大蔵委員会 第7号
- 発言数
- 114 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/10/19
会議録
○小川委員長 これより会議を開きます。 農業近代化助成資金の設置に関する法律案を議題といたします。 質疑の通告があります。これを許します。平岡忠次郎君。
○平岡委員 当委員会に議題になっておりまする農業近代化助成資金設置法案に関連いたしまして、農林大臣にお尋ねをいたしたいと存じます。 昨十八日、農林大臣は、農林水産委員会におきまして、農業近代化資金助成可決の際、「農業近代化資金の資金枠を大巾に拡大しこれに伴う政府の利子補給を引上げ、末端金利が五分以内になるようにすること。」という附帯決議に対とまして、。その趣旨を尊重と、できるだけの措置をとる旨を答えておりますが、具体的に三十七年度におきましては、資金ワクをいかに拡大するかということ及び利子補給の国庫負担分はどのようになるのか、この機会に当委員会におきまして明らかにせられたいと存じます。
○河野国務大臣 お答えいたします。 御承知の通りわが日本農業の現状にかんがみまして、より低利な資金が必要であるということは、長年にわたりましてわれわれ議会人の強く要請するところでございます。その趣旨によりまして、農林委員会において各党の委員諸君が御協議の上全会一致で附帯決議をせられました。当然私といたしましてもこの趣旨を尊重いたしまして、全力をあげて趣旨の実現に努力するという旨お答えいたしました。その意味において、ただいまお尋ねの、昭和三十七年度においてどういう考え方を持っておるか、現に三百億程度の資金を明年度はぜひ五百億程度にいたとたいということを考えております。なお金利の点につきましては、七分五厘を引き下げるということは非常に困難がございますが、これも諸般の情勢を勘案いたしまして、将来できるだけ努力いたしましてと申しますことは、現に明年度におきまして、農村構造改善資金といたしまして、実は五分の資金を予定いたしております。この五分の資金は一面におきまして七分五厘の資金に無利息のものを加えて、そして結論において五分になるような資金を設定いたして、これを個人の施設に貸与とようということをいたしておるわけでございます。他の点におきましても将来できるだけ努力をして、農村の資金の低利になることを期待いたしたいと考えておる次第でございます。
○平岡委員 農林大臣のその決議案に対しての御回答の御趣旨は、今農林大臣からお話のあったように、おそらく農業構造改善とかあるいは農業改良資金とからみ合わせて全体的にという、そうしたニュアンスでお答えになったと思うのです。しかと当委員会におきましては、具体的に農業近代化助成資金の設置法ということになっておりますので、その土俵に限定して、さらにもうちょっとこまかくお伺いしたいのですが、実は今日ただいまの時点におきまして、農林省の方から大蔵省に対しまして予算要求として出ておるものは、従来の通り利子補給の幅は二%ということで、これも国と県とが一%ずつを折半する、融資のワクは三十六年度は三百億円であったが、これを五百億円にするということで、予算要求をしては出ておるわけです。きのうきょうの話ですから、五百億のワクのことはさておきまして、この利幅を下げるため、つまり具体的には七・五%から少なくとも五%ということになりますと、二・五%の利幅を下げるための予算要求が追加してこれから出されるのであるかどうか、この一点をお伺いしたいと思います。
○河野国務大臣 これは今後の政治情勢によることでございまして、明年度予算編成につきましては、まだわれわれ政府、党、基本方針もきめていないのでございます。われわれは一応の予算を大蔵省に要求いたしておりますが、こういう基本の問題につきましてはわれわれは今後政府の方針を定めて、また農業基本法の線に沿いまして、わが党といたしましてこれをどう扱うかということについても、今後政治的に勘案して参る問題でございますので、われわれ一応事務的に大蔵省に要求いたしてある中には入っておりません。しかと御案内のように、各党一致で農林委員会において御決議になりましたことでございますから、その御決議等も尊重いたしまして、私たちとしては鋭意努力するということをお答え申し上げると同時に、今後その努力を重ねていきたい、こう考えておる次第でございます。
○平岡委員 明快なお答えで非常にけっこうだと思います。そういう明快なお答えをいただいたあとで蛇足のようでありますが、実は資金ワクの五百億自身につきましても、私の承知した限りにおきましては、実は三十六年度において系統金融機関の融資は三百億円ときめられた。その際に、来年度つまり三十七年度は四百億円、三十八年度は五百億円、そういう経過できておるそうであります。そこで、大蔵省のしぶい考え方は、四百億円を検討するということ、五百億円はまだ現実の検討のところまでいっていないというふうに聞きましたが、五百億だけは大丈夫ですか。その点についてお伺いしたい。
○河野国務大臣 これは大蔵省がそういうことをおっしゃっておったか、また農林省がその当時そういうことを申したか、——御案内の通り農業基本法の制定前と制定後の、政府としても心がまえが違うわけでございます。従いまして、私としては農業基本法に基づいて各種の調査統計等を整備いたしまして、これに基づいて明年度以降の施策をして参る。御案内の通り農業基本法は制定いたしましたが、何分前国会で制定したことでございますから、予算処置等は明年度以降においてやって参るわけであります。法案等につきましても予算処置が伴わないものが大部分でございます。そういうことでございますから、いよいよ真剣に農業基本法に取り組んで参るのは明年以降でございます。そういう意味において、あらためて政府全体としての認識も新たにいたしまして——またさればと申して、ただいたずらに私は金の多いことをもってよしといたしません。と申しますことは、農村にどの程度の近代化の意欲があるかどうか、ほんとうにそれがつぼにはまって金がいくかどうかということも、今後一年の経過等にかんがみまして、そうして必要なものは当然五百億であろうが八百億であろうが、必要なものであのならば、大蔵省に対しても御理解願う、御協力願う。そうでなくして、ただいたずらに今年は三百億、来年は四百億というような考え方は私はとりません。そういう意味でやって参りたい、こういうつもりであります。
○平岡委員 結論的にはワクのことは事態に即応するという含みがあるが、目標は五百億、これでよろしいですね。
○河野国務大臣 そうです。
○平岡委員 それから利子の補給幅は従来県と国で一%ずつということでありまするが、県におきましてはその負担にたえかねるところもあろうと思うので、昨日の決議がそのままあらたにおいて応諾されるということになりますれば、最悪の場合にはさらに二・五%の国庫支出ということになろうと思うのです。その場合、私実は逆算して計画してみましたが、結局設置すべき資金のワクは五百億の系統資金の金額を前提した上におきまして三・五%ということになりますと、十七億五千万円が要るわけでありまして、これは六%の運用利子によって出るものですから、六%でキャピタライズしますとおおむね二百九十億円になります。従いまして、農林省が現時点で予算要求いたしておるところに従いますならば、五百億で二%、しかもその二%は一%だけを国が持つということですから、この計算からは八十三億三千万円ほどでございます。従いまして二百億円以上差がございますので、これは実力者の農林大臣ですから、その点は大いに期待していいと思うのですが、わが国農村の近代化のために一つ存分におやりにいただいて、ぜひともこの決議の趣旨が生きるようにお願いしたいと思います。
○河野国務大臣 御承知の通り、農村金融につきましては五分が望ましい姿でございます。しかし、何分にも農協の資金が下から上に、政府の低利が上から下へというような、片道交通になっておりますこの農村の金融事情を私といたしましては十二分に勘案いたしまして、この不合理をなくすることが先決問題ではないか。諸般の農村金融につきましては、理解できない点が、非常に多うございます。構造改善のような長期にわたって基本的にやって参るものにつきましては、ぜひ五分、近代化資金についても望ましい姿ではございますけれども、一般の農村金融、その他の産業の資金等から勘案いたしまして、農村だけが直ちに五分で全部いかなければならぬものだということの困難性は、私は十分理解いたしております。しかし、何分にも両党の一致した御要求でございますから、これについてはできるだけ努力をいたしますという旨を申し上げておりますやれども、そよに至るまでの委員会の経過において、私は詳細この問題に対する私の考えは申し上げてあります。従って、農林委員会に関する限り努力はいたしますが、その結論においてどおいう数字になるかということについては、今お話しのように近代化資金五分で五百億いくべきだ、そう明年度の予算にあるべきものだというふうに御期待をいただきますことは、私は他の農林資金等から勘案いたしまして、これだけは五分でいく。ほかにもたくさんございますので、それはそれでいいというわけには参りません。一般の農林金融全体を勘案いたしまして結論を出したい、こう等えておりますから、そこで私は、明年度からこの決議の趣旨に沿って実行いたしとすというお答えはいたしにくかった。御趣旨を尊重いたしまして、できるだけ努力いたします。言葉で申した通りに私はやるつもりでございますから、その点は御理解いただきたいと思います。
○平岡委員 約束は十分ですから、農林大臣の善意と実力に期待いたしまして、私は質問をこれでやめたいと存じます。ありがとうございました。 ————◇—————
○小川委員長 次に税制、金融及び外国為替に関する件について調査を進めます。 質疑の通告があります。これを許します。平岡忠次郎君。
○平岡委員 実は大蔵大臣が御出席する直前に、農林大臣に疑点をただした案件がございます。それは昨十八日農林大臣が、農林水産委員会におきまして農業近付化資金助成法を可法を可決した際に、「農業近付化資金の資金枠を大幅に拡大しこれに伴う政府の利子補給を引上げ、末端金利が五分以内になるようにすること。」という附帯決議に対しまして、その趣旨を尊重し、できるだけ処置をとる旨を答えておるわけであります。私の方はこの農林水産委員会にかけられた実体法とうらはらの農業近付化助成資金設置法がございますので、きのうの御回答に対しての農林大臣の御趣旨のほどを確認したいという意味で御回答をわずらわしたわけであります。その回答をきょう確認したところによりますと、農業近付化のために系統資金の融資というものが現在九・五%で非常に高い、そこで今回は七・五%にしたのであるけれども、さらにこれを五%にするという要望に対しては、農林大臣としては大いにその趣旨に沿うて努力をしたい、こういうことでありました。しかし、実際に今日の時点におきまして、農林省から大蔵省の方に正式に予算要求として要求しているところを見ますと、この助成資金の問題につきましては、資金ワクとしては本年は三百億円であったものを三十七年度におきましては五百億円をということ、もう一つは補給利幅の問題はやはり今年同様二%とし、国と県とが折半する、つまり国の負担は一%ということには三十六年度と一つも変わりはないわけです。そこで、きのうきょうの話であるから、あすからでもあらためて予算要求をし直すお考えがあるかどうかということを聞きました。それには具体的にはお答えになりませんが、とにかく院の決議できまったことであるから、これは大いに推進していきたい、かような趣旨の答弁でありました。そこで、大蔵大臣といたしまして、やはり来年度の予算につきまして、こうした院の決議を受けての農林大臣の御回答に即応するような措置を弾力的におとりになる考えがあるかどうか、このことをお伺いしたいと思います。
○水田国務大臣 まだ別に政府部内でこの問題は話し合ったことはございません。私どもは農業系統資金がいろいろな事情によって高過ぎる。実際にこれが農村にうまく還元利用されるようになっていない。何かそこに道をつけて系統資金を動員員したいという考えから国と地方で利子補給をやる。そうしてこの系統資金の動員を今年度の予算で考えたわけですが、こういうやり方によって逐次系統資金を動員する幅を広げていきたいと考えています。しかし金利の問題になりますと、今農林中央金庫そのほかの金利を見ましても、一応七分五厘程度に大体引き下げる、そこらで一応均衡をとろうという考えも当初ございました。そういったことでございますので、これ一つだけ特別に低金利にできるかどうかということは、まだ技術的にも今後検討しなければならぬと思いますし、それから同じような要求が各所から今ございますが、一般会計の金の使い方として国民の税金を金貸しに使うという方向は邪道でございまして、われわれは避けようとしています。どういう場合にこれを使うかといいましたら、一般会計が少しでもおつき合いすることによって市中の金融量をふやしたり、あるいはこれが動機になっていろいろ都合のいい結果を起こすという場合、また金利が少し高過ぎるので、若干の一般会計の金を入れることによって、ある程度金利を下げることに役立つというような場合に活用すべきものであって、一般会計の金を金融の量的な拡大に利用しようというような考えは、予算編成の問題としては避くべきだと思っております。この予算化の限度がどれくらいがいいかということは、来年度の予算編成に取りかかってみて均衡をとらなければならぬ問題だと思いますので、こういう点は政府としてまだこれからやるところですから、趣旨は了承しますが、そういうふうに政府がやれるかやれないかは今後の問題であろうと思います。
○平岡委員 農林大臣は、当然大蔵省との折衝等も予想しまして確認はいたされなかったのです。しかし本旨とするところは、まあ農業近代化を促進しまして、二重構造でシエーレの一番ひどい日本の農業を近代化し、所得の方も格差をなくしていこうという根本趣旨からはそれは思い切ってやっていくという方向にいきたいという御趣旨に承ったわけであります。そこで、ここで七・五%が五%だから、比較論からいえば大幅な一つの利率の引き下げであるようにお考えかもしれませんけれども、日本の農業と他産業との格差、二重構造ということに思いをいたすならば、私どもはもっと大きな観点からいいますならば、世界的な事例に徴しても農業資金の金利は三・五%くらいに引き下げてもいいという判断に立っているのです。そういう意味から言うならば、五%も少ないという考え方をいたしておるわけであります。この点は単に社会党のわれわれがそれを考えておるのじゃなしに、かなり客観的にいれられなければならぬ所論であると私どもは信じておるわけです。そうした意味におきましては七・五%から五%という比較論だけでなしに、逆に三・五%くらいの目標になお近づくために早急に利率の補給率を引き上げる、こういうお考えに立ってぜひとも農林大臣ともどもこの問題に対しましては最大の御配慮をいただきたい。かように念願いたしておりますが、いかがでございましょう。もうちょっと色をつけての御回答をお願いしたいと思います。
○水田国務大臣 私はこの前からも農林省に研究課題として問題の研究を願ってあるわけでございますが、かりに農業関係の預金を四分で預かる、五分で預かった場合でも、昔のような農工銀行というようなものでもあって、そこで預かってこれを農業のために貸すのだというのでしたら五分で貸すことも適当かもしれないし、必要によったら国が少し助けて四分で貸せということもできるかもしれませんが、まず農業資金というものを農業に還元するために、いかに安いコストにするかということを農業自体も考えるべきだ。今のような三階建のいろいろな農業系統の金の集め方がはたしていいのかどうか、もっと農業資金のコストを下げる方法というものはあると思うのです。こういう努力とあわせて国もお手伝いをしようという立場なんだから、国だけに金を出さしておいて、そういう農業資金のコストを引き下げるという考慮を一つもしないようなやり方は間違いじゃないかと私は言っておるのでございまして、まず農業資金のコストを下げる方策をここで考えてもらいたいと思います。そして国の手伝うべきものは手伝う。農業資金を非常に安く農業は借りていながら、あんなに高いコストになるということは農林省でも相当考えるべき問題だろう、この指導を十分やってくれということを私の方から申し出てございますので、それらの研究とにらみ合わせて、私の方はいろいろ来年度の措置を考えたいと思っております。
○平岡委員 簡単に結論的にお伺いします。それは系統金融が九・五%、これは高過ぎるわけです。そこで、七・五%の利率に下げるということで近代化資金の方が出ておるわけであります。そこで、現在の農業の近代化のために要すべき資金の利率が七・五%で妥当であると大臣はお考えかどうか。
○水田国務大臣 私は農業金利としては高いと思っております。これをもっと下げたいと思うのです。下げるための工夫として、国も利子補給というところに踏み切ったのだから、農業系統資金のコストを下げることも一つやってくれ、両々相待ってもう少し金利は下げるべきだと思っております。
○平岡委員 両々相待ってそうした低金利に持っていこうという御回答がありましたので、半分だけの御回答があったことといたしまして、一応この問題は打ち切ります。 そこで引き続き税金関係のことにつきまして骨格的な御質問を申し上げるわけであります。 十月一日の予算委員会におきまして、来年度予算編成にあたって、池田首相は、社会保障、減税、公共事業、文教政策に主力を注ぐことを明確にいたしました。水田蔵相はそれに相次ぎまして、減税政策は来年度もさらに続けていくとお答えになっております。減税は少なくとも来年度予算編成におきまして、重点施策の一つであることは間違いないことが明らかにされております。私がお伺いしたいのは、来年度予算編成にあたって、減税の規模はどのくらいになるのか、およそのめどだけでもお示しを願いたい。世間にいろいろ流布されております税調では云々という言葉がありますが、もうこの段階では政府の来年度予算編成にあたりましての減税の規模は、やや固まっておるのではないか、かように考えますので、まずそれをお伺いします。 それから、その次には減税の対象の重点は何であるか、つまり直接税か間接税か、どっちを重しとするか、その点もお伺いしたい。そうなりましたときに、今度は直接税減税の規模、間接税減税の規模をあわせお示し願いたいと思います。 以上であります。
○水田国務大臣 減税の規模は今のところ全くきまっておりません。まず減税よりも、来年度の歳入の見通し、予算規模というものも実はこの臨時国会が済んだらすぐに取りかかろうという日程になっておりまして、そこまでまだ入れないでいる状態でございますので、まだ歳入規模もきまらない間に減税規模をきめるというわけには参りませんので、こういう点についてはまだ一つも固まっておりません。ただし税制調査会には、まだ日本の税金は軽いというわけではございませんので、引き続きわれわれは減税をやるが、具体的にどういう減税が妥当であるかという今諮問をいたしまして、税制調査会には研究を願っておる段階でございます。ただ昨年度の減税について申しますと、中小所得者の減税を中心にやるし、今年度は間接税にも手を触れるという減税方針の日程になっておったわけでございます。従って去年から引き続いてこの作業はやっておりますので、減税の中に今年度は間接税も私は取り扱いたい。と同時に間接税だけではなくて、やはり国の来年度の歳入の工合を見て、所得税というようなものについても減税の余地があるなら、私はこれは減税をやりたいという方針ではおりますが、まだ規模とか具体的な問題は一つも今役所としては固まっていないのが現状でございます。
○平岡委員 固まってないことを聞いても答えは得られないということになりましょう。これは政府の怠慢だろうと思う。そこで、この怠慢を大いに糾弾しなければならぬのでありますが、しかし、答えが得られないということになれば、長々とあなたと質疑を繰り返す必要はありません。そこで私は、きょうのところはこれでやめます。あと各論的な問題で重大な課題が幾つかありまして、同僚の安井君からまだ質問いたしますから、お答えを願いたい、かように考えます。
○小川委員長 安井吉典君。
○安井(吉)委員 大蔵大臣はまだ三食あがっていない。そこでこれは人道上の問題だということです。ところがこの大蔵委員会という名前の委員会に大蔵大臣という名前の大臣が出てきてくれたのがこれで二回目です。これからあとまた出てきていただける機会がすいぶんないそうでございます。ですからずいぶん無理した計画で、こんな時間になっちゃったわけです。お約束はたしか二時間ということなんですが、私も念のため三時間分くらい実は用意したわけですが、しかし一つこの際、私のヒューマニズムをかき立てて一時間以内くらいで終わるようなつもりで要点をかいつまんでお尋ねをしていきたいと思います。 きょう私、これから先いろいろ問題になります財政経済政策の中では、例の景気調整政策、それからもう一つは新年度の予算編成がどうなるか、こういったようなところに国民の関心が向いていると思うわけでありますので、それらを一つお尋ねをしていきたいと思います。その前に、一つ税制の問題でしかも昭和三十六年度に解決すべき問題の中で、大蔵省がお忘れになっているのではないかと思う問題が一つあります。それは例のお米の予約減税のことであります。これを一つ初めにお尋ねをしたいと思うわけであります。この問題につきまして、税制調査会はさきに否定的な態度を示しております。自民党の方では、米価決定の際にというふうな表現でその問題の解決を逃げておられる。ところが、その後米審は何とかかんとか終ってしまいまして、そのときにも何も結論が出ずに、しかも現在お米の予約が進んでどんどんお米が出ている状態です。それにもかかわらず、いまだに昭和三十六年度どうするかという政府の態度が出されていないということは、非常に遺憾なことだと思うわけです。社会党は、そういうふうな農民の要望や、さらにまた今までの米価の問題について、筋の立った方向だという考え方から、実はこれについての法案を議員提案として提出いたしこの委員会に付託になっているわけでありますが、一体政府は、どういうふうなお考え方でこの問題を処理されようとしているか、一つそれを伺いたい。
○水田国務大臣 これは毎年問題になっていることでございます。皆さん方ではよく税制の不公平、不均衡という立場から、特別措置を廃止しろということがしょっちゅう言われますが、税制調査会あたりの検討でも、そういう意味で、政策的に最も意味をなくしている税制はこの予約米の減税の制度であると判を押されているぐらいの制度でございます。これをどうするか、私どもは慎重に扱うつもりではおりますが、この制度をしいた昭和三十年度は、御承知の通り予約米をある程度政府が多くしてもらわなければならなかった事情のあったときで、政策的にできた税制でございますが、その後事情は御承知の通り変わっております。当時この恩典を受ける者が全農家の一一%以上ありましたし、米の供出者においても二〇何%恩典を受ける農家があったわけでございますが、その後農家の減税政策をいろいろやりましただめに、現在では予約米の供出をやってそのために恩典を受ける農家というものは全農家のわずか二%しかない。むしろ大農だけに恩典を与えておるというものをいつまでこれを続けるかという問題は、一面米価のきめ方とも関係すると思いますが、政策的な制度である以上、やはり政策効果を見て、もう効果が終わっておるのか終わらないのかということを基準に、この特別措置というものは扱うよりほかに仕方がないと考えています。私どもは、今年度の特別措置の問題でも、そういう観点から百六十億円もやめる方向のいろいろな措置をしました。これはただいまのところまだ残っておりますが、これを存続すべきかどうか、もう少し私どもは考えていい問題ではないかと思っております。
○安井(吉)委員 今の御答弁に対しまして、私は一つ一つ反論する材料を実は持っておるつもりでありますが、きょうはこれだけに時間をとるわけには参りませんし、党の提案もございますので、これは後の委員会の段階で一つ深く入って意見を申し述べたり、政府の考え方をただしたりいたしたいわけであります。 ただここでやはり大事な点たけは申し上げておかなければならないと思うわけであります。今大臣は、これはほんの政策的な置き方なんだというふうに、当時の米価決定におけるこの制度を設けた趣旨を御説明になったわけであります。しかしながら、これは当時のあの方向から明らかなように、米価の一部であるわけなんです。あのときの米価の決定の際に米価が低いものだから、私どもは——これは税体系からすれば今おっしゃるようにあまり芳しい方策ではないかもしれない、そういうものをとにかく上に乗せて、それであのときの米価を政府はおきめになったと思うわけです。明らかにこれは米価の一部だと思う。そういうふうな考え方で問題を処理しなければいけないわけで、たとえこれをやめるというふうな御意思になられても、あくまでこれは米価の一部なんだから、やめたあとの措置をどうするかという、そういう考え方をお忘れになっていては、これはもう納得できないわけです。この点どうでしょう。
○水田国務大臣 もしこれが米価の一部だとするなら、私はこういう供出農民に対して全部恩典が及ぶならかまいませんが、ごくわずかの人にしか恩典が及ばないというものを米価の一部だといって温存する気はございませんで、むしろ米価は米価として、今年度はこの農家の資本に対して利子をつける、労働の利子までつけて米価を算定するというところまでいっておるのですから、ああいう形の中で合理的に解決さるべき問題であって、ごく特殊の人が恩恵を受ける制度だけを米価だといって温存する理由は——そういうふうな考え方をしたらなおさらそれを存続する理由は薄くなるのじゃないかと私は思います。
○安井(吉)委員 これが特殊だというふうな御見解に対しまして、これはあとで申し上げたいと思いますが、米価の一部だという考え方じゃないというわけですが、しかし現実に今予約が行なわれてお米が出ておるわけです。早場地帯なんかすでにずいぶん積まれてしまって、倉庫が足りないというくらい出ておるのです。もしこれが米価でないというような御判断ならあの米価決定の際に政府は御見解を示すべきだったと思うのです。あのときにこれをやめるならやめるんだ、ことしはこれだけ米価を上げたのだからこれをやめるのだぞと、あのときはっきりお示しになるべきだった。それをされないで、今になってやめるということになりますと、すでにお米を農業協同組合の倉庫まで運んでいる農民を政府はいわばペテンにかけたことになるのじゃないか、そういうふうな基本的な問題が一つあります。 それからもう一つ、今度の農民の税は税制改正でずいぶん減ってしまった、二%くらいだというふうなことであっさりお片づけになるわけでありますが、しかしこれは税の体系をもっとお考えをいただきますと、所得税で問題はすべて解決できてないということです。実は地方税の問題が農民の場合には大きいわけです。それは地方税の高いのは大蔵省の知ったことでないということになるかもしれませんが、しかしながら現実に高いのですからしょうがないわけです。今度税制改正で所得税がもちろん減りました。しかしながら地方税の方は、住民税にいたしましても、あるいは国民健康保険税にいたしましてもちっとも下がってないわけです。それは住民税の方式が——ことしのこの米価は明年に現われてくるわけです。それがことしの地方税の改正のある仕組みによって行なわれるわけであります。しかしながら住民税では本文方式とただし書き方式とありますが、農村の大部分はただし書き方式です。ただし書き方式の場合には専従者控除というものがほとんど見られていない。だから農民の今の税への関心は所得税よりもむしろ大きく地方税に片寄っております。農家の経済調査によりましてもその公課は大蔵大臣は国税が二%くらいになると言われるけれども、地方税の方は、これは三十四年の統計でありますが、約五〇%に及んでおる。所得税を納めておる農家は十四万人で七億円くらいの税金かもしれませんけれども、住民税は三百五十万人もが納めていて、その額が百五十億にも上がっている。そういうことからいいますと、この問題は所得税だけを考えて、それだけでこれだけ農家の税金を安くしているのだからこれをやめてもいいじゃないかという理屈は、私は立たないのじゃないかと思うわけです。この問題についていろいろ資料を調べてもらっておりますけれども、今度の米価の引き上げで税金は下がったと言われるが、国税、地方税を合計した姿では、上がった所得よりも税金の方がよけいになったというのがだいぶ出てくるわけです。家族構成とか、その地域の地域的な問題もからんで参りますけれども、そういう姿が現われて参ります。ですからただ単に所得税への対策ができたからこれはなくてもいいのじゃないかという理屈は、私は通らないと思うわけです。その点いかがですか。
○水田国務大臣 御承知のように、住民税でも専住者控除ということをやって、住民税を下げることもことしやりました。地方税はひとり農業といわず中小企業といわず、その地方に居住することによる応益課税でございますので、これはまたこれとして別個に軽減の措置は講じますが、今問題になっているこの税は特に所得税と関係する問題でございまして、もう六百万農家のうちで今所得税を払う農家は十万以下におそらくなっておると思いますし、今日予約米で食管会計に米を供出した人が百人が百人恩典を受けるのじゃなくて、そのうちのわずか三・何%しか恩典が及ばないという、現実にそういう税制化しておるのでございますから、この合理化については相当私どもは検討してもいいのじゃないかと思っております。
○安井(吉)委員 それはもう十万くらいに所得税は減っています。しかしながら現実に住民税を払っておる農家は半分おります。それらの人たちは、今度の住民税の改正方式をごらんになってみればわかるし、それに対して今自治省が下に下ろしている——これは市町村の条例で定まるわけでありますが、それの方式をよくごらんになればおわかりになりますが、米価が上がったのですから、そしてもし予約減税がなくなるということになりますと、さらにまたそれがふえてくるわけですね。所得がふえてくるという形になります。それがまた結局累進的に税率の上の方につまりランクされるわけです。そういうことによりまして農家の税の負担というものは非常に大きくなって参ります。減るとおっしゃるけれども、その反対です。これはもう少し具体的な資料でお話申し上げればわかるけれども、去年三千五百円くらいで税金が済んでいた農家、これは所得税はなくなるわけですね。そういう農家でも今おっしゃったことで所得税はなくなります。しかしながら住民税が三千七百円もふえてきますし、県民税がふえるし、国保税がふえてくる。一万九千百九十五円というような数字が出ております。これがもし予約減税がなくなるといたしますと、この人の税金は、国税、地方税合計いたしますと五万五千四十一円くらいになります。これは非常に大きな増税になります。このような農民の場合には、米価が上がったその上がり分よりも税金の上がり方の方が多くなって参ります。さらにまた、これは一部の富農的ないわゆる階層の中でも上の方だけだというふうにお考えになるかもしれませんが、これは日本の農業構造をよくお考えになるとおわかりになりますが、単作地帯と二毛作、あるいはそれ以上の地帯とで、その現われ方が違ってくるわけです。これは米価だけですから、単作地帯の方ではお米しかないものですから非常に激しい方向で出て参ります。ところが単作以外の地帯ですと、農家はお米だけではない。ほかの作物とプラスしてその経営があるわけですから、この予約減税の問題は非常に弱い姿で現われて参ります。その合計の姿で問題が出されているわけでありますが、しかしこれの存廃が単作の農業地帯、北陸だとか東北、北海道、こういうような地帯になりますと、非常に大きな問題で、米価が幾ら上がったなどという印象もまるっきり吹っ飛んでしまうということになりかねないわけであります。これらのことからいいますと、今この特例をやめるなどというふうなことになりましたら、米価を下げたということと同じ結果になるわけです。その点を一つ十分にお考えをいただかなくてはならないと思います。米価の一部であるかないかということの論議よりも、もしなくなれば、実質的に米価が下がるのだということです。その点を一つお考えになって、この問題の御処置を願わなくてはならないと思います。階層的にも、経営階層の低い農家ほどこの制度がなくなることによっての税金のふえ方が激しいわけです。上の人よりも下の人の方がよけいふえて参ります。今の地方税の仕組みからいってそういうことになるわけです。ちょっと妙なことを言うというふうにお考えになるかもしれませんが、これははっきり数字的に御説明できますけれども、そういうふうな実態を一つお考えにならなくてはならないと思うわけです。それから租税特別措置法のことで、さっき大臣も、ああいうのはやめろと社会党も言うじゃないかということでありますが、私ども租税特別措置をやめるということにまことに同感です。だから今度も、一つ今度の国会に租税特別措置法の改正を出して、あれもやめる、これもやめる、重要物産の免税もやめる、そういうようなものをみんなやめて、これも一緒にやめますよというなら、これは私ども納得するわけです。ところが今度お出しになった租税特別措置法を拝見しましても、ただ輸出入やあるいは木材の関係について特別措置をふやしているじゃないですか。ふやしているだけですよ、減らす方は一つもお出しになっていない。ただ一つこの問題だけをペンディングされている。こういうことです。だから、特別措置をほんとうにおやりになるお気持があるなら、それはその通りにあわせて御措置を願えれば、これは了解できるだろうと思うのです。ただ私ども心配するわけですが、何かあの米価決定に際しまして、自民党の三役と大蔵大臣とが密約があって、これはやめるというふうなことになっているというまことしやかなデマも飛んでおります。その点はどうでしょう。
○水田国務大臣 密約ということではございませんが、いろいろこの問題は検討しようということにはなっております。
○安井(吉)委員 きょうはこの問題につきまして、はっきりここでああする、こうするというお答えはいただくことができないと思いますが、いずれにいたしましてもこの問題の解決は米価そのものの問題にまた逆戻りするということですね。その点を一つ十分お考えいただかなくてはいけないということ、そしてまた先年、その当時は、石当たり七十五円ですか、これをやめようとする場合に、それではその分をどれだけ米価に加算するかというようなことで話がずいぶんもめたことがございました。しかしながら、その加算額石当たり七十五円では多いとか少ないとか、そういうようなことで、この廃止が見送りになった、そういうふうな経緯もあります。これは明らかに米価の一部としての考え方で、政府や自民党はおられるということをこれでもわれわれ知ることができるわけですが、この問題に関しまして、政府はいつごろまでに結論をお出しのお気持ちか、その点を最後に伺いたいと思います。
○水田国務大臣 ただいまは米が農家の主要所得になっていることは事実でございますが、今後は農業基本法の示す方向によっていろんな変化が出てくると思います。従って農家の所得構成が今後どうなるかはわかりませんし、農家について税金の問題を考えろということでしたら、考え方はまた別に新しくいろいろこれから考えられる問題であろうかと思いますが、いつまでも米価とからんだ措置だけが万能であるというふうには私ども考えておりません。それから特別措置の問題にしましても、政策的効果が果たされたものは逐次どんどん改廃されていくべきものであると同時に、最近は最近のまた経済の実情から、新たに特別措置を要するものも出てきておりまして、中小企業部門においては特にそういう問題が今出てきておりますし、農業においても今後同様の問題があろうと思います。ですから既存の措置だけに私どもはこだわることはございません。必要に応じて古い効果を果たしたものはやめるかわりに、新たに必要を生じてきたと思われるものについては、特別措置はまた必要に応じてとっていくという考え方で今後進んでいきたいと思いますので、そういう考え方の一環としてこういう問題も今後十分研究したいと思っております。
○安井(吉)委員 農業基本法の問題が出ましたり、先々のことというふうなお話でありますが、先々のことはまた私どもは先々のこととして政府のお考え方、あるいはまた私どもの考えも示したいと思います。しかし私が言っているのは、昭和三十六年産米の話です。これは一年ごとに出す法律ですから、農業基本法はまだ関連法案が通っていないのです。そういうスローガンだけが通っただけでありまして、すでにとれたそのお米をどうするかということです。そういうようなことでありますから、一つこの問題は先はどうするというふうなことではなしに、すでに過ぎたその問題を、つまり忘れものをどう処理されるか、そういうような態度で真剣に取っ組んでいただかなくてはならない問題だと思います。この問題はまた先に委員会等でもっと掘り下げたいと思います。 次に景気調整政策に対しまして若干お尋をいたしたいわけでありますが、ここではやはり経済成長政策の批判だとか、国際収支の悪化の現状分析の問題だとか、あるいはまた景気調整策の内容がどうだとか、いつごろまでに改善できるのかとかそういったようないろんな問題が前提として論じられなくてはならないわけですが、予算委員会あるいはこの委員会でもさきにいろいろな角度から話がありましたので、きょうはその前提を抜きにいたしまして、政府が今おきめになっております政策に対しまして、二、三具体的な問題についてお尋ねをしたいと思うわけです。今度の政策で五つの柱を設定されるとか、そういうふうないろいろな方向を打ち出しておられるわけでありますが、私ども政府の方向に対しまして、それがいいとか悪いとかいうよりも、こういうような方向に行かざるを得なかった、つまり国際収支がここまで悪くなってしまって好ましくないという、こういう手まで打たざるを得なくなったというところまでお進めになったのは池田内閣の責任ですから、その責任において政策をお進めになればいいわけで、予算委員会でも、うまくいかなければ責任をとると池田さんは言われたそうでありますが、それはそれで私どもは見ていていいわけでありますけれども、しかしこれは池田内閣がそのためにつぶれたりすること、これは野党の私どもからいえば早くつぶれてくれたらいいのかもしれませんが、それはそれといたしましても、日本経済がつぶされたら大へんです。特に私どもは、この引き締め策の陰で中小企業や零細企業、あるいはまた一般国民がずいぶん迷惑をこうむって苦しんでいるという姿を見るにつけても、そういうような人を見守るという立場において若干御注文をやはりつけておくこともよいのではないか、そういうふうに思うわけでございます。まず設備投資の問題にいたしましても、これはもういろいろ問題がありますけれども、私は率直に一つだけ、こういうことをお忘れになっているのではないかということを申し上げたいわけでございます。設備投資を改善するための一番きめ手になるのは、私は租税特別措置をおやめになることではないかと思うわけです。さっきもその問題にお触れになったことがございますが、今度の租税特別措置法の問題でも輸出の改善、そういうようなところにはこうやって手を打つのだというふうなことをお示しになって、私ども法案をいただいております。ところが今の設備投資の問題点は、輸入が非常にふえているということじゃないでしょうか。だから輸出の方を奨励するというなら、輸入の方の問題にいたしましても、重要機械等の三年間五割増し償却ですかあるいはまた合理化機械等の初年度二分の一特別償却、こういったような仕組みをこの前の通常国会で政府はお出しになって、国会を通っているわけであります。こういうような仕組みができたからこそ、今度の設備投資がどんどん伸びていったのじゃないか。ただでさえ伸びがちな設備投資にこういうもので気合いをかけて拍車をかけられたのがこれだと思うのです。だからそういうところからいえば、これはむしろ一番大事な手としてこういうところがらお始めになるべきではなかったか、そういうふうに思うわけでありますが、その点どうですか。
○水田国務大臣 この特別措置、今三年間云々と言われましたが、その問題については、あとから主税局長から実際のことを話してもらいますが、問題は、日本経済は今やはり自由化を前にして国際競争力をつけるための体質改善、合理化投資を必要とするというこの必要にぶつかっていることでございまして、これはどこまでもやらなければならぬ。これはむしろ日本経済の内在的な要請でございますので、この政策をわれわれは押えるつもりはございません。ところが今までは大企業のそういう合理化が相当進んでおりましたが、最近見られる特徴は、この必要な合理化が中小企業にまで及んできている。中小企業面における合理化意欲というものが非常に強いということも、今の設備投資が全体として多過ぎる一つの原因になっていることは確かでございます。従って、今年度になって特別措置がひとり大企業にだけ適用されているものじゃございません。中小企業にも適用されております。中小企業部門への適用を特に最近強化しているというような事情もございまして、日本経済の要請から見ましたら、この合理化というものは進めなければならぬ。ところがこれが進み過ぎる場合にはいろいろの問題が起こる。現在ある程度押えようとしておるのは、これが少し進み過ぎているからでございますが、これをとめる方法として、牛を殺してしまうわけには参りませんので、やはり必要な合理化は進めていく。もう少し延ばしてやっても差しつかえないというようなものは、できるだけこれをおくらせてもらう。そのためにはそういう税制の措置の廃止とかいうものじゃなくて、やはりこれは行政指導によることが非常に有効だと考えられる点が非常に多うございます。従って、御承知のように、政府はこの六月に、金融機関を通して出ておる主要百五十社の設備投資計画の実態調査をやって、何とかこれをもう少し延ばせないかという指導を金融界からもいたしましたし、同時に産業を管理している通産省も、合理化審議会を通じていろいろの吟味を行なって、業界個別の指導まで行なっております。そういうことでこれが抑制されるなら一番摩擦なしにやれることでございますが、もう少しそういう様子を見てから金融引き締め措置とかいろいろのものをだんだん併用していくという方針で、第一回の公定歩合引き上げはやりましたがその後私どもはもう少し実際の推移を見たいと考えておりました。あれから三、四カ月たって、ようやく今二度目の実態調査ができましたが、それによるとすでに民間の自発的な抑制によって六月のときに調べた計画は八%前後縮小されておる。さらにいま一歩というところまできておりますので、私どもはこれに対するいろんな相談を始めておって、最終的には一〇%をちょっとこす程度の設備投資抑制が成功するのじゃないかと考えております。そうしますと、四兆といわれた設備投資が、今の見通しでは政府の総合施策と行政指導によって、何とか三兆六、七千億のところへとどまりはせぬかという動きまで見られてきた状態でございますので、そういう点によってこの政府の目標としている方向への指導を行なうということがうまくいけば、むずかしい事態にはならぬ。もともと経済自体が悪くていろんな破綻を起こしているということじゃなくて、日本経済の実態は国際収支の問題を度外視したら少しよ過ぎる状態になっておる。経済の実態が悪いことに対する措置ではなくて、よ過ぎて伸び過ぎていることから生ずるいろんな問題を押えようとする措置でございますから、私どものとる措置も、そう単純な措置では参りません。一般的な方法、個別的な方法、いろんなものをまぜて弾力的に対処するよりほか仕方がないと思っておりますが、今のところわれわれのとった措置はある程度効果を奏し出してきているというふうに私は今見ております。
○村山政府委員 ちょっと補足して申し上げますが、ただいま先生が三年間五割増しという特別償却、初年度二分の一特別償却と申されましたが、これは御案内のように昨年整理いたしまして、三年間五割増し特別償却という制度は廃止して、初年度二分の一というのは別ワク三分の一にしたわけであります。その際三年間五割増しは一般の耐用年数短縮の方に織り込みました。ただそのときに、織り込み方といたしまして、大企業分については税額で五十億程度あったわけであります。それを一般の耐用年数の方に織り込んだ。それから中小企業の方はたしか二億ぐらいあったと思いますが、これを十億ぐらい拡大して、全部三分の一特別償却の方に振りかえたわけであります。しかも、一般の耐用年数の短縮も平均二割でございますけれども、中小の方は大体三割程度を目途とする。大企業の方は一割五分というふうに、一応特別償却の整理に関する限り、中小の方に非常に傾斜を置いてやったという点は、昨年御説明いたしましたが、今そのようになっておりますので御了承願います。
○安井(吉)委員 今の問題は、ことしの春の新旧対照表を上下逆に読んでおりましたからそうなりましたけれども、しかしその内容においては、これだって合理化機械等の特別償却はやはりあるわけです。内容は若干改善されましたけれども残っておるわけです。こういうようなものが設備投資の誘い水になっておるということを私は指摘したかったのであります。さらに、関税定率法の中でも重要機械は一五%たしかあるはずです。ところが暫定措置法で、ちょうどこの租税特別措置法にあたるいき方でありますが、関税の暫定措置法でこれもゼロにしているわけです。こういうような問題も、まずそれの方の解決をすることの方が、私は今やるやらぬというよりも、当初それをまずお考えになることの方が政治のかまえとしてよかったのではないかということを私は申し上げているわけであります。と言いますのは、行き過ぎで金融の引き締めになる。ところが金融引き締めになりますと、それによって設備投資ももちろん減るでしょうけれども、その辺のたばこ屋までみんな影響を受けるわけです。そういうような意味からいいましても、今の関税暫定措置法だとか、租税特別措置法でいけば何の縁もゆかりもない中小企業、零細企業にそばづえを食わせる必要はなかったのじゃないか、今の政治のかまえの問題について申し上げたいわけであります。 そこで、金融の問題でございますが、これは社会党の立場で、中小企業への配慮は十分できておるかということを、予算委員会でもあるいはまたこの委員会でも繰り返し言われたことだと思うのですが、これは幾度強調されても、し過ぎることはない問題であると私は思うわけであります。大企業の中小企業への支払いの遅延がぼつぼつ起きているというふうな報道もあります。また都市銀行そのものが資金のプールがだんだん窮屈になるものですから、何といいましても、いわゆる選別融資というふうな態度が強化されるのではないか。現にそういうものがされつつあるというふうなことも伝えられております。今度の金融引き締めが、公定歩合の引き上げというふうな資金需要の面を押えただけじゃなしに、資金供給の方まで同時に押えているから、やはりそういうような問題も起きがちではないかと思うわけであります。こういうふうな問題が最近どういうような姿になっているか、そしてまたそれにはどういうような手を打っておられるか、その点を一つ伺いたいと思います。
○水田国務大臣 この前の当委員会でも申したと思いますが、金融引き締め政策をとれば、三十二年ころの経験を見ましても、どうしても結果が中小企業にしわ寄せされるということがありますので、今回の場合は私どもは特にこの点に気をつけておりまして、市中金融機関からの融資額は、御承知のように中小企業に対して五兆円以上に上っております。これが一割締められるということでしたら、五千億円も締められるということになりますので、何をおいても、まず一般の市中金融機関が中小企業への貸し出し比率を落とさないようにという指導が大切でございますので、今大蔵省としましては、落とさないというだけではなくて、むしろこういう際だから少し貸し出し比率を上げてくれという指導までして、日銀からも同様の監督を願うというような形にして、比率を落とさないことに全力をあげております。それで政府機関におきましても、率先して昨年に比べたら三倍近い年末手当を今考えておるわけでございますが、市中銀行に対しても中小企業に貸せといって、ひもつきの政府資金まで出すという配慮をして今臨んでおりますが、貸付け比率を落とすなという指導を厳重にしますと、少し大企業の方へもしわが寄ってきかかっておる。引き締め政策をとれば当然でございますが、その結果、自分の系列の下請企業に対して支払いの遅延とかいうような問題が起こる、こういう傾向が現に出てきているときでございます。私どもは問題は少し行き過ぎた設備投資を押えたい。これからくる内需の旺盛を少し是正したいという考えの金融引き締めでございますので、中小企業にまで影響のくるような運転資金の面における金詰まりということは、これはまた考えなければなりませんので、必要な運転資金を円滑に供給するということについても、いろいろ弾力的な配慮をしなければならぬだろうと考えています。金融の引き締めという基調はゆるめないといたしましても、運営の方法は引き締め一本やりでは対処できるものではございませんので、政府機関においても、すでに運転資金というものに重点を置いた貸付の配慮を政府側もやっておりますが、民間側についてもそういうような配慮をお願いして、大企業といえども、中小企業はなおさらでございますが、運転資金に事を欠くことからくるいろいろな問題というようなものは避けたいという指導のもとに、今後この点については万全を期するつもりでおります。
○安井(吉)委員 この点一つ伺いたいのでありますが、融資量が今のような措置で圧迫されるわけです。そのしわが金利の引き上げというふうな形で現われてこないかということです。現に歩積みがふえたりしている。拘束預金がだんだん強化されているというふうなケースがあるというようなことも聞くわけでありますが、そういうような実態、さらにまた、そういうようなものに対してどういうふうな対策をお持ちか、その点を伺います。
○水田国務大臣 中小企業に対する金利が上がってくるという傾向は今ないのではないかと思います。今度の公定歩合の引き上げにいたしましても、中小企業向けの金利は上げないということを、すでに民間の機関の申し合わせによって実行してもらっておりますし、信用金庫、こういう方面におきましても、自主的にこれをきめておるという状態でございます。中小企業から見ますと、実際はむしろ金利は少し上がっても量がほしいというのが今実態ではないかと思っております。そういうときに、歩積みというものが五十万円必要だ、せっかく必要で借りるのに、ここで五万円積ませられるというようなことからやみ金利えの依存とか、それが中小企業の詰まる原因になるというような問題が今までの例でございますので、こういう際ですから、これは特に慎んでもらいたい、やってもらいたくない、われわれは十分これは行政監督をいたしますよ、検査もいたしますという態度で、この両建、歩積みの問題にはただいま臨んでおります。ただよく法律かなんかで禁止したらというのですが、従来のいろいろな取引の慣行もございますし、問題は本人の意思に反してそういうことをやる場合はいけない。それはやらせてはいけないというような方向で、今かなり強い行政指導をいたしておりますので、心配されるようなものは裏にそうないのではないか、口先だけではなくて、私どもは相当やっているつもりでございます。
○安井(吉)委員 大蔵大臣のところに、私の銀行ではこうやっておりますよと報告に来る頭取はないと思いますけれども、現実にはやはりそういうような強化の方向が現われてきつつあるようです。まだ対策を講ぜられて日が浅いものですから明らかになっていないと思いますが、いずれにいたしましても、もう借金競争にこれから先は当然なっていくと思います。そういうことになりますと、もう背に腹はかえられぬというようなことで、今あなたがおっしゃいましたけれども、利子は幾ら高くても、歩積みがどうあろうとも、とにかく貸してもらいたい、そういう気持になってくると思うのです。そういうような意味で、一つ十分な行政指導をしっかりお願いしてお願いしておかなくてはいけないことだろうと思います。 そこで、中小企業金融の問題は、企業間の信用がだんだん長期化していくとか、金融機関の選別融資によるものだとか、あるいはまた設備投資が締められるということによりまして、それが金融にしわ寄せになってくるとか、そういうような姿で中小企業の資金不足が相当大きな額に上ってくるのではないかと思うわけでありますが、三百五十億やそこらの資金手当じゃこれはどうにもならないということは、これから先だんだん金が必要になってくる段階で、税金の問題もあるし、年末金融といったような問題もある。そういったようなことで、そういう時期にこれから向かいつつあるわけでありますが、今まで手当をされましたこれで足りない場合はどうするおつもりでいるのか。 それから、中小企業向けの特別買いオペレーションをやるというようなことも伺っているわけでありますが、それはいつごろを、そのタイミングをどういうふうにお考えになっているか、そういうようなことについて伺いたいと思います。
○大月政府委員 ただいままでに措置いたしておりますのは、中小公庫、国民公庫、商工中金に対して三百五十億の財政投融資の追加が決定いたしております。それからこの十月の中旬と十一月の上旬とにかけまして、金融債等を資金運用部その他の政府資金によって買い上げる。十月末百三十億円、十一月中旬七十億円、合計二百億円、こう予定いたしております。合計五百五十億円の方針がすでに決定済みでございます。なお今後の情勢いかんによりましては、必要があればさらにこういう方式によりまして政府資金を追加するということを検討いたしたい、こういうふうに思っております。
○安井(吉)委員 買いオペの問題はどうですか。
○大月政府委員 ただいま申し上げました十月末百三十億、それから十一月中旬七十億がいわゆる買いオペと言われておるものでございまして、こういう方式につきましても、なお必要がございましたら考える、こういうことでございます。
○安井(吉)委員 時間がずいぶん縮まって参りましたので、先を急ぎますが、今度の対策のうち財政支出の繰り延べの問題もございます。官庁営繕の問題だとか、公共事業だとか、財政投融資だとか、そういったようなものにつきましての財政支出の繰り延べでありますが、ここで私一つ心配になりますのは、未開発後進地域の公共事業等についてどういう配慮がなされているかということです。さっき大臣は今度のものはもう経済が伸び過ぎて、日本経済がどんどん伸びて伸びて、そういうふうな伸びていることの悩みだというふうにおっしゃったわけでありますが、これは確かにぶくぶく太っては参りました。しかしよくたとえに言われますように、太っている人は必ずしも健康体というわけじゃない。その太っているのが手ばかり大きく太って足の方が伸びてない、おそらくそんなことじゃないかと思いますが、いわゆる二重構造の太り方がむしろ拡大されたということを私どもは心配しているわけです。総理大臣なんかもどんどん太っているのだから心配はないじゃないかと言われますけれども、私は太るからこそ心配だと思うわけであります。そういうことから先ほどの中小企業の問題もその心配の解決を一つやってもらいたいという意味で申し上げたわけです。と同時に、この日本経済の太るということがつまり上下の格差の問題と同時に、地域の格差に当然なってきているということです。太平洋ベルト地帯だとか、とにかく太るところは大体きまっておって、ちっとも太らなかったり、足踏みをしたり、むしろやせている地帯というのはそっくりそのままになっているということ、それをそのままにして太っているその格差をさらに拡大していくというところに問題があるわけであります。そういうような意味で、今度の財政収支の繰り延べの措置も、一律に適用されますと、未開発な後進地域は格差があるところへもってきてさらに今ばんとやられる、これじゃ非常に困るのじゃないかと思います。そういうような問題につきましてどういうふうな配慮をなされていくか、その点伺います。
○水田国務大臣 これは一律引き上げで繰り延べをやったわけじゃありませんで、十分実情に沿うた処置でございます。私自身四百億を繰り延べる、これは普通の場合には容易なことではございませんので、相当関係者の摩擦があるだろうと覚悟しておったことでございますが、これほどまた話が円満にうまくいった例がないというくらい——これはまた実情に応じて必要なもの、それから既定計画は変更しない、計画変更じゃなくて時期の問題、引き続いてこの計画通りにやれるというようないろいろな前提的な話し合いがございましたので、きわめて円満に各省間で話が進んだという実情でございますので、これは画一的に特別無理した繰り延べではございません。これは御了承願います。
○安井(吉)委員 と言われますことは、これまでの話し合いの中で私が今心配をし、こうすべきだというふうに申し上げたことが果たされているというふうに解釈してよろしいですか。
○水田国務大臣 北海道を初めとして果たされていると私は思っております。
○安井(吉)委員 しかし大臣がそう言われていても現実にはそうじゃないといったようなことが下から、これから先になって出てこないとも限りません。そういうような際に特に今のような趣旨で十分の御配慮を願っておかなくてはならないと思います。 次に、そういうような問題が起きてくるおそれはないかと思います。というのは金融引き締めというふうな事態、これをさらに一そう強化されていく、こういうような場合に国内では資金のあてがどうにもならない。そこで外資の借款へ逃げていく、そういうふうなおそれがあったのではないか。現に最近の新聞をずっと見ておりましても、三井物産では三井グループとしてスイス債の発行を計画しているとか、丸紅がフランスの工作機械のメーカーから金を借りたとか、特に目立っておりますのは国際石油資本が石油の売り込みのひもつきの借款を供与しているという例が最近ずいぶんふえているという報道がございます。そういうふうな方向を野放しにしておいてよいのかどうかということです。このことは外資導入の基本的な方向について政府は対策をお持ちなのかどうかということを伺えばよろしいわけでありますが、当面そういうような措置をどうお考えになっているか、そしてまた根本的な対策についてどういうふうに措置されようとお考えになっておるか、この点一つ伺います。
○水田国務大臣 日本経済にとって必要な外資は導入するという方針でやっておりますが、しかし、むやみやたらに外資を入れているわけではございません。必要な設備であるかどうが、こういうものとのにらみ合せで、これを審査する委員会もできておるわけでございますから、全く自由に外資の流入を今しておるわけではございません。相当調整を行なっております。また外資の導入といっても、日本経済自体についての安心というものがない限り、外資というものはくもるのではございませんので、私どもも必要な外資を入れるための国際収支の改善策というものも、やはりとるという態度でこの調整をはかっておるところでございます。
○安井(吉)委員 日本経済の国際競争力における弱さといいますか、そういうようなことは常に言われている問題ですが、これから自由化という一つの波を迎えまして、特に資本の自由化の結果として、外国資本の支配下に入る可能性も持っていると思います。そういう弱さを備えているように思います。それは、現に先ほど申し上げましたような例で言えることであります。そういうふうな、当面の金融の引き締めから外へ逃げていく、問題を転化していくというふうな方向、それからまた自由化の進行、こういうところから、これから先外資の導入がほんとうに正しい方向で行なわれなくてはならないわけで、そういうようなことがなくては、いわゆる国際資本の重圧のもとに、われわれ将来置かれないとも限らない、こういうことになるだろうと思うわけです。今、委員会で十分審査をしているというふうなお話がありますが、しかし改府として、これは確固たる方針をやはりお持ちになっていなくてはいけない。どれくらいまででいいのか、そういう基本的な態度というものを十分におきめになっていなくてはならないと思うわけでありますが、何かそういうふうなものをお持ちなんでしょうか。
○水田国務大臣 具体的なことはあとから為替局長からお答えいたしますが、私の見るところでは、外資を導入することによって、外国資本に隷属する可能性も今後出るだろうというようなお話でございましたが、逆でございまして、日本の企業というものはなかなか強くて、そうならぬところに、なかなか外資が入ってこないというのが、むしろ実情ではないかと思われる段階にございますので、そういう点の御心配は一切ないと私は思っております。
○福田(久)政府委員 補足して説明させていただきます。 お話のように、外資の入っております状況は、最近におきまして、だんだんふえてきておることは御承知の通りであります。ただ外資が入ります場合に、私どもの考えます点は、二つの面があるわけでございますが、一つは、国際収支の現状に顧みまして、外資が入って参りますことは、その国際収支をそれだけよくするという利点がありますと同時に、国内におきまして、金融を調整しております際に、外資によって国内金融の整調にじゃまになるようなことになってはいけないという二つの面から考えまして、まずあとの方が大事でございますが、国内の行き過ぎた設備投資の動向を、外資の入ることによってさらに行き過ぎさせることのないようにということにつきましては、各企業の設備計画、たとえば産業資金の合理化審議会における一つの見通しとか、それらのものを勘案いたしまして、これならば必要なものであるという確信を得まして、審議会にも諮って措置しておるわけでございます。これは大蔵省だけでございませんで、通産省その他関係各省で幹事会を構成いたして、それらの所管官庁において、所管業種のそういった見通しと合わせまして、そういう行き過ぎにならないような配慮を他面においてやっておるという実情でございます。
○安井(吉)委員 確かに今おっしゃるような効果があることは、私どもも認めるわけであります。しかしながら、貸してくれるのだからいいじゃないか、こちらは特に外貨は足りないのだし……。ただそれだけでいっているうちに、現実に、今の段階でも、外国から金を借りられるのは、これは大企業に限っているわけであります。そういうようなものが、さらに独占が強化される方向で中小企業にさらにしわが寄っていく、そういうふうな言い方でなくても、今の外資の導入で、民族資本による産業、そういうようなものに非常に圧迫がきているという実情。これは、まだそれまで強く現われていないかもしれません。しかし、これから先自由化が進めば進むほど私はそういうような方向が現われてきはしないかということをおそれるわけです。だから、民族資本保護といいますか、そういうような方向がやはり頭の中にあって処理されなくてはいけないわけで、ただ単に国際収支の均衡、そういうような見地からだけ問題は処理さるべきではないということです。この問題につきまして、さらにまた機会があれば取り上げたいと思いますが、そういうような御配慮が一つ願いたいと思います。 問題はたくさんありますけれども、次に外貨繰りの問題について若干お尋ねをしておきたいと思うわけでありますが、この間大蔵大臣は、ウィーンのIMFの会議にも出てこられたわけでございますが、今日のように外貨不足が非常に激しくなってきて、けさの新聞なんかでも、さらにそれは拡大されておるというような報道があるわけであります。資金の引き出しそういったようなことで手当をしなくてはならない段階がきつつあるのではないかというようなことも感ぜられるわけであります。今ならまだいいかもしれませんけれども、しかし最近の外電では、ユーロダラーが減りつつある、あるいは自由円も減ってきている。そういうような問題の裏には、日本経済の今の国際収支の非常に困難な状態そういうようなものが向こうで報道されて、それが一つの——それだけではないでしょう。問題はたくさんありますけれども、そういうようなものも一つの要素になっておるというようなことを聞くわけでありますが、外貨危機が、完全にどうにもこうにもならないというふうな段階になってしまえば、これは大へんなことになるわけでありまんが、外貨繰りの問題について、大蔵大臣はどういうふうにお考えですか。
○水田国務大臣 問題は、国際収支の回復策を講ずるということでございまして、国際収支がつり合ってくれば、またいろいろな問題も解決するわけでございます。そのためこそ私どもはいろいろな総合施策をとっているわけでございまして、この施策の効果が現われれば、私どもはそう借りなくても金繰りでやっていける状態になり得ると思っております。かりに一時的に外貨が足らぬとか何とかいう問題が起こりましたらこれは金繰りの問題ですからどうにでもなる問題で、それと二つを混同して最近論議されて、支払いがとまってしまってしまいはしないか、なくなりはしないか、日本経済はつぶれそうだというようなことを言う人があるのですが、全然そうではございません。現在十五億ドル以上の外貨を持っておる時でございますので、今のこの政策がうまくいって、われわれが思っているような形のものが出てきますれば少しも心配のない事態だと思っています。今度私どもがIMFから借りるか借りないかということが、しょっちゅうこちらへ来ると問題になりますが、向こうへ行って私どもの感じたことは、もう各国が昔のような、それぞれの国が対立してどうこうという世界の情勢では今ございません。先進国が一番困ったという場合、それが因って行き詰まるということが世界の貿易量を縮小する、それが世界経済縮小への原因になって、お互いの繁栄を阻害するのだ、だから国際流動性の不足に対しては、もうみんな助け合うのだ、そうして余力のあるものが余力に応じて後進国の援助をするそうして後進国国民の生活水準を引き上げ、そこの開発をすることによって世界経済はさらに一歩拡大するのだ、この努力を怠ってはこれから世界の共存共栄ということがあり得ないのだ、こういう国際機構の理念というものは、われわれが考えている以上に非常に各国において強い。従って、日本は勝手に成長政策をとった勝手にどんどん世界で一番伸びているのだ、それで国際収支が悪くなるというのはあたりまえで、身から出たさびじゃないかというような考えを持っている国が一つもなかったということは、われわれにとって意外でございまして、成長政策を日本でとっている、しかし、それによって、お互いの国がこれから成長政策をとらなければならない、そういう場合に、こういういろいろな問題が出たときにはIMFはこれを助け合うのが目的のむしろ機構でもあるのだということでございますから、すでにフランスが助けられたり、あるいはイギリスにおいても十五億ドルの引き出しというようなものも行なわれてイギリスの危機が救われているというようなことで——日本が国際間において非常に信用があるというのは、過去において日本に国際収支の問題が起ってもそのつど克服している。しかもなお日本は、国際収支の問題が出てきておるときでも外国への協力はやるのだ、インドにしろ、パキスタンにしろ、日本は応分の協力をしておるし、国際収支の問題が云々されておっても、イギリスに対して日本は五千万ドルの応援をりっぱにしているのだというので、日本が国際機構に対して尽くしている最近の実績というものも非常に高く評価されておりますので、その点において私どもは、日本にもし必要があったらIMFへ行って金を借りるなんということはいつでもできることでありまして、これを重大視して、それを借りたから大へんだなんというような考えを持つこと自身が間違いで、いつでも必要によってこれはやればいいことで、金繰りの問題で私どもは今全然心配はしておりません。むしろ大きい国際収支の回復という策をなるたけ早や持っていきたいということに今専念しているのでございまして、外貨が幾らあったらいいか、いつになったら困るかなんという問題は、また別の問題だろうと私は考えております。
○安井(吉)委員 そういう意味でごく事務的に伺いたいのでありますが、一体日本の場合今IMFからどれだけ借りられるか、つまり、貸し出しの限度といいますか、そういうものはどれくらいにおつかみになっておりますか。
○福田(久)政府委員 IMFの制度から申しますれば、日本は五億ドル出資をいたしておるわけでございます。そのうち、一億二千五百万ドルは金で出資しております。これをゴールド・トランシェと申しておりますが、そのほかに第一、第二、第三、第四とトランシェがあります。従いまして、全部を合わせますと一億二千五百万ドルの四倍と金を足したもの、六億二千五百万ドルがIMFの協定の制度上の最高でございます。ただ、現実の問題といたしまして、ある限度をこえる場合は特別のウエーバーをとるという仕組みになっておるわけでございます。なおそのほかに、先ほど大臣から御答弁の中にありましたように、先般のイギリスの十五億ドルのIMFからの引き出しに関連いたしまして、日本の出資円のうち五千万ドルをイギリスに使わしておるわけです。そのほかインドに対して五百万ドル、その五千五百万ドルはそれらの別ワクとして当然借りる権利が与えられているということになります。
○安井(吉)委員 そうすると、今おっしゃったのはいつでも簡単に借りられる仕組みですか。
○福田(久)政府委員 簡単という言葉がどういう意味に理解してよいかどうもわかりませんが、やはり一応それぞれIMFの理事会にかけていろいろ審査をし、その上で理事会が決定することになるわけでございます。
○安井(吉)委員 IMFの借りは、金が足りなくなったのであした友だちから借りるというふうなごく気やすい考え方でよいというふうに大臣言われましたし、私どもそういうふうに考えたいわけでありますが、何か一般的な印象としては、たとえば英国の今度の借り入れ、そういうようなものでも非常に激しいデフレ政策が講じられた。だから、IMFから金を借りると何か条件がついて、つまり国際金融の圧力でデフレにかり立てられるではないか、英国と日本の場合は違うわけでありますが、そういうふうな印象もあるのではないか。その点解明していただきたいと思います。
○福田(久)政府委員 IMFから借ります場合には、先ほど申し上げたように、やはりそれぞれ理事会の審査を経るわけでございますが、イギリスの場合では、私はっきり今数字を承知しておりませんが、出資額の七、八割くらいまで借りたんではなかったかと思います。その他の場合でも、あるいは五割くらいとか、六割くらいとか、四割くらいとかいろいろ事例があると思います。ただ、IMFの目的といたしますところは、その国の国際収支がよくなるというか、改善されるということを一つ目標としておるわけであります。そういう意味から、改善される可能性についての批判なり判断なりというものが加えられることになろうかと思うのであります。従って、その国の実態と改善の方向というものとの見きわめによってそれぞれの判断が違ってくるということになろうかと思います。ただ、この際申し上げておきたいことは、ヤコブソンの五提案というのが昨年ありました。昔はIMFはめったに利用しない制度だという印象が強かったのでありますけれども、IMF利用はもう少し弾力的に考えるべきではないか。先ほど大臣からお話がありました国際流動性という問題に関連いたしまして、もう少しIMFの利用を——言葉は非常に悪いのですが、そういう非常に厳格な気持でなく、活用するというふうに、各国ともそういう気持で進むべきではないかという提案がその五提案のうちの一つになされまして、最近かなりの国がIMFからの資金の引き出しということを考えつつある実情でございます。
○安井(吉)委員 今の御答弁から判断いたしますと、いずれにいたしましても、その国の収支改善策についてはIMF指示をする。銀行に金を借りに行っても、どうやって金を返すのかというふうなことまで、いろいろ指図をするといったらおかしいですけれども、銀行側は関心を持つわけでありますが、その程度のものなのか、あるいはまた、もっと積極的に財政金融上の景気調整措置をこうやりなさいといったような条件を付するのか、その点さらにもう一度伺いたいと思います。
○福田(久)政府委員 非常に抽象的なお答えになって恐縮でございますが、IMFの理事会がその事案について、すでにとっておる施策でかなり成功する方向に向かっておるかどうか、あるいはさらに追加的な措置をしなければならないかどうかという理事会の判断によることではないかというふうに思います。従って、相手国の個々のケースによって答えは変わってくるのじゃないかというふうな感じがいたします。
○安井(吉)委員 大蔵省で、今アメリカの市中銀行から借款をするという準備あるいは交渉をされているというふうな報道を新聞に見るわけでありますが、今どういうふうな形になっているわけですか。
○水田国務大臣 まだその種の問題は、別に具体的な問題として取り上げてはおりません。
○安井(吉)委員 しかし新聞は相当具体的な表現になって、外貨準備縮小対策で、ファースト・ナショナル・バンク、チェース・マンハッタン、バンク・オブ・アメリカ、この三行に話がついて、実質的にはもう成立しているというふうな報道もされておるのです。その金額は約二億ドル。しかし今臨時国会の最中で国会がうるさいから、臨時国会が閉幕してからそれをもっとはっきりさせよう、こういうような報道があるのですが、その点はどうですか。
○水田国務大臣 ずいぶん露骨な質問の仕方のようでございますが、私は過日参議院の予算委員会でも申しましたが、そういう金繰りの問題は——何か経済は池田総理にまかせてくれと総理が言ったそうですが、せめて金繰りの問題くらいは大蔵大臣にまかせてくれと言っているので、これはいろんな、たとえばEXIMの問題もございましょうし、IMF、まだ借りやしませんが、貸してくれと言ったらすぐ貸すでしょうし、世界いろんな——アメリカ市場だけでなくて欧州の市場でも日本の評判は非常によくって、日本に金を貸して取りはぐれのあった国というのは世界にかってないのですから、いろんなところから言われても、こちらは、まあまあ自分自身で策をとってやっていくんだからという程度になっておりますので、必要なときに私がどういう金繰りをするかということは、これくらいはまかせておいてくれていいと思います。
○安井(吉)委員 それはもちろんおまかせいたしますし、大臣の権限の範囲内でおやりになるのは差しつかえないわけですが、ただ国会が、今一体どういうふうな形なのかというふうなお尋ねを申し上げた場合に、こうなんだというふうに率直にお話しをしていただくというふうなことも、これもよいことじゃないかというふうな気持から私は申し上げたわけでありますが、何か一方が隠していて一方があばき立てようという、そういうのが日本の国会の姿で、だから常に敵と味方になるのじゃないか、そういうようなことじゃなしに、お互いが率直にお話し合いをする、そういう中からやっていけば、これはけんかをしないでも、常にお互いに同じレベルで、同じ立場で、問題の解決に当たれるのではないか、そういうような意味で一つおとりをいただきたいと思います。 時間がだいぶ過ぎましたので、最後にちょっと明年度予算編成の問題点について触れて終わりたいと思うわけでありますが、いつもなら九月ごろに予算編成の構想といったようなものが発表になっているはずでありますが、ことしはまだ聞いておりません。これは企画庁の仕事であろうと思うわけでありますが、そういうようなものはどうなっているのか。こういうようなおくれでありますと、予算編成の原案の作成などというものもずっとおくれるのじゃないか、そういうような心配を持つわけであります。これらのスケジュール、見通し、それを一つ伺いたいと思います。
○水田国務大臣 予算編成は、私は十二月の末までに今年度は編成したいと思っております。が、予算編成の基礎に来年度の経済見通しというものがなければならぬので、この経済見通しを立てることが先でございます。でこの見通しは、御承知のような時でございますのでなかなかむずかしい問題を含んでおります。去年のように一月に見通しを立てたものでも、もう三月になると狂っているというくらいの情勢でございますので、経済見通しはなるたけおそく立てる方が間違いが少ないのじゃないかと私は思います。ことに今総合政策をいろいろ実施しているときでございますので、この推移をもう少し見たいという気持がございますので、これにはやはりあと一、二カ月くらいの時間がほしいと私どもは思っておりますので、十月一ぱいに予算の編成はいたしますが、そのぎりぎりのまぎわまで経済見通しについては慎重を重ねてやりたい、こういう気持でおりますので、今、関係省の作業はむろんしておりますが、ほんとうの予算基礎になる来年度の経済見通しというものは、十一月末までにはと思いますが、あるいはもう少しおくれるかしれない、できるだけ経済見通しの最終版はおそくなった方が今年度はいいのじゃないか、それまでに、それに基づいてすぐ予算の編成ができるような準備をこちらとしてはやっておけばいいというふうに大体の予定を組んでおります。
○安井(吉)委員 ただ、あまりおそくなりますと、今度は国会の審議にまた差しつかえて、今までの段階でもおそ過ぎるおそ過ぎるというふうな批判があるわけでありますが、国会正常化の上からも、できるだけ早目にお出しをいただくということでなければならないと思うわけでありますが、今度の新しい予算の編成の問題で、経済成長率の見通しだとか、財政規模の問題等ずいぶんありますけれども、率直に言って国民が一番注目しておるのは、明年度編成についての政府のかまえだと思うのです。特に減税がどういうふうに位置づけられるか、それから、いわれておりますように、増収の財源の一部をたな上げするというふうな方法がとられるのか、とられるとすればどういうふうな方法になるのか、あるいはまた景気調整という全体的な方向の中で、一体重点的に政府は何を施策として取り上げていくのか、こういうような問題にせんじ詰められるのではないかと思います。今の段階において、まだ結論が出たわけじゃありませんが、大蔵大臣どういうふうにお考えでしょうか。
○水田国務大臣 やはり国際収支の回復をできるだけ急ぐという方針のもとに、そうして安定成長が達成できるようにという方針のもとに、やはり予算は編成すべきだと思いますので、かまえは今のかまえでいきたいと思います。しかし、今やっている施策の推移とこの見通しというものによって来年度の自然増収も縛られてきますし、それによっての減税政策、減税のワクということも拘束されてきますので、やはり来年度の経済の見通しというものを固めて、それからでないと予算編成方針の最後的なものは私は固まらないだろうと思っております。
○安井(吉)委員 問題にそれぞれ入りまして深くお尋ねをしたいと思っておりますうちに時間がなくなって参りましたので、最後にこの点だけ一つ伺いたいのでありますが、例年政府の予算編成に際しまして与党が深く入り込んでしまって、例の予算のぶんどり合戦に参加をいたしております、圧力団体も含めて。そこでごしゃごしゃになるという姿が毎年あるわけであります。そういうような姿では困るということ、それじゃだめだということは国民の大きな声でありますが、本年は一体どういうふうにそういうような問題を処理されるのか。私はこの際予算編成の原案をお作りになる責任をお持ちになる大蔵大臣が、そういうふうなぶんどり合戦ではなしに率直に国民の声を聞いて、問題点を十分に勘案したような姿で編成に当たられる、国会はそれに対して十分に審議をする、こういうかまえでなくてはならないと思うのですが、その点いかがですか。
○水田国務大臣 国民の声を聞いてということですが、国民の代表は一体だれかと申しますと、与党と野党でございますので、予算編成というような重大なことについては、私は昨年度も与党だけでなくて野党の意見も相当聞いて予算編成にかかったつもりでおります。ぶんどり合戦というのですが、ぶんどり合戦をやったとしましても、予算の編成権を持っておる私どもの方がつじつまの合わない予算を作るわけには参りませんので、与党側の政策を反映するようにというためには、相当党側の意見を聞く必要があると思いますので、よくぶんどり合戦で押された押されたというのですが、私自身はそうではございませんので、予算を編成する期間は、最後に編成するときは、もう何人にも私どもは会わないで、今まで与党から言われておったものの調整を真剣になってやって、政府自体で決定した、どういういきさつになっておりますので、その点はあまり私は今苦労はしておりませんが、去年は少しおそくなって一月にかかってしまったことは非常に遺憾だったと思いますので、ことしは与党とも十分に話し合いをするし、また野党のいろいろな意見も聞いて、ことしは十二月中には予算編成をやる。そうして来年の国会早々に予算が提出できるようにする、そういう考えでこれから臨もうと思っております。
○安井(吉)委員 大臣の力強い御決意を今伺って少し安心したわけでありますが、しかし今までの例からいいますと、与党の方ではとにかく審議の中に入り込んできめてしまうものですから、国会というほんとうの審議の段階に参りましたら、与党の方は審議するどころか、もうできるだけ野党の発言を封じて、それをとにかく無傷で通すことだけに夢中になるというのが現在の国会審議の姿だと思います。特に来年は参議院選挙なんかがあるものですから、党利党略が持ち込まれたりして、とんでもない姿になるんじゃないかということをおそれるわけでありますが、一つ大蔵大臣のその御決意でお進みをいただきたいと思います。
○小川委員長 堀昌雄君。
○堀委員 時間がありませんから、少し簡単にやらせていただきます。 この前の大蔵大臣の財政演説の中でちょっと二つばかり気になることがあるのですが、国際収支の問題について、「やがては、困難な事態に直面することも予想されるに至ったのであります。」とこうお述べになっております。この困難な事態ということは一体どういう事態ですか、具体的に一つ……。
○水田国務大臣 設備投資意欲が非常に強く、そうして政府が予定した成長よりも進み過ぎておるこの事態をそのままにしておいて何もしなかったら、困難な事態になる。まず困難な事態というのはどこからくるかといいますと、やはり国際収支の非常な不均衡というような事態を起こしかねない。だから政府としてはここで抑制策をとるのだ、こういう意味で申したのであります。
○堀委員 それは抽象的にはそうだということはわかりますが、具体的にはどういうことですか。
○水田国務大臣 具体的には、たとえば設備投資が四兆円といわれておりました。このままいったらそれを突破するだろうといわれておりましたが、もし四兆円ということでございましたら、大ざっぱに外貨にどのくらい響くかということは、たとえば二割なら二割ということを考えますと、私どもが三兆五、六千億円にとめたいというものが四兆円になったとすれば、この二割は外貨だとすれば、それだけ予定しない輸入増ということになって参りますので、やはり政府が一応予定しておった線に近づけるのでなかったらこれは外貨危機にも発展する問題でありますので、具体的にはそういうことでおわかりだろうと思います。
○堀委員 それでは政府が予定されておった設備投資は一体幾らですか。
○水田国務大臣 本年の一月に予算をきめるときには、三十五年度の設備投資を二兆八千億と大体私どもは見込んでおりました。ですから今年は一割は設備投資がふえるだろう、三兆一千億くらいいったら国際収支も均衡する、実勢としてはもっと伸びることが予想されておりまして、一一%から一二%伸びるのじゃないかといわれておったのを、私どもは平均九%と、むしろ当時見込まれたよりも成長率を下げて、そうして三年間この程度でいくならば国際収支は均衡するという計算でありました。ところが三十五年度が終わってしまってこの実績を見ますと、二兆八千億どころじゃなくて、すでに三十五年度の設備投資実績が三兆をこえておるという状態でございましたので、私どもは当初の見込みとすでに大もとの基礎が違っておるのですから、できたら三兆五、六千億円、せいぜい多く伸びても二割程度の設備投資の伸び以下にとどめたいということを考えて、四月以後この問題の対策を始めて六月から行政指導にも乗り出した、こういうことでございます。
○堀委員 実はさっき安井君の質問に答えられて、経済見通しはだんだんおそくなるほど確実になるから一つできるだけ予算編成をおそくやりたいとおっしゃったのですが、過去の経済見通しで最近当ったものがないですね。この間調整局長に来てもらったのですが、ずっとひっくり返してみると大体一割から二割くらいみんな違う。そうすると、それは大体常識の中に入っておるのじゃないかと思いますが、その上に積み重ねてあるということになるのですが、そうすると今の状態では、あなた方の方ではさっき銀行の統計調査で少しダウンしたというが、私はちょっとこれを拝見したのですが実は全然これを信用しないのです。その信用しない根拠がこの中にすでに具体的に現われておるのですが、現在皆さん方の方でいろいろ調査を作っておられるものの中に確実と思われる資料というものはどのくらいありますか。一年たってあとで大した修正をしなくて済むものが経済統計の中であるかどうか私は疑問があると思います。日本の経済統計というものは、そのときそのとき低目に出て、一年たつと一割から一割五分くらい常に上回っておるというのが現状であるということになってくると、今皆さんがこうやっておられて非常にしぼったから三兆六千五百億におさまりましたということで、三十六年度の実績見込みをそういうふうに置かれて三十七年度の推計をする、あけてみたら三兆八千億くらいになっておったというのが私は過去の実例ではないかと思いますが、その点については今度はそういう誤りは起きないと思っておられるかどうか。ここが違うと、あなたのおっしゃったように困難な事態になって参りますね。この点はどうですか。
○水田国務大臣 まだその総合策を実施したばかりでありますので正確な動きというものはわかりません。今調べた実績というものは、結局六月以後とった行政指導、それに伴って金融措置もとりましたので、その結果が今七・八%近い自粛というものに現われてきていると思いますが、設備投資は百五十社だけの設備投資でございますし、問題は、なかなか政府の行政指導のきかない中小企業部門に合理化意欲というものが起こっているときでございますから、そういうものがどういう形をとっているかということは今のところ私どもは正確にこれの判断ができません。もう一、二カ月の推移を見ると、大体今年度の設備投資が実際上どのくらいのところへ落ちつくのじゃないかという見通しが得られるのじゃないかと思っておりますが、まだ今のところそういう正確な動向というものははっきりつかめません。
○堀委員 率直に答えていただいたですから、私はあとはまた通常国会での論議にさせていただきますが、そこで私はちょっと大臣に伺いたいのです。大臣の金融政策に対するかまえですね。大体金融政策というものは現状では金利操作と量的な操作と二つしかないと思うのですが、これまでの大臣のお話は、新聞紙上で拝見していると、金利操作は大して効果がないのだというようなふうに受け取れる談話がしばしば出るのですが、金融政策に対して大蔵大臣は一体いずれに比重をかけて見ておられるか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
○水田国務大臣 オーソドックスのやり方でございましたら、金利の上げ下げによって全体の経済を調整するというのがやり方だろうと思います。ところが日本は、御承知の通り金融の正常化というものが諸外国とは違っておりますし、また日銀の窓口規制というようなあまり外国にはない特別の機能を発揮するやり方もできておりますので、量を締めるというようなことでしたら——日本は金利で締めることが的確であるか、そういう日銀の窓口指導というような形に依存していくことが量を締める場合に的確であるか、こういう問題があろうと思います、ですからそういう諸外国と日本の違う事情を勘案して、これを適当に組み合わせた措置をとるというよりほかには措置のとり方がないのじゃないか。私どもは、今やっているものも、金利の調整機能というものはむろん否定しておりません。同時に量を引き締めるということに対しての有効な措置はどうであるかというようなことを考えて、有効と思われる措置をいろいろ併用している、こういうことでございます。
○堀委員 大臣がいろいろおっしゃっている中で、私ももちろん日本の企業の状態が諸外国と違うことは了解をしておりますが、しかし、さっきIMFの話がしばしば出ましたが、要するにそういう諸外国では金利操作をさわらないで窓口で締めているだけで経済引き締めを十分に行なっていると理解していますが、そこでちょっと伺っておきたい。オーソドックスにやはり世界のそういう経済関係者は見ているのじゃないか。山際さんはウイーンで、やはり欧州の経済界の諸君のものの見方は金融に対してはオーソドックスだということを語っておられる。あなたはそうではないという方向のようですが、どういうふうに諸外国の諸君は考えておるのか、ちょっとそれもあわせて伺いたい。
○水田国務大臣 これは諸外国まちまちでございますが、たとえばドイツのようなところは、公定歩合を上げたら以下金融機関が全部これにならうというふうになっておりますし、アメリカのようなところは、市中銀行が金利を順々に上げてきたら連銀が最後に締めくくりに公定歩合を上げるという形になっておりますし、諸外国においても公定歩合というものの持つ意義とか機能というものについてはみなまちまちでございます。従って、日本がなぜこれだけのこのことだけ毎日新聞で書いて騒いでいるかということは外国の興味の問題になっておりましたので、私どもは向こうに行ったときにそういう問題をいろいろ話しましたが、これは諸外国ともまちまちでございます。ことにIMFは、今度日本のコンサルテーションをやった際に、日本のそういう実情というものを十分見ていっておりますから、日本の金利による経済調整機能というものをそう重視していないことは事実でございますし、金利は六厘とか七厘とか上げるということならこれは相当きくだろうが、日本の場合に設備投資を押える場合には、金利が二厘かりに上がったにしても年の利子に直せば〇・七分くらいですから、日本の企業家はほんとうにやろうといったら金利にかかわらずやりたい人は設備投資をやるだろう、だから設備投資にほんとうにじかにきく金利というものは相当高くなければならぬ、しかし日本はそういう形でなくて別のオーソドックスでないいろいろの金融引き締めの措置というものを持っている国なんだから、問題はそっちの方にありはせぬか。あるいは預金準備率なんというものは、これははっきりきく。諸外国ともこの問題についての見方は大体共通だと思いますが、公定歩合に対する見方というものは、私の会った限りではみんな半々、日本を知っている連中はそっちの方を重視しないというのが実情だったと思います。
○堀委員 そこで諸外国のことはいいのですが、日本の場合に、私はそういうあなた方の考えが、今度逆にやはり産業界にはね返ると思うんですよ。だからやはりオーソドックスにやることをやって、その上でさらに補完的に量的な規制をやるというならわかるのですが、今の一厘上げなんというのはあれは一体何ですか。企画廓が調べている中じゃこういうことを言っておりますね。ともかく現在公定歩合が上がったのは、金利操作としては見てないのだ、景気指標として見ているというんですね。一体こんなことなら公定歩合なんて私は上げない方がまだましだと思うんです。一厘ずつ二回上げたりするということは、私はナンセンスだと思うんですね。それじゃ量的操作一本でやるかというと、そうじゃなくて三本立だというんですが、これだけ締まっている中で準備率を引き上げてこれはどうなるんですか、金がなかったら、結局日銀からもう一ぺん借りて、それをともかく金利なしでもう一ぺん日銀に預けるということにならざるを得ないと思うのですが、どこからこの準備率の引き上げの五百億なり六百億を持ってくるんでしょうね。大臣、これはどうお考えになりますか。
○水田国務大臣 だから時期的の問題もございますし、今まで揚超で、金利を上げなくてもそういう措置をとらなくても相当の引き締めがなっておるときでございましたが、今後はこれが散超期に回って、第三・四半期は三千億前後の散超になる期間に回っておるのでございますから、そういう配慮もこの期間には考えられるということでございます。金利二厘上げてどうするかということですが、今言ったように金利の持つ調整力というもうも否定しているわけじゃございません。そっちと今度はあわせて事実は短期間の二厘の引き上げになったわけでありますし、それだけがオールマイティとは思いませんので、やはり問題は、手放しにしてこういう金利を引き上げるという政策をとった場合には、このしわ寄せがいろいろなところに行きますので、そこに行かないようにというために、中小企業向けの金利はこれは金利体系を乱すとかいろいろなことがあるかもしれませんが、政策的にそちらはいけないという措置をとると同時に、大企業が依然として設備投資についての抑がなくて、これが全部資金需要と制なって市場に現われてくるときには、これはやはり大きい問題を起こしますので、大きい企業の自粛を求めるもとのところにおいて行政指導を行なうことがこの際は最も有効な措置だろうと考えまして、特に金融機関を通じて資金計画が出され投資計画も出されている百五十社について、今通産省と大蔵省、日銀間でいろいろな指導をしておる、こういう現状でございます。
○堀委員 今そうおっしゃったのですが、私ちょっと特利調査を拝見して内容を見ますと、都市銀行の借入金に対する比重が非常に少ないのですね。長期信用銀行、信託銀行、保険会社に対しては下期の計画で約一千三百億くらいの予定がされておるというようなことで、案外実は都市銀行に対して比重がかかってない。ところが、実際には今引き締めているのは都市銀行を引き締めているという格好になっておりまして、必ずしも私は設備投資の実態とその問題というものはつながらないような感じが一ついたします。 そこで、ここでちょっと伺っておきたいのですが、理財局長でないとわからないと思うのですが、財政の方の収支のことをちょっと伺っておきたいのです。十月、十一月、十二月、第三・四半期を通じての民間収支の状態はどのくらいの見通しを立てておられますか。大臣お答えいただければ大臣でけっこうです。
○水田国務大臣 今のところ大体散超二千九百億円くらいと見ておりますが、正確にそういうことで終わるかどうかわかりません。今のところは予定は二千九百億の散超と見ております。
○堀委員 その二千九百億の第三・四半期における散超の内訳を一つ教えていただきたい。
○宮川政府委員 ちょっと御猶予願います。
○堀委員 それまで、ちょっと銀行局長に伺いますけれども、最近短期金利、コールですね、大体どのくらいですか。先月の月末から越すときは大体五銭くらいだった。九月の状態は無条件ものの最低が三銭二厘、最高三銭八厘ということで、二銭三厘の申し合わせなどというものはへのつっぱりにもなっていないような状況のようですが、最近のコールの実勢はどんなものですか。
○大月政府委員 ただいまのコール市場の金利につきましては申し合わせの金利がございまして、先般の公定歩合の引き上げに伴いまして今のところ二銭四厘ということになっております。ただ、この二銭四厘につきましては無条件もの、翌日もの、その他いろいろございまして、それぞれ切りかえをやっておる実情でございます。切りかえの場合には切りかえの日の金利がダブるというようなことがございますので、短期のコールを繰り返し実行いたしますと、実質の金利は相当高くなる、そういう意味で表面の二銭四厘については協定が守られておると思いますけれども、そういう意味で、金融が詰まって参りますと、実質的には回転が多くなるということによって上がる、こういうことだと思います。そういう意味で、実際に何回くらいの回転をやっておるかということは想像でございまして、統計的にはなかなかむずかしい。一般に市場の声として大体どのくらいだというふうに言われておるわけでございますので、正確を欠きます点は御了承願いたいと思います。大体先月から今月に至りまして散超期になって参りました。そういう意味で、特別に従来相当高い実質金利でございましたのが、最近ここ一週間くらいようやく落ちつきぎみでございます。実際の金利につきましては月越しものその他若干長いもの等につきましては三銭前後のものはあるかと存じております。
○宮川政府委員 第三・四半期におきまする散超高は先ほど大臣も答弁いたしましたように二千九百億でございます。内訳を申し上げますと一般が一千四百億の散超、食管が千九百億の散超、外為が四百億の揚超になっております。合計二千九百億になっております。
○堀委員 ちょっと気になりますのは、食管とそれから財政の方はこれは私あまり違わないと思うのです。一体第三・四半期の外為四百億揚超ということは、これはどうですか。このままで確実にいくという何か推計をされた根拠というのは一体何ですか、それを聞かしていただきたい。
○宮川政府委員 一応四百億を算定いたしたのでありますが、御指摘のように、最近の動向から見ますと四百億の揚超以上になるだろうと思います。
○堀委員 以上というとこれは際限がないのですが、やはりこうやって二千九百億と一応お考えになるとすれば、現時点において、最近の十月一日より二十日、大体こういう経緯をお考えになって、少し私は変わってくるのではないか。どのくらい変わりそうですが。
○宮川政府委員 まだ最近の時点をもとにいたしまして計算しておりませんので、御了承願いたいと思います。
○小川委員長 ちょっと堀君にお願いいたしますが、お約束の時間が全体で二時間ということになっておりますが、すでに相当超過しておりますので、なるべく簡略にお願いします。
○堀委員 時間がありませんから、最後にちょっと金利体系について伺っておきたいのでありますが、実はこの二月でしたか、この委員会で私は政府の低金利政策について異論を申し立てたわけです。特にそのときに郵便貯金の問題に触れて、郵便貯金というものは大衆預金であるし、そしてこの際、もちろん、金利引き下げの問題についてこれをてこにしようというあなた方の気持がわからぬではないが、これは取り除くべきではないかという議論をここでいたしました。そのとき石野さんが答えられた中には、金利というものは不可分の、一体の体系のものでございますから、公定歩合の方で操作をして、貸し出し金利が下がったということの中では、長期金利を含めての金利体系としてものを考えていただきたい、こういうことが当時の銀行局長の答弁であったわけです。ところが今度は違う、今の状態はすっかり違う。そこで、郵政省貯金局長、見えておりますね。資料は皆さんのお手元に御配付してあるので、政府にも行っていると思いますが、これは全然ふえてないですね。大臣にも配って下さい、肝心なことですから。これはパーセンテージで出していただいたのでよくわからないのですけれども、一月が、現在高で見ると一兆一千二百二十四億だったものが、九月にきて一兆一千八百五十四償、ざっとこの間六百三十億ほど全体としてふえているのですが、例年なら大体一月−九月で昨年度は一体どのくらいふえたのですか。これはここにあまり小さく出過ぎて全体がよくわからないのですが……。
○荒巻説明員 昨年のふえ方といたしましては、最近の十月までのところを申し上げますと、昨年は振替計算と申しまして、利子を除きますと五百五十億程度でございます。
○堀委員 そうすると、ことしの方が郵便貯金ふえているということですか、年度間を通じて。
○荒巻説明員 貯金の内容は違いますけれども、総額といたしましてはふえております。
○堀委員 内容がふえているのは、通常預金がふえてきたのであって、不安定的な要素ということじゃないですか、この資料で見ますと。
○荒巻説明員 不安定ということはどうか、私はちょっと申し上げられないのでございますけれども、通常貯金が昨年に比較いたしまして六〇%以上ふえているということは認められると思います。
○堀委員 実はあのときに、私は積立貯金の問題について、ともかく大蔵省側は積立貯金についても利子を下げる、こういうことだったのですが、私は当委員会で極力反対をいたしました。この点については、過去の分は同じ率でいくということになっていながら、これは積立貯金が非常に減っているわけです。そこで、私はこれ大臣に一つ伺っておきたいのですけれども、去年下げるときには、金利というのは一体の体系だということで下げた。上げるときには、ともかく貸出金利は上げるけれども、長期金利、預貯金は上げないというのは、これはどういうわけですか。
○水田国務大臣 毎日この質問をされて、私としては非常に骨を折って説明しているつもりですが、質問者がいつも納得しないような顔をしておりますので、きょうは一つ銀行局長から…。
○堀委員 いやいや、大臣から私に納得するように一ぺん——私が理解しなければだめだから、大臣言って下さい。
○水田国務大臣 いろいろ問題はございますが、要するに今回は見送ったということでございますのは、御承知のように日本は、もう資金需要は強い国で、資金量というものがこれに伴っておりませんから、なかなか日本において低金利政策というものは実施できない。最もいい条件のときを選んで、思い切って国際水準にさや寄せするということを、目をつぶってでもやらなければなかなかやれない仕事だということはおわかりだと思います。私どもは昨年早くからそのことを考えておりましたが、去年の暮れごろがいい時期じゃないかと思ったのですが、いろいろなことでことしの年初にああいう措置をとった。二十何年ぶりに初めて金利の水準低下という仕事をやったわけでございますが、それは資金需要がないときにやったわけではございませんで、資金需要が多過ぎて、いろいろな金融情勢がどういうというときには、いつでも公定歩合を上げたり下げたり、これを弾力的に運用すればいい。しかし水準そのものは、一ぺん下げることをしなければ、将来の国際競争力にたえられないということで、政策的にあれはやった措置でございますが、さてその場合に、金利水準を下げるというときには、まず貸出金利を下げるためには、問題は、預金金利に手を触れなければこれはできません。日本は資本蓄積の少ない国でございますから、今まで資本蓄積をするためには、むしろ預金利子でつって蓄積をやってきたという実情にございますので、この預金利子が高いということが、やはり日本の金利水準を高くしている一番大きい原因でございますので、とにかくわれわれはこの問題に手を触れるという考えでかかったのですが、これは非常にむずかしい仕事で、体系を乱してこれをやりますとやはりいろいろな問題が起こりますので、この体系を整えるということに非常に苦心いたしました。特にその中で——政府や民間で勝手にこの水準を、金利の体系を整えられるようなことでございましたらいいのですが、一部の金利というものは、国会で法律によってやらなければならぬという問題がありますと、預金金利の均衡、体系的な整備というようなものが弾力的にいかない。そういうことで、公定歩合の引き下げはやりましたが、預金金利の引き下げの問題は少し時期がずれてしまったといういきさつもございますので、今回も、こういう臨機的な処置をとるという場合に、すぐにこれに預金金利の変更を合わせようとしますと、なかなかこれは簡単にいかない問題が出て参りますので、もう少し情勢を見たい。日本の情勢によって、金利を上げなければならぬというようなときでございましたら、これは当然預金金利も考えるべきでございますが、今回のように一厘、二厘程度の公定歩合の引き上げというときには、これは一時見送って、将来の様子を見た方が妥当だという判断から、今度はこれに手を触れなかったということでございますが、そうしますと、こういう時期にこそ貯蓄奨励というものが必要なときに、なぜという問題も出ると思いますので、私どもも貯蓄奨励については、これからいろいろな方法をとってやろうと思っておりますし、また、税制面でも、この貯蓄の奨励の刺激につる方法があれば考えたいということで、一応貯蓄奨励の問題は別個な措置をとることにしまして、今度の場合、これとそのまま関連させることは見合わせるということにした次第であります。
○堀委員 今度は見合わせるということで、ちょっとニュアンスが変わってきていると思いますが、ちょっと申し上げておきたいのは、東京都の消費者物価指数は、八月で五・五%上がったのですね。そうすると、今銀行や郵便局に預けておるより、物価の方がどんどん先へ行きつつある状態なんですね。こういう状態で金利を低く押えておいて、貯金しないと言ったって、これは私は、第一大衆感情として無理だと思う。だから、私どもやはり、それこそオーソドックスなものの考え方を財政、政府当局はなさらないと、日本の特殊事情、特殊事情といって、あなた方の高度成長政策のための低金利政策とか、何かこう自分たちが書いた一つの図式の中へ経済の方を当てはめようと思って一生懸命骨を折っておられるけれども、経済は生きているからなかなかそのようにはまり込まないというのが今度の姿じゃないかと私は思っております。だから私は、やはりオーソドックスなものをある程度ふまえた上で、日本の特殊性というものを考えるということが当面必要じゃないかと思っております。時間がありませんから、あまり言いませんが、それが一つ。 もう一つは、さっき大臣は、外貨は大体十五億ドルぐらいだとちょっとおっしゃった。十五億ともう少しあるでしょうが、大体第三・四半期の揚超が四百億少しこえてくるということになると、これは五百億になれば一億五千万ドル近くになりはせぬかと思うのですが、そうすると、年度末十四億四千万ドルと盛んにいわれていたのですが、今の外為揚起から見ると、年末十四億四千万ドルぐらいになりはせぬか。この点は大臣どうでしょうか。この点だけお伺いして私は終わります。
○水田国務大臣 最初の方から……。一斉に金利を上げたという場合と、今度のように、そうでなくて、中小企業向けの貸出金利は一切上げない、従って小中企業に対する専門金融機関というものは金利は上がっておりませんので、その場合、もしこれに対応して貯金金利を上げるとするのでしたら、市中の大きい銀行は、これは預金金利を上げなければならぬでしょうが、相互銀行、信用金庫の金利は、そうしたらそのまま置くかというような問題で、これに手をつけることによってこの体系を乱すことは非常に大きい問題で、一斉に上がったというときではげごいませんので、そういう点とか、それから他の業界に波及するとか、いろいろな問題もございますので、そういう点も勘案して、私どもは今度は手を触れなかったという事情でございます。 それから外貨の問題はこれはまたむずかしい問題で、何にもしない場合といろいろなことをする場合では違ってきますので、私どもは今何にもしない状態においても、三月末に今の総合政策をとることで外貨の資金繰りとかいうことを考えないでやった場合でも、十四億何千万ドルという外貨が持てるようにという目標を置いた措置をとっているのでございまして、資本収支の問題も今後いろいろ変化してくるでございましょうし、この点はさつき申しましたように、そう心配する問題ではないと思います。
○小川委員長 次会は明二十日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後八時散会