社会労働委員会 第13号
- 発言数
- 73 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/12/08
会議録
○中野委員長 これより会議を開きます。 今閉会中、社会保障制度、医療、公衆衛生、社会福祉及び人口問題の実情調査、並びに労使関係、労働基準及び雇用・失業対策の実情調査のため、四班の委員を派遣したのでありますが、この際、各班の派遣委員より順次その報告を承ることにいたします。 まず第一班、松山千惠子君。
○松山委員 本委員会国政調査委員派遣第一班として、去る十一月十三日から四日間、淺沼、本島両委員及び私の三名は、秋田、山形両県における厚生及び労働行政、特に社会福祉施設の実情を視察して参りました。以下、その概要について御報告を申し上げます。 最初に秋田県について申し上げます。秋田県におきましては、まず県庁において小畑知事以下関係部長より業務概況の説明を聴取したあと、県庁内にある母子福祉会の事務所を訪れました。母子福祉会は、県から年間八百五万円の代金で県庁舎の清掃を請け負っている組織でありまして、昭和三十四年十二月から業務を開始し、秋田市内の未亡人会の会員中の希望者を就労させており、現在九十二名の人々が働いております。あるいは必ずしも目新しい試みではないかもしれませんが、母子家庭に対する県行政の積極的な配慮として注目して参りました。 次いで婦人相談所、併設婦人保護施設へ参りました。婦人保護施設は、現在二十一名の婦人を収容しておりますが、従来この人たちに対する求人は、ほとんど料理屋、食堂あるいはいわゆる飲み屋等で、更生自立を阻害する要因が非常に多い職場であります。従って関係機関において、より適当な就職あっせんの必要が望まれますが、実際にはなかなか困難な問題でございます。そこで現実には、これらの職場の労働環境の明朗化、身分保障の確保、特に住居の問題の解決が痛感されているのでございます。その一つの試みとして、保護施設内における下宿の設置、あるいは特別な住宅の設置等が考究されてもよいのではないかと思われます。 次に秋田母子寮を訪れました。秋田母子寮は、現在秋田県社会福祉協議会の経営にかかり、近く社会福祉法人となる秋田未亡人会連合会に経営を委託する方針で計画が進められております。現在入寮母子は、母二十四名、子供四十一名であり、建物は古く、設備も必ずしも十分ではございませんが、秋田駅へ徒歩十分という、入居者の通勤あるいは内職にはなはだ便利な場所にあります。入寮母子家庭にとっては通勤、内職の便、不便は生活上の重要問題でございます。その意味で、母子寮の立地条件は各般の事情から困難な問題ではございましょうが、十分考慮さるべきことであろうと思います。 続いて参りました太平療育園は、肢体不自由児施設でありまして、秋田市の郊外にあり、建物、設備ともに新しく、まず十分な施設と思われますが、定員は五十名で、県内の肢体不自由児数推定七千三百名、そのうち入園を必要とする児童数四千名に対しあまりにも不十分であり、定員の増加が要望されております。身体障害者更生指導所は、太平療育園の並びにあり、本年七月から業務を開始しておりますが、入所者は三十名で、洋裁、ラジオ、ガリ版の三科を設けております。まだ発足早々ですが、入所期間一年終了後の就職等の見通しは明るい模様でございます。次いで、新築落成したばかりの婦人会館を視察、地元の婦人団体関係者と懇談した後、労働基準局において基準局、婦人少年室の業務概況の説明を聴取し、引き続ぎ北光電球株式会社の工場を視察し、秋田県における日程を終わりました。 次に山形県について申し上げます。まず山形県庁において華山副知事以下関係部長より、労働基準局において川島局長及び婦人少年室長よりそれぞれ業務概況の説明を聴取した後、婦人保護施設金谷寮を訪れました。金谷寮は、山形市と上山市との中間にあり、現在十二名の婦人を収容しておりますが、定員二十名には達せず、また全国的傾向と同じく異常性格者、低知能者が逐年多くなっておりまして、この人たちの更生自立の問題が重要な課題となっております。翌日上山市の長谷川製糸工場を視察した後、ゆきわり整肢学園へ参りました。ゆきわり整肢学園は肢体不自由児施設でございまして、蔵王を背に月山を見はるかす景勝にあり、建物、設備も明るく、近代的な施設でありますが、ただ定員五十名で、県内の肢体不自由児数推定三千名に比しあまりに少なく、現在、来年度に五十名の定員増を計画中であり、国庫負担が期待されております。 次に参りました身体障害者更生指導所は、入所者三十名で、洋裁、ラジオ・テレビ、靴の三科を設けておりますが、就職は一〇〇%の実績であり、さらに身体障害者職業訓練所へ進む者も相当数ございます。問題は、給食の単価が安く、一日七十七円であることですが、中央センター並みの一日百円程度は最低必要であろうと思われます。 次いで県立山形病院を視察した後、上山市役所において市当局、警察、労働基準局、婦人少年室、婦人相談所、保健所、旅館組合代表等の関係者と売春問題のその後の状況について懇談会を行ない、山形県における日程を終わりました。 最後に、両県において要望されました事項を総括して申し上げます。 第一に、積雪寒冷という地理的条件を十分に考慮し、国の行政の全般にこの認識を反映されたいという点でございます。具体的に言えば、生活保護施設の関係では、施設事務費に積雪寒冷地区加算を設けること、社会福祉施設設備費補助基準の引き上げ、生活保護法施行の関係では、施行事務費に積雪寒冷地特別調整額交付の措置を講ずること、生活扶助の冬季加算の引き上げ、一時扶助の基準及び限度額の引き上げ、保育所の関係では、採暖の増額、診療報酬の関係では、暖房料の徴収等の措置を講ぜられたいということであります。 第二に、無医地区の医療の確保、公立医療機関の経営危機打開のため特別の立法と施策を講ずることが要望されております。 第三に、体育所措置費の国庫負担金十分の八は、毎年度不足額を生ずる実情にあるので、完全支給されたいこと、また保育単価の引き上げ措置を講ぜられたいという点であります。 第四に、婦人の更生保護の関係について、更生親に対する援助措置、保護施設職員の研修、婦人相談員の手当の増額等が要望されております。 第五に、労働基準局の関係では、従来しばしば本委員会において指摘されている問題でございますが、局の広範な業務に比しあまりにも予算、人員が不十分であることであります。特に秋田、山形両県のような積雪寒冷、交通不便な地方において、若干の監督署にオートバイ一台がある程度では、満足な労働帯準行政の運営は困難であろうと存じます。その中で現地の第一線機関は最善の努力を傾けながら、予算、人員、設備の充実を要望している現在であります。 以上をもって第一班の報告を終わります。
○中野委員長 次に第二班、柳谷清三郎君。
○柳谷委員 藏内、田邊両委員並びに私の第二班は、去る十一月十五日から三日間、愛知、三重両県における特に社会福祉施設と国立公園について視察をして参りましたが、その概略について御報告申し上げます。 日程第一日は、まず愛知県庁において県の関係各部長及び労働基準局長より業務概況等の説明を聴取した後、鈴木副知事より種々要望事項が述べられ、次いで日本陶器工場の労使関係について工場を視察いたした後、名古屋市立寿寮の養老施設をたずねました。この寮は、市の東部に位し、東山動植物園地帯と平和公園の丘陵を控えて、昭和二十七年に設立され、恵まれた立地条件の中にあって、設備もよく、収容人員は二百名、収容者の平均年令は七十五才、三分の二は女子が占め、生活保護法に基づく要保護者を収容し、寮内には付設診療所が設けられる等、養老施設としては申し分がなく、職員は寮長以下十八名、炊事係は四名で特に忙しく、日曜祭日もないというありさまでございました。 なお同県における養老施設は、公営十二、法人営二の十四カ所で、定員は八百五人、各施設とも満員の状態で、昨年の調査では居宅で保護を受けている六十才以上の老齢者四千九百五十一人のうち、養老施設に収容することを適当とする者が七百二十一人、収容者のうち最も手のかかる高齢老衰者の取り扱いは、管理者の最も大きい悩みとなっていました。市ではその対策として国民年金の還元融資による特殊養老施設を設け、これらの人たちを収容すべく、すでに着工され、収容人員八十名、これが完成の暁には全国のテスト・ケースとして注目されることとなっております。 また市では、老人福祉対策の一環として、昨年六月家庭奉仕員制度を新設し、伊勢湾台風災害による被害激甚地区の生活困窮の独居老人及び特に必要な困窮世帯の老齢者をおもな対象として、十一名の奉仕員が活動し、十分な成果をあげ、その実績にかんがみ、来年度は三十六名の増員計画を立てているとのことであります。 この制度は、現在名古屋のほか大阪、神戸、布施、秩父の五市と長野県で実施されているにすぎませんが、厚生省では本年度の予算に老人家庭奉仕員設置費千三百万円の要求を提出したが、実現を見なかったものであります。 日程第二日は、三重県に入り、昭和四日市石油の労使関係について視察しました。同製油所は近代的な精製施設を備え、わが国屈指のもので、四日市石油化学コンビナートの中核的地位を占め、旧海軍第二燃料廠跡に建設され、原油は中東イラン、クエート等から運ばれ、各種高級燃料油を精製し、生産品は、近接の石油化学工業各社に供給し、諸施設は完全にオートメーション化されて、従業員はわずかに六百二十三人ということでございました。しかし、これら大工場を含む四日市市を中心とした工場地帯における各種工場から排出される有害ガスは漸増し、複雑な様相が呈されていますが、県は公害対策として、現在北勢地方にデポジットゲージ、亜硫酸ガス測定器を三十カ所配置して実態を調査中で、結果を待って措置を講じたいとのことでありましたが、公害に対する国の適切な指導方針を強く要望しておりました。 次に三重県庁に至り、田中知事より県の実情を聴取した後、関係各部長より業務概要の説明が行なわれ、特に同県における同和対策と不可分の関係にある失業対策事業についての実態が述べられ、それらの対策については少なからず苦慮しているというふうに見受けられたのであります。 次いで松阪市に至り、松阪カトリック養老園を視察いたしました。同施設は、社会福祉法人として昭和三十五年二月開設、敷地六百九十八・二〇坪、建坪二百九十六・一五坪、建築費七百万円、カトリック聖ヨゼフ修道女会の運営となっています。収容人員は六十五名、シスター・マリ・アンナ施設長の献身的な奉仕と努力が続けられ、収容者の福祉のために、今もなお米国より多額の寄付を集め、園内の清潔と近代的諸設備は全くうらやましいほどに完備され、ここに収容されている人たちも安住の地を得たという感がうかがわれたのであります。 なお同県における六十才以上の老齢人口は、昭和三十五年十月で十六万九百八十五人、総人口の一〇・八%、年々増大の傾向を示しています。これら老人層のうち、生活保護法による生活保護者が昭和三十六年七月現在五千百八十五人、そのうち養老施設への要収容者は約千三百人と推定されますが、県内の施設は二十一、収容定員九百五十五名、うち収容中の被保護者は八百六十二名、未収容者は約四百五十名で、県はその対策として、施設の拡充と並行して経費老人ホームを創設し、被保護者以外のもので施設に収容中の者は、これに移管する計画を進めておりました。 日程の最後は、主として伊勢志摩の国立公園を視察しました。県は観光事業の振興を重要施策の一つとして取り上げ、オリンピック東京大会を目標に年間観光客千二百万人を誘致するため、観光施設の整備促進をはかっていますが、鳥羽市から賢島に至る主要幹線道路がいまだに舗装もされていない状態で、この地一帯が私鉄資本の導入による開発を待っているという実情は、観光事業が他の産業に比して、強力な国の援助なしでは事業推進の困難さを如実に物語っており、国立公園事業に対する積極的な国の施策と国庫補助の増額が強く要望されるゆえんであります。 最後に、両県における要望事項のおもなるものについて申し上げます。 一、一般国民の生活水準から見て、生活保護基準を引き上げ、勤労意欲を助長するため、勤労者控除も大幅に引き上げること。 二、民間施設職員の給与を公務員並みに引き上げ、労基法に基づく職員が配置できるようにすること。 三、施設整備費に対する国庫補助基本額を改正し、地方団体に財政負担をかけぬこと。 四、老人福祉対策をさらに強力に推進するため、軽費有料老人ホームの整備費に対しても保護施設に準じ補助すること。 五、国民年金の実施に要する事務費を増額すること。 六、国民健康保険に対する国庫負担額を引き上げること。 七、看護婦の需給対策として施設の運営費は国庫補助すること。 八、観光事業振興法の早期制定、電源開発と自然保護との調整を円滑迅速に進めること。 九、求人充足対策として、特に中小企業の福祉施設改善については、大幅融資の措置を講ずること。 十、日雇い労働紹介業務量の増加にかんがみ、労働紹介関係職員の増強並びに施設を拡充すること。 十一、経済の変動に伴って日雇い労働者の賃金並びに就労日数を増加すること。 十二、産業構造の変革に伴う職業訓練施設の拡充並びに事業内職業訓練に対する補助金のワクを拡大すること。 以上簡単でございますが、御報告を終わります。
○中野委員長 次に第三班、吉村吉雄君。
○吉村委員 第三班の調査概要を御報告申し上げます。 当委員会の決定に基づきまして、大阪、京都両府下における厚生労働行政の実情調査のため、中野委員長を初め井村、澁谷両委員及び私の四名が十一月十二日出発、現地に出張、関係出先官庁より実情を聴取し、特に大阪においては釜ケ崎地区居住者の民生、労働関係、成人病センター及び炭鉱離職者就職先事業場、京都においては、西陣織物工場休業に伴う労務管理の状況、環境改良住宅及び陶工職業訓練所等を視察調査に当たりました。そのうちおもなるものにつき、概要御報告申し上げます。 まず大阪市釜ケ崎地区の状況については、東京の山谷地区など他の大都市にも同じような問題を擁しており、重要な問題であると考えたので、特に十三日、労務者の集合数の最も多い早朝六時に現地を視察したのでありますが、その状況について申し上げます。 現在釜ケ崎地区には、簡易宿泊所約二百、日払いアパート約二百、バラック貸家約五百軒が密集し、住民は約三万五千人、そのうち約二万五千人は独身日雇い労務者で、その他は行商、くず商、なおし、売春、やくざ等約一万人が混住しており、去る八月の事件後、国が関与した施策としては、厚生省関係、不良環境地区改善事業として生活館共同浴場に対する補助と、労働省関係、大阪府労働部西成分室くらいのもので、調査当時府市において愛隣館事業の拡充、診療施設の拡充等に着手されており、これから労働宿泊所、公法人労働福祉センターの設立等が計画されておりますが、この寒さに向かう時期に際して、この対策に抜本的な促進をはかる必要があることを感じたのであります。これについては、釜ケ崎地区に限った施策ではないが、昭和三十七年度予算として関係者から若干の改善計画があるようで、厚生省関係、不良環境地区改善事業拡充、労働省関係、職業安定所、労働出張所利用促進、無料職業紹介、生活相談等に対する補助等はぜひ実現をはかる必要があるものと思量いたします。 なおこれらの地区改善に対する施策について感じましたことを一言つけ加えますと、旅館業組合等の結成、運営等、業者自体の自発的立ち上がりと必要な助成策がきわめて重要視されなければならないということでございますが、いまだこの点が不十分のように見受けたのであります。 次に京都における西陣織物工場休業に伴う労務問題関係について申し上げます。 西陣機業は織物、着尺織物、毛織の三つの工業組合があり、組合員千九百人、非組合員六百六十人、労働者総数二万七千人を数え、このほかに賃織業者四千八百人、労働者数一万二千七百人と関連産業を擁しており、京都として著名産業の一つであるとともに、また家内工業密集地帯として全国的に見て有数なものでありますが、このたび右のうち着尺織物工業組合において、金融引き締め強化のため荷動きがとまり、滞貨が目立ってきたので、生産調整による滞貨一掃と値下がり防止のため、十一月十二日から十九日まで八日間休業を実施し、調査当日ちょうど休業中でありましたが、この休業はいわゆる積極的休業と称せられ、休業中従業員に対しては一〇〇%の給与を支給し、当時としては第二次休業の計画はない模様で、さしあたって大きな問題はないようでございましたが、今後の西陣地区の労働対策より見る場合においては、幾多の改善を要する点があるようでございます。現在労働基準局等のあっせんによって西陣労働基準法推進本部委員会、年少労働者福祉員協議会、健康保険組合等が結成され、青年の家等の実現も見ているが、旧態依然たる状態も少なくありませんので、この際労務管理の刷新と福祉施設の増設に力を入れ、労使関係についても十分留意を払う必要があるものと感じた次第でございます。 右二件のほかは、厚生関係では、大阪、京都等大都市を擁したところの国民年金の制度の基本となる拠出年金の適用の状況と、国民健康保険制度の運営状況、成人病予防対策等につき主として調査いたしましたが、国民年金の場合、大都市で対象者が大阪府百五万八千人、最近適用率五六・二%、京都府四十一万五千人、最近適用率六四・九%と膨大であり、対象者の把握が困難で移動が激しく事務費について地元負担をせざるを得ない状況にあるようであります。国民健康保険につきましては、大阪府被保険者百八十万三千人、京都府八十三万六千人で、いずれも本年四月一日から発足いたしておりますが、給付率と医療費の国庫負担の引き上げが緊急措置として要望されておる状況にあり、成人病に対する施策については、大阪府の成人病センターは同府独自の施設でございますが、時宜に適したものと思われ、将来広い範囲に実施されるよう考究すべきであると考えた次第でございます。 また労働関係では、炭鉱離職者受け入れ、失業対策事業実施、最低賃金制度運営等でありますが、炭鉱離職者受け入れにつきましては、わが国の大きな労働需要地である大阪地方においてどういう状況であるかということを中心に調査をいたしましたが、大阪府においては昭和三十四年以来求人開拓数約五千人、その半数が広域職業紹介によって充足されている状況にあります。その求人の希望は旺盛であって、雇用促進事業団の労働者住宅の確保等の対策を徹底すれば、より以上の成績をおさめ得る状況にあり、失業対策事業につきましては、大阪府、適格者二万四百人、一日当たり一般失対吸収人員六千九百四十人、京都府、適格者一万二千四百人、一日当たり一般失対吸収人員七千人、このほかに特別失対、臨時就労対策事業が実施されておりますが、一般経済界の好況にもかかわらず、非能率、定着、固定化の傾向が強くなる状況にありますので、一般雇用への復帰が困難と認められる者は生活保護対象に移行し、生活保護の基準の対象とならない者につきましては別に吸収する方途を講ずる等、この制度の抜本的刷新改善が強く要望されております。 最低賃金制度の運用状況につきましては、業者間協定条項において、大阪府、法適用五業種、適用業者数五百五十七、労働者数一万二千九百六十四人、法に基づかない協定実施十業種という状態にあり、京都におきましては業種十五、適用業者数二千二百二十九、労働者数三万二百七十人、法に基づかない協定五業種となっておりまして、この推進につきましては膨大な対象者を持っておるのに対し、担当職員が比較的少ないというような点がありますので、このような点を考慮する必要があるものと感じた次第でございます。 以上をもって報告を終わります。
○中野委員長 次に第四班、浦野幸男君。
○浦野委員 第四班の報告を申し上げます。 私ども大原、浦野両委員は、去る十一月八日より福岡、熊本の両県における厚生及び労働行政の実情を調査して参りましたので、御報告いたします。 私どもは、両県とも、まず県庁におきまして労働及び厚生行政並びに労働基準局、婦人少年室の概況等につきまして説明を聞きました後、質問を行ないますとともに、各関係者より種々の要望を受けて参りました。 このたびの国政調査の内容は広範囲にわたっておりますので、その概況や詳細なる結果等につきましては、他の機会や今後の委員会の過程におきまして御報告いたしたいと思いますので、本日は調査の際要望を受けました若干の項目についてのみ御報告いたします。 まず福岡県における要望の第一は、すでに当委員会においても質疑等が行なわれました駐留軍ブレデイ基地及び山田基地における警備隊従業員の就業計画変更に伴う週勤務時間制の切り下げ並びにこれに関する労働争議についてでありまするが、現地における駐留軍労務者は、労働に対する不安を除くとともに円滑なる労務管理の実施を見るためには、まず日米安全保障条約並びにその第十六条による地位協定に基づき、日米管理者間において共同管理の原則を確立すべきであるとしており、具体的には、現行基本労務契約は旧安全保障条約に基づいて締結されたものであって、内容の一部に片務的な措置がとられているので、これを現行安全保障条約並びに地位協定に基づく契約に改定してほしいとのことでありました。 また契約改定に至るまでの期間につきましては、共同管理の責任を遂行するため雇用主の責任の所在を明らかにするとともに、具体的には管理者間で意見の一致を見ない場合には、労働者の既得している権利及び労働条件を保障するよう措置してほしいとのことであり、また一方このたびの紛争については、労働者保護の見地よりすみやかに雇用主の責任において解決してほしいとのことでありました。 第二には、石炭合理化臨時措置法が昭和三十年に施設されてより、炭鉱の閉廃山が相次いで起こっております福岡県下におきましては、炭鉱離職者の続出と相待って生活困窮者の増加は一そう拍車をかけておりますので、生活保護費及び一般失業対策事業に対する国庫補助につきましては、その率の引き上げを行なうとともに、特に離職者の多発地帯に対しましては高率なる国庫補助を実施してほしいとのことでありました。 また一方失業対策事業の種目につきましては、現在ほとんど土木事業のみに限られておりますので、これをさらに拡大し、地方公共団体の必要と便宜に基づいて自主的な選択ができるようにしてほしいとのことでありました。この項につきましては、特に直方市を視察した際に強い要望を受けました。 第三は失対労務者に対する夏冬手当についてでありますが、現在この夏冬手当につきましては何ら法的根拠もなく、支給金額の基準もないまま、そのつど組合との団体交渉によって金額をきめておりますので、ぜひとも早急なる法制化をはかってほしいとのことでありました。 このほか炭鉱離職者対策については、産炭地振興事業団の設立、中高年令離職者の雇用、雇用促進事業団の規模の拡大等について要望があり、また衛生関係については、水道整備費の国庫補助並びに工場、事業所の煤塵、排気ガス等による大気汚染対策等について要望がありました。 次に熊本県における要望でありますが、熊本県におきましても福岡県とほぼ同趣旨の要望もありましたので、これは省略いたします。 第一には、熊本県には約二万五千の事業所がありますが、これを監督する労働基準監督官は三十一名でありまして、その上機動力が十分でないため、実のある指導監督ができない状況にありますので、ぜひとも職員の増員並びに機動力の充実をはかってほしいとのことでありました。特に技術系の監督官を新規に採用することは非常に困難な状況でありますので、給与その他の面で待遇を改善し、これらの技術系監督官を新規にも採用できるようにしてほしいとのことでありました。 なお、この項につきましては、福岡県においても特に強い要望がありました。 第二に、生活保護法適用者に対する勤労控除につきましては、勤労意欲の減退を防ぐため、基礎控除並びに特別控除額を大幅に引き上げてほしいとのことでありました。 このほか、婦人少年関係につきましては、青少年の余暇の善用をはかるための青少年ホームの設置、国立公園関係におきましては国庫補助の増額並びに低利なる融資、保育所関係につきましては職員の待遇改善等につきまして要望がありました。 以上、簡単でございますが報告といたします。
○中野委員長 これにて派遣委員の報告は終わりました。 派遣された委員各位におかれましては、大へん御苦労様でございました。厚くお礼を申し上げます。 —————————————
○中野委員長 この際、赤松勇君よりただいまの報告に対して要望したきよしにて発言を求められておりますので、これを許します。赤松君。
○赤松委員 本委員会から国政調査のために調査に参られました同僚諸君に対しまして、心からお礼を申し上げたいと思います。 しこうしてこの際、ぜひ委員長並びに各委員諸君に要望したいことは、新しい憲法がしかれまして、いわゆる国権の最高機関として国会が新しい性格を持つようになった。ところが、年々歳々国政調査を行ないますけれども、これを行政の面に適切に反映させる方法、手段において欠くるところがないかどうか。私は全国をしばしば調査いたしまして、切実なる要望を聞くのであります。これが単に会議録にとどまって、いわゆる国会の記録にとどまって、行政府の予算その他に反映しないということになりますならば、事は国権の最高機関の調査でありまして、きわめて重大であると思うのであります。私はこういうような惰性、好ましからざる慣行をこの際打破していただきたい。今報告を聞きますと、たくさんの要望事項があります。また委員諸君みずからが緊急に予算化したい、あるいは法制化したいというものがあるわけであります。しかし、この要望なりあるいは委員自身が考えておりまする緊急対策を来年度予算の中に全部織り込むということは、これはなかなか至難なことだと思うのです。従いまして、おのずから順序があると思うのでありますけれども、いずれにしましても、この要望事項なりあるいは予算化、法制化の必要なものを、どのように行政府に反映させるか。本来言えば、委員諸君の熱心な調査の結果でありまして、この立法府が国政調査をいたしました際には、行政府の諸君が、それぞれ関係の各大臣なりあるいは予算担当者等が委員会に出席をいたしまして、そして各委員の国政調査の結果を熱心に聴取するということが、私は本来の行き方ではないかと思うのであります。政府はだれもいない。そこで報告が行なわれる。ここで速記録の中に織り込まれる。それっ切りになっては、私は国民に申しわけないと思います。 そこで、ぜひわが社会労働委員会において新しい慣行を作っていただきたい。というのは、まず予算の伴うものにつきましては、一応これを集約する。それから予算の伴わないもの、たとえば駐留軍の片務協約のごときものは、これは日本政府の手によりまして米軍当局との交渉で解決できる問題であります。従いまして、これなどは日本政府の決意いかんによってできる問題でありまして、これを予算の伴うものと予算の伴わないもの、もしくは緊急に法制化しなければならないもの、そういうものを分析し、さらにこれを集約いたしまして、そして行政府をここへ呼んで、今ちょうど予算の編成期でありますので、非常にいい時期だと思うのであります。従いまして、予算に編入しなければならぬものにつきましては、それぞれこれを織り込ませるように努力する、こういうお取り計らいを委員長の手でぜひやっていただきたい。というのは、私は中野委員長とはもう吉から知り合いでありまして、あなたの国会におきますいろいろなとうとい経験、体験などにつきましては十分承知しておりまして、あなたならばこれはできると思う。だから、新しい慣行を作っていくということのためにぜひこれはやっていただきたい。金の要らぬことでありますから、やろうと思えばすぐできるのでありますからやっていただきたい。 それから、今吉村委員の報告の中に釜ケ崎の問題が出てきた。この釜ケ崎の問題は、問題が起きるとぱっとマス・コミが盛んに書く、政府の方もあわてる、国会もあわてる。ところが問題が下火になってくると、いつの間にやら忘れてしまう。これは大へんな問題だと思うのです。というのは、大阪の検察庁当局がわれわれに言いましたことは、釜ケ崎は一触即発の情勢だ、いつ何どき暴動が起きるかもわからない。私は釜ケ崎の実態を見て、冬は大丈夫だ。しかし夏になれば、あの〇・六畳、それが七十円です。ひな壇のようなところに寝ている。そして四十度。日本一高い旅館なんです。〇・六畳の四十度のところで五十円、七十円という旅館である。これは生理的に、とても寝ていられるものではない。むかむかしてくる。そういうことがいろいろな問題とからみ合って出てきているので、この点につきましては、大阪の社会学研究会、これは和歌山大学の教授、助教授を中心に若い社会学者が研究会を作っておりますが、外から見たのではわからないというので、約二カ月間そのスラム街に入って、そしてスラム街の諸君と起居をともにして研究の結果、私どもにいろいろな研究の資料を提供しております。そのことはやがて申し上げる機会がありますから別としまして、要するに大阪の検察当局の言うには、一触即発の情勢だ。あそこで調査をされてわかったと思うのですけれども、大阪府が労働部の分室を作っておる。それから大阪市が善隣館というものを作っておる。地方自治体が乏しい予算でもってやっているので、これは大へんけっこうだと思うのでありますけれども、政府の施策は全然ない。何もやっておりません。政府は何をやっておるか。だから検察当局は、あそこで問題が起きれば、治安の面だけ警察や検察庁が引き受ける、そしてなぐりたくなくたって人をなぐらなければならない、暴動を鎮圧しなければならない、その暴動の原因というものが全然除去されない、また除去しようとする努力が払われていない、その結果だけ警察や検察庁が出て、そして世間からとかく批判を受ける、まことに心外だということを言っておりました。私はその通りだと思うのです。しこうして、そういう暴動発生の危険のあるのは、ひとり釜ケ崎だけでなしに神戸にもある。それから尼崎にもあるそうです。名前は私はよく知りませんけれども、検察当局はそう言っておりました。従って、そういうスラム街では、釜ケ崎の経験がありますから、いつ何どき暴動が発生するかもわからぬという状態なんだ、このことを政府の方も、あるいは国会も十分に考えて、われわれが治安上いろいろな行動を起こさなくてもいいように十分対策を講じてもらいたいということを強く言っておりました。そこで法務委員会が近く大阪の、今言った社会学研究会の学者諸君を呼ぶようであります。スラム街対策は元来社会労働委員会の所管に属する問題だと思います。その結果発生した治安問題については法務委員会の問題だと思います。従ってここは主管委員会です。だから委員長の方からむしろそういう機会を利用して連合審査を法務委員長に提案をして、そしてこの連合審査を開いて、ここで根本的なスラム街対策というものをもっと本格的に、系統的に取り組んでいく必要があるのじゃないだろうか、こう私は考えるのであります。従って二点、委員長に要望いたしますが、一点は今要望のあったもの、もしくは委員諸君が予算化もしくは法制化を緊急に必要とするもの、これを理事会で検討していただきまして、それぞれ政府の予算担当者あるいは法制担当者を呼んでいただいて政府の所信を聞き、かつこれを実現するように努力してもらいたい。いま一つはスラム街対策として法務委員会との連合審査をやっていただきたい。 以上二点を要望いたします。
○中野委員長 御要望の点については、今後の国会運営上有益なる御意見でありまするので、十分善処するよう必要を痛感しておりまするから、必ず努力いたします。 ————◇—————
○中野委員長 さらに厚生関係及び労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。井堀繁雄君。
○井堀委員 最近とだえておりました問題ですが、かつては日本経済に重大な関係を持って参りました駐留軍関係に対する特需労務について一、二お尋ねをいたしたいと思うのであります。 すでに記憶から薄らぎつつあるのでありますが、特需関係は日本経済にとりましては忘れることのできない重要な役割を果たした労務の提供でありまして、日本経済がかつて終戦後食糧にも窮し、かつ日本経済復興のための資材や機械などの入手については輸入が全く不可能な状態に当面しておった際に、たとえば貿易に必要なドル資金はもちろんのことでありますが、見返り物資もとうていおぼつかないといったような貧困をきわめておりました日本経済を、たまたま米軍並びに連合国の軍隊のもとに労務を提供するという、一物も必要としない労働力だけの提供によって日本経済の危機を救った事実を忘れてはならぬと思うのであります。当時の数字について、私どもはぜひこの機会に政府から世間に発表する義務があると思うのでありますから、この点をお尋ねいたしたいと思います。 今ここに当面しておりまする問題を申し上げますと、長年、すなわち終戦直後から今日まで引き続いて特需関係で労務を提供して参りました、もう最後のものになるのではないかと思われるのでありますが、工場は東京都の府中、埼玉県の所沢にその拠点を置いておるのでありますが、ここに現在労務を提供しておりまする特需労務者は二千八百六十名に及ぶのであります。この人たちが来年の三月には契約が満了するということで、全員解雇の対象になるということが想像にかたくないのでありますが、この年末からお正月にかけて二千八百六十名のうち、八百五十名ほどを残して全員が実は米軍の要請に基づいて解雇されるであろうという見通しを経営者側から発表になっておる。それは、十二月十六日ごろに八百五十名を残して全員解雇せざるを得ないのではないかという発表であります。このことは申すまでもなく、以上申し上げたような特需労務の性質から考えまして、ただ単に雇い主と労働者の関係においてのみこの問題を処理することがいかに不可能であるかという実情を政府は十分御承知だと思うのでありますが、質問を便宜ならしめるために簡単に実情を述べてみますと、今日の特需は自動車修理がその主たるものでありまして、あるいは全部かもしれない。ところが建物並びに土地などの設備は日本政府のもの、もしくは日本政府のあっせんになる国有管理に属するものであります。機械その他は米軍の支給されるものであります、あるいは貸与されるものであります。そして一切の計画、業務に対する監督に至るまでこれはアメリカ軍の指揮下に置かれておるのであります。単純に技術、労務だけを提供するというのがこの特需労働の実情であります。しかしここに、われわれのいつも問題にして参ったところでありますが、そういう関係から申しますと、米軍が直接雇用しておる労働とどこに違いがあるかという点は、中間に会社を存在せしめておるのであります。これは厳密に言いますと、日本の労働慣行や労働法についても多くの疑問を残しておるところでありますが、これは日米安保条約に基づく行政協定によって白米の両国がこういう制度を規定しておるわけであります。でありますから、ここに問題があるのでありますが、それは後にいたしまして、そういう関係でビクターオートという株式会社が一応存在しておる、その株式会社が労働者を雇用しておるという形態を整えております。右申し上げたように、実態は、米軍に必要な自動車の修理業務を、単に労働力だけを提供するという実態であります。しかし、そういう関係の中に軍と業者の契約の形が一つここに存在するのであります。これはいろいろ関係が起こりますからよく聞いていただきたい。すなわちビクターオート株式会社と米軍の間に一カ年間何人かの、すなわち労働者の人数を基礎にして自動車修理契約を結んでおるのでありますから、ただ単に会社は労働力だけを契約に基づいて提供するというにすぎないのであります。こういう形において今日まで特需労働というものが存続してきたわけであります。これはさきにも大量解雇になりまして、本委員会でも問題になったのでありますが、こういう関係であるから国会でも政府に対して、あるいは政府の答弁の中でも、こういう契約の形において日本の労働力を提供するということは好ましくない。最初のころに日本政府が中に介在して、ちょうど今の直用労働者と言われております駐留軍労務者のように、日本の政府が雇用をして米軍がこれを使用するという形をとっておる。特需の場合はそこに民間の業者を入れておる。そしてその民間の業者はさっき申し上げたように、ただ単なる人入れ稼業といったような実情である。そうしてその間最も不合理だと思われるのは、米軍と日本の一商社が対等の立場において契約などというものが不可能であることは、当初から明らかである。こういう関係で、弱者と強者の立場が著しく相違しておる中において契約が結ばれるのでありますから、契約の内容も、この場合をとりますと、三千五百人から八百人の間においては、一年間の契約期間中であっても米軍の方から一方的にその人員を減ずることが自由であるという契約すら成り立っておる。その契約の精神に基づいて、来年三月までの契約期間であるにもかかわらず米軍の都合によって、この年末を控えて十六日ごろには八百五十人ばかりを残して、すなわち二千人以上の労働者を解雇することを要請するというような制度になっておるわけであります。こういう関係でありますから、雇い主はただ単にその契約のワクの中だけで労働組合との間に話し合いをしていく以外に手がないというような実情であります。言いかえますならば、日米安保条約に基づく日本政府のそれぞれの処置がこの際前提になってこなければならないという性質の労務であることを、この際繰り返して明らかにいたしておきたいと思います。 以上のような次第でありまして、十二月十六日には二千人以上の失業者が一挙に出るわけであります。しかもこの労働者の性格は、以上の説明で想像がつきまするように熟練労働者であります。今の日本産業が渇望しております熟練労働であるにもかかわらず、こういうところにしぼられてずっときたということと、もう十数年にもなりますから、従って年令も高くなって、平均年令は約三十八才程度になると思われるのであります。こういうように、いわば民間にいれば貴重な熟練労働として日本産業に貢献できる労働者が米軍のために奉仕をして、そうしてそれが高齢に達してこの年末にきて大量に解雇をされるというのでありますから、日本の労働市場にとりましては非常に大きな障害になるのみならず、労働者自身にとりましては死活に影響する問題であります。こういう事態に当面しております。 次いでもう一つ明らかにしておきたいことは、同じ米軍に労務を提供いたしまする直用労務、この場合は日本政府が雇い主でありますから、労働条件などについても、特需労働に比較いたしますとややよいのであります。退職手当などは直用に比較して、特需労働の場合は三分の一に満たない程度であります。労働条件は先ほど申し上げた契約のワクの中に閉じ込められておりますから、日本の労使慣行や労働法の規定によりまして団体交渉をして自由なる労働条件の協定を行なうということが妨げられておるという、この事実であります。こういう点については他の労働関係と異なって、政府の責任が重大であるということは今さら言うまでもないのであります。 以上のような経過と、またこれに対する措置はもちろん国会でも論議をされまして、さきに駐留軍関係離職者等臨時措置法が制定をされまして、その離職者対策については法律が一つの方向を規定し、またいろいろなことを命じておりますけれども、その以前に今のような問題があると思うのであります。そういう概況をお含みの上で、これからの質問にお答えを願いたいと思うのであります。 そこで具体的に順次お尋ねをして参るのでありますが、まず第一に、私は労働省の立場について一つはっきりしていただきたいと思うのであります。以上のような関係でありますから、一般の労務関係として取り扱うことは、これはもう制約を受けているということは御存じだと思います。従ってこういう場合において、一体日本の労働行政としてはどういう特殊の御措置をとろうとしておるか。今まで何回も経験してこられておりますが、今回の場合はもう終局に当面しておることでもありますので、こういう問題に対する政府の責任ある労働行政の一環が、この際具体的に要請されてくると思うのであります。かなりばく然たる質問でありますが、全体に影響をいたしますから、とりあえず、労働省の方針について伺っておきたいと思います。
○堀説明員 駐留軍あるいは特需関係の労務者の問題につきましては、ただいま御指摘がありましたようないろいろ特殊な問題を含んでおるものでございます。労働省の立場といたしましては、もとよりある程度の人員の縮減はやむを得ないといたしましても、なるべくその場合におきまして、その関係労務者にしわが一時に及ぶようなことのありませんように、事前に関係各省との間に密接なる連絡をとりまして、そのような計画がありましたならば、なるべくこれを計画的に事前に樹立してもらって、その計画に基づいて円滑な配置転換が行なわれるように、またあるいは特需等の縮減にあたりましては、なるべく民需への転換というような問題が円滑にいきまするように、その方面の措置もあわせて考えてもらう。やむを得ず生じます離職者の配置転換の問題につきましては、ただいま申し上げましたように、なるべく事前に計画を立てて、計画的に円滑な配置転換ができまするようにお世話を申し上げたいと思っておるわけでございます。そのような考え方におきまして、内閣に設けられましたところの駐留軍離職者等の対策協議会等におきまして、なるべく事前に情勢を把握して、そうしてやむを得ない縮減がありますような場合には、それについての対策を関係各省とあわせて考えていく、こういう考え方でおります。 それからさらに具体的な問題といたしましては、やむを得ない労務者の縮減がありまする場合には、現地の職業安定機関の全力をあげまして、現地におけるところの職業相談、それから配置転換にあたりまして一定の技能を身につけるために、希望者に対しましては現地に職業訓練所の特別な課程を特設いたしまして、そうして訓練を受けながら円滑に配置転換をしてもらう、こういうような形に進めて参りたいと思っておるわけでございます。 なおそれとあわせまして、現地における職安機関の窓口におけるところの職業相談の場合におきまして、その希望をなるべく事前に把握して、そうしてこれに即応する求人側への連絡指導というようなこともあわせてやって参る、こういう基本的な考え方でおるわけでございます。なおそれとあわせまして、自営業あるいは組合等によりまするところのいろいろな事業の計画等がありまする場合には、労働省としても側面的にできるだけの御援助を申し上げる、このような考え方で進んでおるわけでございます。
○井堀委員 伺っておりますると、労働省は特需に対する特別対策というものを何もお持ちでないという御答弁に受け取れるわけであります。それはもう一般離職者に対する労働者の方針をわれわれはよく承知をしておる。この場合はさっきるる述べたように、年末に迫って一挙に二千人の熟練労働者、しかも高年令層の人たち、しかも今申し上げたように特殊のケースに属する労働省なんです。でありますから、その点は職安局長としては自分の所管だけのあれでしょうが、これは労働大臣においでをいただいて、労働行政の政策面から御答弁をいただくべきだと思うのですが、所用があって出られないそうですが、次官もおいでになることですから、そういう辺を実は伺いたかったわけであります。 それから駐留軍労務については、総理府の中に特別の窓口を設けてという前からのあれでありまして、それは労働省にまた伺いますけれども、一応総務長官の所管のようでありますので、その辺の関係から、もう十六日には大体というよりは間違いなく発表になるのじゃないか、今までの慣例からいいまして、こういうふうに受け取れるわけであります。暮れの十六日ですから、時期も非常に悪いわけです。それを労働省では今お聞きのように対策は特別お持ちにならぬとすれば、何とかその解雇を受け入れぬような方法があれば一番いいわけであります。総理府の方ではこの事実についてどれだけ認識され、どういう処置をとろうとしておるかをお尋ね申し上げます。
○佐藤説明員 お答えいたします。お話しの通り、総理府に駐留軍離職者対策協議会がございまして、法律によって設置されております。それに基づきまして駐留軍関係の離職者、もちろん特需関係も含めまして、その関係の離職者の対策を協議し、対策を推進しておるわけでございますが、今回のビクターオート株式会社の特需契約の終了に伴います大量の人員整理につきましても、われわれといたしましてもその情報をキャッチいたしましたのは、実は今週の水曜日、十二月の六日の日に駐留軍対策協議会の幹事会を開催いたしまして、関係各省集まりましてその情報を交換して、まず最初に取るべき方策としてはどういうことをやったらいいだろうかということを協議いたしたわけでございます。そのときの情報がただいま井堀先生のおっしゃったような大体の情報でございまして、約二千八百五十名の従業員が現在所沢、府中の両工場において業務に従事しておりますけれども、明年の一月二十七日までに残務整理のための八百五十人を除く約二千人の労務者が人員整理されるという情報を、日米合同委員会を通じて米軍から待ております。それにつきまして、またいろいろとこのビクターオートの車両修理にかわりまして、相模原で同様の作業が開始されるといううわさを聞いておりますので、そちらの方でもあるいはその離職される労務者が就職される機会があるのではないかというような話も出まして、この問題につきまして、早く米軍側と連絡をとった方がいいだろうという結論になりました。その幹事会におきまして、日米合同委員会を通じまして米軍側と連絡をとることにいたしまして、現在合同委員会を通じまして外務省から米軍側に対しましてビクターオート会社の離職問題を十分考慮して問題の解決に資するようにこの問題を考えてほしいという申し入れを実はしておる最中でございます。幹事会におきましても、この問題が労務者の中に大量の離職をきたすようなことになりますれば、駐留軍対策協議会といたしましても十分万全の措置をとらなくてはならないということに一致しております。これからも十分この対策に邁進いたしたいと思っております。
○井堀委員 米軍とも折衝中であるそうでありますが、ぜひ一つこれは強硬にやっていただかぬといかぬ。これは言うまでもなく日米安保条約を結んでおる政府の責任において——かような労働者にとって実は不測の労使関係の問題なんです。日本の労働慣行や一般の労働法のもとにおいてはこういったような不合理というものは起こり得ないのが通例なんです。しかも、日本の国際条約の規定の中においてこういうあおりを食うというようなことは、日本政府としてはよほど責任を持って、日本人の基本的な人権を守るために適切の措置が講ぜられるべき性質のものであることを十分米軍の方にも、国をあげて交渉する態度が望ましいと思うのであります。そういう点を折衝中である点については私ども非常に強い関心を持っておりますので、ぜひそのよい結果を期待いたしたいと思っております。 それから次に、今の御答弁の中で相模原の方へというお話でありますが、きっとこれは米軍が従来の軍の方針を変えなければならぬ事態があって、修理は直接やるか、もしくは別の方法に変えるかといったような問題に帰するように拝聞しているわけでありますが、そういう米軍の方の御都合で日本の労働者にいわれのない犠牲をしいるようなことは、ぜひ政府は米軍との折衝の中で食いとめてもらわなければならぬ。それから直用で相模で使うということについては、アメリカの労働慣行と日本の労働慣行の違いをこの際はっきりしておく必要がある。というのは、アメリカ人の考え方は、雇用主が変わっても労働条件が変わらなければいいじゃないかという考え方です。また労働条件が変更されないのがアメリカの労働慣行の実情であります。日本の場合はそうじゃない。同じ金属産業、化学産業、繊維産業それぞれの産業別の労働者で同じ職種でかわっても、その経営規模なり経営方針などによって労働条件に著しく変更を来たすもの、そういうように日本の労働慣行とアメリカの労働慣行とはその根本において違いがありますから、労働の移動というものはそう機械的に行なえないということを徹底的に知らしめてもらわなければ話が通じないと思うので、この点は一つ特に御留意願っておきます。 それから、これは労働省の所管にもなりますが、簡単にアメリカさんの御都合で所沢で働いておる者を相模に引っ張っていくというが、日本の住宅事情はそういうことを許しませんよ。あらゆるものがそういうことを許さないので、要するにかなり勝手なふるまいであるといわなければならぬと思います。日本は安保条約の建前とはいいながら、そんなに弱いしりはないはずであります。こういう点は日本政府は、日本の労働者は奴隷じゃありませんから、人格のある労働者の雇用の問題については、日本の労働法なり日本の憲法の精神を徹底的に相手に理解させていくべきではないかと思うのであります。そういう点がないから、そういうことがちらほら出てくるんじゃないかと思います。 それから私がもう一つこの機会にはっきりしておきたいと思いますのは、経営者側の方は幾らの株式か存じませんけれども、お調べになっておると思うのですが、これは設備とかあるいは材料購入とかいうような一般の企業と異なって、ただ単に人入れ稼業でありますから、何も要らないのであります。極端なことをいえば、事務所があって、二、三人おって、アメリカとの契約さえできればそれでいいわけでありますから、現場の監督から守衛に至るまで全部あちらが使っているのであります。ことにコスト高のことを言っているようでありますけれども、拝聞するところによりますと、三百人から三百四、五十人、約一割強のアメリカ軍の直接本国から連れてきているところの監督者によって指揮監督が行なわれておるのでありますから、一般の企業と違って、役付のそういう職階などというものがあちらに握られておる、その一割足らずの人件費と全員の人件費がほぼ同額というのでありますから、あちらには高額の給与が行なわれている。それはアメリカの本国の給与と均衡させるためでやむを得ぬことであると思うが、そういうことがコスト高の原因をなしておるというような点についても頭に入れて交渉されなければいけないと思うのであります。 それからもう一つ、ついででありますから、これはちょっと時間がありませんから多くの時間をとることはどうかと思いますが、ビクターオートの特需関係のものだけ私は資料を入手して持っておるのでありますけれども、この資料だけを見ましても、昭和二十一年の十一月から特需を始めて今日までの特需関係のドルをどれだけ確保したかを報告をさしたのであります。その数字によりますと、この一会社だけで三千四百六十七万ドルちょっとこえておるわけです。日本金に直して百二十四億八千万円以上になっておる。これは何も日本が材料を出したり設備を増設するのでなく、ただ労働力を提供しておる。賃金なんです。この上を幾らか会社が頭をはねて、積み金をしたり何か経費に充てているわけなんです。これは職安法からいっても疑義があるところです。普通の会社でありますと自分で投資をして土地、建物を初め設備を置いて工場管理、必要な諸設備を整えて初めて企業が成り立つ。この場合は何も要らぬわけです。土地も建物も政府のもの、機械設備は一切向こうのものです。設計し、指揮監督は向こうがやるのでありますから、ただ労働力を提供すればいい。こういう経営者の層がある。その経営者は契約の範囲内でしか労働者との間の約束はできぬという。これも一つの理屈なんですが、こういった問題を労働行政の中で野放ししなければならなかったということは、日米安保条約のしからしむるところといいながら、これを補強する政府の行政が並行して行なわれていなければならなかった。手おくれで今さらという状態になってきておるのでありますが、これを野放しにしてはいけないのじゃないか。今言うように、かつては危機に瀕した経済があるいは神武景気を謳歌されたり岩戸景気を謳歌したのも、直接的な原因は私はここにあったと思うのです。今日西ドイツに次ぐ世界的な経済成長率を誇っているのでありますけれども、そういう要因はこういう特需労働に多くの犠牲があったということを忘れてはならぬのじゃないか。そういう意味でも、日本政府はこの際こういったゆがんだ労使関係を速急に解決するように、特需をやめた方がいいと思うのです。こういう点を早くはっきりして労働者に被害のかからない方法で、こういう日本の労働者を奴隷に供するようなやり方は改めていくべきじゃないか。幸か不幸か知りませんけれども、もういよいよ終点に来たようであります。せめて終わりぎわだけでもきれいに上げたらどうか。時期たまたま熟練労働を要求しておるときでありますからむだをされぬように、さっき労働省の所管局長の御答弁のように月並みな日本の労働行政では、こういうようなものはどうにもならぬということを、政府はそれぞれの関係において十分検討なさることが大切じゃないかと思うのです。そういう点でアメリカ側との折衝において、日米合同委員会がその関係の窓口になると思うのですが、何かそういう問題についてお話し合いをしたことがございますかどうか、また今後そういうお話し合いについて何か御用意があるかどうか、一つこの機会に伺っておきたいと思います。
○平岡説明員 非常に複雑な問題で、どう申し上げていいかあれでございますが、日米合同委員会で、ただいま御説明がございましたようにこのビクターオートの関連におきましては、十分見ていくということを相模原その他へ申し入れしておりますが、ただいまのところは特需一般についての申し入れはする段階に至っておりません。
○井堀委員 きょうは大臣が出ていただかなければ、今のような事情について正確な責任ある御答弁をいただくことは困難かと存じますが、以上申し上げたことで大体は尽きておると思うので、問題はこれを一つ一つお答えをいただいて、そうしてお尋ねをするとなおはっきりいたすのでありますが、きょうで終わるわけではありませんし、明日から通常国会も召集されておりますので、委員長にもこの機会に要望しておきます。ぜひ一つこの問題は政府の政策上の問題として踏み出さなければならぬ性格が一つある。これは悪くすると国辱を将来そのまま残すような結果にもなりますから、日本国民の名誉にかけてもこういう奴隷の労働を終幕だけははっきりさせたい、こう思っておりますので、ぜひ近い機会にもう一度委員会へ大臣の出席を求めて、責任ある政府の方針をただしたいと思っております。 具体的にはそれぞれ問題がありますが、あと中村委員の質問もあるようでありますから、私は具体的の問題については次会に保留をいたして、私の質問はこの程度に終わっておきます。
○中野委員長 中村高一君。
○中村(高)委員 次官もおいでになっておられるようでありますが、おわかりにならなければほかの方にお答え願えばよろしいと思います。一体この特需の問題について、内閣の方の協議会でも協議しておられるそうでありますが、結局われわれがお尋ねしたいのは、もう特需で存続させることは見込みがないんだ、やめさせるよりほかにはもう仕方がないんだということなのか、あるいはまだ米軍と交渉すれば見込みがあるのか、その辺のことについての政府の所信がはっきりしておらないので非常に心配をするのであります。もうすでにだめなのか、あるいは日米の間の合同委員会でも開いて持ち出せば見込みがあるのかどうか、その辺のところが一番問題だと思いますが、今までに政府側で得られた情報では、もう特需で従来のような民間会社にやらせるということはあきらめておるのかどうか、その辺のところを一つ御答弁願いたいと思います。
○加藤説明員 ただいまの中村委員の御質問の点でございますが、今回のビクターオートのかような措置の原因につきましては、われわれの聞いておりまする範囲では、従来駐留軍が相当中古車を使っておりました。それを新車にかえるんだ、従ってビクターオートの今日までの修理が必要でなくなるんだ、かようなことが一つの原因だという工合に聞いております。いま一つは兵器廠の移転の問題があるようでありまして、従来自動車に関する業務は所沢兵器廠でやっておりましたものが相模原の兵器廠に移管になる、このことが大きな理由である、かように聞き及んでおるのであります。そこでただいまの御質問の点でございますが、基本的には特需というような今のような形態をこのまま持続していくべきかどうかというような根本の問題に触れることであろう、かように考えるわけでございますが、この点に対しましての確たる方針は米軍との間にもまだ十分とられてはおらない、かように理解をいたすわけでございます。さしあたっての問題といたしましては、今申しますような中古車はあまり使わなくなる、従って更生のための修理が必要でなくなるのではございますが、しかし相当数の自動車が国内で使われることも事実でございますから、兵器廠の所管が所沢から相模原に移りました場合、相模原を中心にいたしました新しい自動車を中心にいたしまする作業等が必要であろう、またそのことも米軍は考えておるように聞き及んでおるわけでございますから、その間所沢なりあるいは府中から相模原に移り得るものが相当ありますれば、労働条件の不利にならないよう最大の努力をしながらさような職場に移るということも一つの考えであろう、かように考えておるわけでございます。しかし先ほど井堀委員の御指摘になりましたように、賃金に関しましても、アメリカと日本では基本的に考え方が違うわけでありまするし、賃金の形態も違っておりますことは御承知の通りでございまして、わが国が年功序列型の賃金、また実質的な賃金は期末手当であるとかあるいは退職金が多分に考慮に入っておる、かような賃金の形態と、アメリカのようにそうではない形とは、本質的に賃金も違ってきておるわけでありますし、またわが国では職場によりまして相当の賃金の格差もあるわけでありますから、さようなわが国の賃金の姿等も十分に米軍に了解させる努力も要るわけでありますし、またコスト高ということも大きな理由のようには聞いておるのでありますが、その原因等につきましても、わが方での主張すべきことは十分米軍に理解させる、かような努力をして参りたい、かように考えるわけであります。
○中村(高)委員 大体われわれ聞き及んでおるような程度で、政府も特需については見込みが薄い、結局は相模の方にある直用に切りかえるほかには仕方がないのじゃないかというような大体の見通しのようであります。具体的なことは多分合同委員会に持ち出されるのだろうと思うのでありますが、これは差し迫っておる問題で、労働者の方も非常に心配をして働いておるのでありますが、幾日ころまでにアメリカとの委員会が開かれるのか、具体的にどういう進行をしておるのか、その日がわかれば、委員会までの間多少の様子を見るということもありますが、もう年末でありますけれども、どういう状況になっておりますか。
○佐藤説明員 お答えいたします。 先ほど井堀委員にお答えいたしました通り、駐留軍の幹事会で話し合いまして、六日の午後アメリカに対しまして申し入れをいたしました。その後の交渉はまだ行なわれておりませんが、よく向こうと打ち合わせをし、なるべく早くいたしたいと思います。
○中村(高)委員 組合の者がお尋ねしたときには、官房長官からは、おそくも十五日までには開くようにするということを言われたそうですが、アメリカの方から何ともまだ返事はないのでしょうか。十五日までに開かれる見込みはありましょうか。
○武田説明員 外務省の方から聞いたところだけ申し上げます。その点については、特に合同委員会は定期的なものでございまして、こういう委員会を通ずるという形でなしに、それ以前に申し入れを行なって、非公式な形で交渉を続けるということで、現在さしあたって十五日ごろまでに、この目的で委員会が開かれるということは聞いておりません。大体そういうことで非公式に、委員会を待たずに交渉を続ける、こういうことでございます。
○中村(高)委員 日がきまらぬというので、非公式にやるということのようでありますが、非公式に、担当者はどなたがおやりになっておるのですか。
○武田説明員 合同委員会の正式の代表、それから事務局長というものがございますから、そういう正規のルートを通じて——非公式と申し上げたのは、まだ委員会が開かれておりませんから、それが正式化されることはまだないということでございまして、これがいずれある時期がくれば合同委員会で正式な形で議事録に載せられるということはあり得ると思いますが、現在は委員会が開かれていないという段階ですから、そういう意味で非公式と申し上げたので、交渉されている方は正規の代表者ということでございます。
○中村(高)委員 そうすると、日本側はまだ特需の協議会の幹事会を開いただけで、具体的にはまだ正式に協議会もやっていないのでしょうか。
○武田説明員 そうではございません。合同委員会の本会議というのは、定期的に開かれておりますので、定期的な会議を待っていたのでは、時間も切迫していることだから、効果もないということで、その正式な合同委員会の本会議が開かれる以前に、日本側の正式な合同委員会の代表者及びその事務局長が、米側のそれぞれの対応する相手に対して申し入れを行なっておる、こういうことでございます。
○中村(高)委員 ぜひ一つこれは、官房長官もおそくも十五日までにはアメリカ側との話をつけようということを言われておるそうでありますから、みんな非常に心配して、もうこの年末に、とにかく首になる、先の仕事はないというような人が三千人もほうり出されるというようなことは大へんでございますから、一つ担当者は積極的におやりになっていただきたいと思うのであります。 それからもう一つは、今労働次官の御答弁では、もう古い車両は使わないで、新車になるという方針のような御説明もありましたが、新車にしてもやはり相当の年数がたってくれば修理をしなければならぬということになると思うのであります。それは分量がもう少なくなるから、直用だけで間に合うのだ、こういう大量なものはもうないのだということだとすれば、実際にはもう合同委員会に持ち出してみても、仕事がないのに持ち出してみたところが、結局は直用に雇われるものはごく少数であとはだめということにもなるようでありますが、トヨタなんかにも、来年度分で一万二千台とか新しい車両の発注なんかも出ておるというのでありますから、そうすると順次また修理やなんかも出てくるのではないかと思われるのですが、そういうところの将来性について、一体政府で考えておるような、修理も何もなくなってしまうのだということでなさそうに思うのでありますけれども、その辺のところはどうでしょうか。新しい車も注文が出ておるそうです。
○平岡説明員 ただいまの御質問の点は、新しい車両と古い車両とがどういう関係になっておるかという御質問だと存じますが、従来日本のビクターオートあたりで修理いたしておりましたのは第二大戦型というもので、古い車両を修理いたしておりました。その後米軍で方針を変えまして、非常に古くなりましたので新しい車を調達するということに切りかわりまして、これは主として日本の、先ほどお話が出ましたトヨタその他で製造いたしております。この新しい車の方は数年前に開始されたものでありますが、一定の時期が参りますと、当然にこれは修理に出てくるわけでございます。それがいつぐらいの時期にどうなるかということは、なかなか私どもにはわかりませんし、米軍の方でも的確にはわかるまいと思いますが、かりに数字の関係で申し上げますと、三十四年に日本の新車を調達いたしました額が約四千三百台、三十五年、昨年は一万六千九百台、本年は一月から九月までで一万五千台というふうに非常に急激に増加いたしております。それがいかなる回転の工合を経て再び修理にくるかということは、ちょっと的確には想像いたしかねます。いずれ先ほど仰せになりましたように、相当なものが修理になることは予想されますが、時期はどうも今はっきり予測はできないわけであります。それからまた、いまさっき御答弁がございましたように、米軍がこういう措置をとった理由の一つは、新車に切りかえていったのだ、それがまた修理に回るということでございますが、この新しい車は、主として先ほどお話が出ました相模の方で修理することになるのではなかろうかと思います。従いまして、車両の米軍の調達と申しますか、保有いたします総数は、おそらくここ最近は変わっていないと思いますので、今まで修理されておりました第二大戦型とほぼ同数というと極端でございますが、それほど差のない車両が将来において修理されてくるだろう。しかし第二大戦型の車両と、日本でトヨタその他で作りました新しい型の車と、修理の手の込み工合がどうなるのか、これは今にわかにはわかりませんし、仕事の量としてどういうような消長をたどるかということも今私どもにはわかりかねる次第でございます。一般的に考えますと、申し上げましたように、車両全体はそう変わっておりませんので、要するに古い車両から新しい車両に切りかわるのに、どういう経過をたどって、どういう時期に切りかわっていくかということが的確にわかりませんと、ただいま御質問のような点、具体的に来年の何月ぐらいであるとかいうことは予測いたしかねると思います。
○中村(高)委員 私はこれでおしまいにいたします。どうか一つアメリカ側の今後のそういう方針についても的確なものをつかんでいただいて、そうして委員会で一つすみやかに今後の処置について明確にしていただきたい、こういう希望を申し上げましておしまいにいたしたいと思います。
○中野委員長 滝井義高君。
○滝井委員 現実に行なわれておる社会保険医療の事務上の問題について、少しくお尋ねをしてみたいと思います。 厚生省の方針は、事務を一体簡素化する方向に行政をやっておるのか、複雑化する方向に行政をやっておるのか、どちらですか。
○松尾説明員 基本的な方針といたしましては、できるだけ簡素化したいと考えております。
○滝井委員 そうしますと、今度おやりになった医療費の是正の問題は、事務が非常に簡素化になっておりますか、それとも非常に複雑になっておりますか。
○松尾説明員 緊急是正に伴いますところの手続につきましては、それほど複雑になるとは考えていないわけでございます。
○滝井委員 それなら一ぺん松尾さんに私が請求書を出しますから、具体的にやってもらって、これから一つ一つ答弁を求めますが、いかに複雑になっているかということを、まのあたりに一つお示ししたいと思います。 そこでまず、ことしの通常国会で改正されました国民健康保険法並びに結核予防法、精神衛生法、これらの問題でございますが、この中で特に国保関係だけに限って質問をしてみますと、今度の国民健康保険の改正で、世帯主に限って、結核性の疾患なり精神障害になった場合には、七割給付というのが出てきたわけです。これによってあなた方は事務的に相当の改正をされたと思うのです。たとえば今まで請求書の明細書の欄というものは一欄でよかったわけです。ところが、今度は事務的にどういうことになったかというと、一般の疾病の欄と、それから精神、結核の欄と二欄になってきたわけです。これは精神、結核を七割給付するということでは前進しましたけれども、事務的にはそれが二欄になることによってそれだけ複雑になってきた。それと同時に、どういうことになったかというと、上につける請求書、総括表も全部変わってきた。それは認めるでしょう。そういうことになってきたでしょう。全部改正したでしょう。
○松尾説明員 改正になりました。
○滝井委員 その通りなんです。従って、それだけ事務も実にややこしくなっているのです。こういうように、政策が進むと別に、あなた方は事務が簡素化するように考えなければならぬけれども、それだけ事務量がふえてきております。これは原則的に簡素化する方向にはいっていない。原則的に複雑な方向にいっているわけです。今私はもう少し、複雑になった状態をだんだんやっていきますが、まず第一に、三十三年の十月に甲乙の二表というものをお作りになった。これは橋本さんが厚生大臣のときにお作りになった。そうしてそのときに、甲表に慢性疾患の指導料というものが新設されたわけです。この場合に一体、慢性疾患とは何ぞやという問題が出てきた。一体あなた方は、どういうことから慢性疾患というものを定義づけていきますか。慢性疾患というのは一体どういう基準で、慢性疾患であるものと慢性疾患でないものとの標準を定めるのですか。
○松尾説明員 私は当時の事情はよく存じませんが、疾患群の中で一カ月以内に治癒しないというようなものを目安としてきめたということであります。
○滝井委員 そうしますと、一カ月以内に治癒しないものは全部慢性疾患で指導料をとってよろしいか。
○松尾説明員 ある一定の疾患群を指定いたしまして、その中でそういう解釈をとるということでございます。
○滝井委員 だから、一体そのある一定の疾患群というのはいかなる医学的、理論的な根拠からきめるかということです。そういうものが日本の医学の学問の中にはないでしょう。これらのものが慢性疾患であるというものがない。ないものをあなた方はお作りになった。だから、どういう結果が出たかというと、たとえば、滝井義高がこれは慢性疾患と思って書いて出しても、今度は審査委員会はこれを認めない、あるいはある地区の審査委員会は認める、こういう形が出るのですよ。今松尾さんは初めてなられたので、これはほんとうは舘林さんがここに来てくれるのが一番いいのですが、それはあなたの方がやったのは、疾病、傷病並びに死因統計分類提要、昭和三十三年版に明示されたもので慢性疾患を選んでおるわけです。こんなものは私たちは医科大学を卒業してからも見たことも聞いたこともないものです。われわれ医療機関に携わる者が見たことも聞いたこともないものを、あなた方は御指定になった。そして、この中から慢性疾患というものはこれとこれだということになった。こういう疾病、傷病並びに死因統計分類提要なんというものは、これは一体日本の現在の臨床界に慣行として認められておるものですか。
○松尾説明員 疾病死因分類の分類の仕方が現実に使われます場合、従来から死亡診断書を書きますとかいったようなときに、そういうものをできるだけ頭に入れて書いてほしいという指導がなされておったはずだと思います。ただいまの慢性疾患にいたしましても、また今回の場合におきましても、それによって分類の幅をきめましたのは、他に統一されました尺度というものを求めることが非常に困難であるということでございます。また中身につきましては、大部分の分類の範囲というものが医学的な常識の線に従っておるというふうに考えられるからでございます。
○滝井委員 ところが、医学的常識で考えられる、こうおっしゃるけれども、あなたはさいぜん、あなたもお医者さんだけれども知らなかった。初めて課長になられたからといったって、お医者だから、ほんとうはそれを学んでおるから知っておらなければならない。しかもあなたは知らない。これは私も知らないのですが、初めて医療課長になられたあなたも知らない。私も知らないのです。私は調べて初めてこういうものを知った。これはあなたも知らない、私も知らないものである。そうすると、たまたま医者が二人もおって、その二人とも知らないのだから、これは知らない医者が多いはずだ。そういうものを今度社会保険の現場でお使いになって、この中から慢性疾患を選べとなると、たとえば滝井義高が審査員になったらどういうことになるか。私もこんなものは知らないですから、あなたの今の御答弁のように、一カ月以内になおらないものは慢性疾患だと常識で取り扱っておったら、あにはからんや、これに載った疾病の指定されたものでなかったということでちょんです。削られちゃう。こういう形があるのです。そうすると、医者はこれから請求書をやる場合にはこの分類表と首っ引きです。この分類表に当てはまる名前でなければ指導料が取れない、当てはまる名前なら指導料が取れるのですから、当てはまる名前を書くのです。これは何を意味するかというと、医者を筆先で仕事させる医者にしてしまう。たとえばAという病気を書いたらあの分類表の慢性疾患指導料をもらえないから、一つあの分類表の中にあるBという名前に書きかえたら指導料が取れるからということでBに書きかえちゃう、そうなるのです。とにかく、審査委員会で非常に困難になって、患者も困るし、医者も困るというようなものを、あなた方は依然としてまだ続けておられるのです。こういう点は、どうも今のやり方というものはよくない。こういう病気の指導料というものを、何も慢性疾患に限る必要はないので、急性であろうと慢性であろうと、医者がこの病気は大事になるから指導しなければならぬというなら、その指導したものに指導料をおつけになったらいい。こういうものを何か奇想天外なものを持ってこられて、それに何ぼかのものをつけて当面を糊塗していく、こういうやり方がいけないのですよ。だから悪いことをするのです。悪いことをする方向に医療行政を持っていく。だから、保険官僚だといって医者からみんな恨まれる、こういう形になる。筆先だけの仕事が行なわれて、ほんとうの医学というものが大衆の中に浸透しないことになる。 次は、この精神障害というものを対象にして、しかも世帯主については七割給付をやることになった。これは一体精神障害というのは何ですか。
○長友説明員 ただいま私ども用いております精神障害という言葉でございますが、これは精神衛生法の第三条にこの定義がございます。精神病者、精神薄弱者、性格異常、これは精神病質者といっておりますが、この三つの総称でございます。
○滝井委員 そうしますと範囲が非常に広いですね。精神病、精神薄弱それから精神病質、非常に今のように範囲が広いですね。まず精神病、それからそういう体質、それから今度は薄弱——まあ健康も一種の病気なりと式場隆三郎さんは言ったけれども、範囲が非常に広い。これを、民法七条をごらんになると、心神喪失の状態にある者は禁治産となっている。民法十一条を見ると、心神耗弱者、聾者、唖者、盲者及び浪費者は準禁治産者とする、こうなっておりますね。そうすると国民健康保険の七割給付の対象になる精神障害というものは、この民法の七条とか十一条というものに入るのでしょうか、どういうことになりますか。こういったものは禁治産、準禁治産になって、財産の管理をまかせられないということになるのですね。
○長友説明員 ただいまの疾病の対象と申しますか、そういった作業は保険局の国民健康保険課の方で扱っておりますので、私もときどき相談を受けておりますけれども、どういうふうにきめておるか聞いておりませんのでお答えいたしかねます。国民健康保険課からもし来ていただければお答えできると思います。
○滝井委員 これは医療課の方でおわかりだと思うのです。これは全部医療課が主管ですからね、こういう病気のあれは。法律は十月一日からもう実施されておるのですね。それでこういうようにわからないのです。実を言うと私もわからない、あなた方もわからないように、末端でもわからぬで困っているのです。そこである医者はたとえば滝井義高を診断して、あいつはノイローゼだとこうつけた、ある人はヒステリーとつけた、そうしましてこの請求書を出すわけです。そうすると、ある医者はこの請求書の一般欄にこれを書いて出した、これはどうもヒステリーとかノイローゼとかいったって精神病には入らぬだろうということで、ある医者は一般疾患として取り扱ってこれを一般疾患で出した。ところがある医者は、これは精神、結核の七割給付に該当するのだといって七割給付を請求したのです。そこで先に精神の方で請求した医者がおった。そして保険証に、あなたはこれは精神病の対象になるのだ、こう言ったので、今度はその患者はびっくりして別の医者のところに行った。そうしたら別の医者は、これは大したことないといって、ノイローゼという同じ病名をつけたけれども一般の方で請求してくれた。そうすると患者はどういうことになるか。一般の方で請求したときには窓口で五割払えばいいわけです。ところが今度これを精神病と見ると七割見るのですから、三割払ったらいい。さて患者はこれはどっちがほんとうだということになってきた。審査委員会も困ってしまった。これはどっちがほんとうだろうか、こういう形になるでしょう。御存じの通り国民健康保険を扱う医者は精神科の専門医だけではない、われわれみたいな普通の医者もこれは扱いますよ。ノイローゼとかヒステリーというものは扱うことはざらです。そうしますと、これは請求はまちまちです。従って今度はそこに出る審査員も精神科の専門の審査員でないから、審査もまちまちです、審査員が、これはけしからぬ、あなたの方はこれは精神病だから七割の方でやりなさいと言いますと、患者から五割もらっておれば、その患者さんに二割払い戻さなければならない、あるいはある審査員は、これは五割だと言いますと、患者が七割でやっていれば、その患者さんからもう二割取り戻さなければならぬ、こういう問題が起こってくるのです。これを末端では解決することができないのです。こういう政策的にはきわめていい方法を打ち出したけれども、事務的には大混乱が起こっておる。こういうことになりますと、今度はある県ではこれはけしからぬ、普通の病気のくせに七割も請求するのは審査だといって、審査委員会にかかる可能性がある。だから、こういう混乱を起こさせるようなことを私はやるべきではないと思う。これは自民党の政策といっては申しわけないけれども、自民党の政策が結局けちだからこういうことになる。四千億も五千億も自然増があるのだから、この際、もう家族も何も七割、一般病気は七割にすればいいのに、一つの人間の有機体の中からあくまでも精神病とか結核だけという孤立した——一つの病気しか生ける人間には起こらないという考えだからこういう間違ったことをやるのです。これは自民党がやっておらなければ役人のあなた方がやっておる。一個の人間を有機体として見ていない、生ける人間として見ていないから、こういうただ一つの病気だけを取り出して人間を医者に見させる、そうしてそこから一つの病気だけを医者が取り出し得る、こういう錯覚を持っておるところにこういう間違いが起こってくる。こういうことはどうですか。すぐ改めなければいかぬでしょう。予算にとらわれる必要はないと思う。すべての疾患に七割給付ということになれば、こんなものは何にも問題がないわけです。ところがその中からけちくさく、精神と結核だけは多いから七割だという、行政者の何かうまいような制度として、頭の中だけで考えたものを生ける人間に適用していくからこういう間違いが起こってくる。だからこれは非常に混乱をしております。そればかりではございません。そういう疾病上の取り扱いの混乱もあるが、もう一つ混乱が起こってきた。それはどうしてかというと、こういう場合あなた方はどう解決しますか。たとえば結核と胃の病気が併発しました。そうしてパスの中にいわゆる高貴薬の胃の薬を入れた。高貴薬の胃の薬を患者に与えたという場合には一体どうしますか。まず第一病というのが結核で、第二病がたとえば胃かいようなら胃かいよう、こうした場合に、パスに高貴薬の胃の薬を入れて請求した場合に、一体これは一般の方で請求しますか。それとも結核、精神の方の欄で請求するのですか。そうしてその区分は一体どういう区分をするのですか。こういうことがさっぱりわからぬのです。質問をしてもだれも答えきれぬ。
○松尾説明員 ただいまのような場合の取り扱いは、主治医の判断に待つよりほかにないという判断をしております。
○滝井委員 主治医の判断に待つといったって、それならば請求書を一般と精神、結核と、二つに分ける必要はない、どっちに書いてもいいというならば、主治医の判断にまかせるというならば。患者の方は大へんですよ。保険の方も大へんです。一般にすれば患者は二割よけい負担しなければならないのですから。結核にして請求してもらえば三割しか負担しなくていいのです。保険もそうです。保険は五割負担にしてもらった方がいいのです、保険経済からいえば支払いが少なくなるのですから。こういう両面の問題が起こってきているのです。そうしてもう一つ、今度世帯主にこういう問題が起こった。いわゆる七割の保険の負担をして、精神病だという認定を受けたために、世帯主といえばお父さんですから、これは大へんだ、うちの世帯主は精神病に国民健康保険で指定されたら大へんだ、息子の結婚に差しつかえるから、先生それじゃ困る、こういうのが出てきた。しかしこれは秘密ですから言わないけれども、いつの間にか漏れるのです、こういうものは次から次へ請求書が回っていきますからね。こういうように、ことしの通常国会でおやりになった問題点というものが、現場で具体的な問題として出てきておるのです。そうしてしかも事務が非常に複雑になってきた。こういう点はどうですか。あなた方は現場の医者におまかせするというなら、七割給付の分については審査委員会は要らぬ、こうおっしゃるのですか。そうなっていないでしょう。 それからもう一つ、こういう場合が出てきたのです。たとえばこの十月五日に病院に行きます。そうして見てもらったわけです。そうすると、どうもこれは結核の疑いがある。しかし結核とは断定ができていないわけです。疑いがあるというだけです。そうすると、疑いがあるときには七割給付にならぬでしょう。どうですか。
○松尾説明員 七割給付になりません。
○滝井委員 その通り、ならないのです。だから患者は窓口で五割を支払って帰るわけです。そうして今度は二日たった十月七日に、いよいよ赤血球の沈降速度なりレントゲンの結果、これは結核だということになると、今度は七日にさかのぼるんですよ。そうすると、これは事務的にどういうことになるかというと、今度はもらっておった五割の中から二割だけを患者に返さなければならない。これが同じ月ならいいです。ところが十月三十一日にそれが来ておって、十一月八日に確定したときには、十月分の請求書はもう出てしまっておるのですから、そうしますと、もらい過ぎを返す方法はないのです。請求書はもう七割では出ていないのです。五割で出ておるのです。こういうことは今度は病院の経理をやる場合に大へんな問題になってくるわけです。その逆も言える。今のは医者が二割をもうけ過ぎておるときですが、今度は損をする場合が出てくるわけです。こういう制度を事務的にあなた方が役所で紙の上だけでやるけれども、現場の毎日々々現金の支払いが行なわれる窓口では、とてもこれを返したり取り戻したりということは不可能なんです。これはそれをおやりなさいということなのです。だから手をあげておるのです。今言ったように薬を混合してやったような場合、あるいは別々に薬をやったりしても、今度は一般欄と精神、結核欄に分けてこれをやる。あなた方この事務の例を見ても——これは東京都の国民健康保険連合会が幹部を指導したときに出したものです。とてもこれでは医者が毎日の医学の勉強どころではない。この事務に追われて、これでは事務屋です。しかもこういう一般欄と結核欄に分けると、病院の事務員ではこれができないのです。なぜならば、どの薬は胃かいようの薬、どの薬は精神病にやった薬というふうにきちんと分類をして請求しなければなりませんから、これは全部医者がやらなければならない。事務員にやらせておったら大へんなことになる。間違ってしまう。だから医者が全部見きわめなければならないから非常に事務的に繁雑になってきたのです。これが五月に法律として出た結核予防法なり精神衛生法なり国民健康保険法に関連する問題です。その上に今度は緊急是正の問題です。これがまた複雑になってきた。まず第一にわれわれが請求書を書く場合には、今までは保険証を見て診療報酬の請求明細書に記号、番号を書いて、氏名を書いて、男か女かを書いて、それが明治か大正か昭和か、つまりたとえば大正四年でよかったのです。大正四年二月二十八日生まれと書く必要はなくなってきておるのです。事務の簡素化で、僕らがそう主張してやってもらうようになった。大正四年でいいんですよ。ところが今度あなた方は医療費の緊急是正という名のもとに、満六才以上と満六才以下にお分けになった。そして満六才以下については五点を加算するということになった。そうしますと、医者は毎月とにかく満六才前後の患者の生年月日を見ておかぬと、これは審査にひっかかってくるわけです。その月が今度は満を決定しますからね。そうでしょう。生まれ月が来ていなければ二を引くし、生まれ月が来ていれば一を引くことによって満六才かいなかということがきまってくるから。今までならば大正四年だけでよかったのだが、大正四年の何月生まれかを患者にきちっと確かめなければいかぬです。ちょうど世帯主であるかどうかを確実に確かめなければならぬと同じように、子供の生年月日について、保険証と照らし合わせて確実にしておかなければいかぬということです。しかも今月満六才であっても、来月は満六才でなくなってしまう、こういう場合が出てくるわけです。こういうように、大して医学的に重要でない一カ月か二カ月の違いというものを、五点の請求をもらうためには目を皿のようにして生年月日をまず第一に注目しなければならぬという形が出てきた。これはそれだけ医師に対して、なるほど五十円の金もうけはできるかもしれぬけれども、神経を使わせるということになる。それなら、なぜ一体六才未満だけに五点をつけなければならぬかという理論的な根拠ですね、まあ医療協議会の学識経験者がおきめになったのだそうだけれども、どういう理論的な根拠から六才未満には初診において五点を加算しなければならないのか。その理論的な、科学的な根拠というものがあるはずだ。昭和二十七年の三月と十月の調査によって、日本の初診料はきまったはずだ。昭和二十七年の三月、十月調査から、いかなる経過をたどって六才未満には経費が五点だけよけいにかかったかという、その数字があるはずです。これがなければ、こんなものは理論的な根拠がないということになる、政策的なものだということになる。この理論的な根拠ですね、こういう問題はちっとも国会には報告をしておらぬし、勝手に厚生省がおやりになっておる。国権の最高の機関である国会に何ら意思表示もせぬで、厚生省の一諮問機関で、しかもその医療の専門家が出ていないところでおやりになって実施をしているのですからね。国民の前にはっきり理論的な根拠を明らかにしなければいけない。
○松尾説明員 ただいま二十七年三月、十月調査の結果による数字等につきましては、資料を持っておりません。六才未満の乳児加算をつけました理由は、主として母親と保護者に聞き合わせまして、かなり時間をかけていろいろ指導あるいは問い合わせというようなことをやらなければならぬというような点から、五点加算されたというふうに考えております。
○滝井委員 そういう、母親と子供に注意をしなければならぬから五点をつけるというような医療費の算定の仕方があるのですか。私は初めてそういうことを聞いたんです。いいですか、医療費は昭和二十六年以来、初診料は四点ですよ。乙表で、十一円五十銭ですから、四十六円です。二十七年の三月、十月調査して、当時の曾田医務局長の科学的に出したものは、六・二〇三点です。これまでははっきりしておるのです。ところがその後十二点になった。初診料を十二点にするという資料が出てきたのです。新しい医療費体系の思想として十二点が出てきた。ところがこの十二点の理論的な根拠は何にも国会に示しておりません。そうしてそれが突如として十八点になってきた。そうしてそれが今度は緊急是正の名のもとに二十点になってきた。あるいは一割引き上げの名のもとに甲表で二十点になってきた。ところが乙表の方は四点から六・二〇三点というものをどこかにやってしまって、そして五点になって、五・六点になってきているのでしょう、今乙の二は。こういう形になってきておる。そうして今度またそれに五点を加えるのです。医療費の算定というものは、特に初診料というものは技術料の一番基礎です。それを科学的にやるということが、今まで各新聞社が全部主張したことですよ、腰だめのものでははいかぬ、科学的に考えなければいかぬということは。ところが、科学的にやらなければいかぬというが、厚生省が決定したら、どこの新聞でも科学的でないなんということはいわない。黙ってしまっている。あれくらい非科学的なものはない。一体いかなる理由で五点をつけたか。五点が出てきたのか。乙表の二における初診料と同じものが出てきたのですよ。それならば初診料をお上げになったらいい。なんで乳幼児の加算だけをおつけになるか。こういうようなでたらめな行政をやってはいかぬということですよ。科学的な根拠にのっとってやらなければ、何のために——今世間は、臨時医療制度調査会を国会に出さなかったのはけしからぬ、科学的な検討をやらなければいかぬといって、けんけんがくがく厚生大臣を攻撃しておるじゃありませんか。そういうふうにけんけんがくがく言われながらも、ああいう何かわけのわからぬような、初診料と同じような五点を持ってきたというのは、何かそこに経費の算定の基礎がなければ出すことはできないはずですよ。それをあなた方が説明ができないというのならば、説明できません、全く政策的なものでございますとここで言って下さい。どうですか、それは。
○松尾説明員 緊急是正につきましては、ここにこまかい数字はございませんけれども、七月改正に伴いますところの結果予想されるいろいろな数字的な一つのアンバランスを補正するという根拠に立って、数字の上でいろいろと詰められておるものでございます。
○滝井委員 松尾さん、あなたでなくても、課長補佐の方でもけっこうですけれども、今のそのアンバランスだという問題、われわれはアンバランスの資料も何ももらったことはないのです。一回も見せてもらったことはない。とにかく、三十三年十月以来医療費の全貌というものは一つもわれわれに示していないのですね。それならば、厚生省の医療課は、三十三年十月以来の医療費のアンバランスの是正をしなければならない理論的な根拠を一つ出してもらいたいと思うのです。さっぱりわからぬ。 それからもう一つお尋ねをしたいのは、今の六才未満について五点をつけるという理論的な根拠ですね。アンバランスの是正だというけれども、何か理論的な根拠がなければアンバランスの是正も何もできないのですが、それがさっぱりわからぬ。もう一つは、特定疾患ですが、特定疾患とは一体何かということです。
○松本説明員 厚生大臣が特に告示をいたしましたその疾患を特定疾患と申すのであります。
○滝井委員 そうすると、厚生大臣はどういうことを基準に特定疾患をおきめになったのです。
○松本説明員 先ほど課長が申しましたように、この関係も、本年の七月改定によりまして診療科別に生じましたアンバランスの是正ということを一つの目標にいたしまして、それに向かう、その目的に合するようにその疾患を選んだわけでございます。
○滝井委員 その選んだ基準というのはどこにあるのです。特定疾患というものさしを当てる科学的な基準ですね。慢性疾患というのは、一カ月以内になおらぬようなものをいう。一カ月以内になおらぬものということが出てくる。特定疾患というのは、一体何を基準にして特定疾患というのですか。医者が勝手に、これは特定疾患、これは特定疾患でないときめていいのですか。
○松本説明員 特定疾患としてそれを選びました理由は、先ほども申しましたように、アンバランスの是正ということを一つ目標にいたしまして今回の改定方法を考えたわけでございます。従いまして、すでにおわかりのことと思うわけでございますが、七月改定におきまして主として内科、小児科関係の増収率が他科に比べまして平均的に低いことが考えられたわけでございます。従いましてその部分にそれを是正いたしますために主として内科、小児科関係でお扱いになる疾患群を選んだわけでございます。
○滝井委員 内科、小児科のアンバランスの是正をするために特殊疾患をお選びになったというなら、さいぜん私が慢性病愚で指摘したように、やはりこれは同じように悪いことをさせることになるのです。だったら、内科、小児科の全部の疾患について五点を加算する、こうした方がいいんでしょう。一体それがどうして悪いのです。そうやったらどこに欠陥があるのです。特殊疾患と特に何ぼかの病気を選び出さなければならぬ理由が、しかも五つ、六つを選び出すならいいが、何百というものが特殊疾患になっているでしょう。それだったら意味がないじゃないですか。それだけ事務が複雑になる。それだけ医者がこういうものを、何が何だかわからぬようなものをどこから探し出してきて、分類表を見なければならぬ。分類表なんというのはいなかの医者は持たない。そういうものを出した。どうしてわずか一億か二億の金のために複雑な事務にさしてやらせるのかということです。それだったら、医者にそれだけ寄付してもらったらいいのです。予算が足りないから寄付して下さい、この方が話が早く片づく。それをもったいぶって、審査委員会にかけて特殊かどうか見てから金を払う。そんなばかげたことをやっているから日本の医業は大衆の中に根をおろさないで、厚生省と医師会がけんかすることになる。何回けんかしてもやはり同じことをやるのです。だから私は前もって厚生大臣に申し入れた。あなた方は今内科と小児科の病気をおもに選んだというのだが、それならば一体泌尿科とか婦人科とか梅毒関係は何で特殊疾患と言わないのかということです。病気で、あるものは特殊疾患になり、あるものは特殊疾患にならないというばかなことはないと思う。特殊疾患というのは、診断が非常にむずかしいとか治療が困難なものでしょう。ところがあなた方は、特殊疾患の中から梅毒関係とか産婦人科関係とか泌尿科関係とか眼科、皮膚科を除いておるでしょう。そんなばかなことはない。しかもそれは六才未満に区切って見るとか——六才未満の子供は小児科加算の五点をやったら、子供の特殊疾患というものは金はもらえないですよ。だからあなた方のやることは理論的な根拠はちっともない、科学的な根拠はちっともない。そうして厚生省の甲表というものは合理的でございますと言って新聞を使って宣伝をしている。何が甲表が合理的ですか。甲表の方がうんと注射や薬を使っておる、不合理きわまるものです。そういうでたらめなことを世の中にやるものじゃない。もう少し謙虚な気持で、医者が審査にかからないように、悪いことをしないようにさせなければいかぬ。だからあなた方がリューマチ性の疾患だということでやれば、感冒であっても足腰はみな痛くなる、関節リューマチと書けば特定疾患になってしまう。かつて東京で急性耳下腺炎にはズルファミンをすることができないというふうに審査委員会が決定したところが、東京都には急性の耳下腺炎がなくなってしまった。みんな流行性の耳下腺炎になった。流行性耳下腺炎と書けば、みんなズルファミンを認める。それと同じですよ。そういう小手先だけでやらせるようなことをしてはいかぬということです。それだけ医者は頭を使って、何か事務的によけいに点をもらうようなことになってしまう。感冒ならば特定疾患じゃない。ところがそれに第二病に今度は関節リューマチと書いておけば、これは特定疾患になるでしょう。そしてリューマチを主病だと備考欄に書けばいかんともしがたい。こういう小手先だけで金がとられたりとられないような方法をやるべきではない。だから今こういう業界新聞がありますよ。業界新聞の裏を見ると、請求書作成の手引きというものがあります。これを書いておかないと新聞は売れないんですよ。これを書いておくと新聞が売れる。なぜならば今言ったように、こういう場合にはこういう病名につけた方が点数をとれるという指導をしている。それはしかも医者がしているのではない、基金の事務員でこれを商売にやっておる人がある。医道は地に落ちている。これは厚生省の役人のせいだ。こういうことをあなた方が率直に改めなければいかぬ。わずかに一億か一億の金を儉約するために、厚生大臣の定める特定の疾患の範囲なんていうものを何百とこうして出して、そうしてこれを首っ引きにしなければ医者が診療しておる請求の明細書が書けないというような医療行政のやり方というものは、私は即刻やめるべきだと思う。そのために今度は審査委員会がこれと首っ引きで審査をする。審査の時間はかかる、むだをうんと食うということなんですよ。こういう点はどうですか。あなたが答弁ができなければ、あしたでもあさってでも大臣に来てもらって、こんなものはやめてもらわなければいかぬ。これはだいぶ前に大臣に申し込みをしているのですが、やはり大臣はやっている。一体厚生省には医者がいるのかということです。あなたも技官らしいが、事務で一体人間の病気がなおりますか。こんな事務を省くことが病気をなおさせる道ですよ。ところが今はこういう事務ばかり多くする。これはどうですか。あなたも専門家として、技官だから医者だろうが、こういうものは意義がありますか。何の意義もないでしょう。わずかの予算を儉約するために当面を糊塗しているだけです。こういうことはやるべきではないと、思い切って大臣に進言したらどうですか。内科と小児科がアンバランスなら、内科と小児科のすべての疾患について五点を加えたらいい。その点はどうですか。
○松本説明員 今おっしゃいました内科と小児科の疾患というものが、また限界がはっきりいたしませんので、従いましてその内科、小児科を主とする疾患をただ範囲を明確にいたしますために、そういうことを実はいたしたわけでございます。しかし先生の御指摘になっております点は、確かに非常に複雑になった面もあるわけでございますので、この点はまた検討いたしたいと思います。
○滝井委員 内科と小児科の範囲もはっきりしないというならば、内科と小児科の請求書はすべて五点加算したらいい。結果は同じことになるのです。さいぜん申しましたように、感冒と書いて特殊疾患にならなければ、あとにリューマチをつけ加えてもいい。そして二病の方が主病だということになれば、これはフリー・パスですよ、そうでしょう。関節が痛いからリューマチがあったと医者が認定したらそれまででしょう。だから科学者と事務屋が勝負するときには、科学者が勝つのですよ。あとから審査委員が来て幾らそれはリューマチではないと言っても、人間というものは生成発展しているのです。あるいは生成老衰しているかもしれないが、とにかくきのうの人間はきょうの人間とは違うのです。だからこれは水かけ論になって、請求が勝ちですよ。だから結局特定疾患というものをきめたところで、それをきめた努力をするだけばかばかしかったというだけです。それだけ事務を複雑にしたということです。それだけ人間の気をよけい使わせて、医学の進歩をおくらせたということです。 それからもう一つ、六才未満というようなものを加えたために、今度は初診料だって非常にややこしくなってきた。六才未満で昼来たならば一〇・六、時間外に来たら一三・四、深夜に来たら二三・四、こういうことになるわけでしょう。そうすると今度六才以上だと、昼来たら五・六、それから時間外に来たら八・四、それから十時以降に来たら一八・四、こういうように初診料が全部違ってきたわけですね。この事務だって大へんなことですよ。端数がついておるのだから、お年寄りのお医者さんなんか、記憶しようたって記憶ができないから、患者が来るたびごとに、今時間は何時だろうか、この子は年は幾つだろうか、表を見て作っていくことになる。しかもそれに特定疾患でもあってごらんなさい。六才未満の子は特定疾患をとれないのです。初めわれわれはとれると思っておった。またとれるような説明をしておった。ところがいつの間にかとれないようにしちゃったのだから。そうすると、これは六才未満だったらとれない、六才以上はとれるのです。六才以上の特定疾患で五点の加算がとれることになって、今度は六才以上だったら同じように点数が昼、時間外、夜、こう違ってくるわけです。それに、これに今度は往診が加わってごらんなさい。往診がまた昼、時間外、夜、深夜とこう加わってきたら、今度その足し算をしなければならぬ。とってもその事務は複雑です。だからこれはこういう事務の複雑化をおやりになろうとするならば、もう端数をどけなければいかぬということです。ところがその端数がますますよけいついているのですね。しかも加算が加算、加算と出てくるのですから、そのたびごとに時計を見る。年令を見、病気を考えながら保険の点数を計算をして、今度窓口でやりとりをしなければならぬ。ところが窓口では一〇・六とかというような小数点がついておるから、端数が出てくるわけです。医者の窓口は八百屋と同じです。計算を間違えれば審査にかかる。こういう形になる。取り過ぎ、もらい不足というものが出てくるのですね。今度あなた方がおやりになった医療費の改定なり今度の国民健康保険あるいは精神、結核のこういう改正というものは非常に事務を複雑にして、そして末端の審査員もこれをどうしたらいいかということを迷っておるのです。わからないのです。特に特定疾患とかなんとかというものが出てくると、審査委員会の意見も分かれてしまう。第二病に書いておるものを主病に認めるかどうか、感冒を主病にするかどうか、どっちが主病ということを書いてなければ、全部この請求書は本人に返されるわけです。こういうような形をすみやかにやはりあなたの方で思い切って改めなければいかぬ。事務の簡素化というものは非常に大きな問題になっておるのでしょう。私なんか健康保険の事務を簡素化するために、代議士に出たというのはそれが一つの目的です。ですから私は生活保護についても健康保険、国民健康保険についても、しょっちゅう事務のことを言っているのです。事務のことを言うとちょっと簡素化になるけれども、二年ぐらい言わないとまた元の木阿弥になっちゃう。たとえば備考欄なんかちっとも書く必要がないというのが、今までのここの説明だったのです。ところが最近の東京都あたりの指導講習会あたりに出ているのを見ると、この備考欄の多いこと、この備考欄をこれだけ書かなければ審査委員会が認めてくれないのです。この複雑な備考欄を見て下さい。これだけの備考欄を一枚書くのに、二十分、三十分かかります。一回患者を見て、そしてカルテに書いて、そしてそれを月末になってまたカルテと首っぴきでこれを請求していく。この請求というものは一つ一つのかけ算をしていかなければならぬから、たくさん注射をして、そしてその病気が重くなればなるほど、この請求事務というものは実に時間がかかるのです。ところが、そういう事務をあなた方は自分でおやりにならないから平気の平左です。しかもこれが国民健康保険、結核予防法とあってごらんなさい。もう結核予防法の事務なんというものは実に複雑です。こんな大きな紙にもう微に入り細に入り、レントゲンから何から全部書かなければならぬ。だから一人の患者を見るために、わずかの金をもうけるよりやめた方がいいということになる。だから請求事務をやめた、患者を見ないというものが出てくる。そうすると、そのしわはどこへ来るか、患者さんに出てくる。だから、今は聴診器を捨ててもペンを捨ててはいかぬということを医者の中では言われ始めておる。医者が聴診器を捨てて何になりますか。そういう医療にしているのです。このごろから、病院がストライキをやったり、医師会が総辞退をやって、事務の簡素ということが大きな議題になって、厚生大臣が事務の簡素化をやりますと言ったけれども、結局複雑になってきた。そこであなたの方で責任を持って事務の簡素化を、ことし中に私はやれとは申しません。少なくとも来年四月一日から国民健康保険なり健康保険の事務を大幅に簡素化するということを言明できるかどうか。ほんとうはこんな請求書は要らぬですよ。こんなものをやる必要はない。記号、番号、姓名、病名、そして請求点数、これでいいです。これだけやらしたらいい。そうしてあやしかったら、その医院へ行ってカードを調べたらいい。そのくらいの簡素化をやって、もっと医者の精力を患者をなおす方に費さなければいかぬのです。今、患者を見る方が半分、事務が半分です。一つ事務の簡素化のために大英断を持って改正をやるという言明を医療課はできますか。
○松本説明員 いろいろ検討はしておるのでございますけれども、なかなか結論に到達いたしておらないわけでございます。今後も鋭意その検討を続けて参りたいと存じております。
○滝井委員 その請求書を出して、一体その審査で落とされる率はどの程度あるのですか。一%ないでしょう。百枚出て一枚ないでしょう。〇・〇五かそこらでしょう。五九・五か六%というものは、大体出た請求通りに通るのでしょう。大体そのくらいじゃないですか。最近は私よくわかりませんが……。
○松本説明員 大体そのくらいと思います。
○滝井委員 過去の長い十カ年間を見てもそのくらいです。そうすると、〇・〇四か五を削るために、基金は莫大な金を使っておる。その金があるなら、医療費の内容の改定に持っていったらいい。そうしてあやしいと思ったら、医者のうちへ見に行く、こういうことの方がいいですよ。請求書を全然出させぬわけじゃないから、特に記号、番号、病名、そして点数を書いて全部出させるわけですから、そのくらいの英断のときです。これだけの皆保険政策になったんだから、医者を信頼せずして保険行政ができると思ったら大間違いです。そのくらいの英断を持ってやらなければいかぬということです。そうして医者を信頼するということです。悪いと思ったら、どんどん医者のうちへ行ってカルテを見せてもらう。そうすれば審査の事務費が節約になるから、その分を見て回る人間ができます。そうしてときどき、一年に一回か二回、それぞれの地域の医師会へ行って指導されたらいい、書き方の指導をされたらいい。きょうも何か講習があるそうですけれども、ああいう講習、審査委員会に使う金があったら、そういう指導に使ったらいい。今一件当たり十二円か十三円お金を出しておるのです。基金の事務費は今何億ですか。おそらく十七、八億か二十億くらい使っておるのではないかと思う。そのくらいの金があったら、そういう指導をおやりになったらいいでしょう。あなたは御検討されておるというけれども、私はこの実態を一ぺん大臣に知ってもらいたいと思う。あなた方だけにまかしておったら、事務は実に複雑になってくるばかりです。あなたもお医者さんならわかるはずです。きょうは一応これでやめておきますが、十分一つ局長なり大臣に報告していただいて、次回にもう一ぺん大臣が来たら、私は大臣に少し内容を説明して実態を知ってもらいたいと思います。
○中野委員長 本日はこれにて散会をいたします。 午後一時四十分散会