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39回国会衆議院1961/10/12

農林水産委員会 第7号

発言数
140
登壇者
9
会派数
2
開催日
1961/10/12

会議録

野原正勝自由民主党

○野原委員長 これより会議を開きます。  まず、大麦及びはだか麦の生産及び政府買入れに関する特別措置法案、大豆なたね交付金暫定措置法案及び予備審査のため付託になっております家畜取引法の一部を改正する法律案を議題として、政府に提案理由の説明を求めます。中馬農林政務次官。     —————————————

中馬辰猪自由民主党農林政務次官

○中馬政府委員 ただいま提案となりました大麦及びはだか麦の生産及び政府買入れに関する特別措置法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  最近の大麦及びはだか麦の需給事情を見まするに、米穀の生産の増大と国民消費水準の上昇等により、その食糧用としての需要は逐年大幅に減少しており、今後ともさらに減少するものと見込まれております。これに対して、その生産は、昨年まではほぼ従来の水準で推移しており、本年はかなりの減少が見られますが、なおその需給は著しく均衡を失しており、そのため政府の手持在庫量も増大している状況にあります。このことは、需給事情に応じて農業生産の選択的拡大をはかるという今後の農業の方向から見ても放置することができないのであります。  このような大麦及びはだか麦の生産及び消費の状況にかんがみ、農家もかなり転換の動きを示しておりますが、政府としても、これを助長し、必要な助成措置を講じて、今後需要の増大が期待される小麦、なたね、飼料作物その他地域の特性に応じた作物への生産の転換及び飼料用等への用途の転換を積極的に推進するとともに、管理の面においても政府の買入れについて所要の改正措置を講ずることが必要であると考えられるのであります。これがこの法案を提出しようとする理由であります。  次にこの法案のおもな内容につき御説明申し上げます。  まず第一に、農林大臣は、毎年、大麦及びはだか麦の生産及び需給の事情の推移と需要の見通しを公表するとともに、これに基づいて翌年産の大麦及びはだか麦の生産及び用途の転換に関する方針を定めることといたしております。  第二に、都道府県知事及び市町村長は、この転換方針に即して、それぞれ都道府県及び市町村の麦作転換計画を定めることといたしております。  第三に、麦作転換の円滑な実施に資するため、農家に転換奨励金を交付する措置を講ずるとともに、都道府県及び市町村の麦作転換計画の作成及び実施に要する経費について、国がこれを補助することといたしております。  第四に、大麦及びはだか麦の政府買入につきましては、市町村長が生産者別に政府買入れ限度数量を定めることといたしております。その定め方といたしましては、毎年、前年度の大麦またははだか麦についての政府買入れ限度数量の範囲内で生産者は市町村長に対して申し出をし、それをもととして市町村長が定めることといたしております。その場合、市町村長が麦作転換計画、生産者の生産事情及び販売事情、他の生産者の申出数量等を参酌して、その申し出数量が多過ぎると認められる場合に限り、農業委員会等の意見を聞いて、申し出数量より少ない数量を定めるようにいたしております。  なお、政府買入れ限度数量の減少量を基準として転換奨励金を交付することとし、もって生産者が麦作転換計画に従って自主的に転換することを期しているのであります。  第五に、大麦及びはだか麦の政府買入れにつきましては、生産者別の政府買入れ限度数量に相当する数量まで、その申し込みに応じて大麦及びはだか麦を買い入れることとするとともに、政府買入れ価格はパリティ価格及び需給事情その他の経済事情を参酌して定めることといたしております。これに伴いまして、この法律の施行の間は、大麦及びはだか麦については、食糧管理法第四条ノ二の規定は、適用しないこととしております。  第六に、この法案による特別措置が初めて適用される昭和二十七年産の大麦及びはだか麦については、その実情に即し、昭和三十三年産、昭和三十四年産及び昭和二十五年産の大麦またははだか麦の政府買入れ数量の年平均数量の範囲内で生産者の申し出数量をその生産者についての政府買入れ限度数量として定めるとともに、この年平均数量に比べての昭和三十七年産の大麦またははだか麦の政府買入れ限度数量の減少量を基準として転換奨励金を交付する措置を講ずる等の規定を設けることとしております。  なお、この法案は、先般第三十八回通常国会に提案し審議未了となりました大麦及びはだか麦の生産及び政府買入れに関する特別措置法案とその目的を同じくするものでありますが、昭和三十六年産の大麦及びはだか麦の生産及び用途の転換の状況、同法案に対する関係方面の御意見等を勘案いたしまして、前国会に提案いたしました法案における生産者別の政府買入れ数量の行政庁による割当の方法を改め、生産者の申し出をもととして政府買入れ限度数量を定める趣旨のものとしたのでございます。  以上がこの法案のおもな内容でございますが、慎重御審議の上すみやかに御可決下さいますようお願いいたす次第であります。  次に、大豆なたね交付金暫定措置法につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  大豆及びなたねにつきましては、従来農産物価格安定法に基づきその価格が正常な水準から低落することを防止し、もって農業生産及び農家経済の安定に資するようにしてきたのであります。しかしながら、大豆の輸入の自由化の実施に伴いまして、国内産の大豆及びなたねの価格がかなり低落する場合が予想され、従前の農産物価格安定法による価格安定措置によってこの大豆の輸入の自由化に伴う価格を防止することは、その建前から見て適当でないと考えられるのであります。従いまして、大豆の輸入の自由化が国内産の大豆及びなたねの価格に及ぼす影響に対処して、その生産の確保と農家所得の安定をはかるためには、従前とは異なる措置を講ずることが必要となるのであります。  このため、まず関税率を国際的に許容される範囲で適正に引き上げるとともに、生産改善施策を講ずることとしておりますが、これらの施策のみでは当面なお不十分であり、大豆及びなたねの生産者が今後の需給、価格等の諸条件に適応することが可能となるまでには、なお相当の期間を要すると考えられるのであります。従いまして、当分の間国内産の大豆及びなたねにつき、販売の数量及び方法等を調整してその販売事業を行なう生産者団体等を通じ、その生産者に交付金を交付する措置を講じようとするのが、この法案の趣旨であります。  なお、この法案は、先般第三十八回通常国会に提案し審議未了となりました大豆なたね交付金暫定措置法案とその目的を同じくするものでありますが、生産者に対する交付金の交付の方法につきましては、生産者別に交付金の交付対象数量を行政庁が割り当てて交付金を交付するよりも、生産者団体等の機能を活用して交付する方が実際的であり、また近く出回り期に入る本年産の大豆につきすみやかにこの法案による交付金の交付を実施する必要がある等の理由から、前国会に提案いたしました法案における交付金の交付対象数量の行政庁による割当等の方法を改め、国内産の大豆またはなたねについて、販売の数量及び方法等を調整してその販売事業を行なう生産者団体等を通じ生産者に交付金を交付することとするものであります。  次に、この法案の主要な内容について御説明申し上げます。  第一に、政府は、農林大臣の承認を受けた調整販売計画等に従って販売事業を行なう生産者団体等に対し、交付金を交付することができることといたしております。  第二に、生産者団体等が交付な受ける交付金の金額は、生産者に保証すべき価格水準として農林大臣が定める基準価格から、生産者の実際の販売価格の標準として農林大臣が定める標準販売価格を控除した金額を交付金の単価として定め、これに当該生産者団体等が販売した数量を乗じて得た金額とすることとしております。その場合、その販売数量が通常の生産者販売数量等を参酌して当該生産者団体等について農林大臣の定める一定数量をこえる場合には、その農林大臣の定める一定数最につき交付金を交付することといたします。  第三に、政府から交付金の交付を受けようとする生産者団体等は、その販売事業に関する調整販売計画等及び交付金の交付の方法を定め、これらにつき農林大臣の承認を受けなければならないこととし、そのため必要な手続を規定しております。  第四に、政府から交付金の交付を受けた生産者団体等は、その交付を受けた交付金をその系統を通じて生産者に交付しなければならないこととしております。すなわち、生産者団体等は、交付を受けた交付金の金額に相当する額を、その者に売渡しまたは売渡しの委託をした者にその売渡しまたは売渡しの委託を受けた数量を基準として交付しなければならないこととし、以下順次同様にして大豆またはなたねの売渡しまたは売渡しの委託をした生産者にその数量を基準として交付すべき手続を規定しております。  最後に、以上により政府が生産者に交付金を交付する措置を講ずることといたしますので、大豆及びなたねについては、この法律の施行の間は、農産物価格安定法はこれを適用しないこととしております。  なお、この法律の適用についてでございますが、大豆については昭和三十六年産のものから、なたねについては昭和三十七年産のものから適用することとしております。  以上がこの法案の主要な内容でございます。慎重御審議の上すみやかに御可決下さいますようお願いする次第でございます。  次に、家畜取引法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明いたします。  近年、国民生活水準の向上に伴い、畜産物に対する需要の増大は著しいものがあり、かつ、農業経営の改善向上のため家畜、家畜の飼養増加の要請も強いものがありまして、これらに対応し、農家の家畜飼養頭数も著しく増加し、昭和三十六年二月現在では、戦前の水準に比べこれを大きく上回り、和牛では一倍半、乳牛では五倍、豚では三倍に達しており、畜産が今後における農業の最も成長し得る部門としてその発展を期待されておりますことは御承知の通りでございます。  しかしながら、家畜の取引過程につきましては、逐次改善を見つつありますが、なお近代化、合理化を要する問題が数多くありまして、今後飛躍的な畜産の発展及び国民食生活の格段の向上を期待する上におきまして、家畜の取引過程を早急に整備改善することがきわめて重要であると考えられるのであります。  政府におきましても、二、三年来家畜取引の改善対策に関しまして学職経験者の意見を取り入れつつ総合的に検討を加えて参ったのでありますが、家畜商の地位の向上、家畜市場の整備確立、生産者団体の共同事業の推進及び家畜の取引資金の融通の円滑化、食肉市場の整備等の措置を講ずることが必要であるとの結論に達するに至りましたので、家畜取引の実情に即しつつ積極的にその改善のための方策を講ずることとし、他の関連する諸措置を講ずることといたしますとともに、今回家畜取引法に所要の改正を加えることといたしたのであります。  現在、家畜の取引及び価格形成は、全国約千四百の家畜市場において行なわれる家畜取引によって大きく影響されておりまして、これらの家畜市場につきましては、現行家畜取引法によりまして登録制度を採用し、産地家畜市場の再編整備を期しますとともに、家畜市場における取引及び価格形成の公正かつ適切をはかるため、取引方法、代金決済方法等につき必要な規制を加えているところであります。しかしながら、同法制定後の状況を見ますと、産地家畜市場の再編整備のみでは必ずしも所期の効果をあげ得ないことや、せり売りまたは入札の方法による売買が現在の家畜市場の整備の状況等から見ると必ずしも適正円滑に行なわれないことがありますので、あらためて必要な規定の整備を行ない、家畜取引の改善をはかることといたしたわけでございます。このような趣旨から、政府といたしましては、家畜取引法の一部を改正する法律案を前国会に提出したのでありますが、審議未了となりましたので、今回これと同一の内容のこの法律案を提出した次第であります。  改正の主要点は三点でありまして、まず第一に、家畜市場の再編整備につきまして、その対象を産地における家畜市場から集散地における家畜市場にまで広げまして、この対象を地域家畜市場といたしますとともに、都道府県知事が、特に整備する必要があると認められる地域の家畜市場の開設者に対しまして、再編整備を行なうべき旨の勧告をすることができるようにしたことであります。  第二として、家畜市場における家畜の売買方法について、従来通りせり売り、入札を原則といたしますとともに、市場設備の整備状況に即応して公開的かつ競争的な方法で価格形成の適正を期し得る限り他の取引方法を認める場合を拡充し、かつ、この場合には一定の条件を付することができることにしたことであります。また、この法律の規定に違反して家畜市場における売買を行なった家畜取引業者に対して都道府県知事がその家畜市場における業務の停止を命ずることができることとしました。  第三に、家畜取引業者は、家畜市場の開場日及びその前後の日に家畜市場周辺の一定の場所で原則として家畜取引を行なってはならないこととしたことでございます。  以上がこの法律案の提案理由及び主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。

野原正勝自由民主党

○野原委員長 ただいま提案理由の説明を聴取いたしました三法案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————

野原正勝自由民主党

○野原委員長 次に、肥料取締法の一部を改正する法律案を議題として、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。湯山勇君。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 肥料取締法の一部改正が今回行なわれようとしておりますが、その中のおもな点についてお尋ねいたしたいと思います。  今回の改正では、葉面散布剤が肥料として認められるということになっておりますが、この葉面散布ということについては、農林省の方で試験場その他では十分な御研究がなされておるわけでしょうか、まずその点から伺いたいと思います。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 仰せの通り、葉面散布剤につきましては、これは何年も前からいろいろと試験場等でも研究がされております。また、海外におきましても、アメリカ等でも相当研究が続けられて参っております。現在は相当肥料としましても使い方によっては効果があるという結論が出ておるわけでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 葉面散布剤を使った場合の特殊な障害等についてはどういうふうになっておりますか。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 葉面散布剤は、御承知のように、普通の肥料と違いまして、肥料が直接植物の葉面にかかりますものですから、使い方を十分慎重にやらなければいかぬという問題があるわけでございます。そこで、問題となりますのは、たとえば濃度をどうするかという問題が第一に問題ではないかと思うのであります。こういうことの使用法を誤りますと、あるいは葉焼けを起こすとか、そういう問題がございます。それから、もう一つは、雨の降るようなときに、雨が降りそうだという前にこれを使うということは非常に不経済になるわけでございまして、やはり吸収されます時間もある程度かかりますものですから、そこで、あらかじめ天候等を十分考えて使用しなければいかぬ、こういう問題があるわけでございます。また、もう一つは、葉面に非常にむらがあってはいかぬのでございます。これはいろいろ植物生理にも影響がございますので、むらのないようにという散布の技術が必要でございまして、このためにいろいろ機械器具等が必要になってくるわけでございまして、こういう点を十分試験場等でも検討をいたしまして、そういう線に沿いまして指導いたしておるわけでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 局長からそういう御答弁をいただきましたので、新しい疑問が起こったのでお尋ねいたしたいと思います。一体葉面散布の肥料は植物のどこから吸収されるということになっておりますか。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 葉面から吸収されるということでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 葉面と申しましても、ツバキの栗の表面のようなところは、幾ら葉面散布剤をまいても入らないのですよ。入る場所はきまっておるはずです、どこから入るということになっておりますか。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 非常に技術の面につきましては、専門家でもございませんので、あるいは間違いがあるかもしれませんが、葉面の空気の穴でございます。気孔あるいは細胞間隙、あるいは細胞膜を通して吸収され、葉の表面より裏面から多く吸収される、こういうことになっております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 ですから、雨の降る日とかなんとかおっしゃるけれども、表からかけたのではほとんどだめなんです。裏側からかけないと、気孔というのはないですから。それから、細胞間隙というのも気孔に続いてあるのですから、上側にはないわけですから、だから、そういうことがはっきりしてないと問題がこじれてくると思います。  それで、もう一つお尋ねしたいのですが、同じ植物でも、気孔の数というものは、はえておる場所によって違うはずです。生育の環境によって数が違っておるのです。こういうことは局長おわかりでしょうか。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 おっしゃる通りある程度はわかっておりまするけれども、そういう点はいろいろ試験場等でも研究しまして、大体技術的に間違いのないというような方法で指導いたしておりますので、その点は心配ないと思います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 私がお尋ねした、要点は、葉面散布ということを簡単にお考えになるけれども、技術的には非常にむずかしい。たとえば、リンゴならリンゴにしても、あるいは野菜なら野菜にしても、そのはえておる条件によって吸収率が違っております。それから、先ほど雨の降らないときとおっしゃいましたが、雨の降らないときにやっても、どうしても葉の先あたりはたまるわけですね、どんなにしても。そうすると、葉の先は、そこは濃度が多くなって枯れるということも現実にあるのですね。そこで、これは非常に検討を要する点が私はまだたくさんあると思うのです。これを、いきなりこういうふうにして、特に肥料の定義まで改正してやらなければならない必要があるかどうか、これはどうなんでしょう。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 おっしゃる通り、葉面散布剤の使用につきましては、先ほどから申し上げましたように、非常に技術的にはむずかしい問題がまだございます。ございますが、そういう点についていろいろ今まで試験場等でも研究をいたしまして、農民がそれを使いましてもあやまちのないように、十分な指導をいたしておるのでございしまして、しかも、二面、葉面散布剤という名前で肥料が売り出されておるわけでございます。これは相当量各社とも作っておりますので、その際に、これが葉面散布剤ということで、ある程度農林省としても農民が安心して使えるように、品質そのものの規制もやっておかないことには、市販されておるのでございますから、そういう点は十分一つ慎重に、それを使う農民が心配ないようにする必要がある段階だろうと思っております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 そういう指導がなかなか容易でないと思うのです。これは同じ種類でも場所による差異が非常に大きいですから、適切な指導ということは非常に行なわれにくい。そうすると、結局むだなものを使って、損をするのは農民であるということになる可能性が多分にあると思います。  なお、もう一つそれと関連してお尋ねしたいことは、一体、葉面散布剤というけれども、従来の肥料とどこが違うのでしょうか。根本的に成分が違うとか、あるいは化合物としての度が違うとか、そういう点があるのでしょうか。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 葉面散布剤として特に取り上げまして肥料取締法でその指定して、そうして取り締まっていこうといいますものは、それは、いろいろ、たとえば尿素を例にとりますと、尿素にその他のいろいろな成分を加えまして、主体は尿素にあるかもしれませんけれども、いろいろの成分を加えまして、そうして葉面散布剤として売られているというようなものがあるわけでございます。そういうような状況でございますから、今までのように、たとえば尿素とか硫安とか過燐酸とかいうような形で完全な今までの観念の肥料というところではなかなか取り締まりができないという状況になっておるわけでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 今尿素の例をお引きになりましたが、今市販の尿素は葉面散布剤としての効果はないわけですか。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 葉面散布剤として一番最初に使われ始めたものは、尿素の単体のものが大体その研究の材料になりましたわけです。そこで、尿素を使いまして、いろいろ葉面散布についての研究も試験場でやって参ったわけでございますが、最近は尿素にその他の成分を加えたものがいろいろ出ておるわけであります。ですから、そういうようなことで、そういうようなものについて葉面散布剤として取り締まりをやっていこうということを考えておるわけでございまして、尿素そのものでございますれば、これは肥料としての検査がございますから、それは、葉面散布に使われましても、葉面散布剤としての取り締まりをする必要はないと思っております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 私もそのことを言いたかったわけです。ほかのものをまぜるまぜないということは、そんなに大きい問題じゃないと思います。むしろ、葉面散在の場合は、現在肥料として使っておる尿素の純粋なものであれば、それでいいし、それから、現在の尿素でも、濾過して沈澱物などを除いて、そうして霧の状態にしやすいようにすれば、ちっもと差しつかえないわけです。尿素が窒素肥料として窒素分を供給するという点から言えば、ほかの成分は別ですが、窒素だけの点から言えば、従来のもので少し純粋なものならばちっとも差しつかえないはずだと思いますが、これはどうでしょうか。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 おっしゃる通り、純粋な尿素についてはその通りでございます。従いまして、葉面散布剤として純粋な尿素を指定してやるつもりはございません。ただ、現在市販されておりますのは、たとえば尿素に加えて燐酸液を入れるとか、あるいはアンモニアガスを入れるとか、塩化カリを入れるとかいうことで、いろいろなものをつけ加えておるのが大部分でございます。そうして、それがいろいろ葉面散布剤として、これは非常に特殊なものだというような感覚で、農民にはわからないうちに非常に高値で売られる、こういう必配があるわけであります。そういうような意味からいたしまして、肥料の成分としてはこれにはどういうものがあるのかということをはっきりさせて、そうして検査をし、それから取り締まりもするということが農民にとっては有利になるだろうというふうに考えまして、そういうようなものを大体対象にして考えていきたいというふうに思っているわけでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 私が考えておるのと同じような必配を局長もしておられるので、その点は合うと思うのです。逆に普通の尿素だって葉面散布してちっとも差しつかえないわけです。若干農家が操作をすればいいわけです。今特に葉面散布剤というような指定をして、そのために葉面散布剤だということで値段が上がる、そのために高く販売される、こういう必配がある。むしろ、現在の肥料は、カリにしても燐酸にしてもみんな水に溶けるわけです。また、尿素にしたって硫安にしたって、みんな溶けるわけですから、その水に溶かすときの注意、それから、それを濾過するときの注意、まぜ方の注意、そういうことさえすればいい。特に葉面散布剤というようなものを肥料の定義まで変えて特に指定してさっき局長がおっしゃったように、特に特別なものだという宣伝を農林省みずからなさって、それに便乗して高い肥料を農家が買わされる、こういうことになる心配があるし、現にそういう傾向が出ておるのではないですか。それで私は先ほど来の質問をしておるわけで、趣旨は同じだけれども、農林省のお考えになっておることの方が逆に農民のためによくないのじゃないか。土壌へかけると推定をされたものでも、特にその中でも純度の高いものとか、そういうのに適したものは、これで、これはこういうふうに使えという指導をされれば、何も農家自身が葉にかけようが上にかけようが、拘束する必要はないわけですから、そういうことの方が適切じゃないかというふうに私は考えます。そう考えると、特にこういうふうに肥料の定義まで変えて、特にこのものはこうだという指定をして、そういうことまでなさる必要はないのじゃないかという心配をしておりますので、この点についてお伺いしたいと思います。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 おっしゃる通りの面も確かにございましょうと思います。しかし、農林省は、葉面散布剤というものを肥料取締法の対象にいたしますることによって宣伝するつもりは毛頭ございません。ただ、現実に各メーカーがいろいろの葉面散布剤を作っておるわけでございます。そうして市販されております。それかといって、それがほんとうに農民にとっても害のあるものであれば、これはやむを得ませんけれども、そうでない限りは、これは製造禁止をするというほどのものでもございませんし、そういう状態でございますから、何とか、市販されているものも、葉面散布剤というものの内容はこういうものですと農民にはっきり知らしてやりたい、こういう趣旨でございます。ですから、農林省はきちんと規格を作って取り締まりをしていくという趣旨でございますので、どうぞ一つ御了承願いたいと思います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 葉面散布剤という名前がついてもつかなくても、たとえば尿素というものには変わりないわけです。同じ尿素が、ある会社ではこれは葉面散布剤だ、ある会社ではこれは従来の土壌に施す肥料だ、こういうことにも今の御議論から言えばなりかねないわけですね。ですから、そういう区別はしないで、むしろ使い方の技術的な指導をするということの方が、私は農林省のお仕事としては適切じゃないかということを申し上げておるのですが、どうでしょうか。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 おっしゃる通り、尿素には変わりはございませんが、ただ、先ほど申し上げましたように、尿素にいろいろのものがついたものがございますから、そういうようなことで、尿素を葉面散布剤として肥料取り締まりの対象として、純粋な尿素を葉面散布剤として取り上げていくのだというつもりはございません。尿素は尿素で肥料の方の検査がございますから、従来の肥料の検査がございますから、これは問題はないわけでございます。ですから、おっしゃる通り、純粋な尿素を買いまして、これにいろいろの展着剤を入れるとかその他のものを入れたりして、農民がいろいろ調合いたしまして葉面散布をやるという場合もこざいましょうけれども、展着剤を入れるなどという問題もなかなかむずかしいでしょうし、手間がかかってやっかいだというような面もございまして、展着剤も入ったとか、あるいはその他の養分もある程度入たとかいうようなものが市販されているわけでございますそういうようなことでございまするので、農民が安心して買えるようにという意味で、今度はそういうものを作っていくものを取り締まるという意味でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 私は、やはり、そう言われることは問題が大きいと思うのです。何も尿素にカリ成分だとか燐酸成分を加えなくてもいいわけです。加えるのは勝手に加えることであって、加えなければならないという規定はないと思うし、また、農家もそうでなければならないということもないと思うのです。ことに、もう御存じのように、葉っぱを使うものと実をとるものと根をとるものとでは、必要な成分は違うわけですから、一律にたとえば尿素にそういうものが加わったものを葉面に散布したからといって、むだのないようにそれらの全部が使われるという保証はないわけで、一律なものを使うとなればまぜられたために大なり小なりむだなものを使っている。全部がそうとは申しませんけれども、そういうこともあり得るので、そういう製造過程において手間をかけたということが実際はコストを高くして、農民は高いものを買わなければならない。そうじゃなくて、普通の肥料として買った尿素をちゃんと溶かして、カリだって溶かして、必要ならば濾過して、それを自分で適当な量をまぜ合わせてかける、展着剤にしても、硫黄合剤を作ったり、ボルドーを作ったり、自分でやるわけですから、そういう式でやったってちっとも差しつかえないわけですね。そういうことの指導がなされてしかるべきだと思うのですけれども、そういうことの指導は実際は一向なされていないのです。そうして、作ったものを買い、これならば大丈夫だということでは、従来の農薬やその他に対してとられたのと同じように、メーカーの宣伝の傾向の方が強くて、農民の方はほうっておかれる。極端に言えば、その犠牲になる。そういう感じが強いので、そういう点について何か御配慮はございますか。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 おっしゃる通りでございます。私どもも、たとえば尿素を窒素分として葉面散布をやるという場合には、純粋な尿素を使って、その他いろいろ展着剤を加えるということをやりまして農民を指導する、そうしてなるべく高いものを買わないでも済むようにする。これは私の直接の所管ではございませんけれども、振興局の方にもそういう点は今までよく連絡をとっておりまして、そういう点で十分指導して参りたいと思っております。しかし、現在市販されているものは、やはりある程度農林省としても責任を持って農民にはっきり内容を知らせてやるという責任がございまするので、そういう点についても今度の取締法ではっきりさせたい、こういうつもりで考えているわけでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 くどいようですが、今の点でもう一つ申し上げたいのです。葉面散布を土壌にやったからといって悪いわけではないでしょう。これは土壌にやったっていいものばかりですからね。だから、かりに局長のおっしゃるようなそういう御答弁があったとしても、鉢植えのような集約的なものについてはへ普通のものよりこの方が安全だというわけで、葉面散布剤を入れるとか、あるいは水の中で栽培する場合にそれを入れるとか、そういうことがあってもいいわけで、必ずしも、これは葉面だけに使われなければならないのだ、これは土壌だけに使わなければならないのだという巖密な指定はないわけで、土壌にやるつもりのものを今言った方法で葉面にまいてもいいし、葉面という指定のあるものを土壌にやってもいいわけです。その辺は何も局長が言われるような巖密な区別はないわけですから、それをことさらに巖密に区別する必要はなくて、むしろ、成分というものを、これはこういう成分だ、純度はこういう純度だということの数学さえ明確であれば、ちっとも私はさしつかえないと思うのですが、どうなんでしょうか。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 実質的にはおっしゃる通りであろうと思うのでございますが、ただ、現在の肥料取締法は、土壌に施す、こういうふうに書いてございまして、商品を見ますと葉面散布剤と党々と書いてある。葉面散布剤といって、これは葉面に施すのだという宣伝をして、そして内容はどういうものだかはっきりしないで売られているものがあるわけです。それは非常に農民としても困るわけでございますから、そこで、いわゆる葉面散布剤として、そういう商品として売られておりますものを規格をきちんときめて、そして農民がはっきりわかるようにしたい、こういう趣旨でございまして、おっしゃる点は実質的には私も同感でございまして、全然問題はないと思うのでございます。ただ、法律の今までの建前等がございますので、そういう点を直しまして、葉面にだけ散布するのでもとにかく取り締まりの対象にいたしますということをはっきりする、こういう趣旨でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 私の言うこともわかっていただいて、なおそう言われるのですから、もう言うことないわけですけれども、この際要望したいことは、葉面散布剤の値段です。これはどういうふうにおきめになるか、従来の肥料と同じようなきめ方をされるのかどうかわかりませんけれども、葉面散布剤なるがゆえに不当に高くならないように、その監視は十分してもらいたい。同時に、葉面散布剤を作るというような技術はそんなにむずかしい技術じゃありません。農家にとっても、ことに今機械化していこう、新しい農業をやっていこうという農民にとって、こういうものを作るぐらいなことはそんなに困難なことじゃないのですから、むしろそういう方面でむだな金を使わないような指導を十分やってもらいたいと思うのです。御所管でないかもしれませんから、この点は、政務次官、一つそういう点は十分農林省全体の態勢を一新して当たっていただかないと、ここで局長がああいうようにおっしゃっても、現場を見たときに、それは所管が違いますから、こう言われたんじゃどうにもなりません。一つ責任を持ってそういうふうに指導してもらいたいのですが、いかがでしょう。

中馬辰猪自由民主党農林政務次官

○中馬政府委員 ごもっともな御注意でございますから、そのように検討いたしたいと思います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 それから、次には、農薬を肥料に混入することを認めるということでございます。これは農薬の定義も現在の取締法の規定ではかなりぼんやりしたものだと思うのです。肥料も法律によらないで拡大して解釈すればやはり農薬であるという考え方ができると思うのですが、長はどうお考えでしょうか。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 その点は、肥料といいましても、農薬といいましても、実際肥料というものはどういうものかということをきめます場合には、たとえば取り締まりをいたします場合に、この法律の対象としての肥料はどうだとか、あるいは合理化をいたします場合に、合理化法の対象としての肥料はどうだとかいうことでいろいろきまってくるのだろうと思うのでございます。それで、肥料と農薬と別に違わないという御意見は、あるいはその通りではないかもしれませんけれども、取り締まりとか、あるいは行政とか、そういう目的によって対象をしぼるという場合がございますので、そういうような意味で、この場合の肥料はこういうものだ、この場合の農薬はこういうものだということをきめてかからなければ仕事ができないから、そういうことになるのだろうというように考えております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 従来肥料として扱っておるものの中にも、植物の栄養になるとか、あるいはそういうような実質的なものじゃなくて、むしろ植物の新陳代謝を促進するとか、あるいは炭水化物の代謝を促進するとか、そうものも微量は必要だというので肥料の中に入れているわけですね。ところが、実際は、そういうものの働きは、いわゆる病虫害の方じゃありませんけれども、病気という点から言えば、それがなくなれば欠乏症を起こすわけです。人間の場合なんかで言えば薬物の働きをしておるわけです。これはおわかりの通りなので、そういう点から言えば、現在の肥料の定義もぼんやりしておりますれども、農薬というものの定義も、取り締まり対象としても若干ぼんやりし過ぎているのじゃないじゃないでしょうか。そうお感じになりませんでしょうか。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 いろいろ科学が進歩するに従いましていろいろの製品が出て参りますので、たとえば、従来のように、これは肥料だ、農薬だ、あるいはホルモン剤だとか、いろいろなことを言いました場合に、これはどの分野にきちんと入るかということを客観的にきめてかかることはむずかしいことじゃないかと思います。ですから、先ほど申し上げましたように、その目的目的によって取り上げていく限界がきまってくると思いますから、そういうような意味で、肥料取締法におきましては、こういうものを肥料として検査をします、それから農薬取締法におきましてはこういうものを対象にして検査をしますというように扱っておるのでございますので、これは絶対的なものじゃないというふうに私も考えております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 それで、どちらも相当あいまいな点を残しておる二つのものをまぜて、肥料に農薬をまぜるという言い方をしておられますけれども、これは、多い少ないの関係は、どうあっても、農薬に肥料をまぜると言ってもいいわけですね。分量の多い少ないだけの関係ですから。そういうことになると、肥料取締法で農薬をまぜたものを取り締まるという逆の場合ですね、むしろ取り締まりの仕方から言えば農薬取締法でこれを取り締まったことの方がいいんじゃないかという考え方を持っておるのです。というのは、肥料による人畜の被害というのはほとんどありません。が、農薬による人畜の被害というものは相当たくさん毎年出ております。ところが、取り締まりのゆるい肥料取締法でそれをやっていくことよりも、むしろ農薬取締法で巖重にやっていった方が間違いがないではないかという考え方は、判然その中から出てくると思うのですが、それはいかがなものでしょうか。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 おっしゃった通りでございまして、肥料、たとえば農業をまぜた肥料の場合におきましても、いろいろ成分の関係があると思います。多い少ないの問題があろうと思います。そこで、たとえば農薬をそれに入れました場合におきまして、農薬は農薬として、やはり農薬取り締まりの対象になるわけであります。また、肥料の面におきましては、肥料として扱う以上は、その成分比等につきましても、人畜被害のないように、ある程度成分はそういう面からきめて参るということにしてあるわけであります。たとえばPCP尿素というようなものがございました場合には、PCPの成分は、これを肥料として使いましても人畜被害のないような程度に考えていきますと同時に、PCPが入っておりますから、これは農薬取締法の対象になって、農薬としてのいろいろ扱いも受けなければならぬというふうに、それくらい慎重を期した方がいいじゃないかというように考えております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 両方別々におっしゃると、それはおっしゃる通りで、問題ないと思うのです。ただ、農薬の害というものは、その量に関係することで、混入してあるものの率、総量、こういうことが関係してくると思うので、そういうことになると、扱う分量の多い少ないが結局害があるかないかということに関して参ります。しかし、今局長のおっしゃったのは成分の場合のことだけおっしゃったので、これをたとえば一トン扱う、二トン扱う、一貫目使う、それによる被害というものについては、今の段階では触れる余地がないんじゃないかと思うわけです。その点どうなっておるでしょうか。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 そういう点も十分研究をいたしまして、いろいろ問題の起こらぬような規格等を作って取り扱って参りたいと思います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 その点は具体的にはどういうふうにお考えになっておられるのでしょうか。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 たとえばPCP尿素の場合におきましては、PCPの含量、農薬として含有すべき成分の最小量ということで大体きめているわけでございますが、その場合に、窒素量が幾ら、それからPCPは、科学的なむずかしい言葉でございますけれども、大体人畜に害のないような程度に何%というふうに規格をきめて参りたいというふうに考えております。ですから、実際使う場合におきまして、このPCPが入りました尿素を使って、そのために非常に問題起こすというような、そういう成分の規格は作らないつもりでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 御答弁は御答弁として了解できないことはありませんけれども、現在よほど農林省でも注意して指導して農薬を使用させておりますが、毎年相当多量にそれによる被害が出ております。これは一体どこに欠陥があるのか。欠陥はずいぶんあるのじゃないかと思うのです。ここでの御答弁は御答弁として了解できても、具体的な場について言えば相当欠陥が多いと思います。そこで、私は、こういうことはできないか。農薬なんかの使用が非常に多くなっておる今の段階で、ことに肥料の中にもそういう農薬が入ってくる、そういうときに、それらの農薬の一つ一つを農協なりあるいは農民なりがよく理解して、そして販売する、あるいは求める、あるいは使用するということはなかなかむずかしいと思います。そこで、薬剤師をそれを扱う農協では嘱託する、そしてその農薬の管理、つまり、肥料と混ぜた場合にしても、これなら大丈夫ということの指導、そういうことは薬剤師を嘱託してやってもらうというようなことはできないかどうか。これは、何も農協だけじゃなくて、学校保健法でも、そんなにたびたび用はないのですけれども、たとえばプールの水の検査をするとか、給食のときの何とかの検査をするとか、その他のことを学校で薬剤師を嘱託しております。年何千円くらいです。そういう方法を各農協でやれば、大体どこにも町村には薬剤師はいるわけですから、そういうのを嘱託して、管理とそれからそれの扱い方の指導ということをするような体制をとれば、私はよほど今日までのようなああいうあやまちはなくなるのじゃないかと思うのですが、その点についてのお考えはいかがでしょうか。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 おっしゃる通りでございまして、非常に農薬の問題が起こっておりまして、これはまことに遺憾でございます。——私の所管ではございませんけれども。そういうようなことで、実際問題といたしまして、農薬が劇物、毒物の取扱いを受けるような場合におきましては、劇物、毒物の法規がございまして、それで薬剤師がいなければならないことになっているわけでございます。そういうようなことでございまして、たとえば農協等におきましても、薬剤師を自分で抱え、あるいは嘱託をして使う、そういうことをやりませんと、劇物、毒物は扱えない、こういうことになると思うのでございまして、そこいら辺の運用が十分にいっておりません。そういう関係でたまたま農薬の問題等が起こるのであろうと思うのでございますが、この点は別の局の問題でもございまするから、政務次官にお答えをいただければ非常にありがたいと思うのでございますが、いずれにしても、私どもも協力たしましてそういうことの起こらないように努めていきたいと思います。

中馬辰猪自由民主党農林政務次官

○中馬政府委員 突然のことでございまして、にわかにお答えが的確にできませんけれども、学校給食等学校の保健といいますか、そういう関係においては、文部術関係においては実行いたしておるようでございますからして、十分研究いたしたいと思います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 研究していただくよりも、もう、今局長の答弁のように、そうしなければならないことになっている。ただ毒物、劇薬等の指定の仕方が若干農薬の場合ゆるいという非難もないではありませんけれども、それはそれとして、そういうふうにきめられたことを的確に実施させるというのは、これは農林省の責任だと思います。それができておれば、私はよほど今までのような被害は防止できると思いますので、ぜひきめられた通り実施するように強力な指導をお願いいたしたいと思います。  それから、最後にお尋ねいたしたい点は、ホルモン剤の問題です。これは一体農薬に入れるのか肥料に入れるのか、それについてはすでに質問もあったようですけれども、現在野放しになっておるようですが、どういう解釈をとっておられるか、それについての取り締まり等はどうなっておるか、お聞かせ願いたいと思います。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 ホルモンの問題は科学的にもいろいろ問題があろうと思いますけれども、現在のところ、農薬として取り扱う、法規の上では農薬の取り締まりの対象になっております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 それは農薬取締法の中に含まれておりますか。含まれてないと思うのですが。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 現在のところでは農薬取締法に含まれてはいないようでございますけれども、ただ、そういう考え方で今後対象にしていきたいということを検討しているところでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 それでは、現在のところは法律をもって取り締まることにはなっていないのですか。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 その通りでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 これは、実際問題として、種なしブドウを作るとか、あるいは種をまくときの成長ホルモンだとか、いろいろ実際には使われておるのでございます。葉面散布の肥料がこうやって取り上げられる段階で、ホルモンが野放しになっておるということは、いかにも、政府の態度といいますか、農林省の態度は片手落ちじゃないかという感じがいたしますが、これはどうなんでしょうか。その必要はないのですか。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 将来の問題といたしましては、肥料といたしましても、ホルモン剤というものが相当実際的なものになってくるという時代が来ると思うのでありまするけれども、現在の段階では、たとえば人間のホルモンの場合におきましても、医学的にもなかなか結論の出ているものがないわけでございます。これもいろいろ説がありまして、ホルモンというものはこういう影で取り締まったらいいじゃないかということが、人間の場合でもきちんときまってないという状況でございまして、いろいろなものが人間の場合にも出ているわけでございまして、ホルモンの効果というようなものも、御承知の通り、人体の場合にはいろいろ問題がございまして、植物体の場合においてもいろいろな説があり、それから実際上はいろいろございますけれども、まだこういうものはホルモンとして使えというはっきりした指導段階までに至っておらないのでございます。従いまして、そういうものがはっきりと実証され、研究が進むに従いまして、肥料としてもだんだんとまぜたものができたら、そういうものについても十分考えていきたい、こういうふうに思っております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 局長は大へん大胆な結論をお出しになったんですが、そういうことでいいんですか。今ホルモンというものは全く固まってないんだ、結論が出てないんだ、人間の場合もということまでおっしゃったんですが、人間の場合のホルモンの中には、それは判明していないものもあります。しかし、明確になって、合成さえできるものもあるのです。植物ホルモンにしても、デラウェアなんか、稲のばか病菌から何とかホルモンができて、それで種なしデラウェアができているでしょう。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 おっしゃる通りでございまして、はっきりしているものもございますし、はっきりしないものもあるわけでございます。それから、ホルモン剤が合成でできているものもございます。そういうようなものは成分等もはっきりいたしております。しかし、その効果が、たとえば植物体でもいろいろ個性がございまするから、これを使えば必ずいくんだというところまで全部について取り締まりの対象にするほどにはまだいっていないということを申し上げたのでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 さきの葉面散布のときは同じようなことでこれは入れなければならぬということをおっしゃるし、今度ホルモンのときば逆にそれだから入れないんだ、これは前後ふぞろいではなはだ私は了解に苦しむところです。そうじゃなくて、ホルモンだってずいぶん使われています。成長ホルモンなんか、継ぎ木の場合にも使っているし、発芽の場合にも使っているし、それから、今の種なしのブドウを作るのにも使っておるし、そのほか開花ホルモンもあるし、ずいぶんたくさんホルモンは市販されておるものもあります。効果もずいぶんあるわけです。それを今のようにおっしゃるのは局長にも似合わないことだと思うのですが、そうではなくて、これはまだ手がついていないならいない、早急につけるならつけるということでなければ、実際は大へんな問題になると思うのですが、いかがですか。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 仰せの通り、現在でも、効果のあるものもございまして、いろいろ問題もございますけれども、行政の対象として法律で取り上げてこれを取り締まっていくとか、あるいはこれは積極的に画一的に助長していくというような段階までまだ研究も進んでおりませんので、そういう点、もう少し研究を待ちましてから十分検討をいたしまして、取り上げるなら取り上げるということにいたしたいと思っておるわけでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 それはだれの意見ですか、局長。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 農林省の意見であります。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 植物ホルモンの研究はもうずいぶん古い歴史を持っているのです。今言ったように、葉面散布のような近ごろ出たものではなくて、実際に使われているのもずいぶん古いのですよ。特にヘテロアオキシンなんかは結晶まで出てずいぶん使われた経験を持っております。そういうものを今のようなことでほうってしまうという農林省の態度だと、これは大へんな問題だと思うのです。そういうことではなくて、もっと謙虚にホルモンというものを考えていかないと、大へんな問題だと思うのですが、どういうふうにお考えですか。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 いろいろ最近におきまして出ておりますホルモン剤もございますが、これらについて、農林省として、率画に申し上げますれば、研究が十分にまだいっておりません。そういう状況でございますので、今これを対象にしようということを考えておりませんので、今後の問題として一つ十分検討いたしたいと思っております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 今のように農林省としての研究が十分できていないというならよくわかりました。それでは、一つ早急に御研究になって、これもやはり、果樹・畜産の中の果樹の種なしブドウなんかはそれによって作り出しておるわけですし、そういう実用の段階ですから、すみやかに御研究になって、これも何らかの形で規制できるということにしないと農民が難儀をするばかりですから、十分一つ御研究願いたいと思います。  以上で終わります。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 ちょっと関連質問。  最近各都市におきまして糞尿処理の問題が非常に大きな問題になっております。この糞尿につきまして化学的な処理を加えて肥料を生産しよう、こういうことが行なわれておるのでございます。すでに北海道の旭川市におきましてはこれを取り上げまして、その化学的な処理によって生産されます肥料をホクレンが市販しておる、こういうことが行なわれておる。これがたんだん全国的に普及する傾向がある、こういうことにつきまして、農林省ではどういうふうにとらえておいでになりますか。この点について、これは世界各国とも糞尿処理については漸次この方向に進もうとしておるようでございますが、肥料の関係においてどういうようにお考えになりますか。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 御質問のように、最近各地でそういうようなものがあるようでございますが、いろいろ調べてみますると、肥料成分等も非常にまちまちでございまして、成分の非常に低いようなものもあります。そこで、商品としてほんとうにこれを取り上げてどうこうするというような段階までには来てないのではないかというように考えております。中には肥料成分の高いものもありまして、肥料として取り上げて十分やっていけるというようなものもありますけれども、全般的には私が先ほど申し上げましたような状況でございますので、今後の研究を待ちまして、取り上げるなら取り上げていきたいと考えております。現在のところでは、地方的にそういうような姿のものが生まれて、地方で処理されているというようなところが実態ではないかというように思っております。今後の問題といたしまして、たとえば畜産が非常に伸びて参りまして、何百頭養豚、何千頭養豚とかいうものが出て参りますと、豚の尿とか糞とか、こういうものの処理が非常に大きな問題になろうと思います。ですから、そういうようなものもあわせて一つ今後の問題としては研究して参りませんと、その糞の問題で養豚が詰まってしまうというようなことまでも起こるのではないかというような感じもいたしますので、そういう点十分検討いたしたいと思います。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 これは、現在、私の知っておる範囲では旭川市だけで、あちこちと言われましたが、ほかにあるならお示しいただきたい。私の知っておるのは旭川市だけで、そこから生産される肥料はホクレンが販売をしておる。こういうことで、その同じ機械を使って東京都の周辺の衛星都市でやろうという計画が進められておるということを聞いておりますが、まだ成分がまちまちでいろいろ研究を要すると言われましたが、ほかにあるならば、どういうところがありますか、お示しいただきたいと思います。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 あちこちと申しましたのは、工場生産をやっておるという意味じゃなくて、地方的にいろろ乾燥して粉砕して扱っておるというようなものもありますので、どこということを今さしあたり覚えておりませんけれども、そういう実態でありますので、旭川市におきましてそういうようなものが生産されておるということでありますれば、私どもも十分旭川の実態を調べてみたいと思います。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 私、なぜこういうことを申し上げるかというと、一九五九年に、私、イスラエルに参りました。イスラエルの砂漠の開発は、糞尿を化学的に処理して、そこから一つの肥料を出していく、もう一つ、死海の水からカリ肥料をとって、これで砂漠の開発に非常に力を入れておる。それだけではございません。そういうようなところから、テルアヴィヴの糞尿処理場などは非常に進んだ近代的な設備を持っておる。ただ糞尿の処理だけでなく、そこから副産物の肥料を作るというようなことがハイファやテルヴィヴにおいてなされておる。これは日本ではまだできないものかなと思っておったところが、旭川市が全国に先がけてこれをやったという。私、まだ見ておりませんが、旭川からの文献を見て、これはおもしろいなと思った。ただ、そのためには人件費が普通の糞尿処理場よりよけいかかる。けれども、肥料を売って相殺するというと、一般の糞尿処理まりは安いというような結果が出ておるようであります。同じ旭川の例によって、東京のどこか近郊の衛星都市がやろうというようなことも聞いておりますが、そういう点もよく農林省ではお調べ下すって、できればそういう現状について資料を出していただきたい。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 十分調査をいたしまして、現状の資料をまとまり次第御報告申し上げたいと思います。

野原正勝自由民主党

○野原委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————

野原正勝自由民主党

○野原委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決いたします。  肥料取締法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

野原正勝自由民主党

○野原委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。  ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野原正勝自由民主党

○野原委員長 御異議なしと認め、さように決しました。      ————◇—————

野原正勝自由民主党

○野原委員長 次に、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案を議題として、政府に補足説明を求めます。森畜産局長。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 家畜改良増殖法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を申し上げます。  まず、本則におきましては、第一に、わが国における家畜の発展、その農業に占める地位の向上及び必要性に対処するとともに、最近におきまする畜産技術の進歩等に応じまして、家畜の改良増殖を一段と計画的かつ効率的に実施して畜産の振興をはかるとともに、あわせて農業経営の改善に資する趣旨を明らかにするため、目的に所要の改正を加え、第二に、家畜の改良増殖に有効な事項を極力総合的にかつ体系的に促進することとし、その実施に際しては農業経営に家畜の改良増殖の成果である優良な資質の家畜が適正かつ円滑に導入されることになるように努める旨の規定を設けることといたしました。  第三は、家畜の改良増殖を計画的に行なう趣旨で、家畜改良増殖目標の公表、都道府県家畜改良増殖計画の作成等に関する規定を新たに設けることといたしたのであります。  第四には、凍結精液の利用の実用化に伴い、種畜及び家畜人工授精に関する規定を補正して整備することといたしております。  第五には、新たに家畜登録に関する規定を設けることとしました。すなわち、これは、家畜登録事業の公正な運営を確保するため、家畜登録事業についてその登録規定を農林大臣の承認制とするとともに、その業務について援助し監督すること等の規定を設けることといたしました。  第六には、新たに家畜の改良増殖に関する重要事項を調査審議するものとして農林省に家畜改良増殖審議会を設置運営することにしたのであります。  第七には、この法律案も施行するために必要な雑則及び罰則について所要の規定を設けております。  なお、附則におきましては、家畜登録事業について、その登録規程が農林大臣の承認制となることに関し、その他この法律の施行のため必要な経過措置、関連法律の一部改正について規定を設けております。  次に、おもな改正規定について逐条説明を申し上げます。  第一条は、既に申し上げました本法の目的に関しまして、改正法律案の内容に即しまして所要の改正をしたのであります。  第二条は、家畜の改良増殖を促進する義務と、家畜の改良増殖が農業経営の改善に資し農業者にその成果を得しめるための家畜の導入等に対する措置に関する規定であります。すなわち、第一項におきましては、現行法でも国及び都道府県は家畜改良増殖に有効な事項を促進することといたしておりますが、この改正法律案におきましては、その趣旨を包括的にそのまま引き継ぐとともに、家畜の改良増殖の促進事項のうち、その重要事項を極力具体的にまた体系的に法文化してこれを明確に確保することといたしました、従って、従来の「第二章以下に規定する事項以外であっても」を削除することといたしました。  第二項につきましては、国及び都道府県が家畜の改良増殖に関する各種の施策を進めてゆく際に家畜の導入をいかに円滑に進めていくかについて規定いたしております。すなわち、新たに国及び都道府県は、家畜の改良増殖上必要な各種の施策を講ずるにあたっては、改良増殖の成果である優良な資質の家畜が農業経営に適正かつ円滑に導入されるように、努めるとともに家畜を取り入れた農業経営の発展に資するよう努めるべき旨の規定を設けることとしたのであります。しかして、優良な資質の家畜が農業経営に取り入れられ、この飼育が行なわれる場合、これらの家畜がわが国の畜産経営の発展の方向に即した形でその優良な資質が充分活用されるのでなければならないのは当然なことでありまして、これが措置を円滑に実施するために、家畜を導入するにあたっては、農林大臣が定める有畜農家育成基準に準拠することとしたのであります。  第三項につきましては、有畜農家育成基準の内容等についての規定であります。有畜農家育成基準とは、家畜の改良増殖の目標並びに農業経営の現状及び将来の改善目標等を考慮いたしまして、家畜の飼養規模、家畜導入にあたって考慮すべき立地条件等について定めることといたしているのであります。  これまでのわが国の畜産経営は、副業的な経営が大部分を占めていたのでありますが、畜産物に対する旺盛な需要に刺激され、一般的には自然的、経済的、社会的条件により経営の形態等について多くの差がありますものの、従来の飼養規模に比べて多頭数飼養の有利性が次第に認識され、普及されつつある状況であります。また、これと同時に、適切な農業生産の発展をはかり、農業経営の近代化等を中心とする農業構造の改善のためには、合理的な畜産の導入及び経営の育成、発展を確立しまして畜産の振興がはかられることが、今後のわが国農業の発展のため最も必要なことの一つとして要請されているのは御承知の通りであります。有畜農家育成基準を定める場合には、無畜農家の有畜化を一段と適切に進めますと同時に、単なる副業的有畜農家経営から多頭数飼養による主畜経営またはこれに準ずる経営に移行することが必要であると考えられます。従いまして、国としても、この基準に沿って従来よりも拡充した援助指導を行ない、もって家畜を取り入れた有畜経営による農業の発展を進めていくことを助長したいと考えておるわけであります。  次に、第一章の二につきましては、家畜の改良増殖に関する目標、家畜の改良増殖計画等に関する措置について規定しております。  第三条の二につきましては、農林大臣の定める家畜改良増殖目標の公表及びその目標の内容等に関する規定であります。今後におきまして畜産を適切に伸長して参ることは、まさに重点的な国策の一つでありますので、今後の家畜の改良増殖を計画的、能率的に行なうための国の目標を重要な事項について定めますとともに、国民一般、特に農業者に理解と協力を求めるとともに、都道府県が家畜改良増殖計画を立てるときのよりどころにしたいと考えている次第であります。  第一項は、改良増殖目標を定める家畜は、牛、馬、めん羊、山羊、豚について定めることといたしまして、その他の家畜につきましては、必要な事態に応じまして政令で追加ができるように規定いたしております。  農林大臣は、家畜改良増殖目標を定めたときは、これを公表することといたしておりますが、これは、国及び都道府県の関係者のみならず、種畜業者、家畜の飼養者である農業者等広く関係者に周知徹底をはかり協力を得る必要があるためでございます。  なお、家畜改良増殖目標を定める時期及び目標期間につきましては政令で定めることといたしておりますが、たとえば五年ごとに十カ年先までの目標というように、家畜の性質、畜産技術等を考え、かなり長期的なものとしてこれを立てる所存であります。  第二項は、家畜改良増殖目標の内容について規定しているのでありますが、家畜改良増殖目標は、家畜の種類ごとに、畜産物の需要の動向及び畜産経営の発展の方向に即して、産乳能力、産肉能力、体型、頭数あるいは耐暑性、耐寒性等、地域性に応じた家畜の特性等について定めることといたしておるのであります。  第三項におきましては、家畜改良殖目標は、かなり長期にわたる家畜の改良増殖の基本方針を定めるものでありますから、学界、実際家を通じ、民間の有識者の意見を聞いて慎重を期するため、家畜改良増殖審議会の意見を聞かなければならないことといたしております。  次に、第三条の三は、都道府県知事の定める家畜改良増殖計画に関して規定したものであります。すなわち第一項は、都道府県知事は農林大臣の定めた家畜改良増殖目標の方向に即応して家畜改良増殖計画を定めることができることとしたものであります。  第二項は、この計画に盛り込むべき必要な事項を定めたものであります。第一は、都道府県としての家畜改良増殖の目標でありまして、方向としましては国の目標に即するもののあることが必要であると考えますが、その都道府県の自然的、経済的、社会的な諸事情が加味されるものと考えられます。第二は、計画の期間で、国に準じて一応十カ年くらいを考えております。第三は、極雄畜の配置、利用及び更新に関する事項であります。この趣旨は、都道府県内の改良増殖を推進する際の基礎となる優良な極雄畜を適正に配置し、有効に利用することにより、家畜の改良増殖の所期の目的を達成せんとするものであります。第四は、都道府県の種畜場、民間の生産家の施設等種雄畜の生産施設、家畜人工授精所、家畜人工授精を行なう種畜場等の家畜人工授精施設、その他有畜営農指導所、畜産基地農場、畜産試験場等の家畜改良増殖施設の整備拡充計画に関してであり、第五は、産乳または産肉等の能力検定専業の実施計画等に関してであり、第六は、講習会、共進会等の開催の方針及び計画等の記載を期待しており、第七は、以上のほか関係試験研究の計画に基づく指導計画等についての事項を考えております。  第三項は、都道府県知事は、家畜改良増殖計画を定めようとするときは、畜産に関する専門的知識または経験を有する者の意見を聞かなければならないこととしてありまして、これは、大学関係者、畜産及び農業団体の関係者、民間のブリーダー等が加わることを期待しているのであります。  第四項は、家畜改良増殖計画は、国の場合と同様、広く関係者の理解とこれに基づく協力を期待しているものでありますので、その公表について規定しているのであります。  次に、第三条の四につきましては、都道府県知事の定めた家畜改良増殖計画の実施に必要な国の援助について規定しているのでありまして、都道府県に対しましては、国の所有する種畜の譲与、無償貸付または時価よりも低い対価による譲渡もしくは貸付、種畜の購入に要する経費の補助、乳牛及び豚について行なう能力検定事業の実施に要する経費の補助、畜産研修施設の設置及び講習会開催に要する経費の補助等の助成措置を講ずる所存であります。  次に、第三条の五につきましては、種畜に等級を付する場合、家畜人工授精所に繋養する種畜の規格を定める場合には、農林大臣または都道府県知事ば、家畜改良増殖目標または家畜改良増殖計画の趣旨に沿ってその達成に資するものとなるように努めること、並びに、その他家畜登録事業、家畜改良増殖審議会等に関する各条項を運用するにあたっても、改良増殖目標または改良増殖計画の達成に資するよう努むべきことを規定しているものであります。  次に、第二章の種畜及び第三章の家畜人工授精の規定の整備であります。  これは、近年家畜人工授精技術が著しく進歩し、たとえば精液の凍結保存法のごとく、精液を長期にわたって保存した後もなお授精能力を保存せしめることも可能となり、わが国においてもこれが実用化の機運にありますが、昭和二十五年現行法を制定した当時は、このような技術は想定されておらず、結果的には凍結精液の利用をはばむこととなるような規定がありますので、これを整備いたしたのであります。  すなわち、第一に、この法律で家畜人工授精とは、牛、馬、めん羊、山羊または豚の雄から精液を採取し、処理し及び雌に注入することをいうのでありますが、他方、第四条第一項の規定により、家畜の雄は、農林大臣が毎年定期に行なう検査を受け、種畜証明書の交付を受けているものでなければ、種付(家畜人工授精を含む。)の用に供してはならないことになっております。すなわち、種畜でないものは、精液の採取の用に供してはならないことはもちろん、その精液を処理することも、雌へ注入することも禁止されることになりますので、種畜から採取した精液を凍結法等によって長期保存した場合、その種畜の死亡または廃用後その精液を雌に注入することは、すでに種畜でなくなっているものの精液を注入することになり、第四条第一項の規定に違反することになります。そこで、第四条第一項中「種付(家畜人工授精を含む。)」を、「種付け又は家畜人工授精の用に供する精液の採取」に改めるとともに、第五条及び第九条の規定を同様な趣旨で改め、精液採取特に極畜であれば、精液注入時には、その種畜がすでに死亡、廃用等になっていてもその注入は違法ではないことを明らかにし、凍結精液の利用が円滑に行なわれることを期したものであります。  第二に、凍結精液等貯蔵精液を利用する場合には、雌畜に注入するときまでにかなりの日時を経過することもあり、また精液が幾人かの手を渡ることがありますので、現行の第九条第四項の、種畜の飼養者はその家畜人工授精用精液の注入を受ける雌の飼養者に対して精液採取証明番を交付しなければならないという規定は、種畜飼養者に過重な義務を課することとなります。従いまして、第九条第四項から「精液採取証明書」を削ることといたしましたがこの点が改められましても、別に家畜人工授精師が精液証明書、授精証明書を発行することになっておりますので、人工授精用精液の注入を受けた雌の飼養者に対する精液採取証明書の交付を種畜の飼養者に義務づけなくとも、家畜人工授精の利用に支障はないものと思われます。ただし、家畜人工授精師が、家畜人工授精用精液を採取し、検査した後その場で雌の家畜に注入する場合のことを考え、その注入を受けた雌の家畜の所有者から精液の採取に関する証明書を要求されたときは、家畜人工授精師は、正当な理由がなければ拒んではならないことを第十三条第四項として規定した次第であります。  第三章の二は、家畜登録事業に関する規定であります。  家畜登録事業は、その運営よろしきを得れば、不良形質の淘汰、優良家畜の作出等に役立ち、家畜の改良にきわめて大きな役割を果たすものでありますので、これが今後の畜産の向こうべき方向に即して公正に運営されることを確保するために規制を加えることとしたのであります。  第三十二条の二の第一項におきまして、家畜登録事業を行なおうとする者は、登録事業の実施に関する規程(「登録規程」という。)を定めて農林大臣の承認を受けなければならないものといたしました。  第二項は、登録規程において定めなければならない事項を掲げてあります。第一は登録する家畜の種類であります。第二は登録の種類及び方法でありますが、これは、登録にどのような段階を設け、いかなる方向で登録するかは改良を能率的に進める上に重要でありますので、これらについて記載せしめることとしたのであります。第三は審査の基準に関する事項で、あります。第一項でも触れて、おりますように、登録は、家畜を一定の基準で審査いたしまして、その判定に基づいて行なうものでありますので、その基準が家畜改良増殖の向こうべき方向に即し、適切なものでなければなりません。第四は登録手数料であります。登録事業は、主として手数料収入によって運営されておりますが、他面、手数料が高過ぎる場合には、家畜飼養者に過重な負担を課することとなりしますので、これが適切な水準に定められる必要があるので、ここに掲げたのであります。第五は家畜登録簿に関する事項であります。家畜登録簿は、家畜登録の締めくくりであり、また基礎であるのみならず、家畜を交配しあるいは導入する際の重要な資料であるので、これは的確に作成され、容易に利用できるものでなければならないと存ずる次第であります。  第三項は、登録規程を変更する場合にも農林大臣の承認を受けなければならない旨を定めております。  第四項は、登録規程の承認及びその変更の承認の基準に関する規定であります。家畜登録事業は、今後の家畜改良増殖の方向に沿い公正に運営円されなければなりませんが、反面登録団体の自主性を尊重する必要がありますので、その登録規程が家畜改良増殖目標に即するものと認められない場合及び家畜登録事業の公正な運営を行なうのに適切でない場合を除き承認することといたしました。  第五項は、家畜登録事業の廃止の場合の届出に関する規定であります。家畜登録事業を廃止しようとする場合、それまでの登録簿、その他の関係資料の散逸を防止する必要があるため、あらかじめ農林大臣にその旨届け出なければならないことといたしました。  次に、窮三十二条の三は、家畜登録事業の公正な運営を確保するための国の援助について規定しております。  第三十二条の四は、業務規程違反の場合の必要措置命令に関する規定であります。  第三十二条の五は、法令違反の場合の家畜登録機関に対する業務の停止命令に関する規定であります。  第二項は、農林大臣が家畜登録機関に対し業務の停止命令を行なう場合、これを公正に行なうための相当な予告期間を置くこととするとともに、処分にかかる者が意見を述べる等の機会を与えるための措置等、聴聞に関する措置を規定したものであります。  第三章の三は、家畜改良増殖審議会に関する規定であります。  家畜改良増殖目標を定め、また家畜の改良増殖に関する重要施策の企画、遂行にあたっては、広く学識経験者の意見を聞くことが適切であると考えまして、この審議会を設けることといたしたのであります。  まず、第三十二条の六から第三十二条の九までにおきまして、その設置、権限、組織及び会長について規定いたしております。  第三十二条の十は、部会の規定でありますが、これは、家畜の種類ごとにその改良増殖技術は分化している面が少なくなく、また改良増殖上の問題点も家畜の種類ごとに異なる面がありますので、部会を設けることができることといたしております。  次に、第三十四条に一項を加えましたが、これは、先に述べました家畜登録事業の公正な運営をはかるため、農林大臣の報告徴収権に関して規定したものであります。  第五章の罰則のうち第三十八条及び第四十条の規定を改めましたが、これは、新たにこの法律に家畜登録事業に関する規定等が加わったことに伴い所要の規定を加えたものであります。  最後に、附則におきましては、第一にこの法律施行日を公布の日から九十日以内で政令で定める日といたしました。  附則第二項から第四項までの規定は、現在家畜登録事業を行なっている者は、この改正法が施行されてから一年以内にその登録に関する規程につき農林大臣の承認を得なければならないものとする等の経過措置を定めたものであります。  附則第五項は、家畜改良増殖審議会の設置に伴う農林省設置法の改正に関する規定であります。  以上が家畜改良増殖法の一部を改正する法律案の概要でございます。     —————————————

野原正勝自由民主党

○野原委員長 昨日に引き続き本案の質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。芳賀貢君。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 ただいま法案の補足説明が行なわれましたが、昨日質疑を保留しておりました中の、特に有畜農家育成基準の案が資料として出されておりますので、順序としてこの育成基準の内容について政府から詳細な説明を願います。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 有畜農家育成基準につきましては家畜改良増殖目標等を勘案して定めるとあるのであります。まず、家畜改良増殖目標を考えるということになりますと、今後における畜産物の需要がどの程度伸びるかということを予想してみる必要があろうかと存じます。現在内部での一応の試算によるといたしまして、十年後の畜産物の需要がかりに三・七倍に伸びるとして、そのほとんど大部分を国内で自給するとすれば、家畜の改良によって産乳能力、産肉能力などの向上を見込みましても、なお全体として現在の二倍の家畜飼養が必要となる。このうち特に乳牛については約三・二倍、豚については約四倍の頭数を必要とするということになるわけであります。従って、今後の農業生産の選択的拡大、農業経営の近代化のために、このような畜産物の需要の動向に即した家畜増殖の見通しを勘案すべきだと考えます。また、産乳あるいは産肉能力について家畜改良の見通しも勘案することといたしております。なおまた、農業経営の状況についてもこれを勘案して育成基準をきめるということになっております。現状を見ますと、たとえば、昭和三十年と昭和三十六年とを比較いたしますと、乳牛におきましては一・六頭が二・一頭に、それから豚につきましては一・五頭が二・五頭に逐次現在大きくなっているのであります。家畜飼養農家につきましても多頭数飼養の経営形態をとるものが漸次増加しており、今後この傾向は強まっていくものと予想されるのでございますが、多頭数飼養農家の割合はいまだ低いのが現状でございます。このような現況及び最近の経営動向に照らしまして、今後の需要動向に即応して各家畜別に畜産経営のあるべき方向を考え合わせなければならぬと思います。さらに農業経営の改善の目標等も勘案してきめなければならぬと思います。  ここにお手元に配布しました有畜農家育成基準の案は、これはいろいろ現在検討しておりまする一試案でございます。現在までの基準といたしましてあるものは、有畜農家創設基準でございます。農業経営における家畜飼養規模基準あるいは畜産経営改善指標及び経営条件等を見計らいまして、有畜農家の育成基準を今後定めていこうとい業生産の選択的拡大等の方向に即して、多頭数飼養に主で引き上げていくために必要と考えられる目標頭数をきめまして、それについても家畜導入について助成するということにいたして、こういう育成基準案を考えておるわけでおります。これらは将来非常に重要な問題でありますので、家畜改良増殖審議会の意見を聞いて定めていこう、こういう趣旨であります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 ただいま、この育成基準のもとになるものは改正案に出ているする、さらにまた、都道府県知事も、当該都道府県の目標を定めて公表することになっておるが、これが基本になるとすれば、この基本である増殖目標あるいはその計画ですね、これには第一次五カ年計画とかあるいは到達目標を十カ年後に置いてあるというふうになっておりますが、その大まかな増殖目標計画について、これは非常に大事な点だと思うので、農林大臣の説明が要ると思うのですが、その前に一応局長から聞いておきます。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 御指摘の通り、家畜改良増殖目標を定めることにつきましては、家畜改良増殖審議会の意見を聞かなければならないということで、ただいまのところ考えておりまするのは、一例を乳牛の場合にとりますと、十年先の目標といたしまして、能力については、現在、一乳期、約三百五日でありますが、一乳期の年平均乳量が約二十五石になっております。これを約二十八石に上げたい。それから、乳脂率でございますが、年平均三・三%でありますが、それを年平均三・五%に上げたいということを目標とする。それから、体型でありますが、若干大型にする。また、乳用牛の飼育地帯の拡大傾向に即しまして、西日本の暖地向きのものについては耐暑性を付与することなども目標になると考えております。  なお、改良増殖目標の中には増殖頭数も目標として示すことになっております。一般に家畜の増殖頭数は、目下農林省で種々検討中でございますので、その結果を待って、家畜改良増殖審議会の意見を聞きまして、それ等も参酌して定めたいと存じておりまするが、現在の私たちの目下の試算を一応仮定といたしますと、現在の約八十万頭を十年後に二百七十万頭にするというような目安が目標になるわけであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 これは所得倍増計画と関係がありますか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 所得倍増と大きい——たとえば農林省におきまする所得倍増計画が実施された場合のその一環となる。関連がある事項でございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 所得倍増計画も、農林水産部門の内容というのは非常に抽象的で、内容が明確にされておらぬが、特に畜産部門については、将来の農業の発展の主力を畜農業、果樹農業に置くということが方向としては規定されておるわけなんです。それで、十カ年計画の中では畜産全体の伸びを初年度の三倍というところに置いてあることは御存じの通りです。それから、特に牛乳の生産については六・七倍の伸びを見ておるわけですね。そうなると、単に畜産全体で三倍とか牛乳関係の牛乳生産においては六・七倍というその程度しか倍増計画の中には出てきておらないわけなんです、しかし、これを具体的に解明するということになれば、その三倍の内容というものはどういうものであるとか、あるいは、牛乳生産の六・七倍というものは、具体的には乳牛の頭数どの程度ふえて、そうして現在の生産量に対して具体的に増加するかという、そういう内容というものは、これはやはり今度の法の内容に当然重大関連があると思う。ですから、その点について十分な説明が願いたいと思います。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 一応各生産物別にあるいは需要供給の見通しを立てまして、ただいま御指摘の通り、畜産が三倍とかいろいろ積み上げ作業の案を各部局で検討中でございまして、もちろんこれは農業基本法におきまする農政審議会の御意見等もきまって参りますれば、また作業のいろいろなデータの持ち寄りで決定されることと思いますが、そういう点等も見計らってきめていかなければならぬ問題だと思っております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 あの倍増計画はだんだん積み上げてああなったのじゃないですか。結局、農業の部門とか畜産の部門は、そういう到達目標を作る基礎になったのは現在の畜産の現況というものが基礎になった、それに見通しをつけて十年後にどうなるということになったと思うのです。だから、畜産局の方から積み上げていったんじゃないですか。何も作業もしないで、ただどこかでばく然とああいう数字が出て、それを下へだんだんおろすという作業をやっているわけてすか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 もちろん生産物別に各局で積み上げて作業はいたしております。公定版といいますか最終案といいますか、それは、そういうことで今後農政審議会等の御意見等によりまして目標がある程度のものが確立されていくということでありまして、ばく然とやっておるわけではございませんで、試算はもちろん積み重ねてやっております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 政府からこういう膨大な資料が配付されておりますが、その中にも現在のこの家畜の飼養頭数が統計として出ておるわけですね。たとえば牛にしても乳用牛あるいは役肉用牛等がそれぞれ出ておりまして、乳牛の場合には現在大体八十八万五千頭、役肉牛が二百三十一万三千頭というようになっておるが、その中で、特に牛乳の生産は現在の六・七倍にするということになると、それを生産するに足る基礎になる乳牛をその時限で一体どれだけにするか、何百万頭にするかということは、当然これは計画として出てこなければならぬと思うわけです。少なくとも五百五十万頭ないし六百万頭ぐらいの乳牛というものは必要になってくると思うのですが、そういう計画というものを一体この改良増殖目標の中で農林大臣が定めてこれを公表する自信があるのかないのか、その点はどうなんですか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 今指数として明らかにされておりますのは、経済審議会の農業近代化小委員会が報告した指数が一応先生の御指摘になった数字でもありますし、私どもが試算していろいろ検討しております一つの指数でありまするが、この増殖目標をきめていく場合に、それでは確定したものがきまらない間はきまらないのかということになりますけれども、増殖目標は、方法として、五年ごとに十カ年間見るということで、いろいろ、各産業、需要あるいは経済等の動向によって情勢によっては五年目に改定されることがある、こういうわけでありまして、増殖目標をきめる指針といいますか、各方面の十分の検討を経た上で、御意見等も伺って一応目標は確定されなければならない、こういうふうに考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それでは、この法案がたとえば成立した場合、成立後どのくらいの期間内に農林大臣が家畜改良増殖目標というものを策定してこれを公表するか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 私ども事務当局といたしましては、なるべく作業を急ぎまして、改良増殖審議会なども開催しまして、各家畜種類別にいろいろ各専明家、学識経験者の御意見等も伺いまして、全体の動向は動向として並行的に検討されるべきものだと思いますが、ここがきまらなければこうだということでなくて、各生産物別に、いろいろ関連はございまするが、ある条件のもとにそういう作業を続けてきまして、なるべく増殖審議会の結論等もいただきまして、決定、公表いたしたいと存じます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 通常国会にこの法案を提案した当時は、目標の計画の出発年次を昭和何年に置こうと考えておったのですか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 一応、三十五年を基礎として、三十六年から四十五年、こういうわけであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そうすると、所得倍増計画と歩調が同じことになるわけですね。そうなると、一年ごとか二年ごとに目標を立てるというわけではないでしょう。三十五年が基準年度ということになると、三十六年を第一年目にして、最初の五カ年計画ではどうする、そういう目標が出てくると思うのですが、現在はまだ目標に対する検討というものは全然行なっていないわけですね。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 ただいまでは、先ほど申し上げました経済審議会の農業近代化小委員会等に協力いたしまして、一応芳賀さんが御指摘されたような頭数なり数字が傾向的に出ておりますが、家畜の増殖改良の審議会の結論時においてどういうふうなことにするか、皆さん方の御意見も伺いまして、一応通常国会の立案当時は間に合わせようということでございましたが、現在もう三十六年も十月でございますので、三十七年以降になると思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 法律が通らなくても、今までただ遊んでおったわけではないでしょう。その間に当局としての作業はやはりまじめにやられておったと思うわけです。ただ、この法律が成立しないから、たとえば審議会の設置もできない。形式的には審議会の議を経て目標をきめるということになっておるが、実質的には目標の計画大綱というものは農林省としてはすでにできていなければならぬと思うのですが、それは全然できていないということですか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 三十五年を基礎としまして、そのため十年後における増殖目標といたしましては、一応事務当局としてはあらゆる面から検討いたしましておおよその目標を試算いたしておりまするが、やはり、家畜改良増殖審議会の議も経まして、十分検討した上で改良目標、増殖目標等もきめていきたいと存じます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 農林大臣にお尋ねしますが、ただいま政府提案の家畜改良増殖法の一部改正の法案の審議中でありますが、これは、単なる既存の法律の改正というよりも、むしろ独立した意味における今後の日本の畜産農業の発展の基礎的なねらいというものも相当包蔵しておるわけであるので、法律の詳細については大臣の答弁は別に要しませんが、基本的な構想についてはこの際河野農林大臣から述べていただきたいと思うわけです。特に、所得倍増計画との関係において、倍増計画の期待しておる今後の畜産農業全体のそれぞれの部門における成長の期待、その中でも一番中心になる乳牛の増殖あるいは牛乳の生産等に対してはどのような基本的な大綱をもって進んでいくか、そういう大まかな点だけできょうはいいと思うのです。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 わが国の酪農が欧米のそれに比べまして生産条件において非常に劣っておるものがありますことは御承知の通りでございます。従って、これらの生産条件の劣っておりますものをいかにして克服して参るかというところに重点を置いて酪農の振興をはかっていかなければならないと私は思うのでございます。現実にわれわれが考えなければならぬ点は何が一番大きいか。私は、酪農の経営の集団化という点に一番大きくウエートを置かなければならぬのじゃなかろうかと思います。今日生産農家が手放しますときの価格と市価との開きがどうしてこんなに大きいか、この取引をいかにして合理化するかといいますれば、まず集荷において異常な経費がかかるのじゃなかろうか。これらは、よろしく集団化することによって、経費が合理化され、またこれを処理する上において経費が非常に合理化されるという点があるだろうと思うのであります。従って、これらに格段の注意を払いまして、これから奨励して参る意味において、重点的な酪農地区を適地に設定して参ることが非常に大きな命題ではなかろうか。さらに、季節的に需要と供給の合わない点をどうして合わすようにして参るか、価格差をどういうふうにして合理化して参るかということも、ひとしく考えていかなければならぬ点だと思うのであります。  その他あげて参ればいろいろあるだろうと思います。しかし、わが畜産全体を通じて一番大きく取り上げて考えたいと思いますことは、欧米のそれが牧草に依存する面が相当に多い。それを、わが国の場合には、牧草に依存する面よりも、いわゆる濃厚飼料に依存する面が多いのでございますから、そこに経営管理の上におきましてこれをいかにするかということによって克服して参る点をはっきりしなければならぬ。つまり、畜産経営の技術の改良向上に待つ点が多いと私は思うのでございます。  これら各般の点については、よろしく政府におきましても、今後畜産農家諸君と相協力いたしまして、当初申し上げましたように、酪農技術の向上、つまり、集乳の増量、さらに集荷の経費の圧縮、さらに季節によるところの需給の合理化、調整というような方面に大きく手を打っていくことが必要じゃなかろうか、こう思うのであります。  その他、他の家畜につきましても、それぞれの特異性がございますから、いろいろ考えていかなければならぬ点も多いことと考えますし、また、国柄からいたしまして、北海道から九州までのそれぞれの地区においてどういう畜産の指導奨励をして参ることがいいかということにつきましては、それぞれ立地を十分勘案いたしまして、それぞれ適切な処置を講じて参る必要があろう、きめのこまかい畜産の奨励、考え方が必要である、こう考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 この法案は前国会で提案されたので、これは周東さんが農林大臣のときの提案にかかっておるわけです。問題は、今大臣が述べられた点は、畜産農業を大きく進めていくためにはやはり基本的な施策としてはまず飼料の資源を確保し開発しなければならぬという点に触れられたわけでありますが、これは実に重大な点であります。ところが、この法律には家畜の改良増殖目標というものを農林大臣が策定して公表することになっておるが、その計画目標の内容については、一番大事な飼料に関する部分がほとんど重要視されていないわけです。飼料を除いた増殖計画というものは、全く架空な、机上の計画であって、実行性に非常に弱い面があるとわれわれは考えているわけですが、この際せっかく畜産農業を大きく発展していくための基本的な計画目標をこの法律によって立てようとする場合には、やはり基本的には飼料に対する計画大綱というものを明らかにして、そうして万全の体系を計画の中で立てるべきであるとわれわれは考えておるのですが、この程度の内容の法律で足りるか足りないかという点を大臣から答弁してもらいたい。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 ごもっともな御主張でございまして、実は、私どもも深くその点に留意をいたしまして、明年度の予算におきましては、御指摘の通り、従来の牧野に対する考え方も強くこれを掘り下げまして、そして、牧野改良の奨励の面におきましても、全部開墾して適切なる牧草を管理して参るということを目標にした牧野奨励ということを打ち出しますと同時に、これに対する予算も相当の予算を要求もいたし、所期の目的を達成して参りたい、こう考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 来年予算を取るということはあたりまえのことですが、せっかくこれから意欲的に畜産農業を進めようとする場合、既存の改良増殖法という法律にわずか手心を加えた程度で十分やれるかどうかという心配が出てくるのです。むしろこの際思い切って、こういうちゃちなやり方はやめて、新たなる構想の上に立ってこれからの畜産農業の大きな発展の基礎としての法制化、制度化というものが必要じゃないか、もし大臣がそれに同感であるならば、いさぎよくこれは撤回して——無用の審議は必要ない。ですから、来国会に飼料の構想を含めたそういうものをお出しになった方がいいじゃないか、そういうように考えるのです。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 飼料の点につきましては、すでにわが農政の上に大きく取り上げられておりますことは御承知の通りであります。ただ、飼料問題は非常に強く深く取り上げられておるということでございまして、それはもう畜産の増殖計画のうちで飼料が落ちておることはその通りでございます。しかし、落ちておるのじゃない。飼料問題については、すでに大きく取り上げられ、各種の施策をいたしておることでございますので、あえてこの法律の中にはあまり強く加えてないということに御了承いただきたいのであります。これはもう御承知の通り、飼料問題はしばしば御注意も承っておりますし、しばしば国会におきましても熱心に御主張になっておることでありますから、それは政府におきましても十分意を用いて、万遺漏なくとは申し上げかねますけれども、最善を尽くしてやっておるのでございますから、今後ともその御要望にこたえてわれわれも善処して参る。その一端として明年度予算の話をいたしたわけでありますから、さよう御承知をいただきたいと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 飼料問題については、関係の農民、生産者あるいは心ある国民は非常に重要視しておるが、残念ながら、一番肝心な政府がこれに対する関心が薄い、政策がない、何らの施策も持っていないということは、これは河野さん一番御存じのはずなんです。ですから、無為無策で、えさの問題は大事だ大事だと言って、無計画に、予算だけ取ればいいじゃないかということでは済まぬと思うのです。たとえば長期計画を立てる場合においても、自給飼料とかあるいは購入飼料等についても、家畜の増殖に伴ってどういうような長期計画を立てるかということの制度的な基本というものが全然ないわけですね。ですから、せっかく家畜の長期的な増殖計画を法律を基礎にして立てようとするならば、飼料もこれを重要に考えて取り入れた総合的な長期計画をこの機会に立てる制度的な基礎を作る必要があるじゃないかというふうにわれわれは考えておるわけで、その点を尋ねておるわけです。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 私、すべて御承知のことと思いますから、あまり深く申し上げませんでしたが、たとえば飼料需給安定法その他、飼料については、これまで当委員会において熱心に御主張になり、しかも関係の法律も制定されており、そうして今日えさは肥料以上に重要に取り上げられておるというような関係にございますので、われわれはこの問題を法案の中にはあまり強く取り上げていない、こういうことでございます。今日のいわゆる濃厚飼料と申しますか、食管法の中におきましてもわれわれは相当にこれを考慮して、そうして政府としてもこれに対する各般の施策を講じております。また、しいて一番手薄と申しますれば、牧草であり、牧野であると私は思います。これは、何さまわが国が欧米のそれに比べて土地が狭いというようなことから、自給飼料の面において非常に困難なのでございますけれども、これとても、単作地帯等に今後大いにこれを奨励して参らなければいかぬというようなことも考えつつ、せっかく施策を練っておる次第でございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 今大臣は飼料需給安定法に触れられたが、これは、法律自身が生まれるときから非常に変形な法律であって、最初からそれほど大きな役割を果たしていないが、特に時代が変わった現在では、現行の飼料需給安定法というものは、あってもなくてもいいじゃないかという程度のものになっておるわけです。ただ輸入飼料をあの法律で扱って、それは主としてえさ業者がそれを分け取りするというようなことであって、ほんとうの意味の畜産と密着したえさの制度ということにはなっていないわけです。しかも、施策は、農林省の中でも畜産局が中心になって立てるが、その輸入飼料の取り扱いは食糧庁がやっておるというようなことになっておって、機構的にも、農林省の中で一番何が弱いかというと、これは畜産局が弱いということになっておるわけです。今度は畜産に対して熱意のある河野さんが農林大臣に就任されたので、今までよりは飼料行政を直接扱う畜産局の陣容の強化等についても相当期待したようなことをやられると思いますが、そのようなことで、行政面においても制度面においても、えさの問題というものはほんとうに無策の状態に置かれておるわけです。ですから、この際国会においてもわれわれの方からは十分適切な意見は出しておるが、これが実行に移されていないわけです。従って、この際畜産物価格の安定法も提案されましたし、現在このような法律の審議が行なわれておるときですから、やはり前向きの態勢で新しい農林大臣の熱意というものを表明してもらって、審議を経て、来年度は予算獲得とあわせて積極的な政策の実行というものがぜひ必要だと思う。きょうは枝葉末節の議論をする考えはないが、権威者であっても、やはり時代に合わない考えを持っているとだいぶずれていく場合もあるからして、そういう点についてお尋ねしておるのです。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 御指摘の点、十分注意をいたしまして、畜産の増殖改良は飼料の改良増殖であるということに意を用いまして、極力御期待に沿うように善処いたしたいと思いますから、さよう御了承願います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 その点は了承いたしましたが、もう一点、家畜の今後の増殖については、大臣はただいま共同化方式等を中心にして多数飼育の方式をとって伸ばしていきたいということで、これは当然なことでありますが、先ほど申しましたように、倍増計画によっても、牛乳については大体現在の六・七倍ですから、七倍程度の伸長を期待しておるわけで、ことしは牛乳生産が一千二百万石くらいと思いますが、そうなると、十年後には七倍近くということになると八千五百万石から九千万石くらいの牛乳が生産されるということになるわけであって、これを生産する乳牛は現在約八十八万五千頭程度でありますが、それを牛乳の生産と同じ伸び率で頭数をふやすとすれば、十年後には約六百万頭の乳牛が現存するという時代が来るわけですね。そうなると、結局どういうふうにしてこれを伸ばすかということも問題になってくるのですが、従来のような有畜農家の創設事業を中心にした無畜農家を解消するという時代が過ぎて、今度は農業の中で畜産を主体にしたそういう経営の育成をするということを基礎にしておるわけですが、相当増殖についても国が積極的な指導あるいは助成、特に金融面の助成であるとか施設面に対する助成等についても進めていかなければならぬと思うわけです。こういう点についてはどのような構想を持っておるか。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 別の機会に御説明申し上げました通りに、農村の構造改革をやって参るつもりであります。その際に、畜産増殖地帯というようなものもそれぞれ設定いたしまして、現在畜産全体で地区として千五百、乳牛といたしまして八百カ町村程度を一応目途といたしまして構造改善をいたして参りたいという設計を一応胸算用をいたしております。こういたしました場合に、それぞれの町村において個人が乳牛等をふやします場合には、それぞれ低利の貸付金をする、それから共同の設備等については高率の補助をするというようなことにして増殖をはかって参りたいと考えておるわけでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 ただいまの点について、金融措置等については、従来は主として有畜農家創設資金を経て家畜導入を行なっており、あるいはまた国有貸付牛制度を設けて国が家畜の個体を貸し付けて、そうして子牛が出た場合にはそれを返還する、こういう道が講ぜられておったが、今度は有畜農家創設資金というものがなくなるわけですね。それはすべて農業近代化資金の方に切りかえるということになっておるのですが、この近代化という名前は、聞いてみると非常にいいが、内容が貧弱きわまるものであって、前国会においてはこの法案も審議未了になったわけです。前国会は河野さんが大臣時代ではないから周知しないことだが、大臣になった以上は、——近代化資金法にしてもあのままのものを今度もまた出したわけですが、それでは畜産部面に貢献するような資金というものはほとんどないのですよ。ないということになれば、この際、これも現在審議中でありますが、それでは近代化資金法をどうするかということも問題になっておるわけです。ですから、今までの審議未了で再提案された法律は全部あなたの言う構想とはまるでかけ離れておるわけだ。この際もう一度農林省が出しておる法律案の内容を大臣として大事な点だけを一通り検討して、これは変だ、貧弱過ぎるというものはやはり形を改めて国会に出す必要があると思うのですが、そういうお考えはないのですか。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 近代化資金、これは、御承知の通り、従来のそういう資金をまとめて近代化資金にして、そして融通性を持っていこうということであると思うのであります。私が今申しましたのは、それとは別途、構造改善の資金を出していこう、こういうことでございます。そこで、今御指摘の通り、もう一ぺん再検討したらどうだ、こういうお話でございますけれども、農村の現状から見まして、私は、やることはどんどんやっておいて、そして直せるときには直していって、何でもきめをこまかくいくことがいいのじゃないか、そうすることが、農村の実情に合うのではなかろうかという気持がいたすのでございます。まことに勝手なことを申し上げて恐縮でございますが、そういう意味で一つ御協力をいただきたい。できるだけのことは私も努力いたしますが、それじゃお前がなったんだから何もかもやり変えたらいいじゃないかといったところで、そう何もかも一ぺんにやれるものじゃありませんから、できるところからできるだけ皆さんの御協力をいただいて努力して参りますから、一つそこらのところでよろしく御協力願いたい、こうお願いを申し上げる次第であります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 われわれもあなたを万能選手だとは考えていないのですよ。河野内閣でもできればこれは思う通りのことがやれると思うが、しかし、就任されるとき、基本法についても、あの程度の基本法では足りない、やはりそれにプラス・アルファをつけなければならぬということで、それはお説の通りです。法律についても、プラス・アルファという要素は、前の通りで出しておるから全然そこから出てこないわけですから、これは大臣の意思がそこにあるとすれば、十分われわれは審議を尽くして、むしろこれは国会において足らざるところを直すという形で法案の審議を進めた方が効果的であるというふうに実は考えておる。近代化法についても、農協を中心とした系統の資金を使わして、それに対してわずか一分だけの利子補給、毎月一分ならまだ話はわかるが、一年間にわずかに一分の利子補給をして、これで近代化資金でありますなんということは、これは農村では通用しない。だから、われわれとしても、そういう法案を審議するということについてはちょっとばかばかしくなる。むしろ、できれば、政府がこの際近代化資金等についてはもう少し国の負担をふやすのであればそういう点を改めるとか、いや国会でやってもらいたいということであれば、われわれは委員会で審議してその点を改めるとか、能率的な国会の審議をぜひ進めていきたいと考えておるので、その点に対して腹蔵のない意見を聞かしてもらいたい。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 その点はごもっともの御意見でございますが、これも別の機会に申し上げました通りに、農村の金融全体から割り出して考えませんと、なかなか困難な点があると私は思うのでございます。しかも、現在わが国の金融界の実情等から徴しましても、金利は上向いおります。そのときに、近代化資金、——これはもちろん農業資金でございますから低利でなければいかぬことは当然でございます。私は今構造改善に要する資金は五分でいこうという考えでございますが、一方が五分でありながら近代化が七分五厘はおかしいじゃないかということになるわけでございます。しかし、構造改善の方は、基本的にこれはいいんだから一つ各農家の構造を立て直す意味において五分でいきたい、こういうことでせっかく今大蔵省と折衝をいたしておる段階でございます。しからば農業関係の金利を全部五分にしたらどうだ、そういうことになればけっこうでございますが、他の産業とのつり合い等もときには出て参ります。全然つり合いも考えちゃいかぬという御意見もむろんありますけれども、そうばかりも参りかねる点もあります。私は、今、金利の安いことも必要でございますが、金の量の多いことも必要であるというような意味合いから考えまして、適当にこれらを勘案いたしまして、まず金額をふやそうという方に重点を置いて、そうして適当な時期が来たらばこれをまた下げる方に努力していきたい。あわせて、農村の金融関係全体についてどういうふうにしていったらよかろうかということも、今日すでに各方面に御意見が出ておりますように、片道通行の農村金融というようなことについてはすでに御議論がありますことは、たびたび私は承っております。というようなことでありますから、これらも、全体の農村の金融をどうするかということも勘案いたしまして、早晩私は皆さん方の御意見も十分拝聴し勘案して結論を出さなければならぬ段階が来ておるとは考えますけれども、今さしあたっては、今申し上げましたような点で、金利よりもむしろ量をふやすという方でいきたいというふうに考えておる次第でございますから、一つ御了承をいただいて御協力をちょうだいいたしたいと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 金融問題はいずれ別の機会があると思いますが、特にこの際、畜産関係の団体の問題について、大臣の新しい構想があるようにも新聞等に出ておるわけです。かつて河野さんが農林大臣当時、畜産会なる団体を作られたこともあるが、今度はまたそれと違って何か酪農会議というような会議機構を作りたいというようなことが放送をされておるわけですが、この点についてはまた何か新構想というものがあるのですか。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 別に私は新構想は持っておりません。明確に申し上げます。ところが、最近特に各方面からお話の出ておりますることは、現在の農業団体を縦割りに一ぺん考え直したらどうだという御意見が相当有力に出ております。私自身まだこれについて意見は述べておりません。つまり、畜産とか果樹、園芸とかいうような団体を、しいて申せば現在の農協の幹部の方面からそういう御意見を私は承っておりますが、考え直したらどうだという御意見を承っておるのでございますが、どういうふうにこれが扱われていくべきものか、扱っていくべきものかということをせっかく今思案中でございますが、そういう意見のありますことは聞いております。畜産につきましても、その大きな一部門として、すでに農協方面からもそういう意見が私のところには進達されております。これら等もあわせ考えまして、どういう結論にいったらよかろうかということで、民間各方面に御意見を承っておるのが現在の段階でございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 次に、この法律に関係がありますが、優良な種畜、これの登録機関というものが今まであったわけですが、今度は、この法律改正によって、登録機関、登録団体等についても、これを根本的に編成し直す、あるいは政府が認定するというような構想も進められておるが、これは事務官でわかることでありますが、農林大臣としてはこの登録団体等についてはどういう考えでこれを進めるかという、その考えだけでいいわけですが、伺いたい。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 現在のわが国の家畜の登録制度は、実は自分で申して恐縮でございますが、おおむね私が手がけたものでございます。昭和十年から十四、五年ころの間に、豚の登録、輓馬の登録、——乳牛の登録はすでにございましたが、これらを整備拡充いたしたのは、私、畜産組合長時代にやりました。それが戦争によって一応分派いたしました。現に必要によってそれらが分派、分裂して、中央にそれぞれの機関があるのが現状でございます。これが下部に参りましては、それぞれ県段階におきましてはおそらく私は一本になっておると思います。そういうことで、系統的にもしくは機関的に組織的にどういうふうにか直すべきか、現状がいいかということは、非常に問題があると思いますが、私は、今まで別にこれに関心を持って深く研究したことがございませんので、私自身ただいまは白紙でございます。この法律の中にありますことも、実は、将来どういうふうにして参るかというようなことについては、今申し上げる通り、私はこれらのことについては白紙で考えておりますので、なお今後民間各方面の御意見を承って、しかるべきいい方向、処置をとったがいいじゃないか、こう思うのが現在の気持でございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 次に、人工授精の問題ですが、最近は雄の種馬の数が減って、人工授精がふえているわけですけれども、この人工授精をやる場合、現地には人工授精師が必要なことになってきておるわけです。これは、地方によっては、たとえば畜産関係の事業をやっておる農協であるとかあるいは共済組合であるとかいろいろな機関がこの人工授精師をそこに設置して、そうして事業を進めておるわけですが、今度の法律改正の場合には、特にこの人工授精関係の問題を法律の中に相当強く出してきておるわけです。そうなりますと、この増殖というか、人工授精の仕事を一番推進しておる現地の授精師のそういう設置とか、それに対する国の助成の問題等についても、この際やはり具体的にその方向を明らかにしておく必要があると思いますが、それらの点についても現在の政府の構想の中には積極的なものがないわけでございますが、この人工授精師の設置の件については、今後どういうふうにこれを積極化していくか、大臣のお考えを聞きたいと思うのです。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 実は、人工授精のお話が出ましたが、私はこれは相当専門家なんです。それで、わが国に人工授精を始めたのは、実は私が始めたのです。当時、農林省が非常に人工授精をきらいまして、なかなか人工授精に踏み切らなかった。それを、牛の人工授精を私は実は団体長として奨励をいたしました。それが成績が割合によろしいので、これが取り上げられるように戦前なったのが初めでございます。ところが、馬につきましては、ただいまお話がございますが、わが国では馬の人工授精はやっておりません。なぜやっていないかと申しますと、これは、競馬馬は人工授精は登録上疑義があるということで、欧米各国ともいたしませんので、それにならってわが国においても人工授精の馬は競馬馬として適当でないということにいたしております。しかし、乳牛等については、私は極力これは奨励すべえきものと考えます。従って、ただいま御指摘の点につきましては、十分注意をいたしまして、畜産増殖の意味において、私は、人工授精はどんどん奨励していくべきものだと考えます。ただし、人工授精をやるために非常に大きな設備が要るとか機関が要るとかいうようなことではないと私は考えます。しかも、これらの精液の処理等も非常に進んでおりますから、それほど大したことなしに、ただ間違わぬように的確にこれを奨励して参るということで足りるんじゃないかと思いますが、なお今後の研究等によっていろいろ変遷もございましょうが、この点については十分注意して指導して参りたい、こう思う次第であります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 馬の場合、競馬馬の場合には人工授精の競馬馬はどうも競走力が鈍るというようなことも、これは迷信かもしれませんが、一応われわれは聞いておる。しかし、一般の農耕馬等については、地方はほとんど人工授精をやっておるわけです。ですから、河野さんが人工授精の元祖であるとすれば、その程度のことはやはり頭に入れておかぬと、競馬馬だけにこり固まってもいけないと思う。雌の種馬もあなたが元祖だということはわれわれ承知しておりますが、問題は、その設備よりも、人工授精師が優秀な技術者として各地に受け入れできるというようなやはり国の助長政策というものがこの際速急に必要でないか、そういうふうに考えておるので、その点を指摘したわけです。  あと足鹿委員からも質問がありますが、最後に、先ほど私が指摘した通り、農林省の機構の中で一番弱いのは何かというと、これは畜産局ということに歴史的になっておるわけです。ですから、有能なる局長だけを据えても、これは十分な仕事はできないと思う。特に最近は食糧庁だけに人材を集めておるというわけでもないが、とにかくあなたが食管法だけでやっておるものだから、自然にそこに中心が移っておることも事実ですが、われわれの期待は、今後の日本の農業は畜産農業を主体として発展の期待が持てるということになれば、その一番長期的に大事な部門の強化ということがむしろ食管法の改正以上に大事であるというふうに考えておるのです。これは老婆心ながら申し上げるわけですが、ぜひこの機構の強化等については大臣の判断によって十分今後改善された方がいいんじゃないかと率直に申し上げるわけですが、いかがですか。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 誤解が起こるといけませんから一言申し添えておきますが、競馬馬につきましても、人工授精して能力は落ちません。これは、私は人工授精の競馬馬を買いまして走らせましたが、非常に優秀な馬でありまして、能力が落ちるというのは誤解であります。そういううわさもありますけれども、そのためではないのでございまして、血統の正確を期することが困難であるという意味で、競走馬については人工授精は適当でないということが行政の上に取りしげられておるということでございます。  また、その他の一般農耕馬のお話が出ましたが、これは私もまだ研究が足りませんが、馬に関する限り、精液の運搬が困難である、時間的に長く保存にたえない、——牛の方は全然違いますけれども、そういう関係で、馬の場合に人工授精が割合少のうございます。が、しかし、御指摘の人工授精師というのは、それほどやかましいことかどうかまだ研究が足りませんので、よく諸般の点を注意いたしまして指導して参りたいと思います。  なおまた、最後に、畜産局を強化すべしということにつきましては、私も同様の考えを持っておりますから、今後十分注意いたしまして御期待に沿うように善処いたしたいと思います。

野原正勝自由民主党

○野原委員長 足鹿覺君。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 農林大臣に二、三お尋ねを申し上げたいのですが、畜産政策全般につきましては本日のところは差し控えまして、ただいま審議中の家畜改良増殖法に関連いたしまして主として飼いたいのであります。  大臣も御存じのように、最近の消費の状況、また一方農業情勢の推移、また今後の発展の見通し等を見ました場合において、畜産の占める地位というものは非常に大きくなっておると思います。が、その大きさにもまた内容を検討してみますといろいろな面が出てくると思うのであります。たとえば、農業情勢の面から見た場合に、最近急速な農業機械化が進みまして、大型、中型、小型の動力農具が著しく農村に普及導入されて、今後はますます拡大される傾向にある。こういう情勢の中にあって、畜産には、従来、日本産の和牛という一点から考えてみた場合に、役牛中心的な奨励政策というものがかつてはとられてきたと思う。それは、宗教上の関係宗教上の影響その他いろいろな事情もありまして、肉食をきらった時代が過去において相当続き、また、この傾向は必ずしも払拭されていないというようないきさつから、従来は、肉牛というものに対する関心というよりも、役牛としての和牛畜産、こういうふうに考えられておったと思うのであります。そういう実情から見た場合におきまして、それが漸次役肉兼用種という形に進んでき、一方においては乳牛の役牛的利用、活用という面等、一方におきまして農業機械の普及等を推進力としまして、農村の実情というものは役牛に依存する度合は著しく減退しつつあるのが今日の姿ではないかと思うのであります。そういう実情から考えた場合におきまして、ただいま審議をしております家畜の改良増殖と一口に申しましても、その内容を、現在の時点、また将来の見通しの立場に立ってこれを検討して、実情に即した、そうして時代の趨勢にマッチした対策が必要ではないかと思うのであります。が、しかし、今回提案されました家畜改良増殖法の一部改正は、それらの点についてこれに対する対策が十分盛られておらないうらみがあるのではないかというふうに私は理解しておるのであります。ただいまも登録のお話がございましたが、和牛産地等におきましては、やはり肉牛を主として見た登録というふうな実情というものはないのではないか、依然として従来の方針である役牛中心あるいは役肉兼用種としての優良種牛あるいはその典型的な姿の牛を登録している。また、その登録を受けること自体によってその価値が高まるということに憂き身をやつす農村の一部の人たちも現存しておる。これに対する重要な反省ということが、私ば家畜増殖の法の根底に横たわる問題として解決していかなければならない大きな問題ではないかと思うわけであります。特に最近の情勢から見ましてそのことを通感いたしておるわけでありますが、これに対する農林大臣の御所見をこの際明らかにしていただきたいと思うのであります。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 まことにごもっともな御意見でありまして、私も全然同感でございます。われわれは時代の要求に基づいて適切な種類を奨励し増産して参るということが農家経営を改善向上する上において絶対必要である。御指摘の通りに、現在の和牛が役肉兼用、改良和種ということの期待においてやっておりますこともその通りだと考えます。三十年になりますか、昭和の初めに、昭和十二、三年ごろと記憶いたします。現在の和牛、改良和種を固定いたしまして、そしてこれを登録の基礎にいたしましたことは、当時私は畜産団体の会長として関係いたしておりましたので、それ以来今日までその歴史が続いてきておるということは、御指摘の通りであります。これは、私は、すみやかにこれらの品種を改良改善いたしまして要請にこたえる、これをおもに増殖の基盤にするということは、足鹿委員の御指摘の通り、十分深く行政の上に注意を払い、深く検討を加えてやって参らなければならぬ。私といたしましても、深くその点については関心を持ち、遅滞なく御期待に沿うようにやって参りたい所存でござまいす。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 現在の登録事業の具体的な内容、その手続、そういったことは専門的なことでありますから、私は別に触れない。それから、別に大した論議をする必要はないと思うのですが、大臣の今の御所見で、十分今後対策を講ずるということでありますが、むしろあなた方の御主張の構造改善の一環としての畜産の地位というものを重視して施策を進めていくという見地からも、今後の問題ではなくして、現在の問題として、これは速急に対策を講ずべきではないか。たとえば、多頭羽飼育ということが一つの問題になり、これは何人もこの方針に反対する者はございません。私どもも賛成でありますが、この多頭羽飼育の場合におきましても、従来の方針というものが、たとえば政府の頭が変わり私どもの頭が変わっても、農家に浸透するには相当の時間がかかります。また、それが、考え方が浸透しても、これを実際に切ひかえていくということになりますと、先刻もいろいろ近代化資金の点で御質疑がありましたように、資金の関係とかいろいろ農業経営の実情から、そう簡単に参るものではありません。従って、これは、それに必要な国の助長、育成ということが一面に伴わない限り、なかなか早急には切りかえは困難ではないかと思うのであります。そういう点から考えてみますと、従来は、すぐれた毛並みなりタイプなり、そうして肉用種としても適当であり、また役牛としての牽引力なりあるいは役牛としての耐久力なり、そういうことに対する面から大体登録事業というものは行なわれておるのではないかと思うのです。従って、たくさん牛を飼うよりも、その登録の条件に合致したような、そうして品評会その他において定められた審査に適合するようなものを農家としては育成することが有利でありかつ畜産家としての誇りである。だから、多くを飼うよりも優秀なものを少数飼っていく、こういう気持が、これはもう農家の頭の中を貫く信念のようになっておると思う。そういう一つの現実にぶつかった場合に、新しく多頭羽飼育という基本方針が展開され、それが実践されようとしておるわけでありますが、これは必ずしも一致しないと思う。現実においてすでに矛盾を露呈しておると考えられます。そういう点から、この際、家畜改良増殖法の一部改正を企図された以上は、そういった切実な国の施策として、また農家をしてよらしめる妥当な飼育の基本方針に即応した登録事業等についての必要な施策が当然講ぜられなければならぬ。  ところが、日本におけるところの肉用牛あるいは肉畜というようなものの現状について考えてみますと、従来の方針からあまり前進しておらない。肉牛あるいは肉豚その他の肉畜、そういうものに対する育成普及、それを中心とした新しい登録体系の整備充実という点については、これはまことに残念ながら欠くるものがあるように私は痛感しておるのであります。たとえばべーコン用の専用の豚がすでに海外においては考えられ、それはもうすでに実用化しております。先般私見てきたのでありますが、鼻のそらない、そして胴のうんと長い、従来のわれわれが考えておった豚というものの姿とはおよそかけ離れた異形のものだともいうようなものが、すでに農家に目的によってそれぞれ必要によって飼われ、家畜の体型等も変わっておる。先日聞いてみますと、わが国にもそれらのものが見本的に若干輸入されたということも一聞きまして、注意をしておられるということは私もよくわかるわけでありますが、すでに海外においてはそれが加工専用の豚ということで農家に飼育され、成果をあげておる段階だ。わが国においてはまだ役肉兼用の思想があるが、これを清算して、むしろ農業機械化が進むにつれて役畜としての和牛の存在価値というものよりも肉の原料としての和牛、こういうようになりまた役牛なり、肉牛の廃用になったものは加工用の原料としてこれを主として使っていくというふうに立て分けがおそらく業界の方においても行なわれておるし、今後も行なわれるでありましょう。将来わが国の畜産が海外の畜産と競争していくという場合において最も注目すべき点は、日本のすぐれた和牛の肉、このものであるならば、輸出競争の面から言っても、その品質すべての点について決して劣らぬきわめて優秀なものであるということは何人も認めておる点でありまして、少くとも、この段階にあっては、直ちに家畜改良増殖の基本をまず直観して、それに対する基本的な対策、措置を講ずべきではないか。そのためには、畜産試験場なりあるいはすべての畜産技術を投入し、これをすみやかにその体系に従って農家に進めていくという具体策を伴わないで、ただ単に、われわれがいただいた有畜農家の育成基準案であるとか、あるいは不足な飼料対策をどう自給化していくかというような点について必ずしも適宜の措置を伴わないこのような基準案が、はたして何ほど農家の畜産奨励の上に役立つか。これは政策の基準としては私どもはよく理解いたしますが、少くとも農家にこの基準を実践をしていくその中にあって、今私が述べたような具体的なものが裏づけられ、伴ってこそ、初めて農家も納得をし、その方がほんとうに有利であり、自分たちにはそれがいいという判断がつくのではないか。いたずらにここに基準を作って示してみましても、いろいろな農家の事情、特に金融上の問題、また、生産されたものの価格上の不安、飼料等に対する不安、いろいろなものから、これは言うべくしてなかなか実行不可能な点もあるやに思うのであります。そういう点から見まして、今度の改良増殖法の一部改正はほんとうの根幹に手が伸びておらぬうらみがあるように思うのであります。このこと自体の内容につきましては、他の委員からもすでに論議されたと思いますので、私は重複は避けますが、肝心な点が欠けておるように私は思います。この点について事務当局はすでにこれを前の国会から引き続き検討されたことでもありましょうし、これはこれとして、通常国会とか次の機会に、今述べたようなことも一例として、新しい畜産を振興し、これを奨励していく具体的な中身のある施策を法律的に盛り上げて、そして御提案になる御意思はないのでありましょうか。この点を特に農林大臣から明確にしていただきたいと思います。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 ただいまだんだん御指摘の点、一々ごもっともでございます。ただ、私、考えますのに、何分わが国の農業から役肉一体ということで、いわゆる有畜農業として役肉に今日まで重点が置かれてきました。従って、役肉の場合には数の多いことを欲しません。従って、一戸一頭もしくは多くても二頭ということになって今日まで参りました。そういう意味において、役肉種として今日の改良和種が奨励され登録され、品種の改良をいたしておるのが現状であると私は考えます。今御指摘のように順次肉牛に重点を置いておるかもしれませんが、私の知る限りにおきましては、従来の改良和種をそのまま登録し改良対象になっておると思うのであります。しかし、これは御指摘の豚等において順次肉に対する依存度が非常に強くなりました。農役の場合においては、これは機械化されまして順次肉に対するウエートが重くなって参りました。従って、改良の方向も、急激とは申しません、順次そういう方向に行くべきものと考えます。従って、畜産試験場を中心といたしまして、わが国のそれぞれの専門家の間にそういう方向に改良されるものと期待いたします。また、登録その他におきましても、改良指導の場合においても、そういう方向に行くべきものと考えます。私といたしましては、今後それらの点に十分注意いたしまして、牛といわず豚といわず、その他畜産に対するわが国内の需要度が増しておりますその需要の方向にこたえつつ供給を増大して参るということにいたして参りたいと考えます。従って、それならば次の機会にさらに直して法案を出したらどうだということでありますが、私は、基本的に、出す必要があればむろん出すにやぶさかではございませんが、この法律がございますれば、行政の面において十分それらの点を注意いたしまして、また遅滞なく行政の面においてこれを指導して参りたいということに考えておりますから、せっかく一つ御協力を賜わらんことをお願いする次第であります。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 これは大臣でなくてもけっこうでありますが、今の大臣の答弁から、いろいろ種畜場あるいは畜産試験場等において研究しておるということでありますが、役肉兼用の和種の改良を進めることによってその中から肉専用の和種というものを考えておられるのか、あるいはその種を海外に求めて新しい日本の風土に適した肉牛の育成という方向を目ざそうとしておられるのか。また、現在種畜場その他にあっては、それが具体的にこういうものがある、あるいはこれをこういうふうにするんだという実例がありますならば、この際一つ明らかにしていただきたいと思います。  それから、もう一つは、私どもが農村を歩いてみましても、昔の田園風景とは著しく変わってきた。牛で耕耘をし、牛でしろかきをし、田ごしらえをする、あるいはこれからの麦まきの準備をするというような姿はだんだん少なくなって、かわって農業機械の発動機の音が耳をつく、こういう姿が漸次大きく映ってくるように推移してきておりますが、政府の手元において、あるいは畜産団体の手元等において、過去の役牛の統計、現在の純粋な役牛の統計というようなこの推移を示すような資料を政府としてはお持ちでありますかどうか。あればいただきたいし、なければ、そういう実態にも手を触れて資料等を整備し、その上に立って今後の施策を進めるべきでないかと思いますが、以上二つの点について、できれば大臣でもいいですが、事務的な問題でもありますので、事務当局でもけっこうです。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 御承知の通り、中国を中心にして改良されました改良和種は役肉用でありますけれども、肉牛としても私は世界的に優良な固定した品種であると考えます。従いまして、今お話しのように、これを直ちに肉牛専門のものにする、どういうふうに直すということについては、私、最近の奨励方式等は寡聞にして聞いておりません。しかし、先ほどお答えいたしましたのは、足鹿さんの御意見まことに適切な御意見でございますから、そういった意味を今後強く試験場等に移しまして御期待に沿うようにしていく方がよかろう、やっておるならばもっと強くやっていく必要があるだろうということにいたしたいと考えて私はお答え申し上げたのであります。しかし、おそらくは、私の聞くところによりますると、肉として優秀なものをとりまするためには、欧米にありますようにただ単に放牧して、そうして一定の年限が来たならばこれを屠殺してこれを肉用にするということでは、現在の日本にありますような優秀な肉はできませんので、ある程度これを労役いたしまして、そしてこれを肥育することによって今一番消費されますような優秀な肉が得られるということを申しております。従って、そういう特殊な優良な肉を必要としない、肉さえたくさんあればいいのだという種類も当然必要のことも考えます。従って、時代の変遷とともに需要が変わって参たわけでございますから、需要にこたえるべく肉の牛をどうするかということについては新しく研究、検討されるべきものと私は考えます。これらにつきましては、お話にもございましたが、何分畜産に関する試験が今日従前のように強力に推進されておりません。これは私ははなはだ遺憾に考えますので、ただいま参議院の方で農林省設置法の一部を改正する法案を御審議になっております。これが通過次第、畜産に関する研究部門を統合整備いたしまして強力にやって参りたい、こう考えておる次第でございます。  他の統計等につきましては、いずれよく調査をいたしまして御報告申し上げます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 先ほどの資料があればいただきたいし、なければ、私の申し上げることは不必要なことではないと思うのでありまして、重要な点であろうと思いますので、できる限り御調製の上御提示を願いたいと思います。  最後に、これは実情から一つの杞憂とでも申しますか御注意を申し上げたいと思いますが、一般的は実情については先ほど申し上げた通りでありますが、実際は、私ども中国の和牛の名産地と言われるところにおりましてじかに感ずることは、京阪神を中心といたしまして大きな向こうの肉を取り扱う商社あるいは関連の企業というようなものが、いわゆる純然たる肉牛として子牛を貸している。そしてこれを一定期間飼育させて買い取る。一種の契約的な形が現在の水産資本の進出以前から行なわれてきております。それは、やはり、その企業に必要な、企業が求めるものを自分の方でいろいろと勘案しましてそうしてそれに合致したものを選んで買って貸す、農家は要するに飼育費用年間五、六千円程度のわずかなものでありますが、それでも無畜農家としては一つの大きな収入源になるわけでありますから、喜んでやっておる、こういう実情もあるわけであります。また、先年黒豚の飼育がハム業者から系統農協等にも呼びかけて行なわれました。ところが、いつの間にかこれは立ち消えになりました。高い種豚を買い、そしてそれを飼育したが、黒豚に対するところの非常な将来性というようなものはいつの間にか消えてしまって、そうして現在はまた元のヨークシャー系のものに変えておるというふうなことで、政府が一つの畜産振興をうたわれる限りは、この新しい情勢に即応した一つの指導方針と申しますか、それをすみやかに樹立し、そしてむしろ企業方面に政府のこの基本的な方針に協力せしめていくような強い信念と具体的な施策を伴わなければ、その被害というと大げさでありますが、迷惑いたします者は実際の畜産農家であり、飼育係が迷惑を受けておるのが、少なくとも従来からの実情ではないか。これは私の狭い範囲の体験を申し上げるわけでありますから、全国的にそれが適用するかどうかは別としまして、少なくとも、そういう大きな問題が過去において起き、また最近においてもますます強くなろうとしておるのが現状であります。従って、行政措置でやり得るのだ、こういう大臣のお考えのようでありますが、少なくとも、私の理解するところでは、これは登録事業というものとの関係は非常に密接不可分ではないかと思うのです。一つの新しい体系を創造して、それを普及していく。その登録されたものに適合したものは有利な価格で取引もきまるし、また安定した価格で取引されるということになろうかと思うのであります。従って、この登録の事務手続の以前の問題が解決されないと、この問題は一挙には片づかぬと思いますが、そういうことになりますと、必ずしも行政措置のみに依存するということも困難な場合も出るのではないかと思うであります。少なくとも、現在の少数飼育から多頭羽飼育、しかも関連産業との関係において原料肉の生産という方向へ趨勢として変わってきておるわけでありますから、これに対応する施策というものは、ただ単なる行政措置のみでは足らない面も、これは一般的に見てあるのではないかと思うわけであります。私もそういう点はよくわかりませんが、少なくとも、斯界の権威者とか、いろいろな方面の意向をただされて、そしてすみやかに必要ならば立法措置を講じ、それに必要な相当の予算の裏づけ等を持って、来年度の農政対策の一環としての施策を講ぜられる責任が私はあると思う。ただいまも芳賀委員から飼料問題について指摘がありました。この点も現在の一つの重大な点でありますと同時に、私は、畜産政策を今後ながめていく場合に、もっと掘り下げた、そしてこの転換に即応する対策が必要だと思います。農業の特質上一挙に事がならないのでありますから、少なくとも気のついたときにこれに対してすみやかな施策の手をまず打ち、そうしてこれを漸次普及浸透せしめていくという用意がなかったならば、思いつきや一時の感覚では決して目的を達成することはできない趣旨からかんがみまして、この際、ただいま述べましたような趣旨において、来たるべき通常国会に、必要とあらば立法措置、またそれに基づく必要な諸般の財政的処置を講ぜられることを要望し、そして、十分これらの点について掘り下げた検討を加えて、畜産農家あるいは畜産振興の要請に当委員会としてはこたえていかなければならぬ責任があると思うのであります。いわゆる政策論争で、一応農業基本法において私どもは大きな政策論争を行ないました。しかし、今日になって問題をいかに具体化していくかということについては、それは論争では片のつかない具体的な問題があるのであります。これに対して行政府としては当然講ずべき処置をとる責任があるわけでありまして、そういう点について十分配慮せられて、来たるべき通常国会に、善処した姿において対処せられんことを強く私は要求いたしまして、簡単でありますが、この点だけで、あとまた飼料の問題とかいろいろありますが、これは別な機会に申し上げたいと思います。  御答弁は別に要りませんが、御所信があれば承って質問を終わります。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 御趣旨十分拝聴いたしましたから、善処いたします。

野原正勝自由民主党

○野原委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたします。

野原正勝自由民主党

○野原委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決いたします。  家畜改良増殖法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

野原正勝自由民主党

○野原委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。

野原正勝自由民主党

○野原委員長 ただいま議決いたしました家畜改良増殖法の一部を改正する法律案に対して、芳賀貢君より附帯決議を付すべしとの動機が提出されております。提出者にその趣旨の説明を求めます。芳賀貢君。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 ただいま可決されました家畜改良増殖法の一部を改正する法律案につきまして、附帯決議を付するの動議を提出いたします。  まず案文の朗読を行ないます。    家畜改良増殖法の一部を改正する法律案に対する附帯決議   政府は、改正法により家畜改良増殖の目標を定め、その事業を実施するに当っては、単に家畜の個体の技術的な改良、増殖にとどまることなく、畜産が今後の我が農業の発展の上において占める重要な地位にかんがみ、自給飼料、濃厚飼料を通ずる飼料対策、家畜飼育の集団化対策、畜産物価格安定対策等、畜産振興のための基本対策を確立し、これが実施のため遺憾のない措置を講ずべきである。   右決定する。    昭和三十六年十月十二日       衆議院農林水産委員会  これが附帯決議の趣旨でありますが、簡単に申し上げますと、今回の改正法は、名目は改正でありますけれども、実質的には、今後のわが国の畜産農業を大きく発展させる推進的な意図が改正案の中に包蔵されておるわけでありますが、そういうことであるとするならば、今後この成立した法律に基づいてたとえば農林大臣が家畜改良増殖目標を確立するための長期計画の策定あるいは都道府県知事が策定する増殖目標等につきましても、その目標計画の内容というものが、単に品種の改良、あるいは技術面の改良、あるいは家畜の増殖だけに目標の重点を置くということでなくて、これを達成させるための基礎的な要素となるところの、特に飼料資源の開発、あるいは飼料の自給体制の確立というものを、畜産農業の経営それ自体の中で総合的に確立することが最も重要な点でありますので、これらの重要な要素というものを、今後予想される政府の策定する増殖目標の計画の中に、あるいは都道府県知事が策定する計画目標の中に十分これを取り入れる拾置を講ずるとともに、さらに、畜産政策全体の視野におきましては、これらの必要性はもちろん、これに対応した積極的な飼料政策、あるいは畜産物全体の価格安定政策等が付随して国の制度として確立されるということが最も必要なことでありますので、この点を当委員会の決議として付したいと考えるわけであります。

野原正勝自由民主党

○野原委員長 これより採決いたします。  芳賀貢君の動議のごとく決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野原正勝自由民主党

○野原委員長 御異議なしと認めます。よって、本案には附帯決議を付することといたしました。  ただいまの附帯決議について政府の所見を求めます。河野農林大臣。

河野一郎自由民主党農林大臣

○河野国務大臣 ただいまの御決議の趣旨を十分勘案いたしまして、この法案が成立いたしました暁には、実施にあたって十分注意してやることにいたしたいと思います。

野原正勝自由民主党

○野原委員長 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野原正勝自由民主党

○野原委員長 御典儀なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————

野原正勝自由民主党

○野原委員長 この際、小委員会設置についてお諮りいたします。  すなわち、小委員十名からなる農産物価格対策に関する小委員会を設置することとし、小委員及び小委員長の選任につきましては委員長に御一任願いたいと存じます。なお、小委員の辞任及び補欠選任並びに関係方面への資料の要求等につきましても委員長に御一任願いたいと存じますが、以上について御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野原正勝自由民主党

○野原委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  なお、小委員及び小委員長は委員長において指名し、公報をもってお知らせいたします。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時散会      ————◇—————

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