P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
39回国会参議院1961/10/17

文教委員会 第3号

発言数
180
登壇者
9
会派数
2
開催日
1961/10/17

会議録

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) ただいまより文教委員会を開会いたします。  まず委員の異動につき御報告いたします。  去る十月十一日、迫水久常君が委員を辞任され、その補欠として加藤武徳君が委員に選任されました。  また、十月十三日、加瀬完君が委員を辞任され、その補欠として千葉千代世君が委員に選任されました。  以上であります。    ——————————

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 次に、委員長及び理事打合会の経過を御報告いたします。  開会前、理事会を開き協議いたしました結果、本日は、まず前国会におきまして審議未了となりました女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律の一部を改正する法律案を本委員会提出法案といたすことにつき協議いたしました後、日本育英会法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進め、次いで、当面の文教政策に関する調査を行なうことに決定を見ました。  以上、理事会決定の順序に従い、本日の委員会を運営いたして参りたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 御異議ないと認めます。  それでは、ただいまより産休補助教員に関する調査を進めます。  この際、女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律の一部を改正する法律案の提出についてお諮りいたします。  ただいま委員各位のお手元に配付いたしました通り、本案の草案が提出をされておりますので、これを議題といたします。  まず、提出者を代表いたしまして野本品吉君より、本草案の趣旨につき御説明をお願いいたします。

野本品吉自由民主党

○野本品吉君 私は、この際、さきの国会からの懸案になっておりますいわゆる産休法の取り扱いにつきまして、皆様にお諮りしたり、お願いしたりいたしたいと思います。  御承知のように、この前の国会では、自社両党から共同提案いたしました改正案が委員会でも本会議でも全会一致で可決を見たのでございますが、衆議院におきまして審議未了となったのでございます。しかし、提案前から十分に了解を得たことでもありましたし、衆議院でも別に反対というのではなく、ただ、会期末のいろいろな事情からああいう結果になりましたことを、まことに残念に思っておった次第でございます。つきましては、この国会に再び改正案を提案いたしまして、今度はぜひとも成立させたいと存じますが、まず、このことについて皆様の御賛同を得たいと存ずる次第であります。  改正案の内容は前回と全く同様でございますから御説明するまでもないこととは思いますが、多少、委員の御異動もございますから、ごくかいつまんで内容のあらましを申し上げてみます。  お手元に配付いたしました提案理由に述べてありますように、この改正案は、女子教育職員が産前産後の休暇を安心してとりやすくするために、産前の六週間と産後の六週間、または前後を通じての十二週間のどちらかの期間を任用の期間として臨時的に補助教員を任用することを規定し、このことを任命権者に義務づけることが主眼でございまして、このように改めますことによりまして、女子教育職員を守るとともに、学校教育の正常な実施の確保を期待しようとするものでございます。その他、この規定を置くことによって不用となる従来の第三条を削除すること、改正の内容に即して法律の題名を改めること、新たに幼稚園に勤務する教職員を加えること、私立学校の設置者に対しても、この法律の趣旨に沿うための努力規定を置いたこと等が内容の骨子でございます。  そこで、私は、前国会での経緯から見ましても、今回この改正案を再び提案するに当たりましては、各党各派の御賛同を得ますことを前提として、直ちに委員会提案の形をとり、委員長から本会議において提案理由の説明をしていただくように取り計らわれることが望ましいと考える次第でございます。  このことを皆様にお願い申し上げ、同時に、委員長から皆様にお諮りいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) ただいま御説明いただきました草案に対し、御質疑のおありの方はございませんか。——別に御質疑もないようでありますので、質疑は尽きたものと認めます。  それでは、ただいま御審議いただきました結果、草案が確定いたしましたので、本草案を女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律の一部を改正する法律案といたしまして、本委員会より提出いたすことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 御異議ないようでありますので、さよう決定いたしました。  なお、自後の手続等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 御異議ないと認めます。    ——————————

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 次に、日本育英会法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。  速記をとめて。   〔速記中止〕

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 速記を始めて。  本法律案は、第三十八回国会に政府より提出され、本院において修正議決され衆議院に送付されましたが、衆議院において審議未了となったため、今回再び提出されたものでありますので、別に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 御異議ないものと認めます。よって質疑は終局いたしました。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。

安部清美自由民主党

○安部清美君 私は自民党を代表しまして、ただいまの日本育英会法の一部を改正する法律案につきまして、附帯決議をつけて賛成の意を表したいと思います。  日本育英会は、法案実施以来、年々その実績をあげ、その学資の貸与を得て勉学を続ける学徒がきわめて多数に上り、多大の成果をおさめてきたことは、喜びにたえないところであります。もちろん今日の社会情勢上、幾多の問題点はあると思いますし、ことに返還義務を有するものの怠慢のためその返還実績が十分でなく、ために、より多数の恩典に浴することのできる学徒の希望をはばんでいることは遺憾であり、この点は文部省及び育英会で十分措置せられるようこの機会に希望するものであります。  なお、この法案は、科学技術者養成に必要なる教員確保のために、特別措置として、まことに時宜を得たものとして賛成するものでありますが、私は優秀なる教員確保ということは、単に科学技術関係の教員にとどまらず、教職につく学徒については、すべてとの取り扱いが適用されるよう、次の附帯決議をつけて賛成するものであります。     日本育英会法の一部を改正す     る法律案附帯決議(案)   大学において学資の貸与をうけた  後、学校教育法第一条に掲げる学校  の教育・保育の職に就いたすべての  者に対し、貸与金の返還を免除でき  るよう、政府は、すみやかに適切な  措置を講ずべきである。  以上。

千葉千代世日本社会党

○千葉千代世君 私は日本社会党を代表いたしまして、日本育英会法の一部を改正する法律案について、次の要望を付して賛成いたします。  前国会におきまして、討論の中に、わが社会党の意見を代表して申し上げましたことでございますけれども、特にその中で、育英会制度の基本態度、憲法第二十六条に示されております教育の機会均等の精神に基づいてこれを実施すると、こういう前提の中で、進学の希望があっても家庭が貧困であるとか、その他の事情により就学困難な者に対して国家が責任をもって財政的援助をする、したがいまして、この対象になります者は、社会的の地位とか、あるいは門地等によって差別はされないこと、性別の差を設けないこと、住居地域によって差を生じないこと、遺家族に対しては特に考慮を払うこと、そして現在の貸与制度というものを将来は給与制度に早急に切りかえていく、そのための予算措置を十分に考慮すること、三十七年度の文部省の概算要求を見ますというと、まだまだ少ないんじゃないか、こういう希望を持っておりますが、いずれ予算審議の際に意見を申し上げることにいたしまして、ぜひとも基本態度が明らかにされていくような方向で、政府においては万全の措置をとっていただきたいと思います。以上の要望を付して賛成いたします。  附帯決議も同様賛成いたします。

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 他に御発言もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 御異議ないものと認めます。よって討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。日本育英会法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 全会一致であります。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中述べられました安部清美君提出の附帯決議案を議題といたします。  安部君提出の附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 全会一致と認めます。よって安部君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  本決議に対しまして政府側の所見を聴取いたします。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいま決議されました点は、実際問題としましては幼稚園の教員の問題であろうと存じます。これまで本委員会の御質疑に対してお答え申し上げてきましたとおり、なるべくすみやかに幼稚園教育に関する各種の問題点を総合的に検討いたしまして、この結論に基づいて、なるべく御趣旨に沿うように研究を進めて参りたいと存じます。

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) なお、本院規則による諸般の手続等につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。    ——————————

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 次に、当面の文教政策に関し調査を進めます。  質疑の通告がありますので、この際、発言を許します。米田勲君。

米田勲日本社会党

○米田勲君 前回の当委員会で、文部省実施にかかわる学力調査に関する私の質疑に対する荒木文部大臣の答弁から痛感されましたことは、文部大臣がみずから強行しようとしておる学力調査なるものが、直接、間接に日本の教育の現在及び将来にどんな悪影響を与えるかという教育的見地に立つ理解や配慮に著しく欠けているということであります。しかも、その学力調査の実施の指示と結果の報告を教育委員会に強制的に要求していることが、明らかに文部省の行政権限を逸脱した違法措置であるにもかかわらず、歪曲した法解釈で合法的立場を強弁していることは、きわめて憂慮にたえないところであります。しかも、違法にして教非育的な学力調査が強行されることをめぐって、今や日本の教育界に重大な不祥事件が惹起されようとしているのであります。私はこの問題に関して、閉会中の当委員会に究明の機会を求めましたけれども、自民党の諸君の出席が少なく、ついに定足数に達しないまま流会となり、十月五日の当委員会では、日程の関係で質疑を中断せられ、十月十日の当委員会は与党の出席者一名で、これまた流会となって本日に至っているわけであります。  私は事態の切迫していることにかんがみまして、本日は十分の時間をいただいて、本問題の究明を尽くしたいと考えているものであります。  さて、十月五日の当委員会で、学力調査と称して行なわれるペーパーテストの結果の評価では、生徒の学力能力を判定することは無理であり、危険であるという私の質疑に対し、文部大臣は次のように答弁をしている、すなわちペーパーテストは御指摘のような欠陥も当然含んでいると思う、しかし、このテストで大勢は知ることができる、仰せのようにペーパーテストの欠陥のゆえに、総合的に知っているその先生の見た場合、テストの結果だけではすべてを物語ることはできない、しかし、大数観察として学校全体の傾向は見れると思う、全国的な地域格差なり学校格差を大数観察的に把握することはできるというように答弁をしておるのであります。この文部大臣の答弁からも明らかに知ることができることは、生徒の一年間の学習の中のきわめて限られた短時間に学力調査が行なわれること、しかも、そのテストはただ一回に限られるということ、そうしてテストの出題は、その方法からいっても、ごく限られた条件に縛られざるを得ないこと、さらに学力調査は、ペーパーテストによらなければならないので、テストの方法から生ずる欠陥は避けがたいこと等々の諸条件を考え合わせますると、学力調査の評価は、生徒個人の真の学力能力を的確に把握することは困難であるということであります。文部大臣もこの点を認めているので、大勢は知ることができるとか、テストの結果ではすべてを物語れないとか、大数観察的にというような言葉を用いて答弁をされているのであって、私はこの学力調査は、生徒個人の真の学力や能力を的確に把握できないということをあらかじめ理解しておく必要があると思いますが、あらためて文部大臣の見解をただしたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今お読み上げになったようなことをお答え申して参ったと記憶いたします。ペーパーテストの欠陥は、いろいろな角度から批判されるわけでございますが、ペーパーテスト固有の欠陥というものはやむを得ないと思います。さりとて、しからば、それにかわる調査の方法があるかとなれば、現段階におきましては、今実施せんとするやり方以上のものは発見できないと私は思います。それゆえにこそ、学校におきましても、あるいは入学試験等におきましても、あるいは会社、事業場等の採用試験等におきましても、同種のペーパーテストがやむを得ざる方法として採用されておると了解いたします。いわば、人間の知恵の今としての限界点を歩いておることであって、神ならぬ身の、理想的な完全無欠な方法が発見されまするまでは、今のようなやり方以外に、次善の方法としてはやり方がない、こういう認識のもとにやろうとするわけでございまして、御指摘のような、それ自身に内在するやむを得ざる欠陥というものは、今としては防ぎようがない。しかし、次善の策としてはこれしかないから、調査をやらなければわかり得ないことの発見のためにそれをやろうと、こういうことでございます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 文部大臣の今の答弁によっても私はわかりましたが、文部省の行なおうとする学力調査は、完全に、客観的に生徒の学力や能力をつかみ得るものではない。しかし、現在の段階ではその他に方法がないので、この方法を用いるのだと、この答弁は明らかにペーパーテストに欠陥があるのだということを十分承知の上実施されようとしておるということを確認をいたします。  そこで、もう一つ次にお伺いをいたしますが、文部大臣は、前のこの委員会における答弁の中で、学力調査の評価が生徒の一生につきまとうようなことはいけないことだし、そのようなことはさせないという言葉を用いて答弁が行なわれております。これは、前に答弁になられたようなことを前提にして当然考えられたことだと思います。ところで、私はこの文部大臣の、生徒の一生につきまとうようなことはいけないし、そういうことはさせないというこの答弁が、一体、具体的にはどういうことで生かされるか、どういうことでそれが実現できるのかということに非常に疑問を持つわけです。なぜかといいますと、生徒の指導要録に評価を記録するというのは、今回の文部省が学力調査をやることの重要なポイントになって指示されております。そこで、指導要録に評価を記録することを強制しておるということから関連して考えられるのは、学校教育法施行規則第十二条の三であります。ここにはこういうことが規定されております。校長は、在学児童の指導要録を作成しなければならない。次に、校長は、児童が進学した場合、指導要録の抄本を作成し、進学先の校長に送付しなければならない。次に、転学の場合、指導要録の写しを転学先の校長に送付しなければならないと規定されておるのであります。そういたしますと、文部省が学力調査を実施するその結果である評価を指導要録に記入させるということを規定している限り、この指導要録は、学校教育法の施行規則に従って、進学、転学の場合、この指導要録は写しとして、あるいは抄本としてこれが送られる、こういうことが考えられます。これは、何も小学校から中学校への進学だけに限らないと私は思う、進学となっている限り。そうなりますと、学力調査の評価が生徒の進学、就職、結婚等に私はこれが一生つきまとうと考えられるが、そのようなことはさせませんという文部大臣の発言は、この関係においてどう処置するのか、どういうふうに具体的にそのつきまとわせないという答弁を生かすのか、そのことについて疑義がありますのでお尋ねをいたします。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) この前の委員会で、今御指摘のようなお答えを申し上げました。それは、この一斉学力調査に対する各反対の意見として、入学試験等の場合、内申書に記入するだろう、あるいは就職のときに、これが就職試験にかわる効果を持って利用されるだろう、そういうことになる意味において一生つきまとうというお尋ねと承知してお答えをしたと私は存じておるのでありますが、そういう意味では利用させない、入学試験にかわるものには利用させない、あるいは就職試験にかわるものには利用させないという意味で申し上げたのであります。指導要録に学校長が記入せねばならないとなっておる、その記入欄には、今までも私の聞いたところによりますれば、民間でやりましたテスト等にいたしましても、信頼するに足ると考えたものは記入せねばならないということになって実行されておると承知いたします。民間のものすらもなおかつしかりとすれば、国が国民に対する責任を持って実施します今度の学力調査の結果が、当然その指導要録の中に、本人の適性、能力の指導に必要な参考資料として記録さるべきことは、これは常識的に見ましても当然しごくのことであって、そのことと一生つきまとう、つきまとわないの問題、さっき申し上げましたような意味で、すなわち繰り返し申し上げますれば、入学試験やら就職試験にそれがそれにかわるものとしての効果を期待して利用されることはさせない。それは一回のテストだけで本人の全能力を的確に物語るものとは当然には言えない意味においてであります。今までの民間のテストの記録にいたしましても同断であると思います。元来、指導要録なるものは、児童、生徒個人に専属する秘密のことも当然内容的には含んでおりまするし、生徒それ自体といえども、外部にそれが当然公表さるべき性質のものじゃないということを前提として指導要録というものは作られ、保存され、あるいは進学のときに写しが送られるという措置がとられているものと私は了解いたします。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私はただいまの答弁ではどうも納得が参りません。なぜかというと、文部大臣は万能者ではない、法律にそむいてまで行動させることを指示はできない。指導要録の取り扱いについては法律や規則が規定しておる。そこで、文部省は、今回の学力調査は指導要録にその評価を記入させるとして、記入されたあとのその指導要録がどう取り扱われるかということは、文部大臣の期待と希望とは無関係に行動されることになる。指導要録は転学すればその先へ写しが行ってしまう、進学すればその場合も抄本が行ってしまう。おそらく就職のときでも高校進学の際も指導要録を送ってもらいたいという要求が常に行なわれてきておる、今までも。そういうことを考えますと、文部大臣は、子供の一生にこの学力調査の評価がつきまとわないようにしたいという、そういう希望は強くあったとしても、結果的にはそうならない。やはり子供の進学、転学、就職の際にも、指導要録の内容に書かれたことのその事実は、それぞれ報告されたり、伝えられたりする性格のものなんです。それをただあなたが一方的に、そういうことはさせませんと私たちに話をしても、それは理解のいくところではないわけです。この点いかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 繰り返し同じことを申し上げることになろうかと思いますが、一生つきまとうとおっしゃる意味が、指導要録というものが法令に基づいて進学の場合に写しが送付されねばならないというがごときやり方、そのことがつきまとうのだとおっしゃるならば、つきまとうと思いますが、その前の御質問なり、あるいは一般的に反対理由の一つとして言われますことには、今も申し上げましたとおり、この一回の一斉学力調査の結果が、入学試験にかわるものとして利用され、あるいは就職試験にかわるもとして利用されるという点に難点ありという反対理由が述べられておると思うのでありますが、そういう意味では、いわゆる試験なり、就職の選考なりというものにかわるものとしては利用させないということは、文部省として指導できる事柄だと思います。記入しましたことが天下に公表され、本人の評価がそれだけできまるというものではないと思うのでありまして、それはひとしく今までの民間調査すらもが、信頼すべきものが記載されておるということより以上の弊害というものは当然にないと思います。そういう意味で申し上げたのであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私は、文部大臣の答弁はどうも理解がまだできません。なぜかというと、あなたには入学選抜をする資格はない。権限もない。また就職を決定したり、就職希望者を選抜したりする、そういう権限も立場にもない。全然あなたと無関係な場所に、この指導要録がどのように働くか、文部大臣の関知せざるところではありませんか。もう一度言います。入学選抜に、就職に、そういうものは使わせないと幾らあなたが申されても、あなたが入学選抜の責任者でもないし、そういう権限を持った人でもない。就職の決定をする権限もないでしょう、あなたには。そうすれば、あなたと全然別個の権限と立場にあるものが、指導要録を見て、何を判断するかということまであなたの関知することでもないし、それに制限を加える法的権限があなたにはない。あなたが今やろうとしておることは、学力調査の評価の結果を指導要録に記入させるということ、これ自体も私は問題があると思うのですが、それはあと回しにして、それを強制している。その強制していることから、進学の場合にも、就職の場合にも、いろいろな場合に、この指導要録に記入された評価というものが、非常に影響を与えて回るということは当然予想しなくてはならない。そういう意味においてつきまとうというのであれば、やむを得ないというような言葉であったが、そうなると、文部大臣が前に答えた学力調査の結果は、子供の一生につきまとうようなことはさせないし、そうあってはならないという発言は、単なる希望的意見であって、それ以上の何ものでもないというふうに判断をしてよろしいということになりませんか。そういうことになるなら、これは私は一生子供につきまとうということを主張しても、もっともだと言わざるを得ないのであります。こう私は思うのですが、見解はいかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 入学試験なんかに、指導要録に記載するであろうところの一斉調査の結果を利用しない。しかし、指導要録に書かれる以上は、上級学校に入ってもつきまとうじゃないかという意味においてはつきまとうと思います。ですけれども、それはあくまでも児童、生徒本人のいろいろな角度から、学校教育を通じて九年間のいわば学校教育履歴書的なものの全貌を通じて、本人の特性、能力、欠陥等が判断される。そのことを念頭に置いて、上級学校の先生方も十分指導をしていただくためのものであると思います。そこで、入学試験のときは、指導要録に記入したその成績を利用させないと申しましたが、現在、文部省令で入学試験のときは指導要録の写しじゃなくて、内申書を提出しなければならぬということになっているようでございますが、その文部省令を変えてまで指導要録に記入した一斉学力調査の成績を書いて、入学試験のときに使いなさいという改正案を出そうとは全然考えていないという意味でございます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私は今の文部大臣の答弁からも伺えることは、この評価の結果を指導要録に記入させるということは妥当じゃない。それを記入することから起こる弊害の方が大きくて、プラスの面が非常に少ない、あなた方が狙っているそのプラスの狙いよりもはるかにマイナスの面が大きいから、これを指導要録に記入させるという強硬な方針をとりやめるべきだということを強く主張します。そういう考えはありませんか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御意見としてはわからないじゃございませんが、私としては今度の一斉学力調査の結果を指導要録に記入して、従来といえども繰り返し申し上げますように、民間のテストすらもが信憑性のありそうなものは参考のために書きなさいということになって、現に書いていると思いますが、そのことがもし学力調査の成果に弊害ありとするならば、皆さんのおっしゃる従来の民間テストより以上の欠陥こそあれ、民間のものは欠陥がなくて、文部省が国民に対して責任を持って実施しようとするその結果の記入だけが弊害があるということをおっしゃっておりますが、私はそうは思いません。従来の民間のテスト以上に信憑性がある、ペーパーテストなるが故の欠陥は先刻来申し上げましたように、やむを得ざるものとしてはございましょうけれども、しかし、それ以外に方法なしとするならば、民間のテスト以上の信憑性を持って記入しておくことが、児童生徒の、本人のその後の指導に役立つ意味においては効果こそあれ、弊害は特にあろうとは私は理解できない気持であります。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 今の御意見についていろいろ反論がありますが、本質問は米田委員がやっておりますので、私は指導要録の問題について、一つ二つだけ大臣にただしておきたいと思います。大臣のただいまの認識では、指導要録記載の、内容を規制する法令は何ですか。それを大臣が知らぬで答えるのは全くけしからぬ。大臣答えなさい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 文部省令に書いてあると記憶いたします。第何条かは記憶いたしませんけれども、学校教育法施行規則第十二条の三でございます。「校長は、その学校に在学する児童等の指導要録を作成しなければならない。」。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 大臣、戸惑ったようですが、僕が聞いているのは、今あなたがうろ覚えで何かを読んできて言っているところの、民間のテストでも信頼性があり、科学性があるものは書きなさい、これを定めている法令の根拠は何かと、こう聞いている。それを知らぬでこの答弁ができますか、大臣。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいま読み上げました学校教育法施行規則の根拠に基づきまして、文部省が生徒指導要録の様式を定めまして通達をいたしておるのであります。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 その通達の中には、文部省が施行する学力一斉テストを記入しなさいということは書いてないはずです。これは大臣も認められると思うのですが。かりに書いてあっても、新たに指導要録の中に今度の学力テストの結果を書きなさいと指示する権限はないはずです。すでに出されておる通達の中に、それに基づいてそれぞれの学校の先生が継続観察をしたこと、客観性のあること、信頼性のあることを教育診断を行なった結果、書くようになっております。その通達があるにもかかわらず、新たにとれこれはぜひ書きなさい、神奈川等はこれは書きませんといったかどうか知らぬけれども、内藤局長はだめだ、こういう新聞発表をしている。すでに現行の法令の中に、指導要録に書くべき事項は定めてあるにもかかわらず、新たに強制的に別個に書きなさいという指示あるいは通達を出す権限が大臣にどこにあるかと、こう聞いておるのです。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先ほど来お答えしておりますように、学校教育法の規定に基づいて施行規則が制定されております。その施行規則の十二条の三で、すでにして指導要録を作らなければならないと定めてあります。その指導要録の何たるやは通達をもって全国に知らせる以外に方法がないから、その形式を定めて通達をいたしております。ことごとくこれは学校教育法に根拠を置いた具体的な措置であります。その指導要録の標準検査の記録には、標準化された検査で最も信頼の置けるものを正確に実施した場合に記入するというような規定になっております。だとすれば、お話のように、今度行なう一斉学力調査を記入しなさいという根拠があるかないかという仰せですけれども、何度も申し上げましたよりに、この標準検査の記録そのものが、民間のものといえども信憑性があるならば記録する建前である。いわんや国が責任を持ってやる調査ならば、民間の信憑性あるものよりもっと信憑性のある標準検査の記録であることには間違いないことであって、これは常識の範囲だと思います。したがって、注意的に今度の学力調査のことは、特にその意味において記録しておきなさいということを申すことは一つも不当ではないと思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 今、大臣が言っておるその通達の内容の個所、それはその教員の自主的な判断にゆだねられているのですよ。信憑性があるものとか、客観性があるものを特にここへ記入しなさいというのは、それを判断するのは教員の自主性にまかせられている、そういう性質のものなんです。それを、そういう自主性を一切認めないで、これは絶対に記入せよということは越権なんでないですか。その通達の範囲を越えているのではありませんか。もはや第三者の客観的な判断を許さない文部大臣の強制的な記入のさせ方になるのじゃないですか。だから、豊瀬君はその点を指摘しているわけですよ。どうですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 指導要録というものを作らなければならないことは学校教育法の精神から出て参るわけで、指導要録というものはこういうものですよ、こういうものにこんなことを書きなさいということも、義務教育なるがゆえに文部省としてなすべきもの、文部省として措置すべき責任の範囲と私は了解いたします。したがって、民間のものすらも標準化された検査で信頼の置けるものは、その判断はむろん教師にまかされているととは明らかです。ですけれども、それは今度一斉学力調査というものをやりますよ、それはこの標準検査の記録の中に書くべき性質のものですよという注意を喚起し、そうして記録させることはこれは当然の措置と思います。このことは強制する、せぬとか、そんな問題でなくして、本来、標準検査の記録というものが何だということから当然出てくることであって、もしこれに書かないとすれば、その教師の判断力が私は疑わしいと思います。そういう性質のものかと思います。常識の範囲だろうと思います。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 文部大臣、ますます答弁するたびに放言、失言を繰り返していますがね。すでに文部省から指導要録に記載すべき基準については通達で出されている、したがって、それから先、たとえば理科の試験をして、どういう教育診断をし、どういうふうに客観性、信頼性を求めて指導要録の中に記載するかは文部大臣が指示することですか。これは当然、文部大臣の指示権、通達権ではなくて、各教師が学校教育法の教育をつかさどるという権能に基づいて、責務に基づいて判断をし、良心的に記入すべきことです。もし大臣の言うのが——大臣こっちを向いてちゃんと聞いておきなさい、あなた大事なことになると横を向いてしまうが。もし大臣の言うように、そのことを書かないのが教員の良識がどうかしている、そういう判断を大臣が勝手にすることは、今日は論及しません。しかし、本来のあり方として、記載すべき基準を示したならば、テストをやってどういう表現を使い、どういう記入をするかは教師自身の責務である。したがって、このことを判断の資料にして下さいということも行き過ぎであるけれども、その程度であれば明らかに越権とは言えないかもしれません。しかし、結論的には記入するかしないかは、今あなたが読み上げたところの文部省の指導要録記載の通達による各教員の判断にまかさるべきものと思いますが、記載すべきことを強制することが正しいか、注意として大臣が注意をして、あるいは希望をしても、書くか書かないかは教員の判断にまかさるべきか、このいずれかだけを簡潔に答えてもらいたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) もともとこういう指導要録を作らねばならないということを施行規則に基づいて通達します根源は、学校教育法に、教科に関することは文部大臣が定めねばならないと留保されていることに淵源を持つものと思います。したがって、この指導要録が示されましたならば、指導要録の趣旨に従って記入する責務が私は学校当局にあると思います。そういう意味合いにおいて標準検査の記録というものが、こんなものを書きなさいと指示してある。こんなものをということについて信頼の置けるものかどうかの判断は、むろん記入する学校長にまかされておると思います。思いますけれども、その主眼とするところは、民間のものといえども、信憑性のあるものは書きなさいということを中心に考えてある。そうして記入してあると私は理解いたします。本来、教科に関することは国として責任を持たねばならないとする学校教育法の根本にさかのぼって考えました場合、その責任から出てきます必要のゆえに、一斉学力調査をこの際はやるわけですから、その学力調査の結果というものは、民間のものより以上の信憑性のあるものとして書きなさい、そういうものですよということを指示することは、当然の私どもの責任と心得ます。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 本質問が米田君ですから、僕は簡潔に答弁をもらえばそれで質問を終わる予定ですよ。あなたは僕の質問に答えておりませんよ。僕の質問は、指導要録記載の基準についてはすでに通達を出しておる。したがって、何を記載するか。特に今度の学力テストだけを指定しましょう。今度の学力テストの結果をどのように診断し、客観性のある、信頼性のあるものと判断するかどうかは、大臣がきめる権限ありますか、個々の教師がきめるかいずれかと、こう聞いているのだ。それだけ答えなさい、はっきり。何で横道にそれていきます。あなたが言うところの民間のテスト、客観性があるか信頼性があるかどうかということは、従来、大臣がいつ判断しましたか。これまで民間テストは何度もやってきておる、あなたは知らぬだろうけれども、これまで十年間に民間のテストをやったことはたびたびある。しかし、このことに対して文部大臣がこれを記載しなさいと言ったことがありますか。これを記載するかどうか、信頼性があり客観性があるかどうかの判定は教師にまかされておる。それは、十月二十六日に母親からしかられてきた子供が、日ごろは成績がいいけれども、その日はそういう家庭的な条件で十分の能力を表わせないかもしれない、父親が長い病気のために介抱してきた子供が、そのことが心配で十分の力を発揮できないかもしれない、それは文部大臣にはわからないのだ。個々の教師が多年の間継続的に観察して初めてわかる。したがって、その学力テストの結果の採点というものが、客観性、信頼性があるかどうかは教師でないとわからない。この判定の権限を大臣が持つか教師が持つかと聞いているのですよ。あなたが言うところの教育基本法の本来の目的、なるほどしかり、しかし、教育基本法はさらに具体的には学校教育法で定められ、省令として施行規則の中に定められ、また別途の方途しては、いわゆる地方行政組織法の中に定められ、その下から教育委員会規則として定められ、この法令の定むるところに従って指導要録の内容判定は教師自身にまかせなければ、文部大臣が一々民間テストの、天野貞祐が発行したテスト誌の結果を記録しなさい、荒木萬壽夫が久留米で会社を作って民間テストの資料を出しましたから、これは客観性があるから書きなさい、こういう指示をしてごらんなさい、一番被害を受けるのは子供たちですよ。客観性、信頼性というものの判定は教師にまかせられておると判ずべきが至当の見解です。再度お尋ねします。内容は、その具体的な個々の判断、記載するかどうかは大臣の権能か、教師の判断か、その二つだけ簡単に答えて下さい。それで質問を終わります。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) この指導要録の標準検査の記録欄に、標準化された検査で最も信頼のおけるものを正確に実施した場合に記入すると、こうなっておることは、まさに民間テストを対象としておると思います。それに関する限りは教師の価値判断にまかされておる。信憑性ありやなしやは、文部大臣が一々そんなことはやろうといってもできないことは私もわかっています。ただし、すでにして教科に関することが責任を持たされ、それに基づいて一斉学力調査をなさんとしておるのであります。その学力調査の評価というものが信憑性ありやなしや、これはもう言わずして初めから明らかだと思います。それを、信憑性ありやなしやを判断する以前の問題、言いかえれば、指導要録の様式、記入すべき事柄すらも文部省が責任を持って定めねばならない、義務教育であるがゆえにということの中には、これは政府が責任を持ってやりますから、その民間のやつよりも信憑性があるはずですから、記入しなさいと指示することは越権じゃないと思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 何べん言ってもだめだ、この大臣は。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 大臣、あのね、あなたが言っていることは全くのへ理屈ですよ、かりに百歩譲って、文部省の今度やる学力テストが、テストそのものが客観性、信頼性があるかもしれない、しかし、テストを受ける生徒が、私が言ったように、その日たまたま生理的、肉体的、家庭的諸条件の中で、その結論というものは、客観性があるか信頼性があるかは、長い継続観察の中で、教科担任あるいは学級担任が診断する、今度の学力テストは、その判断の根拠を教師に与えないで、文部大臣が記入することを強制する、指示するというのですか、それとも先生にまかせるのか、それだけをはっきり最後に答えなさい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 記入してもらわねばならぬと思います。ただし、今おっしゃるように、その生徒個人個人で、うちで重病人があって徹夜の看病をしたとか、あるいは災害等があってどうだとか、特殊の個人専属のいろいろの理由があると思います。そういうときに、テストの結果を記入はしたが、平素の本人の成績、能力等から判断して、しかも、そういう個人専属の特殊事情のゆえに成績が悪かったら、悪かったということを私は備考欄に当然書かるべきものだ、そういう意味での担任の教師の全般的な観測に基づく注釈もあったほうがいいので、それをしもないがしろにして、ただ形式的に記入しなさいという、こういう趣旨ではむろんございません。しかし、民間テストよりも信憑性あるテストには間違いない、だから個々の場合にどう記入するか、甲乙丙でいくか、一、二、三、四、五でいくか知りませんけれども、一応出たとして、その担任教師が、今申し上げましたような判断のもとに、この成績の結果、それ自体はすべてを物語らない、特殊の事情が、こんなことがあったんだということを書いてもらうことこそ望ましいとはむろん思いますけれども、テストそのものが民間のよりも信憑性がないと判断するから全然書かないということは、私は常識上許されない範囲になると思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 先ほどから豊瀬さんと文部大臣の質疑応答は、だれが聞いても法律上成り立ちませんよ、その意見は。これは与党の諸君だって聞いていれば、文部大臣の答弁は筋が通っていないことは明瞭だ、ただ、残念ながらわれわれは議席が少ない、そういう違法の主張を食いとめることができないだけなんです。文部大臣の答弁は間違っている、通達に出ている指導要録の記入は、文部大臣の指示で記入することではない、客観性があるとか、信憑性があるとか、そういうものはすべて教師にゆだねられているのです。だから、今度の学力調査の評価の結果も、なるべく記入してくれという希望を述べることは許されても、これを記入せよという強制的に権限を発動する法的根拠はないのです。あなたはそうやって内藤君の助言をあくまでもたてにとって、との委員会で突っぱり切っている、その無謀さはあきれてしまう。次の質問に移りますが、この問題はしかしあとまで私は追及しますよ。  文部大臣は前回の委員会で、中学校の教育が高校入試のための予備校化することは現実の問題とした場合やむを得ないことである、それをしも、もってのほかだという必要はないという言葉で答弁をしております。しかも、答弁のあと再三私が食い下がったら、きわめてあいまいな答弁が行なわれたけれども、この点はいまだに明確でない、一体この中学校の教育が高校入試のための予備校化するような、そういうことがあっても、現実的には仕方がないのだという見解を今でもはっきり持っておるのかどうか、この場合責任ある答弁をしてもらいたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 上級学校の予備校でないことはきわめて明僚であります。私がこの前お答え申し上げた気持は、特に東京あたりでは、有名校に志望者が殺到する意味もございましょうが、また、人口の社会増に応じて高等学校の増設ができないためもございましょうが、入学試験が非常にむずかしい。だから、中学校の教育課程そのものは、何も予備校化しているわけではございませんけれども、そんなことはないとむろん思いますが、現実問題として、昔のことまで引き合いにしてお答えしたと思いますが、先生が子供かわいさに、あるいは親が子供かわいさに、どっちがどうと言い切れないと思いますけれども、放課後に予備校的な試験勉強をすることに先生が手伝っていなさるということが現実にあるということは承知しておりますが、そういうことはある程度やむを得ないだろう。それをしもやめさすと言ってみたって、やめさせ得ない必然性をある程度持っているのじゃなかろうかという気持を申し上げたのでありまして、中学校そのものが予備校化してよろしいという——言葉が足りなかったら訂正することをお許しいただきますが、そういう気持でなかったことは、これは当然のことでありまして、私もそのくらいは心得ております。現実に放課後の問題、あるいは学校の教育以外の場で、中学校の先生が、特に子供に教えなさるということは現実に行なわれておるようですが、それはある程度やむを得ないだろうと、こう申したのであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 そのことと関連して、もう一つこういうことを言っておる。中学校で進学希望の生徒と就職希望の生徒を二つのコースに分けて教育をすることに対し、どう考えるかという私が質問をした際に、あなたは、制度的にそうすることは適切でないと思うが、現実問題としては、それが便宜であるならよろしい、こういうふうに答えておるが、あなたはいまだにそう思っておりますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) さっき御質問にお答えしたような気持で申し上げました。制度としてそうあったほうがよろしいと考えておるわけではございません。やむを得ない部分があるだろうと、こういう意味であります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 この進学希望者と就職希望者を二つのコースに分けて教育をするということは断じて許されない。これは、もし文部大臣が当委員会で、そういうことは現実問題としてはやむを得ないというようなことを発言されたということが公けになったならば、日本の教育に大混乱が起きますよ。それでなくても、学校は、傾向として、進学者のために集中的な指導をしたいという切なる条件から、そういう二つのコースに分けて教育したいという傾向や希望がある。これを許容するような態度を文部大臣が明らかにすることは、これは中学校教育を私は破壊してしまうと思う。進学希望者と就職希望者を二つのコースに分けて指導するということは法律上絶対に許されないことである、私はそう思うが、この一点はどうですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私も法律上許されないと思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 法律上許されないのであれば、現実的にそういう傾向が現われたら、それは是正されなければならないと主張しなければならぬはずじゃないですか。そういう誤まった傾向は、あらゆる手段を講じて防止しなければならないと文部大臣が答えるのが当然ではありませんか。便宜的ならそれでよろしいとか、現実の問題としてはやむを得ないとかいうことは、そういう悪い傾向を許すという結果になりませんか、その点はどうですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 悪い傾向を許す気持は毛頭ございませんが、むろん、お説のとおり、そんなふうにならないような努力をすべきと思います。それは先刻も申し上げましたように、高等学校の増設についても、まず真剣に努力せねばなるまい。また、父兄がそんなふうな風潮を醸成することありとせば、そんなことしなさんなということももちろん言わなければなるまい。ですけれども、根本は、そういう必要がないようにしてしまってからでないと、言いましても、言うことがうつろに響くことをおそれる。そこで、それまでは現実問題としてはある程度やむを得ないかもしれぬということを申し上げたのでありまして、それを是認するという気持は毛頭ないことをこの際申し述べさしていただきたいと思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 それでは、誤解を受けるようなことを文部大臣は言うべきでない。法律上そういうことは許されないということをはっきりすべきです。それをあいまいに答えるから混乱が起きてくるのだと私は思う。さらに、先ほどの中学校の予備校化の問題、文部大臣は、放課後子供が学校から帰ってから、あるいは家庭教師を雇って授業をしてもらうとか、あるいは熟へ通って子供が勉強するとか、これはやむを得ない傾向だ、こう言っている。私は、やむを得ない傾向であるかもしれないけれども、そういう傾向は是正すべき傾向ですよ。文部大臣の立場としては、そういうことは、子供の心身の発達、あるいは日本の教育の現状をゆがめることになるから、極力そういう条件は排除するように努力をしてもらわなければならないし、自分も自分の立場としてそのことに努力をするという、そういう立場を堅持すべきです。現実の問題としてそんなことはやむを得ないと、こういうことを言い切るということは、これは全く文部大臣としては責任ありますよ。また、こういうことが考えられるのです。放課後、教師が子供を残して、特別に進学者に授業をしたり、熟へ通ってやったり、あるいは先生がアルバイトで家庭に入り込んで子供に教えるというような傾向が、増せば増すほど、中学校の授業自体がそういう傾向を帯びてくるのですよ。中学校の教育自体がそういう傾向を帯びてくる、これは否定できない。したがって、私は中学校が高等進学のための予備校化することは絶対にいけないし、また一子供を放課後残して、詰め込み教育をやるような、そういうやり方、アルバイトに家庭教師を雇って教え込むやり方、熟へ通わせるやり方は間違いですと、ほんとうの子供の心身の発達を考え、子供の個性や能力を十分に伸ばさせる教育は、そういう教育のあり方ではならないのだということを文部大臣が主張すべきなんですよ。私の主張に間違いがありますか。間違いがあるなら、この進学と就職希望の二つのコースに分けて教育をするやり方は、あるいは中学校が高校入試のための予備校化したり、学校の教育以外に詰め込み教育が行なわれるという傾向は厳に排除するように努力しなければならぬということを言い直しなさいよ。そうでなければ、文部大臣の発言は重大な影響がある。いかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 学校の場に関しましては、お説のとおりと私は思います。学校の場以外のことは、願わくばそういう試験勉強で体をこわすようなことはやらせたくない、やってほしくないと思います。思いますが、義務教育じゃないものですから、ある程度の競争は当然あることが予定されておる。競争があるならば、競争に敗けまいとして勉強する自由も持っておるというわけですから、そのことは一種の物理的現象であって、学校制度としてどうあるべきかを責任を持って考えなければならない文部大臣としては、どうすることもできない範囲があると思います。道義的な希望としては、お説のとおりに思いますけれども、義務教育でない限りは、やむを得ない部分があるであろうと思っておりますから、それを率直に申し上げておるにとどまります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 文部大臣は非常に自分の都合のいい論を振り回す。先ほどの指導要録の問題に関しては、法的根拠がないのに、強制する場合には妙な論を使うし、今のような重大なことは、義務教育外のことですから、何ともできない、そういうことこそ強く希望し、主張すべきではないですか。法的に押える権利はなくとも、文部大臣として、そういうことを天下に呼びかけるべきではないですか。そういう立場にある人が、やむを得ないとか、便宜的なら仕方ないとかいうことは、口が腐っても言うべきことではないのだ。そういう御都合主義で、その場その場で態度を変えていくところに、私は文部大臣の頭に日本の教育を混乱させる要素があると思っている。委員長、矢嶋委員が何かこのことに関連質問があると言いましたが、今私が言ったことに文部大臣が答弁をして、それからお願いします。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 中学校が予備校化したり、あるいは進学コースや就職コースなどと、法律に違反してゆがめられることは許しがたいことと思います。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 大臣、奥歯に物のはさまった言い方されているのですが、教育の問題を論ずる場合に、今の制度では許されないが、実際上学校の教育の場の外で行なわれていて、大臣の権限外、あるいは手の届かない範囲だというような表現で述べられているのですが、やっぱり国会で速記をつけて、公けの席上での大臣の発言としてはあまり現実的になり過ぎた御発言で、私は妥当でないと思うのですよ。あなたのお宅とか、あるいはどこかの喫茶店とか、ロビーあたりで、お互いに話す場合の気持としては大臣の気持わかります。しかし、国会の正式の場で一国の文部大臣として米田さんの質問への答弁、今指摘されている二つですね、ああいう表現は妥当でない、影響が大きいと思うのですね。だから、あまりこだわったり、奥歯に物のはさまったような御答弁なさらないで、表現が妥当、適切でなかったという立場ではっきりされたほうが、僕は日本の文教のためにも、大臣のためにもよろしいと考えるのですが、いかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今おっしゃるような意味で、私の答弁が適切でなかったという気持がいたします。奥歯に物のはさまった気持じゃなくて、奥歯に物のはさまっているやつを全部さらけ出したことが、かえって適切じゃなかったと思うわけでございまして、現実のやむを得ざる点は知らないふりをして、いわば、そうして断じてそういうことはないようにしたいと言い切ればよかったと思いますが、現実はあまり深刻な場面も見聞しておるものですから、そのことに対してそう申しましても、直ちにそれを解消するだけの具体的な裏づけ施策があって申し上げるわけではないものですから、その点をあまりに率直にと申し上げるか、正直に言い過ぎたことが、米田さんのお叱りを受けた部分かと思います。建前としまして、そういうことがないほうがよろしいことはいわずもがなでございます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 先ほどから問題になっている中学校が高校進学の予備校化したり、あるいはまた中学校の中に就職コースと進学コースとを分けて教育を行なうといったような、こういう法的に誤ったいわば教育の邪道を行こうとするような傾向は、私は何から出てきているのかということを考えてみる必要があると思うのです。何からそういう傾向が生まれてくるのか、これはいろいろの理由はあるでしょう。いろいろな理由はあるけれども、その中の重要なポイントになっているのは、高校の入学選抜の方法、大学の入学選抜の方法にその根本の原因があると私は思う。この点にメスを入れなければ、私はこの一般的な傾向を排除することはなかなかできないと思うわけです。大臣はどう思われますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指摘の点にも問題があると思います。入学試験の問題の出し方なり、あり方等につきましては、ずっと以前から、文部省自体としましても関心を寄せて検討をいたしているようであります。専門家にもお願いをして、委員会等を通じて検討しつつあると承知いたしますが、その結論を待って、できるだけそういう弊害の根源となりそうなところは改めるという考えでいきたいと思っております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私は入学選抜の方法にそういう悪い傾向を生む原因があると指摘したのは、そのことと関連して、あなた方が今行なおうとする学力調査もまたこれに類似した傾向を生み出す原因となるということを指摘したかったからです。大体私は文部省としては、文部大臣としては、あなたが強行しようとする学力調査の結果には、良好なよい評価が現われた方がいいと望んでおるでしょう、そういうことを期待してはいませんか、この点はどうですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 当然そう期待しております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私はそこからだんだん問題が発生してくると思うのです。文部大臣は学力調査の評価がよく結果づけられることを期待しておる。そこで、次にもう一つお伺いしたいのは、学力調査に五科目を選んだ、これをあなた方の出した。パンフレットによって見ると、「ぺ−パーテストで、すべての領域を調べることはできないが、実技を中心とする教科に比べればはるかに広い領域にわたって学力を調べることができるので、調査対象とした。」、つまりペーパーテストで何とかやり得るかち、この五科目を選んだというふうに私は解釈をしたのですが、いかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) そのとおりでございます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 そういたしますと、学力調査の対象外に置かれた教科が私はこれまた問題になる。文部省の出しておるこのパンフレットを見ると、「他の教科を軽視する意図はまったくない。」、つまり対象外に置かれた教科を軽視する考えは全くないと書いてあります。それだけ一言書いてある。しかし、私は文部大臣が先ほどから答弁をしておることで、このことがわからないはずがないと思うのですが、対象外に置かれた教科が、文部大臣もたま学力調査をする五教科に良好な評価が現われることを期待しているということであれば、その期待に沿うように教育委員会も校長も教員も、お父さんやお母さんも、子どもも、あげてこの評価に優秀な成績をとろうとして精力が集中する、注意が集中する、これこそ、これはやむを得ない傾向だ。そうなれば、調査の対象外に置かれた教科は、勢い指導の重点からはずされる傾向が生まれてこないか、それを感じないかどうか、この点はいかがですか、文部大臣。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) それは教育委員会なり、先生方の気持の問題だと思います。テストをやるからそれだけに集中し、それ以外のことには関心が薄くなるある程度の傾向はあるとは思いますけれども、そういうことにならないようにする立場にもあるわけですから、それは常識判断で考えていただけばいいのじゃないか。それからテストがいい結果が出ることを期待するかどうかというお尋ねに対して、もちろんそれを期待しますと申し上げた趣旨は、試験勉強をして五をとる者が多いことを期待するということが第一義じゃなしに、学習指導要領、いわば全国的な共通公分母的な課題を通じて、学習指導要領がどの程度徹底し到達しておるであろうかを見ることが主眼でごさいますから、きわめて素直にありのままが出てき、その結果は必ずや個人差、学校差、地域差が出てくることは必然でございましょうが、それがきわめてすんなりした姿で現われることを期待するということでございまして、点数が多い少ないということは、本人の義務教育過程における勉強の仕方、先生の指導の仕方の平常のことが現われればいいことであって、そのために特別に点数かせぎをしなくても済むような問題を選ぶことによって、御指摘のような弊害は除いていきたい、そういう意欲は持っております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 僕は、文部大臣がきっとそう言うだろうと思ったが、あげて教師の責任にして考えておる。そういう傾向が出てくるのはそれは教師の責任だ、良識があればそんなことにはならないと、こうあなたは言っている。それでは、先ほど、中学校が高校選抜のために予備校化する傾向があったり、やたらに家庭教師を雇って子供に詰め込み教育をしたり、塾へ通わせたり、放課後夜おそくまで先生が子供をつかまえて、しゃにむに教育をして、そうして入学選抜に間に合わせようとしておる。こういう傾向は、一体、教師がしっかりしておればいいのだ、そういう単純なことで、あなた解決がつきますか。そういうことでは解決がつかないということは、先ほど答えたとおりでしょう。そうすると、あなたが学力調査に五教科を選び、その他の教科はこの調査外に置いた、しかも先ほどからお互いに話し合っているとおり、その評価は記入され、進学、転学その他就職にもこの評価はその中の一項目としてついて回る。そういうようないろいろなことを総合的に判断をしたら、そんな悪い傾向が出るのは教師の責任だと言って、全部学校の教職員にその責任を転嫁して、私のやっていることにはちっとも考えないという文部大臣のものの考え方は、あまりにも一方的ではありませんか。あなたのやろうとする、強行しようとする学力調査が、そういう傾向を生む大きなもとになっておると私は指摘しておるのです。その自分が強行しようとする学力調査の問題にはいささかも責任を感じないで、それを受けて、そういう傾向に流れようとするのはすべて教師の責任だ、子供や親の責任だという、そういうものの考え方は私は許されないと思う。自分が強行しようとしているのだから、学力調査を。いかがですか、その点。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 上級学校の入学試験勉強あるいは就職試験についての、親なり子供なり、あるいは場合によっては先生の関心を持つ意味と度合いと、今度の一斉学力調査に関する考え方とは全然本質的に違うし、度合いもはるかに違うと思います。(米田勲君「どう違う」と述ぶ)何度も申し上げるように、試験勉強したって、試験勉強そのものは役に立たないというような課題を選ぶことによってその弊害を避けたい。実施しました結果、そういってもこうじゃないかということがあるいは出てくるかもしれませんが、そんならば、来年やるときの改善の資料にするというがごとく、年々歳々、全国的な視野に立った共通的な課題を通じての学習指導要領の目ざすところの到達度を見ることによって、そうしてもろもろの課題の改善の資料にしたいということが趣旨であることは何度も申し上げたことですが、先生に責任がある、親に責任があるなどということは、試験勉強しなくても大丈夫ですよという認識について申し上げておるのであって、現われました結果が、本人の努力不足、家庭教育の矛盾で協力が足りない、あるいは先生の指導が適切でなかったとか、学校施設設備が十分でなかった、あるいは指導要領それ自体にも問題があるとか、いろいろな課題が欠陥として出てくるでありましょう。それを一緒になって、前向きに是正する資料を得たいということなのですから、しかもその問題の出し万は、今申し上げたような趣旨で、専門の人が選んでくれたものが問題として出るわけでございますから、一ぺんで弊害がゼロになるということまではいけないとむろん思いますけれども、年々歳々の繰り返しによって協力していきます場合、本来意図しております成果が、効果が上がっていくことを衷心期待しておるわけであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私は今の文部大臣のような答弁が途中で行なわれると思って、学力調査において採用されるペーパーテストの問題について初めに論及しておる。その際に、あなたはどういうふうに答えているか。責任を持ってもらわなくちゃならぬ。ペーパーテストというその方式、それから、ただそれが一回に限られるという方式、しかもきわめて短時間であると、それは。こういう諸条件からいくと、何としてもこれは子供の真の能力や学力を判定することはできがたい。それをあなた認めたではないか。そういうことができがたいということは、逆に返せば、集中的に記憶すれば事が相当程度答え得るということが半面に出てくるのです、これは。ペーパーテストには。その証拠に、こういうことがあるでしょう。文部省が今まで抽出テストをやってきた。その抽出テストの小学校の国語の中に、こういう問題を出したことがある。ラジオで道順を聞きとるテストですよ、道順を聞く。その聞きとりをラジオをもってやっている。その結果は非常に悪かった。評価が悪かった。その評価の悪いことをもって、私はこれは小学校における国語の聞きとり教育が不足していると断定することは間違いだと思う。そしてこの評価には、全国的な地域差が非常に出た。特に考えてもらわなきゃならぬのは、こういう都市で、小学校の子供が人に道を尋ねられてそれを教えたり、人に道を尋ねたりするということは、生活経験の中にあり得ないことであるし、むずかしいことなんです、それは。そういう条件のものをテストに選んできて、そうして画一的に、機械的にこれをテストしておる。こういうやり方が、機械的な練習で修練されないということはどうして言えますか。また、こういうこともあったでしょう。理科のテストで、ある高等学校では、ほとんどこの電気の配線図に満点をとったところがある。評価はすばらしくよくできた。ところがこの学校で、その後に実際の電気の配線の実物についていろいろテストしたところが、ほとんどの者は理解しておらなかったという結果が明らかになった。これは一つの例です。図面の上で電気の配線図を機械的に練習すれば、実物を操作することはほとんどできなくても、ある程度機械的に記憶で答えることができるテストなんです、それは。こういうことを例にあげて、私は幾つも持っておりますが、これはやはり機械的な練習、積み重ねの記憶訓練、そういうものでテストに対応する余地が相当に今までもあったということなんです。これは入学選抜の方法に今のような方式がとられている限り、機械的な練習、機械的な詰め込みの教育あるいは記憶、暗記、そういうものがテストに相当役に立つということが一般的なそういう傾向を生んできた一つの要因でもある。だから、そういうことから考えると、文部省が五教科を選んだ、教科外に置かれたその教科は、学校の指導の中でどうしても重点からはずされる傾向にもなるし、その反対の力は集中的に詰め込みや機械的な記憶にたよる、そういう教育の傾向が生まれてくるということを考えない文部大臣の頭がおかしい。その証拠に、利口であるはずの山梨県の教育委員会の指導主事が、寄ってたかって何をしましたか。この間の抽出テストの前に、自分たちが模疑問題を書いて、作って、それを学校に配付してテストさした。これ何ですか。そういうことが全く役に立たないということを知っておったら、だれがやりますか。それは役に立つ、現に抽出テストをやってみたら、その中に三つも四つもこの模疑試験をやった問題と同じものがあった。こういうことが行なわれるということは、テストが子供のほんとうの学力や能力を判定できないという反面に、教育本来の指導の体制をくずした機械的な詰め込み的な暗記にたよる教育がはびこる余地がある。その根源をなしているのが学力調査だ、今の場合。それだけではない。こういうふうに私は全体を考えている。それでもまだ文部大臣は、それは先生がしっかりしておらぬのだ、そんな簡単なことでわかるテストを出さない。こういうふうに言い切れますか、どうですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 問題はペーパーテストそれ自体の批判ないしは問題の出し方に対する御意見だと思います。問題は私が出すわけでなくて、能力ももちろんございませんが、ペーパーテストで最大限度に期待し得るようなやり方で、しかも問題の出し方で、一斉調査をする効果が教育の場の改善のために意義がある。また必要があると考えてやるわけでございますが、もとより欠点もございましょう。しかしそれはどうもベストを尽くしても、なおかつ結果的にはいろいろな点で欠陥があった。問題の出し方それ自身も、ふたをあけてみたら、一部には適切でないという批判が出てくることが絶無とは言い得ないことも、むろんありますけれども、しかし、それはあくまでもペーパーテストそれ自体の、もっと合理化する、検討に待たざるを得ないことだし、また、問題を選定いたす人々の、次々に回を重ねるごとに検討されました反省の結論として、よりよくしていく以外には方法のないことであって、御指摘のようなことが一部あったから、ペーパーテストそれ自体がなってないのだ、やるべきでないのだというふうには私ども思いません。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 今の質疑応答を承っていますと、ここは大臣の答弁、大臣らしい答弁なんで、それだけにしらじらしい感じがするのですが、特に準備は要らぬ要らぬと言われている。私は企画された内藤局長に伺いますが、よしあしは別として、私はその角度から論ずるのでなくて、テストをやるとなれば、それを機会に、それに対して準備するのは当然じゃないですかね。私はかつて教師の経験があるのだが、数学にしても、英語にしても、社会にしても、理科にしても、その学年で最低この程度まで記憶しなくちゃならぬ、理解しなくちゃならぬ、マスターしなければならぬ内容とレベルがありますが、文部省でテストするとすれば、それに対応して、そういう準備は当然起こってくるのじゃないですか。また、やらぬ先生は怠慢だと思うのだ。僕が先生だったら必ずやると思う。ところが、あなた方の答弁を聞いてみると、テストやるからといって準備は何も要らない。特別な何も要らない。するのは、どうかするとばかなことだという表現で答弁されているが、これは非常に間違っているのじゃないかと思う。企画されたあなたのほうとしては、このテストの機会に、中学校二年なら二年、三年なら三年で、このレベルまでは、この内容、記憶なりは理解しなくちゃならぬというものをマークして問題を作られるのでしょうが、それに即応して態勢を整える、準備される、おそらく各学校で準備して、このレベルまで上がるように努力するであろうということを期待してテストというものをやられているのだと思うのだが、そうでなかったら国費の乱費になると思うのだが、その点、先日来の質疑応答を聞いてみますと、何も準備は要らないのだ、何も影響はないのだ、他の教科に影響ないのだという答弁は非常に非現実的な、しらじらしい感じを受けるのですが、局長いかがですか。

内藤譽三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤譽三郎君) 指導要領がございますので、平素、学校では指導要領に即応して、その内容なり到達度というものは勉強しているわけでございます。ですから、その学習の到達度を今回見ようというわけでございまして、問題は平易な問題で、基礎的、基本的な問題、暗記の部類は極力避けまして、能力と判断力があれば確実に正解が当たるような問題を選んだわけでございます。ですから、このテストのために、特別な準備なり勉強は要らないという趣旨であって、平素の学習というものを、指導要領に即応してしっかり勉強していただければ、その成果が今回現われるというわけでございまして、特別な準備は要らないというふうに思っております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 矢嶋委員の質問に対しても、内藤局長はそういうことを言うが、私はこの学力調査、話に聞くところによると、毎年実施していくような方針のようであるが、これを続ければ続けるほど、本来のあるべき教育の姿から逸脱して、悪い傾向が増大してくるということが予想されます。それを私は一応この場所では警告にとどめておきます。あとで法律論争をするときに、そのことをあわせて主張します。  次に、私は前回の委員会で、文部省という国家権力が問題を作って、それが学力調査を実施するように指示しているというやり方は、世界のどこの国にもない例である。世界の教育史に例がないと極端に私は言った。そういうことをやっていると聞かされているかどうか。こういう意地の悪い聞き方をしたところが、文部大臣は、そういうことをやっているという話は聞いておらない。その次が私は問題だと思う。あなたの言い分は、私は外国の例なんか、そうたいした問題にはならぬと思いますと言い切っている。これは文部大臣として、私ははなはだ不見識なものの言い方だと思うのです。あなたはいろいろ教育上の理論だとか、あるいは行政施策の上で、世界の先進国がいろいろ実施をし、その実施の経過、現われている影響、そういうものをつぶさに研究をし、検討を加えて、日本の教育の正しい前進のために考慮を払うべきではありませんか。外国の例なんか問題ではない、こういうものの言い方は、自分の今やろうとしていることをかばうあまりに、暴言を吐いているとしか私は理解できない。少なくともこういうことをやろうとするならば、世界にそういう類例があるのか、そういうことをやった国があるとすれば、その影響はどういうふうに現われたか、そういうことをつぶさに検討をしてしかるべきだ。しかるに私の聞いた質問に対して、外国のことなんかどうでもいい、こういう答弁をしているが、これはもってのほかだと私は言いたい。どうしてこんな御答弁が出てきたかというと、世界に例があったら大いばりで言う、イギリスにもある、どこにもあると言うに違いない。残念ながら一つも例がない。国家権力で学力調査をやっている国はない。ないということは、その国でそのことまで判断がつかなかったというのではなくて、それは民主教育の行政上あるいは教育理論上、そのことをやることは妥当でないという結論に達しているということなんです。国家権力がそういう学力調査を末端に向かって強制をして、実施をするというやり方は、教育行政上も、教育理論上も妥当でないという結論に立って諸外国でやってない。何かこの調査資料にまぎらわしいものを出している。このまぎらわしいものの中に、もし文部省という国家権力が問題を作って、学力調査をやっているところがあったら、ひとつ御答弁をしてもらいたい。そういうところはないはずだ。資料に出ているのは、まぎらわしいものを出したのだ。この点についてはいかがですか。私の聞いていることは少し長かったが、外国のことなんか、そうたいして問題がないというものの考え方は間違いではないか、日本の教育を正しく進めようという立場に立つならば、そういうものの考え方は間違いではないかということが一つ。よその国では例がないということは、私の立場から主張させると、それは教育行政上、教育学の理論的な立場からなすべきでないという結論に達して、自主性にまかせられている、よその国でやっている場合でも。この二点について世界的な傾向を無視して、いかなることがあっても頑迷にこのことを実施しようとするのかどうか。その点をひとつもう一度お答え願いたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 外国の事情は、事務当局で調べておったことは承知しておりますが、したがって、外国の例等で参考になるべきものは取り入れた結論が私のところに判断をまかされて出てきたと、こう理解しておりますので、外国の例等を一々記憶していませんものですから、この前お答えしたわけであります。外国の例なんかどうでもいいということを考えておるわけじゃむろんございません。いいところがあればむろん見習うべきである、悪いところはまねすべきじゃないと、こういう意味で外国のことは心得ております。  それから国家権力で云々とよくおっしゃいますが、現行憲法のもとの国家権力というものは、国民に奉仕する側のものとして守らねばならない、やらねばならない責任規定としてそれが国の権限として与えられておると私は理解いたします。その意味において、先ほども申し上げましたが、学校教育法上教科に関することは地方分権が原則ではあるけれども、教科に関することは文部大臣が義務教育に関する限りは定めて責任を負えというごとになっておると承知いたします。そのゆえをもって、学習指導要領も文部大臣が定めて義務教育課程の基本的な内容、方向づけは国民に責任を負えとなっておると承知いたします。したがって、その点からいたしまして、この学習指導要領の成果が、現実に義務教育課程で最終段階でどの程度にいっておるであろうということを知る必要が責任上あると思います。その問題を出しますのは、学習指導要領を定めねばならない責任を持って定めておる能力は一応あると前提されておるわけでございますから、それに対する具体的な批判は一応別といたしまして、指導要領に従って教育がなされておるはずでありますから、その到達度を知りたい、指導要領を定める能力を基本として問題も作るということで、何も国家権力で独裁国みたようにぐずぐず言うな式のものでなくして、全国民によりよき教育を与える責任を果たします上に必要な限度においての客観的な基礎を得たいという目的を果たしたい、こういうことでございますから、当然やらねばならない範囲のことと心得ております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 今の答弁から私は取り消していただきたいと思うことは、外国の例なんかそうたいした問題ではないということは明瞭に取り消して下さい、そういう真意はないということなら。前に速記録に載っている。はっきり、「私は外国の例なんかそうたいして問題にならぬと思います。」と答えている。そこを取り消して下さい、そういう考え方が誤りなら。それから国家権力という言葉が何かあなたは気がかりになっておるようだが、文部省という国家権力がこの問題を作って何が何でもやれと言って指示している限り、言葉の使い方はとにかくとして、国家権力がこの学力調査をやっているんでしょう。それに間違いがないでしょう。そういうことが、日本の教育の地方分権の立場から考えて、私は今、文部大臣の答えた答弁はあとで法律論争をしますけれども、間違いだ。特に諸外国にそういう文部省というようなところが問題を作って、そうして何が何でもやれということでしょう、あんたは。内容をちっとも変えちゃいかんぞ、これとこれは必ずやれと強制しているんですから、今ごろ何が何でもこれをやれと言っているんじゃないなんと言ったって、それは通用しませんよ。あなたは、国家権力で問題を作り、そのことを強行しようとしている。それには間違いがない。それを何も言いつくろう必要はない。  さて、国家権力がそういうことをやるという例が諸外国にないということを私が指摘して、なぜ、よその国で、荒木文部大臣と同じくらいの頭の人がおるはずだが、それをやらないのか。それをなぜやらないのかということに疑問を持ちませんでしたか。たくさんの国があるのに、どこでもそういうことはやらない。やっていても地方教育委員会の自主性にまかせておる。そういうことに疑問を持ちませんでしたか、類例のないことを今自分がやろうとするのに。私はその点がどうも不思議でならない。そうしてそれを突っ込むと、外国の例なんか問題でない。またそれをつつくと、今度は、そんなことは私の本意でないと逃げてしまう。どうですか、その間の事情は。なぜよその国にそういう例がないのですか。それを疑問に思いませんでしたか。文部大臣、どうです。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 外国の法令は私も勉強していませんで、お答えする能力が今持ち合わせがございません。ただ、私は先ほど来申し上げておりますことは、外国の例がどうであるにいたしましても、日本の民主教育の基本的なあり方は、学校教育法で文部省というものは何をなせということを責任と権限を与えられておる。その責任を果たすために与えられた権限を行使して教育の改善のために役立たせたいと、それだけでございます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 今の御答弁については、後刻また私は意見があります。  さて、次にお聞きしますのは、文部省の学力調査実施要綱の中に目的が並べてうたってあるわけです。この目的は、見ますといくつもあるようですが、一番目に、「学習指導の改善に役立たせる資料」、それから、「自校の学習の到達度を、全国的な水準との比較においてみることによりその長短を知り、生徒の学習の指導とその向上に役立たせる」、あるいはまた、「学習の到達度と教育的諸条件との相関関係を明らかにし、学習の改善に役立つ教育条件を整備する資料」、「育英、特殊教育施設などの拡充・強化に役立てる」、こういうもろもろの目的があげられておる。私はこれに非常に疑問を持つんです。これはあとから考えたのじゃないかとさえ思う。そういうことを私がなぜ言うかというと、私はこの学力調査の前提がまず問題なんだ。学力調査というあなた方のやり方が、ほんとうに子供の学力や能力を的確に客観性あるものとして把握できる、そういう方法を採用されるなら私は文句を言わない。反対をしない。それが、先ほどあなたも承認したように、きわめて不的確だ、一般的な傾向はわかるにしても。個々の生徒の学力や能力を客観性あるものとして的確にされる学力テストの結果は握ることが困難なんだ。握ろうとしてもそれは無理なんだ。そういう前提がまず学力調査にはあるということです。そういう前提があるのに、きわめて不安定な評価を基礎にして、「学習指導の改善に役立たせる」という、こういうものの言い方は私は非常に危険だと思うんです。文部省が一年間のうちにただ一回しか、わずかな時間に限られたペーパーテストという方式でやったそんな評価の結果をもって、「学習指導の改善に役立たせる」という大がかりなことをもし本気で考えておるなら、きわめて危険な考え方であります。そんなことより、私は、学校の教師があらゆるテストの方式を使って自分の教えている課程に回を重ねてテストをして、そうしてその子供の能力なり判断力を徐々に学習指導の方法を変化させながら改善させながら引き伸ばしていくことそれ自体なら、学習指導の改善の主張がそこからは生まれてくると思う。そうして、生まれてきてもそれは危険ではない。危険は比較的ない。しかし、文部省が行なうテストというのは、何回も言いますが、一回しかやらぬのでしょう、一年に。そうして、こういうペーパーテストというきわめて限られた条件の中で行なわれる結果の評価はきわめて客観性あると言い切れない。不確実な要素を多く含んだ評価にならざるを得ない、第二番目にあげている学習の到達度を全国的水準と比較して。こういう算術計算はまたこれ危険であります。これは算術計算です。各学校の個人々々の出たものを機械的にずっとトータルして、そうしてこれが全国水準だと、それがあなた方の学力調査の結果出てくる、示される全国水準でしょう。こういうものも危険だとは思いませんか、あなたは。文部省もさすがに危険だということは感じたらしい。だからこういうことを言っておる。また、一回の調査によって生徒の学力を判断することの不確実性も考慮して云々と、ちゃんと認めている。不確実だということは初めからちゃんと認めておる。だから毎年やるんですと、こういう言い方をしています。毎年一回しかやらないんでしょう、毎年やりますといったって。この不確実性の条件は、毎年一回やるのでは、いつまでたってもその条件は緩和されないんです、悪い条件は。二年と三年をやるにしても、毎年一回だということには変わりはないじゃないですか、個々の生徒については。冗談じゃない。みずからも不確実性を認めておる、そういう不確実な要素を多分に持っておる算術計算から割り出した全国水準なるものは、私は今の教育にこういう機械的な条件を持ち込んで、しゃにむにその機械的な水準にまで上げさせるというような教育は邪道だと見ているんです。さらに第三番目にあなた方があげておる学習の到達度と教育諸条件との相関関係を明らかにするというが、一体、文部大臣、あなたのやる学力テストでこんな相関関係がどうしてわかるんですか。あなたはそういう条件のわかるような報告を求める指示をしておらないではありませんか。——一人でしゃべっていてもしようがないから、今まで聞いたことに答えて下さい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) もちろん、今読み上げられましたように、この学力調査があらゆる全貌をことごとく現わすものだと自負しておるわけではむろんございません。ペーパーテストに伴う欠陥も当然想像されますし、今いろいろと御指摘になりましたような欠陥もなしと言えないと思います。思いますけれども、やらないよりははるかにまさる客観的な根拠が求め得ると、そういう点に効果を見出して、そうして教育の改善のために幾らかでも役立たせる根拠を得たい、こういうことでございます。テストそれ自体の欠陥というものは、年々歳々やりますその成果を得て、現場の先生たちの意見も聞かしてもらって、教育委員会の意見も聞かしてもらって、次々に改善していって、ペーパーテストの最善の効果をあげるところまで持っていきたいという意欲を持って実施しようとするのであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 今の答弁の中に、私が聞いたことで一つ全然触れられない問題があるんですが、学習の到達度と教育諸条件との相関関係を明らかにしよう。これは今回のあなた方の実施する学力調査では、そういうものを明らかにするような、そういう調査は行なわれないということですよ、私に言わすと。もしこの三番目にあげておる目的をほんとうに果たすなら、こういうことを同時に考えなきゃならぬ。まずこの学力テストの学校の教師の条件を同時に記録しなければならない。その教師の条件というのは、免許状と担当科目、教職員の配置定数、担当時間等々の教師の条件をきちんとこの評価とあわせて調査をする必要がまずある。次に、学級編成の条件を評価とあわせてあげる必要がある。その学級編成の条件というのは、一体何名で編成してるのか、すし詰め学級はどんな状態のすし詰め学級なのか、単式なのか、複式なのか、単級なのか、そういう学級編成の条件を評価と並べてやらなくちゃならない。それから教育施設あるいは設備の現状と教科目の状況、それから教育環境、これらのものの条件とその評価とをどうしてあなた方は対照させることができるのですか、全国的な水準の中にこういう条件はどう加味して判断するのですか。全国的な水準というのは、そういうものを離れて、機械的に評価の点数になるのかどうかわかりませんが、そういうもので水準を出すのでしょう。こういう条件を全然考慮されないのでしょう。そうなれば、あなた方の言っている学習の到達度と教育諸条件の相関関係などということは、あとでつけ加えた理由で、この学力調査では、そういう関係は明らかにならぬと私は思う。この点はいかがです。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいまのお尋ねは相当具体的に専門的な立場でお答えしなければお答えにならぬかと思いますので、政府委員からお答え申し上げます。

内藤譽三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤譽三郎君) この調査の中でFという教育条件の調査表というのがありまして、今お述べになったように学校の所在地、学校名、地域の類型等が出ているわけであります。そのほかに、調査事項として学校の規模、学級の規模、それから生徒に関する事項としては、進学希望率がどうなっているのか、あるいは教員に関する事項では、教員の専攻がどうなっておって、担当教科を専攻した者はどうなっているのか、あるいは授業時数はどういうふうになっているのか、教育費の状況、施設設備の状況等、こういうものが全部付表に出るようになっておりますし、それから最後に学力調査の学校の平均点等が出まして、学校ごとの条件が一応出ます。これをあとでこまかく分析いたしまして、学力と教育諸条件の相関関係を調査して、それによって教育条件の改善をどうするかということを詳細にきめたいと考えます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私は今のあなたの説明したものは読んでいる。しかし私が言っているのは、あなた方が主張している、目的として上げられた教育諸条件と学習の到達度との相関関係は、あなた方が今調査するその項目の中で明らかになりますか、そういう自信がありますか、あなた方はそれを学級ごとに出させますか、それは学校全体でしょう。それと子供の一人々々の評価とはどうつなぐのですか。子供の一人々々の評価は一人々々に出させて書かせるのでしょう。あなた方の調査というのは、その調査内容自体も、私は教育条件の整備との相関関係を見ることが困難なものがあると指摘したいけれども、それを許すとしても、それは大まかにその学校の条件でしょう。私はそれでは、そういうあなた方が目的に上げている条件を、正確に、綿密にとか、周到とか、何ぼ言葉を使っても、その相関関係は明らかにならぬと断言している。もしこの関係を明らかにしようとするなら、極端な話をすれば、子供一人々々にまつわる教育環境に起こっているあらゆる条件とその評価とを、評価自体不完全なものだが、それは言わないとしても、それの双方を十分に知るのでなければ相関関係は明らかにならぬ。ましてや学校全体の条件が、何か文書で書かれている、数字で書かれている、そういうことと、子供の上に現われる一つ一つの評価とは、どんなに明敏でも相関関係は明らかになりませんよ。それは単なる類推です。こうであろうということにすぎないのではないか。ところがあなた方のこのパンフレットには、きわめて厳格なものがわかるようなことが書いてある。これは私の言うことが無理ですか、私の言っているのが当たっているのではないですか、どうです、内藤局長。大臣はわからないようですから。

内藤譽三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤譽三郎君) 子供一人一人の評価が出ますので、その評価についてはお説のように家庭の環境あるいは社会的な環境、いろいろな事情が私はあろうと思います。それはそれなりに学習指導の改善の際に、父兄の御協力を仰ぐなり、地域の御協力を仰ぐなり、先生の御努力を願うなりして子供の学習指導の改善をする。その個々の生徒の評価というものが集まって結局学級の評価となり、学校の評価となってくると思います。ですから、その学級なり、学校全体の教育条件をどういうふうにして文部省は今後整備していくかという次の課題に移ってくるのではなかろうか。今一人々々のことをおっしゃれば、これは結局その一人々々の条件からは、むしろ私は相関関係は非常に見にくいのではなかろうかと思うわけであります。四百四十七万人を全部類型を見ましても、はたして的確なものが出るかどうか、むしろそれは学級にまとめ、学校にまとめて、教育条件との相関関係を見るほうが、これのほうがほんとうじゃないか……。

米田勲日本社会党

○米田勲君 あなた語るに落ちているのですよ。そういう概然的なものしかわからないよ、初めから。抽出テスト、百尺竿頭一歩を進めてなんて大きなことを言っておりますが、全国一斉の学力調査なんかは、この相関関係を知るという、目的にぎょうぎょうしくあげておりますが、もはや必要がない。僕は前にも主張した。個々の子供の評価を指導要録に強引に記入さして、そしてその評価そのものはきわめて不確実なもので、子供の能力が、知能を十分に把握できないような不確実なものであって、そういうものを機械的に集計してきても、真の学力というものはわかりづらい。それなのに、あなた方はこういうふうにして相関関係を明かにする資料だというから、それでは事が足りないのではないか、それでは事が見当違いではないか、こういう学力調査ではそんなことはわからないじゃないかという私の反論が出てきたわけであります。あなた方は、ほんとうにこの相関関係を知ろうとするなら、少くとも学級ごとに必要ですよ、最低。それは学級ごとに条件が違うのですよ。この点はだいぶ見解を異にしておりますので、次の問題に移ります。

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 速記をつけて。

米田勲日本社会党

○米田勲君 次に目的の中にうたっておる育英、特殊教育施設拡充、強化に役立たせる、こううたっておる。これは一体どういうことなのですか。あなた方の学力調査でこんなことがわかるのですか。私は不思議に思っておるのですが、育英教育の強化に、この学力調査でどうしてその資料として充てるのですか。

内藤譽三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤譽三郎君) 一定の点数をとった者、すなわち成績の優秀な子供の数が出るわけであります。その子供の家庭の中で、保護児童とか、準保護児童、あるいはそれに準ずる程度の者の数を見たいと思います。現在、育英特別奨学生のワクが一万二千人あるわけでありますが、一万二千人でいいかどうか私どもも実は疑問に思っておる。ただ、正確な調査がないから、一学校一人当たり程度の一万二千人、それを育英会の特別選考試験を、ペーパーテストでありますが、やって、一万二千人を選んでおる。私どもはその一万二千人のワクをどういうふうにして今後ふやすかということになれば、ある一定の点、すなわち成績が優秀な者で経済的に困っておる者がどのくらいあるか、その数を把握して、それを今後大蔵省と予算折衝の基礎にしていく、こういう趣旨でございます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 一体あなたのものの考え方、建前が狂っているのですよ。何べんでも言いますが、たった一度の学力調査で点数がよかったから、育英施設とか、育英制度のあれに適合するものだという選別をするなどという、そういう大それたことをやる気なのですか。そういうものは学校の教師にまかしたらどうですか。こういう者は非常に能力があるが家庭はこうだ、したがって、国の育英制度のほうで、こういう人たちがこの程度おるから、計画はこういうふうに拡充してもらいたいということを学校の教師に判断をまかせるべきではないですか。あなた方が行なうたった一回の学力調査で、そんなものの選別をするつもりですか、選別をして数をにぎろうというのでしょう、結局。そんな大胆不敵なことを考えるならば前提が狂っているということを私は言いたい。どうですか。

内藤譽三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤譽三郎君) これで選別する意思は毛頭ございません。ですから、現在育英会でやっておる試験もたった一回のペーパーテストで一万二千人を選んでいる。私どものほうは、一万二千人の基礎数がいいかどうか疑問があるわけです。そしてこのテストの結果、成績の優秀な者で、どの程度経済的に困っている者があるかという数字をつかみたい。それで予算折衝の基礎にいたしたいというつもりでございます。決してこのテストで選別しようという考えはないのです。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私はここでも言っておきますが、そういうことができっこないということですよ。そういうことが知りたいのであれば、こんな学力調査によらないで、教育委員会や学校の協力を得てそういう調査を完成すべきですよ。ほんとうに育英資金の拡充強化のための資料が必要だというなら、私はなぜその道を選ばないで、この学力調査にたよって、そういうものをやろうとするのかというところに大きな疑問を持つわけです。ほんとうにそういうことを考えるなら、学校や教育委員会にそういうことを依頼して調査してもらったほうがより正確です。その道をなぜ選ばないのですか。

内藤譽三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤譽三郎君) 今のお尋ねでございますが、現在、非常に学校差、地域差が激しいので、そこで府県に、あるいは教育委員会に、あるいは学校に依頼いたしましても、それぞれの学校の要望は出てくるかもしれませんが、それが全国的に見て、ある程度の優秀度かどうかという点につきましては、実は私どもも自信がないわけです。それは現実の学校差、地域差があまりに激しいということなんです。

米田勲日本社会党

○米田勲君 学校や教育委員会にそういう調査をたのんでも、地域差や学校差があってわからぬのだ、そういうことを言うなら、あなた方のその学力調査も、そんな不確実なものを振り回して・それにかわるべき能力のあるものだと主張することはおこがましいのじゃないですか。私はあなたの考えにどこか狂いがある。あなた方は相当関係までわかるのだと、さように言い切っているんです。それを私はできないと言っているんだが、あなた方は相関関係までわかると言っているのに、今度は育英制度の問題にくると、学校の教師や教育委員会に、こういう育英施設拡充のための資料は調査を別途依頼したら正確にできるのではないか、地域差、学校差があってどうも当てにならない。これは矛盾していませんか。どうもあなた方のことは僕は理解しようと努めるのだがわからない。僕らの考えが正しいのじゃないですか。もう少し自分の妄執にとりつかれないで、冷静に判断して僕らの意見を聞いてごらんなさい。どうですか。

内藤譽三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤譽三郎君) サンプル調査を始めてすでに五年になっておりますが、この間におきまして六〇%以上が希望参加をしております。この希望参加の事実は、現実に現場の学習指導に役立っているから経費は自分持ちでやっている……。

米田勲日本社会党

○米田勲君 いや、そんなことを聞いてない。聞いたことを答えなさい。

内藤譽三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤譽三郎君) その観点から見まして、今お尋ねの件ですが、今の点で考えましてもこの調査が役に立っておる。

米田勲日本社会党

○米田勲君 さすがの内藤さんも答えられないですね。結局あなた方がこの目的にうたっておるのは非常に過大評価しているというか、自画自讃しているというか、できがたいことまでできるように錯覚を起こしているのですよ。そうして、この目的は多く学力調査ではなくて、別の方途によって果たさるべきものを、学力調査に全部持ち込んできているということに、教育の将来に重大な影響を与えるという結論が生まれてくる。次にうたってある特殊教育というのはどういうものですか。これも育英制度の問題と同じでしょう、私の反論はそうですよ。何がわかるのですか。これだって教育委員会や学校の教職員にその条件を調査してもらう、そのほうが学力調査のこんなものから導き出すよりはもっと正確なものができるでしょう。そんなことが信頼できないのですか。そういう信頼のできない頭から、この妙な学力調査に何もかも持ち込んできて、しかももともと自分たちも不正確なものだと自認しているようなもので、一切がっさい目的を果たそうとすること自体が誤りである。私はこの学力調査は初めから主張しておるように、もろもろの点から考えてみて、教育的に見てこの調査を中止すべきで、そうでなければ、日本の教育の上に非常に悪い傾向がどんどん増大していく結果が出てくる。目的にうたっているところとこの学力調査は合致しない面が大かたである、こういうふうに考えて、再度私はこの学力調査の実施については検討し直すべきである、慎重に。こういう主張をしておる。文部大臣いかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) いろいろと御批判はあろうとはむろん思います。思いますがやらないよりはやったほうがいいことだけは断言できると思います。今の育英関係にいたしましても、むろんお説のような調査の仕方があると思います。そのことが悪いとは私は毛頭思いませんが、ただ、たとえば育英奨学の予算要求をするという事務的なことを念頭に置いて考えました場合、やはりテストを通じて、かくかくの客観的な計数が生まれ出たということで、今の一万二千人を二万人にすべきだというような主張の根拠としては、そのテストそれ自体の御批判はあるにしましても、今の人間の知恵ではテストをやるとすれば、全国的なテストならばペーパーテストたらざるを得ない。よりよきものが生まれたときは、むろんそれに移行しなければなりませんが、今としてはそれしかないということを通じて、かくかくの資料が出てきた、これに対して大蔵大臣も文句を言う余地はあるまいという材料には少なくとも私はなると思う。むしろ問題は育英会でもって試験をやって、そうして具体的な本人の一生を左右するがごときチャンスをつかむか、つかまないかにまでもペーパーテストが利用されているところに、ペーパーテストの欠陥が重点をおいて批判をさるべきだと思うわけですが、それはそれといたしまして、さっき申し上げましたように、このことをやることによって、やらないよりは、少なくともある程度の欠陥がありといたしましても、客観的な一応の資料を得る道ではある。ですから、やめろとおっしゃいますけれども、やったほうが私は日本の教育のためになると思っております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 文部大臣は、やらないよりはやるほうがましだと、あなたよくそういう論を使いますね。しかし、問題は日本の教育のことですよ、やらないよりはやったほうがましだというのは、これは非常に危険な思想ですよ。やることによって起こる大きな弊害に目をつけないで、自分の目的だけを果たそうとしている。往々に国家権力者はそういうことを夢みるんですよ。自分のやろうとする目的のために目を奪われて、実はそのことをやることによって大きな弊害が起こってくることを見ない。そうしてそれを追及されると、やらないよりはやったほうがいいんじゃないか、弊害があるなら改めましょうと非常に都合のいいのがれ方をするけれども、それは危険である。私はずいぶん午前中長い間いろいろな角度から聞きましたが、私の主張は、あらゆる点からして、この学力調査は日本の教育のためにやるべきでない、文部省がいろいろな目的をあげているが、それは別途な方法で求めるべきものである、それはまた可能である。たとえば国には国立教育研究所あり、都道府県には都道府県教育研究所あり、都道府県教育委員会あり、地方教育委員会ありです。学校にも校長や教職員がいます。そういう人たちのいろいろな研究調査に依頼をして、あなた方が求めようとする資料を得る道があるはずなんです。その道を選ばずして、この弊害の多い学力調査の道をいこうとする文部大臣の政策といいますか、こういう行政施策は私は納得ができないということを午前中の締めくくりとしてあくまでも主張しておきます。  午後からお許しを得て、ぜひきょう完結したいと思いますので、法的に見てあなた方のやろうとしていることは間違っておる、違法であるという亡とをはっきりさせたいと思います。午後の発言をぜひ許していただきたいと思います。

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 午後は二時三十分より委員会を再開することにいたしまして、暫時休憩をいたします。    午後一時七分休憩    ————・————    午後二時四十八分開会

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) ただいまより文教委員会を再開いたします。  午前に引き続き当面の文教政策に関する調査を進めます。  質疑の通告がありますので、この際、発言を許します。

米田勲日本社会党

○米田勲君 一番最初に簡単なことからお尋ねをいたします。中学校の全国一斉学力調査は指定統計調査の中に含まれるものであるかどうか、見解をお聞きします。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 含まれません。

米田勲日本社会党

○米田勲君 それでは次にお伺いしたいのは、学校の教職員は任命権者から辞令を受けて各学校に勤務しておるわけです。この場合、個々の教職員は法令、規則、規程等を忠実に守らなければならぬということは当然でありますが、個々の教職員の法律上または行政上の責任、権利、義務は、勤務校に勤務をするという条件の中に限られるものではないのか、こういうことをお尋ねします。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) そのとおりと思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 そうすると、みだりに自分の意思で、勤務外の他校の学校経営とか教育活動に入り込んで行動をすることは、これは許されない、こういうふうに判断して差しつかえありませんね。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) そのとおりと思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 それでは次にお伺いしたいことは、教職員は一時的であるにもせよ、自己の意思に反して、勤務校以外の学校に、合法的な手続なくして勤務をする、教育活動をすることを強制されることはないと思いますが、いかがでしょうか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) そのとおりと思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 学校の教育経営、学習指導などの計画、実施は、法令、規則、規程等の定めに基づく限り校長、教員の権限であって、行政機関といえどもみだりにこれに介入することは違法だと思うがどうか。もう一度お尋ねします。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) そのとおりと思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 教職員はその教育経営、学習指導の計画に基づいて学級及び教科を担当し、指導をしておるのであります。これに対して教育委員会等が行政権限をもって、一時的、臨時的と申してもいいのですが、あるいは恒久的に、その変更を命じたり、指示したりすることは違法であると思うがどうか、こういうお尋ねです。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御質問をちょっと取り違えているかもしれませんが、監督庁は、監督権限あるものは、一般的な指示もしくは個別的な指示はその権限に基づいてできると思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私は第四の質問と関連をして、今五番目の質問をお聞きしたわけです。四番目では、学校の教育経営、学習指導の計画や実施——これは教育活動ですね、これが法令や規則や規程の定めに基づいている限りという前提があるのです。その場合には校長や教員の権限であって、行政機関はみだりにこれに介入できないのじゃないかと思う。そのとおりだと……。したがってその法令や規則、規程の定めに基づいて行なわれている教職員の教育経営、学習指導と、こうなるのです。学習指導の計画に基づいて学級や教科を担当したり、指導したりして教育経営が行なわれている。この法令、規則、規程の定めに基づいて行なわれている。これに対して教育委員会等が行政権力によって、行政権限によって臨時的あるいは恒久的に変更を命じたり、指示をしたりすることは違法ではないか。ただし、これは法律や規程、規則の改正が行なわれた、その改正されたものに基づいて行なうなら別ですよ。現行規程、現行規則の範囲内においてであります。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 委員会規則等でもって学校長の権限に委任されていること、それに基づいてやっておることに、その規則を改正しないで変更を命じたりなんかということは、これはできないと思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 これは同じ意見でありますので、次に——私は今の質問がもし違法でないというような答弁であれば、実はその法律根拠がお聞きしたかったのですが、私の見解と一緒でありますので、この点はそのくらいにして、次に進みます。  そこで、文部省の今回行なう学力調査は、教職員の法律上の本務ではないと私は判断をしておりますが、この点はいかがでありますか、という質問です。文部省の今回行なう学力調査は、教職員の法律上の本務ではない、こういうふうに考えておるが、どうか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私どもは教育上の本務と心得ます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 そういう主張であると、今まで私と意見が一致してきたことと、ここで食い違いが起こるわけなんです。なぜかといいますと、この学力調査というのは、単なる事務的なことではなくて、教育活動、教育経営、教育計画に直接に影響してくるものなんです。文部省の指示どおり行なわれるとすれば、教職員の本務というのは、現在の法令、規則、規程に定められておる範囲内において、学校で活動することが私は本務だと思う。そういうことがもし肯定されるのであれば、その本務であるべき教育経営の計画や実施、つまり毎日の教育活動に対して、これを臨時的に変更をし、修正をしなければ学力調査というものはできない。学力調査というものは、本来は教職員の本務でなかった。今回あなた方の法的見解ではそういうふうな見解が成り立つが、成り立たそうとしているけれども、私は教職員の本務ではない。もし本務であったら、それは教育経営の計画実施の範囲内——現在の法律、規則、規程に基づいて立てられ、実施されているこの教育活動の範囲内のものが教員の本務であって、これ以外のものはないと思います。私は法律以外のもの、規則以外のものによる教育活動というものは本務でない。これは学校から帰って、家庭へ帰ってから何かをしていることは本務ではない。だから、どうしても本務か、本務でないかということを判断するのには、現在の法令や規則、規程に定められた、その定めに基づいて行なわれる教育活動、それが教職員の本務だという私の主張です。そういう判断からいけば、今回あなた方が実施をさせようとするこの学力調査は、本来、法律上は教職員の本務ではないという私の主張が正しいと思うが、いかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今、米田さんの言われる意味においても、本務であると思います。もっとも最初の質問で言われましたように、通例の場合の教育活動を定める、地方段階における根拠は、教育委員会の規則等で一般的な準則が定まるものだと思いますが、しかしそれは、それがすべてであるというのでなくして、委員会規則に定めておりますのは、毎年々々繰り返して一般的に行なわれるであろうという範囲内のことが定めてあると思われます。臨時に、特に必要な場合に、その教育課程を定める教育委員会の包括的権限の中には、一応教育委員会規則で定めました一般的なこと以外に、例外的なものを、一般的に定めました教育課程の一部変更をしてやらねばならぬ本質を持ったものを変更させてやらせるという権限も含んでいる道理と私は心得ます。そのもともとの法的根源は、午前中も申し上げましたとおり、学校教育法そのもので、小中学校につきましては、教育課程のことは全国的視野から文部大臣がこれを定めろと義務づけられておる。それに基づいて教育は行なわれておるわけでございます。また、そのことを実施しますための目的を達するためにも教育委員会規則が定められておるわけでございまして、その教科に関する事項の実績を調査する必要のためにすでに法定されております調査ないしは報告を求める権限、裏を言えばそれに応じて調査し報告する義務、それを果たすために教育委員会が学校にその旨を要求して実施させる。実施させる場合には、米田さん御指摘のように、一般的に定められた教育課程の一部変更をしなければやれない。今回の場合がそれだと思いますが、そういうことをなす権限も法律上教育委員会、さかのぼれば文部省にそういうことを要求する権限が与えられておる。そういう観点に立っておると理解しております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 文部大臣の今の答弁であれば、先ほど私と見解を一致させたことがくつがえされる結果になる。先ほどあなたはこう答弁をした。教職員が法令、規則、規程の定めに基づいている限り、その教育経営や学習指導の計画実施、つまり教育活動に対して教育委員会等が行政権限をもって臨時的あるいは恒久的に変更を命じたり、指示したりすることは違法であると思うが、どうかと言うたら、そのとおりに考えると答えている。そういたしますと、今あなたの答弁はそれと全く逆な立場になります。私は、一般的だとか特殊だとかいうけれども、学校の校長なり教職員の職務——本務といってもいいですが、それは現行の法令や規則、規程以外のものでは定められていないんじゃないですか。それに基づいて任務を与えられているのですから、権限も。こう判断すべきだと私は思う。そうすると、あなた方の指示をした学力調査というものは臨時的に、学校の合法的に組み立てられ、実施し、教育活動をしているその計画実施を一部臨時的に変更しなければできないような内容のものになっておる。それがいいとか悪いとかではなくて、私はそれが本務ではないんじゃないか。臨時的に一つの仕事はできてきているけれども、あなた方の立場でいえば、その学力調査をするという仕事は生じてきているが、それは本務ではないんじゃないか。本務であるなら現在の法令や規則、規程の中にそのことが入っているはずだ。こういう判断なんです。いかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) たとえばある教育委員会規則でもって学校の教育課程を定めたらば届け出なさいということになっておるとしまして、その範囲内においては通常の場合にはその届け出どおりにやる責任と権限を学校側は持っていると思います。しかしながら、その届け出のとおりにやるんだ、そのとおりにやる権限を持っているのだという意味は届け出た教育課程以外のことは絶対にさせないぞ、してはならないぞというのではなくして、教育委員会が包括的な教育課程の決定指図をする権限を持っておるわけでございますから、普通の場合はそれでおやりなさい、けっこうです、しかし、臨時教育のために必要な場合には教育課程を変更してでも仕事を命ずることがありますよという権限は留保された姿で教育委員会規則が届け出でよろしいと定めておる、こう理解すべきものと思います。そうでないならば、教育委員会の包括的権限は実施するによしないことになりゃせぬか。それと同じ機能は文部大臣に与えられております権限と責任についても同様言えることであろうと、こう考えるわけであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 その点は繰り返して話をしても意見が全く対立しております。したがって、もう少し他の問題に触れてからこの問題をもっと論及してみたいと思います。  文部大臣のような見解であれば、こういうことになるわけです。行政権が合法的に今ここで行なわれている学校の教育作用や教育活動に介入することができるということになる。合法的に行なわれている学校の教育経営やそういう教育活動に行政権限を持った者の意思によって随意に介入できるということも許されることになる。そういうことは、私は行政権の教育作用に対する不当介入だという立場をとっておる。そんなことをすると、現在の日本の教育体系全体に対して法的な秩序が乱れてくるという立場を強く主張します。これは後ほど他のことと関連してもう一度私は問題を明らかにしたいと思います。  それでは次に、文部省は教育委員会に対して教育事務に関する調査報告を求める法的権限があると今日まで主張してきておるようであるが、その法的根拠をひとつここであらためて明らかにしてもらいたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) それは、直接的には地方教育行政の組織及び運営に関する法律第五十四条第二項、すなわち「文部大臣は地方公共団体の長又は教育委員会に対し、都道府県委員会は市町村長又は市町村委員会に対し、それぞれ都道府県又は市町村の区域内の教育に関する事務に関し、必要な調査、統計その他の資料又は報告の提出を求めることができる。」ということであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 それが文部省の主張する法的根拠ですね。それではそれを確認をして次に進みます。あなた方の主張は主張としてこの場合お聞きをしておきます。  そこで、私はそういう法的な根拠を主張する文部省の学力調査は教育事務に関する調査であるという見解をとっているのではないか、こう思いますが、いかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 教育事務に関する調査でありますが、その内容は学校教育法の教科に関する事項を主管しておるというその事柄に関連して、この調査の場合はその事務を要求すると、こういう関係と心得ております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私は、今、地教行法の五十四条を法的根拠として示された文部省の学力調査の法的根拠というのは、少なくとも教育事務に関する調査というふうにこれを規定しておるのでなければおかしい、それ以外のことじゃない。いかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) この教育に関する事務ということだと、教育の実態には関係がないように一見見えますけれども、この地方教育行政法の第二十三条に関連してこの事務を読んでみますれば、たとえばこの二十三条の第五号のごときは、「学校の組織編制、教育課程、学習指導、生徒指導及び職業指導に関すること。」こういうことも公共団体が処理する教育に関する事務という概念の中に入れて法律はこれを使っておると解釈されます。したがって、先ほど指摘しました地方教育行政法第五十四条第二項を根拠として申し上げました区域内の教育に関する事務ということに当然学力調査のごときも含んでおるその調査ないしは報告と、こう理解いたします。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私は、法律上の言葉を用いて今お聞きしたんですよ。常識的なことを言ってるんではなくて、あなたが法律五十四条を持ち出してきているんだから、その場合、法律上使っておる教育事務に関する調査、報告、こういうものを当然さしておるのでなけりゃならぬ、この学力調査は。それが肯定できないのは変でないですか。そのあとに何だかいろいろなのをくっつける、それは教育事務に関する調査の内容を説明しているんじゃないですか。そういうあなた方の見解は、背後にそういう内容を持った教育事務に関する調査なんでしょう。五十四条をたてにとる限り、それ以外にないでしょう。いかがですか、その点は。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 五十四条の教育に関する事務も、当然この法律全体の用語の使い方として、さっき二十三条を援用しましたような使い方をいたしておりますと、こう理解しておると申したわけであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 ここで私はまた一つ問題があることを指摘したいんです。学力調査は、さきに文部大臣の答弁でも明らかなように、これは指定統計ではないということになりますと、法的には実施が義務づけられないという私は解釈に立つわけです。文部省が調査を依頼したという立場ですから、法的な立場からいえば——道義的な立場やなんかは別にして、法的な立場からいえば、教育委員会はやはりその依頼に応じて実施をするしないということは、自主的な判断によってきめることができ得るものである、こういうふうに私は主張するんです。これについて今直ちに文部大臣の答弁を聞くと、また非常にこんがらがりますから、次のことを聞いて、あわせてひとつ見解をただしたい。  文部省は、学力調査というのは、先ほどお互いに確認した学力調査は、教育に関する調査であるというふうに規定をいたしまして、それでは法律上はこの学力調査はどういう機関の名において行なわれる調査なのか。なぜこういうことを聞くかというと、文部省が行なうものなのか、教育委員会が行なうものなのか、法的に非常にあいまいであります。一方の話を聞いていると、文部省が行なうのだというふうに強調される面があるかと思うと、一方は教育委員会固有の法律上の権利によって実施されるごとく聞いたりするわけです。その辺が非常にあいまいでありますので、学力調査は法律上いかなる機関の名において行なわれるものであるのか、それをひとつお答え願います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 一斉学力調査の発議をしましたのは文部大臣であります。それも法律に基づいて発議をいたしました。その発議したものを現実に調査するにあたりましては、都道府県教育委員会が文部大臣からの要求に応じて、その持っている権限を行使して市町村教育委員会にそのことを命ずる。市町村の教育委員会はまた、法律上与えられている権限と責任を果たす立場において、学校長にこれを命ずるということで、その意味で申し上げますれば、文部省と教育委員会と学校長の共同責任において行なう。法律的権限はそれぞれの段階において明記せられた権限に基づいた学力調査である、こう理解いたします。

米田勲日本社会党

○米田勲君 その三者の、そうすると、学力調査をめぐって文部省と教育委員会と学校長の法律的な関係はどういうふうに結ばれるのですか。文部省は発議しただけなのだ、こういうことでは困る。実施をさせるのは教育委員会だ。この二つの間を法律的に結ぶものは何なのか、教育委員会と学校長の間を法律的に結ぶものは何なのか、これが明確にならないと、三者の合体の責任で行なわれるということでは、法律上はきわめてあいまいである。その点を明らかにして下さい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) おっしゃる意味においても法律上はきわめて明瞭であると信じております。それは文部大臣が、さっき援用しましたように、第五十四条第二項に基づきまして、都道府県の委員会に対して学力調査をこういう内容、やり方でやって下さいと要求いたします。要求せられましたら、教育委員会はその要求に応じてその事務を執行する責任があります、義務があります。その義務に基づいて、それを原因として教育委員会が持っております権限——都道府県教育委員会はこの要求に応じまして、同じく今の条文の後段にございますように、都道府県教育委員会は市町村長または市町村委員会に対し云々という権限に基づいて、市町村教育委員会に報告を求め、市町村教育委員会は同じく二十三条、「教育委員会は、当該地方公共団体が処理する教育に関する事務及び法律又はこれに基く政令によりその権限に属する事務で、次の各号に掲げるものを管理し、及び執行する。」こうなっておりますが、その十七に、「教育に係る調査及び指定統計その他の統計に関すること」を管理、執行する権限と責任を持っております。それに基づいて各学校に対してこの調査を行なうことを命ずる、こういう関係に立ちます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 その文部大臣の三者の法律的な結びつきというものには理解が私はできません。かりに文部大臣が行なうこれは調査であるというふうに考えるというと、今回の学力調査によって直接、現場の教育活動に国家の統制力が及ぶという危険があります。このことは日本の教育行政上の建前を破ることになります。したがって、そういうことが行なわれることを許す法律があると主張するのは、私は間違いであると思う。また、教育委員会によってこの調査が行なわれるのだ、その法律権限があって、それを発動させて行なわれるのだというふうに考えるとすると、問題になるのは、文部省が全く一方的に、しかも画一的に作成をした問題によって、学力調査の実施の具体的な問題も含めて教育委員会に、これは言葉は悪いけれども強制しようとしておる。このことは教育委員会制度本来の趣旨から申しても相反する行政的な作用ではないか。私はそういうふうに教育委員会に対して文部省が一方的、画一的にこのことを実施させるようなことを強制することは、法的に文部省にそういう根拠がないという主張なんです。文部大臣の主張は先ほどお聞きしましたから、同じことを答えられると思います。  そこで私は今まで文部大臣が言っておる法律の根拠等について、私の立場から反論をします。ところどころで切って、その反論についておそらく明確な法律に基づいて逆反論が文部大臣からあることと思いますから、一つ一つきめていきたいと思います。文部省は都道府県教育委員会に対し学力調査の実施とその報告を求めることができると主張しております。先ほど言ったとおりです。そして文部大臣はその法的根拠は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、地教行法の第五十四条第二項にあるんだと言っております。この五十四条第二項は文部大臣は教育委員会に対し、その区域内の教育に関する事務に関し、必要な調査、統計、資料または報告の提出を求めることができる、このように五十四条第二項はなっております。これが文部省のいう文部省の持っている法律的な根拠であり、権限がここから出てくると、こう主張しておるわけです。ところで私はこのことを論ずる際に、特に注目しなければならないのは、教育委員会の「区域内の教育に関する事務」ということが問題だと思うのです。一体この教育に関する事務というのは何なのか。ここが明らかになってこないと、文部省のいう法的な主張が妥当であるかどうかが明確でないと私は思うのです。そこで私はこの「教育に関する事務」という法律上の規定がどういうものであらねばならぬかということを、この地教行法の各条文について例をあげて、その概念を規定していきたいと思うわけです。そうでないと五十四条第二項だけを言い合っておったのでは、平行線で決着がつかないからであります。地教行法の第十四条にこういうことがあるんです。「教育委員会は、法令又は条例に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、教育委員会規則を制定することができる。」こういう規定があります。教育委員会が事務に関して、教育委員会規則を制定することができるということも、「法令又は条例に違反しない限りにおいて、」という条件つきであります。しかもそこの、その法律には「その権限に属する事務に関し、」云々と条件があります。教育委員会は教育に関する事務であれば、何でも教育委員会規則を制定することができるとはなっていない。「法令又は条例に違反しない限り」と一つ条件があります。「その権限に属する事務に関し、」とこれも条件がついているわけです。  次に地教行法の第十七条「教育長は、教育委員会の指揮監督の下に、教育委員会の権限に属するすべての事務をつかさどる。」とあります。この教育委員会のすべての事務というのは、単に教育委員会のすべての事務というのではなくて、法律は「教育委員会の権限に属する」ということを限定している。一般的に広く教育委員会のすべての事務というふうにしておったのでは、法秩序が守られないから、ここには明確に「権限に属する」と限定をしております。  次に地教行法の第十八条、ここには「教育委員会の権限に属する事務を処理させるため、教育委員会に事務局を置く。」という法文があります。ここでもまた教育に関する事務ということを単にうたうのではなくて、その「権限に属する」という限定がきちっと付されて法律運用上の限界が、範囲が明確に定まっているということであります。単に教育に関する事務ではないということであります。例は同法の各条文からもっとあげられますが、繁雑になりますので……。  以上のことで見てもわかりますように、教育委員会の事務というものは、教育に関する事務というものがあります。この教育に関する広い事務というもののうち、その「権限に属する」という条件の限定されている範囲内のことであります。むやみに、教育に関する事務だからといって、それが全部そうなのだということではない。法律はいつもその「権限に属する」と限定している。教育に関する事務であれば何でも無制限に処理ができるんだという主張は、この法律に関しては述べることは不当である。そういうことは許されておらない。こういうことを私はまず文部大臣に知ってもらわなければならぬ。この点はいかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今、読み上げられました、指摘されました各条項に、そのとおりにむろん書いてあります。ところで先刻もお答えしましたように、その教育委員会の職務権限というものは、第二十三条で具体的にも定まるものと心得ます。その意味で先刻第二十三条に掲げるところの「当該地方公共団体が処理する教育に関する事務及び法律又はこれに基く政令によりその権限に属する事務で、次の各号に掲げるものを管理し、及び執行する。」というものの中の一部の例を申し上げたわけでございます。仰せのとおりその職務権限に属するもの以外のことでの教育に関する調査ということは、なし得るはずがないと思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私の主張を否定している答弁だとは考えませんが、いかがですか。教育委員会の教育に関する事務というのは、単に教育に関する事務という広範なものではない。その「権限に属する」という限定がどの法文にもきちっとあるということを、私は特に注目しなければならぬと言っております。その限りにおいては意見は対立しませんね。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) むろん対立いたしません。ただ、今おっしゃることだけではすべてを尽くさないだろう。すべてを尽くした見地からいえば、第二十三条で締めくくりをしてある、こう理解しております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 そこで、文部大臣が後生大事にしておるこの二十三条というのは、教育委員会の職務権限をうたった条文であります。「教育委員会は、当該地方公共団体が処理する教育に関する事務及び法律又はこれに基く政令によりその権限に属する事務で、次の各号に掲げるものを管理し、及び執行する。」と条文はなっておるわけです。私はこの各号のうちで、この学力調査問題に直接的に関係をして、特に取り上げて論議をしなければならないのは第五号だと私は思うのですが、この第五号には「学校の組織編制、教育課程、学習指導、生徒指導及び職業指導に関すること。」というのが、第五号に掲げてあります。もちろん一から四までも、この二十三条の条文の内容をなすものであるということは間違いがありません。さて、この二十三条は、教育委員会の管理し、執行することを定めてあるわけです。その管理し、執行できるものは何かということは、この本文の地方公共団体の処理する教育に関する事務が一つであります。もう一つは、法律、政令によってその権限に属する事務、この二つであります。この二つが基本になって、次の各号が生まれてきているのです。そこまで理解していただけるなら、私は次のような主張を持っております。文部大臣は、この第二十三条をもって教育委員会が学校において行なわれる教育課程の編成について、特に必要な場合には具体的命令を発する職責、職権を有するというように、教育委員会の学校管理権を主張するかもしれない。しかし、同法の二十三条は、単に教育委員会の職務権限を規定したにとどまっておって、これをもって教師の教育内容に対して具体的な命令まで行ない得るとする主張の根拠にしようとすることは、この解釈を歪曲しているものだというのが私の主張です。そしてまた、この法律の第二十五条には、教育委員会は第二十三条の事務を管理し、執行するにあたっては、法令、条例、規則、規程に基づかなければならないという定めが二十五条にあります。二十三条は独立してその法文を解釈することは許されない。二十五条と関連させなければ、明確な法律解釈は出てこないという私の主張です。教育委員会は、二十三条の事務を管理し、執行するにあたっては、法令、条例、規則、規程に基づかなければならない、こうなっておる。第二十三条各号に定める事務を管理し、執行する場合、教育委員会の無秩序な、あるいは無制限にルーズな管理、執行が行なわれてはならないという配慮から、これは法令、条例、規則、規程に基づかなければならないというように、はっきり規定したわけなんです。だから、二十三条だけを持ち出して、ここにこうあるではないかということだけの主張であっては、正確な主張は述べられないはずであります。同時に二十五条を述べなければ、二十五条の制限の範囲内にあってこそ二十三条は生きると、こういう主張であります。この点はいかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今のおっしゃる点に関する限りはそのとおりだと思います。そこで、二十三条の法律、政令に基づいて職務権限となっておるという中に、先刻御指摘されました以外に、文部大臣が必要な調査、報告等を命ずる、その命令、要求に応じて執行すべき職務権限というものも、もちろん法律に基づいた事柄である。

米田勲日本社会党

○米田勲君 それは何条ですか。五十四条ではないでしょう。さっき言った五十四条には、そんなことはないはずだ。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 法令の定むるところにより云々という、さっき二十五条をお読みになりましたが、まさにその法律の定めるところによって、教育委員会の職務権限になるべき事項がある、こういうものの一つであります。それに応じて具体的には調査報告をするわけであり、ことに二十三条の第十七号に基づいて調査をするということが教育委員会の職務権限である、そういう関係だと思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 あまり法律論争をやっているときに余分なことまで入れてくると、お互いに混乱します。あなたの言っていることを基礎にして私は言っている。文部省の学力調査はどういう法的根拠によるのかと言ったら、五十四条の二項だと言っている。だから、それを確認したのです。今答えた中に、その法律根拠と違う法律を持ち出してきているでしょう。それなら初めから、一つはこういう法律、一つはこういう法律と、基本の法律の建前を出すべきではなかったですか。いや、まあそのとき失念したというなら、それでもいいですよ。しかし、今答弁したことは五十四条二項ではないですよ。しかもあなたは、私のその次の進んだ質問に対して、法律二十三条を出している。二十三条だけの解釈で、教育委員会の職務権限を法的に説明をされた。そうでしょう。だから、私は二十三条は確かにこうなっている。しかし、それは無制限なものではないのだ、限定されている。そればかりでなく、この各号に書かれたことは、文章表現上から一見すると、非常に広範な教育活動までも含んで管理し、執行するような権能を与えられているように感ずるけれども、そうではない。それは地方公共団体の処理する教育に関する事務と、法律、政令によってその権限に属する事務という二つの柱の上に立つものだ。しかもこの第二十三条は、この条文独自で解釈することは許されない。あなたは盛んに首をかしげているが、何が不思議なんです。第二十五条に明瞭にあるじゃないですか。第二十三条の事務を管理し、及び執行するにあたっては、これを、首をかしげる必要が何があるのですか。執行するにあたっては、法令、条例、規則、規程に基づかなければならない、こういう制限規定があるのだということを私は言っておるのであって、そのとおりだと言わざるを得ないでしょう。私が言っている法律が間違っていれば別です。それは確認しますね。どうですか。まだ異論があるのですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 第二十五条の解釈はお説のとおりだと思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 二十三条の法律を正当に解釈するためには、二十五条の条文にあることとあわせて考えなければ、正確な解釈は出てこないという私の主張です。これは間違いないですね。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) もちろんそのとおりであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 それでは次に移ります。そこで伺います。教育委員会が教育に関する事務について管理、執行をする場合には、第二十五条の規定ある限り、法律はもちろんでありますが、一たび定められておるところの条例、規則、規程を守らなければならない。二十五条によって、そのことは完全に主張できるわけです。教育委員会が教育に関する事務の第二十三条に規定するそれぞれのものを管理し、執行する場合には、法律はもちろん、すでに定められておる条例、規則、規程を守るという立場に立たなければ許されない。この規則、規程、条例等の定めを越えて、管理し、執行することは許されない。こういう主張であります。この点はいかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) そのとおりであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 そこで私はそこまで文部大臣がほんとうに理解を一致させたのであれば、次のことは当然私は見解を一致させなければならない、そう思うわけです。それは文部大臣は、あなたのおっしゃるところの法律をたてにして、教育委員会の、第二十三条の、職務権限によって管理し、執行させようとしても、実際に教育委員会は、単に教育に関する事務を無制限に管理、執行することは許されない法律的立場ですから、当然条例、規則、規程に抵触することはできないわけです。文部大臣は前の委員会でこういうことを言いました。私が学力調査をやろうとする法律根拠はこれこれ。それが末端にいって条例や管理規則等に抵触してできないのであれば、それを改正してもらわなければならぬ、ということを言っておる。これは法律の現行法を尊重する建前から言って、不当な主張であります。自分が自分の持っている法律根拠、これだって私は後ほど論駁しますが、その法律根拠によって、教育委員会がたとい二十三条の権限ありと文部大臣が指摘しながら、この学力調査の問題を管理、執行しなさい、こういうことを指示したとしても、教育委員会自体は、すでに定められておる条例、規則、規程に違反をして行動することは許されない。そんな論が通用するようなことがあってはたいへんなわけです。ところが、文部大臣はまたここで第三十二条を持ち出すかもしれない。先ほどは申しておられないのですが、第三十二条を持ち出して、これは学校管理権の所在が教育委員会にあるのだと称して、これを法的根拠にして管理し、執行しようとするかもしれないけれども、この三十二条は正当に解釈をすれば、確かに学校の管理権の所在は教育委員会にあるということは明示されているけれども、それは単にそのことだけであって、管理権の内容を明示した規定であるというふうに法律を解釈することは無理である。こういうふうに私は考えるわけです。そうしてまた市町村や地方公共団体、教育委員会には、先ほどから申しておるように、市町村条例、都道府県条例、あるいは管理規則、その他の規程がすでに定められているのです。都合が悪いからこれを変えてでも仕事をやるのだということは許されない。すでに定められておるこの管理規則や条例をごらんになればおわかりだと思いますが、学校における教育活動に関する計画や実施は、この管理規則、条例によれば届け出制になっておる。学校の教育活動に関する計画、実施はそれがもちろん法律や規則、規程に反しない限りということは言うまでもありませんが、管理規則その他の規則によって、条例によって、学校の教育活動に関する計画、実施は、くどいようですが、学校側の権限にすでに法規上なっておるものだ。だから、先ほどに返って申し上げますと、この法律の第二十三条の第五号にいうところの事務というものは、教育課程、学習指導、生徒指導等に関することとあげられておるけれども、これは学校における教育活動の計画や実施そのものまで含んでこれをさしておらない、こう解釈するのが当然であります。もしそう解釈できないのだとすれば、法律上条例や管理規則上学校が行なうべき職権と教育委員会の職務権限とは全くルーズになって大混乱が起きる。だから、二十三条の五号にいう教育課程だとか学習指導だとか生徒指導というと、いかにも学校における教育活動をも包含していて、これが教育に関する事務だというふうに主張しやすいけれども、それは誤りである。誤りであるという意味は繰り返して申しますと、条例や管理規則その他の規程によって、学校の教育活動に関する計画、実施は、届け出を済ませば学校側の職務権限になっているからであります。この主張に間違いがあれば明確に法律論拠を示して反論をして下さい。反論が明確でなければもう一度私は説明をいたします。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今のお話の範囲ではそのとおりであると思います。そこで届け出を済ませばその範囲で管理権は学校側にある、そのとおりだと思います。ですけれども、それは先刻も触れましたように通常一般的な教育課程、学校活動、教育活動という意味でそうであるのであって、予測せざる事態、あるいは予測し得なかった臨時の事柄、そういうことについてその届け出の内容になっておる教育活動だけでは処理できない、一部変更をしなければその臨時的な特別な要求に応じ得ないときには、教育委員会はもともと持っておる管理権の権限に基づいて、その変更を要求するというその権限は留保された範囲内において届け出によって教育活動をしてよろしいぞという、そういう建前の委員会規則だと思います。もしそうでないとするならば、先刻来申し上げておりますことをもう一ぺん繰り返さしていただきますが、学校教育法に基づいて義務教育なるがゆえに教科に関することを決定する権限が文部大臣に留保されておる教科書の検定権限もそれと関連して留保されておる、そういう立場から義務教育の全国的な学習指導要領に基づく教育活動がどの程度に現にあるであろうかということを知る責任上の必要性が生まれ出たからこその問題でありますが、それに基づいて調査をし、報告を求める権限も地方教育行政法に明記してある。その権限に基づいて教育委員会に要求し、教育委員会が学校にその管理規則の例外的の留保されたる包括権限のもとに学校側に要望するということがもしできないような管理規則が制定されておるとするならば、米田さんも指摘されるように、その条例なりあるいは委員会の管理規則それ自体が法令に反することを許されない。もし法令に反するものありせば、文部大臣は、所管大臣は措置要求ができる。はなはだしく不当なものであっても、その変更を要求することができる権限までも与えられておる。言いかえれば、国の法令が優先するということ、そういうことも不可能になる道理でございまして、当然管理規則はそういう留保された権限の作用を阻害しない限度内において存在する、そういうふうに私は理解しております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 文部大臣、残念ながらあんたの主張は法律上むちゃくちゃですよ、これは。隣から一生懸命に教えているかもしれないけれども、あなたの主張はめちゃくちゃです。あなたが何を計画しようと、心の中で思っているときは自由ですよ。しかし、そのことが実施されることを許されるかどうかはあなた自身だって、文部大臣という職権を持っておったって、現在の法令や、条例や、管理規則や規程を犯して行動する権限はどこにも許されていないと思うが、どうですか。あなたが何を計画するのも、心の中で考えることは自由なんです。しかし、あなたがそのことを実行しようとするときに、現在の法令だとか、諸法規に抵触をする場合には、実行ができないのがあたりまえじゃないですか。文部大臣がやろうとすれば、そこにある一切の障害物を全部排除されてしかるべきだなんていうことは、これはとんでもない思想である。あなたの考えたことだって法律が許さない、法律、規定が許さない場合だって多くあり得るでしょう。そういうことがなければ文部省の行政権限はむちゃくちゃにふるわれるということになる。大体あんたの説明しておる例外的な留保された権限とは一体何ですか、私にはわからない。例外的な留保された権限、これは何ですか。私は例外なしに法律や諸規定はできていると思う。各種の法律があり、この法律の建前にきちっと立って条例があり、管理規則があり、その他の規程ができておる。こんなものが法律に違反して作られているということが事実であるとすれば大問題である。そういうことはあり得ない。すべて法律に基づいて定まっておるものなんです。その定まっておるものを自分がやろうとすることがその規定などによって妨げられるからといって、留保された権限がそれ以外にあるのだというような、そういう架空の主張をしても私は成り立たないと思う。一体この例外的の留保された権限というのは、現行法のどこにうたってありますか。それを聞かして下さい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 第一段階、文部大臣が考えたことは何でもむちゃくちゃやるのだというふうに聞こえるというお話ですけれども、そんなことは毛頭考えてもおりませんし、できることではない。むろんそう思います。私が申し上げておるのはくどいようですが、お聞き取りいただきとうございますが、義務教育なるがゆえに教科に関することは文部大臣に専属した権限として留保されておる。これは明瞭である。その教科に関する権限は文部省組織法あるいは政令等をあわせ読んでみますれば、学習指導要領を決定せねばならぬ権限と責任となって具体的に現われる。教育課程の編成またしかりである。さらにそれに根拠を置いて、実質的には根拠を置いて、規定は別にあるようですが、教科書の検定権限を文部大臣に留保されている。ところでその文部大臣に留保されている義務教育なるがゆえの教科ないしは検定等に関連をいたしまして、はたしてそれがそのとおりに実施されているやいなや、どの程度に実現されているかどうかという、知る権限と責任が文部大臣にあることは当然であると思います。学校教育法第二十条ないし二十一条、小学校について、中学校については第何条でしたか、別途十二条ばかりあとのほうに規定してありますが、そこで、その権限と責任を果たすためによりよき教育の場を作るために教育調査なるものが、一斉調査なるものがなされねばならぬ、それによって責任がもっと果たせるものと信じて今度の調査をしようというわけであります。その場合に地方自治体に関連をして、教育委員会に関連をして、どういう具体的な権限があるかということは、先ほど来指摘しますように、調査を要求し、報告を要求する権限があるぞと明記してある、そこでその調査、報告を求める権限に基づいて教育委員会に一定の内容を示して、問題を提供して学力調査をしてもらおう、こういうことですから、教育委員会はその要求に応じてこれを実施する責任がある。その新たなる特別の職務権限が教育委員会に与えられるということになる、そういうことは当然あり得ることでございますから、条例とか、管理規則等もそういうことを受け入れる余地のある内容として制定されていないならば、私は法令に違反し、またははなはだしく不当と認める場合、条例あるいは規則等の変更までも要求し得る措置要求権あるいは指導、助言の権限も別途与えられているようですが、もし規則がそういう余地を全然与えないようなものになっていると仮定すれば、その範囲において文部大臣の権限上当然なすべきことが命令されてもできないという法令上の権限が実行できない。間違いを犯しているわけですから、措置要求をもって改正させる必要も出てくる。しかし、現在あります管理規則がそうなっていると申し上げるのじゃございません。そうなっているというのじゃありませんけれども、そこで現在の管理規則なるものは、今私が申し上げたような場合に、臨時特別の責任職務として付加せられましたことが実行できる余地が残されているはずであります。それは抽象的に申し上げれば、学校の管理権限を教育委員会が持っていることから、その権限に基づいてこそ管理規則が作られるわけですから、その包括的権限に基づいて一般普通のときの管理規則上の事柄は、さっき御指摘になったように、届け出をもって足りるとなっておりましょうが、特別のものはその届け出によって一応定めて、実行しているものの一部を変更してこれをやりなさいということを要求する権限は、当然道が開かれているはずのもの、そういう性質のものだと思います。ですから、もし管理規則のある具体的などっかの管理規則を見てみて、絶対にそういう余地がないように定められているとするならば、その管理規則はその部分については間違いだ、法令に違反するという内容を持っているから、その余地をあらしめるように変えなさいということを言わねばならぬことも起こるかもしれない。しかしながら、一般的にそれくらいのことは万事心得ているはずですから、そういう例外のときは、そういう届け出以外のことがあり得るぞという余地があるものと私は理解しております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私は文部大臣のこの法律的な解釈は非常に誤っておるというふうに思います。いろいろな場合を例にあげましたが、教科書の選定権は文部省に留保されておるということが一つ説明がありました。教科書の選定権限は留保されておると、さっき言ってます、速記録を調べますか。僕はわざわざメモしたんです、変なことを言うから。これは取り消しますか。速記録にあったらあとから問題にしますよ。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 取り消しません。それは私の発音が悪かったのでございましょう。教科書の選定じゃない、教科書の検定であります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 教科書の検定権と学力調査と何の関係がありますか。それは教科書の検定権は、法律上あなたにありますよ。それは地方の教育委員会にも、学校の教員にもありません。しかし、教科書の検定権があるから、どんな教科書で、どういう実績を上げているか調べたいといって、これをもって例外的に保留された権限を今発動するのだという、そういうことは例をあげるにしてはあまり不当ではありませんか。そういうことは理由にならぬ。教科書の検定権はあなたにありますよ。だれもないなんて言わない。しかし、教科書を選定するところの権限はあなたにないでしょう。ただし、教育委員会が法律規定に違反しない場合に限られています。それは前提があります。あなたにないでしょう。検定権があるからといって、そういうことを例外的な保留された権限だという立証には私はならぬと思います。それから学習指導要領を定める義務と権限があると、こう言いましたね。もちろんあります。だから、あなたはこれを定めたではありませんか。その定めたことに基づいて、法律、諸規定に基づいて、それぞれ教育委員会、学校と、その法、規定の範囲内においてそれぞれ仕事が分けられていっておるのではありませんか。それをもって、自分には学習指導要領を作成する義務と権限があるのだ、それを作る建前上必要な調査は、これは保留された例外的な権限だと、あなたはそう言うんでしょう。例をあげて言っている限り、そうじゃないですか。私はそう聞いている。そういうものをあげて、これは例外的な保留された権限だと、こういうものがもしないのであるならば、学習指導要領を定める権限は、これは不備だと、あなたは言っているわけです。そんなばかなことはありませんよ。こういう権限が法律上あるからといって、学力調査をやる権限までも例外的な権限として留保されておるという論は、私は当たらないと思う。それは別な話ですよ。学校でも、教育委員会でも、あなたの法律上の権限によって定めた学習指導要領に基づいて、それぞれ果たすべき任務を分担してやっているのではありませんか。それをあなただけの都合上、あなたの必要上、教育委員会の職務権限の範囲内では行なえないこともあなたは指示をしている。それが許されるのだとあなたは主張しておるわけです。それだと、先ほどから一つ一つ調べてきた法律上の解釈というものは、全部めちゃめちゃになるではありませんか。私はあなたに端的にひとつ聞きたい。一体教育行政権というものは、行政権者が考えれば、自由に学校の教育活動の中に介入できるような仕組みに、日本の教育上の一切の法律はなっておるかどうか、その点はどうですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 原則はそうなっておると思います。ただもうちょっと、先ほどのお尋ねに誤解があるようですから申し上げさしてもらいますが、留保された例外的な権限があると申し上げるのは、毎度申し上げるように、日本の教育のあり方は、義務教育について特にしかりでありますが、地方分権的にでき上がっておる原則、建前は、ただし例外的に、さっき御指摘になりましたように、教科に関すること、教科書の検定に関すること、そういうものは、最も顕著な文部大臣に専属の権限として留保されたこととして特別のものがあると、こう申し上げました。そこで検定のことまで申し上げたのは、それを援用して学力調査の根拠にするのはおかしいじゃないかとおっしゃるのですが、それはそうです。それは私は、留保された権限ということはおかしいじゃないかとおっしゃったから、留保された権限の種類として一、二例をあげるとするならば、教科に関すること、あるいは教科書の検定に関することがありますと、こう申し上げたので話はそれで終わりであります。  そこで今度は学力調査でございますが、それは教科に関することをさえ全国的に包括的に文部大臣の専属権限として留保されておる、その教科に関する権限に基づいて学習指導要領が決定されて、忠実に実行されておることは一つも疑いませんが、しかしいろんな条件によって、必ずしも北は北海道から南は沖縄に至るまで同じようになっておるとは思われない。だから、学力調査を通じて学習指導要領が、どういうふうに具体的に透徹しておるであろうかということを知る権限と責任もまた、教科に関する権限の中に包括されておるものなりと、その趣旨を受けて地方教育行政法でいうところの「必要な調査」云々という「必要な」の意味は、法律上、文部大臣の権限に形式的に実質的に与えられておることに関して必要なるその調査という意味で学力調査をやろう、こういうことでありまして、本来、条例、管理規則を定めます場合には、そういう文部大臣固有の権限に基づいて、中央地方の上級、下級の官庁という立場に、文部省と教育委員会の相互関係はあると思いますが、その関係から、今申し上げる法律、規定に基づいた要求があった場合に、それができるような余地が残された条例、残された管理規則を作る権利と責任があるのであって、自分の固有のもの以外には絶対に受け付けないという管理規則が定められておると仮定するならば、その範囲においては適切ではないということがあるであろうということを申し上げたわけであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 その冒頭に答弁した文部大臣のその主張は、私は納得できない。教育行政権が学校の教育活動に自由に介入できるというような建前に日本の教育は法律上なっておらないのです。私は絶対にこれは間違いないと思っている。ただし学校における教育活動が、法令や条例や管理規則や規程に違反をして行なわれていれば、これは行政権は当然発動しますよ。しかし、その学校において行なわれている教育活動が、諸法規、規定に違反をしていない限りにおいては、行政権は教育活動の場に介入することは許されないというのが、日本の教育の法律上の建前ではありませんか。あなたは介入できるのだという主張をしておるが、これは根本的に間違っていませんか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 自由に介入できるという意味では申し上げたつもりはございませんが、そう受け取られたらちょっと違っておりますから訂正をいたしますが、学校の管理権限というものは、教育委員会に本則としてある、及び学校長は、法律、法令で直接学校長の権限にゆだねられた範囲内において固有の管理権限を持っておる、包括的な管理権限は教育委員会にあり、その教育委員会が、さっき指摘されましたように、条例ないしは管理規則でもって自分の包括的に持っておるものの一部もしくは相当部分を学校に委任するという性格を持ったのが管理規則だと思いますが、その管理規則によってゆだねられた権限プラス法令により直接学校長に属せしめられた権限の両方を行なう、その意味においては、すでにして管理規則が定まって委任せられましたものを、その規則を無視して教育委員会が勝手に介入するということは、むろん許されません。包括的な立場に立っておるという意味でさっき申し上げたんですが、おのずから今指摘されました第二十五条に言うがごとく、法令、条例、管理規則によっての制約はむろんございます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 そこまでわかっていながら、なぜそういう結論が出るのか、私は了解できないんです。教育委員会には、教育に関する事務を管理、執行することができるということが二十三条にうたってある。しかし、そのうたってあることは二十五条で拘束されている。無拘束ではないんです。その拘束されておるのは教育委員会も拘束されるであろうし、文部大臣ももちろん拘束されるはずですよ。教職員はもちろん、お互いに法律や条例や管理規則やその他の規程の定められておるものに基づいて、それぞれの職務権限が分かれておるんじゃないですか、それを明確にしてあるはずなんですよ。私は文部大臣が何度説明しても、絶対に学校の教育活動に介入ができないということを主張しておるのではないですよ、いかなる場合があっても介入できないんだと。法律や条例、規則、規程の定めに基づいて行なわれている教育活動に対しては、行政権限はみだりに介入できないように拘束されておるという主張なんです。だから私は日本の法律の建前というのは、教育行政権を持ったものが学校の教育治動に介入できない仕組みに初めから法は体系づけられておる。しかし、それは条件がありますよ、もちろん無条件ではありませんよ。しかし、文部大臣の言うように教科に関する権限が文部大臣にあるからといって、自分で必要だと称して、五十四条二項をたてにとったり、五十三条をたてにとったりして教育委員会に指示をする。それは指示するという建前は、文部大臣としては法律上指示したつもりでも、教育委員会がその指示を受けて合法的になし得ないことをあなたは指示する権限はないはずじゃありませんか。私はそういう立場からいって、学力調査をしたい、教科に関する権限——一例ですが、それに基づいて学力調査をしたい、こういうものをやってくれないかと希望することは私はいいと思いますよ。こういう調査をほしいということを希望することは。しかし、この調査をやれと、こういう内容だと、こういう報告をしろと、全部規定をしてそれを強制すると、そのことの始末がどうなるかというと、教育委員会は自分が守るべき行政権限を越えなければ、現行の諸法規の建前からいってなし得ない。法令に基づいて、規則に基づいて行なわれている教育活動に何人も介入できないんですよ。私はその隣におる人が盛んに首をかしげているから文部大臣も首をかしげるんだと思いますが、もしかりに、暴論ですが、文部大臣が荒木萬壽夫でなくてもっとひどい男、おれにはこういう権限が留保されておる——あなたのあげる権限であれば、広義に解釈すればこれは何事でもできるんですよ。ルーズに幾らでも幅を広げれば、どんな調査でもできますよ。私はそう思う。その調査をやるがために、教育委員会は学校に対して、教育計画をどんどん変更しなければその調査ができないということが、自由に行なわれるものであるということをあなたは主張していることになる。あなたはそういう非常識なことを相次いでやる人ではないので、今学力調査問題だけが問題になっておるんだが、そういうルーズな行政権限の発動の仕方は、私は少なくも許されないと思う。しかし、あなたと何ぼこのことを繰り返していても、ここは対立すると思うし、あなたは強弁ですよ、法律上は。まず前に進みながらもう少し質問をします。文部省が、地教行法の第五十四条二項によって、教育委員会に必要なる調査報告を求める法的権限があるのだと再三主張しておるけれども、私の主張は、それはあくまでも教育委員会の職務権限に属する事項に限られるということであります。条例や管理規則その他の規程に定める範囲内の教育に関する事務事項に限られるということは、これは第二十五条で明確だと思っているのです。しかるに教育委員会の権限に属さない私はそういう広範な一般的権限は管理権等で否定はしませんよ。であるけれども、その管理権のうちの相当部分を、これを現在の条例や管理規則その他の規程で学校にまかされておる分については、いつ何どきでもそれを改正しない限り、巻き上げてそれをやるということはできないしかけになっておるでしょう。違反してやっておれば別ですよ。基づいてやっておる場合は、そういう建前を自分が都合悪いから巻き上げて管理権を行使するんだということは、それは許されない。そこで教育委員会にやらせようとする学力調査は、教育委員会の持っておる現在の職務権限の範囲内では合法的になし得ないことを文部大臣が要求をしているのであるから、そういう要求をすることは、文部大臣が言う例外的に留保された権限などというものでは許されないとあらためて主張をいたします。地教行法の第五十四条二項にはこれもおのずから限界があります。文部大臣はこの五十四条の二項を、これは繰り返して言いませんが、自分の都合のいいように解釈をし、広義な解釈をすることによって、そこにまだ例外的に権限を留保しているという主張でこのことを貫こうとしていることは、私は法律解釈上きわめてルーズであって妥当を欠いていると思います。  さて、次に五十三条の問題であります。これは先ほどもその問題を持ち出しましたが、文部省は都道府県教育委員会に学力調査の実施と、その調査結果の報告を指示する法的な根拠として、五十三条を並列して先ほど言い出したのです。五十三条というのは、文部大臣はその五十一条、五十二条の規定による権限を行なうために必要なときは、教育委員会が管理し、執行する教育に関する事務について必要な調査を行なうことができるとなっております。ですから、五十三条はその法文を明確に解釈するためには、当然五十一条、五十二条の規定による権限を行なうために必要な云々が大切なことになってくるわけです。この五十三条の文部大臣の調査権限というのは、第五十一条にこうあるでしょう。文部大臣と都道府県教育委員会相互間の連絡調整をはかり、相互に協力して、教員の適正配置、円満な交流、教職員の勤務能率の増進をはかるために必要な教育に関する事務であります。必要な教育に関する事務ということだけでなくて、概念がちゃんと規定されている、五十一条は。五十二条は教育委員会が、その教育に関する事務の管理、執行が法令の規定に違反をしておる、または著しく適正を欠いて、教育本来の目的達成を阻害していると認められるという特定な条件の場合に、その違反の是正または改善に必要な措置を求めることができることを規定してあるのです。この五十一条、五十二条の条件に適合する場合にだけ限って五十三条という調査権は発動できるのです。そういうふうに解釈をしないで、五十三条だけ振り回されては、これまた法律の解釈がルーズになってしまうわけです。ですから、文部省が五十三条をたてにして教育委員会に対して法的に調査権を主張することは、私は間違いだと思う。なぜかというと、五十一条、五十二条の条件を満たしておらない。満たしておらないときに五十三条の調査権は発動できないと、こういう私は解釈をしておるわけです。この点はいかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 五十四条は援用しましたが、五十三条を今度の調査の根拠には、いまだかつて申したことはございません。

米田勲日本社会党

○米田勲君 先ほど論議の中に、措置要求と言ったりして、あなたは五十三条も持ち出して主張しておるでしょう。一度も持ち出していませんか。それでは速記録を見て、持ち出して論議をしていた場合に、私に虚偽の今申し立てをしたということになります。私が聞き違えておれば、後日訂正をいたします、私の主張を。しかし、私は今あなたが先ほど五十三条を持ち出したというふうに考えておるのです。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私は五十三条を持ち出したのじゃなしに、一般的に地方自治法で各省大臣は、法令に所管事項に違反したり、著しく不当な場合があるときは、措置要求ができるというふうなことがあると記憶したから、それを根拠に申し上げたのであって、地方教育行政法の五十三条を援用したことはございません。

米田勲日本社会党

○米田勲君 そうすると、この学力調査を行なう唯一の法律根拠というのは全部払ってみると、この法律の五十四条の第二項だけだということになりますね、文部省の立場は。違いますか。教育委員会に対して発動しておる職務権限は五十四条の二項という法律が唯一の根拠である、こういうように解釈してもいいのですね。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 一番最初に申し上げましたように、直接的には五十四条の第二項であります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 豊瀬君から言われておる時間はもう過ぎておるわけですが、私はこの法律の解釈上の私との意見の対立については、機会があれば同僚議員もこのことを主張したいと言っておりましたが、関連質問であるいは機会が許されればもう少し文部大臣と意見を戦わしてみなければ納得がいきません。私は何としてでも今回の学力調査は文部省は必要であるといって五十四条二項を適用して、教育委員会に指示をしたのでありますけれども、それはあくまでも強制すべき法的根拠にはならないという意味は、先ほどから申しておるように、その指示されたことを実施するためには、教育委員会が現在定められている職務権限を越えて学校の教育活動に介入をし、一時的にそれを変更しなければ実施をすることができない事柄に属するからであります。このことについては、先ほども申しましたように時間が過ぎましたので、後日に譲りまして、私は文部大臣に検討していただきたいことがあります。  私とあなたの論議は非常に対立した部面がたくさんあります。私はできるだけ日本の教育の将来のために、この際いかに時間がかかろうとも正しい法律的な解釈を確立し、日本の教育の将来にこの学力調査をめぐって重大な悪影響をもたらさないように真剣に考えている立場であります。遺憾ながら、文部大臣とその点では非常にあちらこちらで対立をした解釈を持ち意見を持っておるようです。  ところで私はこの機会に、文部大臣は九月二十五日の朝日新聞の社説をごらんになったかどうか、記憶しておられるかどうか、それはお聞きしないとわかりませんけれども、この論議をした過程でもう一度耳をすませて、私は、第三者はどんな立場でこの問題を批判をしているのであろうかということをお互いに考えてみたい。それはこういうことであります。  「勤評さわぎのときには、「勤評神奈川方式」で評判になった神奈川県が、この秋に予定される中学生の「一せい学力調査」についても、県教委と県教組の話し合いによって、これまた「文部省方式」とはいくらか調子の違う独自の「テスト神奈川方式」を打ちだして、注目されている。  公表された「神奈川県学力調査要綱」には、大ざっぱにいって、二つの特徴がある。一つは、学力調査という仕事は、当然県教委が行なうべきものとして、どこまでも県教委の責任と自主性に立つ、という立場をとっていること、もう一つは、学力調査を、あくまで教育環境、条件の整備改善のための「実態調査」に限定して、「教育診断」的な目的を除外しようとしていることである。その二つとも、俗称「文部方式」に対する批判をふくみ、その不備を衝いているといってよかろう。  すなわち、勤評にしても、学力調査にしても、教育現場のみならず、教育委員会の十分の了解をえないままに、何かというと文部省が、全国画一的な行政権をふりまわすやり方に対し、県教委が、一応自主性、独立性を主張しているのである。他府県教委のなかにも、教育の官僚統制に批判的な声を聞くが、教育行政の民主的地方分権の建て前は、大切に守られてよいはずである。  次に、今回の学力テストで、最も批判されているのは、文部省のいう目的が、いかにもアイマイな点である。その出発のときから「人材開発」の資料とか、「高校入試」の参考などといって、現在ではその点を一応否定しているものの、学校差、個人差を調査し、しかも、一人一人の生徒の「学習指導要録」に記入を強制しようとしている。つまり行政的実態調査と、教育診断のテストとを並行させているところに、一般に割り切れない印象を与えていることは否定できない。  その点を、神奈川方式は、はっきり突いている。「問題用紙に生徒の氏名は記入せず、番号だけにする」としているのが、それである。テストの結果を、個人の指導要録に記入する点には特にふれていないが、県教委としても、個人の「教育診断」でないかぎり、その必要を認めていない模様である。  そのほかでも、文部省が主要五科目として、国語、数学、理科、社会、英語を学力テストの対象とするのに対し、神奈川県では、音楽、保健体育、図工、職家の四科目についても調査して、知育偏重の弊害を除こうと意図している。また、来年度からは、中学生ばかりでなく、小学校の高学年についても、学力の実態調査をして、教育行財政の面での資料をととのえるといっている。  それらのことについては、なおいくつもの考え方があるだろうし、今後の検討も必要だろう。ただ神奈川方式といっても、結局この秋は、文部省の提出する主要五科目の問題は変更できないので、文部当局では、一せい調査には支障ないと見ているようである。それはそれでよいのであって、問題は、神奈川県の教委と教組とが、子どもをまきこんでの最も好ましくない教育現場の混乱を避けるため、とにかく七月以来の忍耐強い「話し合い」によって、良識をもって妥協点にこぎつけた事実とその努力とにあると思う。「話し合い」の効用というものだろう。教育界に、中央での話し合いの場がないという現状は、決して正常な姿ではないことを、とくに付言しておきたい。」こういうふうに批判をしております。ところが、このことが起こった直後、文部大臣は内藤局長に命じて教育委員会に圧力をかけておる。指導要録には必ず記入しなければだめである、きめた十月二十六日一斉に行なうことが条件からはずれては一切だめである、こういうようなことなどを織り込んで非常に強制をしておる。これは新聞で明らかです。神奈川県の先生方に聞いてもそのことが言われておる。おそらく教育委員会から聞いたものでしょう。しかし、その後文部大臣も御承知のように、文部省の圧力があり、指示勧告はあったけれども、神奈川県教委は既定方針どおり教職員組合との間で妥結をいたしました神奈川方式を実施すること。私はここでお聞きしたいのは、この神奈川県が独自で自主的に判断した学力調査を教職員組合と妥結をして今実施しようとしていることに対して、文部省の法律に基づいて指示した事項を実行しない教育委員会は法律上不当であるというふうに解釈をしておるのかどうか、この点をお尋ねいたします。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今、米田さん、読まれまして、私も朝日新聞の社説を瞥見した記憶がよみがえりました。一つの見解だとは思います。というのは、原則的には地方分権の建前で教育は行なうという立場に立っての一つの見解だと思います。それと同時に相並んで、先刻来何度も申し上げますように、義務教育なるがゆえに学習指導要領が全国画一的に、共通の基本的内容はかくあるべしということを定めねばならないぞと、法律がきわめて明瞭に義務づけ、また裏からいえば、そういう権限を与えております。したがって、その範囲に関します限りは、地方の教育委員会ではどうにもならない全国共通の学習指導要領それ自体の到達度の発見の方法というものは、文部省が発動しませんことにはだれにもできないわけであります。また、発動いたしましたその学習指導要領が、はたして適切であったかどうか、全国大の視野から反省すべき何かがあるかどうかという資料を得る方法は、テストそれ自身に、先ほど来御批判がありますように、欠点と目すべきこともございましょうけれども、これはいわば物理的にも不可能な今としては改善の知恵が出てこない。したがってベストのものということを意図してテストをやる以外には方法がないわけであります。したがって、その必要に応ずるためにこそ全国一斉学力調査をいたしたい。これに対しては、地方教育委員会も、学校の先生の一人片々も、欣然として私は欠陥は欠陥なりに、批判の意見はございましょうが、それは今後さらに続けるであろう一斉調査に対しての改善意見として実施された後に、さらに意見を述べてもらって改善の具に供したいということは十分念頭に置いております。繰り返し申し上げるようですが、今申し上げたような角度からの、すなわち学習指導要領の到達度ということを確認する国家的な必要があると思います。また、文部大臣の権限責任を国民に向かって果たす必要からも、その必要性があると信じて行なわんとしておるものでございますから、この際は神奈川県といえども、文部省から示しました内容とやり方によって協力をしてもらいたいと、今でも思っております。それをどうしてもやらないと言われることは、それ自体私は適当じゃないと思います。しかし、どうしてもやらないものをどうするという具体的な方法はございませんから、あきらめざるを得ないのかもしれませんが、今申した角度から見ると、適切ではないと。そしてまた神奈川方式と言われるものは、各都道府県がみずからの発意において、その行政区域内において別途やられる値打ちはあると思います。しかし、それはそれで一つのものであって、全国一斉の学力調査は、それ自体別の事柄として協力してもらわなければ、全国大の視野に立った反省材料はほかの方法ではどうしても見つけられないだろう、こう思って、やろうとしておるわけであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私の一番聞きたいところは、経過から言っても、神奈川県教育委員会は、文部省の学力調査実施要綱に基づいては行なわない、独自の方式で行なうということを決定して、その作業に移っております。この場合はっきりしてほしいことは、そういう自主性は法律上許せないと、文部大臣は主張しますか、こういうことを聞きたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 許されないことだと思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 このことは、やがて法廷で文部大臣と対決する日があると思いますが、ここではどうしても第三者の公平な審判を得ることができませんから、そういう文部大臣の意見を、意向を聞くにとどめておきます。しかし、私はあなたに考えてもらいたい問題はまだ愛知県にも発生しておる。あなた御存じであろうと思いますが、愛知県ではこうなっております。これは新聞を見ただけではなくて、現地と連絡をとってみて、さらに確認をしたのですが、「文部省の全国一斉中学校学力調査は二十六日、行なわれるが、愛知県の愛教組の安藤執行委員長ら幹部が十四日、同県教委岩瀬教育長に「教組、教委、校長会の三者で学力調査審議会(仮称)をつくり、このテストの教育的な障害点を取り除くことで三者の意見調整ができれば、テストの実施に応じる」との申し入れを行なった。同教育長はこれを了承し、十六日午前十時から同教育長室で初の同審議会を開くが、このような愛教組の戦術転換から約十八万人の生徒が受ける同県下の学力調査テストは混乱もなく実施される見通しが強くなってきた。」そしてこの審議会で話し合われる基本的な問題として、教育的な障害を除くために、一つは差別教育の観点から、テストの平均点は出さない。二つ目は、テスト結果を生徒の指導要録に記入しない、この具体的な二点を、障害点を除去するための重要な柱として審議会が進められる、こういうことになっておる。そういたしますと、ここでもまた文部大臣は法的に許されないと言うかもしれないが、法律的な論議は先ほどから私と対立しておって、そのことは伏せておきますが、法律的に許されないと言っている。そうすると、これはまだ私は全国的に教育委員会は事態が切迫してくればくるほど、文部省が指示をした学力調査実施要綱とは異なる内容の調査をするというような事態が、だいぶ生まれてくるのではないかと思う。それはどうしてかというと、前々から私たちが心配をしているように、一つは、この学力調査が教育的な見地から見て非常に弊害を大きくもたらすというふうな立場。もう一つは、このことを強行するために教職員と教育委員会の行政機関にある者とが鋭い対立を起こして、その対立、混乱の中で非常に子供も観たちも迷惑をこうむる、教育上の不祥事件さえ予想されるということを憂えて、私は今後二十六日までの間にまだ神奈川や愛知以外に、文部省の学力テスト実施要綱とは異なる内容のテストが行なわれる見通しがあります。私は法律的に申しても、教育的な立場から見ても、きわめて問題のあるこの学力調査は、いかに教育現場に混乱が起ころうと、教育委員会と教職員の間で鋭い対立があろうと、警察官が出動するような不祥事態が起ころうと、文部大臣はどうしてもがむしゃらに自分が当初にきめて指示をした実施要綱以外の実施は許さないと、こういうふうに考えるのであれば、私は事態をあまりに軽視しておるんではないかということを感ずるのです。文部省の学力調査には、あなた方の立場からいえばいろいろの目的があるでしょう。しかし、その目的といえども、私が指摘するとおり明確なものではない。それなのに、この学力調査の重要な部分について混乱をあえて避けるため、教育的な弊害を除くために、現場の教職員の代表者と教育委員会が自主的に判断をして、事態を円満に解決していこうとするこの動きは、日本の教育のために私は大事なことだと思う。文部大臣のように、自分が一度きめた方式はだれが何と反対しようと、どんな混乱が起ころうと、面子にかけてもこれを実施していくんだというやり方は、行政権者の満足は得られても、教育の現場をめぐる混乱のために、親も子供も教師も、教育委員会も重大な迷惑をこうむる結果になると思う。私はそういう立場からもう一度そういう教育委員会と現場の職員の代表者との間でいろいろ話し合われて、あなたの指示した内容とは異なる学力調査が行なわれることもやむを得ないという判断に立つべきであるということを強調したい。そのことが重大な事態の惹起を防ぐことができるし、将来の日本の教育のためにプラスであるということを信じて疑わないのですが、文部大臣の見解はいかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私はこの学力調査をめぐって現場が混乱するということが理解できないのであります。もし、そういうことがあるとすれば、日教組が全国大会で実力と称する暴力をふるってでもこれは阻止するのだということを団体意思として決定した、その決定を現場に要求するからこそ無用の波乱が起こることはあるいはあるかもしれぬとは思いますけれども、法律的根拠その他ということを一応抜きにお話しでございますから、私もその気持でかりに考えてみましても、先刻申し上げましたように、すでにして義務教育なるがゆえに共通の最小限度の教育内容はかくあるべしということを国の責任において定めろということに基づいて小中学校の教育が行なわれておるわけであります。その範囲に限って全国的、共通的な教育効果がどの程度に上がっておるであろうという調査をし、そのことを通じて学習指導要領そのものすらもがあるいは適切を欠いているんじゃなかろうかというふうなことも反省する機会と材料を提供する場を作りたいという純粋の目的を持っておるわけですが、もし、これが共通的なやり方でできないとならば、全国的な視野に立ったこの調査はその範囲において意味がないということにひとしいと思います。ですから、全国一斉に同じやり方でとにかくやってもらって、その結果を分析して最大限度これを活用することに協力してもらいたい。そうしてやった結果、問題の出し方あるいは進め方その他について意見が当然あり得ると思います。それならば神奈川であれ愛知県であれ、教職員の意見も含めて改善意見を出していただいて、ともに来年度の同じ調査をやりますときの改善の資料にさしてもらいたい、そのことをひたすら念願しておる以外の何ものでもないわけでございます。どうしてその混乱が起こるのか、ILOの正式の意思表示にいたしましても、教育政策の課題は労使間の相談事ではあり得ないということを、明瞭に世界的常識を言ってきております。賃金のことや勤務時間のことならいざ知らず、教育内容それ自体について労働組合の団体意思を決定し、しかも、実施する以前に包括的に断じてこれはやらせないのだという意図のもとに、実力と称する暴力までもふるって阻止するという組合の意思決定は、それ自身が私は非常識だと思います。そういうことが末端に流れないならば、本来混乱の起こるべき課題じゃなかろう、こういうふうに国民の一人としても考え、文部省を預る者としてもそう考え期待しておるわけであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私はこういう事態になることについて前々から問題にしておったのですが、文部大臣は法的根拠がないとか、責務がないとかいって、教職員の代表と絶対に会わないという態度を堅持しております。私は文部大臣が今さらになって、日教組の諸君なり日高教の諸君が全国大会でこの学力調査は断じて阻止するときめたことは私も聞いております。そういう事態になる前に、もっと私はこれを発議した文部省と現場の教職員たちが作っておる組合の代表者と、法的にはどんな論議がされようとも、私はお互いに問題を論ずべきであったのではないか。それを拒否し続けて、法律的に云々と言って拒否し続けて、教職員組合は語るべき相手がない。文部大臣は発議しております、その文部大臣とこのことをめぐって論じ合う機会が一回も与えられない。与えられないまま実施が組合側からいえば強行されてくる。それを阻止しようとする動きが出てくることは組合としては当然だと思います。そのことを批判するなら、胸襟を開いて自分が発議をしたその学力調査なるものを、これでどうだと言って、自由に彼らと意見を交換をする雅量のある態度を示さなかったか、こういうことを指摘したいのです。  さらにもう一点、時間が長くなりましたが申し上げたいのは、現場に混乱が起こるということはどうしてもわからないとあなたは言っておる。私はこのことで一つ不思議なことがありますのであなたにお尋ねをしたい。それは、教育委員会に学力調査の実施について内容を文部省は指示しております。文書で実施要綱を示した。しかし、私の聞きたいのはそれではなくて、その実施要綱以外に口頭で、座談の形式か懇談の形式か質疑応答の形式を用いて、教育委員会と文部当局と話し合った事実はないかどうかということ。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) それは学校長の会合あるいは教育委員長、教育長の会合等でこの一斉学力調査について御相談した機会は何回か持ったようでございますから、質疑応答その他も行なわれたことと思います。その現場は私知りませんから、お尋ねに対して具体的にはお答えできません。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私は文部大臣が、どういう事務当局なり官僚の諸君が教育委員会と懇談の形式かあるいは質疑応答かあるいは指導、助言の名において実施要綱以外に口頭で話したことがあるけれども、文部大臣はそれを知らないという事実はわかりました。なぜ私がこういうことを断定をしながら言うかというのは一つの根拠がある。それは最近私の調査によると、数府県共通の事象が現われておる。はしなくもそれは共通しておる。こういう共通した事象が現われてきておるということは、それが北の方であり南の方であるということを思うと、文部当局と教育委員会とのどこかの会合で共通して現在現われている事項について口頭で打ち合わせが行なわれたということを推測するにかたくない。さて、私が一つ具体的に指摘をいたしますが、私は秋田で教育委員会がきわめて教育上思わしくないことを先般の抽出テストにおいて計画、実施し、今回の十月二十六日の一斉テストでこのことを計画、実施していることを知ったわけです。このことは地方の議会で問題になって、実はこの河北新報に連日掲載されておりますから文部大臣もごらんになったかと思います。しかし、もし、見ていないおそれがあると困りますから、どんな内容のことだったかをひとつあなたに聞いていただきたい。「先月二十六日全国一斉に実施された学力調査で秋田県中仙町鑓石持、鑓見内小学校(宮田晋五郎校長)が同日学校に「立ち入り禁止」の立て札を立てたことや、県教委南出張所(堀井喜一郎所長)から同町教委に流された「不穏当」な極秘公文書が同町議会の調査で明るみに出された。この問題を重視した秋田教組は二日中央執行委員会を開いて対策を協議し、県教委を追及するとともに、問題を県議会や国会に持ち出して糾明するという態度をとっており、十月二十六日の第二次学力調査にも微妙な影響を与えている。」という新聞社側の概括的な報道の中にこういうことを載せておる。「先月二十六日の同町議会で教育民生委員長鈴木等議員が学力テストの行なわれた鑓見内小学校にテストを視察に行ったところ、関係者以外立ち入り禁止と書かれた立て札が立てられ、学校に入ることができなかった。」これは県議会の教育民生委員長です。「県教委南出張所から秘密指令がきているためではないか」と発言し「秘密文書の公開を要求した。これに対し町教委は同出張所から流された秘密文書のあることを認め、これを読み上げた。文書の内容は1当日は参観日の名のもとにPTAが若い者を集めておくこと。2カメラは三台以上そなえ、フィルムは奪われないように注意すること。3立ち入り禁止の立て札を立てること、などが細かく指示されており、マル秘の記号がはいっていたという。鈴木委員は秘密指令で教育を指導するなどは軍閥政治よりも悪質だし、若い者を集めるなどは暴力に守られたテストというよりほかはないと、これを指令どおり行なった町教委の責任を激しく追及した。三十日には議会教育民生委員会を開いて問題の公文書の再提出を求めたが、町教委は文書はすでに焼却したと答えた。結局、三十日の教育民生委員会は近く公聴会を開いてこの問題の是非をはっきりさせることにして散会した。こうした騒ぎの中で、同町教育委員長佐々木仁助氏は責任をとって辞意を表明するなど問題はさらに発展する様相をみせている。」この報道がまず最初に出されました。これによると、県教委から町教委に対して一斉に秘密文書が流されておるということであります。秘密文書の内容には、今具体的にあげられていることなどがあります。「さらに波紋を投ずる秘密指令」として次のように引き続き報道されております。「渡辺教育長は二日、中仙町町議会で問題になった学力調査に関する秘密指令について、県教委の指令によって南出張所が地教委に出したもので、混乱を防止する当然の措置であると次のように語った。「九月二十六日の学力調査を秋田教組と高教組が阻止する方針で混乱を予想された、このため九月二十日横手市で南出張所管内の地域教育長会議を開き、1混乱防止に万全を期すべきこと。2混乱が起きたときの警察官出動要請の仕方、状況を詳しく記録しておくこと、立ち入り禁止札を立てることなどを指示した。南出張所はこれに基づいて地区の緊迫した事情を考え、逆ピケ用の若い者の動員、マイク、テープコーダ、八ミリカメラなどを用意することを秘密文書で指令したものだ。これは県教委の方針に従った最悪事態に備えた措置で当然のことと思う。秘密文書が公開されたことは遺憾である。」」こういうふうに出ております。さらに次の日には県教育長の見解が出ておりますが、この秘密文書の内容を指示したことは、この彼の発表によって明らかであります。長くなりますから読むのを省略いたします。このような秘密指令です。教職員組合がどういう行動に出るか、これはお互いに当事者でないからわかりません。しかし、阻止しようと彼らが決意しているから相当の混乱が起こると思います。しかし、私はこの文部省が強引に学力調査を地教委にやらせようと、県教委にやらせようということから、秋田のこの事件だけでなく、類似の事件が、この秘密文書の流される内容なども加えて共通した事象が見られるのです。そこで私は——これからあとは私の推測ですが、もう少し調査を進めないとわかりませんけれども、どうも全国の教育長か、あるいは教育委員長などと文部当局が会合した際に、実施要項以外に口頭で秘密指令をしておるのではないか、または質問という形式で詳細にこういう警官隊出動の問題や、後にいろいろなごたごたがあったときに容疑者を摘発するのに、カメラだとかあるいは撮影機などを準備させたり、あるいは学力調査が行なわれるように若い屈強な者を集めて逆ピケを張ってやろうという、そういう計画が秘密指令によって流されておる。私はこれを見て、文部大臣のように一がいに教員組合が悪いのだと言ってきめつけることは、私は当を得ないと思う。今あなたにこういう秘密指令なりあるいは秘密文書があったのではないかと聞いてみても、関知しないとか、そういう事実はないと思うという御答弁があるに違いありません。今さらそんなことがあったかもしれないということは言えないと思いますが、私はどうもそういうことがあったように疑われる。そのことが単なる疑いであれば、これは教育委員会同士で何か打ち合わせておる。一言にしていえば、教育界の大不祥事が、この二十六日を期して惹起しようとしておるということは大体間違いがない。それは文部大臣の考えておる以上の混乱が起きますよ。それをこの段階に来て、あなたはそんなことを大会できめた教員組合が悪いのだ、そういうことだけでこのことをほおかぶりして、一度きめたのだから強行するのだということは、時宜に適した教育的な方法ではないのじゃないか。だから私は、先ほど教職員組合と県教委が自主的に苦労をしながら交渉して話し合いをし、混乱を避けて円満のうちに学力調査が行なわれるということになるならば、教育委員会が独自に学力調査の内容——それは文部省がきめたものと内容は重要な点において異なる点があろうとも、それを許容するだけの態度がなくては、全国的な大混乱を防止する道は今やなくなっているのではないか。このことを文部大臣に私は理解をしてもらいたい。そしてこのことを単にだれが悪いとか彼が悪いとかという論議をせずに、日本の教育界にそういう不祥事をどうしたらなくすることができるかという一点にしぼって、この場合文部大臣に配慮してもらいたい。というのは、この論争を続けていてもらちがあきませんので、私はあなたに最終的に腹をきめて混乱をどうして防止してくれるかという見解を聞きたいのです。いかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) これはどうも混乱を起こそうとして起こされる場合はどうもしようがないと思います。だから、起こそうときめておる側に起こさないように頼むほかはないと思います。調査そのものは先刻も再三申し上げておりますように、全国的の視野に立った共通的な調査こそが必要であり、またこの方法以外にないわけですから、それぞれの何とか方式というものが必要であれば、別途の問題としてその県なり何なりでやられることは御自由であるわけですけれども、御自由であれ、またそのやり方によっての結果に基づく効果もあろうかと思いますが、全国一斉の同じ方式でやることに意義があり、また統計的な見地からも初めて効果が期待されるものですから、私は騒がないで、とにかく協力してもらったらどうだろう。そうして地方分権的な立場から、特に必要なことはまた別途やられればいいだろう。実力と称する暴力だけはやめてほしい、それだけを念じます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 そういうことを文部大臣が言っておっても、現場に発生する大混乱や不祥事は食いとめることが不可能じゃないんですか。今日において私はそれを心配するのです。何が起こってもいいのだ、そんなことは問題ではないという立場の人であれば別ですよ。私は少なくもそういう問題を起こしちゃならぬという考えを持っておる。それには少なくも文部大臣がこの場合、地方の教育委員会が教職員たちといろいろ話し合って円満に事が遂行できるのであれば自主性は認める。文部省としてはこういう内容をやってほしいけれども、その内容と異なる問題があっても、この場合やむを得ないという腹をきめるべきではないか。文部大臣はどうなんですか。どんな混乱が起こってもやる、混乱を起こそうとするほうにやめてもらうのだ。これは混乱を起こそうとするほうも私も予想できます。教員組合がそれをしようと。しかし、逆ピケが用意されている。乱闘が起こりますよ、各地で。警察官との間ではなくて、地域の住民同士の間に乱闘が起きる。そういうようなことが予想される今日のような緊迫の段階に立ち至って、なおだれそれが悪いのだとか、そういう乱暴をやめてもらうとか、きめたとおりやってもらうとか、そういうことをのんきに私は言っている事態ではないのではないか。文部大臣はその腹をきめる立場にある人間じゃないか。今あなたがそういう、たとえば教育委員会との自主的な調査、実施にまかせてもよろしいと、この場合最悪事態であるならばということの腹があんたにきまるなら、私は相当程度予想される混乱は防止できるという見通しなんです。それをあなたに腹をきめてもらえないということは、私は日本の教育にとってきわめて残念なことだと思う。いかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) どうも同じことを申し上げるよりほかにないわけですが、都道府県ごとの独自性を持ったものを調査をやられるということは一斉調査ではないわけですから、一斉調査は時を同じくし、内容を同じくし、やり方を同じくして初めて意味がある。効果が期待されることをやろう。そのことをやることは別に他意があるわけじゃ毛頭ございません。繰り返し申し上げるように、すでにして法律によって明らかに文部大臣の責任において義務教育の学習指導要領は定めて、そして教育の改善に努力せよと命令されている。そのことをこの学力調査を通じてもっともっと推進していく。もし、地域差があるならば、その原因は何だということはこの方法以外には、やり方の批評はあるとしましても方法がないわけでございますから、それをやろうというにとどまるのにかかわらず、なぜ暴力ざたに訴えても阻止すると言わねばならないだろうかということがどうしてもわからない。だから、まず第一に私は日教組それ自体がひとつ反省してもらいたい。逆ピケとか何とかということを言われますが……。

米田勲日本社会党

○米田勲君 わかりました、そういうことの繰り返しであれば。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) それは双方批判さるべきことはありましょうけれども、要は騒がなければいいんだろうという一言に尽きるだろうと思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私は最後に申し上げます。ずいぶん長い時間をかけてあなたと教育的な立場からこの学力テストの問題について意見の交換をしました。あなた自身もこの学力調査というものは子供の真の学力や能力を判定できる性質のものではないと認めている不備なものです。客観性の欠けるものです。しかもこの学力テストをやる結果、日本の教育の中に好ましくない傾向が増大される要素がある。しかもこのことはこういう文部省という国家権力がみずから乗り出して学力テストをやるなどという、そういう実例は世界のいずこの国にも行なわれていない。そのことの欠陥を知って行なわない。しかも法律的には、文部大臣はいろいろなことを言うかもしれないが、きわめてあなたの主張は疑義がある。やがて法廷で争うときでなければあなたを屈伏させることは不可能でしょう。しかし、私はあなたの法律的な見解や主張はきわめてあいまいであり、法的に言って弱点があります。そういう幾多の弱点を持ち、悪い傾向を助長する。しかも不確実な要素を持っているような学力調査を、どんな事態が起ころうと、これを強行するのだ。教育委員会の自主性はいかなる点についても認めない。実施要綱以外は認めない。こういう頑迷固陋なあなたの見解だということはわかりました。私は、あなたのような頑迷な文部大臣がこういうことを企画し強行する限り、日本の教育は救われないということです。今に十月二十六日を期してわれわれの想像以上の不祥事態が全国あちらこちらに起こるでしょう。私が今日この場所で、それを心配して、何とかしてそれを防止する工夫はないかと、あなたといろいろ相談しても、あなたは頑として譲らない。それこそ一歩も譲らない。しかもそれが法的に見ても教育的に見ても一点非の打ちどころのないものであるならば私は譲りましょう。しかし、それすらいろいろの非難がある今日、一歩もこの事態を解決する弾力ある態度を示さない文部大臣の態度には納得ができません。私は次の機会にさらに法律的な問題については、あなたと論議をしなければならないと思いますけれども、予定の時間を遠く過ぎて約束している時間を過ぎておりますから、これ以上質問を続けさせてもらうのは皆さん同僚議員に非常に迷惑をかけるので、この点できょうの質問を終わりたいと思います。

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 本日の調査はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時十一分散会    ————・————

国会会議録検索システムで原文を見る ↗