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39回国会衆議院1961/10/18

社会労働委員会 第8号

発言数
162
登壇者
10
会派数
3
開催日
1961/10/18

会議録

中野四郎自由民主党

○中野委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りをいたします。  理事齋藤邦吉君及び理事永山忠則君より、それぞれ理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野四郎自由民主党

○中野委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  なお、理事の補欠選任につきましては、委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野四郎自由民主党

○中野委員長 御異議なしと認め、理事に小沢辰男君及び澁谷直藏君を指名いたします。      ————◇—————

中野四郎自由民主党

○中野委員長 内閣提出の国民年金法の一部を改正する法律案、年金福祉事業団法案、児童扶養手当法案、通算年金通則法案及び通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案、以上五法案を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。大原亨君。

大原亨日本社会党

○大原委員 私は、これから前回の八木委員の国民年金に関する質問に続きまして、厚生年金を中心とする諸制度の問題につきまして御質問いたしたいと思うのであります。  恩給にいたしましても、共済組合の公務員の年金にいたしましても、あるいは厚生年金にいたしましても、国民年金にいたしましても、これらは時期、目標等ばらばらにできた経過がございまして、この際これらのものを制度といたしまして合理的に調整をしていくことが、きわめて必要になってきておると思うのであります。特にその中でも厚生年金は、御承知のように、戦争中の昭和十七年に始まったわけでありますが、昭和十七年に始まりまして、二十年掛金をかけますと、初めていわゆる老齢年金の給付がある、ここいうことであります。その二十年目が、ちょうど昭和三十七年、来年に当たるわけだと思うのであります。従ってこの問題は、今まで戦争中あるいは戦後のインフレその他の問題など、今日までいろいろな経過を通じてやって参りまして、国民年金も出て参り、共済組合の年金も改正になり、その途中いろいろと厚生年金も手をつけられましたけれども、来年の老齢年金の給付開始を目前にいたしまして、この際私どもは早急にこの問題について問題点を指摘いたしまして、是正すべき点は是正をする必要があるのではないか、こういうふうに考えるのであります。  まず第一に、現在の加入者の状況その他につきまして、一つ総括的に政府委員の方で御答弁をいただきたいと思います。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 厚生年金の現状についての御質問でございますが、概括お答え申し上げます。  まず事業所の数でありますが、これは端数を省略いたしまして約四十万の事業所が対象になっております。それから被保険者の数でございますが、この中には男子、女子、坑内夫あるいは任意契約というような四種類ございますが、総数含めまして千三百九十一万人ございます。それからよく問題になる平均標準報酬月額でありますが、これは四種類のものを平均いたしますと、一万六千四百十九円という平均標準報酬の月額になっております。保険料徴収の対象になる月給の額でございます。   〔委員長退席、柳谷委員長代理着席〕 それから、先ほど昭和三十七年で二十年ということになって、本格的な給付が始まるというお話がございました。その通りでございますが、現在におきましてもすでに給付は始まっております。老齢年金につきましては四万三千七百六十一人という人が年金を受けておるわけでございます。一件当たりの年金額は平均いたしまして四万一千六百六十四円でございます。月に直しますと、約三千五百円という平均額でございます。それから遺族年金でございますが、これも十七万九千九百五十九人、約十八万人が遺族年金を受けております。これの一件当たりの年金額は二万三千三十七円ということでございまして、月に直しますと、約二千円という額になります。それから障害年金でございますが、これを受けておる者が八万四千百一人、約八万人でございます。年金の額は平均しますと三万三千四百三十四円ということでございまして、月に直しますと約二千七百円という額でございます。その他脱退手当、これは一時給でございまして、年金としては以上のようなものでございます。  以上が大体の状況でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 きょうは主として組み立ての基礎になっております老齢年金について御質問いたしたいと思うのでありますが、老齢年金の金額を算出いたします際にいろいろと問題になる点があると思うのですが、標準報酬月額の算定の仕方に一つ問題があると思うのであります。それから基本月額の中での低額部分がもちろん問題であります。それに加えて加給年金額の問題もあるわけでありますが、順序といたしまして私の方から標準報酬月額を算定する仕方について、全体の給付額が低いという観点から御質問をいたしたいと思うのでありますが、下限の三千円、上限の三万六千円、この下限の三千円の根拠はどういうところにあるのですか。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 標準報酬のきめ方でございますが、これは実際に得ております収入にぴったり合えば一番いいのであります。ところがそれをやりますと非常に複雑になりますので、数階級に分けて、平均的な報酬をもって計算するのであります。三千円をどうして最低にきめたかというお話でございますが、この点につきましては、現に三千円未満の報酬を受けておる人もあるという実情が一つございます。三千円以下のものであれば一応三千円に繰り上げて計算することになっております。三千円程度の月給をもらっておる人があるということであります。もう一つは、終戦後のインフレでございまして、終戦前の月給としましては百円であるとか二百円であるとかいうごく少額の金額でございます。ところがインフレによりましてその数字が使えなくなったので、それを繰り上げましてインフレによる影響をなくするという意味で、少なくとも最低三千円という数字にする。そういたしませんと、年金を支給いたします場合に、戦争中の百円とか二百円とかいう安い月給を算定の基礎にいたしますと非常に年金額が少なくなります。そういう支障を来たしますので、そういうことをなくするために、一応戦争中等におきますところの百円とか六十円とかいう額を三千円というものに引き上げる、この効果があるわけでございまして、昭和二十九年の法律改正に際しましては、戦後におけるインフレの影響を消すというために一応三千円という数字をとったわけでございます。なお他面からいたしますと、実際非常に少ないかもしれ乗せん、あるいは三千円程度の報酬を得ておる人もあろうという実情もございますが、主たる理由は今申し上げましたインフレの影響を消すというのがねらいでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 私の手元の資料によりますと、昭和十七年の標準報酬月額が七十一円、当時のことを思い出してみますとそういうことでありますが、十八年が七十八円、十九年が九十七円、二十年が百六円、二十一年が三百八十七円、二十二年が五百八十円と、こういうふうになっておるわけですが、それを三千円以下のを三千円に上げるといいましても、昭和十七年当時の実質的な生活程度、貨幣価値、こういうものを考えた際に、低いのを一律に三千円に上げただけでは、やはり全体として標準報酬月額の全平均を出す際には、これはあまりこまかいことでなくてもいいですが、それを三千円に引き上げたのでは、インフレの問題ですけれども、これは全平均の標準報酬月額を給付金を出す算定基礎としてやる場合には、不当に賃金額を低くやっているものだから損だということになる。低くきまってしまって給付金が低くなるということになる。これは常識で考えてそうですね。当時百円の給料の人が、今日大体貨幣価値からいいましたら三百四十倍くらいはするわけでしょう。百円の給料をもらっている人が三百四十倍ということになると、三万四千円くらいな給料を今もらってないと、当時の百円の給料に匹敵しないということはありますね。これは昭和十三、四年ころかもしれぬけれども、戦争中にインフレで、実質的には配給制度等で若干最低生活は保障されていたから問題があるでしょうが、それにしましても今申し上げた昭和十七年から昭和二十二年にずっとかけて、戦中戦後のそういう貨幣価値が移動いたしました当時を考えてみて、下限を三千円にするというふうなこと、三千円までは引き上げるということは、これは全平均報酬月額を非常に引き下げる結果になって、この計算の仕方はやはり問題があるのじゃないか、こう思います。その点は問題があるでしょう。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 お話しのように、昭和十七年の七十一円という月給を最近に合わせまして三千円という換算をすることは無理じゃないかということだと思います。そういう見方をいたしますれば全くそういうことになろうと思います。しかしここで考えなければいけませんのは、それを全部何ぼに換算したら適当かという問題がございますし、それから年金を給付します場合には、最低の二十年というのを、全期間を平均するわけでございます。二十年のうちで、御指摘がありましたような問題が起こりますのは昭和十七、十八、十九、二十、二十一、二十二と四、五年の間でございます。ですから、これが全期間こういうことであるとこれは問題でございますけれども、二十年のうちの四、五年についてそういうインフレの影響を是正する措置を講じなければならぬという問題でございます。全面的な問題ではないわけでございます。そういう点いろいろ問題があったと思うのでございますが、一応昭和二十九年の改正におきましては、この辺が妥当であろうということで最下限三千円ということになったわけでございます。いろいろ議論をいたしますと、正確にその数字がいいのかどうかということになりますと、これはやはり全然問題がないとは申せないと思いますけれども。

大原亨日本社会党

○大原委員 同じく私の手元の表によりまして質問するのですが、昭和二十三年は八千百円、八月から標準報酬月額を改定いたしまして、二十四、二十五、二十六、二十七年とずっと八千円、二十八年も八千円で、二十九年の四月まで八千円、こういうふうに前後十カ年間も同じような標準報酬月額が全平均額を出す基礎資料といたしましては、現在を時点として考えた場合に、来年から本格的に老齢年金が始まる、今までもちろん支給者は御承知の通りあるわけですが、全面的に始まるのは来年ということになりますと、前後十カ年くらいはやはりそういう問題があると思うのです。この問題は問題点である。標準報酬月額の出し方の問題ですね、この点は問題があるということをお認めになったわけでありますけれども、私は個々の部分々々だけをとらえて全面的にどうこうという議論はいたしませんけれども、確かにこういう問題等を含めて、現在の時点において再検討をすべき問題がやはりあるのではないか。給付金を算定する基礎資料といたしまして標準報酬月額の算定が、やはり現在の時点に考えて、インフレに対する影響を是正をするというふうな答弁でありましたけれども、三千円の下限の決定はそうでありましたけれども、ここには問題は依然として残っているんだ、こういう点について私は御理解をいただいたと思うのでありますが、この点は問題点としてもう一回——あなたはさきの答弁のときに四、五年であるからと言われましたけれども、昭和二十八年、二十九年、しいて言えばその後もそうですが、ずっと昭和三十四年、三十五年まで一万八千円が続いておりまするが、これも標準報酬月額の平均といたしましては低い、これは問題であると考えますけれどもいかがでしょう。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 御指摘の通りでありまして、最初申しました最下限の三千円につきましては、今申しましたインフレの影響を消すためにこうなったのがいいかどうかということは御指摘の通りであります。それからそれ以後でございますが、今お話しのように昭和二十三年から二十九年までは標準報酬の最高を八千円と抑えております。二十九年以降三十四年までは最高一万八千円に抑えております。それから三十五年の改正後は最高三万六千円に押えております。これがいいかどうかという第二の御質問だと思います。御存じのように最近におきましては給与ベースも上がっております。三万六千円を超過する者もございます。そういう人でも三万六千円という基準で保険料を納めて給付を受けることになりますから、そういう点から見ますと標準報酬というものが実際の給与にマッチするかどうかという点の検討もあるのでありますが、御指摘の点からいたしますとやはり最高限というものはこれでいいかどうか、実際の収入にマッチするかどうかという点の検討は残っておるわけであります。これは今後の給付内容の改善からいたしますと、どうしても保険料をよけいとらなければならぬ。そういう場合には料率を上げるか、あるいは標準報酬の頭打ちをはずすとかいうようなこと、あるいは別の見方をしますと国庫負担というようなこともございますが、そういうことをやらないと給付内容の改善ができませんので、そういうことをするためにも、この最高限の頭打ちということは、今後実情に即するという意味におきましても、いろいろな意味におきまして検討を要すべき事項であると考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 三千円以下は引き上げるという下の方の限界と、それから三千円をこえた部分は、今お答えになったものを含めまして、上の限界であります。私は掛金についての議論は別にいたしまして、給付金の算定基礎といたしまして標準報酬月額がこういうふうな問題がある、こういう点は検討を要すべき問題である、こういうふうに私は政府委員の答弁を了解いたしております。大臣、その点は御理解いただけましたか。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 政府委員のお答えした通りで、大原委員のお聞きになった通りであろうと私も思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 それから老齢年金の給付の基礎になっておりまする基本年金額、いわゆる定額部分と言われておる問題であります。いわゆる二万四千円というふうに定額部分が規定をされて、それに平均標準報酬月額をプラスいたしまして、これに千分の六をかけて、そして勤続期間、月数を掛ける、こういうことで給付が決定をされておるわけですが、その定額部分が低いか高いか、二万四千円、月に二千円、これが算定の基礎といたしまして高いか低いかという問題があるわけですが、これは低いという私どもの議論でありますけれども、これは二万四千円というのはどういう基礎から、どういう理由づけから出てきたいわゆる定額部分なんですか、その点一つ。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 御指摘のように老齢年金の基本年金額は、二万四千円という定額部分とそれから報酬比例部分と二つからなっております。それでこういう立て方をいたしましたのは、実は昭和二十九年の法律改正のときに初めてこういうやり方をしたわけでありまして、この年金額の算出の方法としましては、定額の年金を支給する方法とそれから一律に報酬比例の年金を支給する方法と二つあるわけでございますが、それを日本におきましては二十九年の改正で折衷方式と申しますか、そういう方式をとったわけでございます。当時のいきさつ、私どもの承知しておるところによりますといろいろな考え方があったようでございますが、一応当時の平均標準報酬の月額の改正前におきましては、四カ月分が年金額であるということになっておりました。月給の四カ月分が老齢年金額になっておるということになっておりました。それで当時の一人当たりの平均報酬が約八千円でございました。四カ月掛ける八千円で三万二千円というのが改正前の規定のやり方でございました。それからこの三万二千円ということを頭に置いておきまして、それの割り振りでありますが、当時は国庫負担が一割、事業主負担が四割五分ございました。合わせまして五割五分というのがございます。それを大体定額部分に持っていくことを考え、それから被保険者負担に相当する四割五分というのは報酬比例という考え方に基づいて計算をしておるわけでございます。そういうふうに計算いたしますと、大体その定額部分に該当するものが一万八千円となるわけでございまして、これを月に直しますと二千円という額になるわけでございます。一応の根拠はそういうような考え方で成立したわけでございます。  それからもう一つの配慮といたしましては、当時の生活保護の生活費でありますが、これが大体それに近い数字であるというようなことも結果的には勘案されているようでございます。考慮にも入れられておるようでございますが、的確にこの生活保護の基準を持ってきたというわけではございませんが、作業といたしましては、今言ったような国庫負担分と事業主負担分を定額部分に充て、その他を報酬比例に分ける、こういう考えから出ておるようでございます。  ちょっと説明がややこしく明瞭でございませんが、一応考え方といたしましては、定額方式と報酬比例方式と折衷してやったらよかろというのが基礎でございまして、その割り振りにつきましては今申したようなことを頭に置いて計算しております。

大原亨日本社会党

○大原委員 昭和二十九年当時の生活保護費と現在の生活保護費は何%ぐらい上昇しておりますか。念のためにもしわかれば……。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 ちょっと私正確に記憶はしておりませんが、先般も上がりましたし、三十六年度も上がっております。それから例年二、三%ずつ上がっておりますので、ちょっと数字的には申し上げられませんが、昨年は一八%、ことしもまた今回の補正で五%上がっておるというような状況でございますので、当時よりは上がっておるということは考えられます。

大原亨日本社会党

○大原委員 やはり定額部分というのは、いろいろ議論はあるでしょうが、社会保障的な、最低生活保障の部分だと思うのです。御答弁によりましてもそういうことなんですが、生活保護費がとにかく一応最低生活についての保障が足りないままにでも上がっております。この部分もやはり私どもはこの際思い切って——思い切ってというほどでもないけれども、あとの加給年金との関係、扶養家族に対する保障の問題、こういう問題も加算の問題としてあるわけです。それらの問題等を考えてみて、本人と妻が今までの家の中においてそういう状況の中で余生を送っていくためには、七千円というのは、これは少ないと思うのです。しかし本人と妻、これについてはあとでいろいろな問題があるでしょうけれども、そういうことを考えてみても七千円、本人だけ考えてみれば七千円、妻同じく七千円、七千円は月に保障して、定額部分が八万四千円くらいにならなければいけないんじゃないか、こういうふうに思うのです。その問題の議論はともかくといたしまして、とにかくそういう定額部分についても問題として是正をすべきである、こういう検討の余地あり、検討しなければならぬ、こういうふうに思いますが、政府委員いかがですか。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 先ほども申しましたように、この年金額の決定の方式としましては、報酬に比例する方式と、それから一律に定額を支給する方法と両方ございます。少なくとも現行のように折衷方式をとっております場合におきましては、定額部分というものは生活費の上昇、物価の上昇、そういうものを勘案いたしまして、そういう方式をとる限りにおきましては漸次上げていかなければならぬということは考えております。御存じかと思いますが、厚生行政の長期計画基本構想というものを実は試案として厚生省は出しておりますが、その中におきましても、折衷方式をとります場合においては、現在月額定額部分二千円というのを二・五倍の五千円程度に十年後には引き上げる必要があるのではないかというような一応の構想も持っておるわけでございます。金額が幾らがいいかということは未確定でございますけれども、とにかく定額部分というものを漸次引き上げていかなければならぬという考え方で検討をいたしておるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 厚生年金の定額部分とそれから標準報酬月額については、今日までの経過から見て非常に問題がある。つまり問題はあとの残余の要素の問題を含めまして、現在の厚生年金の給付額が妥当かどうか。それぞれの昭和十七年以来年々当時の貨幣価値をもって支払ったものが、そういう厚生年金の機構を通じて逆にそのときどきには政府はその金を積立金として生かしていろいろな処理をしてきたわけだが、結局は国民はこういう制度を通じて収奪されておるのではないか、あるいは給付が不当に低いのではないか、問題は、こういう問題であります。こういう議論であります。ここで念のためにお尋ねしたいのですが、標準報酬月額と給付金の月額、大体平均どのくらいもらうのか、こういうのが、最初に答弁があったかと思うのですが、それを一つ御答弁願いたい。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 これは各人によってそれぞれ違うわけでございます。一応計算をしてみたものがございますが、それは一応次のような方式で計算をしてみました。昭和十七年から三十七年までの二十年間におきまして、それぞれの時期における最高の標準報酬額、一番高い月給で保険料を納めておった人、こういうのを頭に置きまして計算をいたしてみたものでございます。そういたしますと、二十年間に納めました保険料の総額は約八万八千円になります。それから幾ら年金をもらうかと申しますと、定額部分は二万四千円でございます。それからこの二十年間の平均標準報酬を月額に平均いたしますと、一万二千三百八十七円という数字になっております。これを基礎にしまして千分の六かける二十年ですから二百四十ヵ月というものをかけてみますと、年額四万一千八百三十七円ということになります。二十年間働いて最高額を納めた人は、三十七年におきまして四万一千八百三十七円という年金を一年間にもらうということであります。別の見方をいたしますと、二年間四万もらいますと八万円になるわけでありまして、過去に納めました保険料の累計が八万八千円でありますから、八万円納めまして二年間もらうともとの金は回収できた、あとはプラス・アルファ、これは極端な言い方でございますが、保険料に比べまして給付の額というものは必ずしも低くないという数字的な計算は出て参るわけであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 今のはちょっと私仕組みがよくわからぬから聞くのですが、労使折半で千分の三十五の掛金がありますね、その半分のことですか。今の数字の根拠は労使折半でやるのだが、千分の一七・五のことなんですか。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 この保険料の八万八千円と申しましたのは、被保険者の負担した分だけを計算いたしました。保険料としましては、このほかに事業主の負担した八万何がしがあるわけであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 これに対しまして事務費が一割五分の国庫補助があるわけですが、今のあなたの答弁はちょっとひどいよ。あなたの答弁だったら私は全部今までのやつをひっくり返してやるけれども、貨幣価値がまるきり違っていて、昭和十七年には七十一円の標準報酬月額のときで、それを三百何倍しなければならぬ。掛金においてもそうでしょう。だからそういうことを全部現在の貨幣価値に修正をしてやらなければならない。そんなことを言うのだったら、昭和三十二年に至るまで標準報酬月額のきめ方は全部そういうことになっておるから、これは問題なんです。そういうことは問題にならぬ話です。それから今労働者側の負担と使用者側の負担、国庫負担、これは老齢年金制度で早く死ぬ人もおるし、いろいろあるわけで、今の話で二年ほど生きたら生き得だというようなことを言うのはもってのほかだ。全く答弁にならぬけれども、今までの答弁と関連して、そのことはあまり追及いたしませんが、つまり今までの質疑応答の中で、基本年金額の定額部分も、昭和二十九年の現在の二万四千円という数字を設定した当時とは、生活費も上がっておる、情勢も変わっている、生活水準も向上するわけですから、変わっておる。それから国民経済からいっても変わっておる。平均標準報酬月額にいたしましても、下限の設定の仕方、上限の設定の仕方がやはり問題がある、こういうことは認められたわけです。  もう一つは加給年金の方ですが、扶養家族、妻、子供について一人四千八百円で月額四百円、こういうのも私は現在から考えたら問題があるのじゃないか。妻と子について月四百円、これは低いんじゃないか。大体どういうことを目安にしてやりますか。きめますか。是正すべきだと思うのですけれども、現在の四百円というのはどういう目安か。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 加給金を家族一人について四百円出しておるわけであります。これの根拠いかんと言われましても、私まだ勉強しておりませんので明確なお答えはできかねますが、おそらく共済組合とかその他の制度におきましてある程度の加給金を出しておりますので、それらの見合いでこれを出したものと思います。この金額は別の見方をしますと、定額部分の変形であると考えられます。それから家族に対しての特別の配慮ということも考えられますが、それをなんぼにするかということを具体的な計算上出すことはむずかしかろうと思います。これは他の制度におきます加給金の額等を参考にしてきめたものだと思います。しかしこれは先ほど申しましたように、年金額を検討いたします際には、この額でよろしいかどうかという点は確かに問題になろうと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 四百円というのは根拠はないと思うのです。大体つまみ銭みたいなものです。今の御答弁でもそうですが、四百円というのはどういう理屈をつけましても問題にならぬ。つまり厚生年金というのは二十年掛金をかけて六十才からもらえる。坑内夫は五十五才からだ、この問題はあとで議論いたしますが、六十才からもらえるというこの厚生年金が、今お話しのように、よほどいい条件の人々をとってみても年額四万一千円、こういうことになると、月額に直すと三千二、三百円のものです。これでは実際に老後の所得保障といたしまして、通算制度、国民年金との関係、その他たくさんございますけれども、これではやはり問題にならぬのじゃないか。公務員の共済年金——恩給法の改正をやり、年金が四割は最低を保障しておって、勤続年数その他によってだんだん増加しているわけです。勤続年数によって累加加算されているわけです。これはいかに考えても、来年から全面的に改正されますけれども、相当の問題が起きてくると思うのです。私どもはこれは所得保障として社会保障の一環で、被用者年金の体系の中で漸次共済年金との一元化、低いところを引き上げていくということと、被用者年金でない一般国民年金との体系を考えながら、全体として所得保障を考える、こういうことを大きな構想としては考えるわけですけれども、そういう体系の現在のでこぼこや不合理是正、こういうことを進めながら通算や一元化をやっていかなければ、これは所得保障といたしましては相当問題があることは御承知の通りであります。  そこで私はお尋ねをいたしますが、来年、三十七年の全面実施を考えて、老齢年金を一応論議の対象にしておりますが、老齢年金の給付額を引き上げるようにこの際再検討すべきであると思うのです。厚生省の長期計画はただいまお話しの通りであります。そういう問題点はそれぞれ指摘をされておるわけです。問題点として指摘してあるだけでありますけれども、来年から全面的に給付が開始される、老齢年金の給付が二十カ年で始まってくる。十七年から始まって二十カ年で、今までもこれの実施はあるけれども、非常に多くなってくる、そういうときでありますから、この際再検討する絶好の機会だ、こういうふうに思いますけれども、その点について厚生省としての心がまえをお聞かせいただきたい。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 現行の厚生年金の給付内容が十分でないという点は、御指摘の通りだと思うのであります。たとえて申しますと、ILOの百二号条約によりますと、基準としましては、退職前の所得の四〇%、あるいは普通成年未熟練労働者の賃金の四〇%、これが一つの基準になっているわけでございます。そういうものに比較いたしますと、確かに低うございます。そういう意味から見ますと、国家公務員共済の最終三カ年の月額に対して四割を出すということは、基準に合っておるかと思いますが、そういう意味におきまして、厚生年金給付内容は必ずしも十分であるとは考えておりません。今後改善していかなければなりません、その考え方としましては、先ほど申しましたような厚生行政の長期計画の一環としてこれを検討して進めることもいたしております。それからなお一方におきましては、総理府の社会保障制度審議会におかれまして、各種社会保険の総合調整として、医療保障、所得保障あるいは生活保障というような点を今総合的に検討しているわけでありまして、今年度中あるいはおそくとも来年三月ごろまでには一つのまとまった意見がお出しいただけるのじゃないか。そういうものを十分尊重いたしまして、検討いたしたいと思います。  それで、それをやる時期でございますが、先生は来年三十七年から二十年になって、相当受給者がふえるから、来年からやったらどうかというお気持のようでありますが、来年確かに二十カ年になりますけれども、受給資格を持つ人はそういうふうにふえますが、現実に受給権の発生する人は、私は見通しとしましては、そう急にふえることはなかろう、ともかく来年全部やめればそういうことでありましょうが、そういうことはないのでありまして、自然退職程度のものでございますから、受給権者が急にふえるということはなかろうと考えております。しかしそういうことも頭に入れておかなければなりません。ともかく方法といたしましては、厚生年金の給付内容の改善に見合いますところの財源の確保の問題という点を検討いたしております。作業的に申しますと、内閣の社会保障制度審議会の御答申が得られますのは、今年末か来年三月ごろであると思われます。それも十分考えなければなりません。役所としても、これで十分作業をしなければいけませんので、三十七年度からというと、どう考えても少し無理な気がいたすのでございます。こういう制度の根本でございますので、そういういろいろな試案が出まして、あと一年くらいは十分みっちりと検討して、成案を得たいというつもりでおります。何分にもこの制度は一ぺんこしらえますと、長期間でございますので、ちょっと変えるわけに参りません。その辺、一年程度の見通し期間を持ちたい。

大原亨日本社会党

○大原委員 今社会保障制度審議会に諮問しているのですか。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 これは一昨年諮問しまして、医療保障の問題とか生活保障の問題とか、あわせてやっております。

大原亨日本社会党

○大原委員 社会保障審議会に諮問になっているということなんですが、いつ答申があるのですか。ちょっと今答弁があったようですが、もう一回。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 諮問いたしましたのは、内閣総理大臣が諮問いたしました。諮問の時期は、一昨年の十月に諮問をしたわけでございます。諮問して御検討願います内容は、先ほど申し上げましたような問題でございまして、諮問に関する審議の状況を承りますと、最初の予定者は本年の今ごろか、十二月ごろまでに出したいという気持でやっておられましたが、なかなかむずかしい問題でございますので、来年の三月ごろというようなめどのようでございます。   〔柳谷委員長代理退席、委員長着席〕

大原亨日本社会党

○大原委員 私が御質問いたしたいと思っていたことを先ほど御答弁になったのですか、ILOの社会保障基準の中で、そういう年金についての四割保障、こういう原則があるわけですが、私は他の外国の例で、被用者年金について全部言うわけにいかないけれども、いわゆる標準報酬月額のとり方、いわゆる定額分のきめ方、そういう問題について、諸外国ではどういう制度をとっておるか。ドイツあるいはスエーデンその他北欧諸国もそういう所得保障については進んでおると思うのですが、そういう一、二の例をお調べになっておれば、お答えいただきたい。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 完全に調べておるわけではございませんが、西ドイツ、スエーデンについては若干調べたのがございます。ちょっと失礼でございますが、厚生年金課長から御説明いたさせます。

加藤威二厚生事務官(保険局厚生年金保険課長)

○加藤説明員 便宜私から御答弁申し上げます。西ドイツの例で申し上げます。西ドイツの老齢年金の出し方でございますが、たとえばAならAという人間がおりまして、Aが二十年間被保険者だと仮定しますと、まず第一に、その人間の二十年間の平均の賃金の年額を出します。その次にその二十年間なら二十年間の同じ期間の全被保険者の平均賃金の年額を出します。その両者の比率を見るわけでございます。従ってAという人間が比較的高給をとっておりますと、全被保険者の平均年額の一・二倍とか一・三倍、あるいはそれが低い人であれば、〇・七とか〇・八、こういう数字が出るわけであります。その数字をその人間が年金をもらいます直前三年間の全被保険者の平均賃金年額にかけるわけであります。それから被保険者の二十年というものと、それに年金率というものがございまして、これは保険数理から算出しておるのでございますが、西ドイツは一・五%でございますが、それをかけます。ちょっと複雑な形でございますが、そういう出し方をいたしております。これの非常な特色は、過去三年間の平均賃金に対するその人間の俸給の比率というものを出しますので、比較的インフレとか貨幣価値の変化というものについていくわけでございます。そういう点が西ドイツのある意味では非常に進んだ年金の出し方であると思うのであります。  それからスエーデンは、これは年金がフラット制と所得比例制の二本建になっております。フラット制の方は、十六才から六十五才までのすべてのスエーデン市民が特別年金税というものを拠出いたしまして、六十七才から無差別にこれを支給される。資力とか資産とかまた退職とか、そういうことに全然関係なく、六十七才から無差別に支給いたします。年金額は一定の基本額に生活水準の上昇数をスライドした調整額ということでフラットの年金を出しております。一九五八年の例をとりますと、単身者で二千四百五十クローネ、約十二万七千円でございます。夫婦では三千九百二十クローネ、約二十万四千円、こういうことになっております。  もう一つの所得比例制の方は、これは割合新しい一九五九年に採用されましたもので、事業主だけがその費用を負担しております。年金額の計算は、請求のときの基本額の六割、これに、年金が一番高い時期から順にとっていきまして、十五年間、過去二十年なら二十年ありました場合に、高い時期の十五年間の収入の平均をとりまして、それを掛けて算出する、こういう方法をとっております。この場合でもやはりある程度物価水準に比例したスライド制というものをとっておるというのが、スエーデンの状況でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 日本の公務員の共済組合の年金、長期給付の方も、やはり最終年金の俸給額を基準にして年金額を出しておる、その算定の基礎にしておると思うのです。それで、今のお話を聞きまして、ドイツはやはり公務員の共済年金のそういう月収の算定の仕方を見ておるし、スエーデンは最高のところをとっておる、最も都合のいいようにしておる。これは出来高払いその他においては賃金が減るということもあるだろうから、そういうふうにとっておる。こういうふうにやって、大体国際的な基準もILOの基準が四割保障、こういうことになっておる。だから、やはり今日本の計算の仕方で四万一千円ぐらいの年金、こういうふうなのは、何といいましても低い金額であると思うのです。このことについては、給付金の算定部分についての問題を含めて社会保障審議会に諮問なすっておる、こういうことでありまするけれども、これはこの際抜本的に改正しなければ、私は実際上制度としての役割を果たさぬのではないかと思う。  そこで、これに関連いたしましてもう一つ質問いたしますが、日本の厚生年金は、退職しましたときにもらうわけですね。六十才からもらうというのじゃないわけです。五十五才からもらうというわけじゃないですね。そうしますと、これは制度の問題ですが、これは退職年金になっておるわけですが、大体定年は五十五才であります。大多数の定年は五十五才。完全雇用ができていないものだから、日本では定年制が問題になるわけですが、それで五十五才で定年になって、そうして六十才から厚生年金をもらうというその間が——これはあとで失業保険との関係で議論したいと思うのですが、五年間もひまがある。しかも、厚生年金の支給額は月に平均いたしまして三千円若干、こういうことです。ブランクがある上に金額が低い。結局は、一生のうちで一番働き盛りのところの職場を離れて、そうして隠居仕事ではないけれども、それでは食べていけないので、子供の教育費やあるいは養育費等も要るだろう、妻もおる、こういうことで、そうして働く職場をまた求める。そうすると、五人以上の職場には厚生年金が強制適用になっておりますから、そういう職場でまた厚生年金の掛金をかけてということで、六十五才になってもやはり働く場所があれば働くということで、この年金制度は非常に矛盾が多いと思うのです。それは、年数をどこに切るかは別にいたしまして、六十才なり六十五才なり、あるいは五十才なり五十五才なり、その年に達したら、そういう年金を出す。しかし年金を出すことで足らない部分は働いてやはり生活の保障をしていく、こういうことをしなければ、今は子供に頼るとかそういうふうなことは、およそ今の経済生活、収入の現状から考えてあり得ないことなんですね。一生で一番エネルギーのあるときの職場を追われて、そうしてまた働いて、年金の掛金をかけておる間は厚生年金をもらえぬということになる。こういうことは、そういう制度自体、そういうシステム自体を是正すべきである、こう思いますけれども、これはいかがですか。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 まず第一に、御存じのように厚生年金保険は保険でございまして、保険事故というものがなければいかぬわけでございます。御存じのように、保険事故としましては死亡する、これは働けなくなるわけでございますから。それから現に就労しない、退職という事実、それから廃疾という事実、この三つの事項を保険事故として置いておるわけでございます。今お話のような退職ということを保険事故と見るか見ないかということは一つの根本問題になるわけでございますが、厚生年金ではこの三つを保険事故の対象とするわけでございます。そのうち重要なことは退職、働けないという保険事故でありまして、これが厚生年金の本来の姿でございます。しかし、それが実情に合わぬから何か考える必要があるのではないかという御議論でございますが、これはそれの調整の問題になって参ると思います。それで、実情を申し上げますと、厚生年金におきましては六十才から支給することになっておりますので——これは二十九年の改正におきまして、当時は五十五才が資格年令でございましたが、それを改正して六十才に引き上げたのでございますが、これを一年に一挙に五十五才から六十才に上げますといろいろ問題があろうというので、二十九年から四十九年の二十カ年の間に五十五才から六十才に引き上げる、こういう算定措置を講じてございます。従いまして四年間に一年ずつ延びていくわけでございます。で、現在におきましては五十六才になるともらえる、こういう形になっております。従いまして、今現実の問題としましては、五十五才ということを頭に置きますと、現実にもらいますのは五十六才でもらえるということになっておりまして、現実の問題としてはそう支障がないという考えがあるわけでございます。これが実情でございます。  それから将来の制度の問題としまして、六十才以上になって働く、それが相当の金をもらっておるなら別でございますが、老人になりましてまだ丈夫だから小づかい銭かせぎに働いておる、その場合にも厚生年金がもらえぬという事情があると思います。その際の措置につきましては、これは今後の問題でございますが、何才を基準とするか、六十才か六十五才になるかわかりませんが、一種の任意脱退と申しますか、厚生年金の強制適用を受ける者がおりましても、一定年令、六十才から六十五才になっておった場合には、しかもその得ておる報酬がそう多くないという場合には、任意脱退制度というものを設けまして、保険料はもう納めなくともよろしい、給付もいたしますということも考えられるのではないか、こういうことを一つの問題として頭に置いております。これは将来そういうことも考える必要が起こって参ると思いますが、現状としましては五十六才からもらえるということになっておりますので、そう支障はないだろうという考え方でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 五十六才からもらえる、それはもらえるでしょうけれども、しかしもらえる金額が少ないから他の方にもう一回就職しまして、そうしてここでまた厚生年金をかけておると、これはいろいろな問題があるだろうと思う。厚生年金をかけておると老齢年金はもらえぬでしょう、その問題が依然としてあるわけです。たとえば公務員共済年金、共済組合の長期給付でも、こんなの社会保障といわれるかどうか知らぬが、これは一つの保険システムでしょう。そうして退職ということを条件に、退職いたしてそうして年限に達しておる者は年金をもらう、恩給をもらうわけです。そして、その人が民間の職場に行きました場合には、やはり給料と年金の両方をもらうでしょう。だから退職ということを——本人の意思はもちろん加わるけれども、またいろいろ通算の問題とも関係があるだろうが、退職ということを保険事故と見られないということは私はないと思う。退職ということを保険事故と見るか見ないかという話があったけれども、公務員の場合だったらちゃんと見ておるじゃないですか。その点の均衡はどうですか。理屈の上からいったってそうでしょう。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 それでは理屈としてこれを申し上げて恐縮でございますが、これは国家公務員共済というのと厚生年金というのは制度が違うわけでございます。それで国家公務員共済の方でもらえるのだということと、それから全然別のシステムへ、厚生年金へ入ってやるということとは、これは通算の問題があるかもしれませんが、現在におきましては制度としては別なわけです。従いまして国家公務員共済の給付を受けて、また厚生年金の対象に入っておれば、そこで厚生年金の保険料を納めてやっていく、こういうことでございます。  それから私が申しましたのは、そういう制度が変わった場合は何も問題がないわけでありますが同じ厚生年金保険の適用を受ける事業場に動く場合、同じ制度の適用を受けられるわけでありますから、それは厚生年金から他の国家公務員共済に移った場合とは違うということでございます。違う制度に移った場合は別問題でございますが、同じ制度の中においては、こういう前提でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 だから、あなたは保険制度として厚生年金はあるんだから、保険年金制度の中において退職という事態を保険事故と見るかどうかの問題は問題があるような表現だ。すぱっと割り切れば問題はないわけだけれども、それはしかしおかしいじゃないかという点は、先ほど言ったように公務員の場合は、共済組合年金の場合において、退職という時点においてきちっと年金をもらうわけです。どこへ就職しても、たとえば国家公務員が自衛隊に就職した場合だってそうです。局長さんが民間の会社や公団、公社の理事長なんかになるとやはり三十万円月給をもらっている。それは二十五、六万円とか三十万円もらってもやはり恩給はもらうわけだ。共済年金ももらうわけだ。公務員の共済組合年金を下げるということは言ってない。言ってないけれども、こちらの厚生年金を均衡上被用者年金としてやはり漸次整備をして、たとえば私学の共済組合制度なんかはいい制度です。そういう制度もあるわけですけれども、漸次引き上げていって、引き上げることによって年金制度、所得保障制度を合理的に一元化することと、通算制度等をやはり合理的に整備していくことが、国の所得保障として雇用政策、最低生活保障の観点からいっても必要ではないのか。これは大臣に答弁を要求することになるけれども、それはあとにいたしまして、私はそういう観点からも老齢年金の適用の給付開始年令というものと条件というものをこの際現行法について再検討すべきではないか、こういう点を申し上げておるのであります。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 私は先ほど国家公務員共済とそれから厚生年金は制度として違うという前提で申し上げておるわけであります。厚生年金の被保険者が職場をかわることがございます。それはある会社からある会社へいくということは、ある最初の会社を退職して同じく厚生年金の適用を受けます会社へいく場合は、厚生年金の方としましては依然として厚生年金保険の被保険者という立場が残っておるわけでございます。退職という言葉はあまり適当でないかと思うのでございますが、ともかく厚生年金の被保険者という立場が、職場を転々とかわろうが、残っておるわけでございます。従って受給資格が発生しないわけであります。その点おかしいじゃないか、何か考えたらいいじゃないか、年が寄って小づかいももらえない、しかも厚生年金をもらえないのはおかしいじゃないか、こういう先生の御質問だと思うのであります。その点は先ほど実情を申し上げましたが、これは依然として被保険者の資格を失なわないが、退職後新しく就職したところの俸給は非常に安い。安いと申しますか、小づかい銭ぐらいにはなるかもしれません。そういうようなことも頭に入れますと、一定年令に達した場合においては、被保険者という資格があっても給付を認める。言葉は適当でないかもしれませんが、一定条件の者については任意脱退と申しますか、本来は強制適用を受けまして任意脱退はできませんが、そういう制度も考える必要があるのではないだろうかという考えも持っているということであります。これは今後一つ検討いたしたいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 今の点は、六十才とか五十五才とか五十というふうに一定の年令に達して、それから掛金をかけた年限が二十年なら三十年、十五年なら十五年の条件に達しましたら、そういう人たらはいわゆる老齢年金、がもらえる、本人の意思によって実質的にそういう制度にしていく、任意かどうかという問題もあるだろうと思いますが、そういう制度をぜひとも講ずべきであると思います。これはあとで厚生大臣にも御質問いたしますけれども、私の質問の趣旨がわかりましたら、あなたの方でもう一回検討してもらいたいと思います。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 先ほどお答えいたしました通り、一定の条件を検討いたしまして、任意脱退というような制度も考える必要があるのではないかという  ことで検討を進めたいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 それから給付の開始年令については、現行法は六十才だが、過渡的なそういう措置をとっているということですね。これはあまり厚生年金について関心のないときに政府が改正をされたものだからそういうことになったわけです。みな知らぬうちにさっと通してしまった。これは食い逃げみたいなものだ。そうでしょう。あまりもらってないし関心がないものだから、このうちにやってしまえというのでさっとやってしまった。あまり抵抗がなかったというのですが、これは後退でしたね。社会保障制度を前進させようと言っているのに後退ですね。給付の開始年令は一元化する意味においても、やはり六十才を五十五才にすべきではないですか。公務員は五十五才でしょう。皆さん方は五十五才でもらえる、一般の者は不安定だけれども六十才からもらう。そういうふうに改正するというなら、これは官尊民卑じゃないですか。差別扱いじゃないですか。いかがですか。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 御指摘のように、国家公務員共済におきましては五十五才までは支給停止ということになっておりまして、五十五才から支給になるわけです。これらにつきましては、やはりいろいろ制度としての沿革も考えなければなるまいと思います。そういう利益を受けておる人の既得権と申しますか、そういうものをよくするのならよろしいのですが、悪くするということになるとやはり問題がございます。それはそれとして考えなければならぬ。  それから厚生年金の方ですが、これもいろいろ問題があったと思います。最近の老齢化の現象と申しますか、だんだん長生きをいたしまして働くということが非常な影響があるわけでありまして、保険でございますから、収入と支出のバランスが合わないと計算ができません。そういう点からいたしますと五十五才で開始をいたしますと、六十才でやります場合の大体二倍くらい支給金額が違うわけであります、もらう年令を引き下げますと給付額が倍くらい必要になる、そういう財政上の問題も大いに考えなければならぬと思います。それから外国の実情を申し上げるのもどうかと思いますが、やはり六十才、六十五才というのが普通でございまして、たとえばイギリスでありますと、男で言いますと六十五才、フランスが六十才、西ドイツが六十五才、それからスエーデンが六十七才、アメリカが六十五才というふうに、ちょっと見ましても日本が一番支給開始年令が早いわけでございます。そういうような事情もございまして、これらはやはり保険財政の問題——早く支給するにはたくさん金が要るわけでございます。まあそれとの見合いの問題もございますし、それから今後どれだけ働くか、働ける能力があるにもかかわらず退職老齢年金を出すというのも変なことでございます。そういう就労の実情というものもよく見きわめなければなりません。従って、簡単に支給年令を下げるということだけで考えてはいかぬのでございまして、また別の見方もいろいろしていかなくてはならぬかと思います。それらの点も含めまして今後いろいろ検討いたしたいというふうに考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 それはやはり完全雇用ができているかどうかの問題もあるし、あるいは生活程度が高くて、あるいは安定度が高ければ、社会保障が充実しておれば長生きをするという問題もあるし、いろいろな社会的な条件によってきまるわけです。だから、皆さん方公務員のやつは下げる必要はないのだ、これは保持しておけばいいわけだ、これは下げろと言っているわけではないのだが、あまり民間だからといって、特に重労働、肉体労働なんかしている者を、五十五才になっているのを六十才にする必要はないでしょう。それはひど過ぎはせぬか、むちゃくちゃではないかと、こう言うのです。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 これは今回下げるわけではございませんので、昭和二十九年からこういうことになったわけでございます。昭和二十九年におきまして、支給開始年令は幾らにしたらいいかということがいろいろ議論されまして、最近の就労状況は、老齢者もやっておる、五十五才ではまだ早過ぎる、六十才までは働ける、そういうような就労の実態を頭に置き、あるいは諸外国の例も頭に置きます。それから保険料と給付というのはこれは見合うものでありますから、早くもらうのがいいというわけにも参りませんので、保険数理の上の計算からも、これでいけば勘定が合うというようないろいろな点を勘案して一応きまったものでありまして、何も今回そういうことをやろうというわけではございませんので、そういう事情を勘案して当時おきめになったものである、こういうことでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 それは理屈にならぬということを言っておるわけです。むしろ公務員なんか、皆さん方は六十まで延ばせばいい。六十までというのは、定年制を六十までにすればいいわけですよ。それで、エキスパートがどんどんそういうところに安定すればいいわけです。定年制との関係もあるわけですよ。そうすると、民間の方から言わせると、民間労働者の被用者の方から言わせると、公務員の力は五十五才でもらうようにしておいて、そうして恩給をもらいながら民間に来てたくさん俸給をもらって、そして両方もろうている、そういう意見が出るでしょう。皆さん方なんかだって、やはり局長でも何でも五十や五十五でやめていくなんていうのは、これは働き盛りにやめることになる。年令はだんだんと何しているんだから、六十才くらい——肉体労働をしている人はそれは違うわけだ。若いときに早く定年にしておけばいいが、しかし役人なんかというのは、極端に言えばそういうことにしてもいいんだ。これは給付年令を上げるとか下げるという議論をしているわけではないが、これはやはりおかしい。だれが見ても民主的政治ではない。実情に沿うどころか逆ですよ。肉体労働なんかというのは六十なんかになったらできない。完全雇用の場合には適材適所ということがあるでしょう。まあこの問題はあとに保留しておきます。  それから厚生年金の適用範囲を五人未満の事業所にも強制適用すべきじゃないか、これについてはいかがですか。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 厚生年金の適用を五人未満の事業所にもやれという御意見は、前からあるわけでございます。そのつど事情を御説明して参っておりますが、これは繰り返しになりまして恐縮でございますが、一挙に踏み切れないという事情もありますので、もう一度申し上げたいと思います。まず五人未満のような小さい事業所の就労の実態あるいは賃金状況を調べてみますと、第一に勤続期間というものが、厚生年金は長期保険でございまして、相当長く勤めるということが前提でございます。五人未満におきましてはそういう実態がないようでございまして、きわめて短期間でやめていくような実態でございます。こういう点は、厚生年金になじまないと言えると思います。それから、賃金でありますとか雇用の形態でございますが、これが必ずしも明瞭でございません。賃金なんかにいたしましても、相当安いようでございます。これは別の意味の問題があろうと思いますが、そういうところに事業主負担等をかけますと、企業自体としてもえらいというような実情もありまして、非常に困難な点があるようでございます。それから、賃金の実態でありますとか雇用の実態を把握するということも非常に困難でございまして、長期保険でございますから、いつどこで何ぼもらっておったということをすべて、長期にわたりまして明確に記録をしておかなければならぬ。こういうほんとうに事務的な面で、とてもうまくやっていけるかどうかという見通しを持っておらぬわけでございます。気持といたしましては、何とかこれは考える必要があろうと思いますけれども、なかなか困難な点がございますので、直ちに踏み切ることは困難でございます。また同時に、一方、御存じのように、そういう方に対しましては国民年金という制度もありまして、こういう制度が全然ないわけでございません。不完全ではございますけれども、そういう制度もできておりますので、これはなお今後の検討問題といたしたいと思いますが、ただいまのところは、非常に困難なように思われます。

大原亨日本社会党

○大原委員 私は、被用者年金の制度は、労使関係があって、使用者がおって、経営者が社会的な責任を持っている場合には、やはり同じように機会は均等に、厚生年金、社会保険のそういう機会を与える、こういうことが社会保障制度だと思うので、この問題については、あなたの御答弁は事務的な面がいろいろあったようですけれども、事務的な面も、社会保険は、全面的に適用していけば、それだけ事務が簡素化するということもあるわけで、だから了承できませんが、この問題は保留しておきまして、もう一つ積立金の問題が残っておって、これは厚生大臣並びに大蔵省の岩尾主計官等に要望なり御質問なりしたいと思っておるのですが、これはあとで大臣が見えてからにいたします。  それで問題は、坑内夫については、一般の厚生年金よりも、給付開始年令が五十五才になっておって、五十才であったものが、やっぱりこれも改悪いたしたわけでございます。五十才が五十五才になったわけですが、五才の開きがあるわけであります。それで、勤続期間は十五年ということになっておるわけであります。最近、御承知のように、石炭の問題等が非常に社会問題になったわけであります。実際にあの坑内で、とにかくああいう労働条件や給与の条件の中で働いていることを思うと、四十以上まで働くと、もうとてもじゃないが働く能力はなくなる。転職する意欲も職業訓練を受ける意欲もなくなる。こういうようなことを、きのうもラジオの現地録音放送で、福永労働大臣に現地の人が実際の重労働の状態を訴えておりましたけれども、とにかく坑内夫については、炭鉱だけでなく、メタル産業——全体ということになると思うのですが、とにかく坑内夫についてはそういうあるいは肉体労働、あるいはその他の労働の質によって条件を変えるというふうなことが、外国にも例があると思うのです。五十才というのが、大体国際的な、西ドイツその他の給付開始年令の標準じゃないかと思う。外国のそういう実例をも考えながら、この際坑内肉体労働者について、開始年令について下げる必要があるのではないか。給付全般の問題については今まで質問いたしましたから、これに準じてお考えいただくといたしまして、給付の引き上げと開始年令の引き下げ、こういうことが問題となるのではないか、こういう点に対する見解を伺いたい。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 坑内夫の支給開始年令を若くしたらどうかという御質問でございます。  最初に外国の例はどうだというお話でございましたが、一応調べましたところによりますと、西ドイツにおきましては、一般の人は六十五才でございますが、坑内夫は六十才、それからフランスは、一般労働者は六十才または六十五才でありますが、坑内夫におきましては五十五才ということであります。日本人は早く老いるのかもしれませんが、外国の方が年がいっても働くという建前のようでございまして、坑内夫につきましても一般と同様に、日本よりも支給開始年令が上であるという実情でございます。それから日本につきましては、先ほど申し上げましたように、昭和二十九年の改正で五十才から五十五才になりましたけれども、本年度におきましては、経過規定によりまして五十一才になると支給されるという実情でございます。従って現実には五十一才からもらえるということになりますので、外国の例を見ましたり、日本の実情からいいまして、五十一才をさらに引き下げるというのも相当問題があろうと考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 公務員の比較論なんか、同じような趣旨ですからいたしませんけれども、やはり坑内の賃金は、いろいろ調べてみますとほとんど出来高払いです。だから二十才台、三十才前後が一番収入が多くて、だんだんと下がっていくということにもなっておりますし、やはり今の問題は日本におけるエネルギー産業の社会的な問題となっておる点からも、前も五十才というふうになっておったわけですから、やはり一つの時限立法としてもけっこうですけれども、そういう点を考えていただくように要望しておきます。これは要望であります。  これは、問題はあとで議論いたしますが、それから社会保障全般の問題——厚生省、労働省にまたがっている問題でありますけれども、失業保険の問題です。特にこの際、厚生年金の問題を議論しておることに関連して、そういう所得保障の問題、雇用の問題に関連をいたしまして石炭の問題、坑内夫の問題が非常に大きな社会問題になっておるわけです。厚生年金でもその他の問題でも、外国ではそういう重労働で、坑内作業というふうな問題については、特例を設けておる立法例はたくさんあると思う、日本でも設けておるのですから。それを現在のそういう日本における社会問題に適合して、貸金その他の問題は政府でいろいろ検討中で、議論になっておるけれども、そういう失業保険の問題について、やはり給付期間を、最高九カ月というのを延ばして、そうして再就職するまで、つまり働いている間は、元気で働いていて、自分がそういう社会的な一つの役割を果たしていると自覚をして働いておる間は、完全雇用でやっていって、それをやめると——首になった場合あるいは失業した場合、自分に就職の意思がある場合には失業保険、そして一定の年令に達しますと、これは年金で所得を保障していく、こういう三つの関係——労働の問題と失業保険の問題と年金保障の問題、この三つはうまくかみ合わないと、すべてが中途半端な悪循環を来たすと思うのです。中途半端な政策になってくると思うのです。いろいろな訓練所の期間中は失業保険を延長するとか、あるいは日雇いの賃金を出すとかというようないろいろな特例、条件は設けてありますけれども、私は根本は、坑内夫の問題に関連いたしまして、坑内夫の厚生年金に直結する形において、失業保険でその穴を埋めるような特例措置を——きょうは一般論でなしに、坑内夫の問題に限って言いますけれども、石炭産業が問題となっている現在の状況から、そういう特例を設けるべきではないか。これは厚生大臣と労働大臣が両方出席されて、全般的に両相において意思統一をして御答弁をいただくところで、あなたに御答弁願ってもなかなかむずかしい点かもしれませんが、自民党の諸君もまじめに聞いておられますから、このことが反映することを確信いたしておりますが、そういうことは検討いたしておりませんかどうですか。

鈴木健二労働事務官(職業安定局失業保険課長)

○鈴木説明員 失業保険の給付期間でございますが、原則として十年をこえた者は九カ月、こういうことになっておるわけでございますけれども、今先生からお話がございました石炭産業等につきましては、先般の法律改正に基づきまして延長措置を講じてきておるわけでございます。現在飯塚、直方、田川、香椎、唐津、武雄、それから大牟田、荒尾、こういう地域については、全部石炭産業に関連のある地域で、地域指定をいたしまして、二カ月延長で、九カ月のものは十一カ月になる、こういう格好になっておりまして、実質的には石炭産業については、失業保険といたしまして特別の措置を講じておるわけでございます。全般的に給付期間の問題は、先生御指摘の通り失業保険といたしまして問題点でございます。これは先ほど厚生省の保険局長がおっしゃいましたように、失業保険の給付率なり給付期間の問題につきましては、現在社会保障制度審議会として根本的に御調査願っておるわけでございますので、その御意見を聞いた上で十分検討いたしたい、こういうふうに考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 あの社会保障制度審議会に労働大臣の方から、そういうメタル産業の坑内夫についての失業保険の給付期間を延長する、こういう問題について諮問をいたしておりますか。

鈴木健二労働事務官(職業安定局失業保険課長)

○鈴木説明員 労働大臣から、特にメタル産業の労働者について特例措置を講じたい云々というような諮問はいたしておりません。社会保障全般の立場から失業保険がいかにあるべきか、という格好で、これは内閣総理大臣から御諮問なされておるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 失業保険財政は、岩尾主計官もおられるけれども、長期給付と短期給付に分けてみると、健康保険と失業保険は短期給付だ。失業保険の中には一千億以上の黒字があるでしょう。

鈴木健二労働事務官(職業安定局失業保険課長)

○鈴木説明員 現在失業保険の積み立てば、三十五年度末で九百四十億、来年度になれば一千億に及ぶ、こういうふうな積立金があります。

大原亨日本社会党

○大原委員 昨年も大問題になったわけですけれども、失業保険の国庫負担というのは、三分の一を四分の一に下げたわけです。それでも一千億以上の、これは厚生年金が五千億円も積立金があるのとまた違った意味において、短期給付においてそういうのがあるわけです。だから現在の黒字が一千億円という問題を含めて、失業保険の特に社会的に必要な問題についての徹底した思い切った施策をとるような特例措置ということはあり得るのですから、労働の質と産業の実態、社会問題の実態においてあり得るのですから、そのことは厚生年金において認めているのですから、そういうことをとることを私はあなたの方に特に要望しておきたい。これは労働大臣か労働政務次官に出席願って、責任を持って政治的にやってもらおうと思ったのだけれども、私はこのことを強く要望しておきます。あなた、わかりましたか。答弁して下さい。

鈴木健二労働事務官(職業安定局失業保険課長)

○鈴木説明員 先生御指摘の御趣旨のことは十分わかっております。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 この際、午後一時三十分まで休憩をいたします。    午後零時二分休憩      ————◇—————    午後二時十四分開議

中野四郎自由民主党

○中野委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続けます。吉村吉雄君。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 私は今回提案されておりますところの、年金の通算通則法の問題について、一、二、今該当者間で起こっている問題等について見解を聞かしてもらいたいと思うものです。  国民年金制度が発足をしてから、国民皆年金という状態になってきたわけですけれども、しかし御承知のように、日本の年金制度というのはそれぞれの沿革等から考えてみまして、非常にそれぞれ中身に相違がある。こういう点が大へん論議の焦点になっていると思います。これらを統一的にしていくということについては、将来の問題として厚生省等も再三言明をされておるわけでありますけれども、同時に今回のそれぞれの年金制度というものについて、受給資格を得られないような人、これを通算をして、全体が所得保障が得られるようにしよう。こういうねらいで通算通則法が制定をされるという運びになったわけでありますけれども、そのねらいは非常に正しいと思うわけでありますが、同時にそのねらいを貫徹をしていく、目的を達成していくためには、できるだけAの年金制度で二十年いた者と、Aで十年、Bに五年、そしてCに五年という工合になった者との間にも年金の差というものがないようにしなければ、当初のねらいというものは半減されてしまうのじゃないか、こういうふうに考えられるわけです。もちろんこれは先ほど申し上げましたように、それぞれの年金制度の発足の状況等から見て、一度にというわけにはいかないと思うわけでありますけれども、少なくともできるだけその差というものがなくなっていくということでなくてはいけないのじゃないかというふうに考えるわけですが、今回提案されている通則法等によりますと、そういう点についてなお多くの問題を残しておる。これでは所期の目的を達することは非常に困難ではないかというふうに考えられるわけでありますけれども、所得保障制度としてのこの問題から考えてみまして、今申し上げましたような多くの欠陥、これらについてどう考え、それから将来どのように対処していこうとするのか、まず大臣の見解をお伺いしておきたいと思うわけです。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 お尋ねにもございましたように、現在の年金制度がその成立の時期を異にし、いろいろ分かれておりますので、通算関係等を規定いたします場合、かなり困難を感ずるわけでございます。年金制度全体といたしましては、政府といたしましても今後この総合調整というようなことをはかって参らなければならないと考えて、せっかく検討いたしておるところでございます。とりあえずのところは、今回御提案申し上げましたような案で進むほかはないというので、御提案をいたしたようなわけでございますが、今後の問題として、やはり検討を続けて参らなければならぬということは、申すまでもないことだと思う次第でございます。相当時間を要する問題ではないかと思います。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 将来それらの内容をできるだけ足並みをそろえるようにやっていくというお話でありますが、その点は一つできるだけ早急に総合的な検討をなされて、一刻も早くやってもらうようにしたいと思うわけですが、そこで特に通算通則法が制定されようとすることについては、今まで、たとえば一つの公的年金の適用を受けておっても受給資格がない、こういうような方方が他に職場を変えた場合に、通算をされるという意味合いでは、非常に大きな前進を示しているというふうに私は考えておるわけです。しかし中には相当幾つかの問題もあることは、大臣その他関係者も御承知かと思うわけですけれども、この中で特に今秋が御指摘を申し上げたいと思いますのは、たとえば公共企業体の共済組合法の適用を受ける、こういう方々の場合に、これは二十年で受けられることになるわけですが、しかし十九年以下の者については、今までは年金制度というものは全然ない、こういうことですけれども、この十九年以下しか勤めることができなかった、組合期間が十九年以下、こういう方であって、そして年令が五十五才になろうとするような人、こういう人が非常に問題になるのじゃないかという気がします。なぜならば、御承知のように、ここ三、四年来——これからも二、三年そうだと思いますけれども、やめていこうという人の中には、戦争中に強制的に職場を転換をされて、そして各公務員なり、あるいは公共企業体の職員になっている人が多いのですけれども、これらの方々は、現在定年制というものは制度としてはないわけですけれども、現実には五十五才でやめていかなければならない、こういう問題がたくさんあるわけです。すると、五十五才以上でなくては年金の適用はございませんから、従って、今回五十五才でやめても、満十九年以下だ、二十年にならないというような人が、通算年金制度で通産をされることになりましても、国民年金の場合には六十五才、あるいはこれが減額制がとられても、六十才にならなければ実際に年金は支給されないということになるわけです。これは先ほど大原委員の方からも再三指摘があったようでありまするけれども、そうしますとこの五年間というものは何らの所得保障がないままに放置されることに相なるわけでございます。これでは、国民皆年金という建前からしましても特に問題があるというふうに考えられるわけですけれども、こういう点については一体どうお考えになっているか、お伺いしておきたいと思います。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 やや数字的なことでございますので私から申し上げたいと思います。  先ほどのお話にもありましたように、問題は、一般に定年といわれている五十五才というものと、それから被用者の年金制度の支給開始年令との間に五年の間隔がある、こういうことをどう考えるかという問題だろうと思います。この問題についてはいろいろな考え方があるわけでありますけれども、年金制度の方から特殊な工夫をして、職場を離れたらそれをカバーするようにという方法も一つの方法であろうかと思います。またもう一つの方法としては、元来五十五才の定年というものがそれほどはっきりした根拠に基づいたものでなく、一種の社会的な慣習として自然にでき上がっているというような事情から考えると、この方を延ばしていくという道もあり得るわけであります。これはいずれにしても将来のいろいろな情勢を見きわめながら、なるべくその間を狭めていくという努力は必要であろうと思います。  ただ、大体諸外国の例を見ましても、被用者の間にある程度の開きがあるというのが実際のようでありまして、言いかえれば、そこに若干の間隔があっても、その間はまたいろんな方法で補われる道が自然にできている、こういうことであろうと思います。いずれにしても、その問題はその問題として考えていくべき問題になると思います。  それで本来の制度に、先生のお考えからいえばそういうふうな一つのギャップがあるわけでありますけれども、このギャップが通算の仕組みの上に出てくるということは、ある意味においてやむを得ないことでもあるし、また当然なことにもなるわけであります。通算制度によって本来の制度の守っておった以上のことをやろうということは今のところ無理なわけでありまして、通算の制度としては、せいぜい一つの制度でやっておったのと同じくらいのところまでは持っていこうということでやっているわけでありますので、ただいまのような仕組み、つまり被用者同士の間であるならば、それをつなげることによって二十年をこえるならば、厚生年金の六十才から支給を開始していく、ただしそのつながる制度が、たとえば公共企業体と国家公務員との両方の期間をつなげてこれが二十年以上になるという場合であれば、六十才でなくても五十五才から支給が開始される。また国民年金とつながることによってやっと資格期間が満たされるというのであれば、これは国民年金の六十五才から支給が始まっていく。これは本来国民年金でずっと過ごして二十五年以上になった人でも六十五から始まるわけでありますから、これは今のところそれでしんぼうしていくより仕方がない、こういう考え方をとっているわけであります。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 ただいまのお話だと、六十才から所得保障をするというような考え方についても、所得保障の年令というものをいつに引くかというようなことについても、いろいろ考え方がある。同時に幾つまで職場にあるべきかという定年制の問題、そういう二つの角度から検討されなければならないというようなお話でありましたけれども、しかし所得保障制度をしいていこうとする立場に立つ政府と、それから労働年令というものをどのくらいにするのが妥当であるかということについての考え方というものは、政府としては、一定の方針というものがなければならないと思う。それは二つの考え方がある、その考え方がまとまっていないために現在そういうギャップがあるのだというだけでは、現実の問題は解決されないという気がする。現実には、先ほども申し上げましたように、定年制というものは五十五才ときまったものではないけれども、しかしほとんど各官庁等においては五十五才でやめていかなければならない、こういう事例が多いわけですから、そういう点から見ましても、では政府としては、大体労働の年令としてはどのくらいのことを考えているか、こういう方針を示して、その方針に基づいて定年制なら定年制というものの法制化の措置をするならする、それ以降は所得保障で社会保障の考え方でやっていく、こういうことでなくては、どうも二つの考え方があるということだけでは、問題はやはり解決しないと思う。ですから、今の点については、大臣としては、将来どういうふうにしようとしていくのか、これを一つ明確にしてもらいたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 なかなか現状におきましては筋を引くことの困難があるのではないかと思います。労働の制度にいたしましても、また社会保障の制度にいたしましても、将来だんだんと国民生活の向上につれて、あるいは産業の発展につれて変化もあることと考えられますが、現状においては、まだどの辺が一体定年として適当なのかということに対する統一した見解というものは出ておらないのではないかと考えます。また仕事の種類によりましても、一がいに何才ということにきめるわけにも参らぬものがあろうかと思います。いずれにいたしましても、将来の問題として、ことに老齢年金というふうな問題とは関連の深い問題でございますから、われわれといたしましても、この問題についてはさらに検討していきたいと思います。今確たる方針として私申し上げるだけのものは持っておらないことを御了承願いたいと思います。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 非常にむずかしい問題であることは、その通りだと思うのですが、その確たる方針がないという間に、先ほど指摘をしましたような問題が存在するわけです。だからその間一体政府としてはどうするか、こういう対応策だけはやはり明確にしなければならないと思う。特に私が先ほど申し上げましたように、通常の方々は、被用者年金制度のもとで、大体受給資格がつくまで働いておるわけです。これらの方々はそう問題はない。あっても比較的少ない。ところが戦時中に、いろいろ軍の要請なり何なりで仕事を転換して、そうして今の職場にある方が五十五才になった、しかし満二十年にはならない、こういう方が遺憾ながら強制的にやめさせられるという事例が多いわけです。その方々は、年令が年令でございますから、他の被用者年金制度のもとの職場ということは、正式にいってなかなか困難です。現在の制度のもとでは国民年金の方に加入せざるを得ない。こうなって参りますと、約十年間というものは、全然所得の保障がないままに放置されるということになるわけですから、これでは非常に問題が多いと思うのです。国民年金制度の中で減額制をとったとしても、六十才からになるわけですから、最短の距離でも五年間は何らの所得保障のないままに職場を追われていく、こういう状態ですから、先ほどの年金局長の答弁のように、それは六十まで働いてもらえばいいという一つの解決の仕方があるかもしれませんが、現実にはそうじゃない、こういうことになりますから、そうなると、所得保障という立場からこういう気の毒な方々についての措置をとっていくというのが、厚生省としては当然の道筋じゃないか、このように考えられるわけです。その点についてはどうですか。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 先ほどお答え申しましたように、なかなか容易に結論の出る問題ではないと私は思うのであります。外国がどうなっているか、詳しいことは存じませんけれども、諸外国でもあるいはそういうふうなギャップが制度上は出てくるのじゃなかろうかというふうにも考えられるわけであります。外国の年金受給資格といいますか、その年令等から考えますと、そう低い年令ではないように思うのであります。そういう点は、おそらく各国共通の現象じゃなかろうかとも思うのでございます。放置してよい問題かどうかということになれば、もちろん所得保障という見地からいたしますれば、いろいろ工夫しなければならぬ点もあろうかと存じますけれども、かりに比較的低い年令で退職したとか、定年がきたというふうな人たちにいたしましても、それが直ちに失業を意味するかどうかということになれば、必ずしもそうもいかないだろう、その辺でなんとかかんとかやっておるのが現状じゃなかろうかと私は思うのですが、これは一つ十分研究さしていただきたいと思います。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 現状は、その通りなんだということのようですが、十分研究してもらうことはいいのですけれども、ただそれだけではどうも解決策にならないので、たとえば年金制度のそれぞれ内容が違うというようなものを統一していく方向については、一番内容の高いもの、レベルのいいところに合わせていく、こういう考え方に立った方がいいというふうに私は思うのです。今退職年金制度などで一番年令の若いのは五十五才からということになりますから、もちろん職種によってはそれよりも少ないのがあるわけですから、そこに合わせていくことが妥当かどうかは将来に問題が残ってくると思う。しかしどこかに合わせていかなければならない。その合わせるまでの過程として、どうしても五十五でやめなければならないという現実の姿、それを政府がそうでないようにしていくということであれば、話は別ですが、そうではなくて、やむを得ずやらざるを得ない、こういう方々が五年間あるいは十年間全然何らの所得の保障のないままに放置されるということは、これでは厚生省として現状やむを得ないということだけでは済まない。ですから一つの方法としては、被用者年金の退職年金の支給開始であるところの五十五才から減額年金というようなことで支給をする、こういう方法をとれば、ある程度現在の困難な問題というものは解決できるのではないか、このようにも考えられるわけです。それはやろうとしてでき得ないことでもないような気がします。もちろんそうなって参りますと、厚生省の所管というよりも、それぞれの制度を運営するところに問題があるのですが、全体の通算年金を運営していくのは厚生省ですから、そういう点から各関係の方面に十分働きかけて、先ほど申し上げましたようなブランクというものがないようにしていく、そういうふうにしなければ、非常に気の毒な人たちであるだけに、問題があるので、今申し上げましたような五十五才から減額年金制ということについては、大臣としても当面経過措置としてとっていくという方向についてはどのように考えておりますか。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 十分検討すべき問題と考えますが、これは一つ専門の事務当局の考えもあろうと思いますから、その方もお聞きを願いたいと思います。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 先生のおっしゃっているのは、主として厚生年金のことをおそらく頭に置いて言っておられるのだろうと思います。厚生年金の問題については、午前中保険局長から大原先生の御質問にいろいろお答えしましたように、一つは六十を過ぎて勤めているという場合にも厚生年金が実質的に受けられるようにするかどうか、それに対しては、先ほど申し上げましたように、あるいは任意脱退という制度を将来の改正の機会に考えていくということを申し上げたと思います。先生のおっしゃったのは、今度は逆の問題になるわけでありまして、おそらくこれは方向としては、将来厚生年金も国民年金やあるいは公共企業体の退職年金と同じように、ある程度繰り上げ減額年金という制度を取り入れることが当然考えられていくことになると思います。そうなれば、先生がおっしゃったような問題がある程度解決がつく。なお先生は、おっしゃっている間にお気づきになっていないかとも思うのですが、たとえば五十五まで公共企業体の年金制度におったという人が二十年過ごしておれば、問題がないのですが、それが二十年にならぬという場合には、今度はどこかほかの方に所属して、その両方の期間を足したのが二十年以上になれば、年金がもらえる、こういうことになりますから、ほかの機関で何年か過ごしている間に自然六十近く、あるいは六十をこえる年令までいってしまうわけであります。従って通算によって年金が受けられるという場合は、先生がお考えになるよりも六十以前にもらわなければならぬという人は少ないので、やはり六十を過ぎて通算の年金がもらえるようになるという資格が満たされる人が多い、こういうことになると思われますので、実際の問題は、結果的にはほぼ同じようなことになると思います。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 今の年金局長の話でいきますと、私の考えでは、たとえば公共企業体の共済組合にいたのが満二十年にならないで、十九年だ、しかし年令は五十五才になっているというものについては、当然に国民年金なり何なりに加入をして、それで二十五年の期間を満たさなければ、あるいは六十五才にならなければ、支給は開始されないわけでしょう。そのことについてはその通りでしょう。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 おそらく先生がお考えになっている通りでいいと思いますが、私が念のために申し上げますと、つまり条件が二つ要るわけであります。公共企業体の年金一におった期間と、厚生年金なら厚生年金の方に属した期間とを合わせて二十年以上になっているか、あるいは厚生年金でなくて相手が国民年金であれば、合わせて二十五年以上になっているか、この条件が一つあるわけであります。それからもう一つは、六十からもらい始めるかあるいは六十五からもらい始めるか、こういうことになるわけであります。先生は主としてあとの点を問題にして御議論になっておりましたので、私前段の二十年ないし二十五年というものは、当然のことというつもりで申し上げておったわけですが、問題としては一応別になるわけであります。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 従って、先ほど申し上げましたように、五年間のブランクというのは、当然にして起こるということでしょう、五年間の年金が受けられないという期間は。最短距離で行っても六十からでなければだめなんですから、五年間はどうしても年金の支給が受けられない、こういう事態か起こる点が私としては問題じゃないか、こういうふうに申し上げておるわけであります。その点についてなかなか現在の制度のもとではやむを得ないというようなお話なんですけれども、しかし、それを減額制をして、そして五十五才からでも支給できる、こういうような措置をとっていけば、そのブランクというものがなくして、少し減額はされますから問題はあると思いますけれども、一応所得については保障される、こういうことになっていくと考えられるわけです。だから、そういうような方向を当面とっていくということが、あといつから各年金を一本にしていくという場合に、年金の支給開始年令が幾つからということについては、将来十分検討するとしても、当面のブランクをたくする措置としては、そのようだ減額措置というものをとっていくというようなことは考えられないでしょうか、こういうふうに質問をしておるわけです。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 先ほど申し上げましたように、将来厚生年金において、繰り上げの減額年金制というものを採用する可能性は非常に強いと思います。その時期がどうなるかというのが、結局先生の問題にしておられる要点だと思いますけれども、おそらく厚生年金については、そのほかにもだいぶいろいろ今後考えられる問題が出て参っておりますので、次回の改正が昭和三十八年になるはずでありますが、おそらくもうここ一、二年のうちに、次回の改正の際にどういうふうなものを取り上げるか、保険料率はどうするか、あるいは給付内容をどうするかという問題が全般的に検討され始めるわけであります。おそらくそういう際にただいまの問題は取り上げられて検討の中に入ってくる、こういう順序になろうと思います。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 そうすると、厚生年金制度の改正にあたって、今申し上げたような減額年金制というようなものが、十分論議の対象になり、あるいはそういう方向に進む可能性も強い、こういうお話でございますが、当然その間はどうにもならないということにもなるわけです。特にこれは私再三申し上げているわけですけれども、たくさんの人ではないのですが、この該当者というものは非常に気の毒な状態になっている。それだけに何らかの救済措置というものをとっていかないといかぬじゃないか。もちろん退職金というものが、少額ではありますけれどもあります。しかし、きまって年間幾らという所得の保障制度ではございませんから、これに期待をかけるというわけにはいかないわけです。だから、三十八年と言わず、やる気になれば、このことについてはもっと早くもできるような気が私はするので、再三質問をしたわけですけれども、一つこれは早急に、そういうブランクのないようにしていただけるように特に御骨折りを願っておきたいと思うのです。そうでなければ、現在の各官庁を初めとするところの定年制というものについて、五十五になったならばどうしてもやめなければならないというようなことのないようにしていかないと、いつまでたってもこの点については解決がつかない、こういうふうに思いますから、一つ大臣の方でもその両者の中のどちらかに合わせて十分善処してもらうようにお願いしておきたいと思います。  次に、先ほども関係者の方から話があったわけですけれども、十九年未満で職場からやめていくという人の中に、逆算年金をもらうかそれとも従来の退職一時金をもらうかということについては、経過措置として五十才以上の者とそれから婦人の場合は五年ですか、男子の場合は三年、これについては両者どちらでも選択することができるという制度が経過措置としてとられているわけですけれども、この点について特に問題だと思われるのは、婦人の場合だというふうに思うのです。この婦人の場合は、大体二十年という長い期間勤める人はあまりないわけでございまして、大体十年なりあるいは十五、六年で退職をする、こういう方々が多いわけです。この選択制について、婦人については五年だけを認めているわけですけれども、これをもっと長期にやっていかなければ非常に現場の——現場といいますか、該当の婦人の立場からするといろいろ問題が起こってくると思うのです。たとえば結婚の費用に充てるために退職一時金というものを期待しているという例が非常に多いのですけれども、今回の経過措置以降の人たちになりますと、これが全部通算年金あるいは退職一時金、こういうことになって、どっちつかずの金になってしまう、こういうことでございますけれども、この点については、国民年金制度が、被用者年金の制度の適用を受ける人を夫に持つ場合には、その妻は任意加入、こういうことになっているわけですから、この点は、被用者年金制度の適用を受ける者の妻の年金制度上の地位の問題と関連をして少し問題があると思うのですが、こういう点について、被用者年金の妻を強制的に国民年金制度に加入させる、こういう段階までは、この選択制というものを五年間という期間を切らないで、婦人についてはずっと延ばしておくというのが妥当じゃないかというふうに考えているのですけれども、この点はどうでしょう。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 ただいま先生がおっしゃった婦人職員の方の実情については、私もよく考えているつもりでございます。それで先生御存じの通り、確かにあの共済組合の退職一時金というものは、何らかの意味においてお嫁に行ったり何かする場合に当てになっているという事実は、これは否定できないと思います。しかしこれは先生よく御存じのように、沿革を申し上げますと、昔は確かにそうだったわけなのでございます。ところが、それは性質が違うじゃないか、やはりああいったものはすべて社会保障的なものに向けるようにすべきものなので、そういうものを嫁入りの支度に充てなければならぬというようなことであっては困るということで、御承知の退職手当法ができまして、公共企業体の職員も国家公務員も退職手当というものを別に受けるようになったわけであります。そういうふうに制度が片方が発達して参りましたから、本来ならば、あの退職一時金の中にある支度金的な性格というものは、そこですっかりなくならなければならなかったわけなのでありますが、結果的には両方とも含めて——これはそう多い金額ではありませんので、両方含めて新世帯の準備に充てる、こういうふうな気持になって現在きているわけであります。そういうふうな事情は私ども十分考えているつもりでありますけれども、同時にまた、年をとったときに婦人の方が自分自身の年金を持たなければならぬという必要は非常に強い、またそういうことに対する要望も非常に強いわけであります。そうしますというと、そういったことに制度を将来発展させていって、文字通り国民皆年金にするということが必要ではないか、特に今のように夫の陰に隠れておりますと、年をとってからうっかり離婚されたというようなことになりますと、もう三十年も連れ添っておろうが、四十年も連れ添っておろうが、その婦人の人はおよそ年金からは全然ほうり出されて縁のないものになってしまう、これでは困るというので、むしろ外の方では婦人の人も全部国民年金に強制加入をさせるようにという意見が強かったわけでありますが、しかし一面被用者の年金の中には、自分の分のほかに妻の分も入っているという面もあるのではないか、また制度の立て方によっては、イギリスのように常に夫の年金の中に妻の年金も入っているという仕組みも出てくる可能性がある。こういうようなことからいたしまして、この点は被用者の妻というものを守っていく制度が、将来被用者の年金制度になるのか、国民年金制度になるのかという点は一つとっくり議論をしてもらってきめようじゃないか、それは被用者の年金制度で守っていくということになるならば、非常にけっこうなことで、それはそれで発展させていく。ところが被用者の年金制度の中に妻の分までも全部抱きかかえるというわけにはいかぬということになれば、また国民年金の方で考えるということにならざるを得ないのではないか、今そういうことで社会保障制度審議会で総合調整の問題として検討しておられるわけでございますが、そういう事情でありますから、今回の通算の措置をきめる場合におきましても、男子はもちろんのこと、女子についても一応年金制度としてつながる可能性は残しておく。ただしやめたあと無理やりに国民年金制度に強制加入をさせてしまうという措置はとらないで、名目上任意加入したものとみなしておいて、いつでもつなげるように、もしその人がもう一回、今度、結婚してあと職場をかえて、たとえばどこかの小さい売店に働きに行って、そこで厚生年金に入るようになれば、公共企業体の時代と厚生年金の時代が自然につながるようになる、またそこで国民年金に加入すればそれもつながるようになるというような余地を残そうじゃないかということで今のような措置をしたわけであります。五年間というのは、まあ五年間たてばこの問題についてすべての問題を確定的にできるだけの時間的余裕があるだろう、こういうことでしたわけであります。従って、もしそのときになって、なおかつ妻をどうするかということがきまらないようであれば、それはまたそのときにおいて経過措置というものを考える可能性は十分あるのだ、しかし方向としてはやはり一応今のような建前に踏み切らざるを得ないのではないか、こういうことでああいうふうな踏み切り方を、むしろ関係者十分協議の上でしたわけであります。従って、気持の上におきましても、実際におきましても、女子職員に不利な結果になるということはない、こう確信してやっておるわけでありますので、事実の動きがそうならぬというようなことになれば、これは十分そのときにおいて経過措置をまた考えるという方法で問題を解決する道はあり得るわけでございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 問題は、被用者年金制度の適用を受ける人の妻の立場というものを、年金制度上どういうふうにするかという問題と関連をすると思うのです。まあそれらの該当者だけが、現在は間接的には——直接には何らの年金制度にも加入してない、こういうことがあるところが問題なのであって、今の年金局長の議論を裏返しにすれば、そういう制度というものが、婦人の立場、妻の立場というものをこうするということが確定をするまでの間は選択制をそのままにしておってもいい、こういう議論にもなると思うのです。それが五年であるというふうになるのか三年であるというふうになるのかは別です。しかし、被用者年金制度の適用者の妻の年金制度上の地位というものを確定する、それまでの間は法の上に経過措置として、今のような五年間というものを残しておくということは、私はどうもすっきりしないと思うのです。それは国民年金法の建前から見て、被用者年金の妻等の場合については自由に選択ができるわけなんですから、当然その間は五年といわず、どちらでもとれるような選択制度にしていく、この方が現状にぴったりするのではないか、こういうふうに私としては考えるわけなんですけれども、どうでしょうか。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 私は率直に申し上げまして、先生のようなお考えも一つあり得ると思います。ただ現在この法案でとっております考え方は、その間は奥さんは任意加入したものとみなして、しかも保険料は徴収しないで、通算の利益だけを与えておるわけであります。そういうふうなもとを残しておきませんと、将来その奥さんが不幸にして離婚されるとかあるいはまた離婚しないまでも今度は子供さんも当分できないというので、近所に働きに出て、厚生年金をやっているところに行って、また二年なり三年勤めたということになったとしても、それが全然むだになるわけであります、そういう二年、三年という期間が、ところが今のような扱いにしておきますと、嫁入り前に過ごした公共企業体の六、七年の期間も、それから保険料を払わないで、国民年金に加入したとみなされる名目上の期間も、また子供がなくて、勤め出して厚生年金の適用を受けるようになった三、四年の期間も、全部その期間として生きて通算されるわけであります。そういう利益を与えるためには、今のような仕組みをとらなくちゃいかぬというので、ああいう仕組みをとっておるわけであります。おそらく現在女子職員の一部の方は、さしあたり目先の退職一時金のうち、これもそう多くの金額でありません。実際に計算してみますと、六、七年程度の分で、しかも通算年金の原資に充てるために留保されるのは一万円にならなかったはずであります。わずかにそのくらいのもので、非常にむだをしたような気持でいるわけでありますが、これが将来年をとってから非常に大きい意味を持ってくるわけでありまして、しかもその間に基本の年金の額が上がってくれば、おのずから通算の年金の額も上がっていくわけであります。そういう意味において、やはり国民皆年金の地固めをする意味において今のやり方が一番いい。実を言いますと、これは各省関係の連絡協議会でも、公共企業体その他を代表する人たちは、初め非常に強く反対をしたのであります。ところがいろいろ御自分たちも議論をしてみると、どうも結果としてはよくなりそうだということで、今のようなことに落ちつけたわけであります。そういう経緯を御了承いただいて、ぜひ一つ原案に御同意を願いたいと思います。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 年金の制度上の観点からすると、私もそういうような出発点というものを何か残しておくということは必要だというふうに思うのです。ただしかし、現在の年金制度というものが、通算年金の原資というものをとる、そうして退職一時金というものと分ける、こういうことでございますから、そうしますと、六十才になってからもらう年金の額というものは微々たるものなんですよ。だから、将来にわたってこのくらいの原資を持っているのですという先ほどの局長からの話からすると、再婚の議論みたいな、そういう魅力のある額でないことはおわかりの通りだと思う。だから、年金の額というものがもっと多額になっているという状態であるならば納得できると思うのですが、非常に少ない年金額を、しかも何十年という長い間待たされる。こういうことでは、将来の年金制度、所得保障制度のあり方から見てそうあるべきだということだけでは、現実の問題はなかなか解決しないのじゃないか、このように考えるのです。しかし、制度上から見ればそれは残しておいた方がいいということについては私もそういうふうに考えますから、だから、それをいつの時期にどうするかという問題が一番重要な点になると思うのです。従って、私としては、経過措置として五年間というものを入れることによって、むしろいろいろ期待感に対して失望を与えてしまったり何なりするようであるならば、国民年金制度の被用者年金におけるところの妻の地位というものが確定をする、どういうふうにするかということをきめる場合に、一緒に歩調を合わせてやっていくということの方がいいんじゃないかという気がするのです。従来の退職一時金の額から見て非常に少なくなる点が大へん問題になるのです。もっとも、多くすれば年金の原資というものが減るという関係になっておるわけですから、そこはいずれにしてもどっちつかず、こういう格好にならざるを得ない。これではどうも現実の問題の解決にはならないと思いますから——この点については先ほど与野党の間でもいろいろ意見調整があったようでありますけれども、この法の経過措置について、今私が申し上げたような制度上の問題は別です。別ですけれども、単に現場の該当者の間にいろいろ問題をかもし出すだけだというようなことだとするならば、それを修正するなり何なりした方がいいのではないか、こういうふうに考えておるわけですけれども、こういう点については修正をするというような考え方は、今のお話からするとないようです。しかし、この点は再度申し上げますが、いろいろ該当者の間にも問題を残しますので、国民年金制度上の大改革あるいは一本化、こういうものが行なわれる場合までこの選択制というものを採用する期間を延ばしていく、こういうふうにしていただいた方がいんいじゃないかというふうに思うのです。  ちょうど大臣が来ましたから、その点大臣の意向を伺っておきたいと思うのですが、実は大臣、今まで話をしてきましたのは、被用者年金上の適用を受けておった婦人で、十九年未満で退職する方、これは婦人であるがゆえに大体十九年未満で退職する者がほとんどなんです。こういう方々が退職一時金というものをどういうふうに期待しているかといいますと、結婚なりあるいは出産なり、大体結婚でありますけれども、こういう費用に充てるというために期待をしているわけですが、これが今後五年後になりますと、従来の退職一時金というものがなくなって、そうして通算年金の原資と、それから新しい退職一時金というものに分離されてくるわけです。従って、従来の退職一時金の額からすると非常に少ない額になってしまう。これでは、今まで期待をしておった方々からすると、それがなくなってしまうというようなことで、法案の中には、経過措置として、五年間は選択できるというふうになっているわけですけれども、国民年金制におけるところの被用者年金の適用を受ける人の妻は、国民年金は任意加入になっておりますから、従って、この国民年金制度上の被用者年金の、妻の年金制度におけるところの立場というものが確定をし、どういうふうにするということができるまでの間は、選択制というものを五年に限らず、ずっと延ばしておくことの方が現状に適しているのではないか、こういうふうに考えて今まで話をしておったわけですが、大臣としてはどういうふうにお考えになりますか。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 私も十分な研究をいたしておりませんので、はっきりしたお答えを申し上げかねるわけでございますが、お話しになりました事情については、これを考慮する必要があるのじゃなかろうかと思います。従って、いつやるかという問題もございますが、現在は経過的な措置をとられているわけでありまして、その期限が切れるまでの間に何か一つ考えさしていただきたい、かように思います。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 通算通則法については、従来からいろいろ要望のあった点が今回制度化されるというようなことと、それからそれぞれの年金制度が中身が非常に異なっている、これを通算しようというのですから多くの問題がある。しかし、これを排除してこういう制度化をするということについては、私も非常に敬意を払っているわけです。ただ、この中でいろいろ検討しましても、問題点となると考えられるのは今申し上げたような点があるわけですが、こういう点については、今も大臣あるいは関係者の方から、将来に向けて相当改善をしていきたいというお話でもありますので、非常にむずかしい問題ではあると思うのですけれども、社会保障政策上の所得保障——所得保障というのは重要な柱でもあるわけですから、最初に指摘しましたところのブランクというようなことについても、何らか適切な措置を早急に立てるとか、あるいは今のようなことにつきましても十分検討していただいて、現実の処理と、それから将来の制度を完備するという方向に向けてなお一つ努力をしていただきたい、このようにお願いをして私の質問を終わります。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 大原亨君。

大原亨日本社会党

○大原委員 それでは午前中に続きまして簡潔に質問いたしますが、厚生年金をこの際一つ再検討すべきではないかという御質問をいたしておったのであります。大臣が途中で中座されましたけれども、問題点を総括的に取り上げてみますと、厚生年金の基礎となります老齢年金の給付について、その算定の基礎である定額部分と、それから報酬に比例をする部分、こういうのがあるわけですが、定額部分は、御承知のように一年間に二万四千円ですが、このフラットを上げることによって、若干社会保障的なニュアンスの強い厚生年金が出現をするという長所もあるわけであります。それから、標準報酬月額の出し方が、やはりこれも問題であることは、政府委員の御答弁の通りであります。下限が三千円で、上限が三万六千円、今日までの昭和十七年以来の経過を見てみましても、他の国の立法例を見てみましても、あるいはILOの最低基準を見てみましても、これは四割保障の原則からいいましても、きわめて僅少であって、それが老後の保障ということに役立たないために、雇用問題等に悪循環を来たしておる、こういうことであります。従って、そういう問題等を含めまして、給付について、一つこの際抜本的な検討をするかまえをもって、改正に努力をしていただきたい、こういう点を第一点といたしまして、総括的に一つ大臣の御答弁をいただきたいと思うのであります。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 現在の厚生年金の内容が十分でないということにつきましては、私どもも同様な心持がいたしておるのであります。逐次その内容の改善と向上をはかって参りたいという念願を持っておる次第でございます。  ただいまお話になりました定額部分の二万四千円という問題にいたしましても、私どもは逐次引き上げて参りたいという気持を持っております。また標準報酬月額につきましても、これは再検討を要する問題だと心得ておる次第であります。この問題は、厚生年金の内容、実質を向上いたしますためには、関係する面も少なくない。保険料負担その他の問題も出てくる問題でございますから、慎重に検討いたしまして、国民生活の向上に伴って、おくれないで厚生年金制度も向上していくというふうに持って参りたいと考えておるような次第でございます。その考え方は、これはまだ試案でございますし、一応の目安でございますけれども、さきに発表しました厚生行政長期計画でも、そういったふうな心持は出しておるつもりでございますが、いずれにしても慎重な検討を要し、勉強を要する問題でございますので、部内において検討さしていただきますと同時に、さきに政府委員からお答え申し上げました中にもございましたが、ただいま社会保障制度審議会の方にも御検討願っておるようなわけでございます。それらの御答申等も参考にいたしまして、だんだん御期待に沿うように参りたいという心がまえでおるわけであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 もう一つの問題は、つまり今の厚生年令は、法律案といたしましては、一般が六十才、坑内夫が五十五才で年金をもらうことになっておるのであります。これは午前中もいろいろ議論いたしたわけでありますけれども、定年制との関係において、若干ブランクができるという問題もありますが、日本の雇用条件が低いということからでもありますが、しかし、それはともかくといたしまして、厚生年金の給付額が低いものですから、四万一千円という平均の支給の問題が御答弁にもありましたけれども、月にいたしますと、三千円くらいでありますから、これでは食えぬということであります。従って、今の制度によりますると、結局は六十五才までも、七十才までも死ぬるまで働かなければならぬ、こういうことになります。働きますと、作業場に五人以上でありましたならば、厚生年金制度がございまして、掛金をかけるということで、一生涯掛金をかけて給付されないで死ぬる、こういうこともあり得るわけであります。公務員の場合でありましたならば、民間に就職いたしましても、これは月給と年金とは併給になるわけであります。従って、厚生年金の方も、六十才以上または五十五才以上になりましたならば、これは要望いたしておきまするが、こういうふうな所定の年金に達しましたならば、これは本人の意思によりまして、もう少し年数を掛金をかけて金額を増加させるということについて、そういう方途をとる人もあるかもしれませんけれども、そうでない場合は本人の意思によりましては任意脱退というようなことを、政府委員は御答弁になりましたけれども、本人の意思によりまして脱退いたしましたならば、年金が支給できて、そうして年をとった後の労働でございまするので、賃金も少ないわけでございますが、その賃金と併給の道ができるように、これはやや大きな改正でございまするけれども、政府委員はこれに対して、十分問題といたしまして改正すべきであるという御答弁でありましたが、大臣におかれましてもその点につきましては改正について特に善処していただくように御要望申し上げたいと思うのであります。要望でありまするのが、それに対する御所見をお伺いいたしたい。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 何よりも厚生年金として大事な問題は給付の内容を向上させるというところにあろうかと私は思います。ただいまの制度によりますと、いかにも少ないという感じがすることも私は率直に申し上げたつもりでありますが、一般的に老齢年金が支給される時期までの間にはこの給付内容というものの改善向上ということについても特に努力をしなければなるまいかと考えておる次第でございます。今お話のような問題につきましては、実情といたしましてある程度考慮しなければならぬものがあるようにも考えられます。御承知のように今日の厚生年金保険のいわゆる老齢年金は、老齢に達して労働能力がなくなった場合の生活保障を目的としている、一応そういう建前になっているかと思うのでございますが、はたしてそれだけの十分な保障になっているかどうかというところが問題で、今申しましたようにできるだけ内容の向上をはかって参りたいということを考えるわけでございます。従って労働者が就労いたしております限りは、まだ労働能力があるというようなことで、老齢年金が支給されない建前になっておるわけでございますが、わが国の現状を見ますと、労働者が高齢に達しながら、十分な働きができぬにいたしましても、わずかの稼ぎのために低い報酬で労働しておる場合が多く、そのような場合に、就労しておるからといって、その理由で老齢年金を支給しないとすることは実情から見ていかにもどうであろうかという感じもいたしております。そこで今後の工夫の問題でございますが、一定の、どの辺にその年齢を引くかという問題もございましょうが、一定の年齢に達すれば現にどこかで働いておりましても、厚生年金から任意脱退をする道を開いて、就労しながら老齢年金を受けられるような措置というものも私は考慮に値する工夫ではなかろうかと思っております。せっかく一つそういう問題については検討させていただきたいと思っております。

大原亨日本社会党

○大原委員 古井厚生大臣のときも非常に議論になりました積立金の還元融資の問題であります。これは年金福祉事業団と関係のある問題でありまするが、御承知のように現在四千五百億円にも達しておりまするし、年度末には五千億円にも達するのであります。厚生年金は国民年金とは違いまして、国民年金は国庫負担を拠出するときに出すのでありますが、厚生年金は給付のときに出すのであります。だから労使の掛金だけで、本年度末は五千億円にも達するのであります。従って国民年金の積立金と同様でありまするが、この積立金の完全自主運用、還元融資、こういう問題はこの制度を円滑に総合的に、国民年金の問題を含めまして国民の理解を得る大きな一つの道であります。これは従来の厚生大臣、特に古井厚生大臣も御努力になったのでありますが、本年度の予算編成期、年末に際しましての予算の決定その他そういう機会におきまして、その自主運用の範囲を拡大をいたしまして、そして山事者が納得できるような格段の努力を大臣においてしてもらいたいと私は思うのであります。この要望に対しまして一つ御所見をお伺いしたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 御趣旨は私もごもっともに存じます。その御趣旨に沿うて努力いたしたい思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 午前中にもいろいろ議論いたしましたけれども、厚生年金については坑内夫は特例を設けておるのであります。五十五才、ただし経過措置といたしまして来年は五十二才にはもらえるわけであります。でございますので、今任意脱退の問題等を含めまして、早急に部分的な改正等にも手をつけてもらいまして、そうして炭鉱でああいうふうに社会問題になっておりまする五十才以上の労働者の諸君がそういう厚生年金を受けるあるいは失業保険の制度についての年金制度との総合的な問題点を解決する、こういう特例措置が非常に急がれておるのであります。これは大臣もしばしば陳情を受けられたしあるいは政府においても閣議において、特別の会議を設けて御研究になっておるのでありまするが、そういう失業保険の問題は労働省の所管でありまするけれども、厚生年金の問題、特例の問題、経過的な問題等含めまして、この点につきまして、一つ十分炭鉱の実情、坑内夫の実情そういうものに応じましたところの——午前中もいろいろ議論をいたしましたけれども、その点につきまして、一つ大臣も閣議において御努力をいただきたい、このことを強く要望いたしておきます。この点に対する御所見を簡単でけっこうですから承りたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 坑内夫の問題につきましては、政府といたしまして全体的に最も関心を払い、その対策に遺憾なきを期したいという心がまえで現に取り組んでおるわけでございます。その一つの面といたしまして、生活に関する問題について、私どもの立場におきましても十分検討しなければならぬ問題だと考えておる次第でございます。現在御承知のように坑内夫につきましては特別な措置といたしまして、退職されたときに五十一才以上であれば老齢年金が支給されるというようなことになっておりますので、年齢の問題につきましては、現在現下の石炭産業における特殊な事情のために、五十一才よりもさらに低めるというような必要はあるいはないのではなかろうか、かように考えておる次第であります。いずれにいたしましても、坑内夫の問題につきましては、私ども十分注意いたしまして、生活の保護というような問題について遺憾なきを期したいと存じております。

大原亨日本社会党

○大原委員 たとえば五十一才で炭鉱をやめまして、他の職へいく場合に、労働力も衰えていきますので賃金が下がるわけですが、その場合、賃金と年金が併給にならないという問題は差しあたっての問題でありまするが、それらの問題、当面の問題等含めて私は臨時的な問題が現在の体系の中においてもあり得ると思うのであります。総合的な問題につきましては、あらためて私どもは別の機会に特別委員会等におきましても論議いたしたいと思うのでありますが、その点を強く要望いたしておきます。  それから最後に私は児童扶養手当法について二、三簡単に質問をいたしておきたいと思います。  児童手当の問題につきましては、母子福祉年金の中におきまして、生別世帯をも含むような措置をとる方法と特別立法の方法があるわけであります。従ってこれは政府委員から御答弁いただいてよろしいのでありますが、特別立法を設けてやった立法の趣旨について、特にあなたの力でこの際力説をされたい点があれば一つ最初に承っておきたいと思います。

大山正厚生事務官(児童局長)

○大山政府委員 今回児童扶養手当法案を御審議願っておりますが、これは御指摘にもありましたように、国民年金法におきまする母子福祉年金が、死別母子世帯に限られておりますので、生別母子世帯あるいはこれに準ずるような母子世帯につきましては何ら手当が出ておりませんので、それらのものに対する手当という意味で、単独法を提出したのでございますが、なぜ国民年金法に取り入れることができなかったかという点につきましては、拠出制の国民年金におきまして、離婚を保険事故とするということが理論上いろいろ問題がございますので、拠出制の国民年金には取り入れがたい。そういたしますと、無拠出制の福祉年金につきましては、現在の国民年金法では、拠出制国民年金に対する補完的なもの、あるいは経過的なものに限られているのでありまして、拠出制国民年金と関係のない福祉年金というものを別個に設けるということはできないわけでございます。そのような意味におきまして、国民年金法には取り入れずに、別個の単独法として提案した、かような次第でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 法律上の形式的な理由でありまするが、私どもはこれにつきましては根本的にいろいろ議論があるのです。これはわれわれの方からも根本の修正案を出しておりまするけれども、それとはまた別に、福祉年金についての位置づけについていろいろまた議論いたしたいと思いまするが、きょうはこれは省略いたします。  きょう私があなたの方にお尋ねをしたい点は、家族手当とか児童手当というものは、国際的に見てみましても、社会保障、所得保障の問題あるいは最低賃金の問題、雇用政策の問題の前提として、児童手当、家族手当の制度が、これは今日までいろいろ歴史的にも事情がありまするけれども、整備されておるわけでございます。御承知のように、今日中年層、高年層の雇用状況は深刻であります。炭鉱にいたしましてもどこにいたしましても、年をとって職を離れましたならば、再就職はなかなかむずかしいという実情であります。その一つの大きな原因は、係累が多い、扶養家族が多いということであります。また、賃金体系にいたしましても、年功序列賃金が非常に議論になっておるのであります。そのことは、家族を含めて企業にくぎづけをするということで、労使双方から議論になっております。設備の近代化、技術革新、その他の問題から問題となっておるのであります。賃金制度の問題、最低賃金の問題、社会保障、所得保障の問題あるいは雇用の確保の問題、流動性の問題等、あらゆる面から考えまして、児童手当、家族手当を独自にここで立てていくことが非常に大切になってきておるのであります。これはこういう児童扶養手当で、若干漏れたのを救うという程度で、そういう大きな構想はないと思うのでありまするが、そういう意味における児童手当、家族手当の問題につきましての将来の抱負なりお考えがあれば、一つこの際念のために聞かせてもらいたい。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 児童手当の制度は、確かにまだ日本ではないわけでございます。ILO条約の百二号ですか、あれに示しておる最低基準という中に九つばかり部門があったわけでございますが、その中に、日本に欠けたものとして児童手当の制度があるわけでございます。この制度をどうするかという問題が、現在の厚生省の一つの課題となっておるわけであります。行く行くはそこまでいかなければなるまいという考えのもとに、中央児童福祉審議会にも特別の部門を設けまして、児童手当制度に対する御検討をお願いしておるようなわけでございます。われわれといたしましても、将来の問題としましては、この方面に進んで参りたいという意欲を持って目下検討いたしておるようなわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 この問題は、私はまたあらためて時間をかけて議論したいと思うのですが、たとえば厚生年金を午前中議論いたしました際に、基本的な部分に対して、加給部分で妻と子の四百円という問題がありました。月に四百円で何をするのかと言ったら説明がつかぬわけであります。水だけ飲んでいるわけにいかぬわけでありますから、そういうことでありますが、そういう問題等を含めまして、それらと合わせて考えてみましても、やはり児童をあるいは家族を国で社会的に保障をしていくという問題はきわめて大切な問題であります。欠けてはならぬ問題であって、いろいろな制度の前提となるべき問題であります。従って、この問題につきましては、あらためて根本的に議論をすると一緒に、これはあまり扶養手当ということでそれを大きく、これがはしりであります、家族手当、児童手当がはしりでありますということを言うてやられますと、大蔵省がだんだんと予算をちびって参りまして、だんだん小さく小さく固まっていくということで、羊頭を掲げて狗肉を売るということになります。大蔵省の諸君がおられたら、午前中に引き続いて、これは一つ大いに啓蒙しようと思ったのですが、御出席がない。まことに残念でありまするが、この点につきましても、私どもは、あらためてこの問題については私どもの考え方も提示すると一緒に、一つ政府においても、この点はきわめて重大な問題として取り上げられるように特に要望いたしまして、以上をもちまして私の質問を終わりたいと思います。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 井堀繁雄君。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 ただいま議題になっておりまする国民年金保険に対して、政府の政策的な立場からと、法案の内容二、三についてお尋ねいたしたいと思っております。  池田内閣の最も重要な政策であるし、またがっての総選挙で国民に強く呼びかけた公約の一つでもありまする社会保障制度の具体的な推進は、当然政府はもちろん、われわれ野党といえども、この公約の実現を一日もすみやかに達成しますために努力を誓わなければならぬ問題であると思うのであります。そういう意味で、厚生大臣は当初所信表明をこの委員会でなさいました中でも、国民皆保険を強調されておる点は傾聴に値すると思うのであります。国民皆保険を推進します場合に、国民年金保険はその重要な柱でありますことは、大臣も述べておいでになる通りであります。そこで、お尋ねをいたしたいと思いまするのは、国民年金保険の場合におきましては、前の国会の節にもお尋ねをいたしましたから、重複を避けてお尋ねをいたしたいと思いますので、あるいは質問の要旨が不徹底になるかと思いますが、あらかじめ前大臣からお引き継ぎの際にお話のあったことであろうと思いますし、また重要政策でありますから、当然御存じおきのことと思いますので、端折ってお尋ねをいたしたいと思うのであります。  申すまでもなく、ただいま実施されておりまする国民年金保険が不評判であるのみならず、野党がこぞってその実施について延期を強く要請しておる点からも明らかであると思うのであります。それは申すまでもなく、拠出年金の場合におきましては、その拠出が、すなわち保険料の掛金が、今日の国民の中で非常に大きな割合を占めておりまする低所得者にとっては、かなり過酷な負担であるという見方もあると思うのであります。あるいは、現在のような画一的な掛金では現状に即さないという点もあると思うのであります。この点についてまずお尋ねをしようと思うのであります。  もう一つは、反対給付、すなわち老齢年金その他の年金の金額が、長期の掛金を続けて、せっかくその給付を受ける時期になって、受け取る金額が少額というよりは、むしろ年金の用をなさないというような、あまりにも少額な年金であるという点にあるのであろうと思うのであります。この際私は国民皆保険を推進し、あるいは社会保障を誠実に実行に移そうという政府でありますならば、この際こういう点について抜本的な改正が望ましいと思うのであります。それが今日なされておらないということについてどうも納得がいきませんので、その点を順次お尋ねいたして参りたいと思うのであります。  そこで、第一にお答えをいただきたいと思いまするのは、保険でありまするから、もちろんその保険財源が被保険者の負担にかかる保険料に依存することもよく承知しておると思うのであります。これは国民もその程度の知識は持っておると思うのであります。ところがその負担が妥当であるかどうかということについてと、それからもう一つは、高額所得着と低額所得者の格差がはなはだしく存在しておりまする場合においては、画一的な保険料の負担というようなことは、この保険の精神にも合わぬのではないか、むしろ高額所得者に対しては高率なる掛金が累進的に行なわれていくといったような政策こそが、今日望ましい方向ではないかと思うのであります。そういったようなものに手をつけようとしていないのでありまして、今日の修正案を見ますと、全然そういうにおいも感ぜられないのであります。この点に対する一つ政府の見解を伺って、それから順次お尋ねを進めていきたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 今日の保険料が画一的に取られておるということは御指摘の通りでございます。この問題はいろいろ検討を要する問題だと思いますが、大体国民年金の被保険者の大多数の所得の格差というものはそうひどく違わないのじゃなかろうか、どちらかと申せば、所得の低い階層の方が多いと思いますが、そういう考え方、それからもう一つは、保険料の徴収の上から申しまして、全国非常に広くわたっておる全国民を対象とした保険料の徴収でございますので、また繁雑な仕組みになりますとやりにくい、ことに農村等における所得の把握というような問題についても、なかなかむずかしい問題が含まれておるのじゃなかろうか。おそらくそういうような考慮からただいまのような均一の保険料というような形になったのだと思うのでございますが、ただ事務的な都合だけで物事をきめるのはよろしくないということは、先般八木さんからも御指摘になったことがございますが、私どもの一つの検討すべき問題としては、おっしゃるように、均一の保険料主義にかわって、やはり所得の状況に応じた保険料の取り方はないか、この点について実は検討いたしておるようなわけでございます。まだ結論を得る段階には至っておりませんけれども、今までのやり力を一つ改めてみたいという心持ちでもって検討しているところであります。詳細はまた政府委員からもお答えしたいと思います。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 あとで事務当局からも御説明を賜わりたいと思いますが、政策の点についてもう少しお尋ねしてみたいと思います。  なるほど事務的に画一的なものと、各ランクを設けて保険料を取るということは大へんな相違のあるものであるということは言うまでもないことと思います。できるなら画一的なものが望ましいのでありますが、残念なことは日本の特殊事情とでも申しますか、非常に所得の高い者と低い者とがおり、格差がひどい。そして俗にボーダー・ラインといわれるその人たちのためにこの保険が今役に立たないと意味をなさない。所得が、政府の言うように倍増に成功し、国民生活も最低生活が維持できるような所得が保障されてくる時代には、あるいはこういう制度というものはまた変わった形において要請される。今日本が一番必要とする年金制度ということになれば、その低額所得者、ボーダー・ラインといわれる人々に対してこの制度が役に立たなければ、私は年金制度の生命というものは現時点においては意味をなさないではないかという思い切った批判ができると思うのであります。そういう意味で、いずれも野党がこぞって反対しなければならぬということはまことに遺憾なことだと思うのです。でありますから、この状態を少しでもずらしていきたい。われわれも、こういう方向にしてくれれば賛成して、できるだけ早い機会に年金制度が今日の時代にも役立つようにしたいという情熱を持っておりますからお尋ねしておるのであります。  そこで、議論にわたることは避けたいと思うのでありますが、実際事務分量がふえるということは保険経済にとって好ましいことでないこともよく理解しておるのであります。しかし現実に即応してこの制度を生かすか、あるいは全く死物同様のものにするかということに考えをいたします場合には、踏み切るべきではないか。これは私は政策の大事な点だと思う。事務当局の説明や参考資料によって判断することも必要でしょうけれども、ただいまの時点においては、厚生行政の中にあっては、この点こそあなたのおっしゃられるような考え方の一番先に取り上げる具体的な問題ではないかと思いましてお尋ねしておるわけであります。でありますから、やることになれば、私は方法は幾らもあるのではないかと思うのであります。今日の公租公課の、税なんかをあげるまでもありません。なかなか複雑な徴収方法で税や公課が徴収されて、大へんうまくいっておる。うまくいっておるというのは、徴収費をはるかにオーバーしてりっぱに成績を上げておるわけでありまして、国民からいうと、寸毫も容赦なく徴収されておるといっていいくらいにいっておるわけであります。むしろそういうものよりは、社会保障の場合においてこそそういう問題に情熱を傾けてこそ意味があるんじゃないかというので実はあなたのお答えを待ったわけであります。なおこの点にお答えいただければまた伺わせていただきたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 国民の心持として考えましても、御指摘になりましたような事務的な理由だけに藉口してかれこれというふうな気持はないのでございまして、実際問題として、この施行当初においてそういうふうな方法をとらざるを得なかったということでおろうかと思いますが、先ほどお答え申しましたように、このやり方について再検討したいということを実は考えておるわけなんです。町村の課税の状態等を見ましても、幾らかやりやすくなる方向に向かってきておるんじゃないか、こうも思います。一番問題は、所得の把握がむずかしいという点にあろうかと思います。それらの点を十分検討いたしまして、何とか御趣旨のような方角に向かって進んでいこうという気持のもとに検討いたしておるわけであります。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 検討の域をぜひ一歩踏み出して、今こそ勇断をふるうべきときであると思われまするので、通常国会も間近でもありまするから、ぜひ一つ通常国会にはそういう片鱗の一角でも拝見いたしたいと心ひそかに期待をかけておるわけであります。  次に、今度は給付の面について一つ大臣の勇断を希望する意味でお尋ねをいたしておきたいと思います。それは、たびたび引き合いに出しますけれども、低所得者というものの実態把握が問題になると思うのであります。今の乏しい統計の中から見ましても、たとえば就業構造基本調査、それから総理府の家計調査もそうでありますが、あなたの方の調査に基づく資料もちょうだいいたして見ております。この数字を見てみますと、かなり開きがあることもそうでありますが、実際にはおそるべき範囲に低額所得者の苦悶の姿が出ておると思うのであります。でありますから、一、二数字に例を見てみますると、就業構造基本調査の中でボーダー・ラインの対象をどのくらいにするかということには議論があるといたしましても、あなたの方の用いておりまする、たとえば生活保護基準などの一級地の五人世帯ですか、今度の予算にも出てきておりますように、従来一万一千三百五十二円余のものを一万一千九百二十円に改めたといったような数字も出ておるわけでありますから、ここで就業構造基本調査の中でこの数字を利用いたしまして、九千七百円未満のものと一万二千五百円以下のものとをちょっと見てみたのです。間違っておれば訂正を事務当局に願いたいと思いますが、九千七百円未満のものが三百五十四万八千世帯というのでありますから、実に大きな数字であります。さらに一万二千五百円以下のもので先ほどの九千七百円以上との間でしょうが、それが三百万世帯、合計いたしますと六百五十四万八千世帯という数字になっております。これは昭和三十四年の七月一日現在でありますから、今日とでは多少違いましょうが、大体動かぬところだと思います。こういうような実態でありますので、国民年金保険法の第一条に示されておるように老齢や廃疾または死亡などの事故がありますと、言うまでもなくその生活は極端に脅威を受けるわけであります。それを国民の共同連帯の力で防止しようというのでありますから、先ほどお尋ねをいたしましたように、負担能力の高い高額所得者に保険金をよけい出していただく、そして低い者のために無拠出で給付が高額に受けられるようにという制度でなければ、この法律は眠ってしまうということを私どもは強く憂えるのであります。そういう意味で、この際は抜本的にここを踏み切って、こういった人々のためにこの保険が役に立つということでなければならぬと思う。この辺は与野党とかイデオロギーとかいうものは離れて、真剣に考えなければならぬ問題だと思われるのであります。それだからお尋ねをいたすのでありまして、そういう点にもし政府が一歩前進の態勢をとることができますならば、われわれは喜んで今日の国民年金法の改正に積極的な協力をいたしたいと思うのであります。今のところでは取りつく島がないという感じでありますので、こういうお尋ねをしておるわけでありますから、そういう点を御理解いただいて、一つ答弁をはっきりお願いいたしたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 井堀さんの御趣意はよくわかりました。取りつく鳥がないという仰せでございますが、ぜひ一つ取りついていただきたいと思います。  国民年金にいたしましても、すでに今度の国会でお願いをいたしておりますように、できるだけ改善には努力いたしておるわけであります。これを一挙に解決することはなかなか困難だと思いますけれども、私どもも現在の国民年金がこのまま何十年も続いてそれでよろしいというふうにはもちろん考えておりません。年とともに内容の改善充実をはかっていきたいというつもりで努力いたす考えでございますので、ぜひ御協力をいただきたいと思うのであります。  今お話しになりましたような御趣旨につきましても、先ほど来お答え申し上げておりますように、私どもも現在のやり方ではどうも工合が悪いのではなかろうかということで検討いたしております。成案を得次第また御審議を願う場合もあるかと思いますけれども、今のところはその程度で一つ御了承願いたいと思います。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 このことは私どもが現行法について修正だとかいろいろな要望をいたしますのには、以上申し上げたような次第で距離があり過ぎるというよりも、全く足がかりも得られないという感じを申し述べようとして今質問したわけです。  少し誇張して申しますと、これは長期の保険でありますから、将来のことを十分判断して間違いのないようにしなければならぬといったような点については、よくのみ込んでおるつもりであります。前回私はわが党代表として、社会党案と政府案を両方批判しながら具体的に質問をいたしまして、ある程度明確にいたしたつもりでおります。でありますから、重複を避ける意味で飛ばして伺いますから、ちょっと要領を得ないかと思いますが、そういう点から判断をいたしますと、一番望ましいのは現時点のとらえ方だと思います。つまり国民皆保険ということからいいますと、これはあらゆる保険に手をつけましたから、一応皆保険になると思うのであります。しかしそのことは極論いたしますと、羊頭狗肉でとどまればいいのでありますけれども、むしろそういう政策を掲げて国民に幻滅の悲哀を与えて、当然芽の出るべきものを死滅するような結果を招来する危険があるとすら私は思っておる。政府の案があまりにも似ても似つかぬと思いますので、私どももにくらしくて仕方がないのでありますが、それを心におさめて、対外的には、ひどいものではあるけれども、何とか育てようじゃないか。時間を持てば何とか成長するぞと言えればいいのでありますが、成長するどころではなくて、逆作用さえ起こると思われます。そこのところを一歩退いて何とか政府に反省を求めて、できるならば小さいながらも芽を出させて、あとは漸次肥料をくれて努力していくということで伸びるものにしたいというのが偽らざるわれわれの念願なんです。そういう立場でお尋ねをしておりますので、もちろんにわかに手のひらを返すようなことを要求しようとは思いません。幸いにいたしまして国民の分配総所得などを見てみましても、こういうものを実行に移すためには事を欠かない実力ができておると思うのであります。ここに多少資料を持っておりますけれども、議論にわたりますから避けますが、何も立場を異にしているようなものではなくて、数字でございますから、一見して明らかな事実であります。そういう点で、たとえば三千億の自然増収があるというようなことは、見方によっては、皮肉な見方をしますけれども、こういう状態なんていうものは全く神のたまものなんです。こういうときにこれをやらないという手はないと思うのです。とにかく予定した税金よりも三千億もよけいとれるということは奇跡みたいなものであります。悪くいえば、政府の見込み違いでけしからぬと国民は言うかもしれません。しかし災いを福とするという言葉はこういうときに使うべきものなんです。こういうときにこそ国庫の負担も思い切ってそういうところに拠出ができるし、国民に対しても、富めるものに貧しいもののために手を差しのべさせるという、そういう指導性が出てこなければ、この保険制度というものは意味をなさぬと考えておる。あなたならきっとおやりになると思うので、実は質問に立ったわけです。そういう意味で、手のひらを返すようなことをおやりいただくということは考えておりません。今の政府や政治勢力の関係からいきまして、そう理想は望めないのでありますけれども、少なくともこの機会に芽を出させるという点は、あなたとしてはいいチャンスではないかと思いましたのでお尋ねをしておるわけであります。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 井堀さんの心持は、実は私はありがたくお聞きいたしておるわけであります。われわれといたしましても、国民年金の改善、充実ということにつきましては、極力努力すべき実情にある、かように考えておる次第でございます。何にいたしましても、出発当初がこういうことで出発いたしたわけでございます。これは井堀さんからいえばまだ芽も出ていないとおっしゃるだろうと思うのでありますが、幾らか芽を出したつもりでありますので、これを御協力いただきまして、またいろいろ御注意もいただいて、だんだん改善向上の方に向かって努力して参りたいという熱意においては、私は決して人後に落ちないつもりでおるわけでありますが、財政の事情もございましょうし、被保険者の負担の関係もございましょうし、また多年にわたる計画でございますから、数字上の確実な基礎というものがございましょうけれども、いろいろ慎重な準備、用意を整えなければならぬということは申すまでもないところでございますが、その準備、用意を怠らずやりまして前進して参りたい、こういうつもりでおりますので、どうぞ一つ御了承いただきたいと思います。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 あなたの情熱を疑う者ではありません。ですけれども、もちろんこういう制度でありますから、百年先のことも考えてやらなければならぬので、十分準備、検討も必要であることもたびたび私どもが申し上げておりますし、また私どもその点は考えておるわけであります。ただくどいようでありますけれども、かわし方があると思うのです。立場、持場によってではありますけれども、あなたの立場で可能じゃないかと私なりに考えて、実はお尋ねをしているわけであります。それはやや具体的にお尋ねをしていけばはっきり出てくると思うのでありますが、たとえば事務当局のいろいろなデータや、この委員会でも御答弁をいただいてその勉強ぶりには感心をいたしておるのでありますが、どうもワクを取り違えている。だからやはり国民年金制度というものに対する政策上の転換が行なわれないと、有能な事務当局もいたずらにコップの中の努力になってしまうと思うので、それであなたにくどく呼びかけておるわけなのです。それは数字を私も多少検討いたしまして、両方の面から保険財源の問題、それから国庫負担はどのくらいが妥当かということも、わが党も用意をいたしております。しかし責任の地位についていない者の提案というものは、とかく批判的になりがちでありますから、望ましいことは原案が少しでも前進した姿で出て、そしてそれにわれわれが批判を加えて、そして国民の前にそれぞれ努力を誓うという行き方が望ましいと思うのです。しかし繰り返し申し上げておりますように、どうも遺憾ながら百円の掛金で三十年も四十年もでしょう。そしてこういう状態がどう続くかは別として、政府すらが十年先には所得が倍になる、国民の経済の基礎をまかなう成長率についてはこうなるという数字まで発表しておるように、必然的に生活水準というものが相当高いものになるわけであります。そういうものを引き合いに出さぬでもいいと思いますが、そういうときですから、それに歩調を合わせるだけの社会保障でなければならぬと思うのです。そうしないと一貫性がないのじゃないか。だからそういう意味で、あなたは閣内において、社会保障特に年金制度の問題について、政策上の要するに跛行状態を是正するということからでも、私は問題になり得るのじゃないかと、数字をながめておるわけです。そこで一番いいのは、画一的に相当多額の保険料がとれればいいのでありますけれども、さっき申し上げたようなボーダー・ライン以下の者は、百円あるいは五十円でも、それは三度の飯をつめるような、あるいは三ばいの飯を二はい半に減らされるということですから、商いとか低いとか、負担が重いとか軽いということでなく、とってはならないものです。それをとろうというところにどだい無理があると思う。ですから最初のうちは無拠出の年金制度が大幅に出てくることは現時点においてやむを得ぬので、そういう点を大幅にぐっと出して、他方において負担能力の高い者に対しては、永続的にというのではありませんけれども、まあ五年ごとに経済情勢の変化に合わせてこの制度を改正するということは、法律にも明文化されておるくらいでありますから、そういうものは漸次是正していけるというなら、この時点においてそれをやることが私は社会保障じゃないかと思うのです。そういう点をずらしていただくというのではないかと思うので、非常にじれったくて、あなたも口まで出てよう言えないのじゃないかと思いますけれども、こういう機会に言っていただくことが私は望ましいと思って、あえて勇を鼓して今質問している。私正直に言うとこれに取り組む勇気を失っておるのです。けれども、あなたの情熱を信じまして、少しでもそういうところにずらしたものが原案になって出てくることを願うものですから、こういう質問をしておるのです。大へん抽象的で恐縮ですけれども、数字はあなたの方が詳しいと思いますので申し上げませんが、一つそこらの考え方を聞かしていただきたいと思います。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 私あるいは間違いましたら政府委員から訂正させていただきたいと思いますが、御承知のように、国民年金、特に老齢年金が本体をなすものじゃないかと思います。これになりますと、かなり長期にわたって保険料をかける、現実に給付を受ける時期というものはだいぶ先のお話です。しかもその金額が話にならぬじゃないかというのがきのう以来の御主張でございます。私どもも、それはそうじゃないとも申し上げていないわけでございまして、そういうことでございますから、この制度全体をどう改善していくかという問題につきまして、きょうあすという問題ではない、かように私は思うのでありますが、ただ今お話しになりましたように、一般的なものの考え方としまして、国民所得はふえていく、国民生活は向上していくというような場合に、この年金制度がそれと歩調のそろわない、取り残されたような形であってはいかぬということは、十分心得ておるつもりであります。また五年に一ぺんは再検討する時期があるわけでございます。いろいろ検討いたしまして、漸次内容の改善、向上をはかっていきたいというのがわれわれの考え方でございます。  なおまた保険料が高いために非常に苦しんでおるという階層が少なくないというお話でございます。その点もあるいはそういうことであろうかと思いますが、しかし一般的に見れば、百円がそれほど高いのだろうかというような点についても、実態をよくきわめたいと思うのであります。同時にこの百円の保険料が払えないというような方方に対しましては、御承知のように保険料免除という規定がございます。この免除の問題が、やはりわれわれこの際考えなければならぬ一つの問題だと思う。免除される、それに対して国庫負担もない、結局給付がもらえないというような形になったのでは困るという考えもいたしておるわけでございますので、ただいまの考えといたしましては、保険料が免除されたような場合においても国庫負担はやはりやっていく、そうして要件が満ちた場合においては給付をやる、こういうような方向に向かって進もうと思って、せっかく今努力をいたしておるところでございます。だんだん改善をして参りたいと思っております。どうぞ御了解いただきたいと思います。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 言葉じりをとらえるわけではありませんが、だんだんとか、次第によくするとかいうことはもっともだと思うのです。しかし切りかえ時期というものがやはりあると私は見ているわけです。だから今この切りかえ時期を見失って、せっかく将来よくしようと思うものも——要するに転機にあるんじゃないかという立場に立って実はお尋ねしておるわけであります。  それから、これは事務当局に二、三お尋ねして、お答えいただくと大へんはっきりしてくると思うので、ちょっとお尋ねしてみたいと思うのですが、今の法律のワクにあまりこだわらないで一つ聞いていただきたい。  この保険の精神は、一条で言い尽くされておるように、病気、廃疾でしょうから、死亡、老齢はもう言うまでもないわけですね。その場合に、日本の今のいろいろな事情、環境がありますから一がいには言えませんけれども、これは先ほど申し上げたように、統計資料を一応前提にしまして、正確にはつかめないまでも、平均点を見るより仕方がない。しかし大体の統計数を見ていきますと、少なくとも一千万人近くの人々が最低の生活を維持しかねておるということは間違いない。だからその人たちに今生活力をつけるためには、他の者ももちろん必要ですが、そういう時代にこそ生活に活路を与えて、そうして経済政策に取り組めるように、政府の政策に取り組めるようにしたい。私はボーダー・ライン以下の者は立ち上がるような積極性を欠いておるということが問題だろうと思います。それに活路を与えていくところに社会政策なり社会保障の任務の高さが評価されるわけでありますから、そういう意味で言っておるわけです。でありますから事務当局にちょっとお伺いしてみたいと思うのは、そういうボーダー・ラインが、厚生省の統計で見ましても、だんだん減っておるというけっこうな報告が出ております。しかし減ったといいながらも、パーセントから見ますと八・八%を前後しておるわけでありますから、なかなか大きいわけです。でありますから、こういう点から考えまして、最低生活は、今のとり方はいろいろありますが、総理府の統計資料でよく用いられます就業構造基本調査、それから家計調査、その中の都市の例で見て参りまして、今日の時点において一世帯でどの程度の金額が望ましいか、これは基準で答えていただいても金額で答えていただいてもいいが、これは計算をなさっておいでになると思いますが、それを一つ述べていただきたい。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 先生の御質問の趣旨がどうもつかみかねておるわけでありますが、先生のおっしゃっておる貧困階層一千万というのは、これは厚生省が昭和二十三、四年ごろから言い出しまして、現実に生活保護で世話をしているのは百五、六十万から多くて二百万程度だけれども、実質的にほぼそれに近い生活をしておる者は一千万くらいあるだろう。従って厚生省が貧困対策を考える場合には二百万や三百万を言うのじゃなくて、一千万というものを頭の中に置いて考えなければならないのだ、こういうことで厚生省が唱え出し、それが当時の経済安定本部なり、あるいはさらに内閣の統計局等の助けを借りまして、今先生がおっしゃったような工合に逐次整備されまして、おそらく今七百万くらいのところまでいっておるだろうと思います。それでありますならば、大体厚生省が当時から頭の中に置いておりますのは、今の生活保護の基準にほぼ近いような生活内容の世帯がそれに入っておる、こういう意味でそれをあげておるわけであります。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 質問の仕方がまずかったかもしれません。あなたの方の統計資料によりますと、行政基礎調査ですか、その数字では三十年で一千百八十一万人、三十五年で八百二十五万人、全体の人口に対して三十年は一三・二%、三十五年は八・八%、こういう資料のことを今あなたは言われた。もちろんこの資料ももう少し聞きたいと思いますが、今お尋ねしておるのはこれじゃないのです。それとよく拮抗するような資料としては、就業構造基本調査の中でもっと大幅なものが調べられておる。この中で九千七百円未満の者、あるいは一万二千四百円未満の着によく出会うわけでありますが、それを使ってみても——こっちは世帯数によって出ておりますから、人口はもっとずっとふえましょうが、これは四・一人ですからそれにかければ出て参りますが、六百五十四万八千世帯です。よく似た数字ですよ。あなたの方が内輪に見ているということが言えるだけです。だからこの数字を私が今どうこう言うのではありません。この数字はとり方によってはもっと変わってくると思います。しかしこれは最小限度に押えていかなければいけないということが政治家の心づもりでありますから、あなたの方も厚生行政の心づもりの資料として出されたということは理解している。私の言うのは、この人たちのボーダー・ラインの生活の基準を一体どのくらいに金額を抑えておるのか。あなたの方は五人世帯ですね。こっちは四・一人ですが、四人平均の世帯で一体どのくらいの生活費を見込まなければならないかということは、年金制度では必ず出てくるはずです。それを聞けばわかる。だから十年、二十年先のことは別ですよ。当面この制度が発足して年金の支払いを開始する時期がいつになるかということについての計算の仕方もありましょうが、この時点において、今年金をかけて下さる皆さんには生活保障は年金でやりますよという場合に、幾ら払ったらこのボーダー・ラインの人たちを納得させることができるかという、その金額はあなたの方でさっきだれかの質問にも答えておられましたが、この資料の中には西ドイツやフランスの例をあげておりますね。しかもその統計のとり方を見ますと、最低債金と標準所得の時点におけるところのものをとっておるようであります。こういう高いものを持ってきて、何かそれに合わせておるような説明をしておりますが、今の大臣と私の話し合いで大ざっぱにわかったと思います。五人世帯で平均でどのくらい払ったら食っていけると思いますか。自分のことを考えてごらんなさい。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 問題の考え方が遺憾ながら井堀先生と食い違っておりますので、どうも御質問にかみ合ったお答えができないのであります。問題は、年金制度で考える場合に、世帯に幾ら出すかということじゃなくて、老齢年金の場合であるならば、一体その老齢年金の基準額というものはどういうものかということなんですが、私どもはその金で五人世帯を維持するんだというふうには考えていないわけであります。それでもって老人がどういうふうな生活を営むことができるか、その場合にどの程度の役割を持たせることを老齢年金の場合に考えるのか、こういうような考え方をしておりますので、どうも井堀先生のおっしゃっておるのにぴったり合わないわけですが……。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 そんなことを聞いているんじゃないんですよ。それは年金にはいろいろな種がありますから、こういう場合もあります、そういうことは、いろいろ技術的にあるでしょうが、そうじゃなくて、一番大事なのは目安です。国民生活というものは、一体どのくらいに抑えたらいいかということがわかって、初めて、そのうちの割合をどうすればいいかとか、その人の生活の実態のいろいろつかみ力があるでしょうけれども、それは個々の差はありますよ。だけれども、平均して厚生省としては日本の国民というのはどのくらいの生活水準を金額に表わせば必要かという大づかみのものが言えるか言えないかを聞いておるだけで、それをこっちのものさしではかればこうなります、あっちのものさしでなければこう言えませんという答弁なら、それはあとで聞けばいいのです。今大臣に質問している参考資料としてあなたにお尋ねしたので、そういうことは今の厚生省は考えておりませんとか、資料がありませんとか、思ってもおりませんということなら、それも答弁の一つだと思うのです。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 私どもは老人一人当たりの生活費として四千六、七百円というのを頭の中に置いて、それをもとにして三千五百円、こういう金額を出したのであります。従って、その程度が妥当だ、こういう考えであります。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 いや、よろしゅうございます。あなたは年金のワクの中以外には答えをしていただくことがむずかしいのではないかと判断いたします。少なくとも政策を立てるときには、自分のワクの中に入ってものを考えたらいいものは出てこないという意味で、実は大臣に質問をしているわけです。その参考にするための資料をあなたが提供していただければという意味で質問を試みたわけです。こういう場所ですから、言質をとられたら工合が悪いことになろうと心配をしているようにとれますので、これはまた別の角度でお尋ねいたしましょう。大臣お聞きのように、結局ここで公式に私どもがお尋ねをすると、厚生省としては、この時点においてどのくらいの生活を見ていかなければいかぬのだろうか。あなたの方には生活保護法という法律があって、ちゃんと役目の上からも見なければならぬことになっておる。その方から聞けばいいのでありますけれども、時間が大へんかかるし、伺えば何か大臣所用を持っておるそうでありますかう、なるべく私は詰めて政策面だけあと大臣に伺って、技術的な問題や現行法の中での質問は別にいたしたいと思っております。それで今あなたをわずらわしたわけです。承知の上で逃げたのだと思いますけれども、頭のいいあなたですから、私の質問の要旨がわからないはずはないと思いますが、とにかくそういう問題は、一応別の機会もありますが、今大事な点は、厚生省としては、一応国民の生活水準というものを大きく分けて、ボーダー・ラインの線を一応持っているのですから、その線の以下のものについては、一体生活費というものはどのくらい見なければならないか。それは生活保護法で見るのもありましょう、あるいは日雇い健康保険法もあるでしょうし、それからいろいろな制度がありますし、そういうもので見ていかなければならぬものがありましょうから、そういうものはまた別に計算をするということは当然なんです。しかし幾らの程度の、要するに、生活をどう見ていかなければいかぬかということは、この場合問題になるのですよ。それに対してずばりと答弁ができぬようなことでは、私はこういう問題を論議する際には、せっかく大臣の答弁に助言しようというのにはいかがなものだろうかと思って実は聞いただけです。答弁していただければ、なおしていただいていいのですが、大体、厚生省にはあるはずです。たとえばほかの形でいけば、生活保護基準なんかからずっと問い詰めていけば出てきます。生活保護基準の中で、厚生省の発表している一級地の五人世帯というものの数字が予算の上にも出てきておる。その予算の要求の基礎になった数字は何かということも聞いて明らかになっておるわけです。それには食費は何ぼとか住宅は何ぼとか、そういうことまでずっとこまかく出ておるわけです。それはおれの方の係じゃないと言えばそれだけかもしれませんけれども、少なくともそういうものがあるわけなんです。しかし、それは生活保護法のものさしですから、そのまま使えないかもしれません。しかし、大ざっぱにどこの場合にも使える数字というものは、厚生省としては用意しておくべきだと思う。不幸にして最低賃金法がまだ軌道に乗らぬものですから、こういう不自由な質問をしなければならない。最低賃金法がきちっとあれば、最低賃金の基準というものが低いか高いかということだけを明らかにして、その基準からどう見ていくのだ、こう言えばすぐわかるわけです。ですから、今のような質問をするわけです。それで、あとで聞きますけれども、大臣の御都合もあるようですから、もう一、二点だけお尋ねしておきたいと思います。  このように、今一番問題になるのは、国民生活の実態を厚生省だけは正確に把握してもらいたいと思います。これはいろいろな角度からわれわれは資料を要求して、それを計算してここで議論するものですから、むだな時間が多くていけません。だから政府としては、厚生行政の中で、国民生活、特に庶民階級の生活というものは、四クラスなり五クラスでもいいから分けてそれを持っている、そしてわれわれはこの水準で、こらものさしではかっていくのだということを出すべきなんです。どこの国だってやっております。それを日本の政府だけ役人が頭の上でああでもない、こうでもない、これでは質問がわからなくなってしまう。そして非常に時間を空費してしまう。私どものようにわずかの時間にどんどん聞いていきたいというときには、非常に不便です。だから、大臣にお願いしておきたいと思うのですけれども、一応厚生行政をやるための調査をやっているのですから、これはそういう意味でちょっと調べてみたのですけれども、ものさしは出るのです。しかし、それを出すといかにも高いものになって工合が悪いなんということがあるかもしれませんけれども、そういうことはもっと大胆に、これはこういう線だ、しかし、それはすぐやれるかやれぬかということは別問題です。それはどっちみちあるのです。そういうふうに、もっと厚生行政だけは、一番国民生活に密着した、一番低い層に取り組んでいるのだから、その生活をここまで持っていきたいというものさしを厚生省は示すべきだ。それは大臣でなければ言えぬということで今お尋ねしているわけですが、事務当局ではそういう答弁をしておられますので、ぜひここでちょっとあなたに伺っておきたいと思うのは、どのくらいの生活水準を保障してあげたいという線がなければならぬと思う。そのことについて大臣のお考えがあれば伺っておきたい。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 私は今どういう利用すべき資料があるのかも十分承知しておりませんので、積極的なお答えがなかなか困難なんでありますが、一般国民としておよそどの程度の生活水準だったらよろしいかというような基準は、まだおそらくないのだろうと思います。現に申し上げ得ることは、言葉が適当であるかどうか知りませんが、最低生活と申しますか、生活保護の基準の問題としては、これは厚生省としても現に基準を設定しているわけでございます。これが一つの申し上げ得る材料ではないかと思うのであります。お話の通りに、最低賃金というものが合理的にきまるということになれば、またいろいろ考えやすい面があるかと思いますが、ただいまのところは、この生活保護法の基準を現在はこうしておる、これを今後引き上げたいという心持ちで仕事をしておるわけであります。決して今のが十分とは存じませんけれども、これもやはり国民所得、国民生活、そういったようなものの上昇につれまして、むしろ最低生活基準は一般の所得が上昇するよりももっと大幅に上げていって、できるだけ格差を少なくしたいというのが私どもの念願でございますから、そのつもりで今後の努力をするわけでありますが、現在申し上げ得ることは、生活保護法の保護基準はあるということを申し上げ得るだけでありまして、これで決して満足するものでもない。底を上げたいというのが私どもの考え方でございまして、どの程度まで上げるかということはやはりそのとき、その時代の他の事情とも関連する問題でございますし、最も関係の深いのはあるいは最低賃金の問題じゃないかと存じますが、そういうふうなものとにらみ合わせた基準を設定していかなければなるまいか、かように考えております。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 ぜひ一つこの機会に要望しておきたいと思いますが、いろいろな都合もありましょうが、生活基準というものを、今年活保護法では法律で明示しておりますから、調査をいたさなければならぬ。しかし、それをここへ持ってこれるならば私はこれを使う。けれどもこれも取り方が非常に複雑でしょう。都市でもまた出せというから、かなり無理をして出しているように思います。年令で違ってみたり、それから性別で違ってみたり、あまりこまかくし過ぎて目安にはならぬと思うんです。だからマイクロ・メーターでものをはかるようなものなんですから、それは要するに厚生行政の基準にはならぬのじゃないか。だからそういうものでもし議論しなければならぬとするならば、国政調査をするのに非常に不便だと思う。ですからそういう意味で、私は目安ですからかなり大ざっぱなものでいいと思うんです。大体大都市、中都市、地方都市と家計調査をやっております。そうして四クラスくらいに分けて、そこで大体生活費はことしはこのくらい見なければならぬ、物価の上昇でこう見ていかなければならぬというものを大体スライド的なものさしをもって、そうしてそのものさしが高いか低いかという議論はまた別にしたらいいのであって、このものさしではからなければ、こういう問題の論議は建設的にならないと思う。主観ばかり述べていたのでは……。私はわが党の立場を述べるなら、何もこんな質問をしないでもいい。今必要なことは、国民が待望しているのは、年金制度を一日も早くものにしたいということだろうと思うから、かわって質問しているわけです。そういう意味で、第一にものさしになるようなものをぜひあなたの代にお考えいただいて、せっかく厚生白書なんかを出していただいて非常にいいと思うんですが、あるものは緻密になり過ぎて、あるものはどだいはしにも棒にもかからぬものが一緒に出てきちゃっている。そうじゃなくて、厚生行政の基準になるべき国民の生活費というものはこれだというものを作っていただきたい。そうしてものさしが高いか低いか、ここはああするか、こうするかという議論でなければ議論にならないのではないかと思いますので、この点は大臣のお仕事だと思いますので、強く要望しておきたいと思います。  それからもう一つお答えを願っておきたいことは、それは来年度の予算とすぐ関係も出てくるわけでありますが、この年金制度の中で忘れられている問題が幾つもあると思うんです。今度は大へんけっこうな法律が出てきておりますけれども、これもさっきのものさしの例じゃありませんけれども、公的な年金制度をどういう工合に今後調整していくかということについて、法律まで出すわけでしょう。これもあまり技術的にあれしないで、もっと政策を動かすための線を出してもらいたい。たとえば今の厚生年金保険とこの年金をどう持っていくかということを、あのまま合わしたら合わぬと思う。異質のものだと思う。片方は雇用政策も入っておりましょうし、労務管理の問題も入っておりましょうし、そういうものを社会保障の年金制度に一本にぴしゃっと結びつけるなんということは、これはこまかくくくればくくるほどむずかしくなると思う。だからできませんという資料になる。そうでなくて、前向きのものでなければならぬ。困難であっても一緒にしなければならぬという性質のものだと私は思うんです。そこはふん切り方だと思うんです。私はそれは政策だと思う。それをあまり技術屋にまかしてはいけない。どうもあまり事務当局の頭がよ過ぎるものですから、ついわれわれと話し合いをしておりましても土俵が違ってきてしまう。今試みに局長にお尋ねしたが、専門家としては世界に比べても決して遜色のない優秀な技術屋さんであるかもしれない。しかし政策の方へそれを持ってきたのでは私は進歩しないと思う。だからその調整をやっていただくのはあなただと思う。そういう意味で、今言う公的な年金制度をどういう工合に調整していくかということは、この際大きく踏み切りませんと、今のようなことをやっておりますと、ますます八幡やぶに入ってこんがらがっちゃって収拾がつかなくなっちゃう。両方の立場を強調し合うようなことになっては、しょせんはガンになってしまう。そういう意味で、この問題についてももっとラフな、大きな線をぽこっと出していって、そうして事務当局の仕事を推進するような形をとるべきではないか。私はこういう考えを持ってお尋ねをするわけであります。そこで今の、これは通算年金法が出ておりますから、そこで詳しく論議すればいいのでありますが、土俵が違うものですから、そららの方は自分の説明は正しいと思う。こちらはどだい見当違いの答弁をしていると思うから、から回りするきらいがあるし、今度はその法案の審議もありますから、この際お願いしておきたいと思うが、ここは異質なものだ、これはくっつけようとしてもできません、これはこういう形でくっつけます、そういう工合の説明が望ましいと思う。公的年金の、一口にいえば統合といいますけれども、この統合は簡単にはできませんよ。できぬからといって投げられない。どうしてもしなければならない。そうするためには、ここは困難だ、ここが異質だということを明らかにすべきじゃないか。そうして提案していただきませんと、枝葉末節にこだわって、私どもは記録を読んで恥ずかしく思うのです。何のため議論したかと思うようなことを自分自身が強く反省いたしますものですから、これはやはり政策上の運び方にあると思う。その政策がぴったり事務当局に血がつながれば、もっと前進してくると思う。だから不必要な論議が多くなってくると思う。それはもう政党の基本的な立場が違うというようなことなら、これは論議したってしようがない。そうじゃなくて、個々の一致点を見出して、その一致点のところでこうやろうというのだから、その点を明らかにしていただかなければならない。たとえば今言う年金制度の問題をどこを変えようかという場合には、ここは自民党としてはこういう基本政策の上に立っているから、これは動かせぬ。しかしここは動かせるということがわかってこそ与野党の論議というものが建設的になる。ところがそういう舞台に上せるのは原案提案者の工夫のうちに属すると思う。そういう点が年金保険の中にない。この点についてお考えがおありでありますならば、一つ伺っておきたい。

灘尾弘吉自由民主党厚生大臣

○灘尾国務大臣 井堀さんの御趣意はよくわかります。御趣意はよくわかるのでありますが、この国民年金を今後どうしていくか、あるいは厚生年金との関係をどうしていくか、あるいは他の種の年金制度との関係をどうしていくかというようなことはなかなかむずかしい問題だと思います。おっしゃったようにいろいろな、中には一緒にしようとしたって無理だというような要素もございましょうし、また全体的に考えればなんとかそこに調和のあるものにしなければならないという問題もございましょうし、そこらの辺も今事務当局も勉強いたしておりますし、政府としてもまた専門の方々の御意見を伺おうということでやっておるわけでございまするが、成案がございましたらいつでもお目にかけて、そうしてまた御検討を願うということになると思いますけれども、今のところその点について私は井堀さんに、こういうふうにやるのだ、こうするのだというだけの設計ができていないということを率直に告白して御了解願う以外にない。問題としては決して捨てておくのじゃない。もちろん問題点を発見することに努めなくちゃなりませんし、それを調整するのにどうするかということを考えなくちゃなりますまいし、いろいろやって参りたいと思いますが、お話の御趣意はわかるのでございますけれども、現在直ちに御期待に沿うことのできないことを残念に存じます。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 大臣、何か御都合があるようでありますから、私の方はこれであとは事務的なことを当局に伺えばいいと思いますが、ただ今せっかく御答弁をいただきましたから、なお念のために強く要求しておきたいと思いますのは、まだ今から間に合いますけれども、年金通算法が出ていますが、それは確かに今の厚生年金の被保険者と今度国民年金による被保険者との利益を、既得権をそこなわないようにして保護していくということは当然のことなんです。その部分を精密に扱うものですから——もっと大事なことかある。それは将来統合される上に多少でもプラスになるという形でなければいけないと思う。摩擦になっちゃいけないと思うのです。その部分をここで論議しておりますと、どだい土俵が違うものですから、時間ばかりかかって、中心に触れないままに終わってしまうという危険がある。実際通算をやるとわかりますけれども、これは一つずつ出してやってみてあなたに御答弁いただけば正確に出ると思う。ですから、年金制度というものは言うまでもなく一本が望ましいのであります。そういう状態にぜひ持っていかなければならぬものですから、そのためには、たとえば今の——私はこういう経験を自分で持っておるものですから申し上げる。古い話ですけれども、昔は工場法によって労働者の公傷病、事業場でけがや職業病の場合は雇い主が全額負担していたものなんです。それが健康保険になると、自分が掛金をかけなければいかぬ、そうして当時既得権を侵されるというので、われわれは反対運動をやったものです。しかしよく考えてみると、その犠牲は単なるマイナスじゃなくて、それよりももっと得るものがあるということが経験を通じて教えられてきて、今ではそういうことを言うといかにもナンセンスに近いような議論になるけれども、そのときは真剣な反対運動をしたのです。だから政治というものは時間をかけてみると下らぬことであったと思うても、その時点においてはなかなか深刻な問題があるという例なんです。ちょうど今の年金制度というものは新しい制度を生むわけでありまするから、古い制度のいいものをそこなわないようにやはり吸収していく、あるいはその足りないものをそこにぶちつけていくというような、要するに前進的な姿というものが前提にありませんといかぬという意味で実はお尋ねをしたわけであります。そういうわけでありまするから、そういうものの出し方を一つ提案してもらいたい。そういう点、私どもは現在の法案を審議する場合の大事なことだ、あなたならきっとおわかりいた、たけると思うので、強く要望しておきます。特に年金関係のそういうものを法律でやろうというわけでありますから、非常に精密なところがあるのです。しかし、その精密なところはかえって制度を伸ばす上には大きなブレーキの役割を果たして、歯どめの役目をするのが幾つか気づかれる。それをほぐそうとすれば、それだけでえらい時間をかけて、角をためて牛を殺すような結果になりかねないものがある。そういうものを、きょう時間がありますと事務当局に具体的にお尋ねをして、そうして私の納得いかぬところはあなたにお答えしていただくという形で準備をしておったわけでありますけれども、何か大へん御都合があるようでありますから、またそういうことについてお気づきいただければ、言葉は足りませんけれども、あなたには十分判断していただけると思いますので、私の質問の目的は達せられたような気がいたします。速記録を見るとおかしくなっているかもしれませんけれども、勘の上でお互いに相通じたものと理解できますので、あなたに対するこの部分の質問はこれで終わりたいと思います。  年金局長に、私のどうも理解しがたい点と思われるものを解明していただきたいと思います。   〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕  まず第一に、あと先になってしまいましたけれどもお尋ねをいたしたいと思うのですが、この年金制度を政策的に転換をさせようというのは、お聞きいただいておりまするようにおわかりだと思うのであります。そこでそれに関連してですけれども、ことしの人事院勧告によりまして公務員の給与の問題が表へ出ておりますから、この例を引いてお尋ねすればよくわかると思うのです。公務員の給与は民間給与に均衡させるということはもちろんでありますけれども、一つには公務員としての任務を十分果たすための最低生活の保障が行なわれなければならぬことはいうまでもない。それに職務職階や、あるいは年功やその他のものが加算されてくるわけでありますが、あの中にも言っておりますように、最低基準を出しているのです。十八才の東京の場合を。だからもう十分御存じだと思うのです。そうすると厚生年金の場合は、これは他の理由がありますから一がいにあれを例に引くわけには参りませんけれども、あれは報酬に比例して、標準報酬、健康保険と同じような例をとっておりますから、ここにはいい、悪いは別として一つの基準があるわけです。そういったようにこの年金制度を考える場合には、どうしても生活基準というものをいやがおうでも論議しなければならぬと思うのです。だからあまりかたくなに一つのからの中に入って出てこなければ、これは話にならぬと思うのですが、そこでどこまで出てくるか問題になると思います。大臣のように政策的に権限をお持ちでない者にそこまで出てこいと無理は言いませんと前提を置いておきますが、そこで今厚生省が国民年金保険法の改正を作業する際に問題になるのは、一体日本の国民生活というものをどの辺にながめていくか、それをながめたことがあるかないか。持たないというなら一体どういう基準でこういう数字をはじき出したかについて問題が残るわけですから、その第一の点で、さっきは大臣にものを聞くのが目的だったものですからあるいは不得要領な質問に終わったかもしれないが、今度は少し時間をかけて……。これでお答え願えますか。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 先ほど先生が大臣に言っておられましたことはよく承っておりましたし、そのことの意味はわかっておりますが、どうも私には先生の問題の立て方が受け取れないのであります。私たちの方は、老齢年金の場合には、一体老人の生活というものをどういうふうに考える、それは先ほど申し上げたように、月大体四千六、七百円というものが今の日本では普通にかかるものだ。そのうち四分の三という程度のものを何とかわれわれの年金でカバーできるというところを目標にしてやりたい、こういうことで三千五百円という目標をきめて、将来それがそれぞれの事情に応じて上げられるものは上げていく、しかし、そのときどきにおける老人の普通の生活の所要費用のおおむね四分の三程度、つまり七五%程度というものはほぼまかなえるようなところをねらっていきたい、こういう考え方でいくわけです。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 それではあなたのペースに乗って尋ねていくのがいいかと思います。私のペースに乗ってもらえそうもないから……。  老人の今の三千五百円という根拠について、簡単でけっこうですから一つ説明を伺って、それから言いましょう。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 現在の三千五百円という目標をきめましたときには、大体こういうような調査なり当時の実情というのが主体になっているものであります。それは、一つは昭和三十二年の国民一人当たりの一カ月問の消費支出額というものが四千……。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 資料は何かということを言って下さい。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 これは当時の総理府の家計調査だったと思います。間違いがあったら後ほど訂正いたしますが、総理府の家計調査だったと思います。これの成人男子一人当たりの消費生活というものが大体四千七、八百円程度であったわけであります。そのうちから共通費と思われるようなものを二割五分程度控除した残りが三千八百円程度になった。これは一つのめどであります。それからもう一つは、昭和三十二年の厚生行政基礎調査の中における高齢者一人世帯の一カ月の現金支出額が四千四百六十円であったのでありますが、そのときにおける高齢者二人世帯の一カ月間の現金支出額が七千九百八十円であったのであります。両者の差が三千五百二十円程度、こういうような結果が当時得られたのでありますから、それで大体のめどとしてまず三千五百円、こういうことをめどにしたわけであります。なお、これに落ちつけましたことには、もう一つ全然別の根拠でありますけれども、社会保障制度審議会がやはり別の根拠で三千五百円というものを答申に出した、まあ大体そういうことで、いろいろな材料から出ているものが三千五百円に向かっていたということで、三千五百円というものを私どものめどにした、こういう事情でございます。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 そこで、もう一つその三千五百円に関係してお尋ねをしたいのであります。老人の三千五百円という数字をそういう実態的なものでおやりになっておるというのですが、そこでもう一つ問題になるのは、他の国々ではそれを出すのに実態生計費のほかに理論生計費を用いているわけです。人事院勧告の中にも一部それを引用しているようですが、厚生省はその点どうなんですか。この場合の理論生計費の問題についてはどうなんですか。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 おそらくその場合に理論生計費としてあげられるものは生活保護の基準になるであろうと思います。その出時における老人一人当たりの基準というのは、これは社会保障制度審議会がとっておりまする、根拠にしている二千円というのが当時の基準であったわけであります。これをそのまま老人一人当たりの理論生計費と言い直すことが適当かどうかということは、いろいろの議論はありますけれども、大体それをわれわれとしては当時考えておったわけであります。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 実態生計費については、不十分ながらも三つ、四つの資料を並べておりますから、またこれは議論の分かれるところであると思いますが、もっと大事なのは、理論生計費を無視するというわけにはいかぬのじゃないかということです。今のあなたの答弁で言えば、生活保護基準を作るためのものをここに使ったようなことを言っておりますが、その根拠はだいぶ違う。しかしそれはそれでいいでしょう。もっといけないのは、人事院はM・B方式を使っております。そういういろいろなやり方があると思うのですが、理論生計費をお使いになるということは、この場合どういうようにお考えになりますか。なぜお使いにならないのか、あるいは使うことによって弊害があるのかどうか。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 これは、結局この年金制度というものに持たせる実際上の役割といいますか、そういうものについての考え方がもとになると思います。この制度については、これは初めから申し上げておりますけれども、私ども今の日本でそんなにりっぱな制度が作れるはずはないという前提に立っておるのであります。従って、この制度で果たせる役割というのは、それによって生活を完全に維持できるなんということは考えられるものじゃない。生活のささえになるという程度の年金であるというのが、この国民年金制度のスタートでもありますし、またそれが基本的な性格なんであります。社会保障制度審議会の答申もそういう考え方でやっているわけであります。従って、そういう場合の基本になりまする標準生計費というものは、先生がおっしゃっているほど、それほど精密に、神経質に追求するという必要はないわけであります。大まかなめどをどこに置いて、そのうちのどの程度をこの年金制度でカバーしていくかという関連になるわけでありますから、当時におきましても現在におきましても、大体この程度のめどでこの点の検討は一応十分である、ただ問題は、そうやって目標にいたしました三千五百円という年金額がほんとうに出る時期までの間に、たくさんの経過期間がなくてはならないということが現在の制度におけるわれわれの最大の悩みでありまして、これをいかに短い期間でそこへ持っていくかということに私どもの現在の大きい課題があるわけである、こういうふうに考えているわけであります。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 理論生計費を使わないという理由を今あなたがおっしゃられると、政策の曲がったものをお手伝いするような危険があると思うのです。あなたは方々調べられたけれども、生計費をとるときに、実態生計費、しかも実態生計費をあなたは三つばかり統計をあげましたけれども、これは基本的なものとの関係も出てくると思います。それはあなたが説明されたように、事実はこうなければならぬけれども、あるいは理論的にはこうなるのだけれども、要するに、日本の年金制度の場合はそういうものは望めぬから、それに合わせるような数字を作ったということにしか今の答弁じゃならぬのです。そうするのが、むしろ技術部門を受け継ぐものとしては、なかなか深入りした配慮だと私は思う。これは議論になるでしょう。しかし、少なくとも私どもの望ましいことは、こういうように社会保障制度の背骨ともいうべき年金制度を育てようとするものとしては、良心的にいろいろなことをお考えになっておると思うから、それを前提にして実は質問したのですが、私の想像の通りでした。少なくとも理論生計費を割り出せばこうなる、実態生計費はこうなっておるという事実だけは大臣の手元に届けておく必要がある。大臣は政府の政策に合わせて、ここをこう削る、ああ細工をするということはあり得ると思う。またそれに対してわれわれ批判を加えて論議をし合うわけです。しかし、当然どこでも年金制度を考えるときの第一歩である生計費の基準というものを、最初から細工をしているというようなことになったのでは、なあんだそんなものというようなことを奨励するようなことになって、まことに残念だと思うので、まさかそうじゃあるまいと実は半信半疑の点があった。これは議論にわたりますからよしますけれども、少なくともあなたのような立場をとる人としては、理論生計費で計算すればこうなる、実態生計費はこうだ、あとは政府がいろいろな政策を加味してここら辺というのならわかる。しかし、そのものさしが伸び尺だったらこれはお話にならぬと思う。メートル法はどこでも共通したものでなければならぬと思う。だから、そこがくずれてしまってはいかぬと思う。  あなたに次に聞きますけれども、これはあなたの方の資料で、だれの質問に対してもこれでお答えしておりましたが、西ドイツやフランスと比較しておりますね。それで、西ドイツの場合は標準賃金、イギリスの場合においてもそうです。フランス、西ドイツの場合はここにこういう数字を出してあるんですが、これで聞いたらわかる。西ドイツとイギリスとフランスと日本と、こう並べてデーターが出してありますね。日本の場合は一九七〇年、イギリスの場合は一九五〇年、フランスは一九五四年、西ドイツも一九五四年、そしてドルで比較をして書いてあります。ところが、フランスでもイギリスでも西ドイツでも、ここへあげている国々は、もう最低賃金法が厳然として存在している国々です。   〔藤本委員長代理退席、委員長着席〕 大体賃金の計算の仕方というものは、決してあなたの言うようなお粗末な実態生計費調査じゃありません。理論生計費にしても、幾つかの理論生計費を持っておる。実態生計費も同様であります。それから統計の上においても、実態を把握するのに、日本のように推計がありましたり、あるいは部分的な統計を集めてきてやるといったようなんじゃありません。そういうものをここへ持ってきてわれわれに提供しますと、いかにも日本の方は国際水準に近いなどと言われまして、ああそうかなあととるかもしれませんが、今あなたのおっしゃったのとはものさしが違いますよ。その点どうお考えですか。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 先ほど私が申し上げたことを何か非常に新しいことを申し上げたように先生お聞きでございますが、これは私はもう三年前から申し上げているわけでありまして、おそらく当時の速記録にも残っているはずであります。事実はそういうことでスタートした、その点は非常に明瞭なのであります。また、それで今の段階の年金制度の目標額としては十分だという考えも変わっていないわけであります。  それから、フランス、イギリス、西ドイツとの点、これは私、被用者年金の部分については申し上げかねますけれども、少なくともフランス、西ドイツ、イギリス、これらの国々の制度が、先生のおっしゃったほど精密に一つの標準生計費と申しますか、それをきめて、それを正確に追求しているという事実はない、私はそういうふうに考えているのであります。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 何も議論する必要はないのですが、ここにあげておる西ドイツとフランスとイギリスの場合は、私は賃金制度について多少調査しておることがあり、資料も持っておる。西ドイツの例をあげましても、労働組合も経営者団体も、両方とも大きな調査機関を持っておる。かなり大がかりな実態調査もやっておる。理論生計費も幾つか持っておる。それでも多少誤差が出てくるのはあたりまえなんです。しかし労使の争いの場合にも、深刻な場面に用いられる数字も、数字で争うということはほとんどないです。信憑力の高いものを両方とも持っておる。日本の場合はないでしょう。たとえば人事院勧告のあれを見てもわかるように……。だから、私がここへその話を持ってきてはいけませんけれども、私があなたに聞いておるのは、新しいことを発見したというのではないので、事実を知りたいから聞いている。だからあなたに事実を言っていただけばいいのです。それが正しいとか正しくないという判断はあなたがすべきではないと思う。われわれがする。あなたの方は資料を提供すればいいのです。だから、私は事実を伺っているのですから、あなたの意見を聞いているのではないのです。誤解しないようにしていただきたい。ですから、ここにあなたの方の出されている資料だけに例をとってみても、あなたは今自分でいみじくも言われたように、老齢年金の場合の三千五百円というのは正しいという主張の仕方であるが、正しいか正しくないかということは問題の外にあっていいと思う。それは今言うように、三十二年の総理府の家計調査によれば、あるいは厚生省の高年令者の調査の結果がそうなっている、こういうものをこういう方法で計算すればこうなったというだけでいいと思う。私はあなたの答弁はそれだけで正しいと思う。それ以上、その三千五百円は間違いがなかったとか、今から三年前に言ったからというようなことはよけいなことだと思う。それはいつから言い出してもけっこうだと思う。だから、三十二年の時点のものをもとにして三千五百円が出たのだから、それからだんだん家計費がかさんできていることもわかっている。それに三十五年を合わせ、三十七年を合わせ、四十年、四十五年を合わせていくわけです。だから、この時点においてはこういう調査に基づいたからこういう金額が出たということだけでいいと思う。私が今あなたに聞いたのは、なぜ理論生計費を採用しないかということを聞いた。だから、その必要がないかのごとき口吻だったから、そうだとするならば、あなたの方がイギリス、フランス、西ドイツの例をここに持ってくると非常な間違いが起こってきますよという質問をしておるわけです。どうなんですか。このごろ厚生省がわれわれにくれましたのは、厚生行政長期計画基本構想というのですけれども、これは非常に大事なものです。厚生省試案として資料がわれわれに提供されておる。そこで年金制度に関係したところで見ますと、日本の年金制度の給付というものが低くはございませんというかのごときパーセントをあげてあるパーセントは、今のような資料と向こうのものさしとは違うのですから、クジラ尺とメートル尺とで数字を見たのでは違うのと同じような意味で違うのです。そういう間違いを起こしてくれるなということを念を押して質問をしておる。これで間違いないなら間違いないと言って下さい。それであなたは今ちょっと言いかけたけれども、西ドイツのものはそんなに精密ではないということは何をもって言えるのでしょうか。少なくとも賃金の基礎になる数字は、この三つの国はいずれも、それぞれの団体も国もかなり精密なる資料を持っております。国際統計法によるものを見ても、日本のものは比べものになりませんよ。そういうことを言い張らなくてもいいのじゃないでしょうか。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 先ほどの理論生計費の問題は、私、先生のおっしゃった意味を取り違えて申し上げたようでありますが、先ほど申し上げたように、理論生計費として当時考えられるものとしては生活保護の基準があったわけでありますが、それは当時の価で一人二千円という金額であったわけであります。従って、月二千円という金額ではどうも少しさびし過ぎる、一方実態生計費の方から割り出してみると、五千五百円という程度のところをねらうのがより妥当であろう、こう考えて、二千円といういわば理論生計費とでも言うべきものを参酌しつつも三千五百円、こういうふうなものをとったというのが当時の考え方でございます。  それから後段の部分につきましては、ここに書いてあることには間違いはないはずでございます。ただし、これも言い方が少し悪かったのだと思いますが、日本の現在の国民年金も厚生年金も、これが国際水準に近いなどというようなことは決して考えておりません。これは両方とも非常に低うございます。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 高いとか低いとかいうことは私どもが判断するということを言っておるのですけれども、訂正していただければけっこうです。私にあなたの方からくれた資料にはこう書いてあるのです。この中の百一ページの、見出しは「年金の給付水準」というところなんですが、これは全部読まなくてもわかりますけれども、その比較対照に出した数字的資料を見ますと、一九五三年から一九六〇年までのものですが、賃金が製造業、年金額が単身者と夫婦、それから国民扶助の関係が単身者と夫婦というようにここへ数字をずっとあげて、その次は「フランスにおける平均年金額の推移」を出している。そうして西ドイツが出ている。これについている説明を見ているとわかりますけれども、これは今も質問をして明らかになったので、これは数字には間違いないでしょうが、並べ方がいけませんよ。というのは、私がここであなたにこういうことを尋ねているのは、われわれが正しく政府案を批判し論議していかなければならないから言っているのであって、そういう点について、最初から数字の上にいろいろな思惑が入っていたりしたのではいけないから、それを明らかにしているのです。しかし、今一つはっきりいたしましたから、それで私の質問の目的は達しました。  それで、第一問題になりますのは年金制度でありますが、大まかに言いましていろいろあります。先ほどあなたもちょっと触れておりましたけれども、社会保障制度審議会の答申案についてよくいろいろなことを聞きます。きょうはここへ持ってきておりませんけれども、その社会保障制度審議会の第一回の答申案には、年金制度の問題についてかなり詳細に述べている。ごく最近のものは、これもあなたの方から私の方にくれた資料で、三十六年二月二十日付のもので、もちろん部分的なものですけれども、しかし、この前提になるものは第一回の答申案です。こういうように、社会保障制度審議会がどういう答中をしているかということはもちろんわれわれにとって重大な判断の資料になります。だけれども、同時に一方では、原案を作った政府の根拠というものがどこにあるかということをわれわれが見誤ったのでは議論はもう全くから回りをしてくるし、見当違いなことになるものでありますから、それで事務的に聞いたのです。特に年金保険の場合におきましては、被保険者の側、国民の側から言いますならば、掛金はできるだけ少なくて、そうして反対給付はできるだけたくさんほしいというようなことは当然なんです。ですから、反対給付である老齢年金はどうなるか、あるいは一時金はどうなるか、あるいは廃疾の際における年金はどうなっているかということは、数字の上で国民はすぐ判断をするのです。そこで、その数字が正しくなければならないわけです。あなたが言うように、三千五百円はだれが見ても三千五百円なんです。しかし、その三千五百円はなぜ三千五百円という数字が出てきたかということについては、根本においては、こういう計算、こういうケースの中から出てきた、それに政府の政策がこう加味し、われわれはその政策にここに違いがあるということをきびしく出してこなければならぬわけです。そういう点で聞いていったので、あなたの最初の答弁とあとの答弁の訂正がありましたから、はっきりしたのですが、念のためにもう一ぺん復習しておきますけれども、三千五百円という数字は、三つばかりの政府の統計の中から割り出されたものだ。理論生計費は加味されていないということが明確になった。今度私と政府との間には、なぜ理論生計費をこの際用いないのか。同じ政府の、この国会の同じ時点において、公務員の給与の場合には理論生計費が頭を出してきておる。こっちにはない。厚生省の例をとりましても、厚生省の場合においては、生活保護法の生活基準を出すときには、理論生計費が、完全には出ておりませんけれども、部分的には出ておる。こっちの場合はなぜ出ていないかということを聞いているのですよ。あなたの方は当事者だ。そういう意味で聞いておりますので、ぜひ今後もあることですから、なるべく時間をかけぬように私も質問しますけれども、お答えもお願いしたいと思います。  それで、もう一つ、今度は掛金のことだが、代表的なものを聞いておきますと、掛金の場合の百円という数字です。これも数字が出たのですが、百円というのは、どういう根拠があるのですか。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 これは百二十円というところからきているのであります。それで、百二十円というのは、どこからということになりますが、若干くどくなりますけれども、あらかじめ必要だと思われる給付内容を想定して、それをまかなうために、数理保険料としてどれだけ必要かということを計算しましたところ、百八十円という額が出て参ったのであります。この百八十円のうち、国に三分の一負担させるという一つの態度をきめまして、その結果百二十円という額が出たわけであります。この百二十円というのを被保険者から見た場合に、納めやすいように、また徴収しやすいようにしよう。それには若い、まだ比較的年金ということを考えにくい年令にある場合には低くし、年金というものを考える年令に近づいたところを高くしようというので、三十五というところを境にして、下を百円、上を百五十円、こういうふうにしたわけであります。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 国庫負担の三分の一というのは、何の三分の一か、総額のですか。そうしますと、総額というと百八十円でしょう。内容は百八十円です。三分の一といったら算数が合わないじゃないですか。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 百八十円から三分の一の六十円を引きますと、百二十円になるわけです。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 その六十円は何ですか。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 三分の一です。つまり国がそれを負担するわけです。そうすると残りが百二十円になるわけです。それを百円と百五十円に振り分けたわけであります。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 そこで問題になるのは、国庫負担の三分の一です。この三分の一というのは、どこから割り出してきたのですか。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 これは社会保障制度審議会が、三割国が負担せよという答申をしたのであります。ところが三割ではどうしても収支がうまくとれない。かたがた制度の性質からいって、なるべくよけいに出したいというので、いろいろもみ合った結果、三分の一国に持たせる、こういうことになったわけであります。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 ちょっとつまらぬことかもしれませんが、この答申案を受けたというのは、もちろんそうですが、もみ合ったというのは、どこでもみ合ったのですか。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 政府部内で、私どもと大蔵省、これに与党も介入されましたけれども、そこでいろいろ長い間折衝があったのであります。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 確認しておきたいと思いますが、よくわかりました。そうすると、百円と百五十円の根拠は、百八十円が、給付内容から逆算してくるとかかる。こういうことですね。そこで、そのうちの六十円を国庫負担、残りを百円と百五十円に分けると、こういう計算が出る。こういう見方ですね。それから、その三分の一というのは、社会保障制度審議会から三割の答申があったので、それにやや近い数字が、結局与党の自民党と、それからあなたの方の厚生省の事務当局の折衝の結果出てきた、こういうわけですね。よくわかりました。  そこで、次にお伺いをいたしたいと思うのは、あなたもちょっと今触れかけておりましたが、百円の負担の能力の問題は、お考えになったのですか、どうですか。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 百円を実際にとろうとした場合に、どういうふうなことになるかということでございますが、これは当時三十ばかりの市で若干実態調査をしてみました。それで、やった結果、大まかな結論として、市町村民税の均等割の免除されているような人々から保険料を期待することは、額を多少低めても無理だ。従って、これはこの制度の場合に、一応保険料を納められぬという前提でいくという必要があることがわかったわけであります。それで、大体保険料の免除というものを、そのくらいの線からちょっと上に置くことを考えさえすれば、百円、百五十円というものは、大体徴収していける。これは三十ばかりの市の部分的な調査でありましたけれども、そういうことで見当をつけたわけであります。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 これは大臣にお尋ねするのが筋だったかもしれませんけれども、先ほどの経過で御了解いただいて、あなたがかわって答弁願えることと思いますが、これは政策がだいぶ加味することになると思う。百円と百五十円は、この場合百二十円と置きましょう。百二十円の負担は住民税を目安にしたという御説明が今ありました。そこで、これは保険料とはいいながら保険税、すなわち税金と同じ性格を持つものなのです。そこで私はこういう点を考慮されておるか、次に伺いましょう。税制調査会の答申が別にまた出ていますね。ごらんになったと思う。まだですか。それでは、こう聞きましょう。結局毎月百二十円ですから、年間にしたら相当な金額になるわけです。それが今日の税の負担の関係の中において、どういう割合を占めるというふうにお考えになっておるでしょうか、聞いておきます。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 どういう割合を占めるかということに対する端的なお答えにならぬかもしらぬと思うのですが、市町村民税の均等割と比べれば、これは問題なく非常に多い額であります。おそらく三倍から四倍足らずになっている額であろうと思います。それから市町村民税の所得割を納めている人との関係から考えれば、それよりはやや低目になっているというような額じゃないかと思っております。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 そこまではっきりわかっておれはいい。とにかく今日の——税の議論になるわけですけれども、これは強制加入になってきますと、増税になるわけです。そうすると、その住民税の中では、あなたは、均等割に比べて比較にならぬ大きな負担になるということを御存じのようです。今日地方税は、とにかく住民の負担がいかに過重なものであるかということは常識になっておる。税制調査会においても、要するに税金の負担のみならず、公課に類するものが非常に重過ぎるから、そういうものにかわるべき財源を国が持っていくような意味の税制改革を答申されてきておる。それから所得税あるいは一段の直接税関係においても、基準年次の昭和九年から十一年の年次に比べて低額所得者の負担率というものが非常に高い。従って、免税点を引き上げろという答申が出てきておる。また政府はそれを受けて漸次税の減額には心しておるということはたびたび答えておる。これと逆行するのですよ。ですから、こういう問題がただ給付内容から計算をして、政府の三割負担の方を優先させて、あとはお前らが払うのはあたりまえだというこの計算の仕方は、当初大臣に私がこの時点において社会保険制度のあり方について明らかにした考え方とは非常な違いがある。こういう配慮が全然行なわれていないということになるわけでございます。これを聞いてから大臣にお尋ねすれば、抽象論でなくて具体的な答弁がいただけたと思うのです。でありますから、今日の税の国民の応能課税、国民の税の負担能力からいうと、あまりにも低額所得者に過重になっておるから、低額所得者の免税点というものをできるだけ早く引き上げる。そして高額所得者に負担を願うようなやり方が望ましいということは、税制調査会の答申を待つまでもありません。福祉国家の方向としては当然そうあるべきものなのであって、しかも第一条をあなたはごらんになったと思うが、この法律はだてや酔狂でこういうことを書いているのではない。あなたに言うのは失礼かもしれないが、いいですか、こう書いてある。「日本憲法第二十五条第二項〔国の社会的使命〕に規定する理念に基き、老齢、廃疾又は死亡によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。」すなわち憲法二十五条は国の社会的使命を規定しておる。言うまでもなく、これは老齢や疾病やあるいは死亡などによって生活が脅威を受けた場合には、当然国がめんどうを見るべきだということを規定しておる。その憲法の精神を受けて、さらに国民の共同連帯の責任というのを保険制度に置いておるわけでしょう。でありますから、この第一条の精神は国民の共同連帯の責任をあとからついていく。国の責任が高く問われておる。これは大臣にお答え願おうと思ったことでありますけれども、社会保障制度審議会の答申が絶対のことのようにこういうときには言われる。あるいは人事院勧告のような場合においては、望ましいなんというようなところへ逃げられる。これは、私は同じものを白く言ったり黒く言ったりする矛盾と変わらない矛盾だと思う。もっと大胆に率直に他の理由をあげてくるべきだと思うのです。この場合はあなたの説明で明確になっておる。給付内容が百八十円要るとするならば、その財源は出さなければならぬ。三割にすべきか、あとの割合はどうすべきかという、割合をきめるときはこの第一条の精神によるべきだ。あなたにそんなことを言うわけではないけれども、少なくとも事務当局がいろいろな作業に入って、あなたも参加していると思いますが、この法律第一条の精神はだてや酔狂で書いてあるのではない。この法の基本を示しておるのであります。割合がむしろ逆は国民共同負担の場合が少なくなって、国の負担が多くなるという場合、国の負担能力の問題になるでしょう。私がさっき大臣に、自然増収が三千億も見込めるようなけっこうな時代、神風に近いような喜ばしいことですからということを言ったのは、だてや酔狂ではない。だからこういう場合多くかけるということは第一条の精神にくるわけです。そういう意味で、国民の負担能力の問題からいっても、問題になりません。  それからついでにちょっとあなたにお答えいただこうと思いますが、問題はそういう計算でもよいのでありますが、百二十円の負担能力の問題です。被保険者の対象は、無拠出年金その他のもので恩典を受ける者は別として、ボーダー・ラインの数字をちょっと聞いたのですが、ここに出てくる厚生省の行政基礎調査に基づきます昭和三十五年のものにいたしましても、八百二十五万人おるでしょう。これは一体免税点はどこらにひっかかっておると思いますか。税金の方はお調べになっておりませんか。住民税でもよろしいのです。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 これもどうも先生の御質問にぴたっとお答えすることにならぬと思いますが、さっきおっしゃったことなんですけれども、結局問題はそういうようにして保険料をきめたとして、納められない人が現実にある。現実にあるとすれば、そういう人を判定する基準をどこに置くかというのが問題になるわけでありまして、それで拠出制の原則をとりながら、免除というほかに類のない制度を導入し、しかも免除の基準について、これは先国会でもいろいろ御説明を申し上げたように、一つの基準を設けてやる、こういうやり方をしておるわけであります。従って保険料を納められない人から無理に取り立てるという仕組みにはなっていないわけです。そちらの方でちゃんと平仄が合っておるわけであります。ただ発想の順序というのは、確かに先生のおっしゃるような発想の順序というものが一つあり得たと思います。ただ私どもの方の発想の順序というのは、さっき申し上げたようなやり方でいく制度はそういうことで締めくくる、そういうことになったのであります。その免除の基準をまとめるときにやりました調査の結果によりまして、私どもとしては市町村住民税の均等割を免除されておるような人々に保険料を納めてもらうということはもちろん考えない。しかしそれ以上のところでも無理があるという事実を考えたわけであります。そしてこれは業態によって若干違いますけれども、農家の場合でありますと、五人世帯で十八万程度以下の課税所持でありますならば、世帯の状況によって当人が免除してほしい、こういうふうに申し出たならばこれを受け入れなくてはならぬ、こういう基準をきめまして、現在それで運用しているわけであります。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 それでようやく核心に触れてきたと思うのですが、私のお尋ねしたかったのはこれからなんです。あなたの方は社会保障制度審議会の答申を重視いたしますから、私もこれに準拠していきましょう。今度の答申を見ますと、「保険料免除の認定をさらに実情に即して拡大するとともに、免除期間に対する国庫負担を付けること。」と明らかになっておる。そこで私は二つのことを大臣に聞きたかった。一つはあなたが強調されましたように、他に例を見ないほどの特徴の一つとして、拠出年金制度において大幅な免除制度を設けておると言われました。よくわかりました。そこで問題になりますのは、一つはその免除の基準を今あなたはいみじくも年間十八万円の基準を出しました。一体その所得の基準をどうして把握するのですか、現状では非常に困難なことだと私は思う。先ほど大臣の私に対する、高率累進による保険料の形式をとったらどうかという問いに対する答弁の重要な部分は、事務的に繁雑であるということと同時に、把握が困難であるということを強調された。こっちの場合は困難じゃないのですか。私は全く同じことだと思いますが、その点はどうですか。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 これは性質上は全く同じであります、その点は。ただ問題の違いは、この免除の場合は限られた人が自分でこうだといって申し出てくるわけでございます。従ってその人に関する部分については、市町村住民税がもしオプション・ツウのただし書きでとられているならば、市町村の課税台帳に現われております。それ以外でありますと課税台帳に現われておりませんから、やはりその人の分については本人の申し立てをもとにして一応吟味する必要があるわけであります。その点の違いはありますけれども、そういうことでそれを処理していく。原則としてはそういう問題でありますから、当人の申し立てと所得関係の記載の事実は、よほどのおかしいと思うことがない限りは、そのまま受け入れて、その上に立って事を処理する、こういう運びにしております。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 よくわかりました。これはだから高率累進による不確実な保険料の徴収という点は理論的にくずれるのですよ。これは同じことだ。そこは一つ明らかになりました。  もう一つ、ここでいっておるのは「保険料免除の認定をさらに実情に即して」という言い方は、これは見方によっては大へんなんです。だから一体この認定をだれがするだろうかということになりますと、厚生大臣がすることになる。これはどうでしょうか、あなたの方はどう理解しておりますか。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 非常に言い過ぎになるおそれがあるのですが、率直に申しますと、「実情に即して」云々というのは、頭の中でこういうふうな弊害が起こるに違いないという気持をお持ちになって書かられた傾向が非常に強いようであります。私どもが実際に扱っているところから申しますと、免除の基準が強過ぎたということについての訴えはないのであります。むしろわれわれの方でもっと免除の申請をしなさいといっても、いろいろな事情でもう少しがんばりたいといってがんばっている人や、あるいはまだ趣旨が十分わからないから申し出がないというような事例がある。だからむしろ現在の問題は、きめられた免除の基準というものを十分に浸透させて、もともと弾力的に運用できるようになっておりますから、それを運用していく、こういうことであるわけでありまして、その点はせっかくのお尋ねでありますけれども、どうも書かれた方が実情をつかんでいないというふうに申し上げてこれは間違いないと思います。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 次に、免除期間に対する国庫の負担をつけるということですが、ここで国庫のといいますことは、さきの認定を実情に即して免除基準を変えるというのと、新たに国庫の負担をふやせというのと考えてみると、あなたの解釈と私の解釈は逢うと思うのです。問題は、第一次のとき、あるいは第二次のときにも出ておりましたけれども、三割というのは修正なんです。これは政策論議にもなりますけれども、ここに重大な今度の答申がある。かなり政府に気がねをした書き方です。これは大臣に解釈を願うべきものでありますが、あなたに言ってもらった。ここは議論にわたりますからやめておきますが、要する第一項の「実情に即して」というのは、今の年金制度が不評判というよりも、さっき冒頭に申し上げたように、年金制度にならないような制度じゃだめじゃないか、もうちょっと引き上げろという具体的な一つの指示にほかならぬと私は見ている。まあ、解釈上の問題はよしておきましょう。  次に、時間がありませんから、委員長からの御注意もありますからなるべく早くやめたいと思いますが、やはりこの答申の中に出ておることでありますけれども、第二項に「半額免除制を採用する等低額所得者の保険料負担が過重とならないような」、負担が過重とならないようにということだけではなしに、半額免除というようなことを答申の中に言うということは、かなり思い切った表現だと思う。この点はどういうふうにおとりになっておりますか。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 その点は私どもはかなり実情を調べたのであります。その結果到達いたしました結論は、百円であったら納められないけれども五十円だったら納められるというふうに考えるところに無理があるということをかなりいろんな事実からつかんだのであります。つまり百円の保険料を納められない人々からは、とにかくとってはいけないのであります。実態としてはむしろその方で割り切っていかなければならないので、それで減額をして無理やりにでも、少しでも取り上げるという方向に進むことは、国民年金制度の場合に無理がある。従って免除は免除ですっきりやって、先生は違った読み方をなさいましたけれども、これは大体先ほどのお話に出ておるように、日本の貧困階層が全部国民年金にいわば集まっておるわけですから、そういう人々に対する手当というのは、やはり一般の税負担からしてもらう。そうして中での所得再配分というものは、そういう地盤の上に立って今度初めてやるということでなくては、たまたま国民年金制度の中に入って、ごくわずかの所得のある人々にあまりに大きい負担がかかり過ぎてしまう。こういう実態がありますので、私どももその考え方には賛成で、ぜひ来年度実現したいと大臣も繰り返して申し上げておるところであります。御趣旨のように私どもも進みたいと思っております。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 それでややはっきりしましたが、そこで問題は、最初に説明をいただきました給付内容百八十円に対する割合がここでくずれてしまうわけですね。どうです。これは今までのあれでわかったと思うのですが、百八十円を三つに割って、二を被保険者の負担にしたのですが、そのうちで今あなたも言われておるような被保険者となるべき対象というのは、ボーダー・ラインといわれる人たちはもちろん全部網羅されておる。おおむねここの(二)で指摘されておりますように、保険料をあなたが言うように半額にして、百円が納められないものは五十円を納められるわけがないのです。認識を欠いておるわけです。しかし言おうとするところは、あなたが言っておりますように百二十円という額が無理だということをぴしゃっと言っておるわけです。だから言い方をかえれば、百二十円は無理で六十円は妥当だという言い方にもなる。だからこうなると保険はくずれてしまう。だからここに苦しい答申が行なわれておる。だから善悪に理解すれば、今日の時点においては拠出年金制度というものについて非常な困難がある。要するにここに言っておるように免除を大幅に行なって、その部分についてはその期間中国庫負担を待ちなさいという言い方は、この言い方は回りくどいけれども、だれが理解しても同じことだと思うのですが(一)と(二)はそういう意味で、どうしても年金制度の改正案というものは、この答申案に乗ってこない。でありますから、その百二十円が高ければ六十円にするか、あるいはこれこれは免除するという免除規定をもっと明確にして、ここに言っておるようにしてくるか、ここにも政府は次の改正案を出すときにはこれへ盛り込んでこなければいけないのです。これはあなたに言ってもしようがない、大臣に言いたかったのですが、時間がありませんから次に進みましょう。  福祉年金の所得制限を緩和せよと言っておりますが、これはどういうふうにあなたの方は理解してこの改正案に盛り込もうとしているのですか。これをちょっと聞いておきたいと思います。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 これはもう今までにいろいろな機会に申し上げているように、福祉年金の所得制限というのはないことが望ましいというのが基本的な考え方であります。従って今まで設けておる所得制限をはずすように努めて努力をしておるわけであります。今回はずせるものははずしていく。若干はずすことにして改正案は出ているのです。なお今回の改正措置で解決できないものは次の機会にやりたいというので、予算の要求をしている。これをぜひとも実現しよう、こういうふうに考えております。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 今答弁を伺ったのですが、非常に明確になってきたのです。すべきではないという原則的なものは意見が違ってないようです。なぜそれを一ぺんでやれないかということは、ここのところは大臣にちょっと聞いておきたかったのですが、こういうものがついていることは、不名誉でしょう。だからこれは、今言うように、国庫財政が苦しい時代においては言えたかもしれないけれども、余っているんだから言えない。それはそのくらいにしておきましょう。  次に、最後ですけれども、事務費負担が地方財政を圧迫している。この年金制度で地方自治体が非常に苦慮しているわけです。そのことをこれは言っていると思いますが、これに対する何かしかるべき対策としては、どういうふうにお考えでしょうか。

小山進次郎厚生事務官(年金局長)

○小山政府委員 これは私も率直に申しまして、現在国が出している事務費というものは、実際に市町村が使うことを余儀なくされている事務費の全部をまかなっていないと思います。こういう状態を続けちゃいかぬわけでありまして、少しでも早くそれを実施したい。来年度の増額を要求しているわけであります。ただこれは先生御存じの通り、国民健康保険の長い歴史におきましても、とかくこの種のものというのは、どうしても問題が出るわけでありまして、解決はなかなか一挙にいかないで、ある程度の年月が必要なわけでありますけれども、私はその点については言われておる通りだと思っております。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 これはほんとうは大臣に三と四ははっきりしてもらいたかった。これは法律の建前からいきましても、それから今の地方自治体のあり方、特に地方財政のあり方などからいきまして、こういうことはいけませんよ。どっちからいってもまずいことです。早急に改むべきだと思うのです  これで大体私の質問を終わろうと思うのでありますが、以上大事な点が明らかになりました。きっと大臣の決意のほど、こういう社会保障制度に対する情熱の現われは、次に新しい年金制度として芽の出るようなものを提案されてくるであろうことを期待いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。      ————◇—————

中野四郎自由民主党

○中野委員長 この際お諮りをいたします。理事小沢辰男君及び理事澁谷直藏君よりそれぞれ理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野四郎自由民主党

○中野委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  なお理事の補欠選任につきましては、委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野四郎自由民主党

○中野委員長 御異議なしと認め、理事に齋藤邦吉君及び永山忠則君を指名いたします。  本日はこの程度にとどめ、次会は明十九日午前九時四十分より理事会、午前十時より委員会を開くこととし、これにて散会いたします。    午後五時四十四分散会

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