石炭対策特別委員会 第12号
- 発言数
- 54 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/10/26
会議録
○有田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案及び産炭地域振興臨時措置法案の両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。勝間田清一君。
○勝間田委員 私は社会党を代表して、労働問題を中心とする石炭政策について、池田総理大臣に対して御質問をいたしたいと考えるわけであります。このことは、同時に、今石炭労働者が四千名も国会に陳情に来られておりますが、この陳情の声を代表するものでもあります。従って総理大臣には、誠意を持った御答弁をいただきたいと考えるわけであります。 御案内の通り、今石炭労働者は深刻な窮乏に立たされております。すでに過去二カ年間に六万人からの労働者が首を切られました。またこれからも、政府の計画によれば、六万人からの首が切られようといたしております。また、現に働いておる諸君から申しまするならば、毎日のように賃金引き下げの資本家側からの攻勢にあっておるわけであります。しかも最近の鉱害は非常にはなはだしくて、一日に三人も死んだり、百数十名が鉱害の被害を受けてけがをしておるという状況であります。まことに、石炭労働者の今日の窮状は目に余るものがあると同時に、一難もこれに対する対策をゆるがせにすることのできない実情にあると思うのであります。要は雇用と生活の不安におののいておるというのが、今日の石炭労働者の実想でありましょう。この窮迫した、しかも基本的な問題につながる労働政策の問題を考えてみたときに、二つに大別して対策を立てる必要がある。すなわち、一つは、いわゆる離職者対策といわれるものでありまして、現に首を切られておる諸君、あるいは、やむを得ず将来解雇されるかもしれない諸君、いわば離職者に対する対策というものがあると思うのであります。もう一つは、現に働いておる労働者、この労働者の今後における雇用と生活の安定を期していくためには、いかなる政策を行なわねばならないか、この問題であろうと思うのであります。これを峻別して考えて参りませんと、労働政策を誤るのではないか、こういう見解に立ちまして、私は総理大臣に、まず離職者に対する対策をどう考えていらっしゃるか、この点について具体的に方針を明らかにしていただきたいのであります。 第一に、問題を端的に申します。すなわち、ただいま申しましたように、六万人の労働者がすでに首を切られておりますが、今日までの政府の対策にもかかわらず、再就職、再就業の状況はきわめて悪いのであります。その特徴とするところを見まするならば、まず、中高年、この年令層の諸君、これは同時に家族構成員が多いのでありますが、これらの諸君の再就職のきわめて困難であるということ、これが一つの大きな特徴であると思うのであります。同時に、再就職が行なわれましても、就職先が主として中小企業に限られております。そういうこととも相待ちまして、労働賃金を初めとして、労働条件がきわめて悪いというのが今日の特徴であります。いわば、就職が困難で、就職しても労働条件が悪いというのが、今日の特徴であります。従って、ここで当然必要になつて参りまするのが、再雇用を積極的に奨励する、同時に、労働者の生活破綻を来たさせないために、前職の賃金を補償するという国家措置が必要になつてくるのではないか、従ってこの際、この再雇用奨励と前職賃金の補償の国家措置を政府はとる考えがあるかどうか、この点をまず総理大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
○池田国務大臣 炭鉱離職者につきましては、昭和三十四年以来いろいろ施策を講じてきたのでありますが、まだ十分でなかったことを私は感じておるのであります。今お話しのような点にまで今後対策を進めていくかどうか、すなわち離職者の職業補導、あるいは就職のための転地につきましての住宅問題等々を強化して参っておりますが、まだ十分ではございません。従いまして、今お話しのように、前職賃金を補償するかどうかという問題、これは言うはやすく、なかなか、実際問題としてそこまでいくのはむずかしいのじゃないかと思います。それ以前に、、できるだけ有利と申しますか、あまり低くならないような就職のあっせんということが先で、そうして、賃金の前職補償ということの結論にいく前に、私はもっと努めるべき方法があるのではないかと思います。また中高年の問題につきましても、職業補導を受けましてもまだ就職先に困るという過渡的の問題等に対しまする一連の処置は、関係各省で相談しているわけでございます。今おっしゃるように、前職賃金を補償しろ、その結論を出せということは、そこに至るまでにもっと打つべき施策を考えた上でないと結論は出ないと思います。
○勝間田委員 今の総理大臣の見解は、私は非常に落胆をいたすのでありますが、今までの、職業補導なり住宅政策を強化していくということは大切でありますけれども、それでもなおかつ中康平令層の諸君の再就職ができない、また、就職しても非常に賃金を下げられ、労働条件を悪化させられておる、こういう問題でありますから、この問題については私はもう一ぺん再考を促したい。労働大臣はこれについてどう考えておりますか。
○福永国務大臣 原則的には、ただいま総理大臣からお答えを申し上げた通りでありますが、御指摘のような事情でありますので、まず、これが再就職をはかるために、諸般の措置を講ずる、たとえば広域職業紹介活動をさらに活発にする、あるいは転職訓練の徹底を期する、緊急就労事業にこれを吸収する、いろいろの方策を講じており、そうしてこの深刻な事態に処して、なおこれを強化する等の措置は当然とるのでありますが、後段お触れになりました前職賃金の補償ということにつきましては、私がここであらためて申すまでもなく、たとえば西独の実例のように、割合に炭鉱に働いている人たちの給料等が均一化されているというような事情と、わが国の場合とでは、著しく事情も異なっておりまして、非常に格差等も多いわけであります。その他いろいろの事情もございまして、直ちにもって西独のような方式にということは、なかなかわが国としては問題があるところであります。しかし何らかこれと類似した、あるいは将来のためを考えての措置ということで、私ども関係閣僚間において鋭意ただいま検討中なのでございます。これは場合によりましては新立法等も必要といたしますので、まだ内容そのものを具体的に明らかに申し上げるわけには参らないのであります。考え方の一つといたしましては、新しく雇ってくれる人が喜んで大いに雇ってくれるようなことになるようにというような顧慮からいたしまして、適切な雇用奨励の措置のようなものを考えてみてはどうかというような構想もあるわけであります。これは必ずしも最終的な結論ではありませんけれども、表現は勝間田さんの言われるのとはやや違うのでありまするけれども、再就職するについて、従来の給料との差額等が生ずるのをなるたけ防ごうというような趣旨からいたしまして、これも一つの考えではないかというように考えるわけでございます。いずれにいたしましても、従来とっていなかったような新措置もこの際考慮すべきである、こういう考え方のもとに先刻総理の言われましたように、われわれ関係閣僚において鋭意検討中というのが現状でござい求す。
○勝間田委員 総理大臣の最初の答弁は、少し労働大臣よりも後退しているように見受けられるので、この際心を入れかえ、想を新たにして、この制度をぜひ実現するように一つお願いいたしたいと思います。 次に、今申しましたように、再就職までに長期の期間を必要といたすのが、一つの特徴であります。しかも、訓練を受けても、なお一割程度は再就職がなかなかできない今日の窮状にあります。この生活苦から労働者を救済するためには、現行の失業手当の制度だけでは不十分であります。名称は別といたしましても、待機手当とでも称すべき、そうした制度をこの際に設ける必要があると考えるのであります。この点について池田総理大臣は一体どう考えるか、この点を一つ明らかにいたしたいと思うのであります。
○池田国務大臣 炭鉱離職者の窮状につきましては、十分私も承知いたしております。従いまして、今の賃金格差補償制度を設けるという、その結論的なものを出す前に、もっとやはり努めるべきものがあるのじゃないか。初めの賃金の格差補償ということよりも、今の二番目の御質問の方がやはりもつと切実な問題だと私は考えておるのであります。従いまして、今原則として六カ月間の失業手当の問題をどうするか、延長する必要ありゃ、また、延長しない場合におきましてどのような方法で再就職まで、あるいは生活保護へいかないいろいろな手を尽くす点はないかというふうなことを、今検討いたしておるのでございます。何といたしましても、実態に沿うように、結論におきましてむずかしいだろうけれども、いろいろ努力して、早く実のある対策を講じようと、今検討いたしておるのであります。
○福永国務大臣 失業保険期間の延長につきましては、総理が今お答えになったような考えで善処していきたい、現に一部これを行なっておるのでありますが、さらに一そうこの点についての拡張もただいま検討をいたしております。 なお、転職訓練が済んだ者でまだ就職ができないというような者について、これを特別に考慮できないかという御質問が後段にございました。この点につきましては、せっかくそういう訓練が済んでも、なおかつ就職ができない、実際にはこの数はあまり多くないのであります。訓練の済みました者は割合にうまくさばけておりますが、しかしなお若干そういうものが現実にございますので、これらにつきましては従来の訓練期間をさらに伸ばしまして、その間訓練手当を支給する等の方法をただいま考えておる次第であります。
○勝間田委員 ただいま総理の、むしろ緊急のものをどんどんやるべきではないかという御趣旨の御答弁がございましたが、その考え方から申しますると、たとえば現在の訓練所の拡充をするとか、あるいは訓練手当がどうも少ないからこの金纈を増額をするとか、あるいは訓練所を需要地に設ける一これは非常に就職率がいいのでありますが、需要地に設けるからには、やはり宿舎制度を採用するとか、そういう場合においては家族との別居手当を支給するとか、あるいはまた、訓練手当と失業手当を併給する制度をとって窮状を救うとか、こういう政策に当然御賛成になると私は思うのでありますが、お考えはいかがでしょう。
○池田国務大臣 そういう方向で検討しております。
○勝間田委員 住宅政策については、政府も何らかの処置をとったかに実は承わるのでありますけれども、これも今日の状態から申しますれば、大幅にやはり増額する必要がある、単に繰り上げて仕半をするというだけでなく、繰り上げた後における財政補てんを行なって、この際に住宅政策を確立する必要があると思うが、総理大臣のお考えを一つ承わりたい。
○池田国務大臣 その通りでございます。まだ十分ではございませんが、徐々にそういう方向で処置していきたいと思っております。
○勝間田委員 以上の政策は当面の緊急の政策でありますけれども、これを行なう上において当然問題になってくる問題が二つあると思う。すなわち、一つは財源をどう確保するかという問題です。これを一般会計に求めるという方式もありますけれども、事の性質と、また、ドイツあたりで実行しておる状況というものから判断いたしまして、私はこの際、石油の輸入税を、御存じの通り、現在六%しか取っておりませんが、従来の一〇%に復元して、その財源をもって充てるという方法を柱にして、やはり財政措置を講ずる必要があると思う。これに対する総理大臣の明快な御回答をいただきたい。
○池田国務大臣 その点は、私も二年前に考えた問題でございます。ある程度は上げますが、何と申しましても、日本の経済、産業のもとであるエネルギーの原価を高くするということは、一方において支障があるのであります。従いまして、一つの考え方――ドイツは御承知の通り、二割五分程度までいっておると思います。これもなかなか問題がありまして、下院では三割をやっておりますが、上院の方で否決になり、再度やって、二割か二割五分になった。これは一つの方法だと思います。ただ、安易な気持では産業全体によくない。また、石炭の離職者のための税金引き上げというふうなことは、これは一般会計から出すのが当然のことでございますから、私は、財源不足で対策が十分でないということならば、必要なものはあがなうだけの財源措置をすべきだ、ただ重油を上げることによってできた金というふうに局部的に考える問題じゃないと思います。しかし一つの方法であることは十分承知いたしております。今、この点につきましては検討いたしておるわけであります。
○勝間田委員 もう一歩というところでありますけれども、これは今後の一つの議論でもあろうと思いますから、必ずしもきょう結論が得られるものとも実は考えませんが、今、一つの方法であるということを御発言にもなったし、またわれわれとしても今後この方式はあくまでも総理に要求いたして参りたいと考えておりますので、総理も真剣にこの問題の実現に努力を順いたい。 もう一つの問題は、補正予算の問題であります。もし以上の諸政策が必要でありまするならば、この政策を来年の四月まで待つということは、理論的にも実際的にもまずいことだと思うのであります。たとえば、もしわれわれの要求の通りに、また労働大臣の示唆された通りに、何らかの雇用の奨励なり、前職補償に近い形のものを考えるとするならば、来年の四月まで待っておるというやり方だと、かえって雇用をおくらしてしまうおそれもある、それまで待たしてしまうというおそれもある。そういう点などを考えてみると、緊急性から見ても、また理論的に見ても、また現実の要求から考えてみましても、私はこの際、この問題に対して補正予算なりあるいは他の方法なりで、財政措置を至急講ずる必要があると思う。この点に対する総理大臣の見解を承りたい。
○池田国務大臣 先般、住宅その他の問題につきまして緊急の措置をいたしました。それに三億円余りかかるのじゃないか。これは予備費の方から予定しておるようであります。そして、今考えております措置につきまして結論が出ましたら、財政的裏づけをすることは当然のことであります。緊急対策要綱がきまりまして、そして、予備費でまかなう、あるいは、まかなえない場合には、財政措置を講ずることは当然でございます。
○勝間田委員 次に、現に働いておる石炭労働者の雇用と生活の安定の政策について、一つお尋ねいたしたいのであります。 これは先ほど申し上げた通りに、現在の離職者に対する政策をとるということは、そのままで過ごすならば、いわば墓場への道を舗装するようなものでありまして、かえって解雇を奨励する結果にならぬとも限らぬのであります。むしろ今日の問題は、現に働いておる労働者の雇用と生活の安定をどうするかというところに問題の中心があると思うのであります。また、もっと端的に言えば、現在の合理化政策を考えるについて、首切りと賃金の引き下げだけになっておるこの政策をやめてもらいたいというのが、これが政策転換闘争の精神でもあり、われわれの考えておる最も妥当な当然の結論だと私は思うのであります。またこのことは、現在の石炭山を見ますと、一面においては賃下げが行なわれ、一面においては首切りが行なわれておるが、他面において青年や技術者の諸君は山をおりてしまう。もうこんな安い賃金のところで働きたくない、斜陽産業なんていう見込みのないところで若い青春を過ごしたくないのだ、こういう現象さえ現われて、石炭山には年寄りとけが人だけが残るというのが、今日の――極端な言い方でありますけれども、決して当たらない議論ではないと私は思うのであります。こういう事態を救う一番基本的な柱となるものは何か、私は最低賃金の保障制度を石炭労働者に確立することだと思うのであります。政府は、ようやくにして中央最低賃金審議会に対してこれがための検討を依頼されて、そのために小委員会も設けられておると聞いておるのでありますけれども、この際、政府として明らかにしてほしいと思うのは、石炭労働者の最低賃金保障制度は絶対に必要である、しかもこれは早期に結論を出す必要があるという政府の態度を、この際表明する意志はないか。この表明を強くお願いをいたしたいのであります。労働大臣の見解をお尋ねいたします。
○福永国務大臣 石炭産業における最低賛金につきましては、各方面からの要望等もありまして、すでに、ただいまお話のごとく、中央最低賃金審議会へ私の方からも検討をお願いしたのであります。昨日すでにその会議が持たれ、その結果、労、使、公益三者構成によるところの小委員会も設けられ、少なくともそれまでの経過は割合に順調に参ったと、私は見ておるのであります。この小委員会におきまして鋭意検討をいただいて、早く結論の出ることは望ましいことでございますが、今、勝間田さんの言われるように、政府がこれに対して御指摘のような点を強調するようなことを申すのがよろしいかどうかということは、これはやや慎重を期する必要があるのではないかと私は思いますが、それをするまでもなく、今までの経過を見ますと、そういう考えで進んでくれているように私は思うのであります。従って、この言い方はなかなかむずかしいと思うのでありますけれども、必要性という点につきましては、私は必要性のみならず、実効を上げる実効性の点も一諸にして、この小委員会が検討してくれるものと期待をいたしておる次第でございます。せっかく一生懸命やってくれておりますので、このスタートにあたって、とやかく政府が注文をつけたり、何か初めからけちをつけるようなことはいかがかと思います。しばし、その成果を期待しつつ、見守りたいというふうに考えます。
○勝間田委員 福永労働大臣は慎重な態度で答弁をされましたけれども、これは何も審議会に向かって言うわけではないのです。われわれ国会に対して一体どう考えておるかということを言われるわけでありますから、必要であります、早期に実現する必要があると考えております、これは政治方針として私はここに御表明願いたいと思うのであります。総理大臣一つ、稲永労働大臣だとなかなか言い切れないところもあるようでありますけれども、国会に対して、必要だと思う、同時にこれは早期にできなければならぬものと思う、政府はそういう考えであるということを、国会に対して御回答順いたい。
○池田国務大臣 これは、先般私のところに陳情がありまして、ごもっともなお話で私直ちに快諾したような状況であります。諮問する以上は、必要であり、そして早急に結論が望ましいことは当然のことであります。
○勝間田委員 次に、時間の関係もありますから、簡明に重要問題についてお尋ねをいたします。 過般総理大臣は、労働者の代表と会見をせられまして、自分はいいと思って二年来やって参ったけれども、石炭政策が今日の状況に立ち至ったことについては責任を感じている、想を新たにして思い切った政策をとってみたい、こういうお話がございました。また私、河上委員長との会談に列席させていただきましたが、さいの川原に石を積むような石炭政策はやりたくない、この際根本的に一つ考えてみたい、こういう熱意ある表明がなされたわけであります。私はこの言葉を、一時のがれの言葉としてではなくて、率直に、誠意ある回答として受け取りたいのであります。しかし今日の労働者が望んでいることは、首切りや賃下げだけがあたかも合理化であるかのごとく、経営者や政府の態度はそうとしか受け取れない面が見える、これを根本的に改めてもらいたい。私は石炭政策に対する政策の転換を要求するというのはここだと思う。ここがポイントだと思う。離職者対策だけではない。そこに首切りだ、賃下げだ、これがく合理化だという、この風潮やこの政策のやり方を憂えてもらいたい、ここが根本だと実は私は思うのであります。従って池田総理に私は望みたいことだし、通産大臣にも望みたいことでありますけれども、離職者対策をしっかりやると同時に、この日々に賃下げをされたり、首を切られたりしている今日の不安を根本的に改める、そうして一生安心して働いていける石炭政策というものをこの際立てて、積極的に雇用と生江の安定をさせるのだ、完全雇用させるのだという熟慮と方針というものがこの際必要じゃないか、こうしたせっぱ詰まった考え方からいたしますならは、私がまず指摘しなければならぬと思うのは、現在の経営者の態度であります。よく労働者の要求をアベック闘争というように新聞に出ております。私は、これは根本的に間違いだと思う。もとより共通した問題があり、池田総理がかつて、石炭労働者も資本家も石炭を守っていきたいということで考えてきたということは、不幸中の幸いだと言われたことがある。共通した問題はあるに違いないけれども、しかし今日の石炭経営者がとっておる態度というものは、あたかも首切りと賃下けが常道であるかのごとくふるまっている。もとよりわれわれは炭層の関係が悪くて、どうしても閉山しなければならぬ、あるいは、自然の資源を今日利用しておるのであるから、これがおしまいになったならばやめなければならぬという問題もあるだろうと私は思う。しかし、賃下げと首切りが合理化だという考え方に基づいた今日の風潮は、私は絶対に払拭しなければならぬものだと思う。特に最近、大手の筋でさえ、この際、これに便乗してやっていく傾向がある。それならば、今日まで経営者はほんとうに、努めたかというならば、端的に言えば、日本の財閥資本は石炭資本から成長してきたことは明らかである。投資の形態から見ても、本格的に縦坑を掘っていこう、深部の開発をやっていこう、あるいは自分の保有しておる遊休鉱区をこれから積極的に開発していこう、あるいは多角的な経営をやろう、石炭需要を増大させるために努力しよう、こういう態度を今月まで経営者が常にとってきたかといえば、そうではないのだ。早く言えば、掘ってもうける。しかもそれは流通機構につながって、掘ることと流通と両方でもうける、もうけ主義だ。そして困ったときには保護政策、国民の貴重な税金の保護を受ける。そうして労働者には首切り、賃下げをやる。私は、端的に言うならば、今日の経営者に猛反省を促したい。もっと日本の石炭業者は、世界の石炭業者の水準まで、みずからの自信を持ち、責任を感じ、最も重要なことは、国民に税金をかけておるのだから、これらの諸君に対して責任を果たすという態度をとってもらわなければ、保護政策はとれないんじゃないか。労働者の雇用をまず安定させなければならぬということが、自分たちの責任だということがなければ、われわれの協力を得ることができないのではないか。こうした見解を現在の経営者が持つということが、私は絶対条件だと思う。その意味において、私は今日この際、経営者の責任を明確にして、政府は直接関係することはできないと言われるかもしれないけれども、少なくとも方針とし、行政措置として、あるいは行政指導としてその見解を持ってもらいたい。この際に首切り、賃下げを合理化に便乗してやろうとする経営者に対して、池田総理大臣はどうお考えになっておられるか。
○池田国務大臣 労使とも、やはりその産業を守り、発展さすことに努力することは、当然のことでございます。いろいろな事情がありまして、十分効果を上げ得なかった点は、私はなきにしもあらずと思います。しかし、お話のような心がまえでやっていかなければ、この石炭産業、ことに日本の石炭産業というものは復興と申しますか、成り立っていかないと考えております。それにはいろいろ事情もありましょう。政府といたしましても、できるだけの援助といいますか、指導はしていく考えでおるのであります。しかし、これは労働者におきましても、また、ことに使用者におきまして、経常の合理化――経営の合理化ということは、賃下げ、首切りというようなものが合理化ではないと私は思います。無理なやり方だと思います。そういうことのないようにしていくことが合理化であると、私は考えるのであります。そのための政府としての適当の措置は、今後やっていきたいと考えておるのであります。
○勝間田委員 質下げや首切りが合理化ではない、今後行政的な措置をとっていく、こういうお話がありましたが、この点はぜひ明確にして今後行政措置をとってもらいたい。ついては通産大臣は、今の総理大臣の見解に基づいて、この経常合理化に処していかれると私は思うが、今日の首切り、賃下げの風潮をいかにして防がれるか、決意を承りたい。
○佐藤国務大臣 いわゆる首切り、賃下げという言葉の解釈にもいろいろあるんじゃないかと思います。最近八千円下げたとか、五千円下げたとか、こういう事態が起きている。ところが、その山の平均賃金はどうかというと、石炭鉱業全体から見れば平均以上だ、こういうことを考えてみますと、今の賃金体系は、名山でずいぶん変わっておると思うのです。先ほど最低賃金のお話が出ておりましたが、最低賃金ができて新しい賃金体系が生まれる、私はこういう建設的な意味においてしごく賛成であります。山自身に非常な不均衡が賃金体系にあることは、必ずしもこれは安定産業とは言い得ない、ここに一つの議論がある。もう一つは、首切りと簡単に言われますが、これは、山のうちにはすでに寿命のきた山がある。石炭だって四十年も五十年も掘れば、これは当然限度へきます。そういう意味の閉山もあります。だから、おそらく経営者も、積極的に好んで賃下げをやるわけでもないだろう、また、好んで首切りなどするわけでもない。それこそ、ただいま総理が言われた通り、いわゆる賃下げ、首切りというものが経営者の当然の施策として採用されていかぬことは、私もよくわかります。ただいま申し上げますように、あるいは山の寿命がきて閉山せざるを得ない、あるいは、合理化をいろいろ政府の指示のもとに進めてみても、採算制の点においてどうしても引き合わない、政府の買い上げに応ぜざるを得ない、こういうような山があるわけであります。そういう場合の整理ということはやむを得ない、また、大きな山において整理が行なわれる場合は、やはり新炭田の開発――未開発の地域がずいぶんあります。今調査をしている有望な山が八地区あります。そのうちでも特に有望だと指摘されておるのが三つもある、こういうのが積極的に開発される。そうして、山に入りました労働者が山を愛しておるその気持に対応し得るように、そういうところへ吸収し得るように、積極的な炭山開発の計画を進めていくべきだ、かように私は考えます。だから、言葉だけではちょっと議論にならない、実態を十分お互いに話し合いをし、納得のいくような方法で話をつけたい、かように考えます。
○勝間田委員 私は、総理大臣の弁答をむしろ信頼いたすのであります。そこで私は、経営者の心がまえ、それを行政的に指導されていくという態度について、ぜひこれを実行してもらいたいということを再度お願いをいたしておきますが、経営の態度という問題と同時に、私はここに政府の責任があると思うのです。この意味において、現在の通産省を中心とする石炭政策について、私は非常に遺憾に思う。時間が限られておりまするから、若干詰めてお伺いいたしますけれども、千二百円のコスト・ダウンというものは、われわれが今日見て、すでに諸物価が上がり、坑木が上がり、火薬が上がる、そうした事態の中ですでに破綻も来たしておる。少なくとも、それを実行しようとすれば、その部分がどこにしわが寄っていくかということも、われわれは懸念される。今日まで、流通機構という面を見ても、何ら流通機構に手をつけられておらない。今度政府はどういうことを考えておられるかわかりませんけれども、流通機構というものに手がつけられない限り、千二百円のコスト・ダウンはだれにしわが寄っていくかということは、これも明らかだ。また、先ほど来お話の通りに、積極的な近代化を行なっていない、深部開発をやらない、あるいは休眠鉱区の積極的な開発もやらない。その場限りの資本投下をやっておる。資本家、経営者として、コスト・ダウンに対する真剣な取り組み方とは言えないと私は思う。千二百円それ自身が根本的にぐらついておると同時に、やり方が二面的にしわが寄せられ過ぎている。ここに、今日の労働者が苦しまねばならない非常に深刻な、根本的な原因があると思う。政府の施策が完全に行なわれさえすれば、労働者の雇用の安定は必ず確保できるはずだ、この点を私は確信するのであります。この意味において、この際、現在の合理化政策というものを根本的に再検討する必要がある、そうして労働者の負担を軽減する必要がある、私はこう考えるのでありますが、総理大臣はどう考えていらっしゃいますか。
○池田国務大臣 大体今お話のような考え方で、三十二年の合理化対策はとったのであります。閉山しなければ立っていかぬようなものにつきましては閉山する、又、縦坑におきまして合理化をしていって五千三百万トン、五千五百万トンを確保しようという、個々の山につきまして合理化対策をとったのであります。しかるところ、その後の事情もございまして、今までの措置で十分でない、だから方向転換ということでなしに、今の合理化政策をもっと合理的に、もっと力を入れてやっていこう、こういう考えで今通産省は進んでいっておると思います。だから、私は、今後新炭田の開発または縦坑の増設等々いろいろな措置を、通産省で今考えておると思っておるのであります。
○勝間田委員 方針は間違いでなかった、こう言われますが、それならば一つ明確にお尋ねをしたいのであります。労働者に合理化のしわが一切寄らないように、流通、生産体制あるいは坑区の整理統合あるいはその他の措置、こういうものを重点的に行なって、そして労働者の犠牲をなくしていく、こういう方針でこれから実行していくと考えてよろしいか。
○池田国務大臣 どこにしわが寄るという問題でなしに、お互いにしわの寄らないようにやっていこうというのがほんとうだと思います。あのときにおきましても、賃金の上昇は三・五%くらいを見込んでおったでしょう。そうして、一人当たりは二十六トン程度だったと思いますが、それが今どの程度にいっておりますか、詳しくは存じませんが、大体そういう方向でいっておる。ただ問題の三・五%の賃上げで十分であったかどうか、そうしてその他の条件、たとえば坑木とか、いろいろな資材等の値上がりがございまして、千二百円につきましてはなかなか困難の点もございましょう。しかしそれに対しての対策は、今後とろうといたしておるのであります。だから、労働者にしわが寄らないということでなしに、資本家にも労働者にもどこにもしわが寄っていかないようにやっていこうというのが、今後の施策だと思います。
○勝間田委員 池田総理の見解は、いかにも八方美人的な御答弁のように聞くのでありますけれども、今日までは確かに、労働者にしわが寄りました。六万人も首を切られました。そうして、多くの犠牲が労働者に寄せられた。これを防ぐ方法というものをこの際積極的に立てなければならないというのが、私は現実的課題だと思う。その現実的課題というものにどう処していくかということが、私の聞きたいところなんです。通産大臣、どうですか。
○佐藤国務大臣 ただいまいろいろ御意見が出ておりましたが、流通過程における負担軽減、こういう点を指摘されたのでございます。ただいま総理からお答えいたしましたように、諸物価が上がった、あるいは賃金も高騰した。一番、目について大きく上がったというものは運賃負担、海上運賃だと思います。ただいま石炭関係閣僚会議で取り上げまして、緊急に処置しようといって取り組んでおるものが三つございます。その一つは、おそらくお話が出たと思います緊急就労の問題、離職者対策の問題であります。第二は、中小炭鉱を中心にしての金融の問題、第三がただいまの流通過程においての問題、これには、いろいろの組織を工夫する方法はないか、あるいは銘柄の整理をする工夫はないか、いろいろございますが、共通的なものとすれば、揚げ地あるいは積出港の荷役設備を整備する、これなども確かに一つの方法でございます。今具体的に上っておりますのが、海上運賃や陸上運賃等の適切な方法はないかということ、これは外国でとっておる例などもございます。そういう意味の解決案と取り組んでおるのが現状でございます。 ただいまのお話のついでに申させていただきたいと思いますが、この運賃につきましては、前内閣時代にすでに閣議決定の問題がございます。まず第一に、その閣議決定を忠実に実施する、その具体的方法を関係各省でただいま相談中でございます。しかし、これは三十八年度になれば、その際また問題が起こるでございましょう。ただ時期を延ばしておるという問題でございまして、さらに進んで基本対策が考えられれば非常にしあわせだと思います。ただいま第一に取り組みたいのは、前内閣当時の閣議決定の線でございます。
○勝間田委員 次に、五千五百万トンの問題について、私は一つお尋ねいたしたいと思います。 総理大臣、私はこういう一つの疑問を持っておる。すなわち労働者が能率を上げれば上げるほど、二六・二から二八・幾つというふうに、上げれば上げるほど、五千五百万トンの生産はコンスタントであるというならば、自分で自分の首を切るという形になる。すなわち労働者は、働けば働くほど首を切られる。これは合理化計画にちゃんと出ておる。そういう過程の中から、一体どうして労働者に、一生懸命働くという労働意欲が出てきましょう。ここに、現在の五千五百万トンという問題についての根本的な検討が必要だと私は思う。総理大臣には釈迦に説法かも存じませんが、日本ぐらい、エネルギー内における重油の比率の高い国はない。あなたの所得倍増計画からいきましても、おそらく石油類は五〇%でしょう。現在の総エネルギーの中における石炭の地位というものは三一・九、約三二%。ところが御案内の通りに、イギリスは八〇%をこえております。これは五八年のときの統計であります。フランスが六三%、西ドイツが八三%。それぞれ保護政策をやっていることは、私も今回外遊してよくわかった日本ほど重油重点主義の国はない。輸入依存主義の国はない。こういうことを考えてくると、労働者が、現在の石炭比率の三二%を維持してもらいたい、そうするならば、エネルギーの需要増大に伴って出炭も多くなるだろう、それは最小限度の要求であると考えるのは、私は実は当然だと思う。従って、五千五百万トンが政府の最終的な目標であって、これのために合理化が行なわれるのだという考え方でいくならば、私は労働者は働かないと思う。こうした矛盾した政策をとっておって労働者に生産性の向上を要求することは、私は間違いだと思う。この問題は保守党の中にも、国内資源の問題としても考えていけ、単なる重油とのメリット・システムで考えるな、いろいろな問題と相合わさって総合エネルギー政策になると私は思うけれども、現在の五千五百万トンが最終的なものではなくて、現在の石炭の三二%程度のものは今後の石炭の地位として確保していきたい、こういう点を明らかにすることが私は必要だと思う。その考え方があるかどうかを総理大臣にお尋ねいたしたい。
○池田国務大臣 各国の状況はもちろん参考になりますけれども、日本の炭層その他炭田に対する調査もやり、そしてまた、重油の使用が、ほかの国よりもどちらかといえば、割に日本は条件がいいということもいわれておるのであります、一律には参りませんが、今お話の五千五百万トンに将来ともくぎづけというわけではないと思います。私の二年前の計算では、一応各山につきまして合理化をやり、そして立っていけないものは一応の閉山計画をやった、あの当時は四千八百万トンくらいじゃなかったかと思います。そこで、三十八年におきましては五千三百万トンないし五十五百万トンが適当である、それを見通して二年前に計画を立てたのでございます。その後の経過を見ますと、最近の状況では五千五百万トンにはまだいっていないと思います。それは炭質の違うのも入れれば別でありますけれども。日本の国際収支その他から申しまして、国内資源の開発ということは第一に考えなければならぬ。何も、今後永久に五千五百万トン以上は掘らないのだということは、だれもきめていない。一応この前の合理化対策のときには、三十八年にその程度で計画を立てていこう、こういうのであります。今後におきまして新鉱開発その他積極的な策を講ずれば、六千万トンになっても、六千五百万トンになっても――ずっと以前には、七千五百万トンという計画も出したのであります。だから、炭鉱の現状を見ながら考えていかなければならぬ。重油の競争関係、そして国内資源の開発、雇用の問題等々から、この問題は弾力的に考えなければならぬ問題だと思います。
○有田委員長 勝間田君、総理は、約束の時間が済みましたので、通産大臣と労働大臣は残ってもらいますけれども、あと一間だけで一つ……。
○勝間田委員 今、弾力性ある態度をとっていくという考え方でありますから、これ以上のことはまた後の機会に譲りたいと思います。 総理のいられるときに御質問申し上げたいと思うのは、ここで、緊急の措置については、緊急の財政的措置なり必要な措置を講ずる意思のあることが明らかにされました。しかし同時に、これからの生産体制なり、総合エネルギー政策なり、いろいろの面における基本的な政策というものは、今国会と次期国会を通じて重要な課題になると私は思う。特にこの国会はやがて数日で終わるわけでありますから、問題は次の通常国会に必ず重要な課題として残ってくると思う。そういう意味合いにおいて、あなたが言われたように、さいの川原に石を積むようなものでなく、想を新たにして思い切った政策が基本的に立てられるべきだと思う。また、この特別委員会の任務はそこにあると私は思う。従って、国会における特別委員会の努力、政府の努力が重なって、ここで石炭労働者に対する完全な雇用なり生活安定の基礎もつけられるし、石炭産業そのものの基本的な政策も立てられる、私は今日こういう確信を持つのであります。来たるべき通常国会に、石炭に対する基本的な、思い切った取り組みに必要な法制措置、財政措置をとられると思うが、総理大臣の見解を承りたい。
○池田国務大臣 そういう方向でせっかく関係閣僚に御努力願っておるのであります。今言われました、さいの川原のようなことでは、いかぬということは、そういう手紙が来ているということをあなたに申し上げたのであって、私が言ったわけではない。こういう手紙がきておりますよ、われわれはこれを参考にしなければならぬ、こういったので、もちろん基本的考え方は、根本的対策を講じていくのだ、こういう方針をもって進んでおるのでございます。
○勝間田委員 これで終了いたします。
○有田委員長 他に質疑の通告もありませんので、両案についての質疑は終局したものと認めます。 ―――――――――――――
○有田委員長 それでは、順次討論、採決を行ないます。 まず、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案についての議事を進めます。 本案を討論に付します。中村重光君。
○中村(重)委員 私は、ただいま議題となっている石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案に対しまして、反対の討論を行なわんとするものであります。 この改正案は、一年前の情勢の中において立案されたのでありますが、今日の情勢の中におきましては、大きく変化いたしておると思います。まず第一に、貿易為替の自由化が行なわれております。第二は、経済の危機が招来いたしております。御承知の通りに、国際収支は非常に悪化いたしております。池田内閣の経済成長政策は、この失敗を調整をしなければならぬという段階に立ち至っておるのであります。第三には、欧州エネルギー調査団の報告によりまして、ヨーロッパ諸国の石炭政策というものによって、わが国の石炭政策の転換が必要であるということが、今日提起されておるのであります。経済合理主義者といわれておりますところの土屋、稲葉両調査員にいたしましても、日本の石炭政策というものは、合理主義のみをもって推進しておるという今日の状態から脱却していかなければならぬという意味の報告がなされておりますこと、これまた御承知の通りであります。第四には、石炭政策を換転をしなければならない、石炭鉱業というものを安定させなければならぬという世論が非常に高まってきておるということであります。 このような情勢を考えてみますとき、ただいま議題となっておりますところの合理化法の一部改正をするというこの法律案は、その内容に、現在の合理化を強く推し進めるために、保証基金を設定をして、石炭合理化事業団が銀行に保証するという、その保証業務を新たに設けようとするのでありまして、このことは、現在行なわれておる首切り合理化というものをさらに強めていこうという、その考え方に基づいておるということを指摘しなければならないのであります。従いまして、私どもは、今日までいろいろと論議されて参りました過程から考えてみましても、このような首切り政策というもの、このような首切り合理化を推進していくというような法律案というものは、これは時代逆行であり、情勢が大きく変化いたしました今日の状態には適合しないということを、強く指摘したいと思うのであります。池田総理は、先ほど勝間田委員の質問に対しまして、さいの川原の石積み的な首切り合理化の政策はやらないと言ったという指摘に対しまして、そうした手紙が自分に来たのだということを言ったにすぎないということでございましたが、そうした考え方というものを肯定するという意味の言明がありましたこと、これまた御承知の通りであります。さらに、佐藤通産大臣は、昨日の委員会の答弁の中において、石炭産業を、経営者も労働者も誇りを持って、安心して働ける職場にするという、きわめてきっぱりした力強い意思の表明がなされたのであります。このようなことを取り上げてみますとき、残る問題は、これらの言明、これらの意思表明をすみやかに実行するということ、これのみが残されておると思うのであります。 石炭産業安定の方策というものは、私は幾つもないと考えております。その方法といたしましては、炭労の石炭政策転換要求の中において、あるいはまた各界各層において、石炭政策を転換をしてもらいたい、石炭産業の安定をしなければならぬといったような多くの意見が開陳されておる。さらには、連月非常に真剣に質疑をかわされて参りました本委員会の意見の中に、質疑の中に、あるいは答弁の中に、そうした方向というものは明らかにされておると私は考えるのであります。端的に私は申し上げたい。炭鉱には、今や大きな火災が発生をしておる。多数のけが人と中毒愚考が出ておるということであります。この火災は、このけが人は、この中毒患者は、小さな消火器では今や消しとめることはできません。張りつけ膏薬的な治療では、全治せしめることは不可能であります。徹底した消火作業を行なわなければならない、徹底した治療以外には救済する道はないと考えております。今や石炭産業を救う道は、抜本的な政策以外にはございません。首切りと賃下げをなくすること以外には、安定した職場というものはなく、従って、安定した職場がない以上は、石炭産業の安定というものはとうてい考えられない、期待できないと確信をいたすのであります。 本改正案に不安を感ずることといたしましては、通産大臣は、五千五百万トンの需要の保障は、昨日の委員会答弁におきましても明らかにいたされました。さらには、千二百円のコスト。ダウンに対して政府が責任を負うておるところの四百円については、これは責任を持つための施策を講じていくということを、これまた言明されました。しかし業者の責任であるいわゆる八百円、このコスト・ダウンに対しては、業者に合理化を、コスト・ダウンをするための施策を期待するということを、数日来の答弁の中において、これまた明らかにされたのであります。私はこのことを考えてみますときに、今日いろいろ論議されましたように、指摘されましたように、この計画を立案をいたしました当時、今日の情勢は、大きく変化をいたしております。先日の炭鉱経営者関係のそれぞれの参考人の意見の開陳の中にも、この千三百円のコスト・ダウンに対しては自信がない、これは不可能であるという思見の開陳がございました。そうなって参りますと、あくまで千二百円は計画の通りりこれを実行するのだ、こういうことを通産大臣は言明をされておるのでございますが、それならば、どういうような方法があるのか。法的措置もしない、四百円については、それは責任を持っていこう、いろいろな施策もしようと言いますけれども、業者にこれが期待されるということであるならば、業者はここに追い込まれて参るわけであります。追い込まれた結果は、石炭鉱業そのものを放棄するか、さもなくば、労働者に対する首切り、今日まで行なって参りましたそうした非合理な政策を強行していくということ以外にはない。このことに対しまして、私どもは大きな不安を持っております。連日行なわれました質疑の中におきましても、この点はっきり政府当局の考え方というものが表明されていないということであります。いろいろ離職者対策であるとか、あるいはもろもろの政策において前向きの姿勢が出されましたことは、これは事実であります。その点は率直に認めたいと思います。しかし、そうした根本的なことに対しましての政府のはっきりした意思の表明がないということであります。 このようなことを考えてみますとき、私どもはまず、石炭政策の安定の方策というものは、先ほど来勝間田委員の質疑の中にも展開されましたように、要は石炭政策を根本的に、抜本的にこれを改めるということであります。すなわち流通機構というものを一元化していく、整備する、鉱区の整理統合をやる、休眠鉱区の開発を行なっていく、これらの方策を講ぜずしては、とりてい私は不可能であると思います。さらに、そうした根本的な政策の前に政府がすみやかに実行しなければならないことは、いわゆる鉱業法を改正するということであります。現在の鉱業法は法体系といたしましては、それはりっぱなものでございましょう。しかし、今日地すべりをいたしております。先願権というものがそのまま認められていくということ、あるいは租鉱権であるとか、あるいは第二会社であるとか、そうした賃下げを目的としてこの法律が悪用されておるということ、実情に即さないということ、このような法律を改正するということは、私は当面の急務であると考えております。 さらには、豊州炭鉱の水没事故につきましても、あのとうとい犠牲者の遺体は、今一引き上げをすでに放棄するという結果になりました。相次ぐ事故発生によって、多くの石炭労働者が犠牲を受けております。遺族の方は非常な苦しい状態に追い込まれておる。このような人にあたたかい援護の手を差し伸べていくということで、労災法の改正が、これまた目下の急務であると考えております。私が政府に望むところは、もっと積極的にこれらの法律の改正をやってもらわなければならぬということであります。こうしたことを考えてみますとき、ただいま議題となっておりますところの、この合理化法の一部改正法案というものは、これは全く、今日までいろいろと論議されて参りました前向きの姿勢というものを後退せしめるものである、せっかく前進しようということに対して水をさす法律案であると脅えるのであります。 以上申し上げましたいろいろな点からいたしまして、この改正法律案に対しましては、私どもは絶対的に反対の意思を表明いたしまして、討論を終わりたいと思います。(拍手)
○有田委員長 始関伊平君。
○始関委員 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、きわめて簡単に賛成の討論を行なわんとするものであります。 本法の趣旨、内容を検討いたしまするに、石炭鉱業が設備の近代化を行なう場合に、必然的に過剰となる人員の整理の問題が、まことに遺憾でございますが、生じて参るのであります。これは石炭産業の近代化を進めまして、その長期安定をはかるための万やむを得ない過渡的な現象であると考えざるを得ないのであります。そこで、現下の石炭産業の実情を見ますると、特に最近の金融引き締めのもとにおきましては、この長期運転資金の確保はとうてい望み得ない実情にあるのでございます。このために政府といたしましては、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正し、石炭鉱業合理化事業団に三億円の出資を行ない、これを基金として、市中銀行融資の際に、五割の保証を行なわんとするものでございまして、現下の情勢のもとにおきましては、当を得たものと考える次第でございます。この法律によりまして整理、合理化を行なわんとするものではございませんで、万やむを得ずして行なわれた整理に対し、その善後措置に遺憾なきを期せんとするものが、この改正案の趣旨であることは、あらためて申し上げるまでもございません。 以上の見地に立ちまして、今回の措置は私ども了承をいたすものでありますが、なお今後の問題としては、最近の石炭鉱業の置かれております苦況にもかんがみまして、石炭鉱業合理化下業団みずからが原資を保有して貸し出しを行なうとともに、市中銀行のこれに対する協調融資につきましては、この五割の保証限度をさらに引き上げる、少なくとも八割程度にすることが望ましいのではなかろうかと思いますが、その程度の政府保証を行なうことが必要であるのではなかろうかと考える次第でございます。 これらの点につきましては、今後におきまして政府がさらに検討を進められることを希望いたしまして、簡単ながら、賛成の討論を終わる次第でございます。(拍手)
○有田委員長 伊藤卯四郎君。
○伊藤(卯)委員 私は民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題になっております石炭鉱業合理化臨時措置の一部を改正する法律案に反対の討論を行ないます。 しばしば意見を発表しておりますように、戦後日本の炭鉱に炭鉱労働者の多かった当時は、約五十万近くおった。それが現在では二十二万ということになっております。この二十六、七月の炭鉱労働者はそれぞれ失業者になりまして、その半数近くは政府の合理化、近代化の至上命令によって、いわばこれは失業してしまっておる。ところがこの二十六、七万の失業者のうち、政府みずからの責任において再就職あっせんをしたものは、一割はございません。さらに今後合理化をやるということになれば、一そうの失業者が出てくるわけであります。政府は、これらに対する具体的な対策を持っておりません。現在、この離職者のために再教育、再訓練所があります。けれどもこれは、ここでその訓練を受ける期間中、わずか一日に二百三十円ですか、しかも、失業保険、生活保護資金をもらっておれば、これを差し引かれます。でありますから再教育、再訓練所に入れば、生活ができません。でありますから、再訓練、再教育所は、その多くが開店休業という状態であります。さらに、ただいま議題になっておる合理化法を進めていきますと、多くの失業者が出るのです。これに対して、この再就職に対して、政府は何らの具体的な裏づけをしておらぬのであります。それからまた政府は合理化を至上命令のごとく命令しておるが、これは命令する資格はありません。というのは、政府は一体合理化に金を出していますか。今日まで合理化した、非能率炭鉱を買いつぶした、そのために必要な資金が約八、九十億円使われております。ところが、政府の出しておる金は、昨年たった四億円出しただけであります。あとはみんな炭鉱経営者が、出炭の中からトン当たり二十円ずつ出して、みずからこういう非能率炭鉱を買い取り、合理化をしておるのであります。ところが政府は命令だけして、これらの合理化に対して何らの責任ある処置をとっておらぬじゃありませんか。そして、ただ失業者を出さすだけ。こういうことで一体政府が合理化、近代化を命令する資格がありますか。しかも、このたびの合理化による離職者に対して、大手炭鉱だけで百億の退職資金が要るといっている。おそらく中小もその三分の一くらいありましょうから、両方合わせれば百三、四十億の合理化に対する退職金が要ると思う。合理化をやろうとしても、退職金が借りられないから合理化がやれぬと言っておるじゃありませんか。計画はあっても、その計画が執行できぬ。合理化をやって人員の整理を明らかにしておるけれども、退職金がないから、これを退職さすことができない、こういう状態になっておるじゃありませんか。具体的に金融処置として政府はこれを解決しておらぬのであります。一体、政治としてそういうことがありますか。あまりにも無責任きわまると言わなければならぬ。そういう点から、この合理化法案は執行できなくなっている。離職者の問題の解決ができない。山の合理化をするのに、退職の資金を政府は融通しない。失業した者に対する再就職の再訓練所、そういうところに対する処置もない。実際問題としてこの法律案を通したところで、これは執行できない。もし執行するとするなら、社会不安か社会問題を引き起こす以外にないということに一なっている。こういうものを、今与党の始関君が賛成討論をされたが、賛成討論されること自身が、勉強しておられぬか、もしくは与党議員なるがゆえに賛成討論をしたか、まことに悲しむべきことだと私は思っている。国民のための政治、炭鉱労働者のための政治をやるんだから、もっと真剣に取り組んでやってもらいたい。そういう点から、一つこの合理化法案は、もっと炭鉱労働者のために解決をしてやり得るような法案として、政府は持ってきてもらいたい。池田総理は、心を新たにして思い切った石炭対策を立ててやります、また佐膝通産大臣も、石炭の問題については社会不安とかそういう問題を起こさないようにしてやりますということをしばしば発言されております。総理や佐藤通産大臣のおっしゃることを忠実に実行されようとするなら、この合理化法案を撤回された方がよろしい。さらに、それを実行されようとするなら、もっとこういう問題の解決のできる裏づけを明確にして提出される方がよろしい。 以上、私はいかなる意味においても、むしろこういう法案を成立さすことは国の政治に不審を抱かす結果を作るという点から反対であることを、明らかに一言申し上げておきます。
○有田委員長 以上で討論は終結いたしました。 採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○有田委員長 起立多数。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決せられました。 ―――――――――――――
○有田委員長 次に、産炭地域振興臨時措置法案についての議事を進めます。 討論に入ります。多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 私は、産炭地域振興臨時措置法案について、日本社会党を代表し、賛成の討論をせんとするものであります。 今、わが国の政治の最大の課題は、雇用の問題であります。雇用の問題は、二つの面があります。一つは質の問題であり、他の一つは量の問題であります。質の問題は、高度成長の今日なお、世帯主が働いていても生活保護法の適用を受けなければならないほどの低賃金の問題であります。量の問題は、近年、異常な経済成長の伸びと技術革新による雇用構造の変化によって、若い労働者が不足し、ことに新期中学卒には三倍の求人があり、高校卒には二倍の求人がありますが、中高年層の就職はきわめて至難であります。また、労働市場における地域的な殺到率、すなわち求職者数と求人数との関係を見ると、昭和三十六年一月、九州全体として三・五倍、東北三・〇倍、ところが京浜需要地は〇・四五、近畿需要地は同じく〇・四五、東海需要地は〇・二三でありまして、地域的な雇用状態のアンバランスの是正が最も緊要であります。 今日における量の雇用問題は、中高年層の就職問題と部分的、局地的な労働力過剰地域の解消の問題であります。最近、経済企画庁の発表によりますと、失業者が多数発生し、慢性不況地域と考えられておるものは、北からあげますと、夕張地区、函館地区、常磐、横須賀、舞鶴、御坊、呉、宇部小野田、北九州、大牟田荒尾、佐賀、佐世保松浦、鹿児島の十三地区であります。鹿児局の未開発地域を除けば、他はみなすでに開発された地域であります。その大部分はかつて軍港として栄え、戦後駐留軍がいて、それが引き揚げた地区石炭のみに依存していた、いわゆる産炭地域であります。そこには鉄道、電鉄が敷設され、水道があり、病院があり、住宅があり、町はりっぱに形成しておるけれども、歩いている人々の多くが失業者であるという地域であります。この地域は、未開発地域の、白い地図に新しく塗るような開発とは異なり、古い地図を新しく塗りかえるような再開発でありまして、きわめて困難な作業であり、しかも現実に多数の失業者がいるのでありますから、きわめて緊急を要する問題であります。 西ヨーロッパ並びにアメリカにおいても、第二次世界大戦後の失業問題の最重点は、この局地的失業問題すなわち慢性的労働力過剰地域の対策ありました。英国は一九三〇年代に石炭、造船、鉄鋼が不況に悩んだとき、単一産業地帯を多角的産業地域に編成するために、一九三四年、特別地域開発及び改善法を制定し、一九三六年に特別地域再建協定法が制定され、さらに第二次世界大戦後、一九四五年の工業配置法、一九四七年の都市農村計画法、一九五〇年には一九三七年法の改正等の一連の立法で再開発が進められ、そして一九四五年から五〇年までに設立された新工場の過半数は、開発指定地域において行なわれておるのであります。炭鉱離職者の多い地域には二十年計画で広大なニュー・タウンが建設せられ、ニューキャッスルに近いピーターレーの例では、これらに吸収される炭鉱労働者は、家族の婦人労働者にも職業の機会が与えられ、世帯当たりの所得が、失業前の収入より一・五割から三割高の所得水準が保障されているのであります。 フランスにおいては、同国の三分の一の経済力がパリに集中しており、政府は、地方に工業力を持たす関係上、地方分散計画を考え、この産業転換計画の中心を石炭再編成に置き、閉鎖炭鉱の多い中央部、南部の工業造成を積極的に行なっておるのであります。 ベルギーにおいても、閉鎖した南部炭田に政府が土地を賢い、運河を開いて、アルミ、ビール、医薬品等の産業誘致を進めているのであります。 西ドイツでは、労働力過剰地域を救済地域と指定し、開発の努力をしているのであります。 また、アメリカにおいては、慢性的失業地域が非常に問題になり、御存じのように、慢性不況地域件開発法が制定され、ニュー・フロンティア精神を標榜するケネディ大統領は、この慢性不況地域再開発に対し大幅な財政措置を講ずることを公約しているのであります。 私たちがこの慢性不況地域再開発のための立法と財政措置を政府に要求してから、すでに七、八年経過いたすのであります。私は、産炭地域振興法は、慢性不況地域再開発ともいうべき大きな目標と使命を持って、また、将来慢性石炭不況地域再開発法ともいうべきものに吸収されるものとして、その最初のモデル・ケース的な立法であると理解するものであります。しかし、それには政府案はあまりに内容がお粗末であって、全く長い閥渇望していた産炭地域住民に失望を与えるものであります。しかも予算はわずかに三千万円、政府は、一体この程度の法案と予算でこのきわめて困難な再開発ができると実際お考えになってるかどうか。死の谷、飢餓の谷、地獄谷といわれる地域が真に救済されると考えられておるか。この案は、率直にに言うならば、事務当局にまかせて、今まで政治家が無関心であったという証左である。これは政府並びに与党は十分反省をする必要があると思うのであります。羊頭を掲げて狗肉を売るというのは、この法律のことであります。 低開発地域振興法案にしても、しかりであります。各国の地域経済政策が、所得の地域格差の是正を唱え、集中から工場分散計画を行なっておるとき、ひとりわが国のみが古典的な自由資本主義に固執し、やがて動脈硬化の経済体制に追いやろうとしております。工場は原料地生産から需要地生産に変わり、大需要地に現実に集まりつつある。ことに石油、鉄鉱石、原料炭等の原料を遠く外国から求めることになれば、輸送費はどこの地点でも変わりません。工場は自然消費地に建設されることになるのであります。ここに、国として工場配置の計画と強力な財政措置が要求されるゆえんがあるのであります。 英国の立法を見てごらんなさい。工業配置法にしても、地方犀川法にしても、ともに不況地域に工場を建設しようとする者に対し、工業用地は政府において確保し、無償または減額して貸付または譲渡しておるのであります。しかも、建物の建築まで補助金を出しており、工業用不動産経営公団を作ってその振興をはかっておるのであります。 フランスにおいて現在提案されておるのは、産業の再編成について産業転換開発事務局を設け、難業基金を運用し、地域開発に役立つ工場に対して資本参加をするというのであります。すなわち、産業転換開発事務局が出資をして、利子の要らない金を会社に使わし、会社が国の援助を必要としなくなったときは、その持ち分の株をその投資会社に売却することにしておるのであります。かような強力な援助がなければ地域開発は困難であります。 わが国においても、東北振興のために東北振興株式会社が設立され、今日までみずから二十数工場を経営し、九十九の会社に投資をしておるのであります。私は、この制度を集中的に行なうならば、非常な成果を期待することができると考えるのであります。また、特定産業育成のためには、政府はしばしばその例をとっておるのであります。石油資源開発株式会社、電源開発株式会社はもちろん、日本合成ゴム株式会社におきましても、合成ゴムが天然ゴムに対抗するために、量産体制のできるまで政府は出資し、量産体制が確立し、コストが低下し、採算がとれると政府株を放出する方式で運営されておるのであります。ゆえに、産炭地域の振興につきましても、産炭地域振興公団または事業団を設けて、土地の確保、関連施設の整備、また、みずから犀川を拡大する事業を経営し、または各企業に投資し助成する等の措置を講ずる機関を確立しなければ、たとえ地方税の減免、減価償却の特例措置を行なっても、単なる審議会の調査法案に堕し、単なるぺ-パー・プランに終わることを私は憂慮するものであります。 政府が真に産炭地域の振興をはからんとするならば、可能性は十分あると私は信じ、次のことを提唱いたしたい。たとえば、現在最も悲惨な状態にある筑豊炭田における再開発について述べるならば、第一に、筑豊炭田は御承知のように、日本一の製鉄所が近接しておるのであります。その鋼材を利用し、最も雇用吸収度の高い、しかも成長率の商い機械産業の振興を最重点的に行なう。それには、現在直方の鉄工場を炭鉱機械中心から鉄鋼機械、化学機械、輸送機械に転換を行なうならば、できる。第二に、産炭地発冠の建設、これはすでに御存じのように、非常に問題になっておるのでありますが、やはり超高圧線によって需要地に供給するという方式がとらるべきでありましょう。さらに、新しい産業を誘致いたしましても、その産業に必要な労働者と過剰労働者とが必ずしも合致しないことは、御存じの通りであります。そこで、炭鉱離職者を多く吸収するためには、この地域における炭鉱の深部開発が必要であります。その深部開発をするためには、前提条件として鉱区の統合整理が必要であり、かつ、政府の積極的な財政投融資が必要であります。第四には、工場の誘致には工業用水が必要であります。現在、筑後川の上流においては二十五億トン、下流において三十七億トンの水量が、わずか一割しか利用されていないのであって、水資源の総合的な施策が行なわれるならば、これもまた工業用水の確保ができると思います。かくすることによって初めて新しい町作りができ、失業地帯の解消ができるのであって、アメリカのTVAのごとき熱血と構想をもって行うべきであると思うのであります。 今日、各党においても、石炭対策確立のためにおのおの機関が設けられ、本院においても石炭対笹竹別委員会が設置され政府においても石炭関係閣僚会議が設けられ、しかも、先般、通産大臣、労働大臣、大蔵大臣の三大臣が現地に派遣せられ、自治大臣も近く筑豊に行かれることになっておりますが、政府も与野党も、国民の要望にこたえるために、今真剣に炭鉱労働者の雇用安定、総合エネルギー対策の確立、産炭地域の振興に取っ組んでおるのでありまして、私は、この対策が樹立されるならば、産炭地域振興法案も、次期通常国会においては、想を新たにした画期的な法案に改正されることを望んでやまない次第であります。本法案が将来真に実を結ぶ法案に成長いたしますよう祈念をて本法案に対して賛成の討論を行なうものであります。(拍手)
○有田委員長 以上で討論は終結いたしました。 採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成昔起立〕
○有田委員長 起立総員。よって、本案は原案通り可決すべきものと決せられました。 ―――――――――――――
○有田委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました産炭地域振興臨時措置法案に対しまして、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の御賛同を得て、次のごとき附帯決議を付したいと存じます。案文を朗読いたします。 産炭地域振興臨時措置法案に対する附帯決議 政府は、本法施行にあたり、次の諸点につき強力な措置を講ずべきである。 一、産炭地域振興実施計画を促進するために必要な土地の確保、産業関連施設の整備並びに産炭地域内における雇用の増大に資する諸事業の経営及びこれらに対する投資その他の助成等の事業を行なうことを目的とした産炭地振興事業団を早急に設立すること。 二、石炭需要の安定のため、産炭地において火力発電所の設置を更に強力に進めること。 三、産炭地域内の地方公共団体に対しては、財政上の特別措置を講ずること。 四、産炭地域の振興に要する調査費については、これを増額するため、速かに予算上の措置を講ずること。 以上でありますが、本決議の内容等に関しましては、委員諸君はよく御承知のことと存じますので、直ちに採決いたします。 以上の附帯決議を付するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○有田委員長 御異議なしと認めます。 よって、さように決定いたしました。 通産大臣から発言を求められておりますので、これを許しますい通産大臣。
○佐藤国務大臣 ただいま当委員会で決議されました附帯決議、この内容は、私どもも心からあり方に同感しておる次第でございまして、もちろん、御趣旨を尊重してこれの実現に努力することは当然でございます。この政府の決意の一端を表明いたしておきます。 ―――――――――――――
○有田委員長 お諮りいたします。 本日議決いたしました二法案に関する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○有田委員長 御異議なしと認め、さように決しました。 次会は公報をもって御通知することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十三分散会