社会労働委員会 第7号
- 発言数
- 97 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/10/24
会議録
○委員長(谷口弥三郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 この際、委員の異動について御報告いたします。十月二十三日付をもって村山道雄君が辞任され、堀本宜実君が選任されました。また、本日堀本宜実君並びに紅露みつ君が辞任されまして、村山道雄君並びに泉山三六君が選任されました。
○委員長(谷口弥三郎君) 次に、理事の補欠選挙を行ないたいと存じます。 ただいまの報告中にありましたとおりに、村山理事が一時委員を辞任されましたため、理事に一名の欠員を生じておりますので、この際、理事の補欠選挙を行ないたいと存じますが、その方法は慣例により、その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(谷口弥三郎君) 御異議ないと認めます。 それでは、私より村山君の補欠として村山道雄君を理事に指名いたします。 本日の委員長及び理事会の打ち合わせについては、先ほど申し上げたようなことでございます。 以上であります。 —————————————
○委員長(谷口弥三郎君) 次に、本日の審議に移ります。 社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の一部を改正する法律案を議題といたします。 提案理由の説明を求めます。
○国務大臣(灘尾弘吉君) ただいま議題となりました社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。 現在、療養担当者の保険診療に対する指導監督に関する事項及び社会保険の診療報酬に関する事項を審議するため、厚生大臣の諮問機関として、中央社会保険医療協議会が置かれておりますが、この協議会につきましては、御承知のようにここ数年来とかく運営の円滑を欠き、そのために、診療報酬の改定等の重要問題の取り扱い等に多大の支障を生じているのであります。 先般、この問題を含め、社会保険等の適切な診療報酬を定めるためとるべき方途につき、社会保障制度審議会に諮問いたしましたところ、同審議会から中央社会保険医療協議会はその運営の円滑化をはかるためにすみやかに改組すべき旨の答申を受けたのであります。政府といたしましては、この答申の趣旨を取り入れまして、中央社会保険医療協議会の円滑な運営に資するため、その所掌事務の範囲及び組織を改めることとし、また、地方社会保険医療協議会についても、そのより円滑な運営をはかるため、その所掌事務の範囲及び組織を改めることとし、この法律案を提案した次第であります。 次に、この法律案の内容について、御説明いたします。 第一点は、社会保障制度審議会の答申の線に沿いまして、この協議会の所掌事務を健康保険、船員保険の適正な診療報酬額及びこれと関連の深い療養担当規則に関する事項とし、従前の所掌事務から療養担当者の保険診療に対する指導監督に関する事項を除いたことであります。 第二点は、これも社会保障制度審議会の答申の趣旨を取り入れまして、現在、「保険者の利益を代表する委員」、「被保険者、事業主の利益を代表する委員」、「医師、歯科医師、薬剤師の利益を代表する委員」及び「公益を代表する委員」各六人合計二十四人の四者構成となっております中央社会保険医療協議会の組織を、保険者、被保険者及び事業主を一グループにまとめまして三者構成に改め、公益代表グループ四名、他の二グループ各八名ずつ合計二十人としたことであります。 第三点は、地方社会保険医療協議会の所掌事務のうち、療養担当者の保険診療に対する指導監督に関する事項は、実情にかんがみ、協議会の審議事項から削除したことであります。 第四点は、地方社会保険医療協議会についても、中央社会保険医療協議会と同様の組織とすることが妥当であると考えまして、中央社会保険医療協議会の組織に準じてその組織を改正いたしたことであります。 以上がこの法律案の提出いたしました理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(谷口弥三郎君) 本法案に対する補足説明及び質疑は、次回以降にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(谷口弥三郎君) 御異議ないと認めます。 —————————————
○委員長(谷口弥三郎君) それでは次に、国民年金法の一部を改正する法律案、年金福祉事業団法案、児童扶養手当法案、通算年金通則法案、通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。 前回において厚生大臣からすでに提案理由の説明を聴取いたしておりまするので、本日はまず政府委員から細部についての説明を聴取いたします。
○政府委員(小山進次郎君) まず、国民年金法の一部を改正する法律案について内容の詳細を御説明申し上げます。説明は便宜お手元に本日差し上げました「国民年金法改正内容対比表」という、これをもとにして御説明申し上げたいと思います。左側に今回の改正法案の内容を掲げておりますので、これに従って御説明を申し上げます。 まず、拠出年金部分についての改正から申し上げます。「(1)老齢年金のくりあげ支給六十歳以後希望するときから減額して支給する。」という内容でございます。これは現在の国民年金法におきましては、老齢年金は支給が六十五才と定められておりまして、特に本人から希望を申し出た場合におきましては六十五才以降任意の時期に繰り下げて年金を支給することができる。その場合はもちろん増額されるわけでありますが、そういう制度があるわけであります。これに対しまして、今回は逆に当人が希望いたします場合には六十までの任意の時期に繰り上げて老齢年金の支給を受けることをする道を開こう、こういうものでございます。これは六十五才という支給開始年令につきまして一般論としては一応わかるとしても、個々の人について見ると、とても六十五までは待てぬと、こういうようなことを訴える向きがかなりあちこちから出て参りましたので、なるべくそういう希望に沿おうということで繰り上げの減額年金という制度を設けるということにしたわけでございます。これは繰り上げの年令の時期によりまして年金の額はおのずから違います。これは政令できめられることになっておりますけれども、一定の数学計算をもとにしてほぼ自動的にきまるのでありますが、例を申し上げますと、六十才から繰り上げてもらうということになりますと基本年金のおよそ六割程度これは男女によって多少違います。そういうことになります。 (2)が「特別老齢年金の支給 補完的老齢福祉年金を受けられる者に六十五歳から七十歳までの間次の拠出制の老齢年金を支給する。」保険料を納めました期間が一年以上四年未満であります場合は年五千円、四年以上七年未満であります場合は七千円、七年以上であります場合は九千円、これは現在の制度は法文の九十九条に規定してあるのでありますが、保険料の免除期間が長かったために拠出制の老齢年金を受けることができなかったという者に対しましては、七十才から老齢福祉年金を支給いたしますことはもちろんでありますが、同時に、それらの人々の納めました保険料を還付する制度を設けているのであります。それはそれらの人々が納めました期間のうちから三年間を控除いたしました残りの期間をもとにいたしまして、月百五十円、百円百五十円の別なく百五十円ということは、つまり平均した保険料の百二十円に対して利子部分を控除してということになりますが、それを還付する、こういうような制度にしているわけであります。 これに対しまして二つの批判が非常に強く寄せられたのであります。一つは一時金を返してみてもあまり意味がないじゃないか、何とかしてそれを年金に結びつけるようにする道はないかという点が一つであります。それからもう一つは、三年分を控除するということが障害年金なりあるいは母子年金、遺児年金あるいは今度創設されようとします準母子年金であるということはわかるとしても、まあそういう気の毒な人の分についてそれを控除することは何とか避けられないか、こういうようなことであります。この二つの点について何とかこの問題を解決しようということで、いろいろ検討いたしました結果設けることにいたしましたのがこの特別老齢年金の支給であります。これをやります場合に考えました点は二つでございまして、一つは、これらの人々は七十から老齢福祉年金をもらえる人であります。費用負担の面からいいますと、これらの人々の年金の負担というのは保険料からではなくして全部国庫から持つという現在の仕組みになっておる。この仕組みを何とか生かしていきたい。これを単純に拠出年金の部分に取り入れて参りますと、全額国費負担という点がくずれてきて、まあ年金財政の点から見ますというと、相対的な意味ではありますけれども、若干マイナスの因子になる。できるだけこういう人の分については国が負担するという実質は今後とも残していきたいということが一つでございます。それからもう一つは、先ほど申し上げました強い批判に現われておった三年分の控除というものをなくする、こういうことであります。そういうふうにいたしました結果、このような金額にしたわけであります。これらはいずれも納めました保険料に対してほぼ三分の一の国庫負担を国から入れたものと同じ金額になっているという内容のものでございまして、これならば一部の人々が非常に強く気にしている収奪といいますか、そういう言葉を使われるのでありますが、それはなくなってくる。こういうことになると思います。ただ、そういう解決をとろうといたしましたために、六十五から七十までは拠出年金、七十以上は福祉年金という、ちょうど木と竹をつないだような年金になったのであります。この点、姿は決してよくないのでありますけれども、あえてそういうよくない姿であるということを承知しながら、そういう道をとりました事情は、先ほどくどく申し上げたとおり、つまりこの人々の分については、なるべくよけい国から負担を入れることによって、内容の豊かな年金にいたしたい、こういうことからこのような解決になったわけであります。 それから「(3)準母子年金の創設 祖母と孫、姉と弟妹とが生計を同じくしている世帯に対し、準母子年金を支給する。 年金額は、母子年金と同様」、この準母子年金の問題は、すでに過去において先生方のお話にも出ておった問題でございまして、この制度を創設いたしますときから方向としては何とか取り入れたいということが話題に出ておった年金でございます。社会保障制度審議会の答申にも、準母子年金に類するものを母子年金の中に取り入れるようにという答申があったのでございます。ただ、何分にも技術的な整理が非常にむずかしゅうございまして、どうもその当時においては筋道の整理がつかないというような事情がございましたので、その筋道の整理をつけたところで取り入れる。いわば宿題として残されておった問題でございます。 どういう点でその筋道の整理がむずかしいかということでございますが、ごく簡単なことを申し上げますと、母子年金の場合におきましては、一人の子供について母子年金というものの発生する可能性というものは一つなんであります。実際におなかをいためて生んだ母親であるか、あるいはそうでたければ養母であるかということでこれはもうきまるわけであります。ところが、準母子年金になりますと、一人の孫をおばあさんと姉さんが一緒に力をあわせて養っている、こういう場合があり、あるいは一人の弟、妹、これは一人に限りませんが、同一の妹、弟を何人かの姉さんが力を合わせて養うというような場合が常にあるわけであります。そういうことに伴って、技術的な整理がなかなかつかぬというような事情があったわけであります。それを一定の原則に基づきまして一応整理をつけることができましたので、今回これを取り入れるということにしたわけであります。 なお、この問題は、拠出において取り入れますと同時に、無拠出においても取り入れる。したがって、準母子福祉年金という制度も、後ほど申しますけれども、取り入れられるということになって、そのほうはことしの四月一日にさかのぼって実施をしたいという内容になっております。 「(4)障害、母子、準母子、遺児年金の受給資格期間の短縮 事故発生前一年間引き続いて保険料を納めていれば、これらの年金を支給する。」、これは、現在の制度では、ここに掲げてありまする年金の最短受給資格期間は三年間ということになっているのであります。この三年間を何とか縮めることができないかというのが、これは制度発足のときからの問題でございます。実を申しますと、当初の厚生省の要綱には、これが二年間ということになっておったのでありますが、いろいろの事情から三年間になったのであります。この問題を今回取り上げまして、この前の改正法案におきましては、最初の三年間が経過するまでの間は、いずれにしても三年間という期間を要求するのは無理であるからという理由で、一年以上過ぎておればよろしい、ただし、額をそのときの案では七割程度に減額をしておったのであります。これについて、前国会で衆議院の段階におきましていろいろ御意見がありました結果、衆議院の社会労働委員会で修正議決されました際に、この問題をこの案のとおり、金額は基準の金額そのままとして、三年間を一年間に縮めるという議決をなさったのであります。それをそのまま受け入れて今回提出をしたわけであります。この改正によりまして、三年たたなければもらえなかったのが、一年たてばよろしいということで、おおむねこの種の年金制度の受給資格期間としてはまず望み得る一番いい状態に持ってくることができたわけであります。 なお、将来の問題としては、目下社会保障制度審議会で御議論になっているのでありますけれども、母子、準母子、遺児の遺族年金の系統に類するものは、まず一年が大体行き詰まりであろう、これが大体もう究極に近い姿であろう、ただし、障害については、これは各種すべての年金を通じてむしろ受給資格期間というものを撤廃する方向で検討できないかということで目下いろいろ御研究になっているわけであります。そういうふうな議論が将来一つの結論に達しますならば、これは国民年金に限らず、すべての年金制度を通じて考えるという時期が参るわけであります。 「(5)遺児年金の額の引上げ」、最低補償額を月千円、つまり年一万二千円、最高額は二万一千円、かように改めたいということであります。現在の制度は、右側にございますけれども、最低保障額が七千二百円、これは月六百円になります。それから最高額が一万五百円、これは、現在の制度では、遺児年金は老齢年金の四分の一という原則をとっているのであります。ただし、その額があまりに少なくなる場合には最低の額を月六百円にする、こういうことにしておるわけであります。その結果、三十年未満は全部同額、こういうことになったわけであります。それを今回四分の一ではなくて、二分の一といたしまして、最低の保障額を月千円ということにいたしましたために、二十六年未満まではすべて同額、こういうことになったわけであります。これもこの前の国会で衆議院の社会労働委員会で改正法案の修正議決をされました際に、これを取り上げられたのでございます。当局といたしましても、趣旨に賛成申し上げて、そのまま今回取り上げて、内容として取り入れたという事情でございます。 「(6)死亡一時金制度の創設 三年以上保険料を納付した者の死亡に際し、遺族に対し、五千円——五万二千円の死亡一時金を支給する。」この問題は、この制度が創設されますときからの懸案であったのでございます。まあ理屈からいって、保険制度において、特に生存保険の制度において、死亡一時金というような制度が取り入れがたいという事情はわかる。しかし、それにしても、現在の国民感情からいうと、この年金保険に入った以上は、何らかの形で給付を受けるのでないと、いかにも掛け捨てをしたというような気持が出てきておもしろくない、何とかそれを入れてほしい、これは特に農民層において非常に強い要望として、それぞれの関係団体から主張されておったのであります。それでその問題について、当時いろいろ検討いたしましたけれども、どうも二つの点において行き詰まっておったのであります。一つは、そういう制度を設けるためには相当の原資を必要とする、それを保険料の引き上げに求めるということはなかなかむずかしい。さりとて国庫負担をその分だけ増すという筋も立ちがたい。財源の目当てがつかないということが一つと、それからもう一つは、この問題については、この制度の立案に当たられた社会保障制度審議会における学識経験者の意向が、圧倒的な形で消極的な反応を示しておったのであります。そんないわば俗論にくみするようなことではという意向が非常に強かった。その結果、当時この問題は現在の百条のような解決をすることになったのであります。一応基本の制度には取り入れないけれども、そういう希望を持っている人が非常に多いという事実はやはり尊重していかなくちゃいけない。それで、そういう希望を持つ人々に対して、応じ得るための制度をこの国民年金に付属する制度として設けよう、その場合は、別に若干その分の増額保険料とでもいうべきものを希望する人々から納めてもらって、それらの人々に対してはそういう制度を設けていこう、その当時およそ二十円程度ということを申し上げておったのであります。その後この問題についてさらに研究を進めましたところ、やはり国民感情として、その程度の解決では何とも落ちつかない、この制度自身の中にこの問題を取り入れなくちゃとても受け入れられないという機運が非常に強く出て参ったのでございます。それからもう一つ財源関係のほうにおきましては、その後積立金の利回りにつきまして大蔵省と交渉いたしました結果、これを従来よりも少なくとも五厘程度引き上げ得る見込みが立ったわけであります。そういうことからいたしまして、その利回りのふえた分を原資としてこの問題の解決をはかっていくということで、約三百億の原資を調達いたしましてこの制度を設けることにしたわけでございます。この問題については、現在では、かつてこのような制度を俗論として退けておられた社会保障関係の学識経験者の人々も、やはり今の日本の事情ではこの種の制度は必要だということをかなりすなおに受け入れてくれる気持になっておりますので、私どもとしても、やはり日本ではこの制度をいかにも社会保障の上で間違った制度だというような受け入れ方をすることではなく、やはりある時期まではあっていい制度だという気持で見守っていきたい。しかし、遠い将来の問題としては、この死亡一時金にウエートをかけるということは、やはり方向として望ましくないので、遺族年金系統の充実をはかるということによって死亡一時金に対する国民の関心が実質的にそれほど高くなくて済むような工合に制度を導いて参りたい、かような考えでいるわけでございます。 次が福祉年金部分についてでございます。その福祉年金部分については、拠出もそうでありますが、原則として全部四月一日にさかのぼって実施する〉いうことにしておりますので、今これによって制限を緩和される人々は、この時期を非常に待っておられるわけでであります。 「(1)準母子福祉年金の創設 拠出準母子年金と同様、準母子福祉年金を支給する。 年金額は、母子福祉年金と同様。」ただ拠出の準母子年金と違いますところは、拠出の準母子年金の場合には、養われる孫とか弟、妹が十八才以下でございましたけれども、この準母子福祉年金の場合におきましては、母子福祉年金の場合と同様十六才未満でございます。その点の違いがあるだけでございまして、仕組みは同様でございます。 「(2)本人所得による支給制限の緩和 義務教育終了前の子、孫、弟妹を扶養する。」現在の制度では、福祉年金は本人に十三万円以上の所得がある場合には支給停止を受ける。ただし義務教育終了前の子供を扶養しているときには一人について一万五千円をこの十三万円に加算した額を支給停止の基準額にする、こういうきめ方にしてあるのでありますが、これを二つの面において緩和しようとするものでございます。一つは、扶養する人を従来の子供に限っておりましたのを、今度は孫、弟妹というふうに準母子福祉年金の場合もこれが適用され得るように広めるということでございます。それからもう一つは、一万五千円というのを三万円に引き上げるということであります。このうち一万五千円を三万円に引き上げるほうの分は、前の国会の衆議院の社会労働委員会において修正議決された際の修正内容でございます。政府側もこの趣旨に御賛成申し上げて、今回は当初の改正案に取り入れたものでございます。なおこの問題につきましては、今回この法案が議決される場合の附帯決議の中にも盛られておりますが、この十三万円という支給停止の基準額は当然改められるべきである、十五万円に引き上げられるべきであるという問題がなお残されているわけであります。 「(3)二十五歳以上の子と生計同一による母子福祉年金支給制限の撤廃 義務教育終了後の子に前年五十万円以上の所得があるときに限り、支給停止する。」これは現在の制度におきましては、母子福祉年金の支給停止条項の一つとして、二十五才以上の自分の子供と同居しているという場合には、一定の場合、つまり所得が明らかにないとみなされるような場合を除いて支給停止を受けるという規定になっているのであります。この条項は私どももかなり無理を感じておった条項でありまして、特に母子世帯についてだけこのような特別な支給制限条項はないほうがよろしい、またあることによって実際に援護を必要とする母子世帯に福祉年金がいかないおそれのあることをおそれておりましたが、どうも実施の結果から見ましても、そういう事情がうかがわれたのであります。したがいまして、この点はこの機会に解決をするということで、必要な予算も計上済みでございますし、撤廃をいたしまして、母子世帯だけに特有な支給停止という条項はなくする。これは母子世帯も身体障害者の世帯も老齢者の世帯も支給停止条項はすべて同じようにするということにしたわけであります。ここに五十万円以上という金額がありますので、ちょっとごらんになりますと、えらい今度は緩和されたのじゃないかというお考えが浮かぶかもしれませんが、これはそうじゃないのでありまして、老齢者の場合でも身体障害者の場合でも、要するに自分の所得でないだれかの所得に依存して、その人に養われているという状態の場合の支給停止が、扶養親族五人で五十万円となっている、あのことを言っているわけであります。 「(4)所得制限に関する災害特例 受給権者、配偶者等が災害を受けたときは、支給停止を行なわない。」これはこの前伊勢湾台風の際に、特別措置法としてこういった内容の措置をとったのであります。この問題はそのときから国民年金審議会におきまして、伊勢湾台風に際してこの措置をとることはまことにけっこうだ、しかし、元来この種の措置というのは、何もそういう大災害のときだけにとるべきものではなくて、そういう災害があった以上は、その災害が全体として小災害であろうと何であろうと、個人にとってみれば同じなんだから、すべての場合に自動的に発動されるように将来は制度を考えろという建議を受けたのであります。その建議に従いましてこれを取り上げることにしたわけでございます。したがって、これは四月一日にさかのぼって施行される予定でございますので、その後のすべての災害について全部平等に適用されるわけでございます。 以上で福祉年金の御説明を終わります。 次は、拠出、福祉両方共通の問題でございます。 「(1)廃疾の併合認定 二十歳未満の廃疾、拠出制発足前の廃疾と、制度加入後の廃疾とを併合して、障害年金を支給する。」これは現在の制度では制度加入後の廃疾のみを対象として障害年金が支給されております。これは現在の保険制度のいわば原則に従ってやっているわけであります。しかし、まあこれにつきまして少なくとも二十才未満の廃疾と二十才後の廃疾に区別を設けることは何とか考え直す必要がありはしないか。つまり二十才以前の廃疾というのは、現在の日本ではどの制度も責任を持ってその廃疾に措置を講じてないわけであります。そういう人が国民年金に入ってきて国民年金の被保険者として不幸にして障害を受けたという場合には、国民年金に入ってきてからの障害だけではなく、前の障害と併合して論ずるということにすることが必要ではないか。また、同様な考えからいたしまして、拠出制度発足前に受けておった廃疾と拠出制度発足後に受けておった廃疾とについては併合することが必要ではないか。こういうことで、これは従来の保険制度から見ますというと、かなり大きいというより、まあ言う人によっては革命的な、したがってまた、悪口を言う人は、およそ保険というものを解せざる大きい変更だ、こう言われるわけでありますけれども、先ほどもちょっと御紹介申し上げましたように、現在社会保障制度審議会で御議論になっておりまする議論の方向も、事、障害年金の問題については、従来の保険原則なるものを振り回すことはこの際考え直さなくちゃいかぬではないかという考えがむしろ圧倒的でございます。そういう方向も考えまして、今回はここまで踏み切るということにしようという内容でございます。したがって、残る問題といたしましては、将来制度相互の間におきまして、Aの制度の被保険者のときに受けました障害とBの制度に移ってから受けました障害との間にやはり併合認定をするという問題が将来の問題としてはあり得る。それがどういうふうに解決されるかというのはやはり将来の何年かの検討を必要とする問題として残されているということになるわけであります。 「(2)未支給年金の支給範囲の拡大 死亡した受給権者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹に広く支給する。」、これは現在の制度では受給権者の死亡によって、その配偶者が母子年金を、その子が遺児年金を受けられるときにだけ未支給年金は支給するということになっているのであります。これを広く、まあ一般に遺族といわれる人々に支給するように改めようというのであります。これは明らかに国民年金制度を実施いたしました結果、現在の制度は是正を要するということを諦めまして改めようとするものでございます。この問題については、すでに当委員会におきましても二年前に御議論がありまして、たとえば、老齢福祉年金がもらえるということで楽しみにしておったところが、もらう寸前になくなられた。もうその人がいないということで一切お金が出ないというと、いかにもこれは人情に反するじゃないか、また、考え方によってはもらえることをあてにしてほかから金を借りているということだってあり得るじゃないか、いずれにしても国民年金なり、あるいは厚生年金の系統の制度だけがそういう態度をとることは考慮を要するじゃないかという御議論が非常に強かったわけであります。この点いろいろ検討いたしました結果、この点についてはこの際、国民年金、厚生年金の今の狭いやり方を改めまして、恩給法系統の広いやり方にほぼこの年金制度を調整して統一していくという方針をきめまして、今回この年金を改めることにしたわけであります。 「(3)死亡の推定 船舶が沈没したこと等により三箇月以上生死不明のときは、死亡したものと推定して年金を支給できるようにする。」、これも制度を実施いたしまして、どうもこういう規定がないと非常に工合が悪いという事例に若干ぶつかったのであります。遺族と思われる人々、あるいは周囲の人々はもうはっきり死んだと思っても、しかし、失踪宣告をするにはまだ年限が不足している、こういう状態で、母子福祉年金を実際上は受けることが適当だと思われるような事例がたくさん出て参ったわけであります。こういうものの制度上の解決をしますためには、まあいろいろ現在の制度でも認定で解決できます限りにおいてはそれでしておりますけれども、どうもやはりどこかに無理があるわけであります。したがって、この点についてはこのような船員保険法にもあるような規定を設けることによりまして、さらに制度上この問題が解決できるようにしていこうと、こういいわけであります。ただ何分、人の生死に関する問題でありますので、あまりに広げるわけにはいかぬというので、船舶は沈没した場合、あるいは飛行機が墜落した場合というような場合に一応限られる規定になったのであります。しかし、こういう規定が制度上設けられました以上は、その精神を敷衍いたしまして、実際上の問題については必ずしもこれらに限らず妥当な解決を考えていくという運用で臨みたいと思います。 以上で国民年金法の一部を改正する法律案の内容を概略御説明申し上げたのでありますが、次に、通算年金通則法案及び通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案について申し上げます。これもお手元に差し上げてありまする参考資料、やや厚いものでございまするが、これをもとに御説明申し上げたいと思います。 まず目次のところをごらんいただきまして、この制度が生み出されるまでの経過をごく簡単に申し上げたいと思います。 国民年金制度が作られまする際に基本になりましたのは、当然のことでございますが、社会保障制度審議会の勧告でございまして、あの勧告は国民年金制度に関する答申というのでございます。その答申をします場合に、国民年金制度というものを国民全部をおおうという制度としないで、現在あるいろいろな年金制度にカバーされていない人々を対象とする制度ということにきめましたことからも、それぞれの年金制度相互間の結びつけをどうつけるかという問題が残された問題だということになったわけであります。これは当時答申をなさいました社会保障制度審議会も十分意識されまして、時、急を要するから国民年金制度の内容についてこういう答申をするけれども、これに引き続いて各年金制度相互間に通算の道をつけるということは必要だぞということを一項目特に書き加えられたのであります。そういう事情がありましたので、その答申をなさいましたすぐあと、通算の問題についてさらに研究を続けられました結果、目次の「一一 年金制度の通算に関する関係審議会の答申」、この一番最初の、「(1)年金制度の通算等について(社会保障制度審議会)」というのがございますが、これを十月になって答申されたのでございます。で、この答申の中身は、年金制度の通算についてはいろいろのやり方があるけれども、現在の実情から考えると、やや事務的にはややこしいかもしらぬけれども、いわゆるじゅずつなぎ方式あるいは凍結方式といわれるものでやることが一番実際的だ、それはそれぞれの制度に被保険者が所属しておった期間の分を持ち合うことによって、その人が一定の老齢に達したときに、それぞれの制度の負担においてある程度の老齢年金が受けられるようにするという筋道のやり方だと、こういうことになりまして、その答申をなさったのであります。この答申をもとにして、その後通算制度の問題の検討が進められたのでありますけれども、それが約一年半ほどかかったのであります。 目次の八に、「公的年金制度相互間の通算調整に関する措置確立の促進について(昭和三四年七月三〇日事務次官等会議申合せ)」というのがございますが、これはこの年の四月に国民年金法が成立をいたしまして実施されることになりましたので、引き続いて拠出制の年金が発足するまでの間に、国民年金とほかの制度はもちろんのこと、ほかの制度相互の通算措置も確立する道を講じようじゃないか、それには非常にこれは技術的にややこしい問題が多いので、関係各省をして公的年金制度通算調整連絡協議会というものを作らせて、それによって具体的な案を検討させ、それがまとまったところでそれを取り上げて進めていくことにしようじゃないか、こういう趣旨の申し合わせをしたのであります。そういうことで、七月の三十日に申し合わせがありまして、八月から検討が始められたのであります。その間十数回会合を重ね、これは形式上は内閣が中心になり、実質的には私ども厚生省が中心になって、関係省約十七、八の省庁がございましたが、これと一緒に作業を進めて参ったのであります。なお、その間におきまして、問題の性質上、これは結論が固まってしまってから社会保障制度審議会に御相談申し上げるということでは工合が悪いという考えからいたしまして、三十五年の四月ごろから三回にわたって中間の進行状況を御報告申し上げ、年金制度の通算について社会保障制度審議会が答申された方向に沿ってこの研究が進められているかどうか、また、その考えに合ったとおりにいっているかどうかということを承りつつ、調整をはかって進めて参ったのであります。で、そういった調整を通じまして、まず今の日本としてはこの程度以上の実施はできないだろうというようなことになりまして、結論が出ましたのが、九の「公的年金制度における期間通算制度要綱」というものでございます。この要綱の骨子になりますものを閣議決定いたしましたのが、十の「公的年金制度相互間の通算制度実施に関する件」、三十五年十二月十六日の閣議決定でございます。この閣議決定の内容は、公的年金制度通算調整連絡協議会の決定内容を法案にまとめましたのが、通算年金通則法案と、通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する律法案でございます。それで結局、ややくどく申しましたけれども、この通算制度の内容は、結局九の「公的年金制度における期間通算制度要綱」に盛られているのが内容でございます。したがって、これをもとにいたしましてややくどいところがありますので、それは省略しつつ申し上げたいと思います。 二百三十一ページでございます。「目的」は、これは当然でございますが、「公的年金制度が多数併立している現状においては、各制度の間を移動する者について年金制度による所得保障が行なわれなくなる弊害があるので、各制度における加入期間を通算して所定の年数に達する者について年金を支給する途をひらくため、各公的年金制度を通じて所要の改正をはかるものとする。」ということでございます。この点はもうどなたも御存じのことでありますが、実はこれは数字についてごらんいただきますと、現在の日本の年金制度というものは、いかにまあ名目だけのものであって、しかもごくわずかの者にとってしか意味を持っていないということがおわかり願えるのであります。今、日本にある年金制席の、一番効率のいい年金制度は、申し上げるまでもなく、厚生年金制度でありますが、この厚生年金制度で二十年の資格期間を満たして老齢年金を受け得る者は、男子で六六・九%、七割足らず、しかし、これはもう圧倒的にいい率でございます。女子は一〇・五%、つまり一割程度の人が年金を受ける。それから国鉄共済の退職年金制度は比較的効率のいい制度とされているのでありますが、これも平均をいたしましてわずかに二〇・四%、二割程度の者が老齢年金を受けて、退職年金制度と称しながら、実は二割の人が年金を受け、八割の人は年金によらざる一時金でいわば適当に片づけられている制度ということになるわけであります。私学共済になりますと、男で一九・六%、女で一三・二%、これは女子は学校の職員の場合はやや効率がいいわけであります。農林共済におきましては平均して一一・四%、わずかに一割強でございます。したがって、そのそれぞれの年金制度に所属しておった期間を生かして、結びつけて、老齢年金をもらえるようにするということが、言葉の上だけでなくて、実際上はこれは非常に目立たないことでありますけれども、意味のあることだということがわかるわけであります。こういうような事情からいたしまして、社会保障制度審議会はもちろんのこと、関係各省もこの機会にひとつ各公的年金制度におけるこの問題を解決しようということで、お互いに協力をしたわけであります。 「二 通算の対象とする公的年金制度 通算の対象とする公的年金制度は、次のとおりとする。 国民年金、厚生年金保険、船員保険、国家公務員共済組合、市町村職員共済組合その他地方公務員の退職年金制度、私立学校教職員共済組合、公共企業体職員等共済組合、農林漁業団体職員共済組合」 「三 通算老齢年金各公的年金制度は、当該制度の老齢年金を受けるに必要な資格期間を満たしていないが、各制度に加入した期間を通算すれば所定の年数に達する者に対して通算老齢年金を支給する措置を講ずるものとする。」これはじゅずつなぎの年金方式の原則をうたったのであります。「四 通算老齢年金の支給要件通算老齢年金の支給要件は、各公的年金制度の被保険者期間を合算して二十五年以上であるか、又は二十五年未満であっても国民年金以外の各被用者年金の被保険者期間を合算して二十年以上であることとする。」 これはちょっとくどく書いてありますが、こういう意味であります。一生の間に動き回った制度が被用者年金と呼ばれる制度であるならば、合算して二十年以上になれば老齢年金がもらえるようにする。それから被用者年金の期間を合わせたのでは三十年にならぬという場合にはそれと国民年金に所属した期間を加えて二十五年以上になれば老齢年金がもらえるようにする、こういう趣旨でございます。この場合にどれだけの期間が生きるかということについて、「一 の公的年金制度における被保険者期間が一年以上である者に限り、合算の対象とする。」 それから「(ロ)昭和三六年四月一日前の被保険者期間のうち、すでに脱退手当金を受けた期間は、合算の対象としない。」これはすでに退職一時金を受けてそれぞれの制度と縁がなくなった人の分については、もう実際上それぞれの制度としてどうしようもございませんので、この通算の措置はすべてこの法律が施行されてから、つまりことしの四月一日以降ということにしたわけであります。 「(2)受給資格期間についての経過措置 経過措置として昭和五年三月三一日以前に生まれた者については、二五年の資格期間はその者の年令に応じて一〇年以上二四年までに短縮する。この場合の年数は、その者の昭和三六年四月一日以後の被保険者期間のみをとるものとする。 なお、これに伴ない、その者が右の期間同一の制度に加入していた場合には、当該制度の老齢年金を受けるに必要な資格期間を満たしていないときであっても、通算老齢年金に相当する年金を支給する措置を講ずるものとする。」これは実は非常に大きい意味を持っている経過措置でございまして、この経過措置をのむことについて関係の各制度としてはかなり苦しんだわけでありますが、最後はいずれも快くのんでくれたわけであります。これはそれぞれの制度について国民年金と同じ経過措置をして、さらにこの通算が生きるようにする。国民年金と結びつくことによって二十五年以上という原則でありますけれども、しかし、年をとっている人の場合にはそうはいかぬ。国民年金については年をとった人は十年でよろしい。逐次延びてそれが二十五年までになるわけであります。それと同じような措置をそれぞれの制度でもとってもらう。したがって、ことしの四月に五十をこえている人々はほかの制度に五年おってその後やめて国民年金に入って五年たつということがあっても十年で年金がもらえるというようにしようという措置であります。それから「なお、」の方が実はもっと各制度において大きい意味を持っているわけでありますが、そういう措置を各制度が国民年金との関係において講ずることにいたしましたので、それならば自分の制度の中にことしの四月以降十年以上いた者についてその者がたとえ二十年にならなくともあるいは特別な制度で十五年と規定しているものがありますが、十五年にならなくともその人に当然老齢年金があっていいじゃないかというところまで議論が発展いたしまして、それもやろうということになったわけであります。したがって、ことしの四月を起点にいたしまして、各種の公的年金制度を通じまして、これからそれぞれの制度で期間を過ごす比較的年をとった人々にかなり有利な経過措置を講ずるという仕組みがすべての年金制度を通じて行なわれることになったわけであります。まあ申し上げれば非常にこれは簡単なことでありますが、なお、ここまでいくのに各制度としては相当いろいろな検討をされたわけであります。 「(3)支給開始年齢 通算老齢年金の支給開始年令は、国民年金にあっては六五歳、国民年金以外の各被用者年金にあっては六〇歳とする。」 なお、それぞれの制度で繰り上げ支給の規定のありますものについては当然それはそれで適用されるという原則をとっております。 「(4)現に公的年金制度の被保険者である者の取扱い 通算老齢年金は、受給資格期間を満たした者が六〇歳又は六五歳に達した後に現にいずれかの公的年金制度の被保険者である場合であっても、当該制度の通算老齢年金の支給は停止するが、その他の制度の通算老齢年金は支給するものとする。」 これはこういう趣旨でございます。たとえば被用者の年金制度を三つ移ってその期間を合算すれば二十年になる。残りの期間を現在国民年金に属して暮らしている。まだ六十五まではならぬ。六十一ぐらいになったと、こういうような場合には、その人には国民年金の金は支給されませんけれども、それ以外の制度の分は六十をこえておりますから支給する、これがどの制度の関係においてもそういうふうにしようと、こういうことでございます。つまり従来の制度でそれぞれの制度が与えておりました利益というものは最大限に生かすという原則を貫いたわけでございます。 「五 通算老齢年金額 通算老齢年金の額は、合算の対象となった被保険者又は保険料納付済期間に応じて、次に定めるところにより算定した額とする。 (1)国民年金にあっては、保険料納付済期間一年について九〇〇円(二〇年をこえる部分については一二〇〇円とする。 (2)厚生年金保険にあっては、被保険者期間が二〇年である場合の老齢年金の基本年金額の二四〇分の一に被保険者期間の月数を乗じた額とする。 (3)その他の制度にあっては、厚生年金保険の給付水準を下回らない額とする。」 これは国民年金におきましては、すでに制度発足のときから通算を予想しておりましたので、国民年金に所属しておった分だけが当然いくようにきめたわけであります。問題は厚生年金でございまして、今の厚生年金におきましては、二十年に満たない場合の受け取る退職、脱退手当金というものはかなり低い額になっておるのであります。したがって、それだけをもとにしてこれを年金化することを考えるということになりますと、二十年に達した人の分と比べて非常に不利になることになるわけであります。この点いろいろ厚生省内で原局を中心に論議いたしました結果、この際ひとつそういう人々にも二十年の資格期間を満たしたものと同じレベルの年金額が行き渡るようにしよう、この通算の措置を通じてこの態度というのはほかの被用者年金にも及びその基本となるものであるだけに、この厚生年金はそれに踏み切ろうじゃないかということで踏み切ったわけであります。したがって、厚生年金におきましては、今度の通算措置によりまして二十年未満の人々の取り扱いというものは非常に内容が引き上げられたのであります。当然のこととして保険収支の上において若干のこれはマイナスの因子になっております。千分の二程度のマイナスの因子になっておるのでありますが、これは運用利回りの改善その他の方法で解決をして保険料にははね返ってこないようしよう、こういう原則をとることによって問題を解決したわけであります。厚生年金がこういうふうなことになりましたので、ほかの制度も少なくとも厚生年金並みのものは出すと、その差額をそれぞれの制度は従来どおり退職一時金として出していく、こういうことになったわけであります。したがって、制度によりまして、従来の退職一時金のうち三割程度この通算の措置が解決つき、残り七割くらいが退職一時金でいくという制度と、従来の退職一時金の四割あるいは五割程度を使っていくということの結果、退職一時金は従来の半分程度に落ちるという制度が出たわけであります。なお、この問題について、それぞれの制度もこの機会に厚生年金と同じような措置をとるべきではないかという意見も一部にあるわけでありますが、ほかの制度は、やはり一部労務管理という性格を持っているという事情がありまして、この場合、厚生年金ほどすっきりとは踏み切れない。したがって、それぞれの制度の中における受給資格期間を満たす者と満たさない者との相互関係は、これは通算の問題ではなくて、それぞれの制度自体の問題としてあらためて考えていくという態度をとることによってこの問題と一応切り離す、こういうことになったわけであります。 「六 脱退手当金との調整 通算老齢年金の支給に必要な費用は、現行の脱退手当金(退職一時金)の原資をもってあてるが、なお財源に余裕のある制度においては、その限度において退職一時金を存置するものとする。」、結果としては、すべての制度が従来の退職一時金の五割以上を退職一時金として存置することができるということになったのであります。 「七 一の公的年金制度において受給資格期間を満たした者の取扱い 一の公的年金制度において当該制度の老齢年金を受けることができる者又はその受給資格期間を満たした者が他の公的年金制度の被保険者となった場合においても、通算の対象とし、その者に当該他の制度の通算老齢年金を支給するものとする。」、これはこういう扱いをきめたわけであります。 「八 被用者年金の被保険者の妻等についての特例 被用者年金の被保険者の妻等国民年金の任意加入被保険者についても通算は強制適用とするが、これらの者が国民年金に任意加入しなかったときでも、通算老齢年金の受給資格期間の計算については、その任意加入しなかった期間を任意加入したものとみなして計算することとする。」、これは現在、被用者の妻をどう扱うかということが年金制度の基本に関する問題として残されており、目下、社会保障制度審議会でも御検討願っているわけでありますが、この問題について最終の結論がつくまでの間、一応こういった扱いでいく、そうして形式上、任意加入した者とみなして利益を与え得る道だけは残しておく、こういうことにしたわけであります。 「九 経過措置 昭和三六年三月三一日以後引き続き一の公的年金制度の被保険者であって次に掲げるものが当該制度を脱退したときは、その者の希望により従前の脱退手当金(退職一時金)を支給することができるものとする。この場合においてその脱退手当金(退職一時金)を受けた期間は、通算老齢(退職)年金の受給資格期間の合算の対象とはしない。 (イ)(昭和三六年四月一日において五〇歳をこえる者) (ロ)昭和三七年三月三一日以前に脱退した男子 (ハ)昭和四一年三月三一日以前に脱退した女子」——最後のこの「女子」には若干議論があるようでございますが、これは簡単に申しますと、今後五年間だけはどちらをおとりになってもけっこうですというような措置にしたわけであります。したがって、全部退職一時金をもらって、通算の基礎にならぬというような道をとってもよろしいし、また、退職一時金は退職一時金でもらうが、一部を通算の原資として残しておいて、将来の年金のもとにするというふうにしてもよろしいという措置をとったわけであります。この五年について、これを将来永久に自由にしたらどうかという意見もあったのでありますが、いずれにしても、公的年金対象者の配偶者である女子をどうするかということが根本的にきまったら、それとにらみ合わせて処置すべき問題である。したがって、五年間の経過期間というものを設けておき、その後の推移を見た上でさらに処置をするという道をとってよかろうということで、思いきり長い経過措置をここで設けるということにしたわけであります。男子のほうは、これは当然のことながら、一年ということにしたわけであります。 「十 通算のための機構 通算老齢年金の支給決定は、各制度において行ない、その支払は別途便宜な方法を考慮するが、さしあたりはそれぞれの制度において行なうものとする。」、これはいろいろ議論がありまして、やはり望ましい方法としては、どこか一つの機関を通じて、それぞれの制度から受けるものをまとめて被保険者に支払いをする、受給権者に支払いをするということが望ましいと考えておるのであります。ただ、これについてば、現段階においては、それほどの量でもないし、それほど大がかりな措置は必要あるまいということで、さしあたりこういうそれぞれの制度が行なわれるということにしたわけでありますが、いずれこの通算の年金を受ける者の数がふえて参りますならば、当然この規定が必要になるわけであります。その趣旨におきまして、通算年金通則法案におきましても、政令で定める者にこの支給をさせることができるということで、将来必要を生じた場合にそれを補い得るもとを作っておいたのであります。 「十一 通算制度の実施に伴なう各制度の調整 (1)通算老齢年金の支払期月、未支給年金の支給対象、支給順位等は、可能な限り各制度を通じて統一する。」、これは、今回の通算年金通則法案におきまして全部統一をいたしました。 「その他各制度は所要の調整を行なう。」ということで、これは四月一日から実施するということにいたしておったわけでありますが、前回成立をいたしませんでしたので、公布の日から実施をする。四月から公布の日までに起こりましたものにつきましては、特に本人が希望を申し出た場合だけ通算の措置をする。そうでない場合は、これは当人たちは退職一時金の全部をもらうという道をとることを好んだわけでございますので、それはその自由にまかせる。こういうことにしたわけでございます。
○委員長(谷口弥三郎君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(谷口弥三郎君) 速記を始めて。 それでは午前はこの程度で、暫時休憩いたします。 午前十一時五十九分休憩 —————・————— 午後一時十八分開会
○委員長(谷口弥三郎君) 休憩前に引き続いて開会いたします。 まず第一番に、この際連合審査会に関する件についてお諮りいたします。本院規則第三十六条に基づき、水資源開発促進法案及び水資源開発公団法案について建設委員会と連合審査会を開会することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(谷口弥三郎君) 御異議ないと認めます。 なお、審査会の開会日時などにつきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(谷口弥三郎君) 御異議ないものと認めます。それではただいまの決議に基づきまして、委員長は建設委員長と協議することにいたします。 —————————————
○委員長(谷口弥三郎君) 次に、これから休憩前に引き続いて、国民年金法の一部を改正する法律案外四件の補足説明を続行いたします。 まず、児童扶養手当法案、これについて補足説明を大山児童局長にお願いいたします。
○政府委員(大山正君) お手元に差し上げてあります「児童扶養手当法案参考資料」の五ページに、児童扶養手当法案要綱がございますので、この要綱につきまして御説明申し上げます。 第一、制定の目的、「母子家庭等が置かれている経済的社会的状況にかんがみ、父と生計を異にしている児童を監護している母等に対し、児童扶養手当を支給し、児童の福祉の増進を図ること。」この目的につきましては、申すまでもなく、生別母子家庭を主体にいたした制度ということに相なっておるのでございますが、なぜこの生別母子家庭に対する手当を国民年金でやらずに単独の法案として提案したかという点につきまして御説明申し上げますと、すでに御承知のように、国民年金法は拠出制の国民年金をもとにいたしまして、それの補完的あるいは経過的なものについて無拠出の福祉年金を規定しているわけでございます。生別母子家庭につきましては、離婚が前提になるわけでございますが、離婚を保険の事項として拠出制年金に取り入れるということにつきましては、担当の年金局におきましてもいろいろ検討いたしましたが、理論上も非常にむずかしい問題があると、各国の立法令等を見ましてもあまり例がないというようなことで、拠出制の年金には取り入れることができない。したがいまして、また、無拠出制の年金にも取り入れることができないということでございまして、この際、単独立法としてこのような生別母子家庭等に対して手当を支給しよう、こういう趣旨の法案でございます。 第二の「内容の要点」でございますが、「一、支給要件(1)父母が婚姻を解消した後、父と生計を異にする児童、」いわゆる生別母子家庭でございますが、これが主体でございます。それから「父が死亡した児童、」父が死亡した場合には原則として国民年金が支給されるわけでございますが、例外的な場合といたしまして、たとえば母が二十才未満であるとか、あるいは父が死亡した際に生計維持の関係がなかったというような特別の場合には年金が出ない場合がございますので、こちらにそういう場合も取り入れようという考え方でございます。それから「父が廃疾である児童等」そこに「等」とございますが、例示として申し上げますと、法律に書いておりますのは、父が生死不明になったような場合でございます。 それからこれに準ずる場合を政令で規定することになっておるのでございますが、ただいま政令で掲げることを予定しておりますのは、たとえば父に遺棄されている児童あるいは父が長い期間にわたって法令によって拘禁されているような場合、そういう母子家庭に準ずるような場合を考えておるのでございます。なお、法律婚のみならず事実婚の場合、あるいは婚姻によらない母子状態にある世帯というようなものにつきましても加えるようにいたしたいと考えて検討いたしております。そういう児童でありまして、「義務教育終了前のもの」この年令制限につきましては、国民年金の無拠出年金等の母子福祉年金と同じでございます。そういう義務教育終了前の児童を母が監護している場合には母に支給いたします。母もおらない、あるいは母が監護しておらないというような場合に第三者がこれを養育しております場合には、その第三者に対しましても支給するということにいたしております。 「(2)母若しくはその他の受給資格者又は児童が公的年金を受けているときは支給しないこと。」たとえば国民年金の母子福祉年金等を母が受けている場合にはこれを支給しないということでございます。 次の「(3)母又はその他の受給資格者が、前年において十三万円(児童一人につき三万円を加算する。)をこえる所得を有したときは支給しないこと。」、この所得制限につきましては母子福祉年金と同じでございます。カッコの中の三万円につきましては、前国会に提案しましたときには一万五千円という原案でございましたが、先ほど年金法につきまして御説明申し上げましたように、衆議院の社会労働委員会の前国会における修正議決をそのまま取り入 れまして、この点三万円というように直して提案いたしております。 「(4)母又はその他の受給資格者の扶養義務者が、前年において、標準世帯にして五十万円程度以上の所得があったときは支給しないこと。」と扶養義務者の所得が多いということによる支給制限につきましてもおおむね母子福祉年金に準じております。それから災害等の場合に支給制限を撤廃する点につきましては、先ほど母子福祉年金について御説明したのと同様の措置を講じております。 「二、手当額 児童扶養手当の額は、児童一人の場合は月八百円、二人の場合は千二百円、三人以上の場合は、千二百円に三人以上の一人につき二百円を加算した額とすること。」、第一子八百円、第二子四百円、第三子以降は二百円ずつという手当額にいたしております。 三が支払期月、児童扶養手当の支払いは一月、五月及び九月の三回に支給することにいたしております。この点は国民年金法におきまする母子福祉年金と同じ月をとっております。この点、前国会に提案いたしましたときには少しこれと異にしておりまして、三月、七月、十一月という月をとっておったのでございますが、その後検討の結果、やはり国民年金法と同様にすることが適当だと考えまして、今回の提案にあたりましてこの点を直して提案いたしております。 「四、不服の申立て 児童扶養手当の支給に関する処分に不服がある者は、都道府県知事に異議の申立てをし、さらに不服がある者は厚生大臣に審査の請求をすることができること。 五、費用 児童扶養手当の支給に要する費用及び事務の執行に要する費用は国が負担すること。 第三 施行期日 施行期日は、昭和三十七年一月一円とすること。」、で本年度は一月から実施いたしますので、予算といたしましては一月、二月、三月の三カ月分を計上いたしておりまして、総額において二億四千二百十六万円の予算を計上いたしております。この対象になる世帯数、児童数でございますが、本年度の予算におきましては五万九千八百九十五世帯の母子世帯と、孤児としまして一万五千九百六十九世帯、合わせまして七万五千八百六十四世帯を支給の対象にいたしております。児童の数にいたしまして十二万六千七百七十五人の児童数を見込んでおります。 なお本法案につきまして、去る十月十九日に衆議院の社会労働委員会で議決になりましたときに附帯決議が付せられておりますので、その附帯決議を朗読いたします。 児童扶養手当法案に対する附帯 決議 一、政府は、本制度の実施にあたっ ては、その原因のいかんを問わ ず、父と生計を同じくしていない すべての児童を対象として、児童 扶養手当を支給するよう措置する こと。 二、政府は、児童手当又は家族手当 につき、世界の諸情勢を研究しな がら将来これが実現につき努力す ること。 以上補足説明を申し上げます。
○藤田藤太郎君 ちょっとわからぬところもう一ぺん言ってくれませんか、最後の金額幾らになりますか、金額と世帯人員。
○政府委員(大山正君) 本年度の予算の総額が二億四千二百十六万円、それから世帯数が、母子世帯が五万九千八百九十五世帯、それから孤児の世帯として一万五千九百六十九世帯、世帯数合わせまして七万五千八百六十四、それから児童数にいたしますと、延べにして十二万六千七百七十五人、こういう計算をしております。
○藤田藤太郎君 それからもう一つ、今のところで、五十万程度と書いてあるが、五十万程度という条件はなかったように思うのですが……。
○政府委員(大山正君) 標準世帯の場合、五十万円の所得と、扶養家族数が変わりますと、その五十万円という金額が変わって参りますので、そういう意味でございます。 —————————————
○委員長(谷口弥三郎君) それでは、次に年金福祉事業団法案につきまして、森本保険局長から説明願います。
○政府委員(森本潔君) 年金福祉事業団法案について補足説明を申し上げます。 お手元に、年金福祉事業団法案関係参考資料というのがございます。このページの五ページをお開き願いますと 要綱がございます。これを中心に御説明申し上げます。 第一の目的でございますが、これは大臣の提案理由に申し上げましたとおり、福祉事業団は、厚生年金と船員保険及び国民年金と、こういうようないわゆる長期保険で、積立金を持っておる保険でございますが、厚生省所管で三つございます。この三つの保険の福祉施設の設置及び運営を適切かつ合理的に行ないたいというのが一つでございます。福祉事業団が、これら三保険の福祉施設の設置運営を行なうということが一つでございます。 それから第二としまして、これらの制度の被保険者、被保険者であった者及び受給権を持っておる者、これらの人に福祉の増進に必要な施設の設置または整備を促進するための措置を講ずることを目的とする。この「設置又は整備を促進するための措置を講ずる」と申しますのは、具体的には、金融の、金を貸すということをいっておるわけでございます。したがいまして、事業団としまして、みずから施設を設置するということが一つと、それからもう一つとしましては、施設の整備のための金融をさせるとかいうのと二つの目的を持っておるわけでございます。提案理由にもございましたように、この仕事は、かねて還元融資という形で地方債でやって参っております。ところが、実際やってみますと、実際設置いたしますところの事業主、被保険者の団体にとりましては、地方債という形で又貸しを受けるわけでございます。その結果、地方財政にいろいろ影響されて、実際ほしいところが借りられないということでございます。あるいは地方公共団体としましては、自分が設置するのじゃなくして、トンネルをするだけである。いろいろ事務的なめんどうもあるほかに、債務の負担もしなければならないという事情もございます。それから現実の様子を見ますと、大企業のほうにおきましては、比較的地方債の形で還元融資が借りられやすいわけでございますが、中小企業のほうにはなかなか行きわたらないというのが実情でございます。したがいまして、こういう地方債という形の不便を除きまして、また同時に、中小企業に借りやすい形をとるというためにこの事業団というものを考えたわけでございます。これは大臣の提案理由の御説明にもあったとおりでございます。 それから第二の総則のところでございますが、一としまして、「年金福祉事業団は、法人とし、主たる事務所を東京都に置くものとする」これは二番の「事業団の登記、名称の使用制限、住所及び不法行為能力等について規定するものとする」事業団の登記は政令で定めることになっておりますが、他の一般の事業団の場合の登記の方法と同様にすることにいたしております。それから名称の使用制限は、この事業団以外のものは、年金福祉事業団という名称を使ってはならぬということにいたします。それから住所及び不法行為能力等につきましては、民法上の公益法人と同様の規定にいたしたいと思います。 第三の役員及び職員でございますが、一、事業団役員として理事長一人、理事三人以内及び監事一人を置く。理事長及び監事は厚生大臣が、それから理事は厚生大臣の認可を受けて理事長が任命するものとする。これも他の事業団の例と同様でございます。 二番に「役員の欠格条項、兼職禁止、職務権限、任期及び代表権の制限について規定するものとする」役員につきましては、欠格条項といたしまして、国会議員でありますとか、あるいは国家公務員でありますとかいうものは資格がないということ。それから事業団と営業上の取引関係にある者もこれも欠格条項といたしております。こういうものを欠格条項とします。それから役員の兼職禁止でございますが、役員には、営利を目的とする団体の役員とか、あるいはみずから営利事業を行なっている者、こういうものは役員になれないという制限をいたしております。それから職務権限につきましては、「理事長は、事業団を代表し、その業務を総理する。」とあります。それから「監事は、事業団の業務を監査する。」それから理事は、理事長の職務を補佐するという一般的なことでございます。任期はいずれも四年でございまして、再任を妨げない。それから「代表権の制限」これは理事長の問題でございますが、これが事業団と理事長との個人的利益が反する場合には、理事長の代表権は制限されるということでございます。この場合は、監事が代表権を代行することになります。 三番目の「事業団の職員の任命並びに役員及び職員の公務員たる性質について規定するものとすること。」事業団の職員の任命は、これは理事長が行ないます。それから「役員及び職員の公務員たる性質」云々と書いてございますが、これの意味は、事業団の役員、職員は、刑法の罰則の適用につきましては、これは公務員とみなすということにいたすわけでございます。 第四に業務でございますが、「一事業団は、その目的を達成するため、次の業務を行なうものとすること。」仕事の内容でございますが、イとしまして、「厚生年金保険法、船員保険法及び国民年金法による福祉施設のうち、老人福祉施設、療養施設その他の施設で政令で定めるものの設置及び運営を行なうこと。」それからロとしまして、「次に掲げる者に対し、被保険者等の福祉を増進するため必要な老人福祉施設、療養施設その他の施設で政令で定めるものの設置又は整備に要する資金の貸付けを行なうこと。」(1)としまして、「事業主又は船舶所有者」(2)「(1)の事業者で組織された事業協同組合その他の法人又はこれらの連合体で政令で定めるもの」(3)「被保険者等で組織された農業協同組合その他の法人又はこれらの連合体で政令で定めるもの」(4)「前三者以外の被保険者等の福祉の増進に必要な業務を行なう法人で政令で定めるもの」ということでございまして、イの方は、自分がみずからどういう施設を設置、運営するかということでございます。口の方は、どういうものに対して、どういう施設に資金を貸付するかということを規定したものでございます。この点につきましては、この資料の四十三ページをお開き願います。四十三ページの二としまして、「昭和三十六年度事業計画(案)」というのがございます。(1)の方から申しますと、昭和三十六年度におきましては、資金運用部資金の借入金五十億を原資としまして、同額の貸付を実施する予定であります。この五十億円のうち、四十億円は、昭和三十六年度財政投融資計画による厚生年金還元融資の二百六十億円のうちから充当することにしまして、十億円は同じく国民年金特別融資七十五億円のうちから充当することにいたしまして、合計五十億円の原資で三十六年度は仕事をする予定でございます。 それからなお、このほかあとで申し上げますが、政府交付金七千九百万円をもって事業団の業務の執行に要する経費に充てることにいたします。それからこの政府交付金と申しますのは、それぞれ特別会計から支出いたしまして、主として事務費に充てるのでございます。 それから二番目のどういう施設にどのくらい貸すかという予定でございますが、貸付対象施設別の貸付計画でありますが、「次の資金需要見込額調を勘案のうえ、別途決定するものとする。」、一応申請が出て参りまして、それによって再検討しなければなりませんが、一応のめどとしまして厚生福祉施設に三十三億円、それから療養施設に十七億円、合計五十億円というのを、一応今のように内訳は予定してありますが、これは実際の要求によりまして再検討しなければならないと思っております。 それから三番目の「貸付けの対象となる施設及び貸付けを受けることができる者」、これが先ほどの要綱に関連するわけでありますが、どういう施設を貸付の対象にするかということでございますが、法律の上では老人福祉施設、療養施設その他政令で定めると書いてありますが、老人福祉施設と療養施設は法律で書きますが、その他のものは政令で書くことを予定しているのであります。1の老人福祉施設、2の療養施設、3の休養施設、4の体育施設、それから5の教養文化施設、6の共同給食施設というものを一応考えております。これは政令できめたいと思いますが、なお、このほかのものを政令段階で検討いたしたいということで、一応7号その他の規定を設けてあるわけであります。 それからIIの「貸付を受けることができる者」、貸付の対象でございますが、先ほど申し上げましたよりやや詳しく申し上げますと、1は厚生年金保険の適用事業所の事業主、それから船員保険の船舶所有者、いわゆる事業主のことでございます。これらは保険料を納めておりまして、事業としまして被保険者のためにいろいろ福祉施設をするわけでありますから、これが一つ、これらの事業主、それから船舶所有者が借り受けることができることといたします。それから二番目は、一号に書きました事業主、船舶所有者、これらの者が組合を作る、あるいは連合会を作るというように法人組織で借り入れることがございますが、それも対象にいたします。この協同組合連合会のごときは中小企業の事業主、船舶所有者が借りる場合にこういう組織が考えられると思います。それから三番目の「農業協同組合、漁業協同組合、消費生活協同組合、これらの組合の連合会」、これは主として国民年金関係のことを頭に入れておりまして、農村、漁村等におきましては、こういう農協だとかあるいは漁業協同組合というものが一つの被保険者の組織として貸付の対象に考えるのが適当ではないかということでございます。それから4の「健康保険組合、国民健康保険組合、これらの組合の連合会」、これらも大体被保険者の組合でございます。それから従来ともこれらのものに対して還元融資をいたしておりましたので、同様に扱いたいと思います。それから五番、六番はいわゆるその他の法人ということでございますが、五番目においては「民法第三十四条の規定により設立した法人」、いわゆる公益法人、それでありますとか、「社会福祉法人」、これは社会福祉事業法によって設置されております。または「学校法人」、これは学校教育法によって作られた法人でございますが、これらのものでありまして、その施設が「被保険者等の福祉を増進するために必要な施設を設置又は整備しようとするもの」、その施設の目的が被保険者の福祉の増進のためにこういう法人がやるという場合には対象とすべきだと思います。たとえば社会福祉法人でありますと、この老人福祉施設とか療養施設を作ることがありましょうし、あるいは学校法人の中には大学の附属病院を作るというような場合もあろうかと思いますが、こういうものも、被保険者のために使われるという場合は、その対象としてはどうかと考えております。それから第六の「日本赤十字社」、これはこの法律が特別別記したわけでありますが、意味は五番目と同じような意味でございます。大体従来厚生年金の対象にしておったものプラス社会福祉法人または学校法人、それから今の農協、漁業協同組合あるいは消費生協というようなものも対象に加えて参りたいと考えております。なおこれらのものは、今後政令段階におきまして、あるいは運用後の実情を見ましてつけ加えることがあろうかと考えております。 もとに返っていただきまして、八ページでございますが、第四の業務は今申し上げたことで御了承いただけるかと思います。その八ページの中ほどの二のところでございますが、「事業団は、厚生大臣の認可を受けて、金融機関に対し、その業務の一部を委託することができるものとすること。」、事業をやります場合に、事業団が各地に支所と申しますか、支店を置いてやる方法もございますが、これは事務費もかかりますし、めんどうなことが多いので、二心金融機関に業務を委託する予定でございます。貸付業務、それから取り立て業務と申しますか、そういう業務を委託する予定でございます。それから委託する金融機関につきましては、一般に公庫、公団等の先例等がございますので、それによって指定して参りたいと考えます。三番目の「事業団は、業務開始の際、業務方法書を作成し、厚生大臣の認可を受けることとし、これを変更しようとする場合も、また同様とすること。」、業務を開始する場合には業務方法書を作りまして、大臣の認可を受ける。それから四番目の「事業団は、四半期ごとに、事業計画及び資金計画を作成し、厚生大臣の認可を受けるものとすること。」、これも同様でございまして、これは四半期ごとにこの事業の計画、資金計画を作って大臣の認可を受けるわけであります。 第五の財務及び会計。一「事業団は、毎事業年度毎に予算及び財務諸表を作成し厚生大臣の認可を受けるものとすること。」、年度初めの予算についての認可を受けます。それから財務諸表と申しますと、財産目録でありますとか、貸借対照表、損益計算書というものを財務諸表と言っておりますが、こういうものをあらかじめ承認を受ける。それを事後においても報告をして承認を受けるということでございます。それから二番目の「利益及び損失の処理について規定すること。」、まあこれもわかりきったことでありますけれども、利益というものが生じました場合は、前年度の損失をまず埋めて、余りがあった場合には積立金をする。あるいは損失につきましては、損失があった場合には積立金でくずして処理する。なお処理しきれない場合においては繰越欠損金として処理するというような一般的なことを書いてあるわけであります。三の「事業団は、厚生大臣の認可を受けて長期及び短期の借入金をすることができるものとすること。」、これが原資になるわけでございまして、長期借入金と申しますのは、これは政府と申しますか、政府から借りることにいたしておりまして、一般銀行から借り入れにおきまして、すなわち言葉をかえて申しますと、大蔵省の資金運用部から長期資金は借り入れる。これが貸付の原資でありまして、本年度でありますと五十億という数字になるわけでございます。それから短期の借入金、これは年度内に償還するものでございまして、これは資金不足のためにつなぎ資金として借りることができるわけでございます。四番目に「債券発行について規定すること。」、これは法律の上では年金福祉債券を発行することができるということになっております。ただいまのところ、年金福祉債券を発行する予定はございませんが、一般にこの事業団におきましてはこういう規定がございますので、同様に規定いたしたわけであります。五番目の「政府は、予算の範囲内において、事業団に対しその業務に要する費用を交付することができるものとする。」この事業団に対しましては政府は出資ということをいたしておりません。貸付の原資を借り入れさせることを認めるだけでありまして、事業につきましては出資金によらずに交付金で処理するということでございます。これは厚生年金、それから船員保険国民年金のそれそれの特会からそれそれの事業費として事務費を交付することにいたしております。この予算が大体今年度で七千九百万円という予定でございます。それから六番の余裕金の運用方法及び財産の処分等の制限について規定すること。余裕金が年度内に出ることがございますが、これは使い方としましては国債を買う、それからあるいは厚生大臣が指定する金融機関へ預ける、こういうように余裕金の運用方法を指定してございます。それから財産の処分の制限につきましては、これは厚生大臣の認可を受けなければ具体的に処分をしてはならないということにいたしております。それから七「その他事業団の財務及び会計に関し必要な事項は、厚生省令で定めることとする、」これは文字どおりでございますので省略いたします。 第六の監督、一「事業団は、厚生大臣が監督するものとすること。」二番の「厚生大臣が事業団もしくは受託金融機関に対して行なう報告の要求及び立入検査について規定するものとする」これも文字どおりでございます。 第七、協議、事業団の事業計画と資金計画、業務方法書、業務の委託または予算等の認可を厚生大臣がするわけでありますが、その際には厚生大臣は大蔵大臣と協議をすることにいたしております。 第八罰則、「事業団の役職員が、この法律に規定する厚生大臣の認可又は承認を受けなかったとき、法律に規定する業務以外の業務を行なったとき等の場合について、所要の罰則を設けること」といたしました。 第九、その他、一この法律は、公布の日から施行いたします。それから事業団設立の手続については、設立委員を設けまして設立の準備をいたすことにいたしております。それから三、登録税法等の一部を改正すること、これは税の免除規定でございます。 大体以上のようなものでございまして、この業務の開始につきましては、法律が成立いたしましたならば、およそ一カ月の準備期間をおきまして、諸準備をいたし、届け出をいたしまして業務開始は一カ月後に予定しております。できれば年度内に最初の貸付ができるようにいたしたらどうだろうかということで準備をいたしたわけでございます。 それから要綱につきましては今の程度でございますが、なお関連いたしまして若干の説明を申し上げます。四十一ページ、この事業団の組織といたしましては、役員は先ほど申し上げました五人、それから職員は三十一人という程度で発足いたしたいという考えでございます。 それからその次の四十三ページは先ほど御説明申し上げまして、四十四ページの四の融資の条件でございますが、これは業務方法書でさらに詳細規定するわけでございますが、大体の見当、案といたしましては、利率は原則として六分五厘にいたしてどうだろうか、ただし、この老人福祉施設でありますとかいうように、ペイすることが困難なものがございます。そういうものにつきましてはこの利率を若干下げるということも考えております。それについての損失が出て参りますが、これは先ほど申しました政府の交付金七千九百万のうちで不足分はまかなうようにしたらどうか、こういうことでございます。原則として六分五厘でございますが、収支の償なわないような施設については若干下げるという気持を持っております。償還期限は原則として二十五年以内、据置期間は五年以内、それから償還の方法は、貸付金の償還は、原則として割賦償還の方法によります。五番の担保、担保は徴するものとして、不動産、動産その他の資産をもってこれに充てることにいたしております。それから六の保証人は原則として作るようにいたしております。それから七の基準単価でございますが、これは一応のめどとしてこの附表のとおりといたします。 四十七ページの業務委託基準でございますが、これも先ほど申し上げましたように、事業団が公庫等に業務を委託する際の基準をここに書いてございます。大体同様な方法で選択を、いたしております。 それから五十二ページをお開き願います。この表は、三十六年度におきますところの厚生年金の還元融資の額と、それから国民年金の特別融資の額、それそれの運用計画を書いたものでございます。一番左に区分の表がございまして、一として医療金融公庫、二番として従来の還元融資事業、これまでやって参りました還元融資事業としまして住宅、病院、厚生福祉施設がございます。三として一般地方債事業、上水道、下水道、清掃事業、簡易水道、大体こういうものに還元融資をいたすわけでございます。それそれの資金の量はここにございますように、地方債計上分百四十億、新規分の転貸が四十四億、継続分の転貸が十六億、事業団が四十億とございますが、これが事業団の原資になっております。その他として二十億、これは医療金融公庫の分でございます。合計いたしまして厚年の還元融資二百六十億でございます。 それから同様に右のほうをごらん願います。国民年金関係といたしましては、計の欄に七十五億というのがございます。これが国民年金の特別融資額の総額でございます。これらを合わせまして、右の欄にございますように、三百三十五億というのが本年度におきますところの厚年と船員と国民年金の新規増加額の四分の一に当たる額でございます。新規増加額の四分の一相当額の三百三十五億を還元融資、特別融資に充てる、こういうことでございまして、そのうち事業団が厚年分は四十億、国民年金分が十億、合わせまして五十億、こういう計画になっているわけでございます。 その他いろいろございますが、細部にわたりましてはあとでごらん願いたいと思います。 それからこの法律案につきまして、法律案を出します際に各種の審議会に諮問をいたしたわけでございますが、いずれも法案の趣旨には賛成でございまして、それそれ意見としましておもなるものを申し上げますと、融資のワクをもう少し拡大すべきじゃないかというような意見あるいは事業団はこの融資のほうだけやるようにしてはどうかという御意見等がおもな御意見でございました。 以上がこの説明でございます。 なお、これは御参考までに申し上げますが、先般来衆議院の社会労働委員会で御審議をいただきましたわけで拠りますが、その際、社会党のほうから事業団についての修正案が出ておりました。その修正案の骨子は二つございまして、一つは事業団の運営のために評議委員会を設けるという規定を挿入せよという御意見、それからもう一つ、事業団の貸付対象に身体障害者施設、母子福祉施設、住宅等を含めるようにせよという御意見、この二つの修正意見が出ておりましたが、審議の結果、修正案は成立いたしませんでした。それから衆議院におきましては、この法案可決に際しまして附帯決議がなされておりますので、これを申し上げます。お手元に配付されておるようでございますが、ごらん願いますように、年金福祉事業団法案に対する附帯決議、これが四項目ございます。一つの項目は、年金福祉事業団の資金ワクを明年度以降において大幅にふやせという御意見であります。それから第二は、年金福祉事業団の融資対象の範囲を広げ、住宅その他被保険者の福祉増進に資する施設をもその融資対象とするよう措置すべきである。融資対象を広げよ。それから第三は、年金福祉事業団の業務運営の円滑をはかるため、関係者をもって組織する運営協議会のごときものを設置するという点でございます。それから第四は、この年金積立金については、その特殊性に即した運用をはかるため、政府は明年度以降資金運用部資金に、他の資金と区別をいたしまして年金特別勘定を設けるよう努めるべきであるという、以上四点の附帯決議がなされております。あわせて御報告いたします。
○藤田藤太郎君 総体的に理解するためにちょっとお聞きしておきたい、いいですか。どうも理解が十分ちょっといきませんが、保険局長は一般の年金の投融資の複利がなんぼにしているか、それが六分五厘ということになっているのだと思うのだけれども、担保を取る、担保を取った場合に最終の危険負担は市中銀行にまかすわけだから、その場合にどれだけの危険最終負担をどこが持つか、六分五厘でやるというけれども、中小企業金融公庫のように三分二厘の手数料というものを払って、九分三厘で融資しているのだけれども、この手数料というのはどこから出すのですか。そうしないと実際において六分五厘で貸し付けできないということは他の融資の関係からぴんときたのですけれども、ここのところあたりの措置はどうするのですか。
○政府委員(森本潔君) 業務委託をいたしました場合には、実収利息の二割を金融機関に対して支払うことになっております。
○藤田藤太郎君 ちょっとわからないけれども、どういうことですか。もう一ぺん……。
○政府委員(森本潔君) 六分五厘の利子で貸し付けておる。そしてその際金融機関とか、あるいはうまく仕事がやれるかどうかまあこういうことを言っておりますが、貸付業務を業務委託機関でやるわけでございまして、これがある事業主に六分五厘で貸す、貸すというか手数料を取るわけですね。そして銀行としては、業務取り扱い金融機関としてはそいつが償還能力があるかどうかということを第一に注意してみるわけであります。そして借り主のほうとしましては、まあ事業主と申しますか、それはここに今申し上げましたように物上担保ですね。動産、不動産というような担保をつける、あるいは保証人もつけるというようなことをして償還を確保するわけですね。ですから一応それで償還の体制は確保されておるわけであります。それでこれが償還しないあるいは償還できないという場合は結局そういう場合があると思いますけれども、これはやはり事業団としての損失になってくるわけであります。
○藤田藤太郎君 全額負担……。
○政府委員(森本潔君) 償還できないものにつきましては……。
○藤田藤太郎君 最終危険負担は……。
○政府委員(森本潔君) 事業団でございます。
○藤田藤太郎君 全額事業団ですか。
○政府委員(森本潔君) ええ。
○藤田藤太郎君 それで……。
○政府委員(森本潔君) それから銀行のほうはいつも全然無責任というわけには参りませんので、実収利息の二割の範囲内では責任を持たせる。
○藤田藤太郎君 二割の危険負担をする……。
○政府委員(森本潔君) そういうことでございます。二割分については銀行も自分が判断をして世話したわけですから責任を持ちます。その分銀行に持たせる。それからそれ以上超過をしたものについてはこれまで貸出しをいたしました事業団が負担するのですが、そういうことのないように担保を取ったりいろいろやるわけであります。
○藤田藤太郎君 そいつはそうだ。もう一つは銀行の手数料はどうするのか。
○政府委員(森本潔君) 手数料は先ほど申しました実収利息の二割分手数料をやる、銀行にやるわけですな。その範囲においては銀行は危険負担をせよ、こういうことでございます。
○藤田藤太郎君 そうすると、六分五厘の中から二割は銀行にやる、そういうことなんですね。
○政府委員(森本潔君) そうです。
○藤田藤太郎君 そうして二割取ったらあとは年金の複利計算の要求額との関係はどうなんですか。どのくらいになる……。
○政府委員(森本潔君) これは六分五厘を返しまして、事業団で市中銀行から六分五厘で借りて、その六分五厘の利子をつけて返さなければならない。その勘定に合うようにやっていきます。
○藤田藤太郎君 二割出したら合わぬじゃないですか。それはどこで出すのか、七千九百万円という事務負担費の中から出すのか。
○政府委員(森本潔君) さようでございます。
○藤田藤太郎君 そうすると拡大していくと、事務負担費の七千九百万円というのは、事業が拡大するに従ってふえていくというわけですな。
○政府委員(森本潔君) そのとおりでございます。
○委員長(谷口弥三郎君) では以上をもって説明を終わりました。 これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。 ただいま見えておりますのは、大山児童局長、森本保険局長、小山年金局長が見えております。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(谷口弥三郎君) 速記を始めて。
○藤田藤太郎君 今度注文を少ししますが、小山局長、通算年金通則法案要綱というものの説明がありませんでしたけれども、これはなんですか、先ほどの公的年金のもので尽きるということですか。
○政府委員(小山進次郎君) 先ほど申し上げましたような内容を法律に規定いたします場合に、各制度共通の通則的な事項は通算年金通則法案に取りまとめ、それからそれぞれの法律の内容を改めるという部分は、通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案のほうに規定したものでございます。なお、ただいまお話に出ました通則法案と、それから関係法律の一部を改正する法律案、それらについて、先ほどの要綱との関係をごく簡単に説明さしていただきたいと思います。 九ページでございます。この通産年金通則法案が、先ほどの通算の措置を実施するために各制度共通の事項をきめたものでございます。共通の事項といたしましては、まず各関係法律共通の定義をきめるということが一つの問題でございます。定義のうち特にきめる必要のありましたことは、公的年金各法、公的年金制度、通算対象期間、通算老齢年金または通算退職年金ということでございます。それで、公的年金各法ということについて定義をきめる必要がありましたのは、通算は公的年金各法相互の間において実施すると、こういう原則をとっておりますので、その意味において、通算の実施される制度なりあるいはその制度を定めている法律が何かということをきめる必要があったのでございます。それは先ほど要綱で御説明いたしましたように、国民年金法、厚生年金保険法、船員保険法、国家公務員共済組合法、市町村職員共済組合法、私立学校教職員共済組合法、公共企業体職員等共済組合法、農林漁業団体職員共済組合法、これが公的年金各法ということになったのであります。それから公的年金制度というのは、公的年金各法で定めている年金制度を公的年金制度と、こういうふうに定義づけたのでありますが、これはこれらの制度相互の間に通算を行ないますので、きめる必要があったのであります。 その次の通算対象期間と申しますのは、通算を実施する場合に、受給資格期間を定める基礎となる対象期間という意味で、通算対象期間を定義する必要があったのであります。九ページのところにありますように、通算対象期間とは、国民年金の保険料納付済期間、国民年金以外の公的年金制度の被保険者期間または組合員期間、これをいうものでございます。 それから通算老齢年金あるいは通算退職年金というのは、通算制度を実施することによってそれぞれの制度から出てくる老齢年金を特に通算老齢年金または通算退職年金ということにしたわけでございます。 それから期間の計算について定めます原則的事項、十ページの三でございますが、それは期間の計算は普通の期間の計算でありますが、ただし、船員保険の被保険者期間は三分の四倍して計算することにいたしました。これは御承知のとおり、船員保険の受給資格期間が十五年というふうに短縮されておりますので、これを厚生年金と同じベースに直す意味におきまして、三分の四倍して計算することにしたのであります。 それから先ほど要綱で御説明申し上げましたように、一年未満の通算対象期間は合算しないという原則をとることにいたしました。ただし、市町村職員共済組合と私立学校教職員共済組合と農林漁業団体職員共済組合は、六カ月以上たっておりますと、退職一時金が出る仕組みに現在なっておりますので、特にこの三つの制度は六カ月以上を通算対象期間に入れるということにしております。 それから制度と制度の間を横に動きましたときに、同一の月が二回計算に入れられないように重複しない計算の原則をとっております。 それから四番目は、期間の確認等についての原則をきめたのでありますが、これは先ほど申し上げましたように、各制度によった期間を合算して二十年以上になるとかあるいは二十五年以上になるという原則をとっておりますので、それぞれの制度に所属しておった期間がどのくらいかということの公の確認が必要なわけでありますが、それはそれぞれの制度において行なう、こういうことにしたわけでございます。 それから、その他の通則事項といたしましては、通算退職年金の支払い期限、それから未支給年金支払い期間等について定めたわけでございます。 以上が通則法のほうでございまして、通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案は、この内容を実施するためにそれぞれの法律を定めたのでありますが、各制度共通にきめておりますことは、それぞれの通算対象期間に応ずる通算年金の額がどうなるかということ、それから国民年金と厚生年金は、これは脱退一時金を全部通算年金化しておりますので問題はございませんが、それ以外の制度は、退職一時金の中から通算年金の原資に振り向ける分と、それからその制度を離れるときに退職一時金としてもらっていく分、その振り分けをきめております。例示を申し上げますと、たとえば国家公務員共済組合系統でありますと、ならしまして、大体それぞれの人が国家公務員共済組合からほかに移りますときにもらえます退職一時金の六割から六割五分程度が、退職一時金としてそのときにもらっていく。残り三割なり三割五分というものを通算年金の原資として国家公務員共済組合のほうに残して参ります。この分が何年かたって、六十才のときに年金化されて受け取る原資になるわけであります。それから公共企業体系統の制度になりますと、受け取って出ます退職一時金はおよそ七割強になっておりまして、年金化されるものは大体三割程度でございます。専売系統のものになりますと、受け取って出ます場合の退職一時金というのは六割弱程度になりまして、四割以上が通算年金の原資として留保される。受け取ります時期とそれからもらいます時期との関係は、先ほど国家公務員について申し上げたのと同様であります。 それから、そういうふうにして、たとえば一の制度に通算年金の原資を留保したまま他の制度に移っている間に、途中で死亡したらどうなるかという問題が一つあるのであります。つまりすでに受け取った退職一時金は、自分が受け取っているから問題ありませんが、通算年金の原資として残った分はどうなるかという問題でありますが、これは各制度とも、先ほど未支給年金の説明で申し上げましたような原則に従って、全部これは遺族にその分を差し上げる、利子をつけた分がそれぞれの遺族にいく、こういうふうにきめてございます。これもただいまの関係法律を改正する法律の中にそれぞれきめられております。 大体先ほど御説明申し上げましたうちで落ちました分を補足させていただきますと、大体そんなものでございます。
○委員長(谷口弥三郎君) ただいま厚生大臣が出席されました。どうぞ御質疑のある方はお願いいたします。
○藤田藤太郎君 私はこの膨大な五つの法律案が参りまして、そして具体的に説明を受けたのはわれわれ参議院としてはこの国会、先日大臣から提案理由の説明がありまして、きょう具体的にお聞きしたわけであります。たとえば今大臣がおいでになってからお聞きになったように、一つの例をあげてみましてもわかりますように、この通算年金をする場合に、その厚生年金をベースにして、そうして国民年金への通算をはかった場合に、たとえば国鉄公共企業体であれば七〇%一時金で差し上げて、三〇%だけが次の通算年金の資金になるという話がありました。だから私も現実の問題を見てフラット二千円という厚生年金というものがいかに低いかということは、もうこの一つを取ってみてもわかると私は思う。だから実際に政府はこの手直しだけを今度……国民年金を一昨年きめて、ことしから出発したわけでありますけれども、こういうことで大臣は就任されてからまだ日が浅うございますから、大臣に責任を云々ということは言いませんけれども、しかし、こういうことでいいんだろうかということを厚生行政をおやりになる大臣としては何らかの考え方が私はあると思いますから、その考え方をお聞きしたいと思います。たとえば私はこの前の予算委員会において少し触れたのでありますけれども、具体的に少し申し上げてみたいと思うのですが、たとえば私はこの社会保障というものの柱になるのは、何といっても所得保障の年金と、医療保障の年金の問題だと思う。どこの国でもそれが社会保障の柱になっていると思います。社会保障の概念論の問題は私はきょうはやめますが、たとえば最近調べられた一九五七年の資料でここに出ておりますけれども、いかに欧州の各国が社会保障に力を入れているかということが私はこの表を見ても明らかだと思うのです。たとえばイギリスは国民所得一人三十四万四千七百三十六円に対して一人当たりの社会保障費は三万九千三百十二円も出しておる。フランスでは国民所得は二十五万九千一百九十五円であるけれども、四万六千五百九円一人の社会保障に対して出している。ドイツでは二十六万七千百八十九円という平均国民所得で、五万三千三百十八円というものを出しておる。これは軍人や一般公務員の恩給も含めた数字でございますけれども、日本は一九五七年に国民所得が一人平均九万七百四十六円で四千七百八十四円、これは一切のものを含んでいると私は思うのであります。これはどういう工合に含んでいるかという説明が厚生省からありませんからよくわかりませんけれども、大体含んでいると思うんです、恩給関係全部含んでいる。この比率を各国の国民所得と社会保障費の関係をあわせて見ますと非常な差異があると思うんです。三十五年度は十五万六千円という一人当たりの国民所得の数字を政府は発表されておりますけれども、どれだけの間に社会保障費の一人当たり分がふえたかということも私は一つの重要な参考になると思います。たとえば一九五七年を見てもドイツのごときは日本の国民所得の三倍もないのに社会保障費は大体十倍以上出している。フランスもそのとおりでございます、大体十倍出している。そこで私は国民年金の外国の例証をずっととって見てもわかりますように——最近の詳しいやつは厚生省から説明をいただきたいと思いますけれども、年金というのは私はやはり少なくとも公共企業体職員等共済組合、国家公務員共済組合ぐらいのものが年金らしい年金ではなかろうかと私は思っている。だからそのような格好にたとえば被用者年金をどう近づけてゆくか、一般の国民年金をどう近づけてゆくか。イギリスのごときは被用者なしに一本の保険制度としてやっているようでありますけれども、私はそういう意味から一昨年法律が通ってことしは手直しで——三十八年が第一回目の手直しをする年だということに法はなっているということですけれども、しかし、当時この国民年金という法案がわれわれの国会で論議されたときには、日本の経済成長を大まかにいって大体五%ぐらい年々成長するという形の中で議論をされたと私は理解をいたしております。私ども社会党といたしましてもその見当でその年金法案を作って皆さん方に見ていただいたとおりでございます。しかし、一昨年は実質一七・七%の経済成長があり、昨年は一三%から一五%の成長がある、ことしも一五%以上の経済成長があるというこの事態に立って、単に法律で五年間だからというだけでこの手直しだけの法案をお出しになったということは、私は非常に何かそれでいいのかどうか、全般的な問題に手直しができなければせめて共済年金——国家公務員の恩給制度も変えられたのでありますから、少なくとも被用者の厚生年金ぐらいには私は手をつけてこのたびお出しになり、そうしてその上に立って通算をどうしてゆくか、三年後には国民年金も向上さしてゆくんだというような格好でこの法案が出てきてしかるべきものだと私はそう思っておったんです。ところが、御承知のとおりの結果になっておるんでありますから、どうぞひとつ大臣の御所見を将来の展望の上に立って一つお聞かせいただきたいと思うんであります。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 諸外国の社会保障の事例に比べまして日本の社会保障があまりにも見劣りがするということは、御指摘のとおりだろうと思うのでございます。いろいろなそこに理由もあることだと存じますが、欧米先進国においては社会保障について相当長い歴史を持って、だんだんと発展して参ったものではないかと思うのでございますが、また同時に、お示しのありましたように、この国民所得の点から考えましても、いわゆる先進国と日本との間には格段のまだ開きがあるようでございますのでなかなか、現に諸外国でやっておりますような制度を日本で直ちに実施するということにはよほどの困難が伴う問題だと思うのでございます。日本の産業経済の発展をはかり、国民所得の増大をはかり、あるいはまた、財政収入の増加をはかり、その過程においてだんだんと社会保障関係の経費をとりまして、そうして制度の充実発展にあくまでも継続的に努力をして参らなければならないのではないかと、まあ私はさように考えておる次第でございます。確かに現在の日本の制度がヨーロッパの進んだ国あたりに比べますというと、よほど見劣りがすることは間違いない事実であります。何とかこれに追いつく努力を今後やって参らなくちゃならぬ。しかもそれはなかなか容易なわざではないと思いますが、伸び行く経済というもののうちから、その所要の財源等を生み出していって、そうして漸次充実発展の道をたどって参りたいと思うのでございます。また、わが国におけるこの種の年金にいたしましても、今お話のとおりにいろいろ違いがあるということも確かに御指摘のとおりでございます。こういう問題につきましても、国内においても諸制度間のやはり調整をとり、バランスをとりして進んで参らなければならぬということも私どももさように考えるのであります。できるだけその方向に向かって努力を傾中して参りたいと思います。現にたびたび言うことでありますけれども、厚生省としましても、諸制度間の相互調整をはかっていくというふうなことについては十分な関心を持っておりますし、社会保障制度審議会等においてもこれを目下の課題としていろいろ研究を進めていただいておるわけであります。そういう方面のまた御答申等を得まして、さらにこれを参考として前進して参りたいと、こういうふうな考え方をいたしておる次第でございます。
○藤田藤太郎君 私は、国際世界統計年鑑の数字をとって、社会保障に各国がどう努力しているかということで大体載っている数字を見てみますと、どの国も最近の社会保障に力を入れているのは一年に、ドイツなんかを一つとってみましても二割以上、二割五分ぐらい社会保障費に二年間、五七年から五九年までの数字を見てもこういう努力がされております。各国共通でございます。これはやはりこの前論議をしたように、いかに生産と消費にバランスをとるかという経済政策が私は本気で国の経済政策の中に取り入れられているというところに、私はやはり非常な意義を、外国の努力している意義を感ずるわけであります。ですから今、大臣の熱意のほどはお聞きいたしましたけれども、急速にこの法律は三十八年までの、このときが一つの考えるという時期になっていますから、しかし、私は厚生年金の問題をこれでいいのかどうか、私も戦時中職場で働いておりましたけれども、昭和十七年でございます。十七年に厚生年金ができて、ことし一ぱい、三十六年で二十年で、普通の状態なら年金がもらえるという状態になる。それで年が何ですから五十五才から支給するというのが、いつや知らない間に六十才に延びてしまった。そうして内容は二千円フラットにその比率の分だけが加算されるという、これで生活ができるかというととてもできっこないです。よく昔から官尊民卑ということが言われたが、全く事実をもって示しておるわけです。たとえば共済年金をとってみますと、それは掛金は多うございます。多うございますが、その収入のかけられる能力に応じてかけるということになっており、国家の補助もある。二十年たてばその当時の給料の四割、あとは一年に対して百分の一・五カ月プラスしていくということになりますと、三十年も勤務した人は少なくとも最終給与の半分は年金としてもらえる。そうなら子供の始末がつけば何とか他に社会貢献度の仕事を考えてやっていけば、これは私は生活の最低の手段は立つのではないか、こう思う。そういうことが多くの日本の官庁関係をのけた、国の事業や公務員をのけたところには何ら保障されていない、それが置き去りにされている。そのフラット二千円というものが基礎になって国民年金ができておるという極論すればそうだ。また、そのプラス生活保護費という格好にならされていく、こういうところに私は重要な問題がある。この論議は私はいたしませんけれども、しかし、少なくとも他に例のある民間の被用者の厚生年金は私はこの法律に関係なくやれる問題だと思う。それをいまだにそのままの状態でおいでになるということは、どうしても私はいけない。これは通常国会にでも大胆に厚生大臣はこの厚生年金の問題について考えていただいて出してもらうということになるのでございましょうか、どうでございましょう。
○国務大臣(灘尾弘吉君) こういった種類の制度は私から申し上げるまでもなく、国の財政が基礎になりますが、それぞれ事業所、あるいは被保険者の負担を伴うものであります。したがって、負担の問題に関連いたします事項については、よほど慎重に考えなければならぬということにもなりましょう。同時にまた、長期保険というようなことになりますと、そこにいわゆる保険数理というような点においても、よほど慎重な計画を立ててやらなければならぬ点があると思います。短期間のうちに結論を出すというようなことはなかなか私は困難な問題じゃないかと思いますが、いずれにしましても、現在の給付の内容というものが決して満足すべきものでない、できることならもっと引き上げてしかるべきではないか、ことに前から申しておりますように、私どもはこれもまだ決して十分とは申しにくいのでありますけれども、国民生活の底を上げていきたいというような心持を持って社会保障の問題に取り組んで参りたい。特に最低生活と言われております生活保護費等につきましても、漸次これを引き上げて、生活内容というものを幾らかでも内容のあるものにいたしたい、この心持を持って今後の努力をいたすわけでございますので、当然年金制度等につきましても、給付内容の改善充実をはかっていこうということについては、そう一そうの努力を傾けて参りたいと思っておりますような次第でございますが、来国会に出すかと仰せになりますと、すぐ出せますというふうに御返事ができればけっこうなんでございますけれども、そう私も軽卒な御返事もできません。しかし、内容の充実改善ということについては、産業、経済、国民生活の実情が上がっていくにつれまして、やはりこれにおくれないように対処していくべきものじゃなかろうか、かように考えておる次第でございます。
○藤田藤太郎君 私の申し上げているのは、私は今大臣は、今言われてすぐそれじゃ来国会に出しますとはいろいろな面から言いにくいとおっしゃる、そのお気持は私はわかると思うのです。しかし、私のお願いしたいことは、実際問題として公務員、地方公務員、それから国家事業の共済年金というものが現実の問題として実施されているわけであります。こういうものが実施されておって民間のほうはフラット二千円の厚生年金だということは、私は厚生大臣におなりになって、また、特に大臣は厚生行政にベテランですから、そういう沿革くらいはおつかみになっておると思うのです。だから私は今度の出してこられた年金の手直しの問題は手直しの問題として、その厚生年金は大体ことし一ぱいいけば、来年には一般の人はもらえるわけです。炭鉱の人は十五年からですけれども、しかしもらえるわけですから、だからそういうことが現実の問題として厚生年金もらって生活ができないということがわかりながら、やっぱり戦時中には相当な……、私は昭和十七年当時働いておった人は相当な期待をもってあの年金に、当時は命令一下でありましたけれども、年金ができて老後はこれで生活ができるのだという希望をもって私は労働者は参加したと思うのです。ところが、今日の時代になって官公庁のほうは今日そういう状態になり、民間のだけがおいてきぼりになっておるというようなことは、私はあまりにも片手落ちじゃないか。これは私は大臣は今すぐ返事ができなくとも、少なくとも次の通常国会にでも何とかこの検討をしなければならぬ、来年度には検討しなければならぬということくらいの決意があって私はしかるべきだと思います。このままにほうっておくという手は私はないと思う。だからそういう意味で私は今出ている法案の問題は一応おきまして、基本的の考え方をもう少しお聞かせをいただきたいと思うのです。何とか来年度の、今の池田内閣の施策として厚生年金については質的にこの問題を考えてみようというくらいのことは、私はなければ、どうも理解ができないのですがね。特に通算制の問題なんかお出しになっている点について考えますときに、そういう私たちは期待を持つのですが、どうですか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 年金制度の問題につきましては、私も実はたとえば一律二千円というようなベースで、その二千円が決して高過ぎるとは思っておらぬのでありまして、これを上げていかなければならない性質のもんじゃないかというふうな心持でもって、いろいろ検討いたしておるところであります。その意味におきましては決して消極的の心持でおるわけではありません。やはり上げられるものなら上げていきたいという心持でもって検討をいたしておるような次第であります。なお、日本の国内に同じ趣旨の年金であって、いろいろの制度があるということは、これは厚生省の立場から申しますというと、実は遺憾なことなんです。何とか一本化したいという、同じようなものにしたいということは、これは前々からの希望であると思うのでございますが、遺憾ながら従来そういう問題が起こりますごとに厚生省のほうは現実に用意を持たない。関係の向きにおいてはそれぞれ現実の用意をもって案をお出しになっているけれども、これはやらぬよりは早くやったほうがよかろうということで、ああいうことになっておると思うのでありますが、この間の相互調整は先ほど申しましたとおりでございます。何とか早く相互調整の結論を得たいというように私どもも考えている次第でございます。来年度通常国会にどうするということを申し上げるだけのまだ私用意がございませんけれども、その方向に向かっていろいろ検討はいたしております。そういうふうにひとつ御承知を願いたいと思うのであります。
○藤田藤太郎君 大臣、十分に理解あるのかないのか私はよくわかりませんけれども、厚生省としても何とかいろいろ、ここに出ているやつでも七つ、八つあるわけですから、統合の問題についていろいろ熱意を持っている、こうおっしゃっている。しかし、一昨々年に私たち社会党が一般国民年金と被用者年金という二つの案を出して、そうして何とかして一ぺんに経済全部まで、おのおのもっている共済年金その他の経済全部まで一ぺんに統合できなくても、統合の方向というものを明らかにして、そうして同じように職場で働いている方々に差別があっちゃいかぬ、この労働者年金という名前に最後はしておりますけれども、被用者の年金というものは統一していこうという案を出して皆様方にお諮りしたはずでございます。厚生省の事務当局もよく御存じなとおりでございます。しかし、そういうやはり国会における熱意が出てきておりますけれども、その問題が結局実を結ばなかったわけであります。だから内容についていろいろの意見が政党ごとにおいてあることは、それはあたりまえだと思います。しかし、そういう方向をやろうという努力がじゃどういう格好で実を結んできたかということに、大臣にお言葉を返すようでありますけれども、そういうことになるわけであります。だからお気持としては被用者年金はまず一本にする、将来全部一本になっていくということが好ましいことでございますけれども、一段階でそういう形で所得保障を立てていく、被用者と一般という格好で、私はそういう熱意は今まで何年間の国会論議の中においても出ていなかったというのが現実ではなかろうかと思う。そういう点で私は非常に残念に思っております。だからひとつ年金局長からそういうものに対する今の大臣の一本にしたいという熱意、厚生省は今まででも努力してきたのだというお話がありましたから、年金局長はどういう作業をし、どういう考え方でこられたか、事務的なこともお聞きしておきたいと思うんです。
○政府委員(小山進次郎君) 先ほど来藤田先生が仰せになっているとおり、現在の日本の年金制度には大まかに言って、こういう三つかなり格差のある制度があるわけであります。そのうち、第一の部類に入ります共済組合系統の年金制度は、これもまた藤田先生非常に正確におっしゃったように、実はこれはもう世界のほぼ一流の水準に達している年金であります。例えば西ドイツの年金制度をとりましても、一般的に三十年拠出いたしまして、やめるときの賃金の四五%程度、先ほどおっしゃいましたように、日本の共済組合系統の年金で申しますというと、三十年で五五%、ちょうど半分と仰せになりましたそれに当たるわけであります。フランスでありますというと、三十年で二〇%程度、それから厚生年金でそれをやってみますというと、三十年でちょうど一八%程度、こういうことになっているわけであります。国民年金になりますと、これとまたかなり開いて低くなっている。仰せのとおり、やはりこの格差をなくしていくということが必要だと思います。その場合において、目標はもう現実に日本に世界の一流の水準に達している制度があるわけですから、こまかい仕組みは別としましても、大まかな水準において一流に達している共済組合系統の年金に厚生年金をもっていくということが第一の目標になる、この点は厚生省部内の作業でも非常にはっきりして参ったわけなんであります。問題は一体どういうところでそういう格差を生じているかということでありますけれども、非常に端的に要約して申し上げますと、保険料の違いであります。世界の一流の年金ということになっている西ドイツあたりでは千分の百四十程度を保険料に充てております。それからフランスでも千分の百程度を取っている。日本の共済組合系統の年金制度、これはいずれも千分の九十八とかあるいは千分の百程度というふうにこれは一番その所得の低い人たちが集まっているといわれている農林漁業団体の職員の退職年金制度でもやはり千分の九十をこえる保険料を取っている、こういうことになるわけであります。しかもこの場合、ドイツ、フランスは国庫負担も入れていない。もっともドイツは障害年金についてだけは全額国庫負担を入れておりますけれども、それ以外は入れてない。したがって、非常に単純な申し方になるわけでありますけれども、どういう方法をとれば厚生年金の保険料をそこまで引き上げていくことができるかという問題になるわけであります。この場合の問題は二つあるわけでありまして、一つは被保険者である個々の労働者の負担能力がそれにたえるだけないということになるのかどうかという問題が一つ。それからもう一つは事業主が分担する部分について分担することができないのかどうかという問題が一つでございます。これをまたかなり断定的な言い方になると思いますけれども、もちろん零細企業におけるいろいろな事例はあると思いますけれども、労働者の個々の負担能力が許さないから厚生年金については保険料の引き上げができないというふうに判断する根拠は非常に乏しいと思います。農林漁業団体の職員なら千分の九十八あるいは千分の九十五は納められる。ところが、三井、三菱の従業員であれば千分の三十五しか納められぬということにはならぬと思う。だからこれはもちろん実際上いろいろのしんしゃくは必要でございますけれども、大まかな方向としては保険料引き上げの隘路は労働者の側よりもむしろ事業主の側にある、こういうこともいろいろデータを整備して参りますというと出てくる結論の一つになるわけであります。したがって、問題は今後の厚生年金の内容を充実していくためにはもちろん一面において国庫負担を増す、増さぬという議論はたえず考えていかなくちゃいかぬわけでありますが、いかにして事業主にこういう負担がたえられるようにしているか、あるいはあえてその負担をしつつ厚生年金の内容を充実していくようにしていくか、こういうふうなことが当面の問題になっているわけであります。これに対しましてもう一つ最近出てきております問題は、先日衆議院においても御議論になったのでありますが、企業年金の問題があるわけであります。この企業年金の問題もそれ自体としてはもちろんけっこうなことでありますけれども、これもまた発達のさせ方を誤りますというと、むしろ個々の企業における企業年金の充実にだけ力のある企業体が力を入れて、全体としての公の年金である厚生年金を充実強化させて、それで勤労者一般の生活のささえにするというようなことをゆるがせにしてしまうおそれがある。したがって、これと公的年金である厚生年金とをどういうふうに関係づけていくか、こういうふうな問題があるわけであります。大まかに申しましてそういう二つの問題を今の厚生年金はかかえつつ、これをどういうふうに解決していくかということでいろいろ検討しているわけであります。もちろんそれ以外にも今度改正する機会には片づけにゃならぬ問題が相当ございます。そういうふうな問題をすべて解決する時期が実は先ほど先生が仰せになった昭和三十八年です。これは五年ごとの再計算に基づく調整の機会が三十八年になっておりますので、そのときにその問題を解決する、そうなりますと、当然の結果としておよそ三十七年の十二月ごろまでには厚生年金についてどういうふうな改正をするかという案をきめるだけではなく、労使を初め各方面の調整をはかりながらほぼ案をきめていく、それからそれぞれの段階を経て立法の完了をする、まあ大まかに申しますとこういう段取りになっているわけであります。したがって、厚生省としましては、今度の厚生年金の改正の際には相当大規模の改正をしたい。そして実のある年金制度にしたいという気持を持っておるわけでありますけれども、時期としては、これは次の通常国会ではなくて、さらに一年なり一年半先にこの問題をきちっとした形で御議論願うようなことになる、こういうふうなもくろみでいるわけであります。国民年金につきましては、同様に国民所得の上昇に応じて内容の充実をはかって参る、これはもう初めからの考え方でございまして、五年後にはどうする、十年後にはどうするというように案を現在いろいろ調整をしつつ国民年金審議会で相談をしているわけであります。これまた国民所得が順調に伸びて参りますれば現在の三千五百円というのは十年先になったら七千円まで引き上げて参りたいということで細目の調整をしておる、ごく荒筋だけ申し上げますと以上のようなことが厚生省内で現在調整をしている考え方の概要でございます。
○藤田藤太郎君 今小山さんは外国の例をとられましたけれども、ドイツは一般の年金については国の負担がない。しかし、イギリスのようにあらゆるものを一本にして国の負担をきちっと計画をしてふやしていっている国がありますね。ことしイギリスはどういう工合になっておりますか。
○政府委員(小山進次郎君) イギリスは国庫負担の面から申し上げますと、定額部分、これがイギリスの基礎になっておりまして、ことしの四月一日からその上に所得比例の年金が被用者には乗っかって参ったわけであります。自営業者には乗っかっておりません。この制度におきましては、所得比例の部分には国が負担を持たない、定額の基礎的部分について負担を持つということで四分の一国が負担をしております。それから自営業者については三分の一負担をしております。ちょうど日本の国民年金制度と同率負担をしているわけであります。
○藤田藤太郎君 だから私はそのいるいろの型があると思います。たとえばスエーデンだったと思いますが、大衆給与の六割を負担をするというような年金制度のところもある、だからいるいろの事情は外国にありますけれども、やっぱり日本は日本の実態に即した所得、国情というものを勘案した年金制度としてりっぱに作っていかなければならない、他にないなら別として、片っ方にちゃんと共済年金の型があるわけですから、それと今のお話のように、片っ方は一八%ですか、片っ方は五五%——そうなるかどうか……。五五%にもならぬでしょうけれども、まあしかし、大体三十年勤めた人だけ見るとそうなります。そんなに三十年もぴっちり勤められない、ですからそういうことはありますが、しかし、いずれにいたしましても、相当なものが一つある。その三分の一にも足らぬようなものがこうしてできる。それからもう一段下に国民年金があるというようなことでは私は問題はなかなか深刻ではないか。だから今の局長のお話のように、三十七年には厚生年金の問題をまず考える、三十八年度国民年金というお話がございました。しかし、私は厚生年金というのは、そんな三十七年云々というが、本来言えば今日のこの通算制やその他をお考えになるときに私は考えられるはずだったと、こう思っておるわけです。それが出ていたいわけで、これは、これ以上は水かけ論になるのかしりませんけれども、しかし、これはやはり昔の官尊民卑というような形のものを今度するというような格好では、行政のうまみというものは私はないと思う。もっと政府は心をいたされなければならないのではないかという、これは私は一般の国民の声だと思うのです。私たちも強く主張しますが、一般の国民もそういう工合に思っているわけです。そういうところこそ何とかして年金をやるのだ、社会保障をやるのだというかまえと合わせてこういうところに力をお入れにならなければ、私はいかぬのじゃないか。だから今の三十七年度末ぐらいには議論をしていただくと言われるけれども、厚生年金の問題はもっと早く私はおやりにならなければならぬのではないか。たとえば、いろいろの国で、国の負担の関係のところがございますけれども、私たちが国会に出したのは今の共済年金は一〇%国家負担、しかし、調整するために一五%の国の負担でこれを調整していこうという考え方を出したはずでございます。ですから、私は日本の実情に即して、一ぺんに半額負担せいとかなんとかいってみたってなかなかむずかしい問題ですから、漸進的にやはりそういう方向をお立てにならなければならないのではないかということを強くここで申し上げておきたいと私は思うのです。 それからもう一つの問題は、この児童手当法というのが出ていますけれども、この児童手当法の内容を見てみて、初めてこういうのをお出しになるのですから、私はこれはこれなりにけっこうな法案だと思います。しかし、本来言えば、国の将来あるべき仕組みの問題から考えてみれば、所得保障と非常に重要な関係をここに持っていると思うのです。たとえば労働者の所得保障としての年金、年金で生活ができる。それから、その中で最低生活保障をどうするかというのは、単に単身の、独身者の生活保障をどうするかということでなしに、奥さんがあるとか、奥さんがなくても、たとえば補助者がなければ、あすへの労働再生産にならないわけですから、そういう保障をする最低生活保障というものが私は前提になってくると思います。そうなってくると次は子供だ。子供の生活をどう守っていくかということになると、まあ、ここに出てくる問題は、一人八百円、二人千二百円、それから三人以上は二百円——プラス二百円、こういうことになると、これは一人いるのより二人いるほうが負担が大きい。むしろ同率でも私は不満なところだと思うのです。外国の児童手当を見てみますと、一人のときにはたとえば係数にして一、二人の場合には三になる、三人の場合には六とか七になるとかいうことが、本来言えば社会が保障する——親も育てるけれども、社会が大きなウエートで子供を育てていくというところの考え方というのが、今日行われつつあるのではないかと私は思うのです。戦後家族手当というのができて、妻の家族手当、第一子、第二子と、どうも下がっていくような格好の家族手当があるわけですけれども、これは戦時中の混乱した延長として、とにかく生活しなければならないということでできたのだが、落ちついて社会保障をやるとすれば、少し方向が逆になっていはせぬかという感じを持つのです。これは大臣の御所見はいかがですか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 今回提案いたしました児童扶養手当法案でありますが、これはあらためて申し上げるまでもなく、いわゆる国民年金における母子福祉年金を受けることのできない母子家庭に対しまして、同様な保護の手を差し伸べていこうという考えのもとに出しましたものでございますが、いわゆる国民年金法における母子福祉関係の手当と、バランスがとれないものを出すわけにも参らなかったと思うわけでございます。いずれにいたしましても、両方ともこれが十分な制度だというふうには私ども考えておりません。今後とも改善を要する問題と思うのでございますが、また、お話にありますいわゆる児童手当の問題でございますが、これは確かに日本の制度の中で欠けている点だろうと思います。先般もILOの百二号条約というものを見たわけでございますが、社会保障の最低基準というふうなことについての条約でございますが、日本といたしましては、不完全ながらも各種の社会保障に手をつけてきておるわけでございますが、今お話に出ました家族手当の問題は、日本にそれに該当する制度があるというわけにいきかねる問題でございます。ですから、これはやはり将来の社会保障制度の整備という上からも、当然取り上げていかなければならない制度であろうと私ども考えている次第でございます。まだなかなかそこまで手が伸びていないというのが今日の実情でございます。したがって、厚生省としましては、今直ちにこれを実施するだけの運びとはなっておりませんが、諸外国の例その他を取り調べまして、日本としましても、将来児童手当制度をなるべく早い機会に持ちたいという意欲をもって検討いたしておるところでございます。中央児童福祉審議会等におきましても、この問題に関する特別の分科会といいますか、そういうものを設けて御検討願っております。遺憾ながら今すぐに採用するわけにはいきかねます。とりあえずの問題としまして、まだわずかに母子福祉年金ないし——それさえも実現されないという母子家庭に対して、この程度のことをやっていこうというような状況にあるわけでございます。今後の問題といたしましては、この児童手当というような趣旨の制度を、何とか日本で整備する方向にもって参りたいと存じましてせっかく検討しております。
○藤田藤太郎君 児童手当の外国の例、それから児童手当については事務当局としてはどうお考えになっているか。児童局長、年金局長一つ御意見を聞かして下さい。
○政府委員(大山正君) 児童手当あるいは家族手当と呼ばれる場合もございますが、御指摘のような制度に類する制度といたしまして、現在世界各国でとられておりますのは約三十八カ国ほどあるというように私ども承知いたしております。この各国の制度それぞれ違いますが、通観して大きく分けてみますと、いわゆる被用者を主体にいたしまして社会保険の形でやっております国と、それから被用者のみに限らずに国民一般を対象といたしまして一般会計でまかなっていく、大きく分けましてそのような二つのタイプに分けられるかと思います。 それから支給する場合の子供の数の問題でございますが、子供が一人ありましても手当を支給するという国と、それから二人あるいは三人以上となった場合に支給していくというのがございまして、全体の三分の二くらいの国は子供が一人から支給するというような形になっておるようであります。それから子供がふえるに従がって額を増すかどうかという先ほど御指摘の点でございますが、均一給付、子供の数によりまして第一子、第二子も同じような額という場合と、それから御指摘にありましたように、子供の数が増すとその額も増していくというやはり二つのタイプがあるようでございます。それから対象にいたしております子供の年令でございますが、大体十五才から十八才くらいまでを対象にしているようでございます。それから財源でございますが、先ほど申し上げましたように、一般会計で国民全部を対象としてやっております場合と、それから雇用者その他自営業者に限りまして、事業主あるいは自営業者が保険料を出しまして、その基金によって児童手当、家族手当を出しておるというような二つのタイプがありまして、こういうような形になっております。私どもといたしましては、これらの外国の例を参照しながら、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、中央児童福祉審議会の児童手当部会という特別の部会が設けられまして、本年春から専門の方方にお集まり願いまして、目下御検討いただいておるところでございまして、すでに五回ほどの会合がなされたのでございますが、現在のところ、いろいろ問題点が多いのでございまして、それらの児童手当をめぐるいろいろの問題点につきまして、基本的な事項を調査検討をいただいておるというような段階でございます。
○藤田藤太郎君 今あなたが説明されたように、第一子が高くて、第二子、第三子というように減っていくような国がありますか。
○政府委員(大山正君) 私ども承知いたしておりますところでは減っていくという国はあまりないようでございます。均一であるかあるいは、だんだんふえていくかというほうが多いと思っております。
○藤田藤太郎君 そういう実態が外国にあるのに日本がなんでこんな格好の法律を出しているのですか。
○政府委員(大山正君) 現在提案申し上げております児童扶養手当法案におきましては、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、現在の国民年金法によります母子福祉年金の型をとりまして、おおむねこれに準じた金額というように考えましたので、御指摘のような形になっておるわけでございます。
○藤田藤太郎君 非常にあなたそういう答弁をするのは苦しいのじゃないかと私は思うのです。本来の姿というものがこっちにあって、一つの、全体のワクをきめておいて、生活保護、厚生年金のワク、国民年金のワク、そういうものをきめておいて、その一つのワクの中でどう調整するかということでこういうものがゆがめられてくるということは少し私はおかしいのじゃないか、こう思うのですが、どうですか。
○政府委員(大山正君) 御指摘のように、本格的な児童手当、家族手当を考えます場合にはただいま申しましたような均一給付あるいは逓増と申しますか、そういうような形をとり得るかどうか、十分研究しなくてはならない、かように考えておるのでございますが、現在提案されております児童扶養手当法案におきましては、先ほど申し上げましたような事情で必ずしもそういう形になっておらないということでございます。
○藤田藤太郎君 どうも十分に理解がわれわれにはできないのですが、私はこれは年金局長にもお尋ねしたいのですが、私はやっぱり流れていく思想にあまりさからってはいけないと思うのです、世界の。そういうことをよく検討していただきたいと思うのです。私はこういう議論をするときの大前提としてこういう議論を今までしております。それはまず社会保障を考えるにしても、その国の経済が発展をしていく、個人の、人間の直接の手によって生産されてきたものが機械によって生産されてくる、そうなれば労働力は余ってくる、だからそこには全部が完全雇用をするような形で、外国がとっているような労働時間の短縮をして全部が完全雇用の中で勤労の喜びの中で人生を全うする、社会に貢献するというこの前提に立って議論をしておるわけです。だから、生活保護というのは、憲法二十五条で守っているわけでありますけれども、労働能力のない、ほんとうにお気の毒な人を生活保護の中で私は守っていくべきものである、労働能力のある人はやはり労働力を通じて社会に貢献をするというこの大前提に基づいて私は経済政策も立てなければならない、労働政策も立てなければならない、社会保障も立てなければならない、これが私は大原則だと思う。そういう柱をりっぱに立てて、そうして具体的に、子供は収入がないのですから、社会の子供、国の子供、これをどうするか、どう育てていくか、労働能力のない人はどういう工合にして社会がこの方々の生活を見ていくか、これが日本の今日の憲法の精神だと思う。そういうことの筋を私はやはり厚生行政は通していただかなければならない。これは外国で均等割か上昇かという二色しかないという状態の中で、片一方の福祉年金その他の関係においてこういう工合にいたしましたという格好では私は筋が通らない。私は厚生省はもっとなぜ内閣に向かって、経済企画庁に向かって、通産省に向かって、大蔵省に向かって、本来の今日近代国家のあるべき姿というものはこういうものだということをきちっと、それは厚生白書に貧富の差がはなはだしくなったからこれを是正しなければならないということを書いておられることは私は敬意を表しております。しかし、それを事実問題としてきちっと厚生行政をやる立場から、今日の日本が五大産業国であるから、近代国家の姿でやっていく、厚生行政の姿はこうあるべきものだ、このためには経済政策はこうあるべきものだということを厚生省が強く主張する、そうしてやはり少なくとも外国がやっている筋だけはきちっと守っていく。それに近づいていくということでなければ、ILO百二号条約の改定、社会保障の最低基準の条約をいまだに批准されていない、私は非常に残念だと思います。ILOには休暇の問題にいたしましても、決議がなければ勧告というような格好できめております。私が行きましたときにも、二週、十四日の年次休暇を最低としてやるべきだという勧告を圧倒的な多数であれをきめている。日本の姿は違います。そういう問題もあるわけです。だから私は、やはり厚生行政も労働行政も一体の問題として、そういうものを考えていただいて、その柱になるものは何か、日本の憲法です。将来あるべき日本の民生安定というのでありましょうか、そういうところにうんと力をお入れにならなければ、この問題はなかなか、せっかくの筋が、非常にりっぱに厚生行政を担当されている事務当局の方々は、非常に熱心にやっていただいて、私たちも日々敬意を表しているわけですけれども、結局肝心なところでぼけてしまう。これは私は残念なことだと思う。これはやはり厚生行政の全責任を持っていただいている厚生大臣がそのお覚悟をきめていただいて、やはり世間並みと申しましょうか、世界の国がやっている水準の筋はいかにして通していくかというところまで力をいたしてもらわなければ、今お聞きのような格好になってしまう。私は労働大臣にもよく言うのです、労働行政というのはサービス行政である、しかし、失業者が出てきたものを受けとめて、その失業者をどうするかというのは労働行政じゃない、失業者の出ないように、より進んだ労働再生産に日本の労働力を持っていくように、労働者がその労働力を通じて社会に貢献するように、そういうところに労働行政の中心があるのです、ということを私はいつも言います。私は、厚生行政も同じじゃないかと思います。相関連して、生産だけが幾ら引き上げられてみても、生産と消費のバランスがとれないから経済が上がったり下がったりして、だれが苦しんでいくかというと、結局勤労者だけが苦しんでいく。これを直すのが、やはり私は厚生行政や労働行政の一番骨になるのではないかと思います。閣議全体ではいろいろの意見があるでしょう。いろいろの意見がありますけれども、私は大臣がそういう役割を果たしていただきたい。灘尾大臣は今日まで長い経験をお持ちでございますから、ぜひその問題は、今のような格好になってしまっちゃ私は困るという感じを強く申し上げたいと思うのです。御所見があったら承ります。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 藤田さんのお話になりました社会保障政策と申しますか、それと経済政策あるいは財政政策というものとの結びつきについてのお話は、私は非常に敬意を持って伺っておるのであります。私自身もこの問題について、もちろん勉強が足りませんので、確たるあれを持っていろわけではございませんが、やはりその点に触れて研究を進めていかなくちゃならぬのじゃないかというふうな考え方をいたしておる一人でございます。藤田さんのお話は非常な卓見だというふうに考えて、ほんとうに敬意を持って伺っておる次第でございます。厚生省といたしましても、私自身といたしましても、この問題については、まだわれわれの勉強が足りないという心持がいたしております。率直に申し上げて。もっともっと厚生省としましても、今後の社会保障政策というものを発展させる上においては、お話になりましたような点を十分勉強いたしまして、その関連においてこれを推進していくということを考えていかなければならぬのじゃないか、こういう気持がいたしておるわけでございます。この点については、従来のわれわれの欠点を御指摘いただいたような気がするのでありますが、その御趣旨に応じたような勉強をわれわれがなすべきであるということをもってお答えといたしたいと存ずるのでございます。 なお、児童手当についてのお話でございますが、あるいは私の理解に誤りがあるかもしれませんけれども、私は、いわゆる藤田先生のおっしゃる児童手当というところまでまだいっていない、こういうふうに思うのであります。今度の児童扶養手当法案が、いわゆる児童手当の先駆をなすものである、あるいは萠芽を示すものであるというところまでいっておるのかどうかというところに問題があると思うのですが、むしろ今度の扶養手当法案は、現にある国民年金のいわゆる母子福祉年金というものだけではかわいそうな子供が残る、それを何とかしてやろうというような気持での法案と御承知願いたいのであります。いわゆる児童手当につきましては、さらに本格的な研究もし、勉強もし、やっていかなければならぬ。しかも、確定した案ということを申し上げる段階ではないと思いますけれども、厚生省の発表いたしております厚生行政の長期計画、この試案の中にも、今後のわれわれのプログラムといたしましてこの問題はやっていこうというようなことを申し上げておるようなわけでございます。これはこれとして勉強さしていただきたい、かように考える次第でございます。
○藤田藤太郎君 きょうは大まかなところだけ大臣にお聞きをしておるのであります。そこで、福祉事業団の大まかな点を一つお聞きしたいと思うのですが、先ほどの保険局長の説明で、融資の道すがらの問題についてはお聞きいたしました。しかし、私が先ほど申し上げたことが、金融機関の中では一番問題になっている点なのです。一番問題になっている点なのでございます。だからわれわれは費用がかかっても直接の事業団をお作りになるなら、運営費その他を国がまかなうなら、その事業団が直接貸す、借りる人との対象において処理をすることをやらないと、間違いが非常に起きるということをわれわれは心配してきたところでございます。医療金融公庫が出発いたしましてどういう成績をあげているかどうかというのでございますけれども、私はそれでも心配をしているわけです。その心配の点というのは、こういう工合に五十億の原資をお出しになる。たとえば中小企業金融公庫の例をとりますと、こういうことなんです。今は、去年あたりの状態で千二百億ぐらいです、中小企業金融公庫の融資が。その千二百億の中で、千億ぐらいは市中銀行を通じて貸しているわけであります。そうしてその貸した金に対して、国は三分二厘の保証というのですか、手数料というものを出しているわけです。今度は最終危険負担が二〇%ということですから、そういうことはないと思いますけれども、金融機関というのは八〇%の最終危険負担を持っている。そのために、その銀行が中小企業金融公庫から金を借りてきて、他に転貸しをするときには、どういうことをやっているかというと、たとえば百万円の金を出先の市中銀行がAという人に貸した場合には、そのあくる月から利子をつけた三十六分の一ずつを徴収する、これが一つの形です。しかし、それとプラス三分の一の定期預金をちゃんと一番最初に納めてくれなければ、それはわれわれは保証いたしません。そのほかに担保を取る。こういうやり方を市中銀行はやっているわけです。だから百万円金が必要だから借りる。非常に豊かな担保を提供して借りるわけですけれども、その借りてきた百万円の中から三分の一ぴしゃんと天引きというか、定期預金をぱっとやって、これはどこかでまた高い金を都合してこなければならぬ。そうして最終、この金が終わるまで、その安い利子でその三十三万円か三十万円の金は、銀行が他に転用する。そうして三十六分の一の、九分三厘の利子をつけた、その分割したものは、返済していく。そうなりますと、実際に個人が負担する百万円の返済三十万円というものを見てみますと、九分三厘の利子ではとても借りられない。一割五分も一割八分も全体の利率がつくという格好で行なわれているわけです。それは最終危険負担が八割ですから、公庫が二割、それから市中銀行が八割の最終危険負担をいたしているという名目で、三分二厘の手数料を払っても、そういうことをやっているわけです。だからこういう金をたとえばお貸しになって、その市中銀行を通じて貸し出して、その貸し出した銀行というものは何をやるかという私は心配になる。せっかく六分五厘で、金が必要だから社会福祉事業に貸すというけれども、実際に六分五厘で貸すことができるのかという心配をしているわけです。そこらの保証ができるのかどうか。私は昨年だったと思いますが、銀行局長と中小企業庁長官を呼んで、その議論をいたしました。そうしたら絶対にありませんともよう言い切らぬ、だんだん是正したいと思っておりますというところで終わってしまったのです。中小企業金融公庫の貸し出しの方法について終わってしまっているわけです。だから金を持って貯金をどんどんしている人は、その九分三厘の安い利子で借りられるが、金を持っていない人はそういうことをやらなければ金を貸してもらえぬということになれば、せっかく国がそういう施策をしてやってみても、金のない人は結果的にはどうなるかという、中小企業金融公庫の例をとって私どもは心配するわけです。そういうことが絶対にこの融資で間違いなくやれるのかどうか、自信がおありなのかどうか、その点はどうなんです。
○政府委員(森本潔君) 中小企業金融公庫の貸し出しの状況を引例されまして、この事業団において現実の借り主が六分五厘の利子を払うだけでうまく借りられるかどうかという御質問でございます。私中小企業金融公庫の状況はよく承知いたしておりませんが、今回やりますのは、その辺幾分やり方が違うのじゃないかと思います。この市中銀行は業務を受託するわけでございまして、自分自身の責任でやるわけではないわけでございまして、貸し出しの審査をしたり、それから貸し出しの業務をする、あるいは取り立て業務をするというふうに、自分自身の仕事というよりも、むしろ事業団の仕事を代行するという性格が一つございます。ただ先ほども申しましたように、手掛料として実収利息の二割というものを手数料としてもらうわけでございます。これが業務を代行する場合の何と申しますか、手数料というか、収入と申しますか、これをもらうためにやると申しますか、それだけを対象に考えております。業務を受託した銀行というものは、そういうものでございまして、銀行として実収利息の二割の手掛料をもらえれば、受託した任務というか、経済的な利益は一応達成されているというふうに見ていいのではないかと思います。したがいまして、ただ市中銀行はトンネルといいますか、事業団から事業主等に貸すのを、その事務を扱うということだけでございますので、先ほどお話にありましたような、一般の方で市中銀行から借りる場合には、三分の一程度の預金を置かなければならないとか、そういうことは問題にしていないだろうと思うのでございます。 それからかりにそういうようなことになりますと、これは実は借りるほうの、還元融資を受けますところの事業主に対しても、被保険者に対しても、団体に対しましても、とてもそういう運営になれば、これは承知するわけはないわけであります。とても他の一般の金融と同じようなことで、あたかも預金招請というむずかしいことになりますと、これはとても還元融資として六分五厘という安い利子で金融は受けられるという特典がほとんどなくなるわけであります。そういうことからいたしまして、借りる者はみなそういうことでは承知しまいと思います。それから受託銀行も手数料をかせぐということだけが目的であろうと思うのであります。そういうあるいはおそれがあるかもしれませんが、そういうことはひとつ万ないようにしてやりたいと思っております。現在同じような方法でやっておりますのが、厚生省におきましては医療金融公庫というようなものもございますが、そのほうの例としまして、私もまだ詳細を聞いておるわけではございませんが、そういうような、今御指摘になったような事例はないように聞いておりますので、大体あの例に準じていくのだろうと考えております。かりにそういうような事態が起こりますならば、これはこのやり方についてもう一度考え直さなければいかぬと思いますが、ただいまのところ、そういうことは万なかろうという考えでございます。
○藤田藤太郎君 いや、私の心配が杞憂に終わればまことにけっこうなんで、しかし、片一方は三分二厘の手数料をもらっているのですよ、中小企業金融公庫から。こっちは六分五厘の二割でしょう、幾らくらいになるのですか、一分三厘じゃないですか、片一方はそうでしょう。それでやれるのだ、手数料は払っているからやれるのだということだけでは物事は解決しないと私は思うから心配をしているわけでありますから、その点はきちっとぜひ厚生省は責任を持ってこれをやってもらわなければ困ると思うのです。 それから医療金融公庫の、これはあなたじゃない、事務局長ですけれども、医療金融公庫の実態がどうなっているかということも、まあきょうはおいでにならぬから何ですけれども、一つこの次にでも明らかにしてもらいたいと思うのです。その心配を私は一つ大筋として心配をしていますから、ぜひそこのところは厳密にひとつ、これから金詰まりというこの経済状態になってきますと、なおさらこういう問題の心配がある、これが一つです、大筋として。 もう一つは、これは還元融資の総体の問題です。いろいろ議論がありました。資金運用部とか社会保障制度審議会だとか、もう一つ何といいましたか、国民年金審議会ですか、三つの意見が出て、結局結論として厚生年金とそれから国民年金の二割五分を還元融資をするということをおきめになった。それが大方針だと思いますが、いかがですか。
○政府委員(小山進次郎君) それも基本的な解決の問題の一つでございます、四分の一を還元融資するというのも。しかし、それ以上に大切なことは、残り四分の三についても、国民の生活に直結するような使途に使う、それを保証するために特に財政投融資計画を作る際に、使途別分類というものをそれと一緒に添えることによって、国民年金や厚生年金の金がどこへ使われているかということを明瞭にするという処置を講ずることにしたわけでございます。
○藤田藤太郎君 わかりました。その四分の一は厚生省の機関またはこういう事業団で、厚生省の主宰のもとに還元融資をおやりになる、あとの七五%は分類別で、厚生省の意向を入れて融資をする。それはどうなんですか、厚生省が希望意見を付されるだけでやるのか、厚生省が大蔵省の資金運用部がこういう工合に使っているのに対して注文をつけられる場合に単なる注文なのか、主導権はどちらにあるのですか。
○政府委員(小山進次郎君) これは注文でございます。厚生省がこういうふうな使途に振り向けてほしい、こういうふうな使途は避けるようにという申し出を毎年するわけであります。それをもとにいたしまして、大蔵省が各方面の資金需要を見計らって、一通り計画をきめる際に、改組された資金運用審議会にかける、こういうことになったわけでありますが、改組された資金運用審議会は、従前この資金運用審議会というのは内閣総理大臣が会長をやる、大蔵大臣と郵政大臣が副会長、それから委員が十二名おりまして、大部分が各省次官なりあるいは日銀総裁、学識経験者はわずかに五名と、こういうことであったのであります。それを今回根本的に改めまして、これは国民年金審議会なりあるいは社会保険審議会、社会保障制度審議会の意向を入れてのことでありますが、七名の審議会にいたしまして、全部学識経験者だけにする。しかもその中に年金の事情を十分心得た人を入れるということで、従前その方面につながりがあると思われておった人は一名だけであったのでありますが、新たに二名を入れまして、全体七名のうち三名は年金の事情を十分反映し得る人、こういうことになったわけであります。これらの人々が審議をして最終的な調整をしていくと、こういうことでございます。
○藤田藤太郎君 どうも審議会のやり方その他についてはまだいろいろ議論があると思いますが、問題は、そうすると、今の厚生年金と国民年金が今年入る予定と、厚生年金が今年入る積立金は幾らになりますか。
○政府委員(小山進次郎君) 今年度新たに入ります予定は、厚生年金が一千四十億、国民年金関係が三百億でございます。それで厚生年金は全部で今年度末までに五千億をかなり上回るはずでございまして、五千四、五百億になるようであります。今までの分と今年度入る分を合わせまして、今までの分が四千五百億近くでありまして、ことし一千四十億。
○藤田藤太郎君 今年度の三月までに五千四、五百億。一ぺんそういうのはわれわれに数字を出してもらうのだな、年次計画によって。
○政府委員(森本潔君) ちょっと恐縮でございますが、お配りしました年金福祉事業団法案関係の資料に載っておりますから、これで申し上げましょう。百三十八ページでございます。ここにございますように、各年度別のあれがございまして、当該年度でふえる額、当該年度分、三十六年度厚生年金でいいますと、三十六年度が千十六億、三十七年度が千百七十七億、これは推定でございます。それから右の、年度末現在数字、昭和三十五年度が四千四百五十億、これが三十六年度末には五千四百六十六億というような数字でございます。あとはずっと四十五年まできまして、四十年度で約一兆、それから四十五年度で約二兆五千億というような推定額が書いてございます。それから船員保険につきましては、その次の百三十九ページ、大体三十五年度末で、当該年度分が十五億、累計が百二億、以下書いてございます。 それから国民年金が次の百四十ページにございまして、一番右の欄に年上末の積立金保有高が三十六年末三百九十億で、以下ずっと四十五年度までの見通しが書いてございます。
○藤田藤太郎君 ことしの分はそうしますと千四百三十億ですね、国民年と厚生年金とは。その二五%は幾らになるのです。
○政府委員(森本潔君) これも先ほどちょっと御説明したのでございますが、この五十二ページ、五十三ページにございます三百三十五億でございます。内訳が厚年が二百六十、それから国年が七十五。これが約四分の一でございます。
○藤田藤太郎君 そこでですね、これを見てみますと、本年事業団ができたのでありますから、作ろうとしているわけですから、この金が、三百三十五億が、事業団または厚生省が直接主宰してこの貸し出しをされるというのが今説明された趣旨から言って正しいのじゃないですか。これを見ると、そうでないのにだいぶに金が要って、事業団は五十億ですね。これはどういうことですか。
○政府委員(森本潔君) ただいまのこの三百三十五億の使い方でありますが、これはもう還元融資だから、従来からやっている還元融資とこれから作られる事業団にまるまる使えばいいじゃないかという御意見ですが、全くそのとおりですが、御承知のように、ごらん願いますように、その中で、三百三十五億の中で医療金融公庫へ二十八億、それから一般地方債事業に五十七億と、こういうまじりものがあるわけであります。そういう見地からいたしますれば、これは実はいろいろな問題がございまして、まあ資金運用部の財政投融資計画全般の見地からいたしまして、今申したように、従来の還元融資と事業団一本でいいじゃないかという理屈のほかに、やはり資金の配分計画というような面からいたしまして医療金融公庫、あるいは民生安定に非常に関係のございます上下水道、清掃、簡易水道というようなものにも地方債という形で出すようにしてはどうかということで、やや妥協的と申しますか経過的な措置としてこういうことを本年は考えたわけでございます。と申しますのは、そういう事情もございますし、一方から申しますと、この事業団にいたしましても、それから還元融資にいたしましても、前年に比べまして還元融資額が約倍以上になっているわけでございます。金額にしまして昨年の倍以上でございます。そういうことで、御指摘のような本来の還元融資事業だけで完全に消化できるかどうかというような点も実はあるわけであります。特に事業団等につきましては、年度中途から発足するというような事情もございまして、その点資金の消化という点も若干心配がございましたので、一躍して還元融資額が急増することは無理というような事情等からいたしまして、若干還元融資そのものぴたりではございませんが、それに類似した医療金融公庫、それから水道、清掃、簡易水道というような点にも若干の資金が回っているということでございます。
○藤田藤太郎君 だから何でしょう、上水、下水、清掃、簡易水道、厚生施設、それから病院、療養所というようなものにこの金を使われることはいいことなんですね。私の聞いているのは、そういう具体的な問題じゃなしに、その三百三十五億というのがあって福祉事業にこれを使うというなら、やっぱり窓口一本でなければ、あとの二百八十億というような、どこの窓口でこれは貸すことになっているのか、それからこういう状態をずっと続けていくのか、この事業団は五十億ということのワクを将来どうしているのか、比率はこの状態であるのかどうか、そういう点はもう少し詳しく説明して下さい。
○政府委員(森本潔君) 御存じのように、還元融資につきましては、従来地方債という形だったのでございます。それで今年度におきましても地方債という形で相当部分が残っておるわけでございます。それからその一部としてこの事業団という形で融資するということになったわけでございます。それで今お話は、全部事業団の窓口一本で還元融資をしたらどうかというようなお気持があるとも思うのでございますが、これはやはり従来から還元融資は地方債という形でやっておったということで、これは十年以上のあれもございますし、それから地方公共団体がやりまして被保険者のための施設をする、病院を作ったりあるいは住宅を作るということも現にやっておるわけでございまして、それ自体を否定することもなかろうということでございまして、当分の間地方債という形と、それから事業団という形とこの二本立で考えたい、それから資金の量は、事業団は本年は中途でございますから、五十億ということでございますが、来年度におきましては資金量もふえますし、それから平年度でもございますから、それが相当ふえて参るという見当でおります。
○藤田藤太郎君 私の言いたいのは、先ほど年金局長から説明ありましたように、ことしの分が千四百三十億もある。その二五%を福祉行政に使う、あとの七五%はひもをつける、新たに資金運用審議会が発足をしてそのひものついたものにこれを使ってもらうということが大原則としてきめられておるというなら、今ここにあるようないろいろの起債ですとかその他の分は七五%のところから出させればいいです。その五十億ですか、せっかく厚生省がそういう事業団をやろうというなら、二割五分を福祉行政に使うといって五十億なら、看板に偽りあり、こういうことになるのじゃないですか。だからこのひものついたところで、今までやってきたような還元融資をどんどんやればいい。それから二五%、国民はみんなそう思っているわけですから、これはどういうことですか。
○政府委員(小山進次郎君) 考え方ば藤田先生がおっしゃるのと全く同じであります。二五%の金を事業団を通じて、これは全部相手が民間になるわけでありますから、民間に貸し付けるという適当な使途があれば全部それは使ってよろしいわけであります。ところが、実情といたしまして住宅には比較的そういう事情は少のうございますけれども、病院、厚生福祉施設、これにはレクリエーション関係の施設もあり、あるいは社会福祉関係の施設もありますけれども、この種のものは実際上公共団体が行なうものが非常に多いわけでございます。公共団体に行なわせないというと、そういう事業のできないものが多い。そういう事情からいたしまして、いわばそれぞれの実態に応じて地方公共団体に振り向けるものと直接貸しをするものとを振り分けてこういうふうにしているわけであります。したがって、将来民間で直接借り受けてやれる使途がふえて参りますならばその割合はぐっと多くしていく、こういうことになるわけであります。それで明年度の計画といたしましては、厚生年金につきましては事業団に振り向けるものの割合が非常に多くされる見込みでございます。新たに入ってくる資金の六割から七割程度のものは事業団のほうへ振り向けて、地方公共団体のほうへ振り向けるものは三割から四割足らずにすぎない。一方国民年金の場合は事情はやや違いまして、これはむしろ地方公共団体を通じてやらなければならぬ部面が非常に多いのでございます。したがって、国民年金の部分については七割近く、あるいは八割近くまでを地方公共団体のほうに振り向けて、残りを事業団に振り向ける、こういうふうにいたすわけであります。地方公共団体のほうに振り向けますのは、一たん事業団に資金運用部から貸し付けて、そこから地方公共団体に貸し付けるという回り道をするわけには参りませんので、この分は直接資金運用部から貸し付ける、こういうことでございます。 なお、ただいままでの説明で実は登場していないもう一つの隠れた問題があるのでございます。それは、事業団から住宅の融資をしたいし、実情から見るとその必要が非常に多いわけであります。ところが、これはまあ関係省の間でなかなか折り合いがつかぬというような事情がありまして、この分はことしだけ便宜処理して一応地方公共団体に貸し付けをして、地方公共団体から転貸しの形で中小企業なりあるいはしかるべきものに住宅の資金を貸し付ける、こういうやり方を取りましたので、うわべだけを見ますというと、ことしは地方公共団体の貸し付けが特に多くなっている、こういう事情があるわけでありますが、これも来年度以降においてはすっきり片をつけたい。 それからまた、保険局長が先ほど御説明申し上げましたように、還元融資というよりは、むしろほかの筋を通じて出したほうがいいというもの、たとえば、上水、下水、清掃、簡易、これはいずれも適当な施設ではありますけれども、おっしゃるような、これは四分の三の口から出せばいいわけでありますし、医療金融公庫についてもそちらで解決するほうが筋がうまく成立していく。これは来年度以降そうしようじゃないかという申し出を大蔵省にしているわけでございます。
○藤田藤太郎君 今この三の区分の中の地方の起債、上水、下水、清掃、簡易水道、これは厚生行政の最も重点施策のところじゃないですか。これは最も重点施策で、工場ができるというために水はみんな上がってしまう。これは簡易水道か上水道でなくちゃならぬ。簡易水道は今四分の一ですからとてもやれない。だからこれを来年度はどうせ三分の一か二分の一にされることと思いますけれども、少なくとも二分の一くらいにしてこの簡易水道をやる。清掃の問題についてどの都市もこの清掃事業で困っていない都市はない。オリンピックを控えて云々……という意見が挾まって参りますけれども、オリンピックがあろうとなかろうと、どんな都市でも清掃の、塵芥の捨て場に困っている。処理に困っている。屎尿の問題で困っている。これはほんとうに日本が文化国家になる基礎ですよ、何と言ったって。下水もそのとおりです。このようなものこそ私は非常に重点に、事業団のこちらへ入れようと入れまいと重点にやらなければならぬ。その基礎が地方債であろうとなかろうと私はやらなければならぬ。こんなファクターだけで、これは地方自治体の融資はこれだけですか、そんなことはないと思いますが、ほんとうに厚生行政としてうんと力を入れなければならぬ、終末処理の問題は力を入れなければならない、これは。膨大な資金にひもをつけてこれこそ最も力を入れておやりになるところじゃないですか。私はそう思うのです。だから、私はその地方債に入っているからどうこうということを言っているわけじゃない。二五%を福祉事業に使うという大方針があって、他にはひもをつけるというなら、こういうところにひもをつけた金を十分に使っていただきたい。これができなければ意味ないと私は思う。福祉事業にもいろいろあります。その場合に、たとえば、終末の処理の問題のために金を使う場合があってもいいと私は思うのです。しかし、せっかくひもをつけて理事、監事を置いて、一つの事業団をこしらえて……。よくいろいろ議論、問題になりますけれども、何十万という給料をもらって、そうして事業団が発足したけれども、五十億くらいで、出先がおらないで市中銀行の貸し出しをずっと見ていてやっているというのに五十億のワクで仕事をさしていくということなら、せっかく大きい旗を立てられる意義が私はあまりにも少な過ぎるのではないか、そういうことを考えるから今申し上げているわけですよ。やらなければならぬことは、もう厚生行政は終末処理の問題にもっと力を入れてもらわなければならぬ。それはひもをつけてやれることです。そういうことを何か知らぬけれども、せっかく大方針がありながらどうもぼけているような気がするから、基本的な問題をちょっと問うているわけです。
○政府委員(小山進次郎君) ことごとく先生仰せのとおりでございまして、ここにあります上水道、下水道、清掃、簡易、この事業に充てられている融資の額はもちろんこんなものではなくて、上水道だけでも百五、六十億というものがあるわけでございます。それでこういうふうにこぼれができましたのは、もっとそちらのほうをふやせという主張を一面にやっておる間にだんだん物事が固まってきて、どうにも向こうのほうはほかの財源では解決がつかないということになったわけであります。そういうことで私どもも藤田先生仰せのとおりの考えを持っておりましたので、最後の段階でそれではしょうがないから自分たちの持ち分のうちからこれを振り向けるということによって、当面必要なこういう上水道以下の施設に少しでも多くの資金がいくようにしよう、また、医療公庫の問題もやはりそういうふうに自分たちで持つということで片づけようということで片づけたわけであります。しかし、これは実は不本意な解決でございまして、先生おっしゃるように、もっと前、つまり四分の三のほうで十分それを確保するという主張を実際上貫徹をして、四分の一のほうでは従来やっておったような還元融資が十分やれるようにしたい、こういう考え方を持っておるわけでございまして、その意味で明年度以降はそれですっきりさせていきたいとこう考えているわけであります。 なお、事業団に融資いたします金額は、来年度はもちろん五十億なんということじゃなくて、これは二百億近く、百五、六十億から二百億近くまで持っていきたい、こういう考えでおります。
○藤田藤太郎君 私はまだ具体的な問題についてお聞きしたいのですけれども、大筋が大体わかりましたから、きょうはこれくらいにしたらどうですか。
○委員長(谷口弥三郎君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(谷口弥三郎君) 速記を始めて。 それでは本件に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(谷口弥三郎君) 御異議ないと認めます。 以上をもって本日の審議を終わりました。次回の委員会は明日午後一時開会といたします。 本日はこれをもって散会いたします。 午後四時三分散会 —————・—————