決算委員会 閉会後第1号
- 発言数
- 126 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/12/01
会議録
○委員長(岸田幸雄君) それでは、これより決算委員会を開会いたします。 委員の変更について御報告いたします。昨十一月三十日、千葉千代世君が委員を辞任せられ、その補欠として千葉信君が選任されました。 ——————————
○委員長(岸田幸雄君) この際、お諮りいたします。 野本品吉君から、都合により決算の提出手続及び審査方針に関する小委員を辞任いたしたい旨の申し出がございまするので、これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岸田幸雄君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。 つきましては、直ちに小委員の補欠互選を行ないたいと存じまするが、これについては、便宜委員長から指名することにいたしたいと存じます。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岸田幸雄君) 御異議ないと認め、私より佐藤芳男君を小委員に指名いたします。 ——————————
○委員長(岸田幸雄君) 次に、野本君の小委員辞任に伴い欠員となりましたる小委員長の選定については、前例によりまして鳥畠徳次郎君を小委員長に指名いたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岸田幸雄君) 御異議ないと認め、さように決定いたしました。 ——————————
○委員長(岸田幸雄君) 国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査の一環として、年末金融対策に関する件について質疑の通告がございますので、これを許します。相澤重明君。
○相澤重明君 大蔵次官並びに銀行局長御出席ですからお尋ねしたいと思うのですが、この今年度の年末にあたって、金融引き締めの効果が非常に上がっているということが大蔵大臣から言われているようでありますが、他面金融引き締めの影響というものは、大企業はともかくとして、そのしわ寄せというものは、中小企業にきわめて大きな影響を与えておるということが言われておるのでありますが、現実に私は例を一つ示してもらいたいのですが、国民金融公庫の場合、昨年の年末金融申し込みの件数と今年度の申し込みの件数とどういうふうな比率になっておるか。すでに町の中小企業や商人の人たちの私どもいろいろお話を聞いておるのでありますが、国民金融公庫に申し込みに行っても、すでに十一月で申し込みは大体締め切ってしまう。そうすると、ずいぶん苦労をして何とか自分でやれるものはやりくり算段をしてできるだけ金を借りるのは少なくしたいというのは、これは人情のようですが、そういう問題を実際どう解決するかということはきわめて重要な問題だと思うのです。そういうことで、国民金融公庫の例を一つここにあげてもらいたい。いま一つは、中小企業金融公庫についてはどうなっておるのか。それから商工中金。この三つの例を最初にあげてもらいたい。あと大手銀行の問題は私からまた質問します。この三つの中小商工業に対する年末金融というのは、きわめて重要なので、ひとつ答弁を願いたい。
○説明員(橋口收君) ただいまの御質問は、政府関係三機関に対する最近の借り入れ申し込みの状況がどうかという御質問だと思いますが、手元にございます資料で申し上げますと、国民金融公庫につきましては、第二四半期の申し込みの対前年同期に対する増加率は二四・三%でございます。それから十月の集計が出ておりますが、十月は金額で申しますと対前年四〇%の増加率になっております。それから中小企業金融公庫でございますが、同じく第二四半期の対前年の金額の増加率は申し込みで二一・五%増となっております。それから十月は、昨年の十月が季節的に申し込みが低調であった関係もございまして、率といたしましては高率になっておりまして、七七・八%増となっております。商工中金でございますが、同じく第二四半期の対前年の金額の増加率は四四・六%、十月の数字は今手元にございませんが、ただいま申しましたように、金額としては、第二四半期以降最近までの趨勢を見ますと、大体達観いたしまして二〇数%から三〇数%までに達しておるような状況でございます。
○相澤重明君 今の、平均をして対前年度二〇%余という増加の傾向にあるということですね。資金需要がそういうふうに増加をしておるのでありますが、これに対する、三機関に対する政府資金の割当はどのくらい出しておるのですか。
○説明員(橋口收君) ただいま申し上げました国民公庫、中小公庫、商工中金、三機関に対しまして、九月及び十月に二回資金の追加をいたしております。九月に追加いたしましたのが三百五十億円、それから十月に入りまして追加を決定いたしました分が百億円、合計四百五十億円となっております。
○相澤重明君 そうすると、これで今の二二、三%になるんですか、この平均をした増加に対して四百五十億、今年度の申し込みの件数に伴う金額としては非常に昨年度よりは上がっておるということは、今のお話でわかりましたが、そうすると、実際に貸し出せる件数というものは、昨年の実績を発表してもらって、それに対するどのくらいの増加が考えられるのか、あるいは、昨年よりは件数としてもやはり上回ることができない、つまり資金量が今言ったような四百五十億ですから、その上に増加額が——四百五十億に対して今年度の個々の件数の額が大きくなっておるわけですから、件数としては昨年度とそう違わないというのか、今年度はどの程度ふやせるという考えなのか、その点いま少し詳しく御説明を願いたい。
○説明員(橋口收君) ただいまの御質問に、お答えになりますかどうか、一応計数的に申し上げますと、ただいま申し上げましたように、申し込みにおきましては、大体対前年二〇数%から三〇数%ぐらいの申し込みの増になっておるわけですが、これに対します国民公庫、中小公庫、商工中金三機関における貸し出しの見込みは前年に比較してどうなっておるかということでございますが、第三四半期におきまして国民金融公庫の窓口から貸し出される金額が四百九十五億円、対前年に比べまして二五%増となっております。それから中小公庫の同じく第三四半期に貸し出されます金額が三百七十億円、前年に比べまして三四・五%増となっております。それから商工組合中央金庫でございますが、これは貸し出しの純増の計算をいたしておりますが、第三四半期貸し出し純増になります金額は三百三十二億円でございます。前年に比べまして二五・八%の増となっております。
○相澤重明君 そうしますと、今の課長の答弁だというと、対前年よりはそれぞれが二五も六%——三〇%に近い増加額がある、したがって、昨年の実績から考えていけば今年度も大体これで間に合うという考えなのか、それとも現在の先ほどお話のあった各三機関に対する申し込み件数というものから考えてやはり足りないという考えを持つのか、その点はどうなんですか。
○説明員(大月高君) 具体的な計数はただいま特別金融課長からお答え申し上げたとおりでございますが、大体におきまして申し込みの増加の趨勢と資金の手当をいたしましたパーセンテージはほぼ均衡をとっておるような状況でございますので、もちろん完全に十分というわけにはいかないと思いますけれども、大体において本年の年末の中小企業金融については支障がないものと考えております。もちろん、ただいまのお話に政府関係の三機関の計数だけでございますが、中小企業金融について占めておりますこの三機関の割合は大体九%若干切れるという割合でございます。したがいまして、一般の中小企業金融につきましては、まず市中の金融機関、これが大体五一%程度の比率を占めておるわけでございます。それから第二のグループといたしまして、相互銀行、信用金庫、信用組合という中小企業を専門にいたしております民間の金融機関がございまして、これの比率が大体三八%程度でございます。今のような比率から申しますと、実際に中小企業金融がどういうふうな姿をするかということは、むしろ民間の金融機関のほうの動きが大きいと、こういうことでございます。われわれといたしましては、そういう実態を考えまして、民間の金融機関に対しまして、特に大企業と中小企業との融資の比率につきまして、中小企業に対する融資の比率を落とさないようにということを強く要請いたしておるわけでございます。で、民間の金融機関におきましても、その趣旨に沿いまして、申し合わせを実行いたしまして、極力その点努力いたしておる。で、民間の金融機関におきまして、全国銀行におきましては、第三四半期——年末を含む第三四半期におきましては、中小企業向け貸し出しに対しまして少なくとも二千億円は確保するということを決意いたしております。それから相互銀行におきましては、おおむね千億程度の資金を純増ベースにおいて準備すると、それから信用金庫におきましては、第三四半期千五百億円を準備すると、こういうことを言っております。合計いたしまして四千五百億円。そのほか、今お話のありました中小企業専門の政府関係三機関、これが大体五百億をこえるという数字になりまして、大体において五千億から五千四、五百億くらいの金が中小企業向けに純増として流れると、こういうことでございますので、われわれが今見ておりますところでは、政府のいろいろな施策を加味いたしまして、年末の中小企業金融というものはおおむね問題なく過ごせるのじゃないかと、こういうように考えておるわけであります。
○相澤重明君 それじゃ、せっかくそういうように話が銀行局長から出たから、大手筋をひとつ説明してもらいたい。私もまあ資料持っておりますけれども、東京銀行、あるいは富士銀行、三菱、三井、第一、勧銀、興銀、長銀、こういうような大手銀行の要求額、それに対する実際の割当、どのくらいですか。十月でけっこうですから、ひとつ発表して下さい。
○説明員(大月高君) 具体的な銀行ごとの計数は、手元にございませんので、ちょっとわかりません。
○相澤重明君 私は関西と関東の大手筋を調査をしてみたのですが、資金需要に対して政府の金融関係はきわめてきびしい。関東の場合、この大手筋のところを見ても、五〇%いってない、四〇%そこそこである。関西の場合は三〇%——大阪のほうは三〇%くらいしかこの年末資金対策というものは大手筋でさえできておらない。こういうことを調べてみると、今銀行局長が言っておる、相互銀行なり信用金庫なり政府三機関の中小企業関係でまあ四千五百億、五千億、あるいはそれ以上と、こういうお話をしておるけれども、実はこの大手筋がきわめて金融が逼迫しておるから、結局そのしお寄せというものはやはりこの一般の市中銀行にまで影響しておることは、もう免れない事実だと私は思う。現実に、かなりの大きな会社でも、市中金融ができないでずいぶん相談が来ておることを、私どもも実は承知しておるわけなんです、そういう面で、計数的に、私どもとしては、このままでは、おそらく、中小企業はもちろんでありますが、かなりの企業がいわゆる黒字倒産という形になって、年末が非常な悲惨なものになるのじゃないかという心配をするわけです。ですから、そういう場合に、たまたま十二月九日に通常国会も召集されるようになったというのは、やっぱりそれらの世相毛十分反映をされて、国会の中でも、あるいは政府においても、努力しなければならぬ問題じゃないかと、こういうふうにわれわれは受け取るのですが、いま心し当面のいわゆる金融問題について率直なひとつ大蔵省の意見を私は聞かしてもらいたいと思う。そうでないというと、いかに強がりを言ってみても、あるいはまた、われわれがいやだいじょうぶ手当はしておるのだと言っておっても、現実に資金繰りができなければ、これはもう企業としては苦境に追い込まれるわけですから、そういう点どうでしょう、銀行局長、その今の関西と関東だけに分けても、大ざっぱでけっこうですからお話はできませんか。
○説明員(大月高君) ただいまの計数的なお話につきましては、全体としてわれわれは数字を持っておりますのでお答え申し上げますと、ただいまお話のございました問題は、全国銀行全体の貸し出し中におきまして中小企業向けの貸し出しが何%占めておるかと、こういうお話でございます。われわれが指導いたしておりますのは、その全国銀行におきまして中小企業向けの貸し出しの占める比率を落とさないようにと言っておる趣旨は、今の点の比率を落とさないという意味でございます。従来統計的にわれわれが見ておりますところでは、ここ数カ月来三一%前後という数字を持っておるわけでございまして、これは金融の引き締めの前後を通じましてほとんど変わらない数字でございます。先ほど申し上げました年末を含む第三四半期において二千億以上ということをいっております数字は、この三一%の残高というものを頭に置きまして考えておる数字でございますので、そういう点を考えまして、中小企業金融は大体支障なくいくであろう、こういうように考えておるわけでございます。
○相澤重明君 ですから、どうも公式論の御答弁のように私受け取れるのですがね。先ほど申し上げたように、関東、関西大手筋を見て、まあ大体三〇%、あるいは関東の場合でも四〇%そこそこと、こういうふうに私どもは調査の結果受け取っておるのですが、今あなたのいみじくもお話しのように、二二%に実際なっておるわけです、これは結果がね。なっておるのだけれども、そういう面からいって、今年度の年末金融というものが、それだけで実際問題として私は非常にまあ無理があるのではないか。それは臨時国会の中でも政府から話をされたように、とにかくこの際できるだけ設備関係についてはこれを繰り延べるということをした関係で、一般の企業関係としては影響を非常に受けておるのですよ、実際は。まあ水田大蔵大臣が、おとといですか、衆議院の大蔵委員会で、まだあんまり影響はないようなことを言っておるように私は受け取っておったのですが、どうもそうじゃなくて、町の企業の中をわれわれが聞くと、非常にこれは苦しくなっておる、こういう話を聞いておるので、これではたいへんじゃないか。ですから、臨時国会の中で一応の措置はとったとしても、これで十分ではないから、通常国会が開かれれば、その際やはり早目に手当をしてやる必要があるだろう。そうして正月を迎えさせる準備をするのが、私はやっぱり、政府としても、また私ども国会議員としても、国会の立場でも必要ではないかと、こういうように思うので、端的にそういう点を披瀝を願いたかったわけです。そういう点はいま少し御説明をいただきたいし、それから、今手形等についてどのくらいの期間に一体なっておると御判断されておるか。そういうものも統計が出ておると思うのですがね。毎月のその統計をとられておると思うのですが、そういう点についてもおわかりだったらひとつ御説明いただきたいと思うのです。
○説明員(大月高君) ただいままで申し上げましたのは、計数的な数字の問題でございまして、御説明があるいは不十分であったかと思いますが、これをまあ実態の関係でどういうように動いておるかということを中心として考えてみますと、結論的に申しますと、やはり今後の金融の考え方としましては、どうしてもまあ引き締めの基調は続けていかなくちゃならぬ。そういたしますと、今後やはり問題になりますのは、年未の金融がうまくついていくかどうか。それから第二の問題は、来年になりまして、一−三月の時期になりますと、特に今年度は財政の引き掲げ超過が相当多額に上るだろうというふうに予想されておるわけでございますので、こういう多額の国庫の引き揚げ超過というものに対して金融をどう考えていくか、フリクションなしに過ごすためにはどうしたらいいかという問題と、二つの大きな問題があると思います。それから個別の問題といたしましては、全体としてはかりにうまくいくといたしましても、個々的の現象としては問題の多い部面というものがやはり特徴的にあるわけでございまして、たとえば顕著な事例として出ておりますのは、一つはやはり証券市場における現象だと思います。それから第二の問題は、繊維市況がさえないということであろうと思います。それから第三の問題は石炭の問題かと思います。その他一般的に中小企業の問題というのが抽象的にあるわけでございます。そういうような個々の問題に対しましては、われわれといたしまして、それぞれ注意をいたしまして、極端な摩擦がないように努力いたしておるところでございます。全体として、われわれが見ておりますところでは、実は日本銀行も年末の問題については非常に注意をいたしております。それから、市中銀行といたしましても十分注意を払っております。それから、われわれといたしましても非常な関心を持っておるわけでございまして、それらの観測を、実感を総合してみますと、年末は何とか乗り切れるだろうということを言っております。これは一致した意見でございまして、先般も大蔵省の全国の財務局長を集めまして、そういう年末に対する観測をこまかに報告を聴取し、いろいろ打ち合わせいたしましたが、その点につきましても、個々的な問題は別といたしまして、大勢としては年末は何とか乗り切れるであろうという観測でございます。そういう意味におきまして、われわれといたしましては、従来とって参りました金融上のいろいろな施策をもってこの年末はうまく乗り切れるだろう、こういうように考えております。それから一−三月につきましては、極端な財政の揚げ趣から来る不必要な摩擦を起こさないように、一つはやはり中小企業金融対策といたしまして、従来二回に分けて八百億円の政府資金の放出をやっておりますが、第四四半期——一−三月におきましても、情勢を見まして、必要に応じてこの対策をさらに追加する必要があろうか。それから一般の金融対策といたしましては、日本銀行の手によりまして買いオペレーションを実行するというふうなことも駐在検討中でございまして、情勢に応じまして適切な手を打ちたい、こういうことでございます。 それで、具体的に現在手形の関係がどうなっておるかということでございますが、一般に言われておりますように、全体といたしましては、一つは検収期間が長くなっております。それから現金の支払いの比率が落ちておる。それから手形につきましては若干の期限の延長がある、こういう現象が起きておることは事実でございます。ただ一般に個々的な現象として、よく、たとえば従来九十日の手形を払っておったのが、百二十日、あるいはさらに二十日延びたとか、あるいは一カ月延びたとか、そういうようなことが取り上げられておりますが、われわれ、全体の金融の姿として見ますと、実は支払条件を変更しておらないほうが絶対数としては多いわけでございます。それから、かりに三十日延びたものがあるといたしまして、それから十日延びたものがあるといたしまして、それから変更のないものがあるといたしまして、それを大数的に観察いたしまして、かりに平均二日なり三日延びたということになれば、それがわれわれの金融のほうに影響がある、こういうように考えるわけでございまして、そういうように全体を通観して各金融機関からいろいろと報告をとっておりますけれども、全体としてのそういう平均の手形期間の延びの状況というものは、一般に言われておるようにそう大きなものではないということが一つでございます。 それから、若干延びておるものにつきましても、中小企業につきましては、ある程度力がついておる、三十二年当時に比べまして基礎が強くなっておるというようなことでございますので、その手形をみずからかかえておる余力というものがついておる、こういうわけでございますので、手形の期間が延びたということが即すぐに経済に影響があるという段階でもございません。もちろん個別の問題としては問題を起こしておることもございますけれども、大勢としてはそういうように考えております。ただ、今後引き締めが次第に浸透いたして参りますと、いろいろな問題が起きる可能性もございますので、その点は十分注意しながら措置して参りたい、こういう考えでおります。
○相澤重明君 今の、銀行局長はだいぶ安易に考えているようだけれども、私実はそういうようにいけばそれはほんとうにありがたいと思います。私どもとしてはそう思うのですよ。ところが、現実に、今あなたの、たとえば手形の一つの例を取り上げても、あなた自身が言ったように、検収期間が延びたことも事実であるし、手形を出しておって現在百七十日というのがあるのですよ。実際は、九十日なり百二十日というものではなく、もう百七十日なんという手形が現実に出ておる。これは幾ら中小企業の人たちがある程度の耐久力を持っておるといっても、そう資金力のない中小企業の立場からいけば、私はやはり、政府機関がいわゆる金融というものをある程度考えていかなければ、これはもう倒産をするということは当然だと思うのですよ。そういう意味で、手形関係の全国的な、ただ単に形式的な統計だけにたより過ぎており、実際は窓口で借りかえる、買ってしまうのですから。手形をよく、それじゃうちで引き受けようというので、手形がもう要らなくなるやつを引き受けて、しかもそれが延ばされている。こういう手形のやりくりというものを考えていくと、私は、現在の年末手当というものは相当きびしいものになっておるのだから、よほど政府が考えてやらぬというと乗り切れないのじゃないかという心配をする。そういう点が、今せっかく銀行局長がだいじょうぶだというようなお話だけれども、私どうもその点が心配なので、十月の交換手形で不良というものはどのくらいありましたか、それを一つ数字をあげて下さい。
○説明員(大月高君) 昭和三十六年十月の計数を申し上げますと、東京の手形交換所におきまして、全体の手形交換の枚数は七百二十七万九千枚でございます。それに対しまして、不渡りの数字が六万五千十二枚でございます。で、これの対交換高の比率を見ますと、〇・八九%という数字になっております。御参考までに、昨年の十月の不渡りのパーセンテージを申し上げますと、一・〇二%ということでございまして、昨年の比率に比べましてまだそう高いところに行っておらないと、こういうことでございます。
○相澤重明君 それは、結局、今の御答弁の点は、臨時国会における対策が、昨年、いわゆる対前年度と比較してよくなったと、こういうふうに私どもは実は受け取っているわけなんですよ。ですから、この臨時国会で若干の手当というものがまあ影響したけれども、そのときのことはそれで済んでも、金融引き締めの根本的ないわゆる方針というものが臨時国会の中で確立をされたので、これからがむしろ影響してくる。だから、第四四半期にかけて——第三四半期よりも、むしろそのあとが一番私どもは問題になってきやしないか。こういう点を、今の十月の対前年度の比較においては若干今年のほうがいいということが手形交換の不良の問題については言われておるけれども、私は資金的にはそういう面がありはしないかと思うのですが、その点はどういうふうな観測をされておりますか。
○説明員(大月高君) ただいまの計数は十月の計数でございまして、金融の引き締めの最終的な強化を実行いたしましたのは九月の下旬でございます。公定歩合を一厘引き上げまして、預金準備率を引き上げ、高率適用を強化いたしましたのは九月末でございまして、そのころから窓口の規制もさらに強化いたしておりますので、引き締めの体制は一段と強くなっていると思います。十月の計数はその初めての月でございますから、まだ情勢といたしましてはさらに引き締まりの度は強くなってきておる——十一月にかけまして強くなってきておると思います。ただ、金融の当局といたしましては、十月は取引の関係から申しまして比較的取引の数量が少ない月でございますが、十一月になりますと、決算の月でもございまして、配当の所要資金とか、あるいは税金に対する資金とか、いろいろ金融上の必要がある。それから冬の関係の手当も要るわけでございます。十二月にいきますと、年末の決済資金、ボーナスというようなものも出まして、いろいろ金融上繁忙になるということを考えております。そういう意味で、日本銀行の窓口の規制におきましても、九月の末に一段と引き締めの体制を強化いたしまして、十月は相当きつい態度をもって臨んでおるわけでございますが、十一月、十二月におきましては、今申し上げましたような情勢を考えまして、窓口の規制におきましても若干その点は配慮いたしておる。たとえば、十月におきましては、去年の十月に比べまして、市中金融機関の貸し出しの純増はおおむね去年の半分程度にするように日本銀行は指導して参っておりますが、十一月では、これが大体三割ぐらい減というように、その点の配慮をいたしております。十二月の月末におきましては、これは月末決済に支障がないように十分な配慮をしたい、こういうことで、具体的な事情に応じましてそれぞれ金融上の配慮をいたしておりますので、特別に金融上の問題が大きくなる、深刻になるという態勢ではないというように考えております。
○相澤重明君 それから十月末の日銀券の発行高は幾らになっておりますか。
○説明員(大月高君) 十月末の日本銀行券の残高は、一兆一千八百十四億円でございます。
○相澤重明君 それから、先ほど、各種の不況といいますか、非常に業種によって困難を来たしている。繊維等の問題もお話しになりましたが、証券業界から実際に金融面に流れているのはどのくらいと推定されておりますか。証券から金融に実際の役に立っている、いわゆる金融界の手助けをしているというのは、どのくらいにあなた方は見込んでおりますか。
○説明員(大月高君) 今のお話は、あるいは資金調達面において、株式あるいは社債による資金の調達面が、借り入れに対してどのような比重を持っているかというようなお尋ねかと存じますが、そういたしますと、今までの金融の引き締めの体制のもとにおきまして、銀行の貸し出しを極力圧縮するように、いろいろ対策を講じております。そういたしますと、企業の側におきましては、一つは、設備投資を押えていくということで、実体面で努力いたしております。これは政府も、行政指導をもちまして、大蔵省、日本銀行、市中金融機関が共同いたしまして、産業界に設備投資の繰り延べを要請しており、それから一昨日、通産省におきまして、産業合理化審議会を開きまして、やはり設備投資の繰り延べおおむね一割程度を勧奨いたしております。そういう実体面の施策もございまして、金融が詰まって参りますれば、設備投資をやむを得ず繰り延べていくという態勢が一つある。それから、在庫を減らしていくという努力をいたしておると思います。そういうような努力をいたしましても、なお金融上の必要があるということになりますれば、一つは社債による金融面の調達をはかる。それからさらに、一部の企業におきましては、増資によりましてこの金をまかないたい、こういうことになってくるわけであります。もちろん、その前提といたしまして、ことしの一月−三月ごろに、御存じのように、社債投資信託が発足いたしまして、社債市場も非常に活況を呈しました関係がございまして、企業の流動性も非常に高まっておる。企業の営業性の預金が非常にふえたわけでございますが、それが金融の引き締めに伴いまして次第に引き出されていっておる。自分の持っておる金を引き出してこれに対処するということをやっておりますが、それで足らない分は社債及び株式に依存する。現在、社債の市場は、前年に比べまして、大体八月ごろから絶対額が落ちてきております。社債による資金調達は非常にむずかしいことになっております。それから増資につきましては、先般、御存じのように、大体第四四半期におきまして二千七百億円程度の増資の計画がございましたが、証券界の状況では、月五、六百億程度のベースに落とさなければ証券市場として吸収しにくい、こういう空気でございまして、政府のほうでも増資の調整をはかっておる段階でございます。大体の見通しにおきまして、約一千億程度の繰り延べができようかということでございますので、そういたしますと、第四四半期の増資の額が大体千五、六百億円、こういう数字になります。そうしますと、月平均五百億、あるいは若干それをこえるくらいのところに参りまして、われわれが期待いたしております程度の増資ができる。繰り延べました分は、昭和三十七年の四月以降になる、こういうことでございます。 今のような情勢から申しますと、やはり株式による資金調達、それから社債による資金調達も、なかなか十分ではない。しかし、われわれの感覚から申しますと、金融を引き締めましても、社債あるいは株式によってどんどん資金が調達できて、それによって設備投資が盛んに行なわれるということでは、われわれの期待した方向へ参らないわけでございますので、むしろ、金額といたしましては、今のように社債、株式による資金調達もそう十分でない態勢でやむを得ない、こういうように考えておるわけでございます。
○相澤重明君 それから、一つだけ具体例でたいへん恐縮ですが御答弁いただきたいのですが、たとえば造船界の問題がありますね。さきに政府は、造船業に対して市中金融の協力を求めるという方針を出しておったですね。五十万総トンの計画造船と戦標船の関係等の問題を考えてくると、かなり造船業界そのものも窮屈だと思うのです。実際に市中金融の協力というものは具体的にどういうふうになってきておるか、もうだいぶ期間もたっておりますから、大蔵省のほうでもおわかりになっておると思うのですが、もしおわかりになったら御説明いただきたい。
○説明員(大月高君) 昭和三十六年度の計画造船は、御存じのように、当初二十五万トンベースを予定いたしまして進めておりましたわけでございますが、国際収支の観点から、貿易外の収支の受け取りをふやさなくちゃいかぬ、積み取り比率をふやさなくちゃいかぬという要請が非常に強まったわけでございまして、そういう意味で、計画造船の二十五万トンに加えまして、さらに二十五万トンの予約をするという制度を実行いたしたわけでございます。このあとの二十五万トンにつきましては、計画造船におきましては、毎年、従来の関係におきまして、一度申し込みがございまして、一たん決定いたしますと、それをはずれました船主はまた来年申し込む。しかし、来年はまた白紙の立場において審査をされるということになりますと、また新たな競争相手が出て参りまして、過年度のものがまた落ちるということになる。しかし、本年度の計画造船の希望の実態を見ておりますと、相当採算上有利な船もありまして、必ずしもこれを落としてしまうというのが適当かどうかという問題があったわけでございます。そういう意味で、本年度希望がございまして、作ってもいいと、しかし、資金の関係からいって今すぐには作れないというものにつきまして、二十五万トンの予約の制度をしいた、そういうことでございます。それで、このあとの二十五万トン予約になりました船をいつ作るかという問題につきましては、運輸省といろいろ御相談いたしまして、造船所の船台の関係、それから市中金融の状況等を見まして、適当な時期にこれを実施に移す、それまではしばらく情勢を見る、こういう話になっておるわけでございます。最近の情勢におきまして、運輸省の当局におきましては、船台の関係からこの予約の二十五万トンを若干もう着工さしてほしいというようなお話がございますが、これは計画造船でございますので、利子補給の関係もあり、補正予算あるいは来年度予算という問題もございまして、今どういうように考えるかということを折衝中の問題でございます。これに対しまして、民間のほうも、政府の態度が決定するのと並行いたしまして、どの程度の金融をつけたらいいかということを、今銀行協会において検討いたしておるという段階でございます。
○相澤重明君 そういたしますと、今の銀行局長のお話を聞いておりますと、当初計画は、もちろんこれはそう心配ない。けれども、政府が、いわゆる外貨獲得を増加するために計画造船の量もふやすと、こういうことで五十万総トンを決定したわけですが、私が一番当初から、そのときから心配しておったのは、市中金融の協力という、ただそれだけで実際の資金のやりくりができるのかと、こういう点を心配しておったんですが、やはりそこに来ておるように私は思うんです。運輸省が造船業界の諸君と話をして、この予約建造について話が進められているというのですが、現実には、これは今年度のうちに全部乗るお考えですか。それとも、あなたの今の御説明のように、これからそういう計画を出してもらって、そうしてこの利子補給の問題も含んで、通常国会の中でそういう問題を御検討されるつもりなのか。それはもうすでに決定をしているんだから、計画が出さえすれば自動的に政府としてはその問題は進めていくんだと、こういうお考えなのか。その点いま少し御説明いただきたいと思います。
○説明員(大月高君) この問題は、昭和三十七年度の計画造船と関連があるわけでございまして、現在、三十七年度の十八次造船を何万トンにするか、これに対する融資の比率をどうするか、それからどういう船を作るかということを、予算編成の過程において折衝中でございます。で、そういうことの決定いたしますのと並行いたしましてこの二十五万トンの扱いも決定して参りたいということでございまして、われわれの考え方といたしましては、計画造船の許可は、融資の確約書がついているということが前提になるわけでございます。かつ利子補給の制度が軌道に乗る、二つの要素がございますので、やはり三十七年度予算の編成と並行してこれは考えていかざるを得ない、こういうふうに考えております。
○相澤重明君 三十六、七年度で百万総トンでしょう、計画造船の大体基本構想は。そうして、三十六年度に五十万総トンに当初計画を増加したというのは、三十七年度も五十万総トンを計画造船に乗せたい、そうして国際競争に負けないようにしていきたいというのが、政府のこの五十万総トンにしたときの構想でしょう。それがもし、今のお話のように、市中金融との確約が取りつけられなければ、実際問題として、あとの増加をした二十五万トンですね、二十五万総トンに対する建造ができないということになると、三十七年度に七十万トンなり、あるいは八十万トンなりというようなわけには私は参らぬと思うんです。これはいやでも第十八次造船を減らさなければならぬ、あるいは第十九次を減らさなければならぬ、こういう——これは結果論ですが、そういう推定がされるのではないかという心配があるわけです。私どもとしては、少なくとも、この国際収支の改善の大きな役割を果たす、そういう造船問題については、先ほどのお話のように、利子補給をしても、国家資金を投入しても、とにかく何とか景気の回復をはかっていきたいということで賛成をして、市中金融の協力というものが、単に文字だけの協力でなく、実質的に金融機関がこの産業界に手を出す、こういうことを実は期待をしておったわけです。ですから、これができないということになると、実際上三十六、七の両年度における百万総トンの建造というものが不可能になってしまう。こういう点で、その影響というものもまただいぶ出てくる。こういうことが一つと、いま一つは、現実に受注量はたいへんあるのですよ。私どもも、各造船界の皆さんの意見を聞いてみると、たとえば日本鋼管にしても、三菱にしても、調べてみると、受注量はたいへんある。しかし、今言った資金の手当がつかない。こういう問題で、仕事はやってくれというところはあるんだけれども、一体あとはどうなるんだろう、こういう心配があるわけです。ですから、これは一体どうでしょうね。計画造船をそこまで政府がきめて、そして少なくとも三十六、七年度に百万総トンの造船を推進をするという方向が具体化するという方向に、大蔵省が手を伸べてほしいと思うのだけれども、この点は、私は一番問題はそこだったと思うのですが、どうでしょうかね。これは率直にひとつお答えいただきたいのですがね。
○説明員(大月高君) 今の造船の建造トン数の問題について申し上げますと、先ほど申し上げましたように、当初の計画造船二十五万トン、予約分二十五万トン、合計五十万トン、それに今のお話によりますと、三十七年度五十万トン作ればそれで百万トンだと、こういうお話でございます。実は運輸省からの要求は、三十七年度につきまして八十万トン作りたい、こういうお話がございました。そういたしますと、そこらとの関係をにらみ合わせまして、来年度予算と今の予約分とどういうようにかみ合わせるかということを具体的に考えなければすぐには決定できない。それで、それじゃきまっても実際に建造できぬじゃないかというような問題につきましては、今度予算の時期でございますから、大体十二月末ごろまでには大まかな計画はできる。そうすれば、それに伴いましてどういうように処置するかということは時間的には間に合うと思います。それで、現在十七次の二十五万トン分は現に進行中でございます。で、もし予約分の追加が三月末ないし来年度早々きまりますれば、これはすぐに着工ということになりまして、三十七年度の計画造船何方トンにきまりますか、それはいずれこの三十七年度の下半期ということになろうと思いますので、その間に船台のつなぎはうまく渡っていけるんじゃないか。そういう全体の、三十六年度、七年度通じました造船、それからもう一つ御存じのように、自己造船が数十万トンございますし、それから輸出船がやはり百万トン前後というものが年間期待されるわけでございますので、そういうものを総合いたしますと、必ずしも計画造船だけに問題を集約いたしましてこれを考える必要はない、全体として考えて参りたい、こういうようにいたしておるわけであります。
○相澤重明君 もちろん、私どもも、当初のベースに乗って進行はしておると思う。しかし、現実に資金繰りの苦しいということはどういうところにそれじゃ現われておるかといいますと、仕事は先ほど申し上げたように持っておる。それで金融の手当がつきさえすれば、これはもうやはり作ればそれだけいいんですからね。これはもう業者はやりたい。けれども資金繰りがうまくどうしても見通しがなかなかつかないから——現実に十二月はボーナス期ですね。この年末手当ついて、たとえば造船業界が四万円なり五万円出したい。出したいけれども、半額はひとつそれじゃ待ってくれぬかと、こういうことなんです。つまり、半額はキャッシュで出していかれても、あとの今言った仕事との関係を考えていくと、とても年末手当一時に出せない。だから、たとえば払ったにしても、それをひとつ社内預金として預金をさしてくれぬか、そして金融機関に見返りを考えなきゃならぬ。こういう実際に労働者が働いた当然のいわゆる給料をもらうことが遅欠配になったり、それから今言った実績からいけば、生産能率が上がってるんだから、実績からいけば当然昨年度の年末手当より今年度の年末手当のほうが幾らか上回ってもいい。それが、昨年度と同じにしても、昨年は一時に支給ができたものが、今年はその半額が、いわゆる会社側にひとつ社内預金としてやってくれぬか、そうでなければとっても金融の道が開けない、こういうのが実は大手筋の現状なんですよ。私はいろいろ造船関係を調べている。こういうことは、これはまことに悲惨だと思うのですね。私は、だから、これについては、当初の、先ほどから何回も繰り返すようだけれども、この計画造船をふやす場合でも、単に市中金融のいわゆる協力というようなあいまいもことした文字だけで出されたのが今日そういう影響を受けているのではないか、こういうふうに私どもは実は思うわけです。ですから、働く人たちがもう非常に能率を上げてもらっているのだから、当然私は給料も遅欠配があってはいけないし、それから年末手当も所要な年末手当資金が出せるように私はやはり経営者もしたいと思うのです。そういう立場からいけば、何といっても隘路は今言った金融の問題にしぼられてくる。こういう点で、これは一つの場合ですが、私は造船の例をあげても問題があるのではないか。したがって、政府がこの際やはり長期の見通しを立てて今日まで進んできているのですから、そういう面からいって、あまり金融引き締め、あるいは設備の繰り延べだけに重点をおいて、それが悪影響を及ぼすようなことになってはいけない。もちろん、過熱を来たすようなことは私どもはやれと言っているのではない。ないのだけれども、現実に企業の破綻を来たすような問題が起きたら、私は大へんな問題だと思う。大企業がそういうことになってくるから、その下請が、さっき手形の問題に触れたけれども、たとえば九十日が九十三日になったとか、九十五日になったとかいう統計の問題ではなくて、現実に百七十日の手形を渡されちゃった。とにかく今の十月なり十一月の手形が来年の四月なり五月にならなければだめだという問題が出てくる。こういうようなことでは、やはり日本の産業に大きな影響を与える状態がくると思うのです。そういう問題で、通常国会にそういうような点について政府の資金手当をする考えを持ってもらわなければいかぬと思うのが、私の実はきょうの一番政府の今までの経過を聞いておきたい理由なんです。ですから、そういう点について特にひとつ御考慮をいただきたいのが一つ、これは大手の問題を申し上げました。 それから、先ほどのをいま一度もとに返しますけれども、特にそういうことで中小企業の場合非常に金融難で困っているということを申し上げましたが、特に国民金融公庫のいろいろやはり調査を私はしてみたのです。実はしてみたんだけれども、昨年とあまり変わりませんね。件数も多いし、要求額も多いんだけれども、政府の貸し出しの考えは昨年とあまり変わっておりませんね、これではやはり今年度影響を受けるのが私は非常に多いと思うんですがね。たとえは、これはひとつ横浜の例を申し上げてみましょうか。横浜の国民金融公庫の場合にとってみますと、昨年の申し込み件数が十月、十一月で約千七百件からありますね。今年の場合、それよりも十月で五%、十一月で二一%増です。それで、金額にしましても、昨年平均の申し込みが十月で四十七万八千円ですかね。それが今年は十月のがもうすでに五十万八千円からになっておるわけなんです、平均をしてみますと。やはり、こういう小さい金融機関でさえ、もう一件数が十万円以上の増加をしている。ところが、実際に国民金融公庫が割り当てる額というものは、商工会にしても二十万か三十万ですよ。三十万が最高でしょう——最高ということもないでしょうけれども、いいクラスでしょう。平均して二十万円ですよ。これでは実際に、国民金融公庫そのものがさつきの増額をしておっても、私は川崎だとか、いろいろ調査をしてみましたが、非常に現場の所長を初め所員が苦労している。なぜもっと政府がこの年末金融を実際にやってくれないのか、増額する増額すると言っておっても、実際にはわれわれの手にくるのはないじゃないかと、こういう強い要望というものが商人や中小企業の人から出ているわけです。こういう点を考えてみると、やはり実際の資金量というものは足りない、総額からいって。こういう点からいって、通常国会に、第四四半期にいま一度考え直さなきゃいかぬのじゃないかと思うのですが、どうですかこの点。いま一度私は、その具体例をもって、そういう点で、政府はだいじょうぶだというお考えのようですが、どうも私は不満足なんですがね。いかがでしょうか。
○説明員(大月高君) 第四四半期の一−三の金融につきましては、最初に申し上げましたように、相当財政の揚超が強くて、金融も締まるであろう、そういう意味で、日本銀行が一般的にこれを調整するためにオペレーションを考えておりますが、そのほかに、政府といたしましても、資金運用部資金、あるいは簡保の資金、これを今の政府の三機関に投入いたしまして、中小企業金融をやる、こういうことは若干の追加はせざるを得まいと考えております。そのほかに中小企業金融対策として、政府資金を使いまして市中金融機関が持っております金融債その他の債券を買い取りまして、それでまた中小企業金融に役立たせたい。現在年内に八百億やっておりますが、あれと同じような方式でさらに第四四半期においてもこれを追加していくということは現実に検討中でございまして、情勢を見て適宜実行いたすつもりでございます。
○相澤重明君 それから最後に一つだけ、これは一つ頼んでおきたいことがある。それは、全国の労働金庫というのがありますね。労働金庫が、今の賃金の遅欠配あるいは年末手当の立てかえですね、こういう問題で、中小企業、大手も若干ありますが、特に中小企業の場合非常に多いわけです。そういうことからいって、おそらく労働金庫の全国協会から大蔵省に資金の投入の要請があったと思うのです。この年末について、大蔵省としてそういうお考えを持っておるかどうか、この点明らかにしてもらいたいと思います。
○説明員(大月高君) 労働金庫の融資の対象でございます一般勤労者の給料の遅欠配、あるいは現金の支払いでなしに、何かほかの形における支払い、そういうような場合に対処いたしまして、労働金庫から融資をする、その融資する原資について何らか政府において措置をとってほしいと、こういう御要望は、われわれも聞いております。労働省からも話を聞いておるわけでございますが、われわれのただいまの見解といたしましては、労働金庫はほかの金融機関に比べまして相当の余裕金を持っておるという現状でございまして、そういう年末の資金需要に対しては十分対処し得るのではあるまいか。もちろん、労働金庫も各地にございまして、個々の労働金庫についてはそれぞれ資金繰りの違う状況もあるかと思いますが、これには全国の労働金庫連合会がございまして、相当の余裕金を持っております。この全国の労働金庫連合会におきまして各金庫の資金の需給の調節をやる建前になっておりますので、個々の金庫の余裕資金及び全国的な連合会の余裕資金、これをもって対処いたしますと、大体においてまかない得るのじゃないか。そのほかに、各都道府県におきましては、それぞれ県内の事情によりまして、地方公共団体の資金をこの労働金庫に貸し付けるなり、あるいは預託をされまして年末金融の一助にしておられるところが相当あるわけでございます。そういうような地方的な措置をもってこれを応援できるか、そういたしましてもなおかつ足りないというような事態が起きた場合に政府としてどうするかという、まあいわは三段がまえの話になります。どういう状況が起きるかということにつきましては、現在労働省におかれましても、労働基準局を通じていろいろ御調査中でございます。一体どういうような数字になるかという点につきましては、まだ結論を得ておられない。それから、もちろんいろいろ現在団体交渉その他進行中でございまして、これから年末にかけて起きる現象でございますから、今の調査でそう的確な数字が出るわけでもないと思います。そういう意味で、われわれは労働金庫の全体の資金繰りは十分に注意いたしております。非常な大きな問題が生じないようによく注意をいたして参りたいと思っておりますが、現在のところわれわれとしては、政府の特別な措置なしにこの問題は対処できるのではあるまいかというふうに考えております。ただ、今お話のございましたように、事情のあるところは承知いたしておりますので、十分事態を注視して参りたいと考えております。
○相澤重明君 まあお話で大体わかりました。そこで、地方都道府県の中小企業対策の預託金の問題というものを、大体年末どこでもその府県の予算規模内でかなり努力しているわけです。しかし、地方自治団体もやはりみなこのところ資金繰りでかなり苦しいことは、御承知のとおりであります。したがって、そういう点で、都道府県知事からそれぞれ政府にも副申がつくことと思いますが、おそらく最近のうちに全国協会のほうから政府に要請を、数字を持っていくと思うのです。まあ私は、やはり現状の点をいろいろ例をあげて申し上げればあるのですが、時間の関係でやめますけれども、やはり中小企業なり、そういう年末手当なり、遅欠配なり、非常に多くの問題をかかえているのを労働金庫がになっているわけですから、そういう点について都道府県知事の副申とともに政府に要請があった場合には、ひとつ十分に考慮してやってもらいたい。あなたもお話しのように、単に労働金庫の現在の資金量からいっても、私は必ずしもまかない得ると思っていないのですよ。そういう点も数字的な問題ですから、これはひとつ数字を検討して私どもも申し上げたいと思うのですが、そういう点はひとつとくとこの際考えておいていただきたい、こういうことを要請をして私の質問は終わります。
○委員長(岸田幸雄君) 本件につきまして、他に御質疑はございませんか——。別に御発言もございませんようですから、それでは午前の委員会はこの程度にとどめて休憩いたしまして、午後一時より再開することにいたします。 これにて休憩いたします。 午前十一時三十九分休憩 ————・———— 午後一時三十三分開会
○委員長(岸田幸雄君) これより決算委員会を再開いたします。 水戸対地射爆撃場の問題米軍十瀬谷通信施設の問題、税関の映画検閲の問題について質疑の通告がございますので、順次発言を許します。
○大森創造君 調達庁長官、お忙しいところを出席をいただきまして、まことに恐縮でございます。あとから、これまた御多忙のところ、大平官房長官にも、この問題についておいでを願うことになっておりますが、まず調達庁の方にお伺いしたいと思います。 この問題については、十一月二十日にいわゆるアメリカ側のいう機関砲の誤射事件がございましてから、岩上茨城県知事を初め、政党的には自民党の赤城総務会長を含めての超党派的な陳情を繰り出しておりまして、林調達庁長官のところにも、お忙しいところしばしばお伺いしておりますので、私は、以下質問しますことによって、茨城県の態度並びにわれわれの態度というものをきめようということで、総括的な質問を申し上げますから、ひとつよろしくお願いしたいと思います。 まずお伺いしたいのは、十一月二十日のいわゆる誤射事件でございますが、これについての調達庁の知り得た範囲で、概略でけっこうですから、お答えいただきたいと思います。
○説明員(林一夫君) 大森先生の今の御質問は、はなはだ失礼でございますが、当日の状況でございますか、それとも当日の被害の状況ですか。
○大森創造君 当日の状況の概略と、その後調達庁のとった措置について、これも概略でけっこうですから、お答え願いたいと思います。
○説明員(林一夫君) 当日の概況をまず申し上げます。十一月の二十日午後三時二十五分ごろ、米空軍の横田基地第三爆撃隊第八中隊所属のB57というジェット機が三機編隊で訓練をしておったのでありますが、その中の一機が二十ミリの機関鉄弾を十六発、これを水戸対地射爆撃場の南端から約四キロ離れております那珂湊の市中に誤射した。幸い人畜には被害がなかったのでございますが、那珂湊釈迦町五千五百八十八番地の千森あささん外十二名の方の家屋等に対して被害を与えたという事故でございます。 この事故が起こりましたので、調達庁としましては、水戸の調達事務所は直ちに現場を調査しさするとともに、また、東京調達局長を現地に派遣いたしまして、各被害者宅を訪問せしめて、とりあえず陳謝の意を表させました。また、米側当局に対しましては、十一月の二十一日開かれました施設特別委員会におきまして、米側代表に対し、口頭と文書をもちまして、さらに二十二日には、長官名書簡をもって、在日米軍司令官に対し、事故発生の原因の究明と、将来にわたる防止対策を講ずるまでは演習を中止すべき旨の申し入れを行なった次第でございます。
○大森創造君 私どもの調べでは、大小合わせて三百五件今まで水戸対地射爆場に関係する事件があったことになっておりますが、あなたのほうの調べでは何件になっておりますか。
○説明員(林一夫君) 三十六年は現在までに十一件でございまして、この内訳は、航空機の墜落、模擬爆弾の落下その他ということでございます。三十五年度は十四件、これは模擬爆弾の落下が六件、その他が八件ということになっております。三十四年度が合計十六件、これは航空機の墜落が三件、模擬弾の落下が六件、その他が七件、こういうことになっております。
○大森創造君 岩上茨城県知事が事件の翌日に真子調達庁次長をたずねていろいろ陳情をいたしておりまして、その翌日在日米軍司令官のスマート中将にお会いして、そうして事態の深刻なることを申し上げております。 それで、私は、昔のことを言うのはなんですが、三年前にゴードン中尉事件というのがございました。御承知だと思いますが、これは結論がどうなったか、私ははっきりしませんが、一般住民の受ける気持としては、こういうふうに考えております。ちょうど夏でございまして、飛行機が飛んできて、あのときの飛行士は十七か十八くらいの若い青年でございまして、それで那珂湊の海水浴場に何千という人が海水浴をやっていた、そこへ飛んできて、全く海水浴客の頭上すれすれに何回も旋回しているのです。よく事故を起こさないなあと思うほど旋回しておりまして、私の友人などは、子供を連れて海水浴しているときに、あまりに近く飛行機が飛来して、その爆音と、それからその風圧でもって、海の中に頭を突っ込んで飛行機が通過するのを待ったというような、そういうきわどいことをやっております。私の推察では、これは日本の青年もございますが、アメリカのパイロットの十七、八の青年が、まずおもしろ半分にやったというふうに解釈できるのです。どうしても私にはそう思われるのです。その同一の飛行機が、今度は、あの射爆場は三百五十万坪の膨大な面積がございますが、実際は四百万坪からございまして、その飛行場以外の所も、関東平野のまん中でございますので、イモ畑がずっとございまして、その中に一本道がございます。そこへ親子が——息子さんが六十幾つのお母さんを自転車のしりに乗っけて、そうして自転車で来て、飛行機から見ますと——午前中おもしろ半分にやった同一の飛行機です。それがこう突っ込んできた。これは御承知だと思いますが、そうして尾翼でもってひっかけて、六十幾つのお母さんのほうは、現地を私は見ましたが、一坪半くらいの鮮血を流して死んでしまった。むすこさんは重傷をしたという事件がございました。飛行機がどういうかげんでなったのかわかりませんが、とにかくあとでパイロットの経験ある人から聞いてみて、私の想像ですが、こう飛んできて、青いイモ畑が一帯にある。そこへ一条の道がある。そこで、お母さんのほうはこういう赤いふろしきか何かうしろにかけていたものですから、それを目がけてやはり午前中と同じようにおもしろ半分にずっと突っ込んでいったのではないか。それが事故ならば、その飛行機もろとも突っ込んでしまうと思う。そうじゃなくて、いかにも器用に尾翼を突っかけて人を殺傷してからずっと飛び上がった。これを目撃した人もおります。午前中のことと考えて、同じ人間がおもしろ半分、ふざけ半分にこういうことをやったのであろうというように現地の人はとっている。調達庁やその他の方面では、これは事故によって誤ってやったというふうに結論を出しているのでしょうけれども、私どものほうの聞いた範囲では、現地の人はそうでない。おもしろ半分にやったのだと、スポーツを楽しむような気持でこういうことをやったに違いないというふうに現地の人は見ている。そこで、今度の事件——私ともの調べでは三百五件ございました。この間のことも、辛いに人畜の殺傷はないといいましたが、私どもがたずねた千森あささんという人の話によるというと、かぜぎみであったので、座ぶとんに寝ていたが、せきが出るのでちょうど起き上がったとき、ばんときたわけです。機関砲。これはせきが出なかったら、この人は完全に殺傷されたことになる。 そこで私はお伺いしたいことは、こういう射爆撃場について、日本にある射爆場のうちで、あそこはことに事件が多いのですか、少ないほうなんですか。
○説明員(林一夫君) 今までの統計資料によりますと、対地射爆撃場というのが三つございます。一つは九州の芦屋、もう一つは東北三沢の近くの天ケ森というところ、そことこの水戸の対地射爆場、この三つでございますが、今までの統計資料によりますと、水戸対地射爆撃場の事故が多いということになっております。これは年度によりますが、総体から申しますと、今まで一番多いという数字が出てくるのであります。
○大森創造君 科学技術庁の方はおいでになっておりますか。三カ所あるうちで、水戸が一番多いというお答えでございますが、ことに東海村の原子力研究所がございまして、知事初めわれわれのほうは科学技術庁のほうにも何回かお願いしていると思いますが、そこでお伺いしますが、これは私は、調達庁が米軍側に折衝するというと、見返り地云々ということで、それ以上お話が進まないようなことになっておりますが、科学技術庁として、茨城県も責任がございますけれども、国の施策として原子力研究所を作られたので、こういうものがだんだん拡大強化するようなことになると思いますから、こういう原子力研究所の近くに、こういう重要な施設の近くに、射爆場、しかも対地爆撃演習という、トス爆撃をやる、そういう危険な演習場があるというようなケースが世界でございますか。
○説明員(杠文吉君) お答え申し上げます。世界の例ということでございますが、寡聞にして、東海村におけるごとく近い場所に射爆場があるところは聞いておりません。
○大森創造君 そこで私は、日本で一番不適当な場所に対地射爆場があるというふうに考えているのです。原子力研究所、原子力センターもございまして、だんだん拡大強化されるようなことになっておりまして、その近くに米軍の射爆場があるということは、最も日本で不適当な場所にあると思います。そこで、あとから申し上げますが、茨城県側は、再三の事故がある、三カ所のうちでも一番危険な場所にある、水戸が一番事故が多いということから考えて、これは今から三年ほど前から、自民党も、社会党も、あるいは知事も、全部あげて、そのつどの補償とか、あるいはそのつどの事件の究明ということでなしに、この射爆場を返還してもらおうという運動をやっております。今度の事件は、さらにこのことに拍車をかけたようなことでございますが、科学技術庁として、純粋な科学的な原子力センターを拡大強化するという見地からして、こういう射爆場はじゃまになりませんか。
○説明員(杠文吉君) 御指摘のとおりに、確かにじゃまになるわけでございまして、そこで、私のほうといたしましても、前池田長官が直接米空軍司令官にお会いになって、返還方の交渉をされたこともございます。その後、今回の事故につきましても、調達庁の真子次長に対しまして善処方を依頼したわけでございます。その結果、先ほど長官からお答えがあったような交渉はあっているというととを承知いたしておりますが、実は本日も原子力産業会議が持っておりますところの原子力地帯整備関係の懇談会を開いております。岩上知事も出席されておりまして、私もそこに出席しておったわけでございますが、こちら側のお呼び出しなものでございますから、こちらへかけつけて参ったというような状況でございまして、絶えず返還方については、現地の知事その他の方々とも打ち合わせをしつつ、ぜひ一日も早く実現するようにということを考えております。
○大森創造君 調達庁は、いろいろ特殊な事情もございますし、米軍と直接具体的な問題について折衝されるお立場にありますので、やりづらいところもあるかと思います。とにかく、今度の事件発生を契機として、先ほど申し上げたとおり、これが返還までは絶対にこの運動をやめないという態勢で全県民二百万こぞっておりますので、あとから大平官房長官に毛この点をお尋ねいたしますが——長官おいでになっておりますから、いまひとつお答え願いますが、再三長官のところにも茨城県の関係者が陳情に出ております。調達庁のほうは見返り地云々というところでストップしてしまいます。長官にお尋ねする前に、林さんのほうにお尋ねしますが、見返り地というものを具体的にお探しになったことがございますか。
○説明員(林一夫君) この水戸射爆場の返還の問題につきましては、今までに何回となく返還の申し出をいたしてきておるのであります。しかるところ、この春六月に文書をもってはっきり代替地の提供があれば返還に応ずるということを申し出ております。そこで、私のほうといたしましては、ここには原子力研究所というような大事な施設もありというようなことで、代替地の調査をいたして参ってきておるのであります。実情を申し上げますると、代替地の選定ということは非常にむずかしいことでございます。やはり、このような、何と申しましょうか、危険区域であり、きらわれる地域でございますので、簡単に代替地を選定するということは非常に困難な問題であります。もちろん具体的に現在調査はいたしておりまするが、非常に困難でありますということは申し上げなければならないことと思います。ただいまお話がありましたように、ここには原子力研究所というような大事な施設もございますので、特にその点を考慮しまして、米軍には飛行の方法については厳重に申し出をいたしております。具体的に申しますると、原子力研究所を中心とする半径二マイルの円周内の上空は飛行を禁止してもらうということを強く要望して申し入れてあります。これは現在も実行いたしております。その他、たとえば技術的に申しますと、標的の位置等につきましても、これを比較的危険でないところに移動してもらう。たとえば海上に移動するというような措置を講ずるように要求いたしております。まあこのような要求によって、できるだけ危険感を少なくする、被害を少なくするというように努力をいたして参っております。
○大森創造君 この間二十日の日に誤射事件があって、知事がスマート総司令官に会ったときに、とりあえず事故原因が究明されて、その防止対策がはっきりするまで演習を中止してほしいということを申し上げました。それ以上のことをその場で言うこともまずいと思ったんでしょうが、そういう申し入れをいたしました。そこで、きのうの朝、那珂湊の市役所と県のほうに射爆場から電話があって、そしてその事故原因を政府のほうに回答をして、そうしてすぐ演習を始めたという申し入れがあった。これを聞いてみますというと、間違いであったということで、それはそのままになっておりますが、その問題について一応回答が正式にきょうあたりございましたですか。これは林さんでも官房長官でもけっこうですから、お答え願います。
○説明員(林一夫君) おっしゃるように、米軍としましては、調査が完了して是正措置が講じられるまでは演習を中止するということを言ってきておるのでありますが、調査が完了してこの是正措置が講ぜられたということは、まだ判明いたしておりません。これが判明次第、米側から日本政府あてに、あらためて正式の申し入れがあることになっております。
○大森創造君 これはもう一つ調達庁長官にお伺いしますが、こういう演習を、事故原因を政府のほうに、あるいは県のほうに回答をすれば、すぐにでも始めたいというお気持なんでしょうか、米軍側は。
○説明員(林一夫君) 米側の意向はよく存じませんが、調達庁のほうとしましては、調査が完了して是正措置が講じられるまでは、厳重にひとつ中止してもらいたいという強い要望をいたしております。
○大森創造君 そこで、官房長官にお願いなんですが、事故が起きて、戦争が起こったんじゃないかと思うほど猛烈な爆音と、それから機関砲の音がしたわけです。それで市民はあわてふためいて、それを受けて知事が、とにかく事故原因が究明されるまで、防止対策が樹立されるまでということを言いましたが、そうすると、それを形式的に米軍側がとって、誤射である、漏電による誤射であるというようなことで、あしたからでも、あさってからでもといって、そのことによって演習を再開する口実にされますと、これは全県民が非常にショックを受けて、何するかわからないという事態でございます。だから、今調達庁長官が見返り地の問題にせっかく御努力中であって、このほうも当てになるということも考えられますので、これは政府とそれから県側と相談をして、適当なときまで演習を再開してもらっては困る。われわれの率直な希望からすれば、全面返還を実現するときまで演習をしてもらっては困るということを言いたいところでございますが、それができるかどうか。最小限度とにかく追ってのさたが、県側と政府と話をして、そしてまあまあよかろうという時期まで演習を中止してほしい。形式的な漏電による事故、そのことを政府あるいは県のほろに回答をしたから、そのあしたから直ちに今までどおり演習を始めるなどということについては、茨城県としては承服しかねますので、これはひとつ官房長官、何とかお願いできませんか。
○説明員(大平正芳君) 演習再開の問題でございますが、私どもはこう承知いたしております。この間の誤射事件の原因を究明して、それが判明し、予防措置がとられるまではそういう試射を行なわないということは、米軍側においても十分確認されて、それを実行していただけると思います。で、あの事件は、伺いますと、B57という機種についた機動装置の故障だそうでございまして、それを十分改修いたしまして、とにかくそういうことがないようになるまでは試射は行なわない、試爆は行なわないと、このように私ども承知いたしております。ただ、投下物の——投下演習と申しますか、砂袋を落としたり何かするようなことをいうのだそうでございますが、危険を伴わないことについては始めさしていただけないかというようなお話があるやに聞いております。しかし、たびたび県当局その他茨城県側から私どももお話を伺っておりまするし、今大森委員がおっしゃるとおり、現地側ではこの問題をめぐりましてただならぬ零囲気でもございますし、この試爆以外の演習につきましても、しばらく御遠慮いただきたいという趣旨のことを、きのうの合同委員会におきましても、また、けさスマート中将と藤枝長官との間のお話し合いでも、そういう申し入ればいたしたのでございます。なお、きょう二時からスマート中将が藤枝長官に会いたいということで、今からお目にかかるので、そのときにはどういうお話があるのか承知いたしておりません。
○大森創造君 その問題については、今の御答弁で大体了承いたしますけれども、まあ率直に言うて、ここ十日とか二十日のうちに予防的な施策が構ぜられるはずはないと思うのです。どういう回答があったって、茨城県としては了承しかねるのであって、向こうは形式的に、まあひとつ回答をしたからいいわということで、近日中にも始められたら因るという配慮があるわけです。だから、ひとつ官房長官なり調達庁のほうでそこのところをお考えいただいて、とにかくこの全面返還の努力をする、この見返り地についても努力をする。県側は全面返還ということでやっておりますので、とにかく一定期間何かこう保証づきでしっかりとめてはいただけませんか。
○説明員(大平正芳君) 私どもとして、実は今申し上げましたとおり、全力をあげまして、その地元の御要望に沿うべく、たびたび過去におきましても返還の要請をいたしておりまするが、今回の事故を契機といたしまして、さらに具体的に申し入れをいたしまして、御理解をいただこうと思っております。ただ、行政協定に基づきまして日本側が提供いたしました射爆場でございまするので、行政協定の規定によりまして日本側が提供したしてあるわけでございますから、全面返還が成就するまでは使わないようにと、こういうことを申し入れるということは、行政協定上私は穏当じゃないと思います。ただ、今までたびたび知事さん初め市町村長さんその他関係各位の切なる御要請がございまするので、先ほど申しましたように、こういう情勢で演習を再開されるということは御遠慮いただいたほうが日米関係からいって望ましいということは、機会あるごとに強く先方に要請いたしておりまするし、今後も要請を続けて参る、こういうつもりでございます。
○大森創造君 その問題が一つと。 それからもう一つは、官房長官御存じだと思いますが、まあ茨城県としてはいろいろあの場所について計画もあるし、そのことが今の国策に沿うゆえんでもある。非常に貴重な場所を、実面積は四百万坪からございます。率直に地元の希望を申し上げますると、これはいずればひとつ返還してもらわなければならぬ。ここ一カ月以内とか二カ月以内というようなだだをこねるようなことは申し上げませんけれども、日米行政協定ということで、政府の立場に立って考えても、とにかくいずれはのいてもらおうということでございまして、この機会に継続運動をする。どうしてもこれは政府に本腰を入れてもらわなければならぬということでございます。 今、林さんのお話を聞いてみまするというと、調達庁のほうは、施設委員会もそのつど関係の方々にそれぞれ努力はされておるようでございますが、なかなか全面返還というお話は、今までのいきさつからいって正面から打ち出しにくいと思います。お話はずいぶんされたと思いますが、全面返還ということを打ち出しにくいと思います。御承知のように、知事がアメリカへ行きましたのは、この問題が一番重要な問題の一つとしてアメリカへ行かれまして、要路の人と話し合いをされております。それで、この間も、事件発生の翌々日の二十二日にスマート中将に会った際には、これは日本政府の出方いかんである、原子力センターというものに近接する射爆場の存在は確かに好ましくないし、今後も事件が起こらないとは限らないのだから、米軍側としてはあそこにいたくないのだというお話を承ったそうで、その場所でさっそく演習中止ということをかたわらにいた何とかいう大佐に伝言されたそうです。非常に前と違って理解ある、幅のある態度で米軍が出ておりますので、これは従来調達庁が担当の庁でございますから、そのつど交渉はされておりますが、ここはひとつ政府のほうで、全面返還ということを急にはできないでしょうが、まず必要な機関を通じて、日米合同委員会に正面切って、日本政府としては、あの場所には原子力センターというものがあるのだし、事件も三つの射爆場の中で一番多いといういきさつからいって、これはどうしても返還してほしいということをひとつ打ち出していただけませんか。その用意はございませんか。
○説明員(大平正芳君) 先ほど申しましたように、過去におきましてもたびたび返還の要請はいたしておったのでございますが、先ほど調達庁長官から御説明申し上げましたとおり、ことしの六月に返事をいただいて、代替地があればいつでも返還に応ずるという態度であることは、御承知のとおりでございますし、代替地につきましては、先ほど御説明がありましたとおり、調達庁御当局におきまして鋭意調査中である、これも御承知のとおりでございます。したがって、その上にこういう事件が起こったわけでございまして、地元の真摯な御要請もございまするので、私どもといたしましては、従来の御返事に必ずしも満足せずに、一番早い機会の施設委員会に、日本政府としての返還の要請を正式に再度いたします。ただ、くれぐれも御了解いただきたいのは、こういうことはこういうこととして、私どもも鋭意政府の責任において進めて参りますが、行政協定上の規定に基いて向こうも御使用になっておることでございます。日本側もこれを受諾している以上は、やはりその精神に基づきまして、返還の要求と、それから現地の使用という問題とは、これは別の問題であるというように御承知置きをお願いをいたしたいと思います。それから、そこに原子力センターがあるということ等は、十分私どもとしても了承しておるわけでございますが、もともとまあ演習場側から申しますと、あとからあれができたわけでございまして、今科学技術庁では一あれはじゃまになるというお話でございますが、試爆場のほうが先にあそこにおられたわけです。しかし、国策としてあそこに原子力センターを作ったということは、政府の行為であったわけでございます。したがって、日本政府としては、大森さんと全然同じような気持で、御返還を願うということは執拗に精力的にやって参るつもりでございます。それができるまでの間におきまして、行政協定に基づく日本側の義務の履行について不当なことがあってはいけないということも、また銘記しておかなければいかぬと思います。ただ、今現地のああいう状況でございますので、演習の再開につきましてはきわめて慎重であってほしいということは機会あるごとに申し入れておるわけでございます。
○大森創造君 官房長官のお話、ちょっと微妙なところでございますので、もう一回私どものほうの希望を端的に申し上げますと、とにかくいろいろございましょうが、現地としては、これだけはお話し申し上げていいと思うのです。演習再開でもされるということになると、茨城県民感情はものすごく沸騰して参ります。そこでまあ、基地の問題について閣僚連絡会議等を作られたようでございますが、これは射爆場的な問題でなくて、財政的な裏づけを要するものについて財政的な手当をするというふうなことにも了解しておりまするけれども、とにかくこの射爆場の問題については、政府が責任を持ってもらって、もちろん調達庁がその衝に当たるでしょうし、その他も防衛庁のほうがその衝に当たるのでございましょうが、官房長官なり総理のほうで責任を持ってもらって、この射爆場についてはがっちりひとつ返還要求というものを出していただくと、今そのことについてお答えがあったのでございますが、もう一回わかりやすくお答えいただきたいと思います。
○説明員(大平正芳君) 責任云々の問題でございますが、政府の責任と心得ております。そこで、私ども基地の問題をおあずかりいたしまして感じますことは、まあ全国に幾つかの基地がございまして、その周辺にいろんな問題が関連して出て参っております。調達庁当局と現地側の折衝も必ずしも円滑でないということも伺っておるわけでございます。のみならず、兵器がだんだんと発達しますから、従来予想しなかったようないろんな現象が起きていることも承知しております。したがいまして、調達庁当局、ここに長官おられますけれども、調達庁だけにおまかせしておいては、調達庁が最善を尽くしていただきましてもなお国民に御満足がいかない場合があると思いまして、やはりこれは政府全体の機能を充実させて、政府全体の責任体制を作って処理しないといけないというような趣旨で、先般基地関係の閣僚会議を設置いたしまして、その下に、調達庁長官も含めまして、幹事会を設けまして、そこで問題を取り上げるというところまで一応前進させたわけです。これは、先ほど財政問題という御理解でございましたが、必ずしもそうじゃございませんで、基地問題全体について政府として誠心誠意責任を持って当たるのだという姿勢でございます。もちろん、その中には重要なアイテムとして財政問題があることは、御案内のとおりでございます。そういう趣旨で、現内閣といたしましては、政府全体が基地の問題につきましてその円滑かつ迅速な処理をはかるべく精一ぱい努力をしておる、こういう気持でおるわけでございます。したがって、水戸の射爆場につきましても別ではございませんで、これにつきましても、私どもは最善を尽くさにゃならぬということで、先ほどのお尋ねにも申し上げましたとおり、返還要求につきましては、従来いろいろ御回答いただいておりますけれども、なお執拗にこれを続けて参るということで、そういう決意で当たっておる次第でございます。
○大森創造君 非常に御理解ある御答弁をいただきましたが、くどいようですが、いつでもそのつど、事件がありまするというと、今後は起こらないように万全の予防措置をとるという声明が米軍側から繰り返されて、それから一カ月たってまた事件があり、その次また起こる。今度の場合も、漏電による誤射であるという形式的な声明が出されて、それで演習を再開して、また事件が今度ありますというと、これはえらいことになると思います。ことに那珂湊などは右翼の発祥地で、五・一五事件あたりに活躍しためざましい入れ墨の連中がたくさんおりますので、これは官房長官や調達庁長官どういうふうにお考えかわかりませんけれども、人畜の被害がなかったのだ、まあ米軍の回答によるというと、交通事故より少ないじゃないかというような回答をよこしております。しかし、これは日米行政協定、安保条約の建前からという政府の立場からしまするというと、調達庁や官房長官のような怜悧な頭からしますというと、そのことは理解できましょうが、那珂湊市民には通用しないのです。こういうことは、社会党員でなくても理解できない。何か今度の事件が起きまするというと、予測しがたき事件が出て参ります。あしたも実は相当人数が集まるはずになっております。そこで、そのつど補償をするとか、それからそのつど遺憾の意を表明していただくと、調達庁がそのたびに施設委員会で発言されるということでは、事態が済まされなくなっておりますから、このことはひとつ申し上げます。決して、私は単なるメッセンジャーであって、私自身の意思をまじえないで申し上げますが、那珂湊の市長という宮原庄助氏は、昔の国会議員でございまして、あのくらい、そういっては何ですが、保守的な、志操堅固な方はない、八十才でございますから。そういう人が、どうしてものっぴきならない立場に立たされておりますし、今後また事件でも起こるというと、それはえらいことになりますよ。この問題については特殊な感情を持っておりますから、なかなか理屈が通用しないのです。ですから、内灘とか、あるいは東富士とか、いろいろな派手な問題でございますし、茨城県のこの問題について、今までと同じようなことを繰り返して、そうして調達庁が交渉した、補償はやったと、そうしてじんぜん日をやるうちに、いつの間にかまたぼかんとやったということになりますというと、今度はにっちもさっちもいかなくなりますので、ひとつ基地の問題は、えらいことになる前に、そうであろうということを予想して万全の措置をとっていただくということが、私は政治だろうと思います。その意味でこそ閣僚連絡会議というものも持たれたのだろうと思いますから、まあ大平官房長官十分御認識になっていただけるだろうとは思いますけれども、おっしゃるとおり、調達庁や防衛庁ございまするけれども、これは政府自体も従来にない強い態度でひとつ、日米合同委員会なり、施設委員会にお出し願いたいと思います。これはそのとおりやっていただくということで県側も私どものほうも了解いたしますから、せっかくひとつ御努力をお願いしたいと思います。これはあだやおろそかの問題じゃなくて、何が何でもこの基地は全面返還させるのだと、射爆場が東海村の原子力センターと、前からできておった、あとからできたというお話もございますが、とにかくお話のように、茨城県側にも責任がございますが、現実に振りかかったこういう危険、それから射爆場というものと原子力センターというものは両立しないであろうという理屈は、今までのいきさつにかかわらずございますので、ひとつよろしくお願いしたい。 同時に、科学技術庁の方にもう一つ申し上げますが、ひとつ、池田長官が関係者のほうに返還要求されたということでございますが、この際でございますから、大平長官がおっしゃられたとおり、従来にない強い態度でもってこの茨城県側の返還要求を支持される、そして必要な場でもってその発言をされ、その手続をとられるということでございますから、このことについては、ひとつ政治的に、国内の態勢として、お帰りになったら三木長官に申し上げて、これは原子力センターというものがだんだん拡大強化されるという点から見ても、世界に例のないこういう射爆場、誤射爆撃するような危険な射爆場というものは両立しがたい、どうしてもあってもらっては困るという、従来もそういう発言をされたようでございますから、この際でございますから、政府部内においてそういう発言をされ、米軍のほうに、あらためて、この際でございますから、必ず官房長官、近いうちに——来週あたりの日米合同委員会なり施設委員会なりに強い態度を出されると思いますから、それに対応して、どうか科学技術庁のほうは、政治的な配慮なしに、科学的な立場からこのことを声明されるなり、そういう態度をバック・アップされるような処置をおとり願いたいと思いますが、そのことを帰って長官にお伝え願えますか。
○説明員(大平正芳君) ちょっとその前に私から一言。今大森委員の御発言の趣旨はよくわかりました。ただ、事故が起こったら陳謝したり、予防措置を講ずるからということで、また次に事故が起こるじゃないかということでございますが、今までの沿革、経過を十分お調べのことと思いますけれども、政府といたしましても、こういう事故が起こりましたら、その再発を防止する万全の措置を講ずる。米側にもそれを要請している。あるいは飛行の方法、区域、その他いろいろ御注文申し上げて、そのように履行していただいておりますので、だんだんと事故件数が年をけみするに従って減ってきておるということだけはお認めいただきたいと思います。なお努力を続けますけれども。それで、大森委員のように、現地の指導者であられますので、こういう事件が起こりますと、たくさんの方がお集まりいただいて、いろいろ強い意思表示をされ、行動に出られることも、私よく承知しておりますが、ただ、政府当局も、米軍当局も、おざなりでなくて、これまでいろいろ苦心して事故の漸減に努力しておるんだということだけはおわかり願うように、あなたからもひとつ申し添えていただきたい。政府はけしからぬ、政府はけしからぬだけおっしゃらぬように、その点はひとつお願いしたいと思います。
○説明員(杠文吉君) ただいまの、三木長官へ帰って伝えろということでございますが、三木長官もかねて非常に心配しておられまして、何らかの機会にははっきりした意思表示をしようというお考えでございます。したがいまして、大森委員のただいまの御注文はよく伝えておきます。
○大森創造君 官房長官もお忙しいようでございますから、ここで打ち切りまするけれども、よく今の御説明了解いたします。決して、この問題について政府がサボタージュするとか、政府がけしからぬ、けしからぬなんいうアジは、私のほうはいたしません。ただ、米軍側の立場に立ってみると、過日の回答というやつも、向こうの立場になるとうなずける節もございます。よく理解いたしますけれども、一方茨城県民側の感情というものは、これは行政協定も安保条約もないんです。そういうものは知らないんですわ。それで、ああいう回答をよこしますというと、私はわかりますけれども、住民はわからぬです。再三、知事初め——知事は渡米して、そしてアメリカの要路の人に言うたり、大平房長官にも、宮原市長が老躯をひっさげて岩上知事と一緒に何回もお願いしたり、それにもかかわらずこういうことだということになると、住民感情では済まされない。その住民感情も、ものわかりのいい住民感情ばかりじゃございませんから、政府が何とかしてくれるだろうという期待を持っておりますから、従来もせっかく御努力下さいましたけれども、行政協定の趣旨からいうと、若干やりづらいところもございましょうけれども、これはとにかく茨城県としては、もう近いうちに全面返還はあらゆる方法をとってもやろうという気がまえでおりますから、どうぞそれを受けて、大平長官、調達庁や防衛庁のほう、あるいは科学技術庁のほうと十分連絡をとって、——従来陳情に行きまするというと、ばらばらの点もございまして、調達庁のほうが先行してひとり御若労なされているような向きもあります。それから、外務省や科学技術庁のほうへ行きますと、一々ごもっともだ、これは返還しなくちゃいかんとおっしゃいますけれども、その衝に当たる調達庁は、今問答しましたように、御苦労はされておりますけれども、なかなか道が開けないということでございますから、そういう際において、私は、閣僚連絡会議において、官房長官が官房長官たるゆえんも、そこに能力を発揮されることが必要じゃないか。ですから、どうぞひとつ、大平官房長官にそういう総まとめをお願いして、日米合同委員会なり、何なりに出して、そして演習を再開させない。それからこの返還の問題については、見返りの問題はそのときにあらためて問題になるでしょうが、とにかく政府として、この問題について本格的に取っ組んだという姿勢をぜひお示し願いたいと思います。御答弁は要しませんので、以上をお願い申し上げまして、決してこれは政府筋をただすというふうなことでございませんで、陳情の意味を含めましてお願いを申し上げますから、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
○相澤重明君 大平官房長官、まだあるのです。私は、今の大森君の質問で大体終わったけれども、実は茨城県知事にスマート中将が回答をよこしているのを見ると、私はあまりいい感情を持たんですね。これは官房長官読んでごらんなさい。「あらゆる種類の航空機の運航に伴う危険は貴県住民が車両運行の結果として経験する危険と比べてとるに足りないものである」、だから、交通事故はもっと多いのだから、このくらいの飛行機の事故なんかというものは気にするな、こういう文章ですよ。これは幾らスマート中将だって、あまりスマートじゃないですよ。これは私は、まあ米軍の軍人としての回答文ということになれば、まあ軍隊の立場でものを言うというのであろうけれども、少なくとも日米両国民の立場に立つと、こういう文章を回答するなんということは、およそ私は、やはり両国民の友好を深める立場では、あまりよい結果ではない。だから、これはおそらく英語のこの訳し方がちょっと少し違ったのじゃないか、私はこういうふうに解している。まあ私どもが社会にあって、やはりわれわれの話す英語と、向こうの人の言うのが、ちょっとアクセントが違いますから——そう私は受け取っておきますよ。そうでないと、これは非常に問題だ。茨城県知事にあてたスマート中将の回答というものは、日本国民というものを全く無視しているものだという私は立場になると思う。だから、これはおそらく政府から出していただいたのですが、こういう点については、やはり日本側の通訳の人がよく話をされたら、こういう文章にはならんと思うのですよ。こういう点は、自今両国友好のために私はひとつ気をつけてもらいたい。まあ官房長官は、読んでいくとわかるのですが、第一、第二、第三と書いてある。これは全く私は残念だと思うのです。そういう意味で、これについては、文章については、今後気をつけてもらうことと、それから、やはり基本的な問題は、もうすべてスマート中将の言っているのは、中央政府と、こう言っているのだな。だから、基地の問題については中央政府と交渉していると、それはそのとおりだと思うのです。だから、地方の住民がいろいろなことを言うと、あなたの政府の代表がものをきめないからだと、こういう形にとられるのです。ですから、やはりこれは、向こうの答弁のうまさというか、ずるさというか、ということになると思うのです。ですから、那珂湊の問題については、米軍側としては返してもいいと言っているのだし、こちらでも返還を要求しているのだし、早急にこのことは解決に努力していただきたい、私はこう思うのです。この点については、官房長官、如才ないあんたですから、ひとつ骨折ってもらいたいと思います。それはそれで終わります。 いま一つ、この中に、経過報告書の中に、さっき調達庁長官が話されたけれども、現地に東京調達局長を派遣して、被害者を訪問して、とりあえず陳謝の意を表さしたと、こう言っておるが、これらに対するところの補償問題については、もう済んだのですか、これはどうなんですか、調達庁長官でいいです。
○説明員(林一夫君) 損害に対しては、当然補償すべき義務がありますので、現在調査中でございます。調査が完了しましたら、早急に住民に補償いたしたいと思います。
○相澤重明君 これはもちろん、公式論はそういうことだけれども、この前神奈川県の藤沢でジェット機が落ちたときに、私がやはりこのお話をしましたね。このときも、米軍側は、いち早く現地に行って見舞金を出しておりますが、日本政府のほうがおくれた。そういうことは、今度の場合は、純然たる向こうの問題ですから、調達庁が調査をすればそれで済むだけのことであるけれども、やはり感情論からいうと、何でも早くしてやることが一番早く感情を融和することだと思うのです。長引けば長引くほど、けしからんというものの言い方になってくると思うのです。ですから、そういう点は、この前の話では、大体一カ月以内に調査を終わって、補償もできるのじゃないかと、こういうふうな話だったと思うけれども、その点はどうですか。
○説明員(林一夫君) 一カ月以内に補償できる見通しでございます。
○相澤重明君 それでは、そういうことで努力していただきましょう。 それでは、その次に、官房長官に、先ほど委員長から申し上げていただきました横浜市戸塚区の上瀬谷の米軍通信隊基地の電波障害、私ども横浜の地元としては、非常に迷惑をしておる問題です。これは、むしろ政府で、さっき官房長官がお話しになったように、積極的に、この基地問題については、全国的な問題として取り組もうという、その考え方については私賛成です。三カ年ぐらいで全部解決をしたいと、こういうお話だそうですが、大体そういう考えですか。官房長官どうでしょう。
○説明員(大平正芳君) 今問題の基地につきましての沿革、それから問題点で解決したもの、問題点でまだ未解決のもの、そういった点をずっと集大成して調べまして、それで、調達庁、防衛庁等は、それぞれ三十七年度のもくろみを立てられて、概算要求しておると思います。しかし、それでおこぼれがあっては困りますので、各省庁のほうも全部調べまして、三十七年度にはどういう体制で対処するかという点を作案中でございます。ただ、最初申し上げましたように、三年間で解決するというようにきめたわけじゃございませんが、一々の問題点につきましては、できるだけ早く解決すべく最善の努力をいたしたい、こういう決意で当たっているわけであります。
○相澤重明君 それでは、調達庁長官、この横浜の戸塚区上瀬谷の米軍通信基地に対する提供は、どのくらいの範囲を提供しているのですか。今貸しているのはどのくらいですか。全体の坪数を発表して下さい。
○説明員(林一夫君) 現在米軍通信施設に提供している施設の面積は、七十二万坪でございます。
○相澤重明君 それで、米軍から政府に要請されている行動半径といいますか、先ほどの電波障害になる地域、こういうものは半径二マイルですか、それとも一マイル半ですか。
○説明員(林一夫君) 米側から電波障害防止の要請があった区域は、周囲半径一マイルの地域でございます。
○相澤重明君 そこで、半径一マイルというと、横浜から八王子へ抜ける国道もその中に入るわけなんですが、そういう点も御承知ですか。
○説明員(林一夫君) その広い区域の中に、その道路も入っております。
○相澤重明君 そこで、そういうことを御承知の上で、現在の米軍が、この電波障害をなくするということで、いろいろ地域住民に要請している問題があるのですが、どういう問題をあなたのほうで聞いておりますか。
○説明員(林一夫君) 米軍からこの電波障害防止の要請がありましたとき、これは合同委員会を通じてあったのでございますが、さっそく、合同委員会の下部機構として周波数分科委員会がありますので、周波数分科委員会に付託しまして、日米間において制限内容の技術的な調整を行なってきたのでございます。それによりまして、この区域の中でも、持に接近している地域はどの程度、あるいはその中心から離れている周辺地域においてはどの程度というふうに、いろいろの制限の度合いが違っているのであります。まあ中心に行くほど制限の度合いが強いというようなことになっております。
○相澤重明君 その周波数分科委員会でどういう結論を出されたか、よくわからぬが、農民が耕転機を使いますね。この耕転機にも電波障害を避けるものをつけてくれ、こういうことまで言われている。あるいは住宅の人がテレビを見るためにテレビのアンテナはつけちゃいかぬというようなことが具体的に出されておって、それはしかしみんな地域の住民の負担になるわけですね。これはもうその地域の人は、むしろ労働者とか勤め人という人じゃないですよ。お百姓さんの地主ですね、それから耕作者、こういう人が上瀬谷の通信基地はどいてくれと、こう言う。そのどいてくれという先頭に立って運動をしているのは、自民党の議員の人なんです、正直に言うとね。それで私どもが、なぜそういうふうになったのかということを聞いてみると、いや政府に何とかしてくれということを再三頼んだけれどもやってくれないから、あるいは神奈川県知事にずいぶん請願陳情をしたけれどもやってくれないから、もうどうしようもないから、むしろどいてくれ、こういうのだと言うのです。だから、できるならばわれわれは無理なことは言いたくないから、まあ自分の土地が自分で使えない、あるいは建物も作ることもできない、こういうことになったのじゃ、これはもう自分たちの生活ができぬじゃないか、だからこれは補償してくれ、しかし補償さえなかなかしない、だから買ってくれ、買ってくれなければどいてくれと、こういう段階をいっているわけですね。なるほど素朴な人たちの意見としては私はもっともだと思う。だから、この間は三百台の自動車、三輪車の耕転機をもってデモをやったということだね。私どももびっくりしたくらいなんです。おそらく、そういうことが出てくるということは、私ども政治家にも欠けるところがあるかもしれぬけれども、やはり地域住民に対するそういう親切な話というものが十分徹底していない。それからいまひとつは、たとえばそれが、問題がきまるまでも米軍が勝手に地域住民にそういうことを言ってくるということは、一体あり方がどうなのか、こういう点も私どもは考えてみなければいけないと思う。 そこで、調達庁長官は、一体この電波障害にあっているというのだけれども、それはいろいろ、周波数分科委員会ですか、そこにもお話をされたようですが、一体どういうものがあげられたのですか。そうして、どういうものを地域住民に米軍がつけろと言っておりますか。これは、私は話を聞いただけで、ずいぶん矛盾していると思う。その基地の、たとえば一マイルなら一マイルの中に、今言った国道もある。そうすると、東京からも関西からも来る自動車は、あれはすべてオープンですよ、交通は。その自動車には別に何もつけることはないのです。しかし、その地域の中にいる者には、みなそれをつけろと、こう言う。その金はみな地域住民が出す。自分で買わなければ、電波障害を除去する機械はつけられない。こういうことを米軍側が言うなんということも、ずいぶん人を食った話だし、それからそれをほうっておくというのも、私は調達庁としてもおかしいのじゃないかと思う。なぜ積極的にもっとこの問題を取り上げる取っ組みをしないか、こういう点が私は聞きたいところなんですがね、長官どうですか。
○説明員(林一夫君) お答えする前に、先ほどお尋ねの中に耕転機の問題がありましたから、耕転機のことについてちょっと御説明申し上げますが、耕転機の問題が問題になりましたのは、この通信隊の提供施設の中において耕作を許している、その耕作者の耕転機を使うかどうかについて米軍と相談してやるということになっておる。その提供施設以外の区域についての耕転機は、別に差しつかえないと私は考えております。この上瀬谷の問題につきましては、私どもも、これは長い問題であり、また相当制限をする問題でございますので、重大問題として、今までその対策、検討に取っ組んで参ったのであります。何しろ問題がこういうような大きな問題であり、重大性を含んだ問題でありますので、したがいまして、関係する省庁も多いというようなことで、現在は内閣審議室を中心としていろいろの対策を検討しておるのであります。幸いにして、本年の五月、基地周辺対策協議会とか、あるいは基地問題閣僚懇談会というような、政府全般にわたる協議機関ができまして、こういうような問題も、現在基地対策協議会の議題として討議をいたしております。だんだんとその対策も具体化されて参りますので、なるべく早い機会にすっきりした姿にしたいと、こういうふうに私どもは考えております。
○相澤重明君 調達庁長官が、提供しておる基地、その中における耕作云々ということを言われたが、先ほどのあなたのお話にも出たように、基地は七十二万坪、約八十万坪くらいあるんですね、実際は。だから、それに対して周囲半径一マイルなら一マイルということになると、それはだれが一体補償するんですか。その基地の貸してあるところと、貸してある外の今の半径ですね。その周囲は、それはどういうことなんですか、これは何か払ってありますか。
○説明員(林一夫君) 私が申し上げましたのは、基地の施設内のことでございまして、耕転機が問題になったというのは施設内の問題でございます。その施設外の区域の問題でございますが、これをどういうふうにして協力していただくか、ここに住んでおられる土地所有者にどういうようなことで協力していただくかということにつきまして、現在対策を検討いたしておる段階でございます。
○相澤重明君 それで、やはりまだ実情を調べてもらいたいと思うのだけれども、基地の中の耕作者についてはもちろん当然ですね、あなたの今言われたことで。私も知っております。しかし、そうじゃない、そればかりじゃない。今のこの基地の周辺ですね、周辺でも、この地域は電波の障害が多い。これが一マイルなり一マイル半と、こう言ってるんですよ。だから、その人たちについても、それを言っておるわけなんです。こういうことを考えてくると、それはなるほど、日米安保条約の中で協力体制もしなければならぬだろうし、施設の提供もしなければならぬ。それはそれとして政府の責任でやったことにしても、それ以外のところまで、周囲まで言っておるわけだ。それは別に地域権なんというものは設定してないのですよ。私はこの前も申し上げたのですが、別に日米安保条約の中で地域権なんというものはどこの条文にも書いてない。書いてないから、それを、米軍側から今要請されておるものを、どういうふうに日本政府は協力をするとか、あるいはこれを回答をするかということに迫られておると思うんですよ。その段階だと思うんですね。だから、地域権なんというものをわれわれは認めてもいないし、国会でもそんなことは議論したこともない。政府だって、そんなことは一つも条文として条約、協定の中にないものを、それを、提供してある施設の中ならいざ知らず、その施設以外のところのものについて、お前たち日本人は、これは勝手にここを動いちゃいかぬ、ここに入るときはいわゆる電波障害除去機をつけなさい、こういうようなことは、これは明らかに日本人に対するところの越権行為だと私ども思うのです。そういう点、調達庁はどういうふうに把握しておりますか。
○説明員(林一夫君) お尋ねの施設周辺の半径一マイル区域内の建築物の制限というようなことは、これは強制的に制限することはできないことはよく承知しております。そこにいろいろ問題がある。このことについて、何とか円満に米側の電波障害の防止ができるように、そのようなことができるように進めたいと存じまして、現在いろいろの角度からその対策を検討いたしておる段階でございます。
○相澤重明君 それで、私はこの際、いま一つ、日本政府はもっと積極的になってもらいたい。というのは、むしろ基地の通信ですね、あれを見てみますと、極東の重要拠点になっておるんですね、通信に関する限り。しかし、今非常に機械も進んでおりますから、私は、ある程度いわゆる外へ散らないで、障害を外に与えないで、しかも自分たちだけで受けるということは、今そうむずかしい問題じゃないと思うんですよ。ずいぶん米国の科学関係の報道誌なんか見るとそういう点は進んでおるように私たちは受け取っておるんですがね。しかし、日本へ来ると、日本の基地ではあまりそういうことは言わないで、ここは提供してあるのだからこの周辺はとにかくおれたちの言うことを聞かなければ困ると、こういう形にまあ話が出ておるんで、私は、むしろ提供してあるものはこれはお互い政府間でやったことだからそれはそれとしても、できるだけその基地内自身においてこれが確保できるようなやはり施設を向こうにしてもらうと、日本人が金を出して、回りの者が苦労するのでなくて、向こうでそういうことはできるんじゃないか。このくらいに私は思うんだけれども、そういう点は積極的な話をされたことがありますか。あなたのほうの施設だからあなたのほうでそういう施設をしなさい、こういうようなことに取り組んだことがありますか。ひとつお答えいただきたいのです。
○説明員(林一夫君) 米軍のほうでそういうような対策を講じてもらいたいということは申し入れたことはございませんが、私のほうから米軍に対して強く申し入れておるのは、このような要求はきわめて影響するところが大きいから、できるだけこの制限区域を狭くする、また、制限の程度を低くしてもらう、そうして影響するところをできるだけ少なくしてもらいたいということは強く申し入れております。
○相澤重明君 今までの政府の態度がわかったわけですが、官房長官、今お聞きのとおりですから、これはかなり進んでおると私ども思うんですよ。今のは大体これを受ける日本の中での……。上瀬谷の通信基地や海軍基地は極東の中で重要な通信のセンターになっている。ですから、あまりよそへ漏れることはもちろん防課上よくないことだ、これは軍事上の問題ですね。われわれもわかる。だから、むしろ影響を外に出すよりは内の中にするほうがアメリカのためになる。そういうことは私は率直に話したほうがいいと思うんです。だから、むしろ基地を拡大するのでなくて、今の提供してある施設なら施設の中でできるだけやっぱり機能が十分果たせるような形を進めてもらう。こういうことは、私は、もう日米合同委員会の中で積極的に日本側がやっぱり言っていい、今までやってないんだから。ただ、いわゆるできるだけの性能とか高度の問題をお話しになっておりますが、これはむしろ通信の問題は、私は、今私の申し上げたようなことでやったほうがいいと、こう思うんですよ。それで、しかも上瀬谷の農民、地主の素朴な意見というものは、全然関係のない自分たちに、いきなり基地周辺ということで、何も日本政府からも補償がない、米軍からも補償がない。自分たちが祖先から受けている耕作する土地、あるいは工場なり住宅を作ろうと思って売ろうと思っても売れない、こういうようなものを怒っているわけですよ。 それからいま一つは、公共の問題ですよ。横浜市が市営住宅を作ろうと思ってその周辺に土地を買っておいた。いよいよ住宅を建てようと思ったら待ったを食ったんですね。こういう、少なくとも横浜市あたりでも、公的機関でさえそういうふうないやな思いをしておるわけです。ですから、これはだれがどうだという私は責任を追及するばかりが能じゃないと思う。やはりみんなが解決する努力をしなければいけない。その努力を、先ほどの大平官房長官の言うように、とにかく何とか三十七年度の中で予算化したいと言うから私はそれは賛成だ。できるだけ早くそういう問題をひとつ初年度に、全部というわけにもちろんいかない。しかし、骨格構想を出して、そしてとりあえず三十七年度はどうする、こういうことをやらない限り、私ども社会党の立場から言えば基地撤廃なんだから、自民党の立場と社会党の立場と基本的には違うわけだから。しかし、それにしても、それは別にしても、やはり全然むざんな、受益者の立場というものを無視した現在の立場というものは、これはもう国民感情としてやり切れぬだろうと思う。だからせめてそういう点は、お互いにがまんをしてもらうものはがまんをしてもらうにしても、早く措置をとってやるべきだ。そこに政府が考えを立てられたところで私は賛成だから、けっこうだから、基本骨格構想でも出して、予算化は、せめて三十七年度はどれくらいつけるか、こういうところまで、これを通常国会の中で出してもらいたいのだが、一月下旬に予算を出すと思うのですが、どうですか。官房長官、そういう点、そのくらいまでふん切ってもらいたい。
○説明員(大平正芳君) たいへん御親切な御意見をいただきまして私どもといたしましても十分考究いたしたいと思います。 それから予算の問題でございますが、御了解いただきたいのは、個々の問題点につきまして、私どもは、原則として県庁が媒体、仲介に立っていただきましてお取りまとめ願うように運んでいきたいと思いますが、これはお互いの間の折衝の過程がございますので、それが終わりまして、金額が確定したものにつきましては予算にはっきりと計上して参ると、しかし、こういう基地問題でございますので、三十七年度でございますれば、三十七年度中に起こり得べきことも一応予定いたしまして予算上の御用意をいただかなければならぬと思っております。しかし、それにつきましては、今相澤委員がおっしゃるように、はっきり具体的に金額を示せとおっしゃいましても、交渉過程がございますから、この地区について政府はこれだけ考えておるということを前もってお示しするわけに参りませんので、その辺の工夫は私ども考えて、今せっかく研究いたしておるのです。ただ申し上げられますことは、先ほど申しましたように、政府の責任におきまして早急に縣案の解決に当たると、そのために必要な予算措置も考えると、こういうことは御安心していただいていいと思っております。
○相澤重明君 では最後に。そこでそういう努力をして国民感情をできるだけよくするということは、これは大事だと思う。その点はぜひひとつやってもらうとして、それから地域権の問題、これはやはり日本政府ははっきりすべきだと思う。地域権なんというものを設けるべきじゃない、もう日米安全保障条約の中できまっておるとおりやらせればいいのですよ。よけいな尾ひれをつける必要はない、私はそう思う。それをやらないから結局はあっちもこっちもいろいろな問題が起きてくるわけだ。だから私は条約の中でぴちっときまったとおりやる。私どもの社会党から言えば条約は反対だったから、これは公式論からいけば、そんなものは早くやめろと、こういうのはあたりまえだけれども、そんな公式論ばかり言っておるのじゃなくて、今問題を起こそうとするのであるから、そういう問題が起きないようにする、これがやはり私は政府としても大事なことじゃないか。ですから米軍側からは、いろいろそのときそのときの情勢によって言ってくると思うが、地域権なんという問題は、これはもう作るべきじゃない。この点は条約に基づいて私たちは申し上げておるのです。この前も外務省——これは調達庁や防衛庁なんかじゃないのですよ、外務省の考え方がそういうことを言っておる。だからそれが誤まり伝えられて、政府がいかにも地域権を認めたというようなことを言っておるわけなんです。そんなことは一つもない。日米安保条約をずっと、御承知のように、三条、四条関係を見ても地域権なんというものはどこにも日本は書いてない、だから書いてないものをいかにもあるように解釈をさせるからいけないのであって、そういうことは厳に慎んでもらうように、これは外務省の課長あたりが一番やはり問題を出すところなんです。だから政府の幹部が、総理大臣初め各大臣がそういうことはありませんと言ったところで、課長あたりがそういうことを言うと、いかにもあったようになってしまうから、官房長官もそういう点は如才ないから間違いないと私は思うけれども、地域権なんていう条文がないのだから、そういうことはやらせぬように、今後日米合同委員会の中でも、たとえそういうふうなことがあっても、非常にこれは日本国としてはむずかしいと、とにかく二大政党の中で社会党さんは反対をしていらっしゃるから、自民党としてはずいぶん苦労してやってきたのだと、こういう中でいけば、向こうでもがまんしますよ。そういう面で地域権というものはもう作らぬことと、こういうことでひとつあなたも努力してもらいたい。そしてできるだけやはり基地は狭めていくというのがやはり日本のだれでも、与党も野党もありません、これはみんな同じ考えだと思うのです。ですから、そういう点でぜひまあ上瀬谷の問題もこれは先ほど申し上げたように、われわれとしては相談があれば御相談をするということで、実際は地元の住民の意向というものをなるべく、まあ先ほど申し上げました与党の議員の人ですが、あまりはなばなしくやったところでけんかばかりしたってしようがないじゃないかとむしろ言っているわけです。だから、そういう点でひとつ積極的に調達庁は行ってよく理由を聞いて、聞かなくてもすでに陳情があるならばわかるだろうけれども、神奈川県知事あたりともよく相談をして、そして早く解決するように努めてもらいたい。そうでない限り、私どもはむしろ通常国会の中でも基地返還闘争、基地撤廃闘争というものをひとつ大きく盛り上げていこうと思う。しかし、できなければそうなるというのですよ。だから官房長官にひとつそういう点のないように、社会党さんにも喜んでもらえると、こういうふうにひとつ努力してもらいたいと思う。どうですか、ひとつ最後に締めくくりのお答えを。
○説明員(大平正芳君) たいへん御親切な示唆をいただき、かつ御意見をいただきましてありがとうございました。そういう方向で私も努力いたしますが、相澤先生もよく御承知だと思いますが、今新たに、技術上必要に基づいて新たに提供したものも部分的にございますけれども、返還、開放された地区、坪数等はもう統計上はっきり御承知のことと思いますが、年々歳々逐次御返還になっておりますので、どうぞ大規模な撤廃闘争などを組織されないようにひとつお願いしたいと思います。
○委員長(岸田幸雄君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(岸田幸雄君) 速記を始めて。 ——————————
○大森創造君 外国映画の輸入の問題について税関がカットするという問題、これはここしばらく問題になっておりますけれども、国会ではまだ取り上げたことがないようでございますので、これはひとつじっくりやってみたいと思うのですが、きょうは時間もないようでございますから、あとで法務委員会とかそれから決算委員会のほうで抽象論議はかわしたいと思うのです。だけれども、私が気がついたことを二、三申し上げますから、ひとつお答えいただきたいと思います。「世界の独裁者たち」という映配映画と「夜と霧」というヘラルド映画配給の二本の外国映画が相次いで税関審査にひっかかって、いずれも八カ所カットされました。最近、ここ一年間以内でよろしゅうございますから、外国映画でもってカットされた実績、これをひとつお答え願いたいと思います。
○説明員(前川憲一君) ただいまの大森委員の御質問に対しましてお答え申し上げます。 ただいま御指摘の「夜と霧」それから「デクタトレン」この二つ以外に比較的最近輸入映画等審議会にかかりましたものといたしましてはカストロ・キューバ・アンド・コミュニズムというのがございます。これはフィートといたしまして七フィート、コマ数といたしまして十八コマ削除されまして、もちろんこれは役人が独善的、一方的にやったものではございませんので、輸入映画等審議会にお諮りいたしまして、世間の常識あるいは一般の有識者の方々のお考えというものを参考にいたしまして、行なったものでございます。その決定に対しましてはインポーターのほうにおかれましても、御了承を願っているものとわれわれは聞いております。
○大森創造君 これはインポーターのほうでは御了承を願っていると思いますということですが、これは非常に不満が多いのです。この二つの映画については、従来どうですかわかりませんが、あるいはやむなく了承したかもしれませんが、今までずっとカットしているということについては業界は非常に泣いていると思う。これをあからさまに税関のほうなり大蔵省のほうに言いますと、また仕返しをされるんじゃないかという気持もあると思う。実はこれは非常に今まで問題にならなかったことがおかしいと思う。これはもう非常に困っていると思う。 そこで、あとで憲法論議については日をあらためてじっくりやりたいと思いますので、あなたのほうではあなたのほうの根拠があると思うが、私のほうの見解もあとの機会に申し上げたいと思いますが、きょうは時間がないから簡単にお伺いいたしますけれども、これは法律のどういう条章に基づくことでカットしているのですか。
○説明員(前川憲一君) 関税定率法の第二十一条に輸入禁製品という項目がございまして、それに「左の各号に掲げる貨物は、輸入してはならない。」という禁止規定がございます。それで一号から四号まであるわけでございますが、その第三号に「公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品」というのがございまして、国境行政と申しますか、外国とわが国との境に関しまして、特に商品の出入りを検査あるいは審査いたしております税関といたしまして、こういう条項にひっかかったものにつきましてはそこで輸入を許可しないという態度をとっております。もちろん前回の通常国会におきまして、この関税定率法が改正になりまして、特にこの第三号に該当するものにつきましては、一方的に没収したりあるいは廃棄処分にしてしまうというふうなことをやりませんで、異議の申し立て、不服の申し立てをしていただいて、そのときまではその品物を残しておく、こういうふうにいたしております。
○大森創造君 私の考えでは、これは次回に申し上げますが、関税定率法そのものが憲法違反だと思う。私の考え方はあなたは違うというふうにおっしゃるが、宮澤俊義博士も、そういうことをるる書いている。私も宮澤博士の考えが正しいと思うので、この法の論議は次回にいたしますけれども、それで私は端的にお伺いいたしますけれども、「夜と霧」とかあるいは「世界の独裁者たち」とかあるいはフランス映画の「恋人たち」ですか、こういう問題についてどの分をどのくらいカットして、何コマ、カットするのか、具体的にだれがやるのですか、これは。 そこで関税定率法の改正によって先ほど申し上げました輸入映画等審議会ですか、そういうものが発足したのはいつですか。そうしてそういう審議会が設けられる、何と申しますか、どういう人選をされて、どういう資格なんですか、具体的なカットを幾コマやるとか、どの部分をやるとか、何フィートやるという決定は、この決定は審議会ができる前はだれが具体的にやったのですか。
○説明員(前川憲一君) お答えいたします。「夜と霧」等の、どのくらいカットされましたかという具体的問題に触れる前に、全般的な私たちの気持をちょっと申し上げさせていただきたいと思いますが、カット、カットということは昔の検閲というようないやな言葉につながるのでございますが、私たちの気持としましては、役人が、われわれも税関の役人でございまして、私は本省でございますが、いずれにしましても、別にわれわれ自身が道徳とかあるいは思想とかいうものに対して非常に強権をもって、ある種の判断を強制しようというような、そういう大それた気持は持っておらないのでございます。ただ、世間一般の常識から考えて、非常にわいせつでありますとか、あるいは非常に残虐でありまして、一般の国民の気持には沿わないであろうといったようなものは、これはやはり法律の条文がある以上検査、審査をいたしまして、何らかの対策を講じなければならない、フリー・パスというわけには参らない、こういう気持で審査をしておる。そういうことでありますから、ある意味におきましては戦々きょうきょうあるいは小心翼々やっておるのでございまして、この輸入映画等審議会ができました前身といたしまして、税関長の立場におきまして、輸入映画等審議会というものがいわば内部取りきめでできておりまして、そういう方々の意見を伺ってやる、つまり繰り返して申しますが、役人が独善で、官僚独善あるいは一方的な、主観的なものに陥らないというために自粛自戒してやって参ったわけでございます。ただし、これにはいわゆる法令の根拠がなかった。そこで先般の通常国会で御審議をお願いしまして、関税定率法の第二十一条の二という条文ができまして、これによって輸入映画等審議会というものが法令に基づいたシステムとなったわけでございます。 それから、具体的にだれがどう見るのか、これは税関の職員が見るのでございますけれども、特に輸入映画等につきましては、かりにも係員あるいは第一線の人が独善的、主観的な判断をしてはいけないというふうに思いますので、必ず上司に相談する、つまり税関の、この場合東京税関が多いのでございますけれども、東京税関の幹部に相談してやる、普通の、たとえば旅客の貨物、一般商品等につきましてはいわゆる第一線の職員が独断専行するということもなきにしもあらずでありますが、特にこの映画につきましては、上司あるいは幹部とよく相談してやる。それからかりに税関全体の判断といたしまして、この部分は善良なる風俗あるいは習慣その他一般の健全な国民の感じ方あるいはものの考え方というものに抵触するのではないかというふうに感じましたならば、まず現物をカットする前に、こういうふうに税関としては思うがということを輸入される方に御通知申し上げ、そこで輸入される方がその通知がまことにもっともであると思われた場合にはそのままでありますが、もしもこれは不服であるという場合には、その通知を受けてから一カ月以内に異議の申し立てが行なわれます。異議の申し立てが行なわれますと、今度は輸入審議会が開かれまして、会長さんの主宰のもとに十分御審議願いまして、その審議の結果が答申という形でもって税関長の手元へ来る。税関長はその答申、これが世の良識、健全なる常識を代表するものであるというふうに認めまして、極力これをする、今までの実際例につきましても、審議会の御決定を文字どおりそのまま尊重いたしております。そのことによりまして、今度は輸入業者のほうに、左のように決定したと、審議会の答申を参考にいたしまして決定を通告する。その決定に対しましては、それはさらに一般的には司法的あるいは行政的訴訟の道が開かれておる。したがって、一方的に押しつけられたのではない。少なくともそういう形になっておるのでございます。まあ一般的にはそういうことでございます。 さて「恋人たち」というのは私ちょっとよく、まあ手元に資料ございませんので、「夜と霧」のこと、たまたま資料がございますので、どういう点がカットされておるかということを、ちょっと言葉が露骨になって恐縮でございますが、まず第一は、婦女子が全裸で陰毛を露出して立っております場面、これが六フィートであります。それからいわゆるパンツ等をはいておりません焼死体——焼けただれた死体を非常に近くでクローズ・アップして、大写ししておる。この場面が四フィート、九コマ。それから生体実験に使用されました死体の大写し等、これが十七フィート、十コマ。それから、収容所に放置された多数の死体の描写、これが十一フィートでございます。それから頭部と足部が交錯いたしました死体の山、山のように死体がある、これが四フィート、二コマ。それから多数の死体をブルドーザーで壕の中へ突き落とす場面、これが二十三フィート。それから壕の中にあります死体の山、これが二十六フィート、十五コマ。それから下半身裸体の死体を運び、その男の死体を壕に捨てる場面、これが十四コマ。いずれもはなはだ残酷で、見ておる者が、何と申しますか、普通の人間としての感じから申せばいやな感じを受けるような場面、そういうものを審議会の御審議の結果カットすることを決定いたしたのでございます。
○大森創造君 この問題は、私は重大な問題なので、あとでじっくり論議をいたしますが、私の考えを率直に申し上げるというとチャタレー夫人の裁判のときでもあれほど相当な議論がかわされた。これは外国の映画にしても「夜と霧」でもなんでもそうですが、この全体として一つの芸術品である、全体として一つの完成品であるというものに対して、最近は、ことしの四月か三月からはその審議会というものを設けられたようですが、審議会ができたところで、これは税関長かなんかの依嘱でできたのですから、行政機関には変わりない。行政機関に対する補佐役といいますか、そういう諮問機関としてできたのですから、行政機関の一部には変わりないと思います。そりゃそうでしょう。
○説明員(前川憲一君) 諮問機関でございます。
○大森創造君 そうですね。そうしますと、行政機関が事前にみずからの価値判断でカットをするということは、これはいかがなものかと私は思う。ここに——あなたのほうの税関長は片桐さんですか、現在。
○説明員(前川憲一君) はい。
○大森創造君 片桐さんの書いたものを拝見いたしますというと、今あなたがお答えになったようなものが書いてある。ちょっと読んでみます。「税関の検査は検閲的性格のものでは絶対にあってはならない。」と言いますが、後段申し上げますが、私は検閲であろうと思う。お答え願いたいと思いますが、このことが検閲でないという立証ができるかどうかあとからひとつお答え願いたいと思う。検閲ということになれば憲法二十一条の明らかな違反ですから。で私は検閲であるという解釈をします。これは議論すると長くなりますから、次回に譲りまするけれども、とにかく検閲になると思います。で、憲法違反であります。「あくまで個々の場面が善良な風俗を害するおそれのあるときだけ、その部分を輸入禁止にしているのである。」こういう「善良な風俗を害するおそれのあるときだけ」という判断は、審議会のできる前は、あなた方なり、今御説明のあった税関長なりが、そういう人たちがやっていたんですよ、行政機関の人が。そうでしょう。そうしますと、これが「善良なる風俗を害する」と認定され、判断されるということは、非常に私は著作者に対しても、それから一つの芸術作品に対しても、相当越権じゃないかと思います。極端な例ですが、一つの文章を書く。これは中には夢物語りでない何かあれですね、ちょっとしろうと目には、淫わいなエロ的なものもあるでしょう。日本のたとえば何か昔の相当歴史的な、小説でもなんでも、源氏物語でも、なんでもありますよ。それを税関吏の方が自分の判断で、これは「百人中九十人まで」と書いてあります。税関長は、「その部分を輸入禁止にしているのである。検査は極めて客観的公平に行っている。」というのでありますが、「客観的公平に」というのは、税関吏の方が、みずからそういうふうに思われてやっているだけのことであって、「「夜と霧」においても輸入禁止処分となった個所は、恐らく一般の市民百人中九十人までがとても一般に公開すべきものではないと判定されるようなものである。」こういうふうに片桐税関長は書いておられる。ここが私は問題であると思う。これは僣越ではないかと思う。やってみなければわからない。チャタレー夫人にしたってそうですよ。ここのところが極端である、ここが残酷である、ここがエロ場面である、これは完成品の中の一部分ですよ。しかもそのうちの何フィート、カットする、あるいは何コマ、カットするということによって、その芸術品である完成品がずたずたに芸術品としての価値を損耗することが少なくないと思う。その判断をとにかく税関吏なり、行政官吏がされるということは、これは私は越権ではないかと思う。そこで、これはこの間の通常国会で改正されて、審議会ができたといいますが、審議会は先ほど申し上げましたとおり、税関吏のほうの諮問機関でございますから、行政機関に変わりはない。これはいわゆる検閲とは違います、先ほど申し上げましたように。それから私が今申し上げましたようなことについて、あなたのお考えはどうですか。
○説明員(前川憲一君) お答えいたします。われわれのやっております輸入検査、輸入許可の前提としての検査が、法律上、憲法にいわれる検閲であるのかどうか、あるいは法律そのものが憲法違反であるのかどうか、この点は法律論でございますが、この点は大森委員もまた別途時をあらためて御質問されるそうでございますし、また、それには法制局のほうからお答え願うのがあるいは適当かと存じます。その点において、われわれは、それが憲法に従った法律に基づいて、われわれは、その法律に基づいた行政行為をやっておるのだ、こういうことは前提としてあるのであります。 第二点の芸術品の一部をカットするというふうなことははなはだ僣越ではないかという点に関する私の個人的な気持、実は芸術作品というものに対してのいろいろな考え方と申しますものは、われわれ大蔵省の役人は別に芸術を特に研究をしておるわけではございませんので、格別の大蔵省としての公式見解があるわけではございませんが、これは私のほんの一社会人としての常識といったような立場から申し上げます。 実は映画というものにつきましては、各国で割合きびしい国ときびしくない国がございます。そうして今度は映画を作るメーカーは、最初作りますときに、もう徹底的なやつを作っておくわけです。たとえばわいせつにしましても、残虐にいたしましても、徹底的というと語弊がありますが、一番極限形態まで押し進めたのを一つ作っておきまして、そうしてかりにAという国が比較的きびしい国だ、これは宗教とかそれからその国の社会道徳の、私自身が海外勤務をしておりまして各国旅行をいたしましたから、国によってそういう差があることは私の体験を通して明らかだ。そこでかりに相当きびしい国がありますと、メーカーのほうでA国用——AというのはABCのAでございますが、A国用を作る、それから次はB国用というものを作っておく、C国用というものを作っておく、多少類型的に、段階的に分けた作品を作りまして、もちろんそれも多少ボーダー・ライン的なものは残しておくわけでございます。そういうものを作っておく。だから芸術は、特に映画は芸術作品として一体であって、それを一ミリといえども、一センチといえども削ることは、芸術作品でなくなるものかという論理は、これは議論を吹っかける気持は毛頭ございませんけれども、もしもそういう論理が追及されるとすれば、メーカーが一つ原形的なものを作って、原形的というのはもとの形のものですね、それからA国用、B国用、C国用といったようなものを作るということ自体がはなはだナンセンスであって、それは一体どれが芸術品であるのか、こういうことにもなるわけであります。したがいまして、私たちはもちろんその芸術作品を根本的に破壊するとか、あるいは根本的にもう成り立たないようなものにしてしまうというふうな僣越なことまではいたす気持は毛頭ありません。最初に申しましたように、小心翼々、薄氷を踏むがごとき思いでやっておるのでございまして、その点はなんでございますけれども、その一部をかりにカットいたします場合でも、できるだけ審議会の方方、その中には映画評論家でございますとか、映画界の関係の方もおられますし、また、映倫の事務局長さんでございますか、そういったような映画のほうのエキスパートの方がおられますので、そういったような方々の御意向をできるだけ尊重いたしまして、また、その御意見を伺って、作品の何と申しますか、統一性と申しますか、一貫性と申しますか、そういったようなものが極力こわれないようにということを十分配慮いたしまして、慎重にやっておるつもりでございます。
○大森創造君 そのあなたのお話は私もわかります。わかりますが、外国の例によるというと、A国向け、B国向けというふうに分けてやる、これは商業主義でそうして営利主義、そういう向きはあると思います。しかし、そういう向きがありますが、たとえば「夜と霧」とか、あるいは特定な映画について、そういうエログロ映画でなくて、ここの部分をカットすることはいわゆるどうか、良識的に見て、芸術的に見て映画的に見て、この部分をカットするということはどうかという問題についても、カットされるということ、そういう判断をあなたのほうでされるということについてはこれは問題であると思います、依然として。今のお話の点はわかりますけれども、チャタレー夫人の裁判ではないので……、とにかくあれだけ裁判所が大騒ぎをして、そうしてこの部分はしろうとが見たら完全にあれはエロ小説であるという判定が即座にされると思いますけれども、そうでなくても非常に誤解をされるようであるけれども、これはりっぱな芸術品である、完成品であるというものについて、これは審議会は作ったところで、行政機関のほうでそういう一方的な判断をして、そうして事前に審査をしてそれを一般大衆に押しつけるという、これは憲法でいう検閲ではございませんか。これは法制局のほうでお答え願いたいと思います。検閲と違いますか。
○説明員(山内一夫君) これが検閲であるかどうかというのは、私は検閲の概念をどう立てるかということによると思うのです。それで検閲という概念は、私もだいぶ憲法二十一条に関する著書を読みましたら、必ずしも検閲という概念が私は一義的に学界でもきまっていない、それで私どもの考えておることは、要するに、関税定率法を中心とし、さらに税関法六十七条で担保された映画検閲、映画の検査ということ、これを違憲でないということを極力立証いたし、また、その立証いたしますところの過程の論議は、また他日大森先生のほうから御質疑があったらお答えいたしたいと思いますが、これが検閲であるというふうに一義的にお答えするのは、ちょっと、かえって問題を紛糾させるような気がいたしますので、私どもはこれは違憲ではないということをとりあえず申し上げておきたいと思います。
○大森創造君 そうなりますとなかなかむずかしい問題になりますので、あなたのほうでも一つのしっかりした見解を持っておられますし、私もさらに勉強して、お考えを願いたいということにしようと思いますけれども、私の今考えておることを申しますというと、これはとにかく、憲法は検閲を明らかに禁止しておりますから、検閲は何かということになると、表現行為、その表現に先だって公権力、政府なり行政機関なりの公権力が審査して、不当と認めるときは表現力を禁止する、公権力というものは事前の審査であるということだと思うのです。それで映画製作者がいやだからと言っても、これはまるめることはできませんから、公権力による事前審査であるということが私は検閲の本質であろうと思うのですが、今私が申し上げた限りにおいて、あなたはどうお考えになりますか。
○説明員(山内一夫君) ごく一般的に言われました検閲の概念は、今大森先生がおっしゃったとおりだと私は思います。そういう観点からこの制度を見ましたときに、一応検閲であるという考え方というのは私は否定できないだろうと思うのです。ただ繰り返し申しますが、それが違憲であるかどうかという問題が残りまして、その点については、われわれ違憲でないと、かように考えておるわけでございます。
○大森創造君 非常にむずかしい論議なんですが、それが検閲である。これが純粋の理論的に考えて私は検閲であろうと思うのです、公権力によるところの事前審査ということなんですから。で、あなたは、そうでないと思いますが、憲法第九条の論議などがここ十年ばかりはなやかに行なわれて、事実をもって大体憲法第九条というものを拡大解釈されるという……。現政府の池田内閣以外においてはどう解釈されるかわかりませんが、私の、憲法のいうところの検閲であろうと思うのです。そこで、税関で審査に当たる人に言わせると、こんな淫わいな場面はとっても見ていられないとか、こうした残忍な映画を国民に見せていいだろうかという判断、そういう気持から、いわゆる善意で、今お話をしましたように小心翼々としてやっておられるそういうお気持はわかる、そういう公共の福祉のためである、こういうことによってあの場面をカットするのでありましょう。その気持は私はよくわかりますが、ただそういう判断を国家権力で国民に強制しているのだと、こういうことは事実ですね、いかがですか。
○説明員(山内一夫君) それは私は事実だと思うのです。それで、今税関のほうでやられて、これをお取り扱いになるところのお気持は非常に謙虚にやっておられるというお話だが、ここに一つの危険があるということは、これは先生の御指摘のとおりの事実だと思います。事実この問題が大きな違憲論として出てくる根拠はあると私は思っております。しかし、そういう危険があるけれども、私は違憲でない、こういうふうに思っているわけです。この御説明は、また後に機会を与えさしていただきますれば、ぜひ私のほうから申し述べたいと思っております。
○大森創造君 そうであろうと私も思うのですが、この映画業者が幾ら不服であっても、最後は折れるほかはないのですね。そこが私は検閲の検閲たるゆえんであろうと思います。審査に当たる人は、税関当局はもとよりですが、審議会の委員の連中もこの理屈はおわかりであろうと思うのです。それで、第一、私が次回に問題にしたいのは、今から申し上げておきますが、現在行なわれている税関による映画の検閲審議会を作ったということも含めて、このことが違憲かどうかという問題このことは私は違憲だというふうな判断をしますので、これについてひとつ次回に御質問いたしますから、ひとつ御準備願いたいと思います。 それから、あなたのほうは、もちろん違憲でない、こういう解釈をされておる。私は憲法を改正して、税関による、あるいはもっと一般的なものでもよろしゅうございますが、映画の検閲を認めることが適当であるかどうかということは別個の問題ですが、とにかく現憲法におけるところの検閲にひっかかる検閲である、これは憲法違反であるという考えを私は持っております。そこで、抽象論でなくて、こういうことについて輸入業者のほうは、この措置に対してどういう態度をとっておりますか。
○説明員(前川憲一君) もちろん輸入業者の中には、非常に残虐な場面あるいは非常にわいせつにわたるような場面があれば、あるいはもっとお客が集まったかもしれぬというような気持はもちろんあるでございましょう。その前にちょっと断わっておきますが、実は私この問題に関しまして、輸入業者の方々の直接お話を伺ったり、私からお話を申し上げたことはございませんので、以下申し上げますことは私の単なる想像でございまして、で、そういう意味でカットされたことははなはだ遺憾と思っておられることもあるかと思います。しかし、私の気持としましては、これはもうだれが考えても、世論から見てもむちゃくちゃであるというようなカットはしておらないものと思います。したがいまして、今までのところ、輸入業者があくまでも法廷でこれを争うというような、事例はございません。これはあとで税関からいやがらせをされるであろうから、俗に申します泣き寝入りしたであろうというような解釈もあるかと思いますが、事輸入映画の検査に関しまして、税関が業者に対してそういう一種のあとで何かいやがらせをするといったようなことをやりました事実もございませんし、また、そういうことをするような考え方ではございません。したがいまして、われわれはこれを泣き寝入りとは解しないのでございまして、やはり輸入映画等審議会の皆さん方の良識ある判断が、結果的には、それは若干営業政策上ははなはだ御不満もあろうかと思いますが、大きな目で見た場合には御納得と申しますか、御了承願っておるものと解しております。現に、ほんとうに、非常に不服があるならば、私どものところへでも押しかけて来られるはずでございますけれども、そういうことも今までのところございません。
○大森創造君 この表現の自由とか、言論の自由とかと言っても、これは制限がないわけではないことはもちろんです。どんなことを言っても、書いてもかまわないということではなく、他人の名誉を傷つけることを言っては罰せられるし、わいせつなことを書いても罰せられる。他人のプライバシーを侵すようなことを書いて損害賠償を取られるようなこともあり得る。そういう制限は世の中、世間一般に通常に、自然にあることですから、表現の自由に対する公権力による事前の審査というものは、私はもう憲法違反であろうと考えます。そこで、日本の場合は映倫があるのですから、自主的規制の、ここで当然まずいものは排除されるし、それからさらにまずいものは刑法にひっかかるし、いろいろな法律的には規定がある。それにもかかわらず、私の目から見るというと、完全に憲法違反と思われるような事前検閲を税関がやっている審議会を作った。あるいは作られる前は税関長なり二、三の人が、これはここの場合はどうも世間に通用しないじゃないかとか、あまりにひど過ぎるというような判断によって、そうして先ほど税関の方がおっしゃられたように、国によっては非常に悪質で商業主義でばかりやっているものもありましょうが、そうでなくて、しろうとから見るというと、相当な傑作であっても、芸術品としての完成品であっても、それに対してカットするというような態度は、私としては理解できない。これは根本的な抽象論にもなりますから、きょうは以上でやめておきますが、そういう事前の、まあこの次に本格的な論議をいたしますが、私のほうの気持の一端を申し上げておきますから、どうぞひとつ御準備を願いたいと思います。法務委員会か決算委員会のほうで取り上げたいと思います。
○山田節男君 ちょっと関連質問。 最後の大森君の質問に関して、公序良俗に反するといいますか、残虐であるとかわいせつであるとか、こういった通念は、いわば時代によって非常に違ってくるんですね。これが、何といいますか、裸体写真であるとか、あるいは接吻をカットする、これは一昔前にあったわけです。そういうふうに時代によって、趣味といいますか、そういうものになれっこになってしまって、そう今心配されるほどの、公序良俗に反するというようなことは、これは妥当であるかどうか。それからもう一つは、私も「夜と霧」を見ましたし、現地にも行って見ましたが、あのドキュメンタリーなフィルムの編成というものは、いわば独裁政治、それから戦争のときにおける人間の性質、残虐性、これをかなり誇張した——誇張じゃなくてありのままですよ。ですから、女の裸体とか、あるいはブルドーザーで死骸を片づけるということは、その一コマだけ見れば非常に残虐であり、わいせつであるかもしらぬが、全体として見れば、少なくともあれを編集した意図というものは、そういうわいせつであるとか残虐という、これは一つの映画ですからね、そういうところにポイントを置かないと映画というものはできるものじゃないんです。ですから、そういう一つのきめ手になっている点を、これをしかも税関でカットするということは、一つの局部的な判断において全体の価値をとうだという、そういう大きな視野を一体スポットだけ見てやるということはどうかと思う。ですから「夜と霧」の場合、そういったようなコマが二つも三つも、合計五十フィートも省かれている。少なくともそのシーンとしては相当何といいますか苦心してやったものだ。そういう狭い見方のために全体の映画としての価値といいますか、編集者の意図した点が削られているということは、これは私は非常に遺憾だと思う。 もう一つ、外国の映画これは外地で見ますと、アメリカでもイギリスでもカナダでも、外国映画におきましては、やはり今日本で作っておる委員会、映倫委員会ですか、そういうものが必ずこれは見たものである、それで番号までつけたものがまず序幕に出る。ですから、もしそういうようにやるんだったら、行政官庁である税関でそういうことをしないで、映倫がそういう一つの任務支持っているんですから、映倫の場合にはもちろんこれは合議制ですから、税関でやる場合にはあるいは合議かもしらないけれども、しかし、主観的な立場でカットされるということは、これは非常な検閲以上の、作者といいますか、一口に言えば著作権に対し三国によってそういうものをカットされるということになると、そういうクレームをつけられる。それから編集者のほうからこれはどうせ買い入れるものですから、内地で見せるものについてはこれはもちろん金をもうけたい。作者のほうから言えば不当にそういうことを自分の著作権を国内的に勝手にされちゃ困る。ことに行政機関でやった場合、これはソ連とかあるいは共産主義独裁国家にはそういうことがあるかもしらんが、少なくとも自由国家におきましてはそういうことについては非常に寛大である。ですから、映倫にすべてのそういう責任を負わしちゃって、税関はいろいろな手続なりあるいは輸入フィルムの量の問題なりいろいろなものがあるでしょう、そういうものにとどめて、もっぱらそういうカットすべきかどうかということは映倫のほうへまかすというのが当然じゃないかと思う。ですから今大森君の指摘されるように、私実際は知りませんけれども、税関でそういうことを考えて、今の言われたようなことをしかも五十フィートというようにカットされる、これは、当然行政的な問題としては、憲法の建前から見て毛、あるいは映倫というものを設けたのがその存在の理由というものがなくなるんですわ。この点どうでしょうわ。従来やっておったからやるんだというようなこと。戦前はもちろんきつくやっておったのだけれども、戦後においては、これは新しい憲法のもとで、しかも映倫を作ったからには、今後はそういうことの必要もないと思うんですがね。こういう点はどうですか。法的か問題はさておいて、たとえばそういう点が、民主主義といいますかわ、そこまで僕は税関でタッチすべきものじゃないと思う。今言われた法的根拠じゃこれはちょっと薄弱だと思うんですがね。
○説明員(山内一夫君) 映画のほうをいわゆる映倫にまかせてやるべきだという御議論、先生おっしゃったことは、映画界で大体ほとんど支持されているお考えのようです。ただ、技術的に今の映倫に検査をさせるという考え方の場合に、映倫の検査を受けなければいけないというふうに持っていきますと、映倫自身が一つの権力を握ることに私はなると思う。映倫というのは映画会社の一つの任意組織でできておりまして、映倫に入っていない会社もあるわけです。まあ普通上映されるのをかけたらいいじゃないかという場合に、映倫に入っていない会社の映画をそれにやらせる、映倫の検査を受けなければ公表してはいけないという制度にすれば、映倫自身私は国家機関化するのじゃないかと思うんです。それからもう一つ、映倫に渡すべきか——非常に露骨なわいせつ映画がございますが、それの振り分けを税関でどういうふうにやるかという問題が残る。結局、制度の立て方としては、どの程度を映倫のほうにまかせられるかという技術的問題は残りますけれども、映倫を。ハスしなければ上映をさせないという制度を作る限りにおいては、憲法論としては依然として残るだろうと、こういうふうに私どもは思っているわけです。ですから、先生がおっしゃる制度論がどっちがいいというよりも、憲法論としてはやはり問題が残るということを私は前から考えておるわけでございます。
○山田節男君 あなたは英米法を勉強されたことがあるだろうと思うけれども、法律によってそういう一つの委員会というか、コミッティというか、英語で言うとスタチュウトリー・コミッティ、これは英米法全部そうです。そうなってくると、これは国家の行政機関を代行するんですよ。イギリスの場合には、そういうスタチュウトリー・コミッティの場合、法的根拠を持つ委員会であれば、これは国家がやることを委員会で——委員会なんです。ですから合議制なんです。その委員会そのものが権力を持つ。たとえばイギリスの中央放送局、これはローヤル・チャーターによってできている法人なんです。これはもう国家の代行機関として仕事をやっている。これは複数のガバナーが任命されて、すべて合議制で経営をやる仕組みになっている。ですから、映倫が権力団体になるのじゃないか、それは、法的に根拠を持っておれば、そういう権力を持たなければいかぬのですね。ただしかし、これは法務大臣とかなんとかなり、その委員会で選出された委員長が合議制の結果などによってそれをやるというなら、これは何も憲法違反とかなんとかというものではない。これは、それこそ公序良俗に反するとか、いろいろな道徳的な道義的な面、あるいはその影響が社会のためにならぬ点は、これは取らなければいかぬという合議の末なら、これは検閲でもなんでも、結果においてこれは国家がまかしている以上は、検閲とか憲法だとかという必要はないと思う。これは何本と言わず入ってくるのですから、やっぱり国民のために、著しく思想的に偏して共産党のものはカットしてもいい、わいせつのものは何でもやってしまえというような人選をされているわけはないのですから、これはやっぱりあなたのおっしゃる今の憲法の建前——これは英米法から出てきているのであって、しかも法的根拠からきておるのですから、それによって権力を持つから困る、政府はもう手に負えぬというのは、それこそもう民主的なものではないのでありますから、ですからそう狭く考えないで、いわゆる民主国家であり、そういうスタチュウトリー・コミッティである限りにおいては、もちろんそれに対する主管の大臣は、著しく偏向したものであればこれは処置できるのですよ。ですから、もう少し僕は、あなた英米法的な気持でおられていいと思うのです。ですから、今大森君の指摘されるような問題も、映倫のほうにまかして、これは合議制でやるなら、これによって苦情処理機関もいろいろできるでしょう。当然そういうものは作るべきものです。そういう苦情処理機関も置かずに、独断的に税関で十フィートも三十フィートも切ってしまうということは、これはこれはいかにしても憲法問題、根本問題に触れるのですから、そこのやり方をもう少し、昔のやはり官僚政治の残滓が、尾てい骨が残っておるような気がする、これはやはり大森君が指摘されるように、根本的にそういうものにはタッチしない、しかもそれをやるのは映倫が合議制でそれをやる、それは決して責任を転嫁するわけじゃない、国民も業者も、やはりそれは納得するわけです。それは私は、そうされるのが当然だと思うのです。そうすれば今のような問題は起きてこないと思う。税関で、商品として輸入されるものをカットされる、著しく編集者あるいは著者、著作権を伴っているものに対して、勝手に一官吏が主観的な考えでやるということは、非常なおせっかいであって妥当でないと思う。これはさらに法的問題はまたあとでひとつ、これは研究しておいて下さい、法的根拠の問題は。
○説明員(前川憲一君) ただいまたいへん御参考になるお話を伺いまして、立法論といたしましては、将来われわれ研究してみなければいけないと思っておりますが、ただいま御意見の中で公序良俗というような概念が、時代とともにまあ動的に動いているものである、こういう御注意がございます。その点はわれわれも現行法でこうなっておりまして、いいか悪いか別として、税関で輸入映画の審査をやっておりまする以上、常にそういう時代の流れというものには敏感であるように、また時代の流れにおくれて、いわゆる古い観念の制限を頭にひっかけているというようなことはないようにいたしておりますし、それからまた、この審議会の委員の中にも、特に若い方に入っていただきまして、若い方のセンスを反映させる、こういうふうに心がけておるわけであります。
○委員長(岸田幸雄君) 質疑の通告者の発言は終了いたしました。 本日はこれをもって散会いたします。 午後三時五十五分散会