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39回国会参議院1961/10/26

農林水産委員会 第11号

発言数
98
登壇者
12
会派数
2
開催日
1961/10/26

会議録

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員の異動について報告いたします。  本日、阿部竹松君が辞任、その補欠として近藤信一君が選任されました。また、本日、棚橋小虎君が辞任され、その補欠として基政七君が選任されました。    ———————————

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) この際、御報告いたします。去る二十四日の委員会において、水資源開発促進法案ほか一件について、建設委員会との連合審査会の開催に関しては、委員長一任と決定されましたが、委員長は理事との協議の結果、建設委員会に連合審査会の申し入れを行なうことに決定いたしましたの下、念のため御報告申し上げます。なお、連合審査会は、明日開会の予定でございます。    ———————————

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) この際、理事の補欠互選についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い、理事が欠けておりますので、その補欠互選を行ないたいと存じます。互選の方法は、成規の手続を省略して、便宜委員長から指名することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) 異議ないと認めます。よって委員長は、理事に安田敏雄君を指名いたします。    ———————————

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) オリンピック東京大会の馬術競技に使用する施設の建設等のための日本中央競馬会の国庫納付金等の臨時特例に関する法律案(衆第一七号、衆議院提出)を議題といたします。  本案については、去る二十四日提案理由の説明は聴取しております。  それでは本案に対し質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言願います。

河野謙三自由民主党

○河野謙三君 まずお伺いしますが、手元に「建設又は整備に必要な経費」というものの内訳をもらいましたが、この「建設又は整備に必要な経費」の内訳というものは、だれが作ったのですか。オリンピックの組織委員会が作ったのですか、大日本競馬会自体が作ったのですか。その点をまず伺います。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) 政府側におきましてオリンピック組織委員会の意見を聞きまして、御要望を十分伺って編集いたしまして、提出側の議員さんの方へ連絡したものでございます。

河野謙三自由民主党

○河野謙三君 オリンピック開催のために施設するのでありますから、組織委員会の意見を聞いておやりになったとは私は思いますけれども、そこで伺いますが、大日本競馬会自体が、オリンピック終了後に必要とする施設というものは、オリンピックが必要とする施設とは、おのずと格段の私は規模の違いがあると思う。言葉をかえれば、オリンピックに必要な施設というものは、オリンピック終了と同時に、国内の体位向上、馬術普及の面からいえば、不必要な面が非常に私は出てくると思います。その点は私はどういうことであるかということを伺いたい。  そこで、まず第一に伺いたいのは、現在馬事公苑ですか、そこにある施設というものによって、本来の馬術の普及その他目的は十分達せられておる。国内の一般国民の用に供するための施設としては十分現状において事足りておるのじゃないですか。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) 現在の状況からいいますると、一応事は足りておりまするが、十分完備したものだということではございません。

河野謙三自由民主党

○河野謙三君 それはまあ国の経済力その他からいって、あらゆるもので一本が十分完備した施設があるなんということは、各界にそんなものはないのです。一応、しかし、国内の用としては目的を達するに相応した施設が現在で問に合っているのだということは、私は間違いないと思う。これからこの莫大な施設をするということは、単に半月間といいますか、実際に馬術の行なわれるのは三日か四日でしょう。その間の瞬間的なオリンピックの馬術競技のために投下する金ですね、施設ですね、これもやらなければオリンピックができないから仕方がない。しかし、この施設をするにあたっては、おのずとこの施設をオリンピックの終了後に、いかに国民大衆の用に供するか。最も経済的にこれを考えてやらなければいかぬと思う。それは当然お考えになっていると思うのですが、そこで、具体的に伺いたいのは、たとえば、(9)に覆馬場建設に伴う土地購入費。国有地を五千坪から買うということです。これはオリンピックが終わったら、国は再びこれを大日本競馬会から土地を買い戻すのですか。それとも、それはそのままやりっぱなしですか。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) 本法においては一応競馬会の所有に属させますが、本オリンピック東京大会のために施設されたものでございますので、やりっぱなす意思はございませんで、十分国家的な目的、特にオリンピック大会組織委員会等の御意見も拝聴いたしまして、十分国家的に活用して参りたいと存じます。

河野謙三自由民主党

○河野謙三君 いやオリンピックの期間はこれは必要でありますけれども、オリンピックが終わったあと、こういう覆馬場なんというのは私はぜいたくきわまるものだと思うのですね。これはもし使うとすれば、ごく一部の限られた方が使うのであって、そういうものに国が資本を投下して施設をするというような、そんなばかげた社会正義はございませんよ。私はそう思うのです。だから、オリンピック開催のために施設することはけっこうですけれども、終了後におきましては、再び必要最小限度の馬事施設に戻して、そうしてより一そうその他の施設は一般大衆の用に供するように私は今から考慮すべきであって、その終了後の施設利用について何らの考慮もなく、これだけ莫大なものを施設することについては、私は疑問があるのですがね。その点はその点で、たとえば、国有地を五千坪買うのはけっこうだけれども、競馬会とのやりとりでありますから、終わったらその五千坪はすぐ国が再び買い戻して、これをもっと国民の大衆の保健衛生の面、体位向上の面に利用するというようなことは、今の段階から私は具体的に御説明があってしかるべきだと思うのですがね。その他にいたしましても(1)から(9)まで全部、これは私は毎度申しますけれども、オリンピック施設というものは婚礼のお振りそでみたいなものですよ。その晩一晩は非常にはでやかでいいのですよ。終わっちゃったら死ぬまでたんすの中にしまっておくだけですよ、お振りそでというものは。だからみんなこのごろは貸衣装屋から貸衣装を借りてお振りそでを着てやるわけです。それと同じに。私はオリンピックの施設はすべきだと思うのです。それを一部の金持ちがやるように、お振りそでを買って、何十万円も金をかけて、そうして婚礼をはでやかにやって、死ぬまでたんすにしまって置くという、日本がいかに景気がよくても一そんなぜいたくな国のまねはできないと思う。特に私は馬事については疑問がある。馬事関係が体位向上のために利用されておることはけっこうですけれども、一体何人がこれを利用しておるか、しかも馬ということは道楽中の道楽の一番これはぜいたくな道楽ですよ。そういうものと国民というものは、およそ縁遠いことなんですよ。だから神宮の競技場を作るとか、一般の体育館を作るとかいうものとは、これは軌を一にすべきものじゃないと思う。そういう意味合いで私はくどく申しますけれども、この施設は必要やむを得ざるものであるけれども、オリンピック終了後には、おのずと国がこの施設をどうするということを、これと並行して私は御説明あってしかるべきだと思うんですが、どうです、その点は。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) 政府並びにオリンピック組織委員会といたしましても、オリンピック関係施設は、大体国及び地方公共団体が建設整備いたすことになっておるわけであります。したがいまして、この施設につきましても、本来の趣旨からいえば、本財源は一応国に入れまして、この目的に使用して、建設して、その後は公共的なその趣旨にかんがみまして適正に処理すべきものでありますが、馬術競技の施設を現具体的な計画から見ますと、国において予算化いたしますると、いろいろ継続事業になっております関係その他競馬会の所有地の中に国が建てます関係上、その権利関係において種々複雑な関係が生じたりいたしますので、本案におきましても仰せのような趣旨に従いまして、国庫納付金の債務免除額の使用、すなわち施設の建設などはお話の趣旨もまことにごもっともでございますので、政府において十分監督してやっていく所存であります。したがいまして、今回の法律だけでは、手放しで競馬会の施設として建設され、かつそれがそのまま競馬会の目的に処理されるということは、私ども政府側といたしましても適当でないと考えますので、政府としましては、一応競馬会の経理の中に、この分を区分いたしまして、そうして特例法の債務免除を受けて整備建設をする、この資金による建物の維持管理を、他と厳重に区分して適正に行なうように指導していきたいと存じます。したがいまして、本法を御協賛下されますれば、政令におきましても、特にオリンピック組織委員会の意見も聞いて、建設あるいはその後の管理等についても十分意見を聞いて政府が指導する。特例法による施設を建設整備する場合は、本法の立法趣旨にかんがみまして、オリンピック組織委員会の意見を十分聞いて、元来が政府がオリンピックのために施設するということには原則として間違いないのでございますので、施設の利用については十分組織委員会の意見を尊重して、オリンピックのための利用については、無償で使用させることはもちろんでありますが、さらに利用後の管理処理につきましても、政府としては、これがオリンピックのために免除された資金によって建設された公共的建設物であるということを十分考慮いたしまして、特別な指導をやっていきたいと存じております。したがいまして、競馬会に漫然と付加されてしまう資本剰余金と違いまして、別の観点から、本法の趣旨にもかんがみまして、十分そういうことで処理して参りたいと存じます。

河野謙三自由民主党

○河野謙三君 局長は私がここで質問しないことまでも御答弁されましたが、これは、おそらく前国会の末に前局長のときに私が質問したことに対して、それを受けて先に答弁されておりますが、いわゆる私は先手を打たれた格好なんですが、剣道の極意に先々の先というのがありますが、先手のまた先手を言っているので……。しかし、まあ私が疑問とすることにつきましての一応の解明、またそれに対する対策の御説明がありましたので、一応私は納得します。要するに、今御説明がありましたように、私は前国会に申し上げたことを重ねて申しますが、オリンピックの目的のために競馬会に競馬をやらせるのであって、競馬会には寄付行為が起こるわけです。そこで、出た収益を主催団体の東京都なりオリンピック財団に一ぺんそれを寄付して、そうしてその寄付を受けた機関が、あらためて農林省なり競馬会にその施設の建設について委嘱するという形をとって、その間の経理関係をはっきりすべきだということが私の主張なんです。今の法案は、その点につきましては競馬会が競馬をやる特権を持って、そうして十億もうけて、自分の庭にオリンピックの施設を作って、オリンピックが終わったら十億は競馬会の財産がふえた、こういう全く折り目のついていない、法案そのものからいえば、だらしがないものですよ。しかしまあ運用によって、監督にあたって、今、農林省が折り目正しくやると、こういうことでありますから、私は会期末のことでありますから、その点は了承します。了承しますが、時間がありませんからいろいろ申し上げたいけれども、一つ伺っておきたいことは、現状の馬事公苑の利用の状態ですよ。まあ聞けば六万坪も七万坪もあるというが、それは一体どういうふうに一般都民なり一般国民の用に供しておるか。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) 現在の馬事公苑の利用は、いろいろ馬術の愛好団体、あるいは学校馬術その他中小学校の運動会あるいは中小学校の、何といいますか、馬に関するいろいろの見学等に充てまして、今後さらに余裕のある限り十分公開してやっていきたいと存ずるわけであります。しかし、一部は競馬会の騎手養成事業にも相当部分を使っておる実情であります。

河野謙三自由民主党

○河野謙三君 一体あらゆるスポーツの中で、私はアマチュア・スポーツとしての馬関係のスポーツ人口というものは非常に少ないと思うのですよ。これはまあ文部省の所管でありますけれども、一般スポーツにおいて野球を初めその他のあらゆるスポーツは、小中学校に至るまで非常に多くのスポーツ人口を持って、スポーツの施設がなくてきゅうきゅうとしているのですよ。しかるに、ごく限られた馬関係のスポーツ愛好者に、国がこういうふうな莫大な一つの投資をしておく必要がどこにあるかと私は思う。しかも伺えば、その馬関係だけでなくて、現に運動会をやったり、一般都民の散歩の場所であるとかということであるならば、現にそういうふうに利用されておるなら、これを日本競馬会自体が管理していることが私は間違いだと思う。まあこれは私の一つの意見になりますけれども、よろしく東京都なりもしくは国立公園にして、そうしてもっとひとつ、限られた馬なんというそんなものは、場合によったらなくていいとは言いませんが、どこかよそのほうに持っていって、必要最小限度のものにして、もう少し一般の都民なり一般の国民に、スポーツにしてももっとより多くのスポーツ人口を持っているところのその他の競技に私は公開すべきだ、こういうふうに思うのです。そういうふうに私は考えておるときに、ここにまた馬事関係の施設をすることによって、よけいわれわれが考えている理想と遠ざかって、これはあくまでも馬以外のものには使えないのだということに、だんだん深く根をおろすというようなことは、少なくともこれは私個人の理想でありますけれども、私の理想からはだんだん遠ざかっていく。これは私だけの意見ではないと思う。みんな馬事公苑というのはどのくらいの広さがあって現にどういうふうに使われているか知らないからのんきに構えている。どこの学校へ行ってもごらんなさい、運動場なんてありはしないですよ。スポーツをやりたくても一般のスポーツはできないのですよ。そういうときに、いわゆる特権階級といいますか、一部の限られた人たち、しかも民間の篤志家が金を出し合ってやるならばいいけれども、国がこれだけの金を出してやるということは、全く私は時代錯誤だと思うのですよ。だからこの機会に私はその結論まで得ようとは思いませんけれども、少なくともオリンピック終了後においては、この馬事公苑について根本的に私はもっと高度に国民のために利用するように、少なくともその考慮があってしかるべきだと思う。なお、幸いにこの機会にそういうことも考えておって、こうしようああしようということがあるならばお答え願いたいし、もしそういう準備がなければ、そういう希望があったということだけは十分私は心得ておいていただきたい、かように思う。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) お話の通り、特にこういう東京都など人口が集中しておりまして、現在緑地地帯が非常に少ない、国民の、都民のレクリエーションの場所も非常に少ないという観点から、全く御意見は同感でありまして、おおい馬場その他の、ここに関係しております施設等につきましても、オリンピック以外に東京都等ともいろいろ相談いたしまして、御趣旨の点が十分に生きるように、できるだけ努力して参りたいと存じます。

河野謙三自由民主党

○河野謙三君 他に法案もたくさんあることでありますし、ほかの方々はあまりこの問題に関心がないと思いますから、私はあとでこの法案につきまして希望を述べさしていただく機会をあらためて委員長にお許しをいただくことにして、これで質問を終わります。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 局長にお尋ねしますが、馬事公苑の隣接地の国有地払い下げの五千坪というのは、これはオリンピック組織委員会で決定されたものですか。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) オリンピック組織委員会の馬事関係の方々と十分相談しておるものであります。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 この国有地は、政府としてもそういうオリンピック組織委員会の要請に基づいて五千坪を払い下げるということに大体意向は決定せられたのですか。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) 大蔵省の管財局とも十分打ち合わせを行なっておるものであります。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 この馬術競技に使用する土地をどこを指定するかということについて、まあ東京付近といいますが、首都圏の範囲内で各候補地を農林省で調査したようでございますが、そういう予定の対象になった地域はどことどこか、ちょっとお知らせを願いたい。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) ちょっと申し上げますが、オリンピック開催種目のうちに馬術競技は四種類あるわけでございまして、そのほかにまた近代五種というものもあるわけであります。そのうち馬場の馬術競技を、今予定地になっております馬事公苑を含めた、隣接を含めた所でやる。総合馬術競技、それから障害飛び越しのオリンピック大賞典競技会あるいは障害飛び越し。馬術競技会の中に四種目あるわけでありますが、馬場の馬術競技会を今申し上げております馬事公苑関係でやりまして、総合馬術競技会は東京近郊でやることにいたしております。そういう関係で、今お話の東京近郊関係でオリンピック組織委員会の馬事関係に専念されておる方々がお探しだと思います。あとの障害飛び越し、オリンピック大賞典競技会、これは個人競技ですが、それから障害飛び越しのオリンピック大賞典競技会のチームのやつですが、これは国立競技場でやることになっております。したがいまして、先生の御指摘のやつは、総合馬術競技会のチーム、個人の競技で、東京近郊のどこでやるか、オリンピック組織委員会で検討しておることだと思います。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 四種類の馬術競技をやる場合の一つにこの馬事公苑の隣接地を候補地としてあげた、こういうことになるわけですが、他の個人競技あるいは障害競技をやるという地域については、また新しく国有地を払い下げる場合が出てくるわけなんですね。ですからオリンピックの総合的な馬術競技をやるには、やはりその一貫したところの計画のもとで、やはり国有地を使うならばそういうときに一緒に取り扱うことのほうが適切ではないかと思う。これを一つきめて、またあとのほうは各候補地を選んで、その中からきめていくというようなことではなくて、やはりオリンピックというのは一斉に行なわれるんだから、計画としてはやっぱり一斉にそういう問題を取り扱ったらどうか、こういうようにも考えられるわけなんですけれどもこの点はどうなっていますか。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) オリンピック組織委員会の馬事関係の話によりますると、ただいま東京近郊という総合馬術競技会は、三十六キロの野外競技コースをやる関係がございまして、いろいろ馬術競技に長距離でやるやつと、それから馬場で演技的にやるやつと、いろいろ種類がございまして、総合馬術競技会のチーム、個人でやる場合は、馬場馬術競技会をやる馬事公苑の馬術と性質が非常に違うわけでございまして、非常に広い距離なり野外関係になりますものですから、やはり都内ということじゃなしに近郊を求めているようであります。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 そうしますと、総合馬術競技会の三十六キロというようなそういう地域は、東京近郊の予定地ではできない、他のまた地域を求めるということになりますと、おそらくこういう地域は国有地あるいは公有地というような官有地になろうかと思うわけであります。そういう場合の、やはり施設の裏づけとなる金額というものは、一体、これはオリンピック組織委員会のほうでまかなっていくつもりなのか、やはりそういうような問題もこういう中央競馬会を対象にこのような予算措置を講じていくのかという点はどうなんですか。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) 私どものほうで今回法律で御予定申し上げておりますのは、馬場馬術競技会に要する施設だけでございまして、その他のほうの施設につきましては、オリンピック組織委員会の財団のほうで手当していくわけであります。先ほど申し上げました総合馬術競技会のほかに近代五種等もございまして、やはり総合は東京近郊の広い場所ということで検討中のようでございます。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 オリンピックの馬術競技をする場合に、一つのほうの財源は、この中央競馬会に対して臨時に開催さして、その中から上がる利益を充当していく、他のほうはオリンピック組織委員会なりあるいは東京都なりがどういうことで金を集めるか知りませんけれども、そういうような方法でまかなうということになりますと、何か統一されぬような気がする。と同時に、なぜこの中央競馬会にこの種目のみに対して財源を求めていくかが問題になってくるわけなんです。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) オリンピック組織委員会の馬術関係では、馬術競技会のほかに近代五種もございまして、これはまたあとでつけ加わった種目でございますが、組織委員会のほうで——いろいろなことで東京都なり国で施設はやりますけれども——なかなか馬の関係では、直接器具なりあるいはその他全部含めてまかなってやることが不可能だということで、本来からいいますると、先ほど御指摘にあったように、何らかの方法で予算を組まなければならぬ。特に馬場馬術につきましては、ある程度の施設もありますし、ほかに適当な適地がないので、たまたま馬事公苑という場所とその隣接地をオリンピック組織委員会の方できめたわけであります。  本来からいいますと、国庫納付の免除をいたしますにつきましても、これはやはり国の予算に一応編成してやるべきものではございますけれども、行ったり来たりの措置をやめまして、また権利関係が非常に複雑になりまするので、特別にこういう措置をとったのでございまして、その点は十分御了承をいただきたいと存ずるわけであります。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 オリンピック東京大会を完全に遂行させるという一環として、こういうような措置をとったのだろうと思いますが、こういう措置をとる前提として、馬術競技という全体について四種目あるそうでございますが、その全体についての一体計画並びに予算措置というようなものについては、おわかりにならないのですか。たとえば馬術競技全体をやるについて何十億か要る、そのうちの馬場馬術についての施設費が十億円であるとか、大体そういうような計画はおわかりだろうと思うのですがね。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) ただいま組織委員会のほうで検討して予算を立てておりますのは三億八千万円であります。こちらのほうの施設は十億、それから一部今回の利用からいたしまして競馬会が持っている所有地に、今厩舎とか、いろいろのものが建っておりますが、それを撤去したり、動かしたりする費用が必要でありますので、そのほかに競馬会のほうから一億出しまして、そうして計算いたしますと、十四億八千万円になるわけであります。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 十四億八千万円で四種目の馬術競技ができるということなんですか。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) 国で認めましたこの競馬会で出させます十億は、ここで御審議願っておりますが、この四種目のほかに、また近代五種が最近あとで追加になってきております。近代五種は馬術と水泳とフェンシングと射撃と、郊外を走る競技、マラソンの一種ですが、断郊競走、この近代五種の一つとして馬術があげられておりますが、この予算のほうは最近あとで加わってきたものでございますので、その資金関係等につきましては、組織委員会あるいは馬術連盟等のほうでいろいろ苦面するに苦心している現状であります。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 私の聞いているのは、馬術競技全体を完全に行なうためには、組織委員会のほうでも一つの計画を作って、そうしてその上に立って予算がどれくらいかかるということをやっているだろうと思うわけですよ。その中で、その財源の捻出のためには、一応提案されたところの馬場馬術については、こういうところの土地を借りたい、それが馬事公苑の隣接地だと、これについてはここに示されてあるように、(1)から(9)までの内容を盛ったもので、大体十億円かかる、こういうことになっているわけですね。これをあなた方のほうに話があって、そうして農林省でもそれを了承して提案したわけです。ところが残りの馬術競技については、何らそういう計画その他についてのはっきりしたものはないのですか。そこをお尋ねしたいわけなんです。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) オリンピック組織委員会の馬事関係のほうでは、その他の面で三億八千万円の予算を立てまして、その他の三種目、総合馬術関係、あるいはあと二つの障害、飛び越し関係につきましては、自分のほうでやる、こういうことで、障害のほうはいろいろな競技がありますので、国立競技場等の利用関係とも連絡して、そこらのほうは手配がついております。総合馬術競技のほうは、いろいろ東京都とももちろん連絡してのことでしょうが、東京近郊について検討しておるようであります。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 これは実は冨士山ろくの地帯に対しまして、馬術競技の一部に利用するのだということで、農林省の役人とオリンピック組織委員会とで調査をしたわけなんです。そういうような問題について、一応候補地でございますから、それはそのままといたしましても、やはりそういう計画を立てる際において、いわゆる地域の調査の結果、そういうようなものが出て、たとえば冨士山ろくの地帯、あるいはその他の地帯もあるのだろうと思いますが、そういうものまで含めて残りが三億八千万円ですか。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) 場所の関係あるいは地方公共団体の大体オリンピックの施設——運営は別ですが——施設経費は、国または地方公共団体、したがいまして、東京で主として行なわれますので、東京都が相当支出することになりますが、競技の性質、場所によっては、その他の地方公共団体が行なうことになるわけであります、施設関係は。あと運営の費用を原則としてオリンピック組織委員会のほうで持つというように伺っております。御指摘のこの馬事公苑を使わない総合馬術関係につきましては、組織委員会の馬事関係の方々が自主的に各適地を御検討中だと思いますが、特に私どものほうがこれに直接関係しておるということはございません。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 そこでお尋ねしますけれども、何か中央競馬会のお金を、臨時に競馬をさして、そうしてその収益の中から十億円拠出させて、この施設を作ったのだということでございますが、オリンピックが済んでしまうと、この中央競馬会へこの施設を戻してやるというようなことを一面には聞いておるのですが、その点についてはどうなっておりますか。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) たまたまこの馬場馬術をやる場所の適地がオリンピックの組織委員会のほうでもここが適地だ、こういうことでお話がございましたので、できるだけそういう方面にわれわれのほうとしても協力しよう。しからばその施設に対する経費はどうかということになりまして、こういう方法でお話をいたしておるわけでございますが、もちろん国に納むべき——競馬をやりますと国に売り上げの一割を納付することになっております。この競馬を開催した結果によるその一割の部分を、年二回三カ年続けてやりまして、この財源を生んでその施設に充当してオリンピックの馬術のほうに国としても協力していこう、こういうことでいろいろ関係議員の方ともお願いしておるわけであります。したがいまして、本法の趣旨からいいまして、競馬会のためにやるわけじゃなくて、オリンピックの大会のためにやることでございますので、先ほど河野先生からも御指摘のとおり御趣旨全くごもっともでございますので、特に農林省といたしましては、中央競馬会に対する業務上監督措置の指導の責任もございますし、その部分はその部分として特別経理をさせまして、そうしてその資産関係について今後どうしていくかということは、オリンピック大会の組織委員会の意見等も十分聞いて、国家的な見地から一種の一これは普通ならば国で施設しますということで、競馬会は一種の特別機関でございますけれども、政府が厳重な監督をしている、役員全部を任命しておる特別機関でありますけれども、国とは別でありますので、こういう趣旨の施設であるということで、われわれのほうとしては今後の利用管理、それから開放等につきましては十分この立法の趣旨にかんがみまして、競馬会の従来の施設とは別に考えていきたいと考えております。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 オリンピックを完全にどの競技も遂行していくということは、これは国際的な面からいってもきわめて重要なことだろうと思うし、今後の日本のアマチュア・スポーツの発展のためにも、これはまたどうしてもしていかなければならぬということはわかります。しかし、そういうことのために財源等の関係で私たちとしては賛成できないことでございますけれども、まあ、一応競馬会のほうからその売り上げを目当てにして施設を作るということはいいのですが、そのオリンピックを完全に行なったあと、一体この管理は、やはり農林省が国有地を払い下げるわけなんですから、相当の私は発言力を残しておって、これがあとで中央競馬会の所管を持っていかれるようなことがあってはならぬので、むしろこういう際に、先ほど河野さんの発言があったんだが、これは馬術がきわめて今国民の中で小範囲に行なわれているのだけれども、これをさらに馬術を将来大衆化するというようなことを考えるならば、当然これは政府が相当の発言権を持って、あとのその管理をしていかなければならぬ、こういうように考えられるわけなんですが、ところが、一部に流れておる風評によりますというと、結局中央競馬会がこのあとの、何といいますか、管理か何かをするようになるだろうというような風聞を聞くわけなんです。ですから、私は先ほどその点について御質問したわけなんです。こういうところの考え方を、はっきりできたらしていただきたい、こう思うのですが……。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) お話のとおり、本法によりまして一時私有に帰しまする本施設の財産につきましては、私どもとして、本法が立法された趣旨、かつ政府に納付すべき債務免除——このオリンピック大会のために債務免除をするという趣旨にかんがみまして、十分オリンピック組織委員会の意見も聞き、政府側として国家的な財産という観点から、十分、ほかの施設と違いまして監督指導して参りたいと存じます。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 関連。そこにちょっと割り切れないものがあるのです。私は聞いております。ということは、国家的なものとして将来残したい、こうおっしゃるのですよ。そうするなら、何もこの土地を、何というか、別の性格の競馬会へ払い下げることは要らないじゃないか。国有地にその施設をしていったら一番問題の解決は早いのじゃないか。一たん根本になる土地を払い下げて、そうして競馬の利益によってそれを施設した、こうなりますれば、非常にそれを持ったものの権限は強くなるのじゃないか。発言権は強くなるのじゃないか。あなたが言うようなことに、実際問題として使うという本式な意思があるならば、何も払い下げることは要らないじゃないか。競馬会というものにこれを払い下げることは要らないだろう。国の土地の上にそれを施設して先ほど河野さんも言われるようにいろいろそれをまた転用して、転用してですよ、今不足している諸他の競技場等に使うことがいいのじゃないか、こう考えられる。おっしゃっていることと、どうもしていることがちょっと違っておりやしないかと、こう思うわけです。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) この馬場馬術をやりますためには、御配付申し上げたように、競技用及び練習用馬場も要るわけでございまして、現在馬事公苑は約六万坪でございますが、その隣接にございます五千坪の国有財産を足しまして、そうして馬場馬術競技を円滑にやるようにしたいわけでございます。したがいまして、どこかほかの土地で、まとまってそういう適当な土地が得られますれば、組織委員会のほうでもこういう手当をなすったと思いますが、適当な場所がほかにないわけでございます。五千坪を継ぎ足しまして、そうして一括してこれを馬場馬術競技大会の場所として使おう、こういうわけでございます。したがいまして、権利関係がいろいろ複雑して参りますので、一応競馬会の経理には置いておきますけれども、十分このオリンピック大会で免除された資金による建設であるということで、競馬会の普通運営していく施設と違った意味で、特に経理処分を特別経理に立たさせて、今後オリンピック組織委員会の意見も聞いて、政府全体のまた厚生省とか、いろいろ意見があると思いますが、全体の公共的目的に使って参りたい、こう存ずるわけであります。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 だから、私の言うのは、そういうものに使うという考え方ならば、今ここで何も五千坪を払い下げとか何とか言わないで、国の土地の上に施設していって、そのままそういう形に持っていったのが一番楽じゃないか、こういうふうに言っている。わざわざそれを、競馬会という一人格者にこれを払い下げて、そこへ作ったものをまためんどうして——めんどうでしょう、あなたの今おっしゃるようなことをやるには。特別経理を立てて、それをなにするとか、こう言いましても、何といいましても、そこにちゃんと一つの大事な土地というものの所有がきまっちまっている。そんなめんどうなことをするなら、あなたのおっしゃるようならば、国の土地の上にさっさと作ったらいいんじゃないか、こういうことなんですね。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) 馬場馬術競技会が五千坪の土地だけで十分競技用馬場とか、いろいろの馬場を作って建てられるならば、そういう措置をとることもできるわけでございますけれども、五千坪というのは、今の馬事公苑の施設では十分でないので、はみ出して、やむを得ず国の施設を払い下げるわけであります。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 いや、それはわかっている。それは十分わかっている。それがわからぬで私はお伺いしているのじゃなくして、そのことはよく了承しておるが、(「国のものとつなぎ合わして使ったらいいじゃないか」と呼ぶ者あり)了承しておりますが、今、安田さん並びに河野さんにあなたが御答弁していただいた趣旨からいけば、特別の維持の方法等を講じて、そうして、これが国全体の上から見て有効なものに使うように努力する。努力ではない、そういうふうに使うのだ、こう言うのだ。それがほんとうであれば、何も払い下げというような複雑な手続をしないでいいじゃないか。国の土地なんだから、そういうものに将来使うなら、何を使わんで、国の土地の上に建てたらいいじゃないかということを私はお伺いしている。

北村暢日本社会党

○北村暢君 関連。

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) 答弁をやらせます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 関連。答弁をやらせる前に関連をさせなければ……。

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) じゃ北村君、関連を……。

北村暢日本社会党

○北村暢君 今、清澤さんが言っているのは、その五千坪は、馬事公苑の今の施設を改良し、さらに五千坪必要だというわけで、だから、その五千坪のものは国有地なんだから、国有地と隣接合わして、何か垣があれば垣をとっ払って、そして同じように使う、施設の国有地と今の馬事公苑の六万坪ですか、それと合わせて使用するようにやればいいじゃないかと言っている。何も競馬会の土地に所有を移転しなければ施設ができないというものではない。競技ができないというものではない。できると言っているのですよ。なぜそういう、払い下げて、また競技が終わったならば、何カ月——三年くらい後にまた国有地に戻す、国の施設にするというなら、そんなややこしいことをする必要はないじゃないか、こういう質問をしているのですよ。そうすることが、何かしら、何かこの競技が終わったならば、中央競馬会の所有にしてしかもあの今の施設でさらにこれはもうおそらく今後日本でオリンピックをやる場合は、あるのかないのか知らぬけれども、そういうオリンピックという特定な施設をするものが、そういう、施設を拡大するものが、今後の日本の馬術振興の上からいって、そういう今のオリンピックで使うような施設がより必要なのかどうなのかという点について、必要であるというなら、この管理を移してどうということも出てくるかもしれぬけれども、河野さんのおっしゃっているように、今の馬事公苑で相当目的は達しておるんだと、こういうことになれば、私は、そういうものはもうオリンピックが終われば、もとの、何といいますか、今後その他の馬術振興という意味でなしに、ほかにも使用できるような形でもっと使い道というものを考えて、その所属をはっきりしておいたらいいじゃないかと、こういうことを言うわけなんでね。ですから、あなたは五千坪必要だからぜひとも払い下げて買わなければならないんだと、こう言うけれども、国有のままでできるじゃないかと、こう言っているのですよ。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) お話のように、絶対にできないということではございませんけれども、やはり大蔵省の財産関係といろいろ——かりにただサーカスをやるように丸太で建ててやる場合は、一時使用とかいうようなことにはなりますけれども、特別な施設をやる場合に、大蔵省側の財産管理処分の面から言って、截然としておきませんと、いろいろ経理上不便を来たすので、大蔵省側としては一応ちゃんとした施設を建てる場合は、原則として施設を建てる側のほうへ払い下げをする、移管をする、そういうことで処理をいたしております。

河野謙三自由民主党

○河野謙三君 私は、今の議論は、オリンピックが終了した後においては、その施設を全部撤去してしまうという前提であるならば、清潔さんや北村さんの意見のほうが正しいと思うんですよ。そうじゃなくて、そのよしあしは別として、今政府なり組織委員会が考えておるのは、覆馬場を作るというのでしょう。覆馬場というのはおおいがあるやつでしょう。そのおおい馬場が国有地にまたがらなければできない。しかも、一ぺん作ったおおいというものは、終わったあとでもそのまま使いたいんだと、こう言うんであるから、そこで、この際払い下げしたい、こういうことになると思うんです。しかし、もしオリンピックが終了した後においては、利用度その他から考えて、こんなものは要らないんだ、だから、オリンピックだけ間に合わせて、あとは施設を撤去してしまう、そうであるならば、国有地というものはそのままでもいいし、場合によっては一時使用して、終わったらまた返せばいい。問題は覆馬場をせっかく作ったんだから、今まで日本になかった施設がオリンピックを動機にしてできたんだから、これを大いに利用しようということであるならば、それはやっぱり競馬会なり何か一つのものでなければいかぬと思うけれども、それが終了後にこれはこわしてしまうのか、そのまま使うというものなのか。これはむしろ農林省よりも、オリンピック組織委員会もしくはアマチュア馬術のほうの関係の問題だと思うのだが、そこは一体どうなんです。もしあくまでも臨時であって、終了後においてはこわすんだというのであれば、私は清潔さんや北村さんの話がいいと思う。問題は終了後にその施設を使うのか使わないのかという問題だと思うんですが、どうですか。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 私の質問しておりますのは、あなたの答弁を中心にしているんだ。管理委員会等のものを作って、そうして有料なものに考えてやるんだと、こう言う。そうしたら要らなくなるのでしょう。馬事と関連しておらないんだ、その施設が。だから、そういうことならば、何もあれは要らないんじゃないかと、こういう質問をしているんだ。あなたの前提があるんですよ、前提が。

伊能繁次郎自由民主党

○衆議院議員(伊能繁次郎君) 私からも関連してお答えをいたしたいと思いますが、さいぜん来河野先生からお尋ねのありました点、さらにまた関連して河野先生からもお尋ねがあり、安田先生、清澤先生からお尋ねがありましたが、本来であれば国または地方公共団体がオリンピックの施設をすることが一番すっきりする、かように思うわけであります。ところが、たまたま馬術競技のうち馬場馬術については、馬事公苑という大きな施設がある。したがって、それを利用したいというのが組織委員会の意向でございます。他の場合と違いまして、他の三つの競技場については、これはあるいは国立競技場、あるいは目下検討中であります東京郊外のしかるべき地域で相当長距離の場所を選ぶということになっておりますが、馬場馬術については、短期間のもののために、馬事公苑のような大きな施設を設けるということは非常に不経済であるということでたまたま馬事公苑というものがあるからそれを利用したいというについては、覆馬場その他でもってなお足らぬ点があるということで、ここで国の施設として今お尋ねのような形でするか、あるいはこの法律に基づきましたように年二回通常の競馬のほかに開催をさして、約十億円近いものを国庫に納付するものを免除して、それによって日本競馬会をして施設をせしめる。そうなりますと、五千坪の用地を払い下げないでもいいではないかという御意見も出ましたが、一応日本競馬会をしてやらしめるということになりますと、政府の所有地とそれから競馬会の所有地との問題、また政府の施設と競馬会の施設というようような関係で、あとあとになって管理上もいろいろの点が起こってはならぬということも考慮をいたしまして、そこで、理論的には、河野先生がおっしゃったように、政府が金を支出をして、競馬会でもうけた金は政府から組織委員会に一応支出をする、そうして組織委員会が競馬会に施設を頼むというようなことになりますと、組織委員会は御承知のように施設を持っておりませんから、国または公共団体がこういう施設をする。一方、競馬会ではこれだけの馬事公苑というものに施設を持っておるので、その点からいって、これは競馬会にやらせることが一番便法だと、かように法律的には私ども考えたわけで、そこで将来の問題として、撤去をするのではなくして、将来は覆馬場として、またそれに付帯の施設、御承知のように、覆馬場に三億四千五百万円、それの土地購入のために三億八百万円というような、合計六億五千万円というような非常に大きな金が、大部分のものが覆馬場関係に行くわけでございます。そこで、将来の問題としては、日本競馬会に持たせるが、その管理については政府として特別な方式をとって今後国民体位の向上なりあるいは一般の国民の馬術普及のために利用させるようにしたいんだということで、財産関係、管理関係を紛淆させないためには、便宜上日本競馬会に持たせるほうが適当である、かような考え方に立ったわけでございますので、これはいろいろ議論はございましょうと思いますが、その間、将来の財産関係だけは明確にしたい、こういう考え方でございます。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 そうすれば、局長が言うていることはちょっと違っているわな。安田君の質問に対して言われていることは違う。今のお話を聞けば、競馬会にあとを管理させて競馬会に渡すということですね、そういう話があるかどうなんだ、こう言ったら、そういうことはありません、こういう御答弁なんでした、あると言ったらいいじゃないか、はっきりと。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) 今、伊能衆議院議員の組織委員長代理の申し上げましたとおりでございまして、私が間違って申し上げた点があるといたしますれば撤回いたします。

北村暢日本社会党

○北村暢君 そこで、その組織委員長の言っておるとおり、これは国庫の納付金を免除して中央競馬会の収入になるでしょうね、これは。そうして中央競馬会で土地を買い、こういう施設をするのだから、この施設は全部中央競馬会のものなんですね、実際は、そうでしょう。ですから、何か河野さんがオリンピックが終わったならば、もっと国民の利用できるようにと言ってみたところで、これは競馬会において自分の施設を自分の金で、土地も自分の金で買ってやるならば、そこに覆馬場を作ろうが馬のつなぎ場を作ろうが、馬の付添人の宿舎を作ろうが、これは競馬会の財産になるわけですね、それははっきりしておる。それをオリンピックが終わったからといって政府が返せなんという権限もなければ何もないことを論議しておった、そういうことなんですよ、はっきりしておるのですよこれは。ですから、そういうことであるならば、私どもはこの馬事公苑というものについてはそもそも問題がある。大体この馬事公苑というのは中央競馬会に行くまでは、これはどこの所管であったのですか。これは国有であったのですか、前から中央競馬会の所有であったのですか、どうなんでしょうか。それから今、国有地でも買わなければできないということですが、国有地であるならば貸すということはできるのですよ。買い上げなければできないということはない。国有地だって民間に貸与することは幾らもできると思います。ですから、根本はそういうふうになって、国なり公共団体が施設するのが一番いいことだと思う。それは馬術という非常に金のかかることで、しかも馬事公苑というものを利用させてもらう、そういうことだから、この際、国庫納付金を免除して馬事公苑に施設をしてもらいたいという、オリンピック組織委員会も財政なかなか不如意だから、いろいろの方法を考えたであろうと思いますが、大体そういうことであろうと思う。したがって、中央競馬会は、オリンピックによって、たまたまオリンピックがあったことによって、国に納付しなければならないものを免除されて、こういう、何というか、特別な所得というか、そういうものを得る、こういう結果になるわけですよ。だからそれがけしからぬじゃないか、オリンピックで使ったあと、それじゃかかった分だけ返してしまう、国に。こういうことになれば、これはまたどういうふうなことになるか、非常に限界を引くのにむずかしいと思いますが、この施設だけ、五千坪の買った所だけ施設するのではなくして、馬事公苑の中をみんな施設をするわけですから、ですから、これは実際問題として、何と言いますか、中央競馬会の所有にしなければあとあとめんどうだ、だから返せだの国民の何だのということについて東京都でやるとか国でやるとか、そういうようなことは考えられない、あくまでも馬事公苑だ、こういうはっきりした答弁だったと思うのですよ。ですから河野さんがいかに要望されても、そういうことにはならないのですね、それでもなおかつオリンピックが終わったならば国民のレクリエーションとして先ほど河野さんが言っておるように、施設を撤去して、そうしてほかの、国民のレクリエーションのために東京都なり何なりに払い下げてやる可能性があるのかないのか、その辺のところが先ほど来の局長の答弁では、何かやっていけばできるようなことをおっしゃる。ところが、伊能さんのほうはそうではないとはっきり言われた。この法律の趣旨も私は今の局長の答弁のようにはなっておらないと思う。

河野謙三自由民主党

○河野謙三君 これはひとつ農林省からはっきり答弁してもらいたい。北村さんの今の御意見は、私ができもしないことをオリンピック終了後においていろいろ注文をつけている、それが一ぺん中央競馬会の財産になったらどうもならぬじゃないかというように聞こえましたが、私は競馬会の法律やなんかから見まして、政府は十分な発言権があって、政府の意図によって競馬会の財産はどうにもなると思っている。そういう前提に立っているわけすが、北村さんの言うように、これは単なる自己満足で、それはどうにもならないというように法律はなっているか、政府の競馬会に対する権限はそんな小さいものか、私はそうじゃないと思う。その点をはっきりしてもらいたい。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) 現在の馬事公苑でも、戦前は日本競馬会に属しておりましたが、戦後国が接収しまして、また日本中央競馬会の競馬場の施設等全部含めて四十九億を政府が出資いたしております。したがいまして、日本競馬会の財産関係というものは、一般民間の機関と違いまして、全然政府の管理下にある財産でございます。ただ、国の一般会計、特別会計と違った、日本中央競馬会と称する一種の、資産関係では政府機関的なものでございます。したがいまして、今回の措置も普通の業界のものでなくて、政府が全額出資した日本中央競馬会でございます。馬事公苑も、全部の施設を含めて四十九億で国が中央競馬会を設立いたしましたが、政府みずから設立人を任命して設立した機関、そういうことになっております。したがいまして、本法律にかんがみて、今後三億何千万円もかけて覆馬場もやります。したがって相当の施設であります。したがいまして、それは有効に、効果的に競馬会をして使用せしめたい。私のほうといたしましては、日本中央競馬会法によりまして、政府機関並みに全部の財産やそれから予算の監督をいたしております。そういう意味におきまして十分御趣旨の点もくんで、公共に利用していきたい、こう申し上げておるわけであります。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 お伺いしますが、これほど大きなものを作って、さっきも河野さんが言われるとおり、そういうものがほんとうに必要なんでしょうか、今。今の日本の実情として、競馬、馬術をそれほどまでにやらなければならないほど、広大な施設を将来に残してやらなかったら何か障害があるのですか。どういう障害があるのですか。

伊能繁次郎自由民主党

○衆議院議員(伊能繁次郎君) お答え申し上げます。この点は根本の議論は別といたしまして、三年後に控えましたオリンピック実施のための馬場馬術としては、どうも覆馬場がなければ工合が悪いというので、組織委員会の決定を見たわけであります。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 私のお伺いしているのは、オリンピックのために必要なものを作るということには異議はないのだが、それを永久にそういう施設を残さなければならないという、何か根本的な重大な理由がありますかと、こうお伺いしておるのです。それほど重要な必要性があるのかないのか、こういうことなんです。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) やはり、いろいろの過去のほかの土地のオリンピックの経過から考えまして、オリンピック組織委員会としては、相当これは広い馬場で、三億四千万円もかかる施設でございますが、一応オリンピックをやるにつきましては、ある程度の施設はぜひ施設してほしい、こういうオリンピっク馬術関係の強い要望でございます。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 私がお伺いしているのは、オリンピックの競技をやるためにそれだけの施設が要るということはよくわかります。わかるが、それだからといって、作ったものを将来に残しておかなければならぬというほどの重要性があるのかないのか、どこにあるのか、こういうことなんです。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) 数億の金を使ってやります相当大きな施設でございますので、これを施設したあとは、十分、これを取りこわすことなしに生かしていくのが、やはり一番有効に生かしていくのが、撤去せずに有効に生かしていくのが適当かと考えます。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 ただ適当じゃわからぬだろうと思う。大体、今中央競馬という、競馬それ自身がこれは問題だと思うのですがね。一つのばくちをやっているのでしょう。それがために、あらゆる犯罪の温床ともなっている。そんなことはあなた方のほうがよく御存じだと思う。できますならば、競馬などで国がもうけて、それで競馬場を作るなんというけちな考えがおかしいと思う。私はそう考える。諸般の事情によってやむを得ずそういう社会悪を認めているだけの話で、そう中においてどうしても教育上とか体育上とか、いろいろな社会の必要性をもって残さなければならないという、はっきりした理屈があるのかないのか、こういう点なんです。と思いますじゃ何にもならない。私らはどうかといったら、これからの競馬なんというものはなくしたほうがいい。それがために幾多の犯罪が行なわれている。やくざはそこに巣くっている。それがために法律まで改正したでしょう。そういうことを御存じないのですか。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) 馬事公園関係につきましては、私ども国民のレクリエーションの場所として十分開放してやっていきたいと思います。せっかく数億の金を費やして、オリンピックのためとはいえ、できる施設でございますので、馬術に限らず、相当な体育関係の施設として利用させていくべきものと考えます。

安田敏雄日本社会党

○安田敏雄君 まあ本来なら、私はこの土地はむしろオリンピック組織委員会に払い下げるなら払い下げるほうが正しいと思うのです、その目的のために使うわけですから。先ほど組織委員長代理の発言で、内容はよくわかったわけですけれども、組織委員会にはいろいろ財源がないから、中央競馬会のほうを利用したわけだ、こういうようなことにもなるわけですけれども、中央競馬会としては一石二鳥なんです。競馬をやってもうけたり、この施設が将来自分のものになったり、こういうことですから。しかし、問題点はそういうことでなく、今プロとアマチュアの問題はきわめてきびしいのです、運動競技において。たとえばわが国の場合においても、プロ選手が高等学校の選手をコーチしたというだけで、ずいぶん大きな問題になるわけです。そういう問題を考えましたときに、やはりプロの方で金を出してアマチュアの施設を作って、そこでオリンピック、世界の五輪大会をやるなんていうことはあまり感心したことではないわけです。やはり純然たる金の出どころが公共団体なり国で負担しまして、そうしてそこで広く世界のアマチュアにやらせる、競技をさせるということが正しいと思うわけです。そういうことを考えましたときに、競馬会を利用して、そうして金がないからといって、そこで十億、いろいろな面からいえば大きい金かもしれないけれども、一面からいえばそう大きな金でもないわけです。だからそういう権威まで失墜して、そうしてやらせるというようなことについては、ちょっと合点がいかないわけですが、との点についてひとつ委員長の考え方、そういうことをちょっと聞きたいと思うわけです。

伊能繁次郎自由民主党

○衆議院議員(伊能繁次郎君) お答え申し上げます。理論的には、私は安田先生のお考えは非常にごもっともだと存じます。ただ、中央競馬会並びに日本のスポーツ馬術等の現状から見て、さいぜん河野先生からもお尋ねがありましたのですが、大きなスポーツ馬術施設を、オリンピックを機会に作り上げるということは、これは馬事公園一つの実情を見ましても、たいへんな金がかかると存じまして、今回の法律は、前国会におきまして衆議院から提出いたしました場合に、同様に全くの便法でございますので、この点についてはいいろいろな御批判はあろうかと存じますが、さいぜん政府側からも御答弁がありましたように、オリンピック開催後の馬事公園に関連した限りの施設並びに馬事公園全体の施設については、河野先生初め皆さんから御指摘になりましたように、できる限り国民体位の向上、単にスポーツ馬術というだけでなく、そういう方面に、政府の全面的な監督下にある日本競馬会のことでございますから、利用せしめるということで、ひとつ御了承いただきたいと存ずる次第でございます。

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めます。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) 速記をつけて下さい。  他に御発言がなければ、質疑は打ち切りたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) 御異議ないと認めます。  速記をとめて。   〔速記中止〕

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) 速記をつけて下さい。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) 御異議ないと存じます。それではこれより採決に入ります。オリンピック東京大会の馬術競技に使用する施設の建設等のための日本中央競馬会の国庫納付金等の臨時特例に関する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。

河野謙三自由民主党

○河野謙三君 私は、ただいま可決されました法案につきまして、次のような附帯決議を付したいと思います。案文を朗読いたします。    「オリンピック東京大会の馬術競技に使用する施設の建設等のための日本中央競馬会の国庫納付金等の臨時特例に関する法律案」に対する附帯決議   政府は、日本中央競馬会をして、日本中央競馬会がこの法律により納付義務の免除を受けて建設又は整備をした施設又は設備について、次のとおり遺憾なく指導すべきである。  一、経理を区分し、これが維持管理を他と厳密に区分して適正に行なわしめること。  二、オリンピック東京大会終了後は、馬術のみならず、国民の体位向上のため広く役立たせること。  右決議する。  以上であります。

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) ただいまの河野君提案の附帯決議案についてお諮りいたします。  河野君提案の附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) 全会一致と認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) 異議ないと認めます。よって、さように決定いたしました。  この際、農林当局より発言を求められております。

中野文門自由民主党農林政務次官

○政府委員(中野文門君) ただいま御決定になりました附帯決議につきましては、決議の趣旨を十二分に尊重いたしまして、極力善処いたしたいと存じます。さよう御了承を願いたいと思います。(拍手)

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) ここでしばらく休憩し、午後二時から再開いたします。    午後零時五十三分休憩    ————・————    午後二時二十四分開会

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) 委員会を再開いたします。  この際、お諮りいたします。  中央卸売市場法の一部を改正する法律案について、参考人から意見を聴取することとし、その人数は三人とし、人選等は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたします。    ———————————

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) 農業保険事業団法案(閣法第四六号)、農業災害補償法の一部を改正する法律案(閣法第四七号)、農地法の一部を改正する法律案閣法(第六六号)、農業協同組合法の一部を改正する法律案閣法(第六七号)、以上、いずれも予備審査の四案を一括議題とし、順次提案理由の説明を求めます。農林政務次官中野文門君。

中野文門自由民主党農林政務次官

○政府委員(中野文門君) 農業保険事業団法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  農業災害補償制度の改正は、法律案としましては、農業災害補償法の一部を改正する法律案と農業保険事業団法案の二法案が不可分の関係にありますが、まず、農業保険事業団法案につきましてその提案の理由を御説明申し上げます。  農業災害補償制度の円滑な運営と健全な発展に資するためには、その機構組織が重要な役割を果たすことは申すまでもありません。その点にかんがみまして従来の農業共済再保険特別会計にかわり、事業の中核的実施機構としてその業務の適正かつ能率的な実施に当たるため農業保険事業団を設立する必要がありますので、この法律案を提案した次第でございます。なお、この法律案は、前国会に提出し、審議未了となりました同じ題名の法律案と同一内容のものであります。  次に、法律案の主要な内容につきまして概略を御説明いたします。  まず第一に、農業保険事業団の業務に関してであります。農業保険事業団は、政府関係機関として農作物共済にかかる保険業務と蚕繭共済及び家畜共済にかかる再保険業務とを主たる業務とし、あわせてこれらの業務と関連して料率の決定、損害認定準則の設定等農業災害補償法によりその権能とされる事項を行なうほか、国にかわり共済掛金等の国庫負担金の交付をも担当するとともに、農業共済組合等の行なう共済事業等に関し援助することといたしております。  第二は、事業団の財務及び会計についてであります。この事業団が多額の金銭を取り扱うとともに、重い責任と任務とを持つものであることにかんがみまして、会計の区分を法律で明記し、農林大臣、会計検査院等の監督検査を厳にするとともに、その決算を国会に報告することといたしております。  事業団の資本金は、とりあえずその設立の日における特別会計の再保険金支払基金勘定の現在高に相当する金額とし、政府からその出資を受け、保険金等の支払財源の不足に充てるための財源等といたしますが、大災害で手持資金のみでは保険金等の支払いに不足を生ずるような場合にも農家に対する共済金の支払いに支障を来たさないため、政府その他から必要な資金の借り入れをすることができることといたしております。なお、この場合政府からの借入金につきましては利子を徴しない等、通常より有利に取り扱われることができるようになっております。また、事業団の事務費につきましては、国庫がこれを負担することといたしております。このほか、事業団の組織、業務の委託、監督等について所要の規定を設けておりますが、事業団の行なう保険及び再保険の業務につきましては、農業災害補償法の一部を改正する法律案に規定いたしております。  なお、事業団の発足の時期は、昭和三十七年度から新制度が実施される関係上、昭和三十七年二月一日を予定し、所要の予算措置等も講じております。  以上が、この法律案を提出する理由であります。何とぞ慎重に御審議の上できるだけすみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。    ———————————  次に、農業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  現行農業災害補償制度はその、実施以来数次の改正を加えつつ、すでに十数年を経過しておりますが、その間にこの制度が災害対策として農業経営の安定に多大の寄与をして参りましたことは周知のとおりであります。  しかしながら、最近におきましては、農業技術の進歩と生産基盤の整備によって農業災害の発生の態様も変化して参りました関係などからこの制度が実情に必ずしも即応しない面も現われ、各方面からその改正が強く要望されてきました。政府におきましては、その要望にこたえ、昨年来関係者や学識経験者の意見を聞き、慎重に検討いたしました結果、この制度の適正かつ円滑な運営特に末端の市町村段階における共済責任の強化と自主性の尊重及び農家負担の軽減をはかることを主眼とし農作物共済を中心に改正を加えることとしたのであります。このような趣旨から、政府は、前国会に農業災害補償法の一部を改正する法律案を提出したのでありますが、審議未了となりましたので 今回これと同一内容のこの法律案を提出した次第であります。  次に、法律案の主要な内容について御説明申し上げます。  まず第一は一画一的強制加入方式の緩和であります。現行制度のもとではその経営規模がきわめて小さく農業所得の比重が非常に低い農家でも組合への加入が強制されておりますが、これを農業経営の実態に合うよう地方の実情に即して緩和し、任意加入資格者の範囲を拡大することができることとするとともに、事業量が僅少である等の理由がある場合には、農業共済組合等は農作物、蚕繭についてこれを共済目的の種類ごとに共済事業の対象から除外することができるようにした次第であります。  第二は、農作物共済における引受方式の合理化と補てん内容の充実であります。現行制度では一筆収量建引受方式がとられ、耕地ごとに三割以上の減収があった場合に共済金が支払われることとなっておりますが、改正案では所得補償の見地から農家単位収量建引受方式を採用して農家ごとに二割以上の減収があった場合に共済金の支払いを行なうことといたしております。補てんの額は、水稲を例にとりますと、現行制度では全損の場合百五十キログラム当たり最高は約五千円、最低は約千五百円となっておりますものを、改正案では最高を七千円に引き上げ、最低でも三千円とし、大災害を受けた場合にも再生産を確保し得るようにいたしております。なお、都道府県知事が指定する農業共済組合等につきましては、三年間を限り現行の一筆単位引受方式によることができることといたしております。  第三は、農作物共済にかかる農業共済組合等の共済責任の範囲の拡大でありますが、現行制度では農業共済組合及び共済事業を行なう市町村の実質上の共済責任は画一的に一割となっておりますのを、この改正案では、通常災害部分に対応する責任の全部として、その責任の範囲を拡大しております。これに伴いまして基準収量の設定、通常災害の際の損害評価についても農業共済組合等の自主性を尊重するよう配意いたすこととしております。また、異常災害については、新設を予定しております農業保険事業団が責任を負うこととしております。ただし、過去の災害発生状況等から見て安全をはかる必要がある場合には、農業共済組合等はその通常災害部分に対応する責任の一部を農業共済組合連合会の保険に付することができることとしております。  第四は、共済掛金の算定方式及び国庫負担方式の改善であります。現行制度では都道府県ごとに標準率が算定され、これを都道府県内の危険階級別に割り振って基準率を定めることになっておりますが、これは必ずしも地域の被害の実態に即応しておりませんので、改正案では、農業共済組合等ごとにその過去における被害率を基礎として基準率を算定し、これを必要な場合には、その区域内においても幾つかの地域に分けて定めることができる仕組みにいたしております。共済掛金の国庫負担につきましては、現行の超異常災害は全部、異常及び通常災害は二分の一という趣旨を踏襲いたしておりますが、負担割合は、現在都道府県別に一率となっておりますものを、農業共済組合等別に共済掛金基準率の高低に比例して定めることとし、個別化をはかった次第であります。  第五は、共済掛金の割引と病害虫防除事業の推進であります。水稲について病害虫防除態勢の備わっている地域の農業共済組合等においては、病害虫を共済事故としないでこれに対応する共済掛金を割り引くとともに、国庫はその組合等に対し防除費の一部を補助することができることとし、この制度を技術の進歩に適応させることといたしました。  そのほか、農業共済再保険特別会計にかわり農業保険事業団が農作物共済についての保険並びに蚕繭共済及び家畜共済についての再保険事業を行なうことにつきましての所要の改正を行なっております。  なお、これらの新制度につきましては、昭和三十七年産水陸稲、昭和三十八年産麦からの実施を予定いたしております。  以上がこの法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。    ———————————  次に、農地法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  農地法は、農村における民主化の促進、農業生産力の増進、農民の経済的社会的地位の向上をはかることを目的として行なわれた農地改革の成果の維持の役割を果たしているものであることは言うまでもありません。ところで、近時、わが国経済の発展の過程において農業とそれを取り巻く諸条件とには著しい変化が生じてきております。この変化に対応して農業が産業経済の重要な一部門として他産業におくれをとらないように生産性を向上し得るようにするとともに、農業従事者が他産業従事者と均衡する生活を営み得るようにいたしますためには、農業基本法に掲げましたような諸般の施策を総合的に進めて参ることが必要と考えるのでありますが、その最も重要な一環として、農地保有の合理化と農業経営の近代化とをはかることが緊要であると存ずるのであります。  むろん、農地保有の合理化と農業経営の近代化という構造改善への道は必ずしも容易なものではないと存じます。しかしながら、近時農業技術水準の向上が見られ、他方労働力需要の増大の傾向が現われ、構造改善の可能性も生じているのであります。法人組織により農業経営を行なおうとすること等も、農業経営の合理化、近代化に対する農業者の意欲の現われであると考えられるのであります。  したがいまして、この際、農地制度につきましても、農地改革以来十余年の施策の成果を維持し、これとの調和を保ちながら、諸般の施策と相待ちまして、農地保有の合理化と農業経営の近代化に資するような法制的措置を講ずべきものと考える次第であります。  すなわち、農地法は、農地改革の成果を維持することを主眼といたしまして、農地等の権利移動の統制をし、小作地等の所有制限をし、その他小作関係の調整をいたしておりますが、この基本趣旨をそこなうことのないよう配慮のもとに、家族農業経営がその経営規模を拡大しようとする場合、あるいは家族農業経営の補完と発展に資するため一定の要件を備える法人組織により農業経営を行なおうとする場合、あるいは農業協同組合が農地等の信託を引き受けてその農地等の有効利用をはかり、農業経営の改善に寄与しようとする場合等に必要な農地等の権利移動をこの際容易にしたいと思うのであります。このような趣旨から政府はさきの通常国会に農地法の一部を改正する法律案を提出したのでありますが、審議未了となりましたので、今回これと同一の趣旨のこの法律案を提出した次第であります。  次に、法案の主要点につきまして御説明いたします。  主要な改正点は三点ございまして、第一は、家族農業経営に関しまして農地等の権利取得の最高面積制限を緩和することであります。すなわち、現行法のもとにおいては、農地等の取得は、取得後の経営面積が、農地は内地平均三町歩、採草放牧地は内地平均五町歩になるように各都道府県別に定めた制限面積をこえることとなる場合は、原則として許可できないこととなっているのでありますが、最近の農業技術の発展、農業就業人口の減少の動向にかんがみまして、経営規模の拡大をより容易にするため、この際、農地等の取得後の経営面積がこの制限面積をこえる場合であっても、農地等の権利を取得しようとする者が、その取得後において主としてその自家労力によって効率的に経営することができると認められるときは許可できることを原則とするように改正することとしております。  第二は、個々の家族農業経営の規模の拡大ではなく、これらが共同して規模の拡大ないし資本装備の高度化の経済成果を上げるため、法人組織により農業経営を行なおうとする場合の農地等の権利取得につきまして規定を整備することであります。  まず、農業経営を目的とする法人の農地等の権利の取得については、家族農業経営を補うものとしての協業化を助長する趣旨のもとに、農業協同組合法の改正により設立されることとしております農事組合法人のほか、合名会社、合資会社または有限会社であって、農業の共同経営体としてふさわしい要件を備えるものに限り、農地法上、所要の改正を行なうことといたしました。  すなわち、このような農業生産法人につきましては、最高面積の制限を設けないこととし、その常時従事者たる構成員に限って在村地主の保有限度をこえた貸付、創設農地等の貸付または借り受け小作地等の転貸を認めることとしております。なお、農業生産法人につきましては、所有権、賃借権等の取得を認めることといたしております。  次に、農業生産法人がその要件を欠くに至りました場合または農業生産法人の常時従事者たる構成員が構成員でなくなった場合の措置でございますが、農業生産法人がその要件を欠くに至りました場合には、一定期間内にその要件を満たすための措置を講じさせ、なお、要件を満たさない場合には、その法人が所有する農地等は他に譲渡させ、その法人の借りている農地等は返還させることとし、この場合の賃貸借の解約等につきましては、これを許可することとしております。なお、一定期間を過ぎましてもなお所有または貸付のまま残っております農地等は、国が買収することとしております。  一方、農業生産法人の常時従事者たる構成員が法人から脱退した場合や常時従事することをやめた場合におきまして、在村地主の保有限度をこえる貸付小作地等や創設農地等が依然としてその法人に貸し付けられたまま残っておりますときは、一定期間内にその小作地等または創設農地等をその法人に譲渡するか、または返還を受けさせることとし、その期間を過ぎましても、なお貸付のまま残っております農地等は、国が買収することとしております。なお、構成員が法人から脱退し、主として自家労力で農業経営を行なおうとする場合の賃貸借の解約等につきましてもこれを許可することとしております。  第三に、農業協同組合法の改正により、新たに農業協同組合が農地等の貸付または売り渡しにかかる信託の事業を行なう道を開くことといたしておりますが、これを円滑に行ない得るよう、信託の引き受けと信託の終了の際の農地等の権利移動については、許可を要しないこととしております。さきにも申し述べましたように、この制度の活用により、農地等の有効利用とさらに家族経営の健全な発達、自立経営の育成、農業経営の協業化に寄与するような農地移動がはかられることを期待しているわけであります。  以上がこの法案のおもな内容でございますが、なおこの際、次の改正を行なうこととしております。すなわち現在自作農創設特別措置特別会計に所属する土地等で自作農創設または土地の農業上の利用の増進という買収目的を喪失したものの旧所有者への売り払いは、現行法では所有者一代限りとなっておりますが、これらの一般承継人に対しても、この売り払いを行なうことが現行法の趣旨を生かすゆえんであると存じますので、この際、この売り払いの対象を旧所有者の一般承継人にまで拡大することといたしております。  なお、以上の農地法の改正に伴いまして、土地改良区の組合員である法人の業務を執行する役員を土地改良区または土地改良区連合の役員に選ぶことができるようにし、農業生産法人の構成員に農業委員会の委員の選挙資格を与え、また、農業生産法人が都道府県知事より果樹園経営計画の認定を受けた場合には農林漁業金融公庫から所要の融資を受け得るよう、附則で関係法律の規定を整備することとしております。  農地法の一部を改正する法律案の内容は、おおむね以上のとおりでございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。    ———————————  次に、農業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  さきに、成立いたしました農業基本法におきましては、農業構造の改善をはかるため、農業生産行程についての協業の助長、農地等についての権利の設定または移転の円滑化をはかること、等を要請しているのであります。  この農業基本法の要請に沿い、その趣旨の実現をはかるとともに、あわせて農業協同組合及び農業協同組合連合会の業務の運営につき整備措置を講じようとするのが、この法律案を提出いたしました理由であります。  なお、この法律案は、第三十八国会に提案いたしました同一の題名の法案と関連を持つものでありますが、前回の法案の内容をその後検討いたし、農村の実態に即応せしめつつその目的を達成するためにこれをかなり修正いたしまして、ここに新たな法律案として提案いたした次第であります。  次に、法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、農事組合法についてでありますが、農村の実態に即応し、農民の共同の利益の増進をはかるため農民によって組織された農事組合等団体の育成をはかり、これらのものが農業経営及び共同利用施設の設置等の事業を行なう場合には、農事組合法人として法人格を取得しうる道を開いて、農業生産についての協業を助長するために必要な措置を講ずることとしたのであります。  この農事組合法人は、共同利用施設の設置、農作業の共同化に関する事業または農業経営を行なう協同組織でありますから、員外理事の禁止、剰余金配当方法の制限等必要な制限を設けますとともに、その設立、管理等を極力簡素化し、組合員相互間の緊密な結合による業務の円滑な運営を期待いたしております。  なお、この農事組合法人に関連しまして別に提案いたしております農地法の一部を改正する法律案に所要の規定を設けております。  第二に、農地等の信託の引き受けの事業でございますが、農業の近代化のためにはに、農地についての権利移転が、自立経営の育成、協業の助長等農業構造の改善に資するよう行なわれることが必要であります。そこで、農地法の基本理念を堅持しながら、農業構造の改善に寄与し得るよう農地の権利移転について農地法の規制を緩和して参りますために、農民の自主的な協同組織が農地等の貸付及び売り渡しを目的とする信託の引き受けの事業を行なう道を新たに開くことといたしました。また、農業協同組合が信託を引き受けた農地等を貸し付けまたは売り渡す場合には、組合員等の農業経営の改善に資することとなるよう配意してしなければならないものといたしますとともに、その他所要の規定を設け、その事業の健全かつ円滑な運営を確保することとしております。  以上の措置に加えまして、農事組合法人等農民の共同の利益を増進することを目的とする団体が農業協同組合の一員となり得るようにすることがその育成上適当であるとの趣旨のもとに、これらの団体について農業協同組合の組合員資格を明定する等、組合員資格につき整備するほか、員外利用制限の緩和、剰余金配当方法の改善、総会における議決権及び選挙権の代理行使等の制限の緩和等の措置を講ずることとしておりますが、これらはいずれも、最近における農業事情その他の事情の推移に対処し、農業協同組合組織の機能を強化して、その事業の健全な運営を確保するための措置であります。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げる次第であります。

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) 以上で提案理由の説明は終わりました。    ———————————

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) 次に、農産物価格安定法の一部を改正する法律案(衆第四号)、飼料需給安定法の一部を改正する法律案(衆第六号)、畜産物価格安定法案(衆第七号)、以上いずれも予備審査の三案を一括議題とし、三案について順次提案理由の説明を求めます。

角屋堅次郎日本社会党

○衆議院議員(角屋堅次郎君) ただいま委員長よりお示しになりました法律案につきまして、順次提案理由の説明をいたしたいと思います。  まず第一に、農産物価格安定法の一部を改正する法律案に対する提案理由でありますが、ただいま議題となりました農産物価格安定法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  農産物価格安定法は、昭和二十八年に制定されまして以来、今日まで、米麦に次いで重要な農産物であるイモ類、菜種及び大豆について、生産者団体が行なう自主的な調整販売と相待って、これらの農産物等が正常な価格水準から低落することを防止して参り、農業経営の安定をはかる上において相当の効果を発揮してきたことは疑いないところであります。なかんずくイモ作農家の経営の安定のために寄与した役割については見るべきものがあったと存ずるのであります。  しかしながら、政府は、さきに制定された農業基本法を基軸として、今後、主要な農畜産物につき、その生産の選択的な拡大と縮小を実施して参る過程において、価格政策面ではいわゆる需給均衡価格を中心とする価格形成方式を大幅に取り入れ、また、政府の買い入れ、売り渡しによる安定制度の運用は逐次これを縮小し、終局的には廃止する方針のようにうかがわれるのであります。そこには、農畜産物の国内自給度を向上せしめつつ、農家所得を引き上げ、他産業との所得格差の均衡化を期するという積極的かつ建設的な意欲に欠けているのみならず、他の有利な作物に転換すべく有効適切な技術的、資金的裏づけを持たない大多数の中小農民を切り捨てることによって農業の資本家的転換をなし遂げようとする政策意図が潜在していると断言してはばからないのであります。その端的な事例は、政府から今回提出された大麦及びはだか麦の生産及び政府買入れに関する特別措置法案と大豆なたね交付金暫定措置法案であります。  特に大豆なたね交付金暫定措置法案によりますると、現在農安法の対象となっている大豆及び菜種は、同法の適用から除外されることに相成なるわけでありまして、しかもこの法案は貿易自由化が農家経済へ与える悪影響から大豆、菜種の生産農家を保護することをねらいとしておるにもかかわらず、実質的には、現在の農安法が保証する最低価格は最高価格にすりかえられておるばかりか、さらにその保証価格は漸次引き下げられていくものと予測されているのであります。かくて、現行のきわめて不満足な農産物価格安定制度は、いよいよ大幅な後退を見ることとなるのであって、さきの国会において政府提出農業基本法の審議にあたり、われわれが指摘した安上がり農政の現実の姿は遺憾なくここに露呈されて参ったと言わざるを得ないのであります。  われわれは、このような政府の政策に強く反対するのみならず、むしろ農畜産物の価格安定方策の改善強化をはかることこそ、農民の所得向上のための最も重要かつ基礎的な要件であると確信し、さきの第三十八国会において、わが党が提出した農業基本法案におきましては、その第十四条に、「国は、米麦等の管理制度を維持管理し、生産費及び所得補償方式の原則に基づき、主要農畜物の価格を支持してその安定に努めなければならない」旨を規定したのであります。しかして、この生産費及び所得補償方式による価格支持政策は、米麦はもちろんのこと、さらにその範囲を拡大して、農産物価格安定法の対象農産物や、牛乳、果実、食肉、たばこ等に対しても、順次拡充して参る所存であります。そこで、われわれはわが党の農畜産物価格安定対策の基本性格を鮮明した農業基本法案の精神を具体的に展開するため、別途畜産物価格安定法案、畜産物価格安定特別会計法案を提出するとともに、ここに本改正案を提出し、農産物価格安定法の対象品目として新たに小豆、インゲン等を加えるとともに、食管特別会計を通ずる農産物価格安定政策を一そう強化して、二重価格制を採用し、また、農産物価格安定審議会の設置をはかること等としたのであります。  以下本改正案の主要な内容について御説明申し上げます。  まず第一に、現行法によって政府が買い入れる対象農産物は、カンショなま切りぼし、カンショ澱粉、バレイショ澱粉、菜種及び大豆の五品目となっておりますが、新たに小豆その他政令で定める豆類を政府買い入れの対象に加えることにいたしました。しかして、政令で定める豆類としては、とりあえずインゲンを予定いたしております。  すなわち、小豆、インゲンは大豆と同様、北海道が主産地となっておりますが、内地においても広く栽培され、それらの生産額は年間百八十億円にも上り、しかもその八割以上のものが市販され、農家経済ときわめて密接な関係を持つ畑作物であります。しかし、その価格はきわめて不安定でありまして、これら生産農家は絶えず不安な状態に置かれており、かねてからこれら農産物に対する価格安定対策の確立が要望されて参ったのであります。そこで今回、これら農産物を農産物価格安定法の対象品目に加え、その価格安定をはかろうとするものであります。  第二に、農産物等の政府買い入れ価格は、現行法では、農業パリティ指数に基づき算出した価格、生産費及び需給事情その他経済事情を参酌して算定する建前となっておりますが、生産費及び所得補償方式によりこれを算定するよう規定を改めることといたしました。  第三に、農産物等の売り渡し価格についてでございますが、現行法では、新規の用途または販路に向けるため必要がある場合等の例外的な場合を除き、売り渡し価格は買い入れ基準価格及び時価を下回ってはならないこととなっているのであります。したがいまして、現在のところ、この例外規定を適用して、政府手持ちのカンショ澱粉を結晶ぶどう糖用に売却する場合に限り、買い入れ基準価格より幾分安くしているのであります。しかしながら、一方においては、政府手持ち澱粉が累増し、他方においては、年間四十万トンにも達する水あめ、普通ブドウ糖工業が原料高製品安に悩み、これらの関連中小企業が危殆に瀕している等の現状において、これら製品の一そう積極的な消費拡大策を推進する必要性が著しく高まっておりまするし、また、大豆の輸入の自由化が強化された場合には、国産の大豆及び菜種につきましては、その生産と需給の現状より判断して、当然政府による相当量の買い入れ及び売り渡しが現実に行なわれざるを得ない事態に立ち至るものと推測せられますので、今後は、これらの農産物については二重価格制を採用することとし、政府が買い入れ基準価格を下回って売却しても差しつかえがないよう規定の改正を行なうこととしたのであります。  第四に、農林省に新たに農産物価格安定審議会を設置することといたしております。すなわち農産物価格安定法運用上の最も重要な事項の一つは、農産物等の買い入れ数量及び価格を決定する機構でありますが、現行法の規定によりますと、政府が生産者団体の意見を聴取し、それを尊重して決定するという仕組みと相なっておりますことは御承知のとおりであります。しかして、米麦の価格決定にあたりましては、農林大臣は米価審議会に諮った上で、その決定が行なわれておりまして、この点に関しては、イモ類、菜種、大豆は、米麦に準ずる重要農産物でありながら、生産、流通、消費の各方面の関係者あるいは学識経験者等の意見を徴する機構に欠け、単に生産者団体の意見だけを聴取して、その決定を行なうことといたしておりますことは、行政上全く片手落ちな措置と申しても過言でないと存ずるのであります。これにかんがみ、この際、農林大臣の諮問機関として、生産者団体のみならず、国会議員及び学識経験者等をも含めて構成される農産物価格安定審議会を設置することといたしたのであります。しかして審議会は、農林大臣の諮問に応じ、農産物等の需給の安定、流通の改善、消費の拡大及び価格の安定に関する重要事項を調査審議するとともに、必要に応じ、如上の事項について、関係行政庁に建議することができること等としております。  なお、専門の事項を調査するために、審議会に専門委員を置くことができることとし、専門委員は、学識経験のある者のうちから審議会の推薦に基づいて農林大臣が任命することといたしております。  最後に附則において、この法律は、公布の日から施行すること。その他、農林省設置法に所要の改正を加えることといたしております。  以上が、農産物価格安定法の一部を改正する法律案の提案の理由とおもな内容であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御可決下さるよう希望する次第でありります。    ———————————  次に、飼料需給安定法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。  飼料需給安定法は、政府が輸入飼料の買い入れ、保管及び売り渡しを行なうことによって、飼料の需給及び価格の安定をはかり、もって畜産の振興に寄与することを目的として、昭和二十八年三月より施行され、その後昭和三十一年に政府の保管する輸入飼料について、その品質低下のおそれがある場合、これを買いかえ、または交換できることとする一部改正が行なわれ、今日に至っているのであります。本法の基本的な性格は、前述したところにより明らかでありますように、政府が輸入業者の輸入する飼料を買い付けることによって飼料の国内供給を確保するとともに、売り渡しにあたってはその用途、価格、数量、時期、地域等各般の事項にわたって規制を行ない、間接的に国内の飼料の需給及び価格の安定をはかることにあるとされ、自来、九年間この線に沿って法の運用がなされて参ったのでありますが、その間、家畜飼養頭羽数の著しい増加に対応して、需給計画の規模は拡大し、政府の取り扱い実績も増大し、昭和三十三年度をとってみますると、第一回の計画に比しおおむね二倍の数字を示しているのであります。  しかるところ、三十四年ころより、特に鶏、豚、乳牛等の多頭羽飼育ないしは集団飼育等の動きが急速に高まり、飼料事情はこれに伴って急激に変化して参ったのであります。かくいたしまして、三十五年秋には需給の逼迫は憂慮すべき状態にまで立ち至りたのであります。すなわち、三十六年二月のトン当たり飼料価格を見まするに、前年同月に比し、トウモロコシを除き、輸入ふすまは二〇%、国内ふすまは六%、脱脂米ぬかは二三%、大豆かすは一般品で三七%、漁かすは五%、澱粉かすは九四%というふうにいずれもはなはだしい高騰を告げたのであります。政府は、かかる事態に対処すべく、三十五年度の当初需給計画を大幅に改訂したのでありますが、これをもってしても及ばず、本年三月には急遽、飼料緊急対策を講ずることとなり、三月以降ふすま、油かす等はもとより、食糧として買い入れた大裸麦の大量放出を行なうこととし、辛うじて当面の非常事態を脱しましたことは各位のすでに十分御承知のとおりであります。  このように飼料をめぐって非常な混乱を生じた原因は、政府の飼料対策の不手際にあることはもちろんでありますが、より根本的には、現行の飼料需給安定法が、適切かつ機動的な飼料行政を実施して飼料の需給と価格を安定せしめる上に数々の欠陥を蔵していることを見のがすわけには参らないのであります。すなわち、  一、食糧行政と飼料行政との関係につき政府部内にしばしば意見の不一致が生じているのでありますが、特に食糧として買い入れた大麦等を飼料として払い下げる場合の根拠規定が欠けているため、敏速な飼料行政を実施する上に少なからざる障害となっていること。  二、政府が飼料需給計画を策定する場合の前提となる家畜飼養頭羽数の把握が不十分であり、また、これと関連して、自給飼料、流通飼料ないしは輸入飼料を通ずる飼料需給の見通しが的確でないのみならず、総合的な飼料需給計画の作成の義務が課せられていないこと。  三、製粉業者や配合飼料業者等の思惑的な買いあさりにより国内の飼料の価格が不当につり上げられた場合等において、政府がその対応措置を講ずるための規定が不備であること。  四、政府が輸入飼料または政府所有大麦等を売り渡す場合に国内の畜産物の価格とつり合いのとれた価格でこれを行なう配慮に欠けていること。  等であります。  わが農業の飛躍的発展を期する上において畜産農業の果たす役割がいよいよ重大となっております今日、飼料問題の解決は、養畜農民の死命を制する重要条件であり、飼料対策の改善は刻下の急務であると信ずるのであります。以上の趣旨にかんがみ、前国会に、飼料需給安定法の一部を改正する法律案を提出したのでありますが、遺憾ながら審査未了となりましたので、その後、検討を加えた結果、若干の点を加えた同一趣旨の飼料需給安定法の一部を改正する法律を今回再び提出することとした次第であります。以下本案のおもな内容について申し上げます。  第一点は、現行法による飼料需給計画は、輸入飼料についてのみこれを作成することとなっておりますが、国内飼料を含む総合的な視野のもとに飼料需給計画を作成するよう改めたことであります。  第二点は、現行法によれば、飼料の売り渡しは、一般競争入札を原則とし、特別の場合に指名競争契約または随意契約の方法によることとせられておりますが、政府の保管する輸入飼料は、本来、実需者団体である農業協同組合または農業協同組合連合会に売り渡し、もって中間利潤を極力排除すべきものでありますので、そのように改正することといたしました。  第三点は、政府の所有にかかる飼料を売り渡す場合の価格は、国内の飼料の市価その他の経済事情を参酌して定めることとなっておりますが、畜産物の価格を第一義的に参酌して決定すべきが当然でありますので、そのように改めたことであります。  第四点は、現行法第七条に規定する飼料の需給が逼迫した場合の特例措置についてでありますが。政府がこの条項の発動に遅疑しゅん巡している間にふすまの価格は暴騰した最近の事例にかんがみまして、政府はその所有小麦を製粉業者等に売り渡す場合には、一般的に、ふすまの譲渡使用に関し、地域指定、時期指定、価格制限等を行なうことができることとし、しかも譲渡価格を制限する場合には、製粉業者等の超過利潤を制約するため、小麦の政府売り渡し価格、製粉費用、小麦及びふすまの市価等を参酌して最高価格を決定するように改めたことであります。  第五点は、過般政府が大、裸麦の緊急払い下げをいたしましたように、飼料の需給が逼迫しました場合における政府所有の大裸麦の実需者団体である農業協同組合または農業協同組合連合会に対する売り渡しの特例措置に関する根拠規定を新たに設けたことであります。  第六点は、飼料需給安定審議会の委員の構成が適当でないので、これを改めたことであります。すなわち現行法によれば、審議会の委員は三十人以内をもって組織し、その会長は農林大臣をもって充てることになっておりますが、今回、委員は二十人以内とし、会長は委員のうちから互選することに改めました。しかして、委員の構成についてでありますが、現行法によれば、衆参両議院議員が八名、関係行政機関の職員のうちから農林大臣の任命した者五人以内、飼料に関し学識経験のある者、農業者の団体を代表する者、飼料の消費者を代表する者その他飼料の関係者のうちから農林大臣の任命した者十七人以内計三十名以内となっておりますが、今日までの経験によりますと、このような委員構成では、しばしば飼料業者に有利な蠢動の場を与える等弊害を起こした例も少なくないと考えられますので、行政機関の職員は全員削除し、また、農林大臣の任命する飼料に関し学識経験のある者のうちからは三人以内、実需者団体を代表する者のうちからは六人以内、輸入飼料の輸入業者または飼料の生産者を代表する者のうちからは三人以内に、それぞれ改めることとしたのであります。さらに、新たに専門の事項を調査させるために、審議会に専門委員を置くこととしたのであります。  その他これらの改正に伴い、若干の条文整備を行なっております。  以上が、本案提出の理由と内容の大要でございます。何とぞ御審議の上すみやかに御可決賜わるよう希望いたす次第であります。    ———————————  次に、畜産物価格安定法案の提案理由の御説明を申し上げます。  ただいま議題となりました畜産物価格安定法案について、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。  戦後、農業経営の安定、向上及び国民食生活の改善等のため、畜産の振興が強調せられ、農民諸君の熱意と相まっていろいろの施策が講ぜられて参りました結果、わが国の畜産の発展はまことに目ざましいものがあるのであります。すなわち、その状況を見ますならば、主要家畜の飼養頭羽数においては、すでに昭和二十八年に戦前の水準を突破し、その後経済の発展につれてますます進展し、なかんずく乳牛、豚及び鶏の飼育の伸長は著しく、三十六年には乳牛八十八万頭、豚三百万頭、鶏約八千万羽を算し、乳牛は戦前の五倍以上の、また、豚及び鶏は過去五カ年間に六割以上の増大を示し、最近では、多頭羽飼育の傾向はいよいよ強まってきているのであります。しかして、牛乳の生産量は、二十八年に三百八十万石程度であったものが、三十五年にはついに一千万石の大台を突破する等、飛躍的な伸びを示し、したがって、これらの畜産物の生産額が農業総生産額のうちに占める割合におきましても年ごとに増大を示し、三十四年の農業生産額一兆六千五百九十五億円のうち畜産の生産額は二千百二十八億円、その割合は一二、八%を上げるに至っているのであります。また、消費の面を見まするに、厚生省の栄養調査によりますと、最近の十カ年間で牛乳は七倍、鶏卵は五倍、食肉は三倍半の伸びを示しているのであります。  しかしながら、このような発展にもかかわらず、一たびわが畜産業の内部に眼を転じますならば、そこには多くの混乱と矛盾が見られ、数々の不安定要因が横たわっておるのでありまして、国民生活の向上と相待って今後ますます需要の増大が見込まれる畜産物の円滑な供給をはかると同時に、農民が安んじて生産に精励することができる畜産業を打ち立てる上には、すみやかに解決を要する幾多の諸問題をかかえていると申さざるを得ないのであります。すなわち、畜産の生産基盤の未整備、飼料価格の割高、畜産物価格の不安定及び家畜畜産物の消費流通機構の未整備等の現状は何人の目にも明らかであり、さらに最近においては、水産会社等の巨大資本の畜産部門への進出により、豚小作、鶏小作等、生産農民に対する新たなる収奪が懸念されるに至っているのであります。しこうして、これらの畜産の振興を最も阻害している要因は、流通飼料の価格の割高と畜産物価格の割安という事態であります。たとえば昨年来の豚肉の大暴騰にもかかわらず、生産農民は何らその恩恵にあずからず、かえって、昨年秋以降の飼料の大暴騰によって、生産費をすら割る始末であったのであります。かくて、今日、飼料及び畜産物の価格の安定対策こそ、最も早急に解決すべき課題と申さねばなりません。  しかるに、前国会に制定を見た政府提出の農業基本法中において、畜産業は選択的拡大の対象とされておるにもかかわらず、これを裏づける具体的施策の面においては何ら有効適切な措置が講ぜられておらないのでありまして、畜産振興のかけ声はまだから念仏の域を出ていないと断ぜざるを得ないのであります。政府は、前国会にわずかに畜産物の価格安定等に関する法律案を提案しましたが、審議未了となり、今国会に再び若干の訂正を加えた法案を提出して参りました。われわれ社会党といたしましては、政府案を慎重に再検討いたしましたところ、遺憾ながら今回の政府案をもってしても、畜産の飛躍的な発展と畜産経営の安定とをはかる上の抜本対策とはなりがたいとの結論に達したのであります。すなわち、政府案によれば、畜産振興事業団を設け、この事業団が農林大臣の定める畜産物について、安定価格による買い入れ及び売り渡しを行なうこととされているのでありますが、この案の致命的欠陥としては、先ず第一に、買い入れの下位価格の算定基準が不明確であり、生産農民の生産費及び所得を補償することとなっていないことであります。農林省の予算の示すところを見ますると、三十六年度の買い入れ予算単価は指定乳製品の生乳換算一升当たり価格四十四円、豚肉一キロ当たり二百十五円、三十七年度要求予算では指定乳製品四十六円八十銭、豚肉二百三十五円となっておりますが、農林省調査による三十四年の生乳生産費五十五円二十六銭、全国農協中央会の算出による三十六年の七十四円二十七銭より著しく低いのであります。また、豚肉一キロ当たり全国農協中央会の三十六年の調査による三百八円九十五銭よりきわめて低いものとなっているのであります。第二に、買い入れ方法等が不明確であり、予算規模のいかんによって銘柄、規格等を通じて買い入れを不当に規制されるおそれがあることであります。第三に、輸入の規制が弱いことであります。第四に、生産者団体に対する自主調整保管等の施設の拡充措置が何ら講ぜられていないことであります。  したがって、わが日本社会党といたしましては、この際、畜産の飛躍的な振興を期する上に、その抜本的な措置を講ずべく、畜産物の価格は生産費及び所得補償の原則によって決定し、流通飼料を規制して農民に安価な供給を確保し、取引の適正化のために卸売市場を国の管理下に置き、国はその責任において総合的な施策を講ずるに必要な予算等の確保をはかること等、わが党が年来主張しております畜産農業振興のための基本政策の線にのっとり、ここに畜産物価格安定法案を提出することとした次第であります。  なお、畜産物の価格の安定をはかるために、価格が基準価格より低落する場合、国が生産農民の組織する農業協同組合等から直接畜産物を買い入れ、また、売り渡しを行なうため、国に畜産物価格安特別会計を設けることとし、本案と表裏の関係において、別途、特別会計法案を提出いたすこととしております。また、流通飼料の需給及び価格の安定を期するために、これまた前国会において審議未了となった同一趣旨の飼料需給価格安定法の一部を改正する法律案を提案いたすことを付言しておきます。  以下本案の内容について申し上げます。  まず第一に、この法律は、主要な畜産物の価格の安定をはかることにより、畜産の健全な発達と農民所得の向上に資することを目的といたしております。  第二に、農林大臣は、毎年度年度開始の日の一カ月前までに、畜産物価格安定審議会の意見を聞いて生乳、飲用牛乳及び指定乳製品、指定食肉並びに鶏卵について、前年度からの繰越数量、生産見込み数量または輸入見込み数量、国内消費見込み数量、政府買い入れ見込み数量、輸出見込み数量、翌年度への繰越在庫見込み数量等を内容とする需給計画を定め、これを告示することとし、毎年度この法律の対象となる畜産物の需給の動向を把握し、これを公表することといたしております。  第三に、農林大臣は、毎年度、年度開始の日の一カ月前までに、畜産物価格安定審議会の意見を聞いて、生乳、飲用牛乳、指定乳製品、指定食肉及び鶏卵についての基準価格を定め、そのうち、生乳、指定食肉または鶏卵の基準価格は、生産費を基準とし、物価その他の経済事情を参酌、生乳、指定食肉または鶏卵の再生産を確保することを旨として定めることとし、この場合、生産費に含まれる自家労働の価額は、他産業に従事する労働者の賃金の額と同一水準のものでなければならないこととし、もって、生産費及び所得補償の原則を打ち出しているのであります。なお、飲用牛乳または指定乳製品の基準価格は、生乳の基準価格に処理または加工に要する費用等を加えて定めることとしております。  また、乳業者が、生乳の基準価格に達しない価格で生乳を買い入れ、または買い入れるおそれのあるときは、農林大臣または都道府県知事は、その乳業者に対し、基準価格に達するまで引き上げるべき旨の勧告ができること左も規定しております。  第四に、指定乳製品等の生産等に閲する計画についてであります。  まず、生乳の生産者が直接または間接の構成員となっている法人で農林省令で定める、生乳生産者団体は、生乳の価格をその基準価格まで引き上げ一またはその基準価格の下がることを防止するため、毎年度、年度開始の日までにその構成員の生産する生乳を原料とする指定乳製品の生産(他に委託する生産を含む)、保管または販売に関する計画を定め、農林大臣の認定を受けることができることとしております。  次に、乳業者、乳業者が組織する中小企業協同組合または乳業者たる農協もしくは同連合会が直接もしくは間接の構成員となっている農業協同組合連合会(乳業者等)は、指定乳製品の価格をその基準価格まで引き上げ、またはその基準価格の下がることを防止するため、毎年度、年度開始の日までに、その者またはその構成員の生産する指定乳製品の保管または販売に関する計画を定め、農林大臣の認定を受けることができることとしております。  次に、指定食肉にかかる家畜または鶏卵の生産者が直接または間接の構成員となっている法人で農林省令で定める、指定食肉生産者団体または鶏卵生産者団体は、その構成員の生産する家畜にかかる指定食肉または鶏卵の価格をその基準価格まで引き上げまたはそれらの基準価格の下がることを防止するため、毎年度、年度開始の日までに、その構成員の生産する家畜にかかる指定食肉または鶏卵の保管または販売に関する計画を定め、農林大臣の認定を受けることができることとしております。  次に、農林大臣は、右の生乳生産者団体の指定乳製品の生産、保管または販売の計画、乳業者等の指定乳製品の保管または販売計画、指定食肉生産者団体または鶏卵生産者団体の指定食肉または鶏卵の保管または販売の計画が、それぞれ農林省令で定める基準に適合すると認めるときは、その認定をするものといたしております。  なお、農林大臣は、生乳生産者団体が、指定乳製品の生産、保管または販売の計画を定め、農林大臣の認定を受けて他に委託して、その生産の計画を実施しようとする場合に、当該乳業者が正当な理由がないのにその生産の委託に応じないときは、その生乳生産者団体の申し出により、その乳業者に対し、その委託に応ずべき旨を命ずることができることとしております。  また、政府は、生乳生産者団体等が、それぞれの生産、保管または販売の計画の認定を受けた場合には、それらの団体に対し、その計画の実施に要する経費について必要な助成を行なうことといたしております。  第五に、指定乳製品または指定食肉の政府の買い入れ、売り渡し及び交換についてであります。まず政府の買い入れは、生乳生産者団体がその構成員の生産する生乳を原料とする指定乳製品の生産、保管または販売の計画並びに指定食肉にかかる家畜の指定食肉生産者団体の構成員の生産する家畜にかかる指定食肉の保管または販売の計画について農林大臣が認定した指定乳製品または指定食肉について、生乳生産者団体または指定食肉生産者団体の売り渡しの申し込みにより、それぞれの基準価格に金利、保管料等に相当する額を加算した価格で、かつ、数量につき無制限で買い入れることとしております。  次に政府の売り渡しについては、政府が買い入れもしくは輸入した指定乳製品または指定食肉の売り渡しは、これらの需給事情を勘案し、それらの時価がその基準価格の水準において安定するように売り渡すものといたしております。  なお、政府の売り渡しは、一般競争入札の方法によることを原則としておりますが、学校給食その他特定の用途に売り渡す場合には、随意契約その他の方法によることができ、時価よりも低い価格で売り渡すことができるものといたしております。  次に、政府の保管する指定乳製品または指定食肉が、品質の低下により損失を生ずるおそれがある場合は、これと同一規格及び数量によって交換することができることとしております。  第六に、乳製品又は食肉の輸入についてであります。  国内産の生乳、乳製品、指定食肉等の価格を安定せしめるため、これらの輸入には当然制約を加えるべきものでありますので、乳製品または食肉のうち政令で定めるものに限り、これらの輸入は、農林大臣の許可を受けることとし、また、これを輸入した者は、農林大臣が定める価格により、全量を政府に売り渡されなければならないことにしております。  第七に、飲用牛乳の時価がその基準価格をこえて著しく騰貴し、またはそのおそれのあるときは、農林大臣または都道府県知事は、飲用牛乳にかかる乳業者等に対し、時価が基準価格の水準において安定するため、必要な勧告ができることとし、飲用牛乳の消費者を保護することといたしております。  第八に、農林大臣は、この法律を施行するために必要があるときは、生乳生産者団体、乳業者等、指定食肉生産者団体、鶏卵生産者団体または乳製品もしくは食肉の輸入業者等から必要な事項の報告を徴し、またはその職員をして、それらの者の事務所、事業所、倉庫等に立ち入らせ、帳簿書類その他業務に関係のある物件を検査させることができることとしております。  第九に、牛乳、乳製品、食肉及び鶏卵の安定、流通の改善、消費の拡大及び価格の安定等に関する重要事項を調査審議し、あわせてこれらについて関係行政庁に建議するため農林省に畜産物価安定審議会を設置することといたしております。この審議会は、委員十七名で組織し、衆議院議員のうち衆議院の指名した者五人、参議院議員のうち参議院が指名した者三人、生乳生産者団体、乳業者等、指定食肉生産者団体、鶏卵生産者団体等を代表する者六人以内、学識経験のある者三人以内といたし、また、審議会に専門の事項を調査するために、専門委員を置くことができることとしております。以上が本法案の提案理由及びその内容であります。何とぞ慎重審議の上、御可決下さいますようお願い申し上げます。

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) 以上で提案理由の説明は終わりました。三案については本日はこの程度にいたします。    ———————————

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) 畜産物の価格安定等に関する法律案(閣法第四八号)、大麦及びはだか麦の生産及び政府買入れに関する特別措置法案(閣法第六一号)、大豆なたね交付金暫定措置法案(閣法第六二号)、農地法の一部を改正する法律案(閣法第六六号)、農業協同組合法の一部を改正する法律案(閣法第六七号)、以上いずれも予備審査の五案を一括議題として、各案について補足説明を求めます。

森茂雄農林省畜産局長

○政府委員(森茂雄君) 畜産物の価格安定等に関する法律案につきまして若干補足説明を申し上げます。  まず、全体の構成について申しますと、本則と附則とからなっておりまして、本則は、総則、安定価格等、畜産物価格審議会、畜産振興事業団、雑則及び罰則の六章からなっております。  まず、本則におきましては、第一章ではこの法律案の目的と価格安定措置の対象となる畜産物のうち主要なものについての定義を規定し、第二章ではこの法律案による畜産物の価格安定措置を行なう場合の基準となる安定価格の設定、安定価格の実現に資するための農林大臣または都道府県知事の措置並びに生産者団体または乳業者による措置について規定しております。  第三章におきましては、価格に関する重要事項を調査審議するものとしての畜産物価格審議会について規定を設けております。第四章におきましては、この法律案を施行するために必要な畜産振興事業団の設置、組織業務、運営等について規定を設けております。第五章及び第六章は、この法律案を施行するために必要な雑則及び罰則についての規定であります。附則におきましては、畜産振興事業団の設立、酪農振興基金の解散並びにその権利及び義務の引き継ぎその他この法律案の施行のため必要な経過措置、関連法律の一部改正等について規定を設けております。  次に、各条項について御説明申し上げます。  まず、第一条では、この法律案全体の目的を述べております。この法律案の直接の目的といたしましては、主要な畜産物の価格の安定をはかることと、乳業者等の経営に必要な資金の調達を円滑にすることの二つがあるのであります。この二つの措置によりまして、畜産及びその関連産業の健全な発達を促進し、あわせて国民の食生活の改善に資することがこの法律案の究極の目的であります。  畜産物の価格につきましては、従来とも外貨割当制度による輸入の調整、牛乳乳製品の価格指導、学校給食への供給、肉畜の出荷調整事業等の措置によって極力その安定をはかって参りましたが、これらの措置では必ずしも十分ではなく、最近における畜産物の需要の増大に対応するための国内生産体制を確立するためには、一段とこの面の措置を強化する必要があると存ずるのであります。  また、従来酪農振興基金の行なって参りました乳業者等に対する債務保証業務につきましても、同基金の発足当時とは牛乳乳製品の需給事情も異なりまして、むしろ今後は、著しい生産の増大が期待されます牛乳乳製品の処理製造のための設備の新設または改良のため必要な資金の借り入れについての保証のウエートが大きくなるものと考えられるのであります。  このような措置を講ずることによりまして、農業の一環としての畜産の健全な発達をはかり、農業経営の合理化及び農業所得の増大に資し、さらに畜産の関連産業の発達をも促進しようとするものであります。なお、このような目的にあわせまして、最近における国民食生活の高度化の方向に沿いまして、栄養価の高い畜産物を多量にしかも安定した価格で消費者に提供し、その食生活の改善に資しようとするものであります。  次に、第二条におきましては、この法律による価格安定措置の対象となる畜産物のうち主要なものについて定義をいたしております。すなわち、この法律案におきましては、その畜産における地位、国民の食生活に占める役割、価格安定措置から見ました効率、適応性等を考慮しまして、さしあたり、指定乳製品としましてはバター及び脱脂粉乳を、指定食肉としましては豚肉を対象といたしております。なお、原料乳につきましては一指定乳製品の操作等を通じてその価格の安定をはかろうといたしておりますので、ここでその定義をいたしているのであります。  その他の乳製品や食肉につきましては、必要な事態に応じまして政令で品目の追加ができるよう規定いたしております。  次の第三条は、この法律による価格安定措置を講ずるに際しましてその基準となります安定価格の設定について規定いたしております。すなわち第一項は、農林大臣は、毎会計年度、その開始前に、原料乳、指定乳製品及び指定食肉につきまして、その範囲内に価格を安定させようとするそれぞれの価格安定帯の下位の価格を定めることとし、これを安定下位価格と呼ぶことといたしております。次に、同じような考え方で指定乳製品及び指定食肉について安定上位価格を定めることといたしております。原料乳につきましては、この法律案におきましては直接その安定上位価格を目標とする措置はとっておりませず、指定乳製品の安定上位価格を通じて間接的に規制される仕組みとなっておりますので、原料乳につきましては安定上位価格は定めないことといたしております。  第二項は、安定価格をいかなる段階におけるものとして決定するかについて規定いたしております。すなわち、原料乳及び指定乳製品におきましては生産者の販売価格とし、指定食肉につきましては、その価格形成について適正な措置がとられていると認められておりますところの中央卸売市場における価格について定めることといたしているのであります。  第三項におきましては、安定下位価格及び安定上位価格の機能ないしは意義について規定しているのであります。すなわち、安定下位価格は、その価格を下がって原料乳、指定乳製品及び指定食肉が低落することを防止することを目的として定めるものであり、安定上位価格はその額をこえて指定乳製品及び指定食肉の価格が騰貴することを防止することを目的として定めるものといたしているのであります。  第四項におきましては、安定価格の決定に際して考慮すべき事項を規定しております。安定価格の決定に際しては、原料乳や指定食肉にかかる肉畜の生産者、指定乳製品の製造業者及び消費者の立場をそれぞれ考慮し、今後の成長産業として期待される畜産及びその関連産業の合理的発達の条件となり得るような価格でなければならないと存じます。そのためには、原料乳、指定乳製品及び指定食肉の生産条件すなわち生産費販売価格の水準、その変動状況、生産規模、合理化の可能性など及びその需給事情その他一般の経済事情を総合的に考慮いたしまして、それらの生産及び消費が安定的に発達し得るような水準で定める意図であります。なお、安定価格の決定にあたりましては広く利害関係者及び学識経験者からなります畜産物価格審議会の意見を聞いて適正に決定いたすよう第五項において定めております。  第六項におきましては、このようにして定められた安定価格は、公表することといたしております。  次に、第四条でありますが、この条におきましては、当該年度における安定価格の決定後、物価その他の経済事情に著しい変動を生じた場合にはこれを改定しうることとし、安定価格の適正を維持しようといたしております。この場合におきましても、畜産物価格審議会の意見を聞くとともに、改定された安定価格についてもこれを公表することといたしております。  次に、第五条についてでありますが、この条は、農林大臣または都道府県知事の原料乳の価格に関する勧告の規定であります。原料乳の価格維持につきましては、原料乳を直接に畜産振興事業団の買い入れ対象とせず、第四十三条第一号の規定を働かせ、指定乳製品の買い上げを通じて間接的に維持する仕組みとしております関係上、乳業者が原料乳の生産者に対し安定下位価格に達しない価格を支払っておりますような場合には、農林大臣又は都道府県知事は、当該乳業者に対して、その支払い価格を少なくとも安定下位価格に達するまで引き上げるべき旨の勧告をすることができることといたしまして、原料乳の安定下位価格の維持をはかろうとするものであります。第二項におきましては、この勧告をしたときは、その旨を公表できることとしまして一般世論に訴えてそのその実現を期することといたしております。  次の第六条の規定は、生乳生産者団体、乳業者、指定食肉の生産者団体及び鶏卵等の生産者団体の行なう原料乳、指定乳製品、指定食肉または鶏卵等に関する自主的調整事業に関する規定であります。  第一項は、生乳生産者団体が、原料乳の価格が著しく低落し、または低落するおそれがあると認められる場合に、その価格を回復しまたは維持するために、その構成員の生産する原料乳を原料とする指定乳製品の生産に関する計画を定め、農林大臣の認定を受けることができることとしております。生乳生産者団体の生産に関する計画におきましては、生乳生産者団体が、自己所有の施設によって指定乳製品を生産する場合のみならず、他の乳業者に委託して生産する場合をも対象といたしまして、このようにして生産された指定乳製品は、第三十九条の規定により畜産振興事業団に売り渡すこともでき、または第六条第二項の規定による保管または販売の計画の対象とすることもできることといたしております。この生産の委託につきましては、第三八条第一項三号の規定によりまして畜産振興事業団がそのあっせんを行なうことができることとし、畜産振興事業団があっせんしてもなお乳業者が、正当な理由がないのにその生産の委託に応じないときは、第六条第六項の規定によりまして、その生乳生産者団体の申出によって、当該乳業者に対し、その委託に応ずべき旨を命ずることができることとして、その生産計画の実行性を補強いたしているのであります。  第二項におきましては、指定乳製品の価格が著しく低落しまたは低落するおそれがあると認められる場合には、この項の各号に規定する乳業者、生乳生産者団体等が、みずからもしくは他に委託して生産しまたはその構成員の生産する指定乳製品について、自主的に保管し、または販売することについて計画を作成し、農林大臣の認定を受けることができることといたしております。この計画につきましては、第三十八条第一項第四号の規定によりまして、畜産振興事業団が、その計画実施に要する経費につきまして助成ができることとしているのであります。この規定は、従来、酪農振興法第二十四条の四にありました乳製品の保管計画についての規格を、この法律案による価格安定措置と調整した上で取り入れ、従来の国の助成も、価格安定措置ということで畜産振興事業団の業務に一元化したものであります。  第三項の規定は、第二項と同趣旨によりまして、生産者団体による指定食肉の保管または販売に関する計画について規定したものであります。この計画につきましても、畜産振興事業団が、その実施に要する経費について助成いたすこととしておりますことは同様であります。  第四項の規定は、第二項及び第三項と同趣旨によりまして、生産者団体による鶏卵の保管または販売に関する計画について規定したものであり、畜産振興事業団の助成についても同様であります。  第二項及び第三項の対象品目はあわせて畜産振興事業団の買い入れ対象としておりますが、本項の対象品目については買い入れ対象としておりません。なお、本項の対象品目には、鶏卵のほか、原料乳、指定乳製品及び指定食肉以外の主要な畜産物を政令で追加することができることとしております。  第五項の規定は、以上四つの計画についての農林大臣の認定についての規定であります。その認定基準につきましては農林省令で定めることといたしております。  第六項の規定は、生乳生産者団体の指定乳製品の生産に関する計画の実施につきまして、農林大臣が乳業者に対し委託に応ずべき旨を命ずることができる旨の規定でありますが、この規定につきましては、第一項について御説明いたしました際にもすでに申し述べたところであります。  第七項の規定は、第一項から第四項までの計画は、畜産振興事業団の業務と関連がありますので、農林大臣が認定しようとする場合は、畜産振興事業団の意見を聞くことといたしておるのであります。  次に、第三章は、畜産物価格審議会に関する規定であります。安定価格は、広く学識経識者の意見を聞いて決定することが適正であると考えましてこの審議会を設けることとし、その設置、権限、組織等について規定いたしております。次の第四章は、畜産振興事業団について規定いたしております。第十二条は、畜産振興事業団の目的に関する規定でありまして、同事業団は、主要な畜産物の価格の安定及び乳業者等の経営に要する資金の調達の円滑化に必要な業務を行なうこととして、この法律案に規定する措置の重要部分を担当する旨を定めているのであります。  第十三条から第十五条までは、法人格、事務所及び定款に関する規定であります。  第十六条は、事業団の資本金に関する規定であります。事業団の資本金のうち政府出資金は十億円といたしておりますが、これは、附則第四条第一項の規定によりまして、事業団の設立に際して政府が出資する五億円と、附則第六条第一項及び第二項の規定によりまして事業団が酪農振興基金から政府出資金として引き継ぐ五億円との合計額であります。資本金といたしましては、このほかに酪農振興基金から引き継ぐ政府以外の者の出資金と、事業団の成立後に政府以外の者が事業団に出資する金額が加わることになるのであります。この資本金のうち、酪農振興基金から引き継いだ政府出資金五億円と政府以外の者の出資金は、すべて債務保証業務にかかるものとして第四十八条の規定によりまして区分経理をすることといたしておりますので、価格安定業務に属する資本金といたしましては、さしあたり五億円でありますが、附則第十一条の規定によりまして当分の間債務保証業務の勘定からの繰入金をも財源とすることといたしております。なお、今後における対象畜産物の生産の増大その他の事情に応じまして、当然事業団の資本金につきましても増額を必要とするものと考えられますので、第二項におきまして、事業団は資本金を増加することができるとし、第三項におきまして、その際は政府が事業団に追加して出資ができることといたしておるのであります。  次に、第十七条から第二十一条までの規定は、債務保証業務にかかる政府以外の者の出資に関する規定でありまして、従来の酪農振興基金における場合と同一の扱いといたしております。  第二十二条の登記に関する規定、第二十三条の名称の使用制限に関する規定及び第二十四条の民法の準用に関する規定は、同種団体に共通な例文であります。  次に、第二節は、役員等に関する規定であります。第二十五条は、役員に関する規定でありまして、事業団の業務の重要性と多様性に対処するため、理長事一人、理事三人以内及び監事二人以内のほか副理事長一人を置くこととしております。なお、同条第二項の非常勤理事七人は、従来、酪農振興基金において、政府以外の者の出資との関係等で置かれていたのを事業団運営の適正化の観点から第三十条の兼職禁止の規制を加えて引き継いだものであります。これらの役員の任命は、第二十七条第一項におきまして、農林大臣が行なうことといたしております。  次に、事業団の業務の性格にかんがみまして、第三十条において、役員が営利事業に関係することについて制限を設けるとともに、第三十四条におきまして役員及び職員の秘密保持義務を規定し、第三十五条において役員及び職員の刑法その他の罰則の適用上における公務員たる性質について規定しているのであります。  次に、第三十六条は、事業団の評議員会に関する規定であります。これは、事業団の運営特に具体的な業務につきまして、それが適切に行なわれるように出資者及び学識経験者の意見を反映するためのものであります。その評議員の任命は、第三十七条の規定によりまして、広く、出資者、生産者、流通業者、消費者等の中から適正な者を農林大臣が任命することといたしております。  次に、第三節は、事業団の業務に関する規定であります。第三十八条は、事業団の業務の範囲を規定しております。第一項各号のうち第三号と第四号の義務につきましては、第六条の規定の説明に関連して申し上げたところでありますが、第一号及び第五号の業務につきましては、この条の第三項におきまして、第三十九条から第四十六条までに規定するところに従って行なうことといたしておるのであります。第二項の需要増進に関する業務につきましては、従来、酪農振興基金が飲用牛乳及び乳製品について行なっておりましたものに新たに食肉及び鶏卵等を加えて事業団の業務としたものであります。  次に、第三十九条は、事業団の行なう国内産の指定乳製品及び指定食肉の買い入れに関する規定であり、第一項は指定乳製品の、第二項及び第三項は指定食肉の買い入れに関する規定であります。指定乳製品の方は、乳業者、乳業者の組織する中小企業等協同組合または生乳生産者団体の申し込みによりまして、みずから生産しまたは他に委託して生産したものを安定下位価格で買い入れることとし、指定食肉のほうは、適正な価格形成が行なわれる制度となっております中央卸売市場においてその安定下位価格で買い入れることといたしておりますが、生産者団体が調整保管した指定食肉については中央卸売市場以外の場所においても買い入れることとしております。当分の間は、中央卸売市場以外の市場であって、価格が公開性を有し、その形成も適正に行なわれていると認められるものにつきましては、農林大臣が指定し、中央卸売市場と同様の取扱いをいたすこととし、その旨を附則第十条で規定しております。なお、生産者団体の申し込みによる指定乳製品及び生産者団体の保管または販売計画による指定食肉は優先的に買い入れることとしております。  次に、第四十条は、輸入にかかる指定乳製品、指定食肉及びその他の食肉の買い入れに関する規定であります。この法律案による価格安定措置のねらいとしては、原則として国内産による長期的需給均衡を目途といたしておりますが、一時的には国内産が不足し、指定乳製品または指定食肉の価格が安定上位価格をこえて騰貴しまたは騰貴するおそれがあると認められる場合において、事業団がその価格の騰貴を抑制するために必要な数量の当該指定乳製品または当該指定食肉を保管していないときは、事業団は、農林大臣の承認を受けて、必要な限度において、輸業者の輸入した当該指定乳製品または当該指定食肉を買い入れ、第四十一条の規定により売り渡すことによって、価格騰貴の抑制をはかっているのであります。なお、指定食肉の価格騰貴の場合には、海外の市況等によりまして有効に指定食肉を輸入することが困難な場合には、これに代替する食肉で政令で定めるもので輸入されたものを買い入れることができることといたしております。この政令で定めるものとしましてはさしあたりは牛肉を考えております。  次に、第四十一条の規定は、原則的な売り渡しに関する規定であります。指定乳製品または指定食肉の価格が安定上位価格をこえて騰貴しまたは騰貴するおそれがあると認められる場合は、事業団がその保管している指定乳製品または指定食肉を売り渡すことによってその価格騰貴を抑制することといたしておるのであります。その売り渡し方法といたしましては、指定乳製品につきましては安定上位価格を基準とする一般競争入札の方法により、指定食肉につきましては安定上位価格を基準として中央卸売市場において売り渡す考えでありますが、場合によりましては、売り渡し品の用途、転売価格等につき政策的に規制する等のため、随意契約その他の方法によることが必要なことも考えられますので、そのような場合には農林大臣の承認を受けて他の方法によることができる旨をただし書きで規定しております。  次に、第四十二条は、特別の事由がある場合における売り渡しに関する規定であります。事業団の保管数量が一定の数量をこえ、または保管期間が一定の期間をこえるに至ったような場合には、第四十一条の規定による売り渡しが困難なこともあり得ますので、そのような場合には、事業団の管理上の問題も考慮いたしまして、指定乳製品または指定食肉の価格が安定上位価格をこえて騰貴しまたは騰貴するおそれがあると認められない場合においても、農林大臣の承認を受けて、原料乳及び指定乳製品または指定食肉の時価に悪影響を及ぼさないような方法で売り渡しができることといたしております。  次の第四十三条の規定は、一定の理由があるときは、事業団は買い入れまたは売り渡しをしないこととし、価格安定措置の適正化を期しておるのであります。  次の第四十四条は、事業団が保管する指定乳製品または指定食肉の保管中における品質保持のため新しいものと交換ができることとするものであります。  次に、第四十五条は、乳業者等に対する債務の保証に関する規定であります。この規定は、従来、酪農振興基金法第二十九条第一項に規定されており、それに基づいて酪農振興基金が行なっておりましたものをそのまま引き継いで規定いたしております。  次に、第四十六条の規定は、事業団の業務の委託に関する規定であります。事業団の業務に関係する地域が全国にわたりますが、その業務の性質上継続的ではありませんので、全部を事業団が直接処理することが困難でありまたは経費がかかり過ぎるというような場合には、買い入れ、交換、売り渡し及び債務の保証の決定を除き、実務的な処理を他の適当な者に委託できることといたしておるのであります。  次は、第四十七条の業務方法書に関する規定でありますが、業務方法書の記載事項は細目にわたりますので農林省令で定めることといたしております。また、業務方法書の作成は、附則第三条第二項の規定により事業団設立の際にすることとなっておりますので、この条の第二項及び第三項におきましては、その変更に関する事項について規定しておるのであります。  次に、事業団の財務及び会計について申し上げます。第一に、第四十八条におきまして、債務保証業務について特別の勘定を設けることといたしました。さきに申し上げましたように、この事業団は、一つには畜産物の売買業務を、もう一方ではいわば金融的業務でありまする債務保証業務を行なうこととされているのであります。したがいまして、この両業務の経理を区分して整理いたしましておのおのの業務の損益が明確に把握できるようにする必要がありますので、債務保証業務にかかる経理を他の業務のそれから区分するという形をとることといたしております。政府がすでに酪農振興基金に対し出資いたしております五億円と、酪農振興基金が解散されるときまでに政府以外の者から出資されると見られる約二億円弱、合計七億円弱の金額及び事業団設立後政府以外の者から出資される金額は、この特別の勘定においてその取り扱いが行なわれることとなるのであります。第四十九条から第五十七条までは、他の同種の団体に準じまして事業年度、収支予算、事業計画、資金計画、決算、損益の処理、借入金、余裕金の運用、役職員の給与、退職手当の支給等について必要な事項を規定しております。  次に、第五十八条と第五十九条は、事業団に対する農林大臣の監督について規定しております。すなわち、第五十八条第一項は、事業団は農林大臣が監督するということを明記いたしまして、同条第二項により農林大臣は、この法律案を施行するために必要があると認めるときは、事業団に対して業務上必要な命令を発することができることといたしました。  第五十九条は、他の同種の団体に準じまして、農林大臣の報告徴収、立ち入り検査の権限を規定しております。  第六節の補則は、事業団の出資者に対する通知または催告の必要手続、定款等の書類の備付及び閲覧、解散等についての出資者の地位に関して規定いたしております。  第六十三条は、農林大臣が指定乳製品の生産等に関する計画を認定する場合の基準を定める場合、事業団の定款や業務方法書の変更認可をする場合、収支予算や事業計画の認可をする場合等には大蔵大臣と協議しなければならないという規定であります。  次に、第六十四条は、農林大臣が、この法律案によりまして畜産物の価格安定に関する各種の措置を実施いたして参ります場合に必要とされる生産費、輸入価格、在庫量等の調査を可能とするための報告徴収及び立ち入り検査の権限を規定しております。この規定は、他の価格安定法、需給調整法等に準じた規定であります。  第六十五条から第六十九条までは、罰則の規定であります。  最後に、附則におきましては、第一に、この法律案の施行日を原則として公布の日とすること、第二に、畜産振興事業団を設立して、酪農振興基金を解散し、その一切の権利及び義務を事業団が承継すること、第三に、酪農振興基金法を廃止すること、第四に、事業団について同種団体に準じた税制上の優遇措置を講ずること、第五に、この事業団の業務を行政管理庁の調査の対象とすること、第六に、酪農振興法第二十四条の四の国内産の乳製品の保管の規定を削除すること等をおもな内容としております。  以上が、畜産物の価格安定等に関する法律案の概要でございます。

安田善一郎食糧庁長官

○政府委員(安田善一郎君) 私のほうは二つの法律案でございますが、極力簡単を旨として補足説明を申し上げます。  第一は、大麦及びはだか麦の生産及び政府買入れに関する特別措置法案でございますが、この法案は十二カ条と附則四項でございます。その提案理由はすでに中野政務次官から申し上げましたとおりで御承知のとおりでございます。御配付を申し上げました補足説明の内容は逐条ごとに説明をいたしておりますが、このうち特に補足を要しますると私どもが考えておりまする十点につきまして簡潔に申し上げます。  第一は、本法案の目的でございますが、これは第一条に書いてあります。その目的は、大・裸麦の転換奨励助成措置と、第二点は、この法案が出ます場合の食糧管理法の関係規定の適用除外で、この二点でございます。すなわち、大麦及び裸麦の食糧用としての消費は、昭和三十二年を転機といたしまして逐年減少の歩をたどっております。昨年は昭和三十二年に比べまして約半分という著しい減少でございまして、今後もさらに減少を続けるように見込まれるのであります。食糧用以外の消費も飼料用に多少増加の傾向が見られますが、おおむね停滞ぎみでありまして、消費全体としても著しい減少を示しております。これに対しまして生産のほうを申し上げますと、昨年まではほぼ従来の水準で推移をいたしまして、本年産麦は、かなり転換が進んでおりますが、まだ需要を上回る高い水準にあります。このために需給は著しく均衡を失しておりまして、その結果、政府の手持在庫量は昨年までは年々増加をいたしました。昭和三十五会計年度末には優に一年分の需要を上回る状態となったのであります。本年度におきましては、飼料対策の一環としまして飼料用に特別価格で売却をすることといたしましたために、在庫は減少しておりますが、もしそれがなければ、優に一年半の需要に見合う在庫に達するはずだったのであります。以上のような需要事情にかんがみまして、二号の重要な目的を持ったこの法案を、当分の間、すなわち当分の間とは目下のところおおむね三年を予定いたしておるのであります。  次に重要な点は、需給事情の推移と需要でございます。過去の推移と需要状況でございます。それは第二条以降に関係がございますが、二条は、需要の見通し等について、推移を含めまして、これを農林大臣が毎年立てまして、これを公表する仕組みにいたしております。これは麦作転換方針と都道府県、市町村の立てまする麦作転換計画の決定の基礎といたしまして、また大麦及び裸麦の政府買い入れについて生産者が申し出をしまして、市町村長が生産者別の政府買い入れ限度数量を定めるということになっておりますが、その基礎的な指針とするものでございます。三条から五条まででございますが、これは麦作転換方針、麦作転換計画の作成について規定をいたしておるのでありますが、麦作転換方針は国が定めるもの、麦作転換計画の作成は都道府県と市町村が定めるものにいたしまして、その作成と実施につきましては政府から補助金を交付することにいたしております。国の麦作転換方針につきましては、第三条で規定をいたしております。  重要な第四点といたしましては、麦作転換の方針の内容でございますが、これは国では方針を出し、都道府県、市町村が計画をきめるということになりますが、おおむね内容は地域の特性を除きまして地域の広さに準じて立てるものであります。すなわち、生産及び用途の転換とは、大麦及び裸麦が今後需要の伸びが期待されまするいわゆる成長部門の小麦、菜種、飼料作物その他地域の特性に応じた作物への生産の転換及び飼料用への用途の転換を行なうことでございます。これは三ページ目の終りでございますが、この転換に関する面積と数量の目標、次のページに行きまして転換の促進のために政府が講ずる施策等に関する方針を定めて公表することにいたしまして、この方針を作成する場合には、都道府県知事、全国農業会議所、全国農業協同組合等の農業団体の意見を聞くことにいたしております。  四条以降でございますが、これは都道府県と市町村の転換計画 書いておるわけでございますが、いずれも国の麦作転換方針は従いまして、同種の事項について計画を立てていただくのでございまして、都道府県、市町村ごとに行政庁と関係農業団体の適当な意見を聞くことにいたしておりますのは国の場合と同様でございます。  さらに重要な、補足申し上げたい第六点は、前国会に提案をいたしました法案と趣旨は同一でございますが、条文は過半を修正いたしまして提案を申し上げました理由でございます。すなわち、その理由と差異でございます。五ページの六行目でございます。前回の法案では、まず国全体の政府買い入れ数量を定めまして、これを都道府県、市町村と割り当てて生産者別の数量を定めることにいたしておりまして、いわゆる国の上のほうから農家の下のほうに割り当てをする方式であります。その後、昭和三十六年産の大麦及び裸麦の転換状況が約十五万町歩ございましたが、同法案に対する、これは前回の法案という意味ですが、前回御提案申し上げました法案に対する関係方面の御意見も、その後考慮検討いたしました結果、上から下に割り当てるような方法を改めまして、下から上へ持っていく方向に直したのであります。すなわち、生産者の申し出に基づきまして、それに基づいたものを政府買い入れ限度数量と定める趣旨にしたのであります。  まず、第六条におきまして、その趣旨をまず第一に生産者の政府への売り渡し数量の申し出について規定をいたしているわけであります。大麦及び裸麦の生産者は、毎年、翌年産のと申しますのは、麦は冬作でございますから、秋に植えて翌年の麦秋に収穫いたしますからという意味でございますが、翌年産の大麦、裸麦についての政府への売り渡し希望数量を作付前の一定期間内、この一定期間内というのは、目下のところ毎年九月十六日から十月十五日までとする予定でございますが、その期間内に市町村長に申し出ることといたし、この申し出は前年産の大麦、裸麦の政府買い入れ限度数量の範囲内で生産者がその判断において行なうものでありまして、先ほど御説明をいたしました市町村麦作転換計画を参考として、生産、販売の計画を立て、適正な数量を申し出ることを期待しているのであります。  この申し出を、前年産の大・裸麦の政府買い入れ限度数量の範囲内といたしておりますのは、需要が年々減少しつつある現在、例外的な場合を除いては、生産者別の政府買い入れ限度数量が増加することは適当でございませんし、特にあとで御説明申し上げますように、年々前年からの政府買い入れ限度数量の減少に応じて、転換奨励金というものを交付することにいたして、予算に計上いたしておりますのでございますが、そういうわけでございますから、再びあとに戻らないようにすることが必要であるためでございます。なお、昭和三十七年産の大麦、裸麦、すなわちただいま植わっておる麦ということでございますが、これは、この法案の、前国会の審議未了ということと関係いたしまして、取扱いは慎重を要しますので、この附則に規定してありますように、前年産の数量の範囲内という限度にかえまして、大幅な転換をいたしましたことを考慮してという意味でございますが、昭和三十三年、三十四年、三十五年の大・裸麦の政府買い入れ数量の年平均数量をとることといたしております。これが附則に書いてありまするが、麦転換を予定いたしまして、転換奨励金を交付することにいたしておりまするが、もう一点の政府買い入れ限度数量を昭和三十八年以降の大麦及び裸麦の政府買い入れ限度数量の出発点とする趣旨であります。  なお、災害から守る要もございますので、災害によって前年において大麦及び裸麦の生産を一時的に休止した場合、その他前年の政府買い入れ限度数量を申し出の限度とすることが適当でない場合におきましては、特例を設けることにいたしております。これは非常に複雑でございますが、重要点の七点でございます。七点を一言にして申しますと、生産者の売り渡し希望の申し出を、下からの申し出を政府買い入れ限度数量の決定とすること、そのあとに引き続きまして、もし生産者が市町村の定めます生産者別政府買い入れ限度数量の決定に不服があります場合には、不服の申し出を取り扱いまして、申請をしていただきまして、市町地長がさらに適正に決定をし得るように配慮をいたしておる点でございます。  重要点の八点でございますが、これは八ページの第九条というところ以降にございます。これは一口に申し上げますと、転換奨励金等の助成を規定をいたしておるわけであります。県にも市町村にも出しまするし、生産者には転換奨励金も出します。この予算は転換奨励金といたしまして三十六年度三十億円、麦作転換計画の作物及び実施の補助その他生産改善関係施策費として十億円、計四十億円を計上いたしております。  重要点十点のうちの第九点は、食管法の特例の内容のことでございまして、九ページ初めの第十条以降でございます。それは買い入れ限度を設けますることとともに、その価格を書きまして、この新法、法案を提案いたしておりますので、現行の食糧管理法第四条ノ二の一項と二項との適用除外をいたしておるわけでございます。重要点でございますので文章に即して申し上げますと、現行食糧管理法第四条ノ二の第一項におきましては、政府は、生産者またはその委託を受けた者の売り渡しの申し込みに応じ無制限に買い入れる旨規定されております。その特例といたしまして、先ほど御説明しました政府買い入れ限度数量に相当する数量まで買い入れることといたしておるわけでございます。第十一条におきましては、政府買い入れ価格について規定をしております。現行の食糧管理法第四条ノ二第二項におきましては、政府の買い入れの価格は昭和二十五年及び二十六年を基準とするいわゆる農業パリティ価格を下がらないものとして、その額を基準として麦の生産事情その他の経済事情をしんしゃくし、麦の再生産を確保することを旨として定めておる規定がございますが、今回はその特例といたしまして、そのような固定的なきめ方を改めまして、政府の買い入れ価格はパリティ価格並びに大麦及び裸麦の需給事情その他の経済事情をしんしゃくして、弾力的に定めることができるようにいたしておる改正でございます。したがいまして、食管法の第四条ノ二の麦の政府買い入れとその価格に関する規定は、大麦及び裸麦につきましては、この法律を施行している間は特別に適用をしない規定といたしておるわけでございます。  最後の第十点めの特に重要な補足事項と考えて申し上げたいのは附則でございますが、附則に割合重要なことが書いてあります。書いてありますもののおもなることは、二つに分かれておりまして、一つは、麦作転換計画の作成、昭和三十七年産の麦には特例が多い。もうすでに植付してしまって、今成長中の麦でございますから、これについては三十八年以降に適用するようなものが本則に書いてありますが、特別の特例が多い、そういうことが書いてあるわけでございまして、その特例のおもなる第一点は、麦作転換計画などを作成しないということであります。第二点は、政府売り渡し希望数量を、生産者のという意味でございますが、政府売り渡し希望数量を三十三年から三十五年の平均買い入れ数量を限度とする、すなわち三十四年から五年にかけて大へん作付減少しましたものも、三十五年から三十六年にかけまして大へん作付が減りましたものは除きまして、大幅減少しない前の方をとりまして、そこを買い入れ限度といたします。だから多く買うということであります。そういう趣旨でございます。以下はこの条文に即しまして文章に書いてある通りでございますが、なお一点、生産転換奨励金は三十三年から三十五年の平均買い入れ数量からの減少に応じまして講ずる。生産者が申し出まして、市町村長がその生産者別の政府買い入れ数量というものをきめますが、その限度数量よりも少なく売ってきた、そうすると、そこに買い入れ数量と農家が売ってきた数量との間にやはり差ができます。その差だけの量において転換奨励金を出すということでございます。  以上でございます。    ———————————  次に、大豆なたね交付金暫定措置法案の補足説明の概要を申し上げます。  これは五カ条の本則の条文と附則が三項ございますることは御提案申し上げた通りでございまして、その提案理由も、麦の場合と同様に中野政務次官から、すでに提案理由を申し上げた通りでございますので、簡単に、配付してございまする補足説明の概要の特に重要と認められます十二点のことにつきまして申し上げます。  その第一点は、本法の目的でございますが、第一ページでございますが、三行目、昭和三十六年七月に大豆に関します貿易の自由化が行なわれました。これは御承知の通りでございます。その影響が予想される国内産の大豆と、また大豆と関係が最も多い国内産の菜種につきまして、その生産の確保と農家所得の安定とに資する保護的な措置を講ずる必要があると考えるのでありまして、そのために政府は、後に申し述べますように、大豆及び菜種の生産者に対して、生産者団体を通じて交付金を交付しようとするものであります。  本法の外でございますけれども、この貿易の自由化に対しましては、すでに大豆につきましては関税対策といたしまして、自由化対策の一つの関税措置といたしまして輸入関税定率を一〇%から一二%に引き上げまして七月から実行中でございます。また、菜種につきましては、来年の四月から五%の現行定率を一五%に引き上げることに決定を政府はいたしております。さらに、貿易自由化に対しまする対応措置といたしましては、当然に大豆、菜種の生産技術改善の奨励措置があるいは講ぜられなければなりませんので、これは別途それを講ずることになっております。したがいまして、この法案は、それぞれの関税とか、生産技術改善の奨励措置等を除いた部分の保護措置として考えておるわけでございまして、生産者に対する交付金の交付を、その生産者の団体、集荷団体という意味でございますが、それを通じて保護をしようとするのであります。  御承知のように、この問題に関しましては、目的、趣旨といたしましては同一の法案が前国会に提案をされました。これをその後の情勢、また関係方面の意見を考えまして、さらに御可決願いました三十六年度予算に計上してあるこの部分の予算にかんがみまして検討を加えまして、新しい規定の書き方をして御提案を申し上げてあります。その点を申し上げます。  二ページの五行目でございますが、交付金の交付法を改めたのでございまして、前法案は行政庁による割当ということを行なうことにいたしてあります。また、その割当に応じまして割出証明書の発行を上から下のほうへ——下というのはよくないかもしれませんが、国のほうから県、市町村、農家というふうに割り当てて、かつ割当証明書の発行をするという繁雑な事務を行政庁でやることを考えてありましたが、今回はその事務を必要としないようにいたしました。さらに言いかえまするというと、今回は生産者団体など、すなわち農協の系統農協、さらに全穀連——全国雑穀商協同組合連合会、全国の主食集荷業者の団体及びその連合会などというのはそういう意味でございまして、特に生産者の団体等の機能を活用いたしまして、その実際取引と結びつけて交付金を交付するほうが実情に即するという理由に基づきまして、法案の規定を変えたのでございます。ただいま出回り期に入りまする昭和三十六年産の大豆につきましても、この法律による交付金の交付がすみやかに行なわれて、時期的にも実情に合致するものと考えられると存ずるのであります。また、ただいま出回っておりまする菜種につきましては、価格等もこの法案の趣旨と農業基本法の趣旨とを当委員会のいつかの御指導、あるいは御鞭撻によりまして内定をいたしておりますから、近くきめるつもりでございます。これがこの法律の第四の重点でございますが、恒久制度でなしに暫定措置であるということであります。  次に、重要点の五点とでも申し上げることでございますが、それは二ページの第二条以降に書いてありますが、生産者団体等が行ないまする調整販売計画の農林大臣の行ないまする承認、その承認を受けました大豆、菜種の調整販売計画等に従いまして、販売事業を行なう生産者団体などに交付金を交付いたしますということでございます。すなわち、まず全国販売農業協同組合連合会、全国雑穀商協同組合連合会、全国主食集荷協同組合連合会等の全国団体を予定いたしておりますが、このほかに全国的団体でなくとも事業規模の相当大きな団体で適切なものと認められるものは指定をいたしても差しつかえないと考えておりますが、目下はその三団体でよかろうかと考えております。  三ページのまん中でございますが、政府は、これらの生産者団体等で調整販売計画等を定めて農林大臣の承認を受け、これに従って大豆、菜種の販売事業を行なうものに、交付するというのであります。この調整販売計画等の内容、承認の手続等は、第三条に規定してあります。  次に、三ページの終わりのほうですが、「第二に、」と書いてありますが、次に、政府が予算を計上して生産者団体等に交付する交付金の金額でございます。これはまず第一に基準価格を考え、第二に標準販売価格を考え、第三に交付金を考えまして、基準価格と標準販売価格との差を交付金として交付しようといたしておるのでございます。この交付金は、したがいまして基準価格と標準販売価格と交付金交付対象の大豆、菜種の数量できまる、こういうことになっておるわけであります。この基準価格は、四ページでございますが、この基準価格と申しますのは、第二条第二項第一号に規定してありますが、生産者に保証すべき基準の一定の価格、これは農業パリティ価格、生産事情、需給事情その他の経済事情をしんしゃくして、農林大臣が定めるものであります。このパリテイ価格は、またパリテイといいましてもいろいろございますので、目下は、昭和三十二年産、昭和三十三年産及び昭和三十四年産の大豆及び菜種の販売期間における平均生産者販売価格を基準として定める予定でございます。  次に、標準販売価格といいましても、何かと存ぜられますので御説明を申し上げますと、これは第二条第二項第二号に規定をいたしております。これは生産者が売りました場合の実際の販売価格の標準的なものとして農林大臣が定めるものであります。これは消費地におきまする標準的な取引価格として穀物取引所における国内産の大豆の取引価格、また生産者団体の販売価格等をしんしゃくしまして一定の価格を定めまして、この標準的な、いわば消費地の価格から大豆の産地からの集荷、保管、運送及び販売に要する流通経費を控除いたしまして、この控除した額を基準といたしまして一そうすると産地の農家の価格は試算上出るわけでございますが、さらに農林省調査の農村物価賃金調査としまして調査結果がございますが、その調査結果の大豆、菜種の販売価格を考慮して定めることにいたしております。  それから菜種の標準販売価格は、大豆と変えて考えておりますが、品物の性質もあり、統計調査の関係もありまして差をつけておるのでありますが、趣旨は同一でございます。五ページでございますが、五ページの一行目、それは生産者団体等の全国平均的な販売価格から菜種の集荷、保管、運送、販売に要する流通経費を控除した額を基準といたしまして、農村物価賃金調査による菜種の農家販売価格等を考慮して定めることにしております。すなわち取引所等の価格を、これは上場されませんから考えませんということでございます。  次の重要な点は、それ以後に書いてありますが、交付金の交付対象の数量について書いてあるわけであります。基準価格と標準販売価格と数量で交付金の金額がきまるからであります。交付金の交付対象とする大豆及び菜種の数量は、生産者団体等が各年産の大豆または菜種の通常の販売期間として農林省令で定める期間に販売した数量とすることを原則といたしておりまして、農林省令でどう定めますかを目下のところを申し上げますと、大豆については八月から翌年九月まで、菜種につきましては五月から翌年一月までの期間を予定しております。しかしながら、この法律は大豆の貿易の自由化の実施に伴う輸入事情や需給事情の変化がございます。それが国内産の大豆または菜種の価格に及ぼす影響に対処するように、そこで貿易自由化以前の通常の状態において生産者が販売した数量について交付金を交付することを本旨といたしておるのでございます。したがいまして、生産者団体等が、農林省令で定める一定期間内に販売した大豆または菜種の数量が、各生産者団体等ごとに農林大臣の定める一定数量を越えるときには、この農林大臣の定める一定数量を交付金の交付数量としております。すなわち、無理なく従来の販売量を押えまして、大体の生産団体等に売り渡し、または売り渡しの委託をいたしまして、消費地のほうへ持って参ります通常量というべきものを農林大臣が一定数量としてきめまして、予算等のこともございますから、それに、その数量の範囲内で渡すということにしておるわけであります。この農林大臣の定める一定数量の定め方が問題になるわけでございますが、それは六ページでございます。第二条第三項に規定をいたしております。農林大臣は交付金を交付する生産者団体等の全体につきまして、まず大豆の貿易の自由化が問題となる前に、通常出回ったと認められる正常な生産者販売数量、一応私どもは昭和三十二年産、昭和三十三年産と三十四年産その大豆と菜種の生産者販売数量の年平均数量を考えておりますが、これをはじいてみまするというと、大体大麦、菜種それぞれ二十万トンになります。両方とも約二十万トンになります。それを基準といたしまして、これにその後の大・裸麦の転換のための施策で大豆、菜種のほうへかわってくるものがあるわけでございますが、それらを考えまして、その生産事情、販売事情を参酌して、交付金の交付対象とする全国ベースの全体の数量を定め、次にこの全体数量を越えない範囲で生産者団体ごとに——生産者、集荷業者も入りますが、その団体ごとに販売実績、農林大臣の承認を受けた当年の集荷予定量などを参酌いたしまして、三団体がおもでありますが、各生産者団体などごとの一定数量を定める予定でございます。各生産者団体等が交付を受ける交付金の金額は、以上によって算定される基準価格から標準価格を——実際に売った価格の標準ということでございますが、それを引いた差額が単価になりまして、交付金の交付対象とする数量、それをかけますと全体の交付金の金額になるという仕組みに規定をいたしておるわけでございます。  七ページでございますが、次には基準価格及び標準販売価格の決定の手続が書いてあります。これは農林大臣が定めるのでございますが、その場合は、全国農業会議所、全販連等の団体の意見を聞くことにいたしております。また基準価格を定める時期につきましては、おおむね収穫期前に当たる十月を大豆について、また菜種は六月を予定いたしております。交付金の予算を念のために申し添えますというと、昭和三十六年度予算においては、すでに国会において御可決を願いましたが、ただいまこれに基づきまして昭和三十五年産大豆、これが出回っておりますので、約八億九千万円、昭和三十六年産菜種については今から出回りますが、四億七千万円、これを計上しますが、法律が先国会で通りませんでしたので、以上は行政措置で行ないたいと三十六年産菜種はもう内定をいたしました。そういたしますると、三十六年産の大豆について、この法律がそれから以降適用になるわけでございますが、これに引き当てるのが、予算としまして約十六億四千万円でございまして、本年度この法案の関係の交付金の予算額を申しますと合計三十億円を計上いたしておるわけであります。  次に大豆、菜種の調整販売計画等の承認に関すること及びその内容と手続について簡単に申し上げます。この交付金を受けます者は、調整販売計画などに基づいて大豆、菜種の販売事業を行なう生産者団体などでございますが、これらの交付金の交付を受けようとする生産者団体は、集荷、保管または販売の数量、その方法の調整に関する計画を立てまして、さらにこの生産者から生産者団体に売りましたり、売り渡しの委託をいたしまする場合の方法や条件、それらをきめまして案を立てまして、農林省の承認を受けまして、その承認が済みましたら計画がきまることにしてあります。そうしてきまりました調整販売計画などと交付金の交付後の審査を通じまして、生産者団体等の調整販売が効果的に行なわれるようにいたしまするとともに、生産者に確実に適正にこの交付金の交付が行なわれるようにしたいと考えておるわけであります。  もう少しでございますが、第四条は重要な点としての九点を書いてありますが、これは交付金の交付に関する規定であります。第五条は、以上のことをきめまするというと農安法の適用除外ということになりますから、そういう規定が書いてございます。さらにそのあとといたしましては、先ほど申し上げましたように、本法は菜種については昭和三十七年産のものから、大豆につきましては昭和三十六年産のものからこの法律を適用する。また最後に、農林省設置法の改正事項が書いてありますが、これはこの法律が通りますというと、どこが運営監督をするかということが出て参りますので、これは食糧庁で行ないます。価格の事項は総務部で行ないます。交付金の交付事務は業務第二部で行ないます。そういうことが規定をいたしてあるのでございます。  以上補足説明の要点を申し上げました。どうぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決をお願いいたします。

庄野五一郎農林省農地局長

○政府委員(庄野五一郎君) 農地法の一部を改正する法律案の補足説明を申し上げます。  提案理由の御説明にもありましたとおり、今回の改正案の主たる内容は、農地等の権利取得最高制限面積に関するもの、それから農業生産法人に関するもの及び農業協同組合が行なう農地等の信託の引き受けの事業に関するものの三点のほか、右の改正に伴いまする関係法律の規定の整理等に関するものでございます。  まず第一に、農地等の権利取得の最高制限面積に関する改正につきまして御説明申し上げます。これは農地法の第三条第二項第三号、これは農地の保有限度の規定でございますが、及び第四号、これは採草放牧地の保有限度の規定でございますが、この改正でありまして、農地等の権利取得の最高面積の制限を緩和しようというものであります。  現行制度では、農地等の取得は、取得後の耕作地と貸付地とを合わせた面積が、農地については内地平均三町歩、北海道十二町歩、採草放牧地については内地平均五町歩、北海道二十町歩になるように各都道府県別に定められた制限面積をこえることとなる場合は、原則として許可できないこととし、例外的に、これは政令、農地法の施行令第一条の第一項第一号でございますが、同政令におきまして、自家労力で効率的に経営すると認められるときには許可することができることとしているのでありますが、今回の改正は、この政令で規定されておりました例外事由を法律上の原則といたしますとともに、従来政令では自家労力による場合に限定しておりましたものを、主として自家労力による場合まで含めることといたしました。この結果、若干雇用労力に依存いたしましても労働の主体が自家労力ならば許可できることとなるわけであります。  次に、農業生産法人に関する改正であります。これは農業生産法人に農地等の権利取得を認めるとともに、それに伴う規定の整備を行なうことを内容とするものであります。まず第二条を改正いたしまして、農事組合法人、合名会社、合資会社または有限会社で一定の要件を備えるものを農業生産法人と定義いたしました。これは農地法第二条の第七項を加えまして、一号から六号に規定してございます。農業生産法人の組織形態として農事組合法人のほかに会社形態のものを認めることとしたのは、農民が協業をしようとするに至った具体的状況に応じて、最も適当な形態を農民の創意により選択し得る余地を残しておく方が望ましいという考え方からであります。しかし、株式会社につきましては、その性格が農地法の規制に調和いたしませんので除外いたしました。また、これらの法人のうち、さらに一定の要件を備えているものに限り農業生産法人として認めることといたしましたのは、どのような法人にも農地等の取得を認めますと、たとえば不耕作者がその法人の経営を支配し、耕作者の労働の成果の公正な亨受を阻害するような農地制度の基本をそこなう事態の発生も考えられますので、このような危険を未然に防止する必要があるという考えに基づくものであります。すなわち、第二条第七項第一号、第二号及び第四号の要件は、農業に従事しない者が農業生産法人の経営を支配する危険等を未然に避ける趣旨から設けられたものでありますし、同項第三号の要件は 土地の面から、また同項第五号の要件は労働力の面から、農業生産法人の経営は、雇用労働力に依存する資本家的経営と申しますよりは、共同経営的色彩の濃い性格のものであるべきであるとする趣旨から、また同項第六号の要件は、法人の利益の配当の要件でございますが、これは耕作者の労働の成果の公正な享受を確保しようとする趣旨からそれぞれ設けられたものであります。  第二に、第三条第二項を改正しまして、農業生産法人が農地等の所有権、賃借権等の取得をする場合には許可できることとするための規定を整備することとしております。これとともに、その他の法人につきましては、原則として農地等の権利の取得を認めないこととしておりますが、試験研究、農事指導等に供される場合は政令でこれを認めることとしたいと考えております。なお、現行法では創設地の貸し付けと小作地等の転貸を一般的に禁止しておりますが、これは、第三条の第二項第六号から第七号までですが、法人の事業に常時従事する構成員がその法人に貸し付ける場合には、許可できるように改正することとしております。  第三に、現行法の第六条では、これは所有できない小作地及び小作採草放牧地に関する規定です。在村地主の内地平均一町歩、北海道四町歩をこえる小作地等の所有を制限しておりますが、今回第七条を改正しまして、第七条というのは所有制限の例外規定です。それを改正して農業生産法人の事業に常時従事する構成員が所有し、その法人に貸し付けている小作地等につきましては、在村地主の所有制限を課さないことといたしました。なお、法人の事業に常時従事する構成員が常時従事することをやめた場合または構成員でなくなった場合におきましても、期間の定めのある賃貸借等でなお残存期間のある小作地等につきましては、その期間の満了までは所有制限を課さないこととし、またその法人の事業に常時従事する構成員が出作地をその法人に貸し付けた場合や、その法人の構成員で疾病による療養等の事由で一時不在村となっているものがその法人に貸し付けた場合は、在村扱いとすることとしております。  第四に、今回農業生産法人が所有権を取得できるようにしたことに対応して、国有農地または採草放牧地を、個人と同様に、農業生産法人にも売り渡すことができるようにするとともに、農事組合法人が新たに設けられましたことに伴い、農業協同組合と同様、これに対しましても、共同利用のため、国有の採草放牧地または未墾地を売り渡すことができるよう、第三十六条及び第六十四条を改正いたしました。これと同時に、第三十一条を改正いたしまして、これは市町村等の利用権の設定の規定です。農事組合法人も農業協同組合と同様に、薪炭林、採草放牧地等に利用権を設定することを求めることができるようにしたのであります。  第五に、農業生産法人がその要件を欠くにいたりました場合の措置を第十五条の二に規定しておりますが、これがその要件を欠くに至りました場合は、三カ月以内にその要件を満たすための措置を講じさせることとしております。このようにしましても、なお要件を満たさない場合は、その法人の所有する農地等は他に譲渡させ、その法人の借りている農地等は返還させることとし、それでもなお法人に残留する農地等につきましては、買収の措置を講ずることとしております。なお、要件を欠くに至りました法人の賃借人としての地位は、特にこれを保護する必要はありませんので、このような場合の賃貸借の解約等は許可するよう第二十条第二項に第四号を新設したわけであります。  第六に、農業生産法人の事業に常時従事する構成員がその法人から脱退した場合や、常時従事することをやめた場合でありまして、その所有する在村地主の所有限度をこえた貸し付け小作地等や創設農地等がその法人に貸し付けられたまま残っておりますときは、三カ月以内にこれをその法人に譲渡するか、またはその法人から返還を受けることとし、その期間を過ぎましてもなお貸し付けられたまま残っております農地等は、農地法の一般原則に戻って国が買収することとして、第九条及び第十五条の二に所要の規定を設けております。このような脱退後、その者が主として自家労力により効率的に農業経営を行なう場合は、その法人に貸し付けられている農地等の賃貸借の解約等は、これを許可することとし、第二十条第二項に、法人が要件を欠くに至りました場合の賃貸借の解約等と並びまして、この旨を規定することといたしました。これは主として自家労力により効率的に農業経営を行なう場合は、その者の協業経営からの離脱を容認するという考え方に基づくものであります。なお、その他の場合の賃貸借の解約等につきましては、一般の賃貸借と区別する理由はないと考えられますので、特別の取り扱いはせず、現行の第二十条第二項の基準に従い許否を決することといたしますが、特にいわゆる自作相当性という第三号の基準につきましては、同号を改正いたしまして、賃借人が法人である場合は、賃借人たる法人の経営、賃貸人の経営能力等を考慮して相当性を認定する旨を明確にしております。   〔委員長退席、理事石谷憲男君着席〕  次に、今回の第三点の主要点でございますが、農業協同組合の行なう農地等の信託の引き受けの事業に関する改正であります。これは、農協の行なう信託事業について、事業の円滑化をはかるため、権利移動及び小作地所有の制限の特例等を設けるものであります。農地制度の基本的な考え方はなお堅持しなければならないと存じますが、他面、最近における農業と、それをとりまく環境の変化を考慮しつつ、農地等の有効利用ないし農業構造の改善に資するような農地等の権利移動をはかりますために、農民の自主的な協同組織であり、農民の経営状況を最もよく把握しているとみられる総合農協の機能に着目いたしまして、これに農地等の権利の耕作者への移動の媒介をさせることとし、その媒介の方法といたしましては、単なるあっせんではなく、農地等の所有権を一たん移転して、目的に従った管理、処分をなさしめる信託という方法をとらせることにより、効率的な運用をはかることとし、このため、農業協同組合法を改正することとしております。  農協の行なう信託事業の信託は、農地等を貸付地として運用することを目的とするものと、その売り渡しを目的とするものとに限られますが、後者の売り渡し目的の信託は、農民が離村しようとするような場合で、その農地等の適当な買手がすぐには見つからないようなときに利用されると思いますが、農民心理の常として農地に対する執着が断ち切れないようなときは、前者の貸付目的の信託が利用されることが多いと考えられます。いずれの場合にいたしましても、信託農地等の貸付につきましては、農協の信託事業の本質から見て一般個人間におけるものとは異なっておりますので、農協による土地所有の集中とか、古い型の地主制の発生のおそれはないと考えられます。  それで、この農協法の改正と対応して、農地法の基本線は堅持しつつ、農協の行なう信託事業が円滑に行なわれるよう、第三条第一項第八号を設けて、農協が信託の引き受けにより農地等の所有権を取得する場合等には許可が要らないこととし、第七条第一項第九号と第六条第六項、この七条は、所有制限の例外規定でございますし、第六条は、所有できない小作地等の規定でございますが、その改正により信託財産たる小作地等に対する農協の所有制限につき特例を設け、また第二十条を改正して信託の終了に伴なう賃貸借の解約等は許可を要しないことといたしました。なお、農協法に基づく信託の引き受けを認めることと対応しまして、これ以外の信託の引き受けにより農地等の権利を取得することは、第三条第二項を改正してこの際禁止することといたします。  以上のほか、次の改正を行なうこととしております。すなわち、現行法第八十条国有農地等の売り払いの規定でございますが、第八十条では、自作農創設特別措置法や農地法で国が買収した農地、採草放牧地、未墾地、立木等で、国が管理している間に事情が変化したため買収目的に供しないこととしたものは、旧所有者一代に限って売り払うことになっておりますが、その旧所有者である個人または法人が死亡したり、合併により消滅しておりますと、その一般承継人には売り払えないことになっておりましたが、今回、第八十条を改正いたしまして、売り払いの相手を一般承継人にまで拡大することといたしました。このほか、第八条、第十七条、第七十八条、第八十五条及び第八十七条の改正をしておりますが、これは条文整理のためのものであります。  次に、本法の附則で関係法律を改正することとしておりますので、これについて御説明申し上げます。まず土地改良法の改正でございますが、これは法人が土地改良区の組合員となりました場合には、その総代の被選挙権を持つことができ、さらに、このような法人の業務執行役員は土地改良区または土地改良区連合の役員の被選挙権を持つことができるようにすることであります。  次に、農業委員会等に関する法律の改正でございますが、これは従来、家族農業経営を営んでおったり、またはこれに従事していた者が農業生産法人の構成員となってその事業に従事いたします場合に、現行の第八条の規定によりますと、農業委員会の委員の選挙権及び被選挙権を持てないこととなりますので、これを持てるように改正するものであります。  次に、土地改良法の一部を改正する法律の改正でございますが、これは昭和三十二年に農地法により買収した埋め立てまたは干拓に必要な土地を特定土地改良事業特別会計に移管いたしましたが、それらの土地につき現行の農地法第八十条と同じ趣旨を規定する附則第十五項を前に述べました農地法の第八十条の改正と同様の内容に改めるものであります。これはやはり一般承継人まで売り払うことができるという趣旨のものでございます。  最後に、果樹農業振興特別措置法の改正でございます。この法律は、樹園地の集団化と農作業の共同化の促進による合理的な果樹園経営の確立をはかるため、一定の要件を備えた集団的果樹農業者または果樹農業者が構成員となっている法人が果樹園経営計画を作成し、これについて都道府県知事の認定を求めることができることとし、この場合必要があれば、農林漁業金融公庫資金の貸付、国及び都道府県の助言、指導を受けうる等の助成措置を規定するものであります。しかし、この果樹農業者は経営主体でありますから、果樹農業者が構成員となっている法人には、果樹農業の経営を行なう農業生産法人は含まれません。農地法の改正に伴ないまして、農業生産法人たる果樹農業者は、果樹農業振興特別措置法による助成措置の対象とし得るようにする必要があると存じますので、附則第五項を設けた次第であります。  以上、簡単でございますが、御説明いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。

坂村吉正農林省農林経済局長

○政府委員(坂村吉正君) それでは、農業協同組合法の一部を改正する法律案の補足の御説明を申し上げます。  このたび提案いたしました農業協同組合法の改正案は、前国会において成立いたしました農業基本法に基づき、農業における協業の助長及び農地等についての権利の設定または移転の円滑化等、いわゆる農業構造の改善に資するため施策と、農業協同組合及び農業協同組合連合会の業務運営を整備するための措置をその主たる内容としております。  政府は、今後、農村の実態に即応し、農民の共同の利益を増進するため、農民によって組織された農事組合等の育成をはかる考えでありますが、これらの団体が農業経営及び共同利用施設の設置等の事業を行なう場合に、法人格を取得する道を開くこととしたのであります。そういたしまして、その場合において、これら法人格を取得した農事組合を農事組合法人と称することといたしました。  第一に、農事組合法人は、農業にかかる共同利用施設の設置、農作業の共同化に関する事業または農業の経営及びこれらの事業に付帯する事業が行なえることとしております。農業生産の協業化をはかる場合において、個別経営を解消して農業経営そのものを法人に移すいわゆる全面協業の形態ももちろん考えられるところでありますが、一般的には耕転機の共同所有、共同防除施設の設置等の部分的な協業、いわゆる協業組織に対する要望が強いのでありまして、すでにこのような事業を行なう小規模集団が数多く存在しておりまして、これらのものが法人格を取得することが、必要または便利な場合も予想されるのであります。右のような実情に即しまして、以上のような事業が行なえることとしたのであります。また、農事組合法人は、出資制をとっても非出資制をとってもどちらでもよいこととしておりますが、農業経営を行なう農事組合法人は出資制のものに限定しております。なお、農業経営を行なう農事組合法人で、農地法で定める案件に適合するものにつきましては、農業生産法人として農地等の取得につき、農地法上の特例を認めることとしております。  第二に、農事組合法人が、農業経営を行なう場合には、組合員及びその世帯員以外にもその事業の能率化をはかる観点から、特殊な技術者等のいわゆる員外者を全体の常時従事者の五分の一の範囲内で、その事業に常時従事させることができるものとしております。  第三に、組合員の資格は農民であって定款で定めるものといたしまして、定款の定めるところによって加入を制限することができるものとしております。また、准組合員制度を認めないこととしておりますが、これはその事業が農業の経営と農業にかかる共同利用施設の設置または農作業の共同化に関する事業に限られている点からしまして、農民以外の者を准組合員として認める必要がないからであります。  第四に、その管理につきましては、その業務運営は、一般の協同組合と同様に、意思決定機関として総会、業務執行機関として理事を設けることといたしておりますが、役員の選出方法を総会における選任制度とし、監事を任意機関とする等、その業務運営方法を民法の社団法人に準じまして簡素化いたしまするとともに、一方、定款変更、解散決議、合併等につきましては、総会における特別決議事項とすることとしております。  第五に、その財務につきましては、法定準備金の積立、減資手続等、おおむね出資制の農業協同組合に準じた規制を行なうこととしております。なお、剰余金の配当方法につきましては、従事分量配当、出資配当及び利用分量配当を認めておりますが、その配当順位等は各法人の選択にまかせております。しかし、出資配当につきましては、年八分以内において、政令で定める割合に制限することといたしております。  最後に、設立等の手続につきましては、その設立に準則主義を採用することとし、五人以上の農民が発起人となって、設立手続を終了したときに、農事組合法人が成立するものとしております。また、定款変更、解散決議及び合併につきまして行政庁に対する届出制をとることといたしまして、また、検査、必要措置命令等の監督権限を必要最小限の範囲に限定しております。  本法案第二の改正事項は、農地等の信託の引き受けの事業であります。まず第一は、農業協同組合にその事業として農地等の信託の引き受けの事業を新たに認めることとしておりますが、その場合、信託目的につきましては貸付けの方法による運用または売り渡しに制限することによりまして、農業協同組合に新たに信託の引き受けの事業を認めることとした本来の趣旨に即応することとしております。  第二に、その事業の性格上、信託事業を行なうことのできる農業協同組合を信用事業を行なうものに限定いたしまするとともに、信託の引き受けの事業を行なおうとするときは、事業の実施方法および信託契約に関しまする事項を信託規程に定め、行政庁の承認を受けなければならないものとしております。  第三に、信託財産の管理処分の制限でありますが、信託を引き受けた農地等を農業協同組合が貸し付け、または売り渡す場合には、信託の本旨にしたがって誠実に行なう義務を負うことはもちろんでありますが、この信託の引き受けの事業は農業構造の改善のために行なわれるべきものでありますから、組合員等の農業経営の改善に資することとなるように配意してしなければならないということにいたしております。  最後に、信託事業の実施に伴ない、いろいろ制限規定を設けたり、関係規定を整備したりしておりますが、特にこの場合にも適用のあります信託法につきまして、所要の規定の適用を排除するための特例等をも設けることとしております。  以上が、農地等の信託の引き受けの事業に関する規定の概要であります。  第三の改正事項は、農業協同組合及び農業協同組合連合会の業務運営の整備に関するものであります。その第一といたしましては、農業の経営を行ないます農事組合法人及び農業経営のみを行なうその他の法人に農業協同組合の正組合員たる資格を与えることによって、農業協同組合との緊密な連携のもとにその育成をはかることとしております。また、農業の経営を行なわない農事組合法人等、農民の共同の利益を増進することを目的とする団体が農業協合組合の一員となりますことが、その育成上適当であるとの趣旨のもとに、これらの団体につきましても、准組合員資格を明定することとしております。  その第二といたしまして、農業協同組合及び農業協同組合連合会が主たる構成員または出資者となっている法人に准会員として農業協同組合に連合会に加入する道を開くこととしておりますが、これは、農産加工、農用資材生産等の農業関連産業の部面におきまして、農業協同組合系統組織とほかの資本、技術との連携のもとに、これらの事業の振興に資さんがための措置であります。  その第三といたしまして、員外利用制限の整備でありますが、医療事業のように公的性格の強い事業、農産加工事業のように施設利用に時期的変動の激しい事業等、政令で定める特定の事業につきましては、組合員の事業利用に支障のない範囲で政令で定める割合まで、現行の員外利用の五分の一の制限を緩和することによって、これらの事業の振興をはかることとしております。  その第四といたしまして、剰余金配当方法の整備でありますが、現在のように法律によって一律に剰余金配当の方法を規制することは、もろもろの情勢から、不適当と考えられますので、配当についての規定を改正し、法律上は、単に利用分量配当及び出資配当以外の方法による剰余金の配当を禁止するにとどめまして、具体的にどの方法によるかは経営の実情に即し、個々の定款に即し、個々の定款にゆだねることとするとともに、出資配当の最高限度につきましても、年八分以内において、経済事情の変動に応じ、一般の金利水準をも参酌して、政令で定めることといたしております。  第五といたしまして、議決権及び選挙権の行使に関する整備措置でありますが、農業協同組合の合併を促進することと関連いたしまして、大規模な農業協同組合等におきまして、総会の円滑な運営を確保いたしまするため、議決権につきまして、一代理人が代理することができる。組合員の数を一人から四人まで引き上げるとともに、選挙権につきましても、書面または代理人による行使を認めることとしておりますほか、合併により設立されます農業協同組合及び農業協同組合連合会における設立当初の理事につきましても、その資格要件を緩和することといたしております。  以上をもちまして、農業協同組合法の一部を改正する法律案の補足説明を終わります。   〔理事石谷憲男君退席、委員長着席〕

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) 以上で補足説明を終わりました。  速記をとめて下さい。   〔速記中止〕

仲原善一自由民主党

○委員長(仲原善一君) 速記をつけて。  本案につきましては本日はこの程度とし、これをもって散会いたします。    午後五時十三分散会    ————・————

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