予算委員会第二分科会 第3号
- 発言数
- 240 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1961/03/29
会議録
○主査(塩見俊二君) ただいまから予算委員会第二分科会を開会いたします。 昭和三十六年度総予算中経済企画庁所管を議題といたします。 まず、政府から説明を求めます。
○国務大臣(迫水久常君) ただいま議題となっております経済企画庁の予算案について御説明申し上げます。 歳出予算の要求総額は五十九億四百八十四万九千円でありまして、これを前年度予算額四十六億四千二百八十八万八千円に比較いたしますと、十二億六千一百九十六万一千円の増額となっております。この増額となったおもな理由は、離島事業費が八億六千五百三十九万五千円と国土総合開発事業調整費において一億八千万円増額となったためであります。 次に、経費の内訳を申し上げます。第一に、経済企画庁の(項)では要求額は四億五千二十万六千円でありまして、前年度三億八千四十一万一千円に比較いたしますと六千九百七十九万五千円の増額となっております。この要求経費の内容を御説明申し上げますと、人件費二億七千四百三万九千円と事務費一億七千六百十六万七千円であります。 この専務費は、一般庁務の運営経費並びに次に申し上げる内容のものであります。(一)経済の高度成長を維持し、かつ地域的にも均衡のとれた経済の発展を実現するためには、産業及び人口の適正な配置、地域間格差の是正等、地域的な側面より見た経済の重要問題に関する国の政策についての基本方向を明確にすることが急務でありますことにかんがみ、これらの事項を調査審議するため、新たに設置する地域経済問題調査会を運営するに必要な経費と、同調査会の所掌事務に関連する調査に必要な経費として五百万円を要求しております。(二)国民生活の向上をはかるための基本的な政策を企画立案するに必要な経費と、国民生活の向上対策に関する重要事項を調査審議するため新たに設置する国民生活向上対策審議会を運営するに必要な経費として一千一百九十六万五千円を要求しております。(三)わが国経済に関する長期計画及び年次計画の策定、海外経済協力の推進、基本的経済政策の企画立案並びに経済審議会その他各審議会の運営等に要する経費が九百十二万一千円であります。(四)河川、湖沼、港湾、沿岸海域等の公共の用に供する水域の水質の保全をはかり、あわせて水質の汚濁に関する紛争の解決に資するため、水質審議会を運営し、公共用水域の調査に関する基本計画の決定及び公表並びに水質規準の調査設定及び紛争処理の事務を行なうため、これに必要な事務費三千一百二万円を要求しております。(五)わが国内外の経済の動きを的確に把握し、また、経済白書等の報告書及び統計指標を作成する等、経済動向の調査分析に必要な経費が三千五百二十六万五千円であります。(六)国土の総合開発調査に必要な経費は三千四百八十九万三千円でありまして、前年度二千八百七十二万六千円に比較いたしますと六百十六万七千円の増額となっております。 この経費は、国土総合開発法、電源開発促進法、特殊土壌地帯災害防除及び振興臨時措置法、離島振興法、東北開発促進法、九州開発促進法、四国開発促進法、中国開発促進法、北陸開発促進法、台風常襲地帯における災害の防除に関する特別措置法等の各法律に基づきまして、それぞれ災害の防除と生産力の発展を促進する諸施策を樹立するために要する経費と、国土総合開発審議会、電源開発調整審議会、特殊土壌地帯対策審議会、離島振興対策審議会、東北開発審議会、九州地方開発審議会、四国開発審議会、中国開発審議会、北陸開発審議会、台風常襲地帯対策審議会、地盤沈下対策、審議会の運営に要する経費であります。なお、特に開発のおくれた地域の工業開発を促進して国民生活の均衡ある発展をはかるためと、最近における産業の発展と都市人口の増加に伴う水需用の増大にかんがみて、これが水資源を確保するための施策を樹立するための経費として三百二十七万三千円を要求しております。 第二に、経済研究所の(項)では、要求額は六千一百八十四万二千円でありまして、前年度四千三百七十五万円に比較いたしますと、一千八百九万二千円の増額となっております。この経費の内容を御説明申し上げますと、人件費三千一百九十七万八千円と事務費二千九百八十四万六千円であります。 この事務費は一般庁務の運営並びに次に申し上げる内容のものであります。(一)わが国経済の構造と経済の循環その他経済の基本的な事項を調査研究するために要する経費が八百三十六万四千円であります。(二)わが国の国富調査は戦後初めて昭和三十年に調査を実施しまして、次の本調査は昭和四十年を予定しておりますが、新年度は両調査年度の中間に当たりますので、簡易な中間調査を実施いたします経費として一千七百四十七万五千円であります。 第三に、土地調査費の項では、要求額は二億六千八百七十九万七千円でありまして、前年度一億九千十一万八千円に比較いたしますと、七千八百六十七万九千円の増額となっております。そ の内容を申し上げますと、基準点測量におきましては四等三角点の新設点数を九百五十点と予定し、これに要する経費として二千六百三十六万五千円、国土調査法の規定によって、地方公共団体、土地改良区等が地籍調査を行ないますときの補助金として二億三千六百八十四万九千円、土地分類調査と水調査については五百十九万四千円となっております。 第四に、国土総合開発事業調整費(項)では九億五千万円を要求しております。国土総合開発法に基づく開発事業は、各省各庁によってそれぞれ所管を異にして実施されるため、開発事業相互の進度に不均衡を来たし、総合的な効果が発揮せられない場合があります。このような場合に、経済企画庁がこれを調整いたしまして、総合開発の効果を上げようとするものであります。特定地域及び調査地域並びに東北地方、四国地方、九州地方、中国地方、北陸地方及び首都圏地域における開発事業を対象といたすものであります。 第五に、地域経済計画調査調整費の(項)では五千万円を要求しております。この経費は各省各庁の地域経済計画を立てます際の調査の調整をはかり、総合的に行なわんとするためのものであります。第六に、離島振興事業費の(項)と揮発油税財源による離島振興道路卒業費の項を合わせて要求額は四十一億二千四百万四千円でありまして、前年度三十二億五千八百六十万九千円に比較いたしますと、八億六千五百三十九万五千円の増額となっております。この経費は、離島振興法に基づきまして、離島において国が行ないますところの治山治水、道路整備、港湾漁港、食糧増産等の公共事業に必要な経費と、地方公共団体等が行ないますところの公共事業、農山漁村電気導入事業、簡易水道事業に必要な事業費を補助するための経費であります。この経費は、経済企画庁に一括計上したもので、その使用に際しましては、実施に当たる各省所管に移しかえるものであります。 以上で経済企画庁の予算説明を終わりますが、なお、御質問に応じて詳細御説明を申し上げたいと存じます。何とぞよろしく御審議の上、すみやかに可決せられんことをお願いいたします。
○主査(塩見俊二君) この際御報告申し上げます。 本日、山際日本銀行総裁の御出席をお願いをいたしております。総裁には、大へん御多用中を特に本分科会に御出席をいただきましたことを、厚くお礼を申し上げます。なお、総裁は、午前十時から正午まで当分科会に御出席をいただくことに相なっておりますので、まず、日本銀行総裁に対する質疑から、順次御発言をお願いいたします。
○木村禧八郎君 国際収支の問題について、日本銀行総裁に御質問いたしたいと思うのですが、私、着席したまま御質問いたしますので、総裁も御着席のまま答弁していただきたいと思います。 御承知のように、本年に入りましてから、国際収支、特に経常収支におきまして予想外の赤字が出まして、今後の国際収支の動向について非常に大きな関心を持たれるようになってきておるわけです。新聞の報道によりますと、日本銀行の政策委員会におきましても、この問題について慎重に検討されているようでありまして、去る二十四日、また、きのうも政策委員会を開かれて、今後の見通し、対策等について協議されたようでありますが、新聞の伝うるところによりますと、日銀政策委員会の国際収支の見通し及びその対策についての内容は、どうも政府の楽観論に対して、悲観論といわないまでも、かなり慎垂な見解を持っておられるようであります。もちろん根拠もないのに、いたずらに悲観すること、ナーヴァスになることはもちろん慎しむべきことでありますが、そうかといって、この所得倍増政策の重要な要素でありますこの国際収支が、今後大幅な赤字、経常収支あるいは総合収支において赤字を出すということになりますと、倍増政策もくずれてくるのじゃないかと思うのです。そこでこの際、日本銀行総裁の、国際収支の最近の赤字に対する御見解と今後の見通し、及びこれに対する対策等について、御見解を承れば幸いと思うのでございます。
○参考人(山際正道君) それではお言葉によりまして、着席のままお答えいたします。 最近における国際収支の動向につきましては、わが国経済事象のうちの最も基本的な注目を要する事象として、私どもの方では非常に注意深くその推移を注視いたしておりますことは、お言葉の通りでございます。ただいまのところまでに現われております経過を申し上げますと、御承知の通り、本年に入りましてから、むしろ意外な数字が現われたと申し上げた方がよかろうかと思います。重要なことは、私どもといたしましては、いかなる理由によってかかる原因が起こっておるのであるか、それを第一に究明をいたしまして、それぞれの要素に基づいて、それが今後どういう方向をたどるであろうか。もしある方向が見出されるならば、それに対する対策はどうしたらよろしかろうという順序で考えていくのがしかるべきであろうと、実は思っておるのであります。で、ただいままでのところ、御承知のように、一月ないし二月に現われました国際収支の情勢、なかんずく経常収支における赤字の問題であります。これはおそらく幾たびか御論議が行なわれておることと思いまするけれども、一には輸入の水準が相当高いということ、一方には輸出の水準が、必ずしも従前同様の伸びを示していないということ、両々相待ちまして、貿易上の赤字が意外に大きくなってきておるということが、主要な原因であろうかと考えております。 まず、赤字の高水準の問題でありますが、その原因はいろいろあろうかと考えます。御承知の通り、日本の経済構造からいたしまして、ごく大ざっぱに申しまして、上半期が輸入期であり、下半期が輸出期であるといわれておるのであります。従いまして、原料手当、たとえば農産物関係、羊毛であるとか、原綿であるとか、そういったふうの手当は、上半期に行なわれますのが普通でございます。それが相当累積いたしておりまして、これがまた赤字と申しますか、輸入増大の一つの要因になっております。それに加えまして、何と申しましても、今御承知のように、国のとっておられまする政策は、経済成長をできるだけ伸ばしていこうというお考えであります。一方、これは世界的な技術革新、合理化要請等に基づきます各種の輸入物資の必要が生じております。かたがた、これらが相待ちまして、相当高い水準が昨年来続けられておりました。本年に入りましても同じような水準が続いておる。こう解すべきであろうと、こう実は思うのであります。それらのうち、はたしてどれだけの部分が季節性に基づく輸入であるのか、また、それらのうちどれだけのものが再輸出の原料として使われるであろうか、あるいはまた輸入されておる機械設備その他の合理化あるいは技術革新に伴う機械設備その他のものが、はたして将来、どれだけの輸出増進に役立つであろうかというように、問題が非常に複雑になっておりまして、これをなかなか一がいに解明することは非常にむずかしいと思うのであります。が、一面において、先ほど申し上げました国内需要に対する高度成長政策というものの影響も、はたしてどの程度にきておるのであるかという点も、また解明さるべき一つの問題であろうと考えております。御承知のように、この貿易関係は、単に国内問題ばかりでは解決いたしません。ことに輸出の問題は相手のある問題でございます。世界の経済景況がどっちに向いておるか、あるいはまた世界の国際貿易競争裏において、日本がどれだけの国際競争力を持ち続けておるか、それが低下しつつあるか、増大しつつあるかというような点、これらの点も詳細に解明せらるべきであろうと思うのであります。二月の貿易収支も、むろん大幅な赤字でございましたけれども、一月に比べますと、それはかなり低減をいたしておりますか、総じてこれらの事象は、今申し上げましたような観点から、詳細にこの際解明さるべきである。ことに海外経済情勢の分析と、それからまた国内の需要の増大、なかんずくそれが成長政策を中心として雇用の増大、消費の購買力の増大等に伴うその影響がどうなっているかというような点を測定いたしますことは、これは非常に私は肝要なことだと思うのであります。私も、政府におかれましても、すでにそれらの点に着目されまして、それぞれ分析を行なわれておるだろうと思うのであります。一つの国内的心配は、御承知のように成長政策というものが、政府が測定せられておった、もしくは計画されておったより以上に、現実が行き過ぎておるがために、輸入があるいは予期以上に大きくなっておる。あるいは消費がより以上に増大している点がありはしないかというような点は、これは重要な問題だろうと思う。また、海外情勢の分析にいたしましても、アメリカ経済の回復を初めとして、ヨーロッパあるいは東南アジアの動向がどうなるか、そしてまた御承知のように、今、国際的には後進国の経済開発、これに対する国際協力ということで、だいぶ具体的に計画が立てられております。これがはたしてその具体性がどうなるか、それからくる貿易関係の影響はどうであるかという点が、また大いに分析さるべきであろうと思うのであります。要するに、これらの諸点におきましては、すでに政府の各諸機関におかれまして十分に今審査中の事柄であろうと思われますが、やや時間がかかると私は思います。そこで問題は、時間がかかるのに対して日本の経済は耐え得るだけの国際収支上あるいは外貨準備上の余裕があるかどうかという問題であろうと考えまするが、この点におきましては、私は昭和三十二年の急激な金融引き締めの際の実は当事者でありましたので、その当時の経験と対比しながら考えておりまするが、幸いにして、その後における国民の非常な努力によりまして、その点はかなりの力をつけてきておると実は思うのであります。従って、いろいろ情勢を分析し、しかしてそれに対して対応した策をとっていくのには時間がかかるといたしましても、その時間に耐え得るだけの余裕ができておるからして、ここであわてて大きくかじをどうしたらいいかということで騒ぎ立てるということよりも、それだけの落ち着いた研究を続けていくということが非常に肝要である、従って、われわれの態度といたしましては、これは昨日も政策委員会で論じたことでありますが、常にそういう情勢をよく、今後注意いたしまして、詳細に分析をして、可能なものからその対策をとっていく、むしろそういうことをこの際考えるべきであって、全面的に大きく金融政策の切りかえであるとか、あるいは経済基調の変化に伴う大きな政策の切りかえということを実行することは、時宜を得たものではなかろうというふうに実は考えておるわけでございます。そういう意味から申しますと、御承知のように短期資本の流入を中心といたしまするけれども、幸いにして外貨準備はなおかつ増大をいたしております。私どもの見込みではおそらく三月中も総合収支は黒字であろうと考えております。従って、そういう意味において相当の力もついてきております。相当の考える時間を持ち得る余裕をつけてきておる日本経済としては、この際特にそれを考えまして、政府におかれましても、われわれとして望むところは、当初お考えのことよりも、もし出過ぎた線があるならば、それを適当なスピードと申しますか、その程度に押えていくために必要な御措置をお考え願いたい、また、そこまでいかぬものがあるとすれば、それを補うためにまた御措置を願うというふうな御研究を鋭意願って、御実行願ったらいかがであろうということを考えております。現在の段階では、一言で申しますと、まだ基調的に大きな経済情勢の変化を見込み得る段階ではなかろう、むしろ注意深く推移を研究し、しかして常に必要に応じて弾力性のある態度をとることに配意すべき段階であろうと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○木村禧八郎君 日銀総裁のお立場として非常に慎重な御答弁でございましたが、私が御質問したい焦点は、ことしに入ってからの国際収支、特に経常収支の赤字の原因につきまして、政府は、大体これは一時的現象に基づくようなどうも見込みのようであります。あとでまた経企長官に伺いますが、おととい通産省の見解を聞いたのですが、特に輸入につきましては、在庫補充のためにふえた程度であると、かなり軽く考えているようであります。また、輸出については、今後アメリカの景気がよくなるだろう、それに期待を抱いている、下期あたり。しかし私の見るところによりますると、先ほど総裁がお述べになりましたように、この国際収支の赤字は、輸入輸出両面に問題があって、特に輸入につきましては、その両方とも、私は、私の見解は間違っているかどうかわかりませんが、私は一時的な原因というより、むしろ基調的な変化が生じておるように私は思うのでございます。一応、簡単に輸出入両面について私の見解を述べさしていただいて御批判をいただきたいのでありますが、まず輸入面につきましては、先ほど総裁がお述べになりましたが、設備投資が予想外に大きいということですね。そういうことは、やはり単なる在庫の補充だけでなく、設備投資の予想外に大きいということが、輸入の水準をかなり高くしているという面がある、特に機械の輸入が非常に多いことであります。そういう点は単なる一時的なものとは見られないと思うのであります。そこで問題は、設備投資に何か調整が必要でないかという問題も起こってくると思うのでありますが、また経営収支の面では、貿易外の収入が非常に赤字になってきている、ことに海運収入は三億五千万ドルぐらいの赤字になるのじゃないかと言われているのですね、三十六年度は。それから外資導入、技術導入等による利子、ロイアリティの支払い等、これも非常にふえてきております。それから最近の海外渡航も非常にふえてきております。それによる支出もふえている。これは単なる一時的のものじゃない、貿易外におきましても、かなり基調的な変化が生じている、海運を中心としまして。それから輸出の面についてはもっと私は基調的じゃないかと思うのですね、変化は。単なる一時的ではなく。それは趨勢的に見ますと、昭和三十四年ごろはかなり黒字でありまして、特に対米輸出は前年度に比べて五二%ぐらいふえておりますが、三十五年度以後、三十六年になって赤字になってきている、こういう趨勢的な傾向を示していると思うのです。特に本年になって赤字になった輸出面につきまして、これまでアメリカに対する輸出の減退を、東南アジアから大洋州、ヨーロッパ等の輸出増加によってカバーしてきておりますが、しかし、最近になって、対米貿易の伸びの減少をカバーしてきた東南アジアとか、大洋州に対する輸出の伸びが急に減ってきているということですね。そういうことを見ますと、これは単なる一時的の現象ではなくて、かなり基調的な変化も見受けられると思うのです。そうなりますと、政府は、極端に言えば、ほうっておいても一時的なものである、在庫補充が一段落すれば輸入の方も減ってくるのじゃないか、輸出の方もアメリカの景気がよくなれば——これも相手があるのですから、そういうものを皮算用しておっていいのかどうか、そういうことを考えますと、どうも政府の考え方は楽観にすぎるのじゃないか、特に設備投資が予想外に大きいということは、これは今後の国際収支を見る場合、かなり問題じゃないかと思います。そうして鉱工業生産の増加に対しまする輸入原材料の消費の割合から計算して見ますと、どうも三十六年度の輸入の見込額は四十一億ドルぐらいになっているのですが、それでは過小のように思うのです、しろうと考えですが。四十四億ドルぐらいになるのじゃないかというふうにも思えますし、そうしますと、赤字の問題は、そう簡単な問題ではないと思うのです。これに対する総裁の御批判をいただければ幸いと思うのですが。
○参考人(山際正道君) いろいろお言葉がございました点は、私どもも懸念を持つ点が少なくないのであります。ただ、申し上げましたような、基調的変化ということが、どういうことを意味しておりますか存じませんけれども、直ちにこの際に大きく政策を転換して、せっかく今まである方向へ向かって、産業なりあるいは消費なりが向いてきたものが、急激にまたそこで戸惑いをするというようなふうな政策をとることが、この際適当な段階とは実は思っておりません。これはつまり、ある程度申し上げまするならば、個々の事象をとらえて、適当な対策をそれぞれにとっていけば、全体として均衡を回復し得るまだ段階であろう。必要なことは、その個々の事態について詳細な分析を行なって、事態の原因が明らかなものについては、さらにそれに対する適応した策をとるという、臨機応変と申しますか、弾力的な態度というものが政府は根本的に必要だろうと思うのです。このことは、私ども実務に携わっておりますと、企業家の心理、あるいは金融家の心理というものは、おそらくは消費者の心理もそうかもしれませんが、一つの方向が示されますと、われ先にそれに突進いたす性格を持っております。でありますから、計画と実際上それが現われる一つの偏差というものが、いいにしろ、悪いにしろ、非常に拡大しやすいという、一種の心理的な状態をみな持っております。これに一つ政府が御注意を願って、行き過ぎは是正してやる、また行き渡らぬところは伸ばしてやるというように、弾力を持った対策をもってお臨み下さるならば、この段階において、今申しましたように、四囲の情勢はいろいろな判断もございましょうし、また総合収支としては黒字を続けているような状況でもありまするから、十分に時間と余裕はあり、また力もついてきたかと実は思っておりますので、その点はぜひともそういう弾力的な御配意を政府に煩わしたいと、私自身も考えておる点でございます。
○木村禧八郎君 新聞の報道によりますと、どこまで正確かわかりませんが、去る二十四日の日銀政策委員会における国際収支の見通しとして報道されたところによりますと、本年四−六月におきまして、経常収支一億九千万ドルの赤字、総合収支も一億二千万ドルくらいの赤字になるのではないか、それから輸出期に入る七−九月におきまして、経常収支で七、八千万ドルの赤字、総合収支でも若干の赤字になるのではないかというような、日銀政策委員会の見通しについての報道が行なわれているのでありまするが、この点、総裁はそのように御判断でございましょうか。
○参考人(山際正道君) ただいまお述べの数字的な問題は、実は政策委員会では論議されませんでした。新聞記事がございますれば、何かほかのソースから得られたのだろうと思いますが、そこまではまだ的確に将来を見込んでおりません。が、いずれにいたしましても、われわれが当初示されておりましたような政策というものが、万事今のままで達成されるとは思っておりません。相当な努力をし、相当な改善をはかりながら行くならば、その可能性はまだあるという程度の大観した態度で成り行きを注視しておるというのが実は真相でございます。
○木村禧八郎君 新聞によりますと、何か新聞は味のある表現をするようでありますが、高度成長政策のなしくずし的抑制と呼んでおりますが、これは抑制と呼んでいいか、まあ調整と呼んだらなおお受けになるかも存じませんが、とにかく長期政策について、ここで今まで通りぼんやりしておったのではいかぬのだと、ある警告的な現象が起こっておるというように私は思うのでありますが、総裁のお立場として、そうきつく表現されておりませんが、今の総裁のお話は、やり方によれば、賢明なやり方、政策をとれば別に心配はないという御所見でしたが、そういうような意味に解釈してよろしいのでしょうか。
○参考人(山際正道君) 私がやり方によってはと申しました理由の中には、ただいま申しましたように、行き過ぎの部分があり得ると思う。これは一つ政府の方で御調査願いまして、政府はたしか三十六年度は九%程度の成長ということをお考えになっておりますけれども、その当時御予定になった程度以上に突っ走っている部分もないとは私は言えないと思う。これは私も、企画庁としてもすでにその調査に部分的には産業別に御着手になったように実は聞いておりますけれども、ぜひそれはお調べを願いまして、適当な措置を講じて、その業界々々に応じた対策で、それがスピードの出し過ぎになりませんように、過熱になりませんように、この御配慮をぜひ願いたいと考えておるわけでございます。
○木村禧八郎君 私、前に経済企画庁長官に予算委員会で質問いたしたのであります。それは、このままの設備投資の状況を放任しておきますと、三十七年度ごろ過剰生産の問題がかなり深刻化するのではないかという質問をしたのですね。それで、これまでの設備投資が生産力化していった場合、ことに鉄鋼なんか、計画だけ見ますと、非常に著しいようでありますが、この調整機関となると、昭和四十五年度に達成すべき目標を四十年に達成してしまうというようなことになっているのですが、従って、このままで行きますと、少しくどくなって恐縮でございますが、やはり過剰生産の気味がある。そこで、金融政策としても、窓口指導等でやはりその調整をする必要があるのではないかと思われるのですが、この点いかがですか。
○参考人(山際正道君) 私も、可能性として、注意を要する点の一つとして、お述べになりましたような点は考えております。従いまして、実際の金融機関の指導なり、あるいは融資なりの態度といたしましては、行き過ぎのある部分については、十分にこれは警戒を促し、あるいはでき得れば抑制的な措置も勧告をするということはあり得るかと考えております。どの産業はどうということを申し上げることは、ここでははばかりまするけれども、明らかに稼働した場合におけるマーケットの状況、これは輸出とも関係いたしまするけれども、ややスピードが速過ぎるのではないかという部分は相当あるのではないかと考えられます。それは私どもとしては、金融政策でとり得る範囲においては、十分な配慮を持ちながら今後も進みたいと考えております。それは、先ほど申し上げました政府における実態的な各種の御調査なり、御観察なりと十分歩調をとりまして、政策委員会でも政府の代表の方が見えておりますので、十分論議を尽くして、注意を払っていきたいと考えておる点でございます。
○主査(塩見俊二君) この際お諮りいたします。羽生三七君から、分科担当委員外委員としての発言を求められております。これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(塩見俊二君) 御異議ないと認めます。羽生三七君。
○担当委員外委員(羽生三七君) ただいまの木村委員の質問に関連してでありますが、最近の国際収支の動向が基調的な変化であるかどうかという問題ですけれども、実は私先日、予算委員会で、大蔵大臣にやはりこの点にちょっと触れてお尋ねをしたのですが、一時的なものであれば問題はないわけです。基調的な変化であるかどうかという問題と、一時的なものかどうかということ、この二つとも重大なことですが、それは私は別としまして、かりに三十六年度の黒字見通し二億ドル程度というようなものが保持しがたくなったという場合、その場合に、今まで日銀のおとりになった態度からいえば、当然何らかの赤信号を出されることになると思う。そこで、私として一番お尋ねしたい点は、大体二十億ドル少し足らない程度の外貨保有だと思いますが、一体外貨保有が少しぐらい食い込みになっても、一億や二億ドル程度食い込みになっても、基調に変化がなければ食いつぶしをやっても大したことはない。そういうお立場をとられるのかどうかということ、これが第一点です。もし基調的なものに変化がなければ、季節的なでこぼこであるとすれば、やがて下半期にきて趨勢が変わってきますから、これはえらい心配したことはないと思う。そこで、私の一番お尋ねしたい眼目は——これは昭和三十三年の三月ですね、予算委員会で山際総裁の御出席をいただきまして、当時、一萬田大蔵大臣ともども御列席をいただいて、私、当時の国際収支に関してかなり長時間お尋ねをいたしたことがございます。そのときに、速記録がここにそのままございますけれども、やはり国際収支は重大な問題であるからこういう手直しをした。そこで私は、国際均衡が至上命題なのか、あるいは国内均衡が至上命題なのか、あのときの状態では、そのバランスをとることが適当であるということをお尋ね申し上げたのです。そこで、今日の状態を見ておりまして感じることは、かりにもし基調的な変化が起こって、設備過剰、設備投資の過剰というようなことになって過剰生産の傾向が出てきた場合には必ず引き締めをやられる。そうすると、三十二年と同じような状態が起こってくる。あのときの状態は、御承知のように金融引き締め、その結果起こったのは、中小企業の破産、倒産続出、不渡手形は戦後最高、それから工場は操業短縮、続いて閉鎖、大量の馘首、これが反動として起こったわけです。そこで私はそのときに、そうではなしに、むしろそういう場合に逆に減税をしたり、あるいは社会保障費を増額したり、あるいはその他低額所得者のために徹底した施策を行なって、国内有効需要を高めて、むしろバランスをとるべきじゃないかということを申し上げたのです。しかし、それによって意外な消費ブームというものが出てきたときには、これも一つの赤信号になりますが、しかし、三十六年度はおそらく前年度に比べて国民一人当たり五千円、これは納税者でなしに、老幼男女を含めて国民一人当たりの税負担額は前年度に比べて約五千円多くなった。従って相当な吸い上げ超になると思う。そういう意味で、もしかりに基調的な変化が起こってきた場合に、おそらく日銀としては金融引締め、あるいは金利政策にも若干の弾力性を持たせる、そういうことで何らかの対策をとられると思いますし、政府もまた同じようなことをおやりになると思うのですが、それには三十二年の秋と同じことを繰り返すのではないか。しかし、それだけがあの国際収支が悪化したときの唯一の対策でありましょうかどうかということ。これだけが対策で、外貨保有が少なくなってくれば必ず金融引き締めをやる。破産、倒産続出、労働者は首を切られる。これだけが対策だということはあまり芸のない話だと思うのです。やはり国際均衡も重要であるが、同時に国内均衡の重要性も私はこれに劣らないものだと思います。そこで、そういう意味で、私は今までとられてきた政策以外にもとるべき手段方法があるのではないか。これは日銀の立場からいうと、消費需要を増大させて不必要な消費ブームを起こすことは好まないというお答えをなさるかと思いますが、しかし、三十三年の初頭から起こった趨勢について私が今申し上げたことは、そんなに必ずしも間違っているとは考えないと私は判断しておるのであります。そういう意味で、第一点と今の後段の第二点について総裁の御見解を承りたいと思います。
○参考人(山際正道君) まず、お答えの前提といたしまして私の考えているところを申し上げますと、むろんわれわれは国民の生活の内容を豊富にし、その幸福をはかることを主眼として政策を行なうのでありまするけれども、遺憾ながら領土狭隘であり、資源に富まない国といたしましては、どうしてもそのためには必要欠くべからざる前提として貿易問題、外貨収支の問題というものを考えざるを得ない。これが健全に保たれて、初めて国内の国民生活の水準なり、あるいは国民の経済的幸福も永続的にこれは保持し得るという、そういう経済的性格を持っておるということを実は私考えております。その見地から申し上げますると、第一点の外貨食いつぶしはどうかというお尋ねにつきましては、私はむしろどういう趨勢を持っておるか、それは将来必ず再生産として輸出の増大に役立ち、貿易の拡大、ひいては今申し上げました条件のもとに国民生活が幸福になってくるということが明らかであれば、これは必ずしも私は趨勢にとらわれる必要はないと考えます。遺憾ながら内需のみが増大をいたしまして、再生産のことも約束されていないし、ただただ外貨の水準がだんだん減っていくだけだということになりますと、これは今も申し上げました大前提に触れまして、ひいては結局国民生活自体を破滅させることになろうかと思います。一がいに食いつぶしがいい、食いつぶしがよくないとは言えぬと思います。これは今の段階から申し上げますと、今の日本の貿易量を決済するに足る外貨準備といたしましては、まだまだ実は私たちの見地から申しますと充実していないと考えておりますので、いたずらに再生産的に、輸出の増大にならぬような、貿易の拡大にならぬような食いつぶしが、この際まだ考えられるほど蓄積は豊富になったとはわれわれは考えておりません。で、これはどこまでもやはり将来の発展のために、再生産可能であり、貿易拡大に可能であるというような意味において判断をするべきものと心得ております。 第二点の、昭和三十三年の当時を顧みてどうであるかというお尋ねにつきましては、昭和三十二年に申し上げました通り、金融引き締めをいたしまして、その結果、相当国民につらい思いをいたさせましたということにつきましては、われわれも十分に過去を反省いたしております。なぜそういうことになるかと申しますと、従来の金融政策なり、各種の政策が、どっちかというと後手々々に回っておりまして、できたらこうする、こうなったらこうするということであったのであります。そこをやや予見的に、前もって予防的に政策を立てまして、ほうっておけばこうなる懸念があるから、今のうちにこうしようという、いわゆる前向きの姿勢において政策をとっていくならば、ああいう障壁をなくして経過し得るのではなかろうか。たとえば卑近な例が、自動車の運転をいたしましても、突然に何か起こって、やむを得ず急カーブを切るというときに、お客さんは非常に迷惑するわけであります。なるべく前途を見通しいたしまして、小刻みに、あるいはスピードを上げたり、あるいはスピードを落としたりしますれば、そういう大きな衝撃なしに、変転しやすい経済情勢に適応できるのではなかろうかという意味におきまして、日本銀行のとります政策も、できるだけ予防的政策の立場に立って金融政策を実行していこうという態度で、実は推移いたしておりまするのでございまして、今回のいろいろの御心配の起こっております問題につきましても、同じ態度でもって実は臨むべく、常時準備をいたしておる次第でございます。従って、ただいま具体的に御指摘ございました三十六年度の政府の発表しておられまする経営収支において千万ドルの黒字、総合収支において二億ドルぐらいの黒字になるだろうという見通しの問題につきましても、私どもは努力なくしてその目的が達成し得る状況だとは考えておりません。この目的を達成するためには、先刻来申し上げました通り、詳細に状態を分析いたしまして、それに対する適応策を十分講じまして、しかる後に達成し得る目標であって、相当これは努力を要する事態だとは考えておりますのであります。今しかしこの努力を行なう価値もない、全部これはむだだから、放擲するとい段階ではないということに存じておるということを実は申し上げたかったわけでございます。
○担当委員外委員(羽生三七君) お説はよくわかるのでありますが、私自身もこの国際収支なんか無視して、国内有効需要だけ高めればいいということを言うわけでは決してないのであります。ただ問題は、私自身も輸出が重要な条件だと思っております。しかし、先ほど木村委員が指摘されたように、アメリカの景気動向、あるいは世界景気の動向から考えてみて、必ずしも所期の目的通りいくかどうか、これは疑問でありますが、そこで、実は先日ちょっと大蔵大臣に承ったところが、大蔵大臣としては、アジア、アフリカ諸国に長期の延べ払い制度を実行すれば非常に輸出が伸びる。しかし、輸出はうんと伸びるが、延べ払い制度であるから、必ずしも外貨収入につながらない。そこで一時的に黒字現象が起こるが、輸出そのものはうんとふえるのだ。それがなかなか日銀が承諾しないのだ。日銀といいますか、そういう筋がなかなか同調しないということを言っておられました。これはほんとうかどうか知りませんが、私自身も輸出の重要なことは、アメリカのみならず、世界至るところの地域に輸出振興策をとらなければならぬことは当然だと思いますけれども、単に今の大蔵大臣の言ったアジア、アフリカのみならず、ソ連も延べ払い制度、そういう輸出振興政策を積極的に伴って、そうして初めて国内の、今私が申し上げた問題にも関連することでありますが、長期延べ払い制度というものを大蔵省は積極的にやれということを言っておるようでありますが、そういうことについてどうお考えになるか。また延べ払いは、限度はどの程度とお考えになるか、期限ですね、これをお伺いいたします。
○参考人(山際正道君) ただいまのお尋ねでございますが、どういう場合に大蔵大臣がどういうふうなお答えをなさいましたか、実は私よく承知いたしておりませんが、世界的に、経済拡大のために貿易を拡張する一つの方法として延べ払い政策をとることは、これは世界的風潮であります。と申しますことは、どうしても世界の経済を全体として拡大し繁栄をもたらして、それによって各国が繁栄を分かつということでなければ、今後の経済政策は成長しないということは国際的に承認されております。そこで、国際経済協力という機運が非常に高まってきておるのであります。後進国でありますから、売ったものを直ちに回収するということはなかなかむずかしい。従って、それが向うで生産的に働いて、その収益によってやがて返されるということを期待してやるわけでありますので、自然これは当面のところは赤字となって、何といいますか、資本支出あるいは貸付という形においてやがて外貨をもたらすということはお尋ねの通りでございます。しかし、これが世界における趨勢でありますけれども、貿易上の大きな部門を占めるに至る情勢ではまだないと思います。従って、これが後進国経済開発その他に伴いまして伸びていくのは非常に望ましいのでありますけれども、それで大丈夫というほどの量には、私は日本経済としては達していないと考えております。これは御承知のように、実際的には輸出入銀行の機能として営まれておると思いますけれども、輸出入銀行が持っております資金量というのは非常にわずかでございまして、日本全体の貿易量から申しますと、なかなかそれでもう十分というわけのものではありません。のみならず、先ほどちょっとお尋ねのございました点に融れますけれども、三十三年度以降非常に国内需要もふえて、消費水準も上がって、国民の生活もだいぶゆとりが出てきたと申しますることは、結局、反面において貿易量が非常に拡大をいたしました。これは世界的に、三十三年以後貿易量がふえまして、日本もその風潮に乗り得て、そうして結局国民生活自身も繁栄を続けることができたという情勢にありまするので、この貿易量を拡大するということは、これは世界的問題として、どうしても日本もその線に沿ってやっていかなければならぬ根本的な命題であろうと実は考えております。ただお話し申し上げました通り、その内容において、延べ払い制度が現実にどれだけのウエートを持つかという点になりますと、これはまだその緒についたばかりのところでありまするし、また日本がそれに対して用意いたしておりますのは、輸出入銀行という金融機関あるいは今度できました経済協力基金の関係があろうと思いますけれども、全体の比重から申しますと、それに重きを託することはむずかしいと私は考えております。
○木村禧八郎君 ただいまの延べ払いの問題ですが、御承知のように、今月の二十七日からロンドンでダッグの会議が開かれておりまして、アメリカは低開発国に対する援助の問題を提議しているようでありますが、参加十カ国の国民総所得か総生産の一%を援助に充てるべきだという提案をいたしているようでありますが、そうなりますと、日本もかなり長期の援助をせざるを得なくなるのではないかと思いますが、この一%の援助といいますと、かなり多くなるのではないかと思いますが、その点に対する御意見と、それから新聞の報道でございますが、どの程度まで正確かわかりませんが、援助の提議についていろいろ問題が起こっているようでして、これは輸出入銀行が五年程度の延べ払いをやっておりましたが、それは援助の部類に入らぬとか、十年以上にならないと援助の範疇に入らないという議論が出ているようでありますが、そういう問題について御意見を伺いたい。
○参考人(山際正道君) ただいま御質問のございましたアメリカの提案ということは、実は情報としては聞いておりますけれども、政府の権威ある方針としてはまだ聞いておりません。いろいろ、おそらく研究はなされておるのだろうと思いまするが、しかし大勢は、今申し上げました通り、おのおのがその力に応じて協力し合って、世界全体の経済開発を促進し、よってもって各国とも均霑をしようという考え方で進んでいく方向は間違いないと考えます。具体的に国民所得の一%といった場合に、日本がはたしてどういう計算になるかと申しますことは、どうも私はまだ具体的に計算をいたしておりませんし、まあ今のところは、御承知のように、輸出入銀行の資金と経済協力基金と、それからまた各その他の金融機関において協調ベースでやっておりますから、何がしかの寄与というものでいくのでありまして、なかなか一足飛びに欧米並みにいくのには骨が折れるのではないかと私は考えております。方向としては、やはり日本としても同調すべきものと考えております。
○木村禧八郎君 どうも政府はダッグについて非常に軽く考えているように思うのですがね。最初は懇談会でございますから、あれに加入してみたところが、その後アメリカのドル防衛等の問題も起こってきて、モーラリーにかなり制約されるのではないかという点が私はあると思うのですね。その点は、しかしまだ現実に起こっておりませんから。 次に、金利政策について質問したいのです。私は最近、政府の低金利政策、これは最近の国際収支及び国の財政と関連しまして、逆行しているのではないかというふうに思うわけです。もちろん日本の金利は国際的に高いですし、国際水準にさや寄せしなければならぬということは、これはもう一つの至上命令です。絶対の命令だと思います。努力しなければなりません。しかし、金利は、総裁十分御存じのように、これは資金の需給関係によってきまるものだと思うのですね。これを無視してやったような場合には、反作用が起こると思うのです。ちょうど無理に物価を押えるとやみが起こるように。 そこで、最近の財政を見ますると、非常な引き揚げ超過なんですね。三十五年度でも第一次補正を組み、第二次補正を組み、さらにまた八百億くらいも自然増収があるといわれております。それから、三十六年度におきましても、政府は三千九百三十億の自然増収と推定しておりますが、しかし、それどころではないと思うのです。五千億以上になるのではないかと、こういう見方もあるわけなんです。もちろん、本年の下期になって景気が悪くなれば、経済活動が落ちれば、別でございますが、一応今の程度の成長率でいきますれば、三千九百三十億どころじゃないと思います。そうしますと、政府支出と対民間収支が政府の予想と非常に変わってくると思うのですね。従って、資金の需給関係はゆるまないと思うのですよ。しかも、設備投資が非常に行き過ぎではないかと懸念されておるところに金利を下げれば、一そうまた設備投資の意欲をそこで促進するのではないかという点も憂慮されるわけですね。さらに国際収支が、予想にやや反して赤字が多くなってきているということになれば、これはデフレ的に作用するわけでして、そうなると、資金の需給関係から見まして、ここで金利を下げるということは、どうも私は矛盾しているように思うのです。 それで、水田大蔵大臣は、それは自然に金利が下がるのを待ってたんでは国際水準にさや寄せできない、そこで多少無理をしてでもという言葉を使っております、無理をしても金利を下げなければならぬ、こういうことを言われておる。そこで、郵便貯金を下げました。ところが、郵便貯金はどんどん減っているわけですね。もちろん、郵便貯金が減ってもほかに資金が蓄積されていけばいいんですけれども、しかも今度は財政投融資の方に混乱を生ずるという問題が起こってくるわけです。計画経済でいく場合なら、それでいいんですけれども、今の自由企業を原則として経済を運営していく場合、資金の需給関係を無視して金利のみ無理にこれを下げようというのは、そこに反作用が来るのじゃないか。もちろん金利水準は下げなければならぬのですけれども、それは資金の需給関係というものと見合ってやるべきじゃないかと思うのです。 どうも私、その点しろうとで認識が間違っているのか知りませんが、資金の需給関係から見まして、最近の金利引き下げ政策というものは何か矛盾しているように思う。それから、設備投資がどうも行き過ぎではないかというときに、また金利を下げれば、一そう投資意欲有刺激するのじゃないかということも考えられるのですが、この点についての御所見を承りたいと思います。
○参考人(山際正道君) お尋ねの御疑問は、まことにごもっともだと私は思います。今度の金利引き下げ問題は、これは御承知の通り、もう昨年の秋以来、いわゆる貿易・為買の自由化の推進に備えて、できるだけ日本の輸出の競争力を高めよう、その一助として従来いわれておる金利の低下をはかろう、しかもそれも、どれを下げどれを残すということでなしに、全般的に水準自体を下げようという意図のもとに、非常に広範囲に企画されたことは御承知の通りであります。ただ遺憾ながら、いろいろ法制上の制約がございまして、あるいは税制の改正に待たなければならぬ、あるいは郵便貯金の法律の改正にも待たなければならぬ、あるいはそれを見た上で、今度金融界、それも各種ございますが、それらの歩調をそろえなければならぬというような、各種の制度上の制約が十分整っておりませんために、意外に長時間を要しまして、すでにその問題が起こりましてから約半年を経過して、ようやくここできまりをつけようかということになったわけでありますが、ただ、その間において、今おっしゃったように投資の行き過ぎがありはせぬか、あるいは国際収支の赤字が発生したではないかというようなことが、間々起り得ることでございます。この金利問題について、根本は自由化に備えて国際的な水準に一歩でも近づけようというような意図は、非常にけっこうなことであるわけでありまして、今申し上げました種々な法制上の制約が迅速にこれを可能ならしめることが不可能な状態であって、たまたまその間に今御心配のようなことが考えられるようになったということで、これはいわば不幸なできごとであったと思うのでございます。私は、原則としては、おっしゃる通り、金利は資金の需給関係によってきめさせるのが一番いいと考えております。ただ、御承知のように、現在は競争の行き過ぎを防ぐために、あるいは最高なりあるいは最低なり、金融機関の種類によって、協定その他法律上の措置をとっております。その範囲内において需給関係内で動く建前になっておるのでありますが、今回の利下げ自体の幅は、これでもって、今起こっております投資の行き過ぎの問題であるとか、あるいは国際収支の赤字問題であるとかいうようなことをその結果として伴うほど実は大きな利下げではなかったと思うのです。 これは三十二年に金融引き締めをいたしました際に、その一助として金利を上げました。それを昨年、自由化の機会において三十二年以前の水準まで返そうというところを目標にやったことでありまして、実はそう大きな実体上の影響を持つものではないという考えで出発をいたしました。現在の場合でも、それがそう大きく実体上の赤字問題とか投資の行き過ぎ問題とかいうふうに刺激的に、はたが見ておるほどは実は考えておりません。この程度ならば、この機会に実行いたしましても、まずその利下げの点から来る悪い影響というものはしのぎ得る、むしろ自由化に備えてのプラスの面の方が大きいという判断で、実は今日まで進んでおります次第でございます。
○木村禧八郎君 財政面におきまして非常な引き揚げ超過になるわけですね。自然増収が次々と予想以上に大きくなる。これは私は、やはりそういう場合には減税をするとか、そうして還元するとかいうようなことをやりませんと、ことに三十五年度においては、ほんとうに減税はすべきだったと思うのです。還元すべきだったと思う。今度は八百億か、それ以上になるかもしらぬ。それほど自然増収が出るということになると、引き揚げ超過になります。三十六年度においても、税制調査会では自然増収二千億なり二千五百億くらいと予想しておったのが、三千九百三十億、しかも実際はもっと五千億ぐらいになるのじゃないかという場合に、減税が非常に少ないのですね、還元が。そうすると、それはまた財政収支からいって引き揚げ超過になる。それで、公式通りにはもちろんいかないと思うのですけれども、金利を下げるときには、資金の需給関係をゆるむような方向に持っていきながら金利を下げるのがほんとうだと思う。資金の需給関係が逼迫するような形において金利を下げようとしたって、それは私は矛盾していると思うのです。その点、お聞きしたかったのです。
○参考人(山際正道君) 財政上から来ます資金の需給の繁閑の問題、これに対しまして、その間適当に調節をいたしますのが、実は日本銀行の役目と心得ておりますので、私といたしましては、むろんこの財政自体においてなるべく民間資金の需給に影響を大きく及ぼさぬような財政計画をお組み願いたいのでございます。また、できました場合は、私どもの任務として、あるいは貸し出し政策あるいはマーケット・オペレーションをいたしまして、それを調整をするというようなことを考えております。今のところ、日本銀行が中心課題といたしております通貨価値の安定というものを阻害してまで需給関係を日銀が調節しなければならぬというほどの局面が来ようということは、実は考えておりません。願わくば、一つあまり財政上の影響から民間需給を片寄らせないように御運営を願いたいと考えております。
○担当委員外委員(羽生三七君) ただいまの木村さんの質問に関連してですが、先ほど総裁は、もし設備投資なんかに行き過ぎがあった場合には、どの産業とは言えないが、政府において適当に善処されることが望ましいと、こうおっしゃったわけです。それから、今の金利引き下げについては、これはまあ国際的な水準にまあさや寄せをすることにウエートを置かれたという御判断のようでありますが、どうもその御判断の基礎が国際金利水準の点にあるから、私もあえてあまり問題にするのはどうかと思うけれども、先ほどの御発言とやや矛盾するのではないか。政府の若干の是正を要望されたことと矛盾するのじゃないか。金利の引き下げの幅は確かに狭いのです。大したことばないと言われますが、どうも先ほどの御発言にやや矛盾すると思います。 もう一つは、いい悪いは別として、問題点としては、結局日銀の最近の方向としては、いわゆる政府の高度成長政策に御協力なさるということで、日銀本来の従来の考え方というようなものがちょっと横へ寄せられておるというような感じを受けるのですが、その辺はどうなんですか。
○参考人(山際正道君) 今お尋ねのございましたもののうちの、日本銀行従来の政策が、この政府の成長政策その他にやや従来の日本銀行らしいやり方と違ってきておるのじゃないかというお尋ねでございましたが、その点、私はこう考えたのです。日本銀行は通貨価値の安定ということを使命——これは法律によって与えられた至上の命令と考えております。その至上の命令を阻害しない範囲と認めるならば、それは政府の施策に協力するのがやはりああいう機関の私は使命であろうと思うのであります。従いまして、もしそれが、政府はどうお考えになるか知りませんが、日本銀行の本来の使命をはずれてまで協力せよという御要求があれば、遺憾ながら日本銀行はお断わりしなければならぬという場面も起こり得るかと思います。今のところは、われわれに与えられた本分を守る範囲内において、まずそれをどうしなければならぬという問題までは私は来ておらぬと考えておりますので、あるいは御印象のようなことになったのかも知れませんけれども、本来はその点に重点を置いております。
○木村禧八郎君 その点、くどいようですが、日銀の金融政策として金利政策、あるいは買いオペ、あるいは窓口指導等ございますが、それがどうも成長政策を促進させるようなふうに従来と転換していくことは事実だと思うのですね。そこが問題だと思うのです。そこの限界が問題になるのでありまして、おそらく政府はもっと日銀に、まあルーズと言っちゃいけないけれども、買いオペも窓口指導も今までよりもっと楽にしろとか、そういう要請がかなりあるのじゃないかとうかがえるのですよ。そこで羽生さんの御質問にもなったと思うのですが、そういう感じをされるのですが……。
○参考人(山際正道君) 政府から、その政府のとっておられる高度成長政策の計画なるものを援助するために、一応日本銀行のやるべきことをまあこの際同調しろと言われたようなことは一度もございません。これははっきり申し上げておきます。私どもは、申し上げました通り、本来の使命を根本的に考えております。それの許可範囲においてはこれは協力するのは当然であるということで、実はやっておりますようなわけでございます。 それから、前段、羽生さんのお尋ねにお答えするのを忘れたように思いましたが、この日銀がやります金融政策で、個々の産業別にこれはこういうような金をつけるからこれは断わるというふうな差別的な、もとの資金調整的な機能を営むことは非常に困難なことであります。日本銀行の金融政策は今、大体申し上げますと、輸出については個別的にやっておりますが、その他はやはり一般的にその水準を高めるか低めるか、金融をゆるめるか窮屈にするか、あるいは物価の足取りに対してどう配慮するかということで、個別的な施策はなかなかむずかしい立場にありますので、どうしてもこれは申し上げましたように、政府においておっしゃられるように個々の産業に適した一つの施策を願うよりほかにないと実は考えておりますようなわけでございます。くれぐれも、日本銀行は本来の使命は絶対に守っておるということは一つ御信頼を願いたいと思います。
○木村禧八郎君 国際収支の見通しの問題にまた返るわけですが、通産省あたりの御意見を聞きますと、結局今後の見通しとして一番重要なのはアメリカの景気の動向だという。これは確かにそういう点、百パーセントその通りとは言えませんけれども、それは大きなウエートになると思いますね。われわれとしても、やはりアメリカの景気動向というものは非常に重大視しているわけです。ケネディの政策によってかなりアイゼンハワーの財政政策を、予算ですか、超均衡予算をくずして、かなり積極的な予算を組むようになっておりますけれども、しかし、選挙に公約した五%の成長政策ですか、あれほどの積極政策はとれない。ドルの危機の面もございましょうが、われわれから見ると、中途半端というような感じがするわけです。非常に積極的でもないし、といってそんなに消極的でもない。そうなると、アメリカの今の景気の後退をここで急速に回復するだけの力はなかなかないのじゃないか。ですから、もっと悪くなるのだ、ここで食いとめて、従って多少はよくなってもそれが横ばい程度でかなりの期間推移するのじゃないか、こういうふうに見るのが妥当ではないかと思いますが、そうしますと、あまりにもアメリカの景気回復に過大な期待を抱いて、日本の国際収支の好転をそこに希望を託するということは、賢明な策ではないのじゃないかと思うのですが、アメリカの景気の動向について、日銀あたりでは調査もしておるようでございますが、どういうふうにお見通しになりますか。
○参考人(山際正道君) なかなかこれは難問でありまして、むろん的確なことを申し上げるわけにも参りませんのですが、しかし重要な関係がありますので、絶えず調査をいたしております。私どもの方でいたしております情報の大体の結論としては、大体この辺で底をついてきているのじゃなかろうか。しかし、従来の特徴が、景気がだんだん悪くなってくるのも非常にスローなカーブで来ましたので、今後のおそらく経済、回復もそう急速なカーブでは上昇しまい、やはり、除々に上がるようなカーブをとるのじゃないか、しかし全体として見れば、まあこの辺が底だろうというのが、私どもの調査の結論でございます。 はたしてそれに当たるかどうかわかりませんけれども、まあ大体そんな考え方でやっておりますが、いずれにしても、貿易の伸張問題をアメリカの景気回復ということに非常に大きなウエートをかけていくということは、これはなかなか議論の多い考え方でもあろうと思います。ただ、申し上げましたように、世界全体としまして、経済協力によってできるだけ世界的に貿易の規模を拡大しようという努力は、各国とも承認された原則として働いておりますから、私はそれらの方面において、いろいろと国によって違いますけれども、全体としては相当今後は貿易の拡大の方向に審与していくのじゃなかろうかというふうに見ております。ただ、タイミングの問題は、申し上げましたような事情で、そう急速な上昇を期待することはむずかしいかと実は思っております。
○木村禧八郎君 アメリカの景気がスローでも多少回復するとしまして、それは日本の輸出にかりにプラスであるとして、今度アメリカはドル防衛のためにドル・ドライブをかなり積極的にやるのじゃないかということをいわれておりますね。この影響は日本にとってもかなり重要ではないかと思われますが、アメリカはドル・ドライブについてどの程度の積極性を持ってやるのでしょうか。そういう情報はわれわれにはどうもないのでございますが、その点についてはどの程度に評価されておられますか。
○参考人(山際正道君) 私は、アメリカのドル防衛政策の日本に及ぼす影響で一番大きな問題は、直接にはむろん日本における買付問題いろいろございますけれども、それよりも第三国の市場における競争問題がなかなかこれは大きいのじゃないかと思います。おそらく、アメリカは輸出をふやすべく非常な努力を傾けるだろう。それだけ日本の輸出もよほどこれは真剣に国際競争力を培養してこないと、だんだんと分け前が少なくなるという危険が私は感ぜられます。この点は十分にわれわれとして考慮に入れまして、貿易・為替自由化の趨勢にもかんがみ、第三国市場におけるアメリカとの貿易上の角逐ということに十分太刀打ちできるように備えるべきだというように考えております。
○木村禧八郎君 最後一点だけ。実は外為会計のことについて簡単にお尋ねしたいのですが、外為会計の運用について、前に私政府に質問したことがありますが、日銀から外為の方の借り入れば六分ちょっとですね。ところが、それで買った外貨、これを非常に低利に運用しておりますね。アメリカに預金とか、政府証券とか。政府証券は二分台であります。預金は三分台。その間においては赤字になりますね。そこで、今度は政府のモフですか、あの勘定を日銀に移す、まあ売るというのですか。それで赤字が出るようになれば、外貨を日銀に売って金利のつかない資金で運用していく、それで赤字をだんだんなくす。しかし、どうも今年は外為から借りる金利が六分台というのは高過ぎるのじゃないかという意見があります。外為は赤字が生じない程度に下げるということは困難な問題でしょうが、結局はそうなれば日銀の納付金が少なくなるという問題もあるので、結局は堂々めぐりになるようでありますが、外為の運用自体からいえば、その方が合理的ではないかと思いますが、その点いかがですか。
○参考人(山際正道君) 私は、やはり外国為替特別会計の勘定といたしましては、特別会計として独立採算でやっていくべき性格の会計であろうと思います。あれが今おっしゃいますように六分何厘と申しますのは、外国為替証券を発行いたしまして、そしてそれを日本銀行から資金化いたしております。そのほかに過去においてあそこに財政によって蓄積を相当持っております。利息のつかぬ資本金を持っております。その運用いたしました利益によってその間バランスをとって、持ち切れなくなると、外貨を日銀に売ってくるというのが実際の操作だと思います。問題は、私はむしろ会計自体としてもやはり独立採算で臨むべきであると同時に、一体政府がそういう会計をやっていくこと自体がいいのか悪いのかという為替管理方式自体に根本的の問題があるのじゃないかということを考えるわけであります。なるほど権限は政府にありましょうが、会計自身までも政府が持っていくべきものであるかどうかということについては、これは外為会計自身のあり方について問題があるということで、ここで補助金なんかも、政府に出すつもりで一般に売れないような外為証券を日本銀行が引き受けるということは、全体の建前からいうとおもしろくないというように考えております。
○木村禧八郎君 外貨は私は中央銀行が持つべきじゃないかと思うのですが、今為替管理をやっておりますから、政府がやはりある程度持つことは、これは無理でないと思うのですが、原則としては、やはり中央銀行がこの外貨を持つべきじゃないかと思うのですが、その点いかがでしょうか。
○参考人(山際正道君) 将来幸いにして日本が外貨収支上非常に堅実な状態に立ち至って、為替管理というものが必要でなくなったという状態を想定いたしますと、蓄積された外貨というものは当然中央銀行に保有いたしまして、そして国内金融の調節と合わせて操作を行なうべきだと考えております。従って、今の状態はどうしてもそのまま、国際通貨基金からの勧誘があるとかないとかいわれておりますが、まあ過渡的な現象として認めている現象であって、問題は将来に残っている、かように考えております。
○担当委員外委員(羽生三七君) 簡単に二点だけお伺いしますが、最初に、アメリカの景気動向の点ですが、最初政府は五%の成長を期待しておった。ところが、ケネディ政権になってからこれは三・五%ということになった。そこで、これはまあ今の木村さんのお話のように、これより下がるのをとめる程度で、どれだけ伸びるか、非常に疑問だと思いますが、それとドル防衛から来る輸出競争とのこの相関関係でいくと、私は相殺されるようなものではないかと思う。だから、政府が高度経済成長なり、あるいは国際収支なりにアメリカの景気動向に期待をかけていますが、私はむしろ輸出競争で相殺をされ、これを唯一の外貨事情のきめ手に考えるのは非常に間違っておりはせぬか、こう思うのが一点であります。 それからもう一つは、おそらくこれは池田総理は、迫水長官御存じかどうか知りませんが、池田総理は下村さんの言う日本経済の歴史的勃興期で断固たる確信をもって邁進する、従って若干の外貨保有を食いつぶすくらい問題じゃないという立場をずっと前からとられている。先ほど申し上げましたように、私は一時的にそういうことがあっても、長い目で見てそういう基調にあるのなら、私もそうあえてそんなことをかれこれ論議することはないと思うのですが、その場合、日銀総裁がごらんになって、今の日本の経済の現状において適当と、判断はなかなかむずかしいですが、適当であると思われる外貨保有高ということはどの程度が適当、望ましいのか。 それは政府の方からいうとこんなことは一億か二億でもかまわないし、三億や四億食いつぶしても大したことはないということになるかもしれませんし、これはなかなか政府のとる立場なり、そこのところは非常に重要な問題になってくると思うのですが、幸いにして政府の見通し通りこの国際環境が心配したものでないようなことになるならばけっこうですが、そうでない場合、もちろんこの外貨の質的な内容にもよります。よりますが、一般的にいって、今の十九億ドル内外の外貨保有というものが、もし政府において若干の食いつぶしが起こった場合、日本経済として、先ほど総裁が言われたように、しばらく時間をかしてもそれに耐え得る余力があると、こう言われましたが、その余力の限度というものはどの辺でしょう。ノミナルなつまり外貨保有高ですね。
○参考人(山際正道君) 第一点は、私は前段でも申し上げました通り、貿易の拡大ということが日本経済にとっては宿命的な拡大で、従ってこの勝負はことし、来年という問題ではないと思うのです。おそらくずっと日本の続く限り続けなければならない問題だろうと思うのです。従って、まあ今期においてアメリカの景気の回復が海外におけるアメリカの輸出競争とあるいは相殺するかどうかという問題もありましょうけれども、もっと根本的には、永続して日本がこの貿易拡大を続け得る態勢に全体がなってきているかどうかということの方が実は重要だろうと思います。この点については、私はまだまだ日本としては大きな輸出振興問題に努力すべき余地が非常に多いと実は思います。国民一般に、貿易に関する日本の経済の関連性の問題なども、もうちょっと強く印象づける必要があろうと思います。ちょっとこれは、ことしがどうだという問題では片づき得ない問題だと私は思っております。現実にことしどうなるかという問題は、ちょっとこれは私見通しを十分立てておりませんから、あるいは相殺されるのか、おつりが来るのか、よく存じませんけれども、長期的なものとしてはもっとわれわれとしてはこの問題を考えるべき問題だろうと考えております。 第二点に、日本がどれだけの金準備を持てばまずそれがノーマルと言えるかというお尋ねを、非常に具体的にお聞きになりました。実はおっしゃった通り、これは内容にもよろうと思います。現在の外貨は約二十億ドルに近いのでありまするけれども、内容的に考えますと、そう非常に堅実な外貨の持ち方とも実は思いません。幸いにしてこのところ上昇期にありますから、外国も信用をいたしまして、比較的短期の金も相当入れてきておりますけれども、また逆の場合には出ていくことも考えねばなりませんから、そう十分に充実しているとは考えておりません。ところで、貿易量自体も、政策の見地からいえば年々拡大を努力しなければならぬということになりますと、それの決済に必要な外貨準備というものは常時保有しなければならぬという見地から考え合わせまして、少なくとも現在持っている金準備だけでは私どもは十分でないということだけは言えるのじゃないかと実は思っております。いま少しく蓄積の努力を払うべきだと思います。ただ、数字的に何億ドルまではいいというふうには、ちょっと私はお答えいたしかねます。
○主査(塩見俊二君) それでは、日銀総裁も正午までのお約束をいただいておりましたが、質疑は大体終了したものと思いますので、あらためて総裁にお礼を申し上げます。ありがとうございました。
○担当委員外委員(羽生三七君) 迫水長官にほんの短い時間簡単にお伺いいたしますが、先ほど日銀総裁にお尋ねした問題に関連するわけであります。それをまあ繰り返すことになりますが、かりにもしこの今の国際収支の基調が赤になって、それから設備過剰の趨勢となった場合、そういう場合にそれを調整する手段としては、やはり三十二年のときに政府がとったと同じようなことになるのかどうか。たとえば金融引き締めをやるとか、その結果設備投資を抑制するとか、一連の昭和三十二年にとられたことと同じことをお考えになるのかどうか。絶対にそんな心配は要らないんだということを前提にされるならば、これは全然論議の余地はないことですから私はやめますけれども、かりに方一この基調が基本的に変化した場合、あれ以外にとる政策はないというなら、同じ問題が起こります。高度成長政策をとらんとする政府が、至るところに操業短縮、工場閉鎖、不渡り手形が幾らも出てくる、労働者を首切る、これ以外に手がないということは全く芸のない話で、それ以外にも私は過剰設備投資から来る反動を手直しする対策を今から用意しておっても決して早過ぎないのではないか。そのときにあわててやったからこそ三十二年はああいう問題が起こったわけです。 しかも、企画庁が、今も企画庁関係の予算の御説明にあったようないろいろな研究機関を作られて、私はもう、研究機関を拡大されて調査をうんとやっていただきたい。そういう調査網を駆使して趨勢というものを確実に把握するならば、ある程度の方向というものは出てくると思う。そうであるならば、私はもっと違った、非生産的な国内有効需要だけを拡大すれば事足りるというのではありませんよ。それも私は一つの方法だと思うのです。その他いろいろあると思いますが、私しろうとでよくわかりませんが、三十二年のときのあの対策だけをもう一度繰り返して、それが生産調整だというのは、私はあまり策を得たものではないと思いますので、政府のお考えがあれば承りたいと思います。
○国務大臣(迫水久常君) 今の国際収支が基調的な変化であるかどうかということの問題については、私たちは基調的な変化でないという立場をとっておりますし、将来これは回復して均衡を得る状態になるのだという立場をとっておりますから、私どもの前提から申しますれば、今羽生先生の御質問の点に対しては前提が違いますということでお答えをするわけですけれども、かりに羽生先生のおっしゃったように、かりに基調が変化した場合には一体どういうことをするのかという御質問をそのまま受けまして、ほんとうはこういうふうに受けて答弁するのは非常に問題があるのじゃないかと思いますけれども、かりに受けてお答えしますと、この前三十二年のときの政策というのは、だれが見たってもう非常な失敗で、そうして失敗でない、ああいうことをやったからその次の年からその次の年にかけて非常に急速に成長したのだから、あれは失敗でなかったという議論もあるかもしれませんけれども、まあ私たちの考え方では、できるだけ山も高くないように、谷も深くないようにという、こういうようなものの考え方でいきたいと思っておりますので、ああいうドラスチックな、一晩明けてみたら全然違うというようなやり方はしたくない。さっき日銀総裁も申しましたように、前開き、前向きにいつでも見ていてやっていきたい、こう考えております。 従って、どういう政策をとるのかということについては、具体的に基調が変化した場合はどうするかということは、ちょっと今言えないのですけれども、先ほどから御指摘になっておりますように、設備投資がやや過大でスピーディじゃないか。——それは確かに設備投資が、実は昭和三十五年度の設備投資二兆八千幾らと見ておったのが、おそらく締めてみると三兆になっているのじゃないかというような感じなんです。そこで、その二、三千億の違いがありますところに、 ここ一月、二月輸入が少し水準が高くなってきている原因もあるのじゃないか。しこうして昭和三十六年三兆一千億という見通しをつけてありますが、これがこれよりも高くなる可能性の方が、低くなる可能性と高くなる可能性とどっちが多いかといえば、高くなる可能性というものが率直にいって多い。そうなれば、三兆一千億台で見ておちたところより輸入というものは必ずまた水準が少し高くなってくるのじゃないか、こういう考えもございますので、いわゆる所得倍増計画のアフターケア——まあ所得倍増計画が始まる前にアフターケアはおかしいじゃないかという議論もありましたけれども、プリケアでもいいですけれども、そういう意味で、大体所得倍増計画というものは民間の方々が一緒になって作って下さった、むしろ民間の方々が作って下さったのでありますから、民間の方々がよく一つアフターケアをしてもらうということで、経済審議議会が中心になって、そうガイド・ポストにはずれたようなたまの打ち方はしてもらいたくないという仕組を今考えている最中ですから、そういうようなことで山も谷もできるだけ小さくしていく、そうして輸出をもっと振興するという方策につきましては、これはやはりもう一段率直にいって、ここで通産省とも協議して考えていかなければならぬと思うのであります。 アメリカの経済の復興の速度というものは、私は木村先生や羽生先生よりはもう少し楽観といっては語弊があるかもしれませんけれども、強く見ているのです。ただ、今ちょっと山際総裁も申しましたけれども、昭和三十六年度、すなわち三十七年の四月までを限ってどうかというふうになりませんで、やはり経済はずっと続いていますから、ややそこに経済の時期のズレがあるにしましても、アメリカの経済の上昇というものは相当あると。そうしてもちろん、山際総裁の言いましたように、第三の市場における輸出の競争というものがありますけれども、アメリカの経済の回復によって生ずるところの日本の輸出の増大というものが第三の市場におけるアメリカとの競争と相殺されるようなことはなくて、やはりそれはうちの方にもおつりが来るのだ、こういう見方をいたしておるのでございまして、これから先予防する必要があるから予防するというのじゃなしに、所得倍増といいますか、経済の高度成長政策というものを健全に維持していくためには、やはり輸出という問題についてもう一段の考え方をしていく必要があるということは、確かにその通りだと私は思います。
○辻政信君 私は経済問題は全くのしろうとですが、きょうは山際総裁を中心としてのきわめて有意義な質疑を拝聴したんです。そうしてしろうとなりに頭に浮かんだことがありますので、一、二点お伺いしたいと思います。 どうも、このアメリカのドル防衛政策が日本の防衛計画にも相当大きな変更を与えております。それから、貿易政策の面においても大きな影響があるように思います。ところが、われわれしろうとですから、的確な資料がないんですが、政府の態度はどうも少し自分の立てた計画を押し通すために都合のいいような解釈をとっておられるのじゃないか。政治家に一番大事なのは、薄氷を踏むような気持で常に最悪の事態を考えなければいかぬ。悪い条件がそろっておるけれども、国民に公約した九%の成長というものをくずしちゃならぬ、そういう小さな面子にこだわって、悪条件をほおかぶりして通そうというような態度があるんじゃないか。これが非常に心配になるんです。それから、もう一つの点は、この山際総裁の御答弁で一番印象に深かったのは、ドル防衛が貿易政策にどう影響を及ぼすかという点で、第三国のマーケットに競争が起こってくる、日本と。これは非常に重大な問題ですね。東南アジアにしても、あるいは中近東にしても、欧州にしても、アメリカの国内における日本の輸入品の制限じゃなしに、われわれが今濶達にやろうとしておった第三国のマーケットにおいて日米の貿易戦が起こるという点ですね、これは聞き捨てならぬ重大な御意見だと思います。 そこで、大所高所からこれに処する道はどうかと考えてくると、共産圏貿易と中共貿易というところに大きな一つの重点を置いてお考えにならないといかぬ。アメリカと中共との関係は、これは貿易は簡単に開けない、しかし日本との間には開ける可能性が出てきた、こう思うんです。だから、承認するとかせぬとか、政治上の問題は抜きにして、アメリカのドル防衛に対して日本の国際収支のバランスを得ようとすれば、第三国のマーケットで失われる分を共産圏において積極的に打開するということを、政府はもう少し考えなければいかぬのじゃないかと思うんですが、この二点について。
○国務大臣(迫水久常君) 最初の方は、実は九%の成長というのはお約束をして公約をいたしましたが、これはぜひとも達成しなくちゃならないと思っているんですけれども、実はこれは非常に気が楽なんです。気が楽と申しますのは、総理の御演説にはどうだったか知らぬが、私の演説にはそれを言ってあるんですけれども、公約をいたしましたのは、昨年の九月、昭和三十五年度の国民総生産を十三兆六千億と前提をして、三年間年九%平均、昭和三十八年度に十七兆六千億、こういうことを達成するのを目標とするということを公約したんです。ところが、非常にしあわせなことには、昭和三十五年度におきまして十四兆二千三百億まで上がってしまったんです。ですから、それから計算をいたしていきますと、昭和三十八年度に十七兆六千億という国民総生産に達することは、もう昭和三十六年度はやや九%成長する、これはもう確実にゆくと思いますから、昭和三十七年、三十八年というのはかりに九%成長しなくても、昭和三十八年度には十七兆六千億になるんで、それはもう公約を達したことにわれわれはなるんですから、その点は非常に気が楽で、それをぜひとも高いベースで九%だけ成長さしていこうというような、無理にでもそう引っぱっていこうというふうには考えておりません。従って、その点はむしろ気が楽に考えておる次第でございます。昭和三十八年度で十七兆六千億になれば公約は完遂したんだと、こういう立場をとっております。それは非常に楽だと思っております。 中共貿易のことですけれども、私は中共貿易については個人的にはいろいろな考え方を実は持っておるんですけれども、今経済企画庁長官ですから、個人的な考え方を申し上げる立場ではないので、それは差し控えますが、今辻さんのおっしゃったように、第三国で失われる部分を中共で補ったらよかろうというものの考え方には、私はそれは分量が全然違うと思うんです。それで、社会党の御計画では、中共貿易というものが全貿易の一八%ぐらいになるような御計画になっておるんですけれども、私どもの見方では、中共と貿易を開くことにやぶさかでないけれども、第三国でもって失われるかもしれない——私は失われないと思っておるんですけれども、アメリカとの競争ではですね。失われないと思っておるんですけれども、失われるかもしれないであろうものを中共で補うほど中共貿易のボリュームが大きくなるとは実は考えておりません。
○辻政信君 そこのところをもう少し。中共を御研究になっているんだろうと思いますが、私はイデオロギーを抜きにして、非常な関心を持っておるんですがね。一つの例をとって申しますというと、中共の一昨年から昨年にかけての食糧不足というものは相当範囲にひどいんですよ。彼らが一番期待しているのは、米を恵んでほしいんじゃなくて、肥料が、硫安がほしいんです。それを外務大臣が外米の腐ったやつを恵んでやろうなんと言うから、けっ飛ばされるので、その硫安の問題を一つ取り上げてみましても、非常にのどから手が出るほどほしがっているんですよ、これが一つの問題です。 いま一つの問題をとらえてみますと、たとえばダムを各地に建設しているでしょう。ところが、ソ連から発電機を入れることができない。非常に不足しているんですね。十台のところ一台も入っておらぬ。大連で非常に大きな船を作ったが、エンジンが入らない。こういう事態がいたるところに起こっているんですね。ソ連との関係はどういう関係があるのか知りませんが、特にソ連が中共から五千人の技術顧問を総退場させておりますね。これは政治的な問題とからみ合っておるかもしれません。そういう一つの動きが出ておるんですな。ですから、あまり中共貿易をやると承認にひっかかってくるというようなけちな考えを持たないで、経済は思想を越えるんだと。特に日本の地理的条件をお考えになると、あなた方の今のお考えというものは、第三国で失われたものを中共で穴埋めできないというような、少し先入観にとらわれているんじゃないかという感じがするんですよ。少なくとも企画庁の長官としては、一番高いレベルに立って公平にその方向を示さなければならぬ、政府に対して。これ以上時間がないのでやりませんが、あまり潔癖にお考えにならないで、もう少し迫水さんというのは頭がやわらかい方だと思っておりましたが……。
○国務大臣(迫水久常君) 少し辻さんの誘導にひっかかって言い過ぎるかもしれませんけれども、私は非常にやわらかく考えているつもりなんですけれども、一体中共が日本から物を買ってドルで払ってくれるんだろうか、中共はどれだけのドルを持っているんだろうかということが、私は中共貿易をコマーシャル・ベースといいますか、経済ベースで日本の輸出政策の対象として考えてゆく場合に一番大きな問題だと思うんです。中共がドルをどれだけ持っているのか、売ったものにドルで金を払ってくれるのかどうかという議論は、ほとんど現在中共貿易を問題にしている人の間に出ておりません。これは非常に重大な問題で、中共と物々交換でものをやる貿易をかりにするような場合には、一体中共が現在日本として必要な品物が、分量との関連もあるので、分量からいいましてあるのだろうかどうか。結局、中共がドルを持っておって、中共に物を売りましたときに代金をドルで払ってくれるならば、それはもっと楽に考えられると思うのです。そこら辺のところをよく……。私は中共というものを政治的ないしそういうような問題と考えずに、純粋に経済問題として中共貿易を考えた場合に、一番大事な点は、中共がその代金をドルで払ってくれるのかどうか、中共にはそれだけのドルがあるのだろうかどうか、これがはっきりわからないところに問題があるのではないかと思っております。
○辻政信君 ドルで払ってもらうというところに、あなた方の頭が古いと思う。そうじゃなしに、私の言うのは——一つの例をとらえてみましょう。たとえば海南島の鉄鉱石を見てごらんなさい。あの純度の高いものを、中共はあれを消化し切れずにおりますよ。船賃は安いでしょう、距離が近いから。そういうように、そこから出たものに対しては工業原料で勘定すべきものですよ、銭で勘定するという考え方でなしにですね。まだ中共から持ってくるものがある。大豆にしても、工業塩にしても、鉄鉱石にしても……。そういうもの、中共の現在の工業設備では消化し切れない過制の工業原料があるんじゃないか。その辺をもう少し詳細に具体的に当たられて、手持ちのドルがないから貿易はだめだというようなことをいわないで。日本のほしい原料が近いところにあるんじゃないか。そういうところをもう少し一つ研究させて下さい。きょうは時間がないから、あまり突っ込んではやりませんがね。 ——————————
○主査(塩見俊二君) この際、分科担当委員の変更について御報告いたします。 豊瀬禎一君が委員を辞任せられ、その補欠といたしまして大矢正君が選任せられました。 午後は一時半に再開をいたしまして、経済企画庁及び調達庁に対する質疑を続行いたします。 暫時休憩いたします。 午後零時十二分休憩 ————・———— 午後一時四十分開会
○主査(武藤常介君) 休憩前に引き続き、分科会を再開いたします。 経済企画庁に対し質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
○岩間正男君 私は経済企画庁長官に国土総合開発法に関連しての問題について二、三お聞きしたいと思うのです。それで、開発法案は昭和二十五年ですね、たしかこれができ上がったのは。そう思っていますが、それからこの法案によって国土開発審議会というのが作られたと思うのです。十一年になる。この間、一体何をやったか、仕事を。大体の実態をまずお伺いしたいと思うのです。
○政府委員(曾田忠君) ただいまの御質問に対して私からお答えいたしたいと思います。ただいまお話のように、国土総合開発法の制定は昭和二十五年でございまして、現在までのこの国土総合開発法に基づきまする計画の策定なり、あるいは実施の状況について御説明申し上げたいと思います。国土総合開発法に基づく総合開発計画といたしましては、全国の総合開発計画とそれから都府県の総合開発計画、それから地方の総合開発計画、それから特定地域の総合開発計画、この四種類の計画を策定することになっておるのでございますが、現在まではこの法律制定当時の状況、すなわち食糧難とか、あるいは電力事情あるいは大きな水害の発生と、そういうものがあり、非常にその対策が大きな問題になっておりました関係上、主として河川の流域を対象といたしました特定地域につきまして、約二十一個所の特定地域につきまして総合開発計画を策定いたしまして、これの進捗をはかって参っておるわけでございます。 で、特に先ほど申し上げましたように、四つの計画があるわけでございますけれども、これらの計画の基準となるためには、どうしても全国総合開発計画といいますものの策定が特別に急がなければならないわけでございますけれども、当時はそういう事情によりまして特に特定地域の総合開発計画に重点を置いて参ったということでございます。で、全国の総合開発計画につきましては、実は昭和三十三年におきまして一応の計画の中間報告といいますものを策定いたしまして、国土総合開発審議会に、御説明申し上げたわけでございますけれども、いろんな事情によりましてその最終の計画決定に至らなかったわけであります。で、特に最近は御承知のように所得倍増計画も策定されましたし、また九州、東北等の各地域の開発という特殊立法も制定されました関係上、どうしてもこれらの中心になります全国計画の策定を急がなければならないということで、目下大体本年度の上期を目標といたしまして全国計画の策定につきまして全力を払っておる次第でございます。
○岩間正男君 ただいままあお話があったわけでありますけれども、その中でやはり問題になるのは、全国的な総合計画、これが審議会が発足して十一年間たっていまだに策定されていない。これは怠慢だと思うんですが、これでは一体審議会何をやっているのですか。この点今のお話では、いろいろな事情があって中間報告を三十三年にやった、そういう話があった。そこへ持ってきて今度は最近になって高度経済成長の所得倍増論ですね、計画をやらなくちゃならない。私はどうもおかしいんですがね。これは一体どうですか。所得倍増計画とそれから総合的な国土開発計画というものは、私は不可分のものではないか、切っても切り離すことができないものではないか。これを総合的にやらないで、一体今後経済の高度成長ということが考えられるかどうか。私はこういう点で、特に経企庁長官にお伺いしたいんです。一体どういうふうにお考えになっておるか。高度経済成長というやつは、逆に大企業、大産業の産業基盤の拡充とか合理化の問題、こういうような問題だけなのかどうか。私はそういうふうに理解していないのでありますけれども、今の政府委員の答弁によるというと、言葉の端をとるわけではありませんけれども、最近になって所得倍増計画というものが、一つの新たな要素として加わってきた、そこでどうも全国的な国土総合開発がおくれておる、こういうお話だが、私は非常にこれは納得のいかないことで奇怪な感じを持つのでありますが、これは長官にお伺いします。すわったままでけっこうですから、私もすわったままでいたしますから……。
○国務大臣(迫水久常君) その点岩間さんのおっしゃる通りでございまして、所得倍増計画というものを立ててみまして、地域間の所得格差の是正の問題が非常に大きく、はっきり認識されてきましたので、国土総合開発計画というものが、どうしてもそれと不可分であるということから、大至急にこれにかかったわけで、私、終戦直後の二十五年からしばらくの間は資源開発ということも、つまり日本に存在するきわめて貧弱なる資源を開発していくという意味もこの中に含まれておったし、それから通常の言葉でいうと治山治水というような計画もこの中に含めていたのでありまして、全国総合開発計画というものの概念がはっきりしなかったところに、なかなかこの計画ができなかったんじゃないかと私は想像しておるんですけれども、今度は所得倍増計画と車の両輪をなすところの立場において、主として地域間の所得格差是正という観点を中心に総合的の開発計画、こういうことで今立案している次第であります。
○岩間正男君 今の御説明があったわけでありますけれども、これは地域間の格差の是正というような形で言われておるのでありますが、私はそれだけでは、これはどうも十分にこの問題が本質的に、質的に内容的に検討されたということにはなっていないと思うのですね。で、こういうような問題を検討するに、今まで二十五年当時は、資源開発とか治山治水に重きを置いておった。しかしそのために総合的な国土開発はなかなか案もできなかった。実施にもならなかった。しかしその理由というようなものについては、十分にこれはやっぱりまだ御検討がないようですが、科学的に御検討になっておりますか。この問題を明確にしないと、今お話しのように、高度経済成長の計画を立てた、そうして重点は今お話しのように、どうしてもこれは大産業中心になってきておる。あとの問題というのは刺身のつまじゃないか。結局それとあわせて格差の是正というようなことを言われておるけれども、ほんとうの格差の是正を私は解決するような線に重点を置いたような政策には、これはなってないじゃないか、こういうふうに考えるわけで、その根源をやはり明確にするということが、私は重要だと思うのですが、今までなぜ国土総合開発の統一的なそういう計画ができなかったか、その原因はどこにあるのか、こういう点について科学的にこれは検討されましたか。そうしてこれについての一つの見解をお持ちになっておりますか、この点をお伺いします。
○国務大臣(迫水久常君) 岩間さん、ちょっと事務当局が一応答弁しますから……。
○政府委員(曾田忠君) 先ほど申し上げましたように法律の制定直後におきましては、特定地域に重点を置いて参ったわけでございまして、その後いろいろ全国計画を作るための資料の調査というものを、あわせて行なって参ったわけでございます。で、国土総合開発審議会といいますものは、実は昭和二十五年にできたわけでございますけれども、現在までに約五十五回の審議会を開いて、いろいろ審議をして参っておるわけでございます。特に先ほど申し上げました特定地域計画以外におきましては、いろいろの資料の調査あるいは経済総合開発によります経済効果の測定の方法とか、あるいは各産業別の開発の目標等につきまする資料の調査、そういうものにつきましていろいろ調査審議をお願いして参ったわけでございまして、それに基づきまして一応三十三年に中間報告としての案を作ったわけでございますが、率直に申し上げまして、その案が日の目を見なかったゆえんのものは、実は北海道につきまして別途北海道開発促進法というのがございまして、北海道自体の開発促進計画が策定されておるわけでございますけれども、それとの調整が必ずしも十分にいかなかったという点と、そういうふうにいろいろ北海道開発計画との調整を行なっております間に、所得倍増計画の構想も一年前から出て参りまして、全国的ないわゆる経済の指標と申しますか、そういう問題も実は大幅に変更されるという見通しがついたわけでございます。で、簡単に申し上げますと、中間報告におきましては、三十三年度から四十二年度までの十カ年の国民総生産を十六兆六千億、成長率五・八%というような考えで実は作って参ったわけでございますけれども、その後国民総生産を四十五年度におきましては二十六兆円というようなふうに変わって参りましたものですから、それとあわせまして、先ほどお話の地域間の格差是正というものもあわせ考慮いたしまして、早急に全国計画を作りたいという考えで進めておるわけでございます。
○岩間正男君 時間の関係もありますので、私の質問の要点に答えてもらいたい。あなたのやってこられたことを、たとえば資料の調査をやったとか、経済効果の測定をやったとか、そこまでできなかったのは、北海道の開発計画とかいうものがからまってきたとか、こういうことを言われているわけですが、私の聞いているのは、全国的な統一的な総合計画というものが、はっきり、もう十一年にかかっているのだから、出てもいいんじゃないか、はっきり出なくちゃならないのじゃないか。ところが、それが出ない、その出ない理由というのは、一体何かということを聞いているのです。こういうことは、私は事務官ではお答えできないと思うのです。この点についてまだ御検討なされていないとすれば、やはり経企庁長官が鋭意科学的に検討しなくちゃいけないと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(迫水久常君) これまで全国総合開発計画がなかなか日の目を見得なかったというのは、一般的に全国なんていう問題を考える段取りにならないで、地域々々のことに非常に重点を置いて、そう言っちゃなんですけれども代議士の諸先生なんかも、そういうようなことでもって、立場が重点になっておったせいじゃないかと思うのです。まあ申さば、経済企画庁の政治力が全く弱くて、それではっきりした認識を持ち得なかったためじゃなかろうかと思います。そう言っちゃ言い過ぎかもしれませんけれども、しかし今度は所得倍増計画というものがはっきり立ちまして、どうしたって地域間格差の是正ということを重点とした全国的な総合開発計画を立てなければ、もうどうにもならぬという必要に追い込まれたものですから、私もはなはだ政治力は乏しい方ですけれども、そこでその後必要性というものに追い込まれて、やっとここでもって日の目を見ることになったと、こう私は思っております。
○岩間正男君 今の御答弁の中に、一つの大きな原因が含まれておるように私も考えておるわけです。ケース・バイ・ケースで、それから各地方の要求に引っぱられて、それで、これを統一した、ほんとうに大所高所から計画を立てることができなかった、そういうところにあったのじゃないか。だからこの法案を見ましても、これは四つの計画をうたっているわけでしょう。全国総合開発計画とはなるほどうたっているけれども、しかし同時に四つの目的を持っているというので、そのほかに特定総合開発、地方総合開発、特定地域総合開発、こういうことですから、ばらばらして力の集中ができなかったために、従って統一的な計画はできなかったのだ、そういうふうに考えるのです。 それともう一つは、ここでお聞きしたいのですが、審議会というのは、これは何をやっていたのですか、十一年間。今は五十五回目の会合を持ったというのですから、十一年ですから、年度に平均して五回会合を持ったわけですね。年五回やって、事務局の検討によって作った案を持って、年五回やって、これは一体何ができるか。一体どういう機構になっておるか、この構成メンバーについては、資料をいただいております。構成メンバー四十五人、それから会合は五十五回、それから予算はどうなんです。この審議会の予算というのは、予算書でちょっと見たわけでありますけれども、これはどのくらいになっていますか。
○政府委員(曾田忠君) 審議会の経費といたしまして、三十六年度は、百三十五万五千円でございます。三十五年度が百二十五万七千円……。
○岩間正男君 そのうち、どうですか。たとえば、委員の手当のようなものはなんぼになっておりますか。
○政府委員(曾田忠君) 三十六年度予算案におきまして、委員手当は四十万二千円でございます。
○岩間正男君 そうすると、あとなんぼです、九十五万でしょう。資料を作成してそれからこうやるということ、これはできますか、こういうやり方で。私は予算の総額のことは、ここで今問題にするわけじゃないのだが、今までのやり方というのは、全くこれは申しわけ的なものじゃないですか。年五回会合して、四十五人の委員に四十万の手当を払った。あとはその三分の二というのが事務費になっているようでありますけれども、こういう実態で、一体なんぼこれは、日本は狭いといったって、全国的な総合計画というものを立案するに、こういう格好でこれはできるのか、できないのか。そうして、そういうところに一体なぜ力を入れなかったのかというところに、一つ大きな問題が私はあったと思うのです。全くお座なりなものじゃなかったでしょうか。この点やはり経企長官にお聞きしたいと思います。
○政府委員(曾田忠君) ただいま申し上げました三十六年度の予算案といたしまして百三十五万五千円と申し上げましたのは、審議会の経費として申し上げたと思います。そのうち委員手当が四十万二千円、あとは委員の旅費等がございますけれども、別に事務費といたしまして、いろいろ旅費とか庁費、資料等の作成費がございまして、事務費を合わせましていわゆる国土総合開発の経費といたしまして六百十二万四千円となっております。
○岩間正男君 結局いろいろな点が、私は時間の関係から詳細にすることはできませんけれども、大綱はわかると思うので、この運営の仕方、非常にこれはずさんじゃなかったかと思うし、やはりほんとうに能率的な仕事にはなっていなかった。そこで今日に至って、日の目を見ない総合開発計画が、全国的にこういうところに問題があると思いますが、今、地域差の是正ということの必要からこれを取り上げなくてはならぬというのでありますが、それも一つの要請にはなるとは思うのですが、さっきの問題に戻りますけれども、それだけですか、経企長官として。これをもっと総合的にこの問題をお考えになる必要があると思うのです。いかがですか。
○国務大臣(迫水久常君) 地域差の是正というのが、非常に一つの重要な要点を置くべきポイントなのでありますが、これはもちろんそれだけが問題ではなしに、全国的な、何と申しますか、経済の開発というところを中心にした全国的な視野に基づいての問題でございます。産業及び人口の適正な配置というようなこと、それから工業、広域的な交通、用地用水、国土保全、民生施設整備の方向を明らかにするというようなことが、総合開発計画の中心の問題になってくると思います。
○岩間正男君 とにかく、なんですね、全国土に対する総合的な開発の計画をもっと有機的に打ち出さなければ、そして基盤をどんどんやはり養うという上に立たなければ、私は政府の現在の所得倍増計画というものは非常に片ちんばになるじゃないか。こういうことは、今までも論議されてきたのでありますが、単に格差の是正というのは一つの看板になっているだけで、実際はそれをほんとうに解消するような施策、そこにくさびを深く打ち込んで、そして具体的な対策を立てる、そういうことにはなっていないように思うのです。ただもう一つの飾り看板として今のような格差の是正ということが出されてきている。ほんとうにこれを解決するためには、私は単にこれは一つの宣伝だけじゃできないと思うのですが、それならどういうふうにこれを実施するということをお考えになりますか。この点について具体的な実施法案というようなものについてこれをお伺いしたいのです。
○国務大臣(迫水久常君) 基本が自由主義経済の基本でものを考えているということは、岩間先生も御承知下さいますと思います。結局地域的の格差是正という問題は、各地域の生産性をそれぞれ上げるということと、生産性の低い産業の生産性を上げていくということ、それからその地域に生産性の高い産業を移していく、この二つの面によって地域的な所得格差の是正ということが達成されていくのだと思います。従って国土総合開発計画における要点というのは、地域的な所得格差の是正という見地からの要点は、地域における生産性の低い産業の生産性を高める。たとえば工業、農業の生産性を高める。そこの地域に生産性の高い産業を移す。たとえば工業を地方に分散させる。それに伴いまして道路とか港湾とかいう、そういう公共投資というものを整備する、そういうようなことが総合開発計画の重点になってくると思います。
○岩間正男君 次にちょっとお聞きしたいのですが、四つの目的を持っているというので、部分的には作られているわけですね、計画が。これはどういうふうに今度調整するのですか。相互間の調整というのが要るのだと思うのです。都道府県、地方、特殊地域、それから今度はそういうものとどういうふうに全国的なこれは総合計画というものを調整するのか。この調整が私は非常に重大な問題になってくると思うのですが、この具体策は。
○国務大臣(迫水久常君) 現在のところまでできておりますのは、地域総合開発計画だけでございまして、都道府県の分、そういうものがまだ一つも緒についていないのでございます。従って今後全国総合開発計画ができましたときに、まず調整をとっていきますものは、国土総合開発法に基づく特定地域の開発計画と、それからもう一つは、東北あるいは九州、それぞれの開発促進法に基づくそれぞれの地域の計画、それとの間の調整をどうするかという問題があるのでございます。具体的にはその二つの面でございまして、総合開発計画が基本的に承認せられました場合には、その線から見て、それぞれの今申しましたような計画をあるいは是正せられるものもあるのでしょうし、あるいは繰り上げて施行されるものもあるのでしょう。あるいは繰り延べなければならぬものもあり得る。これはあとは具体的な問題として取り上げていきたいと思います。
○岩間正男君 これはいろいろな困難を伴うというふうにお考えになっておりませんか。いろいろな今後調整をやる上にそう簡単にいかない、こういうふうにお考えになっておりますか。なかなか私は大へんだと思うのですがね。いろいろもう、ばらばらに出ておるわけですね。それを統一してやるというその調整というのは、大へんなこれは作業、これは努力を要すると、こういうふうに思うのですが、どうですか。
○国務大臣(迫水久常君) それは岩間さんのおっしゃる通り、なまやさしいことではもちろんないと思いますが、しかし、全国国土総合開発計画というものが閣議決定し承認されたら、やっぱりその線に沿うてその調整をするように、あとは毎年の予算のつけ方であるとか、それぞれ計画の再改訂であるとかというような処置は困難でしょうけれども、していかなければならないと思っております。
○岩間正男君 失礼ですが、これは自民党の政治力でできると思いますか。
○国務大臣(迫水久常君) それはやらなければどうにもならぬことであります。
○岩間正男君 それで次にお聞きしたいのですが、これはどうですか。先ほど格差是正のために、特に主点を置いてその総合計画をやるというのですが、実際どうでしょうか。投融資の面から考えてみてどういうことになるのですか、たとえばあなたたちが分析しております三十五年、三十六年とか五年、六年こういうもので大産業それから農林漁業こういうものの大体の何がわかりますか、どういうふうになっておりますか、これをはたして具体的に裏づけるだけのこれは投融資がなされておりますか。結局この面から見れば単にうたい文句なのか、実際これを実施する意図のあるものかどうか明白だと思いますが、あなたたちの今まで調査されたものがありましょう。どういうふうなわけになっております、投融資の内容を言って下さい。
○国務大臣(迫水久常君) ちょっと今の、岩間さんもう少し具体的に、あなたの質問のことは……。
○岩間正男君 財政投融資をやりましたね。それの部門別に分けてみて、たとえば農業部門それから工業部門いろいろ分けてみて、そういう資料はないのですか、あなたの方ではできていないのですか。
○国務大臣(迫水久常君) まことに申しわけありませんけれども、産業別の分類は手元に参っておりませんようですから、至急に作ります。
○岩間正男君 やはり私はその点が重要だと思うのですが、先ほどの長官のお話しでは地方の開発も非常に力を入れてやる。しかし、具体的にはこれをどういうふうにやるかという熱意のバロメーターになるのは、やはり、これは私、財政の裏づけですよ。資金の裏づけですよ。それが調査さえもされていないけれども、これじゃまずいのじゃないかと思うので、しかもそれは産業のいろいろな規模がありますから、そういうものによって私は詳細な資料を作成して提供していただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(迫水久常君) 時間の御制限の問題ですけれども、きょう出せとかあした出せとか言われて、もちょっとできないのじゃないかと思いますが、当然必要な資料でございますので……。
○岩間正男君 大づかみの何をなるべく、あとで予算後でもいいですから、詳細のものをいただきたいとかように思います。ようございますか。
○国務大臣(迫水久常君) 財政投融資の地域別産業別の投下された実績の分類、三十五年度。
○岩間正男君 六年はまだできていませんか。
○国務大臣(迫水久常君) 三十六年度はまだ予算が成立していないので……。
○岩間正男君 できれば、私はここ数年のやつを、先でいいですが、できなければいいんですけれども、昨年度だけ見せてもらえばいいと思いますが、これはいいですね。 それじゃ次に進んでお伺いたしますけれども、先ほど地方の開発のために道路とか港湾の開発整備、こういう話を出された。私はこれは具体的に二、三の例をあげてお聞きしたい。といいますのは、私たち昨年予算委員会から三陸、宮城、岩手、青森を中心としまして視察に行ったわけです。そういう中で東北開発振興法との関連でぶつかった問題がある。この実情について長官御存じないと思いますけれども、二、三の例を私はここに示すにとどまりますけれども、これでいかに開発が実際は具体化していないかということの例になるのではないか。 第一にお聞きしたいんですが、北上川の総合開発の中で、あれは何郡になりますか、和賀郡になるのか稗貫郡になるかわかりませんが、猿ヶ石、あそこにダムができています。このダムの建設は七、八年も、十年近くになるのではないか、多目的ダムです。ところがこの視察をしたときに非常に大きな問題になりましたのは、これは電源開発はやっているわけです。ところがこのダムから水を流して、それで農地の造成を同時に最初の計画ではやられるはずだったわけです。そこでこの計画を見ますというと江刺郡、これは国営の開墾場ですが、約六千町歩。それから稗貫郡と和賀郡の東部で、これは柴波東部と呼んでいるようですが、ここの土地改良が三千町歩。約一万町歩に近いところを、相田膨大な農地の造成を考えて計画を始めたわけで、これはどうなっておりますか。これは御存じでしょう、あなたの方で、どうですか、調査されておりますか。
○政府委員(曾田忠君) 北上川の総合開発の点で、猿ヶ石ダムあるいはその他五カ所でしたか、何か多目的ダムの計画がございまして、大部分のものは進行しておるのではないかと聞いておりますが、それに関連いたしまして、ダムの水を使いまする土地改良等の事業がおくれておるのではないかという御質問じゃないかと思いますけれども、われわれの方も実は総合開発の実施の促進につきまして、この点も調査しておるわけでございますけれども、まあ農業関係の全般的な問題と申してはおかしいけれども、相当農業関係の事業がおくれておることは事実のようでございます。企画庁といたしましては、実は調整費というものを持っておりまして、この調整費の中から特におくれておりまする災害地関係の土地改良事業につきまして、農林省に、最近毎年でございますけれども、若干の金をつけておりまして、できるだけ企画庁といたしましても、農業関係の事業の促進をはかって参りたいというふうに考えております。
○岩間正男君 これはあなたの方に計画は、あるいは主管庁でないからお持ちにならないが、しかし報告は行っておるでしょうね。検討はされておるでしょうな。これは北上総合開発の一環なんですね、その行方はどうなったか、どうなりつつあるか、その経過、実施状況、そういうものを検討することなしに次の計画が進められない、企画もできないだろうと思う。そういう点から、当然、具体的な実態に入っていってこれを研究することが非常に重大だと思いますが、その点やっていっておりますがどうですか。
○政府委員(曾田忠君) 先ほど申し上げましたように、農林省当局とは十分連絡をとっておるのでございまして、先ほど申し上げましたように大きな金とは申せませんが、調整費を農林省に移しかえいたしまして、事業の促進をはかっております。
○岩間正男君 調整費はいいです。若干というんだから、聞いてみると何十何方という、そんなちっぽけな問題じゃないのですから、それはいいです。私が聞いているのは、こういう実態をつかんでいるのかどうか、こういうことです。立案するといっても、こういう具体的な実施の内容というものをつかまないで、単に机上プランで、報告を受けた。その報告も右から聞いて左に抜けるというような、そうして資料を見るというと、資料は戸棚の隅っこでほこりをかぶっている。たまたま国会でこれを要求されると急いで持ってきて、それを読み上げるだけだ。中身もほんとに理解しないで読み上げなくちゃならないというようなこの態度の中に、私は実際の生きた総合政策などといっても話にならんのじゃないか、こう思うのです。ところが、あなたの御答弁を聞いておりますと、どうも私の聞いていることを避けて、そっちの方の若干、若干というような、それはあなた、われわれは陳情団じゃない。若干の金をつけたからというようなことで、そんなことを問答しているんじゃない。だから間違わないように、ちゃんと相手を見て答弁をしてもらいたいと思う。そういう計画について、報告書お持ちですか。急だから、私は責めようとも思いませんが、どうです。大体あなたの方の戸棚に入っているのですか、報告書、どうです。
○政府委員(曾田忠君) 今資料を持っておりませんけれども、毎年各省におきまして総合開発事業へ予算の格づけをやるわけでございまして、その場合におきまして、各省におきましてそれぞれ事業の進捗率、各省の予算のワク内におきましては、特に事業の進捗が必ずしも十分でないというような個所につきまして、それぞれ各省から企画庁に調整費の要求が参るわけでございます。そのときにおきましては、もちろん手当をするわけでございますけれども、全般的な問題につきまして、先生のお尋ねの個々の事業につきまして、企画庁が十分に卒業の進捗状況を確実に把握しているというところまでは、現在至っておらない状況でございます。
○岩間正男君 これは長官にお聞きしますけれども、やはり机上プランの報告をやっていたのじゃ、全く血も何も通わないと思うのです。だから、私はこれは急だし、それから局部のことですから、これであまり責めようとは考えないのですけれども、しかし、とにかく北上の総合開発ということが、先ほどの長官の話でも、東北の振興の中では一つの重要なウエイトを占めている。しかも幾つか、五つくらいですか、ダムを作ったはずです。その中で問題になっているのが猿ケ石です。今調整費というものを、ちっぽけなものをつけているというが、話にならない。なぜかというと、今もう土地を買収しているのです。一万町歩にわたるところの土地をもう買収している。ところがそれが放置されて、もう七年も八年も放置されて何ら手をつけてない。そこのところを、水位の関係から、もう水を流す、それさえも十分にできていないという格好です。こんな形で行なわれているのです。そこで今の農民は、一体どうなるんだ、ダムはできたけれども話にならない、こういうことでは一体どうなるんだ、それよりは物を作らしてもらった方がいいじゃないか。こういう要求を出しているのですけれども、何ともかんとも解決がつかないでいるわけです。しかもこれをやるためには、今の国家予算ではできない。これははっきり食糧政策の変更があった、政府の中で。最初は食糧増産計画であった。しかし、これは御承知のようにまた途中で変えてしまった。そうして酪農とかそういうものを加味する多角的な経営というような格好がはっきり変わっておる。そういう中で農地の造成を最初うたった、そのときうたった政策は今全くこれは行き悩んでおる。これは単にこの問題だけではないと思う。だからお聞きしておるのです。これはこういう一つの最も特徴的な現われになっておるわけなんですが、これはどうなんですか。こういう問題を私はこのまま放置しておいて、さて開発振興だ、それから所得の較差だということを口で言っても、実質は伴ないのじゃないか、こういうことをわれわれ身をもって視察した中から申しておるのでありますが、これについて長官どうお考えになりますか。
○国務大臣(迫水久常君) 今日まで策定されました地域的な開発計画が、それぞれ予算のつきが悪くて、なかなか進捗しないということも聞いております。それからまた、具体的に北上川の今岩間さんのお述べになりました事実は、私はなはだ不敏で申しわけないのでございますが、初めて今お聞きするような格好でありますが、実際問題として、終戦直後に立てられました地域開発は、今その後の情勢によって実情にそぐわなくなっておるところが、だいぶあるのではないかという感じもいたしますが、少なくとも今お述べになりました北上川の問題を中心に、私は至急に勉強しまして、もう少し具体的な知識を整理したいと思っております。
○岩間正男君 とにかく朝令暮改的に、単に思いつきのような計画を立ててやられて、そうして途中で大きな政策の変更があった、そういうことで幾多の問題が行き悩んでおるところがたくさんあるわけです。しかし、この問題は放棄することはできない。これをどういうふうに総合して前向きにやっていくかというところに、計画の今後の問題があると思う、たくさんあるでしょう。これは一例として、これは現れた一例として申し上げておるのですが、しかし、これはここでこれに対して具体的にどうするのかということについて、私は詳細に追及する時間はないのでありますが、どうなんですか。ただお聞きしたいのは、こういう形で十年近い前に土地を買い上げておって、放棄させておって、しかもこれをやるためには受益者負担ということで農民が相当高額の負担をしなければ成り立たないのです、最初の計画と変わっておるから。そうすると、全くそのしわが全部農民に実はしわ寄せされておる。最初はうたい文句を掲げておって、やれ多目的ダムでございます、電力開発もやりましょう、農地造成もやりましょう、こういうようなことで。そこで十年前に、できる前に行ってみた。そうして昨年行ってみた、十年後に。そうしてこの状態に実は驚いてしまったのです。これは軽々しく言っておるわけではございません。そういう点から言いますと、私は基本的には農民に受益者負担という格好で国家の政策のしりぬぐいをさせるという形でこの問題を解決していくというこの大きな点について、企画庁長官の御答弁をいただきたいと思うのです。
○国務大臣(迫水久常君) はなはだどうも私も行き届きませんで申しわけありませんが、今具体的な問題についても全く知識を持っておりませんので、至急に勉強をいたしまして、今岩間さんのおっしゃられましたようなことは、ずいぶんおかしな話だと思いますけれども、一つ調べさせていただきます。
○岩間正男君 長官の御存じないようなおかしなことがたくさんあるのが、これが日本の現状ですから、ぜひこれはお調べ願いたい。そうして農民はどんなに公約が違反されて、それに対して不信が起っておるか、こういうことは政治の今の一つのあわれな姿なんです。こんな形では、農民は納得しないと思うし、基本的には最初に立てたその政策というものを私は貫ぬくべきだと、こう考えますが、これは急に御答弁できないということでありますから、もう一つ申し上げたいと思う。それは三陸沿岸の津波対策ですが、この津波のあった地帯を私二回参りまして、昨年起こるとすぐに、釜石の方から逆に石巻の方に二、三日かかって南下して参りました。今度はこの予算委員会の調査で、逆に反対に石巻の方からずっとあの沿岸の、被害の激甚の塩釜とか大船渡とか、そういう所を歩いたわけです。そこで聞いたわけです。この対策の中で、私がお聞きしたいのは、審議会ができておるはずです。だが、運輸省、通産省、大蔵省、建設省、こういうところで総合的な審議会ができておる。しかし、これは経済企画庁と関係がないのですか。経済企画庁は、このような問題を総括的にこれを握って統一的な施策をやる、こういう形になっていないのでありますか。どうなんですか、それを伺います。
○国務大臣(迫水久常君) お述べになりました審議会はまだ建設省所管のように思います。
○岩間正男君 私は建設省所管などという形では、もうできないのではないかというふうな感じを強くした。私は帰ってから最初の報告を私の党にしたのですが、その中にこういうようなことを言っているのですね。政府の役人が随行していったのですが、政府の役人はうまいことを言っている。こんなことを言っております。チリ地震津波の公共土木災害の査定はもう済んでいる、予備支出も決定した、本年度は査定が国庫負担分の二五%を県に割り当てるから、県がそれを重点的にまた割り当てることになっている。また災害対策事業には、審議会が発足し、九月中旬ごろ運輸、通産、大蔵、建設一の四省が総合調査に乗り出し、その結果具体的な案が固まる、こういうことを言っている。これは私らについていった政府の役人が言ったものだ。帰って調べてみた。私は帰ってからすぐ資料を各省に要求した。資料が全然出ない。審議会はあるのかないのか、どこを探してもない。こういう格好です。しかも、この中で、大船渡の市長に合ったとき、こういうことを言っております。その一年前に御承知のように伊勢湾の台風があった。そこで、あの三陸の津波が起こったときに、大船渡の市長は東京に陳情に来た。そこで名古屋の助役に会った。何と言ったか、こう言っておる。この前東京で、名古屋の助役に会ったとき聞いてみたら、中央の高潮対策は今何もやっていない。やっておらないとすれば、伊勢湾台風は御承知のように一九五九年の十月、九月の終わりごろか、であったと思いますが、それから三陸の津波の問題が起こったのが五月です。半年おくれている。半年後にこういうことを言われている。名古屋の助役が。それを聞いてきて、われわれ三陸も同じ姿に追い込まれるのではないかと言っている。そうすると、われわれは自分で調べたり、またいろいろな終過を聞いて、とてもこういう問題については総合対策というものはないのではないか。こういう災害復旧の問題を等閑にしておいて、どんな一体総合計画というものがあるのか。国土の総合計画があるのか、私は了解に苦しむのです。これはどうでしょうか。
○国務大臣(迫水久常君) 具体的な津波の跡始末、あるいは伊勢湾台風の跡始末が、お述べになりましたように、皆さん方に御満足になるような結果を得ていないということにつきましては、私はよくそれは存じませんけれども、それと私どもの方のやっております総合開発計画を結びつけて岩岡さんは今御質問になりましたけれども、ちょっと私の方としては、私はそれにはお答えしにくいのでございます。というのは、総合開発というのは、そちらの方から立てておるのでありまして、あと具体的に実施になります場合には、前の災害の跡始末なんかをしなければ、具体的な新しい施策というものができないのかもしれませんけれども。従っていよいよ総合対策、開発計画ができ上がりまして、それを実施に移します段階になりまして、具体的にそういう問題が起こることは確かに拠り得ると思いますけれども、総合開発計画それ自身に、直接にこれは結びつけて今考えてはおりません。
○岩間正男君 どうもやはり私はたよりない答弁だと思うのですね。やはり災害復旧と総合対策というものを、これをどういうふうに総合的に発展させるかということでなしに、現実は荒廃しておる、その上に立って開発計画を立ててみても、これは机上の議論だし、なるほど役所は違うから、こっちはこっちでやる、こっちはこっちでやる。今それはいいかもしれないけれども、しかし、その実施を受けるのは、一つですよ、地方の住民ですよ、そういう点から考えると、私はとても総合対策などということはできないのじゃないか、そういうふうに思います。ですから災害対策のおくれていることを私がここでくどくど申し上げる必要はないでしょう。これは今まで何百ぺん、何万べん繰り返されたかわからない問題です。現地なんかは、非常にこれに対して切実な要求を持っておる。補助率なんかにつきましても、これは三・五・二は困る、もう二年で六・四でやってくれ、こういうような声が非常に出ておる。その問題は一応、応急的な対策だからそれなら今、長官の言われる線で、私はかりにそのままにしておくにしても、さて公共対策である東北の開発の中で、たとえば三陸というのは、これは御承知のように金華山沖を控えた、世界的漁場を控えた土地ですよ。ここの開発計画というものは当然今予定に上っておる。その中で、たとえば港湾というようなのを先ほど伺いましたが、この防波堤を作るということは、非常に重要な問題です。なぜかというと、津波というのは三陸の今までの経験からいくと、三、四年後には必ず起こっておる。三陸住民は地震があると津波があるのではないかと、いつも不安に閉ざされている。ちょっとした地震でも眠れない、そうして累々として津波の記念碑が立っている、これはあわれな姿ですよ。そうして非常に民度も低い、こういうふうにどうしても国家的な施策がなくてはたとえば防波堤、防潮堤、このような高潮対策、それから津波対策というものを、国家的な施策でやることなしには絶対にできない、地方の財政なんかではできない。私これを詳細申し上げたいと思って持ってきたのですが、時間の関係でやめますけれども、できるわけがない。こういうものを、一体やっているのがどれほどありますか、三陸沿岸のもので。どうしても作らなくちゃならない。あすこのあれを私は調べてきたのでありますが、これが全部で六百五十四キロあるそうです。ここのところの沿岸をちゃんと高潮対策をやる、そのためには防波堤も作らなければならない。沿岸だけで六百五十四キロ、ここに一体防波堤、防潮堤のようなものができているところが何ぼあるか、これは調べたことありますか。
○国務大臣(迫水久常君) どうも私の方には資料がございません。
○岩間正男君 これはそうでしょうね、私これはあげてもいいです、報告再調べたらなかったんですね。残念ながら出してなかった、予算委員会で調べたんだが出していない。わずかに一・三キロです。わずかに一・三キロの防潮堤があったところは、津波を避けることができた。それからさらに今、宮古でちょっとやっています。合わせて二キロ、そうするとどうなりますか。六百五十四キロのうち二キロです。どうなんですか、パーセンテージ、ちょっとやって見なさい。何パーセントですか、〇・三%ですよ。これで一体東北の開発とか、振興とかと言ったって、総合計画とかと言っても、この実態は何です。これは長官も同意されると思いますが、いかがですか、せざるを得ないでしょう。
○国務大臣(迫水久常君) 私はその防潮堤といいますか、防波堤といいますか、六百何キロというものは必要であるということは、これは確かにそうだと思います。私はよく知りませんけれども、今岩間さんがおっしゃいますから、そうだと思いますけれども、それを時間をかけてやってゆくのが東北開発計画なんでございまして、まず六百キロの防波堤を作ることが、それを作らなければ東北開発計画というものは成り立たないのじゃないかという御議論は、私は必ずしも承服をいたしません。そういうようなことをだんだんにやっていくことが、東北開発計画の内容なんでございまして、そうしていかに必要であるといえ、これはもう一ぺんにできることではなくして、何年かの間に時間をかけてやるべき筋、だと思います。
○岩間正男君 田老の一・三キロ作るのに何年かかったと思いますか、二十年かかっています。このスピードでいきますか。そうすると何万年もかかることです。今のお話しのようなことがあるので、それじゃあ総合計画にならぬということです。むろんこれは昔の話ですから、そういうことで私は責めようとは思わないのですけれども、これはとても容易なことじゃございませんよ。 それから大船渡とか、女川とか、そういういい港湾があるわけです。その港湾をほんとうにフルに生かすためには、どうしても防波堤を作らなくちゃならぬ。ところが女川などというところは、非常に深い、六十メーターもあるでしょう。そういうところになりますというと、一メートルの単価でも、莫大なものです。どうしたってこれは国の予算でやらざるを得ない。ところが、こういう問題について研究されているのか。第一次調査というような段階で、何らこれは具体策がない。私はこういう問題について今後真剣にやはり検討する、少なくとも長官が足を運ぶということが全部できなければ、もっとあなたの率いる調査陣、あるいは事務陣を私はフルに動かすべきだと思う。ほんとうに動いているかというと、どうもこれはさっぱりわかっていない。その日暮らしの仕事をやっても間に合うことじゃない。ほんとうに決意をもって中に入って検討していく。そこから計画を引っ張り出していく。それは現在の段階だってできると思います。もしできないというのだったら、どうしても共産党の社会がこなければできないというなら話は別です。そういう点についてはもっと真剣に考えていただきたい。 もう一つ聞きますが、国道二号線というのが通っている。三陸沿岸を通っている。下閉伊郡の田野畑というところ、ここのところはバスも、トラックも、ジープさえ通れない道がある。これが国道第二号線、これはどうですか。
○国務大臣(迫水久常君) お話をこれからだんだんに承わりたい。私は全然それは知りません。
○村松久義君 岩間君のお話に関連して一つ伺いたい。今の津波対策を必要とする海岸地帯、これが国土総合計画の特に北上川の特定地域に編入されてはおらないという事実があるのです。そこで開発ということと、今の防災の関係ですね、これは将来においては東北地方、特に三陸の津波地帯に対しては、これはどうしても開発地帯であるとして編入して、総合的に計画をする必要がある、こういうふうに私は見てきました。そこで、今後において津波防災の対策を含めて、国土総合開発の計画に含めてこれを考えていく、そういう必要が絶対にあると思うのです。今日までのところ、さっきのダムでも、五つ完成したようなお話しですが、事実は完成しておりません。これはまあ予算不足、調整費なんというものは全く子供だましのような程度です。これはできておらないのです。これはしばらく別といたしまして、今の津波対策というようなものが、常に東北の振興を妨げ、開発を妨げつつあるのです。今後の総合計画の中にはこの対策をも含めて一つ考えていくという御意思がありゃいなやということを一つお聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(迫水久常君) 全国総合開発対策計画には、治山治水の方まで入ってくる考え方でやっておりますので、防災という意味もそれに含めて考えてみるように一つ研究をいたします。
○岩間正男君 私はこれで質問を終わるわけでありますけれども、まあ国土総合開発法が通って十一年目にこういう論議をしているところに、私は日本の現実があると思って残念なんです。こういうことでは話にならぬ。それから、先ほど長官も話されましたように、全く総花的でばらばらです。対策はばらばらです。これは何が基本になっておるのか。それはいろいろありましょう、いろいろな選挙対策もあるのだろう。しかし根本的な問題は、そういうものよりも、やはり統一したそういう企画を集中して、そうして大所高所からこれをやるというところに政治力が欠けているというところに根本的な問題がある。私はどうしてもこのような問題を経済企画庁は取り上げて、そうしてこれをほんとうに立案化していって、そうしてこれを現状ともにらみ合わせて、これを明らかにする、こういうことが非常に重要だと思う。ところが、実際これははたしてできますかな。私はどうもこれは待っていても、百年河清を待つようなことになるのではないか。長官の答弁を聞いていても、たよりないのは、高度経済成長のような点には焦点を合わして、そこの御答弁は非常に活発になされますけれども、どうもこの国土総合開発の答弁の方は、円滑を欠いているのではないかというような感じがするのですが、そこに現実の姿がはっきりある。こういう格好では、矛盾の拡大がますます大きく広がる、こうならざるを得なくなる。こういう点からこの点を指摘しておきたいと思うのですが、十分考えていただきたい。もし必要があるならわれわれが案内をしてもいいのですから、一緒に行って見て下さい。ことに東北なんか日本の植民地ですよ。収奪されるだけだ。汽車を見ればわかるわけです。あそこの上りでどういうものを積んで、下りでどういうものを積んでいくか。空車率はものすごいのです。向こうからくるときは木材、魚、米、こういうものを満載している。ところが向こうへ帰る車というものはがらあきです。気仙沼、あそこは十月になるとサンマの大漁です。サンマの大漁のときに空車がない。積む貨車がない。貨車がないために半分腐らす。なぜ腐らすかというと、御承知のようにあそこから積んでくるものはどんどんあるが、帰ってくるものはみんな空車になる。国鉄の独立採算では間に合わない。だから必要なだけの貨車を配給しないのです。そのためにみすみす膨大な資源が腐る、こういう実態が起こっている。御存じですか。これは全く経済の矛盾の拡大です。具体的なものです。これは私どもは向こうの市長からはっきり聞いてきている。こういう例をあげますと、たくさんあるのです。ことにへんぴなこういうところを、ほんとうにあなたはこれを開発するのかどうか。私はやはり口先だけじゃ困ると思います。これは御答弁は要りません。以上をもちまして私の質問を終わります。
○阿具根登君 資料をきょういただいて、よく見ておりませんが、 エネルギー対策について御質問申し上げたいと思います。きょういただいた資料によりますと、昭和五十五年までのエネルギーの見通しが書いてあるようです。で、総エネルギーを見てみますと、三十三年度で一億一千万、四十五年、度で二億五千万というふうになっております。ところが電力は石炭に換算して三十三年度で四千万トン、それが四十五年度では一億一千六百万トンになっている。そうしますとどういう、もちろんこれは水力だと思うのですが、どういう計画があるのか、お知らせ願いたい。
○説明員(山下貢君) ただいま御質問の数字は、実は経済審議会のエネルギー部会というのが昭和三十四年五月にできまして、それが一年がかりでやっていたその途中の資料でございまして、所得倍増計画でその答申のあとを受けまして、具体的に策定した数字は、実はこれは小委員会報告として出て参っておりますので、事務当局の手違いで古い資料を差し上げまして、はなはだ恐縮でございましたが、新しい資料は小委員会報告の方でございます。その古い参考資料の方に出ております資料は、実は経済の成長率を、最初の十年間は七%、それからあと十年が五%という、いわゆる二十年の長期展望に基づきまして作成した数字でございます。そのときのGNPが、昭和二十五年が約二十三兆でございましたが。新しい所得倍増計画におきましては二十六兆という数字になりまして、そういう関係で、数字が違っておりますので、新しい数字をお使いいただきたいと思います。
○阿具根登君 新しい数字では一億四千万トンですね、かえってふえているわけです。だからそのふえている、ちょうど三十四年から比べて三倍になりますね、三倍の水力発電はどこを計画されているか。もちろんこれは水力でしょう。それを聞いているわけです。
○説明員(山下貢君) それは主として鉱工業生産の伸びというのが一番大きな原因になって伸びるわけでありますが、そのほか民生部門、その他それぞれ経済の成長に応じまして、電力の消費が伸びるという計算であります。
○阿具根登君 その電力の消費が伸びる、一億四千万トンの電力を使う。だからこれはほとんどが水力で考えられておるでしょう。火力は考えられてないんでしょう。それを一つ。
○説明員(山下貢君) そうではございません。火力を大いに考えておるわけでございます。
○阿具根登君 そういう答弁では非常に困るんで、火力を大いに考えておられるとするならば、今度は石炭の問題に入りますとおかしい数字になりますよ。この三倍の電力はどこから出すのか。水力だったらどこに発電所をお作りになるのか。十年間の計画はあるはずなんです。三倍になっておる。一億四千百万トン。だからどういう計画がおありになるのか。火力が主だとおっしゃるなら、火力はどういうところへお作りになるのか。それを一つ教えてもらいたい。
○説明員(山下貢君) ただいまのどこにどういう発電所を作るかという具体的な計画は、これは所得倍増計画では作っておりませんけれども、全体的な供給の計画といたしましては、水力につきましては三十四年が六百十六億キロワット・アワーでございますのを、四十五年の目標年次におきましては九百十九億、それから火力が三百四十四億キロワット・アワーが一千六百七十九億キロワット・アワーというふうな計画を立てておるわけでございます。
○阿具根登君 需用の見通しからこれだけ要るんだという計画なんでしょう。そうするならこの電力の生産は何によって行なうのか、どこで出すかというやつが計画書にあるはずでしょう。それでなかったら、需用はこのくらい要るけれども、一体どうして出すのかということじゃわからないでしょう。
○説明員(山下貢君) 燃料の所要量といたしまして、石炭換算五千二百キロカロリー当たり単位の石炭換算で三十四年が、総所要量が千六百三十万トンでございますが、これが昭和四十五年に七千五百十万トンというような計画になっております。
○阿具根登君 どうも私の質問が間違っているのですかね。どうもはっきりしないのですがね。それでは逆に石炭から先に入ってみましょうか。石炭は十年後五千五百万トンお使いになるのですね。そうしてこれを見てみますと、原料炭が、昭和四十五年には二千五百六十四万トン輸入するということになっておるわけなんです。これは一体どういう関連です。もう少しわかりやすいように言いましょうか。それじゃ長官にお尋ねしますが、おそらくもう出ておると思うんですが、経団連の植村さんが中に入って、日本の石炭をどれだけ使うかという問題で中に入ってやられた。その場合に電力は一千八百万トンですか、鉄鋼が一千万トンですか、こういう数字が出たと思っているんです。ところが、それではやっていけないということで再度調整に入られたが、その結果どうなったかお知らせ願います。
○国務大臣(迫水久常君) 先ほどから阿具根さんがお尋ねになっていらっしゃいますのは、水力、火力の電気が目標年次には大体これだけ要るだろう、需用の方から見てこれだけ要るだろうということが所得倍増計画の見通しでありまして、これを充足するのにはどういうふうに水力のダムを作り、火力の発電所を作るか。そのことは所得倍増計画にはなくて、通産省の方で立てるところの電力充足計画といいますか、そういうようなものにはおそらく立ってくるのだと思っております。従って、経済企画庁にこれをどこに立てるつもりかとお聞きになっても、それはうちではお答えができない立場です。 それから第二段の今通産省がしきりに、一生懸命に石炭の大口需要とか、電力とか、あるいは鉄鋼とか、そういうようなところに石炭を使ってもらう交渉をしておりましたことはよく知っておりますが、結末がどう出ておりますか、ちょっと私まだ聞いておりません。
○阿具根登君 しかし、それでは責任があまりなさ過ぎるんではないかと思うのです。企画庁はこれだけのエネルギーが要るんだというだけを出した、こうおっしゃるわけですな。ところが、石炭は十年後にどのくらい要るだろう、こう言われるわけです。それによって石炭は合理化されていくわけなんです。そうですね。よく御承知の通りなんです。電力は三倍も要るのだ。それに対して何も計画もなくて三倍要るのだろう。それでいいのかどうかということなんです。電力が三倍要るならば、どこにダムを作るとかあるいは火力発電所を作るとか計画が一応なけらねばできぬと思う。石炭だって五千五百万トン要るだろう。一つも合理化しないではないか。そのためにあなた方は一人当たり何トン出せと言って指示しているでしょう。一方の方にはそうして、一方の方にはどこに作るかわからないで三倍ものエネルギーが要るのだ。これではどうもおかしい。これは通産省の仕事だとおっしゃればそうかもしれません。しかし、あなた方が計画を立てられるときには、日本に一体それだけの水力ができるかできないかということは十分に考えてやられるはずだと私は思うのですがね。
○国務大臣(迫水久常君) 阿具根さんのおっしゃることまことにごもっともなんですけれども、所得倍増計画は、一応の経済の見通しを立てるというのにありまして、その見通しをどう達成していくかということについては、政府公共部門におきましては若干の計画的なものを持っておりますが、民間産業部門につきましては、たとえば鉄のごときについても、昭和四十五年度四千八百万トンという数字を出しておりますが、それをどういうふうにどうやっていくかという計画はこの所得倍増計画にはございません。従って、鉄の方のごときは、逆に昭和四十年度に四千七百万トンを作るという産出量の計画を逆に出して非常にスピード・アップした計画を出してきて、それで私どもの経済企画庁があわてて、それでは国際収支にも悪影響があるから、いろいろな点から非常に困るということで、所得倍増計画アフター・ケアという言葉でこれを調整しようという立場に立っておる次第なんですが、電力及び石炭の関係につきましては、一応電力はここに掲げてあるような数字は、それも水力、火力というようなところまでは一応分類して出しました。石炭は昭和四十年度五千五百万トンという数字を一応出した。これを具体的にここまで持っていくのにはどういう段取りでいくかというのは、民間のそれぞれの電力会社がやるところでありますが、それを指導しますのは通産省でございます。次に、ほんとうに今あなたのおっしゃるように、何となしに裏づけがないじゃないか、こうおっしゃられれば確かに裏づけはないのですけれども、一応見通しを作るところだけが所得倍増計画。総理大臣も、計画と言うのはおかしいじゃないか、構想というような言葉で言っておられたのはそういう意味でございます。
○阿具根登君 それは企画庁としての立場からなら考えられるけれども、やはり直接責任を持ってやられる方が何の裏づけもないのにやられたと言ったら、国民はそれで信用するでしょうか。たとえば石炭を二億トン要るのだ、一億トン、二億トン要るのだということをあなたはお書きになった。日本でそんなに石炭が出ますか。できない相談なんです。一億トンの石炭が要るということだったら、このためには日本の石炭がどうあるかということは分析されていると思う。おそらく私は三倍になる火力はないと思う。火力だったら五千五百万トンをうんとこすでしょう。これだけで一億四千万トンですから、うんとこすはずです。水力を考えていただけば、そんなら日本の地図を考えていただけば、どこにどんな今から先どれだけのダムを作って、どれだけの発電所ができるということの一応構想がなくて、一億四千万トンの石炭にかわるエネルギーを使いますというと、それじゃあまりに無責任じゃないかと思うのですがね。
○国務大臣(迫水久常君) 阿具根さんのおっしゃることは私もその通りだと思うのですけれども、所得倍増計画の立て方というのは見通しを立てるところに重点があります。もちろんこの見通しを立てまするにはでたらめに立てたわけではございませんので、いわゆる各種の小委員会というものがありまして、それでいろいろ計量して立てたものでありまするから、石炭を四十五年度に一億トン要るというような計画にはなっていない。五千五百万トン、すなわちその裏づけがあり得る立場において計算をしておると思います。従って、電力三倍というのも一応裏づけのあり得る立場として一応検算をした数字としてここに載っておると思います。その作業は各小委員会がやったのでございますが、具体的にどことどことどこにダムを作る、どことどこに火力発電を作る、その火力発電所は石炭をたくのと石油専焼のものとどういうふうになる、そういうふうに具体的な計画にまで入ってきますれば、これから先この所得倍増計画を目安として、各企業に通産省がこれを指導して、各企業がこれを達していく、こういう段取りになるのでございます。
○阿具根登君 そうすると、経済企画庁の方では、そういう所得倍増から割り出した、逆算したやつでこうなる。あとはおれのところの責任じゃないのだ、一応青写真をつけておいてあとは所管の責任者がやりなさい、こういう投げ方ですか。
○国務大臣(迫水久常君) つまりこれが所得倍増計画というのですが、自由主義下における計画でございますので、私は、昔戦争中の役人のやった戦力増強計画のような、何といいますか、実行計画ではなくて、普通の見通し、道しるべという性格のものであるのでありまして、従いまして、この計画それ自身をこのままの姿でもって実行するという裏づけをこの計画は持っていない。これはまあ、自由主義経済のもとにおける計画の本質的な一つの性格じゃないかと思っております。
○阿具根登君 一応のこういう計画を立てられて、それに当てはめていくから無理が出てくるのでしょう、現実じゃなくて、こうあるべき、だとあなた方が頭で描いたやつ、それによって逆算していっておられるのでしょう。そうでなかったら、自由主義経済だからこうすればこれにそれぞれの企業がついてくるのだと、これは一応そういう場合はそういうことが言われるけれども、日本のこれだけの九千万以上住んでおるこの国の中で、自由主義経済が完全に行なわれておるのですか。極端なことを言えば、これはビルマやタイから米をたくさん買ってくれと言っておる、その米をたくさん買えば一体農民はどうなりますか。できないから統制しておるのでしょう、規制しておるのでしょう。たとえばノリでもそうでしょう、韓国から来るノリは一枚三円六十銭です。それが日本では七円八十銭です、生産者から買うのが。韓国はあまり食べないのです。で、困っておる韓国からどんどん買ってごらんなさい。ノリ業者はみんなつぶれてしまう、半分以下ですから。それを計画的に七円八十銭に見合うようにして国民が高いものを買っている。高いものを買っているわけです。そういうことを取っておられるでしょう。それにこのエネルギーだけに対してはただ青写真だけであとは通産省なり何なりが合わせるのだと、自由主義だからやむを得ない、それはあまりに不親切な答弁ではないかと私は思うのですがね。
○国務大臣(迫水久常君) 韓国のノリとか、あるいはまあ私は砂糖も広い意味においてそういうことは言えると思うのでありますが、日本の農家経済を考えます上に、いわゆる貿易自由化計画というものが、そこにおのずから制限を受けてきておることはその通りでございます。それで、たとえばノリの関税をどうするとか、ノリの外貨割当をどうするとかいうことは、これは率直に言ってこれは農林省がやっていることなんでございまして、それはもちろん日本の漁民、ノリ製造業者の立場を考えて農林省がやることでありまして、もちろん私の方にも相談のないことはもちろんありませんけれども、まあ主管省は農林省、それと同じようにエネルギーの問題もうちの方でももちろんこれから先相談に乗っていくべきではありますけれども、具体的な基礎的な電力充足をするための計画を立てるのはこれは通産省なんでありまして、今私の方でそこまでヴィヴィッドに、今自由主義と私が申し上げたのは、そこの十年先までダムはどの地点に作る、火力はどこに作るというふうなヴィヴィッドな実行計画までを含めた計画は、自由主義下においてはまあ立てられない。立てない方があたりまえじゃないか、こう思っておる次第でございます。
○阿具根登君 それでは現在の三倍の水力が日本で可能であるかないか。あなた可能と思ってこれはお作りになったのでしょう。可能と思ってお作りになったとするならば、最後のことはそれは下がきめるでしょう。しかし、可能であるということなればどういうところがあるということはわかるでしょう。
○国務大臣(迫水久常君) 所得倍増計画を見てみますと、エネルギー別供給量では電力は水力九百十九億キロワット・アワー、火力千六百七十九億キロワット・アワー、送電端になりまして、発電設備は電気事業用で一〇%の供給予備力を含め水力二千二百万キロワット、火力三千百万キロワット、計五千三百万キロワットと、現在の約二・九倍に増大する、これはこう書いてありまして、水力ばかりではもちろんないので、火力も非常に含めております。この計算というのはこのエネルギーの小委員会が計算をいたしまして、これだけのものは水力が二千二百万キロワット発電設備ができるということは、それは計算しているのだと思います。同時に火力三千百万キロワット計画しておりますから、これも実際上の問題としてはできるのだということを小委員会では計算をしましてこう出ておるのだと思います。従って、この問題は、火力の中で石炭をたくものと石油専焼のものとがどういうふうになるのかということがこれから先の問題ではなかろうか、石炭の五千五百万トンというものは、これはやや石炭産業というものの何と申しますか、立場を非常に顧慮した私は数字であると理解をしておるのでありまして、従って、五千五百万トンを消費するためには火力でどれだけたいてもらわなければならぬというようなことはこれから先に計算をしていく。それで、それが今さっきおっしゃいました植村さんを中心とするあっせんというものもそういう意味においてやられているのだろうと、こう理解をしております。
○阿具根登君 あまりお詳しく御存じないようですけれどもね。ことしで五千三百万トンの石炭をたいているのですよ。来年で五千四百万トンの石炭をたくのです。十年たっても百万トンしか伸びないのです。三倍にふくれ上がったその電力に火力を使うとおっしゃるなら、そういう数字は出てこぬはずなんです。問題はたった石炭としては十年たっても百万トンの問題なんです。そのくらいなんですよ。だからおかしいじゃないかと私は言うわけです。もしもそれが火力でも使われるとするならば、五千五百万トンどころではない石炭が出てくる。そして石炭を五千五百万トン使う、あるいは電気を使う、一億五千四百万トン石炭に換算して使うということは、皆さんのところで計算されたのでしょう、総エネルギー二億何千万トンですか、二億何千万トンの総エネルギーを使うのだからこうだということは企画庁で計画されたのでしょう。
○国務大臣(迫水久常君) 私は阿具根さんのおっしゃることは、よくわかるのですよ、わかりまして、阿具根さんのおっしゃることは、火力というものがこれだけふえるのなら、それを石炭でたいていくなら五千五百万トンという石炭の所要最は少な過ぎやしないか、もっとよけいに出てこなくちゃいけないのじゃないか、こうおっしゃるのであることは、私よく了解をいたしております。結局、非常にいやなところに問題が触れてくるのですが、つまり今後の火力というものの発電は、石炭をたく計画があまり多くなくて、重油をたく計画の方に重点を置いて、こういう数字ができているのだろうと、こう私は理解をいたします。それでそのことは、私は石炭の産業という問題につきましては、毎々阿具根さんにも申し上げております通り、日本の産業界といいますか、経済の高度成長の中において、率直に言って、石炭と海運だけが、私はたとえば悪いかもしれませんが、舗装した道路を自動車を走らせて、ちょっとその舗装のこわれたところでがたんがたんと非常に不愉快な思いがすると同じような感じが、石炭と海運というところに、私は問題が考えてくるとそういう感じがするので、石炭の問題については、一つその計画という問題、所得倍増計画はそうでありますが、この問題というものは、労働者の問題あるいは石炭の需要それ自身の問題、両方の面から何とかもっと考えるべき道はあるのじゃなかろうかとしきりに私も苦慮をいたしているわけでございますが。この計画の数字から阿具根さんがチェックしていかれまして、五千五百万トンという数字は少な過ぎるじゃないか、こうおっしゃることに対して、計画の方はそうでなしに、石炭をたく分量というものかだんだんに減ってくるということを、はなはだ申しわけない次第ですが、そういう格好で、この計画の数字は組み上がっているのでございまして、その点御了承瀬いたいと思います。
○阿具根登君 それでは所得倍増の面からいって、石炭は御承知のように、現在五千円くらい所得が減っているわけです。平均減っているのです。これを倍増にするにはどうしたらいいか教えていただきたいと思います。石炭だけは半減して、あとは倍増でいいのか。
○国務大臣(迫水久常君) 今お話がありました五千円くらいあなたは減っているというのはどういうことですか、石炭の……。
○阿具根登君 なるべく私がしゃべらずにあなたにしゃべっていただこうと思って簡単に申し上げているのですが、いわゆる石炭の合理化を池田内閣の一つの政策として、それで石炭を三十八年度までに千二百円下げろと言われたことは御承知の通りですな、それに上って合理化していくからいわゆる労賃を減らす以外にないのです。人を減らす、減らしても千二百円に足りない、だから労賃をもっと下げるわけです。だからそのしわ寄せは労働者にだけきて、五千円から現在下がっているわけなんです。二十五万人の労働者ですな。そうすると、これはどうすれば所得倍増に追いついていけるか。
○国務大臣(迫水久常君) 阿具根さんの御質問の要点というのは、石炭合理化の過程においては石炭に関連する労銀というものが約五千円引き下げられてしまわなければ千二百円切り下げの合理化はできない計算になる。そういうような場合において石炭産業に働いている人たちの賃金を倍にするにはどうすればいいか、こうおっしゃるわけですね。その問題私は、それは実際一番現在の政府におきましても、また、通産省におきましても、私もことに先ほど申しましたように、石炭の問題というものについては、深い関心を持っております立場でございますので、今の御質問に対して、すぐにこうするのだというお答えが率直にできないことを非常に申しわけないと思うのでありますが、合理化の方向というものは、これはどうしても固体エネルギーから流体エネルギーへ世界的に需要が転換している際のことでありまするので、どうしたってその方向を、たとえば税金によって得たところの、国の歳入によって補てんをするとか何とかいうような方法で、全部それにかかってまかなうということは、私はやっぱりできないので、いわゆる合理化の方向というものは、これはしていかなければならぬ方向、だと思いますが、お話の通り、石炭というものは今炭価を切り下げていく方向でありますれば、石炭労働者の賃金がこの際、他の産業の賃金労働者の賃金が上がっていくのと同じような傾向で上がっていく可能性というものは、まさに私はないのじゃないかと思いますが、そこのところをもう少し私もよく勉強させてもらいまして、一つ何かいい考え方、石炭合理化全体の問題を取り上げて研究をさしていただきたいと思います。
○阿具根登君 これもあなたの所管でなくて、通産省だとおっしゃるかもしれませんが、あなた方が合理化ということで、石炭五千五百万トンしか使わないという前提を出されたので、もう少し申し上げてみますが、その五千五百万トン使わねばならないという基礎になったのは、あなたが出された線によって基礎になったのは、一人当たり一月に石炭を二十六・二トン出さなければいかぬ、それで一人当たり一月に二十六・二トンを計算していけば、年間五千五百万トンの頭打ちでいけば十七万五千名の労働者しか要らない。こういうことできめられたわけです。そうすると、二十五万の人は……その差はやめて下さい、三十八年度までやめて下さい、それが労働大臣に言わせれば、ことし三万五千人やめるのです、こういうことになっておるわけですね。ところがまた、労働問題だとおっしゃる、だからその問題は、労働大臣に尋ねると、今度はそうした場合に、今の業者は輸入の油と太刀打ちするためにはもう二六・二トンでは間に合いませんと言っておる。間に合いませんと言っておるわけです。そうすると、大体四十トンから六十トン計画しておるわけです。そうしてあなた方は、おれは計画しただけだ、あとは通産省がやるのだ、通産省に言わせれば、これは池田内閣の前提によって、この線によって進まざるを得ないと、責任の転嫁をされているけれども、今度一人当たり四十トンとしたら、岩間君じゃないけれども、計算したらすぐわかるでしょう。十一万人しか要らないということになるわけです。そうして、一方ではもうことしになってから問題になっておりますように、百人からの人が死んだですね、そういうところに援助してやったとしても、ここは四十トン出す炭鉱にはさか立ちしてもならないと僕は思うのです。そうすると、そういうのは全部切り捨てですよ。農民切り捨てじゃないけれども、あなた方のこの青写真というのは炭鉱切り捨てです。全部追いつかない。それはなぜかというと、五千五百万トンと頭を抑えられておる。頭が五千五百万トン、十年後に、現在から百万トンしかふえない、頭を押えておる、自由競争でやりなさいというならそれは切り捨てということなんです。ですから、なぜ援助できないのか、援助できないとおっしゃったのは、今あなたがおっしゃったように、エネルギー源が世界的に固体から流体の革命だ、それはわかります。しかし、ドイツなんかでは、日本人の二千家族も炭鉱に来てくれと言っておるわけです。向こうだって切り捨てをしなければならないはずです、同じ自由主義です。しかし、自由主義といえどもそういう極端な断層を作らないために政策をはっきり立てておる。ドイツだけの労働者では炭鉱労働者が足りない、小さい炭鉱はつぶしたのですが、足らない。そういう政策を立てて断層を作らないように、谷間を作らないようにしておるわけです。池田内閣では、一方でははなばなしく所得倍増を打ち出しておる。いい産業はものすごくよくなっておることは私も知っておるが、しかし、そういう谷間の断層を作っておるのが池田内閣の政策じゃないか、その青写真を書いておるのがあなたじゃないですか。なぜこの谷間を作っていくのか、そんなに急がなければできないのか、そういう点の御説明を願いたい。
○国務大臣(迫水久常君) 私は、経済企画庁が主になりまして立てました所得倍増計画で、昭和四十五年度の石炭所要量五千五百万トンを頭を切ってしまった、だから合理化対策もやらなければならないし、また、労働者の、離職者もどんどん出てくるようになったというお話は、私は承服できないと思います。というのは、もしこういう自由主義社会でありますから、自由競争にまかせておいたなら、石油と石炭との競争におきましてほったらかしておいたら、石炭は五千五百万トンはおろか四千万トンぐらいしか需要はないのじゃないかと露骨に言えば思います。ですから、かりに四千万トンといえば十万人、何万人ですか、五千五百万トンで十一万トンとすればもっと少なく、うんと多くの離職者が出てこなければならないはずじゃないか。五千五百万トンという数字をあげましたのは、むろん今阿具根さんのおっしゃいました谷間を急に断崖絶壁にしないようにというような配慮から五千五百万トンという数字がここに計上されておると私は了解をいたします。従いまして、この五千五百万トンという線まで何とかしてこの石炭を使ってもらうようにというの、が通産省が植村さんを中心にして方々にお願いしておる実情であります。私は所得倍増計画で五千五百万トンというものを作ったから従ってこうなるのじゃないか、お前の責任だというのは、ちょっと残念なような気が私としてはいたしまして、むしろ、五千五百万トン使うというここに計画を立てたことは、石炭を急に断崖絶壁に落とさないようにという配慮も確かにある、こう私は実は思っておるような次第でございます。しかし、それにしても、今あなたのお述べになりましたように非常なる斜陽ぶりが、秋の日のようにすっと落ちてしまうような格好になりますので、その間の合理化の計画はこれは所得倍増計画と関連するのでございますが、通産省でやっておるようなことでありますが、その合理化の進行過程において、いきなり断崖に落ちないような方法は何かないか、たとえば今度の国鉄の運賃の値上げにも、六十円か何か響いてきて非常に大きな問題だと思って調整したいと思っておるわけでありますが、その点は、合理化の進行過程における一つの対策として、私も通産省と協力してできるだけの措置を考えたいと誠意を持って思っておりますが、しかし、所得倍増計画で五千五百万トンとお前がきめたから石炭はこうなるのだというのは、私としては非常に心外のような気がいたします。
○阿具根登君 そういう言い方も成り立つと思うのですけれども、それは今ぽこっと石炭が五千五百万トンから六千万トンの設備ができたわけではない。この二、三年前までは。皆さんがそういう設備をどんどんさせたのです。そうすると、今の御答弁はいただきかねる。逆に今産投だ、経済の伸びだと言って盛んに打ち出されておる。今度の予算でも、御承知のように、三年か二年くらいたったら、木村さんなんかの説を聞けば、生産過剰になって大へんなことになるぞと言っておられる。不幸にしてそれが当たった場合にはどうされるのでしょう。そんなに生産が余るように作っては困る、減らせ、今度は今の石炭のように頭を打たれる。そうなると設備は遊ぶ、労働者は余る、それを今のようにやれやれと勧めておいて二、三年たてば逆転してくる。そういう心配があるわけなんです。だから、そういう谷間を作らぬようになぜしないのか。そうでなければ安心して仕事ができないじゃないか。かりに三十七年に、これはまた物価問題になりますけれども、物価はそう上がらぬと言っておられるけれども、どんどん上がってきておることは御承知の通り。牛乳にしてもとうふにしても上がりましたね。これはおそらくこの国会が終わり、秋口になったら相当値上がりすると思う。そういうことになってくるとすれば、これは購買力が減ってくるのは事実だ。生産はうんと上がってくる。またもう一面では、外国の方にダンピングするというか、不評判なことが頻発するかもしれません。きょうも問題になりました日銀総裁と木村さんと辻さんのお話では、おそらく東南アジアその他から、第三国では、日本とアメリカの貿易競争になるだろう、大へんなことになるだろうという心配をしている。だから、今のこの予算から見た場合でも、僕は炭鉱をこういうようにやったように、この二、三年後には必らずどこか斜陽が出てくる。それはあなた方が情容赦なく谷間に落としなさるのじゃないか。そういうことはないと言うなら、現実に起こっている石炭の問題に対してなぜもう少し救済の手を差し伸べられないのか。こういうことを言っている。その点どうですか。
○国務大臣(迫水久常君) 私は、阿具根さんは石炭に対して救済とおっしゃいましたが、救済という言葉が当たるかどうかわかりませんが、石炭に対して、あまり急カーブに下がらないようにするために処置を講じないかとおっしゃるお話はよくわかります。その通りだと思います。先だってある会合で、伊藤保次郎さんが、石炭というのは日本の産業を育ててきたもとなので、そのもとは糟糠の妻であるけれども、このごろの政府は糟糠の妻を、細君が古くなったからというので追っ払おうとしているじゃないか、けしからぬと伊藤さんおっしゃいまして、私はその話を聞いて全くその通りだと思うのです。思うのですけれども、従って、何と申しますか、所得倍増計画の線の中で、石炭の救済ということを考えますと、まあ五千五百万トン程度使うということがせいぜいであって、あとは石炭産業に対する合理化の、問題あるいは離職者の対策という点で、国家が金を使っていく何かそこに処置していくべき問題であると思いまして、その方についてはまた私としてもできるだけの協力をしたいと思っております。
○阿具根登君 そこで、離職者の問題に触れれば、これは労働省だとお逃げになるに違いない。離職者の方につい干ても努力したいとおっしゃるならば、離職者の問題で一つお尋ねしてもよろしゅうございますか。いわゆる、こういう一応の頭をきめられた。自由競争ならかえって逆になるかも一しれない、だから自由競争であるけれども、急カーブにならないように一応頭を上げてやったのだ、こう言われるわけですね。しかし、それなら、それから出てくる労働者に対する救済はどうなっておるか。これは私はどうも政府部内の責任があまりなさ過ぎると思う。たとえば皆さんが計画をおきめになって、それを通産省が実施するならば、その多発地帯といいますか、失業者がたくさん出るところに対する工業誘致その他のものを考えて、そうして達成できるようにするならば、私はまたやむを得ないと思うのです。こういう斜陽になってきたというならば、これはやむを得ないと思う。ところが、そういうものはこれは労働省だ、労働省は事業関係は一切タッチできない。だからそういう斜陽を作る方には皆さんで協力されている。たとえば炭鉱を買い上げる、買い上げるには金を貸しましょう、融資もしましょう。今度はこれを裏返せば、経営者を助けたばかりに、労働者の退職金もそれで払ってやったじゃないか、こういうことになるのですが、これは当然のこと、助けたのではない、助かったのは業者です。残り少なくなった石炭を出させる、買手がないやつを国が買い上げてやったのだから助かったのは業者なんですよ。そういうものには金を出される。残った労働者には労働省がこれをせいということになる。労働省は自分で事業を持っているわけではない。だから、失業者をどこかで雇ってもらうということにきゅうきゅうとしているだけだ。そういうやり方がいいですか、悪いですか。
○国務大臣(迫水久常君) お話の通り、石炭の問題は通産省と労働省、石炭の跡始末の問題といいますか、救済といいますか、それに対する取扱いの問題は両者の問題でありまして、経済企画庁も総合調整官庁としては関連もありますが、お話の通り、両省の間の連絡の緊密化ということについてお話の通りやや欠ける点が確かにあるような気がいたします。お話のように、もう少しそれを緊密化して、石炭の対策というものについての総合的なものを一つあっせんをしてやるように努力してみたいと思います。
○阿具根登君 今ここで、たとえばことし中に三万五千人の失業者が出る。ところが全般的に見れば非常に失業者が減ってきた。そうして中学校、高卒は足らないくらいに就職があるのだ、これも事実です。しかし、一たん職を離れた人の仕事というものはない。そうすると、その職を離れるような政策をとった人がその職を保証するのが私は当然だと思う。ところが、ただ表面だけ出るやつでは、学校を卒業した方の失業がないものだから、減っているはずなんです。ところが、減った失業者というものはきわめてみじめな失業者なんです。学校を卒業したばかりの人だったら、家族を持たないからそこまでみじめではない。ところが、たくさんの家族をかかえて政府は政策によって職を追われた人は、これくらいみじめなものはない。長官が企業をやっているならおわかりだと思う。学校を出たばかりの単身者を雇えば安く雇えるけれども、三十才、四十才過ぎた家族持ちを雇えば、とても同じ仕事だったら雇えるものではない。どうせ数字だけ減ったとおっしゃるけれども、非常に悲惨な生活がなされておる。それにもかかわらず、政府は、所得倍増、所得倍増と言っておる。これは政治のやり方というものが私はあまりひど過ぎやせぬか。その数が少なければ少ないほど政府が保証するのに非常に都合がいいじゃないか。今逆に失業者がどんどんふえてくればますます混乱するであろう。失業者が減ってくるときに、そういう極端な浮かび上がらない失業者が出てくるのを救う、これが対策を立てるのに一番いい時期じゃないか。だから、計画を立てられて実施する場合には、出てくるものに対する企業、これは通産省が責任を持つのは当然です。元来労働省というものは労働者のサービス省なんです。労働者を深夜業に使ってみたり、賃金を払わなかったり、労働基準法を守らなかったり、労災法を守らなかったり、そういうものが主体になるべきものなんですよ。現在は失業者救済に大わらわです。そうしてそのしわ寄せが労働者だけに行っている。労働者が予算も一番少ない。これはあまりにもひど過ぎると思うのです。だから、企画庁と通産省と労働者の三つの私は責任だと思うのですよ。それが、企画された方はそれは通産省がやるべきだ、通産省にいえば、切った跡始末は労働省がやるのだ、労働省にいえば、事業もくれないで失業者ばっかりほうり出している、そうして単にやれやれというのはけしからぬ、こういうことを言っておるわけなんです。どうですか、労働省にそういう極端な失業省の出るようなところに対する特別な措置をまあ閣議でお考え下さるというわけにはいかぬですか。
○国務大臣(迫水久常君) 私、阿具根さんにお言葉を返すようになってはまことにどうも申しわけないのですけれども、どうも阿具根さんのお言葉の中に、炭鉱の離職者が出る、つまり炭鉱離職者の出るのは、経済企画庁がそういう政策を立てるから出るので、政策の犠牲者だというふうなお言葉があるのですけれども、私はもうそれは非常に何かなしに気になるお言葉なんです。というのは、石炭がだんだんに売れなくなりまして、石炭の需要がだんだんなくなってくるのは、経済企画庁がこういう所得倍増計画によって石炭の需要が昭和四十五年に四千五百万トンにしたからではないので、やはりこれはエネルギーの方の自然の関係からそうなってきているのであるということは——私はそういうふうな、われわれがそういうことをするから離職者が出るのじゃないか、われわれのところで一億トンと計画を立てれば離職者は出ないのだ、こうおっしゃるような気がするものですから、どうもその点が気になって残念でたまらないのですが、その点は別にしまして、たとえば中高年令層の就職対策というのは、確かに重大問題でございまして、閣議でもいつもその話が出まして、昨日も労働省が労働状況を報告しまして、非常に失業者も減った、労働賃金のベースも上がった、いい話ばかり出ましたけれども、その陰にはさしあたり中高年令層の就職の困難ということが依然として残っておって、この人たちは非常に悲しい運命にいるのじゃないか。中 高年令層の就職対策ということについて、ほんとうに今内閣でも一生懸命に考えております。私も労働問題の中心というのはここにあるのだというので、経済企画庁、何にも力はございませんけれども、調査局にも何か知恵を出せ、知恵を出せとしきりに言っている最中でございます。
○阿具根登君 私も時間が来たからやめますが、ただ、長官の言われるのは、石炭を一億トンにすれば失業者が出ないのじゃないかというような、極端なとり方をされるので、私の言っているのはそうじゃないのだ。こういう転換期というのはわれわれはわかる。しかし、これが逆に転換させる場合、需要が多くて非常に困る場合、その場合は政府は非常な援助をされるのです。ところが、さかさになった場合は非常に援助をしないわけなんです。その政府のやり方を間違っていはしないかと、それで一億トンなんかしなくてもいいのだけれども、やはりこういう場合にはカーブをゆるやかにしなければ、こういう谷間が出てきますぞ。その谷間をだれも救ってくれないじゃないか。今防衛庁長官も来られたが、防衛庁の今の言葉は何と申しますか、上等兵は何というのか、そのくらいの賃金で炭鉱では働いておる連中がおるのです。そういう谷間を作らないように、もう少し政治であたたかくやれぬか、そういうことを言いたいのです。極端にいい生活をさせろとか、あるいは石炭を八千万トンも一億トンも使えとか、そんなむちゃを言っておるのではないのです。かりに五千五百万トンなら五千五百万トン、六千万トンなら六千万トンを、しかしこれは六千万トンならこれくらいだ、あるいは五千五百万トンやる場合にも、これは閣議の中で、ここで一ぺんに何万人出るという場合には、駐留軍の場合と一緒です。そこは違う企業にでも持っていくというような政策がなければ、谷間をわざわざ作っていくのじゃないか。一方では所得倍増、一方では谷間で親子心中するというような姿をしておったのでは、所得倍増も何もありませんよということを言ったんでございまして、これでやめます。
○主査(塩見俊二君) ほかに御質疑はございませんか。——ほかに御質疑がなければ、経済企画庁所管に関する質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
○主査(塩見俊二君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 —————————— 〔主査退席、副主査着席〕
○副主査(阿具根登君) ただいまから調達庁所管に対する質疑を続行いたします。
○岩間正男君 それじゃ質問します。 まず、防衛庁長官にお伺いしたいのでありますが、日米合意書について、これとの関係、日米安全保障条約との関係においてこれが改定される、こういった問題になってこようと思うのです。新安保条約は、御承知のように、国民の多くの反対にあいながらも強行されたものでありますが、この新安保条約は新行政協定、つまり地位協定によりまして旧来の安保条約、行政協定にあった三十五に上る日米合意書、これがどういうふうに改正されるのか、この問題を非常に国民は注視しているわけであります。それじゃこの点をまずお伺いいたします。
○国務大臣(西村直己君) ちょっと御質問の趣旨が、もう一ぺん恐縮でございますが……。
○岩間正男君 今申しましたように、日米合同委員会で合意書をやったのです。それが三十五あるはずです。合意書、この前、新安保審議の中で政府から示されまして問題になった三十五の日米合意書というのは、当然私は新安保条約との関連で、新安保条約が性格が変わったのであるから、これは合意書もそのままでということはないと思うのですが、これの改正をはっきりされなくちゃならない。すでに一年間近になるのでありますが、どうなったかを一つ。
○政府委員(丸山佶君) 私からその件について、ただいま存じておるところを申し上げたいと思います。今の御質問の三十五の合意書と申されるのは、従来の日米合同委員会で合意されたもののことと存じますが、これは御承知の遮り、外務省が主管いたしておる事項でございますが、私の承知しておりますところでは、その合意出も新しい条約及び協定に基づく合同委員会において引き続き有効のものとして引き継ぐ、このような合意ができたと私は承知しております。
○岩間正男君 僕は国務大臣としての西村防衛庁長官にお伺いしているのですけれども、これはやはり基本に関する問題です。むろんこれの担当は外務省でありますけれども、国務大臣として、これは昨年の新安保審議では非常に大きな問題になった。まあ社会党、共産党から要求がありまして二回にわたってこれは政府から出されたのですよ。最初はぺらぺらのを出して、そして予算審議のまぎわになってから、とてもこれじゃいかぬ、それで社会党の方から、それからわれわれもこれを要求しました。その結果、これは六十八ページばかりのあれが出されたのですよ。これの項目を見ますというと、これは三十五ある。この全体についてどうなのか。私がなぜこういうことをお聞きしているかというと、これは安保条約というのは上にうたっている本文の条約、さらにそれに伴うところの新行政協定、地位協定、こういうものだけではわからない。日本の国民がどのようにアメリカの支配にあるのか、アメリカとの、米軍との関係にあるのかということを具体的に何よりもきめておるものはこの合意書であります。従って、昨年も要求したんですが、実態は出なかった。その中で、一つ基本労務の契約については当委員会の当第二分科会でその当時私は御質問を申し上げたわけなんです。で、従って、私たちはこの三十五の合意書ですね、具体的な施行細目を決定しております合意書がどうなっておるかということは非常に重大な問題で、これは等閑視することはできない。その観点から質問しておるのです。
○国務大臣(西村直己君) 先般の予算委員会でも、その点につきまして岩間議員から御質問あったのですが、これは主として主管庁が外務省で、外務大臣から御答弁申し上げた次第でございます心当時国会の御要請もありまして、合意書の概要というものを外務省を通して差し上げた、こういうことになっております。 それからそれが有効であるかないかという問題につきましては、ただいま調達庁長官から申し上げた通りだと私も考えております。
○岩間正男君 それじゃお伺いしますけれども、大部分は有効なものというので引き継ぎになった。大部分ですか、全部ですか。全部そのままこれは引き継ぎですか。
○政府委員(丸山佶君) 先ほど申し上げました通り、私全体についての所管をしておるものではございませんので、全体についての確答を申し上げかねますが、私の知る範囲におきましては、新しい条約及び協定に抵触しないものはいずれも有効だということを、新しい合同委員会で双方が確認したと承知しております。
○岩間正男君 この問題、やっぱり防衛庁長官の御答弁ではまずいと言っているのは、これは外務大臣も出席求めればよかったんですが、きょうは見えておりません。ですから、私は国務大臣として西村長官にお伺いしているんですけれども、この問題、私は軽々しくあとの実際を担当する者にまかせるなどということでは、私はあれだけ問題になったんですからまずいんじゃないかと思うんです。 それじゃお聞きしますけれども、大部分の新しい条約の精神に牴触しないものは引き継いだと、こういうことてすが、それを決定したのはどこです。どこで決定したのですか。
○政府委員(丸山佶君) 先ほども申し上げましたように、新しい条約下における合同委員会で取りきめたものでございます。
○岩間正男君 これは合同委員会で決定する前に、これはやはり閣議か何か にかからなかったんですか。外務大臣は、当然これだけの重大な問題でありますから、これはやはり私は閣議にかけて、そうしてここではっきり決定しているということでなければ、基本的な人権に関したりあらゆる問題に関する国民生活のあらゆる面に、ほとんどこれは拘束を受けるような関係を持つものです。これを閣議にかけてはっきり決定してやるということをされなかったんですか。日米合同委員会というものは全く一つのそれは違う機関ですよ、国民もよく知らない。こういうような機関でそんなことを決定して合意するなんということでいったんでは、私は新安保のこれは実態というものをごまかされてしまう、こういうふうに思うんですが、この点いかがでございますか。
○国務大臣(西村直己君) もちろん私、以前の政府の岸内閣の当時でございますが、重要なる事項は当然閣議了承等を受けていると私は思うのでございます。
○岩間正男君 まあこれは西村長官に引き継ぎをどうされているか知りませんけれども、はっきりそう確認していいんですか、多分そう思うというお考えですか。
○国務大臣(西村直己君) もちろん私どもの防衛庁の所管でございません。これは外務大臣、外務省の所管事項でございます。この中で地位協定あるいは防衛庁に関係する防衛庁所管の部分のものもございますし、ほかの各省に関係する部分もあろうと思います。従って、それをリエイゾンとして、外交として扱っておる外務大臣が、当然詳細に細部については存じておられると思いますが、私国務大臣として、大体事柄を推察いたしますに、重要なる事項でありますれば、閣議了承を受けていると思うのであります。なお、それらの経緯につきましては、事実の問題でございますから、必要に応じては外務省関係の政府委員をお呼びになって確かめていただきたいと思うのであります。 〔副主査退席、主査着席〕
○岩間正男君 これは膨大なもので、大体われわれの口の予算で約二万ページにわたるものじゃないかと思う。これを短日月の間に検討するということは不可能です。ですから私は、これを閣議にかけたといっても、それから検討して、それにすでに何カ月かたっておりますが、今ならできると思いますか、あの当時においては——原則的にそういうことの内容を検討すると、そういうことがもしないとすれば軽率であったと思うのでありますが、この問題についてはあとであらためて質問することにしまして、私は、それでは次の問題に入りたいと思います。 私は、新安保条約、それから国会審議を迎えまして、あの中で、日米合意書のうち、特に調達庁関係の基本労務契約について、その違法かつ不当性を当時追及いたした。この基本労務契約について、新安保条約を結んで以後、もうだいぶたっているのでありますが、この改正の交渉が具体的にかなり進んでいると聞いているのでありますが、まず第一に、そのどういう考え方、それからどういう点を改正するのか、その内容並びに考え方、こういうような点についてお聞きをいたしたいと思います。
○政府委員(丸山佶君) 新しい条約並びに地位協定に基づきまする日米労務提供に関する基本契約の問題でございますが、これに関しましては、昨年も当委員会において岩間先生から御質問があったと存じますが、新しい条約並びに協定になりましても、この労務契約の原則的な本質的なものには格別の変更が加わらない。また、加える必要がないと私はお答えしたと存じます。もちろんその契約の中にありますところの引用の条文あるいは条約の事項等に関しては改める必要がある事項があり、また、従来から引き続いておりましたいろいろな事項に関連して改正すべきものもあります。それから地位協定の十二条関係で、雇用契約に関しての解雇の場合に、日本の裁判機関等の決定があった場合にどうするかというところが協定そのもので改定になっております。これらに関連するところの点はもちろん改正すべきものでありますが、最初に申し上げましたように、全般的の問題としましては、やはり必要な労務は日本側が政府として提供する、それに関連する一切の経費はアメリカに持たせる。また、人事管理上の手続についても日米双方のいわゆる共同管理の実を貫く、このようなことが、すでに現在ありますところの基本労務契約において三十二年の改正のときに十分に審議の上処置しましたので、そういうような大きな点においては変動がない、このように私は申し上げたと思いますが、そのようなふうに現在も考えておりまして、それに関しまして必要としまする事項についてはすでに改正を加えたものもあり、また、現在改正の交渉もいたしておる部分もございます。
○岩間正男君 調達庁長官のただいまの御答弁で、大部分の内容、ほとんどの内容というものは、もう出ております。しかし、たとえば地位協定の変更による十二条ですか、これは間接直接雇用関係の問題がございましたね。これを直接雇用を認めない、こういうような問題に関連する当面の技術的な改正あるいは名称の変更とか、そういうような問題について、いわゆる技術的な改正をした、こういうふうにただいまの御答弁は了解してよろしゅうございますか。内容についての全般的な検討、そうしてこれについて折衝して改正する、こういうことは行なう意思もないし、そういうことは作業としても進めておらない、こう解釈してよろしゅうございますか。
○政府委員(丸山佶君) お話の通り、協定に関連する技術的な点を改正する、従いまして、全般の構想において大きな柱となるべきものについての本則には改正の必要がない、このように考えております。しかしながら、これは昨年も御指摘をいただいた点でございますが、三十二年の新しい契約の改定の際に、そのときにすでに改定すべきであったようなもの、すなわち古い契約、占領時代の古い契約にありましたような、ついておりました、たとえば職種に関するいろいろな問題、このようなものは当然改正すべきものがありました。こういう点はあわせて改正いたしたいと現在協議をいたしたわけであります。
○岩間正男君 そうすると、大部分はそれで認められたわけですけれども、この前三十二年度改正のときに改正が十分できなかった。ことにこれは二十六年ですか、二十六年かに占領時代に作られたものをそのまま三十二年に持ってきた。これはこの前の論議ではっきりしたのですね。ですから、まだ非常に占領時代のあれが残っている。そういう点については改正される意図を持って交渉を進められているか。しかし、まだこの結論が出ないのですね。簡単でいいのです。
○政府委員(丸山佶君) 現在ほとんど最終的な段階の案ができておりますので、近く正式に改定する見込みでございます。
○岩間正男君 それじゃ、そのあなたたちの改定しようと考えておられるところをちょっと出していただきたいと思います。
○政府委員(丸山佶君) 労務部長から一つ。
○政府委員(小里玲君) この職種の名称並びに内容につきましてただいま長官からお話がございましたように、占領時代のものをそのまま三十二年の改正の際に残しておったという面が相当たくさんございまするので、これを実態に合うようにということで、その名称並びに職種の内容につきまして大幅な改正を企図いたしまして、地位協定が発効を見まして以来、米軍と折衝を重ねて参りまして、最終的に今年の二月の十六日に日米間のほとんど最終案がまとまりました。おそらく四月の中旬ごろまでには諸手続を済まして改正が発効を見ることになると思います。特にこの名称並びに内容につきまして変更を加えまする場合に、前国会において問題になりました情報関係の職種が実情とそぐわない点、あるいは旧態依然たる表現の部分がございましたので、これを相当大幅に訂正をいたすことにいたしました。全然廃止をいたしまする職種が情報関係といたしまして九職種ばかりございます。それから内容の表現を改めまして一部修正をいたしましたのがやはり九職種ばかりでございます。概略は以上のようでございます。
○岩間正男君 この点は私は、防衛庁長官にお伺いしたいのですが、今のような改正で、政府はこれはいいとお考えになりますか。つまり私が見まして、またあとで詳しくお聞きしますけれども、名称を変える。当委員会で非常に問題になったことですが、軍事情報分析官とか、軍事情報関係の名前だけでも幾つも出てくる。工合が悪いから名称を変える。職種内容についても幾分の訂正をする。こういうことで、これも一つのある意味では進歩かもしれませんけれども、私はそういうことだけで、これはほとんど形式的な改正で、しかし、それだけではたしてこの改正はいいのかどうか。池田内閣ははっきりその今の交渉のやり方を承認しておられるのかどうか。この点重要だと思いますので、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(西村直己君) 私どもも改正の努力は当然だと考えております。
○岩間正男君 それではこれは内閣の統一した見解として表明されたことはございますか。
○国務大臣(西村直己君) これは各防衛庁なりそれから出てくる問題は各所管々々がございます。従って所管々々の行政事項として扱います。所管の大臣が当然責任をもって行なうということになるのです。
○岩間正男君 昨年当委員会で非常に問題になったのですから、そういう問題について、あるいはまあ長官は就任されてからこれは何カ月か、八カ月になりますか、そんなことで御存じないかもしれないのですが、しかし、非常にこれは重要な問題だったわけです。従ってこれについて報告し検討し、それをやはり閣議の問題として決定されるということは、私は安保審議のあの建前から考えて当然だというふうに考えるわけです。ところが、これは調達庁がこれを担当しております。そうして合同委員会といういわば隠れみのみたいなところでこの問題を処理してしまって事態が過ぎてしまう、こういう形では非常に重大なものを残すと思うのでありますが、私はこの点についてあらためて長官にお聞きしたいのです。これは内閣の方針の上に立ってはっきりこの問題を処理しなければならぬと考えるのでありますけれども、いかがでございましょうか。
○国務大臣(西村直己君) 内閣全体といたしましては新安保条約を改定し、かつ新安保条約に盛られた精神を適正に実施に移す、そのために合同委員会等で、日米間対等の立場で十分協議をして、それをさらに内閣の意思として、あるいは所管者の意思として決定する、こういう方針でございます。
○岩間正男君 そうすると、今のようにいわば形式的な改正ですね、これはまあお菓子が入っていたら袋だけはあらためて、お菓子の中はほとんど変わらない、こういうような格好の改正でいいというふうに内閣は確認されたのですか、こういう統一見解を示されたことはございますか。
○政府委員(丸山佶君) この問題に関しましては、昨年御指摘を受けて以来、私どもも実態を十分に調査したわけでございます。それによりまして、これはすでにやっておる仕事が実情にそぐわないようなものが相当部分のあることが判明したわけでございます。従いましてこれらは実情に合うのが当然である、こういうことからこの改定問題を取り上げて参りました。これに関しましては、もちろん当時の赤城大臣、また引き継がれた大臣におきましてもその方針のもとに改定を行なうのが至当である、この御了承のもとに私どもは仕事を進めてきたわけでございます。
○岩間正男君 私は先ほど申しましたように、これは膨大なものですよ、そんなに一朝一夕に一日検討したとか一週間検討したということで私はなかなか結論出ないと思うのです。従って一応、これは改正について赤城長官は指示されたかもしれませんけれども、新内閣になって、第一次池田内閣になってから、あるいは第二次池田内閣になってからこれを報告されたか、そうしてこういう点が、こういう点、こういう点に問題がある、これについてやはり閣議の決定を得て、統一見解を得て、そうしてさらに作業を、最後の調印なら調印をやる、こういうような建前をとらなくちゃならないと思うのですが、どうですか。先ほどばく然としたお話で——何月何日の閣議でそういうことが問題にされたか、それからこれは調達庁長官にお伺いしますが、あなたは閣議の決定に基づいてそういう現在の作業を進めておられるのか。それから西村防衛庁長官に先にお伺いしますが、西村防衛庁長官は、この問題は何月何日の閣議によって統一見解を決定されたか、この点をお伺いしたい。
○政府委員(丸山佶君) 閣議との関係でございますが、三十二年に大改正を行ないました際は……。
○岩間正男君 ちょっと待って下さい。長官にお答え願わないと、あなた閣議のことはわからないでしょう。
○政府委員(丸山佶君) 私の知る範囲だけを先に申し上げます。三十二年の大改正の際には、正式の調印の前に閣議の了承を得まして調印いたしたわけでございます。それから現在改正の交渉をいたしておるものを、この具体的の事項に関しましては別に閣議の了承というものはとっておりませんが、先ほども申し上げましたように、所管の大臣の御指示によりまして作業を進めておる次第でございます。
○国務大臣(西村直己君) ただいま丸山長官が御答弁申し上げました通りでございます。
○岩間正男君 私はこれは重大だと思いますね。方針について内閣が指示をしない、単に技術的な今までの継続、そういう形でこの問題を扱うということは、非常に安保条約というものは国民のこれは注視の的なんです。そうしてその中でもことにこの合同委員会というものの合意書は、これは全く日本の実態なんです。アメリカの日本支配の実態なんです。こういう形で出てきているものについて、当然私は池田内閣が今まで言ってきた立場からいったって、これを検討し、基本方針を決定して、その構想のもとに私は作業を進めるというのが当然だと思います。そういうことをされなかったのですな。これは重大問題です。防衛庁長官にお伺いいたしますけれども、あなたは池田内閣の閣僚です。そうしてしかもあなたは日米新安保条約の協議委員会の委員でしょう。そういう点からも私はこの問題を今のような形で簡単に進めることはまずいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(西村直己君) もちろん事柄によりましては安全保障協議委員会委員として私どもは四者会合を持つ場合もありますし、またおそらく新大使でも着任されますれば、私ども外務大臣と新安保の協議委員会等も開いてみたいと考えております。ただし、問題はそこで扱うべき基本的な問題、あるいは合同委員会で地位協定に基づく具体的な施設等の問題、これは事柄はおのずから違って参ります。ただいま御設問の基本的な意思の統一と申しますか、これはすでに三十二年大改正の際に大体きめておりまして、それを引き継いで今日に至っておるのであります。そのもとにおける主として技術的な面の改正でありますから、私どもとしては現在丸山長官が御答弁申し上げた点で何ら差しつかえないと考えているわけであります。
○岩間正男君 今の御答弁では三十二年度に基本的なものはきまっている、こういうお話ですけれども、どういう具体的な内容ですか。先ほどのはあれは形式的な問題ですよ。占領中に残った残務を処理する、しかしそれができなかった、それでやる、それだけですか。私はそうではなくて、安保条約というのはとにかくあの強行によって結ばれた。結ばれたということになっているのです。それとの関係で私は当然解決しなければならない、そういうふうに考えるのです。これについて新内閣としてはっきりした方針、これを示さなければ私はいかぬのじゃないか、こう思うのです。この点をお聞きしているのです。いかがですか。
○政府委員(丸山佶君) 繰り返すようでございますが、基本労務契約に関しましては、三十二年に占領時代のものを大きく改正いたしました。その際に日米間の労務に関する臨時措置の問題、日本の労働法規の尊重の問題、労働条件の合理的修正、あるいは退職手当の問題、経費償還の問題、訴訟の問題、これらの事項に関しまして、占領時代のものの主要事項を大いに改めたわけでございます。従いまして、この新しい条約下におきましても、その点においてはこれを継続して差しつかえない、このような方針がきまっております。ただ、先ほども申し上げましたが、この条約によって技術的に、あるいは名称的に変わるものを変えること、また御指摘がありましたような情報関係機関等のこれは職種に関する問題でございますが、六百有余ある職種の中にそれらのものがあり、これらに関しては、これが占領時代のものに付属しておったところの職種の表でありましたが、三十二年のときにそのまま修正を加えぬであった。これを修正する必要がある、このようなことでございますので、これは当然三十二年当時の内閣、また昨年からの新しい内閣においてもその方針をもって措置してしかるべき事項、このように私は心得て、また、当時の大臣もそのような御了承のもとに仕事を進めておるわけでございます。
○岩間正男君 調達庁長官、何回も繰り返されておりますが、私は新安保が結ばれたときに、やはり池田内閣の構想というものは、あれだけ騒がれたことでありますし、当委員会としても始終問題になったことでありますから、やはり明確にすべきでありますが、この点については、わずかな職種とか、それから一、二の内容、そういうような問題でほとんどこれはもう形式的なものの改正、そういう方針で進んでおられる、こういうことなんです。しかし、何ぼこの問題を私はお聞きしてもむだでありますから次に進みますけれども、そういうやり方ではまずいと思うのです。もっとやはり新内閣はこれを積極的にやるべきだ、こういうふうに私ははっきり意見を申し上げておきたいと思います。 次にお聞きしますけれども、今まで何回か交渉を持たれておいでのようでありますが、ことに一九六一年の二月十日の改正で、これは具対的にどのような点を改正せんとし、また改正したのか、それから、現在の交渉の段階についてはばく然と先ほどお話がありましたけれども、次の二点について明らかにしてもらいたいと思います。 第一に、全体の労務契約に関する規定、その中で雇用関係、労務条件、保安解雇、それから外国人の規定、旅費規定、こういうようなもの、第二には職種に関するもの、この具体的内容についてお聞きいたします。
○政府委員(小里玲君) ただいま御質問の前段の問題につきましては改正をする必要を認めないので、改正の意図を持っておりません。職種につきましては、先ほど来のお話のように、全体的な改正を進めておるわけでございます。
○岩間正男君 具体的な内容についてどうですか。
○政府委員(小里玲君) 職種の具体的な改正でございますが、この情報関係の職種の中で、産業技師のA、Bとございまするが、これを内容を改正いたしまして、一部修正をいたしております。それから、工場監察技師というのがございまするが、これを廃止いたしまして産業技師の方に含めまして、工場監察技師としては廃止をいたします。それから訓練担当員というのがございますが、これが以前の規定では、占領時代から引き継いでおりました関係で、沖繩等においてもその訓練を担当するようなことになっておりましたが、そういう字句を修正いたしまして、これは内容の一部修正をいたしました。それから特殊労務顧問、これも内容の一部修正を行ないました。次に軍事情報顧問、それから軍事情報分析員のAというのとBというのがございますが、三職種を廃止をいたしまして、名称を刊行物研究顧問、それから分析員の軍事情報顧問と軍事情報分析員Aを一緒にいたしまして、これを刊行物研究顧問といたします。それから軍事情報分析員のBを、これを刊行物研究分析員ということにいたしまして、内容にも相当大幅な修正を加えました。それから地理学者というのがございますが、これを一部内容を修正いたします。それから情報調査員、これは廃止をいたしまして、調査顧問というところに含めます。それから上級作戦分析員、作戦分析員、軍用人種学研究分析員、それから軍用人種学分析員、以上の各職種を廃止をいたします。これはすでにそれに従事をいたしておりまする労務者も皆無でございますので、職種を全面的に廃止をいたします。それから軍用技術研究分析員のAとBがございまするが、これを産業研究分析員のところに含めまして、軍用技術研究分析員のA、Bはともに廃止をいたします。それから製図師というのがございますが、これを内容の一部修正を行ないます。それから特殊語学顧問、これは労務者がすでに一人もおりませんので、廃止をいたします。大体、情報関係では以上でございます。
○岩間正男君 ただいま職種の話があったのですが、この職種の問題につきましては、後ほどまとめてお聞きしたいと思います。ただ私は先ほどお聞きしたのは、雇用関係、労務条件、それから保安解雇の問題、外国人、旅費、こういう問題もあったのでございますが、それでは一つ一つお聞きしたいと思うのですが、旅費の問題から入りましょう。この旅費で問題になりますのは、これは、この前、私も非常にこの問題を重視して質問したわけです。外国旅行という規定があって、そこに旅費のことが出て参りました。従って日本の労務者が米軍の意のままに外国に連れていかれる、これは防ぐことはできない。このとき、調達庁長官は、これは向こう様に預けたものでございますから、向こう様がどうお使いになってもこれについて何とも言うことはできないのです、というような御答弁をいただいて、はなはだ残念に思ったわけです。そういうような、いわく因縁づきの外国旅費の問題、これはどうなんですか。
○政府委員(小里玲君) この旅費関係の規定は、国家公務員の規定をほとんど準用といいますか、そのままの形で基本労務契約の中に入れております。従いまして今回これを改正する必要を認めないということでございますが、一年間に外国に出ておりまする人数はたしか十数名程度でございまして非常にわずかでございます。おもに沖繩あるいは台湾等に研修関係あるいは会議等に出席をするという程度のものでございます。
○岩間正男君 私この問題は重大だと思いますね。これは防衛庁長官にあらためてお聞きしますが、これで政府の態度はよろしいのでございますか。
○政府委員(丸山佶君) この問題に対しまして、先ほど(岩間正男君「政治的な問題ですから、防衛庁長官にお聞きしたい」と述ぶ)軍に提供した労務者はどこに連れて行かれてもかまわないというふうにおとりになったようですが、そのようなつもりは毛頭ございません。今労務部長が御説明をしました通り、旅費の規定があるのは向こうのものについてあるいは連絡等に出張する、会議に出張する、そういう場合に旅費を支給する必要があるためにあるのでありまして、旅費の規定があるということで、米軍に提供している労務者はどこに米軍が勝手に連れて行ってもかまわないというようなことは毛頭ございませんので、そのようなことを御了解いただきたい。
○岩間正男君 このお話、これは重大な問題になったので政治的な見解をお聞きしたのですが、このままの形で旅費規定を残されておる、なぜ残されているか、この必要がどこにあるか。なぜかというと、あのときとにかく米軍が任意にこれを使えるのだ、こういうことで米軍の都合によって、たとえば朝鮮戦争の戦役にずいぶん使われた形跡があります。それからその他、今の情勢から見ましても、ラオスの問題——今のお話ではまだ十数人で人数は少ないというが、台湾、沖繩、そういうところに皆これは連れて行かれている。ところが、この協定は日本国内における日本人労務者の使用とはっきり明記してあると私は思う。それを米軍の勝手でそういうことをやられるとすれば、これは私は日本人の人権を守る上からいっても、またあなたたちのいう地位協定を守る上からいってもこれは不適当だと思います。これはどうでございますか。
○国務大臣(西村直己君) あなたの御質問を聞いておりますと、まるで強制労働にさせているような考え方でございますが、日本は御存じのように自由国家でありまして、自由民主主義国家でございますから、そういう強制労働なんかということを主体にして契約するということは絶対にあり得ないのでありまして、あくまでも労務者と駐留軍との間の、言いかえれば間接雇用でありますれば調達庁長官との自由意思に基づいての契約であります。そのもとで労務が提供される。従って本人の意思は十分尊重され、同時に旅費規定があるということは私は当然だと考えております。むしろ国内の普通一般官職におきましても旅費規定が内外につきましてあるのでありまして、内外の出張の場合にその必要な旅費を払うということはこれは当然の規定である、私はこれをすなおに御解釈を願いたい、こういうふうに考えております。
○岩間正男君 私が先ほど申しましたように朝鮮で使われた例があるでしょう。そこでこの問題を重視したのです。そのとき丸山長官はこのように答えております。「在日米軍の仕事のために提供しておるのでございます。従って在日米軍の仕事に従事する。その在日米軍の仕事は、この日本にある事務所あるいはその他の施設区域で、そこで勤務するのが通常の状態でございますが、その任務の遂行の中に、そとへ出る必要がある、こういう例外的の場合を労務契約できめたものと私は心得ております。」、こう答えておる。そのほかにさっき私が言ったような問題が出てくるわけですね。そういうことを認めていいんですか。例外規定だというようなことで何ぼでもどんどんやりますよ。米軍が必要があるならば、日本で契約した労務者を連れていくことはできる。このためのこれは旅費規定なんです。こういうものを残しておくということは、明らかにこれは今のアジアの何から見ましても、ラオスの問題、台湾の問題、沖繩の問題、あるいはまた韓国の情勢を考えますというと、いざという場合にはそういう形に使う。こういうことに使わないという保証がない。そういう点で私はこの点を政府としては明確に線を引くべきだ、こういうふうに考える。日本人の、当然憲法の建前からいって、また生活権、基本的権利を守る、こういう点からいって、これは必要だと思うのですけれども、今のような答弁では、はなはだ私はたよりない。だから占領時代の継続を断ち切るのだといわれても、もうすでに旅費規定一つ見たって日本の自主性のなさというのは、はっきり旅費規定に出てきているのです。私はこんなことでこれが残されるということは、大へんな問題だと思います。しかもどうです。こういう規定のほかに、「本節の規定が旅行の目的を遂行するために不十分の場合には、両当事者は適当な旅費の支給額を決定する。」、こういうことが明記されているわけです。ですから、さらにこれは米軍との共同でこのような問題を遂行するということは出てくるのでありますから、私は非常にこの条項を広範に使う。使った時代もあるのでありますから、これについてもっと明確な立場をとるべきじゃないかと思うのです。これが残されてそのままでいいんですか。少しも改正になっていないようですな、内容一つさわってみれば。どうです。
○政府委員(丸山佶君) この問題について、だいぶ遺憾ながら、私の説明が不十分であるためか、あるいは口下手のためか誤解をなさっているように存じますので、もう一回繰り返しますが、調達庁が雇用して軍側の使用するものは、あくまで第三条の役務の範囲に書いております通り、日本国内において使用するということがはっきりいたしておりますので、従いまして御心配のような大ぜい勝手に国外へ連れていく、ラオスへ連れていく、あるいはその他なんていうものは、これはこの契約の範囲外の問題で、そのようなことを意図しておるような契約では毛頭ございません。もしそのようなことがあるならば、当然調達庁長官はそんなために労務者を雇ったのではないということをもって差しとめることができるわけでございます。ただ旅費規定の問題は、先ほど西村大臣からもお話がありました通り、国内におけるいろいろな官庁、これはわれわれも、あるいはほかの農林省でも通産省でも、どこの役所でもこれは国内勤務があたりまえなんです。外務省を除いては国内勤務があたりまえである。しかしながら、何らかの要件、用務を帯びて出張する場合がある。こういうために外国旅費規定というものもやはり外務省以外のものにも適用される場合があるので、こういう規定がある。これと同様に、駐留軍に働く人も場合によって軍の者と一緒にアメリカ本国なり、沖繩なり何なり、会議なりあるいは連絡なりに行くこともでき得る。こういう出張の場合というのでありまして、旅費を給与するには日本のわれわれと同じ旅費規定を適用するのがあたりまえだということで契約に入れてあるわけでございます。この実情といたしましては、先ほども労務部長から申し上げました通り、年に十数人の者が沖繩あるいは台湾の司令部に会議をやりに、あるいは研修に行ったというにすぎないのでございまして、先生の御心配、御懸念のような向きをできるような契約になっておるとは私は絶対に信じません。従いましてこれに関する部分を特に改正しなければならないとは考えておりません。
○岩間正男君 ずいぶん長くお話になりましたけれども、あなたは弁解されるけれども、その言葉の中に現われている。なぜ沖繩、台湾にやるのです。そういう例外をどんどん認めていけば、どこまで拡充されていくかわからない。言ってる言葉の中から破綻を示しているのじゃないですか。私はこれを了承するわけにいきません。外国旅費というものを日本の労務契約の中に規定することは、やはりそういう意図があると疑われて仕方がない余地が十分あると思うのです。 時間がありませんから次に進みたいと思いますが、次には、保安上の問題です。これには細目書Iの人事管理の(b)項、この報告によって、F節保安上の危険の二つがありますが、この点は改正されたのですか、どうですか。
○政府委員(小里玲君) 保安上の規定のところはそのままでございます。
○岩間正男君 この問題については政府の態度をお聞きしたいのですが、私はなぜこういうことをお聞きするかというと、この報告の中に、特に米側が要求する場合として、保安上の基準に関する調査として、「応募者自身の紹介によらない者で、かつ、過去二年におけるその応募者の行動および交友関係について具体的に知っているもの少くとも2人を含む身近な参考人少くとも3人との面接結果の報告を添えて、A側に送付するものとする。」こういうような条項があるのですね。そうすると、日本の労務者を提供する場合にこれを保安上の要員だというので身上を全部調査して、それによる報告書を向こうに提出しなければならない。まさにこういうことは警察官職務執行法にも許されないような人身上の一つのスパイ、こういう格好でこれが提供されるということは重大な問題だと思うのです。保安要員だということでこういうことを一体許していいのですか。これは日本の当然の国民の基本的権利を侵害すると思うのですが、いかがでしょう。防衛庁長官から。
○国務大臣(西村直己君) 私は当然のことと考えております。また憲法上も許された行為と考えております。
○岩間正男君 大へんですね。そういうことをあなた言っておられますけれども、そういうような形で一体米軍になぜ適用しなければならないのです。 次の問題はどうです。保安上の問題で最も重大だと思うのですが、F節保安上の危険、こういう項があります。それは日本人労務者の中でも従来から問題になってきた問題です。特に基準の(b)項、(c)項、これが非常に重大であると思うのでございますが、これはそのまま残されるのですか。これはいかがです。
○政府委員(小里玲君) そのままでございます。
○岩間正男君 その中で「破壊的な団体または会」とは一体何をさすのか、米軍側の解釈はどうなっているのか、日本政府はどう解釈しているのか。その点を明らかにしてもらいたい。
○政府委員(小里玲君) 合衆国軍隊の秩序を暴力をもって破壊することを目的とし、またはそのことの妥当性、正当性を扇動し、共同することを目的とする団体であります。
○岩間正男君 そういうものが一体あるんですか。こういうものを勝手に想定してそれによって身辺の私は調査をするということは、これは日本憲法にはっきり背馳すると思う。そういう格好で日本の労務者を提供する。こういうものが保安の名によって残されている。この点は非常に危険だ。こういうものは、当然これは日本の独立とか何とか言っておる。新安保を結んだのは独立の立場からだと言っている。それにもかかわらずこんな卑属な、これは、奴隷的な形の提供をされておることに対して、はっきりこの問題を政府は改正する意思はないですか。私ははっきり改正すべきだと思うのです。いかがですか、防衛庁長官。
○国務大臣(西村直己君) 日米安保体制並びにそれに関連する事項は日米間の信義に基づいてできておるわけであります。従ってわれわれがその信義を重んずる意味で、こうしたような保安条項が入っておることはまことに妥当であると考えております。
○岩間正男君 信義を重んずることだといって、自分の身売りみたいなことをそういう形で私は提供するというなら、どこに一体独立がありますか。そういう御答弁を長官からいただくとは私は思っていなかったのであります。長官は日本の独立を大いに豪語しておられる、その長官が、今のような御答弁を米軍に対する限りはしなければならない。ここに日本の現実があるとは情けないではないか。私は十分にこういう点について検討していただきたいと思います。 時間の関係からさらに進みますが、このリストの問題がありましたね、廃棄リスト。このうちいろいろあなたたちからいただいた、これはあくまでも予定リストだということでありまして、詳細な資料を出していただいたんです。これは資料を出していただいた方には非常に御苦労だと思うのです。私はこの際お礼を申し上げておきたいと思うのです。この資料を私たちは十分に拝見いたしまして検討いたしたのでありますが、その中でこのリストの名前だけ、これは大よそでよろしゅうございますから、一つ示していただきたい。
○政府委員(小里玲君) 職種番号百三十二、情報研究分析職。百三十三、軍事情報研究分析職。百三十四、軍事情報分析職。百三十五、軍事情報顧問職。百三十六、民事情報顧問職。百五十、地理学職。百九十四、人種学職。千六十四、航空写真研究職。千五百三十八、地理用語研究職。二千一、船舶サルベージ顧問職。四千四百三十五、印刷工場監督。以上が細目書−付表1であります。 細目書II付表I。職種番号十九号、工場監察技師。三十九、GHQ(CAS)訓練所教師(通訳)。四十二、航空技師長補佐。七十八、訓練担当員(弾薬)。七十九、訓練教師(弾薬)。八十三、通信技師(電子工学)。九十二、軍事情報分析員A。九十五、情報調査員。九十七、兵器材料検査員B。九十八、上級作戦分析員。九十九、作戦分析員。百七、検査員(無線装置)。百九、特殊語学顧問。百十二、軍用人種学分析員。百十三、軍用人種学分析員B。百十六、軍用技術研究分析員B。百十八、映画製作専門職。
○岩間正男君 今読み上げられて言われた中には、保安専門職、犯罪調査職、細菌学職、これが入ってないですが、これはそのまま残すというお考えですか。
○政府委員(小里玲君) 今申し上げましたのは、廃止をする職種でございます。従って、細菌学職は残ることになります。
○岩間正男君 残るんですね。それから保安専門職もそうですね。犯罪調査職もそうですね。これもずいぶんこの前問題になった職種なんで、どうなんです、保安専門職。これは労務関係のいわばこれはいろいろなこれに対する身辺のことをやる、そういうものですね。犯罪調査職、これは犯罪を米軍に従属して、そして日本人を同じ日本人が調査する。いろいろ逮捕する、監禁することができる、こういうことです。細菌学職に至ってはこれは非常に重大な問題ですね。これはほかならない松本清張氏が帝銀事件についてはっきりいっております。帝銀事件の真の犯人はおそらく細菌学者だ。終戦後満州から帰って来た日本の旧陸軍の細菌学者だ。日本で米軍がこれをすぐに培養した。そしてこれを朝鮮戦争に使ったんじゃないか。そういうおそらく一人があのような帝銀事件の殺人事件を犯した。そういう以外に考えられないということは、これはあなたたちもお読みになったと思いますが、文芸春秋に書いております。日本の黒い霧の中に。防衛庁長官にお伺いいたします。これは重大問題ではないですか。こういうものをそっくり残しておくということですか。
○政府委員(小里玲君) ただいま御指摘の各職種でございまするが、これらの職種は細目書Iの付表Iの中に入っておる職種名でございまして、この細目書I付表Iの職種は、これは現在実際に使用してない。単に名称とその職務規律を番いただけでございまして、これは現在まだこれに基づいて労務者を提供して、こういう仕事をしておるという関係にはございません。そこで先ほど私が読み上げました付表Iで廃止をする職種というのは、これは情報関係の細目書II付表Iに対応するといいますか、細目書II付表Iというのは、これは現在これによって労務者を提供しておるわけでございまするから、この方の情報関係その他が変わりますれば、実際にそれによって労務者の職種名が変わり、仕事の内容が変わると、こういうことになるわけであります。細目書I付表Iの方はそういう関係にはございません。従って廃止をする職種の中に、細目書I付表Iの読みました職種は、これは細目書II付表Iを変えることによってそれに見合うような職種でございますから、実際にはこれによって労務者を提供するわけじゃございませんけれども、一応これは直しておこうと、こういうことでこれを直したわけでございまして、そのほかの関連のないものは、現在それによって労務者を提供しておるという関係にございませんから、これは今後整理をして、順次改正をしていくと、こういう考えでおります。
○岩間正男君 今の御答弁があったんですけれども、この前もこれは実際使ってないというようなことで、たとえば今私があげたような松本清張の黒い霧を読んでごらんなさい。これがすべて根拠になっておるというのではありませんが、あれだけの人が根拠のないものを書くはずがない。あなたはそういうことを言っておるんですが、そうすると、使用しないから、使用しないものは、入れるとか入れないとか言っておるけれども、しかし、軍事情報分析職、軍事情報の分析職というのは今の廃止リストに入っているのですね、同じ項目で。そうすると何ですか、同じ資料の中で、あるものは廃止リストに載せ、あるものは載せない、こういうことをやっておる。なぜそういうことをするのか。ほんとうに使いもしないなら、まっ先にやめなくてはならぬのに、これを未練がましくまだ残しておる。何ですか。私はこれは重大だと思うのでありまして、これ防衛庁長官どうでございましょう。今のような説明でこれは国民は納得しませんよ。どうお考えになりますか、お伺いします。
○政府委員(小里玲君) 繰り返すようでまことに恐縮でございますが、細目書I付表Iの方は現在使ってないから、本来であれば、見ようによればこれは全然手を触れなくても影響はないわけでございますが、細目書II付表Iの方を直した関係で、それに見合っておるような、歴然たるものはこの際落としておいてもいいんじゃないか、こういうことで落としたわけでございます。従ってそのほかにも落とすべきやつもあり、あるいは内容を変更するという必要のやつもあるかと思いますが、それは今後そういう手を加えていきたいと思います。
○岩間正男君 まっ先に落とすべき筋合いのもの、だと思うのです。今のここでも論議をし、国民が関心を持った問題ですからまっ先に落とすべきだ。しかし、今のような格好でこれが残されておる。これは非常に私はやはり重視しなくてはならぬ問題だと思います。 時間の関係から次に進みますが、修正されるというんですね。修正の職種の定義がなされておるんですが、庁は職種の内容の修正を幾つかにわたって実行されるんでありますが、この基準と範囲、これを示してもらいたいんです。簡単にやってもらいたいんですが……。
○政府委員(小里玲君) 細目書II付表Iの現在使っておりまする職種とその内容につきましては、必要な改正は今回私ども折衝いたしまして、直すべきものは今回全部直すことにいたしました。従ってその大部分は、最も大きな改正になります部分は情報関係が主でございますが、そのほかにも内容の改正をいたしました個所はほかにもございます。
○岩間正男君 この修正の中で一つ具体的にお聞きします。地理学職というのがございますね。この地理学職は非常に重大であることは、この前問題になったんですが、これは極東軍司令部のG2に属し、そうして情報部地理課長の指揮下にあって仕事をやるということになっております。この監督者が、これが修正では不明瞭になったんですが、どうなんですか。今度の修正の何によりますと、「任務と責任」「土地の物理的特徴の性質および配分、その気候上の状態、植物および動物の生活および人間の教養ならびに人々の相互関係等に関する情報の編集、分析、綜合解釈および発表」と、こういうふうになっておるんですが、ところが古い今までの条約によりますと、この職種についてはいきなり「受ける監督」極東軍司令部G2情報部地理課長の一般的指揮の下に、」ということが書いてある。そうしてまた中身につきましても、「日本国の学界および政界において得られるすべての地理的情報の出所を開拓し、探索し、十分に開発する。」こういうような任務まで規定されておるわけです。ところが今度そういう点が落とされて、そうして私が今読み上げましたような、非常にこれは抽象的なものになっておるんですが、これは何ですか、名前を変えれば、そうして内容の一部分に手を入れればそれで中身は変わる、こういうことなんですか。実体はそのまま残っているんじゃないですか。たとえばどこにこれを使うんです、どこに。だれが指揮監督して、どこで使うんです。
○政府委員(小里玲君) 前の地理学職のまさに占領下の規定がそのまま残っておるというような格好でできておりますので、これを現在の実情にあわせて改正をしたということであります。職務の内容は、今回の改正、ただいま朗読されましたその内容の通りの職務を遂行しておるということで軍と打ち合わせをいたしまして、このように決定をしたわけでございます。この地理学者はおもに東京で執務をいたしております。
○岩間正男君 だれが使うのかと言ったのですけれども。東京に住んでいるのはこれはいいですよ。だれが使うかといったらはっきり米軍が使うわけでしょう。そういう点は落とした、そういう形で改正したとしても中身は同じだ。まんじゅうの袋だけ変えた、こういうことで私は事態をごまかしちゃならぬと思うのです。 それからさっきお聞きした中に、そのほかにこういうのを残しておりますね。軍事情報分析員B、それから細目書のIIの方ですよ。Iの方は落ちているのだけれども、IIの力で軍事情報顧問、それから先ほどの地理学者、特殊労務、産業技師A、B、機械技師(兵器)、原料材料検査運用分析員、こういうようなものが残されてございますが、どうしてもこれは書いたり、落としたり、廃止したり、そういうわけにはいかぬものなのですか、どういうのでございますか、その点お聞きします。
○政府委員(小里玲君) 軍事情報分析員A、Bは、これは廃止をいたしております。
○岩間正男君 軍事情報顧問どうですか。
○政府委員(小里玲君) 軍事情報顧問も廃止をいたします。
○岩間正男君 これはIIの方。
○政府委員(小里玲君) IIの方は廃止でございます。
○岩間正男君 そうですか、未整理のものですね。 私はこれはなかなか納得できないんじゃないかと思うのですね。こういう形でやはり国会で問題になった、非常にやはり世論がこの問題を注視した、そういう中で、全く格好だけ直して実質は変わらない格好で、このままでやっていくというような考え方では、私はほんとうに国民の意思に沿わないんじゃないか、国会の審議の線にも沿わないんじゃないか、こういうふうに思うのですよ。 そこで私は次の問題についてお伺いしたいのですが、廃止したり修正したものもあるわけですけれども、新しく入ったものもあるわけですね。この際何ですか行きがけの駄賃じゃないと思うけれども、改正に便乗して、新しく入ったものが出てきますが、これはどういうものですか、お伺いします。
○政府委員(小里玲君) 全然新しく入れたものはございません。
○岩間正男君 これはどうですか。一九六〇年九月三十日改定第四十二号、これをいただいたわけでありますが、これの細目書I付表I、技術顧問(資材技師)、技術顧問(機械技師)、技術顧問(電気技師)、技術顧問(電子技師)、技術顧問(航空技師)、それから細目書の付表I、これに技術顧問(資材技師)、同じように出ているわけでありますが、これはどうですか。それから航空機品質管理検査工、これは細目書のI付表II、これに出ておりますが、これはどうなのです。
○政府委員(小里玲君) 先ほど全然新しいものはないという御答弁を申し上げましたが、この顧問につきましてはしょっちゅう新しい職種が追加されたり、あるいは削除をしたりというようなことが行なわれるわけでございまして、軍が必要とする職種を、こういう職種を設定したいと、ついては職務の内容はこうである、賃金はこうである、こういうことで軍の要請がございますと、それに基づきまして調達庁と職務の内容等について協議をいたし、それの格づけ、賃率というものをきめるわけでございます。従いまして、私が先ほど新しいものがないと申し上げましたのは、この情報関係で、新しい職種を追加したものはないという意味でございまして、全然新しいものを軍の要請に基づいて追加をして、それの賃金を決定していくということは絶えずあるわけでございます。
○岩間正男君 まあ新しい解釈で違ったらしいのですが、情報関係、あなたの方から非常に警戒心を持っておられるからお答え願いたいと思いますが、そのほかにも一九六〇年十二月五日の改定第四十五号細目書II付表I、計画分析員、上級航空機パイロット、航空機パイロット(固定翼)、航空機パイロット(回転翼)、こういうような軍関係ですね。これは何ですか、米軍にどんどん雇用されてそうしてパイロット、それからもうこういう何まで出すわけですな。私たちこれはあなたたちにいただいたこういう何で見たんですが、これはどういう理由でこういうふうになったんですか。米軍のこういう仕事、この人員はどのくらいあるのか。それからいかなる部隊に所属するのか、この点についてわれわれはやはり日本人労務者の基本的人権との関係でこれはお伺いしたいと思うのですが、いかがですか。
○政府委員(小里玲君) 先ほど申し上げましたように、これは軍の要請に基づきまして、軍がかくかくの職種があって、仕事の内容はかくかくである。こういうのを顧問として採用したいからという要請がございますると、それに基づいてですね、米軍と調達庁と協議をして、職種名、職務内容をきめて、賃金をきめて、この追加契約の追加協定として協定を結ぶわけでございます。
○岩間正男君 わかりましたがね、いいです、これは。 これは大臣にお聞きしたいんですがね、これはどうなんです、一体。このパイロットのようなものを軍関係の向こうが必要なら何でも出すというような格好ですね。これははっきり断わるべきじゃないかと私は思うのですがね。米軍はこういう格好で日本人をどんどんどんどん戦争に巻き込んで自分たちの直接これは軍に雇用する。全く日本をこれではほんとうに私は戦争に巻き込んでいく。兵器工場にしていろいろな兵器生産にも関係させる。それから軍事目的を強化させるためにこういうものを利用しておると思うのですが、こういうものは私は日本の憲法の建前から、あなたたちが国会で何度も強調して参りました新安保という建前からですね、表面に出している理由から言って、こういうものは全く違反だと思うのです。こういうことはいいんですか。こういうものはかまわないとおっしゃるなら重大問題です。いかがです。
○国務大臣(西村直己君) 新安保の私たちは極東の安全それから日本の平和、この目的で、私はその実行としてのいろいろ労務提供の職種が出てくる。こういうふうに考えられております。
○岩間正男君 どうもただいまのようなお話でございましたら、私は、その前にも極東の平和とか言ったが、その前に日本人の平和、日本人の基本的人権が侵されていて、戦争に巻き込まれる。これは大へんなことでしょう。私はこういうふうな形でこれは今度のあれが行なわれるということは絶対にこれは承服のできないものです。従いまして以上のこの改定の内容について多くの資料もいただき、われわれは数日を費やしましてこれを詳細に検討いたしましたのでありますが、性格としては全くこれは変わりがないのではないか。この前国会で追及された問題について、何とか単に表装だけ変える、レッテルだけ変える、こういうことで、実際は全く内部は私は同じような格好になっておると思うのです。で、これではいかん。私は、調達庁は日本政府が労務契約について改正をする、それは日本国民の利益と日本国憲法を守る方向に、占領時代から引き継がれている合意、取りきめを改正するというのなら、それは一歩前進だと考えることはできる。本質的にはむろんこれを廃止すべきである。しかし、あなたたちの立場に立ってみて、そういうことは言えると思う。ところがきょうここに一時間ほど委員長から時間をいただきまして、明らかにしたことだけ、これはほんとうに一部分です。全く一部分だ。九牛の一毛をついただけ。これだけでも調達庁の態度というものは、米軍のやり方に対しましてきわめて妥協的、従属的な態度であるとともに、アメリカの危険な軍事目的に従わしている、そういう数多くのものが存在していますし、新しい職種が設けられている。そうしてこれでごまかされている。このような態度は明らかに私は間違っていると思います。 きょうは基本労務契約に従ってきわめて大筋を聞いたのですが、政府がこのような米軍事目的に従属した態度を取り続けていくならば、アジアにおけるアメリカの軍事行動が、ラオス問題で現われているように危険な作戦行動をとっていることと関連して、この労務契約によって雇用されたところの日本人が命令され、それからされようとしているのです。全くこれは反憲法的な活動だと言わなきゃなりません。われわれはこのような、日本人の人権が危険に暴露される、これは国民とともに、断じてこれは了承することはできない。こういう態度についてはわれわれは反対です。こういう格好で、漸次また協力をさせられておることについても、絶対に国民は了承しないと思うのです。 そこで、最後にあらためて私は西村防衛庁長官にお聞きをしたいと思います。このような合意書というものは、これは誤ったやり方です。これを全面的に廃止をするのかどうか。私たちは、こんなに資料をいただいて非常に感謝しておるわけでありますけれども、これを検討してよかったと思うのであります。この前、あなた方は検討改正する、日本の国民のためになるように改正する、こうおっしゃった。期待しておりました。しかし、検討してみますというと、やはり十分でない。十分でないどころか、かえって新しいものがつけ加えられている。これは大へんなことになる。これは、あなただけを責めるわけじゃありません。しかし、この局に当たっておられるあなたたちは、やはり鋭意日本人の立場に立っていただきたい。また、あなたたちの力だけではこれを改正されないとするならば、当然今度はやはり国民の平和を守る、民主主義を守る立場から、この問題について私はほんとうに意見を出して、このような契約、日米新安保条約のまさに実体であるところの、アメリカの帝国主義者たちが日本を支配しているところの具体的なこれは姿なんだ。こういうものについて、私たちははっきりこういうものを撤回する方向に変えなきゃならぬ、こういうふうに考えておりますが、防衛庁長官、あなたの立場を、国民の立場からはっきり御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(西村直己君) 遺憾ながら、私は岩間委員の御希望なり、御期待に沿うことはできないのでございまして、私どもは日米安保体制、言いかえれば安保条約の精神にのっとりまして、これを確実かつ円滑に実施して参る。その意味で合意書を現在有効と認め、かつこれは今後とも廃棄なんという考えは毛頭ございませんし、また同時に、安全保障の問題は、刻々の情勢変化に伴って、不断にわれわれは緊密なる連携をとって参らなければなりません。その範囲内において、必要な限度で相互の意思を尊重し合いながら、信義に基づいて改定することはあり得ますけれども、これを廃止するということについては全然考えておりません。
○岩間正男君 もう一つ。今のようなお話では、国民は私は納得しないと思うのですね。私は事をわけて話をしているのです。具体的な事例をあげて話をしているのです。抽象論議をやっているのじゃありません。はっきり、こういう危険があるし、具体的にそういう問題は指摘されているのだ。これはたとえばどうですか、赤羽の米軍地図局に八百人の軍事情報関係者が提供されて、そして、ソビエトや、あるいは中国に対するところの航空図を作っているということは、週刊朝日が昨年八月だったと思いますが、この事実を相当明らかにしたでしょう。私たちが国会で論議の口を切りますというと、そのあとにたくさんの世論が起こっているのです。私たち、また激励の、これについていろいろな手紙もいただいております。こういう点から、私ははっきりあなたに申し上げておるのですが、単に抽象的なそういうことでお茶を濁されては、たまったものじゃないのです。そういう段階に私はあると思います。全くこれはこの日米合意書の正体というものは、安保条約というものは、いかに私は不安全保障条約であるかという実体を示したものだと思うのです。こういう点についてあなたは、ほんとうに私は御検討いただきたい。また防衛庁長官、それから調達庁長官、それから関係の調達庁の方々、いらっしゃるのでありますが、やはりはっきり日本の国民の立場に立って善処されんことを、私は心から切望しまして、私の質問を終わりたいと思います。
○主査(塩見俊二君) ほかに御質疑もなければ、調達庁所管に関する質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(塩見俊二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 明三十日は、午前十時に開会いたします。外務省所管を議題といたします。 本日はこれをもって散会いたします。 午後五時二十六分散会