外務委員会 第10号
- 発言数
- 86 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/10/28
会議録
○森下委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。 大原君の質疑がありますが、その前にちょっとこちらから大臣の御都合を申し上げます。外務大臣及び労働大臣は渉外事項等それぞれの会合がありますので、いろいろ打ち合わせの結果、外務大臣は十時十分まで、労働大臣は十時三十分までということでございますので、それをお含みの上よろしくお願いします。大原亨君。
○大原委員 きょうは、主としてILO関係に関する御質問を申し上げたいと思うのであります。 その前に、日本の経済外交の面から質問に入っていきたいと思うのでありまするが、最初に私どもは、日本の政府のILOの問題に対する対処の仕方というものが、たとえば労働大臣なら労働大臣だけ、こういうことであって、政府全体あるいは与党内全体がILOに対しましてどのような認識と基本的な態度を持っておるか、こういう問題につきまして、事例をあげますると数限りありませんけれども、私どもの立場として考えてみますと、非常に疑問があるのであります。社会党といたしましては、本日は外務委員会におきまして、条約の窓口であるところの外務大臣、労働問題という観点から労働大臣の出席を求めまして、質問をいたしたいと思うのであります。 最初にお尋ねをいたしまするけれども、十一月に入りますると、近く箱根会談、日米経済合同委員会の会談がございます。いろいろな新聞報道等を総合いたしてみますると、日本の政府は、今日の最も重要な問題であるところの経済外交、貿易の赤字の増大、こういう問題に対処いたしまして、対米あるいは対西欧の貿易関係等を中心にいろいろ議論されておるのでありますけれども、その中におきまして、いわゆるアメリカの国内におきましては、御承知のように、業者や労働者の日本政府の政策の中における公正競争、そういう問題の観点から、労働力の安売り、国際的なダンピングの問題が突き上げられて参りまして、この問題は相当大きな議題になるというふうに考えられておるのでありまするけれども、この会談に臨みますところの政府のそういう基本的な考え方につきまして、はまず御答弁いただきたいと思います。
○小坂国務大臣 ただいまのお話の点は、私ども非常に重視しておる点でございます。御承知のように、この対米貿易というものは、カナダを合わせますと全体の輸出量の三分の一を占めるような地位にございますし、これの消長というものは、日本の全体の輸出貿易に大きな影響をもたらすのでありますし、かたがたまたアメリカといたしましては、ヨーロッパの市場に対して日本の品物がもっと出るように、たとえばガット三十五条の問題、その他西欧側における日本の商品に対する差別待遇の是正についていろいろ協力をしてくれておるのであります。そこで現在アメリカの先般の国際収支改善のためにとられましたバイ・アメリカンの運動、これに籍口いたしまして、アメリカ国内において、業者あるいは労働組合の一部等において非常な保護主義の芽ばえがある。この保護主義の芽ばえをそのままに放置するならば、これはアメリカの言っておりまする自由化政策そのものにも背馳する結果になりまするし、わが方といたしましても、先ほども申し上げたような事情で、対米輸出というものが非常に重大な地位を占めるだけに大きな問題でございます。そこで、今度の箱根会談においては、日本の実際の事柄に触れて、へ来てその目で見て、日本の国内の産業の実情あるいはこの労働界の様相というようなものをよく先方が認識して帰ることによって、こういうアメリカのバイ・アメリカン運動に籍口したところの保護主義というものがさらによく是正されていくように、関係の閣僚がよくその事態を認識して帰るようにということが大きなねらいであるわけでございます。一方ヨーロッパの方においても、アメリカの側においてヨーロッパの市場に対してもっと日本品に対して門戸を開くようにということを強く言ってもらうようなことを期待いたしますが、このための認識を深めるということが箱根会談の大きな目的でございます。
○大原委員 われわれは、日本の国民経済の立場に立って考えてみましても、アメリカは日本に対しましてきびしく、池田・ケネディ会談以来特にそうですけれども、貿易の自由化を要求いたしております。しかしながら、日本から出ていく品物に対しましては極度な制限を加えておるのでありまして、それが片貿易になっておると思うのであります。しかしながら、制限を受ける理由、私どもが釈明をする態度といたしましては、国際場裏において納得できる堂々たるものでなければならぬと思うのであります。労働大臣は箱根会談に出席されるわけでありますけれども、箱根会談において、日本の労働者の賃金はあまり低くないんだ、こういう資料を提示されるというふうなことも聞いておるのでありまするけれども、これに対する労働大臣の御見解を明らかにしていただきたいと思います。
○福永国務大臣 賃金の問題等が相当程度論ぜられることは予想されるのでありますが、こういう際において、私どもは日米相互間に正しい認識を持つ、正しい理解を持つ、こういうことに努力をすべきことが基調でなければならぬと考えております。 そこで、ただいま御指摘のような点につきましては、資料を出すとしますならば、今申し上げましたような趣旨に合致するような出し方をしたいと考えておるのであります。ことさら安いものを高くというようなことを言うつもりは毛頭ございません。ただ、数字的な比較ばかりでも、先ほど私が申し上げましたような意味において、正しい理解を生むゆえんでないというような事情のある場合においては、この事情はこの事情でつけ加える必要はあろうと思います。ただし、先刻申し上げましたように、ことさらに事実を曲げてというような考えは毛頭ないわけでございます。徹頭徹尾、相互に正しく理解し合う、認識し合う、こういうことのために有益なる真実の資料を出そう、こういうように考えております。
○大原委員 きょうはそのことは本論ではございませんけれども、ILOにおきましても、労働条件では、賃金や労働時間の問題、そういう労働条件の問題と一緒に労働者の基本的な権利の問題が重要な問題であります。この三つの問題は不離一体の関係にあるわけであります。日本は業者間協定ですから、これは全く問題になりません。労働者の権利という労使対等の立場を実質は放棄いたしておりますけれども、アメリカの最低賃金は幾らになっておりますか、政府委員でもよろしい、答弁を願いたい。
○石黒説明員 私の方からお答え申し上げます。アメリカの最低賃金は、連邦政府として定めておりますのは、せんだってまで一時間一ドルでございましたが、最近になりまして一ドル二十五セントになったと覚えております。
○大原委員 八時間労働といたしまして日本の円に換算して大体それは月収八万円をこえると思うのであります。そういうふうに日本の最低賃金と比較いたしますると、非常に差があるわけであります。日本の最低賃金は、幾ら業者間協定で政府ががんばっておるといいましても、一万円以下であります。平均賃金というよりか、最低賃金ということがILOでは重大であるということなんであります。ILOの最低賃金に関する原則の条約が日本において批准されないという理由は、私はそこらにあると思うのであります。日本政府の今日当面いたしておりまする経済外交の中における貿易の赤字の問題の中で、ILOの問題に対しましてILOが労、使、政府三者の構成であるという観点で非常に国際的に大きな影響を及ぼすという観点からいたしましても、そういう問題に対する扱いというものが非常におろそかである。この点につきまして外務大臣はどういうふうなお考えを持っておられますか、御答弁いただきたいと思います。
○小坂国務大臣 労使間の問題は労使においてきめるというのが、労使問題を扱う場合の問題決定の原則であると考えます。政府といたしましては、この実情を国際間のいろいろな話し合いにおいても、日本における労使間の実情というものはそのままに話すというのがよろしいと思っております。
○大原委員 そのままを話すというお話でございますが、特にILOにおきましても百十五の条約と百十五の勧告を採択いたしておりまするが、その中で、やはり賃金の問題、労働時間等の労働条件に関する問題と労働基本権の問題、団結権の問題等は、非常に関連が深いのであります。ILOの八十七号条約批准の問題、それからすでに批准をいたしましたILO九十八号条約との関連、こういう問題は私は条約の窓口である外務大臣といたしましても、日本の経済外交全体の問題から考えてみましても、中心的な問題であると思いまするし、単にこれは労使間の問題だけでなくして、政府の施策の問題であると思いますが、外務大臣の御認識のほどを記録にとどめたいと思いまするので、もう一度御答弁いただきたいと思います。
○小坂国務大臣 ILOの関係につきましては、私ども、窓口といたしまして、労働大臣のお考えというものをよく承って、もちろん労働省からもその関係の方が出ていただいて、ジュネーブ等においての話し合いに加わっていただいておるわけでございます。われわれとしては、先ほど申し上げたように、国内の事情というものはそのままに、そうした限りにおいて表明するのがよろしいと考えております。ただ国際間のそうした労働条件の問題は、そういう各国の労働条件というものについては、各国の経済状況の異なるように、それぞれ異なるのが当然だと思うのであります。これをしいて一致させるようなことはできぬことでございまして、それにはその前提となる経済関係を一致させろということにもなるわけでございますから、これはできぬことでございます。従って、その状況についてありのままに申し上げ、また政府としてはこう考える、あるいは使用者団体側としてはこう考える、あるいは労働組合側としてはこう考えるということをそのままに申し上げるのがよろしいと思います。ただ、全体の立場として日本の立場を述べる場合に、それぞれの国内におけるいろいろな意見の相剋をそのままこういう国際会議には持ち出さぬ方が日本のためになると思いまして、できるだけその間の調整をとっていただくようにお願いしておるということであります。
○大原委員 私は外務大臣のそういう御答弁を聞くことは、日本といたしまして、対外的にもまことに心外であります。というのは、ILOについて全然御認識になっていないのじゃないか。御承知のように、ILOは国際的な労働基準の最低をきめる場所であります。そのことについて御承知ないのですか。そういう御答弁になるということは、外務大臣といたしまして、政府全体といたしまして、この条約の問題に取り組んでおられる根本的なところに問題があるのじゃないか、私はそう思うのであります。国際的な労働の最低基準というものをきめるのであります。そのことが公正競争ということに裏づけられて、国連における恒久平和の基本的な問題として、その基礎として論議されておるのであります。その問題が日本の貿易やその他の国際世論の上に非常に深い関係にあるのであります。外務大臣の御答弁は、日本が加盟いたしておりますときに承認をいたしておりますILOの労働憲章の精神からいいましても私は全く理解できないのでありますが、もう一回御見解があればお聞かせいただきたいのであります。
○小坂国務大臣 ILOの目的は、御承知のように憲章にも明示されておりますように、労働者の労働条件の改善をはかることによって社会正義と世界平和を確立することを目的として設置されておるものでございますし、また国際連合の専門機関として、条約、勧告の採択を通じて国際的労働基準の設定、労働問題の調査研究、技術援助等を行なうことになって、そのような活動をいたしておるわけでございます。 私は御質問の趣旨がよくわからないので、ああ申し上げたのでございますが、日本の政府としてどういう態度で臨むか、こういうことでございますが、これは憲章の目的に沿うために、この国際労働機関に入っておるのでございますから、これは当然のことなんですね。しかも、その際にどういう態度で臨むかとおっしゃいますから、わが国内問題について聞かれるときは、わが国内の事情をそのままに言う、こういうのがよかろう。しかし、国内の事情は、外務省で労働条件を調べるわけではございませんから、労働大臣、労働省の御意見というものを承って、その線に沿うてやっておる、こういうことであります。
○大原委員 もう一つ重大な先ほどの外務大臣の御答弁があるのでありますが、労使の間において対立紛争になっている問題は、国際舞台において論議するということは、好ましくない、こういうふうな御答弁でありました。その通りでございましたね。
○小坂国務大臣 そういうふうに私思うのであります。できればそういう問題は国内の問題として、できるだけ一致して、国際舞台に出るときには、日本国内の対立をそのまま国際舞台に現わさない方が望ましいのじゃないかというふうに私は思っております。
○大原委員 そういう議論は、日経連み代表者や、あるいは一部のわれわれで言えば御用学者の中にそういう議論をする人がありました。新聞でも報道された通りであります。これはILOに対する根本的な認識を誤っておるのではないか。日本の政府はILOの舞台へ参りましたならば、労働者代表が一人、使用者代表が一人、政府代表が二人であります。しかし、日本のその四人の正式代表があたかも労使一対三のであって、労働者側が一人で、使用者側が三人おる。日本の政府は、場合によれば、国際的な使用者代表の意見はもちろんでありますが、使用者代表よりもさらにひどい意見を持っておる。こういうふうに言われておるのであります。このことが八十七号条約や九十八号条約を、異例と言われるまで、ILOで論議を重ねれば重ねるほどますます浸透いたしまして、日本の経済外交、貿易に大きな支障になっておると思うのです。ILOの三者構成の意義というものは、元来それぞれの国内における社会問題としての労働問題をILOの舞台において公正に解決することが目的なんであります。これは国連の独自の専門機関としてのILOの任務であります。小坂外務大臣がこの条約の窓口でありながら、そういう御見解を持っておられるということにつきましては、これは国際法優位の原則――しばしばILOにおいて議論になっておりますけれども、その原則に対する理解を日本が欠いておる点ではないか。私はその点は根本的に認識を正していただきたい。これは政府全体の姿勢であります。その点につきまして、外務大臣いかがですか。
○小坂国務大臣 政府としまして、そういう国際会議に出ます場合には、日本政府の代表、すなわち日本国民の総意を代表した意見を持っていくという意味において、公正にふるまわなければならぬと思います。その際に、政府として思いますことは、そういう政府の意見というものは、やはりできるだけ一つにまとまるようにしてもらいたいと思うのです。すなわち、まとまらぬままにそういうところへ出て、使用者の代表はこう言う、労働者の代表はこう言うということで内輪げんかを国際舞台でして見せるということは、どうも必ずしも国のためにならぬのじゃないか。国内のいろいろな問題の扱い方ですから、そういうところに出る前に、できるだけ国内でそうしていただくということが望ましい、こういうことを私は申し上げておるのであります。
○大原委員 あなたの御答弁になりました点は、政府代表、労、使、三者構成のILOの機構につきましての考え方を混同しておられるのであります。政府代表はもちろんそういう労働問題については日本国内における労使双方とも納得できる議論というものを国際舞台においてする。こういうことが日本政府の信用を高めるのであります。労使間においては、結社の自由や団結権の保障などについて、それぞれの見解を国際舞台において自由に討論することが、ILOの建前なのであります。そういうことについて理解がないものですから、ILO全体について日本の政府が誤解を与えるようなことをやっておるのであって、そういう労働問題について、国内において労働者側のそういう理解を日本政府が得ていない。意思の疎通を欠いておる。むしろそういう理解が足らない点が国際舞台において恥をさらしておるのである。問題は、日本の国内における社会問題としての労働問題を、国際常識の最低基準に従ってどう解決するかという問題であります。この問題は、労働大臣の方からそれに対する御答弁を一ついただきたい。
○福永国務大臣 別に小坂外務大臣と見解を異にするというわけではありませんが、外務大臣の言われるところのものは、日本が全体として外国に何か主張して、それが通るようなことにするという観点からは、あまり意見に食い違いがない方がよろしい、望ましいという言葉で言われたのであります。しかし、今大原さんが言われるような会議等にあっては、労働者の代表は労働者の代表としての意見があり、経営者の代表は経営者の代表としての意見があり、また政府は政府としての意見があるということで、必ずしも一致しない場合もあろうかと思うし、またそれでよろしいと思うのであります。でございますが、これは決して先ほどの外務大臣の申しましたところと食い違うのでなしに、外務大臣は要するに国全体として日本の立場を外国に理解せしむるようなときに、あまりいろいろなことを言うと望ましからぬということでございまして、ものを見る部分が違う、こういうことになろうかと思います。従って、食い違いはないと思うのでございますが、今直接例をおあげになりまして御指摘になったような点については、私は今申し上げたように考える次第であります。
○大原委員 さすがに列国議員同盟の執行委員だけありまして、国際感覚が非常によろしい。その点は同じ国際問題の主管大臣である小坂外務大臣の見解はまことに遺憾であります。 そこで私は質問を進めて参ります。ILO八十七号条約につきまして、私は日本の立場に立ちまして、今までの取り扱いの経過におきまして、まことに遺憾であります。特に最近の取り扱いの経過などを見てみますと、まことに目をおおうものがあるのであります。ILO八十七号条約を、十月二十七日、昨日でありますが、政府は国会に提案しないと決定したというふうに報道されておるのであります。今までILO八十七号条約につきましては、国際舞台において、日本政府代表、現職の倉石労働大臣あるいは石田労働大臣がしばしば出席をいたしまして、本年当初の池田総理大臣の施政方針演説などを引用いたしまして、いろいろと趣旨弁明に努めて、八十七号条約を国際舞台においては批准をいたしますというふうに約束をいたしておるのであります。これは御承知の通りであります。また最近の新聞記事を見てみますと、自由民主党の中におきましても、いろいろと政府・与党間において議論がありまして、十月二十七日現在で、三十一日までしか会期がないという現在において、「提出する」、「しない」という問題を議論すること自体が国際的に非常に恥辱であると私は思います。ILO理事会が近く十一月に開かれるから、どうしても日本は対外的に説明しなければならぬ。そういう理由があって「出すだけは出したい」という議論もある。あるいは八十七号条約といわゆる関係法規の取り扱いにつきましても、まことに百鬼夜行であります。このように外務委員会におきまして議論をすることは、非常に私どもの不本意とするところでありますけれども、しかし、日本政府の八十七号条約に対する首尾一貫しないそういうその場のがれの態度というものは、私は、労働問題の国際問題における位置から考えてみましても、あるいは八十七号条約や九十八号条約が持っておるILO条約の位置からいたしましても、納得できないのであります。条約の主管大臣といたしまして、私は外務大臣のその点に対する経過と率直なる御見解をお聞かせいただきたいのであります。
○小坂国務大臣 この条約の主管大臣ではございますけれども、この法案を国会に出すことはむしろ労働大臣の考えによっておるわけでありますから、労働大臣の方からお答えいたします。
○福永国務大臣 政府が提出しないと決したというように記事が出ておりました。けさ私も見てこれはこれはと、こう思ったのでありますが、政府ではいまだ提出しないということに決した事実はございません。昨日の閣議におきましても、実は提出するための各閣僚の署名を求める作業を進めたのであります。さようなことを決したわけではございませんけれども、もともと私が申し上げるまでもなく、本ILO八十七号条約の批准の問題については、政府としてこれをできるだけすみやかに批准したいという方針には全然変わりはないのでありますが、過去において御承知のような経過をたどって参りまして、実質審議に入らずして流れてしまうということを繰り返して参りました。この点は非常に遺憾に存ずる次第でございます。 そこで、私といたしましては、できるだけすみやかに提出したいし、また提出する以上は、これが関係の諸案件が議了されて、りっぱな成果を生むということになるように、このことを衷心期待するわけでございます。申すまでもなく、今次国会は災害対策であるとか、あるいは給与ベース引き上げであるとかいろいろ問題がありましたが、臨時国会として比較的会期も短いし、また今度の主として審議される問題が、今申しましたほかに、石炭対策等も重点でございましょうが、こういったことを中心に審議が行なわれる関係と、それから先ほど申しましたような会期の関係等からいたしまして、この国会においてILO関係の諸案件の仕上げができるかどうかということにつきましては、私も深い関心を持ち、かつ心配を初めからいたしておったのであります。そこで、主として国会でお取り扱いをいただく上において従来問題があり、与野党の間に意見の一致の見ないまま今日に至っておるわけでございますので、この点を全然考慮に入れずに、ただ出せばいいとのみは責任者としての私は考えないのであります。そういう意味で私は今日まで大へん苦慮して参りましたのでございます。なお、検討中であるということでございます。最終的にそう決したということではございません。
○大原委員 これは諸外国にも報道されることなんですけれども、今朝の新聞によりますと、きのうの閣議の中で「成立はおろか継続審議もあぶないのに、提出案件の印刷代や手間だけでむだだ。」こういうことを言うた閣僚がおるということです。そういうことが支配をいたしまして、政府において、この取り扱いについては、私が申し上げた結果になる。熱心な福水労働大臣の御意見は今承りましたが、外務大臣、このことは事実なんですか。閣議においてそういう新聞報道のような事実があったことは事実なんですか。
○小坂国務大臣 閣議においてどういうことがだれによって言われたというようなことを言うことは、しないことになっております。しかし、私はそういう問題は聞かなかったと存じます。
○大原委員 いつも日本の政府は、都合が悪いときには「新聞報道が誤りである」こういうことになろうかと思います。 そこで、労働大臣の検討中という御答弁であります。今日は十月の二十八日であります。会期は余すところ四日間であります。日曜日を入れて四日間であります。当外務委員会は異例の午前九時から審議を始めておりまするけれども、幾ら勉強いたしましても、なかなかこれは処理できるものではありません。これは実際上不可能であると思うのであります。今日まで第三十八国会、春の国会におきましては、三月の末になりまして政府はそそくさと提案をいたしました。今日まで日本の政府は、いろいろな新聞報道、条約の取り扱い等を見てみますると、どたんばになってきては、通す意思がないのに、問題が国際、国内問題においてすっきり解決できる見通しがないのに、いつも言いわけ的に出しておる。こういうことは私はILOの精神というか、憲章の精神にはもちろんですけれども、ILO自体を私は否認するものじゃないか、こういうふうに考えます。この点につきましては重要な問題でありまするから、労働大臣の方からでもよろしいから御答弁をいただきたい。
○福永国務大臣 ILOを否認するというような意思は毛頭ないのでございます。大いに尊重していかなければならぬということは、政府としては終始一貫しておるわけでございます。 なお前段でお述べになりました言いわけ的に出すようなことでは、全然これは私同感なんでございます。過去においても別に言いわけ的に出しておるわけではないけれども、実質審議に入らなかったというようなことで、そういった見方も出てくるかと思う。ことに外国から見ますと、そういう点でどういうわけで与党が多数を占めておりながらこれが通らぬのだろう、こういうようにせっかく出したのに、審議の仕方なんかでつかえて通らぬのだろうと思うだろう、こう思うわけであります。その一面よほど社会党さんを初めとする野党の方が強いのだろうなということも思うかもしれませんが、まあこの問題に関する限り、過去のような経過で来ておりまするから、私は出す以上は通したい、こういうように考えますので、そこでこの会期末にいかに処理するかということを非常に苦心いたしておる次第でございます。御指摘のように、もう数日だから、とても無理だろうと言われるのでありますが、そこで私は、無理であるとするならば、継続審議等にでもしていただけるというようなめどでもつけば、会期末の非常に忙しいときを経過して、あと閉会中にもいろいろ比較的ほかの仕事とまあ別にして、これにじっくり取り組んでいただけるというような意味で、私は継続審議になるということなら非常にありがたい、こうも思っているのであります。これの見通し等もまだなかなかつかないようでございますので、さらに一そう苦慮いたしておるということでございます。
○大原委員 自由民主党、政府間の中におきましても、法律案と、政府がいわゆる関係国内法案というそういう法案の扱いにつきまして、条約は外務委員会、公労法四条三項、地公労法五条三項という問題は社労、こういうふうに分けて出す議論があったというふうに聞いております。外務大臣と労働大臣、簡単に御答弁をいただきたいのですが、八十七号条約の批准案件を外務委員会に出して、公労法四条三項、五条三項は、ILOにおきまして、八十七号条約、九十八号条約との関連において違反である、抵触するということは明らかでありまするから、この問題を社会労働委員会に出す。こういうことになりまするならば、私ども社会党は、これはILOにおける論議を尊重をいたしまして、直ちに批准に応ずる用意があるのであります。そういうことを私はやっておいて、国内的な施策の問題については分離すべき問題である、これはILOの精神から言いましても、国際信義の上から言いましてもそうであります。そういう点につきまして、私は外務大臣の国際的な視野に立った御見解を一つお伺いしたい。簡単に答弁して下さい。
○小坂国務大臣 この条約関係は、これは外務大臣としまして、条約を国際的に調印したりその他いたします場合責任者になるわけでございますが、何と申しましてもこれは労働関係一番関連が多いわけでございますし、従来経過的に申しましても、労働大臣にこの問題については全部取り仕切っていただいておるわけでございますから、またこの問題等についての意見は労働大臣から申し上げた方がいいかと思います。
○福永国務大臣 条約は外務委員会へ、そして公労法等は社労委員会へというようなお話でございますが、これは出しましてあと国会の方で、議運等でおきめいただくことでございまして、私どもの方が直接委員会に出すわけではございませんので、これはもう政府としてどうこうということは言えないわけでありますが、従来与党の方では関係諸案件を一括してというような考え等が支配的であります。そういうようなことで野党とも考えの一致しない点等があったわけでありますが、私はこの扱いにつきましては政府自体がどうこうということは、これは言えばまたおしかりを受けるのでございますから、差し控えたいと存じます。
○森下委員長 関連質問について野原君から申し出がありました。これを許します。野原學君。
○野原(覺)委員 時間がありませんので、私は端的にお尋ねをしたいと思うのです。同僚の大原委員からも申されましたように、本来ならばこのILOの問題は、社会労働委員会で私ども追及するはずであったのであります。しかし、きょう外務委員会に特にお願いをしてここに問題を出したゆえんのものは、ILO九十八号と公労法四条三項の関係です。この問題は私は予算委員会で労働大臣にお尋ねをしたのでございますが、なおその際に労働省から文書で回答がありましたけれども、一向に要領を得ないのです。全くお話にならぬナンセンスな回答しか出されていない。外務大臣も御承知のように、ILOの九十八号条約というのは、一九五三年に批准をしておるのであります。日本語で言えば団結権及び団体交渉権についての原則の適用に関する条約、こういうことに翻訳されておりますが、この一九五三年に批准した九十八号条約の第二条、これは労使相互不介入の原則なんです。この第二条と公労法の四条三項、地公労法の五条三項は矛盾するのではないか、すでに批准した条約と公労法の四条三項は矛盾するのではないか、どういうことであります。公労法の四条三項はもう御承知でありましょう。外務大臣はかつて労働大臣をされたこともある。だからあなたもよく御承知のように、公共企業体の従業員でなければその組合の組合員や役員になれないという規定ですね。これが実は長い間たとえば国鉄の場合全逓の場合、機関車労働組合の場合、つまり公共企業体の労働組合関係の問題として、これは政府でも頭を痛めてきた問題であったろうと思うのであります。私は端的にお聞きします。これは一体矛盾すると外務大臣は考えておるのか。しないと考えておるのか。 なお念のために申し上げておきますが、時間がありませんから、あなたがいいかげんな御答弁をされても、それはあなたの御自由でありますけれども、あなたの日本政府の外務大臣としての答弁速記は直ちにILOに届くのであります。きょうの質問はILOが注目しておるのです。ですからあなたはいいかげんなその場のがれの答弁をすべきではないと私は思う。これは念のために申し上げておきますから、慎重な御答弁をお願いしたい。
○小坂国務大臣 これは労働大臣の御所管でありまするが、名前をあげての御質問でございますから、私から便宜お答えいたしますと、御承知のように九十八号条約の二条は、これは「相互が直接に又は代理人若しくは構成員を通じて行なう干渉に対して充分な保護を受ける。」こうなっております。この公労法の四条三項ないし地公労法の五条三項、これは決して労働者団体に対して不当な干渉を加える意図をもってなされたものではなくて、解雇された者に対しては司法的な救済手段が認められておるのでありますから、九十八号条約の二条の不介入の原則には何ら反しないものと考えておる次第であります。従って、これは矛盾しないというふうにわれわれは考えております。なお詳しくは労働大臣から……。
○野原(覺)委員 労働大臣は外務大臣より若干ここにおられる時間が長いのであとで、ゆるゆるお尋ねしたい。 そこで、外務大臣は労働大臣の所管だと言いますけれども、九十八号は、あなたの御承知の通り、批准しておるのですよ。批准しておる条約に矛盾した国内法が存在するということであれば、これはあなたの所管です、条約の問題ですからね。条約違反だということになったら、外務大臣は重大な関心を持たなければなりません。だからお尋ねしておるのです。あなたはこれは矛盾していない、このように申されますが、ILOでは矛盾しておるという結論を出しておるのです。これを外務大臣は一体どうお考えになるか。ILOでは公労法の四条三項、地公労法の五条三項は、すでに日本が批准した九十八号条約に矛盾するという見解を明確にとっておるのです。これは労働省、外務省は知っておるはずだと思うのですが、これを知らないのか知っておるのか、知っていらっしゃるとすれば、これに対してはどういう見解を持っておるのか、それはILOがでたらめな判断を下したとお考えなのか、ILOの見解が間違っておるという結論を日本政府はとっておるのか、明確にこれはお示し願いたい。
○小坂国務大臣 ただいまのお話は、おそらく結社の自由委員会の報告書にございます結論についてであろうと思います。おっしゃる通り、この結論の中に公労法の四条三項の規定が九十八号条約に抵触するという趣旨の結論がございます。しかしながら、私どもの見解を申し上げますると、御承知の通りILOは条約についてしばしば解釈を行なうわけでございますが、しかし、これはその性格からいって、いわば一種の行政解釈であって、加盟国を最終的に拘束するものではないのであります。加盟国としてILOとの見解があくまで異なる場合には、条約違反について最終的な決定は、ILO憲章の規定に従って国際司法裁判所においてなさるべきものであると思っておりますが、私どもの解釈は先ほど申し上げた通りでございます。矛盾していないという解釈をとっております。
○野原(覺)委員 非常に重大な答弁です。あなたは簡単に結社の自由委員会が下したことだと片づけられましたが、そうではございませんよ。結社の自由委員会もなるほど再三結論を下しておるのであります。記録をたどって言うならば、一九五九年の三月、おととしですが、ILOにおける条約勧告の適用専門家委員会というのが二条に違反するという所見を出したのです。条約勧告の適用専門家委員会というのは、外務大臣御承知でしょう。これは各国から法律の専門家が集まって、ILOから委嘱をされた中立的な法律の専門家です。この法律専門家のこの勧告適用専門家委員会の下した所見は、ILOの有権的所見ということになっておるのです。そうして五九年三月に所見を出した。それが五九年の十一月には結社の自由委員会がまたこの所見に基づいて討議したのです。その結果、結社の自由委員会も二条に違反するという所見を今度は出したのです。そうして次にILOの理事会へこれを勧告したのです。ところが理事会では、一九六〇年の三月、第百四十四回の理事会でございますが、この結社の自由委員会並びに専門家委員会から出された所見をILOの理事会が承認しておるのであります。しかもなお――一九六〇年三月といえば去年です。日本政府はその間に岸内閣から池田内閣にかわって、八十七号の批准の機会に公労法の四条三項の廃棄はいたします、改廃の手続をいたしますということでごまかしてきましたけれども、一向にその誠意を示さないからILOは非常に、憤慨をしたので、一九六〇年三月に再び専門家委員会が招集されて、第三十回の会合になっておりますが、この問題を取り上げて、政府に対してその早急な実現を希望しておるじゃありませんか。これは今度は四回目だ。私は向こうの原文を翻訳した記録を一切提出してもいい。結社の自由委員会だけが出しておるのではない。専門家委員会も理事会もそういう所見を出しておる。しかもその所見を出す過程において、日本政府の意見も十分討議をしておるのであります。日本政府ではこの公労法四条三項に対して、労働大臣から私に文書回答がなされたようないいかげんなことでやって参りましたが、それを討議した結果、日本政府の主張は妥当でない、これは間違いだ、ILOの九十八号の第二条は公労法四条三項に抵触するんだという断定を下したのであります。それでもなお外務大臣は、条約違反ではない、そのILOの出した断定は間違いだというのか、これははっきりおっしゃって下さいよ。いいかげんなことでなしに、間違いなら間違いと。間違いだとあなたはお考えであるのかどうかお答え願いたい。
○小坂国務大臣 私どもの解釈は今申し上げた通りでございますが、これはいわば法的解釈、法理論を述べたわけでございまして、ILOの解釈というものの道義的な権威を無視して、国際司法裁判所に持ち出してあくまで争うというような意味ではないのでございます。実際問題としては八十七号条約及び関係法案の早期解決によりまして問題を解決したい、こう考えておるわけでございます。
○野原(覺)委員 だから私ども社会党は八十七号の批准を要求してきたのです。ところがこの国会もまた見送ろうとしておる。 そこで問題は、一九五三年といえば、今から八年前だ、その翌年の五四年からこの条約は拘束力を生ずることになっておりますから、九十八号が七年間日本を拘束してきた。その九十八号の第二条が公労法四条三項に抵触するのです。あなたは抵触しないというようないいかげんな見解を申されますけれども、これは法理論として抵触するのです。しかもILOのこの見解を、こういう再三にわたるILOの結論を日本政府が認めないということは、ILOの機関に対する侮辱です。ILOの権威を失墜するものです。何のために日本はILOに加盟しておるのです。ILO憲章は何とうたっておるか、ILOの結論は尊重してもらいたい、各国がこれを尊重しないならば、ILOは存在しませんよ。だから、再三再四にわたってILOのこの忠告があるから、日本政府は九十八号の第二条に抵触するということを率直に認めるべきである。それでもお認めにならないか、お認めにならないならお認めにならないという論拠を労働大臣からでもいいからお説明願いたい。
○福永国務大臣 この点については、私が申し上げるまでもなく、何回かのILOの意見の表明があったのでありますが、表現が漸次変わってきておりまして、初めのころにはかなり弱い表現であったのが、漸次強くなってきているわけでありますけれども、私の見解をもってしますならば、ものの見方によっては、確かにILOで解釈されたようなことにもなろうかと思うのでありますが、日本の国内法全体を詳細に検討いたしますと、矛盾しないようになっております。ただし、外国から見ますと、その複雑な法令全体についてわれわれと同程度に理解するということはなかなかむずかしいと思うのであります。そういう意味から、向こうで疑義を持つというようなことも、私たちは望ましいことと思いませんので、従って先ほど外務大臣が述べましたような措置、すなわち八十七号条約も批准する、またこれとともに関係国内法を整備する、そういうようにするとすっきりいたしますので、そういうことを考慮しつつ、この問題に対処していく。これは先ほどから矛盾すると野原さんは断定して言われるのでありますが、そういうような可能性があるとか、おそれがあるとかいうような表現に近いものから、漸次幾らかきつくなってきておる経過等にかんがみましても、ILOは一方的に日本の九十八号条約違反という意味で責めるばかりではなく、疑義が生じないように国内法の改正をやったらどうかというような意味で言ってきておるわけでございますので、こうした気持もよくわかるわけでございますから、われわれは従来とってきたような考え方で、できるだけそういう疑義の起こり得ないような措置もとらなければいかぬ、こう考えておるわけであります。
○野原(覺)委員 労働大臣が似たような御答弁をされては困りますよ。外務大臣は時間がないそうだけれども、これは重要な問題です。条約違反の問題で、そういう国会をばかにするような御答弁は避けてもらいたい。労働大臣がそういういいかげんなことを言うなら、私はILOの結社の自由委員会が出した意見を読み上げますよ。こう書いておる。ずっと前がある。その前にはあなた方の意見をずっと書いておる。日本政府がこう言った、あなた方の出先がジュネーブで言っておることを書いておる。これは省きます。「しかしながら、当委員会は、」これは結社の自由委員会です。「当委員会は、たとえば「職務の懈怠」を理由として使用者によって解雇された労働者が、その解雇の真の動機が、組合活動にあるべきことを立証することは、極めて困難であろうという意見をもつ。」これはあなた方の主張しておることを反駁しておる。「意見をもつ。そのうえ、提訴は一旦とられた決定の効力を停止するものではないので、解雇された労働組合指導者は、同法の規定にもとづき。解雇の時に、本人が就いていた労働組合の役職を、去らなければならない。専門家委員会が一九五九年に強調したように、」私が先ほど言った一九五九年の三月です。専門家委員会の世界の法律家が全部集まって日本の国内法もみな検討したのです。そこで「強調したように、公労法第四条第三項と地公労法第五条第三項は、これらの企業の経営者が労働組合の活動を妨げることを可能にし、それによって、「労働者団体および使用者団体は、その設立、任務遂行または管理に関して相互が直接または代理人もしくは構成員を通じて行なう干渉に対して、充分な保護を受けるという規定を設けた九八号条約の第二条に抵触する。」いいですか、「抵触する。」こう結社の自由委員会は断定しているのですよ。しかも一九五九年に専門家委員会、一九六〇年に再び専門家委員会、三たび一九六一年三月に専門家委員会が結論を出した。三たび出した。その三年間に政府は、労働大臣が言うようないいかげんなことでごまかしてきたんだけれども、ついに憤慨して専門家委員会は、一九六一年には、このような日本政府のやり方はILOを侮辱しておるとまで怒っておるのです。しかも一九五九年には結社の自由委員会、六〇年には結社の自由委員会、六一年には結社の自由委員会が同じ結論を出した。同時に、この三年にわたってILOの理事会が結論を出しておる。外務大臣、八年前に批准した日本の条約が国内法に矛盾しておるわけなんです。あなたは一番最初国際司法裁判所が最終的な決定をすると言われたが、それは私も知っております。国際法については問題があれば国際司法裁判所が最終結論を出す。しかしILOの機関が満場一致できめるのですよ。専門家委員会は条約違反という結論を各国に勧告する場合には、事が重大だから三分の二じゃないのです。全会一致なんです。集まった世界の法律学者が全会一致です。これは条約の矛盾じゃないか。問題は八十七号じゃない。すでに批准した九十八号にこれは違反しておるじゃないかと言って、全会一致で三年にわたって日本政府に勧告しておるのです。労働大臣はいろいろ言われますけれども、一つ端的に、ではどういう点が間違っておるのか、ILOのこの結論が、断定が、どういうところが間違っておるのか、お教え願いたい。ILOは日本政府の見解を待っておりますから、ここが間違いだ、だから承服できないのだと端的におっしゃって下さい。
○森下委員長 外務大臣の約束の時間を過ぎておりますので、退出を願います。
○野原(覺)委員 この問題は外務大臣、条約違約ですからね。条約違反の国内法があるわけです。そこで私はこれは非常に重要なことだと思う。だから条約に矛盾する国内法が存在する場合には、日本憲法は条約を尊重するという建前をとっておるはずです。これは吉田内閣以来、私は条約承認に関する資料というものを、政府が従来とってきたものを調べてみましたが、これは条約を尊重しなければならない、こういう見解で一貫してきております。あなたは池田内閣の外務大臣として、前の政府だといつも逃げられる心配もありますから、念のために聞いておきますが、条約が優先をするのだ。だから矛盾しておる国内法というものは当然廃棄されたものと認めなければならぬ。法文整理の手続は残りますよ。あなたは私のこの見解をどうお考えなのか、それだけ伺っておきたい。
○小坂国務大臣 先ほど申し上げたように、私どもは抵触しないという見解をとっておりますが、しかしながらそういう勧告もありますし、ILOには意見の表明もあるわけでございます。そういうことの問題を解決するために八十七号条約及び関係法規をできるだけ早期に改めまして、問題を解決したい、こう思っておるわけでございます。現在は、これは矛盾しておると日本政府は認めておるわけではございません。この点を御了承願いたいと思います。
○森下委員長 外務大臣は渉外関係の時間をだいぶ過ぎておりますから、これはかねて前からの約束でありますので、退出いたします。
○野原(覺)委員 外務大臣の答弁は私の質問に対する答えになっていない。外務委員の皆さんにまたお願いして、この問題は後刻取り上げなければならぬ問題だと思いますが、労働大臣、あなたはILOの見解に承服できない、日本政府は違うのだという論拠をお示し下さい。
○福永国務大臣 むやみやたらに首切りが行なわれて、労働組合に干渉するがごときことができるということになれば、これは私はまさに野原さんの言われるような問題があろう、こう思うのでありますが、わが国の国内法においてはどういう場合に限り解雇ができるというようなことについては、事こまかに規定をいたしておりまして、組合に干渉するというようなつもりで、たとえばあの委員長はどうもちと組合活動をやり過ぎるから、あれを云々というような意味で解雇をするというような余地のないように、わが国の国内立法はなっておるのであります。しかもそういう考えのもとに政府ないし公共企業体が処置いたしました場合に、労働組合の方では、政府の趣旨するところと違ったような意味で解雇されたのだという見解をもって争う方法は、もとよりこれは司法的の方法もありますし、なおそのほかにそういう長い時間をかけてということでは問題の性質上不適当であるということであるとするならば、御承知の通り労働組合法にも簡易な手続をもって、そういうようなことが行なわれればこれに対抗する方法があるわけであります。ただし政府はさようなことはもちろんやりませんし、またわが国の国内法上、国家公務員法を初めといたしまして、関係の法律に事こまかに定めております。そこで私はこれら全体を総合的に把握いたしますならば矛盾はない、こういうように理解をしているわけでございます。
○野原(覺)委員 非常な認識の違いです。九十八号第二条というものを労働大臣はお知りでない。そういうような認識で労働省がこの問題に対処してきておったとすれば、これはとんでもないことです。世界のもの笑いです。問題は解雇じゃないのですよ。九十八号第二条は労使双方の不介入の原則、労使はお互いに介入してはいけないという原則なんです。だから違法な行為があれば解雇はできる。これはできます。国鉄の従業員であろうと、何であろうと、従業員としての違法性があったらこれは解雇したらいいでしょう。それはできる。問題は解雇された従業員は組合の役員として認めないという、使用者政府の態度が第二条に違反するじゃないかと言っている。解雇された者を組合が委員長に選挙する、書記長に選挙する、役員に選挙する、これをあなた方は認めないわけです。認めない、これを禁じているのですよ。あなたは解雇のことを言いますけれども、解雇された者といえども、組合は大会によって民主的な方法によって組合の役員と認めた場合には、これに干渉してはいけないというのが第二条じゃございませんか。あなたの今の論拠はそれに違反しているじゃありませんか。論拠がなっていない。あなたが言われるようなことは実は三年間にわたって、政府代表がILO本部で表現も巧妙にやってきた。私は速記を取り寄せ、検討したけれども、やはりこれはだめだ。九十八号第二条の労働組合の組織並びに運営に政府が干渉してはならない、使用者は干渉してはならないということに、公労法の四条三項はやはり違反をする。そこらを十分検討した上でだめだという所見を出し、日本政府に勧告をしておるのですよ。労働大臣はこの問題について、理事会からの希望表明、結社の自由委員会からの希望表明、しかも即刻改廃の手続をとれとまで、日本政府にきつい達しがきておるはずだが、それを八十七号とだけ関連があるのだと言ってごまかしてきた。八十七号との関連ももとよりあります。しかしながらもうこれは当然廃棄されたものなのだ、私どもはそう思う。重ねて労働大臣の所見を承っておきたい。
○福永国務大臣 どうも野原さんのお気に入るような答弁をしないので、でたらめだでたらめだと言われるのでありますが、私はでたらめと考えていないのであります。この点については、公共企業体等の従業員というものは、私が申し上げるまでもなく一般の労働組合員と立場を異にいたしておりますという理解のもとに、公労法、地公労法で御指摘のような規定があるわけであります。そこでこれ自体がと言われるのでありますけれども、そういう規定のある反面において、法律で公務員ないし公共企業体の従業員の地位というものはいろいろの面から保護されておるのであります。先ほどから申し上げるようなことが、ほしいままにできるようなことには日本では絶対なっておらない。それを総合的に判断いたしますと、私の申し上げるようなことになる。ただし外国側から見ると、今まで日本政府その他が説明しているところだけでは、野原さんが御指摘のように、向こうではよしわかったというわけにはいかないので、いろいろのことを申してこられておる。この点はこの点で私は誠意を持って考えなければならぬと思いますから、従ってそういうこともあわせ考えて、八十七号条約の批准と関連しつつ国内法の整備を行なう、こういう表現がされてきておるわけでございます。別にでたらめを政府が言っておるとは私は考えておらないのであります。
○野原(覺)委員 ILOが前後五面にわたって勧告をしたのですが、これは間違いだとお考えですか、それをお聞きしておきましょう。私は追及しません。それが間違いなら間違いとはっきりおっしゃって下さい。
○福永国務大臣 ILOのような考えも見方によりあろうと思うのであります。私は間違いとは申すわけでありませんけれども、ただし日本の法律全体に、私が今申し上げるような総合的な深い理解を持って考えると矛盾はない、こういうふうに私は考えているわけであります。といってILOの考えが間違いだという意味ではございません。
○大原委員 外務大臣の御答弁の中に、法理論で答弁するのだ、こういう御答弁がありましたね。法理論で御答弁になっているのですか。政策論、政治論ですか。どちらですか。
○福永国務大臣 総合的にお答えをいたしておると私は考えます。
○大原委員 法制局、来ておりますね。法制局の見解といたしまして、先般の社会労働委員会におきましてこの議論をいたしましたときに、私の方から、条約と日本の国内における法律との関係について、条約に抵触する法律案は無効であるという、そういう私どもの見解に対しまして、山内政府委員は、「条約と法律の効力の関係につきましては条約が優先し、条約に抵触する法律は無効だと私どもは思っております」と、私の見解をそのまま支持されたのでありますが、変わっておりませんね。
○山内(一夫)政府委員 変わっておりません。
○大原委員 外務省の御意見はいかがですか。九十八号条約は日本がすでに批准をいたしました条約に関係する問題です。だから国際的に権利義務の関係がすでに発生をいたしておるのでありまするから、この九十八号条約は八十七号条約の議論とは違うのであります。そういう点から論議をいたしておるのでありますが、九十八号条約に抵触をする日本の法律は無効である――外務省の条約局長の御答弁を承りたい。
○中川政府委員 有効に締結いたしました国際条約と日本の国内法とがはっきり矛盾する場合には、国際条約の方が優先するという解釈は、ただいま山内部長の説明された通りと考えております。しかし、ただいま質問の中に、九十八号条約に矛盾している日本の国内法は無効であるというお話でございましたが、その矛盾しているということがはっきりしないといかぬのでございまして、その点、具体的な例になりますと、それがはたしてはっきりしているかどうかということが基準になるのでございます。ILO条約につきましてはそういう抽象的な原則を定めたものが多いのでございまして、従って政府は一貫して、ILO条約を批准する際にあたりましては、これと矛盾する国内法は改正してから批准する、こういう方針をずっととってきておることは御承知の通りと思います。
○大原委員 すでに批准をした条約は、その条約といたしまして客観的に国際的に存在しておって、そうして国際的な義務を生ずるというのが条約なのであります。そういう条約の観点から参りますると、このILO九十八号条約に対する解釈は今野原委員が指摘いたしましたILOの専門家会議はもちろん、専門家会議の結論に従って結社の自由委員会が報告書を作り、理事会がこれを採択いたしまして総会に報告するのです。総会におきましては分科会を設けていろいろ議論をし、本年度一九六一年の特別決議でこの問題を含めた決議もあるわけだ。だからILOにおきましては、この解釈につきましては専門家の意見と、労働大臣が言う政策上実際家の意見をも総合いたしまして結論は出ておるのだ。その中心は、公労法四条三項は自由に労働者が代表者を選出する権利、従って団結権を侵害し、九十八号の二条に違反をするという解釈をいたしておる。抵触するという疑いがあるのでなしに、抵触すると解釈いたしておる。公労法四条三項、地公労法五条三項は法理論から言ってそのことは条約に違反をする。そういうように外務省は考えるかどうか、その点についてもう一回重ねて質問いたします。
○中川政府委員 具体的な九十八号条約についてのお尋ねでございますが、九十八号条約を批准いたしました際、五三年、政府はこれが公労法、地公労法等に矛盾していないと考えまして、その改正手続はしていなかったのでございます。その後ILOの機関におきましていろいろな解釈が出てきておること御指摘の通りでございます。しかしながら政府といたしましてはまだ従来の解釈を変えていないこと、これまた労働大臣から申された通りでございますので、もし政府がそのILOの解釈に同意いたしまして、やはりはっきり矛盾しているということになれば、これは国内法を改正するという手続をとらなければならないわけでございます。しかし具体的には八十七号条約の関係でこの二つの法律の改正案がすでに何回と国会に出ておりますので、それによって問題は当然解決するとわれわれは考えておるのであります。
○大原委員 私は条約局長が、専門家といたしまして非常におそうるべき意見を聞いたけれども、九十八号条約は国際法なんです。日本が批准しておる条約なんです。これは多数国間の条約でありまするが、この条約は日本の政府だけが解釈して、その解釈が国際的に認められて国際的な条約上の義務を果たすということになるのですか。条約局長、どうです。
○中川政府委員 国際条約の解釈につきましては、たの契約した当事国が解釈する権利があるわけであります。その解釈に同意しない国がありますれば、そこで国際上の一種の紛議が出るわけでございまして、それをどう解釈するかというのは、その条約にそれぞれ解決方法が書いてあるわけでございます。従ってその解決方法がきまりますまでは、その当事国が自分の解釈によってこの条約を解釈いたしましてこれを実施する、そういうことであります。
○大原委員 外務省がこんなに無知であるとは思わなかった。つまり九十八号条約の第二条に抵触するかどうかという問題は、私どもが申し上げている経過によって一つの国際問題となってILOにおいて論議をされた後に、日本が解釈上の異議をたびたび言っているのですが、それに対しましてILOは、専門家の会議はもちろん結社の自由委員会も、それから総会も慎重な分科会の討論を経て特別決議まであげるようにいたしまして確認しておるのです。だから、あなたが言う通りの経過を経て、日本の具体的な問題について解釈の適用を下されたのです。だから、国際的な義務は当然生じるのです。日本は一応異議を申し立てたのです。外務大臣は、国際司法裁判所に提訴する道があるのだという。条約局長、いかがですか。
○中川政府委員 ILO憲章三十七条にはっきり書いてあるのでございまして、このILOで作りますいろいろな条約についての解釈の意見の相違というものを、最終的に有権的にきめる機関は国際司法裁判所であるとはっきり書いてあるわけであります。
○大原委員 そういたしますると、条約局長はそのことについて私の質疑応答の経過をお認めになったわけでありますけれども、労働大臣はこの問題を国際司法裁判所に提訴いたしまして、ILOにおいて法律の専門家が専門家委員会において再三にわたって決定をし確認をいたしまして、そうしてILOの立場から、初めは「注意を喚起する」とか「希望する」という表明だったけれども、今度は「抵触する」ということになった。そういう経過をたどりまして、この問題が今日の段階にあるわけでありまするけれども、国際司法裁判所に提訴する、いわゆる国際法上の義務履行の上からいって許された道がある。条約局長のいうように、国際司法裁判所に提訴する意思があるのですか。これは重大な問題です。
○福永国務大臣 まず結論からいって、私は直ちにもって国際司法裁判所に提訴するということは考えておりません。そこで申すまでもなく、九十八号条約を批准する際に、すでに公労法、地公労法はできており、皆さんが御指摘のような条文はそのとき現存しておったわけでありますが、当時政府としても、また国会としても、これが明らかに今おっしゃるような意味で矛盾しているということであれば、批准する前にこの国内法、すなわち公労法、地公労法の条文を改正してそれから批准するというのがものの順序であり、また従来政府は、そうした場合に矛盾を生じないようにこの種の処置をとってきているわけであります。今大へんやかましくおしかりになりますが、当時はこういうことは社会党さんでもおっしゃっていなかったと私は理解しておるのであります。しかし、その後向こうからこう言ってきた、それがごもっともだからといってお責めになります。これはわかります。わかりますけれども、大体その九十八号条約を批准いたしますころに、政府ばかりでなくて、国会全体としての理解も、これは矛盾しないのだ、要するに日本の国内法全体を総合的に観察すれば、公務員ないし公共企業体の従業員に対しまして十分ないろいろな保護がされておる。従って、先ほどから強調されるような意味においての抵触はないのだということで、当時国内法の改正もなかったわけであります。そういうようなはっきり抵触しているのだということで初めから措置がとられていたなら、これはまたさらにすっきりしていたと思うのでありますが、今申し上げましたように、当時から抵触していないという考え方のもとにずっときているのであります。ただし、先ほどから申し上げているように、こういう問題が起こったら起こったで、そういう疑義の生じないようなことも考えていかなければならないというので、私は先ほど総合的に申しましたが、法理論を中心といたしまして、総合的にこういう議論をいたしておる次第であります。
○森下委員長 ちょっと御注意申し上げますが、お約束の時間がもうとうに過ぎておりますので、どうぞ御了承願います。
○大原委員 今の御答弁でありまするけれども、日本の政府の方針は、条約を批准する場合においては、条約に抵触する国内法を改正いたしまして条約を批准するのだ、これはしばしばの質疑応答で明らかなのであります。しかしながらILOは、あなたも御承知のように本質は違うのであります。労使間の具体的な問題としまして、この問題が提起されました。条約の解釈は日本の政府がいまILOの百五号条約の強制労働の禁止についてILOに対して解釈を求めているように、具体的な解釈はILOで確定いたすのであります。そういたしますると、あなたは公労法を作ったときは社会党がこれにあたかも同調したようなことを言われるのですが、そういうことはないのであります。たといそういう問題があったといたしましても、「国際法優位の原則」ビルマの条約が「結社の自由委員会」で問題になったときに具体的に出ているのであります。だからその条約の解釈が今日のように確定をして、ILO九十八号条約の第二条が、日本の公労法四条三項の方と抵触するのだ、こういう解釈が確定いたしている、最終的な結論と考えてよろしいのであります。これ以上日本ががんばるということになると、ILOを否認いたしまして、国際司法裁判所に提訴する以外にないのであります。私はそういう法理論を申し上げておるのであります。だから現在日本には、すでに批准いたしましたILO九十八号条約の第二条という法規範と、公労法の四条三項という法規範の二つが存在していることになる。これが日本の同じ事情に対しまする二つの法規範であるということになる。これでは矛盾であります。だから日本が一たん批准をいたしました条約に対しまして、政府の従来の方針、政策とは違いましても、それに明らかに違反する法律がある以上は、この法律は日本の憲法に従いまして「当然無効である、」こういうように確認しなければ、幾らたっても悪循環をいたしまして、国際社会における日本のすっきりした立場というものは主張できないじゃありませんか。ILOを否認するのですか、論理的にそういう点を明快に答えていただきたい。
○福永国務大臣 今最終的に確定したというようにおっしゃるのでありますが、これは私は最終的に有権的に確定しているとまでは言い切れないと思います。
○大原委員 どういう方法があるのですか。
○福永国務大臣 それはつまり国際司法裁判所でそういうような最終的な決定がされたという場合は、今大原さんのおっしゃるような問題になると思いますが、ただし、ただいまのところではILOとわが方とでは考え方が違う。そしてわれわれといたしましては、わが方の言うことがむちゃではないという、筋の通った話であるというように考えておるのであります。そこで決してILOを認めないとかなんとかいう意味ではございません。私は大いにILOに対して信義を重んじた態度でいかなければならぬと思うのであります。しかし、今あなたがおっしゃられるようなことになると、何年間も違反してきているような話になるのですが、九十八号批准以来日本が結果においてなるような議論になるのでありますが、私どもはそういう違反をするようなことをしてきたつもりはないのであります。そこでそういうことになりますと、それじゃいよいよ提訴でもしなければらちがあかんじゃないかということの御議論もおありだろうと思うのでありますが、私は、そこで今承っておりまするような御意見等もあることに徴しまして、こういうような状態はあまり望ましいことだと思いませんので、あとの処置とも関連してそれらの問題もなくすればさらによかろう、こういうわけなんであります。決してILOを否認している、ないしそうしようという意図を持っているわけではないのであります。
○大原委員 具体的に質問いたします。国鉄、全逓、全電通等におきましては、その職員、労働者が民主的に選出をいたしました執行委員長があるわけであります。その執行委員長を解雇されておるという理由によりまして、職員でないという理由によりまして、これを「団体交渉や労働協約締結の正当な代表と認めない、」政府と使用者側はこういう方針をとっておるのであります。このことはILO九十八号条約の第二条の労使不介入の原則に違反をしておると思いますけれども、この点につきましてはいかがですか。
○福永国務大臣 わが国の法律において、職員でない者は組合員たり得ないということになっておりますから、そういう問題があるわけでありますが、従来政府が解雇いたしましたのは、労働組合の方へ干渉ないし介入する意図をもって解雇したことはないのであります。ほかの、法律上明らかに解雇されてもいたし方のない理由によって解雇されておる。
○大原委員 そのことを言っておるのではない。
○福永国務大臣 そのことを言わないとこちらは都合が悪いので、そういうような労働組合に介入する目的をもって解雇しているのではありませんから、問題はおのずから私は違うと思うのであります。
○森下委員長 労働大臣は三十分にどうしてもという申し出でございまして、十分の余を違ぎておりますので、そこで打ち切っていただけませんか。
○大原委員 今私が御質問いたしましたのは、全逓、国鉄、全電通等の労働者が民主的に代表者を選んだわけです。これは団結権の重要なる一部です。その代表者を、組合の委員長を政府や公共企業体の当局は相手にしていないじゃないですか。この問題は徹底的に議論いたしますけれども、そのことを私は言っているのです。
○福永国務大臣 民主的に選ばれて、当然代表者たる資格のある者を相手にするのであります。資格のない者を相手にするわけにいかぬということは、これは政府として当然であると思います。
○大原委員 なぜ資格がないのですか。どこに資格がないのですか。
○福永国務大臣 職員でないと組合員になれないというふうに法律でなっておるのでありますから、これはそういうことに相なります。
○大原委員 私はこの問題は社会労働委員会で引き続いて徹底的に議論いたしますけれども、日本の政府のこのような見解というものは、先ほど野原委員が結社の自由委員会の報告書の中で専門家会議が出しました結論、勧告を確認をいたしましたように、こういう解釈はどういう人々も支持していないのであります。たとえば総会の八つの分科会の中におきましての使用者側の委員、これは分科会の副議長でありますが、その使用者側委員は最終的に以下のように述べておるのであります。「使用者側委員は、労働者側委員からだされた論評に賛成である。もし使用者が解雇の口実をみつけようと望めば、そうできるのに困難のないことが多い。公共企業労働者の労働組合活動による解雇が行われたケースがなかったという事実こそ、解雇の真の理由を立証する労働者の困難を示すものということができる」というふうに言っておるのです。使用者側でもそういうことを言っておるのです。百カ国に達しましたILOの労使双方、政府代表二名を加えまして、そういう日本の政府の主張を支持している者はないのです。こういうことを日本が日本の国内法に照らしてみれば、当然条約に違反をいたしました法律は無効であるということになるのであるにかかわらず、無効を宣言しないで強引にがん張っておって、八十七号条約を今日の段階におきましてもいまだに国会に提案しないし、そしてこれに便乗しまして改悪案を出している。こういうことは国際的に見ましてもはかり知れない損害であります。こういう姿勢を正さないであなたが箱根会談に臨んだり、経済外交とか、チープ・レーバーについて説明しようといたしましても、これは賃金と権利の問題は一体であるという問題について全然理解のない日本の立場といたして、日本は窮地に陥るのであります。サルが自分のおしりだけはたなに上げておいて、そうして自分のおしりだけは真赤でないのだ、こう言うたという一口話があるけれども、ちょうどそれに匹敵するのであります。日本だけがそういうことを言っている。使用者を含めまして、日本の主張を支持している者はないのであります。石田前労働大臣はベテランでありますけれども、非常に苦しい立場に立ちまして、本年のILOの六月総会から日本に帰来いたしましたときに、「日本が国際場裏においてこのような釈明をするのは最後の機会であるように思われる」という談話もいたしておる。新聞報道やあるいは論説等も取り上げておる。公然と認められておるものであります。そういう問題について日本が法理論上も政治論上もあいまいな態度をとっておるということは、日本の国民的な立場に立ちましても重大な問題であります。私は日本政府がすみやかにこのことをみずからの責任において――今日、日本の政府は政党内閣であって、日本の政府の立っておるのは絶対多数を持っております自民党であります。でありますから、便乗的な改悪その他政策の問題とは分離いたしまして、この際国際場裏において納得できるような解釈、すっきりするよう確定する方法を直ちにとっていただくことを私は強く要望いたします。政府の御答弁は非常にちぐはぐでありますし、たくさん問題点がございますので、後刻社会労働委員会におきまして詳細に追及いたしたいと思います。 以上をもって私の質問を終わります。
○福永国務大臣 御意見はよく承っておきまして、参考にいたしまして今後に処したいと私は思うのでありますが、日本だけが、日本だけがとおっしゃいますが、日本の持つ特殊事情のゆえにそういうことに相なるのであります。その点は御了承をいただきたいと思います。国会においても、九十八号条約を批准して以来数年たっておりますが、当時からそういうことについて前もって法律の改正がないということのこの事実をもってしても、相当日本の言い分も筋の通ったものであろうということを示唆するものであると私は思います。
○戸叶委員 私関連して条約局長にちょっと伺っておきたいと思いますが、外務委員会への提出予定条約というものが今国会の初めに提出されたわけです。その中でILO八十七号条約というものも提出予定条約として出されていたと思います。ほかの条約については、大体衆議院の方は四条約通過して、あとの二条約というものは参議院から送付になってきているわけですけれども、ILO八十七号条約についてだけは何らまだ触れておらないわけですから、それはどういうふうになったかということを伺いたいのです。なぜかと申しますと、先ほどからの労働大臣と外務大臣の御答弁を伺っておりますと、外務大臣の方はILO関係の条約は労働省の方である、こういうふうに言っておられる。労働大臣の方は今国会に提出しないとは言っていない、こういうふうなことで、その答弁の食い違いというものが非常に微妙なものであると私は感ずるのでございます。従って、外務省がこれを提出予定条約として出してきたからには、労働省から何らかの話があったから出してきたのではないかと私は思います。先ほどからの外務大臣の御答弁を聞いていて、そうでなくてただ勝手に出してきたというふうにはどうしても思えない。もしも勝手に外務省として国際的な問題があるから出したいからということになると、先ほどの外務大臣の、労働省の考えによって出すのだとおっしゃった御答弁とは違ってくると思うのです。この辺の今までのいきさつを説明していただきたいと思います。
○中川政府委員 ILO八十七号条約は、労働省と相談いたしまして今国会に提出する法案の中に入れて国会の方へ御通知しようということでお出ししたのでございます。しかし最終的に条約案を出すのか出さないかということは、実は結局内閣できめる問題でございますので、われわれは内閣の御決定を待っておるところでございます。従って、その意味ではわれわれの実は決定し得る範囲でないのでございまして、御了承願いたいと思います。
○戸叶委員 もう一点。今までILO条約というものが戦前十四、戦後十、それから憲章関係で二、批准されているわけですね。それが大体戦後におきましては外務委員会にかかっておるわけです。そうしますと、この八十七号条約だけを外務委員会にかけないでもたもたしているというのは、私、外務委員としてどうも納得がいきかねるわけです。そういう意味から、私は外務省におきましても、国際的な関係もあるからというので提出予定の中へ入れられたと思うのですけれども、この点、条約局長に伺いますと、内閣の責任だからどうも何とも言えないということですけれども、予定条約として出された以上は、やはりこういう事情でこの委員会に出せないのだというはっきりしたお考えを述べていただきたいし、またそこへ出された以上は、おそらく今内閣で考えているようなほかの法案と一緒にまとめて出すということではなくて、ほかのILO条約と同じように、条約だけを切り離して外務委員会に出そうというお考えがあったのじゃないか、こういうふうに考えますけれども、この点をもう一度確かめておきたいと思います。
○中川政府委員 同じことを繰り返すようで恐縮でございますが、条約案を提出するのは内閣が提出するのでございまして、提出されました条約案をどの委員会に付託されるかは、これは国会でおきめになることでございますので、実はわれわれはそれ以上に、内情がどういういきさつになっておりますか、よく存じないのであります。
○戸叶委員 わかりました。それじゃ外務省としては、今までILO条約の関係は外務委員会にかかっていたから、これもやはりここにかけるのが妥当であるというお考えはお持ちでございましょうか。その点だけはっきりさしていただきたい。
○中川政府委員 その点も恐縮でございますが、これはわれわれの決定する問題でございませんので、今まで条約は大体外務委員会にかかるのが通例でございますが、政治的に非常に重要な条約というと、別の委員会にかかっている、平和条約とか日ソ共同宣言とか、そういうふうな例もずいぶんございますので、どうお取り扱いになりますか、われわれ実は全然内借は承知しないのでございます。
○森下委員長 本日はこれにて散会いたします。 午前十時五十二分散会