予算委員会第一分科会 第2号
- 発言数
- 238 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/03/28
会議録
○主査(小酒井義男君) これより予算委員会第一分科会を開会いたします。 昭和三十六年度総予算中、裁判所所管を議題といたします。 まず説明を求めます。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 昭和三十六年度裁判所所管予定経費要求額について御説明申し上げます。 第一、昭和三十六年度裁判所所管予定経費要求額の総額は、百六十九億五千八百九十二万七千円でありまして、これを前年度予算総額百四十五億七千七百二十五万九千円に比較いたしますと、差し引き二十三億八千百六十六万八千円の増加になっております。この増加額の内訳を大別して申し上げますと、人件費において十四億四千四百九万九千円、営繕に必要な経費において七億八千百三十八万五千円、裁判に直接必要な経費、裁判費において九千四十八万五千円、その他、一般司法行政事務を行なうために必要な旅費、庁費等において六千五百六十九万九千円となっているのでありまして、この合計が前述の増加額となるのであります。 第二、次に、昭和三十六年度予定経費要求額のうち、おもな事項について、ご説明申し上げます。 一、営繕に必要な経費。裁判所庁舎の継続丁半二十三庁、新規工事二十二庁の新営工事費として十三億四千五百五十五万六千円が計上されましたが、そのうちには、東京地方裁判所刑事部庁舎の新営工事費分五億六千百六十四万八千円が含まれております。その他法廷の増築、裁判所庁舎の補修等の施設整備費として一億八千万円、営繕事務費として二千八百三十万九千円が計上されました。以上の合計は十五億五千三百八十六万五千円となり、前年度予算に比較して三億四千九百五十五万三千円の増加となっております。 右のほか、営繕に必要な経費としては、庁舎新営に伴う敷地買収のための不動産購入費千三十六万円、庁舎等特別取得費として、前年度国庫債務負担行為が認められました裁判所書記官研修所施設取得のために必要な経費四億五千万円が計上されております。 二、訴訟の迅速適正な処理に必要な経費。 第一審の裁判を強化し、裁判の適正と事務能率の向上をはかるための経費として、判事二十八人を増員するために必要な人件費四千六百五十一万千円、裁判所書記官四十人を増員するために必要な人件費千七百六万円、自動車十台の購入費八百十三万三千円、事務能率器具の購入費四千百七十七万五千円、合計一億千三百四十七万九千円が計上されました。 三、補助機構の充実に必要な経費。 裁判所書記官の適格を有する裁判所書紀官補を裁判所書記官に昇任させ、事務の能率化をはかるため、裁判所書記官補の定員を裁判所書記官の定員へ二百十人組かえることに要する人件費八百四十一万八千円、家庭裁判所の事件の処理の適正円滑化をはかるための家庭裁判所調査官三十人の増員に要する人件費千百七十四万二千円がそれぞれ計上されました。 四、裁判費。 これは、裁判に直接必要な経費でありまして、国選弁護人の報酬、証人、鑑定人、調停委員等の旅費、日当、その他裁判に直接必要な旅費、庁費等として十五億二千四百五十七万六千円が計上されました。 五、調停委員、証人等の待遇改善。 調停委員の日当四百八十円を六百円に、司法委員、参与員等の日当五百九十円を六百円にそれぞれ増額するのに必要な経費八千百七十一万四千円、証人の日当二百三十円を三百円に増額するに必要な経費五百九十七万九千円が計上されました。 以上が昭和三十六年度裁判所所管予定経費要求額の大要でございます。よろしく御審議をお願いいたします。
○主査(小酒井義男君) それでは質疑のおありの方は、順次御発言をお願いします。
○高田なほ子君 司法権の独立のために、裁判官優位の原則は、これは憲法上保障されている原則であって、司法権の確立のためにこの原則は絶対に保障されなければならないという、きわめて重要な問題であろうと思います。 裁判所は、司法権独立のために、裁判官の報酬等に関しては、今日までしばしばその改定に努力せられてきたことはわかります。しかし、現実問題として、要するに憲法上保障されている裁判官優位の原則というものについては、必ずしも明文化された規定がない。従って、今日の裁判官優位の原則というものは、かなり風にゆらぐアシのようにゆらいできているような経過をたどってきております。 そこで、あらためてお聞きしたいことは、憲法七十九条、八十条にいう「相当額の報酬」というのはどのような報酬額をさしているものであるか、この際、新しく総長がおかわりになられましたから、きわめて基本的な問題でありますけれども、一応「相当額の報酬」ということは内容的にいかなるものを意味するものであるか、こういう点をお伺いします。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 憲法の条文によりまして、裁判官には「相当額の報酬」を支給するという規定がございますが、その趣旨は、結局裁判官が裁判官としての品位を落とすこともなく、また、何ものにも屈することなく、私人として生活を営んでいくのに必要な額というふうに理解してよかろうかと私は思っております。
○高田なほ子君 確かに今おっしゃる原則は原則であろうと思いますが、ちょっと抜けている点があるんじゃないか。それは他の一般公務員、行政職、こういうようなものと比較対象した場合、どういうような比重を占めていかなければならないものであるか、その原則というものはきわめて重大な原則であると思います。単にこの司法権の独立のために品位を汚すことなく、他の権力の圧力を受けることなくというだけでは足りないのではないか、「相当額」の中には、他に優位する原則というものが内容的に含まれておるのではないか、私は、この大切な一本が裁判所側に抜けているんじゃないか、筋が抜けているんじゃないか、こういうような考え方をしております、今の答弁では。この点一つ明らかにしておきたい。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 御趣旨のことも、裁判所側としては同様に実は考えておるのでございますが、われわれ裁判所側から、我田引水的にほかの政府職員の方々と比較してまで申し上げるのははばかりたいという考え方から申し上げなかったのであります。
○高田なほ子君 謙虚な気持はわかりますけれども、そんなものじゃないと思うのですよ。あなたは裁判官の憲法上保障された優位の原則というものは、これは憲法を守るということが新しい裁判官に付された長大の使命で、裁判官を拘束するのは良心と憲法きり何もない。そのほかのものは何もない。従って、憲法上保障されているこの「相当額の報酬」というものは、これは他に遠慮することなく主張すべきところである。そのことば即司法権の独立であると私は考える。あなたの大へん謙虚な気持はわかりますけれども、それならば、その他の一般公務員がそうだからというようなことになるか。司法権立法権、行政権の三権分立の中で、裁判所の予算というのは独立しているものなのです。他のものより独立しているものである、そういう性格のものである。だから、他がどうだからこうだからというのではなくして、独立した裁判官の予算の中で、こうなければならないという憲法上に保障された原則を守るという、その意思がなければ、これは裁判官優位の原則なんというものはあすの日にもくずれていってしまう。今の御答弁では、どうも裁判官優位の原則というものが、はなはだしくあやぶまれる御答弁です。あなたがそういう答弁をされると、これは大へん困ることだと思う。もう少ししんのある答弁をしていただきたい。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 裁判官優位の原則というふうな準柄等も、これは政府、国会、その他国民の方々がほんとうにそれを理解していただいて、さような方面から一つ裁判所をもり立てよう、こういうお気持が出てくることを、盛り上がってくることを裁判所側は非常にこれは期待いたしておりますが、御質問の御趣旨は、ことごとく私どもありがたく拝聴いたしますけれども、さような趣旨におきまして、もちろん裁判所側といたしましては、いわゆる憲法を守るといいますか、人権意識と申しますか、さようなことは裁判官以下、寸時も忘れているわけではないのでございます。願わくば、皆様方から一つ裁判所を盛り上げるというふうな御理解をいただきたいと思います。
○高田なほ子君 政府と国会の盛り上がりを期待しながら、そこで憲法に保障された優位の原則を守るという、こういうのは私は逆だと思うのです。裁判所そのものが、司法権の独立という情熱に燃えて、そのことのために敢闘するバック・ボーンがなければ、ただ国会と国民の負託にこたえて云々ということだけでは、これでは問題の解決がつかない。あなたも御承知のように、国会においては、裁判官優位の原則というものは、私は口のくさるほど言ってきている。しかし、当局はその意識がない。むしろだんだん権力の従属機関になっているような傾向さえ見える。私は、司法権の独立について、もう少し最高裁が毅然たる態度をとって、これの是正のために邁進されるという決意がなければ、これは相当額の報酬などといったって雲散霧消するような今日の政治情勢です。あなたも御承知のように、最近の予算の編成の過程でも、常に予算のぶんどり競争が展開されている。圧力団体がばっこする、政府は与党の勢力に引き回されている、実に醜態を演じている。そういう中で司法権の独立を守るために、政府と国会の盛り上がりを期待するというような、そんな消極的なことでどうして司法権の独立を守っていくことができますか。どうして相当瀬の報酬を与えることができるとあなたは考えておられるのか。大体報酬優位の原則については、法文上に大体今明文化された点がないようです。はっきり言うと、裁判官の報酬法第二条の二、同じく九条、十条、こういう中で特別号俸の設定、各種手当の支給、ベース・アップ、これらのものが一般官吏の例に準ずると、こういうような形になってこの報酬法が規定されている。一般公務員の例に準ずるなら、何も憲法にわざわざ裁判官に相当の報酬を支給しなければならないという、そういうような特例を設ける必要は一向ないはずなんです。従って最高裁は、引当額の報酬というものは、憲法の七十九条、八十条によって優位の原則を保障されているという観点に立って、裁判官報酬法等については再検討を要するいうぐらいの熱意がなければこの問題は解決しないと思う。今言うように、政府自体があの通りである。そうだとしたならば、裁判所自体が本問題のために解決するという熱を持たなければならない、具体策を持たなければならない。私は、裁判官報酬法は、これは明らかに憲法に、裁判官に相当の待遇優位の原則を保障してあることに比べて、はなはだ矛盾しているものだというふうな考え方を持っています。裁判官報酬法についてあなたは再検討してもいいというような気持を持ってはいないか。裁判官報酬法は、明らかに一般公務員の例に準ずるという、一般公務員に従属的な内容をきめているものである。そうだとしたならば、この報酬法について最高裁がふるって再検討をするというような勇断を示すことなしには、あなたが冒頭に述べられた品位を落とすことなくというような内容には変わってこない。私は、以下それぞれのことを質問していけばわかりますと思いますけれども、なってはこない。裁判官報酬法の再検討という問題についてあなたはどういうふうに考えておるか。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 先刻私が申しました趣旨も、国民、政府、国会の方々の御理解のみを待っているのではないのでございまして、もちろん裁判所といたしましては、裁判の独立、これを保障するための裁判官の地位あるいは待遇という問題につきましては、絶えずきわめて深い関心と熱意を持っております。第二回国会におきまして、さような点を裁判所が強く主張いたしまして、幸いその当時の国会におきましても、裁判所側の主張を相当御理解願いまして、あの当時といたしましては、相当思い切った裁判官優遇をする趣旨の法案が出たのでございますが、それ以来十年余りになりますが、いろいろな機会に、政治的な関係で力の弱い裁判官に対しまして、ややともいたしますと、報酬が一般の行政官に比較して低く、必ずしも高くないようなふうな方策が見受けられましたが、そのつど裁判所当局といたしましては、これに強く反発をいたしまして、政府に対しても、また、国会におきましても、きわめて熱烈にこのことを申して参りまして、ただいまに至ったわけであります。そこで、裁判官の報酬の問題を考えますときに、私どもが非常に寒心にたえませんのは、裁判官希望者がだんだん少なくなってくると申しますか、あるいは一向増加してこない。これはあるいは報酬だけでなく、裁判官に対する社会の尊重と申しますか、この職務の重大なることに対する御認識と申しますか、さようなものが足りないという点もあろうかと思いますが、報酬その他の待遇の問題がよくなること、つまり裁判官が社会の魅力ある地位というようになっていくことが必要で、そうでなければ、だんだん裁判官希望者、若い人の間にそういうような憧憬する気持がなくなりまして、質的にも数的にも、だんだんジリ貧になっていくのではないというようなことに考えを及ぼしますときに、これは一つ裁判官の報酬というものを根本的にこれは考え直していかなければいかぬのではないかというふうな切実感を実は持っているわけでございます。
○高田なほ子君 切実感を持っていただいたことは非常にけっこうです。しかし、あなたは言葉の端々の中に、力の弱い裁判官、こういうふうに大へんへり下って言っておられる。私は、力の弱い裁判官という言葉はこの席で聞きたくない。裁判所の予算は独立をしておる、一般行政から独立をしておる、これは法律に定めてある通りである。しかも、その独立した予算の中に、裁判所は予備金を取らなければならないと規定している。他の一般官庁の予算に、一々こういう法文で規定したのはあまり見当たらない。独立しておる。予備金を取らなければならない。これは明らかに司法権の確立のためにある条文であって、裁判官が力が弱い、こういうようなことは当たらない言葉ではないか。私は、力の弱い裁判官というのはどうも納得がいかない。力を出さないのです。司法権の確立のためにあなたは力を出そうとしない。財政権の独立ということについて、あまりにも認識が薄過ぎる。これはあとで聞きますが、この裁判官の報酬についての再検討をしたいというようなお話がありましたが、これは早急にしなければならないと思いますね。あなたがおっしゃるように、確かに第二国会では、裁判官の報酬について、長官は総理大臣と同格、最高裁の判事は国務大臣と同格、判事の最低の者も各省事務次官と同様の俸給、それ以上の俸給でなければならない、こういうことになった。それがだんだんジリ貧になって、最高裁があまりだらしがないから、だんだんジリ貧になってしまって、そうして今や裁判官以外の行政官と比べた相対的比重というものは、ほとんどもう優位の原則なんていうものは見受けられない。私は、若い裁判官の苦悶を述べたなにを持っておりますが、ここで全く読むに忍びないような告白が書かれています。判事補、これは裁判を行なうにあたって、重要な役割をする人ですが、これらの苦い人たちのサラリーというものは大へん安い。ぜいたくはしたくないけれども、これでいいかという深刻な悩みを訴えている。末尾に、大企業では大学を卒業し、三年以上もたつと、自分たちと同一年令の者であってわれわれ以上の給料をもらっている者がざらにある。これは企業と比較したところでありますけれども、しかし、何といってもこの裁判官の相当額の報酬というものは今確保されておらない。どうしても確保されておらない。何としてもここらあたりで、力の弱い裁判官から、力の強い独立した裁判官という立場に帰って、くどいようでありますけれども、他の行政官と比べた場合に、相対的な比重というものは裁判官に置かれるのが憲法の原則であるという、その原則をくずさないために一つ大いにがんばっていただかなければならない。私は、力の弱い裁判官というのをここで取り消してもらいたい。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 力の弱い裁判官と申しましたのは、要するに、裁判官は政治にはタッチいたしませんから、政治的には、あるいは国会等の関係で、必ずしも裁判所の言う主張を認めていただけないという趣旨でございまして、裁判を適正に行なう、裁判の独立を守るという点におきましては、何と申しますか、全く心身をこめてそれを守っておりますので、さようなことの意味で、誤解のないようにお願いしたいのでございます。それで、力の弱い裁判官と申しましたのは、私の言い方が悪いので、裁判所が、行政面あるいは国会面、たとえば国会に対しまして、いわゆる二重予算等の問題は別でございますけれども、はっきりした予算の提案権もなければ、法案の提案権もなければ、あるいは予算編成の場合等も、何ら裁判所を擁護するための、盛り立てるための行政官庁もなければ、さような意味で、手も足も政治的にはないという意味で力が弱いということを申したわけでございますから、その点誤解を招くようなふうにおとりになりましたら、それは私の言い方が悪かったので、ただいま申し上げたような趣旨であります。
○高田なほ子君 ますます私は誤解を招きます。裁判所の財政は、行政府がそこに干渉してこれを助けていくというようなことだったら、これはとんでもない間違いです。根本的なあなたの誤まりです。行政府が裁判官を盛り立ててやるなんていうようなことでは、私は裁判所の予算の独立という問題とはだいぶ感覚が違ってきているのではないかと思う。行政府からああだこうだと言われて、それで風にゆらぐアシのごとくなることがいけないというのです。裁判官の予算は独立しているものなのです。独立して司法権を守っていくという建前に立つのであって、何も行政府におんぶしてどうだこうだというようなことは、私は考えるべきことじゃないと思う。だいぶ私と考え方がそこで食い違っておるから、さっきからだいぶ答弁も違ってきておる。根本的な誤まりです。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 行政府にめんどうを見てもらいたいとか、あるいは行政府におぶさっていきたいということで私が言ったわけでないのでありまして、要するに、制度上裁判所は自分でやらなければならない。国会、政府に対して、二重予算の問題は別といたしまして、裁判所の置かれている立場というものは、いわば薄弱であるという趣旨でございして、行政府にやってもらいたいというふうな弱い気持は私ども一度も持ったことはございません。
○高田なほ子君 どうも私の考え方とはだいぶ違う。弱い弱いと言っておるけれども、これは三権分立しており、同じ比重を持っているものです。立法府、行政府、そうして司法、ですから、この比重は全く同じものです。あなたが弱いというのは、三権分立という、最も基本的な感覚というものを、どうもあまりお持ちになっておらないのじゃないかと思う、大へん失礼な言い方ですけれども。そういう気持がしてならない。弱くない、これは同等の比重を持つものです。その比重の中から、裁判所の司法権の確立のために独立した予算を持ち、そうして予備金を計上しなければならない、こういうような規定がある。あまつさえ、裁判所の運営上予算の必要である場合もこれは当然出てくるのであるがゆえに、司法権を確立するために裁判所の予算の独立を認めるがゆえに、財政法では最高裁判所長官に二重予算の請求権というものがある。今日までつらつらこの裁判所の予算を拝見してきますのに、私はしろうとでありますけれども、当然長官が立って二重予算の請求をすべきときがあるのではないかという実は期待を持ってきた。しかし、いまだかつてそういうような場面に遭遇したことはない。むしろ司法権の危機がきたときに、国会において三者協定をして、政治的にこれを切り抜けようとするような怯懦な態度を国会でも指摘されたのですけれども、そうであってはならないと思う。あなたは、司法権というものは他の立法、行政に対して対等の比重を持つものであり、その比重を持つがゆえに予算の独立、それがゆえに長官の二布予算の請求権というものはフルに行使すべきものであるというお考えをお持ちになりませんか。この点はしばしば私は質問してきたのですけれども、不幸にして長官の国会に御出席の機会もなければ、責任ある方の二重予算に対する見解というものも、いまだかつて聞いたことがない。この際、あらためてこの最高裁長官の持つ財政法にいう二重予算の請求権というものをどういう意味におとりになっておるのか、司法権の危機は今きていないのか、こういう点を尋ねたい。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 裁判の充実をはかり、また、独立を守り、裁判の円滑な運営をやっていきますのは裁判所の責任でございますから、それに必要な予算の問題につきまして、財政法十七条ないし十九条に規定されておりますいわゆる二重予算というものは、裁判所が必要と認める場合にはこれを行使すべき責務があり、また、責任があると考えているわけでございます。従いまして、新しい制度のもとに最高裁判所が出発いたしまして、裁判所といたしましては、予算編成のことは、主として事務総局がその衝に当たっておりますが、少なくも事務総局といたしましては、予算編成のつど、この二重予算の問題を考えなかったことはないし、今後もまた考えないわけにはいかないわけでございます。で、場合によりましては、裁判官会議の裁断を得ましてそれを発動する必要がございますが、過去におきまして、いわゆる二重予算の請求に踏み切ったことが二回ございます。一度は昭和二十五年度の補正予算でございましたが、その際に、裁判官の報酬問題に関しまして大蔵省事務当局と意見が合いませんので、もう二重予算やむを得ないということで、結局その手続をとりまして、内閣へまでいったのでございますが、大蔵省側で、何かそれは予備金でめんどうを見ようというふうなことのあれがありまして、そのときにはそれで撤回をいたし、また、昭和二十七年度の通常予算の際に、通常国会の際に、営繕問題につきまして大蔵省側と非常に意見が違いまして、裁判所側が二重予算の手続をとり、内閣を経て国会にまで出たと記憶いたしますが、そのときも、何かこれは大蔵省側とその当時の裁判所側の事務総局と、将来のことについて話がついたそうでありまして、それも撤回いたしたというふうに聞いておりますが、結局裁判所が二重予算に踏み切ります場合に、何と申しましても、国民の裁判所に対する御理解ということがまず先決問題でございます。ひいて国会の問題でございますが、いわゆる国会における力関係というような裁判所側としては一応考えてみませんと、ただ世間騒がせになったというふうなことでは非常に申しわけないことになりますので、さようなことも考えるわけでございますが、一般の国民に対します問題といたしましては、これは何と申しましても、日本におきましては、裁判制度に対する国民の御理解というものが、遺憾ながら、いまだそう高くない。これは私どもにも責任がございまして、極力このPRをいたしまして、いかに裁判の機能というものが民主日本を維持していくのに大事であるかということを、もっともっとよくPRをして徹底をしていただく必要もございますし、また、国会の関係におきましては、裁判所の予算につきましては、かりに二重予算が出たような場合、これは政党政派を超越いたしまして、超党派的な観点から御検討を願うというふうなことを期待したいのでございますが、まあお尋ねに対しまして、私どもも、なぜ二重予算を軽々しく出さないか、あるいは二重予算に対して裁判所側はどういう考えを持っておるかということの御説明といたしたいと思います。 ――――――――――
○主査(小酒井義男君) この際、分科会担当委員の変更について報告いたします。 本日、藤田藤太郎君の委員辞任に伴う補欠として、大森創造君が選任されました。 ――――――――――
○高田なほ子君 二重予算については、今だんだんの説明がありました。そうして、また裁判所も、司法権確立のために、将来もこの二重予算請求について意思を持っている、こういうように私は受け取った。しかし、そこにあなたは条件をつけていられる。国民の理解が第一である、全くその通りであります。国会も協力してくれ、その通りであります。国会は、二重予算の請求に対して、あなたは協力しないとでも思っているのではないか。それは法務委員会の速記録をつぶさにあなたがごらんになれば、少なくとも参議院の法務委員会は、裁判官優位の原則というものは、ここもう二、三年来主張し続けてきた、超党派的に。そうして司法権の確立のために、少なくとも参議院の法務委員会は、おそらく全員一致で考え方は統一しているだろうと私思います。ここに後藤委員もおられますけれども、私の言い分は、これは正しい言い分だろうと思う。もう少し国会というものを信頼されるべきである。しかし、国民が理解をしてもらいたいということの前に、今、国民ははたして裁判所に理解と信頼を持っているかということが問題になってきている。はなはだこれは言いたくないことですけれども、国民が理解できないようなことを、裁判所がしばしばやってきているではないか。裁判の長引く現象がそれであります。最近には飯守発言のような、途方もない発言をするようなことがある。そうして世のひんしゅくを買っている。幾多の私は実例をあげたいのですが、時間の関係で省略いたしますけれども、国民の理解と信頼を得るためには、まず裁判所自体が、信頼を得るためにはどうなければならないかという、そういう策を講ずるべきであります。二行か三行の最終判決を出すのに、最高裁は、単なる窃盗犯に対して二年十カ月も時間がかかったというような、笑われざる悲劇が指摘されている例もあるわけです。窃盗犯に対して二年十カ月も最高裁は手間どって、二行か三行の結論を出す。その間、その窃盗犯は身柄を勾留されている。どうしてこんなことでほんとうの信頼を国民に与えることができるか。裁判所自体がこれはえりを正さなければならないことではないか、私はそう思うのです。国民に理解をしろ理解をしろといってPRするよりも先に、なぜ国民は裁判を信頼し、裁判に深い理解を持たないのかというのは、要するに、今の裁判のあり方が、国民の基本的な人権を守るという、そういう政策から次第に遠のいていっているからそうだと思う。要するに、裁判の予算の独立をこれは徹底的にあなた方が闘い取らないからです。闘い取るという言葉は裁判所はきらいのようですけれども、闘い取らないから国民の理解というものは次第に薄れていくのではないか、私はそう思います。試みに、私は実例をあげてここで聞いていきたいのですが、これはあなたの方からちょうだいした、今御説明いただいたものの予算の資料です。最後のページを一つめくっていただけばわかると思います。これは国の予算総額に対する裁判所の予算額が年度別に示されております。これを見て数字が雄弁に裁判所の立場を予算の上から示しておると思いますが、昭和三十年度を例にとると、国の予算に対する司法権独立のためのいわゆる裁判所の予算というのは、〇・九二六を示しております。三十一年はそれよりも下降しております。三十二年は若干上がりました。しかし、三十三年度、最も犯罪の激増した年です。その年に〇・八四八という非常な低率を示している。その次年度はほぼ同様であります。それから三十五年は〇・八八一というふうに、若干スズメの涙ほど上がっています。本年度は〇・八六八という、前年度の予算に比べて、率としてふえていない。これは補正が含まれていないという説明があるかもしれませんけれども、補正なんというものはそう当てにできるものじゃない、今までの例でも。こうして見て参りますと、昭和三十年度をピークとして、裁判所の予算の総額は、国の予算に対する割合から見ると、少しも上がっておらない、むしろ下降の傾向を示している。人件費が上がっている。給与費が上がれば人件費が上がっていく、資材が上がれば営繕費も上がっていく。それらの給与増、価格の増、そういうものを勘案するならば、裁判所の予算額というものが、国の予算総額と比べた場合に、このような下降線をたどっていることは、これは明白なことであります。 次に、人件費についてごらんいただきたい。人件費もまたその通りです。昭和三十年度は七二・五という割合を示しております。しかるに三十一年は七二・〇、下がっている。その次もまた下がって、七〇・九に下がっている。その次の三十三年には若干ふえて七二・二、三十四年は七二・九、若干上がっている。三十五年はまた下がっている、七二・八。三十六年はまた、がたんと落ちて七二・四という比率を示している。明らかにこれは下降線をたどっていることは、これはもう数字が示している通りです。旅費をごらん下さい。旅費は三十年度は二・七という数字を示している。次第に下がって、三十三年度は二・五です。また下がって二・三。三十五年度は二・一に下がっちゃった。ことしは一・七に下降している、旅費です。このように下降している。物件費をごらんなさい。物件費は昭和三十年度は五・七という率である。これがだんだん下がってきて、昨年は五・一に下がってきている。ことしは四・五ではありませんか。これは昭和二十六年八・八に比べると、約半分の減であります。これでどうして裁判所の予算があなたの言うように次第によくなってきているなんて、どうして言えます。裁判費をごらんなさい。問題の裁判費をごらんなさい。裁判費は昭和三十年度は一三・一です。その次若干三十一年から三十二年と、ほんの少しずつ上がって、とたんに昭和三十三年、犯罪の激増した年には二一・四%という低率を示している。さらに三十四年は一一・五%になっている。昨伊はまた下がって一一・〇であり、本年度は九・五に下がってきている。実に異常な低下を示している。営繕費は三十年度六%である。営繕費はようやく三十二年度から芽を出し始めて、少しずつ継続をしながら、初めて三十六年度、営繕費の中で庁舎の新設が認められた。ようやく一一・九という数字に上がってきた。私は、裁判所の予算の総額の暦年比較表をここに提示して、このように次第々々に低下する裁判所の予算というものを、これをもとにして、私はさっき言ったような、裁判所の二重予算権を請求する時がきているのではないかということを言っているわけであります。これでも黙っているというならば、それは知りませんけれども、これは明らかに最高裁判所の怠慢です。はなはだ申し上げにくいことですけれども、怠慢です。この怠慢が、司法権の確立と裁判に対する国民の信頼を失わせる私は最大の原因でなかったのかと思う。この低下した予算をどういうふうにあなた説明されますか。この間、国の予算は毎年ふえていっているんです。国民の総所得は上がってきている。なぜ裁判所だけはこのように低下の一途をたどらなければならなかったのか。この間の経緯というものはどうしても納得がいかない。あなたにこれを説明してもらわなければならぬ。三十年度からのこの予算についてどういう見解を持っているのか、経緯と見解を説明してもらいたい。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) ただい在の国の予算に対する裁判所予算の比較の割合でありますが、いかにも御指摘の通り、まあ年によって増減はございますが、ことしは昨年よりは悪い。まあ裁判所といわず弁護士会といわず、せめて裁判所の予算を国の予算の一%ぐらいにならんものかというようなことは、皆これは話し合っているわけでございますが、しかし、比較の問題は、あとで予算ができましてから比較した問題でございます。さような点について、経理局長がおりますので、経理局長から説明してもらいたいと思います。
○高田なほ子君 裁判所から言って下さい。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) いや、経理局長から。
○高田なほ子君 あなたから私答えてもらいたい。これはほんとうは経理局長の問題じゃないのです。数字のことはいいですが、経理局長の問題じゃないのですよ。こんな下がってきているというのは、これでいいかと私は言っている。答えて下さい、最高責任者いらっしゃるのですから。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) われわれ国の予算全体に対しましてのいろいろな把握の仕方と申しますか、知識がございませんので、国の予算がどうしてそういうふうに上がっているかといういろいろな事情もあり、しかし、これは国の予算はいろいろな事業関係とか、あるいは社会保障の問題とか、いろいろな複雑なことがあって、年によっていろいろ紆余曲折があるかと思いまいますが、裁判所はいわゆる事業というふうなことは全然なくて、ただ裁判所の予算は、一応分けますと結局いわゆる人件費、それから営繕費、あるいは物件費、あるいは裁判を運営していくためのいろいろな庁費、そういうものにすぎませんので、おそらくこれはさような特別な事業がないというようなことが、国の予算と対比する場合にこういう結果になるだろうが、われわれも努力も大いにせなければなりませんが、過去の問題につきましてはさように考えます。
○高田なほ子君 私はため息が漏れちゃいますよ。裁判所にそんな橋をかけたり道路をかけたりする事業がないということはあたりまえのことです。それは。事業がないから予算を減らすということは、裁判所の場合は通用しない。裁判所は人権を守らなければならない。憲法というものさしで人権を守ること、憲法を守っていくということが、これが裁判所の仕事、それ以外に仕事はない。その仕事が最も民主主義の原則であるからこそ、同法、立法、行政の三権は分立している。そうして司法権の確立、独立が叫ばれる。仕事がないからなんということは、私は、どうも最高の責任のある方のお言葉としては、むしろ情ないんです。事、それほどに司法権が軽視されているということなんです、私に言わせれば。事業がないからじゃないです。国の中で司法権は軽視されているということなんです。司法権が軽視されているということは、民主主義の原則がくずれようとしているということなんです。だから私はこの予算の問題を今やかましく言っているのですけれどもね。事業がないなんという説明は、どうもあまりひど過ぎる説明じゃありませんか。苦しまぎれにあなた言っていらっしゃるんでしょうけれども、裁判所の仕事というのは、実に重い使命を持っている。その使命のために使わなければならない予算というものが、年年このように国の中で軽視されているということは、明らかに三権分立の基礎がゆらいでいるということなんです。もっと極言するならば、政府の圧力に裁判所が屈しているということなんです。もちろん長官は、これは内閣総理大臣が指名し、天皇が任命してなるのですから、そういう意味では弱い面があるかもしれないけれども、その弱い面を断ち切るために司法権の独立ということがあり、その弱い面を断ち切るためにこの裁判所予算の独立が――そのことのために長官に二重予算の請求権がある。そうして司法権の確立のために、その予算というものは常に充当されなければならないことを憲法は規定している。これは新憲法はそうです。事業がないなんということではないんです。あなたは、こういうふうに減らされている予算を、今、事業がないからということを言われましたけれども、本気になってそういうことをおっしゃっておられるとは考えられませんが、もう一ぺん答えて下さい。こんなことを速記に残すことは、裁判所の恥ですよ。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 国の予算が非常に膨張――今度の予算なんか膨張しただろうと思いますが、それはおそらく例年に比べて、いろいろな意味での膨張が多い。裁判所閥係では別にそういった関係がございませんから、あるいはことしあたりはそういう関係で割合はしがっておらない。結局裁判所には特別な事業がないということに帰着するんじゃないかと思います。
○高田なほ子君 事業がないから減らされるんじゃないですよ、それは。それでは裁判所の職務というのはあれじゃないですか、事業をやるというのが主たるこれは職務じゃないはずです。裁判権を確立していくということ、裁判権を確立するために必要な予算をとることが司法権の確立、今あなたは、減っていったということについて的確なことをおっしゃっておりませんけれども、これは裁判所の係争事件というものは非常にふえている、はなはだしくふえている。つまり、通りやすい言葉で言うならば、行政府がやる事業費に匹敵するものは、この訴訟事件をいかに迅速に処理するかという職務内容です。そうして今の裁判官というのは数が少ないんです。こういうふうに予算が削られているから、数だってふえない。下級職員の数もふえない。相対的に予算が後退している。だから、裁判官の労働の比率は戦前の約三・七倍に達しているといわれている。それは訴訟事件が多いからです。人権意識が高まってくると訴訟事件が多くなる。世の中が貧乏になると泥棒がふえる、訴訟事件がふえる、殺人強盗がふえてくる。このような訴訟事件のふえてくること、これに対して迅速な手を打つことが裁判官の仕事であり、裁判所の仕事である。そうすると、行政面でいうところの事業内容というものは、明らかに裁判所の運営の中に見られているはずである。橋をかけるとか、そういうことではなくて、訴訟事件がふえている。伺いますが、昭和三十年から三十六年度までに訴訟事件のふえ方はどうなっているか。それに対する裁判官の定員増加がどういうふうになっているか。あなたがそういうことを言うからそういう質問までしたくなる。説明して下さい。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 国の予算に対する本年度の裁判所の予算は、パーセントでは下がっておりますけれども、絶対額は、さっきも御説明いたしましたように、相当上がっておりますので、予算を減ずられたというふうなことではないのであります。国の予算が膨張した、それについた割合で必ずしもふえていないということは言えますけれども、絶対額は、これは今の裁判をおそらくやっていけるだけの費用は一応計上されております。 それから事件関係でございますが、これはいろいろな角度から表を出しますと、いろいろごたごたいたしますけれども、事件関係について申しますと、刑事事件につきまして、第一審の事件でありますが、これは第一審と申しますと、御承知のように、地方裁判所の事件、簡易裁判所の事件、これを合計したものが昭和三十五年度におきましては十三万七千四百件ばかりでございます。これを十年前の昭和二十五年に比較いたしますと、昭和二十五年には十八万実はありました。実は刑事事件は、戦争直後、これは社会の混乱状態がまだ平静に復しない時代で、戦争直後から昭和二十五、六年、六、七年ころまでは非常に刑事事件の数は多かったのですが、その後刑事事件の方は、社会の秩序が回復すると同時に、裁判に現われてくる事件といたしましては、その当時に比べればだんだん減ってきている。十三万七千四百くらい。しかし、これを戦前に比較いたしますと、戦前は、昭和十三年から十一五年の平均でございますが、刑事事件は、その当時の第一審、つまり地方裁判所と区裁判所ですが、これを介計いたしまして四万千件くらいでございました。ですから、戦前に比較いたしますと、確かに刑事事件は三倍半ぐらいございます。 また、民事について申しますと、第一審事件は十五万二千七百ばかりでございます。十年前の二十五年は六万九千幾らでございますから、民事事件は年を追って非常にふえてきております。十年前に比べますと、約三倍までにはいきませんが、二倍半以上ふえております。これを戦前の昭和十三年から十五年までの平均をとりますと、これもやはり地方裁判所と区裁判所の合計の平均ですが、これが十一万五千ばかりでございましたが、やはり戦前に比べまして、民事事件も五割くらいふえております。それで民事事件は、戦前と違いまして、戦前行政裁判所にいったいわゆる国を相手とする行政事件等も裁判所がやらなければなりませんし、それから、いわゆる違憲審査というようなこともございますし、あるいは労働事件、そのほか民事事件の内容が非常に複雑になっております。でございますから、仰せの通り、戦前の裁判官に比較いたしまして、今の裁判官の負担は、確かに非常に質的にも数の上でもふえておることは事実でございます。で、それに対しまして裁判官の数でございますが、これは戦前は一番多いときで千六百人でありまして、戦後出発した場合には千百八十九人ぐらい、その後除々にはふえておりますけれども、戦前と戦後と多少制度が変わりましたので、正確に比較することはむずかしいのでありますけれども、昭和三十五年には、判事、判事補を含めまして千六百六十四人、それに簡易判事が七百足らず、二千三百というふうな数になって、昨年も判事を二十名増加してもらい、今年も二十八名増加いたしましたけれども、事件に対しまして裁判官の負担というものは、御説の通り、非常に重いということは事実であります。
○高田なほ子君 いろいろ説明をしていただきましたけれども、現実の把握というものはあなたもおっしゃる通りでありますが、あなたは、率は減っておるけれども、絶対額はふえておるというようなことを抗弁しておりますけれども、絶対額がふえることはあたりまえなんですよ。絶対額が減ったらそれこそ大へんな問題なんです。問題は、国の予算全体が膨張した場へ口には、それに対する比率というものを見なければほんとうの予算増にはならない。この予算の説明書を拝見すると、確かに絶対額はふえております。ここに説明しておりますから、私は言いませんけれども、差し引き二十三億八千百六十六万八千円という額が絶対額としてはふえておる。しかし、この絶対額のふえたその内容は何かというと、いわゆるベース・アップに基づく十四億五千万円というのが、これが二十三億の差し引き差額の中で大幅の比率を占めておる。その他裁判に直接必要な経費、これが問題なんですよ。これが九千四十八万一五千円、その他一般司法、行政事務を行なうために必要な旅費、庁費等において六千五百六十九万九千円、約一億五千万円、これが裁判に直接関係あるものの経費増ということになっている。しかし、あなたが指摘されたように、この民事、刑事の係争事件というものは、これからもふえるでありましょう。そのふえることに対するいわゆる裁判官の増員というものはまことに微々たるものである。すなわち、昭和二十五年には裁判官は二千二百六十一人です。それから三十三年、つまり八年間にどれだけふえたかというと、二千二百六十一人というものが二千三百四十七人、要するに八十六人しか裁判官はふえていない。裁判官がふえていないということは、職員もふえていないということです。事件の総件数はウナギ登りに登ってきております。未決の件数、未済件数は非常に多くなってきております。従って、裁判が長引いてくるという悪循環が繰り返されてきておる。ですから、絶対額が上がっていますなどということではなくて、いわゆる裁判所の果たすべき人権擁護のために、裁判が長くかからないために、適正な裁判を運営するために、私がさきに指摘した国の予算総額における裁判所予算の総額がこのように後退してくるということは、これは日本の恥ですよ。裁判所の恥でなくて、日本の恥ですよ。司法権の重んじられない国というのは野蛮国だと私聞いていますが、日本は私は野蛮国だと自分で言いたくないけれども、そういう感覚においては野蛮人じゃないかというのです。そういうことのために最商機は私は立ち上がってもらいたい、これを言いたいのです。これは世界の各国の法曹人口比ですけれども、アメリカのような金持ちは別としても、アメリカでは七百五十人の人口に対して裁判官一という比率を占めています。これは金持ちであるといなとにかかわらず、司法権が守られておるということの一つの資料として法曹人口比というものは大事だと思う。日本と同じように戦争で負けた西ドイツは、千九百人に対する割合をとっておる。さて、日本はどうかというと、全くけた違い、一万四十二人。これは一九五八年の夏の調査ですから、この法曹人口比というものの幅は、世界の各国に比べて、次第にこれは広がってきておる。これはゆゆしい問題なんです。このことのために裁判所は予算の独立権を持って、これを是正するために二重予算の請求権というものが発動されなければならないものである、私はそういうふうに承知しています。一体法曹人口比というものについて最高裁はどういう観点をとっておられるか。すでに国連にもわが国は参加して、いろいろの犯罪に関係する国際会議にも出席しておる。そういう中で、わが国の法曹人口比というものがけたはずれに低率であるということは、わが国の恥ずべき民主主義の姿である。なぜこれを是正するために司法は立たないのですか。なぜこのことのために二重予算の請求というものが大いばりでやれないのか。私はあらためてこの法曹人口比というものについての見解をここでただしたい。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) いわゆる人口に対して裁判官の数がどうかという点は、私もここに調べたものは持っておりますが、確かに日本の裁判官の数は非常に少ないことは事実でございます。日本は人口十万に対します裁判官の比率は二・六、イギリスあたりが四二・八、アメリカは州によって違いますが、いずれも三十人くらい。西ドイツもおっしゃるような相当の数がございます。さような点から考えましても、何と申しましても、裁判官の数が非常に足りないということは厳然たる事実でございます。これに対しまして、毎年いろいろな観点から、裁判官の増員、それに伴う一般職員の増員ということを計画はして参りましたが、結局法律の上で定員がふえましても、それを充実するだけの給源がなければ裁判官の増員というものは実現いたさないわけでございます。で、本年は二十八名判事の増員がございまして、今すでにある欠員等と合わせまして、判事の充足すべき数は八十何名であります。これはすでに修習を経て判事補になって十年たった、これは判事でございますが、それは十分に充足できるのでございますけれども、それからまた、今後の見通しといたしましても、徐々に裁判官の給源となるべきものがふえては参りますけれども、一挙に相当ふやすということは、結局今申しました給源の問題、つまり裁判官を志望する者のいかんの問題によって制約を受けておりますので、なかなかその点が解決つきませんので、先ほど最初に申しましたように、やはり若い人たちが裁判官を志望しようというふうな、裁判官の地位が魅力あるものにならなければふえませんので、そうするにはどうしたらいいかというふうな根本問題にぶつかって参るわけであります。
○高田なほ子君 根本問題はわけないですよ、魅力あるものにするための根本問題というのはわけないです。最高裁が司法権の独立のためにバック・ボーンを持つ、それきりほかに方法がない。だれのお世話も要らない、問題は、最高裁がいかに魅力あるものにするためにバック・ボーンを持つかという、それだけです、問題は。解決は出ている。それがないからみんな魅力ないものになっている。予算がないからというようなことですけれども、ことしは判事を二十八人増員する、微々たるものです。書記官は四十人を増員する。司法権のために充当される三十六年の人員というものは、判事が二十八名です。書記官が四十名ですよ。事件は激増している。裁判官は三・七倍のオーバー労働をして、ごらんなさい、自衛隊の方は、陸上自衛隊は千五百人をふやすのに四億円の金を使っている。海上自衛隊は五千六百八十人を増員するために三十七億を使っている。航空自衛隊は六千四百人を増員するために三十八億という新規予算が組まれている。うたた荒涼たるものがある。なるほど自衛のためにはこういうものも必要でしょう。しかし、自衛よりもっと優位に立つのは司法権の独立なんです。わが国の自衛問題を論ずる、これには立場々々がございましょう。しかし、あまりにも格差があり過ぎはしないか。私は、この日本のすべての国民の基本的な人権をささえるその司法権の独立のために、このような定員増のあり方であっては、これはもう民主主義の危機に遭遇していると言いたい。 〔主査退席、副主査着席〕 自衛隊は、今言うように、陸上自衛隊四億、航空自衛隊においては三十八億です。それと比べて裁判官は四千六百五十一万円でありませんか。二十八人きり人をふやせない、書記官が四十人きりふやせない。その費用は、書記官に至っては千七百六万円じゃないですか、六百万円というのじゃない、これは六万円です。このような司法権の危機というものは、今日非常な立場に遭遇しているという考え方を国会はしております、国会はそういう立場をとっております。その衝に当たる最高裁がバック・ボーンを通すことなしに、どうして魅力ある裁判官というものができるか。これはあなたにきょうはさんざんこういうふうに資料を、数字をあげて、裁判所のあり方というものを追及をしておるのですが、これは私は、裁判所が憎らしいから言っておるのじゃないのです。わが国の民主主義の基礎である三権分立を確立させなければならないという、そういう建前で今私はだんだんの質問をしておるわけなんです。むしろ私があなたと立場を変えた方がもう少しいいような気さえしておる。何か裁判所は予算をお組みになる上に障害になるものがあるのではないかという気持が私は今しておるのです。政府が圧力をかけておるのじゃないかということがその一つ。ここではおっしゃれないかもしれませんから、そういうことは私は尋ねませんが、ただしかし、予備金というものがどのくらいとってあるか。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 予備金は八百万円でありますが、裁判所が、予算の問題で行政官庁から圧力を受けておるということは絶対にございませんから、これは。
○高田なほ子君 予備金というのは、法律に明記された性格の予備金であります。司法権の独立のために、予備金というものの性格はどういう性格を持っておるものであるか。そうして、その額の八百万円というのは、どういう使途の内容を予想しておるものであるのか、この点を。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 八百万円という額はあまり多い額じゃございませんが、結局これは非常に不時の急な場合の費用ということに備えておるわけでございますが、今までのところは、結局庁費の不足とか、そういうことに使われておるようであります。
○高田なほ子君 大体そういうことでしょうけれども、八百万円という数字はどこからはじき出した数字ですか、だれがきめた数字なんですか。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) これは相当前から八百円ずっと続いておりますのです。(「八百万円だよ」と呼ぶ者あり)失礼いたしました。八百万円でございます。
○高田なほ子君 総長も八百円なんて間違うほど、予備金なんというものを念頭に置いていない。司法の予算の独立のためには予備金をとらなければならないと、こう法律に明記してある。これは司法権の確立のために、わざわざ法律をもってこういう道を開いておるのですから、あなたが八百円と間違うような、歯牙にもかけないような予備金であるということは、私は情ないと思います。裁判所はこの予備金について、将来どういうふうにこの予備金というものはあるべきものか、理想を一つ語ってもらいたい。理想を語って下さい。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) あ まあ、いわゆる不時のもの要りというふうな場合が、必ずしも今までの運営からいたしまして、そう再々は予想されなかったわけでありますけれども、しかし、これも極力さらに増額をするように努力したいと思っております。
○高田なほ子君 努力をしたいと思いますということで、さっぱり理想が語られない。そういう理想が語られないのは、裁判官が弱いという証拠なんです。あなたにバック・ボーンがないという証拠です。堂々と予備金については理想をこの席でお語りになるべきである、そうして速記にとどめるべきである。あなた答えられなかったら、あなた言いなさい。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 裁判所の予備金八百万円というのは、見方によりますと、非常に少ない額でございます。ただ、これは数年こういう金額で来ておりますが、この予備金の問題につきましては、国全体にも予備金というものがございまして、各官庁、国会等で不時の支出が必要な場合にそれに備えるわけでありますが、裁判所も、もちろんその例に漏れませんので、この八百万円以外にも、年年年度末に参りまして足りないような場合に、流用とか、あるいはまた予備金をもらいに大蔵省に交渉するという実例が再三あるわけでございます。国全体にもさような予備金がありますもので、裁判所に予備金を特別につけるというのはどういう意味かという根本問題にまでさかのぼるわけでございますが、これはやはりわれわれの考えておりますところは、司法権の独立から申しまして、大蔵省に――大蔵省と申しますと語弊がありますが、内閣に予備金をもらうときに、あまりそう頭を下げるということは司法権独立の上からいっておもしろくなかろうというふうな観点から、一定額のものを裁判所の予備金として計上しろということを法律に明記してあると思うのでございますが、しかし、今申しましたように、国全体にも予備金がございまして、また実際問題として、それからときどきもらいます関係上、この予算の上におきまして八百万をこえます大幅な増額ということは、諸般の事情から言いまして、なかなか大蔵省の方としても困難だろうと思いますし、われわれといたしましても、一たびさような予備金をもらいましたときは、じゃ、その予備金で全部まかなうというようなことになりました場合には、そこにどういう事態が生ずするかわかりませんので、非常に困難な事態も生じて参りますので、これは結局、ある程度の歩み寄りというようなことで八百万という形に年々なってきているわけでございますが、われわれの方としましても、今、総長が申しましたように、この額で必ずしも十分とは思っておりませんので、できるだけ増額してもらうように今後努力して参りたい、かように考えておるわけでございます。
○高田なほ子君 どうも私が裁判所の立場みたいになっているのですが、この年々八百万ですね、これからまた少し奮発したい、こういうわけですが、これは今まで予備金ということについては、あまり念頭に置かれなかった証拠ではないかと思うのですね。それは私は予備金が多いということが必ずしもいいとは思わないです。しかし、現在の裁判の運営状態から見て、八百万円の予備金は妥当でないということを指摘したい。たとえば裁判官の宿舎はこれまで一般公務員とは別ワクにこの予算に計上されてきている。そして各地に建てられてきている。ところが、昭和三十年度からは、裁判所で働く裁判官以外の、たとえば裁判所の書記官、調査官、事務官らの宿舎についても裁判所の予算に計上されなければならないわけなんです。公務員のほうからも削られてしまう。削った理由というのは裁判所の予算の中に、その今言う調査官、そういった方々の宿舎を予算として計上しなければならないから、一般公務員のワクからこれは締め出した。そうでしょう。ところが、予算を拝見すると、そういう予算はどこにも見当らない。公務員のワクからは除外してしまう。裁判所じゃその住宅建設の予算も計上してないということになったら、これは一体、裁判所の職員の住宅問題というものはどういうふうになるのか。ここらあたりにも裁判所に魅力がないという、いわゆる愛情のなさを暴露している。もちろん、もしここに予算が計上されてあるなら、職員の住宅建設についての計画と、本年度の予算をどういうふうに充当していくのか。今何人の職員がこの住宅を希望しているのか、そこらあたりを明確にしてもらいたい。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 結局、官舎の予算は一応全部大蔵省に計上されまして、それを各省、裁判所等に分けるというような形になっておりますが、従来裁判所関係におきましては、予算が全部大蔵省へ入ることはその通りでございますが、裁判官の分だけは、これはまた移しかえと申しまして、大蔵省からまたこちらへ移しかえをしてもらっておりました。しかし、裁判官以外の一般職の分は、依然として大蔵省のその一般予算の中でまかなう、こういう建前でございまして、裁判所の一般職の官舎が全然計上されてないということはないわけでございます。ただ、今申し上げましたように、裁判官の分だけはこちらへあとから大蔵省から移しかえてもらう、一般職の分は大蔵省の方で、もちろん、こちらからいろいろ希望を出しまして、大蔵省の方でまあ管財局でございますが、そこで割り当てるというこういう形をとってきておったわけでありますが、本年度から、つまり昭和三十五年度から一般職の分も全部こちらへ移しかえをしてもらいまして、そしてこちらで裁判官の分、一般職の分をこちらでひっくるめて建設すると、かような形になっております。従いまして、昭和三十六年度予算におきましてもさような形をとることになっております。で、一般職の宿舎につきまして、われわれの方といたしましても、必ずしも他官庁に比べて非常にいいというようなことは考えておりませんので、鋭意今後の建設等において努力して参りたい、かように考えております。
○高田なほ子君 それでは説明が足りません。昭和三十六年度のその予算の内訳というものは、そこに数字があるなら数字をおっしゃったらいい。その数字を言ってもらいたい。それは裁判官以外の一切の職員の宿舎の不足数は何ほどであるか、それに対する計画はどうなっておるか、本年度の予算はどういうふうになっておるのかなんです、私が聞きたいのは。抽象的なことではないのです。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 本年度大蔵省についております官舎予算は二十二億円と記憶いたしておりますが、その中から各省、裁判所、国会、まあ国会にあるかどうか存じませんが、各省、裁判所等に分けるのでありますが、二十二億の中で幾らもらえるかということは、現に今大蔵省と裁判所と折衝中でございます。で、そのもらってきました分につきまして、また中で割り振るわけでありますが、しかし、この裁判官分幾ら、一般職分幾らということは、大蔵省ともう交渉の際にすでにある程度数字が出るわけでありまして、昨年度はどの程度の数字であったかを御参考に申し上げますと、昨年度、つまり正確に申しますと本年度でありますが、本年度におきましては国の官舎予算は十七億でございます。そのうち裁判所関係分は、これは一般職もひっくるめてでございますが一億一千六百万だったと記憶しておりますので、来年度ももちろんそれを下回らないような数字をもらいたいと鋭意大蔵省の管財局と折衝中であります。
○高田なほ子君 一億一千六百万円が、この前にと言った方がいいが、きまった。それは裁判所関係の裁判官の官舎ですか、それ以外の職員の官舎ですか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 裁判官分と一般職分を合計いたしまして一億一千六百万でございます。
○高田なほ子君 優先的に裁判官の官舎は建てているようです。一般職の職員の官舎というものには、はなもひっかけないというような、はなはだ言葉が悪いですが、極論すれば、そういう傾向にあるのではないか。しからば、その一般職員の宿舎の不足数というのはどれくらいとあなたは把握しておりますか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 現在大体どの程度かということを申し上げますと、裁判官以外の職員の宿舎、官舎と申しますと語弊がありますから、正確に申しますと宿舎でございますが、宿舎は、現在一千九十八戸約一千百戸でございますが、ございます。この職員の定員数は約二万人でございますので、結局、現在五%程度しか渡っていない、こういうような状態でございます。しかしながら、宿舎の要求というのは、裁判官も一般職も含めまして自分の家の方もおられますし、それから借家等をいたされまして、そう必ずしも不当に高くないというような、一応安定しておるというような方もございますので、職員全体が宿舎を希望しておるというような事情でございません。ただ一般職の宿舎状態が他の官庁等に比べて必ずしも上の方に行っている、あるいはいいというふうには考えておりませんので、鋭意一般職の職員の宿舎につきましても、経理局といたしまして努力いたしていきたいと、かような方針をとって今やっておるわけでございます。
○高田なほ子君 的確な説明をいただけないことは、要するに当局として、裁判官以外の一般職員に対する住宅建設というものに対する計画性がないのではないかという疑問を抱かざるを得ないのです。あんたは生活は安定している、そんなに家賃は高くないと言うけれども、実際今ひとり者で一番ため息の出るのは、やはり部屋代ですね。あなたもよく御存じだろうと思う。ですから一万二千円や三千円の、失礼ですけれども、安サラリーマンでは、四千円も五千円も部屋代に取られるなんということは、私はもうこれは憲法違反だくらいに考えています。裁判所の方は憲法を守る番人なんですから、そういう基本的人権というものを考えたならば、優先的に模範を示して、住宅予算というものについては強力にやはり折衝をさるべきだと思う。そのことのためには、一般職員のどのくらいの方々がこの住宅建設を熱望しているかということ等については、これは職員の組織の方々と十分懇談をせられて、そして裁判所運営の上に一般職員の意思というものを反映されるべきものだと私は思う。ところが、最高裁の方は、全司法組合というものをまるっきり毛ぎらいしちゃっているらしい。それで職員のこういう労働条件と申しますか、そういうものについては、熱意を欠くうらみがないではない。どうか一つ、今後この住宅建設問題等については、詳細なデータをあなたの方で調べるひまはおそらく忙しくてないでしょう。そういうときにこそ、この職員の団体というものが、あなたの方に貴重な質料を提供するでありましょう。そのことによる計画を実施することによって、職員もどんなに忙しくとも希望と励みを持つことができるでしょう。明るい希望を生活の中に持つことができるでしょう。私は一片の数字の説明を聞こうとは思わないです。要するに将来の心がまえというものをこの分科会で明確にしていただきたいと思うからこそ、申し上げにくいことをあえて申し上げてきておるわけです。この点どうです。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 裁判官のみならず一般職の職員につきましても、年々大蔵省へ交渉いたします必要もございますので、どの程度の数の人間が宿舎を希望しておるかということは、われわれの方として一応調査しておるつもりでございまして、ただ今正確な資料を持っておりませんが、調査しておるつもりでありまして、決して裁判官のみならず一般職の宿舎につきましてもネグレクトしておるつもりではないのでございますが、ただ、何分にも最終的にはやはり宿舎予算の割当の問題に参りますので、先ほど来申し上げましたように、決して十分だとは思っておりませんので、鋭意大蔵省と折衝いたしまして、できるだけ数をふやしていきたい、かように考えておるわけでございます。
○高田なほ子君 事々に予算予算と言う。全くその通りなんです。それだからこそ、そういう危機に直面したときに、長官の財政法上の権限というものを発動されるべきものだ、黙って頭ばかり下げているのが能じゃない。 次に、同じような問題が出てきております。東京都の墨田交通裁判所、これは一カ所きりしかないわけです。交通裁判をやる。御承知のように最近の道交法がしかれてから、交通事犯というものは激増まことにお話にならない状態なんです。これは裁判所の方でも御承知の通りなんです。従って、墨田の交通裁判所の前は連日混雑、そしてその能率においても、きわめて混雑の中で阻害される面が多い、こういうときにこそ裁判所は手を打つべきである。東京はこんなに広いのですから、その気さえあれば、もう二カ所や三カ所の交通裁判所が設けられないという理屈は成り立たない。なぜこれに手を打たないか、私はこの点もはなはだ不思議でならない。緊急に解決すべき問題である。私はこの問題について最高裁がどういうような考え方を持っておられるのか、もし本年度の予算の中にこれに充当できる予算があるならば説明をしてもらいたい。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 御指摘の通り、交通事犯が非常にふえておりますことは、われわれも十分わかっているわけでございますが、東京の場合に、御指摘の通り墨田簡裁のみで交通事件を扱っているわけでございますが、これがわれわれの方から見まして必ずしも十分でない、もっと強く申しますと、なお足りないというようなことは考えているわけでございますが、しかし、交通裁判所をふやしていくかどうかということにつきましては、交通裁判のあり方というような手続的な面もなおこれ以上検討の余地はないだろうかということも考えられますが、しかし、全般的に見まして交通裁判所が足りないということはわれわれとしても感じておりますので、今年は先ほど配付いたしております資料に第三表というのが出ておりますが、横浜交通部というのが書いてございますが、横浜に一つ交通裁判所を作るということを大蔵省にも踏み切っていただいたわけであります。従いまして、今後交通裁判所はある程度ふやしていく必要があるという観点に立ちまして、本年度におきましては横浜に交通裁判所を一つ建設する、かような段取りになったわけでございます。
○高田なほ子君 東京は、この大東京で墨田一カ所きりない。横浜にやっと今度建てると言う。しかしあなた、常識で考えても東京の雑踏する中で、端っこの墨田に一カ所あるだけなんということは非常識ですよ。常識外です。何とかこれは長官に一つここらでふんぎってもらって、予備金で間に合わなかったならば、それこそ何らかのいわゆる方法を使って、どうしても東京都内には少なくとも三カ所の交通裁判所というものを建てられるべきだと思うのです。お話のほかですよ。こんなことをやっていて、裁判が国民は理解されないからPRする、とんでもない話です。そういうバックボーンを欠いておってどんなにPRしても、そんなことは軽べつされるだけですよ。なぜ今年東京都にもう一カ所の交通裁判所を作る予算を出さなかったか。私がここで数字をあげるとあなた方が恥をかくからあげない。私は持ってますよ。どれだけの件数が一日やられているか、何ということか。これは何とか今年中に方法を講ずる道はないのか、私はこのことを尋ねたいのですが、今年できなかったならば、しからば、来年何とかできるということを考えているのか、長官は墨田の交通裁判所に行ってごらんになったことがございますか、きょうでもいいから行ってごらんになって体験していらっしゃい。容易なことではない、その運営に責任を持つのは長官の責任ではありませんか。このことによって基本的な人権が守られなければならない。八時間も十時間も外にほったらかされ、雨の降る所に待合室もない、そんなばかげたことがこの大東京で許されることですか、どうなんですか、この点。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) ただいまの交通裁判所の問題、今年度は、先ほど申し上げましたように、横浜に一カ所作る、これは京浜国道関係の交通裁判がかなり、これができますと、ある程度ここで行なわれるというふうに考えますので、一歩前進したとは思っておりますが、東京につきましても、一応もう一カ所の予算要求はしたわけでございますが、まあことしはとりあえず横浜に一つ作ろうというようなことで、横浜に作っていただくことにしたわけでございますが、ただ東京に置くということになりましても、いかなる場所に置くか、あまり都心には適当な敷地と申しますか、なかなか得がたいわけでございますので、さようないろいろな技術的な事情もございましたし、また交通裁判というもののあり方も、また別個の観点から、こんなにふえていきます際に、今のやり方ではたしてさばき切れるかというような問題もございますので、墨田簡裁が非常に多忙であるということはわからないではなかったわけでございますが、さしあたり、先ほど申し上げましたように、本年は横浜に作るということにまあ一応落着をさせたわけでございます。
○高田なほ子君 まあ落着をさせたのはそれはわかりますけれどもね、敷地がないとかなんとか言っているけれども、意思がないということなんですよ。意思をお持ちになることが必要なんです。だから、長官はそこ行ってごらんになって、あそこの駅の待合室にあなた、三時間くらいおすわりになってごらんなさいませ、私はもうちゃんと見てきたのですから。自分が行って見てきてこれは言っている、ただ言っているのじゃないのですから。そういうことですから、その民衆と裁判の親切さというものが離れていくというところにその魅力がなくなる。これはぜひあなたは行ってごらんになっていただきたい。そうして新たな構想をお考えになっていただきたい。 ただ、私心配することは、一説によると、検察庁あたりからだいぶこの交通裁判所を建てることについて、若干の干渉がましいことがあるやにも聞いている。この干渉ははねのけなさい。はねのけるべきものです。そういう点はどうですか。干渉がありますか。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) いや、さような干渉は全然ございませんが、ただ、もう交通裁判所は裁判所だけできてもいけないので、警察も検察庁も一貫作業になっておりますから、ですから法務省の方でもやはり相当熱意を持ってもらって、裁判所でももちろん熱意を持って、解決すべき問題だと思います。別に干渉がましいことは何もございませんから、それは……。
○高田なほ子君 法務省が熱意を持つ前に、裁判所が熱意を持つべきです。法務省に熱意を起こさせるのには、裁判所が熱意を持たなければならない。要するに司法権の独立ということは、たとえ交通裁判所であっても、人権の侵害がそこにあっちゃならないのです。雨の中を六時間も八時間も混雑の中にすわらさしておくことについて、何の神経も持たないような最高裁判所の事務総長だったら、私はあなたを疑いますよ、ほんとうに悪いけれども。どうぞ私にそういう激しいことを言わせないように――これは私が言っているのではなくて、あすこに待たせられている人の気持を代弁して私はここで言っている。だから、ここは一つ再検討して下さい。再検討できますか。約束していただけますか。長官、どうです。再検討の余地はないかということです。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) もちろんいたします。ことしはもう一カ所要求しておったくらいですから、来年度においては実現を期したいと考えております。
○高田なほ子君 来年度は実現を期したい、期していただくと、私は長官の今の言葉に大へん希望を持ちます。この希望が実現されるために、来年度は忘れないでこれは予算に計上をして、その折衝をどんどん始めて下さいよ。 それから今度の予算の中には自動車十台の購入費が八百十三万三千円含まれております。けっこうなことだと思います。事務の能率の向上のために、これは必要なことでありますから、けっこうなことです。ただ、私はこの自動車十台の購入費の中に、今、少年護送車がない家庭裁判所があると聞いております。本庁の自動車を買うことはけっこうですよ。しかし、少年裁判の中に護送車もないというような、そんなばかばかしいことがあっていいか。少年護送車のない家庭裁判所はどういうふうになっておりますか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 家庭裁判所の関係で護送の必要があると、また現にそれをやっているということは御指摘の通りでございまして、ただ物理的に、護送車として五十台ぐらいでございますが、数年前に購入したことはございますが、あまりそれは適当でないということで、その後護送用の自動車としては増加させません。普通の乗用車でまかなっておるというのが現状でございます。で、裁判所の自動車の台数等も必ずしも十分な状況ではございませんので、自動車が足りないと申しますと、結局、また護送等にも十分渡らないというような――十分渡らないというと語弊がございますが、不十分だというような面が出てくるかと思うわけでございますが、今、高田委員御指摘の通り、自動車十台入っているのに護送用の自動車がないじゃないかという御質問でございますが、これはここに書きませんでしたが、自動車十台は、一審強化の関係として書きましたので、自動車十台だけ書きましたが、他に五台護送用の自動車が入っております、予算といたしましては。
○高田なほ子君 それは少年護送車ですか。少年護送車は今あなたの答弁では、物理的に五十台を数年前に作って、それ以後は作らないのだ、こういうことなんです。私がどうしてこういう質問をするかというと、審理中に、あるいはまたよそへ連れて行くときに逃走したという例はひんぴんとして聞く。ですから、取り調べ中に逃走したとか、それから護送中に少年が逃走したとか、審判中に逃走してしまったとか、だいぶこういう事件は跡を断たない。それは護送車だけの問題ではないでしょうけれども、試みに最近五年間ぐらいに、こういうことの理由が手伝って逃走したというような例は数が相当あるのじゃないでしょうか。これは質問の予定の中に私は言っておきませんでしたから、にわかにお答えいただけないと思いますが、これは相当あるはずなんです。それでこの少年用の護送車ということを私問題に出しておりますが、この点どうですか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 護送中に少年が逃走したという例、ちょっと私今調べておりませんでしたし、また、あまり記憶にも残っておらないわけでございますが、護送関係の自動車につきましては、先ほど申し上げましたように、現在では護送用の型の自動車としては、もう更新あるいは新規に配るというようなことはいたしておりません。ことしも先ほど申しましたように、五台ぐらい護送用として入っておりますので、必ずしもこれで十分だとはまだ言い切れないと思いますけれども、護送用の自動車につきまして、決して最高裁といたしまして、必ずしも等閑に付しているわけではないのでございますので、御了承願いたいと思うのでございます。
○高田なほ子君 御了承があまりできませんが、それではその自動車は値段が高いから、にわかに私は一ぺんにそろえるということは、それは無理だと思います。しかし、調査用の調査官のためのスクーターというのは、現場の職員たちが大へん希望していることです。私はこれを直接伺ったのです。そういうものは事件処理のために必要欠くべからざる一つの効率的な施設であります。しかし、最高裁の方では、スクーターの施設の拡充ということについてはどういうふうにお考えになっておるのか、どうもその点が一向らちがあかないような状態であります。ことしの予算はそのためにどういう予算を組もうとしておるのか、この点を伺いたい。ないでしょう。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) スクーターといたしましては、結論といたしまして、要求いたしておりません。スクーターが必要だ、あるいはスクーターを購入してくれという要望は、われわれの方として耳にしていないわけではないのでございますが、やはり自動車で行くのか、スクーターで行くのかという点、まだ十分事務的には検討を遂げておりませんので、スクーターの要求というところまでは踏み切らなかったわけでありますが、なお、今後検討はいたしたいと思っております。
○高田なほ子君 スクーターが必ずしも私は近代的なものだとは思っておりません。ベターなんです。とてもあんた、自動車、タクシーで飛び回っては旅費なんか吹っ飛んでしまうのですから、また、そういう余裕なんかあるはずはないのです。問題は、やはり適宜の措置をとるために、このようなスクーターというものは欠くことのできない効率的な施設なんです。職員もこれを希望する声が非常に高い、できればこのスクーターの施設というものは、八百万の予備費があるんですから、一つためしにその予備費で買って効率が上がるかどうかテスト期間をおいてやってみたらいい。そういうことのための予備費だと私は思う。何も雨漏りするのをそれをとめるといったようなものじゃないと思う。ベターの方法を漸進的に講じていって、そこで働く者に希望を与えて、そして事件の処理の効率を高めていく、 〔副主査退席、主査着席〕 こういうことのために、一つスクーターを私は提案しますから、試みにおやりになる御意思はございませんか、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 御趣旨はよくあれいたしまして、十分検討をいたしてみたいと思っております。
○主査(小酒井義男君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○主査(小酒井義男君) 速記をつけて下さい。 それでは、まだ質疑をされる方が残っておりますので、一応裁判所関係の質疑をここで休憩をいたしまして、午後再開にいたしたいと思います。午後の再開は十四時から、こういうことにいたします。 暫時休憩いたします。 午後零時五十四分休憩 ――――・―――― 午後二時十四分開会
○主査(小酒井義男君) これより第一分科会を再開いたします。 午前に引き続き質疑を続けます。
○高田なほ子君 実は衆議院の予算の分科会の速記録から問題を提起して、お尋ねするわけです。最高裁判所は昨年法務委員会で、研修施設を拡充したい、こうようことは私どもの法務委員会で所信を述べられた。そこで、この東京都内の紀尾井町にある司法研修所及び九段にある調査官研修所、本郷にある裁判所書記官研修所を、本郷の書記官研修所に統合をして設ける計画はないかと、こういうようなことは、かって私も法務委員会で御質問を当時申し上げたことがございます。そのことについては検討したいというような実は御答弁があったわけですが、その問題の本郷の書記官研修所、この本郷の研修所は、元岩崎邸のもので、一万四千余坪の広大な敷地を持っている場所です。一万四千余坪の広大な敷地に研修施設を拡充したいというならば、その敷地に設けた方がいいのじゃないか、こういうようなことだったのですが、本郷の敷地は、建物を売却する、その価格については四億五千万だ、あるいはまた予算の見積もりの誤りなどは、質問の過程でもって述べられているわけでありますけれども、この一万四千余坪の広壮な敷地は、だれと契約をして、その後どういうふうにこれがなっているものか、この点を一応説明をしていただきたい。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 本郷の現在の書記官研修所の敷地と建物でございますが、土地は、今お話に出ましたように、一万四千四百六十坪でございます。建物は延べで申しまして、二千八百三十一坪になっておりますが、これは裁判所が現在取得して裁判所の名義になっておりますが、取得いたしました経過といたしましては、昭和二十六年ごろから二十八年までの間に、数回にわたりまして取得したものでございまして、予算として現金で買いました分と、それから他に裁判所が持っておりました土地を交換に供しまして、それを財源としたもの、かような数回にわたって取得いたしました。結局、現在最高裁の名義になっているわけでございますが、これを取得いたしました経過は、そういうような状況でございます。
○高田なほ子君 数回にわたって取得するために、お金あるいはまた土地を交換をしたのだと、こういう取得するまでの経過を話されておりますが、交換した土地というのは、どういう土地を交換されたのですか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 交換に供しました土地といたしましては、数筆あるのでございまして……
○高田なほ子君 場所は。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 場所は、もちろんいずれも東京都内の裁判所の名義の土地であったわけでございますが、文京区竜岡町の土地、建物、それから……
○高田なほ子君 これは何坪ですか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) ちょっとそこまでは――こまかいことなんでございますが、文京区竜岡町の土地、建物は、土地が千七百七十七坪となっております。建物は延べで二百四十九坪でございます。それから台東区茅町一丁目の十一番地の三となっておりますが、これは土地でございますが四千七百七坪、それからもう一つ、やはり同じ番地でございますが、茅町一丁目の十一番地の二となっておりますが――先ほどは三でございますが、今度は十一番地の二でございますが、これは土地は二千百余坪でございます。大体大きなものといたしましては、さようなものでございます。
○高田なほ子君 そうすると、これらの土地は金にかえたのではなくて交換という形で提供されたものですね。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 今申し上げましたように、交換にいたしました分と現金で買った分と二種類あるわけでございまして、現金で買った分もございます。
○高田なほ子君 その現金で買った分は、二十六年度から二十八年度にわたって数回にわたって現金で支払ったというさっきの説明ですね。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 交換と現金購入と合わせまして数回と申し上げましたが、購入の方も一回ではございませんので、数回と御理解いただいてけっこうでございます。
○高田なほ子君 そこで、この数回にわたって取得したうちの現金はどのくらいですか、金額。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) ちっと計算いたしませんと――そろばんをはじけば出てくるのでございますが、大体、交換の場合と現金購入の場合と合わせまして約二億の資産でこの土地と建物を裁判所の所有にしたと、こういうことでございます。
○高田なほ子君 二億で買った。一万四千余坪の元岩崎邸の敷地を、なぜこの敷地や土地を四億五千万くらいで売却しなければならなかったのかと言うのです。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) これは、数年前からのことでございますが、裁判所が持っております研修所が、先ほどお話が出ましたように三つございまして、司法研修所と書記官研修所と調査官研修所でございますが、これを建て直したい、相当いたんで参りましたので、いわゆる営繕費がほしかったわけでございます。さようなものを建て直したいという希望を裁判所は持っておりました。ところが一方、御承知の通り終戦直後の状態におきましては、全国の裁判所が相当爆撃その他によって灰じんに帰しまして、全国の裁判所の新築ということも一方における非常な急務でございました。で、どちらかと申しますと、本来の裁判所の庁舎の方をどうしても先に新営を見なければならないというような事情もございまして、なかなか研修所の新営という方へ手か回らなかったわけでございます。さようなときの状態におきまして、それでは本郷の土地、建物は大した値段でもないと思いますので、主として土地でございますが、土地を一つ、いわゆる交換に供しまして、そうして三つの研修所を建て直そうじゃないかという議が裁判所の内部に起こりまして、いわゆる交換という手続を進めたことがあったのでございますが、それが、大蔵省の管財局の認可がこれは要るわけでございますが、大蔵省の管財局におきまして、三十五年の一月、昨年の一月でございますが、さような交換は認めがたいということになりました。しかし、裁判所が結局のところ、本郷の土地を引き当てにして三つの研修所を建てたいという気持はわからないではないということで、三つということではございません。結局、本郷の土地を引き当てにいたしまして、その上に建っております書記官研修所でございますが、この書記官研修所というものをそれでは建て直そうではないかということに大蔵省との間に議がまとまりまして、本年度の予算書に債務負担行為といたしまして、本郷の土地、建物を売却いたしまして、それはもちろん国庫の収入になるわけでございますが、それをいわゆる通俗の言葉で申しますと、引き当てにいたしまして、書記官研修所の敷地も要りますし建物も新築する、かような構想になりまして、その四億五千万で敷地と建物を――建物は作り、敷地は買うという構想のもとに、本年度の予算書に債務負担行為として四億五千万計上されておりまして、さような経過から、結局、来年度の、昭和三十六年度の予算におきましても、その四億五千万という不動産購入費が裁判所の予算に計上されてきたと、かような経過でございます。
○高田なほ子君 場所は本郷、元岩崎邸の一万四千坪の敷地、この広大な敷地を四億五千万円と見込んだというのは、これはどうも私どもふに落ちないのです。この四億五千万円というような値段は、これはどこから割り出してきた値段でしょうか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 本郷の敷地と建物を四億五千万で売却するという趣旨ではないのでございまして、本郷の土地、建物を国が売却いたしますと、それは国庫の収入になるわけでございまして、おそらくわれわれといたしましても、四億五千万程度のものではない。大ざっぱに申しましても十億を下らないものじゃないかというふうに考えておりますが、それは国庫の収入に入りますので、四億五千万というのは書記官研修所の敷地、新たに敷地を取得しなければなりませんので、その敷地と書記官研修所の建物代でありますので、四億五千万という金額でもって本郷の土地、建物を評価したというわけではないわけでございます。
○高田なほ子君 この土地、建物の評価はどのくらいですか、評価額というのは。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) まだ現段階におきましては、現在の状態において正式にやらせておりませんので何とも申し上げかねますが、三年ほど前に裁判所でやらせました際には、四億ないし七億という評価額が出ております。しかし、これは三年ほど前のことでございますので、現在におきましては、先ほども申し上げましたように、私といたしましては、十億を下らないものではないかと考えております。
○高田なほ子君 現在の土地評価から、また当時の土地評価から見ても、二十五億は下らないのではないかというようなことも一説には聞いておる。実際この岩崎邸の一万四千坪の敷地というのは、これは大へんな、よだれのたれるようなしろものです。相当の高価なことは、これはだれでもわかるのですけれども、どうも四億五千万円のお金がほしいあまりにそれを売却してしまうということは、ほんとうにどうもふに落ちない点がある。一体、裁判所は、こういうことを、売却するなんというような話が起こったときに、どういうところとこれは契約をしようとして話が始まったのですか。一説によると、この横路さんの質問の中から引き出せることは、東都起業、こういうあまり大した資本金もないような東都起業というものとの売買の話し合いがあったということも聞いています。三年前ですら、その土地の評価というのは四億五千万円というようなものではなかったと聞いておる。そうすると、東都起業というものと裁判所というのはどういう関係があるのか、東都起業と大蔵省というものと裁判所はどういう関係を持ちながら話がこんなふうに進んできたのか、どうも私はしろうとですから、こういうところのいきさつがわからない、ただ非常に不思議に思うだけで。研修所を建てる土地がないと言っておるのに、わざわざ本郷の一番いい所の一万五千坪をみんな売っちゃって、裁判所の所有からはずしちゃって、そしてまた別な所へ土地を買って、そこへ建物を建てるなんていうことは、どうも私どもの納得がいかない、金額の点において、方法の点において。東都起業というものが中に入っている経過において何ともこれはふに落ちないので、私はここでふに落ちるまでにお伺いするのには相当時間がこれはかかるのですけれども、私どもに納得させるような説明をして下さい。わからないのです、これは不思議で。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 先ほども少し触れましたように、三つの研修所を建てたいということは裁判所としてかねて念願しておりましたが、通常の手続で申しますれば、それはもちろん営繕予算をもらいましてそれで建てるのが当然なことでございますが、先ほども申し上げましたように、戦災でいためつけられました庁舎の新築もどうしても第一順位に回さなければならない、一方研修所の問題もやはり司法権に関することですが、法曹人口の増加とか、その他書記官の養成というようなことにおきまして、決してこれもまた無視できない問題でありましたので、研修所は時期的に十年、二十年先に参りますれば、それは建つだろうと思いますが、なるべく早く建てたいということを考えまして、その方法として、しからば本郷の土地をいわゆる交換に供しまして、研修所を建ててもらったらどうかというような議論が三年ほど前に裁判所の中で起こりまして、その結果、今お話の出ました東都起業株式会社との間に、本郷の土地、建物を東都起業に提供する、そのかわり東都起業の方としては、敷地としては書記官研修所の敷地がなくなりますので、書記官研修所の敷地と、司法研修所は現在のところは紀尾井町に建てますので、これは費用は要りませんし、調査官研修所も書記官研修所と同じ所に建てればいい、現在これはきまったわけではありませんが、特別に調査官研修所の敷地としては要らないので、書記官研修所の敷地としてかなり大きいものをもらえればそこに建つということも考えられる、かくて三つの研修所の建物と相当坪数の敷地を東都起業に提供させるという交換契約を裁判所と東都起業との間に結んだことは事実でございます。これは三十三年の暮れのことでございます。しかし、これは先ほど申し上げましたように、国有財産の処分でございますので、大蔵省の認可が要りますが、大蔵省としては、さような金領等は少し大き過ぎるというようなことが主たる理由であったと思いますが、交換は認めがたいということになりまして、実質的に交換になるような債務負担行為というような形で現在にきた、かようなわけでございます。東都起業との関係はそれだけのことでございまして、特別に裁判所がどうこうしたとか、それ以上の関係は何もございませんし、大蔵省といたしましても、特に東都起業との間に何もわれわれの方は関係があるということは聞いておりませんし、また、さようなことはないものと思っております。
○高田なほ子君 調査官研修所の敷地を東都起業の方で心配するというそういう一項が、交換契約にあったようですが、この調査官研修所の当時の契約の敷地の坪数というのはどのくらいだったのですか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) その交換が成立しますとすれば、どの程度の坪数の土地を裁判所がもらうか、それは約一万五千坪の土地をわれわれの方としては要求したわけでございます。それは大体本郷の土地に見合う程度の坪数の土地という意味において一万五千坪を要求いたしたわけでございます。
○高田なほ子君 要求と交換契約というものは、そんなに軽々にやられていいものでしょうか。交換契約というのは契約書でしょう、どうなんですか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 法律的にどういうことになりますか、その大蔵省の認可がありませんと契約ができないのか、あるいは契約はできても、裁判所と東都起業との間に契約はなし得ても、大蔵省の認可がなければ効力を生じないのか、その辺まだはっきり突き詰めておりませんが、実質的には東都起業との間に交換しようという合意をしたことは間違いないわけでございます。
○高田なほ子君 だって、さっきあなたは、管財局の認可を受けたのが三十五年一月だ、ところが、認可が得られなかった、しかし、その後話が進んで認可が得られたのでと、こう答弁しているわけです。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) そういうように答弁したつもりはございませんが、もう一度正確に申し上げますと、東都起業との間に交換しようという契約を結びましたのが三十三年の暮れでございまして、それを大蔵省へ提出いたしました。ところが、それは認可になりませんでした。認可になりませんでした正式の日付は三十五年の一月でございます。
○高田なほ子君 とにかく、この交換契約の内容を盛った資料を出してもらいたいことと、それから東都起業という会社ですか、この会社の内容を盛ったもの、これを一つ資料として出していただきたい。 そこで、さらに一歩進めまして予算書を見ますと、三十五年度の大蔵省の歳入として、この不動産の処分価格を四億五千万円と見込んでいるわけです。そうでしょう。そうすると昭和三十六年度にはもう何も計上しておらないから、当然昭和三十五年度に処分することとしておったのではないだろうか、そうすると現在考えてみても、大体二十五億もあるような膨大な国の予算を、これを四億五千万ぐらいのことで処分をどんな形にせよ、するということは、この考え方に私大へん納得のいかないものがあるわけなんです。実はまあそこまでいってみると、横路さんが衆議院の予算委員会で質問をすることを、どこでどういうふうに聞いたか知らないけれども、某代議士から電話がかかって、東都起業についての契約の内容についてあなたは質問するのではないか、どういうことを質問されるのかということを電話で、執拗に横路さんが某代議士から聞かれたということを言っておられました。大へんその点も不審にたえない点だというようなことを言っておられたようですが、いささかどうも、これは資料なしにここでもって水かけ問答しても話が始まらないと思いますが、私が疑問に思う点は繰り返して申し上げる必要ないと思いますが、研修所が三つほしいのだ、しかし、その研修所の敷地は、現に文京の岩崎邸に一万何千坪あるんだから、そこに三つの研修所を総合して、たとえば営繕費の問題はこれはまた大蔵省とそれこそ折衝をし、それでもどうしても出してくれないという場合には、長官がしかるべき措置を講じても、その営繕費は当然とられたに違いない。それをおやりにならないで、三十五億もする時価のものを、それをわずか四億幾らでもって裁判所の手から離れてしまって、また別にほかに土地をどうこうするなんていうことは、とても健康な常識では考えられないんですよ。一説によると、この問題が起こってから、裁判所の中でもだれか転任した方があるのじゃないですか、この問題に関して。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 裁判所といたしましては、この問題について転任したとおっしゃいますと責任をとったという意味かと思いますが、さようなことは絶対にございません。
○高田なほ子君 そうすると、あなたはこの方法を最も合理的な方法だというふうにお考えになっておるわけですか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) もっともこれ以外に全然手はなかったかという御質問になりますと、そうだともお答えいたしかねますが、われわれの方といたしましては、研修所を建てたいあまりにかようなことをいたしました。これも一つの方法だと現在考えております。
○高田なほ子君 ほかの役所がどうこうするなら問題はないんです。問題があっても問題がないと言えるかもしれませんが、事裁判所が時価の換算を見誤って、それで研修所を建てたいあまりに、資本もあまりないと言われているこういう企業と交換の契約をして、そしてその契約そのものが確実に今履行されてもいないようです、これからするんでしょうけれどもね。確実に履行もされるような形跡もあまり見えない。国会でもそれらについての明細な御答弁もない。はなはだこれは七不思議です。これは私だけでなく、私の質問をお聞きになっている方はおそらく疑問に思われる点じゃないかと思うのです。この点はまた私後日に譲りますが、委員長におかれては、この三十三年の暮れにした交換契約の内容、それから東都起業株式会社の運営の内容と、それからその後この交換契約がもし変わってきたものがあるとするならば、その内容を盛ったもの、一連の資料というものをそろえて私どもに一つ御提出願いたい。私もそういう資料なしに責めるということは一方的になりますから、十分に資料を拝見した上でさらに再検討の時間を持って十分に納得したいと思う。これは単に私のみならず、裁判に関係しておられる方々もかなり疑問に思っていられる点があるようです。たしかこの売買契約の間に特定政党の代議士などが介在しているとすれば――すればです、いたとは言わないのです。いたとすればです。これはやっぱり私ども問題にせざるを得ない。ですから、疑問を解くならば解くような資料を私どもに出して下さってそして説明の機会を与えてもらいたい。このことは委員長において善処されることを要望します。
○主査(小酒井義男君) ただいまの高田委員からの要求の資料、これ一つ御提出を願いたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 御要求の御趣旨はわかりましたが、東都との交換契約は大蔵省の認可ができないということによって、それは御破算になっておりまして、ただ歴史的事実としてお知りになりたいとおっしゃる御趣旨ならわかりますが、法律的にはもう何ら効力が生じておりませんので、問題はただ、現在の、本年度の予算書に載っております債務負担行為という形におけるのが現在のものでございますが、その点だけ申し添えておきます。御趣旨はよくわかりました。
○高田なほ子君 その歴史的事実が不明であるから伺いたいから質料を出してもらいたい、こう言っているわけです。ですから、歴史的な事実なんということではなくて、交換契約書というのがあるはずですから、これは出していただく。それから、新しく建てるものの敷地を本郷に一万五千坪云々という契約内容があるようですが、これらの内容もわかるような資料、こういうものもあわせて出していただきたい。歴史的事実というようなことは、私はこれが知りたいのですから、それを一つ出していただきたい。 次にお尋ねをしたいことは、全国の裁判所、特に地方の裁判所、家庭裁判所の支部、簡易裁判所、この裁判所の中に未開庁のものもありますね。それから裁判官が配置されておらないという裁判所もあるようです。この未配置の裁判所というのは一体幾つあるのか、何庁あるのか、これをまず聞きたい。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 未開庁の庁といたしまして、簡易裁判所のうち、たしか八つの簡易裁判所がありますが、それ以外には未開庁の裁判所はないわけです。それから裁判官の無配置は、支部は乙号支部がたしか二十ばかりあったと思いますが、そこは裁判官の実員が足りないものですから、あるいは定員と言っていいのですが、そこへ配置しないで、そこには簡易裁判所判事を置いて、そこで、簡易裁判所判事には判事の資格のある人を判事として置くというような態勢が最初から実はとられておったということでございます。それから簡易裁判所によって、やはりこれも実員がないために、裁判官が配置していないというのがそのほかに幾らかあるわけでございます。
○高田なほ子君 簡易裁判書も定員がないために未配置のところが幾らかある、こういうことですが、昨年は簡易裁判所の判事を三十名予算定員を減らして削ったでしょう。未配置になるほど簡裁の定員が足りないのに、簡裁の判事を三十名削ってしまって、そうしてこれは未配置のままにこうなっている。このことははなはだ遺憾なことですが、これは今後どういうふうにするつもりですか、これが私の質問の要点です。未配置のものをどうするのか。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 定員がないわけじゃなくて、実員が得られないので置いていないのであります。その点もし私がそう言ったとしたら、今申したように訂正をいたします。
○高田なほ子君 何で実員が置かれないのですか。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 結局、人が採れないのです。
○高田なほ子君 では、実員が置かれないのを置くようにするにはどうしたらいいのですか。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 結局、多少の欠員がありますが、その欠員を補うよりほかに手がないわけであります。ところが、志願者というか、給源がないわけであります。
○高田なほ子君 どうもはっきりしませんね。そうすると今度は、裁判官の判事二十八人を増員することは、さっき私が指摘した通り、あまり数が少ないじゃないか、こう言いましたが、二十八人というのは、裁判所の判事になる者がないから、二十八人きりしかないから、それでことしは残念だけれども二十八人きりその判事の増員ができなかったから、こういうことですか、そうすると。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 裁判官の中に判事と判事補と簡易裁判所判事とあるわけですね。それで判事というのは、御承知のように資格を得てから十年間実務についているということが必要なんです。今の二十八人というのは、それは判事です。この判事はこれは一審強化の線からいたしまして、大都市の裁判所があまりに過重負担であるからという理由と、それと合議制をふやすということ、それから審理期間を短縮しようというふうな意図のもとに増員要求して、それがそのうち二十八人認められたわけですから、これは大都市に配置するわけです。
○高田なほ子君 そうするとあれですか、簡裁の判事というのは、いわゆるこの判事のものより劣等のものだと考えていらっしゃるのですか。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 劣等というわけではありませんが、資格が違うわけですね。簡易裁判所判事は資格がそれほど高い資格じゃないわけです。
○高田なほ子君 高い資格でなくとも、どういう資格の高低があるか私はわかりませんけれども、法律的にどういう資格の違いがあるかわかりませんけれども、しかし、その簡易裁判所の判事になり手がないから、それでこの実員がとれないのだと、こういうふうにおっしゃっていらっしゃる。ほんとうに簡易裁判所の判事になる人がいないのか、ならせる道をふさいでいるのか、これはどちらですか。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 結局、人が得られないために欠員があるわけです。
○高田なほ子君 そうすると、永久に欠員ですか、それは。あなたの言い方だと、永久に欠員のようなことを言うじゃありませんか。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) ですから、永久にじゃなくて、だんだん補充されれば充員するわけです。
○高田なほ子君 私は補充されるということをあなたに言ってほしかったのです、初めから。補充する道はあると思うのです。これはくどくど私が申し上げなくても補充できる方法があるのです。そういう方法を積極的に講ずれば、この未配置のところがなくなるわけです。なぜ未配置のところがいけないかというと、この管轄でもって問題が起こったときに、裁判官がいないと裁判のしようがないから、今度こっちの方に持っていってやっていく、こういうことをやっていけば、自然にこっちの裁判所というものは現実的に要らなくなるわけです。要らなくなる。これは裁判所の統合問題ということにかかってくるわけなんですね。だから、今の高裁のやり方を見ていると、どうも実情の、裁判所の統廃合ということを計画の中に入れているのではないか、こういうふうな考え方を私どもは持つわけなんです。ですから、基本的には裁判所の統廃合というものはどういうふうに考えているのか、これを尋ねたかったから、今ずっと質問してきている、どうですか。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 裁判所の整理統合の問題は、なかなかいろいろな微妙な問題を含んでおりまして、簡単にはいかないのですが、結局、裁判所の中で簡易裁判所の、非常に僻遠の所にある簡易裁判所が、ほとんど事件がないというふうなところもあるわけです。そうかと思いますと、また非常に忙しいところもある。今の状況から申しますと、ほとんど事件のないところは、あるいは一人の簡易裁判所判事が二カ所くらいというふうに担当できないわけではないというふうな関係もありますので……。
○高田なほ子君 統合するかどうかということなんです、私が伺っているのは。今あなたが言って下さったのだけれども、答弁のところがちょっとわからないのですが、実際は統合しているような形になるわけですね。甲号の裁判所に事実上やれないという事情が起こった場合には、これをこっちに持ってきてやってもいいわけです。法律上、こっちの事件をこっちに持ってきてやってもいいわけです。今、そういうところでは、裁判官がいないところでそういうことが行なわれている、これは違法ではない、合法だ。しかし、そういうことを長く続けていけば、どうせこっちは裁判所があっても裁判官がいないから、こっちへ統合してもいいじゃないかという、いわゆる裁判所の統廃合という問題が今起こってくるのではないか、それではいけないのじゃないかと、こういう質問なんです。統廃合はどうかということなんです。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) ちょっと問題があれなんですが、未開庁の裁判所と、それから開庁はしておるけれども裁判官がいないというのと、少しごっちゃになっているようなんですが、私の申しておりますのは、開庁はしておるけれども、裁判官が置かれていないという場合ですね、この場合は、事件を持ってくるわけにはいかない。そこの裁判所へ裁判官が行って、そうして受付とかそういう事務もありますから、職員もそこにはいるわけですね、ですから、裁判をやる場合には、そっちへ行ってやるわけです、今の未開庁の分を。これはそこの事件が、開庁してありませんから、開庁すればそこの裁判所へ行くべき事件を、その隣の方の開庁しているところへ事件を、管轄を持っていってそこでやっている。ですから、事柄が二つになるわけです。
○高田なほ子君 それは、事柄が二つになっていることはわかっているのですよ。だけれども、事実上裁判官がこっちへ行ったりあっちへ行ったりして仕事をやるということは、これは必ずしも正当な運営ではない、法律的には抵触しないにしても、正当なやり方ではない。だから統合して、二つの裁判所を一つに統合したらいいじゃないかという考え方も一説にはあるわけですね。そんな不便をしないで、統合すれば問題は解決するのじゃないかという説もあるが、私の考え方としては、裁判官が足りないで未配置だから、にわかにこれを統合するという考え方は行き過ぎであって、配置できないところには配置する方法を講ずべきであって、これを統合させていこうとするその方向は、正しい方向ではないのじゃないか、こういう意味の方針の質問なんです。技術の問題じゃない。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) 未配置の分は、とにかくそこに裁判所は開庁されているわけです。それで訴訟事件はかりに少なくても、調停事件とか、あるいは令状発付の仕事とか、そういうものはあるのですね。それがあるために、その付近の住民は非常に遠くまで行かなくてもいいから、利益を受けているわけですね。だから、そういう事柄があれば、近隣に配置されている裁判官がそこへ出張してそういうことを処理する、裁判官が出張して処理するのは、いささかそれは仕事はふえるわけですけれども、元来がそう忙しくないのですから、だから、その当該裁判所の管内の住民、居住している連中の利益を考えれば、裁判官が行って事件処理をした方が、その管内の人たちのためになるわけです。ですから、やたらにそれを整理統合して、その裁判所の人手が足りないからなくすということはできないわけでございます。
○高田なほ子君 ようやくわかりました。それでいいのです。 その次に尋ねたいことですが、これはちょっと大蔵省にも関係があることですから、大蔵省の方にも聞いていただきたいと思うのです。旅費に関係する問題です。旅費は、今度の予算では三百九十七万円の減額がされております。この旅費の減額は、何でもないことのようでありますけれども、裁判事務そのものにかなり影響を持つ種目であるというふうに考えられます。そこで、問題がこの旅費を削ることによって出てくるのではないかという疑問ですが、民事、刑事事件の検証、証人尋問、こういうことのための出張に、司法行政上あまり出張旅費を使ってもらっちゃ困ると、こういうようなこともあって、裁判官は、裁判に旅費の上から制限を加えられるということについて、はなはだしく不満を持っている。これは、その裁判官がそういう旅費の制限のために不満を持つというのは、これは裁判官の良心であって、不満を持つということがあたりまえだと私は思うのです。ですから、審理の適正を期するためには、こういう旅費はけちけちすべきじゃないというふうに考えておるわけです。もし検証とか、証人尋問に対して、所長から裁判官に対して旅費の上から干渉があるなどということがあったら、私はこれは一大事件だと思うのです。こういうような干渉は食いとめていかなければならない。しかし、予算がないから、自然にそういうふうに、結果として、裁判権そのものを侵害するように結果としてそうなる。これに対して最高裁はどういう指導をとっておるのか、これが一つです。 それから大蔵省にお尋ねしたいことは、裁判所というのは、先ほどからくどくど申し上げておる通りに、一般行政官庁とはその性格を異にする面があるわけです。司法権の独立という面から。しかし、いろいろ質問をしてみますと、取り扱いがどうも一般官庁並みの取り扱いをしているようです。裁判所の旅費の問題は、これは削っちゃいけないのです。裁判の慎重を期し、正確を期し、かつ迅速を期すということのためには、旅費は削っちゃいかない。今度三百九十七万円の旅費が削られております。研修旅費が二百四十七万円、委員等の旅費が二百四十七万円ですか、こういうふうに一連の旅費が削られておる。私は、一般官庁並みの旅費の削り方でこう削ってきたんじゃないかというふうに思いますけれども、大蔵省は裁判所の旅費についてどういうふうに思うのか。普通の一般行政官庁並みに削っていいのか。この二つの質問です。どちらからでもお答え下さい。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) ただいま岡田委員御指摘の通り、旅費がいささか減っておりますが、金額にいたしますと約二百万程度かと思われますが、これは、御指摘されました旅費は、いわゆる行政旅費とわれわれが申しておるものでございまして、司法行政上の旅費でございまして、高田委員の御心配になっております裁判をするための必要な旅費、たとえば証人尋問に出かけるとか、検証に出かけるというような旅費は、これはいわゆる裁判費という中に含まれておりますので、裁判費の方は、この表をごらんいただきますとわかりますように、必ずしも旅費だけがふえたというわけでございませんが、約一億程度の増を見ております。で、御指摘の点はいわゆる行政旅費、行政旅費と申しますと、結局、所長が管内を巡視するとか、あるいは裁判官会議のために裁判官がある所へ集まるとか、まあ大体本庁でございますが、そういうような旅費がいわゆる行政旅費でございますが、これは具体的に申しますと、研修所関係の旅費がいささか減ったと、かようなことでございまして、裁判そのものにつきましては必ずしも減っておらない、かような状況でございます。
○高田なほ子君 大蔵省も一つここを答えていただきたいと思います。
○政府委員(谷村裕君) 御質問いただきました、まず一般的に、裁判所というような独立の、一般の行政機関とは違った特別の機関が仕事をして参る上について、特別の配慮を払うべきではないかというお話からまずお答えいたしますが、一般的に申しまして、例の独立機関につきましては、特別の規定ももちろんあるわけでございます。ただ、全体として予算を内閣として提出いたしますにあたりましては、十分独立機関としてのお立場も承りまして、まあいわばお話し合いをいたしました上で、できるだけその活動に支障のないようにわれわれとしても意を尽くしまして見ておくという考え方を持っておるわけでございます。ただいまの具体的な旅費の問題でございますが、これにいたしましても、裁判費というのは、一般的にそれによって活動を拘束するというつもりはございません。もちろん、予算でございますから、予算の一応積算されましたところに従いまして大体予算生活というものをしていただかなければならないということは、これはいかなる機関といえどもそういうことになると思いますが、しかし、そういう意味で、旅費がないから十分な裁判ができないというふうなことがあってはまたいけないわけでございまして、たとえば、予備費の使用などにつきましても、裁判費に属するものは特別に補充をする、財政法三十五条の二項のただし書きの規定によって、大蔵大臣限りでこれを補充することができるというふうな、特別の扱いになっておるということを御了承いただきたいと思います。 それからなお、今具体的に裁判所の方からお答えがありました旅費の問題は、今お話がございました通りでございまして、これは裁判費の問題ではございません。
○主査(小酒井義男君) 高田委員に申し上げますが、法務省の方ももう待機をしておりますので、一つその点考慮の上で御質問を願います。
○高田なほ子君 そうすると、重ねてお尋ねしますが、今は大蔵省の方では、その予備費の不足があった場合には、これを充当する道もある、こういうような答弁がありましたね。
○政府委員(谷村裕君) 正確に申しますと、裁判費が不足を生じたような場合には、そのつど御相談をいただきまして、予備費支出を優先的にいたすと、優先的にという言葉がいいかどうか、これは法律的ではございませんが、さような扱いになっております。
○高田なほ子君 大蔵省は予備費、予備費と言いますけれどもね、予備費というのはどのくらい取ってございますか。
○政府委員(谷村裕君) 裁判所予備費の額につきましては、別途申し上げますが、今私が申し上げました予備費は、一般の予備費からの意味でございます。
○高田なほ子君 どうも大蔵省というのは、それは財布のひもを握っているから、なかなか大したものですよ。大したものですけれども、司法権の独立ということを私どもさっきから、午前中から引き続いてやっておるわけなんですが、一般行政面とは若干違う面があるので、司法、行政、立法と、これはもう行政と対等の立場をとる司法権である。その司法権を守っていくことが日本の民主主義の最も大切なところである。こういうわけで、私どもは裁判所の年間の予備費、この予備費も大体八百万くらいのものが数年このまま続いている。国の予算も膨張している。自動的に裁判所の予算というものも実はふえてきている、絶対額としては。しかし、依然としてその予備費というものは八百万に押えられていて、これでは裁判所の運営というのはかなりきつくなってきているわけです、実際問題として。きつくなっているから、さっきあなたも聞かれたように、一万数千坪もある本郷の岩崎邸の邸宅を四億五千万くらいで、そんなものであなた契約組んで、それで研修所を建てるというような無理な算段しなければならない。事ほどそれほど、予算に事欠いているようなありさまなんです。だから予備費というものは八百万相当だということは、私どうしても考えられない。これは何か大蔵省の方で八百万というものを妥当だというふうに考えるのかどうか私は聞きたいのです。それが多ければいいというわけじゃない。それが妥当であるかどうかということです。なぜ八百万きりこの数年続いて組めないかというところにはなはだしく疑問の残る点がある。この点一つ。
○政府委員(谷村裕君) 特別機関につきましては、裁判所のみならず、たとえば国会におきましても、独立の授算でやる予備費の制度が設けられております。ただ、国の予算全体として運営いたします際に、八百万がよろしいか、これをもう少しふやして千万にした方がよいか、いろいろな考え方ができると思いますが、要は、裁判所全体として、もちろん庁舎もうんと建つようにしたい、人も十分に入れるようにしたい、諸般の庁費その他も十分にしたいということはございましょうが、みな国のいろいろな諸機関、行政機関等全部含めまして、どこにも皆そういうお気持があるわけでございます。要は、裁判が必ずしも裁判所側ではそれは十分とはおっしゃいませんでしょうけれども、全体の予算の中で支障なくやっていただけるという制度がとられればそれでよろしいわけでございまして、八百万のものをかりに千万にいたしましても、あるいは千五百万円にいたしましても、たまたま裁判所において非常な不足を生じてくるようなことがあれば、もちろん一般の予備費の方から出すことになるわけでございましょうし、現在までのところ、過去の実績をずっと見て参りまして、裁判所の予備費も、この程度で通常の行政費をまかなうのには、まず支障ないというふうに考えておるわけでございますが、要は、全体として考えさしていただきたい、かように思っております。
○高田なほ子君 せんじ詰めると、過去の実績から八百万という数字は割り出したのだ、こういうふうに私とるわけなんですが、そうすると、要するに、過去の実績を作ってきたというのは裁判所側にあるわけでございまして、このくらいの程度で足りるからこれくらいでいいだろうということになるのがこれは私は常識だろうと思うのです。だから裁判所はもう少しバック・ボーンを通されて、そして運営に支障のないようにしてもらわなければ困るわけです。ここで新たに質問を、私は時間がありませんから、蒸し返すことを避けますけれども、大蔵省は、裁判が非常にうまくいっているというふうにお考えになっているようですけれども、昭和三十年、それから三十三年度にかけて、事件が非常にふえてきているわけです。ところが、裁判費の割合というものは、三十年が一三・一だとすると、三十六年度は九・五というふうに、裁判費の率というものは減ってきているわけです。ずっと減ってきている。こういう減らす作業をしたのはこれはだれかというと、大蔵省がこういう作業をしてきた。ですから、大蔵省と裁判所の間に、どうも理解の度合いが少ないんじゃないかという気がしてならない。普通これは国の予算ではこういうようなことはあり得る道理がないわけなんですが、ずっとこれは減ってきておる。これは各項みな減ってきておる。これは大蔵省はどういう考えでこんなに減らしてきたのか、あなたに考えを聞きたいです。
○政府委員(谷村裕君) ただいま予算総額に対する裁判所所管の経費の割合をお取り出しになって減っておるということであったかと思います。これは国の予算全体がふえて参りまして、特に社会保障でありますとか、あるいは文教関係とか、そういうふうにいろいろ他の面で伸びるものが多いために、全体が伸びますると、もちろん伸びておりましても、その割合は小さくなる道理でございまして、決してその結果に現われました数字が、割合において減っているということが裁判所を軽視しておる、あるいは裁判という重要な仕事を軽く見ておるということではないと私どもは思っております。ただ、総額について見ましても、昨年に比べまして、本年度は予算全体が大きくなっておるせいもございますが、私どもといたしましては、裁判所側としては、もちろんこれじゃ十分じゃないとおっしゃるかもしれませんが、相当程度みたつもりでございまして、ひとえにそこの割合だけで御指摘いただきますと、まことに割合は減っているじゃないかと申されましたが、われわれといたしましては、全体としてかなりきばったつもりでございます。決して軽視などいたしておるつもりはございません。
○高田なほ子君 あなたはそんな数字をいじっておる人にも似合わないことを言いますね。そんな変なことを言いなさんなよ。国の予算の全体がふえてくれば、当然絶対額がふえてくるわけです、絶対額から言えば。しかし、昭和三十六年度の国の総予算に対して、裁判所の予算額というのは〇・九二六という数字を示している。ですから国の予算から見ると、裁判所の比重というものは数字的に〇・九二六という比重を持っていたものなんです。ところが、三十六年度、本年度は国の予算に対する裁判所予算の比重は〇・八六八というふうに減ってきているというのです。ですから、この予算面から見る総体的な比重は、これは司法権が軽視されておる傾向にあるのじゃないかというのがあたりまえじゃないのですか。私は、従来国の予算の中に占める裁判所の予算、司法権独立のための予算は一〇%を下るべき性格のものじゃないじゃないかということを言ってきたのです。そうして、そのことのために裁判所も努力されているから、どうも大蔵省がその司法権というものを全然念頭に置かれないらしいのですね。さっきも当局から説明を聞くと、裁判所は橋をかけたり道路を直したりする事業がないから、だから予算が減らされるのじゃないかというようなことで、だいぶ私とここで議論したことがあるのです。裁判所が橋をかけたりするなら、何も裁判所は要らない。裁判所の仕事は、言うまでもなく、これは国民の基本的な人権を守るために、憲法の番人として、今度は新たに新しい憲法のもとに、違憲調査権というような重大な内容も持っておる司法権を守っていく。このことのためにある存在なんです。ところが、今訴訟事件はふえてくる、それなのに裁判官はふえない、職員もふえない。超勤手当まで今度は大蔵省が削っているらしい。そういうようなことをやって、総体的に国の予算に対する割合が減ってきたことは当然のように考えているけれども、これは間違いですよ。ふえてこなければならない。社会保障費は減っていますか、教育費は国の予算に対比して減っていますか。減っていません。防衛庁は減っておりません。建設省は減っていません。減っているのは私は裁判所だけだと思う。特に行政府と並んで重きをなさなければならない司法権のために、他の省には見られないような相体的な減額がされておるということに対して、はなはだ私は不満を感ずる。これがあたり前だということをあなたおっしゃったけれども、言葉が足りないのじゃないか、足りなければそれでいいのですけれども、根本的な間違いだとしたら、私はさらに議論を続けたいと思う。
○政府委員(谷村裕君) ただいま御指摘の通り、予算全体に対する割合としては減っております。その減っておりますことは、私どもとしては、決して裁判所のお仕事その他を軽視しておるという意味には考えておらない。総額としてはふえておりますから、決してさようには思っておらないわけでございますが、なお、ただいまのような熱心な御意見を賜りますと、あるいは私どもが裁判所に対する理解と申しますか、さようなことがまだまだ不十分であるかもしれません。その点は十分反省いたしまして、今後とも裁判所の方とよくお話し合いをいたしまして、御期待に沿うような予算を国会に提出できるように努めたいと存じております。
○高田なほ子君 確かに大蔵省は、司法権という問題については認識が足りない。たとえば家庭裁判所の調査官が今度三十名増員されている。今青少年犯罪が激増しているという中において、この調査官の増員問題というのは、きわめて重要な問題だ。ところが、これまた大蔵省が財布のひもを締め過ぎて、三十名にここでしぼっている。一体最近の青少年犯罪の増加の中で、家庭裁判所がどういう役割を果たしているかということをあなた御存じですか。裁判官の三十名というのは、これでけっこうだと考えておりますか。どのくらい犯罪がふえていると思うか。それに対して三十名という増員は的確な増員であるかどうか、一つあなたの認識をここで確かめてみたい。
○政府委員(谷村裕君) 確実な数字は、ただいまのところ、突然のお話でございますので、記憶いたしておりませんが、青少年犯罪等につきまして、いろいろの面から対策を講じなければならないということは、司法のみならず、その他各般の面からも言われておるところでございますので、私どもといたしましても、本年度の予算におきましては、相当その面にやはり配慮したつもりではございます。ただ御指摘のように、三十人がそれで十分であるか、これでいいと思ってやっているかという点につきましては、率直に申しまして多々ますます弁ずということでございましょうから、もっと多ければ多いにこしたことはないだろうというふうにも考えます。しかし、予算を作っております際、いろいろな方面からのいろいろな御要求もございまして、それこれ合わせまして、裁判所の方に、この辺でいかがでございましょうかと申し上げて御納得いただいたような次第でございます。今後ともこういった面におけるわれわれとしての認識を深めつつ、また、努力はいたすつもりでおります。
○高田なほ子君 そういうふうにしてあなたの方が圧力をかけるのに、裁判所の方はその圧力に屈しているような傾向があるのは、はなはだ私ば不満です。予算がないなら、それで予算がないと説明して下さればいいんです。警察官はことし何人ふえますか。特に青少年犯罪の増高と、暴力に対して警察庁では何人の人員増を要求しているか、大蔵省はこれにどういう査定をしましたか。資料がなければいいですよ。
○政府委員(谷村裕君) 警察官は、たしか全体として四千五百人を第一線警察官としてふやしたはずでございますが、三年計画で一万名でございます。そのうち、少年関係にどの程度配置されることになりますか、あまり記憶しておりませんが、大体六百名ぐらいが全国にわたって配置されることになっているようであったかと思います。
○高田なほ子君 そういうように三年間に一万名増員計画というのがあるんです。ところが、青少年の犯罪を取り扱う家庭裁判所の調査官というのは、これは枢軸になって働かなきゃならない。それが警察官は三年間に一万名ふやす、ところが、家庭裁判所の調査官は三十名でしょう。今、国会でも政治問題になっているのに三十名です。おそらく来年も三十名で、その次も三十名ぐらいになるかもしれぬ。そういうことは考えたくないけれども、それほど大蔵省というものは、司法権の独立とか、司法権の確立ということについては怠慢なんですよ、認識が足りない。それだからこういう家庭調査官が三十名増員なんていうことで来ている。裁判所はこれで何人要求したのですか。初めから三十名要求したのですか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 裁判所は百名要求しました次第でございます。
○高田なほ子君 百名の要求に対して三十名に削ったというのは、よその省もそういうことをやっているのですか。そのために青少年の犯罪は政治問題になっている。これはよほど考慮しなければならないところだ。予算がないから三十名に削ったというのか、認識が足りないから三十名に削ったというのか、この点をはっきりして下さい。
○政府委員(谷村裕君) 一つ一つの例を今はっきり記憶しておりませんが、人員の要求に対しまして、ゼロで済んでしまったところもあれば、かなりそれを要求通りみたところもございまして、それぞれの事情に応じて、的確ではございませんが、三分の一程度というような例は他の関係でもいろいろあったと思います。なお、裁判所の三十名というようなことで、それでどうだ、それは一体予算が足りなくてそうやったのであるか、認識が足りなかったのであるかと言われれば、どうも私非常に認識がどの程度あるのが妥当であるかという点について、あまり自分でもそれは自信ございませんので、先生に伺って、私は認識を十分持っているだけの必ずしも自信はございません。それはまことに申しわけございません。ただ、何と申しますか、どれもこれもいろいろ十分によくわかっているかと言われますと、それはわからないのでございますが、わからないなりにも、ただいま仰せになりましたような点についても、私どもとしてはかなり考えたつもりでございます。まだ足りないという御叱声のお言葉は、来年度の予算編成等におきましても、十分参考にさしていただきたいと存じます。
○高田なほ子君 これでもう法務大臣もお見えになりましたから、やめますけれども、要するに、大蔵省そのものが、司法権というものについての勉強が足りない。さっきも話したが、陸上自衛官は千五百人ふえる、海上自衛隊は五千六百八十人ふえる、航空自衛隊は六千四百人ふえる。そうしておのおのそれには四億、三十七億、三十八億というような巨額な国費が組まれている。それなのに、青少年を守り、青少年をやがて社会に復帰させなければならない調査官の数が足りない。時間の延長まで法律的にやろうとしているほどに仕事の多い調査官を、たった三十名きりふやさない。こういうばかな政治というものはあったものじゃないと思う。しかも、国会では青少年の犯罪問題について、引き続いてこの問題は検討してきている。そうして裁判所に、普通の言葉で言うハッパをかけてきているのです。総長もお聞きいただけるように、調査官の数は足りないのだからふやすべきだということでハッパをかけてきている。百名なんというのは、むしろ私はしみったれた要求だと思う。それを三分の一削られて三十名になった。それをふやそうとするためには、何らかこれは方法を講じなければならない。調査官になり手はあるはずです。こういうような愛情のない政治、司法権を軽視する政治、ここに民主主義の芽は育たない。これはよろしく大蔵省の皆さん方にも、法務委員会に、ときには要求いたしますから、出席をぜられて、わが国の司法権というものが行政権と対等の立場で、匹敵する重さを持つものであり、立法権と匹敵する重さを持つものであり、その重さを守るがゆえにかくなければならないという相対的な考え方が立てられなければならぬ。大体自民党政府は、裁判権の拡充をあまり好まない傾向があるようにすら私はひがんで考えられる。司法権を軽視することは、これは民主主義じゃない。大臣もおいでになりますけれども、私は、司法権というものは、このような貧困な状態に置かれては和ならないものである。よろしく大蔵省もこの点に思いをいたして、よく勉強してもらいたい。司法権というものは行政権の下に置くべきものじゃないのです。対等の立場に立たなければならないものである。 以上私は、多くの質問は残りましたが、時間の関係上、あとは委員会に譲りますから、どうか一つ裁判所当局もよく勉強をせられ、大蔵省に負けないように一つしていただきたいと思うわけです。 以上で終わります。
○主査(小酒井義男君) お諮りをいたしますが、大谷贇雄君から、分科担当委員外委員として発言したい旨の申し出がありました。これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(小酒井義男君) 御異議ないと認めます。
○担当委員外委員(大谷贇雄君) 昭和三十三年の三月二十四日、予算委員会の同じく分科会で、裁判所並びに自治庁に対して御質問を申し上げたのであります。その問題をきょうも担当委員外発言のお許しを願って質問をしようとこの部属に入ってさましたら、裁判所の方であるかどなたであるか、質問をやめてくれと言う。はなはだ私は心外千万であります。この問題は自治省にもそういうことがありますから、後ほど申し上げます。 そこで、今から三年前のこの委員会で、私が質問をいたしましたのは、自由民主党の当時の参議院の関根久蔵君並びにかく申す大谷贇雄、さらに当時三年議員でありました社会党の八木秀次君、また、当時緑風会の柏木庫治君、さらに楠見元農林次官で参議院議員、この五名が、裁判所に対しまして国家賠償を要求をいたしておる問題でございます。この問題は昭和三十一年の七月三日訴状の提出をいたしたのでございますが、今日に至るまで五年近くになって、いまだにこの問題が裁判所におきまして御判決がない。一体いかなる理由に基づくのであるか、この点を伺いたいのでございます。この質問をいたしまするのは、私ども超党派で、国家に対して七百万円近くの賠償を要求いたしましたのには、非常に深い根拠があり、当然の要求として訴えをなしたのでございます。それは昭和二十八年の四月二十五日に旅行されました全国区参議院議員の選挙に際しまして、私も、今申す四名の人々も立候補をいたしました。当時第一位の当選者は宇垣一成元大将、大谷贇雄は第五十番目の、六年議員のどんじりでございました。私の下に三年の補欠議員として八木秀次さん、柏木天理教、楠見君らが当選をいたしましたのでございます。ところが、当選をして晴れて国民の輿望をになうて国会へ登院をいたしましたとたんに、たしか五月の三日かそこら辺でありますが、とたんに、栃木県の佐野という小さな市で、有権者三万人ばかり、この佐野市で次点で落ちました、ただいま参議院に出ておる平林剛君が全国区選挙無効の訴えを提起いたしましたのであります。それは、当時佐野市の選挙管理委員会が、平林君の党名を社会党と書かずに、日本共産党と書いた。四十カ所ばかりの投票所の入口にそれを掲示をしたわけであります。選挙管理委員会はそれに気がついて、一時間くらいでそれは全部回収をしたと聞いておりますが、とにかく党名の誤記をいたしたわけであります。そこで平林君は、もし共産党と書かれずに日本社会党と書かれたならば、自分は当然当選をしたものである。ということは、平林君の言うのにも多少の根拠がある。それは、平林君はたしか、タバコ耕作組合の委員長でありましたから、あの辺はタバコ耕作者の有権者がある。そこで、共産党と書かれなければおれは当選したんだという訴えを出した。そこで、この栃木県の佐野なんというところは、私は何の縁故もないところなんです。私の所属しております、私の宗派の大谷派の寺が一カ寺あるだけです。従って、私の得票はわずかに八票よりなかった。私の上の四十九番の関根君は埼玉県で、隣ですから、数千票もある。八木秀次さんも、社会党ではただ一人ですから、従って数千票あったと思う。柏木君も天理教の大教会があるから相当得票がある。楠見君は、奥さんがあの付近の人。大谷贇雄は、全投票の中で、わずかに八票よりもらってない。従って、もし訴えが通って全国区選挙無効ということになれば、再びそこで選挙のやり直しを、佐野というところは見ず知らずのところで行ったこともなければ聞いたこともないところ。何のゆかりも縁もない。わずかに私の方の大谷派の寺院が一カ寺あるだけの関係の土地わずか八票より出ないそのところで、毎選挙をしなければならぬということになればこれは、大谷贇雄は当然落選にきまっておる。せっかく全国の人々からの投票によっての当選をしたこの私が、選挙管理委員会の間違いによって、選挙管理委員会の重大なる疎漏によって、そうした運命に置かれるというようなことになるとするならば、これは前代未聞のことでありますし、容易ならざることである。従って、二十八年四月二十五日、私はせっかく当選はしたものの、もう月あけての五月二日か三日には、全国区選挙無効の訴えが起こった。従って、当選したやらせぬのやら、わけのわからぬことになった。本会議の議場に腰かけておっても、何だか腰が落ちつかんでふわふわする。まことに何とも言いようがないのです。このような全国の選挙民に対して申しわけない事態が起こり、私個人としましても、何とも言いようのない実は事態が惹起した次第です。そういうことで私は心を痛め、何とも言いようのない気持を感じたのです。ところが、この国会においては、自民党も、社会党も、全部で全国区の選挙が無効だというような、万一そういう判決が下るというと、全部やり直しです。宇垣一成初め、全部やり直しです。これでは大へんだということで、佐野は三万人ばかりですから、三万人の票数を何かで割って、そうしてそれに影響する者だけが、その場合には失格になって、再選挙をすることになろうということを国会で申し合わせしてしまったのです。すなわち裁判所に有利なようなことをやった。はなはだこれはこの当時当選した国会議員の人々の利己主義であります。私は心外にたえなかった。二重の苦しみです。一年半たって、その一年半というもの、私どもの苦しみというものは、口や言葉では名状すべからざるような、心胆を苦しめ、国会においても、落ちついて働くことはできないような状態となったのです。私どもは、関根さんなど隣の県だから始終行ける。また、農協関係だから組織がある、大谷贇雄はたった一方寺の寺では何ともしようがない、八票の土地ではどうしようもない。私どもは牧野良三先生、沢田竹治郎先生に弁護士を依頼いたしました。牧野さんは大丈夫、そんな自治省が、政府が間違えて、選挙管理委員会が間違えて、平林君が訴えを起こしたって、それでもって一時間ばかりの誤記でそんな全国区が無効になって、再選挙を行なうなんていうことはないのだから、大谷さん、そんなものちっともおそれることはない、安心して国会で働きなさいということでしたけれども、しかし、裁判所の、お上のことはどうなることやらわからない。さて、一年半たって、二十九年の九月二十四日、最高裁判書はついに全国区選挙無効の判決を下したのです。従って、私どもはせっかく当選したけれども、とたんに失格をするということになった。そうして議員バッチは失われたわけでございます。前に言ったように国会の諸君の申し合わせで、その場合に四十九番以下の者が選挙をすることになった、再選挙。そこでどうなることかと、苦しみ悩み抜いた一年半がたって、見ず知らずの土地で私どもは再選挙をしなければならぬという運命に立ち至ったのです。何とも言いようがない。ほかの人はそれぞれ基盤があるからいい。私はわずかに一ヵ寺のお寺よりたよるところはない。いよいよ自治省は告示を出して、二十九年十月十七日再選挙をする、前代未聞の選挙をやる、やむを得ません。しかし、楠見君などは、こういうばかなことはあり得ない、そんなばかなことはあり得ない、政府が間違えておいて、そうして投票を全国民から受けた者が、役所の間違いで失格をし、再選挙をする、また佐野の市民は二重投票なんだ、一ぺん投票した者が二重に投票権を行使する、そんなばかな、法治国家として、ばかなことはあり得ないじゃないか、こういうことで楠見君はついに立候補しなかった。政府に対して無言の抵抗をしたわけです。そこで、私はたとえ負けるということが明らかであっても、これは戦わずにおれません。全国の投票して下さった方々に対しても申しわけない。そこで、残念ながら、自由党は関根久蔵、大谷贇雄、社会党八木、緑風会柏木それから訴えを起こした平林、その下に北海道の何とかいう人がおりました。さらに自民党は――当時の自由党、今日はだいぶ違ってきておりますが、ずっと下の、佐野で一万票とっても当選できぬことの明らかな寺田甚吉というのを――大阪南海電鉄の元社長、これを私、関根のほかになお公認として推せんしたのですよ、自由党は。関根さんは農協の組織がある。大谷費雄はここで八票しかない。その上に、わが所属の党派自由党は、はなはだ遺憾千万ながら、寺田甚吉という人をさらに推薦候補にしてしまった。そして彼は数千万円の金を使ったといわれている。うわさによれば桐生、足利では一月も二月も前から、芸者総揚げをやったということだ、佐野ではできませんからよそでじゃんじゃんやって、そうして、その妻君は女優の筑波雪子です。選挙になったら大映、松竹の女優さんが数百名押しかけてきて、佐野の町は、びっくりぎょうてん、一ぺんに桜の花が咲き出したみたいになって、戦いは進められました。やむを得ません。私は覚悟のほぞをきめ、命がけで市民諸君に訴えた。 そこで、もういよいよ選挙の戦い済んで、泥にまみれ、ほこりにまみれて選挙戦をやってきた私は、髪床へ行って戦塵を洗って、これは残念千万だけれども、名古屋へ旗を巻いて帰るより仕方がないから、あきらめ切って髪床へ行ってやっておりました、ところが、新聞記者諸君がどかどかと入ってきて、大谷さん、よかった、よかった、何がよかった、あなた当選したんだよという、ふたをあけてみましたら、わずか八票の手がかり、あらしのような迫害の中で、私は勝ったのです。がっちりと勝利をかちうることができました。四千六百票、拝みたいような一票一票です。何も見ず知らずの大谷贇雄に対して、八票がついに開いて、四千六百票の票、私の上だった関根久蔵さんを飛び超して当選をする。関根久蔵さんはあとで選挙違反が起こって大騒動。私はお陰をもって、関東の義侠のある佐野市民諸君の正義の力によって、当選することができたのです。従ってこの一年半の苦しみというものは、何ともかとも言いようのない。そこで、先ほど申しました五名は、当然これは国家が間違ったのだから、慰謝料を賠償するのはあたりまえである。そこで、こういう訴えを提起をいたしたのです。三年前にもこの分科会で質問をして、早くやりますということでありましたが、今日に至るまでもそのまま放置されておるということは、いかなる事情に基づくものであるか。また当時自治省は、弁護士の沢田竹治郎――私どもの弁護士沢田竹治郎さんが、自治省側の弁護士であったために、沢田さんに向かって、あなた今まで政府側の弁護士だったから、今度五人の方の弁護士になることはおやめなさいと沢田弁護士に言ったというのですよ、はなはだ自治省はけしからぬ。それから私のところへ来て、それは国家賠償なんということは今まで例がないことだから、大谷さん、一つ取り下げて下さい。 与党だから私はけんかをしなかったが、何たる一体卑劣千万なことを私に言ってくるのか。私はいまだにそのことを思い出しますというと、胸の中に憤激の渦が湧く。今また裁判所の人は、きょう質問をやめてくれ、何です、一体これは。日本の政府、司法の独立をしておる裁判所の方々に、何のためにこの質問をしていけないか。私は与党であります。しかし、正しからざることに対しては、とことんまで究明せざるを得ない。私は党の治安対策特別副委員長をずっとしておる。従って、国家の治安問題に対しては、深甚なる関心を持ち、当局に対して私は敬意と、そうして今まで御無礼ですが、微力をささげて予算獲得等には努力してきた一人である。その私に対して、質問をやめなさい、一体何たることですか。私は何とも言いようのない憤激を覚えずにはおられません。正しからざることは、あくまでこれは究明しなければなりません。 自治省にお尋ねします。一体、そういう事実があったのをあなたは御承知か。こういう重大な誤記のあやまちを起こしておきながら、最高裁判所が判決をおくらせになったのをあれこれ言っても始まりませんから言いませんが、沢田弁護士は官選弁護人だったから、五名の方々の弁護は引き受けることをやめなさい。大谷贇雄に対して、国家賠償云々、そんなことを野党の人に言ったら、えらいことになってきますぞ、そうですよ。与党だから私は涙をのんでしんぼうにしんぼうを重ねてきた。そういうけしからぬことだ。裁判所の人は今何です、質問をやめてくれ、私は遺憾千万に思います。時間がないそうですから、どうか一つ、重大なる、自治省、選挙管理委員会がやっているのはあまりにも誤りがある。委員長もやめない。もとを正さなければ世の中は明るくなってきません。責任を感ぜざるような者が首脳部におってはだめです。自治省の答弁並びに裁判のおくれている経過について御説明を願って、さらにこの問題を私は他の委員会なり、あるいは本会議でもこれはやります。御説明を願います。
○政府委員(松村清之君) 私はこの佐野の事件につきましては、こういう事件が起きたということを承知はしておりますが、弁護士の方がそういうようなことがあったということについては、全然知りません。それで本事件、選挙局当局にとっても非常に重大事件でありましたので、以後はこういう問題が起きないように、選挙ごとに厳重に注意をしてやってきております。
○最高裁判所長官代理者(石田和外君) ただいまの御趣旨は、裁判が非常におくれておるじゃないかというような御趣旨でございますが、けさほど来いろいろこの席で論議になりましたようなこと等も原因いたしまして、ともかく裁判が一般的にややもするとおくれておるということは、非常に最高裁側といたしましても申しわけないと思っております。ただ、三権分立の建前上、個々の裁判のことに関しましては、私のお答え申しますのもおのずから制限があるわけでございますが、御趣旨はどういう経過だということでございますから、その程度のことは差しつかえなかろうと思いますので、調査したところによりますと、三十一年の七月の三日に訴えが提起になっており、三十一年の九月の六日に第一回の口頭弁論が開かれ、三十三年の二月の十一日に準備手続が終了いたしまして、三十三年の五月の三十一日に口頭弁論が終結をいたしたわけであります。ところが、よほどむずかしい法律問題等があると見えまして、一たん弁論終結いたしましたが、三十四年の一月十九日に弁論再開をしております。で、いたしました結果、三十五年の五月十九日に弁論を終結いたして、もう審理は終わっておるわけであります。で、結局、法律問題等検討中だと思いますが、結局、さような状況でございますから、判決はそう遠くない将来にあるものというふうに考えてよかろうと思います。
○担当委員外委員(大谷贇雄君) 先ほど来、朝からいろいろ御論議にあった問題とおっしゃったが、私は第四分科会委員ですから存じておりませんが、おそらくは裁判所の人が足らぬことも大きな原因であろうと思う。これは私は三十三年の質問をいたしましたときに、芦田先生の、あの偉大な政治家が十年間裁判が延びたために、塗炭の苦しみをなさった。そうして無罪の判決になって御承知の通り先般おなくなりになった。私は人が足らぬなら足らぬで、それこそ、さっきお話があったように、大蔵省にどんどん要求する、金も。そうして人もふやして、スピーディに処理をしていただくということが、国民に対する、私は、裁判所としてのそれは奉仕であろう、かように存じます。山積しておるような状況はすみやかに予算措置なり、人をふやすなりして、すみやかにやらなければ国民は納得いたしません。どうかそのことをお願いいたしまして私の質問を終わることにいたします。ありがとうございました。
○高田なほ子君 今の質問はそれは大谷さんのプライベートの問題のようなことで限られているというふうにおとりになった面もあるかもしれませんけれども、これは実に裁判全体の問題で、午前中から今まで裁判所の問題に時間をかけたが、たまたま大谷さんがその被害者の一人としてここに発言をせられた問題、これは福岡高裁でも、つい最近では三年の判決を受けて、最高裁の上告棄却まで四年八カ月という身柄の拘禁を受けた事例がある。これは大谷さんが今憤慨されるのも無理のない話で、このような人権じゅうりんというものが平気で行なわれている。たまたま大谷さんがその被害者の一人として今ここに大きな声で大へん興奮をせられて発言されましたけれども、実際その基本的人権を拘束される、こういうことについての国民の審判、批判というものは裁判に対して非常に大きく、裁判の不信はこういうところにかかっている。裁判が、長くかかるということは、国民の裁判権を拒否すると同じ結果になる。私は大谷さんが今非常に悲痛な体験を語られましたけれども、この全国の中にこのように不当な、長引く裁判のゆえに拘束を受け、かつ精神的な圧迫を受けなければならないという多くの人がおるということを認識せられて、大谷さんの裁判のみならず、少なくともこの裁判がスピーディにいけるように特段の一つこれは配慮をしてがんばってもらいたいと思う。特にまた、裁判所が議員の発言に対して、そういう発言をやめてくれなんということは、私としてもけしからぬ問題だと思う。そういうことはいけません。こういうことを審議前に拘束するということは、はなはだしくよくないことです。もしそういうことがあれば、大谷さんの答弁にかえて謝罪すべき問題だと思います。あえて私はこれに発言をいたします。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 大谷委員た対しまして、私の方からあとで幾らでもわかりますことは御説明いたしますから、時間等の関係もございましたでしょうし、また一つは、やはり具体的の事件につきましてどの程度に触れなければならないかという問題もございましたので、でき得べくんばここでの御質問はおやめいただけないかということを申しました。それに対しまして、大へんお怒りを受けたわけでございますが、私の方は決して答弁を拒否しようという意味では毛頭ございませんので、具体的の裁判の問題に関連しゃしないかということを懸念しただけでございますので、決して他意はございません。お許しを願いたいと思います。
○主査(小酒井義男君) 他に御発言もないようでございますので裁判所所管に関する質疑は終了したものと認めます。 ――――――――――
○主査(小酒井義男君) 次に、法務省所管を議題といたします。 まず、植木法務大臣より説明を求めます。
○国務大臣(植木庚子郎君) 昭和三十六年度法務省所管予算の内容につきまして、その大要を御説明申し上げます。 昭和三十六年度の予定経費要求額は三百三十一億八千六百七十八万一千円であります。このほかに官庁営繕費として建設省所管予算中に三億六千七百八十八万円を計上いたしております。法務省所管の前年度補正後予算額は三百一億二千五百七十三万一千円でありますが、その当初予算額は二百八十六億九千七十九万三千円であります。従いまして、右三十六年度の予定経費要求額を前年度当初予算に比較いたしますと、四十四億九千五百九十八万八千円となっております。 増額分の内訳を大別して御説明いたしますと、第一に、人件費関係の三十五億六千二百三十一万円であります。これは、昨年実施を見ました公務員給与ベースの改定に伴う増加分と昇給等原資としての職員俸給等の増加分であります。なお、それに検事、保護観察官等二百五十四名の増員及び常勤的賃金職員等九百九十名の定員化に伴う所、要人件費が含まれております。 第二に、営繕施設費の三億六千五十五万九千円であります。これには国連アジア地域研修所、仮称でございますが、の新営施設費としての六千五百六十二万六千円の増額分が含まれております。なお、建設省所管計上の官庁営繕費についても、三千四百八十三万二千円が増額されております。 第三が、その他一般事務費としての五億七千三百十一万九千円であります。これは事務量の増加に対応しまして増額されたもののほか、積算単価の是正及び事務能率化器具等備品の整備など、質的な改善に伴う増額分があります。 次に、本年度新たに予算の計上を見た事項経費について申し上げますと、第一は、国連犯罪防止アジア地域研修協力費であります。これは国連の社会防衛に関する技術援助事業の一環として、犯罪の予防並びに犯罪者の処遇の問題について、アジア極東地域諸国、すなわち国連加盟二十一ケ国より派遣される委託研修員に対する研修研究等を国連と協同して行うために必要な経費として要員十九名の増員のほか施設費の六千五百万円を含め、初度設備費及び事務運営経費など九千二十三万四千円が計上されております。 第二には、矯正施設の医師の充足をはかるため、矯正医官修学資金貸与法、仮称でございますが、に基づく医科大学生及び実地修練生に対する学資貸与に必要な経費として二百八十八万円が新たに計上されております。 なお、このほか、機構の充実強化を図る目的から、二百五十四名の増員及び東京入国管理事務所羽田空港出張所を入国管理事務所へ昇格すべく計画いたしております。その内容について簡単に申し上げますと、まず、羽田空港出張所の入国管理事務所への昇格の理由といたしましては、最近の航空機の飛躍的進歩発達に伴う世界交通の激化によりまして羽田空港の国際的地位が重要化し、出入国者がますます激増する傾向にありますので、現在進行中の同空港施設増強計画に対処し、同空港における業務処理を適切迅速ならしめるため、同出張所を東京入国管理事務所から独立させ羽田空港入国管理事務所とし、機構上の強化を図る計画であります。 次に、増員二百五十四名の理由及びその内訳を申し上げますと、第一に、非行青少年対策を強化するための増員が百四十名であります。その内訳は、本省刑事局青少年課の充実のため事務官三名、地方検察庁刑事資料調査室の充実のため検事三名、検察事務官十名、合わせて十三名、保護観察所機能の充実のため保護観察官百名、少年院補導力の強化のため教官十四名、少年鑑別所鑑別業務の充実のため鑑別技官十名でございます。 第二に、暴力犯罪対策等治安対策を強化するための増員が四十六名であります。その内訳は、地方検察庁機能の充実のため、検事五名、検察事務官八名、合わせて十三名、破壊活動調査機能の充実のため公安調査官三十三名でございます。 第三に、公判審理の迅速、充実化に伴う地方検察庁の機能を充実するための増員が検事七名、検察事務官十二名、合わせて十九名であります。 第四に、交通事件激増に対処し事件処理機能を充実するための増員が検察事務官二十名であります。 第五に、登記、台帳事務量の増加に対処し、その事務処理を円滑適正にするための増員が事務官十名であります。 第六に、国連アジア地域研修所要員として必要な増員が教官等十九名ということになっております。 次に、おもなる事項別に予定経費要求額の概略を御説明申し上げます。 第一に、外国人登録法に基づき、在日外国人の登録及び指紋採取の通常事務を処理するために必要な経費といたしまして、一億二百八十七万七千円、第二に、法務局、地方法務局等におきまして、法令に基づく登記、台帳、供託、戸籍等の事務を処理するために必要な経費といたましして、五億一千二十一万三千円、第三に、検察庁におきまして処理する一般刑事事件その他各種犯罪事件の直接捜査活動に要する経費といたしまして五億五千四百二十一万円、第四に、拘置所、刑務所、少年刑務所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院の昭和三十六年度の一日収容予定人員合計九万六百四十人に対する衣食、医療及び就労等に要する経費といたしまして五十億七千七百六十八万八千円、第五に、犯罪者予防更生法、更生緊急保護法及び執行猶予者保護観察法に基づき、刑余者及び執行猶予者を補導監督し、これを更生せしめるための補導援護に要する経費といたしまして四億六千三百四十八万八千円、第六に、出入国管理令に基づき、不法入国者等の調査及び審査事務を処理し、被退去強制者につきましては護送、収容、送還する必要がございますので、これに要する衣食、医療及び送還のために必要な経費といたしまして七千八百十七万四千円、第七に、公安調査庁におきまして処理する破壊活動防止のための調査活動等に要する経費といたしまして六億一千三百十四万二千円、第八に、検察庁庁舎その他及び刑務所、少年院等の収容施設の新営、整備等に要する経費といたしまして十三億六千八百七十九万一千円をそれぞれ前年度に引き続き計上いたしました。 以上が法務省所管歳出予算予定経費要求の大要でございますが、このほか滋賀刑務所及び松江刑務所の移転に伴う施設取得にかかる四億二千万円の国庫債務負担行為を要求いたしております。 最後に、当省主管歳入予算について一言御説明申し上げます。 昭和三十六年度法務省主管歳入予算額は七十六億八千六十六万三千円でありまして、前年度予算額六十四億六千八十六万五千円に比較いたしますと、十二億一千九百七十九万八千円の増額となっております。その増額となったおもなものは、罰金及び没収金並びに刑務所作業収入でありまして、過去の実績等を基礎として算出されたものであります。 以上、法務省所管昭和三十六年度予算について、その概要を御説明申し上げました。よろしく御審議を賜わりますようお願い申し上げます。
○主査(小酒井義男君) ただいまの説明に対して御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○高田なほ子君 今度の予算は実は大へん私は楽しみにしておった。それはどういう意味で楽しみにしたかというと、決して刑務所がふえたり、あるいは少年院がふえたりすることが楽しみだという意味ではなかったわけです。つまり、どこの刑務所に参りましても、大体これは過剰拘禁、少年院等に参りましても、これまたオーバーした人員が収容せられております。このことについては、しばしば参議院の法務委員会では過剰拘禁ということを問題にして参りました。現在のこの過剰拘禁を緩和するためには、相当の巨額の費用をもって刑務所や少年院を建てなければ、この過剰拘禁を緩和することはできない、こういうことはわかり切ったことであります。しかし、このことは、考えてみると、刑務所や少年院をふやしたら問題の解決がはかられるのではなく、新たに刑事政策の面で一つの転換を迎えなければならないということを実は考えながらこの予算を拝見させてもらったわけです。ここに人件費の中に、保護観察官等二百五十四名の増員、このような大幅な増員がここに認められたように一見見受けられるわけであります。現在の保護観察官等は、はたして二百五十四名の増員でもってまかなえるかどうかということについては多々問題があろうかと実は思います。しかし、このことは何としてもこれを増強していかなければならないことになるわけですが、一体、現在の刑務所にどのくらいの人員が収容されておるのか、そしてその収容されておる犯罪者の初犯と再犯というのはどういうような比率になっておるものなのか、これは数字的なお答えを要求しておりますので、資料をお持ち合わせでございましたら、大体の在監者の状況というものをお話しいただければ大へん私はしあわせだと思う。
○政府委員(大沢一郎君) 刑務所、少年刑務所等の収容人員の推移でございますが、昭和二十五年から、過去約十年の経過を見てみますと、昭和二十五年には、年末の現在人員が九万五千三百八十名、これが漸次減少して参りまして、昭和三十五年末におきましては七万二千百十六名という数字に減少しておるわけであります。その減少は、漸次減ったわけではございませんで、途中から一部の増員はございましたが、大体、最近の傾向といたしまして、減少の傾向を見せておる次第でございます。しかしながら、再犯者の数でございますが、昨年末の懲役刑受刑者の数を見て参りますと、成人受刑者のうち再犯者が三万一千七百八十七名、初犯者が二万七千四十五名、合計五万八千八百三十二名でございまして、初犯者が四六%、累犯者が五四%となっておるわけでございます。 なお、少年院につきましては、累犯者が六名、初犯者が二千百四名、二千百十名、初犯者が九九%、累犯者が〇・三%、これを合計してみますと、初犯者四七・八%、累犯者が五二・二%、かような数字になっているわけでございます。
○高田なほ子君 この刑務所に収容されている犯罪者は、現在そうすると七万人程度というふうに解釈してよろしゅうございますか。
○政府委員(大沢一郎君) これは受刑者並びに拘置所等を合わせまして約七万という数字になっておるわけでございます。
○高田なほ子君 七万人の犯罪者が収容されておる。しかし、傾向としては在監者が減ってきておるということ、このことはけっこうだと思いますが、しかし、収容されていることと、それから世上に起こる犯罪数とは別個の統計を示しておるのではないか。在監者は減っているけれども、実際は検挙される者、犯罪を犯す者、そういう者が多いように思いますが、法務省の統計を私拝見いたしますと、三十四年では刑法犯百五十六万件、これは最近の最高のレコードを示している。凶悪強盗殺人、こういうものも三八%を占めて、最近の最高率を示しておる。暴行脅迫犯、これは戦後第一位の数字をあげているようです。傷害脅迫、これも第三位、強姦、これは戦後最高の数字を示しておるというように、犯罪の実数そのも一のは、あまりいいレコードだとは思いませんが、レコードを示しているのが最近の状況、しかし、在監者は七万人に減ってきている。このことは一つの刑事政策を意味するように考えられますが、このように在監者が減ってきたということについて、どういうような観点から、この犯罪者は激増する、しかし、在監者が減ってくる、これは一つの一貫した政策の中にこういう数字が出てきておると思いますが、一面、社会不安というものはこのことによって醸成される可能性もまたなしとしない。一体、刑事政策は社会の不安をなくすとともに、人権を保障するという建前に立たなければならないが、この少年の犯罪の激増と在監者の減少傾向というものとの間に一つの政策というものがなければならない。その基本的な政策というものはどういうような政策であるのか。ちょっと質問の意味が理解されないかと思いますが、罪を犯した者に対して、これをぶち込んでしまうというのと、そうではなくて、罪を犯してもなおかつその者に対して手を伸べながら、これを更生させるという政策があるはずです。私は前者をとるべきではないという考えを持っている。予算面を見て若干うれしいと言ったのはそういうわけなんです。しかし、拝見する予算の面では、私の考えている理想とはまだほど遠いものがあるので、この際、この犯罪の激増するのに対して、在監者が数字的に減っているというこの事実に対して、現在の刑事政策というものの基本を私は法務大臣から承りたい。大臣、私の言う意味がおわかりでしょうか。
○国務大臣(植木庚子郎君) 刑事局長に一応答えていただきます。
○政府委員(竹内壽平君) 刑事政策の本義といたしましては、やはり罰を課して、それを刑務所に収容するということよりも、保護の機能を拡大強化して、保護の手段によって犯罪に陥った者を更生させ、再犯を防止するということが終局の刑事政策の大きなねらいだろうと私は考えております。ただいま御指摘の数字の中には、そういう面の動きもとらえることができるかとは思いますけれども、なお数字を綿密に調べてみると、そういうふうになっておるのだと確信を持って申し上げるわけにはいかないと思うのでございます。少年につきましては、少年院に入るわけでございますが、成人の統計を見ますと、昭和二十七年を一〇〇として、刑法犯だけについてみますると、必ずしも大きな伸びがないのであります。二十八年が九八、二十九年が一〇〇・六、三十年が一〇六・八、三十一年が一〇九、三十二年が一〇七、三十三年が九九・三、三十四年が九七・七、こういう状態で、若干出入りはございますが、横ばい状態になっておるのでございます。しかし、横ばい状態になっているにもかかわらず、なお二十七年当時に比べまして収容者の数が減っておるということは、まさに高田委員の御指摘のような面が強調されておる結果だと思います。たとえば処分をされましても、起訴を受けましても、執行猶予になりまして、それが保護観察になるとか、あるいは矯正の面におきまして仮釈放になって、保護観察によってそれをまかなっていくとかというような面が強調された結果だと思いますが、全体として申し上げますと、の上では横ばい状態でありまして、収容した数字が必ずしもふえていないという点は、この統計の上からもうなずけるわけでありますが、ただ、収容者の数が減っておるというところに若干そういう希望が感じられるわけでございます。
○高田なほ子君 ただいまの御説明は全く真実の御説明で、私もあなたの説明に共感を感じるわけでありますが、現在の日本の経済面から考えても、犯罪者が激増すると、どうしても施設が足りなくなる。施設が足りなくなると、どうしても人権侵害という問題が起こってくる。従って、施設に莫大な経費をかけていかなければならない。こういうようなことは、もはやここらあたりで一つ刑事政策に新機軸を開かれて、単に収容してしまって身柄を拘禁するというのではなくて、今、刑事局長が目ざされているこの保護の機能の強化というところに全面的に力を注ぐ時代が来ているのじゃないか。しかし、法務当局としては、その全面的なこうした方面に行くところの検討ということについては、どういうふうにされているか私わかりませんが、しかし、保護機能拡充という面に新機軸を開いていこうとする若干の意図がこの予算に見られたということについて、私は先ほどうれしいと申し上げておるわけです。これは法務省が施設を拡大する方向にいくのか、そこへ収容する者を拡大していく方向にいくのか、これは大へん大ざっぱなとり方ですが、収容施設を拡大していこうとするのか、それとも保護の面を拡大していくという方向に行こうとするのか、これは政策の面にきわめて重要な問題だろうと思う。従って、私の主張するところは、拘束の面に費用を拡大するのではなくて、保護更生の面に国の予算は拡大されなければならない。刑事政策としてはそうこなければ、日本はもう監獄ばかり建てるのにお金が要って、少年院の増設にばかり頭を悩まして、そのことにだけきゅうきゅうしてしまうということであってはならないじゃないか。私はこういう意味から、新しい刑事政策の転換というものを強く希望しております。こういう面についての検討は審議会等においてなされておりますか。この点伺わしていただきます。
○国務大臣(植木庚子郎君) お答えいたしますが、特にその問題を取り上げて特別な議論、研究をした事跡は最近においてはないようでございますが、部内の省の会議におきまして、随時こうした問題についても、ぜひ理想的な教育刑主義といいますか、そういう方面にできるだけ移行して参りたい、かように考えておる次第であります。
○高田なほ子君 法務省はこういう、政策の転換とは申しませんけれども、一つのめどを開くことについて、少し鈍感なのではないかという気がするわけです。法務省の統計を拝見すると、二十秒に一人の割りでもって犯罪が行なわれている。私が今しゃべっているこの瞬間に、日本のどこかで犯罪が行なわれている。これは法務省の統計で、私のはったりではない。実にこれはおそろしいことです。こういうような、社会不安も、こういうところに起因するのであって、悪いことをした者を過剰拘禁のままで入れておき、国会から追及されて、予算を計上して、これをふやしていくというのでは、あまりに能がなさ過ぎるのではないか。特に今少年問題について、初犯は九十九%であり、累犯は〇・三であるというような統計をいただくと、一そう初犯九九%に対する保護観察というような面がもっともっと強化されなければならないはずのものです。また成人の刑法犯に対しても、当然保護更生の面というものは強く考えられなければならない時期にきているのではないか、こういうふうに考えるわけですが、法務省には更生保護事業審議会というのが、きのう総理府から資料をいただきましたら、そういう審議会がございました。竹内さんもその委員のお一人におなりになっていらっしゃるようですが、三十四年度からどうも一ぺんもその審議会は開かれておらないようでございますが、当面する刑事政策に対する保護更生の面の重要さを考えたら、もっと審議会というものは活動していいのではないか。審議会委員のメンバー等については、数も少ないようです。そうして予算も非常に少ないようです。なぜこういう面について考慮が払われなかったのか、私、疑問にたえない。大臣は今後こうした一つの保護更生面の拡大をはかるという方向に転換するためには、いち早く審議会等に諮問なさるのがあたりまえのような気がいたしますけれども、なぜ審議会の活動はかくも緩慢なのであるか、私の理解のいかない点です。特に竹内刑事局長は、審議会委員ですから……。
○政府委員(竹内壽平君) 更生保護事業審議会というのがございますことは、ただいま御指摘の通りでございます。この審議会は、実は本日ございまして、若干の事項を審議決定いたしたのでございますが、私の承知しておりますところでは、ここでその大きな国の刑事政策を決定して打ち出すというような機関ではございませんで、そういうことはもう一保護局の問題じゃなくて、法務省の全機能をあげてそういう方向に向かうということでございます。ことに、私の方の所管しております検察庁の仕事と保護の仕事とは表裏一体、よく検察、行刑、保護と申しまして、この三つが歩調を合わしていかなければならんということが言われておるのでありますが、私の方が非常に繁盛いたしますると、これは先生の御期待に反するような検挙、処罰というようなことになるわけでございます。そこでこの問題は、事件が多くなって参りますと、どうしても取り締まりの方に重点がかかるわけでございますけれども、ここ数年来、特に三、四年前から大きな考え方の変化をいたしまして、御承知のように、刑事政策へ大きく踏み切っておるわけでございます。現に本年の前半開かれました検察長官の会同におきましても、刑事政策という問題を取り上げまして、検察の運用にあたって刑事政策的考慮をどういうふうに加えていくかということを真剣に論議したのでございまして、問題を取り上げただけではなくして、そういう問題が検察長会同議題になりますことが、法務省の性格が明かるい方向に何歩か踏み出しておるように私は考えておるわけでございまして、統計をながめますと、まことに嘆かわしい数字を示しておりますが、取り扱いというようなものにつきましては、今申しましたように、刑事政策的に大きく踏み切って、本年の予算も、もし事件数で増員等を要求しますならば検察庁の増員要求というものは膨大なものにならざるを得ないと思いますが、私どもはそちらの方は最小限度にとどめまして、保護観察官の大量な増員に踏み切っていただきました。これは決して局のセクト主義に基づくものじゃなくして、全省あげまして保護観察官の増員に協力をいたした結果でございます。
○高田なほ子君 大へんけっこうなことです。私がどうしてきょうこういう質問をするに至ったか、私はしろうとなんですから、その心境を申し上げると、この犯罪口番です。これは法務省がお出しになっている。これを拝見してしみじみ考えたことは、刑務所に収容されている者、少年院または鑑別所に収容されている少年たち、これらの者の精神状態を分析した数字が出ておりますが、ここでは数字をこまごまのことをあげませんけれども、刑務所あたりでは正常な精神を持っているというのはもう四%くらい。あとは大体精神障害者であります。精神障害者の範疇は非常に広うございますが、中には精神病者もいる。少年院に収容されている者も、精神が健康であるという者はごくわずかで、大部分の者が精神障害者である。こういう者を何べん牢屋の中へぶち込んでも、何べん裁判にかけて判決をしてぶち込んでも、それは累犯を繰り返すだけであって、これは国の予算をただむだに使う結果に終わってしまう。そうであるとするならば、これは刑事政策の上から考えなければならないのじゃないか。精神障害者の中にも格段の種別があるようですが、この精神障害者の格段の種別の中で、将来矯正し得る可能性が全然ないというものはどういうものであるのか。この点は一つ専門的な方から伺わしておいていただきたい。これはどうなっていますか。
○政府委員(大沢一郎君) 今さような関係で、私も医学的な面はしろうとでございます。今医療分類課長が出席しておりますが、説明さしていただいてよろしければ一つお許しをいただきまして、医療分類課長から説明したいと思いますが、よろしゅうございますか。
○主査(小酒井義男君) ええ。
○説明員(大津正雄君) 私どもが、少年鑑別所あるいは少年院、刑務所のいろいろの専門家を動員しまして取り調べた結果では、やはり少年院の収容者が一番精神障害者の数が多うございます。大体二七%精神障害者であります。刑務所や鑑別所になりますと、それが一〇%ぐらいまで減ってくる。そういう少年院のたとえば二七%の精神障害者のうちで何が多いかと申しますと、やはりその半分ぐらいは精神薄弱者でございまして、まあこの精神薄弱者を矯正、治療、教育がどこまで可能であるかということも非常にむずかしい問題でございますけれども、最近の精神医学、精神衛生の発達によりまして、いろいろな薬餌療法、たとえばギャバというような薬を使うとか、いろいろな専門的な治療によりまして、場合によっては知能が幾らかよくなるというケースもございます。それから、場合によりましては知能指数は格別によくならなくても、社会的要請と申しますか、非常に行動が社会化する、そういう結果はある程度出ておるわけです。それからごくわずかでございますが、精神病者もごくわずかいるのでございます。御承知のように、ほんとうの心身喪失の精神病者ならば罰せられずに、精神衛生法に基づく措置入院を受けて精神病院へ行くわけでございますけれども、心身喪失に至らない心身耗弱の程度の者ですと、今の法律では一応罰せられまして、刑務所なり、あるいは保護処分の対象として医療少年院へ行く場合がございます。こういう精神病者も、比較的軽く、精神病院に送らなければならないような重い者でなしに、比較的軽い精神病者でございますので、これはいろいろなトランキライザーとかその他の薬餌療法によって、ある程度は治療のめどもこれからの医学の発達によっては可能ではないかというふうに考えておる次第でございます。 それから、もう一つ精神障害者の内容と申しますか、いわゆる性格異常者、つまり正常人と精神病者の中間に位する、これは非常に判定がむずかしいのでございますけれども、精神病質者というグループが相当いるわけでございます。まあこれは社会の中にも、性格異常あるいは精神病質者は相当数いるものと推定されるのでございますが、これは反社会的な行動に出て、刑事処分なり、あるいは保護処分の対象になる場合が相当あるわけでございます。この人たちをいかに診断し、いかに治療するかということについては、現在の精神医学が総力をあげて今研究している問題でございますが、これもわれわれがもっと治療できる、何といいますか、集団心理療法というような技術をもっと活用できるようになりますれば何らかの手がかりができるのじゃないかと、こういうふうに私どもの立場としては考えておる次第でございます。
○高田なほ子君 収容されている者を医学的に分類して参りますと、結局は何べんぶち込んでも同じことを繰り返していく。成人の場合も少年の場合もこういう一つの統計から見たときに、どうしてもこれは保護観察というような面が強化されて、新たなそこに手を打たれなければ日本の刑事政策というものは壁にぶつかるような時代がくるのではないかということを非常に私おそれておるわけであります。この点については、そこだけ繰り返しているわけには参りませんが、しからばこの保護観察のために大へん重要な仕事をする保護司の仕事でありますが、保護監察上はもちろんでありますけれども、これの強化拡充はもちろんでありますけれども、それと並行して、この保護司の仕事というものが、きわめて重要な役割を果たすように考えられますが、この保護司は現在何名おるものであるか。その給与と申しますか、報酬というものが少し予算ではふえておるように感じられますけれども、この実情はどういうふうになっておるのか、この点について。
○政府委員(井嶋磐根君) 保護司の数でございますが、定員の上では、御承知のように、五万二千五百人でございますが、欠員がございまして、ただいま現在四万九千人でございます。 それから実費弁償金でございますが、二、三年ぶりに増加が認められまして、単価の百九十円から二百三十円に増額になりました。
○高田なほ子君 保護司法によれば、これは五万二千五百名以上をこえない、こういうことになっておるわけですね。現在はどのくらいおりますか。
○政府委員(井嶋磐根君) 現在大体四万九千人前後と考えております。毎日異動がございますので、きょう現在の正確な数字はつかみがねておりますが、大体四万九千人でございます。
○高田なほ子君 大体、保護司は今五万名おる、しかし、法律で定める定員は五万二千玉百名である。今欠員が若干おるようでありますが、私は、思い切ってこの刑事政策を変えようとするなら、保護司の定員という問題については検討される時代がきておるのではないか。法律ではそう定めてある。しかし、今保護更生の面を拡大していこうとするならば、保護司の定員は自動的にふやしていかなければならない。しかし、法律は五万二千五百名という定員のワクを縛ってあるわけです。だから法律を改正して、もう少しこれを拡大するような方向にいくべきではないか、こういう意見を持つものであります。この意見に対してどうか。それから、少しこの報酬額が上がったようでありますが、保護司の身分は非常勤の公務員です、法律の建前からいうと。これはまあ実費弁償のような程度でいっておるようでありますけれども、百九十円、二百三十円というこの基準単価というものは、改正したというにしてはあまりにもお粗末過ぎる。一体その保護司の実費報酬というものをどのくらいに当局はつかんでおるのか。もしそのつかみ方が的確にいきませんと、絶えずこの定位置にとどめられる危険性がなきにしもあらず、この点についてお答えを願いたいと思います。
○政府委員(井嶋磐根君) 第一点の保護司の数をふやせというお説でございますが、ごもっともと存じております。しかしながら、現在私の方で見ております保護観察の対象者の数でございますが、最近の数字で出ておりますのは、昨年十一月現在で大体九万四千人と見ておるのでございますが、これを保護司さんの数で割りますと、一人二件にならない、約一・五人くらいをまあ平均いたしますとお願いをしておるということになるのでございまして、むしろ私の方で急ぎますのは、それよりもむしろ保護観察官でございます。保護観察官は、御承知のように、五百五十九名現在定員がございますが、そのうちで所長とか課長とか役についておりまして、百パーセント保護観察に従事できない者を除きますと、三百五十人余りでございます。それで約九万四千件の事件を処理いたしておりますが、むしろ予算的にはその方の増員ということの方がむしろ先決問題じゃなかろうかというふうに考えておる次第でございます。おかげをもちまして、今年また百人予算で認められておりますので、幾らか昨年度よりはその点は是正されたことになるわけでございます。 それから、この保護司の弁償金の問題でございますが、実は考えによりまして、これは際限がないのでございます。今日の事情からいたしまして、百九十円と申しましても、また二百三十円と申しましても、ほんの保護司さんがお使いになる金の一端だというふうに私ども考えております。しかしながら、保護司さん制度の本質が、必ずしも国の予算でやっていただくという建前ではございませんので、篤志家として、若干の身銭を切ってでもやろうという篤志のある方にお願いをしておるわけなんでございまして、まあ漸次よくはして参りたいと思っておりますけれども、予算的な措置といたしまして、今保護司で一番の問題は、やはり観察官の増員ではなかろうか、さように考えております。
○高田なほ子君 緊急の問題で保護観察官の必要性は当然認めます。認めますが、法律の建前から給与を支給せず、実費の全部または一部を支給することになっているわけなんです。全部またはその一部を支給することになっている。私はいつまでも法務省はその「一部」につながって篤志家の協力にのみ要請する時代は、すでにもう過ぎてきているのではないか。もっとやはり実費弁償という建前を強調する必要があるのではないか、このように考えておるわけです。これは私の意見であります。そういう方向に進んでいただかなければならないと思います。なお、先ほどの予算の説明では、保護観察官等二百五十四名の増員と、こういう説明があったわけです。私は大へん喜んだのは、保護観察官が二百五十四名ふえて、ほんとうにいいと思ったんですが、ところが、「等」ということになって、今の説明では保護観察官は百名、こういうような説明をいただいておりますが、その「等」というのの内容がこれはどうなんですか、保護観察等二百五十四名とこうなっている。それから非行少年対策の強化として百四十名と、こういうふうにここに二つ説明が出ておりますが、この増員の内容がはっきりつかめませんので、もう少しここを詳しく説明していただけませんか。
○政府委員(近藤忠雄君) 今年度の増員をいただきました内容を御説明申し上げますと御質問の趣旨に沿えるかと思いますので、御説明申し上げたいと考えます。 今年度の増員は、一応保護観察官が百名、それから刑事局の青少年課の増員が三名、それから検察事務官の増員が五十名、それから少年院の教官が十四名、少年鑑別所の技官が十名、それから公安調査庁の調査官が三十三名、法務局の事務官として十名、アジア研修所の教官等といたしまして十九人、検事が十五名、これだけを合計いたしまして二百五十四名の増員になっております。
○高田なほ子君 保護観察官というのはわずか百名です。今その内訳をずっと説明していただきまして、私は少しがっかりしてしまっておるわけなんです。公安調査庁の三十三名を筆頭にしまして、あとはもうこれはお話にならない、こういうようなんで、私は大へんがっかりしておるわけです。しかし、百名でもこれは増員になったことは、これはけっこうであります。先ほどからしばしば自衛隊の増強とこれと比較して、いかに日本の政府というものは、子供たちというものに対して愛情がないのかということで考えさせられておるわけですが、そこで、この保護司の仕事、あるいは保護観察官の仕事、これは車の両輪のように増強されて、この機能は十分に発揮されなければなりませんが、これがやれないばかりに山口二矢がああいうことになっちゃった。小松川高校の女学生殺し、あれも保護観察中の人物なのに、手が伸びないで結局ああいう犯罪を犯させてしまった。私はこういう点を考えても、どうしてもこの保護観察の面が近い将来において拡充されなければならない、同時に、保護司の仕事というものは、もっと重点的に考慮されなければならない、こういうふうに考えておるわけでございますが、来年度あたりの計画というものは、すでに今度の百名増に対して計画が立てられておるものでしょうか。現状に対してこの百名というのは、スズメの涙のように思いますけれども、どんなものでしょうか。
○政府委員(井嶋磐根君) 実は、本年度の予算要求といたしましては、私の方は二百四十五名の増員を一応要求したのでございます。積算の基礎を一応提出いたしまして、二百四十五名要求いたしました結果、百名お認め願ったのでございまして、今後引き続いて増員に持って参りたいと、かように考えております。
○高田なほ子君 これは、保護観察の成績が、山口とか、それから小松川高校生の例をとったら、さっぱり効果が上がらないように一面考えられますけれども、これはどんなに強化しても損することはない。それは、法務省の統計で示されるように、保護観察を受けた三十四年度の者は十四万三千四百七十名で、この中で、再犯等で観察処分を取り消されちゃったのはわずかに五%ですものね。そうだとすると、保護観察の成績というものは、こればほんとうに顕著に上がっておると私は思う。そうだとすれば、新しい刑事政策としては、どうしてもこの保護観察という面を強化していかなければならないという結論に遭遇するわけであります。できれば、法務大臣は、三十六年度の予算は通りましても、保護観察面の拡大強化のために、やはり計画的なものをお持ちになる必要があると私は考えられますが、この点は、従来どういうふうな計画を進めてこられたものですか。今後またこれをどういうように具体的に進めていこうとするのか、案があれば承らしていただきたいと思います。
○国務大臣(植木庚子郎君) 私の答弁ですから、はなはだ抽象的な意見になりますが、本年度の予算の請求並びにその決定のいきさつにかんがみましても、われわれ当局といたしましては、こうした問題につきまして、でき得るならば、当切要求しておる人員の完全なる承認を求めたくて、非常な努力をいたしたのでございます。しかしながら、御承知のように、法務省全体の予算として、ほとんど定員増加の要求が大部分を占めざるを得ないという事情にあるのでありまして、これに対して、政府のことしの基本的な方針が、役人などの増加はなるべく認めないでいこう、なるべく現在員のやりくりによって処理していこうという原則を立てておりまして、その原則に対しまして、われわれは例外を求めて、そうして今回各事項で御説明申し上げましたような定員の増加を無理にお願いをしたのであります。従って、われわれは、今度の承認を得ました査定人員で決して十分と思っているのではないのであります。やむを得ず今回は一つこの程度で一たん思いとどまって、さらに来年度を期し、また来々年度を期して参る、これよりほかに方法がないというふうに考えましたので、ことしは説明申し上げましたような数字になっております。しかし、今後といたしましては、ただ単に、たとえば今の政府委員から答弁申し上げました二百四十五名のうち百名認められたから来年は百四十五名、あとの残りだけを実現するといったような構想でなく、御注意の点もございますし、われわれもさらに反省を加え、研究を加えまして、合理的なしかも理想的な増員要求を将来期して、実現の方向に向かって参りたい、かように考える次第でございます。
○高田なほ子君 累犯を防ぐということは、社会秩序の上からきわめて重要な問題です。そこで私は、今保護観察の面を申し上げましたが、なかなか定員増というのはむずかしい問題だろうと思います。しかし、これは努力してもらわなければならない。さらに、その定員増だけではなくて、今度は更生保護法の適用が、運用がどういうふうに行なわれているかというところが、私は、定員増ということではなしに、ここが一つの盲点になっているのじゃないか。今回の予算を拝見いたしますというと、保護更生面における予算の面については、失礼ながら格段のものは見られません。法律の精神では、保護更生の仕事は、第三条によって国の責任がここに明確にされておるわけです。そうだとするならば、保護更生の運営に当たる国の予算の規模というものは、ある程度これは拡大していく必要があるのではないか、このことが新しい刑法の建前であるならば、もっとやはり国の責任の範囲というものを明確にして、この予算の面に重点的にやはりお考えをつけていくという方向が正しい方向ではないかと思いますが、現在の保護更生の運営はどういうふうになっておりますか。また、保護更生の運営の欠陥をどういうふうに当局はお考えになっておられますか。この点を一つ聞かせていただきたい。
○政府委員(井嶋磐根君) 更生保護会のことと拝聴いたすのでありますが、更生保護会の支出に対しましては、国から補助金を出しておりまして、冒頭において大臣から説明がございましたように、予算的に三十六年度は若干の増額を見ておるのでございます。その内容は、保護対象者を泊めます宿泊費あるいは与えます食事費、それに関連をいたします事務費でございますが、それぞれの面におきまして若干の増額が見られております。しかしながら、これとても、先ほど実費弁償費で申し上げましたように、今日の世の中の事情から比べますと、とうてい償えない金額でございまして、もっともっと補助金を強化しなければならぬというふうに考えておりますのと、それから、保護会が現在予算的にそういうふうなことでございますので、なかなか保護会を民間の方でお作りいただくのがこちらの期待通り参りません現在、全国で約百七十カ所ほどしかございません。収容定員ははっきり申し上げかねますが、たしか四千人か五千人と心得ておりますので、とてもとてもそういう数字では間に合わないのであります。今後予算の措置を講じますと同時に、一つ保護会をもう少しふやして参りたい、そういうふうに指導して参りたいと、かように考えます。
○高田なほ子君 私は、更生保護法の改正の必要があるような気がするわけです。その点はどういう点かというと、国の責任が第三条で明確にされておりながら、末尾では寄付行為ができることになっている。こういうのは一つの社会福祉事業だというふうな割り切り方もあるかもしれませんけれども、しかし、寄付行為等によってこの社会悪の中に好まずして迷い込んでしまった者を更生させていくというようなことは、少しお門違いではないか。特に政治のあり方によっては犯罪が減ったりふえたりする。最近は非常に窃盗犯がふえているようです。このように、更生保護の面における寄付行為というものは、ある程度法の面から削除していってもいいのではないかと思う。これは、自治法の改正で、税外負担行為の中に、各種の寄付、PTAの寄付、それらの寄付行為が一応今度の法改正では禁ぜられていくことになっているのです。これだけが法律の中に例外規定で認められているのが、いかにも私は不思議にたえない。なぜこの更生保護事業というものが、国の責任が明確に第三条でされながら、なおかつ寄付行為というものをその末尾につけていかなければならないのか。一般の寄付行為は自治法の改正で禁ぜられているのに、なぜこの中にこれだけ例外規定として設けられなければならないのか。その点の了解に苦しむものであります。できれば、こういうものは削って、人の懐にすがるというのでなくて、国の責任を明確にする意味においてもこの点は考えられていい点ではないか。私こういうように思いますが、御研究はいかがでございますか。
○政府委員(井嶋磐根君) 率直に申し上げまして、実は、私個人といたしましても、お説のようでなければならぬというふうに考えておるのでございます。しかしながら、今日の更生保護会でございますが、沿革的に申し上げまして、戦前はまるまる民間資金でやっておった。それが、今回の更生保護制度になりまして、若干国の予算が出るということになった経過がございまするので、今日の姿を見ておるわけなんでございます。先ほど申し上げましたように、予算措置、補助金の増額ということでもっと強化いたしますことによりまして、お説のような不都合をできるだけ緩和いたしたい、かように考えておる次第でございます。
○高田なほ子君 法務大臣に、この質問を続けて参ります過程で御理解いただけたろうと思いますけれども、要は、人を拘束して、そして累犯をさせるような環境に置くべきものではなくて、あくまでも保護更生という面を拡充しながら、この拘束を少なくして、社会に帰してやる、こういうような立場をとるとするならば、この更生保護事業というものにもう少し国が力こぶを入れる必要があると私は考えるわけなんです。現在の犯罪者予防更生法の適用についても、あとでお尋ねしたい点がございますけれども、これは省きますが、これの運営も、必ずしも私は上等に行っているとは考えられない。いずれも保護更生の面における当局の態度は、失礼ですけれども、かなり投げやりじゃないかという気がする。これは、もう少し力こぶを入れなければ、何人増員しても累犯を繰り返すばかりで、ちっとも前進の姿が見られないように考えられます。この点について、法務大臣の感想でけっこうでありますから、一つ承りたいと思います。
○国務大臣(植木庚子郎君) ただいま局長のお答え申し上げましたように、法律もしくはこの制度のおい立ちの沿革からいたしまして、今までの措置が、お説のごとき理想に照らしまして非常に相去ることが遠いということは、私も全く同感であります。社会から犯罪をなるべくなくする、そしてその方針に向かって努力をする面におきましては、非常に大事な更正保護の事業でありますから、こうした問題について、でき得るならば、こうした犯罪を予防する仕事は、単に政府側の施策だけでなしに、民間の方々も御一緒に、そして社会を明るくするという一つの理想もやはりあったことと思いますけれども、しかし、この事業がだんだんと効果を発揮して参るこの経過から考えましても、でき得るならば、お説のように、むしろ民間のそうした力にたよらない、あるいは力をさらにベターメントに使うことによって、政府としてはもっともっと基本的な努力の中心にこれを掲げまして、そして施設を強して参ることが非常によろしいと思います。そうした意味で、今後は、さらに来年度には十分努力して参りたいと、かように考える次第であります。
○高田なほ子君 続いて、これは矯正局の方にお尋ねをした方がいいと思いますが、「少年の福祉を害する主要犯罪受・処理人員調」、これは検察統計年報の中から出していただいておるわけですけれども、どうでしょうか。われわれ婦人議員は酔っぱらい法案を出すわけでありますが、禁酒禁煙という問題は、なかなかむずかしい問題ですけれども、だいぶ法律のできた経過というものは、古い昔にできた法律で、適用上に、いろいろ運営なさってみて、かくなければならないというような点もあるのではないか、こんなふうに考えておりますけれども、矯正局として、少年犯罪の中で、酒を飲んだ結果としてその犯罪を犯したというのがかなり多いように思われる。しかも、実際その未成年禁酒法というのは適用されにくい。されにくいならば、されいいように、大人にある程度の制肘を加えるように、適法な改正というものは必要になってくるのではないだろうかという気がするわけです。ですから、矯正局長の立場から、飲酒による少年犯罪、こういう問題をどう分析しているのか、また、未成年に対する禁酒法が古い法律であるならば、これをどのように改正していったらいいか、こういうような点、大きな問題と小さな問題になりますが……。
○政府委員(大沢一郎君) 少年院の収容者の中で、飲酒による犯罪というものの統計が実はこまかいものがございませんので、現在のところ、一応酒好、酒癖による犯罪の原因のパーセントを見ますと、その中に大体飲酒等が含まれるのではないかと思うのです。そのうちの男子につきましては一・三%、女子について〇・一%という、きわめて少ない数字になっておるわけであります。で、われわれといたしまして、少年そのものが飲酒し、そのために犯罪を犯したというような点について、実は十分な調査をいたしておりません。この点、さっそく調査いたしまして、その実態をつかみ、またこれが犯罪に与える原因、あるいはそれに対する措置ということを研究いたしたいと存ずる次第でございます。
○政府委員(竹内壽平君) ただいま配布いたしましたこの福祉を害する犯罪調べは、刑事局から作って差し上げたものでございます。最初警察庁の犯罪統計書からとりまして、あとは検察統計、あるいは司法統計から作ったものでございますが、これは、先般予算委員会の総括質問の際に、高田委員からこの点についての御質問がございましたので、十分お答えを補足する意味でこの統計を作ったわけでございます。ところで、その未成年者喫煙禁示法、飲酒禁止法、両方とも古い法律でございまして、この法律の所管庁という言い方をするのはおかしいのでございますが、刑法ならば法務省という意味において申し上げますと、この両法律は、一種の警察的な意味を持つものとしまして、警察庁の所管の法律ということになっておりまして、先般も警察庁から、この点についての御質疑にお答え申し上げたわけでありまして、運用の結果は、この統計表をごらんいただくとわかりますように、あまり強力に実行されていないということは、統計上も明らかでございます。それには、いろいろ法の運用を阻止するような社会環境もあると思います。それらの点も考えまして、警察当局でも、いろいろ内容についての検討をしておられるやに伺っておるわけでありますが、もし改正というような機運が出て参りますならば、私どもも側面から協力申し上げたいと思っておるような次第でございます。
○高田なほ子君 要は、少年の福祉を害する主要犯罪については、総括質問、ただいまのまた御答弁で明らかでありますが、総括的に言うならば、おとながなんの気なしに勧めたことによって犯罪の動機を作った、こういうような数字は、ちょっときょう統計を置いてきてしまってないのですが、大がいおとなが勧めている。これは、悪気で勧めているのではないですが、おとなが勧めている。結局、おとなの影響でもって少年は被害者という立場に置かれておる。おとなは被疑者という立場に置かれておる。数字から見ると、被害者は被疑者の数よりも多い。これを考えてみても、やはりおとなたちが子供たちを守る、法律をどういうふうにして守っていくか、こういうような法意識というものもまた、法務省ではかなり宣伝をされる必要があるように考えられます。そこで、法務省の方では、「法の日」というようなものをだいぶ推奨しておられるようですけれども、どうも法務省が宣伝をする「法の日」というのは、なんだかばく然としていて、私にはわけがわからないのです。御招待をいただくこともあるのですが、どうもさっぱり「法の日」というものがわからないのですけれども、何かいわく因縁を突きとめていくと、大審院に天皇が行幸をなさった、その記念日を法の記念日にしたということですけれども、これは、法務省は、その中世紀時代の感覚からもっと新しい時代の感覚になって、「法の日」といったら、具体的に、未成年の禁酒法とか、未成年の禁煙法とかいうものをどんどんPRしていく。そして法意識を高めていくということが大へん大切であろうと私は思うのです。どうも「法の日」はばく然としてわかりません。法務省の解説によると、非常に「法の日」というものに力こぶを入れておられるようですが、これは、別個に予算を取ってあるわけではございませんでしょう。別に予算の面には出ておらないようですけれども、どうですか。
○政府委員(近藤忠雄君) 入っておりません。
○高田なほ子君 なければ、もう少し具体的に、「法の日」の中に、今度はどういうような法律をPRするとか、今度はこういう法律をPRするというやり方が大へん大切だろうと思うのです。そこで、法務大臣にちょっと聞いていていただきたいのですが、法意識の徹底ということは、これはしばしば政府も強く言ってこられているところです。ところが、最近高等学校の生徒に、法とはいかなるものかということでアンケートをとって調べさした。その結果、法律というものは、お上がわれわれをほんとうにぎゅうぎゅう押えて拘束するものであると、そういう回答をした者が圧倒的に多い。「法の日」というと、なんだか法律を守れ守れ、なんでもかんでも守れ、守れというようなふうな受け取り方をされるということは、私はあまりけっこうじゃないと思うのです。むしろ「法の日」には、こういう法律があるのに、この法律が守られないために、子供たちが不良化の傾向をたどる原因を作っているのだ。おとなたちはこういう法律を知っているかと、こういうような具体的な「法の日」の呼びかけというものがあることが望ましい。そこまで法務省は民衆の中に愛情の手が伸びなければならないというふうに私は考えるわけであります。これは一つの私の意見であって、当局に対する質問という形にはならないかもしれませんが、一度はそういう明るい面も考慮をせられ、具体性のある面も考慮をせられて、せっかく社会を明るくする運動も法務省は進めておられるわけでありますから、この運動と呼応して、国民運動が展開されることを私は強く希望するのです。 次に、人権擁護局の問題に入りたいと思いますが、予算面から拝見すると、この人権擁護局の存在は、風前のともしびになってきつつあるようですが、どうですか。人権擁護局の予算はこれでいいというふうに、大臣はお考えになっておられますか。
○国務大臣(植木庚子郎君) 人権擁護局の関係の問題につきましては、御指摘の通り、まことに僅少な予算で、心さびしく思っておるのであります。本年度におきましても、前年度若干減額になっておりました部分を復活いたしまして、旧に戻す、金額を若干増額することができました。しかし、なお不十分でありまして、これからさらに、もっともっと努力をしなければならぬと、かように考えてはおります。
○高田なほ子君 私は、法務省の中に占める人権擁護局というものは、もう少し堂々たるものであるように初めは思っておった。ところが、毎年々々この人権擁護局というのは縮小されている。これは、民主政治の徹底のために、いささか残念であります。そこで、擁護局長さんもおいでになっておるわけですから、三十三年度から昨年度までできれば、擁護局で取り上げられたいわゆる人権侵犯事件の推移、それから、予算はどういうふうに推移をしてきているか、こういう点を数字をあげて説明をしていただきたい。
○政府委員(鈴木才蔵君) ただいま高田先生から、人権擁護局が年々小さくなっているとおっしゃいますのですが、予算の面から見ますというと、年年増加いたしております。物価価値の問題もございますが、昭和二十三年創立当時の人権擁護局の人件費を除く事業予算でございますが、最初は百三十四万二千円、しかも、木曾の人権擁護局の定員が、その当時二十五名であります。それから昭和二十四年には三百八万六千円にふえました。それから二十五年には飛躍的に増加いたしまして、一千百十二万円、その当時の本省の定員が二十名に減っております。それから二十六年度にさらにふえまして、一千三百万円になっております。そうして本省の定員がそのときどかっと減りまして、十四名になりました。それから二十七年には予算が少し減りましたが、やはり一千二百万円台を保っております。定員は十四名であります。それから二十八年には一千百七十四万円程度、二十九年に一千百三十九万円程度、三十年度におきましても大体同じ傾向であります。それから三十一年度にやや増加いたしまして、一千八百八十万円ということになりました。それから三十二年度には三千八十五万円と増加いたしました。さらに、三十三年度には三千万円に増加いたしました。この中には、一千万円の法律扶助協会に対する扶助金が新しく項目として入ったためであります。従いまして、本省の事業予算には一つも増加はなかったように考えられます。それから、昭和三十四年度におきましては、三千二百二十万円に増加いたしました。それから三十五年度におきましては、三千四百三十一万円になりました。さらに、三十六年度の予算におきましては、約七百万円ほど増加いたしまして、約四千万台になりました。それから、本省の定員も、十三名から十六名に増加をいたしました。このような傾向をたどっております。 それから事件数は……
○高田なほ子君 事件数は、三十三年度あたりからでいいです。
○政府委員(鈴木才蔵君) 大体その程度の統計しか持っておりませんが、二十九年度からの事件統計がございます。この事件統計と申しますのは、人権擁護局あるいは法務局、地方法務局の人権擁護関係の機関に申告のありました件数並びにわれわれの方で積極的に新聞報道その他によりまして探知をしまして、そうして調査を始めた事件でございます。それで、これは全部人権侵害があったという件数ではございませんで、いわゆるわれわれの方に訴えられて取り上げられた件数でございますが、昭和二十九年には、いわゆるほんとうにこの事件を調査いたしました件数は、訴えられましたうちで、われわれの方で内容に入って調査いたしました事件が、昭和二十九年には七千八百六十一件昭和三十年には七千八百七十三件、三十一年には八千七百六十件、それから、三十二年には少し減りまして七千五百九十八件、それから、三十三年では七千六百九十件、三十四年では九千九十件、三十五年では八千七百四十一件、大体そういうふうな傾向になっております。ただ、ここで申し上げたいのは、いわゆるわれわれの方で内容に立ち入りまして調査いたしました件数のほかに、われわれの方では、いろいろな苦情と申しますか、人権相談と申しておりますが、その中には、純粋の法律相談的のものもやや含まれておりますが、いわゆるその相談件数というものが年々増加いたしまして、昭和二十九年度では全体で三万四千件ほどございましたが、年々増加をいたしまして、昭和三十四年度では九万二千件、三十五年度では十万件というふうに、年々相談件数は増加をいたしております。 以上でございます。
○高田なほ子君 だんだん予算がふえたように、ずっと説明をして下さいましたが、これは、国の予算がふえますから、絶対数は確かにふえておるが、これは若干毛のはえたようなものです。ふえておるが、ふえた仲間には入らない。この率では減っておるのです。局長は、ふえたふえたと言って喜んでいてはいけない。絶対数を見ないで、法務省の中に占める比率のそろばんをはじいて、大臣に詰め寄るくらいの気魄が私は必要だと思う。そこで大臣は、この人権擁護局の拡張する方向に政策として向けていいのじゃないですか。どうも、そういう保守反動の傾向が強くなると、人権擁護局というのはずっと低くなる。竹内刑事局長は欧米の事情をよく御存じでしょうけれども、人権擁護局の活動はやっぱり要請されなければならない。人権意識が強くなれば強くなるほど、これは件数がふえていく。今局長は、三十四年度には九万二千件の受理件数があった、昭和三十四年度には法律相談の件数もふえて、そうして今や十万件をこすというような、そういう盛況が実際問題として出てきておる。しかし処理ができない。今、処理されたのは、ずっと、七千六百件という数をあげたけれども、これは、人間が足りないから処理されない。そうでしょう。予算がないから活動ができない。ですから、受理されたものに対して、ほんとうに人権擁護局が持っている使命を果たさんとするならば、こういうようなばかばかしい予算では手の打ちようがないと、私は同情する。ほんとうと同情する。特に来年度の予算の中で、四十七万円という人権擁護局の旅費が出ておりますが、大体大人口をかかえた社会生活の中で、人権意識の高まる社会生活の中で、人権侵害の問題はだんだんふえてくる。それに対して四十七万円というような予算ば、何と説明をしたらいいのか。この旅費の使い方を一つ説明してもらわなければならない。どういうわけか。
○政府委員(鈴木才蔵君) 四十七万円と申しますと、どの旅費ですか。
○高田なほ子君 法務省の予算の明細書の四ページにございます。
○政府委員(鈴木才蔵君) それは、本省の十六名、今までの十三名に定員を十六名、それの六名程度の者が調査のために出かけます調査旅費でございます。
○高田なほ子君 六名の者が調査に出かけるのですね。
○政府委員(鈴木才蔵君) 十三名から十六名の職員の、調査課の職員が出かけることになります。
○高田なほ子君 そうすると、年一人当たり幾らになりますか。
○政府委員(鈴木才蔵君) その前にちょっと御説明いたしますが、本省の調査旅費といいますのは、法務局、地方法務局にも同じような人権擁護の職員がおります。ある事件が重大であるとか、法務局から、地方法務局のみではだめである、あるいはいろいろな指導をしなければいけない、そういう面のために応援に出かけるための旅費でございます。一人当たりはごくわずかでございますが、経理なんかの者に聞きますと、ほかの職員旅費から比べると多いという話でございます。
○高田なほ子君 法務大臣、この四十七万円という予算は、今説明された通りなんですが、これはナンセンスですよ。ナンセンスに近い。文部省は、青少年の不良化防止対策費に三十一万円の予算を組んで、私にずいぶん手ひどくやられている。法務省は、人権擁護調査のために四十七万円の旅費を組んでおる。あなたは本庁から出なければ指導ができないと言っているけれども、地方の人権擁護局なんというものは機能を停止しているのですよ、はっきり言うと。これはやはり予算、こういう面で大へんな制約を受けて、国民の要求にこたえていない。事件が落着しない。そこで本省から出かけていく。出かけていく旅費が、六人の人数で四十七万円の旅費を組まれて、ほかの本省より多いとあなたは言っておられる。なるほどそれは、本庁のほかのものより毛のはえたくらい多いかもしれませんが、国民の基本的人権を守らねばならない人権擁護局の定員も少ない、かてて加えて、この少ない定員で活動しなければならない。活動しなければならないから、他の省より多く組まれておるのです。四十七万円というような、こういうべらぼうな予算は、今後国会で論議しないくらいにしないと不名誉ですよ。自衛隊の残飯の費用が一日二十万円を下らない。二日間の彼らの残飯の費用が、日本の国民の人権を守るための擁護局の活動の旅費なんです。人権擁護局は足で歩かなければならない、機械で測定するわけにはいかない、どうしても足を運ばなければ、擁護局の使命というものは達成できない、効率は上がらない、大臣は、この四十七万円の不名誉をどうか一つ撤回をされて、フルに活動できる予算は、予備費の中からでも何でもお組みになって、この不備を補うように一つ努力をされていただきたいと私は思う。受理件数に比べてあまりにもひど過ぎます。お覚悟はございますか。
○国務大臣(植木庚子郎君) お答え申し上げますが、ただいま御指摘に相なりました分は、中央の、本省の部局の人たちの出張旅費でございまして、これとても、これはなるほど仰せの通りたくさんの相談を受けておる実情でありますから、ことに人員も十分でありませんから、本省でも、機宜に応じてどんどん出張して指導もしたり、みずから調査に当たったりということは必要だと思います。しかし、地方の部局の人ちのための旅費は別途にまた計上がございまして、三十六年度の今御要求申し上げております金額では、五百三十万四千円ばかりございます。これも、それじゃ全国的に見て十分かと御指摘を受ければ、全くそれは、これでもなお足りないということになろうと思いますが、こうした問題が、実は法務省として、役所の性質上なかなか予算の要求の技術も骨が折れ、承認する側も、単なる旅費だ、旅費ぐらい何とか節約してやれぬか、一つがまんしてやれというようなことで押え込みを受ける傾向が多分にある。これは、法務省の予算等が、比較的増額が骨の折れるゆえんなんであります。こうした問題についてこまかく御指摘を受け、そうしてまた、委員の皆様のこれについて御理解を仰いで、われわれ当局が将来財政当局と相談をします場合の強い背景になっていただきますならば、非常にありがたいしあわせだと、かように考える次第でございます。
○高田なほ子君 旅費にもピンからキリまでございます。擁護局は足で歩かなければならない、そうでなければ仕事ができない、こういう旅費と視察に行く旅費とでは、だいぶ仕事の面から性格が違ってくる。大臣に今お答えいただいたように、今後一つこの擁護局のあり方というものは再検討されて、できれば、これは法務省の外局あたりぐらいにして、もう少しでんとかまえるしかけにしないと、この擁護局というものは、日本の民主化を推進する役割を果たすことはできないと思う。大臣に申し上げちゃ悪いんのですけれども、政治が反動の方向に行こうとするときに、こういう人権を守ろうとするような一般のこの財源というものは削られがちであります。裁判所の予算もその通りだと、先ほども指摘した通りなんですけれども、よほどこれは一つお考えをいただかなければならないと思います。 だいぶ時間がおそくなりましたから、端折りまして質問を少し続けさせていただきたいと思いますが、法務省の登記所関係の問題、地方法務局の各出張所は、約千七百カ所に散らばっていると聞いております。ところが、千七百カ所の登記所は、四人以下の小さな庁が点在をしているというのが現状であります。そこで、この小さな四人以下の庁に対しては、渡切費というものがある。渡切費という、そういう費目の費用を出しているそうでありますが、この内容は、大体光熱費とか労務費とか水道の料金とか、そういう内訳になっていると聞いております。私の調べるところによると、大体一庁当たりの渡切費というのが九千円であります。九万円ではなくて、九千円であります。一庁に当たって九千円という、まことにお粗末な予算が現行組まれておるようであります。このことに対して、地方法務局は、人事院に対して行政措置要求の手続をいたしました。この行政措置要求の判定には、次のような判定が下されておりますが、これは、一九五九年、一昨年の十二月十七日に、人事院から措置要求に対する次のような判定が下されている。現行は年間平均約九千円程度となっているが、判定では、一万七千三百一円プラス宿日直事務に相当する時間中の費用を支給せよというふうに判定が下されている。ですから、九千円というのは、これは前近代的な予算であって、院は、この措置要求に対して、一万七千三百一円プラス宿日直事務に相当する時間中の費用を計上すべきであると判定をしておるわけです。基本的な態度としては、この措置要求に対する人事院の判定というものは、私は尊重されなければならない筋合いのものだと思う、法の建前からいってそうなっている。ところが法務省は、この勧告に対して一顧もしていない。なぜ人事院のこの措置要求に対する判定というものが具体的に尊重されなかったのか。今後これを尊重しようとする意思があるのかないのか。こういう点を一つ聞かしていただきたい。
○政府委員(平賀健太君) いわゆる登記所に対する渡切費は、今高田委員のおっしゃる通りでございます。人事院の制定がありましたことも事実でございます。私どもといたしましては、この人事院の判定は十分尊重いたしますし、また、私どもの方でも実態調査をいたしまして、渡切費が、現状が少ないということは私ども認識しておりまして、毎年増額の要求に努力を重ねておるわけでございます。不幸にしてこれは実現しておりませんけれども、今後もさらに努力をいたしたいと考えております。
○高田なほ子君 努力をされたそうでありますが、三十六年度の予算では、増額はぜ口です、全然尊重されていない。こういうところから問題が起こってくる。こういうことをやるから、しからばということになる。しからばと言う方が悪いんじゃない。やらない方が悪い。私はこの判定――全額を一年間にこれは是正すべきであるということを、それまで私は強く言いませんよ。言いませんけれども、一九五九年に下された判定が三十五年になってもだめ、三十六年になっても、一つも芽を出さない。こういうようなことでは、法律を守りなさい守りなさいと幾ら国民に言ったって、そんなこと念仏ですよ。なぜこの増額はゼロになったのか。私は、増額ゼロになったということに対して、あなたの御努力を疑うわけではありませんけれども、はなはだどうも不愉快きわまりない。もし正当な理由があるなら、私も納得いたしましょう。あまりにもこれじゃひど過ぎやしないかということです。何か、予備費か何かございませんか。その中から若干の是正ができませんか。少なくとも人事院の措置要求に対する判定は尊重すべきであります。しなければならないんです。それなのにもかかわらず、増額ゼロにして、そうして職員に勤務を励行することだけをやらせるということは、これは酔ですよ。それにも従わねばなりません、公務員は。公務員はそれにも従わねばならないから、こういう措置要求という手段が残されている。その手段を適法に活用して、判定を出されたものを施行するのは当局の責任ではありませんか。なぜこういう責任が一つも芽を出さなかったか、きわめて遺憾であります。大臣、基本的な問題になりますが、こうした正式の措置要求判定に対しては、当然法務当局が積極的な手を打つべきであります。一年にできなかったならば、予算の芽ぐらいは出すべきである。これは無視しておる。このことは非常に遺憾であります。どのように措置を講ぜようとされるのか、私は、あらためて責任ある大臣から御答弁を伺わしてもらいたい。御答弁を伺うまでは、私は、この問題は何時間でもここでもって続ける用意がある。あまりにもひど過ぎる。
○国務大臣(植木庚子郎君) 渡切の増額問題につきましては、ただいま御指摘の通りでございまして、実は、率直にお答え申し上げますと、予算編成当時におきましては、事務当局からは、もちろん大蔵省に増額要求はいたしておったのでありますが、諸般の予算全体の交渉の都合上、この点の増額に成功しなかったようでございまして、御指摘を受けまして、ほんとうに私といたしましては遺憾に存じておる次第であります。しかしながら、ただいまも仰せの通り、人事院の判定もあったという厳然たる事実もあるのでございますから、予算の実行の上におきまして、何かこれを一つ増額する道を講じてみたいと、経費のやりくりがつくかつかぬか等も、研究の余地があろうかと思いますので、事務当局では、大蔵省との協議を始めかかっておるような次第でございます。実は、私が承知しましたのは、今回御質問の御内意をちょっと承りまして、何だ、そんな問題があったのかと、びっくりしたようなことで、まことに申しわけなく、遺憾に存じております。従って、今後何らか一つ適当な方法を見つけ出してみたい、かように考えておる次第であります。
○高田なほ子君 大臣の御理解ある答弁をいただきまして、私は一応胸をさするわけです。これが成功することを心から期待いたします。 次に、宿日直の事務に相当する時間中の費用がこの判定の中では出されておるようですが、実際は三百六十五円宿日直をしているような形になっているらしい、登記所では。一人庁とか二人庁とかいう大へん小さな庁舎が多いので、三百六十五日宿日直をやっている。これに対して当局は、三百六十五日の宿日直に対して、十日間の宿日直料きり出しておらない。予算化しておらない。このことは、渡切費について、人事院の判定の中にも、宿日直の問題について触れておるわけであります。一から十までやれというわけではありませんけれども、この宿日直費の現状というものは、それほど酷なものなんです。私は教員を長くして参りましたが、宿日直をした場合には、ちゃんとしただけの宿日直料は昔から出ることになっている。それはもうあたりまえなんです。あたりまえでないのがこの登記所の現状なんです。あまりこれはひど過ぎるのではないか。また、無関心過ぎるのではないか。特に、昭和二十四年法務総裁の訓令の中に、出張所に居住室を有するものについては、原則として所長が宿日直事務を取り扱わなければならないというようなことになって、居住室を有する庁舎で朝から晩まで宿日直をしなければならないという人たちは、法務省の訓令に基づけば、これは義務づけられている。義務づけられて宿日直をやっている。義務だと、こういっている。その義務のものに対して、三百六十五日義務づけておいて、なぜ十日間の宿日直料きり出さないか。そこら辺にも、これらの法秩序を乱すものは明らかに政府当局にあるということを遺憾ながら申し上げざるを得ない。国民に法秩序を要求するならば、当然法の施行の面においても、予算の面はいかがあろうとも、なければないように、これはこうこうこういうわけで本年はできなかったが、来年ばこのようにしたいと考えるというようなことが、これは具体的になってこなければならない。職員を絶望させたり、皆さんの指導に疑念を持たせるようなやり方をしておったのでは、これはあまりいいやり方だとは思いません。宿日直料は、これは、どういうふうになさいますか。
○政府委員(平賀健太君) 法務局で、職員が六人以下の庁におきましては、ただいまの高田委員仰せの通り、日直手当が十日分しか従来は支給されておりません。昭和三十六年度予算においても、従来通りでございます。私どもとしましても、ただいま高田委員仰せの通り、非常に遺憾なことだと思っております。これも数年来、少なくとも日直手当、土曜半日、それから休日全部につきまして、日直手当全額の支給ができるようにということで、予算要求をいたしているのでございますが、これまた渡切と同様に、まだ実現を見ない次第でございます。私どもといたしまして、非常に遺憾に思って、今後も予算の増額に努力をいたしたいと考えている次第でございます。
○高田なほ子君 民事局長さんですか。民事局長さんはもう少し親切に取り扱って下さいね。小さな庁舎というのは、大へん声が小さいのでございます。よほどのことでないと、ものを言われない。もう少しこれは親切にお取り扱いいただきたい。 大へん時間がおくれましたが、せっかく公安調査庁の方がお見えになっておりますから、これは状況だけ一つ御報告いただいて、私の質問は次回に譲ることにしますが、一応その状況だけ一つ伺わしていただきたいことがございます。それは、今回の破壊活動調査機能の充実のために、調査官は三十三名の増員がされている。青少年犯罪対策に対する増員と比べると、格段の増員である。そうして予算を見ますと、これもまた相当の増額がされております。一説によりますと、たとえば、国家公安委員会の小汀利得さんなどの言によりますと、公安調査庁の調査は、左翼が七で右翼が三だ、こういうようなことまで言っております。こういう言葉は別に取り上げようと思いませんけれども、いわゆるまあ右は三で左の方が七だ、こういうようなことを言われておりますが、御承知のように、社会党は、最近のテロ行為に対しては、かなりはっきりとした態度で、この行為をなくさなければならないという決意を実は持っているわけであります。従いまして、この予算の全貌について一応承っておいて、後刻また機会を見て、いろいろ具体的な問題で伺わしていただきたいと思います。
○主査(小酒井義男君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○主査(小酒井義男君) 速記をつけて。
○説明員(宮下明義君) 公安調査庁の三十六年度の予算の総額は十四億九千五百九十五万九千円、三十五年度予算に比較いたしますと、一億四千三百五万五千円の増加となっております。しかしながら、内容で、すでに高田委員おわかりのように、この一億四千三百五万の増額のうち、一億三千六百三十六万円というのは人件費の増加でございます。三十三名の増員が認められたわけでありますが、その他はベース・アップによる増額でございまして、これを差し引きますと、実際の増加は六一百六十九万円ほどになるわけでございます。増加になっております人件費以外の分といたしましては、庁費関係で五百六十九万、それから職員の赴任旅費で百万と、おもなものはその程度のものでございまして、実際の公安調査庁の活動の基本的な費用になります調査活動費も、三十五年度と同額の五億三千百六十九万四千円でございます。それから、調査活動旅費も。三十五年度と同額の五千五百五万円でございます。実際に公安調査庁がどういう仕事をしているのかという点は、前々から国会でも御説明申し上げておりますように、現在公安調査庁におきましては、左の方の五つの団体と右翼の五つの団体、合わせて十の団体を調査対象団体といたしまして、日常その団体の組織、構成、活動等について調査をいたしておる次第でございます。左翼の団体といたしましては、日本共産党、在日朝鮮人総連合会、それから全学連その他学生三団体の調査をいたしておりますが、日本共産党におきましては、一昨年以来党員倍加運動を鋭意進めておりまして、一ころ党員が四万五千と算定しておったところでございますが、現在は、六万七千から大体七万ぐらいにふえております。この活動も、いわゆる統一線戦戦術で、非常に幅広い諸団体の中に浸透活動をいたしておりますので、私どもの調査活動が非常に困難になってきております。従って、毎年、現在の調査官が千三百五十二名でございますが、この調査官では、これらの左翼、右翼の調査に、どうしても非常に各調査官の負担が過重になっておりますので、年々増員を要求しているのでありますが、なかなか大蔵省でわれわれの希望をいれてくれませんで、増員要求が認められなかったのでありますが、本年度三十三名の増加が認められました。これらの要員は、ただいま申し上げました、従来から調査を実施しております左翼、右翼合わせて十団体の調査に主として第一線調査を強化する考えで、公安局、地方局の方へ回そうというふうに考えておるわけでございます。ただいま、公安調査庁が左に七、右に三ぐらいの割合で従来人員あるいは活動費を使って調査をしているのではないかという御質問でございましたが、われわれ幹部要員等は、もちろん左も右もあわせて指揮をしておりますので、明確に何人々々というふうに分けかねますが、従来私どもが考えておりますのは、左の方と右の方の調査に従事しております職員活動費の割合は、大体右の方が左の方の一割程度、一〇%程度というふうに算定をしております。これは、日本共産党、朝鮮総連、学生その他、調査対象が非常に数多くございます。従って、われわれといたしましては、左翼も右翼も、いやしくも暴力主義的破壊活動に出る危険性のある団体に対しては、公正に調査を進めているわけでございますが、従来の実績から申しまして、このような比率になっているわけでございます。
○高田なほ子君 今の御説明の中で、ちょっと漏れていますが、右翼の五団体というのは、調査対象になっておる名前をずっと言っていただいて、学生三団体というのはどういう団体であるか、ここだけ一つ。
○説明員(宮下明義君) 学生三団体と申し上げましたのは、正確に申し上げますと、全日本学生自治会総連合、一般に全学連と申しております団体と、次は、日本社会主義学生同盟、一般に社学同と申している団体、三番目は共産主義者同盟、普通共同と申している団体でございます。
○高田なほ子君 右は……。
○説明員(宮下明義君) 右翼の五団体は、護国団、治安確立同志会、大日本愛国党、日本青年連盟、全アジア反共青年連盟の五つでございます。
○政府委員(近藤忠雄君) 先ほど高田委員の御質問の際に、「法の日」の予算の問題についてお話がございましたのでございますが、正確に御答弁申し上げなかったのでございますが、調査いたしましたところ、「法の日」の予算といたしましては、法務省の来年度の予算におきまして四十三万円入っております。その内訳は、庁費が三十二万五千円と、講師謝金として十万五千円入っております。これは、「法の日」の全体の予算の三分の一に当たるわけでございます。三分の一と申しますのは、他の三分の一を裁判所で持っております。あとの三分の一は、日本弁護士連合会の負担になる、こういう構想で、三者の費用の拠出によってやる予定で予算が組まれているわけでございます。
○一松定吉君 一々例をあげて、一々お答えを求めるということはいたしません。概括的に私の考えているところを申し上げて、最後に、ただ関係当局から御意見を承るということにしませんと、時間がかかりますから、そういう方針で申し上げます。 私は、自分がこの法務、検察とかいう方面の専門家であったがために、今、高田委員の質問を突然内閣委員からここに入って聞いて、実は驚いているのです。婦人でこういうような専門家がいるというととを実は知らなかった。将来婦人を大臣にするなら、中山君が厚生大臣になったが、司法大臣くらいは当然しなければならぬなと、私は感心している。実は、法務省の予算の取り方が、これは私、国会議員になった当時から言うのですが、下手です、あなた方は。かけ引きだとかいうようなこともなし、交渉とかいうようなことも、いつも低姿勢で大蔵省に臨むというような態度だ。昔から法務省の一つのよい慣習というか悪い慣習というか知らないが、ほんとうに費用の要るものは、正々常々と大蔵大臣、総理大臣を向こうに回して、職を賭して争うて目的を達成するようにしなければならぬと、私はいつも考えている。一体検察庁とか法務省とか裁判所とかいうようなものは、今の世の中においては、国民の信頼を一番これは受けなければならぬ所です。今のような一体世の中の状況が続くということになりますると、これを是正し、改善し、そうしてより以上に日本の国運を隆盛ならしめ、維持するというようなことについては、裁判所とか法務省とかいうものをおいてはほかにありませんよ、今は。でありますから、そういう意味において、ほんとうに予算等の要るものは、どんどんこれを請求して、取って、そうして第一、高田委員の言われましたように、職員を喜ばせて働かせるということが必要なんです。私は、実はこの間大阪に行って、判事や検事の話を聞いて、びっくりしているのは、一松さん、あなたが判事なり検事をしておったときには、雇とか書記とかいう者は、裁判官や検事から言えば、へえへえと言って、すぐ言うことを聞いたものだが、今はそういうことにはいきませんよ。給仕あたりでも、お茶を持ってこい、火ばちを持ってこいと言うと、私はあなたにお茶を持っていく役ではありませんよ。火ばちを持っていくようなことは、そんなこと、あなたが自分でしたらいいじゃないかというようなことを言うて、や検事を雇でさえもばかにするということがあると聞いて、非常に憤慨しておったのですが、私もそれを聞いてびっくりした。でありますから、そういうようなことのなからしめるようにするには、どうすればいいか。これはすなわち待遇をよくして、他の官庁よりも、あの法務省、あの裁判所におれば、俸給も他の官庁より上げてくれるぞ。それから旅費もたくさんくれるぞ。賞与もくれるぞ。宿直料もくれる。他の官署よりもここが一番いいというようなことになってくれば、で、それらの諸君は、長官のために命これ従うというような態度もできようと私は思う。それを、お前はおれの書記官だから、おれの言うことを聞け、雇だからおれの言うことを聞けというようなことを言えば、なおなお反抗して、収拾できないようになるということを思っておったやさきに、きょう蒲田君が一々具体的例をあげてあなた方に迫ったのは、私は当然だと思う。こういうよりなことは、一つほんとうにあなた方もよくお考えになって、まず他の省よりも、国家の秩序を維持するという建前からすれば、検察庁、裁判所というものが一番大切な所ですからして、そういうような所において仕事をさせる人については、やはり庁の威信を保ち、庁に勤める人の官吏や役人の尊厳を国民に示し、国民をそれらの人を尊敬し、それらの人の言うことに向かっては、命これ従わなければならないということにすることによって、初めて社会の秩序というものが維持できるのですからして、これはほんとうに一つ頭に入れてやっていただきたい。今言う通りに、俸給が少ないとか、手当が少ないとか、私は、三十日泊って十日間の宿直料をもらうなんか、初めて今聞いてびっくりしている。私は長く検事をしておったけれども、そういうことは知らなかったですね。今、予算の上においてそうなっておるということを聞いて、それはもってのほかではありませんか。でありますから、こういうようなことは、それから、賞与等もとにかく他の役所よりも多くやるというようなことにして、そしてこれらの諸君が、喜んで、おれは法務省の役人だ、おれは法務省の雇だ、裁判所の役人だ、裁判所の雇だ、ほかの所には行かぬ。法務省へ行く、裁判所へ行く。従って、上司の命は従う、仕事は一生懸命やる、こういうことになってごらんなさい。これらの人によって威信が高められるのですから、ぜひ私はそういうふうにお願いをいたします。ですから、そういうようなことをするについては、私は、法務省や裁判所の管内の人ばかりが寄って、地方の職員を集めて、訓辞をしたり意見を聞いたりすることもいいが、それ以外に、やはり高田君みたような、特別な意見を持っておる民間人がたくさんいるし、国会議員も集め、学者、経験者も集め、ときどきに話を聞き、また希望を述べ、そして自分らの希望を達成するように手伝ってもらうくらいのことは、法務省や裁判所はするがよろしい。ただその庁だけが集まって、その庁だけの人が今までの経験からいろいろなことを言っただけでは、外部から見て、足りないところがたくさんあるでしょうからして、やはりはたから見た考え方も尊重して、執務の参考に供するということが非常にいいと思う。そういうことをするばかりでなくて、もし大蔵省とかその他関係者の方が、あなた方の主張について、予算を獲得する上について、あなた方をばかにして、主張をいれてくれぬとかいうときには、進んで国会議員なんかに集まってもらって、意見を聞いていって、国会議員あたりの意見を参考にして、国会の方面から大蔵省を責め、総理を責めるということにすれば、こんな予算を獲得するのは容易なことです。そこで、法務大臣は不都合だ、あの局長は不都合だ、大蔵省に向かってこういうことをやり、国会議員と手を握ってわれわれをいじめたということがあれば、そういうものはどんどんやめさせてしまって、そして法務省あたりは主権を握ってやるくらいの考えを持ってごらんなさい、法の威信というものは高められるでしょうから。私はこういうようなことをあなた方にお願いする。そして同時に、今は裁判官や検事のうちにも非難する者が多いのです。だから、そういう者に対しても、よく一つ指導をし、教育し、人物を選択して採用するということになれば、そうすれば、裁判官になれば、検察官になれば、他の役人になるよりも待遇もよろしい、俸給もよろしい、恩給もよろしい待遇ということになって、喜んで人物が雲のごとく法務省や裁判所に集まるのです。そうすれば、世間から非難攻撃を受けないような人物の収集ができまして、司法の威信、法務省の威信というものが一そう高まるのですからして、こういうように私は願いたい。 これは、今高田委員が質問したからして、私も、こういうことを一ぺん具体的に例をあげて、あなた方と一問一答しようと思ったけれども、もうそんなことをする必要もない。高田君が今言われたことに、あなた方が一々御無理ごもっともで頭を下げている実情を見て、ほんとうにもう少し……。そういうようなことを一つ私はお願いする。大臣なんかも、こういうような点について、低姿勢でなくして、大蔵大臣を向こうに回して戦って、大蔵大臣をやっつけるくらいの覚悟を持っておやりにならなければうそですよ。そういうように一つやって、この司法の威信を高め、国民をして、司法だけがわれわれのたよりにすべきものであるということによって、これがために直接、間接に国家の秩序を維持することができるように、一つ御奮闘を願いたい。 これだけのことを私申し上げまして、一々こまかいことを具体的に言いませんが、今の私の申し上げたことについて、大臣なり、その他局長、課長なり、御意見があれば承って、それで私、質問を終わります。
○国務大臣(植木庚子郎君) ただいま大先輩の一松先生から激励のお言葉をいただきまして、恐縮やら、あるいはまた感謝やらで、感想は胸一ぱいでございます。御承知のように、今回の第二次池田内閣の組織と同時に、私はこの重要なポストをお預かりすることになりました。つきましては、ちょうど予算編成の時期に直面しておりましたので、最初要求を出すときの状況は、実は七月、八月ごろ、大蔵省に概算要求するものですから、その詳しいことを実は存じませんでした。それから折衝に突入したわけであります。折衝に突入いたしましてからは、御承知のような、なかなか要求のしにくい予算、査定の側でもなかなか承認しにくい予算というのが法務省の予算でございます。あるいはまた、裁判所の予算でございます。従って、私はそのことを知っておりますだけに、できるだけ事務当局の諸君がまあこれならばどうやらこうやら満足していける、始末してやっていけるという予算を獲得したいと思って、相当心がけてみたつもりであります。しかしながら、実は、各事務当局といたしましては、ただいま先生の仰せになりましたように、多年の慣習があるかもしれません。遠慮深い点があるかもしれません。自分の省の予算は予算なりに、その中での軽重緩急をはかって、これはことしは一つがまんしようとか、これは一つ、何が何でも大臣をわずらわして、ぜひ主張を貫徹しようという経過をたどっているわけなんです。その際に、あるいは事務的にこれをがまんしようと思った部分が、御指摘を受けたような問題になっているかとも私は存じます。その点、非常に申しわけなく、残念には感じますけれども、しかし、ことしの法務省の予算といたしましては、ただいま国会に御審議願っております案は、事務当局としては、予算の折衝の結末、最終段階におきまして、まあこれならば、従来よりも相当認めてもらえたように思いますという気持で、そうしてこれで一つ大いに三十六年度がんばって、法務行政のために働きましょうと誓い合ったようなわけなのであります。その考え方が、なお努力が足りなかった、希望が小さ過ぎたということになっているのかと思いますから、将来は大いに一つ気を取り直して、しっかりやって参りたいと思います。 お説のように、私も、高田委員が、あえて本日だけのみならず、私が法務委員会に出席いたしします際に、何回となくこまかい点について御注意を受けまして、非常に感謝いたしておる。同時に、他の議員の方々も、委員長の方も、法務委員会等におきましては、いろいろ御指摘をいただいておりますので、これを一つたよりにいたしまして、おすがりして、引き続き、もし概算要求の時期あるいは折衝に私が当面するような場合がございましたら、大いに努力もいたしますし、もしまた次の人に引き継ぎをいたさなければならぬような事態になりますれば、また十分引き継ぎをいたしまして、そうして国会内における、裁判所の問題あるいは法務省の問題について、一つ諸先生の御理解のある御支援をお願いいたしたい、かように存ずる次第であります。
○一松定吉君 法務大臣の御決意のほどを承り、私は喜ばしく感じておるのですがね。法務大臣だとか文部大臣とかいうものは、伴食大臣じゃないのです。総理と対等くらいな考えを持ってやるような人でなければ、今私が希望したような仕事はできません。また、そういうように、職員の俸給が上がり、待遇が上がるということになってくると、優秀な者が続々競争して、その省の役人たることを希望して入ってくる。従って、上司に向かって無礼なことをしたり、不遜なことをしたりするようなことはなくて、上司と手を握って、威信を高めて、国民の信頼をかち得るということになると、先刻私が大阪の例を引いたようなことは絶対なくなる。赤旗のもとに参加して、おれらの待遇を上げよう、月給を上げようというようなことは一つもないようになってしまう。しかるに、今司法部内においても、そういうようなことをやっておる人間がおるというようなことは、やはり彼らの待遇が悪いし、給料が少ないし、生活に困るし、できるならば、ほかの勢力とともに力を合わせて、自分らの収入を多くしようというようなことから、ああいう態度が出ておるのですから、一つ他の省とは違うのだからというような確信を持って予算をたくさん取り、待遇をよくし、そうしてやるということになると、優秀な人が集まるのみならず、役人等の模範となって、社会の秩序を維持するということができるのですから、そういうように一つ願いたい。それは大臣、あなただけじゃありませんよ。局長や課長という方が全部そのつもりでおやりになれば、ほんとうに、さすがどうも法務省はりっぱな所だ、裁判所はりっぱな所だということになって、みんな競うてその地位につくことを望むようになれば、そういう不正、不都合なこともなくなるのですから、これを一つ私はお願いをいたします。どうか法務大臣においても、今あなたの御決意を御披露相なったような考えで一つやっていただきたい。それから、将来法務大臣になるような人は、ほんとうに大蔵大臣でも総理大臣でも眼中にない、おれは世の中の秩序のために一身を犠牲に供するのだというような意思の強い人をあなたは後任にお選びになって、この日本の国家の大勢に思いをいたしつつ、これを救済するような覚悟を持って進まれたいということを特にお願いいたしまして、私の御質問を終わります。ありがとうございました。
○主査(小酒井義男君) 最後に、実は一点だけ法務大臣に私お尋ねしておきたい。感想といいますか、御意見を聞きたいのですが、先ほどからの質疑を聞いておりますと、人権擁護局の予算について、高田委員からいろいろ質疑がなされておって、総額四千百万円ですか、若干ふえたということで、そのあとで、調査庁の予算を聞いておりますと、公安調査庁の活動費が五億三千百六十九万四千円ですね。そうしますと、この活動費と、九千数百万人の人権を擁護する擁護局の予算というものは、この活動費の十三分の一なんですね。これは、少し人権擁護という点について法務省が軽く扱っておるじゃないかという印象を深くしたわけですが、そういう点、法務大臣はどうなんでございましょう。こういうような状態で、はたしていいというふうにお考えなんでしょうか。
○国務大臣(植木庚子郎君) ただいまの公安調査庁関係の活動の経費と人権擁護関係の経費というものの比較についてのお話でございますが、私もまだ十二分にはわかっておらないかとも思いますけれども、公安調査庁の最初からのおい立ちの問題、また、その当面しておった調査対象の問題等々が当時の予算要求の基礎になって、そうしてそれが、その後社会情勢の推移とともに、調査対象の推移とにらみ合わせて今日に及んだ経過を持っていると思います。 人権擁護関係についても同様でありまして、新しい憲法のもとに人権尊重の非常に大切なことが国会においても認められ、制度としてもでき上がり、財務当局としてもこれを認めたのでございましょうが、その最初の出発点のときから、仕事の対象の選び方あるいは実情についての認識が十分でなかった。そういうことが今日、先ほど御説明申し上げたような程度の経費しか獲得できなくて、運用の面に不十分な点がありはしないかと、御指摘を受ける通りの、実情になっているのだと思います。そこで、私が思いますのは、御指摘を受けて、なおさらその感を深くするのでありますが、この民主政治の大事な際、こうした際に、人権を尊重さるべきことは申すまでもありません。しかも、それがいろいろな実情から、いろいろな面においてその侵害を受け、しかも泣き寝入りと申しますか、弱い者いじめに終わらしめられておる者が少なくないことは、われわれ常時耳にする、あるいは目にするところでありますから、こうしたものの人権をますます伸ばして、そうしていやしくも、国内に人権が侵害されて泣きの涙に落ち込んでおるというような者が皆無になるように努力をいたしたい。それには、御指摘の通り、いろいろ大蔵当局の都合もありましょうし、きょうまでの経過のいきさつもありましょうが、年をかえる際には、大いに一つわれわれ事務当局も勉強をし、そして実績も上げ、従って、大蔵当局も、なるほどこれはいい仕事で、金をふやしてやらなければならぬと理解をしてもらえるように努力をいたしまして、そうしてだんだんとこの経費がふえて参るようにし、制度がほんとうによく運営されるようにして参りたい、かように私としては考える次第でございます。
○政府委員(近藤忠雄君) 一言、大臣 のお答えがございまして、尽きておるわけでございますが、御承知のように、大臣は昨年末御就任になりましたので、本印度の予算につきましては、事務当局の責任の問題が多々あると思いますので、一応述べさしていただきたいと思います。 御承知のように、法務省の予算につきましては、今後いろいろな面において、われわれといたしましても研究もし、なお、大蔵省あるいは国会の御理解あるお取り扱いをお願いしなくてはならないという考えは深く持っているわけです。ただ、御承知のように、大臣がお話しになりましたように、法務省の予算と申しますのは、性格が非常に事務的な予算でございますので、大蔵省も、予算の査定においても、非常にむずかしい問題のようでございまして、われわれの方においても、ほかの一般の予算に比較いたしまして、これの要求する点におきましても、その強さの点におきましても劣らないのでありますが、一般的に公平に見て、幾らか見劣りするような取り扱いを受けることは、やむを得ないところがあるのでございます。でありますが、本年度の予算におきましては、前大臣もそうでございましたが、特に植木法務大臣が御就任になりまして、先ほど御説明がございましたごとく、予算の要求につきましては、そういう事務的な性格のものでございますが、非常な御尽力をいただきまして、なお、国会の各位の方々にもいろいろお力添えを得まして、従来の予算に比較いたしまして、実績から見まするというと、伸び率と申しますか、それがかなり大幅に伸びているのであります。数字的に申しますというと、国の予算は、一応当初予算に比較して二四%ばかり来年度予算は伸びておりますが、われわれの予算は一応……(「それはいい、もっとふやすことだよ」と呼ぶ者あり)そういう意味におきまして、今後も努力いたしますので、よろしくお願い申し上げます。
○主査(小酒井義男君) それでは、ほかに御発言もなければ、法務省所管に関する質疑は終了したものと認めます。 明日は、午前十時に開会し、皇室費及び国会所管について審議を行ないます。 本日は、これにて散会いたします。 午後六時二十四分散会