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39回国会衆議院1961/10/30

外務委員会 第11号

発言数
176
登壇者
11
会派数
2
開催日
1961/10/30

会議録

森下國雄自由民主党

○森下委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。松本七郎君。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 かねて問題になっております日韓会談がいよいよスピード・アップして進展するような状態になりまして、新聞報道等でも政府がかなり急いでおる旨を報じております。池田総理大臣も、この日韓会談については、今までどちらかというと消極的であったのが、最近非常に積極的になったとも言われております。この問題は、すでに本会議でも緊急質問で取り上げられましたように、最近とみに国民の間に関心も深まり、従って、またこの先々の成り行きについて心配する向きも多くなりつつあるのです。従いまして、私どもとしては政府がこれに臨む基本的な態度、特に相手国の国情、今の朴正煕を議長とするところの政権の実態、こういうものについてどのような考えを持って臨まれるのか、そこをはっきり納得のいくまで御説明をいただかないことには、国民のこの増大する不安はいよいよ強くなるばかりであろうと思います。これは、ただに日本と韓国の関係ばりかではなしに、アジアの平和、世界の平和、日本の運命にかかわる重大な問題でありますから、一つきょうは、たくさん問題はありますけれども、時間もございませんからなるべくおもな問題にしぼりまして、そして総理の考え方、その立っておられる根拠を十分に一つ御説明いただきたいと思いますので、そのつもりで総理の方でも懇切丁寧な御説明をいただきたいと思います。  まずお伺いしておきたいのは、今まで日韓会談に臨む態度あるいは会談を進める方式について、日本と韓国の間にはかなり考え方の相違があったわけです。これは池田総理も御存じの通りだと思います。つまり韓国側では懸案解決、それから国交正常化、それから経済協力、こういうふうな順序をもってやるということを非常に強く主張しておる。日本政府の説明によりますと、そういうやり方に固執しないで、場合によっては国交正常化を先にやって、そして懸案解決はあとに延ばしてもやむを得ないのではないか、あるいは会談継続中に経済協力だけ先にやるということも考えられる、こういうふうな見解あるいは方針で臨んでおったわけですが、最近に至りまして、特に先般参りました金鍾泌情報部長が来られてからの先方の動向として伝えられるところによりますと、この今まで韓国側が主張してきておりました懸案解決、国交正常化、経済協力という方式にあまりこだわらないということが言われております。そうなりますると、日本の方では、今までこの国交正常化を先にしてもいいではないかということを言っておったのですから、韓国が従来の方式にこだわらない態度をとってきたとしまするならば、この国交正常化をとにかくやるという可能性は非常に強まってくるということになるわけでございますね。そこで、この国交正常化をするについて、その国を代表するということになっておる政権の性格、これが私どもとしては非常に大きな問題になるわけであります。すでに御承知のように、社会党では、クーデターが起こりました直後に、これは非合法な政権であるということをはっきり声明いたしました。今までは社会党のこの朝鮮、韓国に対する基本的な態度としましては、一応北朝鮮、南朝鮮両方と対等な関係を持っていこう、そうして将来統一に進んでいこうということであったのでございますけれども、このクーデターが起こってからというものは、これが非合法政権である限りは、この南北両朝鮮を対等に扱うということはできなくなったわけです。その根拠がなくなったわけでございます。そういう情勢にあるときに、政府の方ではむしろケネディと池田総理との会談以来、日韓会談というものを非常に促進する方向に動いておることは間違いないと思う。そういうふうな状態ですので、この間、実はこの本会議でも、朴政権の非合法性ということを私は強調しながら御質問をしたわけです。そうしましたら、池田総理の御答弁によりますと、経済的にも一応安定しつつある、それから二年後の民政移管を声明しておる、この二つを理由に、この朴政権というものが合法的であるかのごとき御意見が、先般の本会議場の答弁でなされております。こういう程度では全然納得することはできませんので、一つこの際総理から、朴政権が一体合法政権であるか、非合法政権であるか、この問題についてどう考えておられるか、合法政権と考えておられるならば、その根拠を詳細に明らかにしていただきたいのであります。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 朴政権と日韓交渉をいたします場合におきましての、相手の合法政権ということにつきましては、すでに本会議で私の申し上げた通りでございます。あれを繰り返してもよろしゅうございますが、外務大臣が来ておりますので、あの以外の事柄は外務大臣から答えさせることにいたします。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 総理の考えをまず繰り返してもいいですから、ここではっきり言って下さい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 それでは繰り返すことになりますが申し上げます。すでに御承知のごとく、一九四八年十二月十二日の国際連合第三回総会におきまして、韓国政権は合法的なものと認められていると私は承知いたしております。しこうして、当時五十一の国連加盟国のうちで三十四カ国がこれを承認いたしておるのでございます。北鮮の方が十三カ国であったかと思います。われわれはその三十四カ国のうちにあるのであります。しこうして、その後、お話の通りに朴政権がクーデターを起こし権力を持ったのでございます。朴政権につきましては各国ともいろいろの目で見ておりましたが、八月十二日、二年後において文民政権に移譲する、政権を渡すということを宣言いたしましてから、朴政権を暫定的の政権として、私は各国とも今まで通り韓国政権というふうに考えると承知いたしておるのであります。しこうして、一方われわれといたしましては、一衣帯水の歴史的、文化的、地理的、経済的に密接な関係のありまする韓国と一日も早く国交を正常化したいということは、われわれ以前からの念願であるのであります。従いまして、私は朴政権と国交正常化につきまして話し合いをすることは、わが国にとって利益であり、望ましいことと考えるために交渉を継続いたしておるのであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 今御説明にありましたその点は、一九四八年十二月十二日の国連総会の決議、それから二年後に民政移管を声明しておる暫定政権であるということなんですが、暫定政権ということは、むしろ交渉を早める理由にはならない、これは暫定政権であるならば、むしろ恒久的な政権の成立を待ってやる方が将来の交渉のためにはいいわけですから、むしろ今の御説明からいうと、この一九四八年十二月十二日の総会でもって合法性が認められておるから、ここに大きな根拠があるように思ったのですが、そう理解して間違いないですね。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 そういうふうに認められて、そうして先般クーデターが起こりましたが、次に文民政権に移譲するのだということを声明いたしております。これが事実、わが国といたしましては歴史的に文化的に経済的に一日も早く国交の正常化をいたしたい、こういう片一方に理由がありますので、先ほど答弁の後段に申し上げたごとく、韓国に対する国際的立場、そして日本と韓国との政治的、経済的関係から申しまして、暫定政権であってもこれと交渉して、一日も早く日韓国交の正常化をもたらしたい、それがわれわれ日本としての利益になると考えて交渉を継続しておるのであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 この国連総会の決議からいいますと、むしろ今の政権は非合法政権であるという結論にならざるを得ない、この点をもう少し総理のお考えを伺っておきたいと思うのですが、この国連総会の決議というのには、第二項にこういうことがうたってあります。「臨時委員会が観察し、協議し得た地域で朝鮮人民の大多数が居住している朝鮮の部分に対し、有効な統制と管轄とを有する一つの合法政府が設立せられたこと、この政府は朝鮮の右部分における選挙民の自由意思の有効な表現であり、且つ、臨時委員会で観察せられた選挙に基礎をもつこと、ならびに、これが朝鮮における唯一のこの種の政府であることを宣言する。」こういうふうになっております。きわめて明確なことは、選挙民の自由意思の有効な表現であるということ、そして臨時委員会で観察せられた選挙に基礎を持つということが、この決議の重要な点になっておるわけです。ところが李承晩時代は、これは大統領は国民投票制だったわけです。国民投棄による李承晩が倒れましてから、この大統領責任制から内閣責任制へ憲法の改正が行なわれておる、そして以来大統領は国民投票ではなく、国会の選出になったわけです。国会が選出するということに変わったわけです。そこで、その国会が今度のクーデターでどうなったか、クーデター後、この軍事政権によって大統領の選出母体である国会というものは消滅しておるわけです。国会ばかりじゃない、村会までなくなってしまったわけですが、従って、何ら今の政権には、この国連決議から申しましても、合法性は認められないわけです。合法性が認められないにもかかわらず、とにかく韓国とは一衣帯水にして、経済的にも政治的にも密接な関係を結びたいということだけでは、これは交渉を早める理由としては、私どもはとうてい納得するわけにはいかない、その点はどうですか。国連決議に基づいた御説明をお願いしたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 今お述べになりましたようなことは、その通りでございまするが、その当時選ばれた尹フ善大統領はそのままおるわけであります。そして、その大統領と話をして現在の朴正煕政権があるわけであります。なるほど朴正照政権というものはクーデターによってできたものであることは、その通りであります。そういうふうな成り立ちは別といたしまして、さような形で大統領と現在の首相以下内閣の閣僚がおるわけであります。それでは、そういう成り立ちによってできた政権というものとは全然没交渉でいいのかということになりますと、さようなことを言っておる国はほかにないのであります。アメリカ、イギリスその他みなこの国と国交をそのまま続けております。これは、朴正煕によって代表される韓国の百班というものを認めて、そしてこの国と交渉を持っておるわけであります。日本もまた同様な考え方によって、先ほど総理からお述べになりましたような理由によって、この政権との間に一つ国交の正常化を早くしよう。これは不自然な形です。この現在の不自然な形にあるものを非常に自然な形にして、そしてその朴正煕政権自身が言っているように、二年後には文民政権に移るということでありますから、過渡的なものとしてこれ以外に交渉の相手はないわけでありますから、これと交渉するということであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 よその国がやっておるからわが国もやるということにはならないので、わが国はあらゆる法制上の今の実態、今の韓国の実情を独自な立場で判断して、これが韓国民のためにも、また日本国民のためにもいいことなんだということを自主的に判断しなければならぬと思う。従って、そういう意味で今この問題を出しておるのでございますが、今の外務大臣の説明によると、尹大統領が、そういうふうな経過で選ばれた大統領がそのままいるのだから一こういうことを言っておられるけれども、これはもう明らかに言いのがれです。というのは、今の韓国にできております国家再建非常措置法というものに基づいてみますならば、この大統領が選ばれる母体になっておる国会そのものがなくなっておる。従って、抜けがらみたいに残っておるところの大統領というものは、これは明らかに国連決議に適合する部分というものは法制上もう完全になくなってしまっているわけです。  そこで、この国家再建非常措置法を見ましても、この国家再建非常措置法というのが憲法にもかわるところの最高法規になっているのです。ですからこれが一切に優先するわけです。これに基づいてみますると、さっき総理も述べられた国連総会の決議にもう明らかに違反する。これは全文じゃございません、一部重要なところだけの抜粋ですが、国家再建最高会議というものが行政、司法、立法に至る一切の権限を掌握しておるわけです。その国家再建最高会議というものは、「国民の基本的権利は革命課業遂行に抵触されない限りで保障される。」ということをはっきり第三条にうたいまして、そして第二条で「大韓民国の最高統治機関としての地位」を明確に規定しております。そして、この「国家再建最高会議は五・一六軍事革命の理念に透徹した国軍現役将校の中で選出された最高委員によって組織する。」こういうことになっておるわけです。これがまず第九条に基づいて国会の権限行使を握っております。「国会の権限は国家再建最高会議がこれを行なう。」ということになっておるわけです。それから第十二条では、一切の軍事に関する重要事項を一々列挙してあるわけでございますが、これも掌握しておる。それから今外務大臣の言われた内閣についても強力な統制権を持っておるわけです。第十三条に規定しておりますように、「憲法で規定された国務院の権限は、国家再建最高会議の指示と統制下に、内閣はこれを行なう。」このように強い統制権をこの再建最高会議が持っておるわけです。そして、内閣の首班の任命もこの最高会議が握っておることが、第十四条で規定されております。それから司法に関する行政権の統制、これも十七条で規定されておりますし、大法院長、大法院判事、これも「国家再建最高会議の提請によって、大統領がこれを任命する。」形式的には大統領が任命することになっておりますけれども、それはあくまでも国家再建最高会議の提請によってやる、これがこれこれを任命しろと要請するわけですから、実権はこの最高会議が握っておる。そのほかに「国家再建最高会議は五・一六軍事革命以前、または以後に反国家的、反民族的不正行為、または反革命的行為をおこなったものを処罰するために特別法を制定することができる。」先般来いろいろな、死刑者がたくさん出たのはこの特別法によってなされておるわけです。それから最後に、二十四条に憲法との関係を規定しまして、「憲法の規定中、この非常措置法に抵触する規定は、この非常措置法による。」という規定がございますから、これはもう明らかに憲法に優先するところの最高法規であるということが明確なのでございます。クーデターによってこういう国家再建非常措置法というものを作り、一切の権限をここに集中しておるのでございますから、当然、クーデターによってできたところの政権は、国連決議とは何の縁もない、非合法な政権であるといわなければならない。これをはっきり否定できる根拠があるならば、一つ総理大臣示していただきたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 この国家再建非常措置法についての御説明は今いたしました通りでありますが、それでは、ほかの国の政治状態についてわれわれが批判して、その国の政治状態がこうであるから、あるいは政治の形態がこうであるからわれわれはこれと国交を結ばないということが一体行なわれておるであろうかということもお考えを願いたいと思います。東南アジアあるいは中近東の国においてクーデターが行なわれ、そして最近になって選挙をやった国もあり、現在まだ憲法を停止しておる国もある。その国に対して、われわれは国交を持っておることは皆さん御承知の通りである。共産圏の国も、これはわれわれのいう民主的な政治体制とは異なった体制をとっておる。しかし、われわれはその国との間に国交を持っておる。でありますから、何もわれわれの国と同じような、いわゆる議会政治をしいている国でなければ国交を結んじゃいけないというあなたの論拠は、私どもにはわからないのです。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そういう答弁をするから困るのです。総理大臣一つじっくり聞いていただきたいのです。今の韓国の南北に分かれておる政権をどう扱うかというのは、今の外務大臣のような答弁で判断することはできない、韓国の政権は限定政権であるということは、前から政府がずっと終始一貫して答弁してきていることなんです。これは、三月十七日に外務委員会で中川条約局長が答弁されたところではっきりしている。これは今までも韓国の政権の支配範囲だとかその性格等は、しばしば外務委員会等で問題になったのですけれども、ベトナム賠償のときに、やはり南ベトナムの政権というものが全ベトナムを代表するかどうかということが問題になったことがある。そのときに政府は、南ベトナム政権は全ベトナムを代表するものだという解釈をとっておられた。ところが韓国の場合はそうではない。これは南半分だけを代表する限定政府なんだ、限定政権なんだ。それは当時の中川政府委員の説明によりますと、蒋介石政権、つまり日華条約の場合よりももっと限定されているものだ、こういう説明までされておるのです。従って、当時の速記録を一々ここで繰り返すことは省略しますけれども、そういうふうにはっきりと限定政権であるということを政府も認めておられるわけですね。その限定政権、従来から限定政権であったものが、今度はクーデターによって全く性格の変わったものがここに出てきておるのですから、従って、そういう経過で出てきておる今の朴政権を相手に、重要な、日本と朝鮮の将来を規定するような会談を進め、国交正常化をやることが将来どうなるだろうか。これは御承知のように、重光外務大臣時代に、南日外相がやはり北朝鮮にも請求権――賠償を要求する権利は留保するということを言っております。そうなりますと、この限定政権と財産請求権の問題その他をここで話し合いをつけてみましても、将来、また南ベトナムより以上に韓国の統一の機運というものは、クーデター以来弾圧しておりますから、表面には出ておらない、しかし、これはこの前の委員会のときにも外務大臣は、統一はそうそう早急には見込みがないので、この際は交渉を進めたい、こういう御答弁だった。それは、統一は希望通りに進まないかもしれません。しかし統一の機運というものは依然根強いものがあるわけですね。そういうところに今度はクーデターが起こって、このような政権ができたのですから、政府としてはなお慎重に取り扱うのが私は当然だろうと思う。それをなぜ急ぐかということになりますと、ただ隣の国だからとか、歴史的な関係が深いからとか、それじゃとうてい国民は納得するわけにはいかない。かえって疑いを増すばかりです。総理としましてはあのケネディに会われた、そして明らかに韓国問題についても話をされたということが伝えられておりますが、やはり総理が責任を持って、どうしてもこの事態において早めなければならない理由をもう少し詳細にお答えしていただかないことには、納得するわけにはいかない。総理から一つ御答弁を願います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 朝鮮との問題を延ばそうという考え方でいろいろ研究なすって、ここでもお述べになる、われわれは、人口から申しますと朝鮮の三分の二近い人口を持っております韓国とできるだけ早く国交正常化したいという希望を持っている、この分かれ目だと思います。限定政権だ――これは朝鮮全体から見れば三十八度線で分かれておりますから、地域的には限定政権でしょう。しかし、その限定政権がクーデターによりまして、先ほど申し上げましたように暫定政権であると私は言っておりますが、暫定政権であるから交渉の相手にならないか。あるいは世界各国の大部分の国がどう見ておるかということを外務大臣から御説明した通りでございます。だから文民政権に移る前につきましては、いろいろ疑問の点もありましたでしょうが、朴議長が世界に宜明した場合におきましては、私は暫定政権として交渉相手にすることは適当であると考えておるのであります。  何が日本の利益になるか、そして日本がアジアの平和を確保する上にどういうふうにしたらいいか。各民族とできるだけ早く手を握っていこうというのが、われわれの考え方であるのであります。だから、私は先ほど申し上げましたごとく、日本の利益のために、そして韓国人民の利益のために、そして極東の平和、世界の平和のために、できるだけ早く国交を正常化しようという考え方で進んでいるのであります。  私の気持は以上申し上げた通りでございます。だから、やらせまいというふうな議論よりも、やる場合においてどういうふうにやったらいいかということでお聞き願えれば幸いだと思います。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 総理は、私どもがやらせまい、延ばそうという前提でやっておると言うけれども、それは逆なのであって、私どもは客観的な事実をそのまま検討し、そしてそういう実態を持っておる韓国なり、現在の政権を相手に交渉することが、どういうことになるかということから、これはやらない方がいい、延ばした方がいいという結論になっておるのであって、むしろ政府の方こそ、これはやった方がいいのだという前提でもって、何とかこれを合理化しようとしきりに強弁しておるというのが今日の姿です。私どもは延ばす方がいいという前提でそのための理由づけをしておるのじゃないのです。実際に今申しますように、韓国の法制上のこと、それから今までの経過、クーデター――という大きな事件、それをめぐるところの韓国の実情、あるいは今度は北朝鮮の実情、こういうものから総合的に判断して、私どもはこの際、日韓会談というものは早急にやればやるほど危険であるという結論になっておるからこそ言っておる。私どものその根拠にしておることを、直ちに早くやった方がいいと言われる以上は、それをくつがえすだけの材料と論理をもって御説明されないことには、ただあなたの方は延ばす方がいいという前提でやっておる、政府の方は早い方がいいのだ、だからこれは平行線だ、こういう説明では納得するわけにいかない。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 そういう御議論になりますと、これは水かけ論になってしまいますから、そういうことにならないように一つお話をしてもらいたい。  私どもは、なぜ韓国との間に国交を早く持った方がいいかと言いますと、これは非常に近い国なのであります。それから――お答えしたことを繰り返すようですが、われわれとも歴史的に非常に深い因縁があります。また現在経済的にもいろいろな関係を持つべくして持ち得ない点もたくさんあります。また、漁業の問題一つをお考え下さっても、あの李ラインをめぐってわれわれの同胞がいろいろ不自由な操業をせざるを得ない状況にあるのであります。そういう問題を解決することはなぜ悪いのでしょうかということを、私どもは考えざるを得ないのであります。そういう観点に立ちまして、われわれはわれわれの立場において十分主張すべきことは主張するし、われわれの考えを先方に納得してもらうように交渉いたします。しかし、物事は相対的の問題でありますから、双方がこの問題について円満な妥結を得るような、そういう目的を持って十分話し合って、正常な国交を持つように努力したいと考えておる次第であります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それでは総理に伺います。今の朴政権が不安定であり、かつ今後その不安定性を増しても、今の外務大臣のような考え方で交渉を進めた方がいいとあくまでお考えですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 私は、韓国における民心の安定は、だんだんその度を増してきておると考えておるのであります。そういう意味におきまして、暫定政権ではあるが、この際早く正常化に進みたい。以前と違っておる点は、李承晩時代よりも日韓国交正常化に対しまして韓国民の熱意が相当増してきたと私は感じております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 この前、十月二日に日韓会談対策連絡会議の代表が外務省に抗議に行って、伊關アジア局長が会われたと思うのですが、そのときの伊関さんの返事にも、韓国政権などというものは安定したものでない、しかし、赤化を防ぐためにはこの会談を年内にまとめる必要がある。こういうことを言っておられますね。そして来春には国会で承認を求める万端の準備を整えている、こういうことを言っておる。だから、そういう言葉なり今の御説明を聞いても、結局総理は今も、この前本会議でも言われましたが、だんだん人心も安定しておるというようなことを言っておられるけれども、私があのときも数字をあげて御説明したように、インフレは非常にひどくなっているし、通貨の発行量もあまりにも大き過ぎるので、政府はこれを発表することをとめたくらいです。だから、これは弾圧政治ですから表面には現われないことが多いのです。けれども、だんだんこの不安定性は深刻になりつつある。そういうときに何で急ぐかということを言えば、このアジア局長の当時の話が端的にこれを物語っていると思うのです。相手の政権が不安定ということは、これは国民の支持がないからです。支持があれば不安定なはずがない。そういう大切な点はおかまいなしに、とにかく赤化防止の反共体制さえ築けばいい、こういうやり方を今後とっていくとすれば、これは韓国民にとっても腹立たしいことに違いない。これは帝国主義的なやり方であるということを、向こうの国民もおそらく感づくでしょう。現代ではそういうやり方は通用しないのであって、これは過去の満州国式のやり方です。これに政府は一体気がついておるのか気がついておらないのか。とにかくこういったアジア局長の言明通りに進んでいるとすれば、非常に罪なことだと言わなければならぬ。こういうふうな考え方で実際は外務省は動いているのです。こういう点を総理大臣としてはこの際もう少し考えてみる必要はないでしょうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 アジア局長がどういうことを言ったか存じませんが、私は外務省の情報ばかりでございません、あらゆる手を尽くして、いろいろ韓国の事情も勉強いたしておるのであります、民心の安定につきましては、私はだんだん安定していっておると思います。そうしてそれはやはりずっと以前とは違って、日韓交渉を早くまとめて、日韓の国交が正常化するように国民が望んでおる現われだと私は思っておるのであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 どの程度韓国の実情をつかんでおられるのか知りませんけれども、今の韓国と米国との関係というものを、いろいろな条約だとか、あるいは米韓の間で結んでおる協定だとかこういうものを通じて見ますると、もう完全に主権はアメリカに握られておると言っても過言ではない状態になっておるのです。これは一九五四年十一月十七日の例の韓米軍事相互防衛条約あるいは経済的には韓米経済及び技術協定、これはことしの二月二十五日のものです。こういうものを見ますと、予算編成権までがアメリカに握られておるのですよ。それから軍事、政治一切の権限というものがアメリカ側にあるようになっておる。いわばこれは独立国の政権とは言えない状態です。それから一九五三年十二月の経済再建と財政安定計画に関する韓米合同経済委員会協約というものがありますが、これによっても韓米合同経済委員会というものが設置されておるわけですけれども、この委員会では一切の決裁権をアメリカ側が行使するようになっております。この合同委員会における決裁権はアメリカ側が持っておる。それから軍事的に見ましても、この前デッカー陸軍参謀本部長が韓国に参りまして、二十五日に韓国を出発する直前に記者会見をやっておりまするが、そのときの会見談でも、韓国軍の指揮権は国連軍司令官が持っているし、五月十六日のクーデター後にもこのことは再確認されたということをはっきり言っております。こうなりますると、限定政権である上にその政権の権力というものは一切の方面でアメリカがこれを掌握しておるということは明らかです。こうなりますると、実はもう詳しいお話しは一々しませんけれども、マンスフィールドの報告あるいはフルブライト委員長の発言あるいは先般私が引用しましたあのワーグナーの論文、こういうものからも明らかになりまするように、これはカイロ宣言にも実は違反するのです。こういう限定した政権を相手に日本が国交正常化をやろうということは――明らかにカイロ宣言では、朝鮮全体の奴隷的状態からの脱却と朝鮮の自由と独立ということは、これは朝鮮全体を意味するものであり、完全な自由と独立ということを達成するのが、われわれカイロ宣言を忠実に履行する者の義務だと思う。それを、今日のこのような状態の限定政権であり、しかもファッショ的な軍事政権を相手にして国交正常化をやろうということですから、これは非常な大きな罪を犯そうとしておることになるわけです。そういう点をもう少し真剣に考うべきではないか。ただ、今のような、隣の国でやがて経済も安定しそうだから早くやった方がいいということでは、これはとうてい私どもは納得できないわけです。そういう状態で今次の会談が行なわれようとしておるときに、たまたま今度は韓国側の首席全権である裵氏の国籍の問題もずいぶん韓国では論議されておるじゃないですか。この裵首席代表というのはアメリカ国籍だ。これは現在は国籍はどうなっておるのですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 裵氏は韓国国籍であります。(「調べたのか」「それはいつからだ」と呼ぶ者あり)御承知のように、アメリカにおりまするときは属地主義でアメリカの国籍を持ったようでありますけれども、韓国に帰ってからは韓国の国籍であります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 いつからですか。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 昨年許政大統領のもとで韓銀総裁になってハワイから帰ったわけであります。そのときに韓国籍を持った、こう御本人が面接申しております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると、今は韓国国籍だけですか。アメリカ国籍はどうですか。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 韓国国籍だけです。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 裵義煥という人は韓国にいたのはほとんどわずか四年ぐらいですね。成人してから、三二年にアメリカのボストン・リンカーン予科大学及びオハイオ州のトブウ大学を終了して、三八年から四二年来でアメリカのEAストロー証券会社にずっと勤務しており、それから、四二年から四三年まではアメリカの司法省に勤務しており、それから、四三年から四四年まではアメリカの戦時検閲局に勤務しており、それから、四五年まではアメリカの外国経済局に勤務しているわけです。それから、四六年から四九年まで、これは米軍政庁の財務部、長補をやっている。それから大韓金融組合連合会会長をやっている。この四年間ですね。ここで初めて四年間韓国にいただけである。次いで五〇年から六〇年まで十年間はホノルルにいた。こうして、伊関さんが今言われたように、一九六〇年の五月三十七日になって初めて許政の招きでホノルルから韓国に帰ってきた。そうして六月一日付で韓銀の総裁になっているわけです。今、伊関さんは、韓銀総裁になってから韓国に帰ってきたと言われたけれども、それはそうじゃない。それは裵さん自身がはっきり言っております。自分ではこういうことを言っておる。私は去る五月二十八日に帰国したのであるが、就職するために来たのではない、帰ってみると親友たちが勧めるので総裁の職を受けることになった、と言うのです。ここでずいぶん問題になったわけです。今、日本に関係者の人たが来ているようですけれども、韓国国籍の人でないとできないことになっているのです。それでこのときの談話でも、このときにやっと自分の韓国国籍取得については問題が解決したように談話はしておりますけれども、しかし、アメリカの国籍を抜いているというはっきりした証拠はないのです。いつからアメリカ国籍を抜いたのか。その年月日をはっきりお知らせ願いたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 この喪代表は、釜山の第二商業学校を卒業いたしまして朝鮮銀行の大郷支店に勤めております。従って、これは日本の国籍を持っていたこともあるわけです。その点もお忘れなく……。(「そんなことは聞いていないよ」と呼ぶ者あり)  それから、いろいろ国籍についてお話しがございまするけれども、要するに、全権としまして信任状を持ってきているということが一番決定的な条件でございまして、今いろいろお話しがございましたが、そういう点は問題でなく、先方が韓国の代表として適格なものと認めておるのです。信任状を持たして来ておるのであります。その点が私は一番重要だと思います。

森下國雄自由民主党

○森下委員長 ちょっと松本君に申し上げますが、総理は参議院の災害対策から呼ばれておりますので、時間がございませんから、そのおつもりでどうぞお進め願いとうございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それではあとにも質問者がありますから急ぎますが、信任状のあるなしを今問題にしているのではない。アメリカの国籍を抜いた年月日はいつですかと聞いておるのです。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 そこまでは調べておりません。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 だから、それがはっきりしていなければ二重国籍であるという可能性があるわけです。そういうことで話を進めます。時間の問題はまた話し合っていただくとして、私としては同僚の質問がありますから少し急ぎます。  この前の委員会のときに川上貫一委員から要求した資料がまだ出ておらないようですから、これを一つ早急に出していただきたいと思います。例の財産請求権の問題、これは伊関さんが説明している。川上さんは、アメリカはどの程度持って帰ったのか。日本財産を没収したものは全部向こうに渡した、こう言っておる。この資料を早く出していただきたい。まだ全然出していないでしょう。大蔵省が調べなければわからぬということを言われて、それを出してもらう約束になっているものですから、日韓会談に関連して早くやって下さい。  在日朝鮮人の法的地位については、国会の答弁をここで再確認しておかなければならないのです。南北についての実質的な差別待遇はしないという方針を今まで政府は再三述べてこられたのですが、万一今の方針通りに国交正常化を強行されるというようなことになりますと、さしあたりこの問題が在日朝鮮人の非常に大きな関心の的になるわけです。そこで、南北についての差別待遇はしないという今までの方針通り進まれるのかどうか、この点を一つ総理から責任のある答弁をお願いしたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 外務大臣あるいは関係当局から申し上げた通りでございます。こまかい問題は検討いたしておりませから、外務省が申し上げた通りだとお心得願いたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 方針は別に変えておりません。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 方針を変えていないというなら、南北についての差別はしないということをもう一ぺんここではっきり言明して下さい。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 永住権を取得する場合の手続という点では違いが出てくるかもしれませんが、結果的に見て、実質的に差別待遇にならぬようにしたい、こう考えております。またそういうふうに申し上げたわけでございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると、かりに国交正常化になった場合に登録の問題が起こりますが、韓国の国籍を持っている人は、無条件に登録されるということになりますか。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 たとえば永住権について申しますと、日韓間の協定でもって永住権を与えるということになりますれば、韓国人として登録する人はその協定でもって永住権をもらうわけでありますが、しかし入管法上別に永住権という制度がございますから、実質的な差別待遇にならぬように希望者にはしたい、こういうふうな考えでおるわけであります。

森下國雄自由民主党

○森下委員長 細迫兼光君。

細迫兼光日本社会党

○細迫委員 総理大臣にお伺いいたします。  かねて総理大臣の施政の方針、外交に関する点におきましては、各国と親善友好な関係に立っていく方針だ、こう御表明あったと思うのであります。その方針は変わっていないと思うのでありますが、ただ北朝鮮に対しましても、これは例外なくその原則を通していくお考えであるのかどうか、いささか疑問の節が出て参りましたからお伺いしたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 原則といたしまして、どこの国とも友好関係を増進していきたいという方針に変わりございません。

細迫兼光日本社会党

○細迫委員 ところで時日の経過を見ますと、非常に原則が適用せられていない感を抱くのであります。たとえばこの五月までは北朝鮮とは一厘一銭の貿易もまかりならぬということになっておりました。この不合理は五月にようやく解除せられましたが、まだ直接の決済はできないことになっております。なおまた、朝鮮との親善のためにわれわれは三百人の親善使節団を派遣したい、こういう計画を立てて旅券の申請もしておるのでありますが、一切お許しがない。これは日本の船で行くのでありますから、ドルの問題もないはずでありますし、そのほか旅券法の規定に何ら違反する事実はありません。治安に関する心配もないという入国管理局の方の意見でありますにかかわらず、その旅券が下付せられないとか、あるいはまた金額は小さいのですけれども、とにかく日本から機械を輸出する話もでき上がり、機械ももうでき上がっておるので、それのテストのために北朝鮮のエンジニアをたった三人ですが、半月間日本に入らしてもらいたいという話に対しましても、わずか三人の人間でありますが、入国まかりならぬという態度が持続せられておるようであります。こういう差別待遇を受けておるのは、世界広しといえども、現状において北朝鮮だけであります。一体どうしてこういう差別待遇をあなたの原則の中から除外してなさっておられるか、その理由を承りたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 原則はどことも同じように友好増進をしていきたい。しかし細迫さん御承知のように、同じ共産圏内でもおのずからそこに径庭があることは、今までの経過からやむを得ぬ場合があることは、これは事実問題として認めざるを得ません。  今のお話のいろいろな案件につきましては、具体的の問題でございますから外務大臣からお答えいたします。

細迫兼光日本社会党

○細迫委員 ただいまは、詳細な、具体的な問題には入りません。時間がありませんから総理のいらっしゃる間にお尋ねをしておきたい問題だけにしぼりますが、では一体北朝鮮とは将来どうなさるつもりでありますか。つまりある一つの国から一地域が独立しましたらば、必然に解決しなければならぬ問題が起こります。すなわち国境はどこにしようかとか、あるいは相互に滞在しておりまする国民の国籍問題は一体どうしようか、あるいは双方入り組んでおる財産権の問題もあります。これらのことは好ききらいにかかわらず、一地域が独立した際における事後処理として、どうしてもせねばならぬ問題であります。これは北朝鮮といえども例外ではありません。こういうような問題を北朝鮮に対しては一体どうなさるおつもりでいらっしゃいましょうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 われわれは、全朝鮮が一体になることを熱望しておるのであります。従いまして今、これが二つの国になるということは私は考えておりません。ただ現実問題として韓国との交渉にあたりましては、実際に北朝鮮という韓国の力の及んでいないところがありますから、これはあくまで頭に入れて交渉をしなければならぬのであります。ただいまの場合に、韓国が二つになったことを前提としての考えは私は持たないのであります。

細迫兼光日本社会党

○細迫委員 日韓会談においては、さっき申し上げましたいろいろな独立の事後処理の問題は、すべて解決したいというお考えであろうと思うのでありますが、国境問題につきましてやはり議題になると思うのです。竹島問題についてはどういう御方針でありますか。竹島の所属問題についての御方針を承りたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 公海上に排他的な線を引いて、ここまでは自分の領域であるということは、国際法上言えないことはこれは当然のことだと思います。この線の関係から竹島問題というものが出てきておる、こういうふうに判断いたします。この点については、あくまでわが領土でありますことは明瞭でありますので、この線に沿うて交渉を進めていきたいと思っております。

細迫兼光日本社会党

○細迫委員 外務大臣に対する質問は留保いたします。

森下國雄自由民主党

○森下委員長 戸叶君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私は、この際ですから、二、三日中に開かれます日米貿易経済合同委員会について、いろいろと総理にお伺いをしたいと思いましたが、時間がないようですので、ごく簡単にお伺いしたいと思います。  今度の合同委員会というのは、アメリカの方からは七人もの閣僚級の人物がいらっしゃって、大々的な会議をお持ちになるようでございまして、日本の国民も一体どういうふうなことを討議するのだろうか、日本の国民生活にどういった面があるのだろうか、あるいはただ単なる理解の度を進めるにすぎないのであろうか、あるいはまた政治的ないろんな問題が起きるのじゃないかというような不安、こういったいろんな感情を持っておるわけでございまして、やはりこういうふうな国民が大勢おるわけですから、その点をまずはっきりさせていただきたいと思います。  まず最初にお伺いしたいことは、アメリカの方からジロン財務長官が来られることになっていたのが、途中でラスク国務長官にかわられたというようなことに対しても、もしも貿易経済の委員会であるならば財務長官が来られるのが安来ではないかということさえ言われておりますし、また朝海大使もジロン財務長官が来られないという事情は言えないけれども、もっと早くそれが知らせてもらいたかったというようなことも新聞記者に語っておるようでございます。また、アメリカの方の役所の人たちの話を聞いてみましても、経済的問題として扱いながら政治的な会談になるのではないか、こういうことを言っておるわけでございますけれども、その辺のところの内容をまず最初にお伺いしたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 十閣僚のうち六閣僚が来られることに、私とケネディ大統領の話ではまとまったわけでございます。そうしてもう一人は、ケネディ大統領の経済最南腰間の方であります。当時からラスク長官、ジロン長官、お二人はどうだろうということは考えられぬことではなかったのでありますが、とにかくぜひ六人そろってという希望を申し述べておきました。ジロン財務長官にかわってラスクが来られるというわけではないのです。初めからラスク、ジロン、商務長官、農務長官、内務長官、労働長官、そのあとアメリカの事情で来られないということがわかり、私、再度アメリカ大使を通じてジロン氏の来日を希望いたしたのでありますが、のっぴきならない事情ということで、有力な次官がおいでになるのであります。日米経済合同委員会は名の示すがごとく経済貿易につきましての話が原則でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 第一日目に池田さんとラスク長官との話し合いがなされるようでございますけれども、その場合におきましても、純然たる経済問題だけで何ら政治的な問題に触れない、こういうことでございますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 当初、第一日の午後来られまして、私は一日の日にお会いするつもりでおったのであります。何分あのときは午前中は自衛隊の関係もあります。午後に宮中の招宴がございます。私が向こうへ行きますのがどうしても八時くらいになるのではないかということで一日の日はやめまして、二日、私は会議には原則として参加いたしません。会議が始まります当初に、あいさつをするかしないかはさまっておりません。私は会議のメンバーではないのです。せっかくおいでになったので、私としては会議が終わりました四日の昼、私の名で、おいでになった各長官を招待する。そのあとラスクさんと話をするという予定であったのですが、ラスク長官の方で急にあいにく所用ができたので時間が持てませんというので三日の外務大臣との会談のときにラスクさんと昼飯を一緒に食べたい。私は、もう十数年来非常に懇意にしていただいておる関係上、いろんな問題の話をいたします。公式の池田・ラスク会談ではありませんで、非公式でございます。今どういう問題の話をするかということは、両方で何らきめておりません。せっかくの機会でございますから旧交をあたためながら世界の情勢、いろんなことを話してみたいと思っております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 それでは、もう少し内容にわたって伺いたいと思います。この合同委員会は安保条約の二条によってできたということは、共同声明の中にもしるされておるのであります。安保条約の審議にあたりまして、その当時岸さんが総理でございましたけれども、非常に安保条約が評判が悪いので、経済的な面でいい面があるのだということを強調されるために、この二条の説明として、日米の貿易をスムーズに拡大させるとか、あるいは日本の経済発展をはかるとか、あるいはまた低開発地域に対して先進工業国として開発に協力するとか、ヨーロッパの共同市場との関係におきまして日米の協力をするとか、こういうふうなことをいろいろとおっしゃったわけです。そしてその当時の岸総理大臣としては、まあ新しい委員会を持ってもいいのだというようなことを答弁されております。しかし、その後になりまして、藤山外務大臣が、特にそういう委員会を持たなくてもいいのではないかと思うというようなことさえ答弁されておりますが、私は、そこでお二人の意見の違いとかなんとかいうことを申し上げるつもりはございません。ただ、今度の合同委員会というものが、アメリカの側から非常な強い要請があって生まれたというようなことも、二面言われているわけでございますので、その辺のところをはっきりさせておいていただきたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 アメリカとのこういう定時的の閣僚会議というのは、カナダとアメリカとの間に二、三年前からあったと思います。年に一回ぐらいの程度、しかもこれは二、三人の閣僚でございます。日米の経済関係から考えまして、こういう閣僚委員会が設けられることにつきましては、希望を申し述べた場合もありましょうし、あるいはまたそれはなかなか困難だ、カナダとアメリカとの関係は、日本とアメリカとの関係ほどではないというような議論も、朝野にあったやに聞いております。私も昨年でございましたか、こういう問題について衆参いずれかで質問を受けたこともございます。アメリカとカナダとの関係のようにはなかなかいきますまい。そしてまた、アメリカとカナダとの委員会の経過報告を見ましても、そうこの会議でどれだけの問題が実質的にきまったということもあまり聞いておりません。しかし私は、できれば今の日米関係から申しましてこういう委員会は必要である、こういう考え方を持っておったのであります。その点は、アメリカ政府としてもおわかりになっておったことだと思います。私が参ります場合におきまして、この問題をという話が出たのであります。こちらも大賛成ということに相なって、向こうからの熱望ということではなくて、両方とも気が合ったということであろうと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 両方から気が合ったというような御答弁でございましたけれども、その問題についていろいろ言っていますと時間がなくなりますから先に進みますが、そうしますと、今度の委員会におきまして、いろいろと日本とアメリカとの間の貿易で障害があるわけです。たとえば、日本からアメリカへ行っている品物の方が、アメリカから日本に来ている品物より少ない、輸入超過というような面があるわけでございますが、それにはアメリカの方の都合のいい法律があるわけです。バイ・アメリカンとかいろいろあるわけですけれども、そういうような問題についても具体的に話をして、この問題を今度の委員会で解決するというような強いお考えを持っておいでになっていらっしゃるかどうか、まず最初に伺いたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 貿易経済各般の問題、そしてまた世界経済機構等の問題につきましても十分話し合ってみたいと思います。これは問題解決ということよりも、まず問題につきましてのお互いの理解と認識を深めることが主だと思うのであります。具体的な問題になりますと、やはり向こうも国会その他の点がありまするから、今後日米関係を一そう増進し、低開発国あるいは世界の経済機構に役立つようなもとを作ろうというのが第一でございます。そうして、それによって当然の結果が出てくれば、それにまとめることにやぶさかではございません。  時間が参りましたから……。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 委員長あと一問……。

森下國雄自由民主党

○森下委員長 ちょっと御注意申し上げます。一言ちょっと御注意……。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 もう一問だけ。理解とそれから親交を増すということでございます。私は、今の政府は長い間、アメリカとの間には特殊な関係を持ってつき合っている以上、今さらいろいろな理解をしてもらうというようなことは、もうやってしまっているはずだと思うのですけれども、まあこれからもなお理解をするというようなことを伺いまして、貿易などの面におきましては、今まで特に自主的にやっていなかったのじゃないかということをまことに残念に思います。しかし、これはあとでさらに深く伺うことにしまして、もう一問だけということなので、もう一問だけ伺いたいと思いますけれども、共同声明の中に、この低開発地域に対する開発援助の重要性というものをアメリカと日本とが認めた、そうして総理大臣は、その低開発地域の開発に関連して、東アジアに対する開発援助に特別の関心を表明した、こういうふうにあるわけでございますが、この東アジアという表現は目新しい表現に思いますけれども、これはどの地域を具体的におさしになってお話し合いになったかを伺いたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田国務大臣 東南アジアと言いますときに、南アジアと言い東アジアと言い、いろいろ使い方がございます。私は、日本に近接した東アジア、南アジア等々、また南米の方ももちろんそうでございますが、日本はアジアにおける先進工業国でございますので、東南アジアことに東アジア、これはもうフィリピン、台湾、朝鮮等々含むのでございます。

森下國雄自由民主党

○森下委員長 これで……。(戸叶委員「これでは中途半端でしょう」と呼ぶ)総理大臣に御退席を願います。  なお、申し上げます。外務大臣は、アメリカの下院外交議員団との会見の約束がございますので、二時五分から待たしてありますから、それに行って参りまして、かわって政務次官が来ております。  速記をとめて。   〔速記中止〕

森下國雄自由民主党

○森下委員長 速記を始めて。  それでは、暫時休憩をいたします。    午後二時四十六分休憩      ――――◇―――――    午後三時二十六分開議

森下國雄自由民主党

○森下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国際情勢に関する件について質疑を続行いたします。松本七郎君。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 先ほどからの質疑応答で、外務大臣は朴政権の合法性を私が問題としておるのに対して、一九四八年の国連総会の決議、そういった従来の経過の御説明だけであって、政府としては、この朴政権を合法政権として認めておるのかどうかということについては、何ら明確な答弁がないわけです。国連総会の決議とか関係においても、私どもは、むしろそれを基礎にして考えれば、なおさら明確にこれは非合法政権であるという結論にならざるを得ないと思うのでございまするが、政府の見解ではあくまでもこれは合法政権であるということなのかどうか、そこのところをはっきりさせていただきたい。そして合法政権であるならば、その根拠――私どもは先ほど国連決議との関係、現在のクーデター政権によってできたところの非常立法、そういうものとの関連で非合法だと断定しておるのですから、それを否定するだけの法律的な見解をここに明らかにしていただきたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 先ほどお答えした通りでございますが、法律解釈ということでありますから、条約局長からお答えいたさせます。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 合法政権というのをどういう意味でお使いになっておるかに関係すると思うのでございますが、われわれは今の韓国政府は合法政府である、さように考えておるのでございまして、これは二つの意味から言えると思います。一つは、従来の韓国政府がそのまま続いておるのかどうかという意味で合法かどうかという判断もできるかと思うのでありますが、これはやはり合法的に選出された尹大統領が引き続きそのまま残っており、各国ともこれが依然として前政府の継続である、こういう解釈によりまして、新たに承認という手続をとっていない。こういうことから見て、やはりこれは合法政権であると考えるのであります。なおまた、現在の韓国政府が韓国において合法的に存在する政府であるかどうかという意味でありますれば、軍事革命、クーデターというものはございましたけれども、これは現に有効に韓国を支配し、また韓国の国内法に基づきまして――いろいろ国内法が新しくもできましたけれども、国内法に基づきまして、正当に認められておる政府でございます。従って、やはりこの意味からでも、合法政府である、かように考える次第でございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 一九四八年十二月十二日の国連総会の決議をもって合法性の裏づけに、さっきからの大臣の答弁ではされておった。中川条約局長としても、現在の朴政権はこの国連総会の決議に一致する意味で合法的だと言われるのかどうか、その点をもう一度確認したい。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 従来の韓国政府が国連決議の趣旨にのっとった政府であんこと、これは間違いなかったところでございます。しかして、その韓国政府が、勢大統領というものがそのまま残っておるということによりまして、依然として形の上では残っておる、これは当然言えると思うのでございます。従って、国津決議の趣旨にのっとった意味での合法政府であったものが、依然として形としては残っておるということが言えると思います。しかしながら、実質がはたして国連決議の趣旨にのっとっておるかどうか。それは、クーデターによりまして、実際におきましては新しい内容を持った内閣というものができまして、その上の元首である大統領には変わりがございませんが、実体が違った形のものができてきた、従来の憲法というものも相当部分これが実質上停止されたような形になっておるというような意味におきまして、はたして今の政府それ自体、今の内閣それ自体が自由選挙に基づいてできたものであるかどうか、あるいは自由選挙に基づきました国会というものから選出されてそれを大統領が任命した、こういう意味ではたしてあの決議にぴたりと当てはまっているかどうかという意味で仰せられるなら、これは実質はあの決議とは違ってきておるということは認めざるを得ないと思います。しかし、それだからといってあれが合法政府でない、こういう結論は出てこないのでございまして、依然としてやはり合法政府であることには変わりがないと思います。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 しかし、国連総会の決議では、国民の自由意思、それから選挙で選ばれるということを前提にして、それを唯一の合法政府、こういうふうにいっているわけですから、この国連の決議の大切な部分に違反するものであれば、これはわれわれは非合法的なものだ、合法性がなくなったものだ、こう解釈せざるを得ない。今の御答弁によると、なるほど過去の国連総会の決議に合致したものとしての大統領がとにかく残っている、これは残骸ですね。残骸だけれども残っている、その意味で合法的だ、こう言われるけれども、それじゃ今度新たにクーデターでできたところの憲法にさらに上回るほどの最高法規というものを新たにクーデター政権が持ち、作り、そうして内閣をも統制し、大統領の権限までも上回るような権限を持っておるこの現在の政権というものは、それでははたして国連総会の決議に違反しているかどうかということになると、あなたも完全にこれが一致するものということはできないという御答弁ですね。そうなると、現在の朴政権というものは、新たな国家再建非常措置法その他によって持っておる権限に照らしてみても、これは国連総会の決議には反するものだということも条約局長としては認められるわけでしょう。今の大統領という言葉に関する限りは、その国連総会の決議に一致するけれども、その権限を制約し、強い監督、統制権を持った現在のこのクーデターによって成立した朴軍事政権というものは、一九四八年の国連総会決議に違反する要素を含んでおる、こういうふうに理解していいんですね。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 現在の政権が権力を掌握いたしました過程におきまして、これが自由選挙というような国連決議にいっております方法によらずして、力をもってこれが実現したということは事実でございまして、この点は否定するわけにいかないと思うのでございます。しかしながら、どういう意味でああいうクーデターが行なわれたかということになりますと、やはりほんとうの意味での自由な民主主義というものが韓国において行なわれておらないということに非常に怒りを感じまして、その方法としてああいういわば非常的な手段をとったわけでございまして、それによってできました政権も、要するにほんとうの無味の民主主義を実現するための非常的な手段であり、非常的な事態である、二年後には文民政府に返すのだということをはっきり声明いたしまして、従って、いわば臨時の非常的措置としてああいうことをやっておるということであります。その前後の関係を見れば、これが全部国連決議の趣旨に反しておるということは言えないのでございまして、むしろその意図するところは、ほんとうの意味の国連決議の趣旨を実現するような政府を樹立する、ほんとうの民主主義の政府を樹立する、こういう目的を持ってやっておる臨時的な措置であります。従って、これが全然国連決議の趣旨に反しておる、こういうような結論を出すことは、これはやはり見当違いである、むしろもう少し長い目で見まして、二年後の事態を見れば、ほんとうの国連決議の趣旨にのっとった政府ができる、そういうための今いわば非常事態である、非常の段階である、その意味の暫定政権と総理も言われましたけれども、そういう意味の政権と心得ておるわけであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると中川さんの解釈では、従来の政権は過去の経過からいって国連総会の決議に一致したものとして、これは各国が認めた、しかしそれが国連総会の決議に述べるような真の民主主義に一致しない政権になってきたので、だからこれを倒して真の民主主義を実現する暫定政権として今の革命政権はできたのだ、こう言われるわけですね。だから暫定的にこれを認めるのだ、こう言われるけれども、過去に国連総会の決議に一致するものとして列国が認めた政権ですら、あなたの言われる真の民主主義を実現できないで、この革命になったということになるとすれば、今後この暫定政権が二年後――二年後まで持つかどうか知りませんけれども、おそらくその前にまた倒れるでしょうが、しかし、それは別として、将来それじゃ真の民主主義が、これによって確立されるという保証は一体どこにあるのですか。その点はどうですか。過去において国連で認めた政権でさえ民主主義に反した行為をとった、それを倒したところの革命政権が今度は完全に真の民主主義を実現するという保証は、一体どこに求めたらいいのですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 この日韓関係の正常化を考えて以来、いろいろの御質疑があったわけですが、前の張勉政権の時代に、松本さんにおいて、これは民主主義の政府であるから、これとの国交を早く調整をすべしという御意見があって、その後にこの革命政権ができたから、これはいかぬのだというお話ならば、これはまた御意見として伺いますけれども、終始一貫日韓関係の調整に反対である、こういうお立場からのいろいろのお話でございます。私は、非常に自由なお立場でおっしゃることですから、一つの御意見として承りますけれども、相手の政権は、これはじきに倒れるであろうというような御断定をなさることは、はなはだ私においては承服しがたい、彼らはやはり十分に民意を掌握して、そして韓国の経済復興をなし遂げ、そして二年後にはいわゆる選挙によるところの政権に移行しよう、こういっておるのであります。この意味において、過渡的な政権であるということは言えると思いまするけれども、また彼らもそう言っておるわけです。これとの国交を調整することがいいとか悪いとかいう御議論と今のお話とは、私は別の問題だと思います。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 われわれは、以前の政府から、これとの国交正常化は非常に危険だということを警告もし反対もしてきました。しかし、それは今中川さんの言われるように、国連総会の決議に一致するとは言われておるけれども、決して真の民主主義の実現できるような政府ではないのだ、そういう見通しのもとに私どもは反対してきたわけです。それが今日現実になってきたわけです。今中川さんの言われるように、国連総会の決議に一致しておったはずの政権が、決して真の民主主義を実現できないで、それに相反する政権ということが正体が明らかになったので、革命政権によって倒されたのだ、こうはっきり言っておる、そのことをわれわれは見通しておったればこそ、反対しておったのであって、ましてや、今日この革命政権が二年後に民政移管を約束しておるけれども、その民政移管ということすら何らの保証もない、ましてや民政に移管されたからといって、それが、それでは真の民主主義の政権となり得るかどうかということについては、決して、これは過去の政権より以上に私は見通しは暗い、かりに三年後に選挙があったとしても、おそらくそれは翼賛選挙みたいなものになる、これは見通しですから、あなたがそうは思わないと言われればそれまでですけれども、過去においても韓国の政権の性格なり本質についてはお互いに議論したわけです。その見通しにおいては完全に私どもが正しかったということが、今日のクーデターによって実証されたわけです。それだからこそ、なおさら私どもはこのクーデターによった軍事政権を相手に大事な国交正常化をすることは、いよいよ大きな危険に深入りすることになるのだという警告をしておるわけです。過去のわれわれの主張にかんがみてみましても、それから政府の今までやってきたことを振り返ってみましても、この際十分われわれの主張に耳をかすことが、政府が二度とこの失敗を繰り返さないゆえんでなかろうかと思う、この点をもう少し私は謙虚なる態度で政府は臨んでもらいたいと思うのですが、いかがですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 過去においてのあなた方の日韓会談反対はよく承っておりますが、それはこういうことだと思います。南北の朝鮮が――これは北の方は共産政権でございますが、中立化して一つのものになればいい、そういうことを望むがゆえに、現在の張勉政権はいけないからこれと国交回復をやるのはよろしくない、こういう話であったと思います。そういう意味においては、私どもはそういうことを便々と待っておっても、現に共産政権であり、その共産政権が国連監視下における選挙というものはやらないのだ、こういう立場で国連の勧告するところの自由な選挙に反対したのであるから、それを待っていても、これはなかなか遠い先じゃないか。そこで現在一番近くにある政権との間に国交を調整して、そして経済的にも、また李承晩ラインというようなややこしい問題も解消するというようなことが国民のためではないか、こういうことでわれわれ言っておるわけでございまして、結果的に張勉政権がクーデターによって倒れた。あなた方がその政権を相手にしておっても、今に中立的な政権ができるからそれまで待てと言われたことの間に、張勉が倒れたということ、そのことには相似点はあるかもしれません。しかしそういうことの起きた動機というものは、全く違う形であると言わざるを得ないのであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 時間がありませんから他の議員とかわりますが、先ほどちょっと御質問したことでもう一度政府のはっきりした調査をお願いしたいのは、政府の見込みとしては、北鮮系と韓国系の在日朝鮮人の人数はどういうふうな見込みになっておりますか。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 在日韓国人と申しますか、朝鮮人と申しますか、登録されております者は約六十万、このほかにいわゆる潜在密入国者がどれくらいおりますか、多少おると思います。この六十万を右と左、あるいは中立、どういうふうに分けるかというのは、これははっきりしたのはございませんで、日韓関係がよくなれば韓国を支持する者がふえるとか、あるいはまた韓国の情勢が悪くなれば北鮮を支持する者がふえるとか、大部分はどちらつかずの者であって、情勢を見て動いていくのではないか、こういうふうに思っておりまして、はっきりした数字はだれにもわからない、こう思います。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それからいわゆる北鮮系の地位の保障について、従来は実質的に地位を保障するという御答弁だったわけですが、今条国交正常化をした場合には、年限を切ってやるというような説も流れておるのですが、そういう制限付でなしに、従来通り無制限の地位の保障はなされるのでしょうか。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 韓国人、自分で韓国政府を支持するという人たちにつきましては、今後できます協定によって処理するということになるわけでありまして、その協定がどういうふうにできますか、その点はまだ目下交渉中でございますからわかりません。それが年限を切るものであるか切らないことになりますか。ただ、結果としまして、もし協定ができますれば、韓国人はその協定によって処遇される。そのとき韓国人としてこの協定に均霑することをいさぎよしとしないという北鮮の人たちが、多少おるかもしれません。こういう人たちも、韓国人に比べまして結果的には不利なことにならぬように、手続はもちろん違いましょうが、実質的にそれほど不利にならぬように何か考えなければいかぬのじゃないかということをわれわれ考えております。ただ韓国との間の分がはっきりきまっておりませんから、それほど具体的なことは申し上げかねる次第であります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 韓国を支持するとかしないとか言われますけれども、今在日朝鮮人が持っておる登録証ですか、これには韓国と書いてありますね。その韓国と書いてある者は、いわゆる韓国の国籍を持っておるということですね。その人はそれでは、国交正常化の後は登録の問題が起こるわけですが、登録に際しては無条件に登録されるわけですか。そこはどうですか。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 その辺になりますと、終戦後に、韓国人といいますか、朝鮮人の登録を始めましたときは、全部朝鮮ということでやっておったのであります。その後韓国ができましてからは韓国という登録もあるわけでありまして、一時は朝鮮というのを韓国に変えてよろしい、また韓国というのを朝鮮に変えてもよろしいというふうにいたしておりましたが、最近は変更は事務的にいろいろな問題が起きますので認めておらぬのであります。ですから新たにやりますときに朝鮮とか韓国ということを登録させる。しかし、現在韓国のものを朝鮮に変更するとか、現在朝鮮のものを韓国に変更するということは、私の知っております限りは認めていないと思っております。従って、現在朝鮮と登録しておる、あるいは韓国と登録しておるということが、そのまま北鮮の支持である韓国の支持であるということを意味するものでない、このように考えます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると今の韓国、朝鮮の区別とは無関係に、新たにいずれを支持するかということによって登録がきまる、こういうふうに理解してよろしいのですか。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 協定によって、おそらく永住権を与えるということになると思いますが、その永住権をやるときに手続といたしましてどういうふうにするか。韓国代表部の証明書をもらった者に、その協定による永住権を与えるということにするかどうかという点になりますと、まだそこまで問題は煮詰めておりませんので、どういう手続になるかという点は今ここでまだ申し上げられませんけれども、実体は今申し上げましたように今後動く、そのときによって動きますので、現在朝鮮とか韓国とか書いておりましても、それは実体を表わすものでない。しかして、今後どうなりますかは、協定のきめ方、手続をどうお互いに申し合わせるかということによっても、違ってくると思います。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 もう一つ大臣に伺っておきたいのです。財産請求権の問題ですが、金裕澤さんの来たころ、韓国側が八億ドル、日本側が三億ドルとか、いろいろ言われておったのですが、結局日本側は五千万ドル請求権、それから無償援助、さらに経済援助、こういうふうな主張でかなり開きがあったように聞いているのですが、先般金鍾泌さんが来られて、金裕澤氏の来られたときの八億ドルというのは間違いであるというようなことを言われたように聞いているのです。この点についてかなりの歩み寄りというか、金額についても相当妥結に至る見込みが強いというふうに言われているのですが、これはどうですか。最近の韓国側の主張と日本側の主張の隔たりは。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 今、杉代表と表韓国側代表との間で会談を始めているわけです。これでいろいろ煮詰まっていくかと思いますが、今お話しの金裕澤さんが来たときにいろいろ新聞に出ておりますけれども、私は責任のある話としてそういう金額の問題はないというふうに理解しております。私、実はよく知らないので、ただ新聞社の方が非常によく御研究なさって、どこかでそういうことを聞いたということがあるのかもしれませんけれども、私としては、そういうことはないと申し上げる以外にないと思います。それから今度金鍾泌さんが来たけれども、そういう問題については何ら触れておりません。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 これは日本の新聞にちょいちょい出るばかりでなくて、韓国の新聞にも出ているわけです。そこで今、杉さんのお話も出ましたけれども、杉さんが選任されるときに――すでにこれは本会議でも私の質問で問題にしたのですが、あのように韓国側から異議が出てきた当時も、韓国側では岸さんの首席を非常に望んでおったわけですね。そういうことも以前外務委員会で問題にしたことがありますけれども、当時ははっきりした御答弁がなかったのですが、先方では岸さんあたりの首席を非常に望んでおって、結局杉さんにきまったので不満を表明した、この問題は一応杉さんで落ちついて交渉に入ることになったわけですけれども、今後日本政府としてはあくまでも杉さんを中心に、他の顧問とかそういう形で岸さんを引っぱり出すとか、あるいはある段階に来た場合に、そういう人に切りかえるとか、そういうことは一切やらずに杉さんで押し通す方針でしょうか。この点はいわゆる事務折衝、政治折衝の問題と関連して非常に重要な点ですから、一つはっきり伺っておきたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 今度の会談は事務折衝と政治折衝を並行してやっていこう、こういう話し合いになっております。杉さんを代表にいたしまして、それで交渉するということにきまっております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 政治折衝というのはどういう形でやるのですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 政治折衝とは、政治折衝のことでございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 だれがどういうふうなやり方でやるのですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 首席代表同士でやるということが、この考えであります。しかし、いろいろな場合を想定して御質問でございますが、そういう仮定の問題はお答えしにくいと思います。

森下國雄自由民主党

○森下委員長 関連質問の通告がありますので、これを許します。岡田春夫君。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 関連質問ですからごく簡単にお伺いしたいのですが、先ほどの政府の答弁を伺っておりますと、私のお伺いしたいのは、現在の朴政権というものの性格です。朴政権の性格に対する政府の答弁が非常に私は不満足です。主として中川さんの条約解釈の点について私は伺って参りたいと思うのですが、朴政権というものは、私は民主的な政権ではないと思う。その理由として、はっきりしているように、朴政権の基本になっているのは、先ほど資料として配付いたしました国家再建非常措置法、この法律が基礎になっている。この法律に基づいて憲法は停止されている。それから民主主義的な国家の運営機能である国会その他一切のものの機能が停止されている。こういうことであるならば、私はどういう面から見ても、朴政権というものは民主主義の政権とは考えられないのだが、政府の解釈はどういう御解釈になっておりますか。私は明らかに民主主義の政権ではないと思いますが、いかがでしょう。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 さっきから何回も申し上げているように、三年後に選挙をやった政権に切りかえる、こういうことをいっているわけであります。従って、それまでの過渡的な政権、こういうふうに思います。なお、さっきも言ったことですが、相手が民主主義の政権でなければ一切国交を持たぬということはないのであります。私どもは、これは考え方が違うでしょうけれども、共産主義の政権はいわゆるわれわれの言っている民主主義政権とは思わない。しかし、共産主義国との間にも国交を持っております。それからいろいろクーデターによってできました政権は、アジアにも中近東にもあるわけですね。それに対してわれわれは交渉を持ち、国交を持っておるので、相手が自分の体制の通りでなければ国交を持たぬという方針は、われわれはとっておりません。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 小坂さん、今条約解釈をされるというような御答弁のようでございますから、私は小坂さんに聞きます。中川さんの答弁はこのあとしないで、あなた、聞きたいなら中川さんから聞いて答えて下さい。  それでは小坂さん、伺いますが、あなたは、二年後においてかわる、それまでの暫定政権だから、こう言って御答弁なんだが、私の伺っているのは、現在の朴政権というものは、民主主義政権かどうか、これを聞いているんです。これはどうなんですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 民主主義政権であるかどうか、こういう聞き方は非常にむずかしい問題でございますが、ソビエトでも自分の方は民主主義であるといっておりますし、共産主義の政権がそういっておるのでございますから、なかなかこれは民主主義であるか民主主義でないかということをわが方から断定してきめつけてみても、別にその国に対して何の影響もないことでございますから、そういうお答えは私からはしにくいわけでございます。条約解釈を特にお聞きになりたければ、条約局長からお答えいたします。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 小坂さん、私が聞いているのは民主主義政権かどうかということを聞いているんです。さっきから私の質問を聞いているはずですが、朴政権の国内法の基準になるのは国家再建非常措置法なんです。これは民主主義一切のもの、民主的な運営機能というものを否定したものが基本になっている。この朴政権というものが民主主義政権であるかどうなのかということを聞いている。ですから、これについてどういう政権か伺っているので、あなた自身は民主主義についていろいろ、どうのこうのとか、私の聞いていないことを答えているんだが、あなた、この点はどうなんですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 ですから、お答えしているように、この政権は二年後に選挙をやって、普通のいわゆる民主主義という形の政権になるということを目途として、現在非常的な措置をしておる政権だと思います。しかしながら、それについて、ほかの国の政体について一々ここで批評してみるということも、これは全く益のないことであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 あなたはそこの点は答えたくないんでしょう。答えられないのでしょう。民主主義じゃないから答えられないんでしょうが……。あなた、答えられるなら答えたらいいじゃないか、民主主義であるかどうかという質問なんだから。それではあなたにお伺いしますが、暫定的な政権であるということは、はっきりされました。クーデターによるところの政権であるという事実も間違いないのでございますか、どうですか。クーデターによる政権ですね、この点を伺います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 これは私からお答えするまでもなく、世間公知のことであって、あのクーデターによって朴政権ができたということは、言うまでもないことであります。ただ国家再建非常措置法、この総則第一条を見ますと、「真正な民主共和国の政権を再建するための非常措置として国家再建最高会議を設置する。」こういうことをいっております。この国家再建最高会議というものは、非常に権力を持つものであるということについて先ほどお話がありましたが、これはあくまでも民主共和国を再建するための非常措置である、こういっておりますから、意図は明らかだと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 私、関連ですからあまりやりませんけれども、あなた、クーデターであるということは言うまでもないとおっしゃるのですが、革命政権の場合には、あなた御存じでしょう、イラクの場合にしてもどこにしても、新たなる革命政権には政府の承認が必要なんだ。日本の場合において、政府の承認をしておりますか、してないじゃないですか。政府の承認を韓国に対してはやらないで、これに対してはどういう措置をおとりになるのですか。革命政権であるならば、その承認をとらなければならないのだが、どうですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 いろいろの場合がございまして、パキスタンの場合はそのままにしております。ビルマの場合もそうでございます。それから韓国の場合は、先ほども言っているように、大統領は同じ人でありますから、特にその必要はない、こういうふうに思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 この点はもっと伺いたいのです。ビルマの場合はいつの場合――そういう点いろいろありますが、それでは続いてもう一点伺いましょう。暫定政権であるということであるならば、これは政府の安定性というものはない。朴政権それ自体には安定性はない。政府承認の要件とするならば、あなたもおわかりのように、その国民に対する統治権、統治性というものが確定的である。今日の朴政権というものがファッショ政権として、いい悪いは別として、一応統治権があるとしても、先ほどあなたの御答弁のように、今日の軍部政権というものが暫定政権である限りにおいて、これは安定した政権とは認められない。とするならば、政権の承認については、もしこの政権をこのまま承認した形で続けているとするならば、これは尚早の承認になるのじゃないですか、この点は、どうですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 岡田理論は少数説だと思います。これは先ほど言ったように、アメリカもイギリスもみんなこれをそのままこの通りに認めておりまして、そのようにやっておるのでございまして、あなただけがそうおっしゃっても国際的にそうなっておらぬ、こういうふうに思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 これで終わりますが、アメリカが認めたものなら、どれでもおっしゃる通りにやる、こういうことを今あなたは言ったんだ。アメリカが認めておりますから、日本の方も認めております一それが小坂外交の本質というものだと私は思う。それがはっきり出ているんだと思うのですが、国際法の理論というものはそういうものを認めておらない。アメリカの最近やっている外交政策というものは、国際法に反することがたくさんある。そういうたくさん反していることについても、日本の外交が追随外交をやっているという点では、あなたが、アメリカが認めているのだからやっているんだ、そういう点で明らかに立証されると思うのですが、私は尚早の承認であり、国際法違友であると思う。こういう点は、そうでないとおっしゃるなら、関連質問ですからこれ以上申し上げませんが、一言だけ申し上げておきます。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 アメリカの名前が出たので、非常にりゅういんを下げられたようでございますが、アメリカだけではございません。三十何カ国という国がほとんどやっておりますということを御承知を願いたい。あなたは今そこで資本主義国だからとおっしゃいましたが、御承知のように一九四八年の国連決議によって韓国を認めた国が三十四カ国、その国がいっているわけでございます。初めから共産主義の国は認めていないから、あらためてこれを認めるという問題も起きないのだろう、こういうふうに思います。

森下國雄自由民主党

○森下委員長 細迫兼光君。

細迫兼光日本社会党

○細迫委員 先ほど総理にお尋ねしましたときのお答えにはっきりしないことがありますから、外務大臣で解明できるならばより一そうはっきりしていただきたいと思います。それは、総理のお言葉に二つの朝鮮ということを元来考えておりません。統一せられることを望んでもおるしというようなお言葉、これはもう一段掘り下げて、北朝鮮に交渉に値するオーソリティがないものと認められておるのか、あるいは統一するまでは北朝鮮地域に関しては何ら交渉らしいものを持たないつもりであるのか、そういう意味にもとれるのですが、どういうお考えだったでしょうか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 御承知のように、総理は韓国と交渉する、しかしその支配権が北に及んでいないという事実を頭に入れて交渉する、こういうことを言っておるわけであります。そのことの通りに一つ御了承願いたいと思います。

細迫兼光日本社会党

○細迫委員 韓国と交渉を始めておられますが、北にもオーソリティがあることは認めながら、とこういうわけですか。つまり統一を早くして、全地域を含めた朝鮮と交渉を持ちたいのだという御意思がそこには流れておることは認められます。それまではもう北のオーソリティとは交渉を持たないという意味ではないと理解していいでしょうか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 朝鮮が統一するということは望ましいことですし、これは国連の監視下におきます選挙によって、どういう政体を朝鮮全体の民族が望んでおるかということを確定すれば一番いいわけです。ところがそういう選挙を北鮮側は忌避して、それはいやだ、国連の監視下などは困ると言っておるために、こういうふうに二つの地域に分かれておるわけです。ですから、いずれの日にかこれが一つになることは当然望ましいことです。さてそれが現状で、いつそれが期待できるかというと、当分のところなかなかそういう情勢になりそうにないということで、まずもって韓国との間に国交を正常化する、こういうふうに考えております。

細迫兼光日本社会党

○細迫委員 さきに総理にお尋ねしましたように、一国のある地域が独立しましたならば、当然に処理しなければならぬ事務があるわけです。国境を画定し、あるいは国籍を確定し、入り組んだ財産権の区分、処理しなければならぬ問題があるのですが、これにつきまして、北朝鮮に属する地域に関しては、では統一の暁をひたすら待っておる、こういう御趣旨であったと承っていいのでしょうか。統一するまでは北朝鮮のオーソリティとは交渉を持たない……。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 一日も早くそういう事態がくることを待ち望む次第であります。

細迫兼光日本社会党

○細迫委員 さきにもお尋ねをしましたが、いずれの国とも友好親善にということは基本方針だと承っておりますが、ここに非常な例外が設けられておるのは、北朝鮮に対処する現日本政府の態度であります。もう非常な非友好的な態度がずっと続けられておる。あの人道的な問題として、北朝鮮へ朝鮮の人々を返す問題についても、北朝鮮から来た人は港から上げない、波止場から外には出さないというような非常に非友好的な態度がとられております。これは何か非常な原因があるのでしょうか。何か北朝鮮から日本に対して非友好的な仕打があって、ああいうところとは交際できないというような事実があるのでしょうか。私の耳にはいまだかつてそういう非友好的な、あるいは非礼的な問題はなかったと思うのでありますが、何か腹に据えかねる、けしからぬことが行なわれておるのでありましょうか。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 別にそういう点はございませんが、日韓関係というものを考えまして、そこに北鮮との関係には限度があるわけでございます。

細迫兼光日本社会党

○細迫委員 アジア局長から、初めて日韓会談との関係においてというお言葉が出ました。私も実は、別に北朝鮮が悪いことをしないのにああした非友好的な態度をとるということは、少なくとも非常に非礼的な問題であり、かつ日本の利益に反する問題だと考えておるのであります。そして、その原因は一に日韓会談の成功を希望するあまりの態度だと思うのです。韓国に対するや小坂外相の態度は全く竜のあごの玉を探るがごとく、非常に慎重と申しますか、いやしくも韓国のごきげんを損しないように、鞠躬如としてこれ努めておるという態度であります。しかし、日本の態度は間違っておると私は思うのです。私がかねて提案しましたように、不幸にして三十八度線で南と北に分かれております。しかし、いずれに対しましても、わが国としては朝鮮独立後における処理すべきいろいろな基本的な問題を持っておるわけであります。それらの問題について、こういう条件で国交回復をしようじゃないか、基本的方針であります友好親善の関係に立ち返ろうじゃないかということで、同じ条件でもって双方に提案をする。そうしてこれと協定のできるところは、はしから一日も早く協定を結んで進めていくというような態度こそは、私どもは日韓会談を進捗することはいけないことだと思って反対をいたしますけれども、小坂外相の熱望である日韓会談を進めるにいたしましても、あまり竜のあごの玉にさわるような態度でなくて、きぜんたる態度をもって臨まれることがあなたの御希望に結果的に沿うゆえんではないかというように私は思うのであります。小坂外相のこれらの大方針、交渉にあたってのかけ引きと申しますか、そういう面からだけでも私どもの考えを御採用の余地はないものでありましょうか、お尋ねいたします。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 山口県の御出身の細迫さんが、日韓会談に対して深い理解をお持ちになることについては敬意を表しておきます。あなたのお話の中のことについては、十分に配慮してやって参りたいと思っております。

細迫兼光日本社会党

○細迫委員 実際においてあちらからは大使、公使と称する人が来ております。わが国からは外務省の役人はもちろんのこと、公務員と名のつくものは一人も引き受けていないという、こうした屈辱的な関係に甘んじておるものは世界広しといえどもほかにはないと私の知識では思うのであります。これは、歴史的にもほとんどその例がないのではないかと思うくらいでありますが、そういう卑屈な態度だから、やあ、杉さんはいかぬだとか、やあ何はいかぬだとかいって一々文句をつけられるのであります。もっときぜんとして、むしろ北朝鮮とどしどし話を進めるという態度をとられたら、だれはばかることなくそういう態度をとられたならば、あなたの熱望する線にかえって有利ではないかと思うのです。私はそれをあなたの立場から私の意見の採用の余地はないか、もう一度伺います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 その点でございますと、残念ながらどうもそうはいかぬと思います。われわれの目下の考えは、一日も早く日韓会談をまとめることが必要である。そういう話し合いをもっと楽な気持でできるような状態になることが必要である。会談をまとめたあとで十分に話し合いによっていろいろ不便な点は片づけることにしたいというふうに考えております。当然会談がまとまれば、大使あるいはその他のものを交換するということは当然であります。現在ございます代表部は、これは在日韓国人の処理、朝鮮人の処理というふうなことで占領下に置かれたものでございまして、今さらこれについて変えるわけにはなかなかいきませんし、それから特にあなたの選挙区に非常に近いところにある漁民の関係において、非常にやっかいな問題が発生しておることは御承知の通りであります。こういう問題をできるだけ早く片づけたい、同胞の皆さんに安んじた気持で漁業に従事していただくようにしたいというのが、私どもの強い気持でございます。

細迫兼光日本社会党

○細迫委員 通産省の方、見えておりますか。

森下國雄自由民主党

○森下委員長 見えております。

細迫兼光日本社会党

○細迫委員 それではお尋ねいたします。  最近北朝鮮との貿易の間に一つの曲りかどがありましたが、その前後の貿易状況は、その曲りかどを境としてどういう変化がありますか、御説明を願いたいと思います。

林修三法制局長官

○林説明員 北鮮との貿易の問題につきましては、従来から民間ペースで若干行なわれていた次第でございます。これがことしの四月になりまして若干緩和されまして、第三国を通じまして決済される場合においては、標準外決済として通産の審査許可を得ました上で片道決済ができる。しかし、原則的には北鮮との貿易は一応バーター協定地域ということにしておるわけでございます。御承知のように、現在の貿易自由化及び輸出振興という点から申しまして、われわれとしましては、できるだけ自由な貿易交流をはかっていきたいという見地から、こういった第三国決済という措置を講じておるわけでございます。従いまして、今後われわれとしましては韓国との関係等も十分に考慮した上で、商業上の考慮からいってできるものについては措置をはかっていきたいというふうに考えておる次第でございます。

細迫兼光日本社会党

○細迫委員 その後貿易額は増加したでしょうか、どうでしょうか。

林修三法制局長官

○林説明員 貿易の額につきまして申し上げますと、一九六〇年、昨年におきましては、輸出が百十三万八千ドル、輸入が八千ドルでございます。しかるにことし六一年におきましては、今、手元にございます数字を申し上げますと、上半期、一月から六月までの数字でございますが、輸出は百七十二万ドル程度、そして輸入は八十三万ドル程度という工合に昨年同期、一九六 ○年一-六月の時分に比べますと、格段の増加が見られるわけでございます。昨年は年間百十三万ドルに対しまして一-六月は三十三万ドルであったのございます。これが百七十二万ドルの輸出増加。それから輸入は年間八千ドルが一-六月では六千ドル。これに対して輸入は八十三万ドルと伸びておる次第でございます。

細迫兼光日本社会党

○細迫委員 今、聞かれたように、ほとんど飛躍的と言っていいほどの貿易の拡大を見ておるのでありますが、これに対しまして韓国から何か文句が出ましたか、あるいは日韓会談進捗に対しまして、好ましからぬ影響が見えましたか。外務大臣、どうですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 いろいろ具体的なことをここで申し上げることはお許しを願いたいと思いますが、いろいろな経過をたどりはしております。

細迫兼光日本社会党

○細迫委員 どうも御答弁の趣旨がわからないのですが、まあ大して、はっきり答弁するほどの影響は出ていないというふうに、私の質問の心持からいえば受け取っていいんじゃないかと思います。そうだとすれば、何もおそれることはなくて、これは通産省としては、通産省としなくても、われわれの常識としまして、商売の繁盛は大いに歓迎すべきことなんであって、つまり日本の産業の繁栄に寄与することでありますから、それを外務省で妨害せられるという態度は、どうも国益に反することに帰着すると思うのです。ちょっとした、ああいう緩和の手心を加えられてすら、今聞かれるように飛躍的な増進をするのでありますから、もっとこれを緩和して、商売繁盛を一つ助けられる気持はありませんでしょうか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 その辺のコツがなかなかむずかしいのでありまして、そこをまあうまく外交手腕でやっておるわけであります。

細迫兼光日本社会党

○細迫委員 僕はこれで終わりましょう。

森下國雄自由民主党

○森下委員長 戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 先ほど私は、総理大臣に、日米共同声明の中で低開発地域に対しての開発に非常に力を入れなければいけないということで合意した、特に日本の総理大臣が東アジアに対して非常に強くその点の問題については考えるというような共同声明がございましたけれども、そこで、東アジアということは大体どの地域をさすのかということを伺いましたが、フィリピン、朝鮮、台湾、みんな入りますということで、はっきりちょっとわからなかったわけです。この前外務大臣に対して森島委員が質問いたしましたときに、東南アジアはもちろんのこと東のアジアです、こういう御答弁で、私もちょっとその辺のところがよくわからないものですから、東アジアというのは大体どこを目的としてこの共同声明を出されたのか、お伺いしたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 先般の外務委員会でもこれはお答えいたしましたが、アジアといっても広うございまして、東南アジアもあり、北東アジアもあるわけであります。その南も北も合わせて東アジアと、こういうわけであります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうすると、南と北を合わせて東アジアで、今度の政府の考えとしては、東アジアと西アジアと、こういうふうにお分けになって考えられたわけですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 東南アジアの経済協力ということは、われわれ非常に努力してやっておるわけでございます。しかし、私どもの非常に近いところにいわゆる北東アジア地域があるわけであります。そういう点についてもこれは度外視するわけにいかない、それも含めてやっている、こういうわけであります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと、大体わかって参りました。東南アジアの開発についてはこれまでも考えていたけれども、この共同声明では特に東アジアということに重点を置いたのだ、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 ちょっと御質問の趣旨がよくわからなかったのですけれども、東の方のアジアに重点を置く、こういうことかという意味ですか。――大体さようでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうすると、東の方のアジアといいますと、具体的にどういうところをおさしになるのですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 これも、この前申し上げたことをもう一回申すわけでございますが、韓国とか台湾とか、そういう日本に非常に近いところが入ってくるわけであります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうすると、ここで、総理大臣が共同声明の中で低開発地域の開発に特別の関心というものを東アジアに対して置いたということは、韓国なり台湾なりに特別に開発に対しての力を入れよう、こういうことを約束されたと思います。そこで、もうだれでも、今回の日米合同委員会についての問題を考えてみましたときに、ラスク長官が来られて、そして総理大臣と話をされて、またラスク長官が韓国へ飛んでいって朴氏と会って、朴氏がまたアメリカに行く、こういうふうなことになりますと、日米韓の間に何か新しい形のものがそこにできるのではないか、こういうふうな問題について、日本の国民は心配しているわけでございますけれども、この点に対してはどういうふうにお考えになりますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 遠いところの開発も大事でございますが、われわれと非常に近いところにある国に対しても、われわれが友好関係を持つことも大事だと思うのでございます。そういうことができるということは、私は、国民は心配していないでむしろ喜んでおると思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと、アメリカから日本に対して共同で韓国への開発というような申し入れをなされたり、そういう話が出たときには進んでそれをやるというふうなことでございますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 御心配は軍事的な面を言っておられるかと思いますが、そういう点は、よく御質問のありますいわゆるNEATO、そういうようなものは日本の憲法の建前もございますし、全然考えられないことでございます。われわれとしましては、やはり自分の限度がございます。自分の力の及ばないところまでやるなどということは毛頭考えておりません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私は、今回の共同声明の中で、東アジアというふうに特に指定したところに大きな問題があると思うのです。今まではアジア全体とかあるいはまた東南アジアとかいうふうに言っておりましたけれども、今回韓国なり台湾なりというところに特に限定したところに、今後において大きな問題が残されるのではないかということを考えるわけです。  そこで、今回の日米合同委員会というようなものも、おそらく経済的ないろいろな日本の立場を説明だけはしても、多くの実は結ばない。先ほどから池田総理もそうおっしゃっておられましたけれども、結論を求めようとしてもだめだ、話し合いしてわかってもらうだけだというようなことの御答弁でございましたけれども、結局は韓国との間に、特に日本と韓国とアメリカとの間に密接な関係を持とうとするような意図をもって今度の委員会が開かれたのじゃないか、こういうことを私どもは最もおそれておりましたけれども、大体そういうふうなことであるということが、今の外務大臣の答弁によって私は了解したわけでございますけれども、そういう意味においても、その韓国にアメリカからの横やりといいますか、特にアメリカからの話によって日本と韓国との間の関係が促進されるというような行き方というものは、国民が納得できないのではないかと思うのですが、そういう点に対して、外務大臣はいかに国民が納得しなくとも仕方がないことなのだという形で、アメリカからの提案に対してはそれを無条件で受け入れていくかどうか、その点をまずお伺いしたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 まず、いろいろ断定されましたが非常に違うと思います。まず、さっきからお話ししているように、東アジアというのは朝鮮ではないのでございます。韓国ではないのです。東南アジアもその他の北東アジアも入っておるということをさっきから申し上げております。東アジア全体のことを言っておるわけであります。  それから、今度の日米貿易経済の委員会は、これも何回もいろいろな機会において申し上げておりますが、これは日本とアメリカとの間に大きな貿易関係があるわけでございます。ところがこの貿易がわれわれの希望するよううになかなかいかない面があるわけでございます。それでもっとよく日本の国内の事情も知り、日本の産業の実態にも触れてもらって、そうしてなるほどこういう実態ならアメリカの方もこういうふうに考えていかなければならぬ、友好国として大いに日本とアメリカとの間の貿易、経済を伸ばしていかなければならぬ、日本の経済の繁栄に大いに寄与していかなければならぬ。またあるいは西ヨーロッパ等の国に対しても、アメリカとしてできるだけ日本の希望について紹介するということも、これまた力になることでありますから、そういう点も大いにやろう、あるいは東アジアの経済の繁栄のために、その地区に住む諸国民のために大いにその経済を発展させ、民生福祉の向上をしようということにおいて、両方ができるだけの協力をするということは、これは非常にけっこうなことでありまして、私は、その点は大いに今度の会議に意義があると思う。また、その会議は御承知のように交渉のために開くのじゃございません。両方が今言ったように深くお互いに理解し合って、一つ一つの問題を今後外交ルートその他を通じて交渉する場合に、非常にそれがやりやすくなるということは、今後において大きな利益を生むものでございますから、そういう点で考えております。  なお、われわれはさっきも言うように、自分の経済の力の範囲というものはやはり知っておりますから、その経済の力の範囲を越えての行動というものはできぬわけでございます。われわれとしてはできる範囲とできない範囲、またした方が望ましいか望ましくないか、そういうことは十分心得て話すつもりでございますから、御心配をわずらわさないようにお願いする次第であります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私は日米合同委員会の問題についてもう少し質問したいのですが、あと十分しかなく、帆足委員がされるというのでもういたしませんけれども、ただ問題は、そういうふうな貿易とかいうような問題だけでございましたならば、今までも外交ルートでいろいろな形でやっていたわけでございます。従って、そういうふうな関係でもやれるところを、今回そろって閣僚が来て、いろいろな問題を討議するというからには、やはり日本国民としてはそういったいろいろな貿易の面も解決してもらって、経済の拡大、そういうことも望みますし、そしてまた今言われた韓国との特別な関係を結ばせるような形に持っていかれはしないかというような懸念、こういうふうな問題をもっとはっきりとこういうふうにするんだということを政府がお示しになっていただかなければ、幾ら外務大臣がいろいろおっしゃっても信じられないと思うわけですが、それにもまして、ただ今回の会談というものは、お互いにいろいろな問題を提示し合って、お互いに了解するだけだ、大して前進はないというような答弁を先ほどから総理大臣も外務大臣もされております。大して結論を求めようとしてもむだだというようなことをおっしゃっておりますので、私どもとしては一体どういうふうな会談であろうかということを懸念せざるを得ないわけでございます。従って、今後におきましてまだまだこの問題は伺いたいことがございますけれども、一応帆足委員にあとの質問を譲りたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 日韓間の関係は、日韓間で解決すべきものであります。さように思っております。  それから、けさほど社会党の参議院の方から、本会議において非常にこの会議について御激励をいただきました。私も大いにそのつもりでやっていく気持でおりますことを特に申し上げておきます。

森下國雄自由民主党

○森下委員長 関連質問の通告があります。これを許します。帆足計君。

帆足計日本社会党

○帆足委員 ただいまの日韓会談に関連してお尋ねいたします。  朝鮮人の帰国問題につきましては、これを党派を越えて今日まで成果を上げました点は、感謝にたえない次第でございます。ただ、内閣調査室というと、アメリカのCIAみたいな機関だとジャーナリスト諸君もひやかしておりますが、朝鮮人の帰国は三千人ないし三万人がせいぜいであろう、こういうでたらめな発表をなさっていまして、アメリカのCIAを瞠若たらしむるような非科学的な資料を出されたようでありますが、幸いにして、与野党の協力によりまして、困難な国際情勢の中にも、万事人道と人権の原則ということを曲げずに、特に国際赤十字の御協力があって、ただいま七万人をはるかにこえるに至っております。  さて、今後の見通しはどうかといいますと、最初の帰国ブームというような心理状況がさめましたのと、最近日本のフル・エンプロイメントの状況で、漸次自由労働者の賃金も上がって来、古物回収等も有利になって参っておりますので、帰国が少し減って参りました。それでも一カ月に千人、二千人になるわけでございます。御承知のように、朝鮮人は、戦争直後の捕虜とか収容所におるわけでございませんで、長い歴史の伝統から日本に正常な生活をしておりますが、六十五万人の朝鮮人の諸君のうらで七万数千人帰りまして、新たに赤ちゃんが産まれたのが二万数千人、差引して四万数千人人口が減りました。なおかつ、ただいま五十八万人近く在日朝鮮人がおりまして、その九割までは必ずしも所を得ておりませんで、依然として赤貧洗うがごとき生活をしております。従いまして、今後の景気の一進一退とか、または家庭事情の変化、子供が大きくなって学齢に達した等によって、故国に帰りたいという者がふえたり減ったりするような状況であります。私どもはこの実情をただいま統計的に調査しておるような段階でございますが、五十八万人からの在日朝鮮人のうち、毎年二十四、五万人が生活保護費をもらって住んでおります。まだ依然としてこういうような状況が緩和されておりません。在日朝鮮人のあり方については、いろいろ過去の伝統からして無理がある。従いまして、政府当局におきましても、帰国問題は一進一退を続けながらなお非常に深い問題を内包しておるということを御理解下さいまして、日韓会談等の政治的必要上から、かりそめにも簡単に帰国問題を打ち切るというような軽率な御発言や御内約はなさらないように、御注意のほどお願いいたします。そして、この問題をどう処理されていくかということは、現実の統計と朝鮮人の日本におけるあり方、景気の動向、また国際赤十字の御意見等も承って、将来慎重に結論を持っていくべきである。またその後帰国者の数が月二千人でなくて五百人ぐらいになったときどうするか、三百人になったらどうするか。それも三百人も三カ月たまれば千人になりますし、とうてい香港経由の飛行機で運ぶこともできなければ、日本の貿易船に乗せて運ぶこともできませんので、ここにやはり一つの問題があるわけです。こういう問題につきまして軽卒な結論を下しますことは、私は失敗のもとになると思いますから、官民協力して事実をよく調べて、各段階において慎重なる対策をなさるというお心がまえでいていただきたいと思います。  私が御要望申し上げることは、この点についてはおおむね超党派的な問題でありますから、否定的な御回答をいただくくらいならば、しばらく沈黙は金であるということで慎重な御検討をなさる方が、日本国民にとって有利であろうと思います。しかし、常識的にこういう見識を持っておられるというならば、御見識の一端を披瀝されることもまた有意義なことであろう。  時間がありませんから、あと一、二分ですが、申し上げることだけ申し上げて恐縮ですが、韓国の国籍問題が日韓会談で問題になろうと思います。これがやはり帰国問題に影響いたしますので、いずれこの件につきましては、専門家の研究の結果などの材料をもちまして政府に他日申し上げますから、そのことにつきましてもいろいろ複雑な問題がありますことを御記憶にとどめていただきたいと思います。  さらに朝鮮との貿易は、私が岩本前副議長と一緒に朝鮮に参りましたときに、イギリス、ノルウェーまたはスイス等は朝鮮と盛んに貿易をしておりました。しかし何分にも彼らは国が遠いのですから、貿易といっても微々たるものですが、日本の場合には一衣帯水の間柄ですから、貿易は若干伸びる可能性がありまして、小坂外務大臣も事情の許す範囲において着実にこれに御協力下さいましたことは、記憶に新たなところでありますが、最近機械類やプラント輸出ができるようになりますと、多少技術者の往復ということが必要になってくるわけでございます。これはイデオロギーと関係なしに、プラントを輸出するときには、どうしてもお互いの技術者が一定の制限内において接触をせねばならぬ。この点について、日韓会談の最中ですから、政府は今ちょっと御回答しにくいし、また平地に波乱を呼びたくないというお考えのほども理解できますけれども、貿易と平和の問題については、原則としてこれは超党派的な問題で、島国日本としてはだれに遠慮もないことでございます。他国のやきもちなどにあまりこだわらずに、大英帝国がおやりになっておるように、淡々として貿易と平和のことは結局人類の福祉に寄するという確信でいかれるならば、私はこの問題についてもっと積極的な御回答も将来いただけるものでないか、そのように考えておりますので、これも御記憶にとどめて、適切なる商機を逸しない期間においてこういう問題が解決しますようにお願いする次第であります。

森下國雄自由民主党

○森下委員長 ちょうど時間が参りましたから、大臣御退席を願ってけっこうでございます。      ――――◇―――――

森下國雄自由民主党

○森下委員長 通商に関する日本国とペルー共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び日本国とインドネシア共和国との間の友好通商条約の締結について承認を求めるの件、右二件を一括議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私はインドネシアとの友好通商条約について二、三点お伺いしたいと思いますが、インドネシア軍には旧日本軍人が相当参加しておりましたけれども、現在もなお参加しているかどうか、この点を確かめてみたいと思います。  それから、時間を省きましてなお続けて、その人たちの法的地位はどうなっておるのでしょうか、士心願兵でしょうか、義勇軍という形でしょうか、この点を確かめておきたいと思います。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 インドネシアには、この間の戦争から居残った日本の兵隊さんが相当数いたのでございますが、これらの人は大部分内地に帰ってきておられます。あるいはまだ姿を現わさないで、山の中等にひそんでいる人がおるかもしれません。あるいは向こうの住民の人たちの中に入って、日本人であるということを表に現わさずに、インドネシア人のような顔をしておられる人もおるやに聞いております。しかし、ほんとうのところ消息がわかりません。従って、旧軍人の人でインドネシア軍に入っておられるというような人は、われわれ聞いていないのでございます。そういう人は、今いないのじゃないかと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私は少しいるように伺ったのですけれども、まあ外務省の方でいないということならば、あとでまたはっきり調べていただきたいと思うのです。  そこで条約の十二条で、この条約が両当事国の国語と、それから第三国語としての英語と三つ使っておることは、大へんけっこうだと思いますけれども、それが全部が正文とならずに、正文というときには英文だけを使っておるというふうに書いてあるわけですけれども、そうすると、いろいろな不自由が起こってきやしないかということを私は感じます。なぜならば、インドネシアと日本との間でございますから、正文を英文だけにどうしてされたか、この点を伺いたいと思います。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 これは日本文とインドネシア文とそれから英語と三つともが正文でございます。それで、もし解釈に疑義のある際には英語によってきめる、こういうことになっております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 今私ちょっと言葉が足りなかったのですが、ただ解釈に疑義があったときに英文とするということでございますけれども、英文だけでは十分じゃないというような気がするのですけれども、これは何かの慣例でそういうふうになっておるのですか。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 英語だけ、つまり第三国語だけで作る例もないではございません。まれにございますが、これはやはり主権国である両当事国がそれぞれの条約の当事国になるわけでありますから、原則としては、おのおのの国の言葉を使う、これを正文とする。それに解釈上疑義がある場合、参考として第三国語――イギリス語あるいはフランス語を入れる、これが通例でございます。第三国語だけで作るというのは時間の余裕がない、非常に急いで作らなければならない、こういうときには便宜的にやる、こういう場合もございますが、原則としては、日本語をやはり正文の中に入れておく、こう考えます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 疑義が起きたときは英文とするという場合は、あとで問題が起きはしないかということを私は考えたわけですけれども、今の条約局長の答弁では、やはり三カ国語を正文にしておいて、疑義が起きたときには英文だけにするというような御答弁でございましたので、それはそれといたしまして、もう一つの問題は、先ごろの日比の通商航海条約の中にも出てきた言葉でございますが、議定書の中に、この前の日比の通閥航海条約で沖繩の人をとらえて「原住民」という言葉を使ってありました。そこで私はこの「原住民」という言葉は少し野蛮人を相手にしたような言葉ではないかというようなことを申し上げまして、条約局長も少しそんな気がするので今後は考えましょうということをおっしゃったわけです。ところが今度の通商条約を見ましたところが、英語では同じネーティヴ・インハビタントなのに、今度は現在の「現」が使ってあるのです。そうすると、この前の条約局長の答弁で「現」という字を使わなかった理由は、「現」という字を使った場合には、そこに住んでいる人のほとんどに及ぶ。たとえばフィリピンのときの御説明によりますと、沖繩の人だけではなくて、沖繩にもしもアメリカ人が住んでいたときには、その人にも及ぶのだから、「原」を使った、こういうふうな答弁でございました。そうすると、この「現」という字を使った場合は、沖繩にいる全部の人に及ぶということになるのではないかと考えましたから、どうして同じ原語を使っておりながら「原」という字を違えられたかということをはっきりさしていただきたいと思います。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 「現」という字が使ってあるという御指摘がございました。私も実は今戸叶委員から御指摘がありましたので、これを見まして、「現」という字が使っておるということをはなはだ私ふつつかで気がついておりませんでしたけれども、これはさっそく調べまして、もしこちらの方が間違っておるということであれば、訂正の措置をとりたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 これはただ言葉の違いだけじゃないのです。内容に大きな影響を持ってくるわけです。なぜならば、この前条約局長が日比の通商航海条約の中で答弁されたことは、「現」という字を使った場合は、現在沖繩に住んでいる人に及ぶというので、もしも現在アメリカ人が大ぜい住んでいれば、その人にも及ぶことになるから、「原」という字を使うのだという答弁があったのです、だから私は非常に疑問に思うわけです。そうでなければそれほど疑問に思わないのですけれども、しかしとにかく「現」という字を使ったときは、そこに今住んでいる人全部に及ぶということになれば、この条約をどういうふうに解釈していいのか非常に迷うわけで、やはりはっきりした答弁をいただきませんと、あとからということになれば困ると思います。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 どうも字が違うというのは、理屈が合わないということでありまして、私至急調べますが、間違いである場合は訂正の措置を至急とりたいと思います。これはやはりフィリピンの方に使っておる「原」の方が、平和条約の関係から出てきておりますし、考え方としては、やはり元来の住民ということでございますから、現在の住民ということは適当でないと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 インドネシアの場合を見て、さらにまたペルーの方を見ますと、ペルーの方はまた「原」という字を使ってあります。非常に言葉の統一がなされておりませんし、しかも、その字一つによって非常に内容が違ってくるわけでございますが、今の条約局長の御答弁では大体「現」という字の方が間違っているということでございますので、そうであるならば、早く正誤の手続をされるなり何なりをしてはっきりしていただきませんと、将来問題を残すのじゃないかと思います。従って、インドネシアの場合には現在の「現」という字は間違っている、もとの「原」という字であるというふうに了解し、さらにこのインドネシアの方の間違っている字に対しては訂正を出す、こういうふうに了解してもよろしいわけでございましょうか。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 さように取り計らいたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 ほんとうならこれは大きな問題になるのですけれども、大へんに与党の方がお急ぎのようでございまして、納得のできないところを一応納得をしたことにいたしておきます。

森下國雄自由民主党

○森下委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕

森下國雄自由民主党

○森下委員長 それでは今のミスプリントの取り計らいは、どうぞ委員長におまかせを願います。  他に御質疑はございませんか。――御質疑がないようでありますので、右二件に関する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――

森下國雄自由民主党

○森下委員長 引き続いて討論に入るのでありますが、討論の申し出もありませんので直ちに採決いたします。  通商に関する日本国とペルー共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び日本国とインドネシア共和国との間の友好通商条約の締結について承認を求めるの件、右二件を承認すべきものと議決するに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森下國雄自由民主党

○森下委員長 御異議なしと認めます。よって右二件は承認すべきものと決しました。  なお、右二件に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任をお願いいたしたいと存じますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森下國雄自由民主党

○森下委員長 御異議がございませんので、さよう決定いたします。      ――――◇―――――

森下國雄自由民主党

○森下委員長 次に請願の審査を行ないます。  本委員会に付託されました請願は本日の請願日程に掲載いたしました通り十八件であります。本日の請願日程第一号より第一八号までの全部を一括議題といたします。  これらの請願の趣旨については文書表によってすでに御承知のことと思いますので、趣旨の説明及び政府の所見等は省略し、直ちに採否の決定を行ないたいと思います。  ただいま議題といたしました請願日程中第二は、その趣旨が妥当と認められますので、議院の会議に付して採決の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森下國雄自由民主党

○森下委員長 御異議がありませんので、さよう決定いたします。  なおただいま審査いたしました請願の報告書の作成につきましては委員長に御一任をいただきたいと存じます。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森下國雄自由民主党

○森下委員長 御異議ございませんので、さよう決定いたします。  なお本委員会には七十七件の陳情書が送付されておりますので、参考までに御報告いたします。      ――――◇―――――

森下國雄自由民主党

○森下委員長 次に閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会といたしましては、本国会が閉会になりましても国際情勢に関する件について審査をいたしたいと存じますので、この旨を議長に申し入れたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森下國雄自由民主党

○森下委員長 御異議ございませんので、さよう決定いたしました。  なお閉会中審査が決定いたしましたならば、閉会中委員を派遣し実情を調査する必要が生じました場合におきましては、その人選、派遣地、日数等につきましては委員長に御一任いただきたいと存じますが、御異議はありまんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森下國雄自由民主党

○森下委員長 御異議がなければさよう取り計らいます。      ――――◇―――――

森下國雄自由民主党

○森下委員長 今後条約の提出にあたっては、その字句について十分留意されるよう要望いたします。      ――――◇―――――

森下國雄自由民主党

○森下委員長 この際、一言委員長として発言いたしたいと思います。  本委員会も、本日をもって三十九回国会の最終回となるわけでございますが、委員各位のなみなみならぬ御協力と御支援によりまして、大過なく委員会が運営されましたことについて、衷心より感謝の意を表したいと存じます。  来たる通常国会におきましても、従前通りの御支援、御鞭撻を期待して、ごあいさつにかえる次第でございます。  本日は、これにて散会いたします。   午後五時一分散会

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