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39回国会参議院1961/10/23

文教委員会 第4号

発言数
148
登壇者
12
会派数
2
開催日
1961/10/23

会議録

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) ただいまより文教委員会を開会いたします。  まず、委員の異動につき御報告いたします。  去る十月十九日、野木品吉君が委員を辞任され、その補欠として青木一男君が委員に選任され、また十月二十日、青木一男君が委員を辞任され、野本品吉君がその補欠として選任されました。  また本日、青柳秀夫君、堀本宜実君及び加藤武徳君がそれぞれ委員を辞任され、その補欠として野上進君、村山道雄君及び上林忠次君がそれぞれ委員に選任されました。  以上であります。   —————————————

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 次に、理事の補欠互選についてお諮りいたします。  委員の異動に伴いまして、現在、当委員会に理事が一名欠員となっておりますので、この際、その補欠互選を行ないます。互選の方法は、成規の手続を省略し、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 御異議ないと認めます。それでは、理事に野本品吉君を指名いたします。   —————————————

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 次に、委員長及び理事打合会の経過につき御報告いたします。  開会前、理事会を開き協議いたしました結果、本日は、まず高専校新設問題等、当面の文教政策につき調査を行ないました後、公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律案を議題とし、審査を進めることに決定いたしました。  以上、理事会決定の順序に従いまして本日の委員会を運営いたして参りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 御異議ないと認め、さよう運営いたして参ります。   —————————————

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) それでは、高専校新設問題等、当面の文教政策に関し、調査を進めます。  質疑の通告がありますので、この際発言を許します。矢嶋三義君。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 ただいま出席している大臣並びに政府委員をお知らせいただきたい。

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 荒木文部大臣、杉江体育局長及び内藤初中局長、堀本大蔵政務次官、谷川主計官、以上であります。なお、大上自治政務次官と奥野財政局長も出席いたしております。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 出席されておりますか。——本日、私はお許しを得ましたので、先般質疑いたしました残りの、オリンピック関係と、それから高専校新設問題と、学力テストの問題について数問質疑させていただきたいと思います。まず、自治省の政府委員がまだお見えになっておりませんから、文部省だけで質疑の終わる学力テストの問題について二、三お伺いいたしたいと思います。  九月二十六日の学力テスト前に、衆参でずいぶんと質疑が行なわれました。私ここでお伺いしたい二、三点とは、次の事柄であります。けさの朝日新聞にも、「迫る学力テスト各地の空気」という見出しで、全国情勢が詳細に報じられております。事と場合では、日本の教育界に相当の混乱が予想される情勢であるだけに、きわめて私は重要な段階だと思うのです。この間において、あるいは神奈川、山梨県等においては、自主的に実施法についていろいろと検討され、教職員組合とも話し合いがついて円満に遂行される情勢の府県も若干出て参っているようであります。そこで、私は文部大臣にお伺いいたすのでありますが、都道府県教育委員会がその県の教育関係者と話し合いをして、そうして都道府県教育委員会の責任ある企画のもとに、自主的に十月二十六日の学力テストが行なわれることは、荒木文部大臣の方針と百パーセントかりに一致していなくても、それはやむを得ない。都道府県教育委員会にそれだけの権限がある。文部大臣としては、自分のお考えで全国悉皆テストを百パーセントやりたいというお考えがあるかもしれないが、都道府県教育委員会にそういう権限があり、かようなまとまり方をするならばそれでよろしいと、文部大臣としても、やらぬよりはその方がいいと考える、この点について文部大臣の御答弁をいただきます。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) まあ本来、今度の一斉学力調査は、文部大臣に与えられております義務教育に関する教科に関することを決定する権限及びその責任を負わされております。その点にかんがみまして、義務教育の全国の学力の現状を知りたい。その結果に基づきまして、いずれは個人格差、学校の格差、地域の格差等が必然的に出てくるものと思います。その格差の出てくる原因が何かということを極力合理的に分析し、把握しまして、それを教育の諸条件、あるいは学習指導上の有力なる合理的な根拠として改善をはかりたい、まあそういうのが今度の一斉学力調力の主たる目標でございます。したがいまして、問題も、学校教育法二十条に示すところの教科に関する画一的な課題をとらえてのテストということにならざるを得ない。また、そうすることがより適切である、その範囲内の調査であるわけでございますから。で、本質的に、都道府県の地方分権的教育行政の趣旨にかんがみた職務権限があることは万々承知いたしますが、今回の一斉学力調査はそのことを建前としてやるのじゃない。御指摘のように、都道府県の自主性の立場に立ってやるものは、都道府県みずからが別途に行なうということは、これは当然のことといたしまして、今回の一斉調査は都道府県の特色を盛り込む余地のないものと、また盛り込まないほうが本来の趣旨が適切に透徹できるものだと考えるのであります。ですから、都道府県の立場において何らかの作為を加えられるにしましても、今申し上げました一斉学力調査の目的を達成するために必要なことを補足的にやられるということはあり得ようかと思いますが、テストそのものは、今申し上げる趣旨で行なわるべきもの、したがって、文部省が示しました調査のやり方と本質を異にすることをやられることは望ましくない、かように考えております。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 文部大臣のお考え、衆参で発言されたことは大体私は了承しておりますので、時間の関係上、私の伺っている点にピントを合わせて、明確に一つお答えを願いたい。  今の点、もう一回お伺いいたしますがね。この学習指導の改善、教育条件の改善の資料とすると、これが今度の学力テストの一番大きな柱になっているわけですからね。したがって、都道府県教育委員会が、この主目的を達成するために、現場の教師の協力を得て、そして混乱を起こすことなく、スムーズに一斉調査が行なわれるように話し合いをまとめられて実施するにおいては、文部大臣としてはそれは十全でないと思われるかもしれませんが、都道府県教育委員会にそれだけの権限があり、それで教育界に混乱が起こることなく、円満に十月二十六日のテスートが行なわれるならば、文部大臣としてはそれもやむを得ない、それでけっこうだ、混乱を起こすよりはよろしい、こういう御心境にあられると思いますが、いかがですかということを伺っているわけで、先ほど文部大臣の言葉の中に、言葉を返すわけじゃありませんが、都道府県教育委員会の特色を一応織り込む余地はないのだ、こういうふうにおっしゃいますが、学習指導の改善と教育条件の改善の目的を達成するためには、うちの都府県ではこういう形で円満にテストをやるのが妥当であり、一番成果を上げ得ると都道府県教育委員会が判断をして、そうして話し合いの上で行なわれるならばそれでけっこうだ、それだけの権限が都道府県教育委員会にあると、こういう御見解に立たれているものと思いますので、あらためて伺います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいまも申し上げましたように、都道府県の地方分権的立場における職務権限に基づいて、なすべきことは別途あるわけでありまして、その見地に立ってみずからの見識をもって学力調査をやられることは、これは当然と思います。しかし、それはあくまでも別途にもくろまれ、実施さるべきものであって、今度の一斉学力調査に地方の特色を具体的に盛り込むということは、それ自体一斉学力調査の効果を減殺するおそれがございますから、そういうことはやってもらいたくない。ただ、事実問題として日教組が騒いでどうにもならぬから、事実上話し合うべき、本来話し合うべき筋合いの課題じゃございませんけれども、今までの行きがかり上、そんなふうなことが起こって、望ましくないが、話し合いをして騒がないで済んだということは、騒ぎが起こるよりは少しはましだろうとは思いますが、そんなことをすることそれ自体が大体間違っておることだと心得ます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 文部大臣、少し大臣としてこだわり過ぎておると思うのですがね。私は日本の教育界の混乱が起こらないように、国費を使ってやるテストですから、日本の教育にプラスになるようにと、そのためにはこの時点において国会議員としていかなる発言をし、行政府に対してどういう態度をとることを要請すべきか、示唆を与えるべきかという立場から伺っているのでありまして、現状認識を誤ることなく、日本の教育にプラスをもたらすという立場からお答えいただきたいと思います。  続いて第二問として具体的に伺いますが、それは、今まで私が承った点におきましても、また本日の朝日の特集を見まして毛、指導要録にその結果を記入するかしないかということが一つの大きなポイントになっておるようであります。で、指導要録にその結果を記入しないということになれば、相当全国的にこのテスト問題が緩和される情勢にあるように私は判断をいたします。そこでお伺いするのでありますが、大臣の御発言を今まで承ってみますと、子供の一生につきまとっていくようなことはしない、入学試験にはこれを使わない、就職にも使わない、こういうことを明確に答弁されております。そこで伺うのですが、指導要録のサンプルを文部省は示してはおります。しかし、この指導要録の決定権は市町村教育委員会にございます。このサンプルとして出されておる指導要録の中には、もちろん標準検査の記録というものがございますが、市町村教育委員会が今次テストを円満に施行し、成果を上げるために、指導要録には記入をしない、こういう方針を出されて実施されることは、指導要録にぜひとも記入してほしいと強い指示を与えておる文部大臣としては不満かもしれないが、市町村教育委員会が諸種の情勢を総合判断して、指導要録には記入しないでよいという方針を出されてテストを行なわれるならば、それもやむを得ない、それでけっこうだと、それだけの市町村教育委員会には権限がある、こういう御見解に、今、文部大臣は立たれているもの、立たれるべきものと、かように私は考えますが、いかがでございましょうか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) おっしゃることを違法呼ばわりは直接できないと思います。ただ、はなはだしく適正を欠く措置を都道府県がそういう場合にはとったと判断さるべき内容のものと思います。と申し上げますのは、なるほどおっしゃるとおり、指導要録のひな形を定めて通達をいたしております。それに書き込む事柄は校長の権限であり、職責であると理解いたします。けれども標準検査に関する事項という欄に、テストでもって的確な資料と考えられる信憑性のあるもの、しかも的確に実施したというものは、そこに記入しなさいということを指示いたしておる。何が信憑性あるものかどうかは、むろん校長の判断にまかされている姿であることは当然でございますが、しかし、その何が信憑性があるかどうかということは、そこで予定しておりますのは、民間テストを対象といたしております。民間テストといえども信憑性ありと認めるものは記録したさいという建前になっております。そうして今度行ないます一斉学力調査は、文部省がその権限に基づく責任に立脚して教育の場を改善しますために、ぜひ必要だからやるという学力調査でございますから、民間の部分々々、あるいはいわば無責任な立場にある民間のテストよりも、もっとはるかに信憑性のあるその欄に記入さるべき本質を持っている、こう判断するのでございまして、したがって、記入してもらいたいということを指示いたしております。(「もらいたいという希望ですか」と呼ぶ者あり)むろん希望的指示でございますが、しかし、その指示には本質的に従がうべき内容を持っております。しかし、しからば記入しなかったから義務違反として、法律違反として処断さるべき直接の理由は生じないと理解いたしますが、しかし、望ましきことであることには私は客観的に確かだと信じますので、記入してもらいたい、それを記入しないでよろしいと都道府県が判断して指示したこと、そのことは、はなはだ適切を欠く処置であると、こう考えます。しかし、現に数日後に迫っております措置要求までもして、そうして狂欄を既倒に返すことは事実上不可能だと思います。したがって、結果的にはおっしゃるようにやむを得ないということが起こると思いますが、来年の一斉学力調査には、そういうことはしないようにという指示を当然せねばならない課題として残ると思います。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 文部大臣、私はこれで質問を終わるのですがね、地力教育行政法の中に措置要求というのがありますね。これは第三十一回の通常国会で成立した法律ですが、あの文部大臣の措置要求という点は、最も白熱した論議が国会で行なわれた条章なんです。こういう指導要録に記入するかしないかということであの措置要求権を発動するような問題ではないのですよ。これは法の運用を誤っておりますよ。あなたは文部省で行なうテスト、民間テストの信憑性云々ということを言われておりますが、私はそういうことは問題じゃないと思うのですよ。端々の問題だと思うのです。したがって、指導要録に学校長あるいは教師が、この際は記入を見合わせよう、また、市町村教育委員会がこのテストの成果をより上げるために指導要録への記入はこの際見合わせようということになれば、文部大臣としては、それでけっこうだという立場をとられなけりゃならないと思うんですよ。指導要録に記入するかしないかということが一番争点になっているようです。それを固執して、日本の教育界に混乱を起こすようなことを、文部省として、文部大臣としてやって、あるいはやらして適当なのでしょうか。政治家としてそれでよろしいんでしょうか。われわれは事をなさんとするときには百パーセントこいねがうんですよ。しかし、すべてのことが百パーセント行なわれるということは希有ですよ。次善、三善の策を特に政治家は私は考えなきゃならぬと思うのですね。かりに、私はかりにと申しているのです、新聞を私は根拠にしているのですから。かりに指導要録に記入しないことによって日本の教育界の混乱が防げるし、次善、三善の方途としてテストが行なわれるとするならば、文部大臣としてもそれでけっこう、やむを得ない、こういうことでなくちゃならぬと思うのです。そこで、私はあらためてお伺いいたしますが、荒木文部大臣は次のごとく発言、答弁をした。すなわち今次十月二十六日の学力調査に当たって、市町村教育委員会が学校長、現場教師と協議の上で、その結果は指導要録には記入しないという形において話し合いがつき、円満に学力テストが行なわれるにおいては、文部大臣としてそれで差しつかえない、けっこうだ、それだけの市町村教育委員会、学校長に権限があると答弁をした、よろしゅうございますね。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今も申し上げますとおり、けっこうだとは思いません。やむを得ないことだとは思います。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 お約束でありますから、私の学力テストの問題はここでとどめまして次に移りますが、豊瀬委員から関連質問があるようですから。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 約束ですから質問になりませんが、明日質問するために資料提出の点で一、二ただしておきたいと思います。私はこの問題が審議される冒頭に当たりまして、同僚議員の数氏と一緒に、まず第一番には人的能力委員会の答申書、これの提出を要求いたしておりましたが、今日に至るまで文部当局のそれぞれの係は言を左右にして提出をいたしません。これはすでに昨年に出された資料であります。その中の要項等はいろいろな角度において論議された問題ですが、それが十日近い日にちを経過しても今日まで出されないということに対して、大臣は、重要な学力テストに関連ある資料を文部官僚が故意に隠匿しておるという判断をされてもやむを得ないと思いますが、大臣の見解はいかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 国会からの資料の御要望に対しましては誠意をもって作成し、提出しておるはずでございます。もし、御要望のことがまだ提出されていないとすれば、実際上手間がかかり時間がかかってできないか、しからずんば資料がないために不可能か、いずれかの場合以外はあり得ないと思います。文部省の政府委員以下、文部省をあげて国会の御要望に対しては誠意をもって準備し、提出できるものは提出しておると承知いたしております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 人的能力委員会の答申案は昨年でき、しかもプリントにした資料ですよ。それを要求をしてから、やっときょう再度質問するように理事会では話し合いをしておりましたけれども、ロッカーに入れられたのは何日か御存じでしょう。正式に委員会から諮問して論議され、しかも、所得倍増計画の一つの根拠となり、その所得倍増計画に基づいて学力テストをやるべきであるという根拠に立ってこのことが進められております。こういう重要なる資料を数日間も提出しないということは、これはどうあろうとも、あなたが御答弁のような、誠心誠意をもって資料提出に当たっておるとは判断できません。しかも、当該資料につきましてただしましたところ、政府委員室の連中は、すでに前国会においてもある部の委員会には配付された資料である。機密資料ではないと言っておる。ただし、文教委員会には配付されませんでした。この資料を要求して、しかも一週間以上も出されないということをもって、大臣は誠心誠意資料の提出に当たっておるという判断ができますか。同時に、これは内藤局長あるいは調査局の所管になりますが、昭和三十一年以来学力テストをやってきております。もちろん今回のような一斉調査ではありません。しかし、この抽出による学力テストの結果をどう診断し、そのことがいわゆる教育基本法にいうところの教育諸条件の充実にどう反映し、どう法令化し、どう予算化されたかという資料を要求している。しかも、ここに出された資料を大臣ごらんになっておりますか。私はその際にも、教育白書に盛られておるような抽象的な資料ではだめですよということを念を押しておる。ところが、調査局の出された資料は何日実施しました、これこれですというきわめて審議の対象にならない、また、今回学力テストを実施するに当たって、大臣がたびたび答弁してあるところの、諸条件の整備充実に資したいという決意をされたところの根拠になるべき資料ではありませんよ。こういう点から考えまして、私は提出の、実際に出された具体的の資料を大臣が検討されてみるときに、文部当局が資料の提出に対してきわめて怠慢であったということをはっきりと認識してもらいたい思いますが、資料をごらんになった上でどうお考えですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 実際のところ、御要望の資料を提出しますときには、大臣決済まで取って提出いたさないような慣例のようでございまして、見ておりません。提出しましたものは私の責任において出すわけですから、全部見ておるべき筋合いとは思いますけれども、現実問題としては見ておりませんので、どういうものを差し上げたか承知しないのははなはだ恐縮に思います。ただ、その間の御要望との資料の食い違い等のいきさつは、具体的なことでございますから、必要ならば政府委員からお答えすることをお許しいただきます。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) 資料といたしましてお手元に差し上げたものは大体私どもつけておると思います。今お尋ねのこのサンプリング・テストがどういうふうに改善の資料になったかという点につきましても、第一番に学習指導要領改正に際しまして、これは初、中、高の指導要領改正には十分役立てました。そのほか、僻地教育の振興とか、あるいは特殊教育の振興とか、育英資金の増額の問題あるいは科学技術教育の振興の点、こういうような点につきまして一応の資料が出ておるのであります。  それから、人的委員会のお話が出ましたが、これは確かに委員の構成等につきましては出ておるはずと私は記憶しております。ただ、その資料の内容でございますが、人的構成部会あるいはたくさんの部会がございまして、全部の議事録は膨大なものでございますから、それを印刷するには実は時間がかかるというので全部お出しできないと思いますが、要旨だけは少なくともお出ししたと私は記憶しておるのですが、この点、再度調査いたしまして、もし提出がなければ、これは大へん遺憾なことでございますので、さっそく出したいと思います。で、部会によっては、まだ委員会の構成だけきめて実質的な審議に入っていない。たしか豊瀬委員の御質問の点は二つの部会があったように記憶しておるのですが、一つの部会のほうは一応の結論を得ておる。他の部会の方は構成だけきめて何にも審議に入っていない、こういうふうに聞いておりましたので、委員会のメンバーだけを私出したように記憶しております。それから一つの部会については一応の結論が出ておりますが、先ほど申しましたように膨大な資料でございますから、豊瀬委員には報告書全文を差しあげたとも記憶しておりますが、これは別に他意があるわけじゃないので、たくさんのものでございますから、謄写が間に合わなかったということでございます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 どうも資料提出に対してまじめな答弁でないと思いますが、人的能力委員会の答申資料は字数にして二万五千字程度のものです。そしてこれはすでに印刷されているものです。それが十日間近くも配付されていないという根拠については私はどうしても了解できない。委員の構成等については、おっしゃるとおり資料が出ておるけれども、教育訓練小委員会、人的能力委員会——マン・パワーはどうあるべきか、そしてその中に学力テストはどう実施すべきかということもちゃんと出ておる。これはちゃんと当該官庁から私は手に入れています。これが出せないという理由はありませんよ。字数にしてそうたいしたあれじゃない。教育訓練小委員会の結論は、これはかなりな資料です。これはプリントとして出ていますよ。それから今私が言った、この間も具体的に言ったのだけれども、学力テストをやる。そして生徒がたとえば五十点の点数をとる。その中に理科の出題についてこういう傾向の出題が出た。その学校では免許状を持っている者の構成がどうである、地域環境はどうである、学校の顕微鏡とか、試験管とか、あるいはその他のいわゆる一応の考えられる基準について到達点に達しておるか、したがって、教師、生徒環境、それから学校の設備、こういうものを判断して、同じ五十点であるけれども、福岡県はここを充実する必要がある、岩手県においてはここを整備する必要がある、この結論が出なくしてあなたたちが言っておるところの教育諸条件の整備ということは考えられません。したがって、僕が要求しておるのは抽出テストであるけれども、テストをやったその当該事件について、全部とは言わないから、いずれかを指定をして、そういう診断をしたものがあれば出しなさいと、こう言っている。だから明日、再度質問を全体についていたしますので、あらためて答弁の必要ありませんので、今申し上げたような資料を十分用意していただきたいと思います。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 次に、高専校新設の問題に関しまして、緊急性がございますので、数点にわたって質疑をいたします。まず、自治省の奥野財政局長にお伺いいたしますが、政務次官にはそのあとで伺います。  自治体には固有の行政事務があり、行政水準の維持の向上をはかるために高専校の新設等にあたって地元負担金を国から課せられることは好ましくない。行政事務のうちに教育問題だけをとりましても、高校の急増対策、高校の老朽施設、設備の改善等を考えるときに、国立高専を設置するからといって、伝えられるような地元負担金を国が課することは、自治体のお世話をしておる自治省としては好ましくないことだと考える、この点についての事務当局の御所見を承りたい。

奧野誠亮自治省財政局長

○政府委員(奧野誠亮君) お話しまことにごもっともでございまして、全く私たちも同じような考え方を持っておるわけであります。特にそういう意味で、地方財政法、地方財政再建促進特別措置法に関連した規定も置いておるわけであります。こういうことでもございますので、工業高等専門学校設置については、形式的にはもちろんではございますけれども、実質的にも地方団体の負担とならないような措置を国において講じてもらいたいというようなことで、文書及び口頭、両方をもちまして、文部省及び大蔵省に申し入れをいたしておるわけでございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 自治省の大上政務次官に伺いますが、大臣にかわってお答えいただきたいと思う。  来年度の予算編成にあたっては、自治大臣は閣僚の一人として、先刻私が発言をし、奥野政府委員が答弁された線に沿って予算が確定するよう全面的に責任を持って努力をするということのお約束をいただきたいと思います。御答弁願います。

大上司自由民主党自治政務次官

○政府委員(大上司君) お答えいたします。ただいまの点につきましては、財政局長から御説明したとおり、寸分間違いございません。したがいまして、ただいま矢嶋先生の明年度の予算編成にあたってどういう考えで、あるいはさらに事務当局の述べられた意見に間違いないかという御質問のように伺いました。したがいまして、本件につきましては、ただいま局長の申し上げたように、文部省へ書類をもって申し込んでおりますと同時に、われわれは本年の八月三十一日に、「昭和三十七年度国の予算編成と併行して採らるべき地方財政措置要領」というのも出しまして、その中の特に六項のうちに、この高専も入れております。その内容を御紹介しますと、「工業高等専門学校等国の施設の新設に当っては、当該施設の敷地等の取得に要する経費について、形式的には勿論実質的にも地方団体に負担を求めることとならないよう国において充分予算措置を講ずる。」こういう建前からしまして、大臣になりかわりまして、わが省といたしまして、また、国といたしましても、きん然とこの線で進んでいきたいと思います。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 その答弁了承いたします。  次に、文部大臣に伺います。高専校新設に関する法律の生みの親として、荒木文部大臣としても一校でも多く国立高専を設立いたしたいという念願に燃えているだろうということは容易に推察できます。そこで、大臣に伺うのでありますが、今全国からどの程度の新設要請が文部当局になされているかどうかということと、それからこれは売り方買い方の関係ですが、できるだけ多く設置したいという文部省、それから自分らの郷土に設立してもらいたいという地元側、その関係から、文部省としては少しでも受け入れ態勢、それはあるいは施設設備に対する物質的な地元負担ですね、それがよけい出てくることを暗に期待しているやに見受けられるし、また地元側としては、設置してもらいたいあまりに、当然固有の行政事務でやらなくちゃならぬもろもろのことをたな上げにして、同じ教育問題でも、たとえば具体的に、高校の急増設、そういうことは都道府県が最もやらなければならぬ事柄でありますが、そういう方面を若干犠牲にしても、ブレーキをかけても、高専を設立してもらいたさに、非常に無理をした受け入れ態勢を整えようとする傾向が私は見えていると思います。これは好ましいことでないと思うのですね。だから、担当文部大臣としては、自治省側の見解と同じ気持で閣内において主張し、予算の編成確定に努力されるべきである。そういう基本的態度を堅持されているものと思いますが、あらためてお伺いいたします。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 現在、工業高等専門学校の設置希望個所は約五十カ所でございます。県の数でいきますと、約四十都道府県という見当でございます。ところで、今、自治省の政務次官、財政局長からのお話し承知いたしております。ありようを申し上げますと、来年度の概算要求をするに当たりまして、土地の入手についての概算の数字がございません。ですから、一体土地はどうするのだと内部で話したことがございます。ところが国立の学校等を設置しますときに、地元でそれを提供してもらうというのは明治以来の慣行だ。文部省もそう思い、大蔵省もそう思い、地元一般もそう思っておるというふうな話が出まして、それならば、土地の関係の概算要求はつけないで、概算要求をしようという内容が、今概算要求として出ているわけであります。その後、今、自治省からのお話のような文書をちょうだいいたしまして、そのことに関連して、今、大蔵省とも話し合い中でございます。仰せのとおり、一方において地方財政が県によっては非常に苦しいところがあることも承知いたしております。それに対して、国として自治省を通じて、地方財政の健全化のために、運営上必要な措置を講じておるということも承知いたしております。それとこれとを考え合わせますと、もし地方自治体の負担に帰するようなやり方でやることは、形式上も実質上も好ましくないことは当然と心得ます。その間の問題につきましては、大蔵省とも、さらには自治省とも必要ならばよく相談をして善処したい。かように考えておるところであります。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 明治以来の慣行と申しましても、新憲法以来、行政機構の、また具体的に自治体制制度も大きく変革がなされておるわけでありますから、だから明治以来の慣行というような立場で、地元に負担を課する、そのために他の当然固有の事務としてやらなくちゃならぬことが、なおざりにされるというようなことがあってはならないと思いますので、関係省において十分配慮されるよう、特に御要望申し上げておきます。  次に、文部省に伺いますが、高専校一校の設立に要する経費は、大ざっぱに申して幾らと算定されておられますか。なお、来年度において幾ばくの予算を要求し、予算書に計上しようとされておられるか、数字を承ります。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 正確を期します意味で政府委員からお答え申し上げます。

岡野澄文部省初等中等教育局審議官

○説明員(岡野澄君) 来年度国立の工業専門学校の設置の予算としましては、初年度の運営費として十億四千万円を要求しておりますが、一校当たり、完成年度になりますと、施設費約五億四千万円でございます。それからそのほかに運営費としまして、一校当たり約一億五千万円でございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 あなたの御答弁は、初年度約十二億円要求するつもりである、かように了承してよろしいのですか。

岡野澄文部省初等中等教育局審議官

○説明員(岡野澄君) 初年度運営費として十億四千万円を要求いたしております。それから別途に施設費として二十四億を要求いたしておりますから、合計いたしますと約三十四億要求しているということでございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 現時点において、大蔵当局の御答弁をわずらわします。先刻以来、文部、自治両省から見解が表明されたわけでありますが、これに対して大蔵当局として、どういう御見解を持っておられるか、お答えいただきたい。

堀本宜実自由民主党大蔵政務次官

○政府委員(堀本宜実君) 理工系の学生の増募対策について、高専設置が決定され、それについて文部省から予算の要求がございます。まだ文部省との詳細な打ち合わせが完了いたしておりません。目下これらの予算については慎重検討いたしております過程でございますので、数字をここで申し上げることができないことを、まことに残念に存じますが、検討を行なっているところでございます。なお、ただいま御質疑の中にございました地方団体のこれら建設に対しまする敷地あるいはその他施設費等の寄付等につきましては、地方財政法並びに地方財政再建促進特別措置法等の法的な問題もあり、また、法的な疑義もありますので、具体的な決定の際、これらの問題は慎重に文部省と検討をいたしまして決定をいたしたい、かように存じます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 次に、文部大臣にお伺いいたしますが、法律が公布施行されているわけですから、明年の四月一日から何校かは発足することは既定の事実だと思うのですね。それを前提に伺うわけですが、いつ設置場所を決定する予定なんでありますか。学年度というのは、四月一日から発足するのですからね。それには幾多の事前の用意が要るわけです。私は今決定しても、来年の四月一日の開校というものは至難だと思うのです。一体いつまでに設置場所をきめて、いつからその新設校を発足させようという構想を持っておられるのか、お答えいただきたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指摘のとおり、来年度初頭から発足させますためには、事前の準備を十二分にいたしませんければ困難かと思います。具体的な設置場所の決定は、予算折衝とのからみ合いになりますので、十一月一ぱいにはおそくとも内定をいたしまして、むろん制度論としては、予算を国会で御決定いただかぬことにはできない道理でございますが、すでに今御指摘のとおり、法律としてはお認めいただいておりますことに寄りかかりまして、実際問題としてできるだけの下準備をいたしたい、かように考えております。四月一日にきちっとスタートできるかどうか、実際問題として困難があろうかと思います。一ヵ月ぐらいずれることもあり得る、それもまたやむを得ないであろう、そういうことも念頭に置きながらの準備をいたしたいと今心がまえしておるところでございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 続いて伺いますが、私はこの設置場所については、国の恒久的教育施設機関であるから、最も合理的に公正にその設置場所をきめなければ、後世に悔いを残すので、この基本的態度について、かつて文部大臣にお伺いをし、私の共鳴するような御答弁をいただいたわけですが、最近一部から承るところによりますと、政界の有力者の勧誘がかなり目立ってきたように私は感知しております。いわゆる与党の実力者が、その設置場所について事務当局の見解をたな上げにして、動かれている傾向があるようです。これは文部大臣として責任を持ってそういう傾向というものはチェックしなければならぬと思いますが、いかがでありますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) むろんお説の通りと存じております。与党だけではなしに、与野党を通じて地元の熾烈な御要望をお申し出になる向きがたくさんございまして、実は取捨に迷うくらいでありますことは、先刻、五十カ所くらいのところから、予算要求が十五しかないのに、三倍以上の御要望があるので面くらってはおりますが、どこに具体的に最終的にきめるかにつきましては、お説のような考え方で臨まなければならぬと思っております。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 いつぞや共同通信の報ずるところとして、詳細にその設置予定地が日刊紙に報道されたことがあります。一部文部省の事務当局に聞きますと、あれは共同通信記者の創作であって根拠はないのであるということをプライベートに承っておりますが、さように了承してよろしいのかどうか。それとも俊秀なる記者に盗まれたのか、やはり根拠のある記事なのか。責任者として大臣の御答弁をわずらわしたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 盗まれたはずもありませんし、盗まれるような具体的な材料があろうと私は思っておりません。先刻申し上げた通り約五十カ所からの熱烈な希望があることは、これは敏腕ならざる記者諸君といえども御承知のはずでございます。地元の熱意等をしんしゃくしながら作られたものではなかろうかと想像いたします。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 それは承っておきます。  あと二、三問ありますが、その一つは、新聞にも報じられ、また、かつて委員会でも発言されたかと思いますが、前国会で新設を見ました長岡工業短大、宇部工業短大、これを高専に横すべりをするという方針が伝えられております。これは前国会の法案審議の経過からいって、立法府における審議を軽視するものとして私は許すことができないことと思います。法案審議の場合、十二時近くの深夜に及んだことがありますがね。この高専の新設と短大とは、別個の問題だ、異質の問題だ、短大制度というものは、今の学校教育法では臨時的な措置となっておるが、これを変えるつもりはないのだ、かように答弁しております。前国会でこの工業短大は新設を国会にはかったばかりじゃないですか。そのあなた方の意向を受けて、われわれは国会でこれを可決成立さした。その際に、工業短大とこれとは異質の別個の問題だ、かように答弁しておきながら、舌の根のかわかないうちにこれを高専に横すべりするということは、国会における行政府の答弁と著しく食い違うし、立法府の審議過程を無視するものであって許すことのできないことだと思うのですが、これも根拠のない報道であると了承してよろしいのかと思いますが、念のため承っておきます。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいま御指摘の点は根拠のある報道でございます。概算要求に、二ヵ所について新設の中に含めて、純然たる新設プラス二つ、合わせて十七校ということになるわけですが、そういう要求をいたしております。御指摘でございますが、短大制度そのものは一つのこと、高等専門学校制度はまた他の一つであることに間違いはございません。今御指摘の場所に土地もございます、校舎もございますから、新設をしようというわけでございまして、ことに地元等からも当該大学としてもそうしてほしいという要望も非常に強力に行なわれましたので、そのことも合わせ考えまして、純然たる新設のほかに二つを予定しておるような次第であります。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 重ねて伺いますが、それでは、たとえば長岡の場合、長岡工業短大ができる。それと別に長岡工業高等専門学校というのができるわけですか。そういうことを報道されているの。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) そのとおりでございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 これは新設地を決定する一つの基準の問題に触れてくると思いますが、この国の教育機関の全国の配置、それから日本の産業の分布状況等、にらみ合わせるときに、昭和三十六年度で工業短大も設ける、昭和三十七年に高専も設ける、こういうことは適当なんですかね。その裏には、これを工業短大をつぶして高専一本にまとめるというような底意があるのじゃないですか。でなければ考えられぬことだと思う、常識上。もしこれを一本にするとするならば、私がさっき申し上げたように前国会の法案審議の過程におけるあなた方の答弁から、著しい食い違いを生じて、私は許すことができないと思います。当時の小林大学局長の答弁は、私あとで言ったような方向だった。それを無理やりに全く力をもって大臣は小林大学局長の答弁を、文部省の最終統一見解としてくつがえさしたじゃないですか。そういう経過があるのですよ。重ねて伺いますが、その二つできるということですが、それを一緒にするというような考え方はないという前提に立ってお考えになっておられますね。御確認願います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) そのとおりでございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 谷川主計官に伺いましょう。あなた方はこれは予算の査定をするわけですが、最近のこの技術革新その他に伴ってこの技術系統の学校の新設要望というものはきわめて盛んなわけです。大臣が申されたように全国五十校の新設要望がある。そういう状況下において昭和三十六年度に工業短大を新設して、そして昭和三十七年度に、五年制の高等学校と工業短大を一緒にしたようなものですよ、そういうものをまた三十七年度に設ける、こういう計画というものは、予算の査定権を持っている主計官としては、どういう見解を持って査定なさらんとするのか、私は非常識な文部省の方針だと思うのですよ。これが、かりにその二年の短大と高専新設を一つとして工業高専一本にするのだというなら、これは私は国費の使い方として考えられると思うのだ。しかし三十六年と三十七年続いてそういう別個のものをこしらえるというそういう国費の使い方ってあるでしょうかね。非常識きわまる方針だと思うのですよ。あなたの英知と良識ではどういう御見解か、念のため承っておきます。思い切って答えなさいよ。

谷川寛三大蔵省主計官

○説明員(谷川寛三君) まだ私ども、先ほど政務次官から……。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 聞いておる今の質疑応答、それだけの素材で、あなたの脳細胞で判断していただきます。

谷川寛三大蔵省主計官

○説明員(谷川寛三君) 先ほど私どもの政務次官がお答え申し上げましたとおり、理工系の学生の増募対策の一環として、いろいろな案が考えられているわけでございますが、その中で短大、それから今度新たに新設されます高専に、どういう役割と地位を与えていきますかということにつきまして、まだはっきりした結論を出しておりませんので、慎重に考えておりますところでございますので、いろいろ御意見等を参考にさしていただきまして、ひとつ早急に結論を出したいと思っております。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 あなたなかなか聡明で、そつがない答弁をする、まあ主計官当時は少しそつのある答弁をした方が事務次官までなれますよ。(笑声)そんなそつのない答弁は若年寄りでいけないですよ。しかし、今、文部大臣と私の間にそういう問答があったということは、谷川主計官にしても大蔵政務次官にしても、よく肝に銘じておってもらいたいと思う。いずれ今度お目にかかるときは、すでに予算案、法律案が確定して活字となった後にお目にかかるでしょうが、その内容いかんによっては、私はそのときあらためて質疑もいたし、追及もするつもりですから、その用意で十分査定されるように特に要望しておきます。  次に、文部大臣に伺いますがね、あと一、二点です。設置場所を早くきめにゃならぬ、きめるにあたっては、あなたのところで一つの科学的な合理的な基準というもののものさしというものをこしらえて、そのスケールに当てはめてきめると思うのですが、最近、産業都市建設に関する法律案等もいろいろと議題になり、検討されているようですが、新産業都市、工業都市建設等、国策の線として想定されているような地域というものは、その工業技術員養成機関の新設にあたっては、一つの大きな有力なる要因となるものと考えますが、そういう点は基本的方針の中に入れられておられるかどうか承っておきます。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お話の法案はまだ検討中のようでございますが、おおよその概括的な構想は数案ありましても、共通しておるようですが、御指摘のとおりそういうことも有力なる一つの決定要因でなければならぬと思っております。と同時に、農業基本法の制定は、そういうことにかかわらず、たとえばある県で、農業県にさらに農業所得をふやす意味においても、その県民の生活水準を上げる角度からも、工業を盛んにすることによって農工渾然一体的な県民生活の将来を期待するという構想からいたしましても、かりに今御指摘のような産業都市地域として指定されなかった県におきましても、また必要な一つの要因があるわけでございますから、その両面を考えあわせまして、予算折衝の成果いかんで相当の違いは出てこようとは思いますが、基本的な考え方は今御指摘のようなことも含めて十分考えなければなるまいと思っております。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 特にその点は要望いたしておきます。  で、高専校に関する最後の質疑ですがね、文部省としては省議に基づいて国立十五校の予算の概算要求をしているそうですが、予算編成の最終段階になると、二者択一的な意見が行なわれてくると思うのです。十五校が十校かあるいは十二校かあるいは八校か、こうなる場合、私は次のようなことがあってはならないと思うのです。で、その点で伺うわけですがね。たとえば大蔵省が非常に渋く八校だ、こう出してきた。これをたとえば十二校とする場合に、それでは大学のこっちの予算はこれでがまんするから——すなわち大学予算の犠牲——大蔵省の主張の八校をひとつ十二校にして手を打とうとか、あるいは今ベビー・ブームに対して高等学校の急増対策ということが大きな問題になっている。昭和三十六年度の予算編成にあたっても、大臣の誠意と努力にかかわらず、ベビー・ブーム対策として、高等学校の急増対策として、新設の補助予算はついに組むことができなかった、大臣はずいぶん努力されたけれども。しかし昭和三十七年度においては、高等学校の新設にあたって、ぜひともこれは終戦処理の一環として、補助予算が組めるようにしなければならない、したいものだというのがこれは大臣の公的発言でもあるわけです。私は期待しております。その予算の最終決定にあたっても、高専校は大蔵省が八校といえば、これが十二校になるのなら、それならもう高等学校新設に関しての補助金は従来どおりひとつ起債だけで文部大臣としては納得しましょう。すなわち高校急増対策の犠牲において高専校の予算を規定する。まあ政治ですからね、ギブ・アンド・テーク、予算の編成のような微妙な問題には二者択一的なものが出てくることは通例ではありますけれども、しかし、私は来年度の予算の編成にあたっての一つの眼目になる高等学校の急増に対する補助予算という制度を、ことしは昭和三十六年度の工業課程だけに限らずに、普通課程へも拡大するという、こういうことをやること、それから大学の予算を確保する、こういうことをかりにも微々たるものでも犠牲にする形で高校、高専の予算を確保するというような予算の編成の仕方というものはとらるべきでない、大臣もとろうとはしていない、かように思うのですが、この点についての大臣のひとつ所見と決意を承っておきたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 仰せのとおり高等学校の生徒急増対策は、これは待ったなしの、現にそれだけの生徒がおるわけですから、その現実に即して考えらるべき本質的な必然性を持っておると考えます。高専にしろ大学にしろ、所得倍増との関連はもとより、もっと長い目で見た技術革新の場に応ずるための措置として、これまた絶対必要なものと心得ております。池田前長官の勧告もありましたし、あれはなくったって、技術革新の場に応ずるためには、もともと国費がつぎ込まれて、全国民の利益のために措置されるべき性質を持った重大な課題と心得ております。高専も十五校、全部大蔵省は認めて下さるものと期待いたしているわけであります。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 もう一回伺います。大蔵政務次官並びに谷川説明員の順序でお答えいただきたいと思います。それは、終戦処理の一環としての高等学校の急増設、これにあたっては、昭和三十七年度においては補助予算を組み、地方自治体の行政水準の維持向上の一翼をになうのが妥当である。それらの犠牲において高専校の予算等を考慮すべきものでない。また、大学、高専と比較的関係の深い大学予算の面についても、高専校というのは、一つの国策、文教政策として最近の国会でも立法府の意思としてその設立が必要であると可決、成立、公布、施行された法律ですから、その設立に必要な予算というものは、昭和三十六年度予算に比べてはアルファとして出てくべきものであって、若干技術者の養成という立場において大学予算と関係があるからといって、大学予算の何らかの犠牲の形において高専校新設の予算等を査定、予算編成をすべき筋合いのものではない、かように文部大臣は答弁しております。大蔵当局もそういう御見解と思いますが、お二人の答弁をいただくとともに、これは都道府県に非常に関係あることであり、また地方財政にも影響を及ぼす問題でありますから、自治省の大上政務次官にもその御見解を承りたいと思う。答弁の順序としては、大上政務次官、続いて堀本大蔵政務次官、谷川説明員の順序でお答えいただきたい。

大上司自由民主党自治政務次官

○政府委員(大上司君) ただいまの御質問、ごもっともと思います。したがいまして、われわれのほうといたしましては、根本的にはあくまでも地方公共団体の健全なる財政の運営というものを主眼に置き、さらに次いで公共性というものを十分把握してこの問題に対処したい、このように考えております。

堀本宜実自由民主党大蔵政務次官

○政府委員(堀本宜実君) 高校急増予算を今度の高専に回すようなことがあって、高校の急増対策という点を無視することのないようにという御意見は、十分拝聴いたしまして、できるだけそういう角度で考えたいと存じておりますが、高校急増対策については起債でやると考えております。三十六年度も別ワクをつけてやったと考えております。なお、工業高校については、理工系の学生対策として三十六年度の予算に計上してこれを実施する、施行は。なお、明年度の予算の御質疑があったと思いますが、それにつきましては、先ほど申し上げましたような考え方で進んで参りたい、かように考えております。

谷川寛三大蔵省主計官

○説明員(谷川寛三君) ただいま政務次官からお答え申し上げたとおりでございます。こちらから申し上げることもございませんが、いろいろ議論になりましょうけれども、非義務制の高等学校につきましては、基本的にはただいま政務次官のお答え申し上げましたように、起債の面でやっていただきたいということで、これは別ワクで、三十六年度三十億でございましたが、計上されたことは御承知のとおりでございます。  それから、理工系の学生増募対策の一環といたしましては、まあ工業高校につきまして、これはまあ急いで整備する必要があるということで、三十六年度も相当額の国庫補助をいたすことにいたしたわけでございます。こういった点につきまして、また慎重に検討しなければなりませんが、一般的な普通高校の分につきましては、三十六年度にもこういうような考えをこちらとしては持っておる次第でございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 今御答弁が適当でないから、もう一回この点について伺わざるを得ないのですが、この点は午後審議を予定されている法案とも関係があるわけですが、でき得べくんば大蔵省の方々を午前中で解放申し上げたいと思いますので、さらにもう一問するわけですが、答弁は文部大臣、続いて大蔵政務次官の順序に願いたいと思います。  文部大臣、急増対策について、昭和三十六年度の予算編成の際に、三十七年度には急増対策について、終戦処理の一環として特殊な配慮を払って、そして若干の補助予算を計上したい、それは自分の政治的生命をかけてもやりかいというのは、あなたの従来の公私にわたる御見解であった。現在といえどもそれにいささかも狂いのないことかと思うのです。もしそれが間違ったとなれば、あなたは文部大臣として、私は責任をとってもらわなければならぬ。それに対する御答弁と、それから大蔵政務次官に伺いますが、三十六年度はまあ起債三十億で、補助としては工業高等学校関係の一億九千万円でがまんしてほしいというのが、三十六年度の予算編成の最終段階の話し合いで、三十七年度は考えましょう、いよいよベビー・ブーム、急増の頂点に達してくるから、臨時的な措置として、これは終戦っ子の処理なんだから、普通科高等学校についても補助予算を考えようと、当時の田中大蔵政務次官は、もちろん個人的でありますけれども、三十七年度は間違いなく補助予算を組みますよと、そして三十六年度はこれでいきましょうということだった。政務次官は人が変わっているけれども、大蔵大臣はかわっていませんよ。池田内閣も続いているわけです。ただ、改造しただけであって、第二次池田内閣。これが変えられては、私は政治家として許すことができない。責任を追及しなければならぬと思いますが、だから、それらの点については前言に狂いがないということを、大臣並びに政務次官からあらためてお答えいただきたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今御指摘のとおり、いささかも変わっておりません。

堀本宜実自由民主党大蔵政務次官

○政府委員(堀本宜実君) 先ほどお答え申し上げましたように、必要な予算を計上いたしますることはもちろんでございまして、高専等を新設いたしまするために、当然必要な高校の予算を計上しないというようなことはあり得ないことだと考えます。まあ以前もいろいろ御議論があったようでございますので、十分に慎重に検討いたしまして高校急増の予算対策を考えたい、かように存じております。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 私がお願いした質問としては、あと、先般質疑いたしました体育、オリンピック関係の残りの質問が約三十分ばかりあります。それで、委員長のお取り計らいですが、続いて済ませと言えばそういたしますし、ここで休憩ということになれば、大蔵省と自治省の方にまたお見え願うのは気の毒でありますから、大蔵、自治省関係の分だけ質疑を終わって休憩に入るか、いずれでも質問者としてはけっこうでありますから、委員長の御裁断を願いたいと思います。

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 速記をつけて。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 それでは、能率的に精力的に伺います。  まず、文部大臣に伺いますが、先般オリンピック対策の具体的な問題として、国立屋内総合体育館建設予定地並びに選手村建設予定地について質疑応答をしたわけでありますが、この予定地がワシントン・ハイツに、最終決定とまでいかなくても、ほぼ九九%程度内定的決定をした。それについては幾多の紆余曲折があったが、東京都あるいは埼玉県の御要望をいれて、そしてワシントン・ハイツに決定して、早急に予算的措置を講じて準備段階に入って参る、こういう方針が閣議で了承された。   〔委員長退席、理事豊瀬禎一君着席〕 かように承っているわけでありますが、御確認願いたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) そのとおりでございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 大蔵政務次官に伺います。先般の質疑の段階においては、ワシントン・ハイツ説というものはきまっていなかったわけでありますが、当時の大蔵省側の答弁は、競技運営上からいってもワシントン・ハイツが都合がいいとあるならば、そういうことがきまった上においては、ワシントン・ハイツにある住居の移転並びに従来予定されている環状七号線等の予定計画に伴う推進、ひいては朝霞の桃手地区等の返還後における住宅建設、そして今までオリンピック道路と称しておった道路を通勤道路として計画どおりに推進して参ることに対して、そういう方針がきまれば大蔵省としては協力するという意味の答弁があっておりましたが、いよいよさっき文部大臣が申されるようにワシントン・ハイツということに決定したならば、大蔵当局としては、予算的措置に対してそういう方針で協力善処されるものと私は考えるわけですが、確認していただきたいと思います。

堀本宜実自由民主党大蔵政務次官

○政府委員(堀本宜実君) ただいまの御質問でございますが、以前に御答弁申し上げましたときには、まだ内定とまで参っておりませんのでございましたが、ただいまお話しのように、大体内定をいたしましたような様子でございますので、負担につきましては国並びに東京都とも至大な関係がございますので、十分に協議をして参り、道路は引き続き進めて参りまして、現在の内定した計画について万全の処置を考えたいと、かように考えております。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 新聞にも詳細報じられているのでありますが、私は速記をつけたここであらためて文部大臣に主要なる関係閣僚の一人として承っておきたいと思うんです。   〔理事豊瀬禎一君退席、委員長着席〕 幾つかの問題がありますが、一つには、今大蔵政務次官が答えられたように、道路計画は朝霞がワシントン・ハイツになろうが従来の方針どおりに推進するんだ、それからワシントン・ハイツの宿舎の移転については責任をもってやると、そのあとは森林公園にすると、それから朝霞には住宅建設をすると、さらにワシントン・ハイツ周辺の必要なる道路計画というものは早急に立ててこれを推進すると、こういう点が問題点として提示され、いろいろな関係者が協議されてその点意見が一致したと私は了承しているわけですが、関係閣僚懇談会あるいは閣議において確認されていることはそういうことだと思いますので、きょう官房長官においで願ったですがおいでになっていないようですから、大臣から御確認願っておきたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) ほとんど全部今御指摘のとおりでございます。そのほかのことをちょっと申し上げれば、朝霞の桃手地区の範囲とそこに施設すべき施設設備等が幾分未確定な部分があります。そのほかにボート・コースのことが触れられておるということ以外は、今御指摘のとおりでございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 次に承りたい点は、私も今まで知らなかったんですが、本日の朝刊に報ぜられているんですがね。これは事実とすれば十分配慮しなくちゃならぬと思うんですが、それは、ワシントン・ハイツの米軍宿舎の移転先に予定されている調布市の水耕農園ですね、そこにキャンプが移るとすれば、東京天文台が研究に支障を来たす。だから、宮地台長から関係方面に警告的意見書を出した。まあ新聞の報ずる範囲では、絶対にそこでは相ならぬとは主張していないようです。かりに、好ましくないが、水耕農園にくる場合においては、あるいは道路のつけ方とか、あるいは照明灯のつけ方等について、天文台の本来の使命達成が阻害されないように十分配慮してもらわなければならぬという、まことに最小限のごもっともな意見だと思うのですが、そういうことが報ぜられております。こういう事情を文部大臣は承知されておられるのかどうか、またいかようにこれに対処されようとされるのか。これは私、重大な問題だと思いますので、お伺いいたします。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お話のことは承知いたしておりません。おりませんが、いずれはそういうことがほかの観点からもあり得る課題だと想像はできます。その場合に、お話のとおり、緩急軽重いずれと言えない事柄かもしれませんが、少なくともオリンピックの問題は時間的にはもうがっちりときまったことであり、今さら再検討の余地は実際上ないわけでございますから、もしそういう課題があるとするならば、双方に支障ないようにするという考え方で処置すべきものと思います。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 大体戦後十五年以上も経過して、独立国の首都に外国軍隊が多数駐留しておるということ自体、変則的なものですよ。決してけっこうなことではないと思うのです。しかし、条約と協定に基づいて駐留されておるのですから、立法府に議席を置く矢嶋として、今すぐ出ていけというような暴論は申しません。しかし、少なくとも、そういう移転によって天文学の研究に支障を来たすとなれば、天文台の責任者から十分意見を聞いて、研究に支障がないような措置が十分できるように配慮し、予算的にも措置するように、文部大臣は閣内において当然努力さるべきものだと思います。お伺いいたします。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先ほども申し上げますように、具体的には存じませんが、考え方としてはお説のとおりと思います。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 次に質問を進めます。いよいよ一九六四年のオリンピックは招致され、その本格的準備段階に入るならば、まさに国際的な競技でありますから、成功するように十全の準備態勢を早急に整えて参らなければならぬと思います。そのことについては、もうきょうは時間がないから論じませんが、最近スポーツ振興法も成立し、施行されて、そしてスポーツの日が、先般秋田でその第一回が行なわれましたが、非常に成功したということを承って、非常にけっこうだと思っております。学校スポーツ、社会スポーツ等非常に進展しつつあることはけっこうなことだと思うのですが、ここで私は御意見を承っておきたいことは、あるいは国体、あるいはオリンピックに勝利を博し、成功をさせる、それに必要以上にとらわれ過ぎて、学校教育、学校スポーツというものをスポイルする、それがあとに残るというようなことでは本末転倒に近いものになり、遺憾なことと私は思うのです。最近の傾向を見ていると、スカウト合戦等が非常に熾烈になって参った。オリンピックに対して特定学校がスカウトをやる。また、一つの企業であるプロ・スポーツ界から学生生徒に対してのスカウト合戦が、企業意識を非常に強く出して猛烈に行なわれる傾向がある。これを特別に文部省が規制するというようなことは、権限もないし、好ましくもない、できないと思うのですが、しかし現状のままで無関心であっていいのかどうか。教育という立場から、また学校スポーツという立場から、いいのかどうかという点について、私は関心を持っている一人なんです。で、文部大臣なりあるいは所管体育局長はどういう見方をされているか、見解を持っておられるか、その御見解を私はこの際参考に承っておきたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お話のとおり、オリンピックであれ、国体であれ、あるいはまた職業スポーツの関係であれ、学校の場を乱すことは断じて許せないと思います。さりとて、これまた御指摘のとおり、特別な権限を振りかざしてということは、できもしませんし、またすべきことでもありませんが、結局、私は学校当局の良識に期待し、また児童、生徒の親たちの心がまえにも大いに期待せざるを得ない。特にまたマスコミ一般がそういう点を強調してもらって、国民的な心がまえを確立してもらいたいという希望を持っているわけであります。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 局長は、専門担当局長としてどういう見解を持っていますか、また認識していますか。

杉江清文部省体育局長

○政府委員(杉江清君) 基本的には、ただいま大臣の申されたとおりの考え方でやっておりますが、具体的には、たとえば先般文部省で改訂いたしました学徒の対外試合の基準等においても、特に学校教育の一環として対外試合が適正に行なわれるということに特に留意して基準を定めたわけでありますし、またスカウトの問題として特に問題になっておりますのは、野球の面であると思いますが、この点においては高野連ともときどきお話しをし、意思の疎通をはかってその運営の適正をはかるように努力いたしております。また、学校体育については、中学校においては中体連、高等学校においては高体連という自主的な団体があるわけでありますが、スポーツの、特に対外試合等の問題につきましては、こういった自主的な団体の自主的な規制を強化することが最も適当だと考えて、それらの協力を得るようにいろいろ話し合いを進めているわけでございます。しかし、最近の情勢は、そういった自主的規制にもかかわらず、外部からの強い働きかけ、むしろ私どもから考えれば不法な働きかけのために、一部学校教育が擁乱されているという遺憾な事実があると思うのでありますが、この点に関しましては、従来どおり学校、教育委員会のみならず、先ほど申しましたような関係諸団体の協力を得るように努力いたしますと同時に、そういう外部の各種の団体、組織等の自粛自戒を切にお願いしたいと考えております。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 私は、この際に具体的な事例を一つあげて、御見解並びに調査の結果を承りたいと思うのです。それは、私の郷里の大分県の高田高校の野球部の問題ですが、ずいぶんと大きく報ぜられた。高田高校は甲子園に出場したわけですが、門岡という有名投手がおられたわけですが、そのスカウトに関する件ですがね。大毎と中日球団が中心にあらゆるチームのスカウトがあの小さな高田市に全部集まって、数カ月にわたって猛烈なスカウト合戦をしたようです。そしてこの中九州の代表として甲子園大会に出場して、第一回戦で負けた。そうしたところが、あの夏季大会の開催日のその翌日、中日入りを発表したわけですがね。これについては、その中日のスカウトの、あくどいまでのものすごいスカウト攻勢下にあったことはもちろんでしょう。しかし残念なことには、監督さんがどうしてその母校に帰るまでに門岡君を守り切れなかっただろうかという私には気持があるわけです。ところが、これに対して高野連は、高田高校のチームを対象に一切の出場禁止処分にした、ところが皆さん方御承知の方があるかもしれませんが、あの高田のチームのキャッチャーは大学に進学したい、しかも理科系統の大学に進みたいというので、ある期間、一年間ほど野球部を退部して勉強に専念しておったわけですね。ところが、ことしは門岡君が成長して甲子園に出場できそうだというので、再び受験勉強をちょっと中断して、マスクをかぶってチーム・メンバーとして参加したわけです。ところが、そういう結果になって、チーム全体に制裁規定が適用されて、そうして一切の競技に出てはならない、したがって、国体の選抜チームの対象からもちろんはずされる、学校としては監督を解任した。また、チームも解散して新チームを編成した、しかし、その新チームすら、なおかついかなる競技にも参加できない、こういうことが起こっているわけだ。教育的立場からいって、これは高野連の取り扱いだから、あなた方が命令指示するという筋合いのものではないですが、適当かどうかという点、若干私は疑念なきを得ないのです。門岡君自身にも問題があったかもしれない、しかし、それ以上にあくどいスカウト合戦からこれを守り切れなかった私は監督に問題があると思うのです。だからといって、旧チームに対して、新チームに対して一切出場を禁止する、また、先ほどあげたこの一つの例ですが、マスクをかぶったキャッチャーのような立場を考えたらあまりにもかわいそうで、非教育的な感なきを得ないわけですね。また、一部伝えられるところによると、この門岡投手並びに門岡投手のお父さんは先生ですが、それに対して人権侵犯のおそれがあるまでに、もろもろの事件が起こったということが報ぜられている。それで高田の人権委員協議会のほうでは人権侵犯事件として調査すると言っている。そこで、かつて私は帰郷したときに大分の地方法務局の局長に伺ってみたのですが、局長としては、これは人権侵犯事件として調査すべきかどうかということを本省の上司に対して報告をしてお伺い中だと、かように局長はお話ししておりました。したがって、人権擁護局長に御出席願っているわけですが、調査の結果どうであったのか、また、法務省当局としてはどういう見解を持ち、どういう対処の仕方をされたのか、またされようとされておるのか、こういう一連の問題について、学校教育を守る、学校スポーツを守る、そういう立場から日本の文教の府の責任者で文部大臣、あるいは担当体育局長としては、どういう見解を持っておられるのかということを私は伺いたいわけです。その適切なる所見というものは全国民に私は聞かせる必要があると思うのです。指示、示達とは別に、どういう見解を持っておられるかということは、非常に私は将来に及ぼす影響性から考えて重要なことだと思うのです。そういう立場からお伺いしているのです。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 真相を知りませんで、かれこれ申し上げることは適切でないと思いますけれども、お話しの内容を承っておりまして、まず第一に、度を過ごしたスカウト合戦をやる側にも自粛を望みたい、また、そういう誘惑の手が差し伸べられても、子供自身は直接関係者では一応ないと判断すべきですが、親が常識を持って処してほしい、同時にまた、学校当局も善意の学校側に立ったアドバイスがされてしかるべきではないか、さらには、高等学校の体育連盟、野球連盟にいたしましても、おのずから良識を持って一線を画される処置があってしかるべきじゃなかろうかというふうなことを連想するわけでございますが、さてしからば、具体的にどう処置すべかりしものかということになりますと、即席で申し上げかねますが、一応思いつくままを申し上げて責めを果たしたいと思います。

杉江清文部省体育局長

○政府委員(杉江清君) 門岡選手の問題につきまして、やはり最大な問題は、外部からのああいう度を過ごした働きかけ自体に問題があると思います。その次に、その働きかけを受けたむしろ選手以外の関係者にかなり問題があると考えます。次に、出場停止の高野連の処分の問題でございますが、これはまだ日本学生協会の最終的な審査を経ておりませんで、確定はいたさないわけでございますけれども、高野連としてあのような措置をとりましたのは、高野連の規定に基づきましてやっておるのであります。この規定は、これは加盟しておる学校等においては十分承知のことであるはずでございます。あのようなスカウトの結果、特定プロ球団に入るということの意思の表明は、あのような処分に該当するということになっておるわけでございます。その点の是非の問題はありましょうけれども、やはり学校体育の正しいあり方として、みずからそのあり方を規制するという努力の現われとしては、私は必ずしも不当なものではないのではないか、こういうふうに考えております。今回の事件が、その規定に即して、はたしてあの処分が妥当であるかどうかということは、なお審査の過程でありますけれども、一般論としては、私は学校体育関係の団体があのような規定、内規を持ち、そしてあのようなきびしい態度をとるということもまた十分了解できると、こういうふうに考えておるのでございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 人権擁護局。

鈴木才蔵法務省人権擁護局長

○説明員(鈴木才蔵君) 矢嶋委員にちょっとお伺いしたいのでございますが、私のお答えいたしますのは、門岡選手のお父さんあるいはその家族の者に対する人権侵害事件があるやに報ぜられておるがどうかという点でございますか。——その点については、私のほうにはまだ大分の地方法務局から、どういうふうなことが新聞に取り上げられておるか、その点につきましてまだ詳細な報告がございませんで、ただ、この間豊後高田の人権擁護委員協議会、これは法務省の人権擁護委員が結成している協議会でございますが、その協議会が発表いたしました一つの要望書のようなもの、それがどういう経過でああいうふうな要望書が出たかというような経過の説明のみであります。まだ今御指摘の点については報告を受けておりません。ただ、簡単に、地方の新聞では門岡選手、父兄に対する人権侵害がある、圧迫があるような、いろいろな白眼視あるいは圧迫があるようなことが記事に載っておるが、しかしその記事が真相であるかどうか、よく調べてみたいという報告だけでございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 大分の地方法務局の上部機関は福岡にありますね。そこでとまっているのでしょう。私は時間がないから繰り返し伺いませんけれども、人権擁護局長にお願いしておきたい点は、あれほどスカウト合戦が激しくなりますと、選手個人並びに家族に対して人権侵犯事件に該当するすれすれまでいくようです。この門岡君の場合もそうらしい。お父さんが先生であるが、教育者としてあるまじき態度だから退職しろとか迫ったということが伝、えられているわけですが、最近またスポーツ界で東海大学の空手部あたりでいろいろ事件が起こっていますが、スポーツが盛んになるということはけっこうですけれども、人権侵犯事件を起こすようなことになれば元も子もないわけですから、こういう点については今後も一つ法務省当局並びにあなたの出先機関に留意しておっていただきたいことをお願いしておきます。  文部大臣に伺いますが、結論的なことを伺いますが、まあ局長の見解は一応述べられましたが、どうですかね、高田校チーム、ことに新チームに及ぶほどのあれほどの制裁というものは少し緩和してしかるべきじゃないかと、私は教育的にそういう見解を持つのですがね。しかし、そういうことも許されない、それほどやらなければもうどうにもならぬのだということになれば、裏返せば、日本の学校スポーツというものは堕落し切っている、救うべからざるところまで来ている、それほど非教育的な制裁規定を設け、それを実施しなければ学校スポーツが堅持されていかないところまでいっているんだ、こういう認識を持たなければならぬということになると悲しいことだと思うのですね。そこで、私は新チーム等に対しては少し軽減してしかるべきじゃないかという判断を持っているのですが、その点だけ大臣に伺っておきましょう。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) もともとは、先刻も申し上げましたように、度を過ごした誘惑の手を差し伸べる側に第一責任があると思います。これが改められなければ同じことが起こる可能性があるということを憂えます。高等学校の野球連盟は、今政府委員の説明にありましたとおり、あらかじめ加盟校の同意を得た規約に基づいて処置した限度を出ていないとするならば、そのこと自体としては形式的にはとがめられないと思います。ただ、お説のとおり、その高野連の規約そのものの検討の余地はあるようにも思います。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 時間がないから、この点についての質疑はこれでとめておきます。高野連の自主的にきめることで他から介入すべきことではないのですが、一応私の所見の一部を申し述べ、大臣並びに文部当局の見解を承ったわけです。人権擁護局長は退席してけっこうでございます。あと一項目ございますが、あと五分くらいで終わりたいと思います。その一項目とは、かつて文部大臣に私は伺ったのですが、日本の国には世界各国のスポーツが普及嗜好されているわけで、ある意味ではけっこうだと思うのですが、その中でも体操とかあるいは水泳というようなものは、国際的水準からいっても最も得意とし、非常に伸びている種目ですが、その中で、私は前にも伺ったことがあるのですが、体育館が、寒冷地を初め暖地にまで屋内体育館が非常に普及したことは非常にけっこうだと思うのです。日本人は体操は得意だし、また体操の普及によって体位の向上もはかり得る。最も奨励していいスポーツの一種だと思うのですね。その立場から屋内体育館ができたことはけっこうなんですが、内容がからっぽなんですね、建物ができただけでね。私が伝え聞くところによると、ソビエトはもちろんのこと、ドイツにしても、最近は中共あたりでも施設設備を充実して非常に体操が盛んになりつつある。国際的競技においても日本の体操競技は優位を誇っておったが、安閑としておれない情勢だということを斯界、その方面の通から承っているわけですが、オリンピックも近づいて参ったわけですが、その対策としても、また国民の体位向上という立場からいっても、せっかくできた屋内体育館の内容充実、どこの屋内体育館に行っても十分プレーができるような、演技ができるような設備の充実ができるように補助予算の増額をはかって、その実現をはかるには、幾つかある日本の文教政策、特にスポーツ政策の中で最も私はやるべき一つじゃないかという見解を持っているのですが、大臣の所見を承っておきたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 同感でございます。努力したいと思います。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 体育局長の所見は。

杉江清文部省体育局長

○政府委員(杉江清君) 全く同感でございまして、ひとつ来年度予算からさっそくそういう点に努力しないと思います。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 先般、私は日ソの体操競技会を都の体育館で拝見したわけですが、世界最高水準をいく日ソの選手のプレーを見て、演技を見て、さすがと感心いたしました。特にやまとなでしこ、かよわい女性といわれておった日本の女子選手が勇敢に演技している姿を見て、ここまで伸びてきたかと感心したわけです。もちろん、ソビエトの女子選手に比べれば、体格といい、またその演技技術といい、相当の差がありますけれども、日本の選手団だけの競技は何回か見たことがありますが、ソビエト選手と並んでの演技は私は初めて見たわけですが、非常に心強く感じました。ただ、その観戦を通じて、この際私はひとつ教えていただきたい、承っておきたいことがありますので、それを承ってきょうの質問を終わりたいと思いますが、これは国際的な影響もあると思いますので、委員長において速記をとめていただきたいと思うのです。

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 速記をつけて。  午後は二時十五分より委員会を再開することにして、暫時休憩をいたします。    午後一時十六分休憩   —————・—————    午後二時三十七分開会

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) ただいまより文教委員会を再開いたします。  公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律案を議題とし、審議を進めます。  質疑の通告がありますので、発言を許します。矢嶋三義君。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 本法律案が衆議院で修正議決されて送付されているようでありますが、修正者からその説明を承るのが順序でございますけれども、まだ御出席になっておられませんので、いずれ修正者から親しく後刻承り、一、二の質問をいたしたいと思いますが、提出者である文部大臣のほうで関知されている程度において修正内容並びにその経過について御説明を承りたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。衆議院におきまして修正されました点をまず申し上げます。   公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律案の一部を次のように修正する。   第五条中「それぞれ次の表の下欄に掲げる数」を、「本校にあっては三百人、分校にあっては政令で定める数」に改め、同条の表を削る、という修正議決をされたわけでございます。これに対しましては、文部省側としましては、政令を定めます場合には十分定時制分校の実態を検討いたしまして、無理な統廃合が行なわれるようなことがないよう、慎重にいたしたいと考えております、ということをお答え申し上げたわけであります。  さて、これより先過ぐる通常国会におきまして衆議院でこの法案が文教委員会を可決されたわけでございますが、その際にすでに同一趣旨の附帯決議がなされておったのであります。すなわち学校の生徒定員規模を本校三百人、分校百人と定めておるようだから、定時制課程の統廃合を促すことにならないようにという趣旨の附帯決議がなされておりまして、そのことも今後提案するにあたりましては十分考えたわけではございますが、一方会期も切迫しておりますときに、その修正をして提案することが政府内部での手続上、御承知のように時間をとることをおそれまして、運用の面で十分過去にさかのぼって無理な統廃合をしないようにいたせば、一応附帯決議の御趣旨に沿うのじゃなかろうかという考え方で提案申したような次第でございますが、当初申し上げましたような趣旨で、衆議院における修正の動議がなされまして決定されましたので、それに対しましては、先ほども読み上げましたような趣旨の政府側の態度を表明したような次第でございます。これは私から申し上げるまでもなく、矢嶋さんよく御承知のとおり、僻地等におきましては、分校百名ということを標準とするということが望ましくはございますけれども、現実問題としては、もっとそれより数の少ない学校がたくさんある。過去にさかのぼらないという考えで善処するとは申しましても、都道府県側にあってはなるべく統合するという気持、基準がそうなっておりますれば、そういう気持になりがちであるから、無理なことが絶対起こらないような趣旨を貫くために、やはり政令に譲って、その政令も今の趣旨にもとらないようにするという、修正の趣旨弁明のときもそういう御注文もありましたが、まさに現実問題を中心に考えます場合に、ごもっともな節もあると存じまして、この修正に賛意を表したような次第でございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 この修正点に対する文部省の受け取り方もよくわかりました。その趣旨を了承いたします。  そこでこの修正に至った趣旨からいって、この法を運用するにあたって、二つのいき方があると思うんですよ。そのいずれを選ばんとされるのか文部大臣に伺いたいと思う。それは先刻も大臣が同感の意を表されました趣旨で修正が行なわれたわけですが、分校にあっては政令で定める数とありますが、数字を入れた政令を制定することなく、弾力的に修正の趣旨をくみ入れて運用していく場合と、分校によっては何人という数字を入れた政令を制定して運用する場合と、二つの場合があると思うんですが、私は前者でいったらいかがかと私見を今持っておるわけですが、文部大臣としてはいかように対処していかれようと今お考えになっておられるのか、承っておきたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 実は私としましては具体的に今お示しのA案、B案のいずれにするかということはきめているわけではございません。しかし、先刻御説明申し上げましたような受け取り方を趣旨として貫くべき内容でなければならないことは申し上げるまでもございません。一応事務当局としての素案が、どういうことが考えられておりますか、必要ならば政府委員から一応御披露申し上げます。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) 政令の書き方でございますが、法律案にあったものをそのまま政令に書く考えは毛頭ございません。ただ、この政令も、政令に定められた数というのが出ておりますから、やはり数字は書かなければ、この政令の趣旨に反するのではなかろうか。その場合に数を書きましても、いろいろとそれに対する制限の条項は書き得るわけでございますから、大臣がお述べになった趣旨を十分生かすような方向で、この政令案は検討してみたいと思います。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 それで政令の検討並びに制定は立法府を離れて、行政府の権限でできるわけですがね。修正された皆さん方の立場に立って重ねて伺っておきますが、数字を入れた政令を制定するのが立法府の趣旨に沿うと思うというお考え、一応ごもっともかと思うのです。しかし、その場合、数字を入れた場合に、絶対性を持つような数字を入れると、大臣の御趣旨に沿う弾力的な運用ができなくなると思うのです。だから、数字を入れて政令をこしらえるにしても、そこにその数字に絶対性を持たせないような形のものにしなければ、この修正の趣旨からいって妥当でないと思います。御所見を承っておきます。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) お説のとおりでございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 質問続けます。大臣、一応承りますが、伝え聞くところによりますと、ただいま審議の対象になっている本法律案は、まあ行きがかり上国会に提出をしたが、文部大臣、文部省としては、あまりこの法案に執着しているのではないのだというような風のたよりを受けるわけなんですが、いかがなものでございますか。実質審議に入る前にあわせて承りたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) その風のたよりは、私どものほうから吹いた風じゃなかろうと思います。もともと私もわからないながらも理解しておりましたのは、昨年でございますが、義務教育課程については、この定数的な法規は整備していると承知しますが、公立高等学校についてこれがないために、教育委員会と知事部局との間には毎年々々予算折衝等においてむずかしさがあることを伝え聞いておりまして、何とかして、むしろ拙速をたっとぶことを念頭に置いてでも、こういう法律が制定さるべきだと、こう理解して今日まで参っております。したがって、もっと厳密に理想的にいえば、いろいろと検討すべき課題があることも、その後の検討を通じて私も二、三知らされてはおりますけれども、その解決は現実問題としてなかなか容易でございませんので、昨年来矢嶋さんの矢の督促もあることでございまするし、私も今申し上げたような気持でおりましたから、いささか拙速の気味ではございましても、提案するということには幾分努力したつもりでございます。したがって、今おっしゃった風のたよりは、ちょっと見当が違ったたよりじゃなかろうかと思っております。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 それを前提にして伺って参ります。  伺いたい点は、この法律案は六・三・三・四学制の高等学校段階における充実を実現したい、こういう角度からこの法案の提出に至ったのか、それとも戦後におけるベビー・ブーム対策、高校急増対策の一環としてこういうものが出て参ったのか、それとは別個の問題として六・三・三・四の後期三の充実、成果を上げるために立案に至ったのか、いずれか承りたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 後期中等教育の整備という立場において立案をいたしました。ただし、ベビー・ブームの対策も現実問題としてからみ合って参りますので、そのことが付加されて制定されるという内容になっておるわけであります。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 この六・三・三・四新学制が発足した当時に、高等学校、すなわち六・三・三の後期三は、急には義務制にするわけにはいかないが、準義務制約対処の仕方をして、いずれは義務制となるべきものだと、これはアメリカの教育使節団の示唆もありましたが、そういう心組みで取り組んで、新学制はスタートして参ったと思うのでありますが、大臣は現在そういうお考えを持っておられるのか、それとも別個の見方をしておられるのか、後期中等教育についての基本的なお考えを承りたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) まあ気持としては、行く行くは義務制に移行することもあるべしという気持だけはないわけではございませんが、この法律案の立案にあたりまして、その方向へ積極的に推進する必要ありということを明確に念頭に置いて立案いたしたわけではございません。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 世界情勢に通じられておる初中局長に承りたいと思いますが、わが国の義務教育は六・三、九カ年になっておりまするが、先進国の情勢、それから今後予想される世界各国の情勢等からして、国際社会に復帰し、しかも有力なメンバーとして復帰した日本国の民族の教育を推進していくにあたって、六・三の九カ年の義務制というものが、国際的水準から考えた場合、それで満足してよいものかどうか。新学制が発足した当時に、後期三についてはできるだけ早い機会に義務制にしたいけれども、そういうわけにもいかないから、一応準義務的な心がけで取り組んでいこうということでスタートして今日に参っておるわけですが、冒頭申し上げましたように、各国の教育制度その他に通じておられる所管局長として、どういう認識を持ち、また所見を持っておられるのか、承っておきたいと思います。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) 矢嶋委員御指摘のとおり、世界の教育界の現状は、後期中等教育の充実、完成ということが一番大きな課題になっておるように見受けられるのでございます。そこで、アメリカのように、州によって異なりますけれども、十二年の義務教育をしいているところもありますし、十年の義務教育をしいているところもございます。これは、学校の中で、中学校までが義務教育とかいうのではなくて、年限で規定しておるのでございまして、アメリカの州は、御承知のとおり、六・三・三・四もありますし、八・四もございますし、また八・四のほうが多いようでございます。そこで、大体の傾向としては、十年あるいは十一年、十二年というふうになっておるようでございます。それから、イギリスや西ドイツあたりでございますと、大体イギリスでは十年の義務制をしいておりまして、満十五才まで、モダン・スクールまでが義務になっている。日本の場合と異なりますのは、満五才から義務制が発足しているわけであります。ドイツの場合は、大体が八年でございます。これはフランスも同じだと思います。八年の義務制をしいておりますが、しかしながら、ドイツの場合におきましては、十七才まで、あるいは十八才までがパート・タイムの義務制をしいておるのでございます。この点は、イギリスにおきましても、パート・タイムの義務制をしいて、一週間に一日、雇い主が俸給を払って学校へやらなければならない義務をイギリスは課しております。ドイツのほうは、むしろ保護者のほうに義務を課しておるのであります。いずれにいたしましても、全日制の学校だけで十二年までの義務教育をしているところは世界的には比較的少ない。アメリカの一部を除いては、そこまではまだいっておりませんが、パート・タイムの義務制は、十八才か十七才までは、西ドイツも、イギリスにおきましても、そういう方向に現在実施いたしておりますので、私どもの考え方としては、今お話のとおり、終戦後準義務制の扱いをして参りましたので、高等学校の希望者の九五%は進学をしておるわけでございます。ただ、一部有名校に殺到いたしておりますので、高等学校の入学試験の激甚なところもございますけれども、傾向としては、大体九五%程度の者が収容されておる。今日・中学校の卒業生の六割までが全日制、定時制、通信教育で就学しておるというのが現状でございますが、今後急増が終わるころ、すなわち昭和四十五年の所得倍増計画が一段落するころまでには、大体七二%までの進学を見込んでおるのでございます。この中には、この国会に出しておりますところの学校教育法等の一部改正による通信教育の拡充の問題や、あるいは定時制通信教育との連携による生徒の増加は見込んでおりません。だんだんとそういうような方向に行くべきではなかろうか。特に、急増の終わるころまでには、何らかの方法で——全日制においては、義務制は無理かもしれませんが、パート・タイムの義務制が施行できないかどうかというような点について、今実態調査をいたしまして、今後検討を進めて参りたいと思うのでございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 文部大臣、ただいま初中局長の答弁をお聞きになられたと思いますが、足飛びに後期中等教育の三年を義務制に移行することが困難にしても、少なくとも、高等学校への就学率が準義務制らしくなるように、その就学率を飛躍的に引き上げるような制度的、また予算的努力をなされることが大事だと思うのですが、荒木文政の志向するところを承りたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 大体、先ほどお答え申し上げた気持は、今矢嶋委員のおっしゃったようなことを念頭に置きながら率直に申し上げたつもりでございます。  なお、 ヨーロッパ諸国のパート・タイムの義務制ということにつきましては、学校教育法等の一部改正法案に関連しまして、はっきり記憶しませんが、衆参いずれかの文教委員会でも、かつてお答えしたことがあると記憶しますが、そういう気持を念頭に置きながらやっていきたいという考え方でございます。先刻申し上げましたように、明確に具体的にそういう年次計画等を想定して立案したわけじゃむろんございませんけれども、気持は方向としてそういう気持であったというふうに御理解いただければありがたいと思います。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 その大臣の方向というものには、私は了承できます。そのことを前提に考えた場合、設置責任者にワクをはめる。たとえば市町村の場合は、ある基準以上の市町村でなければ設置ができないようにするとか、衆議院で一部修正されたようでありますけれども、学校の規模についてもワクをはめるというような方向というものは、今、大臣並びに局長が是認された方向を推進する上からいっても、また教育の機会均等をさらに推し進めていく上からいっても、相反する内容のものではないかと、かように私は懸念をいたし、批判をしておるわけですが、いかがでしょうか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 方向としては逆コースだと思います。それで、分校の場合でも百名というふうなことでいったらばという一つの構想はあったわけですが、さて、現実問題としますと、先刻も政府側の気持を申し上げましたように、実情にいきなりそぐわないことが出てくるおそれがある。それもまた当面の悩みでございますから、やむを得ず、しばらくの間は現状に即応して、年々歳々理想の方向に歩んでいけるように下地を作ることが残された問題と心得ておる次第であります。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 新学制以来、この就学率がだんだんと向上して参ったということは、非常に私は幸いなことだと思うのです。現在のわが国の子を持つ父兄としては、せめて高等学校にはやりたいと、卒業さしたいと、こういう念願を親御さんたちは皆さん持たれておると思うのです。これが飛躍的に推進されるような法的、制度的、予算的措置をすることが、現在におけるわれわれ政治家の責任だと私は痛切に感じておるわけです。その立場から、今承ったわけですが、質問の角度を変えて推し進めて参りますが、初中局長にお尋ねしますが、今のわが国の高等学校教育の長所、短所、足らざるところをどういうふうに認識されておられるか。また先進国のそれと比較した場合に、とるべき長所はどういう点にあり、国際社会の一員として、この点は是正、推進して参らなければ、国際水準からいっていかがかというような点は、どういうところにあると認識されておられるか、承りたい。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) わが国の高等学校が、少なくとも中学校卒業者の六割が高等学校まで行っているという事実は、相当高く評価していいのではなかろうかと思います。ただ、六割以外の者が十分な就学の機会がないという点は一つの欠陥だと思っております。六割以外の者を洗ってみますと、いろいろでございます。たとえば各種学校に行っておる者が相当ある。それから青年学級に行っておる者があるわけでございます。そのほかに、労働省所管の技能者養成施設に行っている者がある。あるいは建設省所管の建設隊とか、あるいは農林省所管の農業開発振興隊とか、いろいろなところに多岐に分かれておるわけでございます。それの六割の者については、高等学校教育としての一本線が通ってないように思うのです。特に、国民教育として必要な部面に欠けておる点があるのではなかろうかという点が懸念されるわけです。それなら、六割の者は十分かというお尋ねでございますが、六割の者でも、今お話のように、山間僻地の分については、十分な教育が行なわれてないといううらみがあるわけでございます。特に教員数も少ないし、あるいは施設設備の現状も悪い。そして小中学校につきましては、市町村に設置義務が負わされておるわけですが、高等学校につきましては、だれが責任者なのか明確になっていないわけで、国も都道府県も市町村もできるということだけで、責任の主体が明らかでなかった。前の学校法によりますと、中等学校は県の責任に明確になっておった。で、今後高等学校の普及充実をはかるためには、県がやはり主体性を持って設置計画を立て、配置計画を立てて教育の機会均等を強力に推し進める段階にきたのではなかろうか、こういう趣旨で、今回は高等学校の設置の義務を都道府県に負わしたわけでございます。大学は国が主たる責任を持ち、高等学校は都道府県が持つ。市町村は小中学校に設置義務を課せられておりますので、小中学校の責任を果たす、こういうような体系になったわけでございまして、この点は一つの改善ではなかろうかと思うわけでございます。ただ、市町村でももちろん財政能力があるような市町村については、これは今後も設置を奨励して参りたい考えているわけでございます。内容的に高等学校を見ますと、今の高等学校の中で少し画一になり過ぎているんではなかろうか、高等学校の中にも将来大学へ進学する者もございますし、国民教養として社会へ出る者もございます、あるいは技能者として農業あるいは工業、商業等の中堅技術者として出る者もございます。で、できるだけそれらの各種の要望に沿うような行き方をすべきではなかろうか、この点は、この教育課程の改正にあたりましては十分配慮いたしたわけでございます。なるべく、今この六〇%の進学率を、高校急増という一種の、ある意味では災いでもございますが、これを転じて福となすようにいたしまして、全日制の高等学校の進学率を上げるとともに、あとは定時制、通信教育の拡充をはかっていきたい。で、そういうことによりまして、先ほど申しましたように、将来はパート・タイムのような形で義務制をしいていくことが可能ではなかろうかという、実は期待を持っておるわけでございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 一つには、六割以外の生徒諸君がやや放置されている傾向が国際水準からいって、反省される点だということを指摘されましたが、私もそうだと思います。それには今、局長からもちょっと発言がありましたが、定時制、通信教育ですね、この充実、発展のために格段の努力を払う必要があると思う。所得倍増計画ということを言われておりますがね、わが国の国民所得の将来予想される点からいって、就学率を引き上げる、そして実質上準義務制に持っていって、国民の要望にも沿えるようにするためには、この点はひとつ格段と努力を払うべき一つの柱ではないか、かように思います。この点に対する文部大臣の答弁と、それから先ほどの内藤局長の答弁にちょっと僕は賛成いたしかねる点は、戦後新教育が発足した当時に、基礎教養というものを非常に重視されたわけです。で、その当時の大学並びに高等学校等の学科編成というものが十全であったとは私は思いません。大学の工科にいく生徒で地学なんか高等学校でおさめないで進学していく、化学は習ったが物理はおさめないで工科にいくというようなことがあったので十全とは思わない。しかし、基礎教養を充実するという方向は当時貫かれておったのですね。ところが最近は、それが少しカム・バックし過ぎて、日進月歩の世界情勢下において各国は基礎教養というものを非常に重視して参っておる傾向が顕著になってきた今、日本は逆の方向を最近とろうとしているのではないかと、これは危険なことではないかという感じを持っているわけなんです。だから、先ほどの内藤局長の言明は一面から述べられたことであって、今やはりわれわれが心にとめておかなくちゃならぬことは、人間形成上から将来発展性のある、いかなる分野にも応用のできる基礎教養というものをがっちり高等学校段階においても、ひいては大学段階においても涵養できるようなシステム、内容のものにするということは大切ではないかと、このことを忘れてはならないんじゃないかと、かように私は思っておりますが、後者の点については内藤局長から、それぞれ御答弁をいただきたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先ほど来話が出ておりますように、残り四割弱ではございましょうとも、進学希望がうつぼつたるものがありながら家庭の事情その他でいけない青年のために、定時制ないしは通信制の高校制度が充実されねばならないことは、その角度からとらえまして重大であると思います。特に私は、定時制は、現実把握が十分ではむろんございませんけれども、今申し上げた意味で重大であることは理解いたします。通信教育についても同様ではありますが、かつてその卒業式に行きまして、年令、男女別、種々雑多ではありますが、一人々々のあの生き生きとした目つき、態度、向学心はもうとても人一倍旺盛な人々の集まりであるように理解いたしました。そういう求めに応ずる意味合いにおいて、今申し上げたとおり、及ばずながら懸命な努力をすべき課題であると存じております。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) 矢嶋委員の御指摘の、基礎教養の大事なことは全く同感でございます。ただ、諸外国におきますと、特にイギリスやドイツ、フランスあたりは複線型をとっておりまして、大学に進学する者はグラマー・スクールで、あるいはフランスの場合はリセー、あるいはドイツの場合はギムナジウムというふうに六、七年の大学準備教育をされていく、それ以外の者は技術教育と職業教育に専念するという教育体系になっておりますが、わが国の場合は六・三制の中でございますので、そう画然とした区別ではございませんし、もちろん基礎教養がしっかりいたしませんと、これは将来伸びないと思うんです。私どもも創造的な、発展的な国民を作るためにはこれが一番大事だということを常に念頭に置いていますし、今回の教育課程の改正にあたりましても、基礎教養として従来少し明確にされていなかった、たとえば社会科でも倫理、社会、地理、歴史、政治、経済、一通りやると、あるいは理科の場合でも物理、化学、生物、地学、これを一応全部やる、こういうような体制にいたしまして、基礎教養を十分身につけていく。職業課程の場合におきましても、決してこれが今度の改正で基礎教養を——むしろふえているわけです、全体としては。ですから、基礎教養を大事にしていくことは全く同感でございまして、この線は新学制の中で大きく貫かれていると思います。今度の教育課程の改正をごらんいただければおわかりになると思いますが、小中高を通じまして、この点には特に配意したわけでございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 今の二、三の質疑で、衆議院で修正された部分に即応する政令をどういうものを制定しなければならぬか、いかに運用しなければならないかということは私は答えが出たと思うのです。  で、続いて伺いますが、戦後日本の文教面には幾多の変化があり、また進歩もいたしたわけでありますが、その中の一つとして、旧憲法時代——戦前、戦時中には官学尊重一辺倒であったのに比して、戦後、私学三法等の法定がなされ、私学の充実、発展がはかられたことは、日本の民主化推進にも役立ち、非常に戦後変わった、進歩した日本の文教の一面だと、かように私は認識しております。今後といえどもこの指向されている方向というものは曲げてはならないと、狂わせてはならないと、これはわが国の文教政策の一つの方針でなければならないと思うのです。そういう角度から本法律案の立案過程において、また今後これが公布、施行された暁において、今私が申し上げました方途から私学との関係をいかようにお考えになり、いかように対処されて参ろうとされているのか、文部大臣に承りたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) この公立高等学校の定数等が満足ではございませんにしても前進したことを契機として、私学方面でもいろいろと憶測され、懸念されておる機運があることを私も承知いたしております。これに対しましては、私立の高校に対しては都道府県が直接の監督、助長の立場にございますから、都道府県に対する経費の措置等につきましても、自治省と相談いたしまして、できるだけの措置をいたして、従来よりもっと積極的に私立の高等学校に対しましても地方自治体が善処できるような努力をしたいと思っております。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 きょうは緒論を承っておるわけですから、あまり時間をかけて突っ込んだことは伺いませんが、大臣、そういう方向を堅持して参られるとすれば、私は一つ二つ承りたいのですがね。私学に対する国の考え方、基本的態度というものがまだ私は十全でないように思うわけなのです。で、あるいは貸付、一部施設設備に対する補助等の助成策をとられておりますがね。さらにこの点百尺竿頭一歩進めて、一つの壁を破って、この私学の援助という点について、それは名目は経常費であろうが、ともかく、あるいは研究費という名目でもよろしいが、その大学あるいは私立高等学校の経常費の一部になるものを国から助成することはできると、やるというこの一線を基本的態度として創設するということは私は大切なことではないかと思うのですね。そのととがさらに官公学と私学の並進的充実進展に役立ちますし、また憲法にうたわれている教育の機会均等という原則を生かしていくのに非常に欠くことのできない政策であり、文教政策に対する基本的態度であると、私はかように考えるのですが、この点ややその優柔不断といいますか、低迷しているところに私学問題の解決しないものがあると思うのですがね。もう一言つけ加えれば、私が子供の時代、あるいは私がかつて中等学校の教員をしていた時代、終戦後高等学校の教員をやりましたが、その時代は、私立大学、私立高等学校、中等学校というものは、金持ちの子供が行くという、こういう受け取り方をしておりましたよ。実際それに私は近かったと思うのですね。ところが、世界の趨勢であるとともに、日本の国民生活水準の向上、福祉増進のために、その時代とは違って、あらゆる国民が教育の機会に接したいという立場から、失礼だけれども、家計不如意の層の子弟も大学に、あるいは高等学校に進学するようになったことが、戦後の大きな変化だと私は思いますね。したがって、教育の機会均等という立場から、また、そういうように多くの人が進学するということは、それだけ民力の向上がはかれるのですね。質の高い労働力というものを提供されて、それが日本の経済、産業の伸展、活動の積極、活発化にも役立っていく原動力と相なるわけですから、私学に対する基本的な態度、考え方というものを、戦前、戦時中と現時点においては、私はある程度考えて、百尺竿頭一歩を進めなければならぬ、ここに日本の、幾つか文教問題がありますが、一つ解決しなければならぬ問題があると、かように思っているのですが、この法案が公立高等学校を対象にしておりますが、それだけに私立学校と非常に関係が深いわけですね。そういう角度から、やはり先ほど大臣が答弁された線が生きるようにしなければならぬと思うのですが、御所見を承りたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今まで同様の御質問に対しまして、一両回お答えした記憶がございますが、その当時申し上げたことから格別壁をぶち破るような考えには到達いたしておりません。やはり国立、公立あり、そして私立があるということは、私立それ自身の独自性、特殊性、自主性、国公立とせつ然と生い立ちを異にする別個のものがあるように思うのでございまして、ことに学校経営の財政面、経費の面において、その特色が本来本質的にあるのじゃなかろうか、こう思うわけであります。このことは、戦前であろうと戦後であろうと、共通的な基本的な点じゃなかろうかと私は思います。そこで、かねて申し上げておりますように、ただ、それにしましても、国なり公共団体が私学に対して、特に具体的にある成果を期待する、頼み込むというような立場にあります限りは、本来の私学の行動半径外のものが加わるわけですから、それに対しては応分の財政援助等をやる意味が出てきましょうし、だからといって、私学そのものをスポイルすることはまずなかろうと考えるわけでございまして、そういう考え方に立って、従来国の私立学校に対する限界が予定せられ、それぞれの措置ができておると存じます。ただ、その意味で、後に申し上げますような意味で、新たに三十七年度としましては、この技術革新の、国民をあげての必要の前には、何としても本来の私学の立場だけに自由の判断にまかせ切れない、国民の全体の立場において、私学に国の立場で期待するという要素があろうかと推察されるわけでございまして、具体的に申し上げれば、何度も問題に出ております科学技術者の養成ということ、科学技術教育に関しましては、私学の自由の立場からは、ある数の養成を期待するとすれば、当然には出てこないわけでございますから、国が期待する限りにおいては、経常費の一部を国の立場で援助するという理由があるのではなかろうかと、こういう考え方に立ちまして、一部の経常費の助成をやる考え方で、わずかではありますが、概算要求を出しておるような次第であります。  お尋ねの、根本的に壁をぶち破る考え方に立ってやるべきじゃないかというお説は、お気持はわからぬじゃございませんが、そこまで私自身としては決意いたしかねておるのが現状でございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 このことは、一文部大臣だけでよくなし得るところでなくて、やはり内閣の、政権を担当している内閣の一つの方針として、検討されるレベルの私は問題だと思います。  文部大臣の意見の一部は、私も共鳴いたします。しかし、より多くの点、意見が一致しないことは、非常に私は遺憾であります。で、あなたの所論の中には、ごもっともなところもありますが、しかし、国民感情なり、あるいは現実論からいって、不十分な点があると思うのです。私は一つだけ指摘いたしますが、たとえば国立大学の学生の授業料が年九千円、私立の高等学校に就学しておって、国立の大学の学生以上、いや、二倍、三倍の授業料を納めなければならないというこの厳粛なる事実、それから私立大学の授業料は幾通りもありますが、まあ大体年四万円程度の授業料を納めている。ベース改訂が行なわれると、私学としては、その授業料の引き上げに依存する以外にない。幾多の使命を果たしておりながら、私学の関係者は、低賃金で、研究費も少なくて、非常に苦しい立場にある。これは日本のお金持ち、財界等は、そういう方面に積極的に寄付するということは、他の先進国に比べて非常に劣っている。こういう点を考える場合、その現実面からいって、大臣の所論の、一部は納得できますけれども、私は適当でないのではないか。私自身、子供を私学にやっているものでありますが、勉強させていただいて、いずれは国民の一人として働くのだが、ずいぶん差があり過ぎるし、自分も税金を納めているならば、国はもう少しめんどう見てしかるべきではないだろうかという、一国民としての国民感情を持っています。そういう点に答えを出すというのは、私は必要だと思うのです。そういう立場から、先ほど質問をしたわけで、これは一文部大臣で解決できるライン、あるいは壁ではないと思うのです。機会があったならば、池田首相に毛お話しいただいて、再検討いただくように御要望申し上げて、あと一、二点質問申し上げたいと思います。  次の質問は、内藤局長に伺いますが、私は昔の中等学校、この全国の水準の状況と、現在の高等学校、これは年令的にいえば、昔の中等教育とちょっと違いますが、昔の中等教育は、今の前期と後期と両方、一部ずつ含んでおりますが、まあしかし、昔の中等学校というものと今の高等学校と一応比較していいと思うのですが、その比較をするときに、昔の中等教育の全国の水準の状況と現在の新制高等学校の全国の水準の状況はかなり違うのではないかと思う。現在の高等学校は全国的視野から見た場合には、昔以上に格差といいますか、そういうものが生じてきているのではないか、こういうことははっきりした資料は持たないが、一つの直感を持っています。この点について担当局長はどういう認識を持っておられるか。もし私の直感を是認するとするならば、その原因はどこにあるとお考えになられておられるか。それはそのままでよろしいとお考えになっておられるか。是正を要するとするならば、いかなる方途があるとお考えになっておられるか、承りたい。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) 昔の中等学校と現在の高等学校は質的にも実は違うと思うのでございます。で、以前の中等学校は、原則として小学校六年から参りまして、四年または五年の中等教育を行なうことになっておるわけでございますが、この中で量的に一つは非常に違った。と申しますのは、従前は中等教育の占むる割合は、小学校六年を卒業した者の大体二五%、四分の一が中等教育を受けておったわけでございます。ですから、この点から考えますと、今日は六〇%まで普及いたしておりますので、量的に非常に違いが出てきた。それから一つは、内容の面でございますが、確かに格差が激しくなったこともこれは事実でございます。で、中等学校の場合は、新しい六・三・三・四教育でございますが、前期中等教育すなわち中学校三年は、これは義務制になって、全部の子供が学校に行くようになっているという点が一つ違っておる。それから、後期中等教育すなわち高等学校の分は、今申しましたように、六割が進学しておる。で、内容的に申しますと、従前の制度は、どちらかといいますと、ドイツの学制を日本は取り入れましたので、中等学校の中学校は主として高等学校、専門学校に行く機関でございまして、いわばイギリスのグラマー・スクール、ドイツのギムナジウムに当たる学校であったと思うのでございます。ところが、新学制になりまして六・三・三・四というシステムで単線型になっておりますから、そこで必ずしも高等学校が大学なり、または専門学校への段階としての教育ではなくなって、国民教育としての使命を強く持ってきた。で、国民教育としての最終段階になっておりまして、その中が幾つかに分かれておる。もちろん将来大学を目ざすところのものもございます。これはアメリカでもアカデミック・コースと申しまして、進学に行くようなコースもございます。それから普通課程の中で、進学をしないで普通課程で終わるというのもございます。これがまあ相当最近は多いのでございますが、そのほかに農、工、商等の実業関係の学校がある。従前の中等教育の制度と異なりますのは、普通課程で進学をしない、普通課程のままで終わって就職をするという層が非常に厚くなったのでございます。で、この点がまあ新しい教育制度の中の一つの特色かと思うのでございまして、それは制度に伴うものではなかろうか。イギリスのグラマー・スクールやドイツの、ギムナジウムのように、六、七年の大学準備教育というならそれなりに内容も統制できますし、程度も大体同じでございますが、日本の場合には進学をする部門と普通課程でそのまま就職する者というふうになっております。それから農、工、商等の実業関係、すなわち高等学校の内容が相当多種にわたって、内容自体が相当変化を持っておる、こういう点で従前の中学校のようなわけには参らぬと思う。  もう一つは、先ほど申しましたように進学率が非常にふえて、だんだんと国民教育の様相を呈して参りましたので、その点は義務教育に準じてある程度の格差ができるのはやむを得ないのではなかろうか。しかしながら、高等学校の目的であるところのものは、これは十分果たしていきたい。その中でそれぞれ、進学を中心にする者あるいは高等学校を出て就職する者、あるいは農、工、商等の実業に向かう者、それぞれの特質を生かせるような教育を推し進めるべきではなかろうか、こういうふうに考えておるのでございます。本質的に異なったのは、先ほど申しましたように、教育制度の面からきたということが一つと、それから進学率がだんだんふえて参りまして、国民教育の最終段階としての様相を持ってきたという点が、従前の中等学校とは趣を異にしておるように見受けられるのであります。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 あなたの所見の過半数は私は是認されますが、しかし、十全の賛意を表するわけにはいかないのです。で、一部反論をして、さらに承りたいと思うのですが、その原因の中には、中学校の現状というものがあると思うのです。これには、教師の質とかあるいは教師の数とか、施設設備の問題とか、さらに国民の所得格差というものがだんだんと開いて参った、こういうような背景もあり、それらを積極的に解決せずに、ただ制度だけ発足させたという根本的な前提要因は私はあると思うのですね。それはまあさておいて、私は今、焦点を合わせて承りたいことは、あの高等学校が発足したときに、とりあえず乙号基準でいこう、三、四年のうちに甲号基準にしようということであった。それが一つの当時の国民への政府の約束であった。ところが、十数年たって、本日なお乙号基準の九三、四%しか達せず、今日ここに提案された法案すら甲号基準に達していない。これは政治をやっている者の国民に対する大きな公約違反である。どこに一体原因があるのか。なぜそれをやらないのか。さらに具体的に掘り下げるならば、高等学校の一年であるいは英語とか数学の授業をするにあたっては、少なくとも今の中学校の実情から、二、三カ月間は調整期間を置かなければ次の高等学校らしい講義というものは進めていかれない実情なんですね。そういう条件があればあるほど、甲号基準程度の教師を確保する、そうして一クラスの収容人員にしても、先進国のそれを見るまでもなく、四十程度に押えるというだけの抜本的なことをやらなければ——これはやろうと思ったら日本の経済力でやれぬことはないわけですよ、それくらいのことは。ただ六・三・三・四の制度を発足さしただけでそういうものを放置しておって、何で国民の期待に沿い、子供に十分の満足を与えることができるかというと、僕は政治の責任というものを非常に感じ、追及せざるを得ないわけです。  で、この法案を見ますと、甲号基準に達しない。そうして五十はおろか——内容にはきょうあまり入りませんが、附則十五項の五では、生徒急増に対する臨時措置としてすし詰め学級を是認するような条章が十五項にはうたわれてあるわけですね。これは私はとんでもないことだと思うのですね。これらの点については一体文部大臣はどういうふうにお考えになっておられるのか。それは予算とのかね合い、日本の予算規模との云々だと言われるかもしれませんが、そういうことは聞こえませんよ。終戦当時、発足した当時の国民に対する公約なんだから。それをあなた十何年間もずらして、今法案を出すにあたって、なおかつやらない。ところが、日本の予算規模というものは御承知のように、これだけふくれてきているのだ。政策の問題ですよ。国民に対して、子供に対してやろうと思ったらやれないことはないのですよ、法律的にも予算的にも。その点、木を見て山を見ていないと思うのですね。そういう点、私は非常に一般概論として不満であり、この法案の欠陥だと思うのですが、大臣はどういう御認識、御見解を持っておられるのか、承りたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お説はわかります。ただ、実際の問題としますと、終戦処理的要素を含むとは申しながら、中学の生徒増のピークが三十八、九、四十と高等学校に移行しますが、そのピークが終わりますれば、相当いわばがた減りになることは数字的にも見えておる。したがって、施設設備の充実はもとより必要でございますし、やろうと思ってできないことでない。算術的にはそうですけれども、納税者側に立ってあらためて考えてみますれば、三年間の必要に応ずる施設設備も極力やるべきではございますが、さりとて生徒数を減らして、それに応ずるものを三年間に整備していきますことは、四年目以降だんだん減ってきて、三、四年後にはがた減りになるであろうことが数字的に見ておる場合、はたしてその一時のために相当膨大な経費を出して整備すべきかどうかという比較考量の問題と考えまして、三年間だけはやむを得ず一割程度のすし詰めをがまんして下さい、生徒も困りましょうが、先生方もお困りでしょうが、また生徒の親たちから見ても望ましいことではないのはわかっておりますが、しばらくの間だからがまんして下さいという考えを取り入れまして、すし詰め学級を一時的に認めていただこう、こういう考えであります。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 あと一問で、資料要求をさしていただいて終わりたいと思いますが、今の大臣答弁は私は了承できないですよ。子供の立場に立てば、戦争をやって、そうして国土を焼土と化して、国の富を消失して、そういうことをおとながやって、頼みもしないのに自分を生んでくれて、そうしてすし詰め教室でがまんしろ、ずいぶんおとなは勝手だと、こういう意見を持ちますよ。そうして戦争をあおった軍人には軍人恩給を復活する。それからいろいろ犠牲者には補償措置を現在の日本人の国民の税金でやるように法的、予算的措置をしながら、終戦子として生み落とされた自分たちには、まあ適当な教育設備でがまんしてもらいたい、青春再び来たらずですよ。そういう子供だったら言い分がありますよ。せめてそういう子供にはそういう不満を持たないように戦争をやったお互いおとなは三ばいの飯を二はいにしてもやってあげる道義的な責任があるのじゃないでしょうかね。それが僕は政治だと思う。そうしなければお互い一億一心とかいって、戦争をぶっ始めておって、そうしてああいう子供には砂糖もなめさせない、バナナの食べ方も知らなかったのですよ。終戦後与えたときは、皮のままかじったもんですよ、彼らは。そうして教育を受ける年令層になってそういう犠牲を強いるということはね。われわれの世代に戦争をやって国民に迷惑をかけたのですからね。せめてその終戦子として生まれた子供にはね、もう少し国の予算を飛躍的にさいてやるべき義務がある。それが筋が通っていると思うのです。そういう点からいって、こういう十五項の臨時的な措置とかね、甲号基準にも足らないという点はこの法案の一番欠陥とするところだと思うのです。この点は与党の方々とも、次善策として理事を通じて今後協議して参りたいと思いますがね。  もう一問といった最後の質問は次のように了承してよろしゅうございますか。この法律を制定することによって、校長初め高等学校に勤務される教育関係者、具体的に言うならば、教諭、養護教諭、助教諭、養護助教諭、講師、実習助手、事務職員、こういう員数はふえこそすれ決して減らない。それから、各都道府県段階に現在確保されている高等学校の教育従事者の数ですね、この既得権といいますかね、この現在の情勢というものは、少なくともその水準は必ず維持されるのみならず、さらにそれよりは高校教育の進展という立場から、よりよくなることを期した法律案で、提案者としてはその点は責任をもって保証する、こういう意味でこの法案は出ているものと私は認識いたしますが、相違ないか、文部大臣のお答えをいただいておきたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 趣旨はそういう建前でございます。なお、具体的なことは政府委員から必要ならばお答えを申し上げます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 一応承っておきましょう。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) 校長、教諭、養護教諭、実習助手、事務職員等の区分けがございますが、これはあくまでも積算の基礎でございまして、この法案は各府県、各市町村の定数の総数をきめるための趣旨でございまして、この総数によって交付税で明確に保証しよう、その総数の中で具体的にどう配置するかは県の教育委員会が行なう筋のものでございますが、全体といたしまして一万数千人の増員になっておりますし、事務職員や実習助手につきましてもそれぞれ二千名以上増になっておりまするから、この法案で全国的に見ますと御心配は要らない。そこで各府県の段階から見ましても、この数が総数は現在よりも上回っております。ですから、配当する場合には現在の実績を下回らないということは保証できると思うのでございます。それから各府県でこの法案以上にやっているところがあるようにもお話がございましたが、総数としては私どもこの法案だけで全部カバーできると思いますが、高等学校の中には、約四千もございまして、その中にはいろいろ課程がございまして、各学校の実情が千差万別でございます。教員数のほうでは十分である、実習助手が不十分である、あるいは事務職員が不十分であるというようないろいろなケースもございますが、この法案は先ほど申しましたように、各府県の総数をきめておりますから、各学校について多少のでこぼこはあるにいたしましても、各府県が配当する場合には十分その点は考慮いたしまして、実績を下回らぬように、さらにこれを改善するような御努力を払っていただきたい。あくまでもこれは交付税で保証いたします最低基準でございますから、それ以上の学校があるなら、さらにそれを改善するように努力していただくのが筋合いだろう、こういうふうに考えているわけでございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 もう一問いたします。文部大臣、お答えいただきたい。私は各学校とまでは申しますまい、都道府県段階で切ります。各都道府県が現在維持確保しておる定数は、この法律案が公布、施行された暁において、その水準は責任を持って維持できる、そういう立場においてこの法律は作っておる、その点は責任が持てると、こういうことだと思うのですが、この点、文部大臣にお答えいただきます。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) そのとおりでございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 それで、資料だけお願いいたしておきますが、それは教諭、養護教諭、実習助手、事務職員等について、この法律施行について各都道府県でどういう数字の変動があるか、それを一覧表にして出していただきたい。  それから次は、昭和三十六年から昭和四十四年に至る中学校の卒業予定数、まあ三十六年については進学数はきまっておりますが、進学推定数ですね。さらにその進学率ですね。それを各都道府県別に一覧表を作られて——おそらく文部省にあると思いますが……。さらに、最後に全国的にはどうなるのかという数字を一応出していただきたいと思います。  それから、これは資料ですが、さっき、申しおくれましたが、この次の質問の関係上、私発言するのをちょっと落としましたが、それは現実にこの現在の高等学校の定員を確保して下回らないようにできる法案だと、こういうことですが、現実に高等学校にある学校図書司ですね、ああいう方々のはどこにもないわけですがね、これは文部省としては今高等学校の学校図書館の維持運営のためにいる学校図書司をどこに入れようとするのか、どうなさろうとするお考えでこの法案を作られたのか、それを承っておきたいと思います。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) この法案は事務職員につきましては吏員相当職しか見ておりません。したがって、吏員相当職以外の者は、学校の一般的な維持運営費の中で考慮をしたい。今お尋ねの学校司書の場合、十分資格を持っておりますれば司書教員になるわけでございますので、教諭の定数は相当余裕がございますので、教諭のほうに入れる。それが吏員相当職なら吏員相当職に格づけする。吏員相当職でもない人はどうなるかと申しますと、先ほど申しましたように、学校の維持運営に必要な職員となって参りますので、これはこの法案と別に、高等学校費の中で考慮したいと考えております。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 これで終わりますがね、その教諭の定数が十分であるからといっても、そう十分でないですよ。それから事務職員は十分であるから云々と言うが、それも決して十分でないですよ。それで学校図書司の確保はできないと思うのですね。高等学校費で云々と申されますが、現実に今いる学校図書司の方々を高等学校費の中でいかように見ようとされるのか。現在全国に幾らおって、この法律施行後どのように高等学校費で見ようとされておるのか。それがわかるようにこの次に数字をもって御説明いただきたいと思います。  本日は、これで私は質問を終わります。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 これは矢嶋委員に質問するのはおかしいと思うのですが、一番最後のほうの矢嶋委員の質問は、大臣、私はこういうふうに理解したのですが……。この法律が実施されても、それ以上に上回っておるところがありますね。その場合、下回らぬように大臣は確かに責任を持ちますと、こうおっしゃったと思うのです。その責任を持ちますというのは、この基準を上回ったものについてもちゃんと予算措置をしますということですね、文部大臣が責任を持ちますというのは。そういうふうに理解してよろしゅうございますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先刻政府委員からある程度具体的に申し上げましたように、都道府県ごとの総数において責任を持つということでございまして、学校によりましては、でこぼこが一部あり得ると思われます。それはその都道府県の段階で具体的には責任を持ってもらわなきゃならぬことになると思います。国としてなし得ますことは、自治省との関係において財源措置の裏づけをして、これだけの定数を総数として法律によって保障するという段階以上には、直接責任を持つという立場にはないと思います。むろん指導助言等の道を通じましてその都道府県それ自体で配置がえができないとするならば、できるまでの間は減らないようにするという措置等をあるいは必要とする場合があろうかとも想像はしますけれども、学校ごとのでこぼこ、まあ個々のほうは問題外としまして、数が多いところをどうするかということは、都道府県に一応責任を持ってもらうと、それに対しましては、できるだけ一緒になって不始末が起こらぬようにせねばならぬということは思いますけれども、直接的なものでない部分は、あり得るかと思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 かえって、いい答弁をしてもらったのがやぶへびになったようですが、私は大臣が責任持ちますとおっしゃったのは、県全体の定数よりも、この法律を実施した際に、たとえば福岡県に三千六百八十人おるとするならば、この法律を実施した際に、県の定数が三千五百人になった際に、百何十人が浮くわけですが、これに対して責任を持つとおっしゃったと思う。それが今おっしゃったように、これがすぐ首切りにならぬとかあるいは善処しなさいとか、適当な行政指導はするけれども、この上回ったところに予算措置をしますという意味の責任を持ちますということではないのですか。そうでないと、大臣が責任持ちますとおっしゃったのは、全然違いますよ。そういう責任持ちますというのが、今度の学力テストのような無責任なことで責任持ちますとおっしゃるようなことになるのですよ。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 ちょっと今の答弁の計に——一緒に答弁して下さい。  大臣、私の言葉は明確だったと思うのですよ。日本人だから日本語を使っておるのですからね。たとえばある県で今教諭が千人いると、で、今度の法で計算すると——あなた方ないと言うのだが——かりに九百五十人と出た場合ね。それ九百五十人にされたならばダウンする法律になっちゃうじゃないですか。現状を維持向上させるための法律だという前提に立っているのだから、だから現在千人おるが今度は九百五十人になって、五十人違えばこれはやはり地方財政計画立てる場合に、あるいは地方に交付金を流す場合には、少なくとも現在の水準は既得権の水準ですからね。これが下回らないように大臣が責任を持つと、そうでなければその該当県にとっては悪い法律になっちゃうじゃないですか。そんな法律出すはずないと思う。それを大臣に承ったわけですからね。そうでしょう。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 予算措置をしますかという意味です。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 都道府県の段階におきまして、この法律が施行されまして現在よりは総数が減るところはないと承知しております。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 あった場合は、今私が言ったとおりになるわけですね、その趣旨からいうと。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) あった場合は法律の命令に従って善処せねばならぬ立場であると思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 それなら責任持つことにならぬじゃないですか。それが私はわからぬ。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 それがこの法律のちょっと問題ですがね。大臣、時間が延びたから変わった答弁せぬようにして下さいよ。そうなったら絶対これでなくちゃならぬ。上げても下げてもいかぬという——上げてはいいけれども下げちゃならぬという、これは一つの標準法なんですからね。標準法だから、だからさっき言ったように、九百五十人になっても、現在千人ということになれば、それはないと言われるが、かりにあった場合のことを私は杞憂しているわけだ、あった場合、それは維持できるように措置がはかられなければならぬ、その責任を政府として、提案者として持っていただけますかということをさっき伺ったところが、持ちますと言うから、なるほど大した大臣だと思ったのですがね、そうでしょう、そうでなければおかしいですよ。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) もちろんおっしゃるような場合には、当然でございます。

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 先ほど矢嶋委員の資料の提出要求については、よろしゅうございますね。  それでは、本案に対する質疑は、本日のところこの程度とし、散会をいたします。    午後四時一分散会   —————————————

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