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39回国会衆議院1961/10/26

商工委員会 第10号

発言数
128
登壇者
15
会派数
2
開催日
1961/10/26

会議録

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 ただいまより会議を開きます。  低開発地域工業開発促進法案を議題とし、審査を進めます。  前会に引き続き質疑を続行いたします。久保田豊君。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 私は質問に入る前に、この法案に対します私の評価といいますか、それと態度についてあらかじめ一言申し上げておきたいと思います。  この法案は、与野党ないしは政府ともに非常に軽い法案のように見ておるように思うのであります。しかしながら私の見たところでは、突っ込んで内容を検討してみますと、非常に重要な法案でありまして、見方によりましては、この法案の実体が及ぼす影響というものは、さきの国会で問題になりました農業基本法以上に、私は大きな影響を持つ法案だと思うのであります。そういう点について、私は与野党ともに、政府もまた認識を改めるべきじゃないかというふうに思うわけであります。従いまして、私はこの法案に対します質問を大きく三段に分けていたしたいと思うのであります。  第一段は、この法案の各条についての事務的な質問であります。この点が明確でないところがたくさんあるのであります。この点が第一点。第二点は、この法案が実施されました場合に、現地、つまり低開発地帯の指定地域に起こります諸問題について、この法案はほとんど規定しておりません。従いまして、そういう点を明確にしていきたいというふうに思うわけであります。第三点は、この法案の持っております実体のうちで、特に重要な根本問題についての質問をいたしたい一こう思うのであります。この三つを明らかにしませんと、この法案の内容というものが明らかにならぬ。これをうかつに、ほとんど審議なしに通してしまうというようなことになりますと、これは政府といたしましては、あるいはこれでいけるかもしれません。しかしながら、私はある意味におきましては、日本のこれからの工業立地なり全般的ないわゆる開発の根本を狂わせるものだ、こう思うのであります。そういう要素を多分に持っております。従いまして、今までのいろいろのいきさつがあるかもしれません。そして私も時間を食うかもしれません。しかしながら、一つこの点を御了承いただくようにお願いいたしたい。この点はあらかじめ委員長にもお願いをいたしておきます。  大臣が時間の関係でほかの方へ回られるそうですから、最初にこの法案の持つ根本問題について、あらかじめ大臣のお考えを聞いておきたいと思うのであります。  この法案の一番前提をなしておりますのは、いわゆる池田内閣の所得倍増計画であります。その所得倍増計画のうちで大きなウエートを持っております工業の立地計画、あるいは立地計画の土台をなしております日本全国の各地域におきます経済発展の格差といいますか所得の格差といいますか、こういう問題を工業の地方分散によって解決をしようというのであります。これがこの法案の一番大きな根幹をなしている思想であります。ところで、これに対しまして所得倍増計画の根本の思想は、全般的なこういう工業の地方分散をやれば、今日見るような各地方地方におきます経済格差ないしは所得格差の大きな開きは自然なくなる、こういう考え方が土台になっておることは御承知の通りであります。しかしここに出ておりますようなこういうやり方で、しかも低開発地帯へ工業を分散させることによって、いわゆる経済発展の地方的な格差といいますか、これは量的にはある程度私は解消すると思うのでありますが、所得の格差ないしは雇用の増大というふうな、問題の質的な面はこれでは解決できない。むしろまかり間違いますと、これによってむしろそういう面での二重構造というものは、かえってひどくなるのではないかというふうに思うのであります。この点についての長官のお考えをお聞きしたいのであります。  と申しますのは、専門員が作ってくれました資料等によりましても、全国の都道府県別の県民の分配所得や、県民一人当たりの平均の所得の格差というものは非常に大きいのであります。これは所得倍増計画も認めておる事実であります。そうして一番大きいのは、全国を一〇〇としますれば東京の一八五とか、あるいは大阪の一五七とかあるいは兵庫の一五〇とか、あるいは神奈川の一四二、こういう非常に高いところと、一番低いのは鹿児島の六二・三というふうに、ほとんど三分の一近くの一人当たりの国民所得の差になっている。これは確かに一面におきましては、こういう低開発地帯におきます工業が発達してない、農業もまた非常に低水準になっておる。それに反しまして、東京その他の四大工業地帯といいますか、こういう地帯の工業が非常に高度に発達している、そうして農業の比率が非常に小さいというふうな面、そういう事実から出てきておることは事実であります。しかし私は、この一人当たりの所得格差がこういう大きな開きを持ってきました最大の理由というのはそこだけにないのではないか。もっと現実的な問題は何かといいますと、こういう工業地帯は、特に東京とか大阪は、全国的な近代の企業といいますか、そういうものの本店所在地であります。官庁にいたしましても、東京は御承知の通り全国の中央政府の所在地であります。こういう本店所在地に、地方で生産ないしは消費のいろいろな活動をしました、いわゆるそこで生まれました余剰所得というのはみな吸い上げられる。そうしてこの大都市に来て、これがいわゆる分配所得として各人に割られる。従ってそういうところで平均をした一人当たりの所得の水準は非常に高いということになる。このことは、こういう大都会におきましてもそれではどうかというと、全部が高いわけではないのであります。そうではなくて、高いもの、いわゆる金持ちといいますか、そういうものは非常に大きな所得を持っておる。しかしその中におきましても低いものは非常に低い所得を持っておって、ちょうど地域的な格差のあると同じように、大都会におきましてはいわゆる階層間やあるいは職業間の所得格差なり、経済格差が非常に強いという事実を、こういう平均数字で表わしただけのものだと思うのであります。従ってこういう平均数字を土台にして、この平均を全般的な工業分散によりてやっていこう、こういう考えでは、全国の所得格差というもの、あるいは経済格差を、二重構造的なものを解消するということにはならないんじゃないか。この根本点についての認識を改めることが、私どもの立場からいいますと所得倍増計画、従ってこういう全国的な工業立地計画あるいは分散計画の一番根本の問題ではないかというふうに考えるのであります。この点について、これは半ば理屈みたいなことになりますけれども、これは理屈じゃない。事実をどう解決していくかということにつきましての根本の方針に関する問題だと私は思うのであります。この点についての長官の総合的なお考えというものをまず第一点として聞いておきたい、こう思うのであります。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 日本の国民の中に起こっております所得の格差、これは今お話しのように、地域的にもありましょうし、あるいは業種的にもあろうと思います。これらのものをできるだけ改善して参りますことが必要であることは、申すまでもないことであります。従ってそれらに対する方策を立てて参らなければ、その格差の解消あるいは縮小ということが可能でないことは申すまでもございません。でありますから、今回のこの低開発地域工業開発計画だけで、その格差がすべて縮まるのだという考え方では、これは当然ないわけでございます。ただ私ども考えておりますのは、一国の総合的な力というものは、都会だけが高水準のものである、経済力においてもあるいは文化の面においても都会だけが非常に高水準であって、地方はその水準よりはるかに下であるということでは、経済上の総合力もあるいは文化的な総合力も出て参らぬ。やはり日本のほんとうの力が十分発揮されるためには、経済的にも地方において工業も盛んになり、あるいは収入もふえていく、また文化的に申しても、二、三の都会だけに大学があったり学者がおられたり、あるいは文化的な施設があったりということで、地方には何もそういうものがないということでは、日本の文化水準というものが、都会だけ見れば上がっているように見えますけれども、日本全体の文化的水準というものは上がったとは言えないんじゃないか。こういうことを考えて参って、どうしてそれを解消していくかということを、われわれとしては考えて参らなければなりませんが、少なくも工業面においてはやはり地方にもその土地々々の立地条件、そしてまたそれを開発することによって可能になり得るような立地条件の土地に、それぞれそういう方針に従って工業も誘致し、あるいは整備してやって参りますことが必要であろうかと思うのであります。でありますから、現在低開発地方と申しておりますけれども、今日のようないろいろ技術的な進歩あるいは経済情勢の変化等を考えて参りますと、過去における立地条件の不便ということが必ずしも克服できないわけでもございませんし、またそういう克服することによって地方に分散されるということも考えられるわけでございます。たとえばレンズ工業のようなものが信州にみな移っていく。これは空気が乾燥しているし、あるいは温度的にもいいというような条件で、東京周辺にありましたレンズ工業が後進地方にいくというようなことも考えられます。また将来の日本の経済事情から見ますと、たとえば非常に低開発である裏日本の方面においても、われわれの聞いておりますところによると、たとえばタンカーが八万トンだ、十万トンだというようなタンカーになってくれば、必ずしも太平洋岸にそういう良港がないわけではないけれども、敦賀湾その他あの周辺一体はそうした大きなタンカーを入れることができて、将来あるいは石油化学の中心というものもそういう方面が適地になるのではないかというような産業立地の話もわれわれ聞いております。そういうことでありますから、やはり今日の低開発地域となっておりますところにできるだけ政府も力を入れて、また地方においても力を入れて、そういう条件を完備していきながら産業をそこに興していくということになりますれば、私どもはやはりその方面の地域の格差というものは相当縮められるのではないかと考えております。ことに私が申すまでもなく、久保田さんも御存じの通り、今日かりに大企業が工場を分散いたしました場合に、大企業自体の経営体の中におきまして、地域格差の賃金というものを制定することは非常にむずかしいと思います。北海道等において寒冷地手当を出す、あるいは暖房手当を出すというような特殊の場合を除きましては、たとえば賃金が安いからそこに持っていく、そして工場を分散する、そういうことは過去においては考えられたのでございますけれども、これからはやはり中央あるいは新しい低開発地帯の工場等で、基本的な賃金の問題において、その地方が安いから賃金に非常な格差をつけるというわけにも参りません。またそれは当然であろうと思います。そういうことでございますから、やはり地方に工業を分散して、それぞれの地方におのずから適当な工業を打ち立てていくということは、地域格差解消の上に非常に大きな貢献をすると私は思います。ただ久保田さんも御指摘の通り、それだけで全部の地域格差がなくなるかといえば、なくならない。やはりその周辺におきます農業のいわゆる選択的拡大と申しますか、農業の方面での改良、あるいは農村方面と新たにできましたそういう工業地帯との連関において新しい農業が育成されるということから、農村方面の収入もそれに伴って上がっていくというような、いろいろな問題が考えられると思います。でありますから、これだけでもってすぐ地域格差が是正されるのだということは考えられないのでございまして、あらゆる手を打って、あらゆる方面でお互いに補完をしながら地域格差の解消と申しますか、地方的な所得の増加の方法を講じていくということが必要だと思うのでありまして、そういう意味におきまして、私は、この法案も地域格差の縮小には非常に役立つものだ、そう考えております。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 私もこの工業の地方分散、特に低開発地帯の分散だけによって、いわゆる所得格差なり済経格差、地域的な格差がなくなっていると言っているわけじゃないのです。しかしながら、少なくともこれが根幹であることは間違いありません。今、これを一つのよりどころとして、いわゆる農業の選択的拡大が行なわれるようなお話がありましたが、私はあとで具体的に事実を指摘して、長官とやっている時間はないでしょうけれども、事務当局とでもやってみたいと思いますけれども、これは農業の選択的拡大にはなりませんよ。逆になりますよ。そういういろいろの事実も出てくるわけです。その逆に出てくるものを、たとえば農基法なり、あるいは農基法に連関する諸法案なり諸方策で解決ができるかというとできない部面の方が多いです。そういういろいろな部面から考えてみて、そういう点についての適切な処置がない。少なくとも現在われわれには見られない。これだけじゃありません。いろいろ手を打ちますというお話ですが、一体どういう手を打ちますかと言われると、現在のところ、政府としては具体的にはほとんどないと思います。そういうことになりますと、私はへたにすると、かえってこれが拡大をする公算が多いということを指摘しておく。これだけをもって所得倍増計画の全国的な地域格差の解消策の根幹だというふうに安心してもらっては困るのだ。今お話のありました諸方策をいろいろこれに加味して、その方に重点を置いてやってもらわぬと困るのだ。また、そのやり方についても、個々の法案の予定しておりますような程度のやり方ではうまくいかないということを、あらかじめこの機会に申し上げておくわけであります。  そこで、その次の問題ですが、その次の問題については、この法案の出てきました根幹は、少なくとも私は、所得倍増計画のいわゆる工業の全国総合開発の計画が土台だと思うのであります。ところが、あれとこれとはちょっと矛盾した格好なんです。矛盾ということではないかもしれませんけれども、何か扱いの順序が逆であります。と申しますのは、四大工業地帯というものは、御承知の通りマキシマムで、この工業地帯においてはもうこれ以上は工業の発展というものは不可能になってきた。あるいはもっと、企業の立場からいえば不採算になってきた。そこでこいつをどこか地方へ分散させなければならぬ。その方が企業ないしは省の立場から見ると有利だ、こういう判断に立って、そういうところから出てきておるのであります。しかもその重点はどこにあるかというと、周辺のベルト地帯にあることは長官もよく御承知の通りであります。大体あの計画によりますと、四大工業地帯、それから周辺のベルト地帯、開発地帯、その他という順序になっております。そして十年間十六兆のいわゆる行政投資の配分等も、どこに一番重点が置いてあるかというと周辺のベルト地帯であります。ここに重点を置いて一番多くの配分をすることになっております。そしてその次が何といっても四大工業地帯であります。その次が開発地帯。それから、いわゆるその他というのは低開発地帯、こういうことになろうと思います。ところが、法案として出てきましたのはこれが最初であります。  伝えられるところによりますと、政府は近くこの国会に新産業都市建設促進法案なるものをお出しになるということであります。私の疑問は、これにもいろいろ書いてありますけれども、こういう基本の計画とこの低開発地帯の工業開発というものと、法案的にも内容的にもどういう連関を持っておるかということは明らかにならぬ。どっちに政府はウエートを置いているのかわからぬ。本来からいいますれば、これは二つ統一されて出さるべき法案であります。これをばらばらにして出しているところに私は、運用次第によりましては非常に大きなアンバランスが将来において出てくる危険があると思う。あるいはこの法案が、悪口じゃありませんけれども、代議士やなんかの選挙運動に使われて、しかもこれが非常に毒されて使われるという危険も出て参ります。さらにもう一つの問題は、これは私が言うまでもなく、工業の地方的分散なり全国的な立地計画というものは、その動脈をなしておるものは、御承知の通り全国の総合開発であります。たとえば道路の基本的な整備あるいは鉄道の基本的な整備あるいは港湾の基本的な整備、あるいは河川の基本的な改修、こういうものが根幹になって、これが幹であって、こっちには大きな実がなり、こっちには小さな実がなる、こういうことにならざるを得ないわけであります。こういうところとの関係もこの法案では明らかでありません。なぜ政府はこういうふうにこま切れみたようにして出してきたか、どこに重点を置くのか、これをそういう全体との連関の中で、どういうふうに扱おうとしておるのか、これらの点が一向に明らかでありません。これが明確でない限り、この法案を私は簡単には通すわけにはいかない、こう思うのであります。少なくとも全国的にそういう点を総合し統一的にものを運ばなければならぬ企画庁が、こういう無順序な、しかも法案をこま切れで、どこでどう結びつくやら全くわからないような形の法案を作って、しかも出す順序もばらばらに出してくるということは不見識もはなはだしいと思う。なぜそうなったのか、なぜそうしなければならなかったのか、そうして、今後においてこういうばらばらなものをどういうふうにして統一していくつもりか、運用面でどういうふうにして統一的にやるか、この点を長官から明確なお答えがない限り、私はこの法案は、このまま、はいそうですかというわけには参らないと思うのであります。この点はどうですか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 ただいまの御質問でございますけれども、政府が国土総合計画を立てまして、そうして基本的な日本の産業の立地あるいは経済活動の整備ということをやって参りますことは基本的な問題でございます。ただそういう基本的な問題をやります場合にも、やはり地方的な意欲というものが起きてこなければならぬことは、また当然でございまして、政府の根幹である計画を遂行しながら、そうした地方的な意欲とあわせて参ることが必要なことだと思います。でありますから、こうした低開発地域を政府が助成して、そうしてある程度工業の立地の目的のために税制面、あるいは財政面でもって援助していくということは、おのずから地方における工業分散、または自分の地方における工業の立地のそういった意欲を燃やしてくることでありまして、そういう意欲が一方では各方面に出ながら、一方では国土総合開発的な大きな計画と並行して、またその中においてそれを調整していくことが必要になってくると思います。お話のように、国土総合開発の根幹は四大工業地帯を中心にしたものでございますけれども、しかしその周辺のベルト地帯を育成して参るにしましても、全体としての背後をなします地方における工業の分散、また工業発達のための地方的意欲というものがなければ、そういうような大きな総合都市計画が完璧を期し得られないのでありまして、そういう関係において私どもは両方が矛盾しているとは思いませんし、おのずから補完の作用をなして並行していくと思います。  また将来、新産業都市というものを考えておりますけれども、これも現状におきます四大工業地帯が、すでに相当な飽和状態になっている。それは単に工業的に飽和状態になっているばかりでなくて、都市集中の結果から見まして、経済面以外においてもいろいろな問題が起こっておりますので、そういうような都市疎開の考え方も加えて参らなければならぬわけであります。そういう意味からいいまして、将来そういう面においても考慮を払いつつ、同時に低開発地帯の開発を地方的な意欲の盛り上がった上にあわせていきたい、こういうふうに考えております。しかし御指摘のように、将来これらの法律がいろいろな意味において全然摩擦がないか、あるいは相剋がないかといえば、全然ないとは私正直に言って申し上げられない。しかしながら、それらのものを調節しながら、また将来そういうような勢いが非常に盛り上がって参りまして、そうして完璧を期せば、これらのものをある程度一つの考え方にまとめていくことも、その発展の段階においては考えていっても差しつかえない問題ではないか。しかし少なくも現状においては、各地における低開発地域の開発意欲を政府としても認めて、それを進めていくということが、国土総合開発計画を施行する上においても必要なことだと思うのであります。従って両法案が現状においてすでに矛盾しているとか、あるいは反対的な、何か悪作用を起こすというふうには考えておらぬのでございます。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 今の長官の御答弁はきわめて抽象的で、要点をはずしております。私どもお聞きしたのは、所得倍増計画の総合的な工業立地計画においてはベルト地帯に重点を置いて、十六億のうちの四〇%ちょっとというものを、その地帯にぶち込もうというわけですね。低開発地帯には十何。パーセントしかぶち込まないわけです。そういうことで、どこに重点を置いておるかというと、どうしてもベルト地帯に置かざるを得ないという状態であり、また政府も意識的にそこに置いておるわけであります。にもかかわらず、こういう法案だけぽかんと出して、連関を持たせずにやるということはどういうわけかという点であります。  もう一つは、あなたは今、従来総合開発法なり、地方開発法というものはたくさんありますが、そういうもの、また今度新しく出てくる新産業都市、それらとこの促進法と矛盾しないと言うけれども、これの適用の次第によっては、私は矛盾する面が出てくるんじゃないかと思います。その関係をどういうふうに調整するかということは、政府が全部を統一して明確な方針を示さない限りうまくいかない。その点はどういうふうにお考えになっておるのか。矛盾はちょっと出てくるかもしれぬけれどもというお話ですが、それでは政府としては、あの所得倍増計画の中の全国的な総合的工業立地計画の重点を低開発地帯に置くのですか、置かないのですか。それとも依然としてベルト地帯に重点を置くのですか、どうですか。  それともう一つ、この法案の要点は私は三つあると思うのであります。一つは、あなたの説明の中にもあります通り、低開発地帯に進出していく工場に、いわゆる租税上の特別措置をして負担を軽くする、あるいは有利にする、それによってそっちへ行けという空気を作っていこう。もう一つは、従来もやっているのですが、今各地帯が工場誘致ということを一生懸命やっております。低開発地帯に限って特にそういうことが激しいのであります。その方法は何かといえば、大がい工場誘致条例を作って、三年ないし五年間の固定資産税その他の税金のいわゆる減免であります。これがおもな手段であります。それを今度のこの法案では、そのうちの幾分かを交付税でもって政府が肩がわりしてやろう、そうしてそういう方の開発促進の空気というか、あなたの言う積極性をなお増していこうというのであります。しかしもう一つ大きな落ちがこの法案にはあります。それは何かといいますと、第十条におきまして、工業立地のための積極的な諸施策をやれということをはっきり規定しております。ここでは具体的な事例を全部網羅しておりません。ごく一部だけ例示してあるわけでありますが、これには非常に金がかかる。従ってそういうことを低開発地帯の、財政収入等も少ないところがはたしてやれるかどうか。へたにやれば、こういうことをやったことによって、今度は一部を政府で肩がわりはしてくれますけれども、地方財政の非常な窮迫を来たして、場合によりましては住民負担を非常に増してくる。これはあとで私、具体的に申し上げますけれども、その危険性を多分に含んでおる。ですから、この法案の一番の要点は、要するに進出する工業に対して税金をまけて少なくしてやる、そして今各地方の市町村がやったり何かしているやつをちょっぴり政府が肩がわりしてやる、そのかわりに十条で今度はうんと負担をぶっかけてくる。こういう体制でやろうとしておるわけです。これと今度出てくる新産業都市との関係は、こういう点についてどうなのか、というのは、これは内容の実体的な連関を考えてみますと、へたをすればむしろ実際にはこういう格差がひどくなる危険性さえある。行く工業にはいいでしょうけれども、そのほかのいろいろな問題を考えてみますと必ずしも安心はできない。それと国土総合開発法その他地方開発法との関連というものも全般的に統一的に規定し、統一的に運用しなければならぬものだと私は思う。特に経済企画庁としてはこの点に特段の配慮を払うのは当然の任務だと私は思う。各省庁はそれぞれなわ張り根性でいろいろ手前勝手なことをやるのですが、少なくとも経済企画庁というものは、そういうことではならぬと私は思うのです。その経済企画庁が、こういうこま切れみたいな連絡のないものをぼんぼん出してきて、これだけ通してくれということはおかしいじゃないかということを聞いておるわけであります。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 国土総合開発計画が、お話しのようにベルト地帯を非常に重視しておるし、あるいは財政その他の措置においても、そこに重点を置いておることは申すまでもないことでございます。しかしそれだけで日本の総合開発がいいかといえば、そういうわけには参りません。ですから低開発地域に対しても、ベルト地帯に十分なことをすると同じ程度にはできないまでも、少なくもこうした低開発地域における地方の開発意欲というものに政府がこたえていきますこと、そのこと自体は国土総合開発計画と矛盾するものではないのでありまして、しかもそうした施設が逐次できて参りますことは、将来の新産業都市にもなり、新国土総合開発計画の中における重要な地点にまでも発展していくということにもなると思うわけでありまして、たとえば重点をベルト地帯に置くから、もう国土総合開発として地方的なものにはそう力を入れられないけれども、地方はなおざりにしていいのだということには参らぬと思います。従ってこういうことによって低開発地域の開発促進というものに力を注いでいくことが必要になってくると思います。  なお今お話がございましたが、十条でいろいろな義務的なものをここに負わせる、従って今日わずかなものでも地方団体がある程度やっておるような減免税の措置だけを若干肩がわりするだけでは、かえって地方負担が多くなるのじゃないかというお話でございますが、むろん今日まで工場誘致のために地方公共団体も特殊ないろいろな優遇措置をとられております。しかしこういう場合に政府がある程度めんどうを見てやることも地方の実情からいえば必要になって参ります。ただそうして工業ができてくる場合に、それに伴いますいろいろな施設をいたすことが、その地方の工業立地条件をさらに一そうよくしていくことになるわけでありまして、従ってそういうことの十分な促進に努めていただかなければならぬというのが、この十条の意味するところでありまして、そういうことによって将来大きな工業的都市としてその方面が発達するんだ、だからこれからの産業は工場だけを誘致したのでは大きくなれないのだ、地方としても工業を誘致する以上はそういうことに対して万般の注意を払って努めてもらいたいということに相なると思います。むろんこの開発法自体でもって全部を規定するわけにはいかぬことは当然でございまして、こういうような低開発地域におきます工業条件が逐次改善されて参りますれば、職業訓練もやらなければなりませんでしょうし、あるいはたとえば文部省が考えておられます高等工業専門学校というようなものの立地条件を獲得する理由にもなってくるわけでありまして、そうしたすべての問題をこの法律の中にきめていくわけには参らぬことは当然でございます。そういう意味においてその精神をここにうたって、ともども発展をさせていくということなのでございます。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 長官はなかなかうまいことを言われますが、何と言ってもこの法案の骨子は、こういう低開発地帯に進出しようとする新しい企業に対しましては、至れり尽くせりかどうかはわかりませんけれども、今までに比べれば租税の特別措置をして税金は負けてやろうというようなことがあって、非常に至れり尽くせりであります。これでいけば地方も今まで自分で全部背負っておった税金その他の負担を一部だけではありますけれども、交付税で国が肩がわりしてくれるというのですから、その点では楽になり、そういう進出企業に対するサービスは今まで以上によくできるでしょう。しかしながら反面におきまして今までは第十条のような規定はなかった。そこにいろいろの矛盾も出て参ったわけであります。しかしながら今度この十条ではっきりと工業基盤の整備ということを地方自治体が義務づけられるわけです。しかもこれは非常に金がかかるということになりますと、要するに企業はいいが、地方自治体や地方住民からいえば、これによって政府から交付税の一部増額ということによって、非常に大きな大荷物をしょわされた格好になるわけであります。それが長官の期待されるように、すべて雇用機会の拡大、これは数字的には確かに拡大になりましょう。しかし量的な面を考えれば、今までの実績から考えますと必ずしもそうはいかない。さらにそれを取り巻く農業その他の状況を考えてみた場合には、よくなるかというとかえって悪くなる公算の方が多い。そういうところから見ますと、私は必ずしもあなたの言うようには理解できない。要するに企業を一番優遇している。政府と地方自治体との関係からいえば、これはエビでタイをつるようなやり方ですね。わずかばかり肩がわりしてやって、あとは全部しょって下さい、こういうことですから、企業にとってこんなに都合のいい方法というものはないと思う。しかしこの点はこれ以上論議をしてもしようがありませんから、その次の根本の問題に移りたいと思います。  こういうふうにして低開発地帯に工業が分散をするように政府としては条件を整えていこう、こういうわけでありましょうが、はたしてこれでうまくいくかということを実は疑問に思うのであります。と申しますのは、こういうふうにいろいろいたしましても、あるいは次の新産業都市何とかというものが出るにいたしましても・どこに立地するかということは企業の自由であります。これは所得倍増計画でもはっきり認めておる原則であります。その企業がどこへ立地するかということを選ぶ根幹というものは何かということを私は考えてみなければならぬと思うのです。この法案の目的は、少なくとも表面では経済の地域格差を少なくし、あるいは雇用機会の増大をする、こういう政策的な目標であります。しかしその政策的な目標通りに企業が動くかというと、そういう基準では企業は立地しない。企業の立地する場所というものは自由であって、その条件はまた別のところにある。その条件はいろいろあると思うのでありますが、長官はこの矛盾といいますか、アンバランスについてどんなふうにお考えになっておるかという点であります。私はこの点についてはこう考えるわけです。企業が立地する場所を選ぶ場合、結局総合的な採算性が有利になるということを土台にして選ぶよりほかございません。その地方の経済的格差を小さくしよう、あるいはその地方の人間の雇用の拡大をしてやろうということを考えて商売をしておったら、商売は成り立つはずはない、これは藤山さんが最もよく御存じだと思う。その総合的な採算性が有利だという点の判断をする要因というものは、幾つかあると思うのであります。これはまたそれぞれの企業なり何なりの性質によっても違って参ると思うのであります。しかしながら少なくとも今申しましたような、おくれた地帯の経済的な格差を縮めて、雇用の機会を拡大するということになれば、国としてこういう低開発地帯に分散してもらいたい企業はどういうものかといえば、これは労働集約性が高い企業ということに当然落ちつく、これが理想的だと思う。そればかりではいけませんけれども……。これを中心に一つ考えてみた場合に、何といっても原料ないしは製品の運賃のコストが非常に安くこれがやはり企業が立地する場合の一番基本の条件だ。それには鉄道なり、道路なり、港湾なり、そういう施設が十分整っていて、その指定地域内だけでなく、これをとりまく地帯がそういうことになっているということが第一の条件でしょう。これは全般の総合開発の問題。ところが低開発地帯はこういう意味で総合的に道路や鉄道や港湾の設備に一番おくれた地帯です。こうした地帯へこの程度の優遇措置で企業が行くかどうかということが一つ疑問になる、その点でもびっこになっているのじゃないかと私は思う。  第二の問題は、何といいましても市場に近いということだろうと思うのです。その消費市場に、いわゆるシェアを確保するというのに一番都合のいい地帯ということだろうと思います。こういう点から見れば、この低開発地域は工業は一番おくれている。農業もおくれている。従ってこういう製品市場としては一番おくれた地帯であります。そのまん中へこの程度の条件で企業が出ていくかという点であります。この点も私は非常に疑問に思うのであります。  第三はどういう点かといいますと、これはこういう問題だろうと思うのであります。何も機械企業には限りませんけれども、機械企業とか労働集約性の高い工業といいますれば、やはり機械産業あるいは電機産業あるいは電子工業、今日の段階ではこういうものだろうと思います、こういうものは御承知の通り単独ではできません。日本のこういう企業はほとんど、全部が組み立て企業であります。従ってこの企業が成立するためには、その周辺にたくさんの下請の部品工業といいますか、中小企業が相当程度の発達をしていなければやれないことであります。これはもう私が言うまでもなく、長官よく御承知のことであります。東京あたりでは三十人以上三百人以下の工場の大部分は、ほとんど全部がこういう下請的ないわゆる部品工業だといわれております。こういうものが一定の発達をしていなければ、それを全部ひっかぶって自己経営をしたのでは、日本のこういう機械企業や電機企業や電子工業は成り立たないのであります。しかもそれは非常な低賃金でなければならぬのであります。こういう条件の上に初めて成り立つのであります。ところがこの低開発地帯というのは工業がおくれているということは、そういう部品工業的ないわゆる中小企業なりそういうものが一番ないという地帯であります。ないところへそういうものが出ていくかというと、私は出ていかないと思うのであります。もしこれを出ていかすようにするには、そういうところへ行く工業に国なりなんなりが、よほど思い切った援助方策をとるか、特殊な形態をとらなければ私はいけないと思うのであります。こういう点について、私はこの法案というものは矛盾しておると思う。そこから出てくるものは何かというと、あなたがおっしゃるような雇用機会の拡大とか、経済の地域的な二重構造がなくなるというふうなあまい理想ばかりは持てないのじゃないかということが第三点としていえると思うのであります。  第四点、もう一つは何かといいますと、やはり私は日本の貿易構造にかかってくる問題だと思います。いわゆる低開発地域というものは、ほとんど今日のいびつな対米一辺倒の貿易構造の影響といいますか、その制約下にあるわけであります。もっと具体的にわかりやすく言えば、ソビエトとの貿易が全面的にさかんになり、中国との貿易がさかんになり、あるいはおくれた地域との日本の貿易がほんとうにさかんになるという態勢になっておれば、九州のあのおくれた地帯にいたしましても、あるいは裏日本方面にいたしましても、あるいは東北方面にいたしましても、そこからどんどん原料が出てくる。そっちへどんどん製品がはけていくということになるとするならば、ほっておいてもこういう地帯に新しい工業が行く。ところがこの構想はそうじゃないのであります。今の片ちんばなびっこの貿易構造というものは、今後十年間は続くという前提に立った所得倍増計画を前提にしてやろうというのであります。ですからここにも私は非常に無理があるので、こういう点を直さずして、こういう程度のものをやってもだめじゃないかということを考えるわけであります。  もう一点は、何といいましても、こういう低開発地帯へ工業立地をさせる最大の要因は、大規模な大胆な公共投資といいますか社会投資、これをもっと重点的に突っ込んで政府の負担において、どういうところの産業基盤というか、産業の立地条件を、根本的に早くしかも思い切って変えるという考慮がなければ、私はこれもだめだと思うのであります。ところがこの法案の裏づけになっているものはそうじゃない。依然として金の流し方の重点はベルト地帯で、こういう地帯には一番金を流さない、こういう計画に所得倍増計画がなっているんじゃないですか。そういういいかげんなことをやっておいて、そうしてエビでタイをつる程度のごまかしで、行くなんという企業は私はないと思う。この点長官はどうお考えになりますか。  もう一つ最後に、最近の企業の形態、特に新しい企業の形態というものは、何といってもコンビナート形態が中心です。石油と石油化学、あるいは製鉄とその他と結びつく化学、あるいはいろいろなコンビナートがあるわけです。このコンビナートは何といっても海岸企業であります。内陸企業というよりは海岸企業です。もっとも最近は東海道沿岸のベルト地帯にはそういう適地がないということで、ほかにやっているところがありますけれども、今の原料その他の輸入体制からいえば、どうしたってベルト地帯に重点を置かざるを得ない、従ってこういう低開発地帯に出る可能性というものはほとんどないのじゃないか。こういうところに出る企業はどういうものかというと、非常に限られたものになるわけであります。そういう限られたものが、この政策目標であるところの、いわゆる経済的な地域格差を少なくするとか、あるいは雇用機会を拡大するというのは、うたい文句としてはけっこうです。しかし現実にこういうことがうまくいくかどうか、そういう点の検討なくして、この程度のエビでタイをつる式のやり方で、あなたのおっしゃったような、いわゆる地方開発の意欲を大いにこれでわきただせよう。今でさえ御承知の通りこういう地帯の連中は、一生懸命でいわゆる工場誘致をやっております。ところが工場誘致があまりうまくいっていない。それでこの程度のつけ届けをして、さらにあおったらこれは一生懸命やります。しかし先走ってやって、こなかったらどうしますか。その危険性だってあるでしょう。企業は行くといっても確実にやるとは限りません。いざとなれば最後にしょんべんする場合がたくさんあります。そういう場合の負担なり責任なり跡仕末はだれがするのですか、こういう点も考えてみなければならぬと私は思うのであります。政策目標としてはこういう目標もけっこうであります。けっこうでありますが、少なくともあなたのお立場、資本家の立場、自民党の立場からいえば、何といっても企業の自然的な欲求といいますか、自然の流れというものをある程度伸ばす、あるいはある程度これを裏打ちして、企業の横暴というか、めちゃくちゃな行き方に筋道をつけるということが、そう言っては失礼ですが、今の内閣なり自民党さんのやれる限度じゃないか。私どものような社会主義的な立場に立てばもっと違ったことをやります。しかしそれは根本的な立場が違う。この立場の違いがなければここに書いてあるようなうまいことはいかない。にもかかわらずうまいこといくように考えられているのは不思議じゃないか、これはごまかしではないか、こう思うのですが、この点はどうですか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 久保田さんの言われますことも、ある意味において私どももわからないことはございません。しかしそれではいかないから、そのままでいいかというような状況に置いておくことは相ならぬのでありまして、やはり地方を開発していくことが必要だと思います。政府がいかにあれしても、産業人はそれぞれの立地条件を考えるのじゃないか、そうしてその基本的なことは道路であり、港湾であり、交通であるということは申すまでもございません。いかにいい他の条件がありましても、土地が安いとか税金が安いとかいっても、交通機関が十分でなければこれは参らぬのでございます。従ってそういうものの整備というものは、やはり今後の道路の建設計画その他でもって、基本的には大きな大動脈を作っていく、そうしてそれに伴って府県の道路も整備していただきまして、道路面からもそういう条件を整えて参らなければならぬことは当然でございまして・そういうものがないがしろにされては相ならぬし、こういう計画も十分に遂行できないことはこれは当然でございます。従って道路の十カ年計画等についても、財政余裕があればできるだけ早い機会にそういうものを完成して、地方的な開発計画に即応してもらうようにして参らなければならぬことは、もう当然なことでございます。また港湾等の問題につきましても、大港湾はもちろんでございますが、地方的な港湾の整備ということも、やはり日本の全体の開発計画の上には必要でありますし、それが今お話のような原料の輸入条件なり製品の輸出条件なりを、相当左右することも当然でございますから、それらのものもあわせて港湾整備の計画等を遂行していただかなければならぬのでございまして、こうした地方開発については、むろんそういう政府の全体の施策がやはり並行して参らなければ、これだけでもって地方に工業が移っていくというわけには参らぬことは御説の通りだと思います。でありますから、そういうものと並行して施策が進められていく間に、やはりその地方の自治体としては工場誘致のために何らかの措置をとって参らなければならぬのでありまして、そのこと自体は決して企業家の魅力にならぬわけではございません。従って企業家が、同じような道路の条件等があれば、やはりその土地の方の自治体がいろいろなそういう便益を与えることによって、企業を持っていこうという意欲も出て参るわけでありますから、政府がそういう意味において地方自治体を助成して参るということは、工業の地方的な分散には役に立つことだと考えております。  そういうことでやって参りますので、従って先ほどお話がございましたように、低賃金の魅力と申しますけれども、実は今日工業が地方に工場を作ります場合には、基本的にはもうほとんど同一賃金でございまして、地域的な意味においての格差というものをつけるわけにはいかない点がずいぶんございます。従ってどこに出て参りますにも、大工業が何か地域的な労働賃金の安さということで魅力を感じることは、私は少なくとも自分の経験を見ても、そういうことをそう念頭に置いておりませんが、ただ若干地方的な住民の伝統的な性格というようなものが、企業家にとってその地方の労働力を吸収して参ります場合に、やはり相当念頭にあることはむろんでございまして、たとえば東北の非常に質実な人たちが、忍耐強く、たとえば新しい化学工業の、一日ゲージを見て暮らすというようなことは、かなり東北人の特性には合ったような感じもいたします。またあるいは東北人と違って、行動が非常に活発であるとかいうために、そういう面から見て、この種の産業はこういうような活動力を持った、むしろじっとすわって何か見ているというよりも、活動力を持った仕事の方が特性を生かしていけるのではないかというふうな感じもあることは、これは産業経営者としてもっともなことに考えられます。またございます。しかしそれが非常に大きなファクターに必ずしもなるとも思いません。従って要するに問題は、今お話がございましたような道路ですとか港湾でありますとか、あるいは交通関係の整備ということが一番大きな重要なファクターには当然なってくると思いますので、そういうところは今申し上げた通り、他の計画と並行して、こういうものが進められて参らなければならぬので、そういうものは全然行なわれないで、こういう計画が十分な成果を上げるとは私も期待はいたしておりません。  貿易構造の関係からいって、日本の貿易が対米依存であって、対東南アジアその他に対してこの点から困るじゃないかというようなお話もございますけれども、これは対米貿易にかりに十分なウエートをかけるにいたしましても、工場の建設ということが何も東京なり大阪なりだけに限らないでも私は可能だと思います。たとえば貿易の品物にいたしましても、日本が出しております品物から見ますれば、東京を中心にして大工業的な優秀製品がこれから出て参りますけれども、必ずしもそれだけに限定されてはおらぬのでございますから、そういう意味においては、地方の農業と結んだ工業方面いわゆるそうした面からの輸出産業も起こし得るわけでございまして、かりに対米に重点を置いたということを仮定いたしましても、私は、そのこと自体が決して地方分散を阻害するものではないと思っております。またたとえば地理的に考えてみまして、東南アジア方面等の将来の低開発国との貿易を考えて参りますと、これらに対していわゆる重機械工業等の大きな経済協力をやって参ります以上に生活水準が上がって参りますれば、現地においてもそれぞれの産業ができて参りますことは当然でございますけれども、それに協力するようなわが国の中小企業というものが発達して参ることは申すまでもないととでありまして、そういう面において必ずしも東京なり大阪なりということでなしに、新しいよき立地条件を求めて出発するならば、私はそれは不可能ではないのではないか、こういうふうに考えております。  それからお話のように、関連産業がなければ産業が成り立たないじゃないか、これも大きな企業の場合には特にそういうことが感じられるのでございまして、私ども実際工場を経営しておりまして、地方に持って参ります場合に、すぐにそのそばに修理工場がない、たとえば下請工場でなくても、修理工場がないというようなことが立地条件のために非常な不便になる。一々東京なり大阪なりあるいは北九州なりに持っていかなければならない、そうして修理をするその修理の間、ある場合にはやはり休まなければならぬし、そういう期間があれば休まないでやる場合にはスペアを持っていなければならぬというようなことで、そういう意味において関連産業がございますこと、下請ばかりでなく、修理工場その他修理施設あるいはそういうようなばらばらのものがそろって参りますことは理想でございます。理想でありますけれども、しかしそれだからといって、そういうものがそろわなければ全部工業地帯に成り得ないのだということを待っておりましたならば、やはり百年河清を待つようなことでございまして、そういうものが順々に成り立つように、いろいろな意味で助成をしていかなければならぬと私は思います。でありますからそういう意味では地方産業が若干ずつレベルを上げていきまして、そうしてかりに大企業がそういう低開発地域に移動しますような場合にも、その修繕工場なり下請工場なりの母体になれるように育てて参らなければならぬ。それはやはり地方の若干の需要の上に立って出発することも、修繕工場等は、ある場合にやむを得ない場合があろうかと思います。御承知の通り、たとえば今日日立が日本における非常に大きな電機メーカーになっておりますけれども、日立自身はほんとうの日立鉱山の一つの修繕工場から出発したのでありまして、初めからあれだけの大きなものが日立にできたわけではございません。ああいうものができてくれば、従ってまた他の仕事も常磐地帯一帯に起こり得ることなんでございまして、そういう意味からいえば、やはりそういう地方の、たとえば現在の自動車修理工場というようなものは、トラックでも乗用車でもふえて参れば小さなものでも必要になる。そういうものが将来どうしたら発達していけるかということもあわせて通産行政の上で考えて参らなければならぬ問題だと私は思うのでありまして、お話しのようにいきなり大産業を持っていこうという場合にはそういう点が多分にございます。あるいはまた中小企業を興す場合でも、そういうような関連産業が興っておりませんければ十分でない場合もあるわけでございますが、しかし、それでは興ってないからといって、有利な工業条件を持っている、たとえば水がいいとか、あるいはその地方の気候が紡績にいいとか、そういうようなものをそのままいつまでも放置しておくのも私どもはいかがかと思うので、こういう意味で助成して参りますことが一番適当なことだ、こう考えておるのでございます。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 質問時間がだいぶ短くなったのでかなり端折らなければいかぬのですが、今長官からいろいろ御説明がありましたけれども、どうも私はまだ納得のいかぬ点があるのです。たとえば貿易構造の問題、共産圏貿易の問題でも、裏日本や東北では事理明白です。これが開けているのと開けていないのとではどうなるかということは事理明白です。御承知の通り、アメリカから材料を持ってくれば、五千キロ以上のととろを船運賃をかけて持ってこなければならぬ。あっちから持ってくればたしか三百キロ以内だと思います。多少船運賃が高いとしても、向こうの方が有利なことは明らかです。そういう運賃負担が相当に大きなウエートを持つ以上、これはやはり経済構造の改善ということが基本にならなければ、ほんとうにこの計画が軌道に乗るというわけにはいかない。これは明らかだと思います。そのほかいろいろありますけれども、あとは時間がありませんから省きます。  私は、この機会に、これは長官に御質問した方がいいかどうかわかりませんけれども、この法案を実施する場合に現地にどういうことが起こるかという点を、少し具体的に私どもの経験から御説明を申し上げながら、これに対する政府の対策をはっきりお聞きしておきたいと思うのであります。  第一は、地域住民との間に起こるいろいろな問題であります。私ども長年農民運動なんかやって、実はこれで非常に苦労させられてきておるのであります。私どもが苦労するといっても、私ども自身が直接腹が痛むわけではありませんから、私どもの苦労はまだ楽なものであります。しかし、現地の実際の住民というのは、これで実は非常に苦労いたすのであります。第一は地価の問題であります。御承知の通り低開発地帯は、農業の衰微というか不採算に応じまして、農地等の地価は全体として下がっております。しかし、工場進出ということが決定をしますと、地価が急騰するのであります。これはどこでもそうであります。そうして取得が非常にめんどうになるということになるのであります。この原因はどこにあるかということであります。これは多くの場合、やはり土地ブローカーの暗躍がまず口火を切ります。私どもの方あたりも、今度アラビア石油を中心として石油コンビナートができるということになると、市会議員その他がそれを小耳にはさんで早くから土地を買い占め、そうしてつり上げるということをやる、またその他の土地ブローカーも入って参ります。これが第一の原因であります。こういうのを何とかして押えるということをしなければいかぬ。もう一つは、農民もとにかく自分の先祖伝来の生活のかてである土地を失ってしまって、あとのはっきりした保障がないのであります。いろいろとうまいことを役所や会社は言います。けれども、多くの場合これらの補償は満足に行なわれたためしがない。私どもの方でも御承知の通りたくさん開発が行なわれております。そこでその開発をされて土地を買われたあとの百姓の二年くらい先の実態を調べてみますと、みな以前より悪くなっております。これは静岡県でも——私は名前を言ってもいいのでありますが、あまり名前を言うのは工合が悪いから言いませんが、県でも調査してびっくりしております。こんなはずはなかったと言っております。しかし現実は悪くなっておる。こういうことですから、どうしても自分の唯一のよりどころである土地を高く売ろうという空気になるのは当然であります。これは望ましいことではありませんけれども、そうなりがちであります。もう一つはこういう事情があります。この事情を長官は一つよくお考えいただきたいと思う。それは土地を売った代金の中から、御承知の通り不動産譲渡所得税というのを取られます。今度のこの法案では、会社の方は特別措置でもって不動産取得税は棒引きにしてくれます。ところが売った百姓の方は、不動産譲渡所得税というものを必ず取られます。これは地域が広くなれば、従って一人の売る金額がよけいになればなるほどよけい取られる。大体一割五分から二割五分程度はとられるでしょう。これは計算が非常にめんどうですからすぐには出ませんが、このくらいは取られます。これを取ったあとのものが手取額ですから、農民としてはどうしたってそれを織り込まざるを得ません。もう一つは何かというと、どこでもこういう工業開発をやるというような地帯は、いわゆる都市計画が実施されるということになる。そうすると、御承知の通り都市計画税というものを毎年取られる。これも負担増であります。さらに税金がいろいろな意味においてふえてきます。こういう大会社が来たりなんかして工場ができるから税金が減るかというと、そうではない、ふえるのであります。税外負担もふえます。これはあとふえるものについてはなぜそういうようになるかということを説明いたしますが、ふえる。これもやはり出していかなければならぬということであります。それからもう一つは、やはり都市計画に連関いたしまして、御承知の通り余った土地から減歩というものを取られるのであります。これは都市計画の公共用地のためにただ取られるのであります。余った土地の割合から、多いのは——これは御承知の通り名古屋が一番多かった。一反歩持っておった連中はそのうちの六割をただ取られる、これは極端な例だが。多くは大体二割前後であります。二割ただ取られる。そうすると、多少残った土地が値上がりしましても、これは地価全体としては下がる。私が関係しました千葉県のある例のごときは、大体三十万円で売った。そして残った土地でどのくらい取られたかというと、平均して減歩が三割八分七厘、ですから、実際には十八万円で売ったと同じであります。こういう結果に、今の都市計画法ではなります。これをやはり見込みますから、高く売らざるを得ない。  それからもう一つは、たとえばそこで今度は百姓をやる、あるいは百姓からかわって何かほかの商売をやるといっても、自分の部落では土地が手に入りません。かわってほかの商売をやろうといったって、どこかへ行って土地を買わなければならぬ。その場合の土地の価格というものはぐっと上がっておりますから、どうしてもこれを買うには、相当に高い価格で売らなければその代替地が手に入らないのであります。こういういろいろの事情がありまして、よく国会あたりで言うと、百姓はけしからぬ、けしからぬといって怒られますけれども、私ども内部へ入ってその連中の実態を見ますと、決してこれは無理じゃないと思う点があるのであります。しかし、こういうふうに土地が急騰することにつきましては、これは工業開発上非常な支障になることは明らかであります。これに対して政府は、何らかの統一的な防止策といいますか、合理的な解決策を準備すべきだと私は思う。ところが、これについては一向に手をつけておらないわけであります。この点について、長官はどういうふうに思われますか、この点をお聞きしたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 いろいろ実情から見た御意見を承りまして、われわれも参考になるわけであります。日本におきます土地問題というのは相当重要な問題でございまして、非常に狭隘な面積であって、人口も多いし、あるいは今後工業が非常に盛んになってくるというような状況から見まして、土地問題というのは相当重要な問題だと思います。われわれも将来十分検討して参らなければならぬ問題の一つだと思いますけれども、しかし、そうかといって、なかなか適当な解決方法もないのではないかと思います。われわれとしては、そういう問題について、今後とも十分留意して検討をして参りたいと思います。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 なかなかむずかしいので、これから留意してやりますでは、これはいつでも政府はそういうことを言うのです。これは二、三年来問題になっているむずかしい問題です。しかし、何らかの合理的解決策をこの辺で出しませんと、これは大へんなことになると私は思うのであります。ですから、特に工業開発上の土地等については、政府としては統一的な方針を早く出さなければうそです。と申しますのは、各政府機関、たとえば鉄道、あるいは建設省、あるいは電源開発、そのほかそれぞれがみんな土地の補償価額の算定方式というのをきめておりますが、みな違っております。こういう不統一なやり方ですから、やり方も不統一です。そして算定の方法自体がみな違っておる。こういうことでは、私はなお解決は困難になると思う。せめて企画庁が音頭でもとって、政府なり、政府関係機関なり、あるいは民間なり、大きなところのそういう算定方式の統一をする。そしてこういう場合の買い上げ方式も、たとえば会社直接で買う場合もあり、あるいは町村の委託買いをやる場合もあり、あるいはその他、方法もばらばらです。こういう点も、こういう計画的な立地計画をやる以上は、何らかの統一した方法というものをやれば、まだ違ってきます。建設委員会その他でもいつでも問題になりますのは、全部いつでもむずかしいからということでしり切れトンボになって、依然としてばらばらな方針がばらばらに行なわれておるということですから、これも土地を上げる一つのあれであります。農民は、必ずしも土地だけをうんと値上げしようということは考えておらないのであります。ほんとうの真意は、自分の生活が安定すればいいということであります。その生活の安定ということに対しての政府側の保障がない、会社側の保障がありませんから、やむを得ず最後のよりどころとして土地を高く売らざるを得ないということになるわけでありますから、この点を十分に考えて、何とかいたします、善処いたしますだけではなく、早急に、真剣に具体的に考えてもらいたいと思います。それでなければ、農民のためにも不幸です。農民が土地の値上がりに対して、いわゆる土地ブローカーや脱農待機型になってしまって、ろくなことはありません。先のことを考えてみますと、これはほんとうに農家が不幸になるもとであります。農民の立場からいったって、私は決して幸福ではないと思います。この点については、むしろ今までの政府の怠慢だと思う。そういう点は、一つがっちり早急にまとめるように私は要望しておきます。  それからもう一つ、これに連関する問題として、いろいろの土地の取得整備に関する問題で、長官もおわかりかと思いますけれども、私は、いろいろ現地的に問題になる点で、御参考に供しておきます。と申しますのは、よくどこでも紛争の種になって農民を怒らせる問題は、御承知の赤線、青線その他の国有地というのがあるわけです。これは農地のあぜとか、あるいは河川敷であるとか、そういうところです。これを政府の方は、国有地ですから、いつでも地方団体に無償払い下げができる規定になっております。無償払い下げをして、それを道路用地その他にやろうというのであります。これは表面上とすればちゃんと面積が出ていますけれども、実際はわからない。計算上の面積です。しかも、これは今まで政府は一文も金を出したことがない。みんな農民が金を出して管理してきた土地であります。農民は、自分たちの農業施設の一部としてやっておるのですから、名目上は国有地でありますけれども、これをただ取り上げて地方団体に無償譲渡をするなんというやり方が、実は問題をこじらせる一つの発端であります。こういう点は、まさか法律で作るわけにも参りますまいが、明確に中央政府が指示すべきである。特に大蔵省の連中はけしからぬ。今までそういうところがどこに何反歩あり、何町歩あるということを知らなかった連中が、最後の段階になりますと、これを無償没収にかかってくる、無償引き上げにかかってくる。その場合、今まで小作料も国に対して払わなかったということをぬかして、私どもはけしからぬと思う。この点についても、何らかの通牒その他の形で、こういうばかなことを行なわぬように、単なる法律論でなく、実質的に農民が作ったものであり、農民が長年にわたって管理した農地の一部である、これを今のようなばかなことをするということはやめるようにしていただきたいと思うのであります。これが一点であります。  それからこれは、やはりかえ地をある程度用意しなければ、問題が片づきません。かえ地は、その地域の場合もありましょうし、あるいはその地域のほかの地域で新しくかえ地を開くという場合もありますが、やはり農地なりあるいはその他の宅地のかえ地をある程度準備しなければ、これは問題の合理的な解決ができないのであります。ところが、官庁や会社がおやりになる場合は、これを大がいやらない。絶対にやらないといっていい。私どもはずいぶんいろいろこういう問題とぶつかったけれども、かえ地を用意してやったものは、最後まで円満に話が片づきます。ところがこれをやらない。町村長が本気になって、その上の官庁なり会社がその気になってやるならば、大がいかえ地の措置はできます。特にこの新かえ地を作る場合には、県の役割が重要であります。県がその気になれば、相当解決ができるのであります。これをぜひやってもらいたい。やらなければうまく問題が解決つかないということを申し上げておきたい。  それからもう一つは、いつも問題になりますのは、土地改良をやったという場合、まだ借金が残っておる。あるいは途中で打ち切りになりまして、補助金の返還を命ぜられる。これを土地価格の中に含んでいるというような格好で逃げる場合が多い。こういうのは、けしからぬ話であります。やはりこれは会社が持つか、あるいは市町村なり県なりどこかで持つか、はっきりしてやらなければだめであります。のみならず、今度そういう工場用地ができますと、今までやった土地改良がだめになるだけでなく、新しくやり直さなければならない。これは補助金がつきません。ほとんどむずかしい。むずかしいけれども、やらなければ残った農地の保持ができません。金がかかります。この負担をやはりしてやるということが、私はぜひ必要だと思うのであります。  もう一つ、一番解決の困難な問題は、どういうことかというと、この工場用地の建設に連関して間々起こる問題で、家屋や宅地、特に部落の一部または全部の移転という問題が起こってきます。この問題は、実は非常に解決困難であります。しかし、これは金の持ちどころがないのであります。土地改良の経費の都市計画の方では、なかなかこの金の出どころがありません。そうかといって、会社側は持たない。しかも、経費は非常に高い。一木一草まで補償しなければなりませんから、非常にかかります。この問題が解決しないために工場用地の整備がうまくいかないという問題が間々ある。これも何らかの形で法的な基準なり、行政的な基準で金の出しどころを明確にして解決してやるということは、ぜひ必要であります。これがないために問題がこじれて、いつまでたっても解決がつかない。一部の連中が意地になって、最後には動かない。そのために工場整備ができないという問題が、間々できるのであります。これは非常にむずかしい問題でありますが、お役人さんだって、実務をやっているやつは知っているはずであります。ところが、こういうむずかしい問題になると、中央のお役人さんが現地に来てやることは少のうございますし、地方のお役人さんも大がい逃げるので、非常に問題が複雑になるわけであります。電源開発等では、割合農林省が親身になってやりますが、非常に金がかかるからいやがります。しかし、これはどうしても解決しなければならぬ問題ですから・特に注意して、何らかの措置を講じてもらいたいと思うのです。  それから全般にいって、海岸の埋め立てその他の場合、漁場は、沿岸漁業、いそづき漁業では、畑や田と同じですから、もっと漁業補償は高く出すべきだ。今の段階では安過ぎます。この点をもう少し変えてもらいたいと思う。  それからいろいろの公害の問題ですが、これも実に解決の困難な問題です。水質汚濁防止の二法ができましたけれども、一番肝心な補償の問題と、それから公害防止の施設等の整備の問題が抜けておりますから、あれはしり切れで、ざっくばらんに言いまして、何にも役に立ちません。この点も必ず起こる問題です。非常に因る問題です。ですから、この問題については、公害の防止施設を、建前からいいますと、会社側なり何なりが持つのが当然でしょう。しかし、非常に金がかかる場合があります。たとえば私の方で、富士地区の紙会社がたくさんありますが、ほんとうの汚水の防止をするには、三十数億銭が要るそうです。一軒々々でやったなら、なおできない。合同でやっても、三十数億の金が要る。たれ流しです。ですから、あの川はもちろん魚もいなくなりまして、あの海岸は、もとは有名ないいいそづき漁業地でした。それが沖合い一キロの間、沈澱物が一丈くらいたまっております。海の色が変わって、魚が何にもいない。にもかかわらず、これに対して補償を、昔知事があっせんしましてスズメの涙ほど出したということで、仕方がありませんから、私が、自分のことを言ってお聞き苦しいでしょうが、三年越しかかりまして・どうやら暫定の解決をした。その向こうのある大きな会社ですが、ここの煙害の問題も、十数年もめておる。ところが、この煙害の防止の施設をすると、約三億円くらいかかる。出しておるのはどうかというと——ほとんど補償は出しておりません。実際には年々一千万円近くの災害をこうむっておるにかかわらず、補償を出していない。これを苦労しまして、どうやらそれより低い金で片づけましたけれども、こういう点について政府はきわめてあれです。ですから、この防止施設並びに損害補償は、こういう特に低開発地帯では解決してやらなければ、こんな工業だの何だの来てもらったって、ありがたくないのがほんとうです。これと本気に取り組んでもらいたい。何回かこういう問題は政府に迫りますけれども、かつて政府なり会社なりがまじめにこういう問題を取り上げたためしがない。こういう不誠意なことでは、私はいかぬと思うのであります。人間だって、工場だって、自分のたれ流し、それによって他人に迷惑と損害をかけて知らぬ顔をしているなんて、そんな文明国はありません。そういう工業化なら、やってもらわぬ方がいい。これは、長官は産業人でもありますし、ぜひ音頭をとって、魂を入れて解決するようにやってもらいたい。この点を強く要望しておきます。時間がありませんから、要望だけ申し上げておきます。  次は、転業保障の問題でありますが、御承知の通り、土地やなんかがなくなる。そうしますと、来た会社は、最初官庁と一緒になって盛んにみんな採用するというのです。そして給料は幾らだと盛んに言うけれども、さて進出に関する土地買収その他の問題が終わったら、はなもひっかけないという実情であります。ひどいものでありまして、採用しましても、ここに例がありますが、たとえば千葉県の茂原にできている東洋高圧の千葉工場なんかは、本工はたった六百九十名です。臨時工が二千人から二千四百人。それは確かに採用しますけれども、永久的な臨時工、社外工です。賃金はうんと安い。こういう格好が多いのであります。これじゃ雇われても何の役にも立ちません。こういうやり方でなく、中には良心的なものもあります。ですから、さっきあなたがおっしゃったように、大工場はそんなばかなことはない。全国一律賃金になっておるなんて言ったって、このごろそんな良心的な会社は少ない。こういう新開地においては、全部が全部じゃありませんけれども、これに似たようなやり方をやつ出ているのであります。そして新規の学卒の者だけは採って、臨時工に育てて安い賃金で使う。中年以上あるいは二十八以上は、私ども経験しておりますけれども、ほとんど一年勤めても、臨時工か社外工です。これを本工に直すことは、ほとんど少ない。こういう状態ですが、特に大企業に多いのであります。この点は、長官も認識を改めていただきまして、こういう点についても、政府が何らかの行政介入をする。特に県や市町村は、進出事務が完了するまではうまいことを言って、完了してしまったら、もう会社というものは治外法権ですよ。何も力がないから、会社の中で何をやっているやら、全然くちばしもいれられないという実情になってしまいます。この点も、労働関係か何かわかりませんけれども、私は、もう少し政府が権威を持って行政介入——法律規制とまでいかないでしょうけれども、やっていただきたいと思うわけです。この点をお願いをしておきます。  次の問題は、農業その他の転業の保障です。これも大体進出事務の完了するまではうまいことを言っていて、耕地が少なくなったらこういう新しい農業をやったらいいとか何とか、県庁や市の連中がわんわん言うのであります。しかしながら、さて完了したらはなもひっかけない。ですから、農民は、大部分どうしていいかわからない。非常に条件が違ってきますから、そこでどうしても農業の方はさぼってしまう。そして日銭の入る方にころんでいく。そして農業は荒廃をするという格好にならざるを得ないのであります。特にこういう低開発地帯のごときは、片一方においては土地がどんどん上がりますから、農業状況が悪くなる。片一方においては、労力がそういう臨時的な不安定な形でありますけれども、工業の方へ取られますから、農業労働の質というものは、だんだん女、子供、年寄りが中心になってしまって、しかも、これに対する指導がほとんど行なわれていない。特に農業関係の必要な資金を貸してくれなんて言ったって、お前売った銭があるじゃないか、あれを使えばいいということで、ほとんど金を貸してくれません。実際にはこういう状態ですから、農業の再編ができるはずがない。ですから、ほとんど全部が荒廃になってしまうというのが実情であります。そして結局は、農民が転落階級というようなことになって、比較的安く土地を手放すという関係になる。これはまた、土地を売った程度の金では、新規に商業なり何なりやろうという場合に、資金が足りません。その場合の補強をするための資金をあっせんしてくれるかというと、これもしない。しかも、農民はみんなで共同で取った金を使うという習慣が、非常にないのであります。これは不得手であります。共同でやれば、たいがい内部でけんかを始めます。これは残念なことですが、そういう実情ですから、こういう点についても、政府がもう少しやってくれなければならぬ。しかも、こういう状態ですから、土地は値が上がってくるから、住宅問題等の解決は骨が折れてくる。それから労力が払底してきますから、中小企業あたりにおいても、労力が払底して高くなってくる、人が得られない、かえって窮屈になってくる。もう一つは、最初のうちは、地場の中小企業に進出企業が提携をしてうまく育てるなんて、うまいことを言います。しかし、実際に今度進出が完了してしまうと、まず第一に、土建屋の大きなものが中央から来て、下請が四段階ぐらいになって来る。現地のものはほとんど使わないという関係になります。そしておもな関連産業や下請産業は、大部分その会社にくっついているものが東京や横浜から進出してきておる。そして地場の連中を排撃してしまう。こういう格好ですから、実際の地場産業、中小企業等には、ほとんどプラスになる面は少ない。長い目で見れば多少購買力が増しましょうけれども、当座においては、むしろプラスの面よりマイナスの面が多いというのが実情です。こういう点についても、長官として、ぜひ何らかの形で——法律で規定することは困難でしょうが、一つうまく指導してもらいたいと思いますが、御意見を伺っておきます。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 ただいま久保田さんから、工業地帯設置あるいは工場誘致の関連において、土地の問題、農村の問題、労働力の問題、また地場産業の育成問題等について、いろいろ御意見がございました。また、実情に即した御説明も承ったわけでございまして、それらの中には、若干強調された点もあるようにも思いますけれども、大筋において私どももそういう問題があろうかと存じます。そういう問題については、将来とも十分な対策を講じて参らなければ、円滑な工業発展を期し得ない問題でございます。特にお話のございました煙害、公害等については、これは単に経済的な問題ばかりでなく、厚生的な関係においても、国民の衛生的見地からも重要な問題でありまして、単に漁業補償とかなんとかいうだけでないような問題も多くございます。従って、そういう問題を政府としても十分理解し、また、それぞれの都道府県におきましても、当局者がそれに注意していくようにわれわれも指導して参らなければならぬことは当然でございまして、こうした開発法案を施行して参ります場合に、企画庁としても、そういう問題が起こらないように各省にも連絡して、それぞれの適当な今後の考慮を払うようにいたして参りたいと思います。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 時間がありませんから、相当突っ込んだ議論はやめますけれども、この点は、私ども長年歴代の政府に要望しておっても、一つも解決がつかぬ問題ですから、ぜひこの機会に誠意を持って——全部解決しなくてもよろしゅうございます、一部でも誠意を持って現地で解決のつくように、行政指導なり何なりを具体的に進めていただきたいということを、特に私は強くお願いをいたしておきます。  それから次には、市町村、地方自治体とこういう工業立地の関係です。これも長官が言われるように、実態はばら色の夢じゃないのであります。特に私は、この際、市町村の関係について申し上げてみたいと思います。何といってもこの第十条にあげておりますような、指定地域内においておもな仕事をやるのは市町村で、結局市町村が施主になって金を出すようになります。ならざるを得ない。もちろん、この指定地域につながる県道であるとか、あるいは国道であるとか、あるいは鉄道であるとか、そういうものは、これは国なり県なりそれぞれ分担をするわけですけれども、しかし、いずれにしましても、指定地域内のこういう建設といいますか、新しい町作りのあれというものは、これはほとんどが市町村が施主になるわけであります。しかも、今まで非常におくれていたところにこういう新しい工業なり何なりがいきますと、すべての行政の水準が上がるわけでございます。たとえば道路を作るにしても、従来の都市計画なら、人間なりあるいは乗用車が通ればいい程度ですから、比較的大きくて大体十メートルないし十二メートル程度の、いわゆる軽舗装の道路でけっこうであります。ところが、こういう工場がくると、私のところあたりは、今計画されているのはどうかというと、一番主要な街路計画の幹線は、大体二十五メートル、重舗装です。ですから、同じように道路を作る金だって、うんと違うわけでございます。すべてがこういうわけで、非常に経費がかかるのであります。この法案につきましても、あるいは次に自民党が用意されておる新都市建設計画にしましても、現在の都市計画法に基づく、あるいはその他のいろいろな法律に基づく国の従来の補助基準というものを、一つも動かしてないのであります。補助金の基準はそのままでありまして、そしてその上に、何かというと資金だけは貸してやろうというわけです。資金の便利ははかっていく。しかし、補助金はそのまま据え置きだ。私も、各新都市計画の方のあれを見て、各官庁の課長級を呼んで一人片々聞いてみました。ところが、この基本のいわゆる補助金の増額という問題を持ち出せば、これは党内でもまとまらぬし、特に政府部内というか、大蔵省が承知をしない。ですから、どうしてもその点は踏み切れないのだという説明であります。これはもちろん私的な説明でありますから、お含みおきをいただきたいと思います。その構想でこれができておるのであります。こうなりますと、私は正確にわかりませんけれども、ところにより、産業によって違いましょうけれども、おそらく都市のすべてのレベルを上げた建設——ここにあげてあるようなこんな単純なものではありません。私が勘定したばかりでも、大体十九ないし二十項目近くの新しい施設を作らなければならぬことになります。あるいは作りかえなければならぬことになります。そういう項目について、今の補助基準ではこれはやれません。町村はどうしてもやれません。かりに借金をさしてくれてもやれません。都市計画の方は、御承知の通り、きまっただけの経費じゃなかなか実際にはできません。ですから、私はこの点については、政府が新都市建設促進計画についても、この法案についても、多少の——これは地方ですから、あるいは片っ方の方はもっと大きなものを考えるでしょうから、業態や内容も違ってきましょう。違ってきましょうが、これについては、政府がもっと思い切っていわゆる補助金の水準等も引き上げなければだめだ。そしてしかも、その補助金も、各官庁々々々の部下が一つ一つ握って、自分の金を人にちびちび貸してやるような格好で、これを全部まとめるまでには、何度も東京に陳情に来なければなりません。私も、町村長をやって、よくその実情を知っております。へをひったようなわずかな補助金をもらうのに、東京までのこのこ出てきて——県へ何回行ったって片づかない。中央へ来て、そしてあちこちの官庁へ拝みをかけなければならぬ。こういうばかなことは、私はやめてもらいたい。僕は、これらには一律でいいと思う。道路がどうで、橋がどうで、何がどうだと、一々こまかくやる必要はないと思う。統一的な基準をもって、少なくとも総建設費の七割くらいのものは国費で補助を見てやる。あるいは全体の六割でもけっこうであります。このぐらいは国費の補助で見てやる。そうしてそのあとの残の半々くらいを、府県が半分持つ、あとの半分を——全体の事業費の一割五分くらいのものを大体地方が、市町村が持つという程度にしなければ、私はこれはいかぬと思います。この点を踏み切れない限り、幾らこういうぺパー・プラン——ペーパー・プランといってはおそれ入りますけれども、こういうものを持っていっても、この実態がわからないから、都市開発や何かをやって、条例を作ったりしてやっても、ぎりぎりになりますと大騒動になる。私の近くあたりにも、これをやった町村が、ほとんど全部今問題になっております。全部問題になって、町村財政が行き詰まって、その結果どうなるかというと、結局は税金や税外負担をどんどん上げている。そうして今度は会社の方でも、こういう施設を作ったあとの維持費がうんとかかります。今までのような維持費ではとても追いつかぬ。維持費がうんとかかるから、その方へ銭をよけい使いますから、一般の地域住民に対するサービスというものがほとんどない。特に農業や一般商業が置いてきぼりを食う、えらい目にあう根幹はそこにありまして、ほとんど捨ててしまわれるという結果になるというのであります。この点をぜひ一つこの機会にやっていただかなければ、この法案なんというものは全く仏作って魂入れずでありまして、これはいよいよ実施になって、この通り税金をまけてやったら、最後は結局住民の負担と地方財政の破綻を強くする以外にないと思う。これをただまけてやった税金の穴埋めの一部に、交付税でもらう程度では追いつきません。この点を私は、この機会に考えていただきたいと思う。  それからもう一つの点は、市町村において、こういう新しい産業を中心とする都市計画をやる人員が、ほとんどおりません。第一、この計画のできる技術屋がおりません。ですから、作ったものはいいかげんなんです。ですから、これはどうしてもこれをやるには、そういう人員を養成して——今までの都市計画や土木をやっていた連中では間に合いません。実際問題としては、あの都市計画や土木をやった者は、水道の計画一つできないのが大部分です。特に町村あたりに関係してきますと、ほとんどこれは役に立ちません。私、実際にやってみて、土木のような計算さえ正確に知らぬのが大部分ですから、仕方がない。そのくらいの月給しか出せないのですよ。そうして県にも、こういう新しい計画をやる人がそんなによけいにおりません。ですから、その点については、こういう計画をほんとうにおやりになるなら、そういう点を政府としては具体的に解決する方策を講じないと、私はうそだと思う。この点をどうやられるか、一つ私は、長官として御意見を聞いておきたい、こう思うのであります。  以上の点を一つお答えを願いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 ただいまいろいろお話がございまして、地方自治体の負担問題等、御意見があったわけであります。実情に沿う点はあろうかと思いますが、しかし、全部が国の補助金でそうしたものをまかなうということも、国の財政の上からいけば大へんでありまして、将来発展するというような基盤のものには、起債のワクによってそれを実行して、将来そういうような繁栄を来たすことによってそれが償還できるということも、これは根本的の筋としては相当考えて一向に差しつかえないことだと、私は思うのであります。全部が全部補助金にたよらなければならぬということは、必ずしも適当ではないと思いますが、しかし、今日までの実情からいって、今までのような道路の舗装にしても、重にしなければ工場誘致の場合に困るという、今後の自動車運送その他の関連から見て、トラックも大きくなる、そういうことが能率的になるというような、いろいろと今までと事情の変更もございます。でありますから、そういうものに即応して、政府の補助等について、そういう点を十分考慮して、現実には考えて参らなければならぬことは当然のことだと思うのでありまして、そういう点については、これらのことを実施して参ります場合に、われわれも考慮をして参らなければならぬと思います。  また、人的な機能が各市町村にはないじゃないかということでありますが、むろん非常な大きな計画をやります場合に、各市町村が必ずしもそういう十分な技術者を持っておるということは、目下の実情からいえばあり得ないことだと思います。中央なりあるいは都道府県なりが、そういうものに対して十分指導もし、手を貸していくというようなことが望ましいことでございますし、そういう点によって地方の足らざるを補っていくということは、当然運用の上において考えなければならぬと思うのでございます。今お話しのように、全体として自治体の運営の上にいろいろの影響を及ぼすべき問題でございますので、これらの法案が施行されるような段階におきましては、われわれも、その実情に即して、自治省と毛相談の上、地方財政及び国の財政等を見合いながら、こうしたものが円滑にいきますようにやって参るつもりでございまして、そういう点においてなるべく万遺憾なきを期して参りたい、こういうように思っております。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 どうも長官の答弁は、はっきり認識していないと思うのです。よくお役人さんが言うのですけれども、将来収入が増すから、それで穴埋めしていけばいいじゃないか、そんなわけにいかないのです。将来大きくなってから出す税金ぐらいでは、実際は行政水準はだんだん上がっていきますから、その穴埋めだけで一ぱいですよ。一番最初に作った大きな借金の元利償還なんて、実際にはできないのですよ。これは東京とか大阪とか、こういう大都市になってしまえば別ですけれども、少なくとも二、三十万程度の都市で、大体において財政規模が二十億程度のものでしたら、ほとんど実際にはできません。それをやるには、必ず税金をよけいとるか、税外負担をよけいするかしなければできないです。よく自治省や何かのお役人さんは、そう言います。将来どんどん収入がふえていくからいいじゃないかと言うけれども、実際私どもは、自分も町村長をやってみて——今のような大きな問題に取っ組んだわけではございませんけれども、小さい問題でも取っ組んでみると、今までそういう関係で町村長連中、市長連中と懇意にしていますけれども、そういう連中の実態を見てみると、そういかないのであります。いつも企画庁の諸君はそう言う。何かというと、将来税金が増すから、それでもって穴埋めしていけばいいじゃないか、今の段階では金を貸してやればいいのだ。そういうものじゃないのであります。将来は税金はよけい入るようになっても、必ずしもそれが不必要なのではなくて、それを全部つぎ込んでも、大きな一流の会社等の場合は、特に官署や会社に勤める人たちが要求するような行政水準の維持ができないのであります。その方に金をよけいつぎ込んでもできないくらいなのが、今日の実情であります。ですから、最初に大きな借金をして、それがうまくあとで返せるというようなわけには、とうていいかないのであります。ですから、この点を私は根本から認識を変えていただきたいと思う。それでしたら、私は、ここでこういう総合的な全部の計画をやった場合に、市町村負担が幾らになる、国の補助金が幾らになるという明確な資料を出していただきたいと思う。それによって検討してみたいと思います。その後におきます行政の水準の状況によって、それは幾ら銭がかかって、幾ら税金が入ってどうなるということを検討してみれば、一目瞭然ですから、この点は、どうか一つその場限りの国会答弁でなしに1長官、そんなことはあまりおもしろくないかもしれませんが、市町村や何かのやつは、こっちのいいかげんなやつが適当にやっていればいい、あるいは工場や何かスムーズにいけばいいというお考えかもしれませんけれども、これは困ります。ぜひ一つ、この点は明確に認識を変えていただきたいと思うわけであります。  時間がありませんから、私はたくさん質問しようと思っておりましたが、これで端折ります。最後に、私はもとに戻りまして、どうしてもこの法案というものは、いわゆる次に提出を予想されておる新都市建設促進法案並びに今まですでに行なわれております国土総合開発法あるいは各地方の開発法、こういうものとの連関においてこれを統一することがぜひ必要である。少なくとも統一的に審議をすることが必要であります。この法案だけ切り離して審議をするということは、国会審議の常道じゃない。この法案は、非常に重要な問題を含んでおります。最初に申し上げました通り、この法案の実施の実態いかんによりましては、農民等には、農業基本法以上に大きな悪影響を持ってきます。こういう重要な法案ですから、この次に出るときにこの問題はやりたいと思っておりますが、同時に、そのときに、こういう問題についての基本的なこと、つまりこの法案の統一的な運用なり、これを前提にして、それではこれをどう具体的にやったらいいかということについて、政府とは違った私どもの考えをはっきり出したいと思います。  時間があれば、まだいろいろこまかい点について御質問したいのですが、何といっても時間を制限されておりますので、これ以上の質問時間を持つわけにはいきませんから、きょうはこれで私の質問をやめておきます。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 いろいろ御意見を承りまして、われわれも参考になるところが多かったと思います。ただ、誤解なくしていただきたいのは、私は起債等だけでやれと言っているわけじゃございません。起債等を中心にして考えることも考え方であります。ことに、先ほど御指摘のような、道路を重舗装しなければならぬ、今までと違ったというような場合における舗装という問題については、今後やはり新たな角度から考える必要もあろうということを申し上げているので、決してそう片寄って申し上げているわけではございませんので、御了解願いたいと思います。  なお、これらのいろいろな法案がありますことは、おのずから補完作用をなして参るのでありまして、そういうような情勢に応じてこれらの案が出て参りましても、将来これが運用されて参ります場合には、相互矛盾をし合うということがないように、われわれも考えていかなければならぬのでございますし、ざっくばらんに申し上げれば、私なども、企画庁に入りまして、こういう法案がたくさんあるのに実は驚いているくらいなのでございまして、こういう問題を将来どういうふうに調整するかということは、非常に大きな問題だと思いますので、十分考えながら今後の施策をして参りたい、こう存じております。

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 西村力弥君。

西村力弥日本社会党

○西村(力)委員 地方自治団体としては、低開発地域においてはいろいろ問題はわかっておるのですが、工場にでも来てもらわなければどうにもならないという気持が強いのです。それを来てもらったら、それじゃどういうはね返りがあるかということは、具体的な例によって相当知っておる。けれども、やはり工場にでも来てもらわなければならぬという考え方で、そういう一心から無理に無理を重ねておるような現状であるわけです。ところが、一方企業者側においては、行ってやるのだという立場から、これもまたできるだけ好条件をとろう、こういうわけで、とんでもない例がたくさんあるわけですが、このことは、この前自治大臣がおいでのときにいろいろお話し合いをやりましたので、やめます。それで私の申し上げたい点は、税の減免措置の優遇措置だけで埋めるという程度では、地方の財政のしわ寄せ、あるいは行政のレベル・ダウン、そういう問題は解決しないと思います。だから、今後はやはりそういう地方団体のとっておる、来てもらいたい一心からの優遇措置に対しては、すべての面にわたってその負担を全面的に補てんをする、こういう基本的建前に立って、こういう法律が出たことを契機として、一そう充実していただきたい、こういうことが一つ。  ところで、きょういただきました資料に基づきますと、優遇措置の中で税の減免はどれだけあるかといいますと、この条例を制定しておる県がたくさんありますが、その中で税の減免措置の優遇措置をとっているのは、わずかに五県だけだ。その他の県は、奨励金の交付その他だ、こういうことで利益を供与しておる、こういう工合に出ておりますが、このことは、税の不均一課税ということは原則的に禁ずるという地方税の建前からいって、こういう方式をとっておることは、地方自治団体の考え方としては、本旨をゆがめないようにしようとする努力の現われとして肯定されなければならないと思う。大へんけっこうだと思うのです。ところが、今度の法律によりますと、わずか五県しかない税の減免の場合にのみこれを埋めるということになりますと、地方税の本旨に忠実ならんとしておる地方団体が、何らこの法による恩恵にあずかることはできぬということになって参るわけなんであります。それでこのままに放置しますると、奨励金交付という地方税の原則に忠実な方式をとっておる団体は、原則はどうあろうと、それじゃ税の減免でいこう、そうでないと埋まらないんだということになって参りまして、この点は、地方税の不均一課税禁止の方向と逆行する法律になっておる、今度の開発法は。地方税の本旨をゆがめる法律となる、こういう工合に考えられる。ですから、この点に関しては、奨励金方式というものをとっておるそういう負担に対しても、何らか埋める方法を考慮すべきだ、こういうことに努力せられなければならぬのじゃないかと思う。この点について、これから法律改正という余裕もありませんので、今後の努力として、どういう工合にせられるか、担当大臣と自治省側もおいでですから、その点、はっきりとした御見解をお聞きしたい。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 第一点の御質問は、今お話しがございましたが、各地方で競争的に非常にいろいろなことをやる。従って、そのために弊害が起こるということがあろうかと思います。この法律ができまして、ある程度そういうことのできないような地方に対しても、政府の減免税の措置をやることによって、力のないところに新しい力を加えてくるわけでありますから、地方的な差による工業誘致の困難というものが、幾分でもこれによってむしろ解消されることになろうかと思います。  なお、将来の減免税の問題につきましては、自治省からお答えをいたすことにいたします。

松島五郎自治事務官(財政局財政課長)

○松島説明員 ただいま御質問のございました点でございますが、従来この工場誘致問題についての地方団体のあるべき、何と申しますか、態度といいますか、そうして私どもが考えて参りましたのは、当該団体の将来にわたる繁栄のために、工場誘致のためにいろいろな努力をされることそれ自体は、まことにけっこうなことと考えているのでありますけれども、その方法につきましては、いろいろ検討すべき問題もあるんじゃないかというようなことで、税の減免ということになりますと、一たび条例を制定いたしますと、あとは自動的に減免になって、幾ら減免になってどうなっておるかということが、予算なりあるいは当該地方団体の議会を通じて批判され、論議されるということが、むしろ少なくなるんじゃないか。それよりも、そういう意味の経費は、どうせ地方団体として出すものであるならば、むしろ積極的に減免をするかわりに予算に計上する、支出として出すことによって、その支出を通じて当該団体の議会の論議、批判を受けて、また、住民の批判を受けて、工場の誘致なりあるいは奨励なりでやっていくということが適切ではなかろうか、こういう意味で、むしろ減免よりは、その額を奨励的な用途に使うというような方向でいってはどうかというような考え方を持って、地方団体にもそういう方向で連絡をし、指導をしておるわけでございます。ただいま御質問のございましたように、今度新しい法律ができまして、減免をした場合には、交付税上特別な措置を講ずるわけでございますけれども、従来の線に従って、減免のかわりに同じような金額を支出の形において積極的な事業の推進に充てていくというような場合に、これは減免でないのだから、形式的にこの法律にかからなければいかぬというようなことで、その団体の事情を考慮しないということは、お話の通り片手落ちにもなると考えますので、その点は今後とも十分均衡のとれますように配慮いたしたい、このように考えております。

西村力弥日本社会党

○西村(力)委員 今のお話で大体了承したいと思いますが、こういう現われ方が、今度は奨励金方式が全部減免の方になってくるということは好ましくない。こういうことで奨励金方式が建前となるという工合にいくように、十分なる検討を願いたい。そしてまた現実に奨励金交付の方式をとっておるも、のに対しても埋める措置というものを早急にしてもらわなければならぬ、こういうことを一つ希望しておきます。  次の点は、これは労働省側の出席を要求しておりましたが、見えられませんので、委員長から伝えていただきたいと思いますが、企業側の要求条件として、お前はこの工場に使ってやるけれども、労働組合に関与するな、労働組合結成はまかりならぬぞ、その誓約書を出せと言って、それをのませてやっておるところが、間々聞こえるのであります。こういうことは不当労働行為だということは、初めからはっきりしておるのですが、しかし、せっかく来てくれた工場だからあまり荒立てるなというのが、自治体側の言い方なり、やり方であります。そういう気持があって、たとえば一日百八十円というような賃金で働きながらも、それでも何にもせずにただやっておるというような状況がありますが、これは明らかに不当労働行為であります。そういう条件を付するというようなことは、労働省が監督して、そういうことをやめさせるように厳重に指導するようにしてもらわなければならぬと思うのです。この点は、委員長から一つはっきりと意思を伝えていただきたい。これだけ申し上げまして終わります。

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 お諮りをいたします。  この際、本案に対する質疑を終了いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 御異議なしと認めます。本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 引き続き本案を討論に付するわけでありますが、討論の申し出がございませんので、直ちに本案を採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 御異議なしと認め、本案を採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。     —————————————

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表し、田中武夫君外二名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。田中武夫君より趣旨の説明を聴取いたします。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 ただいま可決いたしました低開発地域工業開発促進法につきまして、この際、委員各位の御同意を得まして、自由民主党、社会党及び民社党を代表いたしまして、附帯決議を提出いたしたいと思います。  まず、その案文を朗読いたします。    低開発地域工業開発促進法案に対する附帯決議   政府は本法施行に当り左の事項に留意すべきである。  一、全国土の総合開発計画をすみやかに樹立し、工業の適正配置について適切な方策を講じ、もつて本法の運用を効果あらしめること。  二、工場誘致に伴ない地方公共団体の行なう公共施設の整備に対し積極的援助を行なうこと。  三、本法の運用に当つては、地方交付税制度の本来のあり方を尊重するよう努力すべきであり、なお、工場誘致に当つては税の減免に代え他の優遇措置をとつた場合においてもこれを補填するよう考慮すること。  四、地方公共団体が工場誘致の為工業用地の造成及び取得を行なう場合は、起債について特別の配慮を行なうこと。  以上であります。  この趣旨につきましては、今までの各同僚委員の質問の中にも十分趣旨は出ておると思いますが、簡単に各項について申し上げたいと思います。  まず第一項でございますが、本来ならば、今政府においても考えられておるということを聞いております新産業都市建設法案、これの提出と相待って、本法をあわせ審議するのがいいのではないかと考えておったわけですが、それがまだ出てきませんので、この法案を採決したわけでありますけれども、国土総合開発について、いまだはっきりとした計画が樹立されていない。そのときにあって、低開発地域開発といっても、ほんとうに何をやってよいかわからぬ、こういうことになると思いますので、政府は、第一項にいっておるような国土全体の総合開発、しかも、その中において工場の適正配置をどうするのか、こういう計画を立て、その中において低開発地域の開発を考えていくべきである、こういう趣旨でございます。  第二項について申し上げます。本法の十条には、施設の整備ということで、若干これにやや似た規定がございます。しかし、地方公共団体が工場誘致を行なう場合は、たとえば道路、たとえば下水、工業用水等々、公共施設について多大の負担をいたしております。従って、これについても政府は積極的な援助を行なうべきである、こういう趣旨でございます。  第三項でございますが、地方交付税においてカバーしてやろうという本法の趣旨でございますが、一面、地方交付税には地方交付税本来のあり方がございます。それをあまり乱すことも困る。と同時に、工場誘致にあたって現在行われている各地方公共団体の制度を見ました場合に、税の減免以外の方法、たとえば奨励金とか何とかで補助あるいは奨励をいたしております。そういうことについても、政府は考えるべきである、こういうことでございます。  第四でございますが、工場誘致にあたって、大体普通のやり方といたしましては、まず工場の用地、これを地方公共団体が提供するとかなんとかいうことが、実際に行なわれております。従いまして、このような工場用地について地方公共団体が特別な補助または負担をした場合に、それをカバーするところの起債についても、政府に特別な配慮を願いたい。  以上が、本附帯決議案提案の理由でございます。委員各位の御賛成をお願いいたしまして、趣旨説明にかえます。

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  ただいまの動議に対しましては、別に発言の申し出がありませんので、本動議を直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 起立総員。よって、本動議は可決され、本動議の通り附帯決議を付することに決しました。  この際、政府より発言を求められております。これを許します。藤山経企庁長官。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 政府といたしましては、ただいま御決議になりました附帯決議を十分尊重いたしまして、政府部内の連絡協調を保って、円滑に御趣旨が達成できるようにいたして参りたいと存じます。(拍手)     —————————————

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 本案に対する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ————◇—————

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 次に、松平忠久君外二十八名提出の下請関係法案を議題とし、審査に入ります。     —————————————

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 まず、提案者より趣旨の説明を聴取することにいたします。松平忠久君。

松平忠久日本社会党

○松平議員 ただいま議題となりました下請関係法案につきまして、社会党を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  今日、わが国経済の特徴として、その二重構造が指摘されております。これを言いかえれば、大企業と中小企業との間に歴然とした格差が存在するということであります。このことは付加価値や労働賃金の格差に最も端的に示されております。しかし、大企業と中小企業との関係は、このようにただ単に格差があるというだけではありません。さらに大企業が中小企業を支配し、中小企業は大企業に所属するという、支配従属の関係があるのであります。親企業と下請企業の関係がそれであります。  親企業は、高度成長政策のもとでも、自由化を口実に、下請企業に対して一方的に下請単価を引き下げ、下請企業の犠牲を強要しているのであります。また、高度成長政策が破綻して、金融引き締め政策が採用されるや、親企業は一斉に下請代金の支払いを引き延ばしたり、返品、値引き等、その優越的地位を利用して、金融引き締めの影響をもっぱら下請企業にしわ寄せする態度に出ているのであります。最近再び台風手形が出現し始め、また黒字倒産が続出する傾向にありますが、これらはいずれも下請企業へのしわ寄せを如実に示すものであります。  このように、下請企業は、親企業による不公正な行為によって、その経営の健全な発展を妨げられ、親企業は下請企業を景気調節の安全弁あるいはクッションとして利用しておるのであります。  そこで、わが国経済の二重構造を真に解消し、経済の均衡のとれた、健全な発展をはかるためには、かかる親企業と下請企業との間に存在する取引関係の不公平、後進性を是正しなければなりません。しかるに、現行の下請代金支払遅延等防止法は、親企業による下請代金の支払い遅延を防止するだけであり、しかも、その支払い遅延防止のための措置は、単に国が親企業に勧告するにとどまっています。さらに法律実施の段階にあたっては、所轄官庁たる公正取引委員会の弱体化により、その実効はほとんど期待し得ない状態にあります。まして親企業と下請企業との間に存在する取引関係の不公正、後進性を是正するなどということは望み得べくもありません。  この際、抜本的に下請関係全般を規律する立法を制定し、これによって親企業に対し必要な規制を加えるとともに、下請企業に対しても、その団体権、団体交渉権を保障することによって、親企業と対等な地位を確立する必要があると考えるものであります。  これが本法律案を提出する理由であります。  次にその内容の概要を御説明いたします。  まず第一に、親事業者を資本金一千万円以上、常時雇用する従業員数三百人以上のものとし、これに下請契約に関し、諸種の順守義務を課すことにいたしているのであります。すなわち、下請条件の文書化、下請台帳の整備、検収及び支払い期日の順守、値引き、返品の禁止を明確化し、さらに親企業がその優越的地位を利用して行なう一切の不当な圧迫、差別待遇を禁止しているのであります。  第二に、下請代金の支払いが遅延しても、実質的に親企業は何らの規制も受けず、もっぱら下請企業の負担に帰せられている現状を改め、検収及び支払い期限を法定化して、遅延部分については、親企業にその金利を負担せしめることといたしたのであります。  第三に、下請企業者に公正な経済活動の機会を確保せしめ、かつまた、相互に共通の利益を増進するため、自主的な組織としての下請組合の結成を認めることにしたのであります。そして下請組合に対し団体交渉権を与え、親企業にその応諾義務を課し、その取引条件について団体協約を締結せしめることとしているのであります。  第四に、右の団体交渉ができないとか、団体協約の内容について協議がととのわない場合は、三者構成による下請関係調整委員会が調停または裁定することとし、公正な取引関係を確立するために万全を期しているのであります。  以上が、本法案を提出いたしました理由及び内容の概要であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。(拍手)

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。本案に対する質疑は後日に譲ることにいたします。     —————————————

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 なお、本日は中小企業に対する調査を進めることになっておりまして、商工中央金庫並びに中小企業金融公庫、国民金融公庫、中小企業信用保険公庫等より参考人並びに説明員の出席を求めております。従いまして、この際休憩をし、本会議散会後、直ちに再開いたしたいと存じます。  この際、本会議散会後まで休憩いたします。    午後零時四十八分休憩      ————◇—————    午後三時四分開議

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  電気用品取締法案を議題とし、審査に入ります。     —————————————

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 まず趣旨の説明を聴取することといたします。森通商産業政務次官。

森清自由民主党通商産業政務次官

○森(清)政府委員 電気用品取締法案についてその提案理由および概要を御説明申し上げます。  最近における家庭電化ブームの進展に伴い、電気による火災、感電事故等の災害も漸増の傾向を示しておりますが、これらの災害の原因は、主として電気工事の欠陥、電気用品の品質不良及び電気用品の使用、取り扱いの不適正によるものであります。  このうち、電気工事の欠陥による災害については、昨年第三十四回国会において成立を見た電気工事士法により電気工事に従事する者の資格が制限されることとなりましたので、これによってその防止の実効が上がるものと期待されます。また、電気用品の使用、取り扱いの不適正による災害については、国民の電気知識の向上に待つところが大きいのでありますが、電力会社による需用家施設の定期検査を強化する等の方法を通じて、極力その防止に努めつつある次第であります。  ところで、電気用品の品質または安全度については、昭和十年以来、旧電気事業法に基づく旧電気用品取締規則により、製造免許及び型式承認を主体とする取り締まりが行なわれておりますが、この制度は発足後すでに相当の年月を経過し、近年における家庭電気用品の急速な普及状況に即応して災害防止の目的を十分に達成することは、困難な実情となって参りました。このような情勢にかんがみ、粗悪な電気用品による火災、感電事故等の危険を防止して一般家庭等における電気の保安に万全を期するためには、この際電気用品取り締まり制度の全面的な改善合理化をはかる必要があると考えられます。これが、この法律案を提案するに至った理由であります。  次に、この法律案の概要を申し上げます。  第一に、この法律案による規制の対象となる電気用品の範囲は、主として一般家庭において使用される電線、配線器具、電熱器、小型機器等であります。  第二に、電気用品の製造に関する規制といたしましては、製造事業者の登録制を実施するとともに、電気用品の型式について一定の試験を行ない、その試験に合格したもののみの製造を認める型式認可の制度をとることといたしております。これは、実質的にはほとんど現行の取り締まり体制を踏襲するものでありますが、製造事業者の義務を明確化する等規定全般の整備をはかっております。なお、電気用品の輸入事業者に対しましても、型式認可の制度を適用することにより、製造事業者に準じた規制を行なうことといたしております。  第三に、一般消費者が安心して電気用品を購入使用できるようにするためには、製造及び輸入の規制のほか、販売の段階におきましても、不良な電気用品の流通を阻止する必要がありますので、販売事業者が型式認可済みの表示のない電気用品を販売することを禁止することといたしております。  第四に、電気用品の製造の急激な増大に伴い型式認可の申請件数も著しく増加する傾向にありますので、認可のために必要な試験の業務を円滑に処理するため、従来の国の試験機関のほか、一定の基準に適合する民間の試験機関を指定してこの試験を行なわせる道を開くことといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことを切望する次第であります。

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 以上をもって趣旨の説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 中小企業に関する件について調査を進めます。  本日は特に本件調査のため参考人として商工組合中央金庫理事長北野重雄君が御出席になっております。北野参考人には質疑応答の形式をもって御意見を伺うことにいたします。  なお説明員として国民金融公庫として国民金融公庫総裁石田正君、中小企業金融公庫総裁森永貞一郎君、及び中小企業信用保険公庫理事長山本茂君が御出席になっております。  各参考人並びに説明員の皆様には、午前中よりお待たせいたしまして恐縮いたしております。まことに御苦労様でございました。  それではこれより順次発言を許します。中村重光君。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 中小企業の労働力不足の問題、さらには中小企業の金融、あるいは大企業と中小企業との二重較差をなくするために産業分野の確保をどうするかといった問題等々通産大臣に質問をいたしたかったのでありますけれども、きょうはお見えでございませんが、幸い政務次官もおられることでございますので、政務次官にお尋ねしたい点も出て参りますが、一応金融問題から御質問いたしまして、基本的な中小企業対策の問題は後日に譲りたいと考えております。  最初に信用保険公庫の山本理事長さんにお尋ねをいたしますが、さきの通常国会で融資保険制度というのがなくなりまして、包括保険制度ということになったわけでありますが、いろいろと中小企業の近代化設備投資ということが強く要請されておる中において、融資保険制度をなくするということが中小企業の金融というものに大きな支障を来たすという結果になるのではないかというようなことで、相当論議されたのでございます。しかしそれに対しましては委員会といたしましても附帯決議をつけまして、そして信用保険機構の整備等について遺憾なきを期するように、こういうようなことであったわけでありますが、その間期間が短いわけでありますけれども、新しい制度によって実施されましたその結果は現在の情勢下の上において適合しておるかどうか、いろいろと保険上不都合な点、そういうものが出てきておるのではないかというように考えるわけでありますが、今までの経緯そのことについて率直に一つ伺ってみたいと思うのであります。

山本茂中小企業信用保険公庫理事長

○山本説明員 前回の国会で附帯決議をいただきまして、それに基づきまして、私どもといたしましては近ごろよく叫ばれております中小企業団地化とか、あるいは業種別振興法の問題、こういったものにつきましては保証協会の現状におきましては必ずしもすべての保証協会がそれに適合した保険もできないと思いまして、新しい設備保険を考えなければならぬと思いますが、これは私どもの監督官庁であります中小企業庁あるいは大蔵省を通じまして、ぜひともこういうことを実現していただくように法案の準備なり、あるいは予算化の問題等に努めておるわけでありますが、今日ただいま率直に申し上げまして、どういう法案を持っておるか、予算の問題がどうだとかいうことは、私からちょっと申し上げにくいのですが、そういう努力をただいまいたしておるわけであります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 私がただいま質問いたしましたことは、実際の貸し出しにあたっておるそれぞれの機関に、実務の上からお尋ねをするということが適当かとは思いますけれども、現実に公庫が保証しておる保険をかねておるわけであります。そういう面からいろいろと問題点というものを把握しておられるだろう、こう考えるわけであります。個人の場合においては七百万円、それから組合において一千万円という付保険限度というものが定められておるわけでありますが、融資保険の際は三千万ということであったわけでございますけれども、これが一千万になっておる。このことに対しましては最近の金融というのは、協同組合を通じての金融というのが非常に多くなっておるわけであります。その点についていろいろと融資上、保険上に問題が、支障というものが私はあるのじゃなかろうか、こう思うわけです。そうしたことについての具体的な点をお答え願いたいと思うのであります。

山本茂中小企業信用保険公庫理事長

○山本説明員 ただいま御指摘のありました通りに、制度としましては包括保険一本になりまして、個人としては七百万円、組合には一千万円ということが制度上の最大限であります。しかし保証協会の現状におきましては中小の保証協会では限度までの力もないところもかなりあるのでありまして、大きな協会はそれだけの力はあるのでございますが、実際問題としましては、五百万円ぐらいの保証が最大限というようなところも多々あるのでありまして、保証協会で力の及ばぬところは御指摘のごとく設備保険あるいは組合融資についての保険といったようなものを直接公庫でも取り上げなくちゃならぬかという考えになりまして、今そういう研究を進め、監督官庁にも御相談を申し上げておるわけであります。諸先生方の御尽力によりまして私どもの希望が達成されますれば、ひいては中小企業者の利益も多大であるかと思うわけであります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 この前の通常国会の附帯決議では、各保証協会の保証限度を引き上げるということ、さらに保険公庫の保険料率を下げるということその他いろいろと、保証協会に対する融資の利率を現在二分五厘と思いますが、これを引き下げるといったことが強く要求されておるわけであります。これらのことに対しましてはいろいろと検討しておられることだと思うのでありますが、この点はどういうことになっておるのですか。

山本茂中小企業信用保険公庫理事長

○山本説明員 公庫のとりまする保険料の引き下げという問題につきましては、前回にも御指摘があったのであります。われわれとしても努力しておるわけでありますが、何ぶんにもこれをするためには多額の国家資金を私どもの方に投入していただかぬとできませんので、少なくとも私個人としては監督官庁に対して来年度の予算に相当の金額を盛りていただいて、御指摘の点が実現できるように、せっかく努めておるわけであります。御指摘のような答弁は監督官庁からおありになると思いますが、少なくとも私としてはそういう点において努力をしておる方であります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 政務次官にお尋ねいたしますが、今度災害並びに年末融資というものを含みまして三百五十億の財政投融資が行なわれたわけであります。この内容は申し上げるまでもなく商工中金百六十五億、国民金融公庫が九十五億、中小企業金融公庫九十億、こうなっておるようであります。ところが信用保険公庫に対する出資は前通常国会におきましては二十億なされておるわけであります。しかしただいま私が申し上げましたように保険公庫に対する保険料率の問題であるとか、あるいは保証協会に対する融資の利率を引き下げる、そういうことで中小企業特に零細企業に対する金融を緩和していくということが要求されておるわけであります。そのことを考えますと、国会の意思を尊重するということになるならば、この点に対する留意というものはあるべきだと思うわけであります。今の理事長の答弁ということになって参りますと、前回の附帯決議というものが生かされるということに対する熱意がないように私には思われる。保険公庫に対して今度は投資をしなかった理由というのはどういうことですか。また附帯決議というものに対してどのような考え方を持っておられるか、政務次官あるいは局長からでもけっこうでございますからお答え願います。

森清自由民主党通商産業政務次官

○森(清)政府委員 本年度は確かに中村さんの言われる通りに現状通りでございますが、実は来年度に大幅にこれを増額するように計画をしておりまして、附帯決議がございましたけれども、慎重に考えて来年度ということに私どもは考えております。

山本茂中小企業信用保険公庫理事長

○山本説明員 ちょっと先ほどお答えするのを漏らしました点を補足さしていただきます。私は制度の点について限度が七百万円ということを申し上げたのですが、保証協会によりましては、制度はそうなんだけれども、ところによっては三百万、五百万というところがあったわけであります。ところが保証協会も、前回の国会の御決議なんかがありまして、今まで三百五十万であったところが七百万にしたとか、五百万であったところが七百万、つまり制度の上の最大限のところに落ちついて限度の引き上げをしたというところが多々あるわけでありまして、十六協会というものが最近、今年に入りましてから限度を引き上げておるわけであります。この点をちょっと補足して申し上げます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 政務次官の御答弁だと明年だ、こういうことであります。ということは、今年度はその必要というものを認められないわけですね。この点相当問題だろうと思うのであります。中小企業の金融を緩和していく、特に零細企業の金融難の打開というものは、信用補完制度の充実だと私は考えるのであります。そうなって参りますと、どうしても保険公庫というもののもっと活発な業務運営というものが行なわれていかなければならない、こう考えるわけであります。今前回の二十億というもので大丈夫だとお考えになって、そして明年出資をするということで足りるというようなことであったのか、あるいは他に何か理由があって出資しなかったのか、その点を伺っておきたいと思います。

大堀弘中小企業庁長官

○大堀政府委員 信用保険公庫につきましては、実は本年度におきましても第一種については保険料の引き下げを現実にやったわけでありますが、来年度はさらに保証料の引き下げ並びに現在の保険制度を設備近代化保険といいますか、大口の保険制度に拡大していく、あるいは小口保証という制度を実施いたしたいということで、その準備基金について相当大幅な増額要求を大蔵省に提出いたしておりますが、同時に融資保険につきましても相当大きな額を現に要求いたしておるわけであります。今年度といたしましては、現在あります基金をベースに、できるだけ事業を拡大して参るような努力をして参りたいと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 保証協会の保証のすべてに対して保険を付せられておるのか、この点をお伺いします。

山本茂中小企業信用保険公庫理事長

○山本説明員 保証協会の中小企業者に対する保証につきましては、今年度から全部包括保険制度になりましたので、保証協会のやります保証というものは、全部私どもの方の保険にかかるわけであります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 この前の通常国会で、全国の保証協会の保証料というものを統一していない、高いところは八厘、低いところが四厘だ、これは不都合じゃないかということで、この点に対しましても附帯決議で是正するということを要求されておるわけです。先ほど限度は引き上げたということでありますが、保証料に対してはどう措置されたか。

山本茂中小企業信用保険公庫理事長

○山本説明員 ただいま御指摘のありました点については、各保証協会も非常に努力をしまして次第に下げて参りまして、低い方にだんだん統一される傾向にあります。十二協会が今年度になりましてから下げておりまして、下げるということは結局最小の方にだんだん統一される傾向にあるというわけでございます。もっとも協会の事情あるいは地方庁の援助の方法なんかによりまして、全部統一するまでには至っておりませんけれども、そういう傾向は顕著に現われつつあるわけであります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 新しい経済制度というか、経済の行き方として中小企業の共同団地計画というものも相当進められておる。こうなって参りますと、従業員の共同宿舎であるとか、一つの事業に対して相当大きい金額というものが必要になって参るわけであります。そうしたことをすべて協同組合を通じていく、こういうことになって参るわけでありますが、この保証のいわゆる保険の限度というものが、現在は一千万円である、こういうことから現実には相当支障があるだろう、こう思われるわけです。個人別に保証の限度をきめて、そうして組合全体ということになって参りますと、相当大きい保険の額になるわけですが、何かそうした実態に沿うような形に改めていく、補完制度機構ということになりますか、そういう新たな制度というものが考えられないかどうかということが第一点であります。  それから、先ほど大堀局長からいろいろ補完制度に対しての機構を改めていくというような御意見があったわけでありますが、現在の第一種、第二種の機構というものは必要であるのかどうか。このことは一本にまとめることが実際上、運営上はいいのじゃないか。いろいろ議論があろうかと思いますが、この二点に対してお聞かせを願いたい。

山本茂中小企業信用保険公庫理事長

○山本説明員 一種、二種と分けておりますのは、一種の方はきわめて零細な金額でありますので、零細業者の保護に特に努めるという意味で、保険料がきわめて安くなっておるわけでありますが、これを一本にすると、自然それが一種の方に統一されればけっこうでございますけれども、それを平均して一本にするということになりますれば、あるいは零細業者のためにならぬというようなおそれもありますので、これは私の私見としましては、やはり一種、二種に分かれて、一種の方はきわめて優遇されるということにしていただきたいと思っております。  それから保険の限度がきわめて安くて実情に合わないのではないかという御指摘でございますが、こういうことを私は申し上げていいかどうかと思うのでありますが、少なくとも私の私案として考えておる設備保険については、設備というものは相当の金額を要するのでありますから、中小企業者の設備の近代化、あるいは団地というようなことについては、少なくとも五千万円くらいの限度、それが組合の融資については一億円くらいの限度の設備保険をするのが妥当であるということを私は考えて、関係官庁には申し上げておるわけであります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 大堀局長にお尋ねいたしますが、団地計画ということになって参りますと、現在のところ近代化資金に大きく依存していくことになると思いますが、また前回通常国会で決定をいたしましたあの新しい制度ということもあるわけでございますので、現実には相当資金が不足してくると思うわけであります。これに対しまして、どうしても組合が、あるいは個々人が金融機関からの借り入れが必要になって参ります。しかもその金額が非常に大きいというととから、どうしても付保険の限度というものに対しては再検討を加えなければならないのではないか。この点についてはどうお考えになっておりますか。

大堀弘中小企業庁長官

○大堀政府委員 御指摘のように、政府金融機関の貸し出しにいたしましても、保証にいたしましても、ワクの限度を上げていかなければならぬのじゃないかという問題があるわけでございます。ただ保証の場合につきましては、信用保証協会が全国に五十三ほどございますが、それぞれ協会の財政的、事務的能力の限界がございまして、現在個人七百万円ということになっておりますが、あるいは東京、大阪あたりでございますと、相当の力を持っていますけれども、地方へ参りますと、七百万円すらなかなか実行できないというのが現状でございます。しかしながらわれわれといたしましては、できるだけ保証協会の能力を充実いたしまして、保証の限度を引き上げるように努力いたしております。同時に来年度におきましては、設備近代化のために相当まとまった金が要るだろう。一千万くらいのものがわけなく要るわけでありますから、それに対する制度といたしまして、保険公庫は近代化保険を実施して、こういう大口のものに対する保証をする方法について現在検討中でございまして、できますれば実現いたしたいと考えておるわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 中小企業に対する金融の残高があるわけです。この残高に対して保証協会の保証の比率というのはわずか二・五%、最近は若干上がっておるとは思いますけれども、非常に低いわけです。このことがただいま大堀長官の御答弁がございましたように、保証協会の能力、この点に対しては資金不足というものが一番問題点であるのではなかろうか、こう考えておるわけであります。この保証協会の保証を伸ばしていくということに対してどのようなお考え方を持っておるか、その対策を伺ってみたいと思います。

山本茂中小企業信用保険公庫理事長

○山本説明員 保証協会の保証につきましては、これまで年々約二十億の保証原資というものを国家の方から私どもの方に出していただいておりまして、現在八十八億になっておるのでありますが、それを各保証協会に貸し付けまして、保証協会は地元の金融機関に、さらにこれを預金するわけであります。そういたしますと、大体その六倍くらいの金というものが中小企業者の方に融資されるわけでありまして、保証を伸ばすということにつきましては、やはり保証の原資をわれわれの方に国家として相当出していただく。それを保証協会を通じて、地元の金融機関に預託することが必ず必要であろうと考えるわけであります。来年度の予算については、やはり相当の金額を保証原資としてわれわれの方に出資していただけば、保証というものが十分伸びて参ると期待いたしております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 今保証協会に保証を求めるということの一番の隘路は、結局原資が少ない。こういうととから保証申し込みをやってもなかなか受け付けてもらえないという点もあるわけです。  もう一つは、調査に非常に時間がかかる、こういう点で、前からでありますが、保証協会に対する批判というものが強いわけです。銀行の窓口化した。あるいは保証銀行という感があるとか、非常に評判が悪いわけです。この点に対しては保証協会に対する指導といいますか、そういうことに対して留意しておられるか、このことをはっきり伺ってみたいと思います。

山本茂中小企業信用保険公庫理事長

○山本説明員 保証協会にいろいろ御指摘のような批判もあると思いますが、この批判を十分理解いたしまして、こういう批判はできるだけ是正していきたいと考えておるわけであります。零細の保証につきましては、銀行が融資をしました後を保証協会の方が追認する。従ってこれは時間がかからぬ。追認制度といったようなものも零細の保証についてはだんだん普及しつつあるわけであります。零細のものについてはあまり時間がかからないでいくと思いますが、金額が多少張りますと、やはり保証協会としても責任上調査せざるを得ないかと思いますが、それにしてもそういう時間はだんだん減るようになってきていると思いますし、われわれとしてもそれについては十分注意して参りたいと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 零細金融については保証協会が追認するのだから、そのことに対しては大した問題はないだろう、こういうことでありますが、私がお尋ねしたい問題点は実はその点にあるわけです。零細業者で地方銀行からの融資が非常に困難しておる。保証協会が追認じゃなくて保証してやろう、こういうことで承諾されても銀行がだめだといえばだめになる、これが実態なんです。ですからこの零細企業に対する保証という問題、融資という問題は非常に重要な問題だろう。今の御答弁が、零細企業に対しては追認ということでやっているんだから、こういうことであるならば、その制度が好ましいというお考えの上に立っているとも考えられるわけであります。それでよろしいのかどうか、そういうことで零細企業者の金融というものがうまくいくとお考えになっていらっしゃるかどうか、この点に対して伺ってみたいと思います。  なおこれは保険公庫ということよりも、通産省の方が零細企業の金融問題を非常に重視しておられると思うので、こういうことでよろしいのであるか。零細企業に対して何か特に対策としてお考えになっておられる点があろうかと思いますので、そういう点もあわせて御答弁願います。

大堀弘中小企業庁長官

○大堀政府委員 ただいま御質問の点にかんがみまして、信用保証協会の仕事につきましても、これはやはり信用保証はいたしますが、ある程度ビジネスでございますから相手かまわず無制限に保証するというわけには参らない。やはり市中銀行のように、もちろん採算ベースとかそればかりじゃなく公的機関でございますから、そういった立場で当然保証については相当十分な配慮をして参るわけでございますけれども、ただ無制限、無条件に保証するというわけに参らぬわけでございまして、やはりその間に保証すべきか保証すべからざるかということの選択が行なわれることはやむを得ないと思っております。ただ小口の保証につきましてはできるだけ、私どもは二十万円くらい以下のものは、そういった特別の考慮のもとに銀行の窓口で、融資する銀行が同時に保証業務を代行するような形でやりまして、これを追認していくという制度は、やはり小口保証についても適当ではないか、かように考えまして特例的にそういう扱いをやっていただいておるわけであります。

山本茂中小企業信用保険公庫理事長

○山本説明員 現在は包括保険になっておりまするので、保証協会の保証したものは全部保険にかかるわけでありまして、保険事故が起こりました場合には、われわれの方で七割の現金は支払うのでありますが、三割というものは協会負担になっているので、有力でない協会というものは血みどろになっている点もあるかと思いますが、地方庁の援助によりまして、保証協会はそういう点を勇敢にやっておるところもあるのでありまして、たとえば東京とか北海道のごときは、地方庁が非常な援助をいたしまして、損失補償なんかやっておりますので、そういう点が地方庁の援助さえ強大なれば解消して、いくんじゃないかと思っております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 中小企業金融に関連をいたしまして、この際信用組合のことについて、銀行局長に伺いたいと思いますが、その前に、中小企業庁長官にちょっと伺います。長官、中小企業等協同組合法の五条一項の四号を見て下さい。「組合の剰余金の配当は、主として組合事業の利用分量に応じてするものとし、出資額に応じて配当をするときは、その限度が定められていること。」こういう規定がありますが、そうすると、協同組合の剰余金は、まず第一としては、組合の利用、これの利用率により配当をする、そして出資率による配当のときには制限を設けろ、こういうことであるなら、利用率による配分ですね、配当が優先すると考えられる。そこで、いろいろの組合がありますが、まず協同組合として、この利用分量による配当の実際はどのようにして行なっておりますか、お伺いいたします。

大堀弘中小企業庁長官

○大堀政府委員 非常に具体的なお尋ねでございまして、実は私も手元に今資料を持っておりませんので、十分調べましてお答えを申し上げたいと思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 おそらくこういう条文のあるということをお忘れになったような行政がなされておる、このように思うのであります。  そこで、銀行局長にお伺いいたしますが、信用組合は大蔵省の所管だと思うのです。信用組合の利用率配分ということについては、どのようなことが行なわれておりますか。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 実はただいまお呼び出しの通知は信用金庫の問題でございまして、信用組合の資料を持っておりませんので、ちょっと細目は今お答えしかねます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 何を言っているんだ。僕は中小企業等協同組合法で呼んだのですよ。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 信用組合につきましても、中小企業等協同組合法の適用がございまして、今のお話の配当問題については第五条の「剰余金の配当は、主として組合事業の利用分量に応じてするものとし、出資額に応じて配当をするときは、その限度が定められていること。」こういう問題かと思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 だから、信用組合では実際利用度配分はどういうようにしてやっているかというのです。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 今通牒その他手元に持っておりませんので正確なお答えは、ちょっとごかんべん願いたいと思いますが、大体におきまして、信用組合自体は直接都道府県知事の監督にまかしてございます。そういう意味におきまして、われわれといたしましては、直轄の金融機関で、しかも信用組合と類似いたしております信用金庫の指導方針に準じた指導をやっておるということに基本的には考えております。従いまして、今の問題につきましても、信用金庫につきましては、利用配当をできるだけ制限いたしまして、出資配当に切りかえるように指導いたしておるわけであります。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 今あなたのおっしゃった昭和三十四年三月十一日の蔵銀第二六二号の通達、これは信用金庫の決算について、こういうことになっている。しかし、その最後に持ってきて、信用協同組合についてもこの通達の趣旨に沿って指導せよ、こういうのです。ところが、御承知のように、この協同組合法の第五条四号は、今言いましたように利用率配分を優先しておるわけです。しかもこれは、同法第九条によって税金が免除になるのです。ところがあなたの方は、こういう通達によって指導せよと言っている。すなわち、三十四年三月十一日蔵銀第二六二号の第三項は、中小企業等協同組合法第五条一項四号の趣旨を無視し、むしろ法律に違反したものを出しておられることになるのですが、いかがでしょう。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 この中小企業協同組合法につきましては、また信用事業につきまして別途法律があるはずでございまして、今の通達につきましては、信用協同組合のうちで全国を所管するものについては大蔵省が直接やっておりますので、その信用金庫と同じ精神でやっているわけであります。ただ、今手元に細目がございませんので正確なことはちょっとお答えができかねます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 別に規定があるといって、どこにありますか。これは全体の協同組合を通じての通則なんです。あなたの方で出した三十四年三月十一日の蔵銀二六二号というのは、これは信用金庫を対象としているけれども、その中において、信用協同組合にもこういうことでやれ、こういうことなんです。法律のまず利用率配分を優先せしめよ、それについては免税の措置を講ずる、こういう点を無視したところの——あなたのところというよりか、大蔵省としては、税金のとれない配当は押えて、そうして税金のとれる方へ持っていく、こういうような指導をしておられるわけです。ところが、協同組合法の精神はそうではない。従って、昭和三十四年三月十一日の蔵銀第二六二号通達というものは、法の精神を無視し、これをじゅうりんしたもの、こう思うのですが、いかがでございますか。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 率直に申しまして、どういうことになっておりますか私今わかりませんから、いずれ調査いたしましてお答えいたします。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 それでは中小企業庁長官、あなたの方の所管である中小企業等協同組合法の本旨を逸脱するような、むしろそれを無視するような通達が銀行局から出ておるのですが、そういうことを知っておったのですか。

大堀弘中小企業庁長官

○大堀政府委員 私もまだ就任しまして日が浅いものでございますから、その事実をまだ存じません。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 要は、これは中小企業庁と大蔵省の銀行局、この間における信用組合に対する指導の連絡が十分なされていないとともに、長官も局長も法律の勉強が足りない。こういうことをはっきり申し上げます。  続いて銀行局長にお伺いします。協同組合による金融事業に関する法律、これは御承知ですね。今日信用協同組合、これはあまり許可をしないという方針で進められている。これはいろいろな金融事業を行なうのですから、変なものができると困るのでそういう方針もうなずけます。そうすると、やはりできることを押えるなら、現在あるのがだんだん大きくなっていく、また大きくなることが経済上の原則であります。そうしますと、今申しました法律の三条の各号に金額の限度をきめておりますね。二百万円とかあるいは五百万円とかというような限度をきめていますね。あるいは一億というような限度をきめていますが、この経済のいわゆる高度発展といいますか、これは現内閣の一枚看板でございますが、このことによってこの金額が相当過去のものになりつつある。しかも指導は信用組合を新たに認可することをなるべく押えていくということから言うならば、当然これは金額を上げねばならぬ、このように考えるのですが、先ほど述べました協同組合による金融事業に関する法律の第三条各号の金額についてどうお考えでしょうか。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 先ほどの御質問につきまして、若干補足させていただきますと、正確な法律上の問題はいずれ調査してお答えするといたしまして、われわれは信用金庫につきまして、利用配当を避けるように申しておりますのは、やはり金融機関である信用金庫の特殊性に基づきましてやかましく申しておるわけでございまして、その点は事業協同組合とは精神においては異なるかと存じます。つまり、金融機関としての組合あるいは信用金庫が利用配当をするということになりますと、預金に応じて何らかの割り戻しをするか、あるいは貸し出しについて何らかの割り戻しをするか、こういうこと以外にないわけでございまして、預金に対して特殊な配当をいたすということは特利になるわけでございます。金利調整法によりまして、信用金庫、信用協同組合につきましても、預金の最高限度がきめられておることでもございますので、そういう金利の秩序、体系と申す点からこれを排除する。貸出金につきましても、やはり金利調整の精神から指導いたしておるわけでございまして、事業協同組合が事業分量に応じて割り戻しをする問題とは精神において違う。従いまして、法律論につきましては、これは正確にお答えする必要がございますので、いずれ調査いたします。精神におきましては、本来、事業協同組合における利用配当と信用協同組合における利用配当とは性質が違うという点についてだけ御了解願いたいと思います。  それから、ただいまお話のございました金額の点は、これは最低限度がきめられておるわけでございまして、現在、たとえば銀行法におきましても、何十億という資本金を持っておる銀行がございますが、法律的には一般の地方においては資本金は百万円、その他大都市におきましては二百万円という、今の経済情勢からいえば非常に小さい最低限度がきめられております。ただこれは、認めますときに実際上信用金庫あるいは銀行等が健全であるかどうかという実質的な審査をすることが主になるわけでございまして、この金額の出資金を持っておれば認めるというわけのものでは必ずしもございませんので、実際上の問題としては差しつかえがない、こういうふうに考えております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 これは最低限、しかし、その最低限を、新しくできるものを押えておるということなら、やはり大きく育てていくわけだから考慮する必要があると思うのです。  それから先ほどあなたのおっしゃった前段の方ですが、あなたは金融という、いわゆる大蔵省ベースによって物事を考えておる。同じ金融をやっておっても協同組合法による信用組合はあくまでも協同組合なんです。組合員のためにする協同行為なんです、経済事業なんです。そこであなたが言うように、もしそれでいけないということなら、まず除外規定でも設けてやるかどうかは別として、いいか悪いかは別として、そういう方向に向くべきであって、現に法律がある限り、あなたがそういうように考えることは法律無視である。それからあなたの解釈からいえば、信用金庫と信用組合を同じように考えておる。それならば信用組合のなし得る業務の範囲を信用金庫のなし得る業務の範囲まで広げますかいかがです。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 信用金庫と信用協同組合とは金融機関であるという点においては完全に同一でございまして、今の利用配当の問題につきましては、そういう方面から統一的に考えてしかるべきかと思います。また制度が異なることでございまして、やはり信用金庫は信用金庫、信用組合は信用組合としての特色を持っておるわけでございますが、金融機関としての同じ面を持っております点は別といたしまして、性格的には信用金庫は金融機関的性格を特に重視する。信用組合につきましては協同組織であるという点を特に重視する。もちろん信用金庫におきましても、これは出資者が中心になっておるわけでございまして、協同組織でございますけれども、信用組合におきましてはそのつながりがさらに強いというようにわれわれは考えておるわけでございまして、そういう特色の違いから預金につきましては、信用金庫は一般の員外預金がとれるけれども、信用組合については、お互いの間で一つ資金を集め、資金を貸してほしい、そういう点を一つの特色として指導いたしておるわけでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 あなたがおっしゃっておったように、信用金庫と信用組合は金融の点においては同じである。しかしながらその本質において違いがあるということ。それは結局は協同精神に基づく協同組合法であるということです。従って、その預貯金の配当にあたっても協同組合的精神からいくべきだということがこの法の建前なのです。それを同じ金融だからというので一緒に見るならば、そこにたくさん政府関係の金融機関の方が見えておりますが、金融という点からいえば、町の高利貸しも、たとえば山本さんの公庫も金融という立場なら同じことになる。こういうのと一緒であって、参考人の諸君に対して失礼な言い方であります。その本質とできたときの基礎というものを考えてもらわなくちゃ困る。従って一方においてはあくまでも協同組合としての本質を持たしていくか、これが一つ。それから先ほど申しましたように、協同組合による金融に関する法律の第三条を現代的に一つ検討するということ。そうして第四条で、あなたが言ったように信用金庫と同様だと金融面を見るならば、第四条の信用組合ができ得る範囲、たとえばコール貸付、こういうようなことをやれるようにするか、このどっちかにやらなくちゃならないと思うのです。今直ちにどうやるか、法律の条文も御理解ないようでございますから、ここで二人に言ってもしょうがない。中小企業庁長官と銀行局長との間に、信用組合をどうやっていくか、こういうことについて御相談願った結果を文書をもって回答していただきたいと思います。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 この信用金庫と信用組合をどの点において共通の分野において扱い、どの点で区別するかという問題につきましては、国会におきましてもいろいろ戦後議論があったところでございまして、われわれといたしましても、制度が別になっておるわけでざごいますから、どこに指導の原則を求めるかという点につきまして慎重に検討いたしたわけでございます。御存じのように大蔵省に金融制度調査会という調査会がございまして、この調査会に信用金庫と信用組合をいかに考えるかという諮問をいたしまして、その答申は、中間答申でございますが、文書をもっていただいておるものがございます。それが現在のわれわれの信用金庫、信用組合を指導いたします基本精神になっておりますので、細目は、のちほどその金融制度調査会の答申をごらんいただきたいと思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 その金融制度調査会の答申すなわち大蔵省の考え方である、これはちょっと飛躍がありますね。審議会の答申すなわち大蔵省の考え方になりますか。今ここで言っても遜なたは協同組合法を知らない。だから金融問題だけで考えるのでなしに、主管は中小企業庁長官ですから、中小企業庁長官との間にそういう問題も十分打ち合わしたものとして出してもらいたい。金融制度調査会の中間答申が出ていますが、それは私どもの考えと同じことであるということなら、あらゆる審議会の制度というものを根本的に考え直す必要がある。政府はみだりに調査会とか審議会を作り過ぎておる。作るのが好きなんだ。そのことによっていろいろと隠れみのに隠れてのがれようとする事実もあるわけです。われわれはこの審議会とか調査会等に大きな疑問を持っている。どうも審議会のメンバーを人選するときに、政府の方にあるいは官僚の方に都合のいい者ばかりを選んでおると言わざるを得ない。審議会制度の本質から離れておるものと思う。そういう発言はしてもらわない方がいいと思います。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 金融制度調査会につきましては、今申し上げましたようないきさつになっておりますが、非常にむずかしい問題でございますので、中間の答申を得まして、従来それでやっておるわけでございます。やっておりますと申しますのは、政府におきましてもその答申を尊重するのがしかるべきだという意見でやっておるわけでありまして、決して調査会自体に責任を負わすというような趣旨のものではございません。ただ、今新しい問題として御諌言がございましたので、よく企業庁と相談いたしましてお答えすることにいたしたいと思います。

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 速記を始めて下さい。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 ただいまお話のございました点につきましては、よく速記録を調査いたしてみまして、もし不穏当な点がございましたら委員長に取り扱いを御一任いたしたいと存じます。

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 大月銀行局長の発言につきましては、後刻速記録を取り調べ、委員長におきまして善処いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 大月銀行局長と大堀長官にお尋ねいたしますが、町の金融機関、高利貸しが非常に発展をしておるわけです。これはどういうことで町の金融機関がそう発展をするのか。またこの金融機関に中小企業の金融がどの程度依存しておるのか。これは調査をしておられると思いますので、その点をお伺いしたい。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 ただいまのお話の趣旨が、どういう点に問題があるかちょっと私わからないのでございますが、正規の金融機関のほかに町のいわゆる金融業者というものがある、それと重複するという点は、あるいは一つの企業ないし個人が両方から借りておるということでございますか、あるいは監督権がダブっておるということでございますか、ちょっとはっきりいたしませんが、ただいまの金融制度といたしましては、大蔵省なり、あるいは通産省なり、あるいは都道府県知事なりが免許をし、あるいは許可をするいわゆる正規の金融機関といたしまして、銀行、相互銀行、信用金庫、信用協同組合、そこまででございます。そのほかにいわゆる貸金業法に基づきます貸金業者があるわけでございますが、これの設立あるいは営業は、免許でも許可でもないわけでございまして、単に都道府県知事に対する届出をもって事業ができる、こういうことでございます。この実際の経済に対する影響の最も違います点は、正規の金融機関はいずれも預金を取り得るという点でございます。従いまして、監督も預金者を保護するという点で非常に厳重になっております。貸金業の方は、預金を集めることを禁止しておりまして、手金をもって人に金を貸すということでございますので、かりに貸金業者自体が貸し倒れを作るということがありましても、その点は特に政府として関与する点ではない。ただ社会正義あるいは弱者保護という点がございますので、一般の高金利を取り締まるという観点から、その最高金利を日歩三十銭ということにしてございます。これは一般の金融機関の金利調整法に基づく貸し出しの制限に比べまして、ほぼ十倍近いほどの高い金利でございます。これは法律上認められておるわけでございます。こういうように金融が詰まって参りますと、いわゆる正規の金融機関でない貸金業者に金融を依存するという面がある程度ふえてきておるだろうということは申されるわけでございますが、監督の面につきましては、今のように立場を異にして監督しておるわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 私が高利貸し金融についてお尋ねいたしましたのは、零細企業の金融問題との関連でお尋ねするのです。先ほど大堀長官並びに山本理事長から、零細企業の金融ということに対してお答えがあったわけです。大堀長官が答弁された通り、無条件で無原則的な貸付ということは、いかに政府金融機関でも無理だということはきわめてよくわかります。しかし、現在の零細企業者には保証協会でもその保証というのはなかなか、ざっくばらんな俗語で申し上げると、色よい返事をしてくれない、歓迎してくれないということなんです。かといって、今度は、銀行から貸し出しがあるのだったら、これを追認するのだというのですが、この銀行がまたなかなか受け付けてくれないのです。御承知の通り零細企業というのはロード的な性格を持っている。経営がそのまま即生活につながっている。材料代をすぐ払わなければならない、労賃をすぐ払わなければならない、手形をもらっても、その手形は数カ月という相当長期のものである。ところがその手形を銀行へ持っていってもなかなか割引ができないのです。国民金融公庫等から借り入れをしようと思いましても、なかなかそう簡単に貸してくれないし、また時間もかかる。そういうことから、手っとり早く町の金融機関、いわゆる高利貸しのところへ飛び込んでいくわけです。そのために、生業的な経営をやっておる零細企業は、全く生きていくために精一ぱいだ、きわめて低所得で生活をしておる、こういうことが実態なんです。ですから、この零細企業の金融対策というものは、政策的な立場から意欲的にこれに取り組んでいくという態度でなければならぬと思う。協同化の促進をやるとかいろいろな方策もありましょう。しかし、この金融というものに対しては特別の配慮をもって取り組んでもらわなければいけないのじゃなかろうか。方法といたしましては、無担保ということも考えられましょう、あるいは無連帯保証というようなことも考えられなければならぬと思います。それからいかに短期間に信用調査等をきわめて簡易にやって零細企業の金融を間に合わせるか、時間的にこれをどう短縮するかということに対しては、格段の考え方というものがなければならないのだ、私はこう思っております。そのことに対してどうお考えになっておられるか。先ほどのような答弁は私は答弁としてはわかります。意見としてはわかりますけれども、少なくとも熱意を持って零細企業の金融問題を緩和していこうということに対しての意欲的なものを私は感じられません。また大蔵省といたしまして、やはり零細企業の金融という問題に対しては格段の考え方というものがあってしかるべきだ、こう私は考えるわけです。それらの点に対してどうお考えになっておられて、どう対処しようとされるのか、その点を伺ってみたいと思います。

大堀弘中小企業庁長官

○大堀政府委員 ただいま御指摘の点は私も全く同様に考えておりまして、保証制度につきましても小口保証ということは特に私強調いたしまして、現在ぼつぼつ行なわれておるわけでありますけれども、やはり小口保証制度ということによって高利貸しに走っていくような実態をできるだけ防ぐ意味において、金が早く借りられるように保証制度も小口保証制度をこの際制度として新しく動かしていきたい、かように考えて、来年度以降にはその制度を織り込んで運用したいと思って、今大蔵省と話し合っておるわけであります。なお政府機関としては、きょうは国民金融公庫の総裁も見えておりますので、国民金融公庫は小口の金融も十・分配慮して現にやっておられると思いますから、今後とも十分注意して運用して参りたい、これは私ども協力してそういうふうにしたいと思っております。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 零細金融の問題につきましては、ただいま中小企業庁長官からお話がございました通りでございまして、大蔵省といたしましては、大体大筋において三本建で考えておるわけでございます。まず一つは、やはり中小の金融、民間の金融につきまして、大企業偏重ということでなく、零細な金融について極力十分なる配慮をもって金融をするようにという指導をしておるわけでございまして、そういう観点から、都市銀行、地方銀行はもちろん、中小企業金融の専門機関であります相互銀行、信用金庫あるいは信用組合、こういうものの育成強化及びこれらの中小企業金融機関が、積極的に中小企業のために機能を発揮するという方面に努力をいたしておるわけでございます。第二の問題は、政府機関の関係の資金の充実の問題でございまして、これは毎年予算をもっていろいろお願いいたしておるところでございますが、特にこの点につきましては国民金融公庫が中心になるものと考えます。それから第三点におきまして、特に零細あるいは中小の方面での問題は、信用力が乏しくて借りにくいという点だろうと思います。そういう点につきましては先ほど長官からもお話がございましたように、信用保証の制度について零細な方面についても、手の届くような配慮をいたすようにということを考えておるわけでございます。具体的な問題につきましては今後中小企業庁とも御相談して参りたい、こういうように思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 お尋ねをすると答弁は非常に前向きの答弁ですが、ただ現場ではなかなかここでお尋ねして御答弁を受けるような形に運営されていないのです。保証効率ということを主として考えるということから、先ほど私が指摘しましたような、比較的冷淡な態度をもりて取り組んでおられるというのが現状なんです。最も必要なものが最もやっかい視されておるというのが実情であるということを考えてもらわなければならぬと思います。ただいまの答弁では私満足できないのですが、もっと私が御質問申し上げた連帯保証制度をどうするのかということ、それから時間を縮めるために具体的にどういうことをやろうとしておるのか。それから担保というものも零細企業というものはなかなか持たないのです。ですから担保をとらないで貸付をするというようなこと等、具体的にいろいろと検討しておると思いますから、もっと具体的に的確に一つお答えを願いたい。なお現場の国民金融公庫として零細企業というものに対してはどういった態度で、どのような配慮をもって取り組んでおるのか、この点も一つあとで公庫の総裁からお答え願いたいと思います。

石田正国民金融公庫総裁

○石田説明員 政府の中小企業関係の金融機関はほかにもございますけれども、国民金融公庫といたしましては、特に資力の乏しい零細な方を主たる貸付先といたしまして金融をやっておるわけでございます。われわれの考え方といたしましては、そういう零細な方はなかなか担保を出しにくいだろう、担保というものもお持ちにならぬだろうというふうに考えますので、できるだけ担保のないところの貸し出しということを重点にいたしております。なお保証の問題につきましても、これは金融機関でございますから、全然回収の見込みが立たないところのものに対しましてお貸しするわけには参らないのでありますけれども、われわれの方といたしましては、保証の問題にいたしましてもできるだけ借り主の方とふだんじっこんにされておりますような方々の個人保証ということに重点を置きまして、その保証がありますれば出すということにやっております。なお適当な保証人がない、また保証人を立ててこられましても、その人の資力が回収の関係において懸念があるという場合に、やむを得ず保証協会の保証というものを求める、かような態度でわれわれは仕事をいたしておるわけです。現在のところ、これはときによりまして数字が違いますが、最近のところで申しますと、国民金融公庫が貸しておりますところのすべての件数の中で、保証協会の保証をどうしてもいただかなければならぬと思っておりますのは一・六%程度であります。それからまた金額にいたしましても大体そのくらいの見当に相なっておるわけで、われわれはできるだけ無担保で、また保証協会等の公的な保証を得ずに貸し出しの実行のできるものは極力貸し出したい、かように考えておりまして、これが先ほどお話のありましたやみ金融というものに依存しておる面をできるだけ少なくするという方面であろうと思うのであります。  今申しましたのは主といたしましてわれわれが普通貸付と申しております一般の生業資金でございますが、われわれの方といたしましては、そういう生業の関係とは必ずしも関係のない、たとえば恩給担保貸付というような問題につきましても、いわゆる金貸し、やみ金融を利用する方面の方が相当あるのではないか、この点についてもできるだけわれわれの恩給担保の貸付というものが理解されまして、六分という金利で貸し出しが行なえるように努力いたしております。と申しますのは、たとえば昨年のごとき、全国的に調査するのはなかなか困難でありますが、四国地方を中心として、いわゆるやみ金融の依存度というものはどのくらいであろうかということを、われわれの手によりまして調べましたが、そういうやみ金融に依存しておる方が相当多いのではないかという感じがいたしまして、特にこのものにつきましては地域的に重点を置きましてPRをいたしました結果、最近は四国地方の恩給担保の貸付は非常にふえておるというような状態でありまして、われわれといたしましては国民金融公庫本来の使命というものを考えまして、その点においてはできるだけの努力をいたしておるつもりであります。

大堀弘中小企業庁長官

○大堀政府委員 ただいま国民金融公庫総裁からお話がございましたが、保証の面につきましては先ほど大体申し上げましたが、具体的に申しますと、二、三十万円以下のものは原則として無担保の扱いを現にいたしておるわけでありますが、同時に取り扱いを簡便にするために、貸付をする市中銀行の窓口において同時に保証業務を委託してやってもらいまして、これを保証協会において追認をするという取り扱いを普及して参りたいということが一点でございます。  同時に、現在県とか町村あたりが小口融資のための資金預託制度をやっておりまして、だんだんこれが普及されておるようでございますが、これをさらに一そう普及いたしますとともに、私どもといたしましても融資基金を増額いたしまして、保険公庫からできるだけ保証協会に対して小口融資のための特別の融資を実施していくというような面においても十分考えて参りたい、かように考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 もっと具体的に、私はなまの問題をいろいろ調査いたしておりますが、お尋ねをしたいと思うのですが、時間もだいぶ過ぎて参りましたので、一つ進んで参りたいと思います。ただいま国民金融公庫総裁の方から御答弁がございまして、最近の取り扱いというものがだいぶ是正されてきたということは認めるのでございますが、やはり時間があまりにも長くかかり過ぎると思います。これはいろいろ人手不足というのか、調査員の方が少ない。現在でも非常に過労である。そのために病気をされて休まれる。少ない上に病気で休まれるといったようなことで、現場はなかなか困難しておるということを私どもは現実に知っておるわけなんです。そうしたいろいろな問題点、公庫自体ではどうすることもできないという隘路があるということはわかります。しかし零細企業の金融が非常に窮迫しておる、時間的に非常に争っておるというこの実態を十分把握されて、この手続上の簡素化、それから調査にあたっても、零細企業者の調査ということは何か特別の便法を講じられなければならぬのじゃないか、こう思うわけです。この点に対しては、特に格段の配慮を希望いたしておきたいと思います。  それから大堀長官に方針として伺ってみたいと思うのでありますが、短期資金というのが、長期といっても一年程度というのでありまして、非常に期間が短いのですね。保証関係、保険の関係にいたしましてもそうなんですが、より期間が短い。このことは十分考慮しなければならないのではないか。短いということは、回転は早くなって参ります。その点はそれでプラスでございましょう。しかしあまり期間が短いということは、零細の企業者、非常に力の弱い中小企業者というものは、借りた、すぐ返さなければならぬ、ここに非常に無理があるわけなんですよ。ある程度期間を長く与えてやらなければ、健全な生業から企業へと成長していくという上において、非常な支障があるわけなんです。期間がくると、利益金というものはなかなかそれだけ出てこない。利益金でもって払うことはできない。払わなければ金は借りられない。やむを得ずまたいわゆる高利貸しの窓口へと行くわけなんです。そういったような点を十分配慮されなければならないのじゃないか。特に最近は設備資金というものに相当ウエートがかかって参りまして、こうした点に対していろいろ検討しておられるところもあろうと思います。現場の山本理事長から、考え方を一つ聞かせてもらいたいと思います。

大堀弘中小企業庁長官

○大堀政府委員 御指摘の点につきまして、特に設備資金につきましては長期でなければならぬと思います。現に中小企業金融公庫が設備資金を貸し付けておりますから、これは相当長期のものが多いわけであります。商工中金の理事長がお見えですが、商工中金におきましても、長期の設備資金を貸しておられるわけでありますが、運転資金については、これは短期のものが当然あろうかと思います。私どもといたしましても、運転資金につきましても、やはり今回の三百五十億追加をいたしました資金について、これは政府が公庫に貸す金でございますけれども、あまり短期なものが多くなると、貸付の面では困惑を来たすかと思いまして、相当大蔵省に無理を言いまして、できるだけ長期のものをふやすように配慮しているわけでございます。御趣旨の点、やはりそういう方法で努力をいたしたいと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 銀行局長に希望ということになりますが、どうもあなたの方が少しやかまし過ぎるという点が私はあると思う。やはり現在の中小企業、なかんずく零細企業の置かれている実態を十分お考えになって、いわゆる金融ベースといったような角度からあまりきびしく取り組まない、こういうことに十分な配慮をお願いいたしておきたいと思います。  次に、中小企業金融公庫のことについてお尋ねをいたしますが、中小企業の金融という問題に対しましては、代理貸しと直貸しという問題が、だいぶ前の通常国会においても議論されました。いろいろ答弁もあったわけですが、陣容といたしましても理事が二名ふえております。十分充実してきているだろうと考えるわけでありますが、委員会におきましても、附帯決議がこの点についてはつけてあります。それでどのような配慮を現在やっておられるのか、そのことに対してお答えを願います。

森永貞一郎中小企業金融公庫総裁

○森永説明員 先般の通常国会におきまして、特に今後は直貸しに力を入れるようにという御趣旨の御決議がございまして、私どももまた、できるだけ公庫の融資方針を徹底させるには、直貸しに漸次重点を移行させるべきだという考え方からお答え申し上げたわけでございますが、その後の実行状況を見ますと、逐次直貸しが全体の中で占める割合は増加いたして参っております。昨年度はおそらく直貸しが二割前後でございました。二割から二割二、三分くらいまでのところでございましたが、第一・四半期には二割七分まで増加いたしまして、第二・四半期には二割九分というととろまで逐次増加いたして参っております。ただこれは必ずしも画一的には参らないわけでございまして、ことに今度のような金融引き締めで運転資金の需要が増加して参りまして、またそれに応じなければならぬということになって参りますと、手っとり早く運転資金の出せる代理店の機能もまた非常に有効に利用しなければならぬわけでございますので、画一的には考えられないと思います。そのときどきの経済情勢に応じて逐次直貸しをふやすような方針で参ることは、もちろんその方針でやるわけでございますが、その割合が今度の金融引き締めに際しまして、どういう数字になりますか、それにはもう少し今後の情勢を見きわめたいと思っておりますが、御趣旨は十分に体しまして運営をいたしておるつもりでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 この代理貸しということになって参りますと、系列金融という形あるいは銀行の逆選択という形ですね。そういうことから、非常に危険性があるというようなことが、何というのか、中小企業金融公庫の方へ肩がわりということが実は行なわれてきている。銀行の危険防止機関というような形に中小企業金融公庫が利用されている面が、私は非常に多いと思っております。そのために、せっかくの中小企業の金融を強化していくというこの機関が、健全な経営者というものに十分利用されないというように感じるわけなんです。  それからいま一つは、中小企業金融公庫というのが比較的に、地域的にその貸し出しが偏在しているという点があるのではなかろうかと思っている。商工会なんかが最近はどんどん結成されている。その商工会のスローガンなんかを見るのですが、中小企業金融公庫に対する金融上の対策というものは掲げられない。国民金融公庫の金融をもっと増額せよとかいって、国民金融公庫という名がスローガンの方にはかかっているのですね。それはそれなりにいいと思います。しかし、やはり中小企業金融公庫というものがもっと全国的にPRされて、十分広く利用される、こういうことでなければならないのじゃないか、こう思っております。それらの点についてどう配慮しておられるのか。

森永貞一郎中小企業金融公庫総裁

○森永説明員 代理貸しは全国的に六百七十くらい、むろんその店舗は五、六千あるわけでございますが、これもやはり全国津々浦々にわたるパイプとして利用していかなければならぬと思います。しかし先ほども申し上げましたように、かゆいところに手の届くような貸付をいたしますには、何といっても直接貸付にもっと重点を置かなければならぬ。そういう趣旨で、実は店舗網がまだ不十分であると思います。ただこれは一挙に全国的に店舗網を設けるわけにはなかなか参らないのでございまして、ことしは三支店、二出張所を設けまして、現在十四支店、四出張所ということになっておりますが、逐次これを拡充をいたしまして、皆様に代理貸しだけでなく、直貸しについても便利よく私どもの店舗を御利用いただけるように考えて参りたいというふうに考えておる次第でございまして、来年度につきましても何がしかの店舗を増設していただくよう、予算の要求をお願い申し上げておる次第でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 代理貸しが最近は若干少なくなったということは統計上に出ておるわけですが、この代理貸しを利用するというのは、時間的な問題も多分にあると思う。直貸しはなかなか時間的に間に合わない。代理貸しであると、銀行が二種類あるわけですが、ともかく銀行が八〇%までは保証する形になっておる。そういったことから、銀行責任でやるというので、公庫の方でも、代理店の銀行を通じてきたものは、無条件に近いような形でこれを処理する。ところが直貸しの方では、審査の点も非常にむずかしくなってくるというような点があるのではないか、こう思っております。  そこで、代理貸しがなかなか減らないような隘路がどういう点にあるのだろうか、これをこう是正しなければならないのだという一つの基本的な方針を立てて、それに向かって推進していくという形でなければならないと思うわけです。代理貸しが早くて、直貸しが時間的に相当長期間を要するという点は、どういう点に隘路があるのか、その点を一つ聞かしていただきたい。

森永貞一郎中小企業金融公庫総裁

○森永説明員 代理貸しは狭い範囲の資金需要、特に預金取引等のあるような場合も相当含まれておるわけでございまして、信用状態その他が代理店にもよくわかっておるというようなことから早くできるわけでございますが、直貸しとなりますと、初めての取引をする相手方にお貸しするわけでございまして、しかも利益金の中から償還をしていただくということになりますと、やはりその事業の現状、将来性その他いろいろ審査をしなければならぬわけでございまして、右から左というわけにも参らないのでございますが、それにしてもできるだけ時間がかからないようにということで、鋭意努力をいたしておる次第でございます。試みに、九月末現在で、ごく最近に取り上げましたものにつきまして、昨年度と本年度とどういうふうになっているかということを比較してみましたところ、幸いにして非常に能率も上がりまして、一件当たりの所要日数も平均三十日くらい短縮できているというような結果になっておりまして、今後もこの努力を続けていかなければならぬと思うのでございますが、しかし能率向上にも限度があるわけでありまして、やはり一番の問題は何かと申しますと、この直貸しに必要な人員の充実をしていくということだと思います。私どもの公庫も創立以来八年になります。八年間ずっと新規採用して参りましたが、その連中がだんだん審査事務の中堅になる時期が参っておりますので、今後はそれに大いに期待できると思います。と同時に、将来のこの直貸し重点ということを考えますと、いましばらくはやはりこの新卒も思い切って採用いたしまして、第一線に投入するのには教育も要るわけでございますが、目下そういう方針で毎年六、七十人ずつ採用いたしております。それらの連中の教育に重点を置きまして、一日も早く審査が行なわれ、全体の融資事務がスピード・アップされるように努力を重ねているような次第でありますので、御了承いただきたいと思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 ちょっと関連して。この中小企業金融公庫の事務の簡素化というか、迅速化と、直貸しのワクを広げるということは、これはもうこういうことが問題になるたびに言っておるんですよ。この前の国会で、私は、あなたの方から、少なくとも国民金融公庫並みに、直接貸しと代理貸しとの歩合が同じように持っていくまでに五カ年計画を立てるということで、大体フィフティ・フィフティになるのは五年かかる、こういうように伺った。ところが、実際にあなたの支店なり出張所に行くと、もう代理貸しが建前だという観念を持っておる。何回やってみても、そのときそのときの言いのがれの答弁しか聞けない。そこで直貸しを思い切って広げていくということ、それから中小企業の金融の特質からいっても、調査その他のいわゆる事務の簡素化をして迅速に貸付をするということ——このことのできない理由を中村君は今聞いたわけだが、今の答弁でも、何だがその場限りのような感じを受ける。ほんとうにどこにその原因があるか。人が足りないのだったら予算をうんと要求したらいいじゃないか。あるいは店舗が足りないならふやしたらいいじゃないか。そんな中途半端のものならやめてしまったらいい。そうもいかなかったら、役に立つようにしなければならぬ。それには思い切った希望を大蔵省なり当委員会なりへ出して下さい。こうしてもらうなら直ちにフィフティ・フィフティの貸付もできる、いわゆる代理貸しと直接貸しの歩合がフィフティ・フィフティに参るのはこういうふうにしたらすぐできる、そのためにはこのくらいの予算が要るんだ、このくらいの人員が要るんだというような要求を出して下さい。いつも同じようなことばかり言っておったんでは、私は短気ですから、そんなことでは済まされないですよ。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 それにちょっと関連して。中小公庫の金融の問題について、できたおりからずっと今日に至るまで、同じ質問が繰り返されて同じ答弁がまた繰り返されている。ずいぶん御努力はいただいているようでございますが、しかし現在の能力をもってしても、集中的に行ないになればできるという実績をあなたの方は持っていらっしゃる。具体的に申し上げますると、伊勢湾台風の直後のごときは非常によく行なわれた。これはもう表彰ものであると思っております。地元では感謝の的になっている。またその後といえども、名古屋地区においては割合によく行なわれておりますが、何と申しましても、中小公庫が口に出るたびに言われることは、資金量の少なさと、願い出てから貸し出すまでの期間が長過ぎるということなんです。そこで今田中委員も言われましたように、どうでしょうね、森永さん、相談ですが、いつも人員が足らぬとかどうとかということですが、人員を急にふやしてみたって間に合わないでしょう。逆にそれを指導するために熟練者がそちらの方へ精力を傾けて、かえって事務は能率が下がるかもしれない。そこでこれこそ五カ年計画を立てるとか、あるいはかつては市中銀行からエキスパートを呼び寄せて代行させてみたことがございましたが、ああいうことをするとか、特に私が思いますのに、これから年末まではまだいいかもしれませんが、来年の一−三に至っては大へんな事態が出来するだろうと思うのです。一体それを助け得るものはどこかといえば三公庫以外にない。銀行局長がどんなに銀行に命令を出してみても、市中銀行は決して中小企業に涙のあるようなことはやってくれないだろうと思うのです。口では言うてもなかなか市中銀行はたよりになりません。歩積み両建で、なおそれに耐え得る中小企業は少ない。たよる先は公庫とそれから信用保証協会だけです。だからたよる本尊ですから、何とか期間を間に合うようにしてやってもらいたい。特に問題は、設備資金で困るというよりも、今後出来するのは、おそらく運転資金でぶっ倒れていく。特に黒字倒産を切り抜けるのに運転資金をすぐに貸してやる、カンフル注射が必要である、こういう時期に差しかかるじゃないかと思われます。ここで他人行儀な答弁をしていただかぬでもけっこうですから、具体的にこういうことをやろうとするが、どうだろうかということで、実のある行為に移していただきたい、こういうことをお願いかたがた質問するわけでございます。

森永貞一郎中小企業金融公庫総裁

○森永説明員 直貸しフィフティ・フィフティに五カ年くらいで目的へ持っていきたい。その場合の本年度末の直貸しの比率は大体二五、六%ということを考えております。その目標は、順調に達成しつつあることをまず御了承いただきたいと思います。先ほど申し上げましたように、第一・四半期融資だけで考えますと二七%、第二・四半期は二九%、九月末残高では直貸し二四%、代理貸し七五%というところまでいっておるわけでございまして、この春の通常国会で申し上げました目標に向かって順調に進んでいるということを、まず御了承いただきたいと思います。  それから第二点でございますが、融資に際しましては、運転資金と設備資金とでは多少趣が違うと思います。設備資金は、これから設備を拡張しようという、しかもそれを借りるにつきましては、収益の中から利益償還をしていくわけでありまして、それにつきましては、やはりその企業の実態を見きわめるということも必要なわけでございます。当座の金繰りのための短期資金とちょっと違う点があるわけでございます。従いまして、設備資金の融資にあたりましては、そう簡単に右から左というわけにも参らぬわけでございまして、若干時間がかかる点は御容赦いただきたいのでありますが、ただそれにつきましても、できるだけ時間を短縮するようにという努力をいたしてきております。一つは人員の充実、もう一つは能率の向上でありまして、現に九月末現在で最近に取り上げましたものについて申し上げますと、本店では、昨年は受付から審査決定までが九十九日であったものが六十七日、二十日の短縮を見ております。大阪ではもっと四十日くらい短縮されております。名古屋でも二十日くらい短縮されておる。これは私ども人員の充実並びに能率の向上をはかりまして、できるだけ皆さんに御迷惑をかけないように、融資手続の迅速化をはかっておる一つの事例でございますので、その努力につきましては今後もなお続けるつもりでございますが、現状で相当改善された点をお認めいただきたいと存ずる次第でございます。  なお伊勢湾のときには非常に早くいったじゃないかというお話でありますが、これは実は代理店を活用しているわけであります。今度の年末の金詰まりに対しましても、お説のようにおそらく運転資金が多いでございましょう。運転資金につきましては、やはり代理店の取引先も相当あるわけでありまして、その意味で運転資金の供給につきましては、代理店融資を活用する余地が相当あるのではなかろうか。現にそういう考え方で資金の配分等もしているわけであります。直貸しでも運転資金の問題を取り扱うわけでございます。しかし手っとり早くこの金詰まりの必要に応じ得る機構としては、やはり代理店の特徴を生かしてやらなければならない。その意味で先ほど申しました代理店の代理貸し比率が一時若干その減少の度合いが停滞するということもあり得るかと思いますので、その点は御了承いただきたいのでございます。しかしその全体の割合としましては、先ほど来申し上げておりますように、逐次直貸し重点を行ない、これはあくまでも守って参りたいと考えている次第でございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 今大阪でも何日間か短縮した、こういうお話ですが、実は大阪支店で九月だったか話があった、そうするとそれは来年の二月になるということですが、それで短縮しておりますか。

森永貞一郎中小企業金融公庫総裁

○森永説明員 先ほど申し上げましたのは、九月末現在のごく最近に処理した三、四十件のものについて調査した結果でございます。今後のものについて長くかかるのには理由が二つございます。一つは金が足りないということ、もうすでに今申込みがあるもので一ぱいでございまして、なかなかすぐに順番が回ってこないという理由、もう一つは、審査員が当面の問題の処理に追われておりまして、新しい問題にとりかかるのに少し時間がかかるという二つの要素がございます。大阪での最近の実情をここではっきり申し上げるだけの資料を今持っておりませんが、その二つの面からあるいはおくれるということを申し上げる事例もあろうかと思いますが、それは今申し上げる事情によるものと御了承願いたいと思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 資金量が足りない、あるいは人が足りない、いろいろ理由はあろうと思う。またそれがほんとうだろうと思う。しかしあなた方は——これはあえて中小企業金融公庫だけではありません。きょうお見えになっている商工中金は別だろうが、いわゆる政府機関としてのあなた方は、その与えられた任務を達成するためにペストを尽くす、そのためには政府になりあるいは当委員会に遠慮なく、一つこういうことをやってもらいたいということを言うべきで、政府が聞かなければ委員会に出して下さい。これだけのものがなければやれないのだということ、これはあえてお宅だけではない。ほかのところでも同じです。政府が聞かなければ委員会において決議をして政府をして実行せしめます。あなた方は、やはりもとがもとだけに政府に対して言いたいことをよう言わぬのと違いますか。そんなことなら当委員会へこれだけの予算は来年度必要だ、これだけの年末資金が必要だということを出して下さい。当委員会において決定して、政府に実行させるように迫りますよ。それをやらぬような政府なら私は本委員会で一切の法律は通さぬという決意を持っております。

森永貞一郎中小企業金融公庫総裁

○森永説明員 来年度につきましては、資金量並びに所要人員について予算の要求をいたしているわけでございますが、できるだけその要求の貫徹に努力をいたすつもりでありますので、どうぞよろしくお願いします。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 代理貸しが多く利用される、それから時間がかかるというのには、実績主義ということがあまり重んじられているので、このことは中小企業金融公庫だけでなしに、国民金融公庫あるいは商工中金にも通ずるので、ある程度はやむを得ぬと思います。実績なんていうものは全然考慮するなという見方も無理でしょう。しかしあまりにも実績主義に過ぎる。最近は多少変わっているかと思いますが、一年以上同一場所で同一事業を行なう、それから国民金融公庫に至っては書類を出したがパスしなかった、六カ月しなければ申し込みができない、そういうあまりにも形式主義、実績主義ということでは、政府金融機関としての使命を果たすことにならぬと思います。そこらあたりも、公庫の場合は代理貸しを利用するという形が出てくる、また公庫の方でも安易な点から代理貸しに依存するという形が出てくるだろう、こう思っております。資金量の問題あるいは要員の問題、いろいろ公庫ではどうすることもできないという点があるということはわかります。そのことはわれわれ委員会におきましても、積極的に取り組んで参りたいと思うのですけれども、公庫自体においてやり得ること、それは最大限に実際の実情に沿うように十分の配慮を一つお願いいたしたい、こう思うわけです。  次に、商工中金のことに対して御質問をいたしたいと思うのですが、銀行局長の時間の関係もあろうと思いますし、また関連質問で銀行局長に質問したいという委員もおりますので、先に銀行局長にお尋ねいたします。  商工中金に、昭和二十八年当時最高六十六億くらいの指定預金というのがあったと思います。今この指定預金というのが全然行なわれていない。とれに対しては理由があろうかと思うのです。どういうわけで指定預金というものを引き揚げられてしまったか、これを現在行なわれないのか、その点を一つ承ってみたいと思います。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 指定預金は、多分昭和二十四年ごろだったと思いますが、やはり金融が非常に逼迫いたしまして、国庫金の余裕が相当ございましたので、中小企業の対策といたしまして、実施されたのが初めてだろうと思います。それがずっと続いておりましたところ、昭和二十八年の金融の引き締めに際しまして、民間の金融も引き締めると同時に、今申しました、財政からする金融をゆるめる要素になっております指定預金も逐次引き揚げるということにいたしまして、都市銀行及び地方銀行の指定預金は、そのとき計画的に半年ばかりかかりまして、全部引き揚げたわけでございます。ところが、あと相互銀行、信用金庫及び今お話のございました商工中金に対して、合計六十三億だけが残りましたのは、中小企業金融機関として、それは最後に揚げようということであったわけでございます。ところが、この指定預金につきまして、会計検査院の意見がございまして、法律に基づかないで、こういう指定預金をするといろことは、違法の疑いがあるので、少なくとも今ある六十何億かは別といたしまして、今後は新たな預託をしないようにという勧告を受けた事実がございます。それから大蔵省の財政の立場といたしまして、国庫に余裕がございますときには、現在日本銀行の預金にするか、あるいは資金部門に預託をするということで、一元的な運用をいたしておるわけでございます。これはいつでも国として使える状態に置くということでございます。ところが指定預金をいたしますと、これが各金融機関にばらばらに預金になりますので、いわゆる資金の効率と申しますか、それを少ない金額でうまく国庫を繰り回すということは、非常にむずかしいという問題がございます。それから、景気の調節という面から申しますと、これは一たび国庫で財政上から引き揚げるという場合には、金融としては引き締めるべき時期でございますので、それを国庫預託をしてゆるめるということになりますと、全体の金融基調に反するということが一つございます。  それから第三の問題といたしまして、一ぺん民間の金融機関に対して預託を実行いたしますと、これはやはりなかなか引き揚げにくい政治的な理由もあり、社会的な理由もございまして、とかく焦げつきがちになる。その残りました六十三億も、最後の理由からなかなか揚げにくいということで、ようやく先般引き揚げた、こういうことでございまして、今のところわれわれの立場といたしましては、この国庫の指定預金というものはやらないといろ方針にいたしておるわけでございます。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 関連。銀行局長がお見えになっておりますから、ちょっと問題は別ですけれども、お聞きをしておきたいと思います。  それは、最近におきまして私どもの目につくことは、農業金融といいますか、それが少し乱れてきているように思うのであります。特に顕著に現われつつある点で三点御質問いたしますから、これは実情がどうなっているか、どういう方針で農林省なり何なりとあなたの方ではお打ち合わせしてこれらの規制をされておるのか、この点のお答えを願いたいのと同時に、できればあなたの方で実情を明確に調べて、一つ資料を出してもらいたい。  その一点はどういうことかといいますと、これは末端農協のやり方が悪いからでありますが、最近農家の兼業化が非常に進んで参りました。日銭が入るわけです。この日銭をねらいまして信用金庫等が非常に農村に進出して参りまして、農家の資金を信用金庫がさらって農協へ集まらないという傾向が出ております。これはある意味においては、私は是認してもいいことだ。しかし大筋の農業金融という点から言うと、これは工合の悪いことであります。これが至るところに見られる。これについて農林省なりあるいは大蔵省はどういう見解を持っておるのか。またこれらをどういうふうに指導されておるのか、この点が一点であります。  第二点は、最近工場などの地方進出、あるいは道路、鉄道等の開発等によって、土地を売ってまとまった金が相当入ってきておる。むしろ私はこれが農協に集まらないで、ほかへ、銀行へ集まった方が、農家の立場からいいましていいと思う。ところがこれが農協に集まる。そのうちの相当部分が農協に集まる。従って、あまり基礎的に強くないところの農協が相当膨大な預金を持って、しかもその貸し出し先がどうかというと、これは農協法に基づくものではなくて、ほかの、町のいいかげんな連中に、いわゆる中小企業に融資をしている、こういう事実が相当出てきている。中小企業の金融をある意味において緩和するのはいいかもしれませんけれども、農家にとってはこれはなけなしの財産であります。それをせっかく自分たちの系統の農協として集めたものが、規則からはずれて秘密貸しみたいな格好で、町の中小企業に流れるというようなことは、非常に私は危険なことだと思うのであります。これらの実態を調べて、これも規制する必要が——規制と言って法律ではできませんけれども、指導する必要があろうと私は思うのであります。  もう一つは、今、少し現われてきた非常に危険な傾向でありますが、今度の農業基本法の実施に連関いたしまして、御承知の通り選択拡大というようなことで、いろいろな形におきます資本の、特に養鶏や養豚の面などに非常な大進出が行なわれております。その相当数の形を見ますと、例の農業共同会社方式みたような、あそこまでまだはっきり法律がきまっておりませんからいっておりませんが、そういう形で農家もしくは農家の共同体もしくは農協のある意味での連合体、それと農外資本とが合体しまして、そして御承知の通り神奈川県の座間の二十万羽養鶏とか、私のところは今度百万羽養鶏というものを始めました。これは資金計画は全部で十億であります。この資金は、農協系統の貸付が行っているわけです。これは信連の場合もありましょうし、あるいは中金の場合もあるのじゃないかと思います。これは農林省の方針はどうか知りませんけれども、私どもから言えばこれは農民の間にこれから芽を伸ばしてくる選択的拡大の動きを頭からヘッドされるものだ。といいますのはこれは非常に近代化されて、しかも土地に根がつかない大企業であります。たとえば百万羽養鶏のごときがほんとうに軌道に乗ったら一日に七十万個の卵が出てくると言いましたら、私の近くの農家的養鶏というのは全部全滅であります。しかもそれが農協系の資本を主として運用しておる。しかもそのやり方はどうかといいますと、農協は施設と生きものだけ持っておる。御承知の通り農協法で援用行為ができません、それから利益の分配が制限をされておる、ですから施設と生きものは農協ないしは農協系の形で全部やっておる、そして営業関係と利益分配だけは同じものが別の会社を作ってやっておる、この二重のインチキ組織で切り抜けをして、そして農民の金で農民の首を締めるということをやっておるのが実情であります。  これに対して農林省、大蔵省はどういう態度をとっておるのか。なるほどこれは法律的に言えば合法でしよう。しかし今度のあれだけ政府が骨を折って力を入れた政策、いわゆる一国の農業基本法に対する態勢としては、もってのほかの態勢だと思うのです。これに対して何らのあれが出ていない、これらの点について銀行局長としてはどうお考えになっておるか。またこれらの実態を——これは今のところまだ芽を吹いただけです。しかし至るところにこの形が今芽を吹きつつあるのです。どこでもこれが非常に大きな形になろうとしておる、私は非常に危険な行き方だと思うのであります。  この三点について、とりあえずのお考えと、できればこれらの実態をお調べの上、その資料を出してもらいたいし、農林省と打ち合わせをして適切な行政指導の手を打ってもらいたい、こう思うのであります。

大月高大蔵事務官(銀行局長)

○大月政府委員 お答えいたします。第一点の農村におきまして農協系統の金融機関のほかに信用金庫がいろいろ進出いたしまして、その資金源を荒らす、農村の金を都会の方に持っていくのではないか、こういうお話でございます。これは現在の金融の実情から申しまして、御存じのように非常に資金が不足をいたしております。貸し出しの需要が多く、しかも相当金融機関の相互の間に競争が激しいわけでございます。そういう意味で各金融機関ともいろいろな手段をもちまして、できるだけ資金を集める競争をいたす、それは都会の金融機関も農村へ出て参っておるという現象もあろうと思います。その金融機関相互における競争のほかに、さらに最近では証券会社が各地へ出ておることは御存じの通りでございごいまして、これもやはり単なる預金の系統ではなしに、株式とか社債とか金融債とかそういうような格好でやはり農村の金を集めておる。今お尋ねの信用金庫の問題もその一環であろうかと思うわけでございますが、ただこの点につきましては、農協系統を農村の方がどの程度利用するかどうかという点は、やはり農民の農協系統をどういうふうにして育てていくかという自覚の問題であろうと思います。金利の面におきましては、一般の普通銀行の定期預金、普通預金の金利に比べまして農協系統の金利は一厘アップ、つまり一厘高にしてよろしいということにいたしておりまして、資金吸収上は特に有利に扱っておるような次第でございます。それをたとえば郵便局へ持っていくか、あるいは信用金庫へ持っていくか、あるいは銀行へ持っていくかということになりますと、これはやはり農村の共同意識と申しますか、最後はそういうような意識にたよらざるを得ないのではないか、こういうように考えるわけであります。ただ全体として農村の金はできるだけ系統を利用して農中の方に吸い上げまして、そこで統一的に運用するというのが今の金融の考え方でありますので、農林省もやはり方向としては、そういうように努力しておられるし、われわれとしても基本的にはそう考えております。  それから第二の問題でございますが、地方に対して工場等が進出をする、そのための土地売却代金は農協に入るのだ、しかし農協がとかく農村にその金を落ちないで、ほかへ持っていくというお話だと思います。この点につきましては、実は農村金融の系統に二つの流れがございまして、御存じのように農村漁業金融公庫という政府機関の系統、これが相当低利で長期の財政資金を使って農村金融をやっておるわけであります。一つの制度は農協の組織でございまして、縦の系列で農中に金を集めていろいろな金融をやっておる。国の考え方といたしましては、財政資金は直接政府金融機関たる農林漁業金融公庫を使って流すほかに、今度近代化資金ができましたように、農協の資金をどうかして農村に低利で流したいということで利子補給をやる制度を、ただいま御審議を願っておるわけでございますが、そういうようにして農村で集めました金はできるだけ農村で使いたいというのが基本方針でございます。ただ残念ながら、農協系統の金利はほかの金融機関の金利に比べて相当高いわけでございまして、なかなか農村の収益力の低いところに金融をするということには適しない。そういう意味で資金が集まるのは農協の系統で、使う方は政府から低利なものが出るというちぐはぐな格好に態勢としてはなっております。そういたしますと、資金需要の面から申しますと、農協系統に対する農村の資金需要は比較的ない、その農村からの需要は政府機関にもっぱら集中する。しかし資金の集まりという点から申しますと、農協系統には相当金が集まるわけであります。結果において農協は金が余る……。(久保田(豊)委員「局長、私は原則論を聞いているのではない。現実に起きている事態に対してどう具体的に指導を強化するかということを聞いているので、今のお話は、私も農林委員をやっていましたからそのくらいのことは知っている。その点は御説明は要らない。」と呼ぶ)今申し上げましたような事情で金が余りますので、これが本来許されておりますコールに回す、あるいは関連産業に貸せるわけでございますので、関連産業として都会の企業に貸しておるというのが実情でございます。農業基本法の関係から申しますと、関連産業に対しては必ずしも金融するということを否定しない思想だと私どもは考えておりますので、法律に違反しまして全然関係のないところに金を出しておるということがございますれば、厳に禁止すべきものだと思います。そういう方針でわれわれは指導いたしております。ただ仰せのような実態がそろいうように乱れておるかどうかという点については、私どもは必ずしもそうではないのではないかと思っておりますが、これは一度農林省とも相談いたしまして、調査いたしてみたいと思います。  それから第三の問題でございますが、農業関係の共同会社を使いまして、農協の金ないしは施設がそれに向かっておる、そして都会の資本に奉仕しておるじゃないか、こういうことであろうと思いますが、これも農業基本法の関係からいきますと、関連産業は発展する方がいいのじゃないかということだと思います。そういう意味で全体の農村の金が先ほど申し上げましたような金利の関係もあり、関連産業の方に使われまして、それがまた農村の振興に役立つということはある程度是認すべき方向だ、こういうことで農中の金の配分につきましても、関連産業に対する融資、いわゆる余裕金の運用につきましては相当大幅に認めておる、こういうことでございます。農村の金が農村に直接流れて、それが乱れない範囲においては関連産業の融資はむしろ是認するということで農林省もおると思いますし、われわれもそう考えております。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 いろいろ丁寧な御説明がありましたが、その程度のことは私もよく承知しているわけです。私の申し上げているのはそういうことじゃなくて、第一点は農村の金が現実に農協に集まらぬ。集まらぬのは、ざっくばらんに言いまして農協がそろって下手だからです。金利は必ずしも安いわけじゃありません。片方の競争が非常に激しくなって、農協に当然集める方がいい金がほかへ流れていく傾向があるから、やはり金融の道筋を正す意味において具体的な指導を農林省とやってもらいたい。  第二点は、関連産業に金を貸していいということはわれわれもよく承知しております。しかし、それは中金の場合であります。単協がそんなことをしていいということにはなっておりません。その単協がそういう規定を無視したあぶない金融をやっておるから、これに対して実態を調べて、適当な指導をしてくれというのが私の第二点であります。  第三点の農事共同会社ないしその他に対するあれは、なるほど基本法にはそう書いてあります。しかし、それは関連産業じゃありません。競争産業です。豚を飼ったり鶏を多数飼ったりしてやるのは関連産業じゃありませんよ。いわゆる競争会社です。その競争会社が合法的な法網をくぐって、しかも安い金を使って、農民がこれから伸びていく先に立ちふさがっているじゃないか。これは基本法には書いてあるからといって、今のような形態を関連産業なんと言ったらとんでもない話なんです。ですからこの点も農林省と検討をして、そうして適切な指導方針を立ててもらいたいということを言っておるのであります。  ですから、繰り返しても時間がありませんから申し上げませんけれども、この点は、今のお話のような原則論は、私も長く農林委員をやっておりましたから、そのくらいのことは知ってますよ。そうじゃなくて、現実にそういうアブノーマルな事態が起きており、これが農林金融をあぶなくする危険があるから、これに対して適切な手を打ってくれということをお願いしているのですから、一つ十分その点は農林省と打ち合わせをして、具体的な指導の手を早急に打ってもらいたい。この点をお願いしてやめておきます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 この際議事進行で一言発言をいたしたいと思います。  実はわれわれは政府の経済政策の失敗とでもいいますか、この高度経済成長といわれた中にあって、今度公定歩合の引き上げ、金融の引き締め、いろいろと政府が手を打ってきておる。いわゆる国際収支の逆調を回復するためのいろいろな手段としての政策も出てきておる。そういうことのしわ寄せが中小企業にいく。従って中小企業の金融ということが大きな問題である。ことに年末を控えてこれは急を要するものであるということで、本日御苦労でございますが、中小企業の金融の面を担当しておられる関係の方々に参考人あるいは説明員として来ていただいたわけです。しかも長いことお待たせして大へん失礼だったと思います。しかし、これもわれわけは与党に協力するために、法案審議を先にしたために待っていただいたわけであります。しかるにこの状態は何ですか。こういった中小企業の緊迫した金融状況について、第一線を担当しておる皆さん方から御意見を聞こうと言っておるのに、先ほどまでは与党委員が一人もいない。ようやく浦野君が今来たくらいで、それも今どういうことについて話が進んでおるかということについても理解しておられないと思います。この状態を何と考えておるか。従って私は本日は、はなはだ長く待っていただいた参考人の方々、ことに北野さんには長く待っていただいて、まだ質問をしていないわけで大へん申しわけないと思いますが、こういう状態で審議をしていっても十分なる成果が得られないと思うのです。従いまして日をあらためてこの問題だけ一日うんとやりたい。従って大へん御苦労ですがもう一度来ていただく。同時に政府としても大蔵大臣、通産大臣も列席の上でやりたいと思います。それにつきましては、先ほど森永さんに私が申し上げましたようなこと、これは他の方々にも申し上げることでございますが、さしあたりこういうことをやってもらいたい、あるいはこれだけの財政投融資によるワクをきめてもらわなければ困る。こういう要求を、たとえば今度でも年末に入って五百億あまりの全部の要求が出ておった。それに対して三百五十億だったと記憶しております。それでもまだ今のような状態であるからして、あなた方の担当しておられるといいますか、負うておられますところの中小企業金融の円滑化に対する責務を十分果たされるためには、これだけの資金が最小限度必要であるという書類を当委員会あてに提出を求めます。それに基づいて皆さん方の御意見を聞き、あわせて通産、大蔵両大臣に対してそのことを実施をするよう迫りたいと思います。従って今日は時間の関係もあり、こういう状態の中で審議をしてもむだだと思いますので、散会せられて、あらためてそういう機会を持つように委員長に要求して、議事進行の発言にかえたいと思います。

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 ただいまの田中君の発言ごもっともと思います。理事会に諮りまして御発言のように取り計らいたいと思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 同時に今申しましたような資料を、これは遠慮のないところをざっくばらんに出してもらいたい。そのことを委員長から参考人の皆さんに一つお伝え願いたいと思います。

早稻田柳右エ門自由民主党

○早稻田委員長 各参考人並びに説明員の方々には、長時間おいでを願いましてほんとうにありがとうございました。それぞれの委員からお話のございましたように、中小企業の実情はきわめて重大であると思います。何とぞ十分洞察せられまして、万全を期せられるようにお願いをしたい。さらに今希望のございました資料等は、できれば速急に当委員会に御提出をいただきたいと思います。  それでは本日はこの程度にとどめまして、次会は明二十七日午前十時より理事会を開催します。理事会終了次第委員会を開催することにいたしまして、散会いたします。    午後五時十七分散会

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