外務委員会 第5号
- 発言数
- 124 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/10/19
会議録
○委員長(近藤鶴代君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 まず、通商に関する日本国とペルー共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、日本国とインドネシア共和国との間の友好通商条約の締結について承認を求めるの件。以上、本院先議の両件を便宜一括議題として、前回に引き続き質疑を続行いたしたいと存じます。 御質疑のおありの方は順次御発言をお願いいたします。
○羽生三七君 このインドネシアとペルー、両方とも、先方のほうはどういうふうに進行しているのですか。
○説明員(佐藤日史君) ペルーのほうについて先に申し上げますと、すでに先方の議会から七月五日に承認を得て、ペルー側の批准手続を終わっております。 インドネシアにおきましては、すでに、あそこは一院制でございますが、一院制の議会におきまして下審査を、特に本件は、インドネシアにとって最初の通商条約であるということで、大統領自身が非常に率先してこの締結を推進された次第であります。そういうこともございまして、特に、正式に議会にかける前に、下審査を行ないましたということで、その下審査は、議会はすでに終わっております。ただ、目下国連総会に出席のため、スバンドリオ外相が米国に行っておられます。これを終わりまして、今月の末には帰ってこられる予定だそうです。それから具体的に、正式に議会にかけるというふうに、先方の批准手続が進むものと考えております。先方の議会は十二月の中旬まで開会しておりまして、一たん休会して、来年一月再開するということだそうです。大統領及びスバンドリオ外相の非常な御熱意にかんがみますと、おそらく年内に批准手続が終わることは確実じゃないかと、われわれは考えております。
○加藤シヅエ君 この前の御説明の中に、インドネシアからたくさんの研修生を日本で受け入れておるというような御説明がございましたけれども、その研修生の研修を受ける状況等について、もう少し詳しい御説明を伺いたいと思います。
○説明員(高杉幹二君) インドネシアから参ります研修生は、一年間に二百五十名ということになっておりまして、第一回の研修生が目下日本に来ておりまして、その大部分が日本語を研修中であります。日本語は、アジア協会があっせんいたしまして、拓殖大学が日本語の研修に当たっております。研修の分野は、主として自然科学分野でありまして、具体的には、そのつど両国政府間できめるということになっております。すでにきまった分野といたしましては、造船、農業、漁業、繊維、観光業、海運、手工業、銀行等がおもなものであります。その他多岐にわたっております。
○加藤シヅエ君 年令はどのくらいで、それから、こちらへ来る前の向こうの教育は、どのくらいの課程を経てきているか、それを伺いたいと思います。
○説明員(高杉幹二君) 年令の条件というものはございませんけれども、現在来ております二百五十名の研修生を見ますと、これは、学生と異なりまして、社会人でありまして、いずれもインドネシアの高等の学校を卒業して、相当部分がインドネシア政府の中堅の役人というところでございます。
○加藤シヅエ君 研修の状況は、教育を受ける状況を今伺いましたんですけれども、外国から研修の自的で来ている留学生のような方たちのあとの生活というようなことも、非常に重大な問題だと思うんでございます。これは、今までほかの低開発国から他の先進国といわれるような国に留学に送られた例をとって申しますと、アフリカからヨーロッパに留学をしたというよう九場合に、大学に入れるとか、語学を計えるとか、技術を教えるとか、そういうような指導がなされましても、あとの生活の指導というようなことについては全然放任されている。その間にいろいろな、あまり健全でない生活をしたり、あるいは思想に巻き込れたりというようなことが、今までヨーロッパなんかに参りました学生の場合には非常に多く見られている。日本でも、こういうような問題は、研修生に対して、当局として十分な考慮を払っていただかなければならないと思うのでありますが、せんだって新聞などで見ましても、やはりそういうような、状態はあまりよくないというようなことを一時新聞でも見たことがございます。そういう面を少し詳しく聞かせていただきたいと思います。
○説明員(高杉幹二君) インドネシアに限って申し上げると、インドネシアの研修生は、大体二年半、日本において先ほど申し上げました研修を続けるというようなことでありまして、この二年半の研修を終わりますと、査証の関係で、直ちにインドネシアに帰るということになっております。先ほどの加藤委員の御質問は、帰国されてからのお話だといたしますと……。
○加藤シヅエ君 そうではございません。こちらにいる間の日常の生活とか宿泊とか交友関係とか、そういうことでございます。
○説明員(高杉幹二君) インドネシアについて申し上げますと、特別に、インドネシアでは、この学生及び研修生を監督すべき係官というものが、大使館に特別にこのために参っておるわけでございまして、この書記官が専心学生の指導、補導、そういうようなものに当たっておりますので、先ほど御質問のありましたような懸念はないものと思っております。
○加藤シヅエ君 宿泊は、どういうふうになっておりますか。
○説明員(高杉幹二君) 研修生の宿泊状況は、アジア文化センターというのが文京区の駒込にございまして、そこに若干と、それから日本青年館に若干、それから新宿のユース・ホステルに若干、それから、すでに日本語の研修を終わりまして、実際の研修についているものがありますが、そのうち三崎の漁業センター、それから内原の農業センター、そういった所におりまして、そのほかは下宿ということになっております。
○加藤シヅエ君 インドネシアのほうでそういうことを指導なさる、責任を持っている指導委員のような方がいらっしゃる。日本の政府のほうでは、そういうことに対しては、やはり協力をなさることになっているのですか、全然向こうにおまかせっきりでございますか。
○説明員(高杉幹二君) これは、直接的にはインドネシアの大使館及び賠償使節団がやることになっておりまして、われわれといたしましては、インドネシアの大使館及び賠償使節団と協力をしてやることになっておりまして、監督というふうにはちょっと申せませんが、インドネシアの官憲と協力をして、補導及びその世話に当たる、こういうような立場でございます。
○加藤シヅエ君 そういたしますと、その研修生の費用は、万端大使館を通じて、賠償のワクの中で支払われる。そうですね。
○説明員(高杉幹二君) さようでございます。
○加藤シヅエ君 外務当局の方に伺いたいのでございますけれども、これはやはり非常に重要な問題でございまして、たくさんの、二百何十名というような研修生が、日本に二年半も滞在して、各方面から技術その他の研修を受けられる。その機会に、やはりその目的の技術とかなんとか以外の、やはり健全な生活態度とか思想とか、そういうようなものを日本からくみ取っていかれるようにする指導協力というようなものが非常に必要だと思うわけでございます。そういうことに対して、外務当局には全然予算もおありにならないし、そういうような仕事も別にきめられていないのじゃないかと思います。そういうことをどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○政府委員(中川融君) 今、加藤委員から御指摘のありましたとおり、ことに東南アジアからの研修生あるいは留学生、これを日本であたたかくもてなして、ほんとうに気持よく勉強なり研修をさせるということは、これは非常に必要なことでございまして、外務省としても、常々注意しておるのでございますが、遺憾ながら、政府が直接これに当たるということは、どうもいわゆるかゆいところに手が届くというふうにはなかなかいかないものですから、できるだけ民間の機関を使ってこれに当たらしておるということでございます。賠償によって来ておりますものは、今高杉課長が説明いたしましたとおり、インドネシアの大使館と日本の外務省とが協力して当たっておるのでございますが、それ以外の方法で来ておりますものにつきましては、御承知のアジア協会とか、あるいは国際学友会とか、こういうところが世話しておるのでございます。これは、政府も補助いたしまして、政府もしたがって間接にはこの補導に尽力しておるのでございますが、これらの民間機関をできるだけ充実いたしまして、ほんとうにこれらの留学生、研修生の人が満足するような待遇を与えたい。また、これは必ずしもそういう団体だけではやりかねるところがあるのでございまして、そういう面は、むしろほんとうの民間の人たちに、献身的にいろいろ、自分の家庭を開いていただくとか、こういうこともできるだけ考えていただきたいと思いまして、そういう意味で、いろいろ篤志な方もおられますが、やはりこれらの人は、ふるさとを離れまして遠く日本に来ておるのでございますから、家庭的な親しさというものに接することを非常に希望しておるのでございます。そういう有志の方々の家庭にお招き願って、いろいろまたもてなしていただくというようなこともやっておるのでございますが、しかし必ずしも十分にはまだいっていない現状でございますので、今後できるだけまたそういう点には努力していきたいと思っておる次第でございます。
○加藤シヅエ君 今、局長からお話しのように、やはり非常にあたたかく、生活を楽しめるようにしてあげるということが、ほんとうに大切なことだと思うのでございますけれども、そういうようなこと、たとえば民間の家庭でもって、自分の家を開いてお預かりするというような場合に、やはり費用の点が問題になると思うのでございますけれども、私もよく存じませんが、アメリカン・フィールド・サービスというようなものは、日本から行った留学生を個々の家庭が責任を持ってお世話する。それは、政府に対して責任を持っているのだと思うのでございますけれども、そういう制度みたいなものを、やはり東南アジアからたくさんの若い方々が来るのに対して、そういうようなものを日本でもこしらえる、そうしてそれに対して、ただ賠償のお金だけでなくて、日本の側からもそういうような予算を取る、そういうことをすることが非常に必要だと思うのでございますけれども、今後そういう予算を取ろうというようなお考えはないかどうか、それを伺いたいと思います。大臣からどうぞお願いいたします。
○国務大臣(小坂善太郎君) たいへん私も必要なことだと考えております。この点につきましては、特にそれに振り向けられる費目というものは現在ないのでございますけれども、御趣旨は私全く同感でございまして、そういうことに心がけたいと思っておりますが、まず、そういうものの一括してお世話をする何かの団体をやはり考えなければならぬ。アメリカン・フィールド・サービスのような形のものを、国際学友会かなんか、そういうもの、あるいはアジア協会というものがお世話をするような形にいたしまするように、私もさらに研究さしていただきたいと思っております。 なお、ついでに申し上げまするが、受け入れ施設が非常に実は貧弱なのでございまして、これを何とかもう少しゆとりのあるものにしなければならぬと思いまして、その方面についても話をいたしております。若干時期が先になるのでございますが、ひとつ、かなりりっぱな当てがあるようなことで考えておりますけれども、目下早急にこれといったいい建物を作る費用もなく、また、これに対する手当というようなものが一つもございません。まあ三、四年たちますと、実は非常にいい当てがあるように考えておるものがあるのでございます。はなはだとぼとぼしておりまして、申しわけないのでございますけれども、われわれとしては、できるだけ御趣旨に沿うて努力をしていきたいと思います。
○加藤シヅエ君 三、四年じゃちょっと長過ぎると思うのでございます。せっかく日本に来て、いろいろ技術を身につけられましても、日本の社会にいろいろないいこともあるし、あまりありがたくないこともあって、やはり堅実な生活というものを日本人と一緒にやって帰られる、そうして非常に堅実な国家を建設なさる役割をその方たちが持たれるということは、三、四年なんて言わないで、来年からでもどうぞお始めになるように、大臣にお願いいたします。
○説明員(佐藤日史君) お許しを得まして、前回佐多委員から御質問のございました、そのうち一部は書面でお答え申し上げましたですが、残るインドネシアに対する借款供与、この資金のソースについての点、ただいま口頭でお答え申し上げます。 前回も御説明いたしましたとおり、大きく分けまして、三種類の経済協力の方式がございまして、まず第一に、賠償引当借款、この関係の資金のソースということでお答え申し上げます。何分にも外務省の所管ではございませんので、非常に努力いたしましたのですが、わかりましたところだけお答え申し上げますが、あるいは不十分なところは御了承願いたいと思います。 賠償引当借款、この関係十契約ございますが、これは、輸銀と市銀との協調融資ということになっておりますが、その比率は、輸銀が八、市中銀行が二ということになっております。 次に、前回の順序に従いまして、北スマトラ石油開発協力、このための借款供与、この場合には、輸銀の融資が七、市銀の方が三、七対三の比率になっております。 それから最後に、単純な延べ払いの形の場合、これは日綿実業、この前御説明いたしましたですが、これがやっております綿紡績機械三千錘の件でございますが、この場合の比率は、輸銀が八、市銀が二ということになっております。 以上でございます。
○委員長(近藤鶴代君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(近藤鶴代君) 速記をつけて。
○笹森順造君 わが国の領土が、今なお不法に外国から占領せられておることから、国民が大きな損害、打撃を不法に受けておることを排除するために、政府は可能なあらゆる方途を尽くしているかどうかを、外交面については外務大臣に、内政面については法務大臣並びに自治大臣に御答弁を求めるわけであります。 従来に引き続きまして、今期国会において重大な論議の主題となっております大きな問題の一つは、わが国の北方領土が、今なおソ連によって占領せられておることに関する問題であります。これを、池田首相も小坂外相も、不法占領であると、明白に述べておることは、真実を語るものであって、この点は、与野党ともに認めるところと思っております。現在日本は、第二次世界大戦を全部終結して、どこの国とも戦争状態にはありません。それなのにもかかわらず、日本の北方領土は、依然としてソ連によって占領が続けられておる状況であります。それによって、わが漁船が不法に拿捕されたもの九百をこえ、監禁された漁民八千をこえ、しかもなお、この不法状態が続けられておるのであります。この拿捕にあたっては、公海を航行する日本の漁船の前方にソ連の飛行機が爆弾を投下して、彼らの領海と称する海域に追い込んでいき、拿捕曳航するという事実さえ現に行なわれておるのであります。かかる国際的紛争を解決するために、政府はいかなる措置をしておいでなさるか。国際紛争を解決する手段として、日本は武力を行使することを放棄いたしました。これは、平和を愛する諸国民の公正と信義とに信頼し得る状態においては可能でありましょう。しかるに、わが北方国民の安全と生存とが日々かく脅かされておる。この状況で、わが平和憲法がはたしてそのとおり行なわれるか。この点について、不当に拿捕、監禁せられ、あるいは没収されておりまして、塗炭の苦しみに陥っておる漁民とその妻子は実は声あげて泣いておるのが現状であります。そうであるならば、戦争によらず、平和的手段による解決の道はないのか。そのため政府は、この至難な問題と取り組んで、あらゆる方途を十分に尽くしておるかどうかを厳重に吟味する必要があると思う次第であります。日本北方領土をソ連が現在占領していることが不法であるとのことは、小坂外相も表明されておるところであり、私もそう思っております。しかるに、御承知のとおりに、ソビエト社会主義連邦共和国がすでにその憲法を改正して、わが北方領土の一部を共産国のサハリン州を作る一つの部分に含めて、南樺太、千島、国後、択捉、歯舞、色丹まで一切を含めて、その一州として、国内的に一方的に処置しておることは御承知のとおりであります。しかしソ連は、この不法占拠に対する日本の累次の抗議にもがんとして応ぜずに、本年の九月二十六日のフルシチョフ首相の池田首相にあてた書簡においても、領土問題は一連の国際諸協定によって解決されていると表明しております。しかし、この一連の国際諸協定は一体何を意味するのか、これを特定的に表明したことがあるかどうか。あるいはまた、日本の政府でこれを認めないならば、それを明確に、特定的にというのは、どの協約によってこれが決定したと彼らが主張するのか、これに対するところの交渉なり、あるいはまた、突き詰めたそういう問題に関する交渉があったかどうか、まず、この点をひとつお伺いしたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) いわゆる北方領土、国後、択捉、歯舞、色丹ですね。千島の問題はさておきまして、この四つの島につきましては、鳩山内閣時代、日ソ共同宣言を作りまする際に、全権団から非常にさまざまの日本帰属についての強い要請を数々行なってきました。結果的には、共同宣言にございますように、その他の問題については継続審議、こういうことになっております。そこで、あとで交換書簡が松本、グロムイコ両氏の間にかわされておりまして、これについては、領土問題については今後継続して審議を行なうということになっておるわけでございます。そこで、この問題は、いわゆるペンディングな問題でございまするので、私は、この問題でいろいろソ連と交渉する場合に、まずもって必要なものは、日本の国民の一致した支援と申しますか、これに対する深い理解の上に立っての一致した声というものが背後にあって、政府がこれを強力に押すということが必要だと考えます。その意味におきまして、どうも私ども一番国論の統一ということが必要のように考えておりまして、まずそれを作って、その後において交渉をさらに強力に進めたいと、かように考えておる次第であります。漸次その方向に向かって国論が統一されつつあるように考えてはおりまするけれども、まだどうもそうでもないような節もありますので、この点は非常に残念だと思います。
○笹森順造君 今の政治的の配慮のことをお尋ねしているわけじゃなくて、その御努力は、私どもよく承知しておりますが、今、日ソ共同宣言というもの、これは、領土の問題についてはペンディングというただいまのお話は、私もそう思っておりますので、したがって、今までの日ソ間のそういう交渉では、フルシチョフの言うがごとく、すでにこれは決定済みのものになっているのではないのだということだけは、はっきりと私ども今の外相の言葉から了承してよろしいのでございますが、この点をまず法律的にはっきりしていただきたいと思います。どうぞおすわりのままで。
○国務大臣(小坂善太郎君) そのとおりでございまして、領土問題は解決済みであると、ソ連のフルシチョフ首相の主張は、条約的には何ら根拠がないと考えております。
○笹森順造君 そこで、しばしば向こうから一連の国際協定ということを言っておるのは、まず一つは、日本とソ連との間の今の交渉における根拠は全然ないということははっきりしている。それならば、彼らの言う一連の国際協定として考えられるほかのものは、何か心当たりはございますでしょうか。ちょっと私から申し上げますが、これは常識的な話になりますけれども、まず第一に私がお尋ねいたしたいと思っておりますのは、ポツダム宣言というもの自体は、これはやはり考えられる一つでありましょうけれども、これは、領土の最終帰属を決定したものでないと、私どもは法律的に条約の上から確信しておる。その次に、サンフランシスコ条約においても、これは、最終的な領土は決定したということになっていないと、私どもは了解している。その次に来る問題は、今外務大臣のお話のあった点、さらにまた占領中における最高司令部の方から、北方のある一部の島々に対して日本の行政権から排除された部分がある。またある部分は日本の行政権が一時停止されたものがある。しかし、その後サンフランシスコの平和条約によってそれらのものもきめてしまっている。残ったものは、今度はヤルタ宣言だと思う。そのほかに拾ってみても、彼らが言う一連の国際協定と称するものとしても、私はどうもまだ見当たらないような気がする。しかし、その一連の協定というものは、すべてのものを、一つ一つ分析してみて、どこに一体決定済みになっておるものがあるかということを明確にしておくことによって、この困難なる問題が外交的に解決できるのじゃないか。たとえて言ってみれば、十ぺん勝負して、何もわざありになっていない、合わせて一本になっていない、それを合わせて一本になったような印象を与えるようなことを言っておる。私は、これは外務省としては、一々あらゆる想定し得る条件について、残らず、これが最終的な領土の決定を彼らがして、領有し得る権利を持っているものじゃないということを一々はっきりしてもらいたいということで、それらのことについてお尋ねしているわけです。これならば、何もほかの方が言わなくても、外務大臣にお答え願えると思います。核心を一つ一つお述べいただきたいと、こう思うわけであります。
○国務大臣(小坂善太郎君) まず、この第二次世界大戦中に出されましたいろいろな宣言等を見ますと、最初に大西洋憲章というものがあるのですが、これには、固有の領土は奪わない、連合国は領土を拡大しないのだという趣旨のことが言われておるのであります。さらにカイロ宣言、これもそういうことをはっきりうたっておるわけであります。また、ポツダム宣言の第八項で、日本の領土は本州、四国、九州、北海道、そのほかわれらが、すなわち連合国が決定する諸小島、こういうことになっておる。これは領土に対する宣言の問題だと思います。これを受けてサンフランシスコの講和条約ができているわけでありますが、この条約において、われわれは千島及び南樺太を放棄しておるわけであります。ところが、放棄は、連合国すなわちそのサンフランシスコ講和条約に調印をした国に対して放棄しているのでございまして、ソ連に対して放棄しているということは言えないわけでございます。しかもなお、このいわゆるキューライル・アイランズ、千島とは何かということでありますが、これは、一八五五年の日露通好条約及び一八七五年の千島樺太交換条約、これらを見ましても、ことにその千島樺太交換条約の中には、キューライル・アイランズというものがこれこれの島をいう、すなわちウルップ島から北の十八のすべての個々の島の名前をあげて書いてある。しかも、その海峡が指定してございます。この海峡から北が千島になるのだということを明瞭に書いておりますわけでございます。そこで、ソ連の主張は、おそらくヤルタ協定ということであろうと思いまするが、ヤルタ協定というものは、これは日本は当事国でございませんので、何ら日本は拘束されるものではございません。のみならず、またヤルタ協定というものの本質についてアメリカが覚書を出しました。一九五六年の九月七日でございますが、このヤルタ協定というものが、その当時の当事者の共通の目標を陳述したにすぎない。領土移転の何ら法的効果を伴うものではないということを、明瞭に見解を発表しておるのでございます。これは千島、樺太に対する問題でございますが、ことにわが国の固有の領土である歯舞、色丹はもとより、国後、択捉については、これは本来講和条約において法規上千島に入っていないということが条約上も、また歴史的に見ましても明瞭であるのでございまするから、これは、どう考えてみましても、われわれが固有の領土であるという主張は正しいと言わざるを得ないのでありまして、しかも、領土問題が解決済みであることは、どこの条約、あるいはどの宣言を見ても、こういう点については思い当たるところはないのであります。ことに日ソ間において出されました日ソ共同宣言においても、その領土問題は継続審議にするということが明瞭になっておるわけでございます。私どもは、どうもいかなる点から見ましても、解決済みであるという主張には全く根拠がないものであると言わざるを得ないと思います。
○笹森順造君 ただいまの小坂外相の御答弁で、問題ははっきりしたと思うわけであります。私どもはその立場をどこまでも堅持して、国際的にもこの立場を宣明していかなければならないと思うのであります。ところが、それにもかかわらず、ソ連は現実において領有を主張して、また、いろいろな損害を受けていることは、先ほどお話しした通りであります。そういたしましたならば、私どもは、憲法の前文に掲げておることにかんがみまして、「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」という、国際政治道徳の普遍的な拘束をも実はじゅうりんせられておるものと言わなければならないのであります。このように、ソ連は、わが国固有の領土を一方的に自国の領域に編入して、しかも、伝統的にきまっている領海三海里の考え方を破って、国際的にまだ承認されていない十二海里領海説を主張して、今日まで日本の漁船が九百六十三隻、乗組員が八千百八十人、そうしてその漁船、漁民があるいは拿捕された。その手段としては、先ほどお話ししましたような武力的な威嚇の挙にまで出るということすらある。そうしてわが国民の生命と安全が現実に不法に侵害されておる事実、この大きな国際的な紛争の姿を一体政府はどういう形で解決しようとしておるのであるか。 第一は、こういう国際的な紛争の問題は、平和的な解決の手段によって、国連を通してやるということが一つの方法であると思う。先般来、大体国際的な理解と世論とが日本のほうに傾けるように努力しなければならないという趣旨のことを首相も言われているし……それでは、今理事のほうから、小坂外務大臣は要求されているそうですから、私の質問はこの点だけにして、なお継続して、あと重大な国際問題が残っておりますので、事務当局ではなくて、国策として外務大臣にお尋ねしたいと思いますから、今あげました点について、国連との関係のことについて、これから引き続きお尋ねしますから、一括してお答え願ってもよし、今尋ねたことについてだけお答えになってもよろしゅうございます。
○国務大臣(小坂善太郎君) 何かすぐ来いと言いますので、後ほど一括してお答えさしていただきます。
○笹森順造君 どうぞ、やむを得ません。 ただいまの質問の継続を、外務大臣が来たときに、直ちにし得るようにお計らいをお願いいたします。
○委員長(近藤鶴代君) 承知いたしました。
○笹森順造君 私は、なおほかに、法務大臣と自治大臣にも出席を求めておるのでありますが、きのうの連絡では、法務大臣は十一時半にはここに来るという約束でしたが、御連絡はどうなっておるか、お尋ねします。
○委員長(近藤鶴代君) もう少し手があかないそうでございますから、このあと条約案件の残っておりますものを佐多先生に御質疑を願いまして、そのあとで植木大臣を督促いたしたいと思っております。
○笹森順造君 了承いたします。
○委員長(近藤鶴代君) 大臣が退席されましたので、条約案件についての質疑を続行いたしますので、御質疑の方どうぞ。
○加藤シヅエ君 前回お願いいたしました、日本とインドネシア友好通商条約に関係いたしまして、今までインドネシアと日本との賠償によって支払われた船舶関係の資料をいただいたのでございますけれども、これを拝見いたしますと、木下商店というものが全体の中で十四件あるわけでございますね。こういうようなものに対しては、政府は直接関係なさらないで、認証なさるだけの責任しかないというふうに伺っておりますけれども、巷間いろいろあまりに面白くない風評が伝わっているわけでございます。それで今日は、永野護委員が御退席なさってしまって、たいへん残念でございますけれども、永野委員なんか、非常にこの間の事情について詳しく御承知でいらっしゃるわけです。それで、こういうことは、やはりインドネシアのためにも、まして日本のためにもおもしろくないようなうわさが賠償問題と関連して伝わるというようなことは、両国のために非常に不利なことだと思います。それで、政府がもう少し何とかそういうようなおもしろくないような、不潔な風評なんかにからまらないような賠償によるいろいろな役務その他が処理されていくように、もう少し何か監督していただくというようなことはできないものでございましょうか。
○政府委員(中川融君) 先般も、加藤委員からこの点の御指摘がございましたので、われわれとしても、もとより日本とインドネシアの国交、友好関係ということから見ますと、何かいろいろのうわさが立つということは好ましくないことは当然でございますので、もしそういうほんとうに日イ国交を害するような事態が起きるような際には、これは当然考えなければならぬと思うのでございます。賠償のやり方といたしましても、これは、賠償協定を作る際非常に研究いたしまして、先方の希望等も十分聞いた結果、結局日本政府は直接関与しないで、先方の政府と日本の業界との間で直接に話をしてきめると、それを日本政府が認証するというやり方が一番適当であるということできまったのでございます。これは、今でもそのやり方が一番適当だと思うのでございまして、これに日本政府がいろいろ関与いたしますと、今度は日本政府までがいろいろそのうわさの中にからまって、いろいろあることないこと言われることになるわけでございまして、そうなると、これは国交上非常に害が出てくるわけでございます。もちろん、民間と向こうの政府がやる場合にも、いろいろのうわさが出ることは、これはある意味で不可避とも言えるかと思うのでございますが、しかし、ほんとうに何かよろしくないような事情があるような際には、これはいろいろ注意をしたりあるいは、一番いい方法は、先方に注意を促し、先方がそういう暗い影のあるような契約はしないようにということが一番いいわけでございまして、これは、たとえばフィリピンの場合あたりにおきまして、やはり賠償にからんで、フィリピンでも非常にいろいろのうわさが立ちまして、フィリピンの国内問題として、政府に対していろいろ質疑が行なわれるというような事態も起きました。そういうようなことからフィリピン政府も、非常に注意して賠償契約に当たっておるようでございます。したがって、むしろそういうような格好等によりまして、できるだけ事を荒立てず、つまり先方はいいと思って契約するわけでございますから、先方の政府が契約いたしましたものを、日本がいろいろ経緯がよくないということを言いますと、これは角が立ちますので、できるだけそういう角が立たないような方法で是正していくというようなことも、従来も注意しておると思うのでございます。今後は特に注意さして、できるだけそういう方法で、円満な賠償が行なわれるようにしていきたいと思っております。御注意の点はよく体しまして、今後できるだけそういうことのないようにやっていきたいと思っております。
○加藤シヅエ君 今の御答弁で、局長も非常に御関心を持っていらっしゃるということはよくわかりましたのですが、たとえば、船舶なんかが契約が結ばれまして、そうしてその品物が納められたときに、船ですから、これは完全に浮かばなくちゃならないのに、浮かばないような船が向こうに引き渡されたというようなことは、そんなようなことを聞くというのはもってのほかだと思うのですが、そういうようなことは、どこにどういうような方法で不正が行なわれたかというようなこと、向こうの賠償を受け取るほうの国にしても、何か日本側に非常に不正があったというふうに恨まれるというようなこともあるかと思いますから、そういうようなことがあったような場合には、やはりもう少し鋭く追及していただいたり、今後絶対にないようなことを何か考えていただかなくちゃならないと思うわけなんですが、いかがでございましょうか。
○政府委員(中川融君) 賠償で支払いました船が向こうへ行って浮かないというようなことがあると、これは一大事でございます。もちろん、そういうことはあってはいけないことでございます。今確めましたところ、そういう事実はないということでございます。あるいは何か、ほかのことがそういうふうな形になって、うわさとして流れているのじゃないかと思いますが、もちろんそのような事態は非常に極端な例でございますが、賠償で出しましたものが役に立たないものであるとか、品質が非常に悪いということであると、これはやはり今後の問題に非常に響きますので、日本としても、誠意をもって賠償すべき立場にあるのでございますので、そういう点は十分注意いたす考えでございます。
○加藤シヅエ君 商社に、政府としては一任していらっしゃって、そうして契約が結ばれてから認証なさると、こういうことになっているわけでございますね。その間何かおもしろくないような風評が立ちました場合には、これは、日本の国内にもしそういうようなことがございましたら、官庁関係と商社関係にそういうようなことがあると、たちまちこれは汚職というようなことで、たいへんな問題になるのでございますが、やはり事柄が国家の賠償を払っておる、そのお金に関係があるのですから、ただ認証してしまって、あとは商社と向こう側のことだから、政府は知りませんということは、本筋からいえばないわけでございますから、どうぞなお今後とも十分御注意を払っていただきますように、お願いしておきます。
○佐多忠隆君 今配っていただいた資料についてお尋ねするのですが、よくわからないのですが、賠償による船舶と、賠償引き当てによる船舶の違いを一つ御説明していただきたいと思います。
○説明員(高杉幹二君) 一昨年インドネシア側から、賠償によりまして船舶を大量に調達したいという要望がございまして、そのときに、わがほうといたしましては、インドネシアについては、年額二千万ドルという限度がございまして、それ以上の金は支払えないということになっておるわけでございますが、そこで、インドネシア側としては、船舶が緊急に必要であるというような事情もあって、それはよくわかるのでございますので、わがほうといたしましては、そのうちで借款に適すするものを選びまして、それを賠償引き当てにする。借款ということにして、残りを賠償そのものということにいたしまして、そういたしますと、年額二千万ドルの中で賠償の船は支払える格好になったわけであります。
○佐多忠隆君 そうすると、さっき口頭で御説明の、引き当て借款による十件というのと、今のお話のやっとはどう関係しますか。
○説明員(高杉幹二君) 賠償引き当てによる船舶は九契約でございます。
○佐多忠隆君 いや、さっき御説明になった賠償引き当て借款十件、これとの関係……。
○説明員(高杉幹二君) 賠償引き当てによる契約は、船舶が九件でございまして、ホテルが一件でございますので、合わせて十件ということになります。
○佐多忠隆君 そうすると、その船舶の分とあれと合わせて十件で、さっきおっしゃった輸銀八、市銀二というものの内容になるわけですか。
○説明員(高杉幹二君) それは、契約の件数が、船舶にいたしますと九件ということでございまして、ホテルを入れて十件ということでありますが、輸銀による融資というものは、それとは全然関係ございませんので、一件、ことの契約額の借款を供与する場合に、それを一〇と見て、そのうち八対二で、八が輸銀が出して、二が市銀が出す、こういうわけでございます。
○佐多忠隆君 いや、その引き当て借款十件というやつですね、これは、さっきのお話の船舶が九件とホテルが一件、それを十件と言っておられるのですか、この十件というのは。いや、これは全然別の問題だと言われるのですか。
○説明員(高杉幹二君) 船舶九件とホテル一件を合わせて十件と申し上げたわけでございます。
○佐多忠隆君 そうすると、その十件の金額はどうなっておるのですか。
○説明員(高杉幹二君) 船舶が二千万ドル、それからホテルが八百万ドルでございます。
○佐多忠隆君 それが輸銀と市銀とから融資してあるということですか。
○説明員(高杉幹二君) さようでございます。
○佐多忠隆君 それは、ドルで計算をしておるというだけなんですか。円資金で貸しておるのですか。その点はどうですか。
○説明員(高杉幹二君) 輸銀は、ドルで貸すということはこの際ございません。日本の業界、サプライヤーに円で貸す、こういうことであります。
○佐多忠隆君 そうすると、その十件の円の金額は幾らになっているのですか。
○説明員(高杉幹二君) 百億八千万円でございます。
○佐多忠隆君 その輸出入銀行と市中銀行との比率が大体八、二の場合に、北スマトラの場合のやつが七、三になっている。その事情はどういうことなんですか。それから、今後その比率はどういうふうに変更していくのか。
○説明員(高杉幹二君) 大体これは、延べ払いの借款というものに対しまして、輸出入銀行といたしましては、大体原則としては八対二ということでいっているようでございます。
○佐多忠隆君 いや、輸出入銀行としては、初めは八対二だったのだけれども、なるべく市中銀行のほうに肩がわりさせようとして、そっちの比率を上げてきているのが方針でしょう。そのほうがまた、輸出入銀行としては、より効率的になるわけだから、地方のほうに少しずつ持たしていく方向のほうが、それで、北スマトラの場合には、したがってそういう方向に沿って、七、三に進んできているわけですね。これは、ほかの地域との問題にもなりますけれども、この場合に、インドネシアに関する限り、それがどういう方向になるのか、どういう指導の仕方をしておられるのか。
○説明員(高杉幹二君) 融資すべき対象というものが、船とそれから石油と、そういうものの違い、それから、そのときにおける輸出入銀行の資金の状況、それから、関係しております日本のサプライヤーの輸銀に依存しなくても済むという度合い、それから相手方、インドネシア、主として政府でございますが、政府との交渉上、金利が非常に日本側に不利な場合には、輸銀に依頼する度合いが多くなり、それから、日本側に優利な金利が取れるような場合には、市中銀行に依頼する度合いが多くなる。そういうようないろいろな要素がかみ合わされまして、その対象ごとにきまるものと思います。
○佐多忠隆君 そうすると、金利は、輸銀の場合と市中銀行の場合と、どういうふうになりますか。
○説明員(高杉幹二君) 延べ払いの輸銀による金利は年四分でございます、一般に輸出金利は四分でございますから。市中銀行は、そのときの市中金利できまる。最近は、一割近い額になっているものと思いますが、そういうふうな事情でございます。
○佐多忠隆君 だから、業者にすれば、なるべく輸銀に依存したいし、したがって、この八対二という大きな額になっているのですがね。ところが輸銀のほうは、自分たちのところの負担をなるべく少なくして、たくさん効率的にやろうとするから、なるべく市中銀行の比率を高めようとしている。したがって、たとえば八、 二のやつが七、三というふうにもなるし、それからもう一つは、輸銀の例の金利を上げるという問題が出てくるわけでしょう。それらとの関連において、だから、今後金利の問題も関連しますが、方針として、それらの点をどういう方向に持っていこうとされるのか。
○政府委員(関守三郎君) 今の御質問でございますが、これは、日本として、輸出入銀行の資金がどの程度調達できるかという問題がございます。大蔵省としましては、あまりそういうものを出したくないという意見を当然持っているわけでございます。同時に、われわれとしましては、輸出振興、経済協力という建前から参りますと、なるべくなら輸銀調達分をふやして、輸出振興にも資するし、それから、金利も比較的安くなりますので、こちらの方に持っていきたいということで、両方の意見を調整いたしまして、各個の場合に応じまして、民間契約はどういうふうな契約ができるか、その金利が幾らであるかというようなこと、それから、先ほども説明がありましたけれども、民間のサプライヤーの資金調達能力、こういうようなもの全体を勘案しまして、具体的にケース・バイ・ケースにきめていく。しかし、方向といたしましては、われわれのほうといたしましては、なるべく輸銀の資金をふやしていただいて、そうして経済協力を盛んにして、輸出振興に努めていく、こういうふうに考えております。
○佐多忠隆君 この借款だとか、輸銀あたりに借りているのは、もう回収の時期になっているのもあるのですか、どうですか。もし時期になっているとすれば、その回収実績はどうなっておりますか。
○説明員(高杉幹二君) インドネシアの賠償担保借款、船はすでに元本を返す時期に参っておりまして、これは大部分が返るようになっております。その前に、据置期間中でも、金利は支払わなければならぬわけでございますが、その両方を含めて、インドネシアの場合は、外貨で送って来ております。もしこれを外貨で送らなくても、賠償という担保がございますので、この特殊の賠償引き当てという方式によりますれば、外貨ないし賠償円というもので、輸銀には必ず返る、こういうことになっております。
○佐多忠隆君 そうすると、回収がつかないで、したがって、そのために賠償で落としているというようなのがすでにあるのかどうか。
○説明員(高杉幹二君) インドネシアの場合は、全部外貨で送ってきております。
○佐多忠隆君 回収は順調に……。
○説明員(高杉幹二君) 順調に予定通り参っております。
○佐多忠隆君 それから、この海運協力に関する交換公文の問題です。この間もお尋ねしたのですが、これは今後やるのだというお話ですが、今後やるにしても何にしても、今、これによると、賠償あるいは賠償引き当てによって船舶などが相当行っているのですが、こういうのとの関連において、こういう問題が逐次具体化していくのですか。あるいは、これをやるためには、さらに別な船舶供給なり何なりというものがくっついていって、それとの関連において、こういう海運協力とか何とかという問題が出てくるのか。そこいらはどういうふうに今後お考えになっているのですか。
○政府委員(中川融君) 海運につきましてのこの海運協力の交換公文が付属しておるのでございますが、これは、前回にも御説明したと思いますが、要するに、原則をきめたわけであります。今後どう運ぶかということは、この条約が発効いたしましてから、打ち合わせを先方との間にやることになっておりますので、今のところは、まだ原則でございまして、今、賠償引き当て等で、船舶をインドネシアに相当数供与しておりますが、はたしてそれ以上に、さらに船舶を供与してもらいたいという話がありますかどうか、これは、先方の希望を待たないとわからないものであります。われわれとしては、この交換公文の趣旨に沿って、できるだけの協力をしていきたい、こういう考え方でございます。
○佐多忠隆君 そうしたら、今後の問題を一般的にただうたっているのだというお話ですが、これまでは船舶を相当送っておられる。賠償で引き渡しておられる。それに関連してのこういう技術訓練とか何とかは、具体的にはどうなっているのですか、今までの実績は。
○説明員(高杉幹二君) インドネシアからの技術訓練生のうちで、船舶関係をやっておりますのは、現在のところ十五名、もうすでに研修を終わりまして、帰っております。そのほか現在、先ほど申し上げました二百五十名の研修生の中にも、船舶を希望しているものもかなりございます。したがいまして、これらに限らないと思いますけれども、これからインドネシアは船をたくさん持つという計画のもとに、そういう人員を養成していくということでございます。
○佐多忠隆君 それは、その海運技術とか、海運行政の連中だけなんですか。それとも造船のあれもあるのですか。そこらはどうなんですか。
○説明員(高杉幹二君) 海運行政のみならず、造船、それからその運航、すべてを含んでおります。
○佐多忠隆君 そうすると、日本からその海運への協力あるいは造船への協力をするのでしょうが、インドネシア自体としては、造船の問題なり、あるいは海運の問題を過去数年の間、それから今後どういうふうに伸ばそうとしているのか。計画なり実際の状況は……。
○政府委員(中川融君) これは、原則的なお話になって、はなはだ恐縮でございますが、インドネシアは、新興独立国として、どうしても自分の海運をできるだけ持ちたい。自分の船を持ち、自分で運航をしたい。そうして外国船に今まで支払っている金をできるだけ節約したい。こういう希望を当初から持っているわけでありまして、これは、ある意味で当然なことでございます。しかしながら、現実の計画の進捗ということは、結局大きく言いまして、先方の外貨が非常に不足しております関係上、日本の賠償に依存する度合いが非常に大きいわけでありまして、日本が今まで出しております十何隻の船というものが中核になっておるわけでありまして、今後も、結局こういうものが中核になるのじゃないか、若干アメリカ等から船を買ったようなことを聞いておりますけれども、大体日本の賠償計画というものが中心になると見ていいのではないかと思います。 なお、これに関連いたしまして、日本としてどういう態度でいくべきかという問題も実はあるのでございまして、これは、日本とのいわば競争相手になる可能性があるわけでございますけれども、これについては、すでに賠償の実施計画を最初にきめますときから、すでに日本としては踏み切っておるわけでございまして、日本は、アジアの友好諸国が新しく海運を持ちたいという希望については、これはできるだけの協力をやはりすべきである、そういう態度でずっと進んできておるわけでございます。
○佐多忠隆君 この今までに供給している船舶は、向こうで使う場合には、外航船として使うのですか。あの国の周囲の運航の場合に主として使うのですか。どうなっているのですか。
○説明員(高杉幹二君) 差し上げました資料でも、船種の欄にありますように、あるものは外航船でございますし、あるものは内航船でございますので、その外航船は、もちろん将来外国貿易にも使い得るということでございます。なお、回教国でございますので、巡礼船というのがございますが、これは、貨物船も兼ね得るわけでございますが、インドネシアとしては、主としてメッカに行く巡礼船に使いたいという意図を持っているようでございます。
○佐多忠隆君 今このあげられているうちに、外航船に使うのはどの辺ですか。どれらですか。
○説明員(高杉幹二君) 賠償引当用船舶の中で、巡礼船というのが三つ、それから貨物船が三つございますが、こういうものが外航船として将来使われるのではないかと思います。
○佐多忠隆君 引き当てのほうの貨物船は……、前のほうのあれは、貨客船というやつは……。
○説明員(高杉幹二君) 賠償による船舶の中で貨客船というのがございますが、グロストンでいって千六百五十一トンというのでございまして、トン数から見まして、あまり大きい船じゃございませんので、技術的に、これは外航船に使われるかどうかということは、私存じませんけれども、主として賠償担保で、引き当てで供与した船、こういったものは外航船に適するものだろうと思います。そのほかの船は主として内航船、あるいは特殊の用務の船でございます。
○佐多忠隆君 そうすると、この賠償引き当てによるところの外航船の三ばいの中の五千D・W、八百D・W、六百五十D・Wというのは何ですか。
○説明員(高杉幹二君) これはデッド・ウエートでございまして、積載重量を専門語で言ったものでございます。
○佐多忠隆君 八百トンとか六百五十トンというのは、外航に使うのですか。
○説明員(高杉幹二君) 六百トンとか八百トン、こういったものは内航船に使われるものであります。
○佐多忠隆君 そうすると、外航船というのは、貨物の五千という、これ一ぱいですか。
○説明員(高杉幹二君) 先ほども申し上げましたように、巡礼船という三つがございますが、これは巡礼船に主として使いますけれども、巡礼船に使わない場合には貨物船としても使えますから、六隻、これが外航船として使われることになっております。
○委員長(近藤鶴代君) ほかに御質疑のおありの方はございませんか。——それでは、両件に対する質疑は、今回をもって終局することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(近藤鶴代君) 御異議ないと認めます。 ——————————
○委員長(近藤鶴代君) 次に、第二次国際すず協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題にいたしたいと存じます。 本件は、去る十七日衆議院から送付されまして、本付託となりましたから、念のために申し上げておきたいと思います。本件につきましては、先般提案理由の説明を聴取いたしましたが、さらに補足説明を外務省当局から聴取いたしたいと思います。
○説明員(鈴木文彦君) 第二次国際すず協定の提案理由の補足説明を申し上げます。 第二次国際すず協定の目的は、価格変動の激しい国際商品の一つでありますすずの国際価格を安定させることにありますが、協定は、すずの国際価格を妥当な価格、すなわちトン当たり最高八百八十ポンド、最低七百三十ポンドのワク内に安定させるための仕組みといたしまして、生産国の供出いたしますすず地金と現金との二つからなる緩衝在庫制度を運用するという方法及び生産過剰の際の輸出統制という二つの方法をとっております。この緩衝在庫は、他の商品協定には見られません独特のものでございまして、価格が八百八十ポンドを上回り、または七百三十ポンドを下回るときには、理事会が任命いたします緩衝在庫管理官が、緩衝在庫の手持ち現物または現金で市場に売買操作を行ないまして、国際市場に出回るすず価格を、先ほど申しました、最高八百八十ポンド、最低七百三十ポンドの範囲内に安定させることを目標としているものであります。また輸出統制は、緩衝在庫の手持ちが増加いたしまして、供給過剰が明らかとなりました際に、加盟しております生産国及び消費国の同意のもとに、あらかじめ協定に掲げられております割合に基づきまして、生産国に対する輸出割当が行なわれることになっております。最近のすず相場は、本年二月以来高騰の傾向を示しておりまして、六月には、協定の最高価格八百八十ポンドを上回りました。その間緩衝在庫の売り操作も効果がなかったのでありますが、これは、多分に投機的要素を含む、いわば異常な状態と見られていますので、目下すず理事会では、当面の供給不足に対処するために、生産国及び消費国の一致しました意見として、米国に対しまして、その軍用在庫の一部を放出することを要請いたしております。これによって市場が平静となった後に、協定の正常な運営をはかることといたしております。 わが国は、この協定に参加することによりまして、すずの国際価格の安定を通じて、近来とみに重要性を増しております第一次産品生産国に対する協力、及び世界貿易の拡大に積極的に寄与することとなりますとともに、これら生産国、特にわが国と関係の深いマラヤ、インドネシア、タイ等の東南アジア諸国に対するわが国の通商政策上の利益は大きいものと考えられます。 なお、この協定は、所定の数の国が批准または受諾を行なっておりませんので、まだ確定的に効力を発生するに至っておりませんが、政府としましては、とりあえず六月二十九日、受諾する意思がある旨の通告を行なっている次第であります。
○委員長(近藤鶴代君) 本件に関する質疑は、次回に譲ることといたします。 ——————————
○委員長(近藤鶴代君) 北方領土問題について、笹森委員から質疑の通告がございますので、これを許可いたします。 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(近藤鶴代君) 速記を始めて下さい。
○笹森順造君 先ほど来、わが国の北方領土がソ連によって不法占領せられております問題に関して、とれに対処する外交的な問題は、外務大臣から御答弁を求めて、審議を始めておったのでありますが、これに関係して、やはり国内法に関係した問題がありますので、若干法務大臣にお尋ねしたいと思います。ただいま申し上げましたように、わが国の北方領土がソ連によって占領されておることは、これは不法であるということは、現内閣のはっきりとした態度でありますことは、首相、外相の言明によるばかりでなく、これは政府の統一したお考えであることを確信をしておるわけであります。ところが、これによってわが国民の生命の安全が脅威せられ、もろもろの権利、財産等が侵害されているという事実がある。これによって、国民が正当に保護せられなければならぬ条項がいろいろとあるわけであります。したがいまして、これに関連しました問題で、特に法務大臣と直接関係のある問題についてお尋ねをいたしたいと思うわけであります。それは、やはり外交の方針というものと国内的な内政の方針というものが完全に一致しなければならぬことは、言うまでもないと思うからであります。 そこで、お尋ねいたしたい第一は、現在ソ連によって不法占領せられておりますわが国の北方地域面に関する戸籍の取り扱いに関してであります。終戦時の北方地域住民の戸籍を内地に移籍させる方針を政府がとったことは、これは私ども承知しておるものでありますが、その当時の状況と現在とは非常に違ってきております。そこで、そのとられた方針が国の方針として現在なお続いておるのか。これに対するところの修正が当然加えらるべきだと思うが、このことについて、法務大臣はどういう態度で、どういう指令を下しておられるか、まずお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(植木庚子郎君) お答えを申し上げます。 北方領土、ことにわれわれが、政府といたしましても、あくまでも日本の固有の領土なりと考えておりますところの歯舞、色丹は申すに及びませんが、国後、択捉の方面に居住しておった者で、従来その地域で本籍を持っておった者、こういう人たちについては、ただいまも御指摘のとおり、御承知のとおり、すでに本土に引き揚げておりまして、そうしてそれらの人たちはいずれも、政府が強要したわけではございませんけれども、大体において、戸籍は一日もなくては生活上困るものですから、本土のほうに本籍を移す、すなわち移籍の手続をいたしておるのでありまして、したがって、現在におきましては、この戸籍関係の面では何ら痛痒を感じておらないのではないかと、かように思います。移籍の問題は、御承知のとおり、終戦当時にはすでにほとんど引き揚げておりましたし、移籍の手続は、本来の本籍地へ届け出てもよろしいし、あるいは自分が本籍を移そうとする先の市町村へ届け出てもよろしいと、こういう建前になっておりますので、その後者の手続によって、いずれも内地のほうに本籍を持ってきておるようであります。そういう手続になっておりますが、それを今後どうするかという問題につきましては、ただいまのところ、われわれの知っております範囲では、関係者からの特別の申し出もありませんし、またその移籍をいたしました先の市町村において適当に届出、その他謄本、抄本の交付等もできておりますから、政府としましては、特にこの点について、これをどう改めようとかなんとかというような特別な考えは今持っておらないのが現状でございます。
○笹森順造君 ただいまのお答えでは、私ちょっとふに落ちないことがあるわけであります。それについて、なお認識を明確にするためにお尋ねしたいのですが、ただいま申しました北方領土の前の居住者が全部移籍をしたか、まだ残っている者はないか。私は、あるということを確認しているわけですが、その点をはっきりとまずお答え願いたいと思います。そうして残っておるならば、どれだけ残っているか。今のお話では私は納得ができないからお尋ねするのです。大体戦前の北方地域には、約三千世帯の住民が住んでおった。そのうちの約二千世帯というものがその地に本籍を有していた。ところが、今のお話のごとく、当時の国家の方針として、移籍した方がよかろうということは強要はしなかったけれども、慫慂はしておった。この事実がある。だから、強要しなかったことは、大臣のおっしゃるとおりですけれども、慫慂した国策であることは事実である。そうしてなお、今まで残っている者があるわけです。そのことについて、今法務省の方で、どれだけ移ってどれだけ残っておるか、明確な数字でもってお答え願いたいと思います。それからでなければ話が進まぬと思います。
○国務大臣(植木庚子郎君) 今なお本籍が向こうに残っておる者があるかどうかにつきましては、私実はつまびらかにしておりませんので、政府委員も出ておりますから、この点については、政府委員からかわってお答え申し上げたいと思います。
○政府委員(平賀健太君) 私どもの調査も、これは必ずしも確かではございませんが、現地の法務局において、昭和三十三年に調査しましたところによりますというと、いわゆる千島、これは北千島も、全部の千島を含めまして、戸籍が約二千あったという数字が出ております。そしてその戸籍に登載されておりました人の数が大体一万人だったという調査が出ております。ただ、この戸籍簿が全部本土のほうに疎開されたわけではございませんで、わずかに一部だけが疎開しておるような状況でございますので、正確な数字は、ちょっと把握が困難でございます。しかし、現地の出先の調査では、ただいま申し上げたような数字になっております。 それから、ただいまお話のように、終戦後におきましては、この従来千島地域に本籍を有していた人の戸籍事務というものが、戸籍法の規定どおりには処理できない非常に困難な事態になりましたので、できる限り転籍をしてもらうように、強制したわけではもちろんございませんが、転籍をしてもらったほうが便利であるということで、転籍を慫慂いたしました。その関係で、一体どれだけ籍を本土のほうに移したかという数字は、私どものほうでは把握いたしておりません。
○笹森順造君 今の政府委員のお話で、把握しておらぬと、したがって、現地にまだ戸籍を有して、動かない者があるということは、これは納得、承認されますか、せられませんか。
○政府委員(平賀健太君) そういう人もあり得ると思います。
○笹森順造君 そこで今の話が出てくるわけであります。引き続いてこれに関する問題をごく簡単に、要領だけお尋ねするわけですが、そういうわけで、現地にまだなお本籍を持っておる者がおると。ところが、その現地に本籍を有している者を、この内地に現住所があった場合に、それをそのとおりに取り扱うところの戸籍事務が北方においては行なわれておらぬと、こういう工合に私は了解しておるので、先ほど法務大臣のお答えとはよほど変わった現状であると、私は思っているわけです。その点はどうでございますか。 もう一度お尋ねします。この移籍した者についてはお話のとおりであるが、現に被占領地域に戸籍を持っておって、移しておらぬ者が現にある。その者が向こうの方に戸籍を持っておって、現在内地に居住しておる。現住所に対してはそのとおりな登録をして、その現地に、たとえば歯舞、色丹なり、国後、択捉に本籍を持って動かないものであるの、だということの、そのとおりのことを取り扱うような手段を、国内においては法務省においてやっておらぬ、こういうことで、非常な不便を感じておる実情について実はお尋ねしておるわけです。その点はどうでございますか。
○国務大臣(植木庚子郎君) ただいま民事局長からもお答え申し上げましたとおり、数字を確認はしておらないが、実際問題としてはあり得るかもしれませんというお答えを申しておるようでありますが、そうした方々については、従来政府がとっておりました、強制ではないが、なるべく内地へ移籍をしてもらいたいということによって、これに協力していただけば、戸籍事務に関する限りは、大して支障なくいけるのじゃないかというふうに、事務当局からも説明を聞いておりますし、私も、大体それでいけるのじゃないかと思います。しかし、何か特殊な御事情でもあって、どうしても現地に本籍は残しておいて、現住所として当分の間北海道の、本土では内地のしかるべき土地に居住するというような場合があるとしますと、仰せのように、本籍地と現住地との間における戸籍事務についてのそれに処すべき対策が今は欠けておるということは、認めざるを得ないことだと思います。
○笹森順造君 そこで、ただいまのお答えで、私は実は満足しておるわけなんです。というのは、実は、昨年の四月五日の本委員会においても、それから九月一日の委員会においても、この問題は指摘したわけです。なぜそういうことを指摘したかというと、日本の国策として、今、日本の行政の行なわれておらない、もとの固有の領土に本籍を持っておる者で、そうして現住所が日本の内地にある者に対しては、あるいは奄美大島なり、あるいは小笠原、千島なりに対しては、そういう取り扱いをし得るような方途を事実講じておるわけです。にもかかわらず、北方領土についてはちくはぐなことをしておるから、それでは、この行政のあるいは法的な取り扱いの一貫性を失っているじゃないか。したがって、これは当然そういうことをし得るように、取り扱いの機関を内地に持つべきではないかということを実は私は昨年来指摘しておる。当時の法務大臣も、それに対しては、いろいろ検討して善処をするという、または検討しますということをはっきり私に答えておる。ところがその後、今の法務大臣のお話のごとく、そういう矛盾を認めなければならない現状に置いておるということは、私は非常に遺憾なことだと思う。これは小さな問題ではなくて、実は、今の北方領土に関して、日本が固有の領土であるということを主張しておるところの外交の線とぴったり合わないというようなやり方は、これは私は、どうしても日本の主張を弱めるということになりはしないか。私は、これは決して政府を責めることではなくて、そういう欠陥を今のうちに是正しなければ、外交と内政に関する政府の一貫性を欠くという意味から、少なくとも南方と同様に北方においても取り扱うべきではないか。今の法務大臣のお話で、移籍を慫慂するということは、これはそうせずに、南方と同様な取り扱いをするという工合に、ここではっきりと法相がお話しになるならば、私は徹底的に満足すると思うのだが、この辺を一体どうなさるか、重ねてお尋ねしたいと思うわけです。一貫性を欠いておる。これをどうなさるかということであります。
○国務大臣(植木庚子郎君) 御意見、一応ごもっともに感ずる筋もございますけれども、私は、その点は、小笠原でありますとか沖縄のような、南方関係とはやや趣が違うのじゃないかというふうに考えております。と申しますのは、沖縄方面あるいは小笠原の方面のようなところは、一時明瞭に、外交上の実情から申しましても、こちらの施政権が及ばなかった。またあるいは現に及んでおらない。その分について、内地においてそれにかわるべき適当な事務所等をこしらえまして、そうして戸籍事務を扱っているというのでありますが、北方の先ほど来問題になっておりますところの固有領土の問題につきましては、これは、外交的には、われわれは、あくまで日本の固有の領土であって、何ら法律的にそこから引き揚げなければならぬとか何とかという筋のものじゃない。それが事実問題として不法な占拠にあっているがために、こちらの行政が及ばない状態でありますから、その点は私は、北方領土と南方領土の場合には、やや趣が違うのじゃないかというふうに考えます。しかしながら、それについて今御指摘のような考え方も成り立つとは思いますけれども、しかし、一応またわれわれ、ひるがえって別の考え方から考えてみますというと、北方領土についてはあくまで不法占拠であり、われわれとしては、それを南方領土と同じような扱いで、内地に特定の事務所を作って云々ということにいたしますと、かえって何か、不法占拠であるのにかかわらず、それをむしろ正式に認めたのだというようなことにもなりかねない。そうしますというと、私は、ある意味において、非常に両者の場合が違うのじゃないかと思いますから、その意味では、むしろ今のような扱い方も一理あるのだ、そうしてまた、それが非常に不便だといえば、戸籍事務に関する限りは、とにかく内地へ移籍という手続もあるのでございますし、しかも、その移籍は、現住の所へ届け出るだけでやれる手続があるのでございますから、その方法によってやっていって、何らもとそちらにおった者が、この事務上非常に不便を感ずるというようなことはないわけだから、それならば、今の扱いでも一応筋が通っているというふうにも見得る余地があるようにも思います。しかし、笹森委員の御指摘になりますような理論も、ある意味では成り立ち得るかなということを私も考えます。そういう点があるからこそ、おそらく前任者、前々任者等も、よく検討いたしましょうということで検討したけれども、まだ今日までのところは、従来の仕組みを改めないでおるというのが、実情であろう、こう私は考えておるのであります。
○笹森順造君 私は、ここで何も論争をするつもりはございませんので、質問ですから、大臣のお考えがどういうお考えであるかということを伺っておるのですから、大臣のお考えはお考えとして伺いますが、ただ、そこで伺いたいことは、固有の領土であるがゆえに、なおさらその場所に本籍を持っておる者は持っておる者としての証明ができるということをすべきでないかというのが私どもの考えである点を申し上げて、そういう意見もあるなということを承認されたようでしたから、私も議論するわけじゃないのですが、そのほうがむしろ強い意見であると、私はそう信じておる。しかし、そのことの論争をここでするわけではなくて、実は、そういうことを申しますのは、何ら差しつかえがないじゃないかということを仰せなさることについて、非常に実は差しつかえがあるから、実はこういう問題を提起したわけであります。そこで、どういうことになっておるかと申しますと、御承知の通りに、この北方の島の生活の体験者が引き揚げてから、すでに十余年を経過しております。したがって、例年幾らかずつ死亡しておるという事実があるわけであります。そうしてこの島民から生まれました子供が、つまり島に祖先伝来の墓を持ち、それを残してきた、また祖先伝来の不動産を残してきているわけでありますが、これを相続し、また、現に固有の領土でありますから、守っていかなければならないこの子供たちの本籍が、全くそれから証明されないということにおいて、非常な困難を感じておるという事実がある。これを私は特に関係者から聞くわけでありまして、先ほど来別段不便がないのだということを仰せになりますことは、実は非常な不便を感じており、また、これにより非常な損害を受けておるという事実があるから、ここで申し上げているということであります。したがいまして、今申しました小笠原や沖縄とは違うということは、ある意味において違うということも、私も、それはある点においては了承いたしますけれども、むしろそれであるがゆえに、一そうこの北方領土の戸籍の関係というものが厳重に考えられなければならないのじゃないかということを考える。 そこで、具体的に問題を進めて参りたいと思うのでありますが、この不動産登記についてであります。この島に残して参りました不動産の登記事務を一体どう取り扱っているかということをお尋ねしたい。固有の領土である。このことをお尋ねいたします。不動産の登記、移転の登記について、どういう工合に取り扱っておるかということをお尋ねいたします。これは、今の固有の領土であるという点に関する重大な論拠になります点ですから、お尋ねいたします。
○国務大臣(植木庚子郎君) 不動産登記の問題につきましては、北方領土に所在しております不動産については、現状のごとき不法占拠にあっておりますので、これについて、その権利があることは、もちろんあるのでございますけれども、それを登記する手続、登記の手続がなかなか行なえるようになっておらない。この点は遺憾に存じます。これについて、ソ連が占領しておる現状のもとでは、実際問題としては、なるほど相続というような場合は、これはもちろん相続の問題があり得るのでございますけれども、これのいわゆる売買とかといったような取引は、これは事実上行なわれないのが常識じゃなかろうか。こういうように思うのでありまして、その意味からいえば、私どもは、不動産についての登記の関係は、どうもそこに何となく割り切れない、何かこれは考えなければならぬ点があるのじゃないかというふうに思ってはおるのであります。
○笹森順造君 何か考えなければならぬのじゃなかろうかという御親切なお考えは、私はけっこうだと思うのです。今想像的に、権利の売買というものはなかろうということを言われますけれども、実は、もと島に不動産を持っておって、これをその子供が売る、またそれをほしい、いずれ日本の領土に返るという期待のもとに、そういうことは、現に歯舞、色丹において実例があるわけです。そのことが、登記ができないために非常に困っておるという問題があるわけです。それが実はあるがゆえに、何ら支障がないのじゃないかとおっしゃるけれども、そうではないのだということを認識していただかなければならぬので、この点を申し上げているのです。これは、御承知の通りに、小笠原に対しては相当な額の金が回ってきている。六百万ドルという金、邦貨では約二十数億になりましょうか、この配分にいたしても、その算定に土地というものが含まれている。したがって、あの一例を、小笠原のほうに見ます場合には、こういうことで、現に売買というものが盛んに裏面的に行なわれているという事実がある。こういうようなことに刺激をされつつ、この北方領土においても同様なことが現に行なわれているが、今現に遺憾に思うというお話のごとく、不動産の移転登記ができない。そうして第三者に対抗することができないという工合に、日本の法律が外交の線とマッチせざるがゆえに受ける国民の損害というものを、一体日本の法を預かって下さる法務大臣がどういった処理をするか。ただ遺憾ということだけではいかぬのじゃないか。そこで私は、はっきりとこれは事実上証明ができないということであれば、これは問題であります。しかしながら、被告領地における不動産の移転というものはできるのだ、またそれをする道が開かれているのだ、その機関もあるのだ、こういうことになってこそ初めて私は、法務大臣の職責が全うされるのじゃないかと思うわけです。ですからこれは、お話のごとく、事実上困難であることは百も承知であるが、しかし、その道が開かれていないのだから、そして不当に権利が侵害されておるということ、これを救済する道が国内法的に欠如しておるということ、これを国策上私はお尋ねしておるわけでありますから、この点について明確な御所信を御披瀝願いたいと思うわけであります。
○国務大臣(植木庚子郎君) 非常に仰せのとおり大事な、むずかしい問題でございますが、従来から検討を続けておりますけれども、検討してきておる詳細等については、実は私は聞いておりませんから、政府委員をして補充させることにいたしたいと思います。仰せのように、確かに現在、そうした不動産等についての権利の行使がかりに死んでしまったような状態になっておって実行できない、実行できないけれども、しかし、それをやはり何らかの取引の対象にする場合もあるのだということを仰せられますと、なるほどそういう場合に対しての措置は、かりに数は少いにしても、何らか考える必要があるのじゃないかと、私は今率直にここで感ずることは、申し上げました通りであります、しかし、おそらくいろいろな研究をしておることはあると思いますから、政府委員に補充さしていただきたいと思います。
○政府委員(平賀健太君) 私から補足して申し上げます。 ただいま小笠原との比較のお話が出たのございますが、小笠原につきましては、それは、アメリカに日本が施政権を移しております関係で、小笠原の登記事務というものは、日本国では、こちらの登記所では全然やっておりません。したがいまして、今お話の補償金の分配に関しまして、土地所有者に補償金をあげるという問題が起こります場合に、いかにして所有権を設定するかということは、一つの大きな問題になると思うのであります。しかも、非常に不幸なことには、終戦の前でございますが、現地にありました登記所が空襲を受けまして、当時の登記簿が全部滅失しておりまして、こちらの方に登記簿が全然ないのでございます。そういう実情にあるのが小笠原でございます。ところが、北方地域におきましては、非常に幸いなことには、終戦の直前に、国後、択捉に千島全部を管轄する登記所があったわけでございますが、登記官吏が本土に疎開いたしました際に、この登記簿全部を持ち帰っておるのであります。それから色丹につきましては、これは、戦前でありますと根室区裁判所、現在では釧路地方法務局、そこに色丹島の関係の登記簿が全部保存されておるわけであります。したがいまして、終戦当時における権利関係がいかになっておるかということは、その登記簿があれば、はっきりわかるわけであります。ただ、先ほどのお話によりますと、現在でも取引が行なわれておるということでございますが、そうなりますと、現在は、先ほど大臣からお話しのように、登記事務が事実上停止のような形になっておりますのは非常に不便になるわけでございますが、しかし、他方翻って考えますと、現地に行けない、現状がどうなっているかということがわからないのに、不動産売買が行なわれて、それがもし登記できると、登記も必ずしも現状に即さない不確かなものになるわけでございまして、そういう登記を認めることがいいかどうか、そういう政策的な問題もあろうかと思うのでございます。ただいま大臣からも仰せがございましたように、なおこの問題は、十分検討する必要があるとは思いますけれども、本土にありますところの不動産と同じように登記を認めることがいいかどうか、私ども事務屋といたしましては、かなり疑問を実は持っておるということを申し上げたいと思うのでございます。
○笹森順造君 私は、これ以上論争めいたことは差し控えますが、大体大臣のお気持はよくわかりますが、事務当局の何か自分のやっていることを防衛するような口吻はあまり感心しない点で、もっと親切に考えていただかなければならぬと思います。したがいまして、やはりこれは、単に検討する検討するでなくて、今日は困難であるけれども、実際にそういう生命、財産を脅かされている、権利を侵されているということに対して、どういう救済をするかというあたたかい心が、もし政治であるならば、なければいけないと思う。この点を特に私は心配するとともに、そうすることによってのみ、固有の領土であるということを法的に確認することによって、私の常に主張している——私は、数回外務委員会から派遣されて、現地に視察に参った責任を持っているわけでありますが、ソ連は拿捕、抑留された者に尋ねられます多くの問題は、日本の政府が、このソ連が占拠しているところの土地に対してどういう国家的な配慮をしているか、どういう法的な措置を行なっているかということをしばしば聞かれているということを私は直接聞いております。こういう際に、今言ったようなことでは、単なる少数の人間の利害のみならず、日本の国策に大きな影響を有するものであるから、今日はしかし、具体的にこれを実現するためには道が遠いだろう。しかし国策としては、法務大臣は、少なくともこの面に向かって、もっと個人的な問題に親切であるとともに、日本の国策が一貫したような道をとる。しかし、それにはひまもかかるであろう、検討を要するであろう、私はそう思います。ですから、そういうお気持があるということをここでお聞きすれば、私の質問はこれで終わるのでありますが、最後に、法務大臣の態度、姿勢をお尋ねいたしたいと思います。
○国務大臣(植木庚子郎君) いろいろもとの住民のために御心配の点、よくわかります。われわれといたしましても、現在の各省を通じてのこの北方領土に関して、法制の上でもなお検討を要する面があるように考えられる点があるのであります。すなわち、必ずしも法律上の取り扱いが一定されておらない部分が若干残っておるように感じますので、こうしたものもあわせて、この問題についてもよく、検討だけでは不十分だという仰せでございますが、十分にいたして、その間の事情、利害得失等を今後研究いたしまして、そうしてかりに一人でも困る人が少なくなるようにという精神のものに善処いたして参りたい、かように考えます。
○笹森順造君 質問を終わります。
○委員長(近藤鶴代君) 本日の質疑は、この程度で終了いたしたいと存じます。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(近藤鶴代君) では散会いたします。 午後零時五十九分散会 ————・————