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39回国会衆議院1961/10/12

石炭対策特別委員会 第4号

発言数
50
登壇者
7
会派数
2
開催日
1961/10/12

会議録

有田喜一自由民主党

○有田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出の石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案、臨時石炭鉱忠復旧法の一部を改正する法律案、産炭地域振興臨時措置法案、石炭鉱山保安臨時措置法案及び勝間田清一君外二名提出の石炭鉱業安定法案を一括議題とし、審査を進めます。  質疑の通告があります。順次これを許します。岡田利春君。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 前会の石炭対策特別委員会で通産大臣から、これからのわが国のエネルギーの政策に関する所信の表町が行なわれたわけです。この中で大臣は、これからのエネルギーに対する考え方として、当然エネルギーの流体化の傾向が漸次濃くなっていく、従って、消費者によるエネルギーの自由選択を基調としながらも、長期にわたるエネルギーの安定供給問題、あるいはまた、外貨負担の軽減による国際収支の面における効果の問題、加えて、今日国内エネルギー産業の雇用吸収率が非常に高いので、雇用の安定という社会的側面も十分考慮をしてこれからその対策を立てるべきである、こういう所信の表明があったわけです。私は、この所信の表明は満足のできるものではありませんけれども、従来の政府のとっている態度からすれば、一歩前進をしたという感じがあるという工合に受け取ったわけです。しかしまた、その後段に具体的な内容に入りますと、すこぶる大きな問題があると思うのですが、私はまずここで、総合エネルギーの問題の質問に入る前に、大臣の説明にもありますように、国際的にエネルギーは流体化の傾向にあり、消費者の自由選択という面が今日エネルギーの構造の変化をもたらしている、そのことは国際的な趨勢であるという点については私も同感であり、そのことを認めるものであります。しかしながら、そういう理由だけによって、日本の最大の国産エネルギーである石炭産業が今日のような社会問題になる危機が一体おとずれておるのであろうか、このように考えてみますと、決して私はそういう理由だけではないと思うわけです。私はやはり、歴史的にわが国の石炭産業をずっと見て参りますと、予算委員会で総理大臣は、日本の石炭産業の弱い面は、産炭地の関係が九州、北海道に偏在をしている、これは非常に弱い面である、こういう説明をしましたけれども、このことはもう明治の初年から固定されて一貫しておることであって、今さらそのことが弱いとか弱くないとかいうことを言うべき筋合のものではないと私は思うわけです。やはり今日の石炭危機を深めておるものは、何といっても、今までの炭鉱の経営者が、景気がよくなって需要が増大してくると、安易に人を雇い入れる、不景気になるとその人を解雇して、そのことによって生産の調整をはかる、あるいは、大手が鉱区の独占をはかっておりますから、その景気の調整の安全弁というのは、今日の多くの中小炭鉱をそのクッションにしている。しかも、そういう安い労働力が自由に得られるという立場から、生産の手段というものを近代化する努力を怠って、非常に古い生産機構というものを長い間ずっと固定化してきたという問題を、私は見のがすことはできないと思うわけです。しかもこれは戦前、戦中、戦後を通じて、この流れは一貫してあったという工合に私は理解をいたしておるわけです。ところが戦後では、労働運動が非常に活発になる、あるいはまた、労働基準法というものが作られて労働条件が規制をされてくる、しかしながら、このことによっても一向その傾向は改まらなかったという工合に私は理解をいたしておるわけです。昭和二十五年の不況の当時、四十六万の炭鉱労働者が十万人も解雇され、あるいはまた二十八年の不況のときには、さらに九万人の炭鉱労働者が解雇される、昭和三十三年にはすでに六万人の炭鉱労働者を解雇するということで合理化が行なわれている。このように考えてみます場合に、私は何といっても、エネルギー構造の変化そのものがわが国の石炭産業の危機を深めておるが、より以上にわが国の石炭産業が重大な社会問題としての危機を招いているのは、このような事実がこういう経過できたために、このような危機をより一そう深めておる、このように私は理解をするのですが、大臣の所見を承りたいと思います。

佐藤榮作自由民主党通商産業大臣・大蔵大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 今の石炭産業に対する考え方は、いろいろあると思います。しかし基本的には、何と申しましても、エネルギー源の革命のときにきている、大変革がきている、それが基本的な考え方だろうと思います。過去の国内の石炭業は、むしろ今日までは、エネルギー源としては非常に独占的な地位にあったと思います。そういう意味で経営者といわず、また労働者といわず、政府自身も石炭産業にたよるものが非常に大きかったと思います。ここに、石炭産業が当時の状況としては一応産業の基礎を作り、そして経常の衝に当たって参ったと思います。しかし、世界的情勢はどんどん変化してきた。そのエネルギー源の変革に対応する点が非常におくれておる、ここに尽きるのではないかと思います。もちろん総理が指摘するように、産炭地が北と南に偏している、消費地は中央である、こういうことは対策を立てる上に一そう困難さを増しておるということではあると思いますが、過去の独占的地位がゆらいだ今日、この基本的な考え方に当面しないと、石炭産業に対する今後の対策はなかなか立たないのではないか、かように私は考えます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 もちろん今大臣の言われた理由もありますけれども、しかし、このことは日本の国だけの問題ではないわけです。石炭資源というものがその国の独占的なエネルギー供給源であったということは、これはヨーロッパの諸国の場合にも脅えるし、むしろイギリス、西ドイツ、フランスの場合は日本以上に石炭のウエートが高いことは、大庫も十分理解されておる点だと思うわけです。そういたしますと、一般論で大臣は言われますけれども、では、わが国とヨーロッパ諸国の石炭の危機というものを比較した場合、その深さというものは一体同じかどうか、こう考える場合に、ヨーロッパの諸国より、わが国の石炭危機というものは非常に複雑であり、非常に深いという工合に私は理解せざるを得ないわけです。その違いは一体どこからきたかということは、私が先ほど申し述べた事由によって、よりその危機の深さがあるのだという工合に、私は比較的に物事を見ましてその理解せざるを得ないと思うのですが、この点についてはどうですか。

佐藤榮作自由民主党通商産業大臣・大蔵大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 ヨーロッパと日本との対比をしてみますと、ヨーロッパは近くに石油資源を持ち、この点では流体化に対して相当長い対策を立てて参ったと思います。また、産炭地と消費地が非常に近い、これが対策を立てる上でも容易であったのではないかと思います。たとえばフランスの南の方の産炭地は大体やめて、北の方の産炭地が助かっておる。ドイツ自身は産炭地と消費地が近接している。こういうことでありますし、また同時に石油資源、中近東初め黒海付近の油田あるいはまた米国等の油田との関係も、日本より以上に前から利用され、そういう意味でそれに対する対策は順次怠りなく行なわれてきたと思うのです。ところで日本の場合を考えてみますると、戦前あるいは戦中を通じて、石油自身は軍用物資といいますか、そういう意味においての石油の地位というものが確保されて、いわゆる動力源としては国内石炭にたよるのが非常に多かった。ことに戦中のことをお考えになり、あるいは戦後の産業開発当時の、石炭に依存した当時を考えてごらんになりますと、これはもう一にも二にも石炭ということで終始したと思います。しかし世の中はどんどん変わってきておる、これに対する対策がおくれておる、この事実だけは見のがすことができないのじゃないかと思います。この石炭と石油との関係では、たとえばカナダを例にとってみますと、比較的石炭にたよる期間が長かった、かように考えます。戦後において、石炭問題がカナダで大問題になった。米国自身におきましても、これは主として燃料あるいは粘結炭の部分でいろいろ問題が起きておると思います。これは日本とは別な形において、石炭対策が考究されてきておる。しかしアメリカ自身では、長い間石油と石炭との競合という問題に当面しておりますから、エネルギー革命に対する処置としては長い経験を持ってきておる。ところが、日本の場合はそうではない。逆なんです。これは戦後の増炭の諸計画をお考えになればすぐおわかりだと思いますが、一にも二にも石炭ということで力を注いできた。そうして最近は、石油が国際市場としての日本というものを相手にし、ここに石油市場を開拓しようと、国際石油資本が日本を目当てにしてどんどんやってきている。ここに深刻な競合関係を現出しておるということだと、私どもは考えております。いろいろな見方があろうと思いますが、大柱はそういう意味じゃないかと思います。それに対する対策が相当おくれているということが指摘されるのだろうと思います。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 もちろん、最近のエネルギー構造の変化に対して非常に対策がおくれた、あるいはまた、そういうエネルギーの趨勢を長期にわたって推定することが非常におそかったという大臣の答弁については、私もその通りだと思うわけです。しかし、これはごく最近のことでありまして、戦後昭和二十六、七年ないし二十八年当時まで、非常に石炭がエネルギー供給源としてのウエートを占めているヨーロッパ諸国の場合には、まだそれほど問題にはされていなかったと思うわけです。しかし西ドイツやイギリスあるいはフランスの今日の炭鉱の編成の規模、あるいはまた産炭構造というものを検討してみた場合、あるいは、炭鉱の設備近代化という面を比較した場合に、わが国の場合には非常におくれておるわけです。そのことは何かというと、結局、もうかった金はどんどんほかの産業に投資をする、炭鉱から吸い上げてほかの企業に全部金を投じていく、あるいはまた、そういう社外投資だけではなくして、今度は石炭の価格が下がっていくということになると、複雑な流通機構を通じて、独占価格を維持して利潤を確保するというようなやり方、あるいはまた、先ほどから申し上げているように、中小炭鉱をクッションにしたり、労働者の雇用の面だけで操作をして、設備の近代化というものを非常に怠ってきたということが、私はより今の日本の石炭危機を深めている大きな原因ではなかろうかと思う。これをもう少し、第一次戦争の終わったあとでヨーロッパ諸国のとったような政策をとって、炭鉱経営者も設備の近代化に大いに努力したならば、今日の石炭危機というものは、今のような深刻なものではなかったと思うわけです。ですから、基本になる点は大臣と見解を一にするのですが、そういう流れから見て、日本の石炭危機を深刻にしているのは、大臣の言われた、競合エネルギーに対する長期のエネルギー対策に対する見通しが非常におそかったという面もありますけれども、今申し上げた理由も当然より一そうそれを深刻にしているということになるのではなかろうか、このように私は先ほどからお聞きしておるわけです。

佐藤榮作自由民主党通商産業大臣・大蔵大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 基本的なエネルギー構造の変革、これは御指摘の通りだと思います。そこで問題は、自由経済のもとにおいてエネルギーにどの程度のものを必要とするか、やはり基本的な計画を持つことが絶対に必要だろうと思います。政府がおそまきながらエネルギー需給の長期計画を立て、そのもとにおいて産業の育成をはかると同時に、競合エネルギーとの関係を調整するという見地に立ったことは、そういう意味で納得がいくのではないかと思います。ただいま御指摘になりますように、いろいろの問題がございます。たとえば、景気のいいときにはどんどん掘った、景気が悪いときにはそれが急にしぼむ、しかも、あらゆる場合に労働者を犠牲にしている、必ずしもそういうことでもないのだろうと思いますが、やはり長期計画の見通しに立って経営の基礎を確立していないという点に欠陥がある、こういうことは指摘されるのじゃないかと思います。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 私の質問に対して、若干答弁が違うわけです。なぜこのように申し上げるかというと、私は実は炭鉱に止まれて、炭鉱に育ってきたわけです。しかも、戦争中炭鉱は技術職員として入って、北海道の今代表的な太平洋炭鉱あるいは三井三池の炭鉱で、現場の第一線の係を勤めてきたわけです。しかも、戦後もずっとわが国の石炭需要の要請にこたえて、その面で活躍をして参ったわけですが、戦争中の炭鉱の実態はどうであったか。採炭する労働者は、一定の石炭を出すまで抗内から上げない。極端な場合には、坑内で十八時間私どもは働いて参ったわけです。あるいは近代的な三井三池の炭鉱でも、現場で実働八時間、十時間以上の労働をあの戦争中行なっておったわけです。しかもこの二つの炭鉱は、機械化されているきわめて代表的な近代的炭鉱であるといわれておるわけです。そういう炭鉱においてすらも、戦中あるいは戦争直後においては、そういう実態であったわけです。一般的に今日のわが国の代表的な炭鉱をずっと検討してみても、ヨーロッパと比べて設備の近代化というものは非常におくれておる。  それともう一つ大事なことは、わが国の場合には、百万トン以上の規模の炭鉱というものは、今日わずか五つしかないわけです。ところが一年間一万トン未満の炭鉱は、おそらく二百四十くらいあると思います。しかも能率は、百万トン以上の炭鉱が非常に低い。これは大体一万トン未満の炭鉱と見合うわけです。概して能率の高いのは、大体三十万トンから五十万トンクラスの炭鉱。大きいからといって、必ずしも能率はよくない。そういう炭鉱の規模というものは、何を一体物語っておるか。この事実は、わが国の石炭政策というものが、非常に古い形に固定をされておったということを物語っておるという工合に、私は理解をするわけです。あるいはまた、日本の各炭鉱の坑内に入ってみても、いかに近代化がおくれたかということが非常に歴然としておるわけです。やはり、このことが今日の石炭危機を深めておるのだ、そういう認識に立たなければ、これから国会で、石炭対策特別委員会を設けて、わが国の総合エネルギー政策の中における石炭産業の位置づけをどうするかという問題を論争する場合に、非常に見解の相違が出てくるのではなかろうか、こういう点を私はまず心配をいたしまして、大臣と認識の面について意見の交換をいたしておるわけです。

佐藤榮作自由民主党通商産業大臣・大蔵大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 もちろん、御指摘のように、機械化なり近代化なりがおくれておる、これはもう確かでございます。これは一体どこから来ておるかということが、冒頭のような議論だろうと思います。特に採炭の指導が、ただいま岡田さん御自身が体験を語っておられるように、労務者の労働時間を長くする、あるいは労務者をつぎ込む、それだけで炭鉱の採掘量が上がる、こういうものじゃ実はないんですね。ここらに、労使ともに十分考えなければならないものがあったと思います。そういうものの改革がおくれたゆえん、それを先ほど来私は実は申し上げておるんです。非常な急場の間に合わせということで、機械化自身がおくれる、あるいは近代化がおくれる。そうすると、人手不足だというような形においてやられておる。ここに問題がある。また今大炭鉱と中小炭鉱の例をおとりになりましたが、最近もまたそういうような事態になっております。今日需給の関係から見れば、非常に需要は強い。そういう意味から、とにかく急場の間に合わして炭を掘っておる。この姿は過去の姿であり、十分の成算のないやり方だ、ここらに基本的な問題があるのです。政府自身、この数年来、近代化をはかるとかいう意味においていろいろ工夫をしている。それも今までおくれたものについての、その取り返しだと思います。ところが、近代化を進める場合においては、当然起こるところの経営者や労務者の失職なり、そういうものにまで思いをいたさないと、本来の近代化は進まないわけであります。これまた、なかなか総合的対策は立てておられない、こういうところに欠陥があるんじゃないか、実はかように思っておるわけでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 ただいまの大臣の答弁で、私の認識とまだ完全には一致しませんけれども、非常に接近したという工合に考えるわけです。従って私どもは、今日のこの社会問題化している石炭の問題を考える場合には、そういう認識の中から、すなおな今までの反省の上に立って、これからの日本の石炭政策というものを進めていかなければならないと思うわけです。そういたしますと、当然ヨーロッパの諸国に比べて、わが国の石炭産業に対する政策というものは、むしろヨーロッパの場合よりもテンポを早めて推し進めていかなければならないということが、第一点に考えられてくると思うわけです。  第二点としては、ヨーロッパよりも複雑な内容をより多く持っておるわけですから、きめのこまかい、しかも大胆な政策というものを進めないと、この問題は解決できないと思うわけです。さらにまた、そういうおくれておるわが国の石炭産業というものは、非常に雇用吸収率が高いわけですから、この労務者の対策についても当然積極的に進めていかなければならないという工合に考えるわけです。そういう認識については、いかがでしょうか。

佐藤榮作自由民主党通商産業大臣・大蔵大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 過去の一般の反省は、何と申しましても、量に重点が置かれた。先ほど来私が申し上げましたように、エネルギー源としての独占的地位というか、そういう意味から、量というものに非常に力が入っていた。しかし、これは当然量と質が同じように考えられなければならなかったものだと思います。質と申しますのは、カロリーの高いという意味ではなくして、いわゆるメリットの上がる方法を考えなければならない。これが近代化であり、あるいは労務の適正配置の問題であり、その観点に立つと、そのおくれを取り返すという点でも、これからの対策の方向がおのずからきまってくるだろうと思います。また、それだけに今、質の点で近代的産業としてのメリットのある石炭業をここに作り出す、こういうことを考え、おくれている、こういうことを考えれば、また一そうスピードも上げなければならない。これはもう御指摘の通りだと思います。同時にまた、日本の石炭難業の特殊性から見まして、まず第一に、九州炭あるいは北海道炭、この二つが代表的なものといわれますが、九州炭の方は相当古いものだ、若いものはやはり北海道炭だ、こういわれ、しかもそのいずれにも大手と中小の懸隔があるのだ、こういうことを考えて参りますと、やはりきめこまかな処置をとらなければならない。しかも総体としては、本来のエネルギー源確保という観点に立っての産業自身の基盤を強固にしていく、これが同時に、経営者といわず労務者に対しましても、安堵してその職場を得るということにもなるのだと思います。こういうことを考えますと、御指摘のように、スピードを上げ、同時にまた、きめこまかな対策をとるべきである、かように私も思います。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 それでこの際、大臣にわが国の炭鉱の実態についてちょっと述べて、見解を承りたいのですが、先ほど申し上げました通り、百万トン以上生産している炭鉱数は、昭和三十四年度でかずか五つの炭鉱であります。五十万トン以上百万トン未満は、十九の炭鉱であります。しかも一万トン未満の炭鉱は、全国で三百五十五あるわけです。それから一万トン以上三万トン未満の炭鉱数が、百五十四あるわけです。この二つ、年間一万トン以上三万トン以下と一万トン以下の炭鉱が、実に五百九あります。年間一万五千トン、平均にして月わずか千二、三百トンの比産よりしていない炭鉱が、実に五百九存存しているわけです。しかも、わが国の炭鉱の総数はどうかというと、昭和三十四年度で七百五十四あるわけですから、実に七割以上の炭鉱がこういう零細な炭鉱であるという認識を、われわれは持たなければならぬと思うわけです。今政府はスクラップ・アンド・ビルド方式で、こういう小さい非能率の炭鉱をつぶして、集中的に生産性を高めていくという方針をとっているにもかかわらず、零細炭鉱は依然として減らないわけです。それは、小さな炭鉱を買い上げても、また小さな炭鉱を許可する。特に最近の傾向として、租鉱認可が非常に多くなってきているわけです。面接鉱区を持っている者が石炭を採掘しないで、大手の者がほかの者に租鉱させる。中小炭鉱の経営者が自分で採掘しないで、ほかの人に租鉱させる。しかも最近の災害統計を見ますと、この秘鉱炭鉱というものはものすごく災害が増加している。租鉱炭鉱と租鉱以外とを比較した場合にはっきり数字が出ているように、最近憂慮すべき問題になってきているわけです。このことは、特に前国会でもきわめて大きな問題になったところです。この炭鉱の合理化を進めるのには相当大胆な、しかも積極的な政策を打ち出さない限り、日本の石炭産業の再編成というものは絶対になし遂げられないと思うわけです。一方、石炭の再編成をする場合に何が問題かというと、やはり労働者の問題、雇用の問題が一番大きく出て参る。一万トン以上三万トン未満に一万六千二百八十六人の実稼働の労働者が存在しているわけです。あるいは、一万トン以下の場合でも、八千四百二十五名の実稼働の労働者がいるわけです。そうすると、当然この雇用の面については、これまた思い切った施策を打ち出さなければ、この石炭の合理化というものはなかなか達成できないし、大胆にやれないし、しかも社会問題が常につきまとって、九州、北海道の産炭地域では、社会不安というものが絶えないということになると私は思うわけです。そこで、こういう点から考えて、大臣はいろいろあいさつの中で害われているわけでありますが、当面政府が考えている、あるいはまた今までやってきた合理化の基本方針というものを、今日といえども、従来の形を踏襲していくつもりなのか、それとも、この問題について大臣としては再検討して、これから長期に見通した総合エネルギー政策の中で、これらの政策を明らかにしていこうとする考え方なのか、この点についてお伺いしたいと思う。

佐藤榮作自由民主党通商産業大臣・大蔵大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 エネルギーの総供給量は、すでにお示しいたしましたように、三十八年度以降、石炭としては五千五百万トン、この基本数字をただいま堅持しておるわけであります。この五千五百万トン、千二百円下げ、これの長期引取計画、こういうようなものを立てまして、七割程度の確保によって石炭産業の維持を計画しておるわけでありまして、所得倍増計画を樹立いたしました際も、三十四年度は石炭換算にして一億三千万トン、四十五年度は二億八千万トン、五十五年度は四億五千万トン、こういうようになっておりますが、その間において、石炭はただいま申す五千五百万トン、千二百円下げ、こういうことでこれを維持していく、こういう基本的な考え方をいたしておるわけであります。最近におきましてこの点で、あるいは石油エネルギー源の方が確保しやすいというようなお話もございますが、政府はすでに決定し、業界にもお示しをし、この線に沿っての合理化計画を進めておりますので、この計画は今後も私ども堅持して参りたい、そして業界の進むべき道、また、安堵して経営に精を出される方向をお示しする、これは私どもも堅持して参る、こういう考え方でございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 従来とって参りました長期にわたる石炭の供給見通しとしては、五千五百万トンに固定をする、こういう考え方に立ってこれからの石炭対策を進めていく、こういう答弁でありますけれども、わが国で長期のエネルギー供給見通しというものが出されたのは、何といっても所得倍増計画、政府から出された公の資料としてはこれ以外にないと思うわけです。そこで私この所得倍増計画に基づくエネルギーの供給計画をずっと検討して参りますと、今大臣の言われましたように、目標年次においては石炭換算が一億八千三百万トン、さらに二十年後の昭和五十五年においては四億五千四百六十八万トン、こういう膨大なるエネルギー需要が見込まれておるわけです。そこで、この所得倍増計画のエネルギーの供給量を算出する方法についてはいろいろあろうかと思いますけれども、一応その問題は別にして、やはり日本のエネルギーのこれからの長期見通しは、何といっても大体ヨーロッパの傾向と同じような傾向を示すことは、何人といえども否定し得ないと私は思うわけです。しかしながら、ヨーロッパと日本の場合では、比較をした場合に一体どうなるかということを、われわれは検討してみなければならぬ時期であると考えます。いろいろ資料を集めて検討しました結果、OEECのこれからの国民出産に関する推定と、わが国の国民出産の将来に対する推定を比較をしてみたわけです。これは比較年次は、OEECの場合は一九五五年から十年刻み、日本の場合は一応昭和三十一年から三十三年の平均を基点にして、目標年次昭和四十五年、五十五年という、こういう見通しに立ってこの数字を比較してみました。そういたしますと、ヨーロッパ経済協力機構の方は、一九六五年には国民総生産が一三六という指数になるわけです。これは一九五五年を一〇〇にして、一三六という指数になります。さらに一九七五年には、一八三という指数になるわけです。日本の場合は、先ほど言いましたように、三十一年から三十三年を一〇〇といたしますと、所得倍増計画、経済審議会の結論から数字をはじき出して参りますと、昭和四十五年で二四一、平均伸び率が七%、一九七五年には、平均伸び率がこの十年間五%として三九二。ヨーロッパの場合と日本の場合と、開きが非常にあるわけです。日本の場合には急速に総生産が伸びている、ヨーロッパの場合には比較的緩慢に、平均年率三%くらいで伸びている、こういう推定が行なわれておるわけです。  さらに、これに対して、では、その一次エネルギーの総供給量はどういう傾向をたどるかということを見ますと、これまた同じ基準年度をとって比較をいたしますと、OEECの場合は、一九六五年は五五年に対して最低で一二五、上限で一三五という指数が出て参ります。一九七五年には最低が一五八、最高が一八三という数字が出て参るわけです。これを、日本の総需要量の指数をはじき出してみますと、三十四年を一〇〇として四十五年が二二、五十五年が三四〇という数字が出て参るわけです。さらに、これともう一つ比較をしたいのは、その場合、では一体、国内エネルギーの供給率はどうなるのか、そういう数字をずっと検討して参りますと、OEECの場合は一九五五年だと七八・九%でありました。これが一九六五年には六八・七%、一九七五年には六二%、ただし、この中には原子力発電が含まれております。大体これはいずれも一〇%ぐらいの原子力発狂が含まれておるわけです。この核燃料の供給の問題については、若干の疑問のあるところであります。ところが日本の場合にはどうかというと、昭和三十四年は六六・四%という数字が出て参ります。昭和四十五年の目標年次には四一・二%、昭和五十五年には二七・五%、国内エネルギーの供給率は、ヨーロッパのそれに比べて非常に急速に低下をして参るわけなのです。  このように長期にずっと見通して参りますと、今五千五百万トンと同定をするというのは、今の時点では一応想定はされるとしても、このように具体的に検討して参ります場合に、もちろんこれから重油の問題とか、水力発電の問題とか、いろいろ関連は持ってきますけれども、日本の石炭産業の生産というものを、五千五百万トンまでである、こう固定をして、それに見合う生産規模に固定をしてしまうことは、将来きわめて弾力性をなくすることに相なると私は思うのです。とのことは、非常に重大な問題でもあると思うのです。最近エネルギーの長期安定の問題が非常にやかましく言われておりますけれども、その問題は別にしても、わが国の最大のエネルギー供給源が固定化して、弾力性がないということは、私は非常に将来憂うべき問題だと思うのです。こういう点から見て、エネルギー総供給の中における国内エネルギーについては、まだまだ再検討しなければならぬ多くの問題があるように私は思うわけです。  これは特に大臣から考え方だけをお聞きしまして、こういう点について一体どういう確信を持ってエネルギー供給計画が定められたのか、あるいはまた、これは一応の目安であって、ロビンソン報告のような、大体これは間違いのないものであるという、きわめて固定化されたものとして理解する必要がないとするならば、またこれは論議をする場合に別な問題となりますので、そういう点は一つ企画庁でもけっこうですし、石炭局でもけっこうですから、そういう面について御見解を承りたいと思います。

佐藤榮作自由民主党通商産業大臣・大蔵大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 問題は、流体エネルギーをどういうようにあんばいしていくかということと、石炭自身の近代化を進めた場合に価格がどういうように変遷していくか、どういう問題とのかね合いの問題でございます。私どもただいまのところ、千二百円下げるという炭価のあり方を一応検討いたしておりますが、これすら実は非常に困難な状況に今日当面している。こういう点がさらに工夫され、改善されて参れば、また別な考え方が出るだろうと思います。しかし、日本の炭鉱の実態と申しますか、あるいは炭層、あるいは炭質、すべてのものを考えてみましたときに、どうも、エネルギーとしての価格その他比較したときに、多くを国内炭にたよるわけにいかないのではないか。こういう意味から申しまして、まず考えられるものとして、ただいま申し上げるような数字が一応出たと思います。ただいまもお話がありましたように、細部についてはなお企画庁の方から説明させますが、基本的な考え方はいろいろ工夫願っておるが、ただいまのところ将来についての見通しを十分立てかねておるということに尽きるかと思います。

大來佐武郎総理府事務官(経済企画庁総合計画局長)

○大來政府委員 昨年、所得倍増計画作成の際にエネルギー小委員会ができまして、いろいろと将来のエネルギー需給についての検討をいたして参りました。またそれに先だって、経済審議会の中にエネルギー部会を設けまして、主としてエネルギー価格の問題を検討したわけでございますが、純粋に競合エネルギーの価格ベースで考えて参りますと、石炭についてはかなり困難な姿が出て参る。現在の石炭生産を維持するということにも、かなり問題があったわけでございますが、しかし、できるだけ他の競合エネルギーとの競争力を強める、さらに、ある程度政策的にも石炭の使用を高めるというような考慮をもちまして、一応倍増計画のときには五千五百万トンということを目標に組んだわけでございます。もちろんこの倍増計画自体が、自由経済のもとにおける計画でございまして、かなり弾力的なものだと存じます。二、三年後の推移を見ながら、さらに将来の目標を検討していくというようなことになるのではないかと思うのでございますが、一応昨年検討いたしました段階では、今の五千五百万トンというのが、ある程度政策的な目標を加味して、大体妥当な目標であろうということになったわけでございます。

佐藤榮作自由民主党通商産業大臣・大蔵大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 なお、石炭局長から、欧州の出炭規模等を説明させたいと思います。

今井博通商産業事務官(石炭局長)

○今井(博)政府委員 ヨーロッパにおきまする西独、フランス、ベルギー、これら代表的な石炭生産国の出炭の規模がどういうふうに計画されておるかという点を申し上げますと、西独では現在の一億四千万トンの出炭規模が、一九六五年には一億二千五百万トン、若干出炭規模が減るという計画であります。フランスは五千六百万トンが五千三百から五千万トンくらいに縮小する。ベルギーは二千七百万トンが二千万トン、イギリスの場合でも大体そんなように出炭規模を減らしていくという傾向になっております。日本の場合におきましては、三十四年に合理化計画が策定されまして、そのときは五千万トンに達しておりませんでした。三十五年に五千二百万トン、三十六年は五千四百八十万トン、約五千五百万トンの近くまで参りまして、若干出炭規模を上げまして、それからその出炭規模を維持していく。そういう点におきましては、必ずしもこれを小さくするという考え方だけではございません。さらに、現在におきましては、五千五百万トンのほかに、一種の雑炭と称するものが相当数ございます。出炭規模として過去よりは少し上げていきたい、こういう形になっております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 石炭の詳しい論争はまた専門的にやることにしまして、大來さんから、この所得倍増計画に基づく計画の立案にあたっての大体の考え方を述べられたわけですが、当時企画庁では、石炭は将来三千万トンぐらいでけっこうだ、こういう話があったようにわれわれは仄聞を実はいたしておるわけです。多少政策的な意味を含めて考えておる、こう言われておりますけれども、しかし、今佐藤大臣が説明された外貨負担の軽減による国際収支の問題、あるいは雇用の安定という社会的な問題、あるいはまた、長期にわたる安定供給の問題ということになりますと、私はそこまで強く考慮が払われてこの計画が作られたという工合には理解できないわけです。多少はもちろん政策的な面が考慮されたと思いますけれども、大臣が所信表明の中に述べられている面を取り入れて、十分検討されて作られたという工合に私は理解ができないわけなんです。これからのわが国のエネルギー供給量というものは非常に増大をしていく、急速に伸びていく、ところがヨーロッパの場合には緩慢であって、しかも石炭のウエートが非常に高かったという場合と同一視すること自体に、私は無理があり、問題があるという工合に考えるわけなんです。ですから、当面、石炭産業の合理化を進めていく当初にあたっての考え方としては理解できても、昭和四十五年、あるいは昭和五十五年の二十年間も先を見通して、この五千五百万トンはどうしても固定化されなければならぬというところに、今日政策を変えなければならぬ理由があるのではないかという工合に私は考えるわけです。産業転換を考えるよりも、政策転換を考える方が先ではないのか、私は実はこういう感じをいたしておるわけです。というのは、大体エネルギーの長期見通しというのは、ほほ二十年間にわたって見通すことが、今日国際的な常識になっておることも事実です。しかもわが国の長期のエネルギー政策というものは、単にわが国の条件だけにおいて考えられるべきじゃなくして、国際的な影響というものを強く受けなければならないのですから、そういう国際的な趨勢等をにらみ合わして、しかも、わが国の特殊な条件を加味して、これは自主的に立案されなければならぬという工合に私は考えるわけです。そういう意味では、この所得倍増計画に基づくエネルギーの長期の供給計画というものは、まだまだ検討されなければならぬ面があるし、まだまだ当初計画から見てずさんな面もあるのじゃなかろうかという工合に私は考えるわけですが、こういう点についてはどういう見解を持っておられるか、一つお聞きしたい。

大來佐武郎総理府事務官(経済企画庁総合計画局長)

○大來政府委員 ただいま御指摘がございましたように、エネルギーにつきましては各国とも比較的長期の見通しでやっておりますが、先ほど大臣からもお答えがございましたように、ヨーロッパの場合でも三年ぐらい前の見通しと、その後の見通しと非常に顕著な変化がございまして、やはりエネルギー革命についての見通しが二、三年前からかなり変わって参ったという事情が、世界的にあるように存ずるわけでございます。私どもも、こういう技術革新のテンポのはなはだしい時代に十年、二十年先を確定的に見ることは非常に困難だと思うわけでございます。でありますから、将来においては、事態の推移を見て、計画全体についてもいろいろ検討される時期があるかと思うのでございますが、昨年のこの計画を作成する段階におきまして、いろいろ専門の方々を委員にもお願いしまして、関係省とも相談しまして、一応この数字がはじかれたわけでございまして、現段階では一応妥当な目標と考えるわけでございます。  なお、三千万トンという数字がございましたが、これは産業計画会議がいわゆる政府のエネルギー計画に対して、誤れるエネルギー計画という批判の報告書を三年ぐらい前に出しまして、その中で三千万トンぐらいが妥当だということを産業計画会議が申しましたので、私どもではございません。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 ここでちょっと石炭局長に、資料がなければこれは後日に譲りますが、国内炭の流通の面で、最近の石炭の総販売の傾向の資料をお持ちであればお聞きしたい。これは私の方に資料があるわけなんですが、年度別の総販売量の数字をずっと見ますと、昭和三十二年で七千六百二十一万二千トン、昭和三十三年が六千九百十七万六千トン、昭和三十四年で七千五百九十二万トン、こういう販売の実績数量が実は出ておるわけです。この面と、生産を見ますと、昭和三十二年で五千二百二十五万五千トン、三十三年で四千八百四十八万九千トン、三十四年で四千七百八十八万六千トン、ずいぶんこの数字は大きな開きがあるわけです。この点、生産と需給の関係でずいぶん違いが出てくるわけなんです。しかしながら、売られている石炭は、これは使われておるし、必ずどこかから石炭が出てきておるわけです。こういう点、やはり石炭の流通機構にもからむ非常に大きな問題なんです。非常にデリケートな問題が隠されておるように私は考えるわけです。そういう面から見ても、日本のエネルギーの供給そのものの実態がどうなのかという面で、私は大きな問題があるような気がするのですが、この点はどうなんですか。

今井博通商産業事務官(石炭局長)

○今井(博)政府委員 ただいま御指摘になりました浦賀の問題と生産の問題につきましては、輸入炭の関係、それから販売ということになりますと、二重に計算されたということが考えられますので、この点は資料をもう一度よく精査いたしましてお答えいたしたいと思います。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 石炭の問題一つつかまえてみましても、生産と輸入炭、それから一応雑炭といわれるものも含めて考えても、どうもまだはっきり実態がつかめないような感じがするわけです。あるいはまた、最近雑炭統計が非常に整備されてきましたけれども、それでもまだ石炭の動きを完全につかみ得ないというのが、実情だと私は思うのです。ですから、この計画から見ても、実態はそれ以上にエネルギーの消費というものが伸びておるということも一応相定されるわけなんですから、こういう面を十分掘り下げて検討する価値があると私は思う。この点はまた後刻の委員会なり、これから持たれる小委員会でも、このエネルギーの供給計画というものは根本的にもう一度検討する時期である、検討するというすなおな態度で、大臣もこれから臨んでほしいと思うのですが、この点の所見を承りたい。

佐藤榮作自由民主党通商産業大臣・大蔵大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 もちろんエネルギーの問題は、一度きめたからといって、それでほっておくわけには参りません。電力なども、絶えず変更しているというか、需給計画を変更せざるを得ないような実情にございます。石炭そのものから申しますと、ただいまの千二百円下げという、あるいは、出炭量については月産二十六トンに一応の計画は立っておりますが、これなども第一回の計画がまだ完全に実施されないうちでございますので、その間にまた対策を変更するということは、むしろ業界に逆に不安を与えるのじゃないか。お話の筋から見ると、五千五百万トンは少ないのではないかというような意味で、再検討ということを言っておられるのだろうと思いますが、ただいま、逆な方向の意見ももちろんあるわけでございます。私は業界の方に対しましては、やはり安定的なよるべが最も必要なことじゃないかと思います。従いまして、一応きめ、そうしてそれが実施の途中にあります際は、必ずその目標を達成する、これに各界とも協力していく、これが一番大事なことじゃないかと思います。その後におきまして、さらに合理化等が進んで参って、国内石炭についての需要がさらに大きいとか、あるいは外貨支払いの観点から、どうしても石油に支払うわけにいかぬとか、いろいろな事情が出てくれば、これはまたそのときでございますが、これを増加することは、業界としても歓迎はするでしょうが、逆な方向の危険のあることでもありますので、むしろ業界に安心感を与えるという意味から申せば、との第一回の目標はぜひとも、労使とも協力してその目標を達成する、これに協力してほしい、政府もこのような意味において先ほど来所信を表明しておる次第でございます。誤解のないようにお願いいたします。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 石炭の問題は一応おいて、次にお伺いしたいのは、エネルギー供給計画の中でこれからウエートを占めていくのは、何といっても石油なわけです。特に石油の場合に国内原油、外国原油あるいはまた天然ガスの問題があり、これも同様、昭和三十四年から五十五年にかけて開発計画が一応組まれ、供給量がこの報告の中に載っておるわけです。ところが、国産原油は今日においては大体七千五百円、輸入原油の場合は五千五百円で、二千円ほど開きがあります。しかも、石油あるいはまた天然ガスの資源開発の第一次計画が終わって、来年度予算は第二次計画の初年度に当るわけです。従って、一体当面どういう予算を組み、この国産原油あるいは天然ガスを開発するかということは、非常に大事な問題であり、石炭の問題と同様に考えなければならないと、私は思うのです。しかし、仄聞するところによりますと、計画はこのようにできておりますけれども、第二次国産原油、天然ガス開発計画というものは、一応想定される予算等の面から見ても、ぐっと後退するのではなかろうか、私はこういう気がするわけです。こういう点についてはもちろん、いろいろ影響があって変更されるという面もあるでしょうし、財政的な問題もあるのでしょうが、ここにも一つの計面上からの問題点が私はあると思うわけです。この点について大臣の所見を承りたいと思います。

佐藤榮作自由民主党通商産業大臣・大蔵大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 石油の問題になりますと、今御指摘のように、国内原油あるいは民族資本原油あるいは外国原油、それとの競合の問題がございます。同時にまた、石炭との競合の問題があります。これは大へんむずかしい問題でございます。一概に申しますならば、安いものは安いなりで、また高いものは高いなりで使って平均する方法、そうしてコスト・ダウンする方法、これがエネルギーの場合には最も望ましい方法ではないか。ことに、力の及ばない外国産の石油というものは、安ければ安いまま入ってもいいじゃないかという議論も成り立つと思います。しかしただいま御指摘のように、国内産原油、外国産原油の比較を見れば、その値開きをある程度調節しないと、これまた国内滝の育成にならないじゃないかという問題にも、実はなるわけであります。そこで、外国等におきましても大へんこの問題は苦心して、各種の対策を立てて参ったようでございます。通産省といたしましては、ただいま石油調査団を派遣しておる際でありまして、いわゆる総合エネルギー対策、これを御審議願っており、その石炭部会の答申は得たわけでありますが、石油については、ただいま調査団が出ておりまして、十一月の半ばには帰ってくることになっております。その上で、私どもの平素の考えともあわせて発表し、御審議をいただくようにいたしたいものだ、かように考えております。もちろん、ただいまいろいろ検討しておるものはございますけれども、何にいたしましても、調査団の報告をまず第一に取り上げることが本筋である、かように実は思っております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 次の質問の前に、運輸省にちょっとお聞きしたいのですが、最近の国際船運賃の傾向はどうなのか。特にエネルギーの問題と関連して、米炭あるいはまた中近東からの石油の輸送、この船運賃の最近の動きと、できれば若干の見通し、これをちょっとお聞きしたいと思います。

辻章男運輸事務官(海運局長)

○辻政府委員 お答え申し上げます。  最近の船運賃の状況は、じりじりと多少強気に向かっておるというところでございまして、今後の見通しとしては、大体横ばいでいくのではなかろうかというふうに一般に見られております。それから今石炭の運賃の問題が出ておりますが、現在日本が大量に買い付けておりますのはハンプトンローズからでございまして、この運賃は大体最近は九ドル三、四十セントというくらいの成約が行なわれております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 先ほどから申し上げておりますように、石油の需要が増大をして、それが輸入エネルギーの大宗を占めていく。しかしながら反面、輸入石炭の場合には非常に大きな数字を示しておるわけです。目標年次では二千五百六十四万トン、将来、昭和五十五年度では四千三百四十四万トン。これを換算いたしますと、わが国の石炭産業で生産する生産量と石炭の輸入量というものは、ほぼ同じ数字になるわけです。そういう数字が出ておるわけです。  そこで私、石炭と輸入石油の問題についてまずお尋ねをしたいと思います。石炭はまず別において、輸入原油の価格の見通しです。最近は特に下がっておりますし、これは予算委員会でも大臣から数字をあげて説明があったわけですが、この価格の長期見通しは一体どうなのか。特に世界の石油の需要というものは、ものすごい勢いで伸びていて、ここ数年のうらにはおそらく三倍から四倍の伸びを示すのではなかろうか、このように言われておるわけです。しかも、今日世界で確定している石油の埋蔵量というものは、これからの世界の石油の需要量から見れば、八年くらいで一応確定している埋蔵量は全部終わってしまう。従って、探鉱に主力を置いて投資というものが活発になってくる。こういう傾向が私の資料で出ておるわけなんですが、そういう面から考えて、この価格の見通しはどうなのか。しかもヨーロッパにおいても、イギリスやフランス等においては案外石油の価格が高くて、ヨーロッパにおいては西ドイツの石油価格が一番低いわけです。そういう関連から見ても、これからの価格の長期見通しというのは非常に大事な問題になってくると思うわけです。この点について、これは鉱山局長でけっこうですから、お伺いしたいと思います。

川出千速通商産業事務官(鉱山局長)

○川出説明員 ただいまの御質問の、輸入原油の価格の見通しが今後長期的にどうなるであろうかということでございます。今後非常に遠い将来の問題はよくわからないわけでございますけれども、確かに今御指摘のように、最近の傾向、輸入原油の小売価格の推移を見てみますと、大体少しずつ下がり目にあるように思います。これはやはり、原油の供給が相当豊富でございますので、その間の競争が激しいためではないかと想像いたしております。しかし、将来の問題はわからないわけでございます。  それから埋蔵量の問題でございますが、現存確認されております原油の埋蔵量は、キロに直しまして約五百億というふうに考えられております。それに対して、全世界の出産の方は年に十一、二億と記憶いたしております。従って、これは生産がふえるわけですけれども、生産がふえないとすれば、三十九年か四十年くらいの埋蔵量があるわけでございます。もちろんこれは非常に伸びておりますから、それよりも短くなると思いますが、同時に一方、石油の資源というものは着々発見されておりますので、追加された埋蔵量というものは年々ふえていくのではないかというふうに考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 楽観論にあらず、悲観論にあらず、あとは調査団が帰ってきてからゆっくりやりましょうというような答弁に聞こえますから、その点は譲りまして、当面、原油の需要がどんどん伸びていくわけです。そうすると、これに伴って石油精製の設備投資を急速に進めていかなければならぬという問題が出て参ります。所得倍増計画よりも、今業界が見通している石油関係の所要資金というものは、若干上回っているようです。私の持っている資料では、十年間に九千四百十一億円、これが所得倍増計画では八千億台ですから、若干上回っているようです。こういう業界の資料も実は出されているわけです。しかもこの所要資金というのは、特に今後五年間に急速に必要とするわけです。これはもちろん、あとから出てくる電力の需用増、こういう問題とも関連しまして、今後五年間は毎年一千五十八億の所要資金が必要である、こういうことが実はいわれておるわけであります。過去の石油投資をずっと見て参りますと、五年間で年平均四百四億円でありました。そういたしますと、実に二倍をこえる所要資金というものが必要なわけです。しかし今日、わが国の国際収支が逆調し、しかも設備投資を押えていく、しかしながら将来の石油エネルギーの供給面から見て、当初年度に相当所要資金を必要とする、こういう緊急性があるわけです。この点についてのこれからの見通しといいますか、こういう点については数字は間違いがないかどうか。あるいはまた、この所要資金等についても、そうしなければエネルギー供給計画というものは、当初計画よりも変更しなければならぬという事態になると私は思いますので、その点についても見解を承りたいと思います。

川出千速通商産業事務官(鉱山局長)

○川出説明員 ただいまの数字、実は私知らなかったものですから、さっそく勉強いたしますが、三十六年度の投資は、今抑制計画を立てておりますので、それについて申し上げますと、資金部会に出てきました当初の原案は千百億でございます。精製関係全部の投資でございます。これは販売部門も入っております。これは需要の伸びから見て少し大き過ぎるのではないかということで、それを百億弱削りまして、千十六億というのが今通産省が修正を認めた計画でございます。なお、できれば、最近の金融情勢その他から、若干でもこれを抑制したいというふうに考えております。ちなみに、三十五年度の投資額は約六百億くらいでございます。六百億から四百億も、非常にふえたじゃないかという御意見も出るかと思いますが、石油関係の投資と申しますのは、需要に見合ってそれに合う設備をやっていくということが肝要なわけなものですから、需要に見合った投資はぜひとも必要であろうというふうに考えております。ただ、販売部門その他の生産に必ずしも直結しないような設備はなるべく抑制したいという方向で、抑えておるわけでございます。それから設備投資の中でも、単に量をふやすだけでなくて、品質を改善するためのいろいろな技術関係の投資が相当ございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 大臣、今答弁をいただいたわけですが、私が先ほど申し上げました通り、これは相当重要な問題だと思うのです。さらに、この問題は所要資金だけの問題でなくして、大体石油精製をする場所というものは、太平洋ベルト地帯とか、特定の地域に集中される可能性が非常に強いわけです。そういたしますと、その建設する土地の造成という問題が、これとは別個に私は出てくると思います。あるいはまた、今東京湾は船が三カ月も滞船しておる、こういう現状が現われておるわけなんですが、港湾計画をこのテンポに合わせて進めない限り、このことも将来の非常に大きな問題になってくると、私は思うわけであります。ですから、単にこれは石油が安いというだけではなくして、わが国の経済の安定的成長をはかっていく、しかも、その中で国内エネルギーの問題も十分考えて、一方、合理化を進めると同町に、ある程度の価格というものを設定して、そうして、むしろ国内エネルギーを使う、こういう要望というものも、私はこういう面から強く出て参ると思うわけであります。こういう点についても、もちろん、これは調査団が帰ってこなければという問題もあるでしょうが、こういう面からも再検討しなければならぬ問題があるのじゃないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。

佐藤榮作自由民主党通商産業大臣・大蔵大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 もちろん、各方価から検討しなければならないと思います。ただ、港という問題は、炭価というよりも、一般物資が非常に輻湊しているということがございますので、産業拡大、いわゆる所得倍増から見ましても、現在の港湾施設はいずれも不足だ、かように思います。そういう意味のもので、石油関係だけから港の批判はできないと思います。ただ、問題になりますのは、今の精油所の設備なり、あるいはまた、最近いわれております石油コンビナート等の会社の施設整備、これが非常に旺盛でありまして、それがいずれも土地造成等とからんでおりますから、先ほどの金額のうちには、そういう土地の取得の金額もすべて入っておるのでございますが、大へん大きな投資額になっておる。これはもう御指摘の通りであります。ただ、それを逆に、今度は価格の面でどういうふうに反映さすか、これはなかなか技術的にも容易じゃないと思います。また、石油精製あるいは石油コンビナート、こういう場合に、国産機械等もありますが、外国の機械等にたよるとなると、外貨の支払いが、原油の購入ばかりじゃなしに、設備自身でもふえてくる、こういうことも考えなければならぬと思います。しかし、いずれにいたしましても、エネルギー源が安くして、そうして安定的供給を受ける、これはもう各産業の基幹をなすものでありますだけに、低廉であることは第一の要素だと思います。低廉にして豊富であるということが必要だろうと思います。そういうことを考えますと、石炭の合理化というものがわれわれの力でどこまでなし得るか、そうして、豊富低廉なエネルギー源供給という、それにどの程度たより得るか、こういうことも一つ考えなければならぬと思います。もしも消費者の自由選択ということにまかせますなら、おそらく、どんどん流体エネルギー源に移っていくに違いない。そこを、この前所信を表明いたしましたように、雇用の面の問題であるとか、安定的供給であるとか、あるいはまた外貨支払いの問題であるとか、各面から見まして、少なくとも、この程度はというものをただいま石炭産業について基本的に実は考えておるのでありまして、石油の問題と結びつけて考え、しかも、その石油が、ただいままで御指摘になりましたように、国産原油との関係等を考えますと、これは対石炭の問題とはまた別な意味を持って参りますので、一そう複雑になる、こういうように私ども考え、ここらが苦心の存するところでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 次に、輸入石炭の問題についてお伺いしたいのですが、これは強粘結炭、弱粘結炭の原料炭が予定されておると思うわけです。しかし、輸入石炭の場合を考えてみますと、先ほど私は数字をお話し申し上げたわけでありますが、ただ、日本の原料炭の開発と海外からの原料炭の輸入の数字が出されて、この数字が大体確定されてきたと思うわけです。さらに、これは現状を固定して考えた問題、たとえば、一般炭を今日コークス化するとか、ガス化をしていくという問題も当然あるでしょうし、今日常識としては、大体一般炭が製鉄に使用されるという段階にほぼきておるように私はあらゆる方面から聞いているわけです。そういうような面が一体含まれておるのか、あるいはまた、比較的養分の高いものを、むしろ国内で大きな混炭設備を持ってミックスして、混炭して大体妥当な養分の原料炭を作る、そういう技術革新の面も総合的に見通されてこの数字が策定されたものかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。

今井博通商産業事務官(石炭局長)

○今井(博)政府委員 輸入炭の量が今後非常にふえて参るということは、さような計画に相なっておりますが、その場合に、御指摘のように、たとえば、四十五年をとりますと、二千五百六十万トンの輸入炭、この場合におきまして、強粘結炭が二千百三十万トン、弱粘結炭は四百三十万トン、こういう姿になっております。主として強粘結炭を中心にしております。現在はほとんど強粘結炭ばかりで、弱粘結炭はございません。従いまして、大部分は強粘結炭である、こういうふうにお考えを願いたいと思います。ただ、御指摘になりました、一般炭をコークス化する問題、あるいは、三池炭のような非常に特殊な原料炭をほかの原料炭と、ミックスして、よいコークスとする、そういった技術的な面の検討については、この計画を作るときには全然入れてございません。従いまして、そういう技術革新というもの、これは技術の問題でありますから、おそらくある程度実現すると思いますので、そういうことになりますれば、こういう輸入の数字というものはやはり当然変わってくる、こういうふうに私どもは考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 輸入炭の計画を策定する場合にやはり大事なことは、今日原料炭が賦存している地域において、鉱区が非常に錯綜している。たとえば北炭とか明治とかあるいは太平洋とか競合している南部空知のような地帯も、実はあるわけです。これらの原料炭開発は、鉱区の問題が解決しない限り、飛躍的に増産をしていくことはむずかしいと思うわけです。特に原料炭は、将来にわたってものすごく輸入が増加して参るわけですから、この原料炭の開発については、鉱区問題を含めて、やはり特別の指導なり措置をとらなければならぬのではなかろうか。むしろその方が望ましいわけですから。もう輸入炭と北海道空知の原料炭の東京での価格は、船賃がちょっと上がりましたが、ほぼ同じ水準にあるわけです。これからまた合理化で安くなっていくわけですから、そういう意味では、この原料炭地帯の開発は、政府として重大関心を払うべき問題だと思うわけです。そういう点を政策的に行なわないで輸入炭に依存するということが、どうも私どもは今日の石炭危機の現状からいって理解できないわけですが、こういう点について、大胆にやはり行政指導なり特別措置をもって、この方向を強力に推し進めることについての大臣の考え方をお聞きしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党通商産業大臣・大蔵大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 今御指摘になりましたように、今後の炭田開発、原料炭に重点を置くこと、これはもう当然でございます。炭鉱事業の育成と申しましても、将来性のあるものに力をいたすという意味で、原料炭に重点を置いての開発計画を進めていくつもりでございます。そこで、ただいま御指摘になりましたような鉱区の競合等で開発が停滞しておる、こういう点があるかどうか、もちろん、そういうことは指摘されておりますので、通産省といたしましても真剣にこれを取り組んで、ただいま調査にかかっておるというのが実情でございます。御指摘の通りの方向で進めて参りたい、かように思います。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 時間もありませんから、今の問題に関連して一、二点お聞きしておきたいと思うのですが、そういう原料炭地帯の開発といっても、これは非常に膨大な費用もかかるし、わが国の炭層は比較的褶曲が多いわけですから、大体深いところに賦存しておるという面もあるわけです。そうなって参りますと、今日の石炭企業だけの力でこれを開発するということは、これまた若干の困難が伴ってくることは間違いがないと思います。西ドイツにおいても、今日政策的に全部もしくは半額程度の国の資本によって国の直接炭鉱経営というものが行なわれて、普通の企業と共存いたしておるわけなんです。こういう点から考えて、国策的な石炭開発を行なうということを検討する価値が今日あるのではないか。あるいはまた、先ほど私が数字をあげてお話を申し上げました通り、日本の炭鉱は非常に零細化しておる。そういたしますと、どうしても鉱区の問題を解決して、総合的に一坑口当たり百万トンなり二百万トンの石炭が出るような開発というものも、これから一方においては考えられていかなければならぬ。そのことによって炭価が安くなる。私もオランダの炭鉱を見て参りましたけれども、オランダのごときは、一年間大体一千七百万トンの石炭を出して、事業所がたった七つしかないわけですが、そういう面からいっても、日本の石炭産業の合理化、近代化を進めていくという場合に、当然国策的な石炭資源の開発ということが考えられない限り、日本の石炭の再編成なり、あるいは集中的な年産を上げてコストを下げるという問題も、なかなか政府が考えておるように簡単にいく問題ではないのではないか、こういう理解を私はしておるわけなんですが、この点についての大臣の所見を聞いておきたいと思うわけです。

佐藤榮作自由民主党通商産業大臣・大蔵大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 探鉱というのは、金属鉱山等においても大へんな事業でございまして、これを経営者だけにまかせておくことはどうか、地下資源開発の点でともするとおくれをとる、こういうことが指摘されております。従いまして、非鉄金属等においては、そういう意味の事柄も積極的に進めたい、かように思っておりますが、石炭の場合は、今日までの経験等から見まして、経営者等がこれを調査することも比較的容易だ、むしろ、ただいま御指摘になりました鉱区の競合だとか、あるいは深さによっての権利の錯綜だとか、こういう事柄を調整することが先じゃないか、こういうような意味で、行政的な指導と業者間の双方の話し合いというようなことに力を入れておるわけであります。また、地下資源の探査をやる機関はかつて作ったと思いますけれども、これもなかなか今の鉱区そのものの調整等が十分できなくて、あまりいい成績を上げておりません。むしろ、経営者自体に近代化資金等を利用さす、こういう方向が、今とっておる方向でございます。私はこれである程度の効果を上げつつあるものだと思いますが、さらにもっと進めなければだめだ、こういうような結論でございますれば、もちろん、研究するにやぶさかではございませんが、今日の近代化資金そのものも少額でございますから、そういうような意味で十分効果が上がっていないのではないか、同じような目的のために作られた制度だ、私はかように理解しております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 今大臣の言われた、近代化資金が効果を上げていないという面、こういう点も確かにあると思うのです。あるいは、一割以上の配当をしては近代化資金は貸せぬということになりますと、株の方は無配である、こういうようなことで近代化資金が流れておることも、私は率直に認めなければならぬと思う。そういう点からいっても、近代化資金そのものがほんとうに生きておるかどうかということを考えますと、こういう総合的な開発の点をやはり真剣に検討しておくことも大事ではないか、こういう理解を私は持っておりまして、この点はまた別に論争もいたしたいと思っております。ただ大臣に一言申し上げておきたいのは、石炭鉱業合理化臨時措置法、これができてもう三年も運用されておるわけです。この中には、ちゃんと、未開発炭田の開発指定を行なって開発していかなければならないと、近代化の方向として法文で明らかになっております。あるいは石炭鉱区の調整協議会を作って、これらの鉱区の調整を積極的にやる。中小炭鉱の鉱区の調整もやるという条文がちゃんと法律の中にあったわけです。ところが、この協議会は三年もたってまだ作られていないのです。では鉱区については問題が全然ないのかというと、われわれが地方を阿ると、大いにあるわけなんです。未開発炭田についても一度も指定されれたことはない。有明湾のごときは、行政的に日鉄の開発についてサゼスチョンを与えておりますが、法に基づく指定は行なわれていない。だから、どうも積極的な面はこの合理化臨時措置法は死んでいるわけです。そして首を切ることと賃金を下げる方向——とにかく首を切る、そのことによって能率を上げる、労働密度を高めて能率を上げる、あるいはまた、若干の近代化資金を貸し付ける。あと、首切られた者の労務対策は、別途な労働省の問題なんです。ですから、半身不随にあるわけです。ここにやはり今日の石炭政策の大きな問題があると思うのです。むしろ、現時点ではこの二つの問題は一歩も二歩も進めていくのが、ほんとうの石炭合理化であり、石炭政策の柱としてこれを取り上げなければならないというくらいに理解するのですが、この点についていかがでしょう。

今井博通商産業事務官(石炭局長)

○今井(博)政府委員 ただいま御指摘になりました未開発炭田の開発の問題でございますが、これは現在八カ所指定いたしまして調査をいたしております。これは調査の指定でございます。調査の済みましたのは、三池有明の関係、それから高畠北部の炭田、石狩南部、石狩北部、これは調査が済んでおりますが、なぜ開発の指定をしないのか、この問題につきましては、三池の有明の問題を除きましては、緊急開発の必要性がまだそこまで至ってないということで、まだ指定をいたしておりません。  それから鉱区調整の必要性につきましては、先ほど御指摘の三池炭田におきましては、日鉄の鉱区と三井の三池の関係は、来実上調整が行なわれております。その他の炭田につきましては、現実に鉱区調整を緊急にやらなければいかぬという必要性が、開発との関係においてまだ起こっておりませんので、調査がもう少し進みまして、緊急開発という必要性が出て参りましたら、おそらくその場合は鉱区調整の問題が必ず起こると思いますので、そのときに調整協議会を設置したい、そういうふうな考え方で実は今日まで至っておりまして、決して積極面について努力を怠ったというわけではございませんが、その必要性の程度という点におきましておくれておる、こう御了解願いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党通商産業大臣・大蔵大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 ただいま石炭局長からお話ししましたが、せっかく皆さん方から指摘され、鞭撻を受けておるわけでございますから、やはり急速に行政措置をとることが望ましいことだと思います。お話の点はよくわかりました。今後これが死文にならないように十分行政指導してみたいものだ、かように思います。

有田喜一自由民主党

○有田委員長 岡田君、ちょっと御相談ですが、大臣の約束の時間ですから……。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 私も約束の時間ですから、もう一問で終わります。  私は、佐藤大臣と萩原北炭社長と炭労の原委員長、この三者の座談会の記事も読みましたが、この場合にも、鉱区の問題やいろいろ爼上に上っておったわけです。そこにおける佐藤大臣の発言も、この点は特に強く考えてこれから対策を立てていきたい、こういう記事も載っておりました。従って、特にこの問題については十分検討願うと同町に、やはり石炭経営者も合理化に積極的に協力するという姿勢を政府が作らせるという点をもう少し大胆に行なって、初めてこの困難な石炭産業の方向が開けてくると私は考えるわけなんです。そういう点で、特に私は大臣に期待をいたしておるわけです。  最後に、私は大臣にお聞きいたしたいのは、エネルギー産業行政上の機構の問題でありますけれども、これは、私手元にイギリスあるいはフランス、西ドイツ等の行政機構の資料を実は持っておるわけです。今日通産省の内部にはエネルギー懇談会とか、あるいはエネルギー協議会、こういう形でエネルギー問題について相互の連携が非常に強まってきておることは、同慶の至りだと思うわけです。しかし、先ほど来論争いたしましたように、質問も申し上げました通り、これからのエネルギーの伸びは非常に急速に伸びていき、しかも、供給の安全の問題あるいは国内エネルギー政策の面から考えても、私は非常に大きなウエートを持ってくると思うのです。西ドイツでは経済相が直接これを掌握をして、中にはヨーロッパ炭鉱共同体の一つの部があったり、あるいはエネルギー政策部というものが単独に設けられて、きわめて慎重に、積極的に、緻密にこの計画が組まれておるようです。こういう点について、大臣として、特にこのエネルギー問題が非常な焦点になってきておる今日、通産省も、行政機構上、大きくいえばイギリスの動力省というような単独省のことも考えられるわけなんですが、そういう面も含めて通産大臣の所見を承りたいと思います。

佐藤榮作自由民主党通商産業大臣・大蔵大臣臨時代理

○佐藤国務大臣 エネルギー行政機構の強化のお話が出ておりますが、エネルギー問題が大事であることについては、私も人後に落ちない認識を持っておるつもりでございます。しかし、役所の機構を拡大するばかりが実は能ではないのではないか。通産省の仕事は非常に広範にわたっておりますが、それにいたしましても、特に力を注がなければならない当面する問題としての部門はそれぞれきまっておりまして、たとえば、今のエネルギー問題であるとか、あるいは中小企業問題であるとか、特に緊急を要する対策樹立の問題があるわけであります。そういうものの全責任を持って大臣がいたり、あるいはそれぞれの局長がいるということでございます。ただいまのところでは、私は、今の機構でもやれないことはないだろう、かように考えますが、問題は、機構にあらずして取り上げ方だろう、かように実は思います。通産省だけでなかなか処理できない問題でございますので、政府自身がエネルギー関係の、石炭関係の閣僚会議を持つとか、あるいはこうして特別委員会が設置されるとか、こういう事柄がエネルギー問題解決への近道を今とっておる、かように私も理解し、そういう意味で、駑馬にむち打ってこの問題と取り組んでいきたい、こういう考え方でございます。どうか一つよろしくお願いします。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 非常に時間が足りませんので、私の聞きたいことの三分の一もまだ聞いていないのが実情でありますけれども、また機会をあらためて、同僚委員と一緒に質問いたしたいと思いますので、あとの問題については留保いたしたいと思います。  佐藤大臣のエネルギー政策に対する見解を聞きまして、非常に心強いものを感ずるものでありまして、さすが実力第一人者として非常に心強く感ずるわけであります。そういう点で、一つより一そうこれからの論争の点についても、きめこまかく論争に加わっていただくように要望いたしまして、終わりたいと思います。

有田喜一自由民主党

○有田委員長 それでは、本日の質疑はこの程度にとどめます。      ————◇—————

有田喜一自由民主党

○有田委員長 この際、理事の補欠選任に関する件についてお諮りいたします。  当委員会の理事でありました内田常雄君が去る七日委員を辞任されました。従いまして、理事が一名欠員であります。この際、これの補欠選任に関しまして委員長より指名することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

有田喜一自由民主党

○有田委員長 御異議なしと認め、周東英雄君を理事に指名いたします。  次会は、来たる十七日火曜日午前十時より理事会、同十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時七分散会

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