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39回国会衆議院1961/10/09

予算委員会 第6号

発言数
254
登壇者
18
会派数
2
開催日
1961/10/09

会議録

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 これより会議を開きます。  昭和三十六年度一般会計予算補正(第1号)及び昭和三十六年度特別会計予算補正(特第2号)を一括して議題といたします。  質疑を続行いたします。野原覺君。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 私は、主として労働問題、それから給与の問題、そして当面する文教の重要な問題の若干についてお尋ねをしたいと思うのであります。時間が制約されておりますから、質問の方もできるだけ簡潔にいたしたいと思いますが、政府側におかれましても答弁は一つ明快にお願いしたいのであります。  まず第一にお伺いいたしたいことは、ILOの八十七号の批准の問題であります。これはすでに御承知のように、さきの岸内閣のときに批准の方針が出されまして、池田内閣に至りましては、第三十八通常国会の冒頭に、しかも施政方針演説の中に八十七号を批准いたしますということを国の内外に宣明いたしたのであります。しかも岸内閣の労働大臣であった倉石氏、池田内閣の労働大臣でございました石田氏、この二人は、ILOの本部にわざわざ出向いて行って、私ども日本の政府は八十七号を批准いたします、こういう約束を世界じゅうの人々にいたしましてから、すでに三年経過いたしておるのであります。しかるにいまだこれが批准をされない。私は、これは国民に対する公約の違反であるばかりでなく、国の外に対する大きな信義の失墜ではないかと思うのでございますが、この点について一体政府はどう考えておるのか。きょうは池田総理がお見えでございませんが、委員長にお尋ねしますが、総理のかわりに私は政府を代表する者の出席を要求いたしておきましたが、どなたが本日は政府を代表して御答弁になりますか。

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 労働問題は福永労働大臣が答弁されますから、どうぞ御了承願いたいと思います。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 一括しては官房長官の出席を要請しておきましたが……。

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 官房長官はただいま呼びます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 そこで新たに労働大臣に就任されました福永さんは、この問題については、そういう経過の上に立ってどのようにお考えになっていらっしゃるか、承りたいのであります。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 ILO八十七号条約の批准について、御指摘のような事実がありましたことは、私もよく認識いたしておるところであります。従ってあとうべくんば、できるだけすみやかに批准が行なわれることが、私もまた望むところでございます。政府といたしましても、この条約案のすみやかなる提出、そしてこれが批准ということを望んでおるという方針においては変わりはないのでありますが、お話にもありましたように、過去何回かの国会におきまして、私が申すまでもないような経過があり、従って今次国会におきましても、これをいかに扱うかということにつきましては、今次国会の性格等にもかんがみまして、ただいま与党とも協議検討をいたしておるところでございます。出しました以上は、すみやかにこれが審議等も進渉するようなことも、もとより望ましいことでございますので、今までの経過とにらみ合わせながら、国会でのお取り扱い等についてのめどもある程度考えまして、ただいまのところ出してはおりませんけれども、早期批准という方針に変わりはないということを、これは私からはっきり申し上げて差しつかえのないところでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 私はただいまの答弁は了解できないのであります。何となれば私が先ほど申し上げましたように、これは三年来の課題であります。しかも国民に公約したことであります。施政方針演説にわざわざ述べておる。それをこの国会で少なくとも確実に批准するという御答弁でもあるかと私は期待しておりましたところ、いまだに与党との工作が進まなくて、その方針すら定まっていないということであれば、私はこれは大へんなことだと思う。だから労働大臣にお伺いいたしますが、この八十七号の批准をいつまでもやらないということは、政府は国民への公約違反だ、これは国際的にも大きな不信だ、一体こういうことを明確に御認識されておるのかどうか。私は政府の政治的な道義心を疑わざるを得ない。この問題は一体何回約束してきましたか、その辺を承りたいと思う。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 すでに政府がこの問題についての方針を明らかにしたこと、そしてまたILOの会議に参りまして前任者が演説等も行ないましたこと、これはもう御指摘の通りであります。さればこそ政府は、すみやかに批准という方針は一貫して変えておらないのでございます。ただ前国会等の事例に見ましても、政府は提出いたしましたけれども、これをいかなる形でいかに審議するかという主として国会での問題で、ついに前国会においてはこれが批准というところまでいかなかったことは、私が申し上げるまでもございません。政府は決して責任ないとは申しません。従来一貫して右申し上げましたような方法を取り来たったのであります。一面において世界の他の諸国に対しましても、労働大臣がああした所信を外に向かっても表明いたしておりますだけに、これと矛盾のないようにわれわれも行動しなければならないことは御指摘の通りでございます。そこで、前国会においてああいう結論に至らざるを得なかったこと等につきましては、政府はILOの方へも事情を説明をいたしまして理解を願うように努力をいたしたところでございます。さような経過のあとに立って、政府といたしましては、今申し上げましたように、方針においては早期批准ということに変わりはないのでございます。ただ前国会等の経験等にもかんがみまして、出しさえすればいいとのみは私は考えておらないのでございます。出しまして、そのあとうまくいくということについても幾らかのめどをつけなければ、これまた軽率のそしりを免れぬとも限りません。かように存じますから、その点についての念を押しておりまする次第でございます。何とぞ野党におかれましても、この点よく御了承下さいまして、与党、野党間で、今おっしゃったような意味において、あとうまく進むようにお話し合いをお願いいたしたい。これは私からもお願いかたがた申し上げておきたいのでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 批准いたしますという方針を立てましても、現実に批准されなければ何ら公約を果たしたことにはならないのであります。国際的にも申しわけの立たぬことであります。今労働大臣のお話を承りますと、批准する方針には変わりはないのだということだそうでございますが、問題は八十七号の問題なんです。ILOの本部に出向いていって約束してきたのは、八十七号を批准するかしないかということだけなんです。今日まで批准ができなかったということは、これは国内法の便乗改悪という点に問題があったろうと思うのであります。私どもはこういった八十七号の批准に全然関係のない、むしろ八十七号の内容には矛盾をしておるような国内法の便乗改悪というものは、許すことができないと実は考えておる。三年間も批准できなかったというその理由はどこにあったのですか、その点を承っておきたい。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 私は条約だけを批准すれば、ほかはどうでもいいのだというふうな野原さんの御意見には、賛成いたしがたいのでございます。われわれはもとより、条約を批准するということと関連いたしまして、その条約の趣旨をより徹底せしめるための措置、及びこの条約を批准することによって生ずる矛盾抵触の排除、こういったことを一連総合的のものとして、一緒にいたしまして処置をする、こういうことが必要であるということを考えており、過去三年間のことについてお話がありましたが、この過去三年間の経過におきましては、早期批准をするということは明らかにいたしておりますと同時に、これは国内法等の改正を待ってそうするのであるということも、これも、終始一貫政府といたしましては申し上げておる通りでございます。従ってただいま条約の点のみをおあげになりまして、野原さんがこれだけをやればいいのだ、ほかのことは別に約束はしていないであるかのごとく仰せられたのでありまするが、政府といたしましては、この両方の点をあげまして、ともにこれは結末をつけるのだ、こういうように一貫して申し上げておるところでございます。従って条約のみ先にということになりますと、今まで政府の言っておりますることを半分だけやって、片手落ちということに相なる次第でございます。何とぞこの点については総合的に御了承いただきたいと思います。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 アメリカのある労働組合、繊維の労働組合でございますが、日本の政府が八十七号のような国際的常識ともいわれるものをいつまでも批准しないならば、日本の商品をボイコットしなければならぬというようなことを言われたやに私は聞くのであります。しかもこれは大蔵大臣が御承知のように、ガットの三十五条の援用拒否の理由は、今日は日本労働者の無権利と低賃金ということがあげられておる。私はそういう点からいっても、今池田内閣は国際収支が赤字だ、こう言う。そうして貿易を盛んにやらなくちゃどうにもならぬのだ、こう言う。私は貿易を盛んにするためにも、ILO八十七号の批准というものは急がれておると思うのであります。この問題について、なお突っ込んで私は申し上げたいのでありますけれども、私の質問事項はこれだけでもございませんから、この点はここでおいておきますが、重ねて申し上げます。社会党は八十七号の批准に便乗をした——八十七号批准のために必然的に起こる改正ならば私どもは同調いたします。しかし八十七号の批准に便乗をした、それを口実にした国内法の改悪というものは、党は断じてこれは承認できないということを重ねて申し上げておきたいのであります。そういう点で今労働大臣が与党との工作を進めておられるようでございますが、八十七号の批准についてはそういうことも勘案されて、これは十分折衝されるように望んでおきたいのであります。  そこで次にお尋ねをしたいのは、ILO九十八号の問題であります。ILO九十八号というのは、労働大臣が御承知のように、一九五三年にこれは批准をされておるのであります。このILOの九十八号と私どもが長い間問題にして参りました公労法の四条三項、地公労法の五条三項、これは無縁のものではないと私は思うのであります。これは関係の実に深いものだと思うのでございますが、政府はどのようにお考えでございますか。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 あとの御質問にお答え申し上げます前に、アメリカの労働組合のある人が、日本は八十七号条約を批准しないのはいかぬと言われたというようなことを申されましたので、私もちょっとつけ加えさしていただきたいと思うのであります。アメリカのどなたがおっしゃったか知りませんが、アメリカもこの八十七号条約は、ただいまのところまでは批准をいたしておりません。どういうことでそういうことをおっしゃったかというような気がいたしますが、私はその点ちょっと不思議に存ずる次第でございます。これはしかし御質問ではございませんので、つけ加えるということだけにしておきます。  なお、改悪々々と言われるのでありますが、政府は改悪をするようなことをしようと思っておるのではないのであります。先ほど申し上げましたような趣旨における措置をとりたい、こういうように考えておる次第でございます。  次に、野原さんの御指摘になりました九十八号条約の方でございますが、これは先ほど言われた公労法、地公労法等と関係があると思うがどうかということでございます。関係がいかなる関係ということにあとなるのかによって、なかなか答弁は微妙になると思うのでありますが、関係はないとは言えない、こう思います。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 アメリカの労働組合の問題は、私も八十七号をアメリカが批准していないことは知っております。しかしアメリカには公労法の四条三項とか地公労法の五条三項という常識をはずれた、ばかな規定はないのです。八十七号の批准を待つまでもなく、アメリカでは労働者の権利というものを認めておるのです。だからアメリカは批准をしていない。日本の政府とは立場が違うのですよ。あなたはそのくらいのことは御理解されておらなければ、私は困ると思うのであります。  そこで、九十八号と地公労法五条三項、それから公労法四条三項の関係でございますが、私の指摘したいのは、九十八号団結権及び団体交渉権についての原則の適用に関する条約、この第二条であります。これは労働大臣の答弁を明確に承るために申し上げておきますが、第二条には、「労働者団体及び使用者団体は、その設立、任務遂行又は管理に関して相互が直接に又は代理人若しくは構成員を通じて行う干渉に対して充分な保護を受ける。」こうあるわけであります。つまり労働組合は、労働者側は使用者側からの干渉に対しては十分な保護を受けるのだ、「設立、任務遂行又は管理」云々とこうあるわけであります。従って私は、公労法の四条三項あるいは地公労法の五条三項というものは、これはILO九十八号の違反ではないかと思うのであります。私のお尋ねしたいのは、この点をどうお考えでございますか。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 御指摘の点については、ILOでも問題にもなったところでありますが、わが国の労働関係の諸法規全体を総合して観察してみれば、これはわが国の場合においても首尾一貫した処置がとられているのであって、野原さんが言われるように、直ちにもって御指摘のような公労法、地公労法の規定が九十八号条約に違反するものと政府としては考えておらないところであります。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 重ねてお尋ねいたしますが、ILO九十八号に対して日本政府は首尾一貫した措置をとってきた、こういうお言葉がございましたが、具体的に承りたいのです。それはどういうことですか。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 私の申し上げますことは、公労法四条三項等について、先ほど野原さんの御指摘になった九十八号条約の精神とするところに違反するのではないか、抵触するのではないか、こういう点でありますが、一方ほかの立法において、野原さんの御懸念のようなことが行なわれないよう禁止規定もあるわけでございますので、これらをあわせて、実際上にはこういうことが日本の法制のもとにおいては起こらない、こういうように私は考えているという意味で申し上げた次第であります。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 どうも答弁が私にはわからぬのです。ILOの九十八号というものは、労働大臣、これは労働者と使用者側がお互いに介入しないという原則ですよ。労使は相互に介入しないというのが九十八号の原則ですよ。ところが公労法四条三項は介入するのです。使用者という政府が、全逓、国鉄あるいは機労というような公共企業体の組合に介入しているのです。つまり解雇された役員は組合の代表とは認めないと、こう介入するわけなんです。ところがILO九十八号の二条は、そういう介入はできない、こう書いておるのですよ。できない。しかも、こういう原則を日本の政府は一九五三年に批准をした。ところが一九五三年という時点では、公労法の四条三項はもうすでに日本の国内法としてできておったのです。だからして九十八号が批准をされた以上は、公労法の四条三項は効力を失墜してきたと、憲法上の条約と国内法の関係からいえると思うのです。この点私はお尋ねしておきます。それに対する明確な御答弁がない、重ねてお聞きします。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 御承知のように、政府がかって解雇をしたというような事例は、これは、野原さんが言われるような趣旨において、労働組合に干渉しようと思って解雇をしたのではないのであります。政府の職員が何をしても解雇はされないというわけにはいかぬのであります。こうこういう場合にこうというようになっておるわけでございます。そこで、政府が従来解雇等の処置に出ましたものは、他の違法の所為があったがゆえに解雇したということであります。労働組合に干渉するがために解雇したのではないのでございます。  なお御承知のように、不当労働行為につきましては、わが国の立法では非常に明確に表現しておりますので、もとより政府が不当労働行為をなすべきではないことは申すまでもないのでございます。なおこれらの疑いのあることについては、おのずから訴訟法上の手続等もきめられており、当然これに対しまして戦う方法等も規定になっておるところであります。なお、そういうことがあったって、そういうことをしているうちに期間が経過するのではないかということの問題があると思うのでございます。従来政府がやっておりますることは、先ほども申し上げましたような趣旨で、他の違法行為のために、ないしは政府が一貫して申し上げておりまするように、労働争議等の順法行為で、著しく違法、逸脱の行為があっては困る、これは政府ばかりではない、国民全体もそう考えるであろうと思うのであります。そういうことと全体の関連において、今まである種のことがあったということとわれわれは理解しておる次第であります。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 労働大臣は私の質問をもっと冷静にゆっくり聞いて御答弁願いたいのです。私は解雇を言っておるのじゃないのです。政府は違法な行為をしたら組合員の解雇をすることはできますよ。解雇はできるのです。国内法に違反した場合には、規定によって解雇ができる。その解雇を私は言うのじゃなしに、解雇をすると自動的にその組合の組合員や役員でなくなる。つまり政府という経営者が解雇という行為によって、労働組合の活動に介入するじゃないかと言うのです。そうでしょう。解雇はできるのだ。ところが解雇という行為によって労働組合の活動に介入することは相許さぬというのが九十八号の原則ですよ。これは違法じゃないですか。私はここに法文を持ってきておる。一体日本の労働省はどう考えておるのか。あなたが御答弁できなければ政府委員でもけっこうなんです。これは明らかに第二条に違反しますよ。経営者の行なう解雇という行為によって、労働組合の活動に妨害をしてくるでしょう。解雇ということによってお前は役員としては認めない、お前が代表として来たならば交渉には応じない、全逓労組や国鉄、機労に対してこう言ってきたのですよ。そういうことはできないというのが一九五三年の団結権及び団体交渉権についての原則の適用に関する条約なんです。この点いかがですか。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 先ほども申し上げましたように、政府が労働組合運動に干渉する目的をもって解雇等は今までいたしておりません。それにしても、そういうことが条文上可能ではないかというように今承るのでございます。われわれ政府は、さようなことを可能にならしめるようなことはいたさぬと考えておるのでございますが、ただし野原さんの御議論を逆に言ってみますと、そういう可能性があるのだということで、やってはいかぬのだということをいいますと、労働組合の役員や労働組合員は何をやっても解雇できない。そういうようなことにも逆になっていきはしないかという気がするのであります。つまり可能性からいいますと、野原さんからこういうことになる可能性もあるのじゃないかと言われるならば、逆のことを言えば、そういうところに理屈をつけて、これは組合員だから政府はやめさせたのだ、組合の役員だからやめさせたのだとそっちでおっしゃると、だれにも彼にも、何をしてもなかなか解雇することができないというような議論もなし得る、こういうようにも私は思うのであります。そこで私は、日本の立法全体を通じまして、先ほど御指摘のようなことはできないように、ほかの法律でちゃんとやっておりますから、私は今野原さんの言われたような矛盾はない、こう考えておりますが、しかしそこまで御懸念でございますならば、私はさらに申し上げますが、野原さんもそういう点で、あるいはあとでお触れになるのかもしれませんけれども、八十七号条約と関連して、公労法、地公労法等関係法令の改正を行ないますと、そういう問題も一緒になくなるということは確かに一声えると思うのであります。ただ一緒になくなっていない今日では、野原さんが、政府は思うままに組合に干渉できるのじゃないかとおっしゃると、その点は、現行法令のもとにおいてもそうではない、これは二重にして申し上げておきませんと誤解を生じますので、御了承いただきたいと思います。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 押し問答になるようでございますが、私は解雇は否定しないのです。解雇はできるのです。しかし、解雇することによって組合の役員を認めないということになれば、労働組合活動に干渉するではないか。いいですか、解雇はできるのですよ。その人はもう政府の職員ではないのですよ、公社の職員ではないのですよ。しかし、そうした解雇した者を組合の役員として認めないということは、労働組合活動に経営者が干渉することになるおそれがあるというので、ILOは問題にしているのですよ。あなたのは、日本政府の見解かどうか知りません、あなた個人の見解かどうか知りませんが、ILO条約はこれを問題にしているのですよ。これは御承知だろうと思う。一九五九年の三月、第二十八回の条約勧告適用専門家委員会、これは世界各国の専門的な法律家が集まって、しかも中立の人たちが集まって、ここで下した条約に対する見解、勧告に対する見解及び条約勧告が各国々でどのように運用されておるかということに対する専門家委員会の見解というものは、ILOの有権的見解になっておる、有権的の解釈ということになっておるわけです。この一九五九年の三月、一昨年でございますが、第二十八回の専門家委員会では、第二条を一そう完全に実施するためには、日本政府は考えてもらわなければならぬ。これは文章が長いので時間をとるから読み上げませんが、こう指摘しております。この点をどう考えますか。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 ただいま御指摘のように、ILOの専門家の委員会で、そうしたことが問題になったことを承知いたしております。しかしこれは、先ほど野原さんもおっしゃるような意味において、条約等から、その表面だけから観察し、議論をいたしますと、今御指摘のような考え方が生まれてくると思うのでありますが、しかし日本の場合においては、国内法でそういうことにならないように、いろいろの措置がしてあるという点、これらを十分全部御検討願うと、あるいはILOの方でも、なるほどそうかなということも御理解願えるのじゃないかという気がいたすのであります。私も三年前から労働大臣をやっておるわけではありませんので、過去の事情等についてあるいは野原さんほど詳しくは存じないかもしれませんけれども、私はそういう全体のことを認識されれば、あるいはこれに対する理解も相当変わるのじゃないかというような気がいたすわけであります。しかしILOでは、すでにたび重なってそういうような見解をとっておるということも、私たちもこれはこれで考えなければならないと私自身は思っております。そこで有権的解釈ではございますが、しかしこれにつきましても、御承知のようにまだほんとうの最終的の結論というものは、国際司法裁判所がつけるということになるわけです。そうであるからといって、私どもは国際司法裁判所へこういう問題を持ち出して云々というようなことを考えておるわけではございません。少なくとも、野原さんもおっしゃるように、そういう疑念を持って指摘があることについては、これまた日本政府も、今までも大いに考慮を払って参りましたが、今後とも大いに真剣に考慮を払わなければならないわけであります。しかし、私どもが正面から全くこのILOの趣旨に反するのでないということは、今申し上げましたいろいろの日本の国内立法全体を総合的に観察すれば、そうでないというように確信しておるわけなのでございます。しかし、幾らわれわれがそうなにしましても、そんなに外国の人に日本の法律全体のどの条文にまで認識を及ぼし  てもらうということもなかなか困難なことでもあり、従って望ましいことということから申しますならば、そう  いうような疑念がなくなるような、つまりILO八十七号条約の批准と相待って、これと関連しての法律改正が行なわれれば、自然そういうこともなくなるというようなことにもなりますので、これはこれで関連して考慮をしていかなければならぬ問題である、こういうふうに私は考える次第でございます。重ねて申し上げますが、日本の場合は、従来労働組合に干渉する目的を持って解雇等は行なっていないということを申し上げておきます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 どうもあなたは質問を十分的確に把握されていないのです。労働組合に干渉する目的で解雇したら、これは大問題です。私はそのことは言わない。解雇した者が組合の役員として残った場合に、その組合を認めない、団交に応じない、こういうことは労使相互の不介入の原則という九十八号に違反する。あなたが今言われたようなことはILOの本部で、日本政府を代表する人が行って、長々とおしゃべりになった。ところが条約勧告適用専門家委員会は、日本政府のそういう見解を十分聞いた。そういう見解を聞いた上で、三回にわたって日本政府に注意をしておるはずです。政府の言い分はわかった、しかしながらやはり問題があるじゃないか、では一九五三年に日本政府は何のためにこの条約を批准したのだ、批准しておきながら、日本政府はこの条約を守っておらぬじゃないかと、この勧告適用専門家委員会は強硬な指摘をしておるのですよ。ちょっと読み上げますと、「公労法四条三項、地公労法五条三項により、労働組合の役員は、その組合が構成員となる企業に雇用されていなければならないということに、委員会は注目した。」国鉄なら国鉄という企業の組合員でなければ役員にはしないのだという、日本のこの国内法はおかしいではないかというので、ここで初めて専門家委員会は注目をした。これは変だ、これはどうも怪しい、こう言う。そこで、「このため、組合役員が解雇された場合、労働組合としては、その後任者を任命しなければならない。こうした規定が企業の経営側における干渉行為を容易にするかもしれず、」あなたの言うような国内法違反、首切りされたならば、それは裁判所に訴える手もあれば、行政的な訴訟の道も現実にございます。そういうことを政府は長々と説明をしたけれども、しかしこの専門家委員会は、しかし、その後任者を任命しなければならない云々、こうした規定が企業の経営側における干渉行為を容易にするかもしれぬ、この公労法四条三項という規定はどう考えても、経営者側が労働組合の活動に干渉する行為を容易にするかもしれぬおそれがある、こう言うのです。「とりわけ労働者団体がいかなる干渉行為に対しても、適切な保護を受けるべきであると規定した条約(九十八号)の第二条を一そう完全に実施するために、」労働者団体がいかなる干渉行為に対しても、適切な保護を受けなければならぬというのが九十八号なんだ。あなたの言うような理由があって干渉することも九十八号は禁止しておるのだと言うのですよ。このILOの専門家委員会の指摘は間違いですか。日本の労働大臣が、これが間違いなら間違いと僕ははっきり態度を声明してもらわなければならぬと思う。問題を明確にするために。この専門家委員会の一九五九年三月第二十八回、一九五九年六月にはILOの第四十三回総会で、この専門家委員会の答申は満場一致採択をされた。もちろん日本政府は反対です。それから一九六〇年の三月、第三十回には、またこれが問題になった。あれだけ注意したのに政府はやらぬじゃないかというので、またこの専門家委員会で問題になって、日本政府に対し、再びその早急な実現を希望する云々、それから一九六〇年、去年です、去年の六月の総会では、第四十四回でございますが、九十八号条約の完全な適用を確保するに必要な措置を即刻とるよう希望する、こう言っておるのです。これはこの専門家委員会なりILOの総会が、公労法の四条三項はやはりこれは九十八号違反だという態度で終始一貫しておりますが、この終始一貫しておるILOの態度は、これは間違いでございますか。これは間違いなら間違いとおっしゃって下さい。そうしてどの点が間違っておるのか、明確に御指摘願いたいと思うのであります。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 先ほども申し上げますように、正面からいきますと、野原さんのおっしゃるような考え方になろうかと思います。しかし、表現を変えますと、いろいろな角度からこれを見ていかなければならぬのでありますが、ILOが指摘するような角度から見ますと、あなたのおっしゃる通り、かもしれぬおそれがないとは言えないと私は思うのであります。しかし、このかもしれぬおそれのなきような措置は、日本の法律においてほかの面からしてありますということを実は申し上げたのであります。しかし、少なくとも野原さんの御指摘のような角度からいきますと、かもしれぬおそれがあり得るとするならば、そういうことすらもなければ、なお一そう問題ははっきりするわけであるということは私も考えます。よってそのILOにおきましては、御承知の通り、ただいま野原さんは、はっきり文章まで読んで御指摘になったのでありますが、ILOが申しておりまするところは、この九十八号違反を単純に責めているのではなくて、この点を指摘しながら、日本政府が八十七号条約に関連して関係法規の改正を意図しておる、こういうことにも留意いたしまして、関係法案の可決その他必要な措置が遅滞なくとられることを希望しているというのが、これが事実でございます。従って私どもは、かような措置をILO八十七号条約の批准とともに考えている、こういうことでございまして、先ほどからおっしゃいますように、専門家の意見を労働大臣は全然無視してかかるのかという点につきましては、さようではございません。こういうような考え方が、外国側から見ると、起こり得るかもしれぬおそれは確かにあるのであります。この点はこの点でわれわれは留意していかなければならぬ。ただし、それなるがゆえに、現在そのかもしれぬことがどんどん起こりておるということではなくて、それに対してはおのずから措置が行なわれておるということを先ほどから申し上げておるのであります。しかし、これからの問題といたしましては、ILOにおいても指摘しておりまするように、この九十八号との関連の点を向こうでも指摘しておりますが、これも考え、八十七号条約の批准及びこれと関連する公労法、地公労法等の改正の措置と相待って、かもしれぬおそれも防ぐということになれば、誤解を防ぐ意味で、これがなおよろしい、こういうように私も考えておる次第であります。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 かもしれぬおそれということは、九十八号違反になるかもしれないおそれ、こう解釈してよろしゅうございますか。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 先ほど申し上げましたような意味においてでございます。これも、野原さん、その言葉によってあと何をおっしゃるかわからぬので、なかなかその答えがむずかしいのでありますが、先ほどからいろいろ申し上げたことによって御了承いただきたいと思います。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 時間がありませんので、私はきわめて残念でございますが、九十八号違反になるかもしれないおそれがあることを労働大臣が認めたのであります。九十八号というのは、すでに批准した条約であります。条約を批准したならば、その条約に違反する国内法は当然に改廃しなければならぬのであります。これは憲法の原則であります。公法学上の原則であります。日本の憲法は条約を優先に考えておるからであります。従って一九五三年に九十八号が批准された、そのとき、その時点において、公労法の四条三項というものは、効力を失墜したのであります。これに対する反駁が政府にできるならば、私はしていただきたいと思う。あなたは、この予算委員会は時間的な制限もございますから、あれこれあれこれ申して、そうして時間をかせがれるかもしれませんけれども、明らかに条約違反なんです。従って、もう公労法四条三項は、ILO八十七号の批准を待つまでもなく、これは改廃されておる。これを今日までごまかして、八十七号の批准に伴ってやるのだと言いますけれども、八十七号の批准をする必要はないのであります、公労法四条三項の改廃には。従って、私は今日まで全逓、国鉄、機労に対して、組合の団交に応じなかった、あのことは、九十八号違反の行為を政府がやってきたのであります。私どもはこの見解であります。このことを私どもは強く申し上げておく。時間もございませんから、これは労働省、政府においては、十分一つこの問題は検討して、私どもはこの臨時国会において、この問題には決着をつける。これは重大な条約違反の行為でございますから、決着をつけるということを明らかに申し上げて、次に進みたいと思うのであります。  ILOの第二の問題は、日本政府はILOに対しては、きわめて不忠実ではないかということであります。何となれば、一九五三年に批准をした条約に、工業及び商業における労働監督に関する条約というのがございますが、その第二十条によって労働基準監督年表をILOに提出しなければならぬはずであります。労働基準監督年表は、遅滞なくILOに日本の政府は提出しておるかどうか、この問題を承りたい。遅滞なく提出しておりますかどうか、承りたいのであります。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 先ほどのことを、あのままでございますと、野原さんのおっしゃることで話がきまったかのごとき印象を与えますので、もう一ぺん申し上げさせていただきたいのでありますが、ある角度から見るとそういう見方があるということでございまして、日本の制度全体としては、そういうことにならぬようになっておるということは申し上げた通りでございます。ただしかし、そういう角度から見ても疑念が生じないような措置という意味においては、こういうことを行なうことがより望ましいという意味で申し上げました次第でございます。  ただいまの御質問につきましては、私は遅滞なく報告が行なわれておると存じますが、ただいま事務当局に実情を聞きまして、私が答えるなり、事務当局からお答え申し上げることにいたします。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 ただいま野原先生御指摘のありました基準監督の状況につきましては、昨年の分につきましては、本年の末までに報告をいたすことの手配にいたしております。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 基準局長にお尋ねしますが、これは暦年十二月末ということでございまして、この工業及び商業における条約の二十条から見るというと、昭和三十四年度の分はすでに提出していなければならぬと私は思うのであります。これは提出しておりますか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 一昨年の分につきましては、取りまとめの関係上おくれましたので、本年の分と一括して報告いたしたい、かように考えております。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 私は通常国会においても指摘したのであります。通常国会において私が指摘したせいかどうか知りませんが、三十三年度は報告されたようであります。しかし三十四年度分は、「当該年度の終了後適当な期間内に、いかなる場合にも十二箇月以内に公表しなければならない。」そうすると、三十四年の十二月、それから十二ヵ月以内といえば三十五年の十二月です。ただいまは三十六年の九月、そうすると、九ヵ月間、これはさぼってきているわけです。しかもILOでは、「いかなる場合にも十二箇月以内に公表しなければならない。」と義務規定にしておるのであります。こういう遅滞が行なわれているということは、これは政府の労働基準行政に対する軽視ではないかと私は思うのです。これは福永労働大臣が先ほど私の質問に答弁したことで、私の見解を認めながらも、事が重大になることをおそれてか、九十八号についてはお茶を濁すようなことを最後に言われたのでございますが、あのような答弁は断じて納得できません。日本の政府は、明確に、ILOの専門家委員会の意見のどこが間違いなら間違いだ、九十八号の見解はこうだということをはっきり示しなさい。私はこれは政府に要求しておきますが、この予算委員会で文書をもってこの説明を要請しておきます。早急に出してもらいたい。九十八号第二条と公労法四条三項の関係に対する政府の見解を文書をもって出していただきたい。このことは、この予算委員会ではこの程度で終わりますけれども、基準監督年表というものは出されていない。三十三年も遅滞なく出されていない。きわめて私は遺憾に思うのであります。  そこで、基準行政が十分でないという角度からお尋ねをしたいことは、大阪西成区にいわゆる釜崎事件というものが起こった。この釜崎事件については尋ねたいことが山ほどありますけれども、これも一切割愛して、私はただ一点だけ労働行政に関係のある点でお伺いをしたい。それは手配師という問題であります。釜崎には数千人の立ちん坊というものがおるわけです。この立ちん坊は職安には行かない、職安に行く資格がない。ぶらぶら夜が明けたら道に五時ごろから立っておるのであります。町角に立っているところの立ちん坊を拾いにくるのが手配師であります。そして千五百円か二千円かで受け取って、渡すときには五割から八割くらいのものを自分が差し引いて金を渡す、これを新聞では暴力手配師ということになっているのであります。この暴力手配師の問題は、労働基準法の六条の中間搾取の排除の規定に違反している。これは労働省も認めているはずだ。中間搾取の排除とは「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」これが中間搾取の排除の規定、職安法の三十二条の規定、これにも違反している。「何人も、有料の職業紹介事業を行ってはならない。」これが実に長い間放置されてきたのであります。これを知らない者はないです。何千人も毎日々々立っておるものを、一体大阪には私は労働基準監督署がないのかと言いたい。労働省の出先はなかったのかと聞きたいのです。どういうわけでこの手配師を放置してきたのか。この手配師に手をつけたならば、何らかの暴力行為を受けるというおそれがあって放置してきたのか。どういうわけでこの手配師が今日まで違法のままに放置されてきておったのかという点を労働大臣から承りたい。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 手配師の存在は、私も深く遺憾といたします。結論から申し上げますが、御承知のようにただいまそういうことを排除する手段に出まして、あの地区に大阪府の労働部の分室というものを設けまして、手配師によらざる方法をとることに鋭意努力をいたし、かなりの成果をただいまあげておるのでございます。しかし過去において、野原さんが言われるように、そういうものが存在していたということにつきましては、私は何としてもこれは遺憾しごくのことであると思います。私も就任早々このことにつきまして、何とかしなければいかぬというので、釜崎の例が最も顕著なものでございますけれども、東京の山谷等においても、同じようなことをもとより考慮しなければなりませんので、東京都に対しましても、この点につきましては強く意見の表明をいたしまして、ただいま協議、善処中でございますが、釜崎の場合におきましては、確かに過去においていわゆる手配師というものの存在がございました。現在では、万全とまではいきませんが、この点はかなり改善されたと私は確信いたしておる次第でございます。申すまでもなく、こういう地域におりまする人々は、従来の役所でやりまする公共職業紹介というものになかなかなじまなかったのであります。このなじまなかったということについては、いろいろ原因はございまするけれども、できるだけ手を差し伸べて、政府がそういうなじまないものもなじむようにしていかなければならぬというのが、これが政治でなければならぬと私は固く信じております。そこで、今申しましたような措置をとって改善しつつある次第でございます。なお一そうの成果をあげるように、さらにさらに政府といたしましても努力をいたしたいと思うのであります。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 西成の釜崎事件という大きな犠牲の上に初めて是正の措置がとられたのであります。労働大臣が率直にお認めになられましたように、これは私は今日までの労働行政の大きな欠陥であったろうと思うのです。釜崎事件が起こらなければあの手配師はそのまま今日まで放置されておる。ああいう事件の犠牲の上に初めて是正の措置がとられる。そうしてわれわれから注意をされるというと二言目には遺憾でございますというのが政府の常套語であります。私はこれではならないと思う。あなた方は法律を守れということをやかましく言うのでございますから、政府みずから違法の行為に対しては決断をもって当たるべきであります。今日大阪府に労働部分室というのが、確かに設けられておる。設けられておるけれども手配師はございますよ。行ってみなさい。私は大阪なんです。連絡員という腕章を持ってこれは存在しておるんですよ。そういう脱法的な行為を官庁というのは一体認めるのかどうか。私はこのこともいずれ社労の委員会等に行って十分究明しなければならぬと考えておるのであります。  それから基準監督年表に関連してでございますが、これは福永労働大臣に御注意を申し上げておきますが、労働行政は、労働基準行政が実におろそかにされておるのです。時間がありませんから指摘しませんが、いまだに未成年の少女が深夜業をしております。これはほったらかしです。基準監督署は見て見ぬふりをしております。そこで、こういうものをやかましく言ったら中小企業は成り立たないからというので、労働省では是正基準というものを作った。労働基準法にはちゃんと超勤の時間とか、休日とか、深夜業をしてはいかぬという法律があるのに、この法律通りにやれば中小企業はつぶれるから、そこでこの基準を是正しますという通知を流した事実があるのです。これは大島基準局長は知っていらっしゃる。私は通常国会でこれも指摘しておった。ところが、基準局長の立場も気の毒なんです。私は同情いたしますが、人員、予算がない。一体今日一人の基準監督者がどれだけの事業場を見ておるかというと、一千以上です。亀戸のごときは一千何百です。一人が一千何百の事業場を持たされて、どうして監督ができますか。それだけ回ろうと思えば、自動車で回っても回りきれない。ときどき行って臨検しなければならぬ。現場の検証もしなければならぬ。ところが、自動車がない。ジープが都道府県に一台あるのですよ、大蔵大臣。ジープが一台ある。これはあなたが押えたのか、今までの労働大臣が無能で要求しなかったのか、それとも、基準法なんというものはどうでもいいのだ、労働者なんというものは酷使してもよいのだという政府の残酷な考え方がそうしてきたのかは、これはあらためてまた追及しなくちゃなりませんが、従来は自転車一台もなかったのですよ。金がないものだから、基準監督署は基準協会と結託しておる。基準協会の構成員は業者です。基準協会から金をもらって、そうして基準法に対する啓蒙宣伝をやっておる。業者に金を出させて、どうして業者の監督ができますか。そういう基準法の実施しかしていないから、ILOに恥ずかしくて基準監督年表が出せないのです。これは恥ずかしくて出せない。これが今日の日本の労働行政なんです。私はこの点は十分一つ指摘しておきますから、今後の労働行政の上で私の言うことが間違いであり、でたらめであるならば、これは反駁されてけっこうです。反駁されるならば、幾らでも私は材料を提供して申し上げます。  私は次に給与問題等がありまして、時間がございませんから、残念でございますが、次に入りたいと思います。  給与の問題は、八月の八日に人事院は政府並びに国会に対して給与の引き上げ勧告というものをやっておるのであります。その勧告書によりますと、七・一%の引き上げ勧告ということになっておるわけでございますが、この七・一%というのは、一体妥当な引き上げ勧告であろうかどうかが問題であります。まずこの点について私は人事院総裁に承りたいのです。人事院総裁はどう考えていらっしゃるのか、こういうお尋ねをすると、この七・一%は妥当でございますと申されるでございましょうが、昨年は一二・四%の引き上げ勧告をしておるのであります。昨年から今年にかけて物価はどうなったのですか。昨年度の物価の高騰とことしの物価の高騰は、経済企画庁の統計によれば、倍違うのですよ。これは経済企画庁長官の答弁を待つまでもない。しかも民間賃金の上昇というものは、昨年、つまり昭和三十四年度よりも昭和三十五年度の方が高いのですよ。民間賃金と物価に見合って、給与法によれば生計費という言葉でございますが、生計費と民間賃金との比較によって公務員の給与をきめなければならぬというのに、去年は一二・四%、ことしは七・一%、これは常識的に考えても納得できない。この辺のことを簡潔に御説明願いたい。まず人事院の総裁。

入江誠一郎人事院総裁

○入江政府委員 お答え申します。  御存じのごとく公務員の給与勧告にあたりましては、民間賃金、生計費及び物価を勘案して勧告いたすことになっております。ただいま御指摘の物価につきましては、御指摘の通り、一昨年から昨年までの物価の値上がりに比べまして、昨年から今年までの物価の値上がりの方が多いことは事実でございます。しかしながら、御存じのごとく五・一%でございまして、人事院といたしましては、主として民間給与を基準といたしまして勧告いたしましたので、適当と思っております。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 人事院総裁にお尋ねいたしますが、あなたは主として民間給与を基準として勧告した。ところが、物価の方はどうなったのです。物価の方はこれは経済企画庁の統計を私申し上げてもいいのだが、これは問題にならぬくらい上がっておる。主として民間賃金の方を参照にしたというけれども、物価も参照しなければならぬじゃありませんか。物価の方は、そうすると放置したというわけですか。

入江誠一郎人事院総裁

○入江政府委員 先ほど申し上げました通り、民間賃金、物価及び生計費を勘案いたしまするけれども、主として民間賃金に合わすという方式をとっておるわけでございます。物価を勘案しないわけではございませんけれども、今年の状況におきましては、特別に物価を民間賃金より著しく勘案するほどのものではないと思っております。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 報告書によりますと、こういう文章があるのです。あなたの国会に対する報告書によると、「なお、規模三十人以上の事業所を対象とする労働省の毎月勤労統計の調査全産業の「きまって支給する給与」の指数は、昨年四月に対し本年四月は六・六%の上昇となっている。」こういう報告があるのです。本年は六・六%だというのですね。六・六%の上昇のときに、あなたは七・一%の勧告をしたのです。いいですか。一二・四%去年は勧告をしたのですよ。これは何%上昇しておりましたか、昨年一二・四%を勧告したときには何%の上昇でございましたか、お尋ねします。

入江誠一郎人事院総裁

○入江政府委員 ただいま毎月勤労統計との比較において御指摘でございますが、毎月勤労統計の六・六%と申しますのは、いわゆる給与水準の変動と申しまするか、平均賃金の移動でございまして、その中には、たとえば新しい雇用者がございますと、金額が減りますとか、これは公務員の給与をきめます場合の比較の基準としては不正確なものでございます。そこで、御存じのごとく人事院といたしましては、民間給与の比較におきましては、大体同種の職務、年令、あるいは学歴に応じまして、そのときの同種同等の職務を比較いたしますので、毎月勤労統計の基準というものは、人事院の勧告自体に直結いたしますことは不適当であると思っております。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 私の質問にお答え願いたいのです。ことしは六・六%の上昇だ。それは平均賃金の指数かどうか知りません。これはあとで問題にします。あなたの報告書は十九行ですよ。その十九行の報告書の中にでたらめな文句を七行費しておるのです。こんなばかなことがありますか。政府並びに国会に対して報告書を出すのに、たった十九行で、そしてあなたが今申されたこの給与の上昇というのはこれは何にもならぬのだ、何にもならぬことを十九行の中に七行書く道理はないのです。いいですか。六・六%の上昇だ、こう言っておる。では去年は何%上昇したのです。

入江誠一郎人事院総裁

○入江政府委員 この毎月勤労統計の三十人以上の変動は、たしか昨年は九・五、六%だったと思います。しかしながら、これは先ほど申し上げました通り、一つの平均賃金の変動でございまして、ただいま御指摘のように、なぜ勧告にそれを書きながら今年の勧告とそれを直結しないかという御指摘でございますが、これはよくごらんになっていただきますように、一つの公務員の給与の比較方法といたしましては、同種、同等、年令、学歴等によって比較いたしまするけれども、その御参考に、やはり賃金の変動の趨勢もごらんに入れておく必要があると存じまして・毎月勤労統計の変動が六・六%・なお人事院の調べによりましても、平均賃金の変動につきましては、たしか六・九%という二つの数字をごらんに入れておるわけでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 勧告によれば六・六%でございますから、九・六%の上昇のときにあなたは一二・四%の勧告をした。六・六%の上昇のときにはどれだけかという比例配分で計算すると、八・五三%の勧告にならなければならぬのです。これは専門家であるあなたに言わせると、こんなものは問題じゃないのだ、これは平均指数だから問題じゃないのだ、こうおっしゃる。あなたの方の毎年のデータを私は持っておりますよ。これは平均指数だから問題がないのだと言うけれども、問題でないものを七行も書いておる。今公務員の諸君がふんまんを訴えておるのは、一体七・一%の引き上げが妥当かどうか、彼らは彼らなりに、公務員の諸君は諸君なりに計算をしたのです。いろんな角度から検討いたしておりますが、どう考えても納得できないと言う。その納得できない理由の一つにこれがあるのです。八一五三%になるじゃないか。平均指数から八・五三%になるものが七・一とは一体何事だということなんです。これはあなたの御答弁は私は要求いたしません。これは平均指数だ、こんなものは変動があるのだ、こうおっしゃるわけでございますから、あえて要求はいたしませんが、それでは報告書には七・三%、民間は国家公務員のそれを上回った、こう書いておきながら、これを七・一としたのはどういうわけですか。

入江誠一郎人事院総裁

○入江政府委員 この民間との給与の格差が七・三%ございますことは事実でございますが、この一つの問題といたしましては、約四十万に各職種の俸給表を、それぞれ各号俸の金額をきめますので、正確に官民格差通りは参らないということは、これは従来十数年にわたります人事院の勧告をごらんになりましても御理解願えると思います。と同時に、さらに申し加えますると、七・三%、七・一%——〇・二%違いまするけれども、今回の初任給調整、手当でございますとか、これに付随いたしました増額を見ますると、総賃金におきましては大体七・三%に見合うわけでございまして、七・一%と申しますのは、本俸の増額部分を基準内給与に対する比較をいたしたものでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 それではこの民間給与のとり方でございますが、民間給与のとり方で、この民間給与と公務員の給与を比較する場合に、このあなたの比較の仕方を調べてみると、勤労者世帯をとらないで全世帯を基準にしておるのですね。そこであなたが使っておるところのこの標準生計費でございますか、これを見ると、東京都の場合には全世帯と勤労者世帯の平均消費支出は一ヵ月に七千円の差があるのです。全世帯というのは失業者、生活要保護者、そういうものをごっちゃにしてあなたの方は民間賃金を計算する。ところが公務員は働いておるのです。だから働いておる民間の場合を持ってくるには勤労者世帯を持ってこなければならぬのだが、こういうわけで——なるべく低くしなければならぬというので全世帯というものをとるのですか。

入江誠一郎人事院総裁

○入江政府委員 この問題は、御存じのごとくこの公務員の俸給、いわゆる給与の比較におきましては、民間の勤労者約二十五万人を抽出して比較いたしておりますが、生計費につきまして、ただいま御指摘のように、東京における全世帯を対象といたしておるわけでございます。全世帯と申しましても、並数階層と申しますか、非常に多数の人数を占めております階層を標準にいたしておるわけでございまして、これは御存じのように、標準生計費をとる基礎でございますが、私どもといたしましては、公務員の生活もいわゆる標準生計費——新制高校を卒業いたしまして公務員になる者の十九才の生活を考えます場合に、それはお話しの通り、勤労者をとるのも一つの方法でございますけれども、やはり一般の東京における国民の並数階層の生活の状況、これを一つの基準にとることが、むしろ一般の国民に納得していただけるゆえんではないかと思って、さようなふうにいたしておるわけでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 それが納得できないのですよ。これは自民党の皆さんもお聞きのように、公務員は働いておるのです。働いておるならば、民間は勤労者世帯を持ってこなければならぬ。ちゃんと会社に勤めて働いておる者の賃金、働いておる者と働いておるものとを比較してやらなくちゃならぬ。あなたは確かに並数階層というものを使っておる、勧告書を見ると。なるべく多くの人だ、働かない人間までもごっちゃにして、そうしてこれは民間賃金だ、そうして働いている公務員と、働いている者と働かない者をごっちゃにしたものと比べて、それでもなお七・一%の勧告が出ておる。じゃ勤労者同士比べたら、どうなるのだ。これはあなたの方の統計で、東京都で五人世帯では七千円ですよ。つまり七千円あなたはサバを読んでおる。公務員が怒るはずです。七千円あなたの勧告ですでにもうカットしておる。これをお認めになりますか。五人標準世帯で七千円のカットをして、そういうものを政府と国会に出したということをあなたはお認めになりなさいよ。これは認めなければいけませんよ。

入江誠一郎人事院総裁

○入江政府委員 この問題は、もし、誤解がおありになりますと残念でございますので、十分一つ御理解願いたいと存じまするが、公務員の給与は、どこまでも民間の給与、いわゆる勤労者の給与と比較いたしておるわけでございます。ただいまお話しの全世帯を対象といたしておりますものは、いわゆる生計費、公務員の新制高校を卒業した十九才の男子が、どの程度の生計費が要るかということを一つの基準として考えますために、これをとっておるのでございます。しかしながら、新制高校卒業のものの給与はいかにあるべきかということにつきましては、やはり民間の同種のものと比較いたしておりますので、決して公務員の給与を全世帯のいわゆる生計費と比較しておるわけではございません。現に、これは御参考に申し上げまするが、生計費でございますとか、あるいは最低保障賃金とか、こういうものは、必ずしも給与とは違いますので、ある現業におきましても、団交の結果そういうふうな一つの方式をとっておるのもございますが、これもやはり給与そのものとは違っておりますので、現実に給与として支給すべきものと、生計費の基準を一定の階層において押える場合の一つの統計の基準、これとは違っておりますので、この点は、一つどうぞ誤解のないようにお願いいたしたいと存じます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 時間がないので急ぐのですが、東京都における世帯人員別標準生計費一覧表によりますと、昭和二十七年度には単身者が五千三百七十円、昭和三十六年度には九千八百二十円、その倍率は一・八倍なんです。ところが今あなたは単身者を基準にしたというから私はお尋ねいたしますが、昭和二十七年に五人世帯の東京都における標準生計費を見ると一万八千四百七十円、昭和三十六年には四万三千四百円、その倍率は二・三倍なんです。公務員は一人で生きているのじゃないのですよ。妻もあれば子もあるのです。私はなぜ世帯人員別をとらないかと聞きたい。単身者の九千八百二十円、一体一人で九千八百二十円で生きていけますか、常識で。あなたはそれを基準にしておる。生きていけない九千八百二十円。これは生きていけませんよ。九千八百円では、もう最低以下の生活ですよ。これは食って寝て、文化生活なんてとても……。それを基準にしてでもなお一・八倍。つまり一・八倍の倍率の、食っていけない九千八百円を基準にして、賃金を計算される。標準生計費の世帯人員別の家族も、妻もあれば子もあるという方は二・三倍。どうしてこういうようなことをするのですか。これも池田内閣に協力をしていくために、公務員の賃金を低くするために、あなたの方でこういうようなごまかしの計算をやるわけじゃないのですか。これははっきりおっしゃっていただきたい。

入江誠一郎人事院総裁

○入江政府委員 まず第一に、今年の標準生計費の九千八百円が食えるか、食えぬか、こういう問題。食えるか食えぬかという問題は、非常にむずかしい問題でございますけれども、少なくともまず第一に、民間の給与と比較いたします場合に、その同種、同年令の民間の初任給、つまり新制高校卒業程度が、私どもの比較といたしましては大体九千八百円に見合う、つまり民間の勤労者は大体においてそれで生活をいたしておる。  それから第二に、九千八百円というのは、ごらんの通り食料費でございますとか、いろいろな住居費その他から成り立っておりますが、これも先ほど申し上げましたように、東京における現実に並数階層の世帯の者がそれで食っておると申しますか、それで生活いたしておることは事実でございまして、公務員をそれより以上のものに見立てるということにつきましてはいかがか。やはりこれに順応いたすことが適当ではないかと思っておるわけであります。  次に、各世帯別の標準生計費といわゆる公務員の賃金との比較の問題でございますが、これはたとえば同じ二人世帯と申しましても、老人だけの二世人帯もございますし、若い者の二人世帯もございますし、家族構成というのは非常に複雑でございますので、かりに三人世帯と申しましても、どの程度の俸給の号俸に見合わすか、これはなかなか困難でございます。そこで大体において私どもといたしましては、民間給与の上下のカーブ、これに大体合わせておるわけでございます。  なお、御参考に申し上げますけれども、昭和二十三年から二十五年までの比較をごらんになりますると、生計費の上昇に比べまして、民間賃金なり公務員の給与とも、二十三年を一〇〇といたしました場合には、何と申しますか、上昇率は、民間給与なり公務員の給与が生計費の上昇を上回っておるということを御参考までに申し上げておきます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 人事院はだれよりも法律を守らなくちゃならぬのです。これは人事院は代償機関でございますから……。人事院が設置された理由から考えても、これはおわかり願えると思う。あなたの御答弁は、私は、内閣委員会で給与法が上程になれば、審議をする。その際も問題になるのですから、もっと慎重におっしゃって下さい。これは速記に載るのですからね。出まかせは困るのです。  六十四条によりますと、「俸給表は、生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して」云々と、こうある。俸給というもの一は、生計費と民間における賃金、これが中心で、「その他人事院の決定する適当な事情」、こうあるわけです。その生計費のとり方が私は今問題だということを言っておる。世帯別の方をとらなくちゃだめなんです。あなたは九千八百円で生きておるといいますけれども、一人九千八百円で何人生きておりますか。そういうことは、国民常識が許しませんよ。九千八百円でどうして生きていけるのですか。九千八百円といえば、これは一日の食事代幾らです。それから宿代を幾らに計算するのです。マーケット・バスケットによっても、実態生計費によっても、これは不可能でしょう。だから六十四条の給与の規定の生計費を考える場合には、完全なるマーケット・バスケット方式、それから実態生計費、これをしんしゃくするならよいのですけれども、あなたの九千八百二十円というのは、完全なるマーケット・バスケットじゃないでしょう。ありませんよ、これは。実態生計費は幾らかといえば、東京都では、満二十才であれば一人生活が一万五千円かかる。一万五千円で生活せよといっても、これはぎゅぎゅうですよ。そうして十九才未満であれば、これは一万二千円、それを九千八百二十円に押えて、それを基準にして引き上げの給与表を作るのでございますから、お話にならぬのです。こういうことは、しかしながら、いずれ内閣委員会で徹底的に究明いたしましよう。  そこで大事な点は、官民給与の比較にあなたは重点を置かれたと申しましたが、行政職(一)の二等級、つまり本省の局長、部長です。局長、部長さんは企業規模五百人以上の事業所における対応職名と比較をしておられる。たとえば工場長あるいは支配人、重役、取締役、そういうものと比較をしておる。あなたのこれを見ると、五百人以上の対応職名と比較をしておるのです。ところが五等級の係長以下はどうかというと、五百人未満を持ってきていらっしゃる。これはどういうわけですか。局長や部長は五百人以上を持ってきて、係長は五百人未満を持ってきておるというのは、どういうわけですか。まあもう少し聞いて下さい。今度のあなたの方の弁明を聞くと、下に厚く上に薄くした、こう言う。なるほどそうなっております。一応率を計算すれば。ところが、そのもとはどうかといえば、局長、部長は五百人以上の事業場だ、係長以下は五百人未満だ、こういうインチキをやって、出てきた答えを、下に厚く上に薄いといったって、これは金額を計算したならばお話にならぬです。これは魔術ですよ、ごまかしですよ。一国民はこういう点については徹底した掘り下げをやらないから、公務員の諸君が賃上げだ何だといって騒ぎますというと、赤旗を振るとかなんとかいって保守的な人々は非難いたしますけれども、こういうごまかしをやられてがまんができますかね。われわれは五百人以下の事業場、それから局長さん、部長さんは五百人以上でございます。これを納得のいくように御説明願いたい。

入江誠一郎人事院総裁

○入江政府委員 この問題も、もし誤解がおありになりますと非常に遺憾でございますので、十分御説明させていただきたいと存じますが、たとえば、決して局長は五百人以上、係長は五百人以下というふうにいたしたのではございませんので、先ほど申し上げましたように、公務員の各階層の職務と責任の度合いというものを、民間のどの程度に合わしたらよろしいものかということを考えました結果、さようになっておるわけでございまして、同じ部長と申しましても、かりに五百人以下の会社の部長と五百人以上の部長とは、おのずから、何と申しますか、部下の数でございますとか、あるいは職務も違いますので、たとえば本省の課長を比較いたします場合にも、五百人以上の課長と合わし、五百人以下の部長と合わす、そういうふうに、今係長でございましても、官庁組織には、御存じの通り課長補佐、係長とこうなっておりますので、係長を、大体において係長に所属する部下の数でございますとか、そういうものを比較いたしました場合に、五百人以下の係長に相応するものが多い、そういう観点から結果的にそうなっておるわけでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 あなたは答弁をごまかしたらいけませんよ。局長、部長は五百人以上で、係長以下は五百人以下という私の質問がでたらめですか。これははっきりして下さい。係長以下は五百人以下をとったでしょう、局長と部長は五百人以上をとっておるでしょう、この点を私は聞いておる、はっきり答弁して下さい。

入江誠一郎人事院総裁

○入江政府委員 官庁の局長、部長というものは、実際問題といたしまして、その職務と責任の度合いから申して、結果的に五百人以上の会社の部長、もちろんこれは重役を除いてございますが、と相応するものと見ております。それから係長というものは、先ほど申し上げましたように、課長補佐の下の係長でございまして、結果的に五百人以下の係長と大体相応するもの、そういうふうに見ておるわけでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 これは、お聞きのように、はなはだ不都合千万です。私は局、部長を五百人以上にとったということを言っているんじゃないですよ。局、部長を五百人以上の事業場と比較するなら、なぜ係長以下のものも五百人以上と比較しないのかと言っている。そうして出てきた答えは、下に厚く上に薄くしました、こんなことはインチキじゃありませんか。比較の仕方が上の者は人数の多い事業場で、人数の多い事業場の給与は民間では高いのです。これは数字をあげなくても常識でわかる。五百人以上の事業場の係長と五百人以下の事業場の係長では、五百人以上の事業場の係長の方が給与は高い。ところがその下の諸君は、公務員の係長以下の諸君は五百人未満、それから局、部長は五百人以上にしたということは、これは了解できませんよ。こういう勧告をあなたはやって良心に恥じませんか。人事院は公務員と政府との中間機関としてこういうことをやって、あなたの良識、良心にお恥じになりませんか、承っておきたい。

入江誠一郎人事院総裁

○入江政府委員 たびたび申し上げますようでございますが、大体いろいろ観点はございますと思いますけれども、いわゆる官庁の局長あるいは部長というものを実際的に五百人以上の部長と比較いたしますことは、職務と責任の度合いからいって、決して不適当でないと思っております。これは特に上をよくするというわけではございません。また係長につきましては、民間の会社は、御存じのように、役所と組織も若干違っておりますから、この課長、課長補佐、係長とこういうふうな段階が必ずしもございませんで、大体全体の官庁の係長というものを比較いたします場合に、その部下の数でございますとか、そういう点からいって、結果的に五百人以下の係長と相応する、そういう観点になっておりますので、決してそれは間違っておらないと思っております。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 ともに五百人以上なら以上にしたらいい。これも時間がかかるから私はおきますけれども、そういう不都合千万な官民給与の比較をしておる、対応等級のとり方においてそういう不都合な比較をしておる。  それから賃金格差の計算式はどうですか、民間とそれから公務員給与の賃金の格差を計算する場合に、あなたも御承知のように、三つの方式があるようです。ラスパイレス方式、パーシェ、フィッシャー、この三つがございますが、その格差が最も小さく出るのがラスパイレス、それからパ一シェというのが最も大きい。そこで、この種のものの比較をする場合の計算方式は、フィッシャー方式によらなければならぬというのが、あなたの、人事院の瀧本給与局長の著書にあるのです。フィッシャー方式は理想算式だと推奨しておられるのです、「賃金数学」という瀧本さんが書いた本の中に。ところが、フィッシャー方式もとっていない。一番その格差が小さく出るラスパイレスの方式をとっておる。これは、私は、国家なり政府に報告書を出す場合には、あなたの意見はもう聞きませんが、ラスパイレスだけじゃいかぬ、参考のためにパーシェとかフィッシャーというものも報告書の中に入れるべきです。あなたは資料を提出しなければならぬ義務があるのです。で、あなたの方から資料が出ておりますけれども、この賃金格差の計算式の常識である三つの方式、パーシェでやればこれだけになります、フィッシャーでやればこれだけになりますということを、なぜあなたは資料として出さぬのですか。

入江誠一郎人事院総裁

○入江政府委員 この問題は、御指摘のように、一般に統計技術といたしまして比較いたします場合に、三種の方法があることは事実でございます。ただ、公務員の給与を民間に合わしますのは、民間に比べて公務員がどのくらい低いかということを比較いたします場合でございまして、これはやはりラスパイレスが適当だと思っております。反対に民間を公務員に合わすという場合には、パーシェの方式によるべきでございまして、ただいまフィッシャー方式というものを御指摘になりましたが、これはフィッシャー方式というものも確かに一つの有力な方法でございますが、これは、たとえば現業と公務員とを比較をいたしますように、何といいますか、両方の比較をどう考えるか、つまり、両方を同時に対象といたします場合がフィッシャー方式でございまして、やはり公務員の給与を民間の給与に合わすという一つの統計技術から申しますと、ラスパイレスが最も適当であると考えまして、ここ両三年それで参っておるわけでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 あなたの資料には、との三つの計算方式による賃金の額が出ていない、だから——これはこの予算委員会で私は委員長にお願いをいたしますが、内閣委員会において審議をする関係もございますから、すみやかに、パーシェでやればこれだけだ、フィッシャーでやればこれだけになります、ラスパイレスでやればごれだけになりますという、この方式を出してもらいたい。最も計算方式の正しいのはラスパイレスとパーシェの中間である幾何平均と申しますか、フィッシャーだというのが、この種の賃金数学の常識なんですよ。ところが、その中間をとらないで、ラスパイレスでやって、ラスパイレスが正しいのだとあなたは言い張りますけれども、この議論をしても時間をとりますから、三つの計算方式に基づく数字を、この委員会に出して下さるように要求いたします。

入江誠一郎人事院総裁

○入江政府委員 これは統計の技術的な問題でございますから、ちょっと答えさせていただきますが、先ほど申し上げました通り、私どもといたしましては、ラスパイレス方式が最も適当と考えております。しかしながら、国会で三種の方式を出せという御下命でございますれば出さなければなりませんが、これはなかなか複雑な方法でございまして、相当時間を要すると思いますので、その点どうぞ御了解願いたいと思います。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 大体給与の勧告をするのに、この三つの方式があるということが常識であるにかかわらず、今までやっていないというのはおかしいです。三つの方式のものを出して、国会がきめるのだ。給与は政府がきめるのじゃない。だから政府にだけ報告を出すのじゃなしに、われわれ国会にも出すというのが人事院のあなた方の責務じゃありませんか。だからちゃんと資料に用意しておくべきだ。そこでわれわれがそれを見てどちらの給与が正しいのかということを、ここでわれわれがきめるのですよ。あなたは困難だと言うけれども、すみやかにこれは出して下さるように私は要求しておきます。  そこで、次には特別給の問題ですね。あなたの報告書によりますというと、「平均給与月額の三・四八月分に達しており、公務員のこの種給与を〇・四八月分上回っている。」という、民間給与は三・四八、つまり期末手当をもらっておる。公務員は三ヵ月だから、その差額は〇・四八上回っておると報告書に明記しておきながら、どういうわけで〇・四の引き上げにしたのですか。〇・〇八というのはどういうわけで切り捨てたのですか。

入江誠一郎人事院総裁

○入江政府委員 これは、御存じのように、民間の特別給はいわゆる賞与と申しますか、ボーナスに相当するものでございまして、その年の企業成績によりまして変動がございます。公務員の期末手当は、まあどちらかと申しますれば、恒久的性格を持っておりますが、民間の特別給は必ずしもことしと来年とが恒久的であるとも限りませんので、従来固いところを踏みまして、公務員の給与は、一ぺん特別給につきましてもきまりますると、そう変動はできませんので、昨年も御存じのように少し控え目にいたしましたが、ことしも〇・〇八と申しますか、少し控え目にいたしたわけでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 これも奇怪千万です。民間の場合は変動が大きいから三・四八だけれども、公務員は変動がないから三ヵ月だ。こういうばかなことはありませんよ。変動が大きくも大きくないも——民間の場合には変動が大きいといいますけれども、少なくなる可能性があるかもしれぬが多くなる可能性もあるんですよ。だから民間給与が三・四八ならば公務員も三・四八にしたならばよい。ところが公務員は三・四にして〇・〇八は切り捨てる。これも私は特別給与というものを低目にとっておることだと思う。あなたの方は良心に対して恥じない勧告だけしたならよいんですよ。あなたの方が政治的な加減をするのじゃないんだ。あなたは民間との比較があると言うが、比較があれば政府と国会に出しなさい。政府と国会がきめるのだ。政府は予算の都合を考えて、国会は国会で、国会の良識に基づいてきめるのだ。それをあなたの方がすでに加減して〇・〇八は飛ばしてしまっておる。こんなでたらめな勧告がありますか。この勧告は、私は審議していくにつれて実に憤慨にたえない。たとえば、特別給の三・四八の計算にしても、調べてみるというと、民間では、職員は四一〇六もらっておるんですよ。ところが工員つまり職工さんは二・六二。公務員は職員じゃございませんか、そうしたら、民間と比べる場合には民間の職員と比べなければならぬのですから、少なくとも特別給は四・〇六にしてやらなければ納得しないというのが当然なんです。それを三・四八に今度は押えたのだ。そうして低目に押えて、なおかつ〇・〇八は、民間は変動があるから、公務員は安定しておるからとるという。安定しておるから何がいいんですよ。変動があるからいいのですよ。変動があるから高くなるおそれがある。あなたは変動とは低くなることばかり考えておるけれども、そんなばかな変動はない。これは全くお話にならぬですね。  そこで私は給与担当の労働大臣にお尋ねいたしますが、あなたがお聞きのように、こういう給与勧告になっておるのです。あなたも給与を担当されて検討されたと思うのです。国の税金から公務員の給与を支給する。しかも数百万の公務員諸君が最も問題にしておる賃金、給与の問題、家族を入れれば何千万、この給与を担当する政府の責任者でございますから、人事院勧告がいかなる内容のものであるかということを、人事院勧告をうのみにするのではなく、私は政府も検討されると思うのです。どのような検討を政府はされましたか。この人事院勧告についてはどのような検討をされて、具体的には、計算方式について、それから一切について、どのような見解を政府は立ててわれわれ国会にこの今度の予算を出しましたか。そこら辺の手続なり、それから検討したのかしないのか、うのみにしたのかしないのか。私は検討したと言えば質問いたします。うのみにしたと言えば、おいておきましょう。これは正直に御答弁願いたい。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 率直に申し上げますが、検討の結果うのみにいたしました。いろいろ人事院のやり方については、野原さんのような御批判もございますし、またこれと違った傾向の御意見等もあるわけであります。われわれはあの勧告を受け取りまして、われわれの下に専門家に、また政府としての責任者であり専門家である諸君に検討させたのでありますが、これを総合的に判断をいたしまして、内容は、人事院の勧告が全体として適当であるという結論に達しまして、これを尊重するという方向に行くことに決した次第でございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 そういう政治的答弁は総理大臣がすべきで、給与担当大臣は給与についての微細な点について検討した結果を、誠意を持って答弁してもらわなければならぬのであります。そのために私ども国会が給与担当の大臣を置くことを、社会党は長い間要求してきたのである。政府は検討したと言いますが、あなたの方では一体どこで検討するのですか。労働省のどこなのですか。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 公務員の関係のただいま御質問のような検討は、内閣総理府の公務員制度調査室でやっております。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 その公務員制度調査室は、一体どういう陣容があるのですか。公務員制度調査室というのがあることは私も知っておるが、人事院の勧告を検討するだけの陣容を一体持っておりますか。何人おるのですか。こんなものは制度としてただ作っておるだけじゃありませんか。一体何人おるのですか。人事院には数百名の職員がおってやっておるが、それを間違いかどうかを検討するには、これに匹敵する陣容でなければなりません。公務員制度調査室の陣容について御答弁願いたい。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 野原さんの言われるように、人事院と同じくらいな者がいて検討ということであれば、これはまあしさいに検討できると思いますが・しかし、われわれは人事院の行ないました勧告に対して、野原さんが言われるようなほどの検討をするだけの陣容を持っておりません。これははるかに少ない人数でございます。私はおおむね人事院を信頼いたしておりまするし、現行制度におきましては、これを尊重してという建前が前提で、少なくとも私どもはそうやっておるのでございますので、鋭意検討はさせましたけれども、あなたの言われるような大規模な検討ということは技術的に不可能であり、できなかったことは、これは率直に申し上げなければなりません。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 だから結果においては検討できなくてうのみにしたということです。検討してうのみにしたのではない。  そこで、人事院の給与勧告というのは低目に低目にとっておる。酷に酷にとって、しかも下の公務員諸君ががまんできないようなとり方をしておる。そういうような給与勧告を五月一日から実施して下さいと出したのです。これも実は私に言わせると問題があるんです。民間の給与が上がるのは五月ですよ。それを調査時点を今度公務員の場合は四月、民間給与の上がらぬときに持ってきて、低いときに比べておる。そこに問題があるのだけれども、このことはさておいて、五月一日に実施せよと要求したにもかかわらず、大蔵大臣の方では、予算書を見るというと十月一日ということになっておるわけであります。これは人事院の給与勧告の経過をずっとたどってみると、いまだかつて一回といえども、内容において、期日において人事院の勧告を守ったことはございません。一体検討もできない政府が守らぬとは何事ですか。公務員制度調査室において検討なんかできちゃいませんよ。できていない政府が、しかも人事院の勧告が正しいのかどうかも検討しないで、水田大蔵大臣は十月一日の予算を出したというのはどういうわけですか。どういうわけで五月一日にしなかったのですか、承わりたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 昨年、同様の勧告がございましたときに、いつから実施することが適当であるかということについては、もう十分の検討を加えました。たとえば国の財政にかりに余裕があったにしましても、公務員給与の引き上げが行なわれれば、当然地方公務員の給与にも響くことは慣例でございますし、そうすると、地方財政の問題も考慮しなければなりませんし、いろいろの角度から検討して、昨年は十月一日から実施することが適当であるというふうにきめて、国会の御承認も願ったことでございます。今年度の勧告も、環境を見ますと大体同じようなことでございましたので、あっさりと、昨年の例にならって、十月一日から実施することを適当というふうに判断したわけでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 だから政治的判断ですね。これは財源難が理由だ、金がない、金があれば五月一日からしたがったのだ、こういうことでしょう。これは率直に御答弁下さいよ。ややこしいことを言わないで、金がないのだ、地方公務員のこともあるからということ、いかがでしょうか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 財政上の理由も十分勘案してのことでございます。特に地方財政のことをわれわれは一番考えて、そういう問題の均衡からやはり十月を適当というふうに見たわけであります。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 非常に時間がなくて皆さんに申しわけございませんが、実はこの国会は給与国会ともいわれる国会で、もうすぐやめますから、ごかんべん願いたいと思うのであります。  財源難が理由でいつもやられておるのです。税の自然増収は幾らあるのかと開き直って聞く必要もないのです。やろうと思えばできるのです。人事院の勧告はでたらめですよ。多くとったでたらめなら文句はないが、低く低くとったでたらめなんですよ。私のでたらめと言うことに、これは人事院総裁がおりますけれども、一言の文句も言えないと思うのです。それを五月一日にやらないで十月一日だ、こういうことにしておることは納得できないのであります。  労働大臣に、この問題でもう一点お尋ねいたします。公務員の方に公務員共闘会議というのが人事院勧告を重大視してできておるわけでございますが、そこからあなたの方に要求書が出ておるはずです。この人事院勧告に対する批判も書き、いろいろ話し合いをしてくれないかと——第一、賃金というものは労使の話し合いできまるのが常識なんです。しかし、団体交渉権が公務員には与えられていない。そのかわり人事院を置くといったのだけれども、人事院はでたらめな勧告しかしない。これではがまんができないので、私は政府側と公務員組合側との間を平和的にまとめていくためにも、給与担当大臣が公務員共闘会議と話をすべきです、できないならできないという理由を言って納得させなければならぬと思いますが、福永さんは民主的な人で、私も長いつき合いがございますから、この点はかねて尊敬いたしております。だから公務員共闘会議と話し合いをされるものと私は期待いたしますが、いかがですか。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 公務員共闘会議の代表者の諸君とは何回かお目にかかりました。そして、そのときに、その諸君の考え方も示され、これにつきましては私から閣議にも紹介し、また特に閣議の前に、関係閣僚の人たちには、文書をもって提出されたものにつきましてはこれを複写いたしまして、こういう方面からはこういう意見も出ております——私の解説も、こう言っているが、これは決していかぬというような意味の解説ではなくて、こういう趣旨でこういう文書が出ておりますと、こういう紹介等もいたしました。従って野原さんのただいま御質問になった、会うのかというお話でございますが、今までもお目にかかっておりますし、これからもお目にかかります。ただ、おっしゃるだけの回数はなかなかお目にかかれないのです。現在も会えといってこられておりますが、予算委員会等に出なくてもよろしいのでございましたらば、これまたなになのでございますが、なかなかそうも参らないので、おっしゃるだけにはなかなか参らぬということは御理解をいただきたい。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 問題は誠意の問題です。予算委員会云々ということがありましたが、あなたにほんとうに会って話し合いをしようじゃないかという誠意があれば、これは公務員諸君でございますから、常識をもってこたえるはずです。ぜひとも今のような態度でお臨み願いたいと思うのであります。  私は、教育問題については実はたくさんあるのです。もうたくさんあって時間がございません。従って一切を割愛いたします。割愛いたしますが、ただ一点だけ荒木文部大臣に承りたいことがあるのです。これは新聞にもすでに載ったことであります。荒木さんは七月二十一日という日をよもお忘れじゃないと思うのです。七月二十一日、愛媛県の松山市で四国地区市町村教育長研修協議会というのがあったのであります。四国全体の市町村の教育長が集まった。そこであなたが講演をされたのであります。何という講演かといえば、前は略しまして、「これだけのすぐれた文化を持つ民族はほかにない。」これは日本民族をさしておる。「これは先祖の努力のたまものだ。」これはいいでしょう。「劣等民族は先祖の努力がなかったからで、われわれはよくぞ朝鮮人やアフリカの土人に生まれなくてよかった。」これは漫談で言ったのじゃない。四国地区の市町村教育長全部を集めた席上でこう言ったのです。このことが実は問題になりまして、日本におる朝鮮人の団体諸君が激高して、あなたのところに抗議に行ったはずであります。この間のいきさつを御説明願いたい。というのは、私はあなたが文部大臣だから言うのです。あなたが普通の人でないから言うのです。あなたの発言は、たとえばこの前のILO脱退辞せずでもそうなんです。ILO脱退辞せず、卓をたたいてやったのです。そこでこの予算委員会で私が問題にしたら、お恥ずかしくて遺憾しごくこの上もございません。遺憾とは何だと言ったら、いやもう何ともかんとも言いようがございません。こう言われる。あなたは発言をされるときには実に勇敢で、それから抗議をされると平身低頭。こういう失言を繰り返す文部大臣というものは世界のどこにもないのじゃないか。日本にもたくさんの文部大臣が出ましたが、あなたのような失言をやられる——失言じゃない、放言をやられる文部大臣は少ないと思う。だから私はこの点は国会で究明しなければならぬと思うのです。朝鮮人は劣等民族だ、アフリカ土人は劣等民族だ、こういうことを日本の政府のしかも文教の大臣が教育長の講習会で公言をしたということになれば、これは重大な問題であります。御答弁願いたい。

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 野原君、だいぶ時間が超過いたしましたから、簡潔に願います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 お答えいたします。御指摘のようなことをしゃべったことはございます。時間をとりますから全貌はむろん申し上げかねますが、私が申しましたのは、われわれ日本人は日本人と生まれたことを、とかく戦争に負けたことを契機といたしまして忘れがちである。ところが日本民族を、日本人が自慢たらしく言うのではないけれども、諸外国の人々がどう評価しておるか、少なくとも正直であり、勤勉であり、近代教育を受けた一億になんなんとする大民族だ、しかもその持っておる文化は、固有の文化に加えて、祖先伝来の努力の結果として、大陸と交通し、あるいは欧米と交通して、それをすなおに取り入れた、従来の固有のものに混然一体をなして、さらにより高きものとしてずっと受け継がしてきてくれた。その結果、建築、絵画その他もろもろの文化、芸術の面において外国人が非常に高く評価してくれておるということを思うべきだ。それをともすれば、まるでなってないんだというふうに宣伝するものがおるものだから、それに災いされて、必要以上にみずからを卑下し過ぎているおそれはないであろうか。従って、正確に価値判断をして、それはしょせん祖先の努力の結晶なんだから、自分も今日本人として生をうけている以上、祖先に負けない努力をして、次の世代によりよき姿でバトン・タッチすべき責任と権利をいわば与えられておると考えるべきだ。そういうふうに見た場合に、日本はアジア、アフリカ諸民族、いわゆる低開発地域に対しては経済的にも文化的にも大いに協力して、これらの諸民族がより一そうすみやかに文化的な高度のものに育っていくように協力する心がまえでやっているんだ、そういうことからいって、われわれ日本人はアフリカの民族やら朝鮮人などに生まれなくてよかったと思いますということを申しました。だから、真意はあくまでもそういう点にあるのでありまして、劣等民族云々という言葉を御指摘になりましたが、そういう言葉は生まれてこの方いまだかつて使ったことはございません。  なおその後、御指摘の通り、北鮮の団体の方を初め数名の方が文部省においでになりまして、抗議めいたお話がございまして、今申し上げた通りのことをるる御説明申し上げましたら、私の真意だけはわかっていただきました。ただ具体的に、そういう民族の名前まで出して言うことはいささか過ぎたんじゃないかということは、私も遺憾に思っております。

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 野原君、一点だけにお願いします。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 朝鮮人やアフリカの土人に生まれなくてよかったとおっしゃったことは、あなたはお認めになられたわけです。このことは私はやはりはなはだ問題があると思うのです。国際的な社会の一員としての日本がこういうことを口にするのは問題がある。だから、私も実は新聞で拝見したからお尋ねしますが、日朝協会の人たち、為るいは韓国居留民団の人も行かれたように承りますが、そういう人たちの前で、あなたは頭を下げて悪かったとおわびになられたそうですか、おわびになられたことはございませんか。あなたは今言ったように、これはおれの信念だ、何だかここでお聞きしますと、これはいいことを言うたのだと鼻高々でおられるようだが、聞くところによると、抗議団にあなたは陳謝をされた。朝鮮人やアフリカの土人に生まれなくてよかったということは、裏を返せば、やはり朝鮮人やアフリカ民族は先祖の努力が足らなかった、民族としても、これはすぐれたものでないようにとれる、話の全体からとれば。そこであなたはやはりこれは問題があるというので、お取り消しになられたそうでございますが、いかがですか。取り消したのですか。そうしてあなたは、しかも愛媛新聞に対しては取り消し記事を出しますと、これは不穏当ですと、こう言って、あなたはお認めになられたと私は聞いたのだが、そのように新聞にも書いておりましたが、いかがですか、その辺の真相は。

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 野原君、ちょっと御注意申し上げますが、時間がだいぶ過ぎましたので、それで結論にしていただきます。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 先ほどお答え申し上げた通り、朝鮮関係の団体の方と一緒に社会党の方もおいでになりまして、すでにお聞き及びのことと思いますが、今申し上げた通りのことをるる申し上げて、私の真意は了解していただきました。ただし民族の名前を具体的に出すことは一体どうだというお話も出ました。その点は、要すれば言わない方がようございましたねということで、取り消したらどうだという話だから、そこで、愛媛新聞には、私の言ったこととニュアンスはだいぶ変えて出しておりましたけれども、民族の名前を出したことだけは、そのまま書いておりましたから、私も愛媛新聞に対しましては、取り消しの要求をいたしました。いたしましたが、返事が参りまして、事実そういうことを言ったんだから、取り消されても、今さら活字はどうなるものでもないという意味で、取り消しはできないという御返事をいただきました。

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 午後一時十五分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時十七分休憩      ————◇—————    午後一時二十七分開議

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  予算補正二案に対する質疑を続行いたします。長谷川保君。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 私は、主として低所得階層に対する政策、医療関係の政策についてお伺いいたしたいと思うのでございます。  所得倍増政策で昨年十一月総選挙に勝利をおさめた池田内閣は、その後の急速な物価の値上がりで庶民大衆に大きな迷惑をかけたのでありますが、また、わずかに十ヵ月後の九月十八日には株の大暴落を来たらせまして、この日一日だけで東京証券市場の株価の値下がりは一兆円に達する、七月十八日の最高値に対しまして、今日は実に二三%の暴落、この前の三十二年のときを上回るところのものになってしまったのであります。まさに混乱であります。政策の失敗といわなければならないと思うのであります。経済のことは私にまかせておけと豪語した池田総理の数日来の当委員会におきまする顔つき、態度を見ておりますと、どうも自信を失った者の顔だというように考える。国民はもうまかせておけないというような気持になっていると思うのであります。しかし今日、私はその池田内閣の政治の行き詰まりの下で、その最大のしわ寄せを受けているのは低所得階層の国民。ところが今回提出されました予算案を見ますと、この生き死にのせとぎわで常に苦しんでおりまする低所得階層の国民に対しまする対策というものがほとんどできておらぬといって差しつかえない、こういうように思うのであります。  まず、順次お伺いするのでありますが、低所得階層を非常に苦しめておりまする物価の値上がりの見通しでありますが、一昨日の当委員会におきまする同僚永井君の質問で、物価の見通しはどうかと言うたのに対しまして、企画庁長官は、若干の値上がりを続けると思うが、総合政策を実施し、消費を減らし、貯蓄をふやすように望んでおります。生産過剰も考えられるので、今までのようには上がらないというお見通しを発表されました。しかし、私は昨年来の池田内閣の物価の見通しというものを振り返ってみますと、どうも残念ながら全くめちゃくちゃだと言わざるを得ないのでありまして、昨年末とは言わず、本年四月二十八日発行の経済企画庁の物価白書を見ましても、その六十二ページを見ますと「三十六年度の物価はどうなるか」というのが書かれておりますけれども、政府は三十六年度の物価の見通しとしては、卸売物価は弱含み横ばい、消費者物価は一・一%の上昇というように言われているのであります。ところが、いただきました政府の資料等を調べてみますと、この物価白書の出されましたわずか四ヵ月後の消費者物価はどうなっているかというと、資料によりますれば、消費者物価で八月には、わずか四ヵ月後に五%上昇しております。   〔委員長退席、青木委員長代理着席〕 卸売物価では、昨年十二月一六三・九、それに対しまして、資料によりますれば、七月末には一七〇・三で、六・四%上がっておるのであります。かようなわけで、どうも政府の物価の見通しというのは、この一年来の情勢を見ておりますと、全く信用できないというように考えられるのでありますけれども、この点、経済企画庁長官は正直にどういうようにお考えになっておられるか、伺ってみたいのであります。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 お話のように、この数年若干の物価の値上がりを見ております。そこで本年度のことでございますが、昨年度の平均から見ますと、八月でもって六・五、それから四月から八月までの値上がりを見ますと四・七ぐらいな値上がりになっておるわけでありまして、企画庁が立てました予想よりは、正直に申しまして、だいぶん上回った状況になっておるわけであります。これは、むろん一般的な景気の上昇というような過程における影響からの現象もございますし、また集中豪雨等のために野菜等が著しく値上がりをしたということもございますし、またサービス料金その他が高騰をして参った、そのはね返りがこれに現われてきたというようなこともあるわけでありまして、そういう意味において、はなはだ思ったよりも値上がりをしたということはわれわれも遺憾に思っております。しかしながら、これからの物価をこれ以上高騰させて参りますことは、われわれも適当でないと考えておりますので、できるだけ横ばいに推移するように押えて参らなければならぬと思います。長谷川さんも御承知のように、蔬菜類につきましては、若干季節的好転期に入ってきておりますので、その意味においては、その面からは改善を見ることだと思います。またサービス方面からきております影響につきましても、上半期は著しくそういう影響を次々にこうむったわけでございますけれども、大体の消費抑制もいたしまして、景気をある程度抑圧して参る関係もございまして、なるべくそういう方面からの影響が起こらないように、また起こっても、生産は何と申しても拡大して参りますし、あるいは消費規制等によりましてその要求を押えても参りますので、そういうことによって、一般的な耐久資材等がこういうものを吸収していくというような方向に進めて参らなければならぬ、こう思っておりますので、現在のところ大体四・七%くらいな横ばいで推移するだろうと思っておりますし、またするようにしなければならぬ、こう考えております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 いただきました資料で、総理府、消費者物価指数というものがあるのであります。消費者物価指数の推移というものがあるのであります。これは全都市、ここのところをずっと見て参りますと、たとえば五月は一一一・二、六月は一一二・一、七月は一一五・三、八月は一一六・二、こういうように騰勢がちっともとどまっておらぬ、ずっと上がっておる。おそらく九月も上がっておるのだろうと思います。このお出しになりました予算におきましては、こういう状況というものは中に織り込んでやってあるのかどうか、大蔵大臣に伺いたいと思います。五、六、七、八とずっと物価は騰勢を続けておる。毎月上がっておる。それをこの予算には織り込んであるのかどうか、それをお尋ねします。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 今度の補正予算で物価問題を考慮した予算と申しますと、生活保護基準を五%私どもは引き上げをやりましたが、そのほかの問題は、御承知のように、学校と公営住宅というようなものに対してはそういうものを考慮しましたが、そのほかの物価対策の予算は盛ってございません。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 私が伺っておるのは、五月が一一一・二、六月が一一二・一、七月が一一五・三、八月が一一六・二と、こういうようにずっと騰勢が続いておる。だから、この将来の見込みというものを今度の予算の中に入れてあるのかどうか。つまり低所得階層の対策を考えるときに、この点を伺っておかぬといけない。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 今企画庁長官が述べられましたように、大体物価はこれ以上上がらないように政府も骨を折るという立場でございますので、これから先の値上がり分というものを計算したものは見てございません。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 よくわかりましたが、さて、物価の上昇の低所得階層への影響の問題でございますけれども、私の見るところでは、物価の値上がりの影響というのは、低所得階層ほどひどいと思うのであります。この点政府はどういうようにお考えになって予算を組まれているか、大蔵大臣から伺いたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 ただいま申しましたように、生活保護階層というようなところにやはり物価の値上がりが一番大きく響いておる。それでは、その基準をどうするかという問題ですが、これは、他のいろいろな社会保障制度の全般とからんで解決すべき問題でありますし、予算的な措置としては、やはり一つの政策問題として、新年度予算でその内容等は考えるべきものだという立場をとって、根本的な検討は次年度の予算に回してございますが、とりあえず、今言われましたように物価が上がっておることは事実でございますので、それに対応する意味というだけで五%の引き上げというものを考慮しただけでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 その点、私は非常に困った問題だと思うのです。それは低所得階層といいますのは、先ほど申しましたように、生き死にの社会でもって待ったなしです。だから今はかまわぬのだ、次年度の予算でやるのだ——次年度の予算となりますと、でき上がるのはやはり三月末から四月、その間ほっておくという。ここに大きな問題があると思うのです。大体政府の出しましたいろいろな書物、書類等を見て参りますと、政府は低所得階層への物価の影響というのを非常に軽く見過ぎていはしないかということを思うのであります。経済企画庁の出しました物価白書の百三十四ページに、「三五年は経済一般の好況のため、どの階層の所得もかなり大幅に増加し、したがって消費支出の増加も、物価上昇をかなり大きく上回わり、消費水準の上昇は着実に行なわれました。」これが先ほど申しましたように四月の二十八日に出ているのであります。好況が各階層の所得を大幅に増加させて、消費水準は着実に上昇している、こういう考え方であります。「所得階層別にみた実質的消費支出の増加」という表がやはりあるのでありますけれども、現金実収入五分位階級別表、これがやはりここに出ておりますが、これを見ると、低所得階層への物価高の影響というのは三・七だ、やや低いもの三・七だ、中くらいのものが三・七だ、やや高いものは三・六だ、高いものは三・六だ、こういうふうなデータが出ているのであります。また同じ物価白書の百四十一ページに出ておりまする格差がだんだん縮まっていっているというようなデータ、この考え方が書いてありますのは、中学卒業の初任給が三十四年対三十五年では二〇%アップから三二%アップになっている。五百人以上の大企業の平均賃金を一〇〇と見るならば、三十人未満のものは、三十三年は四三・六であったが、三十五年は四六・三四になっておる、こういうようなことがずっと書いてあるのです。労働白書を見ましても同様である。ここらに机の上で考えて現実を見ない政治の荒っぽさと申しますか、非常にラフな考え方がある。具体的に一つ一つ見ていかない。低所得階層の実態というものを見ないところの、机の上で組まれた政治というものを感ずるのであります。政府のものを見て参りますと、いかにも低所得階層がよくなったように見える。しかし、われわれが考えなければなりませんことは、そういうものではないと思う。たとえば初任給が上がった。確かに上がっておりましょう。けれども、幾ら上がったかというと、政府のこの労働白書の統計を見ましても、三十五年度に上がりました結果の初任給というのは、中学卒業で六千二十円である。月の収入が男で六千二十円である。女は五千六百八十円。こういうわずかなものを見て、所得の格差が縮まってきた、賃金格差が縮まってきたなどと言うことは、問題にならぬと思うのですね。ことに所得格差が縮まってきた、賃金格差が縮まってきたという。大企業と、先ほど申しました三十人未満の零細企業との格差の縮まって参りましたものをしさいに見て参りますと、このときには、大企業では臨時工が非常にふえている。言いかえますと、データをずっと調べて参りましても、大企業の平均賃金というものは下がっている。つまり、臨時工が非常にふえましたから下がっている。同時に、下の方では、今も申しました初任給が零細企業では上がっている。そこでそれだけ格差が縮まっている。何も低所得階層がそれでよくなったというととはちっとも表わしていやしない。だから、政府の出しましたデータというものを一々詳しく現実に即して見て参りますと、低所得階層というものは決してよくなっておらぬ。この政策の失敗のしわ寄せを非常に受けているのは低所得階層だ、私はこういう結論にならざるを得ないのであります。こういう点につきましては、企画庁長官はほんとうに格差が縮まったとまじめに考えていられるのでありましょうか。あなたは非常に富裕な上層階級からお出になって、国会に出られましたときにも、絹のハンカチだなどというたとえが新聞記者諸君によって言われた。昔、落ちぶれた公家家族のお嬢さんがうばのところに身を寄せておった。うばがぞうきんがけをする、非常に忙しいからぞうきんがけを手伝ってやろうということで、ぞうきんがけを手伝おうという大へん殊勝な気持を出して、ぞうきんを見たら、あまりきたないものだから、自分の持ちものの中から紋織りの白羽二重のきれを持ち出してぞうきんがけをしたという話を昔聞いたことがありますけれども、企画庁長官のお立場を見ると、どうもそんな気持がするのです。だから、政府の出しましたいろいろの書類を見まして、やはり絹ハンカチだなあという感じがします。これでは低所得階層はたまらぬぞという感じがするのですが、ほんとうにまじめにこういうふうな書物をお出しになったのか。これはあなたが企画庁長官になられる前のものではありますけれども、今、長官としてやはりそう考えておられるのか。そういうお考え方でこの予算を組まれては低所得階層はたまらぬと思うのであります。この点、ほんとうにまじめにこういうようなお考えができるのであるかどうか、それによってことしの政治は大へんなことになると思いますが、いかがでありましょうか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 御指摘のような数字の推移を見ておるわけでございまして、傾向としてむろん低所得者の給与が上がっているということは、これは明らかに申せると思います。むろん統計のとり方、あるいはその調査を綿密にもっとして参ることは必要でございますし、ただいま御指摘のような、たとえば初任給が著しく上がっているというようなことも、それが多きをカバーしているんだというお話もございますけれども、数字の趨勢から申せば、御指摘のように中小企業における百人から四百九十九人、あるいは三十人から九十九人まで、五人から二十九人というような人たちの給与というものは漸次上がっておりますことは、これは申すまでもございません。従いまして、その意味において改善を見つつあることは、これは疑いない事実だと思います。ただ御指摘のように、その上がっておりますのが、年令によって、あるいは職業によっていろいろの変化がありますことは、こういう平均数字を扱いますときはやむを得ざることだと思うのでありまして、その原因の探求ということを十分われわれも考えて参らなければならぬと思います。たとえば生活要保護世帯というようなものが逐次減少しているということは数字が示しておりますが、ただ減少した結果として、今日生活保護を受けております人たちが、これ以上もうどうもできないような立場にある人に集中してきておる、働ける人は失対その他の日雇い労務者として働きに出ていくというようなこともございますし、従ってそういう面から見まして、この問題は重要な問題だと思うのでありまして、そういう傾向を徴しながら、しかし一応数字としては、ここらの数字を参考にしてわれわれとしても将来の問題を考えていかなければならぬ、こう思っておるわけでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 だから先ほど申しましたのは、初任給は上がったというけれども、中学卒業の青年が初任給が上がったというところで、月の給料が六千二十円です。女は五千六百八十円です。こういうことで数字を羅列いたしまして、そういう低所得階層がよくなった、あるいは勤労大衆がよくなったという考え方は、非常に間違いだと考える。なるほど前から見ると二〇%なら二〇%上がったということになりましょうけれども、実際の絶対額というものはほんのわずかです。問題にならないのです。その点を政治をする者はよく考えないと、数字だけ並べて、二〇%上がった、二三%上がったと言っても、非常な間違いだ。私が申しますのは、現実を見ないと、机の上で数字だけの遊戯をしていると大きな間違いになるぞ、こういうことを申しているのでありまして、生活保護法の被保護者が少なくなってきた、こう申しますけれども、それは末端ではずいぶんきびしい。あれほど福祉事務所でいじめられるなら飢え死にしてももらいに行かぬというような人々もずいぶんある。あまりにも残酷なきびしさなので、そういう人たちがずいぶんある。そういう実態をよく考えないと、単に数字だけを机の上で見ていると、大きな間違いになる。こういう非常に多くの、おそらく全人口の一割以上もありますような人々を扱います政策が、今度の予算を見ましても、これは非常に困ったことだなと私は感ずるのであります。低所得階層は池田内閣の政治で非常に苦しんでいると思う。鈴木光男氏の作成した階層別消費者物価指数というのを見ますと、三十三年の、月収一万六千円ないし二万四千円の層と、六万四千円ないし七万二千円の層について比べています。四人家族の勤労者世帯の消費構造を、各項目別の支出の割合をきめて計算したのでありますけれども、そういうやり方できめて参りますと、政府のデータとは非常に違ってくる。その結果は、物価の影響は低所得層にとっては高所得層の二倍の大きさで影響するんだというデータが出てきております。  経済セミナーの十月号の中で、北大の籠山教授のものを引用したのを読んでみますと、消費物価指数の平均的指数だけでは、実質的な生活への物価上昇の影響というものは把握できないということを指摘して、政府の統計を立体的に分析すると、低所得階層では、そのために思わざる住居費の増大と、食料費、雑費への配分の圧縮が生じている。ここに一般に物価が上がったと非常に強く皮膚に感じ、身に感じて、これは困る。所得倍増より物価倍増が先に行ってしまったんじゃないかという勤労大衆の叫びというものは、うそではなく、単なる感じではなく、政府のお出しになった物価白書あるいは経済白書では、とかく感じのように書いてありますが、感じではない、事実そうなっておる。こういう問題は私どもは深く考えなければならぬと思う。  この間、十月一日号の「政府の窓」というのを配布されましたので、読んでみました。その十四ページに、総理大臣池田勇人氏はこう書いておる。「私の考えでは」、「大体日本国民は経済問題につきまして神経質すぎるんじゃございますまいか。」「私は」「日本国民の生命財産、あらゆるものを全部引き受けております関係上、人一倍勉強し、人一倍気を配りまして、所得倍増、民生安定、福祉国家への道を邁進いたしたいと思います。」こういうふうに言われております。まことにけっこうでございます。そのすぐあとに、十八ページでありますが、総理府の森田統計調査官が書いております。これを見て参りますと、私はどうもこれはやはり大へんだという感じがするのであります。どう書いてあるかと申しますと「物価が上がるのは好景気の証拠」こういうことでございまして、都市消費者家計の動きについて書いておられるのであります。これを読んで参りますと、さすがにこの大将の下に弱率なしだなあというように思うのであります。どう書いてあるか。「九月十五日の新聞に出た労働省の報告でも、今年の上半期は賃金水準の上昇に伴い勤労者世帯の実収入は昨年同期より九・九%ふえた」と指摘しています。さらに「今年の物価は昨年に比べるとまだ五%程度の上がり方である。つまり賃金や収入の半分しか上昇していないのであり、このことは結局、その差の分だけ生活水準が向上しているものと見てよいと思われる。」さらに「実質においては生活内容が戦前以上になっているとも考えられる。というのは、戦争前は日本では大ていの人が借家に住んでいたという関係上、住宅費が生活費の中で非常に大きな割合を占めておった。戦後は自分の家に住んでいる者の数が非常に多いので、毎月の経常支出の中で住宅費の占める割合は比較的小さくなっている。」さらにいわく、「物価が上がる以上に賃金や収入が上がり、物価が上がる以上に支出の額がふえている、従って暮らしの内容がよくなっているということは前述の通りである」こういう考え方、一体、この考え方の基礎になっているデータは何かと思うて、同じところを見てみます。「消費支出の内訳の伸び、「全都市勤労者世帯」これはずっと詳しく書いてあるのでありますが、三十年、三十五年と書いてあるデータを出しております。その中を見て参りますと、今申しました、戦前は住宅は多くの人が借家であったが、戦後は大部分の人が家を持っているという勇ましいことをお書きになっている。その住居費のところを見ると、この統計調査官は、住居費として家賃、地代が三十年には四百七十五円、三十五年には七百九十三円、こういう数字です。先ほど申しましたように、ここが私は机の上で毛のを考えるのと実際ものを考えるのと非常に違ってくる。ことに低所得階層の対策を考えるときには、平均して幾らというような考え方ではだめです。一体三十年四百七十五円、三十五年といたしましても、七百九十三円で一世帯が住める家の家賃がどうして出てくるのだ。けれども、このデータは政府が出したのだから、うそじゃありますまい。うそでないとすれば平均したのです。高所得の者も低所得の者も平均したのだ。平均してもこの数字はどうかと思うのでありますが、しかし新聞記者諸君も大ぜいいますけれども、一体七百九十三円で一世帯が住める家というのは全都市の中でどうやったら出てくるのか。こういう数字の上に政治を立てられたらたまったものではない、低所得階層はたまったものではない。どうでしょうか。こういうような考え方でもって低消費水準の世帯を考えられたらたまったものではない。厚生大臣どうでしょう。こういうようなデータの上に今日の政策というのを立てているのでしょうか。一世帯の家賃、地代七百九十三円、一ヵ月平均七百九十三円、こういう上に立てられているのでしょうか、どうですか。これはついこの間配布された十月一日の「解説・政府の窓」です。これに「都市消費者家計の動き」を森田統計調査官が堂々と出しておられる。厚生大臣どうでしょう。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 お答えいたします。生活保護の基準の上から申しますというと、本年は御承知のように、基準の面におきまして大幅に是正をいたしたのでありまして、これによりまして当面住居費に関する問題は、大体生活保護に関します限りは解消したのではないか、かように考えておるような次第でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 企画庁長官、先ほど申しましたような家賃の計算の仕方、この上にやはり池田内閣の政策というものは、低所得階層に対する政策も、この上に立てているのでしょうか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 御承知のように、こういう数字をとります場合には、一定区画内におきます統計を集めていくわけでありまして、地方都市等には旧来の古い家賃もあるというような点もありますし、これを全国平均にいたしますと、相当な低い数字になるということもございます。また先ほどお話のございましたように、たとえば企画庁において消費者物価の統計をとる場合には、消費者家庭の家計簿の調査を委嘱いたしまして、そういうものを出してもらって、一応集算いたしまして、そうしてこれらの統計を出しております。むろんこれらの統計のとり方が、十分な費用をかけて、そうして相当広範囲に整備をして参りますことは、これらの統計数字を正確にして参るため、また実態に即するようにして参るために必要だと思うのでありますが、現在までその意味においては、やはり努力は相当いたしておるつもりでございます。ただお話しのように、こうした数字というものは一つの大きな流れの傾向を察知するためにあるわけでありまして、これをどう扱っていくかということは、これは政治の問題になるのではないかと思うのでありまして、そういう意味において、われわれとしては、できるだけ詳細な統計をとるように今後とも努力して参ります。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 全国どんないなかの都市へ行っても、一世帯四人もしくは四人半の人が住むのに七百九十三円の家賃の家があるとすれば、おおよそそういう考え方で政策をお立てになるとすれば、これは大へんなことだと思うのです。だから先ほど申しましたように、単なる平均数字ではだめなんです、低所得階層は生死の境に住んでおるのだから。そうでなくて、ほんとうに低所得階層が幾らの家賃なら住めるかという問題を実際に即してやらないと、単なる平均の数字を出されたのでは、これはやれっこないのです。だから、いやおうなしにそこに犯罪も出てくれば親子心中も出てくるということになる。こういうような数字は、一属僚の書くことでありますから、私はこの問題だけを取り上げるわけじゃありませんけれども、少なくともこういう政府の機関誌に麗々しくこういう数字が載っているということは、他は推して知るべし。そういうようなラフな考え方でやられたのではたまったものじゃないというのがきょう私の言いたいところです。  そこで時間も一時間しか持ち時間がないそうでありますから、あまり詳しく伺っておれませんので、さっそく今度の予算書の数字の問題へ入って参りたいと思うのであります。今申しましたように、物価の値上げの影響というものは、これは私は、低所得階層としましては非常に大きな痛いものとなっているということを考えるのでありますが、先ほども厚生大臣は、大幅なアップをいたしましたから、それでやれるというように考えておるということであります。生活扶助基準を今度の予算で五%アップされた、このアップされた五%というのでもってこれは妥当だとお考えになっていられるようでありますが、どういう基礎数字の上にこの五%というのを出されたか伺いたい。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 御承知のように、生活保護の基準は、単なる物価の変動だけできまるべきものではないと思うのでございます。もちろん物価も重要な要素をなすわけでございますけれども、それだけでこの基準をきめるわけのものでないことは、長谷川さんもよく御承知の通りでございます。本年の四月から生活保護基準につきまして一八%の引き上げを行ないましたわけでございますが、これでもってよほど緩和されてきたと思うのでございますが、その後の物価の状況等を考えてみますと、だいぶ物価に異動がございまして、お話しの通り所得の低い階層においては、つらい思いをしておられる方も少なくないだろう、かように考えまして、年度半ばでございましたが、とりあえず生活保護の基準を五%ほど引き上げることにいたしたわけでございます。本来ならば、通常予算の際に、本格的に調査もいたしまして、この基準の問題は考えなければならない性質のものと考えましたけれども、最近の物価の状況にかんがみまして、とりあえず五%の引き上げを行なった、かようなわけであります。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 年度途中でも五%上げようということにつきまして、その志はよしとしますけれども、しかし先ほどお話のように当初予算で一八%上がっておる。この一八%上げたときのいきさつというのは、当時私も本委員会で質問をいたしたのでありますけれども、当時、前の厚生大臣は最低二六%上げろ、これは最低の線だ、こう言ってがんばっておられたのであります。ところが大蔵省の方ではそうはまかりならぬということで、とうとう一八%アップということになったのであります。その一八%アップの予算が本院に提出されたのは一月でございますから、そうするとこれは私も先ほど当初予算の予算書を調べてみたのでありますけれども、その予算書の付録に消費者物価指数というものが出ておりますが、これが多分計数の基礎になっておるのでしょうが、それは昨年の十二月の数字なんです。そういう前後の事情を考えますと、これは昨年の十二月の消費者物価指数というものを大きな計数の基礎にいたしまして、先ほどのような三十六年度の物価の見通しをもとにされたものに違いない、それで差しつかえないと思います。そうすると、昨年の十二月からその後の物価の趨勢というものを考えて参りますと、先ほど申し上げましたように三十五年の十二月、これは全都市の指数でありますが、十二月が一〇八・八、いただきました資料によりまして三十六年の八月を見てみますと一一六・二、全都市で七・四%上がっているのであります。また経済企画庁と立法考査局で出されております「日本経済指標」の今度のものを見て参りますと、消費者物価指数東京都八月を見ますと三十五年平均が一一〇・三、これに対しまして三十六年七月が一番最後のデータとして載っておりますけれども、これが一一七・七、ここでも七・四%の上昇をいたしておるのであります。でありますから、この七・四%をどちらから推して参りましても上がっておりますのに、それを今回五%アップで済ましたというのはどういう理由であるか、これを厚生大臣に伺いたい。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 ただいまもお答えを申し上げましたように、生活保護基準の中で物価というものが重要な要素をなすことは、申すまでもないことでございます。ただ、そのときそのときの上がり下がりによって、すぐにこの生活保護基準を変えるというのもいかがであろうかと考えるのであります。今年はただいま申しましたように、一八%の引き上げを行なっておりますし、また来年の予算の際におきましては、正確な資料をなるべく集めまして、この基準引き上げ等についても検討をいたすつもりでございますが、その間におけるとりあえずの措置として、大体五%程度ということで引き上げを行ないましたようなわけでございますので、御了承いただきたいと思います。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 それでは物価がそれだけ上がっていっておるのに、そして先ほどちょっと申し上げましたように最近五ヵ月ばかりの趨勢を見ましてもずっと上がっていっている、それを引き下げなければならぬ。今申しましたように、政府のお出しになりました資料から推して参りましても七・四%東京にしろ、あるいは全都市にしろ上がっているのに、それを引き下げなければならなかったというそのファクターは何でしょうか。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 特別のファクターはございません。最近の状況にかんがみまして、まずとりあえずのところ、この辺で一つごしんぼうを願おうというつもりでやったわけでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 私はそこに問題があると思うのです。資本主義政党の政治の下では貧乏人はひどい目にあうということだけで済ませないと思うのです。どう見ても、ちゃんと政府のお出しになった資料を推していって、今回予算委員会でいただきました資料を推していって、東京都でも全都市でも七・四%物価が上がっているのに、それを引き下げなければならぬファクターというものは別に今ないのに、どうして五%アップにされたのか、この点が全くのみ込めないのです。そういうことになりますと、低所得階層というものはここで実にひどい目にあうじゃないか、先ほど申しましたようにたまったものじゃないということになるじゃないですか。この点は一体どうなっておるのか、大蔵大臣、この点はどうお考えになっておりますか。予算の責任者は大蔵大臣だから……。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 この点のいきさつを申しますと、実は申しわけないのですが、私は国際会議に出る前に生活保護基準の引き上げだけをきめまして、そうして何%上げるのがいいかということは、関係官庁で相談するということで出かけていきました。帰ってきてこの間のいきさつの報告を受けましたが、月別の物価の上昇ということにはいろいろあると思いますが、先ほど企画庁長官から言われましたように、昨年度に比べて本年度の消費者物価指数というものが大体四・七%上がっている、こういう政府統計がございますので、これに基づいて五%の引き上げをやったという報告をけ受けておりますので、それでは私も妥当ではなかったかと思っている次第であります。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 今伺ったように、七四%物価が上がっている、これを引き下げて生活扶助基準というものをきめなければならぬという理由は何もほかにない。にもかかわらず、七・四%上がっているのに五%でこれを済ませる、こういうことになりますと、生活扶助を受けている人々は、それだけ苦しい生活をしてよろしい、当然すべきである、こういうように今の政府が考えていると見なければならぬのでありますけれども、そうなると貧乏人は麦を食えどころの騒ぎじゃない、貧乏人は腹をへらしておれということになる。すでに生活保護法の問題では例の朝日判決というのがあって、政府は憲法違反をしておるのだという判決を受けたのであります。政府が憲法違反をする。しかも民主主義社会における根本である国民の生命を守る、その最低の生存権を確保する点において憲法違反をあえてするというならば、これは大へんなことであると思うのであります。この予算を見まして私どもはどうしても納得できないのは、その重要な問題の一つはここにあります。それでは五%で妥当だというように今おっしゃいましたが、妥当でないと私は思うのだが、大蔵大臣、その点変じゃありませんか。今妥当だと思うというようにお答えを聞いたと思うのでありますが、七・四%上がっている。これを引き下げるべきファクターはほかに何もない。それなのに生活扶助基準は五%上げておけばいいのだ、それで妥当だということにならぬと思いますが、大蔵大臣のおっしゃったのは私が聞き違えたのでしょうか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 この四月から一八%引き上げをいたしましたが、これは当時官公吏のベース・アップの率を見ましても、私どもは低所得者層への基準引き上げということを相当いろいろ考量した結果一八%、ただしそのほかに住宅の問題、教育の問題、いろいろございましたから、予算措置としては二〇%引き上げるということで今年度の予算を組んでございますが、その後またベース・アップも今度のようにございました。これらを入れましても、大体生活保護階級の引上率も官公吏のベース・アップと引き合っておるという一応の数字にはなりますが、しかし低所得者層は特にその率よりも多い引き上げをやるのが実際上妥当だということから、物価高の分だけは暫定的にも、本予算を待たなくて中間でも上げるという方針を政府は立てました。そうすると、物価分に引き合う分がどのくらいでいいかという問題でありますが、統計の立て方はいろいろあると思います。政府の企画庁の統計から見ますと、昨年度に比べて本年度の消費者物価は四・七%上がっているという政府統計でございますので、大体これに準じた措置をとったということでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 どうしてもそれは納得がいかないのですよ。一八%四月から上げたというけれども、それは昨年の十二月以前の物価というものを基礎にして計算をしてあるわけです。ですから本来いえば、本年の一月一日から一八%上げるべきなんです。ただ予算審議の関係等があって四月から上げたにすぎないのです。本来は基礎の数字は十二月以前の計数であります。でありますから、それは一月一日から上げる、それを四月から上げた。そういうように一八%上げた基礎を深く掘って参りますと、それから七・四%上がっているのだから、それを五%アップというのは変じゃないですか。今、教育とか住宅とかいっておりますけれども、それは建築の木材の値上がりその他の基礎の単価を上げていったということでございましょう。生活扶助に何もそれは入っていないでしょう。生活扶助の方は、物価だけを見てもそうだ。物価以外にそれを引き下げるべき、何らこの人々に生活上においてよくなったというファクターはないと言っていい。だから貧乏人はどうなってもかまわない、こういうことならいいけれども、先ほど申しましたように、すでに憲法違反の判決を受けておる生活扶助です。なるほど一八%上げるという大幅なことをおやりになったのでしょう。けっこうなことです。けれども今またここでせっかく一八%お上げになったものを、また実質的収入ではうしろへ後退させることになるじゃないですか。池田内閣の諸君はそれを認めていいのですか。自民党の皆さんも認めていいのですか。われわれは断じてこんなことは認められませんね。だからすみやかに五%というのは訂正すべきです。これは五%アップを訂正すべきです。これはすみやかに今後の見通しも含めて、少なくとも一〇%は引き上げるということを当然考えなければならぬ。こういうようなことをしてきて政府の政治の失敗を、国民の一割の非常に気の毒な人々に押しつけようとする。非常に不届きな政治だと思うのです。こういう予算を私どものむことはできない。そうじゃありませんか。主計局長からでもだれでもけっこうです。これはどこから出てきたのですか。訂正なさるべきだと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 去年の四月−八月間の消費者物価とことしの四月−八月間の消費者物価を比較しても、五%前後になる。それから季節的な要因を多く含むときから一定の期間というと狂いますが、企画庁のように年平均でくる物価のとり方をしますと、昨年と今日では四・七%の物価上昇ということになる。大体去年の四月−八月とことしの四月−八月を比較するということと、年平均という両方からいって五%前後が妥当だという結論になったということであります。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 先ほど来から口をすくして言っておるように、低所得階層の問題を考えるときには、そういう考え方ではだめだと言っておるのです。低所得階層は生き死にの境で生活しているのですから、引っ込めば栄養不良になるか、ある学者が計算したように、生活扶助の金だけでもし生活をしておれば、そのお母さんから生まれた子供は、お母さんよりも能力の低い子供が生まれるという原則になるということなんです。それをさらに追い詰めてはいかぬじゃありませんか。人道の問題です。日本の民主主義の根本の問題です。憲法違反の問題です。私はそういうことじゃいけないと思う。ことに先ほども企画庁長官が言われましたけれども、また永井君の質問に対しましても、今後若干の値上がりを続けると思うが、と言っております。それではなおさらこの問題については、もし今日の池田内閣の政治というものが、国民に対する血の通うようなあたたかい配慮というものを持っておるならば、先を見通してさらに大幅に上げるべきじゃありませんか。ほかのものはともかくとして、これだけは私は当然やっておくべきだと思う。そうじゃないでしょうか。このままでいけば、先ほど来申しておりますように、これは生活扶助を受けております被保護者、要保護者というものに、さらにひどい生活をしろということを、あなた方の政治の失敗から、その失敗をこの諸君に塗りつけるのだといっても差しつかえない。肩がわりさせるのだといっても差しつかえない。こういう政治はいけませんよ。けれどももう私は時間もありませんから、もう少し先に進んで伺いたいと思います。  一体生活保護の人員数は、この傾向の中でどういうようになっておるのですか。ふえるのか減るのか、どういう傾向になると思われますか、厚生大臣から伺いたい。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 詳しい数字等になりますれば政府委員からお答えいたしたいと思いますが、私の承知いたしておりますところでは、生活扶助を受ける世帯は、大体近来横ばいの状態を続けておると存じます。今後の景気の変動によりまして、あるいは変化を生じてくるかもしれませんが、ただいまのところでは、大体横ばいの状態と申し上げてよいと思います。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 いただきました資料によりますと、三十五年度の低消費水準の世帯の人口は八百二十五万人です。その中で生活保護を受けている者が大体百六十万人前後だと思うのですけれども、その生活保護を受けておる者の外の、いわゆるボーダー・ライン層と呼ばれておる数、その人々に対する保護的な、その生活を保護するような解釈が少しも今度の予算には載っておらぬが、これはどういうわけでしょうか。何か載っておりますか。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 生活保護世帯外にあるいわゆる低所得層に対する対策の問題でございますが、これは一般的に申し上げますれば、厚生省だけで片づく問題ではないと思います。産業、経済その他に対する施策というものが進んで参らなければならぬ、かように考えておる次第でございます。厚生省の関係から申しますと、これらにつきましては今回の補正予算には入っておりません。もっとも基準が上がることによって、あるいは多少これにひっかかる向きも出てくるかもしれませんが、別に格別の施策としては入っておりません。ただこの低所得者に対する対策については、実は長谷川さんも御承知のようになかなかむずかしい問題でございまして、頭を悩ましておるところでございますが、これにつきましては、御承知のように民生委員の活動を促しまして、これを中心としたいわゆる世帯更生運動を推進して参る。あるいはこの運動の一環といたしまして、世帯更生資金の貸付制度に対する資金量の確保とか、その内容の拡充とか、また母子福祉資金制度の拡充強化であるとか、近ごろ設けております心配ごと相談所の増設でありますとか、あるいは公益質屋の増設でありますとか、授産施設の増設、あるいは家庭授産制度の創設、こういうようないろいろなことをやって、何か事故があれば生活保護世帯に転落するおそれのあるような方々に対しまする努力をいたしておる次第でございます。   〔青木委員長代理退席、委員長着席〕

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 私は先ほど来申しておりますように、低所得階層に対する政策の失敗のしわ寄せというものがひどいものだと考えれば、この生活保護を受けると同程度の生活しかできておりませんところのこのボーダー・ラインの——政府の統計で毛六百五十万人、事実はその倍もありましょう。六百五、六十万人のこの人々に対する政策というものが、今度の補正予算に当然出てこなければならぬ。それが何ら出てきておらぬということを考えますと、これまた遺憾しごくだといわなければなりません。幸いにいたしまして今日繰り越しの財源もあるようでございますし、来年度に使うべきものが四、五千億円はある、こういうふうに伺っており、また総理大臣もこれに対しましては社会保障、文教政策、公共投資等に使いたいというお話があり、減税をやりたいというお話があるようであります。少なくともこの人々に希望を持たせるために、来年はこの低所得階層に対する対策を、新しくあるいは今までに増してどういう対策をとろうとするか。たとえば税金の問題では間接税——新生程度の安たばこだとか、二級酒とか、あるいは合成酒とか、しょうちゅうとか、ビールとか、こういうようなものは当然値段を下げて、この人々のせめてもの楽しみ、慰安というものを増してやるべきであろうし、入場税も少なくとも二百円以下ぐらいのものはやめるべきだ、こういうようにも考える。所得税の基礎控除も当然もっと上へ上げるべきだ、児童手当等も考えなければならぬだろうし、年金対策も当然一歩進めなければならぬ。教科書の無償配付も当然やらなければならぬ。あるいはまた世帯更生資金貸付のワクをふやす、医療費貸付のワクをふやす、結核や精神病入院治療費の全額を国庫負担にする、こういうような対策というものは当然どんどん進められなければならぬ、こういう点についてはどういうようにお考えになっておるか。もうすでに大蔵省と折衝している段階でありますから、どういうようにお考えになるか、経済企画庁長官、大蔵大臣、厚生大臣の御所見を承りたいし、またついでに、労働大臣がおいでのようでございますから住宅対策、これまた低所得階層にとりましては非常に大事な政策である。住宅対策がこの六月から開かれましたILOの総会におきまして、労働者の住宅対策を立てる、推し進めていく百十五号という勧告が採択されましたが、この批准は一体どうするつもりか、これらのことを一括して方針を各大臣から承りたいのであります。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 先ほども申し上げましたように、ボーダー・ライン層にある方々に対する施策は、政府全体としていろいろな施策を講じて参らなくちゃならぬと思うのであります。お述べになりましたようなことも、確かに検討を要する問題だと考える次第であります。私どもの所管に関します事項につきましては、先ほど現に低所得層に対する対策としていろいろなことを申し上げましたが、これらの施設をさらに拡充強化いたしまして、できるだけかような層にある人たちの援助をいたしたい、さように考えている次第であります。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 ただいま長谷川さんは、批准という言葉をお使いになりましたが、勧告でございますので、批准の問題はございません。しかし今年第四十五回の総会で採択されました御指摘の百十五号勧告は、これは非常に詳細なものでございますけれども、私どもはおおむね妥当なものとしてこれを尊重していきたいと存じます。この勧告の中の文字そのままをとりましても、「国内条件に基づきふさわしいと認められる方法で」というような表現等もございますので、わが国の実情に即応した方途において適切な推進をはかっていきたいと存じます。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 私の方は、税の部門におきましては、今おっしゃられたような間接税の問題は検討中でございます。また教育面における低所得層児童対策というようなものにつきましても文部省、そのほか福祉施設児童手当というような問題につきましても厚生省からの予算要求は出ておりますので、なるたけこういう政策を推進する方向で今予算の査定に取りかかっているところでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 まだ伺いたいことが三分の一ばかりしか進みませんで、あとだいぶ伺わなければならぬのでありますが、同僚議員諸君が私の質問に関連いたしまして、災害問題で関連質問をしたいということでございますので、これに譲ることにいたしまして、残余は社労委員会その他でまたお伺いすることにいたします。

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 田中織之進君。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 ただいまの長谷川委員の質問に関連をして、今回の補正予算の重要な特徴をなしておる災害関係の問題について若干お伺いをいたしたいと思うのであります。  手元にいただいた資料によりますと、昭和三十六年八月までの災害復旧事業費の査定額調査が出ておるのでございますが、これによりますと、八月までの発生災害につきまして査定事業費の見込額が総額で八百八十五億七千九百万円、それに対する国費の所要見込額が六百六十八億九千万円、そのうち三十六年度の所要国費見込額が百八十四億七千八百万円、こういうことになっておるのでございまするが、これではかりに八月までの災害といたしまして災害復旧について従来から災害発生の年度三、次年度五、第三年度二の三・五・二の比率で参りますとしても、これでは二割五分になるかどうかという点でございます。八月までの災害でこれから年度末までに相当復旧事業をやる期間が残っておるにもかかわりませず、百八十四億程度しか見込んでいないという点は、三・五・二の比率の三に当てはまらないと思うのでありますが、なぜこういうような内輪の見積もりをなされたのかという点が第一点。  それからこの予算におきましては、政府から出された資料にもあります通り、八月までの災害が主に予算的な処置を講じられておるのであります。八月以降に起こりました第二室戸台風の問題につきましては、まだ災害の調査あるいは査定等が行なわれている段階でありまするから、この補正予算には出てこないのは当然かもしれませんけれども、それらの処置につきましては、たとえば予備費の支出であるとか、あるいは今後災害特別委員会において特別立法等が行なわれて参りますると、勢い今度の補正予算では十分まかない切れない。今度の補正予算にも、災害等の関係で予備費も食いつぶしましたので、新たに予備費も計上されておるようでありますけれども、この八月までの災害につきましても一部補正予備費を使用する予定であるというただし書きがつけられているような形で、とうてい補正に盛られた程度の予備費では、第二室戸台風及び今明日にも接近すると伝えられるような新しい台風に伴う被害についての処置を講ずるわけには参らないと私は思いますが、これらの点について大蔵大臣なりあるいは官房長官から、総括的な第二室戸台風に対して政府がとってきている処置及びこの関係から見て三・五・二の比率に当てはまるだけの予算を計上しなかったことについての理由を、まず明らかにしていただきたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 私どもの計算では、大体この比率でやっていくに支障を来たさないという見込みで予算を計上してございますが、災害問題は金がないからこれは内輪にするとかいうものではございませんで、昔からの例によって、必要な経費は優先的に私ども出しておりますので、足らないという場合には足らない措置はとりますが、今のところ従来の例から見ましても、大体この程度の予備費の準備をしておいたら、今使い残りの予備費も相当あるところでございますから、合わせて間に合うのではないかという見込みで計上したのでございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 それにいたしましても、政府から国会へ提出されました資料で所要国費が六百六十八億九千万円、それに対する三十六年度の所要国費の見込み額として予算に計上したものが百八十四億だということでは、六百六十八億に対する三の比率をかけますと、ざっと二百億になるわけです。その点から見てもやはり二十億足りないのです。しかも私が申し上げるのは、これは皆さんが国会へ提出されたように八月までの災害でございます。八月以降のたとえば大阪府だけで千五百億、私どもの和歌山県で三百八十億、こういうような一、二の例をとりましても、今までの災害にも匹敵するような大きな第二室戸台風の問題については、もちろん予備費なりあるいはつなぎ融資なり、そういうような処置は講じられておると思いますけれども、予算的な関係についてはまだこの補正予算では明らかになっておりませんので、その点はどうされるかという点を伺っておるわけであります。   〔委員長退席、重政委員長代理着席〕

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 この予算を提出する前に、もうすでに相当の予備費支出をしておりますので、そういうものを入れて、大体私どもの計算ではこの程度の措置で間に合うのじゃないかというふうに考えております。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 それでは被災地の諸君は現内閣を信頼しないと思うのです。閣僚のうちで、本日はおられませんけれども、災害地に関係のあるのは国務大臣の三木武夫君だけなんです。伊勢湾台風のときには罹災地の関係の閣僚諸君もずいぶんとおられましたし、益谷副総理が災害対策本部長として現地へ参られまして、政府は口を開けば各県からの陳情等に対しましては、伊勢湾台風と同じような処置、少なくともこれを下らない処置を講ずるとかけ声だけはおっしゃいますけれども、ただいまの大蔵大臣の答弁では、具体的にそろいう措置が講ぜられておらないということを証明したような形で、きわめて不満足でございますが、私の与えられた時間はきわめてわずかでございますので、以下具体的な問題について若干質問を申し上げます。  次に質問を申し上げたい問題は、大阪湾及び紀州灘等を中心といたしまする今次の第二室戸台風で現われて参りました高潮関係の災害にかんがみまして、ちょうど伊勢湾台風の際に伊勢湾等高潮対策という形で建設、運輸、農林の三省が特別に協議機関を持ちまして、国会におきましても特別立法がなされたのでありますが、今回やはり大阪湾の事例をとりましても、今回の高潮はOP四・二メートル、これは第一室戸台風の場合はOP四・五メートル、またその間にありましたジェーン台風の例で申し上げますと三・八五メートルということになるわけでありますけれども、今度は第一室戸台風よりも〇・三メートル低い高潮であったにもかかわりませず、その後まず五メートルということを目標にして行なわれましたところの高潮対策の海岸堤防が、それよりも〇・三メートル低い高潮で、大阪は御承知のように相当部分に浸水を見ておるのでございます。これはどういうことかと申しますると、一つには地盤沈下が引き続き行なわれておるということ、その地盤沈下が行なわれる大きな問題といたしまして、すでに各省へも陳情が行なわれておるように、市街地における地下水の積極的なくみ上げの理由があげられておるわけでありますが、その点については後ほど伺うといたしまして、これらの原因を考えまして、この際思い切って大阪湾、またこれに入りまする紀州灘等を含めまして、高潮対策についての抜本的な対策を講じない限りには、明年の災害を待つまでもなく、今夕から明朝にかけてこの付近に押し寄せるかもしれないという二十四号台風によっても、再び先般の十六日と同じような被害を受けるおそれが十分にあるのでありますが、これらの問題につきまして、この関係は運輸、建設、農林の三省にまたがる問題だと思うのでありますが、すでに自民党の近畿の関係議員諸君によって作られておる近畿経済振興議員会議の方からも、政府に数日前に要望がなされておるはずでございますが、この点についてはどういうように処置されるお考えであるか、この際伺っておきたいと思うのであります。私どもの希望といたしましては、少なくともOP五・五メートルの高潮に耐えるようなかさ置きを、この際今度の災害復旧の問題として行なわれなければ、来年度の台風というものを待たずに、これからまだ押し寄せるかもしれない台風にも、重ねて被害を受けるような結果になろうかと思うのでありますが、この点に対する関係大臣の明確なる御所信を伺いたいと思うのであります。

重政誠之自由民主党

○重政委員長代理 田中さん、建設大臣は間もなく見えるそうですか、建設省の政府委員の河川局長が見えておりますから、その答弁を聞かれますか。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 いずれにしても、何か聞かないことにはあとの……。

重政誠之自由民主党

○重政委員長代理 山内河川局長。   〔「答弁」「いないじゃないか」と呼ぶ者あり〕

重政誠之自由民主党

○重政委員長代理 ちょっとお待ち願います。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 私、建設、運輸、農林の三大臣のどなたからでもお答えをいただきたいと思うのでありますが、運輸大臣もおられますが、大阪港の問題、それから今八幡製鉄を初めといたしまして、大きなコンビナートの建設が行なわれておる堺港の問題、住友金属を中心とする大きな製鉄コンビナートがすでにできておる和歌山港の三つを例にとりましても、これは運輸省関係のいわゆる港湾について、大阪港と同じような被害が起こっておるのでございます。さらに、大阪府の和歌山寄りの沿岸の漁港、和歌山市から田辺、潮岬にまで参ります沿岸の——これは農林大臣の所管でありますが、漁港が、いずれも私が今申し上げましたような、第一室戸台風よりは〇・三メートル低いのでありますけれども、ジェーン台風よりも〇・三メートル程度高い、いわゆる四・二メートル程度の高潮によって、現在のものは大体五メートルを目標にこしらえた堤防でありますけれども、地盤沈下のために、四一五メートル程度の今度の高潮で、相当な被害を受けているわけなんです。私は、これらの問題につきましては、政府は口を開けば伊勢湾台風と同じような形で処置をするということをおっしゃられながら、まだ、この大阪湾等の高潮対策の問題に当たっておられます運輸大臣も農林大臣も、何ら御相談なさっておらないというような点は、関係閣僚の中には、近畿の関係の人がおられません。四国の徳島の三木さんだけがおられるわけでありますけれども、どうも私は池田内閣として、第二室戸台風に現われて参りました災害対策の問題について、熱意がなさ過ぎると思うのです。建設大臣も、わざわざ和歌山、大阪等を視察せられておるわけでありますから、私は何らかこの対策についてお考えをいただいておられると思いまして、御出席を要求しておるのでありますが、おらないことは非常に遺憾であります。河川局長から事務的な答弁をするからということを委員長からおっしゃられますから、待っておるけれども、それもまた答弁がない。そんなことで一体どうするのですか。みな罹災地の人は私の質問を聞いておりますよ。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○中村国務大臣 党の本部に用事がありまして行っておりましたものですから、遅刻をしまして恐縮でございます。  大阪の高潮の災害につきまして、私も現地をつぶさに、短時間でございましたが視察をいたしたわけでございますが、ごらんの通り、かつて施行いたしました相当な高潮防御の防潮堤ができておるのでございますが、一帯にわたりまして相当の地盤沈下が起こっておりますので、せっかくございます防潮堤が、その効用をはなはだしく失っておりますのが現状でございます。一部分につきましては、昨年来大阪府とも協議いたしまして、府で一応仮設のかさ上げをいたしたところもあるのでございますが、仮設のかさ上げのできておりますところは、被害をこうむらなくて済んだ地域もあるようであります。いずれにいたしましても、地盤沈下を防止する方策と相並行しまして、現在ございます防潮堤をかさ上げいたしまして、さらに増強する必要性がきわめて緊要な現状に相なっておることを、われわれもよく承知をいたしておるわけでございます。従いましてわれわれとしましては、この二つの方策を強力に進めまして、そして今後の災害予防に十分備える道を講じなければならない、かような角度で種々計画を進めておるような次第でございます。もちろん来年度の予算編成に際しましても、この点は財政当局とも十分協議をいたしまして、極力促進をはかって参りたい、こう考えておるような次第でございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 原形復旧では、最近の高潮に備えるわけには参らないという点で、相当のかさ置きをいたしまして、いわゆる平たい言葉で言えば、改良復旧をも含めた意味で徹底的な処置を講ぜられる、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○中村国務大臣 その通りでございます。一ヵ所防潮堤の破壊されたところもございますが、こういうところの復旧はもちろんでございますが、改良復旧と申しますか、改良復旧よりは、今度防潮堤に支障のなかったところにいたしましても、これはかさ上げを急速にやりませんと、今後の災害に備えることができませんので、私どもとしましては、改良復旧よりはさらに一歩進んだ高潮対策としての防潮堤のかさ上げ事業を強力に進めて参りたいと、こう考えております。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 ぜひそういうようにやっていただきたいと思いますし、またこの高潮対策に関連する関連事業に対しましては、補助率につきましても、できるならばやはり三分の二の補助を関連事業の分についてはやっていただきたいと思います。  また関連事業と災害復旧の関係の事業比率の問題について、従来一対一の比率がとられておるのでありますが、今建設大臣がお述べになった趣旨から申しまするならば、災害復旧と関連事業との事業の比率の問題にこだわらないで、人間の生命にまで影響のある問題でございますから、お考えをいただきたいということを申し上げておきます。  なお地盤沈下対策については、先般総括質問の川俣委員の質問に対して何らかの処置を講ぜられることを言明をせられておるのでございますが、建設省の方で、大阪が今直接問題になっておるのでありますが、大阪市を中心にして大体地下水をくみ上げる井戸がどの程度あるかということを調査になったことがございますか。また年間どの程度の地下水がくみ上げられているかということについて調査なさったことがございますか。この調査がなければ、建設大臣が川俣委員にもお答えになったように、今またお答えになったような地盤沈下対策、これのみではありません。地下水のくみ上げだけが地盤沈下ではないと思いますから、地盤沈下対策を講ずる場合の基本的な資料にならないと私は思うのであります。何か建設省の方では資料ございましょうか。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○中村国務大臣 水の量につきましては、なかなかこれは明確に調査は困難なことでございますが、地下水利用の冷房施設を持ったビルは、ほとんど地下水をくみ上げて、しかもこれが放流されておりますので、今後にいわゆるクーリング・タワーを施設をさせて、そして水を環流利用をいたしまして、地下水の利用を規制をして参りたい。水道の間に合いまするところについては、水道の水で冷房施設をするところには負担が多くなって気の毒ですけれども、できるだけ水道によってそれを使用せしめる。水道がどうしてもないところは、くみ上げのパイプなりその他によって分量を規制いたしまして、しかもクーリング・タワーによって環流使用をする、こういう方法によって、今のような沈下を引き続き起こさないように、これを防止するようにして参りたい、かように考えておる次第でございます。今御指摘のございました分量等につきましては、私も手元に明細な資料を持っておりませんが、大阪府及び大阪市としては相当に調査をされまして、すでに府及び市が相協力をしまして、一応の規制的な措置をとってきたのでありますが、これも別段罰則もございませんし、強制力もないものですから、一つの行政的な勧奨方法でありましたので、あまり効果を上げていないようでございます。そこでやむを得ませんから、われわれの方としましては、今申し上げたような角度で規則措置の立法をいたしまして、法制上これを規制することのできるような制度をできるだけすみやかに作りたいということで、目下立案作業を続けておるような次第でございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 高潮対策の工事に積極的にかかっていただきますと同時に、地盤沈下対策の意味で、地下水くみ上げの規制立法についても、まあ今国会に出してもらえるかどうかということを伺うのも会期もきまっておる国会でありますから無理かと思いますけれども、できるだけ早く通常国会の冒頭にでも出せるように作業を進めていただきたい。私どもが大阪府からいただいた資料によりますと、大阪市だけで地下水をくみ上げている井戸が千本、そのくみ上げておる水は年間八千万トンに上るのではないか。これは推定数字でありましょうけれども、実に驚くべき数字に達しておるのであります。これが防潮堤等の地盤沈下の大きな原因になっておるし、中之島地区のようなビル街が今度非常な浸水を見ておるというような実情にもかんがみまして、この点は両々相待って災害防止ができまするように急速に御処置を願いたいと思います。  それから次に、今度の災害は貧乏災害というか個人災害が非常に多いというところに、公共災害の関係、国が負担する部分が比較的少ないというところに、先ほど建設大臣がおいでになるのがおそいものですから多少文句を言ったようなわけでありますけれども、特に零細階級の住宅が、今度は風水害というよりは風害という関係でひどくやられでおるのでありますが、この応急仮設住宅の建設並びに補修戸数の限度、これについてはぜひ一つ拡大をしていただきたいと思います。それから災害の公営住宅に対する国庫補助率を現行の三分の二から四分の三程度に引き上げてもらえないか。あるいは滅失家屋二百戸以上の場合にこれが全戸数の十分の一という激甚地指定がございまするが、これを緩和していただくわけには参らないかというようなことが近畿の各災害府県共通の要望になっておるわけであります。私どもの和歌山県等は全県地域に災害救助法が適用されたのでありますが、激甚地指定の従来の混合方式によりますると、わずかに十九ヵ町村が入るか入らないかというような関係でございまして、この点も住宅関係のみならず、ほかの小規模の災害の復旧の問題について頭を悩ましておるわけであります。具体的な点は災害対策特別委員会で御相談を申し上げたいと思うのでありますが、こういうような点については、伊勢湾台風のときのように長期湛水というようなファクターが今度はないわけなんです。その点から見まするならば、従来の混合方式から参りますと、激甚地として高率補助をいただけるというような関係の手が伸びなくなる危険性があるのでありまするが、この点については御考慮がいただけるものかどうか、この際承っておきたいと思います。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○中村国務大臣 今回の災害に対しましても、御承知の通り、伊勢湾の際と同じような住宅災害に対する特別立法をすでに国会に提案をいたしておる次第でございますが、これによりますと、一定の水準以上の激甚市町村に対して、あるいは府県に対して高率の補助を行なうということになっておりまするので、災害は受けたけれども、この高率補助の特別立法の恩典に浴しないという地域は確かに出てくるわけでございますが、   〔重政委員長代理退席、委員長着席〕しかしながら、これは従来もそういうやり方できておりまするし、今後も全国的にいろいろな災害が起こりまする場合のさばきようといたしまして、一応提案を申し上げておるような制度でさばいていく以外にはないと私ども実は考えておるわけでございます。しかしながら、他面住宅金融公庫の災害住宅の復旧、復興に対する融資の制度がございまして、これも今のところ相当量のワクがございますが、なお足りません場合には、予備費からお願いをいたしましても、できるだけその需要に応じて参りたいと考えておる次第でございます。これらの手続並びに内容につきましては、努めて住宅金融公庫及び私の方の役所の係官を現地に派遣をいたしまして、災害地につきましては普及徹底をはかり、手続のできるだけ迅速化をはかるように努力をしております次第で、この資金を活用願える方々にはぜひ一つこの資金の活用を願って、これも現在のところでは、一戸当たり三十二万円という限度がございます。あるいは修繕に対しては十六万円という限度がございますが、極力活用をしていただいて、災害の復旧に資していただきたい、こう思って、せっかく実は皆さんの災害地域の方々の十分な認識を持っていただけるように、普及方法を講じておりますような次第でございます。今後とも、まだ行き届かない点がございましたら御注意をいただきまして、われわれとしては関係方面を大いに督励をして、遺憾なきを期して参りたいと思っております。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 住宅金融公庫等の融資を受けて、個人で補修あるいは建設できるものはいい方でございますが、そういうものができない、先ほども申し上げましたように零細階級の低所得者層が、ほとんど全壊家屋の被害者の大部分であるというような状況から見まして、応急仮設住宅あるいは公営住宅というようなものに対する期待が非常に大きいわけでございます。ところが御承知のように建設資材、労賃等の値上がりの関係で、応急仮設住宅等の入札等を行ないましても、なかなか請負業者が落札をしてくれない。こういうような実情にあるようでございますが、この際応急仮設住宅について単価を三万円程度まで引き上げる。あるいは補修費につきまして坪当たり単価を、これまた三万円程度に上げていただく、あるいは公営住宅については坪当たり四万円程度までの引き上げが行なわれないことには、いたずらに戸数をふやしていただきましても、実際にそれだけの戸数の家が建たないという現状ではないかと思うのでありますが、この物価騰貴あるいは労賃の値上がり等の関係は、その他の応急工事の問題についても労賃の問題に関連して問題になっておるようでございますが、この点はいかがでしょうか。今後の単価の決定、予算の積算の基礎という場合に御考慮いただけるものかどうか、この際伺っておきたいと思う。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○中村国務大臣 お答えいたします。  応急住宅につきましては、厚生省が災害地域全般にわたりまして検討をされ、熱心にお進めをいただいておるわけでございますが、私どもの方の所管いたしまする公営住宅につきましては、今度の補正予算に組み込んでいただきました単価是正をしていただきまして、木造につきましては大体二割近くの増加になっておるかと思います。これだけの補正が認められましたので、われわれとしましてはいろいろな設計等の工夫をいたしまして、実施のできまするように地元の各府県と連絡をいたしまして進めて参りたいと思っておるわけでございます。できるだけ、災害地の災害住宅復興につきましては災害公営住宅の制度を活用いたしまして、居住者の方々に御不自由のないように極力努力をして推進をしていきたいと存じます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 私に与えられた時間が超過いたしましたので、あと自治大臣に一問と農林大臣に一問とを申し上げまして、私の質問を終わることにいたします。  自治大臣に対しましては、公共土木、公立学校施設の単独災害に対する起債の償還にあたっての利子補給の問題についてどういうようにお考えをいただけるのか。できれば伊勢湾台風のときと同じように利子補給をしていただきたいと思うのでありますが、伝え聞くところによりますと、あの場合の起債の償還に関する利子補給の特例に関する法律の二条が、今度の場合には削除になるというような関係で、この公立学校施設等の単独災害に対する起債を仰ぐ場合に、この利子の問題がやはり市町村の府県の相当な負担になることが心配せられておるのでありますが、この点について自治大臣はどういうようにお考えか。できるならば、交付税で見るというようなことではこれは十分ではありませんので、特別交付税等の別ワクで見ていただくか、さもなくば伊勢湾対策の場合の特例のようにやっていただきたいと思うのでありますが、この点に対ける自治大臣の御所信を伺いたい。  それから、時間がありませんのであわせて農林大臣にお伺いをいたしますが、今度は、先ほども申し上げましたように風害というよりも、塩害、潮害が相当あるわけであります。この点は、災害地へ行っていただかなくても、銀座の並木があの台風のあおりですでに紅葉ならぬ——葉っぱが枯れてきているので大臣もおわかりだと思うのであります。この関係が、私の和歌山県あるいは淡路等の柑橘に——徳島県等もございますが、こういう葉っぱの伴う果樹に非常な被害を及ぼしておるのでありますが、この点から見まして、昭和三十三年でございましたか霜害被害に対する補助の特別措置が講じられた例がございますので、この場合に準じた何らかの御処置を願えないかどうかということ。それから、これらの果樹につきましては、奈良県あるいは大阪府の一部、京都府等もそうでございますが、柑橘あるいはカキ——ナシは若干時期が過ぎたころであったのでありますが、そういうような本年度の果実のみならず、根っこからかなりゆすぶられておりまする関係から、この樹勢の挽回のためには少なくとも二年、三年というような長期の期間を要するのではないかと思うのでございます。そういう点から、これは天災融資法あるいは果樹振興法等の既存の法律もございますけれども、それらについて特別検討を加えていただきまして、長期の融資あるいは補助というようなことについて特別な考慮が願えないかどうか。これは自分の県の特殊産物であるという関係だけでなしに、果樹地帯は関西にも相当ございますので、その意味で、農林大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。  なお、その場合に、梅について、天災融資法においてお考えをいただけるかどうか。この点も大臣の所管で、こまかい問題ではありますけれども、この地域の農民といたしましては、これらの果実の収入が唯一の収入であるというような実情にかんがみまして、お考え置きをいただきたい。この際御所信を伺っておきたいと思うのであります。  以上をもって質問を終わります。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 今回の二回の災害に対しまする特例措置といたしましては、実は農地の小災害及びそれに付帯した災害に対しては、特例法案を出しておりますが、ただいま御指摘の単独の土木小災害につきましては、特例法はただいまのところ出しておりません。しかしこれは、実は自由民主党におきましても、災害対策委員会でいろいろ御検討を願っておるわけで、その結論を待ちまして私の方では善処いたしたいと思っております。全体の災害復旧につきましては、九十億の起債ワクの拡張をいたし、そして必要な元利保証の措置もいたすようにいたしておるわけであります。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 お話しのように、今度の災害が近畿一帯、さらに新潟方面のくだもの類に非常な被害を与えましたことは、御指摘の通りでございます。ところが、何分従来まで、くだもの類に及ぼす被害があまり少のうございましたので、その点に触れた従来の前例等も少ないわけでございます。天災融資法で特別にこれを考慮するとか、ないしはまた一時的に回復の肥料代の補助をする程度以上のものはないわけでございます。私どもとしましては、この際は今のようなことでできるだけ御協力申し上げるよりほかに仕方ありませんけれども、将来のことにつきましては、わが農業がくだもの類に相当強い意欲がございますので、農業災害等も、災害保険制度等もくだものにどういうふうに将来したらよろしいかということも研究して参らなければならぬということを考えておりますが、何分従来まで、ただいま申し上げたように、そういう点に触れておりませんので、この際は特別に考慮するということはむずかしいのであります。従って、お話しの通り、天災融資法その他の融資をなるべく考慮するという以外にありません。  それからお話しの梅の点は、天災融資法の対象としてこれを考えることはできるということになっておるそうでございます。

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 淡谷悠藏君。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 私は、河野農林大臣に、食管制度の問題に限って御質問申し上げたいと思うのであります。  御承知の通り、今生産者の間にでもあるいはまた消費者の中にでも、今の食糧の統制がどうなるのか、自由米がどうなるのか、非常な不安を持って見られております。河野農林大臣の発言というのは、どうもただの人の発言と違いまして、一言ものを言いましても、台風の目のように大きな衝動を与える。まさにこの食管制度がどっちの方面に向くか、あるいは自由米がどうなるのか、二十四号台風の行方を見守るように、熱心に世間では見ておる。ところが、どうもこの台風の目は、少々あっちこっちぶつかるとみえまして、ときどき方向転換しますので、なおさら混乱を与えることが多い。特にあなたは、農林大臣になられます前に、ことしの四月の中央公論に、こういうのをお書きにならないければよかったんですけれども、非常に大胆な論文を発表されておる。これはかって農林水産委員会でも与党の藤田委員からも若干指摘されましたが、だいぶ遠慮がございまして、徹底的にはつかれなかったようであります。「米と麦」という論文であります。「農村経済の貧窮を救う道」。そうしてその一番先のサブタイトルに「食管法撤廃を提案する」とあなたはお書きになっておる。これはいつ農林大臣になるかわからない人が食管法撤廃を提案したりされますというと、やはり世間一般が驚くのも無理はない。ところが、さらに驚くのは、この論文に対してあなたは、まさに農村の貧窮を救う道は食管法の改正以外にはないというようなことを大胆に述べられながら、この間の農林水産委員会では、私はそのときの考えとは違っておりますとあっさり撤回されておる。わずか半年です。これはいかに農林大臣になったからといって、自分の所信がそう簡単に変わるものじゃないと私は思う。それで、私、あなたが変わったという理由につきまして、当時農林水産委員会でもいろいろ注意をして聞いてみましたら、米が当時に比べて少し値上がりがしている、だから、情勢が違っているというのであります。あなたの言われるところを速記録について申し上げますと、「四月書きました当時には、生産者米価が一万四百円、政府の払い下げ価格が一万八百円、それが消費者価格になって一万一千六百円、一升百十六円というときでございます。」とこう言っている。さらに、「ところが、今日のように、」とあなたは言われまして、「すでに生産者米価が一万一千五十二円五十銭に上位に決定をしました。そして、消費者価格が、政府の払い下げ価格一万八百円ということになりますと、私が当時考えておったような間接統制ということで米の政策をやる時代とは時代が違う。」というのであります。わずか半年の間に、しかも米価が一石当たり二百五十二円五十銭上げられたくらいで、「時代が違う。情勢が違う。条件が違う。」とたんかを切るのでは、これははったりと申し上げる以外に仕方がない。半年で変わっております。しかしこの程度ならばよろしいけれども、ついこの間、参議院、衆議院の両院の本会議で、わが党の小林委員、下平委員の質問に答えられたあなたの食管制度に対する考え方が、わずか数日の間に、農林水産委員会ではこれまたがらりと変わっておる。私は、中央公論の論文につきましても、あなたがはっきり署名されて写真を入れて書いた論文ですから、この影響はあなた自身考えておられるよりもはるかに大きいのでありまして、これはむしろ責任ある態度で、当時の論文は今ではもう考えていないということを表明されることも必要だと思いますが、さしあたり、非常に責任ありかつ権威のある日本国の国会においてなされるあなたの答弁が、五日か六日の間にネコの目のように変わるのであっては、将来非常に日本の農政に不安を持つのは無理はないと思いますから、私はきょうはじっくり、あなたの言われる食糧管理法改正の構想、これについて一つお尋ねを申し上げたい。その前に、あなたのこの答弁が、本会議と農林水産委員会とでは食い違っている点、これは非常に微細な言い表わし方の違いがございまするので、あらかじめ資料を作ってあまりす。委員長のお計らいでこれを各委員にお配りを願えれば幸いと思いまするが、お願いいたします。   〔「配ってある」と呼ぶ者あり〕  それでは、質問を続けますが、農林大臣は三十六年の九月二十九日に参議院の本会議で、「統制を無制限にはずして、みだりに食管法の基本方針を逸脱して、自由米を認めようというようなことは考えておりません。」と答弁しておられる。さらに、「第二の米の問題について申し上げます。この点もいろいろお話しになりましたが、食管法第三条、第四条をお読みになりますと、第三条には生産者価格決定が規定いたしてあります。第四条には消費者価格決定の条件が規定いたしてあります。この現行食管法第三条、第四条を変えるという意思は毛頭ございません。従って、今後といえども生産者に対して米価の不安を与えるというようなことはありません。また、消費者に対して第四条を変えるというつもりもございません。従って、第三条、第四条に規定いたしておりまする方式によって、将来といえども私は、生産者価格、消費者価格は決定せらるべきものである、これに変更を加える意思は毛頭ございません。」という御答弁である。それは昭和三十六年十月二日、衆議院の農林水産委員会で、芳賀委員の質問に答えられたあなたの答弁の内容は、「第三条に規定しておりまする生産者価格、第四条に規定いたしておりまする消費者価格の点について変更を加える意思はないということをお答えしたのでございまして、その点を答えるために、第三条、第四条ということを例示して出してお答え申し上げたのでございます。」「私は第三条の生産者価格、第四条の消費者価格を変更する意思はありません。」さらに同じ日の答弁で、「法律には規定してあるが、これが実行がなかなかされていないという点でございます。従って、実行のされていない、しかもその点について改善の余地があると私は考えます点でございますから、その点は変えたいということでございます。」明らかに食管法第三条、第四条の変更を言っておられる。これはわずか数日の間に、本会議と委員会ではあなたの答弁は全く違っておるというふうに私は考えまするが、農林大臣、いかがでございましょう。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 私は、少なくともこの米の問題をお尋ねになりました方々が、非常に食管法をよく御承知の方々であり、また委員会においても同様に考えまして、その委員会の中で、三条、四条に規定いたしてありますものが、価格の決定と、もしくはつけ加えて三条におきましては、政府に売らなければならないという規定もあります。その価格の点でお話でございましたから、価格の点でお答えをした、こういうことでございます。同時にまた、私が最初から申し上げております通りに、政府に売らなければならない、売らなければ罰する、政府から買わなければならない、政府から買わなければ罰するという、その点を私は今度の食管法の改正においては強く主張いたしておりますことは、天下公知の事実でございます。どなたもその点について疑いを持っていらっしゃる人はないと私は思います。ただ価格の点において、将来おかしいじゃないか、おかしいじゃないかとおっしやるから、価格の点については、将来ともに変える意思はございません、こうお答えしたのであります。私の言葉が足りなかった、答弁が不適当であったという御指摘であればともかくも、私の申し上げますことが三日の間に変わったとか、五日の間におかしいじゃないかという、そういう点は毛頭ございません。あらためて申し上げますれば、第三条にいうところの生産者価格の規定については、変える意思はございません。ただし、別に規定いたしておりまする政府に売らなければ処罰するということは、いわゆるやみ米の出る点については、これは私は初めから、そうまで強く規定して、政府に売らなければならないということはやらぬでもいいのではないか、政府に売りたい、政府に買わしたい、この値段で政府に買ってもらうということは、政府は無制限にこの値段で買いますということを規定すればよろしいのであって、売らなければ罰するというその点は、変えるべきだということが私の今回主張いたしておる点でございますから、その点は、私は言葉が足りなかったとおっしゃるならつつしんでおわび申し上げますが、どうかさよう御承知願います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 本会議の答弁は、第三条、四条は変えないというあなたの御答弁なんです。これは下平君の質問は、決して価格問題だけじゃございません。農業基本法に関連いたしまして、統制問題一般の論である。それに対して、あなたは明確に、第三条、四条は変えないというのですから、これはやはり価格問題だけじゃなくて、第三条、第四条の第一項までも変えないという意味にとるのが当然でございますが、大臣の真意はそうじゃなかったのでございますか。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 そういうことでございますから、委員会の答弁におきましては、本会議の答弁は、供出もしくは政府の買い上げの点について誤解して解釈なすったとすれば、それは誤まりでございます。私の答え方が悪かったのでございますからということを委員会において私は申し上げたのであります。農家から政府に出す値段、いわゆる生産者価格、消費者価格については一切変えません、こういうことを委員会で答えておるのでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 本会議のことは大臣が言うような御答弁じゃないのです。その当時の問答のいきさつをあらためてお話申しますと、下平君はこう言っておるのであります。「第三の問題は、農業基本法に関係してであります。農業基本法は、今後の農業生産に選択的拡大な方針を採用しております。そうして、米の生産者価格を引き上げたり、統制を維持したりすることは、選択的拡大の方針に支障があるという考え方がありますが、間違いであります。」と言って、はたしてこの基本法の直接統制を間接統制に切りかえるというような方針はおやりになるのかならないのか、この点を聞いておるのです。別段米の価格はどうという質問じゃない。それに対してあなたの答えておるのは、全面的に第三条、四条は変えないというのですから、われわれはその第三条、四条全般に対して変えないというふうにとるのは当然じゃないですか。とり方が違っておりますか。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 それは総理大臣に御質問で、私も関連してお答えいたしましたが、総理大臣から、私が今まで述べた方式は変えませんということを総括的に明瞭にお答えになっております。統制方式については、自分が総理大臣をやっておる間は変えないという答弁は、総理から総括的に答弁があるのでございますから、そういうことにはならぬと私は考えます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 私は別段ここで河野農林大臣のあげ足をとるつもりの質問じゃございませんから、じっくりこれは冷静にお考え置きを願いたいと思うのであります。総理のことをおっしゃるならば、総理はもっとはっきりしたことを言っておるのであります。これは国民所得倍増計画の中に、直接統制から間接統制に移すという構想がございまして、これが問題になって、わざわざそのために農林水産委員会に御出席を願ったのでございます。そのときの総理の答弁は非常に明瞭な答弁である。これはそこに速記録がございますから、お取り寄せを願ってけっこうなんでございます。私はきょうは実はじっくりあなたの真意を聞きたいと思ったので写して参りましたが、総理はこう言っておるのです。北山愛郎委員の質問に対しまして、「米の統制を撤廃するということになっておりますが、そういう考え方も一つあるだろう。しかし、ここでは米の統制は撤廃いたしません。これだけ倍増計画とは違っておるわけでございます。」所得倍増には直接統制を間接統制に移すと書いてある。その点は違っておる。あくまでも統制は守るんだということを総理ははっきり農林水産委員会で言っておる。特に参議院の本会議における総理の答弁というのは、これまた非常にニュアンスの濃いものでございまして、これもやはり言葉の上のやりとりだけじゃなくて、内容が非常に農民やあるいは消費者にとってきびしいものでございましょうから、誤解のないようにあらためて御認識を願いたいと思うのでありますが、総理は小林議員の質問に対しましてこう答えている。「米の統制撤廃。私は、米の統制を撤廃しないと、はっきりと言っております。だから、河野君の考え方が私の考え方と違うのだったならば、これはやめてもらわなければいけませんが、私は違わないと心得ております。その説明は農林大臣からお答えすると思います。」このあとについて、あなたが答えている。それにはさっきも言いましたように、やはりはなはだこの統制に対してはきびしい考えで臨んでおる。こうなりますと、あなたのおっしゃるのは、統制は撤廃しないが、食管法の第三条、四条はいじるという考えなのか。統制を撤廃しないなら当然食管法の第三条、第四条はあのままで生きてくるのがほんとうと思いますが、その点のお考えはどうですか。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 総理から、衆議院の本会議、参議院の本会議において明瞭に御答弁になっておりますように、生産者価格を守り、消費者価格を守るというところに現行食管法の精神がある、そう考えますから、自分はその点は堅持いたします、こう答えておられるのであります。私もその点については全く同じでございます。ただ、その点は守るけれども、そのほかの点において、研究の結果変えてよろしい点があれば変えることに自分は賛成だ、こういうように答えておられるのであります。そこで、河野の考えておることも一つの方法だと思うから、それを各方面の意見を聞いて、そして実現できるものなら実現する、やっていくつもりだという考えを述べておられます。私も全く同様に考えておるのでございまして、たびたび申し上げますように、もし誤解がありましたら、この際明瞭に願いたいと思いますことは、生産者価格は現行食管法に規定いたしておりまする通り、その規定通りに今後も続けていくことが今後の農政を続けて参る上において絶対に必要であると私は考えております。また消費者価格を現行の食管法に規定いたしております通り続けていくことが、この点が私は食管法の精神である、こう考えます。その点で、先ほどお触れになりましたが、お前は四月の中央公論に書いたのと違うじゃないか、こうおっしゃいます。私は、これは淡谷さんも御承知の通り、今日学界その他の方面においていろいろ議論がございます。これは、わが国各方面において議論のあることは御承知かと思います。どういうことか、食管法で社会政策を併用していくことについては議論があるのでございます。これがいいか悪いかということについては議論があります。しかし、私は、現行食管法におきましては、消費者価格を消費者の生活安定、保護のために規定するとあります点、用語は多少違うかもしれませんが、精神はその精神と私は心得ます。こういうふうに規定しておりまして、その食管法において、消費者大衆の生活安定を擁護するということをうたっております以上は、これが食管法の大きな精神だと心得ます。従って、この精神をこのまま続けていく。そして政治をやって参るということでわが党がやって参りまする点について、私もこの点を同様に守っていくということで、従って、生産者価格、消費者価格、この二つを守っていくということが現行食管法の精神である、この点について変革を加えることは適当でない、これは堅持するということを私は答弁いたしておるのでございます。その点御了承いただきます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 農林大臣が十月二日の農林水産委員会で、「法律には規定しておるが、これが実行がなかなかされていないという点でございます。」これは今のやみ米の話でございますが、「従って、実行のされていない、しかもその点について改善の余地があると私は考えます点でございますから、その点は変えたいということでございます。」と答えておる。これは明らかに食糧管理法の第三条の「米穀ノ生産者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ生産シタル米穀ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノヲ政府ニ売渡スベシ」、これが第一項なのでございます。さっき農林大臣は価格の問題に付随してそういう規定があるといいますが、この規定に付随して第二項の価格の問題がある。これはむしろ主文であります。第四条の第一項は「政府ハ其ノ買入レタル米穀ヲ第八条ノ二第二項ノ販売業者又ハ政府ノ指定スル者ニ売渡スモノトス」これが第四条の第一項でございます。そうしますと、第二項の方は変えないが、第一項は変えたいとこうおっしゃるのですか。これは明瞭にお答えを願いたい。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 私は、食管法制定の当時には一項が重要であって、国民全体はその点に非常に大きな期待を持っておった。でございますから、農村の側で申しますれば、年間営々として努力したものを、命令の定むるところによって政府に売らなければならない、売らざる者は処罰する、で、あえてこういうふうに甘んじて農村は協力したと私は思います。私は、決してここで法律のことをとやかく申し上げたくはございませんが、私が前回農林大臣になりました当時、社会党の皆さんから、なぜ一体政府に売らなければいけないのか、そういうことは苛斂誅求していかぬではないかというような非常に強い御意見もございましたけれども、食糧の足らないときには、第一項で規定するところのものは絶対重大であった、刻下の目的であったから、全体の国民は強くこれに期待した。しかし今日では、だれが一体それに大きな期待を持っておりましょう。従って、政府もまた、取り締まりにおいても、この点について強く取り締まりはないというのが現状でございまして、そしてこの法律に期待するところのものは、第二項の生産者価格、消費者価格、この点がこの法律に対する大きな期待でござ一まして、決して多数の国民諸君は、作ったものを売らなければ処罰するというところに大きな期待は持っておらぬ、むしろ処罰するということについては疑問があるのじゃなかろうかと私は思います。また政府から買わなければいかぬ、買わなければ云々というようなことは、一般消費者大衆も、この点に対して大きな期待を持っていない。むしろそれによって処罰される者がもしあるとするならば、国民の中には迷惑を感ずる人が多いだろうと私は思います。それが今日の実情だと思います。従って、食管法には確かに一項、二項になっておりますけれども、法律の目的が順次変わってきた、そこに食管法改正の世論が起こってきておると私は思うのでございます。しかし、私は一項、二項の順序がいかがあろうとも、目的がどう変わってこようとも、この法律が必要であるという意味において、生産者価格、消費者価格は絶対守る。これによって、当面私は農林行政を遂行する上において、また社会政策的に国家、社会の大衆の生活を安定する上において目的が達成できるという点で、この両点を、私はおそらく国民の大多数の人もその点に大きな期待を持ち、注目をしておられると思いますから、配列が一項と二項が逆になっているとか、不足であるとか、いろいろ御意見がございますけれども、私は、現に、食管法においてはむしろ現状においては逆になっておると考えて、そういうお答えをしたのであります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 私はそういう実態のつかまえ方は承服できない。非常に違った点がある。しかし、わずか一時間余りの時間で議論しておるひまはございませんから、本論に進みますが、私はこの法の善悪は別として、この法の半分をあなたは変えたいが、半分は変えないという、一体この法律の半分の条項を変えてしまって、三条、四条を変更しないということを言われますか。半分を変えるということは、変えるということじゃありませんか。一体どれだけ変えたら変えることになるのです。だから、明らかに、あなたが三条、四条を変えますというふうにあなたの答弁を変えるならば私は承服しますけれども、半分変えておいて、半分なんだから、変わったんじゃない、こういうならば、これは詭弁と申します。その点はどうですか。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 私は、そういう考え方でおっしゃるならば別でございますけれども、だから、世間では私にこういうことを言う人があります。三条、四条の罰則規定だけはずしたらどうか。文字はその通りにしておいて、罰則規定だけはずせば同じことになるじゃないかと言う人もあります。私は、しかしそういう改正はしたくありません。そこで私は、気持においては、今お話しの通りに、政府に売り渡すべし、政府から買うべしというようなことでなしに、政府もまたこれによって農民から買うのでございます。農民の期待にこたえて買うのでございます。また消費者大衆に大多数の米を売るのでございます。配給いたすのでございます。だから、農民から買い上げをし、配給をするということについては変わらない、管理については変わらないということでございます。管理を強権によってやるかやらぬかという違いでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 それは河野式論法で、いつもそれで煙に巻くらしいのでございますが、私はそういうふうな御議論は、もう十分あきるほど速記録で読んでおります。速記録を通じたってあなたの所見に矛盾がある。端的に言って、あなたはそれじゃ食管法の三条、四条は変えるのでございますか変えないのでございますか。前の答弁は変えない、今の御答弁はどうやら変えることになってしまったらしい、どっちがほんとうなんです。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 ただいま申し上げます通りに、法律を変える結果になるか、変えなくてよろしいかということは、精神においては私は今まで答弁した通りでございますから、それを法制上どういうふうに字句がなるかということについては、今後の研究に待たなければなりません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これは精神においては変えると言うんですが、法律の条文を残して精神だけ変えたところで、これはさっぱり農政にはなりません。あなたがそういう精神でどうしてもこの食管法を変えなければならないという信念ならば、大胆率直にそうおっしゃったらいいじゃないですか。それはあなたが理由があって変えるなら、われわれ別にそれに対して承服しないことじゃない。理由がなければこれは承服できない。ただ前には、あなたがさつき抗弁しましたが、本会議では三条、四条は変えませんとたんかを切っておいて、今度はずるずる、ずるずると変えてきたんじゃ、これでは天下の信を失います。その点はどうなんですか、変えるんですか。変えないんですか。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 たびたびお答えいたしますように、三条の中に規定しておりまする生産者価格、四条に規定しておりまする消費者価格については変えませんと答弁すれば適当であったと思います。それがその場の雰囲気からいたしまして、言葉が足りませんでした。この点は、委員会においてもさよう私はお答えいたしております。私の気持は今申し上げた通りでございまして、私は天下の期待するところのものはそれである、また農民諸君に誤解のある点はその点にあると考えますから、率直に私は農民諸君の期待にこたえて、さようお答えいたしました。もしその点について誤解を生じ、もしくはその点について不適当でありますならば、今申し上げた通りに一つ御了承いただきたいと思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 どうもおかしいですな、あなたのおっしゃることは。三条、四条は変えるのか、変えないのか、私にはまだはっきりしない。精神に基づいて若干動かすというのは変えることなんでしょう、端的に言って。半分でも動かしたら変えるんでしょう。それがはっきりしませんと、とり方が違うんです。これは与党の諸君のように非常に御同情のある方はわかりましょうけれども、一般農民に対してはこれじゃわかりません。一体第三条、四条は変えますか、変えませんか。弁解要りませんから、はっきり言って下さい。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 天下の農民諸君は、第三条、第四条に何と規定してあるか、御承知の方は少ないと思います。私は今問題になっておりますものは、生産者価格を変えるか変えないか、消費者価格を変えるか変えないかということが問題でございます。従って、生産者価格、消費者価格は、現行法に規定いたしておりまする通り、変えませんということを私は初めからお答えいたしておるのでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 天下の農民は食管法三条、四条はどうでもいいなんてことを考えておりません。むしろ池田総理は、私は食管法第三条、四条を知らないと言っているのですよ。総理大臣が知らぬと言っているのです。少なくとも農民は、池田総理以上に食管法には直接なはだで感ずる関心を持っております。それを百姓が知らないからどうでもいいじゃないか、そこに河野農政のごまかしがある。ごまかしておるのでしょう、あなたは。取り消しますか。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 私は、百姓が知らぬからどうでもいいという答弁はしたことはございません。そうじゃない。農村の方々は三条に何と書いてあるか、四条に何と書いてあるか、法律の条文については御承知ない人が多いでしょう。しかし、私の言うところのものは、三条に規定してある生産者価格、四条に規定してある消費者価格は変えません。ただし、言い落としましたから申し上げます、三条に規定してある、売らなければ罰する、買わなければ罰する、四条にあるように——それはおそらく四条の法律以外に譲ってあると思います。その点については、これは初めから私は言っておる。何も農村をごまかしてはおらぬ。そういうことは、もう今日の時世では私は適当でない。あえて申し上げます。非常事態であったから、売らなければ罰するということを農民は甘んじて承知しておった、国家に協力した。民主化されたる社会において、自分で作ったものを政府に売らなければ罰するというような民主社会はないと私は考える。(「たばこも酒もそうしたらいい」と呼ぶ者あり)それは別であります。米において、だれが今日——必要はもう済んでおります。政府に売らなければ罰するというような事態じゃないと私は考える。だから、政府が現在必要なのは、政府の規定した食管法によってきめられた生産者価格で政府は無制限に買いますと、政府が義務の立場に立ち、農民を権利の立場に立たしたいというのが私の精神でございます。従って、農民は政府をして幾らでもこの値段で買わせる、政府は買う義務を持つということに変えることが必要、適当であろうと私は考えます。消費者また社会政策的見地をもって、あるとするならば、この価格で幾らでも配給が受けられる権利を大衆は持つべきである、権利義務の関係を置きかえることが適当であろうと考えますと私は申し上げておるのでございます。その点において必要があるならば、その法律上のことは変える場合があると私は考えます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 この内容の議論はゆっくりいたしますが、結局第三条、第四条は変えるということなんですね。二項を変えたら四条は変わる。一項、二項、二つある。そのうちの半分変えたら変わるんでしょう。河野農林大臣が半分変わったら、あなたは変わるんじゃないですか。半分変わっても変わらぬとがんばりますか。一条の法律のうちの半分変わっても変わらぬということがありますか、変わるんでしょう。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 はっきりお答えいたします。今申し上げました通りに、私は、生産者価格、消費者価格に重点を置きますから、変えないとお答えいたしました。ただし、今淡谷さんの御指摘のように、その売り渡し制度、買い入れ制度、その制度については変えるということが私の考えでございますから、その点については変えますということをお答えいたしました。それが間違っておりましたらば、それはそういうふうにお取り消しを願います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 やっとはっきりいたしました。河野構想に基づきますと、食管法の第三条、四条は変える、そのうちの第一項は変えるということが明らかになりました。そこで、あなたの言うことは非常に内容が豊富でかつ高遠な政治目標を持っておりますから、端的に聞いたのでは、なかなかあなたのおっしゃるような食管法の第三条、四条もわからぬような農民にはわからぬでございましょうから、端的に申し上げますが、それじゃいわゆる河野構想というものは、今度配られましたこれが実体でございましょうか、ここでもってはっきり伺っておきたいのですが、「米穀の管理制度の運営の弾力的改善とその根幹の堅持に関する構想」というのを私いただきました。その中にいろいろな構想がございまして、今あなたからくどくどおっしゃられましたような内容も大半書いてあります。特にこの中の第三においては、あなたの言う自由米の構想が出ておる。これは大体まとまった河野構想と考えてよろしいのですか、勉強して参りましたが……。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 私は、最初から申し上げました通りに、こういう考えで変えていきたい。ただし、この問題は全国大多数の国民諸君の御理解ある御協力がなければ実行できません。従って、各方面の意見を十分承りまして、大多数の方々の御協力を願えるようなものにいたして参りたいと、最初にお答えを申し上げました。私は国会が始まる前からこの考えでございます。従って有力な、われわれもぜひそうした方がよろしいという考えが、これまでも、今後といえども出て参った場合には、変えていくことが適当であろう、こう考えております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 そうじゃなくて、あなたの河野構想というものは、さまざまに世間に流布されまして、しかもあなたの非常に含蓄がある言葉の答弁のために、なお正確なものがつかまえられていない。やはりこの際誤解を招かないようなはっきりした文書になった構想がほしいのです。こういうのがあるかどうか聞いたら、配られましたのがこの書類だ。この書類はだからあなたの構想と思って間違いがあるかないか。この構想はあなたの構想なんだ。これが間違っておれば、世間に問うて間違った点は直すという弾力をお持ちになるのはよろしいでしょうけれども、一応まとめた河野構想というものはこの文書であるというふうに理解してよろしいか、はっきりここでお答え願いたい。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 私が最初から申し上げたことを、ときどき変わる、どれがほんとうかわからぬということをおっしゃいますけれども、私は変えたことはございません。今日までの段階においてはまだ変えておりません。それは、今御指摘の点がその通りでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 いや、変えたか、変えないかじゃなくて、この構想を当面河野構想と受け取ってよろしいかと私は聞いている。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 よろしゅうございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 それではお尋ねしますが、この構想は三十六年の七月三十一日経済関係閣僚懇談会了解としてある。三十六年八月一日閣議了解としてある。これは間違いありませんか。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 そういう点は間違っております。私は閣議了解というようなことは今まで申し上げたことはございません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これは単なる私製の文書じゃないですよ。国会の予算委員会で質問するために農林省に資料を求めた場合に、ついこの間配付された文書なんです。閣議了解もないものを閣議了解というふうにうその文書を作ったのですか。はっきりして下さい。大へんなことです。

安田善一郎食糧庁長官

○安田政府委員 印刷物につきまして、農林省の方から経済閣僚懇談会了解、また閣議了解と申しましたのは、正確な意味では間違いでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 不正確な意味で正しいということを教えて下さい。正確な意味では間違いだそうですから、不正確な意味で正しかった理由を教えて下さい。そんなあいまいな言葉を使ったんじゃ、しょうがありません。承服できません。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 私からかわってお答えいたします。これは経済閣僚懇談会に私から説明を申し上げ、さらに閣議に私から御説明を申し上げて、そうして、今後この考えで私は各方面の意見を伺って、成案を得るつもりでございますという了解を得たのでございます。その点が落ちております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 私はそんな不誠意な答弁には満足できません。日まで入っているのですよ。七月三十一日経済関係閣僚懇談会了解、八月一日閣議了解。私に配られたのは十月でしょう。二ヵ月間もこんな書類を流しておいて、予定でございましたという答弁では、済ますことはできない。閣議了解とはそんな権威のないものじゃないでしょう。どうでもいいものですか。閣議了解もないものを閣議了解という文書を配って、しかも予算委員会で問題になる。またあらゆる農業団体はこの問題で非常に真剣になりまして、印刷しております。パンフレットにも閣議了解と書いてある。しかも、農林水産委員会では、この間池田総理がその点を質問されているのです。これはもうおわかりになっているでございましょうけれども口……。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 ただいま私が申し上げた通り、経済閣僚懇談会で御説明を申し上げまして、御意見を承りました。また閣議においても私から御説明を申し上げて、いろいろ御意見を承りました。その際に、この考えで私は今後検討を進めて参るということを申し上げたのでございます。従って、閣僚全部から、よろしい、それでやれと言われて、閣議の決定という段階ではございません。ただお話を承って私がやった、こういうことでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 それをあなたが閣議了解と考えたからこういう文書が出たのでしょう、閣議了解とはっきり書いてあるのですから。印刷物はうそを書かない。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 その書類に私が目を通さなかったのは不注意でございますが、今私が申し上げた通りでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 私はどうもそれだけでは承服できないのです。少なくとも八月一日からこの書類がいろんな形で流れています。非常に真剣になっていますから、みんなこれは閣議了解だと思っている。それを今になって閣議了解じゃございませんと言ったら、これは政治上の大事件じゃないですか。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 これまで申し上げました通りに、この考え方を各方面に御説明を申し上げて、各方面の意見を十分承るということを御了解願った、こういうことでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 それはしかし常識からはずれているでしょう。強弁もいいかげんになすったらよろしい。とてもそんな詭弁や強弁では、大体米はできませんよ。それはわれわれはごまかせるでしょう。しかしまっ正直な農産物というものは、肥料をやればやったように、手入れをすればしたように、その通りになるものなんです。それを舌一枚でごまかそうというような態度では困る。これははっきりこの文書を流したのが誤りだったら誤りだったようにおっしゃったらいいじゃないですか。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 今淡谷さんの持っていらっしゃるその十三項を一つお読みいただきますと、私が今申し上げた通り書いてあるわけであります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 それでは十三項を読みましょうか。書いてないです。十三項にはこう書いてある。「本構想の具体化に当っては、すみやかに関係各方面の意見を徴し、さらに充分な検討を加えて最終決定のうえ、実施するものとする。」十三項は具体化にあたってはこうするというのじゃないですか。これは閣議了解と何の関係がありますか。これはこういう案を了解したということなんでしょう。この根本方針を認めたということでしょう。どうなんです。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 経済閣僚懇談会と閣議のときでは、今河野農相が申されましたように、こういう考えを今持っておるのだという説明をして、そこできめたのは、一応そういう考えのもとに、それでは各方面の意見を十分に打診して、具体的な対策を作ってくれということを了解したということでございまして、河野構想というものを閣議で決定というようなことはなくて、その構想に基づいてさらにいろいろの研究をしてくれということを閣議でみなが了解した、こういうことでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 では、一応この書類には、「本構想の具体化に当っては、すみやかに関係各方面の意見を徴し、さらに充分な検討を加えて最終決定のうえ、実施するものとする。」こうありますから、これをいれて、一応この構想は閣議で了解した、こうとってかまわないですか。それなら重大ですよ。これは農林水産委員会で池田国務大臣が全く別のことを言っておる。やっぱりこの構想です。「池田内閣の続く限り米の直接統制は続けて参りますとはっきり申し上げております。」そのあとに、「従いまして、私は、河野農林大臣の入閣前から米の問題についてはお考えは聞きましたし、また本で読んでおります。」何の本だかわかりませんが、多分「中央公論」でしょう。これは米の管理を撤廃するというあなたの提案を読んでおるのでしょう。「本で読んでおります。そこでこの話が出ました。一つの思いつきだ、——思いつきというのは悪い意味ではございません。一つの考え方だ、しかし非常に重要な問題だから、閣議の決定とか了解事項にはいたしません。」というのです。大蔵大臣は了解したという。総理大臣は了解しないという。どっちがほんとうなんですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 そういう構想が述べられたときに、ではその構想を政府の案として決定するというようなことはしませんでした。その構想に基づいてさらに研究して具体的な成案を得るようにということをみんなが了解したということで、河野案そのものがもう政府案として決定されたという事情にはございません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 決定じゃないのです。了解です。総理大臣もこっちも決定とは言っておりません。了解です。こういう話があったことを了解し、大筋を了解した。これを了解しないと総理は言っている。そうなりましたら、総理大臣と農林大臣の間にこの構想に対しても取り方の違いがある。私は閣内でそういう不統一な意見を持ちながらこういう構想で推し進めることには大反対です。これは日本の農政の不幸です。どっちがほんとうです。総理を呼ばなければわからないかもしれませんから、総理の御出席を求めます。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 閣議決定は明瞭にわかっておりますが、閣議了解ということはどういうことかということになると思います。閣議了解という言葉がいろいろの意味で広く使われておりますが、私はその書類を見なかったことも不注意であったということは、先ほど申し上げた通り、閣議了解という言葉が出ていることに誤解があった。しかし内容は今御説明申し上げた通りでございますということで御了承いただきたいと思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これまでもこの食管の問題では、私ども速記録を見た限りにおいては、農林大臣と総理大臣との間には一つの食い違いができているようであります。特に直接統制の問題、間接統制の問題、これと食管法の関係、これは決して大臣がおっしゃるような簡単なものじゃない。総理は特に「私は食管法を改正しないとは言っていないのであります。米の直接統制のあの根本方針は変えません。今の制度を続けて参ります。こういうことを言っておるのであります。」こう言っている。そして直接統制はもっていく、これなどは非常にわかりませんし、かつその前に総理は、私は実はまだ食管法の第三条、第四条を十分に読んでおりません。私の申し上げたことは、食管法の根本というものは、米の直接統制ということはやはり適正な価格、すなわち再生産に適用する価格、もっとくだいて言いますと最近では生産費及び所得補償方式、こういう格好で米の値段がきまりましたということを言っているのです。そうしますと、食管法をろくに読まない総理と、これを価格の問題にだけ重点を置く農林大臣と、考えて構想を立てて、かりに了解を与えたとするならば、農林大臣ではなくてやはり了解を与えた閣僚にも御出席願って、特に池田総理に御出席願ってこれを聞いて確かめない限り審議の方法がない。これはやはり総理に御出席を願いたいと思います。委員長、お取り計らいを願いたいと思います。

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 総理大臣は本日はおいでになりません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 それは委員長の独断できまるのですか。私はきょうは要求しておりませんよ。要求していないのに、いたかいないかもわからないで、あなた勝手にきめる手はありますか、けしからぬじゃないですか。もっと予算委員会に権威を持ちなさい。

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 ただいま理事諸君からもお話がありましたから、総理大臣を今手配はいたします。しかし、あるいはおいでにならないかもしれません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 それではこれは重大な問題でありますから、私は総理が出席するまであとの質問を保留いたします。  なお、関連して質問する方がございますから、そっちの方に……。

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 それでは、楯兼次郎君に関連質問を許します。

楯兼次郎日本社会党

○楯委員 それでは淡谷委員の質問に関連をいたしまして、二、三質問を申し上げたいと思います。  実は新聞等によりますと二兆一千億円の道路五ヵ年計画の予算が最近配分決定をされるようであります。この問題は、私ども非常に重視をいたしておりますので、二兆一千億円の中で有料道路費四千五百億の特に自動車道の建設費の内訳について質問を申し上げたいと思いますが、東海道と中央道は過日の閣議におきまして同時着工というようなことを私どもは聞いております。しかし資金の配分がまだできておりませんが、この資金配分について建設省はどのような考え方を持っておられるか、この点をまずお聞きをいたしたいと思います。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○中村国務大臣 もうすでに新聞等にも出て、伝えられておるところになっておりますから、率直にお答え申し上げますが、東海道、中央道の資金的な配分につきまして、建設省の草案的な考え方としましては、東海道に八百四十四億ほど、中央道に四百十六億ほどを配分するようにいたしたいという、実は腹案を考えておったわけでございますが、これをいろいろ検討する段階におきまして、見方によりまして、資金配分の内容につきましては考え方がいろいろあるわけでございます。経済効果の点やいろいろな点から、あるいは交通量の問題でありますとか、償却年次の問題でありますとか、いろいろな問題点がありまして、実は今申し上げた数字は建設省の考えました腹案でございまして、政府部内といたしましてはまだ調整がついていない、こういう段階にあるのが現状でございます。

楯兼次郎日本社会党

○楯委員 建設省は東海道八百四十四億、中央道に四百十六億の予算要求を大蔵省にしておるが話がつかない、こういうことがわかったわけでありますが、大蔵省はこの中央道の予算についてなぜ頑強に反対をされるのか、大蔵大臣にお伺いをしたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 この前の交通閣僚協議会では、東海道と中央自動車道を同時に始めるかどうかという原則はきまっておりませんでした。むしろ交通問題としては東海道を急ぐという考えでございましたので、一定の資金量の中で両方を同時にやることは無理だという考えが多かったために、この前、同時に始めるということはきまっていませんでした。今度の交通閣僚協議会で、初めてこれは同時に着手することにしようということの方針をきめたということでございます。方針はそうきめましたが、さて資金配分をどうするかということになりますと、東海道を急がれておることは御承知の通りですが、東海道は二千何百億円という工事のうちで、最初の今度の配分は約三分の一、東海道は計画の三分の一を今度きめるということですから、そうしますと、中央道の方は二分の一以上の資金量を今度きめるというこの比率問題はどうかと、道路の必要性、経済効果性、いろいろなものも考えて、同時に始めるにしても、一方の方を特に強い資金量をやる必要があるかどうか。東海道との均衡でこれは資金量の決定をしてもいいじゃないかということが問題になっておって、われわれがその再検討を主張しておったということでございます。両方やることについては賛成いたしましたし、資金量の配分の問題で、東海道線との考量比較によって資金量を合理的にきめたいというだけの話でございます。

楯兼次郎日本社会党

○楯委員 今の答弁を聞いておりますると、どうもわからぬことがありますので、一点お聞きしたいと思いますが、たとえば道路の問題は、なるほど予算の大ワク、計画等を決定する場合には大蔵省その他関係省と協議をすることは、これは当然だと思いますが、相当煮詰まってきて、具体的にどの道を作る、どういうふうに作るというような予算の細部については、これは当然建設省が責任をもって実施すべきであって、そう大蔵省の言い分通りになるのがおかしいと思うし、また大蔵省の方では、こまかい細部についてかれこれ指示をするということが、私どもにはどうしても理解できないわけですが、この点は一体どういうことになっておるのですか、両大臣からお答えいただきたいと思います。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○中村国務大臣 実は、私ども建設省といたしましては、先ほど大蔵大臣からお答えがありましたように、交通閣僚協議会の議を経まして、東海道と中央道は同時着工で工事を進めるという基本方針がきまりましたので、できるだけ東海道についても食い散らかしにならないように、中央道についても中途半端にならないように、投資効率の上がるような配分で工事を進めるならば進めるようにいたしたいという考え方に立っておるわけでございます。従って、この点について大蔵当局と建設省の事務当局との間の数字的な煮詰めがまだでき上がらないということは、要は、建設省の事務当局で今私が申し上げたような基本的な点、それをさらに敷衍をいたしました数字的な根拠等について説明努力はすでに開始いたしておるのでございますが、その大蔵当局の理解を十分に得るまでに説明が徹底していないというのが現状の段階であると思います。従いまして、われわれとしましては、いずれにしましても貴重な国家資金を投入することでございますから、できるだけ投資効率の上がるように、しかも、それがせりかく始めたけれども、中途半端で効を奏しないということの起こらないような配分と事業実施を進めて参りたいという基本方針に立ちまして、実は今後も折衝を続けまして、できるだけ最近のうちに結論を得るようにいたしたい。従って、せんじ詰めて一口に申しますと、まだ建設省の努力が行き届いていないということであるかと思いますが、今申し上げたような基本の上に立ちまして、今後とも財政当局の理解を得てすみやかに結論を得るようにいたしたい、こう考えている次第でございます。

楯兼次郎日本社会党

○楯委員 これはちょっと余談のような形になりますが、私どもが聞いたところでは、いよいよ大詰めへきたこの同時着工の問題について、今月の三日の夜、大蔵大臣がおられぬのに大蔵省の省議を開いて、中央道は八王子までだ、こういうことをあなたのお留守に省議として決定をされた、こういうことを私どもは聞いているのですが、そういう事情はないのですか、大蔵大臣。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 当然大蔵省としましては、この配分についてどれくらいが適当であるか、工事の進捗も、どこが一番急がれて、どれくらいのところまでやるのが一番急を要する問題だというようなことは、大蔵省の関係者が相談したという事実はございます。

楯兼次郎日本社会党

○楯委員 まあ東京−富士吉田間については、これは総理の答弁もあり、再三この委員会で私どもも質問をいたし、なお、大体同時着工あるいは予算配分、こういう段階になって参りましたので、これはやってもらわなければ困りますし、総理も約束をしておられますので、当然やっていただけるだろうと思う。ところが、私どもが国土開発縦貫自動車道を提案をしたのは、東京−富士吉田間の建設のみについて提案をしたのではございません。これは小牧−富士吉田間も早急に建設をしなければこの法律の精神というものは魂が入らないわけです。そこで小牧−富士吉田間の建設については、建設大臣あるいは大蔵大臣として将来どういう見通しを持っておみえになるか、どういう取り扱いをされようとしておられるか、こういう点についてお伺いをいたしたいと思います。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○中村国務大臣 すでに御承知の通り、法律によって中央道の路線決定も基本的にはされておるわけでございますから、われわれとしましては、ぜひ完成を期さなければならない問題であると考えております。ただ、道路投資の規模に限度がございますので、さしあたり前期五ヵ年計画におきましては、富士吉田まで供用のできるように進めていきたいということを考えております次第で、後期五ヵ年計画が策定されます際には、中央道の法律に基づく路線の工事が進めらるべきである、かように考えております。従いまして、そういう角度に立って、すでに数億円の調査費を投じまして、路線の調査及び気象状況その他各般にわたりまして基礎的な調査を続行いたしております。ただ、現在の名神国道も一種の中央道の一部でございますが、このような大規模な六車線が山岳地帯に適当であるか、あるいはもっと適正な規模に直した自動車道にすべきであるか、こういう点も今後考慮さるべきではなかろうかと考えております。いずれにいたしましても、いろいろな角度から将来の完成を期して準備を進めておるというのが現段階でございます。

楯兼次郎日本社会党

○楯委員 この問題は、私どもが研究をしてから約十年ぐらいになりますが、毎回、毎年同じような議論を繰り返しておるのです。私も提案者の一人で、参議院へ行って提案説明をしたのでありますが、そのときに各委員から質問の出ました、はたして交通量はあるのか、あるいはどうなるのか、そういう約十年ばかり前の議論をもう一回繰り返しておる。もう、もうかるとか、交通量があるとか、どうなるのか、こういう議論は、十年といいまするか、少なくとも五年以上以前に解決をして、衆議院の全議員が、これは賛成者ではない、提案者となって国会に上程されておるのです。政府の所得倍増計画でも、都市の交通緩和も必要でしょう。しかし、今のまま道路がよくなり、その他の便利がよくなれば、さらに混雑度は増すばかりです。だから、そういう面を並行しつつ、とにかく道を作って人や工場を引きつけるという政策を併用をしていかなければ、今政府がやっておるような考え方では、これは悪循環の繰り返しで、いつまでたってもよくならない。特に所得倍増計画にうたってありまするところの地域格差是正のためには、もうこれが基本ではないか。これはもう数年前に議論をして、そうして全員が提案をしたのです。今中村建設大臣の御答弁では、後期五ヵ年計画で何とかしようじゃないか、それはまあ努力をしていただけると思うんだが、私どもは建設省なりあるいは大蔵省等の事務当局の話を仄聞すると、中央道については、後期どころか、将来とも建設ということは全然考えておらぬ、こういう事務当局の意向でありますので、この点を非常に心配をいたしております。しかも五ヵ年計画の道路費の配分がきまれば、まずまず五年間はもうそれで終わりじゃないか、こういう状態になりまするから、非常に貴重な時間でありまするが、あえて関連質問をいたしたわけでありますが、一体大臣と、いわゆる政治家と各省の関係事務当局との間に中央道の建設について大きな意見の食い違いがある。これはもう毎年私どもが仄聞しておる点を説明をいたしまして質問をいたしておるのでありますが、いまだに改まっておらぬ、こういう感を強くするのでありますが、この点についてどうですか、そういう感じはございませんか。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○中村国務大臣 御承知の通り、相当な投資をいたしまして基礎的な調査をいたしております。またあの路線に近い地域に膨大な森林資源等もございますし、資源開発の意味も大いにあるかと私ども思います。ただ交通量の調査等から考えまして、現在の有料道路の制度からいいますと、投資金額をいずれは償却をしなければならない性質のことになっておりますので、はたして有料道路として、償却年次は少々長くなりましても可能であるかどうかという問題等が含まれておるわけであります。そこで、今後これらの点を勘案いたしまして、われわれとしましてはいろいろな角度から調査を進めて、そして有料道路としての可能な範囲の道路としてはどういうものになるか、あるいはまた後期五ヵ年計画になりまして道路規模がどういうふうになるか、若干の有料道路以外の公共事業費を投入することができるかどうか、こういうことも将来にらみ合って進めていくべきであると思うのであります。現在、今も御指摘のございましたように、なるほど建設省部内におきましても、あるいは他の関係省との間におきましても、今度の東京−富士吉田間を同時着工することについても議論がありましたように、事務的な考え方といたしますと、やはり今申し上げたように、有料道路という性質、あるいは経済効果の関係、交通量の関係等を数字ではじき出しますと、どうしてもあと回しになる可能性がございます。しかしながら、これはすでに国会で法律としても議決をされ、全員が提案者となって成立をいたしました法律もあることでございますから、政治的な判断を加えて今後推進をし、進行せしむべきである。従って、いかなる段階において毛常に政治的な判断というものが相当部分加わりませんと、遂行していくのには適当でないというようにわれわれ考えておりますので、私どもの考え方といたしましては、政治的な考慮も加えまして、できるだけ推進をはかっていきたい、かように考えておるわけでございます。

楯兼次郎日本社会党

○楯委員 時間もございませんし、こういう議論は繰り返したくないのでありますが、政府の方で、中小都市の建設であるとか、あるいはおくれた地域の開発であるとかいろいろな法案を出しておられるのです。だから中央道一本作って、なるほど今考えれば、現状では経済効果というものも考えられます。しかし政府のやらんとする施策をこの地域にやれば、これはやり方いかんによって幾らでも経済効果は上がってきますし、利用度もどんどんとふえてくると思う。それをどうも関係官庁の資料等は、なるべくできないようなできないような資料を過去において作成をし、まあそうではないかもしれませんけれども、われわれから見ますると、反対のための資料の作成、こういうような気がしてならないわけであります。だから、建設大臣あるいは大蔵大臣等と事務当局との間に大きな考えのズレが数年間横たわったまま今日まで及んでおる。それまで東京−富士吉田間の建設についてすらもいろいろな異議が出ておるのではないか、こういうふうに考えておるわけです。  そこで最後に申し上げたいことは、もう四百六十七名、当時大臣その他政府委員であった方は別といたしまして、全員がこれは提案者なのです。だから、先日ある地方へ参りましたら、某県知事が、数百名のわれわれを前に置いてこういうことを言っております。日本の政治というものはわれわれの常識で割り切れぬ、というのは、全国会議員が相当検討議論をした上に立って、全員がとにかく提案者となって通過をした法律が、一部の官僚の反対にあって数年間置き去りにされるというような日本の政治は何という政治か、こういうことを、これは社会党の人じゃございませんよ、むしろ保守的な人たちが堂々と公衆の前で演説をされておるのです。それから東海道の建設について、私どもはかれこれ言いませんけれども、昨年の通常国会で東海道の自動車国道法とこの中央自動車道が競合したときに、中村建設大臣は当時の担当者だったろうと思うのでありますが、社会党はもちろん、自民党の国会対策委員長は山村さんか前の方かどうか知りませんが、両国会対策委員長でも、東海道の建設は中央道の建設には支障を及ぼさない、とにかくこういう確約をして両方の法律案が通っているはずなのです。私ども他党のことでありますから、その真偽は別といたしまして、あなたの方の自民党の総務会においても、建設大臣立ち会いのもとに、東海道建設の場合といえども中央道の建設には何ら支障を及ぼさない、総務会でそういう決定をなさって両案を通過をしておられるということを聞いているのです。だからあらゆる点から考えましても、この法案が今日野ざらしにされておるということは、全く日本の政治不信を巻き起こす大きな原因であろう、私はこういう点を心配いたしまして質問をするわけでありますが、これは社会党の方ではない、むしろ自民党の諸君の方こそこんな法案が野ざらしにされておったのでは困るのじゃないか、こういうふうに私どもは考えておるわけです。でありますから、全員の意向によって数年前に通過した法律でありますから、事務当局は法律の命ずるところによって作業をし、一日も早くこれが建設をされるように、どうか一つ省内の方々に御督励を願いたいと私は思うのです。われわれが聞いておるところによりますると、大臣の答弁と、それから実際の作業をやっておる方との間に大きなズレがある。こう思いますので、この点を一つ強く要望いたしまして、私の関連質問を終わりたいと思います。

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 淡谷君、発言席にお着きを願います。  先ほど淡谷君から総理大臣の出席の御要求がございましたので、一生懸命になって出席方の督促をいたしましたが、どうしても出席不可能の模様でございます。従って、この際に農林大臣より先ほどの淡谷さんの質問の決着をつけていただきたいと思います。農林大臣河野一郎君。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 先ほど淡谷さんから、米の管理制度運営に関する資料をお手元に差し上げましたその資料のうち、七月三十一日経済関係閣僚懇談会了解、または八月一日閣議了解となっておる点について御意見がありましたが、この点につきましては、先ほど来御説明を申し上げましたことでございまして、この字句は適当でございませんので、これを削除いたしたいと思います。この点御了承いただきたいと思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 了承しないわけにいきませんから了承しますけれども、少なくともこれくらいの重要な閣議了解であるか閣議了解でないかといったことが疑わしいものを何ヵ月の間も流しておくということははなはだ遺憾千万ですから、単なる了解を求めるだけでなくて、一言遺憾の意を表してもらいたいと思う。そこへ出て言って下さい。遺憾でございますと言ってもらいたい。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 ただいま申し上げました通りに、そういう字句を付加して資料を配付いたしましたことは、はなはだ遺憾でございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 その点は了解いたしますが、ただ私総理に来ていただきたいのは、しばしば参議院の本会議でも、農林水産委員会でも、どうも河野農林大臣が一人で了解を得たように思うと、違ったような発言を総理がなさっておる。特に河野構想が直接統制を撤廃するような方向に進むならば、私はやめてもらわなければならない、そういうことまで言っている。これは大臣をやめてもらうのではなくて、構想をやめてもらうんだそうでございます。これは農林水産委員会でやはり問題になっている。そうしますと、池田総理の考え方いかんというものは、今後食糧管理制度の上に及ぼす影響がかなり大きいと思う。きょうお見えにならなければとてもだめですから、私はそれでは総理に対する質問は今回はやめますけれども、いつかおりを見て、農林大臣と総理大臣とのこの点に関する食い違をはっきりさせたいと思います。  そこで私、若干残った時間で質問を続けさせてもらいますが、さっきの大臣の御答弁で、三条、四条を変えないという答弁は、これは間違いであって、明らかに三条、四条は変えるんだ、もしくは変わるんだという線がはっきりいたしました。一体三条、四条は変えるんだけれども、食糧管理法のあとの条文はどうなります。統制は変えないという線をあなたは考えておる。直接統制を変えないで食糧管理法をいじるならば、一体どの点をいじろうとしておるのか。この点だけは明瞭に聞いておきたい。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 政府は、ただいままで申し上げました通りに、生産者米価の維持、消費者米価を維持して消費者諸君に必要なる米の配給を続ける、この点を堅持するのでございまして、これら両点に関する限り変えません。そこで、どの点を変えるかということになりますと、現に、たびたび申し上げました通りに、一千万石程度のものがいわゆるやみ取引されております。これは現行法に、生産したものは政府に売るべし、政府から買うべしということになっておりますけれども、強く規定しておりまするその規定を、政府から買わなくてもよろしい、政府に売らなくてもよろしい、目的とするところは生産者米価の維持であり、消費者価格の維持、消費者の要求する配給量の維持というところに目的をわれわれは持っておりますので、その点が遂行できるという点を堅持しつつ、それ以外の点については適当に是正してよろしい、こう考えております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 御答弁によりますと、管理法の第一条は変えないような建前ですか。第一条は変えますか。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 条文についてはまだ決定いたしておりません、作成をいたしておりませんので、これを一条、二条、条を追ってどういうふうにするかというようなことについてはまだ検討を加えておりませんから、今申し上げましたような精神によって、なお各方面の御意見を伺いつつ最終決定をいたして、それに基づいて変えなければならぬ点は変える、変えなくてよろしい点は変えない、こうするつもりでございますから、まだ条を追うて検討はいたしておりません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 この構想の中には、この構想は今の食糧管理制度を変えるとは書いてないのですね。米穀の管理制度の運営の弾力的改善、非常に用心深い表現です。それとその根幹を堅持すること、少なくとも管理制度の根幹は第一条にあると思う。「本法ハ国民食糧ノ確保及国民経済ノ安定ヲ図ル為食糧ヲ管理シ其ノ需給及価格ノ調整並ニ配給ノ統制ヲ行フコトヲ目的トス」、これが根幹なんです。あなたの構想では根幹を変えないというならば、第一条には手をつけてはならないと思いますが、その点はいかがです。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 ただいま申し上げました通り、総理も私も全く同じ考えで、これからの食糧につきましては、生産者米価の維持、配給価格の堅持並びにその必要なる量の配給ということを政府は目的といたしておりますから、これに必要な方向でいきたい、こう考えております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 第一条はどうなるのです。第一条をどうするかをお伺いいたしたい。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 先ほどから申し上げました通りであります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 第一条は、この構想にうたわれた根幹の堅持というものと一致する条文として理解してよろしいですか。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 どうも議論になりますことは、食管法の根幹とは何か、食管法の精神とは何かという点でしばしば議論があるようでございます。先ほども申し上げました通りに、この食管法は、制定いたしました当時におきましては、量の足りない毛のを公平に分配するというところに目的がありましたことは御承知の通りであります。ところが今日では、数量対策よりも、しいて申せば価格対策に変わってきたと思います。それが一般生産者も消費者も強く要望する点だと思うのでございます。従って、私は今一条以下各条文を追うてこれを検討いたしておりません。おりませんから、今申し上げたその点を堅持していきたい、こういうことでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 あとは議論になりますからよしますけれども、私はその点、あなたの構想というものは自由米という構想に突破口を開いて、統制の根幹までくつがえすのじゃないかという不安を国民一般が持っておりますので、その点は今から厳重に警告しておきたいと思う。これはそうなりましたら、明らかに食言です。総理もあなたも、国会を欺き、国民を欺いたとわれわれは思う。その意味で第一条の取り扱いは非常に重要だと思う。  あなたが農林水産委員会で藤田委員の質問に答えまして、この構想の説明をされておる速記録が手元にございますが、これを見ますと、さすがにやはり与党の委員に対するお答えだけに伸び伸びとあなたは答弁しておられる。おそらくこの点は本音だろうと私は思うのですが、それによりますと、やはりこの改正の重点は自由米のところに置かれておるようであります。そうしますと今やみといわれております米がだいぶ自由米の構想に乗り移るわけでございますが、この自由米の販売ですね。つまり政府が統制をとりまして残しておきます。いわゆる政府米のほかに自由に動く米は、一体だれに売らせようというのですか、だれに買わせようというのですか、その点を一つお聞きしたい。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 だれに買わせようと言って、命令して買わせるわけではございません。大体申し上げれば、現にやみ米を買っていらっしゃる、われわれが多額の国費を使って配給いたしておりまするその米でなくてよろしいと考えていらっしゃる方々に、そういうふうに変えた方が便利じゃないか。現行で申しますれば、取り締まりの対象になっておる需要者。これを取り扱います者につきましては、また最終的な決定をいだしておりませんが、当然現在米を扱っておりまする農協もしくはいわゆる米屋さん、配給業者ということになろうと考えております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 現在やみ米というものはどういうふうな経路で流れておるか、農林大臣の御認識を聞きたい。さっきは三条、四条は農民なんかにわからぬというような非常に間違った認識をされておりましたが、具体的な自由米の流れ方についても農林大臣は的確につかまえていないだろうと思いますが、一体どこをどういうふうに流れておるか、あなたの御認識を聞きたい。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 これはやみ米のことでございますから、いろいろな経路がございます。千差万別、一々これを申し上げかねるということが、私は正確なものじゃないかと思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 大臣は方々旅行されるようですが、東北地方の米産地へ行きまして、おそらくそれは二等車という旧三等車にはお乗りになったことはないだろうから、おわかりなりますまいが、あの車を一ぱいに占めておるいわゆる行商人というのは、一体何を背負っておると思いますか。ときには席がないくらい一ぱい詰まっています。北海道から東北地方にわたるあの流れは、一体何を背負っておると大臣はお認めになりましたか。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 私は先日NHKが集録いたしました、山形県のある米の村という映画を拝見しました。いかに米が金のかわりに使われておるか、現実はこういう法律があるにもかかわらず、映画を見に行くのもお米、反物を買うのもお米、米を買うのもお米ということで動いておるということを映画で拝見いたしました。なるほど早く自分の思う通りにやった方がいいのだなという感を深くいたしました。おそらく淡谷さんも、今何を背負って歩いておるか、米を背負って歩いておる人が多いじゃないかとおっしゃるのじゃなかろうかと思いますが、私もそういう事実はあろうと思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これは端的に申し上げまして、一番多いのはかつぎ屋さんなんです。米の流通は組織化されたかつぎ屋さんがやっておるのです。これは農村の潜在労力がいきどころがないので、小づかい銭を取り、生活費を取るために、悪いと知りつつやっておるのでございましょう。これを河野大臣は解放してやる、こうおっしゃるのですが、今までのやみ商人といわれておりましたあの人たちを、日の当たらないところから日の当たるところに出してやろう。あなた方は大っぴらに米を背負って歩きなさい——重ねて申しますが、幾ら米が流通しましても、映画館の窓口に一升背負っていくわけにはいかない。やはりその前にやみ商人の手を通じて現金にかえて、映画を見、物を買うのが農村の実態です。これはよくおわかりになっておいていただきたい。従ってあなたの自由米を自由にしてやろうという構想は、こういうような商人をどうするか、これはこのまま残しておきますか、それともこの連中から取り上げて米屋さんの手にこのやみの米を移そうという構想ですか、どちらなんですか。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 別に取り上げることもないでございましょうし、それらの人が米屋になるという願い出があれば、米屋さんになることもできると思います。その点については、まだこれから各方面の意見を伺いまして、実情に適したことでいくことが一番よかろうと思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 河野構想というものは、その点はまだ何も固まっていないのですな。ふわふわっとしたものなのですね。そう理解してよろしいですか。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 その通りでございます。私の主張いたしますものは、今申しますように生産者価格を堅持し、消費者価格を堅持しつつ、米の流通を合理化していこう、こういうことでございまして、別にそれはどうしたらよろしいかという点については、各方面の実情を十分検討いたさなければできない。現にいずれお話もあることと思いますが、現行配給制度につきましても非常な欠点が多うございます。これらもあわせてこの際検討しなければならぬと考えております。配給もしくは米屋さんというものについては、今後どうあることが一番消費者のためにも便利であり、生産者のためにもなり、社会の実情にも合うかということによって結論を出したいと考えております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 ふわふわっとして固まらないものを幾らつついてみたところで、これはのれんに腕押し以上の腕押しになりますから、そんなばかなまねはしたくありません。そこで時間もだいぶ超過しておりますし、与党の委員諸君の寛大な御処置によって話をしておりますので、もう一点だけで遠慮いたしますが、自由米を自由に放任した場合に、自由米と政府の手持ち米の量のワクを決定しますか、しませんか。これくらいはお考えでしょうな。これもふわふわっとしたものですか。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 私はこの点につきましては、かねてたびたびお答えをいたしたのでございますが、要は需要者によってその量はきまる。要するに政府の配給する価格、その価格をぜひ必要とされる諸君は、あくまでも政府の配給米に依存されることと考えます。そうでなくて、値は少々高くてもよろしい、もっとめんどうなことでない方がよろしいという方は自由米の方に行かれるでしょう。従ってこれらは、消費大衆の意思によってその量はきまるものであるというふうに考えております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 その消費大衆の需要の高というもの、需要の傾向というものは何で押えます。押え方はありますか。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 従来の数字を基準にいたしまして、多少の見当はつかみますが、最終的に押えようとは考えておりません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 そこに非常なあなたの構想の危険性がある。これは時間がありませんから、私はこれ以上の論議はいたしませんけれども、その自由米を自由に放任しておいて、しかも需要を十分に満たしてやる、いかなることがあっても国民の食糧生活にそごを来たさないような方法をとることは、これは不可能です。特に今までの食糧管理法をさえ変えようというあなたの構想を持っておられるならば、需要供給の率が非常に乱れてくる、これは思わざる大きな問題が起こらないとはいえない。現に今でもやみの動き、いわゆるやみとあなたのおっしゃる米の動きを見ますと、明らかにその弊が現われてきておる。これもやはり閣議了解ではございませんけれども、農林省からいただいたやみ米のデータがある。それを見ますと、大体やみ米の値段は二十七年から上がり始めまして、二十九年をピークにしている。三十年から三十一年と下がりまして、今やや安定して下がっておりまするが、この三十年という年は予約申し込み制度が行なわれた年であります。この産米が行なわれております。そうしますとやみの米であっても、政府の施策いかんが非常に大きな影響を与えるという実態は、これはおわかりだったろうと思います。しかも生産者が売る価格と消費者が買う価格と、この格差はほとんど十年間近く同じような率なんですが、これを月別の格差に直してみますと、これは自由米を売っておった統制以前の米価の動きがそのまま現われておるのです。すなわち春先に生産者、百姓が現金がほしくて、飯米までも売って現金を取ろうとするときには、ずっとやみ米の価格が下がる。端境期になってくれば飯米を売った農民まで買いますから、ぐんと上がる。この開きの幅はありますけれども、ちゃんとデータに現われてきておる。もしこの自由米制度を下手やったならば、現金をほしい春先においてこの米が買い占められて、端境期にこれが高く売られて、あるいは大正八年の米騒動みたいなことが勃発しないという保証はどこにもない。これはあなたの構想はまだふわふわとした固まってないものだと言われますから、今後論議する機会はたくさんございましょう。私はこれ以上は続けません。私はまだ続きもたくさんございますけれども、続けません。  私は、最後に河野農林大臣に一言言っておきたい。これはイソップ物語であります。いたずら坊ちゃんが池のカワズに石をぶっつけたら、カワズが水から顔を出して、「坊ちゃん、あなたはおもしろ半分だろうが、私の方は命がけですよ。」と言ったそうです。私は農林大臣河野一郎さんをいたずら坊ちゃんとは思っておりません。国民大衆もカワズじゃございません。しかしあなたが実力者として、農林大臣として何かこうふわふわと固まらないような構想をぼっと投げつけることによって、非常に混乱を来たしておるというこの一事だけは、十分にあなたの身に問うてみていただきたい。これは大山鳴動してネズミ一匹とは申し上げたいのですけれども、あなたの統制撤廃あるいは自由米構想は、ばかに大きな波紋を起こしましたけれども、せんじ詰めてみれば、やみに流れておる米を自由に買わせようということになってしまう。どうかその点、非常に食生活に不安、動揺を来たしますので、少なくともそういう点は大所、高所から検討し、気をつけてもらいたい。あえて御答弁は要りません。一言申し上げておきます。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 私も一言言わしていただきたいのですが、ただいまの淡谷さんの御意見は、非常に大きな私の考えと違う点がありはしないかと思います。  その点は、第一は自由米と配給米との比率がわからなければ、計画を立てるに非常にそごを来たしはせぬかという点だと思います。私は、その点はそうは考えぬのであります。なぜ考えぬか、米は年に一ぺんの生産でございまして、生産いたしました当初におきましては、非常に豊富なものがありますむその豊富なものが続いておりまする間に、自由米に対する国民諸君の意欲がだんだん現われてきます。その意欲はどこから出て参るかと申しますと、生産者格価、消費者価格、価格の決定で将来に対するこれらの意欲が出て参ります。傾向が出て参ります。その傾向を把握いたしております過程において、政府は明確な施策ができる。ただいま数字的に申しますと、大体九月、十月ごろに早場米が出て参ります。これはよく議論にもなりますが、米の持越量というものが議論になります。ところが従来の観念と違いまして、持ち越しをいたしまする数量と、早場米が出て参る数量がここにダブッてきます。でございますから、従来のように米の持ち越し、もしくは米の一番危機という時代が早まりまして、しいて申しますならば、早場米がこれをカバーいたしますから、その危険が戦前とは違います。また米の非常に不足いたしておりますときとは違います。ただいま御指摘になりました、昭和三十年を例にとってやみ値の御指摘がございましたが、昭和三十年は昭和二十九年の影響を受けておりますから、そういう数字が出ております。これらも御参考に願いたいと思います。  そこで、私は考えますのに、これから先の米を論じます場合におきましては、今申し上げますように、早場米は奨励されまして、従来と違って九月、十月、十一月の初めにおきましては、政府の持越米はほとんど満ぱいに近いくらいに出て参ります。従って決して十月から十一月に米の危機がございません。これが戦前と違う点でございます。でございますから、このときに米価が——先般も答えましたが、大体六月の植付前に米価を決定するのが適当だろう。こう私は考えます。従前通りの米価のきめ方がよかろう、そうして六月ごろに米価をきめますれば、生産者米価、消費者米価、これに対する国民の意欲、方向というものは、順次私は把握できると思います。それによって米に対する施策が十分に政府は用意ができる。でございますから、その間に自由米はどのくらいの数量になるだろうか、政府の配給しなければならぬ数量はどのくらいになるだろうかという傾向が出て参ります。その傾向に基づいて政府は手を打っていくということになりますから、ここに政府が配給する数量、もしくは自由米として流れる数量の把握ができる。従って、今ふわふわとおっしゃいますけれども、私は配給の組織等については今後検討の必要があると申したのでございますけれども、政府がどの程度の米を扱うことが必要か、必要量等は、今、申し上げましたようなことで出て参りますから、それによって政府は必要な処置を講じ、配給数量に支障を来たさないようにすることができる、ごう思うのでございます。従って、今後の米の政策については、今申し上げたような方向でやって参ることによって、決して生産者もしくは消費者に不安を与えるようなことなしにいけるものと私は考えております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 あなたがそんなことをおっしゃるならば、私もやはり言わざるを得ない。というのは、あなたの構想は、自由米の高、比率、そんなものはまだ固まっていないと言うから黙っておったのです。固まっているならば数字を出して下さい。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 今私が申し上げた通り、固まっていると申さぬじゃございませんか。その傾向によってその数字がつかめていく。その数字はどうして固まっていくかといえば、生産者価格と消費者価格、その年の収穫量等によって、自由米に対する消費意欲もしくは配給米に対する購買意欲という傾向が出て参るものと私は考えます。従ってそれの出てくるのは、どういうふうにして出てくるか、おそらく十一月、十二月、一、二、三、四、この半年間くらいにその傾向がキャッチできるだろう、その間に政府は施策をしてよろしい、こう考えておりますと私は申し上げておるのであります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 そうおっしゃいますが、あなたの構想によって、自由米を自由にする構想以上に自由米を奨励するような方針に立つならば、私は今の食糧とは食糧の性格が変わってくると思う。今の米は明らかに国民食糧として、政府が統制をもってちゃんとやっておる。そこにあの戦後の非常な混乱を通じながら安定を得ているし、やみの価格でさえ一定の価格を持っておった。それが自由販売、つまり国民食糧だった米が商品として変わってきた場合に、これは価格体制もあるいは流通の形も変わってしまう。これは政府の作っておる価格というのは、明らかに拘束価格です。統制価格です。政治価格です。それが離されてしまって自由売買になった場合、これは一個の商品として営利対象になってくる。営利対象になった以上は、これはやはり今の自由経済のワクの中で需給均衡の理論で動いてくる。あるいは利潤を求める者は買いだめもやるし、安いときに買って、高いときに売るという、今までの統制価格と違った要因が米価の上に現われてくることをあなたは落としておる。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 私はそういうことを全然考えておりませんし、お答えいたした覚えはございません。米価は、食管法の規定によって生産者価格がきめられ、消費者価格がきめられます。その価格が出て参りますと、それによって自由米を買おうとする人、もしくは配給米を受けようとする人のだんだん傾向が出て参りますということを私は考えております。でございますから、それに基づいて、自由米の方にいく傾向がどのくらいあるかということによって、米屋さんが農村に来て買う数字もきまって参りましょう。問題は自由米を買うという人がどのくらいあるか、配給米を買おうとする人がどういう傾向にあるかということは、消費者価格が決定されることによって、違ってくる、その年の豊凶によっても違ってくるというふうに考えますから、そういう要因を整えつつ、配給価格——もっとほかにもございましょう。そのときの経済の景気、不景気も影響することもございましょう。いろいろな傾向によって自由米に回る人と配給米をぜひほしいという人が出て参りましょう。その傾向が出て参りますから、決して私は自由米を奨励するというようなことは考えたこともございません。そうじゃない、現行食管法の精神を堅持して、そうして生産者価格、消費者価格がきまります。そこで、その消費者価格がきまったらば、そのときの経済事情その他によって、いや政府の米でなくともよろしいと言って、そこに自由米の方に回る人がございましょう。その回る人があるから、そこで米屋さんが米がこのくらい売れるだろう、このくらいしか売れないということで、農村に行って米屋さんが買うという数量が出て参ります。そこで、その傾向が出て参りますから、自由米の数量がどのくらいになるだろう、政府に売る米がどのくらいになるだろうという傾向が六ヵ月の間に出てくるだろう。そこにおいて政府は施策をすれば、十分にやっていくことができると思いますということをお答えしたのであって、決して自由米を奨励するということを考えたこともなければ、無理にそんなことをする必要もない。問題は、消費大衆がどういうものを欲せられるかという消費大衆の自由選択権によって、ぜひ政府の配給する米でおれはいくんだとおっしゃる人がいれば、幾らでも政府は配給いたします。その配給の義務は政府が持ちます。生産者の人は……。   〔「どうやって持てるんだ」「米屋の買いだめをどうするんだ」と呼び、その他発言する者多し〕

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 不規則発言を許しません。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 米屋の買いだめをどうするとおっしゃいますが、購買力がないものを米屋は買いません。自由米で消費大衆が買う意欲があるから、米屋は農村に来て買うのであります。買う意欲がない米を買うようなばかな米屋はないと思います。それを思惑で買うと言うような人がございます。私は、米の思惑をやる商人は今日あるとは思いません。万一そういう不心得なお米屋さんがありましたらば、これは売り渡し命令を出して、政府の強権で買い上げますという考えでありますということを申し上げているのであります。

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 淡谷君、だいぶ時間が超過いたしましたから、注意いたします。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 大臣が挑戦してきますから、私は申し上げているのです。私の勝手をやっているのではない。大臣が挑戦すればやりますよ、あなたが何と言われたって。  そこで、あなたは自由米を奨励しないと申しますけれども、別に奨励というのは、農林大臣河野一郎が金一封をやらなくても奨励になるのです。利益を与えされすれば幾らも自由米がふえていくところに、米を商品化するところに危険性がある。従ってあなたが、一定の保有米も持たず、政府が準備米を持たず、備蓄米を持たないで一切の米を商品化するならば、それは消費者は買わないだろうけれども、米屋は買いますよ。これは、あなたが買わないと言っても、私は買うと思う。従ってあなたの自由米の構想というのは大きな米の資本家に奉仕する政策だ。そうですよ。見ていてごらんなさい、やりますから。第一、配給辞退のあるのはやみ屋があるからなんだ、あのやみ屋を押えてくれという陳情を米屋が数年前からやっておるでしょう。そういう点を考えないであなたがやたらに自分の自由米の構想によるならば、私はやがて米の大資本台頭あるいは空米市場が出るかもしれない。そんなことでは日本の食糧が完全に乱れてしまいますから、もしふやふやしているならふやふやしているようにあまりたんかを切らぬでもっと率直に白紙に返って検討しなさい。どうですか。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 私は、遺憾ながら淡谷さんと考えが根本から違うのであります。どう違うか、淡谷さんのおっしゃるようなことならば、現在麦はどうなっておるですか、麦の現状は御承知の通りであります。私はむしろ米の将来を見て、将来の……。(「麦と米は違うよ」「外国から買うじゃないか」と呼び、その他発言する者あり。)そうじゃございません。外国から入る入らぬじゃございません。麦のように自由にして政府は買い上げ価格をきめて、払い下げ価格が下値であります。下値であります場合には、麦は全量政府は買っております。私は将来生産者価格はまだ上がる傾向にあると考えます。上がっていかなければならぬ傾向にあると思います。消費者価格はなかなかこれを上げることは困難でございます。従ってもし消費者価格が現状であり、生産者価格が上がって参れば、だんだんやみ米、自由米の取引は価額的に減少して参りまして、政府の配給量はふえていくという傾向にあると私は考えております。逆でございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 そこいらがあなたの持っておる構想のあぶない点なんです。政府が一定の米を持って配給に心配がないという場合は、これは消費者の米の価格も上がらないでしょう。なければ幾らだって買う。需給均衡の原理はそう甘いものじゃないのです。値段が高くなれば、これは需要が減るし、安くなれば需要が増すし、特に買い惜しみ、売り惜しみが出てきて、市場に回る米がなくなった場合に、政府が手持ちをしていなかったら、この騰貴を何で押えます。それに対してあなたが何らかの制約をやるというのであれば、自由米処理ではない。やはり統制だ。そういう矛盾がある。やたらにあなたは自分の議論によりますからそうなりますけれども、国民の食糧をまかなっておる米は、麦とは違うのです。量においてもまた扱い方においても違っております。それを同じように考えて勝手に放しておけばいいという方針であるならば、これは全く政策でも何でもない。放任主義です。まさかそうとは言わないでしょう。その点はどうなんですか。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 私はその点についても、遺憾ながら考えが違います。たとえば先般の台風がございましたから、ことしの実収穫量は多少減っております。しかしあの第二室戸台風の前に仮調査をいたしました政府の数字には、八千九百五十万石ぐらいの収穫予想が一応出ております。そういうように、現にわれわれは一応八千万石を目標にして、今数字をしておりますけれども、もうおそらく私は、ことしのような条件のいい年がそういつでもあるとは考えません。しかし今世間大方の人の見るところでは、米が今のお話のように非常に不安があるというような傾向にあるようにお考えの人は、むしろ少ないのではないか、最近の米の収穫量の平均も、おそらく八千二、三百万石というところを押えるのが適当じゃないかということになっております。それを基礎にして需給計画を立てましても、現にことしの端境の持ち越しでも、昨年よりは多くなってくる。順にそういう傾向にありますことは、御承知の通りであります。従って、私は現在わが国民諸君は食糧に不安はない。米、麦を通じて食糧に不安があると考えていらっしゃる人は私はないと思います。しかもこの米、麦が他に用途があるわけではございません。一応食糧として扱っておりまする米もしくは食糧に回しております麦、これが少なくなっていくという要因は、私は特別な天候異変等がなければないと思います。しからざる限り、現状において、もしくは今後において、国民諸君に食糧の量的不安があると考えられる人はないと思います。国民諸君にそういうふうに量的不安なしということになっておりますれば、それを思惑の対象にするとか、だれかが買いだめをするだろうということはおよそないだろう。この大量に取引されます米、しかも持っておればだんだん値段の下がる米、戦前のように非常に自由で、暴騰暴落をしておった時代のように、この米が投機の対象になるというようなことは、私はおそらく考える人は少ないと思います。また実際はないと思います。これを対象にしなくても、株でも何でもやれば投機の対象になるものはたくさんある。米のように持っておればだんだん値が下がります、金利、倉敷がかかります、こんなものを投機の対象にする人があるとは私は思いませんが、しかし常に政府は国内における需給の数字だけは明確につかみます。しかも、これは戦前と違って、今は各県のすみずみまでそれぞれの関係係がおりまして、正確につかんでおります。でございますから、戦前のようなことがあるとは思いませんし、しかもわが国のごく近くにある台湾にしても、朝鮮にいたしましても、むしろ買ってくれという要求が非常に強いものがたくさん控えております。しかも国内において、私は本年度の収穫がおそらく八千五百万石以上になるだろうと考えます。だんだん余る傾向にあっても足らなくなる傾向にあるとは考えません。そういう段階において、今のようなだれかが思惑をやるからなくなるだろう、政府が一定の備蓄をしておかなければいかぬだろうというようなことになると思いません。ということは、必要があれば幾らでも政府は買います、幾らでも売ります、この値で買います、この値で売りますという看板をかけてその義務を明瞭にいたしておるのでございますから、この大きなかんぬきの入っているときに、決して自由に相場の思惑になるということは私は考えません。

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 淡谷君に申し上げます。大事な議論でございますので、時間をだいぶ延長しましたが、延長し過ぎましたので、その程度に一つお願いしたいと思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これは答弁でなくてあなたの質問だから答えているだけの話です。こっちではないのです。大臣の方に責任があるのですから、その点だけは認めてもらいたい。また質問したら答えますよ。そこであなたの言うことはまた変わってきているのです。今のあなたの構想に従えば、農民の申し込みによって、生産者が買ってくれといえば幾らでも買うという構想にするというでしょう。たった今必要とあれば政府が買うと言ったでしょう。どっちがほんとうなんですか。わからないじゃないですか。さらに需給の数字が大体押えられるというその話を聞いておりますと、私は池田総理の国民所得倍増計画を思い出すのです。需給の数字は押えられるでしょう、日本国じゅうにある米の数字は押えられるでしょう、需要はわかるでしょう、ただその米のあり場所が問題なのです。これは政府がはっきり押えておくと米商人が押えておくとでは、米の性格が変わってしまう。政府が押えておれば困ったときは出してやるでしょう。営利一方の商人が押えたならば、それは死のうが死ぬまいが、営利の対象なのですから幾らでも持ちますよ。その所有の不均衡というものが食糧事情の不安定なんです。国民の不安なんです。国じゅうの米は十分間に合うからいいだろうというのは、国じゅうの所得が増したのだから、どんな零細な人間でも所得が倍になるという池田さんの構想と同じような欠点を持っている。これは米だけに非常にあぶないのです。そういう点であなたの構想というのは実にあぶない。もっと立ち入った、きめのこまかい考え方を持って、食糧というもののあり方を考えてみなければ、大へんなことになってしまう。その点は返す返すも御注意申し上げます。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 私もその点は同様に考えております。ですから、消費者大衆の御理解ある御協力がなければ、この私の考えは実行いたしません。生産者も同様でございます。その点は私は深く考えております。

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 それでは明日は午前正十時より開会いたします。なお、明日は午後に本会議もある関係もございますので、時間はあくまで励行いたしたいと思いますから、政府におかれましても時間励行を守っていただきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十四分散会

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