文教委員会 第10号
- 発言数
- 77 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/10/27
会議録
○櫻内委員長 これより会議を開きます。 日本育英会法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 本案の趣旨説明は予備審査のため付託された際に聴取いたしております。 質疑の通告がありますのでこれを許します。村山喜一君。
○村山委員 今回の日本育英会法の一部を改正する法律の改正点の中で、従来は義務教育学校職員等に就職した場合に、返還の免除が規定づけられていたわけですが、それが高等学校、大学、高等専門学校、そういうような非義務制の範囲まで広げられて、そのほかにその他の施設の教育の職を加えたということになっているわけでございます。そこでその高等学校、大学の先生になる者に対して返還免除をするということはいい考え方であると思うのでありますが、ただここで学校教育法の第一条に掲げます幼稚園、これは学校の中に入るわけでございますが、小学校、中学校、大学までは適用をするけれども、幼稚園の場合はこれを非該当として取り扱いをするということになっているわけでございます。そこでその幼稚園の先生になった者、これは全国で約三万名ほどの幼稚園の教職員がおるわけでございますが、今日幼稚園の教員の場合は、御承知のように国庫負担法の対象にもなりませんし、公立も府県によってたくさんあるところとそうでないところとあるようであります。そういうような点から、短大なりあるいは大学を卒業いたしまして幼稚園の先生になっていくというケースが、最近は該当者の新しい教職員になる場合のほとんどすべてであります。そういうようなことを考えますと、幼児教育の振興というか、そういうような立場から今後特に世界的な傾向として、だんだん児童、子供たちの体位が向上して参りますし、精神的な発達も社会の進歩につれて発達して参る段階において、イギリスあたりにおきましては満五才児を学齢児として取り扱いをしている、こういうような事例が出ているわけであります。そういうような点から言いまするならば、幼児教育を今後どういうふうに持っていくかということはきわめて重大問題でありますので、そういうような、特に人格形成期にある四才児、五才児というようなものを対象にいたしておる幼稚園教育、その振興の上から考えまして、少なくとも、そういうような公立なり私立の幼稚園に勤務した教職員というものは、学校教育法等に掲げます学校の範囲の中において小学校、中学校、高等学校、大学というものまですべて返還義務を免除しようという考え方に立つならば、当然幼稚園の場合もそういうような方向に向かって努力をしなければならないことだと思うわけでございますが、それが今回の改正点の中に入らなかった、そういうような理由はどういうようなところに基づいているのか、この点についてお伺いをいたしたい。
○荒木国務大臣 幼稚園教育は、御指摘の通り学校教育法にいう学校であることに間違いないし、従ってお説の通り幼稚園教育をもっと重視して、その振興ないしは充実をはかる考え方でいくべき問題であることは同感でございます。ただ実際問題といたしますと、遺憾ながらまだ幼稚園教育に関する制度そのものも整備されてない点がございますし、今御指摘の通り外国で幼稚園教育からしてすでに義務制にもしておることもかねて聞いてはおりますが、なることならばそういうことに持っていくという考え方のもとに検討を要するであろうという意味においても同感でございます。いずれこしましても、もっと幼稚園教育それ自体の制度上の問題あるいは実際上の問題にいたしましても、もう少し整備をしました後にこの育英会法との関連は考えるべき筋道ではなかろうかという考え方で今回は入れておらないわけでございます。お説のような方向に持っていく努力をし、また検討をすべき問題と思っております。
○村山委員 制度の整備が第一であって、それに引き続いてこういうような育英会法の改正のときは考えて参りたい、こういうような御説でございますが、なるほど幼稚園の教育振興というものを考えますときに、教員の給与の国庫負担法もまだ制定されておりませんし、施設設備についての負担法もございませんし、あるいは設備基準も示されてはおりますけれども、その設置基準についての現状の設置状況等を見てみると、五割以上も基準以下のものがある、こういうような状況にあるわけでございます。従って、それを先に解決をしなければならないという考え方はよくわかるわけでございますが、しかしながらまず教育の柱はその教職員の人にあると考えるわけであります。そういたしますと、こういうような高等学校なり大学というものは、やはり義務制の学校でもございませんし、ある意味においては日本の所得倍増政策の柱になって、馬等学校教育なり大学教育が、そういうような人的資源の涵養というような立場から取り上げられてきたものだと思うのですが、幼児教育を徹底さしていくためには、そういうような教職員に対しまして、やはり優遇措置を講じてやる、こういうようなことで同じような取り扱いをすべきであると考えておるわけであります。 そこで、この点が大臣からまだ説明を聞いていないわけですが、幼稚園を入れた場合には、どれだけの経費が新たに必要になるか。その線につきましては法律の改正案は出されておりますけれども、資料としてわれわれの方に出されていないのですが、高等学校なりあるいは大学、高等専門学校その他の施設の教育の職を入れた場合においては、現在の日本育英会の予算はこういうふうになっているが、これがこういうふうになっていくのだ、こういうような予算的な見通し、その上から幼稚園の教職員については、大臣がおっしゃったように、そういうふうに努力をしたいのだけれども、万やむを得なかったのだ、こういうような説明がなされなければならないかと思うのですが、そういうような予算的な裏づけ、これについて政府委員の方から御説明をお願いいたします。
○西田説明員 免除職の中に幼稚園教員を含めるかどうかという問題を検討いたします場合に、ただいま大臣からお答え申し上げましたように、現在の状況において、これを免除職にすることにより幼稚園教育に優秀な教員を確保する的確な効果が上がる見通しがあるかどうかという観点がもっぱら中心でございまして、予算措置と申しましても、これはそれらの教員になる者のうち、奨学金を借りた者がおりました場合に、それが将来の返還金に響いてくるという程度でございまして、当面の予算措置その他には直接のつながりがございません。従ってこれを判断いたします場合には、全体的な将来の歳入源というものを特別に考慮はいたしておりません。現状では幼稚園の教員の九〇数%が女子教員でございますし、またその中で現在まで、大学卒で教員になります者が大体五%程度だと私ども認めております。その中で奨学金をもらいます者はそのまた二割程度でございますから、従って現状におきましては、全幼稚園教員のうち奨学金をもらっている人たちは一%程度である。ということになりますと、この優秀教員の確保は、先ほど申し上げましたように、その待遇とか制度とか、より広範な対策がなければ、奨学金制度だけでにわかに効果を発揮するということは困難ではなかろうか、かような判断から、先ほど大臣からお答えされましたような結論になったわけであります。
○村山委員 予算的な問題からではなくて、現在の実情から、大学におけるところの教育を受けて幼稚園の先生になる者が五%程度である、そしてそのうちの二割が大体金を借りているので、全体の一%程度しか該当をしない、こういうような御説でございます。そういうような点からこれは緊急性がない、こういうようなことで排除されてきたというふうに説明を伺ったわけですが、この幼稚園の先生になるためには、免許法に基づいて短大を出ていなければ二級免許状はもらえないことになっている。幼稚園の設置基準の上から考えましても、少なくとも半分は免許状を持った者を置かなければならないというふうになっているかと思うのですが、そのようなことを考えて参りますと、大がい新しく幼稚園の先生になるのは、特に私立の経営基盤の悪いところは別にいたしまして、公立なり国立なり、そういうようなところは漸次教職員の有資格者を備えていく、こういうふうな方法をとっていると思う。そういたしましたときに、幼稚園に入って幼児の児童心理の研究をやり、そして児童心理の研究の上に根ざした幼児教育をやっていこう、こういうような考え方を持った免許状を持った人たちが、幼稚園に勤務していくように今後はやはりなってくるだろう。そうなって参りますと、今の課長の説明の大学の中には――これは大学の四年を卒業した者、こういうことだろうと思うのですが、二年短大を修了した者は、二級免許状を持てるわけですね。そういたしますと、そういうようなものもやはりこの五%の中に入っているものかどうか。そして幼稚園の設置基準の問題は、これは来年の一月三十一日までは現行の設置基準でいくことになっているようでありますが、その後におけるところの設置基準の改正等も当然考えなければならぬ。基準を引き上げるというような問題も、幼児教育の振興の上から考えていかなければならぬ。そういたしましたときにおいて、いかにして優秀な教職員を幼稚園に吸収するかということも、これは、女子が幾らであろうが男子が幾らであろうが、やはり考えていかなければならない問題ではないか。そういうような点からいった場合に、人数が少ないからとか該当者が少ないからということで、緊急性がないというような判断をされることは間違いではなかろうか。そういうふうな、設置基準の上からどういうふうにこの問題を考えるべきかということについて、お話しを願います。
○西田説明員 先ほどお答え申し上げましたのは、現在幼稚園の教員確保についていろいろな条件がございまして、ごく最近における教員の需給状況をもとにいたしました場合に、それだけを取り出して新たに免除制度だけをやった場合にどういう状態になるかということを申し上げたわけでございまして、幼稚園教員に優秀者を確保するということは、先ほど申し上げましたように、文部省としてももっと各般の政策を総合的に検討する必要があるということは十分考えておりますし、そのような政策とあわせまして、その際に育英会法の免除制度をあわせ検討するという立場で、そのときに取り上げるかどうかを決定するのが妥当であろうという考え方でございまして、前向きの姿勢としてこれを今後の研究課題にしたいという立場でございます。現状がこうであるからこれは今後とも積極的に考慮する余地はないという考え方ではないわけでございますので、その点御了承いただきたいと思います。
○村山委員 そこで大臣にお尋ねをいたしますが、御承知のように、今学校教育法にいうところの幼稚園がございます。ところが、厚生省が取り扱っている子供の福祉施設といたしまして、各市町村の公立の保育所ですね、保育所におきましては保育が主たる目的でありますが、やはり、人格形成の上から必要なある程度のしつけであるとか、まあ教育の範囲に入らない一つの訓練を受ける。これが幼稚園のたくさんあります地方公共団体の場合は割合にこういうような保育園が少ないわけです、ところが、幼稚園の少ないところにおきましては保育園が多いということで、四才、五才の幼児期におけるところの子供たちの教育というものは、今学校教育法にいうところの幼稚園教育と厚生省のそういうような保育施設によるところの教育というものが行なわれている。これらの問題につきましては、日本の幼児教育において複雑な状態を呈しているわけでございますが、こういうようなものをやはり正しい路線に乗せて解決していかなければならないと思うわけです。それについてどういうふうに今後幼児教育を発展をさせていこうという構想をお持ちになっているかということについて、お尋ねをいたします。
○荒木国務大臣 お説の通り、保育園と幼稚園というのは所管省を異にする。一応表面上の設置理由は違うようなふうになっておると承知しますが、それはそれといたしましても、保育園もしくは幼稚園で保育ないしは教育を受ける子供にとって考えれば、部分的な相違はありましても、ほとんど大部分が同じことではなかろうか、そういう角度からとらえますと、まさしく教育という立場から幼児のしつけ、その他を考えることが本筋であって、保育園でしかるべくやっておるからそれでいいんだという考え方は適切じゃないと私は理解いたします。そういうことからいたしまして、妙なことを申し上げておそれ入りますが、予算の関係等からいたしましても、厚生省と文部省がいわば出合い丁場でなわ張り争いをするような格好になって現われるわけであります。このことはまさに一種の二重施設的な意味も表面的に現われ始めているとも理解できる。そういうことからいたしましても、さらにはお説のような幼児教育そのものが本来の学校教育法のワク内に一おいて、誠意を持って国なり公共団体が幼児のために責任を持った態度で臨むべきじゃないかという考え方は、私もことごとく同感でございまして、しからば具体的にいつからどんな工合にしていくかは今私も申し上げかねますが、一応頭に浮かびますことは、さっき英国の例を引用されましたが、たとえば英国におけるがごとく、義務教育年限をもう一年さか上って増加するということが最終的には望ましいことではなかろうかというふうに感じてはおりますものの、かりにそうするとしましても、考えらるべき、措置さるべきもろもろの事柄がしろうと考えながら連想されるわけでございまして、そういうところを十分に検討を加え、自信をもってそうすべきだという結論に到達しましたならば、方向としては今申し上げたような方向が妥当ではなかろうかというふうに一応考えているところでございます。これ以上ちょっと具体的な方針をどうしておるかというお尋ねに対してはお答えいたしかねますけれども、気持だけ申し上げてお答えにかえます。
○村山委員 この問題につきましては、日本の学制の問題につながる大きな問題でございますし、いろいろ教育学的な、あるいは心理学的な研究や、もちろん財政的な措置、その他諸般の問題について研究を必要とする問題であろうかと思うわけです。しかしながら先ほどから大臣も言われておりますように、制度の整備、特に幼稚園の教育の振興の問題にあたって、教員の給与の国庫負担の問題や、その他施設設備の基準の確保に関する問題等もございますので、そういうような問題と合わせながら一つ十分に今後検討を願いたいということを要望申し上げて、この点につきましては質疑を打ち切りたいと思います。 次に「其ノ他ノ施設」という言葉が使ってございます。この「其ノ他ノ施設」というのはお話を承りますと、いろいろ農林省の水産講習所、こういうようなところに学ぶ者も返還の免除をしてくれないか、こういうような要望も出ているようであります。あるいはそのほかに逓信省のそういうような大学に準ずるような学校、各省がそれぞれ持っておりますそういうようなもの等が、いろいろこういうような育英会法の改正の中にあって自分のところも免除してくれ、こういうような要望が非常に強かったと聞いているわけですが、その後文部省の方で一応「其ノ他ノ施設ノ教育」の職を加えられるのにあたりましては、政令やその他の措置によってどこまでがその職に入るのだという明確なる規定をされているだろう。どこまでその範囲を広げていくかということになって参りますと、非常にむずかしい問題があるかと思いますが、「其ノ他ノ施設ノ教育」の職というのは一体何と何を考えて、どういうふうに内定をしているものか、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。 それと同時に、「研究ノ職」というものは、これは文部大臣が指定をされるものが約五十ほどあるというように承っておりますが、その指定の中にどういうようなものが入っているのか。大学院において勉強いたしまして、それを卒業してから研究の職につく場合でございますが、大学に残って研究の職に当たる者ももちろんあるだろうと思いますが、それとともに大臣が指定をする研究の施設の職についた場合に、やはり免除をする、こういうようになって参りますと、その解釈を拡大して参りますと、非常に範囲も広がってくるだろう。そういうようなことから、その必要性というものはある点においては理解できますが、それをどういうふうな基準で押えようとしておられるか、その指定にあたっての基準というものがありましたならば、それをお示しを願いたい。
○西田説明員 お尋ねの前段の部分でございますが、大学の卒業生が返還免除を受けます「其ノ他ノ施設」というものにつきましては、政令で規定いたします場合には、この法律の上に現われておりません学校としまして盲学校、ろう学校、養護学校、こういったものがもちろん含まれますが、そのほかに、これは在来の政令でも規定されておりますが、少年院、教護院などにおきまして義務教育に相当する教育を行なっている部分が含まれます。なお、今回の改正の際に、お話の通りに、いろいろの関係機関から、「其ノ他ノ施設」に含めるべき御要望もございました。それをいろいろ検討いたしました結果、この奨学金の免除制度に含めるべき一つの限界線といたしましては、原則としてこれは学校教育法の学校であって、そうしてその卒業生が将来卒業後奨学金を返還するのが原則でございますけれども、そのような教育機関に教員として奉職することによって、さらに後進の育成に積極的に寄与する、そのような職に限定をしていこうというように考えまして、いろいろな御要望もございましたけれども、結論といたしましては、新たに加える問題は、児童福祉施設の一部で、義務教育を猶予または免除されたところの児童の教育指導を行なっているところがございます。従ってそれらの児童の教育指導に不可決の教育施設であるというように考えまして、これを新たに加えたいというように考えております。 後段のお尋ねの点は、文部大臣が指定いたします試験所、研究所でございますが、これにつきましては、従来大学院の卒業生が、その研究所として、学術研究の水準から申しまして、その内容から申しまして、ぜひ必要であるというように判断されるものをとろうという方針でやって参りました。従ってその際には、その団体の現在の事業規模、高等教育を受けた研究者の数、また現に大学院卒業生が過去において相当数必要とされてきたかどうか、その研究の質的内容等を検討いたしまして、一つ一つを判断するというやり方でやって参りました。現在までは政府関係の試験所、研究所等の大多数は含まれておりますし、地方公共団体の工業試験所等もこの中に入っておりますし、また財団法人の中できわめて学術的にすぐれた研究をされております団体の研究職員も含まれておるわけでありますが、お尋ねの基準というものを、明確に、すべてに共通するようなことに立てるのは非常に困難でございますので、ただいま申し上げましたような考え方で申請のあったものにつき、一つ一つ検討して指定をしてきた、かような実情でございます。
○村山委員 育英会法の施行令の十八条の第三項の中に「少年院又ハ教護院二於テ小学校又ハ中学校ニ準ズル教科ヲ授クル者ノ職」これが出ておって、従前においても、義務教育の段階においては、そういうような少年院なり教護院におけるところの小中学校の教育をつかさどる者につきましては、学費の返還免除規定がなされているわけです。そういたしますと、今回その他の施設の教育の職を加えたというその範囲の中には、盲学校、ろう学校、養護学校等の高等学校の教育を行なう高等学部ですか、そういうようなものが新たに加わったということと、児童福祉施設の範囲に入りますものが新たに加わったことになるわけですか。
○西田説明員 ただいま御指摘の通りでございます。
○村山委員 そういたしますと、この児童福祉施設の中で、義務教育の免除を受けておるが、やはり教育活動が行なわれなければならない施設というのはどういうところなのですか。少年院、教護院のほかにどういうものがありますか。
○西田説明員 現在まで厚生省当局といろいろ相談をいたして参りました大体の結論といたしましては、たとえば精神薄弱児施設、それから盲ろうあ施設、このようなものが、その本人の能力に応じて、学校教育の教育と完全に対応のとれるような教育ではございませんが、その児童の素質、能力なりに応じて、やはり訓育指導をする施設として効果を上げておられるということを考えまして、そのようなものを対象に考えたいと思っております。
○村山委員 そういたしますと、たとえば盲ろうあ児を施設に入れましてやっております保母、寮母といいますか、ああいうような職に当たる者も教育に当たる職というふうに考えて、寮母というのが盲学校なりろう学校にはあるわけですが、これは該当いたしますかどうですか。
○西田説明員 現在の考え方は、それらの施設におきます児童の指導員を中心に考えまして、保母はまだこれを取り上げるかどうかということについては結論を出しておりませんが、これを全部含めることは非常に困難であろうという考え方でございます。
○村山委員 指導員というのは、寮母の中でそういう指導員というものがおりますが、やはり寮母というのを考えますときに、それだけの教育活動を行なっている、こういうような指導も世話活動ということに法令の上ではなっているようですが、その法令の上から見て、実際の勤務内容から見た場合に、教育活動の一環としてそういうようなものをやっていく、こういうようなことになって参りますと、保母なりあるいは寮母なりというものは、これに該当するというふうに広義に解釈をした場合にはなると思うのですが、そういうようなものは免除されないのですか。
○西田説明員 その他の施設に、それらを政令で定めまする場合には、具体的にこれを児童指導員に限定するか、保母まで含めるかということを明記しなければならぬわけでありますが、お話の通りに、目標といたしましては、保母につきましても、大学卒業生の優秀者を確保するということが終局の理想ではございましょうが、現在まで厚生省当局との実態に即した検討の段階におきましては、少なくとも児童指導員をそのような有資格者によってまず充足するというのを目標にいたしたいということの結論が出ておりまして、保母までをこの際全面的にそういう目標を立てるかどうかは、現実の問題として現在すぐそれを取り上げるかどうかについては、まだ検討中でございます。
○村山委員 指導員については、これは該当者だとして考えて、保母についてはまだ検討中だ、こういうことでございますが、最近厚生省の盲ろう児の施設の中で働く寮母なりあるいは保母、そういうような人たちを見てみますと、これは府県によっても相当差があるわけですが、短大卒業程度の者が相当進出をしてきている、中には大学を出た者がそういうようなところで教育に当たっているというのが都会地においては多いわけです。そういうような場合において、片一方においては学校に行った、あるいは少年院なり教護院で働く、そういうような場合と比較検討した場合に、実質的にそういうような施設において教育の職にある者まで範囲を拡大していかなければつり合いがとれないような状態が今日出てきているのだと思うのです。そういうような点から今後検討をさらに進めていただくことになっているようでありますが、十分にそれらの実情が反映されるように政令事項を定めていただきますように要望を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
○櫻内委員長 山中吾郎君。
○山中(吾)委員 この法案で一点だけお聞きいたしたいと思います。今度の改正法案の中で、大学院卒業生が教職についた場合に、中学までは免除をするけれども、小学校を除外しておる理由が私にはわからないので、御説明を願いたいと思います。
○西田説明員 御承知の通りに、前国会に政府案として当初提出いたしましたときは、大学院の卒業生の奨学金を免除いたしますのは高等学校の教員までという当初案でございました。これは育英会法が当初施行されまして以後、教員免許状について内容の変更がございまして、大学院の修士課程を終えることが高校教員の普通免許状を取得する基礎資格として要請されることになりましたので、そのような免許状の資格要件からいたしましても、大学院卒業生が高校教員になることは、これは制度上当然期待される道であるという観点から、そのような追加を考えたわけでございます。しかし御承知の通りに、この政府原案が参議院におきまして御審議をいただきました機会に、与野党から、特に大学院卒業生については中学の教員をも含めるように御要望がありまして、そのような修正も前国会ではなされました。その点考慮いたしまして、今回の政府提出原案には中学校を含めたわけでございます。その当時中学教員を含めます御要望の趣旨といたしましては、高等学校教員の免許状を有する者の大部分は、やはり同じ教科教育をやっておる中学校の教員の免許状も持っておる者が多数でございまして、そして各都道府県が教員の人事をいたします場合に、中学校、高校の人事交流という現実の必要もあるということが主たるお説のようでございました。従って小学校は全科に対する担当教員という形になりますので、一応大学院で研究に従事いたしまして、これを現場に生かすという立場からいえば、教科教育の行なわれております中学校で一線を画するということを一応の原則として考えていくことも合理的であろうという観点から、中学校までにいたしたわけでございます。
○山中(吾)委員 今の御説明では私は納得できないので、大学院を卒業した者が同じ義務教育の中学校に従事したときには学資を免除して、小学校に就職したときには免除しないというふうな、そういう方針は受け取れない。それから免許状の関係からいえば、中学校の場合に、該当科目の免許を持っていない大学院の卒業生もあるはずであり、小学校の場合についても、大きい規模の小学校については、特定の免状を持った特定の教科だけで三十時間も持っておる場合もあるのであって、必ずしも学級担任の教師だけではないはずです。そこからいっても矛盾である。それからたとえば大学院で教育学、心理学を専攻した者が、特に幼児教育に従事をしたいという崇高な教育精神を持って小学校に就職をして、そして単なる知識を教えるということばかりでなしに、その子供の発達心理に応じたいろいろの小学校の学習指導の向上に一番大きい役割を果たすということで、大学院卒業で小学校教員になる人があるはずであって、そういう貴重な人々を無視して、中学校教員になった者には免除して、小学校に就職した者は免除しないという法律なんというものはあったものではない、私はそう思うのであって、この点については、この法律は、中学校まで免除するならば、義務教育である小学校にまで及ぼすべきことは当然なんです。中学校でぽつんと切った何の理由も考えられないので、小学校にまで当然大学の卒業生、ことに教育学、心理単を専攻した者が特に希望するというような場合があるのであって、各県に数名そういう人が絶対必要なんです。どこの県においてもそういう人が必要であって、そういう人々が小労使の教職の体験を持って、そうしてそれが教育研究所に入るとか、あるいはその地域の教科課程の改善に一番大きいリーダー・シップをとるはずの人でありますから、免除をこちらから求めても、私はそういう人は招かなければならぬと思うにかかわらず、なぜこの場合は小学校を除外しておるか。それについて係官から御説明をいただくと同時に、文部大臣からもその点について、当然修正すべきであると思うのですが、この国会は時間がないから、修正すると、参議院に行ってまた戻ってこなければならぬということだけの理由ならば、これは次の国会において将来再検討するということが伺えれば、私は一応やむを得ず納得はしますけれども、この法案が最善であるとか、これで何の矛盾がないというのでは、絶対私は受けるわけにいかない。それを考慮して大臣もお答え願いたい。
○西田説明員 奨学金の免除制度を考えます場合に、私どもは、制度上大学院を卒業した人がぜひこういう分野にきて、ここで働いていただくことが、国家社会の全般から見まして非常に強い要請であるということが考えられるものに、これを限定をしていくというのが原則でございます。大学院におきまして奨学金を貸与し、その勉学を奨励いたしますことは、もっぱら学術研究者の養成ということが中心になっております。従って従来の免除制度は大学の教員とか高度の学術研究者にこれを限定いたしておったわけでありますが、先ほど申し上げました通り、免許法の制度の上から、高等学校教員という者が新たにそれに含まれるのが至当であろうという考え方で、これが追加されたわけであります。その場合に、高等学校教員あるいは中学校教員が高度の学術研究者という範疇に入るかどうかということは、いろいろ論議がございましたけれども、免許法の建前からいって、これを含めるということは至当であろうというように考えられて、これを追加したわけでございます。 もとよりお話の通りに、中学校の教員としての教育経験を持ち、教育心理等の研究をなさる方も確かにあるわけであります。従って現行法におきましては、原則は、大学を出まして、直ちに教職につかなければ、奨学金免除資格を失うわけでございますが、特に大学院の卒業生が義務教育の教師になって、ある期間研究的にそこで職に従事され、そうして将来の研究のために実習の経験を持とうというような方が相当あり得るということから考えまして、特に大学院卒業生が義務教育の職についた場合には、その免除される職につくまでの期限五年間は猶予ができるというような制度が政令できめられておりまして、そのような研究、実習の経験を持ちたい方に対しても、一応の便宜の方法を考慮いたしておるわけでございます。そのような大学院奨学金の本来の原則というものから考えまして、これを高等学校に拡充するということを限界に考えたのでありますが、先ほどのような理由によりまして、中学までこれを広げるということは、現実の必要上やむを得ない追加であると考えて、いたしたわけでございますので、小学校までこれを拡充することは、今適当ではないのでないか、かように考えております。
○荒木国務大臣 小中学校の制度上の教育実態ないしは先ほど来御説明申しました説明員の説明にも明らかな通り、免除という点に立脚して考えれば、一応御審議願っておる原案が妥当だと思います。ただひとしく義務教育の場に教師として現実におりながら、中学校、小学校が差別されるということではおかしいじゃないか。現実問題だけを中心に考えれば、御説もごもっともな節はあるとは思います。ですけれども、今直ちに私としましては、百パーセント確信を持って山中さんの御説をでんぐり返すほどの勉強が足りておりませんので、確たる御返事はいたしかねますが、いずれにしましても、今申し上げたことを含めて、直ちに検討させていただきたいと思います。
○山中(吾)委員 検討されるというお答えですから、これは検討していただくべきだと思います。大学院を卒業した者が研究をしておる期間五カ年を猶予するということは、これは返還を認めるかどうかの法令には無関係なので、それをしておるから必要でないというそのお考えは、これは改めていただかなければいかぬ。あくまでも返還の対象にするかどうか、免除の対象にするかどうかのことであります。なぜ私強調するかと申しますと、戦前におきましても、中等教員の免許状をもらって、高等師範というふうな学校でも、教育に従事した者は全部免除した。中等教育の免状しか持っていない者が小学校に行きますと、代用教員です。給与も少なくて、それでもなおかつそこに行って、そうして小学校教育に従事した非常にりっぱな先生があった。逆にそういう小学校に行って一生懸命に教育愛に燃えて教育していって、特典の、しかも学習に対する指導的な役割を果たした人には、さらに免除すべき理由があるので、私の考えからいくと逆なわけなんです。それで再検討していただかなければならぬと私は思います。義務教育であるという点において、形式的に言うばかりでなしに、実質上小学校には学級担任だけの先生ばかりでありますから、特に教育心理の部面に専門的に知識を持っている人がその中に入ってこそ、小学校の教科課程の改善その他について役割を果たしていくのでありますし、そこに進んでいく人は、非常に大きい使命感を持っていく人にほとんどきまっております。そいつを免除から除外するという理屈は立たない。最初の理屈なら高等学校も全部はずさなければならない。そうして高等学校までは一応理屈がついたとして、中学校まで対象にして、小学校を切るということはなおわからない。非常に矛盾がたくさんあると思いますので、これは御検討願わなければならぬと思うのです。大臣は私の考えをでんぐり返してしまうことができないと言われるが、何もでんぐり返さなくてもいいので、部内で検討していただいて、そういう矛盾のないようにさらに一定の時期には改正法案を出して、そうして教育政策の推進する方向に再検討していただきたいと思います。私の質問はこれで終わります。
○櫻内委員長 三木喜夫君。
○三木(喜)委員 育英資金の返還あるいは全面的な給与をするというようなこういう考え方からして、大阪支所の問題について若干お聞きしたいと思うのであります。 先般大阪の支所を開設して、そして育英資金の返還を促進する、こういうことでやられたと思うのですが、その後その大阪支所の返還の状況はどのようになっておるか。なおその前に集金人の募集が非常に困難だということを聞いておったのですが、そういう集金人は充足されたかどうか。それから、集金人は具体的にどのようなことをやって集金をやっておるか、実績を上げておるのかということを最初お聞きしたいと思います。
○西田説明員 大阪支所につきましては、予算措置の上から申し上げますと、その庁舎を大阪で借り上げをいたしまして、そこへ当初の準備段階の職員をまず採用いたしまして、東京から相当幹部職員が現地に参りまして、近畿地区における返還回収体制の整備に努めて参ったわけでございます。予算しからは、この集金人と申しております外務員の採用は、実際上は予算が九カ月予算でございまして、この九月からそれらを採用し、現在まで約一カ月間程度の訓練期間を経まして、そして十月ころから積極的に集金回収を実施する準備になっております。現在までのところそういう状況でございますから、集金人の実際的効果というものはまだ試験段階でございます。しかしながら、現在まで近畿地区におります要返還者が、大阪支所ができたということ、そうして、支所の名においてその地域の要返還者に、今度は集金をもって回収にいく、従って事前に奨学金の返還をぜひ願いたいという文書督促を、現在まで四月からやっておるわけでありますが、その回収状況は、従来の集金を実施しなかった地区に比べまして格段の収納率を上げているようでございます。実際に外務員がこれを戸別訪問をいたします段階になりまするならば、相当程度これが改善されるものと考えて、今後の成果を見たいと考えておるわけでございます。
○三木(喜)委員 集金人と称する人が完全に充当されたかどうかというお返事をいただきたいと思います。今、その機能、それからそれらの成果といいますか、そういうものはおぼろげながらわかりましたが、最初の点、一つ……。
○西田説明員 当初は、集金人の採用につきましては、かなり都会地における求人難ということで、職業安定所を通じてもっぱらやっておりました段階では、なかなか集まりにくかったわけでございますが、東京方面の経験にかんがみまして、これを新聞広告という方法に切りかえましたときには、多数の応募者がございまして、その中から十分満足すべき素質の者を採用し、現在全体を充足することができた状態でございます。
○三木(喜)委員 返還状況については、大体八月三十一日現在で三分の一は順調に返っておる、三分の一は請求に手間取っておる、三分の一はどういう手をもってしても困難だということを発表になっておるように思うのですが、それについて、文書の督促によって続々と返還がされておるというお話がありましたけれども、現在どの程度返還されておるか、金額あるいは人数によってお示しいただきたいと思います。
○西田説明員 従来、この集金制度を実施いたします以前におきましては、育英会からの文書の請求によって延滞をせずにこれを返還いたします者は約三〇%程度でございます。その他の者は、一年以上、二年、三年というように延滞をしてこれを納めるというような状況が続いて参ったわけでございます。従って、現在延滞していないもの、あるいは延滞したものなども含めまして、その年に収納すべき総額に対しまして実際とれる金額の率が必ずしも十分ではなかったわけでございます。ところが、集金制度を実施いたしましてからは、まずその原則といたしましては、すべての要返還者に文書によって督促をいたします。しかしこれは従来のやり方よりもさらに具体的な内容を持っておりまして、本人がその文書督促によって納めない場合には実際に集金人が行き、本人の住居あるいは勤務先を訪問してこれと面接の上、必ず納めてもらうという措置をするのだということを本人に通告をするわけでございます。従いまして、集金地区におきましては、集金人が回る以前に、その集金人の回る予告請求だけで、従来の文書地区よりは格段な効果が上がるわけでございます。現在までの実績は、大阪地区は、今申し上げましたようにまだ実績がございませんが、東京地区の経験を概括いたしますと、文書だけでまずその全体の約三五%程度のものが、集金人が回る必要なく返還をしてくるわけであります。その残りのものに対しましては、戸別訪問をいたしましてこれから回収をいたすわけでありますが、訪問をしたときに直ちに入金がなくても、それがしかるべき指定された時期に入金の約束を取りつけるとか、その他本人とは返還についてかなり具体的な取りきめを実施いたしておりますので、従来文書で返事がないというだけでどうにもならなかったようなものが、集金地区では一つ一つケリがついていくという形で進行いたしているわけであります。今大阪地区における文書収入の人員及び金額ということのお尋ねでございますが、その点につきましては、現在具体的な数字を持っておりませんので、大へん申しわけないのでありますが、お答えをいたしかねるわけでございます。
○三木(喜)委員 全体で四百五十万の貸付がされて、百万人対象にして二十万人が滞納しておるという概括的な数が八月に発表されておるのです。その後の経過、その後の実績をお聞きしておるわけです。それについて、全体でけっこうですから、大阪地区でなくてもけっこうですから、お答え願いたい。
○西田説明員 現在私どもの手元にございます資料では、昭和三十五年度末の段階におきましては、日本育英会が過去に貸与いたしました延べ総額が四百三十五億になっております。その中世で、すでに返還をされ、あるいは免除をされまして、すでに消滅いたしました債権が、五十三億ほどであります。次に、この四百三十五億のうち、なお本人に対する請求をいたす段階に立ち至っていない据置の債権がございます。それは現在まだ学校に在学中の者であるとか、あるいは現在奨学金の免除をされる職についておって、免除されるまでの間猶余されておる、そういう金額がございます。これが約百五十億近くになっております。次に、すでに卒業して返還を開始しておる人間が相当いるわけでございますが、その人たちの奨学金の中で、年賦額でございますから、また将来戻すという、今直ちに返還を要しない金が百八十九億ほどございます。 以上申し上げましたような消滅したもの、据置のもの、また時期が到来していないもの、これらを差し引きますと、三十六年度におきまして実際に回収すべき金額は約四十二億程度になっております。四十一億のうち、二十七億が過去からの延滞分の累積でございまして、その点集金制度によってこのような延滞が今後増加することを極力防止したいという考え方でございまして、今申し上げますような返還収納状況を概括いたしますならば、三十五年度の末において、それまでに当然入っておるべきお金のうち、現実に入ったお金というものの割合を見ますと、その収納率は約五三%という数字になっております。 これが大体の概況でございます。
○三木(喜)委員 八月末の現況で二十万人滞納しておる。それで今そういう集金人制度を作って――大阪でなくてもいいのです、東京でけっこうですが、督促をやって、幾ら減ったかということを簡単に聞きたいのです。三十五年度末の統計を出してもらっても、これでは意味ないと思うのです。たとえば前の国会においても皆さん方に自民党の方からもどういう督促状況になって、どういう集金状況かという質問が出ているわけです。私は具体的に八月末ということを一つの切りにして、それから後にあるいは三十五年度末までのことでもけっこうでございますから、その後そういう集金人を置いたり、督促状を出したりすることによって、どんな効果があるかということを具体的に人数でお示し願いたい。なければ後ほどまた出していただけばけっこうです。
○西田説明員 昭和三十五年度末と申しますのは、今年の三月末でございまして、それ以後、月々に返還状況が動いておりますので、その最も近い数と明いうものは現在手元にないわけでございます。もっぱらお尋ねは、集金制度によってどれだけの改善がなされたかということでございますが、昭和三十五年度は、御承知のように集金制度の初年度といたしましては、東京地区は要返還者の非常に多い地区で、わずか十名の集金人によってこれを試験的に実施したわけでございます。現在東京地区では三十名に増強されておりますけれども、その三十名もまだ数カ月の実績しかないわけでございます。従ってその集金地区における実績はきわめて地域が限定されておりますし、その活動期間が現在まで一年程度のものでございますので、初めての年としていろいろ試行錯誤もございます。その点で集金制度によって最終的にこれだけの実績が完全に上がりましたということを、今的確に数字をあげて申し上げる準備がないわけでございます。ただ要返還者は、先ほど二十万人という数字をあげられましたが、現在三十五年度末におきまして要返還者の総数は六十二万三千人ほどになっております。延滞者というのは、その本人の返還金を全然戻さない人という意味ではございませんで、去年当然入るべき金をことし納めておるとか、二年前のがことし入ってきたとか、おくれおくれになっておる格好でございます。従って、その六十万人ほどの要返還者のうち、三十五年度末の状況におきましては、人数の割合で申しますと、延滞金を全然持っていない者というのは、六十万人のうちの約三三%程度でございます。そうして一年くらいの延滞金を持っているのが二五%程度、二年の延滞金を持っているのが一三%程度、かような人数割になっておりまして、一応一年以上の延滞を持っておる者を全部延滞者とすれば、数壁上は七割近い延滞者がいるということになりますが、これらは大体一年、二年、三年とおくれおくれになりながら、大体五年までの延滞を含めますと、当然戻すべき金の中の約七割程度は回収をされておる。それが時期的におくれるために、延滞者が非常に累増しておる、こういうような状況になっておるわけであります。
○三木(喜)委員 ちょっとよくわからぬのですが、あるいはこういうことをしたいとか、この程度だとかいうことでは問題だと思いますので、一応これについては私は資料を要求したいと思うのです。というのは、滞納者については裁判に訴えてでもやるというようなことが最近文部省から発表されておりますが、これはどのような根拠に立ってこういうことに到達されたかということを私は聞きたい。この国会で皆さん方は私たちの質問に対しまして、集金人を置いて返還をスムーズにやっていくような手だてをしたい、こういう発表があったのです。それを一転して、先般の新聞発表でしたが、はたしてそういうことをやれるのかどうかわかりませんが、裁判に訴えてでもこういうものをやる、そういうことを人数と一緒に発表されておりましたが、一つ真偽についてはっきり伺いたいと思います。(「そんなことは聞かぬ方がいい。」と呼び、その他発言する者あり)
○西田説明員 その返還の改善につきましては、ただいまお説の通りに、従来文書による督促だけでは全然応答のないという者が相当現われて、それ以上の追及のしようが非常に困難であったという点から、集金制度によりましてさらにその個別的な事情まで徹底的に追及する。これはあるいは非常にずぼらな考え方をしている学生たちに対する勧奨にもなりましょうし、また場合によっては本人に非常に納めやすくする便宜をはかる円滑な方法にもなると考えたわけでございますが、実際にそのような集金制度を実施してみまして、戸別訪問をし、本人の便宜の時期に実際に収納させるような話し合いもしました上に、なおかつ本人が相当な資産を持ち、収入を持ちながら、何ら正当の理由なしに奨学金の返還をするという誠意を示さない人間が発見された場合には、本人に対して強い警告を与える意味におきまして、法的措置をとることもやむを得ないのではないか、こう考えたのであります。従って集金制度の実施に並行しまして、ただいまの新聞発表のお話は、おそらく日本育英会が長期延滞者に対する法的措置というものの見解を述べたことが新聞に報道されたんだろうと考えておるのでございますが、それは本人と育英会との民法上の消費貸借契約といたしまして、育英会が簡易裁判所を通じてその支払い命令等の措置をとるという最終段階を予想いたしておるわけでございます。もちろんその段階にいきます前に、その本人に対する文書請求はもとより、集金人による督促、さらに顧問弁護士による文書督促等相当段階を踏みまして、なおかつ処置なしという者に対しましてはそのような措置をしなければならぬ、こういう結論でございまして、これは直ちに今どういう対象に対してすぐに実行するかどうかということは、まだ相当時間をかけなければ結論が出ないだろうと思っております。
○三木(喜)委員 よくわかりました。結局、今おっしゃったように民法上の約束であるということはもう最初からはっきりしているんです。こういう集金人という手だてをしなくて、そういう措置に出られるならわかるのですけれども、そういう措置が出てきたのは、実際にいろいろ苦労してやってみたけれどもどうにもならないという結果から出たものであるかどうかということを私は知りたかったので、先ほどからるるその点をお聞きしておったわけなのです。そういう点については寛大な措置をとるというのが本体でありますけれども、要は、最終的に結論づけて免除それから給与制度という方向に持っていく一つのこれは資料になると思うのです。こういうぐずぐずしておる姿というものは、やりとりの中でなかなかうるさそうにお聞きの方もありますけれども、私はこれは大へんだと思うのです。払えない者も、督促しておる者も、まことに言いにくい問題で、やりにくい問題だと思います。従ってどうにものっぴきならぬという現状がそこに出てきたかどうかということが一番問題の焦点だと思いますので、よく御検討いただきたいと思います。 以上です。
○櫻内委員長 他に質疑がなければ、本案に対する質疑はこれにて終了いたします。 ―――――――――――――
○櫻内委員長 引き続き討論に入る順序でありますが、別段討論の通告がございませんので、直ちに採決いたします。 本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○櫻内委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決するに決しました。 ―――――――――――――
○櫻内委員長 この際、山中吾郎君より、日本育英会法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党及び民主社会党三党共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。提出者よりその趣旨説明を求めます。山中吾郎君。
○山中(吾)委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表いたしまして、日本育英会法の一部を改正する法律案に対する附帯決議の動議を提案いたしたいと思います。まずこの文書を読ませていただきます。 日本育英会法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 大学及び大学院において学資の貸与をうけた後、学校教育法第一条に掲げる学校の教育職に就いたすべての者に対し、政府は貸与金の返還を免除できるよう今後検討を加えること。 右決議する。 提案の理由を簡単に申し上げたいと思いますが、参議院においては、幼稚園に奉職する教職員、保母等についての決議がありましたので、その点についてはここに重複して決議をすることを省いたのであります。この提案の主たる内容は、大学院を卒業した者が小学校の教師として奉職した場合に、学費の免除の対象から除外しておるのはまことに不合理でありますので、すみやかに検討して、小学校の教師として奉職した場合に対しても同一の取り扱いをすべきであるという趣旨であります。 その理由は、まず第一に、義務教育という領域において、中学校に奉職した者に対して免除をし、小学校に奉職した者はその恩典を与えないということ自体、同一義務教育の領域において差別をするということは、これは義務教育という基本的精神からいっても不合理である。これが第一点であります。 第二点においては、小学校の教師の中にも、大学院を卒業した者が大きい役割を果たす領域があるので、大学院卒業者が小学校に奉職することはむしろ奨励すべきものであって、それを不必要なものと考えることは実際の要求に合わないということであります。 第三に、特に大学院のコースにおいて教育学、心理学を専攻した者の中で小学校の教師を希望する者は、むしろ幼児教育に対する深い熱情を持っておる者であって、小学校に奉職する中において、教科課程の改善その他について小学校の教育振興に非常に大きい役割を果たすために、むしろ任命権者においてはそういう人々の小学校奉職を勧奨すべき積極的な理由があるということであります。 以上の三点から考えまして、育英会法の改正の中において大学院及び大学卒業者が中学校に奉職する者と小学校に奉職する者について恩典上の差別を与えることはよろしくない、こういう理由でございます。すみやかに文部省内において検討をされて、近き将来に改正案を提案されることを要望いたしまして、私の提案理由の説明を終わりたいと存じます。
○櫻内委員長 これにて趣旨説明は終わりました。 ただいまの山中吾郎君提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○櫻内委員長 起立総員。よって、山中吾郎君提出の動議のごとく、本案は附帯決議を付して議決いたしました。 ただいまの附帯決議に対し、政府より御意見があれば承ります。荒木文部大臣。
○荒木国務大臣 ただいま満場一致で御決定に相なりました附帯決議の趣旨を体しまして、十分検討さしていただきたいと思います。
○櫻内委員長 本案の議決に伴う委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○櫻内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――◇―――――
○櫻内委員長 引き続き文教行政に関し、調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。山中吾郎君。
○山中(吾)委員 私は著作権保護の問題についてお聞きいたしたいと思うのであります。 現在日本の著作権保護は、国際的水準から非常におくれておるということが常識になっております。そういう立場から、著作権を少なくとも国際的水準にすみやかに改正することが必要であるという立場からお聞きいたしたいと思うのでありますが、まず第一点に、現在の著作権法は、その権者の死後三十年だけが保護期間になっておりますけれども、これは国際条約その他の関係からいっても、世界の趨勢が死後五十年、これは当然であるということがいわれております。この点についての政府の御意見を承りたいということ。 さらに著作権法が明治時代の非常に古いものであって、この法律ができたあとにおいてラジオ、テレビ、レコード、テープ・レコーダなどの聴視覚文化が新しく発達をいたしておりますので、こういう関係における保護が欠けておる。この点について現在文部省においてどういうふうに現在の著作権法を検討されておるか、また改正についての御意見を率直にお聞きいたしたいと思います。
○天城政府委員 著作権に関します二つの点についての御質問にお答え申し上げます。 御指摘のように、わが国の著作権法は大へん古い法律でございまして、制定当時より六十数年を経過いたしております。その中で、御指摘の著作権の保護期間の問題でございますけれども、現行法では著作者の生存期間及びその死後三十年ということになっておりまして、わが国はベルヌ条約に加盟いたしております関係でこういう保護期間を定めておるのでございます。御指摘のように、現在著作権に関します国際条約にはブラッセル規定がございまして、ブラッセル規定によりますれば、死後五十年ということに相なるわけでございますが、ちょうど前の大戦の過程で、このブラッセル規定の条約の際に日本は招待されておりませんで、その後もこのブラッセル条約に加盟いたしておらない事情がございます。問題といたしましては、著作者の死後五十年の保護期間に改正するということが議題に上っておりますことは私も承知いたしております。ただ著作権の保護期間につきましては、原則として著作品の問題でございますが、そのほか写真の著作権、翻訳の著作権、これは現行法では保護期間が十年になっておりますが、こういう他に関連する保護期間の問題もございまして、御指摘のような世界の状況もありますので、あわせて検討いたしたい、こう思っておるわけでございます。 それから第二点の、著作権の概念が非常に広がってきたという問題と関連いたしまして、従来は著作物は非常に限定的なものでございましたけれども、御指摘のように今日では視聴覚時代と申しますか、ラジオ、テレビあるいはレコード、テープ・レコーダーとかあるいはマイクロ・フィルムというような新しい映画ですね。そういうような新しい技術が高度に発達して参りましたので、従来の意味での著作権の保護は非常に複雑になって参りました。これにつきましては、国によりましては一部分を著作権として保護しておるところもあれば、全然著作権の対象にしていないというような例もございまして、わが国もこのいわれておるこういう広い関連の領域について、現行法では、一部は著作権法として保護しておるような実情もございますが、あれこれ含めまして、現在著作権というよりも、むしろ著作権に隣接する権利という意味で俗称を隣接権という言葉で呼ばれておりますが、隣接権の保護を置くべきではないかという議論が国際間にも起こってきておるわけでございます。ただいまちょうどローマでこの隣接権保護のための条約会議が持たれておりまして、わが国からも政府代表が出ておりますが、この帰国を待ちまして、私たちとしても当然この隣接権問題に取り組まなければならぬ、そういう意味ではこの隣接権の問題は検討の日程に上っているわけでございます。 この著作権法に定められております保護期間の問題、それから隣接権の取り扱いの問題等を含めまして、私たちといたしましては、当然文部省が主管省として取り扱うわけでございますけれども、問題が単に公法的なものじゃなくして、若干私法的な要素も含んでいる法律でございますので、関係者あるいは学識経験者等を集めた正式の審議会を設置いたしまして、ここで慎重にこの問題を審議していきたいと考えておりまして、実は明年度からこの法的な根拠を持った審議会を設置いたしたいという考えを持っておるわけでございます。ことにこの著作権は、著作者の人格権の保護ということと、それからその権利が無体財産権でございますので、著作者の人格ということと同時に、財産権としては経済的な効用を持つ大きな問題でございますので、これらの問題は複雑なだけに慎重に検討していきたい、こう考えております。
○山中(吾)委員 改正の必要があるということを十分認識されておられるのは明らかになったわけでありますが、お聞きいたしておりますと、数年前から文部省の著作権課で検討をしておる。検討しておるけれども、検討ばかりで少しも法改正に着手しないで、ただ熟慮だけで断行しないというきらいがあるように思うので、こういうふうな問題はもっとすみやかに改正に着手してもらいたいと私思うのです。ことに著作権者の保護期間が死後三十年という期間のために、その作者が若くてなくなったとき、たとえば三十五、六才でなくなったときに、奥さんはそのときに二十五、六才である。ところが三十年たって奥さんがもう五十五、六才になって生活力がなくなった時分に、夫の著作権の保護がなくなって何らの収益もない。そうして法律の保護からはずれておる未亡人がたくさんあるというふうに聞いておるわけであります。そういう意味からいいますと、これは一つの人権の問題でもあると思います。ことに天才的な著作者というのは若く死ぬ。たとえば芥川龍之介とかこういう人たちの未亡人は、夫の死後三十年過ぎて法の保護からはずれておるという状況からいいますと、いろいろのことをむずかしく考えて、そうして戦後十数年をそのまま捨てておるというふうなことは文部行政の怠慢だ、私はそういうように思うのです。いろいろの問題があっても、もっとこれをあと一、二年のうちに処理するというぐらいのめどを立てて私は進まなければならぬと思います。ところが今お聞きいたしておりますと、通常国会に文部省設置法の一部改正をして、この著作権の審議会を設置する……。設置してそれから一体何年かかってこの著作権法を改正するのか、その辺のめどが明らかでないと、改正に着手するのでなくて審議会を設置するだけでは、日本の国内におけるすぐれた芸術家の保護あるいは芸術の向上のための保護には非常に怠慢だというふうに思うのでありますが、その点、どの程度のめどで審議会を置いてされるのか、それをまず第一にお聞きしておきたいと思います。
○天城政府委員 著作権の改正問題でございますけれども、今までサボっておったというおしかりでございますが、実は現在著作権制度調査会という、大臣裁定による内部のものではございますけれども、特別の委員会を設けて検討はいたしておるのでございますけれども、著作権行政と申しますか、これが実は戦領中に非常に特殊な事情に置かれまして、一口に申しますと、戦領下の一種の間接管理に対しまして著作権だけはちょっと特殊な事情に置かれたので、その間の複雑な事情を今日まで残してきております。従いましていろいろ検討はいたしておったのでございますけれども、必ずしも改正の時期が熟さなかった、あるいは内容について的確な結論を得なかったのが今までの実情でございます。御指摘のようないろいろな問題点がありますので検討はいたしておったわけであります。 なお、これからやっとみこしを上げる程度という御指摘でございますが、やはり問題が非常に複雑でございますので、はっきりした基礎を持った審議会でこの問題を議論したい。同時にこの審議会は制度の改正問題だけをやろうというのじゃなくて、今後文化を伝える方法というものは非常に複雑に発達していくことになろうと思いますので、今日隣接権と言われている領域の著作権の保護方法につきましても、時とともに進歩していく、あるいは分化していくだろうということが予想されます。そういうことも考えますと、はっきりした根拠を持って保護にあたっても検討をすることが必要だ、こういうふうに思いましてこの審議会の設置を考えたわけでございます。 従って審議会ができたらいつまでに結論をつける小ということでございますが、簡単に死後五十年の問題だけ御指摘になりましても、ほかの保護期間との関連もございますし、また仲介業法の関連もございましたり、関連するところが非常に深いわけでございます。特に日本の文化関係の領域の中に法律制度として入っておりますのはこの著作権法が唯一の法律でありますために、やはり慎重に検討しなければならぬと考えております。ただいたずらに時日をとるという意味ではございませんで、慎重にかつすみやかにやりたい、こう思っております。
○山中(吾)委員 慎重にかつすみやかにということはめどはあとどのぐらいですか、そういう審議会を置くならばいつごろまでに調査を終わるのかということです。 今まで文部省では諸外国の著作権の改正に関する資料は全部集めてある、もう準備万端整っておると聞いている。それで今度審議会を開くというのは手続にすぎないと思うのですが、一年ぐらいの目標でやるというふうにしないと、結局こういう問題については出版事業家その他いわゆる使用者側ですか、そういう方からも利害不一致の点が出て、また変な格好の中にじんぜん日を送るということになるので、その点お聞きしているわけなんです。ことに著作権以外の隣接権ですか、新しいレコードとかテレビというふうなものは諸外国では保護されておる、日本では保護されていないので、日本のレコードとかそういうふうなものはアメリカとか英国で使用されたときには使用料を取って、向こうのレコードを日本で使ったときには取らないから、日本はどろぼう行為を行なっておるという国際的な非難を受けておるということさえ聞いておるのであって、この点は早く日本のこういう国際的な権利の保護は他国と平等にして、そして非文化国家だというふうな非難を受けないようにする国際的な要請がある、そういう意味において私は緊急に改正すべきものがあると思う。審議会を設置するために文部省設置法を一部改正したところで、そんなものはほったらかしておくこともできるのですから、それにいろいろと反対陳情がくるとまた変な格好になってくるので、これは先にはっきりといつまでに改正するとかいうようなめどを立ててでなければ、私は審議会設置をただ賛成というわけにいかぬと思う。長たらしい質問をする気はありませんので、いずれにしても、こういう問題は超党派的に国会において推進力となるべき問題だと私は思いますから、いろいろな角度からわれわれは当局のささえ棒になるような格好で、こういう国際的に非難を受けているような問題も含んでいるのでありますから、協力をしたいという意味で申し上げておるわけですから、繰り返して質問はいたしません。文部大臣の著作権に関するこれからの改正についての大体のお考えと決意をお聞きして、一応の見通しがつけばきょうはこれだけにして、また次の機会に私の意見も申し上げたいと思うので、大臣からお聞きしたいと思います。
○荒木国務大臣 著作権のことは私も勉強不足でよくわかりませんけれども、ただ問題の所在だけは耳学問で少しは心得ておるつもりでございます。ことに隣接権の問題については、日本だけじゃなくて、世界的にもいわばにわかに起こってきたと申してもいいくらいの新しい困難な課題と取っ組んでおるわけでございまして、それだけに日本でも研究不足な点が従来あったわけであります。文部省自体としましても、終戦後、先ほど政府委員から申し上げましたようないきさつもありまして、文部省プロパーで研究し始めるというのはわずかに数年来のことであると承知します。 そこでまずこの問題と取っ組むにつきましても、文部省内の機構整備も必要であることが先決と考えられまして、三十六年度の予算で審議官の増員等を認めていただきまして、陣容の整備をはかりつつあります。と同時に御指摘の審議会を設けまして、この審議会の権威にかけて衆知を集めた日本自身の考え方、あるいは条約との関連において万遺憾なきを期したい。御案内のごとく隣接権につきましては、いわば輸出的な面と輸入的な面と画面あるし、相互主義と申しましても、画一的にも参らないということがあるようであります。さようなことを十分に検討いたしまして、万遺憾なきを期したい。先刻政府委員がうまいことを申しましたが、慎重にかつ迅速にという考え方でもって推進して参りたいと思います。 審議会の審議能率に関することでございますが、もとより審議会にかけたから能事終われりとは毛頭思いません。審議会にかけました以上は、それを推進する役割も私どもの立場としては当然伴うわけでございますから、そういう心がまえで審議会の慎重な審議を、しかもなるべくすみやかにしてもらいまして、その客観的な一応の結論に基づいて自信のある案を得まして御審議を願う、こういう段取りに持っていきたいと真剣に考えておるわけでございます。
○山中(吾)委員 審議会設置についての改正法案が出ると、これは内閣に付託になる問題ですけれども、私はそちらへ行っても、いついつまでをめどにして審議をするかという確証がないと、私は絶対賛成しないつもりなんです。その点をはっきりされないと、一体審議会なんというものをあらゆるところへ作って、何千あるか知らないけれども、役に立たない。そして足踏みをするための審議会で、金ばかりかけて、そして税金をむだ使いしておる。審議会というものは、ほんとうにまじめに審議をやるならば、一定の目的を、いつ結論を出すというようなめどを立てて出さなければ私は責任のある出し方じゃないと思うんです。文部省にもずいぶんたくさん審議会があるはずでありますけれども、おそらく何の役にも立っていない。役に立つならば、責任の所在をどこかへごまかすくらいの程度で、一体文部省の局長や課長に参考になるような意見を述べるような審議会なんかほんとう言えばありっこない。そして一体何のためにそういうものがあるかと私は疑問を持っている。もしこういう著作権問題についても、そういうようなものでしたら作らぬ方がいい。審議会なんぞ全部つぶして、たった一つ要るのは、審議会廃止審議会ならば私は賛成してもいいくらいに思っているので、わけのわからぬ審議会をお出しになっては私は賛成はできません。内閣委員会へ行ってもどこへ行っても反対するためについて回らなければならぬと思っているので、もっとはっきりそれまでにめどをつけていただきたい。 それからいろいろな問題があっても、保護規定の三十年、それだけをまずとりあえず五十年にして、国内の芸術家というものを保護する。国内のそういう創作的な、創造的な才能を持った人を保護し、その人の奥さんくらいまでは生きておる間は保護してやるくらいの改正は最小限度先にすべきじゃないか。そして隣接権その他の問題は、また総合的にいろいろな問題があればやるべきだと思うんですが、とりあえずそれくらいを先に一部改正をしてやるというくらいのことはやるべきだと思うんです。その点いかがでしょう。――官房長、ごまかさないで下さい。大臣にほめられるような答弁はだめですよ。
○天城政府委員 そうでなくて、事情をちょっと御説明申し上げたいと思います。 先ほど申し上げましたように、この五十年の問題はベルヌ条約とブラッセル条約の加入の問題と若干関連いたしておりまして、日本は現在ベルヌ条約に加盟いたしております。ブラッセル条約加入の問題が国際的な関係では五十年の問題と関連があるわけでございます。と同時に米州圏、アメリカを中心とした米州欄では著作権の体系が全然異っておりまして、これはまた別な形をとっております。それを欧州圏と米州圏と申しますか、この両者合わせた著作権の扱いについての共通の橋のような意味での万国著作権条約というものが別にできておりまして、わが国はこれにも加盟いたしております。それに新しく隣接権の条約の問題が起きているわけでございまして、著作権は大臣も先ほど申し上げましたように、輸出と輸入と両面があるわけでございますけれども、国際的に関連する面がございますので、各国とも実は著作権の改正が日程にあるわけでございます。すでに済んだ国もございましょうし、それから草案を発表したところもございます。審議会を設けて審議のまっ最中の国もずいぶんございます。ですから、われわれもただばく然と審議会にあずけていつまでもほっておくというような立場でないことは周囲の状況からも御判断いただきたいと思っております。と同時に関連するところが非常に複雑でございますので、たとえば今御指摘の五十年の問題にいたしましても、同時に著作権の保護は写真とかというものについては現在違う期間があるわけでございます。これらの問題も同時に考えなければならぬ問題でございます。同時にまた他の問題について、これこそ一日もゆるがせにできない、直せというような問題もございますので、審議会の御審議をいただきながら全般的に同時にやるか、あるいは必要なものを個々にやるかというような問題も含めまして検討いたすつもりでありまして、決してこれをじんぜん放置する意思は毛頭ございません。むしろわれわれとしましては、これは早急に解決しなければならぬ問題だというふうに強く自覚いたしております。
○荒木国務大臣 ただいま政府委員から申し上げたことで尽きておるようなものですが、審議会に徹底的に反対していただくと困るので、ぜひ一つ御賛域をしていただきたいと思います、御指摘のように審議会、委員会等がともすれば何かしら民主的に審議しました、衆知を集めましたという弁解の道具に使われるものもあるようですけれども、文部省にはございませんけれども、あるようですけれども、ことに今度の審議会は実態的な調査、研究ということが主眼である審議会であるわけでございますから、権威者を網羅した組織にもいたしたいと思います。だからといって審議会まかせでのんびりしておろうという趣旨でないことは先刻も申し上げた通りでございます。さらに部分的な改正あるいは全面的な改正一緒にしまして、慎重にかつ敏速にという心がまえで臨みたいと思います。
○山中(吾)委員 部分的改正、総合的改正両方考えていきたいという大臣の御答弁でありましたから、部分的な改正も頭に入れて御検討願えるのだと受け取って、一応この問題は時間がないので質問を打ち切ります。 ただ問題は、おそらく著作権行政とかいうふうなものが怠慢になってきておるのは、全体の行政機構にもあると思うのです。文部省の著作権行政、それから芸術振興の芸術課があり、著作権裸がある。そういうこれからの芸術振興をさそうという行政と過去の芸術、文化財を保護する行政と別々にあって創造的な強力な機構になっていない。文化財保護委員会が別にある。大臣はそれに責任がないから答弁の限りでないといつも答えられる。そうして大臣の行政の管轄の中には芸術課がある。著作権課がある。そういうまちまちな分散体系の中に、こういう問題をわれわれが刺激をしないと立ち上がらないというのは、私は根本欠点もあると思うのです。そういうことも含んで、この国会の中で真剣に論議をしてみたい。そうしてもっと新憲法のもとに民主的文化国家という新しい国家理念をうたっておるのでありますから、それに即応した文教行政をやはり重点的に着眼をもって進めていくということが、私は戦後の文部大臣の重大な責任だと思うのであります。派生的なことばかりでエネルギーを浪費しておるのが現状なので、国会の中の質疑についてのエネルギーの消費は非常に多い。そういうものをなるたけ少なくして、こういう問題を真剣に論議すべきだという私の心境をも含んで申し上げておるのでありますから、こういうものをあと回しにするというようなことは、戦後の文化国家を理念としておる日本の文教行政では、私は決して正しい考え方でないと思っておるので、真剣に御検討願いたいと思います。 次に、これも簡単に要点だけをお聞きいたしたいと思いますが、教育人事の運営の不合理について痛感をいたしておるので、今後の問題としてお聞きいたしたいと思うのです。というのは、県教育委員会において、教育委員会の事務局職員は大部分現地の先生から人事交流をやって採用いたしまして、ことに優秀な教員を抜擢をして、指導主事、あるいは管理主事、あるいは学校教育課長、あるいは体育課長というふうに現場の先生を教育委員会の事務局職員に採用する。採用することによって、教員の身分を切り捨てて主事にする。ところが現場にまた返してやるということが前提なので、そういう優秀なものはまた教育者として一生やっていきたいというような念願があるために、採用するときから、現場の校長に返すという約束ですぐれた人を、私が在職中においても苦心惨たんして採用してきたわけである。ところが学校長を主事にとったときには給与を下げなければならない。そして主事に切りかえて、今度まだ現場に帰すということから、教諭にしてもとに戻すわけでありますが、その間に経済的に非常にマイナスを与えておるわけであります。ところが、しばしばの恩給法の改正等によって、優秀な学校長を教諭に降等し、教諭にしたあと主事に持ってき、そしてまた学校長に出すという、そういう段階の中で身分が切れたということから一時退職した形になって、退職金をもらい、その当時恩給ももらわざるを得ないというふうな者もある。また選択によってそういうことをわれわれ指導もしたわけでありますが、その結果において、現在学校長をしておる者もたくさんありますけれども、ベース・アップを含め、いろいろの関係から、同じ旧制師範学校を卒業した者の中で停年制の五十六才でやめるときは、一人々々のケースは違いますけれども、退職金で百万、二百万の違いがある。また恩給についても年額二十万以上の相違があるというふうな不合理性が出ておるわけであります。採用する立場に立っておった私のような者からいいますと、最も優秀な者を最も不利にしておる。そんなことで教育人事はできない。教育委員会は教職についた者が半数以上なければ行政はできないのであって、そういうふうなことからいって、同一学年、同一年令、同一経歴の者より不利にするということは、理屈はどんなことがあっても、すべきでないし、そういうことからは教育行政の振興はできないと思うのであります。事例をここにたくさん持っておるわけでありますが、この点について政令の一部改正が必要なら改正をする、あるいは公立学校の共済組合法ができれば通算制度を適用するとか、いろいろ方法はあると思いますけれども、文部省においても形式的な理屈でなしに、こういうすぐれた現物の教師から、教育行政に従事し、そして非常に苦労しておる、今度は一たん事務局員になりますと、当局の立場で非常に苦心惨たんして、そして現場に帰っておるわけであって、そういう人々の救済を真剣に考えてもらわなければならぬ。一々例をいわなくても、内藤局長はよくわかっておると思うのですが、その点について文部省のお考えをお聞きいたしたいと思います。
○内藤政府委員 山中先生の御質問まことにごもっともでございまして、実は私どもも頭を痛めておるところでございます。事務局の職員について大へん御理解ある御質問をいただきまして、私ども非常にうれしく思うのでございますが、指導主事、管理主事に現場の優秀な者が入ってきて大へん苦労しておる、にもかかわらず待遇が悪いということは事実でございます。これは一つは運用の面にもあろうかと私は思うのです。たとえば東京あたりは一般の教員よりも事務局職員の方が俸給表がいいそうでございますので、問題は起きていない。ただ大部分の県におきましては、教員の方が一般事務職員よりは待遇がいいのでありますので、お話のように教育委員会に入る場合には減俸してきているのが通例になっております。これを解消する方法としてどういう方法があるか、実は私どもも非常に苦心いたしましたけれども、国家公務員の俸給表にいたしましても、またこれが基礎になって地方公務員の俸給表ができるわけでございますが、国家公務員なり地方公務員の場合に、指導主事等の特別のランクがないので、国で申しますと、一等級は次官を対象にし、二等級は局長が原則でございまして、三等級課長、四等級課長補佐、こういう系列になっておりますので、そこにどういうふうにはめ込むかという問題があると思います。文部省の視学官の場合には、局長と同じような二等級待遇の者をできるだけふやしたい、何人か二等級の者がおるわけであります。それから大部分が課長待遇の三等級になっておるのでございます。ですから、一つは格付をできるだけ有利にすることが必要だと思います。ところが地方に参りますと、指導主事の諸君は課長と同じ、あるいはそれ以上だというようなことは非常に困難のようでございます。そこで、できますれば、新たに指導主事あるいは管理主事の俸給表を別に作ってやるのが一つの方法だと思います。県によっては、教員の俸給表を使って指導主事をやっているところもある、これも私は一つの解決の道だと思います。文部省といたしましては、最近当て指導主事の制度をしきまして、教員の身分のままで指導主事になっておる、これは全然問題が起きていないのでございます。 そこで一般にどういうふうにしたらいいかという点は、一つは運用の問題でございますが、運用にも限度がある。そこで別の俸給表を作るか、あるいは教員の俸給表をそのまま使ってやるかという点を、今自治省と協議しておるわけであります。私は、御指摘の通り、ほんとうにこの人たちは気の毒だと思います。退職金の場合にも、俸給の場合にも、あるいは将来の年金の場合にも、現在不利になっておることは骨身にこたえてよく了解しておりますので、これの改善策につきましては、何らかの方法を見つけまして努力したい、行政措置でできる範囲のことは最大限やってみたい、どうしても行政措置に限界がさましたら、何か特別の立法措置を考えなければならぬのではないかと思っておるのでございます。
○山中(吾)委員 今局長から将来の改善の話を中心にお答え願ったわけですが、すでにそういう不利な状況に立ち入った者をさかのぼって救済するということを私は考えていただきたいと思います。たとえば二十九年ごろの切りかえのときに、主事から今度現場に戻るときに退職して一もちろん事実上は職務を行なっておるわけですが、日付については一日くらい退職みたいになっている。そして一時金ももらった。ところがその後ベース・アップがあるとか何かで、大体三十万くらいもらった人が、同級生が来年やめるときには二百何万くらい、百五、六十万も差がある。それは仕方がないといえばそれまでですが、その辺のところは、やはり公正の原理からいえば、その人はずっと優秀な人ですから、何か救済の方法を検討してもらいたい。それから恩給についても、十万くらいもらって現在優秀な学校長に戻っているわけだが、同級生の者が三十万くらいになり、年間二十万も違う。これももらったものはもちろん計算をして差し引いてもけっこうでありますけれども、公正の原理に従って、これを何とか救済する方法を検討していただきたい。これは資料をあとでお渡しいたしますから……。 この点は教育行政の基本問題として、教育行政にタッチする者が優秀な現場の教頭とか校長を持ってきて、四、壮年やって疲労こんぱいして、現場に出したときは排斥されて小さくなっておって、しかしその教育的能力はまたみんなが認めることになって、二、三年たってから再び能力を発揮するという苦い経験を踏んでおる者ばかりなんです。私が七、八年教育長をしておったときに、そういう人々をうそを言って採用したことになる。そうして不利に陥れてそのまま捨てておくことは、自分で何か罪を犯しておるような感じがする。どこの県の教育委員会の担当者も心苦しいものがあると思うので、これは一部文部省にも責任があると思う。教育委員会を作ったときに、現場の先生を形式的に主事に切りかえなければ採用してはいかぬというようにしてしまったからこういうことになってしまっているので、機構からそういうふうになっているのです。そういう者はあと二、三年でみな退職する人が多い。五、六年から二、三年の間だと思うので、資料をお渡ししますから、この点御検討願いたい。 大臣は今の私と局長の話を聞かれておったでしょうね。小林委員と話しておったりして聞いていないのでは困るのですが、これはほんとうに文部大臣が親心を示す教育行政の一番大事なところであると思う。現場の日教組の悪口を言って、あらゆる先生をみそもくそも一緒にしたような言い方をしておりますけれども、そういう精神ではいけないので、こういう人を救済する親心をお出しにならないと、文部大臣は僕はほめることが一つもない。私の今申しましたのは、教育行政からきた矛盾、しかも教育委員会の機構からきた矛盾であります。そうしてこれは省令の改正とか、あるいはその他で改正すべき機会があるのですし、過去にも全然ないとは言えない。あるそうであります。その点を一つ検討するように、大臣に私は切にお願いいたしたいと思うので、大臣からの御答弁を願って、私の質問は終わりたい。 それから局長の方には資料を出しますから、最大の一つ検討をしていただきたいと思うのであります。
○荒木国務大臣 先ほど来の山中さんのお話しは全部拝聴いたしております。これよりさき、山中さんがそういう問題を質問されるということもひそかに聞いておりまして、実は正直なところよくわからないでおりましたが、政府委員等から、山中さんから聞かれたらこういうことを答えたらどうかということまで含めて教えてもらっておりまして、一応のことはわかっております。お説の通りの課題として取っ組むべきものと思います。 なお、先生を全部悪口を言ったことはございませんので、ただ五十万のうちの三千人ばかりがどうもどうかと思うということだけ申し上げておきます。この際御理解をいただきたいと思います。
○山中(吾)委員 今の問題について検討するように答えてくれないで、三千人の話だけになってしまったのですが、今の犠牲者を救済する問題についてはどうですか。
○荒木国務大臣 前段の結論的なお答えとして、お説ごもっともであるから検討したいと思いますと申し上げたつもりであります。
○小林(信)委員 実は、きのう済みました問題の学力テストのことで質問したいと思っておったのですが、だいぶ時間が進みましたから、それはやめたいと思います。文部次官の重大な発言もございますし、新聞等では、いろいろ学力テストをやるのが、一〇〇%これに応じたかどうかが問題であるかのような調査局長あたりの言もございましたし、いろいろお聞きしたいところがあるのですが、そのことは、時間がございませんので、いずれまた機会を見て御質問します。 今の山中委員の質問に関連しまして、確かにこういう問題がたくさんあると思うのです。ところが政府は、大臣もこれは同じように責任を持っておられるわけですが、所得倍増ということを言っているわけです。ところが、こういう点をあげて参りますと、教員が所得倍増からおよそ遠ざけられているようなものがたくさんある。今の指導主事の問題なんかでも、私の県でも同じようですが、やっていることを考えれば実に同情にたえない点があるわけです。学力テストをやることについても、前回山梨県では抽出テストをやられたわけなんです。ところが、非常に成績が悪いというので、県会あたりの非常な追及を受けまして、指導主事というのは何のためにあるのかというようなことを言われて、山梨県の指導主事は非常に恐縮いたしまして、今度はいい成績をとらなければならぬというわけで、あらかじめ予備テストをやったわけなんです。これがまた県会の方から、何のためにそんなことをするかということで大へんしかられました。これは先生方の方からも非常な批判があったわけですが、文部大臣にしかられては困るし、文部省の見込みを悪くしては困るし、また県会議員からしかられては困るというわけで、ほんとうに今の状態で真剣にやればいいということよりも、学力テストでいい成績をとらなければ自分たちの立場が立たぬというようなことまで、よけいなことまでしてやっている指導主事というものは、今のような状態では非常にかわいそうだと思うのです。こういう学力テストの問題そのものからも、これは文部大臣に考えてもらわなければならぬと考えている点なんですが、それと同時に、海外から引き揚げてきた人たちが、ある期間を越して就職した場合には、退職金なんかが非常に不利になるわけです。こういうふうなことも、その当時はやむを得なかったのでがまんしておりましたが、以来ずっと継続して、停年まで、やめろと言うまでやるというように、生涯を通じて教育に従来するわけですが、引き揚げてきた当座規定された期間内に就職しなかったために満足な退職金ももらえない。これは、そのときにはやむを得ないというのでがまんしていましたが、しかし今になってみると、一方は百万、二百万という退職金をもらっているわけです。ところが、そのときにちょっと期間がずれたために、やることは生涯教育に従事しているわけなんですが、わずか二十万か三十万しか退職金をもらえないというようなことは、今になってみれば何とか心配してやらなければならぬような気もするわけです。しかし、そのときにきめられた規則でどうすることもできないというような問題なんです。 それから、これは目に見えないことなんですが、大きな減俸、所得の減額をされているような状態というものがあるわけなんです。それは今教頭をしている人たちです。この人たちは一等級というものは適用されないわけです。私の県あたりの実情ではなかなか校長になれない。五十二、三才になって初めて校長になるような状態なんです。そうすると、校長になった期間というものは一年か二年で、その間一等級の待遇を受けたところで、給料というものは、普通五年なり十年やって出る校長さんよりも非常に少ないわけなんです。それが基準になって退職金もきめられる、あるいは恩給もきめられるということになれば、この人たちは所得倍増という一つの大きな波の中に取り残されているわけなんです。仕方がないというふうにあきらめているわけなんですが、所得倍増計画からいえば大きな矛盾をした問題であるわけなんです。こういうふうに取り上げていくと、教員の問題というものは、給与の問題、あるいは人事の問題というように、至るところに限りなく問題があるわけなんです。山中委員は今指導主事だけの問題を取り上げたのですが、こういう問題はやはりたくさんにあると思う。そういう点を大臣にこの際よく話をして、学力テストの問題や日教組の問題ばかりでなく、教員がほんとうに喜んで仕事に精を出すことができるようにしてやることがほんとうに学力を上げることになるわけなんです。私は、そういう意味でそういうふうな問題を実際に文部省が知っているかどうか、考えているかどうか、それだけ聞いて質問を終わりたいと思います。
○内藤政府委員 いろいろ給与の不均衡があろうと思うのですが、今お尋ねの引き揚げの措置につきましては、大体解決したと思うのです。なかなかすぐ就職が見つからなかったというような場合がございますので、去年でしたか、日時は忘れましたが、一度改正をいたしまして、引き揚げ後教員について十五カ月間は認めたわけです。その間に就職をいたしますれば、当然通算される措置をいたしたわけでございます。これで私どもとしては個々のケース全部当たってみたけれども、ほとんど救われる。ただ民間会社が景気がいいのでそっちへいってしまった、それからまた教壇に戻るというような場合はいたし方ございませんが、教員に就職をするつもりで、ただ職場がなかったというような事態の問題は全部解消したはずでございます。 それから教頭の問題でございますが、これは文部省から三十二年か三十三年の通達が出ておりまして、教員の中でも相当の経験年数を持つ成績優秀の者は一等級に格づけしてよろしいという通達が出ておりますが、教頭になるような方はおおむね二十年くらいの勤務年数を持った成績優秀な方でございますから、ほとんど全部が該当するのではなかろうか、全部とは申せませんけれども、大半は一等級に格づけできるような道を開いておるのでございまして、今御指摘になったような点、教員のもろもろの待遇につきまして改善をいたしまして、教育の能率の向上に資していきたいと考えております。
○小林(信)委員 質問をもうしなくてもいいと思ったのですが、そんなことで実態というものを見ているから教員が救われないのですよ。私はそう思うのです。今一等級にしようという意図が県にありましても、ところが自治省へ持っていけば自治省でもってそれを許可しない。教頭を一等級にしておるところが全国に幾つありますか。法令とか規則に出ていることはよく先生たちが持ってきますよ。持ってくるけれども、それができないのが実態なんです。そんなことを文部省が考えて見ておるというなら、教員の実態というものを考えておらない証拠だと思うのです。 それから今の引き揚げの問題、確かに十五カ月というのがあります。その十五カ月という問題は、今のようなほかの方へちょっと行って、そしてまた帰ってきたというのであるなら、十五カ月をこした場合にはこれは仕方がないというのですが、そこまで考えてやらなければいけないと私は思う。それからほんとうに生涯教員でやろうというふうな、もうここ十年、十五年もやっておるというふうな者があったら、そんなのは十五カ月なんというものにこだわらずに救ってやってもいいと思うのです。十五カ月と十六カ月でわずか一カ月の差でもって、退職金の問題が片方は二百万円もらえるというときに五十万しかもらえないというので泣いている人がある。私はそこのところをここでもって、その後の実績とか勤務年数というふうなものを便宜的に考えてやって、そして同じような待遇が受けられるようなことをしてもらえないものかどうか、そういうところまで所得倍増計画の波を拡大していかなければいけないと思うのです。そして今の教頭の問題はほんとうにそんなことが全国的に行なわれているかどうか、一つ御答弁願いたい。
○内藤政府委員 引き揚げの問題でございますけれども、先ほど山中委員からお話のように、本来一日たてばそこで切れるわけでございます。ですから、本人が自発的に他の職場にお変わりになって、それが教育界に復帰したという場合は、私はいたし方ないと思うのです。ただ戦争の結果、就職したくてもできなかったという事実がある。これは本人の意思じゃない。本人は教育界に入りたいのだが、その年に定員がなかった。ですから来年度の定員がきまるまで待っておった。これは当然見てやらなければならぬ。しかし今のお尋ねのように、よその職場へ行ってまた教育界に戻ったということになれば、これはきりがない。それはちょっと引き揚げの問題と別個でございますから、事情が違うのじゃなかろうか。 それから教頭につきましては、一等級に格づけしておる県もございますし、格づけしていない県もございます。こういうことは別に自治省に相談すべき性質のものじゃないと思う。県自体でおやりになればいいことです。ただその県が再建団体に指定されて、自治省に全部財産監督をされておるような立場だとそういう問題が起きるかもしれませんが、原則としてはそういうことはないはずでございます。
○小林(信)委員 まあ大がい再建団体になっておるのでしょう。それが多い。多ければ、結局あなたの考えておるようなものは適用されておらないということなんです。それはやっぱり再建団体であるからやむを得ない、そういう事情があるならやむを得ない、こういうところでもってほうっておくことが妥当であるかどうかということです。それじゃ所得倍増計画なんというものは、ある特殊な者に限って所得倍増計画をいたしますというように、限定された所得倍増計画を政府がうたっておる場合ならいいですよ。
○内藤政府委員 私は山梨県がどういう措置をされたか一ぺん調査いたしてみたいと思いますが、大体給与の格づけを一々自治省に相談するのが本来間違いだと思う。そういうことを正式に持っていったら自治省もいい顔をしないと思います。一等級の道を開くように、優遇の措置を講ずるように文部省の通達が出ておるのですから、それはそれなりに私どもは聞いていただきたいと思うし、もし自治省にそういう異論がありますれば、文部省においで下されば、私の方から自治省に交渉して実現できるように努力をいたしてみたいと思っております。
○小林(信)委員 しかしそういう実態があるということは、私どもの県の実例をあげても、私の県ではここ二年くらいその問題でもって騒いで、そして最後は自治省に持ってきて、あるいは人事院に持ってきていろいろと話を聞いておるわけですよ。自治省へ行けば、それはあなたがおっしゃるけれども、それくらい今の自治省というものは強くなっておるし、再建団体になっておれば非常に弱いのです。あるいはそういうことができても、教員というものはそういう弱さでもって赴かれてしまう、恵まれない状態に取り残されてしまうというのが実態だと私は思うのです。自治省がどう言おうが、県にそれだけの考えがあるならばできるんだというなら、そういう声を聞いてなぜ指導してやらないか。そこにあなたたちの責任があるわけです。私どもは実際今までそういうことに非常に努力はしてきた。きたけれども、結局はそこでもってつかえてしまう。そのつかえてしまうというのは、こういうようにだんだんと中央の権力が強くなってきたことも一つあるかもしれませんが、そういう中でいつも忘れられておるのは教員なんだ。あなたは高書を吐いておるけれども、そういうふうに取り残されておるということはやっぱりあなたたちの責任であるとも思うのですよ。そういう点、よく指導していただきたいと私は思います。もう山梨県なんか、その声が上がって、県でもやると言う、教育委員会でもやりますと言う。しかし自治省がだめだ。自治省との折衝なんかにも僕らが行ったことがある。それから人事院なんかに行っていろいろ聞いてみると、そういうことはできます、できますけれども、全国的に例が少ない、だから実際上これはできないじゃないですかということでもって葬られておるのですよ。私も文部省を知っていながら文部省へそういうお伺いをしなかったということは私の手落ちなんで、いい話を聞きましたからすぐ行って指導したいと思うのですが、一つ文部省でも御協力願って、そういうような人たちを早く恵まれるようにしてやっていただきたいと思います。いい御答弁をいただきましてありがとうございました。
○内藤政府委員 実は私ども山梨県からそういう話を一度も聞いていないのです。主管の文部省に話さずに自治省においでになるのは筋違いだと思うのです。筋違いのところに御相談になって、主管の文部省に御相談にならない方が筋違いだと思う。それでは私ども努力のしようがない。ぜひそういう御意見がありますれば、私ども自治省に十分交渉いたしたい。あの通達は自治省も承認済み、人事院にも全部お目にかけた通達を出しているのですから、各省とも了承しておるわけですから、それに反する行動をとるはずはないと思うのです。もし何か食い違いがあれば、その責任者がかわったか何かしたのかもしれませんけれども、文部省といたしましては、問題がありますればできるだけ善処したいと思っております。
○小林(信)委員 今のお話から聞けば、文部省は自治省なんか行く必要ない、私はこれを一つ持って帰りたいと思うんですよ。だから文部省が責任を持って一つやって下さい。お願いいたします。
○櫻内委員長 暫時休憩いたします。 午後一時五十一分休憩 ――――◇――――― 〔休憩後は会議を開くに至らな かった〕