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39回国会衆議院1961/10/20

外務委員会 第7号

発言数
25
登壇者
6
会派数
2
開催日
1961/10/20

会議録

森下國雄自由民主党

○森下委員長 これより会議を開きます。  関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国の譲許表)に掲げる譲許を修正し、又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書の締結について承認を求めるの件及び関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国の譲許表)に掲げる譲許を修正し、又は撤回するためのドイツ連邦共和国との交渉の結果に関する文書の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。松本七郎君。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 ガットに関するアメリカとの交渉なんですが、国会の承認が事後になったという結果になっております。その間のいきさつを一つ御説明願いたい。

川村善八郎自由民主党外務政務次官

○川村政府委員 本問題につきましては前の国会の提案いたしたのでございますが、不幸にして国会がああいう状態になりまして通らなかったので、どうしても事前承認ということでなしに事後承認ということに相なりましたので、この際承認を願いたいということでございます。内容につきましては事務当局から御説明いたします。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 ただいま政務次官が御説明されましたような経緯で事後承諾をお願いするということになったわけでございますが、どうしていわば例外の措置である事後承諾をお願いすることになったかという事情について、御説明いたしたいと思うのでございます。  一番の問題は、要するに大豆の自由化ということがすでに相当前からのアメリカとの交渉の内容になっておりましたのみならず、アメリカとはっきりした約束がありまして、七月一日には大豆の自由化を実施するという約束があったわけでございます。これはガットの交渉をいたします際にあたりまして、当初から、いつからほんとうに自由化を日本はしてくれるかということで、一番大きなものとしては大豆が残っておったのでございますが、何回も日本とアメリカとの間の話し合いになりまして、最初日本は昨年の十二月から実施するつもりでいたのでございますが、なかなかそれがいろいろな事情でできない。その次には四月ということでございましたが、これも実施できないということで、これは必ず七月一日には、前通常国会の間に御承認を得られるという見通しを立てました。そうすれば相当時間のゆとりを見ましても七月一日までには批准、承認の手続をすることができる、国会の御承認を得た上で承認の手続ができるということを予測いたしまして、七月一日から実施する考えであるということをはっきり、これは昨年の初めに約束しておるのでございます。ところが、国会の御審議は、四月二十日ごろにはすでに国会に御提案申し上げたのでございます。それでこの衆議院におきましても非常にこれを検討していただいたのでございますが、御承知の通り外務委員会では検討を済ましていただいたわけでございますが、遺憾ながら通常国会の最後の段階におきまするいろいろの事情から、国会の御審議がおくれまして、会期が終わったという事情になったことは御承知の通りでございます。従って、初めアメリカに約束いたしました七月一日までには、国会の御承認を得られないということになりました。一方外交的な見地から申しますと、アメリカに対してはっきり約束しております関係上、ぜひ七月一日からは実施しなければならないことになったのでございます。こういう外交上やむを得ない事態がある場合には、憲法七十三条第三号、時宜により事後に国会の御承認を得るというあの条項を発動することが可能であると考えまして、政府におきましては例外的措置ではございますが、事後承認を国会にお願いするという方針をきめまして、このガットの文書、これは六月二十八日にガット事務局長に七月一日からこれを実施するということを通告いたしたのでございます。従って、七月一日からこの文書が発効したわけでございます。ただいま政務次官が御説明いたしましたように、この国会に事後承認をお願いしておる、こういう事情になっておるわけでございます。  なお一言つけ加えておきたいと思いますが、政府としましては、この条約について国会の事後承認をお願いするということはあくまでもやむを得ない例外的措置に限る、こういう方針を従来からとっておりますが、今後ともその方針には変わりないのでございまして、ほんとうに外交上やむを得ないという場合に限ってこういう措置を例外的にとらしていただきたい、かように考えております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 これは真にやむを得ない場合は事後承認もいたし方ないと思いますけれども、今回の場合は今御説明のように、以前からアメリカとの約束があったということで、その点ももちろん大切なことであります。しかしアメリカとの関係は今の御答弁にもあるように、自由化の問題と関連して、これは単なる条約だけではない。それが国内にいろいろな影響を及ぼすことは、問題になった当時から当然予想されることなんです。そうすれば真にやむを得ない事情というのはアメリカとの約束とか、そういうことだけでは判断できないのであります。当然貿易の自由化をめぐって大豆、菜種の国内保護政策というものとの関連もありますから、一体どの程度の自由化に備えて国内的な準備措置ができておるか、これを両方勘案して、はたしてアメリカとの約束を重んずべきか、国内政策の充実の方を重んずべきか、こういう観点から条約の事後承認の当否をきめなければならない。ですからただ、今の御説明のアメリカとの約束だから仕方がなかったということだけでは、私どもは納得できない。そういう点をもう少し御説明願いたい。

松岡亮農林事務官(農林経済局参事官)

○松岡説明員 国内対策が十分とれた上での七月一日からの自由化をやったかという御質問であるかと思いますが、これにつきましては農林省としましては御承知のごとく、国会でも国内におきましては大豆なたね交付金措置法案を御承認いただきまして、それによりまして国内の生産者に対して交付金を付する、それからもう一つは関税の引き上げをやる、さらに生産の奨励対策、改良対策を講ずる、この三つの対策をとることをはっきり言って参ったわけであります。  まず第一点の関税の引き上げにつきましては、今外務省から御説明がありましたように、この文書が発効することによりましてその措置がとれるわけでございます。第二点の大豆なたね交付金措置法案につきましては、これは交付金の交付に関して恒久的といいますか、制度としては法案の成立を待ってから実施するのが望ましいのでございますけれども、国会の御承認を得るまでの措置としましては、予算が成立しておりますので行政的にも可能でございますから、閣議了解を得ましてそれを実施するということにいたしたのでございます。  なお生産奨励対策につきましても、これは予算が成立しておりますので法案の成立とは関係ございません。これは別途実施いたします。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 今御説明の程度の国内政策で十分かどらかということは、これは行政府だけの判断ではいけない。やはり条約審議、事後承認をめぐって、国会でその国内的な政策についても十分な論議をするということを経る必要があると思う。そこに私は、国会をはたして十分尊重してなされておるかどうかということの判断の基準があると思う。ですから、今国会でもすでに大豆、菜種についてはずいぶん論議がされておるのですから、そういう動向を見ても、政府の今の御説明のように、予算もこれだけできておる、それから法律とは関係がないということだけでは、はたしてこれが事後承認やむなしという結論が得られるかどうか、そこに非常な疑問がある。もう少し国会の審議、国会の尊重という観点から、事後承認というものは考えるべきものではなかろうか。そういう点から質問している。交渉に当たられる外務当局としては、その点はどう考えておられるのですか。それはもう実際の農林省その他にまかせておくのだ、自分の方はとにかくアメリカとの交渉の面だけを担当すればいいのだ、こういう考えでは事後承認というような大事な憲法上の問題をきめることはできないと思う。やはり交渉に当たるもの自体が、そういうところまで広く考慮して交渉すべきものだと私は思うのです。外務省の態度はいかがですか。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 大豆の自由化に伴うガット関係の文書を七月一日から発効させる、国会の事後承諾をお願いするということで発効させるという措置をとるにあたりましては、ただいま松本委員から御指摘のありました通り、政府としても非常にこれは慎重に検討したのでございます。いわば例外の措置をとるということのほかに、十分国内措置等が整備されないで大豆の自由化に踏み切るということであれば、ことは大へんなことになるわけであります。国内官庁、主として農林省、通産省あるいは大蔵省等と協議いたしました結果、国内措置については、国会に御審議を願いました法律案が通らなかったことは事実でございますが、行政権でできる範囲内のことで相当程度の大豆の自由化に伴う善後措置が国内的になし得るというめどが立ちましてて、そうであるならば、いわば臨機の措置として国会のほんとうの御承認を得るまで大豆の自由化を行なうということはさして支障なく行なわれるのではないか。大体見通しといたしまして臨時国会で御承認を得られるという目途で進みますれば大体半年ぐらい、あるいはこの次の通常国会と申しましても一年足らずでございますが、それまでの間は大丈夫やっていけるという自信を持ちまして、この措置に踏み切ったのでございます。外務省としてはもとより外交方面を担当しておったわけでありますが、外交方面の要請と国内における保護措置というものと、これは両方そろわなければいかぬのでございますが、その点十分見きわめましてこの措置をとった次第でございます。その点はわれわれとしては懸念がないと考えております。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 関連して。  条約局長の今の御答弁でアメリカとの約束があったというのですが、条約上その約束というのはどういう性質のものですか。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 ガットの交渉をジュネーブで始めます際に、わが方の代表とアメリカの代表との間に、大豆の自由化をいつ実施するかという問題が起きまして、その際に両代表間の約束といたしまして、わが方は七月一日に実施する予定である、かようなことを申したのでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それは条約上のと伺ったのは、その代表間において権利義務を生ずるような約束という意味ですか。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 政府の方針といたしまして先方に伝えたわけでございますす。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 政府の方針というのは、行政措置としての政府の方針ですか。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 これは憲法に定められております内閣の外交事務を執行する権限に基づく措置でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 それじゃ憲法上に規定された外交上の事務、これは行政上の問題も当然あるわけですが、そうすると、そういう約束をしておった、そうして国会ではいろいろなごたごたがあったということも御承知の通りなんだが、しかしそういうことを国会の承認を得ずして憲法上のことをやるという場合に、よほどこれは慎重でなければならないと思う。そういう点について、場合によっては国会で不承認になる場合もあり得るわけですね、法律上からいえば。そういう点についてのやはり法律上、条約上の立場を、条約局長としてはよほど慎重にやられなければならないことだと私は思うんですよ。そういう点から見て、事後承認という態度をとったというのは、私は非常に遺憾だと思う。こういう点についてもう少しわれわれの納得のいくような御答弁がないと、ちょっとこの問題はわれわれは先ほどの答弁だけでは了解しかねるところもあるわけですね、条約上の面から。そういう点をもう少しわれわれの納得のできるような形で、必要があればざっくばらんのお話もけっこうですし、そういう点ももう少しお話をいただくと、大へんけっこうだと思います。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 岡田委員の御指摘の通り、外交上のいろいろの約束をいたします際でも、それがたとえば将来の条約がいつ成立するかというようなことに関連した問題であります場合には、これは非常に慎重にしなければならないこと、当然でございます。従って、この自由化を七月一日からという約束をわが代表がアメリカの代表にいたします際にも、その点は考えたのでありまして、本省と十分打ち合わせした結果、そのとき想像されるタイム・テーブルとしては、大体間違いのないというところを予想いたしまして、七月の一日という日をきめたのでございます。これは通常の予想からいたしますれば、当然通常国会において御審議を願って大豆の自由化についての措置をとり得る。しかもこの国会で御審議を願う内容は、いわば大豆の自由化に伴ってわが方の産業を擁護する、保護するという意味での措置でございますので、つまり大豆の関税を上げるという関係の措置でございますので、これについてはまず国会での御承認を得られるであろうという十分の見通しを立てまして、その約束をしたのでございます。さて、その七月一日の約束が、国会の御承認を得るという前提のもとに実施することができなくなったという事態が起きたわけでございますが、その際に、それでは事後承認という方法でこれを発効せしめるか、あるいは七月一日という約束をほごにいたしましてこれをずらすか、この判断は実は非常にむずかしい判断でございまして岡田委員の仰せられる通り、いわば例外の措置である事後承認という措置をとるということを決断するには、相当これは考慮したのでございます。ことに今条約局長としてというようなお話もありましたが、条約局長としては、まさにこれは非常に重要な事項でございましたので、外務省内で十分検討を重ねまして、自民党の方ともいろいろ御相談いたしました結果、やはり大豆の自由化——大豆のみならす、日本の貿易の自由化というこの大方針というものは非常に重大な方針であり、しかもそれが今まで何回となく延期に延期を重ねておるというような事態、もうこれ以上遷延するということは国際信義上とうていこれは認めるわけにはいかぬという、いわば政治的考慮から事後承認に踏み切ったのでございます。単に法理上の見解のみならず、重要な政策決定というものも含まれまして、両者相待ちまして、この措置をとった次第でございます。しかしながら法理的に申せば、もちろん憲法に十分定められた規定でございますので、これは当然とり得るわけでございます。実際の運用としては条約をあずかっておりますわれわれとしては、できるだけこれはほんとうの例外に限るという方針でおるべきことは当然でございまするが、その間の調整は、先ほど申し上げましたように、いろいろ相談の結果、やはりこれでいくのが一番よかろうということに踏み切った次第でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 私はその話を今聞いておって、非常にふに落ちない面が出てきているわけですよ。と申しますのは、去年の一月に条約上という約束ではなくて、行政的な話し合いで約束ができた。その約束の内容というものが、国会の承認を要すべき国の権利義務に関する関係としての内容を持つものである。だから国会の承認をとるわけですね。そういうようなことを国会の承認をとらないで、事後承認という道もあるわけですよ。そういう道をとらないで正式に国家間の約束を取りきめてしまったということになると、われわれの国会の審議権の立場からいうと、これは野党だから、与党だからという立場を離れて、与党の諸君も含めて、審議権の立場からいうと、行政上の国家間の約束をしたことを、しかもその内容が国家間の権利義務に関するようなことを勝手にきめてしまって、国会の審議権というものは、その限りにおいては全然無視される。そういうことになってしまうと、いわゆる国会の審議権というものがその限りにおいてじゅうりんをされて制限をされたことになるのじゃないか。もちろんあなたはそういうように申しますと、憲法上には事後承認の道もあるのだから、これは必ずしもそうではないというようにお答えになるだろうとは私は思うけれども、しかし私たちとして考えた場合に、新しい憲法のもとにおける国会の審議権の問題から考えると、行政権というものが先に国家間の約束をしてしまって、しかもその内容が国家の権利義務に関するようなことを約束してしまって、そうして国会の承認をとらないで、先にそれに対する承認を与えてしまったということになるといかにも国会の審議権が軽視をされ、制限をされたという結果に終わってしまうのではないか、こういう点を実は私たちは懸念をするわけなんですね。そういう点からいってやはりこういうものが一つの例になるということではもちろん困りますし、こういう点がはっきりされておきませんと、いわゆる国会の審議権と行政権との関係で紛淆を生ずるという危険性もあるので、これは外務委員会として、与党の諸君も含めてよほど慎重にやりませんと、これは今日の事態であるだけに、私はちょっと問題である、かように考えて念を押していろいろと伺っているわけなんです。ですからここら辺のところが、やはり先ほどのお話だけを伺っていると、国と国との関係で、政府間の行政行為として、約束してしまって、その内容が国の権利義務に関するようなことである。そういうことをきめてしまって、国会の承認もとらなかった。あとの臨時国会で今度承認をとるということになるわけなんだが、こういうことでは国会の審議権との関係において非常に疑問があると思うのだが、こういう点ははっきりもう一度しておいた方が私はいいと思う。これはおそらく与党の委員諸君だって、この点は国会審議の建前からいって、こういう点はこれでけっこうだということにならないと思うんですが、与党の委員諸君も、だいぶ眠い方もあるかもしらぬが、よく聞いていただいて、(「よく聞いている」と呼ぶ者あり)野田さんではなく、その付近にいる人は頭が下がってきたから……。そこら辺ほんとうに冗談話じゃなくて、はっきりしておいた方が私はいいと思うんです。この点やはり条約局長として、だから私は条約局長としてと言っているのは、その点があるから、私は念を押して伺っているのであって、その点はっきり一つ御言明を願って、今後に対して累を及ぼさないということは先ほども御答弁がありましたが、再度確認する意味においても、そこの点はっきりしておいていただきたいと思います。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 このいわば例外的措置が、決して今後しばしば行なわれるということがないようにという最後の点は私ども全く同感でございまして、その点ははっきりわれわれとしても従来通りこれを例外的な場合に限るということがお約束できる次第でございます。ただ前段にございますわが方の代表がジュネーブで七月一日から大豆を自由化する予定だということをアメリカの代表に言いました点、これは外交上当然実はできる約束であったわけでございます。その間の事情を御説明いたしますが、要するに貿易の自由化ということは、これはもう一年に一回あるいは三回にわたりまして大幅に従来やってきておるのでございます。これはいずれも行政権の範囲内でできる措置でございます。従って、大豆の自由化といえどもその点は変わらないのでございまして、これは行政権だけで当然自由化できる措置でございます。国会との御関係が生じますのは、やはり関税を上げるとか、あるいはそれに伴う国内措置を講ずるということからこの国会の御関係が出てくるのでございます。アメリカとの関係ではそういう国内措置をとるかどうか、あるいは関税を改正するかどうかということは、実は日本のこれに関連する所要の措置でございまして、アメリカとの外交関係におきましては、あくまでも大豆あるいはラード等を自由化するという点だけがアメリカとの関連になっておるのでございまして、従って、アメリカでは別に七月一日までに必要な関税改正を行なうからということとからみあわせて約束しているわけではないのでございまして、大豆の自由化は七月一日からやる方針であるということをそのときに約束したわけでございます。しかしながら実質問題に入りますと、これは当然御指摘の通り必要な条約上の措置を講じなければ日本としてはできないわけでございまして、実質からいいますと、これはまさしく関連するわけでございますが、いわば外交的な約束で勝手に国会の審議権を拘束するようなことはよろしくないという点は、大豆の自由化を実施すると約束した点だけからいえば、やはり必ずしも当たらない。従って、仮定のことではございますが、七月一日から大豆の自由化をいたします際に、たとえば関税も引き上げないということでそういう自由化措置をとることも、これは一つの観念論としては不可能ではないのでございまして、従って、理論的な問題といたしましてはそういう約束をいたしましたことが、すぐに国会審議権を無視するようなことになるという点は、必ずしもそうでないということをお答えしたいと思うのでございます。しかしながら、実体についてはこの裏にあるわけでございますから、これはもちろん慎重に取り扱わなければならぬことは当然でございます。慎重に取り扱いました事情につきましては、先ほど御説明いたしました通り、ほぼこれなら間違いないという時期を選びまして、先方に通知したわけでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田(春)委員 もう関連ですからよしますけれども、御答弁を聞いていると、ますますこれはおかしくなってくるのですよ。あなたの論理から言うと大豆の自由化については行政上の措置としてはとり得るのだ。それなら大体そのときいわゆる昔流に言うとアグリーメントを結んで、それでいわゆる国際間の権利義務は成立すればいいわけではないですか、大体国会にかけるのはおかしいのだ、こういうことになるでしょう、あなたのその論理の発展から言うと…。むしろ国会にかけたということは、そういう取りきめに基づいて関税、ガットに関するいろいろな手続をして、初めていわゆる国家間の権利義務を生ずるような関係を作らなければならないので、去年の一月ですかかにアメリカの代表との間で話し会いをしたというのは、これは国家間の権利義務を生することではなくてて、単なる政府代表間における申し合わせにすぎない、こういう法律的な意義しか特たないのだと解釈すべきではないか。あなたの先ほどの答弁を聞いていると、これは行政的にやり得るのだから、それでやってもいいのだということになれば、あとのガットなんかかける必要はないのでね、それでそのときに効力を発生すればいいわけじゃないですか。ガットに関することは別にやる、そういうことになるわけなんで、そうなるとますます私は国家の権利義務に関することの一部を両国の政府代表間において話し合いをした、しかしこれは国家間における権利義務を生するものではない、権利義務を生するのはそれに基づく条約の承認を得て初めて——あるいは事後という場合もありますから、その国家が必要な手続をとることによって国家間の権利義務を生するのであって、行政府間の代表の申し合わせがそのまま同時に権利義務を生ずるものではない、こういうように解釈すべきだと私は思っている。先ほどの話を伺うと、むしろ行政事務の方でもう先にできてしまっているんだ、だから国会の方はあと手続だけなんだからというような印象をますます与えるような感じがしますが、そういうような意味で御答弁になったんじゃないのでございますか、その点はどうですか。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 岡田委員の仰せられることと本質的には私同感でございます。私の申し上げておりますことは、要するに二つの別のことが今あるわけでございまして、一つは七月一日から大豆を自由化するという問題、これは行政権だけでできる問題でございます。もう一つは大豆の関税を従来の一〇%から一三%に上げるということは、ガットの協定——関税でごさいますから関係国、アメリカと相談しなければできないことでありますが、この関税を上げるという問題がもう一つあるわけでございます。実体的には、この二つは不可分の関係になっているものでありますが、問題としては二つ別の問題があるわけでございます。わが方の代表がアメリカに約束いたしましたことは、前者について約束したのでございまして、七月一日から大豆を自由化するということを約束したわけでございます。これはいわば行政限りで当然できる約束をしたわけでございます。大豆の関税率を一〇%から一三%に上げるのを、七月一日から実施するんだということを約束したわけではありません。もしこれを約束したとすれば、まさしく国会の審議権を干渉することになるわけであります。その約束はできないわけでございます。それをしたわけではございません。しかし政府としてはこの二つを不可分と考えておりますから、第一の約束を実行するにあたっては、やはり第二の方も一緒に発効させたいということで、国会の事後承諾をお願いした、こういうことになるわけでございまして、実質については、岡田委員の仰せられた通り、やはりこういう問題は慎重にしなければいかぬ問題だと思います。ただ形式的に申しますと、代表のやりました約束というものは、必ずしもそのこと自体ですぐに国会の審議権をどうこうするということにはならぬじゃないかということをお答えいたしたわけであります。

森下國雄自由民主党

○森下委員長 他に質疑はございませんか。——御質疑がないようでありますから、これにて本件に関する質疑は終了いたしました。     —————————————

森下國雄自由民主党

○森下委員長 これより討論に入りたいと存じますが、右二件につきましては別に討論の通告もないようでありますから、直ちに採決いたします。  関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国の譲許表)に掲げる譲許を修正し、又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書の締結について承認を求めるの件  右の件を承認すべきものと議決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

森下國雄自由民主党

○森下委員長 起立多数でございます。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国の譲許表)に掲げる譲許を修正し、又は撤回するためのドイツ連邦共和国との交渉の結果に関する文書の締結について承認を求めるの件  右の件を承認すべきものと議決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

森下國雄自由民主党

○森下委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました二件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森下國雄自由民主党

○森下委員長 御異議がないようでありますから、さように決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十六分散会

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