農林水産委員会 第3号
- 発言数
- 67 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/10/06
会議録
○委員長(仲原善一君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 農林水産基本政策に関する件を議題といたします。 本件についての河野農林大臣に対する質疑を続行いたします。
○青田源太郎君 私は時間がありませんので、どうか大臣もひとつ簡単に御答弁をお願い申し上げたい。 まず第一点は、農業団体の整備強化についてであります。農業基本法の五条または二十四条に示すごとく、これからの農業協同組合のはたす役割は非常に重大であると思うのであります。したがいまして、これが組合の整備強化という点について、大臣はいかなるお考えを持っていられるかお伺い申し上げたいのであります。河野農林大臣は昭和三十年農相当時、新農村計画であるとか、あるいは農村振興対策であるとか、農業技術研究所等、幾多の功績を残されておることは皆様御承知のとおりであります。しかし反面、当時農業協同組合の再編成を提唱されまして、農業団体との間にも若干の意見の相違があったことも御承知であります。しかしながら、当時は協同組合といたしましても非常に不振であった、たとえば全国で三分の一以上不振組合があるとか、あるいは全購、全販というような中央機関においても莫大な赤字を持っておったというような事情であったのでありますが、今日ではそういったような団体の再建整備も完了いたしまして、当時と今日とは情勢が変わっておると思うのでありまするが、農林大臣は、池田内閣におけるところの有力閣僚として自他ともに認めておるわけでありまして、農民及び農業団体におきましては、河野農林大臣に対しまして大きな期待と、また一面多少不安を持っておるわけでありますので、こういう点について、率直な団体に対する御意見を承りたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) 農業団体は将来どうあるべきかということにつきましては、ただいまもお話がありましたが、私は前回農林大臣をしておりました当時に、農業団体の、何と申しますか、特殊農業化といいますか、というようなことを考えて再編成を考えました。それと同時に、先般もちょっと触れましたが、信用部の、金融部のあり力がこれでいいかどうかということについても当時触れました。しかし、当時私が意図いたしました考えが、当時の団体の幹部諸君に了解願うことができませんで、私も事情のそぐわぬゆえんをもって中止いたしました。今回あらためて農林大臣に就任いたしまして、その点について一部御心配をなさる向きもあるようでございます。しかし、今回は御心配をなさるよりも、むしろ団体幹部の諸君から再編成をすべきだという意見が打ち出されておるようであります。当時私が提唱いたしましたことを、今度は逆に団体の幹部諸君から私のところにもう一ぺん考えたらどうだという御忠言を私は承っております。しかし、私はこういう問題は機の熟するのを待ってやることのほうが成果を上げやすい。無理にそういう事情を作ってやるよりも、必要が結果を生むということになるほうが成果が上がりやすいというふうに考えて、現に、まだその問題について私は考えをまとめておりません。ただし、今、各方面から私のところに申し出られておりますることは、事務当局には研究をぼちぼちしたらどうかと言っております。率直に、そのまま申し上げますと、つまり畜産とか果樹園芸とか養蚕とか水産とか林業というような特殊農業については、特殊農業法人を再検討して、そうして実際農家のこれらの発達、繁栄に資するように団体の整備をするととが必要だという意見が強くなりつつある、要求が強くなりつつあることが、これが今日の農村の実情であり、幹部諸君の中にもそういう御意向があるようでございますので、政府もまたこれにこたえていって、準備すべき段階にあるのじゃないか、こう考えているのが今日の実情でございます。前段申し上げましたとおりに、機の熟するのを待って、そうして官民一体となって成果を上げるようにして参りたい、自分だけ独走するようなことはしたくないというのが私の心境でございます。
○青田源太郎君 次の第二点といたしましては、農業共済制度と、いわゆる農協共済、これはややこしいのでありますが、この問題に触れたいと思うのであります。 まず農業共済制度であります。この制度としては、農民といたしましては非常に必要を感じ、また農業災害補償制度に大きく期待をしているわけであります。しかし、現行のこの災害補償制度は非常に農民にいやがられている。その理由としましてはたくさんあるわけでありますが、まずその二、三をあげますと、災害があってもなくても、これは強制加入であるというのが一点と、実際に災害をこうむっても、その実害のごく一部より補償されないということ。第三番目には、これが運営について賦課金であるとか、あるいは寄付金等が非常に強要されている。こういうような点で組合員がこの共済事業に非常に不満を持っているということが事実であります。したがいまして、なるべくそういうような負担を軽減するという点で、この農業共済組合が任意共済事業をやっている。また一方、農業協同組合におきましては、これは法で認められている共済事業を自主的にやって、そうして組合員の生命、財産あるいは資本蓄積、こういう点から長期安定資金の積み立て、あるいは再生産に要する還元融資、こういうことをやって、いろいろと新種保険を次から次へ推進しておる、こういうような点で、この二つの農業団体が、この保険事業につきましては、末端で非常な競合を熾烈にやっておる。ところが、農民——組合員は双方同質のものであるというようなことで、県あるいは関係者においても非常に困っておるという実情であります。私も幸か不幸か、この双方の組合に関係しておるので、私見を申し上げますと、災害補償制度による農業共済組合は、これはあくまでもやはり法に従って国及び公共団体が全責任を持って予算措置をして、経営をやれるようにするのがいいのじゃないか。また一方、農業共済におきましては、任意共済は、共済保険事業は、これは自主的にやるのであるから、むしろこの際、農業団体にこういった任意共済を一元化するのが適当であるのじゃないかというようなことを考えておるわけでありますが、これに対する大臣の御意見を伺いたい。
○国務大臣(河野一郎君) ただいまの二つの問題は、いずれも議会の中にも御意見が分かれてあるようでございます。私は私なりに意見を持っております。持っておりますが、前大臣の当時に議会に提案されました法案をそのまま衆議院へ提案をいたしまして、そうして十分委員の方々の議を尽くして、まとまるところを一つ伺いたいものだ。その上で私も意見を申し述べて結論を得たい。決してなおざりにしておく問題ではございませんけれども、さればといって、急いで結論を得て、そして最善の道を歩むことができないということも、とるべき方向ではないというようなことから、今国会に提案はしておりますけれども、十分に一つ衆参両院とも意を尽くして御審議を願いたい。私は皆さんの御意見を十分承りまして、そうしてまとまるところにまとめていただくように願っておきたい。無責任のようでございますけれども、私はこの問題については、いずれも事情、各種各様な御意見があるようであります。したがって、どれが正しい、どれが正しくないとばかりも言い切れない面があるというふうに考えておりまして、程度の相違でございますから、どの程度が一番実情に合い、全国的に見ていいのかということで結論を得たいというふうに考えております。 次に、保険をいずれにするか、どうするかという問題については、私は、すでにこの問題については議論が尽きていると思います。私五年前に大臣をしておりました当時からの問題です。したがって、これは結局最後は私が自分の責任において、いずれかきめなければならぬ問題だと考えておりますので、十分御意見を拝聴いたしますけれども、これも今申し上げるように、最後は多少御批判をちょうだいするかもしれませんが、自分で決定するというつもりでおりますので、御了承願います。
○青田源太郎君 ひとつ、大臣を絶対信頼しておりますので、責任をもって早急にこの二つの問題の解決をお願いいたします。 次に、第三点でありますが、今大臣がちょっと触れました農業の組合金融について、私はこれに相当の改正をひとつしていただきたいと思うのであります。現在の協同組合の行なう信用事業は、最近経済界が非常に情勢が変化いたしまして、現行の農業協同組合法であるとか財務処理基準令等によりまして、この農業信用事業が大きな制約を受けて、しかも自主的な運営に非常に支障を来たしておるというのが実情であります。特に都市近郷におきましては、兼業農家あるいは農業外収入、こういうものがある地域におきましては、相互銀行であるとか、あるいは信用金庫というような金融機関が急激に進出いたしまして、現在のわれわれの法の範囲内において事業を運営するということでは、とうてい対抗できないような実情でありますので、この際、この組合金融を大幅に改正をしていただきまして、実勢に合うようにひとつ処置をとっていただきたいと思うのであります。 なお、農林金融につきましてわれわれはしばしば唱えておるわけでありますが、金融の交通整理と申しますか、事業の統一と申しますか、そういう点についてわれわれは希望申し上げたいのであります。御承知のとおり農林金融には、農林漁業金融公庫の資金であるところの自作農維持資金であるとかあるいは家畜導入資金であるとか、土地改良資金であるとか等々と、制度金融がたくさんある。また農林中央金庫のプロパー資金であるとかあるいは政府が近く創設されるところの近代化資金、大臣のおっしゃる農業改善資金であるとかあるいは農協の資金、信連の資金、共済事業の還元資金であるとか等々と、数えれば数限りないほど内部が複雑多岐になっておる。利子におきましてもまちまちである。また融資対象におきましてもそれぞれそういった要綱を掲げておる。ほんとうにこれを活用する農民がほとんどその内容がわからないというような現状でありますので、この際、農林金融の交通整理あるいは組合金融の改正をするという大臣に御意思があるかないかをお伺い申し上げたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) 農業に関する金融の制度につきましては、ただいまお話のとおりでございます。現状でよろしいと農村関係の人たちで考えていらっしゃる人は、おそらくないと思います。さらばというて、これに手をつけるということは非常にむずかしいと私は思います。おそらく私は、私なりに考えておりますることを発表いたしましたらば、それこそ米の問題以上に大騒動が起こるだろうと思います。私は前回も実はこの問題で非常にこりました。したがって、今回はこれをにわかにどうしたらよかろう、こうしたらよかろうということに手をつける気が今ありません。しかし、やらなければいかぬことだと思っております。それは団体の側において御自身お考えいただいて、そうして団体の側から、このままじゃ困るからというお申し出をちょうだいして私はやりたい。これはおそらく政治をやる政府当局においても、かねて申しますとおりに、農業金融はもう少し低利長期のものでなければいかぬという声は、もうこれはきまったことでございます。しかし、一方において農村から出てくる金は高利で、そうしてその資金の行方はさだかでないというようなことでございまして、行きと帰りが別々だとまでいわれる現状でございます。のみならず、私は一番遺憾に思いますことは、どなたがおやりになっても、仕事をする人が自分で金を持っておるということは、私は非常によくないと思います。ほんとうに手をつけるならば、金を扱う人と仕事をする人とは別でなければいかぬ、別個の人格でなければいかぬと私は思うのであります。しかし、そういうことを私はやると言ったらば、それこそ大問題が起こりますから、私はやる気持はありません。しかし、私の考えは今申し上げたとおり、同じ者が取り扱っちゃいかぬ、金は金で別の人がやって、そうして仕事をする人にその金を使わしていいか悪いかを厳重に調べなければ、預ける人の身になってみれば、預けられるものではない。そうしてその利子が、まずくいったら政府救済だといった従来の考え方は、私、正しくないと思います。のみならず、これだけ交通通信が完備して参って、現状どうりに事務を煩瑣にしておく理由もないじゃないか。経費をもっと思い切って節約ができる段階じゃないかということも考えられます。したがって、これらについては、私はやる気持はございませんけれども、当事者の側においてひとつ至急お考えの上、政府に善処を要望されれば、私は直ちに実行いたします。しかし、そちらからお話がなければやりません。
○青田源太郎君 この問題は農林大臣と私は意見が一致しているので、大臣は勇気をもって河野構想をひとつ発表していただくようにお願いを申し上げておきます。 次に第四点といたしましては、米の需給についてひとつお伺い申し上げたいのであります。 最近農林省は配給辞退者が三分の一もあるとか、あるいは自由米が一千万石以上もあるというようなことを盛んに、宣伝じゃなかろうけれども、機会あるごとに言うておられる。これはほんとうに私はそういうふうにあるなれば安心でありますが、農家生産者の側から見ますると、そういうふうに米がだぶついて困るというようなことで、万一生産意欲が低下するというような心配が起こってはならないというふうなことを思うのであります。現在相当農業外所得のあるところは、麦の問題は引き合わない。したがいまして荒らしている。米にもそういう傾向がたくさん見えているのであります。多くの人がそういうふうな気持になりましたならば、私は、せっかく今日米の需給が見通しがついているような時期に対しまして悪影響を及ぼすという心配を多分に持っているわけであります。したがいまして、ほんとうに三分の一以上配給辞退があって、現在手持ちのお米が幾らほどあるかということをお伺い申し上げたいのであります。 昭和三十五年の十月の現在の要配給者数は六千四百三十二万となっているわけでありますが、これを政府が今、今度おっしゃるように、十キロ配給もするということになれば、私はこれだけでも七百七十二万トンもの米が要る。ところが政府が最近買い上げされよる米は四千万石、わずか六百万トンである、こういうふうにもかかわらず、そういうようなことができるかできぬかという問題に私は不安を持っているわけであります。昨日、農林大臣の御説明を聞きますと、自由米は大体一千万石、自家消費として三千二百万石食うであろう、政府買い上げを四千万石、こういうことになると大体八千万石以上。つじつまが合うわけであります。ところが、その政府買い上げの四千万石のうちで三分の一も配給辞退があれば、これは政府に一体現在手持ちになっているかどうか、こういう点に多少疑問がある。また配給も、十キロ配給すると言うて政府の当てもない米の買い上げでそういうふうなことが実行できるかどうだろうか、こういう点をお尋ね申し上げたいのであります。さて、その配給辞退者につきまして政府が説明されているのと私どもの考えと多少変わっているのじゃないかと思うのであります。政府は、値段が高うても自由米を食う者はいい米でなくてはならぬ、そういう者がだんだんふえてきておる、こういうお話でありますけれども、私は値段が高うてかまわないというような方は、ごくまあ少数の配給辞退者であろうと思うのでありまして、配給辞退者の大部分の方は、生産県であるところの配給者であるとか、あるいは政府の配給米より割安で入るというような方が配給辞退をされるのがほとんどでなかろうかと思うのです。そういうことを、生産者がばかなことをするかというようなことをお考えになるかもわからぬけれども、農民の心理と申しますか、農家の方の多数の米の横流しと申しますか、自由米にする人は、この集荷の時期が非常におくれて、そうして農協であるとか集荷人が集荷の時期を失したというような米を横流しをするとか、あるいは乾燥の悪いものとか、くず米であるとか、正俵にならないもの、あるいは御承知のとおり農家はお小づかい取りとして主婦等が物交をやると、こういうようなものが相当あるわけでありまして、あの敗戦当時の食糧難のおりでも、農家といたしましては政府に当然供出せなくちゃならないけれども、やはりこの米を別に隠匿と申しますか、手持ちしておって、そうして必要な家庭の日常品と物々交換するというようなことでおったわけでありまして、今日といえども現金収入のない農家といたしましては、やはり徐々にこういうような米を代替したい、こういうようなことで、この配給辞退米というのがあるわけでありまして、決してこれがあり余った自由米、あるいは配給辞退でないと、こういうふうに私は思うのでありますが、これに対するお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) 詳細な数字につきましては、別の機会に事務当局から御説明をいたさせますが、ごく大略の数字を申し上げます。 十キロ、現在の要配給者に満配いたしますと、五千四百万行ないし五千五百万石必要でございます。ところが実際配給するのはどのくらいかと申しますと三千四百万石でございます。集荷見込みはことしは四千二百万石ぐらいの集荷の見込みをしております。それならば、その差額が余るかと申しますと、順次余って参ると思いますが、ただ議論をなさいます際に、ひとつ御注意いただきたいと思いますことは、御承知のとおり早場奨励をいたしておりますために、九月、十月という二月がダブっております。そこで新米、古米をダブって配給いたします。そのために、正確に今申し上げますとおりにそれだけのものが余るのか余らぬのかということになりますと、そこに狂いが出てくることがあります。前に食い込んでおった、そのために早場奨励をして、順に十一月までのやつが十月十五日なり九月十五日なりということで早場奨励で補ってきておりますから、それは議論の対象になります持ち越し米、十月三十一日から十一月一日の持ち越し米が古米で幾らかという場合に、この数字が多少の誤差が出てくるという点を御注意いただきたいと思うのであります。しかし、いずれにしても実績としてやっているのは今の数字だと事務当局からそういうことを聞きました。ただ、私は今のお話で確かに注意しなければならぬ点もあるかもしれませんが、昨日もお話が出ましたが、生産地、消費地それぞれでいろいろ事情も異なっております。しかし、総じてやみ米の安い地方、つまり生産県よりも、私は関東から以西、つまり私の県あたりからずっと東海道を下って参りまして、近畿から中国、四国、九州、これにかけて、やみ米の高いところの農村の米が割合に自由米に出ておるものが多いのではないか。でございますから、青森とか秋田というような方面のやみ米は、やみ米の輸送は困難でございますから、同じく出てもそう値が上がらない、一定のものが満たされればそれ以上出ない、値が上がってこないということで、必要量の限界が少のうございますから、やみ米は高くならないということであろうと思うのであります。今御指摘のとおりに、その方面が、むろん米屋さんで調べればわかるとおり、そういう地方では配給米の辞退が非常に多いのでございます。多いのでございますが、何分配給を受ける人数が非常に少のうございます。東京とか、大阪とか、神戸とか、六大都市は配給が非常に多いのでございまして、その他の生産県等におきましては配給量が非常に少のうございますから、少ない中で辞退者があったということで、絶対量が少ないのでございますから、少ない、こういうようにお考えをいただくというのが正しいのではないかと私は思います。で、今お話でございますが、これはどなたもお認めになりまして、生産者団体のほうでもお認めになっておりますように、農家の実際の自家消費するのは三千万石程度、これはどなたの御意見もそう違いはないようでございますが、生産量は八千万石から八千二、三百万石、これも間違いない、そうすると、そこに五千万石というものが出てくる。その中で政府の買うのは今まで四千万石ですから、一千万石というのは出てくるわけでございます。無理に私はやみ米をこしらえておるわけではない、そういう合わぬ数字が出てきますが、この合わないものはやみで消えていくだろうときめるよりほかに仕方がないのでございまして、それがどこへどうと言うわけにはいきません。最近私調べました大阪のある地区では、とにかくやみ米を処理する電力に税金をかけておる。もう天下晴れてやっておる。場所も私係に調べにやりました。何米、何米と看板までつけて、格差をつけてやみ米を売っております。そういう実情でございますから、ただ単に、昔のいわゆるないしょで、こっそりやみ米を処理した時代とはだいぶかけ離れている実情が各地に見られるわけでございまして、ですから、あまりこれはひどいではないか、あまりこれじゃ困るじゃないかというわけでございまして、けさあたりの毎日新聞にも、あんな農林大臣の考えなら、あんなものならやらぬほうがいいではないかという、一方ではそう言われているくらいで、私は私の今考えておりますこと、そのことが必要の最小限度、これだけはやったほうがよかろう、これをやることによって農家に何らの不利益を来たさない、生産者に何らの影響がない、したがってこれだけはやったほうがいいじゃないかという点を私は申し上げておるわけでございまして、それから前進してどうしよう、それをその次どうしようという考えは、私は持っておりません。この点は御理解願いまして、よって生ずる影響は、それはまた別途農林省として考えて、それの対策を立つべきだ。何かものを変えれば必ずやそこに副作用が起こってくるのはあたりまえでございます。その副作用に対しては、これは別途考えていくべきである。必要小限度のものは前進したほうがよかろうというのが私の意見でございます。どうかその点を特にひとつ御了解願いたいと思います。
○青田源太郎君 大体わかりました。それじゃ早場米のだぶついておるというようなことについて、昭和三十五年、六年くらいのひとつ資料がありましたら提出していただきたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) すぐ出します。
○青田源太郎君 次にもう一点だけお尋ねしておきます。 バナナ、果樹の輸入の自由化についてでありますが、三十六年九月二十六日の閣議でこれの自由化方針がきまったようでありますが、現行のバナナの輸入税は、関税が二〇%、差益国庫吸い上げというて八〇%ほど賦課されておる、こういうことで、船揚げするとバナナの値段が倍になっておるわけであります。今度これを自由化されると、その差益金の八〇%が免除となるわけでありますが、現在バナナが、大体平均でありますが一本四十円くらいしておると、これが目方等で換算すると、八〇%の差益国庫吸い上げ金を免除になると、大体二十五円くらいに、値下がりになる。したがいまして、このバナナと出荷時期を同じくするところの国産のリンゴあるいは夏ミカンが非常な打撃を受けるということで、こういった果樹関係の農民が非常に不安がっておるわけであります。また果樹につきましては、昭和三十七年十月を目途として自由化されるというようなわけでありますが、これとても同様でありまして、私はできる限り当分の間との自由化を避けていただいて、今度考えられておるところの果樹振興法であるとか、あるいは農業基本法に基づきまして、積極的にこういった業者に指導援助を加える必要があると思うのです。たとえば今度設けられるところの園芸局においても、加工課とか、あるいは加工係を置いて、ひとつこれに専念させると、あるいは果樹の飲料物品税を免除してやるとか、あるいは農協が現に持っておりますところの加工場、こういうようなものは非常に貧弱きわまるもので、これを早く近代化するとか、あるいは果樹融資につきましては、そのワクを大幅にひとつ拡大するとか、こういうふうに積極的にそういった果樹業者に対策を講じて、しかる後に私は自由化をしていただかなくては、政府がせっかく農業基本法あるいは果樹振興法を多く振り上げられて施策を講ぜんとしておるのに、大きな障害にこの自由化がなるのじゃなかろうか、かようなことを懸念いたしまして、大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) 私は、ただいまの御意見でございますが、日本のくだものが需要の限界にきておる、これはもう十分食べているのだ、これ以上はもう消費がないのだ、無理なんだというようなことであれば、そこに他のものが安く入ってくることは確かに影響があると思います。しかるに、一体そうなんだろうか、ちょうど牛肉でも、牛肉を入れたらばたいへんだ、たいへんだと言っておりましたが、一般の牛肉に対する購買力が生産を上回って、そうして牛肉が暴騰した、今では牛肉を輸入してもだれも文句を言う者がない。くだものにしましても、全体のくだもので一ぺんお考えいただきたいと思うのです。日本のくだものの消費量は、先日も専門家の集まったところで聞いてみますと、とにかく世界で日本ほどくだものを食わない国はない。一番消費の少ないイタリーのそのまた半分だ、それは確かに所得も少なうございますから、くだものも食わぬかもしりませんけれども、そのくだものが値段が高い。これは私は店先の値段が高いと言うのであります。ただいまリンゴのお話が出ましたけれども、リンゴにしましてもおそらく産地の畑の相場と店先の相場とは、極端にいえば三倍——三分の一というととじゃないかと思います。こういう点に合理化もし、そうして消費の増大を期するということが当然なければならぬのであって、との点は生産農家にも、一体作り方を今のようにしなければいかぬのかどうなのか。見たととろでは非常にきれいなリンゴ、デリシャスなんというのは非常にきれいなリンゴだけれども、割って食べてみたところではそんなにうまいものじゃない。世界中回ってみてもあんなりっぱなリンゴは私はないと思います。ところがさて割って食べてみればそんなにうまいとも思えぬというような方向にいっておりまする今の生産形態、奨励形態が、はたしていいのかどうか。しかも今申し上げるように、映画館の隣にもう一軒映画館を作ったら、その映画館はつぶれるか、私はそうじゃないと思います。いろいろなくだものを入れて、そうしてそのうちに国民の果物に対する関心、果物に対する嗜好を増して、そうして消費を多くして、そのうちに日本産の果物ももっと改良をし、増産をしていくことの方が、むしろ振興されるゆえんであり、そうして日本のようなところでもってできた果物を外国に売れるように持っていくべきがとるべき方策じゃないかという積極策を私は求めたいと思うのであります。たとえば、今あなたのところの淡路島でレモンの問題がだいぶやかましいのでございます。レモンにしても、農林省の技術所長の話によれば、今の日本のレモンはもっと生産費は安いのでございます。今の値段にしなければならないことはございません。こう責任者から私は意見を聞きました。アメリカのレモンが入ってきても、日本のレモンは決してもぐ必要はありません。十分生産費は合います。ミカンを作るよりも、まだレモンを作っておるところは、レモンの方がまだ採算も合うと存じます。そこまで日本のレモンが下がれば、レモンの消費量がふえてくると思います。一ぺん、ものは別の角度から考え直して、そうしてそこに新しい天地を見出すということも必要じゃなかろうか。バナナの値段でも、四十円を二十円に下げる。大衆がバナナによって非常に喜ぶということ、消費大衆のことも考え、その一方、それによって、値段に対して大衆に魅力も持たせる。そこに農村の果樹の生産を増大して参る。そうして果樹を今のような値段からもっと下げて安くして、そうしてなおかつ、生産に引き合う。中間経費も節約するというように持っていくことの方がほんとうじゃないかと思います。こう考えますので、実は私は、バナナの輸入についても踏み切っていく方がいいんじゃないか。保護すべき点があれば、絶対に保護しなければならぬ。私は断固やる。必要があれば保護することに決してやぶさかではございません。必要がないものなら、もう入れる必要はない。しかし、ものはあらゆる角度から検討して、そうしてそこに日本農業の将来というものを生かしていくということが必要じゃなかろうかと思いますので、実は私はこの方向を持っておるのでございますが、一ぺんやってみて、どうしてもいかぬというならば、いつでも私はやめてよろしいと思います。 それからまた、果汁についても同じでございますが、これは昨日もお話がございました。はたして現在の果汁を、国内における果汁というものは一体どういうものなのか、中身は果汁なのか、色づきの飲料水なのか、一体何なんだという、レッテルもたいして正確ではないようでございます。それを総合して、一体これを保護していかなければならぬ理由があるだろうか。ほんとうに中身が果汁であるならば、果汁であるということを、品質の保証票でも積極的に張るということを申し出もされ、希望もされてしかるべきである。ただ、国内のものについての製造上の改良、生産上の改良、販売上の保証というような点に欠ける点が非常に私は多いと思います。これらについてはしかるべき処置を緊急に私はとるように考慮をいたしておるのでございまして、しかし、さればといって、果汁を無制限に入れてよろしいというようなことは考えておりませんから、基本的には今申し上げますように、自由化することが原則ではございません。農業に関する限り、私はどこの国でも同じだと思います。自由化することが本則じゃない。自由化しなければならぬという立場じゃない。将来の日本農業を成長せしめる上において、この程度はよかろう、この程度は刺激になってよかろう、この程度は守っていかなければならぬだろうという点を誤りなくいくということが原則である。したがって、米麦を初めとする穀類については、これは絶対そういうことはいたしませんということであります。
○青田源太郎君 非常に高邁な果樹政策を拝聴いたしまして感心しているのであります。ただ、私が尋ねることは、そういう意味でなしに、今、現実の問題として、果樹業者が非常に困っておる。たださえ生産性の少ない農業に、さらに自由化によって大きな圧力で困る、こういうことを訴えて、これに対する何か方法はないかということをお伺いするのでありまして、今後、こういう品質の問題をひとつ大いに研究していただきたい。さしあたっての現実の農業者のひとつ苦しい立場、これの打開策について大臣はどんな考えを持っておられるかということを私はお尋ねしておる。
○国務大臣(河野一郎君) たとえばミカンの果汁について中国筋でやっていらっしゃる。組合でやっていらっしゃる、こういうものについての金融であるとか工場の整備であるとかいうことについては、いかようにも御協力申し上げます。私はそのとおりだと思います。しかし、ただ、これを自由化するとかどうとかこうとかという議論は、私は間違って承ったのかもしれませんが、このごろ、そういう議論がある。ところが、自由化することによってならば——お隣りに「明治」の大将がおられるけれども、「明治」とか「森永」とか、その他「日本麦酒」とかというような大資本と組合との関係はどうなるかということになりますと、それはもう大資本の圧迫を受けて組合の方がなかなかうまくいかぬということになると思う。さればといって、大資本が悪いという私は考えを持っておりませんけれども、持っておりませんけれども、そういう点で、もし国内的の問題であるならば、いかようにも組合生産、もしくは、私はそういうことを奨励して参ることが、農業基本法の精神だと思っておりますから、これは私はいかようにも御協力申し上げ、金融その他の問題について御協力申し上げることは、当然なすべきことであると思います。
○青田源太郎君 時間が参りましたが、そういうようなことで大体御意向がわかったのであります。果樹振興については格段の御配慮をお願い申し上げます。
○安田敏雄君 農林大臣に大体四点ばかりお尋ねしたいのですが、大臣は今度、再度の大臣に就任したわけでありますけれども、前の河野農政のときには、新農村建設計画であるとかというようなものが発表され、そうして全国的に各府県において実施せられてきておるわけでありますが、そのときには、よく国民の中には、当時の河野農政は安上がり農政であるとか、あるいは農村の上層部の大体三割ぐらいを対象に農政をやっておるのだというような、非常に風当たりがあったわけであります。そうして、ここ数年を経て今度新しく、池田内閣の実力者内閣の中の特に実力を買われて農林大臣になったわけであります。当時の農村の実情というものは、相当今日の段階では大きく変わっておるわけであります。御承知のように、農業基本法もそのために作らなければならないということになって大きく変わっておるわけであります。したがって、あなたが今回、実力者であるという国民の高く評価する面におきますというと、こういう農村の苦しい現在の実情を切り開いていくためには、相当来年度以降におけるところの農林予算関係が、漁業を含めて大幅に増加していくのじゃないかという期待を持っておるわけであります、実際のところが。そういう面から見まして、特に大臣も食管についての河野構想というようなものをいち早く出しておりますし、まあ数年間問題になっておった北海道のビートの工場等にも許可を与えたというように、積極的に農政に取っ組むという考え方があるようでございますけれども、そういう点について今日、全体的に農村におけるいわゆる解決しなければならないというような主要な問題点があろうかと思うわけであります。そういう問題点について簡単でいいのでございますから、二、三点特徴のあるものをひとつお考えになっておるとしますならば、お示し願いたい、こういうことをまずもってお聞きしたいと思うのであります。
○国務大臣(河野一郎君) 御質問がどういうことを期待していらっしゃるのか、ちょっと私、お答えしにくうございますから、そちらから。
○安田敏雄君 ですから、あなたが大臣となって、まあこれから農政をやっていく上において、今日の農村にはいろいろ解決しなければならない問題がたくさんあるわけなんです。したがって、そういう中でも特にあなたが解決しなければならないというような主要な問題点は、どういうようにとらえているかということをお聞きしたいわけなんです。
○国務大臣(河野一郎君) 昨日ごあいさつ申し上げたとおりであります。
○安田敏雄君 昨日の所信表明を見ますというと、まあこれからやりたいようなことがいろいろ羅列してあるわけでございますが、やはりあの所信表明の中には、今日の農村における、その実際の、どうなっているかというような一つの分析というようなものが実際披瀝されておらぬ。ですから、私はそういう立場に立って、まあ大体の点をまずお示し願いたい、こういうことを申し上げたわけなんですけれども、まあこの点、ここではなかなか言いにくい、長くなるので言いにくいということになるならば、一応また後日、その点を明らかにしていただけばいいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) 別に私はこだわって申すのじゃございませんが、今農林省として一応予算の取りまとめをいたして大蔵省へ要求中であります。これが通常国会の初めでございますと、一応予算をきめて、これからこういうことをやるつもりでございますということをお話し申し上げることができますけれども、今大蔵省との折衝の過程におきまして、しかも各省全体を見合わせて、もしくは先般の予算総会でも問題になりましたように、日本の経済全体から見て、どういう予算を作るかという閣議の決定もいたしておらぬような段階でございます。したがって、今ここで具体的な問題についてお話は申し上げにくいということであります。
○安田敏雄君 それでは、特にこの際お願いしておきたいのは、大臣は相当実力者だということを世間的に言われているわけであります。したがって、来年の予算獲得とか、あるいは実際の政策を実行する上においては、閣議で決定する際においても、相当強い発言力を持ってやっていただきたいということを、一般の国民は、特に農村は期待しているわけなんですから、ですからそのつもりでひとつがんばってもらいたいということを要望しておきます。 そこで、まあこの前の三十八国会で 御存じのように 農業基本法が制定せられました。もちろん この通過いたしました基本法は、私たち社会党の主張している農業基本法とは相違点があるわけでございますけれども、もちろん、この通過いたしました基本法を基軸として今後の農政を推進していくということは了解できます。しかし、問題は、この資本主義経済の中にありましては、特に経済の動向というもの、あるいはそういう見通しというものが大きく食い違いが生ずることが間々あるわけなんです。したがって、そういうようなものを勘定に入れますというと、そういう経済の——まあ今景気がよいわけですけれども、逆調がはなはだしくきたときにおきましては、農村に及ぼす影響というものは非常に大きいわけです。そういう際に、そういう農村に及ぼす影響が、やはり基本法の精神ではどうしても運用し切れないというような段階に当面したときにおきましては、やはり基本法についてはある程度の修正点を加えるというようなことも考慮されるわけでありますか。この点についてはどういうようにお考えでございましょうか。
○国務大臣(河野一郎君) 今お話の点は、私もわからぬことはございませんが、基本法でございますから、その基本にまでそれが食い入ることはない。ただ、自由主義経済でわれわれやって参ります上において、農村の動向を正確に把握して、そうしてそのいくべき方向、あるべき姿を基本法によってわれわれが考えていく、こういうことでございますから、それがそのときの波によりて影響を受けます、受けますけれども、その波とも勘案しつつ農村の繁栄を期する方向をわれわれ農村とともに相談してやっていく、こういうことでございます。
○安田敏雄君 そこで、ちょうど私どもが前の国会で基本法を審議しておる当時の経済的な実情と、この前の国会が終わって、今日までの間におきましては、非常に日本の経済にも大きな変化がきておるということは御存じのとおりであると思います。そういうようなことで、特に雇用問題は大きな関心を持たなければならぬ問題になってきておる。農村におきましても、非常に労働力が不足しておるわけです。私どもこの夏、静岡県、愛知県、長野県等を視察いたしましたが、ほとんどどこでも、共同経営をやっておるところとか、あるいは協業とかいうことの組織で営農しておるところにおきましては、ほとんど労働力の払底と金融問題について非常に苦しんでおるというのが実情なんです。さらにそれに加えまして、貿易の自由化に対処いたしまして、農産物の生産性を向上しなければならないということで、熱意はありますけれども、問題は、金融の点で非常に苦しんでおる。こういうその実情が現実の農村の実情ではないかと思うわけです。そういう中で、問題は、政府の基本法にある構造改善の問題としては、政府では家族農業経営と自立経営の育成ということをまず主眼点として取り上げておるわけなんです。そういうようなその主眼点として取り上げた問題が、実際の経済の農村に及ぼす影響の中では、共同経営ということが農民の自主的な考え方として現実に実行されておるという段階に立ち至っているわけです。そういうような点を私どもが把握いたしましたときに、いわゆる構造改善の問題を、単に家族経営というようなワクの中で問題を考えないで、もっと農業全体の発展の中で考えるべき問題だ、こういうように私は考えておるわけなんですけれども、その点についてのお考え方があったらお示し願いたい。
○国務大臣(河野一郎君) 何も、とらわれて、こだわって考えておりません。計画はいずれも地方の実情に即し、地方の方々の構想を十分に生かして、それを全国的に配分についてはむろん指示はいたします。
○安田敏雄君 ただ、私どもが基本法を審議する際におきましても、これはそれ以前の総選挙のときからにいたしましても、この構造改善の、家族経営を中心にしていくとか、共同経営を中心にしていくとかいうことは、今後の農政上の大きな問題点だったわけです。河野さんあなたは……。その当時はまあ大臣は周東大臣だったときですからね。ですから、そういうような非常に相違点があったわけなんです。現在の農村の実情というものは、共同経営のほうへ発展していくわけなんです。したがって、その共同経営の実際のそういう現実を見るならば、そういう認識の上に立つならば、当然この共同経営について、もっと積極的な指導をしていかなければならないところの責任が政府に出てくるのではないかというように私どもは判断しておるわけなんです。単に基本法にうたわれておる協業の助長というような、きわめて消極的な抽象的なあり方では、今日の農村の実情から非常にずれた考え方になるわけなんです。そういう点からいって、共同経営が農民の自主的な組織であるし、また、大臣がただいまおっしゃったように、それが自主的なものについては、われわれ決して阻害しないという考え方を持つならば、積極的に共同経営に対するところのいわゆる具体的な方策を立てて、そしてこれを予算のもとに裏づけて、そしてその実行について行政的な指導をしていく、こういうような積極的な姿にならなければならないと思うわけなんです。そういろ意味で私はお聞きしたわけなんでございます。
○国務大臣(河野一郎君) 安田さん、共同経営をばかにやかましくおっしゃいますけれども、わが国の農業の将来は、そんなに共同化経営がされるでしょうか。現に、今多く期待を持っておられる畜産、ソ連のコルホーズの畜産というものはどういうものでしょう。あれだけ政府が指導して、あれだけがっちり、全く共同計算、共同経営というコルホーズの一体酪農というものは、失敗しているではありませんか。私、現に行って見て参りました。能率上がっておりません。しかも、一つも共同の実績はございません。ただ、同じコルホーズの中に牛舎を作って係員がおって、こういうえさをくれという伝票を回して、えさをくれる。数十頭に一人の係がおるだけであります。共同でも何でもありません。これがソ連のコルホーズの畜産であります。それは私は畜産の共同化とは考えない。わが日本の農業なら、酪農を取り入れる場合には私はそういうものではならないと思います。農業の種類によっては、私はそれを決して否定するものではありません。農業の種類もしくは農業の与えられた条件によっては、立地条件によっては共同がいい場合もありましょう。さればといって、共同が適さない場合もありましょう。だから、これはこだわって考えるべき問題ではないと申し上げたわけであります。
○安田敏雄君 大臣は今、コルホーズの例を引き出して、数十頭を一人で管理してえさくれておるから、これは共同経営ではないということをおっしゃっておりますが、そういう実例は日本にも国内にもあるわけですよ。みんな共同の出資をして、飼料買うにも共同で買って、しかし数十頭を一人が、だれか雇って管理させるということは、これは一つのりっぱな共同体なんです。だから、飼育している、畜産をしている実態、そういう表面的なものだけを見て、これは共同経営ではないというきめつけ方では私はならぬと思う。実際農村におきましては、現実といたしましては労力が不足して困っておる。今日ではちょっと耕地面積が広い所に行きますれば、みんなヘリコプターで共同で消毒するし、あるいは果樹等の場合におきましては消毒におきましてもみんなそういう方向をたどってきておる。特に、農村におきましては資金的に恵まれないために、機械の共同購入もみんなするような状態に発展してきているわけだ。特に労働力の不足によってよけいにそういうような問題が現実の進行過程として出てきているわけだ。決して私は共同経営にとらわれているわけではない。そういう実態があるので、各経営の真の方向とは、少しく前進したというか、そういう別の形態というか、そういう実態が進んできている。ですから、これを単なる協業の助長という基本法の消極的な態度であっては私は政治というものはならぬ。もっとこれを前進的な考え方に立って、積極的にこれを進めていく。そういう具体的な方策を一つ立てて、その中で予算化もし、共同、指導もしていくという、こういう農政の態度でなければならぬということで実はお聞きしている。
○国務大臣(河野一郎君) 昨日も申し上げましたように、私は今後の農村に共同力の発揮ということは絶対必要である。資本主義経済の中で農村のような零細企業、零細資本でやって参るものはいかに不利益であるかということは十分考えなければならない。したがって、できるだけ農村の共同力によって経営を拡大し、もしくは力を大きくしていくことは必要である。この点は十分私は認めているわけでございます。それはそのとおりでございますが、さて実際の経営の問題になりますと、今おっしゃるとおり、トラクターを共同で買おうと何を共同でやろうと、それはもちろんやらにゃなりませんし、それはそういう方向で指導しなければなりません。しかし、実際の生産の面に入って、盛り上がる共同力を政府は指導するということでなければならぬのであって、こちらから押しつけた共同というものは私は実らないと、こう思いますので、決して軽視はいたしませんけれども、その組織を押しつけるという格好は適当でない、こう申し上げておるのであります。
○安田敏雄君 私は、その共同そのものを上から押しつけるとかなんとかいう問題じゃなくして、今日の農村の実情がそういうような私の述べたような実態になってきているわけなんです。特に農村へいけば二三男のものはほとんどいなくなって、みな工業地帯のほうへ就労していくわけなんです。そういうようなことで、残った人たちは勢い労働力をカバーするためには高度のいわゆる営農を考えていかなければならぬということで、共同の実態というものがどこのところえも芽ばえてきておる。現に進行している。ですから、それを農政の中から見過ごしてはならぬ、もっと積極的に具体的な方策を立てて指導していくことが適切ではないかということを申し上げているわけでございますし、ひとつよろしくお願いしたいと思います。 次にお伺いしたいわけでございますが、いわゆる河野構想というようなものが発表されまして以来というもの、非常に国民の関心を集めておられるわけでございますが、この基本法を作る前に農林省に基本問題の調査会というものがありましたが、その答申を見るというと、米の価格と管理という問題につきましてこう言っているわけです、結論は、最終の。近年の食糧事情と今後の米の需給見通しから見て、現行の食管制度に対して根本的な検討を加えることが必要である段階に入っている、こう答申しているわけでございます。そこで、こういうような答申がありますけれども、その基本法の前提である調査会のこの答申は、今度発表いたしましたあなたのいわゆる河野構想というものとは全然無関係であるのか、関係がないのか、あるいはあなたの構想はこの答申を尊重しているのか、こういうような点についてひとつお聞きしたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) 無関係でございます。
○安田敏雄君 そこで、まあ池田首相はいろいろ新聞であるとか国会の答弁でも再三にわたって、池田内閣が続く限り米の統制は廃止しない、あくまで食管制度の根幹は堅持するということを言明しておりますけれども、これは基本問題の調査会の答申とは相当食い違いがあるように思われるわけです。こういう点についてはどういうようなお考えを持っておりますか。
○国務大臣(河野一郎君) 要するに、どういう趣旨で答申なさったか知りませんが、私はわが国の農業の現状にかんがみまして保護農政を強く進めていく必要がある。保護農政を続けて参りますには、現在の生産者価格、消費者価格というもので米に関する限りやって参る必要がある、こう考えております。
○安田敏雄君 農業基本法は、この調査会の答申を十分に尊重されて、それが根幹となって私は作られているように思うわけです。特にそういうところから価格の決定についても基本問題調査会の答申を尊重しているように思うわけです。ですから、あなたが今後基本法を基軸として農政を推進していくというならば、当然この基本問題調査会の答申というものは池田内閣のもとにおいては尊重されなければならないというようにわれわれは率直に受け取らざるを得ない。ところが、基本問題調査会の答申とあなたの今後の農政のあり方とは、これは別個だということになりますと、これは一体基本法というものはどういうような立場に立つかということを考えましたときに、どこか矛盾がありはしないかというように思うわけなんですが。
○国務大臣(河野一郎君) 私は、農林大臣として基本法の精神を基軸にして農政をやって参る。基本問題調査会の答申は、私は今申し上げたとおり基本法の精神というものが大事である。その中の一節である米については研究を要するというような御注意なのでありますが、その御注意は御注意でございましょうけれども、私は、当面米価の決定は、食管に規定いたしておりまするその規定によって米価を決定し、そして保護農政を続けていくことが必要であるという立場に立っていくことが基本法の実施に忠実のゆえんである、こう考えておるわけであります。
○安田敏雄君 この点はこの辺にしておきましょう。 そこでお聞きするわけですが、いわゆる河野構想に対して、その後発表直後だいぶ問題点がありました。そうすると、矢つぎばやに農林省当局はこれを裏づけて、米穀の管理制度の運営の弾力的改善とその根幹の堅持に関する構想というものを発表いたしました。この一つの構想の中に、弾力的改善と根幹の堅持という問題がある。改善という問題と堅持という問題、相反する言葉が使われておるわけなんですが、一体その管理制度を将来改善していくという方向にねらいがあるのか、あくまでも堅持していくという方向にねらいがあるのか、具体的に率直に私はこの点を明らかにされたほうがいいと思うのですが、ただ、これだけでは非常に国民の中では迷っておるわけなんですね、この字句を見ますと。こういう点について御説明願いたい。
○国務大臣(河野一郎君) その見出しの中に、本文として書いてありますとおりに、食管の基本的な問題であります農政の基本になる生産者価格を堅持し、また農村の要求にこたえて無制限に買い入れする、米価を維持するというその基本を堅持しつつ、たびたび申し上げますとおりに、農民の希望によって販売する、自由に販売してよろしい、今までに政府に売らなければならないとなっておったものを弾力的に改善して参るということでございます。
○安田敏雄君 きのうも北村委員から質問されたわけなんですが、そうしますと、食管制度の将来を展望したときに、これとどういうような関係になって発展していくかということですがね。あなたの構想が食管の制度の将来とどういうようなつながりを持って運営されていくのかということが問題点になるわけなんですけれども、こういう点はどうですか。
○国務大臣(河野一郎君) それは今までやみ米にもいろいろ変遷がありました。御承知のとおり、足りなくて絶対買わなければいかぬということで、非常に強力な要請があってやみ米が生まれてきた。一方にはまた別途の意味において売り方も出てきた。それは政府も取り締まっておった。その段階におけるやみ米というものもあった。それがだんだん食糧事情がゆるくなってきた。そこで、やみ米自身も、取り締まり方法も、またやみ米を売るほうも買うほうも、事情が変わってきた。変遷があります。その変遷が、今この段階に来て、自由までいってよかろうという認識を持って自由米ということを今言うておるわけであります。したがって、やみ米が自由米になり、自由米が今後生産者米価と消費者米価のきめ方によってはさらに変遷していくだろう。ただし根幹は変えませんと、こう申し上げておるわけであります。
○安田敏雄君 まあこの問題についてはこの辺にしておきますけれども、これはまたいずれ委員会等で質問することにいたしまして、再三大臣が触れておりますそのやみ米を自由米に乗せるという問題ですがね、今日の配給機構についてあなた矛盾を感じられているんですか。
○国務大臣(河野一郎君) 今日の配給機構についても改善すべき点が多々あるという気持がいたしております。
○安田敏雄君 今日配給を辞退するということはどういうことに基因しておるのか。配給を辞退する思想が国民の中に非常にふえてきておる。三分の一にもなっているということをよくいわれますけれども、そういう原因はどこから出てきていますか。
○国務大臣(河野一郎君) 今の登録制度、通帳、そして米屋からもらってくるというようなことをしなくても、米は十分にあるのだから、まあ別に値段もやみと配給の値段の差額も大して多くない、その程度なら、きのうもどなたかからお話がありましたけれども、別に配給米、やみ米と言わずに、米屋さん、米を届けろ、という程度のルーズな気持になってきたことが一番これは大きな原因でしょう。もちろんほかの問題もありましょうが、そういうものが比較的ふえてきたのが原因であろうと思っております。
○安田敏雄君 私は、まあ故郷のほうにおりましても、あるいはよそへ行きましても、大体みんな聞くわけなんですけれども、配給米というものは非常に悪いんですよ。十円か二十円よけい出しますと、自由米、いわゆるやみ米が入るわけです。御存じのように、下層階級は、悪い米を食うと副食物がかさむ、経済生活にたえられないという結果が出てくる。だから、一升について十円くらいよけい出しても、良質の米ならば、すなわちやみ米ならば、これは今警察に別に怒られるわけではないから、だからそれを買ったほうが、そうなればお新香でもお茶漬けでも食えるわけで、ですから勢い自由米へ行き、配給米を辞退するという結果が出てくる。これは下のほうへ行って、低額所得層のほうにずっと入って聞けば、一致した答えが出てくるわけです。ですから、配給機構を改善しなければならないということをあなたが言明する以上は、現在の配給機構の中に矛盾があるわけです。ですから、従来と同じ、値段でもう少し良質の米を配給するようにしていけば、いわゆる問題はもっと新しい角度から、私は生産と配給という問題がもっと正しく考えられてくるんじゃないかと思う。今日の自由米とか配給米とかいういろいろ問題点を起こしておる問題は、確かにそこに一つの矛盾があるわけです。誤りがある。ですから、そういう配給機構が不備があって、しかも配給米は現実に悪い。悪いというこの前提が今日の状態をかもし出しておるわけです。配給米をよくする方法については何かお考えにならぬのですかね。
○国務大臣(河野一郎君) これは程度の問題でございまして、配給米は悪い悪いと——悪いものもありましょうが、全部悪いとは私は思いません。しかし、中間経費を幾らかけてもよろしい。——これも程度がありますけれども、もっともっと中間経費を——昨日も御指摘がありましたように、米の積み方も古いものを上へ積み、新しいものを下へ積んでいくとか、あるいは米屋へ渡す場合も軟質米、硬質米、適当な分量をやるとかいうような、運賃、経費をもっとかけるというような点を考慮しますれば、私はもっと完全にいくと思います。日本全体の米を、今までやっておったのですから、今までどおりどなたかが食べておられるから、まずいまずいと言われるはずはないと思う。だが、そういう点においてまずいものがある。しかし、そういう点を改善するには中間経費が非常にかさんでくる。ですから、そういう点は、中間経費よりも、質よりも量という点でやっておったから、それを質に切りかえていくと中間経費がかかってくる。それだけ国家負担をかけてやるべきかどうかという問題になってくると思います。
○安田敏雄君 それでは、話を変えまして、外米の輸入の問題についてお聞きしたいと思いますが、実は去る九月二十九日の参議院本会議で、わが党の小林孝平議員の外米輸入の質問に対しまして、池田総理は、東南アジアへ行っても外米を輸入するということは約束してこない、こういうように答えておる。その後あなたが答弁に立たれまして、外米輸入の問題につきましては答弁がなかったが、その後また再度答弁をいたしましたときにも、首相と同様に、外米は今日の日本の八千万石台を基調にすれば十分間に合うという見解に立って、考えておりません、こういう答弁をしておるわけです。そのとおりでよろしゅうございますか。
○国務大臣(河野一郎君) 国内の食糧操作の上から参りまして、私は外米が入り用であるというような段階では現在ただいまないと思っております。
○安田敏雄君 この点は、誤解があるから、私はお聞きするわけですが、そうしますと、あなたが就任された当時、八月三十日に農林水産委員会が開かれました。この際、亀田理事の質問にあなたは答えまして、需給事情は内地米と麦と外米との関係を考慮に入れていくのだ、しかも今後の政治は日本だけではなくて、昔の戦時時代における共栄圏ではないけれども、アジア全体を考慮して政治をやっていくんだ、こういうようなことを聞きますというと、やはりアジア全体というような問題を考えますというと、東南アジアのああいう生産関係を見ますというと、当然われわれは日本の国は外交上あるいは通商上この外米を輸入しなければならない、国内に幾らだぶついてもしなければならないというところに追い込まれていくのではないか、こういうように判断ができるわけなんです。そうしますというと、外米は東南アジアへ行っても約束してこない、こういう首相が言明されておるというようなこと、ずいぶん食い違いがあるわけなんです。こういう点を明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) 亀田さんには大局の御返事を私は申し上げたわけですが、詳細に当面の問題を申し上げますと、発表したと思いますけれども、今年下期の外貨予算がこの間決定をいたしました。この決定の中にも米引き当ての外貨はたしか一千万ドル。初めは農林省としては必要ないというつもりでおりましたが、台湾米との関係におきまして必要が起こるかもしれませんから予算を組んでおこう、詳細に私は申し上げます、率直にそのまま申し上げます、という程度でございまして、今、総理が東南アジアへいらしたからといって、そういうことは絶対でございません。そういう資金の引き当ても実は考えていないくらいでございます。これは当面の問題でございます。
○安田敏雄君 そうしますというと、外米は輸入しないということはないわけであって、来年になりましていろいろ外交上あるいは通商上あるいはまた日本の必要とする工業用の原料として、外米を輸入するということはあり得るというように解していいわけですか。
○国務大臣(河野一郎君) 今年の作柄から見まして、国内の食糧事情は、来年度は外米を必要としなくてよろしいという計算をいたしております。ただし、今お話しのように、来年と申しましても、来年の下期になりますれば、またこれは国内の生産事情がどういうようになるかわかりませんが、それはまた別でございます。今さしあたり外貨予算につきましては、今のような方針をとっております。
○安田敏雄君 私は政治の広い分野についてはよくわからないわけですが、東南アジアへ行っても約束はつけてこないという首相の言明ですよ、あるいはあなたの、国内の需給が十分まかなえるから現在のところは輸入しない、こういう方針をとるとするならば、来年のいわゆる輸入食糧管理勘定ですか、今年一千六十二億余残っておるわけですが、当然こういう経常費が大幅に来年度予算措置の中から省けていく、こういうように受け取らざるを得ないわけです。ですから、そういうような立場に立ってこの点を明確にしていただきたい。もし、来年輸入をするというような状態がくるというならば、そういう計画はできるだけ早く発表したほうがいいと思います。ああいう本会議の答弁は新聞にははっきり載るわけだし、報道もされますから、国民はあなたや首相のそのことを信じて外米は輸入しなくて済むんだというような感じに立つわけです。したがって、そういうような外米を輸入するというならば、やはりそういう問題について早急に計画を発表されていたほうがいいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) 今、私が打ち割って申し上げましたとおりでございまして、下期の外貨予算には米の外貨予算は台湾米について予備的にあるだけでございます。輸入しようと考えておりません。外貨予算は持っておりません。これは実情でございます。したがって、今お話しのように、本会議で総理もお前もああいうことを言ったけれども、そんなことは直せと言うけれども、直す必要はないのでございます。ただ私の申しますのは、来年の下期になりまして、急激な作柄の変化等がくればこれはまた別でございます。ことしの作柄で、今四千二、三百万石は買うだろう、八千四、五百万石は米はとれるだろうというこの秋の作柄を見ますれば、外貨予算としては外米輸入の予算は必要としない、こういうことなんです。ただし、今申し上げましたとおり、台湾については輸出入のバランス等の関係でバナナばかり入れるわけにも参りませんから、そこで米等を一部入れる場合があるかもしれない。その予備的に外貨予算をとってある。それ以外のことは考えておりません。
○安田敏雄君 じゃ、米の問題についてはこのままにしておきます。 貿易の自由化と青果物の関係につきましては青田委員のほうから質問がありましたから、私のほうは省略しておきますが、たださっき良質のものを多量に生産して、対処していくように指導すればいいのだというような話がありましたが、実際貿易の自由化によって政府が立てている対策、たとえば関税をどのくらい引き上げていくとか、あるいは海外のそういう青果物のいわゆる市況の状況を調査する機関を設けるとか、あるいはまたもし輸入制限を、何というのですか、自動割当の方法をとっていくとか、こういういろいろな方法がある。あるいは国内的にいっては農業技術あるいはその他の改良指導する方法があるだろうが、そういうような具体的な問題をおそらく先生は要求しただろうと思うのですが、そういう答弁がなかったおけでございますけれども、貿易の自由化については、農林省はそういうような、いわばむしろ生産上の問題でなくて、やはり政治上の問題としてこれを対策を立てていくことが適切ではないか、こういうように思っているわけでございます。
○国務大臣(河野一郎君) 御注意の点は十分考えまして、現に私も考えております。なおよく注意してやって参ります。
○安田敏雄君 時間がないようですから最後に一点お聞きしますけれども、実はこの夏の終わりごろから九月にかけて、御存じのように山梨県の北富士における演習場問題がありまして、この演習場問題がああいうように紛糾する原因の一つとしては、演習場の返還であるとか、返還でないとかいうような問題もありますけれども、一つは従来調達庁を通じて、実害に対して支払われた林野雑産物に対する補償の問題でございますが、これがまあ適切でないというところにその大きな問題があるわけなんです。そこで、現在の演習地におけるところのこういう被害は、たとえば土地の借り上げ料にいたしましても、あるいは漁業の実害にいたしましても、あるいはこういう林野雑産物の補償額にいたしましても、算定した額から二割切っていくという、こういう方針を調達庁は出しているわけです。ところが、調達庁はこの方針を出す前に、農林省と大蔵省へ合議しているわけなんですよ。ですから、こういう被害額に対して、二割切るということが非常に不当だということになっているわけなんです。いやしくも国の行為によって、そして政府の行為によってこうむった国民の被害というものについては、政府がその完全補償をするという建前をとらなければいかぬと思うのです。ところが、政府の行なう補償というものは、こういう現実に発生した損害を、過大に、あるいはまた過小に陥らないように完全に行なうべきだというふうな方針を出しているわけなんですよ。ですから、農林省が調達庁から合議されたというような場合におきましては、もちろんその農民の生活を擁護する、たとえば新憲法の面からいって、特に大臣はその国民の権利と、そういう財産を守っていかなければならぬ、いわゆる忠実な為政者としての立場から、こういう調達庁の不当な、二割切るというような問題については、やはり農林省当局が合議を受けるのですから、そういう中でむしろ農林省のほうからこれは不当じゃないかというような立場で、もっと二割切ることはいけないというような立場を一つ堅持して私は調達庁当局へも慫慂していただきたい、こういうことなんでございますが、この点についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(河野一郎君) 私その点はつまびらかにいたしておりません。今、係からメモをもらいましたけれども、メモで答弁してまたかえって間違うといけませんから、よく係とその点につきましては勉強いたします。
○安田敏雄君 これは農林大臣、基地問題における一つの重要な解決なんです。ですから、二割切ったということで農民は非常な不満を持っておる。ですから、そういう少ない補償では一面には返還をしてくれ、こういうようないわゆる反射的なことにも感情上なりかねないわけですよ。ですから、そういう点を考慮するならば、政府がむしろ農林省当局のほうから調達庁に向かってこれは直していきなさい、こういう態度で今後の基地問題を一つ扱っていただきたい、こういうように思います。
○国務大臣(河野一郎君) 今、安田さんの御意見には事務当局には考えが別にあるようでございますけれども、よく私は理解しかねますので、よく勉強いたしまして別の機会に御答弁いたします。
○安田敏雄君 それからもう一つの問題として、この演習地をめぐって国有地すなわち官有地に対する入会権の問題が出ているわけです。政府は大正四年の、長野県のいわば官有地、民有地の区分の際に起きた大正四年三月十六日の判例をたてに、官有地には入会権がないということを主張しておるわけです。ところが、それは旧憲法の時代であって、今日では下級審においては、最近の千葉あるいは青森の下級審においては国有地には入会権があるという裁定が下されておる。いわゆる変わってきておる。新憲法下においてはいわゆる国有地に対する国有財産のあり方と私有財産の尊重という点において旧憲法の時代とは格段の差があるわけです。したがって大正四年の判例にいつまでもとらわれるということなく、もう一歩前進した考え方を持って今後入会権について研究していく必要があるのじゃないか。特に最近入会権を研究しておる学者というものはほとんど国有地に入会権があるということを、しかも、大正四年の長野県の判例は誤りであるということをこれは認めておるわけです。そういう段階にきてまだ一応政府がそういう古い考え方でいるということは私はちょっと解せない。ですから、そういう考え方の中にもやはりもっと前進した考え方でもって問題を研究していくという態度が必要ではないかと思うのです。特に私はこの北富士問題について調達庁長官あるいは防衛庁長官にこの点をお伺いすれば、これは農林省当局がそういう見解をとっておるということを言明しておるわけです。ですから、あえてこの際申し上げるわけでございますけれども、一つよろしく御研究願いたいと思います。
○亀田得治君 ちょっと関連して一点だけ。河野方式につきましていろいろ御質疑があったわけですが、ちょうど私が八月三十一日に御質問を申し上げたことの中で、それは一つよく検討してみようと農林大臣がおっしゃった点があるわけですが、その点についてだけちょっと確かめてみたいと思いますが、現在であれば、約一千万石のやみ米がある、これをどうするか、これを何とかしなければならないということは、これは私たちもそう思います。その処理の仕方につきまして、生産者側並びに消費者側にもおのおの問題がある。それを自由米にする、現在の状態をそのまま認めていく、大体、そういうことの前に検討すべき点があるんじゃないかという立場からお尋ねしたはずです。繰り返すようなことになりますが、やはり特別にいい米があれば一般の等級の上にプラス・アルファをつける、このつけ方は、たいへんむずかしいと私は思うのです。またこの配給面でも確かにこれは問題があるわけですが、実際に農民が米を政府に売る、それがそのままの形で末端に流れておらないということも、これは、たとえ政府から、配給業者が買い取った米であってもそれがいい物であれば、これはやみだと称して、そう言うだけで高く売れるわけです。ところが、そういうことを行政上どうして押えるかということになれば、なかなかむずかしい点があろうと思う、あろうと思いますが、検討の余地は十分あるわけです。で、もしそういうやり方でこの約一千万石といわれるものが、たとえ五割でも六割でもルートに乗れば、私はあとは多少の違反があってもそれをいいというわけではありませんが、それほどこうやかましく言う必要もなかろうと思う。だから、まず何かそういうこまかい点を検討してほしい。おそらくそれは費用がかかるでしょう、これは。しかし、お互いに消費者の口もこえてくる、いろいろなことで当然かかる費用ですから、かかり過ぎるということであれば、もっとほかのことで節約すべきです。生産者側にとってもいい、消費者にとってもためになる、そのことのために実際にこうきめこまかくいろいろなことをやれば経費がかかるというならば、これは必要な経費だと思う。だから、そういうふうにやれば、現在の中間経費がどれだけ一体ふくれるのか、そういうことをやはりこまかく検討してみる必要があると思う。私たちの聞くところでは、現在の中間経費は高いといいますけれども、戦前の自由な時代よりは安い、中間経費は少ない、こういうふうに私たちは聞かされている。だから、安い上にさらに安いにこしたことはないわけですが、そういう状態ですから、多少私はこれが経費がふくれてきても仕方がないものである、こう考えるわけです。大臣は三十一日、それに対しまして、ともかく御意見として十分勉強してみようという意味のことを言われたわけですが、ずっとそれから河野構想についていろいろ論議が起きているわけですが、そこら辺の研究といいますか、検討をどの程度並行していただいておるものかどうか、もしまとまった結論等が得られているものであればお聞かせしてほしい。もうそれはとてもちょっとやってみたけれども、だめだというのか、それはなかなかこまかい問題で検討自身に相当かかるということなんでしょうか。
○国務大臣(河野一郎君) 私はこれまで申し上げましたように、私はこれまでお話申し上げたことが最終的にそのままでいくという考えを固めているわけではないわけでございまして、いよいよ成案を得て国会に提案をするというときまでにはいろいろな方面からいろいろな御意見を承り、その御意見を、検討を積み上げて取るべき点は取り、可能なものは改善して最終案をきめたい、こう考えているわけでございます。したがって、今私はこう考えておりますということをもっぱら申し上げておりますけれども、その間に各方面から伺う御意見等は十分これを検討そしゃくしていきたい、こう思っております。たとえば今、亀田さんのお話も前回も伺いましたし、今も伺っておりますが、たとえば酒米のごときは、別の価格で売っておるわけであります。それを今回の生産者価格引き上げにあたって酒米は上げるか上げないかということで今問題になっております。そういったようなことが現にあるわけでございますから、それを今後今、亀田さんおっしゃるようにしたらばどういうふうになるか、たばこに例をとってみましても、同じたばこを同じ値段で売っておるわけじゃないということもないことはないが、それをした場合に、一体どうなるかというようなことも十分検討の余地があると考えましたから、十分検討いたしますとお答え申し上げたのですが、結論としては私は一応の目安を通常国会というふうに考えておりますので、それまでに各方面からいろいろな御意見を拝聴して、そして最終的な決定をするときに十分御参考にしたい、こう思っておるので、そういう御答弁を申し上げておるし、現在の私の心境はそういう心境でございます。
○委員長(仲原善一君) 以上をもちまして農林水産基本政策に関する件についての農林大臣に対する質疑は全部終了いたしました。本件についてはこの程度にいたします。 —————————————
○委員長(仲原善一君) 次に、家畜取引法の一部を改正する法律案(閣法第三七号)本院先議を議題といたします。 本案は去る九月二十五日本委員会に付託されました。まず、提案理由の説明を求めます。
○政府委員(中野文門君) ただいま議題となりました家畜取引法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明いたします。 近年、国民生活水準の向上に伴い、畜産物に対する需要の増大は著しいものがあり、かつ、農業経営の改善向上のため家畜家禽の飼養増加の要請も強いものがありまして、これらに対応し農家の家畜飼養頭数も著しく増加し、昭和三十六年二月現在では、戦前の水準に比べこれを大きく上回り、和牛では一倍半、乳牛では五倍、豚では三倍に達しており、畜産が今後における農業の最も成長し得る部門としてその発展を期待されておりますことは御承知のとおりであります。しかしながら、家畜の取引過程につきましては、逐次改善を見つつありますが、なお近代化、合理化を要する問題が数多くありまして今後飛躍的な畜産の発展及び国民食生活の格段の向上を期する上におきまして、家畜の取引過程を早急に整備改善することがきわめて重要であると考えられるのであります。 政府におきましても、二、三年来家畜取引の改善対策に関しまして学識経験者の意見を取り入れつつ総合的に検討を加えて参ったのでありますが、家畜商の地位の向上、家畜市場の整備確立、生産者団体の共同事業の推進及び家畜の取引資金の融通の円滑化、食肉市場の整備等の措置を講ずることが必要であるとの一応の結論に達するに至りましたので、家畜取引の実情に即しつつ積極的にその改善のための方策を講ずることとし、他の関連する諸措置を講ずることといたしますとともに、今回家畜取引法に所要の改正を加えることといたしたのであります。 現在、家畜の取引及び価格形成は、全国約千四百の家畜市場において行なわれる家畜取引によって大きく影響されておりまして、これらの家畜市場につきましては、現行家畜取引法によりまして登録制度を採用し、産地家畜市場の再編整備を期しますとともに、家畜市場における取引及び価格形成の公正かつ適切をはかるため、取引方法、代金決済方法等につき必要な規制を加えているところであります。しかしながら、同法制度後の状況を見ますと、産地家畜市場の再編整備のみでは必ずしも所期の効果を上げ得ないことや、せり売り、または入札の方法による売買が現在の家畜市場の整備の状況等から見ると必ずしも適正円滑に行なわれないことがありますので、あらためて必要な規定の整備を行ない家畜取引の改善をはかることといたしたわけであります。このような趣旨から、政府といたしましては、家畜取引法の一部を改正する法律案を前国会に提出したのでありますが、審議未了となりましたので、今回これと同一の内容のこの法律案を提出した次第であります。 改正の主要点は三点でありまして、まず第一に家畜市場の再編整備につきまして、その対象を産地における家畜市場から集散地における家畜市場にまで広げまして、この対象を地域家畜市場といたしますとともに、都道府県知事が、特に整備する必要があると認められる地域の家畜市場の開設者に対しまして、再編整備を行なうべき旨の勧告をすることができるようにしたことであります。第二として家畜市場における家畜の売買方法について、従来どおりせり売り、入札を原則といたしますとともに、市場設備の整備状況に即応して公開的かつ競争的な方法で価格形成の適正を期し得る限り他の取引方法を認める場合を拡充し、かつ、この場合には一定の条件を付することができることとしたことであります。また、この法律の規定に違反して家畜市場における売買を行なった家畜取引業者に対して都道府県知事がその家畜市場における業務の停止を命ずることができることとしました。第三に、家畜取引業者は、家畜市場の開場日及びその前後の日に家畜市場周辺の一定の場所で原則として家畜取引を行なってはならないこととしたことであります。 以上がこの法律案の提案理由及び主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
○委員長(仲原善一君) 以上で提案理由の説明を終わりました。本案については、本日はこの程度といたします。 本日はこれをもって散会いたします。 午後四時五十六分散会 —————・—————