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39回国会衆議院1961/10/11

運輸委員会 第5号

発言数
108
登壇者
12
会派数
2
開催日
1961/10/11

会議録

簡牛凡夫自由民主党

○簡牛委員長 これより会議を開きます。  モーターボート競走法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。勝澤芳雄君。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤委員 ただいま議題となっておりますモーターボート競走法の一部を改正する改正案について質問をするわけでありますが、まず、この法律は、公営競技調査会の結論が出ないから、その結論が出るまでの間とりあえず一年延期しなければならぬ、こういう建前で出されておるわけであります。しかし、公営競技調査会の結論がもうすでに出ておるわけでありますが、具体的には出てから二カ月ももうたっておるわけで、時間的には十分私は余裕があったと思うんですが、そういう建前からいうならば、やはり根本的にどうするか、こういう改正案が出てくるのが妥当ではないだろうか、こういうように思うんですが、まずその点をお伺いいたしたいと存じます。

有馬英治自由民主党運輸政務次官

○有馬政府委員 御承知のように、本年の七月二十五日に答申案が出ております。その趣旨に従いまして、今後運輸省といたしましては具体的な方策を立てていかなければならないのでありますが、何分にもその答申案の趣旨も多岐多様でございます。これを直ちに法律案その他に改正案として仕組みますには、相当の時日を要します。同時にまた、モーターボートだけでございません。自転車競技法その他の同様な種類のものとの関連もございまして、関係各方面で目下作業を進めている最中でございます。今国会には間に合いませんでございましたが、遠からず原案を作りまして、国会に御審議願うことになる、こういう考えでございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤委員 そうしますと、この国会には間に合わなかった、次の通常国会には必ず改正案が出てくる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。

有馬英治自由民主党運輸政務次官

○有馬政府委員 仰せのような目途で作業を進めております。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤委員 そこで、通常国会に出されるであろう改正案の骨子は、どういうものを今お考えになられておるのですか。

有馬英治自由民主党運輸政務次官

○有馬政府委員 まだ具体的に明確にはなっておりませんが、いわゆる問題点というようなものにつきましては、部内において検討いたしております。船舶局長からお聞き取りを願います。

水品政雄運輸技官(船舶局長)

○水品政府委員 調査会の答申書には十三項目の問題点がございまして、そのすべてにわたりまして、全面的なモーターボート競走法の改正について現在検討を進めておるのであります。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤委員 そこで、私は公営競技調査会なるものについて大へん疑問がある。一体公営競技調査会を作らなければならなくなったいわゆる根拠はどういうものかというふうに考えてみますと、やはり競輪を中心としたこれらのギャンブル行為について、盛んに世論の中から、これは再検討すべきだ、こういう意見が出されたと思うんです。その意見は、やはり縮少するとか廃止するとかいう方向が一つ示されておるはずだと思うのです。そういう建前から公営競技調査会というものを作った。しかし、公営競技調査会というものは、政府の考え方の隠れみの的なものになってしまった観があると思う。言うなれば、この前この法律が出されましたときに私も質問したわけでありますが、調査会の構成メンバーを見れば、大体方向がきまるというのが、今日の常識ではないかと思うのです。たとえば運輸省の認可行政というものは、運輸審議会に諮問を出され、答申が出たらすぐそのあした実施になる。極端に言うと、答申が出たその日実施になる、認可になっている、こういう事例がたくさんあるわけです。そうしますと、公営競技調査会は、このような世の中の批判を避けるために作られたものであって、結論はわかっておった、私はこういうように思うのです。  そこで一体公営競技調査会の審議の中で、具体的にどのような方々が競輪を中心としたものを縮少すべきである、廃止すべきであるという意見を出されておったか、それがどういうふうにこの調査会の答申に反映されているのか、こういう点について、これは総理府ですか、どちらからでもけっこうですから、お答え願いたいと思うのです。

西謙一内閣審議官

○西説明員 調査会の審議内容につきましては、非公開の原則になっておりますので、だれがどういうふうに主張したか、だれが反対したかということを、事務当局として申し上げられないと考えております。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤委員 それは、会議は非公開であっても、議事録はとってある、こういうことになっておるわけであります。ですから、どういうふうな意見が出されたということは別に差しつかえないじゃないかと私は思うのですが、その点どうでしょうか。

西謙一内閣審議官

○西説明員 議事録はおとりしてございますが、その議事録を公表するかどうかにつきましては、一応私たちだけで公表してよろしいということはできないというふうに考えております。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤委員 そこで、やはり総理府の長官がお見えにならないと工合が悪いのではないかと思うのですが、私はこう思うのですよ。委員の選定は、政府にまかされているわけですから仕方がないと思う。しかし、国民の現実起こっている声というものを反映するような委員の構成でなければならないと思う。ですから、そのためには、委員会の議事その他というものは、こういう意見があると堂々と述べていいと思う。言うなれば、この前競輪で参考人に呼ばれた方々が、その中で、相当有名な方が出ているわけですけれども、堂々と競輪の賛成論を言っている、あるいは競輪の反対論を言っているわけです。今日のそういう賛成、反対の意見は、イデオロギー的なものではないわけです。ですから、そういう建前から、やはりこういうものはあまりイデオロギー的なものでなくて、今の国民世論というものを真に代表するような出し方ということが正しいのじゃないかと私は思うのです。私の質問、そんなに長い時間かかりませんので、その間に長官も出られたら出るような御手配を賜わりたいと思うのです。  そこでどうなんでしょうか、議事の中で相当参考人の意見を聞いた、こう言われるのですが、参考人というのは具体的にどういう方々でしょうか。

西謙一内閣審議官

○西説明員 参考人としましては公営競技の参考人、これは公営競技の実情の立場からの参考人と、それから公営競技の被害をこうむっている立場からの参考人、両方お呼びしたわけでございますが、公営競技関係人といたしましては、中央競馬会副理事長の藤原正治、中央競馬振興会の栗林友二、それから関東地方競馬組合総務部長鈴木勇、それから横浜市長半井清、それから東京都競馬会社社長久保田栄、以上が競馬関係の参考人でございます。それから競輪関係でございますが、競輪関係としましては、日本自転車振興会副会長の新井茂、全国自転車振興会協議会会長佐々木健太郎、それから全国競輪施行者協議会の、立川市長の桜井三男という方、それから全国小型自動車競走会連合会専務理事の依田栄、東京小型自動車競走会会長栗山長次郎、飯塚市長の吉田繁、それからモーターボート競走に関しましては、全国モーターボート競走会連合会会長笹川良一、それから全国モーターボート競走施行者協議会会長であります府中市長の小林茂一郎、それから全国競艇所有者協議会事務局長高橋百千という方、以上の方々の御意見を伺いました。それからもう一つ、弊害につきましては警察庁、警視庁、それから消防庁等の意見を聞いて、それらの作成いたしました犯罪統計等を参考にいたしたわけでございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤委員 この中の委員の学識経験者というのですが、賛成側の学識経験者でなくて、積極的に反対意見を持っている学識経験者、こういう民間の人の意見というものは聞かなかったのですか。

西謙一内閣審議官

○西説明員 特に反対者という方はお呼びいたしませんでしたけれども、それは新聞とか雑誌その他の世論、そもそも公営競技の調査会を作るに際してすでにありました一部の世論等も十分委員の方々に反映しておるというふうに考えまして、特に反対者という方はお呼びいたしませんでした。また組織的にもございませんので、どの方を選んでよいかという点、技術的にも若干問題があると思いまして、そういうわけで特に反対者という方をお呼びして意見を聞くということはいたさなかったわけです。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤委員 どなたを呼ぶかというのは、役所の権限でなくて、この調査会の権限なのでしょう。

西謙一内閣審議官

○西説明員 さようでございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤委員 結局これも言うならば行政の隠れみのなんです。公営競技調査会のメンバーをきめることが一番重要なことなんです。メンバーによって結論がきまっているわけです。ですから政府の意図する方向に結論を作ろうとしているのが、最近の調査会とか審議会なんです。出た答申について中身を質問しようとすると、実は答える人がいないのです。これはどういう意見でどうなって結論がどうなったのですかと聞く人がいない。あなたに聞くのも無理だと思う。結局私たちは何に基づいてやるか。そうすると公営競技調査会の答申に基づいて私の方はこの法律をこういうふうに延期します、こういうふうに改正しなければならなくなりましたという。こういう答申を作った人に出てきてくれといってもなかなか出てこない。議事録を見せてくれといっても非公開でございますという。一体公営競技調査会を作った根拠は何かといえば、特にここ数年来競輪を中心とした社会的な諸問題が起きた。だからこの際何とかしなければならぬ、こういうことで、とにかく何かで死ねば、当時は競輪で死んだことになったくらい新聞には書かれたわけです。それほど競輪悪、あるいはギャンブルというものが指摘されたわけですが、指摘された答申案を見ますと、そういうことには無関心で書かれているわけです。大へん残念だと思うのです。そこで、出されたこの答申案に対して、一体どういう受け取り方をして、どういう作業を今進められておるのですか。

水品政雄運輸技官(船舶局長)

○水品政府委員 公営競技は、御承知のようにモーターボート、競輪、オートレース、競馬というふうに分かれておりまして、それぞれの所管の省で法律改正の準備連絡をとりつつやっております。モーターボートにつきましては、先ほども申し上げました十数項目の指摘事項がございますので、それらの事項を十分尊重いたしますとともに、運輸省といたしましても、従来の経験上さらに追加して改正すべきような事項についても追加検討をいたして、目下とりあえず法律案の要綱程度のものでもまとめるべく準備を進めておるのでございます。大体各省とも同じような歩調でやっております。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤委員 この答申案を尊重する建前で次の準備を進めている、これは当然のことだと思う。尊重するというのも、きのうの本会議の公務員の給与の問題じゃないのですけれども、人事院は五月一日からやれという、政府は十月一日からだ、これでも尊重ですというものの言い方もあるわけです。ですから、この尊重の仕方はまるきりその通りにやる尊重の仕方と、今局長が言われた事務的にいろいろつけ加える点もあるので、それらを入れるという尊重の仕方もあるわけです。しかしこの方向というものは、今のまま静かにとにかくやったらどうだというのが中心だと思う。しかしこの答申案の中には重大な問題を含んでいる。たとえばここにこういうことがあります。「公営競技を全廃することはその影響するところ甚大であるのみならず非公開の賭博への道を開くことになる懸念も大きいので、」こう書いてある。ですから、こういう公営競技というものを廃止すれば非公開の賭博がふえる懸念があるという、まさに売春禁止法ができたときのものの考え方と同じなんです。ああいうものをなくしたら良家の子女が犯されるだろう、それとまるきり考え方は同じです。この賭博をやめたら非公開の賭博がふえるだろう、こう言っているわけです。ですからまさにこれが隠れみのとなって非常にいろいろな問題が起きておるものが、何か私が言うならばみんな政府の御用委員の人たちでしょう。またそれでなければこの中に選ばれることは不可能だと思うのです。今の政府の行き方に反対するような意見を持ったり、あるいは競輪、こういうものについて批判的なものという者というものはなかなか委員になれなかったと思うのです。ですから、そういうものから出てきた申答というものを尊重されるとか、あるいはその方向できめられるということが出てくるならば、われわれは何をやっておるかわからぬわけです。ですから、政府のいう尊重の仕方よりも、われわれはこの答申というものについてあまり重きを置くことはどうも困難じゃないかと思うのです。従って、これは次の改正案が出るときに、公営競技調査会の人たちの意見というものは公開の席で国民に十分徹底させるべきだと思うのです。それを非公開にして中に押し込めておいて、きまったものだけできまりましたということで、ごちゃごちゃ大衆を欺くということは大へん問題だと思うのです。そこでこの答申の、私が言いました「公営競技を全廃することはその影響するところ甚大であるのみならず非公開の賭博への道を開くことになる懸念も大きい」こういうふうに運輸省の方もお考えになられるのですか。

有馬英治自由民主党運輸政務次官

○有馬政府委員 答申にある、今お読み上げになりました御趣旨もごもっともだと思っておりますが、運輸省としてはそれだけの理由でございません。その他の答申案の条項を十分尊重しまして、その趣旨に沿って原案を作ったわけであります。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤委員 結局この答申案というものは実に残念なものだと思うのです。売春禁止法の委員長は菅原さんでしたか、ああいう立場でやられるといいのですけれども、今度のやつを見てみますと、何も一貫性がないように思うのです。パチンコをやめさせたり、競輪、競馬をやさめせたら賭博がふえる、こういうものの考え方、どこの国もそうなっておるかというと、それは社会機構なんですよ。政治のやり方なんですよ。ほかに娯楽があれば、だれだってゴルフに行くのです。ゴルフに行けないからパチンコをやったり、競輪をやっておるわけです。それはだれでも百円出して一万円、二万円、一千万円にもなるというのなら百円買うかもしれませんけれども、しかしそれは競輪というものでなくて、もっとものを変えたやり方でなければいけないと思うのです。しかしそんなことを議論しても仕方がありません。  この中で今度は六番目に、「公営競技による収益の使途については、公営競技発足当時との状況の変化に鑑み、次の点を考慮する。」こうなって、公営競技の目的というものが変えられるような方向が出ていると思うのです。この(イ)に「売上金の一部を、関連産業等の振興に充当することとするが、その他に福祉事業、医療事業、スポーツ、文教関係等にもなるべく多く充当することとし、この趣旨を法律に明記すること。」こうなっています。このこととモーターボート競走法の一条というものとは相当性格が変わったものになるであろう、こう思うのですが、その点はどうなんでしょうか。

水品政雄運輸技官(船舶局長)

○水品政府委員 御指摘の点につきましては、現在のモーターボートの場合ですと、造船関係事業の振興という項目と、それから地方財政に寄与するという二項目を柱にしておるわけでありますが、今度はさらにこのような追加事項を入れていま一つ目的が追加される、こういうことになろうかと思うのでございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤委員 そのことは、やはりこのモーターボート競走法が発足したときの状態から私は少し方向というものが変わってきたと思うのです。なぜ変わってきたかといえば、メンバーによって変わったということです。委員になった人が、それは造船にばかりやるのはもったいない、そういう金があるならばおれの方にもくれるといって、日赤の人も入っているから福祉事業でしょう。プロ野球が入っているからスポーツでしょう。こういう形なんですよ。ですから、方向はきまっているじゃありませんか。方向がきまって、こういう答申が出てきた、この答申に基づいてやりますということだと私は思うのです。  そこで、この中で雇用関係、労働関係その他の関係を近代化すべきだ、こうなっておりますが、モーターボートの場合は、現在は労働関係雇用関係、はどういうようになっているのですか。

水品政雄運輸技官(船舶局長)

○水品政府委員 現在、モーターボート関係につきましては、従業員の総数が二万四千人ほどでございまして、その内訳は、施行者関係では、常勤者が七百七十六名、非常勤が七千七百四十五名、それから競走関係におきましては、常勤が六百十七名、非常勤が九百四十名、選手が千百十三名、それから場内の売店その他に従事する者が一万二千九百名というような内訳になっております。ここで雇用関係を合理化するというような調査会の御答申でございますが、この会でいろいろ論議をされておりますのを私ども聞いておりまして主として、競馬関係においてはまだ相当雇用関係が不合理なものがある、これはこの際十分合理化すべきだという意見が活発に述べられ、御審議をされたように記憶をいたしておりますが、モーターボートあるいは競輪関係については、そういう点が競馬とはよほど状況が違っておりまして、具体的な御指摘は受けておらぬのでございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤委員 そうしますと、モーターボートは雇用、労働についてはそう問題がない、こういう御回答でございます。  そこで次に、今まで十九条の交付金というものは、簡単にいいますと大体どんな工合に使われておるのでしょうか。

水品政雄運輸技官(船舶局長)

○水品政府委員 十九条交付金制度が始まりましたのは昭和二十八年度以降でございますが、それから昨年度までの七年間におきましては、合計で申し上げますと、収入の合計が十五億二千二百万円ほどになっております。それの支出状況を項目別に申し上げますと、造船関係事業の振興費といたしまして、貸付金が八億八千三百万円余りになります。これは主として造船関係の中小企業に対する施設費の貸付でございます。さらにこの造船関係事業の技術研究、あるいはカタログを配って海外宣伝をするとか、項目は非常に多いのでございますが、そういうようなものに補助金あるいは研究委託費として出しましたものが三億八千百万余になっております。さらに、このモーターボート競走の目的の一つに海難防止事業の振興ということがございますが、この海難防止関係の施設の補助、瀬戸内海に簡単な標識を作るとか、そういうようなことをやっておりますが、そういう補助、並びにやはり海難防止関係の研究委託というような経費の合計が九千八百万円ほどになっております。そのほか、委託手数料等が、今日まで支出されておるのでございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤委員 それで、この法律は、十九条関係というのは一応失効といいまするか、何か一時たな上げみたいな形になっているのですが、それから、この法律がかりに改正されるまでの間というものの、この交付金というものは、前回の私の質問によりますと、局長の御答弁は、施行者が自由に使えることになる。しかし、目的としてはこの法律に基づいた目的だ、こういうふうな御答弁をされているのですが、今現在、そのお金というのはどういう形にされておるのでしょうか。

水品政雄運輸技官(船舶局長)

○水品政府委員 この十九条の交付金につきましては時限がございまして、九月末までの時限になっておりますが、それから後については、別に法律で定めるところによるものとすというふうに書いておりますので、不明確な状況に置かれておるというふうに解釈いたしております。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤委員 そうすると、その金はまだどこかにたまっているのですね、そういうことなんですね。

水品政雄運輸技官(船舶局長)

○水品政府委員 さようでございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤委員 総務長官、まだ来ませんか。——総務長官がお見えになりましたら、その調査会は非公開になっているようですが、議事録はとってあるようですから、その議事録を見せてもらいたい。それについて総務長官の御答弁を願いたい、こういうことですから、見えまして回答できましたら、もしまた回答できなくとも、見せていただけるということなら、回答は必要ありません。見せていただけないなら、どういうことか、いろいろまたお尋ねいたしたいと思います。  そこで、最後に私は、この公営競技調査会の設置の目的と、それから、その目的に沿った審議というものがなされて答申が出た、こういうことで、それを政府のお考えとなされ、この答申に基づいた法律改正というものがなされてきている、こう思うのです。そこで、やはり私は、この公営競技調査会というものがどのような目的で、どういう内容について審議をされたかということが、大へん重要な問題になってくると思うのです。そこで、やはり扱いの問題につきましても、競輪なり、あるいはまた競馬なり、あるいはモーターボートなり、いろいろこれは内容的に違っている。しかし、結論として出されている問題については、一様にこれを見て、そしてその考え方の基本というものは、なくせばほかのばくちがふえるから、まあなるべく問題にならないように、世間で騒がれないようにしておけ、そしてその目的は、今まではその関連産業が中心で補助金を出しておったけれども、今度はよその方にも、言うならば、おれの方にも出せ、こういう形に広げられていくであろうというふうに思うのです。そのことを私は大へん残念だと思うのです。今までは関連産業の振興、それに特別な大蔵省の補助がないから、関連産業が一本立ちになるまで何とか一時的というものの考え方であったと思う。今度それが広げられていくということになれば、やはり競輪のあがりでオルガンを買ってよい子になれという教育をするというようなばかばかしいことが行なわれるのですから、その基本的な考え方については十分聞かせていただかなければならないと思いますので、それにつきましては法案が出たときに十分聞くことにいたしまして、前回もこの問題につきましては質問をいたしておりますので、この程度で質問を終わります。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 政務次官に関連して質問をしますけれども、これは一つ十分に聞いていただきたいと思うのです。  池田総理は組閣をされたときの第一声で、所得の倍増ということと並べて政治の姿勢を正す、こういうことを公約されておるわけです。そこで、さきの勝澤委員の質問にもありましたが、各種の審議会がたくさんあります。けれども、当初の審議会のあり方とはだんだん変わってきて、政府の意図がそのまま審議会の結論になるような審議会の構成メンバーにして、そうして、これが審議会の結論でございます、こういうことで、政治の姿勢というものがちっとも正されていない。政治の姿勢を正すということ自体も、これは悪く言えば民心をごまかす一つの隠れみのにひとしい、こう思うのです。所得の倍増でも、国民所得の倍増ということは、これは保守政党、いわゆる資本主義の中で自由経済を唱えられる政党の政策として言うべきことではない。そういうことは隠れみのであって、行き過ぎである。なるがゆえに今日の状態を招いておると思う。そういう見せかけのことをやっていては、ほんとうに全体的に——あれは代議士の言うことですから、とこういうことを民衆から往々にして聞きます。そのことは何かというと、信用なりません、あなたの方で勝手にやりなさい、こういうことになってきて、だんだん政治の威信が地に落ちていくのです。ですから、こういうことであってはならない。ほんとうに政治の姿勢を正すといわれるなら、身をもってそれを実行しなければならないと思う。もちろん、運輸省といえども政府全体から見れば一省にすぎないのですけれども、少なくとも閣議あるいは次官会議において、特に今度の実力者内閣といわれる内閣にふさわしい次官会議にして、大いに発言もし、やろうということがきめられた、こういうことが新聞にも報道されております。何も従来の内閣が弱体であるとは決して申しません。また、従来次官会議がおざなりのものであったとは決して申しません。けれども、改造後の内閣にありましては、従来に増して積極的に強力にこれを推進するよう努力しようという申し合わせをされたそうです。といたしますならば、今言われました姿勢を正すという、これは具体的に閣議においても次官会議においても、どういうことをされておるのか。単なる見せかけでは、私は民主政治を滅ぼすものだ、実際にそれを実行せなければならぬと思いますが、一体具体的にはどういうことになっておりますか。閣議の状態あるいは次官会議の状態、これをお聞かせ願いたい。

有馬英治自由民主党運輸政務次官

○有馬政府委員 御注意の点ありがたく拝聴しておりますが、閣議の模様につきましては、私は出席できない立場にありますからわかりませんが、仰せの政務次官会議におきましては、特に各省間の連携を十分密にして、今、山口さんのおっしゃった大乗的な見地から、新しい行き方をしたい、そして大きな目的のために尽くしていきたいというような考えで隔週ごとに次官会議を今やっております。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 大臣が参りましたが、大臣は幸いいわゆる治安維持の第一線で長年活躍された人ですから、特に私は再度御質問いたしますが、今次官に質問をいたしましたのは、池田内閣が成立をいたします前の選挙のときの池田氏の公約は、国民の所得を倍増する、同時に政界の姿勢を正すということであったわけです。ところが、今日、政府は、今モーターボート競走法に対しての審議会の結論に基づいて、この法律改正その他の処置を講ずるということを政府委員からも御答弁になったわけですけれども、勝澤委員が指摘いたしますように、各種の審議会の構成されておるメンバーというものは、あらかじめ政府の意図をその審議会が結論づけるいわば裏づけのものなんです。そして審議会の結論が出ましたから政府はこういうふうにいたしますというように表面上はしておる。実際には当初から政府の意図がその審議会の結論になり得るようなメンバーにしておる。これは全く隠れみのです。これだけではなくて、各種の委員会の様子というものは、全く政府の責任のがれの機関に堕していると言っても過言ではない。これではいわゆる政治の姿勢を正すということにはならない。政治の姿勢を正すということがただ単なる見せかけで通用している間はよろしいけれども、もしこれが通用しなくなったならば一体どうなるか。私は、今日、ただ一般大衆だけではございません、財界の人ともずいぶん話をいたします。けれども、財界人といえども、今日の政府の言う国民所得の倍増の被害——あるいは姿勢を正すとか、綱紀を粛正するとか言っておるが、しかし、それに対しては、表面上財界の有力者は政府に対してたてつくということはようしませんけれども、内心は、私どもに吐きますことは、それは代議士さんの言われることですから、あるいは政府の言っていることですからと言って、少しも腹の底からそれを信用した言葉が得られないのをまことに遺憾に思います。政治の姿勢を正すと言われるならば、こういうふうなギャンブル法などについても大なたを加えて、それこそ政治の姿勢を正すということが国民の前に言えることであります。それによって政治の信用というものを博することになると私は思うのですが、閣議は一体こういう点についてどういうような決定をされておるか、一つ大臣から意見を伺いたいと思います。

斎藤昇自由民主党運輸大臣

○斎藤国務大臣 一般に審議会あるいは調査会等の構成、運用について、政府の意図をそのまま答申のできるような構成にしているじゃないか、こういうことでは政治の姿勢を正すということに相反する、こういう御質問だろうと思いますが、政府は、今おっしゃるような意図で委員を任命したり、あるいは審議会等の構成を考えたりはいたしておらぬと思うのでありますけれども、しかし、そういうような疑いというか、あるいは批評があるという点もよく考えていかなければならぬと思いますから、今後の運用につきましては、今おっしゃったような事柄に一そう留意いたしまして、閣内においても今御意見のあった点を十分反省しながらやって参りたい、こう思います。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 私は大臣を信用しますから、今の答弁通りやってもらいたいと思います。しかし、今日よく聞いてもらいたいのは、われわれはただ議論のための議論をやるとか、反対のための反対をやるとかいう不謹慎な態度はとらない。なるたけ文句は少なくしたい。けれども、きのうも私はいろいろ質問したのだが、何も言いたくないのにあまりにも言わなければならぬことが多過ぎるのです。これはやはりあまりにも見せかけ政治が発展していて正常な政治ができていないからです。これは大いに、政治に携わる者として与野党を問わずお互いにその点を反省しなければならぬ。そうして政治の姿勢を正さなければならぬと思う。何もこっちだけがいいとかなんとか、そんなことは言いません。しかし、われわれ野党の目に映ることがあまりにも多過ぎるのですよ。それは何もわれわれは責任をあなた方に転嫁しようとは思わないけれども、少なくとも当時の責任を持っておる政党もしくはそれが組織しておるところの内閣は、もっとその点について誠意を持って行なうべき責任があると私は思う。それをやらないからわれわれにいろいろのことが目に映る。映ったならばそれは黙っていられない、こういうことになる。だから今日のこのモーターボート法もあるいはいろいろの戦後にできたギャンブル法も、きのう私が申し上げたように、経済情勢といい、社会情勢といい、今日では終戦直後とは全く変わっています。もしこのモーターボート法を改正してなおかつ関連産業の奨励のために金を集めなければならぬというのならば、今日税金は年々黒字ですよ。そうでしょうが。何千億という金が当初の予算よりもよけい入ってくる。いわば政府は入ってくる金をもてあましておると言っても過言ではない。そんな金があるにもかかわらず、細民と言っては語弊があるかもしれませんが、今日の生活をどうしようかというような苦しい生活をしておる人々の射幸心をあおり立てて、そうして一家心中をやるような悲惨な状態を起こすようなことを公認する必要はごうもない。そういうもので金を集める必要はごうもないと私は思う。ですから、これはもう廃止の時期にきておると思うのです。どうしても廃止ができぬというならば、その機構においても従来のような機構を徹底的に改めることが必要である。ところがそれをちっとも改めようとなさらないのは一体どういうことなんだ。やはりそれぞれの協会なり何なりそういうような外部団体があって、その団体との情実もしくは利害と結びついて、そのために廃止できない、そういうように国民はみな見ます。そこに政治というものを信用しない重大な原因が存しておるのです。だから、今言うように、審議会もそういう政府の意図をくんで結論を出し得るような利害関係人ばかりをこんなメンバーに集めてそして、参考人なんかに今聞いてみたら、新聞の世論やその他が反映されておるので、積極的に反対を唱えるような人を参考人として招致せぬでも、十分意思を反映されておりますと思いますと、こんなばかげた答弁をして、人をごまかそうとしているのです。これを存置するというのならば、なぜ正々堂々と反対を唱える人も呼んで、その内容を公開しないのですか。なぜ会議の模様なるものを、議事録を逐一われわれの手元に配付できないのですか。ひたすら秘密にしておくというところに、私はなお不信を抱かざるを得ないのであります。一体大臣はこれについてどう思われますか。

斎藤昇自由民主党運輸大臣

○斎藤国務大臣 モーターボート競走法をさらに存続させるか、あるいはどういうふうに改善を加えていくかという問題は、次の国会で十分御審議をお願いいたしたい、かように考えております。政府は、答申に必ずしもとらわれるとは私は考えません。答申は答申、もちろん尊重はいたすでありましょうが、世論一般の点も考え合わせまして結論を出して、来国会で御審議をいただきたい、かように考えております。私は、ただいま存続させるとかさせないということをまだ申し上げる段階ではございません。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 しからば、そこまでの決心はないといたしましても、大臣としては相当の御決意をお持ちのようであります。今申しましたこの調査会の議事録なるものはできているはずでありますから、その議事録を公開する勇気がありますか、公開するという約束ができますか、一つ御答弁願いたい。

斎藤昇自由民主党運輸大臣

○斎藤国務大臣 調査会の会議録は公表すべきものか、私、まだ調査会のなにを十分承知いたしておりませんが、公開のできない筋合いのものでもなかろうと思います。調査会担当の責任者と相談いたしまして、適当な機会に御返事申し上げたいと思います。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 もう私はこれでおきますが、ぜひともその内容を公開していただきたい。この委員会に配付してもらいたいことを強く要求いたしておきます。

簡牛凡夫自由民主党

○簡牛委員長 本案に対する質疑は、これにて終局いたしました。     —————————————

簡牛凡夫自由民主党

○簡牛委員長 この際、高橋清一郎君より本案に対する修正案が委員長の手元に提出されております。     —————————————

簡牛凡夫自由民主党

○簡牛委員長 まず、本修正案について提出者より趣旨説明を求めます。高橋清一郎君。

高橋清一郎自由民主党

○高橋(清)委員 私は、ただいま議題となっておりますモーターボート競走法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対しまして、修正動議を提出いたします。  まず、修正案の案文を朗読いたします。   モーターボート競走法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対する修正案  モーターボート競走法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  附則中「公布の日から施行する」を「公布の日から施行し、昭和三十六年十月一日から適用する」に改める。  次に、修正の趣旨を簡単に御説明いたします。  政府原案によりますと、昭和三十六年十月一日から本法案が公布されるまでの間は、造船関係事業及び海難防止事業の振興に関する制度の運用上空白を生ずることとなりますので、かかる事態が生ずることを避けるために、本法案を三十六年十月一日から適用することができるように修正いたしまして、現行制度の円滑な運用をはかろうとするものであります。委員各位の御賛成を得たいと存じます。

簡牛凡夫自由民主党

○簡牛委員長 ただいまの修正案について質疑はございませんか。——別にないようでございます。     —————————————

簡牛凡夫自由民主党

○簡牛委員長 これより本案並びに高橋清一郎君提出の修正案を一括して討論に入りたいと存じます。  別に討論の申し出もございませんので、これより直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

簡牛凡夫自由民主党

○簡牛委員長 御異議なしと認め、これよりモーターボート競走法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、高橋清一郎君提出の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

簡牛凡夫自由民主党

○簡牛委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

簡牛凡夫自由民主党

○簡牛委員長 起立多数。よって、修正部分を除く原案は可決されました。  従って、モーターボート競走法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案は、修正議決すべきものと決しました。  なおお諮りいたします。本案の報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

簡牛凡夫自由民主党

○簡牛委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————

簡牛凡夫自由民主党

○簡牛委員長 次に、陸運に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。肥田次郎君。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 まず、その前に国鉄当局にちょっとお伺いしておきたいことがあります。それは、実はもうことしになって数回台風がありましたが、まだ台風がこれで終わったというわけではありませんので、関連する問題として聞いておきたいと思います。  実は先般第二室戸台風の際の問題ですが、こういう話を聞きました。大阪駅の構内に十四日の晩ぐらいから避難者が押しかけてきて、そして駅としてはこの整理に実に困ったという話であります。それで、従来どうしておるのかということを聞きましたら、大体区役所だとか災害対策本部、こういうところと打ち合わせはやられておるようですけれども、なかなか適切な打ち合わせというものは困難なようであります。そういうことを聞きましたので、私としてお伺いしておきたいのです。災害時に際してはなかなかむずかしい問題なんですが、これは実際に被災者が押しかけてきた場合の避難所に当てられるような場合、それから災害を予測して避難者が押しかけるような場合、いずれにしても、公共施設という面が片一方にある駅としては、これを断わるということはなかなかむずかしい。ところがこれを受け入れてしまうと、駅の乗客整理の方に困難を生じてくる。特にそういう際には巻き添えを食うというのではなしに、災害が起きれば当然旅客輸送という面から列車のストップがあったりして非常に混雑する。こういうことを考えますと、もっと整理の方法が事前に考えておかれてしかるべきではないか。こういう点からお聞きをするわけです。まず一つは、駅舎に罹災者を収容するといいますか、そういう際には、事前に当該駅の責任者のみとの話し合いになっているのかどうかということが一つ。それから待避するような場合に、事前にはたして話し合いの余地を持たれておるのかどうか。いわゆる事前に、この駅に一つ収容さしてくれないかという際に、駅長なら駅長が単独で、私の方で引き受けましょうというようなことがあるのかどうかということ。それから災害を予測して避難する一般の人、それから災害を受けて被災者として避難してくるような場合、そういう際には、災害対策本部だとか、救援本部だとか、あるいはそういうところのいろいろな機関の手の及ばない場合がありまして、どんどん押しかけてくる。それが二キロも三キロも向こうの方から押しかけてくるというようなときに、とうていそれを防ぎきれないような場合がある。そういう際に対しての処置、こういうものについて、従来の方法を一つお聞きいたしたいと思います。

中村卓日本国有鉄道常務理事

○中村説明員 実際問題としてむずかしい場合が多いと思うのでございます。台風の災害が発生いたしました具体的な状況に応じまして、適当に現地の責任者が常識によって判断する以外に手がないのじゃないか、根本的にはそう考えております。たとえば伊勢湾台風の場合に、四日市の近所の駅でございましたが、駅以外は全部水びたしになっちゃいまして、それ以外に避難する場所がないというような場合におきましては、駅長がどう考えましょうとも、人命、財産の最後の逃げ場所ということになりますれば、緊急避難的な考え方からやむを得ないと考えますけれども、それよりももうちょっと時間的に余裕がある場合を今先生が御質問になったと思うのでございます。多分そこでは具体的にやっていると思いますが、地方の市なり区なりの災害本部と、私の方では各管理局に災害対策本部ができますから、そういうところと、なるべく早い目に、あるいは平生から打ち合わせをやっておいていただきまして、こういう場合にはこれくらいの人数はお前の方で一時的に収容を考えてくれというようなお話し合いができますれば、それが一番望ましい姿ではないか。私の方といたしましても、乗客の関係その他を考えまして、駅の設備の広さとか、そういうものを勘案いたしまして、その程度なら一時的にお引き受けできるだろうという判断をして、お話し合いの上でできれば一番いいと思いますが、そういうお話し合いができない場合も間々あるかと存じます。そういう場合は、駅長が現場の責任者でありますから、十分全体の空気というものを勘案いたしまして、常識的判断によって処置する場合が多いのではないか。お断わりする場合はまずないと思うのでありますが、具体的な問題で判断していくよりしようがないと思います。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 断わることはむずかしいからということになると、指導的にもっと整理をするというようなことに手をつけないで、駅長なら駅長、管理局長なら管理局長、支社長なら支社長にまかしておくということです。

中村卓日本国有鉄道常務理事

○中村説明員 現地のその場その場の具体的な事情が本社ではわかりませんから、大体管理局長あるいは駅長というところにまかせるのがうまくいくゆえんじゃないかと考えております。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 少し私の言っている意味は違うんですがね。国鉄本社でわかる、わからぬということを私は言っているわけじゃないのです。そういう際に、事前の処置として適当な方法が検討されているかどうか、こういうことを聞いているのです。現場の事情はよくわかっていると思う、だから全部まかしておるということになりますと、今言ったように、断われるような条件があっても、断わるに断われないような場合がある。結局は、それは片一方の乗客輸送という目的が阻害される場合も非常にある。避難者の中には、ほんとうの罹災者の避難と別な者がありますよ。雨が降る。そこらにたくさんいるいろいろな宿なしの連中が一緒になっている。そうすると、駅員はそれの整理に追われてしまって、肝心の駅本来の任務というものができなくなる。その点では、そういう際に非常に困るという話をしていました。ですから、困るのだということは、感じではなしに、具体的に処理できる方法があると思う。だから、これはまかしておるということじゃなしに、そういう際にはどうすべきかということを、地方的には当然検討されていると思いますが、ただ地方に全部まかしておるということだけじゃなしに、何かいい知恵を持っておられるなら聞いておきたい。こういうことを含めて言うのです。

中村卓日本国有鉄道常務理事

○中村説明員 そういう場合に、さっきちょっと申し上げましたように、あらかじめ責任者同士、たとえば管理局長と市の対策本部長さん、そういうところで、こういう場合にはこのくらいどこどこの駅で避難民をかかえてくれ、よろしいというようなお話し合いができておって、その線に従って避難民の方を受け入れる。また、市の方でもそういう指導をしていただくというのが、一番望ましい姿でございます。今までも個々の場合にはそういう場合があったかと思いますが、こういうように台風がちょいちょい参りますと、特に高潮の問題が最近やかましくなって参りましたので、本社といたしましても、各地方の管理局にそういうような指導して、災害の場合に乗客の方、一般の避難される方たちとの間にトラブルが起こらないように指導していきたい。事前に協議をしてある程度の目安をつけていくということが一番いいと思いますので、そういう指導をしたいと思います。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 勤務者なんかはどうしても受け入れなければならぬような事情が生じて参りますね。台風の前から避難する人は押しかけて参りますから、そういう際には、駅員は手持ちの人でどうにもならない。また、駅員自身も帰れないような人が出てくる。そういう際には、救援の勤務者をやられるのですね。手持ちでまかなっておけということじゃないでしょう。

中村卓日本国有鉄道常務理事

○中村説明員 もちろん、臨時の応援はそういうときにいたします。特に公安職員など、そういう場合に整理のために使うことが多いと思います。そういうときには、当該駅の駅員だけではできないと思いますので、当然応援部隊を使います。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 私の気づいたことで少し聞いておいていただきたいのは、やはり当該の区とか市の当局と打ち合せをする際に——駅長まかせではいけないというのじゃないのですよ。たとえば駅長がもっと事前に打ち合わせをする。大阪あたりの場合には、いわゆる管理局は支社長あたりともっと適切な打ち合わせをする、こういう手段が講じられるべきじゃないか。そうすれば、今言ったように、台風があしたくるという前の晩に押しかけてくるというようなこともないんじゃないかという考え方です。そういう際に、駅長の力ではさばき切れないような問題が出てくると思います。駅長といっても、実際に駅長がいない場合には助役がかわるのですから、駅長がいない間の責任者の仕事としてはオーバーする場合が多分あるだろうと思います。そういう際のことを処置されるべき必要があるのではないか、こういうことを考えます。  それからこれは運輸省としても一つ考慮をしてもらわなければならぬのは、これは運輸省だけでなしに、現在の災害のときに、そういう避難の場所に充てられるというのは、いわゆる公共施設、学校とか役所とかこういうもの以外には、残念ながら今の場合に収容するところはないのですね。ですから、政府としてたびたび災害が起こるところ、いわゆる台風などが襲来するところ、こういうところに対しては、そういう避難予定地というものを指定しておく必要があるのではないか。駅が高いから駅に避難してくれ、こういうことだけで毎年襲ってくる災害の避難者を無責任にほっておくということじゃなしに、そういう際の収容場所というものについての実現を早急にやる、こういうことを政府として、各省として考えていただく。そうすれば、その際になって駅が本来の輸送任務に支障を来たすということもなくなる。こういう立場からすれば、やはり運輸省あたりは、当該の国鉄関係と一諸になってこの運動を推進してもらう必要があるのではないか、こういうことも考えました。特に私は、駅が非常に混乱して、それを整理するのに職員が非常に困っておるという事情を見ましたので、一言申し添えておきたいと思います。  それから私鉄の運賃問題について、引き続いて質問させてもらいたい。先般久保委員、勝澤委員から質問がありましたので、この質問に引き続いて質問をいたします。  本質的な、問題として一つ私はお聞きいたしたいのは、この私鉄に限らず、公共料金の値上げという問題が出てきますけれども、これはどういうふうに理解をされているかということです。最近まで公共料金の値上げはほとんどストップしたままであった。ところが、池田内閣の所得倍増政策によって、まず国鉄の運賃が値上げをされた。これは、何といっても公共料金のバランスがくずれた。物価のバランスがくずれた。これは重大な問題だと思うのであります。ですから、それから起こってくる問題は——公共料金の中で、特に国鉄の運賃の値上げというような問題は、やはり準備的なものである。ところが、それから起きてくるものの中にも、準備的なものもあるだろうし、それから後発的な、片方が上がったから仕方なしに上がるんだ、こういうようなものがあると思います。今度私鉄の運賃値上げの申請が出ておるということについては、その間の経過も重複しますから申し上げませんけれども、一体準備的なものだという解釈に立っておられるのか、それとも国鉄の運賃が上がったから仕方がなしに上がってくるんだという、後発的な関係を持っているんだというふうにお考えになるのか。そのいずれの方に考え方を持っておられるのか、まず一点お伺いしたいと思います。

岡本悟運輸事務官(鉄道監督局長)

○岡本政府委員 公共料金の値上げの抑制措置につきましては、去る七月二十五日、閣議で了解になっております。これは御承知の通りだと思いますが、その骨子は、政府としては引き続いて公共料金値上げ抑制の方針を厳に堅持していくものとする。しかしながら、事業の収支状況の悪化がきわめて顕著となり、これ以上値上げを抑制することが困難であると認められるものに限り、今後は例外的に合理的な範囲内においてその料金改定を認めるものとするというふうにきめております。従いまして、私鉄運賃等につきましても、この閣議了解に沿いまして処理していく、こういうことになろうかと思います。そこでお尋ねの国鉄運賃との関係は、必ずしも必然的な関係はないというふうに御了解願っていいのではないかと思います。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 この論争に入る前に鉄監局長にお伺いしますが、実は私は、国鉄、私鉄、それからまたあとからいろいろそういう動きもはっきりありますので、タクシー料金の値上げだとか、それからトラック輸送、いわゆる小型運送の値上げだとか、こういうものは至るところでそういう気配があります、いわゆるそういう交通あるいは運送の賃率というものについて、タクシーだとかトラックだとかいうものについては、これは算出は比較的簡単にやれると思いますが、先般国鉄運賃のときにもお伺いしましたが、国鉄、私鉄、こういう運輸の賃率は、その後、賃率決定の方法について何か検討になったことがあるでしょうか。

岡本悟運輸事務官(鉄道監督局長)

○岡本政府委員 公共料金全般についてでございますが、これの運賃とか料金の改定をする必要があるかどうかという基本的な考え方につきましては、やはり能率的な経営をやっておりまして、その能率的な経営を前提として、適正な原価あるいは適正な利潤をカバーするに足りる運賃なり料金なりでなければいけない、かように考えております。運輸省といたしましては、こういう考え方のもとにおきまして、現在の運賃料金というものが適正な原価なり適正な利潤を含んでおるかどうかということを検討するにつきましては、おおむね電力料金の算定方式を参考といたしまして原価計算をいたすことにしております。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 それだけですか。私が聞いているのは、それだけじゃなしに、賃率を決定するということについては、いろいろな複雑な条件がある、こういう話も先般聞きました。ですから、賃率を決定する際に、高いとか安いとか、いやどうだとかこうだとかというふうな論議をしなくても、すぱっとわかるような方法というものの検討は、新たにされておるかおらないか、こういう意味です。国鉄運賃の賃率の決定のときにも、いわゆる賃率決定の基礎資料ということは聞きました。ところが、あれをもってずばりそうしたものの値段をきめるように、この賃率が正しいという結論にはなりかねるいろいろな要素がそこに入ってくる、こういうことでありましたし、私もその通り思っている。ですから、今賃率を改定する際に、よく国鉄でも私鉄でも同じことを言っております。これは都市交通、いわゆる東京都も大阪も申請を出すことを——大阪も市会で決定いたしましたが、戦前と比べるとどうだとか、こうだとかいや物価と比べるとどうだとか、こうだとかこういう比率対照ということが訴える方法というものは、これは単純ではあるけれども、決定的な理由になりがたい面がある。賃率という問題を、公共料金の賃率というものは、いわゆる公共性を含めた性質のものはどれだけだ、実際に独立採算企業は、企業として健全に運営さしていかなければならぬ、こういう鉄監局長のお答えの中にもあるように、そういうものを含めたものの基礎的賃率というものは幾らだという数字が出れば、きわめて審議はしやすい。先ほども山口委員なんかから審議会の話が出ておりましたが、審議会の内容は、実際にはわからない。審議会を通ってきたんだからまあいいのだろう、審議会は尊重するんだ、こういう通念だけで処理をしてきたという時代は、もうこれからは適用しないと思うのです。物事が出るたびに本質的なものをきわめて、そのきわめたものの中から、これは妥当であろう、とこれはまあまあ仕方がないだろうという結論に大体落ちついてくる、こういう傾向にあると思う。ですから、そういう点を明らかにしてもらう必要があるのじゃないかということを私は言っておるわけなのです。

岡本悟運輸事務官(鉄道監督局長)

○岡本政府委員 ただいまの御質問は私よく了解いたしかねるのでございますが、つまり御質問の趣旨は、何か一般しろうとに簡明率直にわかる、判断の基準になるようなルールがないかどうかというお尋ねでございまましょうか。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 それは全く反対なのです。一般に簡単にわかりやすいといえば、戦前これだけだったものが今はこれだけですから、もっと上げてもらわなければいけませんという、この理屈が一番簡単だと思うのです。ところが、これでは通用しないじゃないですかと私は言っている。そうでしょう、戦前たとえば七銭しておった賃率が、今日でまだ十二、三円です。これでは物価の倍率が三百倍、五百倍というふうになっているときにあまり安過ぎるという、これは一番人口に膾炙しやすい、説明しやすい理由なんです。ところがそれでは理由にはならぬじゃありませんかということを私は言っている。もっとほかに一般にもわからせ、それから検討する際にも専門家でなくても大体わかり得るような、そういう賃率の算定方式というものを考えるべきではないか、こういうことを私はこの前から言つておったわけなんです。

岡本悟運輸事務官(鉄道監督局長)

○岡本政府委員 先ほどお答えいたしました通りでございまして、やはり適正な報酬を含めての適正な原価を償っているかどうかということが判断の基準になるべきものと考えます。そこでやはり個々の事案につきまして原価計算をやってみないと、それが償っておるかどうかということがわからぬわけでございます。ですから、個々に一々計算してみる必要はあると思います。原価計算の方式は、先ほど申し上げましたように、電力料金の算定方式に範をとりましてやることにいたしておりますが、基本的な原則を申し上げますと、運賃というものは誠実かつ能率的な経営のもとにおける適正な原価に適正な利潤を加えて算出された総括原価に基づいて算定する。こういうふうな考え方に基本を置きまして、原価の計算期間はどうであるとか総括原価はどうだとか、営業費はどうであるとか、そのうち人件費はこういうふうに算出する。修繕費は、普通修繕費はどうだ、取り替え修繕費はどうだ、特別修繕費はどうだ、こういうふうにして全部原価に当たってみるわけでございます。そして、はたして現在の運賃料金というものでこういった適正なる原価というものをカバーできるどうかということが判断の基礎になるように考えております。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 そうすると、私鉄の健全なる経営というもの、独立採算というこの線と、その中に含まれておるところの重要なものの一つとして私ら考えるのはやはり人件費だと思いますが、この人件費についての比率というものはどういうふうにお考えなんでしょう。

岡本悟運輸事務官(鉄道監督局長)

○岡本政府委員 人件費というものは実績を参考にいたしております。比率というふうな御質問でございますが、つまり鉄道事業なら鉄道事業というものにおいて標準的な人件費というものがいかにあるべきかということがまず理論的に解明されて、その標準人件費までは見るが、それ以上のものは実績として支出されておっても原価計算に算入しない、こういうことをやっておるかどうかというお尋ねだと思いますが、そういうことはやっておりません。これはあくまで経営の責任者に誠実かつ能率的な経営をしておるということを信頼をいたしまして、その実績を尊重してやっておる建前でございます。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 そういう条件の中ではこういうことが実際に出てきますね。企業には確かにいい企業と悪い企業とあります。ですから、悪い企業の中では、いわゆる公共性のある交通事業維持のために、賃金がその中で犠牲にされているというような面が、当然生じてきます。それから企業内容のいいものは賃金をそう犠牲にしなくてもやっていける、こういう条件がある。昔は御承知のように補助政策というものがありましたから、何とかなるけれども、今日ではほとんど補助というものは問題にならない。そうなってくると、そういう企業内容の悪いものについての人件費というものが犠牲にされておるような場合には、その賃率というものはどういうようにお考えでしょうか。

岡本悟運輸事務官(鉄道監督局長)

○岡本政府委員 人件費が犠牲にされておるかどうかということでございますけれども、あるいは実際問題としてそういうことはあるかもしれませんが、これはあくまで労働組合と経営者との団体交渉できまってくるのでございますので、その建前を尊重いたしまして、その経営の実態的な内容についてまで監督官庁として干渉するということはどうかというふうに考えておりまして、かりに想像あるいは推定の上でそういうことがわかるような場合がありましても、そういった場合において別に干渉はいたしておりません。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 それから私鉄の業務監査をやられることについて少しお伺いしておきたいのですが、個々の名ざしは要りませんけれども、いわゆる線路状態だとか車両状態だとか、直接乗客輸送というものに影響がある、そういう点について、最近の監査の内容を少し知らしていただきたいと思います。

岡本悟運輸事務官(鉄道監督局長)

○岡本政府委員 保安監査は定例的にやっておりますが、現在具体的な会社についての監査の報告書を手元に持ち合わしておりませんので、後ほど資料として提出さしていただきたいと存じます。全般的に申しますと、やはり線路の保守を中心といたします修繕が必ずしも十分でないというふうに報告によって聞いております。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 一つの線路の問題を取り上げても、国鉄と民間の鉄道の場合、おそらく設備の投資の面で三倍も四倍も違うのじゃないかと思います。それは私鉄企業の一番弱点である。と同時に、その交通の絶対量の問題もこれはあると思いますけれども、いずれにしても線路状態というものもあまりよくないということもわかります。それから車両の問題ですが、車両の問題も、実際に何とかかんとか輸送をしておるという範囲と、実際に危険ではないかという状態の車両、これはいろいろと車両の種類がたくさんありますから、われわれも感じることがあるのですが、そういう意味で、車両、線路の保安監査の状態というものについてぜひ一つ知らしていただきたいと思います。  それからこれは本質的な問題ですけれども、実際には私らがよく言うところの、こういういろんな施設その他の問題も含めて、最近の経営の方式といいますか、これは私は私鉄が例外だというのじゃなく、国鉄も同じ方式をとろうとしておるという意味を含めて言っておるのですけれども、自己資本でやるべき性質のものとそうでないものとの区別がきわめてあいまいである、こういうことを感じるのです。実際に監督的な立場にある運輸省としてどう考えておられるのでしょうか。

岡本悟運輸事務官(鉄道監督局長)

○岡本政府委員 普通の企業なり事業というものは仰せのように生産し販売するものが非常に売れる、そのために設備拡張をしなければならぬということになりますと、あるいは増資あるいは借入金の調達というもので資金を調達いたしまして設備を拡張し、製品の増加をはかっていくというのが建前でございます。しかしながら、その販売する製品そのものがペイしない限りにおいては幾ら設備を拡張いたしましても、あるいは増資あるいは借入金のためにはそれぞれ配当なりあるいは利息を支払わなければなりませんから、そういった原資が出て参りません。そこで私鉄等におきましても、運送給付というものがその対価である運賃と十分見合っていない限りは、つまり原価を償っていない場合には増資もできないし、借入金もできない、こういうことに相なるわけでございますので、常に事業が健全に運営され、公共の使命を遂行していくためには、今申し上げましたように設備拡張のために必要な増資なりあるいは資金の調達をはかるためには原価を適正に償っていなければならないわけでございますので、そのことを十分に留意してやる必要はあると考えます。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 今日まだしさいに点検すればあると思いますけれども、私らがよく調べた中で出てきたのは、トラック会社、それからバス会社、こういうのを見てみますと、トラック会社なんかでは二十万円、三十万円というような資本金の会社がある。そうして実際に数十両のトラックを使って運送事業をやっておる、タイヤ二、三本買う金で実際には車が二十台も三十台も動いておる。そういうような状態なんです。バス会社もそうなんです。三百万円、五百万円という資本金で、百台をこえるバスを持っている、そして営業しておる。こういうのがあります。これは実際にどういうようにお考えなんですか。たとえば私鉄なんかの場合は株式を募集して、車両を購入する、昔はそうやっておったのですが、ちゃんとたくさん乗る人があるのなら、そのたくさんのお客に乗ってもらうために線路はりっぱなものにし、新しい車両を購入して、さらに車両をふやして、利用者を輸送しておった。それが今日ではお客さんがふえたから、今の車両ではまかない切れないから、車両をふやします、それから線路がこのままではあぶないから軌条の太いのに取りかえる。それらを一切がっさい含めて料金を上げる、こういう方式がとられておらるのです。ですから、私らが常々言っておるように、乗客をたくさん輸送しなければならぬという条件のもとでは採算がとれるということが前提になっておるはずだ。だからそれがためには自己資本で車両の増量をやり、線路の補強をしたらどうなのか、それが正しい現在の資本主義経済の中におけるところのやり方ではないのか、こういう言い方をしておるわけです。ですから監督官庁である運輸省がそういう際にいずれをとられようとしておるのか。これは国鉄にああいう方式をとらしておるのだから民間を押えるわけにはいかぬだろう、だから民間も仕方がないというので、一緒に運賃の賃率の値上げを認めるということはやはり適当ではない。私は私鉄というものと国鉄を比較しておるのではないのです。本質的な問題として国鉄のやり方もいけないけれども、国鉄がやれば民間がまねをするのはあたりまえじゃないか、こういうことから言っておるのです。ですから自己資本でやらなければならぬものは限度があるのだから、それは責任を持ってやらす。そこで補修、維持という関係においての賃率というものがおのずから割り出せてくるだろう。ですからそういう点についてどういうふうに考えておられるのか。これは将来の賃率それからこういう交通機関の諸問題について非常に影響が深いと思うのです。

岡本悟運輸事務官(鉄道監督局長)

○岡本政府委員 私は別に今先生のおっしゃったお考えと違ったお答えを申したつもりはないのでございます。その通りでございます。要するに設備を増強する場合には増資をせねばならぬ、あるいは借入金を調達するなり、こういう方法で設備を増強するわけなんです。ただその前提として、現在の運賃というものが適正な利潤を含めての適正な原価をカバーしていなければならぬということを申し上げておるのでございます。そうすれば増資をいたしましても、あるいは借入金の調達をいたしましても、配当もできるし、あるいは利払いもできる、こういうことなのでございます。ですから全然違ったことを申し上げておるのじゃないのです、同じなんです。ただ戦前と比較いたしますと、資本構成というものが非常にいびつになっていることは事実であります。つまり戦前は自己資本が多くて借入金が少なかった、それが戦後は御指摘のようにトラック会社とか何とかになりますと資本金が非常に少ない、過小であるというのもございます。大部分は借入金によって依存しておる。こういうことはございましても政府といたしましては、基本的な指導方針といたしまして、その資本構成を極力是正さすということでやっておるわけでございます。これは御承知の通りで、たとえば増資につきまして税法上優遇するとか、そういう措置は過去においてとってきたわけでございまして、私鉄におきましても同様に、われわれといたしましては資本構成を是正するように指導しておるのでございます。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 それからもう一つお伺いしたいのですが、実際に私鉄という企業はなかなかいろいろな条件が含まれておると思うのです。片一方は公共性が非常に強く要求される、その反面では独立採算という自力の経営という責任を負わされておる。これは国鉄とは非常に性質が違うと思います。それから今の鉄監局長のお話にもあったように、戦前の自己資本と今日の状態とはだいぶ資本構成が変わってきておる。そうすると増資を意図しても困難だというふうにお考えですか、実際上どうなんでしょう。

岡本悟運輸事務官(鉄道監督局長)

○岡本政府委員 増資をいたしますためにはある程度配当を維持できる、こういう見通しがなければなかなか実際問題としては困難でございます。私もみずから会社を経営した経験はございませんけれども、聞くところによりますと、そういうことでございますので現在の情勢から言えばそう必ずしも増資は楽ではない、こういうことは一般的に言えるのじゃないかと考えております。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 もしそういう条件というものが今ありとするならば、一時戦前を通じてとっておったように、もっと補助政策というものを復活しなければいけないのじゃないか、こういうことも考えるのです。補助政策というものがないままでほっておかれるということになると、先ほど言ったように、片一方では公共性を国鉄と同じように強調される、その反面また、いわゆる健全経営じゃなしに誠意のある経営というものを要求される。こういうことになってくると、いろいろな矛盾が生じてくると思います。ですから今日私鉄と国鉄と公共性についてどれだけの相違があるのかということになりますと、私はあまり区別ができぬのじゃないか。国鉄の範囲と形態というものが大きいか小さいかという問題はあっても、実際に地域的に利用者の感情、気持そういうものでこの区別がどうされておるかということは非常にむずかしい。そういう点から考えると、補助政策というものは戦前と同じように復活するべき性質のものである。そうすると極端に企業内容の困難なものはもう少し立ち直る条件が出てくるだろう。こういうことも考えます。これは非常にむずかしい問題でありますので、私は、そういうものが実際にこの運輸行政の中で確立されないと、将来起きてくるところの交通機関の賃率の問題について、そのたびごとにいろいろな問題が起きてくるのではないか、こういうことをあわせて申し上げておきたいと思うのです。  私として、なお質問したいこともありますけれども、太田委員から関連質問があるので、太田委員の方に少し譲りたいと思います。

太田一夫日本社会党

○太田委員 関連をしてお尋ねをいたしますが、原価計算の問題です。岡本さんどうなんです。原価計算というのはあくまでも標準でしょう。原価計算によって適正な賃率が出るということは、先ほどからの御説明を聞いていてもどうもうなずけない。一応のめどだ。従ってそれに対しては、将来の交通事情であるとか、あるいは経済の盛衰の問題であるとか、あるいはその他の諸原因がなかなか長期にわたっては組み込めないと思う。ですから、原価計算によって出ます賃率が三円になったり、四円になったり、五円になったり、あるいは六円近くなったりするでしょう。おしなべて、それを平均すると、現在の大手を中心としたら、大手はどれくらいの賃率が妥当であるか、中小の場合の中はどれくらいであるかという、そのめどは出ておりますか。

岡本悟運輸事務官(鉄道監督局長)

○岡本政府委員 私個人の見解を申し上げますと、やはりわが国の運賃制度に基本的な影響力を持っておりますのは、陸上機関としては国鉄の運賃であろうと思います。そこで純粋な原価計算からたとえばキロ当たり賃率が四円なら四円と出ましても、国鉄と競争関係にあるということになれば、おのずからその影響を受けざるを得ないだろうと考えております。事実またそうなっておると思います。そういうことで、必ずしも原価計算で出たものそのものが、賃率に反映しておるということは言えないと思います。また反面、利用者の負担能力ということも考えなければならぬ問題であろうかと存じます。たとえば、現在東京都におきましては、御承知のように地下鉄が盛んに建設されつつございますが、しかし、この場合に原価を償う運賃ということになりますと、これは非常に高額なものになります。現在の運賃体系とは、およそかけ離れたものになるのでございます。極端に申し上げますと、建設費のために借り入れました資金に対する利息が、収入の全部を充てましても払えない、こういう状態が出て参っておるのでございます。そこで、そういう場合にはある程度国の補助というようなことでカバーしていきませんと、今の運賃体系とかけ離れたものは、とうてい実施の可能性はないわけでございます。そういう点は当然考えなければならぬかと思います。

太田一夫日本社会党

○太田委員 なるほど、なかなか原価計算というものはむずかしいものですね。そうしますと、別な意味でお尋ねしますが、キロ当り収入にいたしまして、今大手の平均はどれくらいになっておりますか。

岡本悟運輸事務官(鉄道監督局長)

○岡本政府委員 一キロ当たりの旅客収入を一日平均で見ますと、これは各社で非常にまちまちでございます。十万円あがっているものもございますし、あるいは十七万円くらいあがっているのもございますし、あるいは二万円、三万円というのもございます。非常に多種多様でございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 中小私鉄をお尋ねいたします。日本の中小私鉄というのは、あの荒廃した施設で、相当無理な経営をしている。人件費もそう高くない、設備もよくないし、回数も少ない。こういうところは、それではおよそどれくらいになっておりますか。

岡本悟運輸事務官(鉄道監督局長)

○岡本政府委員 それは、ほとんど一万円を割っているところが多いかと思います。

太田一夫日本社会党

○太田委員 そこで、キロ当たり収入が一万円から十七万円という、この大きな幅を持っている私鉄を、今原価計算で適正賃率をはじき出そうということは、それは一つの科学的な方法ですから、否定するわけじゃございませんけれども、それがめどになるような気がする。しかも立地条件というものが大きな条件変化の原因でありまして、国鉄と競争関係があるとかいろいろな関係であるいは非常に費用がかかるという場合には、それも見込まなければならぬということになると、おそらく個々に銘柄ごとに全部計算しなければならぬというような事態が出てくるのじゃないかという気がします。ですからこれは大体どれくらいあったらペイするかということは、大づかみに、腹づもりというものをしなければならないような気がするわけです。それはあなたの方にあるでしょう。あるから、これは割合長くない期間に適否の判断ができると思うのですが、そこでこの収入並びに支出のめどになるもの、収入はそれくらいである、それに対して支出が大きいから収入というものが小さくなってくるので、運賃値上げをする必要が出てくるでしょう。ですからキロ当たりの支出の内容というものも、克服に、科学的に検討しなければならぬが、それはどうですか。あなたの方では中小がどうで、大手はどうかということはわかっているでしょうね。

岡本悟運輸事務官(鉄道監督局長)

○岡本政府委員 大手がどうの、中小の私鉄がどうのということは、概念的にはわれわれとしては考えるべきじゃなくて、やはり運賃改定の申請が出て参りましたら、あくまで原価計算は個々別々に、当該の事業会社ごとに行なうものでございましてもちろん適正な支出原価というものはどうあるべきかということも、一々克明に検討していくわけであります。

簡牛凡夫自由民主党

○簡牛委員長 しばらく休憩いたします。午後零時二十分休憩      ————◇————— 午後零時二十六分開議

簡牛凡夫自由民主党

○簡牛委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午後一時より再開することにして、しばらく休憩いたします。午後零時二十七分休憩      ————◇————— 午後一時五十一分開議

簡牛凡夫自由民主党

○簡牛委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  陸運に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。太田一夫君。

太田一夫日本社会党

○太田委員 それでは引き続きましてお尋ねをいたします。  先ほど原価計算の話から運賃の適正額というのはなかなかむずかしいものだという感じを持ったのでありますが、その中で大手並びに中小私鉄のキロ当たりの平均収入というのを概略お示しになりまして、最低一万円以下から十何万円に至るまである、こういうお話であったのであります。しかし十何万というのは実は例外的なものじゃないかと私は思うのです。少々内容豊かなトップ企業といえども、四、五万円をもって平均とするのではないだろうかと思うのです。四、五万円のキロ当たり収入で、約九割をキロ当たりの支出とみなしているのが業界の常識だと思うのです。一割ぐらいしか利益がないということが今までの長い間の常識として伝わっている。ですから原価計算をやってみましても、どういうふうに積算をいたしてみましても、適正運賃というのはなかなか出てこないのじゃないかという気がするのです。しかしこの輸送の施設というのは付近の経済とかあるいは利用の頻度に応じて伸びていかなければなりませんから、何でもレールが敷いてあればいいというわけじゃないと思う。従ってあなたのところはレールが細いから支出が少ない。従って収入の方もこれくらいだというような逆算をされては輸送施設の改善なんということは思いも寄りませんし、公共性の伸長がない、こう考えるのです。だから、原価計算ということはいいことのようでありますけれども、一つさらにこれを現状に合うようになさいまして、これくらいの賃率ならば将来いかなる情勢にも応じられるという前向きの賃率というものを御設定になって、それを天下に示されて理解を得られるという努力が、運輸省としては要るんじゃないかと思うのです。先ほどから肥田委員の質問に対してお答えになりました岡本政府委員並びに次官のお話では、なかなか運賃はむずかしいということでありますが、一つ具体的にお尋ねをいたします。今後資金が相当量必要だというのが運賃値上げの重大なる支柱になっておりますが、この資金の調達はどういう方法でやれというふうに大体御指導になっていらっしゃるのですか、次官から……。

有馬英治自由民主党運輸政務次官

○有馬政府委員 まず自己資金といたしましては増資、それから借入金、それから一般金融の方法といたしましては開発銀行から借りることをある程度あっせんをいたしておりますと同時に、その他会社の自力をもって市中銀行から借り入れておる、こういう状況でございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 増資、借入金の話はしごくあたりまえの話ですから、可もなく不可もない話ですが、開発銀行から借りられるという道を開くことは、これは相当希望を持ってよろしいのですか。

岡本悟運輸事務官(鉄道監督局長)

○岡本政府委員 実は開発銀行の融資対象に私鉄の整備増強資金を入れてくれということはかねてから折衡しておりましたけれども、なかなか困難でございまして、昨今ようやくこの道が一部開けたのでございます。それはすでに御承知のように、大都市における地下鉄の建設に関連いたしまして、私鉄の乗り入れ工事が始まっておりますが、この乗り入れ工事に関する限り開発銀行の融資対象にしよう、こういうことになりまして、すでに一昨年から融資を見ております。実績は昨年がたしか全部で八億程度であったかと記憶いたしておりますが、これは年々増額されるものとわれわれは期待いたしております。

太田一夫日本社会党

○太田委員 非常にいいお話でありまして、そういう方向に運輸省として努力をされ、あるいはまた私鉄の経営者としても努力をするのが本筋だと思うのです。今まで市中銀行から借りたり、増資だ、社債だというようなことでやっておりますけれども、増資は自己資本ですから恒久性があります。ところが社債などは歩どまりと申しますか、これがますます悪化して参りまして、この金融梗塞の時代に間に合いそうもない。では一般市中銀行はどうだといえば、今のあなたたちの内閣の方が、あなたたちと言うと語弊があるかもしれませんが、非常にお引き締めになりまして、貸さないぞ貸さないぞというときに、十四社の平均を見ましても、たしか八十億くらいの設備拡張に要する資本だということになれば、とてものこと増資ないしは借入金などはできない、こういうことです。それを運賃によってやれんということになれば、キロ当たり五円やそこらの経費では済まない、こういうことになりますから、運賃値上げもほどほどにしておいて、もっと経営の根本的なあり方というものを改正される必要があると思う。従って今の開発銀行の融資が昨年度八億であったということはまことに朗報だと思うのですが、八億では九牛の一毛です。地下鉄の乗り入れ資金というようなけちなことを言わないで、なぜ建設、拡張、改良工事にそういうものを充当するようにしないのか。大体そのワクを何年度かにおいて何百億とかきめて、ちょうど電力事業と同じような扱いをするのが公共性を伸長させることだと思う。それをしなければ、もうかるところはサービスをよくするが、もうからないところはますますボロ電車や汽車を走らせるということになる。だから開発銀行がうんと力を入れて、政府がその気になればやれるのですから、大いに融資のワクを広げ、対象を多くすることが必要だと思いますが、その決意が運輸省にありますか。

有馬英治自由民主党運輸政務次官

○有馬政府委員 先ほど鉄監局長からお答え申した通りでございますが、根本的に運輸省といたしましては開発銀行の融資を今後とも多くしていただくように各方面に当たっても参っておりますし、将来ともその道を開くために努力していく方針でございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 方針として非常にけっこうです。岡本局長、これはあなたの方は大蔵省、政府関係筋に大いに圧力をかけるというよりは、正々堂々と説き伏せて、今八億というが、あと百億くらいの程度までこのワクを広げるように一日も早くしていただけるならば、何とか開銀融資というのが目鼻がついて、それが私鉄の公共性の伸長なり資金の安定度を増すということになると思いますから、ぜひやって下さい。岡本局長、あなたも長いことやっていらっしゃるが、開銀というものはなかなかむずかしい、簡単にいかぬから、昨年度八億出たからしばらくほっておいて、その次のことだなんて腹の中で考えておっては、これは失望でありますが、御決意、お見通しはどうですか。

岡本悟運輸事務官(鉄道監督局長)

○岡本政府委員 お答えする前に、私の記憶が間違っておりまして、昨年度は十三億円でございました。八億円は間違っておりました。三十六年度、本年度は二十九億五千万円の融資を開発銀行に対し推薦いたしております。この歩どまりが幾らになりますかわかりませんが、先ほど申し上げましたように増額されることは期待してもらってよろしいかと存じます。この開発銀行の融資対象に加えてもらいましたのは、実は個人的なことを申し上げて失礼でございますけれども、私の決意をおただしになりましたので、申し上げることを許していただきたいのでございますが、私が民営鉄道部長を三十一年ころやっておりました際に開発銀行に初めて問題をぶち込みまして、それからいろいろ折衝しました結果融資対象として取り上げてもらったようないきさつでもございますので、私といたしましても、仰せのように地下鉄乗り入れの工事に限定しないで、特に大手私鉄の輸送力増強整備ということは、都市交通政策から申しまして非常に重要な問題でございますので、その増強整備に要する資金はあげて開発銀行が責任を持って融資する。こういう方向へぜひ持っていきたい決意でございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 非常にけっこうな御回答をいただきまして、前途明るくなって参りました。早く局長、大臣になって下さいよ。(笑声)  そういうことで、そこから発展をしてさらにもう一つお尋ねをするのですが、同じような交通機関におきましても公営企業というのがあります。国鉄を除きまして地方公営企業などにおきましては民営企業を凌駕したりあるいは競争関係にありますけれども、この地方公営企業というのは、御承知の通りにその融資団体として公営企業金融公庫というのができております。そしてそれで足らないものは一般起債をもって充当する、こういう資金的な裏づけがあります。それで公営企業法の第三条でございますか、基本的な原則というのは経済性の伸張と同時に、公共性の確立というのを二つの目的として明らかにしておるわけです。この公共性の目的をやるためには、その資本は単なる資本主義社会の資本じゃない、ちょっと違うのです。社会主義的な資本が要るということなんです。こういうことがうたってあり、その制度が確立されております。しかも税制においては、これはもう御承知の通りに国税においても地方税においても格段の違いがある。市民税もなければ地方県民税もない、固定資産税もなければあるいは事業税、法人税なんというようなそういう課税がないということから考えてもどれほど恵まれておるかわからないと思う。その恵まれておる地方公営企業が、なお今日同じような運賃を取りながらも、赤字だ赤字だというのは公益性の伸長によるところの不経済路線というものを相当持っておるがゆえの結論だと思うのです。してみれば私鉄企業においても私企業においても同じことでありまして、公共性というものを無視したならばあなたの方の免許にはならないのだから、公共性を伸長しようとすれば、経済性だけにしがみついておるわけにはいかぬ。だから経済性はほどほどにしておいて、公共性もほどほどにとりなさいよというのは、これは今あなたの方の御指導の精神と私は理解しておりますれども、そうするならば、一般の地方公営企業と民営企業とが格段の差別待過をされておるということは、この際においてはいかがなものであろうかと思いますが、御見解のほどはどんなものでございましょうか。

岡本悟運輸事務官(鉄道監督局長)

○岡本政府委員 確かに仰せの通りであろうかと思います。御承知のように、戦前地方鉄道、いわゆる私鉄に対する政府の助成保護政策は相当見るべきものがあったと思うのでございます。つまり建設につきましては、大体十年を目安といたしまして、一本立ちができない間は建設利子を補給してやる、こういう制度が長く続いたわけでございます。あるいは建設して十年たっても相変わらず欠損が出るというような会社に対しましては、赤字を国庫で補てんしてやる、こういう制度も長く続いたことは御承知の通りでございます。あるいは税制面におきまして、鉄道用地は免税にする、こういう恩典も付与しておったわけでございまして、相当私鉄の保護育成政策という面におきましては、今日よりはるかに進んだものがあったことは事実でございます。それが戦後非常に後退いたしまして、特に占領軍の政策的な指導もあったかと存じますけれども、非常に後退いたしまして、現状のような姿になって参ったことは、われわれといたしましては非常に遺憾に存じております。現在地方鉄道軌道整備法というのがございますけれども、その実質的な発動の状態というものは御存じのようにきわめて貧弱でございまして、いやしくも国家が相当の保護育成をしておるということはほど遠いものがございます。大へん残念でございますが、現状はかくのごときでございまして、われわれといたしましても何とか、戦前には及びもつきますまいけれども、もっと政策的な手を打っていくべきであろうかということは痛感いたしております。私の考えでは、現在の補助金制度というものを拡大するということは、相当問題があろうかと思いますので、やはり主要眼目といたしましては税制面、それから金融面、融資の面、この両者をもっと徹底的な方策をとりまして、保護育成の実をあげていくべきではないか、かように考えているわけでございます。

太田一夫日本社会党

○太田委員 全くいい意見ですね。ここまで意見が一致してきますと、そう問題がないような気がするのだが、次官、これも実際に今局長のおっしゃった通りに、税制面、金融面におけるところの格段の措置というのは、これは組織的な面として十分運輸省として措置をされることが必要だと思うのです。これはされませんと、運賃の値上げというようなことだけで当面することを糊塗しつつ、逐年行政を行なうなんということは、まことにもってりっぱとは言えなくなると思うのです。運賃値上げは世人が全部本能的にきらっているのですから、本能的にきらっている増税、運賃値上げ、公共料金の引き上げ、ないしはその税外負担なんというのは、全部やめようというのが元来政府の方針でもあったのです。方針としてあることはそれはあるのだが、さて具体的になると、さあいろいろな経費をまかなうだけのものがないから、独立採算の建前から上げなければならない。こういうことが地方公営企業に現われておるのです。地方公営企業は必ずしも交通だけではありません。上下水道、あるいはガス電気、あるいは病院などに至るまで、いろいろなものを上げなければならない、あるいは何とかさらに長期低利の融資をしてくれというような、こういう動きが出ているのです。私企業はそれ以上ひどいものだと思いますが、それを無理に押えて、今までの制度をそのままにしておいて、その中であなたの才覚でやりなさい、それで金融ができないなら金融機関に信用がないからだということでほっておかれれれば、腐朽したところの施設のもとに不安定なる営業をしなければならない、国民に対して相済まないことになりますから、これは抜本的な対策というものを確立してほしいと思うのです。今の税制面、金融面においてこれを強力に推進することを目的として、運輸省が決意をされれば、私鉄の方は弱腰なりといえどもあとからついていくだろうと思うのです。どうも私鉄の経営者というものは、政府の言うことにたてをつくとどこかでかたき討ちをされるかもしれないから、御無理ごもっともでございます、よろしくお願いいたしますと言って、そしてその人たちはあとどこへはけ口を見つけるかといえば、低賃金と高運賃ということになるわけです。運賃値上げをしたり、従業員の労働条件はとめておいたり、こういうことになるのです。労賃というのは運賃を上げたらやはり一人前の事業場の労働者と同じように扱うと同時に、運賃というものはやはり世人が納得できるという運賃でなくちゃならぬ、こういう点は私も痛感します。そしてぜひとも税制の面で、国税、地方税にわたる特段の措置というのは同じようにされる必要がある。国鉄も決して固定資産税が全免されておるとは思いませんけれども、大体においてああいうようなある程度見合った、均衡のとれた税制制度というものをこの際確立をしてほしい。あなたの方がその原動力となって下さらなければ、将来の運賃値上げというものに対してあなたたちは拒否することができなくなりますよ。これを私は特に指摘しておきたいと思うのです。  そこで関連でございますから、最後に一つお尋ねしますが、独禁法との関係でございますけれども、今私鉄が地方におきましてそれぞれ困っておりますのは、どんなに世の中の景気がよくても困りますのは、やはり私鉄の収益率が低いという点に問題があるのです。それは企業が小規模だという点に非常な不安がある。これをこの際統合し、あるいは併合いたしまして、大企業に小企業が入ったっていいじゃないですか。これはいいのだと思いますが、そういう御奨励の仕方は独禁法との関係もあってできないでしょうか。あるいはそういうことを御研究になったことがございますか。

岡本悟運輸事務官(鉄道監督局長)

○岡本政府委員 会社の合併、特に今御指摘の大企業が小企業を吸収、合併することにつきましては、積極的に行政指導をしたことはございません。ただ、申請として出て参りました場合には、経営の強化という観点、あるいは経営の合理化という観点から非常に好ましいことでございますので、なるべくすみやかに認可するという方針で審議を進めておりまして、これに対して反対であるとか、そういうことは全然ございません。御指摘の独占禁止法の関係でこのことが拒否されたという実例も、私は聞いておりません。

太田一夫日本社会党

○太田委員 従って今のお話ですと、これは独禁法上の制約はないから、企業合同は差しつかえない、大企業が小交通機関を併合することは差しつかえない、こういう御見解でございますか。

岡本悟運輸事務官(鉄道監督局長)

○岡本政府委員 独占禁止法の制約はないとは申しません。もちろん独占禁止法による許可が必要でございますけれども、公正取引委員会の方から、そのことについて公正取引の思想に反するということで拒否されたことはないと申し上げておるのでございます。運輸省といたしましては、もちろんお示しのように、多くの場合これが経営合理化であり、あるいは経営の強化に役立つということで、積極的に、肯定的にこれを認めておるわけであります。

簡牛凡夫自由民主党

○簡牛委員長 次会は来たる十七日火曜日午前十時より開会することといたします。  なお、理事会は来たる十六日月曜日午前十時三十分より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時十三分散会      ————◇—————

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