年五月の業者賃金の調べによって見ると、大工が七四%、トビが四八%、石工が四三%、左官は一〇〇%になっているじゃありませんか。こういう賃金の非常に上昇率の激しい大工、左官等建設関係の労務者の賃金のほうを常用労務者の平均で抑えて、これで単価を割り出したって、その単価の正確なものが出ますか。もっと大蔵省にこの点を明確に答えていただきたい。
○政府委員(石野信一君) お答えいたします。先ほど来申しますように、この単価につきましては、労務費をどう見るかということにつきまして、予算折衝のときに建設省といろいろ話し合ったわけでございます。ただ的確に、公的なもので昨年の六月とことしの六月と比較する建築関係の労務者の賃金の上昇率の統計というものとして何がいいかということにつきまして、結局両省間で、労働省の毎月勤労統計の建設業の常用をとると、こういう以外にただいまのところ適切な統計がないということで、こういうふうにとることにしたわけでございます。
○加瀬完君 適切な統計がなければ、実情の調査が建設省から出ているのだから、現実に合った数字を抑えればいいでしょう。たとえば、業界調べによれば、大工は千二百円、トビは千円、左官は千四百円という数字が出ている。これをなぜ押えなかったか。それからもう一つは、これは政府の統計でも、賃金指数を見ると、三十三年六月を一〇〇とすると、三十六年の六月は名目賃金で二二二・一になっている。二三丁一になっているものを一九で押えたって合いますか。
○政府委員(石野信一君) 最初の方の御質問は、建設省の資料とおっしゃるのは、要求の基礎になっておりましたが、経済調査会という民間の団体の東京だけの大工の資料ではないかと思うのですが、そういう意味におきまして、先ほどお答えいたしましたように、公的なより得る資料として労働省の毎月勤労統計の建設業の常用をとるということで話がきまったわけでございます。それからもう一点、三十三年を基礎にするというお話でございますが、一三二・幾らという数字は、今私は存じませんですが、これは補正予算で手直しをいたしますものとしては、三十六年度の予算単価を、当初の予算単価を基礎にいたしまして、これに対して補正をいたします意味におきまして、三十五年度の六月当初の予算の基礎になっておりましたものを基準にいたしまして、ことしの六月に対する比率ということを考えたわけであります。
○加瀬完君 数字に明るい大蔵省にも似合わないですよ。一体補助単価をきめたのは何年ですか。昭和三十三年でしょう。三十四年、三十五年と手直しはありませんよ。そうでしょう。三十三年から三十五年まで物価がゼロという指数がありますか。御説明いただきたい。物価上昇率がゼロという指数がありますか。
○政府委員(石野信一君) 三十三年の単価と申しましても、それが三十六年の当初予算の単価として採用されておるわけでございます。したがいまして、補正予算としては、予算成立後の事情に基づいて修正を行なうという意味におきまして、その単価を基礎に値上がりを考えていく、それで予算を組んだわけであります。
○加瀬完君 建設大臣に伺いますが、これは三十五年にも三十六年の当初予算にも、この単価の補正というものは問題になった。あなたはその実情を十分説明されて、しかも三十三年から三十五年までの物価指数の上昇というものは全然加えなくていいという結論に御賛成なさったのですか。
○国務大臣(中村梅吉君) 私が就任をいたしまして、三十六年度予算編成に当たったわけでございますが、その当時も、公営住宅等その他にもございますが、建築単価が——補助の基準にする単価が昭和三十三年以降据え置きになっておりますので、これでは実施上いろいろ支障を生ずるから、ぜひ是正をしてほしいということは予算編成段階で建設省としましては主張をして参ったのでございます。しかしながら、遺憾ながら、大蔵省側の考え方は、これは実態に対する単価ではなくて補助額算出の基準になる補助単価であるからということで、ついに三十六年度予算編成の際にわれわれの主張は貫徹できなかったのが実情でございます。できるだけ実態に即するようにやっていくのが、私は行政運営を円満にする上において必要なことであるという基本的な考えは今日も同様でございます。
○加瀬完君 文部大臣に伺いますが、同じことは文教施設の補助についても言われる。公立文教施設に対する補助単価の積算基礎、これを明らかにしていただきたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えいたします。 三十五年六月から、ことしの六月までの日銀の物価指数に基づきまして平均しまして平均しました値上がりという受け取り方をいたしております。そして鉄筋、鉄骨が七%ないし九%、木造が一九・二%の値がりということを見込んで補正を出しておる次第であります。
○加瀬完君 文部大臣は、鉄筋が一七・七%、鉄骨が二五・四%、木造が三三・二%の引き上げでなければ学校は建たない、こう要求なさったでしょう。それを今言った数字に大蔵省に縮減された。そうすると、文部省と大蔵省の決定の違いは八・五、二二・九、二二・七、これだけの違いがあるわけです。こうなっても学校は建つのですか。初めの文部省の積算は、そうすると全然基礎のないものということに了解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 予算の積算をいたします場合には、今御指摘になりましたような値上がりを見込んでもらえば優にやれそうだという見込みで、むろんおったわけでありますが、ただ、現実の各地方々々の値上がりに即して積算する建前ではないものでございますから、いわば理論物価を基礎にして全国平均的な考え方で組みますものですから、おのずからそこに議論が分かれるわけでございます。したがって、御指摘のように、希望どおりにやってもらえばスムーズにやれそうだと、むろん思います。しかし、査定を受けまして希望よりも下回っておりますが、現実問題といたしますと、全国平均でやりましてこれを各都道府県に令達をいたしますれば、都道府県ごとに現場々々の実情に応じて具体的には実施単価を定めて実行する、こういうことになりますので、幾分無理は出てこようかとは思いますが、文教施設なるがゆえにどうやらやっていけるのじゃなかろうかと、こういうふうに期待しておるわけであります。しかしながら、場所によりましては事実上不可能な所が絶無とは言いかねるかと思います。その場合はむろん自治省とも相談いたしまして、その場合ごとに具体的に実行できるような措置を相談したいと思っております。
○加瀬完君 文部省の押えた全国の平均単価は幾らか、今度の決定は幾らか、その差額は幾らか、これでもできるという根拠を示されたい。 これは、できるかできないか、自治省大臣も答えていただきたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ちょっと具体的に即答いたしかねますので、政府委員からお答えさせていただきます。
○政府委員(福田繁君) お答えいたします。 義務制の学校につきまして当初予算では木造二万七千円、今回の補正によりまして三万二千五百円、鉄骨が当初予算では四万二千九百円、補正いたしました単価は四万七千八百円、鉄筋におきまして五万六千二百円が六万一千四百円、それから非義務制の高校について申し上げますと、木造は当初予算では三万一千円から三万七千円となっております。鉄骨につきまして四万六千円が五万一千三百円、鉄筋につきまして五万九千二百円が六万四千六百円、こういうようになっておりますが、これは先ほど来いろいろお話の出ましたように、昨年の六月とことしの六月とを比較しての単価の補正でございますので、地区によりましては若干これを上回る実績単価は出て参ります。
○加瀬完君 文部省の押えた全国平均は幾らか。
○政府委員(福田繁君) 大体実績単価におきまして、これは八月十五日現在でとったものでございまして、お断わり申し上げておきますが、このときはまだ相当工事が進捗いたしていないときでございます。木造におきまして三万六千九百円、鉄骨において五万三百九十円、鉄筋において六万三千八百五十四円、こう.いうような単価になっております。
○加瀬完君 数字がでたらめですよ。あなたのほうの発表されたのは木造が全国平均で三万六千五百四十一円、鉄筋が六万四千四百四十四円となっているでしょう。三万六千五百四十一円平均かかるというものを三万二千円という単価でどうして作りますか。文部大臣に伺います。あなた、さっき平均でやると言ったのだから。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先ほど申し上げましたように、私どもの希望的な数字にはある程度の隔たりができておることは事実でございます。したがって、その限度において窮屈ではあろうと思いますが、しかし、全国平均の単価で実施するわけでございますから、窮屈の中にも不可能であるとは考えないわけでございます。ただ・さっきも申し上げたとおり、ある地方のある場所においては不可能に近い状態になっておるために、できないという事態も絶無とは考えませんので、それはその場合、場合に応じまして自治省との相談で善処したい、こう考えておるところであります。
○加瀬完君 あなたのほうで調査して、たとえば木造は三万六千五百四十一円だ、これより高いものがある、低いのもあるかもしれないけれども、そうして三万五千幾らというものを大蔵省に要求したでしょう。それだけなければ足りないという積算の基礎でしょう。それが三万二千幾らになって、たしかに、あなたの言うように、建てろというならこれは地元負担とか、父兄負担とか、こういう肩がわりの立場で建てなければならないことになる、これでよろしいですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今申し上げましたように、父兄負担等の手段によらずして、自治省とも相談いたしまして、その必要の起こりました個所については、具体的に執行できるような措置を相談して、処置いたしたいと思います。
○加瀬完君 そういうことですから、あなたも御存じのように、各地域ではどういうことが行なわれていますか——盛岡では学校増設期成同盟会というものがありまして、費用負担計画を立てて、市内の小中学校の生徒の家庭から小学校は三百円、中学校は四百円、市内の一般家庭から二戸二百円、これを町内会長が集めるという形で学校の費用に当ててるのじゃないですか。これは高等学校と義務制学校との違いはあっても、やり方は同じだ。この計画では、またいつも学校が父兄負担によって建つという形にならざるを得ないじゃないですか、この点どうですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今まで、とかく父兄負担に依存する傾向があったのでございますが、御案内のとおりそういうことはしないようにという考え方で、制度も変えて処置をいたしておるのであります。それでもなおかつ、そういうことが起こる可能性が出てくるじゃないかという御懸念でございますが、なるべくそうならないように指導をいたしたいと思いますが、同時に都道府県にいたしましても自然増収等も想定されることでもございますし、先刻申し上げたとおり自治省との相談において、今御指摘になったような悪い傾向にならないように、極力努力いたしたいと思っております。
○加瀬完君 大蔵大臣に伺いますが、これは三十三年に単価がきまったのですね。三十三年から三十五年までを見ると、名目賃金で一九・二%物価指数で四・五%上がっている。この上昇率というものは全然加算をしないで三十六年度の補正をやっても、その補正は三十三年度の単価に対しては正確なものは出ないじゃありませんか。
○国務大臣(水田三喜男君) これはさっきから申しておりますように、できるだけ実情に合うことが好ましいことでございますが、たとえば学校にしましても、これは設置者の責任で学校を建てることになっておる。それに対して国がどれだけの補助をするかという、このための単価でございますので、今まで全部実情を一致してこの補助をもとにして、それと正確な計算で地方が建っているということはございません。最近の値上がり傾向ははっきりしておりますので、国の補助が実情に合わない、少なくなっているということを訂正するために単価の是正をやったわけでございますから、実際においては今文部大臣も言われましたように、全国平均でものをきめた場合に、特に高いのは都会地、安いのは割合にいなかでございますが、今政府のとっているいろいろな措置ともにらみ合わせて、建築費の増高というような形等がとどまる方向にいろいろな措置をとっておりますから、それともにらみ合わせて二割程度の単価是正をやることによって、それぞれの地方で実際的には何とか建てられるのじゃないか。そのために地方負担というものは若干これはふえるかもしれません。で、それがあまりに苦しいために今言ったような寄付に求めるというような行き方は、これは感心しないことでありますし、こういうものに対しては、そのやった結果によってまた将来いろいろの考慮をするという場合もございましょうし、また、これをもとにして国の起債というものもきめるわけでございますが、実情にあまりに合わないという場合にはやはり公共団体の負担金はある程度上がるということは考えられますが、しかし今の地方財政から見ましても、どうしても必要なものを必要な単価でやるという可能性は、私は今は昔と違ってある程度出てきておりますので、何とかこれでやっていけるのではないかと思っております。
○加瀬完君 物価指数や何か上がっているのに、どうして補正の中に入れていなかったかということに対して、答えておりませんから答えて下さい。 名目賃金一九・二%、物価指数が四・五%、三十三年と三十五年では上がっているのに、それを全然ゼロにして計算をしては、これは単価の計算にならないじゃないですか。これをゼロにしたのは、どういうわけかと伺っているんです。
○国務大臣(水田三喜男君) 本年度の予算編成のときに予算単価というものをきめましたが、これはいろいろ今まで経済の見方の論議が非常にございましたが、本年度の物価の上がり方というようなものを実績では四・何パーセントというものが今になって出てきておることでございますが、当初予算のときにおいては、私どもは物価上昇率というものをそうは見ていなかった。大体前年度の予算単価でやっていけるという見込みから、予算単価をきめたわけでございます。
○加瀬完君 事務当局に答えさして下さい。これでは答弁にならない。
○政府委員(石野信一君) お尋ねは三十三年から三十五年までに物価が上がっておるじゃないか、にもかかわらず今回の補正で三十三年から五年までの上昇の分が入ってないじゃないか、それはどういうわけか、こういう御質問だと思いますが、これは先ほど公営住宅の関係でもお答えいたしましたように、要するに三十六年度の当初予算を組むときに三十三年、四年、五年等の情勢を皆考えて、とにかく三十六年度の当初予算がきまり、また三十五年度の予算につきましてもその予算単価で執行が行なわれておるわけでございます。したがいまして、三十六年度の当初予算というものの単価を基礎にいたしまして・補正の問題でございますから、三十五年の六月から三十六年の六月という間の上昇率を考えて−こういうことでございまして、三十六年度の当初予算というものは、これは三十五年度もその予算で、単価で執行を済ました問題でございます。そういう意味においてこう見ております。
○加瀬完君 実情には沿わないね。
○藤田進君 ちょっと関連して伺っておきたいと思います。大蔵大臣と文部大臣に関連でございますから簡単に申し上げますが、今実情を見ますのに、私はかなりこまかく検討いたしまして資料を持っているのですが、内容は両大臣御承知でしょうからこまかくは申し上げません。 先ほど大蔵大臣も答弁されたように、各種の不当な寄付については好ましくないということでありました。私は近き将来に爆発点に達するのではないだろうかと憂うる問題が一つあります。それは今申された単価その他の一連の国の予算に直接関係を持つ問題であるからでありますが、現在国立の大学をとってみましても、おおよそ地方の国立大学あるいは東京における各種国立大学を含めて膨大な民間への寄付行為が行なわれていることは御承知だと思います。一つだけ例をあげれば、阪大の例を見ましても、先般の風水害で研究機械その他が水浸しになった。これが復旧ができないということで、予算が国にないからということで、これまた膨大な寄付が現在、行なわれるならいいですが、要求されようとしております。これに加えて私立、まあ大学で言えば一校でも十億に余る寄付を、計画を立てられまして、これが産業界あるいは父兄という形で、負担に負えない状態になっていることはもう御承知のとおりです。これは科学技術の振興なり、あるいは所得倍増計画といったようなものに刺激されて工科系統の学部をふやすなり、クラスをふやすなんという拡張計画等が中心になっている所要の予算であります。私は、来年度予算の編成期でもありますので、まず文部大臣におかれて——文部大臣幾ら努力されてもお一人だけではなかなか困難な問題であろうと思いますが、せめて国立大学等については、今苛烈に行なわれている。一橋においても学長以下一生懸命今歩いておられる。一々申し上げませんが、こういう醜い物もらいのようなことで一体いいんだろうかどうだろうか、私はよくないと思うんです。これは最小限、寄付にたよらない程度のものまでは国の新規予算編成の中に入れられる必要があるんじゃないか、ぜひそうしてもらいたいと思うが、文部大臣はどう思われるか。関連して大蔵大臣はどういう方向でこれを進められるか。 第二の点は私学の関係でありますが、これまた授業料の値上げについてはかなり抵抗がある。唯一の財源である授業料、これを上げなければ教授陣その他のペース改定ができないというところに差し迫っているのが現状であります。そこにまた、諸般の研究設備を拡張しなきゃいかぬ、科学振興費はわずかしかないというようなことでありますから、国の教育行政予算として、私学に対しても、さらに来年度等については特段の考慮を払われる必要があるのではないだろうか、かように思うのでありますが、以上二点について両大臣の、今後いかにこれに対処されようとするか、具体的にお伺いをしておきたいのであります。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。少なくとも義務教育の問題に関して先ほどお話がありましたように、父兄負担を増すなどということは極力避けねばならぬ、絶無にしなきゃならぬ課題であると思います。 私立大学のほうから先に申し上げますれば、本来私立大学というのは民間の浄財をもってまかなうのが建前だと思います、その本質に立脚して考えまして。したがって、法人からのこれらに対する寄付は特にワクを広げてもらいまして、この春寄付がしやすくなるようにという措置は一応いたしました。それでもまだ、特に技術革新の求めに応ずる点からいいまして、私学に期待する内容実現のためには、もっと浄財が集まる道を考えなければならぬかと思うわけでございまして、その手段が、個人の寄付も税法上特別の扱いができるものなら望ましいと私も思って検討をしておる次第でございます。 国立大学につきましても、ほぼ私立大学と同様のことが言えるわけでございますけれども、しかし、国立と私立は、まるがかえであるのとそうでないのと、基本的な違いがございますから、国の経費でこじきのようなまねをしないで済むようにということをやるべきものだと思います。ですけれども、産学協同というような風潮のもとに、民間からも自発的に浄財を寄付して物にして国に寄付するということも行なわれておるようであります。このことは、あながち当面禁止せねばならないほどのものでもなかろう。それですらも要らないようにすることに努力せねばならぬこととは思いますが、しかし、急速度に技術革新が行なわれ、その求めに応じなければいけないという要請に国の予算だけではこたえ得ない。現実に即してのことでございましょうから、一種の必要悪として目をつぶるような気持もないではございません。
○加瀬完君 来年度は。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) いずれにいたしましても、一般的に申し上げて、無秩序に民間のおかげをこうむるとか、特に父兄負担をふやすというようなことはやるべきではないという考え方で、及ばずながら努力をいたしたいと思っております。
○国務大臣(水田三喜男君) 補助行政はどうしても公平でなければなりませんので、私は、一つの学校へだけ補助をする、予算を強化をするというわけにはいきません。これは必要だと認める以上は、各学校とも同一の施設、同一の研究機関というようなものについても公平に予算をつけるという趣意でやっておりますので、それはそれで大体今予算の査定も公平に行っておると思います。しかも、年々必要予算は私どもは相当強化しておるつもりでございますが、学校によっては、それとは無関係に、何周年記念とかなんとかの記念事業というようなことで、ほかの学校との均衡を害した特別の施設をするというようなものも一般の寄付に求めてやるというようなことは、これはやむを得ないことでございまして、やるなと言うわけにも参りませんし、そうかといって、そういう仕事に対して、特にその学校に特別の予算をつけるということは事実上できないということでございますので、その学校その学校が一般と違った特別な仕事をするという場合は、これは国の予算をもって措置するという性質のものではなかろうかと思います。
○藤田進君 文部大臣のお答えの点ですがね、非常に抽象的にお答えになっておりますが、私はかなり詳しく調べているのであります。産学協同の線でとにかく産業界、いわゆる財界その他から何とか寄付していきたいという希望があって、申し出があって、それじゃ受けようかというのが事実あれば私も聞きたい。たとえば鉄鋼連盟の場合を見ましても、今どうにもならない。査定もできない状態なんです。その他の産業は申すに及ばず、キャッチ・ボールになっておる。日経連の手でこれはやらなければとても鉄鋼連だけではできない。日経連ではなかなか進まないというのが、どうにもならないというのが実情ではないか。したがって、私は、この際文部行政予算としてかなりの来年度は考慮を払われなければならないのではないだろうか。 それから大蔵大臣の言われる点ですが、何周年記念行事、そんなことは禁止すべきではないか、こういうことを私は指摘しているのではない。国立大学のかなり有名校においても苛烈な今寄付に歩かれておる。おそらく国会議員の皆さんにも寄付が来ているのがほとんど——かなりあろうと思います。これは大学の話として一例にあげたので、阪大の場合、この間水浸しになった。これの復旧に予算が足らないという理由かどうか知らないが、寄付を今集められようとして運動されているわけですね。そういうものについても、民間の産業界その他父兄等に寄付をかなり強く要請されておる。したがって、文部大臣のいわれるような、私学が民間の浄財を集めて経営していくということは、これはあり得ると言われましても、官学のほうがかなり強い力で寄付の関係においては、その量において広範な規模において食い込んできておるから、いわゆる私学のほうが民間の浄財を集めることが非常に困難になってきておるのが実情なんであります。ある学校で入りますときに、一日五十万円、大体四日二百万円を寄付することにしなければ入学ができないというのは、もう今年三月であります。来年はどうなりますか。こういう実態でいいのかどうかということなんでありますから、ああいう抽象的なことでなくて、十分考慮される必要がある。一体考慮するのかどうかということを聞いておりますので、再度お答えをいただきたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 少しお答えが足りなかったことをおわびいたします。もともと考えてみますると、技術革新のテンポが早過ぎたために、言いかえれば、それに対する施策が間に合わなかった、考慮が足りなかったことを意味するわけですが、これはある程度、ほとんど予測不可能なくらいの急テンポの技術革新の求めに応ずるにしましては、もっと数年前からの準備が必要であったのにかかわらず、それができない実情に直面したということから、国立大学におきましてもやきもきしていることだと推察いたします。そこで、おくればせながら極力努力をせなければならない考え方で、三十六年度予算にも対処いたしておるつもりでございますが、国立大学の予算要求に関しましては、従来のやり方は、各大学からそれぞれの自治権に基づいた立場で来年度はこういうことをやりたいということで御要望が出て参る、それをいわば集計いたしまして、受け継ぎまして、大蔵省と折衝する、こういうやり方でございますが、三十六年度の国立大学の予算を概算要求しますにあたりまして、ほとんど理工系に関しまする各大学の要望は、査定などということは、よほどの極端に欠陥のあるとおぼしきもの以外は、ほとんど全部を要求いたしまして、これまた、ほとんど全部大蔵省でも認めてもらった内容が三十六年度の国立大学に関する予算でございます。概貌を申し上げればそういうことでございます。三十七年度につきましても同様の考え方のもとに、各大学から出てきました限りにおいては、よほどのことがない限り、それを積算いたしまして要望いたしておるのでございまして、そのほかに御指摘のようなことが現にあることも私も承知いたしておりますが、多くは、産業界からじっとしておれないという気持のものが大量であると私は承知しておりますが、そのほかにも御指摘のようなことがあるであろうことも想像はできます。好ましいことではむろんございません。ですから、今後に対しましては、国立大学と文部省との間にもっと緊密な、建設的な長い見通しを立てた角度からの概算要求の相談がなされないならば、今御指摘に相なりましたようなことを防ぐに値するほどの対策は出てこないおそれは感じます。そういう意味においても十分に検討を加えまして、おしかりを受けぬで済むようにしたいと思っております。 それから、なお私立大学につきましては、先刻申し上げたとおりでございまして、繰り返すようでおそれ入りますけれども、私学は私学としての特色に立脚いたしまして、民間の浄財が中心になって運営されていくことが建前である。しかしながら、科学技術教育の要請は国として私学に期待する、いわば頼んでやってもらうという趣旨もあるわけでございますから、御案内のとおり、多くはございませんが、法律も制定してもらって、その方面の助成費等は支給いたしております。ただ新たな問題としましては、すべての経常費のまかないを授業料のみに依存するというのが一般の私学の実情でございますが、今申し上げるような科学技術教育が特にこの際早い速度で充実され、要請にこたえますためには、私学にも期待ぜざるを得ない。私学に対しましても国の立場から、国民全体の立場からお願いをするという趣旨があるはずだから、したがって、それと見合う限度においては、私学の経常費の一部を国が負担するという理由も立つはずだ、そういう考え方のもとに、三十七年度としては、私学に対しましては新たな概算要求をいたしております。大蔵大臣が賛成して下さることを期待しておるわけであります。
○国務大臣(水田三喜男君) 私は三十六年度の予算のときにも申しましたが、三本の柱、三本の柱と言われていましたが、実質はそうじゃなくて、私どものほとんど力を入れたのは、文教関係の費用に相当の考えを加えまして、二百何十億という予算を今年度増額したといういきさつからもおわかりになりますとおり、私は文教関係については十分力を入れるつもりでおりますし、そういう目で来年度の予算にも対処いたしたいと思います。
○永岡光治君 関連。
○委員長(小山邦太郎君) 関連はそれで終わることにお願いいたします。簡単にお願いいたします。
○永岡光治君 ただいま建築単価のことが問題になっておりまして、これで加瀬委員も一応予算単価についてのことをおしまいにしそうでありますから、関連でお尋ねするわけであります。学校の建築についての予算単価は、今回補正が、若干でありますけれども、なったようであります。しかし、それも実情に合わないが、一体足りない分はどうするのだ、こういう加瀬委員の質問に対して文部大臣の答弁は、それは地方財政等に今後ゆとりもできるであろうから、そちらのほうでめんどうを見てもらおう、こういうような答弁がありました。それはそれとして、しからば、他の官庁における、官公署における建築単価の補正はしていないんだが、それは一体どうするのかということになるわけであります。大蔵大臣にこの点をただすわけでありますが、他の一般官公署の建築単価については、あなたは補正をしないということは、どういう方針でこの調整を合わせようとするのか、予定されている建築を縮小してやらすということにならざるを得ないと思うのでありますが、そうなりますと、たとえば今問題になっております郵政官署に例をとりますと、局舎が非常に狭隘で郵便遅配が起こっている、それをしもさらに縮小するということになれば、ますます遅配を激化させることになる、それはとりも直さず今の政府の責任だ、労働組合の責任じゃないということになるわけでありますが、当然でありますが、そういう点について一体どういう考えを持っておいでになるのか、また、三十七年度以降におけるあなた方の単価の考えはどういうお考えを持っておいでになるのか、明確にしていただきたいと思うのであります。
○国務大臣(水田三喜男君) 官庁営繕のようなものに対しましては、実は関係者間で集まって、できるような実行単価をきめて実施することにしております。その場合、設計の変更とか、そのほかやり方を変えるとか、そういうようないろいろな工夫によって対処できるものはそれでいきますし、そうでなくて、事実上むずかしいというようなものもございますが、これは御承知のとおり、今度の繰り延べ措置の対象に一部は入っておりまして、本年度すぐに着手するのではなくて、これが着手がずれるという場合には、当然来年度においては、実施できるような単価も来年度の予算においてはきめられるはずでございますので、そういう問題とにらみ合わせてやらなければやれないというものの繰り延べ措置ということも行なわれるはずでございますし、そうでなくて、いろいろ設計の変更とか、そういうようなものによって値上がりがあっても実行可能というようなものについては、別に実行単価を関係者の間できめてこれを実施するというようなやり方については、関係省の間で十分な相談をしておりますので、それによって対処したいと思います。
○永岡光治君 実行できないのだから、それは政府の責任だということですね。
○木村禧八郎君 関連。
○委員長(小山邦太郎君) 木村委員は、加瀬委員の質問の関連ですか。
○木村禧八郎君 そうです。進行上。
○委員長(小山邦太郎君) 簡単にお願いいたします。
○木村禧八郎君 関連ですから簡単に御質問しますが、加瀬委員の、補正予算の積算の基礎に関する賃金と物価の質問は非常に重要だと思うんです。今度の補正ばかりでなく、これは三十七年度の予算の積算の場合にも重大な関係があるんです、これは。これについて政府は責任ある答弁を一つもしてないです。加瀬委員は、もう詳細に調べて、具体的な材料を持って積算の基礎を明らかにして、そして政府に質問をしているんですが、何ら責任ある答弁をしてないです。何とかやっていけるんだ、そんなことで答弁になりましょうか。もっとはっきり責任ある答弁をしていただきたい。財源はあるんでしょう。前から言っているように、財源があるのになぜ十分な補正をしないか。もっと正直に——物価補正を十分にしないということは、結局国際収支改善対策の犠牲を、行政水準の低下によって国民にしわ寄せするということなんです。そのことを率直になぜ言わないか。国際収支改善対策の影響じゃありませんか。はっきりそう言われればわかるのですけれども、何かできるようなできないような非常に無責任な答弁をしているのです。加瀬君の計数によって、学校が建設できないこと明らかじゃありませんか。大蔵大臣、もう少し責任ある答弁を。計数に基づいて質問している。これは三十七年度予算に重大な影響を及ぼす予算の積算の基礎の物価と賃金について、詳細に数字を明らかにして質問しているじゃないですか。これに対して、まるで責任ある答弁していない。もっと責任ある答弁をしなければ、加瀬君だって今後質問する上に非常に困ると思うんです。これは議事進行にも関連しますから、責任ある答弁をしていただきたい。
○国務大臣(水田三喜男君) 大体予算というものは、当初予算を組んだあとで若干の物価変動があっても、これは予算を直さずに弾力的に運営していくというのが建前でございます。したがって、予算の範囲内においてできることをするというのが、建前になっておりますので、他の物価が少しぐらい上がったからといって、他の一般のもののここで補正はやらない、こういう原則は、この前補正予算編成の方針として述べたとおりでございます。しかし、どうしてもこれはやらなければならないと思われるものについて、例外的に補正措置をとるのだという方針をきめましたが、その例外的なものとして公営住宅と文教施設というものを政府は選んだわけでございますが、それじゃその二つについてどういうふうな補正をやるかと申しますと、やはり当初予算のときの単価に対して、昨年の六月から今年の六月までに値上がりした建築常用者の賃金あるいは資材、そういうようなものの値上がりの率というものを当初予算にかけ合わせて、そこらを政府補助の基礎にすることが一番合理的じゃないかということできめたわけでございまして、さっきから申しますように、それとちょうど実際がどう違うかと申しましても、これは全国平均の数字で私どもは積算しておるのでございますから、地方々々によっては、これはいろいろなことがあるだろう。しかし、それはそれで何とか対処してもらえるだろうという見込みでやっておるわけでございまして、そう全く合理性を欠いた積算というわけでもございませんし、特に一般はもっと苦しいもののやりくりをしてやっておるわけでございますから、この二つに対して二割程度の単価を是正することによる補助金を増してやることによってこの二つの仕事は遂行してもらおうという措置をとったわけでございますので、そう私どもはでたらめをやっているわけでも、合理性を欠いたことをやっておるわけでも私はないだろうと思っております。
○加瀬完君 具体的に申し上げます。政府の積算の基礎で計算をいたしまして、ある県の、ろう学校の純持ち出し分は七百四十八万、養護学校の持ち出し分が一千九十二万、いずれも建築費であります。こうなります。このように持ち出し分が多くなることは既定の事実。これに対して自治省はどういう対策をお立てになるか、また、各地域における地方の持ち出し分についてどういう推計をおとりになっているか、説明を求めます。
○国務大臣(安井謙君) お話の学校あるいは住宅につきまして、これはあくまで補助事業の単価でございますので、たとえば国や政府が積み重ねていって予算を執行すると同じような工合に各地方団体それぞれいかない面があろうと思います。したがいまして、私どもも、この実際の単価と、それから各地方団体にマッチした単価ができるだけ近くあるということは望ましいことでありますし、それは常に主張しておりますが、あるいは場合によっては必ずしもそういかない場合もできてこようかと思います。今度の単価でもいろいろ議論はございましょうが、やはり一部の物価だけの値上がりをそのまま認めたということじゃなくて、いろいろなものを総合的に勘案して、さらにそれに創意工夫、合理化といったようなものも入れてこの主管省でおきめをいただいたわけでありまするから、私ども地方団体へも、でき得る限りその線に沿ってひとつ創意工夫なり合理化もやって、ぜひ実際に近いような事業をやってほしい、こういうふうに指導はしております。しかし、今まで御指摘のありましたように、ともすれば国で負担すべきものが地方団体の負担にかぶさるという傾向が、過去にもありましたし、現在も絶無とは私ども申し切れません。この点は今後もでき得る限り気をつけまして、そういうことのないように、あるいは過去にあってどうしてもきまっておる分につきましては、この財政規模全体をながめます際に、そういった点も勘案をして財政計画を今までは立てておるようなわけであります。これはあくまでもやむを得ない場合のしりぬぐいということで、今後そういうことのないように十分の配慮を常にやっていきたいと思っております。
○加瀬完君 大蔵大臣、最後に一つ。物価変動がさらに変化を来たす場合は、三十七年度予算では、今いろいろ問題になっておったような項目についての単価補正はまた考えられるのかどうか。
○国務大臣(水田三喜男君) 私は、物価変動ないようにしたいと思って、いろいろな総合策を少しし過ぎるという非難も最近出て参りましたが、ああいう措置をとっておるのでございまして、これ以上変動はないものだろうと思っております。
○加瀬完君 文部大臣に伺いますが、一斉学カテストをなさる目的、また、法的根拠。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) この二十六日に、中学の二、三年に対しまして一斉調査をいたそうとしておる目的は、義務教育の最終段階でどの程度に学力が到達しておるであろうということを知ると同時に、いずれは個人差、学校差、地域差が出てくることと思いますが、その格差が出ました原因が何にあるかということを、なるべく合理的に、科学的に発見いたしまして、その資料に基づいて教育の各種の条件の改善に資したいと、こういう考え方でおるわけであります。 法律的な根拠は、そもそものその必要性の根拠を申し上げまするならば、御案内のとおり、学校教育法に、小中学校に関しましては、文部大臣が教科に関することを定めねばならないという、いわば権限と責任を与えられております。それに基づきまして学習指導要領、全国的な1端的に申し上げれば、画一的な基本線だけは文部大臣が定めまして、それに基づいて小中学校の教育が行なわれるということに相なっておるわけでございますが、その権限なり責任なりを遺憾なく果たします意味においては、どうしてもその実態を把握する必要がある、そのための学力調査であることは先刻申し上げましたが、そのことを実質上の根拠といたしまして、具体的には地方教育行政法と通称されております法律の五十四条二項に基づきまして、教育に関する調査報告を求めるという立場を与えられておりますから、それに基づいて教育委員会に対してこれに協力することを要請する。その調査のやり方、内容等は文部大臣が責任を持ってきめまして、そのことの実施を調査報告の形で実施してもらうことを要請するという考え方に立っております。
○加瀬完君 ただいまの御説明の中にも、学習到達度と教育条件との相関関係を明らかにして教育条件整備の資料とするという意味のことがございましたが、これも確かに目的の一つございますね。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) そのとおりございます。
○加瀬完君 その資料ならば、すでに明らかになっておるではございませんか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) それは五年前からやっておりました抽出テストのことをおっしゃっておると思いますが、むろん三十一年から今日まで毎年やっておりました五%の抽出テストに基づきまして、今申し上げるような、また、御指摘になりましたような目的に応ずる一応の資料はございます。ですけれども、これは全国で五%のものであり、実際は六〇%もの自発的な希望校はございますけれども、資料としてとらえておりますのは五%にすぎないのであり、したがって、一つの参考資料であることは当然といたしましても、万全を期し得ない。もっと全国的の立場に立って、より正確に、より合理的な資料を得たい、そういうことであります。
○加瀬完君 学習到達度と教育条件というならば、傾向で十分だと思います。三十六年の二月に文部省の調査局から数字が発表されておる。それによりますと、地域別、類型別に、商業地域、農業地域、山村地域、一例を三つにとって述べますると、家庭教育費指数は二三五対四七対二七、成績合計点数は二一九・一対一七五・五対一六二・五、こうなっておる。家庭教育費の指数の高いところが学習到達度も高いという数字が明らかなんです。むしろこの対策をどうするかということの方が緊急の要務ではございませんか。再調査する必要はないと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。今まで得ました調査結果に基づいて、努めて教育の場の改善に努力して参ったわけでございます。それはそれとしてすでに活用し、もしくはしつつある事柄が一つのことでありまして、およそ今度の一斉学力調査にいたしましても抽出テストにいたしましても、いわば統計的な成果の信憑性の問題だと思うのであります。統計的な効果を期待しようというならば、調査対象が多ければ多いほど正確度が上がってくると思います。今御指摘になりましたように、今までの調査の結果に基づいて、その限りにおいては、いろいろと分析の結果、ある傾向が出てきたことは確かであります。その限度において信頼性はあると思いますが、さらにその信頼度を高めていく、そして正確を期していく、その正確な資料に基づいて対策に誤りなきを期したいという希望を持っておるわけであります。
○岩間正男君 関連。先ほど文部大臣は、学力調査をやることができるのは、文部大臣の権限の中で、教育に関する調査報告を求める、これによるのだということを言われたわけであります。しかし、これは教育委員会が今教育の行政をやっておりますその結果を統計的に求めるとか、そのようなことなんです。そのような資料の調査報告を求めるということを意味するのであって、あなたが今やられようとしておる学カテストは、これは全く自分で問題をきめ、それを具体的に直接生徒を通してこういう結果を求める、これは教育の内容そのものに直接タッチすることになるのじゃないですか。これはたいへんな問題なんです。文部大臣のこれは権限の逸脱ですよ。こういうことをやっていけば、教育の統制と中央集権を強化することができる、こういうやり方なんです。何ぼでも支配できる、こんな権限はないわけなんです。あなたの調査報告を求めることができるという権限によって、このようなテストまでやって直接教育にタッチできるというこの解釈の仕方というものは、全くこれは拡大解釈と言わざるを得ない。文部大臣の権限の乱用です。この点は絶対に私は当然……。
○委員長(小山邦太郎君) 岩間君に注意いたします。意見を述べるよりも、質問をして下さい。
○岩間正男君 内容にタッチすべきじゃない。また、教育の統制や中央集権をやってはいけないというのが、終戦後におけるところの教育改革の根本原則なんです。この根本原則を踏みにじろうとしておるのです。
○委員長(小山邦太郎君) 質問でなく、意見に属すると思いますから、発言を停止いたします。
○岩間正男君 したがって、これに対してはっきり答弁を願いたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 共産党や、共産党に影響を受けた一部の者がお説のようなことを言っていることは私も承知しております。その考え方が間違っておると思います。先ほども申し上げましたとおり、文部大臣には義務教育の教科に関する権限を固有のものとして完全に与えられております。同時に、裏を返せば責任であります。全国民に責任を負う立場において、義務教育なるがゆえに権限と責任がある。それは小学校については教育基本法二十条、中学校については二十何条か、条文を忘れましたが、小学校については二十条に明記してある。中学校については他の条文に同じ趣旨のことが明記してあります。教科に関することは監督庁が定めねばならない。監督庁は文部大臣とするということが明記してあります。そのことは、それを受けまして学習指導要領を文部大臣が責任を持って定める、それに基づいて教育課程が定められねばならないということは、法律が明記しておるところであります。そのことは教育そのものであります。義務教育なるがゆえに、義務として子供を学校の場に出しております国民に対して、政府が、文部大臣が全責任を持てということであります。したがって、北は北海道から南は沖繩に至りまするまで、基本的な教育内容は文部大臣が責任を持ってやれ、これは法律の命ずるところであります。したがって、その基本的な、共通的な教育内容が、教育の現場においてどの程度に徹底しておるかを知り、かつ、それに基づいて教育基本法の命ずるような教育の諸条件の改善に役立てる責任を果たさねばならない立場に、文部大臣はあると心得ております。その実質的な権限と責任に基づいて、具体的には教育委員会に、先刻も加瀬さんにお答え申し上げましたように、地方教育行政法の五十四条二項によって与えられておる調査、報告の要求権を行使いたしましてやってもらおう、こういうことであります。
○加瀬完君 文部大臣が調査をなさることを否定はいたしません。しかし調査をすることが文部大臣の主たる任務か、そうではなくて、調査されたことについて教育改善に努むるのが主たる任務か、いずれでございますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ちょっとただいま政府委員が連絡に来ておりまして、御質問をよく聞いておりませんでしたので、もう一ぺんどうぞお願いします。
○加瀬完君 調査をすることが主たる任務か、教育改善に心がけることの方が主たる任務か。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 一斉調査をすることも、一つの責任の課題であると思います。その結果に基づいて教育基本法の命ずる教育諸条件の改善の責任を果たすということも、両面二つの目的を持ち、責任の範囲が二つあると存じております。
○加瀬完君 私の申し上げますのは、先ほど文部大臣が目的の一つとしてあげました教育条件と教育到達度の関係は、すでに出ておるじゃないか、たとえば三十六年三月、さっき指定いたしました統計の中にも、四年間に家庭教育費は、平均が二千二百六十六円から四千五百二十二円、一・七六倍も家庭教育費が増加しておる。しかしその増加を地域別に見ると、平均がとれておらない。商業地域、住宅地域といったところは、たとえば商業を例にとれば、二千四百三十九円も上がっておるけれども、農業地域では玉百二十六円、漁業地域は千二百二十二円と、平均が落ちておる。こういう家庭教育費の格差によって、先ほどあげましたように、子供の成績が違っておるという現実が現われておる。これに対する対策を立てることの方が先ではないかと、こう聞いておるのです。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 先刻もお答え申しましたが、御指摘のような抽出調査の結果に基づく教育諸条件の改善の施策は、それに応じて及ばずながらやって参っております。それから今御指摘のように、抽出調査の結果が物語ります範囲内においては、一応お話のようなことが指摘されるということでございますが、わずかに五%の抽出調査だものでございますから、各都道府県ごとに見てみますと、ある県のごときは、同一類型の学校は一校か二校しか指定できないということのために、その県だけの大勢を知ります根拠としましても不十分であることは明瞭でございます。同じことを繰り返しておそれ入りますが、統計的な成果をより信憑性あるものにします意味におきましても、その対象校は多ければ多いほどいいということは、これは常識的にも御納得いただけるかと思いますが、そういう角度から、すでに出ました成果については、極力これを活用することは当然としまして、さらにこれを今後に向かって、より根拠のある、正確な、成果の物語るものに基づいて改善に遺憾なきを期したい、こういうことでございます。
○加瀬完君 この教育条件に関する調査は、抽出調査じゃありませんよ。指定統計による調査ですよ。点数は抽出調査の点数ですけれども、教育条件の調査は、これは指定統計の調査です。抽出じゃありません。それで見ると、商業地域では、校費が一万五千五百五十五円、これに対して父兄の負担は一万六千四百三十七円、一〇五%が父兄の負担。漁業地域を見れば、今度は五四%が父兄の負担、で、漁業地域の一万四千百七十一円という校費は、商業地域や住宅地域の父兄の負担よりはるかに低い、こういう現実はすでに毎年の統計で表われている。これに対する手をあなた一つも打たないで、一斉調査ばかりやったっておかしいじゃないか、こういう意味です。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 指定統計は、法律に基づいて義務としてなされる統計成果で、もちろんそれに基づいていろんな案画をいたしておるのであります。今の父兄負担等につきましても、その結果に基づいて、これではいかぬというので自治省とも相談をいたしまして・一定の経費が今まで父兄負担のままに放置されておったことは望ましくないから、地方財政計画の裏づけをしながら、父兄負担にこれを付してはなりませんぞという措置をいたしましたのも、それらの成果に基づいて、及ばずながら対処しておる一つの表われでございます。その他一々具体的なことをちょっと申し上げかねますけれども、常に指定統計の結果は参考とし、あるいは抽出テストの結果も参考といたしましてそれぞれ処置をいたしておるつもりでございます。
○加瀬完君 この学習到達度の格差を縮めようとするのには、まず教育財政の格差を縮めることが先だと思う。そこで、各市町村間の教育経費の開きをあなた御存じですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ある程度の格差があることは承知していますが、今すぐ私から具体的に数字をあげてはちょっと申し上げかねます。必要ならば政府委員からお答えさせていただきます。
○加瀬完君 どうぞ。これは指定統計に出ているんですからね。知らないとは言わせない。
○政府委員(内藤誉三郎君) ただいま御質問になりました各市町村の教育費の分と父兄の教育費の負担額につきましては、資料がございませんので、あとで取り寄せて御返事申し上げます。
○加瀬完君 これは、昭和三十五年に各都道府県の教委に依頼をして調査をした統計で、すでに出ているはずです。 じゃ具体的に聞きます。ある県のある町村で人口一人当たりの教育費の一番高いのは三千九百四十九円、一番低いのは四百九十二円、この原因は何だと思いますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 調べませんとお答えできません。
○加瀬完君 調べて答えて下さい。 私の質問しますのは、一斉テストなどというものをやる前に、すでにこういう明らかなる統計が、文部省で集められておる。これに対する対策を何もしないで、一斉テストばかりやっても意味ないじゃないか。財政格差を縮める対策があるかないか、この開きを知っているのかどうかということを聞いているのです。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 事務当局をして調査せしめませんとお答えできませんから、その点はお許しいただきます。ところで、それはそれといたしましても……。
○加瀬完君 それだけ答えてくれればいい。それ以外は質問しません。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 一斉調査は、今申し上げたような趣旨で、他のもっと高い、徹底した効果を期したいというねらいとしてやろうというのでございますから、今までの資料についてどうしたかということと、新たに一斉学力調査をすることによって何を期待するかということは、別個に御理解いただけようかと思っております。
○加瀬完君 これはあとで聞きます。
○政府委員(内藤誉三郎君) 今お尋ねの地方の教育費の負担につきましては、各府県、市町村の財政のアンバランスにもよると思うのでございます。そこで文部省といたしましては、自治省に御相談いたしまして、標準の教育費はできるだけ確保いたしますように、地方交付税の算定基準におきましてその格差を是正するような措置を講じておるのでございます。
○加瀬完君 全くでたらめです。ある市を例にいたしますと、地方の予算の中の四三%を教育費に支出しておるところは、税収は一番低い。税収の一番高いところは九・九%しか出しておらない、こういう事実がある。これは自治省大臣もひとつあとでお答えいただきたい。これに対して行政指導を何もしてないじゃないですか。税収が一番多いところが九・九%、税収の低いところが四三%も経費をかけておる。町村の開きは、さっき言ったように三千九百四十九円から四百九十二円の開きがある、こういう財政を行政指導をしないで、学習の程度が開きができるのは当然じゃありませんか。
○国務大臣(安井謙君) 地方団体におきまして文教費の占める割合が、貧弱府県において負担が非常に多い、これは御存じのとおりでございます。したがいまして、自治省としましては基準財政需要を計算いたします場合に、できる限り交付税の算出に際しましてこの増額を逐年見ておるわけでありまして、したがって税収だけから言えば五〇%とか四〇%とかいうのはありましても、総額の基準財政需要収支からいえばつじつまが合うように配慮をいたしておるつもりであります。
○加瀬完君 つじつまが合わないから聞いておるのですよ。たとえば千葉県を例にとりますと、習志野が二千八百四十八円、市では一位。しかし税収ははるかに低い。税収で一番多いのは茂原、ところがこれは十七市があるうちの十六番目。九・九%出しておる。人口一人当りの平均もはるかに低い、これはおかしいじゃないか。これに対して何ら行政指導が行なわれないのは不思議だ、こう言っておる。
○国務大臣(安井謙君) 地方財政の全体の規模は、御承知のように税収だけじゃないのでありまして、基準財政収入額と基準財政需要額を計算いたしまして、それの不足分を地方交付税で補給しておることは御承知のとおりでございます。したがいまして、全体としては、大体ならして、財政規模に全部入れておるわけであります。
○加瀬完君 教育費だって同じだ。
○国務大臣(安井謙君) ですから税収に比べれば、今のような御批評は出ましょうが、財政全体からいえば、それぞれ必要な計算をいたしてやっておるわけであります。ただ、先ほどもお話しのような、たとえば税外負担を地方のPTAなり父兄が持っておる、こういう状況は従来からもあったことは事実であります。なかなか思うように計算どうりいかないという事情はございましたので、三十五年度以来数十億そういったものの穴埋めのための特別の経費計算もやってきておるわけであります。特に三十六年度は貧弱団体に対する学校の光熱費その他の諸経費の見積りもだんだんとふやして参っております。しかし、今の御質問のようなものが全然なくなっているかというと、これは確かにまだ残っておると思います。これは来年以降におきましても逐時厳正な方法で、なくしていくとともに、でき得る限りそういったものに対する財源措置も考慮していきたい、こう思っております。
○加瀬完君 そういう御説明なら、なおおかしい。ある程度同一条件の財政なら、人口一人当たり三千九百四十九円と四百九十二円という教育費の差が出てこないはずじゃないですか。こんなに開きが出るということはおかしいじゃないか。財源は補てんされるわけなんでしょう。おかしいじゃないか、こういう議論が出る。なぜもっとこれぐらいの規模の町村ならこれぐらいの教育費を出さなければならないという行政指導が行なわれないのか。統計だけとったって、あとの指導もなければ、何のための統計か、こう言いたい。文部大臣言って下さい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先ほど御指摘の数字的な差異は、先刻の自治大臣の御答弁で一応御理解いただいたかと思いますが、義務教育の経費というのは、父兄負担は別としまして、その他の経費というものは義務教育なるがゆえに、国があるいは半分持つ。税金ならば三分の一か二分の一か、それぞれの制度に応じまして国が負担する部分はきまっておる。またそれに応じて公共団体みずからが出資者の立場において負担すべきことも、制度上きまっておるわけでありまして、その点には地理的な差がかりにあるといたしましても、原則的には差異あるべき筋合いのものではない。そういうものだと心得ております。
○加瀬完君 そういうものであるにかかわらず、公費においてもこういう開きがあるのはおかしいじゃないか。それからさらに、先ほど一番初めの質問をした家庭教育費で見れば、商業地域、農業地域、山村地域は、九対二対一になっております。私の費用でも教育費が段階がある。公の費用でも段階がある。これでは教育そのものの到達度がばらばらになってくるのは当然でしょう。こういう統計をとっておって、なぜ一体指導しないのか。
○国務大臣(安井謙君) ただいまのを少し補足いたしますが、単価で計算されますと、小さい団体については一人当たりの教育費が割高に総体の経費からなるわけであります。したがいまして、小さい団体については財源は、非常に税収は少ない。一人当たりの単価は割高だということから、えらく開きが出るような感じを持たれるかもしれません。しかし基準財政の需要の計数を定めます際には、小さい団体、大きい団体、おのおの人数等によってそれぞれのウエートをつけてやっております。そういった点については、全体の財政からいえば、そう大きな矛盾のないように配慮しておるわけであります。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 具体的に一々どんな場合にどういう指導をしておるかと、私は全部記憶しておりませんので、具体的にお答えせねば意味がないと思いますから、政府委員からお答えさせます。
○政府委員(内藤誉三郎君) お尋ねのように学校の規模によりましていろいろと公費の負担が違っております。私どもはできるだけこれを整理いたしまして、学校規模別によって標準の財政規模を示して、それに到達するように指導いたしております。
○加瀬完君 内容一つもわかっておらんですよ。学校の名前わかりますか。町村の名前わかりますか。私は自治省の示した五千から八千、八千から一万五千、一万五千から二万五千と、こういう人口規模の同じワクの中の二つの町村を集めて統計をとった。ですから自治大臣の言っておることとは違う。それで、わからないことを聞いたって仕方がないから、文部大臣の所管の直接的のことを聞きます。国庫補助金の中で工業高校の整備分を、これを一億九千三百万円取りましたね。これは一県平均幾らになりますか。一都道府県の平均。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) これも恐縮ですが政府委員からお答えさせていただきます。
○政府委員(内藤誉三郎君) 約二億円ですから、一県平均は大体四、五百万円でございます。
○加瀬完君 二億円ないし三億円かかる工業高校に四百万円平均の補助金をやって、一体学校ができますか。
○政府委員(内藤誉三郎君) これは初年度の分でございまして、もちろん工業学校を作る場合には、実験実習の施設や設備も要るわけでございまして、そういうもの全部ひっくるめますと、一億ないし二億くらい、あるいは土地までを含めますと三億毛かかるでしょうと思います。で、私どもの考え方といたしましては、今年度予算で実験実習の施設と設備につきましては、従来につきましては、従来産振法の関係で、三分の一負担でございましたが、これを二分の一負担に引き上げたわけでございます。その経費が別に約三億程度あるわけでございます。で、今御指摘になりましたのは、従来全部地方負担でございましたのを、初めて工業学校の一般校舎については三分の一の負担をしたということで、いわば芽を出したわけでございまして、これは初年度でございまして、工業高等学校は三十六年で完成する必要もないので、三十六年、七年にわたって、三十八年からの生徒急増に間に合うようにするわけでございますから、三十六年度限りで工業学校を完成するという意味ではございません。
○加瀬完君 初年度でも四百万で三分の一という計算がどうして出るのですか。さらに聞きますが、工業高校を別としても、昭和四十年のピーク時には、高等学校の生徒は百二十万、少なく見てもなるわけですね。二十万工業高校に入れるとしても百万は残る。この百万の対策というものを地方は着々と立てていかなければならぬ。工業学校を建ててもあまり補助金が来ない。普通高校を建てるにはさっぱり文部省に対策がない。これは今後どうしていきますか。
○政府委員(内藤誉三郎君) 現在の中学校卒業生から高等学校へ行く進学率は約六割でございます。この進学率を今後生徒の急増に対して保証するためには、どうしても三カ年間に百二十万程度の収容をはからなければなりませんので、百二十万のうち約四十万のほうは私学のほうでまかなっていただく計画になっているのでございます。残り八十万につきましては府県から報告を全部とりまして、これに基づきまして今日二十七年度予算に文部省が予算要求をしている基礎になっているわけでごさいますから、ぜひこの八十万の分は、一部分はすし詰めのものもございまして、二十万程度はすし詰めの程度のものもございますが、残りの二十数万は新設でございます。あと四十万程度のものが既設の学校への学級増加でございます。これに必要な予算はただいま申しましたように三十七年度予算に要求しております。
○加瀬完君 この対策では、大臣が答えて下さい。今の問題は大臣がお答えになって下さい。政府委員ではしようがない。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいま政府委員からお答え申し上げましたとおりでございまして、すでに御案内のとおり、高等学校のピークは三十八年から、八、九、四十とピークが移っていく勘定でございますが、従来は、その年に生徒がふえました対策は、その年の年度の予算で処置するという慣例でずっと来ておったようでございます。それではとても少なくとも一年間は青空教室たらざるを得ないから、それではいけないというので、三十六年度予算には一部しか計上できませんでしたが、三十七年度と三十六年度と合わせて三十八学年初頭に児童生徒に迷惑かけないようにという考え方でやっておるわけでございまして、三十六年度に思わしい成果が上がりませんでしたと私どもの側では思っております。その足らざる分は、三十七年度に合わせて概算要求で大蔵省の承認を求めたいという考え方でやっております。
○加瀬完君 今までの高等学校の費用というものは、三分の一が公費、三分の二が私費です。改善するというけれども、文部大臣、大蔵大臣、この府県負担などの三分の二というものはこの際解消するというお考えかどうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申します。高等学校は設置責任者が都道府県でございますので、従来は原則として都道府県みずからが自治的に施設設備を整備するという建前であったわけでございますが、工業高校等のいわゆる産振法の適用を受けます分については、すでに御案内のとおり、数年前から立法措置までも講じていただいて、国が幾らかを補助する、三分の一ないしは二分の一の補助をやるということでございましたが、さらにまあいわばこの生徒急増というのはさかのぼれば終戦のまあ終戦処理ともいうべき性質も持っているわけですから、本来、都道府県が設置義務を負担している学校ではあるけれども、その一種の終戦処理的な時期、終戦処理的な考え方で受け取るべき生徒急増に対しては、国もやはり責任を分担してしかるべきではないか、こういうふうな考え方で工業高校の校舎についても三十六年度から三分の一の国庫補助をしてもらいますと同時に、できれば普通圏校につきましても、その急増対策分に限っては少なくとも校舎に補助をしてもらいたいという考え方を文部省としては持っておりましたが、予算折衝の過程において大蔵大臣に抑えられましてできませんでございました。それでこの希望は私は捨てておりませんので、三十七年度の概算要求にひとつ大蔵大臣の再考を願いたいという内容のものを概算要求いたしております。
○国務大臣(水田三喜男君) 今、義務教育とは違って高等学校は設置責任者が府県でございまして、設置者が負担するというのが原則で今までやって参りました。しかし、今文部大臣の言われるような意味もございますので、工業高等学校というものについては、今までの原則を破って国が補助するのが適当だろうということで、この三十六年度の予算編成から一部そういう方針をとってきたわけでございますが、これはこの方針で三十七年度の予算編成にも私どもは対処したいと思っております。一般高校という問題はこれは大きな問題でございまして、そう簡単な問題ではないと思います。
○加瀬完君 簡単な問題ではないから聞いているのですから答えて下さい。どうするか、大蔵省は。
○国務大臣(水田三喜男君) 義務教育の設置責任者が市町村であり、府県が高等学校の設置者になっておりますので、現に市町村もその責任を果たしている以上、府県が高等学校の設置ぐらいの責任が持てぬということもないし、持つのが当然でございますし、そういう建前で今日できており、そのために府県のいろんな財政については交付金制度もできておることでございますから、学校と名がつけば国立大学から全部国がこの設置の責任を持つという性質のものではございませんので、普通高等学校程度はこれは府県の責任において運営するのが私は当然だろうと考えております。
○加瀬完君 自治大臣に伺いますが、今大蔵大臣のような構想で、地方が高等学校の設置をなし得るところの財源的な余裕があるのですか。この裏づけを一体今後どう考えるのですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 府県の財源的余裕と申しましたら、ほとんど府県固有の収入というものは今何%ですか、あなたの御存じの千葉県で見ますというと、千葉県固有の収入というものは四十億円しかございません。国の交付税その他で百億以上をもらって府県のこの運営をやっておるという状況でございまして、府県運営のために金の足らないことはもうあらゆる部面において、公共事業におきましても、文教事業におきましても、全部足らない。それを解決するために交付金制度というものができておるのでございますから、学校設置の力が府県にあるかないかという御質問に対しては、もう最初からどこの府県にも府県自身で運営していく財政力はないということはわかっておるのでございますから、国がこれを全般的に援助するという方法をとっておりますので、こういう制度の中で、府県が持つべきもの、府県がやるべき仕事は、当然府県がやっていくという筋を貫いて少しも私は差しつかえないじゃないかと思います。
○加瀬完君 そうすると、単位費用のワクの中に、新設高校の分というものは本年度よりも多く、幅を広げた形で国のほうでは考えてもらえると了解してよろしいですね。
○国務大臣(安井謙君) 先ほども文部大臣もお話しになりましたとおり、この高校急増分に対する処置としては、これはなるほど、高等学校は地方団体の責任でございまするから、地方団体において処理すべきものだという議論でありましょうが、少なくとも急増の分については国が相当額を見るべきものであるという建前は、お説のとおり私ども考えておるわけでございます。しかし、これもまあ限度がございますので、その点につきましては、起債その他でいろいろと工夫をしておるわけでございます。 さらに、交付税の中にそういうものを見ておるかという点につきましては、むろん経常費の増でございまするから、人数の増、あるいは備品費の増、そういったものに対する計算は見ておるわけでございます。
○加瀬完君 文部大臣にあらためて伺いますが、この一斉学カテストにおける評価という作業は、教育活動か教育事務か、いずれですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 地方教育行政法の用語で申し上げれば、御承知のように、三十三条でございましたかに、この法律でいうところの教育に関する事務の具体的内容を列挙しておると記憶しておりますが、あれが教育に関する事務の内容と一応了解せざるを得ないと思います。したがって、その点から申しますと、教育に関する事務の一部である、こう思っております心
○加瀬完君 あなたの引例の法律からすれば、事務にはならないでしょう。指導要録へ一斉テストの評点を記入するということが、調査事務になりますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申します。先刻お答え申し上げたことをもうちょっと繰り返さしていただきますが、教科に関することは文部大臣が責任持って小中学校についてはきめろと、(加瀬完君「それはいい、きめることは」と述ぶ)その権限、責任の流れとして、指導要録というものが、学校教育法の施行規則に基づいて通達されております。その中に、標準検査に関する事項というのがあって、民間のものといえども信憑すべきもの等があったら書き込みなさいという欄がたしかあったと思います。あの欄の中にテストの結果を記入するということでございまして、調査の内容をなすものと存じます。したがって、民間のものすらも信憑性のあるものは書くくらいですから、国が責任持って法律に基づいてやろうとする今度のテストの結果は、当然に指導要録の中に書き込むに値する信憑性のあるものと考えるからそのとおりにして下さい、こういうのであります。
○加瀬完君 信憑性があるかないかということと、書き込むべきものかどうかということは別問題。 それでは伺いますがね、評価という言葉が、法令のどこにどう記されておりますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申します。先刻お答えしたとおりでございますが、学校教育法第二十条、これに、教科に関することは監督庁が定めねばならないということに相なっております。中学校につきましては、数カ条あとに同じことが書いてあると承知しております。
○加瀬完君 違います。あなたは、指導要領も文部省できめられるから、あなたの議論だというと、指導内容も、具体的などんな命令でも出せるという見解をとっている。そうじゃない。限界点をきめなければならないから、指導要領というものでワクをきめて、指導要領の内容の教育活動の主体は学校にまかせている。その指導要領の中には、第七項に、指導の成果を絶えず評価し、指導の改善に努める、こう書いてある。明らかにこれは教育活動である。教育活動に文部大臣はタッチすることはできないはずですよ。できますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申します。教育活動の基準を示して、それに従いなさいという権限は、学校教育法二十条等から当然出てくるものと思います。
○加瀬完君 あなたは免許証もなく授業ができますか。何のために免許証というのがあるのです、免許法というのがあるのです。免許法による免許状を持たなければ教育活動はできないのですよ。で、指導要領の中には、評価というものは教育活動のワクの中だということを規定してある。あなたがどういう権限があっても、指導要領の中身に立ち入ることはできないのです。そうじゃやありませんか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 一たん定めました指導要領は、文部大臣といえともそれを尊重してやらねばならぬことは、これはまあ当然だと思います。その指導要領、それに基づいて行なわれる教育の場において、かくあるべきことは、指導要領そのものが列記しておるとおりの内容において、それに基づいて、その他のまた法律権限を与えられましたものに基づいて、教育の場の教育活動はこうあらねばならぬということが一々定められて行なわれておると承知します。
○加瀬完君 だから、定められておる指導要領の定めに従って評価というものを教師自身が行なうべきものだときめられておるのです。これをあなたは調査事項ということで、事務的にやれと、こう言っているのでしょう。そういうことは成り立たないのじゃないかというのです。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 本来の建前としては、今申し上げたとおり、御指摘のとおりと思います。ですけれども、毎々繰り返しておそれ入りますが、教科に関することを責任もって定め、かつ行なわれることを確保しなければならない責任があわせてあると了解しますが、そういう立場に立って、その定めました指導要領がどう行なわれておるかということを確認し、先刻申し上げましたとおり、その確認に基づいて教育諸条件の改善をするということのために調査する権限が当然ある。その調査を求める根拠は、五十四条二項に基づいて権限を持った教育委員会に文部大臣は要求する権利を与えられておる。その教育委員会の本来持っております権限の作用として、学校に特にそのことについて指導し、実行することを要請する、そういう関係に立つと理解します。
○加瀬完君 指導要領の中のことは教師にまかせてある。指導要領の中のことで改善その他の意見を求めるというときには、文部大臣は教委なり現場なりに教委を通すなりして委託し、委嘱して調査をすべきなんだ。調査権というものがあって、何でも調査していいということにはならない。あなたは五十四条の二項を出しておりますが、五十四条の二項で、文部省が調査を強行する権利、教委が文部省の命令に従わなければならない義務がどこに規定してありますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 五十四条二項は、文部大臣が教育委員会に対して調査報告を求める権限があることを示しておると思います。権限があることは、裏を返せば、教育委員会側にとってはそれを実行する責任、義務が生ずる、そういう関係だと思います。
○加瀬完君 調査は二つの大筋がある。五十四条二項で調査をする権限というのがありましょう。しかし、指定統計というのがある。当然基本的な調査をしなければならないものは指定統計できまっている。五十四条の二項というのは、それから見ると、これは委託事務、委嘱調査、そういう考え方に立たなければならない。しかし、二点として指摘したいのは、調査要求の、かりにあるとしても、対象は教育に関する事務だ。評価をして指導要録に書くというのが教育ですよ。教育を命令する権限はあなたにはないです。教育の内容まで命令するという権限があると、五十四条の二項にどこに書いてありますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。教育に関する事務という地方教育行政法の用語の中には二十三条で内容を具体的に列記しておると承知します。その列記事項の中から、今度の教育調査のごときことが命令し得る。すなわち五十四条二項にいう教育に関する事務は、二十三条にいう事務の内容を当然考えあわせた用語であるはずでございますから、その意味であると申し上げるのであります。 なお、指導要録に記入することそのことが教育活動である、それはそうだと思います。ですけれども、その教育活動の全般は、すべて標準検査の記録のみならず、小学校六年、中学校三年間、先生が現場でもって教育活動をなさったその成果が、各科目ごとに評価されたものが記録されることから始まって、家庭の事情等、ことごとく記録することになっておりますが、その指導要録の内容の規定そのものは、先ほど申し上げました学校教育法二十条その他の、文部大臣に義務教育なるがゆえに与えられておる権限と責任に基づいて、学校教育法の施行規則から委任を受けました形で、通達の形で指導要録のひな形等を、こう書きなさいよということを指示いたしておるのであります。包括的なそういう指示権を与えられておる作用として指導要録ができ上がっておる。したがって、標準検査の記録の中身はこういうものですよ、こういうものもむろん信憑すべきものとして記録すべきものですよという注意を喚起し、そうさせる権限と責任が文部大臣には学校教育法上与えられておる、こう考えます。
○加瀬完君 そういうばかな考え方を当然だと思っていることがおかしい。文部省設置法には何と書いてある。「別段の定がある場合を除いては、行政上及び運営上の監督を行わないものとする。」とあるでしょう。しかも、五十四条二項ばかり、あなた言っているが、四十八条には文部省の立場は指導、助言であって、指導、監督ではないということがはっきり明記されているじゃないですか。法律をきめたからといって、きめたものが、法律の内容や命令の内容を自由にきめていいという権限はない。ワクをきめて、ワクの中は教師自体の教育活動にまかせられている。指導、助言はあり得ても、命令で、これを書くならこう書きなさい、こういう権限があると考えることはこれはおかしい、そうじゃないですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私は今おっしゃる意味ではおかしくないと思います。すでに何度も申し上げておそれ入りますが、評価に関する権限が、包括的な固有のものとして、義務教育なるがゆえに文部大臣に与えられておる。その当然の作用として、指導要録のひな形までも作って、それを通達の形で全国に指令をいたしております。それに基づいて指導要録というものは作られ、記入されねばならないとする義務を履行しつつあるのが現状だと思うのであります。したがって、この教育活動の一部であることは当然でございましょうが、指導要録の中の標準検査の記録というものは、民間のものといえども、信憑性のあるものは書きなさいとなっております。民間のものすらもさようであるならば、特にまた部分的たらざるを得ないのが今までの民間の検査の実情であったと思いますが、それを抽出調査の経験にかんがみて、希望校が六〇%にも現に及んでおる。これをさらに歩を進めてすべての学校を対象とするならば、先刻も申した通り、より一そうそのテストの効果が正確であろう、正確なことを物語ってくれるであろうということを期待してやるわけですから、民間の調査すらも、信憑性があるものは書くことを当然としておる指導要録の標準検査の記録の中には、今度行ないます一斉調査の記録が当然入ってこねばならないものでありますよ。ということは、私は文部大臣の権限と責任の範囲から当然のことだと思います。そのことを要望しますのは、先刻申し上げました、その五十四条二項の調査、報告要求権に基づいてやる。
○加瀬完君 要望は勝手ですよね。しかし、これを命令として出すことは、あなたにそういう権限はありませんよ。命令として服さなきゃならない義務もありませんよ。民間のことをとる、とらないは、これは教師の自由です。今度の一斉テストをとる、とらないも教師の自由です。そこで、私ははっきりあなたに答えていただきたいのは、文部省設置法が作られたときに——帝国議会でありましたが——どういう論議が行なわれたか、御存じですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今存じておりません。
○加瀬完君 教育基本法が作られてですよ、不当なる支配ということが問題になりましたとき、時の文部省の政府委員は、次のように答えております。過去の事例としては中央集権的な文部行政における官僚の影響、軍部及び一部の政党の干渉、地方における内務官僚の及ぼした影響、将来の問題としては官僚の弊と、こう言っている。書かれている。そこで、官僚の弊、文部行政の弊というものを再び起こさないようにというので、指導、助言にとどめて、文部省設置法というものが作られている。これをあなた、どう考える。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今御指摘になりましたことは、当時そういう論議があったろうと、想像にかたくはありません。そういうものがあったと思います。それは本来旧憲法のもとの日本の教育は、天皇の大権事項としてことごとく掌握された形で実施されて、当時の帝国議会の協賛を経た法律に基づいた教育に関する法令というものはなかったのであります。ことごとく大権事項の発動として行なわれた。そういうことから、以前の、戦前の教育の場を官僚が云々ということは、行き過ぎ等があったに違いない。あるいは、軍閥その他の、当然の関与すべき立場にない者の実際上の影響があったかもしれない。それは私は想像にかたくないと思います。ですから、そういう不当な介入を許さないということはよくわかります。ですけれども、教育基本法がいうところの不当な介入というものは、新憲法に基づいて、そして国権の最高機関が、国民、主権者にかわって定めました法律そのものに——先刻指摘しましたように、義務教育であるがゆえに、建前は地方分権が原則ではあるけれども、例外として、教科に関することは、文部大臣が先刻の、権限として、責任として、全国民にそれを通じて責任を負わなければならないぞと留保されている、その権限を行ないますことは、何ら不当な介入でも何でもない。それに従ってやるのでなければ、私は教育基本法の趣旨に、むしろ反する、法律にも反することだと、こう理解します。
○加瀬完君 文部大臣はですよ、法律できめたワクの中で行動する以外の権利というのはないわけでしょう。それで、地方教育委員会というのは、実質的に地方の教育の担当者であります。しかし、地方教育委員会にも、包括的な管理権は持っておっても、教育の主体性というものは別にあるのだから、これにむしょうやたらに干渉してはならないというのは、これは管理規則で大ワクをきめて、この中は教育活動にまかせるということにきめてある。指導要領もそうきめてある。管理規則もそうきめてある。指導要領の中できまっているワクと、管理規則できまっているワクで教師が行動するのに、文部大臣は命令によってこれを変更するということができますか。あなた、労働基準法の十五条並びにその施行規則の五条というものをどういうように見ておるのです。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。正確にちょっと申し上げかねますけれども、労働の要件、労働の場所、そういうものが明記されておらにゃならぬというふうな趣旨の規定であったかと心得ます。
○加瀬完君 法制局長官は労働基準法第十五条及び同法施行規則第五条は、地方公務員にも適用されると、ちゃんとこう判断を、下している。そうであるならば、職員は法律、命令、規則による職務を担当する以外の義務は負わないとなっている。ですから学校管理規則などにきめられておる職務を遂行しておるのに、これに対してお前は違反だから、お前は命令にそむくからと言う権限は、文部省はないわけです。どうですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先刻、文部大臣といえども、教育委員会も同様でございましょうが、法令に基づいてしか言動をやっちゃいかぬと言われることは、これは法治国として当然のことと思います。同時に、教育の現場を受け持つ先生たちも、法令の規定に従って行動せねばならぬことも、これまた言わずもがなのことであります。そこで、法律に基づいて先刻申し上げたような権限がすでにして与えられておる。それを確かめるというか、その責任を果たすために当然なさねばならないことの一つとしての学力調査、そのことは地方教育行政法の第二十三条で「教育に関する事務」として具体的にあげておる中に入っておる。そして同時に先刻のことの繰り返しになって恐縮ですけれども、五十四条二項にそういうことについて文部大臣は教育委員会に調査、報告を求める権限が与えられておる。そういうことは、教育委員会が学校の管理規則を定めるにつきましても、当然念頭に置いて定められておるはずであります。もしそうでないとするならば、そういう文部大臣に与えられた権限に基づいての調査、報告要求が、管理規則のゆえにばったりどうにもならないことに定められておるとするならば、その管理規則は法令に違反した部分があると指摘せざるを得ない。それはお尋ねの部分ではございませんけれども、ものの道理は私はそういうふうに理解いたします。したがって、管理規則上は学校における教科課程のことは、届け出をもって足りるとしておるのが一般の管理規則だと承知いたしておりますが、それでもなおかつ文部大臣の学校教育法に基づいて持ちます権限と責任を果たすためにどうしても必要であるその教育調査を、五十四条二項に基づいて調査、報告を求めます限りにおいては、教育委員会はその要求に従わねばならない。そしてまた教育委員会は、みずからの持っておる学校管理に関する包括的な権限に基づいて、管理規則は一応原則的には届け出とございましょうとも、その届け出られたる教科の計画を変更、してでもそれをやらせるという権限は、教育委員会にあると思います。あらなければ包括的な管理権はないことにひとしいのであります。学校に委任してあるところの管理規則そのものは、教育委員会が持っておる全権限をあげて委任したはずはないわけでありますから、ことに、さっき申し上げましたように、繰り返しになって恐縮でありますけれども、文部大臣は本来そういう調査、報告の権限を持って要求できる、それには従わねばならないという法体系のもとにおきましては、当然教育委員会というものはそれを受けて、包括的な管理権の発動としてこれに協力するという立場に立つものと思います。
○加瀬完君 三十三条では管理機関の側から学校管理者の管理権の内容とその行使の態様を客観的に規制し、包括的な管理権に自己規制を加えることによって教委と学校との両者の全権限を明確にし、学校の主体的教育活動の促進をはかるのがこの法のねらいであると、こう文部省は説明しておるわけです。そのとおりでしょう。したがって、包括的だからといって、何でもかでも教育活動の中に入ってはいけないから、管理運営規則を定めてワクをきちんときめて、そのワクの中の教育活動は学校にまかせる、こういう方法で指導しておる。そこで、文部省が準則を出して学校管理規則はこう作りなさいといって作ったものによれば、御存じのように指導計画並びに教科課程は、これは校長が定めると、こうあなた方作らした。したがって、届け出ればよくて、変更の権限もこれは学校側にあると、こういうふうなあなた方は指導をしたのです。だからあなた方の指導されたとおりのワクの中で教育活動をやつているのに、ああやれこうやれという権限はありようはずはないじゃありませんか。それからあなたの先ほどから指定している指導要領の中には、教科というものは学習活動の重要な部門として指定している調査事項じゃないのです。教育活動は文部省も教委もやるべきものではない。指導の免許証を持っている教師がやるべきものだ、それをあなたが命令を出すという権限はないのです。あなたは教委に命令を出すという権限もなければ、学校に命令を出す権限もない、あるとすれば教育基本法の違反だ、こう言わざるを得ない。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今おあげになりました教育委員会の管理規則は——それは本来包括的な学校に対する管理権は教育委員会にあることは法律の建前であるのでありますが、だからといって、学校に対してそのつど主義で、朝令暮改的な具体的一々の指導がなされて教育活動が行なわれることは、現実に合わないのみならず、不当であることは当然でありますから——一つの準則として通例の場合に当然考え狩る範囲のことは学校長に委任する意味において管理規則というものが定められておる、こういう関係だと思います。しかし、だからといって、先刻もちょっと申し上げましたが、包括的な管理権限に基づいて学校長に対して教科課程の編さんを掛け出によらせて、それでけっこうだ、それでやって文句ありませんよということをやらしている反面において、法律に基づいて教育委員会が当然やらなければならない管理権の発動として学校の協力を得なければやれないという事柄は、法律上それ以前の問題としてはっきり存在するわけであります。他の例をもって申し上げれば、たとえば文部省令を出しても、文部省が定める文部省令であるといたしましても、一たん定めた以上は、それに違反することができないことは、これはもう当然でございますが、その場合に、文部省令できめたことそのものが、法律のその内容と同じ内容に関連して定めた文部省令が、法律に違反し、もしくは法律が執行できない内容を含んでいるとするならば、それはその部分において無効でしょうし、法令の改正を必要とすることは当然であります。したがって、そういうことでございますから、他に法律上の要請があることを念頭に置いて省令というものは定められなければならないことは当然でございます。それと同じ関係は、包括的な教育委員会の持っている管理権限の一部の委任を学校長にするにあたりましても、文部大臣が学校教育法によって与えられている権限、責任に基づいて、しかも五十四条二項によって調査、報告等を求めることがされたときには、支障なからしめる趣旨を含んで教育委員会の管理規則というものは定められておるべきはずであります。したがって、一たん定めましたものに違反してその調査をやろうということではない、その法令の範囲内の行動であろうと理解します。
○加瀬完君 あなたの言う説のようにしても、巷間学力調査テストという、こういうものがたくさん出ている、これは一体義務教育に何らの弊害がないかどうか、十二分に御検討をいただきます。(拍手) —————————————
○委員長(小山邦太郎君) 千田正君。
○千田正君 私は、主として、最初に外交問題について外務大臣にお聞きいたしたいのであります。それは、先般九月三十日本会議におきまして、フルシチョフ・ソ連首相から池田首相あての、日本政府あての返書に基づいて私がお尋ねしたのに対する池田総理の答えが、ソ連側としては不満足であるということを重ねて抗議的な声明をしておるのであります。私がお伺いしたいのは、特に、ほんとうは総理大臣がおられればなおけっこうなのでありますけれども、特に外務大臣に外交を担当する責任者としてのお答えをいただきたいのは、世界の歴史の上で国論の統一のないところに外交の成果が上がったためしはないのであります。これは先日も外務大臣がそう仰せられておったようでありますが、しかるに、この北方の領土問題に関する限り、先般来衆議院の予算委員会等を通じまして、各党思い思いの見解を表明しておるのであります。野党の社会党は社会党としての意見を発表し、民社党は民社党の意見を発表しておる。昨夕に至りましては、自由民主党としての統一した見解を一応発表しておる。こうなりまするというと、国民はいずれが真のいわゆる日本国民の要望する外交なのか。われわれは国民の一人として、このように国論の統一されないようなままでこの北方領土の問題が外交に移されたとき、はたして現在の政府が責任を持ってこれを解決できるかどうか非常に疑問に思うのであります。それで、まず第一にお伺いしたいのは、国論の統一に対して、統一をしようとする努力をなされるお考えがあるのかどうか、この点を外務大臣から特にお答えを願いたいのであります。
○国務大臣(小坂善太郎君) お話のとおりでございまして、国論の統一がないところに強力な外交の展開はなかなか困難でございます。ことに領土問題のごときものは、これは事実に基づくものでございまして、その見解は帰一すべき性格のものであると考えております。したがいまして、さような方向に向かって私どもは努力をいたしたいと思います。
○千田正君 それで、従来は見解の相違ということでお互いの責任をのがれる場合が多かったのであります。ところが、今の北方の領土の問題等におきましては、見解の相違という点だけでのがれるべきではない、そういうことで済まさるべき問題ではないと思いますので、しからば、社会党、民社党の見解と自由民主党並びに政府の見解の最も相違する点がどこなのか、この点であります。これをひとつ、外務大臣からそれに対する、どういうところを調整しなきゃならないかという点をお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 政府の見解、また自由党の見解もさようでございますが、それは歯舞、色丹は、これは北海道領の一部である。国後、択捉は、これは日本古来の領土である。これはいわゆる千島の中に含まれていないということでございます。なお、いわゆるクリル・アイランズ、すなわちウルツプから北の十八島嶼並びに南樺太というものは、カイロ宣言、あるいはその前のいわゆる大西洋憲章の精神に徴しましても、またポツダム覚書によっても言われておる、日本が暴力ないし食欲の結果略取したものではないと、こういう見解でございまして、この見解は歴史的にも法的にも正しいと存じます。したがいまして、この見解に向かって各派が歩み寄られるということは私の最も期待するところでございます。
○千田正君 昨夕、自民党の北方領土の統一見解を各新聞紙に発表しておりますが、そのうちで、ただいまも外務大臣は同一の見解を発表しております。この見解によりますというと、日本固有の領土である国後、択捉両島の返還に応ずれば直ちに日ソ間の平和条約を結んでもいいということを、自由民主党の見解として表明しております。外務大臣はやはりそういうふうにお考えでありますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) これは総理大臣にも衆議院の予算委員会で答えられたことでございまするが、国後、択捉は——歯舞、色丹はもとよりですが、この島の返還についてソ連が同盟するということでございますれば、日ソ間の平和条約を締結することは望ましいことである、こう考えます。
○千田正君 そこで、私は非常にこれは、なかなか日ソ間の平和条約などというものは結ぶことが今のところできないのではないか。なぜならば、ソ連側の発表を見ると、全然反対のことを言っているのですね。日ソ間の平和条約などということは当分お預けだ。かりにこの前の、グロムイコと日本側の代表との間の共同宣言は、歯舞、色丹は返してもいい、あとはいずれにしてもペンディングであるというように考えておったのが、最近、一九六〇年の二月以降のあなた方政府とそれからソ連政府との間のいろいろな覚書のやり取りがありましたが、あった中に、どこまでもソ連はそういうことは自分らは承知しないというような意味のことを何回となく言ってきておる、重ねてまたこちらからも要望しておる、こういうことであって、いつまでたっても、現実の問題にしては、その国後、択捉以南をわれわれは固有の領土として主張しておるのだが、それを解放しなければ日ソ条約ができないという日本側の見解と向こう側の見解との間には、とうてい妥協の余地がないようにわれわれは見受けられるが、何かそれに対して方法があるという考えでありますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 日ソ共同宣言を作りました際に、領土問題は継続審議ということになっております。松木全権とグロムイコ・ソ連全権との間に書簡がかわされておりますが、これも御承知のとおりです。この島の問題については継続審議とするという了解に立っておりまして、領土問題は解決済みであるというのは、これはソ連の一方的な思い過ごしであって、私どもはあくまでこの共同宣言の趣旨並びに往復書簡の趣旨に従って、この問題については返還を要求して話し合いを続けていこう、こういうことでございます。ただ、こうした問題をこの時点において一気に解決するということを考えて、妙案はないかということを考えてみましても、なかなかこうすればいいということを直ちに発見することは困難だと思います。しかしながら、正しいことを主張することは、これは決してだれはばかるところはないのでございます。私どもは、ソ連の側においてこの点を了解されるように、しんぼう強く、ねばり強く話し合いを続けていきたい、かように考えております。
○千田正君 政府の主張は、そういうその主張はわれわれもたびたび聞いておりますが、きのうの自民党の見解の発表の中に、「サンフランシスコ平和条約で放棄したウルップ島以北の千島列島と南樺太地域について、その帰属は将来関係国間で国際的に定めるべきであり、その際わが国も」、「その際」ですよ、「その際わが国もこれらの領土の返還を要求し得る」という見解だが・これは国際的に十分に主張できるところの論拠であるかどうかということをただしたいと思います。はたしてそういうことは、日本側が一たん放棄したものを、再度、こはれわれわれの領土であるということを主張できるかどうか。どうですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 御承知のように、講和条約において、そのいわゆる千島と南樺太の権利権原を放棄しております。しかし、これは条約の締約国に対して放棄いたしたのでございます。しからば、この放棄したものはどこに帰属することになるかということでございまするが、これは当時、ダレス・アメリカ全権も言っておりまするように、将来国際間の話し合いによってこの問題を取り上げることが賢明であろう、こう言っておるのでございます。その当時、イギリスのヤンガー代表あるいはフランスのシューマン代表等は、この点に言及しておりません。したがって、言及したのはアメリカのダレス代表だけのように承知しております。したがって、いずれの日にか国際間の話し合いが持たれることかと存じます。その際において、日本といたしましては、先ほど申し上げたように、この日本はこれらの島に対してかつて暴力をもって、あるいは食欲によって奪取したことはないのであるという歴史的な事実または法的な根拠等もあげて、この問題については要求し得る立場にあるということは、法理的に見てそういうことは言えると思います。
○千田正君 一九四五年の二月の十日、これはわれわれにとりましても、終戦による屈辱的な問題がわれわれに対する戦争宣言をした国の間に行なわれたいわゆるヤルタ協定の日でありますが、当時のルーズベルト大統領、チャチール英国首相、スターリン・ソ連首相によって結ばれた、ソ連の対日参戦条件を定めた秘密協定に基づいて、ソ連は千島及び樺太を占領したままで現在に至っておるのであります。池田首相の、私の九月三十日の質問に対する首相の答弁によるというと、ヤルタ協定などは日本の関知せざるところであって、千島をソ連が領有することは不都合だと。これはすこぶる高姿勢で、われわれからいえばまことに元気のいい発言でありますが、現在において千島というものはもうすでに占領されておる。不都合だと言っても、占領されておるのです。そこで、国際法上、こういうわれわれ当事者としての、敗戦国の一方の相手である日本が知らなくても、その他の国で秘密協定されたことは、これは全然国際法から見ても、いわゆる首相の言うように関知せざるところだから何ら文句言うところはないのだと、こういうことでわれわれはがんばれるかどうか。国際慣習並びに国際法によって、他の三国が行なった秘密協定というものは粉砕できますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) わが国はヤルタ協定の当事国でございませんから、これは何ら法的に拘束されるものでないことはもとよりでございます。なお、その当事国の一つであるアメリカが、一九五六年九月覚書を出しまして、アメリカ側のヤルタ協定に対する解釈を言っておりまするが、これは、いわゆるヤルタ協定なるものは単にその当事国の当時の首脳者が協定の目標を陳述した文書にすぎないと認める、しかもその当事国による何らの最終的決定をなすものではない、しこうしてまた領土の利権のいかなる法律的効果をも持つものではないと認められるという趣旨のことを、はっきり申しておるわけでございます。
○千田正君 そうだとしますというと、サンフランシスコ条約における日本側のいわゆる北千島の放棄ということは、条約国である相手のアメリカに対して放棄したと、こういうふうに考えてよろしいですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) アメリカのみならず、当時のサンフランシスコ条約に調印したすべての国々に対して放棄した、かようなことでございます。
○千田正君 そういうふうな立場からいうというと、ソ連が現在北千島ばかりでなく、南千島、歯舞、色丹まで占領しておるというこの現実ですね、問題は。外交は強がりばかり言ったって問題にならぬのでありますから。現在ソ連が現に占領しておる。もし政府が主張し得るということであり、また主張しておるとおりであるとするならば、日本の固有の領土であるところの樺太や択捉、国後、あるいは歯舞、色丹、この領海三海里の間においてもわれわれは漁業できるはずである、操業できるはずである。なぜできないのか。私は、漁民の団体の人たちに常に同情的な立場に立って、ここにも、いつでも北洋問題について論争するのでありますが、ほんとうにあなた方が北洋問題を真剣に考えた場合において、北千島、あるいは南千島、歯舞、色丹が日本古来の領土であるというわれわれの主張が正しいとするならば、三マイルの領海内においても零細漁民の諸君がすなどりできないという理由は私はないと思う。それをなぜやらないのですか、それをはっきり言うてもらいたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) おっしゃることは私もよく理解いたすのでございますし、またその観点から、ソ連において安全操業の問題を考慮するように事あるごとに話をしておるのでございまするが、まあ何と申しますか、力関係といいますか、どうしてもソ連のほうはそういう自分の主張を堅持いたしまして同胞をつかまえますので、そのつどこちらから返してもらうというような抗議をして返してくれておるような、まあはなはだ残念な状態であります。
○千田正君 どうも力関係だけで逃げるというわけにはいかないと私は思うのであります。きのうの自民党の発表によると、南樺太も日本の領土として主張できるのだという観点からいえば、広いあの北洋の海において相当われわれは操業できるのじゃないか、こういう期待さえもわれわれは持てるのであります。資源論は別としまして、領土権を主張するならば、領土に続くところの領海権もわれわれは主張できるはずです。それが単なる力関係でできない。ある一方においては領土権はおれのものだと主張しながら、国民に対してはそれを実行できないのだ、力関係でできないのだ。それならば、一体どこに外交があるのか。国民は、一体池田内閣の外交はこの一つにおいて、一体どこに解決の糸口があるのか、こう聞いた場合において、外務大臣はこの解決はどうするのだということをここで明言できますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) この問題につきましては私もいろいろと研究をいたしおりまするが、何と申しましても、何かいたしまする場合に関係国の理解、各国の、ことにサンフランシスコ関係国の事前のいろいろ事態に対する認識というものが大切だと存じまして、私もその理解に、いろいろと理解を進めるごとく研究をさしていただいておるのでございまするが、ある段階になりましたらば、ややそういう問題について日本政府の考えも明らかになろうかと思います。現段階におきましては、先般加賀山委員からもいろいろ御質問ございましたし、国連の問題、あるいは国際司法裁判所の問題、いろいろあるわけでございまするが、どうもそのことを考える際にやはり関係国の理解というものが前提になろうかと思いまして、そうしたことについて種々検討をさしていただいておる次第でございます。
○千田正君 日本政府の外交方針の根本としては国連中心外交を持っておる、こういうことは前々から主張されております。で、国連におきましては、こういう領土問題の紛争の機関としては国際司法裁判所がありますので、この問題等についても、この前加賀山委員も触れておりましたが、できるのじゃないか。しかし、一方においては国連の今の内部の情勢を見るというと、必ずしも大国の今まであったような力の存在がない。日本はたとえばアメリカに依存している、あるいはアメリカと提携してこういう問題の解決に当たろうとしても、なかなかアメリカ一国、あるいはアメリカとともに行動する国々だけでは、日本の主張は通らないのじゃないか。ことに最近の状況はそういう状況にあると私は考えるのですが、外務大臣はどうなんですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) やはりこの問題を力関係で国連でもって押し通すということを考えまする際には、なかなかむずかしい問題がたくさんあろうかと思います。要は、全体の理解を深めて、なるほど日本の言うことはもっともだと、そういうことは無理じゃないかというような国際的な世論が巻き上がるにおいて、初めて私は解決できるのじゃないか、さように考えております。
○千田正君 きょうは総理大臣も河野農林大臣も——河野農林大臣はお見えになっておりますね。この間十月十一日衆議院の予算委員会において、社会党の横路議員の質問において、北方漁民の安全操業をいかにして確保するかという問題で、池田総理大臣は安全操業を確保するためには、まず領土問題の解決が人道上の問題とは別に先行する。つまり安全操業と領土問題の解決は結局不可分のものだという御答弁を行なったのに対し、河野農林大臣は安全操業と領土問題は不可分であるとは思わない、安全操業の問題はそれとして解決するのだというような御答弁を行なっておるように会議録で拝見しております。農相と総理大臣の間にこのような観点の相違があるように思われるのでありますが、領海侵犯密漁者として次々に日本の漁民が拿捕されたりするあの惨状を見るにつけましても、日本の外交方針の立場からいって、いずれが一体ほんとうなのか、この点を外務大臣の見解と河野農林大臣の御見解をここで表明していただきたい。
○国務大臣(河野一郎君) 私がソ連に交渉に参りました当時におきましては、領土問題は平和条約の際にしよう、しかし安全操業の問題はごもっともな点があるから、別途事務当局をして話し合いをさせることにいたそう、ということで別かれまして、そして千田さんも御承知のとおり、わが外務当局がソ連側と安全操業の折衝をいたしたことがありますることは御承知のとおりであります。したがって領土問題はそのときにして、安全操業の話し合いをしようじゃないかといってソ連側もこれに応じたという事実はあります。ただしその後国際情勢またソ連側のこの問題に対する考え方の変化等から、今日遺憾ながら安全操業の交渉が遅滞いたしておると思います。私は何らかの機会にまた話し方によっては、この話はできるんじゃないかというふうに考えておりますが、先般も実はよほど話を始めようかとも思いましたけれども、まだその時期じゃなかろうという気がいたしましたので、まだ私具体的に話はいたしませんでした。私は今でも領土問題は今の国際緊張のときにおいては、なかなか話をしても目的を達するのは困難であるという気持がいたすのでございますから、そのうちしかるべき機会において、安全操業の話は外務当局から交渉していただく時期がくると、そういうふうに考えております。
○国務大臣(小坂善太郎君) 基本的には私は領土問題が完全に解決すれば安全操業という問題はなくなると思います。これは河野大臣のお言葉をかりるまでもなく、自分の領域において操業するのは安全であるのにきまっているのですから、自分の領域というものが国後、択捉あるいは歯舞、色丹ということで確定すれば、いわゆる安全操業という問題はなくなると思います。その意味において総理大臣の言われたとおりだと思いますが、しかし実際の手だてといいますか、いかにして安全操業というものをソ連側に認めさせるようにするかという手だてを考えますれば、河野大臣のおっしゃったようなことで、できるだけ何らかの方法においてソ連にこれを認めさせるというふうに努力を、現在においても適当な時期を見ていたすことは可能だと思います。
○千田正君 非常にこれは微妙な問題であるし、現実的な問題でありまするので、今自由民主党の統一見解の発表並びに池田総理大臣のいわゆる領土に対する日本領土権の主張というようなことから考えるというと、この北海道、千島、樺太方面における漁業の安全操業というような問題は、従来よりは解決がむずかしくなってきたんじゃないか。むしろ非常に今後は難航を続けるのじゃないかというわれわれは危惧を持っておるのです。それでも、いや今までよりもずっと楽になるのだ、あるいは少なくとももっと条件がよくなるのだという可能性があるかどうか、私はそう思いませんが、農林大臣どうお考えになりますか。
○国務大臣(河野一郎君) 私は米ソ間の緊張が緩和いたしますれば、そういう時期が来るというふうに考えております。
○千田正君 米ソ間の問題につきまして、昨日ですか、第二十二回の共産党大会がモスクワで開かれた。世界各国の新聞に対して今度の共産党大会におけるフルシチョフ首相の演説というものはある程度の反響を呼んでおります。ベルリン問題その他に対して……。そのうちに日ソ間の問題に多少触れておるように私どもは思うのでありますが、それを通じて感じた点から一言えば、日ソ間の問題、領土問題は別として、今河野農相が言うように、日ソ間の話し合いが順調に進めばそういう問題は解決の曙光があるのじゃないかというお答えでございますが、外務大臣はきのうの共産党の大会におけるいろいろなフルシチョフの声明等が、世界各国の外交関係において相当の反響を呼んでおる、日本としましては出先機関その他から情報を集めた結果からいって、将来の日ソ間の外交がより以上進捗するという観点に立たれますかどうか。そういう点と、五十メガトンの核実験が太平洋上で行なわれる。これは本月の三十一日まで継続して行なわれるという場合において、これによる影響というものは相当問題になっておるようであります。日本としてはこれに対処する何らかの外交的な処置を講じておるかどうか、この二つの点についてお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) ソ連フルシチョフ首相のこのたびの演説は、東独に対する講和条約の期限を年末と言っておったのを、これにこだわらずという点において、若干の柔軟性をみせているという点で反響を呼んでおると思います。しかしながら、一方において非常に高い姿勢を持っておるという点についても、種々の議論を生んでおると思います。そこでいわゆる平和共存ということでございまするが、日本人は共存というと昔の言葉で共存共栄という、共に栄えるということと共存ということを一緒にして考えるわけであります。これは昨年の大会でも言いましたように、平和共存というものは資本主義と社会主義との階級闘争の一形態だ、したがってそういう共存という形を通じてソ連の言うところの社会主義というものを広めていくのだ、そうして社会主義一色に世界を持っていくのだ、こういう考え方に立っておるといたしますれば、これはなかなか世界の緊張緩和というものもむずかしかろうというふうに思うのでありまして、どうかそういう膨張主義というようなことはやめてもらいたいというのが私どもの願いであります。 さらに五十メガトン云々の問題でございますが、これはすでに国連において核実験停止協定の問題も議題に上っておりまするし、インドの方からも案が出まして、これは実際の査察を伴わず、何でもいいからとにかく核実験停止ということの決議を作れという案が出ておることは御承知のとおりであります。ただこういう趣旨の決議は昨年も出ましたけれども、今日のようにそういう決議があっても平気で、大国において、ことにソ連は大気圏外の実験を次々にやっておるのであります。こういうことも必要でありましょうけれども、こういうことよりも、われわれとしては、この放射能の人類に及ぼす非常な害悪というものについて、科学委員会が結論を出して特別政治委員会の冒頭に報告しろという決議を、今二十五カ国の賛成を得て国連に出しておるわけであります。先般来の核実験の影響といたしまして、すでに二万二千カウントからの放射能が検出されるというようなことも現実に起きておるのでありまして、そして五十メガトンのごとき非常な大規模のものを実験するということを、世界の世論を無視して大手を振って、しかも公々然とこういうことをやられるということは、われわれにとりてきわめて迷惑なことであって、自分の国のことあるいは共産主義のその立場に立ってはいいかもしれませんが、いわゆる人類の福祉ということについて、どうかもう少し思いをいたしてもらいたいと切に思う次第であります。
○千田正君 外交問題は単なる国際間の問題ばかりでなく、私から言えば外務大臣、国内の外交問題もひとつ実行していただいて、国論を統一して真の日本の外交を実現してもらいたいと思うのであります。単に小手先だけの問題でなく、片一方においては、五十メガトンの原子爆弾が製造される。次の戦争の危険というものは、全然去ったとはだれも思っておらない。いずれかの国において行なわれるのではないか。世界の歴史を見ても七十五年しか平和の時代がなかった、こういうこともいわれておることを考えますというと、われわれとしましても、実に戦慄せざるを得ないのでありまして、そういう意味から平和を要望するという立場からいっても、日本はやはり国論の統一をして超党派的外交に進むことでなければ、日本の主張が通らないのじゃないか。そういう意味からいいますれば対外的はもちろんのこと、対内的においても、各党間の融和と統一した見解を持って進まれんことを要望いたします。 時間もないので、通産大臣並びに大蔵大臣が御退席になるようでありますから、触れる点をひとつ前もってお尋ねいたしますが、今の外交問題のうちで私は特に聞きたいと思うのは、最近、先般申し上げましたけれども、世界はもうアメリカとソ連だけじゃないのだという感じが、ヨーロッパを歩けばおわかりのことと思うのであります。第三の勢力が台頭してきている。西ヨーロッパにおけるところの共同市場、いわゆるそれは単なる経済の問題じゃなくて、アメリカが原子力を持った、ソ連も原子力を持った。われわれ小さい国は一国では原子力はとうてい持てないから、六カ国が共同してアメリカやソ連に対抗するだけの原子力を持とう、そういうことでなければ国際的な発言も持ち得ない。こういうような政治的な目的のもとに集まった共同市場というものは、相当力強い民族の統合の結成への前進を固めつつあるといってもさしつかえないと思うのであります。そうして、その裏づけとしてのいわゆる経済問題、貿易問題、いいかえれば関税の障壁を高くして、そうして日本の商品等はやがて排撃される。六カ国のみならず、六カ国の所属するかつてのいわゆる植民地が、同じ恩恵のもとに海外からの輸入というものを防ごうという段階に進みつつあるとき、日本は今もってなおガット三十五条の回避さえもできない。これは日本の将来の貿易にとって、いかに国内において高度成長を唱えておっても、海外の貿易が行き詰まっては意味をなさぬのでありますから、その点を打開する方法として何か具体的な方針があるのか。経済外交の面、それからまた通産大臣としては通産のいわゆる海外進出の面からいって、解決の方法が何かあるかという点についてお答えをいただきたいと思うのであります。外務大臣と通産大臣両方からお答えいただきたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) わが国が繁栄して参りまする上において、外交の観点からいたしまして、経済的な障害があればこれを除いていくということに努力することは当然でございまして、その意味においていわゆる経済外交という立場から、ことにわが国の輸出に対して課せられておりまするガット三十五条による差別待遇、これを適用しておる国がイギリスを初め十五カ国ある次第でございます。これについては何としても日本の商品が一度に先方の市場を侵すというような、いわゆるフラッドするとかディスオーダリーなマーケッティングをやるというようなことが非常にいわれておりまするので、そういう点もわれわれとしては注意しつつ、しかも日本としましては、非常に自由化の方向に向かって努力しているというこの情勢を認識させながら、この点を改善するべく今努力をいたしている次第でございます。その成果と申しますか、そういうことに努力している結果というものは、ほどなく何とかした形で実現できるように、私どもは相当の希望を持ちつつ、今各国と話し合いをいたしている次第でございます。 さらに、この東南アジア関係の国に対する、あるいは中近東関係の国に対する輸出振興は、何といっても先方の第一次産品の買付ということが大きな問題でございますが、これらの点に対しましてはある程度のクレジットを与える、そういったような方向でこうした国に対する購買力を増強しつつ、わが国の輸出を伸ばそうということで、いろいろと努力をしている最中でございます。
○国務大臣(佐藤榮作君) わが国の輸出を振興し、同時にまた自由化を進めて参りますが、そういう場合に一番問題になりますのは、ただいま御指摘になりましたとおりの一面の経済ブロック化、同時にまたガット三十五条を援用してのわが国に対する差別的待遇でございます。で、このブロック化の傾向に対しましては、十分われわれ関心を持ちまして、これとの提携方法なども考えていかなければならぬ、かように思いますが、このガット三一五条を援用して差別的待遇をすることは、本来のガットの精神にこれは反するものだと思います。どこまでも相互主義あるいは互恵主義に立つべき貿易だと、かように考えますので、その意味においての差別待遇、これの廃止撤廃については外務当局はさらに交渉を重ねていただきたい、かように思います。同時にまた今回当方において自由化を進めて参ります場合におきましても、この自由化の振興とにらみ合わせた場合に当然互恵の立場に立つべきだと、かように考えますので、今回も十月に自由化を予定しました品種のうち、一部のものを、自由化の時期を十二月まで延期をいたしまして、その期間中に差別待遇をいたしております英国その他の国と交渉して、そうして互恵の立場において自由化を進めていくと、こういう方針を明確にいたしているわけでございます。今日の見通しから申しますと、わずか二カ月の期間でありますので、夏以来の交渉を重ねておりますが、ただいますぐ当方が自由化する、向こうも差別を撤廃する、こういう非常に明るい見通しというものはただいま立てかねております。しかし最近英国から参られたキッピングその他との交渉等を通じてみましても日本側の主張はよくわかる、いましばらく時間をかしてくれ、必ず互恵的な立場において貿易が拡大できるように、われわれも努力するということを実は申しております。 ことにこの点を私どもが主張いたしますのは、当方に対する差別待遇、その結果、日本の国際的市場というものが、非常に挾められているということでありまして、相手方がしばしば日本は狭い市場に対して深く浸透し、その市場を撹乱するから困るのだ、こういう言い方をいたしてきておりますが、その原因はみずからが作っている、こういう点を指摘いたしましてその互恵の立場に立たすように、今後とも努力して参りたいつもりでございます。在来の自由化の方針は、どこまでも完全自由化の方向で、一方的な自由化の線を進められて参りましたが、今後自由化をする品目等については、ただいま申し上げるような互恵的な立場に立っての主張、これを明確にして当方の権利を十分守るべきじゃないかと、かように考えております。
○千田正君 もう一点。どうも海外へ旅行してみると、日本の通産省のいわゆる海外輸出の進出のうちで、ジェトロはもっと活動してもいいように、発足の当初は非常にある程度理想的な動き方をするだろうという希望を持っておったのですが、現実に行ってみるとあまり活動は活発でない。それはどういうわけなのかという点には、いろいろ問題があるのでしょうが、これは真剣にやはり経済外交の一つとしての、あるいは経済進出の一つとしての機関であるジェトロの問題をある程度はっきりしていかなければいかぬじゃないかと思うのですが、通産大臣はどういうお考えを持っておられますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 御指摘になりましたジェトロ、これは全くお説のとおりさらに活発な活動をさしたいものだと、かように考えます。しかして、ジェトロは御承知のようにまだできて期間が短いのであります。しかし、その間に私は比較的順調にジェトロの聖業は発達して参ったのではないか、かようにも実は考えるのでありまして、三十五年度におけるジェトロ事業の民間利用状況など説明をいたしますと、市場調査の報告が二千二百件、受託調査三百五十件、国際見本市十五カ所参加、出品者が七百社、引き合いあっせん処理十一万八千件、貿易あっせん所、いわゆるトレード・センターでございますが、展示会が三十八回、引き合いあっせん処理が一万七千件、さらに貿易相談所の関係では、信用調査四百件、貿易相談千六百件、さらに資料室の利用、これは七千人、デザイン・ハウスの利用者が二千人、共同施設における引き合いあっせん処理が八千百件、また、ジェトロの組織といたしましても、海外の市場調査員が三十一カ所に派遣されておりますし、トレード・センターも七カ所、ジェトロの事務所も四カ所、あるいは機械センターが二カ所、共同施設が十三業種、十二カ所、このように私は短期間には比較的よくそれぞれ発展したものと、かように考えます。 しかし、まだ予算的規模におきましても、まだ十分とは言えません。せっかくこういう機関ができたのでございますし、相当効果を上げておると思いますが、今後も一そうこれが活動がしやすいように、内容を充実していく、これを私ども努めて参りたい、かように考えております。
○千田正君 今の問題は、やっぱり予算の裏づけと内容の充実だろうと思いますから、それは大いにやっていただ・きたいと思います。 次に、各省大臣とも時間がないとおっしゃるので、私もきわめて重点的にお伺いいたしますが、経済企画庁長官にお伺いしたいのであります。 今度新産業都市建設法案が今国会に提案されるというそうでありますが、その具体的方針について伺いたいと思うのであります。今までに建設省が広域都市建設構想、自治省が地方基幹都市建設促進要綱、また通産省が低開発地域工業開発促進構想等々、各省とも地方都市の建設あるいは工場の誘致等、いろいろな案を練っておったのでありますが、今度は一応窓口一本にされたようでありますけれども、これは非常にけっこうなようであって、現実においては、農林大臣にお伺いをする点もありますが、農村地帯に最近そういう指令が出てきまして、工場誘致の問題で国道の沿線、あるいはその他のいわゆる草地もしくは酪農地帯と指定しておったところも、工場誘致のためにこれを提供するような案を各自治体が作り始めておる。こうなりますと、農業基本法におけるところのいわゆる農地の問題等と相関連しまして、容易じゃない問題があるのじゃないか。そこで、建設大臣並びに自治省大臣等から、今までの構想はまことにけっこうですが、これで従来のセクショナリズムに先にいってぶつかって、どうにも動きがとれないのでは実際困るのでありまして、その点について伺いたいと思うのであります。そこで、まず第一に、具体的な実現がはっきりできるかどうか。藤山経済企画庁長官から御方針をはっきりしていただきたいと思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいま千田委員からお話がございましたように、自治省あるいは建設省、通産省、それぞれ地方開発の関係、あるいは人口の過度の集中を排除する関係、あるいは将来の経済発展に応じます産業都市の育成の問題等で、それぞれいろいろな地方都市開発の考え方を持っておられまして、しかしながら、これがまちまちに行なわれて参りますことは好ましいことではございませんし、各省の意見を総合調整いたしまして、そうして一つにまとめて、実施、指定の方向に向かって参りますことが、合理的な国土開発計画にも応じて参りますし、将来の日本の産業構造の上にも適当な処置であろうと思うので、政府といたしましては、各省調整をいたしまして、ただいま企画庁におきましてその立案を検討をいたしておる次第でございます。 大体取りまとめております内容について申しますと、御承知のとおり、今日人口が大都市に過度に集中しております。しかも、その人口の集中しておるということは、いわゆる産業が過度に集中しておる、そのために各種の地域格差も起こっておりますし、また産業立地あるいは都市の条件を整備してというのにも、必ずしも適当でない場合がありますので、地方におきまして新しい中核となりますような産業都市をひとつ建設していこうじゃないか。それは内閣総理大臣として、各都道府県知事から申請がありまして、そうしてその土地条件でありますとか、水の条件でありますとか、輸送の条件でありますとか、そういう条件が新産業都市として要件を備えております地域を、都道府県知事の申請によって、総理大臣がこれを指定していくのでありまして、そしてこの地域の指定がありました場合には、都道府県知事は、工業開発の目標なり、その都市の将来の人口規模なり、土地利用、各種施設についての建設基本計画を作成いたしまして、そうして内閣総理大臣の承認を受けることにいたしておるのであります。こうした産業都市が完全に発達していきますためには、助成措置が必要でございますので、そのためには、不動産取得税の軽減であるとか、あるいは基準財政収入額等の算出の特例でありますとか、資金の確保等の所要の措置を政府においても講ずるほか、地方公共団体等は必要な施設の整備の促進に役立つように努めて参りたい、こういうことでございます。そういたしまして、この新産業都市の建設等に関します重要事項を調査審議するために、内閣総理大臣の諮問機関としまして、審議会を中央に置きまして、また地力には都道府県知事の諮問機関として協議会を設けるということに大体いたして参りまして、これによりまして、今日まで各省の考えておりました考え方を総合し、また将来の国土計画にも即応して、十分な発展を期するような方法を講じて参りたい、こういうことが法案の趣旨でございます。
○千田正君 今御説明にあったのでありますが、過去におきましても、いわゆる総合開発等が、各地の総合開発が、予算面においては特別な予算措置というものを裏づけにはしていない。一方、一般の予算のうちに軽く見ておるというようなことで、現在こういうものができたならば、やはり予算というような問題が裏づけになる。裏づけになるところの特別な会計から支出するということでなければ、実際の問題においては実行が相当困難ではないか。今の構想においてはまことにけっこうでありますけれども、まず第一に、私は心配になるのは、農地の転用がはたして十分にできるかどうか、まず地方都市の周辺における農地の転用という問題は相当問題になってくるんじゃないかと、こう思うのであります。もう一つは、地方債のいわゆる特別措置が十分に裏づけできるかどうか、こういう問題が出てくるのですね。で、こういう面を具体的にしっかり結びつけてやらぬというと、せっかく案はできても、それは絵にかいたもちのようなもので、とうていできないということになってはいかぬと思うのであります。これに対する御見解をいただきたいのであります。それは間違いなくできるのだと、農地転用に対しては、農地法の改正をやるのか、あるいはどういうふうにしていわゆる都市の近郊における農地を、それを工場用地に切りかえるかというような現実の問題、さなきだに、地方財政が貧弱なるときをもって、そこへ政府が見てやるからやれといっても、ほんとうに大蔵省が承知して、地方財政の裏づけ、そういう問題に対しての財政措置ができるのかどうか。そういうことをはっきりしないというと、どうも机上のプランだけになるおそれがあるので、その点はどうなんですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 今後この計画を策定して参りまして実施して参ります場合には、それぞれの施設あるいは運営については、担当官庁がこれを主管して参るわけでございまして、企画庁としてはその取りまとめ、あるいはその方針の作成に相なろうと思います。したがって、関係各官庁としましては、申し上げましたように、熱意を持って、自分の、各省でもこういう計画を立てて、案を作っておられる作りたいというくらいな非常な熱意を持っておられまして、各省はそれぞれの十分な、熱心な、そうして将来のために、これらの裏づけをされることだと私は信じております。
○千田正君 建設大臣、どうですか。自治省大臣でもいいですが。
○国務大臣(安井謙君) 地方起債等について、財政的措置を十分見るつもりかと、こういうお話でございますが、これはもう私どもとして、政府全体の方針でもございます。特に自治省としましては、この点については十分できる限りのことをやる決心をいたしております。また、その他、いわゆる減税あるいは免税等の措置に対しても、それに対する国からの措置はやり得るというように法律を考えていきたいと思います。
○千田正君 農林大臣、どうですか、農地転用の問題は。
○国務大臣(河野一郎君) 農林大臣といたしましては、農地法の改正も別に必要だとは考えておりませんし、現状のままでそういう要望が出て参れば、その必要によって農地の転用を許可いたす、これだけでございますから、別にそうたいしたことはない。政府全体がそういう方向でやろうということになりますれば、当然協力するつもりでございます。
○千田正君 この問題、いずれ本格的な実施段階であらためて私はお尋ねいたします。いたしますが、最後に、オリンピックの問題についてお伺いいたします。 先般来、いわゆるオリンピックの問題について日本がはっきりしてないんじゃないか。海外に行きますというと、この次は東京でやるんだが、もう新聞紙上やその他のあれによりますというと、日本の国内においてさえもまとまっていないじゃないか、そういう声を聞くんですね。そうして、海外においては、もう次の日本の東京のオリンピックに対処して、あらゆる体育機関を総動員して、いわゆる東京オリンピックに参加する用意をしている。ところが、日本に至っては、ようやくきのうきょうですよ。朝霞キャンプからワシントン・ハイツにきまったとか、きまらぬとかというような問題を提起している。この次のオリンピックまでにはあと千日もないわけです。実際からいって、日数から勘定するともう九百何日しかない。それで、はたして世界各国が要望するような東京オリンピックの成果が求められるかどうかということを、われわれはかつてのスポーツマンの一人として非常に疑問に思うのであります。 そこで今までの紛争は一体何か。朝霞キャンプに行くところのいわゆるオリンピックの道路を建設するというのに対しては、沿道の諸君が協力するといって土地を提供する。ところが、現実においては取りやめになった。それでも、それは条件としてあくまで実行するのだ、道路はオリンピックのために作るのだというので提供されて、実際はそうでなかったというような結果に陥るというような面も出てくるというので、予定されておった、変更された土地の人たちはだいぶ憤慨している向きもあるわけです。この際、そういうことのないように、それから今度のオリンピックに対して財政的な措置が十分できるかどうか。これは総務長官並びに文部省としても、体育を通じて日本の国威を発揚しようという考えをお持ちのようでありますから、財政的にそういう問題についても十分やれるのかどうか。 とかくオリンピックの問題になるというと、この前もオリンピックのために集まった金が変なふうに流用されて、それが純粋な国民の浄財が不良に使われたというので非常な国民の憤激を買っておる。そういうことが再びないような方法で、どういうふうにしてしからば三年後に迫ったところのオリンピックに対して対処するか。それから建設大臣としましては、今まで問題になっておったところの朝霞からワシントン・ハイツに変更をされたために、沿道の道路に協力しようとして土地を提供しようとした人たち、これに対してはどういうふうに処置をしようと考えておるのか。また、あるいは新都市計画としても、実施担当の東京都に、一応監督官庁としてある程度の注意なり進言なりをしても差しつかえないじゃないか。とにかく迫りくるオリンピックに対して、日本国民の心がまえとして、単なる東京都の問題ではなくして、日本国民の心がまえに対応するだけの政府の施策というものを考えておくべきだと思うのですが、この際、関係各大臣、長官から、今までのいきさつと、今後の方針に対して明確な御方針を述べていただきたい。
○政府委員(小平久雄君) オリンピックの問題につきましては、各方面に多大の御心配をおかけしまして、はなはだ恐縮に存じておるところでございます。その問題は御承知のように、主として選手村の問題及び国内総合体育館の問題でございまして、これをどこにするかという問題が主なものでございます。御承知のとおり、選手村につきましては、東京大会を招致する当初から、大体これを朝霞のキャンプに設ける、こういう建前でやって参ったのでございます。また、総合体育館につきましてはワシントン・ハイツの一部を返還を受けて、そこに設けたい、こういう建前で組織委員会も進んで参りましたし、政府側におきましても、それに協力をいたして参ったのであります。 具体的に申しますと、昨年の十二月に、今申しましたような方針のもとに米側と折衝し、正式にその申し入れをいたしたわけでございますが、本年の五月に至りまして、アメリカ側から返事が参りまして、朝霞につきましては、当初当方が希望した地区につきましては、これは一時的な使用ならばよろしいが、これを全面返還するというわけには参らない。ただし、いわゆる桃手地区というところで一部の約十万坪ほどの返還はよろしい、こういうことでございます。また、ワシントン・ハイツにつきましては、これが全面的な返還ならばよろしいが、しかし、一部の返還ということは因る、こういう返事でございます。そこで、そういう返事を受けまして、組織委員会といたしましては、朝霞の選手村につきましては、若干当初の計画とは違いますが、返還されるところ、あるいは一部開催中使用を認められるところ、これらを利用して、そこをとにかく選手村にいたそう。しかしまたワシントン・ハイツにつきましても、屋内体育館、これは水泳場を作るわけでありますが、その一部を、どこまでも一つ返還をしてほしい、そのために当初は約九万坪ほど返還を希望したのでありますが、これを約三分の一程度に縮小いたしまして、その上、ぜひとも返還をしてもらいたい、こういうことでございましたが、その一部返還は、どこまでも困る、こういうことでございました。 そこで、この八月から九月ごろにかけまして、しからば、屋内総合体育館の敷地が、他に適当なところがないだろうかということで、数個所にわたりまして、綿密な検討をいたしたのでございますが、しかし、いずれも屋内競技場の体育館の敷地としては適当ではない、こういう結論に達したのでございます。 そうこういたしておりまする間に、各種のスポーツ団体であるとか、あるいは一般の世論等からいたしましても、一面におきましては、朝霞は選手村としてはあまりに遠過ぎるではないか、また一面におきましては、せっかくワシントン・ハイツの全面返還ならばよろしいと米側も言っていることであるから、この際、これを全面的に返還を受けて、総合体育館も作るべし、選手村も、このワシントン・ハイツの方に移した方が、むしろ今後の競技の運営上もベターではないか、むしろそうすべきだといったような主張が、だいぶ各方面から強まって参りました。これを受けまして、組織委員会におきましても、組織員のあるいは懇談会あるいは正規の総会、これ等を開きまして、この検討を続けたわけでございます。しかして、先月の二十六日であったと思いますが、この組織委員会の総会の結果、ワシントン・ハイツに選手村を持ってくるといたしましたならば、技術的にいって、どういう問題があるか、適否等をしさいに検討しよう、こういうことになりました。そこで、その検討の結果を本月の六日の組織委員会にはかりましたところ、いろいろ議論はございましたが、一言にして申しますならば、この道路の問題、ワシントン・ハイツをめぐる道路の問題、これらに相当の難点はありまするが、それを適当に処理いたしますならば、あるいはまた、若干の交通規制等を用いますならば、ワシントン・ハイツは選手村としても適地である。こういう大体の委員各位の御意向でございました。 それにつきましても、先生からお話がありました通り、朝霞の方に選手村を作るという建前のもとに、東京都が主体となりまして、道路計画等も進め、これを現に実施して参ったのであります。この間、特に東京都議会といたしましては、五月の多分十五日であったかと思いますが、都議会において選手村を朝霞にする、こういう決議までなさって、関連の道路事業等を推進して参られた、あるいは埼玉県側におきましても、朝霞に選手村がくるものと考えられて、いろいろな準備もなされておった、こういうふうな関係もありますので、最も関係の深い東京都及び埼玉県側の御意向を十分承るべきである、その間、当組織委員会との間の意見を十分調整すべきである、そういう結論に達しました。 自来組織委員会と東京都及び埼玉県当局との間に、数次にわたりまして意見の調整が行なわれたようであります。しこうして先ほどお話の通り、昨日の都の方の、都議会の全員協議会において、大体の御意向がまとめられた、かように承知をいたしております。なおまた埼玉側につきましては、明日最後の意見調整が行なわれるであろう、しこうしていずれも東京都の側におきましても、若干の要望事項等もあるようでございますが、埼玉の方は、まだ明日にならなければはっきりいたしません。いずれにいたしましても、そういう要望のもとに選手村もワシントン・ハイツにすることがよかろう、こういうことに大体今のところまとまりつつあると、かように申してよかろうと思います。 それが正式に両者がきまりますならば、組織委員会におきまして、最後の御決定をなさる、それを受けて政府側といたしましての態度を早急に決定をいたしたいと考えておるわけであります。政府側としましても、この問題は早急にきめなければ、御指摘の通り工期との関係もありまして、せっかくのこの大行事が有終の美をおさめないというようなことでは困りますので、全力をあげて協力をいたしたい、そのためには、実はもう明日にも関係閣僚の懇談会等も開き、追って閣議にも諮りまして、政府の態度につきましては、閣議の御了解を得て万全の策を講じて参りたい、かように考えておるわけでございます。 以上が、従来の大体の経過でございます。なお、お尋ねによりましてお答え申し上げたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 体育施設についてお答え申し上げます。 文部省として担当いたしておりますのは、国立競技場の拡張であり、メイン・スタジアムの拡張の問題、それからボート・コースの整備の問題及び今話が出ました屋内プール、それに関連しましての総合体育館、この三つが私どもの担当します競技施設でございますが、まあ全体を通じまして危うくセーフで、何とか間に合いそうだという状態でございます。その中でメイン・スタジアムはすでに三十六年度で債務負担行為及び歳出予算を合わせまして十億の措置ができておりまして、着々拡張工事進行中でございます。これはだいじょうぶ間に合うと見込んでおります。ボート・コースの方は、現在の七十メーターの幅を二十メーター近く拡張いたしますことが主たる内容でございますが、これはまだ予算措置はできておりませんけれども、地元の埼玉県と国と一緒になりまして、予算措置ができますれば、十分工事としては間に合うという見当でおります。 一番問題は、最後まで、先ほど御報告申し上げましたように、総務長官からお話申し上げた通り、屋内プールの設置場所がきまりませんために、準備行動が具体的にできなかった点でございます。これが一番むずかしい問題でございますけれども、さっき申し上げましたように、どうやら一生懸命やれば間に合う、万全を期して処理したいと思います。 これらのボート・コースと総合体育館の予算の措置は、調査費以外はまだございませんので、あげて三十七年度以降の予算措置に待たざるを得ませんが、これは当然大蔵省も協力してもらえるはずでございますから、予算措置ができましたらば、本格的な工事にとりかかる、ただしワシントン・ハイツの現在あります施設の一部を撤去しなければ、あとの工事にかかれないということもございますから、極力そのととも急ぎ、そのためには年度内に予備金支出でも要求いたしまして、準備態勢を早く整える、そして本格的予算措置をとる、こういう問題もございますが、すべてを通じまして遺憾なきを期したい、がんばりたいと思っております。
○千田正君 建設大臣、道路と同時に、観光客がおそらく押しかけてくるだろうが、一面においては建築をある程度規制する、景気が後退しているので、建築に対してある程度制限を加えつつあるようであります。そういうことで、万全を期して間に合うかどうか。
○国務大臣(中村梅吉君) 道路関係についてお答え申し上げますが、先ほども御指摘がございましたが、オリンピック関連として施工をいたしております道路は、いずれも東京都の現状からみて必要な道路として、オリンピック問題が起きまするより前から、都市計画決定をしていた事業であり、また一部は、すでに着工をしておったものでございます。かような次第で、東京の現状からみて道路の整備を急ぐ必要のありますることは言うまでもないところでございますので、われわれとしましては、たとえ選手村がどういうことになろうとも、既定の計画どおり道路整備事業は進めて参りたい、こう考えております。 特に朝霞がワシントン・ハイツにかわりましたことによって、朝霞とだけしか関連を持たない道路というのは、いわゆる環状七号線と放射七号でございますが、これはもう、ごらんのとおり、環状五号、六号では、どうにも動かぬ状態で、環状七号は、すみやかに完成をすべき必要性が強いわけでございますし、放射七号のほうも、すでに相当部分着工して、オリンピック問題のできる前からできておった道路で、これをある程度作りたいということでございます。その他の道路は、たとえ選手村がかわりましても、同じオリンピック関連として必要なわけでございます。 そこで、ワシントン・ハイツにかわりましたことによって、あの周辺を若干間に合わないものが起きる予想のもとに考えておった部分がございますが、それは二、三促進して、どうしても開催時期までにやりませんと、ワシントン・ハイツ周辺のさばき上、困難であると思われますので、私ども目下そういうふうに選手村の移動の問題が出て参りまして以来鋭意東京都と相談をして、実際の実施面について協議をいたしている次第で、さばけるようにいたしたいと思いますが、それでもなお、若干というか相当程度と申しますか、開催時には、交通規制等を考慮しなければどうかということで、その方面のことも検討いたしておる次第でございます。 それからホテル関係でございますが、これは東京都及び国としましても、ホテルの充実ということについては、かねがねまた運輸省の観光局等と関係をして考慮をいたしておりました点で、今回建築規制の問題が起きましても、これは不要不急のものの繰り延べを勧告しようという建前でございまして、オリンピックを前にした必要欠くべからざるホテルの増強ということにつきましては、おそらく七人委員会ができまして、そこでこれから具体的に協議をする段階に入るわけでございますが、これらは特別の計らいをすべき事項である、ぜひ七人委員会においても、そういう計らいをしていただきたい、こうわれわれ考えておるわけでございます。
○岩間正男君 委員長。
○委員長(小山邦太郎君) 議事進行の申し入れでございますから、ごく簡単に。
○岩間正男君 簡単にやります。 文部大臣に対して訂正を求めたいと思うのです。先ほどの私の関連質問に対する文部大臣の答弁の中に、教育基本法第二十条という言葉があったわけです。ところが、御承知のように、教育基本法は十一条しかございません。おそらくこれは前後の関係から考えれば、学校教育法二十条の誤りでないかとも考えられるのでありますけれども、私は、やはり当委員会の権威において、ない条項を出すのはまずいので、率直にここで訂正を願いたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お話のとおり、学校教育法第二十条と言うべきを教育基本法と言い誤っているようでございます。訂正さしていただきます。
○委員長(小山邦太郎君) 明日は、午前十時に開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時六分散会