社会労働委員会 第9号
- 発言数
- 226 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/10/19
会議録
○中野委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の国民年金法の一部を改正する法律案、年金福祉事業団法案、児童扶養手当法案、通算年金通則法案及び通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案、以上五法案を一括して議題とし、審査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。滝井義高君。
○滝井委員 年金五法に関連をして、前の通常国会で質問をした点はやめにしまして、その後問題があるなと思われる一、二の点をお尋ねしたいと思います。 そのまず第一は、通算年金に開運をするところですが、今度の改正で、返還一時金、死亡一時金というものができてきたわけです。その場合に、通算年金を受ける年限に達したし、また受給年令も受けられるような状態になってきた、そうしてぽっくり死んでとまったという場合があるわけです。そうしますと、原資というものは、退職一時金の中から凍結をされるわけです。一部は払い戻されますが、凍結される、そして一回受ける、ぽっくり死んじゃった、こうなりますと、これは何ももらわぬわけです。一回もらっただけで、あとは凍結された金は返ってこないわけですね。返ってきますか。ちょっとそれを説明して下さい。
○小山政府委員 それはそれぞれの関係の年金法に規定してございますけれども、年金をもらうまでの間に、そういうふうに凍結された金について権利を持っておる者が途中で死亡しました場合、その遺族に対して一時金としてそれを返すというふうにそれぞれ規定しております。
○滝井委員 そうしますと、ちょっとそこをあれしましたが、遺族に返す分は、額はどの程度になりますか、凍結された額に比較をして。それから、利子をつけたものというわけにはいかないと思うのですが、利子をつけたものを返しますか。それとも、その二分の一ということになるのですか。
○小山政府委員 正確には、当たってみた上で、もし間違っておったら訂正させていただきますけれども、筋といたしましては、私どもが関係各省と話をいたしましたときには、元金にその間の利子をつけたものを返す、かようにきめる原則で調整しているはずでございます。
○滝井委員 そうしますと、それは法文の上に現われておるのでありますか。凍結をしたお金は死亡年金になるということは、条文の上に現われていないのじゃないかと思うのですがね。
○小山政府委員 関係各法の代表的なものが国家公務員共済組合の退職年金にございます。
○滝井委員 何ページですか。
○小山政府委員 三十六ページです。九十三条の二に「死亡一時金」というのがございます。朗読いたします。「第九十三条の二 第八十条第二項の退職一時金の支給を受けた者が、通算退職年金又は返還一時金の支給を受けることなく死亡したときは、その者の遺族に死亡一時金を支給する。2 死亡一時金の額は、その死亡した者に係る第八十条第二項第二号に掲げる金額に、その者が退職した日の属する月の翌月からその死亡した日の属する月の前月までの期間に応ずる利子に相当する金額を加えた額とする。」
○滝井委員 わかりました。 次はさいぜんちょっと問題にしておりました経過措置で、男子ならば三年、女子ならば五年の間に資格を喪失した場合は経過措置を置いてくれたわけですね。そして六十日以内に原資を凍結するか、一時金でいただくか、どっちかをきめなければいかぬわけです。この六十日が、今まだ通算制度というものが大衆の間に浸透をしていないですから、期間が短いという意見が相当あるわけです。これを今、少し延ばしてくれ、こういう要求を私たちはしておるわけですが、これを六十日ときめた理由ですね。三年、五年というのは、どういう理由できめたかわかりませんけれども、気持の上でそのくらいの期間はという気持になるのです。しかし六十日というのは、二カ月の間にどちらかをきめなければならぬということになると、資格喪失の後に、退職その他でばたばたしている、そのうちに、どちらをとるか言わなかったら、おそらくこれは凍結されることになってしまうと思うのですが、そこらあたりの余裕を、私は少なくとも半年なり一年くらいは置く必要があると思う。
○小山政府委員 これは、従来この種の仕事を扱っている経験のある人たちがいろいろ相談いたしました結果、二月あれば十分だということでこういうふうにきめたわけでございます。従って、実際の運用におきまして、これはそれぞれの共済を通じてやることですから、十分問題なく処理できるという確信を持って、それぞれの共済の方ではこういう日にちを申し出たわけであります。今のところ私どももだいじょうぶじゃないかと思っております。
○滝井委員 関係の団体その他から、これはやはり短いという意見が相当出てきているのです。修正の問題点にさいぜんしてもらっておりますが、これは別に六十日を六カ月にしたり一年にしても金が要るわけじゃないし、むしろ三年、五年を幾分延ばしてやったと同じ効果があるわけですから、これは大衆に利益を得させるという意味で、あまりこだわる必要はないと思うのです。まあ、専門家が腕に自信を持ってと、こうなるけれども、今後は通算の問題が非常に多くなるのですから、事務が輻湊する。そうすると、事務上の隘路その他も出てくると思うので、これはやはりある程度長い方が私はいいんじゃないかと思います。 次に、通算年金の原資の凍結率ですが、これは一体どういう工合に凍結をしておるかということですね。これは大ざっぱに年令五才くらいの間隔でしておるのじゃないですか。そうすると、その算術平均したものでとるとり方は、少し私は大ざっぱ過ぎるんじゃないかと思うのです。他の共済組合その他の年限の切り方は六カ月くらいになっておったと思う。ところが凍結される方は、五才ぐらいになって、非常に単位が違うわけですね。一方は六カ月刻み、一方は五年刻みということになりますと、これは百万円の買いものをした、そしておつりを二万か三万もらったというようなもので、こういう大ざっぱなものではいかぬのじゃないかと思うんですよ。もう少しこの通算年金の原資の凍結率というものをシビヤーに刻む必要があるのじゃないかと思うのですが、その点の考え方はどうですか。
○小山政府委員 これは滝井先生のおっしゃったような考え方の立場をとる方も事実いるのであります。ところがその考え方に対する一つの問題といたしましては、あまりにこれは自分の金だという意識を深める方向に制度を発展させますことは、それぞれの共済の中における相互扶助制というものの効果を出すことに妨げになるという面があるわけでございます。従って両方の面をいろいろ考慮いたしまして、これもずいぶん議論があった問題でございますが、もっと大刻みにすることが適当だという意見が一方にあり、他方には先生のようにもっと小さく刻んでいったらどうかという意見があって、いろいろ技術的な点を考慮した結果、それでは五年ほどというふうにしようじゃないかということで落ちついたという経緯でございます。
○滝井委員 これはどうも私、もうちょっとこまかく刻むことが必要じゃないかという感じがするのですかね。これは非常に技術的な問題になるので、損得どういうことになるのか、個別に少し当たってみないとわからぬと思いますけれども、どうもちょっと、こう大刻みになると何か不安があるような感じがするのです。 それから通算年金支払いのための統一した事務処理機関についてこの前一応質問しておいて、これは近くそういう方向に速急に一つの機関を作りたいということだったのですが、それぞれの年金会計で通算の場合に金を支払うということは非常に弊害があるわけで、一体これはその後何か進展しておりますか。
○小山政府委員 これは先先仰せの通り、いずれ将来そういう機関が必要になるだろうという考えを多くの者が持っているわけでございます。たださしあたりのところは発生件数も非常に少のうございますので、それぞれの制度で支払いをするということにしておるわけでございますが、すでに今までの討議の際にも現われておりますように、実際問題として日本では将来通算年金を受ける者の方が大部分になるわけでありますから、そうなれば支払いの問題についてもおっしゃるようなものをどうしても考えなくちゃならぬだろう、そういう意味でこの通則法の中にも、政令で定める機関に行なわせることができる旨を規定して、根拠を設けたわけであります。これをいつから作るかということについては、その後寄り寄り協議はしておりますけれども、ここ一、二年の間はしばらく実際のやり方を見た上にしようじゃないか、こういうことにしているわけでございます。
○滝井委員 その機関を一つすみやかに、どういう構想でやるか、次の通常国会くらいまでにはまとめてもらいたいんですがね。 もう一つは、この通算制度を実施することによって事務費が非常に増加をしてくるのです。通算制度が実施されると、少なくとも給付事務が退職一時金の受給に関する限りでも二倍以上に増加するのです。新たに通算年金、死亡一時金、返還一時金等の支給事務がこれに加わってくることになる。そうすると、これらの増加をする事務費というものをその会計でまかなうということになると、これはなかなか問題だと思うのです。こういうものに対する事務費というものは当然国が全部見るべきだと思うのですが、そういう心がまえ、これは単に国民年金なり厚生年金だけの問題ではなくて、厚生省以外のところでつかさどっている機関が足並みをそろえて要求しなければいかぬと思うのです。そういう事務費の国庫負担の増額についての見通しは、はっきりしておりますか。
○小山政府委員 原則は、先生のおっしゃったような原則で処理するということについては、関係省——これは相手は大蔵省で、それ以外は意見は一致しておるわけであります。要するに増加分は当然国費をもって見る。それは元来公的年金の事務費でございまするから、当然見ようというわけで、今でも全額国で持っているわけであります。各省それぞれ必要な費用は要求しておるわけでございまして、さしあたり厚生省では、厚生年金分として若干の費用を要求している、こういう実情でございます。
○滝井委員 それでいいです。 次は、大蔵省の方がいらっしゃっておりますから少し尋ねたいのですが、最近民間の企業に私的な退職年金というものが非常に普及し始めておるわけです。きょう特においでを願ったのは、ことしの四月一日から国民年金が発足をしたし、それから厚生年金も、そろそろ基盤を確立しなければならぬ時代に入った。きょうわれわれが最終的に国民年金をどうするかという態度を決定するにあたって、私的な退職年金との関係というものを、少しく大蔵省の見解も聞きながら、その内容をある程度はっきりする必要があるということを痛感をしたわけです。そこでおいでいただいたわけです。厚生大臣もおそらく私的退職年金についてはいろいろ御検討になっておると思います。従って、厚生大臣の見解もあわせて聞かしていただきながら、大蔵省の見解も聞きたいと思うんです。 私的退職年金が非常に普及をしてきた国内的な原因というのは、やはり戦後の日本の企業というものが、相当経営が健全になってきたということが一つあると思う。それからもう一つは、やっぱり労働組合自身の力が相当強くなってきた。労働組合の発展、そういうものが、国内的には、私的退職年金、企業年金と申しますか、そういうものを発展させた一つの原動力じゃなかろうかと思います。 それから、国際的に見ましても、アメリカあたりにおいて退職年金制度が非常に普及をしたし、それからILOにおいても、鉄鋼業における補足的年金制度に関する結論というようなものが一九五四年に出ておるのですが、こういう国際的な影響で、退職年金制度への本格的な胎動が日本でも始まったと思うのです。そこで、私たちが当初考えておったことが、相当予想外の伸びを最近は始めつつあるわけです。 そこでまず、これは大蔵省でも厚生省でも、どちらでもいいですが、現在日本においてこういう私的な退職年金制度を実施している民間の企業の数は一体どの程度あるのか、そしてそれを業種別に分けたならば、一体どういう企業がおもにそういうものを実施しておるのか、こういう点をちょっと明らかにしていただきたいと思います。
○松井説明員 現在企業の退職年金制度を設けております会社は、三十六年四月末現在で約二百四十社ございます。その八〇%が大体資本金一億円以上ということに相なっております。業種別のお話がございましたが、われわれの方ではその資料は現在持っておりませんので、御容赦願いたいと思います。
○滝井委員 こういう長期の年金制度を立てるというからには 企業の中に、こういうものに対する専門家というか、相当経験を持っている人がいなければならぬと思うのです。たとえば生命保険会社というようなところは、自分がいろいろこういう保険の計算をやりつけておるのですから、常識で考えてやりやすいと思うのです。しかしそのほかに——厚生省の方、わかりませんか、どういう企業を中心にそういうものが普及しつつあるか。
○加藤説明員 先生の御質問の業種別についてはちょっと資料の持ち合わせがございませんが、現在の企業年金の実情についてさらに補足して申し上げますと、大体二百四十九社くらいございますが、そのうちで、退職一時金と企業年金との併給を認めているもの、つまり退職金の所定額の一部分のみを年金化して支払うというのが百九十三社あります。さらに退職金の所定額の全額を一町金で払うか、全額を年金化するかの選択権を退職者に与えているのが五十社あります。それから拠出、無拠出による区別でありますが、退職金を原資とする年金化という関係から、無拠出の方が非常に多くございまして、二百四十九社のうち百六十二社を占めております。それから従業員の拠出を共同化している例も相当ございまして、共同拠出の企業年金は八十七社に及んでおります。最後に、年金の支給期間による分数でありますが、終身年金が二百四十九社のうち四十一社、従って、終身年金ではない有期年金が二百八社ございます。大体以上のような状態でございます。
○滝井委員 そうしますと、結局今の御説明によりますと、企業内における年金というようなものは現在二百四十九社あるそうですが、これは資本金一億円以上だということです。有期の年金と終身年金ですが、有期の年金というと、結局退職してから五年とか十年はあげますという確定的な年金ですね。それからもう一つの終身年金は死ぬまであげます、こうなっているわけですが、こういう企業の中の年金はどういう形になるのですか。退職をしたならば、それが自己の都合であろうと定年退職であろうと、やる形になっているのですか、それとも一定の年令に達して五十五才定年退職したというときにやることになるのですか、これはどういうことになっていますか。
○松井説明員 自己都合のものと定年退職のものと、大体半々くらいの程度になっております。
○滝井委員 自己都合と定年退職が半々になっていらっしゃるということですが、その場合に選択をするかどうかという併給の場合は、これはおそらく自動的に一時金をもらえる、それからあとの残りは、さいぜんの凍結と同じように、凍結されたものが年金の形で分割払いをされてくるわけですね。その選択の場合は、どういう形で、年金を選ぶか一時金を選ぶかというその場合の計算のやり方というか、そういう見さかいはどういうことになっているのでしょうか。そういうのは、はっきりわからないのですか。
○松井説明員 一般的な基準というものを作り上げるまで統計はとっておりませんが、一、二の会社の特例について資料がございますので申し上げますと、これは某銀行の問題ですが、支給期間が有期の十年という場合です。これは一時金で支給いたしますと勤続年数三十二年で二百十四万円、それから支店長級の年金で十九万四千円、大体そういう基準の支給規則がきまっておる一つの例だけを申し上げます。
○滝井委員 今の十九万四千円というのは年金紙ですね、これは相当なものです。そうしますと、大体今日本で二百四十九社ばかりのそういう年金制度をおとりになっておる会社があるわけでしょうが、大よその年金の支給額というのは平均的に見ると一体どのくらいですか。実は私たちが今後国民年金なり厚生年金を考えるときは、こういうところが非常に重要になってくるわけです。これは厚生省の方から承りたい。
○加藤説明員 正確な資料がちょっと手元にございませんが、私の記憶いたしておりますのでは、月大体二万円前後というのが非常に多かったと思います。
○滝井委員 そうしますと、これは厚生年金にその者が加入しておれば、併給に当然なることになるのですね。
○加藤説明員 そうでございます。
○滝井委員 そうしますと、今までのわれわれが主張しておった問題で、厚生年金と労災保険と併給して下さい、こういう場合があったわけです。そうしますと、それは同一事故に対して二つの制度を保障するわけにはいかぬというので、併給を拒否されてきたわけです。これはなるほど私的な民間のものだから勝手だということになるかもしれません。実は問題はここから発展してくるのです。というのは、もし今後われわれが企業にこういう制度をずっと自由放任で認めていく、こういうことになりますと、これは事業主だけのお金ならばまだしも、一部は労働者の金が入っているのです。そうすると、労働者の金が入っているものが、会社がつぶれればこれはパーになってしまうわけです。同時にインフレーションが起こって非常に物価が上がった場合に、一体これは保証してくれるのかというと、保証はない。これは銀行ならば、埼玉銀行じゃないけれども、銀行局が行ってときどき不当貸し出しを監査するわけです。ところが会社のこういうものについては、大蔵省はこういう企業年金について監査するというようなことはないわけでしょう、私企業ですから。
○松井説明員 法人ですと、毎年あるいは毎期の法人課税という立場で経理の調査をいたすということでありまして、そうした年金支給額の保証という観点で調査ないし検査することはございません。
○滝井委員 厚生大臣お聞きの通り、そういう形なんです。問題は、現在日本の民間の労働者の老後を保障をするためには三つの方法がとられておると思うのです。一つは銀行なり何なりに自分で任意に貯蓄する方法で老後を保障する。日本の国民が非常に貯蓄性向が高いというのは社会保障がないからだという議論さえあるくらい、貯蓄性向が高いわけです。これが一つです。もう一つは退職金の変形した企業年金、退職金そのものがそういう形になる、これが一つ。もう一つは厚生年金だと思うのです。これが日本の雇用労働者の老後を保障する少なくとも三つの柱だと思うのですが、これは三つの柱の一つに当たっておるわけですよ。そうすると、厚生年金だけではフラットが月にしたら二千円ですから、うまくいったって比例報酬分を加えても四千そこそこでしょう、これではなかなか老後が安定しないと思う。ここに企業年金というものが頭をもたげてくる可能性が十分あるわけです。その老後を保障する厚生年金のほかの貯蓄と企業年金について何らの保障もなく、まる裸で資本主義社会における企業にまかして、そしてそこで自主的かもしれぬが、労働者の積んだ金の運命がどうなるかわからぬ、経済の変動によって風のまにまにゆれていくということでは問題があると思うのです。こういう状態で、とにかく企業内の年金というものが相当普及をする段階においては、何らかの形でこれは国が考えなければならぬということになる。昔は多分退職手当ですか、退職手当積立金法とかいう法律がありましたよ。そしてそれが変形をして厚生年金に発展をしてきた。そうして一方厚生年金がやはり貧弱なものだから、また昔と同じように企業内の年金が復活をしてきた。こういうふうにいわば二つに分かれておる。これは灘尾さんが苦い夢多き内務省ですか、厚生省の役人の時代にもそういうことだったと思うのです。そうしてそれが今二つに分かれている。一つの方は曲がりになりにも発展しようかしまいかという段階にきている。ところが片一方は旭日の勢いといっては語弊があるけれども、とにかく旭日の勢いで上ろうとしておる。そうすると、出たところが一つである二つのものについて、何かここに政策として考えなければならぬ問題点が私は出てきておるような感じがするのです。こういう点、これは大蔵省ももちろん考えてもらわなければならぬが、厚生省自身は一体こういう事態の中でこの企業年金、私的な退職年金制度についてどう考えておるかということです。これは今後の国民年金、厚生年金の発展の上に大きな関係のある問題です。
○灘尾国務大臣 現状はお話の通りだと存じます。厚生年金の内容の充実発展にまずわれわれは努めなければならぬ次第でありますが、現状といたしましては、お話の通りに企業年金というものがだんだんと発展の姿を示しておるという状況であります。しかしこの関係は労働者の福利の問題あるいは保護というような問題を考えましても、無制限にといいますか、自由放任の形でこれを伸ばしていくということは、私は全体的に見た場合に好ましい姿ではないと思います。何らかの政策でいわゆる厚生年金との間における調整ということを考えなければならない段階にきておるのじゃないか、かように考えます。せっかく検討さしていただきたいと思います。
○滝井委員 そこで第一の問題として、さいぜんちょっと指摘しましたが、これは私的年金であれ公的年金であれ、長期の債権債務の関係にあるわけですね。従って企業がよほど安定でなければ、こういうものを簡単に作らしてはいかぬという理論が出てくるわけです。この点については、今のように資本金一億円以上が二百四十九社ですね。たとえば、私は炭鉱地帯ですが、炭鉱地帯でも大正鉱業なんというものは、昔の伊藤伝右衛門さんの赤銅御殿以来、有名な炭鉱ですよ。ところがこの炭鉱でもどうなろうかという、こういう時代です。そこでそういうものができておったって、退職金を払うどころじゃない。今炭鉱労働者は、退職金を満額約束通りくれるなら、あしたでもやめるという人がたくさんあるのです。退職金が払えないのですよ。いわんや年金になったら、なお払えないということは当然のことなんですね。実は企業の内部で老齢の従業員と若い従業員の意識というものは、退職金をめぐって対立する場合が出てくるわけです。会社が左前になってきたときに、一体これから退職する人の将来の年金を保証するか、現実に働いておる労働者の賃金を保証するかということになると、企業の内部では、現実に働いておる労働者の賃金を保証する方が優先するのです。そうすると、老後の保障で、粒々辛苦、過去積み立てし、拠出したものが何にもなくなってしまう、こういう問題が出てくるわけです。従って私はこの国民年金なり停止年金の一つの転機に立とうとする現段階で、しかも一方では企業年金が伸びようとしておるときに、一体この企業年金は国としてこれをどう処理していくかという基本方針を出さなければならない時期がそういう点からもきておると思う。これは厚生省だけではなかなか——厚生省が企業の内部に立ち入ることはほとんど不可能なことですから、当然大蔵省なり通産省と協力して、この問題を処理しなければならない段階がきておると思うのです。これはどうですか。
○灘尾国務大臣 ただいまお答え申し上げました通りでございます。厚生省としても十分検討いたしまして、少なくとも、せっかく積み立てました資金というものが確保され、確実に給付ができるような姿にはしなければならぬかと思います。同時にまた厚生年金の将来の発展ということもございますので、この厚生年金との間の調整という問題についても検討を進めなければならぬかと存じます。
○滝井委員 もう一つの問題点は貨幣価値の変動ですね。今企業内の年金でスライド制を書いておるところは、どこかありますか。
○松井説明員 一件、大和証券が可変年金という制度をとっております。
○滝井委員 実は私もその大和証券のあれを何かで読んで、これはなかなかいい方法をとっておるな、こう思ったのです。これは、証券へ会社は、一つは投資信託その他のPRの関係もあるでしょうからね。だからあそこに頭のいい人がおってあみ出したと思うのです。一定の額は株に持っていって、一定のものは固定的にしておく、こういう方法ですね。それはある程度株というものは時代を反映して上がり下がりがありますから、それでスライド制をおそらく調節しようということで、スライド条項にしていこう、こういう考え方におそらくなってきたんじゃないかと思って、私は何かで興味深く実は読んだのです。今御指摘のように、大和証券以外はスライド条項というものはない。こうなりますと、かつて郵便貯金なり生命保険が、全部、とにかくわれわれの粒々辛苦の貯金なり掛金を戦後のインフレでホゴにしたと同じ形が出てくるわけですね。もうああいう形になることは、国民大体あれで経験を得ましたから、今後はやはり何かしなければならないという気持がある。ところがまだこういう点については労働組合は気づいてない。日本の労働組合はまだ企業一家的な精神、企業組合的なところがあるから、自分の企業だけはだれも一生大丈夫だと思い込んでいる。ところが、あにはからんや、大正鉱業みたいなものが出てくるんですよ。おそらく三井鉱山だって——三井鉱山、三井銀行、三井物産、この三本の柱でやっておったんだが、その鉱山がもはや三井銀行から金が借りられぬという時代になってきておる。かつて三井の銀行を築き、近代的な三井化学工業を築いた鉱山が、もはや他のものからそでにされるという時代になっておるから、いかに強い会社だって当てにならぬということになる。そうすると当然こういうスライド条項についても、大和証券以外はないんですから、やはり国は労働者を保護するという立場から考えなければならぬという問題が出てきていると思うのです。こういう点はどうですか。
○森本政府委員 ただいま企業年金についてのスライド制のことを御指摘になりましたが、ごもっともでございます。この問題は単に私的な企業年金だけでなく、広く一般の国民年金あるいは厚生年金という制度においても考える必要があろうと思います。御存じのように北欧等の諸外国におきましては、年金の自然スライド制を設けております。これは今後の検討の問題だと考えております。
○滝井委員 今後の問題だと考えて手をつけないと、もう現実にこういうような景気変動の時代になってくると、やはり浮沈があるわけです。従って政府としては——あとでだんだん質問していきますが、小さい額じゃないですよ。アメリカでも五百億ドルですか、そのくらいたまっておる。五百億ドルというと十八兆ですよ。これは大へんな額ですよ、これは日本だって立ちどころに千億、二千億たまるのですから。だからそういう点について、これはよほどすみやかに検討してもらいたいと思うのです。 それからもう一つの問題点は、定年制の問題ですよ。一体この年金制度は定年になったらくれるという約束で——定年でなくとも、途中でもありますが、大体定年が多いんですね。ところが現在、皆さん御存じの通り、日本の終身雇用の形態というものは崩壊し始めておるのです、同一労働同一賃金というのが非常に強くなってきたのですから。そうしますと現行の五十五才前後で定年ということにして、そうして企業年金というものを約束をしておった。ところがその定年がずっと延びたり、あるいは終身雇用の形態がくずれるというような問題が出てくるわけですね。そうすると、普通は退職時における賃金というものが基礎になって大体年金というものはきまるわけですよ。そういう平均寿命が延びるというようないろいろの問題から考えても、企業内の年金というものは、調べれば調べるほど、何か薄氷を踏む思いの状態が出てくるわけです。これはある程度きちっと企業に国家的な監視が及んでおるという——社会化が行なわれて、国がある程度ひもをつけておるというんじゃないんですから。あの数字の神様といわれる池田総理の経済知識をもってしても、日本の経済というものは自由にならない。九%の経済の成長だといって、うそは言いませんとたんかを切っておったけれども、経済は、手綱がどんどん延びちゃって、一一%から一二%も伸びていくんですから。引き締めようとしても、引き締め過ぎるとデフレになるし、ちょうどいいところはなかなかできぬといって、また答弁ができない。来年度の予算編成の基本方針さえきまらぬ、こういう工合です。経済の神様がそういう工合ですから、なかなか経済の状態はわからぬ、こういうことになるわけです。こういう定年制の問題が一つ出てきます。 もう一つの問題は、企業内の退職年金というのは大企業だけだということです。中小企業にはないということです。そうして中小企業は一体何があるかというと、このごろようやく労働省がちゃちなものを作りました。退職年金共済制度というものを作った。これは朝日の上る勢いで加入者はできないのですよ。ところが一方、企業年金というのは伸びていっているのです。その額も、今御説明になったように二万前後——私のちょっと調べたところによりますと、旧制大学卒業生の平均が二万九千五百八円、旧制中学校卒業生で、これは定年退職ですが、二万四千九百円。月額、年額二万四千九百円程度もらえるんです。このほかに厚生年金がつくのですから、大企業は非常によくなる。ますますよくなる。そして中小企業はこんなものはできないのですから、格差がこれでまた開いてしまう。一日々々賃金の上で格差がつく。老後においても格差がつくということになれば、この格差というものは二倍にも三倍にもなる。こういう問題を含んでおるものを、私はこの段階では野放しにすべきではない。何らかの形で国が、介入といったら語弊がありますから、行政指導をやって、そしてこれをまず第一に確実なものにするということが、企業年金を許す大前提になるのじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
○森本政府委員 企業年金の現状は、ただいま御指摘のようでございまして、だんだんとふえて参っております。しかもそれが大企業に多いということでございます。御存じのように、この企業年金と申しますか、あるいは付加年金と申しますか、こういう制度は諸外国にもあるわけでございます。イギリス等においても先般これを実施しております。その際のやり方としましては、やはり強制的な厚生年金と、それからそれに付加するという意味の企業年金ということでございまして、この両者の調整をとる考え方といたしましては、強制的な厚生年金で十分な給付をいたしまして、なお余力のあるところについては若干の付加給付を認める、こういう方式が諸外国にも置かれているようでございます。最近におきましても、関係の向きからもこれを制度化すべしという要望もございますし、今後の状況を考えますと、これはなるべくすみやかな機会に企業年金と厚生年金を調整いたしまして、一つはっきりした制度にするということが必要であると考えております。厚生省としましては、そういう心づもりで、次の五年ごとの再計算の機会がございますので、その機会までに一応のめどをつけたい、こういうような気持でおります。
○滝井委員 早い機会にめどをつけたい、こういうことですが、そこで私はこれから問題の核心に入ります。 今までは大体日本の企業年金というものがどういう形のものであるかということを今お尋ねして、大体これで企業年金のおおよその概念が浮き彫りできたわけです。ところが現在その企業年金に対して——ここにありますか、日本の経営者団体連盟から企業年金の課税政策に関する要望というものが出ております。これがきまってしまいますと、これはもう厚生省が幾らじたばたしたって時期はおそいです。これがきまる前に問題を処理する必要がある。実は十月の十四日の全国紙にいろいろ記事が出ておるのですが、十月十三日に税制調査会で、会長は中山伊知郎さんです、その中山伊知郎さんの税制調査会で、この企業年金の保税の問題について本格的な討議が始められるという記事が出ておるわけです。問題はこれなんです。もしこの企業年金が課税上の恩典を受けて、そして日の目を見るということになりますと、ますます広がるです。もう私は太鼓判を押しておきます。燎原の火のごとく広がっていきますよ。その結果一体どういうことになるかというと、厚生年金の率の引き上げは不可能になります。これもはっきりしておる。もう日本の厚生年金は今のまま停滞です。私は今から太鼓判を押しておきます。そこで一体大蔵省としては——それで主税局に来てもらったのです。ほんとうは村山さんに来てもらわなければならないのだけれども、大蔵大臣にも要望しておったのですが、予算があるそうですから、きょうはこれを通す前にあなた方と一勝負をしておかなければならぬというつもりで来ていただいたのですが、大蔵省の考え方は一体どういう考え方ですか。この企業年金に対する課税政策いかんということですね。 〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕
○松井説明員 お答え申し上げます。現在税制調査会におきましては、三年がかりで税法の体系的な問題、それから来年度の減税政策について今検討中であります。その中の一項目として企業年金に関する議案を諮問されまして、検討をしていることは事実であります。今おっしゃいました通り、将来企業年金がどう伸びていくか、合理的な方法で発展しなければならぬと思いますが、非常に大きな問題を含んでおりますときに、税制が先に方向を規定するということは非常に問題があるのではないかという意見もございます。しかし税制調査会における基本的なものの考え方は、給付の保証といいますか、安定性が確保できるという年金制度であってほしいということ。それから将来、今おっしゃっておりますような公的年金との調整の問題におきましても支障がないように持っていきたい。しかしながら一方自然発生的にどんどん新しく企業年金というものがふえて参ります。これも社会保障の充実の一途でありまして、もし税制上でそれが著しい障害になっておるということに相なりますと、また非難も大きいわけもありまして、もう三、四年前から企業者あるいは企業者の団体等からそういう強い要望がございますので、今おっしゃいました将来の大きな問題に支障のない範囲で、何らかの税制上の手当ができないものかということを議題の中心といたしまして、今論議されている最中でありまして、税制調査会といたしまして、まだ具体的な方向づけなり結論を得ておりません。これが現状でございます。
○滝井委員 税制調査会というものは諮問機関ですから、問題は大蔵省として、税の専門家ですから、こういうものは一体どういう腹がまえでやろうか、こういうことだと思うのです。こういう問題は、政府は困ると、すぐ税制調査会が結論を出しておりませんから言えませんと言うけれども、税制調査会にはけっこう原案をお出しになるんですよ。そこできょうは、結論は税制調査会からも出ていないし、なかなかあなたもお答えにくいかと思いますけれども、やはりこの問題点はおわかりになっておるはずだと思う。企業年金の積立金を非課税にした場合には、一体どういう影響があるのか、どういうところに問題点があるのか、こういうことははっきりしていると思うのです。だからそういうことをここで私ははっきりとしてもらいたい。それから先の結論は、政党政治ですから、最終的には与党の皆さんがおきめになるだろうし、野党のわれわれもそれに対して判断というものを研究しなければならぬと思う。そこで日経連の要望その他割合具体的に法人関係、所得税関係と出てきているわけです。従ってあなた方が、一体この企業年金に対する問題点は、非課税にした場合にどういうところにあるのかというような点を、一応事務当局の見方として説明をしていただき、同時に今度は、こういう年金を実施する主管官庁である厚生省から見た場合には、どういう点に問題点があるか、長所と短所があるのか、こういう点を厚生省からはっきりしていただく。こういうことがわかると、議論が非常に進むんです。何も税制調査会が神様でもなければ、最高の権威でもないわけです。だからそれは意見は意見として、諮問機関だから、十分お聞きいただき、それから国会にはその問題点というものをはっきりしていただいて、国会が税法の上でこれはどうするかということはきめるわけです。そこいらの一つあなた方がお考えになっている問題点を、日経連の要望がどこが無理であるか、どこが妥当であるか、こういう点もあわせて御説明願いたいと思います。
○松井説明員 大蔵省並びに現在税制調査会におきまして、どういう形でこの問題を整理しておるかという問題点について御説明したいと思います。 その前に、先ほど私が申し上げました何らかの税法上の措置とこう申しますのは、当面二百数十社の会社がすでに曲がりなりにもいろいろな方法で年金制度を実施しておるわけでありまして、こういう場合に税制上どう扱っていいかということについて回答を迫られておる問題が相当ございます。そういう問題について、ある程度前向きの結論を出すという立場に迫られておるということを申し上げたわけであります。 小さな問題と大きい問題に区分して申し上げた方がいいと思いますが、大きな背景になります問題は、すでに御指摘になりました通り、第一番目には公的年金との調整政策、方法の調整をどうとるかという問題、これは非常に大きな問題だと思います。二番目は、今おっしゃいました、これも現在このままほっておきますと大きな企業ばかりがまず先行する、こういう問題について特別の税制を設けたと仮定しました場合に、事実上適用が一方に偏しはせぬかということが、まず第二の問題になると思います。それから、これは税務当局ばかりではなしに、大蔵省全体として考えますときに、さらにこの年金給付の本来の性格から申し上げまして、長期給付の性格を持っておるわけでありますから、年金受給者の受給権の保証といいますか、受給を確実にするということがまず第一番であります。税制上ある程度のもの、一定の金額の積み立ての場合に、それを損金に認めます限度を計算する場合には、非常に複雑な保険数理というものを必要とするわけでありますが、こういう経理を明確にするために年金機関に対する監督というものは一体どうあるべきかという問題、それから、これは金融あるいは経済金融あるいは資本市場にも関係する問題かと思いますが、すでに御指摘になりましたように、アメリカ等におきまして、外部に積み立てられました企業年金が非常に膨大な資金になっております。これは機関投資家として相当な比重を占めておりまして、現に機関投資家のうちニューヨーク株式取引所の全株式の二割以上もこういう年金基金が持つという状態でありまして、こういう基金が金融政策上、経済政策上に及ぼす影響、こういうものについて何らかの配慮が必要ではないか、従って、こういう膨大な基金に対する運用等に関する規制についてどういう配慮が必要かというようなことが、背景になります大きな問題であろうと思います。 次に、税制上の措置を講ずるといたしました場合に、これも先ほどおっしゃいました年金の保証性というものと関連する問題かと思いますが、社内積み立て方式の主張もございますし、それから信託とか保険とかを利用いたします社外積み立て方式の主張もございます。こういう問題についてのあり方を一体どう考えたらいいかという問題がございます。それからまあ、今後積み立て方式を判断いたします場合に、一体年金と一時金の支給がどんな姿になるのであろうか、現在の一時金がだんだん年金に振りかわっていくのじゃないか、そういうところが主たるねらいであります場合には、現在の退職給与引当金制度というのがございますが、その制度といかに調整していくかという問題がございます。 それから、かりに外部に積み立てるという方式をとった場合に、大きな資金のファンドができるわけでありますが、これがいろいろ資産の運用をしますときに、一体そのファンドの生む利益に対して全然無税でいいのか、何か課税措置をとる必要があるのかどうかということが大きな問題になって参ると思います。 それから、月々の掛金につきまして企業が負担するほかに、従業員自身が負担する分がございます場合には、一体従業員負担の分は社会保険料的なものと見るべきかどうか。今後の社会保障政策の進展との関連においてこれを考える必要がある。 それから、いよいよ年金給付が開始されますときに、給付をもらいます従業員、この課税をどうするかというようなことが課税技術上問題になって参ると思います。 少しこまいことを申し上げましたが、課税技術上に関する問題と、最初に背景になります大きな問題とに分けて、お話を申し上げました。
○滝井委員 大体企業年金の問題点を御指摘いただきましたが、その場合に現在やられておる方式は、あなたの今御指摘になったように社内に留保する場合と、社外に基金として置く場合と、こうあるわけですね。私がしろうと考えしてみて、社外基金というときにはあまり問題はないと思うのです。たとえば中小企業退職金共済制度を作ってその事業団に積む、これは割合きちっとしてくるわけです。こういう場合はあまり大きい問題はないと私は思う。だから、場合によっては今の労働省にできた中小企業退職金共済事業団に全部積ませるという方法もあるのです。そうすると、大企業と中小企業との交流になって、そのファンドが大きくなるから、運用がうまくいくという問題が出てくると思うのです。それで問題は社内留保の場合だと思うのです。そうすると、この社内留保にした場合に、そのお金は一体何になるかということです。それはみな設備になり資材になり、運用資金になって、会社自身の利益のためになるわけです。そうしてもしそれを非課税にする、その中で幾分を非課税にするということになると、これは相当問題が出てくると思う。そうでしょう。 〔藤本委員長代理退席、委員長着席〕 それで、この退職一時金というものは労働協約で作っておるのです。労働協約というのは二年か三年の短い契約なんです。だから、短い契約だからこれは力関係でやっていくわけです。ところが、非常に長期の三十年とか三十五年先の定年退職をするときの問題を、労働協約でやった退職一時金と同じようにこれを持っていくということになると問題が出てくるわけです。そこで、私は社内留保が一番問題だ、この場合一体どう考えるかということです。それをもう少し中に入っていった場合に、その金は事業主だけが出したものでも問題があるが、いわんやそのお金は労働者の出すものも加えるという場合もあるわけですから、こうなると、そのお金というものは運転資金なり、設備なり、資材なりに化けてしまうのです。そうしてこの金はますます利益をかせぐ、そのかせぐ元本というものは税金がかからない、こういう理論的な展開がされていくと非常に大へんだと思うのです。日経連が要望しておるねらいはいろいろあるけれども、どうも私この文章を読んでみて、ねらいはやはりそこにあるように思うのです。だからこんなものは社内には持っていかないことです。もしこういう制度をお作りになろうとするならば、これは社外です。全部社外にやらして、そうしてきちんと国がこれを管理監督するという形にならぬと大へんなことになる。そういう形になっていけばどういうことになるかというと、企業の中で停止年金にいくことはばかくさくなる。だから企業の中で労働者もどんどん金を出す、事業主も金を出していって、この方をどんどんふくらませればいい。まさか自分の企業がつぶれるとはみんな思わぬ。幾分おか目八目もあってそうは思わぬ。そうするとこっちの方に千分の三十五を折半して出す。これを今厚生省は上げなければ年金の給付は前進しないわけです。ところがこれを出すことはばかくさい。なぜならばあんなところへ出したって、自分のところは自由に使えるわけではない。厚生省に三拝九拝して頭を下げて金をもらうというのがせいぜいだ。それならば何億という金が、税金も免税になって、そうして自分の企業で自由自在に使えるというならば、もう厚生年金の方は絶対に反対、企業年金強化ということになることは当然です。こういう形になると大へんなことになると思う。どうもそういうにおいが、私の嗅覚が発達しておるわけではないけれどもするわけです。そこでそういうことになる前にこれは警告しておく必要がある、こういうことなんです。だからこの点は重々主税局としては、われわれは社会保障の立場からあるいは日本の零細企業の厚生年金の考え方からも今からくぎを打っておくわけです。そうしないと税制調査会ですっとやったのじゃ大へんですから、これはいずれ機会を見て予算委員会でも大蔵大臣あるいは総理にも一本くぎを打っておこうと実は思っておるですけれども、きょうはあなた方の意見を先に聞かしてもらって、僕も知識をきちっと整理してから予算委員会なり通常国会でやるか、大蔵委員会でやるかしなければいかぬと思いますから言っておるわけです。その点はどうです、社内留保の問題ですね。
○松井説明員 現在退職給与引当金制度というものがございまして、それは社内で留保いたしておるのですが、その年金も社内留保の場合は現在の退職給与引当金制度の中で考えるということでありまして、その場合には自己都合でやめたものにこれは制限をされておりまして、それ以外のものは引き当ては支給されないことになっております。それから、これはもう三度くらい申し上げるのですが、給付の確実を期するという意味におきまして、はたして最終的にそういうことが保証されておるかどうか、むろん問題がありますが、引当金の四分の一は特定預金にしておくという制限がございます。それからもう一つは、社内で運用するじゃないかという話でございますが、まさにその通りでありまして、社内で運用いたしますときには、企業自身の法人の利益の中にその利益が加算されて参りまして、現在法人税はかかっておるということになって参ります。これは社外留保の場合と幾分その点が違うのじゃないかということでございます。
○滝井委員 退職一時金でも四分の一は指定した特別の頭金になると言いますけれども、このときは一応一時金でくれるわけですよ、退職一時金ですから。ところが今度年金になると分割払いになるのです。これは一体労働者が得か企業が得かというと、企業の立場になると、非常に得ですよ。これは一時に金を出してごらんなさい。企業は大へんですよ。だから今炭鉱地帯では一ぺんに退職金をくれたらみなやめるというけれども、退職金を出せないのです。従ってちびって分割払いにするというなら、銀行から金を借りて出せる。だからこういう分割払いということは、労働者自身より企業にとって非常に得たということです。しかもそのためた金を自分で運用して自分の運転資金にするから銀行から高い利子で借りる必要はない。この金は利子はつかない。この金を税金で取るとすれば、たとえば一億の利益があると四千万円は法人税、地方税を加えて取られてしまう。ところが四千万円税金で取られるものをとられないで、これを運転資金に充てようというのですから、こんないい話はない。たなからぼたもち以上ですよ、企業にとっては。これを大蔵省に強く要望して税制調面会でやろうとしているから僕はこれは大へんだという感じがしている。だからこういう点は厳重に私はやらなければならぬと思う。 それからもう一つは、そこからどういう問題が派生してくるかというと、これは本来ならば税金で取るべきものですから国庫に入るべきものだ。ところがこれは国庫に入らないということなんです。特定の企業に限られた一部の労働者の利益にはなるが、一部犠牲的なものが出てくる。そうしてそれを社内に留保させてやると国に税金が入らないから、国はそれだけその企業に減税をした、補助金をやったことになる。それだけ社会保障の財源は国の立場で言えば減るわけだ、それだけ厚生年金なり国民年金の前進が停滞することを意味する、こういうことになります。だから一体この社内留保する額は日本では今のような姿でずっと前進をしていったらどの程度の金がたまりますか。たとえばここ十年とか十五年の間にどの程度金がたまりますか。現在一体どの程度になりますか。おそらく二千億、三千億になっておるのではないかと私は思います。
○松井説明員 正確な数字はあとで調べてから御返答申し上げたいと思いますが、先ほどの私の説明でもう一点追加して御説明いたしたいと思います。今滝井委員がおっしゃいましたいろいろな問題点、それから私が説明いたしましたような問題点に関連いたしまして、現在税制調査会におきましても社外積み立ての方が一そういいのではないかという意見が非常に強うございますということを申し上げたかったのであります。
○滝井委員 おそらく私は筋論から言えばそうならざるを得ないのではないか、社内留保は問題がある。 それで一つの参考として、現在全国の退職給付の引当金、これはどの程度累積しておりますか。これはやはり一つの資本になると思う。多分三千億くらいではなかったかと思うんですが。
○松井説明員 あとで調査して御返事申し上げます。
○滝井委員 きょうは私もにわか勉強であれですが、この問題は私は租税特別措置にわれわれ社会党は相当問題にしておるわけです。租税特別措置というのは体のいい補助金です、取るべき税金を取らずにやるわけですから。その租税特別措置のすべて二千億くらいを一括したくらいの大きな意義が将来に出てくると思う。今はまだおそらく引当金全部でも三千億くらいだったと思いますが、これを企業年金に切りかえて社内留保、社外留保両方認めていくということになりますと、これは非常に伸びていくと思う。そうなりますと厚生行政における厚生年金というものは今より一歩も進まない。そういう意味で、今言ったような資料も出していただいて十分討議をする機会を与えていただきたいと思います。 まだ年金のほかの問題がありますけれども、私ばかり質問しておってもなんですから一応これでやめますが、最後にちょっと厚生大臣に要望いたしておくわけですが、今までいろいろと述べましたように、この企業内の年金というものはいわば所得保障の将来の運命を決定する重要な要素をはらんでおるものです。従って厚生省としても積極的にこの問題の検討に入っていただいて、そうして通常国会までくらいには一体これをどういう工合に将来政府は処理をしていくかというおよその政府の見通しくらいは私はつけていただきたいと思うのです。古井さんの時代に、厚生年金なり国民年金の積立金の運用の問題についてなかなか大蔵省と話がまとまらなかったのです。これはお互いがもう結論を出してしまってからやり合うと、まとまらないのです。そうすると、率直に申しますが、大蔵省と厚生省の力関係で厚生省はみんなねじ伏せられてしまって、やっぱり三割五分ということになる。これは大蔵省もまだきめていない、あなたの方もきめていない、この段階なら勝負は五分々々です。税制調査会が結論を出す前に大蔵当局と厚生省の事務当局が十分意思統一をはかって、ある程度のアウトラインを次の通常国会くらいまでに私は出していただきたいと思うのです。これはわれわれも政策を決定する上に非常に重要ですから、こういう問題はいい方向に持っていったらいいのですから、そうわれわれも目の色を変え、目くじらを立てて反対々々という必要はない。何かうまい打開の方法があれば、前進の方向でものがきまるというならば、われわれだって弾力ある態度を持ちますから、その点厚生大臣の最後の御答弁をいただいて、午前中はこれで終わりたいと思います。
○灘尾国務大臣 滝井委員のおっしゃる御趣旨はよくわかりました。大事な問題と考えますので、大蔵省とも十分話し合いをして参りたいと思います。
○中野委員長 八木一男君。
○八木(一)委員 引き続いて、国民年金法自体について御質問を申し上げたいと思います。先日は拠出制年金についておもに御質問を申し上げたわけでございますが、無拠出制年金について、福祉年金について御質問を申し上げたいと思います。 まず第一に老齢福祉年金の点であります。老齢福祉年金は始まってから二年間ほどになりますけれども、創設されたときからこのような七十才から年に一万二千円である。しかも夫婦そろって七十才以上のときは二割五分が削減されるというようなこと、それから本人所得制限が十三万円であり、そのほかに配偶者所得制限というような奇妙きてれつな制限条項があって、非常に恩恵に浴する人が少ないという点で問題があったわけです。そういう意味で、この老齢福祉年金が非常に不十分であり、また相当不合理な点があるということについての厚生大臣の御見解を伺わせていただきたいと思います。
○灘尾国務大臣 福祉年金の問題についてのお尋ねでございますが、仰せの通りに、現在の福祉年金につきまして必ずしも十分とは思っておりません。ただわれわれといたしましても、この福祉年金の改善ということについても十分な関心を払っておるつもりでございまして、今回提案いたしました中にも皆様方の御意見も取り入れましてある程度の改善をいたしたつもりでございます。将来さらに検討を続けて参りたいと思います。
○八木(一)委員 今度の福祉年金の中の老齢福祉年金に対する改善の点は、本人所得制限に対して、その者に扶養家族があった場合の所得制限額のゆとりといいますか、扶養家族一人について一万五千円のゆとりがあるところを三万円にするという点についての前進は、この前の委員会の論議がもとになりましてそういう前進がなりましたことは、これは一歩前進であろうと思います。しかしながら続いて年金の論議で行なわれておりますように、あらゆる点で老齢福祉年金については不十分過ぎる、欠点が多いということが結論になっているわけです。その最も大事な点は何かと申しますと、まず金額が非常に少な過ぎるという点であります。一千円という額であれば、これはほんとうに小づかいをちょっと増すという程度であって、老齢者に対して所得保障をするという金額にはほど遠いわけであります。まだ年金の最初のスタートであるので、この程度でがまんしていただきたいということを、時の岸内閣総理大臣並びに坂田道太厚生大臣は言われましたけれども、その当時からすでに数年を経過しております。当然この年金額について再考慮がされて、政府みずから改定すべき法律案を出されるのが至当であろうかと思います。しかもその間において物価が上昇している、あるいはまた生活水準が上がっている、あるいはまた最も近い例として救貧的な所得保障の根幹である生活保護法の給付が相当に上がっているということから考えて、この千円をそのまま固定さしておきましたならば、非常にその当時において貧弱だといわれている金額が、実質的にはそれから減っているということになろうかと思います。そういう点で当然これに対処されなければならないのに、今度の改正案でこの金額について触れておられないのは、はなはだ不十分であると思いますので、その点についての厚生大臣の御見解を伺いたい。
○灘尾国務大臣 給付の金額を引き上げるということも、もとより考えなければならぬ問題だと考えます。今回の提案は給付に関するいろいろな制限をなるべく緩和するという、そういう方向でもって均霑する人の数を多くすると申しますか、そういう方面で一応案を立てておるわけでございます。給付の額の引き上げについては、今後の問題として検討させていただきたいと存じます。
○八木(一)委員 今後の問題としてお考えになる、それはもう当然お考えにならなければならないことでございます。来たるべき通常国会に改正案を提出される準備をしておられると存じます。それについてこの年金額、この全部について当たりますけれども、老齢福祉年金の年金額について、それを増大する原案を当然用意されてしかるべきだと思います。それについての現在の御準備の状態、御決意のいかんということについて、お聞かせをいただきたいと思います。
○灘尾国務大臣 来年度の問題といたしましては、たとえば公的年金との併給の問題であるとかいうふうな問題について、積極的な検討を進めておるわけであります。老齢年金の額そのものを引き上げるというところまでまだ至っておらないことをまことに残念といたします。
○八木(一)委員 老齢年金の金額までは引き上げるところに今までのところは至っていない、大体そういう事情であるということは知っておりましたけれども、そのままではいけないと思うわけです。将来の年金制度を確保して、その間に安心して労働意欲を発揮してもらうということも大事でありますが、現在老人が困っている、その困っている老人は自分がぼやぼやして困ったのではなしに、今までの政府の諸施策あるいは戦争の惨禍、そういうことから非常に困っているわけです。貯蓄をしたものがほとんどほご同然の金になってしまったというよこなことも大きな原因でありましょう。それからいろいろの小さな商売をしている、あるいは農業を経営しているときに、十分な蓄積ができるだけの経済政策がとられておらなかったというようなことも原因でありましょう。ですから現在の老人について、特に今の年金問題としては、現在の老人の問題に対処すべき老齢福祉年金の問題についてまず第一義的に考えてしかるべきことではないかと思うわけです。その問題について、年金制度全体についてずいぶん重要な要素がたくさんございまするから、いろいろな点に配慮されることが必要であり、この間御答弁になりました免除者に対して全部保険料を国が負担して、保険料をカバーする、それに笑納者と同じような国庫負担をつけるというような問題が、年金制度全体を完成させる上においては最も根本的な、一番大事な問題であります。しかしながら、それとともに、現在の老人の問題に対処する現在の年金制度としては、無拠出年金制度を拡大するということが急務でなければならないのであります。その大もとは、これは所得保障を必要とする度は障害の方が多い、母子の力が多いという要素もございまするけれども、しかしながら、量的に見て最もその大綱を占めるものは老齢福祉年金であります。その老齢福祉年金について、最初現行法案が審議をされたときに、非常に不十分であるということが徹底的に論議をされて、政府みずから、不十分であるけれども将来至急に改定するのだからという苦しい説明のもとに、多数決で押し切られた。当然公党としては、またその政府と同様の傾向を持つ同じ政党内閣である池田内閣としては、それに対処される責任があるわけです。しかもその後物価の変動が多い、生活状態の向上が多い。対照、比較すべき生活保護法の方についてはある程度の配慮がなされているということを考えますれば、この問題について当然次の年度における改正案を、臨時国会のときにも出されるべきことでありまするが、それは一歩遠慮してさしあげても、根本的な問題を検討すべき次の通常国会において、この問題について取り組まれる必要がある。御準備が今までなかったことは非常に怠慢でございまするけれども、しかしながら、そのようなことを申しても制度は発展をいたしません。これからでも十分間に合う。その点について、このような老齢福祉年金並びにそれに対応する障害福祉年金、母子福祉年金について、金額を増大するという点について最大の努力をされて、予算折衝に間に合うわけでありまするから、この点についての推進をされなければ、厚生大臣としての御職責を十分に果たされたことにはならないと思う。今まで準備が足りなかった点をこれからの努力で取り返していただいて、政府みずからの原案としてやや誇るに足るような、できましたならば十分に誇るに足るような改正案の内容を出していただきたい。そのような全面的な御努力をされることについての御決意を一つ伺いたいと思います。
○灘尾国務大臣 八木さんも来年度の問題についての予算要求と申しますか、大体御承知だろうと実は思っておるわけでございます。一応今申し上げましたようなことで概算の要求をいたしておるわけであります。私どもの考え方としては、なるほど現在の老齢年金の金額は決して十分とは申し上げませんが、しかし、これが相当の足しにはなっている、かように私は考えます。お年寄りに対しまして足しにはなっておるだろうということは考えますけれども、決して十分だとは考えません。この福祉年金の問題をだんだんと改善していく上から申しますと、額の問題に先に手をつけるか、条件の問題に手をつけるかというようなことをいろいろ考えあわせました結果、まずもって支給の条件を緩和して、できるだけこれに、均霑するという言葉が適当かどうか存じませんけれども、均霑する人の範囲を広げていこう、まずこの方からいこうじゃないかということで進めておるわけであります。御趣意はよく私了解できる問題でございますが、そういう態度でもって厚生省としては進んでおるということを御了承いただきたいと思います。予算決定の段階までの間におきましては、いろいろまだ与党の方にも御意見もあろうと思いますが、すでに大蔵省に対しましてわれわれの方といたしましては予算を要求した関係もありますので、政府の立場としてはこの程度で一つ御了承いただきたいと思います。
○八木(一)委員 おっしゃるように条件緩和、それから今適用している者に対する金額の増大、両方とも、出さなければならない。もとの金は一つの国庫でありますから、この点において競合する格好になります。条件の中にも非常に理屈に合わない、過酷きわまる条件のあるところは、当然非常に急速に考えられる必要がある。ところがその次に、総体的には、今までの条件に不幸にしてかなって適用を受けていた人は貧しい老人だ。貧しい老人に今の千円は幾分は役立つわけでありますが、そういうものでなしに、これをたくさん上げるということが、より貧しくない、比較的裕福な老人にワクを広げるよりは、無拠出年金であり、財源に限りがあるとすれば、気の毒な人に厚みをかけるという精神が必要であろうと思います。ただし政府の今の三段階、本人所得制限、配偶者所得制限、それから世帯所得制限という三つの中には、特に前段の二つについては非常に不合理な点がある。この点については全体の金額を上げる以前に先に対処しなければならない要件があると思いますけれども、総体的に見て、条件にかなった人に対する千円というものは、貨幣価値の変動で減ってきている。最初設定したときも少な過ぎたという条件から考えますならば、これに対する金額をふやすということが、条件を総体的に緩和するより先に考えられなければならないことだと思います。またその点について直ちに対処できなければ、段階を分けて、条件に適している極貧の人については金額をもう少したくさんにする、ある程度の貧乏な人には今のままのバランスに置いておいて——総体的に上げるということはもちろんしなければなりませんが、そういうふうな、段階を二つに限るというような思想も一つ考えていただく必要があろうかと思います。とにかく条件を緩和するという問題と金額をふやすという問題を両方考えていただく必要があるわけでございまして、片方だけやればいいという問題ではないわけであります。総体的には条件の不合理な点を直す。それからもう一つは、不幸にして貧困な条件に合った人に対する金額を厚みをかけて、気は心というなぐさめ金ではなくて、実際に生活を潤すという金額に高めることが必要であろうと思います。それについての厚生大臣の御意見を伺います。
○灘尾国務大臣 ただいまお答え申し上げた通りでございまして、八木先年の御趣意はよくわかるわけでございます。またその御趣意に対して私は反対する理由は少しもないのであります。ないのでございますが、政府としましては、漸次段階を追うて改善していきたい。財政の都合その他もございましょうし、改善していきたいという考え方のもとに一応厚生省——政府内部の問題で最終的の決定の問題ではありませんが、厚生省内部としては一応の態度をきめた形になっておりますので、この際それをどうするこうするということを私は申し上げかねるのです。従って段階を追い、漸を追うて進んでいくということを申し上げる程度で御了承いただきたいと思います。
○八木(一)委員 総体的には御努力の方向があればいいのですが、一応厚生省として態度をきめたのでという言葉には、先生がおっしゃった言葉ですけれども、とらわれないでいただきたいと思うのです。厚生省としても一生懸命考えておられる事実はわかります。厚生省が重点を置かれている点が、私どもの考え方と合致して非常に重点である部分もあるということも私どもは理解をいたしております。しかしながら、そのほかにも重大な問題がある。特に国会の論議で建設的に出された論議は取り入れられて、かりに決定をされても、一応大蔵省にその素材を出された状態にあっても、よいことはそれを追加しても一向に差しつかえないという観点に立って、大きく前進をさしていただきたいと思うわけです。 それから、全体に厚生省あるいは年金局が非常に熱心に取っ組んでおられることは理解はいたしておりますが、全体的な観点から見ますると、まだ勇気がはなはだ乏しい。経済がいろいろと悪い状態にはなっているけれども、来年度において、財政的に見たならば、五千億に余る財政余力があるということが推定をされておるわけです。その配分についていろいろ与党間で論議をされておると思うが、これは与党だけで論議をされるべき問題ではなくて、国民の代表のすべての意見を聞いて、少なくとも野党の意見を大部分取り入れて、その分配についての原案を出されるべき問題であると思います。野党内においても、たとえば税制部会と賀屋委員会と称する社会保障部会とはだいぶ意見の対立があるようであります。少なくとも私どもの観点では、賀屋委員会の方が正しいと思う。そうなれば、五千億のうち三千億や四千億くらいは社会保障にぶち込んで少しも差しつかえない。そうなれば、年金にも千億や千五百億くらいのものは優に取り入れられる可能性がある。そのときに、わずか百億か二百億か三百億の要求をされたならば、熱心に取っ組んでおかれながら、年金制度の発展をゆるやかにする作用を厚生省自体がされることになろうと思う。もっと勇敢に取っ組んで、はったりではないけれども、絶対に千億は必要である——これは年金だけですよ。医療保障はまた別に必要ですが、絶対に千億は必要である、生活保護にもまた千億必要であるという態度でがんばられることによって、わからず屋の大蔵省も泣きの涙で八百億は出すということになるわけです。最初からそんなに縮めておいたならば年金制度は発展しません。そういう意味で、新しく取っ組んで、そうして政府部内で年金制度が改善されるように取っ組んでいただく決意を持っていただかないと困る。その決意を厚生大臣に固めていただきたいと思いますが、どうですか。
○灘尾国務大臣 社会保障関係のために自然増収の配分にあたって厚生大臣が努力するということ、これは当然のことだと存ずる次第であります。ただしかし、おのずから限界のあることでございます。また、国民年金だけをやっているわけでもございません。すでに昨年来御協力をいただいてだんだん伸びて参りましたから、今度は一年分を組まなくちゃならない、いろいろ引き続いての問題もございますので、新しくどの程度のことが追加できるかということはこれからの折衝問題だというふうに考えております。私は、皆さんの御協力のもとに、できるだけ社会保障関係のために努力したい。池田総理も自民党内閣として社会保障は大きな柱としてやっておられることは、これは国会でもしばしば言明しておるところであります。総理を助け、厚生省としてはできるだけの努力をして御期待に沿いたいという気持は十分持っております。何さま微力でありますので、その辺を一つ御協力を願いたいと思います。
○八木(一)委員 ほかのことは午後に預けて、具体的な問題を申し上げたいと思います。 まず、いろいろの制限を撤廃することに努力をしておられる。所得制限という言葉を使われました。老齢福祉年金に対する制限は、所得制限以上に年令制限という問題が大きな問題であります。今七十才以上しか老齢福祉年金は支給しておらない。何回も申し上げましたから簡単に申し上げますけれども、六十九才でも七十三才の人より老衰の度がひどい人がいる。六十八才の人でもあります。そういう人は政府の施策の貧困のためにその犠牲になって、苦労の多い人生を送ってきた。そういう人が、せめて年金をもって幾分でも人生についてのなごりある生活をしたいという希望を持って年金の支給を待っている。ところが、六一九才にして不幸にして政治の貧困によって縮められた天命によって年金をもらえないということは、はなはだ痛ましいことであります。その意味で、年令、所得制限を下げるということがいろいろな制限を撤廃するということの中の一つの大きな要件であります。政府側の方ではおもに所得制限のことばかり考えておられて、年令制限の方を非常になまけておられるけれども、それではいけないので、年令制限を下げる方向でその問題を推進するということをされなければならないと思う。それについての厚生大臣の御意見を伺いたいと思います。
○灘尾国務大臣 七十才が年令として高過ぎるという御意見は確かにあると思っております。ごもっともだと思います。今直ちに七十才を引き下げるとかいうような考え方もいたしておりませんけれども、何かそこらに穴があるのじゃなかろうかというような御意見は確かにあると思います。これは一つもう少し私にも検討さしていただきたいと存じます。
○八木(一)委員 今の点は方向はいいですけれども、もう少し積極的な御努力の気持を披瀝していただきたいと思いますが、非常に積極的な気持を持っておられても、ある意味では穏やかな表現をされる大臣でございますから、その内容としては非常に強烈な意思を持って、それを前進される気持をお持ちになるものと理解をいたしまして、次の通常国会にもその思想が現われるような原案を——今まで不十分な原案を厚生省は用意されておられたらしいけれども、不十分ではなしに、十分な原案にして、そこにその項目を入れる努力をされるということをしていただくことを内々お約束をいただいたという理解のもとに問題を進めて参りたいと思います。
○灘尾国務大臣 八木さんの一方的なお考えで受け取られても実は困るのであります。また、こういう問題についてのものの考え方において、私は、始終申し上げますように、八木さんとそれほど違ってはいないと思います。しかし、責任ある当局の大臣としてここで申し上げることについては、私もいいかげんな放言をするわけにも参りません。ですから先ほど来ああした答弁をいたしておるわけでございまして、熱意においてはそれほど劣っているとも思わないのでございますが、政府の現実の立場に立って考えます場合には、あまりはっきりしたことを申し上げるわけにも参らぬということを一つ御了承いただきたいと思うのでございます。
○八木(一)委員 十分に前向きの姿勢で御検討になって、いい結論を出されて、その実現に最大の御努力をなさるというような理解のもとに進めていきたいと思います。 これからもっと具体的な問題を取り上げてみたいと思いますが、今、夫婦が七十才以上の老人になった場合に、月に一千円、年に一万二千円の給付が夫婦両方ともに支給されているという間違った理由のもとに、月にして二百五十円、年にして三千円というものが削減されて、二人で一人半分の支給しかされていない。これは理由を申し上げなくても、聰明な厚生大臣ははなはだ不合理であるということを御理解になっておられると思う。これについて、こういうような減額規定を削除して、両方が七十才以上であっても、当然一人前のものを両方とももらえる、夫婦分けして二人分もらえるというふうにぜひしていただきたいと思いますが、それについての厚生大臣の前向きのはっきりした御意見を一つ伺いたい。
○灘尾国務大臣 今お述べになりましたこの問題につきましては、厚生省としましては、来年度に何とか解決したいというつもりで進めております。
○八木(一)委員 今度ははなはだはっきりした前向きの御返事をいただいて非常に感謝いたします。それは断じて必要なことであります。これは金額はそう多くを要求しませんけれども、それだけでほかを手を抜かれては困りますが、一つの項目として必ず実現していただくように、一つ原案を突き通すようにがんばっていただきたいと思います。 その次に、もう一つ具体的な不合理な問題といたしまして配偶者所得制限という問題がございます。老齢保障については本人所得制限は非常に過酷ではありますけれども、本人が所得があるんだから、所得のある人に対しての所得制限というものは、財政がもっと多くなるまでしばらくがまんしてもらいたいというような理屈も最小限度において成り立ち得ると思いますし、またすべての老人が年金支給を待っておられるけれども、財政に限りがある程度において、世帯としてある程度以上の生活をしておられる方については、しばらく実施を待っていただきたいということも、残念ながら今の時点において最小限度は通る理屈であろうと思います。ところが、配偶者所得制限というのは、どう考えても理屈が通らないと私は思います。と申しますのは、観念的な理屈でございませんで、実体的に考えますと、配偶者所得制限というのは、おじいさんが約二十万ぐらいの所得がございますと、七十才以上のおばあさんがあっても、そのおばあさんには支給がないということになる。おばあさんはちっとも所得がない場合でも支給がない。これを観念的な理屈ばかりで言うと、何やかやの理屈があるそうであります。しかし問題は実体であります。というのは、おじいさんとおばあさんが両方建在で、むすこさんがちゃんとしっかりしておられて月給四万円くらい取っておられる。そのとぎのおじいさんは、むすこさんが働いておられるから安心して、働かないで老後を楽しんでおられる。おばあさんもそうだ。そのおじいさん、おばあさんには福祉年金がいくわけです。四万円の月給取りであっても、世帯所得制限以下の五十万円以下でありますからいくわけです。ところが、不幸にしてむすこさんが死んでしまった。お嫁さんも死んでしまった。おじいさん、おばあさんに孫が残されて何とか暮らさなければならぬというので、老躯にむち打っておじいさんが働かれるという場合に、そのおじいさんの方は本人に所得があるからこないということは、非常に冷酷だと思いますが、観念的理屈で、おじいさんが働いているのですから、ある程度仕方がない点もあると思います。ところがおばあさんは働いていない。その世帯は二十万しか所得がない。おじいさん、おばあさんだけでなく孫も養わなくてはならないというときに、五十万の所得でむすこさんもいる、しあわせなおばあさんには年金がきて、息子に死に別れた非常にかわいそうなおばあさんにはこない。しかもおじいさんがくたびれていて、一緒に家庭内で腰を曲げて内助の功をしなければならないおばあさんに年金がこないというのが、この配偶者所得制限という冷酷きわまる、実際には全く合致しない制度であるのです。これを撤廃しないと非常に筋が通らない。厚生大臣、撤廃していただけると思うのですが、それについての前向きの御返事をいただきたいと思います。
○灘尾国務大臣 この問題については、なお厚生省において検討をいたしておるところでございますから、既存の取り扱い等につきまして政府委員から一応お答え申し上げさせます。
○小山政府委員 私、ただいま八木先生のお話を聞いて非常に安心したのでありますが、どうも先生のお考えになっているのと今の制度と同じようであります。御引例になった、むすこさんがなくなって、おばあさんと孫を養うという場合は、今の税法上全部扶養親族として扱われますので、その場合は、おばあさんと二人きりの場合も、二十三万円ではなくて、当然五十万というのが所得税のラインになるわけであります。ですから御心配のようなことはないと思っております。
○八木(一)委員 例のあげ方が少しまずかったわけです。それではおじいさんとおばあさんの場合だけに限ると、今言ったことはそのままになるわけです。小山年金局長の方で、打球が弱かったためにうまく取れたというようなことは間違いであって、やはりそういうことじゃないのであります。おじいさんとおばあさんのときにはそういうことが起こるわけです。しあわせなむすこさん夫妻がいる月四万円の世帯のおばあさんにはくる。むすこさんがいなくて収入が少ないところのおばあさんにはこないという問題については、厚生大臣は率直にお考えになって、はなはだしく不公平だとお考えになると思うのです。それについてどうするかということでなしに、公平とお考えになるか、不公平とお考えになるか、厚生大臣からお答え願いたい。
○灘尾国務大臣 私は現在の制度全体を通じまして、決してこれで最善のものとは思っていないわけでございます。従ってだんだんと御意見も伺って改善をして参りたいと存じておりますが、他のいろいろな振り合いから考えましたときに、今お述べになりましたような場合において現在の所得制限というものがそれほどひどい無理上をしているものとも実は考えないわけです。十分一つまた御意見もあったことでございますので、検討をさせていただきたいと思いますが、この場合の問題といたしましては、特に本人に無理がかかっているというふうには思わない状況でございます。
○八木(一)委員 厚生大臣、ちょっとそれは不十分な御答弁だと思うのです。小山さんに途中でちょこちょこと聞かれることはまずいのです。小山さんはいいピッチャーでありますけれども、何か勝とうということで無理やりなことをするわけで、これは困るのです。技術者であって政治家ではないという半面をきょうちょっと部分的にお出しになった。小山さんも理屈はわかっておると思う。今おっしゃった年所得五十万の世帯の老人が、むすこ夫妻が働いている。そして年金の支給を受けている。他のおばあさんが、むすこ夫妻に死に別れて、自分と苦労した御主人が腰を曲げながら働いていなければならない。それについておばあさんが内助の功をしなければならない。そのおばあさんとどちらが気の毒かといえば、これは理屈を待たずにむすこに死に別れた、収入の少ない世帯にいるおばあさんの方が気の毒だ。これはもう答弁を求める必要もなくそうだろうと思うのです。厚生大臣も首を縦に振っておられるからこれはおわかりだと思う。ところで、この年金は七十才以上の老人に限られておる。しかも所得制限をして貧しい老人に限られておる。最小限度の非常に年寄りの人で非常に貧しい人の年金、その中で比較的貧しくない人がもらえておるのに、より貧しい人がもらえないということは許されないところだ。年金は全部老人に上げたらいい。切るところは六十万か七十万かあるいは八十万か、論議はありましょう。そこは一つ一つ段階がありましょう。そういう大きなところじゃない、その範囲内の小さなところの中で、しかも年令は六十才から上げるべきだという意見がある。ところがそれをしぼりにしぼった七十才以上の、年金を上げたいと思われる年令の人で、しかも所得制限の一番大きな五十万以下の人で、一番気の毒な年金をどうしても上げたいと思われる人に支給がない、比較的よい人に支給がある。こういう制度が悪いということをはっきりとお認め願わなければいけないと思う。厚生大臣は理屈に合わないことがあったら幾らでもあとで答弁を修正されてもいいと思うけれども、現在の理解で率直にお答えいただきたい。今私が申し上げたことについて当然認めらるべきである。理屈に合わないことは一つもありません。厚生大臣は今までの政府案がどうであったからという守る立場を抜きにして、社会保障制度をほんとうに国民の立場から考える点においては、それは直す必要があると思うという御答弁をいただかなければ、この問題については厚生大臣にさらに徹底的に追及を申し上げなければならないと思うのです。
○灘尾国務大臣 私も自由な立場におって自由なことを申し上げるのでしたら、またいろいろと御返事のしようがあるだろうと思うのでありますが、政府の内部におきまして政府の一員としての答弁でございますから、申し上げたいと個人的には思っても、申し上げにくい場合もございます。これは一つ御了承いただきたいと思います。現在の状態は決して満足すべきものでないということはかねがね申し上げておるところでございます。これを改善するということに決してやぶさかではございませんけれども、今こうだああだということを申し上げることは、すなわち次の私がお約束をしているということになるわけでございまして、将来の問題として検討さしていただきたいという程度の答弁で、一つ御了承をいただきたいと思うのでございます。
○八木(一)委員 年金の問題については百も二百も問題があるわけです。その問題についてこうあった方がいいと思うということを言われて、ただし総体的に財政の都合があるからそれを順序をどうするか、いつやるかということについては、できるだけ早く検討して、その検討の結果を返事するという御返事、それはかまいません。ですけれども、方向としていいと思うか悪いと思うかということを、やはり厚生大臣の考えを伺っておかないと、政治というものは今のものを固定して動かさない方向になってしまう。政府が原案を出したものだけについて審議をするべき審議の場ではないわけです。いいか悪いかという問題について行政当局の考えをただし、そして理解の非常に高度なものであるときにはそれでけっこうであるし、理解の不十分であるとぎにはわれわれも論議をして、それについてどう思うかということを伺い、それがいいと思うけれども、実現についてはどういう具体的な手続が要るとか、財政のことが要るとかいう問題は第二段の問題なんです。第一段の問題としてそのような今ちゃんと申し上げましたものについて、より不幸なものに——それよりはまだましなものにあげているのに、より不幸なものにあげないということは今の制度としては不合理である、不十分であるということをお認めいただかなければ、これは論議が進展しません。その点についてはそういう意味において今の厚生大臣の実感を述べていただきたいと思う。
○灘尾国務大臣 私のお答え申し上げた趣旨と八木さんの言われた趣旨と、自分ではあまり変わっていないつもりでおるわけであります。現在はその状態が決してよくはないということを前提として、いろいろお話は申し上げておるわけであります。将来だんだんと整備していこうという心持をもってお答えを申し上げておるわけでございます。その点については私は議論の余地はないのじゃなかろうか、こう思っておるわけであります。ただこれを今どうするかああするかというような話になりますと、なかなかお答えしにくい面があるということを申し上げておるわけでございますので、今の制限というものが決して満足すべきものでないということを申し上げてよろしいと思います。これは将来だんだんとまた改善をしていく方向において検討さしていただきます。
○八木(一)委員 今厚生大臣が所得制限について不十分な点は十分あると言われた、それはいいのです。それは前から言われなかったらどうかしているのです。今問題は配偶者所得制限の今あげた事例の問題について申し上げたわけです。ですから全部事例を申し上げなければ御承知ができなかったならば、他日全部この事例はどうだ、あの事例はどうだということを申し上げることにやぶさかでございません。しかし今言った事例、たとえば今言ったような二十一、二万所得をとっているおじいさんのところのおばあさん、むすこが五十万円とっておるところのおばあさん、どちらが気の毒かという問題であって、片っ方に年金が出ているのに片方に年金が出ておらない。この問題だけでこれは不合理と思われるかどうかということについて、それを不合理と思われるから、いつどのような対処をするという答弁を求めているのではない。不合理と思われるかどうかということについての御答弁を求めている。それをぼやかして、所得制限全体に問題があるからそれについて御答弁申し上げましたということについてこの質問をしておるわけではない。この問題についてどう思われるか。逆でもけっこう、そんなおばあさんは気の毒ではない、年金をやらなくてもよろしいという返事をなさるのだったらなさって下さい。そうではないのだったら、そういうことをはっきり言って下さい。
○灘尾国務大臣 お述べになりました事例についてのお答えでございますが、決して私は気の毒でないとかなんとかいうふうに考えておるわけではございません。もっとよかれということを考えておることは前々から申し上げました通りでございます。従って、いろいろほかの改善する問題もございますが、やはりこの問題もその一つとして前向きに向かって検討さしていただきたいということを申し上げておるわけであります。
○八木(一)委員 今の御返事ならけっこうなのです。今の問題はそれでは前向きの問題で検討される。前向きの問題で検討されて、結論がつかれたら当然至急にそれを実現される立場におられると思うのです。ですから検討を至急にされて、その検討の結果を次の通常国会に出される案に盛り込まれるように一つ検討を急いでいただいて、その結論に従ってその実現に努力をしていただきたいと思います。それについての御答弁を求めます。
○灘尾国務大臣 いろいろなお検討を要する問題もあろうと思いますが、すべてについてまたこの国会においても皆さん方のいろいろな御意見もあろうかと思います。そういうふうなものを十分参酌いたしまして検討は続けて参りたい。成案を得られれば、次の国会に出すことを決してちゅうちょするものではございません。ただいまのところといたしましては、検討さしていただきたいというところで御了承を願いたいと思います。
○八木(一)委員 なお次の通常国会に老齢福祉年金について、年令制限の問題、所得制限の問題、金額の問題、それについて私どもの満足のいくような非常にいい案をお出しいただいた、さすがは灘尾厚生大臣であり、補佐役の小山年金局長であったということを言われるような案をぜひ出していただきたいと思います。それからさらにそういう問題を次の国会において大きく発展させられるとともに、年次的にこの問題をどんどんと、どういうふうに高めていくということについても一つ御検討をいただきたいと思います。老齢福祉年金のみを申し上げましたけれども、午後、休憩後の再開において、母子福祉年金、障害福祉年金並びに拠出年金制における障害年金、それから遺族関係の年金についての質問を、ただの一言もまだやっておりません。それについて十分な質問をさしていただきたいと思いますし、さらに厚生大臣の御在席の上で——厚生大臣が熱心に取っ組まれようということに対して、大蔵省は非常に無理解な態度になるおそれがなきにしもあらずでありますので、厚生大臣、大蔵大臣立ち会いのもとで年金制度発展について御質問を申し上げたいと思いますが、厚生大臣は十分に年金を発展させる意味における前向きの御答弁を一つ御検討下さって御用意を願いたいと思います。 以上でただいまの質問を一応中断いたします。
○中野委員長 この際、午後三時まで休憩をいたします。 午後一時九分休憩 ————◇————— 午後三時三十四分開議
○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続けます。楯兼次郎君。
○楯委員 私は年金福祉事業団法案ですか、この関係について一つ納得のいかない現象が地方に起きておりますので、お伺いをいたしたいと思います。 それは国民年金の還元融資につきまして、どういう条件をおつけになっておるかという点をまずお聞きしたいと思います。
○小山政府委員 ただいまのお尋ねは、おそらく事業団法の方ではなくて、現在行なっております地方公共団体に対する還元融資のことだと思います。これはそれぞれの市町村における国民年金の実施状況が進んでいるところから貸す、こういうようなことにしておりまして、一応の基準として市の場合は適用率が六五%以上、それから町村の場合は八〇%以上、これをめどにして貸し出しをしております。
○楯委員 そういたしますと、私厚生関係はしろうとでありますが、この法案が通過をしますと、これは加入が義務づけられるのだと私は思いますが、そうですか。
○小山政府委員 今度の事業団法はそれとは面接の関係はございません。事業団を通じて融資をいたしますのは、厚生年金の事業主とかあるいは被保険者、そういう者の団体、及び国民年金の被保険者の団体、これは主として農協系統が多うございます。そういうようなものに直接事業団を通じて貸付をするということでありまして、今の問題とは一応別でございます。
○楯委員 今私が質問をしようとしておるのとは別である、こういうことなんですね。だから私はあなたが先ほど御答弁になったことを聞こうとしておるわけです。そこで還元融資について市で六五%、町村で八〇%以上の年金加入以外のところは還元融資の対象にならない。こういうことをあなたはおっしゃっておるんだと理解しておるわけです。そういたしますと、この年金加入が義務づけられるとなりますと、人口に比較して六五%、八〇%という考え方は不適当ではないか、こう思うわけなんです。違いますか、私の考え方は。当然入るべき資格の人はその町村によって異なるでしょうけれども、全部入らなくちゃならぬ。そうするとそこにパーセンテージをつけて還元融資に差別をつけるということが、私はどうしても理解できないわけなのですが、どうですか、この点。
○小山政府委員 先ほど申し上げましたのは、これは別に裏から申し上げますと融資をする場合の欠格条件といいますか、そういうようなものではないのであります。元来これは国民年金の保険料を一部還元して地方公共団体に貸し付けるというものでありますから、財源が許しさえすればこれは全部受けていい性質のものであります。ただ非常に申し込みが多い事情でございますので、それでそういうものの選択の順位として初年度のことしは、そういうふうに適用が進んでいるところについてお貸しをします、こういう基準を作っておるわけでございます。
○楯委員 しかし私はそういう取り扱い方がおかしいと思うわけなのです。といいますのは、資金の額が一定でありまするから、それは申し込み通りに全部お貸しをするということにはいけない、これは私はわかります。わかるのですが、資格条件を何パーセント以上で線を引くということがおかしいのではないか。それならば、たとえば六五%以下の町村であっても、とにかく加入しておることは事実なのですから、当然そこに段階を設けるなり、資金面からほかの選考方法によってこれを選択をしていく、こういう態度をとられるのが穏当なやり方ではないか、こう考えるわけですが、どうですか。
○小山政府委員 これはいろいろ考え方はあろうと思いますが、非常に申し込みは多くて、しかもそういうふうに適用の進んでいないところまで回る可能性がないという事情でありますので、そういうところは無理に申し込みをしてもらっても、結局今年度は初めから問題にならぬという実情であるわけであります。そういう意味で、いわば第一次の選考基準としてそういう形式的な線を引き、それから今度具体的な審査に入って、大体競争率は三倍程度になっておりますが、ものによっていろいろ違いますけれども、そういうことで今内容的な選考をして、厚生、自治、大蔵三省で今最後の調整をはかっておる、こういうやり方でやっておるわけでございます。
○楯委員 もう一回繰り返しますが、私は、この還元融資を受ける町村は、他の財政上の理由から、受ける資格のあるところより、公平に見て、優先すべき町村というものもあると思うのです。そういう実情を勘案せずして——あなたの方で考えれば、そういう条件をつければ一日も早く多数の加入者が得られる、そういうPRと勧誘を兼ねた政策上の取り扱い方はわかるのですが、そういうやり方では不見識ではないか。他の条件で、加入の少ないところであっても、国が優先援助をしてやるというようなところもあると思うのです。だから、要求通り全部に満配ということはいかなくても、少なくとも段階をつけるなり、その部類において取捨選択をしていく。甲乙丙なら甲乙丙の段階に分けて、その中で甲はどれだけ、乙はどれだけ、丙はどれだけ、そういうような選考の仕方をしていくのが慣例であり、穏当ではないか、こういうふうに考えておるわけです。だから、ほんとうはあなたの方は、こういうやり方は加入促進の一つの戦術に使われたんでしょう。そうじゃないですか。
○小山政府委員 こういう事情をお考えいただきたいのであります。元来、地方債の融資という本筋の大きい融資があるわけであります。これはいわば、全くおまけにやる融資でございまして、せっかく零細な年金の保険料を納める、それが少しでも還元されるようにという、非常に強い要望によってやっている性質のものであります。従って、何といっても、基本は、還元するということが基本になるわけであります。還元するということになると、国民年金の実施の状況ということがどうしても問題にならざるを得ないわけであります。従って、将来ともこれは問題になる性質のものでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、本年度きめた基準なるものが、未来永劫そのまま動かないなんというものではなくて、毎年の事情によって、それは変わっていくという性質のものであるということ、それから、元来このお金というものは、いずれはどこかに還元するようにしていかなければいかぬものでございますから、何か適用が進んでいないところは、未来永劫欠格条件に該当して、受けられないのだというような考え方をもってやっているわけではない、こういうことでございまして、その点は御了解いただきたいと思います。ただ、現実の問題として、この問題に関連して、これは大へんだ、こう思われた市町村の首脳部もいるようでありまして、これはまた裏返しにすれば、いささかその仕事に対してうかつであられたということにもなるわけでありますが、一応それとこれとは別でございます。
○楯委員 そうおっしゃればそれだけのものですが、しかし、今資金量に対してあなたは三倍要求があるとおっしゃっている。少なくとも今のあなたの考え方でいけば、向こう三年間は、今申請をしておる町村の優位性というものが私は認められると思うし、また認めなければいかぬと思うのです。そうじゃないですか。そういたしますと、あなたは、ことしだけだ、来年は全部御破算にして、そうして新たな立場から選考をしていくとおっしゃいますが、それはこの場の私に対する答弁であって、常識として、今三倍も要求がある、当然今後三年間はこれらの、あなたの立場からおっしゃれば、非常に協力をした、先に要求をした、これが優先されるということになるんじゃないですか。それではことしはいいでしょう、あるいはあなたの方に今まで協力をしたという立場からはいいだろうけれども、あなたがおっしゃるように、来年はさらに違った立場からやっていくのだ、そういうことには私はならないと思うのですが、どうです、私の意見は違っていますか。
○小山政府委員 現に今年度の場合でも、その後非常に努力をされて、今までおくれておった状況がぐんぐん回復しているというところはあるわけでありまして、そういうところは明年度以降、これは基準のきめ方とも関係がありますけれども、当然一つの線は越えるわけでございます。そうなれば、今度は、そういうものの範囲内ではどういうところが一番実態から見て必要であるかという理論できめられることになりますので、必ずしもことし申し出のあったところが来年以降優先するということにはならぬわけであります。それからもう一つの問題は、資金量が毎年相当ずつふえて参ります。そういう意味では、需要に応じ得る可能性というものが逐次ふえていく、こういうふうになっているわけであります。
○楯委員 端的に聞きますが、これは将来この国民年金には加入しなくてもいいのですか。私は、不勉強で、急に出てきたのですが、加入しなくていいということなら別ですよ。この国民年金は加入しなければいかぬのでしょう。そうじゃないですか。
○小山政府委員 これはおっしゃるように、加入してもらわなければならぬのであります。ただ、その加入のさせ方について、今置かれているようないろいろな事情がありますから、法律では強制適用ということになっておっても、罰則を振り回すというようなことをしないで、そこはしんぼう強く話し合って入れていくようにしよう。少なくともこのものの考え方と運びについては、この制度に賛成の立場をとる人も反対の立場をとる人も、それは当然であろうということで今進めているわけであります。従って、私ども、この態度は今後も続けていくつもりでございますけれども、筋から申せば、これはもう当然すぐに入ってもらわなければいかぬ、こういうものでございます。
○楯委員 だから、あなたの考え方は、一面加入を促進しておると同時に、一面加入しなくてもいいというようなことを許容しておるような態度に、今二、三の質疑応答を繰り返して思えるのです。最終的には一〇〇%加入しなければならないものに対して、なぜ六五%で線を引いて、まあ大した問題ではないにしたところが、なぜ初年度から差別をされるのですか。私は、そういうやり方がわからない。これは将来、ある程度は入ってもらいたいのだが、入らなくてもやむを得ない、そういう考え方ならいいですよ。いいのですが、これは一〇〇%当然加入してもらわなければ困る、加入しなくてはいけない、こういうことなら、この還元金の使用について六五%だ、やれ何%だとなぜ初年度から、出発から差別をつけて、加入のパーセンテージの低いところに対してそういう差別的な取り扱いをするのか。あなたが、将来六五%以下のところは対象にならない、将来とも六五%でよろしい、そう言うなら別ですよ。そういう取り扱い方が私はどうもわからぬから質問をしておるわけですがね。おかしいじゃないですか。私の方がおかしいですか。
○小山政府委員 先ほども申し上げましたように、これは申し出をする場合に、需要が非常に多いので、一つの基準を設ける意味で作ったものであります。従って、この取り扱いのもとになっているものは、本年度の初めにおける各市町村の被保険者の加入の状況というものが基本になっているわけであります。そのときの状況におきまして、町村は、全国的にならしまして、平均して八〇%を相当越えるところまでいっておったわけであります。その意味において、町村は、八〇%程度というのを一つの基準にしたわけであります。それから市の方は、全体的に適用が非常におくれておりまして、全国的な平均として七〇%足らずまでしかいっていないという事情がありましたので、六五%ぐらいのところを一つのめどとする、こういうことにしたわけであります。
○楯委員 私が不勉強で間違っておるかもわかりませんが、あなたのお考えは何回聞いても私は了解できない。了解できないけれども、初年度のことであり、適用金額というものが非常に少ないので、これ以上同じようなことを繰り返しても仕方がないので申しませんが、そういたしますと、これは初年度の三十六年度の資金計画、実施計画であって、来年度からは全然新たな立場から検討をしていく、こういうことですね。
○小山政府委員 先ほど申し上げたように、ただいま申し上げておる基準は今年度のものでございます。来年度以降はもちろん来年度の状況においてきめていかれるものになるわけでありますが、その場合、先ほど来繰り返して申し上げましたように、国民年金の実施状況というものがもとになってきまるわけであります。従って、今年度のパーセンテージというものがそのままいくことはない、これはおっしゃる通りでございます。ただ、ちょっと先生がおっしゃったので、私申し上げたのが違うような感じがしますのは、先生のお気持は全然想を新たにして別だものというふうな感じでおっしゃっておられたようでありますけれども、そう別のものになるというふうには私ども考えてないわけです。
○楯委員 だから、あなたがそうおっしゃるのは、私がさっき言ったように、常識的に言えば、三倍になったならば、今後三年それが優先的に適用されていく、こういう強い要素がそこに生まれてくる、こういうことをあなた自体が自認されておるんじゃないですか。
○小山政府委員 さっき申し上げましたように、その後の実施状況がおくれているところは今ぐんぐん進んでいるわけであります。それから来年度以降になれば、保険料を実際に納めた割合というような、また別のファクターが加わってくるわけです。そういう意味で、決してことし申し込んだところが来年度において優先するというようなことにはならないことだけは間違いございません。
○楯委員 これ以上同じようなことを繰り返しませんが、しかし常識的に私はそうなるだろうと思う。それはあなたおっしゃったって、私に答弁している口の裏からそうならざるを得ないということが頭にあるのじゃないかと思うのです。それから皆さん方のお話を聞けば私の考え方が違っておるかもしれませんが、私はあなたがこういう取り扱いをすることは、やはり不加入をあなた方が認めていくといいますか、そういう状況だと思う。いろいろな事情によってその加入が少しばかりおくれようと早かろうと、全部入ってもらわなければならぬということなら、そんな差別をして気を悪くさせる必要はないのです。われわれ社会党は反対しておった。しかしそれは原案が悪いから反対しておっただけのことであります。もしこれがよくなれば、これはみな加入しますよ。そうしなければならない。そうなるであろうというのに、なぜ小さいことではあるといいながらそういう差別的な取り扱いをしていくか、ここにあなた方のほかの目的があるであろうけれども、片手落ちの取り扱いがある、こういうことを私はお聞きしたかったわけです。 これでやめておきます。
○中野委員長 大原亨君。
○大原委員 この前、年金福祉事業団に関係いたしまして若干質問いたしたのですが、これは特に来年度の予算編成の問題にも関連をするし、重要な問題でありますから、特に年金福祉事業団の運営あるいは政府の各省における全般的な勤労者の住宅政策、そういう問題を、できるだけ年金福祉事業団の運営の問題に焦点をしぼりながら質問をいたしたいと思います。特に今日までいろいろな委員会におきましていろいろな角度から審議をされたのでありますけれども、勤労者の住宅に対する理解と施策というものが非常におくれている、こういうことは私どもといたしましては重大な関心事であります。特に今回の一九六一年のILOの総会におきまして、労働者住宅に関する勧告が出ておるわけであります。そういうこととも関連をいたしまして、この際私の方から関係各省の係の方々に質問をすると一緒に、あと年金福祉事業団の責任者であるところの厚生大臣に対しまして総括的に質問をいたしたいと思います。 まず第一にお尋ねしたい点は、ことしのILO総会に出席をいたしました政府の代表並びに顧問はどういう人々でありますか。
○石黒説明員 本年第四十五回総会に政府を代表して出席いたしましたのは、政府代表がジュネーブ駐在の青木公使及び労働省の工藤審議官でございます。そのほかに顧問といたしまして、労働省、厚生省、建設省の各課長並びに現地在ジュネーブ代表部の書記官が数名参加いたしております。
○大原委員 御承知のようにILOにおいて今日まで百十五の条約と勧告が採択されたわけです。日本の政府はILOに対しましてきわめていびつな態度をとっておることは国際的な定評があるのであります。そのことが日本の経済、外交、貿易の振興等に重大な支障になっておるのであります。特にILOはその組織構成が労、使、政府の三者構成であります。政府代表も御承知のように二名行きまして、それぞれの関係方面からエキスパートをすぐって顧問として行っておるわけであります。これは加盟国が約百に達しておるでありましょうけれども、労使双方あらゆる報道機関を通じまして、その国国の労働情勢、諸政策、社会保障、そういうものについて全部底を見せてしまう会議であります。しかも池田内閣や自民党の諸君は組閣以来口を開けば国連外交ということを言うのでありますが、ILOは国連の専門機関であります。ILO憲章に示されておりますように、これは国際正義、平和の基調として正しい労働慣行や公正なる国際競争をやろうという趣旨であります。しかしながら日本は遺憾ながら条約の批准とかあるいは勧告の履行とかいうものにつきましてなかなか各省とも熱意がないのであります。てんでんばらばらであります。労働省だけが一人で力んでみても仕方がないわけであります。与党の諸君もあるいは各省も、全部がこのことを理解しなければならぬのであります。だからILOは労働省の管轄ではなくして、これは日本政府が代表いたしまして国際舞台において条約の勧告を採択いたしたのであります。勧告というのは、いろいろな各国の政府の受け入れ方があると思うのでありますが、日本の政府は、そういう勧告に対しまして、政府としてどのような考え方の統一をするなり、あるいは勧告の趣旨を実行するなりというかまえを持っておるのか、こういう点につきまして、多少総括的ですけれども、御質問いたしておきます。
○石黒説明員 勧告につきましては、御指摘のございましたように百以上の勧告がございまして、内容、性格、種々雑多でございますので、どういう扱いをするというふうに一がいにお答え申し上げるわけには参らないのでございますが、労働省といたしましては、ともかく勧告というものももちろん十分に尊重すべきであるということで、憲章に定められております国会への提出ないしはILOへの報告をなしますことはもちろん、それぞれ勧告の内容に従いまして関係各省に通達し、あるいは打ち合わせをし、その他そのときにおける状況に即応し、勧告の性格に適当な措置をとって勧告を尊重するように努力いたしております。
○大原委員 御答弁はたくさんありましたが、大体二つだと思うのであります。実施の状況につきまして、主管省なり外務省がそれぞれILOの機関に対して実施状況を報告する仕事も一つある。それから勧告の趣旨に従って、政府の政治上の施策の上におきましていろいろな施策をするように促進していく、こういうことであろうと思うのです。 そこで私はお尋ねいたしたいのですが、この時間短縮の問題につきましては、御承知のように大問題となって、日本政府の措置等も一つの原因となりまして、これが流れまして重大な国際問題になって、また十一月に理事会で問題となることは御承知の通りです。しかしこの労働者住宅に関する勧告につきまして日本政府がどのような態度をとったかということについては、私も直接責任者から聞いておりませんし、詳細には知りません。日本の政府代表は、この労働者住宅に関する勧告につきまして、どういう態度をとったか、その点を御報告願いたいと思います。
○石黒説明員 今回の総会における住宅勧告の審議にあたりましては、日本政府としてはこの勧告は、全体としては趣旨としてまことに妥当である、もちろん細部の一々の点につきましては若干の問題もあろうということで、技術的な点その他につきまして修正案を提出いたしました。通りましたものも通らなかったものもございますが、最終的には勧告案全体といたしましては賛成の投票をいたしました。
○大原委員 この勧告に対しまして、日本の代表は最終的には全部賛成をした、それがこの勧告であるという御趣旨であります。 それではお尋ねいたしますが、この総会が済みまして後に相当日時がたっておるのであります。春から以降たっておるのであります。住宅関係の所管においては非常に権限を持っておる建設省等におきましても、顧問として出席をいたしております。各省におきましてどのような検討をいたしたかということを私は逐次お聞きいたしたいと思いますが、まず第一に、建設省はこの勧告の実施についてどのような検討をいたして、どのような施策をいたされんとするのであるか、明快に一つ御答弁をいただきたい。
○大津留説明員 私、住宅局の住宅総務課長でございます。ILOの総会に政府顧問として出席いたしまして、この労働者住宅の勧告の審議に参加いたしました。それで今労働省の石黒課長からお話しのように、この勧告案に賛成をいたしたのでございます。建設省といたしましては、この勧告の案の段階におきましていろいろ検討いたしましたところ、ただいま石黒課長から御答弁がありましたように、全体的にはまことにけっこうでございまして、全面的に賛成する。ただ一、二の点につきまして、勧告案にいわれていることがどういう意味であるか、私どもが解釈といいますか、とりようによっては現在の住宅政策に多少沿わないような点がある。その点を問題にいたしまして、ただいま石黒課長が御説明したように、総会に参りまして、この点をただしたわけでございますが、私どもの懸念いたしましたようなことでなく、従来建設省がやっておりました住宅政策はおおむねといいますか、全体的にいって勧告の線に全く沿っておる。従いまして、この勧告が出ました暁におきましても、住宅政策について変更するというようなことはないものと考えております。
○大原委員 もうちょっと突っ込んでお聞きいたしますが、建設省でやっている住宅の建設計画というものは、この勧告の趣旨に沿うている、この勧告の趣旨に反したものはない、しかし十分ではないというわけですね。日本の住宅政策というものはこの勧告の趣旨に沿うてなされているかというと、そうではないわけです。足りない点がたくさんあるわけです。今やっていることは、この住宅に関する勧告にも反しないけれども、これで十分だと言うことはできないし、足りない点はここにたくさん列挙してある。あなたの方で御検討になりまして、どういう点が明確に趣旨に沿うている、どういう点が足りない——もし御答弁によりましては私の方で質問をいたしますけれども、あなたの方のこれに対する検討されました見解、一部は修正案を出したということもあったけれども、政府全体としては賛成だというのですから、私が申し上げましたようなこまかい点について御答弁を願います。
○大津留説明員 建設省が今日までやって参りました住宅政策、またこれからとろうとする政策がこの勧告の線に沿っておるということはその通りでございますが、勧告に盛られていることを十分に果たしておるというふうには、私は申し上げ得られないと思います。まだまだ足らない点はたくさんあると思います。この勧告案を政府で事前に審査いたしました場合に問題になりました点は、この勧告案の中に、使用者がその雇用する労働者のために提供する住宅について、この勧告案では、特別の事情のある場合を除いて一般的に好ましくないというような趣旨の表明がございました。それで私どもが従来住宅政策をやって参りまして、使用主がその雇用する労働者に住宅を提供する、いわゆる給与住宅、これも特に今日のような日本の住宅事情のもとにおきましては、むしろ積極的に奨励さるべきではなかろうか、こういうふうに私どもも考えておりましたのに対しまして、一般的にいって好ましくないということになっておりますので、その辺がどういう趣旨であるか、日本のような住宅事情のもとにおいては、給与住宅を推進するということも否定されるのであるかどうかという点が一つの疑点であったわけでございます。総会に出席いたしまして、ILOの事務当局にいろいろ詳しい説明を伺いましたところ、そういった日本のような住宅の不足した、住宅事情のまだ安定していないところにおきましては、使用者が労働者のために住宅を提供するということは、それはそういう特別の場合を除くという、そういう特殊な事情といいますか、そういうことであって、この勧告の趣旨はそういうものを否定するのでないということが明らかに説明されましたので、安心して賛成したわけです。
○大原委員 今建設省の方から非常に安心したという話を聞きましたけれども、今の勧告の第四項の「使用者による住宅の供給」という事項がありますが、労働省としては、使用者による住宅の供給は本来あるべき姿としてはどのようにあるべきであるか。やはり労働省といたしましては、省の性質上、はっきりした見解を持つべきである。労働省はどういう見解を持っておるか。
○石黒説明員 労働省といたしましては、建設省からただいま御説明申し上げましたように、目下の住宅の絶対的不足の状況におきましては、社宅であろうと何であろうと、ともかく安定した住宅が与えられることが何よりも先決である。しかも遺憾ながらこの状況はそう短時日の間に解消されないであろうというふうに考えております。しかしもちろん将来の理想といたしましては、この勧告の原則論としてうたっておりますように、社宅という制度によらずに、公共の住宅その他に入居できることがもとより望ましいことと考えております。
○大原委員 建設省は、民間で自力で建てるやつをいうのでなしに、日本の政府が住宅を建てる方式には、どういう方式がありますか。三つ、四つありますが、簡単に明快に答弁して下さい。
○大津留説明員 民間の方が自力でお建てになる場合を除きまして、政府が何らかの形で援助しておる方策といたしましては、一つは地方公共団体が政府から補助金を得て建てる公営住宅がございます。これは低所得者のための低家賃住宅ということで、これが住宅政策の一つの大きな柱でございます。それから二番目は、住宅金融公庫が個人住宅をお建てになる場合、あるいは地方の住宅協会のような団体が賃貸住宅を建てる場合、また産業会社が給与住宅を建てる場合、こういう場合に融資をいたします。これが二番目の大きな柱でございます。第三番目は、日本住宅公団が建てますところの賃貸住宅、それから分譲住宅がございます。この住宅公団の住宅が第三の柱となっております。そのほかには厚生年金の還元融資による住宅というようなものかあります。
○大原委員 私は時間がないからできるだけ端折って言う趣旨から申し上げるのですが、労働者住宅に関する勧告は、労働者住宅をとにかく国全体の住宅政策の中で優先的に扱えということが一つ前提としてある。その点は建設省も了解いたしておりますね。
○大津留説明員 ここでいう労働者住宅というのは非常に範囲が広うございまして、私どもが住宅政策の対象に考えておるもののほとんど全部をおおうほどの対象でございます。従いまして私どもの考えておる住宅対策というのは、ほぼイコール労働者住宅対策であると申し上げてあまり間違いないと思います。
○大原委員 これはその答弁の限りにおいては了解いたしますが、それでは最初の答弁に返って、日本の住宅政策がまだ足りない点がたくさんあるという点です。これは労働省の方からも答弁があった。これはまたあとで具体的に言いますが、今あなたは、ILOの住宅に関する勧告の中で非常に気にかかったのは使用者による住宅供給だということです。私はこのことだけを取り上げようとは思わなかったが、第一の項には、「使用者は、彼らの労働者のために、使用者の企業と関係のない公共的または民間機関が公正な方法で住宅を供給することの重要性についての認識を高めるべきである。」という考え方に示してありますように、さらに第三項のA項に示しておるように、労働者の基本的な人権、居住権とかあるいは市民的な自由はもちろんですが、その次に書いてある特に団結の自由を認められるようにしなければならぬ。特に炭鉱住宅その他社宅等は、職場を離れたならば家を出ていかなければならぬ、こういうことです。そうすると労務政策や企業に従属した住宅というものがどんどんふえていくよりか、公共性や民間の自主的な形において住宅を作れというのが一貫した趣旨です。労働省いいですか。私の言いました原則はそうでしょう。
○石黒説明員 御指摘のごとく、社宅はしばしば現状におきましては一般の住宅公団の住宅よりもよくできている点もございますが、御指摘のような、なかんずくやめたら出なければならぬというところが最もウイーク・ポイントであります。そういうような趣旨におきましてILOの言うところは理想としてもっともだと思います。
○大原委員 だから漸次これを克服する方向において政策を実現するようにILOの勧告はあるわけです。この点は、大蔵省もそうですが、建設省が今日まで住宅の主管省のような形でありますが、このことは建設省におきましても理解をして進まないと、やはり物事をスムーズに進めることはできません。このことはいろいろな施策をされる場合において十分お考えいただきたいということが一つ。 日本の労働省というのは世界にも珍らしい省であります。労働省というところはないところもあるでしょう。しかし労働省というのは、やはり日本の労使関係や労働者保護が未発達であったから特に労働省を設けたわけだから、労働省の労働者住宅に対する発言を強めていくことが、この勧告をスムーズに実現をしていく上においては必要ではないか。住宅全体をどのように充足していくかという計画は一元的に立てなければならぬ面もありますけれども、しかしながら住宅政策ということを考えた場合には、労働者住宅をILOは特に生産面における住居の安定という面について考えているし、特に日本の実情におきましても住宅家賃がべらぼうに上がってしまって、消費者物価どころではない、大きな負担になっておるということの事実があるわけです。幾ら月給が上がっても、一カ月について千円ずつ上がったというのは軒並みです。住宅家賃を低くするということは、賃金を安定させ生活を安定させるゆえんであります。だから労働省の発言力を法制上組織的に確保すべきである、このことは住宅政策からいっても、ILOの勧告の趣旨からいいっても私は当然と思います。建設省いかがですか。
○大津留説明員 ごもっともでありまして、ただいまの制度のもとにおきましても、建設大臣が住宅政策を決定し推進していく上において、重要な事項につきまして諮問する機関として住宅対策審議会というのがございます。このメンバーにはもちろん労働省の事務次官もなっておられますし、厚生省の事務次官もなっておられます。また労働者代表として組合の方からも出ておられます。そういう機関を通じまして住宅政策全般についても十分御意見を反映していただくようにしております。また個々的な施策につきましては、たとえば住宅金融公庫が産業労働者住宅の融資をいたします場合に、その融資先の決定につきましては、労働省の方の御意見をつけていただくということによってその間の意思のちぐはぐにならないようにやっております。
○大原委員 もう一面におきましては、たとえば炭鉱とかその他斜陽産業等で、非常な緊急な問題がありますね。そうして社宅を実際上追われるということがあるわけです。合理化で首が切られるということは住宅を追われるということになって、これが労働力の流動性や、また職業訓練その他に隘路になっているわけです。それを補うためには、そういう今の社宅制度の持っておる日本の実情と欠陥、そういう欠陥というものを克服するような政策を補っていかなければならぬと思う。私は現状で今の社宅が何でもかんでも悪いと言わぬけれども、それを補うような政策がなければならぬ。これは私が労働省と言っているのは厚生省を含めての話であります。社会保障、住宅保障でありますから、厚生省を含めての話です。そういう観点からいたしますと、労働省や厚生省や年金福祉事業団等のそういう運営においても、国の予算でやる、同時に国の金を融資してやりますという、そういう住宅の建設方式もあるわけでありますが、そういう政策について、私は格段の飛躍した政策をとるべきであると思うし、その点については建設省のセクト主義も許せないと思うし、あるいは大蔵省もこの点については十分理解されるべきであると思う、あるいは労働省や厚生省は強くこのことを主張すべきであると思う。この点につきまして建設省の御意見をお伺いいたします。
○大津留説明員 御承知の通り、住宅政策の実施に当たりましては労働省、厚生省の御関係の御意見も十分取り入れて実施すべきであるということは御指摘の通りであります。一面私どもといたしましては政府の住宅政策が分裂しないように、一元化というか、一貫した方針のもとに運営されるように特に注意して参りたいと思います。
○石黒説明員 労働省が微力でございまして、従来十分な成績を上げておらないという御趣旨のおしかりであろうかと存じまして、その点はまことに私どもといたしましても遺憾に存じております。機構上の連携につきましては、建設省から先ほど御説明申し上げたようなことであり、また最近におきましてそういう行政機構そのものではなくて、実際上の協力ということも私どもとして大いに努力いたしております。たとえばILOの総会に建設省の課長が出てくれたということは、私の記憶する限りでは初めての事例でございまして、逐時法制上もまた実際上も協力をますます強める、なわ張り争いをするというよりは、むしろ実際上の協力を進めまして御趣旨に沿うように一そう努力いたしたいと考えております。
○大原委員 大蔵省の見解はどうですか。
○岩尾説明員 財政投融資の問題といたしましては私の所管ではございません。御意見よくわかりましたので十分検討いたします。
○大原委員 それで、そういう緊急事態もあるわけですけれども、本来のILOの今回採択されました勧告について、基本的にそういう点を一つの基本施策としてそういう方針をとっていく、それは労働省なり厚生省の社会保障的なあるいは住宅保障的な観点を強化する。これは建設省の方も最近少しは頭を切りかえて、低家賃住宅なんか少しずつ作るわけです。そういう点は少しは進んでいるわけです。進んでいるわけだけれども、実際上やはりそういう動き、同時に実際ぴったりしたようなそういう住宅政策をとるということが一つ、基本的にやはり住宅問題に対する姿勢を直していくということが一つ、その点を私は強く要望いたしておきます。 それから勧告の「一般原則」の中で「範囲」の問題は除きまして、第二番目の「国家の住宅政策の目的」の中におきまして、適当で上品な住宅施設を作れということがあるのですが、これは随所に出ておるわけです。そうして、「このような施設の購入費の分割払であれ、労働者にとって彼の収入の適当な割合以上に高いものとならないことを目標とすべきである」ということが、一つの目標としてあるのだが、その次に続いて、「協同組合および公営企業のために十分に活動できる余地を用意すべきである」というのがあるわけです。私はここで一つその政策を立てる柱といたしまして要望したい点は、協同組合という考えですね。つまり労働者が地域的にあるいは職域的に自分たちの住宅を作る。国の施策で及ばないところを自分たちの住宅を作る。こういうときに住宅の協同組合を作る場合が最近起きつつある。このことはILOの勧告の一般原則で、私は、使用者に関連いたしました社宅の問題でも質疑応答いたしましたけれども、自主的にそういう作るような動きに対しては十分助成すべきである。後に、関連いたしまして財政問題でもお尋ねいたしますけれども、財政の問題にいたしましても、たとえば労金の金が争議資金に使われるとか、いろいろな意見を言う人がありますけれども、住宅に使われるということは、みずからの金を住宅に還元できるというふうな、そういうことは、これはだれも、労使全部超党派的に異議のないところであります。だからそういう協同組合の組織を活用いたします、労住協の組織を活用しまして、あるいはそういう自主的な活動の一貫といたしまして、そういう協同組合を活用いたしまして、たとえば労働金庫や民間の中小企業の関係の金面とか、一般の市中銀行、地方銀行等の資金を活用いたしまして、足りないところを自分の力で立ち上がって建てる。こういうことは、きわめて政策といたしましても、労働省や厚生省が考える場合におきましては当然助成すべき政策であると考えるのであります。建設省から答弁願います。
○大津留説明員 住宅問題の解決に建設省だけとか、あるいは政府だけの力ではとうていまかなえませんので、民間の方々、いろいろな各種の公共的な団体、これらの方々がいろいろな形で御協力いただくということは、まことにそうあってしかるべきものと考えます。
○石黒説明員 ただいま建設省から申し上げました通りであります。
○森本政府委員 還元融資につきましても、住宅の経営を目的とする協同組合に対して貸付をしております。全く同様な考えでございます。
○大原委員 第三番目に、「公共団体の責任」というところにはいろんな、建設省とか地方公共団体とか公団とか、その他直接間接に住宅を建てるという、そういう政策を統括して一元的にやるために中央の機関を作れということがあるのでありますが、これも一つ念頭に置いていただきたいことと、非常に急いでおる方々もあるようでありまから進んで参りますが、第四番目に「使用者による住宅の供給」というところでは、先ほど質疑応答がありました通りであります。 五番といたしまして、財政問題でいろいろと勧告がなされておるわけでございまするけれども、その中で政府、使用者及び労働者の組織は、住宅協同組合及びそれに類する非営利的住宅協会を奨励すべきである、とこういうふうな項目もあります。これは先ほど質疑応答いたしましたので、お答えはいただきませんけれども、こういう点も一つ念頭に置いて政策を立てていただきたいのであります。この中には、財政問題の中におきまして、「個人、協同組合及び民間機関が、投資するのを奨励すること。」という項目と一緒に、いろいろな融資の項目の中に労働金庫等も考えられたような、労働者の自主的な金融機関等も考えられたような、そういう条文があるわけであります。 六と七を飛ばしまして八に参りますと、「住宅建設と雇用の安定」ということにつきましては、先ほどもいろいろと質疑応答をいたしたわけでありますが、そのことが強調をされておるのであります。 それから第九番目には、都市や地域や地方において住宅計画を立てる中で、「敷地を公正な価格で入手する権利」、そういうサービスをすべきであるという項目もあるのであります。 付属文書等がございますけれども、私は、この機会にお尋ねいたしたい点は、そういう観点からいたしますと、年金福祉事業団の制度を活用いたしまして、財政投融資の中におきまして、今まで厚生年金は本年一ぱいで五千億円にもなるわけであります。国民年金も年々増大してくるわけでありますが、この還元融資のワクを拡大をいたしまして、福祉事業団の運営を強化することを通じまして、今まで議論をいたしましたようなことをやはりやらないと、今のようなみみっちいことでは、私が先ほどから申し上げているような、そういう政策の運営はできないのじゃないか、こういうふうに私は思うわけでありますけれども、建設省はいかがですか。もし横の方から横やりを入れたり何かしてはいけませんから、あなたのお答えを聞いておきますが、いかがですか。
○大津留説明員 非常に大事な問題、またむずかしい問題でございまして、私がお答えするのが適当かどうかわかりませんが、建設省といたしましては住宅行政の一元化といいますか、同じような施策を同じ国の機関があっちでもやる、こっちでもやるというようなことは好ましくないんじゃないか、こういうような観点からいろいろ御相談に応じておるわけでございます。
○大原委員 そういたしますと、あなたの方は、公営住宅と公庫住宅と公団住宅の三つの方式について言ったわけですけれども、そういう農村の住宅改善とか、あるいはその他会社が建てようと思う建物に公共性を与えるとか、あるいは単に会社に対して資本をつぎ込むんでなしに、それに対して公共性を与えるということで福祉事業団を媒介にするということもあるわけです。福祉事業団を一つの媒介にするということもあるだろうし、そういういろいろな点から、たとえばこの年金福祉事業団の中の資金の貸付の対象の中には、非常にぼかして書いてあるのでありますが、これは厚生省にあとで強く質問いたしたいと思うのでありますが、ここが一つの大きなねらいでありますけれども、これはあとにいたしておきまして、とにかくそういう観点からいたしまして、やはり融資のワクを拡大をしながら、この勧告の中にある、私が第三項だと言っておりましたけれども、中央で協議会を設けて、そこで一元的にやれということなんです。各関係官庁、地方の問題を含めまして一元的にやれと、こうなっておる。一元的にやることはいいことだ。ばらばらにやることはむだなことですからね。しかしながらこれは何も建設省ひとりで、おれのところだけが住宅建設をやるのだということを言っておるわけではない。むしろそういうことは否定をしておる。建設省自体もバラエティに富んだことをやっておるわけです。問題は連絡をとればいいわけです。あなたは、今まで私が三つほど質問いたしましたら、三つ全部同じような答弁をいたしましたが、最後になって一番悪い答弁をいたしましたけれども、そういうことではけしからぬのであって、こういうことでは一つも今まで審議した値打がないのであって、課長のあなたを、局長や大臣の代理といたしまして尊重いたしまして呼んだ値打がないのであります。これでは話が全然もとへ返ったようなものであります。そういうことは十分私は今までの質疑応答をあらためて通常国会で徹底的にやりますけれども、このことは強く要望しておきますが、私の質問の趣旨は理解いたしましたか。
○大津留説明員 よくわかりました。
○大原委員 それから厚生省にお尋ねいたしますが、これは資金の貸付を行なう対象の中に、農業協同組合その他の法人とありまするけれども、先ほど私が申し上げましたけれども、そういう労働者が自体で自主的にやる生活協同組合、労住協、あるいは労金その他の機関を活用するという、最も労働者や一般庶民が熱望いたしておりまする安い家賃の家を建てるというような要望に沿うような、そういう自主的な運動、政府の政策を補うような運動、こういうことも全体といたしましては調整や連絡をとる必要があると思うのだが、そういうことを積極的に進めていく意思はないのかどうか。厚生省、一体この年金福祉事業団をどう考えておるか。
○森本政府委員 この参考表に書いてございます、今御指摘の農業協同組合、漁業協同組合とございますが、これは、気持は、主として国民年金を貸す場合のことを予定しておるわけでございます。国民年金の被保険者は、こういう農業協同組合とか漁業協同組合、こういう組織を通じて借りるのが適当であろうというので例示をしたわけでございます。それから、その他のいわゆる協同組合でございますが、被保険者が集まりました協同組合でございます。これもやはり住宅の設置、運営を目的とするというようなものでございますれば、これはいろいろやはり法人としての財政的な問題はございましょうが、そういうものは別といたしまして、やはりこれは被保険者の利益のためでございますから、対象に予定いたしております。積極的にこれをやるかどうかという問題でございますが、これは実は、こうして並べてありますように、事業主の方もやらなければいけませんし、農業協同組合もやらなければいけませんし、また被保険者の団体もやらなければなりませんので、役所としてどれにどう力を入れるということを申し上げるのは適当でないかと思いますが、とにかく、ここに書いてあります対象については、適格性に応じて貸し付けていくべきである、こういうふうに考えております。
○大原委員 被保険者の住宅に対しても融資をする。資金の貸付の対象にしますね。
○森本政府委員 被保険者の組織いたしますところの住宅の設置、整備と申しますか、運営と申しますか、そういう法人で適格性を持ったものについては——失礼しました、還元融資の方はその方針で参っております。 それから、事業団につきましては、実は私ちょっと間違えておりましたが、ただいまのところ、事業計画としましては、住宅の方は一応計画としては、お手元に示しておりますように、福祉施設と病院を対象といたしておりまして、ただいまの段階では、住宅は一応は今入れておりません。
○大原委員 それでは大臣に来てもらわなければならぬ。私は時間がかかるからできるだけ端折ってと思って簡単にやったのですよ。 そこで、一つ話題を変えて、ここにはどういうことがあるかというと、自己所有の住宅を作ることも奨励しているのです。このことは分譲することも認めているのです。住宅は安定することが目標なんだから、自分の住宅を持たせることも勧告は一つの大きな重点にしているのです。いいですか。それからその貸し方の中には、その中にあるけれども、別個の独立した住宅を持つことを目標にすべきなんだ、そういう目標も住宅政策の中に書いてあるのです。だから自主的に政府ができない施策を、やらない施策を補う意味において、協同組合組織等を通じましてやるとか、金融機関等を媒介としながら自分の住宅を持たせる、そうして一生涯安定した家に住まわせる、こういうことも非常に自主的な、特に労働政策といたしましての住宅政策としては、そういう組織形態、やり方と、それから所有の形態、そういう形態におきまして、これはそういう方針を勧告の中に出しておるわけなんです。こういうことが随所に所てくるのです。そういう趣旨を、私は、政府がILOの住宅に関する勧告を採択されて、そうして政府代表も帰って、いろいろとこれは労使の協力を得ながら実行していくべき当然責任があるわけでありまするけれども、そういう趣旨からいいましても、この年金福祉事業団の運営において、労働者の住宅を融資の対象の中にやるべきではないか、こういうふうに私は言っておるのです。それはILOの労働者住宅に関する勧告——労働省に聞きますが、その中に——私の言ったことは間違いないでしょう、間違いがあったら、私がまた質問しますけれども……。
○石黒説明員 労働者のための公共住宅ないしは労働者の自分で所有する住宅を推進する、奨励するということは、おっしゃる通りでございます。同時に、御承知と存じますが、第六項におきまして、一般社会経済政策との調整をとるということも申しておりますので、いろいろな関係がそこに考慮されてくることだと思います。
○大原委員 だから、住宅保障は社会保障制度の一環でもあります。従って、厚生省はその趣旨を十分に体して、この事業団の運営をなすべきであると思いますけれども、あなたの見解はどうですか。
○森本政府委員 先ほど来、大原先生いろいろILOの勧告を御指摘になりましてお話がございました。この事業団の性質また還元融資の性質からいたしまして、この事業団におきましても、こういうものを貸付の対象にするということは当然考えねばならぬことと考えております。ただいまのお手元に配付しました資料におきましては、そうなっておりませんが、これは十分考えなければいかぬ問題と考えております。
○中野委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○中野委員長 速記を始めて。 八木一男君。
○八木(一)委員 先ほどに続いて年金の問題について御質問申し上げます。 小山年金局長に対する質問が一応のところまで達しましたら灘尾厚生大臣を待ちますから、そのときはちょっと休憩していただきたいと思います。 先ほど小山さんの灘尾厚生大臣に対する助言的な説明の中に、私、その事実はそのとき知っておったけれども、午前中の間に結末をつけなければならないので、この問題は省略をいたしました。しかし小山さんの説明では、結局老齢福祉年金の配偶者所得制限の問題について論議をしているときに、老夫婦があって、もう一つ扶養者がある場合には免税点に達するから、実質上関係がないといわれましたけれども、これは正確ではないと思う。扶養者がたくさんあるときにはそういう事態に達しますけれども、正確にはそうではないと思います。それについて、小山さん一つはっきりおっしゃって下さい。
○小山政府委員 私が先ほど申し上げましたのは、老夫婦のほかに孫がある、孫を養っている非常に気の毒だという事例についてのお話でございましたので、そういうことになれば、孫を養っている数に応じて所得制限の基準になる額が多い、ちょうどその結果として、世帯所得の制限の場合の基準と同じような作用になっておる、こういうことを申し上げたのであります。
○八木(一)委員 非常に頭のいい、言い回しのいいことを言っておられますけれども、先ほどの御答弁だと、そういう私のあげた設例を利用して、そういうことであっては、一切配偶者所得制限について論議をする必要はない、問題は解決されているというような答弁になるわけです。そこで孫がたくさん、三人いた場合には同様なことになろうかと思います。しかし、老夫婦であって孫が一人の場合には、これは調べればわかることですけれども、非常にきょうは忙しいから免税点について大蔵省の方に調べに行きませんが、小山さんの理解では、老夫婦二人、それから孫一人の場合に、幾らまで収入のあるところが免税点になるか、小山さんの理解するところをおっしゃっていただきたい。
○小山政府委員 老夫婦だけでございますと、二十三万円であります。基礎控除九万円、それから老齢者のあれが所得額に直すと大体五万円に相当します。それに現在の税法で配偶者の控除がございますから、これが九万円、合わせて二十三万円です。それから孫が一人それに加わりますと多分五万円加わるのだと思います。そうすると二十八万円、こういうことになります。
○八木(一)委員 でございますから、二十八万円までは配偶者の所得制限という要件がその場合にはかからないことになりますが、少なくとも三十万円あったら配偶者所得制限の要件がかかるわけです。片一方、比較をいたしておりました老夫婦が子供が働いている場合の世帯所得制限は五十万であります。そうすると、年寄りのおじいさんが一生懸命働いて、三十万円の収入のあるところのおばあさんには、三十万円の世帯でありながらこない。片一方、むすこが働いているときには、五十万円の世帯であろうがくるという要件があるわけです。そういう問題について厚生大臣にいろいろと問題自体を明らかにして判断を求めておったわけでございまするが、小山さんの話によれば、孫が三名も四名も五名も六名もあれば問題が解消するけれども、一名のときには解消しない、従ってまた、老夫婦だけのときには断じて解消しないわけです。問題が実際的に解決されているという状態が部分的でありますのに、それをあまりに拡大して説明されましたので、まだこの事態に明らかでない厚生大臣は、そんなものかと思って、この問題に対する理解を間違える危険性がある。ですから、この問題については厚生大臣がいるときに申したいわけでございまするが、与党のさんざんな慫慂で、時間節約上、厚生大臣のいないところで言っておりますけれども、あなたの説明はその点で非常に不十分なところがあって、問題の理解が十分でない人は誤解をする要素があるという点をお認めになって、そういう事態で、委員会における質問者の言っていることは、これは厚生省、厚生大臣が非常に必要であるということを認めるかどうかは別として、問題点としては厳然としてあるということを十分に厚生大臣にお伝えになっていただく必要があろうと思います。即刻一番早い機会を見てよく解明をして、厚生大臣が判断に誤りなきようになさっていただく必要があると思いますが、それについて小山さんの御意見を伺います。
○小山政府委員 仰せの通り、大臣にはきわめて正確な知識を持ってもらうことが必要でございます。従って、この点については今後とも万全を尽くすつもりでございます。 なお、先生おっしゃいましたけれども、五十万円というのは、あれは扶養親族が五人であった場合には五十万円でございますから、扶養親族が一人でありますと、正確には私、今金額を覚えておりませんが、多分三十万円をちょっとこえた程度になると思います。ただ、いずれにしても、所得税ラインというものと、扶養親族が五人である場合に五十万円というラインとの間において若干の違いがあるので、その事実は正確に説明したいと思います。ただ、これを申し上げると先生にしかられると思うのでありますが、先生のおっしゃる三十六万円であると、これは所得税ラインよりも下でございます。三十九万一千円というのが五人の場合の所得税ラインでございます。
○八木(一)委員 今、所得制限と申しましたけれども、政府の年金の方の所得制限の問題が、一般に理解されているいわゆる世帯所得制限という概念ではなしに、今説明されたような概念であることは私も存じている。従って、普通の世帯所得制限という場合よりは、孫があったときにその矛盾が少なくなるということはおっしゃった通りだろうと思います。ただし、それは、孫があって、この問題の矛盾が一番少なかろうという部分についての理解であって、子供や孫がないおばあさんの場合にはさらに問題は大きくなるわけです。それからもう一つは、逆に申しますと、その問題で解決をされる部分が多いのであれば、配偶者所得制限というものを撤廃しても予算的な配慮は少なくて済むということであります。その矛盾が相当部分解決されるとすれば、残りの問題は小部分だけでありますから、その意味で、積極的に厚生大臣を補佐せられまして、議会の論議を重んじられて、配偶者所得制限についてのいろいろな論議について尊重せられて問題を進めていただきたい。小山さんの方は夫婦一体という概念であるから、本人所得制限と同じような意味で配偶者所得制限が必要だという論拠を持っておられることを知っておりますけれども、そのような観念的な論拠よりは、むすこのないおばあさんに年金がこない、むすこのあるおばあさんに年金がくるという実態的な要件の方が——ことにこれは救貧対策として実施されている無拠出年金でございますから、そのような観念的な論拠よりは、実態に即したもの方がより重視をされて考えられなければならないと思うのです。御意見はあろうと思いまするが、議会の論議が、与党の方あるいは民主社会党の方があのような意見に反対だというような質問を通じての御論議であれば、それもまた尊重されていいと思いますけれども、そのような論議が一つも出ないところを見ますと、社会労働委員会の意見は、大体においてそのように、配偶者所得制限というものを撤廃した方がいいという意見に大勢は傾いているわけです。専門家である小山さんが年金制度について非常に造詣が深いことは知っておりまするけれども、どんなに専門家であっても、百に一つや千に一つは実態に即さないことを考えることもある。国民の代表の府であるこの社会労働委員会の論議を尊重せられてこの問題を解決するために——しかも、この前の国会においては明らかな全員一致の附帯決議がついておりますので、この問題を解決するために、厚生大臣に対して十分補佐の任を尽くされる必要があろうと思う。私見とか主観を脱却して、世論の背景において問題を考えるということでこの問題を進めるために十分補佐をしていただくことについての御答弁を願いたいと思います。
○小山政府委員 この問題についての根本的な態度については、八木先生から非常に熱心なお話があって、大臣もお答えを申し上げた通りでございますが、特に今の大臣は、役人どもを使うことについては非常に自信を持っておられる方でございまして、私どもが四の五の言ったからといって、先生が御心配になるように判断を狂わされる方ではございません。私ももちろん誠心誠意お仕えして、正しい知識を正しく申し上げて、正確に理解していただくということに努めますので、結果としては先生のおっしゃるようなことに万事うまくいくと思います。
○八木(一)委員 続いて小山さんに御質問を申し上げます。さっき私が社会保障制度審議会に行っている間に、同僚の楯兼次郎君から質問があったと伺っておりますので、その問題の具体的なこまかい点については繰り返す必要はないと思うが、これは非常にあいまいな御答弁であったと思うのです。というのは、非常に有能なる能吏であることをもって有名な小山さんの御答弁としては、はなはだこの点をはき違えた御答弁か、そのように解釈せられるあいまい不十分な御答弁であったように間接に伺っております。その問題は、各市町村の拠出年金制度に対する登録あるいは保険料収入というようなものの成績ですね。その成績に関連して、片方の方の年金のいろいろの融資あるいは起債、そのような対象のものについての順序をきめる判断材料に、その片方の方の登録あるいは保険料収入というような要素を入れておられるやに、間接に聞いたところでは解釈されるような御答弁であったようであります。これは非常に重大な問題であります。そのほかの点について、年金局長が非常に年金に熱心である点は十分に敬意を払っていいですけれども、この問題だけはそういう考え方を脱却されないと、非常に重大な問題が起こる。問題は行政的に違った問題であります。融資あるいは起債という問題について、その対象となるものが必要であるかどうか、具体的にそれができる——たとえは貸付であれは償還能力があるかどうかというような、普通の貸付の対象を決定するときの条件、諸条件の順番によってきめるべきであって、ほかの要件——登録成績あるいは保険料納入成績というものとはさい然と区別をされなければ、行政を私したものになろうと思う。ほかの問題については、政府の方の自信を持った国民年金制度についてまだ理解が少ない点がある、それを理解をさせたいという気持はわかります。しかし、理解をさせたいという気持があっても、政府の案が、努力が見えていても、完全でないために、また年金制度というものが非常に複雑であるがために理解が少なくて、そういうようなことが起こっているでしょうが、それを解決したいという熱望を持っておられることはわかるけれども、その問題と、ほかの融資等の順序をきめることにその要素を入れることは非常に重大な問題になって参ります。融資の対象にそのような年金の登録あるいは保険料納入成績を入れられるということは、行政を私することになりますので、これは小山さんの今までの、この前の御答弁が十分なものであれば、間接に聞いておりますから、けっこうでありますが、十分なものでなければはっきりしていただきたいと思います。私の心配しておるような御答弁であれば、これは改めていた、だかなければ重大な問題になろうかと思います。小山さんの御答弁が満足できなければ、私は厚生大臣に質問をいたしますし、厚生大臣がこの答弁について満足な答弁をなさらなければ、さらに総理大臣に追及しなければならないと思います。小山さんとしては十分に御考慮を願って——今のところじっくり考えられてけっこうです。答弁の食い違いは一切問題といたしません。よい意味の行政運営をやられるための、ほんとうのりっぱな御答弁を願いたいと思います。
○小山政府委員 この問題につきまして、私先ほど申し上げましたことを特に変えなければならぬとは考えておりません。先生御存じの通り、厚生年金の還元融資ですでにここ数年来やっておる問題であります。その場合におきましても、厚生年金の保険料の納入実績がどうであるかということが還元融資の場合の一つの要件になります。元来、これは一般の地方債の融資と別に、それにつけ足してやるものなのでありまして、還元融資というものは由来そういうやり方でやってきたわけでありまして、決して国民年金においてことさら異なったことをやっている、いわんや行政を私しているというようなものではないのであります。元来そういうものでやって参ったのであります。その意味において、私はそれは決してそう間違っていないという考えを持っております。
○八木(一)委員 元来そのようなものでやられてきたということ自体が間違いであろうと思う。厚生年金の問題について、国民年金の問題について、保険料納入成績が悪いところといいところがあるということ自体については、これは政府の啓蒙活動が足りないという点を一つ考えなければならないでしょう。もう一つは、啓蒙活動をしても、その内容が国民にぴんと来ない内容である。しかもその地方の対象者の貧困の度合いから見てぴんと来ない内容であるというところから来ている問題であって、そういう問題について、片一方の、金で、融資というものでつってこれを強制的に協力させるという方針は、政治の大道としてはとるべきものではありません。ほんとうのところ年金制度をよくして、その理解を——なまけたりするような態度でなしに、ほんとうに理解させるような行政努力がされて、そうしてそのような登録あるいは保険料納入実績が順調にいく。一本立ちで考えていく。それと同時に、その年金の融資は、どんなに登録あるいは保険料収入の成績が悪かろうと、そこに被保険者がいるわけです。納入した被保険者がいるわけであります。納入した被保険者がゼロというところはありません。それを積極的に理解して、納入した人の利益を守るためには、その融資の対象は、この貸付を受ける計画が妥当であるか、あるいはまた原資を守る意味において返済能力があるかという普通の貸付条件をもとにして考えるべきであって、そういうものをえさにしてほかのものの登録をよくしよう、保険料収入をよくしようという考え方は、これは本道を誤っております。ほんとうのいい制度であるならば、そんなえさを作らなくてもできるわけであります。ほんとうによく啓蒙したものなら、そんなことはなくてもできるわけです。そういうイージー・ゴーイングな行政は、断じてとってはいけないものであります。厚生年金でやられておったならば、厚生年金には、そういうことは改めさせなければいけません。誤ったものを踏襲するというのは、よい行政を進める道ではありません。そういう意味においてさらに考えて御返事を願いたい。
○小山政府委員 一般の地方債のワクというものがあるわけであります。先年がおっしゃったようなことだけを考慮するならば、何も還元融資とか特別融資なんていって、別のワクを設ける大義名分はないわけであります。これはそれぞれの制度の特殊事情のために、一般の地方債とは別にこれが必要なんだということで、特別に作られているわけであります。先年のお考えはよくわかります。先先のお気持の中には、そんな卑怯なことで年金の推進をさせたくないという、非常にあたたかいお気持のあることも、私よくわかっております。その意味において、私は先ほども、決してこれは欠格条項なんというふうに考えているのじゃないということは、かなりはっきり申し上げたつもりなんであります。ただ申し込みが非常に多くて、その中でもう確実につき合えないものがあるとすれば、順序として、やはりそういう進んでないところは遠慮してもらう。そうしてそれを通過したものの中で選考するということにならざるを得ない。その意味でこういう基準を設けているんですということを申し上げたわけであります。この点は、私、それで今のところ別に間違っていないというふうに確信しております。
○八木(一)委員 基準を設けられたと言われますけれども、そういうような基準は誤りであります。順番をつけるということは、その貸付を申し出ている施設がより必要であるかどうか、あるいは原資を守る立場においては、返済能力があるかどうかという順番で順位をつけられたらいいのであります。申し込みが多いときには順位をつけなければならないことはもちろんですが、その順位のつけ方は、その融資について、どのように有効に原資が活用せられるかという順番で融資の順番をつけるべきであって、そのような年金についての登録とかいうような成績でもって順位をつけるべきではないと思います。その問題については、きょうの論議もありますが、今国会中にもう一回質問を申し上げます。ですから十分に——きょうは時間の関係かありますので、十分に検討されて、誤らざる方針を今国会中に——来週でももう一回質問しますから、出していただきたい。
○中野委員長 大原亨君。
○大原委員 それでは、私が今までに御質問申し上げましたことにつきまして、総括的に厚生大臣の方から御答弁をいただきたいと思うのです。その中で重要な問題だけを御質問いたしたいと思います。 前回の質問その他を通じまして、私どもは年金福祉事業団の資金ワクを飛躍的に大きくしてもらいたい。そしてそれを実際に運営する場合において、これを民主的に運営する一つの方法といたしまして、資金貸付の対象を実情に即して拡大をしてもらいたい。その際には勤労者の住宅に対しても十分な配慮ができるような措置をしてもらいたいということを結論的にも要望いたしてきたのです。きょうは私は、建設省や労働省、あるいは大蔵省や停止省の関係係官の御出席をいただきまして、特にその問題に関連をいたしまして、ことしの春にILOの総会におきまして、労働者の住宅に関する勧告に日本も最終的には賛成をいたしまして、その勧告が採択されました。このILOには顧問といたしまして建設省の担当課長も出席をいたしました。その中でいろいろと私は見解を申し述べまして質問をいたしたのでありまするけれども、たとえばこの勧告に一貫をいたしますものは、第四番目の「使用者による住宅の供給」というところに端的に示しておりまするように、労働者の基本的な人権、生活権、生存権を考えるということが一つと、それから特に団結の自由が認められるという立場に立って自主的なものでなければならない。従来の社宅はとかくひもがついておる。企業を離れると直ちに住宅を離れていかなければならぬ。特に炭鉱その他の緊急なる今日の雇用問題に直面をいたしまして、住宅問題が非常に重大な問題になっておる。だからそういう問題等も十分に考えて、この勧告の趣旨というのは、とにかく住宅政策に優先をする問題といたしまして、労働者の住宅が取り上げらるべきであるという原則に立って、いろいろな方向やあるいは財政上、政策上の方向を示しておるわけでございますので、その点に対する各省ばらばらでない統一した見解を示すと同時に、労働省と厚生省がそういう勧告を実施する立場において発言力を強化していく、こういうことの必要性を力説して御質問いたしまして、関係各省の見解の一致を見たわけであります。このことのこまかなことについては私は厚生大臣に御質問はいたしませんけれども、その中におきまして、たとえば労働者が自主的に住宅協同組合、労住協その他の法人、団体を作り、あるいは労働金庫等の金をそういうふうに利用いたしまして自主的に住宅を建てるという運動をやっている。そういう場合等におきましても、全体的な住宅政策を国において統轄しながら、そういう方法を生かしていくべきである。その方法の中には、この年金福祉事業団にありますところの単なる共同宿泊設備というだけでなしに、そういう労働者の要求に応ずるような住宅をどんどん建てていくべきである。その一つの問題といたしましては、個人所有や分譲その他の問題等もこの勧告の中にあるのであります。そういう安定した明るい住宅政策を立てるように勧告をしてあるわけであります。従って私は厚生大臣に、今までの質問の総括といたしまして、このワクを拡大をしていくということと、そしてこの資金貸付の対象となっております中で、四項目ございますけれども、「被保険者等の福祉の増進に必要な業務を行なう法人」、そういう事業法人の対象といたしまして勤労者の住宅を考えてもらいたい。ワクを拡大すると同時に、その対象といたしまして勤労者の住宅を考えるということは、当然ILOの勧告を尊重するという建前からも、これは意識統一をいたしまして、労働省並びに厚生省がこの点について政府部内におきましても強い発言をいたしまして、そしてこういう政策を生かして、炭鉱その他の緊急な問題ももちろん、一般的な、基本的な住宅政策において、この点を施策の重点として取り上げてもらいたい、こういうことを私は御要望いたしたのであります。従ってこの問題に対しまする厚生大臣としての、あるいはまた国務大臣としての御決意と御見解を伺わしていただきたい、こう思うのであります。
○灘尾国務大臣 年金福祉事業団に対する資金の増大をはかっていくことは、もちろんわれわれといたしましても漸次大きくして参りたいと思っております。またこれを被保険者のために最も有効適切な事業を選んでやっていくということ、これまた当然のことであります。十分注意して参りたいと思います。 今住宅の問題について力説せられたわけでございますが、労働者に対する施策といたしまして、住宅を潤沢に供給するといいますか、住宅を獲得する道を開いていくというようなことが非常に意義のあることは、これはもうお話の通りだろうと思います。その御趣旨には私何ら反対するものではございません。むしろ御説に同感でございます。ただ実際問題といたしまして、住宅政策をどう進めていくかという観点からいたしますと、なお建設省その他との話し合いの余地も残っておるように私は思いますので、政府部内におきまして十分話し合いを遂げまして、結局において、労働者の住宅確保と申しますか、増加と申しますか、そういう方向に役立つ方向において仕事を進めて参りたいと存じます。
○中野委員長 八木一男君。
○八木(一)委員 引き続いて国民年金の問題について、ことに無拠出福祉年金について御質問申し上げたいと思います。この前は老齢福祉年金の問題をやや省略して申し上げましたけれども、大体非常に熱心に御努力下さるという御返事をいただいたわけであります。そこで厚生大臣、この前おられたときは、配偶者所得制限について小山年金局長とのやりとりがございました。その続きを先ほどおるすのときにやりましたので、会議録をじっくりお読み下さって、小山さんからの御報告をお聞き下さいまして、配偶者所得制限を撤廃しなければならないということを十分理解していただいて、問題を進めていただきたいと思います。その点について御答弁願いたいと思います。
○灘尾国務大臣 あとで局長からも報告をよく聞きまして、その上で十分検討さしていただきます。
○八木(一)委員 次に、母子福祉年金、障害福祉年金に移りたいと思います。母子福祉年金は、結局現行法におきましては、母子家庭に母親と子供一人一組に月に千円、年に一万二千円支給があります。それから多子加算というものがあって月に二百円、年に二千四百円というものが子供のふえるごとに加算されることになっておるわけであります。この金額が老齢福祉年金に比べてはなはだしく少ないと思うわけであります。母親一人、子供一人、少なくとも年令の差はありましても、二人の生活費に充てるものが千二百円しかない。さらに子供がふえてもそれが二百円づつしかふえないという点で、非常に金額が少ないと思うわけであります。政府側の弁解としては、母子家庭は母親に労働能力がある、所得能力があるというような弁解をなさるかもしれませんけれども、そのような弁解を頭に入れて考えても、あまりに少ないと思うわけであります。その点で千円という金額を至急に引き上げなければならないと思いまするが、それについての厚生大臣の御意見を伺いたいと思います。
○灘尾国務大臣 母子福祉年金の支給の額の問題であります。私どもも御指摘の通りに、現在の額でもって十分とは思っておりません。できるだけ今後増額に努めたいという気持を持っております。支給の条件についてのことは先ほども申し上げましたようなわけでありますが、加給の問題についても何とか増額したいという方向で、目下検討いたしております。
○八木(一)委員 同様に、問題は少し飛びますが、拠出年金制度の方の遺族の関係の年金、これも金額も諸条件も非常に過酷であり、金額が少ないという点が多々あるわけであります。これについても厚生大臣は御研究だと思いますが、至急に改善の要があろうと思いますが、それについての御見解を伺いたいと思います。
○灘尾国務大臣 どの点をとらえて見ましても、現在の額では私どもも決してこれで十分とは思っておりません。事情か許す限りどんどん——どんどんといっては語弊があるかもしれませんが、逐次改善に努めていくということを考えておるわけであります。遺族年金の額等につきましても その意味において今後ともに検討して参りたい。
○八木(一)委員 遺児年金の方は今度の修正でやや合理的に前進をされております。しかし寡婦年金の要件というものはお話にならないような状態であります。御説明申し上げると時間がかかりますので、これはそばに立案者の小山さんがおられますから、十分に御検討になって、名目だけで、支給を受ける人がごくわずかであるという欠点について検討され、寡婦年金の支給を受ける人が実際に多くなるような制度に改めていただくよう、制度の前進をはかっていただきたいと思います。それについて。
○灘尾国務大臣 御希望の点は十分了承いたします。
○八木(一)委員 次に障害年金について拠出、無拠出を通じて申し上げたいと思います。 まず無拠出の方の福祉年金の問題でありますが、現在一級障害について年二万八千円、三級、三級に対しては支給がございません。ことに内科障害については、一級であっても支給がないという過酷な条件になっておるわけであります。障害者の場合は特にこの問題に熱心な灘尾さんに十分に考えていただきたいと思いまするが、障害者は普通の場合老齢とは限っておりません。従って生産年齢人口あるいはそれより下の年であるということも考えなければなりませんから、何十年という間障害の身をもって生活をしなければならない。従って労働能力のない身で生活しなければならないから、十分な所得保障の必要があるという条件が非常に大きいわけであります。それとともに、障害者でも当然りっぱな人権が保障されなければなりません。現在のようにいろいろなことが少ないために、特別に資財を持っている障害者の場合はとにかくといたしまして、結婚等が十分にいかないということがございます。障害者が家の主体になって、できた子供を養うという立場に立ったならば、障害者自体のみではなしに、配偶者並びにその子供たらに対する生活保障をしなければ、ほんとうの所得保障ができないし、それができないために、障害者は人権の最高のものの一つである結婚をあきらめなければならないという実態があるということに対して対処されなければならないと思います。その意味で、一級の障害年金一万八千円ではあまりにひどいわけであります。もしかりに不幸にして自分が障害者であるから子供が養いにくいので結婚をあきらめるという非常に悲惨な状態は別にいたしまして、結婚をして子供ができてから障害者になった場合を考えますると、どうしてもこの子供を障害者が扶養しなければならない。そうなれば月千五百円で子供を養っていかれようはずはありません。しかもその対象者は一級障害者である。両手が両方とも工合が悪い、両足が両方とも工合が悪い、両眼が両方とも工合が悪いというような障害者が、月千五百円くらいの老齢保障だけで子供と一緒に普通の人間らしい生活ができるはずがないのであります。それから考えますると、老齢福祉年金も非常に大事でありますが、バランスを非常に失しているわけであります。お年寄りに老齢年金を差し上げることは大賛成でありまするけれども、それと同時にバランスの点では障害者により多くの年金を支給しなければならない。でございまするから、障害福祉年令については急速にこれを発展しなければ、社会保障の本旨に沿った年金制度とはいえないと思う。この点についての厚生大臣の御見解を伺いたいと思います。
○灘尾国務大臣 からだに障害がある人は、お話の通り、ほんとうに私はお気の毒だと思う。もちろん労働能力に応じまして、むしろ生活に勤労の要素を加えて明るい生活を営んでもらうことが一番望ましいことであると思うのであります。いずれにいたしましても御指摘のように、非常にお気の毒な状態にあります身体障害者と申しますか、そういう障害のある方たちに対する施策というものについては、一般的に言ってまだまだ政府として研究し、努力、工夫しなければならぬものが多多残っておるのではなかろうか、かように考えるのであります。 現行の無拠出の年金の額の問題でございますが、これはどの問題についても同じようなお答えになって恐縮でございますけれども、これが直ちにすべての生活を保障するまでにいっていない、またそこまでいくべきものであるかどうか、この点についてもいろいろ議論はあろうかと思いますが、それにいたしましても額が少ないじゃないかという御批評に対しましては、われわれもこれは謙虚に聞かなければならぬ問題だと思います。やはりこれも他の年金と同じように、私といたしましては前向きのつもりで検討して参りたいと存じます。
○八木(一)委員 非常に御答弁はけっこうですけれども、バランスを失した組み立てに大体なっているわけです。政府の現行法が、無拠出年金にもっとうんとこさ原資をつぎ込むという案であることが望ましいし、それと同時に、その原資を所得保障の必要の度に応じて分けるという配慮をしなければいけないと思うのです。おのおの政党内閣で選挙のことを配慮されることが多いと思う。極端に言えば、どうも政府の方の無拠出年金の組み立てば、幾分選挙配慮的な配分がされておろうと思う。たとえば障害者の内科障害あるいは障害者の二級障害の人に、一文も無拠出年金がいっていない。老人にはどんどん差し上げたいけれども、たとえば五十万の世帯所得の老人に、親孝行されている老人に無拠出年金が行くことは大賛成でありますが、それをされるならば原資をふやされて、どんどんそっちの方に広げていくということはいい。少ない原資の中で、障害者の二級、三級をほうり出すということは、声なき民を無視するということになろうと思う。非常に痛ましい状態にあって、そうしてそのような大きな声が出ないというところをほうり出しては、ほんとうの政治ではないと思う。一般的な老人が、親孝行な御子息がいる、また親孝行なお嫁さんがいる。親孝行な御子息は、政府の方の乏しいものではあるけれども年金が出て、非常にうちの老人が喜んでいる。あるいはそのお嫁さんは、何といいますか、いろいろ井戸ばた会議で、また御主人の方は、床屋さんなり電車の中でそういうことを話される。これは非常にいいことであります。いい話題であります。明るい話題であります。そういうことで政府の政治に対する信頼の度が増して参ります。信頼の度が増すのはいいけれども、それはどんどんと原資を増して、それ以上に気の罪な障害者の方にそれ以上のバランスのとれた手当をして、それからやられるんだったら、これは断じてわれわれも賛成であります。ところが、それの対処をしないで、比較的しあわせな人の力に、声が大きいからといって配分をして、非常に気の毒な人に、声が小さいからといって置き去りにするということは、どう考えてもバランスがとれていないと思います。私どもは老人に対する年金も少ないと思う。この原資を徹底的にふやさなければいかぬ。ふやした原資は、これは老人が主体な年金制度でありますけれども、気の毒な障害者とか母子家庭に、その困窮の度に応じたものを配分するということをやはり強く考えていただく必要があろうと思います。そのような意味で問題を進めていただく必要があろうと思うが、そういうお考えは一ついかがでしょうか。
○灘尾国務大臣 お述べになりました御趣旨につきましては、大体私も同感でございます。われわれが選挙対策として、選挙上有利な面だけ考えるというような気持は毛頭なかったと私は信じますけれども、われれわの立場といたしましては、声なきを聞くといいますか、そういう心がまえでもって進んで参らなければならぬことは当然でございますから、御趣旨につきましては私同感でございます。できるだけ改善に努めて参りたいと存じます。
○八木(一)委員 それで、内科障害の問題ですが、これは前々から大問題になっているわけです。内科障害とは、障害が固定しなければ、その年金は支給しないというような形式を重んじ過ぎた運用がされて、問題が発展をしてない。しからば障害の固定は、回復する可能性のある障害であるか固定する障害であるかということについては、医学的な見地から研究をして、至急に結論を出して、固定した者については、障害年金を無拠出年金においても拠出年金においても出そうということが進められている。ところが、いまだにその結論が出たと伺っておらないわけであります。これは急速に進めていただかなければならぬと思います。そのような準備が成り立っているかということを小山さんに伺うべきですが、非常に時間をせかされておりますので、小山さんも年金制度に一生懸命でありますから進めておられると思うんですけれども、国民が待っておる気持から見ればはなはだゆっくりしておる。灘尾さんは、少なくとも次の通常国会まで、この十一月か十二月までに結論が出されて、この問題が現実の政治の壇上に上るように、大いに事務局各局を鞭撻し各局が事務的にできないものについては、予算的な、人員的な配慮をされて至急に完成し、委員がなまけているなら、なまけているような委員は差しかえて、ほんとうにそれをやるというところまでやられるというような決意を一つ披瀝していただきたいと思います。
○灘尾国務大臣 この問題につきましては、部内においていろいろ研究を進めておるというふうに私は考えておるのでございます。大事な問題でございますし、また、なるべく早く結論を得たいという気持において何も変わりはございません。わざわざ研究を延ばすような気持は毛頭ございません。できるだけ早く研究を進めていただきまして、結論を得ましたらそれによって善処いたしたいと思います。
○八木(一)委員 それでは次に、大蔵政務次官と主計官のお二人に、ちょっと社会保障全体の問題でお伺いしたいのですが、何か伺うところによると、今度の予算要求で、前年度予算の五割増しということ以上の要求はしてはならぬというような基準を、大蔵省でつけておられるかに伺うわけでございまするが、ほんとうに国政を考えられる財務当局であれば、そのような形式的な、重要度のあるところもないところもどこでも一列にするような、そんな態度は示さるべきものではないと思うのです。そういう事実がないことを私ども希望するのですが、ほかでそんなことを聞きましたので、そういうことがあるかどうかちょっと伺いたいと思います。
○岩尾説明員 概算要求でございますが、例年ごらんいただきますように、かなり大幅な概算要求が出ております。実際上毎年々々、予算額から見て非常識に多いような概算要求が出ておった状態でございます。実は昨年から、閣議決定をもちまして、大体五割アップを基準として概算要求を組んでもらおうじゃないか、もとよりその中におきまして当然増的な要素が多いために、そういう計算をやると非常に不合理になるというものがありましたならば、そういうものは別個に主計局の方と打ち合わせをしていただく、そういうことで昨年はきたわけでございます。その結果、非常に昨年もむだな作業を排除できまして、予算編成がスムーズにいきましたので、本年も閣議で、概算要求については五割アップという線で一つ組んでもらおうじゃないかということで、閣議了解をいただきまして、その線で概算要求を出していただく。従いまして、もしその中に先生のおっしゃるような、非常に不合理な問題があるならば、それは別個にまた検討して、五割の線にとらわれないでやっていきたいということでやっておりますから、決して変なことにはいかないと思います。
○八木(一)委員 まああんまり満足できません。岩尾さんのあとの言葉はいいですが、その最初の、概算要求を五割の基準でということ、それは財政当局でむずかしい事務を処理されるためには、そういう方式が便利であろうと思います。ところが、いろいろの各省の要求の中に、非常に問題が違うことがあるわけです。たとえば社会保障というのは、この数年来、急速に充実をしなければならない状態にある。こういう政治的な背景、国民的要求については十分御承知だろうと思う。今まで制度が不十分であって、今おくればせに完成させるために努力されている制度と、比較的外郭が固定されて何十年前から完成されて、やや手直しというような政策にとどまってやむを得ない部分の各省の要求と、両方あると思います。このように急速に今発展しなければならないところと、大体制度が固定して手直しをした程度の要求をすべき省と、同じような基準で五割増しということをなさいますと、それは予算の編成上事務的には便利だけれども、そこで実際の、国民の血税を最も必要なところに分けるという点について、最初に非常に間違いが起こる。しかし岩尾主計官はそのことを初めから見通されて、そういうことについてある程度言及しておられる。当然増があれば新規増が入り難いから、その点については新規増を考えるということを言われました、これは一つの非常に取り上げていただかなければならない問題でありますが、それとともに、たとえば社会保障関係は今急速に充実しているものである。これはほかのところが一割であっても、これは十割も上げなければならないという要素がある点を十分に大蔵当局は考えられて、将来は五割基準というのを改めていただかなければならないけれども、現在もそういうふうに進んでおられるのならば、今度査定においてこの五割基準の要求が出ていても、当然の要求であるから、ほかは三割に削っても、厚生省関係は七割にする、八割にするというような意味で、厚生省当局と大蔵省のいろいろのお話し合いを進めていただきたい。そういう点について、大蔵省のお考えを伺いたい。
○天野政府委員 ただいまの御質問の点はまことにごもっともでございまして、社会保障の重要性にかんがみまして、ただいまの問題は、厚生省当局とよく御相談申し上げまして、善処をいたしたいと思います。
○八木(一)委員 大蔵政務次官と岩尾主計官の御答弁で、非常にその点社会保障を含めたほんとうの行政面に有効な財政計画を作ろうという熱意がうかがわれまして、その点については敬意を表したいと思います。それについて水田大蔵大臣は、もちろん代表された政務次官と事務の方の非常な責任者である岩尾さんの御意見の通りだというふうに理解をしたいと思いますが、それについて政務次官から一つ……。
○天野政府委員 水田大蔵大臣も社会保障につきましてはきわめて好意的と申しますか、熱心な大臣でございます。私と考え方は同じだと思います。今度の予算編成におきましても、十分いろいろな点を考慮されて善処されると思います。
○八木(一)委員 今度は厚生大臣に御質問します。今のように、大蔵当局は社会保障について非常に熱心な立場を持っておられます。でございまするから、自信を持って、断じて実現すべきものの要求を——要求というよりは、当然理解が深いのですからすぐ話はきまると思いますので、自信を持って社会保障が進むような態勢でがんばっていただきたいと思います。これは年金だけにとどまりません。生活保護も、医療保障も、みな含みます。厚生省の社会保障関係、そういうことについて非常に自信を持って、積極的に前進を進めていただきたいと思います。その点について伺います。
○灘尾国務大臣 激励をいただきまして、まことにありがとうございました。今の大蔵当局の答弁にもありましたように、大臣も政務次官もまた事務当局も、社会保障については非常に関心を持っておられる。私も非常にうれしく思っております。現内閣といたしましても、政策の重点として社会保障というものを考えておりますので、私は厚生大臣として、また国務大臣として、この問題についてできるだけの努力は払いたいと思います。
○八木(一)委員 次に年金の具体的問題で厚生大臣と大蔵省の当局に伺いたいと思います。伺うというよりは、この委員会の、自由民主党、民主社会党の方も含めた委員会の意思だと私は理解していることを申し上げたいと思います。それが違っておれば、おそらく与党の方から、そんなことは私どもは考えていないと言われるかもしれませんが、言われなければ自民党、民社党、そして私の属する日本社会党はもとより含んだ全部の委員会の意思だとして解していただきたいと思います。 年金制度について、時間がありませんから大まかに——こまかいところは厚生省から具体的な御説明があろうと思いますが、二つ、三つのことが重大だと思う。まず拠出年金制度について、拠出年金制度が社会保険主義で組み立てられている。そのために憲法二十五条の精神を第一条にうたっていながら、十分にそのような状態になっておらないという点が、拠出年金制度については非常に解決をしなければならない問題だと思います。そこでまず第一に、その要作は、保険料は均一であるために、金持ちも貧乏人も同じものを払わなければならない。でありますから、大衆にとっては比較的割高な保険料になっておる。従って四十年の拠出期間を満たすだけの保険料納入ができない場合が多い。それができないと、社会保険的に組み立てられておりまするから、年金額は減る。一定限度以上支払わないと年金がもらえないということに仕組みがなっているわけです。そこで、それに対処するものとして免除制度というものがございます。払えない者を免除する免除制度は、それは非常によい制度であります。しかしながら半分しかよくない。強制徴収は免れるけれども、その免除期間が年金額をふやすべき期間に考えられておらないで、期間的に年金制度からほうり出された形になるわけです。そういう形になって、免除は受けたけれども、年金額をふやすべき要件にはならない。少なくとも全般的にはならないわけです。母子年金、障害年金には少し要件になりますけれども、本元の老齢年金については、本則としては免除期間は年金額増大の要件にはなりません。保険料を非常に払いにくいような人が、老齢になったならば一番年金の必要度が大きいわけです。その人が死んだ場合に、遺族の年金の必要度も多いし、その人が障害を受けた場合も年金の必要度が多い。その人に年金が少ししかいかない。あるいは年金の受給が、福祉年金という補完的年金だけにとどまって、普通の年金がもらえないというような条件に規定をされているわけであります。それを改めることが——年金制度には猛烈にたくさん改めるべきところはありますけれども、非常に熱心に作られたものでありますが、大きなものであって、新しく作られたものであるから、手直しをしなければならないところがずいぶんたくさんあるのですが、しかし、そのずいぶんある中の焦点としてはそこを直すことが拠出年金制度については非常に重大であろうかと思う。その方向は、まず第一に、結局保険料を免除する、政府の認定で払えないということを認定した人ですから、払えない部分について国がかわりに保険料を払い込む、そうして、保険料を実納した人に対しては、国庫負担がつくことになっており、今百円に対して五十円、百五十円に対して七十五円がつきます。それを被免除者にもつけることによって原資を確保し、保険料を払った人と同じように免除を適用された人にも年金を支給するということが完全な形であります。その次に、厚生省のやりたいという方針を出された、国庫負担のみでありまするが、国庫負担の五十円、七十五円というものは、現行国民年金法では、もし免除を受ける人が自分で払ったならば、政府は義務的に国庫負担として積み立てなければならない金額であります。でありますから、年金制度の理解が高まった場合には当然そういうものがあろうということで財政当局も用意をされておらなければならない金額になるわけです。でありまするから、少なくともこれだけは来年度でも実現をしなければ、年金制度のいい意味の発展をすることに非常に障害になろうかと思います。少なくとも、そういうことについて全面的な保険料添付、それについて国庫負担を埋めるという方向を進めていただくことは絶対に必要でありまするが、即時にそれをしていただきたいと考えますとともに、どんな場合でも国庫負担の部分だけはすぐ今にでも実現をしていただかなければ、年金制度に対する不信の念が取り去られないで、この大事な非常に考えられた制度が順調に国民の期待を受けて発展をすることに障害になるわけです。この金額は大した金額でありません。それから全部の問題、すなわち保険と国庫負担の両方を補てんされても、これも大した金額ではございません。先ほどの大蔵省の御決意ならば簡単に入れられる金額であります。金額の概算を申し上げてもいいわけでございまするが、すでに御承知であろうと思いますし、小山さんからお聞きになればすぐわかりますので、その点は申し上げないでおきますが、これについて、今即時に入れるということを言っていただきたいのでありますが。それについては行政的ないろいろな手続がございますでしょう。ですから、こういう重大な問題について厚生省の申し出を十分に理解を持って聞いて、その実現のために最大の努力をするということの意思の御表示を順いたいと思うわけです。
○天野政府委員 厚生省当局とよく御相談を申し上げまして、検討して参りたいと思います。
○八木(一)委員 検討していただくのはけっこうですが、それを実現するような意味で、前向きの姿勢で御検討になるということに理解さしていただきたいと思います。
○天野政府委員 まだそこまでちょっと申し上げられない段階だと思います。よく研究して努力いたします。
○八木(一)委員 政務次官にもう少し、これは非常にりっぱな政務次官であられますから。(笑声)しかし社会保障のことにはそれほど何年間も御研究になっておられるとは思えないわけです、非常に失礼でありますが。それで、ここにおられる自民党の先生方が何年も研究された。われわれも研究した。そういうことで全部の意思が合致して、この前の附帯決議にちゃんと書いてあるわけです。とにかく与党の方、それから野党の日本社会党、民主社会党の人も全部検討し尽くして、これだけは緊急にやっていただかなければならないということで、前国会に完全に三党一致の附帯決議が出た。でありますから、その方向が正しい方向であるということは一つ御信頼になっていただいて大丈夫だと思います。それが違ったら与党の方から発言があるはずです。お聞きの通り、今与党の方から声援していただいているくらいで、方向は正しい。その実現のために財政の問題があるわけです。財政の問題はさっき申し上げたように、そしてりっぱな御答弁を伺ったように、社会保障に対して熱心に取り組まれるというふうな財務当局のお考えでありますから、この金額は大した金額ではありません。大した金額ではありませんから、今するという御返事は、大蔵大臣がおられない、省議がきまっていないからそれは御無理でございましょう。しかし、これを実現するために前向きの姿勢で厚生省と協議をして取っ組みますという御返事は、りっぱな政治家である政務次官としては直ちにお答えいただいて少しも差しさわりはないし、国民のために政務次官のその御発言は負託にこたえた御発言になろうと思います。その意味で、ぜひ今言ったような前向きの姿勢で十分に検討して努力するという御返事をいただきたいと思います。
○天野政府委員 附帯決議をいただきました点につきましても、よく参考といたしまして、また厚生省当局ともよく御相談を申し上げながら、検討いたしたいと思います。
○八木(一)委員 それでは次に、その問題をもう一つ年金の問題をあと二つほど申し上げます。 拠出年金についてはたくさん問題点がありますので、今申し上げたことだけだと思われるといけないから申し上げますが、年金の金額を引き上げるという問題があります。今の年金額の設定は、社会保障制度審議会が答申を出したときに、日本の経済成長が二%として計算をして、〇・五%は資本蓄積のために準備をするという考え方で、一・五でずっと広がるという考え方で、四十年後に三千五百円という設定をしたわけです。ところが現行法では、さらにそれを五年待たして四十五年後に三千五百円という設定であります。ところが経済成長の二%ということは、今経済がでこぼこしておるにしても、どんな観点からしても、これは少な過ぎる設定であります。明治以後の経済成長の平均率は四%、終戦後の平均は一〇何%、そして去年は一〇%を優にこえたものです。それから自民党の計画は七・二、来年非常に困ると見られる状態にあって五・五とか六といわれておりますけれども、それでも二%を非常に上回っておるわけです。それで日本社会党が一年後に解散して政権を握ったならば、われわれはそれ以上の経済成長を直ちにやってみせます。ですから、いかなる場合でも二・〇%というような経済成長は設定としては誤りであります。この点について社会保障制度審議会も、ほかの点では権威ある審議会でありますが、誤りのあることを自覚されまして、総合調整をしてこれを改めた答申を出す準備を今していることは、厚生省あたりは知っておりましょう。そういう意味で、この年金額をふやすということについて積極的に取り組んでいただく必要があろうと思います。厚生省は、それについていろいろの考え方を積極的に、前向きの考え方を持っておられると思いますが、大蔵省もその必然のことについて財政上の裏づけをされるような努力をしていただきたいと思います。これは抽象的に申し上げてそれだけにとどめておきますので、あとの問題もつけ加えて、大蔵政務次官から、抽象的でけっこうですから、日本の社会保障を完成するための前向きの姿勢で取り組むというような、この御返事をいただければけっこうだと思います。 それから次に、一ぺんに答弁をしてもらいますので続けて申し上げますが、その次に年令の問題について、拠出年金で六十五才開始はおそ過ぎるという問題があります。無拠出年金の七十ではこれまた話にならぬほどおそいという問題があります。この問題は、今の老人は、今までの政治で非常にいろいろな間違いがあったために、戦争があったために、インフレがあったためによけい貧乏になったということについて、今の年寄りにとっては、今までの蓄財を無にして、そして家族制度が実際上こわれかかっておるときに、どうしても老齢を保障しなければならぬ、しかも今貧乏な人はたくさんな苦労をしたために早く老衰をしている。うっかりすると早く死ななければならないような現状にある。そういう場合に、七十才開始は、特に苦労をした人たちに年金がこないという現状にあるということを認識していただくと同時に、将来の問題としては、オートメーション化が工業のみならず農業やあるいは商業についても進む、そういうときに、時間短縮をして完全雇用をしなければならないけれども、それとともに、ある程度以上の年令の人は老齢保障で食べてもらって、働く場所を若い世代に譲ってもらわなければ、将来のいろいろな労働に対する年令構成がうまくいかないという点がある、そういう画面から見ても、現状から見ても将来から見ても、このような老齢保障の開始年令は下げなければならないという要件がある。この問題についても厚生省が話されると思いますけれども、大蔵省も非常な理解を持って対処していただかなければならないと思います。 それからもう一つはインフレに対するスライドの問題であります。この問題については現行法においていろいろと書いてあるといわれておりますけれども、インフレで前の蓄財を失ったということのなまなましい記憶を持っておる国民にとっては、安心のできる条文ではありません。従って年金制度が健全に発展をするためには、物価の変動の割合に応じて年金額を改定をする、と同時に経済の成長、生活水準の上昇によっても改定をするという二項目をもって、いずれか一方をしてでも年金額を改定するというようにこれをはっきりさせなければ、国民がほんとうに安心をしてこのような年金制度に協力できない状態があるわけであります。でございますから、この点についても厚生省がもちろん取り組まれるわけでありますが、大蔵省にいろいろな関係の意見を求められるときに、大蔵省がこれを進める意味において厚生省に協力をしていただく必要があろうと思います。そういう点が拠出年金の残りの概括的な意見であります。 それと同時に——全部申し上げます。それと同時に、さっきの拠出年金の社会保険的なものを社会保障的に一歩進めるために、国庫負担を保険料免除適用者につける、さらに保険料を国庫で補てんするという問題、この基本的な問題と同時に、現在の貧困な老齢者、障害者、遺族という問題を最も緊急に考えなければなりません。年金制度は拠出年金制というものを主体として考えられておりますが、将来における防貧政策としてこれが完成されることも必要である。ところが、現在は、今までの政策の不十分なために、いろいろな事情で、貧困で苦しんでいる老人があり、障害者があり、母子家庭があり、遺族があるという現状から見れば、現在の緊急の問題は、その人らに対する救貧政策としての所得保障、これが必要であります。ですから、この意味において、無拠出年金の金額をふやすとか、あるいは所得制限の要件を大きく緩和するとか、あるいは年令制限の要件を大きく緩和するとか、それからまた年金額をふやす要件において特に気の毒な人に厚みをかけるという問題、そのような問題について問題を進めなければ現在の問題は片づきません。将来の理想像を追うだけでは現在の政治ではないわけです。この点で無拠出年金の額の増大、要件の緩和について、厚生省は全力的に取り組まなければならない。その場合に大蔵省の積極的な協力がなければならないという問題があるわけであります。この点について理解を深めていただく必要があろうと思います。 それからもう一つ、この年金のいろいろな積立金の運用、この問題についてはいろいろな批判運動の中核をなして参りましたと思います。この積立金というものは保険料を払い込んだとたんに、たとえば厚生年金において事業主の負担があろうとも、すべてがその年金をもらうべき被保険者のものになる性質を持ったものを政府が預かっているということになるわけです。従って、その積立金の所有権ともいうべきそれに対する発言権は、すべて被保険者にあるという条件になければならないわけです。その意味で厚生年金保険のものも、国民年金保険のものも、この資金については還元融資ということを大きく拡大をしなければならない。ほかのものに一部分融資をするとすれば、年金の予定利率を守るための融資だけにとどめる。全部予定利率と同じ利率で貸し出すならば、全部還元融資をしてよろしい。ただし、それが五分五厘以下で、三分で貸すというような必要がある場合には、年金原資を守るための分だけをわずかにほかへ投資をすることが許されるだけであって、それ以外は許されないことであろうと思う。そういうような意味で、この融資を考えていただく必要があろうと思う。この点については大蔵省が一番関係が深いわけだ。大蔵省はいろいろの点で、融資計画について、自分の考え方で融資をしたいという考え方を持っておられるようであります。しかしながら、そういう考えを持っておられようとも、この積立金は被保険者のものであるという観点で、公明な態度でこの運用について厚生省と意見調整をされて、そういうふうにやっていただく必要があろうと思う。そういう問題について、大蔵省の方も抽象的でけっこうですから、総括的な前向きの明るい答弁をお願いをしたい。その御答弁が十分であることを心から期待をいたしておりまするけれども、もし不幸にして不十分でありますと、水田さんなり池田さんに出ていただかなければ、この審議はできないということになりますので、どうか明るい前向きの御返事を、賢明な大蔵政務次官から積極的に御答弁を願いたい。
○天野政府委員 ただいま非常に有益な御質問兼御意見を拝聴したわけでございますが、その御趣旨につきましてはよく了解できるところでございます。今後厚生省当局ともよく御相談を申し上げ、また来年度の予算並びにその後の諸問題におきましても、社会保障の重要性にかんがみまして、その拡充、整備に努力をしていきたい、こういうように考えます。
○齋藤(邦)委員 ただいま審議中の五つの法律案につきましては、直ちに質疑を打ち切られんことを望みます。
○中野委員長 齋藤君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中野委員長 起立多数。よって、五法案についての質疑は終局いたしました。 —————————————
○中野委員長 ただいま委員長の手元に、八木一男君外十名より、内閣提出の国民年金法の一部を改正する法律案に対する修正案、年金福祉事業団法案に対する修正案及び通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されております。
○中野委員長 各修正案の趣旨の説明を聴取いたします。八木一男君。
○八木(一)委員 私はただいま議題になっております国民年金法の一部を改正する法律案、年金福祉事業団法案、通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案について修正案を提出いたしたいと存じます。ほかに議題になっております児童扶養手当法案、通算年金通則法案についても関係のある問題であることをつけ加えて申し上げておきたいと思います。 修正案の内容についてはただいま印刷物をもって配付申し上げましたので、その詳細については印刷物で御判断をいただきたいと思いますが、その提案の趣旨と内容の大綱について御説明をいたしたいと思うわけであります。 まず国民年金法の一部を改正する法律案に対する修正案について申し上げたいと思います。 国民年金法の一部を改正する法律案は、現行国民年金法についてある程度の手直しをする点で一歩前進であることを私どもも了解するにやぶさかではございませんけれども、その内容の根底において非常に不十分な点がございますし、また社会保障的に見て不合理な点も多分にございますので、こういう点を大きく直すために修正案を提出したわけであります。 この内容について申し上げますと、まず第一に福祉年金の金額を増大すべきだという点であります。拠出年金をもとにして国民年金法が組み立てられておるわけでございますけれども、現在の貧困な老人や母子家庭や障害者の問題についてほんとうの意味で熱心に対処しなければ社会保障制度とはいえないわけでございまして、将来のことを考えるのあまりに、現在のことに対する対処が非常に少ない内容になっておるわけであります。例を申し上げますれば、老齢年金においては七十才から老人一人について一万二千円というような基本になっているわけでございますが、月に一千円程度のものであれば老齢保障というにはあまりに少なくて、これはお小づかい程度にしかすぎません。今家族制度が実際的に崩壊しかかっている、そしてそのような年寄りが、自分の老後に備えて貯蓄をしたものが戦争後のインフレでほとんどゼロに近い状態になっている、その老人にとってはほんとうに暗い老後であるということを考えましたならば、このような程度のものではなしに、さらに高額な年金を支給することが政治の方向ではないかと思うわけであります。それとともに七十才から支給ということではあまりおそ過ぎるわけでございまして、老後を楽しむとするならば少なくとも六十才代から年金を支給しなければ、その金は死に金になるわけであります。そのような全般的なこととともに、今まで苦労をしてきた人は残念ながら老衰が早い、あるいは天寿を全うすることができないで早くなくなることが多いことを考えますときに、特に気の毒な老人が年金を受けて少なくとも老後を幾分人間らしいものにするためには、六十才代から支給される必要があろうと思うわけであります。その意味におきまして、私どもは現行七十才以上二万二万円という金額を改定いたしまして、六十才以上は二万二千円という金額を支給する、六十五才以上は二万四千円という金額を支給する、それから七十才以上は三万六千円という金額を支給するということが必要だろうと思うわけであります。これでもまだ乏しいわけでございまして、将来はもっとこれが飛躍的に発展増大をしなければならないと思うわけでございますが、年度中でございまするし、まだこの無拠出年金を改善する第一年度でございますから、最大限度に譲歩をいたしまして、少なくともこのくらいの程度の老齢福祉年金の金額の増大、年令制限の要件の緩和が必要であろうと考えておるわけであります。 次に障害年金につきましては、ことに現行法は過酷であります。障害者が老人より以上にその後長年の間生活をしなければならない。しかも障害者が家族の扶養もしなければならないことを考えますときに、一級障害年一万八千円というものは話にならない金額であります。少なくとも一級に対しては年四万八千円という金額が必要でありますし、現行法のように二級、三級については一文も支給しないというような話にならない障害年金ではなしに、二級に対しては年三万六千円、三級に対しては年二万四千円という支給をすべきだと考えて、この修正案の一つの条項にいたしたわけであります。 さらに、今の障害年金については内科障害を含めておりませんで、一級障害と認定されて労働能力、所得能力が外から見える手足の障害と同様に喪失をしておるという人に対して、観念的な障害が回復するかもしれないというような学者の理屈をひねったような理屈で、ほんとうに一級障害で困っておる内科障害者を置き去りにしているようなことは、ほんとうの政治としては断じて許すことのできないところであります。そのような意味で、この障害福祉年金に対しては当然内科障害もその等級に応じて支給しなければならないと考えまして、そのような条項をこの修正案に入れたわけであります。 さらに母子福祉年金であります。母子福祉年金については、現行母子一組について年一万二千円であり、第二子以降の子供が多いときには年二千四百円ずつの加給をするという制度になっております。これも先ほど申し上げたような理由で非常に寡少に過ぎますので、これを両方とも三倍にいたしまして、母子一組について年三万六千円、そして多子加算は年七千二百円、月六百円程度に即時直すべきものと考えておるわけであります。 次に児童扶養手当法案に関連のある問題でございまするが、私どもはこの修正案において、生別母子世帯並びにそれに準ずるような児童の家庭に対して、死別母子世帯に対するものと同様の母子年金を支給すべきものと考えておるわけでございます。このような対処によって、現在出されているような本格的でない児童扶養手当法案は必要がなくなり、さらにその内容よりも三倍程度の生別母子世帯並びにそれに準ずる児童家庭に対してこの給付が行くということになろうかと考えておるわけであります。 次に、老齢福祉年金、障害福祉年金、母子福祉年金に対する所得制限の問題であります。この問題については印刷物で御検討願いたいと思います。私どもは根本的に、合理的な、最もりっぱな考え方を持っておりまするが、現行法並びに政府改正案に対する修正案でありますので、現行法と政府改正案の組み立てに従ってわれわれの考え方を入れた修正点を入れたわけでございまして、大幅に所得制限を緩和して、対象者がふえるような内容にしている点を印刷物でじっくりと御検討をいただきたいと存じます。 その次に具体的な諸問題といたしまして、先ほど厚生大臣から、積極的に来年度にはやるという積極的な御発言をいただいた問題でございますが、老齢福祉年金において老夫婦が二人おりましたときに、その一人分の支給額が三割五分削減されておるという、どこの観点から見ても非常に不合理な点がございます。この点を内閣の方は来年度の予算から直そうとしておられますが、このような不合理は即時直す方がいいものと考えまして、今回の改正案にこの修正をもって即時これを直すべきものとしてそのような条項を入れたわけでございます。 第四点といたしましては、配偶者所得制限を廃止するという点であります。先ほどの論議で御承知の通り、配偶者所得制限というものは非常に無意味なものであって冷酷なものであります。ただし厚生省の答弁がありましたように、ある部分は実際的に免税点で幾分解決をされるという要素もありますが、それならばそれなりにこの条件をはずしても財政的な措置はごく簡単で済むわけであります。その意味で配偶者所得制限を即時廃止すべきものと考えましてこの条項を入れたわけであります。 次に福祉年金について、拠出年金の加入に関係なく福祉年金を支給すべきものと私どもは考えております。現在拠出年金制度はあまりにもその内金が乏しいために、あるいは社会保険的にできておるためにまた非常に複雑な内容であるために理解に対する啓蒙運動が不十分であったために、拠出年金制度に対して登録をしておらない人やまだ保険料の納入をしておらない人か多分にあるわけであります。ところが現行法では非常に老獪きわまる過酷な条件がついておりまして、登録をしておらない人に対して福祉年金を支給できないようなむちゃくちゃな条文になっておるわけであります。現行法自体が不合理である、その啓蒙が足りないために、世の中の人がこれに危惧をいだいて登録をしていないとき、たとえば事故が起こって主人がなくなる。その遺族が母子福祉年金を受給したいと思っても、そのような条件のために支給が受けられない。またその人が交通事故等で不幸にも障害を受けた。にもかかわらずその障害に対して障害福祉年金はもらえないという、まことに間違った条件がございます。こういうものを残しておかなければ、そしてそれによって、おどしをかけなければ国民年金制度に対する協力がないということでは発展がないのであって、このようなおどしをかけなくても十分に国民が協力できるような、魅力を感ずるような、理解をするような拠出年金制度に制度を改正することによって登録並びに保険料納入を促進すべきであって、それと無拠出年金の支給の条件をからみ合わせるべきではない。そのからみ合わせをひもどいて、どんな場合でも無拠出年金は支給されるべきであると考えまして、この点を重要な改正要件としてこの修正案に盛っておるわけであります。 それとともにこのような無拠出年金制度について改正をいたしますと、保険料を納入した人に対する支給額とのアンバランスができてくるおそれがございます。この点について、一両日をかせば完全な案を作る自信は十分に持っておるわけでありますが、与党のいささか性急過ぎる議事進行によって、この計算をするいとまがございません。その意味におきまして、無拠出年金は即時の問題だからこれを改正する。それに見合った拠出年金の金額、諸条件の改正を昭和三十七年三月三十一日までに、それを実施するような改正案を政府みずからが出す義務を負う、そのような条文を入れて、このようなバランスをとりたいと考えておるわけであります。 次に通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案に対する修正案であります。しかとながらこれは通算年金通則法とも重大な関係がありますので、一体のものとしてお考えを願いたいと思います。 まず現行法の第二項から申し上げますが、通算年金制度は通算制度が相当よく考えられておりますけれども、国民年金と被用者年金の一番レベルの低い厚生年金保険との通算は九十九点といってもいいくらいよくできております。しかしながらそれよりも程度の高い年金との通算はまだ非常に不十分であります。審議中に言われましたように、公共企業体の人が二十年の要件を達成する一年前の十九年でその職をやめて、同じく労働者年金である厚生年金保険の一年の保険料を納めた。通算して労働者として二十年の保険料を納入した状態であるというときには、公共企業体二十年の場合の半額以下の劣悪な状態にしかならないわけであります。また国民年金と通算するときには、国民年金制によって三十五年にならないと計算の基礎ができませんので、公共企業体十九年、国民年金六年を通算した場合の計算もまた半額以下の少額であります。そうなりますと、不幸にして職場を転換となければならない不幸な条件を負っている人が、年金制度においてもさらに不利だというような非常な欠点があるわけであります。ただしこの欠点は、現行法上も残っております。現行は脱退一時金でカバーされることになっておりますが、その脱退一時金の計算自体に間違いがあるわけであります。従ってこの通算制度については、前よりも悪くなったとは言えないわけであります。この点は厚生省の努力に対して敬意を払っておきたいと思いますが、前よりも悪くなったのではないけれども、そして同じような金額が通算には考えられているけれども、その欠点が大きくこの点において改正されたものにはなっておらないわけであります。その点で通算制度を考えた以上、急速にこの欠点を埋める措置をとられなければならない。その改める措置を期限を限って、これを法律的に改正を提出して、直すべきものということが修正条件の第一点であります。 その次に、第二点としては、このような条件とからみ合いまして、公共企業体の職員が途中でやめたときには、非常に損であるから、通算に魅力が少ないわけであります。ことに女子職員の場合には、国民年金制について、もしその女子職員が同じ職場あるいはほかの職場の労働者と結婚した場合に、労働者の配偶者になれば、強制適用でありませんで、任意適用であります。従って年金制度を非常に熱望する人であれば、任意適用の年金に入って通算の利益を得ることができますけれども、その人が熱望しておらない場合、あるいはその人が熱望しておっても、家庭財政のかぎを握っておる主人が無理解で、このような任意適用も実際上入れないというような場合には、この年金通算制度の恩恵にあずかる点がはなはだ少ないのであります。そのような意味で、女子職員にとってはこの通算制度は魅力が少ない点があります。それと同時に、わが国の現状から見た特質上、女子職員が途中で二十才台でやめるときに結婚のために諸準備が要る、その準備をするだけの賃金のベースでないために、脱退一時金のようなものを当てにしておられる現状なのであります。将来の年金制度に理解を持って、遺族年金でなしに、自分自体の年金に理解が深くて、それを持ちたいという希望が多くても、現状それまでの生活をするために、結婚を実行するためにたとえばアパートの権利金を払うために何がしかのまとまった金が要る、あるいは赤ちゃん出産の準備をするために何がしかのまとまった金が要る、そのために、将来のことについて心配はあるけれども、現在は金をもらいたいという現状を無視することができないわけであります。そういう点で、この婦人に対する高いレベルになった、条件のよくなった強制的な年金制度ができた場合には、またいろいろな論点があろうと思いますが、現状においてはこのような要望をやはり重視して考える必要がございますので、現行法では、女子についてはここ五年間は選択を許される制度になっておりますけれども、六年目くらいに結婚をしようと考えておる婦人職員が、非常に危惧を感じておりまするので、この点について選択の自由をさらに延ばすというような必要があろうというような修正点等を盛り込んでおるわけであります。 次に、年金福祉事業団法の修正について申し上げます。 この事業団の運営を民主化するためには、役所の方で非常に民主的にやろうと言われましても、やはり今までの十分に民主的でなかった経験もございまするし、現在の担当者が民主的に取っ組むという決意を披瀝されましても、お役所の方ではだんだん人間がかわるわけでございまして、そのような人がそのような民主的なことに理解が少ない人でありますと、非常にまずい点がございます。そういう点で学識経験者や被保険者代表で構成する評議員会を設けまして、この事業団の運営について積極的に諮問に応じて答申をする、あるいは積極的に勧告をする、それを十分に尊重してこの運営が行なわれるということが、非常に必要であろうと思うわけであります。ことにこの委員会の構成は、積立金というものが被保険者のものであるという立場に従って、被保険者の代表である、たとえば厚生年金保険にあっては労働者、あるいは国民年金においては農村の人やあるいは中小商工業者、無職の人、そういうような被保険者代表と、それからごく少数の学識経験者等をもって構成された審議会が至当だと存ずるわけでございまして、保険料を払ったというような条件で事業主等の者がこの問題に介入することは断じて許さない、このような民主的な審議会でこれを運営する必要があろうと思うわけでございます。 次に、融資対象は、政府案では老人福祉施設並びに医療施設、その他社会福祉施設であるというふうな条文になっております。大体においてけっこうだと思いますが、やはり例示としては、老人福祉施設を入れたならば、これに対して同様に母子福祉施設あるいは身体障害者の福祉施設を入れなければ例示としては十分でないと思いますし、それとともに、このような施設を第一義的に考えることは当然でございますけれども、当然積立金が増大することを考えましたならば、この福祉施設だけでなしに、被保険者の——ほんとうの意味の、大きな意味の福祉に関係するものをこの融資対象に入れなければ十分にこの年金の資金が活用されない。特にこのような被保険者階層は、日本の現状において現在住宅を建設するために資金を非常に要望しておるという状態であります。現在の政府の住宅政策は、この点において非常に片寄っております。幾分資金を持っておる者は、住宅金融公庫なりほかの資金を借りて、自分の自己資金と合わせて家を建てる、また公団住宅というのは高い家賃を払わなければならない、こういうやり方で住宅をやろうというような点が主点になっております。これは公営住宅の問題もございますが、その数は非常に少ないものであって、乏しい、貧しい人の住宅問題を解決するためには九牛の一毛という状態であります。そういう問題を内閣全体として進めなければなりませんけれども、このような現状にありますときに、この年金のいろいろな原資々そのために活用することが当面の急務であろうかと思います。そうしてその住宅の数をふやすだけでなしに、住宅金融公庫の金を借りられない人、公団住宅に入れるような条件を満たすような収入を持たない人、そういう人に貸せるような、そういう人が家を建てられるような、またそういう人のためにいろいろな団体が家を作るというような、そのようなものにこれを使う必要があろうと思いまして、住宅という例示を入れる必要があろうと思います。それと同時に、この住宅についてはほんとうの純正な立場でやるべきであって、たとえば会社の社宅というような労務政策、の意味を持った非常な間違った運営をされるものではなしに、ほんとうに被保険者自体にずばりとくるようなやり方で住宅に対する融資がされなければならないという観点から、このような例示を入れたのであります。 私どもが一生縣命に考えた案でございまして、社会労働委員の同僚諸君は、自由民主党の方も民主社会党の方も、この趣旨に全面的に御賛成であろうということを確信するものであります。政府がいかなる原案を持っておっても、このような法律を作るのは、われわれ立法府の権限である、この問題を審議しておる社会労働委員会の委員の諸君の権限であります。ですから、政府のような貧弱な社会保障政策をやるのにとらわれずに、この法律改正を即時ここで実行をして、なまけた政府が正しい方向に向くようにわれわれの権限を発揮するために全面的に満場一致賛成をしていただくことを心から期待を申し上げまして、趣旨弁明を終わりたいと存じます。(拍手)
○中野委員長 この際、国民年金法の一部を改正する法律案に対する修正案は、国会法第五十七条の三の規定に該当するものでありますので、内閣の意見があればお述べを願います。灘尾厚生大臣。
○灘尾国務大臣 ただいま御提案の国民年金法の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、現段階におきましては、実施困難と認められますので、賛成いたしかねます。 —————————————
○中野委員長 これより討論に入ります。 国民年金法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案、年金福祉事業団法案及びこれに対する修正案、児童扶養手当法案、旭算年金通則法案、通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。 通告がありますので、これを許します。井堀繁雄君。
○井堀委員 私は民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題に供されておりまする国民年金法の一部を改正する法律案外四件並びに社会党の提案されておりまする修正案三件について、わが党の立場を述べながら討論を進めたいと思います。 国民年金法の一部を改正する法律案についてでありますが、この修正案がこの国会に提案されまするまでの政府並びに与党諸君の努力に対しましては、これを多とするにやぶさかではありません。ことに社会党の修正案の提案に対しましては、心から敬意を表したいと思うのであります。 ただ、遺憾に思いますことは、この国民年金法の一部改正の内容についてであります。 次に、ごく簡単に要領を順次申し上げて、わが党の立場を明らかにして参りたいと思うのであります。 第一は、政府案は各年金ともにその年金額が著しく低額である点であります。このことは、申し上げるまでもなく、本法の第一条に規定されておりまするその目的を達成するにあまりにも遠く及ばない現状であるのであります。さらに国際的にこれを顧みますならば、世界の近代国家のみならず、後進国をも加えまして、今日の社会保障制度の問題は、世界平和への全人類の協力をいたさなければならない具体的な政策の一つであります。でありますからこそ、ILOの社会保障に関する条約並びに勧告が行なわれておりますことは、皆さんのすでに御承知のところであります。このILOの条約並びに勧告に対しましては、全く無意味なる対象となっておるのであります。 さらにわが国の社会保障制度に関する公的な機関である社会保障制度審議会の答申を見ましても、古くは第一回の答申案、近くは最近政府の諮問に答えられた内容について検討いたしてみますと、今回の原案ははなはだしく劣ったものであるのみならず、その答申に対する精神に十分こたえたものでないという点が、この年金額のはなはだしく低額な点のみ見ても言えるのであります。 次に、私どもの強調いたしたいと思うことは保険料であります。今日、各年金に対する給付がいかに低額であるかということは、ここに多くを述べるまでもありませんが、この給付に見合いますような掛金であるかどうかという点に一つ問題があると思うのであります。これは私どもの質疑によって明らかとなったところでありますが、この点は今日の国民経済の現状から割り出されてこなければならぬことは言うまでもありません。ことにボーダー・ラインといわれまする低額所得階層の非常に多い日本におきましてこの制度を発足させまするためには、どうしても掛金の問題に十分な配慮が必要になることも多く述べる必要はないと思うのであります。しかるに一番単純な画一的な、すなわちフラットによる百円ないし百五十円の掛金を選んだということは、あまりにもこの制度に対する配慮が浅いということを物語るに十分であろうと思うのであります。私は、この二点だけをあげましても、政府案に同調することのできない大きな理由があるのであります。 さらに、以上申し上げたような関係から参りまして、無拠出年金制度の問題について特段の配慮が払われなければならぬことは、日本の現状に合わせようとする社会保障制度の一番深く考えなければならぬ点であったと思います。ところが、給付の制限が非常にきびしい。実質的にはそういう人々にこの制度の恩典は及ばないというような、なさけない現状を呈しておるのであります。 さらに述べなければなりませんのは、この制度の中核的な年金は老齢年金であろうと思います。この老齢年金の年金給付の開始の時期についても、日本の現実に対する十分な配慮が全く行なわれていないのではないかと思われるのであります。この点については、次の案件においても述べなければならぬと思うのでありますが、少なくとも国民皆保険を強調する政府の政策の中には、この問題に対する配慮が当然行なわれていなければならなかったと思うわけであります。しかし一事をもって全部をはかることはいかがかと思いますが、池田内閣の政策がいかにばらばらで行き当たりばったりのものであるかということを説明するに十分なる資料であると思います。社会保障制度を推進しようとするからには、年金制度の中においても老齢年金というものが他の公約年金との関係においてどうあるべきかということは必然的な問題であります。こういう問題がここに配慮されていないのであります。この点はまことに残念なことであると思います。 いま一つ具体的な点を指摘して申し上げたいと思うのでありますが、それは本制度の発足当時にあたりましての政府の態度であります。これは言うまでもありません。この法案の第一条に、その事柄を明文化いたしておるのであります。すなわち、憲法二十五条の精神を受け、国の社会的使命をば強調いたしておるのであります。これは説明を要するまでもありますまい。すなわち、この制度は、国が国民に対する本来的な使命を宣告した憲法の精神である。この精神が十分くみとられないような制度でありますならば、名は国民年金保険でありましても、その実は全く空虚なものになってしまうのであります。言いかえまするならば、こういう問題については、国はその当初において特段の配慮を払って、国庫負担金については相当額の拠出を決意すべきものであったと思うのであります。この点につきましては、いろいろ論議を要するところでありますが、すでに予算委員会などにおいて多く述べられておりまするから、その重複を避けたいと思います。 次に、このような事情だけを述べましても、政府原案にわれわれが賛意を表するということは、どうしても勇気が起こって参らないのであります。さりとて、われわれは、年金制度の実現が一日も早からんことを願う国民の側に立って考えます場合には、少なくとも社会党の修正案の大部分ないしは一部は採用さるべき実情にあったのではないかと心ひそかにその交渉を待っておったのであります。もちろん、わが党は社会党の修正案に満足するものではありません。しかしここでは社会党の修正案を批判する時間を節約する意味で申し上げません。 次に、年金福祉事業団法案について少しく述べたいと思います。 年金福祉事業団法案は、言うまでもなく、これは厚生年金保険、船員保険、そして今回発足されまする国民年金の三つの年金からなる剰余金、積立金などをいかに運用していくかという制度でありますことは明らかであります。従いまして、その制度の本質からいたしますならば、厚生年金及び船員保険というものは、その法案の説明するところで十分であろうと思いますが、と同時に、勤労者の福祉年金でありまして、もちろんこれには労使関係の問題、あるいは労働条件の問題、あるいは労働と社会との関係などが複雑に入り組んだ制度でありますけれども、それを大別いたしますると、この年金は言うまでもなく、労働者のための老後の保障を中心にする年金例度でありまして、その余裕金、その積立金というものは、その制度にマッチするように運営されなければならぬことも多言を要しません。これは、この積立金に対しまして、ただいま大蔵省の資金運用部に運営させておることの矛盾を、社会保障制度審議会、社会保険審議会その他の公的な機関が口をそろえて述べ、労働者の福祉のために完全なる還元融資が望ましいことを政府にそれぞれ答えておりまする事情をもっても明らかであります。でありまするから、今回の法案がこの精神に十分でないのみならず、それに背馳する部分が幾つかあることを発見せざるを得ないのであります。 一、二の例をとって申し上げましょう。 その第一は、この制度の運用の一番中心になるものは、何といいましても余裕金の問題に重点を置かなければならぬと思うのであります。いかに機構がよくても、その運営する人が、この制度に対する十分な認識と情熱を持っておるかどうかということであります。この点は非常に大切なものでありまして、今後に属するのでありまするけれども、その任免が厚生大臣もしくはそれらの政府の意図によって自由に行なわれるという制度については、他の機関と異なるのであります。以上申し上げましたような本制度の性質からいたしますならば、被保険者もしくは掛金を負担しておりまするこれの関係者、雇用者、そういう人々の意思が反映するような任免というものが配慮されてよかったのではないか、こういう制度に対する非常に大事な点に抜かりがあったのではないか。新しい制度については、特にそういう点に留意されなければならなかったと思うのであります。 次に、今の社会党の修正案にも述べられておるところでありまするが、業務の範囲であります。この業務の範囲については、法律には、老人福祉施設及び療養施設に限って明文化され、その他の施設は政令に譲っておる点であります。政令がいかなる性格のものであるかを私が論ずるまでもありますまい。これは、さきに述べたと同じ条件において、こういう施設が望ましいかどうかということについては——私は役人が万能だとは思いません。また役人が、そう悪人が集まっているとはもちろん思いません。しかし、ただそこで問題は制度にあると思うのであります。少なくともこういう制度をきめる場合におきましては、関係者の意見が十分に反映されることが一番大切な要素とならなければならぬと思うのであります。特に多額の金が運営されるのであります。その運営が狂っては、保険制度に対しましては致命的な打撃を与えるのであります。また、その融資があまりに低利に失し、そしてずさんであるということになりましては、大へんなことになることは言うまでもありません。それをおそれるがあまりに、あつものにこりてなますを吹く間違いを起こしてもならぬのであります。こういうきびしい条件が要請されておるのでありますから、その責任を社会的に合理化し、あるいは正当化するためにも、私はこういう権限を政令に譲ることにしないで、むしろ関係者の意見が反映するような形が望ましいと思うのであります。こういう意味で、私は、役人の信任、不信任の問題で論ずるのではなくて、制度を生かして、こういう大切な基金が正しく間違いなく円滑に運営されるということについての配慮がそういうところに必要ではないかということを訴えたいのであります。こういう点がこの問題の中に配慮されていないということだけでも、本案に対しまして非常な不満を持つものであります。しかしながら従来の厚生年金や船員保険の積立金が資金運用部にまかされて、わずかに厚生年金保険積立金還元融資実施要領といったようなもので捕捉されておったということよりは前進かと思うのでありまして、こういう意味におきましては、本案に対しまして賛意を惜しまないのでありますが、こういう点を明らかにしておきたいと思うのであります。 次に、児童扶養手当法案についてでありますが、簡単に述べたいと思います。この児童の扶養手当法は、言うまでもなく児童福祉法の第一条の精神を受けた補完的な立法であると私は思います。こういう意味におきまして、ここにぜひ引用いたしたいのは児童福祉法の第一条であります。すなわち、「すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。」と宣言いたしております。こういう精神を受けて補完するこの法律から参りますならば、その内容があまりにも空虚なものであり、おざなり的なものであると断定しても言い過ぎではないと思います。具体的に一、二あげますならば、支給の要件に対する非常な不満があるのであります。大へん時間を急いでいるようでありますから多くを述べないのでありますが、少なくとも政府はこの点に十分一つ考えをいたしていただきたいと思います。手当額などにつきましても、今あげました精神から考えますならば、いかにこれは金さえ出せばいいといいましても、俗にいいます、どぶにうっちゃる金であってはならないのであります。使いがいのある金にしていただきたいという意味から申しまして、この手当額はどうも本法案の精神にはしっくりしない中身である、こういう点を一つあげましても、政府は、もう少しこういう法案に対する誠意を具体的に法案の中に盛り込んでもらいたい、こういうことを強く述べまして、本案が児童福祉法の第一条の精神にマッチするように一日も早く改善されることを要望いたしまして、不満ながら本案に賛意を表する次第であります。 最後に、通算通則並びに通算関係法についてでありますが、これはなかなか重大であります。私は、これは国民年金保険法、すなわち国民皆保険を推進していく上に画竜点睛を与える重要なる役割を持つものだと思うのであります。それはこの法案にも政府は述べておりまするように、通算年金の通則法、あるいは通算年金制度の創設に関する関係法律の改正につきまして一々詳しく述べるのは避けますけれども、要約して申し上げますと、言うまでもなく、今日公的年金の種類は幾つもありますが、私は大別して三つに分けて考えたいと思うのであります。一つは、厚生年金や船員保険のように、雇用関係の中にある労務者のために設けられた年金制度、いま一つは、各種の共済組合の中には、二つに分けて、公企業あるいは公務員、地方公務員に類する方々のための制度があります。これはいずれもその歴史的な使命が異なっておりますように、制度の内応におきましても、本質的に氷炭相いれない性質のものを持っておりまして、これを頭から統一するとか統合するとかいいましても、それは事実上不可能を求める結果になるのでありまして、もしそういうことを無理にしいるようなことをいたしますと、角をためて牛を殺すような結果になってしまうと思うのであります。すなわち、公務員、地方公務員などには、恩給という性格が多分に温存されておるのであります。公企業体の場合においては、民間企業に比べましてその営利の目的が質的に違うのであります。さらに民間の場合におきましては、今日退職金が肩がわりした年金制度のようなものに移行しつつある事情も考慮されなければならぬのであります。こういうように、今日の労働慣行の中に新しく誕生しつつあるもの、あるいはすでに既得権として要求されておるものがあるのでありまして、こういうものにうかつにふたをかぶせるようなやり方をしますと、これはとんでもない反撃を受けて、結果は本末を誤るような危険を冒さないということはだれが言い切れるでありましょう。そういうものに対する十分なる配慮がなされていないということをこの法案の中からくみ取ることができるのであります。わが党は少なくとも国民皆保険、年金制度のようなものは全国民がひとしく憲法による法の前に平等であるという姿を社会保障制度の中において一日も早く求めたいと思う情熱から、この点につきまして力説をいたしまして、政府案に対しまする不満の点と賛意を表する点と、社会党の修正案に対しまして、非常に不十分でありましたけれども、時間の都合上輪郭をごく簡単にわが党の立場を述べさせていただきました。 ぜひ、わが党の主張が社会党の修正案の中にも盛り込まれ、また政府には原案を時によっては撤回するほどの勇気を持って、よい法案が誕生することを強く要望いたしまして、私の討論を終わる次第であります。
○中野委員長 以上で討論は終局いたしました。 これより各案について順次採決をいたします。 まず八木一男君外中名提出の国民年金法の一部を改正する法律案に対する修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中野委員長 起立少数。よって本修正案は否決されました。 次に内閣提出の国民年金法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中野委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。 次に八木一男君外十名提出の年金福祉事業団法案に対する修正案について採決をいたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中野委員長 起立少数。よって本修正案は否決されました。 次に内閣提出の年金福祉事業団法案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中野委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。 次に、内閣提出の児童扶養手当法案について採決をいたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中野委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。 次に、内閣提出の通算年金通則法案について採決をいたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中野委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。 次に、八木一男君外十名提出の通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案に対する修正案について採決をいたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中野委員長 起立少数。よって本修正案は否決されました。 次に、内閣提出の通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案について採決をいたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中野委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。 —————————————
○中野委員長 この際、小沢辰男君、八木一男君及び井堀繁雄君より、国民年金法の一部を改正する法律案、年金福祉事業団法案、児童扶養手当法案及び通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案に対し、それぞれ附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨の説明を求めます。小沢辰男君。 ————————————— 国民年金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議 政府は国民年金制度の重要性にかんがみ左記事項につきすみやかに検討すべきである。 記 一、左の大綱に従つて改善を行うこと。 1 各年金の年金額を大幅に引き上げること。 2 老齢年金、老齢福祉年金の支給開始年齢を引き下げること。 3 福祉年金の給付制限を緩和すること。 4 保険料、年金額、給付要件、需給対象等すべての面において社会保険の精神に従つて改善すること。 5 右の実現のため大幅な国庫支出を行うこと。 特に左の事項については可及的すみやかに適切な措置を講ずること。 1 保険料の免除を受けた場合にも、少なくとも納付した場合と同様の国庫負担を付することとし、保険料免除を受けたものの年金額を引き上げ全期間免除のものにも年金を給付すること。 2 年金受給要件に達しない者の実納保険料がその被保険者のものとして確保されるようにすること。 3 各種福祉年金を大幅に増額すること。 4 老齢福祉年金、母子福祉年金、準母子福祉年金、障害福祉年金、児童扶養手当等の本人所得制限13万円を十五万円以上に引き上げること。 5 夫婦とも福祉年金を受ける場合の減額制度については、これを廃止すること。 6 内科疾患に基づく障害に対しても障害年金、障害福祉年金を支給すること。 7 年金加入前の身体障害については、広く社会福祉施策の全体系のうちでその保障を確保するみちを考究すること。 8 老齢福祉年金における配偶者所得制限を緩和又は廃止すること。 ————————————— 年金福祉事業団法案に対する附帯決議 一、政府は、年金福祉事業団の資金わくを明年度以降において、大幅に増額するよう措置すべきである。 二、政府は、年金福祉事業団の融資対象施設の範囲を広げ、住宅その他被保険者の福祉増進に資する施設をも、その融資対象とするよう措置すべきである。 三、政府は、年金福祉事業団の業務運営の円滑を図るため、関係者をもつて組織する運営協議会のごときものを設置するよう措置すべきである。 四、年金積立金については、その特殊性に即した運用をはかるため、政府は明年度以降資金運用部資金に、他の資金を区別して年金特別勘定を設けるよう努めるべきである。 ————————————— 児童扶養手当法案に対する附帯決議 一、政府は、本制度の実施にあたつては、その原因のいかんを問わず、父と生計を同じくしていないすべての児童を対象として、児童扶養手当を支給するよう措置すること。 二、政府は、児童手当又は家族手当につき、世界の諸情勢を研究しながら将来これが実現につき努力すること。 ————————————— 通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議 一、政府は、公的年金制度の被保険者の配偶者について国民年金が任意適用であるため、これらの者についての年金の通算が効果的に行なわれにくいこと、および現状において退職する女子被保険者が結婚等のために一時金を必要とすることにかんがみ、将来の情勢の推移により、退職一時金又は脱退手当金と通算年金との選択についての女子五年の経過期間については、これら期間経過前に、この事態に対処する適切なる措置を講ずること。 二、政府は、通算措置により資格期間満了前に脱退する者についての従前の制度における不合理な点が必ずしも充分調整せられていない現状にかんがみ、すみやかに所要の改正措置をとること。 三、政府は、厚生年金の給付につき、すみやかに大幅の改善措置をとること。 —————————————
○小沢(辰)委員 私は、ただいま議題となりました四つの法案にそれぞれ附帯決議を付すべしとの動議につきまして、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表いたしまして、その趣旨の御説明を申し上げたいと思いますが、その内容につきましては、すでにお配りをしてありますので、この案を御高覧いただきまして、すみやかに皆様方の御賛同をお願いいたしたいと思います。
○中野委員長 本動議について採決をいたします。 本動議の通り決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって四案については小沢辰男君外二名提出の動議のごとく、それぞれ附帯決議を付することに決しました。 この際、厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。灘尾厚生大臣。
○灘尾国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして今後善処したいと存じます。(拍手)
○中野委員長 ただいま議決いたしました五法案に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 次会は来たる十月二十四日火曜日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会をいたします。 午後七時十七分散会 ————◇—————