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39回国会衆議院1961/10/19

石炭対策特別委員会 第7号

発言数
83
登壇者
9
会派数
3
開催日
1961/10/19

会議録

有田喜一自由民主党

○有田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出の臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案及び石炭鉱山保安臨時措置法案の両案を一括議題とし、審議を進めます。  この際、質疑を続行いたします。多賀谷眞稔君。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 石炭鉱山保安臨時措置法案について一、二点質問いたしたいと思います。  まず、第十条の債務の弁済で、昨日も少し質問をしたのですが、この第一項の二号の鉱害の賠償の対象になるべき被害額が、この第十条で行なわれる弁済ではまだ足らない場合、こういう場合はどういうようにお考えであるかお聞かせ願いたいと思います。

今井博通商産業事務官(石炭局長)

○今井(博)政府委員 今御指摘になりましたような、鉱害の方がはるかに多い、こういう場合には、その廃止の事業者が相当な財産を持っているという場合には、その廃止事業者自体が鉱害の跡の始末の責任を負うわけですが、かりに山を一つしか持っていない、その山を売った。売った場合に、あとに借金が残って、さらに鉱害がまだ残っている、こういうふうに鉱害を賠償する能力が客観的に見てもないと認められる場合には、無資力認定の制度を活用いたしまして、鉱害の復旧に当たりたい、こう考えております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 続いて、第一号の支払いの対象になるべき賃金とはどういうものをさすか、お聞かせ願いたい。

今井博通商産業事務官(石炭局長)

○今井(博)政府委員 これは、いわゆる未払い賃金というのを考えているわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 実は前国会で、本院で修正案を出しました例の退職金問題は、一体どうなっているか。これは退職金を含んでいるのか、含んでいないのか。

今井博通商産業事務官(石炭局長)

○今井(博)政府委員 退職金を含んでおります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 安心しました。そのように実行してもらいたいと思う。  次に、これで予定をされておる廃止の炭鉱数はわからないかもしれませんが、大体出炭でどのくらい考えられておるのか、あるいは、炭鉱の数はどのくらいであるのか、そこに従事する労働者はどのくらであるのか、これをお聞かせ願いたい。

八谷芳裕通商産業鉱務監督官(鉱山保安局長)

○八谷政府委員 この法律が通りまして、正式に調査を開始いたしまして、これがどの程度に廃止の勧告に値するか、こういうことから数字が出てくるかと思いますが、一応規定をいたしております数字を申し上げますと、三十六年度におきましては年間生産高に引き直しまして三十五万二千トンを考えております。それから炭鉱数は、三十九炭鉱でございます。それから来年度になりまして四十五万トン、炭鉱数が四十、それからこれによりまして生じます労働者数は、具体的には個別炭鉱が決定しないとわからないわけでございますが、三十六年度におきましては二千六百六十人、三十七年度におきまして二千八百九十人の五千五百五十人、こういうものを想定しておるわけでございます。ただ三十六年度につきましては、当初考えましたよりも非常に時期がずれてきております。できるだけこういう当初予定の数字に沿うて努力していきたいと考えております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 離職した労働者の雇用問題というものは、どういうようにお考えになっていますか。

今井博通商産業事務官(石炭局長)

○今井(博)政府委員 離職された労務者の雇用の問題は、一般の炭鉱離職者の臨時措置法の適用によりまして、同様にこのお世話をいたしたいと考えております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 これは労働者と合議が済んでいるわけですか、この離職者の問題について……。

今井博通商産業事務官(石炭局長)

○今井(博)政府委員 労働省とは十分相談いたしております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 次に、この廃止されました炭鉱、封鎖になった鉱区はその後どういうようになるのか、お聞かせ願いたい。

八谷芳裕通商産業鉱務監督官(鉱山保安局長)

○八谷政府委員 廃止の勧告を受けまして、この勧告に応じまして採掘権を抹消しましたものにつきましては、採掘権は永久に出炭がその部分につきましては禁止されますので、完全にあき鉱区になる。それから租鉱権につきましては、租鉱権の抹消でございますので、租鉱権の採掘権は残っていくということになるわけであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 採掘権が残った場合には、その採掘権も実際上には封鎖をされたと同じことになるわけですか。

八谷芳裕通商産業鉱務監督官(鉱山保安局長)

○八谷政府委員 採掘権の場合は完全に封鎖されるわけでありますが、租鉱権の場合は採掘権が残されておりますし、これは封鎖されたということには法的にはならないわけでございます。ただし坑口開設関係、これは附則で改正いたしておりますが、合理化法の改正をこの保安臨時措置法の附則で行ないまして、能力主義を採用いたしまして、今後また再びこれを開口しあるいは使用する場合、再びそういうふうな保安が悪いような状態になる場合には使用させない、こういう方式に今度はなっておりますので、事実上封鎖されたと同じような効果が期待できるのじゃないかと考えております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 先般本委員会で通過をいたします際に附帯決議をつけて、例の鉱山保安規則の改正をお願いしたわけですが、その後どういう改正をなされ、どういう処置をなされておるか、お聞かせ願いたいと同時に、さらに先般の豊州及び上清あるいは大辻炭礦の災害のありましたあとに、政府として保安機具に対する補助金を出されたはずですが、そういった面に対する概略をお聞かせ願いたい。

八谷芳裕通商産業鉱務監督官(鉱山保安局長)

○八谷政府委員 去る七月一日付で石炭鉱山の保安規則をまず改正したわけでございますが、これは非常に緊急かつ重要な事故を選定して改正をやったわけでございます。  第一点としましては、坑内火災あるいはガス爆発が起きた際、自分で逃げ出す際に、一酸化炭素のあとガスの中毒を防止するという目的のために、一酸化炭素用の自己救命器を各山の必要な個所に整備させる、こういうように規則を改正いたしました。これが第一点でございます。  第二点につきましては、危険時の退避を容易にいたしますために、坑道の大きさについての基準を厳格にしたわけでございます。従来は基準が非常にはっきりしなかったのでございますが、今度は結局かけて逃げられる、そういう歩行ができるということを明確に示したわけでございます。これが第二点でございます。  第三点といたしましては、先般来の坑内火災等にかんがみまして、坑内火災の初期消火ということを考えまして、消火器具の備えつけの基準を非常に厳重にしたわけでございます。  第四番目には、万一危険が発生した際には、退避を迅速にしかも整然と行なわせる、こういうことのために必要個所に全部連絡警報装置を備えつけさせる、そうしてこの連絡警報装置は相互に操作ができるように働くようなものにさせる、こういう規則改正をやったわけでございます。  最後に第五番目といたしましては、鉱山の救護隊関係の規定を整備いたしまして、救護隊の設置の促進をはかったわけでございます。  以上五点につきまして規則の改正を七月一日付でやったわけでございますが、この規則改正に伴いまして、一方におきましては、こういう規則改正をやりましても、中小炭鉱の方で資金その他の関係で設置を逡巡するということがないように、五〇%の補助率で七千四百万円の補助金を交付する、こういうことにしたわけでございます。この補助金の種類は、ただいま申しましたものを対象としておるわけであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 最近、炭鉱の不況に伴いまして災害が非常にふえている。少なくとも労働者一人当たりの災害率というのは、災害が同じと考えましても、人員は減っておるのですから、稼働者の災害は非常にふえておる、これに一体どういうように対処されようとするのか、お聞かせ願いたい。

八谷芳裕通商産業鉱務監督官(鉱山保安局長)

○八谷政府委員 鉱山保安の確保ということは、もとより人命尊重ということでございます。この精神に徹しまして、第一番目には鉱山保安法、それから鉱業法の厳正な運用をはかっていきたいと考えております。それから第二番目には、保安改善のための援助、これはただいまも申し上げました補助金の問題、それから二億六千万の近代化資金、これは無利子でございますが、合理化事業団を通じましての貸し付け、それから中小企業金融公庫から十億の中小炭鉱向けの保安施設の貸し付け、こういうふうな保安改善のための援助を行なうことにいたしております。  それからさらに、ただいま御審議を願っております、保安設備の改善が困難であるというような山に対しましては、これを終廃山させます際に、いろいろトラブルが起きる、これを解消するための廃止の勧告から交付金の交付というような一連の措置を一つ講じていきたい、こういうふうに考えておるわけでございますが、さらに鉱務監督官の増員をはかりまして、ただいま申し上げました第一点の鉱山保安法あるいは鉱業法等関係法規の厳正な運用につきまして、七月五日付で四十名の鉱務監督官を増員したわけでございます。そしてこれは九、北のうちでも、特に九州ですと田川、直方、飯塚、それから佐賀、長崎、この炭田の第一線に重点的に配置いたしまして、能率的な、また精力的な監督ができるようにということを考えておるわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 この前、大辻あるいは上清に衆議院として視察またお見舞をいたしました際に、鉱務監督官の手当の問題が非常に問題になったわけですが、その後改善されたかどうか、一言お聞かせ願いたい。

八谷芳裕通商産業鉱務監督官(鉱山保安局長)

○八谷政府委員 鉱務監督官の改善につきましては、七月初めにこれを実施いたしました。一つは入坑手当の増額でございますが、約三倍程度にこれを増額する。それからもう一つは、特別の定数のワクがございますので、専門職というものを置きまして、鉱務監督官が係長あるいは課長補佐というものに縛られないで上がっていけるように、専門職という制度を設けまして、適宜、もちろんこれには一定のワクがございますけれども、従来よりもふやしてもらいまして昇進ができる、こういうふうなことを考えたわけであります。

有田喜一自由民主党

○有田委員長 お諮いいたします。  両案につきましては質疑も尽きたと存じますが、両案の質疑を終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

有田喜一自由民主党

○有田委員長 御異議なしと認めます。よって、両案の質疑は終局いたしました。     —————————————

有田喜一自由民主党

○有田委員長 次いで両案についての討論に入りますが、両案につきましては討論の申し出がございませんので、直ちに採決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

有田喜一自由民主党

○有田委員長 御異議なしと認めます。  これにより両法案を一括して採決いたします。  両案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

有田喜一自由民主党

○有田委員長 起立総員。よって、両法案はいずれも原案の通り可決いたされました。     —————————————

有田喜一自由民主党

○有田委員長 次に、ただいま可決いたしました両法律案に対し、それぞれ自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三派の御賛同を得て、次のごとき附帯決議を付したいと思います。その案文を朗読いたします。  まず、臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案に対する附帯決議を朗読いたします。    臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案に対する附帯決議   政府は、産炭地域における鉱害の現状にかんがみ、本法律による無資力認定及び特定の応急工事の認定制度の円滑な運用をはかる外、鉱害発生予防のため、鉱山保安監督機構の強化、予防施設に対する政府資金の融資等を行ない、終廃山後の鉱害の処理を円滑ならしめる措置を講じ、もって鉱害地住民の民生の安定に万遺憾なきを期するとともに、鉱業法改正審議会、石炭鉱害対策審議会における本法律の抜本的改正についての検討を促進し、早急に結論を出すべきである。  次に、石炭鉱山保安臨時措置法案に対する附帯決議を朗読いたします。    石炭鉱山保安臨時措置法案に対する附帯決議  一、第三十八回国会における炭鉱災害に関する決議の主旨にかんがみ、政府は速やかに鉱山保安法の抜本的な改正を行うべきである。  一、政府は、本法施行により発生する離職労務者の雇用の確保についてはあらかじめ万全の措置を講ずべきである。  両付帯決議の趣旨につきましては、委員諸君はよく御承知のことでございますので、その説明は省略することとし、直ちに採決いたします。  両法律案に対し、おのおのただいま朗読した附帯決議を付することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

有田喜一自由民主党

○有田委員長 御異議なしと認めます。よって、その通り決定いたしました。  この際、両付帯決議に関しまして発言を求められております。これを許可いたします。伊藤卯四郎君。

伊藤卯四郎民主社会党

○伊藤(卯)委員 一言政府に苦言を呈しておきたいと思います。と申し上げるのは、今日まで政府は法律案なり予算なりが国会で審議されている期間は、非常に低姿勢で、親切であります。ところが一たび法案、予算が通りますと、わが世の春だというような形で、国会審議中に公約をしたことを実行しないことおびただしいのである。たとえば先ほど多賀谷委員からもいろいろ質疑をされておりました臨時鉱害復旧の問題につきましても、たとえば、測量制度というもが完全に実施されなければ臨時鉱害の復旧というものはなかなか容易に実行できない。測量制度が行なわれないために、だれの鉱害であるかということがわからないまま、これが二十年も三十年もそのまま放置されて、被害者は非常に苦しんでおるという現状であります。ところが法律の中では、当然測量制度を実施しまして、だれの鉱害であるかということを認定し、直ちに鉱害復旧を行なわしめなければならなくなっているのに、それを依然としてやっていないのである。これはおそらく石炭局長にしても、あるいはそれぞれの関係者にしても、百も承知の上なんです。ところが法律にあり、実施しなければならないのに、これがだれの鉱害であるかということを認定することは、鉱業権者から恨まれやしないかというところから、認定しないまま被害者を何十年も泣かしておるということは、もってのほかだと思う。当然実施しなければならないのに実施しないのです。こういう点も、この臨鉱法を実施される上において、法律を完全に実施してもらいたいということでございます。  それから無権者鉱害が非常にふえておるわけでございますが、こういうものに対するところの認定を早く決定をして、この復旧工事を早急に行なわしめてやるということ。それから、御存じのように、炭鉱地区は廃山、閉山等が非常におびただしくなっておりますので、従って地方自治体の税収入が非常に少なくなりまして、それで地方自治体は財政難に陥って、この鉱害復旧の負担金をなかなか出し得ないという状態にもなっておるわけであります。こういう点も十分考慮されて、無権者鉱害に対するところの復旧を、政府は責任を持って早急にやってもらいたいということを強く要請をしておきたいと思います。  それから鉱山保安の問題でございますが、この保安法が完全に実施されておりますならば、従来の鉱業法、保安法によっても、主管大臣は、保安を完全にやっていないところは、これを中止を命ずることができるのです。従来から法律にちゃんとそう書いてある。ところが、保安が不完全であるからといって中止を命ぜられた鉱山というのは、ほとんどありません。さっきから質問がありましたように、たとえば豊州にしても、上清にしても、大辻にしてもその他にしても、保安監督が完全に行なわれていれば、またふだんに注意されてあれば、ああいう大きな災害というものを未然に防止できたわけなんです。ところが人員が足らぬとか、あるいは監督官の手当が少額でなかなか行ってくれないとか、いろんな点がありますが、これは従来の法律でもできるのです。ただ、完全に保安監督を行なっておらぬところにあるのですから、さらにこの鉱山保安についてはこれを強化し、人員増加ししてやるわけでありますから、従って、今後はこういうことが再度起きないように、私は十分の保安監督の行政というものを実行してもらいたいということを強く要請をいたしておきます。  先ほど申し上げたように、国会の審議中だけ、関所を通ればあとはわが世の春だというようなことで行政の方はやらないように、あくまで国会審議中約束したことは責任を持って実行するということを、特に通産大臣あるいは労働大臣等は責任を持ってやってもらいたい。政党から出ておる大臣は、政治家として、国会中も、国会が終わっても、責任を身に感じておられるだろうが、どうも行政府の諸君は、政府委員の諸君は、国会だけが関所で、国会さえ通り抜けたらわが世の春だという点が非常にありますから、こういう点を厳に、通産大臣と労働大臣は、自分らの監督下においては、責任を持って、国会中約束したものは実行する、法律にあるものは実行するということをかたく守ってもらいたいことを私は要請をいたしておきたいと思います。

有田喜一自由民主党

○有田委員長 この際、通商産業大臣及び労働大臣に御発言があれば、発言を願います。

佐藤榮作自由民主党通商産業大臣・大蔵大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 石炭産業に関しまする一歩前進した法律案の御審議にあたりまして、当委員会の皆様におかれましては格別御熱心な御審議を続けられまして、本日関係二法案が成立を見ましたことを厚く御礼を申し上げます。もちろん石炭産業は、今回の審議の過程を通じましても御指摘がありましたように、当面まことに重大な局面に立っておると思いますし、基本的対策なりあるいは、応急的、緊急的措置等、なお政府において対処すべきものが多々あるのでございます。幸いにいたしまして皆様方の御協力を得て、今後石炭産業対策について遺憾なきを期するようにさらに努力を続けるつもりでございます。  また、ただいま全会一致をもって決議がございました附帯決議の御趣旨、また、ただいま全部の御趣旨等を拝聴する機会はございませんでしたが、おくれて参りまして大へん失礼をいたしましたが、附帯決議は全く私どもも御指摘の通り重要な事柄だと、かように考えておるのでございまして、ただいま伊藤委員の御指摘になりましたような点については、十分事務当局を指導いたしまして、そうして附帯決議の趣旨に沿うように一そう努力することを皆様に表明いたしまして、今回の法案の通過並びに附帯決議のありましたことについてお礼を申し上げます。(拍手)

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 石炭関係二法案の御採決にあたりまして、本委員会において行なわれました附帯決議の趣旨につきましては、私どももこれが実現に大いに努力をいたしまして、皆様の御期待に沿いたいと存ずる次第でございます。ことに、私九州の炭鉱地帯を急遽視察して参ったなまなましい印象等からいたしましても、皆様のそうした御決議をなさいます御趣旨が、よく身にしみる次第でございます。せいぜい努力をいたしたいと思う次第でございます。(拍手)     —————————————

有田喜一自由民主党

○有田委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両案に関する委員会の報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

有田喜一自由民主党

○有田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。      ————◇—————

有田喜一自由民主党

○有田委員長 次に、内閣提出の石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案、産炭地域振興臨時措置法案及び勝間田清一君外二名提出の石炭鉱業安定法案の三案を一括議題とし、質疑を続行いたします。多賀谷眞稔君。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 先般、非常にお忙しい中を九州の産炭地域に調査視察に来ていただきました労働大臣に対して、深く敬意を表する次第であります。しかも、朝早くから車の中で食事をするという強行軍をされましたことに対しまして感謝する次第です。しかし、きわめて短時間でございまして、表面だけであまり十分な認識がなかったのではなかろうか、こういうように関係者としては心配する向きもないわけではございません。そこで一体大臣はどういうようにお感じになったか、まずそれをお聞かせ願いたい。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 従来から石炭産業が非常に深刻な状態にあることにつきましては、いろいろ報告も受け、認識をいたしておるつもりでございましたが、ただいまお話しのように、急遽筑豊地区にお伺いをいたしまして、自分の目でそのなまなましい現実を拝見いたしましたわけでございます。私自身といたしましても、時間が非常に少なくて、十分の視察ということは無理であったことを痛感する次第でありますが、何分にも国会開会中のことでもございますので、十分の時間というわけにも参らなかったことは御理解をいただきたいと思うわけであります。あと、私のほかに通産大臣、大蔵大臣、さらには、炭鉱関係の市町村等の財政窮迫の事態についての認識をさらに一そう深める趣旨から、自治大臣等もお伺いするようなことにいたしておるのでございますが、これらを総合いたしまして施策の推進をはかりたいと存ずるわけであります。とにもかくにも、かけつけました私の印象といたしましては、事態は非常に深刻である、従って、これに対処するため、すみやかに、かつ強力なる施策を講じなければならぬ、これを強く感じて帰って参った次第でございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 そこで、本院に今かかっております石炭鉱業合理化臨時措置法が提案されたのは、たしか昭和三十年ではなかったかと思うのです。その後、一体、どのくらい解雇をされ、そしてどのくらい就職をし、あるいはまた、政府の施策の中にどのくらい入っておるか、たとえば緊急就労でどのくらい吸収しているか、あるいは職業訓練ではどの程度やっているか、あるいはまた、一般失対ではどの程度しているのか、そして安定的雇用についた者はどのくらいあるか、それがいわゆる広域紹介として他地区に出た者はどのくらいあるか、自県で紹介された者はどのくらいあるか、こういう数字がわかりましたら、ごく簡単でよろしいですから、お聞かせ願いたい。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 炭鉱離職者臨時措置法に基づきまして、政府は広域職業紹介あるいは特別の転職訓練、さらに緊急就労対策事業への吸収等、いろいろの施策を行なって参りまして、それぞれ相当の成果を上げておる次第でございますが、これらの数字等につきましては、事務当局から詳細にお答えを申し上げたいと存じます。

堀秀夫労働事務官(職業安定局長)

○堀政府委員 三十四年末以降における炭鉱の常用労務者の数は、御承知と思いますが、昭和三十四年度末は二十五万六千でございましたのが、最近におきましては二十一、二万程度になっておるわけでございます。そこで、現地におけるところの実情でございますけれども、昭和三十五年一月から昭和三十六年七月までの間において、広域職業紹介によって他地域に移動いたしました者が、一万七百六十一名ということになっております。そのほかに、自県内において職業紹介により移動いたしました者を合わせますと、三万六千四百八十四名という数になるわけでございます。それと並びまして、転職訓練を行なうために、雇用促進事業団、もとの炭鉱離職者援護会と、それから最近は雇用促進事業団の経営しております総合訓練所、及び府県で経営しておりますところの一般訓練所の中で、炭鉱離職者専門の転職訓練を行なうことにしたわけでございますが、本年の七月までに訓練所に入所いたしました者の数は、約四千四百名でございます。それから、同じく緊急対策といたしまして、炭鉱離職者臨時措置法に基づきまして、緊急就労対策事業を現地に実施しておるのでございます。これにつきましては、ただいまの規模は約七千名ということになっておるわけでございます。  以上のような措置とあわせまして、職安の窓口に現われませんで、同系列の会社あるいは縁故会社等に就職あっせんをされた者も相当おるわけでございますが、現在におきましては、これはごく最近の職安の窓口の実情でありまするけれども、約四万八千名の求職者、炭鉱離職者で職を求める者が職安の窓口に来ておるという業務報告がきております。そのうち、大体のところを申し上げますると、失業保険を受給しております者が一万六千五百名程度でございます。それから緊急就労には、先ほど申し上げました通り、約七千名でございます。それから公共事業に現在就労しております者が六百十五、鉱害復旧事業に就労しております者が千三百四十五名、これはやや数が少ないようでございまするが、これは七月末現在でございまして、事業の実施状況によるものであります。今後におきましてはもう少しふえるのではないかというふうに考えておるわけでございます。それから失対関係で働いております者が約七千五百名程度である、このように考えておるわけでございます。  大体以上のような状況になっておるのでございまするが、私どもがこの炭鉱離職者の配置転換、再就職の促進に努めました感じから申しますると、やはり炭鉱離職者の中で特に中高年令層の方の再就職ということがなかなか容易でないという実情、それから各需要先におきまして、その離職者が再就職する際におきまして入居する住宅問題、これは雇用促進事業団等ができまして、だいぶ各地でそのワクは広がっておるのでございまするが、やはりまだまだこれが大きなネックになっておる、こういうふうな感じを持っておるわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 局長は、次から次に私が質問するのを予定して御答弁になっておる。これは、生活保護に陥った者は幾らぐらいですか。

堀秀夫労働事務官(職業安定局長)

○堀政府委員 私のところでただいまちょっと把握しておりませんが、後刻厚生省の方に連絡いたしまして……。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 大臣も現地でお聞き及びのように、生活保護世帯が非常に多くなっておる。これもやはり炭鉱離職者ですから、政策の中に含めて考えていただきたい。  そこで、緊急就労とか公共事業でやるとか、あるいは鉱害でやるとか、一般失業対策事業というのは、御存じのように、本来安定職場ではないわけです。国が緊急措置として行なっておるものでありますから、私は、やはりそれらを含めて雇用安定の方向に指導をし、行政としてはそういう方向へいくべきである、かように考えるわけです。  そこで、まず私は、広域紹介をされて一応安定職場であると考えられる一万七百六十一名が、就職先においてどういう労働条件であるか、これは全般はわからなくても、わかった範囲内で御答弁願いたい。

堀秀夫労働事務官(職業安定局長)

○堀政府委員 広域職業紹介によりまして配置転換いたしました者の全数についての労働条件は、ただいま手元に持っておりませんけれども、これはごく最近の一部の調査でございまするので、その旨御了承願いたいと思いますが、本年度、昭和三十六年の五月におきまして広域職業紹介によりまして配置転換いたしました者の賃金につきましては、産業と職種によりましていろいろな相違はあるわけでございますが、約八百五十名程度について調べました五月の調査によりますと、平均賃金は大体一万八千円程度、もとよりこれは各業種、職種等によりまして相違がございます。従いまして、五月におきまして配置転換いたしました業種の性質によりまして非常な影響を受けております。従いまして、他の月におきましてはまた違った傾向も出てくると思いますが、五月の八百五十名についての平均賃金は約一万八千円程度、このようになっております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 その行なった業種の工場等の地域における労働者の平均賃金は、大体どのくらいですか。

堀秀夫労働事務官(職業安定局長)

○堀政府委員 その八百五十名が再就職いたしました府県だけを取り上げての一般の平均賃金の調査は、ちょっと今いたしておりません。いたしますればはっきりすると思います。そこで大体毎月勤労統計等を見まして、平均的な全産業の賃金を考えてみますと、約二万二千円程度じゃないか、このように考えております。もとより地域によって差はございますけれども、比較いたしますればこのようなことが言えると思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 広域紹介をして就職をした先というのは、ことに阪神地区、それから中京地区が多い。東京地区にも来ておるわです。ですから、賃金平均というのはかなり高いのじゃないかと思う。最近ごく一部大企業にも行っておりますが、大体中小企業が多く、さらにその中小企業でも就職先の大体最低くらいらしいですね。最低に若干プラス・アルファになっておるかどうかわかりませんが、そういう状態だという報告を受けております。これは三池の離職者で具体的に調べたのですが、そういうことがわかっておる。それで私は、この際どうしても生活の安定のためには、賃金に対する何らかの補償制度が必要ではないかと思うわけです。ことに炭鉱の場合は同じ賃金でありましても、まず、住宅がほとんどがただです。それからふろがただ、水道がただ、電気がただ、それから豆炭、燃料がただですね。そして、ああいう地区で集団的におりますから、どちらかというと服装なんかもかまわなくてもいい、こういう生活です。ですからぬるま湯にいるような生活をしているわけですが、それが他地区に行きますと、生活環境が変わって、すぐ生活方式が改善できる人もあるかもしれませんけれども、なかなかそういうことができない。そこで少なくとも私は、本人が新しい職場に行って十分な習熟期間を経て一人前の賃金がとれるまで、あるいは生活環境の転換に十分即応のできるまでは、前収補償が必要ではないか。前収補償といっても、これはやはり福祉厚生施設というものを勘案してやらないと、単なる賃金面だけでは、いわゆる手取り賃金だけでは、日本の場合は必ずしも十分な補償をしたとは言えないのではないか、こういうふうに考えるわけですが、これについてどういうようにお考えであるか、お聞かせ願いたい。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 ただいま石炭対策のための関係閣僚の協議会のようなものを作って、いろいろ協議をいたしているのであります。多賀谷さんの仰せのような考え方そのままではございませんが、何かそうした考え方をある程度取り入れた措置が講ぜられないかという話が出て、私も強くそういうことの主張をいたしているのではございますが、まだいろいろ私と見解を同じゅうしない人もおりまして、正面に申し上げますが、結論に到達いたしておりません。なお、特に申し上げますが、多賀谷さんのおっしゃる構想そのままではございませんけれども、考え方の方向といたしましては、ややそういう考えを取り入れたようなことについても、相談をいたしていることは事実でございます。しかし、先ほども申し上げましたように、事態の深刻性、緊急性等を考慮いたしまして、これらのことについて私といたしましては、ますます強く主張もしなければなりませんし、また他の関係閣僚も、現地視察等をいたしますならば、だんだん私の考えに理解を持ってくるのではないかというような期待も実は持っているのでございます。その通りに参るか参らないかはわかりませんけれども、政府の一部にそういう考え方があるということは申し上げられると思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 まだ十分言明のでなきないことは了承できるわけです。私はこの際やはり西ドイツがやりましたように、少なくとも石炭合理化をうたって、政府の施策によって解雇しようという、こういう労働者に対しては、手厚い保護を加えても国民は反対はしないと思うのです。ドイツでは御存じのように、新しく離職者が就職した場合は、六カ月以内は旧賃金の手取りの九五%まで差額補償をしております。それから後一年は九〇%補償しておる。こういう制度もあります。それから炭鉱は従来家庭用炭をただでもらっておった関係で、やはり家庭用炭の配給の代償として手当を出しておる、こういう制度もある。ですから私はやはり、政府の政策でこれだけ多くの失業者を出し、また社会問題になっておるのですから、この程度の政策は当然やるべきではないかと考えるわけです。全部を一般会計から求めることが困難であるならば、別の方法があるのではないか。先般当委員会に大蔵大臣に来ていただきましての考え方の中には、炭鉱離職者に対して、特別処置として関税も考えられるというお話もありました。まだ最終的結論が出ていないと思いますから、それ以上聞きませんけれども、これは当然抜本的な対策を講じないと、私はなかなか困難ではないかと思うのです。そこで先般、労働大臣もおられましたが、総理が総評、炭労あるいは全労、全炭鉱、職員組合、こういう組合に約束いたしましたことは、とにかく思い切った案を出す、そうして自分がかって二年前に通産大臣で考えておったよりもより深刻になったことに対しては責任を感ずる、だから心を改めてという表現をされましたが、心を改めて、決意を新たにして行なう、こういうことでありましたから、総理の気持を体すれば、私は、今申しますように、西ドイツのような案は、当然所管大臣としては提案されてしかるべきではないかと思うのです。あえてもう一度これに対して御答弁願いたい。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 多賀谷さん御指摘の、総理大臣、関係大臣と、石炭関係の労使双方の代表者、また社会党、民社党のいろいろごあっせんをいよだいた諸先生方、この会見の席における総理大臣の言葉は、私もまた非常に心強く感じ、頼もしく思った次第でございます。従って、その趣旨に沿うごとく、私どもといたしましても思い切った案ということで、実は正直に申し上げますと、ああいう言葉が出る前に、もう若干の案があったのであります。ああいう言葉を聞いたからには、さらに一段とこれは考えなければいかぬというので、ただいまいろいろ検討いたしておる次第でございます。石炭産業を安定させることを中に入れたエネルギー総合対策の確立ということは、私といたしましては非常に大切だ、こういうように考えておるわけであります。そういう場合において、労働政策としていかにあるかということは幾つか問題がございますが、今西独の例等も引かれまして多賀谷さんのおっしゃられたような問題は、最も大切なものの一つであると考えます。こういうような案を出して、それを推進するようにするかということでございますが、率直に申しまして、西独の通りにはなかなか日本の場合容易じゃないのじゃないかというような感じがいたします。しかし、いずれにいたしましても、ただいま労働省は労働貧なりの考え方をさらに検討いたしており、また他の関係閣僚も現地視察後にいろいろ主張もすることでありましょうから、労働省だけが、まだほかの閣僚が行かないうちに案を出すよりも、すべての関係の諸君が感覚をなまなましくいたしましたところで、こちらの案も御披露に及ぶのが適切ではないか。そのタイミング等も考えて今検討中でございまます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 一つ大臣の初仕事ですから——石田労働大臣は就任のモーニングを着て中労委にかけつけて、三池の争議を解決するために努力されたのです。福永労働大臣は急遽筑豊に行かれたのですから、一つわれわれは成果を期待したいと思うのです。産炭地に労働者が一人滞留しますと、一人でも五十万円くらいは行政の支出が要ります。たとえば緊急就労をするといいますと、昨年では事業費を入れて千五十円ですか、そうすると三百日働くとすると三十万円ですね。ところがそれでは少ないのです。今大体千五百円程度はやってもらいたいということだし、また、そういうふうに労働省もきめておられるそうであります。そうすると四十五万円、そのほかにいろいろな行政支出が要りますから、どんなに少なく見ても、一人一年そこへ滞留すると五十万円はかかる。これはもう産炭地においてずっと半永久的にその金は続くわけです。ですから私は、いろいろな面において抜本的な対策をした方が、長い目から見ると政府の行政費の節約にもなると思うのです。  そこで私は次に住宅問題を開きたいと思う。私は先般本会議でも言いましたが、率直に言って、炭鉱に来ておる人々は帰る家を持たないのです。現在は、日本国民が大体そういうようになっておると思いますけれども、代々炭鉱におる連中は、昔はなるほど鹿児島県やあるいは徳島県から来たかもしれない。しかし親子何代もおるのですから、もう帰る郷里がない。その連中が一部おる。それから、何といっても終戦面後、傾斜生産に乗って、朝鮮あるいは中国の方々が入っておったその人々が帰ったあと、全くかねや太鼓で人を探して集めたという形です。それは住宅を与えます、食糧を与えますということですね。そうして全国各地から、引き揚げた人々あるいは戦災にあって家がない人たちが集まったわけです。ですから、どこかに行けといったって行くところのない連中ばかり集めているわけです。これは私は、どうしても一番の前提条件は住宅ではないかと思う。なぜならば、昭和五、六年ごろのあの炭鉱の不景気なときは、炭鉱地帯に人がとどまらなかった。整理をされる、そうすると本人はどこか京阪神に職を求めて行くわけです。ですから直ちに人口が減る、学校の生徒が減った。今日はそういう状態ではないのです。首を切られたけれども、人口も減らないし、児童数も減らないという地域もある。不況が長いものですから、やむを得ず人口が減ってきた状態です。私はそのことを考えれば、結局住宅問題が最も中心課題であり、前提条件ではないかと思うのです。あなたの方で労働力の流動について今いろいろ苦心をされておりますけれども、あの殺到率を見ましても、とにかく工業地帯は〇・二とか〇・五というような殺到率であるにかかわらず、東北あるいは九州は三とか四とかいう状態、まさに十倍ですね。ですから私は雇用政策は現在そうむずかしくないと思うのですよ。全体的に日本が失業者が非常に多くてどうにもならないという場合には、大臣もどうもお手上げでしょうけれども、今は政策としては、政府の政策よろしきを得れば、かなり解決する面があるのじゃないか。全体的には必ずしも昔のような状態ではないということ、そうして若い者は足らないという状態、年寄りは余るという、こういう面と、地域的のアンバランスの面と二つですから、この二つを解決すればいいのです。私は地域的な問題は、根本は住宅の問題じゃないかと思う。そこでこの住宅政策について、今までもかなり労働省では御苦労なさっておられるわけですけれども、何さま私は、とにかく一万幾らの人が出ていっておるのに、わずかの住宅ではどうにもならないのじゃないか。むしろ一万幾らの人を出したのは、今大体考えられております、また現在すでにできました労働者の宿舎のアパートであるとか、あるいは組立式の移動宿舎であるとか、あるいは奨励金というものが役立ったのだと思うのです。しかし四万八千という人々が職を求めておる、こういうことになりますと、この問題の一番の重点は住宅ではないか。そこで住宅政策についてはどういうようにお考えであるかお聞かせ願いたい。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 住宅の問題は、お話のように、この種の問題の解決にあたって最も大切なるものの一つであると、私ども深く認識をいたしております。従来、今多賀谷さんもおあげになったような諸施策を私ども講じておるのでありますが、何としても労務者を受け入れるためには、まず住宅を作る、入るところから作っていかなければならないということは当然でございます。ある程度の予算措置が従来されてきておるのでありますが、事態が急迫し、深刻化して参りました今日の段階にあっては、従来の措置に加えまして、さに特段の考慮を払わなければならない、かように感じておるわけでございまして、先般も予備費の支出等につきましても、金額はそう大した額ではございませんけれども、八千万円余りだったかと思いますが、そういうことに出すことにいたしました。これは炭鉱労務者だけというのではありませんけれども、現在労務者を必要とする地域へということになりますと、かなりの部分が炭鉱からの人ということになると思いますので、そのことにある程度役立ち得ると思うのであります。そういう措置等も講じておりますけれども、さらにこれからどうするかということにつきましては、従来の措置だけでは、私は少なくとも労働大臣としてはなはだ不満足だ、さらに一段の措置を講じていきたい、こういうように考えておる次第でございます。この点に関しまして、政府はより一そうの熱意を注いでいきたいということを御理解いただきたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 実は、住宅でも、いわゆる雇用主中心に考えられておる。雇用主中心というのは変ですが、移動式の住宅に入るにいたしましても、翌年度に雇用主が必ず住宅の確保をするという条件がないと、労働者が入れないわけです。これはアパートにおいても、移動式の住宅においても同じです。そこで雇用主にそれだけの義務を課すということになりますと、労働者の申請ではなく雇用主の申請ですから、一年後には必ず住宅を建てて引き取りますからどうぞ入れて下さいということなんです。これは実際なかなか困難じゃないかと思うのです。少なくとも中小企業に就職した者は、この制度は不可能でしょう。ましてや金融が逼迫しますと、住宅なんかはあと回しということになりかねません。これは経営者としてはやむを得ないかもしれない。ですから、私はその点をもう少し緩和すべきではないか、こういうように考えるのです。ですから、労働者の中でも大企業に入って非常に恵まれた人しか入れない、こういうことになる。この点どういうようにお考えですか。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 これは考え方はいろいろあろうと思いますが、雇う方が雇う気になるようにするためには、まず雇い主の方に住宅のことも今までのような措置を講じてやっていくのがいいじゃないかというように考えておりますが、しかし多賀谷さんのおっしゃるような面もございますので、これはこれとして、将来については研究させていただきたいと思っております。なお詳細の事情を私よりよく承知いたしております事務当局からさらに追加して申し上げす。

堀秀夫労働事務官(職業安定局長)

○堀政府委員 ただいま雇用促進事業団を中心に、離職者の住宅対策を進めておるところでございますが、今のお話のように、まず第一にパイプ・ハウス、第二番目には住宅確保奨励金、それから鉄筋で作っております離職者アパート、この三本立で進んでおるわけでございます。  そこでパイプ・ハウスと離職者アパートの問題でございますが、これは雇用促進事業団を作りましたときに、建設省で行なっております恒久的な住宅対策との関連が非常に問題になったわけでございます。従いまして、私どもが雇用促進事業団を作りました際の考え方といたしましては、炭鉱離職者が雇用されましたときに、住宅がないというのでは雇用されにくいということで、一時的に雇用促進事業団の住宅に入ってもらって、それから先は本来の住宅政策の方に移ってもらう、こういう考え方で進めました関係で、ただいまのような制限があるわけであります。ただ、数字はただいまのような数字でございますが、実際問題といたしましては、いろいろ問題が出ることもこれは御指摘の通りであります。従いまして、パイプ・ハウスにつきましては、当初一年間無償貸与をするということでございましたが、事情によりまして、それをさらに一年間延ばすという措置を講じました。さらにその後にパイプ・ハウスを事業主が使いたいという希望のときは、払い下げの制度も認めたわけであります。払い下げの場合には、事業主に対して住宅奨励金を支給することになっておりますので、市価から申しますると、非常に安い価格で払い下げが可能になるわけでございます。そういうようなことで、パイプ・ハウスをそのまま使いたいという御希望の中小企業に対しましては、今申しましたような措置で、市価よりも非常に安い値段で払い下げられるというような制度も考えております。  それから鉄筋のアパートでございますが、これは御承知のように、この間名古屋地区の四棟が完成いたしました。さらにあと四棟分は、十一月二十日ごろまでに完成する予定になっております。これから離職者の方が入るわけでございますが、やはり最初の考え方で一年間というふうに期限を切っておりますが、事情によりまして相当期間の延長は認める考えでございます。それからそのあとにおきまして、一年なり一年数カ月の後に、住んでおられる方がよそに移られるということを確保いたしますために、建設省とただいま十分に協議しておりまして、公営住宅、それから産労住宅のワクをその地区に確保するという措置を講じておるところでございます。今のような考え方によりまして、離職者の方が就職されました後におけるところの住宅の確保につきましては、遺憾なきを期したいと考えておりますが、またこれを進めてみまして、そのときの事情によりましては、期間の問題等につきましても、さらにまた検討はいたしたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 工業地帯というものは、炭鉱労働者だけではなくて、住宅が非常に不足しておるのですから、一般の行政にあとはお願いするといってもむずかしいのじゃないか。できれば、雇用促進事業団のアパートに一年いて、あとは公営住宅に入れば一番いい。それがうまくいかないのですよ。今までおる住民が何度苦情を言っても入るのがむずかしいというときに、炭鉱労働者だからといって、市、県の公営住宅、あるいは住宅公団の住宅に入るのは、事実問題としてむずかしいのではないか。それから一方中小企業の労働者の場合は、今までおる工員にも住宅がないのに、炭鉱から来たからといって、新人が大きな顔をして、そして先に住宅に入るのはけしからぬじゃないかという問題があるわけです。卒直に言って、企業の経営としては、炭鉱離職者だけ先にやるというととはなかなかむずかしいだろう。そこでどうしても、ごめんどうではあるけれども、雇用促進事業団か何かが見なければいかぬようになっておる。いやしくも連れてきた以上は、また雇用の移動をさせようとするならば、別ワクでやる以外にないと思う。聞くところによれば、住宅の建設はもう予定されていない、こういうように聞いておるのですが、そうですが。三十五年度の予算でアパートを作ったのですよ。三十六年度は一つも予算をつけなかったでしょう。

堀秀夫労働事務官(職業安定局長)

○堀政府委員 雇用促進事業団法の中に、ただいま先生の御指摘のような点も考えまして、雇用促進事業団の住宅計画を作成する際には、労働大臣は建設大臣と協議するということになっております。それから次に、建設大臣は、雇用促進事業団の宿舎に入った者がさらに移動する際の住宅の確保について努力するということを、特に入れたわけでございます。われわれといたしましては、この条文に基づきまして、建設省も今のところこれでやりますという考えでおりまするので、大いに協議してやっていきたいと思います。しかしその際におきまして、またやってみました上で問題ができますれば、必要な措置を考えて参りたいと思っております。  それからもう一つ、この住宅建設が本年度で取りやめになったのじゃないかという御指摘でございまするが、これは実は事情がございまして、こういうことでございます。炭鉱離職者援護会の当時に、その予算の流用によりまして、十二棟の離職者アパートを作るということになりまして、その分が現在完成しつつあるわけでございます。本年度にお事ましては、雇用促進事業の一般会計におきまして、二十五棟の鉄筋アパートを建設することになっておりまして、すでに主要な需要地におきまして、敷地等も確保いたしまして、目下着工しつつあるわけでございます。そこで、これは大体本年度末までにさらに二十五棟が完成いたします。それから来年度におきましても、同じく雇用促進事業団の一般会計で、さらにワクを広げまして鉄筋のアパートの建設を行なう。それからパイプ・ハウスその他もやる。特に住宅奨励金につきまして、先ほど先生も、一般の労務者との関連もあって、事実問題として中小企業ではなかなか建てられないというおそれがあるということを御指摘になりました。その点も確かにごもっともでございまするが、この炭鉱離職者の援護についての雇用促進事業団の特別の資金から、こういう金を交付を受けられるんだということがだんだん認識されてきまして、最近におきましては、雇用促進事業団に対する住宅確保奨励金の申請が殺到しておる状況でございます。従いまして、来年度におきましては、さらにこの住宅確保奨励金のワクは大幅にふやしたいと思っております。この三つの柱を並行して行なうことによりまして、住宅対策に遺憾のないように進めていくと同時に、またその立ちのきの時期等になりまして、私どもがただいま申しましたようなことにいかない場合には、また時宜に応じた適切な措置を、会社側とも相談をして考えて参りたい所存でございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 大体一年の入居期間ですから、今から家を建てておかないと、次のうちは間に合わないですよ。だからその際相談するといわれましても、現実の問題としてなかなか困難であるし、またあなたの方は、いやそういうことはありません、ただそれは雇用主から一書をとっております、こう言えばそうなんですが、一書をとる前に——労働者はそういった雇用主が一書を入れなければはいれないのですから、同じことなんですよ。ですから私は、問題はやはりワク、条件もですがワクが——これは少なくとも何らかの財源の処置をするということになりますと、この住宅問題というのは、労働政策、雇用政策の基本的な問題の一つとして、ぜひ一つワクを拡大してもらいたい、これを大臣にお願いする次第です。  次に、職業訓練の問題について、なるほど実績はかなり上がっておるようですけれども、血が通っていないのです。少なくとも血が通っていないということを指摘したい。なぜかというと、教材費が実に少ないのです。溶接工がやる間着棒だって、一日四本くらいしかないのです。ですから、あまり仕事ができないようになっている。ところが訓練所へ入る中周年層の人というのは、非常な意欲を持っているのです。ですから、私は、教材費さえ多く費やすならば、満足とまではいきませんけれども、今よりもずっと進んだ訓練ができるのではないか、こういうように思います。今一例を申し上げますと、炭鉱離職者援護会当時からやっておりました職業講習会というのがある。これはガス溶接も電気溶接もやっておるのですが、大体そこでは、電気溶接の場合は、その後は工場に委託をするわけですが、わずか一カ月で六カ月分以上の仕事を習っていくというわけなんです。それはどういうことかと聞いてみましたら、教材費を職業訓練所で行なう一年半分を使うというのです。そうすると、一カ月ですけれども、それだけの教材費を使うということになると、本人も朝早くから出てきて夜おそくまで勤めておる。そうして早く安定した職場につきたいものですから、そういう努力をするわけです。そこで結局六カ月おった者も一カ月で講習を終えた者も、同じ賃金で雇われておるという例は非常に多いですね。さらにまた、この募集をする場合には、最初から工場に行って、あなたの工場はどういう職種の人間がどれくらい足りませんかという話をしてくるのです。そうすると、おれのところは溶接工がこのくらい足らぬ、おれのところはどういう職種がこのくらい足らぬ、こう言われますと、じゃ、私の方で養成しましょうといって、そうして養成を始めるから、初めから大体就職がきまってくるわけですね。そうすると、本人の意欲もまた違うわけです、現実職業訓練所においては、もう卒業するまぎわになって、みな非常にあせっておる、こういう状態であります。ですから、大臣は予算さえ作ればいい、あとは大臣じゃなくて役所の方の仕事じゃないかと思うのです。それだけの熱意を入れるならば、私はかなりできるんじゃないかと思う。ですから、普通の新制中学を出た者を訓練するような考え方を一擲して、やはり妻子を持った中高年の人々が職を見つけようとしてやっていくのですから、それに適応した処置があるんじゃないか、こういうように考えるのですが、どういうようにお考えですか。

堀秀夫労働事務官(職業安定局長)

○堀政府委員 先生御指摘の点、まことにごもっともでございます。職業訓練は、先ほど申し上げましたように、総合訓練所及び一般訓練所に専門施設を置きまして実施しておりまするが、そのほかに雇用促進事業団における新しい試みといたしまして職業講習というものを始めました。この職業講習の成績は非常によろしいわけでございます。これは御指摘のような面が多分にあったと思うのでございます。この雇用促進事業団の行ないます職業講習につきましては、ただいままでの成果にかんがみまして、来年度におきましては、さらに大幅に内容、規模を拡充するようにわれわれは努力したい考えでございます。  それから職業訓練の方につきましても、御指摘のような点は率直に申しましてあるわけでございまして、従いまして、この転職訓練につきまして、その内容の充実をはかることは非常に必要なことであろうと思われます。しかも炭鉱離職者のような中高年層の方が多く転職訓練を受けられるのでございまするから、一般の若年層に対する職業訓練とまたおのずから異なった独特の内容があってしかるべきものであろうと考えまして、実は労働省に、労、使、公益三者構成の職業訓練審議会というものがありますけれども、この職業訓練審議会に先日労働大臣から諮問をいたしまして、特に中高年者向けの転職訓練の適当な実施方法につきまして、諮問をしておりましたが、最近この答申も出て参りまして、その中には、ただいま先生御指摘のような面も入っておるわけでございます。私どもといたしましては、ただいま先生が御指摘になりましたような点を含めまして、ほんとうに炭鉱離職者の方が適切な訓練を受け、就職しやすいようにするため、その内容につきましてはさらに改善をはかって参りたい考えでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 それに関連いたしまして、女子の離職者というのがあるわけです。三池でも非常に問題になったわけです。職業訓練所に女子の離職者が行っても、訓練科目がないわけです。そこで、これは職業講習でもいいのですが、やはり何らかの手当の方法があるのではないか。女子だからどうもうまくいかないというので投げやりにするのではなく、政治を行なう者として、私はほっておくわけにはいかない問題ではないかと思う。これを一体どういうようにお考えであるか、お聞かせ願いたい。  同時に、大臣にも先般話をしたのですが、炭鉱地帯というのは婦人労働力がものすごく余っているのです。これは婦人の職場がないからです。かつてよく言われました選炭夫というのは、婦人であったわけです。今はああいうように手で選炭しておりませんから、婦人は全然いない。今、石炭が足りませんから、低品位炭の水洗いという、水選炭というところに婦人が少しおる程度です。あとは適当な職場はないのです。そこで、婦人労働力を使うような職場を見つけるべきではないかと考えるわけです。それがためには、中年の婦人ということになりますと、縫製工場というようなものが一応頭に浮かぶわけです。そこで、官公需の依頼というのがかなりあるわけです。鉄道、逓信あるいは防衛庁もそうですけれども、九州のような炭鉱地帯には一つの工場もないのです。しかも婦人労働力が余っておる。それから、炭鉱離職者がその地域で就職しましても、従来のような賃金をもらえないということになると一世帯としての収入を上げる以外にはない。そこで、こういったことが考えられないかどうか。あのアメリカのような自由主義の国でも、失策多発地帯に対しては、アメリカの国防省では同じ値段であれば必ずその地域に発注するというように官公需の注文によって労働力を吸収するということを考えているのです。こういうことが考えられないかどうか、これをお聞かせ願いたい。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 まことにごもっともなお話でございまして、従来からやっております職業訓練や職業講習の中に女子向けのものを考えていくということ、これも当然やらなければならないと考えております。しかし婦人の場合ですと、男のように家を離れてよそに行くというわけにもなかなかいかないというような事情の人等もありましょうから、家庭婦人を対象とするような場合においては、そういう婦人労働力がある程度まとまっているようなところに、適当な作業場を考えるというような顧慮も必要であろうと思います。また御指摘のように、官公需のもの等について特別の考え方も示唆されたのでありますが、これらも理屈でなく、さっそく現実的にあっちこっち交渉してみたいと思います。いろいろ承りましたことを参考にいたしまして、具体的の施策を進めてみたいと私は思っております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 次は、先般朝日新聞でも、スクープしたのかどうか知りませんが、次官会議に出す案を掲載しておりました。政府も考えられておると思いますけれども、常に問題になっております訓練手当の増額の問題、さらに失業保険との併給の問題、それから教材費その他の問題、こういう点をどういうふうにお考えになるかお聞かせ願いたい。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 ある新聞にそうしたことが出ておりましたのを、私もあとで気がついたのであります。あれは一応の考えで、まだ政府で最終決定を見ているというものではございませんが、ああした考えの推進を私どもは考えております。先ほど申し上げましたように、あの段階と今日とでは、さらにまた若干緊迫度が違うような認識にも私は立っております。新聞に出た通りでありますとか、あるいは違いますとかいうことはこの際申し上げませんが、そうしたことについて一段の努力をいたしたいという私の立場からの考えを御理解いただきたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 あの新聞に出ておりますのも、われわれはえらいみみっちい案を作ったものだ、こういうように思って、部分的にはもっともな点もありますけれども、もう少し飛躍した案をお願いしたい、こういうふうに思うわけです。大臣もそういうことでありますからあえて聞きませんが、その一つの問題として、新たに就職した場合の前収補償の問題のほかに、先般雇用審議会の方で、第三の点に失業手当ということを答申している。この失業手当という問題について、どういうように検討を進められておるか。私はまたドイツのお話をして恐縮でありますけれども、御存じのように、一九五九年の十月十四日の閣議決定の中に、就職待機手当とでもいいますか、そういうものが入っている。それはどういう考え方かといいますと、失業中、失業保険——ドイツの場合は失業保険がないものは失業手当というのを別に出しておりますから、これは私が今言う答申の失業手当とは性格を異にするわけでありますけれども、その失業手当の給付及び若干の副収入の合計額と、離職前の手取り収入から次の率の金額を差っ引いた額の差額を補償する。そうして離職後四カ月または職業訓練中は一〇%引くというのですから、これは要するに前収賃金の九〇%を補償するということです。それから次の四カ月は八〇%補償する、以後は七〇%を補償する、こういう規定になっているわけです。この点を私は雇用審議会は答申になったのではないかと思うのですが、これについてどういうようにお考えであるか、お聞かせ願いたい。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 御質問の問題は、おおむね労働省に関係する問題でありますが、生活保護との関連においての問題もございまして、今せっかく検討中であり、ことに職業安定審議会にこうしたことの諮問をいたしております。この審議会は申すまでもなく三者構成になっておりまして、ここでも御検討いただいておるのでございますが、これはさようなことでただいま検討いたしておりますという程度のお答えしかできない次第でございます。

堀秀夫労働事務官(職業安定局長)

○堀政府委員 ただいま大臣の答弁の通りでございますが、これは結局現行の失業保険制度の改正をどのように考えるか、それから生活保護との関係をどうするかというような、社会保障あるいは社会保険との調整等もいろいろ必要になってくるわけでございます。従って、雇用審議会におきまして答申されるときにも、いろいろ御議論があったところでございます。私どもは、とりあえず、ただいま労働省に設置されております職業安定審議会等にも意見をお聞きしておる段階でございます。また、この問題は、先ほどから問題になっております石炭離職者の雇用奨励のための新しい措置が、どのように進むかという問題とも関連してくるわけでございます。それらの点を考えまして、ただいまわれわれといたしましては鋭意検討中でございます。ただ、先ほど申し上げましたような他の制度との関連等もありまして、なかなか困難な点をはらむ問題である。従いまして、十分慎重な検討をいたさなければならないのではないかと私は思っておるわけであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 これは、雇用審議会が答申をしたのでしょう。雇用審議会が検討しておるのではないわけですね。

堀秀夫労働事務官(職業安定局長)

○堀政府委員 雇用審議会では、この答申をされますときに、このような失業手当もしくは待機手当というべきものを政府は実施すべきであるという答申をしたいという御意見も、一部の委員からはあったわけであります。しかし、それに対しまして、私がただいま申し上げましたような観点からの慎重論もありました。従いまして、雇用審議会の答申は、御承知のように、政府はこの問題について検討に着手することということが答申になっております。従いまして、私どもといたしましては、その答申を受けまして検討に着手しておる。その検討につきましては、労働省といたしましては、職業安定審議会に御諮問を申し上げて、意見を伺いつつ検討しておる、こういうことになっておるわけであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 これらの問題も、この機をのがしてはと言うと失礼かもしれませんが、できないと思うんです。ですから、大臣が飛躍的に考えたいと思うとおっしゃるのですから、一つぜひこれも検討していただきたい。これらの諸施策は、私はきわめて緊急を要すると思うのです。ですから、次の通常国会で予算を組んで、来年度から実施ということでは、私は間に合わないと思うのです。やはり年度内実施というのが必要ではないかと思う。少なくとも労働問題に関しては、年度内実施が必要ではないかと思う。離職者対策あるいは雇用安定の問題については、大臣はどういうようにお考えであるか、お聞かせ願いたい。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 政府部内といたしましては、最終結論にまではいっておりませんが、いろいろ意見があるということをまず申し上げます。でございますが、私といたしましては、いろいろお話に出ましたもの全部が全部とは申し上げかねますが、緊急を要するものについては、お説のようにさっそく措置をいたしますし、新年度を待たずにいろいろの成果を上げるようにいたしたいと強く熱望いたしております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 最後に、私は、最近のような炭鉱の労働条件でありますと、炭鉱自体が自壊作用を起こすんじゃないかということを憂えるわけです。とても合理化なんかできっこなくて、炭鉱自体全部つぶれていくんじゃないか。それは人的な面において言い得るんじゃないか。かなり率直な言葉で言えば、今まで労働強化あるいは労働時間の延長が行なわれて、とにかく十三トンから二十一トンくらいまできましたが、ごく最近は能率が落ちておるんですね。その落ちているということは何を意味するかというと、これは炭鉱に勤めておる労働者の心理的な動揺、それから若い労働者がいなくなってきているということ、それから技術を持った労働者がどんどん他に行っている、こういう事実から、そういうような状態になっているのではないかと私は思うのです。たとえば二千名ぐらいの炭鉱で、百名ぐらいがどこかに就職したいというので移動をすると、少なくとも五百名程度の人間はどうも落ちつかぬ、そうして職を見つけて歩くわけです。そして炭鉱の中に、御存じのようにどんどんあき家が出てきますと、残っていることで、みんな向こうに行ってしまって一人だけ取り残されて、あとどうなるのだろうかという不安にかられる。単にバスに乗りおくれたという比ではないのですよ。子供でも、うちはどこへ就職するのかと言うのです。炭鉱の経営者はまだ継続したいのに、労働者の方がこれは大へんだという状態です。ですから、最近、御存じのように、中高年令層の方ばかり炭鉱に残ってしまって、若い労働者がどんどんいなくなる。しかも、ここ五、六年はほとんど新規採用をやっておりませんから、二十才前後の者はいないのです。若いといっても三十過ぎている。その連中もどんどん出ると、残った者はまた労働強化になるのですよ。同じ職場で若い者もおり、中年もおり、高年もおってグループで仕事をしているので、若い者だけどんどん出て行きますと、年寄りにはとても荷が重くなって、労働面で行き詰まるという状態になる。これは、何とかしてこの不安を一掃しなければならないのではないか、こういうように考えるわけです。そこで、一体これに対する対策をどういうようにお考えであるか、お聞かせ願いたい。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 問題がきわめて具体的になりますので、事業場々々々、場所場所によってなかなかむずかしかろうと思うのでございますが、多賀谷さんと同じように、そうした事態を私も深く憂えます。従って、御説のような趣旨によって、われわれの出先官庁の職員等に、せいぜい指導よろしきを得るようにいたさせたいと存じます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 これは、まず第一に、エネルギーの根本方針をきめなければならぬということですね。今のように斜陽々々とみなが言っている状態では、みな出ていきます。これが一つでしょう。そのとき、やはり最低賃金をもうけて歯どめをしてやる必要があるのではないか、こういうように思うわけです。ある炭鉱が賃金値下げをやりますと、これは自由競争ですから、ほかの炭鉱だって全部やるわけです。そうして一巡する。そうしてまた、次に賃金値下げが起こる、こういう状態になる。ですから、それについては諮問をされるということですが、一体いつごろまでに答申を受けて、どういうふうにされるつもりであるか、お聞かせ願いたい。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 先ほどは、問題がきわめて具体的でございましたので、行政面の末端についての表現をいたしたのでございますが、政府全体といたしますと、まさしく御指摘のようなエネルギー総合対策の確立ということ、さらに、石炭産業における最低賃金をどうするかということ、これは労働省として深く関心を持つところでございまして、先般関係閣僚の協議の結果、いろいろ対策があるが、なかんずくこれは急ごうというものを三つ、四つすぐに処置をいたしまして、それぞれの手配をしたのでありますが、その中の一つに、石炭産業における最低賃金ということも取り上げまして、すでに中央最低賃金審議会の方に、この点につきましては連絡をいたしました。労働者側の方でも、この審議会に対して、これの検討について申し入れをしておったのでございますが、事態の緊急なるにかんがみまして、できるだけすみやかに御検討願いたい、こういうように考えておりますが、二十五日にその審議会が開かれる運びになっておりまして、自後どういうように進めるかということについても御協議を願うと思うのであります。政府といたしましては、いつまでにというようなことも申しかねるのでありますが、できるだけすみやかに検討願うように極力処置をいたしたい、こう考えております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 炭鉱の労働者への政策を行なう場合に——大体今の炭鉱というものはどういう状態にあるかということを、私はちょっと説明してみたいと思うのです。大体三段階あるわけです。一番悪い炭鉱は、会社が継続をするといっても、もういやです、ですから一つ退職金を見せて下さい、退職金さえ現金で見せるならいつでもわれわれはやめる、こういった例がある。私は名前は言いませんが、現実にそういうのが行なわれておる。会社は継続したいというのに、労働者はぜひやめたいから退職金をくれ。その次の層は、安定した職場がありさえすれば、どこかに行きたいという層です。それからその上のいい層は、どんなに会社が首を切ろうと、おれはこの炭鉱におるのだという層、この三つあるのです。だから、一体政府は、どこを中心として政策を立てたらいいのか。これはわれわれもなかなか困るし、政府も困るだろうと思う。まさに、政府の政策は八方破れの政策ですよ。これがいけなければこれだ、これもこれも全部要るのだ、あるいは筋は通らないかもしれませんけれども、そういう政策にならざるを得ない。今、石炭合理化臨時措置法で退職金の保証基金制度が作られようとしておる。退職金を払う場合に金がないだろうから、その基金を政府が保証してやろうというので、三億円計上されておるわけです。一体、これを一つ考えましても、この法案は炭鉱のためになるのかどうかわからないのです。そういう制度があるならば、お前金を借りてくればいいじゃないか、おれはやめるぞ、こういって若い労働力がどんどん出ていきます。職のある者はどんどん出ていきますよ。今、変な話だけれども、退職金を分割して払っておるから、労働者が、いずれ退職金をまるまるくれるとき退職しようという技術屋や若い者があるのです。こういう状態なんです。ですから、こういう法律が炭鉱を救うのかつぶすのか、はっきりしない、こういう状態なんです。一面には、非常に大きな炭鉱で、とにかく金融がつかないから、首を切るにはこの制度がいいという炭鉱も確かにありましょう。しかし、全部そういう状態にあるかというと、必ずしもそうでないのです。ですから、その政策を行なう場合に、実に私はむずかしいだろうと思う。そこで、この産業の安定ということをどうしても考えないと、今のままでいきますと、私は大へんな状態になると思う。たとえば賃金の値下げをしますと、退職金というのが、炭鉱では健康保険の等級に比例をして金額がきまるのです。そうすると、賃金が下がると、健康保険の等級が下がる。等級が下がると、退職金のトータルが下がるのです。ですから、賃金がダウンされますと、賃金ダウンでいやがるのじゃなくて、賃金ダウンをされると、早くやめておかなければ退職金が少ないというのでやめるのです。賃金ダウンが行なわれてすぐ保険等級は下がりませんから、その保険等級の切りかえまでに、ものすごくやめていくのです。こういう状態です。やめる者は炭鉱にほしい中堅の労働者、残る者は炭鉱の労働力としてはあまりかんばしくない者が残る、こういうことになる。少なくとも賃金値下げという問題が、一応日炭高松炭鉱でちょっと休止しておる。ですから、政府としては、最低賃金審議会に最低賃金の問題で諮問をされるならば、指導としては、当分賃金値下げはしない、すべきでないというような方針を出されるのが至当であると思うのですが、どうですか。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 いろいろ詳細なお話を伺って、私も大へん参考になったことを感謝申し上げます。賃金は、確かに気の毒な事態ではありますが、政府が、最低賃金制等の実施に立ってない現段階において、石炭産業についてのみ、もう下げるなと言うわけにはちょっと参らないのでありまして、経営者と労働者が話し合って、しかるべきところへという——一般産業については、現段階においては、やはりこの程度よりしょうがないと思います。石炭だけは別なんだから、どれ以上下げてはいかぬと言うわけにも参らぬと思いますが、今多賀谷さんの言われるようなことにならぬように、いろいろな施策が総合されて、何とか安定するように持っていく、こういうことになりはしないかと思うのであります。しかし、御指摘のような事態につきましては、私もともに憂うるものでございます。

松井政吉日本社会党

○松井(政)委員 関連ですから簡潔にお伺いしますが、むしろ私は、お伺いするより激励をしておきたい。  いろいろ質疑応答をお伺いしまして、具体的な問題ですから、きまらないものについては、確答ができないのは私はよく理解しておりますけれども、やはりちょっと労働大臣としての気魄がほしい。私は昨晩、石炭問題に対する佐藤通産大臣の出ておられるテレビの座談会を見たわけです。ところで、佐藤通産大臣が大蔵大臣だったときに、御承知のように池田さんが通産大臣で、池田さんの出してきた予算を半分に削った。その罪滅ぼしだから、今度は石炭は本格的にやる、こう言っておるのです。ところが、福永労働大臣は初仕事なんです。罪滅ぼしではないのですが、そういう気魄でやってほしい。通産大臣の昨晩の話を聞いておりますと、要するに、エネルギー全体から見た石炭を大事にしなければならないという問題の恒久対策、と臨時国会中に煮詰めなければならない緊急対策と二つある。何といっても、当面必要なのは、今多賀谷さんの質疑応答の中で明らかにされましたように、斜陽産業だ、炭鉱はだめなんだという、いろいろな世論あるいはうわさの結果、堅実なる労務者も確保することができ得ない状態がだんだん起きておるということ、従って、今臨時国会中にはっきりさしておかなければならないのは、石炭産業は斜陽産業ではなくて、安定産業なんだということを印象づけることが一つだ、こう言っておる。そのためには、雇用の安定だと言っておるのです。もう一つは、離職した者が社会問題、人道問題を起こさないような離職対策を講ずることだと言っているのですよ。通産大臣が緊急対策としてはこれだと言っているのに、主管の労働大臣はちょっとたよりない。だから、臨時国会中には、確定してないものばかりでこれからきめるのだけれども、とにかく臨時国会の今会期中には直ちにやるのだ、恒久的な労務対策等は、石炭の雇用対策と並行して考えていくというくらいの気魄を持ってもらわぬと、たよりなくて心配でしょうがない。遠慮は要らないのです。あなたもからだは大きいのだし、議運の経験も、僕ら初め十年も経験しているのだし、相当大きい声を出すこともあるのだから、一つ力一ぱいその決意のほどを聞かしておいていただきたい。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 御激励いただいて大へん恐縮に存じます。今あげられたような、石炭産業を安定させるとか、雇用対策を確立させるとかいうような言葉で大きな声を出すのなら、私もあえて他の大臣に声の大きさにおいては負けないつもりでおります。ただ今まで御質問いただいた点は、非常に具体的でございます。従って、最終結論に到達していないものについては、確定的なお答えができなかったところが幾つかあるということを御理解いただきたいと存じます。そもそも私が就任いたしましたときに、従来の労働行政というものはしりぬぐい行政に追われていた感がある、これは私ははなはだ不本意である。むしろ、たとえば失業なら失業ということについて申しまするならば、失業が当然出るのでそれに対する対策というようなことでなくて、失業の出ないような諸施策が進められなければならぬ。これはほんの一例でありますが、いろいろの労働行政の面全体にわたってこれから積極行政でやりたい、こういうことも申しておるわけでございます。従って、気魄ということでございましょうが、むしろ私の性格といたしましては、激励いただくと気魄があり過ぎることになる傾向もある人物でございますので、今自粛自戒しながらやっておる程度でございますが、そういうような御激励をいただくということになりますれば、私もさらに一そう心を新たにいたしまして今後に処したいと存じます。何とぞ今後ともよろしくお願いいたします。

松井政吉日本社会党

○松井(政)委員 もう一点お伺いしておきたいと思いますが、多賀谷さんがただいま指摘をいたしましたように、佐藤通産大臣は昨晩全国民の前に考え方を明らかにしてしまっているのですから、労働大臣は遠慮はないと思うのですが、要するに今研究中だから通常国会までには何とかしますということになりますと、かりに通常国会で考えておる裏づけをいたしましても、予算は五月です。これでは緊急の役には立ちませんよ。それだからそろそろ恒久対策と当面の問題と、佐藤通産大臣も全国民に向かってテレビ放送をやっておるわけですが、私はきょうは大臣もいないからお聞きもいたしませんし、申し上げませんけれども、そういう緊急やむを得ざる問題は年度内に解決をしなければならない。それで石炭の問題につきましては、いろいろムードが沸いて参りました。政府も真剣に取り組み、経営者も炭鉱はだめになる、労働組合も従来の言い分から下がって、とにかく雇用の安定をやらなければならぬし、離職者を救わなければならぬというムードに持ってきた。こういうことで、国内全体のムードが出てきたのですよ。しかしムードでは問題は解決つかないのですよ。そのムードの中から、緊急のものと恒久的のものと仕分けをして、この裏づけとしての予算措置から、立法措置から、行政措置が加わらないと、ムードの解決はできないのですよ。だから、そろそろ労働大臣の方も、労働省で研究をやるについては、仕分けをして今国会中に明らかにする。恒久的なものについては、それぞれの機関において検討をする。それから通産省所管の問題と話し合いを進める。そろそろ仕分けに入って、はっきりしなければならぬ時期にきたと思うのだが、それをきょうあすやれと私は申し上げません。無理なことは申し上げませんけれども、そういう時期に入ったから、そういう作業についての決意と、促進をしてほしいということを希望までに申し上げますから、これに対す御意見があったらお伺いしておきたい。これで終わります。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 もとより恒久対策と緊急対策いずれも必要であり、どういうものがどちらに属するかということ等について、急ぎ推進をはからなければならぬのは当然でございます。事務的な何が必ずしもそのまま伝わっているわけではありませんが、幾分松井先生のお感じになるようなことが伝わっているかと思うのでありますが、実は関係閣僚の話し合いのところにおきましては、私も今の松井先生の声に劣らぬような声で御趣旨のようなことを主張いたしておるのでございます。従って、事務的にも責任者たる私のこの気持が反映して今後進行するものと考えており、なお、そういうただいまの御注意もございましたので、さらに念を入れて私の方でも善処いたしたい、こういうように考えております。

有田喜一自由民主党

○有田委員長 それでは、本会議散会後まで休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかっ   た〕      ————◇—————

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