商工委員会 第7号
- 発言数
- 68 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/10/18
会議録
○早稻田委員長 これより会議を開きます。 鉱業に関する件について調査を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。辻原弘市君。
○辻原委員 当委員会の重要な審議の中で時間をいただきまして、私は以下鉱業政策に関連をいたしまして、労使の間に非常に紛糾を続けております合理化の問題について、それぞれ関係省にその具体策についてお伺いいたしたいと思うのでありますが、すでに当委員会でも、また本国会におきまして、特に昨年来から非常に国策上重要な問題となって参りました石炭に対する対策が、それぞれ労使はもちろんのこと、政府においても、また国会におきましても、また一般社会的問題としましても、今日大きく取り上げられ、その施策の緊要性が強調せられておるのでありますが、私は石炭の問題を大ざっぱに考えてみましても、今日ここに至ったという経緯については、もちろん本質的なエネルギー政策についての、社会の趨勢の中に生まれた宿命的な問題であるというとらまえ方もありますけれども、同時にまた、この状態にまで放置したという政府の責任も、私はきわめて重要ではないかと思うのです。また、これら石炭に関係する経営者が、従来とりましたそれぞれの経営上の方針というものが、必ずしも時流にマッチしない。またきわめて安易に合理化施策を進めてきたという点にも、一半の責任が存在すると思います。特に、今日具体的に、石炭労働者が生活上の苦境に追い込まれているということにつきましては、何といってもこれは経営上の、また合理化の過程においてとりました施策が、きわめて安易に石炭労働者の上に押しつけられておるという実情は、これは見のがせない事実だと思うのです。そういった石炭問題が、今や大きな社会問題化しておるわけでありますが、同様にここで考えなくてはならぬことは、石炭のみならず金属鉱業万般につきましても、将来同様のことが発生するのではないかという憂いを持った予想を、実は私は今日いたしておるのであります。従って、私が今ここで金属鉱業の中に起きておる一つの事例を指摘いたしまして、石炭のごとく、また労働問題としては三池のごとき、ああいった凄惨な労使の争いを、社会的問題に発展させないように、すみやかな対策、いわゆる長期の展望を持った政府の対策というものを、この際要求いたしますと同時に、また一方経営者の方々に対しても、今これらの間に発生しつつある労働問題、あるいは経営上の合理化の扱い方等について、大いに反省を求めて参りたいと思うのであります。 そこで、今私が取り上げる問題というのは、きわめて具体的でございます。それは三菱鉱山の中に、かつて石原鉱山に所属をいたしておりました妙法鉱業所というのがございます。所在地は和歌山県の那智勝浦町にありますが、この妙法鉱業所に現われました、三菱鉱山が現在とっておるところの合理化の対策について、いろいろな労働問題が発生をいたしておるのでありまして、この点について、特に私は通産省に対しまして、鉱業政策上一体合理化というのはどう政府としては考えておるのであるか、また、ただ政策として政府があげつらうだけであって、個々の具体的事象に触れないという消極的態度を政府としては持しておるのかどうかといったような点を、実は伺いたいのでありますが、問題は、去る十月の七日に会社側が、従業員六百十三名のうち二百八十九名−−これは約半数に近い数であります。実はこの地方にとりましては、この三菱鉱山の妙法鉱業所というのは、地方に存在をする産業といたしましては非常に大きなものでありまして、これが約半数の首切り整理が行なわれるということは、単に企業内の問題にとどまらず、当地方に与える社会的影響もきわめて甚大である、こういうような観点に私どもは立っておるのであります。 そこでこの内容を見ますると、逐一詳細な点は、繁雑でありまするから省略をいたすといたしましても、その合理化の方向を、かいつまんで、会社側の発表せられたものによって申し上げてみますると、要するに各部門別、各係別に整理案が整えられておりまして、各部門、各係のそれぞれの定員中から何名という減員案でありまして、従って実質的には、各部門においてもうすでにだれが必要でないといったような具体的なおろし方をいたします関係から、かつて三井三池で行なわれましたような指名解雇と同じような効果を持っておるのであります。結果的には指名解雇の整理案だということがいえるのであります。 そこで、私は、この問題の概要を把握していただくために、若干当鉱業所の経過をここで申し上げてみますと、この妙法鉱業所なるものは、さきにも申しましたように、昭和二十九年の九月でありましたが、石原産業から、当時十一億の買収費をもって三菱金属がこれを買い取ったのであります。その上で、会社としましては約四億の補修費を加えて、新しく三菱鉱山妙法鉱業所として発足をして今日に至っておりますが、三菱が買いました当時は、どういうような採掘方法をとっておったかというと、この炭鉱は主として高品位の銅でございます。同時に若干の硫化鉱でありますが、当時、高品位でありますために、会社としても、おそらくや採算を上げるためでありましょうが、高品位の採鉱を中心にいたしまして、ほとんど乱掘にひとしいような操業を続けておったというのが実情であります。このことは何でいえるかといいますると、現在はやっきとなって、いわゆる探鉱いたしておりまするが、当時はほとんど探鉱はやっておらない。既存のものの中で高品位のものを選んで乱掘を進めるというていの経営が、三十二年末までずっと続けられた、こういう経緯をたどっておるのであります。その間に、今私が申し上げましたような新しい鉱脈の発見に努めるといったようなきわめて積極的な対策は、何ら会社側としては進められておらなかった、こういうことが指摘できると思うのであります。三十二年ごろから確定鉱量が減少して参ったということに、会社の方としてもややあわてまして、ようやくここで山命の調査に乗り出したというのが当時の実情でございます。この当時から、いわゆる企業の将来ということについて、会社といたしましては若干の問題をほのめかしてきたのであります。若干の問題をほのめかしてきたのでありますが、いまだ三十三年、三十四年には、そういった具体的なものが何ら会社側からは示されておらないのであります。そこで三十五年の末に至りまして、ようやくここで会社としては企業縮小の方向が必至であるといったようなにおわせ方を従業員に対して行なうようになったのでありました。ところがその当時においては、ただそういった方向をひそかに語られるだけでありまして、何らそれについての労使相一体となったような具体案を組合側に対しても積極的に要請をするというような努力は行なわれなかったのであります。一方従業員の側、すなわち組合の側といたしましては、これは大へんだ、そういうことになると全従業員の死活の問題にも関する一大問題に、これはやがては到達するんではなかろうかというような憂いから、しきりと会社に対しては、いわゆる会社側の経営方針の中でどんな積極的な対策を進めるのか、どんな具体的な合理化対策を進めるのであるかというような点で、強い要請を行なってきたのであります。当時その他の鉱山にも、この種の企業自体の将来ということについての問題がしばしば見受けられまするが、他の鉱山等においてもとっておるごとく、いかなる合理化対策を進めるにしても、今日まで山を持ちこたえてきたのは何といっても全従業員の必死の努力があずかって力がある。それが、山の将来が見えてきた、あるいは国際情勢の中で、また日本の政策が合理化といったような形において金属鉱業、特に銅においては将来先き行きが危ぶまれる、 こういった問題が露呈されて新しい合理化対策が進められようとしても、その前提となるべきものは、全従業員の完全雇用、将来に対する不安をなからしめるという会社側の誓約の上に、全従業員としても積極的な協力をしていこう、こういうようなことをしばしば会社に対しても要請をいたしておったのでありましたが、それが最近に至るまで、何らこれに対する回答が実は行なわれなかった。本年の三月ごろに至りまして、この会社としての合理化案というものが本社の中で相当具体的に進められておる、近く会社はさらにそういうことに積極的に乗り出すんではないか、そういった情報が流れまして、おそらくや近い将来に合理化の案が発表されるんじゃなかろうか、こういうことに実は予想をせられたのであります。ところが、それが三月が延びまして、先ほど申し上げましたように本月七日に至って急遽半数に及ぶ整理案が発表された。特にここで重要な点は、合理化の中で往々従業員の整理ということが、経営者側によって持ち出されてくるのでありますが、しかし多くの場合は、必ず従業員に対するいわゆる雇用の保障というものが、何らかの形において裏づけられておるというのが、これは経営者としての当然とるべき責任でもあり、また現実にとっておる実例であります。遺憾ながら今回この三菱の経営者が組合側に提示いたしました案にはそのことがないのであります。ただ抽象的にいわれておることは、名古屋方面に就職あっせん担当者を派遣をして、将来その就職のあっせんに当たらせるであろう、しかし自発的退職を求める、それについては退職金その他の手当はかくかくであるという、きわめて通り一ぺんの退職勧告を含む首切り案であるというところに、重要な今後の労働問題が内蔵されておるということを指摘をするのであります。従って、私があえてこの一つの事実の問題を鉱業政策の一環なりとして、ここで取り上げましたゆえんのものは、冒頭に申し上げましたように、石炭においても規模は非常に大きなものでありましたが、社会問題にまで発展し、日本があげてこれに取り組まなければならぬという一つの導火線となったのはあの三井三池の争議であります。従って石炭にしても金属にしても、日本経済の将来、あるいは国際経済の中におけるこれらの持つ位置ということから考えてみましたならば、当然発生が予想される問題であります。従ってその取り扱いいかんによっては、またまた石炭に続いて大きな社会問題となりかねない。こういう意味においてきわめて重要である。そういう立場から、この際政府においても後手後手ということではなくて、そういう将来の発生を未然に防ぐという意味で、この問題を積極的に取り上げ、その具体的対策にまで手を下す腹をきめていただきたい。こういう意味で私があえて取り上げておるのであります。 そこで通産省にただしておきたいことは、第一は非常に抽象的でありますけれども、今私が申しましたような金属鉱業の状態、これはしばしば当委員会においても本質的な政策問題として論じられておる問題でありますが、今、私が指摘をいたしましたような具体的な問題が発生しつつある。そういう点から、一体金属鉱業の現状というものをどう把握されているか。同時にいま一つ、新しい自由化という問題を控えて、一体これらの鉱業政策を、どの程度まで積極的に推し進められようという考えであるのか。そういった点について、もちろん広範な問題でありますから詳細にわたってということは無理であろうかと思いますけれども、一応この機会に承っておく必要があるかと思いますので、その点から一つお答えを願いたいと思います。
○森(清)政府委員 和歌山県の妙法鉱山が大量の人員整理を行なわなければならない事態になりましたことは、私どもにとりましてはまことに遺憾なことでございます。しかしこの妙法鉱山の例が今日全般的に他の金属鉱山に及んでいるかというと、私は決してそうではないと思う。これはきわめて特殊な例でありまして、それだけに非常に遺憾に思うことでありますが、もともと鉱山の経営にあたって一番大事なことは探鉱であります。どんなりっぱな鉱山にぶつかっても、次の段階のことを考えて探鉱のために相当の技術と金とをつぎ込まなければ、鉱山というものは経営が必ず行き詰まるものであります。その意味において先ほど辻原さんのお言葉の中にも、この妙法が石原から買い取って以来乱掘に乱掘を重ねたというお話がありましたけれども、もしそれが事実であるとすれば、これは鉱山経営で一番間違った方法をとったのではないかと考えるわけであります。今日、私どもの方に連日のように中小鉱山の方々から、自由化に備えてのさまざまな陳情がございます。しかし、私どもが今日とっております中小鉱山あるいは鉱産物に対する対策というものは、日本の鉱山が自由化によって根底からその経営が成り立たなくならないように、第一の着眼としては徹底的な擁護政策をとっていこう、すなわち、できるだけウェーバーにして守っていこうという考え方を持っておるのであります。その意味において、今日私どもは苦心しておるわけであります。そうかといって、これは国際的な問題でございますので、私たちがそう考えて一生懸命に努力をいたしましても、国際的な圧力によって場合によっては、いつかは自由化しなければならない事態もくるのではないか。そのためには、先ほども申し上げましたように、鉱山として一番大事なことは探鉱である。この探鉱のために奨励金も、来年度の予算においては大幅に確保いたしまして、将来中小鉱山が危殆に瀕しないような対策を講じていきたいと考えておるのでございます。今盛んに中小鉱山の危機が叫ばれておりますけれども、すべてがこれは自由化になったときにはという前提がついておりまして、私どもはまず自由化にならないように努力をしたい。鉱産物だけは自由化しないで、ウェーバーにしてこれを守っていきたいという考え方で、今日終始しているものであります。
○辻原委員 今、森さんからお話しになりました最後のくだりについては、これはきわめて重要なことでございますけれども、しかし現状のわが国の金属鉱業を考えてみたときには、これは私は政府として当然のことではないかと思う。いかに企業努力をいたしましょうとも、いかに従業員があらゆる能力をしぼって労働強化に耐えましょうとも、やはり国際的なウェートから起きる影響というものは、自由化の過程の中では無理であるということは、およそ常識的に見当がつくのでありまして、従ってまずわれわれがわが国の金属鉱業というものを保護していくという建前に立つならば、その前提というものは何といってもこの自由化を少なくとも金属鉱業に対しては及ぼさない、そういう一つの確固たる方針がなくてはならぬという意味におきまして、そのことは私はきわめて重要な意味合いを持つし、われわれとしても大いにその点については歓迎をするところであるという意味において、今の政務次官の御答弁はその限りにおいては了承いたすのであります。ただ前段にお話しになりました金属鉱山の現状から見て、他にそういう傾向が及んでいない、その中に約半数の首切りを伴うような三菱鉱山のあれというものは、まことに遺憾であるとおっしゃったことも、他の金属鉱業に三菱鉱山のような大きな紛争を巻き起こすような労使関係が発生するおそれがなければ、私はまことにけっこうであると思う。しかしそうだとするならば、何がゆえに他にそういった条件がないのに、この企業にのみこのような過酷な合理化対策が進められなければならぬのか、非常に深い疑問がわいてくるのであります。 そこで参考にこれは申し上げておきますが、先刻申し上げましたように石原から買い入れました二十九年の九月には約十五億の資金を三菱としては投入をいたしております。しかしながら、それ以後六年を経過した今日まで、すでに八億の減価償却を行なっておるのであります。それから会社決算の公表では、累積赤字というものは現在通算をいたしましてようやく二億であります。しかも当会社は、もちろんこれは石原産業だけではないでありましょうけれども、毎年半期六分の配当を行なっておる。すなわち株主の配当という面においては、年一割二分ということになりますと、最近における金属鉱業の状況から見て、他の企業に比べて決して安い配当率では私はないと思うのであります。鉄鋼その他におきましても最近の市況から必ずしも悪くない。ある企業においては六分の配当に減配しておるところもある。多くが一割のものを安定配当としているとすれば、少なくとも年一割二分の配当というものは決して企業状況が悪いとは申せない。しかも自由化ということが今政務次官も言われましたように、かなり政府としても深刻に考えており、国全体としても保護政策を観点として一これは何も現実の問題ではなくて、むしろ多くの力でもって自由化を何とかはずそう、こういう努力が行なわれるときに、もしかりに自由化ということを、いわゆる先のおもんばかりから、それを前提にしてこういう案を出したとするならば、企業者としてもいささか現実を見失って、将来のことのみに神経を悩ましておるということが言われざるを得ないと思うのです。そういう意味からなぜ一体この鉱山だけに、こういう合理化対策がむちゃな形で推し進められておるのか、そういった点について、もし鉱山局長が何らか資料等について把握するところがございましたならば、一つお答えを願いたい。
○田中(武)委員 関連して。ただいまの辻原委員の質問及び次官の答弁に関連して、ちょっとお伺いしたい。鉱業政策の基本的な問題については、別にまた時間をとってやりたいと思います。 先ほどの次官の答弁の後段の件なんです。すなわち探鉱については奨励金ですか、補助金じゃないかと思いますが、その補助金を大幅に上げていって云々ということで、辻原委員はその点はまあ了承した。現在においてはそうであろうと思うのですが、われわれは一歩進んで中小鉱山の探鉱は、むしろ国が責任を持ってやる国営といいますか、あるいは別に事業団というものを作ってもいい。その方法はいろいろあるが、そういった国の責任において探鉱をやるべきじゃないか、こういう考え方を一つ持っておるんです。そういう点について将来はどう考えておられるかという点が第一点。 もう一つはこの補助金について、実は税金がかかっておるわけなんです。これはあらゆる補助金がそうなんですが、これはちょっとおかしいと思う。たとえば二億なら二億の補助金が来たとすると、そのうちの五千万円から、半分に近いものが税金で別にとられておるわけです。ということは補助金を収入に入れて計算することになる。従ってそれに税金がかかるわけです。だから二億の補助金は実際は一億数千万円足らずになる、こういうことになるわけなんで、こういう点はむしろ大蔵省との関係もあろうと思うのですが、ちょっとおかしいんじゃないかと思います。高利貸しとかあるいは相互銀行等で金を貸したときに利子を天引きする。百万円貸して実は天引きして七十万円しか貸さぬ、けしからぬというのと同じことで、国が補助金として一億円上げましょうといっても、実際受け取るのは、一たん一億もらうのだが、税金で三千万、四千万を取られてしまう。そうすると天引きと同じような結果になると思うんです。これは通産省だけじゃ結論が出ぬと思いますが、こういう点について疑問を持っているんですが、もし将来の方向について次官にお考えがあるなら、この際伺っておきたいと思います。
○森(清)政府委員 探鉱の奨励金につきましては、先ほども辻原さんにお答え申し上げましたように、私たちといたしましてはともかく鉱山を維持するためには、これが最も優先されなければならないものだ、こう考えまして、大幅なその引き上げを今計画して、立案中でございます。一そこでただいま田中さんの言われました後段の御質問に対しましては、私どもも実はいろいろな角度から検討中でございまして、確かに言われるような向きもございますので、大蔵省ともよりより相談はしておりますけれども、まだ最終的な結論は出ておりません。 それから探鉱費は、全部国で持つべきものだというお考えに対しましては、私どもはそういう考え方は持っておりません。できる限り大幅にこれを増額をいたしまして、探鉱に遺憾なからしめたいという考え方を持っておりますが、国営にしたいという考え方は持っておりません。
○田中(武)委員 今直ちに私は次官からそうしますという答弁は期待しておりませんが、その実際の状況を見た場合に、中小鉱山に奨励金を少々出しても、ほんとうは日本の地下資源の開発にあまり効果がない。今石炭で、石炭対策委員会の方でもそういう問題を取り上げて、きのうも与党の中川委員がやっておりましたが、ともかくもっと探鉱をやらなくてはいかぬ、そうしないで日本は資源がないとあきらめるのは少し早過ぎるのではないか、こういう意見を述べられておったが、私も同感なんで、それを中小鉱山に期待することは、ある程度の補助金あるいは奨励金を出すとしても、それはちょっと無理だから、できることならばこの際一つ真剣に国の責任において探鉱するのだということを検討してもらいたい、こう思います。
○森(清)政府委員 確かに鉱山の開発というものは探鉱が重点でございますので、その重点に向かって私どもは努力は続けていきたいと思いますが、ただいまの田中さんの御提案については十分検討させていただきたいと思います。 それから立ち上がりましたついでに、辻原さんにお答え申し上げたいと思います。実は私妙法鉱山という鉱山には、まだ石原がやっていた当時一ぺん見に行ったことがございます。そこでその当時私が視察いたしましたデータが、そのまま今日の状態に当てはまるとはもちろん思っておりませんけれども、ただ銅が自由化になるであろうからといって、その羽音に驚いて今直ちに合理化をしなければならないといって、人員整理を行なったものではないと私は思う。と申しますことは、地下三尺のことになりますと、私は何人も正確にこれをつかむことはできないと思いますが、今日こういう状況になった一つの大きな禍根をしいて探してみるならば、石原産業からこの鉱山が十一億という巨額の金額をもって買い取られたということにも一つの問題があって、そのために償却費というものが、あの鉱山に非常に重くかかってきた。従ってそのために単価が非常に上がったのではないかと思うことが一つ。それから先ほど辻原さんが申されたことが事実だとするならば、非常に品位がよかったからといってそれを乱掘したこと。今決して品位はよくございません。そこで電気銅につきましてトン当たり今四十三万ぐらいになっていると記憶いたしますが、そういうことが知らず知らずの間に大きな重荷になってきて、今日六百十三名というふうな大量の従業員をもってしては、いささか過重に失してきたのではないかというふうなことから、今日人員整理を行なわなければならないことになってきたのではないかというふうに思うわけです。 なおこまかいことにつきましては、局長から御答弁させたいと思います。
○辻原委員 今次官が石原当時に直接ごらんになった経験があるというので、私が知っている範囲のことについて、鉱山についての予備知識といいますか、かなり詳しいようでありますので、今のお答えについて一言申しておきたいのでありますが、今次官がここで私に答弁をされました範囲から考えましても、たとえば第一の買収価格が十一億というのは、当時としては非常に大きなものであったのではなかろうか、さらに私が申しましたその買収以降いわゆる探鉱を積極的にやらぬ、あるいは企業内部における探鉱にかかわる近代化、こういうことについてもあまり積極的な手を打たず、企業の配当等はかなり高額のものを続けてきたけれども、今に至って埋蔵量その他の関係、あるいは月々の出鉱量と消費量との見合いの関係、そういうものの中で六百十三名という従業員のあれでは、妙法だけを切り離して企業経営をやろうとする場合には、独立採算には乗りにくい、こういう点からここに企業整備が行なわれるということになったとするならば、私ははたしてその責任は従業員がすべて負うべきものであるかどうか、まことに深い疑問を抱くわけなんです。経営上における先の見通し、また見通しがつくならば、それに至る過程において徐々にやはりベースに乗せていくというのが、経営者としてのとるべき態度であって、それが、言うなれば買収当時から相当の無理があるということを前提にして始めたとするならば、これは経営者に大きな経営上の責任がある。われわれがもし株主だとするならば、経営上の責任をわれわれは追求せざるを得ない。しかし従業員は、そういう観点からの追及は非常に無理だから、労働組合という観点において、あしたの日からあなたたちにやめろということじゃなくて、完全雇用を少なくとも前提として、そうして労働者が犠牲を負うことなくして会社のベースを高めていく、こういうことに努力してもらいたいという希望が出るのは、私は当然じゃないか、こういうふうに考えるのですが、そういった点についてどういうふうにお考えになりますか、もう一度一つ……。 〔委員長退席、岡本(茂)委員長代理着席〕
○森(清)政府委員 最近妙法鉱山に参りましてしさいに検討したわけではございませんから、あくまでも仮定の上に立ってのことでございますので、私も確たることは申し上げにくいのでありますが、ただ先ほどもお答え申しましたように、地下三尺の下のことはだれもわからないのだ、だから十一億で買ったことが高かったか安かったかという論議は、これは当時の石原産業時代の出鉱量あるいは品位、あるい埋蔵量、そういうものから見れば、それがあるいは低かった、妥当だと仮定をして、そしてその契約が成立したのじゃないかと思われますけれども、ただ十一億で買ったということは厳然たる事実であります。これが一トン一トンのコストに響いてきたことも私は事実だと思います。それと同時に、相当有望だとされていた山が、今日確定埋蔵量も相当減量しておりまして、私どもが調査したことによりましても、このままでいけば三、四年の寿命しかないのじゃないかというふうなうわさもあるような鉱山になってみれば、六百名以上の従業員をかかえてやっていくということは、会社経営上もなかなか苦心されたことだと思うのです。かりにそういうことが事実だとするならば、私はやはり会社の経営というものにも相当反省をしていい点があるのじゃないか、こう考えるわけです。
○石山委員 関連して。先ほど次官がおっしゃった中で、鉱山対策については自由化をしないような工夫をしたい。これは私ども東北地方に住む者として、この地下産業については特別の関心を持っているわけなんです。特に中小企業等の関係等を見ますれば、私はいつか新しくたくさんの時間をいただいて大臣や皆さんに、この問題について真剣に御討論をお願いしたいと思っておりますけれども、きょうはそういう時間がないようでございますが、先ほど聞きました中で、関税問題等とからみましてお聞きしておいた方がよろしいのではないかと思っているわけです。きのう、私ども内閣委員会で大蔵省の設置法を一つあげました。その設置法は関税局の新設でございます。この関税局の新設は一体何を意図するものか、こういうふうに私ども何べんもお聞きしているわけですが、大蔵省というものは次官も御承知のように、均衡予算から出発して財政の緊縮をはかるという建前で、ずっとやってきている省でございます。ですから、みずから好んで局を大きくするとか、局を増設するということは努めて避けなければならない問題なわけなんです。それを関税局を設置するというのは、普通いわれている多少事務量がふえたから、国民にサービスをしなければならぬから一つの局を設置するというだけではいかぬじゃないか、そういう考え方で、われわれは関税局の設置は反対である、そうではなく、つまり自由化によって日本の経済界が大きな変動をする場合における関税政策の建前というものは、このあらしに対する調整機関の役目をなすのだ、その役目を卒先して果たすという意図があれば、われわれ社会党としても、あえて反対する筋合いじゃないというふうに問題を進めていったわけですが、そういう意図がかなりにあると発言をしておりまして、きのう了承してわれわれも局の新設に賛成いたしました。話を関税の問題に戻しますけれども、自由化と関税というものは、うらはらでございましょう。去年私たちが皆さんとお話するときは、自由化は必至だ、鉱山物に対しても、経済企画庁の調べを見ましても自由化は必至で、私の申し上げているのは鉱山関係ですが、企業の二〇%ぐらいの縮小はやむを得ないだろうという前提のもとで、この案を練ってきたというのが通産省のほんとうの姿だと思っておりました。しかし最近になりまして、あなたがおっしゃるように、あるいは二、三日前に私たちが鉱山の組合の方々と同道して佐藤大臣にお話を承っても、だいぶその点は変わって参りました。変わって参ったのは、一つは、実際から見れば、ある意味では日本の中小企業の鉱山をば親切に見直した結果出たことだと思います。反面は、大上段に振りかぶってみたけれども、経済の成長率とからんで、日本の経済が不景気に見舞われそうだというこの現実です。ですから妙法の問題等、われわれは責任問題がどこにあるかといえば、自由化を先に打ち出して、全体の二〇%ぐらいは縮小整理やむを得ざるものだというふうな暗示の仕方を業界に与えた政府の経済政策に、かなりな責任がこの場合あるのではないか。そうでなければ、大三菱が何を好んでこういうふうな現象を起こしたか。将来もあることでございますけれども、この反省の問題あるいは上自由化の問題に対して、政府はもっとどっしり腰を落ちつけて、そうして世間に発表していただかないと、こういう結果になるのではないか。私たちは自由化をしないんだ、しないんだという言葉の陰には、自由化されても、自由化されないくらいの政策を持っているのだということになりそうでございます。従って、鉱山物に対して、一般的でよろしゅうございます、鉱山物に対して、一般的に自由化しないくらいの政策をどのくらいお持ちか、中小企業に対しては親切に三つか四つの事例を示す政策をお持ちであれば、この際私は次官から伺いたい。私はある意味では責任を追及しながら、新しい施策を当局に聞く、こういう建前でございます。
○森(清)政府委員 これは石山さんにお答えするのは、釈迦に説法になるかもしれませんけれども、私はこう考える。経済というものは、今日こういう世界情勢になりますと、日本が日本だけの中に立てこもっていては成り立たない。やはり広く世界を見渡して、国際的視野に立って考えなければならぬ、そういう観点から考えまして、私どもは、通産行政をやっている建前からいって、国内産業はあくまでも育成し、興隆に導いていかなければならぬ。そういう意味でいえば、かりにここで、やむを得ず自由化に踏み切らなければならぬときには、国内産業ではそのあらし、あおりを食って閉鎖をしてしまわなければならない企業もたくさん出てきますが、そうかといっていつまでも真綿ぐるみ、蚕ぐるみにしておいたのでは、国際市場では打ち勝てないということで、早晩自由化に踏み切っていかなければならない。従って、その準備は十分していかなければならないという考え方を一方に持っておりますし、それと同時に、その自由化に踏み切るまでの間には、どうしてもわれわれとしては国内体制を完全に整備しておきたい、こういう考え方を持っております。最近のいわゆる国際収支等を見てみましても、先般自由化の品目とその時期等を、新聞紙上でも発表いたしましたけれども、それを見ましても、われわれがどうしてもウェーバーをとりつけたいと思っておりますのは硫黄と硫化鉱であります。それ以外のものはみな自由化する品目の中に入っております。しかしそういうスケジュールにはなっておりますけれども、そうかといってわれわれのスケジュールがそのスケジュール通りになったときには、一体どうなるかということを考えたときに、まだまだ準備は不十分じゃないか。従ってでき得る限り、私どもとしては、鉱山業に関する限りは自由化を何としても延ばしていきたい。一応のスケジュールは、立てておいても、そのスケジュール通りにはなるべくしないように抵抗していくという腹づもりがあるわけです。それが先ほど辻原さんにお答えした趣旨でありまして、そういう観点からいきまして、われわれは自由化になったときにも依然として日本の鉱山がりっぱに立ち行っていただくように、ともかく関税につきましても、今業界からは従量関税にして三万円程度にしてくれぬかというような話もございますし、そういう点も、これから二万七千円がいいのか、三万円がいいのか、それはいろいろ問題があると思いますけれども、これも何とかして一つの防波堤にしたいということを考えておるわけでありまして、それ以外にも、先ほどからるる申し上げておりますように探鉱奨励金につきましても大幅にこれを増額して、遺憾なからしめたいと思っておりますし、さらに金融等につきましても、開発銀行、東北開発、北海道開発、そういうようなところにも鉱山のための財政投融資をお願いして、自由化に対する備えをしていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
○石山委員 鉱山業というのは、産業としては日本では農業に次ぐ一番古い産業だと思います。農業に似ておるところに今日の困難性がひしひしと感ぜられるわけですが、それだけに、大鉱山といわれる秋田に例をとれば、尾去沢、小坂あるいは花岡、こういうふうなところは古い歴史を持つだけに、その鉱山が町を形成しているわけです。妙法などは私はよくわかりませんけれども、あるいはそういうふうな格好になっておるのではないかとも思われます。ですから、与える影響というのは普通の企業と異なる影響力を持っておると思うのです。つまり、山村僻地といわれるような個所の住民にも、工業政策を一歩誤れば大きな影響を与えて不安を与える。いい影響ならこれはだれも心配するわけはないけれども、不安を与えるということは、特に政治家の端くれのわれわれとしていけないじゃないかと考えておるわけです。ですから、私は先ほど責任追及をするというふうな言葉も使ってみましたけれども、たとえば合理化を行なわなければならぬという一つの行政指導を、項目の中で書いて流したとする。そうすると、二割くらいは必至の形でくるだろう。そこに合理化を行なうという考え方を業者が持つわけです。しかし現実的には、今日になるとそういうことはやらないような話も出てくる。そうすると、むだな−−企業努力をしたのですからむだではないでしょうけれども、より以上な不安を従業員に与え、土地の商店街に与え、住民に与えたということになれば、これはやはりいかぬことではないかと思っております。特に私たちが申し上げたい点は、為替貿易あるいは関税の問題等について考えられる点は、きのうも私関税局の問題について話をしたのですが、輸入担保率の高率の問題が非常に変な形で、十六日から十八日にかけての問題は、かなり不明朗なものがある。思惑輸入が前月よりも一挙に一億ドルも多く輸入をされた、こういう現象はどこから起きたかと聞いたら、これは通産省の責任だと言っておりましたよ。これはあなたの同志の天野政務次官がそう言っている。冗談言うな、大蔵省には銀行局もあるし、為替局もあるのだから、一方的に通産省だけの責任ではあり得ないのではないか、こう申し上げたら、その責任の所在はこれから調べまして御答弁いたしますと言っておる。そういうような、不正とは申し上げませんけれども、不都合な行政があれば、そこに思惑輸入というものが行なわれてきますね。思惑輸入をするということは何か。思惑するだけの利潤がそこにあるから行なうわけでございましょう。経済の変動、政府の経済政策の行政措置が間違うことによって一番痛手を受けるのはだれか。私は中小企業だと思います。そこに働く従業員を含めた中小企業だと思います。ですから、政府がもっと早く、二年くらい先のことを考えて、この自由化に対しては、鉱山業に関する限りは自由化にならないような建前で、政策をするという腹がまえができていれば、あまり問題が混乱をしないで済んだのではないかと思います。自由化になっても自由化にならないような格好の中で、関税操作等があると思いますが、これは一年ではだめですよ。一年では実際に何らの効果が上がりません。最低限度二年、欲を申せば三年くらいに臨時措置法を講ずべきだと考えているわけですが、その点に関しましてはどういう見解を持っておりますか。
○森(清)政府委員 石山さんの仰せの通り、関税措置は一年間と私どもは考えておりません。せめて三年くらいというふうに考えております。 それから、妙法の今日のこの事件が政府の責任だと石山さんは言われておりますけれども、私はそうは思っておりません。といいますことは、私どもが調べました妙法の経理状況は、過去二年間にさかのぼりまして、月々一千万から千五百万、千五百万から二千万程度の赤字があったと私は聞いております。もうすでにだいぶ前からそうした赤字に耐えかねておった現状でありまして、何も自由化だとかなんとかいう問題から出たものではない、私はそう考えます。
○石山委員 政務次官は通産省の全体の行政を見ているから、鉱山業に対してはうといだろうと私は思わざるを得ない。なぜかと申しますと、大手である大三菱が実際の整理案を発表したのはいつだと思っておりますか。ことしの春でございますよ。しかもその発表の仕方は一つじゃない。系統立って、これだけは採算に乗らないと、五つも六つも一挙に出しているではありませんか。これは何といっても自由化に備えて、自分の持ち山の全般を、二割なら二割の範囲内において、いわゆる経営に乗るか乗らないかの境目を検討した結果、そういうことになっていると思います。ですから、妙法は−−私は妙法のみを何も限定して言っているわけじゃないですけれども、境目にある山があるわけです。プラス・マイナスの境目、そういうのが、たとえば関税操作をするとすれば生きてくるわけなんです。関税操作をしないとなれば、二十四万円のアメリカの銅と対抗するというふうな考え方が出てくる。そうすれば、整理せざるを得ないじゃないですか。だから、私は全部が全部と申し上げないけれども、かなりこういう問題に関しては、政府の行政上の指導に誤りがあったのではないかというふうに申し上げているのです。あなたと討論などしょうと私は思っていませんけれども、事実がそういう形になって現われてきている。たまたまその現象の一つとして、私どもの同志が取り上げている妙法等が起きたのではないかというのが私の意見でございます。
○辻原委員 今、石山君がるる指摘をいたしましたように、また次官も話の中に指摘をされましたように、鉱山の経営が、その業態が思わしくないという観点に立っても、その責任があげて従業員に帰せられるというようなことは、もちろん一つの労使の間の労働問題としても当然考うべき問題でありますが、企業に対して、その指導の任に当たる監督官庁としては、そういった安易な方向に対して何らか一言なければいけない。そういう意味で、通産省において、それぞれの企業の実態というものが把握されておるならば、こういう機会に適切な監督官庁としての企業経営に対する経営指導があっていいのじゃないか。また、大きな観点としては、全般的な問題として将来の政策の方向というものを、今石山君が指摘をいたしましたように、はっきりと明示すべきだ。それがあいまいに過ごされる過程において、経営者は、国全般の政策が、国際情勢の見合いにおいて、あるいはこういう方向に出るのじゃないか。自由化の問題などは私はその尤たるものだと思うのです。そういう中から、誤った将来の判断から、かりに企業整備が行なわれたとするならば、これは私は社会上、経営者としては償うべからざる罪悪を犯していると思うのです。この種の地方における産業の中での合理化なり、あるいは人員整理というのは、単に企業内にとどまらないということは常識であります。かつて三井三池が町ぐるみのああいう激しい闘争に発展していったということも、これは地方の産業が持つ特異性だと思う。妙法鉱業所にいたしましても、所在する那智勝浦町というのは、特別な産業のある地帯ではありません。従って、雇用の関係等においても、この地方の人はかなりこの産業にたよっておるわけです。あるいは商店等との関係においても、かなり恩恵をこうむっておる。そういうときに、半数に及ぶ人員整理あるいは住宅の完全停止、あるいは撤去、あるいは一つ一つの山元における設備の完全な操業の停止、こういうことが行なわれたとするならば、これはその地方に与える影響というものは非常に大きいのであります。今、国の政策としては、工場の地方分散であるとか、地方にとっては、地方への工場誘致であるとか、あるいは奥地山村の開発であるとか、いろいろいわれてその政策が進められておるのでありますけれども、しかし、現在あるものを政府と経営者の努力により、あるいは地方の人々の協力あるいは従業員の協力、こういうものの中から、少々無理であってもその企業を何とか育成し、これを永続さしていくということが、新しくその地方に企業を興していくことよりも、むしろ方向としてはやすいものではないか。そういう意味で企業の中での努力、経営の方針を誤らなければそういう事態には立ち至らなかったであろうと判断される場合は、その経営者に−−今日の自由経済の中においては、経営者のおやりになることはそれは経営者の一存で、いたし方ありませんということでは済まされない問題がある。その意味において、今日まで通産省はこういう事態、こういうような一つの合理化案、このような過酷な人員整理案についても、これは経営者のおやりになったことだからということで行政的に何らの手も打てない、こういうことでございますかどうかということを、私はこの機会に一つ伺っておきたいと思います。
○森(清)政府委員 今辻原さんのお話の中にもありましたように、新しく工場誘致をしてその地方の発展を遂げさすことよりも、現在あるものが栄えていくことが望ましいことでありまして、妙法鉱山等におきましても、今までの六百名余りの従業員がさらに累増していくことが望ましいことであります。しかし、不幸にしてこういう結果になって、半数に当たる人員整理を行なわなければならぬことになってしまったことはまことに遺憾でありますけれども、だからといって、通産省においてこれを未然に防ぐような方法としては、今のところは見出せないわけであります。ただし、大阪通商局等の意見を聞いてみましても、探鉱的な指導は大いにやったそうでありますが、鉱山の保安上の問題等になりますと、われわれとしても、申すまでもなく監督指導は強力にいたしますけれども、経営そのものについてくちばしをいれることは、むしろ慎んでいる立場にあります。ただし、これまた経営に関係のあることでありますが、炭鉱となりますと、私ども技術家も持っておりますし、要請によってはその技術家が出張いたしまして大いに協力をしております。この鉱山につきましても、従来しばしば行っているやにも聞いております。
○辻原委員 経営についてくちばしをいれられないというのが、自由経済の原則であるということは私もよくわかります、しかしながら、通産行政というものは、また、通産省を含めて政府の政策というものは、必ずしも社会の機構の中の一断面だけを、他の問題と関連なしにやってよろしいということではないと思う。この種の問題は、今申しましたように一種の社会問題である。あるいはさきに申しましたように、地方開発の先端を承る重要問題でもあるわけです。もちろん尤たる労働問題であることも間違いありません。それぞれの所管はありますけれども、しかし、各省々々がそのやれる範囲において善意を持ってその指導に当たるということは、国の将来にとってこれは当然必要なことではないか。次官のお話によりますと、今日の過程まで技術指導その他についていろいろおやりになったということでありますが、やった結果が今日こういう事態を招いているわけです。やったそのことについて効果がいかがであったかの捕捉は、今われわれとしてできないわけです。要するに、結果がここに陥っているわけです。従って、今この現実に立ってどうにもならぬものか、やはり今の次元においての調査等は、通産省においても当然おやりになる必要があると思います。そのことは、何も労使の問題に介入をしたり、経営者の経営権に介入したりということでなくして、親切なる意味において、また社会問題を発生させないという意味において、通産省の持っている能力の範囲内において、それらについての実情の調査等は当然行なうべきであると考えるのですが、その点について、早急に今の事態についての実態の調査をおやりになるおつもりがおありになりますかどうか。
○森(清)政府委員 いずれにいたしましても、実は妙法鉱山の事件につきましては、ごく最近私ども承知したわけのことでありまして、さらに詳報を今待っているところであって、十分慎重調査をしてみたいと思います。
○辻原委員 だいぶ時間も経過いたしましたので、一応その点についての調査の結果によって、さらに行政的な指導あるいは政策の根本の方針を明示をしていただくというようなことは、これは他の一般問題とも関連をいたしますので、その点は後日に譲りまして、その次の問題に私は質問を発展させていきたいと思います。 先刻申しましたように合理化案の発表されましたのが十月の七日でありましたが、さきにも石山君が触れられましたように、いわゆる大手の三菱が合理化案をほのめかし、かなり具体的に発表しようとしたのは三月ごろでありました。当然妙法のいわゆる合理化案というものも、会社側から突き出されるだろうということを私どもも予測しておった。ところがそれが十月まで延びたということについては、一つの事件が原因になったのではないか、こういうように私は判断をするわけです。その事件と申しますのは、三月から今日に至る経過の中で実はこういうことがあったのであります。それは後日諸般の状況を判断して、今それを概括的に申し上げると、三菱という会社は合理化発表と同時に−−特にこの妙法鉱山労働組合というのは、かねてから非常にまとまりのいい組合であります。また民主的な組合として非常に力を持っておる組合であります。そういうような点からおそらくは、しかも会社が持っておる合理化案というのは相当手きびしいものである、それを組合側にぶちかますにおいては、必ず組合の方から激しい抵抗が行なわれるであろうということを予側したのではないか。それでその予測の上に立って、組合の合理化反対に対する闘争を何とか会社側に有利にしよう、こういうことを考えた末に、ここにそういう争議に往々にして起こりがちな、労使の激しい紛糾の中へ警察権力を利用しようとしたのではないかという疑いが濃厚な事件が、実は発生いたしたのであります。その具体的事実というのが、たまたま去る七月の四日、現地の新聞記者諸君によってスクープされまして、NHK、産経新聞、中部日本新聞、それから現地の和歌山新聞等に大々的に報道せられたのであります。これは全国的にNHKが報道いたしましたので、おそらくお聞きになった方々もおられると思いますが、その具体的事実というのは、それじゃ一体何であったかといいますと、それはこういうことなんです。会社にはそれぞれ従業員全体のいわゆる経歴を示す書類があります。この妙法鉱業所においても従業員六百十三名全員の経歴をカードにし、そのカードに写真を添付した、いわゆる写真つきの履歴書カードというものが会社側に保管をされておる。この保管状況は、あとで私どもも調査をいたしてみますと、常に会社の責任者の手元に保管をされまして、常時これはかぎをかけ、門外不出となっている、そういう資料だそうであります。ところが不思議なことに、現地の新聞記者諸君が報道いたしました記事というものは、この門外不出であるべき写真つき履歴書カードが、写しとして現地警察署に保管をされてあるという事実が公表せられたのであります。これは組合側がその事実を知ったということではなくて、さきに申しました四社のそれぞれの現地新聞記者の方々がその事実を知り、組合に、一体知っておるのか、こういうことを尋ねたので、初めて組合でも、いうなれば従業員一人々々の過去から今日に至るまでの詳細な記録、詳細な経歴というものが部外に持ち出され、しかもそれが警察の手元に保管をされておるという事実を知るに及んで非常に驚愕したのであります。これが事件の発端であります。考えてみますると、個人の経歴、詳細な履歴というものは、これはその個人が他の人に自分の責任において提示することはあり得ても、それを預かった人がむやみやたらに他人に見せびらかすしろものではないということは常識であります。ましてやあるいは将来労働争議が発生するかもしれない、こういう予想の行なわれておる労働組合の、従業員全体にわたる写真というものが、写しにいたしましても警察の手元にあるということには、ただごとでないという空気を一般の社会にも与えたことは事実であります。しかもこの事実を知って現地記者諸君なり、また組合側が、そのあとで一体どういう経路で、またどういう目的で警察がこれを入手しておるのか、また会社がどういう意図でこれを提供したのか、こういう点についてそれぞれ調査をいたしましたところ、現地の責任者である当時の所管警察の警備課長なる者が、次のような言葉を述べるに至って、さらに問題は重大化したのであります。すなわち警察が入手をしておるという事実を認め、警察が持っておる、持たなければならない理由として、近く妙法鉱業所においては合理化案が発表せられるであろう、そうすれば必ず相当大量の首切りを伴って、ここに組合側の激しい抵抗が行なわれ、三井三池のような争議になる心配もある。もしそういう事態になったら大へんだから、警察としてはその備えのためにこれを持っておるのだということを言ったのであります。正常な労働運動、しかも現地においては何ら労働紛争が起きてない段階において、警察権力がその種のことを事実やったとするならば、これはまことに大きな問題ではないかと実は考えて、自来この問題についてのそれぞれの責任者を私は追及してきたのであります。正常な労働運動に対して警備警察が介入するなどということはおよそできない相談で、現行法規のもとでは許されていない警察の行為であると同時に、一面組合員の側にとっていいますれば、それは罪を犯した場合には指紋をとられ、あるいはその経歴が書類となって警察に保管され、写真もとられるかもしれない。しかし何らの罪とがもない者が、しかも本人の知らないうちに警察の側で詳細それを握られておるということが、法治国の日本の警察当局の今日のあり方であるのかどうか、まさに人権の侵害ではないか。こういう点からわれわれは組合の非常な激しい驚き、また警察への怒りということを認めて、現地におる私どもとしてもこれに対して警察側の責任を追及して参ったのであります。事件はそういう経過を追いまして最終的に問題は現地警察から県警本部に移されました。その後警察首脳部といたしましても、この種事件の発生を見たことはまことに遺憾しごくである。だから誠意をもって組合側の言い分を聞きましょう。またこれの事件処理について具体案があれば、われわれもそれについて一つ積極的にお話し合いをいたしましょうという誠意のある態度をお見せになりました。だから警察側のその後にとりきたった事件処理に対する努力というものは、私どもも大いにこれを多としておるのでありますけれども、しかしながら最終的にはこの六百十三名の写真付履歴書というものが警察側に保管をされているという指摘をいたしました当時の新聞発表を、警察側としては終始否認してきたのであります。そういうものはありません、写真の一部はございますけれども、それは別の事件の際に妙法の労働組合員のいわゆる顔写真だけを写したものでありますということで、最終的にこの事実の存在が警察側に確認されないで今日に至ったのであります。しかしその過程におきましてこの種事件の発生は遺憾であるとして具体的な処置を警察でとられました。一つには先刻申し述べました現地警察の警備責任者が、これは三井三池のようにならないための準備としてとっておるのだというようなことを言った。その警備責任者については、警察側として、これは警察官としてあるまじき態度であるということにおいて何がしかの処置をとられました。また警察本部としては、この妙法にかかる事件の発生を見たことは、警備警察のあり方が依然として全警察官に徹底していない証拠である。また警察官個々の教養にも関するというような意味で、自今民主的労働組合に対する介入というようなことは厳に慎むべきである、さらにまた警察官の教養を高めることによってこの種事件の発生を防がなければならぬといった通達を出されておりまして、そのことに関する限り県警察本部の態度は、私どもとしてはきわめて適切であったと思うのであります。しかしさきに申しましたごとく根本の六百十三枚の写真というものが、はたして警察側の主張のごとく保管をされていないのであるか、まことに私どもとしては不明でありますので、あえてこの点についてここでそれらの経過を警察局長から問いたださなければならない。そういう意味でまず最初にその点をお伺いいしたいと思います。
○三輪政府委員 私ども現地から受けております報告では、ただいままで詳しく経過をお述べになり、その後警察本部の措置につきましても、ただいまお述べになったわけでございますが、ただいまお述べになりましたことに関する限り、つまりそういった事実があったという新聞記事があり、それによって問題が起こり、その問題をきわめて遺憾として県警本部長が措置をとったということにつきましては、お話の通りであると思います。
○辻原委員 私が申した通りであるということは、警察庁としましても、これについてはかなりの調査をされておると思うのでありますが、依然として警察はそれらを入手した経緯はない、こういうふうに断定をされるわけなんですね。
○三輪政府委員 この問題につきましては、現地でも組合側あるいはいろいろ御心配をいただいた他の方々も交えて、現地警察とお話し合いがあったようでございますが、御承知の通り、中央の総評におきましても、これが決議という形でなされまして、議長団の御一人の方と他の幹部の方々十名ほどで、私のところにお見えいただいたのでございます。そこでただいま辻原委員のお話のようなことが述べられまして、私どもとしては、私どもの局におります警視正を派遣をいたしまして、現地でも調査をさしたのでございます。その調査の結果によりましても、ただいま先生が御指摘になりましたように、事実の問題につきまして、組合側の言われるところは、警察側の調査、私どもの調査にいたしましても認められないのでございます。ただ事実のその点の認識が一致しなかったのは遺憾でございますけれども、しかしいずれにいたしましても、先ほど来詳しくお述べになりました一警備課長の発言というものが、きわめて思慮に乏しい発言であった。しかも時期が時期であったというようなことで、非常な不安を与えたということは、これは動かすべからざる事実でございます。そのことについては、現地の本部長が遺憾といたしますと同時に、私もきわめて遺憾とするものでございます。そこで私どもといたしましても、先ほど来御指摘のありますように、正当な労働運動、民主的な労働組合の活動というものに、警察が介入するというようなことはあり得べからざることであるわけでございます。しかしながら現実にそういうふうなお疑いでいろいろ問題が起こったということが事実であるとするならば、これは常々注意を喚起いたしておることでございますけれども、この具体的な事実に関しまして、さらに私どもとしても全国各警察に注意を喚起して、再びこういうふうな紛争を起こすような種をまかない、こういうことを申すつもりであります。幸い明日全国の警察本部長会議もあることでございますので、きょうの御議論もあわせて明日これを本部長各位にもお伝えをし、それをまた文書にして、全国の警察に強く注意を喚起いたすように考えておるところでございます。
○辻原委員 問題の具体的な指摘に対しましては、県警本部と同じように、依然として警察庁においてもその事実なしと否定されておる。さりながら、今局長の言われる点を私が再度確認をいたしますならば、この種警察が労使の問題に直接介入をするということは、また介入をした疑いを持たれるということは、これは正常な労働運動のあり方をそこなうものであり、ひいては社会問題を発生するものである。そういう点から現地警察の関係者の処分いしはそれぞれの所轄署に対して今後の戒めの通達を出されたということ、な同時に警察庁としても同様全国にこういう機会に、警察庁の態度を明確にしたいということは、はなはだけっこうであります。私はここで今妙法の問題だけを取り上げておりますけれども、少なくとも私が経験をいたしました、また私の県において過去に発生いたしましたいろいろな事件を総合いたしてみますと、いささか毒舌をふるえば、警察は公式の座上においては、またわれわれがその問題の究明に当たりますと、常に事態はひた隠しに隠される。しかしその後においても思わざるとこをろから、その事実が事実となって現われて、ますます一般の民衆なり、労働組合においては労働組合員全般に非常に深い疑惑を与えてきたいというのが、今日までの実情ではなかったかと私は思うのです。過去において私の方でも、これは俗に住友事件といっておりますが、たまたま警察官が送達簿を落とした。その送達簿の中にはまことに驚くべきことが記載をされておる。それはすでに警察庁においても調査されておると思いますから、時間の関係で私はその詳細を申し上げることははばかりますけれども、われわれと同じ党に属する同僚、県会議員等の動静についても逐一尾行されたやに、そういう節に疑われるほどの詳細をもって記載されておる。あるいは労働組合の動静、あるいは個人に対する動静、それが単に警察が労働組合の動静を一般的、概括的に把握するというていのものであるならば、あるいはそれは警察権の範囲といわれるかもしれませんけれども、しかしその中に記載されている事実は、その個人の主観を交えたかなり精細にわたったものである。しかも労働組合の大会等においては、本来警察官が入っておらないのが原則だけれども、入っておると同じような詳細な記述がなされておる。こういうことを考えてみますれば、私は従来警察側が申されたことを必ずしも信頼できない面がありまして、従って今ここで警察庁として近く行なわれる全国の本部長会議等において明確にその指示をされるというのであれば、そこのこと自体はけっこうでありますから、ほんとうに各県警察のそれぞれの本部長が、今日の警察のあり方とはかくあるべし、わけても警備警察というものは、決して罪悪人を取り扱っておるのでもなければ、また取り締まりという観点において存在するものでもない。いやしくも警察が広い意味においての国民の福祉を守るんだ、こういう大きな観点、すなわちあくまでもそのやり方というものは民主的である、またガラス張りである、こういうことを前提にして、そして今後この種の事件の発生は、一つ完全に予防しなければならぬ。同時にもしこのような事件が起きたときは、これは警察庁しても警察官のあり方に対して厳にとその責任を問うというところがなければ、大ぜいの警察官の中に、かりに本部の意向がどうであろうとも、あるいはこれが手柄ではないかしらという、人間特有の弱点から、そういうことに介入していく人々がなきにしもあらずであります。われわれも他の問題において経験することは、往々にして警察官のものの考え方の中にやはり過去における特権の意識、そういうものがひそんでおるのではないかというようなことを感ずる場合があります。それはやはり事件発生に対して、内部の問題だからといって押し包んでしまうようなあり方が問題であって、幾らかわいい子であっても、その将来、全体のためには泣いて馬謖を切らなければならない場合がある。そういう場合に対する信賞必罰を明らかにすることが警察行政をただしていくことである。そういう意味において今警察庁のお話のごとく、ぜひとも本部長会同においては本部の態度を明確に指示される必要がありましょう。また同時に県警本部がやられたような通達を、この際文書によって行なわれるということを、この機会にいま一度明言をしておいていただきたいと思います。
○田中(武)委員 今の辻原委員の質問に関連して申し上げたいのですが、この事件のみならず、あらゆる警察関係の事件でわれわれが感じることは、警察は部下をかばい過ぎるといいますか、これは一面いいところかもしれませんが、何だかんだと言いわけばかりして部下のやったことをかばう。がそういうことになると、いわゆるそういうことに対する証拠とかいうものはあがりにいくのです。悪いときは悪いと率直に認めて、はっきりと処置すべきだと思う。こういうことは一面日本人のいいところかもしれませんが、往々にして警察は部下をかばい過ぎる結果、くさいものにふたをする。こういう結果がいろいろと疑惑を招く問題を起こしておるという点を、特に申し上げておきたいと思います。
○三輪政府委員 いろいろ御注意を賜わりましたが、辻原委員の御指摘のように、また先ほど私がお答えいたしましたように、幸い明日が木部長会議でございます。その席上でただいまの点も含めてよく伝達をし、さらに文書をもってそういう点を強く喚起するつもりでございます。 なおまた、関連しての御意見でございますけれども、お話のように、内部のものを包むというようなことでありますれば、この弊害は非常に大きいと思うのでございます。私どもは、が大きな権力を国民からお預りをしておるという立場において、内部での監察処分というものは、私どもとしてはきわめて厳重にやっておるつもりでございます。かつて私第一線の警察本部長のときにも申したのでございますけれども、およそ官庁の組織の中で——それは仕事はおのおの違いましょうけれども、警察ほど内部的な処分をやったところは、私そういう組織としてはないのじゃなかろうかということで、当時、私着任してから一年間に懲戒免官をした者が何人、どういう処分をした者が何人ということを申し上げて御理解いただいたことがあるわけでございますが、大きな力を与えていただいておるという組織におきましては、そういう点を他よりも倍して注意すべきである、ただいまの御注意はまことに私その通りと思って、今後も努力をして参りたいと思います。
○辻原委員 なお、前段に申しました写真付履歴書の問題は、警察側においても調査の結果、当時新聞にスクープされたものがどうしても発見することができないという態度に終始をせられております。しかし私は常識的に考えて、これは何も警察と労働組合、あるいは警察と一般不特定の民衆という関係で問題が振り出されたものではないのです。たとえばある場合においては、それはあなた方のでっちあげです、これは一般の人の単なるうわさにすぎません、こういう否定の仕方は常識的に肯定される場合があります。しかしながらこのことは、少なくとも報道の第一線を承っておる現地記者諸君がスクープしたもの、しかもそれをもわれわれは、また組合側も念には念を入れておる。いわゆる新聞のスクープでも必ずしもすべてがすべて正確であるとは断定できがたい場合がありまするから、さらにその人々の個人的見解というものを、個々に私どもはただした。しかし今日に至るも、われわれはこの発表いたしました記事の真実性については、だれが何と言われようとも真実であるということの一点は曲げられません、この主張を繰り返されておるのであります。私どもは新聞報道の中立性という点にかんがみ、また真実を報道するという新聞の建前から、これらの方々の証言を信ずる以外にないのであります。だからあくまでこれを警察が否定されるとするならば、私どもとしてはこの事実を将来何がしの方法において究明せざるを得ないのであります。 このことを最後に私は警察の方々に申し上げて、時間もございませんので、一応本日の警察に対する私の質問は終わります。 次に、この問題は通産省の経営者に対する行政指導の問題であり、同時に事件発生が、合理化といういわゆる経営の問題の中から発生をいたしました具体的な警察権力というものと、それからいわゆる労働問題との関連ということにおいて、重要なウエートを本問題については警察庁は持っておるのでありますし、同時にまた純然たる合理化という労働問題の中に、この種のことがかりにあるとするならば、一体労働行政としてはどうあるべきかということを、他の労働問題にも関連する問題であるだけに、私はこの機会に労働省としてのはっきりとした見解をただすと同時に、具体的な措置を一つ要求いたしておきたいと思うのであります。まだ労政局長がお見えになっておらぬようでありますから、お見えになるまで来られておる担当者に、私が今申しました点について、まずこの問題の事情を把握をせられておるかどうか。通例の問題と違いまして、事実の究明ということと、それから具体的措置−−問題は合理化という中から労働者の死活の問題が発生している緊急の問題である。同時に警察権がこれらの問題に介入するということは大衆に対して非常な不安感を与える、こういった緊急問題でありますだけに、単に唐突にこの委員会において問題を取り上げたということではなくて、私の問わんとするところ、また問題の所在が那辺にあるかということをあらかじめ通告をしておいたはずであります。そういう意味合いにおいて、労働省もこの妙法に関する労働問題について概括的に御承知かどうか、ちょっと承っておきたいと思います。
○青木説明員 妙法の事件につきましては、事実関係につきましては現地の方より報告が参っておりまして、ただいま先生が御説明になりましたような報告が参っております。概括的には事件の概要は把握いたしております。
○辻原委員 委員長にお伺いいたしますが、労政局長は何時に参りますか。
○岡本(茂)委員長代理 二十分ということを聞いております。
○辻原委員 労政局長が二十分に来られるそうでありますから、それじゃあらためてお伺いをいたしますが、その前に、今日労政局長にかわって出られた人が概括的に御承知ということでありますので、伺って参りたいと思います。 私は、一番問題とするところは、会社側が常識的にいっても他に持ち出してはならぬその資料を、むしろ積極的に会社側から警察側に提供した疑いというものが、労働問題の中で特に重要な問題だと思います。今回の場合はまだその事実についての究明ができておりません。ですから、私は、一般的仮定としてでもこの際労働省にお聞きしておきたいし、将来こういうことをなからしめるためのその措置をも労働省に聞きたいのであまりす。というのは、たとえば私が常識的に考え、あなたが常識的に考え、あるいは警察が常識的に考えて、会社にかぎをかけて入れておるその資料というものとそっくり同じものが警察の中にある。これはたまたま警察官が行って、ここにいいものがあるからといってぱちっと写真にとれるしろものではならない。履歴付カードというものは、私は現物をここに持ってきておりますけれども、見せるまでに至らないと思いますけれども、大きさも一定されております。六百十三枚といえば相当な量です。それをかりに写真にとるにいたしましても、ないしょでこそっと一枚々々を正確に写すということはちょっと常識上不可能なことであります。そうだとするならば、やはりその所管責任者の了解を得て写したか、所管責任者が積極的にそれを提供したかのいずれかであります。この労働問題には、そういう第三者への提供ということは必要ないばかりか、問題を別の角度に発展させる。労働問題が労働問題でない、社会問題に発展して、正常な労使の姿というものがこわれるということは、だれが考えても常識である。この私の常識に対して一体労働省はどういう見解をとられるか、まずそこの点を承りたい。
○青木説明員 警察署の方で、はたしてそういう写真がどれだけあったのか、あるいはもしかりにありました場合に、どうしてそういうものがあったのかというような事実関係につきましては、まだ私の方では何らはっきりいたしておりません。ただいま先生が申されましたように、労使関係の問題については、労働省といたしましても常に健全な労使慣行の確立ということを強く期待しておりますし、労使関係の問題につきまして、それが法秩序及び民主的なルールに従って運営されております限りにおきましては、行政官庁というものは労使関係に介入すべきでないという立場を常々に堅持しておりますし、またそういう立場から労使関係者に対しても指導をして参っておるのでございまして、今後ともそういう方針でさらに進んで参りたいと思っております。
○辻原委員 それでは具体的にどういうことをおやりになったかということが、私の次の質問になるわけですけれども、そういう質問をいたしましても、おそらく具体的のことは今の法規課長のあれとしてはちょっと出ないと思いますから、そこで私は少し法規の関係を尋ねてみたいのです。 私のかつて読みました基準法などの関係において、労使が−−もちろんこれはいわゆる労働組合法ではありませんから厳密なあれではなかったと思うのですが、何か会社が、そういう機密を要するもの、あるいは労働者の機密に関するもの、こういったものを部外に持ち出してはいけないような規定があったと思います。もし私の誤りであれば正していただいてもけっこうだと思うけれども、あるいは労働協約の中においての問題、そういった点で現在のあれには法的根拠がないのかどうかということです。
○青木説明員 ただいまの御質問の法的根拠というのは、何が法的根拠があるのかないのかちょっとはっきりわかりませんので……。
○辻原委員 ちょっと問い方が悪かったと思うのですが、労使のあり方として、双方それぞれ対等の立場をもってこれに当たるというのが労働組合法の原則ですね。それから、いわゆる従業員に経営者がしてはならない、あるいはしなければならないことの最低が基準法に示されておる。そういう中で、今言ったような会社が労働組合員あるいは従業員に対して不利を与えるようなことを一般的に行なった場合、それを行なってはならないという何がしかの法的根拠は、現在の法規では見出せないかということです。それからこれは組合課の主管かわかりませんけれども、労働協約等においてそういうことも明確になっているものもあるやに見受けられるのでございますが、あなたたちの労働協約の指導というものは、そういう点については留意をされておらないか、これは所管が違うからあるいはわからないかもしれませんが、それは一体どうなんですか。
○青木説明員 経営者側からの労働組合ないし労働者に対します介入行為につきましては、労働組合法に第七条の規定がございまして、労働者が組合員である、あるいは組合の正当な活動をした等を理由に、解雇その他の不利益の取り扱いをなしてはならない、これが一点でございます。さらに組合の運営に介入する目的を持って、たとえば役員選挙に介入する、組合の分裂をはかる、そういう支配介入行為につきましても、組合法の第七条第三号において、使用者側の不当労働行為として明確に禁止されております。現行法上、使用者側の介入行為についての禁止規定は、現在のところ労組法の第七条があるわけでございます。
○辻原委員 局長が見えられたようでありますが、その前に今の点をもう少しただしておきたいと思うのです。私はどうも一般的にいって、この種の行為というものは、当然使用者側が、直接的にはないけれども、間接的にでも、労働組合の運営に影響を与えるという意味においては、当然不当労働行為の一つの事案ではないか、こういうふうに判断されるわけであります。一般的にいって、一つの判例としてそう考えざるを得ないのでありますが、その点はどういうふうに把握をされますか。
○冨樫政府委員 今回のこの事案につきまして、和歌山の労政当局からいろいろ伺ってございます。一般的に申しまして、労使関係は民主主義の理念にのっとりまして自由対等、従いまして、第三者的な権力関係の介入ということは好ましくないということは言えるわけでございます。ただ、今度の話をいろいろ聞きますと、そこにはそこで警察特有の理由もあるというようなことを承っておりますので、それ自体われわれが介入することが介入ということにもなりかねませんので、現地の労政機関には、事態に即応して善処をするようにということを申しておるような次第でございます。
○辻原委員 局長、あたふたと来られまして、十分問題の把握ができておらないように思いますので、その言葉じりはとらえませんが、先ほど、来られる前に労働省に私が伺っておることは、一つは、一般的にいって、今お聞きになりました通り、労働組合法第七条の三号に規定されておる、労働者が労働組合を結成し、運営するということについて、経営者がその労働組合の結成を阻害をしたり、もしくは運営の支配を行なったりすることは不当労働行為だ、こう規定されている項に抵触する疑いが濃厚ではないか。ということは、それはいみじくも当時、不用意の言葉だとして警察は言っておられるのであるが、当時の警察の所管責任者が、これは将来の労働問題に備えるものですよと言った言葉から演繹いたしますと、私も先ほどから、その経路というものが常識的にこうだと言っている。会社が持っているものを、一体どうしてそれが警察に入手されたか。単にたまたま行ってというようなことは、これは何と考えても不可能なことであったのじゃないか。そうすると会社側にこの材料提供という、重大な行為の責任が生まれる。まだ完全な事実の究明が行なわれておりませんから、従って、事については仮定の場合も含みますけれども、かりにそういうような前提を置いて、会社側が積極的に警察というものを利用しよう、争議に対して警察は大いに働いてくれる、利用しようとして、その種の行為をなしたという場合においては、これは直接に労働組合の運営を経営者が支配をしたり、阻害をしたということではないけれども、間接的にこれは阻害、運営の支配をしようとしたということに該当するではないか、こう私は一般的に申し上げておる。その点についての見解はどうでありますか。
○冨樫政府委員 一般的にそういうことが明らかな場合には、不当労働行為になると存じます。ただ今回の事案そのものは、きわめて現実的に双方対立している事案でございますので、黒白をつけるのは労働委員会でございます。いわば裁判所が黒白をつけるのでございまして、行政当局として、今回の事案そのものについて、ただいま白、黒を申し上げることは差し控えるべきであると考えます。
○田中(武)委員 関連。労政局長、今さら労働組合法の組み立てを聞いているのじゃないのです。不当労働行為があった場合には、それをきめるのは労働委員会であることはわかっております。私も労働委員を七年間やりましたから、わかっております。それが労組法の建前であるけれども、明らかな不当労働行為ということがわかった場合に、行政措置として、そんなことをやらなくてはどうするのですか。すべて地労委にまかせたというのがあなたの考え方ですか。そんなら絶対に許せぬが、どうです。
○冨樫政府委員 本事案は、いろいろ入り組んでおるという報告を受けております。その意味におきまして、われわれの立場といたしましては、権力的介入をせざる限界におきまして、問題を穏便に解決するという立場をとっておるのです。従いましで、現地の労政機関に対して、それ相応の善処する態度をとってもらいたいということを、先般私自身和歌山の労政課長と会って申しておるような次第でございます。
○田中(武)委員 労政局の仕事というものは、あるいは労政事務所の仕事というものは、労使関係がうまくいくよう指導することにあるでしょう。先ほどのあなたの答弁なら、そういうことに介入すること自体がまた介入になるので云々というようなことで、拱手傍観しているなら労政局は要らぬですよ。私は、当委員会は商工委員会であるから、労働問題だけでそうやりたくない。しかし話がこうなると、私は委員長に申し上げます。この国会中に労使を参考人に呼びたい、そしてその出し方いかんによっては、不当労働行為だけではない、あるいはその目的をもって出したとするならば、刑法の誣告罪が成立するおそれがある。私は双方の参考人をここへ呼んで−−社労でないので、そういうことまでやりたくないと思ったが、ただいまの答弁を聞いているとやらざるを得ない。そういうことをあとで理事会で相談します。
○辻原委員 私が前段申し上げました質問、この点は明確になったと思います。それは局長の来られる前、法規課長に対して、一体現行法規の中で何らか規制するところがないか、こういうことをお尋ねいたしましたところ、労組法の第七条不当労働行為の項についての質問に発展をしたのでありますが、今あなたの答えによれば、一般的に経営者の直接の行為でなくとも、間接的に他の権力を利用して、そうして労働組合の運営に影響を与える場合は、これは不当労働行為である、しかしながらその判断の最終は、訴訟が起きた場合の取り扱いは裁判所であるということは、われわれ存じておるわけです。ただ労働省の所管の法律を解釈するあなた方の見解だけを聞いておけばよろしいので、その見解に関する限りは、その場合は不当労働行為である。従って私が冒頭にお尋ねをした、何らか現行法規においても規制をされておるのではないかという点は、ここで明らかにされたというふうに理解をしてよろしゅうございますね。
○冨樫政府委員 不当労働行為という問題の本質は、一般の法律問題のように、法律を積み重ねるのでなく、実体問題をもって判断する場合が多うございます。従いまして、直接の場合ではむろんでございますけれども、間接の場合におきましても客観的にさようであると判断される場合には、不当労働行為と判定される場合もあるということは申し上げて差しつかえないと思います。
○辻原委員 私は決定的事実といわずとも、これは私にとりましては決定的事実でありますけれども、客観的決定事実ということでなくとも、具体的事実を指摘して、それを一般的問題という概念の中で、そのことが労組法七条三号の行為に該当するではありませんか、こうお尋ねをしておるわけです。それに対するお答えとして、今の局長のお答えを私は素直にとれば、直接でなくとも間接的にもそういうような事柄があれば、これは当然不当労働行為に該当いたしますということだと理解して差しつかえございませんね。
○冨樫政府委員 御質問が非常に微妙でございます。同時にこちらの立場も御理解いただいておると思いますけれども、問題が具体的にできておりまするので、われわれの立場としては、先ほど申しました一般論という見解でお答え申し上げたということで、一つ御了承いただきたいと思います。
○田中(武)委員 あなたのおっしゃる通り、不当労働行為として認定をし、その原状回復を命ずるのは地方労働委員会です。それはあなたのおっしゃる通りなんです。しかし今問題になっている事実、そういうものは、不当労働行為としてのにおいというか−−このきめることは労働委員会であることは、法律で私も理解します。辻原さんの言っているのはそうでなく、労政局長として見て、こういうことは不当労働行為のにおいがあると申しますか、法律にまっ正面からひっかかっておる、そうじゃないか、こういうことなんですよ。と同時に、私はもっと進んで、経営者が出した目的によっては、労働法の問題を離れて刑法になる、誣告罪になると僕は考えるのです。だから、そういうことについて微妙であると言うけれども、それは、決定的不当労働行為として認定をし、その原状回復を命ずるのは労働委員会ですよ。労働委員会の手続を経てやるのです。しかしここであなたに伺っているのは、第七条第三号、その他の項目と現実の問題とを照らしてみたときにどうだ、こう言っているのだ。
○冨樫政府委員 そのような意味合いも兼ねまして、一方われわれの労政機関として現地機関に、何と申しますか、労政的な立場で善処するということを要請しておるような次第でございます。
○辻原委員 田中委員から指摘されましたことを私は繰り返そうとは思いませんけれども、しかし先ほどからのニュアンス——人間の言葉にはいろいろニュアンスがある。あなたはデリケートだということで逃げられておりますが、私は必ずしもデリケートであるということには考えない。触れたくないという人にはデリケートに聞こえるかもしれないが、問題を積極的に解決しようと考える場合には、決してこれはデリケートではありませんぞ。これは実に重要な問題なんです。そういう意味から、労政指導は、現地の労政課なりあるいは労政事務所を通じてやっておる。はたして一体何をやっておられるか。具体的な事件の調査等であれば、単なる労働問題の調査等であれば、すでに事件は発生しているのですから、あなた方の調査を待つまでもなく私は先ほどから詳細言っておる。しかしわれわれが希望いたすことは、正常な労働運動の中で、いやしくも第三者が介入してはいけないという原則を守るべきである。いやしくも経営者の中にそういうような疑いを一般に持たれるような行為があれば、それは事件は事件としてとるべき措置はありますけれども、労政当局としては、それに対する積極的な指導をしなければいかぬということを言っておるのです。指導というものは介入にあらず。あなた方の責任においてそれは正していかなければならぬ所管上の重大な責務であるから、その点について現地の労政課あるいは労政事務所にまかして調査云々というようなことは、私どもにはあまりぴんとこないというのです。ですから、いま一度労働省としても、この種事件は一つのケースである、あるいは他にもこういう問題が現在内蔵されておるかもしれない。将来またこういう問題が発生するかもしれない。しかし発生をして訴訟問題になり、労働省の労政指導の至らなかった点を、その期に及んで追及されてはあなた方の立場もないであろうから、今のうちに積極的なそういう点についての行政指導をおやりなさいと言っておるのですが、いかがですか。
○冨樫政府委員 まことに仰せの通り、役人的な建前から申しますと、今回の事案につきましては、労働省の所管事項でなく県の所管事項。しかし仰せのように全国的な一つのモデル・ケースといったような性格を持っております。従いまして、先ほど申しましたように、先般直接に私個人が和歌山の労政課長、労政課の課長補佐とも会いまして、事態即応の態度をとるようにという行政的な手はずなり、努力なり何なりをしたつもりでございますし、今後とも一段とその路線で問題の解決に努力したいと存じております。
○辻原委員 私に与えられました時間もすでに十分経過をいたしておりますので、きょうはこれ以上問題は発展をさせませんけれども、しかしながら、私に対して通産省、それから警察庁、それから労働省、それぞれ答弁なさいましたことは、私も真剣にこの問題に当たっておりますその意味において誠意をもって答えられたことと信じます。従って、最後にこれを集約いたしますると、今まで私、また同僚石山、田中両委員に対して答えられました点で明確になりました点は、次のごとくであったと私は把握をいたしておりまするので、これを確認をいたしておきたいと思います。 まず通産省については、次官が申されましたように、かなりこの経営についての問題点がある。従って事今日に至った点については、経営者にその一半の責任なしとしない。またこの現地における問題、いわゆる経営上の問題等については、なお十分知悉しない点があるから、通産省としてもあらためて調査を行ないたい、こういう御回答がございました。かように承っておきます。 それから警察庁としては、私が冒頭に指摘をいたしました事実関係については、警察庁の立場としては私の質問を肯定されるには至らなかった。しかしながら、かかる事件の発生はまことに遺憾しごくである。現地警察のとりましたその後の処置については不適切なものであったという意味において、またかかる事件の発生を今後未然に防ぐために、また全体に対する戒めという意味において、本部長会合における訓辞、同時にまた全国に対する通達を早急にやりたい、このことを私は確認いたしました。 また労働省については、先刻申しましたように、一般的な意味における不当労働行為の疑い濃厚であるということ、それからいま一つは、現地労政担当者のみならず、労働省としても、全国の労政行政を担当する意味において、積極的にその後の調査なり行政指導に、行なえる範囲において誠意をもって当たりたい、こういうことでございましたので、私はそれらの実行を強く要求をいたしまして、本日の私の質問はこれで終わっておきたいと思います。
○田中(武)委員 私は労政局長の答弁ではまだ了承しかねる。あなたはまだはっきりしたことは約束してない。具体的に発生した個々の事件についての不当労働行為であるということの認定、並びにそれの原状回復は管轄地方労働委員会がする、これはその通りです。ただしかし、今後こういうことのないように、行政指導的な立場から、直ちに労政局長通牒でも出して、各県の労政関係あるいは労政事務所にまで手を打ってもらいたい。いかがですか。
○冨樫政府委員 十分に検討いたしまして善処したいと存じます。
○辻原委員 私が先ほど確認をいたしました趣旨は、具体的には今田中委員が指摘されたような個々の実行であります。一体いかなる措置をとったかということを後日われわれは要求するわけです。だから、今田中さんが言われたような点は、私が概括的に要求いたしました中に十分含まれているということを、私は念のためにつけ加えておきたいと思います。
○松平委員 今の問題はこれで終わったわけですが、この際、政務次官も鉱山局長もおられるので、あわせてちょっとお伺いしたいのです。 この事件も、要するところ、いわゆる自由化を強化して海外のいろいろな鉱産物が来るということのために起こっている問題なんです。そこでその点についての通産省の考え方を承りたいと思うのです。所得倍増計画における必要なる鉱産物の海外依存度というものがあると思うのです。この海外依存度というものは各種の鉱石によって違うだろうと思うのですけれども、所得倍増計画の基礎になるところの一種の基準を設けて算定したというものがございますか。
○川出説明員 資料を今調べておりますが、現在のところで申しますと、自給自足しております鉱産物は硫黄と硫化鉱の二つがございます。そのほかは、ほとんど全部といっていいと思いますけれども、国内だけで自足するわけには参りません。日本の鉱産物のうちの大宗である銅を一つとりますと、現在国内鉱山から出ております銅の量は、最近少しふえてきておりますが、今年度は九万トンでございます。これは戦後で最高ではないかと思っております。ところが銅地金の需要は全国で三十六年で約四十万トンでございます。これが倍増計画になりますと、七十五万トンから場合によれば八十万トン近くなることが予想されております。倍増計画ではたしか七十五万トンだったと思います。現在の段階では四分の一弱が国内鉱から出ているわけでございます。あとは国内のスクラップを集めて作るのが七、八万トンございます。そのほかは海外から鉱石を輸入したりあるいは地金を輸入したりしてまかなっておるわけでございます。それでは銅の生産が今から倍増するかというようなことになりますけれども、これは過去数十年来日本は産銅国といわれておりましたけれども、戦争中のめちゃくちゃな採算を無視した乱掘の当時でもわずかに十一、二万トンが限度でございました。従ってなかなか需要にマッチしたような国内鉱の産出ということにはならないかと思っております。われわれは銅につきましては国際競争力がつくように、これから全力をあげていきたいと思いますけれども、そのときも量としてはやはり十万トンくらいが限度ではないだろうかというふうに考えております。それから鉛になりますと、ことは自給度は半分以下ではないかと思っております。それから亜鉛の方は相当自給度が高いのでありますけれども、現在国内の生産は十四、五万トンだったと記憶しておりますが、需要の方は二十四、五万トンになっております。これは急速に需要が増加しておりますから、どうしても海外から不足分は入れなければいけない。それからタングステン、モリブデン、これは世界的に非常に偏在している鉱産物でございまして、これは自給度は二割程度でございますから、あとの八割なりというものは海外から入れなければいけません。マンガンは自給度は半分くらいでございます。そういうふうにだんだん需要の方がふえて参りますので、鉱産物の種類によってはいろいろ差がございますけれども、国内だけで自足していくわけには参らないと思っております。
○松平委員 政務次官、お聞きのような状態です。そこで海外に依存しなくてならぬという問題が必ず出てくるわけであります。そこで、これと国内資源との見合いということを一体どこで調整をして、どこで採算をとるか、どこでプール計算ならプール計算をしていくかというようなことを政治的に考えていかなければならないと思うのです。同時に国内における資源の開発ということに対して相当積極策をとると同時に、海外における開発計画というものもやはりあわせて進めていかなくてはならぬのではなかろうかと思うのです。そこで、お聞きすると海外の鉱山を開発するための特別の会社を作って、そして来年から発足させるというような計画があるそうですが、それは事実でありますか。
○森(清)政府委員 われわれも国内の需要に備えて海外の鉱山開発のための準備は進めております。多少の予算も請求をしておる段階でございます。
○松平委員 その開発計画の一つの方法として、大手をもって一つの海外鉱山開発株式会社というようなものを作って、それに政府が低利の資金を貸してやろうというような計画があるということを聞いているのだが、それはどうです。
○森(清)政府委員 松平さんの言われた通り、そういう構想を持っております。
○松平委員 そこでお伺いしたいのだけれども、これをやった場合においては、大手が参加して大手の会社ができるわけであります。そうすると、日本における中小企業の鉱山屋というものは、今度これと非常な対立をすることになるわけです。ところが一方、東南アジアにおける鉱産物の開発というものは、どういうところにわれわれはポイントを置かなくてはならぬかといいますと、その国の工業の推進をはかっていかなければならない。言うまでもなく国民生活のレベル・アップということを考えていかなくてはならぬわけであります。ところが今日国民生活のレベル・アップを東南アジアの諸国に考えていくという段階において、最も大事なことは雇用問題であります。あれらの国の大部分は農業国なんです。この農業国におけるレベル・アップを考えていくという場合は、基礎産業だけやってみたってだめなんです。中小のものを相当程度開発をしていくというようなことによって、雇用問題を解決しながらその国の産業をバランスをとって発展をさせていかなければならぬ、こういうわけなんです。そこで私が質問したいのは、その構想は大企業というか、大きな鉱山屋が大体中心になってやるんじゃなかろうかと私は思うし、そう聞いておるわけでなんです。その中へ中小のかなりのものを入れて、その中でバランスをとる、こういう考えは今日ないのかどうか。
○森(清)政府委員 海外の鉱山開発ということの目的は、需要を満たすということと同時に、日本の中小鉱山の救済策ということも含まれておるわけであります。従って中小鉱山の技術だとかあるいは資本とか、こういうものも当然参加させる構想に、今しております。
○松平委員 あなたは今そういうふうにお答えになったけれども、私が承っておると、鉱業協会の偉い人にどうするのだ、中小を混ぜなくてはいかぬということを私が主張をしたところが、それでは幾らか考えましょうかな、こういうことを言っているんですよ。それだから私は今この問題をここで提起しているわけなんです。鉱業協会はそういう大企業の代弁みたいなものだが、その鉱業協会のお偉方というのは、この構想に対して私が言うのに対して、中小を入れることは幾らか考えましょうかな、こう言うから、幾らかではないよ君。こういうことを私は言っている。そこの指導というものを通産省はしっかり腹に入れて考えなくちゃいかぬし、その株式会社の建前にしても中小にかなり発言権を持たせるような組織、そういう仕組みにする必要があるのではなかろうか、こういうふうに私は思うのだけれども、その点について一応伺っておきたい。
○森(清)政府委員 松平さんのは業界に行って聞かれたのだと思う。今立案をしているのは私どもでございます。私どもがそう考えているのであって、経験と技術だけは中小企業にも相当りっぱなものがありますから、今後強力にそれを活用するつもりでおります。
○松平委員 それでやや答弁の体をなしておりますが、しかしこの構想中のには業界の思惑というものが相当入っていると思うのですよ。それで業界自身が大きいところは中小を締め出すという考え方も持っていることは事実だろうと私は思う。そこで私が心配しているのは、今政務次官が答弁になったからその心配は解消をいたしましたが、しかしながらこれは大きところに押されずに、あなた方がほんいとうにがんばって日本の中小の炭鉱の一つの解決策というものにこれを役立たせる方向でやってもらうように、私は特に要望しておきます。今あなたがそういう答弁をなさったから蛇足のようになりますけれども、重ねて念を押したいと思います。
○森(清)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、中小企業が自由化による相当の被害、こういったものの解決策として、われわれは非常に大きくこの問題を取り上げているわけでございまして、松平さんの言っておられる趣旨は十分考えております。
○岡本(茂)委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十日金曜日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。 午後零時五十四分散会