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39回国会衆議院1961/10/11

農林水産委員会 第6号

発言数
198
登壇者
9
会派数
3
開催日
1961/10/11

会議録

野原正勝自由民主党

○野原委員長 これより会議を開きます。  家畜商法の一部を改正する法律案及び家畜改良増殖法の一部を改正する法律案を議題として質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。山田長司君。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 農業基本法に関連しておそらく今回家畜取引法あるいはこの家畜商法の一部改正こいうものが提出されたものと思うわけでありますが、この家畜商法の改正に関連して数点にわたる御質問を申し上げたいと思うわけであります。  この改正の内容を見ますると、旧来の法律の中に設けられなかった種々な問題が含まれておるわけでありますが、聞くところによると、この家畜商法の改正については、この春は原案として五万円の保証金を積ませて、この五万円の保証金がなければ営業をさせないというような方針のようでありましたが、それが今回の法案を見ますると二万円に減額がなされておる。何を根拠として、五万円という金額をきめられておったものが二万円に減らされたものか、まず最初にこの点から伺ってみたいと思うのであります。

保坂信男農林事務官(畜産局参事官)

○保坂説明員 ただいまお尋ねがございましたのは、家畜商法の改正案の中におきまして、今回、新たに、家畜商が免許を受けるにあたりまして、営業保証金を、一人の場合におきましては二万円、さらに同一人につきまして人数をふやします場合には一万円保証金を供託することの規定を設けたわけでありますが、保証金をいかなる額にするかということにつきましては、検討の経過におきましては額についていろいろ論議があったわけでありますが、二万円といたしました理由は、通常、家畜の取引におきまして、たとえば和牛の取引というようなケースにつきまして、検討いたしますと、最低なもので、子牛の取引価格は過去六年間におきましても大体一頭当たり二万一千円程度に相なっております。なお、家畜商の営業の形態におきましては、和牛等について子畜を農家に委託して、それを成畜になりましてから農家からまた買い受けるような場合に交換差金を交付するような取引形態がございますが、これらのものにつきましても、過去七カ年間の平均を検討いたしましても二万円と相なっておるわけでございます。なお、それらのことと家畜商の負担能力等を総合的に勘案いたしまして二万円ということにいたした次第でございます。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 この価格がきめられるにあたりまして、実はこの春価格が五万円という金額がきめられたときに、陳情等がなされて、正式に五万円でこの価格を設定して発表すべき段階であったのが急に二万円に変更になった。一体五万円という価格は何を根拠として当時きまったのか、この点がどうも不明確なんですが、明らかにしてもらいたい。

保坂信男農林事務官(畜産局参事官)

○保坂説明員 当時五万円と決定いたしましたのは、成畜一頭について考えますとほぼ五万円程度に相なるというような関係から五万円というような案もあったわけでございますが、いずれにしましても、信用の程度を補強して普通取引における家畜商の地位の向上をはかるというような趣旨から考えられたわけでありますが、急速に五万円にいたしますことにつきましては、家畜商の負担能力等の問題も勘案いたさなければならないので、二万円ということに落ちついたわけでございます。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 取引業者の間においては、こういう保証に関する金額というものを何のために納めるのかということについてはかなり議論のあるところでありまして、大体全国の家畜商は七万五千人いるそうでございますが、この七万五千人の人にかりに二万の保証金をかけたといたしましても、十五億からの金が集まるもののようであります。一体この十五億の金の保管というものはどこで保管するのか、それから、どういう経緯でこれは集められる筋合いのものなのか、集められる場所等について御説明を願いたいと思います。

保坂信男農林事務官(畜産局参事官)

○保坂説明員 家畜商の供託金につきましては、家畜取引におきまして事故がございました場合には、取引の相手方に対してこの金額をもって支払うようなことにいたしまして、家畜商の信用力の補強にいたすことを目的といたしておるわけであります。この金額を預ける場所といたしましては、第三者で、確実なところであって、また組織的にも全国的に組織がございますもの、事故のありました等の場合に取り戻す場合等の便宜もございますので、国の供託所に供託することといたしておるわけであります。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 全国の取引業者の実態というものは私にはよくわかりませんけれども、この取引法の規定によって取引がなされているものと思うのです。それでこの取引法の規定によりますれば、取引は、せりによるか、金額を明らかにした入札の制度によってきめられるのか、大体二通りの方法だろうと思うのです。今おっしゃられるのは、おそらく取引法に従わない形の取引のことを言われるんじゃないかと思うのですけれども、全国的な取引の実態というのはどんな取引の方法がなされているのか、この機会に明らかにしてもらいたい。

保坂信男農林事務官(畜産局参事官)

○保坂説明員 家畜の取引につきましては、家畜の種類別に若干態様を異にいたしておりますが、その主要な地位を占めます和牛等の取引におきましては、産地におきましては、農家が産地家畜市場に出場いたしまして、それが市場において取引させる形態が非常に多い割合を占めておるわけでございますが、その後肥育地帯あるいは消費地に近づくに従いまして、集散地の市場なりあるいは消費地の家畜市場におきまして、家畜商が買い集めましたものが、また家畜商に取引されるというような形態で取引される形になっておりますが、それらのものにつきましては、家畜市場を通ずるものは、明確な統計がございませんが、五〇%程度に相なっておろうと思いますが、その他のものは個々に家畜商で庭先で取引されるというような形に相なっておると思います。また和牛以外のその他のものにつきましては、家畜市場に出場する実績は、現在の段階におきましては、和牛等に比べまして非常に率が低く相なっております。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 そうしますと、この供託金というものは、庭先等の取引あるいは市場における取引等で不良だと目される取引がなされたと思われて、あるいはその場合に金の支払い等がなかったときに、この供託金の二万円というものを充てるんだ、こういうお考えのように感ずるのでありますが、私は、今日の取引等を地方で見ておりますと、農家の人たちも、現金を支払わない限りは牛でも豚でも渡しておらぬと思うのですけれども、中には、信用等があってその取引がなされたとしても、その場合において農家の人に御迷惑をかけるような場合が全然なきにしもあらずという感じがしますけれども、この場合における保証と見られるように思われますが、そういうふうに解釈していいですが、この供託金は。

保坂信男農林事務官(畜産局参事官)

○保坂説明員 御指摘のございましたように、取引におきまして現金決済をする場合以外に、一部前渡し等をいたしますとか、あるいは資力が少ない等のために多少代金の支払いが遅延をしているというような事例がございまして、そういうような場合に、信用力が少ないために支払いができない、相手方に迷惑をかけたというような場合におきまして、相手方がその代金のために取り戻してこれを充てるということは、御趣旨の通りであります。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 その場合に、相手方はいかなる手続で、この金を供託している人に対して請求する権能が生まれてきて、それで取る方法としてどういう方法をとるのか。

保坂信男農林事務官(畜産局参事官)

○保坂説明員 取引の実際の場合におきましていろいろ紛争が起こる場合もあると思いますが、お互いの示談で支払えないこにを家畜商が確認をしまして一定の手続に基づいて請求いたします場合と、紛争がございますような場合には、裁判所の手続を経て確認をした上で供託局から取り戻しをするということに相なると思います。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 どうも、二万円の金を取るために裁判手続をして、へんぴなことろから出向いて行って、供託金の中から受け取るために農民が訴訟を起こすというような場合には、ずいぶん経費もかかることですし、二万円のためにそんな争いをしなければならぬということになるわけですけれども、もっと何かの方法はないものなんでしょうか。

保坂信男農林事務官(畜産局参事官)

○保坂説明員 家畜商と取引の当事者と非常に紛争のありますような場合におきましては、やはり第三者である司法当局の確定したものによるということにこの場合は相なるわけであります。この点について御指摘のように若干経費あるいは手間というようなことがございますが、この保証金を預ける場所といたしまして、最も信用確実で、また各地にわたって供託なり支払いの手続なりの組織を持っておりますというようなことを考えますと、第一義的には、信用が確実な第三者だということで、国の機関ということにいたしたわけでございます。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 この点が私はどうも了解できないのですが、十五億の金を集めるのはいいが、集めてそれがその地方々々に供託をされておるということになるわけですと、ずいぶん手数のかかることで、供託がなされて、しかもそれが何らの用をなさぬような形における金の集め方のように思われるのですけれども、これは将来、今度の場合はこういう形で供託はさせるが、次の段階においては一定のところにその金を全部集めるというような契約がなされるものじゃないのですか。その点いかがです。

保坂信男農林事務官(畜産局参事官)

○保坂説明員 相当な金額を有効に活用するとか、いろんな観点からの御指摘かと思いますが、現在の段階におきましては、そうした金額を、先ほど来申し上りましたように、信用力——これは事故がありました場合には確実に支払えるという保管をいたさなければなりませんし、それらの点から考えまして、現状で別にこれを預けておくというような適当な方法については、その組織が具体的に見当たりませんので、将来問題としては御指摘のような点についてはなお研究の余地があるかと思いますけれども、現状におきましては、供託所に供託するということが一番よかろうという結論に達しておる次第でございます。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 私は、これらの金は、でき得ることならば、地方の連合会の組織のあるところがあるわけですから、連合会等で保管をさせるか、この監督はむろん県当局でやる必要が起こってくるわけでありますけれども、そういう形で有効に使う方法があるのじゃないかと思うのですが、これらのことについては当局ではお考えになったことはないものですか。

保坂信男農林事務官(畜産局参事官)

○保坂説明員 ただいまも申し上げた通りでありますが、家畜商の組織は、府県ごとに法人になっておりますもの、法人になっておらないもの、合わせまして、一県程度を除きましては県単位の組織があるわけでございますが、現状におきましては、それらの問題は、家畜商の信用力の補強の問題等もありまして、非常に強固な組織であるというふうには必ずしも考えられない点もございますので、資金の運用その他の問題につきましてはいろいろと研究をすべきことがあるかもしれませんが、今後その点については十分研究していくことにいたしたいと思います。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 せっかく保証金という形で納めさしても、営業保証金全部を供託所に積んでおくというだけで、しかもそれが取引上に思わしからざるものがあった場合においてはこの金を下げて農家の方にやるんだというふうな御意見のようでございますけれども、この点は私はもっと有効に使用されるような形でこの保証金を生かしていくことが考えられてしかるべきだと思うのですが、この点は私の考え方でありますから、どうぞ当局で一つ御研究を願いたい。  次に、三条の一の中に、「家畜の取引の業務に関し必要へ知識を修得させることを目的とする講習会」を開くということの規定がありますが、これは、講習会を開いて、その課程を修了した者に免許状を出すように思われるわけでありますが、この免許については、旧来仕事をやっておられる人たちに対してはむろんこの講習会の課程を修了させるものと思うのでありますけれども、ただ講習会の課程を修了させることだけがここで許可の対象になるのか。私は、この講習会をやろうという意図は、やはり国家試験をかける内容を持っているものではないかと思うのでありますけれども、この点は、旧来やられている人たちにも、あるいは今後やられる人たちにも国家試験等はかけないものか、ただ単なる講習会で終わらせるものか、この点が条文によりますと不明確ですが、どうですか。

保坂信男農林事務官(畜産局参事官)

○保坂説明員 今回の改正で考えておりますことは、ただいま御指摘がございましたように、家畜商に対しては講習会を開催いたしまして、知事その他の開備いたします講習会を受講して、それを修了した者に対しては免許を与えるということに考えておるわけでありますが国家試験というようなことまでは現状では考えておらないわけであります。業務が比較的単純である点もあると思いますが、講習会におきましては、法令関係の制度の問題なり、家畜の資質の見方の問題なり、衛生の問題なりを実際の学課あるいは実習につきまして修得をするということで、比較的短期な講習を実施することによって、現状よりははるかに資質の向上がはかられるというふうに考えておるわけであります。  また、御指摘のございました、現在家畜商の免許を得て、仕事に従事しております者につきましても、今回の改正が行なわれました後におきましては、講習会を全員受けることによって免許を与えるという建前をとっているわけがありますが、経過規定といたしましては、現在免許を受けている者につきましては、その講習会が行なわれて免許が与えられるまでの期間、一年以内は仕事に従事することができることといたしておるわけでございます。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 そうすると、現在営業をやっておられる者は、一年間だけは講習を受けたあと仕事に携わることができるが、そのあとはできなくなってくるということですか。それが一つ。  もう一つは、修業試験を終了されたあとやるのかやらないのか。これは、ただ聞きっぱなしで、講習に行って居眠りをしてしまうような場合があるかもしれぬ。そういう場合、ただ講習を受けただけでそれで終わってしまうのだということであれば、何も意味をなさぬような、感じがするのですけれども、この点はどうも不明確ですが、いかがなものですか。

保坂信男農林事務官(畜産局参事官)

○保坂説明員 お尋ねの第一の点は、一年を経過した後に講習を受講しないままで経過した現在の家畜商の取り扱いについてであると思いますが、現在の、家畜商におきましても一応今回の講習を受けることを前提としておりますので、講習を受けずに一年を経過いたしてしまいました場合には、家畜商としての業務に従事することができなくなるわけでございます。  お尋ねの第二は、講習会の結果についていかような確認をするかということであるかと思いますが、講習会につきましては、もちろん講習会をりっぱに修了していただくことが目的でありますが、それらの者について試験に合格しなければ免許を与えないというような考え方はとってはおらないわけでありますが、講習を修了したことについてその結果を、確認する意味において、簡単な口頭程度の試問なりをするというようなことについては、実行する場合において十分検討して参りたいというふうに考えております。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 ただいまのお答えによりますと、やはり講習会の修了したあとというのは簡単な試験を課す、こういうことですね。考えているということだけではなしに、やはりこれは私は端的に申し上げるわけですけれども、これはたで講習を受けただけではだめだと思うのです。結局講習会の課程を修了したというけれども、これだけでは意味がないと思うから私は再度伺うのですけれども、これは結局簡単な試験を課したものに合格しなければだめだ、こういうことなのですね。

保坂信男農林事務官(畜産局参事官)

○保坂説明員 当初立案をいたします過程では、試験に合格した者でなければだめだというようなことについていろいろ検討をいたしたわけでありますが、そのことについて画一的に試験で合否を決定して振り落とすというふうなことについては、いろいろと反対な御意見もありましたので、講習会については、講習会の修了を確認し得る程度の口頭試験といいますか試問といいますか、そういうようなことで確認をするというような程度にいたしたらどうかというふうに考えておもわけでございます。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 そうしますと、筆記試験はやらないが口頭試験はやる、こういうことだと思うのです。この点は間違いないですね。

保坂信男農林事務官(畜産局参事官)

○保坂説明員 実行の場合にあたりまして、御意見の御趣旨のありますような点を十分達成できるような方向で考えていきたいと思います。試験に合格しなければいけないというようなことで試験制度をとるというような考え方はいたしておらないわけでございます。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 どうもこの点が不明確なのですけれども、そうすると、口頭試験はかけるけれども、この試験が受かろうが受かるまいが、講習会を受けた者については営業させるということなのですね。

保坂信男農林事務官(畜産局参事官)

○保坂説明員 講習会の内容は先ほど申し上げたような内容でございますが、その年令等のいろいろな関係がございまして修得の程度にはいろいろな差があると思いますが、講習を非常に休んだ、半分以上休んだとか、特に問題となるような場合以外は、大体講習を受けておれば免許を与えるということに考えていきたいと思います。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 どうもなかなか御答弁に苦労しておるようでありますが、やはりこれは家畜商の取引をやっておられる人にとっては重大の問題でありますので、このことについてはかなり戦々きょうきょうとしておるわけですね。これは、家畜取引の人たちの中には長い経験を持ちまして、毛並みを見ても、あるいはまた太り工合を見てもその牛や豚がとっておる栄養までも判断されるなかなか熟練の士があるけれども、一たび筆をとらしたり文章を書かしたりしますと、なかなか思ったようにこなし切れない人がかなりおると私は思うのです。こういう人たちにとっては、この試験制度によって営業の道を断たれてしまうのではないかというので、かなり苦労をしておる人たちがあるわけです。  そこで、今御答弁によりますと、口頭試問でもないし、それから答案にはかなりの差があると思うけれども、休まずに講習を受けるならば、その人にはみんな免許を与えるんだ、こういうことのようでありますけれども、さしあたっては、旧来やっておる人たちの保護もありますのでそういうことで考えられると思うのでありますけれども、将来は、これが一年たち二年たち三年たつうちにはやはり口頭試験から筆記試験までもかけるようになる印象を受けるわけですけれども、この点は当局のなかなか言い得ないところだと思いますけれども、もう少し親心を持ってこれらの問題についての方途を援くべきではないかと思いますけれども、この点についてはいかに処理されるのか、もう少しお答えを願いたいと思います。

保坂信男農林事務官(畜産局参事官)

○保坂説明員 御指摘のように、現在家畜商として仕事をされておる方々の商権の保護というようなことについて重大な支障が起こるようなことのないように考えて進んでいきたいと思います。将来筆記試験にかえるようなことにつきましては、現在の段階といたしましては考えておりません。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 この際だからさらに伺っておくのでありますが、実は試験制度というものは過去においても設けた事例があったそうでありますけれども、過去において設けた試験制度というものは、それじゃどういうつもりでやってどうしておやめになったのか。やはりこのこともこの際明らかにしておいていただきたいと思うのです。

保坂信男農林事務官(畜産局参事官)

○保坂説明員 お尋ねの点につきましては、私も当時の事情についてつまびらかでありませんし、局に参りましてからいろいろ経験も新しいものですから、過去の事情並びにその理由についてはただいま間違いなく的確にお答えすることができないことをはなはだ残念に思いますが、御必要がありましたら後刻調査しましてからお答えをさせていただきたいと思います。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 ただいまの参事官の説明だけでなく、やはり、過去における試験制度をどうしてうやむやにしてしまったか、当時試験を課しておきながら、試験をかけられないでもなおかつ営業をなし得る状態が発生しておると思うのでありますけれども、この点、どなたか御存じの方はないですか。やはりこの際明らかにしておかなくてはいかぬと思うのです。

保坂信男農林事務官(畜産局参事官)

○保坂説明員 ただいま申し上げたように、今私自身的確に誤まりなくお答えする程度に事情を承知しておりませんので、はなはだ申しわけないと思いますが、必要がございましたら後刻事情を調査しましてお知らせをしたいと思います。お許しをいただきたいと思います。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 それではちょっと不誠意だと思うのです。過去において試験を課して、それで営業をやり得る人たちが何とかそれで営業はできると思っていたところが、いつの間にか今度は試験を課せられない人がどんどん仕事ができるようになったということが明らかになっております以上、自分は新しいから過去のことは知らぬ、それで今度新しくやるのだと言ったって、これは、仕事をやっている人たちにとってみれば、農林省の今度の法律改正によってずいぶん苦労をさせられることになるわけです。過去の人たちというものは信用せずにしまうことになると思うけれども、何かもう少し誠意のある御答弁があってしかるべきと私は思うのですが、この点いかがですか。だめだ、そんなのじゃ。

野原正勝自由民主党

○野原委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

野原正勝自由民主党

○野原委員長 速記を始めて。

保坂信男農林事務官(畜産局参事官)

○保坂説明員 大へん知識が乏しくて失礼をいたしました。戦前におきましては、都道府県知事が試験をいたしておりまして、それは地方によって筆記試験であったりその他の方法によって行なわれたようでありますが、それは戦前でありますから、法律に基づかずに省令の措置でやっておったのであります。その後、終戦後独立省令が不可能であるというようなことで、やめられたようでございます。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 そうすると、その試験は農林省の関知しない試験なんですか。

保坂信男農林事務官(畜産局参事官)

○保坂説明員 農林省令によりまして、それに基づいて試験を実施いたしておったわけでありまして、その実施を府県知事が行なっておったということでございますから、農林省といたしましては、そのことについて指導し関与しておったわけでございます。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 これが戦前であろうと戦後であろうと、農林省令で試験を実施しておいて、その試験はいつの間にかうやむやになってしまって、これでは過去において試験を受けた人たちに対する優遇は何ら考えられてない。また試験をやる。やはり、世の中では、戦前であろうと戦後であろうと、一応試験を受けた人たちというのは優遇されていると私は思うのだ。戦争前の試験で農林省令で試験を受けた人たちというのは少なくともやはり免許証が出ているのですから、その人たちに対しては当然何かの特典があってしかるべきです。ところが、戦前だからそれをかまわないでまた講習会をやって、今は口頭試験だけで筆記試験はやらぬというが、試験制度が存在しておって、試験をした以上は、やはり当時の人たちに対する特典があってしかるべきだと思うのです。そういう点について、そのことが戦後と戦前とでうやむやになってしまったのはどこに原因があるのですか。そのままうやむやにしておくというのはおかしいじゃないですか。

保坂信男農林事務官(畜産局参事官)

○保坂説明員 家畜商の免許につきましては、試験がなくなりましてから以後は登録制度で、登録料を一定額払えばだれでも免許になるというふうな非常に緩和された制度になっておったわけでございます。それで、御指摘のようた、戦前に試験があって合格された方々におきましても、そういうことでほとんど無条件に近い状態で家畜商の資格を得られたわけでありますから、そのことについては御指摘のような既得権なり保護に欠けるというような結果には相なっておらないかとは思いますけれども、そうした現状におきましては、だれもが家畜商の資格を得られて家畜取引制度の知識なりあるいは家畜に対する資質の鑑定の知識なりいろいろなことが乏しい人でも登録料さえ払えば家畜商になれるということでは、家畜商の資質の向上なり取引の円滑化、改善ということについて適当でないというようなことで、免許をいたします前提といたしまして、今回こうした知識を習得する課程を設けて資質の向上をはかるというようなことにいたしておるわけでありまして、御指摘のような、既得権と申しますか商権の点について非常に博識の方々についてまでそれが失われるというようなことはおそらくなかろうと思いますので、御了承願いたいと思います。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 今回新たに講習会を開いて家畜取引業者に対する講習の課程を終了させるというのでありますけれども、この家畜取引商の中には前に試験を受けてかなり専門家もおる。どんなことを講習会でやるのか知らぬけれども、前にりっぱに試験を受けておるものを、時代の波に従って多少家畜の飼育その他についての変化は起こっておるかもしれぬけれども、前に試験を通ってしまっておる人たちに対して何らの特典も与えないというのは一体どういうわけなんです。この法案が出て、話をしてみると、前の試験を通った人はわれわれに質問をするわけですよ。私たちは知らぬものですから、これは一つ質問して聞いてみるといってきょう伺うわけです。それでは前の試験を通った人に対してはどういう特典が付与されるんです。

保坂信男農林事務官(畜産局参事官)

○保坂説明員 御指摘の問題につきましては、結論から申し上げますと、一応現在の、家畜商の方々につきましては、差別を設けず、新たに講習会を受けた者について新たに免許をいたすという建前をとっておるわけでございます。講習会の内容といたしまして、今御指摘のように、家畜の、その後の改良、増殖の経過もございましょうし、また、一面、知識の十分備わった方々も多数おられるということは当然考えられるわけでありますけれども、そうでない方と識別することもいろいろな問題で困難な問題もございますので、一応は経過期間を置きまして、あとは講習会を受けた者に免許を与えることにいたしておるわけであります。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 今の参事官の答弁については、なかなかどうも明確な答弁になっていないものがある。局長が来てからにしたいと思いますが、どうですか。

野原正勝自由民主党

○野原委員長 けっこうです。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 答弁ができていない。前の試験を受けた人の中には、財産から言っても社会的から言ってもかなりりっぱな人がいるわけですよ。その人たちは試験を受けるために前にかなり苦労して試験を通っているわけですよ。年も六十にも七十にもなっている人が今度講習会を受けられるということになる。講習会へ出てこなければしょうがないといって、新たに規定で一年後に仕事ができなくなってしまうというのですから、これは出てきて講習を受けるでしょうけれども、これらの人たちは前に試験を通っている人たちです。そういう人たちに対してまた今度の講習会を受けさせるということは酷ではないか。前の試験を通っている人にはやっぱり特典が与えられてよいので、前の試験を通らなかった人と通った人と、今までの答弁の中で混同しているわけなんです。この点は、この法案を出すときに当然明確な区別をつけて法案を出すべき筋合いのものだと思うのです。ずいぶんその点が不明確なので、私はもっとはっきりした答えが出されなければ、困ると思うのです。ぜひこれは、やはり局長が出てくるまで、あるいはもっと上の方から答えがあるまで待ちたいと思います。

保坂信男農林事務官(畜産局参事官)

○保坂説明員 先ほど多少不十分な点がございましたが、戦前の試験で家畜商になりました者は、先ほど申し上げました事情によって試験制度がなくなりましたときに免許制度に切りかえられたわけでございます。その際は、先ほども申しましたように、一定領の金額を納付しさえすれば大体免許が得られるということで、現在家畜商をされておる方々はそういう形で免許を得られた方々であります。その免許を得られた方々の中に、そうした戦前の知識をお持ちになった方、あるいは、その後戦後におきましても、相当長期間家畜商に従事されておりまして、家畜商の知識、経験が十分である方々ももちろんおられるわけでありますが、今回の講習会を受けた者について免許を与えるということの場合に、それらの経験者、実質的に、経験の十分ある方々と、昨今免許を受けられて経験が不十分である方々と、その間について一年間の経過規定はありますけれども、その後におきまして家畜商として免許を与えることにつきましては、今回はその質的な優劣を問わず一応講習会を受けるということで免許を与えるという考えに立っておるわけであります。  前に試験によりまして資格がございました者につきましては、戦後免許制度に切りかえましたときに、その試験の資格というものは全部なくなっておるわけでございます。従いまして、その後は、先ほど来申し上げておりますような戦後の登録料を一定額を納めることによって免許を与えられるということに切りかわっておるわけでございます。その点、答弁が不十分でございますので、補足させていただきます。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 前に試験を通った人はやはりこれは通っておるのですよ。前に試験を通った人が免許制度に切りかえられた場合、その人たちに対して何らの特典がないということはおかしいじゃないかというのですよ。幾ら世の中の変遷といえども、世の中にそんなばかばかしいものはないですよ。日本のどこの試験制度においても、前に、試験を通ったのが御破算になって、また試験をやるぞ、そんなことをされては、そういう仕事をやっておる人たちは情熱を失うじゃないですか。

野原正勝自由民主党

○野原委員長 速記をやめて。   〔速記中止〕

野原正勝自由民主党

○野原委員長 速記を始めて。  山田長司君に対する政府側の答弁は保留いたしまして、午後零時三十分から再開することにします。  暫時休憩いたします。    午前十一時四十一分休憩      ————◇—————    午後一時六分開議

野原正勝自由民主党

○野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  家畜商法の一部を改正する法律案、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案に対する質疑を続行いたします。山田長司君。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 午前中に引き続きまして局長にお尋ねするわけですが、実は午前中の答弁にふに落ちない点がありますので、もう一度伺っておくわけです。  今回の家畜商法の一部を改正する法律案の三条の規定の中に、「講習会の課程を修了した者」ということが規定してありますので、このことについて午前中伺ったわけであります。それで、この取引の業務に関する講習会の場合は、口頭試験も別にやらないし、それから筆記試験もやらないが、とにかく講習を欠席なしに修了した人に対しては一応免許を与える、こういうふうな意味のことをおっしゃられたわけであります。  そこで、疑問に思いましたのでさらに伺うわけですけれども、この試験制度というもので戦前に試験を受けた事例があるわけでございまして、そういう戦争前に試験を受けられた方はいずれも御年配の方が多いわけでございます。もちろん、戦後は取引業務もいろいろ近代化して新しく免許の必要も起こっておるわけでありますからさらに講習を受けることは差しつかえない、また受けなければはらない性質のものでありましょうけれども、やはり戦前に試験を受けて通った人に対しては何か特典があってしかるべきではないかというのが先ほど私が質問いたしました理由なんであります。その点について明確な御答弁がなかったので、戦前における試験を受けて通った人たちに対しては、今度の法案を審議するにあたっても一考あってしかるべきではないかと私は思うわけであります。その点についてどういうふうな考え方であるのか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 私、まだ就任二カ月でございますので、ベテランの先生方にいろいろ今後御指導をあずかりたいと思います。  ただいま御質問の講習会の問題でございますが、お話の通り、立法の過程におきましてもそういう説があったわけでございます。ただ、この制度をしくにつきまして、いろいろな方法があるわけです。新しく特別な免許制をとる、免許制の内容を変えていくという場合に、従来のものの既得権は認めるという事例も相当あります。今回こういたしましたのは、御承知の通り、この二、三年非常に畜産の事情が変わっておりますものですから、こういうむしろ奨励的といいますか、十分最近の知識も知っていただく、こういう意味で、むしろ、義務ではございますけれどもレベルを上げていく、こういう意味で講習会制度を義務としたわけでありますが、人によりましては、むしろ講習する人より講習される人がある部面では権威者であるという場合もありましょうし、戦前の試験を受けて自尊心的な問題もあると思います。従いまして、私もこの条文に取っ組みましていろいろ考えておるわけでございますが、内容といたしましては、ハイ・インテリジェンスといいますか、最近の畜産事情が非常に目まぐるしく進んでおりますものですから、そういう講習を受くべき課程を二、三分類しまして、高い知識の人が聞いても非常に最近の情勢としてはためになる、こういう講習の種類といたしまして、講義といいますか、討論といいますか、そういう少なくとも二つくらいの種類を設けまして、最近の変転する畜産事情あるいは衛生事情等をも承知していただく、こういう意味で、種類を分けて相手方の希望によって受講させてみたら、こういうことで考えております。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 変転目まぐるしい状態というのは、私は畜産の世界だけだとは思いません。近代医学の場合においても、これは戦前・戦後の近代医学なんというものは想像以上にやはり変化してきていると思うのです。そういう一つの事例を考えてみても、これはお医者さんでも戦後新しい講習会あるいはその他の近代医学に対する知識の普及はやるでしょうけれども、やはり、戦前における試験を通っている人に対しては、これは別に新たな試験を課しておるわけじゃないのですよ。やはり、それ相応に、家畜の取引をしている人たちに、戦前農林省の省令に従って各府県で試験を受けている人たちがいるわけですから、その人たちに対する優遇の措置というものが全然考えられていないじゃないかということを私は伺っているわけなんです。この点今度の講習会も、今は口頭試験とかあるいは筆記試験は課さないというけれども、だんだん日がたつに従って、私は試験を課していく時代になると思うのです。そういう点について、やはり戦前における特権は何らか認めてやらなければならぬ。講習会はむろん受けることは必要でありましょうけれども、やはり当時において講習会の権威ある試験を受けている人たちなんですよ。これらの人たちに対する方途が講ぜられなければならぬはずだと思うのですけれども、この一部改正によりますと、全然それらの人たちは無視されてしまっている。今度の講習会を受けなければいかぬ、それを受けなければ一年たったら営業はできなくなってしまう、この点の問題なんですよ。いずれも御年配の方があるわけなんで、講習を受けなければ一年たって仕事ができなくなってしまうというのでは大へんだから私は伺っておるわけです。何らかの特典はないものかというのです。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 お話の趣旨はよくわかります。従いまして、そういう人たち、特に戦前の試験を受けておられる方については、運用上簡素な方法をやっていきたいと考えております。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 それは、ちょっと理事だけでも集まって相談してもらって、何かこれの方途を考えられませんか。

中馬辰猪自由民主党農林政務次官

○中馬政府委員 ただいまの山田委員の御発言はごもっともでございますから、講習の課程において、たとえば全講習科目を終了しなくても、その中の八割とかあるいは七割とかいうことを具体的にきめまして、戦前試験を受けた方は、戦後免許や取った人に比べて講習の内容を減らす、あるいは少なくするということで運用して参りたいと思いますが、いかがでしょうか。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 実は、まだあとで伺おうと、思っておったのですが、大体、講習会の日とか時間とか、あるいは科目とか、そういうようなこともおそらくおきめになられることだと思うのです。ですから、そういうことがわかれば今の政務次官の御答弁も了解ができるのです。たとえば、出席日数は、一週間講習会が開かれたら、そのうち二日とかあるいは三日ということが明記されていて、前の試験を受けた人に対する優遇の道が講ぜられるのだということになれば、これは了解ができるわけですが、まだ試験の日数もきまっていなければ試験の講習科目もきまっていない。そういう点が少しずさんではないかという気がするのです。その点がどういうふうな形で話が進められているものか、このことがわかっているならば伺いたい。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 すでに戦前に試験を受けた方で、相当各般に通じておられるような、そういう、方につきましては、戦後相当法令が出ておりますので、最近におけるそういうような関係法令などを中心として受講させることにいたしまして、家畜衛生その他については十分習得しておられる方だと思いますので、そういう点は受講を免除する、こういうことで御指摘のような方々には運用上でそういうことをやっていきたいと思います。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 政務次官の先ほどのお答えで了承できるような気がするのですけれども、それが何らかの規定を設けられずにあるとすれば、これに意味をなさぬことになるので、その点についてお伺いいたしたい。

中馬辰猪自由民主党農林政務次官

○中馬政府委員 この講習会は一回きりのものでございますから、すでに試験を受けた方に対する講習会というのは、この法律が施行されてから一回だけあるわけでございますからして、あとで試験がむずかしくなるとかあるいは筆記試験があるとかいう心配は全然要らないと思います。従って、今後数年にわたって講習会があれば、これはいろいろ変化もありましょうけれども、さしあたりの講習会におきましては、必ずただいまお約束いたした通り運用の面で講習の日数を減らすとかあるいは実地の方は若干減らすとかいうことで間違いがないようにいたしたいと思います。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 今の問題については大体了解しましたが、そこで、やはり明確な規定をどういう形でか残しておく必要があると思うのです。その点御配慮願いたい。  それでは、次に伺います。取引業者は、今度の規定によりますと、帳簿を備えつけなければならないという規定になっておるようでありますが、帳簿の書類の検査をされることになるわけでありますが、帳簿の検査というものはいかなる内容を必要とされるのか、この点もかなり問題があると私は思うのですけれども、どう考えますか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 帳簿の記載事項といたしましては、取引の年月日及び場所、家畜の種類別の取引頭数、取引の相手方の氏名、取引従事者の氏名などであります。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 これらの問題には、むろん業務従事者というものが関連が生じてくると思うのでありますが、業務に従事している人がかなり、大勢いるところができてくると思うのでありますけれども、従事者の仕事の範囲というものはどういう範囲か、どういう仕事の従事者が営業するについて保証金として一万円を追加して払う対象になるか、この点を明確にしていただきたい。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 たとえば株式会社などで庶務、文書関係の方はその対象にいたしておりません。実際上実質的な内容を見まして、会社で多くの場合は業務部に属し、かつ常に取引の第一線として従事されておる方でございまして、庶務、文書、人事その他そういう取引の実際には直接関与しない方は対象といたしておりません。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 大体、今の答弁で、従事者の種類というもの、仕事の内容が明らかになりましたが、そうしますと、今日の会員に属する人は七万五千人からいることになるが、さらにそれに従事者を入れますと、これはおそらく八万人くらいの人間になるのじゃないかと思うのです。その点の明確な数字が当局でおわかりになるだろうと思うのですけれども、もしその従事する人たちが一軒のうちで三人ないし五人というようなことなら五万円に払う、それから家畜商の人が一人二万円ということになると、一軒のうちで場合によると六万も七万も払わなければならぬことになると思うのです。こういう金額を全部勘案しますと、おそらく十六、七億の金になるのじゃないかと思うのですけれども、この金も、ただばく然と供託局に積んでおくということだけでなくて、何かもっと意義のある方向に使うことは当然私は政府当局としても考える筋合いのものだと思うのです。何かこれについての原案等をお考えになっておられるのかおられないのか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 現在の家畜商の数は、四月一日現在登録いたしておりますのは七万五千人でございますが、実際に家畜取引に従事しております者として想定されますのは六万五千人であります。現在の家畜商の営業形態について申し上げますれば、大部分が個人企業にすぎませんで、個人営業の使用人の有無について見ますと、その九八%は使用人を持たない全くの個人でございます。また、家畜商の兼業状況を見ますと、その八〇%が農業を兼業しておる場合が多いのであります。取り扱い頭数の規模も、頭のものから三千頭程度のものでありまして、その差はきわめて大きいのでございますが、株式会社による従事員は今後相当増加すると思います。ただし、現状においては非常に少ない、こういうことであります。  後段で御指摘の供託営業保証金の運用の点でありますが、各府県に家畜商組合、任意あるいは法人格を持ったもの等ほとんどあります。一、二県ない県がございます。それらで一括いたしまして、たとえば国債等で運用いたしますると利率が六分五厘程度になるわけであります。これは個人に払われる利息でございますが、皆さんが団結して自主的な御意向でそれを十分運用していこう、取引の改善に運用していこうということで、私の方では登録された方が自主的にそういうことでありますれば積極的に利息の運用については指導して参りたいと存じます。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 ちょっとあなたのお答えが理解できないのですが、供託をされたものに対して今あなたの、御答弁は利息がつくような御答弁だと思う。私は、今度の場合における供託というものは利息などつく筋合いのものではないし、つかないと思うのです。この点がもったいないと思って何か有効な使用の方法は考えないかということを聞いている。この点どうですか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 本法の十条の三の二項で「前項の営業保証金は、農林省令で定めるところにより、国債証券地方債証券又は農林省令で定めるその他の有価証券をもって、これに充てることができる。」ということでありまして、現金で供託した場合は二分四厘の利率でありますが、国債等で供託した場合はその国債の利息が供託者に戻ってくるわけであります。そこで、自主的に家畜商が都道府県単位で取りまとめてやるという場合は、この国債の利息の運用につきまして、御指摘のような御希望があれば、政府といたしましても積極的にそれが活用されるようにいたしたい、こういうことであります。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 この規定の中に、供託は一地方の供託の形のように、供託所に対する納入のように書いてありますが、今の御答弁によりますと、一地方の連合会なりあるいはそれに類似する団体等で一括して供託することができるというわけですか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 供託は各個人でやりますが、たとえば、現在家畜商等が利用しています商工中金の証券がいい、それを一つみんな利用しようじやないかということになりますれば、商工中金の証券を供託いたしまして、それから生ずる利子につきまして、受け取る際に団結して受け取っていただいて、そうして団体活動の有効を期するこういう意味で申し上げておるわけであります。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 ただいま申し上げたようなことはこの規定のどこにもうたわれていないわけですよ。そうすると、この十条の六の規定というものは、ここで家畜商はその住所に納めて供託するような形になっていると思うのですけれども、そうじゃなくて、団体で出せるということになるわけですか。

中馬辰猪自由民主党農林政務次官

○中馬政府委員 私もこの法律をいろいろ検討いたしましたところが、ただいま御指摘のあるような問題点が出てきましたので、実は先般来調査いたしております。すなわち、従来の供託等によりますと、現金を供託する場合は二分四毛という利率がつきます。ところが、昭和三十四年だと思いますければも、全国の旅行あっせん者の団体から当時の政府に陳情がございまして、現金以外で国債または政府の保証する公債等を供託する場合は、そのまま公債に利子がつきませんからして、その利子の方が六分五厘という高い利子であるから、この国債または公債でも供託をしてもいいじゃないかという要求がございまして、一昨年法律の改正があったことを記憶いたしておりましたので、そこで、この家畜商法の供託金の場合でも、現金または国債あるいは公債ということに相なっております。そうしますと、現金に比べて国債あるいは公債の場合は利子が高うございますから、その利子はそのまま納めた供託者に返って参ります。ただいま局長の申したのは、もしそういう団体の方々が利息を運用してこれを家畜商の健全な発展のために使いたいという民主的な決議とかあるいは申し入れ等があれば、そういう手段も残っておる、こう言うたわけでございまして、農林省の方で積極的にこの資金を一カ所に集めて運営をするという意味ではございません。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 ただいまので了解しました。そうすると、この金もかなりの巨額に上りますが、この金の運用等については、自主的に各府県の意向で、それが業界の発展のためあるいは家畜商の商取引円滑化のために使用するというような場合は、これが何らかかの形で使用することができるということになるのですか。

中馬辰猪自由民主党農林政務次官

○中馬政府委員 それは、そういう団体または個人が相集まって民主的にそれを運用して使いたいというときには、いろいろ案がございましょうから、農林省としてはそれに一つ御協力を申し上げたいというわけでございまして、あくまでもその利息というものは個人に返るのが当然であります。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 そうしますと、ただいまの政務次官の御答弁では、この規定の中に何らこれがうたわれてないが、そういうことが加味されているということで、この点は了解いたします。もし通った場合には、どうぞそういうことに御配慮願いたいと思います。次に、前国会にこの法案が一応提出をされたときに、農協に対する特典が考えられておったと思います。当時の案によりますと、農協に関係した者は講習会を受けなくても、あるいはまた営業保証金や払わなくしてもこの仕事ができるという規定があったたうに思います。ところが、今回の場合はそれがうたわれておりません。もちろんうたわれておらないのがあたりまえだと思います。何となれば、先ほど局長が申しましたように、変転するこうした畜産業のあり方に対して、だれでもが平等に講習を受けるべき筋合いのものであるからであります。ところが、今度それがうたわれておらないのは非常によいのですが、しかし、そんなに急に四カ月か五カ月の間に変化する事情がどうものみ込めないのであります。どういう理由によってそういうことになったのか、一応伺っておきたいと思います。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 農業協同組合は本法の対象にいたしましておりません。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 そこで、参考に伺うのでありますが、第七条の規定によります取り消し等の罰則規定によるものでありますが、旧来の日本の家畜商の取引上において、法規の違反により取り消し等をされましたところの種類がわかりますならば、どんな形で取り消しがなされたか、参考に伺っておきたいと思います。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 家畜商の負許の取り消し及び業務の停止を命じた件数は、法第四条第一号、すなわち禁治産者、準禁治産者に該当するということでやられた者が三十四年度及び三十五年度では個人で七名ずつあります。それから禁錮形または関係法令違反で取り消しまたは業務の停止を命じた件数は、三十四年度では個人で十三件、三十五年度では一件、それから、法第七条第二項第一号該当、すなわち免許証呈示義務に違反した者は、三十四年度では九件、三十五年度ではございません。一番多いのは法第七条第二項第二号該当、一年以上営業しない場合、これが非常に多いのでありまして、三十四年度では個人で百六十二件、三十五年度では十二件であります。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 そこで、最後に伺うのでありますが、この法律がこの国会でかりに通りますと、このあとの監督は、旧来よりもかなり講習会あるいは帳簿の点検等がなされることによって、仕事をやっておられる人の内容、質がわかるのでありますが、これが公平を期する形の検査というか、調べというか、そういうものは県の畜産課が主としてやられるものだと思うのでありますが、どこの府県にも大体千人以上の人がおると思います。その場合に、これらの人たちを一律に調べる方法としてやられるのか、あるいはまた抜き打ちの検査をやられるのかわかりませんけれども、どんな形でこういう罰則規定にのっとった調査をやられるものか、参考に伺っておきたいと思います。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 やはり、法を守っていただく、こういう意味におきましては、抜き打ちなんということは特別の場合でありまして、いろいろ家畜商の現況が個人企業が大部分でありまして、非常に現実的になっておるわけであります。従いまして、やはり家畜商団体の活動とかあるいは同業者が相寄って自主的にこういうことを守っていこうということになっていかぬと、ただ一方的にさっと行ってお前は帳簿を備えていないでけしからぬじゃないかというような一方的な指導でなくて、やはり家畜商団体の良識ある方々の御協力を待って円滑に実施して参りたいと考えております。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 全体を通しましてこの法の改正の印象というものは、どうも、家畜商一人に対して二万円の保証金、そのくらいの保証ができなければ商売をやるなという印象を受けるのです。二万円でそれが足れりというものの根拠は、どうも牛一頭でも五万も六万もする、あるいは十万もする牛もあるというようなことで、取引上好ましからざる事態が起こったにしても保証のほんの一部にしか達しない金額だと思います。しかるに、二万円という金額の決定がどこによったものか、さっきも参事官に伺ったのですけれども、どうも明瞭を欠いていますので、この点もう一度伺っておきたい。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 二万円の基礎につきましては前に参事官からお話があったと思いますが、いずれにいたしましても、これだけで家畜商の取引の危険がないのだということではなくて、われわれといたしましても、取引の安全に資するということで、ほかの皆さん方の自主的なあるいはいろんな研修とか、いろいろ農林省でも畜産特技指導員等もふやしまして指導していく、こういうことで、この営業保証金だけで、御指摘の通り、事故があったら安心だということではないわけであります。そういう信用を上げていくというのにぜひ資したい、こういう趣旨であります。

野原正勝自由民主党

○野原委員長 片島港君。

片島港日本社会党

○片島委員 山田委員からだいぶ質問がありましたので、それに関連をしてお伺いしたいと思います。  この法案の骨子となるのは、二万円という供託金、それに講習会、それから、あとは免許を与えた後における帳簿の備えつけという、この三つの柱からなっておると思うのであります。そうすると、講習会をやるということは免許の条件であり、家畜商の資格を取得する条件となるわけでありまして、非常に重要な意義を講習会というものは持っておると思うのであります。そこで、戦前からの有資格者というか、戦前の試験に合格した者などは特別に取り計らう、たとえば時間は講習の八割とかあるいは講習会の運用によってとかという畜産局長の話であります。講習会というものがそういう重要な資格免許の取得条件であり資格条件であるというなら、一体、八割といっても、一日やる場合には半日出ればいいのかどうかわかりませんが、一年やるのならば八割というとこれは大へんなことです。大体期間は何日間くらいの講習会をやるのか。これは農林大臣が指定した者が勝手にやるんだというなら、ちょっと出てこいと言って二、三時間話をしてあと宴会をやって帰ってもいいということになる。そうじゃいかぬ。これは重要なことです。北海道では一カ月やったが九州ではたった二日ということではおかしい。大体何日間やるのですか。これは講習会の内容に関することで、重要なことです。そうでないと日数とか何割ということが出てこないということになる。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 講習会は大別して学科と実習に分けます。学科は一般科目と専門科目とにいたします。一般科目では、主として関係法令を中心として、一般商取引に関する基礎知識並びに家畜取引業者として必要な知識を講習いたします。専門科目では、主として家畜を中心とした学科、たとえば家畜の改良、登録に関すること、家畜の伝染病並びに疾病とその判別方法、家畜の悪癖、損傷、家畜の品種等についての知識を講習いたします。実習では、主として専門科目で講習したことを実物の家畜について講習いたしますが、講習日数は長期にわたらず三日程度と考えております。

片島港日本社会党

○片島委員 三日間で関係法令や一般の商取引、家畜関係の法令、それから専門科目、実習をやるわけですか。そうすると、先ほど戦前の合格者には期間などの講習の内容について幾らかあんばいすると言われたが、たとえば三日のところを二日出ればいい、八割ということになればそういうことになる。そういうことですか。それじゃ三日間出ていくのも二日間出ていくのも大したことはないじゃないですか。私の方から行けば、椎葉の山の中から宮崎に行って二晩泊まるのも三晩泊まるのも大したことはない。それは恩典にも何にもならないじゃないですか。どういうことですか。

中馬辰猪自由民主党農林政務次官

○中馬政府委員 畜産の現在の発展の状況から考えると、当然講習会を受けてもらった方がいいと思いますし、また、戦前に免許を取っておった人に限ってはむしろ講習会を受けたい人が多いんじゃないかと思います。しかし、先ほど山田先生の御質問あるいは御要望等もございますし、面子とか誇りとかいうものもあるから、戦後五百円の手数料を納めて免許を取った者と、戦前しっかりした試験や受けた者と一緒ではおかしいじゃないか、こういう議論がございましたので、そこに多少の色合いをつけて、たとえば三日のうち二日間だけ戦前派の方には一つ講習を受けてもらうということで私どもは考えております。

片島港日本社会党

○片島委員 先ほどの、山田君の質問で、二万円ということが提起されたわけですが、この二万円を供託する。しかし、二万円を、供託させるというのは、ちょっと局長の答弁ではっきりしないのですが、どういうことなんでしょうか。二万円供託きせるというその趣旨です。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 取引に事故が起きた場合には、それを、損失を受けた者の補償に充てる、こういうことであります。

片島港日本社会党

○片島委員 そうじゃ、ないんでしょう。二万円というのは資格を取得する条件になっているのです。二万円ぐらいですが、免許を受けている家畜商は七万五千人とここに書いてありますから、合計すれば十五億円になる。二万円というのは保証としてきわめて微細なものである。それならば、たとえば一カ年間にどのぐらい税金を納めておるか、一カ年間の所得税をどの程度納めておるかとか、年間の所得が幾らであるかとかいった調べ方があるわけです。二万円はこれは借金で借りてきてから供託するかもしれません。ほとんど牛一頭が五万も十万もするというのに、二万円で保証金を積み立てておくというのは意味がない。それだけじゃないということをあなたは言われましたが、二万円というのは意味のないことなんです。わずか二万円ぐらいで、何百頭も何千頭も牛の売買をするものがこれで保証をするというような考え方ならば、それはおかしい。しかし、提案理由に書いてあるように、家畜商の取引の信用を補完をするというのであるならば、それなら、一カ年間に税金をどのぐらい納めておるか、一カ年間のその家畜商個人の所得はどのぐらいであるか、これはすぐわかります。税務署で調べても役場で調べてもすぐわかることです。もっと明確にこの二万円という根拠が、はっきりしなければ、もし保証をするというならば。その人の財産調査なんかをやってもりっぱにそれは保証できる。何百万、何千万という資産を持っておる者もおりましょうし、そんな者が二万円を出したからといって何ともあることではございません。その点、私は、ほんとうに本人の取引信用という問題を看板にするのならば、ほかの方法がある。この金額の点について非常にあいまいであります。しかも、先ほど六万何千人と言われましたが、免許を受けている家畜商は全国において約七万五千人、一年以上たって、一つも取引をしない者が、三十四年が百六十二で、三十五年が十二、こうなっておりますが、七万五千人からいくならば、それは大した数ではありません。早く言えば、一頭取引をしておってもかまわぬわけでしょう。一年間に最低一頭取引をしておってもかまわぬ。そういう者が七万五千人おるわけです。これに、山田委員から言われたように、実は免許を持たないけれども使用人というような形でやる、まあ免許は持たなければいかぬですが、そういう者を入れるともっとふくれるのじゃないか。それが合計して十五億円になるのです。二万円というまるで意味のない金を供託をさしておいて、しかし積み上げてみたならば十五億円は大した金です。農業近代化資金の一分の利子補給に大へん農林省は大きな顔をしておられる。あれは一分ですから一億八千万円しかついておりません。その一億八千万の十倍になる十五億円というものを供託局に遊ばしておく。何にも使わない。先ほど局長は、何か国債利子をどうとかしてと言われたが、人の利息をあてにしてそんなことはできるもんじゃありません。公債の利子は、あれは供託した個人の所有権に属するもんです。しかし、これはあくまで、例外であって、原則は現金です。旅館協会とかが何とかした例があるから、例外としてこれは認めたというのが政務次官のお話ですが、わずか二分四厘で十五億円というものを年がら年じゅう——七万五千人のうちに百人ぐらいやめた者がおるということですが、百人やめればまた百人入るでありましょうから、年がら年じゅう何十年間も十五億円を遊ばしておく。しかも一人から集めた二万円というものは、何らの意味もない二万円です。この点が私ははっきりしないのですが、どうですか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 現在の金額の点でございますが、金額が多ければ多いほど保証される保証力が強くなることはもちろんであります。ただ、現在の状況といたしまして、個人がほとんどでありまして、年間一つの取引で一頭あるいは年間何べんもやる人もおりますが、非常に零細な資力である方が割に多いわけであります。最低限度の額を算出をしたわけでございます。

片島港日本社会党

○片島委員 保証金という意味だというお話でありますが、本人の保証能力というような点から言うならば、かりにこの二万円を借金をして供託をしたという人は、非常にこれは困っておる人で保証力のないような人でしょう。五万も十万もあるいはそれ以上も損失を与えた、しかし、二万円の供託金をしなくても一カ年間に数十万円あるいはそれ以上の税金を納めておるとか、あるいは固定資産をどのくらい持っておる、あるいは債券をどのくらい持っておるとかという人の方が、実際は二万円を借金して納めた者よりも保証能力があるのがあるわけなんです。だから、この二万円というものは、合計すれば十五億円という大へんな金になる。しかし、何のためにこの二万円を取っておるのかということが明らかにならぬじゃありませんか、あなたの今の御答弁では。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 実情を考慮して金額をまあこの程度ということで最小限度を押えておる関係上、先生の御指摘の通り、金額が少なければ保証にならぬじゃないかということですけれども、そういう現在の家畜商の実態から言いまして、最小限度この程度ならばということで二万円というのをとったわけでございます。御指摘の点は十分よくわかります。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 ちょっと関連して。  ただいまの片島君の質問に関連しまして、この供託保証金の問題でお尋ねしたいと思います。  元来、この保証金を供託させるという政府の法案の趣旨は、その家畜商の資格を与えるための目的であるか、あるいは取引の相手方に対して保護を与えるためのものであるか、この点がまずはっきりしなくちゃいけないと思うのです。それで、もしも保証金を供託させるということが、取引の場合に相手方に損害を与えた場合にそれに対して損害の補償をする、こういう意味の供託金であるか、ただ資格を与えるための保証金であるか、この点をまずはっきり承りたいと思います。これはどっちなんですか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 資格を与えましてそして相手方に対する信用をはかるということであります。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 そうすると、家畜商の取引の相手方に保護を与えるということは、供託をしたことによって家畜商の身分について信用を与えるということであって、損害を与えた場合は物質的な保護を与えるという意味じゃないわけでございますか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 一部は物質的な保証を与えることになりますけれども、これによってその損害を全部まかなうのだということではありません。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 そうしますと、この物質的な保護を与える場合は、その供託金の中から返してやる、こういう意味でございますか、どうです。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 その通りであります。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 そうしますと、損害が二万円以上にもなった場合、二万円以上返した場合はもちろんその人は今度は賞格がなくなるわけでしょう。金額が二万円以上になった、その場合はどうなんです。そういうこともあり得るわけなんです。その場合はどうするかということです。資格がなくなるわけです。それが二万円以内でも、二万円を限度としてあるならば、家畜商は一万円を返したときは二万円納めてないから賞格がないということになる。そういう場合はどうなんですか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 こういう制度によりまして、そういうことがないように予防的効果を相当ねらっておるわけであります。御指摘のようにそういう事例が出ましたならば、その免許権がなくなる、こういうわけでございます。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 その点をはっきりしなけばならぬ。私は、供託の意味というものは、損害を与えた場合には当然補償するというのでなければ供託の意味がない。ところが、損害を生じた場合免許を取り上げるのだ、これでは供託をする意味というものがはっきりしないじゃないですか。その点は、あるいはそういう損害を与えた場合は、そういう供託をした団体が持つのであるか、あるいは個人がその損害に対する補償をするのであるか、こういう点を明確にしなければ、私はこの保証金を供託するという意味というものがないと思う。この点を明らかにするということが、この法律を改正する非常に重点であると思うがどうお考えになりますか。

中馬辰猪自由民主党農林政務次官

○中馬政府委員 先ほど局長がお答えいたしたように、一部物的保証という点もございます。たとえば、今御指摘のあった、損害を与えて、もし供託金を返還を求めて免許を取り上げられた場合においては、その家畜商はあとの生活に困るでしょうからして、そこで、そういうことがないように、他に金融の道を講ずるとか、あるいはそういう損害を相手に与えないとかという工夫をすることによって、家畜商の地位が向上するものと思っております。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 しかし、こういう事例はあることなんですよ。家畜商が取引において損害を与えたという問題が起こる、そういう場合に供託金があるから幾らでもそれを払うということになりますと、たとえばこれは五千円であっても千円であっても、二万円に足らないことになりますと賞格がないことになるから、これはもの家畜商として資格がなくなるわけです。あなたの方で今おっしゃるように、家畜商の免許を取り上げるということになると、次々に免許を取り上げられる人が出てくる。こういうような人たちに対してどのようにお考えになっておられるか、この点がはっきりしなければ、私は非常に不安なんじゃないかと思います。

中馬辰猪自由民主党農林政務次官

○中馬政府委員 今の二万円という金額は、物的保証という意味から言えば少のうございますけれども、今までの五百円という手数料で、もしそういう事故があった場合においては、債務者としては、いかようにもできませんので、今までよりも相当以上の効果があると思います。

片島港日本社会党

○片島委員 それは、今のあれで言いますと、補償するためのものである、こういうことなんですが、補償をするのが目的であるというならば、今言ったように五千円、二千円相手に損害を与えた場合には、即座に余裕なくもうすぐそれを振り向けられますか、それとも何カ月間か余裕があるわですか。ちょっと待ってくれと言っても、お前の方は供託金があるから待たぬで、これから払う、払ってしまったから免許を取り上げる、こういうことですか。これはやはりはっきりしておかないことには、法律だもの、いいかげんに運用されたんでは……。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 いろいろ御指摘のようでございますが、供託額が不足した場合、すなわち、不足額は依然として支払いの義務があります。その損害をかけた相手方に払う義務がある。そういうことで、御指摘のように、五万円なら五万円の損害をかけても、二万円じゃ保証できないじゃないか——二万円取ってもまだ三万円は損害をかけた人に義務があるわけであります。その不足額はもちろん支払いの義務がありまして、結局保証金として二万円をほかから持ってきて充当しない者に対して免許の取し消しなり事業をやることを停止する、こういうわけでございます。

片島港日本社会党

○片島委員 二万円のときに、先ほど稲富委員からあったのですが、かりに一万円の損害をかけた場合には、その損害を受けた人が申し出ると、即座にそうなるんですか、供託金の方からそれは与えるのですか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 即座ということでなくて、供託法の手続によって始末されます。

片島港日本社会党

○片島委員 それは余裕期間というものはないのですか。たとえば、ちょっと待ってくれというのに、もう払えと言ったら……。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 もちろん、示談もありましょうし、余裕期間はあります。

片島港日本社会党

○片島委員 一万円だけを払った場合には、あと一万円残りますね。これはどうしますか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 一万円を正当な事由なくして補完しないときは、営業の停止または免許の取り消しをすることになっておりますので、早くあなたは一万円を補完しなさいということで、行政指導的に催促するわけであります。

片島港日本社会党

○片島委員 それは、黙って一万円あなたの方で供託したものを持っておって早くしなさいと言うことはできないじゃありませんか。免許を取り消すと言っておるじゃないか。免許を取り消したら即座に供託者に一万円を払わないでおいて、黙って供託したまま取っておくということはできないでしょう。たとえば千円でも、二万円が切れたなら、一万九千円になったらすぐに免許を取り消すとおっしゃっておるじゃないか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 もし私が先ほどそういうことを申し上げたら間違いです。その額を充当する期間もございますし、金額が、それが減ったからといってすぐ免許の取り消しはいたしません。

片島港日本社会党

○片島委員 猶予規定なんかないのですがね。ただ中途半端にしておって、払え払え、不足額を供託しなさい供託しなさいで、いつごろまで置くのですか。法律では、免許を取り消す場合のときに、供託金が不足した場合ということはこの中に書いてありません。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 第十条の五の規定によりまして、「営業保証金の額が第十条の三第一項に規定する額に不足することとなったときは、法務省令、農林省令で定める相当の期間内に、」—これは六カ月でございますが、「期間内に、その不足額を住所のもよりの供託所に供託しなければならない。」ということで、第十条の五で明記いたしてあります。

片島港日本社会党

○片島委員 そうなると、何ですか、この期間というのは農林省令で別にきめるわけですが。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 農林省令で六カ月ときめる予定でございます。

片島港日本社会党

○片島委員 これはいろいろ質問をしてみるとしてみるほど非常にあいまいな点が出てきて、(「法案を読んだらわかる」と呼ぶ者あり)——これは全部読んだんです。読んできたんですが、答弁を聞けば聞くほど非常にあいまいな点が出てくるのです。それて、ほかの委員からもまだ質問があると思いますが、なお疑問の点について後ほどに質問を保留いたしておきます。

野原正勝自由民主党

○野原委員長 暫時休憩いたします。    午後二時十二分休憩      ————◇—————    午後二時二十一分開議

野原正勝自由民主党

○野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。  中馬農林政務次官。

中馬辰猪自由民主党農林政務次官

○中馬政府委員 先ほど来問題となりました点について、お答えをいたします。  講習会の問題で、ございますけれども、戦争中試験によって免許を受けた方に対しては、実技を講習会においては免除する。明確にお答えをいたします。  それから、二万円については、免許料としてはやや高うございますけれども、また、反面、物的保証という点からいけば二万円では安いような気がいたしますけれども、これの中間をとって大体二万円くらいということに一つ御了解をいただきたいと思います。

野原正勝自由民主党

○野原委員長 芳賀貢君。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 家畜商法と家畜改良増殖法は、実は前国会で提案はされたけども実際審議はしてないのですね。従って、今国会に再提案になったわけですが、そういうことで、いろいろな問題が多いとも考えるわけです。  ます家畜商法の関係で一、二お尋ねしますが、第一の点は、今度家畜商に免許を与える基本になるものとして講習会を、行なうことになっておりますが、これは講習会に出席したということだけで免許資格ができるという意味ですか。三日間なら三日間、毎日何時間ずつ出席をしましたということだけで、これでもう、免許資格が出るという、そういう意味ですか。あるいはまた、講習受講者が、講習会が一応済んだあとで、何かテストでもやるという形、そういうものを出して、受講者がある程度受講した結果が資格的に資格的にそれが資格かあるという認定をするのか、その点はどうなんですか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 講習をやるにあたりましては、出席した方には十分事情のわかってもらうように親切に講習をやるというようにいたしたいと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 三日間、まじめに出席して、人に迷惑をかけないようにしてその瞬間を終わらせるということが一番大事なことなんですね。それであれば資格が生ずる、免許されるということになるわけですか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 常識的、に言って、まじめに出席なされば免許の講習会を終えたということになります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 次に、現在免許者が七万五千人あるということで、ございますが、今度営業保証金制度等も、できると、こういう新しい制度によって現在の家畜商の数が減るかふえるか、どういう見通しですか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 ちょっとそれは推定はできませんが、むしろ、講習会に来て最近の新しい情勢などをみな勉強したい、まじめな方が多いと思うので、大体現状程度は講習を受けられることだと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 ただ問題は、先ほど説明があった通り、七万五千人のうち兼業者が、——主として兼業者は農業をやっておるわけですが、八〇%以上もある、取り扱いについても、最低一頭、最高三千頭だということになると、年間数頭しか扱わぬという場合は、わざわざ二万円の金を調達してこれを営業保証金として供託してまで家畜商の地位を続けようとするかどうか、ここにやはり問題があると思うのですね。それならやめた方かいいという場合もあると思うのです。ですから、その見通しをどういうように持っておるか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 ただいま芳賀先生御指摘になった人は家畜商ではないわけであります。家畜商とこちらで定義いたしておりますのは、経常的に事業として営む者であります。多くの場合におきましては、農業を兼業しているといいましても、やはりある程度農業をやっているということで、実態といたしましては、方々の農家に行きまして、あそこの家畜は今どの程度になっておるとか、この前世話した子牛がどうだとかいうことで、ほとんどいわゆる営業として家畜商をやっておるわけでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 営業と、いうことになると、兼業の場合に、家畜商の営業か主体であって農業が従であるというものは、これは営業と見なすわけですか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 営業としてやっておる者を対象にいたしております。家畜の性質上農村に出入りする人が非常に多いという意味で、やはりその人自身が農業を兼業しておるかどうかという統計上のことになりますと、るす番の奥さんが耕しておるとかそういう事例が多い。何と言いますか、平面的な観察による農業を兼業しておる者が多いということで申し上げておるのでございまして、家畜商として営業としてやっておるのが、それを主たる収入の対象としておる者が家畜商法による対象になるわけでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そうなると、先ほどの説明は違うのじゃないですか。先ほどは、最低は年間一頭ぐらいの取り扱い者もある、最高は三千頭に及ぶということになると、年間一頭ないし十頭程度では、これは家畜商を主たる業務として、いわゆる営業が主であるということにはならぬと思うのです。ただたまたま家畜商の免許を持っておるというのにすぎないじゃないですか。それでなりわいを立てるということになれば、一体年間どの程度の実績がなければならぬかということにもなると思うのです。あなたの場合には、営業が主である兼業者、これは営業者と見なす、家畜商が従たる兼業の場合にはこれは見なされぬというような説明でしたけれども、その点明らかにしてもらいたい。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 先ほど私が申し上げました農業を兼業としている者が八〇%というのは、農村に割に家畜商が出入りしておる、しかもその人が農村の出身の人である、うちは百姓をやっておるというのがあるということでございまして、常識的に言って、社会通念上家畜取引業を営業としておる者、こういう者を対象といたしております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 これは簡単な問題ですけれども、それでは、家畜商が結局生活の主体をなしておるわけですね。家畜商という営業を営んでいることがその生活の主たるものをいう、従たるものは営業とみなさないということになるのですか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 農家収入の方が家畜の取引による収入より多い少ないということではなくて、従である場合でも、常に市場ができる場合に方々の農家から集めていくのを、そこら一帯であそこは家畜商だ、こういう社会通念上のことをさしておるわけでありまして、収入の多少がどうこうということではなくて、月に二の日なら二の日に市場が立つ場合に、その一帯の家畜はその人が代表してといいますか仕事としてやっておるのだ、こういうのを家畜商といいます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 今局長の言うところによると、免許に関係ないのじゃないですか。従来は五百円納付してそれで免許が取れたのでしょう。それは経営の実態がどうだということとは違うのじゃないですか。免許を取れば家畜商としての資格が生まれるのであって、それ以外に何か免許の条件というものがあったのですが。今までないでしょう。そういうものは今後もないでしょう。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 先生のおっしゃる通りであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 今後畜産農業の部門がどんどん拡大されるわけですが、その場合、家畜の取引とか、それから家畜の交換のあっせんとか、あるいは委託による売買とか、そういうことが家畜商の行なう業務ということになるが、この場合農業協同組合がこれらの事業を行なうこともできるわけですね。その場合には、農協が家畜商としての免許を持ってそういう行為をするか、農協独自の事業としてこれと同一の業務かできるか、そういう点はどういうふうに判断していますか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 農協独自の事業としてやれると考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それでは、農協の事業として家畜の売買かやれるあるいは組合員相互の家畜の交換の場合の仲介あっせんの仕事もも農協としてやれる、あるいはまた、組合員の委託を受けて、そうして家畜を産地から購入して、組合員に対してそれを与える、そういういわゆる家畜商が行なっておる業務のすべての範囲はそのままそれを農業協同組合としての卒業として行なうということには、全然これは問題はないわけですね。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 問題はございませんし、農林省といたしましても、農協等に補助いたしまして、その分野が広がっております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そういうことであれば、今後農協の専業が一連の畜産事業の発展の方向へ主力的に進むということになれば、結果的には家畜商の行なう業務の範囲、営業の範囲というものはだんだん圧縮されるようなことになるのじゃないですか。そういう見通しはどう考えておりますか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 圧縮されるといいますか、農協の方の仕事がふえていけば、あるいは従事者がまた農協の方の職員になるとか、そういうようなことで、携わっている人は減らぬわけであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それでは、現在の家畜商が、今後局長の言うように自然に農協の事業部面に職員という形で吸収される、そういう確たる見通しは一体あるのですか。現在の家畜商と農協との関係が非常に好ましいような状態に置かれておるかどうか、現況は一体どうなっておるのですか。

中馬辰猪自由民主党農林政務次官

○中馬政府委員 先ほどの、農業協同組合の取り扱い量の増大によってあるいは家畜商の取り扱い等が減ってくるのじゃないか、こういう御質問でございますけれども、私どもとしては、今後の農業政策上畜産が飛躍的に拡大するということを考えた場合に、もちろん農協の共同事業の推進ということは当然必要でございますし、また、進んで参ると思いますけれども、他面、また歴史的に見ても、家畜商の持っておる地盤といいますか手腕といいますか、こういうものがありますから、両々相待って進んで参るのではないかと考えております。農協の職員になるとかならぬとかいうことはそう大した問題ではないと思います。家畜商は、本来の仕事として、やはり畜産の飛躍的な拡大に応じて家畜商の仕事も伸びていくものだ、そのためにこの法案を通してもらって家畜商の品位が向上し地位が向上することによって、両々相待って進んでいくものだ、かように考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それは畜産局長の考えと違うじゃないですか。われわれは静かに聞いておると、畜産局長の考えは、従来家畜が行なった事業は本来的には農協それ自身がやれるんだ、やることが将来の発展上好ましいという原則の上に立っておるわけです。そうなると結局農協の事業部面がこれらの部面にだんだん拡大されていけば、結局そこに競合とか競争が生じて、結果的には従来の家畜商の事業の範囲はだんだん縮小されるということに、これは見通しから言ってもなるわけです。その点が一番心配されるところなんです。ただ、農協の組織にこれを融合させて、あるいは職員として吸収するとか、あるいは農協がそれらの専門家に事業の委託を行なうとか委嘱をするとか、そういう形が順調に行なわれていくということであれば、これは非常にいいのでありますが、現実には現地における事情は必ずしもそういうことになっていないのです。そのことは大した問題ではないということにはならぬと思うのです。

中馬辰猪自由民主党農林政務次官

○中馬政府委員 ただいままでのところ、生産者団体たる農協とそれから家畜商等の取り扱い量の比較でございますけれども、六大都市への生産者団体による共同の出荷量は、総出荷量に対して、農協等の場合が役肉牛で七%程度、豚では二十%程度でありまして、ただいままでのところは圧倒的に家畜商の方が多いのであります。ただ、今後の農業近代化等によって農協の受け持つ部面も相当進んでくると思いますけれども、しかし、畜産全体が伸びて参りますから、家畜商の役割もかなり重い比重を占めるのではないか。急に圧迫されてこれが縮小するということは私どもは考えておりません。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 しろうと論としてはそういうことも言えるかもしれぬが、たとえば政府与党が無理に押し通した農業基本法から見ても、これはやはり問題があると思うのです。現在のたとえば農林省の畜産政策の一部には、主産地形成が今後だんだん牛の部面についても、あるいは豚、鶏とか、そういう生産部面は主産地の形成をだんだん行なって、それを基礎にして拡大していくということになるわけです。けれどもその中心になるのは、やはり農業協同組合あるいはこれは共同化、法人化の形でそういう生産の事業というものがだんだん進められておるわけです。そうなると、今度は消流関係では、やはり、消費地に対する供給ということになれば、これは生産と消費のなるたけ中間を省略したそういう需給関係の機構が望ましいということに当然なるわけですね。そうなれば、残る問題は、農村の現地において、たとえば耕馬の交換を行なうとか乳牛の交換を行なうとか、そういう個体の交換のあっせんというようなことになれば、あるいは来の家畜商の仕事というものはまだ温存されるかもしらぬが、大きな発展的意味の取り扱いの分野というものは、これは必然的に縮小される、こういうふうに判断しても差しつかえないと思うのですが、中馬さんはまだしろうとだからあなたはいい。しかし、いやしくも畜産局長の場合にはそういうはっきりした見通しを持っていなければなかなかやっていけないでしょう。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 一般的に言って、私どもといたしましては、畜産物の流通が、何と言いますか、合理化されていない、こういう観察から、生産者団体、それから家畜商の関係も中小企業協同組合などを組織しまして、融資も十分安定して信用ある発展を望みたいわけです。いずれにしましても、共販体制が家畜取引についても十分行なわれるように希望して、また、そういうふうに指導して参りたいと考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 次に、今度の改正点では、帳簿の備えつけの点が法律に出てきておるが、これは内容的にはどういう点を強調する考えであるかを局長から伺いたい。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 現行家畜商法では免許制度の適正な運用をはかるため、正当な理由なくして一年以上家畜の取引を行なわない者には免許の取り消しなどの措置がとれることになっておりますが、この場合には、現行法では家畜商が取引を行なったかどうか確認する方法がございません。法の適正な運用が今まで支障を受けていた。今回の改正では、こういう帳簿を備えつけて、そうして免許制度の適正な運用を期したい、こういうわけであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 ですから、帳簿にどういうことをおもに記載させる考えでありますか、その点を伺いたい。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 帳簿を備えつけまして、取引の年月日、場所、家畜の種類別の取引頭数取引の相手方の氏名などを記載させることにいたしております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それじゃ単に大福帳的な覚え書きじゃないですか。何年の何月何日に何の何がしがこういう家畜を買ったとか、また売ったとか、それだけの記載では、内容が何もないじゃないですか。問題になるのは、どういう値格で取引が行なわれたかとか、あるいは交換、あっせんの場合はどの程度の手数料が収受されたかとか、そういういわゆる営業の内容というものが適正に行なわれているかどうかということをこれをやはり行政的にも指導をするということが主目的であるとわれわれは考えたが、この法律の目的はそうではないのですか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 必要記載事項のおもなものを申し上げたのでございまして、経理事項は当然であります。御指摘の通り、そういう点を十分注意して、記載事項につきましても指導していきたいと存じております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 簡単に答えられたが、そういう点も帳簿に、記載させるのですか。価格とか、手数料とか、あっせん料の収受等を、これは必ず記載しなければならぬ事項として指導するわけですか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 必要記載事項として一気に巖格にそういう事項まできめますことは、相手方が義務になるものですから、きめておりませんが、ただ、指導的には経理関係などを充実していってもらいたい、こういうことで指導いたして参りたいと思っておるわけでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 その点が非常に大事だと思うわけであります。ですから、将来家畜商の営業というものが、あるいは生産者や消費者といいますか、各関係者から信頼されて、この営業というものが将来も続いていくということであれば、一番問題になるのは、信用される取引をどうするか、信用されるに足る取引が行なわれたかどうかということがやはり社会的にもこれは明らかになるようなことが制度上はっきりしてこなければ、ただ単に帳簿だけ備えておいても効果はないと思うのです。もちろんこれは税の関係とかいろいろあると思うが、問題は、その適正なる取引が行なわれたか、また適正な仲介の業務が行なわれたかどうかということが確認されぬと、大した法律の効果はないと思うので、そこを踏み切ってやる考えであるか、これは任意事項にして書きたければ書きなさいという程度ではだめじゃないですか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 本法を改正いたしまして、こういうことをやらせようというゆえんのものは、こういうことをやらなければ取り締まるのだということではなくて、われわれと、しましても、家畜商団体とかいろいろ関係業者の協力を待って、全体的に地位を向上していこうということでありまして、取り締まりの観点よりも、奨励的に地位を、向上していこう、そういうために、これは一例でありますが、講習会等を設けておるわけでございまして、そういう気持でありまして、取り締まっていこうということではなくして、むしろ、団体活動等関係業者の努力と相待って、それから政府、都道府県の指導とも相待って、地位を向上していこうということで、親切に指導して参りたいと考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それでは、そういう適正な、営業者として当然受け取るべき手数斜なりあっせん料というようなものの基準、そういうものは行政的に何か考えているのですか。牛馬のあっせんをした場合には大体どのくらいとかいう何か指導基準、というものがなければ、適正にやれやれといったってできないと思うのですが、そういうものはお考えになっておられますか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 そういう点につきましても、各関係団体ともよく話し合いまして、どうやったらみんなの地位の向上ができるか、相手方も納得できるかというような点を十分検討して参りたいと思っております。今具体的なものはございません。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それでは、近いうちにそういう方針をきめて、それで行政的に措置したい、そういうことですか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 その通りであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それだけに、しておきます。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 関連して……。ちょっと一点、さっきのことなんですが、第十条の四の「家畜商と家畜の取引の契約を締結した者は、その契約によって生じた債権に関し、当該家畜商が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有する。」、ここに非常に問題がある。これは、債権の確定というのは非常に困難だ。それで、こういう点について非常におそくなると思いますが、その2に、「前項の権利の実行に関し必要な事項は、法務省令、農林省令で定める。」、こうなっておりますので、法務省令、農林省令はもうできておると思いますが、本来から言えばこれは示してもらうことがこの問題を確定するのに非常に必要だと思うのでございますが、これはあまりやっておると、時間がありませんから、できておりますかどうでございますか、どういう趣旨のものができておるか、この際あったら承っておきたいと思うのです。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 営業保証金の還付手続でございまして、還付請求者は都道府県知事あての通知書——供託所に通知をしなければならないこと及び通知書の様式ということで、ございまして、具体的に条文はできておりませんが、第十条の四の第二項で規定すべき事項を予定いたしております。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 それでは、この省令等に対しましては、十分できていないとするならば、今論議されましたような点は十分考慮されて、この省令を作成される場合お考えいただきたい、こういうことを希望申し上げまして、質問をやめます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 家畜商法についてはまだ問題がありますが、政府が善処するということを明らかにしておるので、それにある程度期待を持ちたいと思います。  次に、家畜改良増殖法の改正案についてでありますが、この法案は、先般の提案理由の説明の中にも、本法の改正によってわが国の畜産農業の発展のためのある意味の推進力にしたいということが述べられておるし、また、従来の日本の畜産の態様は農業の副業的な地位に置かれておったが、最近は主体的に畜産農業というものがだんだん成長する傾向にあるというような判断も行なわれておったわけですが、家畜改良増殖法の改正の場合、従来の制度との関係を見ると、有畜農家創設特別措置法というものが現存しておるが、これは、御承知の通り有畜農家の創設事業を進めてきたわけで、相当の成果をあげておるわけですが、これとの関係を増殖法の中でどういうふうに強力に進めるか、その点について説明を願います。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 従来は有畜農家創設基準というものを設けてやっておりましたが、今後は、有畜農家育成基準ということで、頭数も引き上げまして、そういう対象までも家畜導入の対象にいたしまして助成していこう、こういうわけであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それでは、従来の有畜農家の創設基準と今度政府が考えておる育成基準の相違点はどういうところにありますか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 今までは平均以下のものを助成対象、家畜導入の主力としておりましたが、今度は、今後の経営等の条件を見まして、多頭飼育のものまでも実畜導入の対象としょう、こういうことで、無畜農家を解消して有畜農家にしていこうということが有畜農家創設特別措置法の趣旨ではございましたが、それを今度うんと拡充いたしまして、一、二頭飼い、三、四頭飼いのものがさらに適正規模をなすまで家畜導入をしようとする場合までも政府の家畜導入の助成措罪によりまして育成していこう、こういうことで、従来よりも基準を引き上げたわけでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 育成基準の要綱はもうできておるのでしょうね。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 目下作成中でありまして、頭数で例示をいたしますと、略農経営の乳用牛では、ただいま成牛で北海道が十頭、子牛で四頭、肉牛の生産経営では成牛で九頭、子牛で四頭のものについても家畜導入の対象として政府は本法によって助成する、こういうことであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 おかしいじゃないですか。これは前国会に出して廃案になった法案でしょう。この関係の三十六年度予算は成立しているのですからね。ですから、もし通常国会でこの法案が成立しておれば、当然育成基準というものを明らかにして、これによって施策を進めていくことになる。にもかかわらず、もう次の通常国会が迫っている今日、まだできておらぬというのはどういうわけなんですか。何も仕事をやらぬで、法律だけ出して予算だけとればいいというやり方なんですか。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 大綱はできております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 大綱じゃなく、基準の要綱があるでしょう。

森茂雄農林事務官(畜産局長)

○森(茂)政府委員 有畜農家育成基準の要綱案は準備いたしております。   〔「何もしてないじゃないか」、「読み上げたらどうだ」と呼ぶ者あり〕

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 いや、そういうものは、読み上げるなんというのはまことに不見識な話で、当然、この法案の審議に合わせて、政令とか省令とか必要基準要綱とかいうものは、全部提案理由の説明をやるときに整えて、さあどうか審議して下さいということであれば、われわれも熱意を持って審議を進められるが、質問されて、いや大綱がありますとか内容はありませんとか、そういうことでは審議は進まぬじゃないですか。しかも今後畜産農業の推進力としてこの増殖法を活用するということであれば、もう少しはっきりした姿勢で国会に臨むのでなければ、そういうへっぴり腰では何も畜産農業なんというものは進まないと思う。ですから、要綱案が数日中に出るのであればこの法案の審議はその時期まで保留して、十分慎重審議して、今後の畜産農業の発展のためにわれわれも意欲を燃やしたいと思う。どうですか、そういうものがそろわなければやれないじゃないですか。

中馬辰猪自由民主党農林政務次官

○中馬政府委員 家畜改良増殖法に対するいろいろな資料その他については後ほど提出をいたします。

野原正勝自由民主党

○野原委員長 中津君。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 当委員会の運営上の問題についてですが、たとえば、この前通った法案だって、一応廃案になって出てくるのですからね。少なくとも昔の読会時代の国会というものは、法律を出すときに政令を出さないことなんてなかったものです。必ず法律に政令がくっついたものです。戦前の国会では政令を出さなければ審議しなかったものだ。戦後悪い風潮がついちゃって法律を出せば政令なんて知っちゃいないというのは、どこの委員会でもそういう傾向だ。私はそういうことはまずいと思う。法律を出すときは、参考資料と省令ぐらいはきちっとそろえてやるという方向に今後の運営を委員長がよく当局に言ってもらわぬと、何を聞いても、今準備中だ、まだこれから用意するんだ、今討議中だ、それではいかに委員長が通してくれ通してくれと言ったって、われわれ法案を真剣に討議して通すというわけにいかないじゃないですか。やはり、当局がいま少し熱意を持って、少なくとも、法律を出すときは、政令が間に合わなければ大綱ぐらいは出すという慣習を今後の国会運営でつけないとよくないと思うのですよ。だから、そういう点について皆さんがいいと言えば反対するわけじゃないが、増殖法なんか聞いてみると何が何だか、何にもやってない。これからやればいいというような話では、行政指導も全然できやせぬじゃないですか。そういう点では、国会の権威ある運営上委員長は当局に、もっとこれこれの資料ぐらいそろえて、こういうことを言ってもらいたい。

野原正勝自由民主党

○野原委員長 委員長から政府に一言申し上げておきます。審議にあたって政府側の準備はなはだどうも十分でない点を認めますので、今後は、十分用意されまして、参考資料等もそろえ、また政令案その他等も当委員会に御提出をいただきまして、あわせて審議をする。かように一つとくと政府の善処を要望したいと思います。  ただいま議題となっております二案のうち、家畜商法の一部を改正する法律案につきまして質疑を終局いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり、〕

野原正勝自由民主党

○野原委員長 御異議ないと認めますので、質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————

野原正勝自由民主党

○野原委員長 これより討論に入るのでありますが別に討論の通告もありまんので、直ちに採決いたします。  家畜商法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の、起立を求めます。   〔賛成者起立〕

野原正勝自由民主党

○野原委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————

野原正勝自由民主党

○野原委員長 なお、本案に対しまして山田長司君より附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、提出者より、その趣旨の説明を求めます。山田長司君。

山田長司日本社会党

○山田(長)委員 私は、ただいま議決いたしました家畜商法の一部を改正する法律案に対しまして、自民、社会及び民社の三派共同提案の附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。  まず案文を朗続いたします。  家畜商法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、従来からの家畜取引の実態にかんがみ、家畜商の家畜の売買、交換又はそのあつせんに際し、不当に流通経費の増嵩をきたすことのないように、本法第十一条の二に規定する帳簿に家畜商の行なう家畜の売買の価格、取引に伴なう報酬等の額を正確に記載させることとするとともに帳簿の検査及び指導等法の施行に遺憾なきを期しあわせて、都道府県関係職員そのものに対する行政指導の徹底を期すること。なお、家畜取引に係る不当な報酬額の法的規制については、今後引き続き検討し、すみやかに成案を得るように努めること。  右決議する。  こういうものであります。  従来、家畜の取引に関し、家畜商の行なう取引においてしばしば家畜を生産する農民が不利益をこうむっている例が見られますので、この法案の成立後における法の運用に、あたりましては、附帯決議の内容を十分考慮して、家畜商の地位の向上をはかることが適当と思うのであります。  委員諸君の全会一致の賛成を希望する次第であります。

野原正勝自由民主党

○野原委員長 これより採決いたします。  山田長司君の動議のごとく決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野原正勝自由民主党

○野原委員長 御異議なしと認めます。よって、本案には附帯決議を付することに決しました。  ただいまの附帯決議について政府の所見を求めます。中馬農林政務次官。

中馬辰猪自由民主党農林政務次官

○中馬政府委員 ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましても十分に検討を加えて努力をいたしたいと考えます。     —————————————

野原正勝自由民主党

○野原委員長 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては委員長に、御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野原正勝自由民主党

○野原委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  明日午後一時より、開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時八分散会。

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