予算委員会 第29号
- 発言数
- 178 件
- 登壇者
- 27 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1961/05/29
会議録
○委員長(館哲二君) これより予算委員会を開会いたします。 委員の変更について報告いたします。本日、青田源太郎君及び近藤鶴代君が辞任されまして、その補欠として横山フク君及び佐野廣君が選任されました。 —————————————
○委員長(館哲二君) 昭和三十六年度特別会計予算補正(特第1号)、昭和三十六年度政府関係機関予算補正(機第1号)、以上、両案を一括して議題といたします。 質疑を続けます。杉山昌作君。
○杉山昌作君 私は、裁定の完全実施と、それから公労法十六条二項との関係をお尋ねしたいと思います。今、私たちが審議しておりまする予算案は、先般の裁定が、公共企業体等労働関係法の精神を尊重し、公共企業体等における健全な労働慣行を確立するためにこの裁定の完全実施をすることが必要だから、そのために予算を要求するのだ、こういうことになっておる。ところが、一方、政府の方では、この予算案よりも前に、同じ仲裁裁定につきまして、公労法十六条二項によって、議決を求めるの件というものを国会に提出されておる。その件なるものは、今日やはり国会の審議を待っているような格好になっているのですが、一体、議決を求めるの件というものをお出しになった趣旨というふうなものはどこにあるか、それをまず伺いたいと思います。
○国務大臣(石田博英君) 御承知のように公労法の規定によりますると、国会の予算審議権、それから政府の予算編成権の関係から、予算上資金上不可能な場合は国会の議決を得るという規定がございます。そこで、仲裁裁定が提示されました時期、そして法の規定しております十日間の間に、国会に対して、政府は意思表示をしなければならぬわけでありますが、その十日を過ぎた時期までの間に成立しておりました予算の範囲内では、仲裁裁定を実施するわけにいかないわけであります。従って、政府といたしましては、その時限におきまして予算上資金上不可能だということを国会の方に意思表示をいたしまして、国会の方の御審議をお願いいたしているわけであります。ところが、その後、補正予算が提出されまして、その補正予算が成立を見ました場合は、予算上資金上可能になるわけでございますから、そのときには、国会に提出いたしました前の案件は自然消滅すると、こういうふうに私は考えておる次第であります。
○杉山昌作君 公労法十六条二項にそういう規定があるからやるのだと、こういうふうなことに一応なると思います。ただ、実際問題といたしましては、政府は、すでに仲裁裁定に持ち込む前から、一つ三公社五現業の労働争議、特にその最終の解決としての仲裁裁定ということに関連して、労使双方の健全な慣行を樹立したいと、そのためには、労働者側においてもストという違法な行為に出ることは絶対やめてほしいと、そのかわり、また政府においても、どんな仲裁裁定が出ても、これは完全に実施するのだからということをしばしば言明されて、労働者側の自重を促されたり、また世間にアピールされた。私は、それは非常にけっこうだと思って、今でも賛成しておりますが、政府の真意は、完全実施することにあったわけです。ところが、裁定が出てみますと、今の法律があるがゆえに、予算がありませんがどういたしましょうかという、いわゆる議決を求めるの件というものを国会に出してきておるわけです。従って、これは規定に基づいて出しておりますが、政府の真意としては、どうでございましょうかということじゃない。もう初めから実施したいのです。そういう政府がその真意にあらざるような議決を求めるの件を出さざるを得ないということになって、また、出しておるわけなんです。それは一にかかって公労法十六条二項があるがゆえだと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(石田博英君) ただいまの現在におきます、たとえば私が労政の責任を持っておりまする限りにおきまして、そしてまた、現在の時限における政治上、経済上、財政上の判断からいたしまして、私は今のようなことで仲裁裁定を完全実施する建前といたしまして、公労法関係の労使の紛争を処理するのが、労使の慣行を樹立するだけでなく、現在の時限における経済上、財政上の事情の上からも可能だ、こういう判断で先ほど杉山先生のお説のような方針を樹立して参ったわけであります。従って、そういう判断のもとにおきまして、ただいまお話しのような案件を国会へ提出いたしましたのは十六条二項がありましたために提出いたしたのであります。しかしながら、その十六条二項は、それじゃ全く不必要じゃないかという御議論になりますと、やはり予算上資金上ほんとうに不可能な場合もあり得るのであります。また同時に、政府の予算編成権及び国会の予算審議権というようなものとの関連がございますので、十六条二項が、これはまだ御議論がそこまで及んでおりませんけれども、不必要かということになりますと、私はやっぱり法律の建前としてはこれは残しておく方が適当だと、現在出しましたのは十六条二項がありますためにその措置をとった次第であります。
○杉山昌作君 まあ現在としては、あの規定があるがゆえに政府の真意にあらざることまでもしなければならないということになっておるということになるのですが、それはまあそれとして、まあその一点を確認しておきまして、次に、まあそういうことであっても、とにかくどういたしましょうかと、政府が意見の表明を求めるという議案を出しておきながら、それに対して国会側が何らの意思表示をしないうちに、しかもそれは取り消すことなしに、そのままで、いやあの裁定を実施したいのだと、実施するには金がないのだから、金をほしい、予算をほしいといってくるのは、何かこうおかしいのですね。一つの案は、どういたしましょうかということを国会に尋ねておきながら、その返事もないうちに、いやあれはやりたいのだから金くれというのでは、何かこう、言葉を悪くいうと、国会の審議をもてあそぶというようなことになるのでしょうが、なぜその国会の方の議決があったあとにしないのか。で、この問題は、先年同じようなケースが出たときに、わが会派の田村文吉委員が執拗に政府の説明を迫りましたけれども、政府からははっきりした答弁なしのまま過ぎておる。今度も同じような事態で、同じようなことを政府はされたわけです。どういうわけで一体国会にどういたしましょうということを求めておいて、そうして国会のどうせい、こうせいという意見の表明がないのに、追っかけてその予算を出したか、そこらのいきさつを伺いたい。
○国務大臣(石田博英君) 補正予算案は出しておりますわけでございますが、これが成立しない限りにおいては、やっぱり依然として予算上資金上不可能でございます。従って、これが成立する以前に、前の案件についてこれを処置するわけには参らないわけでありまして、前の案件について国会がどういう議決をなさるか、それは国会の問題でございます。従って、私どもといたしましては、予算案が成立いたしますると、予算上資金上可能になりますから、自然消滅と考えておるのでありますが、その以前において国会が、資金上政府が十六条二項によって出しました案件について意思表示をいただくことは、これは国会の問題でございます。ただ、もてあそぶという、まあ手続上いかにも無用な煩瑣な手続をとっておるようにお感じになることは、私もよくわかるのでありますが、現在の法律上の規定並びにその法律の背後にございます国会の予算審議権、政府の予算編成権との関連におきまして、現行法規の範囲内では、現在ああいう処置をとらざるを得ないというふうに考えておる次第でございます。
○杉山昌作君 現在の法規ではやむを得ない。私も初めに伺ったのは、なぜ国会の意思表明を待ってから出してこないかということなんですが、それは国会の方の意思表明も、国会の審議がおくれておる事情もありましょうから、出すということは一わかりますが、出すなら、本来常識的にいえば、前にどうしましょうかということを出しているので、国会から別に返事がないからもう待っていられないから、今度は予算くれということを出すのだ。そうすれば、どうしましょうかということを取り消して出すのが常識的なことなんですね。取り消さなければならない。そうしなければ、国会にどうしましょうかということを出しておきながら、黙ってこうしたいというのじゃあれなんで、あれを取り消してこの議案を審議してくれということでないと、現在われわれはこの審議を現にやっておりますが、一方においてわれわれはどういたしましょうかという議決を求めるの件を横目でにらみながら金をくれという予算を審議している。われわれとしては非常に気持が悪いです。ですから、そこをはっきりしていただく方がわれわれの審議もすんなりいくので、そのためには、本来ならば国会の議決を先にもらって、それは完全実施しなさいよという意思表明があって、それに基づいて完全実施するのに必要な予算を組んで出すということが一番いい順序ですけれども、なかなか国会の審議もはかどらないし、政府の方のいろいろ御都合もありましょうから、国会の審議の完全実施をしなさいという意思の表明が出るまで待っていられない。従っておれの方は予算案を至急作って出すのだと、それはいいです。出すのはいいですが、それなら、初めにどういたしましょうかといって出しているのですから、それを撤回して、ああいったことを出しましたけれども、これこれの事情で予算を審議していただきたい。前のやつは撤回いたしますから予算案の審議をして下さい。これが何といっても常識的だし、また国会と政府との関係からいっても常道だろうと思うのだが、その前の議決を求めるの件を撤回をしないで、そのままにしておいて予算案を提出してきているのじゃ、ちょっとおかしいのだが、それはどういうことですか。
○国務大臣(石田博英君) むずかしい法律論になりますと、はなはだ苦手でございますので、不足分は法制局長官に御説明を願いたいと思いますが、私の考え方、判断といたしましては、国会に出しました案件を撤回をいたします、撤回をいたしまして予算案を出します、予算案を出すという事態は政府の意思表示でございます。しかし、その予算案は必ず成立するものと断定するわけには参らないわけであります。もし不成立に終わった場合は、やはり予算上資金上不可能だという事態が残るわけであります。そうしたらその案件をまた出さなければならない。そうすることは一事不再議の原則がございますので、一応それは生かしておきまして、そうして予算案の成立を待って、成立すれば予算上資金上可能になるわけですから、自然消滅というふうに私は解釈しておるのでございますが、しかし、これは政府側として一つ法制局長官から御説明を願います。
○政府委員(林修三君) まあいろいろ政治的にごらんになりますと、今、杉山委員のおっしゃったような御議論もあるかと思いますが、法律的には労働大臣の言われるような考え方で政府は考えてきているわけでございます。予算案を出しただけでは、やはりまた資金上予算上可能になったというわけには参らないわけでございまして、またそれを撤回するという条件にはならないのでございます。結局、予算が成立して初めて資金上予算上可能になる。その場合においては撤回するということも考えられますが、そういう暁には、すでに否決するという実は問題になりますので、まあ従来自然消滅ということで扱っていただく。これはかようなことだと考えております。
○杉山昌作君 よくわかりました。しかし、これは現在の法律の解釈論でございましょうね。十六条二項のああいう規定があるものだからそうせざるを得ないということで、これは立法論じゃなくて法律の解釈論ですね。 そこで私は伺いたいのですが、結局、今までのお話しを承ると、政府はその真意にもないような議決を求めるの件を国会へ出す。しかもその出した議決を求めるの件は、政府の真意に基づいたところの予算案を提出しても、なおこれは撤回もできないのだ。従って、国会としては、一方にどうしましょうかという案を横目でにらみながらこの予算を審議するというような非常に不明朗な審議をせざるを得ない。これは、いずれも政府がそういうことをやりたくてやったことじゃない。結局十六条二項でそういうようなことを規定しておるからやったんで、罪は一切十六条二項の責任だと、こういうふうな結論になると思うのであります。そこの問題は、十六条二項は一体そのまま置いていいかどうかということになる。もともと十六条二項は、これは非常にむずかしいというか、いやな法律でして、そうして仲裁裁定が出て、予算七それが不可能な場合には、政府は国会に付議してその承認を得ろというんです。一体、政府はやりたいのかやりたくないんですか、意思の表明をしないで、ただあれは予算上不可能なことですからどういたしましょうかと言ってくる。大体、政府は国会にいろいろな議案をお出しになりますけれども、政府の意見なしにどういたしましょうかという出し方をするのは、これは越権だと私は思っている。なぜそういうことになったか考えますと、結局、仲裁裁定についての政府の腹が今まできまっていなかった。きまっていなかったというよりも、むしろ政府は仲裁裁定をやりたくなかった。やりたくないんだが、政府はやりたくないという意思表明をしたのでは、仲裁裁定の建前上から政府は責任を問われる。やむを得ないから国会にこれをどういたしましょうとお伺いを立てて、国会の方でやると言えばやるし、やらないと言えばやらないで済むというのが、私は十六条二項のほんとうのあれじゃないかと思う。私はまことにおかしな法律だと思う。そこで、われわれは十六条二項を、予算上不可能な裁定が出た場合には、補正予算を作ってすみやかに国会に出してやれということにするのがほんとうだとかねて考えている。少なくとも政府は裁定をやるのかやらないのか、一部実施すればいいのか、少なくとも政府の意見くらいはつけて出すべきだと思っておる。二十七年七月の改正のときに、私は意見を付して国会に出すというその意見を付すということを強く主張しましたけれども、そのときにも、政府はやはり意見はいやなんだ、やりたくない。やりたくないというのはやはりどういたしましょうかということにしてくれろということで、意見を付してくれというのを修正をして、「事由を附し」ということでお直しになったんです。そこで、どんな事由がついたかと見てみますと、お粗末な事由で、付そうか付すまいかというような、依然として法律を作ったときから、十六条二項の仲裁裁定に対しての政府の意見というものはちっとも示さないで、もっぱら国会の言うなりになろう。言うなりになろうというよりも、何とかやらないと言ってくれればいいなというのが政府の意見、それが今までのところなんだと私は思っております。私はこれは非常に残念に思っておりますが、幸いにここ数年間、政府の方がこの点をはっきりいたしました。裁定というものの本質からいって、ぜひこれは完全実施すべきだということで、先ほど労働大臣がおっしゃったように、今回は仲裁に持ち込む前からそういうことをやっている。今度の補正予算案の提案理由の中にも、健全な労使の慣行を実施する上においてこれが必要だからということをちゃんとうたっている。私はまことに政府の態度をりっぱなものだと、われわれのかねてから考えていたことで、ほんとうにけっこうだと思うのですが、ただ問題は、そういうふうに政府の方は変わってきましても、酒は新しくなっても依然として皮袋は古い。その新しい酒を古い皮袋に押し込むものだから酒の味がまずくなってしまうのが今の状態だと思う。私はよろしく皮袋を改めろと言いたいんです。そこで、私は先ほど来労働大臣のお話し、あるいは法制局長官の解釈からいっても、政府が今やっていらっしゃることは政府としては本旨でない。われわれの国会としても二つの違う提案を受けて、一方だけの審議をして、一方はたな上げにしておくのだ、一方が出れば片っ方は自然消滅するのだ、そんな国会の事務のとり方、慣行はほかにない、ただこれだけがある。そんなことは国会としては早くやめるべきだと思う。ところがそれの一切が、かかって十六条二項があるゆえにということが先ほどからのお話でわかるわけなんです。従って、私はここですぐに、政府は仲裁裁定は完全に実施するのだという大方針を確立された以上は、先ほど労働大臣は現在の時点においては、あるいは現在の情勢下においてはということを、非常にそこについても、何か将来については自信のないような言い回しがございましたけれども、そんなことはいかんので、将来に対してもそうあるべきだ、そうして法律を変えて、予算上できないような、不可能なような裁定が出た場合には、十日以内に、事由を付して国会の議に付すということにしないで、不可能な裁定が出たときには、これは予算を作るのですから、十日間とはいえないでしょうが、すみやかに補正予算を作って国会に提出しろ、こういうふうに十六条二項を改めることによって、今まで私と大臣との間にやってきたようなもやもやがなくなって、しかも政府が完全実施という大きな新しい健全な慣行として打ち立てようとしているものに、まさに真正面にそれに合致する改正なんで、改正の御意思ありやなしや、お伺いしたい。
○国務大臣(石田博英君) 御議論を承っておりますると、問題が三つあるように思います。 一つは、公労協関係の労使関係というものを健全にいたしますために、仲裁裁定を完全実施するという方針を今後も持続すべきだ、それが法律の、争議権を奪った代償としての仲裁裁定服従の義務をうたっておる法の精神に合致するのだ、こういうお説、これはごもっともだと思います。そうあるべきだと存じます。そうしてそうやって参る方針であります。 それから第二の問題は、憲法上の国会の予算審議権、政府の予算編成権との関係において、公労法の規定をどうすべきであるか。実際に、ただいま前段に申しましたような政治的方針を立てた場合に、法律論としてもそんなものは必要じゃないのじゃないかという御議論が出てくると思います。しかしこれは先ほどから申しましたように、やはり予算編成権、国会の予算審議権との関連を考えなければなりませんから、その点において規定はやはり残すべきものだと存じます。 第三番は、それじゃ十六条二項において、政府が案件を提出して、政府の意思表示をしないままで出すことの可否、第三点の問題になると思うのですが、これはあくまで個人的な意見でありますが、これの意見としては、意思を政府は表示して提出すべきものだと考えております。そういうふうな方向についての検討はいたしたいと存じております。
○占部秀男君 関連して……。労働大臣に杉山さんの今の御質問に関連してお伺いしたいのですが、今の杉山さんの御質問に対して、労働大臣はいわゆる争議権の背景を持った団交権というものをこれを取り上げてしまった、大きく制約した、その代償としてのこの問題であるから、当然完全実施するのがあたりまえだ、これはわれわれもそうだと思うのです。そうだとするならば、第二の問題の予算編成権の問題でありますけれども、これはいろいろ議論のあるところでありましょうが、少なくとも正しい労働関係、労働慣行というものを確立していく上において、今日の法律上でも、予算の編成権そのものが仲裁裁定の内容にまで云々するという必要は必ずしもないわけであって、国会内における予算の編成権というものは、いわゆる仲裁裁定された内容をどういう形で予算化していくかという、いわば技術問題としての予算編成権であっても、当然これは許されておる範囲であると私は考えておるわけです。憲法上決してこれは違憲ではないと考えておるわけであります。そういうような立場からするならば、当然杉山さんの言われるように、第二項の問題は私はなくしてしまった方がいい。裁定そのものは、すなわち予算をすぐに出すのだ、こういう形に持っていくのが私は正しいのじゃないかと思うのでありますけれども、その予算編成権の内容の問題点について、もう一度一つ労働大臣の御意見を伺いたい。
○国務大臣(石田博英君) 前段の公労協の労働者に与えられている権利の範囲でありますが、その権利の範囲は、争議権は剥奪されておりますけれども、団体交渉権は法律上他の労働組合と特別の違った地位にあるとは思いません。ただ争議権が背景にあるかないかに、団体交渉権の実質上の相違があることは認めますけれども、法律上は私は違いがないと思います。従って、政治論として今占部さんのおっしゃった御議論に、私はそのまま、その通りだと思います。しかし予算編成権、予算審議権との関係においては、私は仲裁裁定がそれでは政府の予算編成権及び国会の予算審議権を上回る関係、上位の立場にある関係になっていいかどうかということについては、私は疑問に思いますが、これは直接に労働行政の問題というより、労働行政の問題よりは政治論として私はあなたの御議論に賛成であり、その方針を少なくとも私が責任をとっている限りにおいては、終始一貫その方針を持して参るつもりでありますが、その後の予算編成権、審議権との関係は、どうもこれはやはり法律論になりますので、法制局長官に譲りたいと思います。
○政府委員(林修三君) 法律的に申しますと、第一にこれは別に特に申し上げるまでもないかもわかりませんが、十六条二項は実は団体交渉の場合の規定でございまして、団体交渉についてすぐ拘束を認めるのがいいかどうかということも非常に困難であるわけで、問題はむしろ三十五条の仲裁裁定にしぼって考えるべきだと思うのであります。三十五条で同じく十六条二項を援用しているわけでございますが、この場合につきましても、しかし御承知のように法律的に考えますと、いろいろな政治的な配慮はございましょうけれども、やはりこの仲裁の拘束をする相手方は実は組合であり、あるいは公社であり、あるいは公労、特別会計であるわけで、それがすぐ政府あるいは国会を法律的に拘束するということがいいか悪いかということは、大きな問題として考える必要があると思うわけであります。そこにいわゆる先ほどから労働大臣の言われたような政府の予算編成権、あるいは国会の予算審議権、こういうものとの関連から申しますと、直ちに政府が補正予算を作って国会に出すというところまで拘束するのが法律的にいいかということになると、相当やはり問題があるのじゃないか。そこらの非常に問題点を解決すべく考えられたのが今の十六条二項、あるいはこれを仲裁裁定の上にまで援用されたと思うのであります。政治的にはいろいろ考え方の仕方があると思うのでありますけれども、法律的に申しますと、今の十六条二項は文書の書き方については、これはできたときのいきさつからいって、いろいろまだ検討のしようがあると思いますけれども、私はこの考え方はやはりそう軽々に法律的には捨て去れないのじゃないかと、かように考えておるわけであります。
○占部秀男君 関連、一つだけ。これで終わります。実はこの問題をなぜ言うかというと、この条項があるために、従来政府の立場からいって、仲裁裁定を完全に尊重しないための一つの隠れみのになっておる、こういう事実がこれはずっとあったのです。石田さんの時代になって、今度のようにすっぱりと完全に実施していただいたので、われわれ非常にその点ではけっこうだと思っておりますが、従来はやはりこの条項に関連をして、裁定の内容が下回っている、あるいは実施期間が延伸するという形で、いろいろな形で裁定そのものが尊重されていなかった、こういうことなんであります。そこで今法制局長官のお話を聞くと、何かわかったようなわからないような……、私の言ったことは仲裁裁定というものの内容を、これを技術的にいわゆる予算化するという方向で持っていっても、必ずしも国会内における予算編成権というものが侵されたという形にはならないのじゃないかと思う。仲裁裁定はそのままやはり尊重をして、そうしてそれを予算化する場合の技術的な面だけは、やはり国会でやっていく、これは今の法律で許されておる範囲のことであり、特に諸外国の公共企業体に対する扱いを見ても、そういう場合は私はあると思うのです。また裁判でもってこれをきめて、それを即そのまま予算化していくというような方向も、イギリス等でもとられておる。こういうような実例もあるのですから、やはりそういう点に前向きの形でこれを踏み切ってもらうのが私は正しいのじゃないかというふうに感じるわけです。その点重ねて労働大臣に、くどいようですけれども、一つ何とか踏み切ってもらいたいと思うのですが、その点いかがですか。
○国務大臣(石田博英君) 昭和三十一年までは、ただいま御議論のように、十六条の二項か、あるいは三十五条を援用いたしまして仲裁裁定の実施を延引したり、あるいは一部削除した事例がございます。それは事実御説明の通りだと思います。その時の客観情勢、その時のいろんな事情から考えて、私はこれに対して論評をすることは避けたいと思います。しかし三十一年公労法が改正をされましたときに、その改正によって、仲裁裁定は労使双方を拘束するだけじゃなくて、政府に努力義務を課しておるわけであります。その努力義務を課したという改正の精神にのっとりまして、その時点、三十一年のいわゆる春闘からずっと今日に至るまで完全実施をいたして参っておるのであります。従って政治論としては私はその通りでいくべきであり、あるいは公労法の精神からいっても、そういう方針をとるべきだと思っております。ただ政府の持っている予算編成権というものは、その技術的なものだけに限らるべきものであるかどうか、あるいは予算の規模、範囲というようなものにまで予算編成権というものは及ぶべきものであるかどうかというようなことを私どもは検討しなければならぬのでありまして、政府の持っておる予算編成権というものは、単に技術的なものだけに限られるという前提の上に立った議論は、にわかにちょっと私は同意いたしかねるのであります。
○委員長(館哲二君) このまま暫時休憩いたします。 午前十一時二十六分休憩 ————・———— 午前十一時四十五分開会
○委員長(館哲二君) 休憩前に引き続いて会議を開きます。
○杉山昌作君 大蔵大臣ただいまお見えのようですが、実は、初めからの話を労働大臣と大蔵大臣とお二人に申し上げたいと思ったんですが、今までは、労働大臣から、政治論としてはお前の言う通りだということにまで来ているわけなんです。ただ、立法論としてはどうかというふうなことになっているわけなんです。しかし、この政治論と立法論と、そう分けて考えていいものかどうか。大体法律の解釈なら、これは解釈で、政治とは別だと言うかもしれませんが、立法ということになると、むしろ政治論が先に立って、そうして政治論でこれがいいという方向に法律を作る、直す、立法していくということが立法の建前だと思いますので、ですから、政治論ではそうだけれども、立法論としてはどうもおかしいというのは合わないのであって、それよりももっと突っ込んで、立法する場合に、これこれの条項は憲法違反だからそういう法律はできないというなら、これはわかる。だから、そういうふうなことで、法制局長官からも御答弁を願いたい。 そこで、先ほどからの問題は二つあると思う。その前に一つお断わりしますが、先ほど法制局長官は、公労法十六条二項は、あれは協定の規定が主なんで、仲裁裁定に関してはむしろ三十五条の援用だと、こう言ったんです。その通りでして、私が初めから十六条二項と申し上げてあるのは、その協定の場合のことは全然考えていないので、三十五条で援用された仲裁裁定についての十六条二項の適用方、それだけでございますから、その当事者が勝手に約束して、それが、予算がないから、当然予算を出せということは、これはおかしいので、仲裁裁定の場合だけであるということをはっきりと一つ御記憶願いたいと思います。 それで問題は、先ほど来、その立法論のうちで二つあると思う。そういうふうな、必ず予算を出せというふうな立法をすることは、政府の予算編成権を侵すものではないかという問題と、国会の予算審議権を拘束するものではないかというような、二つのお話があったと思う。あとの国会の予算審議権の方は、これは問題にならぬと思うのです。政府に提出義務を命じているだけで、政府が出してきた予算案を国会で否決するか、可決するか、修正するか、これは国会のことでございますので、結局、政府は補正予算を出せということを書きましても、国会の予算審議権はいささかも拘束するものではない。問題は、一にかかって、そういうふうな法律を作ることが政府の予算編成権を侵すかどうかということだけにかかってくると思うのです。何か、そういうふうなことは、従来そういう例があるとか、あるいは、それはこういう理論でいかぬとか、そこの問題を一つ法制局長官に伺っておきたい。
○政府委員(林修三君) おっしゃいますように、予算審議権の問題は、かりに今、政府に予算編成の、補正予算提出の義務を課しても、それは直ちに国会を拘束することにはなりませんから、法律的には問題にならないと思います。 そこで、政府に予算提出の義務をかけることが、特に立法的に、立法論としてどうかということになるわけでございまして、これはまあ、御承知の通り、この仲裁裁定といえども、実は拘束する相手方は、これは法律的には当事者だけであるべきはずでございまして、政府とか国会を当然に拘束するものではないはずでございます。法律的にはまず第一そこでございまして、その上に、そこで実際上、しかし今、公共企業体あるいは特別会計につきましては、国会が予算の議決をしなければ支出できないことになっておりますから、実際は、当事者を拘束しても、政府あるいは国会に対する拘束がなければ、実際上それが実行できないという結果になるわけです。その矛盾を調整するためには、少なくとも政府にそういう補正予算提出の義務をかけたらどうかということになるわけであります。これは、一つの大きな政治論としてそういう問題があるわけでございますが、しかし、それで予算の編成を政府に義務づけるということになりますと、これは実は、財政ということはもちろん、公共企業体あるいは特別会計の中だけで処理できる、仲裁裁定の内容いかんによりまして、内部だけで処理できる問題もございましょうし、あるいは、それだけで処理できない問題も、もちろん仲裁裁定はどんな裁定が出てくるかわかりませんから、あり得るわけであります。あるいはそのために増税しなければならない、あるいはどうこうしなければならないという問題も当然入ってくる可能性があるわけです。そういう問題についても、当然に政府に予算を作らせる、その内容に反対、賛成であるを問わず、作らなければならないという義務をかけるのが、やはり私は憲法上どうかという考えを持っております。
○杉山昌作君 これはなかなかむずかしい問題だと、私自身も思います。その点は、これは私もさらに考えて、また政府でもさらに御考慮願いたいと思いますが、今度別に、それはそれでおきますが、法律を変えよとまでは言わないけれども、初めに私が申し上げました、昭和二十七年に私が考えたこと、いやしくも政府が案を出すときに、意見をつけずに出すということはないじゃないかということで、しかも、これはむしろ意見を出すということは、政治的には、政府は反対するならば完全実施をするようにやれということに落ちつくと思いますが、これがまた政府の主義でもある、完全実施するのだから。従って私は、十年前に私が出した案に遡って、先ほど労働大臣がそれに賛成だとおっしゃったですが、少なくとも今度は意見を付して、事由を付してを、意見を付してという程度の改正をやられる気持がございますか。どうですか。
○国務大臣(石田博英君) 今の問題は二つございますと思いますが、十日間という問題と、それから意見を付すという問題と、二つあると思います。意見を付すことを義務づけますと、検討の期間の十日間は、これはやはり困る問題でありまして、しかし、政府がおよそ案件を出す場合に、事由を付すだけで、意見を付す自由がないということは、私自身も非常に疑問に思います。これは、十日間の問題とあわせて十分検討いたしたいと存じます。 —————————————
○委員長(館哲二君) この際、委員の変更について報告いたします。 本日、中尾辰義君が辞任され、補欠として小平芳平君が選任されました。 —————————————
○委員長(館哲二君) 藤田藤太郎君。
○藤田藤太郎君 私は、第一番の問題といたしまして、今日の日本の経済の動きを見ていますと、非常に設備投資というのが急速度に拡大をされているわけであります。それから、これはまあ生産拡大というものにつながってくるわけでございますけれども、このままで行きますと、結局、生産に需要というものがマッチをしませんから、どうしてもことしから来年にかけて、結局過剰生産ということになりはせぬか、こういう心配をしているわけであります。ちょうど企画庁から出された倍増計画の中の三十五年度の数字がここに出ておりますけれども、三十五年度総生産十三兆とされたのが、二千七百三十四億生産では上回っております。しかし、その中で伸びているのは設備投資、それから行政投資、在庫投資というのが非常に大幅に伸びているのでありますけれども、個人消費とか、個人住宅、こういうところについては伸びていないのであります。だから、このバランスをどうしてつけるか、需要拡大のバランスをどうしてつけていこうというおつもりなのか。これは、一つ総理と企画庁長官からお話を承りたいと思うのであります。
○国務大臣(迫水久常君) 現在の設備投資の速力が、スピードがやや早過ぎる傾きがあるのではないかということは、藤田さんのお話の通りでありまして、私どももそういうことは感じております。しかし、一般の民間の経営者の中におきましても、逐次経営者の責任を十分に果たして、その責任において慎重にやっていかなければいけないのだという空気が出てきつつあることも御承知の通りでございますので、現在予見されているというよりも、一般に論議をされているほどに、ことしの設備投資が四兆になった、 〔委員長退席、理事梶原茂嘉君着席〕 拡大になったというようなことは私はないと実は考えておるのであります。そうしてかりに、私ども予定いたしました三兆一千四百億という数字を上回るような設備投資がありましても、このごろは、いわゆる懐妊期間というものが長いものが多くなっておりますので、これが直ちに、昭和三十七年、三十八年というようなところに非常に大きな生産力として現われてきて、生産過剰の状態になることはないだろうと、われわれは想像いたしております。しかし、経済の全体の形が、三十三年、三十四年と、三十三年以後ずっと変わって参りまして、設備投資が全体の有効需要の中で占める割合というものが非常に大きくなってきたことは、これは事実でありまして、所得倍増計画の基準年次としてとらえました三十二年、三十三年の平均と、非常にそこで経済の構造の型が変わってきていることも事実でございます。すなわち、個人消費が総有効需要の中で占める割合というものが、三十四、三十五では減ってしまったということも事実でございまして、この格好というものが、将来ずっと永久に続いていくという格好には私はならないのじゃないか。自然的にそこにはバランスがまた変わって参りまして、個人消費の伸びというものが、たとえば三十七年度以降においてはふえてくる形になるだろう、こう今思っているのでありまして、直ちに現在の数字を基礎にして、来年度、再来年度、生産過剰が非常に多くなってくるというふうには、私考えておりません。
○国務大臣(池田勇人君) 企画庁長官がお答えした通りで、そういう面をいろいろ民間の方でも考えて、適正な設備投資ということにおさまるだろうと私は思います。
○藤田藤太郎君 今、総理と企画庁長官がそういう工合におっしゃいましたけれども、三十五年度の決算を見て、たとえば個人消費は、七兆七千四百六十六億に対して七兆二千百五十三億、こういう工合に実績は少ない。しかし、設備投資の方は、二兆二千六百十五億に対して三兆一千七百七十二億ですか、こういう工合に、非常な違いがあるわけでございます。これを引き延ばしていったらどういうことになるかといったら、結局需要の拡大、国内の購買力、経済回転という筋を生産に応じてやっていかないと、結局日本が、歴史的に日本の経済を見てみますと、生産と消費のアンバランスという格好で操業短縮が起きる、首切りが起きる、こういう形の要するに不景気という事態、その間には、生産力を独占しているものだけが太っていく。こういう形がまた繰り返されるのじゃないか。こういう心配を私たちはするわけであります。だから、順次お尋ねをしていきますが、たとえば、雇用の問題にしましても、生産と消費というものがバランスがとられていくところに経済の繁栄がある。こういう工合に、この生産と消費というものがアンバランスのところでは、なかなか安定雇用とか安定生活というものがですね。個人においてもそうだし、国の経済全体についても、結局しわ寄せするものは働く者にしわ寄せがされるということになりはせぬか、こういう心配をするのでありまして、だから、どういたしましても、生産力がこれだけ伸びた。これはどこから借りてきたのでもない。日本の国民の力といいますか、能力、科学によって、生産増強の機械が生まれて、そういう格好で生産拡大してきたのであるから、あわせて国民の消費購買力、生活水準を引き上げるというところはバランスをとる必要がある。そういう需要の問題は、企画庁や政府が出されているものを見ても、四十五年度の目標年次の問題は出ておる。しかし、具体的にどうやっていくのだという問題については出ていないのであります。そこで、三十五年度の私は企画庁の出された数字を取り上げたわけですけれども、これにも、こういう片一方ではものすごく伸びている。片一方では計画線までもとても行ってない。こういうところの問題がありますから、どうしてこの、需要を高めていくか、国民生活をどうして引き上げていくかという問題をお尋ねしないと、私たちはわからぬわけであります。そういう点、もう少し詳しく、企画庁長官から、その具体的な年々のプランを一つお示し願いたい。
○国務大臣(迫水久常君) 藤田さんがおっしゃいますのは、要するに、個人消費をもう少し伸ばさなければ、生産はアンバランスになっていくと思うけれども、個人消費を伸ばす方法はどういうふうにするのだと、こういうことをお尋ねになっていらっしゃるものと了解をいたしますが、個人消費の伸びというものは、経済の成長に伴いまして、雇用の量の増大すること及び賃金の増加することによって個人消費は伸びていく。それを計画的にどういうふうにして伸ばしていくかという問題は、これは、計画経済でなくて自由経済なんですから、その問題について、こういう計画だということは、私たちはちょっと言えないので、十年間全体の一つの見通しとしては、いわゆる所得倍増計画に一つの目標を掲げてございますが、当然雇用の量及び賃金の増加によって個人消費は伸びていく、こう判断をいたしているわけであります。
○藤田藤太郎君 私は、そういうことでは了解しにくいのであります。たとえばですね。それじゃ自由経済だから、自然に自由取引の間についてそういう問題が向上すると、こうおっしゃるけれども、しかし、私はこの前も少しお話しをしたと思いまするが、これだけ機械化や生産増強がされてきた中で、生産性と賃金上昇率との関係というものがどういう位置づけの中になければならぬかというのが問題になってくると思う。私の了解するところでは、今日の近代国家、福祉国家といわれている国、そうしてまた、完全雇用が実施されている国、そういう国では、生産性の上昇率と賃金の上昇率とが同じである。そうして物価が横ばいという方式をとって、政治的な福祉努力、国民生活福祉努力というものがされているのが現状ではなかろうかと思う。しかし、そういう一つの基準をきめて、政治経済を計画を立てている国でも、今日賃金上昇率の方が生産性よりか、大体工業国といわれているところでは高いというのが現状ではなかろうかと思う。そうなってくると、この生産性の問題が、三十年から三十五年で五三%、賃金の上昇率が三七%だ、日本の国で。それで、物価はどうかというと、企画庁が出されたこの調査を見ても、物価の上昇というのは、卸売物価が、大体三十五年、昨年の四月からことしの四月にかけて四%上がっている。消費者物価は、やはり五%くらい全都市でも上がっているわけです。そういうことになりますと、実際問題として、完全雇用を標榜されていながら、完全雇用とそうしてこの生産性と、その関係においてのバランスというものが、日本だけ特異な状態でやっていくことができるかどうか、私はここに問題が出てきやせぬかと思う。だから、こういうところから見ても、自由経済だからこうだということでなしに、行政上の突っかえ棒をやらない限り、こういうものを是正することは私はできないのじゃないか。こういうものを外国並みに、世間並みに是正していくという政策がない限り、これは是正できないのじゃないか。ただ自由経済だということで、おっぽり出しておけば、ことしの……先ほど申し上げました三十五年度の計画に現われておりますような結果になっているわけです。どうでございますか。
○国務大臣(迫水久常君) 生産性の向上したことによって生じたところの余裕というものを賃金の増加、それから、それを社内に留保して設備の増加に充てる分、あるいはそれによって物価を引き下げる分、この三つに妥当に配分されていくということが、私は経済の成長のために非常に必要なことだと思っておりますが、現状におきましては、今お話のように、若干社内に留保して、それが設備の増加に充てられている部分が割合に多いということは、これは顕著なる事実でございます。これが、いわば生産設備がスピードが上がり過ぎている一つの原因であると思うのでありまして、そういう格好ではほんとうはいけない。そこで、できるだけ指導して、生産性の向上によって生ずる余裕を、三つのものに妥当に配分していく、こういうことに指導していきたいと考えているわけでございます。従いまして、総理大臣もときどきいろいろな会合で言っておられますけれども、賃金の上昇というものが早過ぎるのじゃなくて、もっと賃金の上昇がなくちゃいけないのだという趣旨のことをときどき言っておられるのがその点のことでございまして、逐次そのことは是正せられ、妥当に配分される傾向を馴致されてくるものと考えております。
○木村禧八郎君 関連して。ただいま藤田さんは、生産と消費のアンバランスの問題について御質問しているのですが、それについて、企画庁長官の御答弁を伺いますと、自由経済だから、有効需要特に個人消費の方については、これを政府が介入してどうこうというわけにいかぬ、こういうお話なんですが、ところが、私ははっきりお伺いしたいのですが、この所得倍増計画の構想の基本になったのは、いわゆる下村理論といわれておりますね。企画庁の考えと同じかどうか知りませんが、下村理論ですと、一応筋が通っているのです。下村さんは、経済成長する場合、成長の原動力になるのは設備投資である。これは制限しないで、自由に企業家の創意工夫にまかせる。これは政府は介入しない。しかしながら、有効需要については政府が介入すべきである。自由経済といっても、昔のような自由経済ではないのだ。これは政府も言われるんですよ。政府が、都合のいいときは、自由経済と申しましても、必ずしも完全な自由経済ではない。昔のような自由経済ではない。こう言いながら、都合が悪くなりますと、自由経済だからそういうことはできないと言う。有効需要については政府が介入しない。たとえば、最低賃金制度の問題もあります。あるいは社会保障の予算をふやすということも介入することであります。そういう、政府が有効需要については介入していかないと、これはバランスが合いませんよ。下村理論はそういう立論になっております。ですから、その限りにおいては、その他についていろいろ問題がありますけれども、一応筋が通っています。しかし、政府の方は、設備投資の方も自由にしておく、有効需要の方も自由にしておくということは、さっき藤田さんが御指摘になったように、過去の例を見ましても、そこに過剰生産の問題が起こってきて、景気変動を起こすわけです。そこがどうも矛盾しているように思うのですが……。
○国務大臣(迫水久常君) 私は、藤田さんのお話を少し早手回しに考え過ぎたかもしれませんが、賃金の上昇率について、政府は何か干渉するような方法を講ずべきではないか、もっと賃金を引き上げるようにすべきではないかというふうにおっしゃるように私は聞いたものですから、そこで、その点については、政府は、自由経済なんですから、それは民間経済の自主的な決定にゆだねるべきだという理論を申し上げましたが、ただいま木村さんのおっしゃった最低賃金の問題、これは、さっき申し上げようかと思って省略したのですけれども、最低賃金の問題あるいは社会保障、生活保護費、そういうものの増加の問題、そういうものについては、当然政府としては十分の力を使って、そこに、何と申しますか、国民の収入の増加をはかっていく道は講ずるわけです。最低賃金の問題あるいは生活保護の問題というものを下から突き上げてきますれば、自然にそれで上の賃金も突き上げられてくる効果も出てくる。その限界においては、もちろん政府も努力するつもりでおります。
○藤田藤太郎君 私は、その経済一般の問題を議論して、今の一般的な団体交渉で労働条件がきめられる、こういうものには政府はむしろ干渉すべきではないというところが言いたいところです。しかし、それはどんどん上がっていくと、いろいろ運動がどうだとかこうだとか言うて、政府自身が権力でチェックするような場合が多いし、今日の労働関係法にきめられた団体交渉すら拒否しているところが相当ある。 〔理事梶原茂嘉君退席、委員長着席〕 こういう状態をむしろ是正して、すなおな形で一般的な賃金を上げていくということになるわけですけれども、しかし、底をなすものを少し議論をしておかないといけないから、全般について、単に組織労働者、賃金交渉、そういうばかりでない、雇用の問題もあるでしょう、雇用の問題、完全雇用をどうするかという問題がやっぱり底になる。何といっても、これが底になって、完全雇用の中から国民の購買力を引き上げていくという問題が第一の問題として出てこなければ私は議論にならないと思って、そういう意味で、前提の問題としてお聞きしたのですけれども、先の方のことだけは言われるけれども、具体的にどうするという問題が、国内有効需要を上げていくという問題について的確な答えがありませんから、私は、それじゃ具体的に聞いていきたいと思います。 たとえば、今度雇用の関係においては、雇用促進事業団法というのが今出ているわけです。雇用促進事業団法の内容は、目的を見ても明らかなように、あれだけ所得倍増論を掲げて、完全雇用を掲げておられる政府が、雇用促進というのは、単に一部の雇用促進じゃない、全体の雇用促進をやろうとするなら、なぜ明確に、完全雇用を達成するために、この中のこれとこれとは雇用促進公団でやらすのだ、これとこれとの面は違った方向でどうやっていくのだというものが出てこなければ、私は政府の計画と合わないと思うのです。だから、私はそこでお聞きしたいのでありますけれども、完全雇用といっても、非常にたくさん問題がある。この前議論しましたから、少し私はやめますけれども、農民の過剰就労の問題がございます。零細商業の問題もございます。そういうものをどうして完全雇用の姿にしていくかということになりますれば、どうしてもやっぱり完全雇用を達成するという基本計画がなければ意味ないのじゃないか、そういう完全雇用を達成するという基本計画、基本方針の中で、今の雇用促進事業団に扱われているような格好のものは雇用促進事業団で扱うのだ、流動性や訓練の問題は扱うのだということになると、私は幾らかわかってくると思うのです。その基本的な問題が出てこないで、雇用促進事業団法というと、いかにも完全雇用を達成する、これが背骨の法案になるのだと、国民が、私たちも思ってきたら、そうでない。だから、完全雇用を達成する雇用基本法とか、完全雇用を達成する政府の計画とか、こういうものはどういう形でお示しになるのか。私は、少なくともこの国会に、十年倍増論、所得倍増論からいってお出しになることだと思っていたのですけれども、出てこないから、政府はこの問題についてどうお考えになっているか、聞いておきたい。
○国務大臣(石田博英君) 所得倍増計画がその究極の目的として完全雇用の達成を目ざしておるわけでありまして、目的の年次におきまして完全雇用が実現されるように計画が作られております。その大きな見取図を見ながら、私どもはその見取図に合う雇用の問題を取り上げていこうといたしておるのであります。雇用促進事業団の目的の中に完全雇用を目ざすという文句は、それは入っておりません。おりませんけれども、完全雇用を目ざして参りまする過程におきまして、その中で雇用政策としての問題点を処理する——職業の訓練あるいは労働力の流動性の確保その他の問題を処理していくのが、雇用促進事業団の目的でございます。そこで、それでは完全雇用を達成するのには何が背骨か。それはもちろん雇用政策というものが、雇用促進事業団というものを中心に立てられて参ります。従って、訓練計画におきましても、年次計画がございます。あるいは農業労働力の今後予想される移動についての、それに見合うような訓練計画も持っておるわけでありますが、しかし、それはやはり他の諸般の政策とにらんでいかなければならぬ問題でありまして、たとえば先ほど御議論になりました生産性の上昇と賃金の上昇率との関係、賃金は三七%で、生産性は五三%、もちろん三十六年度、本年度におきましてはいわゆる今度の春季闘争その地を中心といたしまして、かなり大幅な賃金の上昇がありました。それの計算はまだしておりませんが、三十五年は確かにお説の通りだろうと思います。その間に差があることは事実でありますが、しかし、先ほど企画庁長官が申されましたように、やはり生産性の上界部分の公平な正しい分配という点から、特に日本の事情を考えますと、やはり現在それが過剰であるか過剰でないかということの議論は別といたしまして、いろいろ技術の進歩、革新、合理化その他によりまして、いわゆる資本費というものが相当かかっていることを一つの理由だと思います。それから日本の場合におきましては、生産性の上界によって吸収されないサービス業その他の仕事に従事している人々の賃金の上昇という問題も考えなければならないわけでありますが、特に技術の革新あるいは設備の増大、経済規模の拡大等によりまして、やはり雇用もそれによって伸びていくわけでありますから、そういう政策との協調も考えていかなければならぬと存じます。決して無計画でやっておるわけではなくて、所得倍増計画の中に示された見取図、その見取図を達成するように雇用政策の計画は漸次作りつつある次第でございます。
○藤田藤太郎君 今の労働大臣のお話を聞いていると、雇用促進事業団の任務のことをお話になりました。私はこの前も一度議論したと思うのだけれども、先ほど取り上げました生産性上昇率と賃金の上昇率ですね。物価がまだ横ばいどころか上がっている、こういう条件に置いておいて、雇用促進事業団をやって、それでは、きのうの新聞に出ていますけれども、企画庁の「十年後の国民生活」ということで、生産性を高めて失業者をなくし、労働力はむしろ不足傾向になるということが書かれています。どういう工合にして、それでは生産性が高まって、労働力がどういう格好で不足になるのか、ですね。そしてまた、どういう形で完全雇用ができるのかという問題になってくると、なかなかその道すがらが——目標だけはこう掲げられるけれども、道すがらがわからぬ。たとえば労働時間も一週の労働時間が五十時間程度短縮するであろう。しかし、こういうことはどういう工合にして短縮していくのかということが出てこないわけであります。たとえば賃金にいたしましても、今の高いところの賃金が七割増しである、下の方になりますと二・七倍から賃金がなると、こういうのです。しかし、これはどういう工合にしてそれではこのようなことを導いていかれるのか。先ほどのお話を聞いていると、自由経済なのだということになってくると、これはなかなかできないわけであります。そこでまあ私は総理に聞いておきたいのですけれども、総理は最近生産性の向上率と賃金の上昇率との関係について外国並みにやっていくのだというようなことを発言されたと聞いておるのですが、たとえば国民所得と勤労所得の比率は、やはり外国の工業並みに日本を持っていかなければならぬ、こういうことをどこかで発言されたと私は聞いておるのですけれども、そういう発言とマッチして今のその問題を異体化していくのにどういうお考えをお持ちであるか、総理の御意見を聞いておきたい。
○国務大臣(池田勇人君) 私の考え方は、大体藤田さんと同じようなことだと思います。藤田さんが極端に生産性の向上よりも賃金の向上の方を考うべきだという議論だったら反対でありますが、そうでもないようで……。大体先進国の状況を見ますと、イギリスあるいはアメリカも最近三、四年——四、五年というか、生産性の向上よりも賃金の上昇率が上でございます。ドイツはここ二、三年くらいは、生産性の向上よりも賃金の上昇率が上です。それは労働力の補給が東ドイツからくるのがあれと、生産性が非常に伸びてきた、人員不足、特に労働力不足という状態で上になっている。今生産性の上昇と賃金を比べまして、賃金の方が下なのはイタリアと日本ぐらいじゃございませんか。これは労働大臣が言ったように、三十年を基準として生産性で五三%上がる、労働賃金で三七%、この状態でいいかどうかということは問題ですが、今年の春闘の結果によりまして相当賃金の上昇率を示している。それからまた何と申しますか、やはり投下資本ということも考えなければならぬ。私は経済の進歩というものは、輸出の増加が第一だが、国内の健全な消費が必要なんだ、こういう意味において生産性の上昇を全部賃金の上昇にとるというわけにも参りますまいが、私は相当考えていくことが必要だと思う。で、日本の国民消費というものは、やっぱり生産性あるいは設備の増加ほどにいっていないということは、えてして個人消費というのはおくれるのが普通でございます。それからまた日本の特有といたしまして、日本国民の貯蓄性向というものは各国に比べて非常に商い。勤勉であると同時に非常に貯蓄心が強い。貯蓄増加がこういうふうに行なわれるということは、国民の貯蓄心、これによって行なわれておるのであります。今年なんかの目標は二兆六千億の国民貯蓄、こういうことは世界に例のないほどで、ほかの国の倍くらいでございますまいか。こういうところに私は日本の根強い進歩がある。だから一方では貯蓄をしてもらわなければなりませんが、健全な消費も進めていこう、こういうので私は大体今のところは常にここで申し上げておりますように、手放しの楽観はいたしませんが、うまくいっているという気持を持っております。いろいろ心配すれば、切りがございません。私は大体国民の常識によりまして経済は安定的な成長を遂げてきている、この間にいろいろなズレはございます。ただ私は賃金が上がることは、これは所得倍増のもとでございますから大いに歓迎すべきことでございますけれども、それには限度がございます。最近ドイツのように労働不足による上がり方はなかなかあれでございます。それから十年後にこうすべきである——ドイツのような国もやっぱり計画はしていないのです。イギリスもアメリカも計画はいたしておりません。ただ生産性の向上よりも賃金が上がるということは、何かそこに策を講じなければならぬ。私は特に計画的に施策を講ずるほどの心配した状態でないと思うのであります。まかしておいて、国民が良識で私はいくのじゃないか、木村さんのお話でございましたけれども、私は木村さんはよくおわかりいただいておると思いますが、この程度でずっと伸びていって、非常に労働不足だとか、あるいは何とか経済に危険信号が出るようならば対処しなければなりません。私が非常に安定しておると言うのも、たとえば日本の生産性の向上、賃金の上昇なんかが非常に、しかも、国内物価というのは藤田さんは上がった、上がったとおっしゃいますが、昭和三十年に比べて生産性は五三%、賃金の上昇は三七%でございます。卸売物価は四・五%くらい、小売物価も、消費者物価も一割余り、こうなっておりますと、世界の例をずっとごらん下さいますと、日本の経済がいかにうまく運営されておるかということはおわかりいただけると思います。最近ちょっと上がりかけておりますが、まだほかの国と比べまして生産性にしても、賃金上昇にしても、物価の安定にいたしましても、私は表をごらんになればよくおわかりいただけると思うのであります。
○国務大臣(迫水久常君) 藤田さんの御質問の中に、新聞に現われました「十年後の国民生活」というのをお引きになりましたので、その点一つ弁明さしていただきたいのですけれども、実は国民所得倍増計画という最後の章が、十年後の国民生活の見通し、ごく簡単に触れているものですから、私は計画局にもう少しこれは掘り下げて、国民所得倍増計画の線に従っていったら十年後にはどうなるかという最後の章をもう少し詳しく分析して、各方面に、各方向について研究してみてくれないかということを頼みまして、計画局でそれが作業にタッチしておるのに、目下全く一応研究の段階中に新聞記者にとられたとか、はなはだどうもだらしがない話でありますが、とられたというのが出たのでありますが、それはまだ未定稿の段階でございますので、その点だけこの機会に弁明をさしていただきます。
○藤田藤太郎君 今、総理はちょうど賃金が上がることはけっこうだということを前提にしておっしゃいました。私の言っているのは、今の工業国といわれている各国がやっておる姿の問題を言った。日本は低賃金の上に生産拡大というか、経済の成長というものをもたらしているという姿はどうしても是正しなければいかぬのじゃないかというところへ、今はそれは強引にやるかしりませんけれども、国際間の関係からいっても、そういうことはもう国の施策として是正しなければどうにもならぬのじゃないかというところに突き当たりますよということを言っているわけです。だから、今の物価の問題にいたしましても、企画庁から出された書類によって物価の上昇がこうなっていますということを言った。外国は生産性上昇率よりか賃金の上昇率が今日では高いというのがほとんどの国の現状なんですよ。それは、日本は五三%対三七%という状態におきながら物価が上がっていくというなら、これは国民生活がどうなっていくかという問題ははっきりこれは把握しておいてもらわないと私はいかない。だから、完全雇用の問題が一つ出てきます、ここで。それからもう一つは、施策として国内の需要の問題ですね、有効需要を上げるための行政上できる問題として最低賃金の問題が出てくると思います。それからもう一つ社会保障の問題ですね。そうすると、私は第一番の問題の完全雇用の問題は、雇用促進事業団法として出てきたけれども、十年倍増論の基本に触れないから、完全雇用の計画とか雇用基本法とかいうことをお出しにならなければいかぬのじゃないか、こう思うのですから、そういう点を一つ総理から明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 私は経済の流れに従って、そうしてそこに完全雇用が実現されることを期待しておるのであります。その間における最低賃金とかいろんな事象に対しましては、経済の流れに応じて措置をして参りますが、十年計画だから労働基本法、何といいますか、完全雇用に対しての基本法的なものを設ける必要は私はないと考えております。
○藤田藤太郎君 まあそれ以上議論をしてもしょうがないから、私はこの問題やめますけれども、しかし、倍増論の計画を見ると、農業はどれだけ減らすんだ、池田さんはこの前の選挙のとき六割農民削減論をおっしゃったと思う、工業労働者に移動するんだと、こうおっしゃった。それからまた中高年の非常に失業者の問題が、今日重大な問題になってきている。学卒の問題は一応求人と求職の問題はバランスがとれてますけれども、そういういろいろな問題がありますから、そういう問題をどうして正常な状態の中の雇用に導いていくかという計画は、私は経済の拡大とあわせて当然あるべきだと思う。それがないというのはおかしい、そういう基本的な問題をこしらえておかずに、雇用促進事業団ということで訓練だの、その訓練の規模も小さい、政府が計画されている労働力の移動からいっても私は少ないと思う、しかし、いずれにいたしましても、そういう雇用促進事業団法ということで糊塗していこうという考え方、私たちはなかなか納得ができないのです。基本的に完全雇用というものを看板には出されておる、看板には出されておるけれども、自由経済のもとに自然になっていくんだということでは私はならない。ちょうど農林大臣がきておられますから、農林大臣から一言私は聞いておきたいと思う。その農業基本法が今審議されて、農業の個人単位の拡大をしていこうというのだけれども、しかし、一町とか五反以下の農民は早く離農して下さいという考え方がここに流れていると思う、だから計画だけはりっぱだけれども、その導きを農林大臣としてはどうして雇用労働者につけて、そうしてこの農民から移動してきた人たちの生活を維持するという考え方について、もっと熱心で私はなければならないと思う。そういう点について所見があったら一つ、農林大臣の意見を聞いておきたい。
○国務大臣(周東英雄君) お話の点ごもっともであります。私の方は農業基本法の第二条第八号等に書いてありますように、現在経済の成長の非常に著しい中にあって、農業労働人口がその方に移動しております現状を正しく認識していって、その移動する人口に対しては、よりよき職場をささえられるように職業の訓練、あるいは職業の紹介をやっていくという考えでおるのでありまして、今後この問題に関しましては、関係省である労働省とも密接な連携をとりつつ、現在の事象をさらに十分検討してよりよいものにしていきたいと思っております。
○藤田藤太郎君 農林大臣そうおっしゃるけれども、雇用促進事業団法というものをごらんになりましたか。あなた訓練をして農民を何とかおっしゃいましたけれども、雇用促進事業団法の財源は、失業保険会計の三者で、政府、使用者、労働者によって積み立てした金を主として使うだけなんです。ここのところを一つ頭に入れて、もっと国の施策として、国の一般会計から金を出し、どうやるかということをしっかり一つ考えておいてもらいたいと私は思うのです。 それから、私は時間がありませんから次に移ります。そこで、先ほどの問題に関連するのですけれども、最低賃金制の問題、これは迫水さんも言われましたけれども、需要の問題については政府は力を入れるんだとおっしゃった、しかし、今の最低賃金法というのは、それは形の上では三者構成の審議会を経て、その最低賃金の適用を行なうことになっておりますけれども、しかし、その道すがらというもののウエートというものは、業者が勝手に賃金をきめて、業者間協定がそのまま賃金審議会に流れていって賃金がきめられる、こういう形が今の最賃法だと思う。だから、労働省は、盛んに計画をしてうんとふやすんだと、こうおっしゃいますけれども、一日の賃金が二百円前後ですね、そういうところでとどまっておると思う。だから私は、ILOの最低賃金の問題の条約を見てみても、労使が対等の立場で最低賃金をきめていくという国の仕組みで、まあイギリス方式もありますればアメリカ方式もありますけれども、そんな業者間協定が横へすべっていって最低賃金をきめていくというようなものの考え方は、私は是正すべきだと思う。これは労働大臣一つ担当大臣ですから、この考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(石田博英君) 前提として申し上げておきますが、私は、現行の最低賃金法に別に満足をいたしておるわけではありません。しかしながら、今御議論になりましたように、業者間の協定がそのまま横すべりして実施されていくのではなくて、やはりこれは労・使・公益三者で構成されております最低賃金審議会の議を経なければ公布されないわけであります。それからもう一つ申し上げておきたいことは、それは法律の制定の当初あるいは法制定以前に行政指導をいたしました時期におきましては、二百円以下の最低賃金の決定も相当ございました。十五才二百円以下の決定もございました。しかし最近におきましては、そういう早い時期に低くきめられたものは、できるだけ早く適正な賃金に改正せられるよう行政指導いたしております。また、最近、順次決定を見ておりまする最低賃金額は、大よそ二百二十円から二百五十円が、まん中のおもな大きな部分を占めている情勢に順次変わりつつあるわけであります。私どもは、現在の対象人員は七十五万人をこえる状態になって参りましたが、これが今後三カ年に二百五十万程度に普及することを現在の目標といたしております。この目標は三カ年を待たずして達成せられる見込みであります。この普及を通じましてこの法律の中の問題点を拾い上げて、そうして法自体の検討に移る考えでおりました。しかしながら、現在すでにいろいろの問題点が拾い上げられるようになってきておりまするし、現在の法律そのものの理解がまだ不十分でありまして、ある場合においては、最低賃金が最高賃金のごとく扱われている事例もございます。従って、きわめてすみやかな機会に私どもの方ではその問題点を整理いたしまして、中央最低賃金審議会にその問題点についての御討議をお願いすることになっておるわけでございます。 ただ、もう現在の時点におきましては非常に普及はいたしてきております。しかし、これはやはり最低賃金制度というものについての理解を一般的に深めていくことと並行して行なっていかなければならない問題でありまして、現行の最低賃金法におきましても、すでに低い層におきましては相当程度の賃金の上昇を見ておるのが事実でございます。
○藤田藤太郎君 私は、今労働大臣がおっしゃいましたけれども、今の業者間協定を軸にしたような最低賃金法から、労使対等の立場で、むろん三者構成になりますが、すなおな形で最低賃金がきめられていくという最低賃金法に変えなきゃならぬのじゃないか、これが一つですよ。それからもう一つは、経済の成長からいって、今のような二百円とか二百八十円くらいですよ、私の調べたところでは。国が手を添えて、もっとそこらで需要を拡大して、最低生活の保証をして上げなければならぬと思う。一般的な趨勢を待ってから検討するということでなしに、日本の生産というものは年々非常な速度で拡大している。これこそ国内のいわゆる有効需要を拡大するためにも、ここには大いに力を入れなければ、経済の生産と消費のアンバランスが出てきやせぬかという二つの問題を私は提起したい。だから私は今のような考え方では、私は経済の生産と消費の関係のバランスというものはなかなかむずかしい状態になると思いますから、迫水さんからその御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(石田博英君) ちょっと私の申し上げたことをお受け取り違いしているのじゃないかと思います。私は当初そう思っておりましたけれども、現在諸般の事情から言うて、すでに問題点を検討する時期に来ていると思いますので、その問題点を取り上げて、きわめて近い機会に、六月上旬に開かれる中央最賃審議会で御議論願う予定でおります。こういうことを申し上げたので、ほうっておこうということを言うているわけではありません。それから最低賃金という制度は、それは労働者の意見が十分くみ入れられて、そしてものが決定せられることが望ましいのであります。しかしながら、中小企業その他におきましては、いわゆる労働者の代表というものが正しくあるいは現実的に選ばれない事態もあります。従ってそういう事態にあるから、理想的な形に到達をいたしまする途中の過程として、やはり業者間協定というものを、労・使・公益三者構成の審議会が認定するという経過的制度というものは、私は現実的に必要でもあり、かつ効果をおさめているのだ。しかし、それで今のままでいいということを言うているのではなくて、問題点を拾い上げて、そして近い機会に、近い機会というのは、来年、再来年ということを言うているのではありません。来月早々開かれる中央最低賃金審議会で問題点の御討議を願うことになっているのだということを申し上げているのであります。
○国務大臣(迫水久常君) 今藤田さんがお述べになりましたように、最低賃金制の問題ないし社会保障、生活保護の問題等がただ単に労働者を保護するとか、あるいはお金のない方を保護するという見地ばかりでなしに、経済成長のための一つの有効手段として考えていかなければならないという藤田さんのお考えには、私は全面的に同感でございます。従いまして最低賃金の問題あるいは社会保障の問題につきましては、そういう見地から、私もできるだけいい姿になるように努力をしていきたいと思っております。
○藤田藤太郎君 それでは次の問題について御質問したいと思うのです。私は何といっても、政府の完全雇用を具体的にどうやっていくかという計画の中で、社会保障をどう進めるか、こういう考えを大いに議論せぬならぬことだと、こう思っております。だから社会保障全般について議論をしますと、非常に長くなりますが、中心になっておりますのは、何といっても、労働の能力のある人には完全雇用、能力のない人、要するに老年とか、母子とか、身体障害者には所得保障の社会保障をやるべきだ。それからもう一つ、国民全般については医療保障の問題が出てくると思います。これはやはり何といっても社会保障制度の柱だと、私は思う。所得保障の問題については年金の問題がありますから、ここでは触れませんけれども、そのとき議論いたします。今の医療保障の問題の最低限の問題を見ると、国民健康保険というのがある。国民健康保険が今年の四月から皆保険になりまして、皆保険になった国民健康保険で地方自治体は非常に困っている。財政不足で困っている。医療保障は世帯主、家族、五割、五割である。国の負担は二割でありまして、調整金が五分ということになっているので、市町村あげて四割の負担を要求している。そうでないと、地方自治体の財政が持たないということ。それからもう一つは、被保険者の負担が大きくて払い切れない、保険料や半額の医療費が払い切れないという人があって困るから、何とか皆保険をやっていくというのであるから、これをやってもらいたいという要求が一致して出てきている。それが現在まだ一つも進んでいない。だから私は皆保険の問題だけを取り上げて、政府はこの皆保険ないし最低の国保の問題を将来どうしていこうとするのか、それを聞きたい。
○国務大臣(古井喜實君) 医療保障で今日水準の低いのはお話しのように国保であります。そこで国保の問題は、今後せめて他の高い水準の保険まで引き上げなければならぬということになるのであります。第一番目には、現在は給付率が五割というのが普通でありますので、半分は患者が持つ、半分しか保険では持たない、これをもっと引き上げるべきではないか、患者の負担を減らす、こういうことが一つ出てくるわけでございます。結核と精神医療だけは世帯主だけではありますけれども七割に上げましたけれども、まだ五割の給付でございます。この給付率の引き上げの問題が残っております。そういたしますと、今度は患者負担は減りますけれども、国保財政、国保経済というものは負担が大きくなるわけであります。そういたしますと、五割給付程度のきようでも、国保財政はお話しのように非常に苦しいわけであります。その上に給付率を引き上げると、もっと保険の方でもかぶるんですから一そう苦しくなる、こういう方向に来るのであります。それなら保険税を増徴できるかといいますと、対象が力のない人々が多数でありますからして、保険税を引き上げるということはなかなか容易でない、どうするかというと、財源はあとないから国でそれもやはりめんどうを見なきゃならぬじゃないか、さもなければ国保の給付率の引き上げもできないのじゃないか、こういう問題にきまして、国の負担援助の問題と関連してくるわけであります。そこまでの改善をいたしませんで、だんだん国保の利用度が上がってきましたために、利用度が上がったために、つまり国保財政がよけい負担しなきゃならぬ。こういうことになって、現在でもだいぶん窮屈な状況であるわけでありますから、いわんや今後改善はしなきゃならない。改善すればまた一そうその問題が深刻になってくる、こういうことになりますので、この点と関連して、しかし何とか他の保険のように高い水準のものに引き上げたいという考え方で、これからも少しベースを上げてやらなきゃならぬだろうと思っております。
○藤田藤太郎君 厚生大臣は、今ベースを上げて拡大するとおっしゃいましたけれども、国の財源から見てこの予算委員会でも論議があったと思うのです。私どもの木村さんが議論されたように、税の自然増収は非常な莫大なものがある、この国保の最低の医療保障をするのに、何で厚生大臣は遠慮をするのか、遠慮することじゃないじゃないですか。国民福祉を守っていく、国民の健康を守っていくためには、最低のまず国保から国家財源をつぎ込んだって幾らの金が要るのですか。一割上げたところで二百億ぐらいでしょう。そういうものをあんた何で遠慮をして、地方の住民、自治体が困っているのに順次やりますぐらいの御答弁をされるのかと思って、私は不思議でならない。そこで、私はたとえばもっと具体的な問題を取り上げますれば、皆保険はやったけれども無医地区のところの保険者は、同じような保険料を払って、公平な待遇が受けられないという状態に置かれて、これはあまり気の毒じゃないかと私は思う、こういう配慮をされていますか、お聞きしたい。
○国務大臣(古井喜實君) まずこの無医地区があること自体が、国民に同じように医療を提供することができないのでありますから、解消しなければいけないというわけで、そういう計画のもとに、これは二、三年来逐次解消の策をとってきておるわけでありますが、しかし現状はやはり無医地区が依然としてある、これは事実であります。そこで無医地区の人から保険料を取るのは無理ではないか、こういう問題がありますけれども、お話しのように市町村それぞれが考えて条例をきめてやっていることでありますから、あまりこの自治に対して干渉がましいことも言えないのでありますが、また同時に市町村としては、町村内の事情をよく考えて、その辺はおさまるように処置しているわけなんでありますから、あまり干渉がましいことは言えないことだと思いますけれども、まあ他の機会にも御議論がありましたように、全く利用できない人というそういう地区の人の問題は、市町村の問題ではあると言いながら、何らかの考慮を要する研究問題であろうと思うのであります。ただしかし、無医地区と申しましてもいろいろ程度もありますから、巡回診療、出張診療などでまあ最小限度まかなえるとか、あるいは患者の輸送車を設けて、とにかく近いところへ運んで措置を講ずるとかというようなこともありますから、きっぱり簡単には言ってしまえませんが、そこらの考慮を払っていくということも、これは市町村当局の問題としては一つだと思います。これはきめのこまかい行政の問題かと思うのであります。
○藤田藤太郎君 私は最後に、小児麻痺の生ワクチンの問題についてお聞きしたいと思います。この小児麻痺はことしの五月の六日現在においても、昨年より患者がふえておる、それからまた特に九州方面に非常に患者が多い、集中的に多いということですね。私たちが社会労働委員会でこの小児麻痺の問題をだんだんつめて議論をし、勉強をしてみますと、後進国は低年令者に小児麻痺が起きる、文化圏といわれているところでは、ずっと相当中高年まで同じ傾向で患者がふえているということになると、私は油断もすきもならないのが、この小児麻痺ではないかと思う。私たちは文化圏、近代国家にわれわれが日本を育てなければならぬ、そうしていつまでも環境の悪い状態で置くというようなことは、それこそ政治がまずいわけでありますから、これにはわれわれは納得しないところであり、だんだんとよりいい福祉国家へ、われわれが積み重ねていかなければならぬ。そうすると外国の例を見ると、中高年まで同じ傾向で患者がふえるということになると、そうすると九千三百万の国民全体の問題だと私は思うのであります。ソークワクチンで今政府は、ことしから零才から三才までおやりになり出されましたけれども、私は種痘のああいう形でなしに、今日外国が行なっておりますアメリカやソ連、イギリスあたりも実施して、最近新聞を見ますと、アフリカあたりでも生ワクチンがスープによって口に入れられたり、あめ玉によってその予防をやったりしている姿が、日本の新聞にも出るようになった。全国民的にこれを施行しなければならぬ事態が今日日本にきているのじゃないか。それにまだ生ワクチンで予防をしようという具体化については、なかなか速度がおそくて困っている、国民の声というのは、何とか小児麻痺から子供を守りたい。今子供を守りたいでありますけれども、おとなも、われわれも守りたいという意見が国内で出てくると思う、実態を知れば知るほど。そういう重大な問題でありながら、生ワクチンについて、もう一つ積極性がないように私は思うのです。だから、今はイギリスから生ワクチンをもらって試験をされているそうですけれども、大量に生ワクチンを、私は全国民的な立場から、この生ワクチンを実施して、そして全国民が小児麻痺から守られるという行政を一日も早くやらなければならぬときがきているのじゃないか。これは厚生省の実際やろうという考え方が生まれ、国の財源上、どうしてその補給をするかという二つの面から、これはやらなければならぬ問題でありますから、重大な問題でありますけれども、一日もおろそかにできる問題では私はないと思います。だから、そういう立場から、総理の御意見、大蔵大臣は所用で出ましたから、厚生大臣のこの小児麻痺予防に対する全国民的な立場から、生ワクチンを施行するという問題についての御所見を承りたい。
○国務大臣(古井喜實君) 病気もいろいろありますけれども、小児麻痺は確かにひどいのであります。十年おきくらいに周期的に流行をしているかのようでありますから、昨年から、ことし、相当流行しております。五月十三日現在までのところでは、昨年の同期より少し下であります。多くはありません。しかし似たり寄ったり程度まで発生しておるというわけでありますから、ことしも相当な発生状況であります。九州、山口県方面がことしはひどいわけであります。そこで、これに対する対策としましては、お話の予防接種、ソークワクチンの予防接種ということで今まできておりましたのでありますが、これとても、この検定能力等が十分でいわばないので、まことに勉強の極度までやって間に合わせておるという状況でありますが、しかし、それだけでも、この状態を見ると乗り切ることができまいと考えましたので、非常対策として、流行のひどい特殊な地区に対しては、生ワクの試験的な投与をするということに今いたしたわけであります。で、生ワクが近来非常に発達してきたのでありますが、生ワクの前のソークワクチンの問題も、日本はおくれておったくらいで、生ワクのことになると、またぐっとおくれておる、検定能力など実にまだ整ってないのであります。やはり技術者、専門家の良心から申しましても、少くとも最低限度の毒性の検査くらいやらないと、試験投与そのこともできないという、そういう技術的な立場もございます。いわんや完全な検定をやるというためには、設備、人間の養成、こういうことが今きわめて不十分でございまして、急速にこれを手配してかけ足で追いつくようにしなければならぬというわけで、いろいろ具体策を講じ、かつ進めておる現状であります。しろうと的に考えますと、生ワクチンは使っている国があるのだから使ったらいいじゃないかというのでありますけれども、そうではないのでありまして、やはり技術的、専門的に検定をしなければ、ああ、よろしゅうございますというわけにはいかないのが、これが専門家、技術者の立場で、良心であるのであります。そういうわけで、整えなければいけませんが、検定施設を。これを今急いで進めておるところであります。今度は試験的な投与であります。
○国務大臣(池田勇人君) 厚生大臣がお答え申し上げましたように、小児麻痺は私もよく存じております。一番悲惨な病気である。しかもこれは普通の病気にはない一生の問題となっております。これが対策としましては、大臣が申し上げた通りであります。私は昨年予備費で二億数千万円をおかけいたしました。その後におきましても、小児麻痺対策——ソークワクチン、生ワクチンについて極力進めておるのでございますが、今答えたような事情でございます。しかし事の性質上、私は最も重要な一つの施策といたしまして、今後強力に対策を進めていきたいと考えております。
○委員長(館哲二君) 時間がきておりますから一問だけ。
○藤田藤太郎君 一言だけ最後に申し上げておきまするが、直接担当される厚生大臣としては、今いろいろ国内の検査その他の問題があるとおっしゃいましたけれども、外国には全国民的な単位でこれを実施しているんです、生ワクチンを。これは私が言わぬでも厚生大臣はよく御存じだと思うのです。(「イギリスやアメリカのはいいけれども、ソ連のはまだ研究中だ」と呼ぶ者あり)それは今何かありましたが、とにかくそういう重大な問題。私は傾向をさっき申し上げましたように、だから日本の技術がどうのこうのということも必要でありましょうけれども、僕はやはり積極的に、この全国民的な単位から、大量にたやすく予防に使えるというのは生ワクチン、そうしてまた値段も百分の一でできると言われておる。私は技術者じゃありませんから、きっちり百分の一かどうかわかりませんけれども、そのくらい安くて大量生産ができる、そして飲みやすくて非常な効果が上がるというのでありますから、私はもっと積極的に、一日も早くこの生ワクチンが全国民的な単位で実施されるように熱意を持ってやっていただきたい。池田総理も、重要施策の大きな柱として積極的に財政の面から見るとおっしゃっているんですから、あなたはもっと遠慮なしに、もっとしっかりやっていただきたいということを申し上げておきます。
○委員長(館哲二君) 午後は二時十分に再開いたします。暫時休憩いたします。 午後一時八分休憩 ————・———— 午後二時三十四分開会
○委員長(館哲二君) これより予算委員会を再会いたします。 午前に引き続き質疑を行ないます。米田正文君。
○米田正文君 今回政府の提出いたしております昭和三十六年度予算補正(特第1号)及び(機第1号)は本年三月二十七日の公共企業体等労働委員会の賃金に関する裁定を政府は完全実施せんとするために出されたものでありまして、かかる措置はすでに前例もあり、法律的にいいましても合法的なものであると思います。しかし、先ほど杉山委員の意見もございましたように、この点についても法律的にもまだ改善の余地があるものと私も思っておりますが、ただいま私はこれには触れないことにいたします。ただ、三十六年度本予算成立後まだ日の非常に浅いこの時点において既定予算のワク内において節約、移流用、企業努力による弾力条項の使用等によりまして総額四百十八億に及ぶ多額の給与財源を捻出したところに相当の無理を生じておるのではないかという懸念があるのでございまして、かような観点から政府にお尋ねをいたしたいと存じます。 今回の給与総額四百十八億円のうち、百九十二億円、すなわち総額の約半分に近いものを占めておる国鉄関係について、運輸大臣にお尋ねをいたしたいと思います。 第一点は、予算補正案を見ますと、退官退職手当等の当初予算二百十五億円から三十四億円の削減をいたしておりますが、これは国鉄職員四十五万人の若返り計画に必要な経費の削減でありまして、今後の国鉄職員の新陳代謝をおくらせ、全職員の能率を低下させるようなおそれはないかどうか、これが第一点でございます。 それから第二点は、物件費の節約といたしまして修繕工事費等から二十五億円の節減をいたしておりますが、これは現在において国鉄施設の修繕がまだ万全とは言いがたい状態にあるのみならず、維持修繕費のわずかな減少のために不測の事故を惹起する事例の多いことにもかんがみまして、むしろ他の方法によるべきではなかったかという点でございます。 第三点は、予備費八十億円から五十五億円を削減して二十五億円といたしておりますが、本年もまだこれから台風期になって参るのでございまして、台風期にはいかなる災害を生ずるかもしれませんし、かつまたその他の不測の事故がないとも言えないことを考えますと、例年計上いたしております五十億円程度のものは予備費として計上しておくことが必要ではなかろうかというように考えられますが、以上三点についてお答えを願いたいと思います。運輸大臣がもしこまかいことは困るとおっしゃられるならば、局長でけっこうでございます。
○国務大臣(木暮武太夫君) 今回の補正予算は、御承知の通り三月二十七日に決定されました仲裁裁定を全面的にそのまま実行しようということのために出した補正予算でございます。その財源といたしましては、ただいま御指摘のように八十億円の予備費の中から五十五億円を出しまして、その残り二十五億円が予備費として本年度使われるわけでございますが、従来の国鉄の予備費としていろいろ台風等の起こりましたことによって必要な額は、大体昨年度も十五億、二十億という金額でございましたので、二十五億あれば差しつかえはないんじゃないかというふうに考えましたので、五十五億を出した次第でございます。 それから経営費の方の節約によりまして五十六億円を捻出をいたしまして、その中の三十四億円というものは退職すべき者を先へ延ばしまして、そうして退職金の流用をすることによりましてこれを生み出しましたようなわけでございます。またその他の金額も国鉄の五カ年計画には支障のないことを考えて、節約をいたしましたようなわけでございます。その他の財源といたしましては、国鉄の借入金三百三十億円ございますが、これが御承知の通り、金利の低下の傾向にございますものですから、今年度この金利低下によって三億円生み出すことができる、こう考えました。それから前年度のただ資本勘定の中に引き継がれます剰余金の五十八億円というものを、今度の財源といたしまして、合計いたしまして百九十二億円という財源をもちまして仲裁裁定を実行いたすということにいたしたわけでございまして、これによりまして国鉄の非組合員を合わせまして、一人頭二千四百円のアップということになります。国鉄の一人の給与は大体二万七千円というふうに相なるわけでございまして、それでこの百九十二億円というものを五カ年間でございますから、九百六十億という膨大な金額になるわけでございますけれども、しかしながら国鉄の予算におきましては、御承知の通り年々六%ずつ給与の引き上げということを見込んで作っておりますので、今回四月一日から本年の一月を基準として一割上げるということにして、五カ年間で九百六十億円という数字が出ますけれども、予算では年々六%ずつは見込んでございますものですから、実際に五カ年聞に五百億円の支出増にとどまるわけでございます。 今回のベース・アップによりまして、国鉄職員の方々の所得が増して待遇が改善されましたので、私どもといたしましては、従来以上に国鉄の増収と、それから経営の合理化によって節約をいたします方にこれらの人々が今まで以上に意欲を高めまして、成績を上げるように指導を国鉄にさしたい、しかも、そのことは私どもは実行できることであると、こう考えておりまして、今後の五カ年計画には何ら差しつかえないものであると確信をいたしております次第でございます。
○米田正文君 今もちょっと運輸大臣が触れられましたが、国鉄としては輸送需要に対処するために、輸送力増強の新五カ年計画を策定して主要幹線の複線化だとか、電化、ディーゼル化、通勤の緩和、踏み切り施設の改善、車両の増強、東海道新幹線の建設等、いろいろな施設の改善の推進をしようとしておるわけでありますが、これらの新五カ年計画の完成は非常に全国民の要望しておるところでございます。そのために総額九千七百五十億円が必要であって、それを年の平均にすると千九百五十億という金になりまして、この資金を確保するために、利子のつかない金でこの資金の確保をはかりたいという建前から、国鉄の運賃をことしから一五%上げることになったわけでございますが、それによると本年度の値上げによる増収が四百八十六億円というように見込まれておるようでございますが、なるほど運賃を値上げすることによって四百八十六億円が増収になるわけでございますけれども、今回の給与改善による所要財源は、先ほどのように百九十二億円かかるということになりますと、この百九十二億というのは、四百八十六億円の増収の四割に相当するわけでございますが、せっかくのこの新財源も、運輸大臣が非常に努力されてこられた増収財源も、人件費に大部分が充てられるような結果になるのじゃないか。こういうことになった結果、国鉄の五カ年計画は、国民の熱望にもかかわらず、計画の完成が困難となるおそれはないか、それをまあ懸念をいたしておりますのでございますが、新五カ年計画を、その内容を今後完全に実施していくためには、新五カ年計画の金額は変えていかなくちゃならぬ、計画の変更をしなくちゃならぬような事態になるのではなかろうかという心配をしているのでございますが、その点についての運輸大臣のお見通しをお伺いいたしたいわけでございます。
○国務大臣(木暮武太夫君) ただいま御指摘のように、今回の仲裁裁定を完全に実施いたしまするために、百九十二億円を、三十六年度には経費の、人件費増ということに相なりまして、国鉄経営費のうちの約六割を人件費で占めるというように、まあ戦争前と後を通じまして、国鉄といたしましては、経営内容から見ますると、きわめて重大な時期に達しているのでございまして、しかしながら、先ほど来申し上げましたように、このことによりまして、国鉄職員の給与が高まりまして、待遇が非常に改善されることによって国鉄の増収、あるいは合理化による経費節約等に大いに職員の方々の意欲を燃やして、努力をしていただきますことによりまして、私は新しい五カ年計画には支障のないようにいたしたいと思っているのでございます。今御言及になりました東海道新幹線は、これは今回国会において御承認を願いました年四百八十六億という運賃改訂による増収を財源としては見込んでおりませんで、これはペイする仕事でありますので、借入金によってやろう。ただ国内の金融事情から見まして、だけで資金を獲得するということが困難でございますので、数年来政府と国鉄と協力いたしまして、アメリカの世銀に折衝いたしました結果として、去る五月二日ワシントンにおきまして八千万ドル、日本の円にいたしまして二百八十八億でございますか、借り入れることができるようになりました。この借入金によりまして、今度の新しい東海道幹線というものは、オンリピックまでに完成するめどが今日はついておりますようなわけでございます。
○米田正文君 問題を次の問題に移しますが、東京オリンピックの施設の用地として、日本側がかねてから米軍に要請をしておりました朝霞キャンプ及びワシントン・ハイツの一部返還については、去る九日に調達庁で開かれました日米合同委員会施設特別委員会の席上、米軍から回答があって、その回答内容では、朝霞に選手村を作ることが事実上困難であるというので、日本側の関係者に非常な困惑を来たしておる。国民も、オリンピック開催の準備に不安を生じたというような事態になっておるわけでありますが、今の日本側の当初の要求と、それから九日にあった米軍の回答の概要を総務長官にお尋ねをいたします。
○政府委員(藤枝泉介君) オリンピックの開催につきまして、種々選手村の候補地その他を協議をいたしておりましたが、昨年の十二月の初旬に、オリンピック組織委員会におきまして、現在の朝霞の選手村その他、それに付随する施設並びに競技練習場、それからワシントン・ハイツの約三分の一の返還を求めまして、そこに屋内総合競技場その他を建設するということを決定いたしまして、政府に申し出がありました。本年一月、日米合同委員会施設特別委員会において、この旨を正式に持ち出したのでございます。それに対しまして、ただいまお話がありましたように、正月九日に米側の回答があった次第でございます。この回答によりますると、朝霞については、一時使用という形で、オリンピック開催についての諸種の施設をやる。ただし、大会が終わって、二月以内に返還と申しますか、米側に渡してもらいたい、それから、それにはいろいろ条件がございますが、それは省略いたします。ワシントン・ハイツについては、一部返還ということは非常に困るが、全体を返還する、ただし、それは現在あるワシントン・ハイツにある施設について、大和あるいは調布水耕園等に現在の施設を日本側で責任を持って移転するならば、全部を返還しようということでございました。さらに申し忘れましたが、朝霞については、日本側に返還要求のない、これに隣接をいたしました桃手地区ならば返還をしよう、こういうことでございます。ところが、この桃手地区というところは坪数もやや足りないのでございますし、近接してアメリカ側が使用いたしております自動車の修理工場がございますが、地形が非常に凹凸の激しいところでありますし、中央部に高架線も通っているというようなことで、選手村としては不適当であると考えまして、朝霞村にぜひ東京オリンピック大会にふさわしい選手村ができるように、その点についてはなお折衝の余地が残されておると考えておりますので、そういう方針のもとに今後さらに再折衝をいたしたいと考えておる次第でございます。
○米田正文君 オリンピックの開催もあと三年ぐらいに迫ってきているわけであります。オリンピックを引きうけるべきかどうかというような議論もあったのですけれども、もうオリンピックの開催を日本が引き受けました以上、施設の準備はどんどん進めなければならぬ時期だと思います。そうして、もういろいろの基本の計画だけはすでに決定をしておかなければならぬ時期だと思うんです。今ごろになって計画がああでもない、こうでもないというようなことでは困るじゃないか。そうして今回の問題にいたしましても、大体組織委員会の考え方が非常に甘いんじゃないかという批判もいろいろ私ども聞くのであります。たとえばせんだって新聞ですけれども、調査に行ったところが、米軍の係官が非常に親切に案内してくれたから、返してくれるであろうと思ったなんていうようなことを言うのは、非常に甘いのじゃないかというような批判も非常に聞きます。しかし、今となって、この国内において内輪もめをするようなことでは、世界に恥をさらすようなものである。そういうことは早くやめて、早く基本をきめなければいかぬと思うのです。幸いにまだ米本国の国務省なり、国防省なりでは、まだ最高方針をきめておらんというように外電も報じておりますから、政府としてはこの際実行可能な案を作って米軍側と折衝をして、早急に最終的な決定をしなければならぬと思うのです。今も総務長官のお話は、そういう折衝をするつもりだということでございますが、これはあまりこういうオリンピックというような時期をほかのことと混同して、何でもかんでもこの際一緒にやろうなんていうことは私は適切ではない。むしろ、やはりオリンピックだけにしぼって、オリンピックをいかにりっぱにやるかということだけにしぼって、早急に具体計画を立てるべきだと思うのですが、その最後になるかまだわかりませんが、再折衝をいたしている内容についてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(藤枝泉介君) 御指摘のように時期に限度のあるものでございます。早急に根本方針だけは決定いたさなければ、これに関連する道路その他の輸送施設等の問題もございます。それで先ほど申し上げましたように、朝霞地区に十分な選手村を作るという根本方針におきまして考えまするときに、米側が一時使用というところにおきましても、なお折衝の余地のありますことは十分察知できまするので、この一時使用という地区について、今後強力な折衝によりまして、選手村の住宅も作り、さらにそれに付随するいろいろな施設というものを考えて参りたいということを根本的な考え方にいたし、さらにワシントン・ハイツについては全部返還をすると言っておりますが、一時にこれを移転をするということになると、膨大な国費を要することにもなりますので、その後の使用目的等も考え合わせまして、全部返還ということは、もちろん将来の方針として、さようにこれはオリンピックに関連なくても、あそこは返還してもらいたい土地でございます。そのうちでさしあたりオリンピックの競技場に必要な坪数の最小限度はまず返還してもらいたいという考え方で進んでおる次第でございます。
○米田正文君 今ちょっと総務長官も触れられたのですが、朝霞村のオリンピックの施設が、その競技が済んだあとの利用計画の問題ですが、これはまあ今までも、住宅公団の公団アパートにしよう、いわゆる団地計画としてやろうという意見もあり、それから防衛庁の施設として利用しようという計画もあり、その他にもあるようですが、そういうあとの利用計画の問題もまだそれぞれの個所で意見を主張して、ごだごたとしてまだ最終決定をしておらぬようにも思うのですが、これはやはりあとの利用計画というのは、当初の施設建設のときから十分計画に織り込んでやらなければロスが起きると思う。私はこれも同時に早く決定をしなければならぬものと思いますが、いろいろなそういう案がありますが、政府の統一した方針が決定しておるか。あるいはまだ決定しておらぬか。決定しておらぬならば、どういうように今後進めようとしておられるのか、総務長官の御意見を承りたい。
○政府委員(藤枝泉介君) 選手村の住宅の建設方式につきまして、ただいま御指摘のように、まだ最終の決定をいたしておるわけではございませんけれども、選手村の主要部門をなす住宅につきましては、十分あとにおいてもそれが国民に利用されるような方式が好ましいという方向において、至急に決定をいたしたいと考えておる次第でございます。
○米田正文君 昨晩から、国際ロータリー大会が晴海の貿易センターで開催されております。世界五十九カ国から六千五百人という参加者がありまして、国内会員も加えると二万二千人をこえるといわれておりますが、こういう大会が東京で行なわれると、いつも問題になるのは、ホテルの問題と、足の問題、いわゆる自動車交通の問題であります。御承知のように、ロータリアンは、一応世界各国の有力な人たちであります。これらの人たちに、日本の真の姿を見てもらう絶好のチャンスでございます。とかく日本の印象は、富士山だとか、あるいは腹切りだとか、あるいは浮世絵だとかいうようなことを、私ども世界各国を回っても、一般の外国の市民はその程度の知識しかない。非常に文化レベルの低い国というのが一般の人の考え方でございます。で、こういう機会に、日本の産業の現状あるいは国民の姿なり、考え方なり、あらゆる面から正しく認識をしてもらう絶好のチャンスだと思うのです。しかし、残念ながら、ホテルが足りない、都市内の交通地獄で身動きがならぬというような状態で、はなはだまあ困った現状です。しかし、そうかといって、どういう多くの、三万人来ようが、五万人来ようが、ホテルも十分あれば、自動車交通も十分できるというような施設をいつも常備しておくといったって、常時は利用計画としてはそうもいかないので、そういう事情からいって、やはりこういう緊急、臨時のときには臨時の措置としての考え方がやはり必要だと思う。三年先のオリンピックももうすぐでございますからして、今回のロータリー大会の今度は五倍のお客さんが来るわけです。それに対するホテルの施設を、全部りっぱなホテルを完備するということもむずかしいと思うのですが、それにかわるべき施設、この前のローマのオリンピックでは、やはり仮施設のようなホテルも相当こしらえておった。そういう事情等も勘案して、私はホテル計画というものも十分研究をされて、もう一般に発表しないと、一体どうなるだろうと、もうみんながそういう心配をしながら、まあホテル業者は、おれも一つ建てようというようなことを考えておる。いろいろなことがいろいろなところに影響をしておる。だから政府としても、ちゃんと見解を示してやるということが混乱を起こさぬでいいことだと思うのです。それについての総務長官の御意見をお伺いをいたしたいと思います。
○政府委員(藤枝泉介君) 御指摘のように、今回のロータリー東京大会におきましても、宿舎が非常に足りないために、一部は船に泊まっていただくというようなこともやっておりますし、日本人のロータリアンの家を使うというようなこともしておるのでございますが、オリンピックにつきましては、ただいまお話のように、その後の経営の問題もございますから、単なる商業ベースでホテル計画を立てようといってもなかなかむずかしいことだと存じます。その点につきましては、主管の運輸省とも十分協議をいたしまして、十分そのときに参りまするお客さんに気持よく泊まっていただくような方法ができまするように、至急に検討をいたし、さらに今お話のように、これを十分世間に知っていただくという方法をとりたいと存ずる次第でございます。
○米田正文君 オリンピック関係の最後の質問としては、交通対策のうち、まあ最も心配なのは、道路の問題でございますが、政府は首都高速道路公団によって都内高速交通の解決をはかろうといたしておりますし、さらに都内のオリンピックの関係の道路の整備も急いでおるようであります。非常に努力をされておることはわかるんですけれども、それにもかかわらず国民の一般は、これはなかなか道路を完成するのはむずかしいぞ、土地収用もなかなかうまくいかぬようだし、土地の買収、移転等もうまくいかぬようだから、なかなかむずかしいぞというのが、むしろ政府は非常に努力しておるのですけれども、一般常識としてそういうことが非常にどこででも言われるのです。そういう点で、非常に御努力をされておると思うのですが、三年後のオリンピックには十分間に合うようにやる確信があるというようにお考えになっておるかどうか、一つ御所見をお伺いいたして、そうしてまあみんなに安心をさせたいと、こう思うのです。
○国務大臣(中村梅吉君) お答えいたします。御指摘の点につきましては、私どもも非常に心配をいたしております次第であります。従いまして、私就任以来、東京都、建設省、あるいは首都圏、首都高速道路公団と、こういう関係機関で協議会を設けまして、何とかこれはスケジュールを組まないことにはうまくいかないだろうということで、再三の打ち合わせをいたしまして、オリンピック関連道路、街路等につきましては、部分的にスケジュールをようやく組みまして、東京都の方もこれを完全に実施するために、道路整備の本部を作り、本部長を置き、また、建設事務所をふやしまして、できるだけ小さい受け持ちでその事務所がスケジュールに従ってスケジュール通りに用地買収その他の作業を遂行するように手はずをようやく整えておるところでございまして、何とかこのスケジュール通りにいけば十分間に合うように事業の実施ができる手順をいたしましたから、このスケジュール通りに実行するように、目下鋭意努力をいたしておる次第でございます。
○米田正文君 次の問題に入りますが、最近の公共投資の増大、民間設備投資の活発化が、いろいろこの委員会においても論議をされておるところでございますが、これはわが国産業経済の成長の基礎的な要件でございますから、いろいろなそういう問題はございますけれども、今後においてもこの傾向はますます助長していかなければならぬ、そして隘路は隘路として打開をしていかなければならぬ問題だと考えております。最近の建設業界の実情を見ますと、一番問題なのは技能労務者の不足の問題のようでございます。建設資材の値上がり等ももちろん問題でございますが、工事の円滑な計画的な実施がそれらのために困難になってきておるのではないかという懸念をいたしておるのでございます。地方の業者で、公共工事、特に建築の工事を安い単価で受注した結果倒産をした業者が、三十五年度内に百五十四件に及んでおるといわれております。放置できない実情だと思います。工事単価の適正でない、すなわち実際よりも安い単価で設計が組まれておるところに問題があるようでございます。その問題の第一は、先ほど申しました技能者の労務賃金の問題でございます。本年度は技能労務者が不足をしておりまして、各地各業者間で奪い合いが行なわれておるのが実情でございます。不足数がおよそ二十五万人とすらいわれております。そのために昨年末から急激に実質賃金の上昇を見ております。東京を例にしましても、大工という職は昨年八月八百五十円であったものが、本年三月末には千二百円というように値上がりしておる。これは四割の値上がりでございます。こういう事態でありますから、工事発注の単価の問題は、至急にやはり実情に合うように考えなければならぬのではないか。しかし、この根本的解決としては、絶対数が不足なんですからして、技能労務者の需給のバランスを解決することが根本でありまして、技能労務者の養成対策、あるいは作業の合理化、作業の機械化等について工夫をこらしていかなければならぬと思うのですが、これらについての、建設大臣のところが一番公共事業をたくさんやっておられますから、そういう趣旨において工事単価の問題をどういうふうに実情に合わしていくかというお考えを一つ承りたい。
○国務大臣(中村梅吉君) 建設関係の技術者、ことに下級技能者の不足がはなはだしい現状にありますので、私どもこの点を心配いたしまして、労働省にもお願いをいたしまして、職業訓練を増強していただくようにいたしておりますが、なお、そのほかにも建設業界等に対して委託養成の道も大いに活発に進めて参りたいと思いまして、目下その手順を進めておるような次第でございます。資材の問題もございますが、これらの下級労務者不足のために労務賃金が、人件費が高くつく。これが今日の単価問題に大きな影響がきておるわけでございます。従いまして、発注をいたしまする単価の査定にあたりまして、十分実施のできるように、請負業者が不当の圧迫を受けないように努めて、設計上調整をしていくために目下いろいろ手を打っておるような次第でございます。あるいは機械化等によってこれを補うこともできます。機械化の増強についても、御承知の通り、本年度開銀等にも融資の道を講じていただきまして、力を注いで参りますが、一番問題になっておりますのは公営住宅でございます。これはなかなか調整の範囲が、余地が非常にございません。たとえば官庁営繕等でありますと、設計を大体若干変えまして、節約できる範囲の坪数の減少をして、単価をできるだけ可能なように見るというような道もありますし、他の工事については、そういう行政運用によって可能な範囲が非常に多いのでありますが、公営住宅については、非常に困難であります。しかし、これも設計の仕方、あるいは用材の使い方、工法のやり方、これらもできるだけ三十六年度単価是正について予算措置のときに努力をしたのでありますが、大蔵省としては、御承知のように、これは補助単価だから、実施単価ではないからこれでよろしいのだということで、ことに公営住宅の分は押し切られて——ほかの方は若干の是正ができましたが——ということになっておりますので、これをどうして各都道府県が、なめらかに予定の戸数を建設するかということについて、今申し上げたような検討をいたし、すでに各府県に対して指導を行ないつつあるような状態でございます。業者に対して不当な圧迫になることは努めて避けなければなりませんので、さようなことのないように、適正単価で建築できますように、工夫の限りを尽くしてやって参りたいと思います。明年度の予算編成につきましては、今年の苦しい実情を財政当局に訴えまして、極力根本的な是正の道を期するように私ども努力をいたしたいと思っております。
○米田正文君 次の問題は、建設資材の値上がりでございますが、特に最近は、木材の値上がりが非常にひどい。これは政府もしばしばそういうことを言われているのです。たとえば杉角一等品一立方メートル当たり、昨年一月に一万七千六百円であったものが、三十六年四月には、二万三千四百円というように、三三%の値上がりをしておるといっております。鋼材についても、山形鋼のごときは非常な値上がりをいたしておりますが、これらの木材の価格対策、あるいは鋼材の価格対策という点について企画庁長官にお伺いをいたしたいと思いますが、もう一つは、実はこれらいずれにいたしましても、公共投資なりいろいろな設備投資が行なわれると、こういう資材は、なかなか全部がそろってついていくということはむずかしい。中に何か不足なものがある。そうするとそれが非常に、ぱあっと値上がりするというような事態が起きてくると思うのですが、そういう問題についても、設計について従来通りの考え方でなくて、そういう問題が起こりそうなものについては、私はいろいろ創意工夫をしていく、たとえば今まで鉄を使っていたところは鉄筋コンクリートにかえるとか、あるいは木材を使っていたととろを他の資材にかえるとかいうような、いわゆる設計の創意工夫というものがあってしかるべきだ、あるいは労務の非常な不足についても、機械化その他の方法によって、他の方法で置きかえていくというような考え方も、私は今その方法をとろうとすれば、相当な程度あると思う。ただいたずらに足りない足りない、高くなる高くなるといって、それを依然として買っていると、ますます高くなるので、むしろそういう資材の利用の合理化を、合理化というか実際に合うような創意工夫をしていくことが必要であって、私は、特に建設省あたりではそういうことを研究をして、随時、もう百年一日のごとく同じことをやらないで、どんどん新工法を取り入れていく、新しい考え方を取り入れていくというような、何か研究の体制でもこしらえて、常時その情勢に応じ応じて指導していくような方法をとられたらば、非常に効果的ではないかというように考えております。そのような点について企画庁の長官と建設大臣にお伺いをして、私の質問を終わります。
○国務大臣(迫水久常君) お説の通り、木材の値上がりが最近の卸売物価指数を突き上げている主要な原因でございます。木材の値上がりは、一面建築用材の利用の旺盛ということもあるのですが、他面、パルプ用材の面もございますので、先般パルプの方につきましては、業界の自主調整的な、なるべく木材の廃材等を利用するとか、あるいは設備を新しくもう作らないこと等の調整措置がとられました。一方、木材の供給の問題につきましては、農林省にお願いをしまして国有林の伐採をふやしてもらうということ。それから輸入をふやす。輸入をふやすことにつきましては、なかなかパルプ、原木では入りにくい、輸出を許さない国の方が多いものですから入りにくいので、製材で輸入する以外にはないのですが、アメリカ等には日本向きに直ちに使用できるような状況に製材をして、特別な製材をしたものを入れるというような方針がきまりまして、本年の六、七月からそれが入荷する予定になっております。従いまして、現在はちょうど梅雨の時期を控えて需要が一服している状態で、木材の値上がりの状況はやや沈静をいたしましたが、秋においては、再び需要期を迎えますころには、今申しました輸入とか、あるいは国有林の伐採というようなことがあって、今年は昨年に見られたような木材の騰貴というものはないと、こう確信をいたしております。 鋼材は一部のものでございましたですが、これはもういち早く生産余力を活用して供給を増加する方式をきめましたので、すでに御承知のように騰勢がとどまっておりますことは、御承知の通りでありますが、なお使用の合理化の問題につきましては、パルプの方ではいろいろまあ今考えておられますが、建築用材の方につきましては建設省に一つ御指導を願いたい、こう存じております。
○国務大臣(中村梅吉君) 御指摘のように、工法について新しい工夫をする、非常に大事なことでございまして、建設省としましては極力営繕及び住宅局等が中心になりまして検討をし、新しい工夫を実は見出して指導をいたしつつあります。なお、用材につきましても、先ほどの労務の問題とも関連をいたしまして、できるだけ大工さんの手間をかけて削らないで使えるような用材を検討し、新しい用材の使用によってこの価格の値上がり等を調節ができるように工夫をこらしましてそれぞれ研究の完成いたしたものから順次この直接指導に織り込んでおるような次第でございます。御指摘のような点につきましては今後十分注意をして努力をしていきたいと思います。 —————————————
○委員長(館哲二君) 小柳勇君。
○小柳勇君 私は初めに給与所得者の所得格差とこれが解決、特にこれに関連いたしまして官公労働者の労働法の問題、あと公労法の内部矛盾とこれが解決。次に公共企業体のあり方について、その中で国鉄、郵政事業の二、三点。最後に仲裁裁定及び人事院勧告の完全実施について質問いたしたいと思います。 まず初めに、国家公務員の現在の給与状態を聞きたいと思いまするが、担当国務大臣いらっしゃいますか。
○委員長(館哲二君) 入江人事院総裁。
○小柳勇君 これは時間じゃないですよ。人事院総裁は現在の給与担当大臣じゃないでしょう。委員長、どうですか。
○委員長(館哲二君) 今呼びに行きました。ちょっとお待ち下さい。もう四、五分ちょっとお待ち下さい。それじゃ小柳さん、初めからもう一ぺんやっていただきましょうか。
○小柳勇君 私は、第一の問題として、賃金労働者、特に公労協の職員に準じた国家公務員、地方公務員並びに私学教職員などの給与の格差、これが是正の方向及び関連する労働法などについて質問いたしたいと思います。初めに国家公務員の給与実態についてお尋ねしたいのでありまするが、昨年の人事院勧告後、これが実施の状況と現段階における国家公務員の給与の実態について担当大臣から御説明願いたいと思います。
○国務大臣(迫水久常君) 昨年の八月八日付の人事院勧告は、第三十七国会におきまして成立いたしました改正給与法によって、昨年十月一日から実施に移されておりますることは、御承知の通りであります。この改定によりまして、公務員の基本給はおおむね一二・四%改善されたことになりまして、その当時においての平均のベースは約二万四千二百八十円になっていると思われます。自後定期昇給などありますので、このベースは若干また上がっていると思いますが、当時におけるベースは二万四千二百八十円、こういうことと思われます。
○小柳勇君 人事院総裁に質問いたします。ただいま給与担当大臣から公務員の現状について報告がございましたが、勧告された総裁として、その後の情勢を把握しておられると思うが、現状はいかに把握しておられるか、御答弁願います。
○政府委員(入江誠一郎君) 公務員の現状につきましては、ただいま給与担当大臣からお答えされました通り、その当時で二万四千、その後定期昇給等がございまして、今年四月大体の見込みが二万五千円見当であると思います。
○小柳勇君 ただいまの担当大臣並びに総裁の答弁については不満であります。前もって数字について御答弁願うように、非常に時間が短かいので、私もそのものズバリで質問いたしますから、具体的に数字をもって御説明願うように政府委員の方にも頼んでおるのでありまするが、いま一度現状の把握について数字をもって御説明願います。
○政府委員(入江誠一郎君) お答え申し上げます。公務員給与の実態と申しますのは、ただいま申し上げましたのは、いわゆる平均賃金ベースでございます。それから初任給につきましては、大体勧告前と勧告後と比べまして大学卒が現在一万二千円、それからそれが勧告前と比べまして千二百円の増、それから短大卒が九千三百円、これが九百円の増、それから高校卒が八千三百円、これは九百円増、大体そういうような初任給でございます。
○小柳勇君 ただいまの答弁は初任給の問題でございましたが、私がただいま質問しているのは、前の委員の質問で木暮運輸大臣が答弁されたように、裁定実施によりまして公労協の、特に国鉄の職員などは平均二万七千円くらいになるであろうという答弁がありました。これに比べまして、国家公務員は現段階においてどのくらいに把握しておられるかということを聞いておるのでありまして、いま一度御答弁願います。
○政府委員(入江誠一郎君) お答え申し上げますが、おそらく運輸大臣から答えられましたのは、公労協の平均賃金だと思います。それがいかようになっておりますかは別として、それに対応いたしますのが国家公務員二万五千円とお考えいただいてけっこうです。
○小柳勇君 ただいまの答弁によりますと、担当大臣も人事院総裁も、国家公務員の平均給与は大体二万五千円であろう、こういうような答弁であります。私の方の数字でもその辺の数字が出ておりまするが、次に初任給の問題について総裁から答弁がございました。中だるみの是正など勧告では親切な勧告が出ておりまするが、人事院の給与局長見えているようでありますから、もう少し詳細に現状の把握されたところを御報告願います。
○政府委員(入江誠一郎君) 初任給は、先ほど申し上げた通り、やはり大学卒、短大卒、高校卒というのが一つのめどでございまして、これに対応いたしまして公労協関係はいかようになっておりますか、これは人事院でも一応つかんではおりますけれども、この問題は、やはりその後の担当方面からお答え願う方が正確ではないかと思います。
○小柳勇君 担当大臣に質問いたします。ただいま人事院総裁が答弁されたように、勧告されたあとの実施状況については、給与担当大臣が責任であります。従って、完全に勧告の数字が実施されているかどうか、それから現状についていま少し詳しく担当大臣から説明を求めます。
○国務大臣(迫水久常君) 給与の実施は人事院の責任でございますので、法律を出しまして後に、これがどういうふうに実施されているかということは、人事院の方でわかる、こういうふうに考えるのであります。
○小柳勇君 迫水大臣に対する私の通告がおくれたので、けさ実はしたので、十分の勉強ができておらぬようでありますから、人事院総裁に質問いたします。その公労協の職員諸君は、裁定によりまして二万七千円平均であろうという見当でありますが、国家公務員は二万五千円、この格差をどのように処理しようとされているか。
○政府委員(入江誠一郎君) 大体ただいま御指摘のように、現状において違いますけれども、まあ約一〇%の差があるとわれわれは見込んでいるのでございます。そこで、もちろん人事院といたしましては、公労協関係の賃金と国家公務員の賃金が違っておりますことにつきましては、非常な関心を持っております。しかしながら、国家公務員につきましては、御存じのごとく、国家公務員法によりまして、民間賃金あるいは生計費を勘案して国家公務員の給与をきめるようにということになっておりますから、人事院といたしましては、やはりこの公労協に合わして人事院の関係の賃金の格差を是正するようにお願いするという線よりは、やはり民間賃金なり、生計費によって国家公務員の賃金をきめる、そういう方法をとっているわけでございます。もちろん、先般大体人事院が勧告いたしましたものを国会で御承認していただきまして、それによって大体公労協関係とバランスがとれたとみておりますけれども、その後、今回の裁定によってさらに公労協が一〇%上がりましたので、そこに一〇%格差ができましたものでございます。これはやはり人事院といたしましては、いかんともいたしがたいものでありまして、十分の関心は持っておりますけれども、しかし、やはり国家公務員の給与はどこまでも民間賃金に合わす、そういう方向で参りたいと思います。
○小柳勇君 労働大臣に質問いたします。この初任給については、人事院総裁が言われた通りです。その他の平均賃金も今お聞きの通りでありますが、民間賃金の傾向について、現状について御報告願います。
○国務大臣(石田博英君) 賃金の比較は、いろいろな基準を比較いたさなければなりませんので、簡単に申し上げかねるのでありますが、いま一つには、現金給与を受けております平均額を基準といたしまして比較をしてみたいと存じます。これは今回の仲裁裁定を実施する以前の数字であります。三十五年四月の数字でございますが、民間賃金の方では千人以上の平均きまって支給される現金給与額は、二万三千三百十円であります。これを今度十人以上の平均をとりますと、一万八千四百五十八円となります。国鉄は二万三千六百九円、電電公社が二万一千五百三十一円、専売が二万九百七十八円、郵政が二万一千九百八十九円となります。これを千人以上の民間賃金、すなわち二万三千三百十円を一〇〇といたしますと、国鉄が一〇一・三、電電公社が九二・四、専売が九〇、郵政が九四・三となります。ところが、十人以上を一〇〇といたしました場合は、今申し上げました順序に一二七・九、一一六・七、一一三・七、一一九・一となります。しかし、この給与の比較は単純に現金給与を受けておる額だけでは比較できませんので、性別、年令、労働力構成、職種その他によって比較をしなければなりません。それを固定いたしました場合の比較をいたしてみますると、民間の千人以上の賃金を一〇〇といたしますと、国鉄が八一・九、電電公社が九七・二、専売が九〇・〇、郵政が八三・一、十人以上を一〇〇といたしました場合、国鉄は九四・〇、電電が一一二・三、専売が一〇四・六、郵政が九六・一、こういう工合に出て参ります。 先ほどちょっと御議論がありましたが、私どもの立場として明確にしておきたいことを補足してお答えを申し上げたいと思うのでございますが、公労協と国家公務員との賃金の差というものは、私どもから考えますと、公労協関係の労働時間が約一割高いのでございます。従って、ほかのものを固定いたしました場合においては、やはり労働時間において公労協及び現業が若干高いというのは、その労働時間の長さに比例して高いのは、これは私どもは当然であると、こう考えておる次第であります。ただいままで申しましたような数字は、仲裁裁定を完全に実施いたす以前の数字でありまして、これを実施いたしました結果、民間賃金との格差は縮小されたものと思うのであります。
○小柳勇君 人事院総裁に重ねて質問いたしますが、ただいま民間の概要について説明がございました。なお公務員の人事院勧告は、地方公務員にも影響するところ大でございまするが、現在調査段階か、あるいは今後のこの解決の方法についての所信をお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(入江誠一郎君) 御存じのように昨年勧告をさしていただきまして、その当時の、つまり昨年四月現在の民間給与と公務員の給与とは大体見合いますわけでございます。そこで、その後の民間給与の上昇の実情でございますが、これはただいま実施中の今年四月を基本にいたしました民間給与調査によって判明いたすわけであります。国家公務員の給与の調査となっております民間給与は、御存じのごとく五十人以上のあらゆる民間会社の給与と、そういうふうになっておりますので、単にこの五十人以上の会社でありますとか特殊な方面の調査が、単に五百人以上とかあるいは千人以上とかいう特殊な民間のそれぞれの調査の結果を見まして、直ちに国家公務員の給与をそれを基準にどうこうと考えることは早計だと思っております。とにかく非常に例年の通りに今年四月現在で調査をいたしておりますので、これが不日判明いたすと思いますから、それによって国家公務員の給与をいかにするか、十分検討の上善処さしていただきたいと思っております。
○小柳勇君 もう一問総裁にいたしますが、今五百人未満のものが調査の方法の対象になっておるのは約七七%です。そのような小さい工場というものは、この設備投資過剰のためにどんどん大きくなりつつあります。従って、比べるのにそのような小さい工場だけと国家公務員を比べることについては、私は非常に異議を唱えるものでございますが、その点の見解を伺っておきたいと思います。
○政府委員(入江誠一郎君) お答え申し上げます。この民間給与の調査におきましてどの程度の規模の会社、あるいは事業所を標準にするかという御論議でございます。一面、公務員と申しますか、官庁の組織の関係からいって、相当大会社と比較すべきだという御議論がありますと同時に、やはり公務員の給与が納税者の負担になっておりますので、国民全体の納税者の御納得を得るためには、むしろ中小企業と申しますか、三十人以上の事業所まで参考にすべきだというような議論もございます。そこで、人事院といたしましては、従来から御存じのごとく五十人以上ということでやって参っておりますが、もっとも五十人以上と申しましても事業所別、企業別という問題がございまして、たとえば全国各地におきまする東京の大事業の支店というものも入っておりますので、全体といたしましては人数その他は非常なやはり大企業の従業員が多いような現状でございまして、さらにまたこの調査の方法につきましてもぜひ御納得いただきたいと思いまするが、決していわゆる五十人あるいは二、三百人の会社の平均賃金をとったんではございませんので、それぞれの職務の内容を分析いたしまして、ある程度の職務をそれぞれ対応しながら比較しておりますので、結果においてそれほど不合理はないと存じております。
○小柳勇君 国家公務員については通勤手当の増額、標準生計費の問題というのがたくさんありますが、時間がありませんのであとでまた質問いたします。 自治省大臣に質問いたします。現在の地方公務員の実態について御報告願いたいと思います。
○国務大臣(安井謙君) 地方公務員の給与につきましては、御承知のように、それぞれの団体の条例で現実にはきめるわけでございます。しかし、この給与のバランスをとるという意味から、自治省といたしましては大体国家公務員の基準を示しまして地方財政計画にこれを織り込んで、それぞれ通達をいたしておるわけでございます。その方の単価を申し上げますと、基本給月額におきまして、義務教育職員が二万七千八百四十五円、警察職員が二万五千百三十四円、一般職員が都道府県二万四千八百八十九円、市町村が二万一千七百五十九円、これを基準に地方財政計画に織り込んでおるわけであります。
○小柳勇君 非常に格差があるようでございますが、この格差の問題の説明と、それからその実態調査をいつおやりになったのか。
○国務大臣(安井謙君) 正確な調査は昭和三十三年七月の調査をもとにいたしまして、それで国家公務員のいろんな改定ベース、そういうものに合わして実施の基準を出しておるわけでございますが、現在これが三千五百有余の団体でございますので、全体的な調査というものはその後全部まとめたものはまだいたしておりません。
○小柳勇君 約八十万人に及ぶ地方公務員の給与の実態が把握されない。三十三年の七月といいますとちょうど三年です。まる三年の間把握されないということについて、私は自治省の怠慢といいますか、組織のなさについて異議を申し出たいと思います。そしてそれと同時に、私が第二に質問いたしましたのは中央官庁で二万七千六百円、地方では二万一千七百円です。六千円の格差がございます。このような格差はどのようにして解消されようとするのか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(安井謙君) 国家公務員の基準に合わせてこの標準は作っておりますので、構成から見れば理論給与としての格差はないわけでございます。ただ、実態的には御承知のように自治体が条例できめるわけでございますから、実態はこれは変わってくる、こういうことになります。
○小柳勇君 昭和三十五年の三月二十九日の地方行政委員会で参議院で決議いたしまして、地方自治体の職員の給与のアンバランスを早急に是正せよ、それには予算措置も講ぜよという決議をなされておりますが、その後の措置、それについてお聞きしておきたい。
○国務大臣(安井謙君) 御承知のようにこの地方団体、特に市町村におきましては相当な格差があることは事実でございますので、これを格差をできるだけなくして、基準に合わせるようにという強い指導を自治省としてはいたしておるわけでございます。そして先ほど申し上げたような給与の基準額で地方財政計画に織り込んで、いわゆる基準財政需要額というものを計算の基礎にしてこれはやれば、やればでなくて、これに合わせて順次直していくような強力な指導と財政的な措置もいたしておるわけであります。
○小柳勇君 自治省大臣、重ねて質問いたしますが、地方公務員法の二十四条には市町村で条例を作って給与体系を整えるようになっております。町村の方でその条例すらないところがたくさんあるのでありまするが、御存じでございますか。
○国務大臣(安井謙君) 大体市町村といえども、給与をきめますには、条例でおそらくきめておるのが大部分であろうと思いますが、特別何か特殊な理由でありますか、どうも私その点はちょっと関知いたしておりません。
○占部秀男君 関連。安井自治大臣にお伺いをしたいのでありますが、今、小柳委員の質問の中で市町村関係が基本給が二万一千七百円平均である。ところでその実態は御存じのように二万一千七百円どころでない、非常に低いところが相当あるわけです。これについて大臣の方で強力な行政指導あるいは財政措置もしてこの問題を順次改善していきたいと、確かに自治省としては最近その問題で努力をされておるということは認めます。しかし認めるけれども現地に行くとなかなかそうではない。特に交付税の中に積算の基礎として盛られておる点についても、全然市町村長によっては無視している、これを実行してはいないというふうな形が出ておるわけであります。そこで現状のままでは遺憾ながら、なかなか今言われたこの二万一千七百円ということにはなってこないのではないか、実態は。そういうふうに思うのです。さらにこれを機会に何とかもっと強力な方向で行政指導なり、あるいはまた法的措置なり、あるいは財政的な措置を強化するなりいずれかして、この問題を突破しなければ、永遠に市町村の方は暗い谷間に置かれておるような形になるわけであります。こういう点につきましては自治省として特段の考え方はございませんか。その点一つお伺いいたします。
○国務大臣(安井謙君) お話の通りに自治省としましては、できるだけこの水準に合わせるように行政上、財政上の措置もやっておるわけでありますが、建前が地方団体の特殊性によるそれぞれ独自の立場で給与をきめるのでありまして、これを政府の側から強制するわけにはいくまいと思います。しかし今言われます方向に順次これは修正していっておるという状況であります。せんだっての十月のベースアップの際におきましても、十分そういった内容的な指導もいたして参っておるわけであります。
○小柳勇君 自治大臣重ねて質問いたします。ただいま私が申し上げましたように、条例のないようなところでは初任給もほとんど白紙で、何ら条例もなく採用されて働いている実情であります。至急に調査して措置されることを希望すると同時に、前にきまりました参議院の決議もまだ十分措置されておらないようです。そういう点も一つ早急に措置してもらいたいと思います。 次に文部大臣に質問いたしますが、公立学校などは相当体系的でありまするが、私立学校教職員の給与体系については、体系的に把握されておらないように思いまするが、現状について御説明願いたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。私立学校の教職員の給与体系というがごとき姿では把握できておりません。ただ国立との比較において一応申し上げてみますと、大学についてみますと、私立が平均三万一千七百三十九円、国立が三万七千八百九十四円、高校については私立が二万九百二十六円、国立が三万一千六百九十円、中学以下が一万八千五百七十二円に対して二万六千六十一円、事務職員が一万六千四百九十七円に対して二万一千六百円、平均いたしますと私立が二万一千八百四十七円に対して国立が三万一千六十三円、これは本年二月の調査でございます。ただし、その後私学におきましてはある程度の給与の引き上げをいたしております。全部についての調査はできておりませんけれども、約半数ぐらいの調査に基づきますると、平均約一三%の給与引き上げをいたしているようでございまするから、平均で比較して申し上げますと、その比率は、私学の給与引き上げ以前の比率において国立に対して私立が約七〇%ちょっと、一三%の給与引き上げ後の比率は正確に今計算できておりませんけれども、概算等で参りまして大体国立に対して八割一、二分のところまできているというところであろうと思われます。
○小柳勇君 文部大臣に重ねて御質問いたしますが、三十八年から高校がたくさん生徒がふえます。それから科学技術振興のために工業教員養成についても相当計画がなされているようであります。しかもそれには官立だけでございません、私立の方についても相当国の計画の中に入っております。そのように教育の期待は私学の方にも相当量の期待をかけながら、それだけのアンバランス、八一%でしか私学教員がないということに対して、政府はどのように措置されようとしているか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指摘のように私学、国公立あわせまして教育の目的を達するわけでございますが、私学は申し上げるまでもなく御承知の通り、私学それ自体の独自の経営というものを原則としておりまして、国なり公共団体が私学に対しまして、国公立と同じようになるための当然の給与の是正のための助成までもするということはいかがであろうと、国公立対私立の相互の関係から見まして、私学の独自性を侵すことになりはせぬか、というふうな考え方のもとに今まで対処して参っております。従ってそういう意味から給与の是正のための経費、すなわち経常費の支弁に相当するような助成は、おそらく適切ではあるまいという建前で、施設設備のための経費を低利長期の資金を提供することによって助成していく。それが給与関係にもはね返って、結果的に何がしかの是正効果をあげるだろう、そういう期待のもとに、原則は今申し上げたような考え方で自来やって参っているわけであります。ただし御指摘のように科学技術者の養成等も、国家的立場から要請されるわけでございますから、それに対しまして理科教育のために特別の助成金——わずかではございますけれども十億余りの予算を計上いたしておりますが、出すことに相なっております。そのほかに研究設備に対しまして八億円見当のものを助成しても、たくさんの私学に対しましてノミの涙みたようなものではありますけれども、設備研究等に対しましては以上のような通りであります。さっき申し上げました必要資金を貸し付けるという角度からは、今まで私学振興会を通じまして八十億円余りのものを資金として提供いたして助成をいたしております。
○小柳勇君 大学に対して国が一人当たりかけておる金が、私の調べでは官立で四十五万円ないし六十七万円、一人卒業するのにかかるようでありますが、私立については七万八千円くらいしか国が出しておらない。しかも、これからの国の再建は、その私学を出た大学卒業生に相当期待をかけられておる。このようなことで、今大臣が言われておるように、私学振興会などに金が出ておるようでありますが、その金は設備資金、運営資金などに大多数が行って、そうして授業料などから人件費が出ておるようであります。この人件費につきましては、人件費を出すために私学などで莫大なる授業料を取らなければならぬ、入学金については驚くなかれ、東京歯科大学などでは三十万円の入学金を取っておる。そのように父兄に負担をさせて、国が少しばかりの負担をして、そうして卒業いたしました青年を、国が教育したということで、これを期待をしておる、かようなことでありまするので、その学校教育のしわ寄せが、全部教職員の給与の上にしわ寄せとなって、ただいま言われたように二割ばかり低いのであります。従って、私はあとで総理にも見解を聞きまするが、このようなことではほんとうの私学振興にならぬのではないか、従っていま一回文部大臣の決意を聞いておきたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 同じことを繰り返しておそれ入りますが、先ほど申し上げましたように、私学の自主性と申しますか、特色と申しますか、原則として国や公共団体の御厄介にならないでやって見せるというところに私学の心意気があるのが本則だろうと思います。さりとて、社会的な国家的な要請がまた私学にも期待されるわけでございますから、その接触面において、国あるいは公共団体は、私学に対してどういう方法で、どの限度に助成をすべきかというのが具体的に問題であろうかと思います。先ほど御披露申し上げましたようなことで、むろん十分とは思いませんけれども、もっと私学みずからの経営運転資金が潤沢になりまするような方法の一助といたしまして、指定寄付の窓口を広げるということを、大蔵省と相談いたしまして、大体従来のやり方によりますよりも倍くらいの資金が私学に集まり得るであろうという見当のものを、法人に関しましては幅を広げることの措置をいたしました。さらに、できることならば、個人の寄付も、外国の例によくあることを聞きます。個人も私学振興の気持から寄付をすることを、税法上便宜の措置を講ずるということでもいたしまして、もっと資金が潤沢に集まる考慮もしなければなるまいか、これも今後の問題でありますが、大蔵当局ともよく折衝したいと思っておる次第でございます。
○小柳勇君 総理大臣に質問いたしますが、ただいまお聞きのように、国家公務員、地方公務員及び私立学校教職員など、まだほかに類似の人たちもたくさんいますが、公労協の裁定の四百十七億、今われわれが論議しておりまするが、これの裁定によりましてアンバランスが出て参ります。格差が出て参ります。なお、この公労協の四百十七億も、これは要求に比較いたしますると半分足らずであります。半分に満たないものを、労働大臣の強制職権によって裁定が出された。このことはあとでまた質問いたしまするが、それにいたしましても、裁定が出たために公労協の職員と、今申し上げた三つの種類の職員に相当の格差ができた。このことについては国も政府も相当の責任があろうと思うのであります。この解決について総理大臣はどのような御決意があるかお聞きしたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) われわれは、各法律の規定に基づいてそれに善処しておるのであります。格差は、経済の高度成長によってだんだん少なくなっていくことを期待し、その方向に努力いたしておるのであります。
○小柳勇君 ただいまの総理大臣の答弁については、まことに遺憾でありました。経済成長が激しければ激しいだけに、取り残される産業もたくさん出ますし、ただいま言いましたように、弱いところが、たとえば私立学校の教職員などがどんどん取り残されていくわけであります。従って、私はただいまの総理大臣の答弁は、そのような格差を全然もう見ないで、見ぬふりをして目をつぶって、経済成長だけを念頭に置かれておるように私は受け取っておりますが、それでよろしうございますか。
○国務大臣(池田勇人君) 以前に比べますと私学もよほどよくなっております。過去の事例をごらん下されば、そしてまた今後、ただいま申し上げましたような格差を縮めることに努力していけば、お話の点に沿い得ると考えております。
○小柳勇君 公労協の裁定が出ましたいきさつについては、もう前から委員がたくさん質問されましたので、私は重ねて質問いたしませんが、ただいま私が触れましたように、今回の裁定については職権裁定であります。労働大臣が仲裁委員会に持っていかれたのでありますが、その中ではまだ交渉中の段階のものもあった。それが一括して政府の意思、労働大臣の意思で職権仲裁に持っていかれました。そして裁定が出たわけです。従って私は労働問題としてこのような扱い方をされた労働大臣並びに池田内閣の真意を聞いておきたいと思うのです。
○国務大臣(石田博英君) 公共企業体の労使関係にいい慣行を作り上げて参りますためには、何と申しましても、団体交渉をできるだけ尊重して参るのが根本であります。従って、私どもは、今回は従来の例を破りまして、各公社現業当局が従来のごとく予算上、資金上しぼられてゼロ回答しかできなかったような要件を排除いたしまして、それ相応の数字を出すような下ごしらえをいたしたのであります。事実ある程度の数字をそれぞれ出しました。ところが団体交渉進行中に、公社側がそういう数字を出すのに対して組合側が当初の要求から全然動かない。従って公社側が一歩出し、出したままの形で具体的な進行を見られないという状態でございました。しかしながら、団体交渉は数次にわたってそれぞれ行なわれたと承知いたしております。しかし、ただいま申しましたような状態でございましたので、経営者側からは団体交渉はもう打ち切られたという報告に接しました。それから間もなく、公労法の規定を無視したいわゆる半日スト宣言が行なわれ、その準備が進められるという状態に相なったのであります。私どもは、かかる法律無視の行為が行なわれないように、一面においては、法律無視の行為が行なわれた場合には、これは法の示すところに従って処分が行なわれることを明示いたしますと同時に、やはり法律無視の行為が行なわれないで済むような措置をとらなければなりません。同時に国民各位に迷惑をかけないような措置もとらなければならぬのであります。法秩序を維持するということは、法を乱した者を処分するということだけではなく、法を乱すような行為が行なわれないように、政府が最善の措置をとるべきであると考えて、そうしてそれが時間的に間に合わないような状態が生じないように、職権をもって仲裁を請求したのであります。
○小柳勇君 総理大臣に質問いたします。 ただいま労働大臣は、職権仲裁をやったのは、あのような大きな事態を早急に事故なく解決するためだと言われました。私は初めからずっと質問いたしておりますように、同じような仕事をしている国家公務員や地方公務員並びに私立学校教職員など、そのような人は、ただいま各大臣から報告がありましたように、相当の格差があります。しかしこれを私が今ここで質問して声を大にする、そのほかに、一体どういうような方法で訴えることができましょうか。団結権は保障されております。団体交渉権はございません。あるいは私立学校については罷業権まで与えてはおりまするが、公務員と同じような気持でもってストライキもなかなかできない。そのような情勢にあって、人事院総裁のあのような答弁で、自治省大臣に至ってはほとんど実態把握しておりません。そのようなものについて一体緊急でないとおとりになるか、緊急であるとおとりになるなら、これをどう処置しようとされているか。
○国務大臣(池田勇人君) 行政部門における実態、これはいろいろあるのであります。これは実質的に格差が少なくなるように努めなければなりません。しかし、一足飛びにどうこうというわけのものではないと思う。国家公務員並びに地方公務員は、法律によりまして、罷業権も団体交渉権もございません。私立学校の職員につきましては、国家公務員法、地方公務員法で縛られておるわけでもございませんから、それはおのずから違うと思います。私はこういう格差がだんだんはっきりみんなにわかるようになってくることによって、私立学校におきましても、給与の改善に努力されることを私は期待いたしておるのであります。
○小柳勇君 総理大臣、いま一度重ねて質問いたしますが、地方公務員についても争議権は剥奪されております。それから団体交渉権もございません。そのかわりに保障されたものがございますが、公平委員会などございますが、その活動についてどのように把握しておられますか。
○国務大臣(池田勇人君) 国家公務員に準じて私はやっておると思います。それからまた、地方公務員につきましても、御承知と思いまするが、その行政の何と申しますか、市町村におきまして、かなり違っておるのであります。たとえば東京都あるいは大阪府、市関係は、私は国教公務員よりも相当上ではないかと思っております。それから地方の町村におきましては、お話の通りの格差があると思いまするが、これも自治省といたしましては、先ほど申し上げておりますように、国家公務員に準じて計算し、財政需要の計算に入れて、そうして適正に行なわれるように指導いたしておると考えております。
○小柳勇君 争議権がない、団体交渉権がないために、給与の格差はひどくなりましても、なかなかそれが解決できないという実態については、ただいま質問で明らかになりましたが、その保障について、団体交渉権、団結権、争議権については、国際水準並みにこの際一つ労働三権を復活させようというようなお気持は総理大臣ございませんか。
○国務大臣(池田勇人君) 私は今の制度でいいと思います。人事院を活用いたしまして、そうして国もできるだけその勧告を尊重するように努力いたしてやっていけば、適正な運営ができると思います。外国におきましても、日本と例を同じくする国も相当あるのであります。
○小柳勇君 労働大臣に質問いたしますが、私立学校教職員については、総理大臣が言われたように、労働三権はあります。ところが、教職員の皆さんがそうであるように、生徒を預っておるという意識もございましょう、なかなかそこまでは参りませんが、しかし、最近給与の問題などで二、三、地方にストライキなども散見いたします。そのようなあり方について、それと同じように学校教職員について労働三権が与えられたにしても、それは決して不法な、行き過ぎたような労働行為はないと思う。従って私はこの際、国際ILO総会も間近かに控えまして、日本の国際的な労働者の位置を守るという立場から、労働三権について、国家公務員、地方公務員並びにその他これを剥奪されたものに対する労働三権の問題について、労働大臣の御意向を聞いておきたいと思います。
○国務大臣(石田博英君) ただいま総理からも御答弁がありましたように、国家公務員、地方公務員及び教育公務員につきましては、私は現状のもとにおいて人事院制度を活用することが適当であろうと存じまするし、また、それによって、これらの諸君から奪われておる争議権、団体交渉権にかわる保障が確保されていけるものと思っております。 それから、これは小柳さん、十分御承知のことだろうと思うのでありますが、公社現業の公労協の賃金、それから国家公務員、地方公務員の賃金、それは年令その他の条件を固定いたしました場合、労働時間に差があるのでありますから、公労協の賃金が一割程度高いということは、私はこれは労働時間から考えまして、やむを得ない、当然のことだと思っておりますので、それを格差と言うことは私は当たらない、こう思っておることをこの際申し上げておきたいと存じます。
○小柳勇君 今の問題の言葉じりをとるのじゃございませんが、公労協の職員と国家公務員と比べるということではございません。民間の賃金に対して国家公務員の給与の差があります。公労協の職員もまだ差があります。さっき大臣が言われた通りです。従って、そういうものを比べながら、なお、その国家公務員よりも低い人たちも、その同じような仕事をしながらあるわけです。それは早急に格差の是正をしませんと、方々に不平不満が出て参ります。そのことを言っているわけであります。 で、重ねて労働大臣に質問いたしますが、公労法の中にはたくさんの矛盾がございます。大臣御存じの通りです。しかし、その一番の大きな矛盾は、きょう杉山委員が質問された矛盾であろうと思う。第二の矛盾は、当事者能力の問題であろうと思う。従って、私はこの際、いま少しこの公共企業体というものに当事者能力を与えて、首切りだけが能力でなくて、給与の問題についても若干の交渉ができるような能力を与える法改正が必要ではないか。この点についてまず労働大臣の見解を聞いておきたいと思う。
○国務大臣(石田博英君) 実質的に従来の例を破りまして、公社現業当局が、自己の判断である程度の数字を出し得るような措置を今回とったことは、御承知の通りであります。また、予算上、資金上、あるいは現在の予算上、資金上不可能でありましても、労使双方が団体交渉で話がまとまりました場合は、先ほど杉山さんの御議論の、十六条二項の前段の項目を使うことによりまして、国会の議決の得られる筋はあると思います、法律上は。ただ、実質七それがなかなか運用されていないことは御承知のように事実であります。そこで、実質上当事者能力を付与するということは、結局当事者の責任者がその自己の良心と責任に従って、組合側との話がまとまった場合、それはやはり私どももそのまとまったものの実現方について協力をするという実際行為がこれに伴っていくことが必要であろうと存じます。で、私ども、公社及び現業当局が誠意をもって交渉をして、そしてその自己の責任においてまとまったものについては、その十六条の二項によって、国会の議決を得るもよかろうし、あるいは政府部内の交渉によって、予算上、資金上の処置をとるのも適当であろうと存じますが、要はその責任において話をしていただくことでありますが、これは当事者能力もさることながら、やはり団体交渉は最後の歩み寄りでございます。従って、今回のように、公社側が千円も出した、組合側は五千円より一歩も前に進まぬというのでは、これは話し合いというものはなかなか進まないので、やはり当事者能力を付与して、漸進的に団体交渉でものを解決するためには、双方ともやはりそういう努力を必要と存じておる次第であります。ただ、十六条二項の後段の部分について、すなわち三十五条の援用された場合の措置につきまして、政府が今までは「事由を附し」というものについて、これは政府の意見を付しというふうに、提出期間の問題とともに検討をいたしたいと存じております。
○小柳勇君 いま一つの問題は、仲裁委員会の矛盾があります。これはこの間の新聞でもありましたように、池田総理も石田労相も日経連の総会などで相当御批判があったようであります。われわれから言わせれば、日経連の総会などは仲裁委員会にこそ文句を言え、池田総理や石田労相に文句を言う筋合いはなかろうと思います。ところが、組合側の意見がある——仲裁委員会というものは、あれは労働大臣の指名だから、あれはもう政府の言うなりになるのだ。このような仲裁委員会であっては裁定が出ても——今度は日経連が批判したが——この次は組合が受諾しないかもしれません。このような矛盾について、一体どう考えておられますか。
○国務大臣(石田博英君) 仲裁委員会の公益委員は、これは労使双方の合意を得て国会の議決を経ておるのでありまして、今回の公益委員は、国会各派を超越して満場一致の議決を経ている人たちでございます。日経連が今回の裁定金額について、私どもに対して御批評をなさったことは、まことに筋違いであることは、これは言うまでもございません。しかし、このことは、逆に申しますならば、われわれは、仲裁委員会の決定を左右する意見も能力もなかったということが明らかになったのでありまして、これはむしろ第三者機関である仲裁委員会の権威と公正さに対する信頼を明らかにしたという点で、私は副次的な効果があったものと強く信じております。
○小柳勇君 ほかにたくさん矛盾がございますが、もう一つは、これは一番大きな矛盾でございますが、ただいまのように、公労法というものは、もう矛盾だらけであって、当事者はほかに置いておいて、政府が統一交渉などやって、そのまま仲裁に持っていく、それで裁定が出たら、ここでまた、これを出せるか出せないかと、国会で論議しなければならぬほど、これはでたらめな法律です。その中で光っているのは、首切る力を当事者に与えている。そうして莫大な首切り解雇は出ましたが、この点解雇については、私は撤回されるのが至当であろうと思います。公労法の矛盾から出ているそのようなものを、一方的に労働者を首切ることはけしからんと思います。運輸大臣と郵政大臣から、この点についての見解を聞いておきたい。
○国務大臣(石田博英君) さきに、あなたのおっしゃった統一交渉云々ということについて何を指していらっしゃいますか。私は統一的交渉をした事実はございませんので、それは非常に統一交渉を、あたかもやったというような御発言でございますので、どういうことを指していらっしゃいますか、ちょっと念のために伺いたい。
○小柳勇君 ただいまの労働大臣のやつについて、二月の二十五日に公労協の諸君の代表が参りまして、労働省の大臣室に石田労働大臣を尋ねて四項目の統一要求書を出しております。これについて労働大臣が見解を発表しておられる。その見解については、文書ではございませんが、各項目にわたって答弁があります。その統一要求書は、あて名は内閣総理大臣池田勇人殿であります。従って、それを受けて立って、仲裁委員会に裁定を申請されたと私は理解しております。
○国務大臣(石田博英君) これは意外な誤解でございまして、春季闘争の経過より、問題の円満解決のために、公式非公式を問わず、われわれが会見を申し込んだら会うかというお話でありました。私は、それが円満解決で国民に迷惑をかけないためであるならば、時間の許す限りお目にかかるであろうというお答えをいたしました。その一つの現われとして、ただいま申したように、公労協の幹部の諸君が私のところへ要求書を持っておいでになりまして、私どもは、その要求書に正式にお答えする立場ではありません。交渉ではないのであります。しかしながら、その要求書について、これはせっかくおいでになって、だまっているのも非礼でございますし、もちろん話し合いをして意見の一致点を見出だしていくということになりますならば、私は私なりの意見と見通しとを申し上げたのであります。従って、これは統一交渉ではなくして、話し合いに応じろと言うから、話し合いに応じたまででございます。交渉はあくまで各公社現業と組合当局で行なわれるべきものが至当でございますから、この点、もしそういうふうに誤解されておるなら明確にいたしておきたいと思います。
○小柳勇君 それは公労法の根本的な問題でありますから、あらためて社労委員会などでゆっくり討論いたしますが、私は労働法というものは、労使の団体交渉その他のルールをきめるものであって、そのような経過そのものが、一つのやがては法となるべきものであって、従って、そういうものをもって論じておりまするが、その点について、あとで論議いたしますが、前に質問いたしました、その不当処分について撤回される要求を私いたしておりますから、運輸大臣と郵政大臣から、当時のいきさつと、現在の心境をお伺いしたいと思うのです。
○国務大臣(木暮武太夫君) 法律に違反しないようなことを願っておりますわけでございますけれども、法律に違反した場合には、法律に従って処分をいたすということはやむを得ないことであろうと、こう考えておる次第でございます。
○国務大臣(小金義照君) 先ほど労働大臣が申したように、法治国でありますから、法律違反の状態をなるべく作り出したくないということは、私ども行政の根本として考えておりますが、残念ながら法律違反の事態ができましたので、国家公務員法あるいは公労法の適用があったわけでありまして、今日といえども、法律違反の事実が消えない限りは、これは消えることはございませんから、従って、処分の撤回はないものと私は考えております。
○小柳勇君 私が不当処分の問題で今言っておりますのは、表面上の問題だけではなくて、今回予防処分というものがやられました。三・三一のストライキがあるかもしれないから、前もってやっておこうというので、基準法を守ろうとする順法闘争に対して、莫大な首切り処分が出ておる。過酷な処分が出ておる。それが一つであります。 それから、その後の問題についても、もちろん過酷な処分が出ておりまするが、そのようなことは、予防処分などというものはやるべきでないし、しかも、これは石田労働大臣にも関係大臣にも言うことでありまするが、あらかじめ何もやらぬ先から厳重処分するのだ、とにかく太鼓をたたいて、前もって警告といいますか、そのようなことは、これはやるべきでないので、労使慣行というものは、もっと誠実をもって尊重すべきである、そういう見解であります。前もって裁定は尊重するのだ、そのかわり違法行為は厳罰するのだ。裁定を尊重するということ自体も、私は行き過ぎだと思う。それから違法行為があったら処分するということを前もって言うことも、私は行き過ぎだと思う。そのようなことを一切含んで不当処分と言っているのです。 時間がないので、先の問題に入りますが、国鉄の総裁に質問いたします。公共企業体のあり方の中で、いろいろ質問したかったのでありますが、時間がございませんから端的に質問いたします。 一つは、最近また鉄道建設審議会から新線建設が答申されて、これを国鉄も運輸大臣も了解されたようでありまするが、このようなことをなされて、赤字解消を言われることは私はふに落ちませんが、そのいきさつを御説明願いたいと思います。
○説明員(十河信二君) 政府の生産増強、所得倍増の計画を進めて参るにあたりまして、各地方の開発を促進するという必要から建設審議会で慎重審議せられまして、各委員、大臣や両党の幹部の方々、学識経験者等から、こういう線路を建設するがよかろうという決議、建議がありました。それに従っておる次第であります。
○小柳勇君 運輸大臣あなたも、これを許したようでありますが、運輸大臣から意見を聞いておきます。
○国務大臣(木暮武太夫君) お答え申し上げます。国鉄は御承知の通り、公共福祉の増進を目的として作られたる公共的な性質の高い公社でございまして、能率を高めるために、一方では独立採算制をとらされておるのでございますが、従いまして、国鉄全体として、原価を償っておりまする限りにおきましては、独立採算制の故をもって、公共性を全うしないということは筋が違うと考える次第でございます。御承知の鉄道建設審議会は、国会議員あるいは財界の人たち、知識経験者の方々が二十七人お集まりになりまして、日本の産業を振興するために、また鉄道網を作りますために、必要なる新しい線を決定いたしましたり、予定線の着工を、建議あるいは答申をいたしてくるのでございまして、運輸省といたしましては、権威ある鉄道建設審議会の建議、答申等を尊重いたしまして、この答申に従って、仕事を進めていくのでございます。 ただし、公共負担が非常に多いことは、国鉄の経理を圧迫をいたしますので、御承知の通り、本年の予算におきましては、戦傷病者の無賃乗車に対しまして、六千二百六十二万六千円というものを一般会計から負担し、またただいまお話のありました新線建設の借入金の利子補給として、三億八百七十数万円を一般会計で負担をして、国鉄の赤字の累増に備えておるというようなことをいたしておる次第でございます。
○小柳勇君 建設予定線九線加わったことで、また相当の赤字でありましょう。また物価が値上げということになります。運賃値上げということになります。 そこで、今一応、これは非常に大事なことでありますから、国鉄総裁に先般新聞で騒がれました汚職の問題について、内容、事情を説明しておいていただきたいと思います。
○説明員(十河信二君) 綱紀の粛正につきましては、かねてからわれわれ懸命の努力をいたして参ったのであります。ああいう問題を引き起こしましたことにつきまして、私は衷心から反省をいたしまして、申しわけないと存じております。ただ・その事案の内容はただいま取り調べ中であります。どういう事実があったのかということはよくわかりません。わかりませんが、わからないなりに、さらに一段と綱紀を粛正して、間違いを起こさないように、いろいろと組織あるいは請負契約の審査等においても、さらに一段の注意をする、改善をしたいと努力いたしておる次第であります。
○小柳勇君 大蔵大臣にお尋ねしますが、裁定の完全実施ということが長く叫ばれて、石田労働大臣になりまして、今回裁定が出て、直ちに予算審議になりました。ところが、過去に裁定不履行分として、国鉄、専売、電通、全逓全部合わせますと、三百三十八億円不履行分が残っておる。それから人事院勧告の不履行分が二百六十一億、合計いたしますと、五百九十九億の裁定不履行並びに人事院勧告不履行が残っておるわけでございます。ケースとして裁判になっておるものもございますが、裁定実施ということは、このような過去の債務を払うことが裁定実施だと思うが、この点について、いかがでございますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 人事院の勧告とか仲裁裁定は、これは尊重すべきものでございまして、できるだけ完全実施する——したいという方針にはかわりがございませんが、ただそのときどきの財政上の事情そのほかによって、過去において、これが完全実施できなくて、部分実施した例もたくさんございます。今おっしゃられる通り、訴訟になっているものもございますが、こういうものは、訴訟の判決によって考えなければならぬ問題でございますし、そのときときの勧告によって、そのときできることをするというのが、過去の立場でございましたので、今これが予算上資金上可能な状態になったからといって、過去の裁定のこの不完全実施分を、これは現在実施するというようなことには、建前上ならないと思います。
○委員長(館哲二君) 小柳君の持ち時間は終了しました。
○小柳勇君 時間終了いたしましたから、もう質問はいたしません。ただいまの点についての意見と、総理大臣に御要請申し上げたいと思います。 ただいまの問題については、われわれは債務だと考えておりますので、その点についても、また別の機会に討論いたしたいと思います。それから総理大臣に、ただいま質問いたしましたのは、裁定実施に伴って、賃金の格差が起きる。その格差を生じた職員に対する格段の御配慮を願いたいということを念願しながら、質問しました。しかもこの裁定は、たくさんの要求の中の一部分でありまして、これが全部の要求の達成されたのでないという点、従って、これからも、まだ要求はたくさん出てくるかと思いまするが、まずは、この公労協の職員だけじゃなくて、それに類似した官公労あるいはそれに類似した仕事をやる人の給与体系というものが、非常に均等になりまして、明朗な仕事をすることを念願して、質問をしたわけであります。従って、各省も、まだ調査も十分でないようなところもありますが、内閣の責任について、早急にこれを解決してもらいたいという点と、それから最後に、石田労働大臣がおられたから裁定は完全に実施されたということじゃなくて、公労法の精神によって、これは今後とも裁定については、完全に実施されるように内閣の方針を今後とも一つ進めてもらいたいことを要請いたしまして、私の質問を終わります。 —————————————
○委員長(館哲二君) 大谷贇雄君。 〔「時間々々」「五時になったらやめろ、約束なんだから。これは理事会の申し合わせなんだから」と呼ぶ者あり〕
○大谷贇雄君 大へん私は、当予算委員会の委員長のお取り回しに、与党であるけれども、ふんまんにたえません。今日、一昨日私は質問ができると思っておった、きょうは名古屋へ、どうしても行かなければならぬことになっている。それを涙をのんでやめたわけです。そうして、けさ杉山委員の次に、私が質問をいたすことになっておった。しかるに、一番最後に回ってくれ、こういうことで、大いに期待をしておったところが、五時までに終わらなければ相ならぬと、一体全体、先回の予算委員会においても、私は総括質問、一般質問を要求しておいた。総括質問の時間はないから、一般質問に回って下さいと、こう委員会が申したから、与党のことだから、名委員長を助けるつもりで、了承した。ところがいつのまにやら、それは流れてしまった。今回は、今申す事情で、切り詰めて切り詰めて、まけろまけろで、たった三十分、その三十分が今あなた、私が質問してきら星のごとく総理大臣初め内閣諸公列席をしていただいて、どんなに私が手裏剣のごとく質問したって、それは答弁は手裏剣のごとくしていただくわけに参らん、そうするというと、委員長は、大谷贇雄の神聖なる、国民から与えられているこの権利の行使、発言の自由を拘束するものと害わなければならぬ。一体委員長は、私はあなたが、先般もまことにごりっぱな委員長であると御推奨申し上げた、きょうはそれを撤回しなければならない。私が野党であったら、不信任の動議を出します。涙をのんで出しません。一体委員長、このお取り回しは、今後の予算委員会の私は運営に非常な支障を来たすものだと思う。与党であっても、やはりいろいろな予算なりそのほか法案通過の関係で、与党というものは、なるべく遠慮をし、制限されている、そのことは、総理の仰せになるように、忍耐と寛容で、仕方がないと思います。しかし、きょうの事態はあまりにひど過ぎるが、これは一体、そういう陰謀をおやりになったかどうか、御答弁を願いたい。
○委員長(館哲二君) 速記をやめて。 〔速記中止〕
○委員長(館哲二君) 速記を始めて。
○大谷贇雄君 あと七分でございます。従って、実は私は一九六一年という年は非常に重大な年である、かように存じて、この際私は最も私どもの尊敬をし、畏敬をしている池田内閣が、日本の国内の体制、また対外問題に対して、きぜんたる態度をもってやっていただきたい、こういう私は痛烈なる念願を持っておるものでございます。しかるに、今申すようなことで、質問があと六分よりございませんので、もはやいかんともこれしがたい事態に立ち至ったことを私はまことに悲しむものでございますが、しかし、その短かい時間におきまして私は一点だけ総理に御所信を伺っておいて、あとは、まことに内閣諸公御列席をいただいて、私の御質問申し上げ、また十分な御答弁をいただこうと思っておった皆様方の御期待にそむいて、まことに残念でありますが、その点を御了承願いたいと思います。 総理に対して御所信を伺います。「大学」の中に、「其の本乱れて末治まる者は否ず。」、こういう言葉がございます。しかるに、最近の風潮を見ますると、そのもとが、麻のごとくに乱れておりはすまいかと思うのでございます。さきに総理は、四月の二十九日に、天皇陛下の御誕辰にあたりまして、皇室の名誉と最近の風潮に関しまして、内閣総理大臣談話を発表をされました、まことに時宜を得たものと思う次第でございます。まさにその総理の談話にありましたように、わが国は世界に類例を見ないほどの驚異的な復興を遂げて経済的繁栄をいたしました。しかし、残念ながら総理の談話にありますように、道義的な方面で非常な及ばないところがございます、総理はこう言われました。道義の問題は、常にその社会の死命を制する問題である、たとえたくましい経済成長も、道義と相待つのでなければ、決して真の民主的繁栄をもたらすものではない、こういうお言葉でございました。ましていわんや国家の象徴であり、日本国民統合の象徴でありまするところの天皇、皇室の名誉を傷つけるような、まことに愚劣な非良識な言論が、さきに「風流夢譚」あるいは「御璽」等々続いております、こういうことが横行するという現象は、お互いに日本国民の名誉と美しい伝統の名におきましてひんしゅくをし、唾棄すべきでございます。まさに世の中はインセイン・ソサイェティ、狂える社会、そういうような様相を呈しております。そこで総理の声明の中にもございましたが、こういう世潮に慨嘆をして立ち上がりました純真な二十数名の、私はその代表の者に会いましたが、その青年たちがみずから月給をさいて、お金を出し合って印刷物を作って、広く良識ある国民に檄を飛ばして、「皇室の尊厳をおかす者を処罰する法律制定に関する請願書」を提出するという運動が今や北海道から鹿児島まで燎原の火のごとく広がっておりますことは総理も御承知で、あの談話の中にもお書きになりました。今日衆議院、参議院に、その請願書が提出されておりまするが、百万通を突破しており、おそらくは、会期延長されましたから五百万通ぐらいになるだろうと予想されるのでございます。世界の各国において、一国の元首の名誉を傷つけても、いかんともしがたいというような国は、どこにもございません。共産圏のチェコですら、大統領の名誉を傷つければ、それは厳重なる処罰を受けるのでございます。わが池田総理大臣、もとを正し、そのもとを確立することは、今日より私は急を要するときはないと思うのでございます。この請願に現われました国民の切なる要望にこたえて、日本の国民の精神的支柱であられまする皇室の尊厳を保持いたしまするために、総理のお言葉にありまする、道義と名誉を重んじて、創造的意欲に基づく国作りのために、特別立法の制定をなさる御意思がないか、この際、国民の前に明確に総理の所信を承っておきたい、かように存ずる次第でございます。
○国務大臣(池田勇人君) いろいろ各場面のことを考えまして、先般の天皇御誕辰の日に総理談話を出したのでございます。私は、そのもとを正すべく、政治の面にできるだけの努力をいたしまして、かかることのないよう示唆いたしておる、考えておるのであります。今、法律でどうこうということにつきまして、お答えする段階に至っておりません。
○大谷贇雄君 どうかこの問題は、非常に国民が純真な気持から期待をいたしておることでございますから、慎重に御検討をいただきまして、その日の一日も早からんことを念願いたす次第でございます。 なお、綱紀粛正の問題等について、この際十分に伺い、また信賞必罰を確立しなければならぬという点について、各閣僚に御質問を申し上げたいと思いましたが、まあ委員長に御協力いたさざるを得ない次第でございますので、他の委員会においてまた御質問をすることにして、私の質問を終わりたいと思います。
○委員長(館哲二君) 以上をもって質疑通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終局したものと認めます。 —————————————
○委員長(館哲二君) これより討論に入ります。岩間正男君。
○岩間正男君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっている政府提出の補正予算二件に対し反対するものであります。 この補正予算は、さきの仲裁裁定を実施するものだといわれておりますが、その実、きわめて危険で陰険な性格が隠されているのであります。 まず第一に、公共企業体労働者の大幅賃金引き上げは、さきに行なわれた国家公務員給与の改訂や、急速かつ大幅な物価値上がり等を考慮に入れるならば、当然やるべきであったし、また財源的にも容易にやることができたのであります。それは池田総理自身、日経連総会の席上で、生産性の向上率を賃金の向上率に比較すると、前者が年七・六%なのに対し、後者は五・六%で、まだまだ大衆の賃金を上げる必要があるといい、石田労働大臣もまた、国家公務員や公共企業体労働者の賃金水準は、民間よりもはるかに低いと認めざるを得なかった、その事実の中に何よりも明確に示されているのであります。しかもその後の状況は、生産の伸びが政府の当初の予想よりもさらに上回っており、その結果が所得の格差をますます拡大している現状を考えればなおさらのことであります。また財源の点からいっても、三十五年度の自然増収は五千億に及び、そのうち当初予算の二千百億に合わせて二回の補正を組んでもなおかつ一千億の自然増を出している現状であります。政府は二言目には財源がない、財源がないと言っていますが、第二次補正で産業投資特別会計に、今直接使いもしない三十六年度、三十七年度分の大資本擁護の資金を三百七十億もたな上げしたことを労働者と国民は絶対に忘れていないのであります。こうした経済情勢の中で、公共企業体労働者の五千円の賃上げ要求は、むしろ最低ぎりぎりのものであったといわなければなりません。しかるに政府は、郷直にそれを実現しようとしないばかりか、実に底深い意図をもってこれに臨んだのであります。つまり一方では、ある程度の給与引き上げはやむを得ないと認めながら、それをできるだけ低水準に押え、しかも、その中身を見れば上に厚く下に薄い、いわゆる格差賃金によって職階制を一そう強めるたくらみを押しつけること、これによって職場における組合活動の抑圧と縮小をはかり、さらに活動家の大量処分を計画しておったのであります。これは政府の一貫した方針であり、さきの国家公務員の給与改訂の場合も変わりはないのでありますが、このたびの公共企業体の場合には、さらに露骨にこれが行なわれたのであります。すなわち政府は、初め公企体当局をして全面的なゼロ回答をもってまっこうから労働者の要求に挑戦させ、やむなく闘争が激化するや、時を見計らって調停をさえ飛び越して一挙に職権による仲裁裁定に持ち込んだのであります。一方、いわゆる裁定の完全実施を盛んに宣伝して大衆を欺瞞するとともに、他方、大量の解雇者を含む二万の大量処分を断行したのであります。そのねらいは何であろうか。言うまでもなくそれは組合活動家の排除と、それによって起こるであろう労働者大衆への心理的圧迫、救援資金の増大等による財政面からの組合運動の抑圧、さらにこれらの障害を利用して組合を骨抜きにしようとする第二勢力の助長等々、一連の労働組合弱化の対策といわざるを得ません。しかも、この処分を行なうにあたって、政府、使用者側は至るところで不当な組合干渉を行なっている。職場大会を違法扱いにし、日常から職制や警官を動員して情報の収集やスパイ、監視を行なっている事実は枚挙にいとまありません。国鉄新潟では職員考課表というものが実施され、それによると、革同、共産的な者三十五点、革同的な者五十点、ときどき理屈を並べ反抗する者六十五点など、思想調査や支持政党の調査などによって勤評を実施し、弾圧を策しているのであります。これと類似した弾圧は、全国税、全農林、全建労、全電通、全逓等を初め多くの労働組合に現に実施されているのが実情であります。政府は一昨日の私の質問に対して、法律を守らない者を処分したまでだと答弁しているが、法律を守らず組合介入の不当労働行為をあえてしている者は、ほかならぬ政府、使用者側であることをはっきりさせておきたいと思います。 以上述べたように、政府は、強権や懐柔策をもって労働組合を弾圧し、骨抜きにし、無理やりに政府に従わせようとする。これこそが政府のいわゆる労使の健全な慣行の実体であり、その正体であります。石田労相は、今回の処分の意義は、時間がたてばたつほどますますはっきりしてくるとうそぶいていますが、これこそは意識的計画的にあらかじめ仕組まれた政治的弾圧でなくて何でありましょう。今日、政府の陰険な謀略的意図は、今や白日のもとにさらされているのであります。今回の大量処分は、いわば政府の労働運動抑圧の新しいはしりとも言うべきものであり、あらゆる弾圧懐柔政策の一貫をなすものであります。 その政治的意図は、ILO条約の批准を逆用した国内三法の改悪の中にきわめて明白に示されています。従って、私は第二にこの問題について触れることにしたいと思います。 すなわち政府は、この国内法改悪の中で、政府の政策に対する批判はこれを許さないと称して、閣議決定の次官通牒のごときものにまで批判を加えることを法律で禁止し、公務員の正当な労働運動の範囲を極端に狭めようとしている。また公企体労働者が団体交渉にあたって、あらかじめその内容を文書で提示し、それから少しでもはずれたり、交渉にあたって思わず大声を立てたりすれば、いつでも一方的に団交を打ち切ることができることとして、実質的に団交拒否の口実を法律的に打ち立て、それを合法化しようとしておるのであります。また組合員が組合の指令に必ずしも従わなくてもいいと称して組合の団結権を破壊し、その自主性を奪って使用者側の組合に対する不当干渉の道を切り開いている等々、枚挙にいとまがないのであります。しかも一方、人事院は全く形骸化され、組合の人事権、管理権を直接内閣が握ろうとしているやり方とあわせ考えるならば、国内法改悪のねらいは公務員並びに公企体労働者の基本的権利をますます縮小し、その活動を制限して政府の政策に盲従させようとしていることはきわめて明白であります。ILOの批准は、憲法は言うに及ばず、ILOの精神に従って当然公務員、公企体労働者の基本的権利を回復、確立すべきことを主要な目的としています。ところが、政府はこれに藉口してまるで反対のたくらみを押しつけようとしているのであります。全く盗人たけだけしいということはこのことであります。 第三に、池田内閣とその背後の反動勢力が正当な労働運動並びに大衆活動を抑圧し、国民の基本的権利をますます狭め、その反動支配を急速に強化し、さらに永久化しようとしていることはこれだけではありません。今広範な国民の反撃を受けている政治暴力防止法案、別名暴力政治法案、あるいは銃剣の矢ぶすまをもって主権者、人民を敵視し、これに襲いかかろうとしている自衛隊の治安活動の実施計画は全くその新政策の一環であります。また他方、小選挙区制の実施を急ごうとしているのも、政党法を制定しようとしているのも、国民の自由当然な政治的活動とその意思の表明を抑制し、反動政権と新安保条約によるその体制の永久支配を確立しようとする意図の現われであります。さらに政府はこれら反動体制の総仕上げとして、憲法調査会に名をかりて、憲法改悪案の作成を急いでおるのであります。 このように見てくるならば、本補正予算は、政府にとってはわずか四百億円程度の目くされ金をもって労働者階級と国民の血と権利をあがない取り、一そうの抑圧と搾取の条件を固めるためのきわめて安上がりの取引にすぎないものであることをはっきり指摘せざるを得ないのであります。 わが日本共産党は、本補正予算に示された池田内閣とその背後の反動勢力のこのような底深い意図を労働者階級と国民の前に明らかにするとともに、このような政策の実現をあくまで阻止、粉砕するために戦うことを明らかにして、本補正予算に対し反対するものであります。
○委員長(館哲二君) 梶原茂嘉君。
○梶原茂嘉君 私は、自由民主党を代表いたしまして、この補正予算案に対して賛成の意見を申し述べるものであります。 今回の補正予算案は、政府関係の公共企業体等におきます給与の改善をその内容とするものであります。さきに一般公務員の給与の改善が実施されたのでありますが、経済の発展に伴いまして、右公共企業体におきましてもその給与の改善が行なわれますることは、私は必要にしてかつ適切な施策と考えるものであります。しこうして、この給与改善案は、三月下旬公労委において仲裁裁定が行なわれました。政府はその裁定に対し、これが完全実施の方針のもとに編成された予算案であります。私は、先般の公共企業体等におきまする給与改善をめぐりましての一連の経過につきましては遺憾の点がないわけではありませんが、政府の仲裁裁定に対しまする今回の態度、方針につきましては、これを是認するものであります。とともに、本予算案の細目の点は別といたしまして、大綱的に見ましてきわめて適切と考えるものであります。 ただ、この機会に今後の問題として数点を指摘いたしたいと存じます。 第一は、公共企業体の労働運動のあり方、団体交渉、仲裁裁定、予算の編成の関係等につきましては、今後十分な検討を必要とすると考えるのであります。 第二といたしまして、昭和三十六年の新しい予算が成立をし、その成立をいたしました直後、言いかえますれば予算の実施に入ります当初において、これが補正予算の形で再編成せられるわけでありますが、このことはすでに新年度の予算がきまり、新しい事業計画が立てられて、その実施に入った当初の段階でありまするから、少なくとも今回の補正予算の結果、これら公共企業体等におきまする新年度の事業遂行の上にある程度の支障が生ずるものと思うのであります。従いまして、政府及び関係機関においてはそれらの点を十分考慮して、年間を通じてその事業計画の遂行の上において、また予算執行の上において遺憾のないような十分の配意と努力が肝要であろうと思うのであります。 第三の点は、これら関係機関の職員も経済の高度成長の上におきまするこれら公共企業体の持っております役割の重要性にかんがみまして、その職責を果たす上においてさらに一般の努力をせられることを私は期待いたすものであります。 以上をもちまして私の賛成討論を終わります。
○委員長(館哲二君) 占部秀男君。
○占部秀男君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております昭和三十六年度特別会計予算補正及び昭和三十六年度政府関係機関予算補正、この二つに対しまして賛成の意を表します。同時に、この際、以下述べます三つの疑問点を指摘して、政府の反省を求めんとするものであります。 言うまでもなく今回の予算補正は、いわゆる三公社五現業の職員に対する給与改善に関して去る三月二十七日に提示されました公共企業体等労働委員会の仲裁裁定を実施するために、関係の七特別会計並びに三政府関係機関の各予算における給与費等を追加しようとするものでございます。政府の提案理由によりますと、「公共企業体等労働関係法の精神を尊重し、公共企業体等における健全な労働慣行を確立する趣旨において、非組合員も含めて、これを完全に実施することといたした」云々とございますが、公労法第三十五条には、仲裁裁定が出された場合、当事者は双方とも最終的決定として服従しなければならないこと、また政府はその裁定が実施されることにできる限りの努力をしなければならないことが明らかに規定されておるのでありまして、今回の予算補正によって裁定の実施に踏み切ったことは、公労法によって義務づけられておりますところを履行したいということであり、当然やるべきことをやったというにすぎないのでございます。従って、この補正それ自体につきましては、わが党として何ら反対する理由はございません。 ただ問題として指摘しなければならないことは、第一に、裁定実施に伴う所要額の財源措置がどのような形で行なわれているかという点でございます。たとえば郵便事業においては、債務償還の繰り延べ、印刷事業においては、日本銀行参の売り払い価格の引き上げ、国鉄においては、三十五年度の剰余金見込みの充当及び大幅な物件費の削減等々、相当無理な財源の捻出が行なわれております。特に国鉄の場合には、退官退職手当等で三十四億、物件費等の節約で二十五億、資産充当で五十八億、予備費で五十五億及び借入金の増で二十億の合計百十二億円となっておりますけれども、つい二カ月ほど前に本委員会で、国鉄運賃値上げ問題を審議いたしました際の政府の答弁では、国鉄は三十五年度十一億の赤字で、何らの余裕財源がない、こういうことが値上げの理由づけになっておった問題でございます。しかるに、今度仲裁裁定を実施しなければならないということになると、突如としてここに五十八億の剰余金があるとして出して参りました。剰余金の五十八億円、こういうような金のあるぐらいのことは、運賃値上げ審議の際に、当然わかっていたとわれわれは思うのであります。わかっていながら、そのときは知らない顔をしておいて、運賃値上げが決定したあとで公表する、これでは国民が納得しないと思いますし、また国会を愚弄したことにもなると私どもは考えるのであります。こうした例は一々ここに申し上げませんが、たとえばいま一つの例を郵政予算について申し上げますと、他会計より五十九億円の繰り入れを行なっております。このうちの郵貯特別会計は四百億以上の累積赤字を帳消しにしてもらったばかりの赤字会計でございますが、今回はこれに借り入れを行なわせ、その十五億を郵政に繰り入れるというのであります。これなども大いに疑点のある点だと思います。要するに今回の予算補正については、その財源措置のやり方において、少なくとも明朗を欠く点が多々見られますことは、まことに遺憾でございます。これ、わが党が本補正予算案に賛成を表しながらも、なお政府の措置は妥当でないことを指摘せざるを得ない重大な理由でございます。 第二の問題点は、この際何ゆえに一般会計予算の補正をあわせて提案しなかったかという点でございます。特に財源がないというなら、これはやむを得ないのでございますが、財源は十分にある。これは本委員会の席上、わが党議員の追及によって明らかになっているところでございます。昭和三十五年度一般会計の租税収入は、一次、二次の補正後に生じた自然増収だけでも約九百四十億円ある。当初予算に比べまして実に二千九百億円に上る税の増収となっております。しかも、この自然増収二千九百億につきましては、昨年十二月の本委員会で、わが党の木村議員がそのままぴったりの予測数字をあげて質問をいたしましたのに対して、池田総理は、それは間違いである、私ははっきり申し上げておきます、かように答弁をいたしておるのであります。さらにまた、去る三月三十一日の本委員会では、わが党の大矢議員が、三十五年度の自然増を九百五十億円ないし千億円とみて質問をいたしましたのに対して、政府当局は、七百四、五十億だとはっきり答えているのでございます。私は何もここでわが党の宣伝をしようという考えは毛頭ございません。ただ租税の見積もりいかんが、予算は申すに及ばずあらゆる政策の面に影響するだけに特にこのことを強調し、政府のこれまでの見通しがいかに間違っていたか、また、いかに無責任であったかということを明らかにして、この機会にその反省を求めたいと思うのでございます。というのは、わが党は、本補正予算の衆議院の審議段階におきまして、社会保障関係費について二百億円、石炭保安対策費として十五億五千万円、計二百十五億五千万円の追加支出を内容とする昭和三十六年度一般会計予算の追加を求める動議を提出いたしたのでありますが、これは多数をもって葬られました。しかし、医療費の一〇%引き上げ、これは直ちに保険料の引き上げとなって、患者負担分の増額を来たすことは必至であります。また政府の一枚看板でございます経済成長の高度化と所得倍増計画、これらの政策を強行した結果が、先ほどの税収の見込み違いあるいは成長率の予想の狂い等、いろいろの理由はございましょうが、とにもかくにも国際収支の悪化、経済格差の拡大、物価の値上がり、家計支出の増大、生活保護家庭の増加等々、一連の悪作用をもたらしておりまして、国民生活を脅かしつつあることは、否定できない事実でございます。少なくとも国民が今一番政府に求めておりますことは、社会保障関係費の増額でございましょう。この切実な国民の要求にこたえたのが、わが党の予算追加動議の主たる内容であったわけでございますが、政府はこの予算補正の動議を一蹴いたしております。さらにまた、先般両院の決議となり、特に本委員会では今国会中に予算措置をなすべきであるとされて、大蔵大臣もこの席上で、すみやかに予算的、資金的措置を講ずる旨の公約をされました石炭保安関係の対策費、この問題につきましてもわずかに予備費三億七千万円の支出をもって事足れりとされておるような現状でございます。繰り返して申し上げますが、財源がないというならば、それもいたし方ないとわれわれは考えます。しかし、財源はあるのであります。九百四十億円もの金を国民から吸い上げておいて、なぜそれを国民の切なる要望に振り向けようとしないのでございますか。一般会計の予算補正は十分できたはずであります。にもかかわらず、なぜそれをやらないのでありましょうか。国民にかわって政府の怠慢とその無責任を追及するゆえんでございます。 第三に最後に私はガリオア、エロア問題に対する政府の態度についても警告を発しておきたいと考えております。ガリオア、エロアの問題は、国の予算に直接大きなつながりを持つだけに、本委員会におきましても終始熱心な論議が繰り返されたわけでございます。私はここで再びそれを蒸し返そうとは思いません。ただ指摘しなければならない点は、ガリオア、エロアは確定債務ではないと政府もはっきり答弁されております。にもかかわらず、少なくとも債務性の不明確なものを、はっきりしないままに事を急ごうとするところに問題があるということでございます。結局、この小坂を信用して下さいなどと言われるのでありますが、しかしながら、調印してからではもうおそいのでございます。日米間の大事な借用上の問題であるならば、なおのことはっきりと返済の義務のある援助金額をこの国会で確認をした上で事を進めるべきでありましょうし、また、そうすることが民主政治の本筋であろうとわれわれは確信をいたしておるのであります。ガリオア・エロアの審議を通じて示されましたこの非民主的な態度と、九百四十億からの余裕財源をかかえながら、国民の切なる希望である一般会計予算補正をあえて提出しようとしなかった無責任な態度、これが一貫した現内閣の性格ではなかろうかと私どもは考えております。池田総理は低姿勢は正姿勢だと言われておりますが、それならばなおのこと、以上のごときわが党の事実に基づく指摘と適切な要請に対して、謙虚に耳を傾けられて、本年度予算の重大な欠陥を是正する補正予算をすみやかに提出されるよう、政府の猛反省を望みつつ私のこの一案に対する賛成討論を終わりたいと思います。(拍手)
○委員長(館哲二君) 相馬助治君。
○相馬助治君 私は、民主社会党を代表して、ただいま議案となっておりまする政府提案の両予算補正案に対し、意見を付して賛成の討論を行なわんとするものでございます。 すなわち今般の政府案は、本年三月二十七日に公労委が行なった仲裁裁定の予算措置を行なうものでございまして、政府が、ともかく今日の財政窮迫の中におきましても、この仲裁裁定に対して完全実施をせんとしたそのことに対しましては、政府の今後仲裁に対するよき慣例の確立されんことを期待いたしまして、敬意を率直に表するとともに、この点に関しましては、基本的に賛成をいたすものでございます。しかし、成立に付随して幾つかの点において私たちは不満の点を感ぜずにはおられません。 その第一の問題は、炭鉱災害防止の問題であり、第二の問題は、社会保障費に関する取り扱いの問題でございます。御承知のように、先般衆議院におきましても、本院におきましても、炭鉱災害防止に関する決議案を上程いたしました。特に本院におきましては、三月三十一日に、参議院予算委員会におきまして、この国会の会期中に必要なる予算上資金上の措置をとって炭鉱災害防止のために積極的な手を打つべき旨の決議をいたし、これに対して大蔵大臣は、当時、三十余億の予算案をもって目下検討中であると答弁をいたし、通産当局また、一般会計予算補正の要求として約三十一億の予算要求案を強烈に交渉中であるからとの、期待に満ちた返答をいたしたのでございまするが、この予算補正に関して、当然措置されるべきであったはずの炭鉱災害防止の予算案はついに姿を見せず、政府は突如として三億七千万程度の予備費支出にこれをすりかえたという現実は、国会軽視の観点からいたしましても、かつまた暗い炭坑の中に生命をかけて働くこれらの人々に対する態度といたしましても、まことに遺憾のきわみであると指摘せざるを得ません。 第二の社会保障の問題にいたしましても、この際政府は、当然のことといたしまして、医療保険に対する国庫負担の増額等の措置をすべきではなかったかということをわれわれは感ずるのでございまして、この点におきましては、政府により積極的な意図がほしかったということを指摘せざるを得ないのでございます。 次に、本予算案の持つ問題点の第一点は、今回の仲裁裁定の完全実施に関する財源を、各公共企業体の自己調達でまかなわんとしたこの態度の問題でございます。これが可能ならば、そのことは望ましいことではありましょうけれども、そのために大きな問題が今日生じつつあることを指摘せざるを得ません。たとえばこれを国鉄の会計において見ましても、今回の資産充当五十八億円が財源として予定されておりますが、当初予算においては約十七億円しか計上されていなかったというこの事実、この問題が問題になるや、一ぺんに六十億円近くも計上し得たというこの現実に対して、何やら国民は割り切れぬものを感じ、無理をして国鉄自身が苦心をしたにもかかわりませず、公共企業体の国鉄が実にでたらめな財政の計画によって動かされておるのではないかというような疑惑を与えた点は、抜き差しのならぬ問題ではないかと思うのでございます。しかもまた、このように自己調達をさせました結果、資産充当の問題、災害予備費並びに退職引当金の流用等からいたしまして、今後予算を作る場合に、きわめて弾力性のない予算を作らざるを得ない。この点については、政府与党自身が、今後非常なる苦悩に陥るのではないかということを指摘いたしまするとともに、このような予算編成がよき前例たり得るかどうかという点を考えたときに、遺憾であると指摘せざるを得ません。 郵便貯金特別会計と簡易生命保険及び郵便年金特別会計の点におきまして、予備費の金額を財源として計上しておる点については、まさに財政法第二十四条の規定の予備費の性格を破壊するものでありまして、このような無理な自己調達というものが予算の弾力性を欠くという点については、国鉄と同じ意味において問題であろうと思うのであります。 要しまするに、今回の補正については、一般会計予算より財源の補給を行なうべきであったにもかかわらず、何がゆえにこれを行ない得なかったかということは、政府は、今後における一般会計予算の歳入の自然増収の伸びについて、今から先食いしていくだけの確信を持っていなかったのではないかと思うのであり、これを別な角度からいたしまするならば、政府の所得倍増計画の構想は、第一年度にしてすでにくずれつつあるのではないかということを指摘せざるを得ません。最近の貿易収支における赤字連続の問題、最近の設備投資の増加傾向について、政府部内にすら強い警戒論が起きているというこの現実、これらを政府は勘案いたしまして、この際、見通しの誤りあらば、率直にこれを認めて修正すべきことは、私どもが予算委員会において強く要望したところでございます。しこうして、本予算の成立にあたって特に希望したい点は、本裁定によって、国家公務員あるいは地方公務員、特に私学を含んでの学校教職員、あるいは市町村に薄給をもって働く公務員、あるいはまた進んで中小企業体に働く労働者、これらの人々とこの公共企業体に働く諸君と賃金格差というものはいよいよ増加するのでありまして、これらの点について、政府は今後積極的に努力すべきであるという点をこの際強く指摘せざるを得ないのであります。 第二の点は、今回の予算提出に関連いたしまして、本委員会について重要な問題となったのはガリオア、エロアの資金の問題であります。政府は、この際、責任をもってこれらのいきさつを国民に納得させるところの義務があるのではないかということを指摘いたしまして、本予算に対し、以上の意見を付して賛成の討論といたす次第でございます。(拍手)
○委員長(館哲二君) 千田正君。
○千田正君 私はただいま議題となりました昭和三十六年度特別会計予算補正(特第1号)ほか一件に対し、きわめて簡単でありまするが、若干の希望意見を付して賛成いたすものであります。 今次補正予算は、その内容として去る三月二十七日の公共企業体等労働委員会の賃金に関する裁定を実施するために必要とする補正を行なわんとするものでありますが、私どもとしては、争議権の認められていない公企体職員の賃金問題について、全労委の裁定の尊重と実施について、よき慣行を確立しようとする政府の労苦をこの際多とするものであります。 なお加えて、今回のみにとどまらず、今後もまたこの種の問題に対する政府の熱意ある労使関係の正常化のための対策を樹立することを期待してやまないと同時に、関係労働組合等においても、その自主性と創意に基づいた賃金闘争の正しい解決の方法と、さらに明朗なる労使関係の確立への努力を払われんことを心から希望するものであります。 しかしながら、その内容について若干考察して見るに、前述の裁定は国鉄労組を初め職員の基準内賃金を本年四月一日以降一〇%程度引き上げんとするもので、俗に言われる春闘相場として知られる大幅貸上げの第一歩をなしたものであります。ために日経連からの批判を浴びたものでありますが、かかる財界からの批判を排しながら、裁定実施に踏み切った点はよしとするも、その原資が自己資金によってまかなわれている点、及び池田内閣の経済成長政策の中にあってこの賃上げの占める役割の不明確な点に、若干の危惧の念を禁じ得ないものがあります。 第一点については公社経営の問題に関連して参りますが、たとえば端的に国鉄の場合をとって見まするに、昨年七月の裁定以来、賃上げは、原資の不足、すなわち経営の赤字によって説明され、それもまた運賃値上げの一つの理由となっていたのでありますが、今五十億の余剰金さえ有する原資をもってまかなおうということは、やや理解に苦しむところであります。 また、当委員会においては、本予算案審議に際してと同様に、池田内閣の経済政策について、国際収支、物価等にわたって種々なる論議を見たのでありますが、総理がある席で述べられたような、「現在の時点においては賃上げはコスト・インフレを招くものではない」ということが基調となった所得論を見ましても、他に危険を及ぼさない程度の賃上げをはかることによって所得倍増論にすりかえようとしておることを危惧せざるを得ないのであります。しかしながら、これらの諸点についてはまた後日に譲ることにいたしまして、今や池田内閣の経済政策全般について危険信号が発せられておる現状にかんがみまして、なお一そうの政府の施策の完全さを期待して、私の賛成討論にかえる次第であります。 以上、簡単ながら賛成討論を終わります。
○委員長(館哲二君) 以上をもって討論通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。 これより採決を行ないます。昭和三十六年度特別会計予算補正(特第1号)、昭和三十六年度政府関係機関予算補正(機第1号)、以上両案を一括して問題に供します。両案に賛成の方は御起立を願います。 〔賛成者起立〕
○委員長(館哲二君) 起立多数と認めます。よって両案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。 なお、本院規則第七十二条によりまして議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(館哲二君) 御異議ないと認めます。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時四十八分散会