社会労働委員会 第5号
- 発言数
- 4 件
- 登壇者
- 2 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1961/10/11
会議録
○中野委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の国民年金法の一部を改正する法律案、年金福祉事業団法案、児童扶養手当法案、通算年金通則法案及び通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案、以上五法案を一括して議題とし、審査を進めます。
○中野委員長 提案理由の説明を聴取いたします。灘尾厚生大臣。
○灘尾国務大臣 ただいま議題となりました各案につき、提案の理由を御説明申し上げます。 まず国民年金法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。 国民年金法は、昭和三十四年の第三十一国会において成立いたし、福祉年金の支給に関する部分は同年十一月から実施されたのでありますが、拠出年金に関する部分は、昭和三十五年十月からその適用事務が開始され、本年四月から保険料納付が開始されることになり、これによってこの制度が全面的に実施される運びになった次第であります。 国民年金制度は、すでに御案内のごとく、社会保障制度審議会における全会一致の答申に基づいて策定されたものでありますが、これに対し、各方面から種々改善の要望が寄せられたのであります。政府といたしましては、すなおにこれらの要望に耳を傾け、関係審議会の意見等をも徴し、慎重に検討を重ねました結果、現段階における国の財政事情等を勘案し、この際実行し得る最大限度の改善を行なうこととし、改正法案を第三十八国会に提出いたしましたが、審議未了となりましたので、衆議院社会労働委員会において修正可決されました内容をそのまま取り入れた改正法案を、再度本国会に提出する次第であります。 以下、改正法案のおもな内容について御説明申し上げます。 まず、拠出年金に関する事項であります。 第一に、老齢年金は六十五歳から支給が開始されるのでありますが、この開始年齢を早めることができないかという希望が強いのにかんがみまして、六十歳に達すれば、老齢年金を繰り上げて支給する道を開きたいと考えたのであります。 第二に、保険料の免除を受けるなど、保険料を納めた期間が足らないために、老齢福祉年金しかもらえない人々に対して、新たに特例的な老齢年金を支給する道を開こうとするものであります。これにより、これらの人々は、六十五歳から七十歳までの間老齢年金を受けられるようになり、七十歳から老齢福祉年金を受けることと相待ち、低所得の人々に対する所得保障が一段と手厚くなるわけであります。 第三は、祖父が死亡して祖母と孫が残り、あるいは父が死亡して姉と弟妹が残るというような、母子世帯に準ずる世帯に対し、母子年金の例によって、準母子年金を支給しようとするものであります。 第四は、障害年金、母子年金、準母子年金及び遺児年金について、従来これを受けるためには三年以上保険料を納めていることが必要であったのを改め、一年以上継続して保険料を納めておれば支給が受けられるように、その期間を短縮しようといたすのであります。 第五は、遺児年金の額の引き上げであります。現行遺児年金の額は、老齢年金の額の四分の一相当額が支給されるのでありますが、これを老齢年金額の二分の一相当額にまで引き上げ、あわせて最低保障額七千二百円を一万二千円まで引き上げようとするものであります。 第六は、死亡一時金制度の創設であります。すなわち、年金が受けられる年齢に達する前に死亡したという場合に、いわゆる掛け捨てにならぬよう、保険料を三年以上納めておれば、その遺族に対して、保険料を納めた期間に応じて、五千円から五万二千円までの死亡一時金を支給するという改正であります。 次には、福祉年金に関する改正について申し上げます。 第一は、拠出年金における準母子年金と同様のことを、福祉年金についても、準母子福祉年金として考えようという改正であります。 第二は、義務教育終了前の子、孫、弟妹の生計を維持する場合には、福祉年金の所得制限額十三万円に一万五千円ずつ加算されるわけでありますが、この加算額を三万円に引き上げようとするものであります。 第三は、母子福祉年金に対する支給制限を緩和する改正でありまして、現行制度では同一世帯に二十五歳以上の子がおれば、原則として福祉年金の支給が停止されるのでありますが、今後は、その子供に、一定額以上の所得があるときに限り、支給停止をしようというのであります。 第四は、福祉年金の支給制限について、一昨年の伊勢湾台風に際して制定された特別措置法の内容を恒久化し、災害を受けた場合に特別の考慮を払うことにいたしたのであります。 その他、拠出年金及び福祉年金に共通する改善事項といたしまして、第一に、従前から身体に障害がある者に、拠出制度加入後新たな身体障害が生じましたときには、前後の障害を併合して障害年金また障害福祉年金を支給できるようにし、第二に、年金を受ける権利が確定しながら、これを受け取る前に本人が死亡したという場合には、未支給の年金を、その遺族に支給するようにいたすのであります。 以上の改善事項は、原則として、本年四月一日にさかのぼって適用することといたしております。 次に、年金福祉事業団法案について、その提案の理由を御説明申し上げます。 御承知のように、本年四月から拠出制の国民年金が発足することにより、国民皆年金がようやく実現の運びとなりましたが、その主柱をなす厚生年金や国民年金の積立につきましては、厚生年金においては昭和三十六年度分のみでも一千四十億円の増となり、また、国民年金においても初年度三百億円に達すると推定されております。この両年金の積立金の運用をどのように行なっていくかは年金制度の今後の発展にきわめて密接な関係を有する問題であり、また、国民がつとに重大な関心を寄せているところであると存ずるのであります。 政府といたしましては、これらの積立金が、被保険者や事業主から集められた零細な保険料の集積である点にかんがみまして、かねてからその性格にふさわしい運用の方法を種々検討いたし、また、資金運用部資金運用審議会、社会保障制度審議会、国民年金審議会などの各種審議会の御意見もあり、昭和三十六年度におきましては、積立金を被保険者の福祉の増進のために運用する一つの方法として従前から行なわれている厚生年金の還元融資と、さらにこれとほぼ同様の性格において新規に開始いたします国民年金の特別融資とのワクを、積立金の増加額の二五%、すなわち厚生年金と国民年金を合わせて三百三十五億円に増額いたしたのであります。 しかしながら、従来から行なわれております厚生年金の還元融資のうち地方公共団体を通じて民間に転貸される部分は、この転貸という方式に伴い融資先等におのずから制約がある等種々の不合理な点があるのであります。 これを改善し、還元融資及び特別融資を円滑に実施するため年金福祉事業団を設置せんとするものであります。すなわち資金運用部から資金を借り入れて、これを直接厚生年金、国民年金及び船員保険の被保険者の福祉増進に必要な施設を設置または整備しようとするものに貸し付ける特別の法人を設置ぜんとするのでありまして、昭和三十六年度におきましては、厚生年金と国民年金の還元融資の総ワク三百三十五億円のうちから地方公共団体以外のものに直接貸し付ける分として五十億円がこれに充てられることとしております。なお、本事業団は、当面、右の融資を行なうことを主たる事業とすることといたしておりますが、厚生年金、国民年金、船員保険の各法に基づく福祉施設を設置または運営する道を開くことといたしているのであります。 本法案は、このような事業団設立の趣旨に基づいて事業団の目的、融資の相手方や融資の対象となる事業等の業務の範囲を定めるとともに、役職員の任命など事業団の組織に関すること、予算、決算その他会計の方法、事業団の業務についての厚生大臣の監督等について規定しているものであります。 以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。 次に、児童扶養手当法案について、その提案の理由並びにその要旨を御説明申し上げます。 政府は、かねて児童の福祉施策の充実に努めて参ったのでありますが、父母の離婚後父と生計を異にしている児童、父と死別した児童、父が廃疾である児童等については、社会的経済的に多くの困難があり、これらの児童を育てる家庭の所得水準は、一般的にいって低い場合が多く、児童の扶養の資に欠ける事例が見られるのであります。 政府といたしましては、このような事情に対しまして、社会保障制度の一環として母子家庭の児童及びこれに準ずる状態にある児童について一定の手当を支給する制度を設け、これによって児童の福祉の増進をはかりたいと存じ、この法案を第三十八回通常国会に提出いたしましたが審議未了となりましたので、衆議院社会労働委員会において修正可決されました内容をそのまま取り入れて再度本国会に提出いたした次第であります。 次に児童扶養手当法案の内容についてその概略を御説明申し上げます。 第一に、支給の範囲でありますが、この手当は、父母の離婚、父の死亡等の理由で義務教育終了前の児童を母が監護している場合及び父母のない義務教育終了前の児童を父母以外の者が養育している場合に支給することといたしております。ただし、すでに公的年金制度による年金を受けている場合またはその所得が十三万円に児童一人につき三万円を加算した額以上である場合等には、支給しないことといたしております。 第二に、児童扶養手当の額でありますが、月額で児童が一人の場合は八百円、二人の場合は千二百円、三人以上の場合は、千二百円に三人以上の一人にっき二百円を加算した額を支給することといたしております。 第三に、児童扶養手当に関する費用でありますが、給付費及び事務費とも全額国庫で負担することといたしております。 第四に、施行期日でありますが、昭和三十七年一月一日から施行いたすことといたしております。 以上が児童扶養手当法案の提案理由及びその要旨でございます。 次に、通算年金通則法案及び通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案についてその提案の理由を御説明申し上げます。 国民年金制度が創設され、本年四月から全国民がいずれかの公的年金制度の適用を受けることとなったのでありますが、いままで厚生年金保険、船員保険、各種共済組合など多くの公的年金制度が大部分相互に関連もなく創設され、実施されて参りました関係上、一つの制度において年金を受けるに必要な資格期間を満たすことなく他の制度に変わった者につきましては、いずれの制度からも年金制度による所得保障が行なわれないという欠陥があったのであります。従いまして、真に全国民に対する年金による所得保障の体制を確立するためには、一方において公的年金制度の適用を全国民に及ぼすとともに、他方において各制度の間の資格期間の通算措置を講ずることが必要とされていたのであります。今回の両法案は、各公的年金制度におきまして、その制度における本来の老齢年金または退職年金を受けるに必要な資格期間を満たしていない場合においても、各制度の加入期間を通算すれば一定の要件に該当する者に対して、通算老齢年金または通算退職年金を支給することとし、国民が老齢または退職に際しあまねく年金を受けられる道を開こうとするものであります。 次に両法案による通算年金制度の概要を御説明申し上げます。 まず第一に通算年金の支給要件でありますが、通算年金は、各公的年金制度の加入期間を合算して二十五年以上であるか、国民年金以外の被用者年金の加入期間を合算して二十年以上である者に対して、国民年金におきましては六十五歳から、被用者年金におきましては六十歳から支給するものであり、この二十五年という資格期間は、経過的措置として、制度が発足する本年四月一日現在において三十一歳をこえる者につきましては、その者の年齢に応じて十年から二十四年までに短縮することといたしております。 次に通算年金の額でありますが、通算年金の額は、国民年金におきましては通常支給される本来の老齢年金の額をもととして年数に応じて定められた額、被用者年金におきましては厚生年金保険において通常支給される本来の老齢年金の額と同様の水準の年金額を保障することといたしました。 第三に被用者年金におきます従来の脱退手当金または退職一時金との調整であります。通算年金の支給に必要な費用は従来の脱退手当金または退職一時金の原資をもって充て、この際特に保険料を引き上げる等の措置は避けるものといたしました。しこうして各共済制度におきまして財源に余裕のある場合はその限度において従来の退職一時金を存置することとし、さらに通算年金を受けられなかった者に対しては、返還一時金または死亡一時金を支給することといたしております。 なお、本制度開始後一定期間内に退職する者等に対しましては、経過的措置として、本人が特に希望する場合には、従来通りの脱退手当金または退職一時金を支給することができるものといたしました。 最後に本制度は、本年四月一日にさかのぼって実施することといたしました。 本法案は前国会に提出し、審議未了となったのであります。 以上各案につきまして、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○中野委員長 以上五法案についての質疑は後日に譲ります。 次会は、明十二日午後二時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。午後一時三十三分散会