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39回国会衆議院1961/10/25

社会労働委員会 第11号

発言数
62
登壇者
10
会派数
2
開催日
1961/10/25

会議録

中野四郎自由民主党

○中野委員長 これより会議を開きます。  中野四郎君外十名提出の環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の一部を改正する法律案、医師及び歯科医師の免許及び試験の特例に関する法律案、及び医師国家試験予備試験及び歯科医師国家試験予備試験の受験資格の特例に関する法律案、以上の各案を一括して議題とし審査を進めます。  質疑を許します。滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の一部を改正する法律案について、みずからが提案者になって質問をするのはどうかと思いますけれども、ただこの法律案をわれわれが提案するにあたって、政府の方がこの環境衛生関係営業の業態というものをどういうように認識をし、現実に把握をしておるかというような点をお尋ねして、この共同提案の立法が現実に適合したものであるかどうかを一応さらに明確にしておきたい、こういう点で二、三点お尋ねしたいと思います。  まず第一は、すでに環境衛生の組合では共済事業、特に火災共済をおやりになっておるわけですが、この限度は現実に一体どうなっておるのか。特に環境衛生関係の業種の中で、主としてどういう業種が共済事業をやっておるのか。それをちょっと御説明願っておきたいと思うのです。

五十嵐義明厚生事務官(環境衛生局長)

○五十嵐政府委員 ただいま滝井先生のお尋ねの火災共済の限度でございますが、これは百五十万円を限度といたします。連合会で現在火災共済を共済事業としてやっておりますのは、理容と浴場関係でありますが、都道府県関係の組合では、東京都の旅館が火災共済をやっておるような状況でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、理容やら浴場、旅館等は、どれも限度額を百五十万にしておるわけですね。いわゆる最高限度――中小企業の共済事業は、最高限度が、大体百五十万になっておるのですが、その最高限度にいっておるんですね。

五十嵐義明厚生事務官(環境衛生局長)

○五十嵐政府委員 さようでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 次は、その火災共済の運営の現状ですが、大蔵省でこういうものに三十万とか百五十万の限度をつけるということは、やはりその事業の健全な運営をはかって、そうして被災者に迷惑を及ぼさないようにしておるのだと思いますが、その運営の現状は健全に運営をされておるのかどうか。

五十嵐義明厚生事務官(環境衛生局長)

○五十嵐政府委員 健全な運営を行なっておるように理解いたしております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 次は、組合及び連合会の行なう事業、特に共同施設、福利厚生事業それから共済事業等を言うわけですが、この員外利用二割を限度として許すことになるわけですね。それで生協その他でも員外利用というのが一番問題になってくるわけです。一体厚生省としてはこういう員外利用の限度をきちっとやはり見定める行政の指導というものをやらなければならぬと思うのです。やってもらっておかないと、共同施設が無制限にいろいろな人に利用されるということになると、他の類似の施設にも非常に被害が及んで参りますから、この二の規制の仕方、一応われわれの法案では親族とか使用人ということに限定をしておりますけれども、親族なんということになると非常にわかりにくいことになるわけです。ここらの行政指導の仕方というものをどうお考えになっているのか、これを一つこの際明確にしておいていただきたいと思います。

五十嵐義明厚生事務官(環境衛生局長)

○五十嵐政府委員 法案の内容といたしまして百分の二十程度の員外者の利用を認めると、こういう数字が上っておりますことは、先生の御質問の趣旨にございますように、これを野放図に利用させるということが適当でないという趣旨から出ているものと考えるわけでございます。そういう趣旨を十分体しましてその組合の施設の運用が、組合の運営の上に十分役立つような趣旨で員外者の程度を限定いたしまして、その範囲で利用させるように十分指導して参りたい、このように考えておる次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 問題はだれが親族であり、だれが使用人であるかということがなかなか明確でないわけです。その場合に、たとえば生協や炭鉱の購買会を見ても、チケットと申しますか、配給所に行く場合には、あるいは購買会に行く場合には印鑑と身分証明みたいな、パス券みたいなものを持たせて最近厳重にやっていますね、国鉄の共済組合あたりその他でも。やはりこういうものについては行政上何かそういう具体的な指導をしておかないと、あとで問題が起こる可能性があるのですね。法律にはそこまではなかなか書けないので、何か具体的な指導方針を確立しておく必要があると思います。

五十嵐義明厚生事務官(環境衛生局長)

○五十嵐政府委員 私どもただいま申し上げ得る程度に具体的な問題は詰めておりませんが、御趣旨のように、具体的に検討いたしまして誤りのない運用を期して参りたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ぜひ一つ、二割の弾力性を持たせておるわけですから、そういう点十分御考慮願いたいと思います。  それからもう一つは、この資金のあっせんの問題です。これらの中小企業は、銀行その他金融機関から資金の融通を受けることは、現実の金融の引き締め情勢から考えてもなかなか困難なわけです。さきにわれわれがクリーニング業法の改正をやったときも、中小企業金融公庫その他にある程度の便宜をはかってもらうような話をつけたと思うのです、機械設備を更新するわけですから。その場合に機械設備を法律で規定をするということになると、その機械を作る業界が不当なもうけが一挙に出てくるというような問題も実はあったわけですが、こういう共同施設その他をお作りになり、出資組合もお作りになると、こういう形で立法しておるわけですから、ある程度の資金のあっせんの道を政府の方でも行政的に指呼をしてもらわないと、出資をして組合を作り、いろいろの共同施設をやろうとしても、資金の流入がなければ画竜点睛を欠くわけです。これは中小企業金融公庫なり商工中金なり市中銀行なりに、こういう出資組合で具体的にいろいろ仕事をやらせようとする場合には何か政府の方でいいお考えでもございましょうか。

五十嵐義明厚生事務官(環境衛生局長)

○五十嵐政府委員 ただいまこの席で申し上げる具体的な案は持ち合わせておりませんが先年のあげられました中小企業金融公庫、あるいは商工中金、国民金融公庫等に私どもの方からいろいろと話しかけておりますので、ある程度の成果は金融の上で期待できるものと考えておる次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 問題は、この環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律が、今後ほんとに独立した立法として業界の不満を――現実に非常な不満がある、この不満を緩和しながらこれが今後一本立ちの法律になるためには、やはりここらあたりが非常に重要な問題になってくると思うのです。厚生省の所管の法律というのはどうも金融がつかぬ。だからこの法律は中小企業基本法と将来は一緒になって、やはり通産省かどこか金融の世話をしてもらった方がいいのだという意見が出てくるわけです。それで厚生省としては衛生設備の充実をはかって、大衆の保健衛生の向上をはかろうとするならば、こういう業界についても積極的に資金のあっせん、融通の道を協力をしてもらわぬとどうもこの法律を作っても恩義がなくなる、こういうことになる。ぜひ一つ五十嵐さんの方でもこの資金の問題については一はだも二はだも、今御指摘になりました中小企業金融公庫なり国民金融公庫なり商工中金なりに新しい開拓の分野を開いてもらわなければいかぬと思うのです。そういう点について、ぜひ一つ決意を新たにして御努力を願いたいと思う。  次に、一番重要な問題ですが、われわれが数年前にこの環境術中法を作って以来、業界は、この法律は少しも恩典がない。全国的に美容にしても理容にしてもアウトサイダーがばっこして、新たなる法難を作ってもらったけれども意義がないという意見がだいぶある。そこで今度いろいろと公取と問題がありましたけれども、料金とか販売価格とか営業方法の改善について、勧告権を厚生大臣なり都道府県知事に与える。その勧告する前には適正化運営の審議会の意見を聞くことになっておるわけです。問題はここらあたりの行政指導の仕方なんですが、この法律は実は衆議院を通って参議院に行って非常にもめて、また衆議院に返ってきて、今度は参議院の意向をわれわれ衆議院が拒否して、衆議院の原案通りにまたその採決をして本会議で通したといういわくつきの法律なんです。そこらのいわくつきの出てきたのは、やはりこういう環境衛生関係のサービス料金というものが非常に上がっていく、そして大衆が非常に迷惑をこうむる、だからアウトサイダーなんというものをあまり規制してはいかぬという意見が一つの有力な意見として当時あった。しかしわれわれがこれらの環境衛生関係の事業をやっていらっしゃる方に適正な衛生措置の確保を要求すれば、そこに適性な料金を保障しなければならぬのは当然です。従って大衆料金に対する値上げの要望とこの衛生措置の向上とを一体どこで調和させるかということが一指の問題点なんです。そういう意味で、いわば一挙に勧告をせずに、個々に公取と協議をするかわりに、適正化運営審議会の意見を聞いて勧告をすることになった。そこで適正化運営審議会の委員の任命の仕方については、十分一つ消費者の意向も、それからそれらの業界の皆さんの意向も反映するような委員構成をきちっと今後やっていただくということでなくちゃいかぬと思うのです。そうしてこの適正化審議会で十分議を尽くして、その出た結論というものをもって勧告に当たっていく、こういう形になれば、これは文句はなくなると思うのです。そういう配慮を、行政を担当せられておる厚生省の環境衛生当局がやってもらっておかぬと、これは問題が起こってくる。そういう今までの運営の実績なり今後のあなた方の心がまえなりを、一つこの機会に明白にしておいていただきたいと思います。

五十嵐義明厚生事務官(環境衛生局長)

○五十嵐政府委員 今回の改正の内容の非常に重要な部分としまして、勧告の制度が置かれておりますことは、ただいま先生の御質問の中にありました通りの趣旨でございます。いたずらな混乱の起きる前に、これは公正妥当な方法で予防、防止いたしていくということが趣旨であると理解いたしております。そういう意味で御指摘のように審議会に諮る、その審議会は四者構成で、公正妥当な任命のもとに十分意を尽くせるような審議会の仕組みの上にこれをかけて勧告をするということは、先生の御意見の通りでございまして、全く私どもも同様に考えておる次第でございます。そのように適正な運営をはかって参りたいと考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ぜひ一つそうやっていただきたいと思います。  それからもう一つ、やはり行政上注意をしておいていただかなければならない問題は、福利厚生施設のうちで、その事業活動が一般店舗と競争関係にない、いわゆる勧告の全部または一部を受けないものについて、すなわちたとえば生協のやっている環境衛生関係の事業とか、あるいは地域の生協、職域の生協、それから農協関係、こういういわゆるアウトサイダー類似のものに対する指導ですね。これがまた今後の行政運営の上に非常に大きな問起点になってくると思うのです。一体これらの何が一般店舗と競合しないものに当たるのかという点、これを少しここに列挙して、あなた方の考え方を明白にしておいていただきたいと思うのです。

五十嵐義明厚生事務官(環境衛生局長)

○五十嵐政府委員 競争の関係にない施設と申しますのは、この条文にもございますように、事務所あるいは事業所等のいわゆる職域の施設と理解いたしておるわけでございますが、たとえば厚生省の中にあります理髪所でありますとか、あるいは工場の中で外来者が全然利用しないというようないろいろな施設、こういうものを考えておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと農協の施設ですね、こういうようなものはどういうことになりますか。

五十嵐義明厚生事務官(環境衛生局長)

○五十嵐政府委員 地域的に置かれておるものは、この対象としては考えておらないのでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そこらあたりの関係が、やはり今後の行政運営でよほど十分話し合って、農協関係あるいは購買会といいますか、こういうようなものを納得さしておかないと、この勧告の全部または一部を受けないとするものについては、やはり幾分問題が出てくる可能性があるのです。この法律が通りましたら、そこらのPRについても十分配慮をして、事務所や事業所の職域のもの以外からの文句がないようにしておいていただきたいと思います。  それから規制命令が出ていく場合、勧告をした、そうしてどうもうまくいかなかった、それで規制命令を出さざるを得ない、こういう事態は、政府としては、今までのアウトサイダーの無秩序な横行の現状にかんがみて、一体どういう事態になったときに規制命令までいかなければならぬだろうと現実にお考えになっておりますか。そういうニュアンスというか、何かそういう具体的な状態が、ある程度頭に浮かべばちょっと描いておいていただきたいと思うのです。

五十嵐義明厚生事務官(環境衛生局長)

○五十嵐政府委員 まことに申し上げにくいのでございますが、私そこまで今申し上げる内容を持っていないのでございます。私の気持としましては、そういう規制命令を出す前に、何とか勧告なりその他の指導でそういうことのないように極力して参りたいという気持でおる次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、実は僕らがそこを心配するのは、最近理容にしても、美容にしても、アウトサイダーが多いのです。それでこの勧告の法律をつけることによって、都道府県の環境衛生の組合は一つしか作ることができなくなっておりますから、この法律ができることによって、それに包括的に入ってくれれば、これは割合うまくいけると思うのです。しかし、それが相当入らないということになると、そこまでいく可能性が出てくるのじゃないかという感じがするのです。というのは、私が心配するのは、保健所におけるこういう指導をする職員が非常に欠乏しておるという現状です。たとえば、われわれのところでも、だんだん失業者がたくさん出て参りますと、これは散髪の店舗を持たなくても、近所の人の頭をサービスしましょうという形でサービスをしていく。昔は私は散髪屋の弟子をやったことがあるのだから、できます、こういうことでサービスをすれば、床屋さんに行くよりは幾分安いのだからという形のものが出てくるのです。そうするとほとんど押えにくい形が出るわけですよ。そうすると、いなかですから、何十軒かの家しかなくて、一軒の散髪屋があるというのに、そういう者が二人も出てくると、その散髪屋はやっていけないことになってしまう。だからそういう心配がありますものですから、やはりわれわれがこういう議員立法をしたからには、保健所におけるこういう環境術化関係の係官をある程度充実をして、行政指導と法律が両々相待っていかないと、なかなかうまくいかない。やはりこれは法律を作ってもらったけれども、役所の方の指導がうまくいかぬからだめですよ、あんな法律は要りませんよ、こういわれると、画竜点睛を欠くことになってしまう。そこらの心がまえがあれば、おそらく適正の規定が順守をされて、規制命令まで出なくてもいいと思う。勧告ぐらいで大体事態がおさまっていく、こういう形になるだろうと思うのです。そこで、そこらのあれがないものですから、私は心配するのです。そういう点に対するあなたの方の今後の心がまえですね、そういう点を一つ明らかにしておいていただきたい。

五十嵐義明厚生事務官(環境衛生局長)

○五十嵐政府委員 御指摘を受けるまでもなく、環境衛生関係の職員の手不足は、私、第一線で衛生行政をやっていました経験にかんがみましても、非常な痛手でございます。これは前々からいろいろな角度でその強化に努力をいたしておるわけでございます。定員の充足と同時に、質の向上という両方の面から、いろいろな構想を持っております。これを具体化しまして、極力充実して参りたいというふうに考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 どうぞ一つ、新しく法律が前進したわけですから、この法律がほんとうに一本立ちになるように、今後厚生省は緊褌一番行政の運営の円滑化を期するように要望して、私の政府に対する質問は終わります。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 河野君。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 今上程されておりまする医師及び歯科医師の免許及び試験の特例に関する法律案につきまして、提案者より、若干御所信を承りたいと思います。  今回の措置によりまして、引き揚げ医師に将来の希望を持たせることができますことは、私どもも全く同感でございます。ただ法律に取り組みまするわれわれの態度として、昨日の委員会におきましても、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法等の一部改正の中でも、いろいろと意見の交換があったわけでありますが、ただ漫然とこういう法律が次々に改正されるということは、必ずしも法律に取り組む態度としては適当ではなかろうというふうに考えます。そこで引き揚げ医師あるいはまた歯科医師に対して希望を持たせるというよりも、達成させるということが念願でなければならぬというふうに考えるわけでございますが、今回の特例措置によって、大体そういう希望達成ということが実際に実現されるものかどうか、こういう見通しについてこの際承っておきたいと思います。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 現在までに引き揚げ医師の特例試験とかあるいは予備試験などにおきまして、合格いたしておる医師は千八十九名、歯科医師は八百九十五名になっております。三十五年の秋、つまり最後の受験者が、医師が六十六名のうち、合格名は十六名、不合格は五十名ということになっております。歯科医師の方は受験者が八名で、三名合格いたしまして、不合格が五名になっております。今までに大部分の人が合格して、今受験を希望する人は、日本引揚医師会などの名簿によりましても、医師、歯科医師合わせて八十一名ということになっておりますので、八十名程度の人がこの最後の試験を受けるようになるかと存ずるわけであります。実は従来の試験でたびたび不合格になっておる人が多いので、必ずしもできる人ばかりじゃないわけですけれども、最後の試験でございますし、この特例試験の趣旨から見まして、できるだけ私の方もお世話をして合格をするように、それから今お話しの目的をできるだけ達成するようにしたいというふうに考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 この資格問題が、事人命に関する問題ですから、きわめて重要でございます。そこできわめて重要であるだけに、この問題に対する処置については慎重でなければならぬ。ただ温情だけでは困るということになろうかと考えます。ところが実際問題としては、今局長からも御答弁がございましたように、三十五年秋においては、医師の方は六十六名受験をして十六名の合格で五十名の不合格、歯科医師の方は八名の受験者の中で三名が合格で不合格が丑名というふうに、不合格が圧倒的でございます。そうしますと、なるほど希望を持たせるための一つの特例措置ではあるけれども、その希望を達成するということが、少なくとも三十五年秋の実態ではなかなか困難ではなかろうかというふうな予想を立てるわけです。  そこで、これは事人命に関する資格の問題で、きわめて重要な職種でございますので、慎重を期さなければなりませんけれども、この提案の趣旨から申し上げますると、その希望を達成するために万全の措置が行なわれなければならぬ。そこに私は非常に微妙、複雑な問題があろうかと考えるわけであります。さればといって、われわれ法律に取り組む態度としては、こういう特例処置が漫然と繰り返されることは、これは立法府でも適当な処置とはいえないということで、考えれば考えるほどこの問題はむずかしいと思うのです。しかしせっかく提案されたわけでありますから、私どもの念願といたしましては、この提案の趣旨が完全に達成されることが最も望ましい点であるわけです。そういう点について、実際問題として、今私の念願いたしまするような方向になり得るものかどうか、そういう点の見通しについてはいかがでございますか。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 先ほども申しましたように、大体成績の悪い方が残っておるような状況でありますので、うんと一つ勉強してもらわなければならぬように私は思うわけです。そうして人数も比較的少ないのでございますから――準備も相当やってもらわないと、それを受けて、実際に合格しなかったということになると、その試験を延期したという趣旨に沿わないわけでございますので、そういう点で、三十七年度は秋に一回試験をやりますので、それまで十分一つ勉強をしてもらいたいというふうに考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 今日御承知のように、医学の進歩が急速なテンポで進行しておる。それから学制の改革等によって従来の医学のあり方とは、本質的には変わらぬけれども、技術的には若干変わりつつある、変わってきておるように私は理解するわけです。そこで新しい今日の試験制度と申しますか、実際に、医学そのものについては相当の理解度があっても、今日の新しい試験制度にそういう理解というものが乗るか乗らぬかという問題が若干あると思う。実際私も医師の一員でありますけれども、今国家試験を受けて、当時は自信があったとしても、はたしてりっぱな成績を上げるかどうか。そういう点もありますので、私は、ある程度のそういう意味の指導――試験に手心を加えることはなかなか慎重を期さなければならぬ問題ですから、なかなか重大問題だ。そこでやっぱり今の試験制度に、今持っておられる医学上の実力というものが乗るように、そういう指導を行なうということ、単に勉強しなさい、勉強しなさいということも必要でございましょうけれども、のみならず、具体的な何らかの指導によって、今回の措置に盛られた精神が達成されるというふうになると非常にけっこうだと思うのでございますが、具体的にどういう指導をやられようとするのか、単に抽象的に勉強しなさいということだけであるのか、具体的にやっぱり何らかのそういう意味の指導をやって、これはぎりぎり最後ということでもございますので、最後の機会においてめでたく希望が達成するようにされようと考えておられるのか、これらの点について若干お尋ねしておきます。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 御承知のように昨年も私の方でいろいろ世話をいたしまして、医師については三カ月、歯科医師については二ヶ月の講習会をいたしたわけでございます。今度の場合も引揚医師会の代表の方が見えまして、今度は相当長期の講習会をやりたいというようなお話もありましたので、今お話しのような、医学の進歩に対する医師のあり方というような面につきましても、その講習会の中へ織り込んでやっていただくように、そういう指導をいたしたいと思っております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 この特例措置が提案されるについては紆余曲折もあったと思うのです。しかしながら本法案が上程されました以上は、この法案の趣旨が実際に達成されるように私どもは特に希望をいたすわけです。それについては、一つ適切な御指導が行なわれるように特に希望を申し上げたいと考えます。また、今事務当局からいろいろと御答弁がございましたので、そういう御答弁の趣旨が具体的に実現されて、そしてわれわれの提案の趣旨というものが必ず生きるように、われわれは特に考えて参りたいと考えております。そこで、提案の責任者に対して、最後に、今いろいろと事務当局からも御答弁がありましたようなことについて御所見を承っておきたいと思います。

小沢辰男自由民主党

○小沢(辰)議員 河野委員の御趣旨は、人命を扱う大事な医師であるから慎重を期さなければいかぬが、同時にまた残る八十名の方々についてこういう道を開く以上は、やはりこれらの人が十分医師としての将来が立ち得るような何か考慮を払う必要があるというようなお尋ねだと思うのでございますが、本提案の趣旨も全くその通りでございまして、私どもといたしましては、この法律が成立しました上は、政府においてそれらをよく勘案されまして、八十名の方々がその試験までの期間に十分訓練あるいは勉強の機会を得さしていただいて、この立法の趣旨が十分生きますように努力されますことを心から念願しているものでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 この際、今のことに関連をして一、二の点について簡単にお尋ねを申し上げておきたいと思います。  今回の特例措置も、過去における実績と申しますか、既得権と申しますか、そういうものを尊重するという建前が基本になって提案をされたというふうに理解をするわけです。そこで、これは今日までたびたび問題になっておりますけれども、そういう問題の一つでございますが、保健婦助産婦看護婦法、この中にある看護婦と准看護婦との関連について、そのことを論議する機会ではございませんので、簡単にお尋ねをして御所見を承っておきたいと考えます。と申しますのは、この第五条では、御承知のように、看護婦の職務に対する規定があるわけです。それから第六条には、准看護婦に対する規定があるわけです。ところが実際に行ないます職務そのものは、「傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助をなすことを業とする」ということが、それぞれの職務である。ところが、一つ異なります点は、准看護婦の場合は、医師、歯科医師または看護婦の指示を受けて今の職務を行なう。この点では若干の相違があるわけです。ところが、本質的には、今申し上げますように、一方では自主的にそういう業務を行なうことができる、一方では指示によって行なわなければならないということでありますけれども、具体的な職務内容はほとんど変わらない。そういたしますと、そういう同じ職務内容を積み重ねていくことになる場合には、当然そういう准看護婦制度に対する特例措置が行なわれるべきではなかったか。なるほど法律的には第二十一条によって行なわれるようにはなっておりますけれども、しかし実際問題として、文部大臣が指定する学校あるいはまた厚生大臣が指定する看護婦養成所というものにそれぞれ入学をし、入所をしなければならぬということでございますので、実際生活権の問題を考えて参る場合には、そういう道は講ぜられておりますけれども、なかなかそういう道を選ぶことは困難だ。そこで、今提案されました特例措置とはやや趣を異にしますけれども、そういう実績を尊重するという建前から申し上げますと、この点においても、私は相当の考慮を払わなければならぬ問題ではないかと思います。ところが、今日非常に私ども困っておりますのは、医療法の中で、いろいろ運営する中で、こういう看護婦、准看護婦という問題がいろいろ員数の上で規定をされて、運営上支障を来たしている面もあるということであります。こういうことを論及することが本日の主題ではありませんので、私は深くは追及いたしませんけれども、そういう問題もこの際ぜひ考慮する一つの大きな機会ではなかろうかというようなことを考えますので、きょうはそういうものをこの機会に提案をしておくという意味で、私は若干厚生当局の御意見なり御所見を承っておきたいと考えております。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 ただいまお話の准看護婦というものが業務上は看護婦と別に変わらないのに、それが准看護婦という身分に置かれているために非常に不満があるということは承知いたしておりまして、この問題は一つ制度として再検討を要するのではないかというように考えております。少なくとも准看が看護婦になれるような道を広くすることが肝要だろうというように考えまして、この点を研究いたしております。  なお、基本的な制度問題につきましては、これはちょうど医療制度調査会がございまして、医療関係者の問題に取り組んでもらっておりますので、そこでも一つ検討してもらうことにいたしております。確かに、お話しのように、重要な問題だと思いますので、将来慎重に検討して参りたいと思います。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 労働大臣が御出席でございますから、最後に、本日一つ意見を提案するという意味でもう一点だけ申し上げて、御所見を承っておきたいと考えます。  それは、やはり今申し上げました保健婦助産婦看護婦法の中の第六十条の点でございます。この六十条によりますると、男子である看護人については、この法律中、看護婦または准看護婦に関する規定を準用するということでございます。そこで、御承知のように、新憲法では男女同権である。ところが男子の場合は、今申し上げまするような資格を実際に取得いたしましても、この法律の中では、看護婦法を準用するという建前がとられておるわけです。そこで将来、男子の場合も一人格として当然取り上ぐべき問題ではなかろうかというふうにも私は考えるわけです。きょうは先ほどから申し上げまするように、この問題を取り上げる場でもございませんので、そういう点に対しまする御意見もこの際承っておいて、今後さらにいろいろと論議を重ねて参りたいと考えるわけです。そこで、この六十条の点に対しまする御所見を承って私の質問を終りたい、かように考えてます。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 看護婦の場合も看護人の場合も、業務内容が同じでございますので、別に看護人に対しまして特別な規定を設ける考えは今持っておらないのでございますが、ただ最近はその看護人という名称がふさわしくないというような意見が出ておりまして、そういう点については、今後一つ法改正の機会に検討してみたいと考えております。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 他に三案についての御質疑はありませんか。――なければ、三案についての質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――

中野四郎自由民主党

○中野委員長 次に、三案を一括して討論に付するのでありまするが、申し出がありませんので、直ちに採決に入るに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野四郎自由民主党

○中野委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  これより採決をいたします。  環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の一部を改正する法律案、医師及び歯科医師の免許及び試験の特例に関する法律案、医師国家試験予備試験及び歯科医師国家予備試験の受験資格の特例に関する法律案、右三案を一括して採決いたします。  三案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

中野四郎自由民主党

○中野委員長 起立総員。よって、三案はいずれも原案の通り可決すべきものと決しました。  ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野四郎自由民主党

○中野委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。      ――――◇―――――

中野四郎自由民主党

○中野委員長 次に、労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  発言の通告がありますので、これを許します。赤松勇君。   〔委員長退席、柳谷委員長代理着席〕

赤松勇日本社会党

○赤松委員 通常国会の予算委員会の分科会で、私から企画庁の長官、それから労働省当局に対しまして、自由化の問題について質問をいたしました。その際、当時労働省の発表いたしました所得倍増計画の中におきまして、貿易の自由化に伴って日本経済にどういうような影響があるか、さらに雇用の問題、賃金の問題、諸般の影響について質問したわけであります。その際労働省が資料として発表しましたのは、この貿易の自由化によって影響を受ける労働者の数は、これは推計でありますが、鉱業、製造業、食料品、パルプ、化学、鉄鋼、非鉄金属、機械、電気機器、輸送用機器その他合計この常用労働者が六百二十八万一千四百十五人、これに対して直接悪影響があると予想される労働者の数は百六万三千六百人、こういうように発表されておるのであります。そこで、迫水国務大臣に対しまして重ねてこの点について質問をいたしましたが、当時企画庁の答弁としては、池田内閣のいわゆる所得倍増十カ年計画というものは一つの目安であって、計画そのものではない、従って、企画庁としてはこの貿易の自由化によって受ける影響等について今具体的に答弁はできない、こういうような答弁があったわけであります。最近になりまして国際情勢が変化をして、来年の十月一日までには日本経済の九〇%が自由化されるということが、すでに国際会議におきましても決定を見ております。従いまして、当時労働省の予想いたしました百六万三千六百人というところの自由化の影響を受ける労働者の数は、もっと飛躍的に増加する、このように当然予想されるのでありますが、これについて労働省の方はどのようにお考えになっておるか、御答弁を願いたいと思います。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 数字的のもの等にわたって詳細な点は、なお政府委員からも申し上げることにいたしたいと思いますが、貿易自由化と関連いたしまして、合理化等が繰り上げられるというような事情等よりいたしまして、ただいま赤松さんが御指摘になるような意味においての影響はいろいろあろうかと存ずるわけでございます。悪影響という表現で言われましたが、そういうような意味における数字の変動もあろうと思いますし、また必ずしも悪影響というような影響でなくて、やや長期的に見ますと、いい影響というような意味での数字的な変動もあろうかと存ずるのであります。これは将来のことでございますので、必ずしも的確な数字等までいかないかと思いますが、ただいままでの調査の結果のものを政府委員から申し上げることにいたしたいと存じます。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 先般、ただいま先生から御指摘のありましたような自由化に伴う労働経済に対する影響を、労働省におきまして部内的に試算いたしたことはございます。必ずしも発表いたしたわけではないのでありますが、新聞等に出たわけで、先生もただいま御指摘になったようなわけであります。その後、自由化の範囲につきましても、速度につきましても、いろいろ変わって参りますし、また、その具体的な影響というものもどの程度のものになるのか、この辺私どもの方で現在鋭意検討中でありまして、まだ具体的な数字をもって申し上げる段階には至っておりませんので、御了承いただきたいと思います。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 大島政府委員も予算委員会に当時御出席になりまして、私の質問は詳細にお聞きになっておったと思うのです。私はこの問題を政策の問題として考えてはいない。つまり、制度的な問題として取り上げておる。と申しまするのは、迫水国務大臣に最後に私が申し上げたのは、政府が所得倍増十カ年計画を立てても、いわゆる自由競争生産の上に立っておる資本主義の構造の上でそういう計画経済をやろうと思ってもそれはだめなんだ、必ずくずれるということを前提として私は当時申し上げたわけであります。ところが、政府当局から、その貿易自由化に伴う影響等について具体的な説明がない。非常に遺憾であったのでありますけれども、当時労働省部内で検討されました自由化の影響、これは大体日本経済の何パーセントくらいが自由化するということを前提として討議をされたのか。今は九〇%ですね。これは去年は予想されなかった数字なんです。ことしの初めも予想されなかった数字なんですね。当時労働省の部内で検討されたところの、大体自由化はどれくらい進むのだという、その速度、範囲、そういったものは何を土台にお考えになりましたか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 当時私どもの方の統計調査部におきまして具体的に試算いたしておりました時分におきましては、自由化の範囲にいたしましても、スピードにいたしましても、まだ政府の方針として確定的なものがなかった時代でありまして、従って、私どもの方の試算も、必ずしもどういった産業において何パーセントというような形で試算いたしたものではないのであります。大体予想せられるような産業につきまして、その所属労働者でありますとか、そういうものを大まかに試算いたした程度でありまして、具体的に申し上げる程度の確たる基礎に立った試算とは申し上げられなかったと思います。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 迫水国務大臣がこういう答弁をしておるのです。全体的としては影響を受ける、同町にまた影響を受けない方面にそれが流れていくということで、全体的の計算では、十年間で千二、三百万人雇用が増大する、こういう計画になっておるということで、当時企画庁が私どもに答弁しましたその計画の内容は、要するに十年間で千二、三百万人雇用がふえる、こういうことであります。これはあなたはそのときに聞いておられたと思うのですが、その見通しは変わりありませんか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 その後の情勢の変化等によって、労働経済に及ぼす具体的な影響につきましては、現在私どもの方の統計調査部を中心にいたしまして検討中でございますので、その後変化があったか、現在はどうかという点は、ただいまちょっとお答え申し上げかねる状態になっております。御了承いただきたいと思います。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 そういたしますと、政府の計画というものはまるでないということになるじゃありませんか。これは通常国会のときの質問で、十年間で千二、三百万人雇用がふえる、農村の方からは六割雇用構造の中に入ってくるというように政府は計算しておった。ところが、外国の圧力で急に自由化の範囲と速度が進んで、当時三〇%と予想されておったものが、今度は九〇%近くまで自由化しなければならぬ。すでに、自由化される品目等についてはもう明白なんでありましょう。従いまして、その影響というものを見通すことはそう困難ではないと思います。もしそういうことが検討されていないとすれば、政府なり労働省の怠慢であると私は思いますが、この点はいかがですか。

松永正男労働事務官(職業安定局失業対策部長)

○松永説明員 ただいま御指摘になりました所得倍増計画におきます雇用者の増の見込みは、ただいま赤松先生がおっしゃいましたように、昭和四十五年度におきまして雇用者が三千二百三十五万人になるという計画でございまして、これが基準年次が千九百二十四万人でございますので、増加の数といたしましては、御指摘のごとく約千三百万人の雇用者が増加するという計画になっているわけでございます。この長期的な見通しにつきましては、所得倍増計画の見通しとして、四十五年度までにこれを達成するということにつきましては変わりがないというふうに私どもは理解をいたしております。  そこで、貿易自由化の問題でございますが、先ほど先生が御指摘になりました百万人という数でございますけれども、これは労働省の正式の見解ではございませんで、統計調査部の中におきましていろいろ研究をいたしました際に、あの時点におきまして直ちに一〇〇%貿易の自由化がなされたときに、その現状の競争力におきましてどれだけの影響を受けるものが出るであろうかということの一つの試算であったわけでございます。従いまして、それらの数の条件が、前提条件がいろいろございまして、その時点におけるそのままの状態の競争力なり、企業経営の内容なり、品目別の状況というようなものが前提になっているわけでございまして、これを一応試算として研究的にやったということでございまして、労働省の見通しは、そういう百万という数が直ちに影響を受けるというふうな公式の見解をとったわけではないのでございます。具体的には、来年の十月までの品目別のそれぞれの自由化の計画が進んでいるわけでございますが、その結果、雇用面にどのような影響があるかという点でございます。   〔柳谷委員長代理退席、委員長着席〕 これにつきましては、ただいま大島政府委員から御説明を申し上げましたように、具体的にはそれぞれ関係各省との間におきまして検討をいたしておるところでございますが、結局、それぞれの産業の品目別の競争力、あるいはその影響を受けた場合の生産の品目転換が可能であるかどうか、また、労働の面におきまして、企業内における労働転換がどの程度行なわれるものであるかどうか、また、新しい技術の指導をどの程度弾力的にやると指導効果が上がっていくかどうか、また、個々の産業の労働者の技能程度が職業訓練等を通じてどの程度やれるかどうか、労務管理面からの改善が行なわれるかどうか、こういうようないろいろな総合的な要素を検討した結果、影響というものが測定されてくるわけでございますが、それぞれの産業なり企業なりにおける規模の問題、技術の程度の問題等々がございますので、貿易自由化によりまして、来年の十月までに具体的にどの程度の離職者が出るであろうかというようなことにつきましては、現在労働省といたしまして検討中でありまして、具体的な数字は出ていない現状でございます。しかし、全く影響がないということは考えられませんし、特に中小企業等におきまして影響を受けるものもある程度出て参るということも予想されますので、こういう自由化の進展に対処をいたしまして、労働省の政策面からいたしましては、たとえば転職訓練等の拡充をやる、あるいは広域紹介等の事業を拡充をいたしまして、労働力がさらに流動性を増すようにという対策につきましては、今検討をいたしておりまして、来年度の施策においてこれらのものを盛り込んだ対策を実施して参りたいというふうに考えておる次等でございます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 そこで、これは労働省だけでもっていろいろな試算もできるものではないと思うのです。やはり全体の政策全般にわたって集約してみなければ、そこには結論が出てこないと思う。しかしながら通常国会における政府の見通しが、いわゆる経済政策の失敗によって大きく変わって参りました以上、当然そういう転換あるいは政策修正の結果出てくる数字等につきましては、いろいろ今御答弁のように検討されておると思う。大体いつごろそういうものが明らかになりますか。

松永正男労働事務官(職業安定局失業対策部長)

○松永説明員 いつごろという御質問に対しまして、はなはだ恐縮でございますが、われわれといたしましてはできるだけ精密な検討をいたしまして、見通しについてもできるだけ早くつけたいということで勉強はいたしておるのでありますけれども、いつごろということを今申し上げることはちょっと自信がございませんので、はなはだ恐縮でございますが……。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 来年の十月一日といいますと、まあ、一年でございます。従いまして、自由化される品目は明らかなんですから、当然その自由化によって受ける影響というものをはじき出すのはそうむずかしくはないと私は思うのです。その影響がどの程度あるか、それを明らかにすることはちょっと困難だというような答弁では大へん困るのであります。これは来年度予算にも当然影響を受けますし、御承知のように今の日本の二重にも三重にも四重にも複雑な雇用構造の中で、いろいろな形で労働力の流動が行なわれておる。そういう中で、やはり一定の雇用の見通しなりあるいは流動の見通しというものを政府の方が持っていないことには労働政策が立たぬじゃありませんか。従ってそういうことをいつごろ一体発表されるのであるか、これを重ねてお聞きいたします。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 事務当局は、数字的正確を期する意味において先刻のようなことを申し上げるのも、私といたしましてもよくわかるのでありますが、赤松さんただいま御指摘のように、労働省におきまして、たとえば今お話のありました労働力の流動性を増す措置あるいはその他転職訓練等いろいろなことをやるにつきましても、ある程度の見通しをつけて、数字的根拠によって予算の要求等もいたさなければならないことは当然でございます。さような意味においての数字は、もちろん予算折衝と関連いたしまして、それ以前に労働省としての見方において折衝いたしまするから、従ってその数字も出て参るわけでございますが、先ほど事務当局が答えましたのは、実際にどういうように現実的に自由化等が推移していくだろうかということについての数字的なものをはじき出すには、なかなか労働者だけの資料をもってしては完全に正確ということは期し得ないという意味の大事をとっておるのだと思います。ただいま御注意のありましたような趣旨においての作業は極力進め、かつ来年度予算の要求と関連いたしまして遅滞なきように善処せしめるよう、私も責任を持ってそういうことに努めたいと存ずる次第でございます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 続いてお尋ねをしたいのは、先般日経連の集会におきまして、前田専務理事が来年度の日経連の労務対策について報告をしております。それによりますと、日経連は来年度の労務対策として、特に賃金の問題については、ドロップをさせるとは言っておりませんけれども、賃上げの限界を示しておる。そうして賃上げを押えていこうという方針を明らかにしておるわけであります。ことしの春闘の際に公労協の裁定が三千円ありまして、これを政府がのんだ。その際に日経連が政府を攻撃いたしまして、特に石田労働大臣に対しましては、労働者を甘えさせるものだ、つまり経営者に対して屈服的な賃金を押しつけた、こういうように抗議をしております。また池田内閣にも申し入れをしたというように当時新聞が報道しておりました。ところがその際、池田総理が新聞で談話を発表しましたが、日本の労働者の賃金は安いのだ、低いのだ、この賃金を引き上げるということは、所得倍増計画の根幹をなすものだ、こういう談話を出したわけです。そういたしますと、なお日本の労働者の賃金が低いのだという池田政府の認識、それに対して経営者の方は賃上げを認めていけないのだ、こういう賃上げの限界を明らかにした。一体その間のコントロールはどのようにつけていかれる考えでありますか。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 民間賃金の決定につきましては、御承知のごとく、政府が強く積極的に賃金統制等をなすような方法を現段階においてとるべきでないということは、今までと同じように私は考えておる次第でございます。そこで数字的に比較いたしまして工業水準度の高い、いわゆる先進国の多くのものに比較いたしますと、日本の場合はまだ低い方に属するということは、私もよく認識いたしておるところでございます。従って日経連がああした見解を表明いたしましたが、これはもう日経連は日経連の立場においてそう言うのでありますから、そういうことを言うことはまかりならぬとかなんとかいうことは、私どもは言うべきでないと存じますが、まあ、日経連の前田君が申しました内容は、私はきわめて詳細には存じませんけれども、もうこれ以上あまり賃金値上げの余裕がないというような意味の表現だったように私は理解しておるのでありますが、日経連の関係の事業にもずいぶん千差万別がありまして、なかなか一がいに言えないんじゃないかと考えられるわけでございます。中にはうんと上がってしまって、あまりこれ以上どうにもならぬという事業もありましょうし、またそれほどまでにいっていない事業もあるいはあるのじゃないかというような感じが私自体としてはいたすのでございますが、私自身といたしましては、生産性の向上と見合いつつ、わが日本の労働者全体の労働条件の向上はなおこの上とも望ましい、こういうように考えておる次第でございます。  そこで赤松さん、ただいまどういうようにするかとおっしゃいましたのですが、少なくともああいうような話があったのはごもっともであるから上げない方がよろしかろうというふうなことを、私どもの立場において申すつもりはございません。従来の基本的な考え方に変わりはない、こういうふうに申し上げる次第でございます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 むろん民間賃金に対して政府は干渉すべき性質のものではない、その通りであります。ただ、公務員なりあるいは公労協関係の労働者の賃金の場合は、当然それに対しまして政府の予算関係が伴いますので、念のために、お尋ねをしましたが、今お聞きをすれば、以前池田内閣の通常国会で説明をされた方針に変わりはない、依然日本の労働者の賃金は低いんだということがそのまま答弁になりましたので、そのことは時間がありませんので一応その程度にとどめて、なお賃金の問題につきましては大原代議士から申し上げることになっておりますので、私が次に進みたいと思います。  その次にお尋ねしたいのは、各国の資本蓄積率を見てみますと、日本の場合が一番高いわけです。これは一九五七年の統計ですけれども、三三・九%という数字を示しております。アメリカは一七・五%、イギリスは一七・三%、西独は二四%、こういう数字が出ておるわけです。次いで総供給に対する需要の割合を見ましても、投資の面では日本が三四、つまりアメリカの一四、イギリスの一三、イタリアの一九、それからフランスの二八、西独の一九をはるかに抜いて三四。ところが個人消費の面では、これは一番低い四二という数字なんです。西独は四八、フランスは五七、イタリア五六、イギリスは五五、アメリカが五二、それに対して日本は四二というふうに非常に低いわけです。資本の蓄積及び投資が圧倒的に日本は多いのに、個人消費が非常に少ない。これと戦前の比較ははたして妥当かどうかは別といたしまして、統計によりますと、総供給に対する需要の割合は、昭和九年から十一年度を基準年度として、それで見ますと、個人消費が五三になっているわけです。投資は一二で個人消費が五三、こういうことになっておる。ところが三十五年に至って、個人消費は四二、それから投資は三四というように、非常に投資の面が伸びて、個人消費の方は逆に戦前の昭和九年から十一年を基準年度とするところのそれと対比して落ちている。このことは日本の勤労者の消費の内容にもやはり影響を与えておると思うのであります。つまり政府の方は、非常に消費が伸びた、たとえば一例といたしましては、労働者の家庭にテレビが入ったじゃないか、あるいはラジオが入ったじゃないか、電気洗たく機が入ったじゃないか、こういうようなことを盛んに言われますけれども、先般、婦人少年局がアンケートをとっております。このアンケートの範囲は非常に狭いわけです。だからこのアンケートそのものが、消費の内容を的確に出しておるかどうかということにつきましては、これは議論があると思うのでありますが、しかし婦人少年局が絶えず勤労家庭に対するところの関心と配慮を払っておるということは、りっぱなことだと思うし、ぜひそういう作業をどんどん続けてもらいたいと思うのでありますけれども、この中をいろいろ検討してみますると、子供の勉強の机のない家にテレビが入っておるというような事実、これは実態調査で出ております。私もここに数字を持っておりますけれども、もう数字は申し上げませんが、全体的に見れば住宅の狭小度、これは外国と比較すれば問題にならぬと思うのです。これは三畳半くらいじゃなかったかと思うのでありますけれども、非常に狭小度が強い。つまり住宅とか――衣類の場合は若干上がっておりますけれども、住宅とか食費というもの、そういう生活の基本要件というものが犠牲になって、その犠牲の上にテレビや電気洗たく機が購入されている。従ってこれは健全な消費の発展を示すものではないと思うのです。ヨーロッパ、アメリカを見ますると、この基本的な生活必需品というものと、それから今言ったテレビとか、あるいは電気洗たく機といったようなものは、総合的にバランスをとりながら、これが伸びておる。ところが日本の場合にはそうではなしに、びっこなんですね。生活必需品が犠牲になって、その上にテレビやあるいは電気洗たく機が購入されている。これはいろいろな面があるでしょう。たとえて言いますると、どうしてこういうように伸びてきたかといえば、一つは誇大広告のそれもあると私は思うのです。これはいずれこの委員会で私はこの問題を取り上げてみたいと思うのでありますけれども、今の大衆の欲望というものは、これは必需品を求める必然的な要求として出てくるよりも、むしろいろいろな広告宣伝などによってその欲望が創造をされ、作られるということの方が強いような感じがするわけなんです。それから第二の要因としては、これはそこに並んでおられる労働者のお役人、失礼ながら給料はあまり高くないと思うのです。しかし皆さんの家庭にはおおむねテレビがあると思う。そのテレビを購入される動機というものはいろいろあると思うのです。たとえば野球の好きな人、相撲の好きな人、子供にせがまれた人、隣がテレビを買ったから買うというみえもあるでしょう。その動機や要因はいろいろあると思うのですけれども、今日テレビや電気洗たく機やラジオを持っているということは、ぜいたく品でも何でもなしに、生活必需品になっているのではなかろうか、つまりテレビや電気冷蔵庫あるいは洗たく機を持っておるということが、何か労働者の生活が飛躍的によくなったというのではなしに、それは今ではもう生活必需品になっている、従ってわれわれが賃金計算をする場合には、当然こういう生活必需品というものが、時代推移、発展につれて消費内容は変わってきているのですから、そのことも含めて計算をするということは、私は決して無理なことではない、こう思うわけです。これが戦前の場合ならばいろいろ問題はあるでしょうけれども、今日ではもう明らかに生活必需物資です。その普及度におきましても、日本は非常に高いのです。高いが、その普及の仕方というものは、今言ったように一方においては誇大な宣伝が行われる。他方においては生活必需物資が犠牲になって、その犠牲の上に購入をされておる。こういうように家計費というものが、その内容が変わってきつつある、こう考えるわけであります。従いまして婦人少年局が調べたように、子供の机を買うためにテレビを売るべきかといえばそうではなしに、やはりテレビも電気冷蔵庫も電気洗たく機も必需品だ。同時に子供の勉強机も必需品だ、こういう考え方の上に立って賃金というものが計算される、あるいは生計費というものが計算をされる。そしてそういうものを対象として経営者も賃金のことを考えていくということでなければ無理が出てくると思うのでありますが、こういう点については労働省はどういうふうに考えていますか。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 労働者の生活内容がより豊富になるということは、労働大臣たる私、心からこれを願うものでございます。今赤松さんから人情の機微に触れられ、いろいろな例を引かれて御見解の表明もあったのでありますが、婦人少年局がああした作業をした、婦人らしいきめのこまかさでああした作業をするということも、私大へん意義深いことのように考え、ますますそういうことをやるようにさせたい、こう思っておるのでございます。たまたまそこから出ました資料によってきわめて具体的な表現でお話があったのでありますが、生活必需品にテレビまでがそうか、電気洗たく機までがそうかということになりますと、これはなかなかむずかしいこととは思いますが、先ほど申しましたように生活内容を豊富にしていくというような意味から、できるだけそうした文化的な施設による生活の向上ということも望ましいと考えております。ただ現実に数字をはじき出します場合に、今ここで私がテレビまではどうとか電気洗たく機まではどうとかという表現はできないのでございます。考え方の筋といたしましては、先ほど申し上げましたように考えておる次第でございます。生産性向上の成果なり企業の所得増大なりという、そういうようなものについては、私としては労働者の労働条件の向上に、また一方においては消費者、国民大衆の負担軽減という意味からいって、そういうような利益がたくさん出るような場合には、消費者物価への影響を考えて、製品そのものが安くなるということも望ましいのでございます。また一面企業そのものの体質改善といったような面にも向けられることも望ましいのであります。そこで初めにいろいろお話がありました点と関連するわけでありますが、日本経済の実態というものが先進ヨーロッパ、アメリカ等の諸国に比較いたしましてまだいろいろ追いつかない点等があるようなことからいたしまして、先ほどおあげになりましたような傾向等もあるわけでありますが、過渡的に一時的にどうあるかということはともかくといたしまして、長期的に見まして、たとえば先ほど私が申し上げましたような表現における三つのもの、また赤松さんは資本蓄積と消費生活の内容等に触れてのいろいろの比較等を示されたのでありますが、いろいろの面から表現できると思うのでございますが、私といたしましてはそれらのものが適当なバランスを保つということが望ましいと考えておる次第でございまして、そういう意味から必ずしも現在の姿が、これで最もよろしいのだなどというように考えている次第ではないことを御理解いただきたいと存じます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 私はこの委員会で、たとえば総評などの言う貧乏人根性を捨てろという意味は、そういうことを意味していると思うのです。つまり賃上げの要求にあたって、新しい生活実態を基礎にして賃上げを考えなければならぬ。これは政府自身が賃金を見る場合におきましても、やはりそういう新しい角度から見てもらいたいということを申し上げたわけでありますけれども、特に年間のテレビその他の広告費を見ますると、千六百億円に達しておる。そうすると国民一人当たりに約千六百円負担がかかっておるわけです。その宣伝費あるいは広告費が消費者の利益になっておるかといえば、消費者の利益になっていないわけです。このことは逆に消費者がそれだけ負担しておるということになるわけですね。そこで政府の方で、最近の新聞報道によりますと、誇大広告等についてあるいは景品、クイズなどをつけて売り出すところのああいう広告のやり方に対して、これを規制することを考えておるということを私は新聞で見たわけでありますけれども、この点は超党派的に考えていかなければならぬ問題だと思うのですね。こういう傾向が助長されますと――私は正しい消費生活、そしてレジャーを正しく楽しむということは大へんけっこうだし、またそうなければならぬと思うのですけれども、要するに先ほど申し上げたように、今の物の買い方、あるいは物の買わせ方というものは、つまり消費構造というものが純粋に消費者の欲求順位によって決定されてはいない。むしろ独占資本の宣伝広告という物質力によって左右されておる。左右されておるというように言い切っていいかどうかは別問題としまして、相当大きな影響を受けておる。たとえば薬の宣伝などもちょっとテレビで見ると、あの薬を一つ買いたい、こういう欲望が起きるわけなんですね。ですからわれわれの消費生活を正しくする、意義のあるものにするということのためには、ああいう傾向は排除するか是正していかなければならぬ、こういうように思うわけであります。今、日経連の力では盛んに賃金の限界などといっておりますけれども、大蔵省の法人企業統計によりますと、これは三十四年度なんですが、六カ月の決算会社、大体最大百社の売上高及び利益金を出しておりますが、全国で売上高は十三兆九千億、この中にはもちろん私はサービスも入っておると思うのでありますけれども、これに対して百社の売り上げは三兆七千七百六億円、大体全体の二割七分を占めておるわけです。そして従業員の数からいいますと、やはり二割七分なんですね。全体の三百七十二万百四十五名に対して百万です。約三割近い二割七分一厘ということになるわけです。ところが純利益の方を見ますと、四割七分二厘を占めておる。この最大両社の会社が全国の会社の純利益の中で四割七分を占めておる。そしてこれを製造業だけに限っていえば、実に六五%の純利益を上げておる。これは大蔵省の法人企業統計に出ております。そうしますと、ここで一体だれが犠牲になっておるかといえば、言うまでもなく中小企業及び零細企業が犠牲になっておる。また最近やかましい持株数を見てみますと、大蔵省の調べによりますと、株主の全体の九六%を五千株以下の人が占めておるわけです。九六%持っておりますけれども、しかしこれは株主全体の九六%であって、今度は株式数からいいますと、十万株以上の大株主が全体の〇・二%、そして所有株は四八%を占めておるということなんです。ここから一体何が出てくるかといえば、一見資本主義はその株式を大衆化しておるように見える。けれども、決して大衆化にはなっていない。依然として独占資本が大きくその主要な株を握っておるのだということが明らかになるわけでございます。ここに私は八幡製鉄、富士製鉄、日本鋼管、川崎製鉄、住友金属、神戸製鋼、この六大メーカーの大株主のリストを持っておりますけれども、株の二割五分、もしくは三割あるいは四割近くを占めておるものは銀行と生命保険と事業会社です。この三つによって占められておる。一例をあげれば、八幡製鉄の場合は三菱信託、日本興業銀行、大和銀行、富士銀行、東京海上火災、三和銀行、住友銀行、日本生命、三菱銀行、日鉄鉱業、以上の会社によって二〇%の株が八幡の場合握られておるわけです。そしてこの二〇%の株を所有する階級はだれであるかといえば、今言ったように銀行及び事業会社、いわゆる金融機関と事業会社が一体になっておる、戦前の日本の資本主義の構造からいえば、これは明らかに三井、三菱、住友、安田というような金融資本のもとに日本の資本主義が置かれて、そのヘゲモニーはこういう金融資本に握られておったけれども、今では資本主義が変容して、金融機関あるいは事業会社が合体してコンツェルンを形成して、独占が日本経済を支配しておる。そういう中で今言ったように莫大な、つまり製造業でいえば、わずかに百社が六五%の利益を占める。さらに全体をいえば、この百社でもって四七%の利益を占めておる。こういうような日本産業の構造の中で、日経連が貧上げの余地がないというのは全く不当なんです。われわれは、日経連が質金の限界をどこに置くか、そのことはよく知りません。よく知りませんけれども、少なくとも今日炭鉱労働者が要求しておるところの最低賃金一万二千円、これはあとで滝井代議士が触れますけれども、この一万二千円、あるいは私どもが要求しておるところの最低賃金、一般的にいえば八千円なんというものは、決して無理な、要求でも何でもない。むしろ日本の産業構造の中において、その下積みになっておるところの低所得者の所得の底上げをすることが、池田内閣のいうところの所得倍増計画の根幹をなす。すなわち有効需要を高める、購売力を高める、そして日本の資本主義をバランスをとりながら繁栄の道へ導いていくということの基本的な政策でなければならぬ。もし池田内閣がそういう政策をとるならば、われわれは制度の上において資本主義と社会主義の違いがあっても――制度の上ではわれわれは妥協しません。しかし政策の上においてそういうような方向を池田内閣がとるならば、私どもはそれに対して積極的な協力を惜しむものではないわけであります。ところがこの三月に日経連が、わずか三千円の賃上げに対して、屈服賃金を押しつけた、あるいは労働者を甘えさせたということから――私の判断が誤っておるかどうか知りませんが、石田博英君は気の毒に池田改造内閣からパージされた。これは日経連が厳重に抗議を申し入れて、当時石田労働大臣は非常にりっぱであったと私は思うのでありますけれども、ついに彼はこの財界の要求の前に屈服せざるを得なかった。そして日本の財界がとる来一度の賃金対策、労務対策というものは、一方においてはいわゆる生産性をさらに高める、他方においては賃上げの限界を示して全体として賃上げを押えていく、そして低賃金構造の上に、日本の為替、貿易の自由化に備えて合理化を進めていく、これが彼らの政策だと思うのであります。  従って、ここで特に申し上げておきたいことは、先ほど私はいろんな資料を提示して、日本の労働者の消費水準の低さ、またその賃金の低さ、それに比べて日本の独占資本の利潤がいかに莫大なものであるかということを申し上げたわけであります。おそらく来年の春になれば新しい賃上げの要求が出てくると思います。そういう場合には、労働大臣は石田君以上にりっぱな人であると私は思うし、新しい感覚を持った人であると思うし、私もずいぶん長い間つき合ってあなたのことはよく承知しておるけれども、今言ったようなことを頭の中に入れて労働政策をやっていただきたい、こういうように考えるのであります。  実はきょうは生計費の問題につきまして、なおこまかくいろいろ質問したい、こら考えておりましたが、権利放棄というわけではないけれども、僕は一般論をやれということで、一般論として今言っておきましたが、さらにまた労働大出に対してゆっくり質問する機会があると思うのであります。同僚議員がそれぞれ手ぐすねを引いて待っておりますから、明日は一日労働問題について社人会党が質問することになっておりますので、私の質問はきょうはこの程度で一応保留しておきたいと思います。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十六日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時三十九分散会

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