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39回国会参議院1961/10/05

文教委員会 第2号

発言数
164
登壇者
16
会派数
3
開催日
1961/10/05

会議録

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  まず、委員の異動につき御報告いたします。  去る十月三日、近藤鶴代君が委員を辞任され、その補欠として青柳秀夫君が委員に選任されました。また本日、千葉千代世君が委員を辞任され、その補欠として加瀬完君が委員に選任されました。  以上であります。     —————————————

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 次に、理事の補欠互選についてお諮りいたします。  委員の異動に伴いまして現在当委員会に理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠互選を行ないます。互選の方法は成規の手続を省略し、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に安部清美君を指名いたします。     —————————————

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 次に、委員長及び理事打合会の経過につき御報告いたします。  開会前、理事会を開き協議をいたしました結果、まず、定例日の件につきましては、今国会におきましても、従前どおり、本委員会の定例日を毎週火曜、木曜と決定し、なお、審議の上で支障の生ずるような場合には、適宜、理事会等におきまして御協議願うことにいたしました。  次に、本日の委員会につきましては、まず、ただいま本委員会に付託となっております日本育英会法の一部を改正する法律案、学校教育法等の一部を改正する法律案、公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律案、以上三法律案を便宜一括して議題とし、文部大臣より趣旨説明を聴取いたしました後、先般、当委員会が行ないました委員派遣につきまして、各派遣委員より報告を聴取いたし、引き続き当面の文教政策に関する調査を進めて参ることに決定を見ました。以上、理事会決定どおり委員会を運営いたして参りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 御異議ないと認め、理事会決定どおり運営いたして参ります。  速記をとめて。   〔速記中止〕

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 速記をつけて。  文部大臣の御出席が多少おくれましたので、まず、先般、委員会が行ないました委員派遣につきまして、派遣委員から報告をお願いすることにいたしたいと思います。  まず第一班、北海道班の御報告をお願いいたします。

北畠教真自由民主党

○北畠教真君 第一班の調査報告をいたしたいと思います。  第一班の北海道班は、豊瀬委員と私、それに調査室から滝調査員、法制局の国井参事、文部省の松平事務官が随行いたしまして、九月四日から九日間、北海道の教育状況をつぶさに視察いたしました。これからその結果の要点を簡単に申し上げます。  御承知のとおり、北海道は東北六県と新潟県を合わせたくらいの広大な土地に人口わずか五百万人が散在し、気候、産業、文化等、どの面から見ても恵まれない僻地的様相を示しております。すなわち、住民の所得や担税能力が低いにかかわらず、教育的支出は他県に比べて非常にかさむという悪条件を持っております。試みに北海道の義務教育を見てみましても、児童生徒数百十二万人、学校数三千六百五十校、教員数三万五千人であり、他府県に比べて学校数、教員数は非常に多く、生徒児童一人当たりの経費はその面で高くかかっております。たとえば、生徒児童数九十一万人の大阪府に比べて学校数は四倍、教員数は一・四倍であります。したがいまして、北海道教委を初めとする各教育関係機関から提出された資料や要望は、いずれも十分考慮すべき問題ばかりでありますが、以下、簡単に要約して御報告申し上げたいと思います。  その第一は、特別教室の整備であります。北海道における小中学校の特別教室の保有割合は基準の二二%、不足教室は約九千四百教室とのことでありますが、技術、家庭科の発足にも対処して、施設費、設備費の国庫補助増額を強く要望しておりました。  第二は、屋内体操場の整備で、積雪寒冷地帯にもかかわらず、これがない学校は全体の三分の一強に上っております。  第三には、老朽危険校舎の改築で、これも学校数四百三十七校、約九万坪に上っております。  第四には、高校生徒急増対策でありますが、現在、道内各市町村からの高校新設希望は四十校に上っておりますが、実際には十校程度しか道教委としては新設できないのではないかと頭を痛めており、臨時措置法制定による国の強力な高校急増対策の樹立を要望しております。また、これに併行して、高等学校教職員定数のすみやかな法制化をも要望されましたが、工業学校方面では実習助手等の定員をもう少しふやしてほしいと言っておりました。  第五には、科学技術教育の振興に関連して、産業教育振興法に基づく補助金の増額と補助率の引き上げ、まだ北海道にはありませんが、理科教育センターの設置、国立工業高等専門学校の設置、これも五つの市から設置希望が出ているほどの熱心さでありますが、こういうことが強く要望されておりました。  第六には、僻地教育の振興について、僻地集会室と教員住宅並びにテレビ受像機設置の予算増額と、僻地学校の保健等理についての国庫補助金の増額について陳情がありました。  第七には、教員養成問題に関連して理工系教員確保のための待遇改善を含む充足対策、学芸大学に養護学校、特殊学級等の教員養成学科の設置につき要望されました。  第八には、学校給食の普及拡大をはかるため、給食施設、設備費の補助単価の引き上げ、共同調理施設に対する補助制度の新設、学校給食用物資に対する国庫補助の増額拡大、準要保護児童、生徒に対する給食費補助金の増額と対象人員の拡大などを要望されました。  第九には、学校プールに対する補助金、北海道の学校プール保有率は全国平均の十分の一以下ですが、本年度の国庫補助対象校はゼロだったそうであります。こういうことから学校プールに関する要望も非常に強かったのであります。  それから学校建築工事費補助単価の引き上げ、日本学校安全会支部運営費の国庫補助、教材費国庫負担金の増額や、地方財政措置等によるPTA負担軽減についてそれぞれ陳情がありました。  以上が、要するに現在推し進められております北海道開発の施策に人間開発の要素を十分加味して、一そう教育振興施策が行なわれるよう地元では強く要望しているわけであります。  次に、現場調査による具体的な二、三の問題に触れたいと思います。  まず、千歳の自衛隊基地周辺の学校の騒音防止状況についてでありますが、著しい騒音の影響下にある学校が九校ございます。このうち防音工事が一応施されているのは七校であり、これらは昭和三十年以降逐次工事が施されてきたものであります。しかし、もはや今日では、F104という機種には対応できない不完全なものとなっております。したがいまして、RA3という鉄筋建築のしっかりした防音工事を施した施設を要望しております。特に千歳高等学校、千歳中学校、千歳小学校等は、木造老朽で、早急な建てかえを望んでおり、また、千歳高等学校では高校急増対策として学級増をせねばならず、その分についても防衛庁の補助を望んでおりますので、防衛庁当局の善処をお願いしておきます。  次に、定時制教育の問題でありますが、私どもは札幌工業高等学校を視察しました。この学校は全日制と定時制の併設校で、施設、設備をフルに運転しているまことに能率的な学校でありますが、設備は基準よりも相当劣っており、実習助手もきわめて少なく、特に夜間の方の教員は非常に不足しているため、半数以上が非常勤講師をもって充てていること、また、講師の手当もきわめて少額であるなど、相当無理をしている状況で、高等教員定数法の成立を強く望んでおります。また、いわゆる定時制教育と社内訓練施設の連繋についてはむずかしい点もあるが、現在の定時制教育の壁を破るためには、これはやらなければならない問題だという気がまえのように見受けられました。  次に、特殊教育に関連して、私たちは札幌盲学校を訪れました。札幌市内を見おろす丘の上に新しく建てられた明るいりっぱな校舎は、心の暗くなりがちな生徒たちに対して、最も適当な贈りものだということを私たちはここで知らされました。校庭ではボール遊びを楽しみ、柔道場では激しいけいこをしている元気な生徒たちが見受けられました。卒業生の職業開拓については、盲人といえども教育次第で何でもできます。ちょっと能率が落ちたり、ロスを出すことはやむを得ませんが。だから、雇用者側の理解と協力があれば職業分野は開けるはずで、官庁等の公共機関が率先して盲人を採用すべきですが、この点、現状は非常に不十分ですと、身体障害者雇用促進法の完全実施を校長から強く訴えられました。本校では七人の盲人の先生が働いておられることをつけ加えておきます。  また、寮母の問題については、いつも死と直面しているような弱い感じやすい盲人たちとの二十四時間生活はたいへんなことで、寮母の職は激務といっていい。だから寮母は増員してほしい。また、それまでの問は、お互いの協力で一週一日の休暇はとれるよう工夫しているとのことでした。なお、この寮母については、道教委のほうからも特殊勤務手当を出せるよう制度化してほしいとの要望がありました。  次に、国立大学の問題に移りますが、私どもは、北海道大学と帯広畜産大学を視察しました。北海道大学の杉野目学長からは、特に国立文教施設費の増額について要望がありました。本学には何百と施設がありますが、老朽度の高いものが相当多く、ことに、学生たちが始終利用する図書館が半分建てかけたままになって、何年も放置されていたり、こわれかかった屋内体操場や古い寄宿舎が目につきました。学長は、学生の生活環域の改善ということを強調しておりましたが、確かに寄宿舎、学生会館、図書館、屋内体操場等を完備して、大学を学生の二十四時間教育の場所にすることは、今後の大切な教育目標であると考えます。学生補導等の問題も、こうした環域改善運動が進められてこそ、効果があるものと思われます。なお、寄付によって建設されたクラーク会館は非常にりっぱでありますが、今後この経常的運営費、約八百万円だそうでありますが、この運営費の捻出には頭が痛いと学長は述べておりますが、このような経費は、当然、大学予算で見るべきものと考えます。  また、私たちは部局長会議に出まして、大学首脳部と懇談いたしましたが、工学部がブームの隠れてしまったかに見える人文科学系の重視について、また、大学院を置く大学における講座制の専門学科の教官と学科目制の一般教養の教官との問における研究費、旅費等の差別問題について、あるいは臨時工業教員養成所における一般教養担当の責任をとる専任教官がないことに対する不安、疑問等について、意見や陳情を聞きました。  次に、帯広畜産大学においては、本学がわが国に唯一の特殊な大学であるため、子弟は全国から集まり、寄宿舎収容学生は八割に上っているが、その寄宿舎が老朽であり、冬季は零下二十度以下、吹雪は廊下に積もる有様で、使用にたえないため、至急鉄筋改築をしてほしいと強く要望を受けました。また、ここでは地域の要望にこたえ、主として農業技術教育を施す二年制度の別科を設けておりますが、将来は短期大学にしてほしいという意向でありました。  最後に、阿寒湖の特別天然記念物マリモの保護状況について申し上げたいと思います。御承知のとおり、マリモは北海道観光ブームの影響もあって全国的に有名となり、このため、阿寒湖を訪れ、マリモを見る人々は急増しております。しかし、最近は、文化財保護のPRが行き届き、これをみだりに持ち去ったり破壊する者は皆無といってよいとのことであり、また、阿寒町でも管理人を置いてその保護に万全を期しております。  しかし、実はここに問題が二つあります。一つは、電源開発、いま一つは遊覧船であります。阿寒湖の水は北海道電力の発電に利用されておりますが、四月ごろの渇水期になりますと、マリモ生息地帯の水位は非常に下がり、何万何十万というマリモが水のかれた地域に打ち上げられたままになり、ついに枯死するという状態が最近ひどいと聞きました。このため、渇水期における電力会社の水の利用の調整ということを話し合っているが、うまくいかないので、とりあえず、文化財保護委員会と道教委から補助金を支給してもらい、総額五百三十万円をもってコンクリートの堤を築き、打ち上げ防止をはかることになっているが、これも当初の五百三十万円の予算では不足だとの専門家の意見であり、また、この堤で保護が十分かどうかも保証しがたいと阿寒の町長は申しておりました。  もう一つの遊覧船の問題でありますが、本年は夏までにすでに阿寒への観光客は十万人をこえているよしで、その七、八割は遊覧船に乗ってマリモ見学を行なったそうであります。遊覧船会社の方でもスクリューでマリモを引っかき回すような愚は避けて、生息地の前方で船をとめ、それから小舟にお客を移しかえて見せるなど、慎重にやっていると説明しておりますが、私たちは、船を使わないで自動車を利用して現場のなぎさに行ったため、実情はよくわかりません。しかし、船から流れ出る油はどうしても湖面に浮きます。この油がいけないと思うと、ある大学教授は言っておりました。いずれにいたしましても、根本的、積極的な調査が必要だと思います。世界にもあまり類のないこの特別天然記念物の完全な保護と、その公開利用と、さらには電力などの産業開発面と、これら三つの調整は、早急な研究調査の上で、すみやかに行なわれるべきであり、文化財保護委員会がみずから出かけていって事に当たるべきではないかと、かように感じた次第であります。  以上、簡単でありますが、報告を終わります。

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 次に、第二班、九州班の御報告を願います。

安部清美自由民主党

○安部清美君 第二班について御報告申し上げます。  第二班は、米田委員と私、それに随行として調査室から菊地調査員、文部省から北川事務官が同行いたしまして、去る八月二十八日から九月四日に至る八日間、長崎県及び熊本県における教育一般問題を初め、大学、文化財保護等の実情につき調査をいたして参りました。  以下、問題となりました点を簡単に御報告いたします。  まず第一に、長崎県及び熊本県の教育委員会との懇談におきまして問題となりましたおもなる点について申し上げます。  長崎県は、御承知のとおり、六百余の離島僻地を抱く全国有数の僻地県でありまして、学校数において四一%が僻地学校であり、教職員数において二五%が僻地学校に勤務いたしております。本県の教育行財政の主眼も右のような状況から、勢い、離島僻地教育対策にしぼられているようでございました。僻地教育振興対策につきまして、何といっても一番問題となりますのは、優秀な教育をいかに確保するかということでございます。本県でもその対策に腐心いたしており、第一に、僻地派遣教員制度を設け、本土の優秀な教員を三カ年離島にある僻地に派遣し、三カ年経過後は、本人の希望地に優先転出を取り計らい、また、反対に、離島出身の僻地勤務教員には二カ年間本土に派遣することといたしております。  第二は、特別奨学生制度であります。すなわち、離島教員を希望する離島地区出身の長崎大学学芸学部の在学生に対し、県から二千五百円、出身市町村から二千五百円、計五千円を貸与し、卒業後は出身の離島に勤務させる制度でありまして、昭和三十四年度から実施し、現在六十二人がその対象になっているとのことでございました。  第三は、女子教員養成課程制度であります。この制度は本年度から実施されたもので、県費負担によって長崎大学に女子教員の二年課程コースを設け、卒業後は離島へ配置することになっております。  以上が本県の僻地教員確保対策でありますが、これらの措置を見まして、関係者の努力の跡が私どもにもよく理解されました。しかしながら、これらの措置はあくまで次善の策でありますので、根本的解決には、僻地教員に対する諸給与について優遇措置を講ずるなど、思い切った施策をとってほしいとの関係者の要望がございました。また、離島僻地のような医者の少ないところには養護教諭が必要であるにもかかわらず、現行の教職員定数の算定方式による養護教諭のワクでは、小規模学校にはほとんど配置ができない結果となりますので、是正の措置を講じてほしいとの要望がありました。なお、学校給食は、年収二十万円以下という低所得階層の多い離島僻地の子供たちにこそ必要であるにもかかわらず、給食費が払えないため、本県の小学校では給食実施校の比率が五九%となっており、離島僻地への伸びが頭打ちになっているということでありました。  以上を総合いたしまして私どもが感じましたことは、現行の文教政策が都市中心に傾いていないか、もっと小規模学校を有する僻地に対して、国のきめのこまかい施策が強力に行なわれるべきではないかということであります。  次に、熊本県教育委員会との懇談におきまして、まず問題となりましたのは、本県の高等学校生徒の急増対策でありました。本県の教育委員会におきましては、昭和三十七年度以降における高等学校生徒の急激な増加問題を真剣に取り上げ、それに対処するため、基本的な対策樹立についての諮問機関として、熊本県公立高等学校生徒急増対策委員会を本年一月二十八日に設置いたしております。この委員会は、熊本大学教育学部長を初め、高等学校、小中学校の校長、教育委員、PTA、県会議員、県教職員組合等、あらゆる方面の教育関係者によって構成され、文字どおり全県あげての協力体制ができておりました。委員会の答申は、去る六月二十六日に行なわれておりますが、まとまった資料でありますので、本報告に添付いたしますから、速記録に掲載いただくよう委員長にお願いいたしたいと存じます。なお、県教委からは、熊本県は特に財源が乏しいので、高等学校急増対策について強力な立法措置を講じてほしいという切実な要望がありました。  問題の第二は、公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律案の成立についてでございます。本案成立によって、本県では二百人近くの教職員増が可能となり、また、私立学校関係者も、国の助成があれば本法案に賛成するという意向を持っているので、その点を考慮に加えてすみやかに成立させてほしいということでありました。  第三は、工業高等専門学校の誘致のことでございます。本県は御承知のように農業県でありますから、学校の卒業生はほとんど他県の工業地帯等へ出かせぎに行く者が多く、これが熊本県の伝統的宿命となっております。県としては、それだけに人材養成に力を入れている方針であるから、この際ぜひ工業高等専門学校を本県に設置してほしいということでありました。その他、建築費の値上がりに伴う学校建築単価の大幅引き上げ、学校給食費一円補助の継続、養護教諭養成数の増加等についての要望がありました。  第二に、盲、聾学校について申し上げます。長崎県立盲学校は、明治三十一年、民間人によって創立された歴史ある学校でございました。校長から、先国会における盲学校、聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の改正によって、学用品購入費が新たに支給されるようになったこと。また、高等部生徒の給食費が支給対象になったこと及び本年度から生活保護基準が大幅に引き上げられ受給者が増員されたこと、その他、支給単価の引き上げ等の改善措置によって、盲教育に携わる者として非常に勇気ずけられたと感謝しておりました。  しかしながら、問題はまだまだ残っており、その第一点は、学用品購入費は、高等部、専攻科へ進むに従って高額になっておりますので、高等部及び専攻科の生徒も支給対象に加えてほしいということであります。  第二点は、盲学校における職業教育対策問題であります。鍼灸按以外の新職種の開拓には本校も研究を重ねてきたが、いろいろな面で不成功に終わったということでありました。本年度から、文部省がこの問題に意欲を示し、研究校を指定したので、今後の成果に期待していると言っておりました。さらに、この点に関し研究指定校の数をふやすこと、学校に付属した職業補導所の設置、盲人のための雇用促進についての一そう強力な措置等を要望しておりました。また、鍼灸教育の強化充実をはかるため、鍼灸の学問的研究機関を設置し、その近代化に努力してほしい、そうして盲学校以外の鍼灸師養成施設を抑制してほしいと強い要望がありました。その他の問題で特に強調されましたことは、寮母の増員とその勤務形態の改善措置の要望でありました。  聾学校では、本渡市にある熊本県立天草聾学校を見て参りました。本校は、周囲を美しい田園と公園に囲まれた明るいところにあり、子供たちにとってまことに恵まれた環境でありました。この学校には高等部がなく、高等部へ進学しようと思えば、海を渡って熊本市まで行かなければならないため、本校の高等部への進学者はきわめて少なく、毎年一、二名程度という現状であります。したがって、基礎的な職業訓練ができないまま卒業していく子供たちは、中途半端な技術しか教育されないので、ぜひ本校にも高等部を設置してほしいとの希望を述べておりました。その他寮母の勤務時間の問題、職業補導所等の問題につきましては、おおむね盲学校のところで報告いたしましたところと同趣旨でございますので、省略いたします。  第三に、熊本県の高等学校教育について申し上げます。天草農業高等学校は、三つの分校を持ち、生徒数は本校六百三十九名、分校百十八名、計七百五十七名在学しており、教職員数は本校五十六名、分校二十七名、計八十三名おり、水田、果樹園、山林等の実習用地を約七万平方メートルを有し、実習用地から年間約三百万円の収益を上げているということでありました。この学校の就職率はきわめて良好であって、遠く工業方面からも募集に来ており、また、地域の農業に対して、品質改良、経営の改善にも大きな功績を上げているとのことでした。しかし、近年、施設設備のほうは民間のほうがずっとよくなっていると申しておりました。問題となりました点は、第一に、本校の体質改善であります。それは農業の機械化と、家具、農機具等の製造加工という新しい分野をになう農産製造科の設置の問題であります。現在、農産製造科の設置につきましては研究を進めており、工作室でその試作品を見て参りました。機械化の問題はどうしても予算との関係があってむずかしい問題であると思われました。  第二としましては、実習助手の不足の問題であります。現在員六名では足らないので、将来、実習教諭一人につき助手一人という線で措置してほしい旨、要望がありました。  熊本県立天草高等学校におきまして特に問題となりましたのは、この学校のように離島僻地に来た教員は、四、五年もたつと熊本市近辺の学校へ転出するため、教諭の約半数は三十才以下であり、四十才以上は約二〇%という年令構成となっており、いわゆるベテラン教員の割合がいつも少ないということでありました。これがため応急対策として、早急に教員住宅を建ててほしいと校長からの要望がありました。  次は、やはり何と申しましても、県当局からも話のありました来年度以降の生徒の急増対策問題であります。現状のままでは、運動場を初め、教室等すべて相対的に狭くなり、設備の不足をもきたし、教育効果に大きな障害を与えるので、すみやかに措置を講じてほしいと現場からの切実な要望がありました。  以上、両県における教育委員会及び教育現場からのいろいろな要望を聞きましたが、その多くは県教委において措置されるべき問題でありますが、県の財力が弱いため、その実現もむずかしいようであります。特に高等学校の生徒の急増対策につきましては、およそ現在の県財政力では解決の見通しはまことに暗いものがありますので、補助金等による国の強い措置が必要だと思われました。  次に、大学について御報告申し上げます。まず、長崎大学について申し上げます。本大学の長い間懸案となっておりました水産学部の移転問題は、本年中に佐世保から長崎市に移転の実現をみる予定となっており、文字通り総合大学として一段と効果の上がることが期待されました。教養課程の充実について学長より、従来、学部の教官を教養部に兼任させていたが、教育の成果が思わしくないので、教養部に専任の教官を置いたところ、その教育効果はきわめてよく、特に水産学部の学生に顕著であったとの実情を述べられ、さらに概略次のような要望がありました。第一に、教官研究費をすみやかに戦前の水準に引き上げてほしいこと。第二、国立大学施設整備五カ年計画を当初の目標通り完全実施すること。第三、人文社会科学部門の振興に要する経費が自然科学部門に比して大きな格差があるので引き上げること。第四、大学教官の給与水準を戦前における各職種問の均衡水準まで引き上げること。さらに、本大学独自の要望として、工学部の新設及び医学部に原爆研究施設の設置を強調されました。  次に、熊本大学について申し上げます。本大学におきましては、法文学部の法学科の育成に力を注ぎ、将来は、これを法文学部から独立した学部にしたい意向を持っておりました。また、薬学部の研究範囲が、近年、物理、化学の領域まで広がってきたので、これに対応し、その敷地を理学部、工学部の近くへ移転する対策を立てている等、意欲的な学長の計画を聴取して参りました。なお、大学制度の問題につきまして、学長より、教育制度の改革というものは長い目で世界の動きを見ながら慎重に考慮すべきであると前置きしながら、まず、今の大学の教養課程の内容を再検討すべきであること。すなわち現在、教養課程は人文、社会、自然科学の三系列に分かれ、さらに系列ごとに数種類の教科に分かれ、学生はこれを選択することになっているが、これは非能率的であり、教育効果も薄いと考えられるの貧英米のように総合カリキュラムを組むべきであるという見解でありました。その他、大学の目的の明確化、大学院の強化充実、学年開始時期を九月にすること等の見解は、さきに行なわれました中央教育審議会の中間報告とほぼ同趣旨のものでありました。  次は、日本における外国留学生の問題であります。現在、熊本大学医学部にも若干の留学生が来ておりますが、大学側で指摘いたしました点は、第一に、必要な修得学科について留学生の立場を考慮していないこと。たとえば、医学を修得するために来た留学生に国文学等を取得ささているが、ドイツでは、日本の留学生に対して専門と関係がない場合、ラテン語等の学科の取得を免除している状況であるから、ぜひこの点を考慮に入れてほしいこと。第二に、現在、留学生を指導するための予算が特についていないので、特別なめんどうが見られず、十分な指導もできない状況であるから、留学生を指導する予算をつけてほしいということでありました。  その他、地方大学が地方の文化センターとして各方面に活躍している実状をよく認識されて、国はもっと積極的に地方大学の育成に努力してほしい。特に国立文教施設整備費は予算総額が少い関係上、地方大学への配分は一そう少額となるから、この際、大学施設のための公債の発行を考える等、特別の方法を講じて整備してほしい旨強調されました。また、学内のまとまった要望ではありませんが、薬学部長から、薬学部に大学院を設置してほしい旨の希望がありました。  最後に、文化財について申し上げます。長崎県の崇福寺は、約三百年前、中国僧超然の創建によるものでありまして、大雄宝殿とともに国宝に指定されている崇福寺の第一峰門は、檀首林仁兵衛によって建立され、各部材は中国で工作し、現地に運んで建築されたともいわれ、屋根は入母屋造り、朱塗りの四脚門で石階の上に立ち全体の構造、意匠等、中国風のりっぱな趣がありました。この門を一名唐門とも称し、各部材の形状など特異な点が多く、また、この門全体に描かれていた模様は、特にすばらしいものであったにもかかわらず、大半ははげ落ちて、今は化粧たる木の下端にその面影を残しているのみであります。せんだって文部省から視察があって、その模様の優秀性と、その塗装についての復元の緊急性を認めたので、ぜひ予算措置を早急に講じてほしいという要望がございました。その他、長崎県では大浦天主堂、旧グラバー邸、眼鏡橋等を視察し、熊本県では熊本城を見て参りました。  なお、熊本県におきまして二団体から要望、陳情がありましたので簡単に報告いたします。  公立学校共済組合熊本支部長から、国立学校の教職員に対しては、昭和三十四年から国家公務員共済組合法による新退職年金制度が適用実施されているので、公立学校の教職員に対しても、すみやかに新退職年金制度を実施してほしい旨の要望がございました。熊本県教職員組合からは、学級定員、職員の給与及び勤務条件等の改善について陳情がありました。  以上をもちまして簡単ながら第二班の報告を終わります。

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) ただいま安部委員の御報告の中にありました熊本県教育委員会に対する答申書を会議録に掲載することにつきましては、委員長において御希望どおり取り扱いたいと存じます。  なお、両班の報告に対する質疑は政府においても十分検討した後に行うこととし、後日に譲ります。     —————————————

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 次に、日本育英会法の一部を改正する法律案、学校教育法等の一部を改正する法律案及び公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律案、以上三法案を便宜一括して議題とし、文部大臣より趣旨説明を聴取いたします。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) このたび政府から提出いたしました日本育英会法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申しあげます。  昭和十九年、日本育英会法施行以来、日本育英会は、年々堅実な発展を遂げ、今日まで同会を通じて学資の貸与を受け、その勉学を続けることができた学徒は、きわめて多数に上り、国家的な育英事業として多大の成果を収めて参りました。日本育英会から学資の貸与を受けた者は、修業後一定の期限内に、その貸与金を返還する義務を有しておりますが、特例として、それらの者が義務教育に従事する教員または高度の学術研究者となった場合に、その貸与金の返還を免除できる制度を設けてまいりましたのは、それらの分野に積極的に人材を誘致し、義務教育の充実と学術の振興をはかろうとする趣旨に基づくものであります。ところが、近年、高等学校進学者の急増に対処し、また、科学技術者の育成を促進するため、高等学校、大学または高等専門学校に優秀な教員を確保することがますます重要になって参りましたので、これに応ずる措置を講ずるとともに、日本育英会の貸与金の回収を一そう適確に行なうため、現行法の一部に必要な改正を加えることが適当であると考え、この法律案を提出するものであります。  改正の第一点は、大学における貸与金の返還を免除される職のうちに、高等学校、大学、高等専門学校その他の施設の教育の職を加えたことであります。改正の第二点は、大学院における貸与金の返還を免除される職のうちに、中学校、高等学校および高等専門学校の教育の職を加えたことであります。改正の第三点は、日本育英会の業務の方法のうち、とくに貸与金の回収に関するものは、主務大臣の定めるところによるものとしたことであります。改正の第四点は、当分の間、大学もしくは大学院または高等専門学校で学資の貸与を受けた者が、沖繩の教育または研究の職についた場合も、日本本土の場合と同様に、その貸与金の返還を免除できる規定を設けたことであります。改正の第五点は、当分の間、貸与金の返還免除については、国立工業教員養成所を大学と同じ取り扱いとしたことであります。  以上が、この法案の提案の理由及び内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛同下さるようお願いいたします。     —————————————  次に、このたび、政府から提出いたしました学校教育法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、学校教育法につきまして、高等学校の通信制の課程の整備並びに高等学校の定時制の課程及び通信制の課程と技能教育施設との連携のため所要の規定を設けるとともに、特殊教育及び就学義務関係の規定等を整備し、また、私立学校法につきまして、通信制の課程の整備に伴う学校法人にかかる認可等について所要の規定を設けることとしたものであります。  まず、学校教育法の改正といたしましては、第一に高等学校の通信による教育を行なう課程を通信制の課程として整備したことであります。高等学校の通信による教育は、その発足当初の諸事情のため、全日制の課程または定時制の課程における教育方法として考えられ、現在まで運営されてきたのでありますが、最近に至り、年々これを利用する生徒数も増加し、関係者の努力によりその内容も充実し、定時制の課程と並んで勤労青年を対象とする教育の上に相当の役割を果たすに至ったのであります。そこで、このたび、これを全日制の課程、定時制の課程と並ぶ独立の通信制の課程として明確に位置づけるようにするとともに、通信制の課程のみを置く高等学校の設置をも認めることといたしたのであります。また、通信による教育は、これまで都道府県を単位として行なわれていたのであり、将来もその発達を促進するとともに、最近におけるラジオ、テレビの普及に伴い、通信教育にこれらの新しい教育手段をも考慮し、全国または数都道府県を実施単位とする広域の通信制の課程をも設置し得る道を開くことといたしました。なお、広域の通信制の課程の設置、廃止等にかかる都道府県の教育委員会または知事の認可を行なうに際し、全国的見地からの調整、教育水準の維持の必要等の見地から、あらかじめ、文部大臣の承認を受けて行なわせることとして、その適切な実施を確保しようとしたのであります。これらの法的整備をはかるとともに、さらに各般の行政施策を講じ、勤労青年の教育の機会の普及拡充に今後格段の努力をいたしたいと存ずるのであります。  第二は、高等学校の定時制の課程および通信制の課程と技能教育施設との連携をはかることであります。高等学校の定時制の課程または通信制の課程に在学する生徒が、同時にまた事業内訓練施設その他の技能教育施設において相当組織的な教育を受け、その成果を上げている場合がありますが、その施設、設備、教員組織、指導内容等が高等学校と同等以上と認められるときは、これらの技能教育施設における学習を高等学校における教科の一部の履修とみなすことといたしました。このことにより学校と産業界との相互の連携を密にし、技能教育についての能率を高め、もって科学技術教育の振興に資することといたしたのであります。  第三は、特殊教育に関する規定を整備いたしたことであります。すなわち、現在、盲学校、聾学校及び養護学校の幼稚部及び高等部は、単独には設置できないこととなっておりますが、特別の必要がある場合には、これらの部をそれぞれ単独に設置し得る道を開くとともに、盲学校、聾学校、養護学校または特殊学級において教育することが適当な児童、生徒の範囲を明確にし、もって特殊教育の振興に資することといたしたのであります。なお、これらのほか、義務教育諸学校にかかる就学義務に関する規定等を整備することといたしたのであります。  次に、私立学校法の改正につきましては、主として学校教育法の改正による高等学校の通信教育制度の改正に伴い、規定の整備をはかったものであります。すなわち、広域の通信制の課程の設置、廃止等にかかる認可につきましては、文部大臣の承認を経ることといたしましたことに伴い、これを設ける学校法人についても、同様の措置を定めるなど所要の規定を設けることといたしました。  以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。     —————————————  次に、今回、政府から提出いたしました公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  高等学校は、義務教育に続く学校として戦後の学制改革により新たに設けられた制度でありますが、十数年を経過した今日におきましては、中学校卒業者の半数以上が高等学校に進学しており、わが国の学校教育において大きな役割を果たしているのであります。しかしながら、高等学校の設置、規模、学級編成、教職員定数等につきましては、従来、学校教育法及び文部省令である高等学校設置基準等の規定を根拠としてきたのでありますが、その後、高等学校教育の実態が大きく変化して参り、現行の規定が必らずしもこれに即応しないこと、高等学校の教育課程の改訂に伴い、これを実施していくために必要な教職員定数を確保しなければならないこと、最近における地方財政の実情にかんがみ、高等学校の設置について国が一定の基準を示す必要があること、また、今後における中学校卒業者数の急増に伴い、高等学校進学者数の増加に対処する必要があることなどの理由により、公立高等学校の設置、適正な配置及び規模並びに学級編制及び教職員定数の標準について、国の方針を策定することが緊要となって参ったのであります。  政府におきましては、これらの実情にかんがみまして、この際、これが解決をはかるべく、本法律案を提出いたしたのであります。すなわち、この法律案は、公立高等学校の設置について所要の規定を設けるとともに、その適正な配置及び規模並びに学級編制及び公立の高等学校に置くべき教職員の定数の都道府県または市町村ごとの標準を定めることとしたものであります。  まず、公立の高等学校の設置につきましては、現在、都道府県及び市町村がこれを設置する場合には別段の制限がないのでありますが、一方、地方自治法におきましては、高等学校に関する事務は主として都道府県が処理するものと規定されております。この法律案におきましては、この考え方を進めて、公立の高等学校の設置は原則として都道府県が行なうものとし、政令で定める一定基準に該当する市町村は高等学校を設置することができるものとすることにいたしました。  第二は、公立の高等学校の配置及び規模の適正化について規定したことであります。すなわち、都道府県はその区域内の公立の高等学校の配置及び規模の適正化に努めなければならないことといたしました。なお、この場合において、私立の高等学校が公立の高等学校と相ともに高等学校教育の普及と機会均等のため果たしている役割の重要性にかんがみ、私立の高等学校の配置状況を十分に考慮しなければならないことといたしました。また、公立の高等学校の学校規模の最低標準を定め、高等学校の教育水準の向上をはかることといたしたのであります。  第三は、学級編制が教育効果の上に大きな影響があることにかんがみ、学級規模の適正化をはかるため、その標準となるべき生徒数について規定いたしました。  第四は、公立の高等学校の都道府県または市町村ごとの教職員の定数の確保をはかるため、その標準となるべき数を定めたことであります。すなわち、この法律案におきましては、校長、教諭、助教諭、講師、養護教諭、実習助手、事務職員などの職種別に教職員数を算定し、これらの数を合計して、都道府県または市町村ごとに置くべき教職員の定数の標準となるべき数を定めたのであります。この場合、標準となるべき数の算定の基礎については、高等学校の課程ごとの生徒の数を基本とし、これに課程の特色や学科の数、学校規模などの諸条件を十分考慮するようにいたしました。なお、これらの教職員の具体的配置については、各教育委員会が、地方の実情に即して適切に措置できるように考慮したのであります。  第五は経過措置であります。その一は、この法律案によって算定した教職員定数の標準を実施することに伴う急激な財政負担を緩和するための規定でありまして、この法律施行の際、現に定められている教職員の定数がこの法律による教職員定数に達しない都道府県または市町村は、昭和三十八年三月三十一日までの間に、順次、教職員定数を充実していかなければならないことといたしました。その二は、昭和三十八年度以降昭和四十四年三月三十一日までの間における生徒数の急増に対処するための措置でありまして、この間におきましては、約一割までの生徒増について教職員定数を増加させることなく、生徒を収容できるようにいたしたのであります。なお、これに伴って、この期間中は学級編制の標準についても、一学級あたりの収容生徒数を一割だけ増加できることといたしました。  以上が、この法律案を提出いたしました理由及び内容の概要であります。何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申上げます。

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) ただいま趣旨説明を聴取いたしましたが、三法案に対する質疑は後日に譲ります。     —————————————

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 次に、当面の文教政策に関する調査を進めます。  質疑の通告がありますので、この際発言を許します。

米田勲日本社会党

○米田勲君 九月二十六日には全国的に小学校並びに高等学校の一部抽出法による学力テスト、十月二十六日には全国の中学校二、三年の生徒を対象として一斉に学力テストがそれぞれ実施され、または実施される予定と聞いておるが、今日、文部省によって行なわれるこれらの学力調査の実施をめぐって激しい論議が戦わされておりますが、国家権力による学力調査は日本の教育に甚大なる影響を与えるということでは、文部省と私はその認識を異にしております。また、本問題をめぐる事態は文部当局が考えているような平穏無事なものでは決してなく、また、その論議されておるものの中には幾多の疑義もあるわけでありますので、この際、私は詳細に文部大臣の見解をただしたいと考え、逐次質問をする次第であります。  一般的に言うと、学力調査というものは児童、生徒の学力の実態を知って、それを教育実践や教育行政に生かすものであります。今日、全国的な視野に立つ学力調査が純粋な意味において日本の民主教育の前向きの改善、充実のための資料として、ぜひ必要なことだと称して、国家権力による学力調査を多くの識者の批判を排除して強行されているわけでありますが、しかし今日、これらの学力調査をめぐって、文部大臣は承知しているかどうかわからないが、教育実践者である教師、教育委員会、父母たちの中で騒然たる事態を引き起こしているのであります。これがこの文部省の学力調査をめぐる現実の姿であります。特に全国の教師の集団である日教組、日高教、そして県教組、県高教組、日本の小中高校のほとんど学校の先生の大部分は文部省の学力調査を批判し、これに反対をし、非協力の方針で活動をし、小中高校の校長会や、また多くの父母も相当数にわたってこの方針に同調をしております。このような事態に耳をおおって、ただがむしゃらにこの学力調査を強行すればよいとする、そういう態度の前に私はもっと文部大臣は冷静、慎重に、かつ謙虚に識者の批判に耳を傾ける必要があるという立場を私は痛切に感じているものであります。こういう立場で、まず私は文部大臣にお尋ねをいたします。このような多くの反対の声の中で学力調査を強行しなければならなくなったということは、学力調査そのものの善悪の論を抜きにしても、こういう事態の中で強行されるということは文部大臣の責任ではないのか。多くの関係者に、謙虚にして、かつ十分な説得を行なって、その協力を得るような努力を今まで一体してきたのか。もし、してきたとすれば、どのような努力をしたか、具体的にその手続をまずお伺いいたします。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 十月の一斉学力調査は、御承知のように、たしか昭和三十一年度からサンプリング調査をいたして参っておりますが、その調査の結果は非常に有意義な資料となって活用されているのでありますが、このサンプリング調査にもだんだんと自分の費用で参加する学校が多くなりまして、私の記憶によれば、全関係学校の五〇%ないし六〇%が希望しておられる実情を承知いたしております。そこで、サンプリング調査それ自身も、むろん効果はございますが、一面、義務教育というものが、私の理解によれば、児童生徒の生まれながらの能力が同じならば、北は北海道から沖繩に至りますまで、義務教育課程を通じての教育の成果が知能的に、学力的にどこでも同じだというふうになることが望ましいことと、まあ心得るわけであります。そういうことに持っていきますために必要な措置を講ずることが、文部省としての責任であると存ずるのでございますが、そういう考え方に立ちまして、サンプリング調査にさらに竿頭一歩を進めて、全国的な調査をすることによってそれぞれの較差等も出て参るのが必然の結論かと思いますが、その結果に基づいて一々の較差の原因を探求し、その原因の確認に立ってこれを前向きの改善の資料にしていく、そういう責任を果たす必要もございますので、すでに予算も御審議願って御決定いただいて、実施の段階に入ったというわけでございます。これに対する反対の意見があることも承知いたしますが、その反対の意見は多くは見当違いなものが多いと心得ております。また、積極的な改善意見に類することもむろんあると思いますが、それらは一回やって見て、やった結果について、さらに第二回目の来年の一斉調査の改善のための資料にするという態度で受け入れるべきものと心得て、予定どおり実施する考えでおるわけであります。もちろん、この実施につきましては、教育委員会の意見、あるいは教職員の立場においての教員の意見、それは学校長会等を通じまして意見を聴取して、その意見を参考にしながら準備をととのえ、実施しようといたしておるような次第であります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 文部大臣は、今答弁した中に、文部省のやろうとしておる学力調査に反対しているのは見当違いの考え方であると言っておる。私は、本委員会でこれからこの問題について、あらゆる角度からあなたにお尋ねをするつもりであるが、見当違いの考えはあなた自身なのだ。結論はそういうふうに出てくるはずである。それから、こういう学力調査をやる場合に、ごうごうたる非難の中で、非協力の態勢の中で強行されなければならないという事態は、これは一体、文部大臣はどう考えるのか。自分の考えを押し通すためには、あらゆる人たちの意見を押し切っても、自分の考えを進めていくんだという、そういうがむしゃらな態度が直らない限り、他人の批判はあなたの耳に入っていかないというふうに考えるわけであります。  そこで、文部大臣にさらにお伺いしますが、各学校における教育実践者——教師であります。その教育実践者の理解と協力もない態勢のままで強行される学力調査というものが、一体成功すると考えているのかどうか。成功するという意味は、権力的な行使が成功するということではなくて、教育的な成果が期待できると考えているのかどうか、まずこの角度から大臣の見解をお聞きしたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げますが、現場の先生方が協力して下さらなければできないのは、これは物理的に必然であります。しかし、協力しないことに間違いがある。協力してもらうのが当然であると私は心得ます。それは、いろいろな反対の理由を述べて協力しないと言っておられるようですけれども、その反対の理由は、さっき申し上げましたように、私は見当違いだと思います。もし意見があるとすれば、今も申し上げましたように、一ぺんやってみて、そうしてそのやったことについて、こうもしたらもっと成果が上るであろうという建設的な意見を私は望ましいと思うものであります。やっていただきたい。協力が得られなければ成果が上がらないことは仰せのとおりであります。協力していただきたいと、私は全国の児童生徒とその父兄にかわってお願いしたいと思っているわけであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 教育実践者の理解と協力がなければ、こんなものは権力的に押し通してみても成果の上がるものでないということは、私たちと同じ意見のようです。それでは、最初にお聞きした、あなたはそういう人たちの広い理解と協力を得るために、どれほどの努力をしたのか。聞くところによると、あなたは、この問題等をめぐって、日本の各地で演説会をやったり、座談会を開いたりしている席上、教育実践者の問題について、あしざまにののしっている事実がある。そういうあしざまに教師をののしるような文部大臣のやることに対して、一体協力するような気持が出てくるかどうか。みずから非協力の態勢を作るように、文部大臣は全国を歩いて教職員組合を罵倒したり、学力調査に反対する意見を持っている教師たちにあしざまな言葉をもって報いている。こういう態度では、かりに協力できる態勢があるとしても、片っ端からそれはぶちこわされていくと私は思う。このことを文部大臣は強行する際に、多くの人の理解と協力を得ようとするというより、みずからこれを強行しようということが先行しておる。権力的にこのことをやろうとしておる。ここに私は間違いの根本があると思うし、また、文部大臣に考えてもらわなくちゃならぬのは、一度やってみたらいいではないかというものの考え方であります。百メートルの競走をする際に、ああだこうだと、走法だとか、あるいはスタートのことについて論議しておるより、まず走ってみたらどうだという、そういうことと、教育の将来なり、現実の問題に重大な影響を与えるであろうという角度から、みんながそれを心配をしておるのに、一度やってみたらいいでないかという軽率な論は、およそ文部大臣、日本の教育の問題について誠心誠意考えている者の言葉としては受け取れない。そういう、ためしにやってみればいいというような軽率なことでは納得ができない。この点はいかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えします前に、私は方々で演説会もいたしました。そのときに、日教組という団体の性格なり目的なりというものを批判したことはあります。一般に教職員そのものを罵倒したことはいまだかってありません。それとこれとは全然別個の問題です。教職員という立場においては、一人々々の先生方が協力して下さらなければできないことは、さっきも申しましたが、その教職員の立場の先生方の御意向は、むろん一人々々には聞けませんので、学校長の会合等を通じまして、現場教職員の意見等は文部省としては聴取いたしまして、それを参考として一斉学力調査実施の準備参考事項としてとったわけであります。反対の意見を無視して強行するなどという、そういう意思は初めからございません。今も申し上げますように、反対するということ、そのことがどうも見当違いだと思っておるだけであります。このことをやるにつきましては、すでにこの委員会でも、国会でも御審議下さいました三十六年度予算の実施のための、わずかではございますが、予算を提議いたしまして御審議も願っております。そういうことで、ことさらな意欲をもってやっているわけではございませず、今までのサンプリング・テストがほとんど半分、半数以上も実施してきた体験に顧みまして、すでに現場の先生方も、多くはその実態は御承知でございますから、それに加うるに、今申し上げたような意見の聴取等もいたしましたことに基づいて、きわめてすなおに全国一斉調査をやることが義務教育の実態をよりよくするよすがになるであろう、かように純粋に信じて行なわんとしておるものでございまして、他意はございません。

米田勲日本社会党

○米田勲君 納得のできない答弁であるけれども、もう少し先に進んでからいろいろお尋ねします。  結論的に私は文部大臣にお聞きをしますが、十月二十六日の全国一斉の学力調査をやめる考えはないか、中止する考えはないか、そうしてもっと努力を払って、多くの教育実践者なり、あるいは国民の協力のできる態勢を作ってからにする、そういう考えはないか、結論的な質問だけを先に出します。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今も申し上げましたような趣旨であり、準備態勢をととのえてやっておることであり、その効果は必ず客観的に出てくるものと確信いたしますから、予定どおりにやらしてもらいたいと思っております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 あなたは結果が成果を上げるという考え方のようですが、そうすると、今のあなたの心境としては、どんなに非協力な態勢の中であろうが、あるいは教育の現場にどのような混乱の状態が起ころうが、とにかくこれを強行するのだという一点張りの考えに尽きておると見てよろしいか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私は協力しないと言われる人々の気持がわからないのであります。協力して下さったらどうだろう、いいことだから。そうしてその結果をほんとうに教育のために相ともに協力し合って将来の改善に役立てるように協力して下さったらどうだろうか、私どもはそう思います。そうして今申し上げたように、一ぺんやってみてということについておしかりを受けましたけれども、初めて一斉調査はいたしますから、とにかく協力してやっていただいて、必ずや準備万端怠りなくやるつもりではありますけれども、現にやってみれば、いろいろと結果的に、こうもしたら、ああもしたらよくなるだろうということが出てくるだろうということは想像いたします。そういうことを実地に即して教えていただいて、今後、来年以降毎年やるつもりでおりますから、将来に向かっての改善のために御協力を願う意味を含めて一つ御協力していただけないものかと、こう思っておるわけであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 文部大臣は残念ながら教育のことについて深い理解と知識がないのではないかと私は思う。なぜこういう失礼なことを私が言うかというと、あなたは今強行しようとしておる学力調査というものはいいものだという結論に達しておる。これは私はその辺にすわっておる文部官僚の連中が、あなたに、これをやったほうがいいだろうということを言っておるにすぎない。あなたは文部官僚からそれを聞かされて、これは確かにいいものだと思い込んでしまっておる。そこに私はもう一度考え直してみる必要があるということを、るるこれから問題を提起しながら、あなたに、文部官僚の考えを離れて、学力調査というものの正体はどうなのか、そうして、このことが日本の教育にどういう影響を与えていくのかということを冷静にもう一度考え直してもらいたいという角度からいろいろお尋ねをするわけですが、先ほどあなたは、あなたのやろうとする学力調査に反対するものは見当違いだ、見当違いの考え方だと、こう結論づけています。それではそういう結論が出るためにはどういう具体的な反対意見があるのかということを御承知だろうと思う。反対意見の内容も承知しておらないで見当違いの批判をしておるのだということにはならないと私は思う。もしそういうことであるなら、文部大臣のその言葉はまことに不見識だ。だから、いろいろな人たちが、学者の中にも、これは近いうちに日本学術会議あたりでも、この学力調査に反対する批判が出るはずでありますと聞いております、私は。そういう反対意見がさまざまにあるわけですが、一つどういうふうに反対意見を把握しておるか、どういう主張に立ってその意見を出しておるのか、そういうことをあなたはすでに承知であって見当違いと、こういう言葉が出ておると思いますが、それを具体的にひとつ説明して下さい、どういう反対意見があるのか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 一々反対意見を記憶いたしておりませんが、私の意識に、なるほどごもっともな反対意見だなあと記憶にとどまったほどの意見は、私の乏しい範囲のものでは、ございましょうが、ございません。

米田勲日本社会党

○米田勲君 あなたは、そうすると根拠のない話なんですね、見当違いな反対意見だと、そういうふうに結論づけるためには、反対意見が、こういう角度からこういう反対意見がある、これはこういうことで見当違いではないか、こういうふうに私たちに聞かしてくれれば、なるほど文部大臣が見当違いだと言ったことは正しいなということがわかるわけです。あなたはほんとうのことをいうと、反対意見などに耳を傾けたためしはないのじゃないか。反対意見をまじめに冷静に聞いてみようとしたことは一度もないのではないかという疑いを持つ。そうでなければ、おもな反対意見はこういう根拠に立って主張されておるということくらいは、そう長々と話さなくてもあげられるはずだ。それをあげられないということは、あなたは耳にしておらないというふうに私は考える。耳にしておらない。反対意見を知らないのでしょう、あなたは。どうですか、もう一ぺん……。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 全部記憶しておりませんということを申し上げました。一番まとまった項目をあげての反対意見は私は日教組の反対意見だろうと思います。これに対しましては、文書にして私どもの見解は伝えてございます。それを総合しまして、大体見当違いだと私は申し上げているのであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私はこの委員会であなたに聞いている、あなたは文部大臣として何を日教組に回答したか知りません。私はそれはあなたから今聞こうとしている、それは一つの反対意見の事実ですね、何を回答されたか、何を質問しておるか、私はわからない。文部大臣は、当然この委員会で、見当違いの主張をしているということを私たちに聞かせる義務がある。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) たとえば、今回、すなわち十月二十六日に行なう一斉学力調査は、教育の国家統制を意図する政策テストではないかというふうな角度からの反対意見もあります。ところで、私どもはそういう意図は全然ございません。さっき申し上げたとおりの純粋な教育的効果を前向きに発揮することを意図している。こういう意味において国家統制云々の立場からの反対は見当違いだと、こう考えます。さらにまた、一斉学力調査の目的として、人材開発、高校入試や就職採用試験への利用、教育条件の整備などを強調しているのだが、教育課程の諸施策の樹立、教師の反省の資料とすることを力説しているようだけれども、これはその趣旨と経緯からして疑いがあるという角度からの反対がございますが、私どもはあくまでも教育条件を整備して、教育の実績、効果を前向きに上げていきたいという、そのための学力調査だと心得ておりまして、何もこれによって人材開発だ、高校入試や就職採用の根拠にしたいとは毛頭思っておりません。だから、この点についての反対の根拠も見当違いだと心得ているわけであります。(「政府の方針だよ、人材開発は」と呼ぶ者あり)人材の開発はむろん期待するところでございますけれども、何も学力調査によって人材開発などということを期待したって、それはできるものではないと心得ております。(「それならやらなきゃいいじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 不規則発言は御遠慮願います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) さらに、今度やりますテストは五科目だけに限っておるのだが、そのほかの科目は要らないのか、そういうへんぱなことでは履修科目そのものに甲乙がつけられる結果となって、教育上好ましくないことになりはしないかという見地からの反対もありますが、これはある程度当たっておるとは思いますけれども、現実、全国一斉調査をやるにしましても、ペーパーテストでしか今の段階ではやり方が発見されませんので、それでもなおかつやる必要があり、効果があるであろうと私どもは期待いたしますが、したがって、この際としましては、当面、五科目だけに限って、実技を必要とするようなものはペーパーテストに適さないから、残念ながら将来の検討にゆだねることにして、五科目に限っての調査をいたそう、こう考えているのでございまして、これまたむげに五科目だけだからけしからぬ、絶対反対だと言われる根拠には乏しいと私どもは理解しております。その他一々申し上げればございますが、時間もかかりますから、この二、三点を例示するだけで一応お答えにさしていただきます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 学力調査に反対をするのは見当違いな考え方だというふうにきめつけておるが、実際のところ、今私に聞かしておるその説明ではどうも心もとない。文部大臣の見解としては全く雑駁であって、反対意見の正体をきわめておらない。不熱心だ、大体。自分のやることだけがすべて万点であって、自分に反対する者はすべてこれは見当違いで間違いなんだという、そういうがむしゃらな思想では困りますよ。もう少し反対意見を謙虚に研究してみる気はないですか。この委員会であなたが今答弁したそのくらいのことで、一体われわれは、文部大臣が言う反対意見というのは見当違いなんだというようなきめつけ方をされても納得できないですよ。もう少し反対意見を研究してみる気はありませんか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 一応私どもの耳に目に触れました反対意見は検討いたしました。一々記憶いたしませんので、今すぐ全部を申し上げ得ないから例示的に申し上げたにとどまりますが、検討はいたしました上で、やはり予定のごとく実施したほうがベターだ、かように考えておると、先ほどお答えしたとおりでございます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 その辺で。あなたとやり合いをしておっても、あんたの性格はちゃんとこちらは心得ております。頑強だということはよく承知しております。  それでは角度を変えてお尋ねをいたします。今度行なわれるこの十月二十六日の学力調査というのは、一体実施する行政上の責任はどこにあるか、その場合、あわせて教育委員会の自主的な判断は認められないのかどうか、この点についてお尋ねします。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 一斉調査をいたします行政上の責任と権限は文部大臣にあると心得ます。ただ、それを実施するにつきましては、末端の行政機構であります教育委員会が責任をもって実施するという立場に立つものと心得ております。したがいまして、全国の一斉調査の趣旨は先ほど来申し上げたとおりでありますので、その趣旨に基づいての文部省からの通達、その基本線はくずしてもらっては困ると思います。ただし、その地域の実情に応じて、実施上さらにより効果が上がるという面がありとしまして、そのことが追加される等のことはあり得ると思います。基本線は読んで字のごとく、全国一斉の同じ調査をすることに基本的な意義がございますから、それがくずれては困る、そういうものと心得ております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 そうすると、学力調査を実施する、そのことについては教育委員会の自主的な判断は認めないというわけですね。それではお尋ねをいたしますが、学力調査をやるという場合には、これは各学校においては教育計画というものが校長を中心にして立てられております、具体的に。その計画に対して変更を要求することになりますね、変更を要求する。学校経営の問題について文部大臣が変更を命ずるということになるわけである。一体こういう学力調査を実施することのできる文部大臣はいかなる法的な根拠を持っておるのか、学校経営の計画を変更させることの権限を一体文部大臣はどの法律に基づいて持っておるのか、それを明確にしてもらいたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 文部大臣の立場は、義務教育に関しまして指導要領を定める責任を負わされております。その指導要領に基づき教育課程が定められ、さらにまたそれに実質的根拠を置いて、使います教科書の検定をすることも文部大臣に課せられた権限であり責任と心得ます。同時に、義務教育が全国的によりよく実施されますための必要な行政指導をなす権限と責任も与えられておると思います。したがって、全国一斉学力調査のようなものは、全国大の視野に立ってその必要性を認め、かつ末端の行政機関に要望する関係において、このことの実施の必要が出てきたわけであります。元来、教育委員会みずからがその権限内の、教育課程等を定める権限を持った立場にあると思いますが、その定め得る権限内の作用として、一斉学力調査に協力をするという責任も持っているわけでありますから、その必要性にかんがみて、一たん定めました学校で、この教育課程を変更して実施するという権限も教育委員会は持っている、そういう関係に立って私は全国的に要望しているわけでございます。根拠条文等、これまた今そらんじておりませんので、必要でございますれば、政府委員から御説明させていただきます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私は文部大臣に聞きたいので、政府委員に聞きたいのではない。あなたは、先ほどの説明によると、あなたの計画した学力調査をそのまま大体実施してもらわなければ困ると言っている。そうすると、これは、教育委員会の自主的な判断というものはその限りにおいては全く認められないということが前提なんだ、ですから、そういう前提に立って私は先ほどの質問をしたのです。一体、文部大臣は、いかなる法律的な根拠があって学校経営の計画を変更させることができるのか、私はそういう権限は文部大臣にないと思う。そういう学校経営の計画にまで文部大臣が入り込んでやらせるような、変更させて何かを実施させるような、そういう権限は日本の法律にはないわけだ、それまであると言うのですか。これはこの面から、他の委員からもっと詳しく話があると思いますが、私はないと思う、あなたの権限は。教育委員会の自主的な判断を認めるならば別ですよ、認めないのだから、あなたの立場は。もう一度聞きますが、この学力調査については、教育委員会の自主的な判断は認めないという立場でいらっしゃるかどうですか、それは。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 一斉学力調査の実施要綱の基本線は、教育委員会から変更要求等がありましても応ずべき限りではないと、こう申したのであります。具体的に、たとえば、ある地方においてこの一斉調査をやろうとした、ところがある学校で何かの事故があった——病気が続出した、その他の事故がなって事実上できないというふうなときに、このことが要望されても実施できないということは当然あり得ると思います。そういう現場の何月何日の何時から実施するのだということについて、実施面だけについては地方々々の実情に即したことをやらなければ、考慮しなければ実行できない、こういうことがありましたときに絶対に自主性は認めないということで申し上げたわけじゃございません。実施の内容そのものは、基本線をくずしてもらっては困るということであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 文部大臣はいろいろな言い回し方をするが、結局これは学力調査は、あなたの計画したことの変更は許さないということであります。教育委員会の自主的な判断は認めないということであります。はっきりしなさい。幾らうまいことを言ってもだめですよ。そういう前提に立って問題がある、あなたに法的の権限はないと思うのですが、学校経営を変更させる権限がありますか、これはもう少し答弁を研究してもらいたい、これは他の委員の質疑応答にまかせたいと思います。  それでは次に、このテストの問題を作成するには、どのような配慮が払われて、どこで作成されたのか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 文部省の責任において作成をいたしましたが、その具体的な手続等は政府委員から申し上げます。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) 指導主事や現場の先生方からいろいろと問題を出していただきまして、最終的には文部省の責任において決定をしたわけでございます。ですから、いろいろな今までの例から見まして、十分この点につきましては秘密の漏洩ということもございますので、苦労をいたしまして練りに練った問題でございますので、文部省がいかなる場合にも責任を持てる態勢で問題を作成したわけでございます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 ばく然としていますが、現場の先生方とかという言葉でははっきりしないのです。この問題、一体どこで作成されたか、最終の決定はあなた方がしたと思うのですが、どこで作ったのですか。どういうメンバーで作ったのですか。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) 文部省の責任において作ったわけで、文部省の初等中等教育局の視学官、教科調査官の会合において十分練りに練ったわけでございます。ただ、その過程におきまして、各方面からの意見は十分聞いたのでございます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 その各方面というのはどこですか、各方面というのは。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) このテストに直接関係のない方々、つまり中学校のテストに関係のある方々はできるだけ御遠慮願いまして、各県の指導主事とか、あるいは学者とか、あるいは校長さんとか、そういう教育現場の方々の意見も聞きながら、文部省の責任において問題を作成した。

米田勲日本社会党

○米田勲君 非常にあいまいな説明で、ちょっと理解が困難でありますけれども、そういうような問題の作り方、そういう私はテストの問題が、一体あなた方の判断で、画一化されたり、形式化されたりしているという批判は持ちませんか。問題がそのような手続で、その範囲で作られ、その作られた問題が非常に一般的に形式化され、画一化されているという批判はみずから持ちませんか。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) 実は私も最終的に二回検討をさせていただいたわけですが、その間におきまして、指導要領を作ったのは文部省の責任で作っておりますから、その指導要領が要求する各分野について、公平に問題は考えなければならぬし、またその問題も単に暗記のようなものはできるだけ避けるということで、能力と判断力というものが見れるような問題、しかもテスト勉強したら何とか問に合うような、そういう問題は絶対ないと心得ておるわけです。平素の学習の成果が率直に出る問題ということで、とにかくこの問題は十月二十六日に出ますので、出てから御批判を仰ぎたいと思っておりますが、私どもとしては最善の努力をして、あらゆる批判に耐え得るような問題を出した、作った、こう自負しているわけでございます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 これはずいぶん御自信が満々として見られますが、私はあとからだんだんあなたらのやっておる学力テストというものはきめて形式的、抽象的で、そうして画一的なものである。暗記すればできるものがたくさんある。そういうことは今までの経過でわかっていますよ。しかし、この場合、同僚委員の希望もありますので、先ほど文部省の法的根拠といいますか、法的権限、その問題について関連質問を希望しておりますから、私の質問の継続は一応中断して、同僚諸君の関連質問を委員長のほうで許していただきます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 関連して伺いたいのでありますが、文部大臣は、ただいま一斉調査をやる権限が文部省にあるという米田委員の御指摘のような前提で御発言をなさっております。日教組に対する回答でも、たとえば二十三条の一項ないし五、三十二条等でなし得るということをおっしゃっておる。そこで、私は伺うのですけれども、地方教育行政法と通称呼んでおるこの三十三条の第一項の教育委員会規則というものがございます。これを文部省はどう考えていらっしゃるか、まず伺いたい。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) 三十三条の一項は、要するに学校管理に関する規則でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これで見ると、管理運営の基本的な事項は、教育委員会規則に定める建前というものをとっておるわけですね。教育委員会の学校管理並びに運営規則というのが各都道府県の教育委員会でも地方教育会でもあります。この規則に基づいて、さっき文部大臣が指摘したように、指導要領並びに教育委員会の規則に基づいて教科課程なり、あるいは年間の指導計画なりを立てるわけです。文部省がこの地方自治体の本来の権限である条例を変更し得る権能というものが、どこで、法律の何によっておできになるのですか。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) これは五十四条の二項に、「文部大臣は地方公共団体の長又は教育委員会に対し、都道府県委員会は市町村長又は市町村委員会に対し、それぞれ都道府県又は市町村の区域内の教育に関する事務に関し、必要な調査、統計その他の資料又は報告の提出を求めることができる。」、この五十四条二項の権限に基づいて文部省が報告を求めておるわけであります。その様式等のこまかい点は文部省がテストの様式を示しておるわけです。そこで、これが今お尋ねの教育委員会法の規定によりますと、二十三条によって、二十三条の五項、「学校の組織編成、教育課程、学習指導、生徒指導」云々と出ておりますが、この教育課程の権限は、御指摘のとおり教育委員会の権限でございます。そこで、この権限が、一方において文部大臣が報告を求めた、その場合に、その報告を求むる際に、教育課程が変更をしなければならぬことは、これは当然だと思うのであります。その変更の権限が、学校の教育課程の編成権そのものが教育委員会にございますので、教育委員会は文部大臣に提出する報告の義務を果たすためには、教育課程の変更ということは当然考えなければならない。そこで、市町村の教育委員会が学校に業務命令を出すわけでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 教育委員会が編成権を持っておりません。で、あなたは、三十三条の教育委員会の学校管理権と学校の主体性との関連をどうお考えになるのですか。今までの文部省の説明では、両者の妥当な限界というものは一体何かということを定めなければならない。そこで学校経営の主体性というものは当然これは学校なり、校長なり、教師の側にある。で、教育委員会は指導助言によりましてこの学校の主体性が前進するように取り計らうべきだと解する。こう文部省は説明しているでしょう、違うんですか。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) それは私は違うと思います。少なくとも教育委員会というものは、教育課程及び学習指導についての責任者でございます。ですから、その責任者が学校の主体性を尊重して、どこまで権限を分配するかという権限の分配の問題があると思います。その権限の分配に基づいて三十三条は基本的事項について委員会規則できめておるわけです。そこで、ですからもとの権限というものはあくまでも教育委員会にあって、責任は最終的には教育委員会が負わなければならぬと思うのです。ですからその権限の行使の仕方について、学校にまかす分と、みずから権限を保留する分が当然あるわけでございます。そこに教育委員会と学校との調和の問題が出てくるかと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 あなたの方は、このいわゆる地方教育行政法ができましたときに、各地に行って、いろいろと文部省の地方課長なり、その他いろいろの関係の者が講演をされたり、あるいは著書を公けにされた。その中で、著書の中でも説明の中でもこういうことを言っておる。地方教育行政法の三十三条の規定は、教育の主体性が学校並びに校長にあるという実状にかんがみて、特に管理機関の側からする学校管理権の内容とその行使の態様を客観的に規制し、包括的な管理権に自己規制を加えることによって教育委員会と学校側との両者の権限と責任を明確にし、秩序ある体制のもとに学校の主体的教育活動を促進しようとするところにその立法理由があると解される、こうも書いてあるし、こう説明されておる。これは今は御見解が違ったのですか。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) 今お読みになった範囲においては、私は差しつかえないと思っております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そうすると、先ほど一番先に例に出しましたように、教育委員会の学校管理運営の規則というものは相当こまかい点がそれにゆだねられておるのです。たとえば東京都のこの規則によりますれば、学校が教科課程を編成するにあたっては学習指導要領及び委員会が別に定める基準によるということが書かれておりまして、次に、教科課程の届出制というものを設けておる。教科課程は学校が教育委員会に届け出ることによって決定すると書いてある。別に認可するともなければ、許可を要するとも書いてない。釜石市の同じような規則を見ますと、教育指導計画の編成及びその授業時数その他のいわゆる計画全般については校長が定めると書いてある。これは指導要領を見てもそう書いてある。学習指導要領には、各学校においては云々とありまして、各学校においては教育基本法、学校教育法及び同法施行規則、小学校学習指導要領、教育委員会規則等に示すところに従い、地域や学校の実態を考慮し、児童の発達段階や経験に即応して適切な教育課程を編成するものとする、こうあります。で、この規定に従って各地方団体はそれぞれの規則を作って、規則にまかせて、釜石のように校長が定める、あるいは東京都のように学校が定めて、これを報告すればいいということになっておる。これを文部省が教育委員会に指令して、教育委員会が、お前のほうの届け出たものだけれども、この際は変更しなければまかりならぬと言う権限がどこにありますか。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) これは、一方において五十四条二項から文部大臣が報告を求め、教育委員会は報告を提出する義務があるわけであります。そういう前提に立って、それと教育課程との調和の問題が起きてくると思います。教育課程につきましては、教育委員会規則によって校長に権限が分配されているわけです。その権限も、これは権限の行使の仕方をどうするかは委員会規則できめればいいのです。たとえば今お述べになったように、届出の場合もありましょうし、あるいは極端な場合は認可という場合もあり得るでしょうし、修正……(「あるよ」と呼ぶ者あり)いや、それは委員会規則に定めることですから、(「いや現実にある」と呼ぶ者あり)今お話は、届出というお話があったけれども、届出の場合もあるでしょうし、あるいは認可という場合もあるでしょう。ですから、その教育課程の責任はあくまでも教育委員会にあるわけです。その権限をどう配分するかという問題は委員会規則の定めるところなんです。そこで、委員会規則によってその権限が一応校長にまかされておるといいましても、それは権限のもとは教育委員会にあるわけですから、教育委員会としては一般的指示も当然出せるし、また必要があれば具体的な命令も発し得ると、こう考えるのが妥当だと思うのです。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それはおかしいですよ。  大臣に主として答えていただきたいのでありますが、届け出ればいいとある場合は、通例の解釈では、変更しなければならないところの義務があるとは、これは解釈できないと思う。今まで届出でよかった。あるいは校長が定めてよかった。しかもあなた、これがよろしいと言ったら、いろいろおかしなことになると思う。教育の主体性というものが学校にあると考えて——教育委員会の包括的な管理権はありますけれども、その管理権に一定の限界を与えたのが三十三条だと、これはお認めになる。で、三十三条で教育委員会の管理権に限界を与えたのは、限界を与える部分によって教育の主体性である学校の教育自身が進展するような点をねらったのが立法の趣旨だと、こういうこれもお認めになっておる。そうでしょう。教科課程を編成したり、指導計画を立てたりするのは、これは教育内容でしょう。これはお認めになりますね。教育内容でしょう。教育内容については、免許法の示すところによって、教員免許のない者が教育課程を作ったり、教育指導をしたりすることはできない建前になっている。ですから包括的管理権もありますけれども、教育委員会が全部の教育免許証を持っておったり、資格があったりするような現状ではない。それが矢つぎばやに、運動会は三回やれ、遠足は五回やれ、極端にいえば、何を出しても変更しなければならないということになったら、教育の主体性は保たれませんよ。教育基本法でも学校教育法でも教育を進展するということが目的なんですから、そこで行政権の及ぼす限界、それからそうではない教育の進展のために、教師自身の教育の主体的な動きが活発になるような限界線というものを三十三条できめてあると、こう言う。包括的な権限があるからといって、教育委員会が教育内容に至るまで何を指示しても聞かなければならないという義務が現場の校長並びに教員の側にありますか。あるとすれば、その法的根拠はどこですか、これは文部大臣に。文部大臣はさっきから、きめたことはやらなければならない、当然やるべき、だという御前提に立っておられるけれども、われわれが今まで聞き知っておるところの教育関係の法律の上では、そういう権限は文部省にはない。  もう一つ大臣に聞きたいのは、地方のそれぞれの条例できまっておるものを文部大臣の権限で変更させるということができますか。憲法の九十四条、地方自治法の十四条、同二百四十五条の三は、そういうことを国がしてはならないということをきめているのじゃありませんか。条例を忠実に守っておる現場の校長並びに教員に対して、条例を破りなさいと言う権限がどうして出せるのですか。この二点をはっきりお答えいただきます。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 地方自治の当然の結論としまして、その地域内に施行する一種の法規たる条例の制定権限がありますが、その条例といえども、法令に違反し、もしくははなはだしく不当である場合、条例の変更を要求するということはあり得ると思います。ただし、今のお話のような意味において今度の一斉調査に関連をした問題として見ます場合、法令に違反しているとは考えられない、はなはだしく不当であるとはむろん言えないかしれませんが。したがって条例に現に規定されておる増合、その条例の改正をしなければやれないということありせば、条例の改正がその自治体の意思によってなされた以後でないならば、これはやれないことは付随的に必然だと思います。今度のこの問題につきまして、今の御質問のことが私は具体的にはほんとうはよく理解されてはおりませんけれども、指導要領を決安する権限と責任があり、それに基づいて義務教育課程が定められ、行なわれておる。その成果を全国的にどういう事情であろうかを知る必要と利益があるから今度のことが考えられた、そのことに協力すること、そのことは現場の自治体におきましても、教育の本来の目的に逆行するものでは本質的に私はないと思います。そういう意味におきまして、文部省から一斉調査の実施方を要望された場合、すなわち報告を徴せられた場合、その報告をまともに出せるようなことをする責任は教育委員会に私はあると思います。その場合に、もし教育委員会規則等でそのことが物理的になせないがごときものがありせば、私は教育委員会規則そのものを改正する責任も新たに委員会には生ずるものである、そういう筋合いかと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 あなたのたびたび例に引く指導要領には、あなたがおっしゃるような一斉テストなどのような問題を含めたところの教育活動は、これは校長が定めて委員会に報告すればいいということになっておる。そしてですね、三十三条には、末尾に、「必要な教育委員会規則を定めるものとする。」と書いてある。もう少し説明すれば、「教育機関の施設、設備、組織編成、教育課程、教材の取扱その他学校その他の教育機関の管理運営の基本的事項について、」は、これは教育委員会が管理運営規則を作ってそれにゆだねておる、こういうふうになっておる。ですから、そういう文部省の指導なり法律の精神なりによって各地域はそれぞれ管理規則を作ったわけです。で、さきに例に出した、たとえば釜石市の場合ならば、釜石市の場合とすれば、第五条で、「学校の授業、学習の時刻及び毎週の授業時間は校長が定め、校長は毎学年実施すべき教育指導計画を五月末日までに教育委員会に届け出る。」、こうなっておる。届け出ておる。校長の権限でされておる。それを文部省が直せという一体権限があるか。そうすると、五十四条の何項とか、二十三条の何項とかいう……、ところが二十三条の五について、文部省はこういう見解を今までとってこられた。これらの事項については、国の法令の定めがあり、教育委員会は、それらの定めが守られるように留意すべき立場にあるのであるが、一方、本号に掲げた事項は、これは学校の組織編制、教育課程、学習指導、生徒指導及び職業指導に関することです。学校の組織編制といっても、教育委員会がみずからその一切を定め得るものでもなく、教育委員会が学習指導を行なうものでもないから、本号列記のこれらの事項については現実にどの程度まで教育委員会が規制し、関与するかについては、みずから別個の問題である。本法三十三条の規定が設けられたのは、この間の関係を明らかにしているのである。こういって三十三条は、教育の主体に関することは、これは学校自体にまかすべきである。しかし、包括的管理権があるけれども、その管理権はのべつやたらに発動をしてはいけないから、管理規則の中に明文として定むべきだというので、管理規則を設けなければならないということが書いてある。だから、その管理規則に従って学校を運営しておる限りにおいては学校の責任は一切ない、そうでしょう、そうではありませんか。しかもあなたはさっき、間違っていれば、法律にはずれている場合は云々と、これは法律にはずれていない、しかし、はずれているとか、運営上よろしくないという場合は地方自治法にもちゃんと規定があるでしょう。指導、助言、勧告という過程を経なければこの変更も要求することはできないのです。指導もしなければ助言もしない、勧告もしないで、いきなりこういうふうにやるべき義務がある、こういうものの考え方はどこの条項からも出てきませんよ。米田君はそういう考え方がおかしいとさっきから言っている。見当はずれだ、見当はずれだと言っているが、あなたの考え方が私どもの考えから言うと、どうも法文を正当に解釈しているとは考えられない、見当違いのようにも考えられる。私が今例にあげましたのは、私の解釈ではない、こういうふうに教育委員会を運営すべきだ、学校の教育課程なり、指導計画なりというものはこういうふうに立てるべきだと、文部省の指導のように、それぞれの地方できまった条例を例に出して申し上げている。文部省の見解だ、今までのは。おかしいじゃないか、これがおかしくないというのは頭がおかしい。きまっている規則のとおりやっておって義務違反が成り立ちますか。これは法制局に聞かなければわからない。文部省のいろいろ問題にしている法文なり、出されておるいろいろな政令なり、あるいは規則なりのとおりにやっておって一体職務に瑕瑾を生じますか、現場の職員が。局長はいい、大臣、極端に二つの例を出しますからはっきり答えて下さい。今のような状態で運営されてきたのにもかかわらず、一斉テストをやらなければならないという、そういう強制権を文部省が何を根拠に発動できるのか。また、運営規則のとおりにやっている学校に対して、お前は文部省の指示に従わないから処罰をするという法的根拠があるのか。この二点。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 第一点の、どういう根拠で学力調査をやるかということは、先刻、政府委員から申し上げましたとおり、教育行政上の必要に根拠を持ちまして報告を徴する、一斉調査というやり方の結果を報告せよという、報告を徴するという権限がございますから、その権限に基づいて調査をやろうと、こういうことであります。それが今御指摘のような、委員会の運営規則、それぞれの学校における教科その他は届出でよろしいとなっている。それは一般通常の事態において考えられる学校運営の立場からの事柄に限っての届出ということであって、その他の予測し得ない事柄が起こりましたときに、包括的な権限というものは委員会にあるという、その権限に基づいて教育委員会が一斉テストの実施を要求するという、その関係に立つと思います。そこで、さっき申し上げましたように——むろん今御指摘のように、文部大臣という立場でいきなり条例を改正しろ、あるいは管理規則を改正しろということを言う権限は直接にはないと思いますが、先刻も触れましたように、調査報告を要求する権限が与えられておる、その調査報告の内容は、文部省みずからの責任において、与えられた権限内のことについて報告を求めるわけでありますが、その権限が地方行政機関において協力できない、実行できないような規則がもしあるとするならば、その規則は私は十分な考慮を欠いた規則であるから、教育委員会としては改正せねばならない立場に立つと思います。ですけれども、それは一般に、抽象的には私はそう思いますが、その場合に、御指摘のように、指導助言の権限に基づいてその改正の点を指摘しなければ、そういうチャンスは出てこないはずだということは、お説のとおりだと思います。思いますが、一々の管理規則を知らないで申し上げておって恐縮ですけれども、よしんば、届け出となっておっても、それは一般的な問題であって、特殊の調査報告を求めた場合に必要とする、そのときの学校の教育の課程に影響を持つ問題につきましては、教育委員会みずからが変更を要望する権限は私はあると思います。一般的な問題は届け出で、むろんそれで十分でありましょうが、その他の特殊の予測し得なかった事柄について、すなわち、今度のような一斉学力調査を一年に一ぺんやります、それについては報告をしなさいということが出てきた場合には、権限に基づいて私は教育委員会が要望できると、こう考えます。

北畠教真自由民主党

○北畠教真君 議事進行。いろいろとまだ論議もあろうと思っておりますが、もう一時にもなりますので、一応休憩をして、続行していただきたいと思います。

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 速記をつけて。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 大臣、休憩に入るというのですが、ちょっと大臣の答弁の言いっぱなしだけ聞いて、ここでちょんにするわけにいかないと思うのです。あなたも日本の最高学府で法律を勉強された方です。政治経歴も相当長いのですが、今の答弁は私は問題があると思う。制定された法律が、時の行政府の責任のもとに法解釈が行なわれて、そうして、その責任と権限のもとに運用されて参る。したがって、その運用、改正等について、あるいは与党、野党の問に若干の見解の相違や幅が生ずることはあり得ると思う。しかし、先刻来の大臣の答弁を承っていると、あまりにも行政府の法解釈、その運用が偏向し、独断し過ぎるのじゃないか、この地方教育行政の組織及び運営に関する法律が国会で審議されたのは、御承知のとおり、昭和三十一年ですね。ずいぶんあの国会はもめました。当時はたしか保守党が合同した直後で、大臣は不幸にして落選中であったかと思いますが、初中局長は、あなたは初中局の課長時代です。これを担当された事務当局は、今の緒方事務次官が当面の責任者、私はこの法律案を審議した一人ですが、そのときのこの法律の一番骨子は、決して教育の中央集権をはかるのじゃないんだ、教育権の集中化をはかるのじゃないんだ、あくまで地方分権である、そうして文部省というものは、その国の教育がいかにあるべきかという立場から、大きな一つの方針を、基準というものを設けて、あとは教育の地方分権という立場から自主性を認めているもので、決してあなた方の主張される教育の中央集権をはかるものじゃないのだ、文部省の権限の主たるものは、助言と指導と勧告、これなんだ、こういうふうに速記録に残されておるわけです。これはこの法律の一番大事なところですよ。だから、解釈し運用する場合には、これをはずれてはならない。そこに与党の安部理事がおられるのですが、安部理事も福岡の教育委員会の委員をされておった、当時。こういうことで、今の学力テストを文部省が企画した場合に、都道府県教育委員会、地方教育委員会を制約する、それは従わなければならぬという、そういう法解釈は今、与党の理事の安部委員もとっておられなかった。私はそれは間違いないと思う。だから、文部大臣が権限でこういうことを調査を企画することは、これはよしあしは別問題として、先ほどの答弁で、教育委員会はそれに従ってもらわなければ困る、義務があるのだという、これは大臣、言い過ぎじゃないでしょうか。そこを訂正してもらいたい。それは、そこはどうしてもこの法律を審議した者として、あまりにも行政府は解釈とその運用に偏向性を持ち、独断に過ぎると思う。文部省としてはこう考える、こういう基準を設けようが、この方法、基準によってその教育委員会がそのままやられるかどうかは、教育委員会のお考えでやっていただけばよろしいのだ、ここまで来なければ、ぜひとも地方教育委員会はこれに従わなくちゃならぬ、その義務があるのだ、ここまで大臣がここで答弁されるのは、私は、この法の成立過程からいって適当でない。私は満々たる自信を持ってそういう主張をいたし、あなたのその点の答弁の訂正をお願いいたしたいと思います。そうすると、以後の調査審議というものはスムーズにいくと思うのですが、いかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 文部大臣という立場が、先ほど例に出されました、たとえば条例を変更する権限があるとは、むろん思っておりません。教育委員会が定める権限を与えられている管理規則を現に作っておる、それを変更を命ずる権限は当然にはないと、むろん思います。それは、もうさっきのお答えをするときも、一貫してそういう前提に立ってお話を申し上げているつもりでございますが、言葉が足りなければ、補足さしていただくわけであります。ところで、一方、なるほど、日本の教育は地方分権の建前であるということは、私は口ぐせのように、ほかの機会に申し上げたとおりでありまして、そう理解しております。しかし、同時に、原則はそうであるが、例外的には中央に権限を保存しておるものもある。指導助言の権限しかり、また、調査報告を求める権限しかりと思います。また、指導要領の決定権もまた保留しておる一種であろうと思いますが、教科書の検定権またしかりと、こう思います。そこで直接関係になる事柄でいきますれば、私どもは、一斉学力調査は、文部大臣に与えられておる職務権限であるところの、義務教育課程についての教育改善の目的をもって調査報告を求めるという、その権限に基づいて報告を求めておるという姿であると理解いたします。その権限が、一方において、原則は今申し上げるとおりだが、例外的にはそういう権限がないならば教育そのものがうまくいかないという見地から与えられていると思うんですが、そういう意味で調査報告を求めても、どうしてそれが管理規則にはばまれてできないということをそれっぱなしでおくことは、適当じゃないと私は思います。そういうことがもしありせば、管理規則そのものを受け入れる余地があるように改正してもらうということを、指導助言する権限を与えられておると思います。ただし、それは今お尋ねに基づいて一般論を申し上げたつもりでおりますが、具体的には、届け出で足りるという意味の管理規則があるとしましても、教育委員会の権限が全部包括的に学校長に委任されているわけじゃないわけですから、一応通例の場合には届け出で足りる、その他の、たとえば文部大臣の権限に残されておるその機能として調査報告を求められた、その報告をしようにもできない新たなことが起こったというときには届け出で足りるとした範囲外の問題だから、教育委員会に、包括的に持っている管理権限に基づいてその調査に協力することを学校長に要求する権限は委員会にあるであろう、こういう解釈に立つ、こういう考え方を申し上げたつもりでおります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 昼休みに一つ考えておいて、あとから答弁してもらいたいが、あなたは報告を求める権限があるから何でもやらされるという判断だ、常識的に言うと。生徒や児童の学力の実態が知りたい、だからその実態を一つ報告してくれ、こういうものは百歩譲ってあると認めても、こういう学力調査をやれ、これがはずれてはならぬ、こういう権限はないのだよ、あなた、法的に。学力の実態が知りたいので、その実態を一つ報告してくれという、そういう権限は百歩譲ってあるとしましょう。しかし、あなたのきめた学力テストを実施して、これ以外のものを実施してはだめなんだ、そのものを実施して報告してよこせと、この権限は法律的にないとわれわれは主張している。

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 午後は二時十分より委員会を再開することにし、暫時休憩をいたします。    午後一時十三分休憩      —————・—————    午後二時二十六分開会

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) ただいまより文教委員会を再開いたします。  午前に引き続き当面の文教政策に関する調査を進めます。質疑の通告がありますので、この際、発言を許します。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 午前中、大臣並びに局長から、いろいろ御説明があったわけでございますが、御説明の内容を次の質問の点にまとめて、次の委員会までに文書で御回答をいただきたいのであります。  第一点は、教育委員会の学校管理権と学校の主体性の関係を地方教育行政法三十三条から、どう考えるかというのが、第一点。  第二点は、各教委の学校管理規則において、具体的な授業の時間割編成、年間授業計画の立案、変更は、通例どういう建前をとっておるか、今この建前をくずす理由は何か。  第三点、教委が今まで法律に基づく学校側の権限と責任にまかせていた学校の主体的教育活動の内容にまで、命令をもって変更させる権限があると新しく解釈を立てた理由並びにその根拠。  第四点は、文部大臣が調査を強制する権限並びに教育委員会が強制された調査をしなければならないところの義務、これが五十四条二項にあると考えられる内容の説明並びに文部省設置法第五条二項の「文部省は、その権限の行使に当って、法律に別段の定がある場合を除いては、行政上及び運営上の監督を行わないものとする。」という規定との抵触の関係をどう解釈するのか。  以上の四点を文書で御回答をいただきます。その御回答によりまして、さらに次の委員会で質問をいたしたいと思いますので、午前中の私の質問は一応保留をいたします。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御要望の通りにいたします。

米田勲日本社会党

○米田勲君 午前中は私が、学力調査を実施する際に、文部大臣は教育委員会の自主的な判断を全く認めないという立場でこの問題を処理しようとしておる。その法的な根拠は一体何かということが、後半の主題であったわけです。ところがこの問題については、資料ではっきり主張をさせてもらえることになりましたので、深くは申しませんが、文部大臣は教育委員会に対して、事務的な調査の報告を求める権限があると称してこの学力調査を実施させるということの法的根拠にしておるようである。私は午前中の最後にこういうことを言いました。文部省はその主張のとおり、確かに児童生徒の学力の実態を知りたい、したがってそのことについて実態のわかるような報告をしてもらいたいという、そういう権限は百歩譲ってあるかもしれない。しかし、その調査を求めるに際して、学校経営の一部を変更させることをも含んで、全く文部省が考えた学力テストをそのまま教育委員会を通じ学校をして行なわせるような、そういうやり方をする法的根拠には、それはなり得ないのだという主張であります。もし、あなたの言うような法律解釈が許されるとすれば、文部省の調査報告を求めるという権限を理由にして何事でも行なえるようになるわけです。たとえば児童生徒の思想調査の現状を知りたい、かくかくの問題について生徒にテストをしてその結果を報告せよということだってできるであろうし、こうなってくると、文部省は学校経営のいかなる部面にでも入り込んで事をなしてもよろしいという法律の根拠を持っておるかのようになってしまうわけで、私は調査資料が出た後日の委員会で、さらにこの点を深く追及をして、文部大臣がやろうとしておること、それが法律に違反をしておる、行政権限を逸脱しているということをはっきり立証をしなければならないと思っておりますが、きょうの場合はそのことを一応留保して次に進みたいと思います。  違う角度からあなたにお尋ねをしますが、文部省は学校における教師たちの——校長も含んでですが、教師たちの教科課程の自主編成を認めないという方針であるかどうか、この点について文部大臣の見解をただしたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 学校の教科課程の編成は学校長に一応原則として委任されておるのが一般だと承知いたしております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私が質問をしたのは、校長あるいは教師たちの学校における教科課程の自主編成を認めないという方針なのか、認めるという方針なのか、それをはっきりしてもらいたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) それは認めることになっております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 そのことと法律論争の問題とは後に関連させてやることにして、一応教科課程の自主編成を文部省は認めておるということをここに確認をしておきます。  次に、こういうことについて文部大臣はどう考えておりますか。中学校の教育が高校の入学試験の予備校化したり、高等学校が大学入試の予備校化するような、そういうことは現在の日本においては当然の成り行きであって、そのことが望ましいというふうに考えておるのかどうか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 望ましいとは心得ておりませんが、現実問題としてそうなる可能性は内在しておると思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 そのことを好ましいと考えておりますか。もう一度聞きます。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 好ましいとは思いませんが、やむを得ない要素を含んでおると思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 それは文部大臣の言葉とも受け取れない。私は逆に質問をしておるのですよ、あなたがこれを否定するのであろうと思って。一国の文部大臣が何事ですか。中学校が高等学校の入学試験のための予備校化したり、高等学校が大学の入学試験の予備校化したりするのはやむを得ないことだと文部大臣はここで言い切るのですか、あなたは。それでは日本の教育は根本からくずれますよ。あなた、それでもいいのですか。もう一度お聞きします。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 学校制度として予備校化するはずはないものであると思います。そうなっちゃいけないと思います。ただし、上級学校に進学する者があり、義務教育課程を終わって社会人となる者もおるのが現実でありますから、上級学校に入学する者にとっては実質的に、予備校という意味がはっきりしませんけれども、上級学校に進学したい希望を達する角度から見るならば、そういう結果があるであろうということを申し上げたわけであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 それでは文部大臣に聞きますが、中学校で高等学校に進学する希望を持つ子供と、中学校を卒業して直ちに職業につくという子供とを二元的にコースを分けて教育をすることも日本の現在としてはやむを得ないというふうにあなたは考えますか、どうですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 制度的にそうするということは適切じゃないと思いますが、今申し上げたような現実の問題として、当該学校でそういうことを便宜とした場合、それをしももってのほかだという必要はないように思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 文部大臣は日本の教育を破壊してしまおうと考えている。あなた、中学校は義務教育ですよ。われわれの立場からすれば、高等学校でも義務制に準じて国の全体の知識水準なり知能水準を上げるために教育行政は考慮しなければならぬということを主張している立場ですよ。しかるに上級学校に進学のために、極端にいえば中学校の教育課程すらその進学のコースに合わせて予備校化していくようなことを否定しないという文部大臣の一体、その教育に対する見解は何ですか、何が根拠ですか。大体、前の通常国会から一貫して文部大臣の見解に現われているところは、日本の敗戦後組み立ててきた民主教育を根本から、現在の財界や産業界の要請に随順して教育の大本を誤ろうとするようなそういう制度の改悪や法律の改悪をしてきている。私たちはそういう立場で批判をして反対してきた。今ここであなたは、中学校が高校の予備校化したり、高等学校が大学の予備校化したりすることは、絶対にいけないと文部大臣は主張すべきであります。そうでなければ、日本の教育は根本から破壊されていくとはあなたは思わないのですか。もし、それがわからぬようでしたら文部大臣をあなたはやめるべきであります、日本のために。そういう不見識な話を日本国中どこへでも行ってあなたしてごらん。文部大臣の資格ありませんよ、あなたには。内藤局長がそばについておって、予備校化するのはやむを得ないという答弁をして、これを取り消さないのですか、あなたは。取り消しませんか。文部大臣にあらためて聞きます。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 学校制度として予備校化することはむろん許せないという意味でさっき申し上げました。現実に私ども中学校におったときを想像しましても、小学校でもずいぶん昔でありますが、制度の根本も違うとはむろん思いますけれども、現実問題としては、義務教育は義務教育できちんとやって、そのほかに担当の先生が特に教えてくれたことはあります。そういう現実問題としてはあるかもしれないが、それをももってのほかだとは言い切れないだろうという意味で申し上げたのであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 文部大臣はだから教育のことがわからないと言うのです。あなたの子供のときのことを言っているのでしょう、今の話は。それは戦争に負ける前の教育でないですか。戦争に負けたときに日本の教育の将来を思う人が何を感じましたか。戦前の教育のあり方では大きなあやまちを来たすということが根本の反省になって今日の教育というものが組み立てられ、検討されてきた。それを中学校——高等学校の問題ならば義務教育でないからまだしもです、中学校をすら高等学校の予備校化することもやむを得ないというものの考え方は、私に端的に言わせると、文部省はそのことを口を緘して語らないが、今度の学力調査を何が何でも子供の成績の中に記入させようとする意図は、何から出ていると思いますか。私は所得倍増計画に基づいて、産業界が要請している中学卒の低賃金労働者の振り分けを今しようとしている。そうでなかったら固執するわけがない。文部大臣が午前中に言ったように、教育の現状を科学的に知って、その条件を高めるための資料がほしいんだというその考えが純粋であるなら、神奈川の県教組と神奈川の県教委が、長い間苦心をして話し合いをして、そうして神奈川方式なるものを打ち出したとき、文部大臣は内藤局長をして何を言わしめたか。絶対にその評価した点数は、成績は子供一人一人に記入させなければ絶対にだめだということを主張している。それは今、中学校が予備校化してもかまわない、予備校化するのもやむを得ないという言葉と、この学力テストを強行して、子供の一生涯について回るこのテストの結果を記入させる、そのことによって倍増計画が求めておる中学卒の低賃金労働者を把握したいという一連のねらいからこれは出てきていると、両方私は総合して今初めてわかった。これはどうですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) まあ、米田さんのおっしゃるようなことは毛頭考えておりません。思い過ごしであると思います。

米田勲日本社会党

○米田勲君 それでは荒木文部大臣、先ほど申しました中学校の予備校化の問題、高等学校の予備校化の問題は、文部大臣として責任を持って、そういうふうになってもやむを得ないとここで言いますね。取り消しませんね。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 制度論と現実のことをこきまぜてお答えした傾向がありますから、誤解を生んだと思います。私の何十年前の例を持ち出しましたことは必ずしも適切でないと同じような意味で、適切でないことを一緒に申し上げたような気がします。義務教育課程が予備校化するということを認める立場ではむろん私はございません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 関連。ちょっと文部大臣に伺いますが、憲法二十六条との関連はどうなりますか。この中で、日本の教育、終戦後の教育の中で非常に重要視されなければならない幾つかの課題があると思うのですね。教育の機会均等ということは、非常にこれは重大な一つの理念になっているわけです。はっきりこのことをうたってあるでしょう、二十六条は。これとの関連、あなたの今の発言と、これはどういうふうに考えておりますか。あなたは文部大臣として、この憲法二十六条との関連——二十六条を読むまでもないことだと思う。これははっきりあなたは銘記されているのですか。今のような差別があるのは仕方がない。学級の方はもうそういう差別待遇が起こっておる。現実に起こっておるのですよ。これは何も——実際にあるんだけれども、進学、それからそうでないのと、コースを実際にやっていますよ、現実に。こういう事態をあなたはやむを得ない、こういうような解釈でこの問題をやっていくとしたら、憲法二十六条との関連をどうします。この点、明確にして下さい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 午前中のお答えで、冒頭に私は申し上げましたが、学力テストをやりますことも、義務教育の本質的な要請からして、持って生まれた能力が同じであるとするならば、義務教育を終わったときには、同じ知能、同じ学力をもって卒業する、義務教育を終わる、こういうことが望ましいということを私は理解しております。その意味において、御指摘の、教育の機会均等というものは、義務教育に関して申し上げれば、今まで申したことが一つの目標でなきゃならぬ、基本的な態度でなきゃならぬと心得ます。そこで、予備校化するという——化しておるところがあるという現実の例をお話しになったと私は了解して、そしてさっきお答えを申し上げたわけですけれども、その現実の問題を——制度論としては、学校制度の問題として、そういう差別的な教育があることは、それはむろん断じて許さるべきじゃないと思います。ただ、義務教育がきちんと行なわれておって、現実面において入学準備等が行なわれておることは、その事実があることは私も知っております。が、これをいきなりやろうと言ったからって、なかなか改まるものじゃなかろうというふうな気もするものですから、そのことを一緒くたに申し上げたことが、いささか言葉が適切を欠いた点だと思います。それとこれは別個に申し上ぐべきであったことを今思うわけであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私はこの学力テストと別個に、現在中学校なり、あるいは高等学校なりが、上級学校進学のために非常に予備校化している、困った傾向が顕著になってきたということを感じておるものの一人なんです。だから、そういう傾向については厳にこれを排除して、本来の教育の目的を達成するために努力をしてもらわなければならない、と文部大臣が答えると思ったのです。大体、昔の教育を引っぱり出してきて、試験勉強をやったときのことも、あなたも経験あるし、私も経験ある。しかし、その当時ですら文部省は、当時の文部省は、そういう試験勉強をやることを禁止しようとして、たびたび努力をしている。最近この学力テストにからんで——あなた新聞を見たと思います、山梨県に事件が起きているでしょう。朝日新聞に出ております。これは詳しくは中を読みませんが、あなたも思い出すかもしれない。この学力テストに備えて、山梨県の教育委員会が問題を作って、そして予備練習をさせておった。その問題の中に、今回抽出テストで出た問題が幾つか入っておった。それが現に山梨県で問題が起こった。内藤さん、頭ひねることないでしょう。虚報ではないですよ。こういうことも、文部大臣、そういう困ったことが起こってきている。あなたの学力調査を強行するために起こってきた現象の一つです。それから、市販されているものに、文部省の学力テストの準備教育のために、あらためて学力調査に対するワーク・ブックというのが売り出されておる。これの編集責任者は、これまた文部省としては、こんなことが許されるのかという人である。こういうワーク・ブックがどんどん売れている。私は先ほど予備校化するという一般的の現象を指摘して、文部大臣とともにこれを是正する方法を皆で考えなきゃならぬと思っていた。そういうやさきに、非常に見解が誤っておることが一つと、学力調査を実施することが、予備校化するような条件をますます大きくしてきているということですよ。これは、法的にこういうことは許されない。文部省は法律的にそういう権限を持っていないという、そういう論争とは別に、現実的な問題としては、この学力テストにいい評価をおさめるために、父兄は目の色を変えて、学生だとか、あるいは教師だとかいう人たちに、塾を開いてもらって、そこへ通わせてこの点数をよくするような傾向がさらに一そう強くなってきている。店にはどんどんこの学力テストのためのワーク・ブックが横行しておる。県教委すらこういう誤ったことをやる。こういう一連のできごとは、局部的に起こるのでなくて、私は、すでに全国的にそういう形勢が出てきておる。これを一体、どういうふうに考えるのか。文部省が強行する学力テストと無関係なものと考えるかどうか。私は文部大臣が冷静にそれを判断したら、そういうことを誘発した一つの大きな原因になっておるということを理解するはずだと思いますが、どうですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今御指摘の新聞は、私も読んでみまして、要らんことをするものだと思って読みました。そういうことをやるところは、今度の学力テストが、何かしらん、午前中もお話がちょっと出ましたように、上級学校の入学やら、就職なんかと関連がありそうに誤解した結果かもしれん。要は学力テストの真の意味の無理解に基づく局地的な問題だと思います。そういうばかなことをしなくても済むような、したって何ら意味もなさないような問題が選定されねばならぬと思っておりまして、そういうことのないようにも今後も地方に注意を唆起したいとも思っております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 文部大臣はばかなことを、ばかなことをと言いますが、あなたが強行しようとしている学力調査のこの問題が、そういう条件を誘発しているんだという反省はないんですか、あなたは。ばかだからああいうことをするのだという単純なことではこの問題は解決つかぬのですよ。ワーク・ブックがどんどん売れて、学力テストに即応する準備教育が行なわれておる。そういうことは学力調査を強行することと並行して大きくなっていく。しかし、これは子供の一生について回る評価をされてしまうのでしょう、あなたの考え方からいけば。たった一ぺんの評価が、たった一ぺんのペーパー・テストがその人間の将来までついて回る結果になる。入学試験で内申書を書けば、この内申書にはその学力テストの評価が載ってしまう。就職しようとしてもそれがみんな載ってしまう。そうなれば人情としてみんながこのことに血道を上げるような結果になることは当然じゃないですか。それほど、この学力調査というものは法的にもおかしいが、実際の問題として日本の教育をこの学力テストの予備校化するような方向に持っていってしまうことを私たちははっきり主張したい。そのことに対するはっきりした反省がないから、わけのわからぬことを言っているとか、考え違いをしているとか言って、みずからやっていこうとすることに対する影響の反省もない。そうして予備校化してもやむを得ないというような暴言まで飛び出してくる。この点は深く考える気にならないですか、あなたは、文部大臣として。自分がやろうとすることがそういう条件を誘発してきている具体的な事実がたくさんあるんだが、このことを一体、どうするのですか。ばかなことをするなというだけでおさまりますか。私はこの点をひとつ文部大臣に考えてもらいたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 内申書に記録したり、あるいは就職の場合に今度のテストの結果がものを言ったりするやり方はいたしません。それは絶対にやらないことにいたします。したがってその意味において、そういうことから御指摘のようなことでもしワーク・ブックだ、あるいは予備テストだなどということが誘発されるとするならば、さっき申し上げましたように誤解に基づくことですから、注意を喚起すれば解消するはずと心得ます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 それでは文部大臣にひとつお聞きしますが、私はあなたのやる学力調査はいわゆるペーパー・テスト、そのペーパー・テストには決定的な欠陥がある。何とあなたが検討されて工夫されても、ペーパー・テストというのはしょせんのがれられない欠陥があるのです。あなたはそれを考えませんか。そのついて回る運命的な欠陥というのは、第一にこういうことが考えられませんか。この学力調査の結果、正しい反応を示した児童、生徒がほんとうに理解をして反応を示したのか、あるいは単に機械的に記憶や連想によって答えをしたものか、どちらかを区別することができると考えますか、あなたは。学力調査の結果について、正しい反応を示した子供についてそれをあなたが報告を受けて、その評価したものを報告を受けて、この子供が正しい反応をしたことはほんとうに理解が深まっておって正しい反応を示したものであるか、あるいは単に機械的に連想的にそのとき偶然そういう正しい反応を示したか、いずれであるかを、評価の上で区別することができるかどうか、できますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指摘のようなことは困難だろうと思います。ペーパー・テストに必然的に付随する欠陥もむろんあろうかと思います。しかし、ペーパー・テストによらざるを得ない、また、それによって期待できる成果も相当あると心得ます。その後者の効果を期待してテストをやるのでありまして、したがって、一回のテストだけでもって一生つきまとうようなそういうものに利用しようなどということは毛頭考えてもいませんし、やるべきでもないと考えております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私は余分なことは聞きたくない。ペーパー・テストで正しい反応を示した子供を、そのいずれであるかを判別することができるかどうか、できませんよ、これは。文部大臣がいかに明敏であってもそれを区別できない。その反対がまたできない。この学力調査で正しい答えが出た子供がいます。正しい反応を示すことができなかった子供があります。その子供は評価はだめと出る。しかし、実際にその子供の能力がはたして理解が全くされていないものか、あるいはまた、単純な不注意のために正しい反応を示すことができなかったものか、あるいは逆に、かえって考え過ぎたために誤りを犯したものか、そのいずれであるかを判別することができますか、私はこれもできまいと思うが、どうですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 困難な点があるかと思います。大数観察の資料にはなると心得ております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 その第一も第二も判別はできませんよ。それは学校の教師が自分で指導しているその過程において、あらゆる角度からいろいろなテストを試みて、その総合判断を積み重ねればその欠陥は相当に克服することができます。しかし、たった一度、一年にたった一度ペーパー・テストをしたその結果、その評価が、今のような判断をできるはずがないということは常識的にわかるでありましょう。また、私はこのペーパー・テストでは、どうしても見せかけの知識しか持っていない者とほんとうに理解を深めた知識を持っている者との二つを判別することが非常に困難だということも当然だと思います。こういう点を考えてみますと、ペーパー・テストを行なって学力調査を行なって、それがその子供の学力であり能力であるという判定を行なうことに大きな無理がある。私はむしろ大きな間違いを犯すという極端な見方をしておる。そのように、この文部省が行なおうとしている学力調査のやり方は、重大な欠陥を含んだまま評価がなされ、その評価は文部大臣が何を考えていようがその子供の一生について回わるものなんです。あなた方は神奈川の県教委に対して強硬にそれを主張したでしょう。そういう子供の学力の傾向なり学力の実態を知ろうとするなら、何もその子供の一人々々にそういう評価を書き込む必要はないではないかと神奈川の教育委員会が言っておるにもかかわらず、絶対にこれは書き込んでもらわなかったら困るといって、内藤局長をして言わしめておる。それほど的確にあなた方の行なうペーパー・テストは子供の能力を判定できるという自信があるのですか。私はあなた方の行なう学力調査というのは、一般的な概念的な傾向を知るだけであって、子供一人々々の能力などをそれで判定できると考えてやっていたら大きな間違いだと言いたい。それをあたかも子供の学力が、能力が判定できるかのような錯覚を起こして、そうして法律権限もないものを振り回して、このことを強行しているところから誘発されて、日本の教育には非常に困った傾向が増大する、現にされている。こういう私の主張に対して文部大臣はどう考えますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) ペーパー・テストには御指摘のような欠陥も当然含んでおると思います。しかし、さっきも申し上げたように、このテストによって大勢は知ることができる。そういう効果は十二分に期待できると思います。一生つきまとうとおっしゃいますが、一生世間的につきまとわせることはいたしません。ただその学校においてその学校の先生がそのテストを通じて、一人一人の生徒児童がテストを通じてどういう状態であったかということは先生に知ってもらう値打があると思います。その場合、仰せのようにペーパー・テストの欠陥のゆえに、総合的に知っておるその先生から見た場合、テストの結果だけではすべてを物語らないなら物語らないというその根拠に基づいて生徒児童を指導していただくというよすがにはなると思います。また大数観察としては私は学校全体の傾向は見得る。地域的な傾向は見得る。全国的な地域格差なり学校格差なりというものが、大数観察的に、なぜであろうかという根拠にはなり得る。それを教育の場の改善の資料にしていきたいということが目的でございまして、一生中つきまとわせて、一回のテストでもってその児童生徒の運命を左右するようなめちゃなことは絶対にやらない、やらせないという前提に立っておるのであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 それでは文部大臣に聞くが、神奈川の県教委が、教育委員会が独自の学力調査の検討をしてそれを実施するが、しかしその結果については、出た結果の評価は記入しない、それぞれの子供に記入はしない、こういうふうに方針をきめたのに、なぜどうしても子供の調査簿にそれを記入させることを主張して強硬に圧力をかけたのですか。何の目的があってその評価の結果を書かせるのですか。あなたは何か今言うと、権限もないのに大きな熱を吹くなと言いたいのだが、一生つきまとわせないと言う。一生つきまとわせないのなら、なぜ無理に評価を書かせるのですか。各個人に何の必要があるのですか。矛盾するのじゃないですか。それを答えて下さい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) それは今も申し上げましたように、その学校内におきましては、担当の先生がその生徒の今度のテストを通じての位置づけというものがそれでわかる。それがお説のような欠陥もあり得るわけだから、具体的にその生徒にとってはどうであろうかということを先生として検討してもらって、本人の指導の材料にしてもらうという必要のために書かせようというのであります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 文部大臣の今の答弁はあなたの権限外の話をしているのですよ。あなたはそんなことまで考える権限がありますか。学校の教師が自分の子供に指導を加えて、その子供の能力を伸ばそうといろいろなテストをします。テストの仕方にはいろいろあるでしょう。それを繰り返し繰り返しあらゆる角度から検討を加えて、そうして教育の効果を上げていくためにふだんやっている。あなたに一年一ぺんつまらない学力調査をやってもらって、そのために学校の先生が反省をして何かやるなんていうおこがましいことを期待しているなどとんでもない間違いです。そんなことはふだんに行なわれている。学校の教師は自分の子供の全体がその学校の中で、あるいは北海道なら北海道でどういう水準にまできたかということは常に反省をしながら、あらゆるテストを加えて、そういう検討をしながら目的に沿うように活動しているのです、ふだん。そういう実情にもかかわらず、なおかつあえてあなたが妙な学カテストを法律の権限もないのに強行をするということは全く意味がないばかりでなくて、逆に弊害がどんどん起こってきている。日本の教育に思わしからざる状態を引き起こすということをわれわれは指摘したいのです。何か学力調査でもやらなければ学校の先生は自分の教えている子供の能力の程度がわからぬのだ、よその学校の生徒や全国的な水準と比べることができないのだとあなたは思っているのですか。それほど学校の教師を信頼できないのですか。あなた以上に詳しくわかっていますよ、そんなことは。そういう理屈では大体評価の結果を子供の記録に残すという、そういう理論的な根拠にはなりませんよ。あなたは、一方では大体の傾向を知りたいと言っている。私が個人的な子供の学力や能力をこの一回の学力調査では判定できない、判定することが無理だし、そういうことは無謀なことだと主張すると、全体の傾向を知りたい、また教師もそういうことを知るであろう。それなら、なぜ評価の結果を記入させるのですか。そんな必要はないじゃないですか。そうしてまた私に言わしめたら、今まで抽出テストを三十一年からやっているのでしょう。その抽出テストの結果で、もう教育上何が足らないのか、何が必要なのかということは出ているのですよ。何を好んでこれから毎年々々中学校の二、三年に学力調査をやらなければならぬ必要があるのですか。僻地の学校で教育の設備も何も十分でないところで教育されている子供は学力が低いにきまっている。あなたの学力調査をやってもらうまでもない。小さな学校で免許状も持っていない、科目をどんどん教えさせられている。教員がいないために、免許の資格もない者に臨時に免許を与えて教育をさせたら、その子供の学力が下がるのはさまっている。もはや今あらためて日本の全体の教育行政をより推進させるために科学的な資料が必要だという者は私はないと思う。あなたは抽出テストを今まで五年にわたってやっていながら、すし詰め教室一つさえいまだに解消できない。来年度だってできない。何のためにあなたは学力調査をやるのですか。そうなると、その教育の条件をより改善するために必要だというなら、もはややる必要がないじゃないですか。都市の子供と農村の子供と比べると、農村の子供の学力が落ちているということは文部省がすでに抽出調査で結論を出しておる。教育条件の設備や施設の劣っているところにはいい結果が出なかったということはもうわかっている。これ以上何を知りたいのですか。これ以上、あなたの日本の教育を推進させるためのこれからの活動に何が知りたいのですか。今まであなたは抽出テストの結果を見ましたか、文部省で評価した結果を読みましたか、読んでいないでしょう。それを読んで、それ以外に何がほしいのですか。文部官僚に引きずり回されている。あなたは私に答弁できますか。何が知りたいのだ。私はそれがわからないのだ。法律的に何の根拠もないものを振り回して、そうしてごうごうたる反対の世論の中でこれを強行して何が知りたい。日本の教育をぶちこわしてでもこのことはやりたい理由は何なのだ。私は何も社会党の立場であなたのやることに理由のない反対をしていろのではありませんよ。日本の教育を破壊してしまうのだ、この学力調査は。うまいことを言って、あなたは教育の条件を改善していきたい、そのための資料がほしいと言うでしょう。しかし、それはもうすでに文部省にある。どうですか、文部大臣、何が必要なんですか。内藤局長は黙っていなさい。文部大臣に……。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 抽出調査はあくまでも抽出調査でありまして、その成果をもっとまんべんなき資料に基づいてベターな資料を得るために一斉テストは非常に意味があると思います。効果があると思います。また今までは抽出調査の結果に基づいて、文部省として数年来その結果に基づく材料によって教育の場の改善に資して参っております。その方向づけをもっと徹底的に、合理的にやりたい、こういうことであります。混乱しているとおっしゃいますが、混乱させる人があって混乱している面があります。全国の子供の親、学校長、あるいは教育委員会はほとんど全部賛成であることは私は承知いたしております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私はあなたの学力調査を中学の二、三年に一斉にやるという理由がまだわからない。何が知りたいのかわからない。大体、先ほど私が指摘したように、あなたのやる学力調査のペーパー・テストは、的確に子供の学力なり能力を判定できない、ということに対してあなたは考えないのですか。一年に一ぺんか、特定の日にわずかな時間であなた方の出したこの問題についてテストが行なわれて、それで子供の学力、能力が判定できますか。私は少なくも、これは一般的なごく大ざっぱな傾向を知ることができるであろうと、それは認めます。それ以外に求めようのない、この学力調査で何を完璧に示したいのですか。あなたが法律を改正したり、あるいは予算をよりふやしたりしていくためにこの学力テストがまだそんな必要な問題を発見できると思っているのですか。  もう一度あなたに聞きますが、文部省が三十六年の二月ですか、内藤さん、出したでしょう、今までの抽出テストの結果を。それを読みましたか、文部大臣。一度でも読みましたか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 一々読んではおりませんが、それに基づく対策については、いろいろ聞かされたことはあります。

米田勲日本社会党

○米田勲君 だから、私は文部大臣がもっと大臣としての立場で物事を判断してもらわなければ困るということなんです。官僚が言い出せば何でもあなたは唯々諾々としてそれに従っておる。あの報告書を見なさい。あなたが、これから日本の教育について何が必要かということは全部書いてある。抽出テストの結果でわかっておる。私はどうもあなた方が口を開けば言っている学力テストの目的はそうではないのじゃないか。もし、あなた方の言うような目的であれば、すでにそのことは結論が出ておる。今までの過去の抽出テストの結果で、一般的な傾向は出ておる。読みもしないでおいて、そうして官僚がこれをやったほうがいいと言えばめくら判を押しておる。私はそういう悪口を言いたくない。少なくともこれだけ問題をはらんでおる学力テストをやろうと思えば、今までやっておったテストの結果がどうであったかということを文部大臣はみずから読むべきですよ。それくらいの熱意と真剣さがなくして日本の教育を背負って立てますか。大きなことばかり吹いておって。熱心ではないんだ、あなたは。学力調査なるものをなめてかかっておる。私にこういうことを口をきわめて悪口を言われて、あなたは何とも反省しませんか。大体これを一斉にやるという、このやり方は世界のどこの国にありますか。文部省はあると言っておる。国家権力で問題を作って、国家権力で実施しておる国なんて世界のどこを探してもありませんよ。文部省の権限で文部省が問題を作って、強制的にこれをテストしておる国は、世界の教育史上にもないし、現に世界のどこの国でも行なっておりません。行なっているというならば、それはうそですよ。文部大臣がそういうふうに聞かされているならば、それはうそです。文部省という国家権力を握っておるところが問題を作って、その権能を振り回して学力調査をやっておるという実例があるのですか、どこの世界にありますか。文部大臣、それをどう聞かされています。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今度の一斉テストと同じようなことを外国で行なっておるということは聞かされておりません。私は外国の例なんかそうたいして問題にならぬと思います。今までの抽出調査そのことが今米田さんもおっしゃるように、文部省の報告を見ても、大いに今後なすべきいろいろな課題も出ているというくらいに評価される程度のものが抽出テストで出てきた、それをさらにより適正なものに近づける意味においては、一斉テストは大いに意味がある、価値があると理解します。ですから、それはおよそ統計的な効果だけを見るにいたしましても、その資料はまんべんなく多くあればあるほど正確さが出てくる。これは算術的な計算でありまして、あえて申し上げるまでもないと思いますが、そういう意味で抽出調査がいいことであれば、さらにそれを全面的に推し進めることは、よりベターであるに相違ない。そういう受け取り方できわめてすなおに協力してもらって成果を上げたいものだと思っております。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私まだまだ問題があって質問を続けたいところですけれども、何か理事会で話があって、きょう中にほかの人たちが質問をすることが予定されているそうですね。それで私は、きょうは結局私の質問を中断させられることになりますが、文部大臣に次の委員会に資料の提出を要求します。それは文部省が最初に行なった抽出テスト、そのテストの結果をひとつ書いた資料、その結果に基づいて具体的にどのような国家予算の上で、教育予算の上で手が打たれたか。法律はその結果に基づいてどのように改正されたか、改善されたか。それを一回ごとに毎年行なった抽出テストの結果と、その結果に即応して行政上、あるいは予算の上で、法律の改正の上でどういう手が次々に打たれてきたか。それを対応してひとつ資料にして出して下さい。いかがですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 承知いたしました。

米田勲日本社会党

○米田勲君 それではこの次の質問まで譲ります。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 ちっと資料を要求しておきます。今、米田君から要求があったのですが、教育白書に方向が載せてありますといったような回答ではなくて、三十一年の実施人員はこういうこと、それから各県は各県別にどういういわゆるあなたたちが知りたいと思っておった能力の結果が出たか。それに対して、たとえば福岡県で三十二校実施したが、それに対してどういう結論を出し、どういう教育施設、諸条件の向上に資してきたか。各県別にその資料の合計と実施人員、施策を詳しく出してもらいたいと思う。教育白書に出ているのはきわめて抽象的で、論議にならないと思います。  それから、午前中文部大臣が答えた中に全国一斉学力テストというのは単に文部省だけが考えたのだというような言い方ですが、私どもの知っているところでは、総合計画局の人的能力委員会の調査計画の中に、全国一斉学力テストを文部省にやってもらうべきだという結論が出ているように承知しているのです。この資料を、そのときに当該人的能力委員会は大体何十人か人間がおるはずだが、論議の経過、記録と結論をきちんと資料を出してもらいたいと思う。これは文部省の単なる企画ではなくして、政府の一つの人材開発の計画の中に全国一斉学力テストという問題が入っているのは政府の方針だと僕らは理解している。  それから、経済開発審議会の教育訓練小委員会というのがあると思います。もちろんこれはわれわれの委員会の所管だけでなくして、その他各省あるいは各委員会の所管の中にもワクが広がっていると思いますが、その部門のいかんを問わず、教育訓練小委員会というものはどういう構成をし、どういう結論を出し、特に教育関係に対してどういう見解を持っているか。  第三は、文部大臣は諸外国のことは知りません、またそのまねする必要もない——識見としてはりっぱです。しかし、諸外国がそれをやらないという根底の中に、国家権力が教育内容にタッチしてならないという思想があるのです。したがって、それを知らないというのはまことに困ると思うのですが、イギリス等も似たようなことをやっておるけれども、内容は違いますが、大臣が今のそういう考え方でやってあるとすれば、諸外国の事実、あるいは現在まで行なわれてきた学力テストというものがどういう意図であったかということを知る必要がありますので、これも法律でできているところもあるし、施策として出ているところもあるし、類別して詳細にやり、当該教育委員会に類似した機関の意向、教育諸学者の学説、これを読まないでやったとするなら、文部省としてはまことにずさんですから、これも同時に出してもらいたいと思う。  それからもう一つ、学力テストの実施にあたって教育委員会に対して、たとえば米田君が質問したとおり指導要領にぜひ記入しなさいとか、いろいろの達し、通達、連絡、要望等を出しているはずです。これは文部広報に載っていると思いますけれども、これは文部広報は正規の資料でありませんので、すべて出した通達、写し等を出してもらいたいと思います。  それから、法的根拠について加瀬委員も質問されたのですが、午前中の大臣の答弁を聞くと、文部省と地教委の権限関係、文部省と学校との権限関係、地方教育委員会と学校との権限関係、これと地方教育行政の組織及び運営に関する法律の五十四条の二項ですね、内藤さんお得意の、これとの関係がきわめて牽強付会的であり、明確でありません。この点も加瀬委員が要求された法的根拠の中で、権限、義務関系を明確に出しておいてもらいたいと思う。  それと、今言いました地方教育行政の組織及び運営に関する法律の五十四条と、いわゆる措置要求権を規定しているところの五十二条ですか、これとの関係、以上の資料を要求しておきます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 戦前、戦時中の受験準備教育の弊害というのは、これはきわまったと思います。これについて文部省はどういうふうに一体把握しているのか。したがって、これに、この把握に基づいて、終戦後の教育改革の中で、幾多の改革をやっているだろうと思う、見体的にこの問題詳細に資料として出してもらいたいと思う、それだけです。

内藤誉三郎文部省初等中等教育局長

○政府委員(内藤誉三郎君) 大体、資料御要望どおり出したいと思っておりますが、豊瀬委員の抽出テスト、五%サンプリングの分につきまして、各県がどのような施策を講じたか、県別に出せという御要望でございますが、実は非常に各県だけで見ますと、同じような条件の学校がせいぜい二つくらいしかないわけです。それの二つによって推定を立て、施策を講ずるのは、非常に困難でございまして、五%サンプリングでございますならば、文部省として各県の状況をまとめたやつで、それに基づいて、文部省がどう施策を講じたかというお尋ねならよくわかるのですが、県別に具体的な施策まで入ることは、この調査では困難かと思っております。

豊瀬禎一日本社会党

○豊瀬禎一君 あなたがこれならできるといったほうで要求したので、考え違いです。そして文部省が当該各県に何らかの措置をしたことがあるならそれもという意味です。そして、これは資料要求ではないのですが、予備校化してもやむを得ないという問題については、次の委員会で再度大臣の見解をただしたいと思う。米田委員の質問に対する先ほどの回答ではまだ不明確です、制度上の問題は当然です。教育基本法に定めているけれども、実態論としてはやむを得ないという印象をまだ受けるような答弁をしております。この点に関して、学校教育の実態として、義務教育が高等学校の予備校化することに対する大臣の明確な考え方をまとめておいていただきたい。

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 御要望の資料につきましては、委員長からも政府にこれを督促いたしておきます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 当面緊急な案件について若干質疑をいたします。時間が迫っておりますから、答弁者は簡明率直にお答えを願います。  まず、スポーツ関係で、オリンピック準備対策に焦点を合わせて伺います。  具体的に問題を提示して伺う前に、一般論として政府のオリンピック準備対策協議会の責任者である総理府総務長官並びにオリンピック閣僚会議の主要メンバーである荒木文部大臣に伺います。そのことは近くインドネシアでアジア・オリンピック大会が行なわれますが、そのインドネシアが新興国の命運をかけてその対策に大わらわであるということが活字を通じ、あるいは写真を通じてわれわれは承知するわけでありますが、非常な影響力を持っております日本は立法府の決議もあり、国民の要望のもとに一九六四年の東京オリンピックを招致したわけでありますが、この東京大会はぜひとも成功させなければならないと思っています。弊害が生ずることなく成功させるということは非常に大事な問題だと思っておりますが、今質問者として指名いたしました二人の方は、はたしてこのオリンピック準備対策というものが順調に進んでいると認識されておられるのかどうか、もし十分でないとするならば、どういう反省を持ち、どういう今後の善処策を持っておられるのか伺いたいと思うのであります。答弁の資として一つ提示するならば、あるいは組織委員会、あるいは政府、東京都、こういうオリンピック準備を推進する機関ははたしてうまく統合された形で運営ができているのかどうか、こういう点について質問者は疑問なきを得ません、御答弁いただきたいと思います。

小平久雄自由民主党総理府総務長官

○政府委員(小平久雄君) お答え申し上げます。  政府といたしましてもオリンピック東京大会が十分その目的を達し得るように、また予想どおり施行されますように、そういう配意から、御承知のように準備対策のための協議会等も設けまして鋭意努力をいたしておるわけでございます。お話の中に出ました、ただいまのところをもっていたして、準備が十分進んでおるか、こういう御趣旨と存じますが、すでに御承知の通り目下屋内競技場の問題、あるいは選手村の問題等につきましてまだ最後の決定を見ておりませんが、政府といたしましてはこれらをどこにするかということの決定は、オリンピックの性格上まずもって組織委員会において決定をいたすべきものである、それに対して政府はそれが実現のために極力協力をいたすべきものである、そういう立場にあると心得ておりますので、目下組織委員会のほうでの最終的な御決定をお待ちいたしておる。こういうことでございますが、組織委員会のほうにおきましてもその点につきましては非常に苦心、努力をいたされておりまして、近々のうちに何らかの結論を得られるものとわれわれは期待をいたしておるわけでございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 答弁する人はピントを合わせて答弁して下さいね。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 大体の様子は今総務長官からお答え申し上げたとおりでございます。順調に進んでおるかというお尋ねでありますが、一応順調に進んでおります。ただし、選手村の問題とプールの問題及びボート・コースの問題はもうちょっと検討を要する点が残っております。まあぎりぎり今月一ぱいぐらいに見当をつけますれば総括的にどうやら順調に進んで参りますと申し上げ得るかと思っております。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 もう一問前提として伺いますが、旧海軍時代に五分前という言葉がある。これは旧海軍が使った言葉であるけれども、私はあらゆる場合にきわめて適切な言葉だと考えております。いつぞやオリンピック対策についても、一年前に諸準備を完了する、そして国内の選手がそれをテスト的に利用する、このことは国内的に、さらに国際的な影響等を考えた場合に一挙両得である、そういう立場において法的、予算的、行政的、すべての準備をしてしかるべきであるという私見に対して、荒木文部大臣はかつて同感である、そのように努力したいということを答弁しておりますが、現在もそのお考えに相違ないかどうか、あらためて伺いたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 相違ございません。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 次に調達庁長官に伺います。戦後十五年を経過して、首都東京に外国軍隊の駐留基地、キャンプがあるということは好ましくないことだと思う。ワシントン・ハイツは日本の希望に従って米軍は全面返還するものだと私は過去の経過から了承しておりますが、念のためにお伺いいたします。

林一夫調達庁長官

○政府委員(林一夫君) そのとおりでございまいす。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 文部大臣に伺います。今の調達庁長官の答弁を前提に伺いますが、八月十日オリンピック閣僚会議の主要メンバーである文部大臣のあなたに池田総理がワシントン・ハイツ以外の土地を国立屋内総合体育館の候補地として探してほしいと指示なさっておる。あなたはその指示を受けております。米軍が首都の中枢にあるワシントン・ハイツを全面返還するというのに、何がゆえに総理はあなたにワシントン・ハイツをあきらめて他の候補地を探せと指示なさったのでありますが、その理由を承りたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私は直接指示は受けませんが、関係閣僚として結果的には受けたのも同然でございます。ところであのときの総理の意向は、これより先、組織委員会の会長からプールの敷地としてワシントン・ハイツの一部を使えば場所としては非常にいいのだが、それについては駐留軍との関係もあるのでどうであろうという意味の連絡をされた趣きであります。そのときにワシントン・ハイツの一部がオリンピック関係で必要だからということだけで全面返還ということはどうであろう、したがってワシントン・ハイツ以外にプールの敷地に適切なものがありはしないかを検討してくれということを総理は申したそうであります。そういうことで組織委員会におきましても五、六カ所の候補地をあらためて具体的検討を進めましたけれども、どうもどこもいろいろとむずかしい点があるという結論になりまして、その結果、ワシントン・ハイツ以外の所を調査してくれという総理の意向もあったから調査した結果、結論はかくかくのごとしということを会長から連絡をされたようでありますが、そのときに今御指摘のような、政府側でよく考えてみたらどうだということになったということから、関係閣僚懇談会なるものが開かれまして、便宜組織委員会の会長も列席されまして、相談しましたわけであります。そういうことでワシントン・ハイツの全面返還そのものは、おのずから別に時期があるであろう、オリンピックのプールの敷地だけに関連して全面返還ということは、時期的に、方法的に適切であるまいという判断から御指摘のようなことを総理は申したのではなかろうかと推察しておるわけであります。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 国務大臣である荒木さんに伺いますが、ワシントン・ハイツを米軍が百パーセント返還の用意があるとするならば、日本政府は喜んで即刻全面返還を受けるべきではないでしょうか。それとまあオリンピックは共産圏の選手諸君もおいでになるわけですが、選手村の近くに外国軍隊の駐留キャンプがあって、駐留軍の姿がちらちら見えるというようなことは、米国自体も好まないであろうし、日本国としても独立国のプライドとして許せないことだと思うのです。私はそう考えるが、文部大臣は、また国務大臣としてどういうお考えを持っておられるか、お答えをいただきたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お説と同感であります。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 しからば文部大臣並びに総理府総務長官に伺いますが、御二人はそれぞれの閣内における責任者としてワシントン・ハイツを早急に全面返還を受けて、これにオリンピックの準備を進めて参るというお考えを持っておられるものと私判断いたしますが、かように判断して差しつかえございませんか、御二人からお答え願います。

小平久雄自由民主党総理府総務長官

○政府委員(小平久雄君) 先ほど申しますとおり……。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 あなたの私見です。あなたの御意見を伺っておきます。

小平久雄自由民主党総理府総務長官

○政府委員(小平久雄君) ただいま組織委員会におきましては、当初話のありました屋内体育館をワシントン・ハイツに持ってくることと同時に、朝霞に当初から予定しておりましたオリンピック村のほうも、今度はワシントン・ハイツに持ってきたならばいかがであろうか、そういうことは今検討をいたしておるのであります、そこで、実は先ほど来お話がありました八月初旬におきましては、オリンピック村のほうはあくまでも朝霞、それから体育館だけをこちらのワシントン・ハイツ、こういうことで当時は実はお話が出ておったのであります。しかし、最近は今申すとおり、組織委員会のほうの検討の事情もだいぶ変わっております。そこでさっきも私から申し上げましたとおり、これをどうするかということは、まず組織委員会が決定すべきものである、かように私どもは考えておりますので、かりに組織委員会においてワシントン・ハイツをあるいは体育館の敷地あるいは選手村として全面的に利用する、こういうことに決定するならば、政府といたしまして、あるいは私個人の意見ということでございますが、私としても十分協力いたすつもりでおります。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今、総務長官のお答え申し上げたことで尽きておると思いますが、さっきもお尋ねの趣旨としては、御説と同感とお答え申し上げましたが、そのとおりでございます。ただ実際問題といたしますと、今もお話が出ましたように、メイン・スタジアムを中心に国際オリンピックの行事を行なうことになった競技場等はいかに配置し、いかにあるべきかということは、組織委員会が権威を持って決定する立場にございます。しかるに私どもが、総務長官も同様ですが組織委員会のメンバーになります以前に、選手村は朝霞という線が一応決定づけられておったのであります。米軍からの全面返還けっこうだという話は、ずっとその後になって出て参りました。したがって主催者たる東京都としましても、朝霞のほうを選手村にするということは、都議会としても意思表示をしておるようでございまして、全面返還という意思表示はありましても、にわかにそれに切りかえることは事実問題として困難があった。いわば新たな事情がそこに生じて参りましたので、その新たな事情に基づいて東京都がどういう意思を決定するか、そのことが最終的には組織委員会の最終結論に前提としてどうしても必要でありますので、そういうことのためにすらすらと結論に到達しておりませんけれども、できることならばワシントン・ハイツで処理ができればけっこうだと内心期待いたしております。そうなるような方向にも協力し、努力したいと思っているところであります。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 招致が決定して以来の経過を見ていますと、すべてのことがくるくる回っているのですよ。順調に、きわめて能率的に事が進んでいない。かるがゆえに私は第一問を発したわけです。かつてはワシントン・ハイツ、それから朝霞にいって、またワシントン・ハイツに出てくる、それを受けて都議会で決議をする、都の予算を組む、執行段階に入ってくる、また変わってくる、組織委員会には権限がありましよう、しかしそのきまったことについて政府のほうで予算を受けてこれを実施に移していく、そういうことになれば、何か三者の間に事前な話し合いが十分行なえればこういう私は不能率な気まずさも起こらないと思うのです。そこに何らかの私は欠陥を感じますし、こういう状況でいくならば、このオリンピック大会が終了するまでにずいぶんと不経済、不能率なことが起こるであろう、しかも、成功に支障を来たすであろうと私は懸念するがゆえに第一問を発したわけです。  そこで私は大蔵政務次官に伺いますがね、私はこういうことを推察し、また一部情報を受けているわけなんです。池田さんがワシントン・ハイツをあきらめようと言ったのは、あそこに米軍の宿舎がある、それで米軍としては、あそこにオリンピック村でも作って米兵の姿を見られるということはあまり芳しくない、ことにライシャワー大使はああいう人だから、できれば姿は見せたくない、グリーン・ベルトを作るとかなんとか言うけれども、そんなことではだめです。そこで移すとすれば坪当たり三十万円くらいの家を作ってほしいと要求されて、総額大体八、九十億になる、それで予算的に池田総理は苦慮して、ワシントン・ハイツをあきらめてはどうかという意思表示をしたらしいと、私は相当に可能性はあるのですが、そういうことを承っているのですがね。一体この、建設省からおいでになっておる人に伺いますが、一体日本人が、建設省所管の住宅は一体坪どのくらいで今建てているのか、安保条約によって米軍が日本に駐留しているのであろうが、日本のつらの、まあつらでも鼻みたいなところですが、東京都というのは、そのワシントン・ハイツにおって、それを移るのに坪二十万円も三十万円もの宿舎を建ててほしいということは米軍のわがままだ、そんなものは調達庁長官も厳に排除すべきである、一体そういう予算方面はどうなっているのか、まあ米軍があまりぜいたくを言わぬで、適正な移転住宅を建ててほしいというのならば、ワシントン・ハイツを全面返還し、そこで屋内体育館ができ、あるいはオリンピック選手村がそこに設置され、その後において、あるいは都民の公園に、あるいは住宅に使用されるということになれば非常にりっぱな計画である、けっこうなことだと思うのです。そのためには私は大蔵省はその七十億、八十億くらいな金を惜しんではならぬと思うのです。しかし、米軍が不当な代替施設を要求するようだったら、断固としてこれは日本政府の責任において排除すべきだと思うのです。経緯並びに御見解を承っておきたい。

堀本宜実自由民主党大蔵政務次官

○政府委員(堀本宜実君) ただいまワシントン・ハイツにオリンピックの施設が移転することについての大蔵省経費の点についてのお尋ねがあったと思いますが、私の聞き及ぶところによりますと、まだワシントン・ハイツに全部の諸施設が決定して、しこうしてその内容をどうする、あるいは予算の処置をこうするというような細部についてはまだ未決定であって、内容については承知をいたしておりませんが、おそらくまだそういう正式な交渉に乗ってきておらないというふうに了解をいたしておるので、ございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 政務次官、就任早々だから、いかに優秀な政務次官でも無理ないと思いますので、調達庁長官どうですか。

林一夫調達庁長官

○政府委員(林一夫君) 米軍のほうから坪当たり三十万、四十万の建物を要求しておるというようなお話でございます。建物につきまして米軍のほうの要望は、ワシントン・ハイツの返還を要求した際に、ワシントン・ハイツ住宅地区と同程度の施設を提供されるならば、リンカーン・センターを含めてワシントン・ハイツ全体を返還するというような回答があった、具体的に何万円とか、何十万円ということではなくて、同程度の代替施設を提供するならば、ということでございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 その金額はどのくらいですか。

林一夫調達庁長官

○政府委員(林一夫君) 一般に、経費が全部で八十億と、こういうふうに言われております。これは私どもの推算は、この住宅その他の地域を含めまして、坪数が約五万五千坪くらいになります。坪当たり大体十四万円くらいな見当で計算しますと、八十億円くらいかかるのではないかというような腰だめの計算を私どものほうはいたしております。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 国務大臣としての荒木さんに伺いますが、かりにワシントン・ハイツの米軍の宿舎を移すという場合に、その所要経費というものは、いわゆる施設協定によって負担させられるわけですが、国民感情を顧慮して適正な価額にすべきものだと思いますが、関係閣僚として所信と決意のほどを承っておきます。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) もとより仰せのとおりと思います。具体的には今調達庁長官からお答え申しましたように、現在の施設と同程度と、常識的にいいところだと思います。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 大蔵大臣にかわって政務次官にお答えいただきますが、かりにオリンピック組織委員会でワシントン・ハイツという線が出てきたとすれば、宿舎を移さなければならぬですね、その場合に、米軍の宿舎を移すにあたっては、今文部大臣が認められた点で政府は善処しなければならぬと思いますが、そうなりますと、将来の都市計画も勘案して若干の国の負担がかかろうとも、これは一面においては将来東京都の都市計画、他面においては、直接的にはオリンピック東京大会の成功のために当然国はその財政支出を渋るべきものではない、かように私は思いますが、大蔵大臣にかわってお答え願います。

堀本宜実自由民主党大蔵政務次官

○政府委員(堀本宜実君) まだ内容が決定いたしておりませんので、私がここで渋る、あるいは渋らないということを言明することは不可能だと思いますが、関係の機関と連絡をとって、たいへん重要なことでございますから慎重に検討をいたしたい、かように考えます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 私の質問には前提があるわけですね、査定官である谷川主計官の所見を承っておきます。

谷川寛三大蔵省主計局主計官

○説明員(谷川寛三君) ただいまの私どもの政務次官がお答えいたしましたとおりの考えでございます。いろいろ関係機関と、国とどう調整して参りますか、いろいろ問題がございますので、慎重に検討いたしたいと思います。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 次に文部省の体育局長に伺います。専門家という立場から伺いますが、一体オリンピック村を朝霞にきめたのはどういう理由なんですか、競技運営上という専門的な立場からいえばワシントン・ハイツが、しろうと的に考えていいのじゃないかと思ううのですが、担当局長、専門家としてどういう見解を持っておられるか承ります。

杉江清文部省体育局長

○説明員(杉江清君) 選手村を朝霞に持っていくということの意向は、相当前から組織委員会として持っておられたのでありますが、その前提の考え方として、まず当時の状況において、おそらく米軍はワシントン・ハイツを返さないであろう、現在相当たくさんの宿舎があり、使っておるのであるから、あれは返さないだろう、一方朝霞のほうには、これはもうすでに数年間向こうのものではあるけれども、向こうは使っておらない、そしてなお現地のかなりの地位にある向うの責任者が懇談の際などは、これは返してもよかろうというような内意も漏らしていた、そういうふうな諸般の状況からワシントン・ハイツの返還はむずかしい、で朝霞ならば容易であろう、こういう判定がまず第一にあったということであります。その次に、当時の状況であれば、朝霞はあの全部を返還される可能性がある、そうすれば選手村もゆったりとりっぱなものができるし、また必要な練習場も豊富にこれを整備することができる、そうすれば選手村としての運営及びその練習等考えればかなり好条件である、ただ問題は、交通事情、道路の整備が問題である、この点でかなりちゅうちょされたのであるけれども、しかし、そのワシントン・ハイツの返還がむずかしいということであれば、交通の問題は極力今後関係方面に整備していただくとして、ひとつ朝霞に選手村を設けることでいこう、こういうふうな考え方で決定されてきておる、こういうふうな経過でございます。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 競技運営上は。

杉江清文部省体育局長

○説明員(杉江清君) 競技運営上は、今申し上げましたとおり、交通事情がかなり困難であるということでありますけれども、それを整備すれば三十分程度の距離でございますから、著しい支障はないであろう、こういう判定であったわけなんです。だからワシントン・ハイツが容易に返還されるという見通しがあれば、競技運営の立場からしてワシントン・ハイツのほうがいい、これはだれしも考えるところであったわけですけれども、しかし、当時の状況はそういうふうに考えられないという前提があったから、朝霞にすることが適当である、競技運営の交通の問題はひとつ今後できるだけ努力してそれを改善する、こういうことであったと承知しております。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 ワシントン・ハイツは返還がだめであろうという判断のもとに、道路運輸上の問題があるけれども、朝霞を一応予定した。ところが調達庁長官の答弁のように、ワシントン・ハイツを米軍は全面的に返還する用意があるというので、ワシントン・ハイツがクローズ・アップしてきた。しかも、それが実現するならば専門家の立場から競技運営上も差しつかえない、こういう経過をたどってきたわけですね。そこでそのことはワシントン・ハイツは返さないであろうと日本政府で勝手に考えておった。全面返還してくれない、朝霞は返してくれそうだからというので話を進めていったということなんですね。そこで調達庁長官に伺いますがね、朝霞を選手村にするというのでいろいろな準備作業が行なわれております。私はあの朝霞の米軍キャンプは近く日本側に全面返還されることを米軍は了承しているものと思いますが、念のために確認を願います。

林一夫調達庁長官

○政府委員(林一夫君) 米軍が申してきておりますのは、朝霞につきましては、日本側から返還要求をしました部分の返還には応ずることはできないが、オリンピックのため一定条件のもとに一時使用に供することができる、でなお、日本から返還要求をしました地域に隣接しておりまする地域、これは桃手地区と申しますが、桃手住宅地区の北部、これは返還する用意があるということを申してきております。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 この朝霞に対する米軍の態度は転々として変わるんですがね、これは国際情勢なんか反映しているんですか。何でしょう、ワシントン・ハイツを返還した場合に、ここにいらっしゃる方々の住宅というのは朝霞に持っていくわけじゃないでしょう。私の聞いているところでは調布市の水耕基地に持っていくだろうと言われているんですがね、朝霞に持っていくわけじゃない。朝霞はある場合には返さぬ、ある場合には返すといっているのですが、当然朝霞は返してもらわなきゃ重大問題が起こるじゃないか、環状七号線はすでに工事は約二〇%進捗している、オリンピック道路というキャッチ・フレーズのために、住民は住宅をあけ渡しているわけです。もし、ワシントン・ハイツにして、朝霞は半永久的に米軍基地となれば、オリンピック道路だと言って地域の人々に立ちのきをお願いして、軍用道路になるじゃないですか。そういう住民をだます背信的な政治行政というのは、池田内閣としてもあるいは東都政としても断じてやれないと思う、やるべきでないと思う。したがって、文部大臣と総務長官に伺いますがね、あなた方としては、ワシントン・ハイツに選手村並びに国立屋内総合体育館が設けられた場合においては、国道七号線は約二十数%進捗しているわけですが、大東京都の都市計画上からいっても、朝霞というのは適切な土地なんですが、将来をおもんぱかって優秀な住宅団地とされる用意があられるだろうと思う。そういう意味でいけば、今の国道七号線の工事というものはむだにならないわけなんですね。そういう見解も聞きたいと思ってきょう建設大臣の御出席を願ったのですが、建設大臣おいでになっておりませんので、皆さん関係者であるから、総務長官並びに文部大臣の私は見解を承りたいと思います。答弁次第では私はもう一同発します。調達庁長官におかれてもこれは朝霞はあの付近の人の市民感情あるいは県民感情から言っても、朝霞の全面返還というのは強力に要求すべきである、かように私は考える。お答えいただきます。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 朝霞のキャンプ村がワシントン・ハイツに移りましたとしましても、元来朝霞の選手村というのは、私の承知します限りでは住宅公団が選手村の建築を担当し、オリンピックが済めば、一般の住宅としてこれが役立つように、初めから設計をし、敷地をたまたまあそこに求めるというふうに、いわば一石二鳥の考え方で交渉されておったと承知いたします。ですから、この選手村がワシントン・ハイツに移りましょうとも、その意味でのあそこが住宅地で人が住むということ、さらにには東京の交通難を緩和する意味での、都市計画ないしは道路計画という見地からも、選手村の移転するといないとにかかわらず、道路計画等をスムーズに進んでいかすべきものと私は心得ます。そういう意味で一閣僚としても協力すべきであろうとひそかな心がまえをしておるような次第でございまして、担当大臣がどう言うかを別にしまして、私だけの見解でございますから、見解が間違ったらおしかりを受けねばなりませんけれども、私としては一応そう申し上げます。

小平久雄自由民主党総理府総務長官

○政府委員(小平久雄君) 私としましても文部大臣と全く同じ見解を持っております。

林一夫調達庁長官

○政府委員(林一夫君) キャンプ朝霞につきましては、日本側から返還要求しましたものはキャンプ施設の一部でございます。ただし、その部分については返還できない、一時使用ならよろしい、そのかわり返還を要求した地域に隣接する地域は、これは桃手住宅地区と申しますが、返還してもよろしいということでございます。この点は初めから変わりはないと思います。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 お約束の時間が来ましたから最後の質問をいたします。  建設大臣にかわって關盛建設省計画局長さんお見えになっておりますから伺いますがね、私はこの問題に対する中村建設大臣はどういうお考えを持っておられるか、さっぽりわからないのですがね、時々によって意見が変わっておるので、大体道路行政はあの人が担当なんでしょうが、朝霞にしようとしておるのか、ワシントン・ハイツにしようとしておるのか、さっぽりわからないところがあるわけです。もちろん、関係はあるけれども、道路行政とオリンピック準備対策というものは私は不可分の状態であることは認めますが、別個の問題として考えるべきだと思う。そこで局長に、かわって私が承っておきたい点は、かりにワシントン・ハイツにオリンピック村がきた場合においても、国道七号線、環状線、それは軍用道路には、そういう性格のものには絶対にしない、させない、こういうことだけは建設大臣にかわって責任をもって答弁いただけることだと思うのですが、御確認を願います。

関盛吉雄建設省計画局長

○政府委員(関盛吉雄君) ただいまのお尋ねの点は、お説のとおりでございまして、東京を中心とする交通につきましては、放射線と環状線でもってつとに計画決定をいたしまして整備をいたしておるわけでございます。朝霞方面の施設が決定をいたしましたのに直接いたしまして、当然数年後に整備すべき環状七号線をこの機会に繰り上げて整備をするという方向で進んでおります。昨今の自動車台数の増加から見ましても、あの道はやはり国の今後ますます整備する必要性を持っております。ただいまお尋ねの軍事道路というような性格のものに施設配置の結果がならないように、もとより建設省といたしましても土地使用の適正な計画を進めて参りたいというふうに考えております。

矢嶋三義日本社会党

○矢嶋三義君 もう一問、総務長官にいたします。オリンピック村をどこにするかということがきまらないと準備が本格化しないと思うのです。これは国内的な問題でありますが、国際的にもIOCに対しても恥ずかしいことだと思うのです。そこで、組織委員会の決定を待って政府も具体的に手順を進めて参るでしょうが、しかし、皆さん方の陰に陽にのお考え方もやはりこの決定ができるかできないかに影響力を持つわけですから、そんなことを勝手にしても国は金を出さないといえば組織委員会はぐらぐらするから、一切、組織委員会の責任とは言えないと思うのです。そこで有機的にうまくいっているか伺ったわけですが、いつごろ結論を出されようとされているのか、この点一つと、それからもう一つは、あなたは池田内閣の準備対策協議会長だからあえて伺いますが、オリンピック開催の前後、米駐留軍の姿が外国からおいでになった選手の目には入らないようなところに御遠慮願う程度の意思表示を日本政府は米軍に出してしかるべきだと思う。朝霞にしろ、ワシントン・ハイツにしろ、ああいう国際的なスポーツ行事をやるときに、戦争が終わって二十年になんなんとする独立国日本の首都において、外国の軍人の姿がちらちらしているということは、国としてもある意味においては恥ずかしいことだし、また先ほど申したように、いろいろな国から選手がおいでになるわけですから、そういう面でも、私はマイナス面が出る。これは日本のためにもアメリカのためにも私は、私の意見は望ましいことだと思う。そういう点についての総務長官の御所見を承って、時間が参りましたから、きょうの質問を終わりたいと思います。

小平久雄自由民主党総理府総務長官

○政府委員(小平久雄君) お尋ねの第一段の結論はいつ出るかということでありますが、組織委員会の結論が正式にいつ出るかどうか私は今わかりませんが、実は明日正式に組織委員会を午後二時から開くことになっております。当然この問題が議せられると思います。明日結論が出るかどうか予測を許しませんが、いずれにいたしましても、近々のうちに出るのではないかと思います。さようにこの点は考えております。  それから組織委員会と政府との関係でございますが、先ほど来申しましたように、私どもといたしましては、政府が先ばしって、あそこにここにと言うこともこれはいかがかと、建前上不穏当のそしりも免れないと思いますが、しかし、内々事務的には、かりにワシントン・ハイツに選手村がきた場合には、どういうところに問題点があるかということは十分組織委員会の方と連絡をとりながら、現にもう検討をいたして参っております。そういう次第でございますので、組織委員会の決定を待ちまして、あるいは閣僚懇談会あるいは閣議等にはかりまして、逐次これは正式に政府の態度をきめていく、こういうことになると思います。  もう一点、オリンピック開催時に米軍の姿が見えないようにと、こういう申し出をしたらと、こういうことでございますが、先生のお気持はよく私どもにも理解ができます。ただ、政府としましては、そういう先生初め国民の皆さんも大体同じような御感情と思いますから、極力トラブルの起こらないように、この点は十分配慮をいたして対処して参りたいと、かように考えております。

平林剛日本社会党

○委員長(平林剛君) 本日の質疑はこの程度にいたしまして、これにて散会いたします。    午後四時八分散会      —————・—————

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