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39回国会衆議院1961/10/25

外務委員会 第8号

発言数
111
登壇者
7
会派数
2
開催日
1961/10/25

会議録

森下國雄自由民主党

○森下委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。穗積七郎君。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 私は、しばらく旅行しておりましたので、小坂外務大臣に久しぶりですから、お尋ねしたいことがたくさんあるのですけれども、きょうはあなたの御都合で時間がないということですから、まず中国問題を中心にして日本政府の態度をお尋ねしたいと思うのです。  最初にお尋ねいたしますが、実は池田内閣は、中国問題については前向きに、かつ友好的にこれを処理していきたいという態度を、昨年の総選挙以来明確にされたわけです。ところが、さっぱり前向き、かつ友好的に前へ進められない。特に池田さんとあなたが六月にアメリカを訪問されて、ケネディ、ラスク、その他アメリカ首脳と会談されてから、われわれの見るところでは、前向きでも横向きでもなくて、逆に完全にうしろ向きになりつつあるという見方をわれわれはしており、これは、日中両国の発展のためにも、アジアの平和のためにも、はなはだ間違った政策ではないか、態度ではないかと憂えておるわけです。そこで、中国問題に対する政府の現時点以後における今後の方針について、最初に外務大臣から所信をお尋ねいたしたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 穗積さんは中共を御訪問になりまして、きょうは、私の意見もありますが、いろいろ御感想を伺えるのではないかと楽しみにして来たのであります。  最近の態度とおっしゃいまして、いろいろ御質問がございましたが、われわれは、中国の代表権問題が、いわゆるモラトリアム案として国連において討議されないできた、その形に今年度は終止符を打ちまして、実質的な討議をするということがいいのではないかということで、六月に池田総理が訪米されました際、そういう話し合いをいたしました。そこで、今次国連総会において、代表権問題が議題になっておるわけでございます。私どもとしては、もちろんこの問題について、前を向いているわけでございますが、前を向いて、さればいかなる状況において、これを判断して進んでいったらいいかということになりますと、やたらに状況もわからずに進むことも、あるいは困難かと思うような点もございます。要するに、この問題を国連において十分討議をして、各種の考え方が関係国からかわされて、そして当事国の十分な良識による解決がなされるということを期待する態度でおるわけでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 今度の国連十六回総会は、中国の代表権問題が重要な焦点の一つになっていることは事実です。そこで、国連総会における日本政府の態度については、あとで具体的にお尋ねいたします。今の国連総会における態度について大臣のお話でしたが、その前に中国そのものに対する態度について私は問題にしているわけです。  そこで、ケネディ会談で中国問題に触れた話があったと思うのですね。特に台湾問題について触れておられるようですが、それらの内容をこの際国民の前に明らかにして、日本政府の態度の具体性を一つ示していただきたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 会談の内容をここで一つ一つだれがこう言ったということを申し上げるわけにはいかぬと思います。ただ、いわゆる中国問題について、われわれは御承知のように国民政府との間に終戦処理の条約、日舞条約を持っておるわけです。また一方中国大陸において現実にそこに政権があって、有効なる支配をしているという事実もその通りだと思います。ところが問題は、二つの政権ともに二つの中国ということには反対をしておるということであります。でありますから、この問題を妙に取り扱いまして、一歩誤りますれば、直ちに極東の平和に影響し、またひいては世界の平和にも重大なる影響を及ぼすのでありますから、先ほど申し上げたような国連における一つの結論というようなものを見出すのが最もよいのではないか、かようなことで考えておるわけであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それでは私の方からお尋ねいたしますが、ケネディ大統領との会談の中で、ケネディが、アジア、極東における情勢からして、台湾の軍事基地化は半永久化しなければならぬということを主張されたようですが、それに対して、日本政府の代表である池田さん並びにあなたは、その永久基地化に対して賛成するのみならず、これに協力を約されたという事実をわれわれは聞いておりますが、その点を明らかにしていただきたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 台湾の軍事基地を永久化するというふうなお話は、私は特に聞かなかったようであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それではお尋ねいたしますが、この事実について大臣はどうお考えになりますか。すなわち、私どもが前々から言っておりますように、中国の問題を、今あなたがまだ前向きの姿勢を変えてないというふうな印象でお話しになりましたが、もしそうであるとするなら、再々申しますように、例の友好三原則というものは、これは当然のことであって、これを傷つけ、あるいはこれに反する敵視行動をとるということは間違いである。そこで、あなたも池田さんも、この敵視政策をとった覚えはないということを言われながら、中国の領土の一部である台湾に対して、第三国が軍事基地を勝手に、継続してこれを維持するという方針を持っておる態度に対して、これを黙認し、またはこれに賛成をするということは、明らかに最も重大な敵視政策である。日中の問題を解決するにあたりましては、やはり二つの中国の問題というのがある、今お話しの通り、どうこれを処理するか、すなわち、中国は一つであり、それは中華人民共和国であるという態度を基本的に確認しなければ、中国問題に対する前向きの前進ということは不可能なのです。にもかかわらず、その中国の領土の一部である台湾の不当な軍事基地化の継続というものに対して、日本政府は一体どういう態度をとられようとしているのか。われわれの聞くところでは、その話があって、池田さんはこれに対してこれを支持し賛成したとわれわれは伺っております。あなたは、ここで今、その会談の中でそういうことはなかったといってお隠しになるようですけれども、お隠しになるならなるでけっこうですが、日本政府はこの継続しつつある事実に対してどういう態度をもってお臨みになる方針であるか、その点を明らかにしていただきたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 国民政府とアメリカ政府との合意に基づいてその間の防衛条約が結ばれておるということでありまして、第三国が一方的にそこに基地を設けているという見解は、私は現実の事態の把握からして妥当でないと思います。なおこの中国問題というものは、中共政権が言っていることだけにすべて正しさがあって、日本はそれについていきさえすればいい、そういう考え方ではいかがなものであろうかと思っております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 私どもは、中国の言っていることを、正しいものは正しいとして支持し、間違っているものは間違っているとしてわれわれの立場を主張する、または客観的な正義と妥当な立場に立って、中国のみならずどの国にも接するのは当然なことです。ただ私が言いますのは、友好三原則なるものは、中国側の一方的な不当な要求ではない。客観的に見まして、国際関係あるいは国連の精神そのものだと思うのです。バンドン精神そのものだと思うのです。だからこれは、中国の言っていることだから認めるとか認めないということではなくて、妥当公平な二とであるから当然なことだとして、これを傷つける言動があってはならぬということを言っているわけです。そういうおかしな言いがかりのようなことを大臣として言われることは、私ははなはだ心外なんです。そういうことを言われないで、中国の問題については、一つの中国でなければ問題は解決しない、そういうことになれば、台湾の問題というのはおのずから解決するわけです。現在の状態は、あなたはアメリカと台湾政府との間の条約によって合法的におるのだということを言われるわけですが、その条約づらではなくて、その以前の基本的な政策そのものについてわれわれは真剣に考えなければいけない。そのときに、アジアにおけるこの中国の一部である台湾に長くアメリカの基地を置く。そのためには二つの中国論が出てきてみたり、あるいは中華人民共和国の代表権の妨害の問題が出てきてみたり、さらに二つの中国に失敗すれば、台湾の独立運動というようなことが政治的な構想として出てきてみたりするわけですね。その基本は何かといえば、台湾における軍事基地の半永久確保ということが、基本の考えになっているわけです。現われてくる条約であるとか、あるいは二つの中国論であるとか、あるいは台湾の独立論というものは、それは軍事基地を確保するための一つの戦術にすぎないわけですね。私の聞いているのは、基本的な態度について伺っているわけです。二つの中国は認めない。台湾は、池田総理も中国のものだとして認められておる。そうして中華人民共和国の代表権、やがては国交の回復ということでありますならば、台湾におけるアメリカの状態というものに対しては、好ましからぬものとして日本政府としてはこれに臨むのが当然だと私は思うのです。もう一度お尋ねいたします。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 私どもは、平和友好政策をどの国に対してもとっておるのでございまして、どの国に対しても平和的に友好関係を進めていく、敵視はもちろんしないという態度で臨んでおるわけであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それでは、もう一度お尋ねしますが、台湾並びに沖繩のアメリカの基地を、今の情勢ではさらに長く継続する必要があるという話し合いは、六月の首脳者会談の中では全然ございませんでしたか、ありましたか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 現在、極東の緊張が続いておるのであります。これは、もう御承知の通りであります。その際において、沖繩におけるアメリカの基地というものは、これはもう当然必要だと思います。台湾については、これは基地じゃございませんで、先ほど申し上げたように、アメリカと国民政府との間に友好に結ばれた援助条約でございまして、その状況について、これがいいとか悪いとかいうことは、それは台湾と——国民政府とアメリカ政府との間できめるべきもので、現在その必要があるという認識に立っているからこそさような条約が結ばれている、こういうように思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 台湾におけるアメリカのシチュエーションについて私は言っているのではありません。台湾を事実上、どういうテクニックにしても、どういう方法にしても、台湾における基地を継続維持する必要があるという話し合いは全然なかったのですか、あったんですかということを聞いている。もしあったとすれば、それに対して日本政府はどういう意見をお述べになりましたか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 今申し上げたように、今の情勢からすればそれは必要であろうというふうに私どもは考えておるわけでございますが、そういう問題について特にあったかなかったかということを、ここでお答えすることは適当でないと思いますが、私の記憶では、特にそういう問題について日本に了解を求めた、そういうようなことはなかったように思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それで伺いますというと、非常にあいまいで、事実の報告を避けておられるようですが、台湾における基地並びに沖繩における基地、これを、今のアジアにおける情勢としては、日本側は承認するといいますか、やむを得ざる当然のものとして認めるという態度であるわけですね。そういたしますと、そこに問題があるわけです。  一つは、沖繩については、わが国の領土に対して当然施政権を回復し、そうして沖繩県民というものを日本国民、国内の人民と同様に、形式的にも実質的にも何らの相違のないようにしなければならぬというのが、日本全一億国民の要望です。それを、あなたと池田さんはこれを初めから放棄して、施政権の問題には全然触れない。なぜ施政権の問題に触れないかといえば、それはアメリカの基地を擁護するためである、こういうことである。一方台湾におきましてもそういうことをお認めになる以上は、そして逆にこのこと自身が、すでに二つの中国を作る、事実上作る陰謀に加担をすることです。台湾は中国のものであり、そして一つの中国を認めるということになれば、台湾におけるそういうような不当な分離政策というものには、ここで日本としては反対しなければならぬにもかかわらず、黙認するどころか、その必要を積極的に認めるということは、明らかに二つの中国を作る陰謀に日本政府は加担をしておるということになるわけです。  さらに、それの裏返しとしては、韓国に対して、日本とアメリカが協力をして軍事的、経済的にてこ入れをしようという反共軍事体制の強化という政策を会談の中で打ち出された。すなわち、中国に対する問題と韓国の問題というのは、うらはらになっておるわけですね。従って、それをシンボライズしてみれば、池田内閣の中国問題の前向きの政策というものは、全くうしろ向きになって、そしてそれに置きかえられているものは、韓国問題である。韓国問題については、これは非常に重要な意味を持っておりますから、私どもとしては次の機会にまとめてお尋ねすることになっておるわけですけれども、うらはらで言えばそういうことになっているわけですね。そういうことで一体——口では中国に対して友好的であり、前向きであると言われましても、その言動の中において二つの中国を作る陰謀に加担するのみらず、韓国にてこ入れをして反共軍事体制をアジアにおいて強化する、その仮想敵国は中国である、こういう政策が中国に対してとられつつある政策である。これでは、私は、あなたが中国との友好精神あるいは前向きの姿勢というものは変わっていないと言われても、それはもう頭隠してしり隠さずといいますか、通用しない議論ではないかと思うのです。いかがなものでございましょうか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 考えをそこに固定して御議論になりますけれども、もう少し間口を広げてお考えになっていただきたいと思います。今日日本に日米安保条約があり、日本の防衛を考えておる。また沖繩に米軍のベースがある。あるいは台湾とアメリカとの間の相互援助条約があるということは、これは何も攻撃するためにあるのではないので、これはわが国の場合においても、わが国を防衛するために、守るために必要だと考えられるから、さような条約を結んでおるわけでございます。従ってそういう条約があり、またその条約にのっとった基地があるということをもって、日本が好戦的であり、軍国主義的であり、あるいは仮想敵国を置いておる、従って、それは中国に対する友好態度ではない、こういうふうにきめつけることは、私は全く違っておると思うのであります。そうじゃないので、われわれはあくまで自分を大事に考えて、自分を守るためにそういうことを考えておる。それを、自分が守ることを考えておるからあいつは攻撃的で、これじゃ中国に対して友好的でない、こういうふうにもし中国がいわれるならば、むしろ私は穗積さんにおいてそういう考えを正していただく、門を開いていただく、誤解を解いていただくということをお願いしたいぐらいに思う次第であります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 最近は日本の軍国主義復活、アメリカ帝国主義と結託をして韓国に軍事的、経済的てこ入れをした、あるいは台湾の分離の陰謀に加担をして、そして韓国、日本、台湾の事実上のNEATO、あるいはまた大野副総裁の言葉を借りれば韓国、日本、台湾を含む日本合衆国というような、主義的または非常に侵略性を思わしめる言動がずっと出てきておるわけですね。そういう意味で中国は、特にケネディ会談以後の池田内閣の外交路線というものについては非常な警戒をし、そして中国に対する前向きの姿勢であるという友好的な態度は捨てないというようなことに対しては、全くそれはごまかしのことであって、池田内閣に対しては何らの幻想をも持っていないということを明言いたしておきます。そして、私はそれを取り次いでおるのではない。われわれが安保体制、安保条約に反対をし、または日本国内における軍国主義政策を強行しようとする政策、たとえば政防法であるとか、あるいは第二次防衛計画の強化であるとか、あるいはやがて憲法の改正、そういうものにわれわれが強く反対するのも、そのことを危惧するからでございます。そのことが単なる危惧ではなくて、あなたは防衛的というけれども、実は防衛的という名において、かつてのシベリア出兵も、満州事変も起こされたのですから、そういう古い考え方がある。そして国連における態度というものは、アジアの一員であるということを全く忘れた行動がとられておる。そしてむしろ帝国主義者の側に立って、これを援助するような、ビゼルト問題であるとか、この間の人種差別の問題に対する日本の態度等を総合してみますと、私はあなたのいわれることはごまかしであって、中国の言うことが間違いだというのではなく、安保闘争以来われわれ自身もそのことを危惧しているわけです。だからあなたにちょっとくどいようですけれども、その点は不安を持ちながら国民とともに政府の考え方を伺っているわけです。だから私どもの言うことは、外国のいうことを取り次いでおるというような、かつての岸さんの言われるような言い方で問題をごまかそうとされないで、もう一度やはりこれらの問題について、時間がありませんから最後にいたしますが、ぜひその点を明らかにしていただきたいと思います。口では言うけれども、事実がはげているんですから……。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 まず沖繩の施政権の問題に触れておきますけれども、これは御承知のように条約上は、これは講和条約ではっきりアメリカが三権を持って統治するということを認めておるわけです。国連で信託統治をするということがきまるまではそうするということです。しかもアメリカは、国連に対して信託統治にするということを要求しなければならぬという義務を負うものではないということは明らかでございます。しかしながら潜在主権は認められておるわけでございますし、それをさらに確認してこの施政権の返還というものは、できるだけ早く日本に戻してもらうということについて、強く要望いたしておるわけでございます。先ほど何ら触れなかったじゃないかというお話でしたが、そうではございません。しかしながら、施政権はそういう形になっておりまするから、条約上にも根拠のないものを無理やりに力をもって奪うという形では、この問題は解決しないのでございます。従って、沖繩におきまする同胞の生活あるいは社会的な環境、そういうようなものに対して日本も十分に寄与して、日本の県並みのレベルにするように、日米双方において努力するという約束を取りつけておるわけであります。そして、あたかも水の流れるような自然な形で日本に沖繩の施政権が返ってくるということを考えておるわけです。そういう観点から申しますと、現在の国際緊張の中において、沖繩にアメリカのベースがあることが、これがけしからぬから沖繩を日本の施政権下に置かなくちゃならぬという議論をしておったのでは、沖繩の施政権は返ってこない。返ってくる時期がおそくなる。ですから私は、そういうことでなくて、今申し上げたようなことで考えたいと思っております。  それから日本が帝国主義的意図を持つじゃないかということをおっしゃるが、私は、お互い国会議員の仲間としてすこぶる残念に思います。私どもは毛頭さようなことを考えていない。ビゼルトの問題にしても、いろいろ御議論がございましたけれども、これはチュニジアとフランスの間で話し合ってこの問題を解決しろということであって、一方的な非難をするような決議を出すということは妥当ではない、やはり話し合いの筋に乗って、この問題を解決させなければいかぬというのが、日本の主張でございます。この日本の主張は非常に高く評価されまして、その後御承知のようにチュニジアのブルギバ大統領も態度を変えて、この問題は円満に話し合いがついたわけです。国連においてもモンギ・スリムがチュニジアの代表として議長になった、そうして西欧各国もこれを推す、満場一致でスリム議長ができる、こういうふうな形になって、問題は円満にいっております。これは日本の考え方並びに行動、言動というものが、そのことを契機として非常に高く評価されているということを御認識願っておきたいと思うのでございます。われわれはもとより日本の平和を望む一方、日本の平和を確保するためにどういうふうにしたらいいかということを考えていかなければならぬ。私どもは、その観点から防衛は日本に必要である、こういうことを考えております。防衛力をいろいろな形で工夫したからといって、直ちに日本は好戦的であるとか軍国主義が復活しつつあるとかいうことに結び着けて——これは外国で日本の事情を知らない者がそういうことを言う場合は、これは仕方がございませんけれども、われわれとしてはこういう問題についてはあとでその蒙を解くという形でなければならぬと思う。日中友好といいますが、中共政権とわが国との間の友好関係を考えます場合にも、やはりそういう日本の考え方というものを先方に理解させて、初めて真の意味の友好というものができると思うのです。お互いの内政の考え方について、それが好戦的な、平和を乱すようなことでないならば、お互いにそれに干渉しないという立場があって、初めて私は友好関係というものが開けると思いますので、どうか一つ穗積さんにおかれても、そういう私どもの気持を深く御理解願って、この日中関係の改善ということには相携えて努力ができますように、特にお願い申したいと思う次第でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 外交または政治における方針というものは、総理または外務大臣の腹の中における主観的なものによって評価すべきものではございません。その一連の政策の客観性の中で、それが帝国主義的危険を持っておるか、あるいは平和的傾向を示しておるかということが判断さるべきであって、私どもが言っておることは、あなたは今腹の底から侵略的または帝国主義的な考え方は全然ないということを強弁されておられますけれども、安保改定以来の最近における一連の諸政策というものの客観性がそれを危惧せしめるから、その危惧は決して危惧ではなくて、今にしてこれを真剣に論議しておかないと大へんなことになる、危険が生じておる、客観性で私どもは言っておるわけです。今の御答弁については私ははなはだ不満足でございますが、しかし時間がございませんのでこの問題は次の機会に譲りまして、今度の国連総会における日本政府の態度について、二、三お尋ねいたしたいと思います。  第一にお尋ねいたしますが、昨年までアメリカがとって参りました中国の代表権のたな上げ方式、これは先ほどの外務大臣のお話では、こういうことをしないで、むしろこの問題を国連総会にかけて、積極的に討議をすべきであるという態度であるということですから、たな上げ決議案というものは、日本側としては賛成をしない、反対をするという態度と見てよろしゅうございますね。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 これはもうその時期を過ぎておる、時期としてもう不適当なものになっておる。従って、討議をした方がいい、こういうことを言ったわけであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 次にお尋ねいたしますが、いわゆる重要事項としてこれを取り扱うということが考えられているようですね。これについての最近の動きは、けさの外電も報じておりますけれども、重要事項としてこれを取り上げて、そこで票数をかせぐために、まず第一にモンゴルとモーリタニアの加盟問題、特にモンゴルについての台湾政府のヴィートーを使わないようにさせて、そのことによってアフリカ・グループの同情を得て、次の代表権問題での台湾またはアメリカに対する有利な票かせぎにしようとするような動きがあったわけですね。これについてはけさの外電も報じておりますけれども、見通しについてはどういうふうにお考えになっておられますか。同時にモンゴルの加盟問題に対する台湾の態度、それに対して日本外務省もアメリカの委託を受けて、井口大使が台湾においてその問題についていろいろ動かれたようにわれわれ聞き及んでおりますが、その事実があるかどうか、その結果をどう見ておられるか、そして重要事項であるということならば重要事項の取り扱いとして日本政府としてはいくつもりであるかどうか、それを一括してお答えをいただきたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 私は、モンゴル並びにモーリタニアの問題について、この加盟は認められる方がよろしいというふうに思っております。しかしこの問題を一括していわゆるパッケ−ジ・ビルで出すということはよくないことだと思う。やはり一つ一つ審議すべきだと思うのです。しかしそれについてほかの国がどういう考えを持つかということは、その国の自由でございます。しかし私どもはこう考えておるということを特にそういう機会があればその国のものに申すことは、外交上当然のことだと思います。  それから中国には先ほど申し上げたように現在二つの政権がある。中国大陸には現実として中共政権があり、台湾には国民政府の政権がある。これは事実でございますが、それがともに二つの中国に反対しているということも事実でございます。従って、この問題をどう扱うかということは非常に重要な問題だと思います。しかしながら、それをどういうふうにしたらいいかということは、国連の中で十分話し合ってきめていくべき問題で、今から重要事項指定方式とかいろいろそういう方式という言葉を使うことは適当でないと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 重要事項指定方式を支持して、それで日本も臨む場合もあり得ると解釈してよろしゅうございますね。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 これはやってみなければわかりません。どういう場合があるか、将来のことにわたりますので……。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そこで重要事項の指定であれば、結局問題は票数の問題ですね。素数を三分の二に相手側がしなければ中国人民共和国の代表権は認められない、だから重要事項に指定するということは、過半数でなくて三分の二を獲得せしめる、三分の一をこえるこちら側に反対があれば代表権は阻止できるという、そういう票読みの戦術で重要事項指定方式がアメリカから出ておる。これは中国の代表権を阻止し妨害するための悪意的な戦術であるわけです。それは中国に対して決していいものじゃない。国連憲章にも、御承知のように代表権の交代問題は加盟と違って手続はないわけですね。そしてまたいかなる条件が整ったときに一方の政府が一方の政府にかわるべきであるという規定もない。そしてまたそれを議事するときの議事手続もない。だからアメリカは五〇年ごろには、これは重要事項じゃない、手続事項だとして、過半数の採決で決定すべき問題であると主張しておったにもかかわらず、このごろになりますと、たな上げ方式が持ち切れなくなったので、そこで三分の二で阻止しようということで、こういうことを考えているわけですね。ですからこれは非常に意地の悪い、趣旨一貫しない戦術であるということを日本外務省はお考えになって、これに賛成する場合もあり得るということを言っておられるのかどうなのか、その点をちょっと認識を明らかにしておいていただきたいと思うのです。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 この問題が重要だということについては、穗積さんも御異議がないと思います。そこで重要な問題を扱うにはどうしたらいいかということは、これは国連の中においてこの重要な問題をどう扱うかという良識が働いてくると思うのです。今からいろいろ申し上げることは適当でないと思います。ましてやアメリカがこういう悪意を持ってやっておるに違いないというようなことをおっしゃいますことは、どうぞ一つ御再考を願いたいと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それではちょっとお尋ねしますが、重要事項に指定された場合に、日本外務省は一体票読みはどう見ておられるか、その見込みを伺っておきたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 私も気がつかぬ方でございまして、今からそこまでよくやっておらぬわけでございます。大へん恐縮でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それではちょっとお尋ねしますが、その重要事項をやって票がこちらにとれればやる、つまり阻止できればやる、あぶなければやめるということも考えられるわけですね、今の通り方針がきまっておらぬと言われることなんだから。あなたはこの間国連に行かれて、代表権問題については一言も言われない。アメリカもこのごろは黙っている。それから西側陣営の諸君も意思統一ができていない。最近われわれの聞くところでは、イギリスあたりはこの重要事項指定については賛成をしていないということを聞いております。そうなりますと西側陣営における混乱が先ずる、その結果は票数が予定通り集まらないということになる。そうすればそのまま突っ込んで敗れるか、あるいは転換をして今度は二つの中国方式というものが考えられるわけですね、次には第三段階として。二つの中国論について日本外務省は検討しておられますかどうか、もしそういうものがアメリカその他の国から出されたときには、これに賛成なさいますかどうですか。つまり国民党の政府も中華人民共和国の政府も国連のメンバーとして認めるという例の継承国方式ですね、これがもし出たときには、外務省並びに日本政府はこれをも検討する心がまえを持っておられるのかどうか、こういうものには反対をされるつもりであるのか、二つの中国すなわち継承国方式についてのお考えを伺っておきます。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 この問題については非常に重要なものでありますから、これについていろいろなスペキュレーションが行なわれておると思います。その中には非常にウィッシュフル・シンキングといいますか、こうなれば工合がいいんだというような観測も行なわれておると思います。しかし私どもは今その渦中に入ってここでもってああだこうだ言ってみることが一体どういう利益をわが国にもたらすものでございましょうかということをわれわれは考えながら、この問題に対しては慎重に賢明に扱っていかなければならないと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 最後に一点お尋ねしておきますが、実はわれわれ心配しておることは、アメリカ並びに日本の代表権問題に対する態度について、非常に趣旨一貫をしない、そういうことでもし二つの中国論も出てくる可能性もある、それからそれがもし失敗するようであればそれを国民党政府も反対をする、これはもう明確ですね。北京においても、その点は明確に幾たびか繰り返して最近に至るまで言っております。あくまで根本的に反対だという点は、台湾政府の態度も同様である、それをあえてやることは、これは非常に日本としてはよくないことであるから、事前にどうこうする必要はないとおっしゃいますけれども、事前に注意をしておくのです。そこで、もしこれができないというときに、最後にお尋ねいたしたいのは、一部ですでに台湾の独立運動というものがある、そして二つの中国ではなくて、あれは独立国だという扱いにして、基地の確保を継続しようという動きが一部にあるわけです。これは大臣も御承知の通りだと思うのです。これははなはだしく不当なことであって、こういうものに対して、日本はこれを支持するとか、あるいはできたそういうような陰謀による独立政府を認めるというようなことは万あるまいと思いますが、これに対する日本の態度を伺っておきたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 どうも私はそのような運動をよく承知しておりませんので、それについていろいろ申し上げることはいかがかと存じます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 時間がありませんから、すべて満足な御答弁がいただけないのではなはだ遺憾ですが、次の機会にいたしまして、最後に一言だけ締めくくりにお尋ねいたしたいのは、今申しましたように、日本の国連における代表権問題に対する態度は、大体アメリカに同調をして重需要項指定、あるいは継承方式による二つの中国、あるいは場合によれば独立政府でも今の言葉では否認はしておられないわけですね、そういうようないろいろな画策をおやりになって、その結果それが失敗をして、そうして国連において、中華人民共和国の代表権問題というものが成立をしたという場合における池田内閣の政治的責任をお尋ねいたしたいのです。つまり、中国に対して代表権を賛成をする態度を取らないで、反対の態度をとったときにそういうものが出てきたとき、それをお尋ねいたします。その政治的責任の問題、そういう反対にもかかわらず成立したときの政治的責任の問題と、それをも勘案をして今度の国連総会においての表決には棄権をすることは考えておられるかどうか。その二点について、時間がありませんから、一括して御答弁をいただきたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 私どもは、あらゆる問題についてそうでありますが、特に今御質問のような点については、やはり日本並びに日本国民の利益、それから極東の平和、また世界の平和という観点から考えて、その時点において最も適当だと思う方法をとって参りたい、それに合致するような方法をとって参りたい、こう思っておるわけであります。しかし、その結果においてどうなったら責任をどうするかということでございますが、それはその結果を見てそのときに考えたいと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 棄権の問題は検討しておられるかどうか、それをちょっと第二問としてお尋ねしますから、お答えいただきたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 どういう場合に棄権の問題が出るか、それも今のお答えで入っておると思います。

森下國雄自由民主党

○森下委員長 稻村隆一君。

稻村隆一日本社会党

○稻村委員 辻政信氏が六カ月くらい前にラオスへ行ってから行方不明になりまして、家人からも捜索願が出たはずです。これは実に重大な問題でありまして、いろいろなうわさも飛んでおりますが、その後の情報につきまして、一つ詳細にお聞かせ願いたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 それでは、その後というお話でありましたけれども、ずっと最初から申し上げましょう。現在まで判明しております辻議員の消息は大体このようになっております。  三月二十九日に辻議員から参議院の事務局を通じまして東南アジア諸国の政治、経済及び教育事情視察のためベトナム、カンボジア、タイ、ラオス、ビルマ、香港に渡航するについて公用旅券を発給されたいという申請がございましたので、外務省は同議員の身分にかんがみまして、前例に従って三月三十日付の公用旅券三万三千八百五十三号を発給いたしました。香港以外の渡航先についてはいずれも査証が付与されたのでございます。  辻議員は四月四日に東京を出発されまして、同日サイゴンに着き、このサイゴン滞在中にゴー・ディン・ジェム大統領など政府要人に会見されました。サイゴンで初めて久保田大使に北ベトナムへ行きたい旨の意図を漏らされたので、久保田大使は極力翻意を促がしたという趣でございます。そのあと四月九日ごろプノンペンに行きまして四月十一日まで同市に滞在の上、さらにバンコックに行っておられます。  四月十四日ごろ同議員はバンコックからタイにございます大使館の伊藤助衛駐在官——この人はラオス大使館を兼務しております。この人とともにラオスへ参りました。ビエンチャン滞在中同議員はパテト・ラオの占拠する地区を通過して、ハノイに渡り、香港経由帰国する計画をラオスの別府大使に漏らしましたので、別府大使はその無暴なるゆえんを説いて、その計画を思いとどまるように説得に努力しましたけれども、辻議員の聞き入れるところとならなかったのであります。辻議員はかねてからこの計画を実行に移すため種々計画しておられたようでありまして、ビエンチャン市のクンタ寺院の住職に話をつけまして、そうして道案内の僧侶二名を伴って四月十九日ごろ間道を選んでビエンチャンから北上して、寺院から寺院へのリレー式な渡り方で奥地に入っていかれた模様でございます。第三番目の寺院から先の行方については、交戦地区のことでもありますし、確認されておりませんが、四月二十一日午前九時ごろパテト・ラオ地区へ入ったと思われるのでございます。  なお、出発に際して辻議員は髪を短かく切って、僧衣をまとって、青木という日本人高僧で、仏跡をたずねてラオスに来たというふれ込みでパテト・ラオ地に向かった模様で、携帯品はトランクに黒せびろ一着、若干の金子その他であったとのことでございます。  この後辻議員の消息が絶えたのでございますが、その後日本国内の新聞雑誌等に種々の憶測記事が散見するようになりましたが、政府としてもつとに事態を憂慮し、また御家族のこともございますので、自来数回にわたってラオス並びにその周辺国にあるわが方の大使館に同議員の消息の調査を命じて参りましたが、依然として消息は不明のままでございます。  八月二十四日にラオス駐在の別府大使から新事実に関する報告に接しましたが、これによりますと、この大使館はバンビエン、これはビエンチャン北方百十キロの地点でございますが、このバンビエンで辻議員とおぼしき人物に会ったと称する中国人がポン・フォン、これはビエンチャンから北方七十キロ、そこにおるという旨の聞き込みを得たのでございまして、さっそく大使館員を同地に派遣して調べさせましたところ、同人は同地で中国料理店を営む者で、米袋買い取りのため四月上旬バンビエンにおもむいたが、戦乱のために帰れなくなり、六月七日まで同地に滞在中辻議員に会ったと称し、かつ同人の申し立てによるその人物は辻議員と人相その他の状況もよく符合し、辻議員の写真を見せたところ、これは本人に間違いないということを確言した由でございます。なお現地大使館では、この中国人がバンビエンで辻議員に会ったことはほぼ間違いないとの印象を得た由でございます。  その中国人によりますれば、辻議員は五月中旬バンビエンに行きまして、同人の寄宿していた同業の中国料理店に両がえと飲食のために来た際に知り合いまして、六月七日同人がバンビエンを去るまで同地にいたということであります。  辻議員は、シェンクワン、これはプーマ政府とパテト・ラオ総司令部の所在地でございます、そこへ参りまして、プーマ殿下と会うことを熱望していた趣で、この中国人を伴って数回にわたってパテト・ラオの前線司令部を訪れた結果、六月初めにようやく許可書を入手した由でございます。  その後の経緯については推測の域を出ないのでございますが、プーマ殿下の方はチューリッヒでの三殿下会議に出席のため、六月二日ころシェンクワンを出発しておりまするから、辻議員がたといシェンクワンに行っても、プーマ殿下が帰来するまでは同地で待たざるを得なかったものと思われるのであります。  外務省といたしましては、他の方面においても各種の手段を通じて調査を進めてきた次第であります。つまり、辻議員がラオスから北越方面に抜けていかれた場合のことも想定して、二つの筋を通じて北越側に当たってみた次第でありますが、その結果これら二つの筋のいずれからも辻議員が北越に入られた形跡はないとの否定的な回答を受け取ったのでございます。  このほか、同地の公館におきましては、辻議員がパテト・ラオ地区に潜入された際に使われた寺院伝いのルートをたどる調査を行ないまして、辻議員の行き先の確認に努めておりました。  その後八月の二十四日に至りまして、前に申し上げた通り、別府大使からバンビエンにおいて辻議員に会ったと称する一中国人からの情報を入手しましたので、同議員がおもむかれた公算の多いと思われるシェンクワン地区について情報を入手するよう手配しておりましたところ、某国際機関を通じまして、十月三日付をもって、シェンクワン所在の最高権威筋より得た情報を入手いたしました。  この情報によりますと、シェンクワン所在の最高権威筋は辻議員と直接会見した事実はないが、同権威筋に達した情報によれば、辻議員は六月にバンビエンにいたが、その後のことはわからない、しかし情報によれば、辻議員はシェンクワンに来た後、ハノイを経て中共に向かったらしいということでございます。  この情報は間接的なものでありますから、辻議員がほんとうにハノイ経由中共に向かわれたかいなかは断定できませんが、このような線が一応出て参りましたので、外務省の出先機関はもちろん、その他諸種の調査ルートによる捜索を一そう強化して、この方面における同議員の消息の確認に全力をあげている次第でございます。  しかしながら辻議員御自身の身辺に危険が及ぶようなことが絶対にないようにする必要がございまするし、また調査を効果的に行なうためにも現に行なっておる調査あるいは今後行なうべき調査の具体的な方法について申し上げることは、これは差し控えることにいたしたいと思いますので、その点は御了解いただきたいと思います。

稻村隆一日本社会党

○稻村委員 辻さんを案内した僧侶というのは最後までついていたかどうかということは御存じなんですか。今あなたが言っておられた……。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 最初の寺から次の寺まで坊さんがついて行って、その次の寺からまた違う坊さんがついて次の寺に行って、その次の寺からまたその次の寺に行くというふうに、リレー式について行ったようでございます。

稻村隆一日本社会党

○稻村委員 これは私徳義上申しませんけれども、外務省じゃないのですが、ある政府機関の人から聞いたんです。どうも辻氏は反共側の某軍機関によって殺されたのは確実らしい、こういうふうな話を聞いたんです。これはむろんその人の考えで、そう確たる材料も持っているわけじゃないのはむろんですが、私も実は二、三年前にラオスに参りましたから、ビエンチャンのようなところは電話もろくに通じないというようなわけで、平時状態でもなかなか情報をとるということがめんどうなところですからいわんや戦乱の今日、情報をとるとかあるいは辻氏の行方を探すなんということは、なかなか困難をきわめると思うのです。これは十分わかっております。ですから非常に困難ではあると思うけれども、私は共産側からも情報をとる方法は幾らでもあると思うのです。もし辻氏が殺されたということになれば、これは重大な問題であって、たとえば共産地区と辻氏が連絡をとって、何か向こうの仕事をするのではないかということから、反共の某軍の出先機関に殺されたというふうなことも、これは仮説としてはあり得ないことではないと私は思うのです。そういう点で非常に困難でありましょうけれども、伊藤武官も十日間も辻氏と一緒におったはずだし、むろんラオスだけなら——ラオスは私はよく知っておりますが、別府大使の責任を追及するというようなことは、館員も不足しているし、よく事情を知っておりますからまことに気の毒ですが、しかし外務省あるいは日本政府の方から直接責任をもってこれを調査して、そうして事実を明らかにする必要があると思うのです。これはむろん辻氏にも責任はあるけれども、国会議員が旅行中に万一殺されたというふうなことになれば、これは重大な問題でありまして、それはあくまでも追及しなければならぬ重大な問題だと思うので、その点一つバンコックの大使などもむろん責任があると思うし、出先の機関が協力してあらゆる方面からこれを調査してやはり具体的な事実を調べ上げて私は政府としては国会に報告しなければならぬと、こう思うのですが、その点一つぜひ責任を持ってやっていただきたい。むろん責任を持ってやっているでしょうけれども、殺されたというふうな話がありますが、そういう話は聞きませんですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 これはほんとうに困った問題で、今御報告をした中にも述べておきましたように、別府大使もそういう計画を打ちあけられて非常に驚きまして、そういうことはぜひやめてもらいたいということをいろいろ申したそうですけれども、何といっても国会議員の御身分がありますから、大使が何を言うかということになれば、それ以上おとめ申し上げることはできないわけです。その後のことについても外務省としては非常に手を尽くして今御報告したようにやっておるのでございますが、何分にも交通その他の便が非常に悪いところでございますので、なかなか真相がつかめぬのでございますが、現在までやっておりますことは先ほど御報告した通りでございます。われわれとしては出先にしょっちゅうこのことを電報を打って、その後は何かないかというようなことを督促したりいたしておりますのと、それから他の方法も考えております。しかしそれについてやはり辻議員の身分を大事にするという意味から、できるだけその身辺の、安全を期しまするように、どういう方法ということはちょっと差し控えさしていただきたい、こう思っております。

稻村隆一日本社会党

○稻村委員 殺されたという話は聞きませんか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 聞いておりません。

森下國雄自由民主党

○森下委員長 申し合わせの時間になりましたから、本会議散会後再会することといたしまして、休憩いたします。    午後零時十一分休憩      ————◇—————    午後四時三十二分開議

森下國雄自由民主党

○森下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  日本国とフィリピン共和国との間の友好通商航海条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。戸叶里子君

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 ただいま議題にたりました日比の通商航海条約について少し質問をしたいと思います。この条約はフィリピンの方ではまだ批准をされていないわけでございますが、日本の国会で今回先に批准をしようというからには、何か日本にとって非常にプラスな面があると思いますが、これを早くした方がいいという理由を述べていただきたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 すでに御説明申し上げました通り、本条約はわが方から申し入れた条約でございます。そのわが方の申し入れに応じて妥結するに至った経緯は御承知の通りでございます。従って、わが方でまず批准の手続を終了しておくことが順当だと考えられるのであります。のみならず、わが方がまず批准の手続を終了しておきますことは、来年一月から開催されるフィリピンの通常国会に上程されるときに、フィリピン側の審議促進のためにも必要と考えられることであります。そういうような理由で、前国会で、審議未了となりましたためにあらためて御審議を願っているわけでありますが、どうぞすみやかに御審議の上御可決あらんことをお願いいたします。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 前国会で審議未了ということでございますけれども、私どもがまだ一言も質問に入らないうちにほかの問題であの国会におきましてはこれが未了になったわけでございますけれども、ただいまの外務大臣の御答弁を伺っておりますと、わが方から提唱した条約であるから、わが方が先に批准をしたいというお言葉でございまして、それも一つの理由でございましょうけれども、何かほかに具体的に、やはり日本にとってこういうことは特に非常に利益になるから早くしたいというようなことがあるかどうか、その点をもっと具体的に伺いたいのと、もう一つは、この提出されました資料の貿易面を見ますと、昨年度におきましても、日本はフィリピンから輸入超過になっているようでございますけれども、今後におきましての貿易の面で日本の方が有利になるというようなお見通しがあるかどうか、この点を伺いたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 御承知のように日比両国間の国交は、昭和三十一年、賠償協定並びに平和条約の成立によって回復されまして、その後年々両国間の通商関係は拡大せられて友好関係を深めて参ったのであります。この問の経緯については御承知の通りでありますが、そういう点にもかんがみまして、われわれの方としては通商条約を結びたいということを考えまして、先方もだんだんその気になってこの条約の調印ができたわけですが、この間に足かけ五カ年の歳月を要しております。このように長い歳月を必要としたわけは、単にフィリピン人が日本の経済進出について危惧するからというのではなくして、さらに根底には、やはり前大戦が残した傷あとというものが相当長い期間なおらなかったということが、大きな原因であろうかとも考えられるのであります。そのため、数年前に比べますれば事態は大いに改善されましたけれども、なお、出入国、滞在、事業活動の面で対日差別が見られまするので、年々拡大していく日比貿易の発展維持のために、ぜひともかかる事態を改善いたしまして、名実ともに両国間の関係を正常化するということが、本条約交渉を推進して参りました一つの大きなささえであるわけでございます。もともとこの条約交渉は、両国間の関係を完全に正常化するためのものでありまして、両国代表は、十分時間をかけて困難な交渉の上、互譲の精神によって、双方にとり最善のものであると認めて、署名したわけでございます。従って、先ほど申し上げましたような理由、すなわち、わが方からこれを提案して妥結に至ったという理由にもかんがみまして、わが方として先に批准をさせていただく、皆様方に批准をしていただくということをお願いするのが妥当だと考えておるわけでございます。もう一方、この貿易の問題でございますが、これは今の御説明の中にもありましたように、やはり日本国人の出入国がもっと容易にできるようになり、しかも向こうへ滞在することができるようになり、しかも事業活動の面で大いに協力する基盤を条約上与えられるということになりますと、これはおのずから経済が活発になろうかと思うのでございます、これは自然にそういうふうになっていくと思います。そうしてまた経済が拡大することによって、双方の理解がますます深まって、日比間の友好、親善が進もうと考えられるのでございまして、さような意味で私どもはこの通商条約を御審議をいただくことを妥当だと考えた次第であります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 今大臣の長々とした御答弁を伺ったわけですが、結局、向こうへ滞在するようなことがはっきりされて、出入国が自由になれば、貿易の面でも今までよりもずっと円滑にいく、さらに伸びていくのだというふうな結論のように考えたわけでございますが、それでいいわけですね。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○小坂国務大臣 さようでございます。要するに、向こうに旅行者としてでなければなかなか行かれぬというような立場では、やはり先方によく日本の商品を知ってもらうということもなかなかできにくいわけでございます。そういう意味で、この貿易拡大に大いに役立つであろうということを考えておるわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 貿易拡大に役立つであろうということは今後を見なければわからないわけでございますけれども、まあ大臣の答弁をそのまま伺っておくことにいたしまして、私はきょうは、この日比条約の内容と、それから賠償問題にも少し触れたいと思いましたけれども、時間もだいぶ制約されているようでございますので、賠償の方は、時間があったらあとですることにいたしまして、一応この条約の条文で解釈のちょっとわからない点をただしておきたいと思います。  まず、第五条に、「いずれの一方の締約国も、自立を基礎とする自国経済の健全なかつ均衡のとれた発展に役だつような他方の締約国の資本又は技術を自国の領域内に導入することを妨げてはならない。」こういうふうに規定して、相当に日本の資本輸出に対する警戒心を表現しておりますけれども、一般的にはどういう性質のものを帝国主義的な輸出というのであるか、この点を伺いたいと思います。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 帝国主義的な輸出という御質問でございますが……。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 ここに書いてあるところから受け取れる言葉を私が具体的に言ってみたわけです。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 これは決して帝国主義的な資本進出というようなことではないのでありまして、むしろ日比両国間における経済、技術の交流を緊密にやろう、そういうことを妨げてはならないという規定が、この第五条の規定でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 これを裏から読んでみますと、何か相互輸出に対する警戒心というようなものが、この中に含まれているように思われますけれども、こういうふうなことを言われたその裏はどういうことを意味するのか伺いたいと思います。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 フィリピンには新興独立国といたしまして外国からの資本が急激に入ってくると、それによって自国の経済がある意味でいろいろなことでひっかき回される、あるいは独占的にいろいろ支配されるというようなことを警戒する気持があることは、御指摘の通りでございます。しかし、この条約の規定の趣旨は、むしろそういう猜疑心をできるだけお互いの善意と協力によって払拭しながら、日比間の経済、技術の交流を緊密にしていこう、そういう趣旨のことが書いてあるのでございます。なおこれにつきましては、合意議事録の方にこの規定があったと思いますが、要するにお互いの経済計画というものは、自分の国がそれぞれ作るんだ、そうしてその経済計画に合った資本、技術を入れるんだ、こういうことももちろん書いてございます。しかし、これはあくまでも日本からの資本なり技術の進出というものが決してフィリピンの経済計画をそこなう、フィリピンの経済独立をそこなうものでないということが前提となって、すべてできておるのでございまして、決して帝国主義的の経済侵略というようなことを前提として規定しておるわけではないのでございます。繰り返すようですが、要するに円満な経済、技術の交流が行なわれるように努力しようというのが趣旨で規定されておるのでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 交渉の過程でおそらくお考えになったことではないかと思いますが、後進国としてはどういうふうな種類の経済行為というものに対して警戒心を持っているか。たとえば、どんなようなものに対して、これは自分たちの国にとって望ましくないというふうなことを考えておられたか、交渉の過程でお感じになったことがあったらば、それをお示し願いたいと思います。

佐藤日史外務事務官(経済局外務参事官)

○佐藤説明員 交渉の過程で、先方が今御質問の点に触れました唯一のものとわれわれが理解しております点は、フィリピンの国内におきまして小売業に従事する場合にはこれは外国人はいけない、フィリピンだけがこれに従事することができるということでございまして、これは申すまでもございませんですが、フィリピンに国内法がございまして、外国人は既得権を除きましてもう許さない。その法律が成立しました当時に行なっておりました外国人については、その一代に限りこれを許すことができるのでございますが、そうでない場合は、その新しい法律発効以後に外国人がフィリピン国内において小売業に従来することは禁止されております。そういうことに対しまして先方から発言がございました。申すまでもなくわれわれが条約交渉におきまして、先方に求めまして、それで結局合意に達しました点は最恵国待遇でございまして、いかなる第三国人に比較しても劣らない待遇を望むということで先方もそれに同意いたしました。従いまして、最恵国待遇のワク内でフィリピンの政府が国民と外国人と差別するということは、この条約によって排除されておらないわけでございます。そういう点で先方の要求に合致した書き方といいますか待遇ということで、最恵国待遇ということで両者の意見が一致したわけでございます。先方の政策にもいささかも違反しておらない。従って、先方もその点を十分納得いたしておる次第でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私は、この条約について先方が納得したとかしないとかということを伺っていないので、先方がどういうふうな経済行為に対して警戒心を持っていたかというふうなことを伺ったのですけれども、そういうことは交渉の過程においてお感じにならなかったかどうかです。この条約においては満足ではあったかもしれないけれども、フィリピンとしては、こういうふうな経済行為は全く困るんだというふうなことは述べられなかったどうかということを伺ったのです。それが感じられなかったとおっしゃればそれでいいですし、もしもあったとすれば、こういうことがこうだったということを説明していただきたい。

佐藤日史外務事務官(経済局外務参事官)

○佐藤説明員 ただいまも申し上げましたが、具体的なその点が唯一の点だったとわれわれは理解しております。要するにフィリピンといたしましては、まず旧敵国である、しかも現在はアジアの盟邦であるべき日本を相手取って最初の通商航海条約を交渉いたしました。そのためにそこに国力の差というものがあるのはいたし方がないわけでございますが、その点の危惧ということは若干あったかもしれませんですけれども、しかし先方の口からそれを聞いたことはないのでございまして、それは先方といたしましては、ガルシア大統領閣下といたしましては、日本を相手取って最初の通商航海条約を結ぶのであるという決断に踏み切られたわけでございます。先方からその点について交渉中にも特に発言がなかったというのは、まさにそれに由来するものではないかと考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 日本とフィリピンと両国において開港されておる港は、どことどこであるかを述べていただきたいと思います。

佐藤日史外務事務官(経済局外務参事官)

○佐藤説明員 ただいま取り調べまして御返事申し上げます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 では次の質問に入りますが、この開港されていない港に緊急避難以外に入ることは領海侵犯になるかどうかを伺いたいと思います。それでもしもこの侵犯となる場合とならない場合とあるとするならば、それを具体的にどういうときになって、どういうときにならないかということを述べていただきたいと思います。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 船舶の緊急避難につきましては、第六条第五項にこの緊急避難の規定があるのでございます。従って、常識的に申しましてあらしであるとかそのほか不可抗力、そういう場合には、この相手国の船舶と同じ待遇のもとに救助、保護、免除等を与えられるということになっておるのでございます。従って、どういう場合が一体この緊急な事態に当たるかということは、これはいわば国際慣例に基づく一定の基準というものがおのずからあるわけでございまして、いわゆる不可抗力というものに相当すれば、これは緊急として領海のみならず港に入ってこれるということになるわけでございます。従って、これについて国際法違反とかなんとかという問題は、そういう不可抗力の場合には起きないわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 この第六条の三項の奨励金とか関税の払い戻しとはどういうことを意味するのか、説明していただきたいと思います。

佐藤日史外務事務官(経済局外務参事官)

○佐藤説明員 これは輸出奨励の目的のためなどに、一定の原料を輸入いたしまして、それに加工をいたしまして輸出する場合に、輸出しますそれが半製品として輸出されますと、その原料輸入の当時に課しました関税をあとで払い戻す制度で、わが国にもございますが、そういうふうなものをいっておるわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 フィリピンと日本の場合に、たとえばどういうふうなものが想定されるか、具体的な例を一、二述べていただけましょうか。

佐藤日史外務事務官(経済局外務参事官)

○佐藤説明員 フィリピンの場合には一つあるのでございます。それはインドネシアのスマトラから、葉巻の上を巻きますタバコの葉を輸入いたしまして、それをスマトラ・ラパと呼んでおりますが、それを輸入いたしますときに関税がかかるわけでございます。それでフィリピンが葉巻を生産いたしますときに、スマトラから輸入いたしましたスマトラ・ラパを使ってフィリピン製品として輸出するわけであります。そうすると、半製品で輸出するときには、先ほど申しました輸入しましたスマトラ・ラパに課しました関税を払い戻すわけでございます。これはフィリピンの例でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そういうふうなものはたくさんあると想定していらっしゃるわけでしょうか。あんまりないというふうにお考えになりますか。

佐藤日史外務事務官(経済局外務参事官)

○佐藤説明員 交渉当時、先方の説明を聞きましたことと、それからわが方で調査いたしましたところ、スマトラ・ラパ以外にほとんどないという了解に達しました。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 第八条の第二項に紛争の国際司法裁判所付託の規定があるわけでございますけれども、この場合、国際司法裁判所規程の四十条に規定する合意を必要としないものと考えるわけでございますけれども、そう理解してよろしいかどうかを説明していただきたいし、そういうふうな場合に裁判所はどういう手続きによって事件を受理するのか、この際説明していただきたいと思います。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 御指摘の通り、条約自体で、すでに両国は国際司法裁判所に提訴する場合に、これに同意することを合意しておりますから、あらためて特別の合意は要らないわけでございます。従って、両国が外交交渉によっていろいろやりまして、どうしても話が合わない場合には、たとえば日本がフィリピンに対して、国際司法裁判所にそれでは持ち出そうということを向こうに言えば、向こうはそれを拒否できないわけであります。従って、日本は国際司法裁判所に提訴すればよいわけであります。先方はそれを受けて立つということになるわけであります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 それでは、ただ簡単に提訴をするということだけでいいわけでございますね。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 その通りでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 次に、フィリピン人に対してわが国に永住する許可を与えている事例が今までにあったかどうか、その実態と、日本人でフィリピンに永住を許可された事例があるかどうか、この点を伺いたいと思います。その場合に、永住許可というものは相互主義をとっているのかどうか、この点も御答弁願いたいと思います。

佐藤日史外務事務官(経済局外務参事官)

○佐藤説明員 これは相互主義ではないのでございまするが、偶然にも数は一致いたしておりまして、現在日本に永久許可を得て居住しているフィリピン人、反対にフィリピン国内に日本人が永住許可を受けて居住している場合、双方とも七件ずつございます。フィリピン人の場合には、医者で戦争中日本におりまして、許可を得て永住しておる者及びその家族等が七名でございます。これは相互主義でございませんが、偶然数が一致しております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと、今後相互主義でなくて、特別の協定を結ぶわけですか。

佐藤日史外務事務官(経済局外務参事官)

○佐藤説明員 この条約の規定は、ごらんの通り永住の許可に関することは条約の範囲外とするということで、最恵国待遇の除外になっております。それだけのことでございまして、それでは永住の問題はどう扱うかということは全然白紙になっております。これは今後協定をもってやることも考えられます。いずれにしてもこの条約でいっておるのは、条約の範囲外であるということだけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 今のでこの条約の範囲外ということがわかったわけですけれども、今後そういうふうな問題が起きた場合には、やはり両国間で特別の協定でも結ばれる御意思があるかどうか、この際承っておきたいと思います。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 目下のところ、永住許可についての特別の取りきめをフィリピンとの間に結ぶという考えはないのでございます。これは今説明申しました通り、お互いに七件というきわめて少ない数でございます。フィリピン側では、日本人の永住というものをごく例外的にしか許さない方針でおるようでありますので、これはだんだん日比問の関係が改善されまして、もっと緊密な——日本人が幾ら永住しても心配ないというような気分になっていくのが先決でございますので、そういうたい。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 もう一度念のために伺っておきますけれども、そういうふうな問題が起きてから、そのときにあらためて考えるというふうに今のところは了解していいわけですか。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 問題が起きてと申しましても、個々の一件ずつについて協定を結ぶということは考えておりません。従って、将来日比間の国交が非常によくなりまして改善されましたような際に、相田大量の永住許可が与えられるという見通しでもあります際には、あらためてこのことを相談してもいいと思います。今のところまだそういう見通しもございませんし、そういうことをする考えはないわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 議定書の二項に「他方の締約国が相互主義に基づく特別の取極によりいずれかの第三国の国民に対して与えているか、又は将来与える旅券及び査証に関する事項についての利益」とあるわけでございますけれども、日本及びフィリピン両国において、その特別取りきめの前例があるかどうか伺いたいと思います。

佐藤日史外務事務官(経済局外務参事官)

○佐藤説明員 わが国の例を申し上げますと、これは議定書の文句に響いてあります通り、査証あるいは査証料あるいは両者をお互いに免除する相互主義に基づいて免除するという取りきめでございますが、査証だけの相互主義に基づいて免除する取りきめでは、わが国の場合はスイス、トルコ、フランス、ギリシャ、チュニジア、スエーデン、ノルウェー、ドミニカ共和国、フィンランド、これらの国々等ございこれに関します取りきめといたしましては、わが国とカナダ、インド及び連合王国——英国でございますが、この各国の間にございます。次に査証及び査証手数料、二の双方の相互免除に関する取りきめといたしましては、わが国の場合ドイツ、オーストリア、オランダ、イタリア、米国、ベルギー、デンマーク、ルクセンブルグ、パキスタンの諸国と締結いたしておりまして、合計二十一カ国を相手としてこの三種類の取りきめがございます。比国側につきましては交渉中に質問いたしましたが、これはないということに了解いたしております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 その次に伺いたいのは議定書の六項に「公共のため」ということが書いてありますけれども、それはどういうふうに解釈するのかを伺いたいと思います。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 これはいわゆる財産の公用収用、公用使用等の場合を規定しているのでございます。どういうものが公用に当たるかというのは、おのおの国内法できめているところでございます。しかし、これは文明国においては大体一定した基準があると思うのでございますが、日本の場合の公共収用、この規定に準じたものがフィリピンにもある、かように了解いたしております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 政策とか何とかによって違うわけでございますけれども、たとえばある生産部門を国有化してこれを収用する場合にも、この公共のためというような規定が適用されるのかどうか、この点を伺いたいと思います。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 たとえば、フィリピンにはあまり例がございませんが、そのほかの新興独立国には、産業を国有にするということも、ときどきあるわけでございまして、こういう場合はやはり公共の目的のために国有にする例でございます。あるいはその国の国内法でそういうことがきまれば、それは公用に基づく公共のための収用ということに当たるわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 念のために伺いますけれども、その国の国内法によって国有化された場合にも、それは公共のためということで収用されるということに理解していいわけですね。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 その通りでございますが、もとより公共のために収用する場合には、正当補償ということをこの条約には条件にしております。従って、そういう場合には正当の補償というものを日本としては要求する権利があるわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 その次に、議定書の七項に「第三国の国民がその所有又は管理について直接又は間接に支配的利益を有する会社」ということがあるわけでございますけれども、日本の国にある会社でそういう会社が存在するかどうかを伺いたいと思います。

佐藤日史外務事務官(経済局外務参事官)

○佐藤説明員 具体的にどういう会社があるか実は知らないのでございますが、ここで意図しております点は、日本にある間接に利益を有する会社の適例を申し上げますと、日本法人の会社が存在いたしまして、その会社の株式をフィリピン人が所有しておる、しかもその会社の財産が公用収用されるというような場合に、その財産の収用の場合にもこの条約の規定の適用がある、正当な保証を払わなければいけないという規定が、その場合にも適用があるという場合を予想して設けたものでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 具体的にどういうふうな会社があるか知らないということでございましたけれども、大体こういうふうな会社がそれに適用されるということがおわかりになっての交渉じゃなかったのでしょうか。たとえば、こういうのをこれに適用するのだということがおわかりになって私は交渉したのじゃないかと思うのですけれども、もう少し具体的に伺いたいと思いますし、ここでもって「直接又は間接に支配的利益を有する」とありますけれども、この直接の場合と間接の場合とをもう少し具体的に説明していただきたいと思います。

佐藤日史外務事務官(経済局外務参事官)

○佐藤説明員 直接に支配的利益を有するという場合には、今申し上げましたような実は日本人の法人がございまして、日本人もしくは第三国法人でもいいわけでございます。たとえば東京に日本法人が所在いたしまして、その株式をフィリピン人が所有しておる。しかもその会社の持っておる財産、その中にはフィリピン人は直接の利益を持っている。それが収用されるという場合が、会社に対しては直接の支配関係ということになります。  それから間接の場合には、たとえばそのほかに日本法人が二つ入りまして、Aという日本法人がおって、そのAなる法人が財産を持っておる。その財産が公用収用を受ける。しかし、そのAなる日本法人のほかにさらにBなる日本法人が資本的に支配しておる。そのBなる日本法人についてフィリピン人が株式を持っておるという場合が、間接という場合になると思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 今これに該当するような会社は、日本にもフィリピンにも全然ございませんか。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 ただいま佐藤参事官が申したことをちょっと補足いたしますが、日本の法人はフィリピンで今事業を行なうことを認められていないのでございます。個々の商売する人が行っているのはございますけれども、法人として事業をしておるものはございません。従って、日本の向こうにおります法人についてはそういう例は現在ないわけでございます。フィリピンの日本におります法人については、活動しているフィリピン法人というもの、これまたほとんど日本にないのでございます。あるいは小さな商社等はあるかと思いますが、日本において法人として活動しておるものの調べは、先ほど佐藤参事官がないと申しましたが、要するに、調べに値するほどのフィリピン法人の活動しておるものが実はないのでございまして、従って、今それに適応する具体的の事例があるかというお尋ねにつきましては、まずほとんどないのではないかということは申し上げられると思います。詳細の調べは実はないのではなはだ申しわけございませんが、実際の活動はそういう状況でございますので、特に調べるほどの価値はないという実情でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 調べる価値がないかもしれませんけれども、やはり日本とフィリピンとの間の通商航海条約を審議する上には、そのくらいのことはお調べになっておいてもいいのではないかと思うわけです。  私はまだいろいろ質問したいのですけれども、大へんに大臣もお急ぎのようなので、もう一点だけ伺いたいのですが、この議定書の十項の(2)に沖繩の原住民という言葉を使っているわけですけれども、この原住民という解釈を明らかにしていただきたいと私は思います。この場合に住民という言葉だけではいけないのでしょうか。原住民というと、日本の国から見ますと、同じ国の県人でありながら、何か非常に違った人のような感じを受けるわけですが、わざわざ原住民とした理由は何にあるかを説明していただきたい。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 原住民という言葉があまり適当でないということですが、われわれ常識的に申しますと、原住民というのは確かにあまり響きのいい言葉でもないようでございます。けれども、この関係の規定は、実はあらゆる通商航海条約に出ている例文でございまして、従って、その例によって、この日比条約でも原住民という言葉を使っておるのでございますが、意味するところは、沖繩に籍のある日本国民、こういうことでございます。住民とどうして言わなかったかと申しますと、住民の中には実はアメリカ人も相当おるのでございまして、住民とだけ言ってしまいますと、アメリカ人等の外国人が入ってしまいますので、やむを得ず原住民という字句を使っておるわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと、日本から沖繩へ行って、そうしてそこに居住している人はここに入れないわけですか。それから、沖繩から日本に来た場合には、その人はこの適用を受けるということになるわけでございますか。この点をはっきりさしておいていただきたいと思います。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 原住民の原の意味が、要するに沖繩に戸籍のある人という意味で使っております。従って、日本に戸籍のある人で、沖繩へ行ってそこに滞在しておる人、これはむしろ、日本のいわゆる本州なり、四国なり、九州なり、こういうところの人が行っているということで、この扱いはしないことは、これは当然でございます。  それから、沖繩に戸籍のある人が日本に来ている場合はどうかといいますと、この条約の規定からいえば、この方々も原住民に入るわけでございますが、日本に来ておられる方は、日本国民として、ほかの日本国民と一つも違わないわけでございまして、従って、特にこの原住民に相当するということを言う実益はないわけでございます。われわれがこの原住民という言葉で考えておりますのは、沖繩に戸籍のある人で、現に沖繩に住所を持っておられる人、住んでおられる人、かように考えておるわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 これは、この種の通商航海条約の言葉として使われているのだということでございますけれども、やはりこれを翻訳されて、原住民という言葉は私たち何か奇異な感じがするわけでございまして、これから通商航海条約をほかの国とも結ぶ場合に、こういうような条項が出てきた場合には、ただインハビタントだけで交渉するということは可能であるかどうか。平和条約の場合にはインハビタントだけです。ところが今度の場合にはネーティブ・インハビタントと書いてあるものですから何か奇異な感じがするわけですけれども、今後通商航海条約をほかの国と結ぶ場合には、いわゆる原住民といわずに、住民というだけで済まされないものかどうかを念のために伺っておきたいと思います。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 実は、非常にありがたい御注意でございますので、われわれとしてもよく考えて研究してみたいと思っております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 まだたくさんあるわけですけれども、大へんお急ぎのようでございますから……。

森下國雄自由民主党

○森下委員長 他に御質疑はありませんか。——御質疑がないようでございますから、これにて本件に対する質疑は終了いたしました。

森下國雄自由民主党

○森下委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので直ちに採決に入ります。  日本国とフィリピン共和国との間の友好通商航海条約の締結について承認を求めるの件、右の件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の御起立を求めます。   〔賛成者起立〕

森下國雄自由民主党

○森下委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  なお、本件に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森下國雄自由民主党

○森下委員長 御異議がないようでございますから、さよう決定いたします。本日はこれにて散会いたします。   午後五時十分散会

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