農林水産委員会 第3号
- 発言数
- 92 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/10/03
会議録
○野原委員長 これより会議を開きます。 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。 農林水産業の基本施策について質疑の通告がありますので、これを許します。稲富稜人君。
○稲富委員 昨日総理から聞きますと、河野さんが今回意外にも池田さんの信任の厚いことに、なお一そう私驚いたわけでありますが、その総理の信任をしょって農林大臣に就任されたわけであります。その任務も非常に大きいと思っております。特に、今回の国会は、去る国会におきまして通過いたしました農業基本法の裏づけをやらなければいけない臨時国会であると思うのでありまして、私たちは、そもそも去る国会で通過いたしました農業基本法の内容につきましてはいろいろ意見はありますけれども、農民は、この農業基本法を実施されることによって何か農村がもっと浮かばれるだろうという期待も非常にあるだろうと思うのであります。その期待に反しないような基本法に対する裏づけをやることが非常に必要であると思うのでありますので、そういう意味から、私は、重要点について二、三お尋ねをしたいと思うのであります。 この農業基本法の肉づけに対する一番大きな第一点に取り上ぐべき問題は、しばしば問題になっておりました農業構造の改善政策であると思うのであります。これに対しまして政府はどういうような具体策を持っておられるか、こういうことをこの機会にお尋ねしたい。すなわち、なぜであるかと申し上げますと、これは私が申さなくてもわかるように、農業基本法の中では、農業従事者と他産業従事者との所得の均衡をはかることが第一の目的であるのであります。これがためには農業構造の改善政策というものが当然行なわれるという眼目になっておるわけでありますが、最近の農業人口は、御承知のごとく著しく減少いたしております。農業人口は減少いたしておりますけれども、農家戸数は減らないというような状態なんです。これは一面には日本農業の老齢化を意味するものであって、これは決して喜ばしい現象ではないのであります。私たちは、こういうように自然現象によって農村の人口が流出するというようなことは、農業近代化の早期達成にはならないと思うのでありまして、これに対しまして、やはり、農業近代化を早期達成するような、こういう政府の方針を打ち立てて、そして、これに勇敢に進むべきことが必要であると思うのであります。この点が抜けると、それがために今申し上げましたような経済成長に伴いまして農村が老齢化するというような欠陥になる。これは非常に将来の農村のためには重大なる欠陥をもたらすと思いますので、この機会にこの問題に対する政府の方針をまず承っておきたいと思うのであります。
○河野国務大臣 ただいま稲富君からお話のありました点は、私も全く同感でございます。ただ、注意をいたさなければなりませんことは、特に農村の誤解を招くことだと思うのであります。私その点について特に考えたいと思いますことは、現在のわが農村構造は、御指摘の通りに、今日の段階になりましたならば、たとえば耕地が非常に過小であり、その上に立てられた経営は非常に困難である。これを手放しでそう申しますと、しからば過小の耕地の上に立っておるものは一体どうするのだ、切り捨てるのかというような誤解を招くわけであります。私は、どこまでもそうした農民諸君をして誤解のないように、農民諸君の行くべき方向、行くべき施設というものをまず整備いたしまして、そうしてその上に農村の構造はかくあるということにして参らなければならぬ。その首尾を一貫いたしませんと、そこに非常な混迷と混乱と疑惑を招いて参りますから、この点特に注意して参りたい。その意味におきまして、明年度より農村構造の改革ということに私は手をつけて参りたい。その間に他産業との関係もむろん出て参るでありましょう。今御指摘のように、農家戸数は減ってないけれども、労力は相当に移動しておる。私は、この労力の移動ということが他の国の農業と異なった点でございまして、そこに、私昨日も申しましたように、農村の工業化というようなことについても考える必要があるだろう。つまり、農業をそれ自身で欧米に見られますように、十町歩もしくは二十町歩というような広域に基礎を置きましてそこに農業経営を計画するというようなことがわが国にはほとんど不可能でございます。従って、わが国農業に関する限り、純粋の農業ということでやって参る地区もしくは経営、それと、今尻に進行しつつありますような一部の労力は都市の産業、そして残ったものは農業というような形態も当然考えられてよかろうと思うのであります。この点は、すでに御承知と思いますが、最近世界の各地に見られる傾向でございまして、都市の労賃が非常に高騰してきた、そのために、この都市の工賃を目標にして一部の農村の労力はその方面に転換されておる。現にアメリカ等においても相当に見られる現象であると私は思うのであります。従って、わが国においても、こういうものも経営の有力な要素に考慮しつつ、新しい農村のあり方というものを考えるべきじゃなかろうかと思うのでございまして、私は、まだ最終的な結論には達しておりませんけれども、明年度から農村構造改善のために相当大規模な施策を講じて参りたい。これを農業基本法の柱にいたしまして、そこに新しい農村を打ち立てていきたい。もう少し進んで御説明申し上げるとよろしいと思いますけれども、九日に第一回の農政審議会をお集まりいただいて、それらの諸君の意見も十分拝聴いたしまして、そしてなお党の政調等において最終的な決定をいたしたい。鋭意立案に努力中でございますので、いずれ成案を得ましたならば通常国会において十分御説明申し上げたい、こう考えておる次第でございます。
○稲富委員 この農業構造の改善策は、今大臣も言われておるように、非常に事重大でございます。これによって農村も農民が十分期待の持てるような、こういうような方針をとられることが必要であります。事重大でありますだけに、いずれ政府としても成案を得られるということでありますから、その機会にさらに私もこの問題を検討したいと思うのであります。 さらに、この一端に対しまして、いわゆる農業経営の共同化の問題があるわけでありますが、まず、この農業経営共同化の一端と申すのでございましょうか、今回、政府といたしましては、農協法の一部改正による生産農協を廃して農事実行組合の方途を打ち立てる、こういうことを考えていらっしゃるやに承っておるのでありますので、この機会に、どういう観点からそういうような計画をしていらっしゃるのか、さらにまたこれに対する具体的な構想があるならばそれもあわせて伺えればけっこうであるし、さらに、これと加えまして、今申し上げました農業経営の共同化の問題に対してさらにどういう考えで推進するというような考えであるか、あわせて承りたいと思います。
○河野国務大臣 実は、われわれの方といたしましては、ただいま御指摘の点につきましては、農村の各地の状況をつぶさに検討いたしました結果、農村の方面の御要望もございまして、農事実行組合というような形式をとりまして、そして農村の実情に応じてこれを単位としてやっていく方が農村の御要望に沿えると思いまして、今その方面を検討して成案を得ようといたしておるわけであります。別に、御指摘になりましたように、協同組合形式では絶対いけない、これでなければ絶対ならぬというほどのものではないと思いますけれども、実はそういう御要望が多いようでございますので、その方面の研究をいたしておる、こういうことでございます。
○稲富委員 この問題につきましても、これは非常に農村に及ぼす影響が大きいと思いますので、これも成案を今検討中だそうでありますので、いずれこの国会に提案されるという考えでありますか。でありますならば、これが提案されましたときに十分この問題に対しては審議を進めたいと思うのであります。 その次にお尋ねいたしたいと思いますことは、昨日の農林大臣の所信表明の中にも、農地の集団化をやらなければいけないということを主張されておるのであります。これはもちろん私たちけっこうでございますが、非常に事はむずかしいと思うのであります。ただ、私たちは、そのむずかしいというのは、農村の古い慣習というものがありますので、その点が非常にむずかしいのじゃないかと思うのでありますが、しかし、これを推進する上においては、比較的可能な問題からこれを取り上げてやっていくということが必要じゃないかと思います。その比較的可能な、あるいは共同利用であるとか、こういうようなことで集団化をはかることが必要であると思いますが、起こってきますのはやはり経済上の裏づけでございます。昨日も農林大臣お聞きになっておりますように、総理も、農村金融というものはできるだけ低利の金融に持っていきたい、しかしながら、補助、助成というものも、これはなくするわけにいかないので、これもやらなければいけない、こういう二様の考えを言っておったのでありまして、なるほど、農林大臣もそうだと思うのでありますが、こういう問題に対しましては、やはり補助、助成というものが積極的になされることによって、これを推進するということも進んで参るかと思いますので、これに対する農林大臣としてのお考え方を承りたいのでございます。
○河野国務大臣 昨日総理から御答弁申し上げました通りでございますけれども、実情はまだなかなか理想的にはいきにくい点が多い。そこで、私は、具体的に申し上げますと、共同事業の場合にはなるべく補助でいきたい、個人に対する場合には融資でいきたいということを、原則ではございませんけれども、大体そういう方向で、従来は個人までなかなか及ばなかった、それを個人の農業を育成するというところまで入って参りませんと、構造の改善というところまでいきにくいんじゃないか。今の土地の集団化ということについてお話がございましたが、もちろん前提をなすものでございます。しかし、それとても、今申し上げましたように、経済上の裏づけ、もしくは企業のあり方等がまず優先的にきまりまして、そうしてそれに対する十分利害を各農家が自覚いたしまして、そうしてその上に組み立てられて行くべきものだ、こう思うのであります。申し上げますことは簡単でございますが、さて実行となれば、よほど各地の御理解がなければできにくい。ことに一番障害になりますことは、最近の土地の値上がり率、これが非常に全国的に不均衡でございまして、一部においては非常に土地の値上がりがはなはだしいところがあり、一部においては必ずしもそうでないというような関係がございますし、また、新たに政府が道路について格段の配意をいたしております。これらの道路の関係から産業の関係が変わって参るというようなこともございますので、それら総合的に農業の組み立て方をして参ることが必要であろうというようなことをいろいろ考えて参りますと、一ぺんやったことが全く観点がくずれるというような点もあるわけでありますし、従って、よほど慎重にいきませんと、あとから失敗をしてかえって迷惑をかける場合が生まれてくるというようなこともございますが、さればといってそれを待っているわけにも参りませんので、そこらの関係というものを十分勘案いたしました上で具体案をきめて参りたいと思っております。
○稲富委員 ただいまも御意見がありましたように、助成の問題は慎重におやりになるということはわかりますが、それと同時に、今も御意見がありました通り、農村金融の問題でございます。この農村金融の問題は、日本の農業を進める上においては、当然これはやらなくちゃいけない問題であるのでございます。これは大臣がいらっしゃる前総理にまずお尋ねいたしたわけでございますが、そういう点から申し上げまして、まず農村金融の資金面でございますが、今回農業近代化推進については農業近代化資金制度を設けられておるわけでございます。これは、きのうも申し上げましたように、組合資金の政策的な利用なのでございまして、一面から申し上げますと、政府としては非常に責任を回避されておるような感があるのでございます。私たちは、もちろんその組合資金の利用も必要でございますが、一面においては、やはりもっと積極的に政府みずからの金融面を確立するということが非常に必要じゃないか、こういう点もあわせて考えるべきだと思うのでございます。この重大な農村近代化をはかろうという近代化資金を組合資金に依存するというような考え方ばかりではなくして、もっと積極的な国としての金融方針を樹立する必要はないか、こういうことも私はお尋ねしたいと思います。
○河野国務大臣 これは、私、前回農林大臣をいたしましたときに、農村の資金、ことに組合の資金、これが現在のような三段制の信用部の資金でいいだろうかということに触れまして、実は失敗をいたしました。従って、今回は特に慎重にいたしておるわけでございますが、これは委員の皆さんにも十分御検討を賜わりたいと思っておる第一の点なのでございます。御承知の通り、農村の預貯金は、利息を高くいたさなければ都市の銀行に流れていく危険があり、都市の銀行と競合するために、組合の預金の金利は相当に高うございます。そうして、これが農村資金以外の方向に実は相当たくさん利用されている。昨日もお話が出ましたように、大企業に相当に農村資金が回っておる。しかも、一般農村の資金は、今お話しの通り低利で、長期でなければならぬし、しかも資金が足らない。そういうことでございますので、この点、まず私は、農村金融の問題を考慮いたします場合には、現在の組合資金というものが現状の通りに考えられて将来も続いて参るべきものかどうか、農村自身の資金が他の方面に、非常に極端に申せば、最近は一部コール等にも回るというようなこと、さらに中央の最近の資金難にこの農村の資金が相当に大きなウエートを持っておるというような点は、何にしてもそこに理解できない点があるのじゃなかろうか。一方、農村が御指摘のように非常に資金に困っているのに、農村の資金が中央に吸い上げられて、これが中央の一般の産業資金に相当に多分に考えられておるということをこのままにして一体いいだろうかどうだろうか、一体今の三段制にあるところの組合金融というものは改善の必要ないだろうかどうだろうか、これも現状が最善であるかどうかという点でございます。しかも、極端に申せば、一方の農村の預貯金は中央まで高金利で流れてきて、一方農村は安い資金が必要だというので上から流さなければいけないというこういうような状態、この間に一体どういう関係をわれわれとして考える必要があるのだろうか、また、そういうことを考えて可能であるかどうだろうかという点は、どうしても私は何らかそこに結論を出す必要があるんじゃなかろうかと思いますけれども、長年の慣行でございますので、にわかにこれを改善するということがなかなか困難でございます。しかし、何にしても、現状のように農村の貯金がそのまま中央に来て大産業の資金に回る、一方非常に資金が足りないで上から流さなければいけないという問題は、どうも割り切れない問題が私は多いと思います。しかし、それはそれにして、当面の問題は今稲富さん御指摘の通りでございますから、われわれとしては近代化資金をこれに依存するような点については考えなければならぬ点が多かろうと思いますけれども、何分今のようなものを内部に包蔵いたしておりまする関係から、常に外部から指摘を受ける点もそういうことにあるんじゃないかと思います。この点については、失礼な申し分ですが、お互いに農村関係の問題を長年検討いたしております立場におきまして、一つ御協力いただきまして、現状でいいか悪いか、直すとすればどう直すべきか。これは重ねて申し上げますが、この前大胆に発言いたしまして失敗いたしましたから、今度はそう勇敢なことは申しませんから、一つ皆さんのお知恵を拝借いたしまして、これでいいか悪いかということについても御検討を賜わりたい、こう思っております。
○稲富委員 実は、この問題につきましては、去る国会のときも私農林大臣及び大蔵大臣にただしたのでありますが、農林大臣は、このままこれを拡大するような方針に持っていきたいという意見でございましたけれども、大蔵大臣の考え方はいささか違っておるのでございまして、ことに組合資金の問題については法の改正を待っていかなくちゃならぬじゃないかということまで大蔵大臣は言っておったのであります。その後政府としては何らこれを考えていらっしゃらないような点もありますので、この機会に実はお尋ねしたわけなんでありまして、組合資金の問題はやはり検討する必要がありましょうと思いますけれども、それと同時に、やはり国としての農村の金融処置というものはもっと積極的に考える必要がないか。それに対しましては、今日の農林漁業金融公庫あるいはこういうような政策金融機関に対しての整備というものはもっと考えなくちゃいかないんじゃないか、この問題に対して大臣はどうお考えになっておるか。私は、将来やはり農村がこれを利用する上から言えば、さらに検討する必要があるのではないかと思いますが、この点もこの機会に一つあわせて承っておきたい。
○河野国務大臣 御指摘の通り、整備拡充の必要があることは私も同感であります。ただ、従来、一般の農村の関係の、昔で申せば農工銀行というような長期不動産担保の銀行というようなものもありましたが、これらはいずれも整理されております。この組合金融が非常に強くなっておる。これを今後どういうふうに再整備、再検討して参るかということは非常に重大な問題であります。その基本になる問題は、やはり現状の農村金融機関として最も大きなウエートを持っております組合金融を現状のまま置くべきかどうか、これに結論を出して、それに補強して参るという形式をとるか、全然別個の金融機関を拡充して参るか、新設するかということになるのであります。要は、今申し上げました組合金融が基盤になると私は思うのであります。ところが、一応形式的には非常に全国に行き届いておるべきはずでございますが、長年の慣行から、先ほど申し上げましたように、片道金融、預金の方は預金の方でずっと上まで上がってくる、貸付は上から下まで下がってくるという格好、この形式は、私はどうも適当でない。そこを何とか改善の余地があるかどうかという点だと思うのでございます。それが結論が出ませんと、他のものについての考え方は非常にむずかしいという気持がいたします。
○稲富委員 金融問題にはいろいろあると思うのであります。ことに構造政策等の問題も関連いたしまして、やはり生産基盤に対する融資の問題等が当然起こってくると思います。こういう点から申し上げましても、やはり低利融資の道が開かれなければいけないと思いますので、今日の自作農資金であるとか、こういう問題に対する改善方法も一応考えなければいけないのじゃないか、さらに農地金庫法なんかの問題を検討する必要があるのではないか、こういうことも考えなければいけないと思いますが、これに対して政府はどういう考えを持っていらっしゃいますか。
○河野国務大臣 いずれも金融上の問題でございまして、しかもぜひ必要な問題であると考えておりますが、私は、構造改善についてまず手をつけて、そして順次そういう方向に及んでいくという考えでございます。しかし、これは本来申せば同時もしくは優先して考えるということも必要かと考えますけれども、何分、先ほど来申し上げました通り、組合金融というものは相当に強力に組織づけられておりますので、しかもこれをどうするかということがあるものでございますから、ついあと回しになるということだと思うのでありますが、要は一つ稲富さんその他社会党さん等の御意見も拝聴いたしまして研究いたしたい、こう思っております。
○稲富委員 ただいまの大臣の御答弁によりまして、農村金融の必要性ということはもう十分わかったわけでありますが、次に来る問題は、農村金融金利の問題であります。これは昨日も触れたのでございますが、農村金融というものは、高過ぎては農村経済の上において十分役立たないという問題が起こってきますので、これは当然低利長期の金融制度を確立することが必要であると思うのでありますが、さしあたってここでお尋ねしたいと思いますことは、今回政府の計画されております近代化資金に対しましても、末端利子が七分五厘というのは、これは高過ぎるのであって、将来これを下げるという御意向はないのであるか、この点を一つ大臣としてあなたの政治力をもってこの問題だけは実現してもらいたいと思うのですが、いかがでございますか、御意見を伺いたい。
○河野国務大臣 私も七分五厘という金利は実に高い金利だと考えます。しかし、何を申しましても、一般の金利が御承知のような状態でありますし、のみならず、特段にこの金利だけを下げて参るということの非常な困難性がありますので、実は、私も、過去の実例、現状等については十分事務当局の意見を聞きまして、いろいろ勘案いたしましたけれども、明年度予算の編成にあたりましても、直ちにこれを五分五厘にするとかというようなことはなかなかむずかしいという結論に今はあるわけでございますが、決して七分五厘で適当であるという考えを持っておるわけじゃございません。何にいたしましても、一方の農村の預金金利が相当高うございますので、貸付の方の金利を下げて参るということに実は相当困難性があるのではないかという気持も私はいたすのでありまして、従って、これらの点をどういうふうに割り切っていくかということが必要だ。高く預かって安く貸すというわけにも参りませんから、そこで、これら一連の農村金融金利をどういうふうなものにいたすべきか。ことに稲富さんは西南の方でいらっしゃいますから、割合に組合の金でも安い金を使っていらっしゃると思いますが、これがわが国でも東北、北海道の方面に参りますと、実は今でも金利が高いと私は思います。同じ組合の中にも、西と東でそういう金利が違うような実情もある。私は最近のことは聞いておりませんが、そう直っていないと思います。そういうことで、同じ農村でもそういう点がありますので、実はこれらの点についてどういうふうに見るべきものかということは、先ほど申し上げました通りに、構造改善をして参る、新しい農業を形成して参るという場合には、従来と違って経済行為を農業に非常に敏感に取り入れて参らなければならぬのでございますから、そこに金融とか資金というような問題の影響する面が非常に強くなってくる。産業が高度化されて参れば参るほど資金というものの影響力が強くなって参るのは申し上げるまでもないことでございますから、当然、われわれとしても、重要な問題としてこれらの基本的な解決を迫られておるのではないかと思うのでございます。
○稲富委員 これは大臣も認めていらっしゃるように、農村金融がほかの産業の金融に比べて非常に高いということは、すべての産業面から申し上げましても、この不合理が今日通っているのでありまして、これはほかの産業から比べましても一番成長度のおそい農村金融というものは優先して下げなければならない。そうなりますと、当然利子補給という問題も起こってきましょうし、ここに農業に対する保護政策の一環というものも当然考えられると思うのでありまして、農村に対する保護政策をやらなくてはいけないということはわかっている。どういう点で保護政策をやるかという場合に、おのずからやはりこういう問題が起こってきはせぬかと思うのでありまして、これは農村の近代化を促進していく上から申し上げましても一番必要な問題ではないかと思いますので、これに対しては、何とか一つ検討するというようなことでは、こっちでほんとうに取り組んでいる農民はいらいらすると思うのです。それで、来年度からでも何とかやらなくてはならないという積極的な意思表示をしていただきたい。
○河野国務大臣 ただいま御答弁申し上げました中で一つ間違いがございますから訂正いたします。 先ほど申し上げました通りに、構造改善をやって参ります場合に金利の点が非常に重要であるということを検討いたしました際に、実は、われわれ考えております構造改善をいたします町村のその資金につきましては、無利子の金と抱き合わせをいたしまして、この資金は実質的には五分ということになるように考えておるわけでございます。もっと安くというようなことは、実は私三分と言ったのでございますが、そこまで参りませんで、構造改善の個人融資については五分の利息でやって参る、こういたしております。ただ、これだけでございまして、御指摘の金利がまだそこまで参りませんことははなはだ遺憾でございますけれども、順次努力をいたして参るということで御了承いただきたいと思います。
○稲富委員 幸いに、大臣の、これは個人的な御意見かと思いますが、金利の妥当性について御意見があったのでございます。私たちも農村金融と、いうのはやはり三分から三分五厘くらいまででなければほんとうに農村が活用することに対して非常に無理があると思うのでありまして、幸いに大臣も三分くらいがいいというような御意見もあるようでございますので、そういう意見がありますならば、その点を一つ将来大いに生かしてもらうということを重ねてこの際希望いたしまして、大臣のこれに対する考え方を承りたい。
○河野国務大臣 御案内の通り、実は、中小企業の設備を改善する資金は政府が無利息で出しております。この無利息の資金が今十五億かわずか二十億だと思いますが、少なくとも百億くらい出したいということを、私、企画庁長官のときに主張いたしまして、わずかの金額にとどまりましたが、実はあるわけでございます。 農村につきましても、ほんとうに新しい農業を打ち出して参るという場合には、当然、今申し上げた通り、無利息とは申しませんけれども、私は五分程度——そうして、たとえば温室を作らせるとか苗木を植えるとか、植えてみたところで三年、五年はならないのでありますから、そういうような資金でこれが植付をする、そうして鶏小屋を建てる、豚を飼うというような場合、いずれも相当な期間は収入がないのでありますから、こういう点も当然無利息の金で、もしくは低利の金でということが構造改善の場合に考えなければならぬことであるということでございますが、何分まだそこまでいっておりませんのと、一方において組合金融の預金が相当に利息が高いという点がございますので、これにもある程度制約を受けると思います。従って、協同組合の資金、組合の預金というようなものについては、農村の協同精神をさらに高揚いたしまして、お互いに有無相通ずるという方向にまでいくべきものだと思います。これらは、欧米の、たとえばデンマーク等の農村の事情等を勘案いたしましても、政府も強力に援助し、支持はいたしております。また、そこにおります組合運動に関係しております人の理解も相当深いと思うのでありまして、わが国の場合においては、資金のない人、困っておる人、その土地の問題は一応解決したといたしましても、その土地の上に構造いたして参りますものの資金については、資金のある者、ない者という間に、ただいま申すように、資金のある者は非常に高利で預金ができる、ない者は高い金を借りなければならぬというような事情になっております関係等、非常に複雑でございますから、これらを何とか妥当性あるいは協力性というようなものが生きていくように農村も御協力を願いたい、かように思う次第であります。
○稲富委員 農業所得の増大の面においてその次に大きな問題は、農産物の価格対策が必要であると思います。これは、昨日も農林大臣は、農産物の価格対策はなかなかむずかしい、むずかしいからといってほっておくわけにはいかないのだ、こういうような御意見もあったようでありますが、これはやはり適地適産とかそういうことも考えていらっしゃるようですが、生産の総合計画を立てなければ、ただ単なる適地適産では生産過剰という問題が起こってくるので、これは適地適産けっこうでありますが、やはり国としての総合計画に立った生産計画というものが非常に必要ではないかと思うのであります。その総合計画にちなみまして、当然これと並行して行なわるべき問題は、価格の問題に対してどこまでこの価格に対する保障をしてやるかという問題がおのずから起こってこなければ、生産者の生産に不安が起こってくるという問題があると思います。これに対してどういうような価格政策をとっていこうとしていらっしゃるか、承りたいと思います。
○河野国務大臣 御指摘の通り、計画に総合性がなければいかぬ、これはもちろん私たちも同様に考えます。従って、構造を全国的に考えます場合に、それに打ち立てられます生産計画が国の需要にある程度合うように、もしくは海外市場の引き合いのつくように考えていかなければならぬことは当然のことであります。ただ、その際に、価格を保障する、価格を支持するというような点についてのお話でございますが、私は、わが国の農業が単純な農業でございますれば、割合にやりやすいと思うのでございます。御承知の通りに、米麦その他重要農産物につきましては、ある程度私は可能だと考えます。しかし、非常に高度化せられたる農業、たとえば今新しく起こって参っております畜産とか果樹、園芸、蔬菜というようなものにつきましては、一部の畜産は、もちろんこれはできるだけやりますけれども、果樹、園芸、蔬菜につきましては、なかなか困難性が多い。そこで、計画いたします際に、これらのものは、特殊の天災に見舞われますことはむろん考えなければなりません。考えなければなりませんけれども、そうでない限りにおきましては、需給の計画をある程度立てることによって、そう価格の点について大きな施策を施さずに需給のバランスを合わせるということで、経済の実情に合った価格が生まれてくるのではなかろうか。むしろ取引きの合理化、取引の改善という方にまず力を入れて、なるべく中間経費を排除する、そこに協同組合運動を基盤にして、そしてその販売の方法を是正して参るというような点に第一着手をして、現にアメリカ等でやっておりますような価格支持政策というものは、ものによっては必ずしもその結果が長い目で見て——一時的には相当農村を助ける点があるかもしれませんが、長期にわたって見ればむしろそれが重圧になるおそれがあるということも考慮しなければならぬのじゃなかろうか。ある程度に価格を支持いたしますと、それに向かって消費がついて参らぬのに、生産だけが依然としてついて参るというようなこと等も考えなければならぬと思うのでありまして、これらはしばらくやって見た上でございませんとなかなかそう簡単に踏み切れないのじゃなかろうか、こう思っております。
○稲富委員 需給関係によって価格政策をやっていく。そうすると、生産計画をやっていけばそう変動がないんじゃなかろうかというような見通しのようでございますが、これは生産する者から見ればやはり相当不安があるわけです。そういう点から、変動がないというなら、なおさら、支持価格政策をとっていっても、あるいは英国あたりがやっているような価格保障制度を確立するというような方法でやっても、価格政策というものは非常に維持される、こういうことになるのじゃなかろうかと思うのであります。やはり、農業生産で一番不安な点は、たくさんできれば安くなるんじゃないか、ここに、今までこれでやられておるので、一番不安がある。だから、何と言いましても、私たちは価格政策を維持しなければならない。それで、単なる需給関係によって価格を安定させるのだというような考えでなしに、さらに一歩前進した価格保障制度とか、あるいは価格支持制度をとるというような一つの手を打つことが今日必要じゃないかと思うのでございますが、こういうことに対する御検討なり御構想なりあれば、一つ承りたいと思います。
○河野国務大臣 もちろん、現にわが国でも実行いたしておりますような価格保障のものは続けて参る必要がある、さらにまた、可能なものについては、適当なものについては価格支持もしくは価格保障というようなことを進めて参ることには異存はありません。それは進めていくべきだ。しかし、これから想像されるところの果樹、園芸、蔬菜というようなものについては、どれは可能である、どれは適当でないとかいうのは、品目によって違うだろうと思いますから、価格保障とか価格支持とかいうものは、原則としていくべきだということに手放しで賛成するわけには参りません。ものによって考えるべきである、いろいろ併用して参るべきだ、こういうことを申し上げたわけであります。
○稲富委員 私の言っているのは、考え方が逆でございまして、やはり、一つは、価格保障あるいは価格支持というような建前をとって、あるいは農業形態、生産形態等によって、このものはそれに入れるのだ、このものはそれでやっていかなくちゃいけない、こういうことで検討すべきものじゃないか、こういうことを私は考えておるので、その点は、結論は同じようなことかもわかりませんが、私は、出発をまず価格制度を維持するのだという点から考えるべきだ、こういう考えを持っておるのであります。 さらに、昨日、畜産物の価格保持の問題につきましても、中央取引が非常に必要だという御意見がありました。私たちもそうだと思いますが、そうすると、いろいろな設備の問題が起こって参ります。この設備の問題等に対して政府にこれを積極的にやるという構想があれば承りたい。
○河野国務大臣 私は、中央に必要があれば政府は積極的にやるべきだと考えております。その方が利用度も多うございますし、中央にこれをいたします場合には、あらゆる面において経済的に適当であると考えますので、そういう計画なり補助等の申請があれば、極力これを援助して参ることが適当であると考えております。
○稲富委員 次の問題をお尋ねしたいと思いますが、てん菜生産振興臨時措置法でございますが、これが時限立法でありまして、来年の三月三十一日で効力がなくなって参りますが、政府はこれをまた更新する御意思があるか、承りたい。
○河野国務大臣 これは期限延長をして、昨日申し上げましたように、甘味資源の問題を解決すると同時に、これには十分力を入れて参るつもりでおります。
○稲富委員 この機会に承りたいと思うのでございますが、このてん菜生産振興臨時措置法の第一条に、「寒地における農業経営の合理化を推進する」ということがうたってありまするが、実は最近九州その他の暖地におきましてもてん菜糖の検討が相当になされておるのであります。ところが、どうも、地方ではやっておりますけれども、従来政府としてあまり積極性がないように私たちは見ております。これは、選択的拡大という意味から言っても、裏作農業の立場から言っても、あるいは酪農の振興等から申し上げましても、相当に重要視して検討すべき問題ではないかと思いますので、この際、この臨時措置法の更新をやっていく上において、寒地という字句を除いて、暖地も含んだ全般的なてん菜生産振興臨時措置法に考えるというようなことの政府の意思があればけっこうだと思いますが、承りたい。
○河野国務大臣 お話の通り、最近中国、九州方面で暖地ビートを熱心に御検討中であるということを私ども承知いたしておりますので、この機会に政府として暖地のビートに積極的に踏み切るかどうかということで、実は昨晩もイタリアから手紙が参ったのでありますが、つい最近政府から係官をイタリアに派遣しまして、慎重にイタリアの暖地ビートについての検討をさせているわけであります。その結果の報告を受けました上で、今稲富さんの御指摘の点について最後の結論を出したい、こう考えております。おそらく今月の末にその調査団は帰ってくる予定になっておりますから、その報告を聞いた上で、実は、皆さんともよく相談いたしまして結論を出したい、こう考えております。
○稲富委員 法律の改正の問題につきましてはイタリア等の結果を聞いておやりになるという大臣の御意向でございますが、現在相当に熱を上げてやっております暖地ビートに対しましては、日本としての検討、日本政府としての暖地ビートに対する考え方、これは単にイタリアだけの問題でなくして、日本暖地としての点につきましては、私たちはもっと積極的に政府はやってもらう必要があるのじゃないか、こう思っておるのであります。暖地に対しましては、病虫害その他の問題もいろいろ論議されておるようでございますけれども、あるいは品種の問題等ももっとこれは積極的に検討しなくちゃならぬ面もあるわけでありますが、こういう面に対しては何とか政府が積極的に動いてもらわないことには、地方にまかせておいては非常に困難ではないかと思いますが、こういう点に対する政府の御意思を承りたいと思います。
○河野国務大臣 何にいたしましても、ビートは御承知の通り欧州各国が相当の先進地でございます。従って、これら先進地の従来の研究の結果、現状等を十分に検討することは私はぜひ必要だろうと思う。もちろん国内においても御指摘の通り研究を進めて参る必要があることは当然でございますが、何分重大な問題でございます。従って、今申し上げました通りに、イタリアにわが国としては相当に権威ある連中を派遣いたしまして、そしてこの調査の結果をまず見まして、その上で、一体今後暖地のビートについてどういうふうな結論を出していっていいかということを各方面の皆さんの御意見も十分承って私はやりたい、こう思っております。
○稲富委員 その問題につきましては、私たちも実はイタリアの暖地ビートを見て参りまして、これならば日本でもやれるのじゃないか、こういうような状態を見てきているのでありますが、幸いに係官を派遣されておるのでありますから、この結果を見ましてさらにこの問題は方針を検討したいと思います。 次にお尋ねしたいのは、かますの対策でございます。これは非常に急を要しますのでお尋ねをしたいと思うのですが、これはちょうどあなたが前農林大臣をしていらっしゃるときにかますの問題が起こりまして、そのときに、あなたは、農村に適当なる副業ができるまではかますはこのまま存続するんだというような御意見でありまして、非常に生産地の農民はあなたのその好意に対して敬意を表しながら今日までかます生産に挺身して参りました。ところが、この春ごろから、この前でございますか、最近放出米に対するかます以外の使用なんかが起こりまして、相当に生産地は衝動を受けております。それにかて加えまして、今日韓国かますの輸入の問題が起こっておりまして、ますます生産地は不安を感じているような状態であります。これは農業の副業といたしましては非常に大きな問題でございまして、これが衰微することは現在の農村経済に及ぼす影響というものが非常に大きいのでございまして、これが取り扱い方に対しては十分一つ政府も慎重に考えてもらいたい。この問題は前農林大臣時分の問題でございまして、幸い今度あなたはまた農林大臣になられましたので、この機会に一つ前のことを思い出してこれに対する対策を承りたいと思うのであります。 〔委員長退席、田口(長)委員長代理着席〕
○河野国務大臣 だんだん農村の賃金も高くなっております。従って、俵を割高に買ってこれを使うということは非常に困るという農村も多くなりましたので、一部紙袋を使うということになったようでございます。今お話しの朝鮮のかますを輸入して云々という話はまだ私は聞いておりません。にわかに決定してこれを輸入するというような事態までいくとはまだ考えておりません。いずれ、日韓会談等においてそういう話が出て参りました際には、慎重に考慮をして結論を出すということに、また稲富さんの御意見も十分尊重して結論を出すようにいたしますから、おまかせいただきたいと思います。
○稲富委員 最後に食管問題についてお尋ねいたしたいと思います。 この食管問題につきましては、昨日からも非常に質疑が出ておりましたので重複を避けたいと思うのでございますが、昨日石田委員の質問に対しまして、私たちの発表しておりますものに対して大臣の方からの御意見が述べられましたので、このことにつきましても一言私たちの考えを述べておきたいと思うのであります。 まず第一にお尋ねいたしたいと思いますことは、先般来の本会議の質問応答を聞きましても、大臣は食管法の三条、四条は改正しないんだということを繰り返して言っていらっしゃると記憶いたしておるのでございますが、その通りでございますか、伺いたい。
○河野国務大臣 私は、三条、四条の中に規定いたしておりまする生産者価格、消費者価格の点をさして申したのでございまして、その他の規定については触れてございません。これはそういう答弁が適当でなかったことをここでおわびいたします。(「おかしいぞ」と呼ぶ者あり)昨日御指摘になりました——これはおかしいぞとおっしゃいますけれども、初めから自由米を作るんだと言っておるのですから、あの中に政府に売り渡すべしということのあります点を改正するということは、これはもう御了承いただけるのじゃなかろうかと思う。決して私はごまかしで答弁するというような気持はないのでありますから、その点は御了承いただきたいと思います。
○稲富委員 この食管法の改正の問題につきましては、大臣の御答弁を聞きましても、総理の意見を聞きましても、基本的な問題には変わりないのだ、こういうことを口を重ねて言っていらっしゃいます。ところが、食管法の改正をやる、しかもその一番主体である三条、四条に手を入れるとなりますと、問題ないのだ、こういうようなことばかりではこの問題は処理されないことになってくるのじゃないかと思う。問題はそこにあるのじゃないかと思いますが、依然として、三、四条の問題は、今大臣のおっしゃったように、一部は修正するのだ、改正するのだ、こういうような考えであるけれども、食管法の建前をくずさないのだ、こういうような点が私たちのふに落ちないわけなんですが、その点一つ重ねて御説明願いたいと思います。
○河野国務大臣 私たちの考えは、今の食管法の基本的なねらいは、農家経済を維持し、農業再生産を保障するために生産者米価をいかにするか、そうしてその生産者米価を絶対に保持するという点に農村対策方面においては目的がある。消費者に対しては消費者価格を維持し、そうして要望される消費者に責任を持って配給するという点、この点が食管法の基本的な目的である。従って、その点もくずしませんということを総理も昨日ここでおっしゃっておったと私は考えます。私もその点については絶対にこれを変えませんということを考えておるのでございます。ただ、昨日もお話がございました通りに、農家から強制的に強権をもって買い入れるということを変えるか変えないか、その点が食管法の主たる目的じゃないか、——その点が主たるという言葉が適当でなければ目的の大きな部分じゃないかということであれば、これは私たちと考えが違うわけでございます。私たちは、食管法を制定いたしました当時には、強権をもってこれを収買し、そうして強権をもって配給するというところに目的があり、精神があったと思うのであります。しかし、それは、時代の変化とともに、国民の食管法に期待いたしておる問題は、たとえば農民諸君、消費者諸君の食管法に期待いたしておる点は、今申し上げますように変わってきた。そこで、私は、これに対して、今申し上げました通りに、第一に生産者価格、第二に消費者価格、そうしてそれを絶対量を買い上げる、つまり、無制限に買い上げをし、そしてお約束しただけの米は必ず配給する責任を持つということで、食管法の精神はわれわれは変えないというふうに解釈をいたしておるのでございます。この点は、私は、これはこういうことを申しては恐縮ですが、この間本会議でも一部申し上げたのですが、強制的に農村から供出させるという考え方は変えた方が農村のためにもいいんじゃないか、また、配給の上においても、絶対にこの配給に依存すべきものであると規定する必要は、今日の社会において必要ないのじゃないかというふうに考えておるのでございまして、しいて申し上げますれば、なまいきを申して恐縮でございますけれども、この段階において、要するに、民主化された社会において、政府が国民に売り渡し命令、また購買者に対して政府からでなければ買ってはならないというような立場を政府が持続するということは、民主化された社会ではおかしいのじゃないか。 〔田口(長)委員長代理退席、委員長着席〕 むしろ政府と国民との権利義務の関係をうらはらに直す方が適当じゃないか。農民の方に権利があって、そして政府は農民にお約束した価格、数量で無制限に買う義務を持つ。農民は売る権利を持つ。また、消費者の諸君は政府からきめられた価格で配給を受ける権利を持つというふうに、権利義務の観念をうらはらにする方が今の日本の社会に適当じゃないか。それによって非常に大きな障害が起こって参りまして、絶対にそれが困難な要因があるということでございますればともかくとして、目的達成に困難な要因がないということであれば変えた方が適当じゃないかという考えから出発いたしておるのでございまして、昨日も申しましたように、これについて農民諸君、消費者諸君から御理解ある御協力が得られ、もしくは有力な御意見で、われわれもそうすべきだという国民多数の御意見があれば、変更するのにやぶさかではない。それは総理大臣と全く同じに考えております。御了承いただきたいと思います。
○稲富委員 この食管法の改正問題は、農村において非常に問題になっておることは大臣も御承知の通りであります。私は、この食管法の改正の問題も、やはりこういう問題はもっと慎重に取り扱うべきじゃないかと思うのです。どうもこう言っちゃ失礼ですけれども、あなたにくせがあって、この前の大臣になられたときも農業団体再編成をやるのだとアドバルーンを先に上げられて、そうしてあとでいろいろな意見を聞くというようなことを言われたのですが、今度も、大臣になりますと、食管法に対する改正はやるのだということを言われて、そして、みんなの意見を聞いてそれによって自分の方針を変えよう、こういうような一つの手かもわかりませんけれども、私は、少なくともこの農民行政を預かっている農林大臣としては、こういう問題を、自分の構想を発表する前に、時期的な問題あるいは内容の問題等、もっと慎重にやって、しかも各般の意見等も総合した上でこういうような発表をすることが必要じゃないかと思うのです。この点が非常に欠けているのじゃないかと、私は遺憾に思うのです。しかも、私たちが憂慮することは、どうもこれは大臣は従来のやみ米というものをいかにも合理化するのだというようなことを先に説明されて、これが自然に価格支持の問題までも影響するのじゃないか、こういうような危惧も当然起こってくるので、ここに統制の食管制度のなしくずしが行なわれるのだ、こういうような問題も起こってくる。少なくとも、先刻から話しておりますように、農産物の価格というものを政府が責任を持って決定しなければならないというときに、かえって逆な方向に行くというような感じを持たせるということは、農林大臣としてもとるべき処置ではないと私は考える。こういうことは取り扱い方に対する慎重さが欠けておったのだ、こう思うのです。これに対しては、私はやはりもっと慎重にこの問題は取り扱わなければいけないと思うのでありまして、意見を聞いてからやるのだと言いながら、大臣みずから出かけられてこれを推進されるようなことをやられると、ますます大臣は言うこととなすことが違うじゃないかということになってきまして、これはあなたのためにもよくないと思うので、こういう点慎重にやるべきだ、こういうことを私は考えるわけであります。
○河野国務大臣 食管法を何とかしなければいかぬということは一体世論であったんじゃないでしょうか。だれもそういうことを考えていらっしゃらぬときに私が突如として言い出しましたのならば軽率のそしりをあえて甘受いたします。しかし、もし何も言わずに出てきたら、食管法をどうするどうすると、稲富さん、あなたがおっしゃったのじゃないでしょうか。立場が変わるからといって、そういうふうに軽率であるとか不謹慎であるとか言ってお責めいただきますれば、何もできない。しかも政治は非常に急激に変わろうとしておる世相でございます。こういうときに、いやしくも責任ある大臣になった者が、あの意見を聞かなければだめだ、こっちの意見を聞かなければだめだと、意見を聞いているうちに日が暮れてしまう。私はそれではいかぬと思う。だから、私はこう考えておりますということを申し上げて、それに対して国民諸君の意見を承って、直す点があれば直すということをとっていくことは私は妥当だと思う。それを、自分は何も言わないで、何か考えはありませんか、考えはありませんかということでは、考えを聞いておるうちに日が暮れてしまう。それじゃ何も政治は進まぬと思う。だから、失礼なことを申し上げて恐縮でございますが、最近は、どうも私たちの方が革新派で、社会党の諸君が現状維持派であるというような気持がしてならぬのであります。事ごとに、われわれの方が前進しようとすれば社会党の諸君から足を引っぱられて進むのに骨が折れる。この点、はなはだ御無礼ですが、一つ先頭に立ってお教えいただいて、なぜもっと早くやらぬかと言っていただけば、私はついていくにやぶさかでないけれども、どうも社会党が前に進んでいかぬので、ついわれわれが先に出過ぎてしまうということになると思うのであります。 米の問題についても、私は何も突如として申し上げたのではない。先般の米価審議会においても、あれだけいろいろな角度からいろいろな論議があった、とうとうああいう混乱に陥って委員の諸君がやめられた、そうしてそのあとに出てきたものは何かといえば、食管法を改正すべきだ、そしてその結論は、昨日も石田委員その他の委員等からお話がありました通りに、今の米が高いという人があり、これじゃ農業基本法に支障があるだろうというような意見まで世の中に出てくる雰囲気であったことは御承知の通りであります。私はまことに遺憾に思うのであります。米価の決定の仕方が決して不当であるとは私は考えません。むしろ農民諸君の中にももっと高くすべきだという意見も相当有力にございます。公務員の給料の引き上げに比べてどうだという意見もあります。そのときに、農業基本法の点から考えましても、あの程度の米価を上回った収入所得のあるところの構造改善をしていくということは当然考えなければならぬことでございまして、それを、ああいうようにしたならば農業基本法が死んでしまうじゃないかというような意見まで出てくる。もとは何かと言えば、現行食管法に対するあらゆる誤解から出ている。現行食管法を改正すべきだというようなものから出ておると私は思うのであります。そうしますと、何かここに、こういうような考えはどうでしょうかということを申し上げて、それを一気に法案にして提案したのなら、これはお前おっちょこちょいだ、不謹慎だと言われても仕方がありませんけれども、決して私はそう申し上げておるのではない。私はこう考えますがいかがですかと相談しておる。しかも、各地に行って推進しておるのはけしからぬとおっしゃっておるが、一番反対の多いところに行って相談しておる。おそらく福岡の稲富さんあたりのところへ行って相談したら大多数は賛成をいただけると思います。どなたもおっしゃる通り、これはもう東北から北海道、裏日本方面が反対の意見が強いということでございまして、これはどなたがお考えになっても結論というものは大体出ておると思う。しかし、私は、世論調査等においても六割何ぼの賛成があるということでありますけれども、六割じゃいかぬ、この問題に関する限りは、私は大多数の賛成がなければいかぬと考えて、慎重に考えて、大多数の賛成を得るためにはどこを直したら賛成が得られるかということで、決して私は自説を固執いたしません。何か食管法についてここまでやったらどうだろうかという結論が出るだろうということを考えて伺っておるのでございますから、もう少し、まことに相済みませんが、一つここまで直せば賛成するという意見を出していただいて、ただ頭からだめだだめだとばかりおっしゃらぬで、昨日も例に申しました通り、稲富さんの方の民社党でお出しになったものが昨日の新聞に出て、私はよく熟読いたしました。だいぶ私も賛成の点が多いのであります。しかし、結論が反対というのは私はどうも感心しないのであって、あの案と私たちの考えておるものとつき合わせて、それはあなたの方のおっしゃる点も、こういう点もそうしましょう、こういう点もそうしましょうというて、また石田さんの方でも、これは川俣さん初め一つお考えいただいて、反対だ反対だとおっしゃらぬで、——かつては、川俣さんも私に、農民から苛斂誅求しちゃいかぬじゃないかということで、その結果予約制度ということを今から五年、六年前にやったのです。(「違う、違う」と呼ぶ者あり)違う違うとおっしゃるけれども、確かに割当をして供出させるのはけしからぬじゃないかということをおっしゃった。その当時と思い合わせて、もう少し一つ建設的に積極的に御協力いただくようにお願い申し上げたい。どうぞお願いいたします。
○稲富委員 軽率じゃなかったとおっしゃるが、私は、今日の日本の農政の一番の重点は、やはり過般の国会を通った農業基本法をどう裏づけて、そして農村の基礎をどういうように形作るかということが今日の非常に大きな問題だと思う。こういう問題を十分やって検討したのちに、あるいは食管法の問題に対してもこれをどうするかということを検討することが順序であると私は思う。こういう重大な問題は、この前の国会で基本法が通ったばかりで、臨時国会でどういうような関連法案の裏づけがあるだろうかというような、こういうような期待がある中に、ただ食管法だけの問題を取り上げて、そしてこれをやるんだ、こういうような取り扱い方というものは、もっと慎重にやるべきではなかったか、こういうようにわれわれは考える。私たちも、現在の食管法なるものが完全無欠のものとは思っておりません。しかしながら、こういうものを改正するにいたしましても、やはり時期とそれから取り扱い方というものに対してはいろいろ方法があると思う。ただいたずらに農村に波紋を描くような、こういうようなやり方というものは、農林大臣としてやるべきことじゃない、かように私は考える。 さらに、今も大臣から話されましたが、私たちが出しました食管法の問題の内容につきましての考え方で、昨日私たちが生産者米価決定の時期を年度予算案に間に合うように決定すべきであるという意思表示をいたしましたのに対して、これは時期的にどうも賛成できないというような話だった。少なくとも農業基本法に選択的拡大ということもうたってあります。本来から言うならば、米価決定をするならば植付前に米価決定するということが必要である。これは昨日の石田君の意見に対しましても大臣は賛成のようであったのでありますが、作付前というのはいつだというと、やはり、植付前というものは、苗代を作っておりますので、そうなりますとやはり二月か三月ごろまでには決定しておかなければ計画生産はできないということになるわけです。そういう意味から、私たちの意見は何も早まったものでもないし、やはり、作付計画の中に生産計画を入れるとすれば、当然そういう意味からこの意思表示をしておるわけでありまして、それは反対だと言われるのは、どうもあなたの主張とも相反すると思われるわけですが、この点についてあなたの意見を伺いたい。
○河野国務大臣 あまり議論をする問題でもないと思いますけれども、わかっていておっしゃっているのですから強く申しませんが、予算は大体十二月に編成いたします。十二月編成するときに、来年秋とれる米の値段をきめるというのは少し早いじゃありませんか。なるべく近づいてきめる方が合理性が得られる。ただし、目的は、昨日石田さんのお話もありましたが、六月にきめるのが一番妥当であろう。予約集荷制度を最初にきめましたときに、六月にきめるということを言いまして、それはいろいろな事情で今日だんだんずれてきておりますが、これはその前にきめるのが妥当であろう、特にこれからは青田売りということもあるから、なるべく早目に、六月にでもきめておいたらいいじゃないかということを申し上げたのですが、これは一カ月早いからだめだ、二カ月早いからだめだという問題じゃございません。妥当性は六月ごろが一番妥当だろう、こう申し上げたわけです。ただ、稲富さんのお考えはどうもあまり早過ぎるのじゃないか、こう申し上げたので、ここらは一つ妥協していただきたいと思います。
○稲富委員 これは、大臣、こうじゃないですか。本来から言うならば、米価というのは農村の収入の最大なるものでありますから、米価そのものに対しても、私は国会審議をやるということも非常に必要だと思うのであります。そういう点から、予算を立てられる場合に来年度の米価を決定しておくということは、私は決して不当ではないと思う。ただ、これは国会審議の過程において米価を決定しておったらまた委員会等でうるさいのじゃないか、こういうような点もあるんじゃないですか。私たちは、やはり、価格というものは、計画生産をやるためには、毎年度の計画の中に当然入れておいて、そうして妥当な米価であるかどうかということも国会審議を通じて打ち出し、慎重な審議をやるべきだ、こういう点から、私たちは予算米価に入れて米価を審議する、こういうことが必要じゃないかと思う。
○河野国務大臣 これは確かに稲富さんのおっしゃることも私は一理あると思いますけれども、何分、法律に書いてあります通りに、また皆さんから強く御要望もあり、われわれも堅持いたしております通りに、再生産を保障するという点で、どういう数字を基盤にして再生産を保障する数字を出すかということになりますと、なるべく近い数字が必要である。物価指数等におきましても、なるべく古いものよりも新しいものによってやる方が合理性があるというような点から、なるべく収穫に近づいたところの数字でいきたい、これはおそらく皆さんの御意見じゃないかと思う。私が逆の立場をとれば、また私の言うようなことを稲富さんがおっしゃるというようなことになると私は思うのです。ことに川俣さんもやかましいその方の論者ですから、必ず、そんな古い数字で何で再生産の保障ができるかということになるだろうと思う。そこで、私たちとすれば、議論をすれば、バック・ペイというものもあるじゃないか、だから、予算米価をきめておいて、予算のときに最大の努力をして近いものをとっておく、そうしてバック・ペイというもので最終的な価格を合理的にきめて、そこで差金をどうするということでいいじゃないかということもないでもありませんが、また一面、大蔵省の方に言わせれば、バック・ペイはあるけれども、逆の場合はないじゃないかと言います。それこれいたしますと、どうしても六月ごろにやることが、——これはどれが正しくてどれが間違っているということはない。妥当性は、植えつけ前に生産意欲を高揚して、そして皆さんにしっかりやっていただくという考え方でいくことが一番適当じゃないかというように考えております。
○稲富委員 まだいろいろ聞きたいこともありますけれども、制限時間を超過いたしておりますので、いずれ関係法案等が出ましたときにあらためてまた質問することにいたしまして、私の質問を打ち切ります。
○野原委員長 暫時休憩いたします。 午前十一時三十九分休憩 ————◇————— 午前十一時四十二分開議
○野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。片島港君。
○片島委員 昨日から農林大臣の御答弁を聞いておりまして、実は、私は、従来ほかの委員会におりまして、河野さんと質疑応答を繰り返すのは初めてですが、昨日から御答弁を聞いておりますと、やはり実力者だけあって、のれんに腕押しでなく、自分の思うたことをずばずば言い切っていただいております。その方が農民もかえって安心をするし、一般国民も大臣に対して期待をするところが多かろう、こう私たちは考えておるわけです。 そこで、私は、今度の国会の閉会中にずっと農村を回りました。農業基本法を中心とした農政問題が一番農村で関心の的になっております。農業基本法の内容を案外農民は知らないんだと思っておりましたところが、なかなかどうして、非常によく内容も農民なりにこなしておるのです。私は、いろいろと農民と話をしますときには、最初に私たちの考えを述べるのでなくて、政府は農業基本法によってこのように農村を救おうと考えておるのだという政府の立場に立って、また政府の説明をしました非常に耳ざわりのいいところだけをよって実は話をまずやりました。そうして、どうしても私たちが説き伏せきらない点がまた出て参るわけであります。ずいぶん政府の方針を勉強していきましても、なかなか納得し切らない面が出て参る。 まず第一、私たちが説得に困りますのは、農業基本法があのようにでき上がりましたが、米麦中心の農業をこれから先構造改善あるいは選択的拡大といったようなことで方向転換をしていく。ところが、私の方は畑が非常に多いので麦とかカンショとかいうのが最も多いわけです。たとえば畜産に転換をしろ、あるいは果樹の方に転換をしろ、こういうようなことを言いましても、それには相当の資本が要るわけです。そういうふうにやった場合に、一体、みんなが豚を養う、全部が果樹を植える、ミカンを植える、こういうことになったら当然生産過剰になるのはあたりまえであります。全部がやらぬでも、どの程度やればいいのか、自分のところだけでこの程度でよかろうと思っても、日本全体としてだれがどのくらいふやそうと考えておるかは、全く地方の個々の農民は知らぬわけです。ところが、よけい作れば作るほど価格が下がっていく、これはもう当然の話であります。そこで、農業についてだけはどうしてもいわゆる自由経済でなくて計画経済でなければいかぬ。特に、基本法にも書いてありますが、長期の需要の見通しを立てて、各地区別に、もっと極端に言えば府県別あるいは市町村別くらいに、お前の方は大体こういうものを作ればよかろう、しかもあまり作り過ぎても困る、しかし作り足らなくても需要に間に合わない、そうしてその需要の見通しというものに沿って生産をした場合には価格は政府が保障する、こういうことでなかったならば、相当大きな資本を投下して転換をいたしましても、実は先の価格の問題、需給均衡の問題において非常な不安があり、わからない。それはわからないのは当然であります。そこで、農業生産に関する限りは、選択的拡大をやる場合でも、やはり長期の見通しの計画を一年々々の見通しによって各地区に示して、その生産をやっていく限りにおいては政府は価格を保障する、こういうようなことがなければ、所得の向上とかあるいは選択的拡大という方向に踏み切り得ないというのが実情なんです。そこを言われると、私たちが幾ら説得しようとしても困難が出てくるわけです。まずそういった農業生産というものに対する考え方。また、今度の農業基本法においては、私たちがあれを解釈する限りにおいては、どうも自由経済——他産業との関係と言っておりますところ、また国際的な関係ということを取り上げている点から見ても、自由経済の中において企業としてもうかる農業ということがうたってある。どうも自由経済の一部として繰り入れている。そうでなくして、農業生産というものが計画的な生産なり計画経済として、これは社会主義という意味ではございませんが、そういうことでやっていかなければならぬのじゃないかということを特に痛感をしたわけです。その点についてまず大臣の御所見を承りたいと思います。
○河野国務大臣 ごもっともな御意見でございまして、実は、前回、私は、新農村建設運動を起こします際に、その点に最も力を入れて考えていくべきではないかということで、中央地方を通じて委員会を作ってあらましの案を作っていきたいということを考えて始めましたが、半ばにして私大臣を退きまして、そうして結果は必ずしも所期の目的通りいかなかった。そのために結果が出ておりませんから、必ずしもこれをもってどうこう言うわけには参りませんけれども、今回の構造改善をして参るということにつきましては、大あらましは先ほど申し上げましたが、いよいよこれを具体的に実施して参るという段階には、私は、先ほど申し上げた通りに、中央においては農政審議会、これの専門部会というものを通じて、将来の見通し、計画等を十分に案を立てまして、そして大体日本の将来あるべき農業の姿、生産、消費というものはこういうふうな方向だろうというものを一応見定めていく必要がある。と同時に、また農業基本法でだんだん出て参りますところの報告等とも見合いつつ、順次是正しつつ方向をとっていくべきものだと思うのであります。従って、最初に今お話しの通り、各府県、市町村というもののあり姿とは申しましても、今やっておりますものを全部こわしてしまって、新しく立て直すわけではないと思うのでございます。その主たるものは、やはり米麦は米麦として依然として続いて参りましょう。その他の柑橘類にしても、主要農産物の生産については大体主たるものは現状で済むことになりましょう。それを生産の改良なり、ないしはまたその取引の合理化なりする面も相当に多かろうと思いますが、新たに選択的拡大をして参るというものにつきましては、今申し上げました通りに、中央において将来のあるべき姿を想定して、の関係等も十分綿密に検討いたしまして、それをわが国のどの方面に取り入れることが一番適地適産になるかというようなこと等をも勘案いたしまして、むろん中央、府県等の綿密な計画のもとに私はやっていくべきものだと思います。これを計画生産だと言われれば計画生産かもしれませんが、私たちは今現に所得倍増の方向で行っております。つまり、政府のわが全体の産業についての青写真、行くべき方向、その方向が少し行き過ぎたから少し押えなければならぬだろうといってやっておるのが今の状態でありますから、農業におきましては、私は、いろいろ行き過ぎである、この方面がやり過ぎだとかいうことのないように、全体を一ぺんにやるということをいたしませんで、まず初年度において三百町村か五百町村をまずやってみる、そうして順次五年なり十年の間に全体の町村に及ぶということでいきたいというふうに考えております。従って、今御指摘のような、非常に増産が過ぎて消費が伴ってこないということのないように、計画を綿密に立てて、指導していくべきものだと私は考えます。 そこで、次に起こって参ります問題は、これらの価格の問題でございます。これは先ほど稲富さんからいろいろ御指摘がございましたが、私は決して価格支持政策もしくは価格保障の方式をとらないとは申しません。それをやるべきでないという意見は持っておりません。現にやっておりますもの、これら以上に拡大してやり得るものについてはやった方がよろしい、可能なもの、もしくはやることが農村のためになるものはやったらよろしい。やる努力はすべきだ。しかし、物によっては、何分非常に多種多様の、たとえば果樹にいたしましても、果樹の利用の方向等がいろいろまたこれが第二次製品になって出て参りましょう。果汁になって出る場合もありましょうし、カン詰になって出る場合もありましょうしいたしますので、それをカン詰とか果汁とかいうことになれば生産の指導も楽でございますけれども、なまのまま出てくるというようなことになりますと、なかなかめんどうでございます。それがむしろあまり行き過ぎて、そうして次年度のもたれ越しになるというようなことも適当でないというような点もございましょう。従って、これらの点を十分に検討いたしまして、可能なものにつきましては、私は価格の保障とか支持とかいうことはけっこうでございます。努力しなければなりませんけれども、しかし、全部のものについてやるということは、なかなかいかぬだろう。そこで、他のだいぶこまかなものについては、生産、消費等の見合いにおいて指導の面においてやっていくことが適当じゃないか、こう考えておるのであります。
○片島委員 個々の農産物についてはあまりにも多種多様で、ここで原則論だけをお話をしても仕方がないのでありますけれども、豚がいいといえばみな豚をやる。そうすると、子豚で高いのを買って親豚では安いのを売るというような例が従来も多いわけでございます。非常な成長部門であるところの豚でさえそういうことができております。個々には町村あたりで一体どの程度やればいいのかということは実はわからぬ。ですから、先ほどお話し申し上げたように、これからいよいよ実行段階に移ったわけでございますから、その計画的な生産を進める。それに対しての価格というものをどういう形で保障するかは別でありますが、とにかくそれを政府の行政力でできる限り保障していく。これが私は農業政策において最も重要なことであると考えるのであります。その点については専門家でもある河野さんにとくと一つ力を添えていただきたいと思います。 次に、食管会計の赤字の問題。食管会計の赤字が七百億だ、そのうちに一千億になるといって、だんだん新聞でたたいている。こんな赤字を国民が負担するんではたまらない、こういうような声で、それでは食糧管理制度そのものが悪いんだというふうにさえ、その食管の赤字問題から誤解を生んでいる。まず食管会計の赤字というものに対しての農相のお考えを最初に承りたい。
○河野国務大臣 これは、昨日も申し上げました通りに、生産者に対して農村の安定を期するために保障方式をとっている。別途消費者に対して生活の安定保障をしている。こういう二つの別個の目的を持って、生産者価格、消費者価格というものはきまっております以上は、その結果赤が出てきたからといって、別にこれをとやかく言うべき筋合いではない。赤字が悪いというならば、その保障するという二つの目的を全然別個に考えなければならぬのでございます。しかし、これは、いずれにしても、生産者の保障方式も今日の農村の実情から言えば絶対にとらなければならぬ道である、また、一方消費者の場合においても、消費者の価格を上げるわけには参らぬということである以上は、その結果において出てくるものはやむを得ぬのではなかろうか、こう思う。これが悪いというのならば、どっちが悪いか、生産者価格の決定の仕方が悪いか、消費者価格の決定の仕方が悪いか、その決定の仕方について議論をしていただかなければならぬのでありますが、その赤字のいい悪いということは、私は、当たらない、こう思う。
○片島委員 そこで、生産者価格、消費者価格というものを今日のような形でやるので、実は大きな赤字が出て、これを国民が負担しなければならぬ。こういうことになれば、食管制度そのものについて批判的な声がそれによって呼び起こされるようなことになるのではないか。悪いならばそれを直せと言われるが、直せば食管制度はくずれるわけであります。くずしたらいいじゃないかという声が今の大臣のお話から一部出てくるわけなんです。しかし、私はよく説明もしたのでありますが、たとえば通産行政あるいは文教行政、労働行政、社会福祉行政あるいは食糧行政、いろいろ行政にはあるわけでありますが、通産行政にせよ、その他の行政にせよ、一般会計でやっているわけであります。ところが、食管会計は、全部、人件費、それから利息分、そういうものをみな、極端に言うなら、生産者と消費者とつながる食管会計の中で自前で人件費をかかえ込んでおるような形になっておるのです。もし他の行政と同じようにこの人件費なりあるいは利子部分というようなものを当然食管会計に関係なく一般会計の方にはずしてしまうということになれば、その赤字の方はなくなるので、これは赤字じゃない。食糧行政は政府の直接やるべきことじゃなくて一般行政事務と違っておる、これは生産者と消費者の間で自前で払っていくべきものだ、ただ赤字が出たなら一般会計から入れてやるんだ、こういったようなことでなくて、当然ほかの行政と同じように一般会計から黙って出しておけば、赤字だの繰り入れだの言って——実を言うと、食糧庁に勤めておる同じ国家公務員でありながら、他の一般の国家公務員は大手を振ってベース・アップだ何だといってどんどん要求ができる、何か食管が赤字であると言われると、おれたちの給料を上げたら給料を払わなければならぬから赤字がふえるのじゃないかというふうに、ひがんでおるわけじゃありませんけれども、そういう気持をさえ持たせる結果になるわけです。ですから、私は、この食管会計におきましても、こういったような当然一般会計から持っていくべきもの、政府の行政上一般行政としてやるべき仕事を、ただああいう一つの会計を作っておいてそれに入れるのでなくて、当然払う部分は一般会計から直接払う、そうでないなら、その区分を明確にしておいて、実際上米の買い入れから売り渡しに至るまでの赤字と、そうでなくて当然政府が行なうべき一般行政事務として支出すべき金額、この区別を明確にしておけば、一般国民の疑惑も解けるし、食糧庁の職員も大手を振って一般国家公務員と同じようにやれるということにもなろうかと思うのです。私は気の毒だと思うのです。赤字だ赤字だと、そこにいて一般国民から言われると、食糧事務所に勤めておる連中が、私にはそうは言いませんけれども、何だか気の毒のような気がする。そういう点についてはこれは特別な措置を考える必要があるのじゃないかと思うのです。その点について伺いたい。
○河野国務大臣 お話の点、最近各方面からそういう議論が出て参っておるのでございますが、慣行といいますか、実は、食糧管理の会計が実施当時におきましては、御承知の通り、買い入れ価格、売り渡し価格、その間に、ときには外地から入れるものの価格が安かったというようなことで、あまり大きな赤字が出ずに、とにかく特別会計として経理できた時代もあり、そういうことがあったものですから、最初から人件費なりその他のもので当然一般会計で負担すべきものも負担せずにやれた時代があるものでございますから、それなりに慣行として今日に至っておるというのが実情だと思うのであります。ただ、これが、今お話の通り、赤字であるから一般会計から補てんすることが問題になる、なかなか入れにくいとかどうだとかいうようなことがあるならば、それは、私は、当然今お話のような点を指摘して、どれだけが一体赤なんだとか白なんだとかいうことを議論いたしますけれども、少なくとも直接国会で審議に関係していらっしゃる人の中には、今お話のような議論はないわけでございます。われわれが大蔵当局と話し合います場合にも、赤字がどうとかこうとかいうことで議論はございません。この臨時国会におきましても、会計の一部を一般会計が補てんするというようなことについても、別に議論なしに必要な経費を補てんいたしておるわけでございます。しかし、それはそれといたしましても、当然起こるべき議論でございますから、われわれとしても勉強いたしてみたいと思います。これは正確な数字ではございません、大体の数字でございますが、最近では、人件費が二百億、負担いたしております金利が百五十億。何さま、秋とってそれぞれ売り払って参るのでございますから、金利だけでも百五十億。三百五十億くらいのものがかかるわけでございます。そういうことでございますから、これらは私は当然一般会計から負担してしかるべきものじゃないかというような気もいたしますけれども、まだその議論を政府部内においてもいたしておりません。別に赤字の議論をする段階に至っておりませんからそれなりに通っておりますが、そうしておることがいいか悪いかというような問題も当然検討さるべき時期がそのうち来ると思いますから、御趣旨の点、承りまして、十分研究したいと思います。
○片島委員 たばこ専売事業、これは非常に多くの繰入金を一般会計にやる、大へんなもうかり仕事をやっておる。あそこの人件費を何も一般会計からやる必要はない。さらにまた、鉄道とか電信電話などのような特別会計、あるいは政府機関、郵政事業とかいったものは、これは事業をやっておるのでありまして、自分の必要なだけは料金などを上げたりして、これは商売をやっておる。商売と言っては悪いけれども公共事業ではありますけれども、もうける必要はないが、収支とんとんでやっておる。常に出る方と入る方の均衡を考えながら会計を運用していけばいいわけです。ところが、生産者価格と消費者価格というのは、大臣の御説明の通り、これは別々の考えできめておるのです。この会計を守るということの考えじゃないわけなので、逆ざやが出てくることもあり得る。今は売り渡し価格と生産者価格とが逆ざやだ。そういったような全然違う考え方から価格をきめておる中で、赤字だということは、この国会においては論議がないのですが、これは、国会議員は皆知っておりますから論議しない。しかし、新聞その他で見ると、一般の人たちはそういう理屈を知りませんから、何だかおれたちがえらいこと負担してやらなければいかぬじゃないか、こう考える。一般会計そのものが全部まるまる国民の負担だ。それもよくわからないで、何か特別に自分たちが加勢をしておるというふうに考えやすい。食糧管理特別会計が、他の、先ほど私が申し上げた政府機関やあるいは直轄公共事業と違った性格のものであるという建前から、国会では論議にならなくとも、国民の前にこれを明らかにするように、会計制度そのものについても一つ御検討をお願いいたしたい、こう考えます。 次に、災害の問題についてでありますが、九州地方あたり、非常に山岳地帯が多いのでありまして、昭和二十八、九年ごろの大災害によって、もっと前のもありますけれども、従来のりっぱな水田が川底になってしまった。これを補助金をもらって水田に復旧するといっても、実際上困難である。その地形から見まして、また、川の最近の様相からいたしまして、かりにできるといたしましても、少しくらいの補助金をもってこれを復旧するということは容易でない。そのまま川原になっておるわけであります。非常に水田の少ない地域で、川べりだけにしか水田がなかったために、それが川原になってしまった。ところが、台帳の方は依然として農地となっておる。農地としての税金も払っておる。川にはなっておらぬ。実際は川原になっておって、それを農地ということで税金までとられておる。こういうようなものに対しては、何らかの方法、手当をする必要があると思うのでありますが、その点についてはいかがでありますか。
○河野国務大臣 かわりに政府委員が答弁します。
○庄野政府委員 実情はよく調査いたしたいと思いますが、そういう場合は、大体、地目変換をいたしまして、農地は非農地になりまして、農地としての税金はかからないようになると思いますが、地目変換の手続を経なければならぬと思います。実情をよく調査いたしたいと思います。
○片島委員 同じ災害に関してでありますが、非常に大災害があった場合において、米の政府買い入れの場合にその地域を指定して特別の措置をとるということにしていただいておるわけであります。ところが、部分的に非常な災害を受けた、地域として広くはないけれども部分的には非常な減収になる場合があるし、同時にまた、減収ばかりでなく等外米として検査に不合格になる。ずいぶん検査してもらったけれども、全部不合格になったというような例があるわけであります。それが、いわゆる何号台風といった、新聞で大きく取り扱われない台風であっても、そういう場合が出てくるわけであります。こういうものに対しては特別な措置を講じてもらわないとどうにもいかぬと思うのですが、その点はいかがでありますか。
○安田政府委員 先般の第二室戸台風で数個の措置をとりましたが、御意見に関しまする点は、新潟県でまずとりあえずとりました。その他でも、必要でありましたならば、地域を明瞭にいたしまして、被害程度も調べまして、判明した後において何らかの措置をとりたいと思います。
○片島委員 たとえば新潟県といった形でなくて、部分々々的に地域的に非常に致命的な災害を受けるわけです。減収になるばかりでなく、米の質が悪いために全部はねられる。そういうものに対しては現在何らの措置が講じられておらないのです。特に九州地方は、最近大きなのはあまり目立たないようでありますけれども、小さいのでも地域的には非常な強い災害を受けておる。それに対しての何らかの特別な措置を講じてもらうわけには参らないか、こういうことであります。
○河野国務大臣 おそらく、私、想像いたしますのに、米だけでそういうふうに出てくるということは少ないだろう。局地的にひどいものはずいぶんあると思います。その場合には、米だけでなしに、ほかの農地がどうなったとか、がけくずれがどうとか、人家がどうとかというようなものと並行して、そこに局地的に米の被害が起こっておる。それを等外米を何とか特に考慮してやれということですが、災害の場合には、たとい小さくとも、総合的に問題が出て参りませんと、ちょっと米だけでは扱いにくいのではないか、こう思うのです。農産物にしても、特殊農産物だけでは今までやった例がない。それは、ほかのものと一緒に局地的な災害が起こって、その局地的な災害について、何についてはどう、何についてはどうということが出てくれば、当然米の場合についてもそういうことが考えられる、また考えてしかるべきものと思います。
○片島委員 麦について、特に等外麦の上については買い入れをしてもらったというようなこともあるようでありますが、上にもいかない麦もたくさんある。ところが、今大臣のお話では、米なら米だけではだめだということでありますが、実は米しか作っておらぬところなんです。
○河野国務大臣 ほかの災害、田が流れたとか……。
○片島委員 そうじゃないのです。田が流れなくても、非常な減収になり、持っていった米は全部検査漏れになって何十俵も持って帰らなければならぬような事態が起きておるのです。そういうところについては、災害の状況はあなたの方の出先機関で調査すればわかることですから、そういうところについては何らの特別な措置をやっておりませんから、やる方法はないか。今からでもおそくない。
○河野国務大臣 とにかく、現地に全部出先機関を持っておりますから、調査をさせまして、調査の報告を得た上で善処いたします。
○片島委員 時間もありませんから、林業問題について農林大臣にちょっと。 大臣の非常な好意ある措置で木材の値上がりがだんだん抑制されておるということは、まことにけっこうなことであると思うのですが、林業問題が基本問題調査会から答申も出ておりますけれども、何といいましても農業に比べましても非常におくれておる産業なんです。農業について基本法というのができたわけですが、林業について、私たちは実は関係者を招いて通常国会に間に合わせるように林業の基本的な問題についてずっと検討を続けておるわけです。農林大臣として次の通常国会に林業の基本法といったような問題を考えられているかどうか。せっかく基本問題調査会からあれだけの答申が出ておるのでありますけれども、実態がこうなっておるということをすっと書いておるように見える。さらにまた、戦前から戦後にかけてほとんど人工植林などが行なわれておらないで、相当の空白期間も出ておると思う。ところが、需要の実態に見合わせて年率二・五%ずつの生産性を上げていくというようなことが書いてあります。裏づけがないのに、需要がふえるからこれだけのものはだんだん増産していこう、こう言いましても、実際はそれだけの増産の裏打ちになる施策あるいは政府の基本的な方針、対策というものが打ち出されておらぬ。この際、臨時国会には間に合わぬといたしましても、通常国会あたりに林業の基本問題に対する基本対策を明確にするような法的な措置を講ぜられる御意思があるかどうかを承りたい。
○河野国務大臣 御承知の通り、次の機会に森林法の改正をいたすことにいたしておるそうであります。この改正で相当の御期待に沿うようなことをやることになると思います。実は、今お示しの通り、わが国の林政は非常におくれておる。今まであるものを切ってきて、今日まで悪く言えばお茶を濁してきたというきらいが多いのではないかという気がいたします。そうして、民有林、国有林の関係についても、真に国土計画の上から参りまして遺憾な点が多いと私は思います。そういう意味からいたしまして、私ども、基本の考えとしては、道路を作り、堤防を作り、橋をかけることと、山に木を植えることは同じことだと思う。そういう概念で植林をやるべきものだ。植林可能なところには全部植えるべきものだという思想に一ぺん直さなければいけないのじゃないか。一体、木を植えるのに、もうかるから木を植えるという考えで植林をやることは困る。もうかる、もうからないということは結果の話である。木を山に植えるということは必要なんであります。絶対政府はその指導方針で民有林、公有林、入会林、国有林、すべてに向かって再検討してその計画を立てべきだということを私は長年主張として林野当局に指示いたしておるのであります。この前の大臣のときから私は実はやかましくそう言っているのであります。これまでの法律の関係で、部分林であるとかあるいは補助率が何パーセントになってあるとかというような従来の山林関係の法律の制約を受けて、なかなか飛躍的な施策がとりにくいというのが実は現状でございます。できれば、そういう従来の補助率等がそのものによってだんだん違っておるというようなことで、かまわぬから一ぺんに全部政府の金で植えてしまえ、そんなことをしたら大へんなことになります、今までできたものを分け前をどうするというような法律がちゃんとありますからできません、そういうところにはどういうことがあるのでできませんというようなことがあって、なかなかできにくいのであります。これが現状でございますから、明年度の予算には、昨日も申し上げました通り、従来になく大幅の植林費を実は要求いたしております。これはぜひ私はやりたいと思っております。そして、その間において、今私の言いましたような構想を、あらゆる方面で御支持をいただきまして、そして一ぺん木を植える。木を植えるということは、材木になったものを売って利益をあげるということとは別ものだという考えで、一ぺん木を植えるべきだということで、一つはそういう思想のもとに林政をやっていきたい。そして、木がたくさん植えられてりっぱな木がたくさんはえてくれば、おのずから山にも人に仕事ができてくるということでいいのじゃないか、こう思っておるのでございます。むろん粗雑な考えで、これはまたとっぴなことを勝手に言い出してしかられてはいけませんけれども、数年来私はそういうことを言い続けておるのでございますが、一つ御検討賜わりまして、御支持をちょうだいいたしたいと思います。
○野原委員長 片島君、あと二人いますので簡単に一つ……。
○片島委員 それでは、あとの質問はまた大臣の機会がありますときにお伺いすることにいたします。
○野原委員長 田口長治郎君。
○田口(長)委員 私、時間もございませんが、イモの問題と水産の問題につきまして大臣に質問をいたしておきたいと思うのでございます。 このイモの問題は、大臣御承知の通りに、十月の末日までに価格を決定して公表する、法律はそうなっておるのでございますが、その方法によりますと十月中に買いたたきをされて、政府の価格が決定されない間に買いたたきをされて、農民が非常に困る。こういうことで、三年前から、九月末までに価格を決定する、こういうような行政の方針でやっておられるわけでございまして、一昨年は、私の記憶によりますと、十月の二日に多分決定されたと思います。昨年は十月の十日に決定された、こういうことで、この決定がおくれますと非常に農民が困る次第でございますから、でき得れば価格の決定を九月中に一つやっていただきたい、こう思うのでございますが、九月の末ももうすでに過ぎてしまったのでございますから、十月の上旬におきましてできるだけ早く、こう考えておるのでございますが、事務当局にもいろいろ折衝しておりますけれども、一つ大臣からもこの点を督促していただきたいという点が第一。 それから、第二の問題は、イモの今年の価格の内容の問題でございますが、これは、昨年は御承知の通りになまイモ一貫目が二十五円で決定いたしました。バレイショが二十円五十銭、こういう決定を見たのでございますが、昨年に比べまして今年の作付面積は多少減っております。三千三百町歩ばかりイモの場合は減っておるのでございますが、この作況状態を見ますと、昨年よりも少し今年は豊作である、こういう状態であります。それと、日銀の物価指数を見ましても、相当上がっておる。価格決定要素に最も重大なパリティの問題を計算してみますと、昨年は一二三・六三という計数を使っておるのでございますが、今年の七月にはこれが一三四・五〇とパリティが上がっておる問題もあるのでございます。もう一つ価格決定で重大なことは、政府の手持ち澱粉でございますが、昨年約六千万貫程度手持ち澱粉を持っておられたのが、今年ぐんぐん減りまして、今多分三千万貫程度に減っておると思うのでございますが、米価決定が昨年に比べますと今年約六%値が上がっておる、こういう事情、物価指数、手持ち澱粉の問題、それから、イモ作農民では、イモを作るよりほかにどうもほかに転換する作物がない、こういう地形のところでみな作っております関係上、私らといたしましては、今年のイモ及びバレイショのなまの価格、及び澱粉の価格、またイモの切りぼしの価格、これは労賃が相当上がっておる問題、あるいはいろいろな資材費が上がっておる、こういう点から言っても、どうも昨年よりも相当上回った決定をしてもらわねば困るという次第でございますので、この点まだ大臣よく研究しておられぬと思いますけれども、周囲の情勢から考えまして昨年の価格ではいかないと思うのですが、この考え方いかがでございましょうか。
○河野国務大臣 よく研究いたしまして、御期待になるべく沿うようにいたしたいと思います。
○田口(長)委員 次に、水産問題で、来たるべき通常国会には漁業法の改正、水協法の改正、沿岸漁業振興法、それと漁港の第三次整備計画、この四つはどうしても出さなければならぬと思うのでございますが、それらについて大臣はどう考えておられますか、準備しておられますかどうか、一つお伺いいたしたい。
○河野国務大臣 これはいずれも早期に改良して一般漁民大衆の期待にこたえるようにして参らなければならぬと思いますけれども、もちろん検討を進めておるものもありますし、まだ調査中のものもあるわけでございまして、お示しのものを全部来たるべき通常国会に提案するかどうか、最終決定をいたしておりません。なるべく御期待に沿うようにいたしたいと思います。(「漁港整備は」と呼ぶ者あり)全部一括してお答えをいたした次第であります。
○田口(長)委員 まだ最後の結論を出していないということでございますから、提出されるように一つ御努力願いたいと思います。 次に、畜産業が非常に伸びましたために、魚の需要は減退をするんじゃないか、こういう誤解が世間にあるようでございますが、私どもの計算によりますと、現在五百二十三万トン程度日本の漁業がとっておりますが、四十五年になりますと需要の方が約八百万トン近く要る、こういう計算になって、ますます生産しなければならぬという立場に立っておるのでございます。この生産増強の問題につきまして、沿岸漁業方面も大臣いろいろ御研究になっておると思うのでございますが、これは沿岸漁業だけでは足らないので、海洋漁業方面も大いに伸ばしていただかなければならぬ、こういう考えでおるのでございますが、この海洋漁業の面で大臣がお考えになっておることを、国際的に関係がない範囲内におきまして御答弁願いたいと思います。
○河野国務大臣 せっかく私の考えておる範囲においてということでございますけれども、まだ検討中でございまして、影響するところも非常に多いわけでございますから、別の機会にお話し申し上げることにしたいと思っております。きょうはお許しをいただきたいと思うわけでございます。
○田口(長)委員 了承しました。 次に、沿岸漁業の振興方策の問題でございますが、私どもの考えといたしましては、沿岸漁業が今日非常に不振に陥っておる。この原因がどこにあるかという問題を探求いたしましたときに、第一に、沿岸魚族というものは、沿岸で産卵をし、沿岸で稚魚が発生をする、こういう事情にあります関係からいたしまして、工場排水の問題あるいは埋め立ての問題が相当重要視されなければならぬと思うのでございます、しかしながら、これも一方におきましては国としてどうしてもやらなければならぬ問題でございますから、この工場あるいは埋立地と沿岸魚族の繁殖場というものは、非常に十分に調査研究した後に一方の方も決定してもらいたい。こういうことと、今御承知の通りに水質の汚濁防止問題につきましては二つの法律を作っておる次第でございますが、この二つの法律を施行する予算がきわめて少ないので、法律はできたけれども実際においてはさっぱり動いていない、こういう実情でございますから、所管は主として経済企画庁所管でございますけれども、水質汚濁防止に対する予算の獲得につきましては大臣も一つ側面的に応援をしていただきたいという問題が一つと、それから、水産の内部で沿岸漁業を不振に陥らしておる問題が非常に多いのでございます。そのうちの一つといたしまして、日本には稚魚を乱獲するという漁業が相当たくさん各地にあるわけでございます。私は、稚魚を乱獲する漁業をとめることができれば一挙に日本の沿岸漁業というものはある程度振興ができるのだということを考えておる次第でございますけれども、この稚魚を乱獲する漁業がどこに幾つあって幾人の人間がこれに従事して生活しているか、時期はいつからいつまでというようなことがわからないために、そういう方策がとれないようになっておるのでございますから、これは一つ大臣、就任されたのでございますから、水産の基礎的の方策を立てる意味におきましても、この稚魚乱獲の実態調査を一日も早くやってもらいたいのでございます。昨年から水産庁としてもこれにかかっておられるわけでございますけれども、まだ予算も非常に小さいので、あの予算ではいつ完成するかわからないような実情でございますから、この資料を一日も早く整備していただきたいという問題が一つと、それから、もう一つは、この沿岸魚族を枯渇させる大きな一つの原因といたしまして、底びき網漁業が各地にあるわけでございますが、底びきでなければとれないという地方ではそれもけっこうだと思いますが、何といいましても、沿岸漁業者の生活のもとは、釣、はえなわというものを重点にしなければならないのでありまして、こういう漁業の発達している地方では底びきは漸減をするという方針をぜひとってもらわなけばならないと思うのでございますが、この三つの要件、それから、あとで申し上げますが、積極的な沿岸漁業振興方策、これとそれとをあわせて実行してもらうのでございますが、まず消極的のその三点につきまして大臣の御答弁をお願いいたします。
○河野国務大臣 私、全く同じ考えを持っているわけでございまして、お示しの通り、明年度からまず実態調査を積極的にやろうと思っております。その上で沿岸底びきをなるべく外に出すような方策を考えたいと思っております。これは先ほどもお尋ねのありました際に実は申し上げませんでしたが、方向としては、沿岸の底びきその他のものをなるべく遠洋に出すことでございまして、沿岸漁業の育成をはかっていきたい、そこに一つ重点を置いて参りたいと考えております。
○田口(長)委員 次に、この沿岸漁業振興で非常に重大なことは、積極的に漁場を造成する問題と、それから、今日までの沿岸漁業というものは、天然に発生したものをただとる、こういう漁業であったものを、できれば沿岸漁業も農業と同じように栽培漁業に変えていかなければならぬ。幸いに、農林省といたしましては、今年度予算に、栽培漁業を瀬戸内海でまず実施して参るというアイデアがあるようでありますが、これは非常にいいことであると思うのでございますが、これと同時に、この漁場を改善造成をするという問題が非常に重大問題であるのでございます。私どもも、この漁場造成の問題は土地改良と同じことではないか、こういうことで従来から主張してきたのでございますが、今回大臣がこの漁場造成の予算を従来より三倍程度に増額されたという話を聞いておって、これはもう非常な卓見だということで敬意を表しておる次第でございますが、この問題でぜひ大臣にお骨折り願いたい問題は、従来この漁場造成にはいろいろな方法がありますけれども、その中心は何と申しましても魚礁の設置の問題であると思うのでございます。沿岸で底びきが引けないように、そうして魚の繁殖場を与える、こういう意味で、魚礁の設置はきわめて重大でございまして、これが漁場が老齢化するものを新しくするという問題であるのでございますが、一つ困りますことは、従来この魚礁設置で国の補助率が三分の一になっております。大型だけが今二分の一、それを昨年ようやく両方ともに二分の一に変えたのでございますが、この二分の一の補助で魚礁を設置するということにつきましては、これは地元が地元負担金を負担しきれないということで、国の予算がふえましても消化ができないという事情になっておるのでございます。昨年か一昨年てありましたか、五千万円ばかりの金をそれに増加しよう、こういうことを考えたのでございますが、増加されても消化ができぬからお断わりするといって断わられたことがあるのでございます。各県の事情を聞きましても、二分の一ではどうしても無理だというような事情にあります。しかも水産振興の大きな柱でございますから、これは大臣のお骨折りによりまして、少なくとも大型魚礁につきましては四分の三程度の補助率にしてもらわなければ、予算が通過いたしましても実行できないわけでございますから、特にこの補助率の問題を一つお考え願いたいと思うのでございますが、その点いかがでございましょう。
○河野国務大臣 ごもっともなお話でございまして、実は、明年度の予算の要求をいたしますにあたりましての計算の基礎は、大型は国が三分の二、県が三分の一、次に中型は国庫補助が五分の三、ごく小さいのは二分の一ということで予算を要求いたしております。いずれ大蔵省と折衝をいたしますが、私たちの考えとしてはそういうふうに考えていきたいと思います。
○田口(長)委員 補助率の問題につきましては一つ格段の御努力を願いたいと思うのでございます。 次に、ノリの問題でございます。大臣も御承知の通りに、沿岸漁業者の生くべき道の一つといたしまして、浅海漁場、浅海増殖という道があるわけでありまして、この点が非常にうまく農林省の考え通りに事業が進みまして、各県の沿岸漁業者がノリに従事するということが非常に多くなったのでございます。ところが、どうも最近、ことに昨年なんかは、このノリ養殖で人工採苗の方の問題が解決いたしまして急速に生産が増加して参りました。日本のノリの消費量は大体一年二十五億万枚程度と思うのでございますが、昨年の生産は大体三十三億程度になったんじゃないか、こういうことで、生産者のノリの価格というものは非常に下がってしまいました。中等品で一枚八円くらいのやつが四円五十銭まで下がってしまったのでございます。そうなりますと、生産はうんと上がったが価格は下がるで、漁業者としてはかえって泣いているというような実情になっております。ところが、われわれが買うノリの価格は、東京の小売店舗をずっと見ましても、ほとんど下がっていない。もう下がらない前の値段をそのままに売っておる、こういうような実情でございまして、ノリの消費を何とかして拡大しなければならぬということを考えましたときに、消費者価格をどうしてもうちょっと下げないのか。私らの知っている連中からも、もうちょっとノリが安ければ子供に食べさしたいんだけれどもというような話を方々で聞くのでありまして、ノリの価格がもう少し下がれば必ずや消費が拡大するだろう。幸いノリは保存もある程度ききますし、生産者価格は非常に安くて消費者価格がうんと高い。ここに中間利潤の問題が取り上げられると思うのでございます。今年の予算で、農林省といたしましては産地にノリの保存設備を奨励するというような御計画で、これは非常にけっこうだと思うのですが、ここで一歩前進をされて、何とか大消費地である大阪あるいは東京にはこの保蔵庫と共販設備を設置いたしまして、そうしてノリの価格の公正を期すると同時に、明朗な取引によってその問題を解決するよりほかに方法がないと思うのでありますが、ノリは、御承知の通り、現物を見なければ取引ができないものでございます。大阪、東京あたりから産地まで行って取引しなければならないという実情にあるわけでございますから、何か大消費地には、適正なる価格を構成させるために、あるいは適正なる基準で取引ができるように、ノリの取引場所などを設置しなければ問題は解決しないと思うのでございます。今まで韓国ノリの一億枚の問題についていろいろ議論して参りましたが、今日では国内のノリがうんと伸びてしまったために、もう一億なんということはそう問題にならない、こういうような事情になっておるのでございますから、産地の保蔵設備と同時に、一つ大消費地に対する取引所、保蔵設備、こういうものをぜひお考えにならなければノリの問題は解決しないのじゃないか、さように考える次第でございますが、いろいろ御研究にならなければちょっと御返事に困られると思いますが、大体そういうような条件になっておりますから、この点一つ大臣も御記憶に残していただきまして御研究を願いたい、かように考えるのでございまして、別に答弁は要求いたしません。 それから漁港予算の問題でございますが、大臣も方々御視察になりまして、漁港の整備が水産の基本的な施策だ、こういうことをよくごらんになっておると思いますが、有明海で湯江というところがあるのでありますが、ここに漁港を作ったために約三割程度の生産が増強になりまして、私行きますと、おかみさん連中が集まってきて、おかげさんでテレビも据えるようになりました、家の造作もできるようになりました、こういうふうに喜んでおるのでありまして、これは不完全なる漁港と整備した漁港との違いがそういう結果をもたらすのでございますから、水産の振興の施策としてはやはり力を入れていただいてこの漁港整備を一日も早くやっていただく、こういうことが必要と思いますから、三十七年度予算につきましても、漁港の予算については特に一つ御配慮を願いたい、こう考える次第でございますが、大臣の御見解を伺っておきます。
○河野国務大臣 先ほど答弁は要らぬとおっしゃいましたから、ノリについてはお答えをいたす必要がないかもしれませんが、私も、昨年でありましたか愛知県に参りました際に、ノリの新しい増殖の方法等をいろいろ説明を承りまして、なるほどよく改良ができるものだ、うまくいくものだと思って実は感心をいたして参りました。確かにノリが急激に増産される。そういうものは他の農業でも実はないことはない。そこに取引の改善、機構の整備というものが急激に起こって参るものが多いと思うのであります。たとえて申しますと、真珠等についてもそういう問題が近く起こってくるのではなかろうかと思うのであります。これら関連いたしまして、取引の改善もしくは整備をいたしまして、これらを合理化するというようなことについては常によほどの注意を払っていかなければならない。オリにつきましても、それぞれの係においてしかるべき案を立てて御期待に沿うようにいたすことにしておるようでございますが、なお私も十分注意をいたしまして、遅滞なく対処するということにいたしたいと思います。 漁港につきましてはお話の通り、しかも漁船の大型化されましたる今日、または地方の魚族の分布等から見まして、おそらく今の漁港整備計画は相当の改善を加えていく必要があるだろうと思いますことは、先ほどもお話がありました通りでありますが、しかし、いずれにいたしましても、漁港を整備し、特に陸上の施設を大いに増強をして参るということは絶対必要なことと考えますので、これらにつきましては、漁業の振興を期する意味において、できるだけ強力に行政を進めて参りたい、こう考えますので、御協力をいただきたいと思います。
○田口(長)委員 この漁港の問題につきまして特に大臣にお考え願っておきたいことは、大蔵省関係では、重要漁港を整備すればいいんじゃないか、こういうような思想が相当あるようでございますけれども、今日の漁村部落は御承知の通りに各地に点々としておるのでございまして、主要漁港だけが整備されて、これらの連中に引っ越せと言ってみましても、そういうことはできないことでございますから、主要漁港の整備はもちろん必要でございますけれども、点々とある漁村部落、漁港の方で言いますと第一種漁港及び第二種の一部分、こういうものにつきましても、大蔵省的の考え方ではこれはもう問題にならない、かように考える次第でございますから、漁民の住居問題の実態から、第一種及び第二種漁港につきましても従来通り一つ御努力を願わなきゃならぬ、かように考える次第でございますが、この点一つ御答弁をわずらわします。
○河野国務大臣 十分御趣旨の点を考慮いたしまして、善処をいたします。
○野原委員長 金子岩三君。
○金子(岩)委員 私は、大臣に、日韓交渉が再開されますにあたりまして、問題は外交問題でございますから、公開で御所信を申し述べられて差しつかえない程度で一つ御意見を承りたいと思います。 まず、昨年李承晩から張勉に内閣がかわりまして、本年五月軍事革命が行なわれました。その約一年間のあの李承晩ラインにおける韓国の警備艇の動きと、革命後今日に至るまでの韓国の警備艇の動きを比較しますと、非常に激しい取り締まりを現在やっておるのでございます。これは水産庁でも当然そのつど情報は収集されていらっしゃると思いますが、先般、ライン外で拿捕されたという十五明栄丸ですか、これが帰されましたが、ライン外において銃撃を受けて、こんな大きい痕跡が残っておる。こういう荒っぽいことをされておるのでございますが、まず、この十日から交渉が再開されたとしましても、私の見通しではそう短時間にこの問題が解決するとは考えておりません。従って、こういった現在の状態に対して、所管省である農林省、いわゆる政府はどういった処置をおとりになるのか、その点をまず伺いたいと思います。
○河野国務大臣 農林省といたしましては、現在の状況からいたしまして、そのつど外務省を通じて厳重に抗議をいたしておりますことが実情でございます。
○金子(岩)委員 抗議をされていることは私たちも百も承知いたしておるのでございますが、一方的にかような公海の漁場において一部漁民に国家が犠牲をしいておる、これがこの長年の日韓国際漁場における紛糾でございます。当然海上保安庁が全力をあげてこの安全操業のためには努力を続けられておることは承知いたしておりますけれども、最近海上保安庁のものの考え方はずいぶん変わっておる。すでに韓国は日韓交渉を再開しようという態度をとってきておるのだから、業界自体もラインの中に入らないようにせよ、こういう指導をしておる。しかりとするならば、あの朝鮮から距岸百マイル、百二十マイル、ああいう膨大な地域に線を引きまして、この漁場は韓国の漁場である、あるいは韓国の専有漁場であるかのように漁民に押しつけようとしておる。こういった事態を一応水産庁は御存じであるかどうか。
○伊東政府委員 今の金子先生の御質問でございますが、日本側としましては、李ラインを正当なものとして承認したことは一ぺんもございません。これは韓国との交渉におきましても常に主張をいたしまして、それが争点になっていることは先生御承知の通りでございますので、現在としましても、このラインが正当なものだという立場は日本側としては全然とっておりません。今先生のおっしゃいましたような、海上保安庁があの中へ入るなという指導をしているかという問題でございますが、これは、われわれ水産庁としましては、そういうことを是認しまして一切あの中へ入って漁業はしないのだという立場はとっておりません。これは、現に中で操業している問題も当然ございますし、問題が出ました場合に、海上保安庁としてなるべくつかまらぬで中に入りましてのがしやすいということをやってもらうということはたのんでおりますが、一切あの中へ入って漁業をしないということは、われわれとしましてはそういう態度はとっておりませんので、一応申し上げておきます。
○金子(岩)委員 海上保安庁の巡視船が厳戒警報を出した場合は、当然みな退避をしておるのでございます。しかし、御承知の通り、最近ちょこちょこと拿捕がありますので、自分らの責任になるので、とにかくラインの中へ入って操業することを遠慮してくれ、こういった指導をしております。これは少なくとも水産庁あるいは農林省と連絡をとってやっておるものとは私も考えませんけれども、こういった点については、一つ今後十分気をつけていただきたい。しこうして、この漁場は今日まで長年安全操業は不可能でございまして、いつも戦時体制のような心がまえで、瀬戸内海の沿岸漁船はもちろんのこと、山陰の島根、鳥取、山口はむろんでございます、西日本の二千数百の漁船が盛漁期にはこのライン内で操業をいたしておるのでございます。そういう大事な西日本の沿岸漁民の漁場であり、昨日の大臣の所信表明にもありました通り、こう沿岸漁業を、一つ漁場の拡大を極力はかってここに中小漁業も積極的に参加せしめたい、こういうことを申されておるのでございますが、すでにあのラインの中に小さい五トン、十トン、十五トンという船が押しかけていっているのでございます。これが現在の李承晩ライン漁場における現況でございます。こういった漁場に対しまして、このたび行なわれんとする日韓交渉にあたり、問題は財産請求権と漁業問題が大きな柱になっておることは常識でございます。そこで、私が仄聞するところによりますと、あのラインというものはそのまま韓国の防衛ラインとして認めてもらいたい、そのラインを認めた上で、あのライン内の漁場を調整で一つ協定をしようというようなことを外務省と、あるいはそれには農林省も参画するかもしれませんが、韓国との間に何らか予備的交渉が進められておるかのように仄聞いたしておるのでございます。ところが、あのラインがどうなるかということは、今日いわゆるわが国が世界のすみずみまで日の丸を掲げていないところはないというぐらいに海外に進出しておりまして、さしあたってフィリピンとか豪州とか、こんなところも、あのラインの処置いかんによって直ちに大きな国際紛争が起こることは、これこそ火を見るより明らかでございます。こういった重大な関心のあるあのラインの問題を認めて、その中の漁業調整によって日韓漁業協定をやろうとしておることは事実であるかどうか、御意見を申されて差しつかえない程度でけっこうでございますから、一つ……。
○河野国務大臣 全然事実ございません。
○金子(岩)委員 これは大臣に少し皮肉にあたるかもしれませんけれども、われわれ西側から申しますと、北方の国際漁場に匹敵するウエートを占めたこの西日本の国際漁場の紛争に政府が非常に冷淡である。大臣も漁業には御造詣が深い。深いけれども、これは北の方の漁業に非常に御造詣が深い。従って、自分でやはり関心の高いところには力を入れやすいが、関心の薄いところにはおのずから力が入らない、まあ冷淡になってくる、こういうのが長年農林省がとってきた施策でございます。従って、今度の日韓交渉にあたりましては、どうか一つ、北方の国際漁場と同等にこの日韓の国際漁場においても政府が熱意を持って、まさに危殆に瀕した沿岸漁業を沖合いに進出さして振興をはかる、こういう考え方に立ちまして、一つ万全の策をお立ていただきたいというのが私の希望でございます。水産の予算は、どうしたことか少ない。いわゆる同じ農林予算の中でもまあ適当な配分をしておるということを常に申されておるようでございますが、私たちは、同じ原始産業の第一次産業である水産にもっと力を入れてほしい。昨日来連続大臣には農政、農業の基本についていろいろ皆さん質問を続けておるのでございますが、こういったこの委員会の実情を見ても、水産の立場から意見を述べる数が非常に少ない。従って、これを取り上げる政府の方でもおのずから関心が薄くなってくるというような心配が私はあるのでございます。きょうは非常に時間を制約されまして、野党の諸君にはたっぷり一時間でも二時間でもやらせますけれども、われわれには十分か十五分しかやらせないというのが委員長のこの委員会の取り運び方でございますが、どうか一つ、今後は、この水産に対して河野農林大臣は積極的に大きな飛躍をした予算の編成を重ねてお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○河野国務大臣 お答えを、私事にわたって恐縮でございますが、私は、実は、北方漁業に非常に関心を持つが以西の漁業に関心を持たぬということは、非常に誤解でございます。長崎には行って漁業をやったことがございませんが、私は在野当時に実は日魯漁業の下関支社を自分で作りまして、そうしてあそこに以西底びき漁業を開始いたしました。あれも実は私の研究の結果日魯漁業の社長当時開設いたしたのであります。そうして今日の以西底びき漁業についても相当の関心を持って当時から私は注目いたしておるのでございます。決して、この方の面における漁業について私が無関心であるというようなことは、私、長年の経験からないのでございまして、相当に私自身は研究はいたしておるつもりでございます。 また、漁業に対して熱意が足らぬということですが、それは、今も田口さんに申し上げた通りに、私は大臣就任と同時に長官には指示をいたしまして、実は画期的な指示をいたして、政策の運営においても実は事務当局に命じてあるわけでございます。本来申せば、こういうことを申しては恐縮ですが、米のことであんなに問題が起ころうとは私は考えていなかったのです。あれはもう普通のことだから、普通に皆さんが御賛成下さる、あの程度のことはだれでも賛成下さると思って申したことでございまして、私自身は、水産について考えておりますことは、慎重を期して、十分各方面の意見を聞きつつ前進して参ろう、これは相当の摩擦も起こり刺激もあるのではないかということを考えつつ、実は、今、近海漁業を遠洋に、そうして沿岸漁業をもう少し整備拡充して参るということが日本の漁業政策としては一番基本になるものであるということを考えつつ、せっかく事務局に勉強さしておるのでございまして、いずれまた各方面からいろんな御意見も出ると思いますが、その際十分御懇談申し上げたいと思います。決して、今お話しの通り、この方面を軽視してどうのというようなことは毛頭考えておりません。どうぞ一つよろしく御協力をちょうだいいたしたいと考えます。
○野原委員長 明日午前十時から会議を開きます。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時七分散会