建設委員会 第5号
- 発言数
- 76 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/10/17
会議録
○委員長(後藤義隆君) ただいまから建設委員会を開会いたします。 初めに、先刻の委員長及び理事打合会の結果について御報告いたします。まず、本日の委員会についてでありますが、宅地造成等規制法案の逐条説明の聴取、続いて質疑を行ないたいと存じます。 ――――――――――
○委員長(後藤義隆君) 次に、参考人の出席要求についてお諮りいたします。宅地造成等規制法案につきまして、来る二十四日、参考人の意見の聴取をいたしたいと存じますが、さよう決することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(後藤義隆君) 御異議がないと認めます。それでは、参考人の人選等につきましては委員長に御一任願います。 ――――――――――
○委員長(後藤義隆君) 宅地造成等規成法案を議題にいたします。逐条的に補足説明をお願いいたします。
○政府委員(齋藤常勝君) ただいま議題となりました宅地造成等規制法案につきまして逐条説明を申し上げます。 第一章総則といたしましては、第一条は、この法律の目的を定めたものでございます。市街地または市街地となろうとする土地の区域内において、宅地造成に伴い、がけくずれ又は土砂の流出による災害の発生することを防止することを目的とし、その目的を達成するため、宅地造成に関する工事等について、災害の防止のため必要な規制を行なうための規定を定めることといたしております。 第二条は、この法律において使用している特別の用語の定義を掲げてございます。 第一号は、宅地について定めてございます。宅地とは、農地、採草放牧地及び森林並びに道路、公園、河川その他政令で定める公共施設の用に供せられている土地以外の土地をいうことといたしております。 第二号は、宅地造成について定めてございます。宅地造成とは、宅地以外の土地を宅地にするため、又は宅地において行なう土地の形質の変更で政令で定めるものをいうことといたしております。 第三号は、災害について定めてございます。この法律でいう災害とは、がけくずれまたは土砂の流出による災害に限定いたしております。 第四号は、設計について定めてございます。設計とは、その者の責任において、宅地造成に関する工事を実施するために必要な図面及び仕様書を作成することをいうことといたしております。 第五号は、造成主について定めてございます。造成主とは、宅地造成に関する工事の請負契約の注文者、または請負契約によらないでみずからその工事を施行する者をいうことといたしております。 第六号は、工事施行者について定めてございます。工事施行者とは、宅地造成に関する工事の請負人、または請負契約によらないでみずからその工事をする者をいうことといたしております。後者の場合においては、第五号の造成主と工事施行者とを兼ねることになるわけでございます。 第二章は宅地造成工事規制区域についての規定でございます。 第三条は、宅地造成工事規制区域、以下規制区域と略称して申し上げますが、その区域の指定の要件及びその手続について定めてございます。 第一項は、建設大臣が規制区域として指定することができる土地の具備すべき条件、及びその手続きを定めたものでございます。この法律は、宅地造成に伴い生ずる災害を防止することを目的といたしておりますから、そのような災害の生ずるおそれの著しい市街地または市街地となろうとする土地の区域を規制区域として指定することといたしております。その指定は、関係都道府県の申出によることとし、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市、いわゆる五大市でございますが、その指定都市におきましては、その指定都市の申出によることと定めてございます。以下都道府県または都道府県知事と申したときは同様でございます。その申出の際には、あらかじめ市町村の長の意見を聞かなければならないこととして、市町村の意見を十分に反映させることといたしてございます。 第二項は、前項の指定は、規制区域内の土地の形質の変更が制限されるなどの私権の制限を伴うものでございますので、規制区域の指定は、この法律の目的を達成するため必要最小限度のものとしなければならない旨を定めたものでございます。 第三項は、規制区域の指定は官報に告示することによって行なうことを定めてございます。 次に第四条は、規制区域の指定またはその申出のため、測量または調査を行なう必要がある場合には、建設大臣もしくは都道府県知事等が、他人の占有する土地に立ち入ることができること、及びその手続について定めてございます。住宅地区改良法、地すべり等防止法等にほぼ同一の規定がございます。 第五条は、測量または調査を行なうにあたって、必要な障害物の伐除及び試掘等を行なう場合には、市町村長等の許可を要すること及びその他所要の手続を定めてございます。前条と同じく、住宅地区改良法等と同様の規定であります。 第六条は、他人の占有する土地に立ち入る場合、または障害物の伐除もしくは試掘等を行なう場合に携帯すべき身分証明書または許可証について定めてございます。 第七条は、測量及び調査に必要な立ち入り、障害物の伐除等に伴う損失の補償について定めてございます。 第三章は宅地造成に関する工事等の規制でございまして、第八条は、規制区域内において宅地造成に関する工事を行なおうとする造成主は、都道府県知事の許可を受けなければならないことを定めてございます。 第二項は、都道府県知事は、許可の申請にかかる宅地造成に関する工事の計画が次条の規定に適合しないと認めるときは、許可してはならないことを定めてございます。 第三項は、都道府県知事は、宅地造成に関する工事の許可をする際には、災害を防止するため工事中の安全措置等必要な条件を附することができることを定めてございます。 第九条は、規制区域内で行なわれる宅地造成に関する工事は、政令で定める技術的基準に従い、擁壁、排水施設の設置等災害を防止するため必要な措置が講ぜられたものでなければならない旨を定めてございます。なお、政令でその技術的基準のうち都道府県の規則に委任した事項に関しまして、都道府県知事が規則を定めたときは、その規則に従ったものでなければならないことと定めてございます。 第二項は、前項の規定により講ずべきものとされる措置のうち、大規模でむつかしいものは、一定の資格を有する舌の設計によらなければならないことと定めて、工事の安全性を確保しようといたしてございます。なお、設計者の資格については政令で定めることといたしてございます。 第十条は、宅地造成に関する工事の許可の申請があった場合における都道府県知事のなすべき処分及び通知の方法について定めてございます。 第十一条は、国または都道府県が規制区域内でみずから宅地造成に関する工事を行なう場合の特例について定めてございます。 第十二条は、許可にかかる工事が完了した造成主は、都道府県知事から工事完了の検査を受けなければならないことを定めてございます。 第二項は、検査に合格していると認めたときは、検査済証を交付すべきことを定めてございます。 第十三条は、都道府県知事が行なう監督処分について定めてございます。 第一項は、都道府県知事は、偽りその他不正な手段により宅地造成に関する工事の許可を受けた者またはその許可に附した条件に違反した者に対して、その許可を取り消すことができることを定めてございます。 第二項は、都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内で行なわれている宅地造成に関する工事で、許可を受けないもの、許可に附した条件に違反したもの、及び宅地造成に伴う災害を防止するため必要な措置の講ぜられてないものについては当該造成主、当該工事の請負人または現場管理者に対して、工事の施行の停止を命じ、または擁壁もしくは排水施設の設置、その他宅地造成に伴う災害の防止のため必要な措置をとることを命ずることができることを定めてございます。 第三項は、宅地造成に関する工事が完了した宅地で、都道府県知事の許可もしくは検査を受けなかったもの、または宅地造成に伴う災害の防止のため必要な措置の講ぜられていないものについては、都道府県知事は、その宅地の所有者、管理者もしくは占有者または造成主に対して、当該宅地の使用を禁止し、もしくは制限し、または擁壁もしくは排水施設の設置その他宅地造成に伴う災害の防止のため、必要な措置をとることを命ずることができることを定めてございます。 第四項は、都道府県知事が、前三項の処分または命令を行なおうとする場合においては、聴聞を行なわなければならないことを定めてございます。 第六項は、都道府県知事が措置命令を発する者を確知できない場合における代執行について定めてございます。 第十四条は、宅地や宅地造成に関する工事の実情を把握しておくため、規制区域内の宅地において、規制区域指定の際、現に行なわれている宅地造成に関する工事の造成工、及び擁壁または排水施設に関する工事その他政令で定める工事を行なおうとする者、並びに宅地以外の土地を宅地に転用した者は、それぞれ一定の期間内に、都道府県知事にその旨を届け出なければならないことを定めてございます。 第十五条は、規制区域内の宅地の所者等は、宅地造成に伴う災害が生でないよう、その宅地を常時安全な状態に維持するように努めなければならないこと、及び都道府県知事は、規則区域内の宅地について、宅地造成に伴なう災害の防止のため必要があると認める場合は、その宅地の所有者等に対して、宅地造成に伴なう災害を防止するため、必要な措置をとることを勧告をすることができることを定めてございます。 第十六条は、すでに造成された宅地に対する改善命令について定めたものでございます。 すなわち、第一項におきまして、都道府県知事は、規制区域内の宅地で、宅地造成に伴なう災害の防止のため必要な擁壁または排水施設が設置されていないか、またはきわめて不完全であるため、これを放置しておけば、災害の発生のおそれが著しいものについて、その著しいおそれを除去するため、必要であり、かつ土地の利用状況等からみて、相当な限度で宅地所有者等に対して、擁壁もしくは排水施設の設置等の工事をすることを命ずることができることとして、危険な状態を放置すれば災害の生ずることが明らかな宅地について、安全を確保する措置を講ずることができることといたしております。 第二項は、前項の場合において、都道府県知事は、宅地所有者等以外の者の行為、たとえば隣地における土地の形質変更等により、宅地造成に伴なう災害の発生の著しいおそれが生じたことが明らかな宅地について、その行為をした者に工事をさせることについて、その宅地所有者等に異議がないときには、その行為をした者に対して必要な措置をとらせることができることとして、その行為をしない宅地の所有者等に過重の負担をかけることのないように、均衡をはかることといたしてございます。 第三項は、前項の場合における聴聞及び代執行について定めてございます。 第十七条は、都道府県知事またはその命じた者、もしくは委任した者が、許可、監督権限等の権限を行なうために必要な限度で、規制区域内の宅地に立ち入り、当該宅地または当該宅地で行なわれている宅地造成に関する工事の状況を検査することができる旨、及びその手続等について定めてございます。 第十八条は、都道府県知事が、規制区域内の宅地所有者等から、当該宅地又は当該宅地において行なわれている工事の状況について、報告を求めることができることを定めてございます。 第四章は雑則でございますが、そのうちの第十九条は、第八条第一項の許可の申請をしようとする者は、三万円をこえない金額の範囲内において、政令で定める額の手数料を納めなければならないことといたしております。 第二十条は、市町村が、都道府県知事に規制区域内の宅地造成に伴う災害の防止に関し意見を申し出ることができることとして、市町村の意見が都道府県知事に反映することとしてございます。 第二十一条は、都道府県知事のした処分または命令に対する訴願について定めてございます。 第二十二条は、この法律の実施のため必要な規定を政令で定めることができる旨を定めてございます。 第五章は、罰則について定めてございます。 附則につきましては、第一項は、この法律の施行の日について定めてございます。 第二項の建設省設置法の一部改正は、宅地造成等規制法の施行に関する事務を建設本省の所掌事務に加えたものでございます。 第三項の建築基準法の一部改正は、規制区域内において、都道府県知事の許可を受けて工事を施行する擁壁については、建築基準法の確認等に関する手続等の規定は適用しないことと改めたものでございます。 以上でこの法律案の逐条ごとの説明を終わりますが、十分御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。
○委員長(後藤義隆君) これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
○田中一君 政令ができていますか。できていたら出してほしい。
○政府委員(齋藤常勝君) 政令につきましては、大体の原案は今できておるのですが、まだ検討している点もございます。
○田中一君 検討しているなら検討している中の草案でいいから出していただきたい。
○政府委員(齋藤常勝君) 提出いたします。
○田中一君 それから委員長に一任するという参考人はどういう人たちをどういう観点からお呼びになるのか、ひとつ議事録つけてもつけないでも説明していただきたいと思います。
○委員長(後藤義隆君) ちょっと速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(後藤義隆君) それでは速記をつけて。
○田中一君 それからこの第十三条の4の聴聞を行なうということの範囲は、これは政令できめるわけでも何でもない、何かわからぬ僕には。聴聞を行ならというのだが、聴聞を受けるのは、いわゆるだれからどういうものを受けるということなのか、これはどういう形で聴聞会を設けようとしているのか、それ、一応その考え方があるなら、それも資料で出していただきたい。
○政府委員(齋藤常勝君) 資料を提出いたします。
○田中一君 それから二条の六、工事施行者、これが請負人という言葉を使っているけれども、われわれの通念として請負人というと、建設業者というように通念を持つのですね。で、それは建設業法とのどういう関係を持つのか、もしも建設業法との関連があるならば、はっきりと建設業者と書けばいいのであって、ここに請負人とだけと響いている理由が明らかでないから、これも何か根拠があるなら資料で出して下さい。現に建設業法という法律があって建設業者というものがきまっているのですが、これは大体目的も性格も範囲もすっきりきまっているのです。しかしながらここに初めて工事施行者としての工事請負人ということになっている。従ってこれは新しくどういうものを作ろうとするのか、業者を作ろうとするのか、業者でないだれでもいいのか、その点が明確でないからこれもひとつ答弁じゃなくて出して下さい。
○政府委員(齋藤常勝君) はい。
○田中一君 それから九条の2、「政令で定める資格を有する者の設計」、これもいろいろ建築の方の技術家の方は建築士法とかあるけれども、これは建設じゃなくてまあ通念として考えられる土木工事なんだが、これはそうすると、どういう者を考えて新しいそういう資格をきめるということになるのか、そんなことを一方的に政令できめるということでいいのか、これはなかなか問題があるのですよ。従って何を脅えているかですね、これも資料で出していただきたい、一応。
○政府委員(齋藤常勝君) 資料を提出いたします。
○田中一君 それから大体この法律は、許可の宅地造成の工事、それから建築基準、技術基準等はこれはどういうものを出すか、一ぺん拝見しますが、基準があると思いますが、これを明らかにしていただくために資料を出していただきたい。
○政府委員(齋藤常勝君) 提出いたします。
○田中一君 建築基準法では許可日数というものがきまっている。届けを出して許可日数をきめておる。これはきめておらぬ。これは新しくそういう方向で許可というものをきめようとするのか。建築基準法では一週間以内とか二週間以内ときめておる。これは一年たっても二年たっても許可しないこともすることもあり得ると解釈できるけれども、政令に何も委任していないなら、その点は義務づけて下さい、一年も二年もかかっちゃ困る。
○政府委員(齋藤常勝君) 本法におきましては、第十条に「都道府県知事は、第八条第一項の許可の申請があった場合においては、遅滞なく、許可又は不許可の処分をしなければならない。」という規定がありまして、遅滞なくやるということになっております。
○田中一君 遅滞なくということは、図面上の条件さえ合えば許可するということなのか、あるいは現在何十万坪という土地造成の申請があった場合、遅滞なくというのは一年か二年かわからぬ。遅滞なくというあいまいなことでなく、建築基準法では、はっきりこれこれのものは一週間以内、二週間以内、三週間以内とこうなっている。それとこれとの許可条件というものは異なっておるから伺っておる。遅滞なくというあいまいなことでなくはっきりして下さい。
○政府委員(齋藤常勝君) おっしゃる通り建築基準法におきましては二十一日という期間がございますけれども、今お話しのございましたように図面だけで許可するということのできない場合もございます。実地を十分に調査した上でなければ許可ができないということがございますので、遅滞なくというようなことで、できるだけすみやかに許可または不許可の処分をするように考えたわけでございまして、遅滞なくと申しますときには、われわれ考えておりますのはすみやかにということよりは若干おくれると思いますけれども、おくれることがないようにというような程度の意味でございまして、今申し上げましたように基準法では二十一日というふうに規定しておりますけれども、二十一日以内に確認できないときには責任が不明確になるということを考えまして、本条では期日をきめなかったのでありますが、われわれは大体建築基準法並みというようなことで運用して参りたいと、このように考えておるのであります。
○田中一君 それから許可をされた土地造成事業なり、それから現場の監督を再三再四行なって、大規模なものあるいは非常な危険を伴うものは、基準どおりいっているかどうかという現場の検査を何回かするでしょう、重いもの軽いものについて。それでなおかつ崩壊した場合には、これは損害補償の責任はどこにあるんですか。それで、行政上の責任あるいは財産上の責任補償、それから不可抗力的なものはどういう工合に判定するのか。神戸のような場合を見ても、はなはだ迷惑な話なんですよ。下で何人か、五人も六人も死んでいる。そんな危険なところにあって再びそこに住めないようになると、大きな責任があると思う、その点は明確になっておらぬ。一体、許可したということは、その許可した者の責任になるのか、損害補償はそのときどうなるのかという点は、どこで明らかになりますか。
○政府委員(齋藤常勝君) ただいまの御質問は、許可をいたしまして、そのあとでがけくずれが起ったという場合に、許可しました都道府県の責任はどうなるのかというような御質問と考えます。結論的に申しますと、一般的には知事には責任がないというふうに考えております。もしかりにありとしますと、どういう場合にあるかということになりますと、許可とかあるいは監督、検査に当たりました職員が、故意または過失によりまして、法律上許されていないところの技術的基準の状態を、否認しまして、それが原因となりまして災害が起こったという場合におきましては、これは国家賠償法の規定によりまして、国または都道府県が賠償責任を負うということが考えられます。この場合におきましても、その職員の故意または過失というものと、起こりました災害との因果関係というものが問題になりまして、その因果関係がきわめて明確であるということが証明された場合におきましては、国家賠償の問題が生ずると思うのでございます。なお、国といたしましては、その職員に故意または過失があった場合におきましては、その職員に対しまして求償権を発動するというような格好になっております。
○田中一君 資料を要求します。国家賠償法で判決の出た事件の、提訴から判決までの判例を十ぐらい出して下さい。
○政府委員(齋藤常勝君) そのような資料をもちろん調査いたしますが、はたして十あるかどうか、特に宅地に関しましてのそういう問題があるかどうかにつきましては、ちょっとこの席では御答弁いたしかねますけれども、御要望に沿うようにできるだけ調査いたします。
○田中一君 御要望に浴うようにじゃない。絶対に出さなければこの審議は進みませんよ。なぜかというと、考えてごらんなさい。すべてあなた方は法律を作って、不可抗力的なものだ、不可抗力は不可抗力だといって逃げちゃうし、それからたとえば監督するところが、最高三万程度の手数料をもらった行政部門が、神戸のように背後に山をかかえているところが一ぺんに八百件も申請があった場合に、一体そんなものは図面のほかに、コンクリートを打ったものを堀り返して実際に杭を打っているかどうかということを調べることはできない。そうして受けた災害というものは、運が悪いといって片付ける。国家賠償法で請求しても、それが一体いつどういう形で解決するかということを考えると、これは無責任きわまる立法なんです。それは無論どこに原因があるか、裁判してもとうていわかるものじゃないですよ。往々にして異常な天災地変等によって発生するところの災害が多いわけなんです。その異常度というものがある以上は、国家賠償法で云々なんていうことを簡単に言うけれども、はなはだ迷惑なのは国民です、これによって被害を受けた国民なんです。だからあなた方がそう簡単にあっさりと、その場合には国家賠償法で請求なさいということを言うと、実際に国家賠償法でその損害を補償されたというものが、どういう形であるかということをあなた方自身が知って下さい。法律を作るあなた方自身が、立案するあなた方がほんとうに知って書きなさい。こういう点ははなはだ不十分ですから一ぺん調べて下さい。
○政府委員(齋藤常勝君) 十分調査しまして提出いたします。
○田中一君 ほかの質問は次に譲ります。
○田上松衞君 こまかいことはあとに譲りますけれども、いろいろ善意の了解をしてもらいたいことは、この法案が時代の要求であるのだ。したがってこの法案を提出されたことに対しては賛意を表しておくのだ、この場合だけは一つ申し上げておきたいと思うのです。ただこの案の内容に不明確な点があったり、あるいは不十分な点がたくさんある。十分あと時間をかけて質問申し上げる機会があろうかとこう考えるわけですが、きょうまずお聞きしておきたいことは逐次申し上げますが、第一に、あくまでこれは都道府県の申し出に基づいてこれをやるということなんですが、その申し出がない場合にはどうするか。
○政府委員(齋藤常勝君) 原則といたしまして都道府県の申し出によって建設大臣が指定するということを規定しておるわけでございまして、申し出がありませんときには、しかも建設大臣が必要であるというような場合におきましては、地方自治法の規定に基づきまして都道府具に対しまして勧告をする、ということもあり得ると考えております。
○田上松衞君 第二条の一、宅地の定義、「農地、採草放牧地及び森林並びに道路、公園、河川その他政令で定める公共の用に供する施設の用に供せられている土地以外の土地をいう」。としてある。具体的に申し上げますと学校の庭はどうなのか、いわゆる校庭はどれにはまるか。
○政府委員(齋藤常勝君) だいまの御質問の学校の庭は、ここでいう宅地に入るというように解釈しております。
○田上松衞君 「政令で定める公共の用に供する施設の用に供せられている土地以外の土地」と定義してあるのですが、そこでここへこれが入るというのはどういうことなんですか、明確にして下さい。この文章でいうと学校の庭は入らぬということになるのですね。そこへこれが入るとされるというのはどういうことなんですか。
○政府委員(齋藤常勝君) ただいま政令の案の中で考えております公共用地というものにつきましては、ここに書いてあります道路、公園、河川その他につきましては、砂防法による砂防設備でありますとか、あるいは運河法による運河の用に供する施設、あるいは日本国有鉄道法または地方鉄道法による地方鉄道もしくは索道で公共の用に供する上地、あるいは軌道法による軌道というようなものを現在予定しておりまして、そういうようなものはここでいう「公共の用に供する施設の用に供せられている土地」というように政令で指定いたしたいというふうに考えております。
○田上松衞君 同じく二条の五及び六の両方に関するのですが、造成主の場合、工事施行者の場合、さっき田中委員もこのことに若干触れておったようですが、「工事の請負契約の注文者又は」その以下の「請負契約によらないでみずからその工事をする者」を造成主というわけですね。それからその次の六の場合でも、同じ文章で「請負契約によらないでみずからその工事をする者」を工事施行者とする。一体この場合は「請負契約によらないでみずから工事をする者」が造成主であったり、工事施行者であったり、どっちにもこれははまるという意味なんですか。
○政府委員(齋藤常勝君) 総括的に申し上げますと、宅地造成をやる場合におきましては、宅地造成主は請負契約をやりまして、その工事だけは請負人にやらせるという場合と、それから工事につきましても自分でやるという場合と二つあるわけでございます。したがいまして、今御指摘になりました請負契約によらないで、みずからその工事をする者というのは、造成主であると同時に工事施行者であるということに相なるわけでございます。これは、その後に規定してございます条文の適用において、造成主を規制する場合と、工事施行者を規制する場合と両方ございますが、みずからやる場合におきましてはこの二つが同一人になる、こういうことになるわけでございます。
○田上松衞君 今のに関連するのですが、工事完了の検査、第十二条に関連する問題ですが、その検査済証というものは造成主にだけ交付することになっておりますね。十二条の二項です。そうすると、一体、みずから工事をやる場合には工事施行者であるのだ、この場合に当てはめてみると、どうなんですか、これは。
○政府委員(齋藤常勝君) 検査済証を造成主に交付すると申しますのは、宅地造成をやる主体はあくまでも造成主でございます。したがって造成主に検査済証を交付するということにいたしたわけでございます。
○田上松衞君 そこで疑問があるのですが、わざわざ号を別にしまして六号に工事施行名とは何をいうかの定義がある。工事施行者とは「……又は請負契約によらないでみずからその工事をする者をいう」、だからこの場合は完全に工事施行者なんですが、逆にお聞きしますけれども、十二条の規定の中では、検査済証を造成主もしくは工事施行者に交付しなければならぬとする必要はないのかどうか、こう聞いた方が早道でしようかね。
○政府委員(齋藤常勝君) 先ほども申し上げましたように、宅地造成をやる主体は造成主でございまして、そのときに工事をやる者が請負人であったり、または自分であったりする場合がございますから、造成主に交付をするとなっておりますのは、一切を含むということになっております。
○田上松衞君 第三条に移ります。指定都市と都道府県との意見が相違する場合、この場合の調整はだれがどういう方法で行なうのですか。
○政府委員(齋藤常勝君) 今のダブると申されましたことは……。
○田上松衞君 ダブるのじゃないのですよ、意見が相違する場合ですよ。
○政府委員(齋藤常勝君) 意見が相違する場合におきましては、これは都道府県知事の意見が優先するということになります。
○田上松衞君 そうすると、逆にお聞きすると、指定都市の方では右だと言う、しかし左にしたいと都道府県の方は考えておる。その場合、都道府県はあらかじめ指定都市の意向を聞かなければならぬことになっておるにかかわらず、聞かない場合には、都道府県の意思が優先するということになれば、この条文は一体どうなりますか。これは私の言うことがよくおわかりになっておれば、あなた方のほうよりか僕のほうがよほど条文についてこまかい研究をしちまっているせいかもしれませんよ。この場合都道府県知事は、たとえば端的に言うならば、横浜あたりばこれに当てはまるわけですね。神奈川県と横浜市――横浜市は指定都市なんです。この場合市長のほうでは右としたいというお考えをお持ちになる、ところが左にしたいという意向を神奈川県知事が持っている、その場合においては、神奈川県知事はあらかじめこれを申し出をするという場合、横浜市の意向を聞かなければならないと、こう規定してある。ところがその意見が食い違っちまった、その場合だれかがこれを調整するあれがなければいけないじゃないですか。たとえば、初めに私がお聞きした第三条の場合においては、申し出がなかった場合にはどうするか、それはいろいろ監督等によるのだと、それはわかる。だがこの場合申し出をするけれども、意見が食い達っちまったという場合において、同じ資格を持ち、片っ方はいやだ、片っ方はやろうと、話がちょっときつくなりますけれども、そんな場合だれか調整する者がなければこれはらちがあかぬじゃないか、お手あげになっちまうのじゃないか、こういうことですよ。
○政府委員(齋藤常勝君) はなはだ申しわけなくて、誤解をいたしましたのですが、答弁がそごをいたしまして申しわけございません。ただいまのような指定都市の場合におきましては、指定都市と都道府興とは法律上全く同列の関係になります。指定都市の意見によりまして建設大臣は指定をするということになります。
○田上松衞君 念を押しておきますが、指定都市の意向が優先するということになるわけでありますか。
○政府委員(齋藤常勝君) そういうことであります。
○田上松衞君 第四条の一項にも二項にも三項にも出てくるわけですが、土地所有者と、所有者ではないけれども借地権者といいますか、こういう場合、この他人の占有する土地ということについては、土地所有者と借地権者との区別はどうなりますか。
○政府委員(齋藤常勝君) 土地の借地権者は同時に土地の占有者とみなします。
○田上松衞君 借地権者を土地の占有者とされるわけですね。
○政府委員(齋藤常勝君) そうです。
○田上松衞君 この条項は、測量または調査のための土地への立ち入りに関する場合のことですから、そうしますると、具体的に申し上げますると、立ち入りを拒もうとするということについては、土地所有者はどうでもいい、借地権者がよろしいというならばそれでよろしいと、こういう工合に今の御答弁ではなってくる危険性があると思うのですが、本来ならば、私が非常に心配しますのは、質問を申し上げる気持を申し上げておいたほうが早わかりですので、それで申し上げるのですが、借地権者というものと土地所有者との間の何といいますか、感情といいますか、利害というものは、そういうものは必ずしも一致しないと見るべきなんですよ。場合によれば、非常に極端な言葉を使いますけれども、機会があったら、いじめられておるところの借地権者が地主に対して一つ報復手段を講じてやろうという場合すらないではない。ことに、今では若干やっておりますけれども、昔のことを考えますと、借地人組合というものがある。これに対抗して一方には地主組合というものがある。こういう工合にはげしい対立をやっておった。そのあれは今日でもなお完全には払拭されていない。依然としてこの争いはあります。そういう場合になりますと、借地権者は、機会があったならば地主に対して多年にわたるふんまんを一つ返してやろうという気持がないでもない、こういう事情があるわけです。そういう場合に地主はどうでもいい、借地権者さえ承知すればどんどんどんどん立ち入りしちまう。場合によれば、その後になる問題でありますが、障害物の伐除であるとか土地の試掘であるとかいうようなものについても、この場合に他人の占有する土地という、占有している借地権者が優先するのだというお考えがありますと、非常な危険な問題がここで危惧されますので、そこでお伺いしているわけなんですがね。
○政府委員(齋藤常勝君) ただいまお話のような点はいろいろあると思います。しかし、この第四条で申しておりますところの立ち入りということは、占有しておる状況に対しまして、一時的に侵害をするということに相なります。しかしながら、それが非常に軽微なものであるということに相なりますので、一般の場合におきましては、所有者に対しまして一々通知することは必要でない。まあ借地権君がよろしいというならば、それでよろしいというように考えております。
○田上松衞君 そういう御答弁になりますと、私の心配しているあれはますます強くなってしまうのですよ。それでは、この場合明確にしておきたいことは、われわれは借地権者の立場を守るとか、地主の立場を守るということは抜きにいたしまして、法の運営がこういうところでいろいろ厄介なのっぴきならぬ沼に入り込んでしまっては困るということで、これを明確にしておく必要があるという観点で申し上げておるわけですが、この規定を見ますると、あくまで他人の土地を占有するという占有者というもの、すなわち借地権者が優先するという、こういう立場でこれは作られてしまっておる。そしてこの四条の五項にもっていって、ここにひっくるめて、今度は所有者を「正当な理由がない限り、第一項の規定による立ち入りを拒み、又は妨げてはならない。」と、そうすると、ここでは土地所有軒はぐうの音も出ない。何の発言も、何のあれも、土地所有者に対しては与えられていないという危険性を見出しちまうわけなんです。私はこのことは公正な立場に立ってみて、借地権者よりかむしろ土地所有者というものがこの種の問題のあることについては、これは必要であり、そしてこれらの協力を求めなければ、法の目的は達成されないのではないかということを非常に心配するわけなんですがね。
○政府委員(齋藤常勝君) お話の点まことにごもっともでございまして、私どもといたしましてはそういうことも考えて、第四条の場合と第五条の場合というものを分けて書いておるわけでございます。第四条の場合におきましては、測量でありますとか調査のための立ち入りでございまするから、先ほど申し上げましたように、一時的に占有状態を侵害するという程度でございますから、このような規定にしたわけでございます。第五条の場合のように、その必要上障害物を伐除しますとか、あるいはボーリングをいたすというようなときにおきましては、所有者と占有者との同意を得てやるというようなことになっておるわけでございまして、御心配の点はないのではないかと考えております。
○田上松衞君 きょうはこれ以上申し上げるということはちょっと無理だと思いますから、ただそれとなく、まことに口はばったいことを申し上げるようですけれども、何かの暗示、示唆なればという意味で申し上げたのでありますが、まるでここの場合測量及び調査等のためにする、あるいは障害物の伐採、土地の試掘等に関することにおいては、この事柄はまるで共産主義者が作った法文のような気がしてしようがないという気持だけを申し上げて、何かあとでこれに対しての意見等は後日に譲ることにいたします。
○政府委員(齋藤常勝君) まあいろいろ御心配の点があると思いますけれども、こういうような条文の立て方と申しますか、法制のし方というものにつきましては、先ほど逐条説明のときにも御説明申し上げましたように、住宅地区改良法、地すべり等防止法というようなものにすべて前例がございまして、こういう法制で従来はよろしいということになっておるのでございまして、私の説明に不十分の点があるとは存じますけれども御了承いただきたいと思います。
○田上松衞君 あとでこの問題については、また十分時間をかけて、しっくりどっちもが心配のないような工合にいきたいとこう考えておるわけであります。 時間の関係がありますからずっと飛びまして、十三条の監督処分の問題、この中の六項について――一番しまいのところです――都道府県知事またはその命令、もしくは委任したれがその措置を行なうべき旨をあらかじめ公告しなきゃならぬ。これは当然こうでなけりゃならぬと思うのですが、一つ心配になりますのは非常災害、あくまでこれは法の建前が災害防止というところから出発しておるわけなのですから、それにかんがみて見ますと、こういう場合はいわゆる緊急非常時の場合というものが相当考慮されておかなきゃならぬと思うのですけれども、ただ文章このままで「あらかじめ公告しなければならない」、公示した上でなければできぬということになると、実際問題としてはずいぶん手おくれをする場合があるのじゃないか。従って緊急非常時の場合においての何か方法が考えられるべきだと思うのだけれども、その条項が発見できないのですが、その点についてはどうお考えになっておりますか。
○政府委員(齋藤常勝君) 緊急な場合というものもあるとは思いますけれども、あくまで代執行でございますので、あらかじめ公告するというような掛買をとるのが適当であろうとこういうふうに考えてこういう規定をしたわけでございます。
○田上松衞君 だから通常の場合、平時の場合においてはこれでやってほしい、頭から押し付けるのじゃなくて、あれをするのだからよく納得させる、あらかじめこれを公示しておいてそうしてするんだが、そこで、その者の負担において公告させるようにしなきゃならぬわけですからね。そこはそうだけれども、私が言うのは、この種の問題は、思わないところにさっときた、すぐ手当をしなきゃならぬという場合が災害防止なんですから、これは。法のねらいというものがそうなんですから、私はそのウエートは緊急非常時の場合というものが一番大きく占めるだろうとこう考えておる。その場合についてはあらかじめ公示しなくても、だれが見てもそれはただ土地がぶつ壊れるとかなんとかということだけにあらずして、それ以下の影響を受けます下の他人への迷惑が次から次に拡大強化されてしまうんですから、そういう場合についてはあらかじめ公示を要せずしてやるようなことが、どこかで考えなければならないのではないか、その配慮が欠けておるのではないか、こういうことを申し上げておるわけですよ。
○政府委員(齋藤常勝君) 災害その他のことにつきまして配慮が欠けるところがあるのではないかというお話でございますけれども、われわれが考えましたときには、たとえて申しまするならば第八条の許可をいたします場合の条件を付するということがございますが、こういうような条件の中身はしからばどういうものだということになりますると、たとえば梅雨どきにかかっておる、したがって災害が工事中に起るおそれがあるというような場合におきましては、工事の期間を延ばすなりあるいは繰り上げるなり、そういうような施工中に起こる災害を未然に防止するための条件をつけるというような配慮をいたしておるわけでございます。またその条件の中にはたとえば緊急の災害の際におきましては、係官の指示に従うべきだというような条件も付して、許可を与えていくというようなことで、災害防止ということを考えてきた次第でございます。
○田上松衞君 たくさんのあれがあるんですけれども、もう二つだけお許しいただいておきたいと思うのですが、この規制法を適用しない区域における場合であっても、これはやはりこうした危険は当然くることなんですが、この場合はどうなりますか。建前はあくまで宅地造成規制区域内においてのみこれを規定してありますからね、区域外の個々の場合ですね、もっとわかりやすく申し上げまするならば宅地造成に伴い、がけくずれまたは土砂の流出を生ずるおそれの著るしい、市街地または市街地となろうとする土地の区域だけを対象としてこれは今考えておるわけです。そうしたおそれの著るしい市街地と考えていなかった場所でも、天がやることですから、これは。天があそこだけはひとつ災害を持っていこうか、ここは勘弁しておこうかというようなものではないのであって、こういうふうに区域から外しておる場所に起りますそのところの造成の規制というようなものは、なんか別の方法でおやりになるつもりですかどうですか、これは全然ほうっておけということなんですか。
○政府委員(齋藤常勝君) おっしゃるとおりに本法はあくまでも規制区域を指定いたしまして、その中での指定の制限をやっておるわけでございます。で、その指定につきましては、今お話のありましたように、その条件にかなっているところを最小限度に指定いたしまして、その中では強力な指定にするように、しからば指定外になった地域はどうなるかというお話でございますが、これにつきましては行政指導を行なうということになるかと思います。また地方公共団体もこの規制区域に指定されていない地域について、別に条例を作って、もっと軽い規制をするというようなことは許されていることでございまして、そのような面から行政的な指導によりまして、対象区域外における宅地造成の規制は持っていきたい、かように考えている次第であります。
○田上松衞君 どうもその点がまだ十分納得しかねるのですよ。これはむしろ建設大臣来られましたからお聞きした方がいいと思いますが、申し上げるまでもなく「この法律は、宅地造成に伴いがけくずれ又は土砂の流出を生ずるおそれが著しい市街地又は市街地となろうとする土地の区域内において」だけ適用しよう、こういうことなんですね。そうしますと、この区域外における宅地造成丁掛についての規制は何か別個のものでされようとしまするのか、ほっとけになるのか、こういうことを今お聞きしておったわけなんです。今住宅局長のお話では、何か指導等をもってというようなこと、あるいはこの後に別個に考えてもいいかのようなふうのことだったのですが、これを一つ明確にお聞きしておきたいと思うのですが。
○国務大臣(中村梅吉君) 実は国土全体に対して網をかけるということになりますと、なかなか実施上、目が届きかねる、結局法律の施行をいたしましても、施行が行き届かないということに相なる危険もございますので、大体市街地及び市街地となろうという区域、そして宅地造成をして危険を伴いそうな区域、こういうようなものは、地元の都道府県において事情に精通した者からみれば、判断が可能でございますから、そういう判断に基づいて必要なやむを得ざる地域にこのような措置を講じて、今後造成されます宅地の安全を期していきたい、こういう考え方でございます。ただいま住宅局長もお答え申し上げましたように、その他の地域にも、しからば家を建てる人がないことはないし、災害がこないこともないし、その他の地域はどうなるのか、こういうお尋ねのようでございますが、これらにつきましては、そういう重要地域について本法の適用が行なわれることになりますれば、地元の府県等が、あるいは市町村がそういった状況等に照らして条例を作る等、適当な地方公共団体としての措置をとっていただくのが適当ではないだろうか、こういうような考え方で、法律によって縛って参ります範囲を、今申し上げたような角度で実はしぼったわけでございます。
○田上松衞君 まだ満足しないのですが、一番私があとでいろいろ問題を起こしはしないかと思うあれはほんとうに法のあれをみんな理解し、喜んでこれに協力していくというか、共にこれをやっていくという気分になれば、これはこういう心配をしなくてもいいんですよ。ところが何となくこういうような規制法というようなことでいきますと、何かしら頭でわっと取り締まってあるぞというようなにおいがする。日本人というやつはどうもそこがちょっと厄介ないやな点があるわけなんで、不必要なところにも、正当なことであるにもかかわらず、反抗してみたくなっちゃうやつがあるのですね。そうなってする場合に、法律の文句は何と書いてあるか、これは市街地だけをいっているではないか、しかもその市街地でも、そうした非常におそれが著しい市街地あるいは市街地となろうとしておる土地だけに限るというのだ、こうやっていくと、今おっしゃったお気持はよくわかるのですけれども、この言葉にとらわれるとこれは厄介じゃないかと考えますので、ただこれを市街地と、こうきめつけないで、市街地及び何か必要と認める土地だとかいう文句が挿入されることが必要じゃないだろうか、裏から見ればこういう気持で申し上げておるわけですよ。
○国務大臣(中村梅吉君) 大体あぶないところへ造成をして、住宅その他建設物を建てようという場合に、まあ本人の不注意で自分がくずれることは、ある程度公共の福祉には関係はありませんからやむを得ないとしまして、市街地の場合は自分がくずれるということは自業自得としましても、よってその周辺に人命上、財産上回復しがたいような損害を与える危険性が最もあるのが市街地ということになりますので、市街地または市街地になろうとする区域、こういうことでまあ縛っていったら初めてスタートをする法律でございますから、よろしいのではないだろうかと実は考えてこういう立案になったわけでございますが、今後法律を運用してみまして、運用がなめらかに各都道府県とも参りまして、さらに今、田上さんの御指摘のような事例が他にも生じて、これは法律上の規制を必要とするという状態が見受けられますれば、そういう必要性に応じて拡張をしていくということの方が素直ではないだろうか、こういうふうに、実は考えておる次節でございます。どこもかしこも網をかけてしまいますと、非常な私権に対する制限を加えることにもなりますし、それからもう一つは監督をいたしまする都道府県の目も行き届きかねるというようなことが起こって、法律があっても厳守されないという姿は好ましくありませんと思いますので、私どもとしては始めてスタートをしまする法律としましては、この程度のしぼり方が妥当ではないだろうか、こういうように考えておるわけでございます。
○田上松衞君 まあこの問題、きょうの短い時間ではあれですが、ただ一つここでお含み願っておきたいことは、この種の一番大きな被害地は、説明でもありますように、神奈川県、兵庫県なんですよ。ところがこの場合神奈川県の事情は私一番よくわかっておるわけなんですが、一番私どもが心配しておるのは、今までいう、通例いう市価地という呼び方ですね、それ以外のところにがけくずれが多いわけなんです。そこがどうこれを実施後に適用するだろうかということに対して、非常に不安を持っておりまするので、このことについてはもう少しひとつ、こういったのだからもうこれできめつけるのだというのではなしに、実情に合うようなことでもう少しお考えおきを願っておきたい。これはまあ何か運用面でする手もありましょうし、さっきいわれたような都道府県知事あるいは指定都市ですね、こういうもの等との関係、いろいろあることはよく承知しておりますけれども、私はせっかく作られるこの機会だから、市街地と限らないですることがやっぱりいいのじゃないだろうか。こう考えますのでその点ひとつ関心を持っていただきたい、こう申し上げておきます。 それから最後にもう一点だけ。さっき田中君からも言っておられたのですが、この規制に基づいて造成された宅地、言いかえれば検査済証をもらった宅地が、その後においてがけくずれやあるいは上砂の流出等のあった場合に対する、国または都道府県の責任はどうなるのだということについて、田中君もさっき言われた、その範囲だけではわかる、ただ、そこで私が聞きたいことは、それは工事施行者とか造成主とか、それだけの問題にあらずして今度はその他に損害を、ここがくずれてしまった損害ではなく、ここから下に迷惑をかけるわけだから、これに対して当然いろいろ厄介な損害賠償の請求等の事件が起こるわけです、これは。そうした場合にさっき住宅局長が言われました問題は、これに対してだけのことを言われたが、これの下に起こりますあれについては、これほどのことを義務づけてやる限りにおいては、国または都道府県あるいは指定都市等が、何かこの損害に対して何といいますか、補助あるいは損失補てんといいますか、そういうようなことを考慮されることがいいのではないのか。このことはただ法律的な問題だけではなくして、この規制法をすべての人々が非常に歓迎していく、みんなこうあるべきだといって協力させていく、と言ってもよけいな金を捨てたのではなくして、万一の場合にはこうしてもらえるのだぞという気持を出させて、そのところに、実際の法運営の一番大きな妙味もそこから出てくるのではなかろうか。法律を作って押さえつけるのではなくして、喜ばれて歓迎させてするところに法の生きるあれがあるのじゃないか。こう考えますが、それについてどこにも規定がないようですが、これは建設大臣、その点どういうふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(中村梅吉君) この指示及び監督及び完成に対する役所の扱い方としましては、大体傾斜の状態とかあるいは土量の問題とかということを技術的に算出をいたしまして、所要の擁壁を作らせる、あるいは排水、上に湛水したりあるいは排水が悪いために土量の中に水分を含んで崩壊の危険性がある、こういう所については排水の施設、こういうものを指示してやらせるわけでございます。したがって、その基準はあくまで合理的な、技術的な計算の上に立った指示になっていくわけでございますので、大体予想され得る災害、豪雨あるいは台風等を想定してそれが算出され、指示が行なわれるわけでございますから、そのとおりに工事はやってあっても、なお異常の災害が起こって周辺に迷惑を及ぼしたということになれば、これは全く天災ということでいわゆる不可抗力ということになっていくと思うのであります。しかし、それが不可抗力とまでいかない災害であったにかかわらず事故を起こした、結局は指示のやり方が悪かった、監督の仕方が悪かったということになりますれば、その監督の任に当たりました府県あるいは指定都市の責任に私は問題としてなると思うのであります。 なお、今のような不可抗力によって周辺に迷惑を及ぼしたということが起こりますれば、現在の制度といたしましては、これに対する、本国会でも御審議いただいておりますような特別立法等をして、堆積土砂の排出に関する特別の補助をいたしますとか、あるいは住宅政策の上で住宅再建資金の融通を住宅金融公庫からするとか、あるいは災害公営住宅法によって、災害公営住宅で救済するとかということになってくると思うのでありまして、技術的に見てもすべての点から判断して不可抗力であった、この法律によるとそのとおりの規制が行なわれ、そのとおりの義務が守られておったにかかわらずなお起こったということになれば、不可抗力という範囲に民法上もなっていくのではないだろうか、こう思います。少なくともこの規制をすることによって、責任の所在が明確になるということだけは明らかだと思うのであります。
○田上松衞君 さっき住宅局長の御答弁の中で、私が看取した限りにおいては、田中君の言われた問題と私はその次の問題、これは付け加えて申し上げておるわけですけれども、いずれの場合にしても、いわゆる国家賠償法の規定に基づいてやるだけだというふうにとったわけなんですよ。したがって、そこからきますものは、やはりこれに当たったところの職員が故意または過失等によって、そこから生じた災害だというふうなことになるならば、職員に対する一つの懲戒の方法もあるだろうしというけれども、そういう工合にただ職員を懲戒してみたって何したところで、被害者自身というものに対する何かの救済の道がなければ非常に不安だということです。さっき申し上げたように、これは進んでここもこの地域にも適用してもらいたいという空気がどんどん出てこなければ、法の実際のねらいは達成されないだろう。こういうことを考えるときに、法律一点張りでなくして、何かそうしたとにかく非常にむずかしい手続もやっていくけれども、やってもらえばだれが何と雷ってもこれがいいのだということが言えるような、そういうようなための何といいますか、裏づけといいますか、そういうものがほしいと思って申しておるわけなんです。建設大臣のお話でも不可抗力等の民法上の問題とおっしゃったけれども、そこの点がなかなか、やはり前に作った法律ではまだ非常に不十分なことがいろいろ考えられますので、この機会に何とかそういうことの裏づけがほしい、こう考えておるわけです。しかし、この問題は今ここでしてみても仕方がありませんから、これもひとつ御配慮いただきたいという要望の程度にしておきまして、時間の関係がございますから一応きょうの場合は質問を終わっておきます。
○委員長(後藤義隆君) 本日の質疑はこの程度にいたしたいと存じます。 これにて散会いたします。 午前十二時散会