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39回国会衆議院1961/10/04

社会労働委員会 第3号

発言数
56
登壇者
8
会派数
2
開催日
1961/10/04

会議録

中野四郎自由民主党

○中野委員長 これより会議を開きます。  労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  労働大臣より発言の申し出があります。これを許します。労働大臣福永健司君。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 第三十九回臨時国会の開会にあたりまして、労働大臣といたしまして一言所信を申し述べ、かつこれをもってごあいさつとし、各位の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。  労働行政に関する私の所信を端的に申し上げまするならば、今後における経済の安定成長に即応いたしまして近代国家における労働政策の基本的目標である完全雇用の達成と労働条件の向上の実現を期するために積極的施策を展開することでございます。このような観点から当面の施策といたしまして、私は、第一に労働力の流動化促進と技能労働力の確保、第二に労働条件の向上、特に中小企業の労働条件格差の是正、第三に労使関係の近代化の三つに重点を置いて労働行政を進めて参りたいと存じております。  まず、労働力の流動化促進と技能労働力の確保につきまして申し上げますと、最近における雇用・失業情勢は、引き続く経済の高度成長を反映いたしまして顕著な改善を示し、若年労働力、技能労働力の不足が著しくなっている反面におきまして、中高年令層離職者の再就職は依然として困難であり、また、産炭地など一部には失業者の滞留する地域が存在しているのでございます。このような労働力需給の不均衡は産業構造の近代化、技術革新の進行等に伴って一層顕著となることも予想されますので、政府としましては諸般の施策によりまして、さらに雇用の拡大とその改善を進めるとともに、このような地域間、産業間、規模間あるいは年令別、職種別等の労働力需給の不均衡を解消するために、広域職業紹介活動の積極的な推進、中高年令層労働者の雇用の促進、転職職業訓練の強化等の労働力の流動化のための諸施策を推進して参る所存でございます。  また、失業対策につきましては失業の予防ないし早期解決を基本的な方向として対処していくとともに失業対策事業従事者について極力一般雇用への復帰をはかることとし、これがため本格的な職業訓練を中心とした具体的対策について検討を進めて参りたいと考えております。  なお石炭産業の離職者に対しましては、従来から積極的に諸般の措置を講じてきたところでありますが、今後の石炭合理化の進展に対処しまして、離職者の再就職促進と生活の安定を期するための施策の充実について、鋭意検討中でございます。  産業構造の変化と技術革新の進歩に伴う技術労働力の不足につきましては、公共職業訓練において特に転職訓練を積極的に推進するとともに、事業内の職業訓練等を強化して雇用労働者の速急な技能化と技能水準の向上をはかって、産業界の要望にこたえたいと考えております。  なお、最近における労働問題の国際的関連の緊密化に伴いまして、特に発展途上にある国々に対する援助を強化することがわが国に課せられた国際的使命であることにかんがみまして、職業訓練による国際技術の協力を飛躍的に拡大するための措置について、検討をいたしております。  次に労働条件の向上、特に中小企業の労働条件格差の是正について申し上げますが、わが国労働者の約八割を占める中小企業労働者の労働条件が、大企業のそれに比べて恵まれていないという現状にありますことは御承知の通りであります。このような労働条件の格差を縮小し、経済社会の均衡ある発展をはかるために、中小企業の経営基盤強化のための諸方策と相待って、中小企業労働者の労働条件の向上を計画的、総合的にはかって参りたいと存じております。  このために、昭和三十八年度末までに最低賃金の適用労働者が二百五十万人に達するよう、最低賃金制の普及拡大に努めますとともに、さらに、労働時間の漸進的短縮をはかるため、当面、労働基準法に基づく監督、指導の実施、一斉週休制、一斉閉店制の普及等の措置を講じていきたいと存じております。  また、中小企業労働者の生命、身体や健康を守るための産業安全、労働衛生の問題につきましても、従来から各種の施策を講じて格段の努力を傾注して参りましたが、今般さらに中小企業における安全施設の整備について、長期低利の融資を行なうことといたしました。  さらに、これらの賃金、労働時間、安全、衛生についての諸施策の実効を期するためには、中小企業における労務管理の改善、近代化をはかる必要が痛感されますので、このための諸施策を計画的、総合的に実施していく所存であります。  第三は労使関係の近代化であります。経済の繁栄と民主主義の発展とは自由にして民主的な労働運動の進展と、よき労働慣行の確立に負うところがきわめて大きいのであります。  わが国の労働運動、労使関係は逐年改善の方向をたどりつつありますが、今なお法制度を無視するごとき好ましからぬ傾向も残っておるということはきわめて遺憾なことであります。政府としましては、従来から労働教育その他諸般の施策を通じ、自由にして民主的な労働運動の発展と、正常な労使関係の形成に努めてきているのでありますが、労使関係者におきましても現行法規を順守し、民主主義社会の秩序に従った健全な労働組合運動の発展と、労使間におけるよきルールの確立のために努力されんことを切望するものであります。  さらに、技術革新の進展は労使関係にも新たな問題を生み出しておりますが、このような情勢に対処いたしましてわが国経済の発展をはかるためには、労使双方が時代の要請を十分認識し、相互信頼を基調とした話し合いの精神を通じて問題を合理的に処理していくことが必要であり、政府といたしましてもこのような労使の話し合いの雰囲気を醸成すべく、積極的に努力して参りたいと存じます。  なお、ILO第八十七号条約の批准及び関係諸法律の整備につきましては、従来同様、早期成立を期待いたしている次第でございます。  以上述べました労働諸施策の樹立実施に当たりましては、何よりもまず労働経済の科学的な調査分析に基づく正確な現状把握が必要であるとも存じます。  このため、従来から実施して参りました雇用、賃金、労働生産性等、労働経済に関する一連の統計調査をさらに整備拡充いたしますとともに、このような調査分析に立脚し、長期的な展望の上に立って労働諸政策の総合的一体的運営をはかって参りたいと存じておる次第であります。  以上所信の一端を申し上げたのでございますが、今後皆様の御意見を十分拝聴しながら労働行政の推進に力をつくして参りたいと存じますので、御協力を賜わりますよう切にお願いを申し上げまして、ごあいさつかたがたの所信表明といたす次第でございます。(拍手)

中野四郎自由民主党

○中野委員長 次に労働政務次官より発言の申し出がありますのでこれを許します。労働政務次官加藤武徳君。

加藤武徳自由民主党労働政務次官

○加藤(武)政府委員 今回労働政務次官を仰せつかりました加藤武徳でございます。労働行政につきましてはもちろん勉強も十分ではございませず、今後皆様におしかりをいただきますこともずいぶんあるかと存ずるのでありますが、微力ではございますが、懸命にやって参りたい、かように考えておる次第でございます。  私は率直に申しまして、衆議院側の模様をあまり存じておらない節もあるかと思うのでございますが、どうぞ今後よろしく御指導を賜わりまするようにお願いをいたしまして、一言ごあいさつ申し上げる次第でございます。(拍手)     —————————————

中野四郎自由民主党

○中野委員長 引き続き質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。河野正君。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 実は調達庁長官の方の御希望もあって、本日午前中においでを願うというようなことで委員会にかり出されたのでございますけれども、非常に御出席がおくれて参りましたことは、まことに国政審議の上からも遺憾であったというふうに指摘せざるを得ないのでございます。しかし御出席いただきましたから、実はいろいろと長官に対して具体的な点についてお尋ねを申し上げ、また御所信を承りたいと思いますが、そういう御所信を承る前に、その前提といたしまして、若干の事項について、私は労働省その他政府に対して御所見を承って参りたいと考えております。  本日の労働大臣のごあいさつを承って参りましても、そのごあいさつの中で、今後労働大臣としてやるべき施策の三つの柱というものが実は表明されたわけでございます。その三つの第一の柱は、労働力の流動化促進と技能労働力の確保、第二の柱といたしましては、労働条件の向上、特に中小企業の労働条件格差の是正、第三には労使関係の近代化、こういう三つの柱を立てて、今後強力に施策を推進していきたいという意味の労働大臣のごあいさつがあったわけでございます。  特に、私が後ほど調達庁長官を中心としてお伺いをいたしまする具体的な事項に関係する、今私が申し上げました労働大臣の三つの柱の中の第二、第三の柱、すなわち労働条件格差の是正、それから労使関係の近代化ということを中心として一、二労働省当局の御所見を承って参りたいと考えております。そのことが後ほど調達庁にお尋ねいたしまする事案と関係をいたしますので、その旨を一つあらかじめ御了承おきを願っておきたいと考えております。  私がまず御指摘を申し上げたい第一の点は、これは労働条件の格差の是正の中の一つの項目でございますけれども、賃金問題がございます。今日池田内閣が一枚看板といたしておりまする経済成長政策、さらには所得倍増計画の推進、あるいはまた技術革新、貿易の自由化に伴いまする国際競争の激化、こういうようなもろもろの諸条件のもとで日本の労働者の賃金問題というものは、好むと好まざるとにかかわらず、一つの大きな変容に迫られておるというふうに私は考えるわけでございます。これは一つの例でございまするけれども、ことしの春のいわゆる春闘、この中で三千円という大幅賃上げというものが行なわれて参りました。このことも一例でございまするけれども、これは日本の今日の高度の経済成長を背景とした一つの成果であろうというふうに私は考えて参るわけでございます。  そこで、賃金問題の中でいろいろ検討しなければならぬことはたくさんございまするけれども、何はさておき第一に指摘しなければならぬ点は、それは今後、国民経済の中で賃金全体の水準というものを引き上げていく、そういうような基盤を形成する一つの必要性というものが当然指摘されなければならぬというふうに実は考えるわけです。  そこで、これは私が先ほども申し上げましたように、後ほど具体的に御質問を申し上げまする調達庁長官に対しまする御質疑とも関係するわけでございまするけれども、日本の一般労働者の賃金問題、そういうものを検討する中で、特に今日の高度の経済成長というものを背景として検討せざるを得ぬし、当然その中では全体的な水準の引き上げというものが考えられて参るというふうに私は考えるわけでございまするが、この点に対しまする労働省当局の御所信はいかがであるか、まず承っておきたいと考えます。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 現在の賃金の問題についての私どもの考え方でございますが、所得倍増計画の中における賃金問題、この問題につきましては、私は一つは、国民経済の成長に応じて賃金水準も当然上がるべきものと考えます。ただ、この賃金の上昇というものは、やはり長期的に見まして国民経済成長とバランスのとれた賃金水準の向上、ないしは労働生産性の向上に即応した賃金の上昇ということが望ましいことであると考えております。第二の賃金の問題点といたしましては、申すまでもなく、大企業と中小企業の間における賃金格差の縮小の問題であります。言うまでもなく、所得倍増計画は、同町に所得の格差の縮小を目標といたしておりますが、こういった賃金格差の縮小の点について、さらに懸命の努力をいたさなければならない。このことは、単に賃金のみでなく、労働条件全般についても言えることであります。こういった点につきまして、私どもとしては行政努力をいたしますとともに、社会全体の関心、あるいは労使関係者の関心を深めて参りたい、かように考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 今労働省からもお答えがございましたように、同時に私も御指摘を申し上げましたように、労働者の賃金というものは、経済成長政策に応じて——もちろん生産性の向上等に見合う問題点等もございまするけれども、全般的には、経済成長に応じて賃金そのものが上がっていくことが望ましいのだというふうなお話があったわけでございます。従って、これは公務員でございまするけれども、政府も今度の国会におきましては、人事院の勧告に基づきまして、平均給与の七・一%のアップ、あるいは期末手当、通勤手当の引き上げ等々が実施される段取りになっておるようでございます。しかし、そういった人事院勧告に基づきまする公務員のベース・アップ、そのアップの内容につきましての不当性あるいはまた妥当性、そういうものは別にいたしましても、一応アップの傾向でありますと同時に、このことが、一般につきましても、当然大きな影響をもたらすことであることは、これはもう否定することができない事実であろうかというふうに考えております。そういうような全般的な給与水準の引き上げと同時に、科学的な賃金の近代化と申しまするか、そういう点につきましても、今若干局長から触れられたようでございますけれども、そういう点についても当然検討が加えられなければならぬ。単に全般的に賃金が上昇するということのみならず、科学的な賃金の近代化ということも当然考慮に入れての検討というものが必要になってくるであろう。いずれにいたしましても、日本の今日の労働者の賃金という問題がそういう方向に集約されていかなきゃならぬということは、これは何人も否定することのできない一つの厳然たる事実であろうというふうに私は考えるわけでございます。そういう点に対して、一つ労働省当局がどういうふうにお考え願っておりまするか、この点も後ほどの質問と関連いたしますので、あわせて一つ御所見を承っておきたいと考えます。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 先ほど来申し上げましたように、経済成長に伴い、生産性の向上に伴って賃金の上昇ということは望ましいことであります。ただ基本的な私どもの考え方といたしましては、賃金の決定につきましては、基本的には労使交渉に待つべきものと考えております。政府が政府の施策を通じ、あるいは国家予算を通じてどうこうすべきものではないのでありまして、基本的に労使交渉によるべきものだと思います。ただそういった場合におきまして、やはり労働生産性の成果の配分がいかにあるべきか、すなわち労働者に帰属すべきもの、あるいは資本蓄積に回るべきもの、あるいは物価の引き下げを通じて一般国民大衆に還元すべきもの、こういった点についての基本的な理解を深めて参りたい、こういうことは政府としていたすべきことと考えております。基本的にはただいま申し上げましたように考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 御答弁の荒筋については私どもも否定するものではございませんが、しかしその中では私が先ほどちょっと御指摘申し上げましたように、科学的な賃金の近代化ということが当然考えられなければなりませんし、そのことが私はひいては民主的な賃金の取りきめというようなことにも相なって参ろうかと考えます。本日はそういう賃金問題を突っ込んでいろいろと御討議を申し上げるということが目的でございませんので、以上申し上げましたように、少なくとも今日の労働者の賃金というものは経済成長に応じて全体的に上昇の一途をたどりつつある、こういう事実についての御確認を願って、一応この問題については終わりたいと考えます。  それから次の御質問の点は、これも先ほどの労働大臣の施策の三つの柱の中の第二項にございましたいわゆる労働条件の向上、特に大企業と中小企業の労働条件の格差の是正、こういう問題にも関連する問題でもございまするけれども、それにはいろいろ問題はございます。ございますが、その中の一つでございまする労働時間の短縮の問題、この問題につきまして若干労働省当局の御所信を承っておきたいと考えます。労働時間の短縮の問題がILOの総会におきましても提起されました。このことは御承知の通りでございます。ただ私ども残念に思いますのは、その総会でILOの提案というものが承認されなかった、こういうことにつきましては、私どもも全く残念だったというふうに考えるわけです。しかしいずれにいたしましても、世界的な一つの底流として、ILO総会におきましても提案される状況でございまするから、従って世界的な底流としてこの問題が大きく力強く流れつつございますることは、これは否定することのできない事実であろうかというふうに考えるわけでございます。現に国鉄におきましても公労委より、現行四十八時間制をさしあたり四十六時間に持っていくよう労使協議することが勧告されたわけであります。また一方零細中小企業におきましては、今日労働条件というものが大企業と比べて非常に劣悪である。そういうことで非常に大きな求人難という一つの障害にぶつかっておることも、これももう周知の事実でございます。従いましてその一つの求人難の打開策と申しますか、それにもいろいろあると思いまするけれども、その打開策の一つとして労働時間の短縮、あるいは中小企業の場合には労働時間の短縮というよりも長時間労働の解消、そういうふうに表現した方が適切かと思いまするけれども、そういう一つの方向というものがだんだんと打ち出されつつありまするのは御承知の通りでございます。従いましてこういう大企業、中小企業の状況を見て参りましても、先ほど申し上げましたように、国鉄の場合もそうでございまするけれども、そういう公共企業体、すべてこの労働時間短縮、こういう底流というものはもうとめようといたしましてもとめることのできない一つの大きな流れでございますることも十分御承知の通りだろうというふうに考えております。こういう状況であるわけでございまするけれども、もちろんこれにはいろいろと基礎条件がございます。そういう点につきましては後ほど具体的にお伺いいたすわけでございまするけれども、そういう一つの方向について労働省の御所見をこの際一つ明らかに承っておきたいと思います。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 労働時間短縮の問題につきましては、ただいま河野先生御指摘の通り世界の大勢でございますし、また国内的にも最近とみにこの問題に関係方面の関心が高まって参っております。時間短縮の問題につきまして私どもの基本的な考え方は、もちろん労働時間の短縮が各国の実情に応じ、産業の実態に応じまして漸進的、段階的、弾力的に逐次実施されて参るということは最も好ましいところであると考えております。ただ生産性の向上の著しい大企業におきましては、もちろん時間短縮が行なわれることも好ましいことでございまするけれども、これはもっぱら生産性向上の成果を賃金として配分するか、余暇の増大として配分するかという問題がございます。これは一に労使間の交渉に待つべきものと考えております。ただ生産性の低い、労働条件の低い中小企業における過度な長時間労働、この問題につきましては政府としても関心を持たざるを得ないわけでございます。この点につきましては基準法の適正な実施とか、あるいは商店、サービス業における週休制、一斉閉店制の実施とか、こういう面、各般の施策を通じて今後中小企業の過度な長時間労働については逐次縮小していくような努力を進めたい、かように考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 今局長から御答弁がございましたように、労働時間短縮の問題は一つの世界的な大きな底流であるということ、さらに実際にそれを行政上どういうふうな指導を行なうかということについては、漸進的、段階的、弾力的というふうな御説明があったわけでございます。そこで私は、今局長のお話もございました漸進的、段階的、弾力的という現実的な一つの方向というものは、やはり現段階においては非常に重要な要素を持ってくるのだと思うのです。そこで、これも後ほどの質問と関連をいたしますので、ここで若干私は触れてみておきたいと思います。  それは、日本の全産業労働者の実働時間の平均というものは、大体週五十時間、月にして約二百時間、こういうふうにいわれておるわけでございます。これを諸外国の例に比べますと、これも後ほど関係がございますので、一応ここで述べさせていただきたいと思いますが、アメリカ、カナダにおきましては大体週四十時間以下、イギリス、フランス、西ドイツ、こういう諸国におきましては四十時間ないし四十五時間というふうにいわれておるわけでございます。いずれにいたしましても、先ほど私が御説明申し上げましたように、日本の場合はかなりの長時間となっておるわけでございます。今の諸外国の例と比べましても明らかでありますように、日本の場合はかなり長時間になっておる。それからさらに、大企業と中小企業との関係を調べてみますと、従業員五百人以上の企業では月平均一九六・四時間、これに対しまして百人未満の事業所におきましては、いわゆる中小の事業所におきましては二一四・三時間、こういうように大体百人未満の中小企業での長時間労働というものが非常に目立った状況にあるようでございます。もちろんこの点は先ほど局長から触れられましたように、賃金問題ともからんでおることはこれまた否定することのできない事実でございます。いずれにいたしましても、そういった状況であるわけであります。従って、私どもはそういう現実を無視して一挙に時間短縮を行なった場合にどういう状況に相なるのか、こういう点についても非常に大きな関心を持たざるを得ませんし、そういうことを考えますと、先ほど局長から御説明がございました漸進的、段階的、弾力的という点が非常に大きな意義を持って参るだろうというふうに考えるわけでございます。従って、私はこの所得、雇用という問題に問題がないといたしますならば、大幅に短縮されることはけっこうでございますが、ただ大幅に短縮する、そのために賃金の面なり雇用面なり、そういう問題に対していろいろ問題が起こってくるということについては非常に大きな関心を持たざるを得ない。そこで要は、労働時間を短縮し、休暇や休日をふやすということはまことに望ましい現象ではございますけれども、しかしそれにはやはり経済の発展あるいはそれに伴います所得水準なりあるいは生活水準の向上、上昇というものが当然伴わなければならぬ。そういう所得の水準あるいは生活水準の向上、上昇というものが伴わない時間短縮というものは、ILOの精神でもございませんでしょうし、またそういう時間短縮は非常に大きな問題を残す時間短縮である、こういうふうに考えざるを得ないと私は思うわけでございます。そこで労働省の行政指導の中でも漸進的、段階的、弾力的というような御表現を使われたことも、私が最後に御指摘を申しました時間短縮に伴います所得水準の向上、生活水準の向上というものが当然条件になるというふうに私どもは強く考えておるわけでございますが、そういう点に対する御所見もこの際あわせて承っておきたいと考えます。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 一般的に労働時間短縮の問題が所得すなわち賃金の問題ときわめて密接に連関することは当然であります。ちょうど雇用の増加というものがやはり雇用条件の向上と並行して行われなければ意味がないのと同じことであろうと思うのであります。ただもちろん、雇用の増加と雇用条件の向上というものが同じ労働生産性の向上の成果の中で調和して行なわれるべきものでありますから、従って結局は労働生産性の向上ということが基本的に問題である。一般的に労働時間短縮と賃金の問題、あるいは雇用の増大と雇用条件の向上、こういったものが密接に関連しておることは御指摘の通りであろうと思います。ただ具体的な問題になりますと、やはり先ほど来申し上げましたように、一つには労使の交渉によって措置さるべきことだと思います。かつまた労働時間の短縮でありますとか、あるいはそれが逆に延びますとか、あるいは雇用の増大、減少、こういったものは同時にまたかなり長期の観点においても見えなくてはならぬ点はございますが、一般的にはただいま御指摘の通りだと私も考えます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 今までいろいろ申し上げて参ったのでございますが、現在の労働条件の現況よりながめて参りましても、大企業と中小企業の格差というものが依然としてはなはだしく残っておる。賃金の面でいいましても四割程度の格差がある。労働時間でいっても約一時間程度の格差があろう。しかも災害率というものは、統計によって見て参りましても倍近くになっておる。こういうようにいろいろな面において大企業、中小企業における格差というものが現実に現われておるわけでございます。従いまして、今までいろいろと御質疑申し上げましたように、こういった格差をすみやかになくしていく、このことは、労働行政の中でもいろいろございましょうけれども、現下の大きな一つの急務ではなかろうか、しかもそのことが好むと好まざるとにかかわらず、一つの大きな方向である。この方向にさからうということは断じて許さるべきものじゃないというふうに考えるわけでございます。そういうことをまずここで第二に申し上げておきたいと考えます。  それから第三に私が御指摘を申し上げておきたい点は、本日の労働大臣のごあいさつにもございました重点施策の第三の柱でございまする労使関係の近代化という問題でございます。経済の繁栄と民主主義の発展とは、自由にして民主的な労働運動の伸展とよき労働慣行の確立に負うことがきわめて大きい。また、わが国の労働運動、私が特に御指摘を申し上げたい点は労使関係の問題でございまするが、その労使関係の問題についても、逐年改善の方向をたどりつつある——私は、特に後ほどの質問と関連してぜひこの際承っておきたいと思いまするのは、労働大臣が示されました施策の第三の柱である労使関係というものは、逐年改善の方向をたどりつつある、こういう点でございます。この労使関係というものがわが国においては年々改善の方向をたどりつつある、この点は後ほどの質問とも関係をいたして参りますので、どういう方向で改善されつつあるか、こういう点についてあらかじめ一つ労働省当局の御所見を承っておきたいと考えます。

冨樫總一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 お答え申し上げます。  基本的に申しまして、終戦以来今日までの労使関係は、仰せの通り、逐年改善、健全な方向に向かってきておると存じます。ただ、今日なお個々の場合につきまして、やや法秩序が乱れるような事態がないでもございません。あるいは大企業におきまする技術革新、合理化の過程におきまする労使の話し合いが、やや円滑を欠くという場面もないではございません。特に中小企業におきましては、ややもすれば、ふなれのために、泥沼争議になっていくというような傾向も依然として存在するわけでございます。これらにつきまして、それぞれ対症療法的にやって参るわけでありまするが、基本的には労使の話し合い、労使のとげとげしない意思の疎通をはかり、信頼感を増すというムードを作って参りたいということも考えまして、最近御承知のように、労働問題懇談会を労働問題懇話会に切りかえ、地方においてもそういうなにをするというような路線で、介入にわたらざる限度におきましてできるだけ助言、援助、サービスをしたい、こういうふうに考えておるわけであります。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 本日の私の質問の目的が、今申し上げました労使関係そのものではないわけでございますので、後ほどまた具体的な問題を取り上げて御所見を承りたいと思いまするし、一応今日の日本の労使関係というものがどういう方向をたどりつつあるか、そういう一つの傾向を承っておくにとどめておきたいと考えます。  そこで、いよいよ私の質問の目的でございまする本題に入るわけでございますが、まず調達庁の長官にお伺いを申し上げておきたいと思いまする点は、御承知のように、駐留軍で働きまする従業員の中の警備員に対しまして、最近時間短縮が行なわれました。この時間短縮は、もちろん労働者も行政指導をやりたい、私ども社会党も党の方針でございますし、しごくけっこうでございますけれども、ところが、時間短縮は行なわれたが、私が今いろいろと労働省とも質問を繰り返しましたように、労働大臣の大きな重点施策でございまする三つの柱のうちの第二、第三の柱と非常に逆行する形での時間短縮が行なわれた。従いまして、まず私は、調達庁長官にお尋ねしておきたいと思いまするのは、今回行なわれましたプレディ、小倉、この基地におきまする警備員の時間短縮の問題、四十八時間を四十時間に二割短縮するという問題でございまするが、この問題に対してどういうふうにお考えになっておりまするのか、まず一つ長官にお伺いを申し上げたいと考えます。

林一夫調達庁長官

○林(一)政府委員 今回の原因は、河野先生すでに御承知の通りと存じますが、御承知のように、駐留軍従業員の基本労務契約におきましては、この給与は週勤務時間制に基づいて定められる建前になっておるのであります。従いまして、勤務時間によってその従業員の収入が増減することになっても、現在のところは、このような労務契約上やむを得ないと私どもは考えております。けれども、今回のような大幅な勤務時間の短縮というものはできるだけ避けなければならない、こういうふうに私どもは考えております。もしその勤務時間の短縮を行なうべき必要がある場合においても、その短縮は、先ほどのお話にもありましたように、漸進的にやる、あるいは漸減的にやる、漸減的に実施することによって、従業員に対する影響をできるだけ少なくするというようにする必要があると考えておるのであります。従いまして、今回の場合も、そのような考えのもとに軍当局には折衝をいたしております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 今長官のお答えを承って参りますと、できるだけ従業員への圧迫というものが行なわれないようにということが一点、もう一つは、現在の労務基本契約がこういう契約だからやむを得ないという、この二点についてのお答えがあったわけでございます。  そこで、第一に私がお尋ねを申し上げたい点は、そういった労務基本契約というものが今日の非常に大きな問題を起こす原因となっておるわけでございますが、そういう労働基本契約というものについて今日までどういう態度で臨まれて参ったかということが一つ、第二は、今度の時間短縮によりまして、四十八時間が四十時間、時間が二割短縮されると同時に、所得におきましても二割減収、従いまして、今の駐留軍労務者のベースから言いますると、大体一人当たり四、五千円の減収、それがさらには、退職金のごときは、大体十万円から十一万円の減になる、それだけ少なくなるというようなことを私どもは承っておるわけでございまするが、そういう労務基本契約に対します態度、それからさらに、今申し上げましたように、月平均四千円から五千円の減収になるということが、駐留軍労務者に対しましてどういう大きな影響をもたらすというふうにお考えになっておるのか、この二点についてまず承っておきたいと考えます。

林一夫調達庁長官

○林(一)政府委員 先ほども申しましたように、労務基本契約におきましてはそういうような建前になっておるのであります。この契約に基づいてこれを運用し、あるいは指導するにあたりましては、先ほども申しましたような態度で、勤務時間の短縮はできるだけ避けたい。またどうしても勤務時間の短縮を必要とする場合においては、これを漸減的に実施するよう、しかして、従業員に対する影響を極力減少するというような考えのもとに、米軍と折衝しておるのであります。今回の四十八時間制を四十時間制にするというようなことによる収入に与える影響、これは非常に大きな影響である、こういうように考えております。このような大幅な短縮はやはり大きな問題でありますので、先ほども申しましたように、このようなことがもし必要であるならば、漸減的に行なわれるようにというようなことで、今回も軍に数次にわたって折衝をいたしておる次第でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 まあ二割収入減については、何と申しますか、非常に御同情の言葉もあったようでございます。ところが私が第一に御指摘を申し上げました労務基本契約に対します態度、これについては必ずしも納得のいくような御答弁がなかったようでございます。なるほど数次にわたって交渉したというふうなお話もございましたが、実際の今日までの状況を見て参りますと、必ずしも納得のいくような話し合いが行なわれておらぬ、そこに非常に大きな問題があったと私は思う。結果は別といたしましても、この基本契約の中にも十五日間の調整期間があるわけでございますけれども、その中でまだ十分討議が尽くされぬということでございますならば、別途、当然十五日を延長してさらに話し合いを続ける、こういうことが労務基本契約の趣旨からも当然行なわれなければならぬ。こういう点について行なわれなかったということについて、私どもも非常に遺憾だと考えるわけです。そういうところに、私は今日現地の諸君が無期限ストライキに入ったところの一つの大きな要素があったと思いますけれども、そういうような契約上許された話し合い、そういうものが行なわれなかった原因が一体どこにあったのか、こういう点についても一つお答えを願いたい。

林一夫調達庁長官

○林(一)政府委員 今回の勤務時間の短縮につきましては、具体的に申しますと、九日の十二日、これは実施の日の十九日前でございますが、この十二月に軍側から現地の労務管理機関に提示されております。その後現地におきましては数次にわたって軍側との協議が行なわれております。また中央におきましても、調達庁としましては上級軍司令部との間においてこの実施の延期等につきまして折衝を重ねて参ったのであります。また、関係労働組合に対しましても、同時に勤務時間の変更案を示しまして、その意見の聴取をもあわせて行なってきておるのでございます。そういうようなわけで、この基本契約に基づきまする事前協議というものは、数次にわたって行なってきておるわけでございます。しかも、その上調達庁としましては、特に上級軍司令部との間に、先ほども申しましたようにこの実施の延期等については折衝を重ねておる次第でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 契約上十五日以前に通告をするということは、これはもう契約に定めてありますから問題ないところでございますけれども、さればといって、十五日間じんぜんと時が経過する、そうした場合はアメリカの言い分が一方的に通るということではないわけです。契約上もそういうことではないわけです。その場合には別途に当然期間を延長して協議をするということが契約上にも規定されておるわけです。今日までの交渉経過を見て参りましても、これは調達庁長官がみずから御体験になっておることでございましょうが、すなわち直接雇用者でございまする県、これは福岡県でございますが、それと現地が、それからさらには調達庁と、この場合は第五空軍でございますが、こういうふうに中央交渉と現地交渉が逐次行なわれてきた、その中でも責任者がほとんど出席せずしてこの交渉が持たれておる。それから、さらには現地の交渉の経緯を聞いて、また中央の交渉の経緯を私ども承って感じますることは、この現地の交渉の内容と中央におきまする交渉の内容というものが非常に食い違っておる、そういう現地と中央との話の食い違い、こういうことで、実は今度の十五日間、現実には十九日間だったと思いますけれども、こういう期間というものがじんぜんと経過をしたというのがその実態でございます。そういたしますと、当然私は契約上の期間というものが延長されて、その中でさらに交渉が続けられ、そうしてその結果はどうであろうとも、形式的には労務契約の上からもそういう方法というものが当然とられなければならぬというふうに考えるわけでございますが、その辺はいかが御判断願っておりますか、この際明らかにしていただきたい。

林一夫調達庁長官

○林(一)政府委員 お話の現地の交渉が責任者がいないというようなことで十分行なわれていないというお話でございますが、私ども現地の事情を十分調べましたところ、やはり回を重ねて軍と協議をしておったことは間違いございません。また、お話の中に現地の交渉と中央の交渉との内容が違っておるといったようなお話がございましたが、その点は別に違ったところはないのでございます。現地においては先ほども申しましたように、この時間短縮に伴う協議案に基づいて協議をいたしております。中央におきましては、やはりこのような大幅な時間短縮は大きな減収を与えて気の毒であるから、中央としてもこれは何とか折衝しなければならぬということで、特に上級軍監部に当たりまして、今の実施を延期してもらいたいというような申し入れを特に行なった次第でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 この交渉内容については、私は現地からも、あるいは中央交渉については調達庁長官の方からも、いろいろと御報告をいただきましたが、少なくとも、調達庁の方から御報告をいただきました内容と、現地から私が受けました内容とにおいて食い違いがあったということは、これは率直に指摘せざるを得ないと思います。しかしそれは私が直接立ち会ったわけではございませんから、その点についての黒白を争おうとは思いません。ただ、私が非常に残念に思いますことは、私がそういう事実を指摘申し上げますと、それを長官が否定をされました。私が痛感いたしますことは、そういう事実の誤認によって、そのためにこの交渉というものがスムーズに進行しなかったということでございますならば、私は非常に大きな責任というものが長官にあるというふうに考えるわけです。事実をそのまま確実に把握をされて、その上に立って交渉を進められて、そうして話がうまくいかなかったということでございまするならば、私は、了承するわけに参りませんけれども、そういうこともやむを得ないだろうというふうには判断いたしますが、今申し上げますように、現地の交渉の事実と中央の交渉の事実とにかなりの食い違いがある。そういう食い違いを十分御理解いただかずに、十分御認識いただかずに、この問題が先ほど私が申し上げましたような結果になったといたしまするならば、私はその責任のすべては長官に負っていただかなければならぬ、こういうふうに考えるわけでございますが、その点は、いかがでございますか。

林一夫調達庁長官

○林(一)政府委員 先ほども申し上げましたように、現地の交渉と中央の交渉との内容について事実の食い違いがあるということはないと私は確信しております。私どもはやはり現地の交渉の事実をよく認識しまして、中央の折衝に当たったわけでございます。調達庁が中央幹部との折衝に当たりましたのは、先ほどから申しましたように、今回の時間短縮が従業員の収入に与える影響が非常に大きいということでございましたので、これを漸減的に行なってもらいたい、また実施については延期してもらいたいということを申し上げたのであります。これはやはり現地の交渉の事実に基づいて、そういう折衝をいたしたのでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 その点については、直接私がタッチしたわけではございませんから、私はそういう理解をいたしておるということで、そういう長官の御答弁はまことに遺憾しごくであると指摘せざるを得ないと考えます。  そこで私はさらにお伺いをいたしたいと思いまする点は、それでは一体——今までもいろいろ私が申し上げましたように、それぞれ現地においても交渉を行なわれる、あるいは中央においても交渉が持たれる、その場合の交渉の主導権、言葉を変えて申し上げますと、労務管理の主体というものは一体どこにあるのか、もう少し具体的に申し上げますと、中央にあるのか、現地にあるのか、この点について一つ明らかにお答え願いたいと思います。

林一夫調達庁長官

○林(一)政府委員 労務管理の事務は、各県に委任して行なっておるわけでございます。従いまして、このような場合は、現地の協議、労務協約に基づきまする協議、これはやはり現地の労務管理機関が行なうのが建前でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 それは直接雇用は国が、県がやることですから、形式的には労務管理の責任者というものは国であり、県であるということは、これはもう否定できぬと思います。しかし実際問題として、その主導権というものは国が持ったり県が持ったりするわけではないでしょう。これは形式的にも実質的にもそうであるとするならば、話はしごく簡単ですよ。この点はいかがですか。

林一夫調達庁長官

○林(一)政府委員 この基本契約によりましてきまっておるのでありまして、軍と調達庁が基本的な契約をする、それによって各種の労務管理事務が行なわれるということでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 形式的なことは私の方がよく承知しているわけです。ところが実際上の主導権というものは、一体現地軍が持っておるのか中央が持っておるのか、こういうことです。

林一夫調達庁長官

○林(一)政府委員 問題の事案によると思いますが、軍におきましては、現地軍が一応統制権と申しましょうか、指揮権を持っております。もちろんこれに対して中央の軍が監督権と申しましょうか、そういうものを持っているということであります。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 そこで今の長官の御答弁を聞いて参りますと、先ほど私がそれに対して申し上げました、現地軍との交渉と中央交渉の内容の食い違いがあるということを裏づける答弁になっている。現地軍がその主導権を持っているということになれば、この問題はしごく簡単に片づいておるわけです。ところが片づかなかった原因というものは、その労務管理の主導権というものは中央にあるであろう、そういうことのために今度の解決というものが行なわれなかったのであろうというふうに実は私は判断いたしましたので、今の長官の答弁を聞いて参りますと、全く現地軍の言い分と中央の言っておられます言い分の食い違いを長官みずからが証明されたということになるわけでございますが、それでよろしゅうございますか。

林一夫調達庁長官

○林(一)政府委員 今回のような事案につきましては、決定権と申しまするか、これはやはり現地軍が持っておるのであります。もちろんこれに対して中央は監督権と申しましょうか、一般的な監督権は持っておるわけであります。従いまして、原則としましては、その決定権は地方軍が持っておりまして、地方の決定というものがそのまま結論になる、こういうふうに考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 その点については全く理解が参りません。私は少なくとも今度の交渉経過の内容から判断すると、どうも主導権というものは中央が持っておると考えます。そこで長官のそういう御答弁は全く納得がいきません。それでは二割の時間短縮をし、それに応じて賃金ダウンをやった、そういう理由が一体どこにあるのか、どういう理由でそういう方策をとったのか、この点に対する御所見を一つ承りたい。

小里玲総理府事務官(調達庁労務部長)

○小里政府委員 お答えいたします。今度の問題は、従来から四十八時間制をもって実施をして参りましたのを、四十時間にすべしという中央からの——われわれ事務局調査と言っておりますが、事務局調査の結果に基づいて、現地軍が決定をしたというところに問題の発端があるわけでございます。従ってあくまでも決定は長官の先ほどの答弁にありましたように地方にございますけれども、問題の発端は中央の人力調査の結果に基づいて四十八時間制を四十時間にすべし、こういうことになったのでございますので、この人力調査の結果に基づいて今回の変更は行なわれた、こういうことでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 そうすると、今の長官の答弁と、労務部長の答弁とまた食い違ってくるわけです。長官は労務管理の主体的な主導権というものは現地軍が持っておる、こう言われておる。今度の四十八時間制を四十時間制に短縮したのは中央の方針によってやった。それですから私はさっき申し上げるように、この労務管理主導権というものは地方にあるのじゃないかということを再三再四繰り返して指摘を申し上げたわけです。そういたしますと、やはり私が指摘しておりますように、長官の御答弁と労務部長の答弁とはおのずから食い違いがあるじゃありませんか。

林一夫調達庁長官

○林(一)政府委員 私は違いがないと思います。私が申し上げましたものは、今回のような事案、労働時間短縮に伴う協議というようなことについての決定権は地方軍にあるというふうに申しました。もちろん全体的な時間制限問題、これは人力調査をやりまして、時間を短縮した方がいいかどうかというようなことについての調査とか、あるいは監督権は中央軍にある。これは一般監督権に基づいて中央軍がやるというふうに考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 私が申し上げるのは、何も時間短縮ばっかり言っているのじゃないのです。基本的に駐留軍労務者の労務管理の主導権というものはだれが持っておるのか。何も駐留軍労務者に対する問題は、今度の時間短縮の問題だけではないのです。首切りの問題もございましょう。あるいは貸金格差解消の問題もございましょう。いろいろあるわけですよ。そこで私どもはさっきちょっと御指摘申し上げましたように、現地で交渉し、中央ではそれぞれ交渉を持たれる、ところがそういう交渉の過程の中で、第三者たる私どもはどうも食い違いがある、こういう判断をせざるを得ない。そういう判断をいたしますと、一体駐留軍労務者の労務管理の主導権というものはだれが持っておるのか、このことが私どもの交渉の対象として非常に重要な要素になってくるわけです。それですから私どもは単に今度のケースについてどうのこうの言っているのではなくて、一体基本的に駐留軍労務者に対しまする労務管理の主導権というものはどこにあるのか、中央にあるのかあるいは現地軍の司令官が持っておるのか、こういうことをお尋ねしておるわけですから、その点をはっきりされぬと、一般論は一般論、今度のケースは今度のケースというふうに話されますと、ますます話がこんがらかって混乱して参りますから、そういう私の説明に基づいてその点の見解を一つはっきりしていただきたい。

小里玲総理府事務官(調達庁労務部長)

○小里政府委員 中央と地方との関係は、一般論的な監督なり指導ということは中央でやりまするが、実際の労務者を使って労務管理をやるという主体性は地方にございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 このような時間短縮の問題は、さっきも部長からも御報告がございましたように、中央の人力調査等によってやるということですから、何もこれはプレディあるいは小倉だけがやるというだけの問題ではない。たまたま今度の場合はプレディと小倉で発生はしておりますけれども、時間短縮という問題は一般論です。一般的な方針でしょう。そういう方針ですから何も今度のケースの場合には現地軍だというふうにはならぬと私は思うのですが、この点はどうでしょう。

小里玲総理府事務官(調達庁労務部長)

○小里政府委員 従来も労働時間の問題のみならず、人員の数でございますとかいろいろな問題につきまして、各地方で行なわれました人力調査に基づいて最も効率的な労務管理をやり、成績を上げるというためにはかくかくすべしという、人力調査の結果に基づく中央の指令が出るわけでございます。その指令に基づいて地方の現地軍が制度を改正するなり時間を短縮するなりということをやっておるわけでございます。そういう関係にあるわけでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 結局やったことは現地軍がやったのでしょう。また方針というものは中央が示しておるわけですね。ですから少なくともこの時短問題については中央が主導権を持っておったということになろうと思うのです。そういう間の交渉をおやりになりましたかどうか。

小里玲総理府事務官(調達庁労務部長)

○小里政府委員 人力調査をやるのは中央でございますから、その中央の調査の結果現地軍に指令が出される、こういうことでありますので、私どもはあくまで中央と交渉いたしますときは、その人力調査の結果に基づいて現地軍が措置をとったのでございますけれども、その措置があまりに労務者に影響するところが多いということで、その人力調査の結果の緩和を中央は認めることができないか、こういう折衝になるわけでございます。そこで中央がもし調達庁との折衝の結果よろしいということになりますならば、中央として人力調査の結果はこうであるけれども、これを緩和すべしというようなことを現地に言ってやるわけでございます。従って決定はあくまでも地方でやる、ただ中央の人力調査の結果の緩和について考慮を促す、こういう折衝を中央でやっておるわけであります。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 私が言うのは、時間短縮の問題は中央がそういう方針を示しているわけですね、何もこれはプレディとか小倉の問題ではないわけです。局部的な問題ではないわけです。具体的には小倉やプレディで行なわれたでしょう、ですけれども時間短縮の問題は中央の決定した方針ですから、従ってこの問題については、何も局部的な問題ではなくて、全国的な問題として当然考慮されなければならぬ問題ですね。そうでしょう。何もプレディと小倉だけやれというわけではないでしょう。そこだけやれということを中央が示したわけですか、そうじゃないでしょう。

小里玲総理府事務官(調達庁労務部長)

○小里政府委員 人力調査はそのときその場合によりまして、各地で随時行なわれるわけでありますから、全国一斉にその指示が出るということではないわけであります。従って今回の場合のように小倉あるいはプレディというところの人力調査の結果に基づいてこういう結果が出た、従って現地軍はこう改正すべし、こういうことでございますから、問題としては労働時間全体の問題としても、担当官がやる人力調査につきましては全般的な問題でございますけれども、今回の場合は過般行なわれました人力調査に基づくプレディと小倉の問題である、現象的に現われた問題としてはその地方に限られた問題でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 どうも幾ら聞いてもわからぬです。というのは、なるほど現象はそうでしょう。プレディと小倉に起こった現象でしょう。しかし時間短縮そのものは中央軍の方針であるわけですから、当然そういう局部的な問題でなくて、全国的な問題、一般論として取り上げるべき問題ではないかというふうに私は考えるわけです。ところがあなたがどうでも局部的な問題だというふうにお考えになれば、これはいたし方ございませんけれども、そういう御答弁では満足しないということで、一つお話を申し上げておきたいと思います。  御承知のように今度の問題は今申し上げましたようにプレディ、小倉で行なわれた問題であって、板付、横田、三沢では行なわれておらぬ、これは依然として四十八時間ですね。同じ勤務内容であってそういう点が私ども非常に矛盾を感ずるわけです。方針は中央で示しながら、やるのは局部的にやっている。そういう意図というものはどこにあるのか。私ども全く納得がいかぬわけです。  と同時に、もう一つ明らかにしておきたいと思いまする点は、たとえば軍のいろんな状況によって人件費が圧迫された、そのために結局時間短縮で賃金を下げるということは一つの理屈は立つわけですね。納得はできませんけれども理屈は立つ。ところが新しく従業員を五十人ふやして時間短縮して賃下げをする。実際予算上の問題ではないわけです。そこで、ますますもって今度の時間短縮がどういう意図で行なわれたか、私どもまことに不可解千万に感ぜざるを得ない。  労働大臣も御出席願いましたので、端折って一つ労働大臣の方に論旨を進めて参りたいと思います。今私がいろいろ御指摘を申し上げましたように、先ほども労働大臣は三つの重点施策を御説明になったわけです。その中の第二の柱の、労働条件の向上、それから労働条件格差の是正、第三には労使関係の近代化、この第二、第三が、今私が具体的に取り上げております問題と非常に関係があるわけです。日本の労働行政の最高責任者でございまする労働大臣、その労働大臣が、今私は二つの柱を指摘いたしましたけれども、先ほどの御説明によりますと三つの柱が御説明にあった。そのあとの二つの柱でございまする二つの問題と、現在私が具体的に取り上げております問題というものが非常に逆行しておるという事実、そういう意味で実は取り上げて参ったわけです。と申し上げますのは、今日労働条件の格差を是正していこうというのが労働大臣の第二の柱でございます。ところが今私が取り上げております問題は、そういうような労働条件の格差の中にはいろいろあるでしょう。賃金を上げることもあるでしょう。時間短縮の問題もあるでしょう。ところがその中の賃金と時間短縮の問題が今問題になっておるわけです。というのは、あまり説明はいたしませんが、簡単に申し上げますると、プレディ、小倉の基地において、基地の従業員である警備員が、今まで四十八時間労働制であったのが四十時間、二割の時間短縮が行なわれた。その点は今労働大臣のおっしゃる方針と社会党の方針とも一致するわけですから問題はございませんけれども、そのために、二割時間短縮されただけ賃金がダウンされたというところに非常に大きな問題があるわけです。ところがこれは先ほど労働省当局からも、局長からも、いろいろ御見解を承りましたので、あらためて大臣から御見解を承る必要はないと思いますけれども、そのように今度基地において行なわれた時間短縮という問題が、少なくとも私どもの党の方針ないし政府の方針から非常に逆行した形で行なわれてきた。こういう点については、これは基地労働者に限らず、労働大臣が労働行政の最高責任者でありますから、労働大臣、そういう実態について一つ将来ぜひ御善処していただかなければならぬと思いますが、そういう点に対する御所見を一つ承っておきたいと思います。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 私は労働条件の向上としていろいろなことを考えますが、ただいま御指摘のような、たとえば時間短縮というようなことは、わが国全体の情勢からしても、これは漸進的に必要であろうと考えております。ただその場合において賃金との関連におきましては、生産性の向上と見合いつつ短縮されるが、賃金もなるべく下がらないようにということは一般的に労働大臣としてそうありたいと存じます。しかし、それぞれの事業場、職場等におきまして、そのときそのときいろいろの事情がございますので、一般的な方針は方針といたしまして、それに関係する労使がそうしたことについてよく話し合って円満な結論を出していくということもまた望ましい、こういうふうに考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 今、大臣からもあらましお答えがございましたように、時間短縮が望ましいということは、私どもも大賛成でございます。ところがそれに伴う賃金保障というものがされなければならぬということが大前提にならなければならないと思います。ところが今私が御指摘申し上げましたように、時間短縮をしただけは賃金を下げるというようなことは、日本の労働行政の一つの方針にも相反する。そういうことが今日現実に堂々と行なわれようとしておる。これは福永労働行政にも背反することでございますので、一つ調達庁長官を叱咤激励されまして、今後そういうことが起こらないように御協力を願いたいと考えております。  それから第三に大臣が御表明になりました労使関係の近代化、この問題についても関係がございますので、大臣から御所見を承っておきたいと思います。今日起こっております基地における無期限ストライキ、そういう問題も、駐留軍労務者というものを直接雇用しているのは日本側でございます。アメリカに対しては、そういう労務を提供するということで、直接の雇用は日本側にあるわけでございますから、従ってそういう駐留軍の労務者の労務管理というものについて、日本はもっと自主性を確立していかなければならない。何もかもアメリカの言いなりになってしまう、労務契約の十五日を過ぎれば一方的に全部アメリカの方になってしまう。そういう屈辱的な労務管理ではなくて、雇用は日本国がやっておるわけでありますから、自主性を持って——それはアメリカにおいては、いろいろアメリカの考え方もありましょう。アメリカの方針もありましょうけれども、少なくとも労務管理については日本が自主性をはっきり持っていくということは当然私は必要だと思います。大臣もさっき労使関係の近代化というものが逐年行なわれつつあるというふうに御表明のようでありました。ところが一方におきましては、そういう大臣の方針に逆行するような労務管理が行なわれておるということでございますので、そういう状況もこの際一つ大臣の御就任と同時に十分御認識をいただいて、そうして今後、これまた調達庁長官を叱咤激励願って改善をはからせるということに願わなければなりませんが、その点に対する一つ明快な御所見を伺っておきたいと思います。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 ただいまのお話にお答え申し上げる前に、御説にありました時間短縮と賃金の関係でありますが、私の申し上げましたところの一部を、故意でございますか何でございますか、お抜かしになって御発言になったので、生産性向上と見合いつつということを申し上げたことを、一つさらにもう一度申し上げておきたいと思います。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 それはわかっております。

福永健司自由民主党労働大臣

○福永国務大臣 なお労務管理の自主性確保につきましては、同感でございます。そうありたいと存じます。しかしある程度やはり御指摘のような職種にありましては特殊性もあるということも否定できないと思うのであります。それらのものを理想に近づけるように、できるだけすみやかに調和を保たせることは大へん望ましいと存じております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 時間がだんだん参りましたので、結論を急ぎたいと思いますが、まあ望ましいと同時に大臣は一つ望ましい方向が実現するように、今後とも御努力願いたいというふうにお願いします。  それから、今申し上げましたように、労務管理においてもあるいはまた基本労務契約の中におきましても、いろいろ問題点がたくさんあるわけです。しかも今度の場合は、いろいろ大臣からも御指摘ございましたように、アメリカの事情もあろうということでございましたが、少なくとも今度具体的に起こって参りました現象というものは、何ら納得すべき理由がない。しかも一方におきましては、一人当たり月額四千円、五千円の減収が行なわれるというようなことで、非常に大きな圧迫を駐留軍労務者に加えるということになっておるわけです。そこで、そういったいろいろな問題点があるわけでございまするが、そういう問題点を今後どういう方向で解決していこうというふうにお考えになっておるのか。おそらくこれは考えておられると思うのですよ。こういうことがいつまでも許されたならば、次から次へと問題が起こってくる。しかもその起こってくる問題というのは、さっき福永労働大臣から言われた方向とは逆行する方向が生まれてくるわけです。ですから私は、少なくとも長官としては、今日まで起こって参りましたもろもろの問題、この問題に対してどういうふうに取り組もうとされるか、そういう御決意を最後に承っておきたいと思います。

林一夫調達庁長官

○林(一)政府委員 お説の通りなお不合理の点もあると存じますので、こういうような点は今後大いに検討しましてその是正に努めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。たとえば給与の問題につきましても、その体系を現益検討しておるわけでございます。いろいろの問題がありますので、現在そのような問題を取り上げて米軍と折衝しつつ改善をはかっていきたい、こういうように考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 今の御答弁ではちょっと満足できぬわけです。と申し上げますのは、それは給与体系の問題もございましょう。しかし私は一番大きな問題として取り上げなければならぬ問題は、さっきも労働大臣にお願いしたように、労務管理の自主性というものをやっぱり回復するということですよ。こういう中で賃金問題もその他の労働条件というものも当然検討されていかなければならぬ。それが大前提にならなければならねのですよ。そういうことに対して私はここで長官が答弁をはずされたということはまことに遺憾だと思いますので、そういう根本になる、基本になる点ですね、そういう点に対して私はここではっきり御確答願っておかなくてはならぬというように思うわけです。

林一夫調達庁長官

○林(一)政府委員 お説の通り労務管理の自主性を確立するということが必要である。現在もこの労務管理の自主性は持っておるつもりであるのであります。御指摘のようにまだ足らない点もあろうかと思う。そのような観点からいろいろの問題を取り上げて、自主性の確立という観点から各種の問題を取り上げて現在検討しております。この点は一つ今後とも御指導お願いしたいと思います。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 この際午後二時まで休憩をいたします。    午後零時十四分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕

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