建設委員会 第6号
- 発言数
- 65 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/10/17
会議録
○二階堂委員長 これより会議を開きます。 まず、理事補欠選任の件につきお諮りいたします。 去る十三日、理事薩摩雄次君の委員辞任に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行なう必要があります。 この際、先例により委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○二階堂委員長 御異議ないものと認め、薩摩雄次君を理事に指名いたします。 本会議終了後再開することとし、暫時休憩いたします。 午後一時三十五分休憩 ————◇————— 午後二時三十三分議開
○二階堂委員長 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。 宅地造成等規制法案を議題とし、審査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。瀬戸山三男君。
○瀬戸山委員 宅地造成等規制法案につきまして、ごく簡単に政府の考えをただしておきたいと思います。 私の考えでは、この法律を出されたのは時宜に適しておると思いますが、もう一つ言いかえると、一つ時期がおくれたという程度に考えております。 内容について二、三見解をただしておきたいと思います。 この第一条に、宅地造成区域を指定する場合のことを書いてありますが、ここに「市街地又は市街地となろうとする土地」、こういうことが書いてあるわけであります。「市街地」ということはやや概念が明らかなように思いまするが、「市街地となろうとする土地」、こういうことについて政府の考え方を明らかにしていただきたいと思います。
○齋藤(常)政府委員 第一条におきまして「市街地又は市街地となろうとする」ということでありますが、「市街地」と申します場合におきましては、御承知のように通常家屋施設が連檐しておるというような地域をさすわけでございます。「市街地となろうとする土地」という場合につきましては、現在の段階におきましては市街地というほど連地はしていない、しかしながら近い将来におきまして市街地として開発される予定であるような土地、または四囲の状況とかあるいは社会情勢に照らして考えてみました場合に、自然に近い将来において市街地になるであろうというようなことが十分予想されるような土地については指定をしていこう、そういうような関係で「市街地となろうとする土地」というものもこの区域の中に含めていきたい、こういうように考えておる次第であります。
○瀬戸山委員 市街地であるところが、この法律に書いてありますように、がけくずれあるいは土砂の流出によって危険を生ずる、災害を起こしやすい、こういう点を考えて規制を行なうわけでありますが、「市街地となろうとする」−−よく見るのですが、今宅地等造成のために各地で宅地造成事業が行なわれている。ところが、現在市街地でも何でもない山の中腹とか、あるいは山でなくとも相当既成の市街地等から離れたところに、住宅地と申しますか分譲地と申しますか、そういうものをたくさん造成しておるわけであります。どういうことなんですか、市街地となろうとすることがはっきりしておらないと、たとえばこの法律では都道府県の申し出によって区域を指定するかどうかということが検討される、そうすると、だれか来てどうもそこに宅地造成をしそうだ、将来相当住宅等ができるようないわゆる分譲地を作りそうだ、土地を買い始めたとか、なにかそういうことがあったときに「なろうとする」ということになるのですか。あるいは何にもないけれども将来はどうも宅地になりそうだ、こういう点は都道府県知事は、そういう「なろうとする」というようなところを一体いつ建設大臣の指定を受けるようにするのか。この点を私は聞きたいわけです。そこはどういうふうに考えておられるか。始まってからではいろいろここに基準をきめて認可の条件があるのでしょうが、始まる前だと、武蔵野の原でもどこでもけっこうですけれども、ここら辺はどうもなりそう、だというのか。あるいはだれかやり始めてからやるのか。この点はどうなんですか。
○齋藤(常)政府委員 ただいまのお話にございましたように、ひどく離れておるけれども、これが近い将来において市街地になるのではないかというような場合も指定するのかというお話と承ったのでございますが、私どもといたしましては、この指定の際の一つの条件はやはり、災害防止、もう一つは「市街地又は市街地となろうとする土地」、こういうところにつきまして災害の発生のおそれのあるという点から申しますと、主として傾斜地というようなことが考えられるわけでございます。そこで、市街地が遠くの方と申しますか、若干離れておるけれども当然宅地造成等が近い将来に行なわれるだろう。しかも、傾斜地等で災害のおそれのあるというようなところにつきましては、やはり指定になるものとわれわれは了解しております。たとえて申しますると、やはり主としては、現在市街地があってそれに隣接しているような丘陵地というようなものが指定の対象になる、こういうふうに考えます。
○瀬戸山委員 もう一つわかりやすくお尋ねしてみると、横浜あるいは熱海——熱海はちょっと極端かもしれませんが、神戸あたりによくありますように、土地が狭いからだんだん丘陵地帯に市街地が伸びていく、あるいは住宅地帯を開発する。こういう場合には、今は何もないけれども、将来やれそうだ、始まるかもしれぬという想定のもとにある特定の区域をきめて、都道府県知事が指定地区に申請することができるがどうかということです。何か始まったらやるということになると、基準をきめてどうかということになれば、そこに非常な誤差が出てくる。そういうように何もないのに、あらかじめここは指定区域になっておるのだから、将来だれかやるときにはこの基準でしていかなければならぬということができるのかどうか。そういうことを想定しておるのかどうか。この点なんです。
○齋藤(常)政府委員 ただいまのお話のように、都道府県の立場におきまして将来を見越して、しかもまた災害が起こるということを見越しまして申し出をしてきたという場合におきましては、これは指定することになるわけでございます。従いまして、そういうような調査を十分にいたした上で、その調査に基づいて申し出てくる場合におきましては、これを指定いたす、こういうふうに考えております。
○瀬戸山委員 だいぶはっきりしたと思います。そこで、「市街地となろうとする」というのは、現に何軒か家が建っておる、あるいは建ちつつある。それがだんだん膨張していって市街地になろうというようなことでなしに、最近行なわれておりますように、今は全然家がないけれども、あちこちずっと宅地を造成するための適地がまた相当にある。そういうことを想定して将来の問題として——これはちょっと話は違いますけれども、東京の近郊にはグリーン・ベルトというものがある。あれは法律に基づかないと思うのですけれども、グリーン・ベルトというものを指定をして規制をしている。それとは多少違いますけれども、そういうようなあんばいで、今はないけれども将来を想定してやる。従って、それについてはこの法律によってある程度の規制が加わる。そういうことがあり得るということですね。
○齋藤(常)政府委員 お話のような点はあり得るということでございます。
○瀬戸山委員 これは名前の通りに宅地造成等規制の法律でありますが、第二条には宅地の定義を掲げて、第一号に「農地、採草放牧地及び森林並びに道路、公園、河川その他政令で定める公共の用に供する施設の用に供せられている土地以外の土地と」いうように非常に広い意味に宅地という言葉が定義されております。それで第三号に、「災害 がけずれ又は土砂の流出による災害をいう。」というふうに特定されておるわけであります。 そこで私がここでお尋ねして明確にしてもらいたいのは、今工場地帯というのがたくさん作られておる。もちろん地目からいうとそういうものも宅地になるのだと思う。この法律でも定義のところを見ますと、そういうところも宅地になるように思うのですが、そこで第三号では災害が「がけくずれ又は土地の流出」となって、それ以外のものは含まないように見えておる。見えておるというよりも、そういうふうな定めがされていないと思う。そこで、最近工場敷地の造成が盛んに行なわれ、しかも、川の付近とか海岸が御承知の通り多いわけです。特に東京湾、伊勢湾その他の低湿地帯にこういう宅地の造成が行なわれる。工場敷地ばかりではありません。その中には普通のいわゆる住宅地としての土地も造成されておる。最近豪雨あるいは台風その他地震等によって、そういう低湿地地帯、海岸あるいは川の近傍というものが非常に災害をこうむっている。これは必ずしもいわゆるがけくずれという範疇には入らない、あるいは土砂の流出というものにも入らない。しかも、普通のがけくずれ、土砂の流出というものは、これはこう言っちゃなんですけれども、割合に災害の範囲が狭い。ところが、海岸とか埋立地とか、あるいは川の近傍というものは、洪水あるいは浸水あるいは高潮、こういうことで非常に災害が多いのですが、こういうことについてこの法律は目的としておらないようにこの法文を見ますとなっておるのですが、そうであるかどうかということ。もしそうであるとするならば、そういう大災害を起こして、現に大阪にいたしましても、伊勢湾、東京湾にいたしましても、それがひんぴんとして起こっておるそして災害のあとには、さあ国が悪いんだ、災害対策が悪いんだと、莫大な経費をかけて災害復旧を一生懸命やっているのです。これは余談でありますけれども、昭和二十何年でしたか、ジェーン台風のときでありましたか、大阪の大半が水びたしになりました。今度もそうでありましたが……。その際アメリカ進駐軍がおってこういうところにおるのが悪いんだということで、非常に問題になりました。そういうことを今繰り返しているのですが、そういう点については何も考えておられないのか。この法律ではこれを全然度外視されたということは何とかいわれがあるのか、これを聞いておきたい。
○齋藤(常)政府委員 指定の対象の地域の中から、単なる低湿地というものを除きましたことにつきましては、御疑問の点も多々あるかと思うのであります。今回のこの法律案を考えるに際しまして出発いたしましたときには、傾斜地あるいは低湿地というものを対象に考えてきたわけでございます。単なる低湿地の場合につきましては、これはいろいろ問題がございまして、単に水がたまるというだけでは、この場合に指定することがなかなか困難であるという問題があるわけで、むしろそういう場合につきましては排水施設、特に幹線排水施設等の整備を公共投資によりましてはからないことには、災害というものは防止することができないわけです。しかしながら、低湿地等におきましては、土砂の流出による災害ということが考えられますので、そういうものにつきましてはこの法律の対象として地域を指定していこう、こういうように考えたわけでございます。なお、災害上非常に危際な地域に対しましては、建築基準法によりますところの災害危険地域としての指定をどしどしやるということを、前回にもあるいは今回におきましても通牒を出しまして、地方において積極的に指定をし、これを規制するための条例を建築基準法に基づいて設けるように指導をしておるような次第でございまして、そういうようないろいろな関係から考えまして、土砂の流出によって災害を受けるようないわゆる低湿地というものだけをこの指定の対象にしたわけでございます。
○瀬戸山委員 この法律がここに指定しておる範囲内で私もきわめて適当だと思っています。また、今お話のように、最近の事例からこういう規制の法律を作ったということで出てきたこともお話の通りでありますが、最近海岸埋め立てが盛んに行なわれている。そしてこれが災害の大きな原因と申しますか、土台になるおそれがある。これについて現在何か規制があるのですか。私はないと思うのですが、この案を立てられる際に何か考えられたことがあるかどうか。
○齋藤(常)政府委員 一般的な宅地造成につきまして何らかの規制を考えていかなければならぬ、こういうような宅地造成等規制法といったようなものだけでなしに、この対象外になりますような一般の土地について宅地造成が行われますときについても、何らかの基準を設けて、一般的な災害が起こらないように、また敷地の安全とか衛生とかいうようなものも十分に考えていかなければならないというような点から考えますと、現在の建築基準法の規制だけでは不十分であるという場合もあると思うのでございます。そういう点から、今後の問題といたしましては、一般の宅地の造成につきましても何らかの基準を設けたい、こういうような考えを持っておりまして、これは宅地開発法といったようなものとあわせて今後検討して参りたい、かように考えておる次第でございます。
○瀬戸山委員 せっかくこういう法律を作るというときですから、もっと大きな問題が他にあると思います。今申し述べたのはほんの一部でありますけれども、御承知のように、海岸埋め立てというものがほとんど乱雑と言っては言い過ぎかもしれませんが、無計画に進められておる。土地を作るということは大切でありますけれども、やはり将来の災害ということについて、何らかの法的措置をする必要がありはしないか、こういうふうに考えて今の質問をしたのであります。そういうお考えがあるということでありますので、私はこれ以上追及をいたしません。どうか一つそういう点を、単に建築基準法とか、そういう小手先の問題でありませんから、十分一つ御検討され、すみやかに成案を得られるように希望をいたしておきます。 それから、これは小さなことであるかもしれませんが、第九条第一項、第二項に、政令の問題が書いてあります。こういう規制をするについては、一つの技術的基準を政令で定める。それからそれを扱う係と申しますか、専門家といいましょうか、その資格についても政令でこれを定める、こういうふうになっておりますが、宅地の規制については、どういうことを今政令で想定されておるか。それからそういう役人と申しますか、そういう資格について、どういうことを政令で想定されておるか。 それからついででありますから、第三に、宅地造成についてこういう規制をしますと、一般的にこういう災害などを考えないで、あるいは他人に災害を及ぼすということを考慮に入れないで、極端に勝手気ままに今日その宅地造成をしておる、それがよくないからこれをやるんだということでありますから、どうしても今までの考え方よりも、相当宅地造成について費用がよけいかかることになると思います。あるいは排水施設を作ったり、擁壁を作ったり、いろいろしなければならない基準を定められる。そうしますと、まあ金のある人はいいかもしれないが、金のない人は、それはけっこうだけれども、なかなか苦しいという状態も起こらないとも限らない。それについて資金を融通するとかなんとかいう方法について、どういうふうに考えられるか。これを一まとめにしてお答えを願いたいと思います。
○齋藤(常)政府委員 ただいまの御質問の第一点の、第九条の技術的基準というのはどういうものであるかということにつきまして、御説明申し上げます。 がけくずれや土砂の流出によります被害を防止するためには、従来の災害の例によりますと、切り土あるいは盛り土等をいたしまして、がけの斜面の安全をはかるとともに、排水処理が完全にできるようにすることが必要となるわけでございます。従いまして、まず第一には、切り土、盛り土のがけ斜面につきましては、このようながけくずれを防止するために、そこの土質の性格によりまして、その勾配でありますとか、または高さの限度等を規定いたしまして、これを越えるものにつきましては、災害防止に必要な擁壁等で補強するということをさせるようにしたい、こういうふうに考えております。また、擁壁につきましては、転倒しあるいは破壊するというようなことのないように、構造計算をいたしまして、安全性を確保するということを考えているわけでございます。 次に、排水等につきましては、これがやはりがけくずれの原因にもなることを考えまして、土地の形質の変更を行なう場合におきましては、排水施設を設置しなければならないということにいたしました。雨水が地表に停滞することがないように、排水にあたりましては、既存の排水施設または自然の排水系統に直結するというようなことをさせたいというふうに考えているわけでございます。 それから第二の御質問の点は、設計に関しての資格制限はどうなっているかという御質問のようでございましたが、そのことにつきましては、下水道法の例等にならいまして、われわれが現在政令で規定しようということを考えておりますのは、一定の学歴を持っておって、かつ実務に何年間か従事しているというようなことを規定いたしまして、これは学歴の方は大学あるいは専門学校、高等学校というようなものごとに一応規定いたしまして、それに実務の経験年数を加えていくというような考え方、それからさらにこれらの形式的な基準に合わせまして、以上のような者に準ずるような知識と経験とを持っている者につきましては、これも認めるというような大体の考え方を持っているわけであります。 それから第三番目の金融的な点はどうかというお話でございますが、これにつきましては、われわれの明年度の構想といたしましては、宅地の補修についての融資を新設したい。これは住宅金融公庫の融資ということになるわけでございます。それから一般の宅地造成等につきましては、公庫の資金をさらに増大するというようなことがございます。それから一般の宅造業者に対する金融につきましては、銀行でも比較的優先的に貸しているというような状況がございますので、それをさらに進めていきたい、かように考えている次第でございます。
○瀬戸山委員 少しこまかくなって恐縮ですが、この基準の中に、第五条には、土質を調べるためにボーリングをする、こういう場合も想定された規定があるのでありますが、いわゆる地下水の移動でもってがけくずれというのがよくあると思うのです。そういう点、地下水の処理等についても基準をきめられると、非常な大工事になるおそれもあるのですが、そういうことも想定されているわけですか。この点を伺いたい。
○齋藤(常)政府委員 ただいまの御質問でございますが、地下水につきましての規制と申しますか、そういうものにつきましても、あわせてその政令の中で考えていきたいと思います。
○瀬戸山委員 これは第三条に関連することが、都道府県知事から、こういう地域をこの法律適用地域として指定をしたい、こういう申し出がある場合はいいのですが、ない場合、どうも宅地造成が始まっておるが、だれが見ても危険な状態になるおそれのある場合、しかし都道府県はあえてこれを申し出をしない、こういう場合を想定されておるかどうか。想定されていたら、一体どういうふうにこの法律の取り扱いとしては考えられておるか。これらの点について伺いたい。
○齋藤(常)政府委員 都道府県から申し出がありませんで、かつ建設大臣の側から見ました場合には指定の必要があるであろうということを考えましたときは、これは地方自治法の規定によりまして、都道府県に対して強い勧告ないし助言を出す、そういうことによって行政指導を行ないたい、こういうふうに考えております。
○瀬戸山委員 それからこれはもとに戻るようなお尋ねの仕方ですが、大体こういう防災宅地地域と申しますか、この指定地域というのは、大体どのくらいの範囲が想定されているか。これは広いとか狭いとかいろいろありますが、どの程度の広さからどの程度の広さまで一応考えられておるか。これは実際現在そういう事例が各地にあるからこの法律を作られたのですから、必ずしも空想的なことじゃないと思います。どういうことですか。
○齋藤(常)政府委員 たとえて申しますと、神戸の場合について例をとってみますと、二キロと四キロくらいの長さと幅で大体八平方キロメートルと申しますか、そのくらいの地域になるというのが、神戸の例でございます。
○瀬戸山委員 広いのは割合にわかりやすいのですが、狭いのはどうかということなんです。東京あたりで山の手に行くと、あんなところに屋敷を作ってあぶないというところがしばしば見受けられるのですが、たとえば一軒の家を建てるとか、あるいは二、三軒の家を建てるという、そういう地域もこれの適用を受けるかどうかということなんです。これはどうです。
○齋藤(常)政府委員 小さい場合におきましては、一平方キロくらいの場合もあると思いますが、大体境界となりますような線は、従来の道路の中心線というようなところで切っておりますので、非常に小さい場合も出てくると思います。
○瀬戸山委員 それに関連してお伺いしたいことは、この際、そういう地域を都道府県が指定してもらいたい、将来に備えたいというときには、関係の市町村の意見を聞くということになっております。これは適当なことであろうと思いますが、そこで土地の所有者と申しますか、それに権限を持った者には黙って、それを指定するのかどうか。意見を聞く必要はないかどうか。これは公共の災害を、防ぐためですから、私はあえてそれが必要であるという主張を持っているわけじゃありませんが、いわゆる民主主義で、人のところの土地に勝手にいろいろな規制を設けられては困るという議論も出る時代ですから、それについて、その関係の権利者と申しますか、そういう人々の意見を聞くということについて、この法律では措置をされておりません。その点について検討されて、これは要らぬということになったのであれば、その理由、この点についてどういうふうに考えておられるか。
○齋藤(常)政府委員 市町村長の意見を聞くという法制上の建前は、これは地元の意見を十分に反映するということが目的でございますので、おっしゃるような点は、行政指導上は重点を置いて考えなければならわ問題だと考えております。ただ、市町村長が意見を申し出れば、原則としましては住民の意向が十分に反映するのであろうという前提に立っているわけでございますけれども、この意見の申し出をいたします場合におきましては、やはり以前に相当の調査もしておりましょう、あるいは学識経験者等の意見も相当聞いておることになると思うのであります、市町村当局が、住民に対しまして十分に啓発宣伝をいたしまして、この趣旨が浸透するように、以前に指導をしながらこの意見を出すというように、住民の協力を得るということで行政指導をしてもらうようにしよう、こういうふうに考えておる次第であります。
○瀬戸山委員 それから最後に、この指定の申し出をした、そうすると、それが必要であるかどうかということについて、予備調査をいろいろやられることになります。その予備調査の結果、指定をする必要がある。しかもそれについては、こういう防災上の基準でやらなければならわということになっているのでありますが、その工事が終わると、工事の完了の検査等をする。これは、全部都道府県の知事の手でやることになるのですか。
○齋藤(常)政府委員 今お話の点は、まことにその通りでございます。
○瀬戸山委員 建設大臣が認可をする前提となるそういう基準を作る場合の予備調査も、やはり都道府県知事でやるこういうことになるのですか。
○齋藤(常)政府委員 建設大臣がやります場合におきましても、第四条の規定によりまして、調査測量等をいたします。
○瀬戸山委員 都道府県知事にやらせるのですか。知事が申請して建設大臣が認可するというのに、知事に調査させるというのはちょっとおかしいような気がするから聞くのと、もう一つはそういう仕事がふえるわけですから、都道府県に対して——これはもちろん申し出があれば三万円から手数料を取るようになっていますが、手数料の範囲でこの事務の費用をまかなうのかどうか、こういうことも聞きたいと思って今質問したわけなのですが、その点はどうです。
○齋藤(常)政府委員 建設大臣が測量調査等をやる場合につきましては、その必要の限度内といいますか、都道府県知事が調査をしたものにつきまして、さらに大臣の方におきましても、その必要があるという部分だけやるわけでございます。 資金につきましては、この法律の規定によりまして、三万円をこえない限度内において手数料をとるということになりまして、手数料が公共団体に入って参ります。この三万円というものをきめた場合におきましては、相当こまかく積み上げまして、この程度であればいろいろな事務、調査等ができるであろうというところからきめた金額でございまして、その歳入を財源にいたして許可その他の事務をやることができる、こういうふうに考えております。さらに、現在自治省の方と折衝いたしておりまして、交付税の基準財源需要の中にもこの事務が入るように折衝いたしておりますので、その方面からも十分な資金の裏づけができる、そういうふうに考えております。
○瀬戸山委員 交付税の基準の中に入れたい、こういう話でけっこうであります。ぜひそれを実現しておかないと、こういうことはめったにそうあるべきものじゃないと思いますけれども、三万そこそこの手数料で、あるいはボーリングをするとか、さつき私が申し上げた広範囲の土地の地質調査をするというような場合に、今ごろの三万円そこそこの金では、そういうことはできない。それは都道府県の方から申し出るの、だからいいじゃないかという簡単なものじゃないと思う。ですから、どうかこれは一つ自治省とよく折衝、相談をされて、地方の公共団体にこういうしわ寄せのいかないように——あまりしわ寄せがいきますと、必要だけれどもできないということで、せっかくよい目的を持って作った法律——これは強制じゃありませんで、申し出に基づくものですから、なかなか活用されないおそれがある。その点を私は気にして今の質問をいたしたわけでありますから、どうか一つよく自治省と相談されて、基準財政需要の一つの項目として入れられるよう希望を申し上げておきます。 私は、これで質問を終わります。
○二階堂委員長 石川次夫君。
○石川委員 宅地造成等規制法案、実はまだ十分に検討はしてないのですけれども、この前の集中豪雨のときに視察に参りまして、兵庫県のがけくずれによる災害というものを目のあたりに見て参ったわけであります。従って、こういうような規制措置というものが、おそきに失したとはいいながら出たということについては、もちろん賛成をするわけでございますけれども、その災害の実態を今思い浮かべながら、きわめて常識的な質問になって大へん恐縮でございますけれども、若干の質問をしたいと思います。 ちょっと問題になる点は、今瀬戸山さんからもいろいろ質問がありましたので、私から申し上げる点はだいぶ省略できると思うのですけれども、まず第一条で「おそれが著しい市街地又は市街地となろうとする土地の区域内」というのは、瀬戸山さんからも質問があったわけですが、私が見た兵庫県の神戸のがけくずれのあった場所、これは法律的にどうなるか知りませんが、市街地といえるのかどうか。あるいは市街地になろうとする土地ということがいえるのかどうか。神戸という土地の中にはあるのですけれども、いわゆる市街地とは若干常識的な概念が違うような気がするのですが、そういう点は、この法律をたてにとって考えようとすると、あれは市街地になろうとする地域ではないのだということで、申請しないというような懸念があると思うのですが、その辺は一体どういうふうにお考えになっておりますか。
○齋藤(常)政府委員 「市街地となろとする土地」の「なろう」という意味でございますが、これは先ほど御説明申し上げましたように、近い将来市街地となっていくであろう、いわゆる家屋施設が連檐していくであろうというようなことを、いろいろな条件から想定することのできるような土地ということでございまして、これが無制限に広がっていくということはあり得ないと考えております。
○石川委員 おっしゃることはわからぬことはないのですけれども、私は現地を見て、市街地になろうとする土地のような感じを受けないのです。あれは全然町と離れたところにぽつんとあるような感じがするので、市街地となろうとする土地ではないのだという認識に立ちまして、知事が申請を怠るという懸念があるのじゃないかという気がするのです。これはきわめて常識的な考え方です。そういう点をよほどうまく指導しなければ、知事の方からああいう地域を出してこないおそれがあると思いますから、その点は十分お考えになって作られた法律だとは思うのですが、一つ指導のよろしきを得るように要望しておきます。 それから瀬戸山さんからこれも申し上げたことですから繰り返しになりますけれども、沼地なんかの埋め立てをして、これは土砂の災害、いわゆるがけくずれその他で土砂の流出による災害というのではないけれども、陥没による災害という可能性がないではないという懸念もあるのですが、これはこの規制法の対象にはなっておらないわけです。しかしながら、そういうところは将来基準法的なものでもって考えるという御答弁があったようでございますけれども、実を言いますと、建築基準法というのは、これはあとでまたほかの機会に詳細に御質問したいと思うのですが、ほとんど建築基準法違反の建築が続出しているわけです。しかも、それを違反の建築だから取りこわしたという例を、ほとんど私は見ていない。基準法それ自体が、非常に矛盾に満ちているという点もある。こういう点もいずれまた質問したいと思っておりますが、そういうことで、現在のところは守られていない基準法なんです。従って、沼地を埋め立てる、あるいは海岸を埋め立てて作る建築物についての建築基準法というものは別途に考えるとは言いますけれども、すでに守られていないような基準法を積み重ねてみたって、そういう災害を予防するという効果を持つかどうかという点については、われわれ非常に疑問を感じているわけです。そういう点は、この機会に御質問を一応申し上げておくわけでございますけれども、いずれあとでまた建築基準法の問題についてはゆっくりお伺いしたい、こう考えております。ただ、そういうふうな建築基準法の積み重ねのような格好では、災害の防止はできない、こういうふうに考えておりますので、その点も念のために申し上げておきます。 それから具体的な例になりますけれども、実は神戸の災害を受けたところを見まして、あそこの土地は、花崗岩の相当古い土層になって、風化しております。こういうところを指定する場合には、どの範囲でやるかという疑問を感じたのです。実際に宅地が作られそうな小さな区域を区切って指定するというのか、それとも——私は、花崗岩の地帯で相当風化しているあの六甲山麓それ自体が、全部危険地域だというふうな感じがするわけです。そうなりますと、具体的には、ああいう場合には、一体どういう地域を宅地造成の規制法に当てはめて対象の地域に指定をするようなことになりますか。具体的な一つの例として伺いたい。
○齋藤(常)政府委員 神戸の例について申し上げますと、神戸では山手の方のいわゆる傾斜地域、これがどんどん宅地造成が行なわれて、御承知のように、この前のような多大の被害を出したわけでございます。ああいうようないわゆる山手の傾斜地というようなものを、山の大体稜線あたりを境界といたしまして指定をするというようなことになるものと考えております。
○石川委員 山の稜線というと、峰ですか。これから全部一帯に指定をすることになりますか。それなら私は話はわかるのですけれども……。
○齋藤(常)政府委員 申しわけありませんでした。稜線と申しましたのは若干言葉が言い過ぎでございまして、具体的には、稜線よりももう少し下のところの標高五百メートルぐらいのところまでが、一応の線ということになっております。
○石川委員 これは具体的にあとで一つ説明を受けたいと思います。これは大へん問題を起こしやすいことになりますので、具体的にどうやるかということは、あとでまた伺いたいというふうに考えておりますが、あの六甲山ろく地帯は、私は全部あぶないような気がする。非常に土層がぼろぼろにくずれやすくなっているというふうな風化地帯なんです。そこで私が考えたのは、あそこにまだぽつんぽつんと残っている家があります。これこそ市街地になりません。一軒ずつぐらい出てきておる。しかし、今度集中豪雨があったら、あそこもあぶないと私は思うのです。そういうふうに、すでにできておる土地は、あらかじめ関係都道府県知事から申請がなければ、これによって許可する、認可するというふうなことになるわけですけれども、できてあるものは仕方がないということにこの法律からなると思うのです。それは一体どういうふうにお考えになっておりますか。
○齋藤(常)政府委員 現在のすでに使っておりますような宅地につきましては、この法律の第十六条の規定によりまして、改善命令を出すということができるようになっております。一定の技術的な基準をもとにしまして、この程度までは擁壁なり排水施設を整備してもらいたいというような命令を出し得るようになっております。その前には一応勧告をいたしますけれども、勧告して聞かぬ場合におきましては、改善命令を出していく。しかしながら、これについて資金の裏づけがないじゃないかというような問題がありますので、先ほど瀬戸山先生の御質問のときに答えましたように、来年度は改修融資というようなものを考えていきたい、こう考えております。
○木村(守)委員 関連ですが、ただいまの質疑応答を聞いておりますと、非常にわからない点が出ておるのです。この法律は第一条に目的の点で示してあったように、「宅地造成に関する工事等について災害の防止のため必要な規制」ですね。こういうことがこの法律の目的だと思うのです。そういう点から考えますと、ここには宅地を造成してはいけない、ここは宅地を造成してもいいというような土地を初めからきめることもできるのですか。そういうようなこともやるのですか。ここに宅地を作るためにはこういうような防災工事をしなければならない、こういうような地すべり防止の、土砂の流出を避けるような工事をしなければいけないというようなことをやるのが、この法律の目的だと思うのですが、どうなんですか。
○齋藤(常)政府委員 ただいまの御質問でございますが、この法律で考えておりますことは、やはり災害が発生するおそれがあるようなところにつきまして、地域を指定するわけでございますから、その区域の中で、なお区域内の土質等の特殊性も勘案した技術的基準ができてくる。その技術的基準にのっとった宅地造成でなければいけないと、いうことになるわけでありますから、その技術的基準のいかんによりましては、非常に宅地造成が至難になるという場所も出てくる。しかし、その基準に合いさえすれば、そこへは宅地を造成することができるということになっておるわけでございまして、ここへ作ってはいかぬとか、ここへ作ってもいいとかいうことではなくて、この規制区域内では、許可を受けるならば作ってもよろしい、その受けるときの基準は、その土質その他によって技術的基準がきまって参りますから、非常にきついところは、経費倒れでなかなか造成もできないというような結果になる、こういうように、考えております。
○木村(守)委員 ただいまの答弁だと、宅地を造成する場所が非常に危険なところだが、それに対して危険を防除するような工事をすれば、宅地にしてももちろんいいというのが、私はこの法律のねらいだと思うのです。初めからここに宅地を作ってはいけないというようなことは、これはきめられるはずがないと思うのです。たとえば今の六甲山のことで、非常に答弁が変です。五百メートル以上のところは宅地造成の指定をしない、五百メートル以下のところにするのだというような話で、初めは稜線だと言っておる。一体稜線と稜線から下とで、どっちに危険性があるのかないのか。これは山全体が危険だといえば——今言った花崗岩の非常にもろい、古い時代の地質だったら、そこが全部あぶないと思うのです。それを五百メートルというのは、一体どういう基準で、どういう安全性があるのですか。そこがわからないのですが、はっきり答弁して、もらいたい。
○齋藤(常)政府委員 私の答弁がごそいたしましたために申しわけないのでありますが、私、神戸につきましては、山頂までが一応現在の条例等で考えている規制と考えておりましたのですけれども、これは誤りでございまして、標高五百メートル程度までが現在でも規制の対象になるであろう。それは、五百メートル以上になりますと、やはり市街地となろうというような見込みが現在のところない。従って、せいぜい五百メートルくらいまでのところであろうというのが、現在の考え方でございます。しかし、これは具体的なことでありまして、県が調査をいたしまして、この程度まではということをもってきませんと、今ここで何メートルかということを具体的に指定する場合には言いにくいわけでございます。
○木村(守)委員 そうすると、いよいよこれはわからなくなってくるのですが。一体市街地とは何かということになってきますが、神戸市でも、市街地でないところがあるというようにあなた方は解釈しておるのだと思うのです。神戸市というものは、いなかの方も全部市街地と考えていいのか、それとも人家連檐地を市街地というのか、これはどういうことですか。
○齋藤(常)政府委員 今五百メートルと申しましたのは、現在の市条例において指定しておりますのが、標高五百メートル以下の下のところでございます。従いまして、この新しい法律によってさらに最近の経済情勢から、あるいは土木技術等がもっと進歩する、あるいは投資することができるというような条件がいろいろ加味されて参りますと、その線が上に上がるというようなこともあると思うのでございますけれども、これは、やはりあくまでも市街地となろうとする区域というようなことをいろいろな観点から推定するという以外にはないと思うのであります。
○木村(守)委員 これは市街地のそういう条例というのですか、そういうものには標高五百メートルまでを認めておる、それ以上は市街地と認めないのだということがあるのだそうですが、この法律はそれからきたのですか、別ですか。
○齋藤(常)政府委員 どうもごたごたしてまことに申しわけありませんが、市条例で考えたとき、と申しますのは、市条例を制定して、それによって規制区域を考えた場合におきましては、すなわちその現在におきましては、五百メートル程度のところまで規制すればいいであろう、こういうふうに市当局が考えて条例に基づいて区域を指定した。従いましてこの法律が出まして再検討した場合、その当時の状況によりまして、あるいはこれが五百五十メートルになるかどうかということは、ちょっと私どもまだここでは推定がつかないわけでございます。横浜市の場合におきましては、百五十メートル以下というような条例の規定をしておるわけでございます、従って、実際問題といたしましては、やはり何メートル以下というような指定の仕方よりも、先ほどちょっと申し上げましたように、道路がついておりますと、その道路の中心線を境界にいたしますとか、そういうようなことで具体的な地形によって線が地図の上にはっきりしてくる、そういうことでありまして、ただ五百メートルで、一線に直線に切るというようなことには相ならないと思います。
○木村(守)委員 ちょっと済みませんが、これでやめますから……。ただいま、市条例で五百メートルときまっておるというのですが、そうすると、五百メートル以上に作ったのは、市街地じゃない、これは市に関係がない、作ってはいけないということかどうか。これは非常にむずかしい問題だと思うのですが、どうなんです。
○齋藤(常)政府委員 市の条例において五百メートルという線を切って、それ以下というふうにきめましたのは、何も五百メートル以上は神戸市内でないとか、あるいは将来においても全然市街地にならないとかいうようなことを考えたのではないと思いますが、とりあえず条例によりまして届出をさせて、規制をしていこうという場合におきましては、一応このあたりの線でやってみようということになったのだろうと思うのであります。今回の場合におきましては、全くこの法律の第一条の趣旨に基づいて、もう一度再調査をして、その境界をきめていくわけでございますから、これは、先ほどから再々申し上げておりますように、いろいろな条件を考えて、市街地または市街地造成区域というものを具体的にきめていくということになろうと思います。
○木村(守)委員 あとからこまかいことをまた質問するとしまして、そういうようなことにしますと、これは都道府県でも、あるいは市町村でも、気がつかない。そうしてしかも、先ほど瀬戸山さんからの質問で、都道府県が気がつかなくて建設省がこれを見つけた場合にどうするのだというような話がありましたが、これは都道府県や市町村が気がつかないで、建設省で気がつくはずがないですよ。そういうことはあり得べきことではないのですが、そういうようなことによって土地造成をして、そういうようなところが一番災害の原因になります。そういうようなことが起こった場合に、一体どうするのか。これで罰則か何かあるのですか、罰則がないと、この法律がある程度半身不随な格好になりますが……。
○齋藤(常)政府委員 地域の指定につきましては、これは、事前に地方に対しましても十分この思想を周知徹底させますと同時に、周到な調査をした上で申し出をさせようということを規定しているわけでございますから、その調査が十分でありますれば、しかもまた、その指定は最小限度やるということによって、私権の制限との調整をはかるということにもなっておりますので、その間の行政指導を十分に行ない、あるいは県、指定都市におきましても、真剣にこの仕事に取り組むということになりますれば、指定の問題につきましては、あまり心配することはないのではないかと思います。
○木村(守)委員 あった場合にどうするかということです。さっき瀬戸山さんも聞いたんですが…………。
○齋藤(常)政府委員 そこで漏れました場合に、指定すべき土地について調査が不十分であるということにつきましては、建設省におきましても十分調査をいたしまして、そしてそういうことが発見されましたときには、これを勧告するということで、やっていきたい、かように考えております。
○石川委員 私が疑問に思っていることを、木村委員の方からも関連で質問されましたから、私は繰り返しませんけれども、指定の申し出がないものを建設省が気がついて、こういう対象地域に指定するということが、現実の問題としてあり得ないのだけれども、しかし、そういうことがあってもいいのだというようにしなければまずいのじゃないか、そういう場合が起こり得るのじゃないか、こう思うのですが、その点についての規定は、これは私はずっと目を通しておりませんのでよくわかりませんが、そういう場合に建設省自体が諮問をするというか——天下り的になるかもしれないが、しかし、人命に関することでありますから、天下りになっても一向差しつかえないことで、そういう場合がこの法律ではできないでしょう。念のために伺っておきます。
○齋藤(常)政府委員 この法律によりまして、いわゆる申し出がありませんときには、建設大臣が一方的に指定するということはできないのであります。それは県内の事情あるいは指定市内の事情につきましては、当該公共団体の長が十分に調査する機会もあり、また調査をしなければならない衝に当たっているわけでございますので、その調査に基づいた申し出によって大臣が指定するということが、最も妥当であろうというように考えまして、このような体制にしたわけでございますが、もしも建設大臣において指定すべき地域を発見した場合におきましては、先ほども申し上げましたように、地方自治法に基づいて勧告、助言を与えるという道が開かれておりますので、あえてこの法律には規定しなかっ次第であります。
○石川委員 その程度のことだろうと思うのですが、実は私、兵庫県の神戸のがけくずれを見まして、これは市街地には当然なりませんし、なる見込みもないような非常に高いところ、あそこは標高五百メートルより上かもしれないが、ちょっと見当がつかないのですけれども、そういうところも対象にしなければ、私は、どうしてもいかぬ、不親切な法律だと思います。そういう点は、現実の指定の場合に一つ十分考慮してもらいたいと思います。そういうことで、具体的にここでとやかく言っても始まりませんから、その程度にいたします。 最後に、実は神戸のあのがけくずれに関して、今裁判になっておるという話を聞いているのですが、そのいきさつはどうなっておりますか。ということは、損害補償というようなことですが、この責任は、一体工事請負人に責任があると一応言えるかもしれないが、工事請負人それ自体は、堂々と建築許可をもらってやったことで、おれたちに手落ちはないという逃げ口上もあると思いますが、そういう点で何か訴訟になっておるようなことを聞いておりますけれども、その経緯と見通しというものは、これは裁判所ではありませんから、明確な見通しはつかぬでしょうが、一つそれを御説明願いたい。
○齋藤(常)政府委員 神戸の具体的な問題につきましては、調査してございませんけれども、一般的に申し上げますと、造成主等の責任によってがけくずれ等が起こったという場合に、そのがけくずれ等の災害が、造成主の行為と相当の因果関係があるということが明らかになったときには、民事上の損害賠償が成立すると思います。ただ、今回のようなこの法律の場合におきましては、しからば、その許可を与えて土地造成をやった、そういうものが検査も受けて、その後に災害が起こった、その責任はどうなるかという問題が起こってくると思います。本法の場合におきましては、許可を与えます知事につきましては、原則として責任はないというふうに考えております。しかしながら、当該都道府県の職員が故意または過失によりまして基準を曲げて許可を与えた、その他不届きな点がございまして、その行為と災害の発生との間に相当な因果関係がございました場合におきましては、これは国家賠償法によりまして、国または都道府県が賠償責任を負う、こういうことになるのであります。しかしながら、国または都道府県の賠償責任については、逆に内部の職員に対しての求償権がある、かような格好になっております。
○石川委員 原則論はそれでわかるのです。私もそう思うのですけれども、神戸の場合、具体的に一つ御説明願いたいと思います。これは裁判所ではありませんから、責任の言質をとろうという気持はありません。ありませんけれども、これは、認可をしたときには、私は故意または過失はなかったのではないかという気がするのです。しかしながら、現実に、そういう災害が出てきてしまったということになれば、認可の基準に不備があったとも考えられる。認可の基準に不備があったということになれば、政府に責任があるということにもなりかねないような気もするわけです。これは常識論です。そうなると、裁判もなかなかむずかしいと思うし、またひまもかかるだろうと思いますけれども、そういう場合に一体——今度この法律が出た場合にはまたちょっと変わってくるかもしれませんけれども、神戸のことは調べてないかもしれません。調べてないけれども、聞きましたところが、そういう問題で今裁判になっているそうです。非常にむずかしい問題になりそうだということなんですが、常識的に考えてどう御判断になりますか。それから、この法案が出たら一体どういうことになるかということを、わかる範囲でお話し願いたいと思います。
○齋藤(常)政府委員 神戸の事情について具体的によくわかっておりませんので、はなはだ申しわけないと存じますが、どういう考え方か、ということは、ちょっと申しにくいのであります。
○瀬戸山委員 先ほど神戸の事例等をお話にありました。先ほど私は「市街地となろうとする」という問題についてお尋ねしたのですけれども、今神戸のお話が出ましたので、これはお答えを願おうということでなしに一つ。この地域を指定する場合に、あまり市街地ということにとらわれると、おかしな結果が生ずる。これは一つの例ですけれども、十年くらい前でしょうか、霧島の温泉で大きながけくずれがありました。そうして、もう六十年以上何の障害もなくて建っておった大きな旅館が、転覆してしまいました。たくさんの人が死んだのであります。鹿児島県に関することですから、明言はいたしません。が、ずっと上の方に、いわゆる観光地として道路を作った。御承知のように、新しい道路は水が浸透しますから、下の方に思いもよらぬがけくずれが生ずるということがあるわけです。そこで、市街地々々々と言っていると神戸のお話がありましたが、五百メートルとか何メートルとか、実際問題としていろいろ出てくるでしょうが、山腹の場合はこの辺まで相当多くの家が建つであろうという構想で、市街地となろうとする区域を指定された。そうすると、ちょっと変わったのがおってだんだん上の方の見晴らしのよいところに家を作ろうということで道を作る。そうすれば、それが原因で中腹が崩壊するということが、現にあるし、またないとも限らない。だから、家が建ち並びますから、そこだけを指定すればよいということにはならないと思います。神戸のような山腹にあるところは、ほとんど全地域を指定しておかないと、指定区域外の人のために指定区域が非常に荒らされる、損害を生ずる。その方がむしろ多いではないかという気がするので、ただ市街地が続く可能性のあるところだけを問題にしておると、非常に困るではないか。こういう気が実際の事例を見てしておるわけであります。きょうここで、そういう場合はどうするというお答えを願う考えはありません。どうか一つ実際の区域指定の場合に、市街地となろうとする概念をよく研究しておいてもらって、市街地となろうとする区域に災害が起こらないようにするにはどうするのだということを頭に置いて、区域指定をしてもらいたいということをお願いいたしておきたいと思います。
○二階堂委員長 本日はこの程度に、次回は明後十九日開会することとし、これにて散会いたします。 午後三時四十六分散会