予算委員会 第7号
- 発言数
- 179 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/10/10
会議録
○山村委員長 これより会議を開きます。 昭和三十六年度一般会計予算補正(第1号)及び昭和三十六年度特別会計予算補正(特第2号)を一括して議題といたします。 質疑を続行いたします。高田寅之君。
○高田(富之)委員 本日は、ただいま国民の最大の関心事となっております武鉄汚職問題を中心に政府の所見をただしたいと思うのでありますが、その前に一言緊急の質問を大蔵大臣に申し上げたいと思います。 直接本日の問題とは関係ありませんが、これはほかでもないのでございまして、昨日株式は意外な大暴落を演じておるわけであります。一挙に五十二円七十三銭という大幅の暴落を演じまして、ダウ平均価格も千三百四十五円、こういう非常な暴落を演じました。これは東京株式取引所の開所以来の暴落であるということでございまして、実は先般本委員会におきまして、井手委員その他の質問に答えて池田総理は、最近の株価の暴落傾向につきましては、これは心配ないのだ、大体落ちつくべきところへ落ちついてきておるので、千五百円程度のところが大体正常なところなんで、何ら心配はない、今までが高過ぎたので、これでいいのだというふうな、きわめて楽観的な答弁をなすっておるのであります。もちろんこれに対しましては、委員からは相当鋭い追及が重ねられましたけれども、あくまでも楽観説をとっておりました。しかるに、それからまだ数日を出ない今日、このような大暴落を演じまして、これはもう明らかに池田総理の言っておりましたことが無責任な単なる楽観論、何らこの問題の深い原因等についての真剣な反省がなかったということの証拠が、数日をいでずして出てしまった、こう私は考えておるのでございまして、事はきわめて重大でございます。今日ではすでにこの池田成長ブームの中で、大衆投資家が非常に零細な資金をどんどん株式に、あるいは投資信託等に投じております。この状態を放置するならば、これは大きな社会不安を引き起こす。現に今日では、この昨日あたりの暴落のために、株屋の店頭には大衆が押し寄せて、そして一体どうしてくれるのだ、どうなるのだ、こういうふうなことで、株屋もこの窓口の大衆の応接にいとまがない、こういう状況をすでに呈しつつございます。また証券会社等にしましても、この池田倍増ブームと申しますか、この値上がりムードの中で、先般来非常な莫大な金をもうけたわけでございます。しかるに、これがこのところの暴落に次ぐ暴落で、すでにこの二ヵ月半で一兆五千億からり金が煙のように消えてしまった、こういうふうに述懐しておるわけなんです。このままで参りますと、証券業界にも大へんな危機がくるでしょうし、すでに投資信託なども額面を大きく割っておるのであります。こういう事態に直面して、政府が真剣に野党側のただいままで追及して参りました政府施策の根本的な転換ということについても、真剣に考えてもらわなければならぬと思いますし、さしあたり緊急対策を早急に講じまして、不安におののいている大衆投資家を救うという措置を講じなければ、かつてありましたような、雨後のタケノコのようにできました金融機関がああいう状態になりまして、非常に混乱したことがありますが、同じような状態を現出しないという保証は私はないと思う。事は非常に深刻であります。くろうと筋では、今の千三百円台というのはまだまだなんで、まだどんどん下がっていくのだという見方をしておるのです。おそらく千百円くらいにも近いうちなるだろうという見方さえされております。私は、従来の池田内閣の方針、特に株価暴落に対する見解というものをこの際根本的に改めていただきまして、ここで応急対策と根本的な施策の再検討、この二つの面につきまして明快にこの席で御答弁を承っておきたいと思うのであります。 本日は、本題の方があとにありまして、時間の関係もありますから、再質問等はいたす時間もありませんので、一つ具体的に責任のある御回答をお願いしたい、こう考えるのであります。
○水田国務大臣 ただいま株式が下がっている一番の原因は、証券界における内部要因に基づくものだろうと私どもは考えております。と申しますのは、七月十八日の高値以前の信用取引の九十日の期限が参りまして、この転売が始まっているということが株式の値を下げている直接の原因でございますので、これはまだ一週間かそこら一応続くのではないかということでございますが、この整理が一巡したあとは、私どもは株式は大体落ちつくと見ております。しかしこれに対する取引所のいろいろ策についても要望もございますので、この要望には私どももできるだけ応ずるという措置をとって、この安定化には早急に努めるつもりでございます。
○高田(富之)委員 再質問をしている時間が実はないので、応急の具体策としてはどういうことか、こういうことをやはりはっきり言っていただきたいと思います。
○水田国務大臣 日証金の貸し出しのワクをふやしたり、一連の措置は土曜日にとったことは御承知だと思います。それに引き続いて証券界におきましては、この証拠金の問題、代用証券の掛目の問題、こういうような問題の要望も参っておりますので、それに応ずるというような、逐次そういう措置もとるつもりでおります。
○高田(富之)委員 この問題は非常に大きな問題で、どうしても今までの御答弁を根本的に変えてもらわなければ、承服できませんので、迫って他の委員会その他の機会におきまして、さらに具体的にお尋ねしたい、こう考えておりますので、本日の本題に移りたいと思います。 最近、いわゆる汚職事件というものが頻発しておるわけでございます。かつて岸内閣のときには、岸首相は例の三悪追放ということを一枚看板にいたしまして、その筆頭に汚職の追放が掲げられておった。しかるに、その岸内閣の当時から始まりまして現内閣に及ぶ今回の武鉄汚職事件のような、まことに大きな、大がかりな汚職事件が現に起こっております。しかもこればかりではないのでありまして、最近はほとんど枚挙にいとまない、決算委員会等で今後逐一追及しなければならぬと考えておりましたおもなものだけでも非常に多いわけでありますが、その中でも、またおもなものを拾い上げましても、たとえば国有財産の不正売却事件、これは昭和三十二年初めからずっと始まりまして、大蔵省関係、現在すでに東京地検特捜部で捜査中のものでございます。また北海道庁の測量汚職事件、これは航空測量入札をめぐる汚職事件でございまして、道庁の関係の官吏が収賄容疑で捕逮された。これにはもちろん測量会社の社長も関係いたしまして、贈収賄で逮捕されておるという事件がございます。また先般来決算委員会で追及されておりますほぼ全容が明らかになりつつある九段会館にまつわります不正事件、それからさらに、国鉄新幹線をめぐる汚職事件、これはすでに周知のところでありますように、国鉄の東海道新幹線建設工事にからむ汚職事件でございまして、すでに検挙者等も多数出しておるわけでありまして、この問題なども相当大規模な重大な汚職事件でございます。なおまた、風倒木の払い下げにからまっております長野営林局の汚職事件、これもすでに二十数人が逮捕され、十数人が書類送検をされておる、こういう事件が起こっております。さらにまた、教科書の汚職事件、こういうふうな工合に、まだこのほかにたくさんあるわけなんですが、実に汚職が絶えない。三悪追放どころの騒ぎではない。こういうふうに汚職が相次いで、汚職なしには何か保守党の政治があり得ないような状況を呈しているということは、これはゆゆしい問題だと思うのです。そこで、こういう事態に、しかも今この武鉄問題が国民全体の大きな関心——というよりは、政治に対する信頼がなくなりかけておるという非常に重大な局面にあるわけでありますので、この問題について官房長官に、きょうは総理がお見えになりませんけれども、政府全体を代表して、この実情を見てどうお考になっているのか、これに対してどういう責任感を持って対処されようとしておるのか、一つ初めに政府の所見を明確に伺っておきたいと思うのであります。
○大平政府委員 御指摘のように、綱紀の粛正が保たれねばならぬということは、政治の最大究極の目的でございます。しかるに、御指摘のように数々の汚職事件が跡を断たないということは、政治の信頼の上から申しましてもまことに遺憾でございまして、政府としてはいたく責任を痛感いたしております。私どもといたしましては、綱紀の粛正を国民に、また公務員に求める前に、求める主体になる政府自体が姿勢を正して臨まなければならないと考えまして、去年の秋から各省庁にお願いいたしまして、職場は清潔にすること、そして明朗な応待を、かつ迅速にしていただくことをお願いをしておるわけでございまするし、また公務員の処遇につきましても、きのう本委員会でも、人事院の勧告につきましていろいろな御論議がございましたけれども、人事院というスタッフを駆使いたしまして、民間とのバランスがいかにして処遇上確保されるかという点に細心な注意を払って、私どもとしては、おおむね妥当な処遇が確保されるように相なったと思っておるのでございまして、こういう環境、条件を整備し、主体である政府が厳正に事に当たるという態勢で、この絶滅を期すべく最善の努力を払って参りたい、こう考えておる次第でございます。
○高田(富之)委員 植木法相は先般開かれました検事総長、検察長官合同会議におきまして一場の訓示をなされておるのであります。この訓示を、各新聞の報道するところをずっと総合して私見たのでありますが、法相の訓示の中に、ただいま国民が最も注目しております武鉄問題を中心といたします、その他今私が若干申し上げましたようにたくさんの汚職事件がございます。この問題に一言も触れていないのではないかという感じがする。これは記事に載らなかっただけで言われたのかどうか非常に奇異の感を抱いておりますが、法務大臣いかがでございますか。
○植木国務大臣 お答え申し上げます。這般の検察長官合同におきましては、私の訓示の中にはその問題には触れておりません。この問題については、検事総長との間におきましてよく話し合い、連絡をいたしまして、総長の訓示の中にこれを織り込むことにいたしておりました。
○高田(富之)委員 そこで、法務大臣のお話の中に、とにかく一番強調されておりますのは、最近における法秩序無視の傾向、法秩序無視の憂うべき風潮、これを非常に強調されておるようでございます。むろん法秩序軽視の傾向というものは、法治国家といたしまして最大の問題であります。その点に問題はないのですが、それがたとえば政防法反対運動がどうだとかこうだとか、そんなようなところへばかりあなたは持っていっておる。しかし法秩序軽視と言えば、私は汚職くらい重大な法秩序軽視はなかろうと思う。こういうときに、ことさらにこの重大な汚職頻発の世の中において、検事総長の話は、なるほど汚職の問題に触れておるようでございますが、法務大臣が法秩序軽視の問題を政防法反対運動がどうのこうの、まことに私はこの認識を疑わざるを得ないのです。第一、政防法の問題、政防法自体が憲法違反なりやいなやということが政治上の大問題になって、与野党の間で大いに論戦をしておる問題でございます。憲法違反の法律が出たときに、それに対する反対運動が起こる、憲法違反だという大きな議論が国民のうちの相当数を占めておる、こういうときに起こるいろいろな反対の世論というものがあるわけなんです。これを取っつかまえて、一方の政治的立場に立って、これが法秩序無視の運動だ、こういうふうなことも言われて、そうして大事な今法治国家の秩序というものを根底からついばんでいく、くつがえしていくような汚職の蔓延する事態というものに何らの警告を発していない。こういうことで、私は非常にこれを見て不審に考えたのであります。法務大臣の今回の武鉄汚職をめぐるこの大きな事件に対処するあなたの御決意、これが非常に大事でありまして、質問すれば、もちろん一生懸命やっているのだ、最大限を尽くしておるのだとお答えになるにはきまりておりますが、やはり国民がほんとうに信頼感をおいて、何ものにも制肘を受けず、徹底的にこれをやるのだ、これが自分の当面の最大の職責であるということが、国民の中にはんとうに信頼感をもって受けとめられるような御決意の表明は、何べんやっていただいてもやりすぎるということはないと思うのです。 先般ある日刊紙を見ますというと、この問題についての記者の座談会の記事が一面全体に載っておるのであります。お読みになったかもしれませんが、その記者の座談会の中で、この事件はいいかげんなところでどうもしりつぼみになるらしい、その傾向が強いのじゃないか、法務大臣は大山鳴動ネズミ一匹なんだよというようなことを言っていた、こういう記事が出されて、これが広範に国民の間に読まれておるわけでございます。私はそういう言葉であなたが語られたのか、別の言葉で語られたのかは知らないけれども、責任ある立場にあるあなたが、そういうような気持が現われるような言動をなされるということは、きわめて重大なことだと思うのです。こういうような態度をおとりになったことがあるのですか。
○植木国務大臣 ただいまのこの事件の将来の成り行きについて、どうなるだろうかというような座談会だったかと思いますが、そうした際に、それに似たような記事がありましたことは私も読みました。当時記者諸君の中に、一体この事件はどうなるのだ、うんとまだまだ広がるのじゃないかというような御質問がありましたから、私は、それはもっぱら今後の捜査のやり方、並びにその事実のいかんによってきまることであって、それはいずれとも私としては申し上げられぬ。しかし、非常に大きくなるのじゃないかと言われるから、それはそう大きくなると言えるかどうか、時と場合によっては大きくなるかもしれず、あるいは時と場合によっては、それはなんだ、うわさが大きかったのに大したことはなかったじゃないかというようなことになるかもしらぬ、こういうようなことを話したのを今のように伝えられたのだと思います。
○高田(富之)委員 問題は、ほんとうに国民があなたに信頼をおいておるかどうかということにあると思うのです。要するに、大衆の世論というものは、ちょっとした言いわけとか理屈とかではなくて、全体の今まで経過とか、すべてのところを総合して、ある種の勘で国民の世論というものは出てくる、必ずしも今日の検察当局のやっていることに対して全幅の信頼を国民がおいておるかどうかということになると、それは疑問でございます。これはもうかつて指揮権発動や何かの苦い体験がありますので、またじゃないかと、こう見るのが一応自然なのです。そこで大臣、こういう問題についてはどうですか、先般永田雅一氏が逮捕されまして、十日間の拘置の決定がありますと、とたんに今度はすぐに五日間の執行停止で出てしまっている。この問題なども、そういういろいろな全体の状況の中で、国民が検察当局に対してどれだけ信頼をおいているかということなんですが、これなどは相当疑問を持たれております。これは間違いなく疑問を持たれておる。そこで、この執行停止をやりました理由、どういう経路で、どういうふうに判定して、どうしてしたかということをよくわかるように、具体的に御説明いただきたいと思います。
○植木国務大臣 大映社長の永田氏の拘留の執行停止の問題につきましては、当時永田氏が逮捕、拘留になりますとともに、京都におられる母親の永田きみさんと名前は記憶しますが、その方が心痛憂慮のあまり病が非常に重くなったということにつきまして、弁護人の側から、ぜひ拘留の執行停止をしてもらって、これによって、親子の間の人道上の問題でもあるから、ぜひ見舞わせてもらいたいという正式の手続がございました。これが検察当局に出され、また裁判所当局にも出されまして、われわれの検察当局としては、そのことの事実を十二分に手を用いて調査をいたしまして、その調査の結果、やむを得ずと認めましたので、裁判所当局に対して、検察当局としてもやむを得ずと認める、こういう考え方であの執行停止が行なわれたのでございます。もちろんこうした問題につきましては、あえて永田氏のこの場合のみならず、検察当局におきまして執行停止の例はたくさんあるのでありまして、法の運用の上におきまして、厳正なる捜査の面で若干の不自由が起こることはあり得るのであります。あり得ますけれども、人道上の問題として、しかも法規の命ずるところによってやむを得ずとして認めた例は、ほかにもたくさんございます。全国の統計は持っておりませんが、たとえば東京の地検管内だけを考えてみましても、この春から最近までの実績で、二十件くらいの件数に上るかと思います。いずれもその理由は、本人の病気の場合もありますし、親族の病気の場合もあるのであります。こうした場合には、やむを得ずとして執行停止をいたす例はたくさんあるのであります。この場合もその一つの現われであると御承知を願いたいと思います。
○高田(富之)委員 もちろん親子の関係であって、お母さんが病気だ、人道上の問題ということになりますと、それは何人もそれを肯定しないわけには参らないのであります。しかし、それでもなお国民が疑惑を持っておるというときには、やはり相当の理解できるような説明が必要だと私は思う。これは事件の重大性、それからこの事件全体の中で占める永田氏の位置の重大性——最近新聞その他でもう伝えられておるので何人もそう見ておるのですが、今度の事件で財界と政界とを結ぶ主要な役割を果たしたのではないかというような疑いを一般にすでにみんな持って見ておる。ですから、永田さんが逮捕されたということは、これは重大な人が逮捕されたのだな、こういうような印象を持って見ておる。その重大な人が、お母さんが病気であるということだけ、しかも、急に急病で危篤状態であって、どうしても母親のところへ行って一目会わせなければいかぬというようなことであればともかくですが、病気とただ言われましても、病気といってもいろいろありますので、承りますと、何か長い間すでにお年でもございますので、病気といえば病気の状態が続いておったのであって、特別に危篤とか、急に重くなったとかいうような事態があったんではないというように承っておるのでございます。それらの点については、診断書でありますとか、具体的に何かこういうことなんだということがありませんと、なお、その後においても別段病気が特に重くなったという話も聞いておりませんし、お年を召して長い間すっと御病気の状態にあられる御老人、そういう状態の中で逮捕されたのですから、どうもそれはそれだけでは納得できないですが、もう少し国民にわかるように説明していただくことが必要だと思うのです。
○植木国務大臣 ただいま手元に診断書等がございませんが、そうした資料も十分拝見しております。あるいはまた現地の出先官憲をして調査もさせておる、こういう実情でございまして、われわれはその病状から察しまして、やむを得ないという考えのもとに、検察当局は先ほど申し上げましたような意見を裁判所当局に申し出たものと考えます。 なお、この問題について、永田氏の関係がどういうふうにあるかというような問題については、まだ捜査段階のことでございまして、私としても十分なる報告を受けておりませんが、私の報告を受けております限度におきましては、永田氏の疑いをいれられておる点は、いわゆる永田氏と埼玉銀行の頭取との間における経済関係罰則ノ整備二関スル法律の違反、すなわち、贈収賄の問題でありまして、武州鉄道の問題に直接関係があるとはまだ私は聞いておりません。しかしながら、こうした事件の際においての贈収賄の問題でございますから、直接に関係があるかないか等につきましては、十二分にその辺の真相を解明すべく検察当局は臨んでおることと、かように私は承知いたしております。
○高田(富之)委員 今後の捜査の進展によっていろいろなことが事実をもって証明されていくわけでございますから、その点については御質問は一応その程度にしておきますが、今回の武鉄の汚職の関係は範囲も非常に広いわけでありまして、埼玉銀行を中心とする銀行関係のいろいろな問題もございますし、あるいは農地買収をめぐりましての土地関係のいろいろな問題もございますし、その間、運輸省を中心とした官庁の内部、あるいは政界との関係、非常に広範囲にまたがっておるわけでございますが、実は私の出身は御承知の通り埼玉県でありまして、この埼玉銀行の問題につきましては、すでに二、三年前から県民の間でいろいろな批判が出ておるわけでございます。今日こうなってみますと、やはりそうなるべきものがなったのだといったような感が非常に深い。なかなか根深いものがあるわけでございます。さきには千葉銀行事件があり、今また埼玉銀行をめぐるこういう事件がありまして、地方銀行のあり方という根本的な問題についても相当これは考えなければならぬ点がある、これは大きい問題を提起しておると考えておるのであります。そういう点でいろいろお伺いしたいこともあるのですが、時間の関係もありますから、二、三の点につきまして、特に埼銀と関係することからお尋ねを進めて参りたいと思うのでございます。 今回の武鉄の問題でもって埼銀の中にいろいろうわさが出てきたということは、当時たしか大蔵大臣は佐藤さんがおやりになっておったころ、それからずっと現在に及んでおるわけでございます。そこで、埼銀の監査というようなことをおやりになって、何か埼銀に対して注意しなければならぬ、改めさせなければならぬというようなことを発見されて、しかるべき措置をおとりになったことがありますか、どうですか、まず大蔵大臣、それからその当時の大蔵大臣の佐藤通産大臣、お二人から承っておきたいと思うのです。
○水田国務大臣 埼玉銀行の監査は、おととしの七月に大蔵省がいたしました。そのときすでに武州鉄道への融資、白雲観光への融資という事実はございました。検査官の方では、まだ武鉄の認可の見通しというものもついておらないときですし、それを中心にする融資というようなものは、若干思惑的なものも考えられるし、これはあまり妥当でないということを口頭で注意し、後、書面をもって注意を促すという措置をとって、あとは銀行の自粛に待つという措置を三十四年の七月にとったという事実がございます。
○高田(富之)委員 佐藤大臣、その当時……。
○佐藤国務大臣 ただいま水田大蔵大臣が報告された通りだと思いますが、当時私大臣をいたしておった期間中は、特に検査官から特別な報告は受けておりません。従いまして、私はその間の事情は存じません。
○高田(富之)委員 そうしますと、これは三十四年の七月ということなんですが、白雲観光に対しまして監査当時はどれくらいの融資がされておったのか、また、その後現在までにどの程度の融資がされておりますか、大蔵大臣。
○水田国務大臣 金額の点はあとから銀行局長からお答えいたしますが、当時はまだ融資金額が非常に少なかった、返済する能力は十分あるという程度であったことと、それから問題になっておりました貸付順位の問題というようなものも、鉄道に関する用地買収というものの順位は非常に高いので、これは不良貸し出しという判定をつく程度にはなっていなかったということでございますが、金額などこまかいことは、銀行局長からお答えいたします。
○大月政府委員 当時、武州鉄道関係及び白雲観光関係につきまして、埼玉銀行からの融資がございましたが、具体的な数字につきましては、銀行検査の関係もございますので、具体的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。その後におきましては、銀行の自粛に待っておったわけでございますが、最近事件が表に出まして、調査いたした結果によりますと、武州鉄道関係におきましては全額回収済みでございます。それから白雲観光関係におきましては、その後若干の増加を見ておる、こういうことでございます。
○高田(富之)委員 ただいまの大臣の御答弁によりますと、まだその当時はそれほど不良貸付だと言えるほどでもないし、額も少ないしというようなことで、早期にいわば注意をしたといったような御答弁に受け取れるわけでございますが、そうしますと問題は、その御注意があったにもかかわらず、その後最終的には相当額——二十億というように一般にはいわれておりますが、今数字を発表されませんが、相当額のものがつぎ込まれて、こういう問題に発展しておるわけなんですが、一たん注意をされますと、その後どういうふうにやっていくかということに対しては、相当のきびしい監督がおありではないのですか、その後はどうしておったのですか。
○大月政府委員 一般に、銀行検査の結果、不良貸付あるいは今のように注意を要する貸付ということになりますと、検査報告書においてこれを指摘し、当該銀行に対しもこれを通達いたすわけでございます。しかし、その程度によりまして、非常に注意を要する貸付につきましては、四半期ごとにその回収の状況あるいは管理の状況、事後処理の方法等につきまして詳細な報告を徴しまして、その結果、その状況を見ましてまたさらに指導監督する、こういうことでございます。本件につきましては、先ほど大臣のお話のございましたように、三十四年の七月の検査時におきましては、金額もそう大したものでもない。しかし、その性質といたしまして、思惑にわたるおそれがあるということで注意した程度でございまして、その後の経過において、最近問題になっておるようなことがだんだんわかってきたわけであります。われわれといたしましては、当時注意をしたというところにとどまっております。
○高田(富之)委員 佐藤大臣は大蔵大臣在任中特別報告を受けていないとおっしゃるのだし、こういうことになりますと、せっかく注意をしましても——こういう問題は、その後の監視をしておればおそらく起こっていないのだろうと思うのです。早期に発見をして、書面でまで注意をいたしておるというのでありますから、その後引き続いて注意をしておれば、これを事前に防ぐこともできたのじゃないか。それが、注意しておった、マークしておったものが、その後ここまで大きくなってしまったということは、大蔵省にも大きな責任があるのじゃないですか、どうなんですか。
○水田国務大臣 そういう注意によって銀行当局も非常に考えたようで、貸した金の回収をするということに骨折った結果、回収は現在できておるようですが、この回収を肩がわりするというためにいろいろなことをしたというのが、今出ておる問題ではないかと私ども思っております。いずれにしましても、その後の肩がわりの仕方とか、そういうものについての監査とか注意というものを私どもやっておりませんでしたので、こういう点は監督が少しゆるかったといえば、いえるのではないかと思います。
○高田(富之)委員 これは何としても非常に監督が甘過ぎるのじゃないかと思うのです。この事件であなた方が注目されておるのですが、この事件でさえもそうなのですから、それ以外に相当マークしなければならないようなことがあったのじゃないかと思うのです。こういうことについては御存じはないのですか。埼玉銀行が例の有名な近江絹糸の株を九十万株も持ったというようなことで、昨年あたりかなり問題になり、現在でもこれはくすぶっているそうですか、これはかって近江絹糸に対する非常に莫大な融資をし過ぎているというようなことで相当問題化しまして、一時は重役陣の総退陣も必至だろうというような騒ぎになって、そのときにいろいろ政界等の口きき等もありましてとにかくその場をおさめたということは、県内でもっぱらの評判でございます。こういうふうな問題等もあって、そのほかにもいろいろあるわけでありますが、相当注目されていたと思うのですけれども、こういう点については御存じありませんか、もし御存じでしたら御説明願いたい。
○水田国務大臣 私の方は、そういう検査報告をまだ受けておりませんでした。
○高田(富之)委員 さっき、白雲観光の方もだんだん回収されているというような話ですが、武鉄そのものの方はあるいは整理したかどうかと思うのですけれども、多額の金を出しておるのは、武鉄の創立事務所の方じゃなくて、白雲観光の方なんです。白雲観光の方も貸出金はほとんど回収がついた、あなたのおっしゃるのはこういう意味ですか。
○水田国務大臣 そうじゃなくて、武鉄が回収されておるというのは、そういう白雲観光の方の肩がわりというような問題があった、それが今問題になっておる一つの問題だろう、こう申し上げたのです。
○高田(富之)委員 ですから、武鉄の事務所の方は肩抜きをして、そのかわり白雲の方へ入りていった、こういうことなんですね。問題は、白雲観光に対する膨大な貸し出しというところに問題があるのじゃないかと思うのです。白雲観光というものは、御承知の通り、まだ鉄道が免許になるかどうかわからないのですけれども、その以前において用地の買収を主たる仕事としておるわけでしょう。資本金はたった五千万円ですか、そこへ十億以上の金をつぎ込んで、どんどん土地買収の方へその金を出していく、こういうような仕事をやっていることを、これは肩がわりしたのだからというようなことで見のがしておける銀行の経営のやり方なんですか、そこはどうなんでしょうか。
○水田国務大臣 事件発生後、銀行局としましては、埼玉銀行を呼んでその間の事情を一応全部調査して、自後どうするかというような問題を、今銀行側に対策を協議させておるというところでございます。
○高田(富之)委員 なお、この白雲の問題は、あとで農地のことのときにもう少しお伺いしてみたいと思うのですが、埼銀につきましてはまだ問題がたくさんございます。たとえば、これはことしの六月ごろですか、これも大蔵省で御存じかどうか、おそらく御存じのはずなんですが、埼銀から埼玉県その他自分の支店のある全国の市町村に寄付をして、特に武鉄沿線の市町村に対する寄付が大体目的であることははっきりわかるのですが、そういうふうなことで銀行が市町村に多額の寄付をしておる。こういうことは一体許されますか、どういうことですか。
○水田国務大臣 具体的な問題は銀行局長からお答えします。
○大月政府委員 具体的な寄付自体については、われわれただいま関知しておりませんが、一般論として申し上げますと、銀行として一般のつき合い上社会的に妥当と認められる寄付は、これは当然してよろしい、しかし、その金額が非常に大きくなりまして不自然であるというようなものがもしございましたならば、それは厳重に注意する、こういう態度をとっております。
○高田(富之)委員 これは総額が幾らになっておるかということを実はお伺いしたがったのですが、わかっていないのですかね。埼玉県に対しましては二千万円、その他市町村に出ております。百万円とか百五十万円の市もありますし、あるいは中には十万とか三十万とかいうような少ないところもございますが、こういうふうなものを銀行が出すということは、今あなたの答弁された普通儀礼的、常識的にといいますけれども、銀行というものは、大体普通ならば盆、暮れにいろいろなものを配ったりすることさえも自粛しておるじゃないですか。そういう中で、総額ではおそらく相当な額になるでしょう。こういうものを出しておることを御存じないのか、それとも、御存じになっておっても、常識上妥当な交際費、こういうことでお見のがしになっておられるのですか、どっちですか。
○大月政府委員 われわれが銀行を監督いたしておりますのは、銀行検査及び一般の行政監督でございます。銀行検査につきましては、原則といたしまして、大体二年に一回程度検査をいたしております。それから、特に内容が不良であるというようなものにつきましては、その周期を繰り上げるし、問題がないと認めております銀行につきましては、周期が若干長い、これが一般の原則でございます。その検査をいたしましてからその次の検査までにつきましては、特に顕著な外部に出たという事件がない以上、われわれとしては直接関知するところではございません。一般に、個々の融資その他の銀行の行為につきましては、われわれとしては事後の監査をするという立場をとっておりまして、事前にいろいろな問題に関与するということは避けておるわけでございます。
○高田(富之)委員 一般論を聞いておるのじゃなくて、この問題について、事後でも何でも発見して注意をしたかどうかということなんです。今度の武鉄の起点になる武蔵野市ですが、武蔵野市議会ではお断わりしておるんですよ。こんないわれのない、これは鉄道のための金にきまっているんだ——鉄道には大体地元が全部賛成なんということをいっておりますが、起点の武蔵野市自体が賛成してはおりません。市長が一人で賛成している。一人の名前で、一人で飛んで歩いているだけであって、市議会は賛成してはいない。ですから、市議会においては、そういういわれなき金は突っ返せというので、突っ返しちゃった。これは百万か百五十万のものでございますが、突っ返しておるのですよ。そういうふうなことを、かりに事前にわからなくたって、事後にわかったときに——それは武蔵野市だけじゃなく、沿線市町村全部いっているのですよ。こういうものを監視してない。さっきのような事件があって注意をしたその銀行に、その後において何ら監視も注意もしていない、こういうことにこれはならざるを得ないと思う。 それから、時間もなくなりますから、もう一つお伺いしておきますが、今度の永田さんの逮捕のあれを見ますと、四億の金を株の買い入れ資金だというので永田さんに融資したというんですね。これは汚職関係とかなんとかということは別ですが、一体銀行が株の買い入れ資金なんというようなところへ四億もぽんと貸せるものなんですか、一体これは担保は取っているのですか、大臣に一つお伺いいたします。
○水田国務大臣 その種の問題が今司直の手で調査されているときでございますので、私の方は、銀行局が埼玉銀行を呼んで、事後の処置について銀行に善処をいろいろ促しているという程度で、そこまで詳しい話をまだ私は聞いておりません。
○高田(富之)委員 これは司直の手でさばかれているのは最近の話で、四億の金を貸したのはいつなんですか。ずっと前でしょう。四億ものそういう莫大な金を、株を買い入れるんだから貸してくれ、ようしきたというので——そんなにぽんぽん金が貸せるのなら、ほんとうに金で苦労する人はないはずなんです。一体その当時、この四億の金の動きについて、大蔵大臣は一その当時の大蔵大臣は佐藤さんだったでしょうか、これを監査して注意をするとか、事情を調べるとかいうことは、司直の手が入らなくたって、当然私は監督官庁である大蔵省がやるべきじゃないかと思うのです。これはどうなんですか。
○大月政府委員 株式の買い取り資金及び株の増資の払い込み資金につきましては、融資の準則から申しますと、甲になっております。これは今の日本の経済の現状から申しまして、自己資本の充実ということをおもな会社に対する指導方針といたしておりますので、できるだけ株の払い込み、あるいは株を買うという金については融通しようということになっておるわけでございます。それから、具体的に株の買い取り資金を幾ら貸したというような問題につきましては、三十四年七月の検査の当時においては、事実はございませんでした。もしございましたら、多分そのあとの問題かと思います。
○高田(富之)委員 いずれにしましても、埼銀の運営のやり方というものは、相当大口の貸し出し、しかも投機的なところでありますとか、多少政治的なもののからまったところだとか、そういうところへ相当気前よく大量の金を出しておる。他面、地方銀行でありながら、地方の中小企業に対してはほとんどこれは要望にこたえておらないんです。ここで私は一応通産大臣に事情を知っていただいて——先般もここでいろいろ中小企業金融の話がありましたけれども、一般的にただ中小企業の金融はどうとかというような話をされましても、実際今金融に困っておる地方の中小企業者にはぴんとこないです。埼玉銀行がこういうことを一方でやっておる反面におきまして、県内における中小企業者はどういう状態であるか、ここ二年間ばかり埼玉銀行に対する融資をめぐる中小企業者と埼玉銀行との紛争の状態というものは、私は地元ですから実際にも確かめておりますし、また、その問題を中心に取り組んだ地方紙もございまして、その真偽は全部私は直接確かめてございますが、現在埼玉銀行を相手に訴訟をしておる中小企業者が、県内だけでも数件ございます。訴訟中でございます。さらに他県でもございます。これはおおむね、ほとんどだますようにして、中小企業者からの抵当を強制的に売却してしまってつぶしてしまったとか、あるいはつぶれかかったところへ銀行が金を貸しておる。これは小川町の事件であります。これも今訴訟中でございますが、つぶれそうになった織物の問屋に——小川は織物の産地なんですが、埼銀が金を相当つぎ込んだ。つぶれてしまったのでは自分の債権が回収できないものですから、まわりの取引しておる機業者に、埼銀が保証するから取引を再開しろ、絶対つぶすことはないからというので、ずっと商売を再開いたしまして、最盛期の、一番出回り期の十二月にいって、大体今やれば取れるというときに、すぱっと押えて、全部取って問屋をつぶしてしまった。それで関係の織物業者が一斉に今訴訟をしております。こういう例が一件や二件じゃないのです。そのために、最近では県内の中小企業者が、埼玉銀行は県民のためにはならないのだから、ほかの銀行と取引しようじゃないかという空気が、ここ二、三年来ずっと深刻に進展しております。埼玉県の県金庫も兼ねており、市町村の金庫も兼ねて埼玉銀行がやっておるわけなのですが、こういう空気の中で、ここ一、二年の間だんだんに支金庫をお断わりをされつつあったのです。そういうふうな傾向の中にあって、他面ではこういう乱脈きわまる不当な貸し出しをして、平沼個人の金もうけ、あるいはそれをめぐる一部の連中の金もうけのために使われておる。これが今の地方銀行の実態なんです。ですから、あなた方が監査についてただいまあまりはっきりした御回答が得られなかったのですけれども、これからの地方銀行のあり方、中小企業者の金融の問題というようなことを考えますときには、一般の銀行、特にこうした地方銀行等のあり方については、企業者の立場に立った綿密な検討、それからその経理のやり方等についても、もっと保護もしてやらなければならぬ部面もあるでしょう、指導もしてやらなければならぬ部面もあるでしょう、そういうことを今まではほとんどやっていない。形式的に二年前にちょっと監査をしましたというぐらいのことだから、こういうことになるのであります。私は、この機会に、そういう点で、特に先般来中小企業金融の問題が非常に大きな問題になりまして、大蔵大臣からも佐藤通産大臣からもそれぞれ御答弁はありましたが、もう少し地方銀行のあり方というようなことと関連して、今まさに金融の引き締めの中でいよいよ苦しい状態に追い落とされておるのでありますから、中小企業者の立場に立って、どうしたらいいか、金融面からどういう施策を講ずるかということについて、もう一ぺん佐藤通産大臣の御所見を承りたい。
○佐藤国務大臣 中小企業金融について、今までたびたびお話をいたしまして、よく御理解をいただいておることだと思いますが、重ねてということでございますので、お答えをいたします。 いわゆる三公庫を中心にし、しかも、三公庫の資金だけでは不十分でありますし、中小企業金融の大きな部分は、御指摘の通り、地方銀行あるいは相互銀行その他いわゆる市中金融、そういう点でまかなわれております。そういう点から見まして、やはり零細な預金を集めて、それが中央に吸い上げられるというようなことのないように、いわゆるオペレーンョンをいたします際は、中小企業金融に対してそのあとの穴埋めをする、こういうような点で大蔵省と通産省と意見が一致いたしております。問題は、金融に関する事柄は、ただいまもお話があり、御指摘がありましたように、個々の問題についてうまく円滑にいかないと十分の効果を上げ得ないのであります。ところが、数の多い事柄でございますから、なかなか一々に目が通らない。だから、基本的な方針を明示して、そうして地方銀行を初め、相互銀行その他の積極的協力を得る、そうして特殊なものにつきまして私どもも御相談に応ずる、ここに弾力的運用という点が最も大事なことではないか、かように実は考えております。いずれにいたしましても、当面しておる経済情勢から見ますと、非常に困難な問題でありますから、一そうきめこまかに私どもは注意をする。また御指摘のように、地方銀行自身も、中小企業金融について政府が指示しておる方針、これを十分一つ理解し、これに積極的協力を願う、これ以外にないだろう、かように考えております。
○高田(富之)委員 なおいろいろ申し上げたいのですが、時間の関係もありますから、次に土地に関連してお伺いしたいと思うのです。 その前に、佐藤大臣は、今呼びにこられておるようなんで、あとで関連してと思いましたが、商工委員会においでになりますので先にお尋ねしておきます。 実は、今度の武鉄の問題、これは地方鉄道としまして非常に重要な計画であり、鉄道を作るということそのことにつきましては、埼玉県民、県としましても申請書なんかも出しておるそうでありますが、地元とか県とかということになりますと、内容を調べたり、こまかしいことを考えたりする前に、とにかく、ないよりあった方いいのですから、ああけっこうということになると思うのです。それはそれでいいと思うのですが、しかし、少し専門的に考えてみますと、あそこへ鉄道を敷きますことはいろいろな理由はあるでしょう。あるでしょうが、特に産業面、秩父市というものと東京とを結んでいる・こういう点で、いろいろな理由の中の一つ、目的の中の重要な地位を占めるも一のは、やはり貨物の輸送、ことに秩父のセメントとか石灰石というものが相当の比重を占めておるということに事業計画がなっておるわけなんですが、大体、今埼玉県としても大きな主要な工場のわけなんですけれども、ただ秩父というものは、地理的に見ましても山の中でございまして、都市としての発展性といいましてもおのずから限度がありますし、やはり工業を発展させていくということになりますと、もう少し平場の方に出てこなければ大きな工業地帯にならぬわけです。そこで、現在、秩父セメントにしましても昭和電工にしましても、秩父の大工場といえば、秩父セメントと昭和電工なんですね。これは二つの一番大きい工場です。あとは中小の例の機屋さん、機業地でございます。この大きな工場は、秩父セメントにしましても、熊谷、深谷地方が今度大きな工業都市に予定されております。これは政府の方針でもございましょうが、着々建設途上にございます。セメント会社は、現在の秩父セメントの生産力の二倍くらいのものは、深谷、熊谷方面にできるわけで、もうすでに建設に着手しておる。こうなりますと、秩父の資源を東京へ運ぶためには、あそこから鉄道を敷いて持っていくというようなことも、これはないよりはあった方がいいといえばそうでしょうけれども、それよりも、現在でもすでに自動車道路もほぼ完成して参りました。また、熊谷、深谷方面がそういうことになりますと、秩父からあそこへ一たん運びまして、あそこで工業をさらに拡大して参りまして自動車で東京と連絡する、こういうことになろうかと思うのです。そういうときに、秩父から石灰石を運ぶというようなことが相当の比重を占めた鉄道を、あらためて三鷹の方へ引っぱるというようなことは、少なくとも緊急の必要性は、その面から申しますと——ほかにもいろいろあるのでしょうけれども、緊急な必要性は、秩父の産業開発というような点から考えますと、ないのじゃないか。むしろ当面、むだな二重投資ということが、国家的に見ましても言えるのではないか、こう常識的に私どもは考えて、非常に不思議にそういう点は思っておるのでございます。それで、設備投資も大いに削減しなければならぬといわれておる今日でありまして、通産大臣として、この石灰石や何かを運ぶということのために、秩父と三鷹の方を結ぶ山岳鉄道みたいなものを、莫大な経費をかけて、非常な困難を予想しつつやらなければならぬ。しかも今度は、西武が延長はもう決定になりまして、免許が出て、この三十八年までには確実に西武線が秩父まで通ずることになる。こういうことを西部線では言明して、関係市町村の前で公約しておるわけなのです。そうなりますと、今までよりもさらにその点ではまた便利になるわけでございますが、その中で、重ねてその上半分くらい——半分とまで言えないでしょうが、並行線にもなるような、あそこへ武州鉄道を敷くというようなことは、これはあなたの通産大臣の立場からしましても、好ましくないということは言えるのではないのかと思うのですが、あなたの御見解を一つ承りたい。
○佐藤国務大臣 武州鉄道が必要かどうかということ、これは運輸省が責任を持って、運輸審議会の議を経て決定をいたしておるわけでございます。通産大臣がその当否を述べる筋のものではないと私考えます。通産大臣といたしましては、地方産業のために運輸交通が整備される、こういう一般的な事柄は、これはしごく賛成であります。しかし、当該武州鉄道がどういう役割をするのか、これらのことは運輸省が責任を持って決定した、かように私は考えておりますので、、その意味では、私にお尋ねになりましても意味のないことのように思います。
○高田(富之)委員 管轄が違う、こういうことでございますが、やはり通産行政という点から見て関心を払っておられると当然思いますし、また、運輸行政に関しては何といったって大御所でございますから、御見解を念のためお尋ねしたわけでございます。 それで、銀行のことばかりやっておりますと時間がなくなってしまいますから、農地の問題をお伺いします。先ほど白雲観光に相当の金が出ておる。一説によりますと二十億あるいは十五億というような数字を、今説明されないのでありますが、いずれにしましても、相当の金が出ておるわけでございます。今日までに、白雲観光というのは、土地を買うのが仕事の会社でございますので、相当膨大な土地を買っておる。特に農地を、相当面積にわたりまして買収したというふうに見られておるのでございます。どのくらいの面積を、どの方面について白雲観光が農地を買ったか、これを一つ農林大臣から御答弁願いたい。
○河野国務大臣 武州鉄道及び白雲観光株式会社から、農地の転用については全然申請がございませんから、わかりません。
○高田(富之)委員 まことに驚き入るのでありますが、それは一町歩や二町歩の土地の問題ではないのでありまして、百万坪ともいわれるような、総面積につきましては相当膨大なものがすでに買われておるわけです。これについて東京農地事務局あたりでは、今年に入ってからですか、昨年ですか、事情を知って、ある程度の調査なり勧告なりをやったということが、当時の日刊紙にちょっと出ております。ですから、全然農林省がノー・タッチということはあり得ない、こう私は思いますので、事情のわかる農林省の方から一つ御説明願いたい。
○庄野政府委員 お答えいたします。 武州鉄道並びに白雲観光から、農地の売買につきまして、いわゆる農地法に基づきまする許可申請というものは全然出ておりません。その限りにおいて、今大臣が御答弁になったような事情でございますが、われわれの方におきまして、まず農地を転用するというような場合には、転用をやりまする事業主体におきまして、現場において農地の所有者等と下交渉をやるというのが従来の例でございます。そういう面におきましては、現地におきまして関係事業主体から農民との折衝があったかと存じておりますが、そういう点につきましても、これは全国的に非常に多い次第でございまして、ただいま白雲観光なり武鉄が問題になっておりますが、当時におきましては全国的ないろんな問題がありまして、われわれといたしましては、内容は十分承知いたしておりません。
○高田(富之)委員 一般に百万坪以上というようなことが流布されておるわけであります。いずれにしても、金額の面から言っても十億以上の金が行っておるのでありまして、相当膨大な土地であるということは明らかでございます。東京農地事務局では何か注意したことがあるということが、日刊新聞に出たことがございます。全然知らなかったということは私はないと思うので、必ずある程度の、どのくらいの面積で、どういうことをされておるか、予約があったのだとか、そういうことくらいは知らないはずがないと私は思う。農地行政の担当役所でそういうことを知らないということは、私は承服できませんから、もう一ぺんお答え願いたい。
○庄野政府委員 お答えいたします。 農地の転用につきましては、五千坪未満は県知事の許可権限になっております。それから五千坪以上は農林大臣ということで、大体農地事務局長におきまして五千坪以上の許可の問題は取り扱っている次第でございます。 なお、武鉄あるいは白雲観光につきましては、現場において、農民との下交渉の段階において予約といったような事情があるということは、私も承知いたしております。農地の転用につきましては、農民と下交渉をいたしまして許可申請をやる、こういう形になりますが、現在におきましては、農地の保全あるいは農業経営との調整といった面から、農民と接触する段階におきまして、まず事前審査というものをやるようにという行政指導をやっておるわけでございまして、そういう事前の審査の申請も出ておらない次第でございまして、詳しいことはわかりませんが、御指摘のように農民との下交渉をやっているということは知って、われわれといたしましても、多少の、どういう状態かという点は調査したことがあるかと聞いております。予約と申しましても、この予約は、将来許可があった場合を条件として予約をやるというのが、現在における農地法におきまする農地転用の現状でございまして、まず農民とのある程度の約束をして、そして許可申請になって、許可があって初めて売買の効果が出る、こういう形になっている次第でございます。そういう限界におきまして、農民との間に交渉があった、こういうことは承知いたしております。
○高田(富之)委員 まことにばく然としておるのですが、事前審査をしたらいいように指導したけれども、まだ事前審査の申し出もないのだ、うわさは聞いているということでは、重大な農地行政というものを、そんないいかげんなことで守っていけるかどうか。この問題につきまして、最初に逮捕されましたのが、例の青梅の区画整理組合の組合副長芳沢源造という人が収賄で逮捕された。逮捕されてからだって相当の時日は経過しております。逮捕されたのが、多分七月だったと思うのです。そこで、念のためお伺いします。法務大臣、これはいつどういう理由で逮捕されたのですか。これは起訴になっていると思います。
○植木国務大臣 お答えいたします。 青梅土地区画整理組合の組合長代理であります桑田新太郎、同じく組合副長であります芳沢源造、この両者と白雲観光の常務取締役の内田桂一郎、この間における贈収賄の問題に疑いが起きまして、これを逮捕いたしましたのは三十六年六月二十七日であります。勾留になりましたのが二十八日からということに相なっております。もっとも白雲観光の内田常務につきましては、逮捕の時期は三十六年七月十三日ということに相なっております。
○高田(富之)委員 ですから、この事件がそれまでは実はぼんやりしておって、それは知らなかった、うわさを聞いた、非常に無責任な話ですが、かりにそういうことであったとしても、逮捕されて贈収賄によって土地が動いているというようなことになりますれば、その前のうわさ等と関連して、直ちにこれは農林大臣が調査を命令して、どういう土地がどういうふうになっておるかということは、的確に押えなければならないと私は思う。 実は時間が足らなくなってしまうので、なかなか本論に入れないのですが、農地問題につきまして、実は私どもの全日本農民組合連合会、全日農の野溝勝会長あてに、一昨年陳情がございました。これは青梅市の今井地区、それから瑞穂地区、埼玉県のもとの金子村、こういう方面でございまして、これはどういう陳情だったかといいますと、山林を昭和二十四年に国が買収いたしまして、これを解放する、開墾するということで増反入植希望者などを募るわけですが、まだその手続はとっておりませんが、すでに希望者が相当ございます。農民で百戸以上の関係者があるのですが、この百戸以上の農民が開拓して農地にいたしまして、早く自分たちのものにしよう、こういうやさきなんですが、たまたま買収された旧山林地主の方から異議の申請が出て係争中、こういうことになっておるのでございますが、その係争中の国が買収して解放しようとしておる土地を、近いうちに異議の申請が通って地主の方へ戻るんだから、戻るということを条件として白雲観光に売る、白雲観光は買いたい、こういうことになりまして、そして地主がこの売買の約束をした。一反歩十九万円で、地主に戻ったら地主が白雲観光に売るという約束をした。だから、耕作農民が黙っているはずがない、自分たちに解放されるわけですから。そこで、全日農に相談に来た。われわれの方では、当時書記を派遣して実情調査をさせ、それから、いろいろ仲に立って地主との間に話し合い等もさせました。しかし、これはまだ解決を見ておらないのです。この種のことは、青梅市では、十万坪の国有地の払い下げを市が要請しておった。その十万坪の払い下げを市が受けて、同時に、その半分を白雲観光に売ってしまった、こういうこともあります。そのほか、都有地を、そういうことをして、白雲観光が一たん買って、これを日立へもうけて売ってしまったというのもある。 いずれにしましても、農地問題ではめちゃめちゃなことが行なわれております。私は先般現地調査に行って参りましたが、現地の農民はこういうことになっておるのです。いずれ武鉄は認可になる、認可になるんだから、白雲観光に土地を売ってくれということであります。これはすでに相当の有力者が、もう例が出ておりますように、幹部級は大体買収されておるわけですから、強硬に公共的の利益、地方自治体の利益ということをたてにとりまして、強引に判こを押させるわけであります。農民は、そういう公のためじゃしょうがないだろうというようなことで、坪千円あるいはせいぜい千五百円、こういうところで現金を全部受け取っております。全部支払い済みになっておりまして、そうしてこの土地は白雲観光のものになったのだということで、公正証書までもとられ、いろいろな証書を弁護士が全部中へ入りましてとりまして、将来どんなことがあっても確保できるような法的措置を講じて手放させておりまして、これらの土地は仮登記がしてある、こういうふうになっております。ところが、その後土地がだんだん値上がりをして参りまして、初め千円ぐらいで売らされてしまっております農民の農地の周辺の土地は、おおよそ四倍、大体現在四千円になっておるのです。こういうふうな状態の中でこの事件が明るみに出て参りました。これは不正なんだということになった。農民はだまされたのだ。これはとてもこのままでは済みませんよ。済まないです、この問題は。しかも、百万坪以上に上る膨大な土地でございます。農地法違反ははっきりしておる。農業委員会にかけておりません。あなた方のところへ転用申請など出すはずがございません。こうやって陰ですっかりがんじがらめにして、これは白雲観光のものになってしまっておりまして、銀行は莫大な金を白雲観光へ出しておりますけれども、先般重役会でも、平沼頭取は逮捕される前にこういうことを言っておる。銀行は損はしておりません、買った土地が四倍になっております。こういうことを豪語しておる。つまり、完全にこの土地が担保に——事実上どういう形式でやったか知りませんが、許可にならないうちに売買は済んでしまっておって、銀行が抵当にとってしまっておる。こんなことが行なわれておるのに、大蔵省も農林省も知らないということは、世間で一般にいわれている、今度の問題は、何としても土地の騰貴が目的で、元来鉄道を作るのが目的じゃない、ずさんきわまるインチキな書類を出しておいて、陰で土地を買収して、土地の値上がりでもうけようというためにやったのだ、そのためには、どうしても農林省関係のところへ政治的な何かの力をたよりましてうまくやっておいて、そして場合によっては大臣に顔をきかしてもらってでも、これはうまく転用がきくように、うまくなるようにという評判がずっと現在一般に立っている。この評判を打ち消すことはできませんね。そういう重大なことが行なわれておるのに、知らぬ、存ぜぬで通しているということになれば、これはある程度消極的にか、どういうことにか、こういうことをやっておるのを黙認しておる、こういうことになるじゃありませんか。どうですか、農林大臣。
○河野国務大臣 お話しの点は初めて承りましたが、よく調査をいたします。しかし、先ほど来いろいろ御意見でございますけれども、鉄道沿線を相当長い間に買っておる。御承知の通り、最近五千坪以下は地方長官ということになっておりますので、決していいことじゃございませんが、こまかく切って、地方長官限りでやっておるものがないことはないのでございます。何しろ全国のことでございますから、いろいろな例があるようでございますけれども、こちらの方に転用を申し入れますものにつきましては、最近、特に私は全部、農地局長限りでなしに、大臣のところまでくるように、最近の設備投資の拡大等から考えまして、慎重にこれを扱うということにいたしておりますので、今の白雲観光の土地の問題につきましても、申請が出て参りますれば、それについて、その適用性については厳重にこれはやることにいたします。出て参りませんことには、どういうことも農林省においてやりようはないと思います。
○高田(富之)委員 これは、農林大臣としてはほんとうに手落ちだと思います。今までそういうことが放置されておることは重大な問題だと思いますが、これからもしやるとしても、申請がきたらなんて、のんきなことを言っておるときでないと思うのです。これは直接に現地調査でも何でもやるべきであります。中へ入っておる農業委員会にしても、市町村にしても、東京都庁にしても、今日では信用できないのですからね。そうでしょう。汚職がこれまで蔓延して参っておるときには、もちろん信用できないからほっとくというのではない、あなたの方が命令を出してやらせるのですが、同時に、大臣の責任においてもいろいろな手段で現地調査をして、農民が現在どういう状態にある、農地がどういう形でどう処理されておるかということを的確に把握いたしまして、農民に被害が及ばないように、違法行為が断じて行なわれないような強力な措置を講じなければならないと思う。もう一ぺん御決意をお聞きしたい。
○河野国務大臣 申請の出てこぬ限り、農林大臣にはどういう処置が一体あるのか、お示しがありますればやりますが、許可をいたさぬ毛のは売買無効でございます。売買無効という以上にはできません。私の方からやる措置はございません。申請がないものに許可を出さぬということは、私はここで申し上げられるわけはございません。大体そういうものは、許可が出ぬことが原則だと考えます。しかし、申請書も何も出てこないのを、私が怠慢だのどうだのとおっしゃっても、私はやりようがございません。その下の地方長官に委任してありますから、地方長官がまずこれを審査され、監督され、そうしてそれが大規模のもの、つまり今申し上げましたように、五千坪以上のものであれば農林大臣の方に申請される、こういうことになっております。それを許可しないということになれば——許可があって初めて売買が有効になるのでございます。それを申請書の出てこない間に、農林大臣怠慢だのどうだのおっしゃっても、私はやりようがございません。
○高田(富之)委員 仮登記をしておるものも相当あります。それから白雲観光の買収したことも、調査すればすぐわかるのでありまして、それが違法な手段で行なわれている。売買の予約だなんていいますが、全額金を払ってしまって、そしていろいろな書類をとって身動きならないようにして、事実上売ってしまっているのですから、違法行為ですよ。農地行政は完全にぶちこわされているじゃないですか。私はこればかり質問しているわけにいきませんから、この問題については一つ厳重に調査をして——きょうの質問では何にもわからない、幾ら買ったんだか何だか、うわさ程度です。もう少し東京の農地事務局なり下部機関等を督励して、正確な資料と実情を調べて本委員会に報告していただきたい。そのときに、さらにこまかい、これをどうするかということは農民にとっては最大の問題ですから、もう少しお伺いをすることにいたします。 次にお伺いいたしたいことは、一体、今度の武鉄の免許でございますが、これは楢橋元大臣の新聞等に発表しておるお話になりますと、自分のときには認可しないのだ、これは資金の面からいっても、計画の面からいっても、滝島という人物、信用、いろいろな面からいって不認可と決定したと、はっきり言い切っておるようでございますが、これは事実でございますか、運輸大臣。
○斎藤国務大臣 楢橋運輸大臣時代に認可をしないと決定したということであったかどうかは、私聞いておりません。事務当局の方でも、その当時、運輸大臣はどういう考えであったかは、十分聞いていなかったようであります。ただ、その後に発起人代表が変わりましたり、またいろいろ追加申請をいたして、そうして形を整えております。従ってその形が整えられてなかったならば認可ができなかったであろうということが推測される、こういう私は御答弁しかできません。
○高田(富之)委員 楢橋大臣のときに決定したかどうかわからないということになりますと、あれほどはっきりと不認可と決定しておるのだと言っておられるのは、これは報道の間違いか、本人が言い間違いか、うそを言ったか、こういうことになるのであります。それからただいまのお話では、その後計画が変わってきたり、発起人が変わったりしたので、いろいろ検討したということでありますが、今度の認可が非常に早いじゃないか、異例に早いではないか。類似の私鉄の今までやりました二、三の他の例と比較しましても、非常に異例に早いと、こう言われておるのでありますが、全体の期間でも異例に早いと言えましょうが、問題は楢橋さんのときには不認可と決定した。かりに不認可と決定したということが強い言い過ぎであったとしましても、今あなたの言われるようにその後いろいろな事情が出てきちゃったものだから、何かあらためてやり直しのような格好になっていることは事実だと思うんですよ。その期間はたった一年でしょう。これだけの大きな計画がたった一年でできているのですから、確かに世間でこれは早過ぎる、おかしいというふうに言われるのは、私は無理もないと思うんです。今までの認許可行政が運輸省関係では長過ぎるということが行政管理庁からもしばしば指摘され、委員会等でもしょっちゅう言われておったのですが、今度は異例に早過ぎるということが相当問題になっておる。そこでお伺いいたしますが、(「適切であるかないかが問題だ」と呼ぶ者あり)適切でないから早いわけなんです。いいですか。適切でないということについては、先般衆参両院の運輸委員会、決算委員会でもある程度の御答弁があったかと思うのでありますが、いろいろあります。問題はたくさんあるんですね。私どもちょっと考えてもおかしいと思われますのは、四月の十二日と十四日ですか、荒舩清十郎君が当時決算委員長でありましたが、木暮運輸大臣に早く免許しろという趣旨の強い要請のような質問をいたしておるのでございます。そのときに当時の石井民鉄部長は、何べん強く追及されても、なかなかおいそれと認可できないのだということをるる説明されておるのです、四月のときには……。そのときの論旨はいろいろあるのでしょうけれども、このときの石井さんの論旨でいきますと、要するに今の国鉄の都心から三鷹付近までの輸送というものはとにかく雑踏をきわめておりまして、とてもこのままではどうしようもないので、これをさらに複々線にする。複々線にしてはたして現状のちょうどいいくらいになるのか、そのときまでにもっとふえるのか、まだわからない。いずれにしてもこれは相当慎重に考慮しないと、その先またベッド・タウンみたいなものが方々にできて、都心へ向かってお客さんが三鷹あたりからさらに殺到するのでは、とてものみ込み切れないのだ。だからこれは直ちに早急に認可というわけには参らないのだ、こういうことを言っているわけですね。それじゃ何百年待つのだと荒舩君にやられた。何百年というわけには参りませんが、とにかく早急には問題ですということをるる説明しておる。ところがこれがいつの間にかくるっと変わっちゃっているんですね。いつどこでどう変わったかわかりませんけれども、がらっと変わっちまいまして、運輸審議会の答申書を見ますと、ベッド・タウンを作るために、目的の一つにちゃんと入っている。ベッド・タウンを作ることも一つの目的になっちゃっている。まるで石井さんの説明とは正反対のことになっちゃっている。これはベッド・タウンを作るというのは目的でない。これから東京の周辺にベッド・タウンを作って、やたらに東京に通ってこられたのでは困るので、なるべく向こうへ人間が定着して、都心へ人間が殺到してこないようにするのが都市計画の目的でございますとはっきり言っているんですが、この答申を見ると、ベッド・タウンを作ることが一つの目的にちゃんと書いてある。そういう文句が使ってある。その重大な懸案事項、慎重に研究しなければならぬ研究事項が、いつの間に急転直下、逆の解決をしたのか、だれが考えてもわからないのです。なお不思議なことは、四月十二日の荒舩君の質問に対してはとうとう回答できないんですね。幾ら早く認可しろ、認可しろと言っても、そういうわけには参りません、参りませんという理由をるる説明をしておる。ところがたった二日おいた四月十四日には、石井君が今度は出てきていないんです。木暮大臣がみずから出てきまして、これはしごく簡単です。理由も何もありゃしない。近いうちに運輸審議会が必ず開かれるでございましょう、今度は国家的見地に立っていい結論が出るでしょう、出次第早急に認可します、きわめて簡単、あっさりしているんですね。そこで荒舩君の方も了解というわけで、簡単に了解になっちまった。おかしいんですよ。前の委員会では石井さんは資料を整えてどういう理由でどう、人口の関係がどうで、なぜむずかしいかを説明する約束をして帰っているんですね、二日前には。ところがその説明者は今度は出席をしてこない、こういうことが行なわれておるのであります。しかも石井さんという民鉄部長は、認可の直前にやめちゃっているでしょう。これはどうしてもベッド・タウン問題——時間がないので、疑問点だけ先に並べちゃいますが、ベッド・タウン問題でしょう。これはわかりません。それから貨車の計画、これがきわめてずさんでなっていないということは、これはその他の資金計画その他とともに公聴会で徹底的にやられて、まさにもうどうしようもないほど完膚なきまでにやられちまっておるのですが、その後の計画にしましても、先般国鉄の貨車を四十両とか減車する、こういうふうな計画でそういう車が一体国鉄にあるのかということを久保委員に運輸委員会で追及されて、今のところはございません、まあしかし四、五年先へいったら何とかなるのじゃなかろうかと思いますというふうな、まるっきり不確定な将来のことでもってこういう計画をどんどん通してしまっているのですね。これも非常におかしいということ、これは委員会で明らかになる。それから資金計画なんかは大幅に変わっておりますね。四十一億なんと言ったのを五十六億というふうに、公聴会が終わってたった二、三日の間に一夜づけみたいにすぱっと計画が大幅にふくれ上がって、ぽっと出してきている。こういうことをやっている。しかもその五十六億だってだめだというのが専門家の一致した意見でしょう。今、私鉄を経営しているほかの方々は、大体ああいう山岳地帯あるいは三鷹あたりの市街地あたりということになると、どうしても百億はかかるというのです。運輸省で計算しても六十億以上かかるというのでしょう。そういうのを四十一億で始めると言って、あまり少な過ぎると文句を言われたら五十六億に直す。こういうでたらめなことをやっておって、これに対しましても、ほんとうにこれはやる気があるのかないのかというところまでほかの私鉄の経営者から追及されておるわけです。それから発起人の変更でしょう。発起人がどんどん変更する。発起人の代表も変更しておる。こういうようなことに対しましても、運輸大臣の答弁では、運輸委員会では、その事情は存じません、名前が変わったということは知っていますが、どういう事情か知りませんと、まるっきりこういう重大なことについての調査も何も行なわれていないのですね。 それから、さらにおかしいのは、モノレールの計画というのがちょこちょこ顔を出してくるのですね。その点だけを一つ御答弁を求めましょう。もう時間がありませんが、モノレールだけは一つ御答弁を願いたいのですが、モノレールの、これは普通の軌道の電車じゃなくて、モノレールでやるのだという話が公聴会のときにも云々されておる。相当この話が出ております。反対側からも出ておるし、委員からも質問が出たりして、モノレールでやるかどうかという問題が出ております。それから私が現地調査をいたしますというと、武蔵野市あたりでは、当初のころの武鉄創立事務所の説明は、市議会の総務委員会などに対する説明は、モノレールでやるのだという説明だったのです。ですから、地元の者は、普通の電車が走るのじゃなくて、モノレールが通るのだとばかり思い込んでおったわけですね。公聴会があって、モノレールじゃないのだという書類が出ていたということで、そのころ初めて地元の方ではモノレールじゃないらしいということがわかってきた、こういう状態です。いいですか、それでモノレールの問題についても、もしそういう気持が申請者の腹の中にあるとすれば、当然貨車で石灰石を運ぶだとか、国鉄の貨車を四十両借りるというところはでたらめな作文にすぎないのですから、だから資金計画がぼこぼこ変わったり、どこからでも、これはしろうとがやったのじゃないかという非常にものすごい追及を受けて返答ができないというのは、腹の中にモノレールがあったからそうなんだろうとわれわれは考えざるを得ない。ところがあなた方に質問しますというと、資金計画についても、発起人の変更についても、モノレールのことについて、これは運輸省の技術研究所へ滝島当人が研究に行っているのです。そういう事実があるにもかかわらず、ちっともそういうことを調べていない。書面に出たものだけです。書面づらだけなら、これでは運輸審議会というものは私は要らないと思うのです。整えられた書面にだけ判こを押すなら、だれだってできるのですからね。そんなことは、女の子が一人いればたくさんですよ。ちっとも内容を調べていない。何のために平沼がやめたか、何のために経団連の石坂会長がやめたか、諸井貫一秩父セメントの社長は、これを見ると届けが出ていないようですが、本日聞いてみますと、とっくに手を引いちまっているのだ。事実上やめちまっているのだ。こういうことなんです。こういうふうに名前は並べてありますけれども、実際一生懸命になって、中心になっているのは滝島なんですよ。滝島以外にだれもありはしない。そういう実態を突きとめないで、看板が変わったからといって、書面だけでやっているのでしょう。そこでお伺いしますがね。
○山村委員長 高田君、時間がありませんから……。
○高田(富之)委員 あなた方は、認可をしたことについて、今たくさん並べましたが、認可をしたことについて瑕疵はないと、この鉄道の認可は正しいとあくまで言い切れますか、一つ責任ある御答弁をして下さい。
○斎藤国務大臣 一々たくさんの事例をおあげになって御質問でございましたが、結論を申し上げますると、認可は合法的に、しかも書面の上では確実性があり、また計画もよろしい、発記人代表も資力、資産、信用等が十分であるということでございまするから、今直ちにこれについて認可をどうするという問題ではない、かように考えております。 先ほどのベッド・タウンの問題でございましたが、これは私も調べてみましたが、その後三鷹と中野間を複線化をするということを決定をいたしましたから、その間の隘路が打開できた、こういう事務的の見解であったという報告を私は聞いております。 モノレールの点は、これは相当重大な変更になるだろうと存じまするが、書面その他につきましては、正式にはモノレールでやるということは今まで一つも出ておりません。これが施行認可の際にモノレールということになって参りますると、これは重大な変更でございますから、とくと考慮しなければなるまい、かように考えます。
○山村委員長 高田君に御注意を申し上げます。時間がだいぶ超過しましたので、一問だけお願いします。
○高田(富之)委員 去る八月十八日でしたか、大蔵省に対しまして、滝島は、武鉄は、会社設立にあたって株式を公募するための必要な手続をとっておるのであります。その提出された事業目論見書によればモノレールでやるということにちゃんとなっている。今まで出してきました申請書は全部うそであったということがはっきりしたのですよ。どうですか、運輸大臣。
○斎藤国務大臣 会社設立につきましては、運輸省といたしましては、まだ何にも聞いておりません。会社が設立されて申請が出て参りましたならば、十分審議をいたしたい、かように思っております。
○山村委員長 高田君、もう時間がだいぶ超過いたしましたから、格別のはからいをもって許します。なるべく結論を急いで下さい。
○高田(富之)委員 急ぎます。この八月に出されました定款と事業目論見書というのは重大なんですよ。提出しましたけれども、あなた方は工合が悪いのです。そうでしょう。ついこの間認可したばかりのこの鉄道の免許と内容が全然違ってしまった。鉄道を敷くんじゃないんですよ。初めから問題になっておったモノレール、終始一貫彼が研究をし、地元で発表したモノレールの計画がちゃんと出ている。資金計画も事業計画も全部うそだった。体裁だ。認可をとるための体裁を整えたにすぎない。それが出たものですからあわてて、やあ出なかった、そういうものは見てない、そういうことは知らないという、知らないはずがありますか。私は証人を連れてきますよ。いいですか。あなた方はそういうことを言いますけれども、事実大蔵省へ八月十八日に出たんです。そうすると、あなた方は詐欺にかかって、だまされて認可をしたか、事情を知っておって、内容はどうでもかまわない、書面だけ整えばということで事情を知ってやったか、どっちかなんですよ。だまされたんですか、それとも知っておって認可をしたんですか、どっちですか。
○斎藤国務大臣 会社設立について大蔵省にどういう書類が出たか、私の方は何にも聞いておりません。事務的に確かめたところでは、まだ正式には出ていない、こういうことだ、かように聞いております。この認可が詐欺によってなされたかどうかというようなことは、後日事柄が明らかになれば、私もこの点を糾明をいたしたいと思いますが、現在の段階ではそういうものは出ておりません。
○高田(富之)委員 それではこれで終わります。いずれにしましても、こんな不可思議なことがありますか。この重大なる鉄道を建設するのに、内容はちっとも知らない、書面づらが整ったからというので認可をしてしまった。そして認可をしたとたんに、長い間議論され、うわさされておったその通り、モノレール計画が飛び出してしまったのだ。これこれ収賄の——第一窓口が検挙されてしまったでしょう。現地調査も何もやっていないんですよ。現地調査に便宜を与えてくれというので買収されて、今窓口が検挙されているでしょう。下から来る資料も全部でたらめなものだ。上の方で判こを押しさえすればいいように書類を整えた。出たらすぐ本物の届けが出てきた。あなた方は詐欺にかかって、欺罔に陥れられて決定したのであれば、すみやかに取り消すべきであります。知っておってやったならば、これは重大な汚職であります。どうかこの点を明確にしてもらいたい。
○山村委員長 それでは春日一幸君に発言を許します。——通産大臣が参りました。春日一幸君に発言を許します。春日一幸君。
○春日委員 今、国民の最大関心事は、一体この先わが国の景気はどうなるであろうかということであります。今金融が非常に苦しいようであって、何となくいやな金詰まりの気配があるけれども、一体この深さはどこまで落ち込んでいくのであろうか。何しろ御承知の通り、ついこの間まで所得倍増政策とか高度成長政策とか、かねと太鼓であおり立てられて参りましただけに、いずれも黄金景気に酔いしれて、このような急転直下と申しましょうか、こうした急変ぶりに、国民は真相がつかめない。そういうことで、この金詰まりが、一体単なる一時的現象なのか、それともこの先半年一年、半長期的に持続するものであるのか、いずれにしてもその真相がわかりかねますることのために、国民は進むべき道も選ぶ方策もきめかねるといったようなありさまではないかと思うのでございます。 〔委員長退席、青木委員長代理着席〕 一方本会議を初め、本委員会を中心といたしまする経済論争の中において、池田さんの御答弁は、いわゆる世論の経済に対する警戒的な論評を、あたかもしかりつけるような形で、国民所得倍増政策は違っていなかった、高度成長政策は堅持するのだと、こういうような、言うならば組閣以来の口上を紋切り型に繰り返しておられるのでございます。国民の惑いはいよいよ深まるばかりでございます。従いまして、よかれあしかれ、国民といたしましては、わが国経済の真相を知りたいというのが願いでございます。従いまして私はここにわが国の経済の静態と動態、そしてその真相をつまびらかに知ることが、お互いの最大の任務であろうと存ずるのでございます。よってこの際日本経済の実勢とそれから景気の動向について、所要の質問を行ないたいと思いますので、御出席を願いました経済閣僚三大臣は、もとより池田内閣の大臣ではあられますけれども、より重き責任において日本国民の大臣であるという自戒の上に立たれましても、一つ十分真相が国民の前に明らかになるように御答弁を願いたいと存ずるのでございます。 まず第一番に、この際経済企画庁長官にお伺いをいたしまするが、第一にお伺いしたいことは、本年の一月、三十六年度予算案が組み終えられた時点において、政府は国際収支についてどのような見通しをお立てになっておりましたか、しこうして最近の時点においてその収支見通しは変更を加えられたと思うのでありまするが、その一月の時点において立てられた見通しとその後、最近その実績に応じて変更された見通し、これを一つ計数によって明確にお示しを願いたいと存ずるのであります。
○藤山国務大臣 一月見通しと、最近の中間の暫定的な試算でございますけれども、それとを申し上げたいと思います。 一月見通しにおきましては、輸出は四十三億二千、それに対しまして最近の暫定的な中間見積もりでは四十二億六千、輸入が一月見通しでは四十一億九千、それに対しまして暫定的な見積もりでは四十九億六千。そういたしまして、貿易収支におきまして一億三千万ドルのプラス、ところが暫定見積もりでは七億の赤になっております。それから貿易外収支では、一月見通しでは一億二千万ドルの赤でございますが、暫定見積もりでは一億八千万ドルの赤。経常収支において、一月見通しにおいては一千万ドルの黒でございますが、総合いたしまして暫定見積もりでは八億八千万ドルの赤。長期資本収支で、一月見積もりでは二千万ドルのプラスでございますが、今回暫定見積もりでは一億五千万ドルの黒でございます。そして短期資本収支では、一億七千万ドルの一月見通しではプラスでございますが、今度は二億のプラス。資本収支におきまして、一億九千の一月見通では黒でございますが、今回は三億五千の黒でございます。総合収支において、一月見通しでは二億の黒でございますが、今回は五億三千万ドルの赤。外貨準備が、一月見通しでは二十一億六千一百万ドル、今回の見通しでは十四億四千万ドル。こういうことでございます。
○春日委員 そういたしますと、これを集約いたしますると、大体において一月当初の見積もりでは国際収支において、経常収支では一千万ドルの黒であったものが、現実においては経常収支で八億八千万ドルの赤、総合収支では二億ドルの黒を見越したものが現実には五億三千万ドルの赤、このように見込みが大きく狂ってきた、かくのごとくに了解をいたしたいと思います。 次にお伺いいたしたいことは、物価の見通しについて同様に伺いたいのでありますが、すなわち一月に政府が立てた見通しと現在の実績は何でありますか、これも一つお伺いいたします。
○藤山国務大臣 本年の一月に立てました物価の動向と、御質問は一−七月の物価の動向、それでよろしゅうございますか。
○春日委員 ええ。
○藤山国務大臣 予算編成時の物価の見通しといたしましては、卸売物価は三十五年度比〇・三%の下落、消費者物価は一・一%の上昇を見込んでいたわけでございます。本年一−七月に卸売物価は二・六%、消費者物価は六・〇%それぞれ上昇をいたしたのであります。結果におきまして、三十六年七月の物価水準は、三十五年度の平均の数字に比しまして、卸売物価が三二%、消費者物価が五・七%の上昇となっておるのでございます。
○春日委員 伺いますると、一月の政府見通しは消費物価において一・一%の上昇を見込んだものが一−七月の実績においては消費者物価は六・〇%の上昇、卸売物価については〇・三%の下落を見込んだものが実績においては二・六%のアップ、これまたことごとく根本的な狂いが現われて参ったと思うのであります。 そこで大蔵大臣にお伺いをいたしまするが、この一月当初の見通しの上に立って政府は三十六年度の予算を組まれたものであり、また同時に公定歩合を三十五年八月、本年一月と二回にわたって引き下げるなど、政府の財政経済政策はこの一月の見通しを基調に立てられたものと思うのでありますが、いかがでありますか。
○水田国務大臣 政府の予算編成はこの見通しの上に立てられました。ただ、今公定歩合云々という話がございましたが、金利政策については、この見通しの上に立ったということじゃなくて、昨年夏私が就任しましてから、日本の金利政策はそのときから考えておった問題で、これは別に見通しの上に立てた政策ということではございません。
○春日委員 それは私は先般来両大臣、総理と大蔵大臣の御答弁を伺っておりまするけれども、当たらぬもはなはだしいと思います。それは実際を離れた御答弁でございます。と申しますののは、低金利政策というものが別個に忽然として存在するものじゃございません。それはもとよりわが国経済の全体的な有機的な関連の上に立って定められるものであるのであります。現在でも、あなたの方の金利政策の基本が低金利政策であることは、これは当然であろうと思う。それにもかかわらず、ここに七月、九月と二回にわたって二厘の引き上げを行なわなければならなかったことは、これは国際収支が悪化したり、悪化することが予想されるので、低金利政策が政府の金利政策の基調であるにもかかわらずこれを変更せざるを得ない、こういうことでこれが変更されておるのであります。従って、昨年八月、ことし一月の公定歩合の引き下げは政府の国際収支に対する見通しが間違っていたことに基づくものであって、政府の低金利政策が個別の要請に基づいて個別に存在をしたから、従ってあのように下げたんだと言われることは、これは事実に反する。やはり経済の見通しでは、こういうふうに国際収支も大体とんとんでいけるであろう、物価も大体横ばいでいけるであろう、だからこの国際金利にさや寄せをすることのためにこれをこういうふうに下げてもいいであろうという、そういう見通しの上に立って下げられたのであって、金利政策の基調というものは堅持しなければならぬから下げたというのであれば、今回上げたという理由は成り立たない。私はそのような詭弁を弄することなくして、その当時の経済の見通しを誤ったがゆえにあのようなマンモス予算を組み、あのような逆行ともいうべき低金利政策をとったのだ、これは率直に認めて、悪かったことは悪かった、そうして悪かったがゆえにかく改める、こういうことでなければ、お互いの論議というものは意味をなさぬと思う。議会でお互いに言いたいことを言い放って、そうしてそのまま結末を考えないのは、無責任な態度と言わなければならぬと思うのであります。そこで池田内閣の経済の高度成長率向こう三ヵ年九%達成の公約、それからあのような膨張放漫なマンモス予算、それから低金利政策、こういうような経済見通しを基礎としてこういう政策が立てられたわけでございまして、これらの因果が相互にからみ合って、わが国経済を過度に刺激したと判断すべきであると思うのであります。すなわち見通しが誤っていたから、従って計画が誤ってくる。計画が誤っておったからその結果が誤ってくる。これは当然のことであろうと思うのでありますが、この点について経済二閣僚の反省は何でありますか。この際それぞれできるだけ一つ簡単に——とにかく見通しが誤っておったから今申し上げたような対策が誤った。対策が誤ったから結果が誤った。かく断ずることは、あなた方がいかに詭弁を弄されようとも、何か言いのがれんとしようとされても、現実というものはみんなプリントになってそのつど残っておる。さらに現実の事態は動いておる。さまざまな現象となって現われておる。言いのがれの余地はないと思うが、この際池田内閣の閣僚としてではなくして、日本国民の大蔵大臣、通産大臣、経企長官として、一つ確信ある、良心に満ちた御答弁を願いたい。間違っておったからえらいことになってしまって申しわけない、こういうことでいいでありませんか。御答弁を願いたい。
○水田国務大臣 まず私から。昭和三十二年のときと現在の経済情勢の違う点、これはやはりこの際顧みなければならぬ問題だろうと私は思います。昭和三十二年は、御承知の通り、やはり経済の伸びる潜在力が非常に大きくてあそこまで伸びてきたが、あの場合には経済が伸びるための隘路があった。まず輸送から均衡成長というものがくずれて、そこで石炭、電力からくずれた。物価破綻がまず出てきたということが一つの特徴だと思います。これがこれ以上伸びようとしても、均衡的には伸びられないというところにぶつかった。従って、これに対する対策も割合にやりよかったという事情があろうと思います。もう一つは、思惑輸入というものがああいう形で行なわれて、これがまた経済の伸展を阻害したということでございますが、あのときには外貨はなくなったが、外貨が物に変わっておるということでございましたので、ほんとうの意味の外貨危機というわけでも実際はなかったのと、金繰りがつけば、この点の心配はそうなかったということだろうと思います。従って、輸入担保率のああいう大きい引き上げというようなことによって、現金を積んでまで買わなくてもいいということで、買い過ぎておる材料の食いつぶしがその次の期間に長く続いたということが、国際収支改善の大きい原因になっておった。あのとき打った対策が割合に早くきいたというのは、そういう事情だろうと思いますが、今度の場合は、私はこういうふうに見ております。あのときは経済の均衡成長を阻害する隘路があったために、あの後の経済政策はこの隘路をなくする、経済が均衡に発展するようにということで、おくれておった社会投資もあとから追いかけるような措置をとりましたし、いろいろのことをやって、そういう意味の隘路がなくなったということですから、経済が伸びようというと、これを防ぐものがなくて、相当どんどん伸びられるという環境に今なっておったということでございます。従って私どもは、何%くらい伸ばそうという見込みはつけたのですが、伸び出すというと、なかなかこれがその程度にとまらない。捨てておけばもっと伸びるという力を持っているのが、今の日本の経済じゃないかと私は見ております。従って、もしこのまま伸びていって物価破綻を来たしておるようでしたら、これはなかなか経済としては問題ですが、御承知のように木材を除いたあとの卸売物価というものは、諸外国の上がり方に比べて、日本が物価破綻を来たしておるという状況ではない。何でわれわれが縮めなければならないかと申しますと、国際収支の問題であって、これを解決しないと安定成長が望めないというところに今ぶつかっておるから、われわれはこれに抑えをかけるという政策をとっておるのですが、三十二年と違ってこの押えのがけ方が、伸びる力が今強いので、ほっておけばもっと伸びる勢いでございますから、これに対してのブレーキのかけ方が今なかなかむずかしい。ですから、三十二年のような短期的措置ではなくて、相当しんぼう強く持続的な措置をとってじわじわと押える方法をとらなければ、私はむずかしいというふうに考えております。従って先般インフレがデフレになるのじゃないかというような御心配がございましたが、デフレになるような心配じゃなくて、よほどのことをしてもまだ押え切れるかどうかというので、そう急速に経済が大きいダウンをするというような状態にないことが今の特徴でございます。従って、われわれの対策も、相当これに対処するために、じわじわと持続的にやらなければいかぬということが今必要なわれわれの対策だと思いますので、経済を私どもはそう見ておるというので、まず基本的なことを申し上げないと、あなたの先ほどのお話といろいろ食い違ってくるのじゃないかと思います。
○春日委員 御答弁は得ましたけれども、私が伺っておるのは、そんなことを御説明を受けたいのじゃございません。それはもう五へんも七へんもいやになるほど聞きました。私が伺いたいのは、今経企長官から伺ったように、政府が立てた見通しは経常収支で一千万ドルの黒だと思ったのが八億八千万ドルの赤になった。いいですか。総合収支は二億の黒だと思ったら結果は五億三千万ドルの赤になりそうだ。物価についても、消費は一・一%の値上がりだと思ったら、六・〇%も上がってしまった。卸値段は下がると思ったやつが二・六%も上がってしまった。とんでもない狂いである。こういうことになったのは一体どうしたことか。そういう間違った見通しの上に立って予算を組んだ、金利を下げた、いろいろな経済の高度成長政策、所得倍増論をあおり立てた、だからこういうことになってしまったのだ。だからその基礎が間違っておったから対策が間違った。対策が間違ったからこんなことになったのだ。今水田さんがお答えになりました、むちゃくちゃ伸びたから、それが外貨を食う、それだから押えなければならない、そんなことはわかっている。そんな押えなければならないようなことになったことについて、国民に対しては大へんな迷惑がかかっているんですよ。たとえば金融引き締めによってしわが中小企業に寄る。破産倒産が相次いでくる。後ほど申しますけれども、やがてこれが一家心中、一家離散となったらその責任を何と感ずるか、こういうことです。ああだからこうだとかいう言いわけでなしに、全くあの三十六年一月の予算編成期におけるわれわれの見通しが間違っておりたから、立てた対策が間違ったから、かくのごとく国民に被害を与えてきた、こういうことに対する反省が何であるか。やり方はあとで尋ねますが、反省が何であるか。悪かったなあと思うなら悪かったと言えばいいし、池田さんのように、断じて間違っていないのだ、経済はおれにまかせておけというならば、だれかまかすかもしれないし、まかせない人も多いだろうと思うけれども、それはそういうことにしておいて、私のお伺いしたいことは、要するにこういう結果に対して、立てた計画とそれから対策、結果、この三段階においていかなる反省をしておられるか、この点を他の両大臣から、大体三十秒くらいずつで御答弁を願いたいと思います。
○佐藤国務大臣 九・二%の成長計画、これは間違いはなかった、現実にはそれより以上のものを上回っておる、そこでいろいろのそごを来たしておる、そこでただいま緊急措置をとっておる、かように考えておりますし、また池田内閣といたしましても、所得倍増の計画は変えないで進めていく、かようにしばしば総理が言明した通りでございます。これはもう一つつけ加えておきますと、私どものやっておりまするのは、いわゆる統制経済ではない。自由経済のもとにおきましては、政府の目標と現実の食い違い、こういうようなものはしばしば起こりやすいんじゃないか、かように思います。
○藤山国務大臣 今回の事態を私は相当重要に見ておりますので、できるだけ責任を持ってこの事態が安定的成長にいくように企画庁長官として努力をいたすことにいたして、それで責任を果たして参りたい、こう思っております。
○春日委員 若干良心の気配のある答弁というのは、藤山さんの答弁だけです。佐藤さんの答弁は、自由主義経済というものは自律作用があって、どんどこどんどこ伸びるときは伸びる、落ちるときは落ちる、政府の計画が合うなんてことはむしろ不思議なことだという、そんなことなら計画なんか全然立てない方がいいし、経済企画庁なんかやめちゃった方がいいし、態度を全部変えてしまわなきゃいけない。現在の内閣の構造から政治の形態まで全部変えなくちゃならぬのですが、それは佐藤さん失礼ですけれども、運輸のことはくろうとかもしれないけれども、経済のことはおしろうとでいらっしゃるから、この点においては宥恕するといたしまして、少なくとも藤山さんの言われたように、とにかくおれたちのやってきたことは間違っておったのだとして、責任の感じ方は、これを何とかして一つ直していく、そこへ誠意を尽くしていきたい、これでなければならぬと私は思う。委員長はどう思う。私はそうだと思うのですがね。だからこの点については、今後の答弁の中においても、十分一つ責任をきびしく感じてやってもらいたいと思うのです。 私は特にこの際強調いたしたいが、今佐藤大臣から、池田さんが言われた通り、今後とも高度成長政策、所得倍増政策を掲げてやっていくのだと言われておりまするけれども、それはわが国の経済の実勢に合いませんよ。そのことはあたかも熱いふろの中に入って、そうしてこれはぬるい、ぬるいといって、やせがまんを張っている落語の熊さんの言い方と同じことなんですよ。むしろそれはこっけいなんです。だから、こういうような事態になってきたときには、やはりその事態に対応して適切な政策をとるということが、それが国民のために忠実なやり方であって、最初わしは言うたんだから、どういうことになろうともわしはこの考え方は変えないのだといって、金看板が泥看板になってしまっても、同じことをばかの一つ覚えで言っておるというようなことは、これは良識ある政治家の言われるべき言動ではありません。十分にこの点については一つ御注意を願って、何とか一つ良心的にこの局面の転換をはかろう、こういうところに思想を統一していただいて、あとの私の質問に対して答えていただきたいと思うのであります。 そこで、私がここで強くお願いをしたいことは、今や政策の転換のときではないか、こういうことでございます。池田さんは先般来いろいろなことを言われておりまするけれども、もとより国の経済の成長を望まない者はございませんし、政党はいずれもその政策を、計画を立てております。けれども、それは西ヨーロッパ諸国の例に徴しても明らかな通り、少なくともそれは国際収支の安定と均衡のワクの内側においてのみ推進されるのであって、これが基本的な経済成長をはかるの態度といわなければならぬと思う。当然スピードを出す車には、やはりそのスピードを統制するだけのブレーキ、しかもそれが機動的でかつ先見的でなければならぬ。そういうブレーキを兼ね備えてスピードを考えなければならぬのでございます。先般来池田さんは、社会党も民社党もそれぞれ一案を持って成長政策を考えたじゃないかとおっしゃっておりますけれども、この点について私どもは、これは後ほど機会を得て説明を申し上げたいと思うが、均衡ある、安定性のある発展をはかるためには、かくかくのことが必要である、銀行法の改正から、あるいは証券取引法の改正、その他さまざまな経済立法六十幾つも考えて、こういうことをあわせながら、かくのごとく経済の成長をはかっていく、行き過ぎを、スピードを、暴走をため直すための措置を常時考えながらそれをやっていく、こういうことでございまして、君の方もそういう成長政策を立てたのだから、おれらのやったことを文句を言うのは目くそ鼻くそじゃないかというような態度は、これはとにかく直してもらわなければならぬと思うのでございます。そういう意味で、私はこの際今までのようなあおり方、とにかく高度成長政策、所得倍増政策は間違ってなかったのだ、だからやっていくんだ、池田の見通しは間違っておったかもしれないけれども、現に日本の経済はこのようにすばらしく伸展しているのだということを、本会議でもここでもおっしゃっておりまするけれども、その過度の成長、過剰の設備というものが、今はこれが問題になっておる。いわばそれは病的にできたこぶだとか、はれもののような工合に今これが論じられておるのですよ。そのようなものの言い方というものは、あたかもできたはれものやこぶの大きさを自慢しているようなものである。ほんとうに全国民が心配し、野党のわれわれが心配していることをひやかしておる。私はこれは誠実な政治家の態度ではないと思う。この際私は、高度成長政策というものは、諸外国、工業国諸国の前例に見るがごとく、やはり均衡のある発展をはかるというその限界というものは、おのずからある。経済の自律作用があって、高度成長政策とか、あるいは所得倍増論とかいうものは、これはそんなことを言わなくたって、自由主義経済の中においては、ひとりでに達成されていくのです。現に、昭和三十年の予算が一兆円、そうして三十六年の予算が二兆円、これは岸内閣も鳩山内閣も、所得倍増とか高度成長とかやかましいことを言わなくたって、予算は倍になり、経済の規模は拡大され、国民の所得は漸を追うて高まっている。こんなことは当然のことであって、こんなことは政治のABCです。中身のないことを大げさに、所得倍増だ、高度成長だと、鳴りものを入れてあおり立てるところに、いわゆる設備投資を誘発する。設備投資が行なわれると、そのあとに、またその先に、さらに設備投資のオーケストラがかなでられて、いわゆる設備バイブレーションで、とんでもないこういう形になってしまったのだ。 〔青木委員長代理退席、委員長着席〕 だから私は、今後池田内閣としては、経済三閣僚の御努力によって、今後はそのようなあおり立てるというようなものの言い方をしないように、この際は、高度成長政策なんか当然事項だ、国民の所得を高めていくことのために政府が、国会が、政治家が努力することは当然だ当然事項なんかあまり大ぼらを吹いたような格好で言わないように、一つ三閣僚によって何かくつわをはめていただくわけには参らぬか、この点について経済企画庁長官から、何らかの心証、あなたの心のあり方をちょっとお示し願っておきたい。
○藤山国務大臣 高度成長政策そのものは、日本経済の発展のために必要だと私は思います。ただ、その政策を実際に遂行します方法論については、われわれ細心の注意をもって今後運営して参らなければならない、こう考えております。
○春日委員 次は、財政金融政策についてお伺いをしたいと思うのでありまするが、池田内閣が三十六年度のこのマンモス予算、それから低金利政策、こういうような形で財政の運用を誤って、その後においても景気の推移に応ずる財政金融政策の弾力的運営にも大きく失敗しておると思うのです。これは両大臣の共同正犯みたいな形で、ずっと連続性があるのでありまするが、こういう形が現われてきたら、やはり適切な手を事前的に、予防的に打っていかなければならない。手おくれになればこれはだめなんです。だからそういうようないわば弾力的な運営にも大きく失敗をして参っております。そこで私がお伺いしたいことは、今まで日銀政策委員会がこういうような事態について当然景気観測をいたしまして、さまざまな金融政策を立てられたと思う。この日銀政策委員会がわが国の金融の安定、円滑なる運営、通貨価値の安定、これをはかるためにさまざまな金融政策を立てたと思うのだが、これに対して政府が相当の干渉をしたり圧力を加えた気配が濃厚であります。大体四月、五月には、日銀の調査局のいろいろな資料を見てみますると、国際収支の悪化、それから物価の値上がり、日銀の貸し出し増、日銀券の発行増、こういうような経済の変調がずうっと高まってきたことについて、日本銀行は日本経済の危機が近く訪れる心配があるということを認めて、そうして設備投資を抑制することのために何らかの非常の対策を立てねばならぬとして、こういう対策を打ち立てたのがこの四月、五月のころであろうと思うのでございます。それで、従ってその当時に、その時点においてそういう予防対策が立てられておったならば、私は患部をこのように深くすることなくして、若干問題を軽く済ますことができはしなかったかと思うのであります。私はこの際特に総理にお伝えを願いたいのだが、日本の経済危機危機と言って騒ぐのは日本人ばかりで、外国人は日本を信用しておると言っておられるけれども、私どもはこの間ヨーロッパの方に行きまして、いろいろの国々の資料も調べもし、聞きもしたのでありますが、その中で特にイギリスのファイナンシャル・タイムス、これは日銀が警戒信号を出したときに時を同じくいたしまして、五月の二十六日の記事で日本経済の動向を論じまして、国際収支の悪化、手持ち外貨減少の危機を指摘して、日本政府が時期を失せず対策を決すべきであるということを、外国の新聞論調もこれは親切に指摘しておるのです。これはただ単にカクテル・パーティや何かでいろいろな外国人と何か会ったときに、お上手で言うことなら、ああわれわれは日本を信用しているとその連中は言うかもしれないけれども、ほんとうの経済評論家というものは、この日本の経済政策、財政政策、こういうものを見てこの危機を指摘しておる。五月の二十六日にもう指摘しておるのです。だから騒ぐのは日本人ばっかりだといって、日本人に逆に当たり散らすということは、これはけしからぬ、事実に反する、世界じゅうの心ある者は、日本に対してそういう警戒を与えておるのです。こういう情勢の中において私はお伺いをいたしたいのでありますが、一体、日本銀行が公定歩合の引き上げを中心として、金融政策を作成したあのころにおいて、政府は一体どのように日銀のこの金融政策に関与したか、このことを一つ大蔵大臣からお伺いをいたしたいと思うのです。事実関係を明らかにしていただきたいと思うのです。
○水田国務大臣 前からたびたび申しましているように、日銀と大蔵省は、これはもう緊密な連携のもとに金融政策は弾力的にやっておりますし、今までそうしたことも、こちらから日本銀行の金融政策を押えたというようなことはございません。で、今年度の四月以降、政府の揚超期でもございますし、金融の引き締めという基調をこれは強く守るという方向でも、日銀と大蔵省の意見は一致しておりまして、もう日銀の窓口規制というようなものは、事実上そのときから強化されておりますし、また政府側も公定歩合に入る前に、まず設備投資の銀行を通ずる一割抑制というような行政指導を先行するという方向においても、これは調査は日銀と大蔵省が共同で銀行調査に当たって、実態の把握をやっているというようなこともございますし、七月の公定歩合においても意見が一致してやっておることでございますし、大蔵省からは政策委員を出しておりますが、大蔵省の政策委員が政策委員会でそういう一連の金融措置に反対した例はございませんし、この点は全く緊密に、適切に今やられておると私は思っております。
○春日委員 では具体的にお伺いをいたしますが、日銀政策委員会の七人の構成、これには大蔵省を代表する者、こういうものがその政策委員になっております。この大蔵省を代表する者というその者は、一体どういうような形で大蔵省というものの意見を把握することになっておりますのか、この関係を一つお教えを願いたいと思います。
○水田国務大臣 これは平素は大蔵省の各部局と緊密な連絡をとって、大蔵省側の考え方を述べる一つの機関になっておりますし、重要な問題については、事務次官、それから大蔵大臣の指示を受けるという形になっております。
○春日委員 経済企画庁を代表する者、こういう人は一体どういうような手続によって経済企画庁なるものの意見を把握されるのでありますか。 それから、もう一つ重ねて伺いたいのでありますが、大蔵省と経済企画庁と両方から出しておりますね。大蔵省の見解、意見と、それから経企庁の意見とが相異なる場合は、政府部内において意見の調整がはかられて、一本の形で日銀政策委員会に持ち込まれるのか、それとも大蔵省を代表する者は、そのなまの意見を、経企庁またそのような形で、なまで二つの意見が持ち込まれるのか、事実上の運用関係をこの際明らかにしてもらいたいと思います。
○藤山国務大臣 大蔵大臣が言われました通り、経企庁から政策委員が出ておりますが、私の考えますところでは、大体において金融方面を大蔵省が代表され、あるいは金融以外の経済、産業面と申しますか、そういう方面の意見を代表するのが経企庁じゃないか、こう思っております。平生の政策委員会におきます議事等につきましては報告を受けておりますが、特に重要な問題がありますときには、事前に相談をいたした上で出席いたしております。
○春日委員 それは、法律の建前では、そういう工合にはなっておりません。日銀政策委員会の職務権限はこれこれと制限列記されておりまして、そうして公定歩合その他金融政策に関する問題は、委員は大蔵省を代表する者、経企庁を代表する者、しかじかずっと代表が書いてありまして、経企庁を代表する者は産業政策に限定する、そういうことはないわけです。すべての問題についてやはり意見を述べて、構成メンバーの一員として参加することになっておるのであります。従いまして、私は具体的に伺いたいと思うのでありますが、ならば、この間の七月と九月の公定歩合それぞれ一厘引き上げのときに、大蔵省代表はどういう意見を述べられたか、そして経企庁の代表はどういう意見を述べられたか、この点についてお答えを願います。
○水田国務大臣 七月の公定歩合引き上げの際の政策委員会、それからこの間の政策委員会において、大蔵省の代表の政策委員は、政策委員会の原案に賛意を表したということでございます。
○春日委員 経企庁はどうですか。時期的にも、日銀が言っておるのは四月、五月からでございましたから、それが七月、九月に及んでようやく実現したことについて、まだ早いとかおそいとかいろいろな御意見があったと思いますが、なまの御意見をお漏らし願います。経企庁長官、願います。
○藤山国務大臣 企画庁から出ております委員は、決議の権限はございません。ただ必要に応じて意見を述べるということだと思っております。先般来の公定歩合等の関係につきましては、企画庁としてはこう思うが、日銀原案について特に異存がなければ賛成をするということで出ております。
○春日委員 大蔵省を代表する者、経企庁を代表する者の権限は、ボートの権限はないと思うけれども、ないならば、ともに両方ないのだろうと思いますけれども、だから日銀政策委員として、日銀本来の使命たる金融政策その他を策定するにあたりましては、それは大蔵省を代表する者と経企庁を代表する者とは私は同じ権限ではないかと思う伊、この関係はどうですか。
○大月政府委員 日本銀行政策委員会の構成は、日本銀行総裁と大蔵省を代表する者一人、企画庁を代表する者一人、その他金融、商工業、農業に関し学識経験を持っておる者それぞれ一名、こういうことでございます。その意味は、結局政策委員会は各方面の利害の代表者ではなくして、それぞれ各方面から選ばれました学識経験者をもってこの政策委員会としての決定をする、こういう建前でございます。そういう意味におきまして、企画庁代表、大蔵省代表、いずれも、いずれの面においても発言することは可能でございますけれども、おのおの今申し上げましたような各分野を持っておりますので、それぞれ主として自分の知識、経験を持っておる分野において主要な発言をする、主要な考えを述べる、こういうことに結果においてなるのだろうと思います。そういう意味において、いかなる分担を持っておるということはございません。
○春日委員 私は法制的的な問題をあわせて論じておる。制度的な問題をあわせて論じておるのでありますが、今銀行局長が申されたように、とにかくボートの権限はないとしても、両方対等の権限を持っておるわけです。しかし金利政策のごとき経済政策の根幹となるものは、経企庁だって大きな所管事項でありましょうから、金利政策において大いに経企長官が意見を述べるように、代表する者が政策委員会においてその見解を明らかにすることは当然のことであろうと思うのですね。そこで私はまずここで、これは傍系的な仕事ではありますが、いずれにしても政府を代表するものが二つあるということは意味をなさぬ。一つにして政策委員会の中に持も込むというのであればこれはわかるが、二つが異なる意見を政策委員会に持ち込むということは、いたずらに政策委員会の審議を混乱せしめるだけで、これは意味をなさぬと思う。障害にしかならぬと思うのであります。一個の形で持ち込むならば、これは大蔵省なら大蔵省、経企庁なら経企庁だけでいいと思う。異なる形で持ち込むならば、これは有害であると思う。私はそういう意味で、この問題については十分検討を要すると思うのでありますが、それはそれといたしまして、特に新聞論評やいろいろなことで、山際日銀総裁も新聞記者の問いに答えておられるように、政府からさまざま言ってきた、そういうような公定歩合を引き上げることについて時期が早過ぎるとか、二厘は高過ぎるとかいうようなことをさまざま言ってきたと述べられておりますように、とにかくこういう問題について政府が日銀の機能をはなはだしく侵害したその事実が現われておるのです。私は、こういうことは、金融、財政が一体であるということのよしあしは別といたしまして、いずれにしても、中央銀行として通貨価値の安定をもって本分とするところのこの日本銀行の政策の立て方に、時の政府が、自分のオピニオンでさまざまな圧力を加えるということは、大いに慎まなければならぬと思うのです。問わず語りに、この間池田総理が言われておりました。金利はどうしましょうと大蔵大臣が相談に来たから、そのことは君の所管だから君の責任でやりたまえ、こういうふうに答えて私はタッチしなかったということを述べられておりましたが、少なくとも金利の問題、公定歩合の問題なんかは、すべからく日銀に一任すべきものである。大蔵大臣が、時期が早過ぎるとか、二厘一ぺんに上げるのは高過ぎるから、一厘々々小きざみに上げろとか、そういうふうな圧力を加えることによって、日銀独自の操作、機能、こういうものをはなはだしく侵害、渋滞せしめて、今日の経済危機の要因を作ったのではないか、こういうふうに思われてならぬのでございます。この点については、私も後日大蔵委員会において、日銀総裁が参られるでありましょうから、日銀総裁にもただして、真相を明らかにいたしたいと思いますが、厳に戒心すべきごとであるということを厳重に警告いたしたいと思います。 次は、中小企業金融政策について質問をいたします。この春ごろから国際収支の悪化に対処する日銀の窓口規制が強化されて、これをスタート・ラインといたしまして、銀行貸し出しの抑制が本格化して参りまして、そうして今回の国際収支の改善に関する総合政策、これで一そう強化されて、いよいよこれからドラスティックな金融引き締めがなされようといたしておるのでございます。ここで政府も国会も深く考慮しなければなりませんことは、この政策が、自由経済の法則にのっとって、しょせんは中小企業に集約的な障害を加えずにはおかぬであろう、この一事でございます。たとえば、大企業は、銀行から資金の削減を受ければ、設備投資はいかぬと言われれば、自分の手持ちの運転資金でその設備をやって、運転資金が足らなくなれば、これは新聞で毎日のできごととして報道いたしております通り、現金で払ったものを手形、今まで手形で払っておったものを期日を延期する、そういうような形にして、中小企業に転嫁することは、これははっきりとした従来の法則的な一つの慣例になっておるわけであります。従って、銀行は多くの場合、大企業に、結局は自分の縁故者、支店長の古手なんというのを重役に送っておりますし、またさまざまな株式を保有いたしておりまして、その関係はあまねきものがある。こういうような点からも、また担保力のあるものを選ぶ。銀行が、資本主義自由経済の下において、銀行法の下においてだれに貸そうかということは、これは後ほど論じたいと思いますが、大蔵大臣が銀行をどう指導しようと思ったところで、法的根拠がない。立憲法治国において、法によらずして銀行の貸し出しに圧力を加えるというようなことはできることではない。やってはいけないことである。むしろ実際問題として効果はないのです。結局銀行は、貸し倒れにならないように、信用度の高きものをということになれば、大企業が優先され、そうして中小企業が劣後に置かれるのは当然のことである。そういうような形になってくれば、結局は引き締めのしわが中小企業に寄ってくるであろうことは当然なことです。この点について大蔵大臣、通産大臣、経企長官はどんなふうに理解されておりますか。とにかく引き締めは強化されてくる。強化されたからといって、大企業においては、良心的な人は一部やめるかもしれないが、鉄筋コンクリートが今三階まで建ったのを、これはここでやめるといって、鉄筋を組み立ててあるところへコンクリートを流し込むのをやめるということはないと思う。やはり流し込む。流し込まれたところは造作を終わる。金が銀行から借りられなくなれば、みずからの運転資金を転用する。なくなった運転資金は支払いの方から取ってくる。支払われない中小企業にしわが寄ることは当然であって、これは三十二年のときにも、あるいは二十八年のときにも、われわれがほんとうに痛烈に行政面において経験したことであります。これは資本主義自由経済の法則的な慣例になって、論ずる余地はない。こういうことになると思うが、一体そういうふうになると思っておられるのか、そんなでもないであろうと楽観されておるのか、大臣の御答弁を願います。大蔵大臣だけでよろしい。
○水田国務大臣 これは三十二年の経験を見ましても、金融引き締めというものを強くやるときには、中小企業にしわが寄っていくということは事実でございますので、今回の場合も、先般も申しましたように、私ども一番心配しておるのはその点で、ここにしわが寄らぬようにというために、まず全国銀行の貸出比率を落とさぬように、むしろ上げてくれという銀行局長の通達まで出すし、また銀行自体にも自主的に申し合わせそのほかの形によって、そういう方向を堅持してもらうようにという行政指導を強くやっている現状でございまして、この点は十分気をつけるつもりでございます。
○春日委員 現に東京商工興信所の統計調査はむろんごらんになっておると思いまするが、それによりますると、八月ですでに中小企業の倒産は東京地方だけでもって九十八件、東京手形交換所の統計によれば、手形不渡り分はいよいよ増加して、取引停止処分にされたものは昨年同期の三三%増、こういうことになっておる。そして手形の不渡りの一枚当たりの金額が十万八千円という数字が出ておる。これが八月です。九月、十月、これから年末期に入って参りますと、申し上げるまでもなく、これから税金の吸い上げが行なわれまするし、外国為替の経常収支がどんどん減っていくものですから、外国為替特別会計が揚超になってくると、農林中金には売りオペレーションが考えられておる。それから日銀貸し出しの抑制、こういうことになって参りますれば、中小企業への金詰まりというものは、私はさらにその深度を加えて参ると思うのでございます。それで来年の二、三月というものはさらに一そうの金融危機が伝えられて、もしぞれ中小企業に、あの昭和の二十八年に見るがごとき、三十二年に見るがごとき連鎖反応で倒産がずっと続いてきたら何としますか。大へんなことであろうと思うのであります。これはまさに高度成長政策、所得倍増政策がもたらした犠牲でありまするが、それは今さら仕方がないといたしまして、私どもがここに強く論じなければならぬことは、このような事態に対応するということで政府は今回の予算の面においても五百五十億の特別措置を講ぜんとされておるのでありますが、これは結局、このような資金規模ではこの事態を収拾するという能力がないと思うのです。火事を消すためには、やはり火事を消すに必要にして十分なる分量の水というものが与えられなければならぬ。火事を消せといって、どんぶりばちに一ぱい水を持って行ったって、シュッといってしまいです。百万円の手形は九十九万五千円では落ちない。絶対にして必要の分量というものが私は確保されなければ、この中小企業金融の危機というものをどうにも救うことができないと思う。そこで私は本会議の大蔵大臣の答弁を感心して聞いておったのでありますが、ここに五百五十億の資金措置を講じたりといえども、これはきめ手にはならぬ、きめ手となるものは、市中銀行がいかに中小企業金融というものに対して協力的にやってくれるかどうかにかかると言っておられましたが、私はまさしくそれであると思うのです。 そこで私はお伺いいたしたいのでありますが、自民党さんがこの間、十月二日に総務会の決定として、中小企業へ一千億と銘を打って、そうして金融緩和に関する緊急対策十項目を総務会の決定によって内閣に提示され、その実施方を要求されておるはずであります。そこの中の第五項目にこういうことが書いてあります。「民間金融機関に対し、中小企業向けの貸出シェアーを確保せしめ、歩積み両建てなどの拘束預金の抑制について協力を求める」こういうことがあるのであります。私は、自民党さんの書き方というものはどの程度の効力を期待されておるのかは知りませんけれども、方向は正しいと思う。政府はこの第五項目に従って、また私どもが今論じ、中小企業諸団体が強く要望いたしておりまするこの要請にこたえて、銀行指導といったところで、そんな銀行局長の通達なんというものはカワズの頭に小便みたいなもので、銀行家は聞きはしません。そんなものは、今質疑応答の中で明らかにされたように、銀行検査官が埼玉銀行を調査して、不良貸付だといったところで、ああさようかといってどんどん貸し増ししておる。われわれは大蔵委員会において、かつて千葉銀行の問題を取り上げました。とにかく銀行というものは、いずれにしても、自由経済のもとにおいて政府の権力を受けてはならぬものである、そういう仕組みになっておるのですよ。だから協力を求めると言ったって、協力しようとしまいと相手の自由自在で、彼らの選択である。しかしながら、今この時点において、結局は市中銀行のそういう中小企業金融ワク、貸出シェアーを確保せなければ、との問題の時点を切り抜けることができない。どういうやり方で大臣はこの政策のしりぬぐいをしようとされるか、この点についてほんとうに有効的などんな措置を考えられておるのか。この点を一つ、差し迫る年末のことでもありまするから、そうして今申し上げたように、破産、倒産相次いで、やがてさらにこれが深刻化しようとしておりまする現段階において、政府はこういうような経済危機を招いた責任者として、その贖罪の意味をも兼ねて、どういう方法によって中小企業金融問題を大きなあやまちなからしめんとするか、その決意とその具体的方策、これをお示し願いたいと思います。
○水田国務大臣 今のところ、全国銀行の中小企業へのいわゆる貸出率というものは、従来大体三一%台を保ってきましたが、この八月に一%を切って、三〇・八%というふうに少し落ちてきていることは事実ですが、しかし、あれだけの金融引き締めをやった割合には、まだ全国銀行も貸出率を落としてないという状態でございます。今後が一番そういう心配がありますので、今後落とさぬように、さらにもう少し上げろという指導をしております。これを上げるためには、やはり市中銀行の資金も増してやらなければならぬという問題も起こると思いますので、私どもは市中銀行の持っている金融債その他を政府資金で買い上げてやる、そうしてそれを中小企業に貸すようにということも、そういう措置を決定いたしまして、もうとの十月からそういう措置に出ておるという状態でございますので、そういう一連のいろいろな行政指導及び政府のとるべき措置とあわせて、この貸出率を落とさぬという方向で年末やっていくつもりでございます。
○春日委員 私は、わが国の経済の困難を切り抜けることのためには、この際銀行に対して政府並びに国会が厳然たる基準を示して、そうして金融の公共性というものを誤たざる運営をさせていかなければならぬと思うのです。私はこの点について一つの考え方を方向として大蔵大臣がお持ちになっておることに対して敬意を表するものでありまするけれども、大体銀行の金というものは銀行の金じゃない、預金者の金である。足らざれば日銀から借りた国家の金である。こういうような金を彼らがどこへどういう工合に貸そうと銀行家の自由自在というあり方、しかもただいま質疑応答によって明らかになったように、でたらめな貸し方——かつてわれわれが千葉銀行を調べたことによっても、その内容はずさんきわまるものである。これはただ単なる氷山の一角でしがなかったのでありますが、私はその後いろいろな資料をずっと調べてみまして、私は今ここで明らかにはいたしませんけれども、偏向融資、集中融資、情実融資、系列融資は目に余るものがあるのであります。こういうような銀行家に対して、今ここに大臣が単なる一つの大義名分をわずかに説いて、中小企業が金詰まりになっておるから、これに迷惑をかけぬように、貸出率を減らさぬようにしてくれ、できるだけふやすようにしてくれと言ったところで、相手は、ああそうですかといって、おそれかしこんで直ちにそういうふうにやるというような相手方ではありません。私はこの際、偏向融資、集中融資、情実融資、系列融資、こういうものを全般にまたがって何らかの措置をとらねばならぬ段階であると思いまするが、それはまた後ほどのことといたしまして、ただここで私がこの点を強く主張いたしますることは、現在いろいろ資料で見ますると、とにかく中小企業が市中銀行から借りて使っておりまする金というものは、全部で五兆円、これは政府関係金融機関のかれこれのものも含めまして、とにかくそういう大きな額に上っております。それで、その五兆円の中小企業の金融資金の中で、商工中金、中小企業金融公庫、それから中金、この三つのものが占めておりまする度合いというものはわずかなものです。率にいたしまして、とにかく八・何%、金額にして四千何百億円というわずかなものでしかございません。結局は市中銀行が貸し出しを減らしたり、貸し渋ったり何かすれば、政府がとこへ五百億出そうと千億出そうと、そんなものは問題になりません。中小企業が今使っております額は、総貸し出し量十二兆何千億の中で五兆何千億を使っておるのですから、この五兆何千億の中で、政府関係金融機関の財政資金というものは、ほとんど八・六%ということでありまするから、問題にならぬ。結局は市中銀行というものにこの際中小企業の貸し出し量を断じて減らすべからず、むしろこの事態にかんがみて、ふやせ、こういうことを強く政府と国会とが彼らに行なわしめるという、そういう効力ある措置をとらなければならぬと思います。単なる協力を求めるといったところで、現にわずか一ヵ月か二ヵ月の間でかれこれ、四、五%貸し出しが減りております。苦しくなるのはこれからでありますから、これからずっと減っていくと思います。減ってから、死んでから対策を講じたって何にもなりません。私はこの際有権的な拘束力を持つ何らかの措置が必要であると考える。いかがでありますか、大臣。
○水田国務大臣 これは法律によるとかいうようなことをすることは妥当でございません。大蔵省は銀行の権査権、監査権を持っておることでございますから、行政指導を今のように行ない、通達も出し、また検査に合わせてこの点を特に見るということによって、ある程度この目的は達成せられるだろうと思っております。
○春日委員 緊急の立法措置が困難であることは私もわかるのでありまするが、しかしその事態にかんがみまして、少なくとも罪もとがもない中企業者にこういうような経済危機をもたらしたのは、大企業を中心とするところの設備投資、それが元凶なんです。大企業のやったところの不始末の結果、中小企業者がその責め苦を受けなければならぬということは筋違いである、気の毒である。だからこういう意味合いにおいて、これは中小企業にそういうようなしわの寄りませんように、行政指導でありとはいえ、その中においてもそのきびしさの度合いというものがあります。銀行検査を厳重に行なうとか、あるいはまた中小企業者自体の申告に基づいてワクを減らしたものについては、銀行そのものを呼んで何らかの勧説を行なうとか、いろいろ方法があろうと思います。あとう限りの最高の効果の期待できる方途によって当面緊急なその措置に出られんことを強く要望いたします。 次は、為替・貿易自由化についてお伺いをいたしたいのでありますが、政府は昨年の六月二十四日、為替・貿易自由化計画大綱を発表されましたが、それによりますると、三十八年三月末までに八〇%ないし九〇%、こういう工合に定められておりました。しかるにこのほど政府が発表した実施計画によりますると、これが三十七年九月末に繰り上げられまして、しかも石炭、石油をも含めて九〇%の自由化達成をみずから義務づけたことになっておるのであります。このような変更は、国際収支の逆調の現段階において、経済通念では考えられぬことであります。かねて立てた計画でも、これをさらに繰り延べる、緩和するというのが常識でありますのに、自由化すれば、これは結局は輸入を刺激することは当然でありまするし、相手方の要望もそこにある。さらにこの国際収支が悪化しているときに、この自由化率をかねての基本計画よりも繰り上げて、早目にそれを適成しようということはどうしたことか。これはわれわれとしては常識では判断できないので、何か講ぜざるを得ない事情があるのではないかとわれわれとしては疑わざるを得ない。この間のいきさつは、何でこういうことをせざるを得ないのか、われわれがわかるように御説明を願いたい。通産大臣お願いいたします。
○佐藤国務大臣 自由化はかねての方針でもございます。そこでことしになりまして、さらに期間を繰り上げた。これが今の経済情勢から見て逆ではないかという御意見のようでございます。私どもが自由化を進めておりますのは、輸入あるいは輸出、いわゆる貿易を拡大することを実は念願しております。同時にまた国内の産業におきましても、国際競争に勝ち得るような素地を作りたい、この二つの目標があるわけであります。これは非常にはっきりしております。今日の日本に対する差別待遇なり、あるいはいろいろな制限などを見ますと、多くの場合に日本の自由化がおくれておるということが、その理由になっております。ことに今日私どもが輸出を振興したい、かように考えた場合に、国際市場を拡大していかなければならない。国際市場を拡大していくためには、みずから自由化を進めていって、相手国の差別待遇をなくする。そういう努力をすることが必要だと思います。ただいま計画自身を一年繰り上げたなめに、国内態勢の整備についていろいろ私どもが急速に整備をしなければならないものがあります。たとえばエネルギー対策、それなどは非常にはっきりしたものでありますし、また先ほど来質疑のありました中小企業対策、これなども大いに促進いたさなければならないのでございますが、基本的にはただいま申し上げたような考え方でございます。
○春日委員 それは私は真相ではないと思う。何といったところで自由化を促進いたしまするならば、今お説のようにどうしたところで現実に国内の整備をしなければなりません。そのためにはやはり設備投費を誘発して参ります。そんなことは理論として明らかであります。それかといって、このように早めたら、それでは差別をしている国がすぐやめて、君の方のものを買うという何らの保障があるわけではございません。現実の問題といたしまして、このような経済情勢のもとにおいては、かねての基本計画も時にためらいがちになってくる。これもやむを得ぬというのがほんとうだと思う。それをこの際ばっといきなり一年間も繰り上げて、しかもその率も一〇%高めようというようなことは、これは経済常識からはずれた、逆行したやり方である。私はこれはいろいろ調べてみたのでありまするが、ちょうどことしの七月に国際通貨基金のフリードマン団長が参りましたときに、たしか時の迫水経企庁長官、椎名通産大臣、水田大蔵大臣の三者が会われて、このときの視察団と日本側の代表との懇談の中で、為替制限撤廃の勧告延期を条件として、その代償として日本側が自発的にかのごとく自由化するから勧告をやめてくれ、こういうことを半ば懇請的にお話しになった筋合いがあるのではないかと思われます。私はいずれにしても、そうでなければ、こんなむちゃなことをやられるはずはない。聡明な佐藤大臣がそういうばかなことをおやりになるはずがない。言質が与えられて、約束を果さざるを得ないので、そうされたのではないかと思う。私はこういう問題はいろいろと諸外国の例を見るのに、たとえば勧告を受けた方が日本のために損か得か、勧告を受けないように自由化か促進することが損か得か。これは私はすこぶる疑問ではないかと思う。たとえばイタリアなんかはあのようなIMFから勧告を受けてから妥結をいたしますまでに二年、西独は四ヵ年。これはいわゆる国際通念で抵抗の権利ということで、自分の国内産業を整備するとかなんとかというようなことで、勧告が出たらすぐやらなければならぬという筋合いではない。勧告が出たらすぐ制裁というものがおっかぶさるのではない。イタリアにおいてしかり、西独においてしかり。だから私はこのような国内経済情勢のもとにおいて、こういう勧告を避けることのための次善的な手を打たれたと、かく理解せざるを得ないと思うのでありますが、それにしてもこんなことはいわゆる抵抗の権利を放棄した意味において、むしろ日本経済のマイナスになりはしなかったかと思う。だから私はこの際お願いをしたいことは、まあ一応こういう約束はした。一応こういう約束をされて、そうしてこの間IMFから対日勧告文が出されて、日本側の態度を満足に思うということが書いてありますけれども、私は国際的な信義は守らなければならぬけれども、しかし池田内閣はILOの条約だってあまり守ってはいない。守り得る限界というものはやはりそこにおのずからアローアンスというものがあると思うのです。だから私は国内産業を犠牲にしても、また赤字がどんどん出てきても、めくらめっぽうに約束だから自由化を高めていくのだというような態度ではなくして、ある程度ここには柔軟性をもってこの自由化というものをはかっていかれるべきであると思うが、この点についてお考えはいかがでありますか。
○水田国務大臣 その点について私の考えを申し上げたいのですが、私は今度ウィーンへ参りました。今度勧告を受けるか受けないかという国は、日本とオーストリアでございました。ところが同じフリードマン局長の協議によって、日本もオーストリアも同じように勧告を一年延ばすことが至当だという報告を出されたのですが、オーストリアはこの報告が理事会で用いられない、即時勧告されるという事態になりました。国際収支の事情とかいろいろな点から見ますと、オーストリアが勧告を受けた方が、日本よりまだつらい事情があると私は見ましたので、この点に特に関心を持ってオーストリアに行き、向こうの大蔵大臣そのほかと会って、この点の問題を話し合いました。その結果、私は日本が自由化を急いで、来年の秋までに九〇%くらいまでやるという目途を持ったことは、非常によかったという確信を持って帰ってきたわけでございますが、それはなぜかと申しますと、結局今先進諸国は、お互いの繁栄はまずお互いの自由化による、そうしてこの低開発国の援助ということに全力を尽くすという方向でいかなければならぬ、日本はまだためらっているようだが、オーストリアは中立国ではあるが、経済圏としては欧州の中へ入って歩調をともにしろ。そうしてお互いに域内自由化をやって、これから域外に対する競争力というようなものをわれわれがつけて今後出るので、どんなことがあっても、そういう方向で行くものについてはわれわれは助けるという、西欧諸国こぞってオーストリアの不利な条件を全部が助けるから、この際先進国並みの自由化をもうお互いにやらなければならぬといういろいろな相談のあったいきさつを全部調べましたが、そういう世界の大勢の中で、日本が自由化を怠ることが今後どういう問題になってくるかということを考えたら、私は日本は、ここでやはり自由化を急がなければ、今後の日本の経済の問題には大きい問題が起こるという、その具体的ないろいろなものをオーストリアの説明から聞いて参り一ましたが、すでにオーストリアは踏み切って勧告を受けたという立場になっております。従って私どもは、国内産業の擁護は擁護という問題、国際収支の改善は改善というみずからの努力を尽くす、これは前提でございますが、その上で自由化はもう急がなければならぬ大勢だというふうに私は信じております。従ってあなたの言われるように、ここで私どもが自由化を急いだことが失敗だとか、そういうようなものでは全然ないと私は思っております。
○春日委員 お互いにこれは見通しに関する問題でありまして、その結果がどうなるかは、やがて半年、一年先にはわかることでありまするが、いずれにしてもあなたの判断は、失礼ではありまするが、今までの実績は万事これ狂いがちであります。今確信を持って踏み切られたその結果、結局は雇用の面において、生産の面において、中小企業対策の面において、原始産業の面において、いろいろな混乱が生じてきたら、その罪はなかなか重いと思う。けれども今そういう方針を立てられて、いきなりこれをどろこうせよ、すなわち基本計画に戻せというたところで、それはいろいろな慣例もあるでありましょうが、結局一番大事なものは、国際信義も守らなければなりませんけれども、何といっても国民生活の安定、その福祉ということが、お互いの政治の努力の目標であります。そういう意味で緩急よろしきを得られて、そうして調整あまねく怠ることのありませんように、手抜かりのないように善処されることを強く要望いたしたいと思います。 次は私は、貯蓄奨励策の意味をも込めて、銀行の預金利子についてお伺いをいたしたいと思うのであります。日銀は、銀行の貸出金利について、今回の金利引き締めのために、七月二十六日と十月四日でありまするが、二回に一厘ずつ二厘、これを引き上げました。しこうして預金者に対する預金利子の引き上げは、行なわない方針を明らかにしておるのであります。これは全く異様なことであります。貸出金利を上げられたならば、預け入れ利子も同じく上げて、貸出資金の所有者である預金者の利益が確保されるということは、当然にして公正なやり方でなければならぬと思う。今回あえてそのことをなさなかった理由は何でありましょうか、これを伺いたい。
○水田国務大臣 先ほど申しましたように、金利のレベルを下げるということは、どうしてもやらなければならぬことでございますし、それとそのときどきの経済情勢に応じて金利を上げ下げする、そうして金利の持つ経済調整機能を発揮せしめるということは別の問題だということを、前に私が低金利政策をとったときにたびたび申しましたが、まずそのレベルを下げるために何が障害であるかというと、日本では預金金利の高いことです。これは日本の資本蓄積が足らなかったために、どうしても預金の金利を上げるという方向で、資本蓄積を今日までせざるを得なかったという日本の特別な事情によることでございますが、この問題に手を触れない限りは、国際金利にさや寄せする、金利の水準を下げるという仕事はできません。そうかといって、この預金金利を下げるということは、単純に個々の預金金利を下げるということではいけませんので、各長期の金利、短期の金利、その他一応の均衡をとった形で、金利体系を維持した形で預金金利をいじらなければならぬ。特にむずかしいことは、日本では民間でやれる金利と、そうではなくて、国会を通らなければきめられない金利というものがございますので、なかなかその点がうまくいかないというのが過去の例でございましたが、今度はそこまで踏み切って、前国会で郵便貯金の金利の問題もいじりましたし、これと歩調を合わせた体系的な預金金利の問題を解決したあとでございますので、私は今後いじるときには、また体系的にいじってもいいと思いますが、今度のような場合には、水準の問題とは無関係で、当面の経済の一つの抑制策として、金利の調整力を発揮させるという臨時的な措置をとったわけでございますから、一応そういう基本的な預金金利というものとは切り離して、今度はそれを見送るということをするのが妥当ではないか、こういう判断で預金金利の点には触れませんでした。
○春日委員 御答弁は納得できません。と申しますのは、とにかく金利政策の基調としては、これは低金利政策でなければならぬ、それはわかる。けれども、現実の経済の現象は、その低金利政策を堅持することを許さない。さればこそ、昨年の八月に下げ、ことしの一月に下げたばかりのものを、現に七月、十月と上げておるじゃありませんか。下げたものをまた上げることができる、上げたものはまた下げることができるのです。政治というものは生きたものです。一ぺんやったらやれないというものじゃありません。郵貯の関係があると言われるけれども、むろん国会事項ならば、幸い今国会開会中である。原案を出されれば、即時即決だってできないことはない。私はこういうやり方というものは片手落ちだと思うのです。私は私なりに、いろいろとこの貸出金利を上げて預金金利を上げないことによって、銀行の受けるであろうところの増差益はどのくらいのものであろうかと推算してみました。特にその期間につきましても、これは今緊急対策が一時的な対策だといわれておりますけれども、これは半長期にわたってじりじりと努力をしていかなければなりませんし、さきの例を見ますと、昭和二十八年のときには、あの引き締め対策というものは十二ヵ月続いております。昭和三十二年のときには八ヵ月続いております。今回は、一体これから先どのくらいの金融引き締めが行なわれるであろうかという見通しでありますが、これなんかは、やはり池田総理もこの間うち述べられておりますように、おそらくは来年の十一月になることによって、初めてこの経常収支に黒を見ることができるであろう。結局は危機を克服するまで、すなわち情勢というものを克服するまでには、まあおおむね一ヵ年というものを想定することは常識ではないかと思われる。だといたしますと、二厘引き上げて、そうして預金金利を据え置くことによって、一体どれくらい銀行が利益を得るであろうか。その増差益というものを私はここでできるだけ公正にそろばんを入れてみたのでありますが、貸出残高をこの八月末で九兆円と見る。そこの中で中小企業や長期金利というものを引いていろいろと積算をいたしますと、結局銀行がこれによって得るであろうと思われる利益は、どんなに少なく見積もっても——これは日銀資料でもいろいろ調べてみました。それから大蔵省の銀行局についても資料の提出を求めてみましたが、結局二厘上げて、そうして長期貸し出しは除く、中小企業貸し出しは除く、こういうことで想定される銀行の増差益というものは、二厘で三百七十二億になる。どんなに下まに見積もりましても、三百五十億を下回ることはない。銀行は、今回の金融引き締めによって、金融天皇が金融天照大御神くらいに偉くなってしまって、そのほかにまた三百五十億という膨大な利益をここに確保する、こんなばかなやり方はありますか。私は貸し出しを上げることができるのだったら、預金者に対してそれだけのものを還元するというその措置ができないはずはないと思う。同じそろばんで同じ事務員がやっておるのだから、できないはずはありません。私はこれはあまりに片手落ち、不公正なやり方だと思う。しかもその金額が三十億や五十億のことなら、私はこれを論じない。けれども少なくとも三百億、三百五十億、あるいはこれが下まに見積もって二百七、八十億になるかもしれませんけれども、いずれにしても膨大な金なんです。それを預金者に還元をして、そして貯蓄を奨励せしめて消費を押えていくという、そういう効果をねらうことは、行政者として当然のあり方だと思うのですけれども、この点はいかがでありますか。
○水田国務大臣 さっき言いましたような理由で、預金金利は今度は見送ることにしました。しかし貯蓄の奨励の必要がございますので、貯蓄奨励については、別個の奨励策というものを私どもは考えたいと思っております。 それから銀行の今の利益の計算でございますが、私どもの計算ではそう出ません。まず中小企業に対しては、今おっしゃられましたように、金利は上げないということ、それからもう実際は長期の金融としてきまっておって、その期間短期に手形を書きかえていくというようなものについては、これは金利が上がらないはずでございますし、そういうものが省かれるということ、それから御承知のように、単に公定歩合を上げただけではございませんで、預金準備率というものを大きく引き上げましたために、銀行は無利子の金を日銀に積まなければならぬという措置が同時にとられておりますし、高率適用も、同様に大きく三厘上げというような措置もとりましたので、これによって銀行の得る利益というものは相当相殺されるということになりますので、そういう一連の措置をとったことによって、銀行だけが公定歩合引き上げによって利益をそう多額に得るというふうには、私ども考えておりません。
○春日委員 この点は明らかにしておく必要があろうと思います。これは市中銀行の貸出総額九兆円に二厘上げれば、年率にならして七厘三毛、かければ六百六十七億になる。六百六十七億の中から、長期性金融、それから中小企業向け金融、こういうようなものを引いて、それから日銀公定歩合の引き上げによるところのオリジン・コストを引いていく。それからいろいろな高率適用でありますとか、あるいは準備率の引き上げによるところのそういうような銀行損害も——六百六十七億からそういうものをずっと引いていって、大体において三百七十何億になるのが私の積算であります。ところが預金金利を引き上げないその理由の一つとして、大したものじゃないから引き上げないということであるならば、これは委員長を通じて——私がここで言ったところで、大臣が答弁したところで、正確な数字にはならぬ。日本銀行なりどこなり権威あるところにこれを積算させて、はたしてこれが三百億をこえるのか、あるいは三百億近いような膨大な金になるのか、それともこの九月の二十九日に、某新聞が水田蔵相、山際総裁の一問一答を掲げました記事がここに載っておりますが、そのとき新聞から、銀行は当然貸出金利を引き上げるべきで、もうけ過ぎるという批判をどう考えるか、こう言ったら、大月銀行局長がかわって、一部に一厘引き上げれば年間三百六十億というような説があるけれども、それはけた違いな話だ、上げるのは短期の貸出金利だけであってこうだから、そんなものにはならぬ。たかだか数十億だと言っている。私が三百数十億だと言い、そうして銀行局長が数十億と言うのは、二、三十億か、四、五十億か知りませんけれども、そんなものならば、それはそれとして私の判断もまた変わってくる。けれども、私はきびしく積算をいたしまして三百数十億になると思う。こんな大きな金ならば、これは返すのが普通である、当然事項であると考えて、この所論をなしておる。一つ委員長の手によって日銀に命じて、この増差益というものをはかって、はたしてこの大月君の言うように、二、三十億のものならばそれでよろしい。けれどもこれが何百億というようなものになるならば、大月君はうそつき君である。そういう意味で一体、この問題については金利を上げる方向に大蔵大臣というものは再考をなすべきであろうと思いまするし、またこの問題についての山際日銀総裁の態度も、当然この問題については日銀事項であるけれども、その推移をながめて、あらためて考慮する——上げないなとというようなそういうむちゃなことは、さすがに山際さん、言っていない。事態を見きわめて、そうしてこれについては考慮すると言っております。どのくらいに増差益がなるものであるかを厳重に、権威ある調査をされて、その調査に基づいて、大蔵大臣並びに政府の善処を求めたいと思います。そうして大月君がでたらめなことを言って世人を惑わすというようなことになるならば、それは文官懲戒令か何か、まあその辺は適当にやってもらう、そういうことにしておきたいと思います。 それではお急ぎのようでありますから万事飛びまして、通産大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、問題は例の中小企業基本法を一体どうなさるという問題であります。この間の本委員会においても、池田総理は、中小企業基本法のごとき法律を制定することには賛成であると述べられた。ところが所管大臣であります佐藤さんは、今その時期にあらざるがごときニュアンスのある答弁をなすっていらっしゃる。これはまことに重大なことであろうと思うのでございます。実はこの十月の十四、十五、十六日に、信州長野で全国の中小企業団体の代表者大会が持たれまして、いずれ各党代表がここに臨んで所見を述べることになろうと思います。この大会の主たる目標は、中小企業基本法制定促進に関する大会と銘打たれるほどでありますから、いずれにしてもこの問題について各政党代表が述べる意見というものは、相当責任的でなければならぬ。そこで、池田さんは賛成だと言っておられるし、佐藤所管大臣が、今はまだその時期でないようなことを言っておられるといたしますと、これはやはり重大なことであろうと思うのでございます。従って疑義を氷解して明らかにしておかなければなりません。そうしてこの政策に対する展望を中小企業者に明示する必要があろうと思います。従って次期通常国会に、中小企業の安定と振興をはかることを内容とする中小企業基本法のごとき法案を提出される意思があるかどうか、この点を明確に御答弁を願いたいと思います。
○佐藤国務大臣 ただいま御指摘のように、中小企業がわが国産業上から見ましても、また輸出振興の面から見ましても大事な産業であることは、これは申すまでもないことであります。こういう経済変転の機に際会いたしまして、中小企業のあり方と、またその方向づけるような基本的法律を制定することは、これは私どもも賛成でございます。そこで、この十五日には私どもも長野に参りまして、大会に出席する予定でおります。ただ時期そのものについて、通常国会に提出するかどうか、こういうお尋ねでございますが、いろいろ検討はいたしておりますが、まだただいま次の国会に提出すると、はっきり申し上げる段階には至っておりません。
○春日委員 わが国の経済がいかにあるべきか、その二重構造と所得格差の解消を目ざして安定と均衡をはかることのために、かくあるべしという方向を示すということは、こんなことはいろいろな資料や何か必要はありません。たとえば農業基本法がこの春の国会で制定されたように、政府にその決意だけあれば、こんなものはやれることなんです。だから調査だ、資料だというようなことをおっしゃっていないで、とにかく中小企業が当面しておりまする多くの不安定な要素、さらには二重構造の現実、所得格差の増大、これを克服することのために、今こそあなたのような実力者が決意を持ってこの法案の実現のために努力をさるべき絶好のときであると思う。志を新たにされて、ぜひとも中小企業基本法を制定されるように、時期について考えるなんて言わないで、全力を尽くして次期通常国会に提出する、こういうふうに答弁を改められることを要求いたします。 それはそれといたしまして、次は電話債券についてお伺いをいたします。十月二日証券取引第二市場の発足を前にいたしまして、九月二十九日、大蔵省は電話債券の集団売買を禁止いたしました。そうしたら電話債券の価格が暴落して、不当な低価格で電話債券市場が大混乱に陥っておる。これは電話加入者の犠牲によって、ひとり電話売買業者や一部証券業者に暴利をむさぼらしめている結果になっております。すなわち額面五十円の電話債券が、九月三十日には三十三円四十銭に暴落をいたしまして、現在では暗やみ価格でありますために、二十五円、三十円というめちゃめちゃな相場で買いたたかれておるということが伝えられておりますが、郵政大臣は、この辺の事情を御承知でありますか、お伺いいたします。
○迫水国務大臣 事態は知っておりまして、心配いたしております。
○春日委員 電話債券の発行高が二千億円、小さなものではございません。そうして枚数は四百七十万枚、そして保有者の数が二百三十万人という大へんな金額であり、また大衆的な規模のものである。しかもその大部分のものが、これは公募も一部あるようでありますが、加入するときに非公募債券として強制的に持たされたものでありまして、債券といっても、これはきわめて特殊の性格を持っておる債券であります。このような性質の電話債券が、単なる証券行政上の誤てる操作の結果としてこんなに暴落し、大衆に対して不当の損失を与えるということについて、郵政大臣、大蔵大臣は何か責任を感じておりますか、いかがでありますか。
○水田国務大臣 今後の対策は考えております。
○春日委員 実際はなかなか責任を感じられることばかりで遺憾でありますが、この非公募債券の歴史を簡単に聞いてもらいたいと思うのだが、これは気配交換市場というものが認められて、従来取引をやってきた。社債流通市場が三十年の八月に開設されたのでありますが、その前に先駆として、この気配交換市場というものでこれは取引せられてきた。気配交換市場開設前の債券価格は、それまでは電話売買業者と一部の証券業者とによって買いたたかれ、加入者が非常に損をした惨たんたる状態であった。そこで電話債券の円滑な流通と適切な価格の形成をはかるという目的をもって、その必要が認められ、あの気配交換市場が開設された、こういう経過である。すなわち電話債券の取引を、取引市場の取引のみに限定しないで、店頭における仕切り売買をも正規の取引として認めることにずっと慣例的になされてきた。自来電話債券の集団取引が行なわれて、気配交換市場が立てられて、加入者は適正な価格でこれを売却するという、いわば加入者の利益が保護されて本日に参った。しかるところ今度大蔵省は、第二市場発足を契機として、今後の集団売買を認めないとの理由によって、株式だけでなくて、電話債券についてまでこれを禁止するという暴挙をあえてした、まことに観念的なやり方をやってしまった。もともと債券は、株式とは異なって、確定利付証券でありますから、値動きもなく、投資の目的をもって保有されるのでありますから、その特殊性にかんがみて、特殊の売買仕法を認めてしかるべき十分の理由があったと思います。これを株式と同断に律しようとしたところにあやまちの根源がある。これはすみやかに是正することによって、いずれにしても電話加入者の利益、電話を引くとき強制的に売りつけておいて、そうしてその利益を保護し、円滑な流通をはかるために、今まで必要あってそういう制度が設けられてきたのに、それをたたきこわしてしまった。二千億になんなんとする膨大なるもの、しかも二百三十万人にわたる加入者、それを見殺しにするというばかなやり方があげますか。何らかの対策がすみやかに講ぜられてしかるべきと思うが、大蔵大臣、郵政大臣の考え方はいかがでありますか。どういうふうに対策を立てられようとしておるか、お答えを願いたい。
○迫水国務大臣 証券第二市場が発足いたしますときに、お話の気配交換取引というものが禁止されたということが、この債券の暴落いたしました一つの原因であるというふうに認識すべきかどうかということについては、意見は若干分かれておるのですが、私はそれが大きな原因であると考えております。従って早い時期から、郵政省といたしましてはこれを第二市場に上場してほしいということをずっと前から言っておったのですけれども、そういうものは取引所できめるという格好のようなものでありまして、遂にそういうことにならなかったのでありますが、最近において大蔵省とも協議をいたしまして、大蔵省も幸いに了解してくれまして、第二市場に上場するようにということを取引所に指示しております。従いまして、そこのところはいつからということについては、大蔵省の方では来週からでもということをちょっと言われたのですけれども、これは取引所がきめることらしいので、取引所の方に問い合わせますと、あと一ヵ月くらいかかるのじゃなかろうかとも言うので、できるだけ早く促進をして、第二市場というものに上場するようにして、公正な相場というものがはっきり出るようにしたいと思っております。
○春日委員 いずれにしても中小企業者が、あるいは電話加入者が、その電話債券を額面を割って売らなければならぬというような苦しい状態が現実に現われておるのです。またこういうような時期的な現象としてだけではなくして、当然電電公社が発行したというこの信頼の上に立ってみんな引き受けておる。それが、その必要があって今までさまざまな措置が認められてきたのに、それを第二市場開設を契機として、観念的なやり方で一刀両断にこれを切り捨てて、そしてこのような大混乱を巻き起こしたという大蔵大臣の責任は重いと思うのです。すみやかにその責任観の上にも立たれて来週——一日も早い方がよろしい。そうしてまたその保有者たちに対して真相を知らしめるために、少なくともそれが第二市場に上場されると、特別の仕法を許して、そして上場されるということをこの機会を通じて大蔵大臣から明らかにしていただきたい。そうしてばかな値段でやみ売りするな、買いたたかれるな、しばらく待て、待つ時間は三日なら三日、一週間なら一週間、これを一つ明確にしておいていただきたいと思います。
○水田国務大臣 関係者の検討が近く終わりますので、なるたけ早く上場するようにいたします。
○春日委員 この問題は、いずれ大蔵委員会で明確にいたしたいと思います。 電電公社の総裁に伺いますが、電電公社は、電話債券の市場価格維持のための買いオペレーションを実施して、減債基金何がしを用意して買い入れをやってきたと思うのでありますが、上場が禁止された直後にその買い入れをやめたということを聞いておりまするが、はたしてその通りでありますか。
○大橋説明員 三十六年度の予算におきましては、二十一億円余り予算上に買い入れ消却の予算が認められております。その二十一億余りの金の範囲内において、そのときの状況によって買い入れ消却を行なっておりますが、今日においては、その二十一億が全部使い切った状況であります。特に今度の上場、気配相場ができなくなったという機会にやめたわけではございません。その以前にもう予算がなくなっておる、こういう状況でございます。
○春日委員 いずれにいたしましても、そういうような暴落がありましたときにおいてこそ、そのような出物を電電公社が買いささえのために買って出る、そういうことであるのが筋でありますのに、上場は禁止された、値段は暴落する、今まで買っておった電電公社も買うのをやめた。そうして証券業者に安く買わして、それを電電公社が引き受けておるのではないかとすら、疑心暗鬼でさまざまなデマが流布されておるのであります。電電公社のためにまことに遺憾でありまするから、すみやかに減債基金の二百四十億の中で、当然電話債券を回収することのためには、資金拡大その他の措置をあなたの努力によって講ぜられて、少なくともそういうような値段暴落の事態にかんがみて、あなたが売りつけたところの相手に迷惑をかけないようにすみやかに善処されんことを強く要望いたします。 いろいろとお伺いしたいこともなおたくさんございますが、時間が終わりましたから、残余の問題は、いずれ所管委員会において質問することにいたしまして、私の質問を終わります。
○山村委員長 それでは午後三時より再開することといたしまして、暫時休憩いたします。 午後一時五十五分休憩 ————◇————— 午後三時十四分開議
○山村委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。 予算補正二案に対する質疑を続行いたします。岡良一君。
○岡委員 私で一般質問も最後になったわけでございますが、この機会に私は、今世界を襲っておる台風の目の一つとも言える核実験再開の問題、関連いたしまして、必至といわれておる中共の核実験に対する政府の態度、かつは、今どうやらスタートにつこうとしておる全面軍縮の問題に対する政府の御所信、これらの問題で、主として外務大臣、また関連して三木科学技術庁長官と藤枝防衛庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。 まず初めに、核実験再開に対する政府の態度でございます。これはとりあえず政府としてはそれぞれの政府に抗議をなし、その停止を要求されました。しかしこの政府の抗議に対しては、一方はきわめていんぎん無礼に、一方はきわめて傍若無人に断わりました。たまたま九月の中旬には、今度の国連総会においてこの問題を取り上げて、独自の決議案を出そうというような政府の決定が伝えられておったのでございます。私どもも刮目をして期待をしておりました。ところが、わが方独自の決議案はどうも沓として行方不明のようでございます。一体政府は一片の抗議をもって事足れりとしておられるのであるか、それとも国連において具体的にどのような態度に出ようとしておられるのか、まずこの点を外務大臣から承りたい。
○小坂国務大臣 核実験の停止を要請する政府の決意というものはきわめて強いのでありますが、今お話しのように、大国の側においてこれに対する反応は、率直なところ、どうもあまり効果的なものを示しておらないわけであります。そこで、私どももこの要望というものを人類の悲願として、われわれ世界で唯一の被爆国としての立場から、国連においても訴える必要を痛感いたしておりまして、去る九月二十二日の私の総会における演説でも、このことを強く申したわけであります。その後この点については非常に各国で反響があるわけでありますが・できるだけ一つ広範な基礎において有効な決議を作りたいということで、いろいろ工作をいたして話を進めておるわけであります。去る九月六日に、国連の七つの委員会のうちの特別政治委員会、この特別政治委員会の中で、この問題を議題にすることをカナダと話し合いまして、カナダからその話をされたのでありますが、このお互いがコー・スポンサーになって出そうという案は、まず国連における科学委員会の報告を最初に国連の議題としろということでございまして、これについては、ソ連等が非常に反対いたしたのでありますが、この科学委員会の報告をまず聞く、最優先議題とするということを了承されるに至りました。 〔委員長退席、愛知委員長代理着席〕 この特別政治委員会のレポーターとしては、わが方の代表である福島慎太郎君が選ばれましたので、福島君がこの報告をすることになろうと思います。私どものねらいは、とにかく核実験がいかぬということは何回となく口をすっぱくして言っておる問題でありますから、問題はこの実験の結果、放射能が人体に及ぼす影響、これが非常におそろしいものである、しかも実験の結果、放射能のちりが非常に大気中にふえておる、しかもわれわれの、釧路においての採取の結果によると、三千九百カウントということが検定せられておるので、ひしひしとして、核実験の結果、人類に対する冒涜、人類に対する生命の危険が迫っておる、だから国連としては、こうした科学的な結果に基づいて、核実験の問題というものをもっと人類そのものの生命の問題として深刻に扱わなければならない、こういう面からだんだんにこの問題に糸口がつき出した、こういうような状況であるわけであります。
○岡委員 ただいまの外務大臣の御答弁は、核実験停止の決議案を、政府は独自案を出すという御方針を捨てられたのかどうかということについての御答弁ではないと私は思います。新聞の伝えるところによると、九月の中ごろにはAA諸国の会議があって、このときには日本側の代表としては独自の決議案を出そうという意向の表明もあった。ところが、インド等の国において若干の異論があった。どうも困難ではなかろうか、こういうことが伝えられておる。最近の新聞報道によると、今政治委員会に出ておる実験停止に関する決議案は、米英案、インド案、それに全面軍縮を含むソ連案、三つです。そこで、日本政府としては、こうなると核実験停止に関する決議案は出さない、こういうことでございますか。それともインド案を支持する、あるいはまた米英案とインド案の折衷案を出す、あるいは米英案に同調する、その二つないし三つしかない。どういう態度で臨まれるのか、この点を私は具体的にお答えを求めておるのです。
○小坂国務大臣 第一委員会におきましても、核実験の停止案の議題が提出されておるわけでございますが、私は、この核実験の問題は、要するに日本がイニシアチブをとって最も有効なる決議案をできるだけ多くの国の賛成を得て通す、こういうことが一番必要であると考えておるわけであります。その意味で、私はあえて日本案という名にこだわらない。要するにできるだけ多くの国が参加して有効な決議ができればいいのだ、こういう意味で、いろいろ各国とそのつど折衝をやっておるわけでございます。しかし何分にも、御承知のように、国連は現在、事務総長のまことに不慮の殉職がございまして、そのあとの問題をめぐりましていろいろそちらに対する関心もあったりいたす事情もありまして、まだこの委員会で結論的なものが進んでいくという情勢には、どの委員会もないわけであります。しかしながら、先ほども申し上げましたように、特別政治委員会においては日本としてこれをまた逆の面から攻めていく。何回も今まで核実験の停止ということがいわれて、昨年も決議ができておる。しかもこういう状況であるのでありますから、これをもっと別な面から深く掘り下げて、核実験というものはかくのごとき理由でいけないということを、ほんとうに国連の中に沸き上がる声として決議案を作る、こういう方向でいろいろ研究、努力しておる次第でございます。
○岡委員 今、十メガトン以下の核実験は、放射能を大気中に放散しなくても実験ができ得るような地下壕ができておる。そういう今日の実情の中で、大気中の放射能の蓄積の量を調べるということはもちろん必要ではありまするが、しかし、核実験停止という要求から見れば、きわめてほど遠いのが現実でございます。しかし、この点はあとに触れましょう。ただ、今外務大臣の御答弁を聞きまして、きわめて私は不満に思います。と申しますのは、ちょうど一九五四年にビキニの被爆事件が起こりました。翌年の五五年の正月に、日本政府はやはり国連の総会で当時の沢田代表が決議案を提出して、実験の停止を求めるということを決定されたのです。ところが二転、三転いたしまして、とうとうノルウェー案、大国の核実験というものは登録制によって認める、事実上実験を認めるというまことにたわいない案に日本政府は同調しております。ビキニの一番大きな犠牲者であった日本政府が、こういう実験の登録制というものに同調してしまっている。その当時インドあたりからは非常にきびしい批判がありました。おそらく外務省も御存じだと思う。この予算委員会で私はその点を取り上げて、政府の意見を求めたこともあります。当時の沢田代表にも内閣委員会に来ていただいて、当時の実情について追及もいたしました。当時政府は、今後の事態に際しては厳正な措置をとろうという決意も表明されたのです。ところが、今度の核実験再開についての政府の態度は、この一九五五年の国連総会における、ビキニに関連してとった日本政府の態度と何ら異ならない。今、小坂外務大臣は国民の悲願であると仰せられましたが、このようなことで国民の悲願に政府はこたえられるのであろうか、私は実に疑問に思うのでございまするが、政府の御所信を重ねて私は承っておきたいと思います。
○小坂国務大臣 目下第一委員会におきまして問題になっている、いわゆる米英案というものは、核実験の停止交渉ですね。先ごろまでジュネーヴで行なわれておりました停止交渉の問題を早く結論に到達するようにされなければいかぬ、こういう趣旨であるわけでございます。それからインド案というものは、まだ、内容が明瞭になりまして議案として正確に認められているわけではない様子でございまするが、わが国といたしましては、とにかくこの核実験が有効な措置を伴って、実効ある停止が行なわれるように、強く各国に働きかけておるわけであります。私どもは何も日本の案というものをことさらに——これは出すのが一番いいと思いますけれども、四囲の情勢から、それを出すのがいいか、あるいは日本が一働きをして最も有効なる案を認めさせるのがいいか、その点につきましては、国連の中のいろいろな情勢がございまするから、それを見定めながら、とにかく目的は必ず果たすということで努力をしているわけでございます。先般来日本がソ連に対して行ないましたる抗議、あるいはアメリカに対して行ないましたる抗議、ともに今までにない強い態度のものであると思います。その点につきましては、われわれ十分な努力を傾倒しているつもりでございます。
○岡委員 この英米案については今のお答えの通りであるが、インド案として伝えられるものは、三年前米ソ両国等が自発的に実験の停止をやった、この状態に戻れということを主眼とするものであると私は聞いております。そこで、お尋ねをいたしたいのですが、今国連の政治委員会、第一委員会等では、核実験の停止ということが中心となって論ぜられておるようでございます。しかし、日本の政府の態度としては、単に実験の停止で満足すべきかどうか、ここに一つの問題があろうかと思います。先ほど申しましたように、七年前にビキニの水爆実験があった。あの当時は、今や大国がいよいよ核実験競争の火ぶたを切ろうとするときであった。でありまするから、このようなおそろしい結果を招くような実験はやめてくれ、こういう建前で、年が明けた一月には国連総会で核実験停止の決議案を出そうということに政府は決意をされた。ところが、七年たった間にもう、核保有国は非常に巨大な破壊力を持ってしまいました。いろいろな人の説がありまするが、信頼すべき筋の意見といたしましても、大体米ソ合わせて四万メガトン前後であろうというのが大体の結論のようでございます。四万メガトンということになれば、万一にもこのようなものが全面的に使用されるということになれば、文字通り人類は全滅をいたします。でありまするから、核兵器というものに対する特殊な日本の国民の気持から考えたならば、実験をやめてくれ、より効果的な核兵器を作るために、現在手持ちの核兵器を改良するためにしようとするような実験はやめてくれ、しかし現在持っているものはいたし方がない、こういう態度であってはならないと思う。ビキニ当時の態度であってはならないと思う。政府は核兵器そのものの禁止を訴える、これが私は日本の特殊な、世界で唯一最大の被爆国である、こういう立場における日本の当然な権利でもあり、言うならくは、私は国際的な義務かとも思う。その実験停止さえも満足に叫び得ないというような、こういうことで一体いいのか。重ねてお聞きするが今日の時点においては、もはや大国は、核兵器というものの保有は巨大なものである。従って、われわれは実験してくれるなではない。核実験そのものを禁止すべきである。こういう主張の上に立って、堂々国連で努力をするというのが、私は政府の正しい態度であろうと思います。この点についての外務大臣の御所信を承りたい。
○小坂国務大臣 国連総会に先だちまして、AAグループが集まりまして、その際。パキスタンから核実験の停止に関する決議案の話が出まして、インド等からもいろいろな意見が出まして、この問題はまだそのままになっておるわけでございます。インドの方からは、まだ議案としての提案はなされていないと聞いておりまするが、いずれにいたしましても、日本は中心のメンバーといたしまして、この問題をぜひ成功させたい、こう考えておるわけでございます。 そこで、この核実験の問題は、これは核というようなおそろしい、人体に有害なる物質を使って国際間の問題を処理しようとする、その考え方そのものに反対するからでございまして、まずその第一歩として実験の停止をする、そして貯蔵を禁止する、そして核兵器そのものを禁止する、かような方へ持って参りたいと考えておりまして、その第一段階として、核実験の停止に関することを強く国際世論に対して訴えておるようなわけでございます。私の演説を聞きまして、福島代表が六日に特別政治委員会で言っておるのもそういう趣旨でございまして、日本の外務大臣が申しましたように、広島、長崎においてなされた非常な大ぜいの同胞の一挙にして生命を奪った問題、さらにそれに続いて、放射能障害によって、戦後十六年に至るもまだ同胞の死んでいく状況を見るにつけても、われわれはこうした兵器の地上からなくなるということを期待しているのだ、こういう趣旨において、期効なる査察を伴った核実験の停止協定が望ましい、こういうことを申しておるわけでございます。 第一委員会におきまする今までの経緯から見ますると、実験はできるけれども、何せ大国、強国が核兵器を保有し、かつ実験をしているのでありますが、こうした強国において自分でこれをやめるという気持にならぬ限り、なかなかこのことは困難であるわけでございます。今までの毒ガスとかダムダム弾を使った国に対するような、戦勝国においてこれはいけないのだ、こういうことを押しつけられた場合と違いまするので、それだけにこの問題は非常な影響力が多いのでありまするから、一方において、これを禁止することは困難である、こういう事情があるわけでございまして、私どもはそうした放射能障害の害悪ということから、大きくまたこの問題を、進んで国際世論を喚起したい、こういうことで政治委員会のみならず、特別政治委員会においてもこの問題を提起している、こういう次第でございます。
○岡委員 外務大臣の御答弁だと、いかに小国が核実験の禁止を叫んでも、大国が強硬に実験をやろう、また保有を続けようということでは実効がない。だから、まず放射能の弊害というような点から手をつけよう、こういうようなお話のようでございます。しかし私はそう考えないのです。考えないというのは、昨年の九月にフルシチョフが国連で演説をしておる。いわゆる世界の軍備の全廃の条約についての基本条項というものをはっきり言っている。この中では、核兵器は完全に禁止する、生産もやめる、そして一切のストックもこれを廃棄する、こう申しておる。ところが、なかなかアメリカの側はこれに踏み切ることができなかったようです。ところが、去る九月二十五日に、ケネディ大統領が軍縮宣言、平和的世界における全般的完全軍縮の米国計画、こういうものを提出しておられる。この中では核専門委員の調査により、CBR兵器の生産停止と現在のストックを漸次削減する。その分を廃棄または平和利用へ転用する、核兵器の最低水準までの削減、こういうことを米側もはっきりうたってきたわけです。言ってみれば、核実験再開を強硬に突っぱっておる米ソ両国も、国連という舞台に対しては、核兵器の禁止に対して大きく数歩踏み出してきておる。こういうきっかけには、もはやわれわれは実験の再開はやめてくれというのではない。核兵器そのものを禁止しろ、米ソのこの合意が核兵器の禁止へと進んでおるのだ。このチャンスをとらえて日本は核兵器の禁止に進んでいくということが、日本の一番正しい方法である、また国民の悲願にこたえるゆえんだと私は思うのです。そうではないんでしょうか。
○小坂国務大臣 完全軍縮の原則に関しまする合意は、この国連総会の冒頭になされておるわけであります。米ソ両国において、さようなことを言っているわけです。しかし、そこに至る原則を実行に移す道程が問題であるわけでございまして、その道程のまず一歩として一番やりやすい核実験の停止ということは、まずもってなさるべきであるということをわれわれは言っているわけでございます。もちろん、われわれの目標というものは、核というような兵器を全廃するということにあるのは当然でございます。しかし、そういうことがわかっていながら、現実に実験が行なわれているのは、その通りなんでありまして、このごろもまた十九回目の実験がソ連によって行なわれたということは、一般に報道されておることなんです。一方において原則をいいながら、一方においてそれを破っている国というものは、これは人類全般の将来の幸福という点から見まして非常に困ったことなんであるということを、国連の内外にびまんせしめる、それを世論の力によって大国に反省せしめるということが、われわれは一番必要だと思っておるわけです。その意味において、これは単に兵器の改良という問題じゃなくて、その改良を意図する上からいうて——兵器そのものも悪いけれども、その改良を意図する過程において、核実験を行なうことによってかくも人類に対して障害を与えつつあるということを、科学的根拠から言うということが、一方において意味がある、こういうことを言っているのでございまして、われわれはそれだけやったらいいということではない。両々相待って、今まで比較的手をつけていない分野からも、この問題の禁止に向かって米ソ両国が踏み切っていくように、そういう傾向を馴致しようというのがわれわれの考えでございます。
○岡委員 それでは端的にお尋ねしますが、小坂外務大臣の御意向としては、要するに核実験というものは、公衆衛生上工合が悪いのだ、だからやめてくれと言われるのですか。それとも、世界平和のためにやめてもらいたい、こういう御趣旨なんですか。どっちの立場に立ってこの核実験の問題を取り上げようとしておられるのですか。
○小坂国務大臣 もちろん、世界平和のために必要でございます。しかし世界平和を保つための国というものが、各諸国がその国のことを考えて世界平和を言っておるわけでありますが、さらに一方大きく人類という立場からも、これは非常に危険なものであって、やめなければならぬ、この両国から言っているわけであります。
○岡委員 小坂外務大臣も科学技術特別委員長をお勤めになっておられる。核兵器についても御研究だと存じます。さきに申しましたように、現在大国は人類を滅ぼし得るだけの核破壊力というものを保有しておる。そこで、いよいよ実験はやめるという条約が、かりにできたとする。しかし、これが一体どれだけの働きをなし得るでしょうか。万一そういう戦争というような最悪の事態を予想する、食うか食われるかという立場に置かれる——原爆を作るという技術は、私はそうむずかしいものではないと聞いております。その国に相当規模の原子炉が運転をしておる。プルトニウムを抽出する技術がある。それで手もなく作れる。してみれば、実験を停止する協定ができてみたところで、人類の不安というものは去りません。世界の平和を最も著しく妨げておるこの保有する破壊力そのものを撤去することです。だから真に世界の平和のためというならば、やはり当然日本は日本の立場において核兵器の禁止——実験の停止でない核兵器の禁止という立場に立っていただきたいと私は思う。重ねて大臣の御所見を承りたい。
○小坂国務大臣 核兵器そのものを保有することを世界各国がやめるということが一番望ましいことは、私も同感でございます。もとよりそういう方向に向かっていかなければなりません。しかし、それに至る前提といたしまして、各国が不信を持っていることをなくさなければならぬ。またそれがありまする限りにおいては、あれは持っていないと言うけれども持っているだろうということ、従って自分の方もまた持つかもしれぬということ、そういう問題が起きることを防ぐために、やはり有効な査察を伴うということが必要だろうと思うのです。しかし、それの前提といたしまして、実験をやめるということによって、順次その方向に入っていくという糸口をつけなければならぬと思います。核実験停止にいたしましても、拡散防止にいたしましても、今まで持っていない国が核を持つに至るということを禁止するということにいたしましても、同じねらいでございまして、われわれは急速に核保有を禁止するということに行きたいと思いますけれども、それに至るまず第一の糸口といたしまして、実験の禁止と拡散の防止ということを言っておるわけでございます。
○岡委員 意見は平行線になっております。私は核兵器の禁止という方向に——七年前のビキニ当時と違うのです。そういう方向に日本の旗じるしは大きく発展をしなければならぬと信じます。そこで私は考えてみるのですが、一体政府は何で実験停止についても独自な立場をとり得ないか。いわば現在なお非常にひより見的な立場におられるように承知します。いわんや核兵器の禁止にまで進めることができない。なぜできないのか。私は率直に申し上げて、これは日本の平和、日本の安定というものを、核ミサイルを持つておる大国の巨大なる報復力に依存をしておる、こういう政策をとっておる限り、政府は、人類が納得し、国民が納得するような真の核兵器の絶滅という旗じるしを掲げて進めないのではないか、こう私は考えますが、外務大臣の御所見を伺いたい。
○小坂国務大臣 日本は決してひより見をしておるわけではございませんで、非常に強く核実験の停止について主張をしておるわけでございます。それを必ずしも言っていない国もたくさんあることは、御承知の通りでございます。しかし、そういう段階におきまして、できるだけ多くの国の賛成を得て、実効のある決議案をまとめるためには、おのずから方法も道程もあろうかと思いますので、そうしたことをできるだけ効果あらしむるために、われわれは、ことさらにできるだけ多くの国の助力を得るような方向で努力をしておる、こういうことでございます。 〔愛知委員長代理退席、委員長着席〕
○岡委員 私が申し上げているのは、そのような御努力を私は否定するのではございませんで、そのようなことでは足らないのじゃないか、そうすれば、しかもそれをし切らないというのは、政府をしてちゅうちょをさせるきずながある、そのきずなは何か、それは政府が核ミサイルを大量に持っておるこういう大国に日本の平和と安全を依存しておる、ここに日本が堂々と全世界の国連加盟諸国の前で核兵器の禁止にまで主張を高め得ない大きな原因がある、こう私は思うわけなんです。その点について御意見を承りたい。
○小坂国務大臣 私はその点は違う考えに立っております。そうではないと思っております。日本は非常に率直簡明に核実験の停止を米ソ両国に対して言っております。しかし、ソ連が核実験を開始したときに、これに対して抗議した国というものは割合少ない。しかも日本が、私どもが国連においてこの主張をいたしましたときには、この態度についてあとから賛成をし、むしろ率直さに対して敬意を払うということを言って参った国が多いくらいでございまして、岡さんがお考えになりますように、実験停止をかくまで直線的に主張していくということについても、かなり懐疑をしている国もあるような状況でございますので、まずもってそこから切り開いていかなければならぬ、こういうことでございます。われわれは、核というものを戦争に使わないということについて、あくまでその目的を達するまで主張し続けようという考え方には、ごうまつもちゅうちょするものではないのでございますが、ただその情勢に応じて最も効果的にやっていく、こういうことを考えているわけであります。
○岡委員 ちょうど昨年のこの委員会で、当時の防衛庁長官に私はこの点でお尋ねしたことがあります。そのときのお答えというものは、結局集約すると、日本の安全、日本の平和というものは、アメリカの大量報復力によって守られるのだ、こう言われるわけなんです。ところが今度ケネディ大統領は、なぜ核実験の再開をやらねばならないか、本国とともに自由諸国の安全を守るためだ、こう言っておる。核兵器の改良をはかるためには実験をやらなければならないのだ、そうすればその力で日本の平和と安全が守られている。この日本が、核兵器の改良をやめてくれ、実験をやめてくれ、こう言ったところで、アメリカは額面通り権威ある抗議として受け取ってくれるであろうか。あるいはまたアメリカと反対の立場に立つソ連も、日本のこの抗議を権威をもって迎えてくれるだろうか。日本が核実験停止に関する決議案を出そうとしたときに、インド等の中立諸国から異論があった。これは一九五五年のときにも同様の趣旨の異論がありました。要するに、お前の国は大国の大量報復力!大量報復力は実験によってさらに強力なものになるはずではないか、それにお前の国の平和と安全が守られていながら、やめてくれということでは、これはもう自家撞着、首尾一貫しない、こういう立場、こういう考え方になるのも私はやむを得ないと思う。そうなると、AA諸国からも、日本の決議案というものが、いわば信頼をもって迎えられない、このような立場になる。核実験再開という日本にとって切実な問題についての政府の主張というものは、大国からは権威をもって迎えられない、AA諸国からは信頼をもって迎えられない。このことは、日本自身が大国の大量報復力に自由の平和と安全を依存しておるという政策をとっておる、そこにあるのではないかということについて、率直簡明な外務大臣の御所見を承りたい。
○小坂国務大臣 日本がアメリカの核兵器に依存して平和を保っておるというふうに考えている国は、少ないのではないかと思います、あるかもしれませんが。少なくともそういうふうな感覚から日本の言う核実験停止の決議案というものに対して、AA諸国から批判があるということは、私は毛頭聞いておりません。そういうことはございません。しいてそうではないかとこちらが言うことも、むしろどうかと思うくらいでありまして、私どもは、堂々と国連におきましてこのことを主張し、各国もこれに賛成をしておる。ただ決議案を有効適切ならしむる一つの過程としまして、やはりいろいろな国がございまして、自分の国がこれをやったのだということによって、自分の国のメリットをことさらに上げようという考え方のものもおるとすれば、それに対してはある程度妥協しながら、何も日本だけがやったのだということを言う必要はない。できるだけ広範な基礎で有効な決議案さえできればいいのだ、こういうことを考えている、こういうことでございます。
○岡委員 他の国々の方がそういうふうに見ておらないにしても、日本の防衛庁長官がそう認めておられる。昨年の予算委員会で私が質問をいたしましたときに、要するにアメリカには巨大な報復力がある。だから全面戦争の抑制はこれに期待する、こういう御方針かと日本の防衛の基本方針について聞いたら、赤城国務大臣は、お話の通りに考えていますと言われた。さらに具体的に、あるいは沿海州や樺太には中距離弾道弾の基地があるということが伝えられている。そこでもし大国との間の軍事的な同盟に深入りすると、日本は射程距離に入っているからあぶないじゃないか、こういうことも率直にお聞きしたところが、今アメリカの大量報復力が全面戦争を抑制してくれるから御心配は要らない、こう答えておる。速記録にある。そうすれば日本自身は大国の大量報復力、言葉をかえていえば、アメリカの持つ巨大な核ミサイルの力に日本の平和と安全を依存しておる。他の国は思っておらないかもしれないが、日本の防衛庁長官自身が認めておる。でありますから、さっき申し上げたように、そして実験再開をやったアメリカ大統領は、自由諸国の防衛のためにこれが必要だと言っておる。では一体日本がそれに反対でございますと言ったって、アメリカがそれを本気で受け取ってくれるか、アメリカと反対の立場に立つものは、それこそ傍若無人な態度に出るでしょう。中立諸国はやはりほんとうに信用して、日本の申し出を受け取ってくれない。ここに現在核実験再開という問題を控え、世界の唯一最大の被爆国である日本が立たされておる大きなイバラの道、悲劇があると私は思います。この点を率直な人柄の小坂外務大臣でございますが、どう思われますか、率直なところを一つお聞かせ願いたい。
○小坂国務大臣 率直に申し上げて、私は核という兵器が地上からなくなることを期待しております。しかし一方において、米ソ両国が巨大な核保有国であるということも事実であります。そしてわれわれは、両国に対してこういうものをやめてもらいたいということを言っておるわけであります。しかしさっき申し上げたように、両国の間には不信の感情がある。現在これが存在することも事実でございまして、アメリカがやめるといっても、ソ連の方がやめるといいながらやるじゃないかというふうにアメリカも考え、ソ連もまた同様のことを考えるということでございますければ、これはなかなか実際問題として実行がむずかしいということになりまするから、まずもって核実験について、有効に査察を伴う協定に到達して、まずこれから相互の査察ということを認め合うという慣習を作り、両方がこれの貯蔵をやめるということを言えば、なるほど両方はやめたのだということになり、そしてこれが両方とも廃棄したということになれば、それでやめるということになるわけであります。一方だけやめると言っても、たとえば私どもがアメリカに対して核の保有をやめろと言っても、ソ連が持っている以上、世界のバランスがくずれるからだめだと言われてしまえば、それだけだと思うのであります。従いまして、実験のことからまずもって両国の間に話をつけてもらう。それには両国だけではだめだから、国連という舞台を利用して、世界の世論においてこれを可能ならしめるという方法を考えておる次第でございます。
○岡委員 平行線になりますが、要するに今小坂外務大臣が言われたように、米ソ双方が不信である。そこで双方は核実験の再開をする。いよいよ巨大なおそるべき破壊力が実験を通じて、核兵器の改良を通じてもたらされる。そうなりますると、問題は力と力の均衡で平和を守るのだという政策は、この両国が巨大な全人類を滅ぼすほどの核破壊力を保有し去った現在では、もはやぎりぎりの限界にきたということです。もう力対力の均衡という平和への原則というものは、恐怖の均衡、恐怖の拡大再生産しかない。にもかかわらず米ソが不信の立場において、さらに力の均衡政策をとろうとしている。原水協に対するフルシチョフの回答を見ても、今日の段階において中立という立場はないなどということを言っている。しかしそうであってはならないし、また不信をわれわれとして信頼に持っていくためには、日本自体がいずれか一方の力の側に立って、日本自体がいずれかの一方の不信を不信でなく、真実とする。この立場に立ったのでは、この核兵器の禁絶というものはとうていできない。外務大臣が人類の平和のためには核実験というものを地上から葬りたいと今おっしゃいましたが、そういうことはできない。しかしこれは平行線でございますから、これ以上申しません。 そこで先ほど、国連の特別政治委員会で福島代表から、放射能の調査を強化するということの決議案を出された。カナダもそれに同調した、こういうことでございますが、関連して、これは三木科学技術庁長官にお尋ねいたします。 先般私どももいただきました政府の放射線医学総合研究所がフォールアウトの影響について、放射性降下物の影響についてというパンフレットを公表しておられる。このパンフレットを読みますと、要するに放射能には許容量というものが一般にあるのだということがまず前提になっておる。新聞はこの公表をどういうふうに発表しておるかというと、私が見た二、三の新聞では、一リットル二百二十万カウントまでは大丈夫だということをトップの見出しとして書いております。小坂外務大臣は国連では、放射能の調査をする、強化しようというような決議案を出そうとしておる。日本の国内では、政府機関が一リットル二百二十万カウントでも大丈夫だ、こういう全く非科学的な、楽観的なものを公表しておられます。私はまことに遺憾だと思うのでございますが、三木長官の御所信をお聞きしたい。
○三木国務大臣 岡君も御承知のように、ちょうど核爆発の実験がソ連によって再開された。しかも新聞では、百メガトンの原爆を実験するのだと、かなり人心に対して衝動を与えたことは事実であります。こういう場合に、やはり放射能の医学総合研究所のごときこういう機関が、これに対してある程度の見解を明らかにするということは私は必要だ、私の指示に基づいたものであります。そこでその内容については、岡君もここにパンフレットをお持ちでありますからおわかりのように、そう楽観的に書いてあるわけではないのであります。国際的な国際放射線防御委員会等が、年間五レム程度のものならば人体に障害はあるまいというような、そういう基準もあります。それは職業人に対しての許容量でありますので、一般の常に放射能を扱っておる者と違う民間人に対して、それを基準にして大体こういう目安であるということを発表したわけです。なかなか放射能の被害については、いろいろ遺伝の面なども問題があり、世界的に見て、放射能の被害というものがこの通りだというふうに明確になっておるとは私は思わない。今後非常に研究を重ねていかなければならぬが、まだ研究が完全にできないからといって、放射能の被害に対する政府機関の見解を明らかにしないことはよくない。多少不備な点があっても見解を明らかにする方がよろしいということで、したのでございますが、それを新聞の感覚としては、ソ連の原爆実験等もありましたから、多少楽観的な記事になるような客観的な環境であったと思います。しかしその発表自体は、楽観的なものでもなければ、悲観的なものでもなくして、ただ研究しておる立場から発表したものである。非常に楽観的な見地から、国民に放射能の被害に対して、これを非常に軽く見るような気持を与えたものではないと私は信じております。
○岡委員 この公表された最初のリーフレットを見ますと、一体どの程度までならば水を飲んでもいいのかという数字が出ておるわけです。新聞の見出しは少し不用意だったようですが、少なくとも二万ないし二万二千マイクロキューリーならば差しつかえない、こういうようなことです。そこで問題は、私が申し上げておるのは、これは非常に非科学的だということなんです。これは長官も御存じのように、一昨年の九月に国際放射線防御学会、ICRPが厳重な一つの基準を出して勧告しておる。そしてそれは日本の専門家の学会でも採択をされまして、日本政府もこれを受け入れておるはずです。この一番最近の世界の権威者が、放射能の許容量というものに対してとった考え方はどういうものか。この勧告の骨子は、放射能には許容量がないということが第一です。ただしかし、原子力等の平和利用に従事する者については、そのこと自体が人間のためになり、社会のためになることをやるのだから、ぎりぎり最小限の許容量は、認めたくないけれども認めざるを得ない。従って許容量というものは原則としてはないのだ。だが原子力の平和利用に従事する者はいたし方がないから、最大の許容量というものを一応認めた。しかし日本人全体、九千万全体に人工的な放射能というふうなものがもし降りかかってくるとするならば、どこでどういう遺伝的な障害なり、不時の病なりが起こるかもしれない。であるから、ほんの些少でも人工的な、特に核実験による放射能は許すべきではないのだということを、ICRPの勧告がはっきりいっておるわけです。ところがこれを見ると、二万ないし二万二千マイクロキューリーならばいいのだということをはっきり書いてある。こうなりますと、特にカウントでいえば非常なカウントになりますが、そうなりますと、今のあちこちの気象台の結果によると、せいぜい三千カウント程度でしょう。そうすればまだまだ実験はいいのだ、まだまだ大丈夫だ。これでは実験の再開をやめるべきだ、こう強く要求しておる国民の気持に対して、一つの大きな最も好ましくない安堵感を与える。百メガトンをやるから何らか政治的に考えなければならないと言われますが、結果はむしろこの核実験の停止あるいは核兵器の禁止という本来のこの重要なわれわれの旗じるしに対しては、かえって水をかける結果になる。長官は先般国際原子力機関の総会に出られて、非常に格調の高い御演説をしておられます。その中で、日本をして最後の被爆国たらしめよ、これが日本国民全体の切実な心からの世界に訴える願いであると、あなたは言っておられる。そういう決意に立たれるならば、こういう安堵感を与えるということは私は非常に遺憾であります。重ねて長官の御所信を承りたい。
○三木国務大臣 核爆発の降下物といいますか、フォールアウトに対して許容量はないという見解は、私もそう思います。これはまだ未知数なものだ。どれだけの影響を子孫のために与えるかということは未知数であります。だから、これまではいいのだというようなことはない、未知数である。しかし日本は、いろいろな原子力開発に関係しておる人が放射能を受けるわけです。これはやむを得ないものとして、許容量を国際の放射線防御委員会できめておる。日本は、政府としてもそういう核実験を停止せよという世界の世論を喚起することに努力しておることは、先ほど外務大臣が申し上げた通りです。しかし現にやっておる。受ける。だからそうなってくると、そういう場合に対して許容量はないとしても、まずこの程度ならば人体に対してさまで影響がないであろうというような目安を作ることは、私は一つの必要なことだと思っております。しかし原爆の実験で放射能が降ってきて、それが大して影響がないのだということではないのだけれども、そのことでいたずらに国民に対して非常な不安感を与えるということも考えなければならぬ。これは現に原子力のいろいろな開発の事業に携わっておる者と同じように受けるのです。放射能を日本は受けている。これに対してある程度の基準を与えるということは、行政の責任である、私の見解でさようにいたしたのであります。そのことが原爆の実験を肯定するものではないのだということは、強く申し上げておきたいのであります。
○岡委員 だから、あなたは原子力委員長で、日本の原子力基本法では、原子力の研究開発は平和の目的に限るという、この基本法を執行される責任の衝にある。あなたはまた科学技術庁長官として、やはり国民に科学的な認識を与えなければいかぬ。そういう意味から、今おっしゃったように国際的にはもはや許容し得る放射能の限度というものはないのだ。ないのだがというこのことを、やはりはっきりあの公表されたものにおいては打ち出されなければならない。二度目に出たものには、一番最後にそのことが触れてあります。しかしこれは全然新聞などでも取り扱われておりません。一番初めに出た一リットル二百二十万カウントまでは大丈夫だということだけです。これでは国民に非常に非科学的な安堵感を与える。こういうことは今後ぜひ慎重にやっていただきたいということをお願いいたします。おそらく小坂外務大臣がおっしゃったように、国連の特別委員会で放射能調査の機構を強化しようという御趣旨も、やはりそこにあろうと思いますから、首尾一貫した態勢でやっていただきたいということをお願いいたします。 そこで次には、中共の原爆実験が必至だという声が非常にかまびすしくなって参りました。昨年の暮れにも外務省は外交問題懇談会とかいう席上で、このことについて報告をしておられるとも聞いているわけでございます。一体中共の原爆実験について外務省はどういう見通しを持っておられますか。
○小坂国務大臣 いろいろな情報がございますが、政府として公式な席でこうだということを申し上げるほどの確たるものをつかんでおるわけではございません。
○岡委員 では一応の見通しとして、中共はいつごろ、一九六二年にか、六三年にか、それ以後においてか、核実験は必至だとするならば、いつごろやる見通しを持っておられますか。
○小坂国務大臣 中共におきまして今原子炉がある。これが四つぐらいではないかというふうに、場所もいろいろ言う者もございます。従って、プルトニウムができておるということは、これはもうその通りでございます。これを原爆にするとか、信管の技術とか、いろいろあるわけでございます。そういうものがどうなるかということは、まだ公知の事実にはなっていないと思います。従って、私どもはこれをこの席で言うことは差し控えたいと思いますけれども、岡さんの先ほどのお話のように、非常にむずかしいものでないとすれば、早晩実験が行なわれるかもしれないと思います。いずれにしましても、これがことしじゅうであるというようなことは私ども考えておりません。来年であるか再来年であるか、まあ再来年ぐらいじゃないかということを言う人が多いわけでございますが、これはわかりません。しかし、いずれにしてもそういうことが行なわれることは、国のいかんを問わず、私どもは先ほどから申し上げている趣旨で強く反対をするものでございます。
○岡委員 お説のように、原爆を作ることはそう技術的にむずかしいことではない。技術的な条件としては、その国に相当規模な原子力炉が運転されておるということ、そしてまた、必要な技術水準に達した要員がおるということ、その国にウラン原鉱があり、これを精練する技術を持っておるということ、そしてプルトニウムを抽出する設備があり、技術があるということ、格好な実験場があるということ、この五つがそろえば、原爆を作ることは今ではそうむずかしいことではなくなっておる。ところが、五つの条件を大体私は中共はもう備えておると思います。これにおそらく大国の援助があればなおさら実験を促進するでしょう。あるいはまた、中共のように現在国連から締め出されておる、その立場において国際的な発言力を強化しようとすれば、現在の情勢の中では、やはりみずから自主的に核実験をやってのけること、こういう中共自体の大きな政治的な含みもあるでしょう。そういうことを考えますると、今もおっしゃいましたが、来年か再来年か、少なくとも中共の核実験は私は非常に近いと思う。一体中共が核実験を行なった場合に、これが国際政局、特にはアジアの平和にどういう影響を与えるか、あるいは、藤枝防衛庁長官にお尋ねいたしますが、防衛庁においても、中共が核実験をいたした場合、核兵器を保有し得る可能性を持った場合における極東の軍事情勢についてはひそかに検討しておるということを私は聞いておる。一体極東の軍事情勢にどういう影響を与えるのか、どういう測定をしておられるのか、この点を率直に承りたい。
○藤枝国務大臣 先ほど外務大臣からお答えをいたしたように、いろいろ情報はございますが、確実につかんだものではございません。従いまして、私どもといたしましては、現在のところ、中共が核実験をいたし、あるいはさらに進んで核兵器を持つというようなことについて特に具体的な検討をいたしておるわけではございません。また、そういう事態がかりにありましても、私ども、日本の防衛計画については変更をする必要はないと考えております。
○岡委員 東西両陣営の対決の場としてのアジアにおける力関係において、中共の核実験、ひいては核兵器を保有し得る能力を持ったということが、アジアのこの対決する力関係においてどんな影響があると思われるかということを申しております。自衛隊がどうされるかということを私お尋ねしているのではございません。たとえば、日本の戦略的な立場は当然低下するでしょう。そうではないでしょうか。そういうような具体的な点について率直な御見解を承りたいと思います。
○藤枝国務大臣 かりに中共が核装備をしたということに相なりますならば、アジアにおけるいろいろな状態は、確かに変わって参ると思います。しかしながら、先ほど申しましたように、まだその辺の点について確たる事実をつかんだわけでございませんので、私どもは、そうした事実をつかんだ上において考えて参りたいと思っておる次第であります。
○岡委員 今外務大臣も来年かあるいは再来年ごろかということを言外に漏らされておられます。これはわれわれも確たる資料は持っておりません。従って、外国の人たちのいろいろな意見あるいは中共の要人自身の意見、そういうものを総合いたしますと、やはり来年か再来年、私は来年くらいにでもやろうというもくろみで一生懸命がんばっているような気がしてなりません。そうなりますと、防衛庁としては、まだ先々のことだからそのときになって考えようというようなゆうちょうなと申しましょうか、無責任な態度は私は許されないと思う。これはこういう席上で発表をはばかられるというならば、またそうでございますが、また別な機会に、委員会ででも承りたいと思いますが、それとも今おっしゃったように先々のことでもあり、従って、今は何らそのことについて、それがどういう影響を持つかということについては何の検討を加える必要もない、こういう態度で防衛庁はおられるのか、その点だけでもお聞かせ願いたい。
○藤枝国務大臣 ただいま申しましたように、そういう事実をつかんでおるわけでございませんので、こうした点を前提にいたしてお答え申し上げるのはいかがかと存じまして、今後の問題としていただきたいと考える次第であります。
○岡委員 それでは、具体的な若干の点について、防衛庁長官なり外務大臣の御所見を承りたい。どうしてもそういう事態になりますと、日本の戦略的な立場はやはり低下するということになります。そのことは逆にアメリカのアジア地域における核兵器の装備というものを強化する理由になろうかと思います。あるいは日本の基地に核兵器を持ち込もうということの合理化になりかねない。私は外務大臣にお尋ねをいたしますが、たとい中共が核実験をやってのけても、日本の基地にある米軍の核装備、核兵器の持ち込みは絶対に認めないということをここではっきりお約束をしていただきたい。これが一つ。
○藤枝国務大臣 核兵器を持ち込ませない、また核装備をしないということは、しばしばこの国会でも政府として言明をしたことでございまして、それはたとい仮定といたしまして中共が核装備をいたしたということがございましても、この方針は変わらないことでございます。
○岡委員 とにかく中共の核実験ということと関連して、一部には、今度自衛隊の訓練に行っている諸君が持ち帰るナイキ・アジャックスをナイキ・八ーキュリーズにした方がよいということを言うている人があるというようなことが伝えられている。それは別にいたしましても、やはり日本には小型の核兵器なら憲法違反ではない、何か含みのある発言をせられた方もあるようでありますから、今藤枝防衛庁長官の、そのような事態になっても自衛隊の核装備は全然考えないということは、そのことを私は了承します。 外務大臣にさっきのお尋ねをいたしましょう。これは米軍の装備の変更にかかわる事項でございますが、在日米軍の核装備、言いかえれば核兵器の持ち込みは絶対に拒否するのだ、そういう御決意であるということをこの機会に表明を願いたい。
○小坂国務大臣 核兵器の持ち込みは行なわせないという政府の方針には変わりございません。
○岡委員 いろいろ御所見は承りましたが、そういう状態になって参りますると、いよいよ、かつてわが党の鈴木前委員長が本会議で岸総理にお尋ねをいたしました、私どもがその席上で主張いたしましたようなアジアにおける核非武装地帯の設定ということが大きな国民の関心事になろうかと思います。当然また政府としても真剣に検討していただかなければならぬ問題になろうかと思います、もちろんこの問題は今ここであなたと議論をしようとは思いませんが、十分にこの点を御考慮おきを願いたいと思います。 次に全面軍縮、軍縮問題について簡潔にお尋ねをいたしたいと思います。これは先ほど外務大臣もお話しになったように、九月の二十日に米ソ両国の代表が国連の事務当局にいわゆる八原則に基づく軍縮の共同声明というものを提出しておる。もちろんこの八原則がそれぞれ骨肉化する、現実化するにはそれこそ幾山河の困難があることは、われわれも当然覚悟をしなければなりますまい。しかし、それにしても、これは何といっても歴史的に大きな前進のステップだと私は思います。ところが、特に日本政府といたしましては、憲法で戦力を持たないという建前をとっておる。日本政府とすれば、この軍縮の問題、全面軍縮の問題にはもっともっと私は力こぶを入れるべきだと思います。人ごとのような無関心なことは私は許されないと思う。そこでいよいよ、今申しましたように八原則に基づく全面軍縮という日程が、一応第一歩が始められました。 そこでまず原則的なお立場をお尋ねいたしたいのは、こうして米ソ両大国の合意に達したこの八原則に基づく全面軍縮を、政府は誠意をもって国連の場で推進をするという立場に立たれるのかどうか、まずこの点をお尋ねをしたい。
○小坂国務大臣 その原則に向かって現実的に可能なる問題を積み上げていく、一日も早く全面軍縮の岸に達したいということでわれわれ努力いたします。
○岡委員 そこで特にこの際確かめておきたいことがございます。それは核兵器の禁止、あるいは核実験の停止という問題と全面軍縮というものの関連を政府はどう考えておるか。これは米ソのこれまでの軍縮問題における一つの大きな争点でもある。おそらく日本の国会においても、与党の諸君と社会党の争点の一つにもなろうかと思いまするが、どう考えておられまするか。全面軍縮と核兵器の禁止、実験の停止、あるいは核兵器の禁絶という問題の関連をどう考えておられるか。
○小坂国務大臣 全面軍縮に至ります道程といたしまして、現実に可能な、均衡を失しないようにして両陣営の間で軍縮が行なわれていくということでなければ、現実には不可能だと思います。従って、まず管理可能な軍縮から始める。その一環として、これはもうだれしも異議のないところであり、現実的に可能な問題でございまするから、核実験の停止から始める。しかし、この両者はからませてはいけないという考えでございます。軍縮全般の問題とからませて参りますると、核実験の停止そのものもその中においてうやむやになってしまう危険性もあるわけでございますから、これは切り離して、まず可能なものからやっていくという意味で、核実験の問題は核実験の問題、軍縮の問題は軍縮の問題、かようにいくのが現実的によろしいと考えております。
○岡委員 私先ほども、核実験の停止とか・あるいは核兵器の禁止というふうな協定は、いざまさかのときにどの程度の実効があるか、私はあまり期待できないということを申しました。国が食うか食われるかという立場に入りますると、原子炉が運転をし、プルトニウムを持っておれば容易に原爆を作り得るというのが今日の実情です。作らないという保証はなかなか容易じゃない。でありまするから、平和のための軍縮というならば、戦争をする手段を縮小する、戦争をする手段を持っておる国から奪うことなんです。戦争する手段の中の最も大きなものは核兵器でございましょう。しかし核兵器の禁止というものが、全面軍縮、戦争する手段を奪う、やめてもらう、撤去してもらう、こういう大きな体系の中ででなければ、事実上は生きてこないのではないでしょうか。そういうことになると、外務大臣の御所見と反対になりまするが、私はそう信じております。重ねて御所見をお聞きしたい。
○小坂国務大臣 軍縮の問題は、過去においてもしばしばの経緯がございまして、軍縮交渉をしまする場合に、非常に錯綜した各種の観点から交渉が難航することは、岡さん御承知の通りでございます。従って、核実験問題をこれにからませますると、その問題がうやむやになってしまう危険性がある。もちろん核兵器を持っておるということが、軍備の一環であることは当然でございますが、これを縮小していく段階におきまして、核実験停止ということは、まずだれが見ても必要性が明らかなことなのだから、まずこれはこれとして問題を解決する、軍縮全般の交渉については、これはまた別個にできるだけ進めていく、こういう考えがいいと思っております。
○岡委員 これは私がこれ以上申し上げますとペダンチックになりまするから申し上げませんが、しかしそういう時代は過ぎたということはさっきも申し上げたと思うのです。米ソの合意に達した八原則では、はっきり全面軍縮の一環として核兵器の禁止ということをうたっております。昨年九月のフルシチョフ演説なり、あるいはことしのケネディ演説の中でも、またアメリカの提出をした軍縮の計画の中でも、軍縮の中で核兵器の禁止を実現する、アメリカは最低の保有を認めるという条件をもってでも核兵器の保有を縮小しようということを言っておる。だから全面軍縮の中で戦争をする手段を撤廃をするという、こういう体系の中で初めて核兵器というものの禁止が実現する、これが今日米ソの合意に達した結論だと思います。願わくば、一つ日本の政府もそういう基本的な立場においてはそういう形で大乗的に善処していただきたいと思います。 それからこれは特に関連をして三木さん、それから外務大臣の小坂さんにお尋ねをいたします。実は最近御存じのようにアメリカ大統領が平和部隊というようなことを言っております。日本でも与党の方が東南アジアへ出張せられたようでもございます。私は、軍縮という問題がこうしていよいよ米ソ両国が合意に到達をした。国連の軍縮委員会も具体的な作業を開始する。こういう段階になりますと、これは兵力を持っておる国々にとっては国民の税負担が軽減される。国の生産が平和生産のためにフルに回転をする。そのことはその当事国だけではなく、全世界の経済に非常に大きな影響を与えてくると私は思う。特におくれた後進地については、そういう軍縮によって出てきたところの余裕というものが当然国連を通じて後進地の開発に振り向けられるということは、これは日本の当然な政策とも言えると思います。私はそういう立場からケネディ構想の平和部隊、あるいはまた与党の中でもそのことに大きな関心を払っておられまするが、私はこういう進んだ科学技術をもってする後進地の開発と繁栄の協力、これはある特定な国がやるというのじゃない。国連という舞台で、国連の中にプールされたこのような科学技術というものが後進地開発の方向に活用される、そういう機構を作る、そういうような方向に日本の科学技術外交というものが向けられないものだろうか、外交としてそういうことが不可能であろうかということを実は感じておるわけでございまするが、この点についてはいかがなものでございましょうか。
○三木国務大臣 平和部隊の構想は、ケネディ大統領のすぐれた構想であって、ああいう構想が、単にアメリカばかりでなしに、各国が軍事的な目的でなくして、平和的に低開発諸国の技術的な、あるいは文化的な、社会的な向上のために寄与することはけっこうだと思います。国連でも、同君の構想のようなことは非常に好ましい。しかし、単に国連ばかりでなしに、各国も、そういうおくれた国々に対して援助を与えることは、先進国の義務でありますから、大いにやって、両々相待って世界の後進国の水準を高めることが、世界の平和のために非常に大きな寄与をする、日本もそういう線に沿うてやるべきであるという考えであります。
○岡委員 長官は先般のIAEAの総会でアイソトープ・センターの構想をお話しになった。こういうものも行く行くはやはりこのおくれたアジア、アフリカの国々の原子力の平和利用のために、アイソトープだけではなく、もっとこの範囲を拡大した機構を作って、その中心において、その先頭に立って日本がこれらの国々に協力をし、貢献するという構想を、ぜひ一つ進めていただきたいということをこの機会にお願いしておきます。 さて、軍縮問題に戻りますが、外務大臣に率直にお尋ねをいたします。そこで、国連でかりに核実験停止のお約束がまとまったといたしましょう、あるいはまた核兵器の禁止の協定がまとまり得たといたしましょう、あるいはまた、軍備縮小に関する何らかの方向が決定をしたといたしましょう。ところが、ここに国連に入っておらない国がある。国連に入っておらない国は、このような平和へのあらゆる協定というものの拘束を受けないわけです。海一つ隔てた中共が国連に入っておらない。従ってあらゆる国連の決定というものを無視して、あるいは核実験をやる、核兵器の保有を宣言する、あるいは軍備縮小の協定をも彼らは無視する。こういうことになれば、これは私は世界の平和、特にアジアの平和、日本の安全にとっては重大問題だと思う。中共の国連加盟という問題は、こういう観点から、核兵器の問題やあるいは軍備縮小というような、国連においてそういう方向へ、大きく世界の世論が動き出しておる。こういう時点に立った場合、日本政府は中共の国連加盟というものに対してあいまいな態度はいけないと私は思う。きぜんとして国連の決定を尊重し得る立場に中共を立たしめるということ、これは日本の国の利己主義ではない、アジアと世界の平和に忠実なものの当然の政策だと私は存じます。こういう観点からする中共の国連加盟という問題について、外務大臣はどのような御見解を持っておられますか。
○小坂国務大臣 そういうお考えも確かにけっこうなお考えだと思いますが、一方において、国連において現在安全保障の問題をめぐりまして軍縮の問題が難航しているということも、これは事実でございます。従って、その難航しているところに中共がかりに入ってきて、それだから非常にこの決定がまとまるかということについても、これはやはり別の角度から考えなければならぬ点もあるわけでございます。一方また中共において、国連に入ったら必ず国連憲章を尊重して、これに従っていくのだということの積極的な意思がなければならぬということ、そのことも前提として考えなければならぬということも一つの考え方だと思います。そういう点を勘案いたしまして、われわれ世界の平和の観点から、国連が十分その機能を発揮し得るように考えておるわけです。そのように努力したいと思っておるわけです。しかし、まずもって国連において現在の構成国が、軍縮の問題について実際に効力のある考え方にまとまるということについて、われわれとしては努力しなければならぬ、かように考えておるわけであります。
○岡委員 先ほど外務大臣は、現在の険悪な世界のいわば平和の危機は、国と国の不信に胚胎するということを言われました。ところが、今の外務大臣の御答弁を聞いておると、やはり、あなたは中共に対する牢固として抜きがたい不信を持っていることを、私は感ぜざるを得ないわけです。でありますから、こういう点に政府としてもやはり反省をしてもらいたいと私は思います。もちろん、中共の核実験とかあるいは全面軍縮という問題は先の問題でございます。不確定な問題でございます。一つは切実な問題であり、実はやめてもらわなければならない問題であり、一つはぜひやってもらわなければならない問題でもあるが、しかし先の問題でございます。でありますから、今こういう問題であなた方と私が水かけ論議を重ねることもどうかと思います。ただしかし、こうして科学技術が発展をして、その結果、これに基づくおそるべき巨大な破壊力を各国が持って、これを使えば人類は滅びるというのが現実です。相手の国を打ち負かそうとして作った武器が戦争を断念する、戦争をやめてくれという世界の世論の原動力になったというのが今日の時点における大きな事実だと私は思う。一方では衛星船が飛んで、やがてはアメリカもソビエトも月に着陸しようというような時代が到来しようとしておる。だから、やはりそういう時代になれば、主権国家というものを絶対的な概念とするこの政治学と申しますか、政治的な秩序というものに対する反省の時期、その入口にもうかかっておるのじゃないか。そういう点から、やはり政府としても真剣に、いわばもっと合理的にものを考えていただきたいと思います。特に、私は、今は軍縮や核実験、核兵器の禁止にとっては非常にいいチャンスだと思います。御存じのように、フルシチョフ首相は、首相に就任をされてその年に自発的な核実験の停止を申し出ました。それからケネディ大統領にいたしましても、ペンタゴンの圧力はあろうとも、やはりベルリン問題なんかにおいては、大統領の心底には平和共存という、話し合いへという気持があることは、幾多の事実でわれわれは知ることができる。われわれはやはりそういう善意を信頼して、善意は具体的に生かすという、そういう立場に立って、たとい将来の問題であろうとも、軍縮なら軍縮の問題について真剣に政府はこれと取っ組む、こういう努力をしていただきたい。平和という将来の大きな明るい展望の上に、政府の外交政策を進めていただきたいということを衷心から私は切望いたしまして、私の質問を終えたいと思います。(拍手)
○山村委員長 それでは、次会は明日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時四十分散会