社会労働委員会 第6号
- 発言数
- 145 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/10/19
会議録
○委員長(谷口弥三郎君) それでは、ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 本日の委員長及び理事打合会において申し合わせました事項につきましては、先刻申し上げたとおりであります。先刻申し上げたとおりと申しましたのは、本日は、最低賃金法の一部を改正する法律案の提案理由の御説明を聞いて、次いで、労働情勢に関する調査、これには身体障害者雇用促進法の施行状況に関する件、雇用促進事業団の運営に関する件、港湾労働者問題に関する件、駐留軍労務者問題に関する件などの事項について御質問をいただくことにいたしております。 それではさように決定しておきたいと思いますが、理事並びに委員長の話し合いは御承認に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(谷口弥三郎君) 御異議ないものと存じます。では、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(谷口弥三郎君) まず、第一番に、最低賃金法の一部を改正する法律案を議題といたします。提案理由の説明を願います。提案理由説明者村尾委員。
○村尾重雄君 ただいま議題となりました最低賃金法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。 御承知のとおり、現行の最低賃金法は最低賃金の決定について、労働協約に基づくもの、審議会の調査審議に基づくもの、等を認めておりますが、その主軸が業者間協定に基づく最低賃金にあることは明らかであります。 そのことは、同法施行後における最低賃金の決定状況を見れば一目瞭然であります。すなわち、これまでに決定を見た最低賃金の数は、本年九月末日現在で、五百十二件、適用労働者数にして百四万余人に達しておりますが、そのほとんどが業者間協定に基づくものばかりで、労使協定に基づくものは、わずかに二件しかないという実情であります。 この業者間協定につきましては、ここに多言を要するまでもなく、それは、あくまでも使用者側の一方的協定であって、「賃金は労使で決定する」という賃金決定に関するわが国労働法上の原則並びにILO条約の原則に合致しないものであります。 このような賃金決定の原則からはずれた業者間協定を最低賃金決定の基礎とし、かつ、この方式を主軸に考えている現在の最低賃金法は、すでに立法当時から多くの批難をあびており、できるだけすみやかに改正さるべき要素を当初から持ったものであります。 われわれがこの際、最低賃金法を改正せんとする主たる動機は、そうした当初から矛盾を含んでいる現行法を、そのままの形でこれ以上存続させることは適当でないと考えたからにほかなりません。 もちろんわれわれは、業者間協定が過去におけるわが国の劣悪な賃金の引き上げにある程度の役割を果たしてきた事実を否定するものではありませんし、したがって、現在の最低賃金の存在理由を頭から否定するものでもありません。 しかし、われわれは、労働者の生活権擁護という立場から、社会情勢の進展に見合って、よりよい最低賃金制の確立のために常に努力しなければならない責務を負っております。 そのような見地から現行法を見るとき、それはきわめて不満足であります。 その第一の点は、現在のごとき、業者間協定を主軸とする最低賃金法を、この際幾ら強力に推し進めたところで、そこに好ましき最低賃金制の確立を期待することは困難であること、換言すれば、現行の最低賃金法は、今後のわが国における適正な最低賃金制の確立について決定的役割を果たし得ないこと、第二には、業者間協定の本来の性格からして、それが労働者の最低生活の保障と無関係に決定され、かつ、それが最低賃金でなく最高賃金化しつつあるという弊害を生みだしていることなどがそれであります。 われわれは以上のような趣旨から、この際、最低賃金法を抜本的に改正して、わが国における正しい最低賃金制度の確立をはかることが目下の急務であると考え、ここにこの法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案の概要について御説明申し上げます。 まず、第一に、現行の最低賃金法第三条では、最低賃金は、労働者の生計費、類似の労働者の賃金及び通常の事業の賃金支払能力という三原則を考慮して定められる旨を規定しておりますが、通常の事業の賃金支払能力を考慮するあまり最低賃金の実施がはばまれる傾向にある実情にかんがみ、三原則中からこの部分を削除いたしまして、最低賃金の本来の趣旨を明確にいたしました。 第二に、現行の最低賃金は、業者間協定に基づいて決定される最低賃金を中心としておりますが、これは使用者の一方的協定を最低賃金とするものであり、賃金についての労使の自主的決定の原則に反するものであるだけでなく、ILOの最低賃金に関する諸原則にも反するものと考えられますので、労使が自主的に決定した労働協約に基づく地域的最低賃金が決定できる場合には、これを第一といたしまして、次に、最賃審議会の勧告に基づく最低賃金及び行政官庁が職権により決定する最低賃金に最低賃金決定の主軸を移すことといたしました。同時に業者間協定につきましても、その内容が適当な場合には、これに基づき最低賃金を決定し得る道を残すことといたしまして、現行の第九条から第十六条までを次のように全面的に改めることといたしました。 まず、労働協約に基づく地域的最低賃金につきましては、最低賃金決定の申請の要件を、労働協約の適用範囲及び申請の手続の二点でゆるめることといたしまして、労働協約に基づく最低賃金決定の道を広げましたこと。 次に、最賃審議会が最低賃金の決定または改正を適当と認めて、勧告を行なったときは行政官庁は最低賃金の決定を行なわなければならないことといたしますとともに、中央最低賃金審議会が、全国的最低賃金の決定または改正を可能かつ適当と認めたときは毎年四月一日に勧告を行なわなければならないこととし、行政官庁はこの勧告に基づいて最低賃金の決定を行なうことといたしましたこと。 労働者百人以上の請求があったときは、行政官庁は、最低賃金の決定のための調査を行なわなければならないことといたし、行政官庁は、調査の結果または職権により最低賃金の決定をする必要があると認めましたときは、これを行なうことといたしましたこと。 業者間協定につきましては、関係労使の代表を含む最賃審議会が適当と認めた場合に限り最低賃金として決定し得ることといたし、業者間協定の地域的拡張適用についても同様といたします。 その他現行の第十二条、第十三条及び第十五条第二項とほぼ同様の内容を有する規定が必要でありますので、所要の整理を行ないました上、第十一条、第十一条の二、第十四条及び第十六条の二の四条を設けましたこと。 第三に、現行の最低工賃は、最低賃金の実効を確保するために、関連家内労働について行政官庁が決定し得る旨を定めておりますが、積極的に家内労働者の労働条件の保護、改善をはかるという観点からこれを改めて、最低賃金にかかわりなく、行政官庁が最低工賃の決定を必要と認めたときまたは最賃審議会が最低工賃の決定を適当と認めて勧告を行なったときは、これを決定し得ることといたしております。 第四に、この法律の効果的な実施は、結局最賃審議会の活躍に待つところ大でありますので、最低賃金の決定にあたっての審議会の権限を強化するとともに、審議会の公正な運営を一そう確保するために、かつILO勧告の線にも沿って、公益委員の任命にあたっては労使委員の同意を要することといたしました。また、最低賃金を決定するに先だって労働協約に基づく最低賃金の場合を除いて、関係労使委員及び公益委員からなる専門部会を最賃審議会に必ず設け、これに専門事項を調査審議させることといたしております。また、船員に関しましても同様に船員労働委員会に最低賃金専門部会を設けることといたしております。 第五に、この法律の効果的な実施を確保するために、労働者または家内労働者が次の行為をしたことを理由に、これらの者に対して不利益な取り扱いをすることを禁止する規定を設け、これに違反した使用者または委託者に対して第四十四条の罰則が適用されることといたしております。 最低賃金または最低工賃以下の額の賃金または工賃が支払われた旨の申告を行なったこと。 最賃審議会等が行なう、最低賃金または最低工賃の決定についての調査審議に関与したこと。 労働者が最低賃金の決定のための調査の請求を行なったこと。 行政官庁から要求があったとき、これに対して報告を行なったこと。 第六にその他、関係条文の整備等を行なうことといたしております。 以上が最低賃金法の一部を改正する法律案を提案するに至った理由及びその概要でございますが、本法案が成立、施行されますならば、わが国における労働者の労働条件の向上と低賃金労働者の最低生活の保障に資するところがきわめて大であると信じております。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(谷口弥三郎君) 右法案に対する質疑は、次回以降にいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(谷口弥三郎君) 御異認ないと認めます。 —————————————
○委員長(谷口弥三郎君) 次に、労働情勢に関する調査を議題といたします。 右調査の一環として、まず身体障害者雇用促進法の施行状況に関する件について調査を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
○坂本昭君 本日の出席政府関係の委員あるいは関係の役所の人たちの名前と官職をおっしゃっていただきたい。
○委員長(谷口弥三郎君) 身体障害者雇用促進法の施行状況についての官庁からおいでになっておりますのは、加藤労働政務次官、木村職業安定局雇用安定課長であります。
○坂本昭君 ただいまから身体障害者雇用促進法の施行状況についてお尋ねいたしたいのですが、時間の関係もありますので一括してお尋ねしたいと思います。 特に一昨日、当委員会で五名の参考人を呼びまして意見をお聞きしましたところ、中には、適応訓練のごときは非常によい制度である、もっと人員をふやしてほしいというような御意見もありましたが、全般としては、雇用が促進されているというよりも雇用はちっとも促進されていない、あるものによっては阻止されているというような、非常なわれわれの期待に反した参考人の説明を受けたのであります。したがって、そういう点で、以下この法律に定められた項目に従って若干お伺いいたしたいので、簡明に御答弁いただき、こまかい数字的な資料等については、後刻表として別の資料としてお出しになっていただいてもよろしいですから、簡明な御説明を求めたいと思います。 まず、この法の第六条にある適応訓練、これについては比較的ほめられた方もあられたのですが、適応訓練の具体的な成果、また明年度の計画、この六条についての項目を伺いたい。 それから今度は十一条、雇用に関する国等の義務の問題、これの遂行、これの実情がどうなっているか。国は一・五%、それからその他一・三%。これの国家公務員、さらに国鉄あるいはその他の機関、それぞれの雇用率、政令で定められた雇用率をもって雇用されていなければならない。国などの義務というふうに書かれているその業務の行なわれている状況を伺いたい。 それから十四条、十五条には、身体障害者の雇い入れに関する計画、この計画がどういうふうに行なわれているか。十五条では、重度障害者に対する計画が出ています。この点について実施の状況を伺いたい。 それから十六条には、身体障害者雇用審議会の点が出ていますが、一体審議会の審議の実情はどうなっているか特にわれわれは、この春の当委員会においても、内部疾患の扱いについてはこの審議会の専門的な方々の御意見におまかせしたいということは、これはもう去年のときから説明を伺っていますので、この審議会は一体何をしてきたか、その成果はどうなっているか。特に内部疾患の扱いはどうなっているか。そういうことについての説明をいただきたい。特に一昨日金成参考人が説明をした、この促進法によってその後出た労働省の通達で、むしろ就職困難になっている。重度障害が視力〇・〇八というところで制限を受けて、そのためにかえって就職困難になっている。そういうふうな説明さえあったので、この点についての明確な御説明をいただきたい。以上であります。
○説明員(木村四郎君) それでは事務的に私からお答えいたします。 六条の適応訓練の問題でございまするが、三十五年度におきましては、予算総額四百五十四万七千円の予算で実施いたしましたのが、二百五十五人の実人員につきまして適応訓練の実施をいたしました。三十六年度におきましては、実施決定をして今進行しておりまするのが五百六十四名というふうな訓練を実施しておりまして、それらを終了した者につきましては、委託された事業所に採用されるというふうな実効を上げておるわけでございます。これらの問題につきまして、ワクが非常に少ないというふうな問題につきましては、またあとで御質問あろうかと思いまするので略しますが、来年度の計画につきましては、現在のところ非常にワクが少ないというので、来年千人のワクを要求しております。しかも、その千人の中で二百名は、一、二級の重度障害者のために二百名というワクを作りまして、その二百名につきましては、現在六カ月の訓練期間でありまするけれども、それを一年にする。八百名は半年間の今までの従来どおりの訓練、二百名については一、二級を対象とするがゆえに一年の訓練期間にするということで、合計千名の予算要求をしております。 それから第十一条の雇用の問題でございまするが、これにつきましては、国等の機関におきましては、ただいま先生からお話があったように、身体障害者雇用促進法及びこれに基づきまする政令の定めるところによりまして、三年以内に身体障害者雇用率を達成するように、身体障害者の採用計画をしているところでございます。現在計画を作成した機関は、三百四十五の機関でございまして、これらの機関の現在の雇用率は、計画を作成したところの機関の雇用率は〇・九八%でありまして、今後約四千四百人の身体障害者が採用されるというふうに予定されているわけでございます。それから民間事業所におきましては、これは採用計画の作成義務はありませんけれども、雇用率は示されているわけでございまして、この雇用率を達成するように安定所が訪問をして指導しているわけでございますが、このまとめた数字によりますと、民間事業所におきまする身体障害者の雇用状況は、現在百人以上の労働者を雇用している事業所におきましては、四万人の身体障害者が現在雇用されているわけでございます。その身体障害者の雇用率は〇・八二%となっておりまして、したがって、今後三年間に約二万七千人の身体障害者がこれらの事業所に雇用されると見込まれるということになっております。これは百人以上のものでございまして、九十九人以下十人までのものをまたさらにわれわれは雇用を促進するようにやっているわけでございますが、それらのものを考え合わせますると、十人以上の事業所というものを総計いたしますると、民間事業所において約六万人程度の身体障害者が民間事業所に雇用されるというふうに見込まれているわけでございます。これが現在の雇用率の適用関係でございます。安定所の職業紹介関係等については質問がありませんので、またあとでお答えいたします。 それから第十五条の重度障害者の関係でございますが、これは現在のところ、盲人に対するあん摩師というふうなものを特定職種として指定いたしまして、これには七〇%という高い雇用率を課しているわけでございますが、これが対象といたしましては、やはり民間のいわゆる施術所というところが大きな対象になるわけでございますが、三十五年の十一月末日現在の被用者であるところの特定職種のあん摩師は三千四百三十人でございまするが、このうちいわゆる重度障害者は二千百二十六人で、その比率は六一・九八というふうなことになっております。したがって、今後三年間に約三百人の盲人があん摩師として雇用されるというふうに見込まれております。まあもちろんこの視覚障害者の問題は非常に大きな問題であり、非常にまたむずかしい問題でございまするので、特に身体障害者雇用・審議会に諮問いたしまして、その雇用促進方策について現在検討中でございまするが、これはまたあとでお答えいたします。 それから第十六条の審議会の活動状況でございまするが、これはこの前の委員会におきましても坂本先生から何をやっているのだというふうなおしかりの言葉を受けたわけでございまして、われわれといたしましては、直ちに本審議会を開きまして、そうして精薄の問題、それから重度障害者の問題それから結核等を含めた胸腹部の疾患の身体障害者の問題、この三つの問題は非常に雇用促進上きわめてめんどうな問題でございますので、この三つの問題についての雇用促進方策について本審議会に諮問したわけでございます。本審議会におきましては、これは非常に専門的な問題でもあるので、それぞれ専門部会を設けて慎重に検討すべきであるというふうなことになりまして、この三つの部会を設けたわけでございます。つまり重度の障害者の問題、これはもちろん盲人も入っておるわけでございまするが、この専門部会は六月一日に労働大臣から委員の任命がありまして、第一回の会合は六月二日に開きまして、それから毎月一回ずつ開いて、十月十四日の会合をまぜますと現在までに五回開いております。これからまた毎月一回ずつ開いていきたいというふうに考えております。それから結核回復者等を含めましたところの胸腹部の疾患の問題これにつきましては六月一日にこれは委員の任命がありまして、第一回の会合が八月二十四日、これは少しおくれましたのですが、十月五日までに三回開きまして、第四回目は十一月二日に開催の予定にしてあります。それから精神薄弱者の問題につきましては、これも六月一日に委員の任命がありまして、六月一日に第一回の会合を開きまして現在までに毎月一回、五回開いております。そして大体意見もまとまったところで、中間報告というふうなものをやり、そしてできるだけ近い機会にその意見をまとめてそれを政策に反映していきたいというふうに考えておりますし、また、その結論が正式に出なくとも、今直ちに取り上げてもいいというふうな御意見につきましては積極的に取り上げて進むというふうな態度でやっております。それからこの間の金成参考人のお話の中でいわゆる労働省が〇・〇八以下の視覚障害のあるものについては採用しなくてもいいというふうな通達が出されたというふうなことでございましたが、これはちょっと言葉に誤りがあったことかと思います。その趣旨はいわゆるあん摩師といっても病院等におきまするあん摩師は私もよく知りませんが、物療医学というふうな方向に何か向かっておるというふうなことでございまして、特にその外科手術後のあん摩というふうなものはやはりその患部を見ながらもまなければいかぬ、その患部に触れた場合には患者に非常に悪影響を与える。それから赤化といって赤くなる。これは坂本先生の方が御存じだろうと思いますが、そういった赤くなっているか青くなっているかといったような皮膚の状態を見ながらもみ療治しなければならない。そういった医師の指示のもとにおいて視覚を円いながらやらなければならないようかあん摩は、これはこの七〇%というような雇用率を設けることはできないのだ、それらのものはこの雇用率から除くのだというふうなことになっておるわけであります。しかし、それを病院等が悪用いたしまして、そういった者は雇用しなくてもいいんだ、現在働いている者も追い出すんだというふうなことに悪用されることがあっては重大な問題でありますので、私も例が栃木県というお話でございましたので、さっそく栃木県に今照会しておりますが、厳重にそういうような点は悪用されることがないように指導していかなければならぬと、かように考えておる次第でございます。
○坂本昭君 一昨日の参考人の全般的な説明では、この雇用促進法のできたことに心から謝意を表するというか、非常に感謝をしているという趣が比較的乏しかったという印象を受けた。このことはもう法が去年の七月に施行せられて一年を過ぎて、そしてその間にまだ十分な効果が達成せられていないというそのことに対する一般大衆の率直な私は訴えであったと思う。特に今木村さんの説明を聞いていると、これはあげ足をとるんじゃないのですけれども、今後三年と言われたけれども、正確に言うと二年足らずですね、今後二年足らずの間に雇用率を達成しなければならない。そういう点では今あなたの述べられたたとえば国等の機関に対するその雇用率の面ではわずかにあと二年足らずで四千四百名ぐらいしか採用の余地がない。むしろ民間の方に、百人以上で二万七千、十人以上で六万、非常に民間の方におぶさっておった。この法律ができたときに少なくとも行政的にみずから国がひとつ範をたれる、そのためにはこの法律の中に義務という言葉で、中には義務という言葉が少し弱くなっておる。この弱くなっておることについても参考人の人たちはもっと罰則を強化してほんとうにできるような行政措置をやってもらわなければ、身体障害者というハンデキャップを受けた者はなかなか雇用されないのだ、すでに法律ができて一年、そういう声が非常に強くなってきておる。ですから、私はあなたの方で行政的にもやらなければならぬことはやるべきであると同時に、また、そのために幾つかの隘路があるならば、これは当然出してこられて、われわれもともにこれに協力し、雇用を促進するために全力をあげることについては決してその努力を惜しまないものなんです。 この際、次官に一言伺っておきたいと思うのですが、こういうような状況のもとにおいて、私は労働省の行政指導というのは非常に手ぬるいと思うのですね。たとえば適応訓練、これは今度千名にするということで、これはだんだん伸びていくことは非常にけっこうだと思います。また、特に重度の人を二百名選んだということは非常にけっこうですが、数をふやすために隘路があると思うのですね。そういう隘路をどういうふうに考えておられるか。さらにまた、義務規定にはなっているが、罰則とかそういう点が非常にゆるやかであるのでなかなか実施されていない。そういう面について行政的にどういうふうな御指導をされるおつもりかとりあえずこの二点をひとつ伺っておきたいと思います。
○政府委員(加藤武徳君) この法律が非常に待望されておりましただけに、施行後一年以上を経過いたしておりますのに十分な成果が上がっておらない、かような関係者のお方々の見方に対しましては、われわれといたしまして努力の不足しておった点が若干あるといたしますと、かような面は今後十分打開して参るように努力をいたしたい、かように思うわけでありまして、坂本委員の御指摘のように、適応訓練等につきましてはたいへんに関係をされており、また、全国八カ所の職業訓練所におきます訓練状況も着々成果を上げて参っておるのでございまするし、また、労働省の出先機関である安定所の窓口におきましても、ここ一年の間に六千名をこえるような職業紹介をやって参っておるのでありまして、その取り扱い等につきまして感謝をされておるというようなことも耳にいたしておるのであります。しかし、全般的に御指摘のような点がありますので、今後十分な努力をして参りたい、かように思うわけであります。そこで適応訓練につきまして、三十五年度で二百数十名、三十六年度で五、六百名、この程度では少ないというお言葉もあったのでありますが、三十七年度におきましては、木村課長が報告をいたしましたような方向で予算を獲得いたしまする努力をいたしておるのでございますが、今後、予算の獲得等につきましても格段の努力をして参りたい、かように思っておるわけでございます。 御質問の二点に十分沿い得ましたかどうかわかりませんが、私の考えておりますことを率直に申し上げた次第でございます。
○坂本昭君 特にこの国等——国家公務員、それから国鉄あるいは各種の事業団、公団、私たちはこういうものについてももっと雇用率を上げろ、一・五%や一・三%ではだめだ、さらにまた、この間の参考人は、大企業は租税特別措置などを受けているのだから、こういうところもこれに準じて雇用率を業務化させるべきだ、そういう意見もあったのですね。ところが、今の木村さんの説明だというと、こういう三百四十五の機関に計画ができておる。ところが、あと二年足らずで四千四百名程度なんですね。実は、この四千四百名について一番問題になるのは、内部疾患をどこまで採るのか。こういう点が、一年もたってまだ四回か五回しか審議をやっておらぬ。こういうことでは計画の立つはずがないんですね。こういうことを一番最初にきめて、そうして官公庁あたりでは、たとえば結核の回復者をこの程度まで入れていく、低肺機能者をこの程度まで入れていく、こういう努力があって初めて可能になるのであって、この内部疾患の問題がまだ結論の出ていないところでは、この計画というものはこれは実は意味がないのではないか。したがって、今の国などの義務を遂行させるために必要なことは、この計画を綿密にするために、今の内部疾患の規定をどうするかということ、さらにまた、公的な機関の場合は、雇用率に比較的近い現況、したがって、それをさらに引き上げる努力も必要である。そうしてそれを引き上げるためにどういう行政指導がこれから必要であるか。これはよほどやかましく言わないと、各省各機関はサボるんですね。そういろ努力がどの程度なされるか。その点も実は伺っておったわけなんで、その辺を少し明確にしていただきたい。
○政府委員(加藤武徳君) 身体障害者の雇用促進につきましては、直接雇用いたします国なり、国の機関が中核になって推進しなければならぬ、これは坂本委員御指摘のとおりであると思うのでございます。そこで、国並びに国の機関におきまして雇用計画を策定し、労働省へ報告せしめておるのでございますが、昭和三十九年度末までに達成いたしまする政令で規定いたしましたいわゆる雇用率、これはあくまで最低限を明示したにすぎないものでありまして、当然これよりも多きことを実は期待いたしておるのであります。しかし、所定の雇用率では、ただいま御指摘のように、今後三カ年間に雇用し得まする者はおそらく五、六千名程度でございましょう、雇用率から算定いたしますと。しかし、今申しますように、これはあくまで最低限でございまして、これを上回る雇用をいたしまするような今後十分な行政指導を行ないたいと、かように思うわけでございます。 なお、今日、雇用率に達しておりますので、雇用計画を出しておらない機関もあるのでありまして、かような機関に対しましても、今後雇用いたしまする計画を策定いたしまして、これは法的には義務づけられてはおりませんが、道義的に当然そういう計画を立てるべきものである、かように考えているわけでありまして、かような機関に対しましても、今後行政指導を強化して参りたい、かように思うわけであります。 そこで、重度障害者につきましての御指摘がございましたが、先ほど答弁いたしましたように、重度障害者と、それから胸とか内臓の、いわゆる内部疾患者等につきましては、雇用促進の審議会の中に専門部会を設けておるのでありますが、この専門部会は、ただ単に専門的に調査検討するということではなく、いかにして雇用の促進をはかるかということを基本に検討を願いたい、かようにお願いをいたしておるのでありまして、なるほど回数におきましては、そうひんぱんでないというおしかりもございましたが、しかし、熱心にやっていただいておるのでありまして、今後専門部会の方々、あるいは委員の方々、委員会等とも十分連携をとりましてプッシュして参りたい、かように考えておるわけでございます。
○坂本昭君 木村課長は、この春の通常国会のときに、雇用審議会の特に内部疾患の取り扱いについて質問したときに、あと一月すると、つまり六月を過ぎるとこの審議会の審議が始まる、そのときには明確な、皆さんにほめていただくような結論を出し得るというふうな大みえを切った。今聞いてみると、四回、五回やったことはやったけれども、内部疾患の扱いについての結論は出ていないじゃないですか。あなたはあんなうそを言って、人をだまかしちゃいけない。一体内部疾患の扱いはどうなるのですか。これは身体障害者として雇用率の中に入れるのですか、入れないのですか。入れるとするならば、その基準はどこにあるのですか。明確にして下さい。もう今は十月でしょう。
○説明員(木村四郎君) お言葉を返してまことにおそれ入りますけれども、私がこの間坂本先生に御質問を受けたときに、すぐに開いて結論を出すというふうには私は言わなかったはずです。直ちに専門部会というものを開いて検討に着手するということは言いましたけれども、実にむずかしい問題をすぐ結論を出すというような言は私は言いません。したがって、うそは坂本先生に言いません。現在までに、精薄、それから結核の問題そういった三つの問題につきまして、毎月三回ずつやっておるわけです。この仕事だけでもとても精いっぱいでございます。それで、今御承知の問題について論議していますのは、雇用促進の対象となるような、いわゆる結核回復者というものの範囲はどうすべきであるか、また、それの判定をする基準は一体どんなことで判定をするか、これが非常にいろいろ大きな問題があるようでございます。現在、私もよくわからないのですが、一年以上菌が出ない、それから一年以上レントゲンが悪化しない——一年間ですね。一年間菌が出ない、一年間レントゲンが悪化しない、というふうなものは一応回復者として扱うべきじゃないか。それ以内のものはとても雇用の促進の対象にならぬじゃないか。やはりその間であってもなお再発率が一%あるそうでございます。しかし、健常人でも再発率が一%ぐらいあるので、まあそれくらいならば結核の回復者として雇用促進の対象にしていいのではないかというふうな、今のところ話し合いを進めておるわけでございます。しからば、その中でもし雇用率を適用するというふうな問題になったときに、どの程度のものを雇用率の対象にするか。これがまた大きな問題でございまして、それの判定はどうするのか、判定の方法としては、何かVCというのですか、ヴァイタル・キャパシティとか何とか言っておりますが、肺活量のことだそうでございますが、この肺活量がなかなか上がらぬ……。
○坂本昭君 専門家にそんなことを言って……。こっちはそれで飯を食っている。(笑声)
○説明員(木村四郎君) 専門部会で教わりまして、それが四〇から六〇くらいのものが、これがやっぱり特別の考慮を払うべきものであって、もう六〇以上のVCのものについては一般の人間と考えてやってもいいじゃないかとか、そういうふうな今議論の段階になっております。まあ要約すれば、雇用促進の対象となる結核回復者とはどの程度の者をいうか、また、雇用率なんか適用する場合に、判定する場合に、そのVCを用いるべきか。VCを用いる場合に、どの程度のものに重点を置くべきかというふうな非常な問題で今まで日をけみしておるのですが、できるだけ早い機会にひとつ何かめどをつけたい、かように考えておるわけでございます。
○小柳勇君 関連して。今のVCの六〇というのは、この間話を聞いたら、VC一〇〇以下ではほとんど回復者として働けないということを日患同盟の事務局長がここで公述しているわけです。今あなたの言うように、VC六〇で普通の活動ができるということになると、それはどこの学説かどうか知らぬけれども、もう少し、そこを話していただきたい。
○説明員(木村四郎君) この問題につきましては、もっと私勉強してから答弁さしていただきます。ただ私はその経過だけを聞いておきまして、それをノートしたのを今ちょっとしゃべって相済みませんでした。もっと自信ができてから答弁いたします。
○坂本昭君 木村君、問題はね、肺活量が六〇%以上であるか五九%以下であるかというその五九と六〇の境の問題じゃなくて、もっと明確に、肺活量が三〇%だ四〇%だ、幾らでもあるのです。こういういわゆる低肺機能者として確定された人間を内部疾患の対象として、身体障害者として扱うか扱わぬかということなんです。だからその辺の学問的にむずかしいところは、十年かかってもいいですから検討して下さい。しかし今、今日急いでいるのは、三〇や四〇の低肺機能の人で、完全に身体障害者だと私は見るのだが、こういう人の扱いをどうするのかという基本方針がきまっておらぬ。それはあんたが幾ら五九がいいか七〇がいいか、これを一生懸命やったところで、論文書けるので、それは木村博士になるまでやっておってもらちがあかないのです。そういうことを私聞いておるのじゃなくて、そしてまた、この間の患者を代表して来た人も言っているのは、そういうことではないのです。つまり医学の論争をやるのじゃなくて、低肺機能として明らかにわかった一群のグループの人がある。この人たちをわれわれは身体障害者として強制雇用のこの法律の上に乗せて雇ってもらいたい、生活さしてくれ、こういうことを聞いているのですよ。だから、その結論が一年も二年も三年もかかっておったんじゃ、これはどうにもならない。どうですか、これは政治的な僕は扱いの問題だと思いますから、政務次官にひとつ責任のある御答弁をいただきたい。五九とか六〇という数の問題じゃありません。内部疾患をどう扱うかという問題ですね。
○政府委員(加藤武徳君) その前に、審議会の審議状況等につきまして、いろいろありがたいお言葉もあったのでありますが、労働省関係の委員会なり審議会だけの範囲でながめてみましても、率直に申しまして、身体障害者雇用審議会は大いに勉強していただいておると実は自負しておるわけでありまして、総会の回数も五回、それから専門部会おのおの数回開いておるのでありまして、私は委員の方々、専門部会部員の方々、たいへん御勉強願っておると、かように私としては実は感謝をしておるようなことでございまして、この点はひとつ御了承いただきたいとかように思うわけであります。 それから胸部等の内臓疾患の機能障害など身体障害者としていかように扱うかにつきましては、この法律を制定なさいました当時も、大いに議論のございました点でもございまして、私もよく承知をいたしておるのでございます。これも専門部会で検討願っておるのでありまして、その結論を待ちたいと思いますが、ただいま審議しておりまする最中でございますので、とやかく申し上げるのはどうかとは思いますが、私といたしましては、坂本委員の御指摘のように、強制雇用のベースに乗せまして雇用できまするような最大の処置をすべきである、そのように考えておるわけでございます。
○坂本昭君 それでは、労働省としては、内部疾患は身体障害者として強制雇用の対象として鋭意具体的な範疇あるいはその定義というものをすみやかに制定をする、そうして境界にある——ポーター・ラインにある問題は、それは学問的にむずかしい点もありましょう。が少なくとも、明確に低肺機能者としてもう学問の論外のものもたくさんあるのでございますから、これらについて私はこの際ひとつ日時を切りたいと思うのです。もう一年たったのですからいつぐらいまでに結論を出していただけますか。そうせぬとこの計画もできないだろうと思います。これは事務的なことでありますから木村さんに伺いますが、いつまでに結論を出すか、せっかく一生懸命やっておられる審議会でございますが、審議会に対しても、審議会の委員も私承知している人がおりますが、どうもそれほど勉強しているかどうか疑問だと思いますが、ひとつ日時を切って結論を出していただきたいと思いますが、どうですか。
○説明員(木村四郎君) 結核回復者の雇用促進の問題につきましては、なるほど雇用促進法の対象の障害者の範囲には入っておりませんが、安定所においては第二種登録者といたしましてこれは積極的にやっております。つまり療養所等に職員が行って職業相談をしたり、それから今水道橋に結核研究所がありますが、あそこに相談部というのができまして、ここにもわれわれが参加いたして職業相談をいたしまして積極的に仕事をしております。そしてその数字も、やはり毎月結核回復者に対して職業紹介をしている数字もここに出ておりますが、そういうふうにやっております。雇用促進法の対象になりますれば雇用率の適用を受けることになる、雇用率の適用ということになりますと、これは言うまでもなく、強制的に雇わせるということでありまして、その場合にはどうしても症状が固定しているということが必要である、それから客観的にその身体の欠陥を判定する基準がなければならない、この二点がどうも精薄関係と結核関係については不十分である、そのために検討しておりまして、その二点が明確になるならば、これは当然今政務次官の申されたように、われわれとしては雇用促進法の対象にしてやっていく、そのために労働省令で定めるというものがここに載っているわけであります。そういう余裕は残しているわけです。ただ問題といたしまして、結核の患者につきまして今の二つの問題が解決せられた場合、別の観点からこれもまた雇用率の適用をすべきかどうかということは十分検討しなければならぬ要素もございます。というのは、非常に結核患者が多いわけでございまして、おそらく雇用率を設定するにしても、とても二%や三%の雇用率では無意味でございまして、これも非常にめちゃくちゃな雇用率ということになってしまうのじゃないか、こういうふうに考えられますので、雇用率の設定というものはそういった別の面からもやはり考えなくちゃならないのじゃないか。まあこれは別な問題でございまして、今の客観的に判定する基準とか、それから固定しているものであるかどうか、こういう点とこの問題についての結論、これはおそくとも来年の三月ぐらいまでには一応先生方にお願いをしてその範囲をひとつ御意見として出していただきたい、こう考えているのですが、その結果直ちに雇用率を適用するかどうかという問題は、今言った別の面からも検討しなければなりませんので、直ちにこの雇用率を適用するということはここでは言い切れないのでありますが、部会としての御意見につきましては来年の三月ごろまでにはひとつ出していただきたいというふうにお願いしたいと思っております。
○坂本昭君 それでは審議会は内部疾患の扱いについて来年三月までに明確な結論を出すように労働省としても籍議会にお願いし、また、そういうふうな準備も整えているということで一応きょうはお約束しておきます。 なお、一昨日の参考人の説明でも、官公庁の場合はもうすでに一・六%で雇用率をこえているのです。だから今さらこんなことを言ったってちっともそんなところには雇用されないという声も実はあったのです。ということは、やはり雇用率を引き上げてもらいたい。今の結核の患者の身体障害者としての認定とも関連してくるわけですね、この点は。ですから雇用率を、数という意味ではなくて、身体障害者といえども労働しなければならぬ義務と同時に権利があるという点で、私はこの雇用率を引き上げるという点について、実際的な問題としてどういうふうに考えを持っているか。過去一年の経験を通じてひとつ御意見を伺っておきたい。 それが一つと、それから今、木村課長の指摘された点で問題になるのは、結核は確かに数が多い。だから全部含めておったらおそらく雇用率は何十パーセントにもなる。そういうおそれを除くためにはやはり登録制ですね、これは私のほうの作った原案では登録制でやっている。登録制をしたほうが明確になり責任が持てるではないか。もう一ぺん、だからきょうは事務的な問題ですけれども、登録制についてどうかという考え、さらに今あなたの説明の中にもいろいろな努力が出ておりましたが、職業安定所における身体障害者職業指導官の問題これなどははずされてしまったのですが、どうしてもこういう指導官の制度、これにはもちろん定員や人件費が伴ってきますが、この指導官の制度について新しい年度についてはどういう計画を持っているか。その三つだけをひとつ伺っておきたい。
○説明員(木村四郎君) まず第一点の雇用率の問題でございまするが、一・五%というふうな雇用率、比率、これがはたして適当なものであったかどうかということは、何しろ初めてのことでございましたので、今後検討してできるだけ適切な雇用率に持っていくように努力するというふうなことは、大臣からも局長からも御説明しておったところでございます。ところが、初めてのことでございまするので、非常にアンバランスがあるわけでございます。あるところではもう二%にも達しておる、あるところでは非常に率が低いというところもあるわけでございまして、一応われわれの進め方としては一・五%なら一・五%まで一つの平準化をいたしまして、そうしてそこに達したならばまたさらにこの雇用率を上げていくというふうな方向でないと、何かバランスがくずれてその指導のやり方も非常にめんどうになってきますし、一応一・五%というふうな雇用率の平準化をはかるということにひとつ努力を注いで参って、その上に立って平準化がなされた場合に、さらに求職者の数の状況ともにらみ合わせまして雇用率を高めていくというふうなことで進めていくのが適切じゃないかと、かように考えているのでございます。しかし、今の雇用率でありましても、まあわずかでありますけれども、官公庁約五千人、民間で六万人、これは一口に言いますけれども非常に私はめんどうな問題だと思っております。参考人の御意見の中にもさっぱりその裏づけが一つもないではないかというような御指摘もございまして、確かにそういったものがないと、これだけの数字を三年間に達成するということも非常にめんどうではないかと私は思っております。ですからただ雇用率を今のところすぐ上げてそうして何人採用されますなどと言うよりも、と出かく少ない数字ではあるけれども、これを完全に達成するということに主力を置いて、その上に立ってまた雇用率を検討していくということで進みたいというふうに考えております。 それから登録制の問題、これは実は専門部会でもこういった話は出ました。イギリスあたりではやはり希望によって登録するというふうなこと、身体障害者であっても希望しない者は登録しなくてもいいというふうな登録制をとっておる。これはやはり必要じゃないかというふうな話も確かに出ました。有力な意見として私も承っておるわけでございまするが、これを直ちにどうするかというところまでは、まだわれわれとしては勉強しておりません。 それから第三、職業指導官の問題、これはまさしくもうこの間の参考人の御意見の中にもありましたけれども、安定所においてこの雇用を促進するためには、どうしても職業指導官というものは私は必要だと思います。これは政府としての答弁にならぬかもしれませんが、われわれとしてはどうしてもこの人数がほしいということで、何年これは大蔵省に実は要求しておるわけでございます。来年度ももちろん内定所に配置するように定員増を要求しておるわけでございます。現在のところでは、安定所に職業紹介官という制度がありまして、特別な訓練を施した者を窓口に配置しておるわけでございまするが、それらの者をまたさらに本年度六十人ばかり選び出しまして、それにまた特別な訓練を与えまして、そうして身体障害者専門の職員を仕立て上げてこれを配置するというふうな、質の改善をはかっておりまするが、人員の純増の問題につきましては、来年度の予算でがんばりたいというふうに考えておるわけでございます。
○坂本昭君 最後に、この身体障害者の雇用促進の問題は、昨年初めて立法化されましたが、政府の所得倍増計画とも深い関係があって、政府の所得倍増計画を見ておりますというと、確かに国民所得は倍になるかもしらぬけれども、厚生省の言葉によると、明暗の格差がひどくなる。そうして重化学工業あたりはどんどんと雇用を促進されるが、それ以外のものはもう犠牲にしていく。そういう中でたとえば中卒、高卒あたりの身体完全な、健全な人は雇用されていくが、中高年令者、あるいは身体障害者、こういう人たちの雇用はずっと落ちていく。こうした労働雇用における格差というものが広く出てくるのです。したがって、去年制定されたということは、非常に意味があると私は思っている。したがって、私はむしろ先ほど肺活量が五九%以上、あるいは以下であるというふうなことよりも、今日のこの倍増計画の中でハンデキャップのある労働意欲のある人をいかにして雇用させるか、そういう点でこの促進法というものは生かさなくちゃいかぬと思うのです。そうしてこの一年間の過去の実績を見ると、どうもわれわれとしてきわめて不満が強い。特に身体障害者の代表を呼んで聞いてみると、おかげさまでありがとうございましたという声を聞くことができない。そういう点でまだたくさん問題点はあるのであります。これはまた次の通常国会でも絶えずわれわれとしては労働街を激励し、鞭撻していきたいと思うので、どうか労働省としては責任を持って、このハンデキャップのある人たちの完全雇用のために、これはもう健康な人も含めての問題ですけれども、特に失業率が非常に高いのですし、そういう点で一そうの御努力をお願いして、私の質問は一応終わります。
○小柳勇君 ひとつ、今坂本委員が言われたことだったのですが、この間の参考人の意見を聞いておると、非常にまだほとんど役に立っていないというような法律であったにかかわらず、課長の今答弁を聞きますと、もう労働省が積極的にどんどんやっておられるような答弁で、若干の感覚的な違いを私今感じておりますから、今坂本委員が言われたようなことを言いたかったわけです。 それから具体的に今われわれが地方に帰りまして、職業安定所に参りますと、雇用の状態はすぐ一目瞭然とわかりますか。
○説明員(木村四郎君) 職業安定所に行きますと、安定所で紹介した数字は、これはもちろんわかりますし、それから工場、事業場におきまする身体障害者は現在何人おるかというふうな数字も、台帳ができておりまして、わかることになっております。わかります。 それから一言言わしていただきますが、非常に私が一生懸命どんどんやっているというふうな印象を受けられたというようなお話でございましたが、私はそう大いにやって成績が上がっているというふうには申し上げておりません。何分にもまだ、どちらかというと、出発した当初でありまして、至らない点は十分ございます。それはもうわれわれはいばって申し上げているわけじゃございません。できるだけ努力はしております。それで、この間の参考人の供述の中でも、非常に先生方を前にして言われたかと思いまするが、労働省は何もやっていないというふうな意見が非常に強かったと思います。しかし、労働省にもああいった方々が見えられまして、たいへんにありがとうございますということは言うておられるわけです。で、ここで参考人が言われたことがすぐさまもう全部が全部もう、ほんとうでございましょうが、ニュアンスがだいぶ違っているということを申し上げておきたいと思います。いろいろ自慢したいことはたくさんあるのですけれども。
○徳永正利君 ごく簡単に終わらしたいと思いますが、あるいは質問の中に出たかもしれません。私おくれて来たものでわかりませんが、重度障害者の家族の就職のことなんですが、これは前の国会でも、この法律案をめぐっていろいろ論議されたことでありますが、まあ身体障害者の雇用促進、これはもちろんやらなければなりません、なければなりませんが、翻って考えてみますと、やはり働こうにも働けぬ、重度障害者の家族の妻なり、今、子供たちは職業につけると思いますけれども、子供なりその妻なりというのは、これは中高年令層のところの就職より以上に、むしろ私は狭められていると思う。で、この点について、われわれは前の国会で盛んに論議し、要望もしたところですが、これについてどういうふうに労働省はその後検討を重ねておられるか、ちょっとお伺いしたいと思う。
○説明員(木村四郎君) 重度障害者の家族の就職促進の問題、われわれのほうでは未亡人とか、こういった重度障害者の家族の問題とか、あるいは同和地区の問題とか、そういった非常に底辺の労働者あるいは求職者の問題を私の課では引き受けておるわけなんですが、非常にいずれもむずかしい問題でございます。で、一応われわれ、こういったものの就職促進の対策としましては、職業安定協力員というものを二千名安定所に配置しまして、なかなかこういった方々は安定所の利用になじまない、あるいはまた、地理が遠くて安定所になかなか出ることがおっくうであるというふうな方が多いわけでございまして、そういった安定協力員というふうな方に、こういう、いろいろ相談していただいて、その結果を安定所に報告してもらって、安定所が必要ある場合にはそこに行く、あるいはまた、いい求人口がある場合には来てもらうというふうなことをして、安定協力員の活動の促進によって、この職業紹介も進めていくというふうな一つの手を打っております。 なおまた、婦人少年局ともいろいろ相談をいたしまして、大きな安定所には、特にこういった婦人の方々の職業相談を親切にやるために、大きな安定所には婦人の職業相談職員を配置するというふうなことで、こういった方々の特別な職業相談を実施するというふうなことをやっております。 なお、家族といっても子供さんのまあ問題もあるわけなんですが……。
○徳永正利君 よくわかった。
○説明員(木村四郎君) どうもそういうことで……。
○徳永正利君 要するに、今までどおりのことをやっておって、特別なことは何にも考えていないし、特別な手を打っていないということであろうと思います。これは、この雇用促進、身体障害者の雇用促進法という戒名のついた法律の中に織り込むということはどうかという議論もありましょうけれども、これは私は、その中へ入れてもちっともおかしくないと思う。また、あきらめ切れぬ病気の原因によってそういう塗炭の苦しみの生活をしておるという連中は、おそらく私は、社会を恨んでいるだろうと思う。で、この問題はひとつ真剣に、前の法律の審議のときにも各委員から御要望もあり、論議のあったところでございますから、もう少し前向きの姿勢で真剣にひとつ取り組んでいただきたい。特に箱根の療養所なんかもごらんになったらよくわかると思いますが、せき損患者なんかは、もう自分の家族は働かせようと思えば働かされる、ある程度は。しかし、職場がないというような現実の問題は、私は、身体障害者と並んで、あるいは、それより以上に重大な問題だと思うのです。ですから、この点につきましては格段の、ひとつ前向きの姿勢で御検討なり、あるいは御指導をしていっていただきたいということを特に要望いたしまして、これ以上の質問はもういたしません。
○委員長(谷口弥三郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(谷口弥三郎君) 速記を始めて下さい。 本件に関する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(谷口弥三郎君) 御異議ないと認めます。 —————————————
○委員長(谷口弥三郎君) 次に、雇用促進事業団の運営に関する点について調査を行ないます。 御質疑のある方は、順次御発言を願います。 本問題につきましては、加藤政務次官以外に、三治職業訓練局長、遠藤職業訓練局指導課長が見えております。
○坂本昭君 最初に、都内にある江東総合職業訓練所、これが今度廃課縮小、場合によっては閉鎖されて、サービス・センターになるかもしれないというふうに伝えられております。そこで、その内容と目的と、なぜサービス・センターというふうなものに変えなければならないかという目的と、それからその理由、なぜ変えるか、まずそのことを御説明いただきたい。
○政府委員(三治重信君) 江東の総合職業訓練所は、事業団になります前に、総合職業訓練所というものを失業保険の施設として作り、最初にできた施設でございます。ところが、中央職業訓練所を作って、それに付属施設として東京総合訓練所を作る計画を三年前にやりまして、今日大体中央訓練所並びに東京総合職業訓練所を小平に完成を見つつあるわけであります。私たちの当初の計画から申し上げまして、御承知のように、各県一カ所ずつ大きな総合職業訓練所を必要施設として作る、こういう計画で大蔵省とずっと年度計画をやっていたわけであります。したがって、江東の総合職業訓練所はそういう意味においてダブるということになるわけであります。したがって、大体完成の目途の来年度でやはり従来の約束どおり、江東職業訓練所を実質上は東京の総合訓練所に合併するという構想で案を立てております。しかし、江東職業訓練所のあの施設は、ちょうど中小企業の非常に密集地帯であり、しかも現在いろいろの企業内の訓練、再訓練の施設がなくて非常に困っておりますので、総合訓練所としては廃止するけれども、しかし、それであれを全部廃止するのももったいないから、われわれの一つのテスト・ケースとして事業内訓練、並びに事業内の中小企業に雇用されている方々の再訓練センターとしてこれを活用する案で予算折衝をしているところでございます。
○坂本昭君 最初の理由として、各県一つというのがダブるという御説明ですけれどもね。東京都というのは人口が御承知のとおり、日本の十分の一ぐらいあるわけです。これは東京都のような場合は幾つもあったって少しもおかしいことはない。また、現にあなたの方では北海道あたりには四カ所ぐらいすでに年次計画で計画を立てて訓練所をお作りになろうとしている。したがって、今言われたことは私は理由にならないではないか。また、東京総合訓練所は、この場合は指導員の訓練という非常に高い訓練もその中に入っている。だから今あなた自身言われたとおり、江東地区の中小企業がたくさん密集している地域であればあるほど私はこれは何も閉鎖をするという理由はないと思う。これが第一。 それから次に、再訓練をするセンターとして方向を変えると言われるのですが、もう少しその内容ですね、どういうふうな訓練にするか。したがって、科目も現在たしか四科目やっている。それをどういうふうに変えていくか。その内容も少し説明いただきたい。
○政府委員(三治重信君) 一つはその企業内に雇用されております新学卒の初等の訓練、いわゆる技能者、昔から現在までやっておる事業内職業訓練の長期の訓練を夜間でやって、昼中の方は再訓練のほうのいわゆる再短期訓練、相当事業内に入られて相当の技能を持っている、それがいわゆるフォアマンなりあるいは熟練工としての資格を持つようになるときに、最近の技術技能をあらためて教育するというふうな短期訓練の施設としてやっていきたい。現在の計画では機械と、機械製図と仕上げとその三種目をやる。したがって洋服、洋裁の関係が、これが当初からずっとある。これがそういう再訓練センターとしては不要になるのではないかというふうに考えます。
○坂本昭君 どうもさっきの、各都道府県一カ所ということを御答弁しなかったところからみると、御答弁できなかったのだと思うのだが。
○政府委員(三治重信君) します。北海道はこれは地区から申し上げましても東北六県相当だけの広さがある。その地区別に見ても大体、したがって、訓練所のまあ間隔からいって四カ所ぐらいが、こちらの本土のほうでの各府県一カ所の分布からいくというと、大体同じようになるのじゃないかと。しかも北海道のほうで非常にまあこちらのほうで訓練をして向こうに行かれる方が割合に少ないわけなんですから、向こうのほうの北海道の急速な産業開発ということから見て、そういうふうな総合訓練所としてやはり一県当たりのその広さから見て、大体四カ所ぐらいが適当ではないかということで、まあこれもいろいろ三カ所、二カ所の案があったのを、まあ、いろいろ議論した結果四カ所に決定したわけでございまして、私のほうとして結局一カ所でも二カ所でも、まあ、それは何も根本的な理由はあるわけではない。多くなれば多くなるにこしたことはないという議論もありますけれども、やはりこういう大きな施設を作る場合においては、やはり一応全国的な規模並びにその目標というものを要求されて、それが一応四十年までにはそういうことで労働省はやるということになったものが承認されて、現在その方向で進んでおる。それから東京の総合訓練所は、これは中央訓練所と一緒に作っておりますが、中央訓練所のほうは指導員の養成機関でありまして、ほかの府県と同じ、またはそれ以上の規模で、東京総合訓練所というものは各県と同じような基礎並びに専門的な職業訓練をやる東京職業訓練所として、ただ場所が一緒である、職員が若干重複するという程度でありまして、規模並びに施設関係それから訓練の範囲、規模、内容というものについては東京総合訓練所のほうの小平にありますのは各府県のやっと同じように考えているわけでございます。
○坂本昭君 これは政務次官によく聞いておいていただきたいのですが、今のように北海道に四つ作るのは各県の規模からいって北海道には四つぐらいの県があるというような根拠だということを言っておられましたが、実際いうと、人口からいったら東京都というのは日本の十分の一あるのですから、その中で失業者の転職訓練あるい職業訓練のために東京都に二つ三つあったってちっとも不思議は私はないと思う。ただ今の局長の答弁を聞いていて非常に不可解に思うのは、江東の訓練所を事業内訓練、主として事業内の訓練として昼間は短期の再訓練、夜は長期の訓練、いずれもこれは失業対策事業ではないと私は見るわけです。そうしますと、この雇用促進事業団というものは失業保険の特別会計でまかなわれている部分が非常に多い。にもかかわらずこれは失業対策としての職業訓練あるいは転職訓練では完全にないということです。そうすると、われわれは従来もこの雇用促進事業団法の審議のときにこの春附帯決議をつけて、これは当時委員長であった次官も御承知のとおり、政府は事業団の行なう業務に対し一般会計より支出する等の方法によりその出資金及び交付金を増額するよう努めることという附帯決議を特につけているのは、これが完全な失業対策として利用される面よりも一般的な、失業者でない人の再訓練という面でよけいに利用されている。したがって、一般会計からもっと入れなければならぬ、これを失業保険の特別会計で扱うというのはおかしいではないかという議論がここでは非常に強くされたのであります。ところが、今の江東のこの総合職業訓練所は明らかに失業対策としての訓練の意義をみずから放棄しようとしている。これははなはだ私はおかしいと思う。しかも、これを放棄するに至ったことについて、たとえば職業訓練法に規定せられた職業訓練審議会あるいはまた、この春われわれ雇用促進事業団法を審議するときに、事業団の中に労使を含む関係者を構成員とする運営協議会を設けること、こういう附帯決議をつけて、これはこういう運営協議会というものはできたと聞いておる。しかし、こういう運営協議会の議を経てこういうふうな江東総合職業訓練所の運営方針が変わるようになったかどうか、その点をひとつ、これはきわめて重大な問題でありますので、次官からひとつ御答弁をいただきたい。つまり、一点は明らかに方針が変わって再訓練に重点を置くようになったが、このことは雇用促進事業団の本来の趣旨から逸脱しておるのではないか、また、こういうふうに方針を変える、聞くところによると、十月の初めから、さきに説明のあった洋服、洋裁などはもう人を募集していない、実質的にこれは閉鎖のような状況だということを聞いている。こういう大事な問題が職業訓練審議会やあるいは事業団の運営協議会の議を経ないで行なわれているのではないか、この二点についてこれは次官からひとつ御答弁をいただきたい。
○政府委員(加藤武徳君) 事業団法案を審議いたします段階で、もっと一般会計から多額の出資をしろという強い御意見があり、また、このことを常任委員会とされて附帯決議なさったことを私も承知をいたしておるのでありまして、附帯決議の考え方に沿って関係方面とも交渉をただいまいたしておるところでございます。そこで、再訓練等に事業団が手を出して進めていくことは、失業保険の積立金を大部分の原資とする事業団としては適当ではないではないかという御意見と承ったのでございますが、私は必ずしもそうは考えておらないのでありまして、特に一般会計等から今後出資が大いになされるといたしますると、当然再訓練等も事業団の重要な業務としてやっていただく部面ではないだろうか、かように私は考えておるわけであります。 それから、労使を含む運営協議会を持て、そして重要な事項に関してはこの協議会に諮って事を進めろ、かような結論をお出しになり、また、政府がこの結論に沿って処置をしておりますということも承知をいたしておるわけでありますが、ただいまの江東の総合職業訓練所の性格を変えますことについて、はたして協議会に諮ったかどうかは私はつまびらかに承知をいたしておりませんので、この点は政府委員から答弁をさしたいとかように思うわけでございます。
○政府委員(三治重信君) この予算要求を毎年七月にやりまして、運営協議会はそのあと、たしかその当時予算要求の決定をする場合には、まだ事業団のほうで運営協議会を作っていなかったと思っております。したがって、この運営協議会の問題につきましては、確かに御指摘のような点がございますので、至急事業団のほうへ連絡しまして運営協議会に諮るようにしたいと考えております。それから事業団の方の総合職業訓練所はいろいろ問題が、この経費の点からいろいろな問題がありますが、今の職業訓練法の建前からいきますると、やはり失業保険の被保険者、または被保険者であった者というふうになりますので、中小企業のそういう雇用者についての職業訓練という部面は、被保険者に対するサービスとして、これは総合訓練所で、やはりわれわれとして事業者のいろいろの雇用労働者に対する訓練が、施設並びに指導員の関係からしまして、できない現状にかんがみまして、一般の失業者の転職訓練をやるとともに、そういう失業者に対する職業訓練もできるだけやっていきたいというふうに考えております。それでこの問題につきまして、結局廃止される科目の職員の問題が一番われわれの方として頭を悩ましているわけなんですが、これにつきましてはそういうふうに、これも今御説明したことは来年度の予算要求、また、四十年度までの総合職業訓練所の完成計画という点からそういうふうな、ちょうど来年の予算でそういうふうな大体の筋を作った方がいいのではないかというふうなことで、今案を作って提出して、予算の折衝に入っているわけなんですが、そういうふうな問題で、もしもそういうふうに決定される場合におきましては、そういう善後措置につきましては、事業団とよく話をしまして遺憾のないようにやっていきたいというふうに考えております。
○坂本昭君 どうも二人とも答弁はだいぶ私の質問の要旨と食い違っております。まだあとたくさんお伺いしたい点がありますから次に進みますが、基本的には今の、現に働いている労働者の再訓練の場に、この江東の訓練所を変えるということ、そしてこれはただ単に偶然この江東の総合職業訓練所の事例ではなく、私の見るところ、これは事業団として、また、雇用の問題として非常に大きな意味を私は持っていると思うので、全般的の問題として少し検討をしていきたいと思う。先ほど局長は理由として各県一つだから廃止するという、こんなことを言っておられたのですが、これは理由にならないのです。そういうことより今、来年度予算の問題が出てきた。その予算の問題の中で、東京都から訓練の委託金の打ち切りを言われている。この都からの一体委託金は、来年度どうなるのですか。そうしてまた、その委託金の問題と、それからこの訓練所の運営という問題は、密接不可分の関係にある。それについて局長はどういう見解を持っておられますか。
○政府委員(三治重信君) いま少し江東の訓練所を先にお話し申し上げますが、中央訓練所を小平に作る場合に、あすこらに置く指導員の訓練施設だけでは、やはり一般の学芸大学とかそれから教育大学の付属があるように、やはりそういう一般の訓練施設を付設する必要があるというような議論で、初めはそれを最小限度にやるというふうな議論や、それから事実江東の訓練所はほかの他府県から見ますと非常に貧弱なわけで、一番最初にできて、東京都がそれほど熱心でなくて、結局土地の提供や何かがなかったものですから、あすこの焼けビルを買って、あすこで暫定的にやり、東京都と自来ずっとやって、いずれは大きな他府県と同じようないわゆる総合訓練所らしい総合訓練所を東京都と協力をして作ろうということについては、両者意見一致しておったわけでございます。その中央訓練所を作る計画の前までは、あすこの江東訓練所を八王子ないし立川の方へ移転するという計画も一時あって、それに都の方も土地の買収何かもやってぐれて、そこの方にきまったような、着手しませんでしたけれども、きまったようなことも事情としてはあるわけなんです。いずれにしても、江東訓練所はずっと各県一つずつ作るという過程において、東京都自身も東京都の都内で、東京都で一つ大きな施設を国と協力して作ろうという考えはある。いずれそれは移そうという気持はあったわけです。それで中央訓練所がはっきりできる見通しになって、そして八王子、立川の候補地もやめて、そして小平の方に換場して別にやったというふうないきさつでございまして、これは急に唐突に、——あるいはあそこの一部の方にはそれは唐突かもしれませんが、われわれの計画や都並びに事業団としてはずっともう中央訓練所の着手前の、数年前からずっと、江東のあの総合訓練所は総合訓練所らしくないから、他府県にまさるとも劣らない、また、東京は首都でいろいろ見学者もあるので、やはり全国の模範となるような総合訓練所を作ろうという意向についてはずっとあったわけなんでして、その点ただ急にどうのこうのということではないということをひとつ御了承願いたいと思います。それですから、私なんか着任する前からもうずっと、七、八年前から東京にりっぱな総合訓練所を作るということについての運動並びに計画があって、江東を移そうという計画はもう数年前、もっと七、八年前からもずっとあったわけです。それがなかなか土地の関係やそれから中央訓練所を作ってそれと一緒にしたらどうかとかいろいろの計画で数年おくれて、そして結局のつまりが現在のような中央訓練所と東京総合訓練所を同じ個所に作って両者とも見劣りのしないようなりっぱな全国の模範となるような総合訓練所にするということにきまって、大体来年度において、予算が来年予定どおり入れば既定の計画が完成する格好になる。そういう工合になれば従来の関係で、東京総合訓練所としてりっぱなものを作ったら江東は廃止しますという前からの約束があるわけです。これはずっと多年の既定計画でありました。したがって、われわれのほうとすれば、また、大蔵省のほうとしても、事務的な折衝としてはあれはもう都に返すなりあるいは整理してくれというのですけれども、やはりあれだけの施設ですからいろいろ考えて、やはり最近問題になっています中小企業労務者の再訓練あるいは事業内の訓練の場所がないということからいって、それではそちらのほうに転換したらより有効じゃないだろうかということで、われわれのほうとしては、非常な善意と努力を今傾注しているように考えているわけでございます。 それから東京都の委託金の問題は、確かに江東の訓練所については都のほうとすればそういう委託の価値がない。あれくらいの施設であれば——都の方としては、今ずいぶん各所に、前から見れば変わった、りっぱな施設、いわゆる地方の総合訓練所に近いような施設を各所に建設中でだんだん完成してきているわけですから、したがって、都のほうとすれば、江東訓練所程度の教育訓練ならば、われわれのほうが委託費を出してまで事業団に訓練してもらう必要はないというのが委託金を出ししぶる大きな理由であるわけです。したがって、東京の総合訓練所が新しくできまして、そちらのほうで、小平のほうでやると、こういう施設についてはあちらのほうにはそういう訓練施設がないし、それから東京都のほうの既設の訓練施設に収容できない訓練生も、志望者の方もあそこに入れる、あそこには宿舎も設けるということで、これのほうは都としてもできるだけ応援しようということになっております。都のほうの委託金を出す言い分は、やはり他の府県でもそうですが、総訓のほうに委託金を出すのは、自分たちのところで現在訓練ができない科目ということで、それから十分の施設がないということで、また、自分のところの訓練所に定員として収容できない訓練生があるということで委託費を出すのが一応の観念というのですか、理屈になっているわけですが、それで都の言い分としては、江東訓練所程度で、あそこの付近ならば何も事業団に頼まなくてもいいのだという理屈が非常に強いわけです。そう言われると事業団の方としては非常に弱い。そうすると、委託費をもらえなくなると、現在の事業団のように基礎訓練をやっている訓練所では、都道府県から委託費をもらわなければ運営費がなくなるということで、運営に非常に困る。これは事業団としては、実際に運営上の部面から、運営費がなくてもやれといっても困るので、できればそういうふうに変えたいという点もそれは確かにあると思います。 事業団のほうとしては、小平の東京総合訓練所のほうにも委託費をくれ、江東の訓練所のほうにも委託費をくれと、いろいろ言っているが、東京都のほうとして見れば、自分のところで、せっかく大枚の金をもらって、国から補助をもらって、そうして自分のところで十分できるようになれば、そう委託費を出す必要はないんじゃないかという都側の理屈もある。事業団の方としては、その点をやはり運営上の問題として、資金上非常に悩むわけです。そういうことをいろいろ彼此勘案してやはりこういうふうにすれば一番いい解決方法じゃないかということでございます。
○坂本昭君 今の問題点は、非常に重大なので特にこれは次官も耳にとめておいていただきたいと思う。 それはこの事業団の運営というのは御承知のとおり、政府交付金、それから受託金、それから実収収入金、大体こういうものでまかなわれているわけです。そうして江東の場合を見ますというと、三十五年度受託金、これは決算で三百五十四万五千円くらい、それから政府の交付金が一千六百七十四万九千円くらい、それからその他というのは大体実収収入金ですが、これが四百五万六千円くらい、これを見ますというと、さらに実収収入金の内容は、大体今度廃科になる洋服洋裁が、これが大部分だと私は聞いている。そうしますと、受託金と実収収入金でこの江東の訓練所は一応まかなっていくことができた、また、今後も十分でき得ると私は思う。ところが、今の都道府県がもう委託したくない、そういう傾向が強いということになれば、これは職業訓練審議会あたりで方針をはっきりきめなければいかない。現に職業訓練法の第九条には、職業訓練の委託という項目で、第九条にはっきり明記されておりますし、そうしてこの委託金の単価が低過ぎるということを前の通常国会でだいぶ議論したんです。ところが、低過ぎるどころではない、こういう制度もやめていって、そうして都道府県で自分でやり得るというならばいいが、しかし、そのやり得るというめどがどうも私にははっきりわからない、やめてしまってそうしてもう委託しなくてもやっていける、そういう方針がはっきり打ち出されているならば、それについて明確な政府の方針を示していただきたい。現在のところは、むしろ所得倍増計画の推進とともに、中小企業の方面では失業やあるいは転職を余儀なくされる者がたくさん出てきている。そうしてまた、江東の場合の各科目に対する応募の状況、これなどを見ますというと、廃科の方針が、科を廃する方針が出るまでは洋服、洋裁についても応募者の数というものは、非常に高いのです。たとえば洋服について三十四年度前期は、募集人員三十五に対して応募者は四十八、三十四年度後期は募集人員十五に対して応募者が二十二、それから三十五年度の前期は、人員三十五に対して応募者五十六、三十五年度の後期は、人員十五に対してこのときは応募者の数は四に減っていますが、これはもうこのときからやめていこう、閉鎖していこうというので募集のPRをやっていないのです。今までのずっと経過を見ると、かなりの希望者があったのですよ。希望者があるし、また、能力からいって洋服、洋裁というようなことが、たとえば身体障害者は、この場合は別ですけれども、そういう人もたくさんあるわけです。だから、過去の実績から見て、とうてい不可能だというならば、ともかく、これは私は委託を都が積極的に断わる、また、それに対して、労働省としてもやむを得ない事項として認めるには早過ぎるのではないか。ただ、全国的にこういう傾向が若干あるようには私も思うのです。現に委託をしていない県が十数県あるようですし、さらに近い将来、長野県、広島県、福島県、静岡県、こういうところでもだんだん委託制度が減少の傾向にあるということも聞いておりますが、これらのことは、職業訓練促進事業団としての今後にかかわる非常に大事な点であって、この点についてはっきりした方針を立てないで、ただ、江東はもう最初にできたぼろい建物で、中央ができるときになくするという約束だったからなくしますというような、そんなおざなりな答弁では、私としては納得できないので、なぜ訓練委託という問題がこうなってきたか、さらに今後は一体どういうふうにするつもりか、これについて政府の明確な方針をひとつこの際伺わしていただきたい。
○政府委員(三治重信君) この委託金制度ができた初まりは、あるいは先生御存じだと思いますが、各県に総合訓練所を県庁の所在地あるいはその付近に作るという方針でやって、作り始めたところ、その県庁所在地には、みんなそれまでに既設の一般の職業訓練所があったわけです。そうして作って、そのときに作ってみると、両方になると総合訓練所のほうにみんな寄ってしまって、その都道府県の所在地の訓練所、それができるまでは非常に希望者があったが、そちらのほうに希望者が行って、一般の従来の施設の、都道府県立の訓練所の希望者が非常に激減した。それで合併してくれということで合併したわけなんです。そうすると、大蔵省の言い分だと、従来せっかくの県庁の所在地に四種類なり五種類の一般訓練所があって、そこには県が金を出していたでは——半額持っていたではないか。その金を総合訓練所のほうに県のほうから出せばいいじゃないか。だから、それで大体計算してみると、総合訓練所のほうで維持管理費と人件費を持てば、作業実習費のほうを県が持ってくれるとちょうどとんとんになるじゃないか。経費の区分をはっきりして、そういうことにしようじゃないかということで、事業団ができるときにそういうことでなった。その前、数カ所、事業団ができる前に完全運営していたと思いますが、そのときには、いわゆる事業団のできるときに非常に問題になりました、都道府県に国が委託して、したがって、人件費だけ持って、都道府県が、全面的に人事並びに運営について、一般の公共職業訓練所と同じような委託訓練所であるけれども、都道府県が主管して運営したわけです。ところが、事業団が五年前にできるときに、事業団が経営主体になる。したがって、そこに経費の負担区分の問題が出て、今申し上げましたように、国の事業団のほうが維持管理と人件費の全額を持つ。それで運営費の実習費は委託金として都道府県からもらうということで、自治省並びに都道府県と申し合わせができた。しかし、これについての申し入れで、一番強硬に反対したのは自治省で、こういうような、県から国が、事業団が経営するものに県が委託費を出すという、そういう理屈に合わぬことはない、これは早急にやめてくれというふうな提案が非常にあった。それは長い年月になると、初めはなるほど都道府県立の県庁所在地の一般訓練所を廃止して総合訓練所へ統合した。だからその経費を持つのは、県としても、まあ、答弁や何かでもはっきりわかるわけなんです。経費の持ち出し分が原因がわかるわけです。これがだんだん長く立つと、事業団が経営しているものをいつまで県が持つのだという議論が人情として当然出ると思う。したがって、また、事業団のほうとしても、また、雇用促進事業団に変わりましても、そういうふうに出発の当初のやつは今御説明したようなことで、事業団と府県とで事業の運営の経費を持つということに協定はなったんだけれども、自治省の強い要求並びにわれわれのほうとしても、そういつまでも、その運営を、事業団の運営でやっておるのに委託金にたよるということはよろしくないのじゃないかということについては常に頭を悩ましているわけです。現在、今から申し述べますような方法で解決していきたいというふうに方針を立てておるわけであります。その第一は、委託金の減ったところで、実際上問題として都道府県総合訓練所でやりましたいわゆる専門的な訓練、これには結局訓練生からいわゆる授業料を取るということでやる。そういうふうな専門的な訓練で、みずから授業料を出してもそういう優秀な訓練を受けたいという者は、それでひとつ実習経費がまかなえるのじゃないか。これをしかし全面的にやるについては、これは大蔵省が非常に反対であります。学校式になるからおかしいじゃないか、失業保険施設として、やはり失業者転職訓練並びにそういうふうな失業対策としての保険施設なんだから、やるべきじゃないかという議論、これも一つある。したがって、現在は半分ずつ、半分は専門的な訓練で、授業料で実習経費を出す、半分はいわゆる失業対策として転職訓練をやる。しかし、現在そういうふうになって参っておりませんので、その半分半分やるのを、今から大体三年ないし五年、所によっては五年、最終的には五カ年間で全国の各総合訓練所をヒフティ・ヒフティにその訓練対象をもっていこう。したがって、大蔵省に私たちが要求しておるのは、その半分の転職訓練の部面については、都道府県の委託費というものはだんだん意味がなくなってくるから、訓練対象が違ってくるから、したがって、その訓練経費も全額持つ、これも大蔵省に対して一度に全額持てといってもたいへんな経費になるから、その経費についてはひとつ一二、三%ずつ毎年ふやす。で、来年度については約一三%程度をこれは転職訓練のコースを作って、そうしてそちらのほうで転職訓練のために実習経費を出す。その一三%減る分だけは都道府県からの委託費を減らして、毎年一三%やって、最終的には五カ年間でそれを、五〇%の分の、実習経費は全額事業団が持つ態勢になるということで案は立てておりますが、まだこれは今の予算折衝が完全に終わってみないと、その申し入れ、これが了解され、また、それが十分いけるような予算措置がとれるかどうかについては私ここで申し上げかねるわけでありますが、根本方針はそういうことで、事業団が全部独立運営していく、それで、都道府県の委託のそういう訓練生の不足分についてはやはり都道府県に補助金でやる。一般の公共職業訓練の規模並びに訓練内容を充実することによってそういう委託を出さぬでも、都道府県で独自に必要とする訓練生の訓練の規模並びに訓練内容を向上さすように国が補助行政をやっていこうというふうに方針を一応立てておるわけであります。
○坂本昭君 今の御説明は、当委員会としては初めて承ったと思うのですね。今それは予算折衝の段階にあるのでどう固まるかはそれはまだ未定かもしれませんが、先般、福永大臣も就任の所信表明で、完全雇用のために転職訓練その他については重点を置くということを言明しておられた。また、われわれとしては、新しく発足した雇用促進事業団がその任に十分当たってもらいたいと思っておりますから、具体的な内容を聞きたいと思っておったのですが、そうしますと、一応五〇%は専門訓練としてやる、あとの五〇%は転職訓練としてやる、そうしてその専門的な訓練のほうは授業料を取る、そうしてあとの転職訓練のほうは、これは失業保険のほうで主としてまかなっていく、これは今までよりは私はすっきりしてきたと思います。しかし、これで、ほんとうに日本の雇用の促進になるかどうかについては、まだ非常に問題点が多い。今までよりはすっきりしてきたから、この一般会計あるいは失業保険の特別会計、こういった分は相当前よりは明確に私はされ得る可能性はあると思う。ただそこで、今のその受託金の問題は、これは都道府県と関係がある、自治省にも関係がある非常にむずかしい問題ですが、これはきょうは受託金のことだけ詳しくお尋ねするわけにいきませんが、これは次の機会にでも……。全国たしか十五ぐらいがもうすでに受託金を出していかい。さらに先ほど申し上げました数県がここ数年のうちにやめていく。そうして各県の態度について、これは自治省の所管の人も来てもらって、ひとつこの問題は検討したいと思うが、その前に、先ほどこの附帯決議で申し上げたとおり、この事業団の仕事は、雇用促進という国家的な仕事なんですよ。したがって、私は国が責任を持つというのが、これは原則じゃないかと思う。だからこの受託金に見合っただけのものを国がとにかく予算的な措置をしてもいいではないか、私はそこまで踏み切るのが、今日のこの池田内閣でいわれる所得倍増の中で、たとえば農民、山民の人たちは転職せざるを得ない、炭鉱離職者もある、あるいは駐留軍関係の離職者もある、その中では、私は当然国が原則としてこれを見ていくという程度の腹をきめていかなければ、雇用促進なんてできないと思うのです。で、名前は雇用促進事業団で、われわれとしては、これを完全雇用のための事業団というふうな名前にしてもいいと思ったのですが、これでは促進になるかどうか非常に疑わしい。むしろこれは次官にお尋ねしたいのですが、この受託金に見合った金額を、訓練の金額をむしろ国で見ていく、こういう方針こそ春の附帯決議の内容にも見合っているのではないか、そういう努力をひとつやっていただきたいと思うのですが、いかがですか。
○政府委員(加藤武徳君) 雇用促進の仕事がきわめて重要な仕事であり、また、国家的な仕事であるということは坂本委員御指摘のとおりであろうと思うのであります。まあかような見地から雇用安定の業務は末端の仕事を都道府県知事に委任、委託はしておりますが、労働省との強い結びつきを持たせるような身分関係、組織関係になっていますことも御承知のとおりでございます。そこで雇用促進のための経費の負担につきましては、これは税の基本的な制度等とも私は関連を持ってくると思うのでありまして、財源の配分を国と公共団体にどういう工合に振り分けていくか、あるいは配付税、還付税等をいかようにするか等とも関連をすると思うのであります。ただ、最近の都道府県知事会等の意向は、ただいま坂本委員が御指摘のような考え方とはだいぶ異なった意見も実は出ておるのでありまして、職業安定関係、職業訓練関係、労政関係、かような仕事を全面的に知事に委任しろ、これは従事いたしまする職員の身分の上の問題と、仕事の上の問題、両者から強い今申しましたような意見等も出ておるわけでありまして、わが省だけではきめかねる問題でもございますが、御意見の点はよく私には理解できるわけでありまして、今後十分研究をしてみたいと、かように思うわけであります。
○坂本昭君 まあ時間がきましたから……。
○委員長(谷口弥三郎君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(谷口弥三郎君) それでは速記をつけて下さい。
○坂本昭君 それでは今のこの雇用促進事業団の問題については、まだ若干お伺いしたい点もありますので、とりあえず各都道府県が受託金の問題についてどういう態度をとっておるか、また、その受託金の金額の経過について来週の当委員会に資料を出していただいて、あらためて雇用促進の政府の計画をお尋ねしたいと思いまます。
○委員長(谷口弥三郎君) それでは、本件に関する本日の午前の質疑はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(谷口弥三郎君) 御異議ないと認めます。 それでは、午後一時半から再開することにいたして、これをもって休憩いたします。 午後零時三十八分休憩 —————・————— 午後二時十二分開会
○委員長(谷口弥三郎君) それではただいまから午前に引き続いて質疑を開始いたします。 まず第一番に、港湾労働者問題に関する件について調査を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。ただいま見えておられます方は、加藤政務次官、大島労働基準局長、木村職業安定局雇用安定課長、坂本運輸省港湾局長、濃野通産省通商局通商調査課長、馬場企業局立地政策課長、これらの方々であります。
○坂本昭君 それでは非常に切迫している港湾労働問題についてお尋ねしたいと思うのですが、最初に通産省と運輸省の方にまず伺いたいと思います。 それは、ことしの春ごろから主要な貿易港に一日平均一万トン級の船が三十隻以上も滞船をしている、そして滞貨を輸送することができない状態がずっと引き続いている、その状況がますます強くなりつつある、そういうような状況にかんがみてまず伺いたいことは、通産省からは、ここ数年の輸入の状況、さらに今後の見通しの中から、こういう滞貨の状態がどういうふうになっているか、それについての通産当局からの現況と見通し、また、運輸省については各主要な貿易港、そういうところでどの程度の船舶が滞船をしているか、そして今後どういうふうな見通しであるか、それをまず各省から御説明をいただきたい。
○説明員(濃野滋君) それではただいまの先生の御質問にお答えいたしますが、私から最近の輸入の状況につきまして簡単に御説明申し上げたいと思います。 わが国の輸入は国内の生産活動が活発になりますと、どうしても原材料の輸入依存度が相当高いわけでありますので、これにつれまして輸入の規模がふくれて参りますが、特にこれを数字で申し上げますと、ここ三年ばかりいわゆる相当高度の成長を遂げて参りましたために、一昨年昭和三十四年度が三十九億四千万ドル、これは前年に比較いたしますと約三割増加という規模でございまして、さらに、昨年はその三十九億四千万ドルが四十六億六千万ドルにふえました。伸び率は大体一八%程度でございます。ところが本年に入りますと、さらにこの輸入の増加の傾向は顕著になりまして、ことしの一月−三月は十二億九千九百万ドル、約十三億程度の通関実積がございました。前年同期、すなわち昨年の一−三月に比べますと、約一五%程度の増加率になっております。昨年から、したがいまして本年の一−三月まで引き続いてみますと、大体一五%から一八%程度という伸び率で、これは国内の生産活動にほぼ見合った伸び率で伸びてきております。ところが、本年度、三十六年度でございますが、四月以降この伸び率は急に大きくなりまして、本年の四月から六月の実績は十四億六千万ドル、前年の四月−六月に比べますと三一・五%アップという非常に大きな伸び率を示しました。さらに七月—九月に十五億ドルと若干上回るベースになりました。これも前年同月に比べますと三三%という非常に大きな伸び率を示しております。今後の見通しでございますが、これは本年の八月−九月に国内の急な景気の調整対策がとられて参りましたので、最近に至りまして、そういう効果がだんだん表われてくるのではないかと思いますが、しかし、先行きの指標でございます信用状の統計でございますとか、あるいは輸入の承認統計というのを見てみますと、現在のところではこの規模が非常に大きく、すぐに落ちるという傾向はそれほど出ておりません。したがいまして、若干この輸入規模というのは、そういう国内の調整策の効果が出て参りますと落ちて参ると私ども思っておりますが、さしあたりのところでは、やはり月五億ドル程度の規模が、いましばらくはあるいは続くのじゃないか、特に通関と申しますのは、すでに買い付けたものが入っておるわけでありますから、しばらくの間は月五億ドル程度の規模が続くのではないかと思っております。 滞貨の問題につきましては、私どもの方でどういう品物がどのぐらいあるかという滞貨状況の調査はございませんが、こういうふうに輸入の規模がふえてきました中で、特に目立ちますのは、機械の輸入とそれから鉄鋼原料でございます。スクラップ、鉄鉱石、石炭等の輸入が非常にふえておるのが、一つの現象になっておりますが、石炭あるいは鉄鉱石と申しまするものが、それぞれ各会社の専門の港と申しますか、揚地に揚げますので、いわゆる六大港の滞貨問題にはそれほど響かないのではないか、したがって、スクラップの買い付け、これが港湾滞貨の一つの大きなブッシュになっておるので片ないか、こういうふうに私ども考えます。
○政府委員(坂本信雄君) 最初に御質問の滞船という問題は実は数年前からもございます。ただ、これは船舶の入港が月を通して平均に入って参りませんので、これはいろいろな関係から、月末と月の初めに集中して入るという傾向がございます。そのために一時雨に月末月初に滞船するという状況は数年前からあったわけでございますが、それはしばらくすると解消してしまったんですが、月末月初に限らず、滞船状況が見られるようになりましたのは、ことしの四月からでございまして、特にまたことしに入りましても、その数字が非常に大きくなりましたのは七月以降でございます。それで、今手元に七月以降の毎日の滞船数を持っておりますので、その数字を申し上げたいと思います。十日ごとに区切って申し上げますが、七月の一日から十日までが八百三十七隻、十一日から二十日までが七百四十七隻、二十一日から三十一日までが八百九十四隻、八月一日から十日までが一千九十九隻、八月の十一日から二十日までが一千三十九隻、八月の二十一日から三十一日までが千三百二十二隻、九月に入りまして一日から十日までが一千百五十三隻、一十一日から二十日までが一千二百八十九隻、二十一日から三十日までが一千四百八十隻、十月の一日から十日までが一千四百五十七隻、こういう数字でございます。ここに述べました数字は東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、門司の、これがほとんど大部分でございますが、その六港の滞船数を集計したものでございます。それからいろいろ統計のやり方で数字が変わって参りますが、今の滞船数は毎日々々の滞船の数を調べて足したものでございまして、一隻の船が三十日滞船いたしますと、三十という数字でこの中に入ってくるものでございます。 こういう状況で、実はまだ滞船が増加しているというまことに申しわけない状況で、私ども対策に苦慮しているわけでございますが、特に九月の末におきまして非常に滞船がふえましたのは、やはり台風による影響も相当あったと思います。特に大阪港におきましては、台風によりまして低地にあります労務者住宅が水浸しになりまして、そのために荷役が相当台風で低減されました。ほかの港の方は二日間ただやめただけでございますが、大阪は相当に荷役が落ちたわけでございます。こういう状態で、春から、私どもとしては何とかこれに対する対策を考えなければいけないということでいろいろやって参ったわけでございますが、非常にかいつまんで申しますと、まず最初に、やはり滞船滞貨の実情というものは、港湾ごとに多少ニュアンスが違うところがございます。貨物の性質にも違うところがございますし、やはり現場でもってできるだけ現在持っている施設、あるいは労働力というものを活用する方法を講ずるのが一番の意味で緊急の処置である、そういうふうに考えまして、七月の半ばに、各港ごとに港湾緊急対策協議会というものを作ってもらいたいということを通達したわけでございます。これは別にどういう構成でやれとか、こういう名前で作れとかということを言ったわけじゃございません。各港ごとにそういう種類のものがあれば、それをそのままお使いになってけっこうだ。ただ、実際に早く役立てるように関係者一同が頭をしぼって、一致協力してやってもらいたいという趣旨でこれを作ったものでございます。これが各港発足いたしまして、いろんなことを実はやったのでございますが、例をあげて申しますと、倉庫のほうが一ぱいで、せっかく荷を揚げようと思っても、入れ場所がないというような問題もございます。そういう場合には、貨物の荷主の方に早く引き取っていただきたいというような措置を港湾管理者のほうからやるとか、いろいろございますが、そういうようなことをやったわけでございます。一方、この問題が、基本的には港湾の取り扱い量が非常に伸びたのに対しまして、港湾の基本的な施設だとか、あるいは港湾運送事業、あるいは倉庫事業というようなものの施設が全般的にもう能力がない。それからもっと大事なことでありますが、労務者がこれに適応するように急にふやすことができないとか、そういうような基本的な問題にどうしてもこれはつながって参りまするので、現地においてそういう緊急の対策を講じてもらうのと同時に、中央におきまして、現地だけじゃ手に負えないような事項をこちらに上げてきてもらいまして、それに対する対策を中央としても考えたわけでございます。各省から御関係の方に集まっていただいて、あるいは税関の通関手続を簡素化するというようなことにつきましては、大蔵省のほうにお願いする、あるいはくず鉄の問題につきましては通産省のほうにお願いする、労務の問題につきましては労働省のほうにお願いするというような連絡の会をもちまして、お願いしたわけでございますが、運輸省といたしましては——非常に羅列的になるのでございますが、港湾の能力というものは岸壁一つできてもだめなものでございますし、また、はしけだけがあってもだめなものでございます。一つの輸送の要領の問題でございますので、係船岸、はしけ、倉庫、それから労務者という、あらゆるものを増強する必要がございますので、その一々に取り組んできているわけでございます。現在までに手を打たれましたことは、一つは係船の場所がまず絶対的に今足らないということがございまして、九月の閣議でもって予備費の支出を御決定いただきまして、約十億の公共事業費の金を支出していただいて、それはことし中に仕事ができるものだけを取り上げまして、現在やっております。これは係船浮標と、今まで工事中の係船岸壁の工期を繰り上げて、ことし中にやるということでございまして、その措置ができますと二十六港で二十一の係船場所がふえるわけでございます。しかし係船ブイが主体でございますので、将来ともこういう方式でいくということは、港の運営上決して芳ばしいことではないと思います。やはり係船ブイに頼るということは、はしけもよけい要ることになりますし、船舶の荷役にもいいことじゃございませんので、今後ともブイを使うということは考えなければならないと思いますが何しろ非常に急ぐものでございますので、主として係船浮標に主体を置いて公共事業の予備費を支出していただいたわけでございます。 それからもう一つは、これは労働省の御所管でございますので、労働省の方からお話があると思いますが、労務者住宅を雇用促進事業団のほうで追加して建てるように御決定をいただきました。ただ、私どもとしますと、港湾という面から、これはぜひ早くやっていただかなければなりませんので、港湾管理者のほうに敷地が困ることがないように、必ず敷地を提供しろということを強く要望しておるわけでございます。そのほかに、はしけ、倉庫、荷役機械というようなものは、これは今まで政府が直接こういうものに投資はいたしておりません。全部民間の企業としてやっておるものでございますのでわれわれとしましては、急激にそういう業者の施設がふえる場合には、業者のほうの資金も非常に窮屈になって参りますし、一つとして、また港湾運送事業というものが非常に中小企業が多い企業でございまして、能力も非常に少ないものでございますから、そういうものに対して早くそういう施設ができるように資金のあっせんをいたすことにいたしております。現在、まだ結着いたしませんが、大蔵省並びに開発銀行のほうと折衝いたしておる途中でございます。
○坂本昭君 もう一ぺん通産省にお尋ねしたいんですが、来年になると相当輸入制限に対する金融措置もきいて来て、まあ現在でもきいて来ていると思いますが、輸入の量、特に先ほど滞貨の品物をあげておられましたが、機械類、スクラップ類、あるいは鉄鉱石ですね。その中で一番主要な貿易港に滞貨するものはスクラップ類であろうという話でしたが、今後、通産省で一番滞貨の主要なものを占めると言われるこのスクラップ類の今後の輸入の見通し、したがって、これは今のような運輸省の説明によると、倉庫をふやしたり、あるいは係船の状況をよくしたり、いろいろな手段を講じてはいるようですが、通産省でそうしたものの輸入の計画の上からいって、おそらくそんなに変化は来たさないのではないかと思うのですが、もう一ぺんその見通しについて、急激にスクラップ類が滞貨しないで、非常に分量が減るというような見通しがあるかどうか。そういう通産省での扱いの点をもう一ぺん説明していただきたいことと、それから、物によってはそれぞれの会社のある港へ直航するから、そういうものは主要貿易港で滞貨というなことはないかもしれないという御説明でしたが、輸入品目の将来のいろいろな変更あるいは輸入の傾向によって、こうした滞貨のスクラップとは限らないほかのものの見通しはどうか。その二点をひとつ御説明いただきたい。
○説明員(濃野滋君) お答え申し上げます。先ほど私が御説明申し上げました中で、特に港湾滞貨になっておる量が一番多いと思われるものはスクラップではないかというように申し上げました。先生から、今後の見通しはどうかというお話でございましたが、実はスクラップの見通しがどうなるかということは、鉄鋼の生産、それから、これから生産計画にどういうふうに移すか、それに見合う原料として、スクラップなり、銑鉄なり、あるいはその他の鉄鋼原料を買うという問題になると思いまして、私、そちらの方の専門でございませんので、数量的な御説明はここではちょっとデータを持っておりませんので御説明できないと思いますが、スクラップの動きといたしましては、輸入の先行きを示します承認統計というのがございます。これは輸入いたします前に銀行で輸入の承認をとりまして、したがいまして、それが通関に参りまするのには、若干、通常二カ月あるいは三カ月という順で入ってくるわけでありますが、この承認統計で鉄鋼くずの承認の状況をあててみますと、本年の四月が五千五百万ドル程度の承認をとっております。それが五月には四千七百万、六月には四千九百万と、約五千万ドル前後の数字でございましたのが、その後三千五百万ドル程度に落ちまして、七、八月と移ってきておりまして、この承認統計から見ますと、鉄鋼ぐずの買付がだんだ下がってきておるというような私ども感じがいたします。したがって、通関の面でも、だんだん数量というものは下がってくるのではないかという感じがひとつしております。 それからもう一つは、これは数量的な問題ではございませんが、鉄鋼各社はこの上期に、スクラップのみならず鉄鉱石、それから原料炭というような主要原材料を生産の伸びにつれて非常に買いまして、その在庫も大へん増加してきております。さらにそれで足りませんので、鉄鉱の生産の上で目立ちますのは、ことしは銑鉄が非常にふえております。銑鉄が、数字はここに持ち合わせておりませんが、たしか昨年と比べまして三倍程度の輸入量があると記憶しております。しかも、この銑鉄の買付量が、最近、通関量自身も下がってきておりますし、先ほど申しました輸入の承認の数字もだんだん下がってきておりまして、鉄鋼の生産は国内の景気に一番結びついた動きをいたしておりますので、鉄鋼生産自身がある程度鎮静して参りますると、こういう原料の輸入というものは急激に減るのじゃないかという感じもいたしております。 それから第二の御質問の、全物資——いろいろなその他の物資を含めました輸入の動きというお話でございますが、この点につきましては、実は私、調査担当でございまして、先行きの資料をここに持ち合わせておりませんので、ちょっとこの際ここでお答えできないかと思いますので、何でございますれば、あとで資料なり何なりで出せるように、帰りましていたしたいと思います。
○坂本昭君 それで、今のような御説明では、とりあえず今日このおびただしい滞船、滞貨を処理するということは、なかなかむずかしいということだけは想像できるわけですね。そこで運輸省にお尋ねしたいのですが、幾つかのたとえば係船や倉庫あるいは労務者の問題がありますが、港湾労務者の数、これは現在どの程度でありますか。それから、その内訳が、日雇労働者あるいは常用労働者、こういうのがどういうふうになっているか。これは運輸省のほうではわかりませんか。むしろ労働省のほうがよければ労働省からお答えいただいてもいいのですが。
○政府委員(坂本信雄君) 御質問からちょっとそれますが、ただいまくず鉄の問題が出ましたので、その対策についてちょっとお話し申し上げておきたいと思います、くず鉄は、通関統計をとりますと、昨年の上半期の一カ月、やはり六大港でございますが、取り扱いました数量が月平均約二十五万トンぐらい。ことしは八月までの統計しかまだ手に入っておりませんが、四十万トンぐらいになっております。それで、くず鉄の船が特に配船として目立ちますのは、実は多分に被害者の立場にございまして、くず鉄というものは、港湾荷役の取り扱い上、一番時間のかかるものでございます。それで、こういうふうに船が多くなって参りました場合に、やはり定期船をおくらすということは非常に大きな問題になりますので、定期船優先主義ということでバースの割当を考えておりますために、くず鉄の取り扱いバースというものを一定に制限いたしておりますので、特にくず鉄の港外待ちが多くなるというわけであります。われわれといたしましては、特にくず鉄に対する対策といたしまして、くず鉄を使う者は大メーカーと中小の平炉のメーカーがあるわけでございますが、今まで大製鉄会社も、石炭だとか鉱石については比較的最初からりっぱな計画をするのでございますが、くず鉄はあまりそういう施設をいたしておりません。それが全部主要港湾にしわ寄せになっておるということがございますので、通産省のほうとも御連絡いたしまして、大製鉄会社は自分でくず鉄の扱いのバースを持ってもらいたいということを春から要望いたしまして、現在までに川崎製鉄、これは千葉でございますが、そこに専用のドルフィンを作ることにいたしておりまして、ことしの十二月からおそらく使用が開始できるだろうと思います。それから神戸につきましては、神戸製鋼がやはり作っておりまして、来年の五月から使える予定にいたしております。それから洞海湾につきましては、八幡製鉄がやはり専用のバースを作ることにいたしておりまして、これも十二月から使用を開始する予定にしておりますし、さらにもう一バースふやす予定にいたしております。こういう処置がとられますと、一般商港におけるくず鉄の取り扱い量は相当減りまして、効果があると考えております。
○坂本昭君 先ほど私の質問の前に、これをもう一つお尋ねしようと思っておってぬかったのですが、くず鉄以外に滞貨の主たるものを占めるもの、どんなものが滞貨の主たるものであるか、それを現場で、港湾の施設におられるほうから見て、くず鉄が何パーセントぐらい、ほかはどういうものがあるか、その説明をされて、それから労務者の数の説明をしていただきたい。
○政府委員(坂本信雄君) どういう貨物が滞貨になっておりますかということは、港と時期によって非常に変わってくるわけでございまして、現在その資料を持ち合わしておりませんですけれども、概観的に申しますと、くず鉄と食糧、飼料——飼料というのはえさでございます。ふすま、それからトウモロコシ、こういうものが一番多いのでございます。
○坂本昭君 港湾労務者のほうは。
○説明員(木村四郎君) 港湾労働者の数でございまするが、これは非常につかみにくい数字でございまするが、労働省で把握しておりまする数字を申し上げますと、昭和三十五年におきまする平均常用労働者の数が、これは六大港でございまするが、常用労働者の数が四万六千九百二十二人ということになっております。これを昭和三十三年度の月平均の実人員の四万五千二百三十七人というものに対比しましても、ほとんど増加を見ていない、こういう状況でございます。したがいまして、常用の不足を日雇いでカバーするというふうなことになりまして、この日雇いの利用度が非常に多くなっております。これは昭和三十三年の日雇い労働の月平均の延べ人員でございまするが、六十五万六千七百でございましたが、昭和三十五年の月平均の日雇い延べ就労人員が九十七万八千六百と、実に四八・七%と大幅に日雇い労働の数がふえております。しかし、この常用、日雇いを二つ合わせましても、昭和三十三年度に対しまして昭和三十五年度の労働者の増加数というものは一八・九%の増加にとどまっておって、貨物量の四七・二%の増に比較しまして、労働者の不足というものは顕著であるというふうに見ております。
○坂本昭君 運輸省にちょっと伺いたいのですが、港湾運送事業法では、先はどの説明では中小企業の人たちがこれを扱っているのが多いということですが、この常用労働者をどの程度持たなければ免許しないのか、どうなっておるのですか。
○政府委員(坂本信雄君) 港湾運送事業法におきましては、一昨年改正いたしまして、来年の夏になりますと、新法によりまして全部許可制になるのでございますが、今ちょうど経過期間中でございまして、まだ過去の——過去は登録制でございますが、登録をしておるものはそのまま登録の状態で事業をやっておるわけでございます。登録するときに一つの基準をこちらとしては考えておりましたが、今度の新法になります場合に、その上げた基準によって免許を行なう。こういう今考えでおるわけでございます。
○坂本昭君 現状の改正になったときの数、大体どれくらい。
○政府委員(坂本信雄君) 詳しい数字は港政課長が出ておりますので、むしろそちらのほうからお話ししたほうがよろしいかと思います。
○説明員(加藤実君) 港湾運送事業法か免許に切りかえられましたのは三十四年の四月でございます。ちょうどその当時における港湾運送事業者の数というのは、ちょっときょうは用意してきていなかったわけですが、件数にしますと、概数でいいますと、約三千六百件ぐらいあったわけでございます。それで自後、現在免許に切りかえ中の期間でございまして、来年九月までに免許に切りかえる。それでその間、既存登録業者はその経過期間中はそのまま仕事をやっていてもかまわない、こういう規定になっております。それで、免許に切りかえられましてから現在まで相当数の審査も行ないまして、実際にやってないものは相当廃業するように指導して参りまして、現在、はっきり数字はきょう持ってきておりませんが、件数にしまして約三千三百ぐらい程度に記憶しております。そういった全体の件数になっておるわけです。それで今度は実は免許に切りかえになりますと、前は実は一定の労働者、施設さえ持てば登録できる、それで商売できたわけでございますが、今度はもちろん労働者、施設につきましては、その事業が的確に遂行できる労働者、施設を持たなければなりませんが、旧法みたいなような労働者何名あったらよろしいとか、あるいは施設がどのくらいあったらよろしいというような具体的な基準はないわけでございます。そういう問題と、それからあとは需要供給の関係とか、あるいは経理の基礎が確実であるかどうか、そういったような大局的な判断のもとに免許を行なうということになっておるわけでございます。ただその中におきましても、労働者、施設につきましては、少くとも旧法の登録基準を上回るものでなければならないという通達が出ておりますし、ことに今までの六大港におきましては、港湾運送事業者が相当乱立気味であった、そういったようなことが免許制に切りかわった一つの理由でもあったわけでございます。六大港におきましての労働者並びに施設の審査の基準としては、おおむね旧登録基準の五割増しという線を出しまして、そういったものから優先的に審査を受け入れるということで通達を出して、ほぼそこら辺までの規模に達するようにということで行政指導もやっております。そういったような現状でございます。
○坂本昭君 要するに、今の滞船、滞貨の実情の中で、なるほど施設を改めたならばこれを改良する方法もあるでしょうが、同時に労務者の問題、港湾労務者が得られないということも非常に大きな問題ではないかと思うのです。で、このことについて、先ほど労働省は常用は三十三年から三十五年に四万五千から四万七千ぐらいに少しふえている。日雇いのほうは六十五万から九十七万にかなりふえておるということをいっておられますけれども、現実に、たとえば神戸なら神戸の港をとってみて、そこでの港湾労務者の大体八割程度は日雇いで、あとの二割程度がいわゆる常用の港湾労務者ではないかというふうに私は聞いているのですが、どうなんですか。その現場における実態は日雇いと常用との比率はどの程度ですか。
○説明員(木村四郎君) 私、今数字だけから申し上げますと、三十三年度におきましては、常用が七三%に対して日雇いが二七%の比率であったわけです。ところが、三十五年度に参りますると、常用が六六になりまして、日雇いが三四%、こういうふうになっておりまして、日雇いの依存率が高くなっておるというふうに数字的には見えております。この比率が、これはもう三十三年度、三十五年度の数字から見たわけでございまして、現実に神戸における具体的な比率がどうなっておるかということは、むしろこれよりも、常用、日雇いの率はもう少し高くなっているんじゃないかというふうには推定されると思います。
○坂本昭君 しかもこの日雇いの人たちの職業安定行政からいって、これは今までもたびたび問題になっておるし、それから当社会労働委員会でも神戸港あたりをそのために一ぺん視察に行ったこともあるんですが、職安の窓口を通して集められるよりも、手配師というんですか、手配師等がこれを集めたり、あるいはタコ部屋というんですか、そういう制度のもとに非常な劣悪の労働条件のもとに、特にこの港湾の日雇い労働者を酷使しておる、そういうふうに聞いていますが、常用の港湾労務者の労働条件、それから日雇い労働者の労働条件、これについて説明いただきたい。資料はありませんですか。
○政府委員(大島靖君) 港湾労働者の常用並びに日雇いの労働条件、たとえば賃金が幾ら、労働時間が幾ら、それぞれ。たとえば賃金でございますと、港湾についての労働時間の統計はございますが、ただいまちょっと私手元に持ち合わせておりません。後ほどまた資料で差し上げます。
○政府委員(坂本信雄君) 先ほど労働省のほうから御返事ございましたが、実は労務者の統計というものが非常にむずかしゅうございまして、なかなか実態の把握がむずかしいのでございますが、私のほうも一応自分で統計をとって、信用度云々はおかしいのでございますが、今、労働省のほうからお話がありましたぐらいの比率の数字は持っております。それで今の職業安定所を通らない、いわゆる手配師の問題は、これはぜひ排除すべきものであることは申すまでもございません。神戸におきましても、業者の間でそういう申し合わせを最近行ないまして、そういうことをお互いに見張ってやらないようにしようということをやっておるようでございますが、実際問題としますと、そのために港湾のいわゆるギャング数と申しますか、荷役の口数が満足にできないという問題が出て参りますわけで、そういう事情で、今はしかし単なる荷役という面だけからそういう違法な行為を許すべきじゃないということで、ギャングの数を少し減らしてやっておる実情でございます。
○坂本昭君 率直に運輸省にお尋ねしますけれども、あなたのほうで、係船の設備、倉庫の設備というものが完備したとして、今の滞船、滞貨の問題、解決できますか。むしろそのほうが完備したところでも、人の問題、労務者の問題のほうが、よりウエートが重いのじゃないですか。そうして、そういう点で労務者がどのくらい足りないか。そういう点は検討なさったことがありませんか。
○政府委員(坂本信雄君) お説のとおり、施設が完備いたしましても、港湾労務者の充足ができなければ、これは今の問題を解決することにはならないと思います。今後の方針といたしまして、先ほど施設のことを申し上げましたが、港湾労務者の問題につきましては、具体的には業界でもって長時間労働をできるだけ少なくしようとか、あるいは退職金制度を最近とりだすとか、やっておりますが、もう少し基本的に考えますと、これはどうしても業者の自主性を確立すると申しますか、今まで非常に荷主あるいは船主に対して依存的の立場にあったものでございますから、そういう自主性を確立するような方向に持っていって業界の健全化をはからなければならない。これは昔から言われたことでございますし、非常にむずかしい問題ではございますが、われわれとしては、そういう方面から根本的にこの問題にぶつかっておるわけでございます。そうしますと、どうしても企業の健全性ということになりますと、やはり金の問題になって参りまして、先般、九月十三日に港運料金の改訂が行なわれたわけでございますが、これも必ずしも十分とは申せないと思いますけれども、大体、業者の方の申請に近い線で、非常な大反対が一方にあったわけでございますが、申請に近い線で決定いたしたわけでございます。それで、その申請を検討するに当たりましては、これは一つの具体的の実態というよりも、料金を算定する基準といたしまして、労働条件を少しでもよくするような措置を原価計算の中には漸進的でありますが認めてきたわけでございます。われわれ港湾局といたしましては、そういう業者を強くしていくということと、もう一つは、今船混みの起こっております六大港湾というのは全部大都会でございまして、非常に経済の発展のために労働の需給が逼迫しておりますので、どうしても今後人を増強していくというためには、地方のほうから人を受け入れていかなければならない、そういう考え方で、先ほどもお話しいたしましたように、労働省にお願いいたしまして、労務者の住宅を考えていただいておりますが、それと同時に、業者並びに港湾管理者のほうでもその住宅を増強するように指導しているわけであります。
○坂本昭君 それで、先ほどの港湾労務者の労働条件について、たとえば労働時間など、われわれが耳にするのでは四十八時間労働はおろか、六十時間連続労働だというような、そういうおそるべき事実もある。その一つの理由には、船で沖へ行って、あと帰ろうとしたって、船で帰らなければ帰れないのですから、向こうへ連れていかれたらそのまま強制労働に服さなければならない、そういうような特殊な条件もあろうかと思うのですが、そういう労働時間の非常に人間性を無視したような労働時間、あるいは労働賃金についても、常用が八時間で二万円内外、日雇いで一日十二時間労働で八百円程度である、そういうようなことも聞いております。特に港湾労働者の問題について、労働省として、今の時間、さらに賃金について調べられた統計はないんですか。
○政府委員(大島靖君) 昭和三十五年の屋外労働者職種別賃金調査報告によりますと、港湾労働者、ウインチマン、沿岸仲仕、沖仲仕、いろいろございますが、合計平均いたしまして、常用労働者と日雇い労働者に分けて、一人一日平均実労働時間数は、常用労働者においては九・三時間、一日平均現金給与額が九百六十一円でございます。日雇い労働者につきましては平均実労働時間数が九・二時間、平均現金給与額が八百二円でございます。これをさらに定額制の労働者と請負制の労働者に分けて申し上げますと、まず常用労働者を申しますと、定額制におきましては九・七時間九百六十七円、請負制の場合におきましては八・六時間、九百四十九円となっております。日雇い労働者の場合は定額制の場合は九・四時間、七百九十七円、請負制の場合は八・八時間、八百十四円となっております。もちろんこれは平均の数値でございまして、ことに労働時間等におきましては、職種によりまして、また港の現場の船の輻湊の度合い等によって非常に違うと思います。ことに先般までは、大体先ほど港湾局長から申し上げましたように、船舶の輻湊が月末、月初に片寄っておる。したがって、そういう時期においては非常に労働時間が長くなるという傾向があったわけでございますが、最近のような船の輻湊の状況になりますと、のべつ労働時間が非常に長くなるという危険性が多分にあると思います。ことにこういった港湾の労働というものは、災害の関係から見まして非常に災害率の高い業種であります。災害の面からいたしましても、労働時間があまり長くなるということは好ましくないと思います。こういった点、今後私どもも十分注意いたしまして、ひとつ監督なり指導を強化して参りたいと思っております。
○坂本昭君 どうもその各港湾における現状は、今のような労働時間と賃金じゃないですね。もっと劣悪なものが相当たくさんある。たくさんあるために、この常用のほうもさっきの数の上では若干ふえておるようだけれども、むしろ現実の需要の上から言えばもっと需要がふえてもしかるべきであるにかかわらず、なかなかふえていかぬじゃないか。労働条件をもっと改善するということは、港湾労務者の数をふやし、またこの滞船、滞貨、ことに滞貨の問題を解決していく上に非常に大事じゃないかと思うのですね。そこで、今労働災害の多いことも言っておられましたが、この安全管理の行政は一体これはどちらにあるのですか、運輸省にあるのですか、労働省にあるのですか。
○政府委員(大島靖君) 港湾労働の災害の問題あるいは安全行政は労働省の所管でございます。ただ所管でございませんのは、例の鉱山保安の関係だけが通産省に入っておりますが、その他は私どものほうで所管いたしております。
○坂本昭君 ILOの条約の三十二号、一九三二年に改正された船舶の荷積みまたは荷おろしに使用せられる労働者の災害に対する保護に関する条約、この中には、かなりこまかく港湾労働者の災害に対する保護に関する規定が作られておる。これは今まで労働省として参考にし、さらにまたこの線で労働者を保護していこうというふうなことを検討されたことはあるのですか。
○政府委員(大島靖君) このILOの三十二号条約、ただいま御指摘のように港湾労働の安全の問題について、各種の定めをいたしております。で、実は労働基準法に基づく安全衛生規則がございますが、先般来ことに今お話が出ましたように、港湾における災害ということの特殊性にかんがみまして、この港湾労働安全規則の中で特に港湾荷役の問題、この関係を全面的に検討いたしまして、港湾荷役の安全規則を制定いたしたいということで、先般来基準審議会その他において御検討願っておったのでありますが、大体成案を得まして、できれば今月内、おそくとも来月初めごろには制定の運びにいたしたいと考えております。この安全衛生規則の改正の中にはこの三十二号冬約で必要な向きはほとんど取り入れておるようにあんばいいたしております。ただ、この条約は御承知のとおり、戦前かなり古くできておりますので、現在の港の実情とかなり違っておるものがありますので、こういった点についてはもちろん採用いたしておりませんが、その他必要な向きについてはほとんど採用しておると思っております。
○坂本昭君 そうすると非常に古い条約ですから、船舶の構造など変わっていますから、そういう点は別としても、とにかくこの三十二号の線に沿ってやっていくという方針が近いうちに具体化されるということは間違いないですね。
○政府委員(大島靖君) 仰せのとおりでございます。
○坂本昭君 ただ、先ほど鉱山の保安の問題は、これは所管が違うが、船舶についてはこれは労働省が所管だと言われましたけれども、たとえば荷役機械が船についていますね。あの船についている、あれは何というのですか、非常に専門的な言葉になりますが、荷物を上に持ち上げたりするいろいろな起重機の設備、ああしたものの中に安全に関するものは幾らでもあるのですね。そういうものを監督しあるいは修理を命じたりする、そういうことは労働省の所管にはないんじゃないですか。
○政府委員(大島靖君) もちろんこの船員に関しましては、船員法その他の関係で運輸省の所管になっております。
○坂本昭君 この辺がしかし非常にむずかしいところだと思うのですね。特にこの災害の多いのは、荷役のときに災害が多いということは、われわれ海に住まない人間でも大体推測に困難なことはないのですね。したがって、こういう安全管理全般についてこれは明確に鉱山保安の問題もそうですけれども、労働省に全部一貫して、そうして労働省がこの荷役のような場合には基準監督官が現地に行って労働安全に反するようなことがあればそれを指摘し、それを改善させるようなそういう権限が行政機構の中においてできても私はしかるべきだと思う。その点いかがです。これはまたひとつ次官のお考えも承っておきたい。
○政府委員(大島靖君) ただいまの問題につきましてはなるほど仰せのような問題もございますが、ただ船舶の問題、船員の問題とその他の問題、従来の長い沿革がございますし、技術的な問題もございますので、この所管が分かれておりますのはこれはある程度必要でもあり、やむを得ないところではないかと思うのでありますが、ただ一番大事なことは、やはり両者の連絡を緊密にするということだろうと思うのであります。この点につきましては、先ほど申し上げました港湾荷役に関する安全衛生規則の改正の際、労働基準審議会におきましてやはりこの船舶の関係、港湾の関係、この辺の関係について運輸省、労働省、緊密な連絡をとるような趣旨の御意見もございました。今後とも坂本先生の御趣旨に沿ってひとつ緊密にやって参りたいと考えております。
○坂本昭君 さらに、この船の問題はたとえば粉炭を積みおろしたりする場合、われわれ見ておってもまっ黒けになりますね。そして非常によごれた人たちがあとでからだを清潔にしようと思っても船の中ではもちろんそんなことはさせてくれませんし、さらに聞くところによると、船の中で小便をしたいと思っても船は便所を提供してくれない、あるいは飯を食いたいと思っても船の中では飯も食わしてくれない、労働者としての扱いがこれは非常に特殊な労働環境です。しかし、そういうことが労働者の福利厚生というような面で実際に仕事をしている場所においてもそういうふうな差別待遇があるし、さらに丘へ上がって来ても今のところは入浴をしてきれいになって帰るというような施設もできていない、こういうことについて、先ほど運輸省では、雇用促進事業団に住宅を建てさせるということが一つ出ておりましたが、もっと根本的にそういう労働条件を変えさせるための方途というものは考えられていない、当然考えらるべきだと思うのですが、今の安全の問題、それから今の労働に伴う直接の入浴だとか、食事だとか、そういった問題、これらについて労働次官からひとつ今後の御方針を伺っておきたい。
○政府委員(加藤武徳君) 港湾労働におきます雇用関係は御指摘のように、いわば前近代的な非常に常識では考え得ないような雇用関係が行なわれており、また、労働条件においても御指摘のような劣悪な条件に甘んぜざるを得ないような状況下のものがあるわけでありまして、かようなものが早急に改善をしなければならない、かように考えるわけであります。先ほど大島局長が答弁いたしましたように、労働安全衛生につきましては、この規則の改正にあたりまして、港湾労働問題を取り上げて全面的に改正いたしまして、労働基準法の精神にのっとった基準監督を行ないますと同時に、労働安全衛生に十全を期していく、かような考えで進めておるわけであります。 それから先ほどの御質問の基準監督行政を労働省で一元的にやるかどうかの問題でありますが、これは鉱山保安関係とも関連した際に、前回にも議論になったかと思うのでありまして、これは他の省に所管の一部をゆだねていることがいい面もございますし、同時にまた、統一のとれていない悪い面等もあるわけでありまして、関係面の緊密な連携が要るかとかように考えております。そこで、ただいま労働省の中に正式には港湾労働協議会というのを設けまして、これは基準行政のみではなく、港湾問題全般に関する労働行政の横の連絡をとって参っておるのでありますが、労働省内に設けていることがいいかどうかに関して、実は今回の滞船滞貨の問題と関連して大いに議論になったのであります。そこで政府内部で思想統一がほとんどできまして、次の通常国会におきまして法案を上程いたしまして、内閣に港湾に関する総合的な審議会を設ける、この方針が実は内々きまったのでありまして、さような審議会等におきまして十分横の連絡のとれるような体制が要ると思いますし、なお、この審議会で改正すべき点等を指摘されましたものは逐次早急に改善をしていく、かようなことが必要であろうとこう思っております。
○坂本昭君 今の加藤次官の言葉の、今の港湾労働協議会を審議会にするということは、さらに立法的な措置というのは、港湾労働法、こういったものを制定したいという、そういう御意見なんですか。
○政府委員(加藤武徳君) ただいま大方の思想統一ができましたのは、内閣に審議会を設けますことでございまして、港湾のみに関する別個の労働法を一本作りまするかどうかは、まだ結論が出ておらないのでありまして、審議会で扱いまする重要な議題の一つにはなるであろう。そのように予想しております。
○坂本昭君 われわれとしては、日本のこれからの発展や、あるいは貿易の問題からいっても、特に今切迫している港湾労働の実際からいっても、港湾労働法を制定して、港湾における労働者の労働条件等並びに福利厚生の施設を十分にしていく、そうしなければ、今のような滞船滞貨という、こういうまことに困った問題を解決することができないのではないか。そういう点ではひとつ、せっかく協議会が審議会になり、さらに港湾労働法を制定するというふうに、皆さん方の御努力をひとつ期待しておきたいと思うわけです。 それから、さらに先ほど雇用促進事業団が住宅を作るという話が出ましたが、福利厚生のことについて、たとえば入浴だとかその他あるいは港湾労働者のための会館だとか、こういうことについて、労働省としては、これは労働省としての今後の方針を少し承っておきたい。
○政府委員(大島靖君) 港湾労働者の福利施設、もちろん安全衛生といった面からも必要でございますし、また、必要な労働力を確保するという面からいっても、また、ことに中小企業の多い港湾において、労務管理の水準を近代化するという意味においても必要だと思いますが、今後強く推し進めて参りたい。また、各種の福利施設についての融資の点等も、先般来実施されておりますので、各種の対策を講じて、仰せのような線に逐次進めて参りたいと思います。
○坂本昭君 これは、今の港湾労働者の中には、あなたのほうと、それから私のほうで知っているのとでは、日雇い、常用の比率が少し違います。違いますけれども、当然厚生年金保険の加入者もあるし、厚生年金の積立金の還元融資の対象にもすることはできると思うのです。特に今度は年金福祉事業団等の審議も最終には行なわれると思うのです。だからこういうことについて、もっと積極的に港湾労働者の福祉のために、ぜひ今のような会館を作るとか、あるいは入浴所を作るとか、さらに一番基本的なことは、やはり住宅問題だと思うのです。これはすべての労働者に関係あるが、特に港湾労働者の場合は、一番大きな私は役割を果たすだろうと思う。先ほど促進事業団で、そういう住宅の計画があるという話でしたが、具体的にどういう計画があるのですか。ちょっとそれを御説明いただきたい。さっき運輸省から説明があったですね。
○説明員(木村四郎君) 私から御説明申し上げます。港湾労働者の住宅宿泊施設というふうなものにつきましては、従来失業保険の特別会計をもちまして、六大港を中心といたしまして、日雇港湾労働者の簡易宿泊所、これを建てて参っておるわけでございまするが、先ほど港湾局長からお話があったように、今回の予備費によりまして、六大港に、九百三十人分の常用労働者用の宿舎を建てるために、約九千万円の予備費が計上されたわけでございます。これは移動式宿舎でございまして、鉄筋コンクリートというふうな恒久的なものではないのでございますけれども、相当年月耐用できるような宿舎でありまして、これを繰り返すようでございますが、六大港に九百三十人分……。
○坂本昭君 一つに九百三十人分ですか、全部で九百三十人分ですか。
○説明員(木村四郎君) 全部で九百三十人分です。
○坂本昭君 それは全部で九百三十人分では、とても間に合いはしないと思うのですね。それよりも運輸省では、たしかここに港政課長来ておられますが、本年度の予算から初めて船員、定期船とかあるいは遠洋漁業に行く人たちのために、厚生の施設を作る予算が、ことし初めてついたわけです。それで大阪と横浜だったか、二カ所か三カ所に、一つの一千万円かなんか、相当大きな単位でできましたね。私はこれは内航船、外航船ですか、そういう定期船だと思うのですが、こういう港湾を預っている運輸省として、こういう港湾労務者のために、やはり思い切ったそういう施設を考えるということは、非常に適切じゃないかと思うのですが、来年度の計画はどうなんですか。
○政府委員(坂本信雄君) 今の一般船員につきましては、あるいはあとで課長の方から、できたらお話ししたいと思います。私、実はあまりつまびらかじゃありません。そういうことがあるということは聞いております。
○坂本昭君 これは大事なことです。忘れたら困りますよ。
○政府委員(坂本信雄君) 一般港湾労務者の福祉施設でございますが、これは各港湾に、従来福利厚生協会とか荷役改善協会とかいうのがございまして、それが個々にやっておったのでございますが、なかなか各会社からの分担金も、思うように集まらないというようなこともございまして、さらにこれを強化しようということで、ことしの六月だったと思いますが、それを全国一つにいたしまして、日本港湾福利厚生協会というものができたわけでございます。この協会長は、港湾運送業の会長をやっている松永さんという人が、兼務してやったわけでございますが、その趣旨は、ややともすると、こういう問題は、業者のほうの関心が薄くて、きめた金がなかなか集まらない。名古屋なんかは非常によく集まっているのでございますが、そういう実情もありましたので、港運協会のほうがもっと積極的にこれに協力するべきであるという建前から、会長が引き受けてやられたわけで、われわれとしては、今後この協会が、もっと強力に動き出していくことを期待しておりますし、また、そういうふうに指導もいたしているわけでございます。現在までにいろいろこの協会はやっておりまして、病院だとか診療所もやっておりますし、住宅も相当持っております。あるいは食堂、理髪とか、いろいろなこともやっているわけであります。今度の荷役料金の改訂のときにも、この協会に対する分担金を確実に出すようにということを、特にこちらからも指示しているわけでございます。 なお、これは業者の集まりである協会でございますが、実際に港湾運営に関して全般の管理者である港湾管理者というものがあるわけでございますが、この管理者のほうで、休憩所だとか、あるいはこれも住宅もやっております。ただ、なかなか要望に沿えるほど満足な状態には至っておりませんが、そういう面も私どもとしては相当強く港湾管理者のほうに要望して、現在少しずつではありますが、できておる状態でございます。国といたしましては、来年度予算でございますが、一応最初の案といたしまして、住宅に対して直接国の補助を出してもらいたいという考え方で、実はそういう予算要求をいたしておりますが、このたびの予備費でもって労働省御所管として雇用促進事業団のほうで一応作られるというときに、私どもとしては、最初申し上げましたような方式で要求いたしましたのは、国の労務者対策としてはそういうことをやると行政を乱すもので、やはり労働省のほうでやるべきであるという点を強く出されましたので、その前に来年度の予算要求はいたしておりましたので、そういう形になっておりますが、実際来年度の予算としては、労働省のほうでそういう御措置をしていただいたほうがやはりむしろ妥当であろうという考え方をしておるわけでございます。
○坂本昭君 しかし、失業保険の積立金から出すというのは、どうもやっぱり筋が通らぬですね。やはりこれは運輸省でことし初めて新しい今の厚生施設として——これはたしか大阪は病院でなかったですかね。船舶職員のための病院。
○政府委員(加藤武徳君) 船員局でやった……。
○坂本昭君 船員局になりますか。病院なんですね。これは病院なぞ行政の筋からおかしいと思うけれども、私は国が——これは補助金なんですよ。補助金で一千万円以上出したという事実は非常によかったと思うんです。ですから、今度の場合も、港湾労務者の入浴だとか、散髪だとか、食堂だとか、そういうことはもちろんのこと、さらに、沿岸船あるいは遠洋漁業に出た人たちが帰ってきても、実際言うと、各種の港湾がありますけれども、帰ってきても潮風にぬれたままで家へ帰るということが実際多いんです。それぞれ港へ帰ってふろへ入ってきれいさっぱりして家に帰るというような施設は非常に少ない。あなたのほうではそういうことが非常に少ない。いわんや荷役の港湾労務者に対しては全く前近代的な労働条件に放置している。そういう点では、私は、この点、失業保険の積立金など使うよりも、むしろ国から金を出さしてそうして港湾の管理者としてやられても私はちっともかまわない。そんなふうに思うんです。これを機会にというよりも、今この行き詰まった港湾労働者の問題を解決する一つの方策として、これはぜひ運輸省でも取り上げていただき、労働省でも取り上げていただき、所管がわからぬからやめるということじゃなくて、どの所管でもそういうことはけっこうですから、ひとつぜひやっていただきたい。労働政務次官いかがですか。この労働者の住宅問題は、これはこれだけでも非常に大きい問題ですけれども、今のようなどうも六大港にたった九百三十人分のしかも簡易宿舎をやるというようなことでは、これは港湾の労務者の問題は解決できないですよ。もっと基本的なことをひとつ、せっかく協議会から審議会にされるのですから、ぜひとも御努力をお願いいたしたい。
○政府委員(加藤武徳君) 坂本委員御指摘のように、労働力を確保し、また、労働条件を改善して参りますためには、どうしても宿泊の施設が必要であることは、御指摘のとおりであります。そこで、労働省の所管といたしましては、先ほど来説明しておりまするように、雇用促進事業団におきまして住宅施設の確保の措置をやっているのでありますし、先ほど担当課長の説明は、九月の末予備費から雇用促進事業団に追加出資いたしましたもののみの説明をいたしたのでありますが、雇用促進事業団では、御承知のように、広範な住宅確保政策を展開しておるのでありまして、恒久的な三階程度の鉄筋の建物等をどんどん作っておるわけでありますし、あるいは移動式のパイプ住宅も造って参っておりますし、なお、住宅確保のための奨励金も雇用促進事業団で出しておりますことも御承知のとおりでありまして、かような雇用促進事業団を中心にいたしました住宅確保の政策を強力に今後やっていかなければならぬと、かように思っております。 それから先ほどこれも坂本委員御指摘のように、おそらくこの国会におきまして厚生年金や国民年金の還元融資分をファンドといたします特別会計も設置されるであろうと、かように期待しておるのでありまして、このワク内におきまする、これはおそらく業者への貸付の形式、かようになると思うのでありますが、業界等へ勧奨いたしまして、かような特別会計から借り入れを行なわしめて住宅の緩和をはかっていくし、このこともぜひ必要であろうと思うのでありまして、かような面にもぜひとも今後御協力を願いたい、かように思うわけであります。
○坂本昭君 ただ、今のそういう厚生福利のたとえば会館でも浴場施設でも、これを作る主体といいますか、責任者というか、きょうの審議を通してお聞きしておってはっきりしないんですね。だれが責任を持ってやるんだか。先ほど運輸省の局長さんのお話だと、港運協会ですか、これは一つの民間の法人組織でしょう。これが責任を持つんだか、あるいは今度は雇用促進事業団が責任を持つんだか、その辺のことをもう少し明確にどこかが港湾労務者のそういう福祉の問題を責任をもって施設を作ったりあるいは還元融資の貸付金を借りたりすることをひとつ検討していただきたい。これは労働省並びに運輸省から大体どういう方針でやっていかれるか伺って、私のきょうの質問は終わります。
○政府委員(加藤武徳君) 船員の福利厚生施設につきましては、先ほど来御指摘のように、船会社等を中心にいたしまして、あるいはかつての海員液済会を延長したような組織もあるようでありますから、さような団体福利厚生施設を持ってきておるようでありまして、政府も、私のほうの所管ではもちろんございませんが、運輸省の船員局が大いに力を入れまして、一昨年あたりから新規の施策としてやって参っておるようであります。そこで、港湾労働者の住宅施設の確保につきましては、これは先ほど来数字をあげられておりますように、全国の業者は三千数百に及び、一つの港をとってみましても、ずいぶん大きな業者、小さい業者複雑でございまして、一本の協議会等の組織もなかなかむずかしいのではないだろうかと、かように考えられるわけでありまして、したがって、住宅提供の中心的な役割はやはり政府と不離一体の雇用促進事業団でやらざるを得ないと、かように考えておるわけであります、政府的な施策といたしましては。が、先ほど申しましたような、業者が資金を確保いたしまする努力を十分していただいて、これも雇用促進事業団から奨励金を受けることも方法でございますし、厚年の還元融資によって住宅を作られることも方法でございまして、さような雇用促進事業団を中心といたしまする施策と同時に、厚年等の還元融資を中心にして業者にもうんと努力してもらう、かような、ごく大まかではございますが、そういう方針での住宅確保の措置がいいであろう、また、そういう方針で進めていくべきだと、かように考えておるわけであります。
○坂本昭君 それは住宅だけではないですね。
○政府委員(加藤武徳君) ええ。
○坂本昭君 運輸省どうですか。何か見解ありませんか。運輸省のほうもひとつ一言言って下さい。
○政府委員(坂本信雄君) 今の港運業者の問題でございますが、これは元来が民間の企業でございます。ただ港湾運送事業法というものがありまして、国がこれに相当関与することになっておりますが、やはり企業としては、民間企業でございますので、一番よろしいことはやはりこの企業が力を持ちまして、自分でもって住宅も福利厚生施設も全部満足にゆければ、これにこしたことはないと思うのでございますが、しかし、現状ではなかなかこれもむずかしいということで、私どもといたしましては、まずやはり港湾管理者というものが各港にあるものでございますから、港湾管理者のほうでできるだけのこういう問題についての力を注いでいただきたい、ただ今問題は、港湾管理者が非常に施設だけをいろいろな面から要求されまして、収入の面が実は非常に貧弱なのでございます。そういう問題はございますが、何とか港湾管理者の財政的の立場というものを強化するような方策も今われわれとして考えておりますので、そういう施策と相待ちまして、港湾管理者のほうで施設をやっていただきたいというわれわれの考えでございます。なお、住宅につきましても、業者はもちろんやってもらわなければなりませんし、また、今のお話のように、港湾管理者も、現実にできているものもございますが、もちろんやってもらわなければなりませんし、また、港湾においては実は建物の費用というものももちろん重要ではございますが、港湾労務者があまり遠いところに宿舎ができたのではなかなか不便でございまして、どうしても江東地区に近いところに宿舎の土地を求められるわけでございますが、非常にこの江東地帯の土地というものは少のうございまして、あっても非常に高価なものでございます。そういう敷地については特に私どもは港湾管理者のほうに、計画の中にそういうことを考えるように指導をいたしておるわけでございます。なお、国としまして、住宅問題につきましては、先ほども御説明いたしましたが、今のところはやはり労働省のほうで一貫してやっていただいたほうがいいのではないかというふうに私は考えておりますが、なお、そのほかに住宅行政をやっておられます建設省もございます。われわれはどこでなければならぬということでなしに、あらゆる方法でできる方法を考えまして、そういうものが促進されるようにこれからやっていきたいというふうに考えております。
○委員長(谷口弥三郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(谷口弥三郎君) 速記を始めて。 本件に関する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございません。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(谷口弥三郎君) 御異議ないと認めます。 —————————————
○委員長(谷口弥三郎君) 次に、駐留軍労務者に関する件について調査を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。 それからただいま見えておる方は、加藤政務次官、冨樫労政局長、久野木労政局労政課長、小里調達庁労務部長が見えております。
○坂本昭君 駐留軍の問題については、この春の通常国会のときにも一度お伺いしたことがあるのですが、その後軍直用労務者の雇用切りかえの問題が非常におくれておるということであります。非常におくれにおくれて、いつになったらこの雇用切りかえが確定されるのか、それが明確を欠いておる、これは本質的にいうと、日米合同委員会が開かれて、そこで日本の代表である外務大臣が交渉をして、そして合同委員会における一つの労務問題として、最終的な決定の権限はこの日米合同委員会にあると思います。これについてはたぶん予算委員会で別の委員が質問されたのではないかと思うのですが、そうした経過を含めて、調達庁としてはこの切りかえの時期を一体いつにするつもりか、そしてどういう点が困難な問題となっているか、その実情の御説明をひとついただきたい。
○政府委員(小黒玲君) お答えいたします。直用従業員の間接雇用の切りかえの問題につきましては、昨年の九月十五日に日米合同委員会におきまして切りかえについての基本原則がきめられたわけであります。そうして日本側、米側からそれぞれ交渉委員を出して、その交渉委員のところで一応の討議をし、結論を出すと、こういうことで日米間で折衝が行なわれたわけでございまして、実は私が日本側の交渉委員の代表になっておったわけでございます。九月の十五日以来今日まで約ちょうど一年に相なりまするが、基本原則といたしましては一応きまりましたものの、実際に交渉に入って参りますると、相当日米間に考え方の相違がございまして、米軍はあくまでも、この今回の直用切りかえは、今まで直接雇用の労務者に欠けておった訴権を獲得、回復といいますか、訴権を回復するということが一番大切な問題である、これが中心的な議題として直用切りかえをやることに日米間で話し合いがきまったのだから、そのほかの問題についてはできるだけ現状を変えないと、こういう考え方であったのであります。調達庁の交渉当事者として私は、現在すでに御承知のように、直接間接雇用の、いわゆる基本労務契約によりますMLC労務者というものがございます。この基本労務契約が一応の手本になるというところで、基本労務契約にできるだけ近寄ったような切りかえを行ないたい、こういうことで主張をいたしたのでございますが、その辺に非常な根本的な考え方の差異がございまして、一時交渉が中断をされるというような事態もございました。また、昨年の十二月から二月にかけまして、例の公務員のベース・アップに関連をいたしまする駐留軍従業員のベース・アップの問題で相当なトラブルが起こりました関係で、約三月間のこの直用切りかえの問題を中断せざるを得ないというような事態もあったことでございます。そういたしまして、この三月ごろからお互いに日米間の主張を調整をいたしまして、それこそこの夏中毎週二回、三回と、朝から晩までの会合を日米間で約四十数回にわたって行ないまして、その結果主文十八カ条と、細目書二十二という相当膨大な直用切りかえの協約が一応私と米側の交渉委員との間に妥結をいたしまして、それが七月二十五日でございます。それで、七月二十五日に超スピードで妥結をいたしました当時の事情といたしましては、新しい地位協定が発効いたしましてからすでに一年を経過いたしておりますから、できるだけ早く直用労務者は切りかえるべきであるということで十月一日を目標にしてやろうということでお互いに話し合いもし、七月二十五日に交渉委員としての全条文にわたる妥結を見た、こういう事情にあったわけでございます。 そこで、一カ月に二回、隔週ごとに合同委員会が開かれますが、十月一日に実施をいたしたいということで、合同委員会の席上で十月一日実施を強く日本側でも要求いたした経緯もございます。ところが、この協約をワシントン政府に米側が送りまして、そうしてワシントン政府の承認を得るという手続が残っておったわけでございます。もちろん、わが日本政府側といたしましても、関係各省の意見を聞き、あるいは労働組合との団体交渉は常にやって参ったところでございまするが、ワシントン政府の承認が私どもが予想しておりましたよりも相当おくれまして、ようやく九月になってからこれが承認が来たというような事情がございます。それと、もうひとつ基本的な問題といたしまして、アメリカ側といたしましては、今回の切りかえは、十何年やってきた直用従業員の関係を根本的にここで改変することになる、もちろん労働条件等は従来の労働条件を変更しない、そんなに変えないという原則的な立場には立っておりますけれども、しかし、労務管理の面、あるいは雇用主がかわるといったようなことで、根本的に今までなかったような画期的なことを行なうのであるから、これに対する十分な準備、たとえば米側においては今まで直用労務者に関する機構的なものもはっきりしたものがなかった、これを根本的に整理をし、確立をいたしまして、そうしてそこに人員配置をやる、そうしてその人員配置をされた人たちに新しく教育を施して今度の協約はかくのごとき手続でやるのだという手配を十分に行なってからでないと、切りかえたあとでまごつくというようなことが出て困るという非常に慎重な態度をとって参りました。結局のところ、十月一日が不可能であるならば私どもは十一月一日という線を強く米側にも要求いたしたのでございますが、結論的には現在のところ十二月一日を目標にして日米間であらゆる努力を払って実現を期そうということに現在はなっておる段階でございます。 大体、以上が今までの経緯でございます。
○坂本昭君 それでは十月一日の目途がずれてきて十二月一日よりという御説明でしたが、この十二月一日ということについて調達庁は責任を持たれますか。
○政府委員(小黒玲君) 私のほうの長官初め、当面の担当者である私、それから米側のこれの関係者も一致した見解で十二月一日を目標にして努力中でございます。
○坂本昭君 それでは十二月一日になってみなければわかりませんが、今までの経過の御説明を率直にお聞きして、労務を担当しておられるあなたが十二月一日ということに全責任を持っておられるというふうに私も看取いたしますので、その点は十二月一日には政府としては全力を尽くしてこの日には必ず切りかえを行なうことができる、そういうふうに一応期待して次の問題をお尋ねいたしたいと思います。 それは、七月二十五日に非常な御苦労をなされて、一応協約の内容ができて参りました。担当された方の御苦労はもちろんお察しいたします。いたしますが、私たちは大体米軍が日本に駐留していること自体はなはだけしからぬと思っているのですね。そうして、たとい、いかなる外国人であろうと、日本でいかなる企業を営もうと、それが法律的に許されたものであったとしても、当然労使の関係あるいは労働に関する問題は日本国内の法律に当然従うべきである。そういう点ではわれわれとしては何ら遠慮するところのものはないのであって、その間交渉の過程においてはもちろん、あなたも日本人としての自覚とまたプライドをもってお当たりになったと思うのです。ただ、その交渉の経過の過程において、米軍は諸機関の特殊性をいろいろと強調されたらしい。私は一体特殊性というのはどういうことだか、この際ひとつ承っておきたいのであります。
○政府委員(小黒玲君) 御承知のように、諸機関といいますのは、アメリカ軍の管理下にあり、軍の施設内にはございますけれども、予算は軍の予算を使うとかあるいは補助金をもらうという性質のものではございません。ほとんどは軍人、軍属、これを利用する人たちの拠金によってまかなわれているあるいは売上金によってまかなわれているという関係でございまして、そうしてその仕事の内応は、御承知のように、PXでありますとか、クラブでありますとか、劇場でありますとかあるいは小さいものになりますと、託児所だとか、幼稚園だとか、種々雑多なサービス機関であるわけであります。したがいまして、軍の管理下にあるとはいいながら、軍の予算を使っていない非常にいわば貧弱な経営形態でやられている、こういうことで、米軍側はときどき折衝の過程におきましても、ちようど中小企業と同じようなものだ、こういうことを発言をしておったのであります。確かにそういう部面があります。しかも、仕事の内容がほとんどサービス業務であるということも本来の米軍の業務とは違った面がある。業務の内容、仕事の内容、予算の貧弱、規模の小さいことといったようなことから、できるだけ簡素な迅速な労務管理といいますか、そういうことを強く主張したのであります。したがって、この今回の協約の中には、日米間で協議をするような場合に、従来の基本労務契約の間接雇用の場合よりは比率が少なくなっておるというようなところがあちらこちらにあるわけでありますが、経費の面、仕事の実態というようなことから、どうしても迅速にかつ簡便に物事を運びたいという主張を強く米側としては持っておった。そういうことから、もちろん、労務管理の面でいいますると、MLC契約とできるだけ同じような形でやりたいということは、労働組合も強く主張し、希望を持っておったのでありまするが、実態面からこれをその特殊性に応じて変更を加えたということでございます。
○坂本昭君 むしろ、今の特殊性というのは、何も米軍にとっての特殊性よりも、これは日本の特殊性であって、日本の法律では、何もそんな特殊性なんかは認めてないのであって、むしろアメリカこそ日本に協力しなければいけない立場に私はあると思うのですね。そういう点で、その特殊性があるがゆえに、いろいろな労務協約の中でも特殊な、日本の法律では考えられないようなことまで押しつけるということは、はなはだ不当だと思う。たとえば賃金の支払い規定、これは、従来までは、もちろんアメリカ軍が支払っておって、今回切りかえに伴って、賃金の支払いは、これはどうなるか、賃金そのものの内容についてもお伺いしたいのですが、まず、その支払いの責任者はどうなるか、それはどういうふうに取りきめが行なわれておりますか。
○政府委員(小黒玲君) 賃金の支払いに関しましては、現在の間接雇用の従業員につきましては、調達庁、すなわち県なり労務管理事務所で払っております。これを今回の協約では、軍が一応払うと、こういうことになっておりまするが、日本政府は、もちろんこの支払いの最終的な責任は負うと、こういう格好でございまして、現在の間接雇用の従業員につきまして、もちろん軍の計算をいたしました勤務時間等を、軍から労管がもらいまして、そうしてそれをこちらで計算いたしまして出すということでございますが、それを簡便にいたしまして、一応軍が第一次的に払う、調達庁、県としてはその支払いについての最終的な責任を負うという形になっております。
○坂本昭君 今の点は、労働省としては、どういうふうにお考えになりますか。私は、当然今のような米軍の主張というものは、これは不都合であると思うのです。当然、今度の労務協約の内容の中では、その面も明確にしておくべきだと思うのですが、労働省の見解を承りたい。
○政府委員(大島靖君) 賃金支払いの切りかえにつきましては、現在調達庁が特に主になりまして、できるだけ好ましい形において妥結すべく御努力中でありますが、具体的な問題について突っ込んで申し上げることは差し控えたいと思いますが、ただいまの問題につきましては、調達庁といたしましても、最終的な賃金支払いについての責任は負わされることでありますし、基準法上特段の問題はなかろうかと思います。
○坂本昭君 しかし、今結ばれている労務協約の内容を見ると、先ほど来説明があったとおり、歳出外の資金によるものだから、そういう特殊な扱いをしなければならぬ。いろいろな理由のもとに、労務協約の内容面で、簡素化ということになるかどうか知りませんが、簡素化という名のもとに、労働者の権利はむしろ私は保護されていないのではないか。差別的な要素がかなりあるので、当然この労務協約というものは、近い将来に修正さるべきものであるし、また、修正する必要が早期にどうしてもあるというふうに思いますが、調達庁としては、この修正の時期、あるいはその修正の内容について、何らか御見解を持っておられたならば伺いたいと思います。
○政府委員(小黒玲君) 賃金の支払いの関係につきましては、先ほど労働省の方から御答弁がございましたが、私ども、法制局、法務省、労働省、すべての関係の各省の意見も徴しまして、法令上差しつかえないということで、こういう協約にしたわけでございまするが、賃金の支払いを日本側でやらずに、米側にやらせるということにいたしましたゆえんの最も大きな理由は、賃金の支払いをやりますことに非常に多くの人手が要るわけでございます。これを日本側でやることになりますと、相当な人数を日本政府で人員増をやらなければならぬ。そういうような関係がありまして、その管理費を、きわめて小規模でやっておるアメリカ軍の諸機関が捻出をしなければならぬ。そういうことになれば、軍人、軍属の拠出金の額を上げなければいかぬ。あるいは、場合によっては、そういう管理費を日本側に新しく払うというようなことになれば、閉鎖をするというようなうき目を見る諸機関も出てくるというような実情が米側にありました関係上、日本側が最終責任を負えば、米側で払うということにするほうが労務者のためにもいいんではないか、こういう結論に基づいて決定を見たわけでございまして、もちろんこの法令に違反して米側が払わないというような場合には、日本側で賃金の支払いの責任を持つ、こういう建前になっておるわけであります。そこで、全体の協約を通じまして、私どもできるだけ早く切りかえを行ないたいということと、できるだけよい内容の協約を結びたい、あるいは、言葉をかえて言いますれば、労務者に有利な条件で協約を結びたいと、こういう矛盾した二つの要請の間に立って、早くやりたいし、よい内容を持ちたいと、こういうことで、なかなかその間の調和がむずかしかったことは事実でございまするが、したがいまして、早くやろうということのためにある程度米側も相当最初の意気込みからいたしますれば妥協して参りましたが、私どもとしても妥協した面はございます。できれば現在の基本労務契約と同じような条件でという個所もございます。したがいまして、そういう早くやりたいということから、一応ここで全体的な決定を交渉員として決定をするということになったわけでございまするから、切りかえが十二月一日に行なわれまして、それ以後において、不十分な点、あるいは改正すべき点もあることは事実でございまするから、そういう点はできるだけ改正をして参りたい、是正をして参りたいと、かように考えているわけであります。
○坂本昭君 その点は、早期修正の意向は十分持っておられるというふうに私も解釈をいたしまして、次に、今の労務協約の中に賃金の規定を明確に入れなかった、これを除外した、これは一体将来どうされるおつもりですか。
○政府委員(小黒玲君) 賃金の規定は、最初軍側から現在ばらばらな賃金規定を統一いたしました案が出て参ったわけでございます。ところが、これに手をかけて統一的な規定を協議をいたしますると、それこそ時間的に日にちが相当かかるという実情にございましたので、しかも米側から提案になりました統一的な賃金規定というのが私どもの必らずしも満足するところでなかったという点から、これをこの協約の中から一応落としまして、そして賃金につきましてはこの協約の発効の前日に三軍で行なわれておる賃金規定べそのまま有効である、前日に行なわれておる賃金規定をそのまま引き継いでいくんだとこういう個条を入れまして、そしてこの議事録でもちまして、現在行なわれておる規定を引き継いでいるけれども、その規定を改正をする場合にはこの協約の改正と同じ手続でやるんだと、こういうはっきりした想定を設けまして、形式的にはこの労務協約の内容にはなっておりませんけれども、日米間で現在の賃金規定を確認をいたしまして、そしてそれの改正は日米間の合意に基づいてやると、こういう仕組みにいたしたわけでございます。
○坂本昭君 今問題になっている労務者の数は大体一万四千人くらいと聞いております。が、一万四千人の人たちが確かに特殊な労働条件の中で働いているということはわれわれとして遺憾な点もあるし、同時にまた、この労働者の生活をどうしても守っていく必要があると、その中で調達庁がいろいろ苦心をされた、その苦心はお察しいたしますが、今御説明のあったとおり、いろいろと不十分な点があるにもかかわらず、雇用の切りかえを急いで、急いだためにいろいろと不十分な点も残してきたということは、ある程度お認めになっておられるのですから、ぜひともこの十二月一日に切りかえを行なうと同時に、あとさらに給与体系の諸規定も十分に取り入れて、日本人である労働者が不利益な措置を受けないように、今後さらに特段の御努力をお願いしておきたいと思います。
○政府委員(小黒玲君) 全力をあげて御期待に沿いたいと思います。
○委員長(谷口弥三郎君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(谷口弥三郎君) 速記を起こして。
○政府委員(加藤武徳君) 直用労務者を間接雇用に切りかえることは、これは大きな改善でもございまして、労働省といたしましてもなるべく早い機会に切りかえを願いたい。ただいま調達庁から十二月一日と、かような時日目標が示されたのでありますが、労働省としてもなるべく早い機会に切りかえてもらいたい、かように考えるわけでございます。それも今、坂本委員が一万四千人という数を御指摘になりましたが、PXなりクラブなり食堂なり映画館なりあるいは託児所、かようないろいろな職場で働いておりますすべての者が切りかえられる、このことを期待しているわけであります。ただ労働省の基本の考えといたしましては、切りかえにあたりましては、人員整理が行なわれるなんということでは全く困ることでございますし、また、賃金の切り下げとか、あるいは労働時間の延長というような労働条件の改悪が行なわれるようなことのないように、このことを基本的な態度にいたしておるわけでありまして、そこで米軍の部隊で働いております労務者の方々に対しましては、基本労働契約があるわけでありますから、できるだけ基本労働契約に沿って部隊で働いておる労務者と同様の条件であるということ、これを強く希望しておるわけであります。ただ、今調達庁が答弁をされましたように、公の経費でない、いわば私的な機関の財源で経営されているということとか、あるいは経理内容が非常に悪いということ、あるいは特殊の労働条件等でいろいろのむずかしい問題はあるとは思いますが、調達庁はこの上ともひとつきめのこまかい気を配っていただいて、できるだけ有利な条件で話を進めてもらいたいと、このことを労働省としても調達庁へ強く希望するわけでございます。
○委員長(谷口弥三郎君) それでは、本件に関する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
○委員長(谷口弥三郎君) 御異議ないと認めます。 以上で本日の審議は終わりました。次回の委員会は十月二十四日火曜日の午前十時より開会いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 午後四時十七分散会 —————・—————