予算委員会 第28号
- 発言数
- 151 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1961/05/27
会議録
○委員長(館哲二君) これより予算委員会を開会いたします。 委員の変更について報告いたします。 本日佐野廣君が辞任されまして、その補欠として近藤鶴代君が選任されました。 —————————————
○委員長(館哲二君) 昭和三十六年度特別会計予算補正(特第1号)、昭和三十六年度政府関係機関予算補正(機第1号)、以上両案を一括して議題といたします。 質疑を続けます。市川房枝君。
○阿具根登君 議事運営について。理事会を開けば委員長は開口一番きょうは四人、きょうは五人ということを言われますが、きのうからきょうまでにかけて政府側の出席状態をどう考えますか。あなた委員長の責任としてどういうふうにお考えになるか。何時間われわれを待たせるのです。きのうもそうでしょう。きのうも当然午前中でも開かれるやつを三時に開いたのでしょう。きょうもまた二十分超過しておる。あなたは自分の職責を全うしようとするならば、もっと政府に対して強く出べきじゃないですか。あなたの態度は何ですか。委員会、理事会では強いことばかり言って、政府には何も言い切らぬじゃないですか。どうしますか。
○岩間正男君 今の問題に関連して。非常に弛緩している。この委員会はかってないほど、こんな国会史上例のないような弛緩した審議じゃいかぬと思う。内容は、これは労働者の待遇改善の問題なんです。こういう問題については全く不熱心きわまりないやり方だと言わざるを得ない。四日も空白にして、そうしてなおかつ、こういう惰性を続けているということは非常にこれは国民に対して申しわけないと思う。これについて池田総理の釈明を求める。
○委員長(館哲二君) 委員長といたしましては、できるだけ順調に進めたいと思いまして皆様と御相談を申し上げてきたのであります。政府側におかれましても、委員会のこの気持を十二分に、一つ今の発言をもお聞き取りいただいて御協力いただかなければならぬと思います。
○委員長(館哲二君) 市川房枝君。
○市川房枝君 私は去る五月十二日の本会議で、選挙制度審議会設置法案に関連しまして、池田総理及び安井自治大臣に質問を申し上げましたが、お答えいただけなかった点がございますし、なお納得のできなかった点がございましたので、きょうは主としてそれらの問題について伺いたいと思っておりまするが、その前に簡単に婦人関係の問題二、三について総理及び関係閣僚の方にお伺いをしたいと存じます。 最初に外交の問題と婦人の役割について小坂外務大臣にお伺いしたいと存じます。 五月十三日の東京新聞に、外務大臣がわが国最初の婦人大使の任命を考慮しておいでになるという記事が出ておりました。そうして候補者の名前まで出ておりましたが、大臣はそれを実行して下さろうとしておりますかどうか、それを伺いたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 婦人大使というものを人によりまして大いに考えていいのじゃないかと思っております。しかしその問題は、その適任者があるかどうかということだと思います。東京新聞に名前が載って候補者のようなものが出ておりましたが、これは全然根拠がないものであります。
○市川房枝君 まあ御意思だけはお持ちになっていることはわかったのでありまするが、適任者は私は大臣の場合よりも容易だと思うのでありますが、適任者がないことはないと思いますから、一つ見つけて任命をしていただきたいと思います。池田内閣は婦人の大臣を任命下さった、さらに進んで婦人の大使という外交面について婦人の進出を実現していただけば大へん婦人たちは喜ぶことと思います。ただし、その御任命なさいました場合のことを今から注文を申し上げておきますが、この前婦人大臣のときには、選挙のマネキンに使ってほうり出してしまった。いや、そうでなかったかもしれませんが、世間にそういう印象を与えておりますので、今度は少し長い目で見て、そうしてその成績が上がるように一つしていただきたいことをお願いしておきます。 次に、総理並びに外務大臣は、日本の外交の基調は風速外交に置くとおっしゃっております。これは私どもけっこうと思いますが、国連外交ということになりますると、婦人の役割というものは相当大きくなると思います。国連の一番強い支持者は婦人であると、これは世界的にそう言っていいと思うのであります。従って、各国が国連の事務局に、あるいは各国の国連の代表部あるいは総会に、その他の国連の機関に代表として婦人を相当に参加させております。日本もある程度それが実現してはおりまするが、外国と比べてそういう点についての日本の婦人の参与の仕方はどんな工合でございますか。外務大臣はこの前の総会に御出席になりましたから、そういうことを御存じであろうと思いますが、一つ伺いたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 御承知のように、わが国が国連加盟を実現いたしました第十一回国連総会、そのときを除きまして、その後毎年婦人の代表を、政府代表あるいは代表代理として国連総会に派遣いたしておりますし、この秋も適任者を派遣いたしたい考えであります。わが国の国連代表部には、一九五二年から五六年までの間、婦人の部員を常駐せしめたことがございまするが、現在は置いておりません。常時婦人の部員を常駐させるということは目下のところ考えておりません次第でございます。
○市川房枝君 国連総会の代表には、昨年は代表代理として婦人が一人参加いたしましたが、この秋には正式の代表としてなお随員なり、あるいは代表代理として参加させるように一つお骨折りを願いたいと思います。 それから国連のニューヨークの事務局に、今お話の通りに、前に婦人の方がおいでになったことを存じております。また、その方を存じておりますが、ぜひ事務局にも適当な人を置いていただきたい。国連の外交は結局は顔の問題といいますか、人の問題ということも大臣もよく御存じだと思いますが、そういう意味で代表任命なんかの場合は、なるべくあまり人を変えないように、同じような人がおいでになるようなことが、日本にとって利益ではないか、そういう点を一つお願いを申し上げておきます。 次は、去る十九日に衆議院を通過成立いたしまして、この六月一日に公布、七月一日から施行される予定になっております「酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律」に関連して、大蔵大臣及び厚生大臣に伺いたいと思うのです。 この法律の審議の際、参議院及び衆議院で社会党の議員の方々から、なぜ酒の販売時間を制限しなかったのかといった強い御質問がございました。私どもはもちろんそれに賛成でございましたが、諸般の情勢から今度はそれを加わえなかったのでございます。大蔵省は酒の税金の増収をはかるためにむしろ酒を飲め飲めと奨励しておいでになる立場ではないかと思います。たばこも大蔵省はこれをのめのめと、直接ではない、たばこの方は専売公社が直接やっておりまするが、奨励しているのは、私どもとしてはどうもあまり感心しないのでありますが、酒の方の問題、特に酒類の販売、あるいは飲食店の飲酒の時間を制限するということになりますると、酒の消費量が少なくなる。従って、酒からの税金が少なくなると思いますが、大蔵大臣はそれをどういうふうにお考えになっておりまするか。なお、日本人の飲酒の量、どのくらい一体飲んでいるのか。あるいは酒の税金はどのくらいになっているかということを伺いたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 酒は必要需要量を大体作っておるということで、特に飲め飲めと別に奨励しているわけではございません。
○市川房枝君 酒の量、及び税金のことはいかがですか。
○説明員(泉美之松君) 事務的なことでございますから私から便宜お答えいたします。 酒の消費軍は現在のところ、石数で申し上げた方がわかりやすいかと思いますが、アルコール度数の違いがいろいろございますけれども、全体といたしまして約千二百万石でございます。その税額は、三十六年度の予算におきまして二千七百五十億円になっておるわけでございます。
○市川房枝君 酒を飲み過ぎた結果、アルコール中毒にかかっている人が相当ありますが、大蔵省ではそういう点は調査をしておいでになりますか、あるいはそこまでいかなくても、そういう人のあることをお考えになっていますかどうでしょうか。また中毒患者の夫や父親を持って困っておりまする家庭が相当あるということもお考えになっておりましょうか、大蔵大臣。
○国務大臣(水田三喜男君) 酒の中毒患者があることは承知しております。こういうものに対する対策というようなことは、私の方は醸造許可はやっておりますが、そちらの方は厚生大臣からお聞きを願いたいと思います。
○市川房枝君 さっき伺いますと酒の税金は今年度で二千七百五十億円取っておいでになる。それだけ莫大な税金を取っている大蔵省としては、アルコール中毒患者があることは承知していると今おっしゃいました。そうすればその人たちの治療のために相当の予算を出すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。ガソリン税によって道路を直すことになっていると思うのでありますが、それと同じように、酒の税金の中の何%かはそういう治療に出す。一%と仮定しましても、二十七億五千万円あることになりますが、そういう考え方はいかがでしょうか。あるいは、とにかくそういうことのために予算を出してもいいとお考えになるかどうか、それを伺いたい。
○国務大臣(水田三喜男君) まあ今度の皆さんの立法によりまして、このめいてい者のいろいろ保護とかいうような予算は、私ども参議院の附帯決議もございましたので、明年度から予算に入れて考えるつもりでおります。もし酒の中毒患者が出て、これが社会的にいろいろ害をするということでしたら、これに対する対策はやはり厚生当局はする必要があるものはするのじゃないかと思いますし、そういう予算要求に対してはある程度考えなきゃならぬと思いますが、一方酒を飲ませておいて中毒になったらすぐそれをなおしてやるからというなにを盛るというのもどうかと思いまして、そういう患者のないような情勢を政府としては作っていきたいと思っております。
○市川房枝君 大蔵大臣はとにかく予算を出すことは御承認になったようでございますが、そこで、直接の責任はお話のように厚生大臣でございます。それで厚生大臣、厚生省の方では一体アルコール中毒患者はどのくらいいるのか、そういう御調査ができておりますかどうか。それから、それらの人たちに対して今までといいますか、現在まで何らかの治療あるいは施設をなすっておいでになるかどうか。私が聞いておるところでは、そういうアル中の患者がひどくなるというと、精神に異常を呈してくる、そうすると、精神衛生法によって救済治療するけれども、それまではほうってあるのだ、そうして精神病になるのを待つのだというようなことを聞いたのですが、それはあまりにも不親切だと思いますが、厚生大臣、その点どうですか。
○国務大臣(古井喜實君) お話のように、酒の慢性中誰がひどくなって精神障害になりますと、精神衛生法でとれは処置して、治療施設などを考えておるのでありますが、そこまで至らない慢性アルコール中毒というものにつきましては、なかなか問題のむずかしい点もあります。どの程度のものから考えるか、それからどういうふうな治療方法を考えたらよいか、なかなか基本的にもむずかしい面も、限界とか治療の方法とかあるようでありまして、きょうのところはそこまでは手が及んでいない現状であります。しかし、よその国では、その方面の先進国というのはおかしいのですが、国によっては精神障害まで至らない慢性アルコール中毒に対する治療施設などもやっておるところがあるようであります。これは大いに参考に今後すべきものだと思います。現状はまだそこまでいっておらぬのであります。
○市川房枝君 さっき大蔵大臣がおっしゃいましたように、今度成立しました法律が衆参両院とも附帯決議がついておりました。その決議では、治療に関する施設をできるだけすみやかに作れ、予算措置をしろということがついております。ことに、さっき大蔵大臣が予算のことも御承認を下さいましたようでございますので、厚生省としては一つ、その施設を来年度の予算でぜひ要求していただきたいということをお願いしたいのであります。何でも今年度に国立の結核病院を五カ所ですか、精神病院に切りかえるようなことになっておるそうでありますが、その中一つくらいをアル中患者のセンターにすることはできないのか、それを伺います。
○国務大臣(古井喜實君) お話のように、結核療養研を五カ所一般病院に転換する予定でおりますが、これは一般病院として地元の非常に要望がありますし、これはどうにもなりません、この五カ所は。ただし、今後治療の施設を設ける問題は積極的な意味で研究していきたいと思うのであります。むずかしい点がありますことは、さっき申し上げたようなわけでありまして、全国にごくわずか作って効果があるだろうか、また、どういうふうな治療方法を施したらいいものか、実際問題がありますから、なおよく研究しなければなりませんが、積極的な意味で今の療養所の転換とは別の問題として研究していきたいと思います。
○市川房枝君 次は、現在の売春防止法の問題について総理、法務大臣、大蔵大臣にお伺いしたいと思います。 去る五月二十四日はちょうど売春防止法が成立しましてから満五年、女の人たちの保護更生の条項が実施されてから満四年、赤線を禁止し、売春を助長する者あるいは女の人たちを処罰する条項が実施されましてから満三年になります。そこで、御承知のように総理府、法務省、文部省、厚生省、労働省、警察庁等と民間団体が主唱しまして「売春をなくする運動」を一週間ないし十日にわたって全国的に行なうことになり、二十四日の午後にはその東京大会が開催されまして、法務、厚生両大臣も御出席になりまして、ごあいさつを下さいました。関係官庁がこうした運動を共同して提唱されたのは実は初めてでございましてけっこうだと序じますが、しかし一方から申しますと、完全実施してから三年たってもまだ売春がなくならないのだ、実施がうまくいっていないのだ、こういうことになるのじゃないか。有名な二つの週刊誌が偶然にもことしの新年号で、売春防止法の廃止を本年の予想として掲げるといったような現状から見ても、どうもうまくいっていない、こういうことになると思うのですが、どういう趣旨でこれを主催なさることになりましたか、主唱をなすった官庁の代表として法務大臣から簡単にお答えいただきたい。
○国務大臣(植木庚子郎君) お答え申し上げます。 売春をなくする運動につきましては、それぞれ関係の地方機関等がございまして、この際、現在までの売春取り締まりについての法規の実行について反省すべきところあるいは反省し、あるいは社会全体といたしましても、この問題についてもっともっと関心を持って、そうしてみんなの力でこうした悪い傾向がなくなるようにという趣旨で設けられたものと私は考えております。われわれ関係当局といたしましても、部内の部局長から配下の関係の下級官庁に対しまして、この運動にあらゆる協力をするようにという通牒を出しまして、そうして各地ともそれぞれのわれわれの配下系統からも、この運動に側面的な御協力を申し上げておる次第であります。東京都において行なわれました過般の運動につきましても、われわれも進んでお伺いして、そうして皆さんとともにこの運動のますます盛り上がって、そうして売春問題の少しでも早く絶滅の方に近づくようにという努力の一端をささげたつもりでございます。
○市川房枝君 この売春防止法は、御承知の通りに政府提案で衆参両院を満場一致で通過いたしましたもので、完全実施までには二カ年の猶予期間がございました。従って、この法律を実施し、その法の目的を達するよう最善の努力をすることは、私は政府の当然の任務だと思います。私ども婦人議員が超党派で、男子議員の方々の協力を得て、衆議院に提出しました売春等処罰法は否決されましたけれども、政府提案の現行法が制定されるについては、私どもも責任があると、こう感じておりまするので、その実施の状況を私どもはほんとうに心配をし、いろいろな機会に実は当局にお伺いをしておるのであります。この立場から申しますると、この問題についての政府全体としての熱意がどうもないというふうに、私どもには感ぜられるのであります。予算も実は毎年減らされてきておりまして、もっとも三十六年の売春関係の予算については、大蔵大臣は私どもが陳情に伺いましたときに、誠意をお示し下さいましたが、実際に今実施されております三十六年度予算では、人件費とか生活保護費の増加以外に事業費はほとんど増加していない、こういった状況だと思います。売春についての今度のPRの運動は、それはそれでけっこうでございますけれども、政府としては、この問題に対してどう対処なさる御覚悟か、これは池田総理から私は伺いたいと存じますが、予算の面で、来年度の予算、今後の予算についてどうお考えになっておりますかは、大蔵大臣から伺いたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) せんだって五周年のあれがございまして、私は菅原通済会長といろいろお話をしたのでございます。世界的に申しましても、この売春禁止の法律は、わが国の信用を高めた一つのあれでございます。われわれ十分売春防止法の徹底、そうしてその善後処理につきましては、一そうの努力を続けていきたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 取り締まりやPRの予算よりも、私どもは特に要保護女子の保護施設、更生指導、こういう方にやはり重点を置くべきだと考えまして、全国で六十六カ所、こういう施設がございますが、今回はこの更生施設の強化あるいは婦人更生資金とか、被服費の補助金というようなもので、今年度の予算は二億四千二百万円が厚生省の予算になっております。それと同時に、法務省の方におきましても、東京、大阪、福岡、三カ所に御承知のように婦人補導院を設けておりまして、そこでこの保護観察とか、あるいは起訴猶予になった人に対するいろいろな措置というような経費を計上しておりますが、法務省関係のそういう面の経費は五千三百万でございますから、大体、両方合わせて本年度は更生のための経費を三億円計上しております。ただ、去年などの結果を見ますというと、なるたけ更生資金を貸して、そうして更生の道を求めさせようというようなことで、資金の準備もございましたが、これは私ども貸付の方のいろいろなやり方に欠点があるのかどうか、更生資金を借りるという方が、私どもの考えた以上には進んでおりませんので、これも必要な更生資金の支給をいたしますが、しかし、それよりも保護施設を作って、そこで更生させるという指導の方が私は重要だと思いますので、来年度はその方針で予算は考えたいと思っております。
○市川房枝君 売春防止法の施行がうまくいっていない理由の一つは、この法律は制定当時からざる法と言われて穴があいているということを言われてきたことは御承知の通りだと思いますが、その穴を利用して新しい売春の形態が出てきている。そういう意味で、売春関係の団体あるいは売春関係の仕事に従事しておる人たちから、強い法律の改正の要求が出ております。法務省でも法律の改正の必要をお認めになって、そして昨年の春には、この参議院の法務委員会で私どもがそのことを質問しましたのに対して、現在の通常国会に改正案を提出したい、こうおっしゃっておりましたが、とうとう改正案は出ませんでした。法律の改正についての、法務大臣のお考えは一体どう考えておられますか、また法務省で改正をしなければならぬとお考えになっておるのは、一体どんな点でありますか、法務大臣から承りたい。
○国務大臣(植木庚子郎君) 現行法の不備な点につきましては、われわれも鋭意実際の状況にかんがみまして、常に研さんを続けておるのでありますが、まだ今日までのところ、十分なる資料は整っておりません。また外国の例等も参照するために、いろいろ収集に努めておりますが、これまた十分といえない状態なのでございます。そこで、やむを得ず今回の国会におきましては、提案の運びに至らなかったのでございますが、いろいろ問題として考えられておりますことは、たとえば補導期間を、現在は六カ月でございますけれども、これをもっと延長したらどうか、そしてその間において十分にこうした人たちの保護更生をはかるべきではないかというような問題がございます。あるいはまた単純売春の問題でございますが、これまた、やはり議論としては、単純売春も処罰しなければお話しにならないのじゃないかという議論もあります。われわれとしては、この点、非常に大きな問題点でありまして、直ちに踏み切ることについては、相当まだ今日までの研究では、考慮の余地があまりにも多いように思われるのでございます。あるいはまた、ひもの処罰の問題でございますが、このひもの問題につきましても、いろいろの実態が、複雑な状態でございまして、このためにどういう場合にどうやるか、ひもにつきましても、たとえばきわめて消極的なひもというようなものもございますし、あるいは積極的にこれはどうも悪質だ、処罰しなければならぬという問題もございます。今日において、ひもの非常な悪質なものについては、現行法でも取り締まれば十分取り締まれる余地があり、現に取り締まってもおるのであります。そうしてみますというと、消極的なひもの場合なんかも、なお処罰すべきかどうかについては、これは実態がまだ十分に捕捉されておりませんが、そのために、この問題のごときもまだ容易に結論を得るに至っておらないのが実情でございます。こうしたいろいろの問題が、いずれも法の完全施行後まだ三年ぐらいにしかなっておりませんので、もっともっと十分な研究をして、その上で早く、少しでも早くその結論を得て、改正すべき点があれば改正に進もう、こういうふうな態度でおる次第であります。
○市川房枝君 十日ほど前の五月十六日に、菅原通済さんが会長をしておられます内閣の売春対策審議会が開かれまして、私も委員の一人として出席いたしました。その会合で、国連から技術援助として日本の売春問題についての専門家の派遣をできるだけ早く政府から要請してもらいたいという要求をすることになりました。これは日本の売春防止法がうまくいっていないということがある程度国際的に知られておりまして、そうして外国の売春問題の団体からそういうサゼスチョンが出てきた結果でございますが、この問題について、政府としてはどうお考えになっておられますか。それからもう一つ、やはりこの委員会で売春問題は、前にありましたように、関係官庁が非常に多い、そうしてそれぞれの官庁が独立して予算を持って、そうしていろいろ行政をやっておいでになる。全体として一体売春防止法の適用がうまくいっておるかどうか、どうしたらいいかということを主になってまとめて取り上げる官庁がないというのが現実であります。それではやはり因るのではないかというので、その売春対策審議会で、審議会に何か連絡調整をはかるような事務局、もう少し委員会というものを強力なものにしてほしい、こういう意見が出まして、これも政府の方に申し上げるということになったかと思うのでございます。私ども非常にけっこうだと思っておりますが、この二つの問題について、政府としてどうお考えになっておりますか、ちょっとどなたに、お答えをいただいたらよいかわかりませんから、これは総理からお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(植木庚子郎君) 私から便宜お答え申し上げます。 国連から売春防止についての適当な指導者といいますか、権威を招いて、そうして日本における売春防止のためのサゼストを受けることにしてはどうかという第一の問題でございますが、この問題につきましては、われわれとして今考えておりますのは、はたして国連当局にこうした問題について、また日本においてその意見を徴するのに適当な方があるかどうかということも一つの問題だと思います。あるいはまた、来ていただくにしましても、それが経費の負担を一体国連当局で持ってもらえるのか、もらえぬのか、あるいは全部こちらの負担になるのかというような問題等もございますし、こうした問題につきまして、なお、われわれとしては、関係の厚生省なり、保安当局、警察当局なりとの間でもよく相談をして進んで参りたいと、かように考えておる次第でございます。また売春防止の問題について、関係官庁が非常に多くて、そのためにどうも法の施行が十分にいかないうらみがありはせぬかということについては、確かにその点については一つの御意見だと私ども考えております。しかし、こうした問題について、直ちにこれをどうこうするとか、どうとかということは、まだその議に上っておりません。むしろ現在の状態において、関係各庁が密接な連絡をとって、そうして善処して参りたいというのが今日のわれわれとしての態度でございます。
○阿具根登君 関連。売春と酔っぱらいと暴力に関連して、池田総理大臣に一つ御質問申し上げます。 池田総理は、総理になられてから、女のはべる宴席には出られないと聞いております。私は今度の酔っぱらい法案につきましても、女性の方々が超党派で作られたならば、もう少し女性の立場を考えてよかったのではなかろうかと思うわけなんです。いわゆる売春、暴力、酔っぱらい、この根源は何であるかというと、ほとんど深夜の飲酒である、これが大部分であろうかと思うのです。一応十一時までに規定はされておりますが、十二時までも、一時までも酒場が開かれている。そうして女がその横にはべって、高い酒を飲まして、うんともうかった業者は何ら罰せられない、飲まされた男が罰される。一体これはどういうことか。悪の根源を断つのがやはり政治のあり方じゃなかろうか。そうするならば、夜十時以降なら十時以降、あるいは十一時以降なら十一時以降は、労働基準法から照らしてみても、実際に女性が酒席にはべることはできない、あるいは酒類の販売を禁止する、こういうことがなければ、業者は所得倍増どころか五倍も十倍もなってほくほくしておる。そうして高い酒を飲まされて、飲まされた男が罰せられておる。そうしてそこに売春が生まれ、暴力が生まれてきておる。一体これはどういうふうにお考えになっておるか。総理から一言答弁を承りたい。
○国務大臣(池田勇人君) 今までの飲酒と申しまするか、いろいろお話のような点も私は従来もあったし、今もあることを聞いております。また、これは日本ばかりではございません。外国にもそういうのがたくさんあるのでございます。しかし、このこと自体がいいか悪いかということよりも、私はやはりそういう事態があっても、誤りのないように静かにやっていくのがほんとうだろう、こう考えております。だから、何時から以後はぴしゃっとやめろというふうな非常に極端なことを考えることを、世間一般で望んでいるかどうか。これは一つの社会悪でございますが、それを悪にならないような程度問題で考えていくようにということを考えております。
○阿具根登君 総理大臣がそういう答弁をされるということは、私はまことに意外なんです。そういうことをここで答弁されたということは、それをやりなさいということにこれは通じることなんです。私はそういうふうに感じる。そうすべきだということを一応表明すべきだ。そうしないと、社会悪でやむを得ないと言うならば、ますますそれは広がっていく。奨励したと同じことになる。だから、そういうことはやるべきじゃない。十一時なら十一時で禁止されておるのだから、一切厳重にやります、あるいは十一時で足らないから十時にしたいけれども、それはなかなかむずかしいようだ、それもわかるけれども、社会悪だ、諸外国でもやっていると言われるが、日本ほど酔っぱらい天国といわれるところはない。だから今度の法案もできている。これは社会悪である、外国でもやっているという答弁になってくれば、それは私は奨励だと思う。私はそれはけしからぬ。誤解のないようにはっきり一つ答弁しておいていただきたいと思うんです。
○国務大臣(池田勇人君) 法令によりましてきめられた範囲を越えることは取り締まらなきゃなりません。しかし、こういう問題は絶対にいかないんだから、やめてしまわなければならぬ、こういうふうな極端なことは私はいけない。やはり酔っぱらい天国と申しましても、私は酔っぱらいが何もナイト・クラブなんかで行なわれることだけとは考えておらない。全般に昼でも夕方でもやっているのでございます。だからこういう問題は、みんながそういう悪をなくするように努めなきゃいかぬのです。これが絶対悪いからといって、そういう十時とか九時とか、あるいは八時にしてしまうという考え方もおありでしょうけれども、しかし、それは人間性としてそう極端にいけるもんじゃない。だから誤りのないようにしていく。そうして法令にきめられたことは一応きめられたところで守る、こういうことでいかなければならぬと、私は考えておるのであります。
○千田正君 ただいま阿具根委員の質問に対する総理大臣のお答えは、どうもわれわれは、一国の首相として池田首相を非常に信頼しておる立場からいくと、はなはだ解せないと思う。少なくとも一国の国の繁栄というもの、あるいは国民の道徳というものを常に口にしているところの政府の代表者の言葉としては、はなはだわれわれは国民の一人として遺憾に思うわけであります。やはり真剣にそういうことはこうあるべきだという指導方針をはっきりと国民に訴えて、そうして悪の根源をなくすることこそ、首相としての責任ではないか、使命ではないかと私は考えますので、もう一度池田総理大臣の明確なお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 私の答えは、何も阿具根さんの言うように、ああいうことを助長するというふうにお取りになることは私はいかがかと思います。速記をごらん下さればよくわかると思います。 それから千田さんのお話も、私はそういう場面を全然なくするということはいかがなものか、ただその間におきまして、度を越えてはいけない、こういうことでございます。十一時までときまっておれば十一時で、はっきりと法令の命ずるところで厳重に処理することが必要と思います。それをそういうことは悪だから全部いかぬのだというところまでいくのはいかがなものか。やはり国民の良識によりまして、誤りのないようにしていくのが適当だと思います。そうして十一時が守られなかったり、あるいは十一時というのがおそ過ぎるということならば、これはまた変えるということが必要だと思います。物事というものは、私は極端から極端にということはよほど考えなければならない。自分の心がまえでございます。自分の心がまえ、そうしてみながそういう心がまえになっていただくことを私は念願しておるから、総理大臣になりまして、自分の行動につきましてまず範をたれるつもりでやっておるのであります。私は、今の御答弁をよく味わっていただければ、おわかりいただけるかと思います。
○市川房枝君 あとは選挙及び選挙資金等に関する問題について総理及び安井自治大臣にお伺いしたいと思っております。 総理は、この間の私の、選挙を公明にするための選挙法の改正をしていただきたい。総理は選挙法の改正についてはどうもあまり御熱心でないようだと申し上げましたのに対して、「三十六年度の予算で従来の倍以上の公明選挙に関する費用を計上して、全国津々浦々にわたって公明選挙の実をあげるようPRを始めていきた……」、こうおっしゃったのであります。そこで安井自治大臣に伺いますが、その三十六年度の公明選挙の予算はどういうふうにお使いになっていくおつもりか、三十五年度と比較して具体的にお知らせいただきたいと思います。
○国務大臣(安井謙君) 三十六年度政府で組んでおります予算は三億円でございまして、三十五年度は、これが昨年は総選挙がありましたが、一億三千万円、従いまして相当大幅な増額をしておりまして、これを内訳で申し上げますと、三十五年度は地方団体に対する配付が八千六百万円であったものを一億九千万円、公明選挙の推進のための費用が三千四百八十万円であったものを五千万円、一般の放送あるいはマスコミ等を利用して啓蒙運動をする費用が、従来三十五年度が五百万円であったものを五千万円、自治省本省でいろいろな企画をやるために使いますものが、昨年度は四百三十万円であったものが一千万円というふうに区分けをしておりますほかに、地方の選挙管理委員会に対する交付税の配付の基礎が、昨年が一億であったものが二億円というふうにふやして、大いに有効に活動いたしたいと思っておる次第であります。
○市川房枝君 そういうお金は、これは言うまでもなく、国民の税金でありますので、お金を使ったのなら使っただけの私は効果がなくては困る。つまり選挙が少しよくならなくては困る、こう思うのでありますが、三十五年は今お話しのように一億三千万円、それに地方で使いました金なんかがあるわけでありまするが、この間の衆議院の選挙は今までにないほど金がかかり、違反が多かった。つまり不公明選挙だったと断定していいと思うのでありますが、大臣は、公明選挙運動の効果があったかどうか、もしあったとお考えになるのでしたら、どういう点で一体効果があったのか、それを伺いたい。
○国務大臣(安井謙君) 公明選挙の運動は、ごく一部だけの運動ではいかぬのでありまして、民間には公明選挙の推進連盟もございます。同時にこれは官民といいますか、公務員と一体となりまして、あらゆる方面からこれを広げていかなければならぬと思います。不幸にいたしまして、昨年度の総選挙にこの実績が必ずしも十分現われておったものとは言えないと思います。
○市川房枝君 三十六年度は、今度予算が倍になるわけですから、そうすれば効果も大きくならなければならぬということになるわけですが、まあ大臣は来年選挙でいらっしゃいますが、今の状態だと、来年の参議院の選挙は今よりももっと金がかかるんじゃないか、もっと選挙界が悪くなるんじゃないかと心配をしておりまするが、大臣はどうお考えになっておりますか。それに、最近参議院自民党から特例法が出ておりまするが、あの法律を拝見いたしますと、また金が要るように考えられ、どうも次の選挙が、私は心配性なのかもしれませんが、心配なんです。大臣はどう考えていらっしゃいますか。
○国務大臣(安井謙君) 来年は選挙というふうに、参議院は期日がきまっておりますために、これは多かれ少なかれ、それの心がまえで、どうも候補者になる人があられるということは事実であると思います。でありまするから、これが一つの節度を越したり、あるいは選挙運動の違反にならないように、われわれは今から常時啓蒙を大いにしていき、また、いわゆる取り締まりも強化していきたいと思っております。 なお、参議院に出ております選挙法の一部改正の案につきましては、これは議員提案でございますので、今にわかに政府があれこれ言う筋のものじゃございませんが、必ずしもこれは選挙の費用を増大させようという目的でできておるものではないように私どもは考えております。
○市川房枝君 総理は、この間の私の選挙のことに関する質問の際に、「法律ができても運用とか、あるいは候補者または選挙民の公明選挙に関する熱意が必要だ」と、こうおっしゃいました。それはその通りだと思うんですが、ところが、候補者の熟慮というもの、それはどうして喚起なさいますか。まあさっきの公明選挙運動というものは、もっぱら有権者に向かっての運動だけだと伺ったのであります。一体、公明選挙については、国会でもあるいは政府でも、選挙のたびに公明選挙の決議をなさいますが、その政府の閣僚を初め、政党や候補者の多くの方の間に違反があり、不公明選挙をしておいでになる。それだのに選挙の腐敗の責任を一般の国民に転嫁すると、そういう印象を私は国民が受けているんじゃないか。従って、公明選挙運動、公明選挙運動と政府がおっしゃいましても、なかなか国民が踊らないといいますか、むしろある意味においては反感を持つ、まあこういうような現状で、実際お金を使っても、なかなか効果が上がらない、こういう現状じゃないかと思うんです。総理はそういう候補者に対して、公明選挙を実施する熱意を喚起する、それはどういうふうにお考えになっておりますか、お伺いいたします。
○国務大臣(池田勇人君) 一番の問題は、これはやっぱり政党、候補者自身だと思います。それから選挙人につきまして、全然ないとは申しません。選挙人もやはり公明選挙に徹底すべきだと思います。だから候補者諸君に公明選挙でいくように指導または督励することが一番だと思います。
○市川房枝君 総理の今のお言葉にさらに私は希望をつけ加えるわけでございますが、総理は自民党の総裁でいらっしゃいますので、党として、はなはだしい不公明な選挙をしたという方があった場合に、それを除名するとか、あるいは選挙のときに、党としてあまり金をたくさん候補者にお渡しにならないようにといいますか、そういう点なんかは、総理のお考えである程度おできになるかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(池田勇人君) そういう方針で、公認料を一部に少ない金しか党の方は出しておりません。
○市川房枝君 今の公認料は少ないとおっしゃったことはあとで伺いますが、一応次へ進みます。 次は、選挙費用の届出の問題について、いま一度安井自治大臣に伺いたいと思います。自治省では、昨年の十一月の総選挙の際の候補者の届出の選挙費用はどれくらいあったのか、これは御調査になっておりまし、ようか。この費用は都選管を通じて自治省に報告されておるはずでありまするから、おわかりになっているはずだと思うのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(安井謙君) 全国参議院以外の参議院あるいは衆議院、あるいは地方議会の選挙の費用の届出は、御承知の通り、都道府県を中心といいますか、都道府県にするように法律でも定められておりまして、これを全体的にまとめて自治省あるいは選挙局であれこれするということは法制的にもやっておりません。自然に各地域から、都道府県から集まってきております公報による記載、それを参考に調べておることはございます。しかし、これはいずれも法定費用の範囲内の問題でございます。
○市川房枝君 自治省のお調べになったその法定費用というものは、どのくらいになっておりますか、それを伺います。
○国務大臣(安井謙君) 今は手元にこまかい資料を持っておりませんが、大体六十万から七十万平均の、昨年の衆議院の選挙でいえば、そんなものじゃなかったかと思うのです。
○市川房枝君 そういう費用は、自治省としてほんとうは私公けにもっと発表していただきたいと思うのです。御調査がおできになりましたら、やっぱり自治省は、選挙費用、その他選挙に関することを主管しておいでになるわけです。ことに現在定められております衆議院選挙の法定選挙費用は、自治省がモデル選挙区について調査の結果、有権者一人について衆議院選挙の場合は七円と伺っているのであります。どうなんですか、一人七円というのは一体いつきまって、それで物価が相当そのときよりは高くなっているわけでしょうが、自治省はそれでいいとお考えになっておりますかどうか。
○政府委員(松村清之君) ただいまの御質問にお答え申し上げますが、今の法定費用の基礎は、昭和二十九年だったと思います。その後物価の変動等は多少あったかもしれませんが、また、一方において選挙の運動期間の短縮等もありますし、また、公営の拡充ということがございまして、これはいずれ選挙法を改正する機会にはあらためて検討いたしまして、新しい基礎というものを算出しなければならないかと思いますが、現在におきましては、必ずしも実情とかけ離れておる額だとは思いません。
○市川房枝君 今の選挙局長のお話で、大体これでいいということですが、そうすると法定選挙費用は、さっき自治大臣は六十万円から七十万円の間とおっしゃったのですが、その法定の選挙費用は八十一万二千円でございましたね。そうすると大体七割くらいしか皆さんお使いになっていないわけですが、一体六十万円、七十万円くらいでこの間の衆議院の選挙が済んでいますかどうか。二千万円、三千万円と言われたのですが、この間そのことを、自治省大臣に、その届出の法定の選挙費用というものは、それで一体正確なものとお考えになっているかどうかということを伺いましたら、御承知の通りに「届出は厳正に真実を届け出るべきもので、われわれはそれを期待しております、」こうおっしゃってあと何にもおっしゃらなかったわけなんです。これは届け出るべきだと、それは法律はそうなっておりますけれども、現実には届け出られていないのじゃないか。期待しておいでになったって、その期待にちっともこたえていないというか、裏切られていると思うのですけれども、もっとそれを率直に、今届け出られている選挙費用というものは、必ずしも事実じゃないということを率直におっしゃっていただいていいんじゃないですか。私は現実の正しい認識というものが、政治の一番の基礎になるのであって、一体選挙の費用というものはほんとうにどれくらいかかるのかということを御認識にならなければ、あとの一人七円だとか、あるいは法定選挙費用というものの決定はできないはずだと思うのです。前の石原自治庁長官に、法定選挙費用の問題をこの予算委員会で伺いましたときに、石原さんは、残念だけれどもやはり届け出ているのよりも多そうだということをおっしゃったのです。安井自治省大臣どうお考えになりますか。
○国務大鰐(安井謙君) まあこれはいろいろ見方や推測がありまして、届出ておるより実態が多いのじゃないかという御観測も相当あると思います、あるいはそういう例もあるかと思いますが、われわれといたしましては届出制をとっております。この届出が方式にかなったものであり、その内容が整備されたものでありますと、それ以上のものを突っつきますということは、違反の関係でもあれば別でございますけれども、これは別個の関係なんでございまして、今これをどうするというわけにはいかないと思います。御推測のような事実が、これは世間でもいろいろいわれているようにあるいはあるのじゃないか。しかし、そういうことはなくしていくように、今後も努力をしていきますと同時に、今の法定選挙費用というものにつきましても常に十分検討して、できるだけ合理的なものに直していかなけりゃいかぬと思っております。
○市川房枝君 それから違反の問題ですが、自治大臣は「費用超過の届出の違反が明らかになっておれば、選挙法違反なり政治資金規正法の違反になる」とおっしゃったのですが、これも法律はその通りです。けれども、一体今までに費用超過で処罰された例はないのですね。それは選管だって実際は正しいかどうか調べることはできない。ただ、届出をそのまま受け取るだけで、中には間違っていたって、そのまま受け付けておいでになるようなところもなきにしもあらずなんです。しかし、そういうことでいいとお思いになりますか。
○国務大臣(安井謙君) 選管が届出を受け付けます際に、明らかにこれがどうも間違っておるというふうなことがあれば、これは十分注意して再調査をするということもあり得るでありましょうが、出たものを一々初めから疑問であるということで調べ上げて摘発をする、というふうな制度にはなっていないわけであります。
○市川房枝君 それでいいとお思いになるかどうか伺いたかったんですが、あとに進みましょう。収入の方は、これもこの間私が申し上げたように、党の方から公認料として幾らか出ておる。それからその他の政治団体からも届出が出ておるのですが、そういうのを引き合わせてみますというと、一方の政治団体の届出、はっきり何のだれそれの方に金が出ているというのはわかっているのですけれども、収入の中に入っていないのですね。私ここに資料を持っているのですが、総理の御関係になっている宏池会、あるいは岸前首相の十日会、あるいは石井さんの蓬庵会、三木さんの新経済研究所、石橋さんの湛山会等からは届が出ております。佐藤さんの周山会とか河野さんの第一政治研究会からは、選挙の費用に関する届出が出ていない、ここらにも問題がありますが、こうした派閥から出ている金が候補者の収入の届出に出ていない。宏池会では援助費、組織活動費、あるいは仮支出として五十何名の方に約八千万円の金が出ております。ところが、これを個々の方の届出になりましたものと比較してみますと、お名前を申して大へん失礼ですけれども、齋藤邦吉さん、北澤直吉さん、丹羽喬四郎さん、小車久雄さんなんかには百万円ずつ出ております。ところが、そういう方の選挙費用を見ますと、全然出てないのです。岸派の十日会になりますと、十日会は約一億円の金を組織活動費、宣伝広報費、交際費、調査費などということで川島正次郎さん、田中龍夫さん、福田赳夫さん、秋田大助さん、四人に出ております。この四人にたとえば川島さんは一人で二千八百五十五万円お受け取りになっておる、田中さんは二千七百七十五万円、福田さんが二千三百万円、秋田さんは千三百五十八万円お受け取りになっておるが、御自分の収支報告書には書き出されていません。公職選挙法では、その選挙についてのすべての寄付その他の収入、寄付者の氏名、住所、職業、金額を記入しなければならないとこうなっておるのに、個人の収入明細書には何も出てこない。しかし、党からは、総理もおっしゃいましたように、五十万円ないし百万円と書いてある方もあります、お人によって違いますけれども、党のは相当程度出ております。しかしこういう政治団体、派閥からのは全く出てないのですけれども、これは一向差しつかえありませんか。
○国務大臣(安井謙君) 党から公認料として出ます分は、これは明らかに選挙に関する公認料でありまするから、出した方、受け取った方も、両方届出を原則としてやっておると思います。その他の党の活動あるいは支部の活動、職域団体のいろいろな組織活動、そういうようなもののために一般にやっておる費用を、これをすぐ選挙費というふうに認定できるかどうか、非常にむずかしい問題がありまして、あるいはそういう金額が時期的には近づいたものがあっても、必ずしもそうでないものも相当あろうかと思いますので、ちょっと一がいにはこれをきめるわけにいくまいと思います。
○市川房枝君 私が申し上げているのは、選挙の費用として選挙管理委員会に届けられているもので、しかもその中に個人の候補者のお名前が出ておって、援助費というはっきりしたその名前がついているのです。だから今の単なる政治活動、こういうのとは私は違うと思うのです。この間、田中伊三次さんのを申し上げましたけれども、あの方のは個人で一千万円以上の収入をちゃんとお書き出しになっておるのですけれども、ほかの方は派閥から出ておるのに、書き出していない。自治大臣の今の御答弁では納得できないのですが、いかがでしょう。
○国務大臣(安井謙君) これは受け取る方の側で、なるほど選挙に関する費用だと思って受け取って、そうしてそのまま出しておるということもありましょうし、あるいは一般の援助費といわれましても、これがいろんな意味に使われる場合に、選挙に関連した援助費というふうに解釈にならないでお届けをあるいは怠っておると申しますか、してないという場合もあるかもしれませんが、この党の政治資金規正法ではまた別途に明らかに、その政治団体の資金届出は明らかにされておるわけでありますから、私はそこらは必ずしも今これが非常に蒸溜水のように全部が全部きれいにいっているかどうか。これはそこらに若干の混同があるかもしらぬということは、実際問題として言えるかと思われますが、ちょっとこれを今すぐ今のようなお話からこれはけしからぬ、というふうにも解釈しにくいのじゃないかというふうに考えております。
○市川房枝君 政治資金規正法による党や政治団体の届出とは別でございます。選挙費に関する届出を私は申し上げているのですけれども、その問題は時間がかかりますから、あらためて別の機会に自治省の方に伺うことにいたしましょう。
○高田なほ子君 関連。ただいまの市川委員の御質問に対して当局の御答弁がかなり軟弱なことを私は悲しむのです。選挙犯罪が非常に多いというのは、わが国の恥ずべき特色だと思う。御承知のように先般行なわれた地方議会の選挙では約九万に上る選挙違反者が出ておる。参議院の選挙でも一万六千という選挙犯罪の起訴が出ておる。しかもそのうち約八八%というものが買収、そういう名目であげられている。しかるにもかかわらず裁判の量刑はきわめて軽い。罰金刑はほとんど一万円以下というのが四分の三であります、罰金でも五千円未満というのがその大半である。しかも九八%は執行猶予という、そういう状態なんです。私は裁判の量刑がこのように軽いということから考えても、今、市川委員が指摘された問題については相当きぜんたる態度をもって望まなければならないのではないかと思う。特に現行法では罰金刑に処せられた者は公民権が停止されるという建前になっておる。その建前が現在では行なわれておらない、実に選挙犯罪については当局も非常に寛大である。民主政治の根幹をなすこの種の罪悪に対して、きぜんたる当局の態度こそ望ましいと思うので、届出の問題についてはもう少しきぜんたる御答弁がほしいし、これらの選挙犯罪についてさらに再検討の必要があるように私は考えられてならない。法務大臣は退席せられて、直接これらの具体的問題について御答弁をわずらわす機会がないわけでありますが、最高の責任者として池田総理大臣に対して現行の選挙犯罪をどのように持っていかなければならないか、という現実に基づいての御決意をこの際承らしていただきたいと思うのです。
○国務大臣(池田勇人君) 裁判所の判決につきまして、私がここでとやこう申し上げることはいかがかと思います。問題は、私は先ほど来いろいろ御議論のありましたように、公明な選挙が行なわれるよう万全の努力をすることがわれわれの努めであると考えます。
○市川房枝君 大体選挙費に関する届出というものが、期日内に、形式に従って法定選挙費用の制度をこえないように、それこそ七割か八割ぐらいのところに押さえて届け出ればよいので、受け取る方も形式的に受け取っている。これが現在の状態なんですが、報告書には真実の記載がなされていることを誓う旨の文書を添えるということが、公職選挙法で規定されておりますが、御親切にも届出書のおしまいにちゃんと印刷してあるのですね。そうして出納責任者がただ判を押せばいいということになっているのですが、これじゃまるで法律の精神にかなっていない。もっとその点ははっきりさせるという必要があると思うのですけれども、いかがでしょう。 それからなお安井大臣に対して、その報告書というものを都道府県の公報に発表しているのですが、ここに公報を私は持っておりますけれども、個人別でない。全部の候補者の収入は収入、支出は支出とずっと書いてあるのですが、どうも一般の有権者から見たらよくわからない。それから政治資金規正法による自治省の届出もそうなんですが、各政党、政治団体の上半期、下半期というふうにしてずっとやっぱり収入は収入、支出は支出でずっと書いてあるわけですが、これもどうもよくわかりにくいのです。これらは法律でないのですから、自治省の方でもう少し再検討して、一般有権者にわかりやすく形式を変えるお気持はないでしょうか。何のために県の公報に出すのかといえば、有権者に知らしめる、報告するということが趣旨だと思うのですが、現在の形式ではむしろわからぬようにわざとしてあるというように私、言いたいわけなんですがいかがでしょうか。
○国務大臣(安井謙君) 公報に掲示されます届出はなるべく簡明にわかりやすくということをモットーとして考えておりますが、御指摘のような面があるとすれば、これは今後も十分に検討してやっていきたいと思います。また法律を要すること等につきましては、今後予定しております選挙制度審議会等を通じまして十分今後も検討して、できる限り早く直していきたいと思います。
○市川房枝君 現在の政治資金規正法の適用を受けております政治団体は、東京都がことしの二月十日現在で発表しました名簿によりますと、全国的な団体が三百四十団体、東京都内だけの団体が五百二十八団体、計八百六十八団体であることになっております。この中にはよく問題になりました右翼あるいは暴力団体といったようなのも政治団体として届け出ているわけなんですが、この届出を必要とする団体あるいは届出に関してもう少し厳正に明確にこれもできないものでございましょうか。
○国務大臣(安井謙君) 相当明確にやることを方針として作っているつもりでおりますが、まだ個々の問題で不明確なものがある、あるいは不便なものがあれば、これはどしどし直していきたいと思います。
○市川房枝君 自治大臣はこの名簿をごらんになりましたか。これをごらんになって、正確に、厳正になどと言えたものじゃないと思うのですけれども、まあ一つ再検討をお願いしたいと思います。今まで主として担当者である自治大臣にお伺いしておったのですが、私と自治大臣との問答を総理がお聞き下すっていてどうお考えになっておりますか。さっきはいかにも私が子供みたいに、党は公認料をあまりたくさん出さないようにしている、選挙費用がかからないためにとおっしゃったような——私は非常に不満に思うのであります。現行法が厳重に守られれば選挙費用だってもっと少なくて済むし、もっと選挙違反だって厳重にされれば、選挙は少しはよくなると思うのですが、現在はうその報告を届け出る。それをまた御丁寧にも公報であるいは官報で告示するといったような状態、こういうことで一体いいのかどうか。政治の始まりはやはり選挙であります。あるいは政治家としての出発点は選挙なんです。で、こうしたごまかしと不正とあいまいといいますか、そういうことで、私は少なくともお金の面の届出の面だけで申し上げているのでありますけれども、それだけでもそういう感じがするのでありますが、総理はそういう状態に対してどんなふうにお考えになっておりまするか伺いたい。
○国務大臣(池田勇人君) 届出の問題につきましては自治大臣がお答えした通りでございます。その届出につきまして市川女史はあまり信用ならぬということでありますから、それらはやはり、そのもとを正すようにしよう、いわゆる公明選挙運動、並びに選挙法の改正をして、そういうことのないことを期しようというのが私の考え方でございます。
○市川房枝君 それではこの問題は、このくらいにしておきましょう。 次は、この間やはり伺いました財界の政治献金と免税の件について、いま一度お伺いしたいと思います。この間、大蔵大臣がおいでになりませんでしたから、総理から伺いましたが、きょうは、大蔵大臣から伺いたいと思います。法人税法の第九条第一項及び法人税法施行規則の第七条で寄付金の損金算入の限度額が決定されております。すなわち資本金の千分の二・五、利益金の百分の二・五ですか、それを加えたものの半分までの寄付は税金をかけないという規定なのですが、こういう規定を設けた趣旨、その率を妥当とお考えになっておるかどうか。まず、それを大蔵大臣から伺いたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 企業の経営に、どうしても寄付金的な支出はつきものでございますので、一定限度において、これを損金算入と認めるという制度は、私は必要だと思います。その率につきましては、従来から、いろいろ研究されておりましたが、今のワクは少ないという点もございますが、しかし私どもは、大体現在程度でいいんではないかという考えを持っております。今回は、これを変更しておりません。
○市川房枝君 まあ総理は、この間私への答弁で、大体、今の会社十数万のうちで、この限度を越えて政党並びに各方面に寄付している額は、大体全体の二割だ、八割は限度内となっている、こうお答えなさったのですが、金額にして、一体どのくらいになるのか、その寄付のうち、いわゆる政治献金として出されているものと、その他の寄付の内訳は、どういうことになっているのか、私は政治献金が圧倒的に多いと思うのですけれども、大蔵省の方で、そういう調査がありますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 今ここに、調査した資料は持っておりませんが、これは調査すれば、すぐわかることだと思いますが、全体的に見て、法人の限度ワクを越しているという数は非常に少なくて、大部分は、皆限度内の寄付金になっているのが現状でございます。そのうちで、特に政治献金が非常に多いというふうに私どもは見ておりませんが、これは必要なら資料を出します。
○市川房枝君 政治献金が多いとお認めになるのですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 寄付金としては、政治献金の部分の方が、はるかに少ないと思います。
○市川房枝君 それなら一つ、あとで数字をいただきたいと思うのです。私の調べたものだと、この間ちょっと八幡製鉄について申し上げましたが、八幡製鉄は、最近三十五年度の純益が発表になりましたので、それと、それから増加された資本と合わせて計算しますというと、三十四年度は約一億二千万でしたが、三十五年度は一億六千万円になっております。その中から政治献金されたもの、これも全部じゃありませんけれども、各政党、それから宏池会、十日会、蓬庵会、経済再建懇談会等の寄付金の総計を見ても、一億六十三万円、八幡製鉄所は寄付しております。このほかに政治献金がまだありましょうから、私はやっぱり七割、八割近くまでは政治献金に使われているのではないかと考えます。八幡製鉄以外の各会社、連合会等が、政治団体及び経済再建懇談会に寄付している一覧表を私はここに持っておるのでありますが、八幡製鉄が一番多いのです。次は丸善石油が六千四百五十万円、日本鋼管が二千九百十四万円、丸紅が二千百五十万円、東急が二千三百二十万円、それから連合会で政治献金をしました額、やはりさっき申しました団体だけについて見ても、電気事業連合会は一億一千三百万円、銀行協会は一億三千六百五十万円、石油連盟が五千六百七十五万円、まだありますが、そういうことになっておって、私はどうも、この免税が、政治献金をするために、免税の率がそうなっておるのじゃないかという疑問を、どうも抱くわけであります。この率のうち、その一部を税金として国に還元する、あるいは株主に還元するということ、このようにしてはいかがかと、この前に総理に伺ったのですが、お答えがなかったのであります。大蔵大臣は、今それくらいあたりまえだというようなお考えでありまして、これ以上お伺いしても、もうだめかと思うのですから、それはそれでやめておきます。 それからあと政治資金について、ついでに伺いたいと思いましたが、時間がだんだんなくなりましたので、自民党の総裁としての池田総理に、簡単に伺いたいと思います。 党の外にいる者が、党内の会計のことについて口ばしを入れるのは失礼かとも思うのですけれども、しかし日本の現在の政治を担当しておいでになられます自民党が、近代政党として成長されることを私はこいねがっておるものといたしまして、お許しをいただきたいと思います。なお、自民党は天下の公党であり、その収支は、公職選挙法並びに政治資金規正法によって届け出られておりますので、私はその数字をこまかく拝見をしておるわけであります。そういう意味でお許しを願いたいと思うのでありますが、自民党は、昨年選挙の金も含めて、十八億一千百四万上五千九百六十九円お使いになっておるのです。そうしてその額は、社会党と比べますと、七倍になっております。(「総評はどうだ、そこまで調べなければあかぬね」と呼ぶ者あり)それも調べておりますが、時間がありませんから、ここでは申し上げません。 そこで私、金のかからない政治という意味において、少し多過ぎるといいますか、もう少し節約できないものかという感じがいたしますし、それからもう一つは、その金の七割までの十三億円は、経済再建懇談会からおもらいになっておるし、その他直接の財界からの収入が二億円余になっておりますので、八〇%は財界から出ておる。そうしますと、一般の国民からは、自民党は財界の代弁者であり、財界に奉仕する政党だと思われやすいと思うのでありますが、そういう点についてお考えを伺いたい。再建懇談会の解散の結果、自民党として党組織近代化の一環として、いろいろお考えになっておることは私承知しておりまするけれども、この機会に、これらの問題についての自民党総裁としての御決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 政党活動におきてましてお金のかかることは、各国もその例を二にいたしております。わが党が、昨年選挙を入れまして十八億、非常に多額というふうにお考えになるかもわかりませんが、私は、今後はそのくらいの金ではだめだ、もっと政党活動には使っていきたいという考え方を持っております。従って、そういう大きな金を、どうやって集めるかということにつきましては、今お話がございましたが、経済再建懇談会から主としていただくということは、これは改めなければいかないというので、ただいま国民各階各層から政党への支持援助を願うべく計画をいたし、来月早々には、財団法人として自民党の支持団体を結成しようと、こういうことにいたしまして、今までのやり方を支持する、ほんとうに名実ともに国民政党であり、そうして国民政党としての物的精神的の支持を受けていくと、こういうふうに変えていこうと計画いたしておるのであります。
○委員長(館哲二君) 岩間正男君。
○岩間正男君 私は、日本共産党を代表して、今回の補正予算に関連して、公共企業体労働者の給与改訂問題並びに外交問題についてただしたいと思います。 まず最初に給与問題でありますが、時間の関係から、個条書き的に質問をしますから、明確に政府はこれに答弁してもらいたい。 まず第一に、政府は、今回の改訂を通じて、公共企業体における健全な労使の慣行を確立する、こういうことを言っているわけでありますが、団体交渉も十分に尽くさず、調停を飛び越して、いきなり仲裁裁定に持ち込んだ理由、これがよくわからない。この理由は何ですか。この点をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(石田博英君) 労使の慣行を確立いたしますためには、団体交渉を尊重していかなければならないことは申すまでもありません。従って、公共企業体の、今回の賃金を中心といたしまする労使の紛争に対しまして、政府としては、従来、公共企業体及び現業当局が、こういう際に、予算及び資金上の制約から、ゼロ回答しかできなかった、そういう条件を排除いたしまして、公社、現業が、あとう限りの数を出せるようにいたしたのであります。しかし、それを基準として交渉が始められたのに、組合側は、要求額から前進を見せない。交渉はやはり双方歩み寄りが必要でありますが、歩み寄りが見られない。そこで、回数は正確に覚えておりませんが、しばしば団体交渉が繰り返されたのでありますけれども、結局、この団体交渉ではまとまりがつかないという判断で、経営者側は公労委に持ち込んだわけであります。で、当然調停段階を経て仲裁というのが手続でありますが、しかし、その当時の時限における諸般の事情を考え、国民に対する迷惑をなくするようにし、あるいはまた、法を破るような行為が行なわれないようにいたしますために、職権仲裁を請求いたしたのであります。
○岩間正男君 個条書きに進めていきたいと思います。 第二に、政府は、裁定を完全に実施したと盛んに宣伝していますが、この前の公務員の場合は、人事院勧告を、五月から十月に切り下げた不完全実施であったはずです。今後、政府は、勧告や裁定はすべて完全に実施すると、こう確認していいのかどうか。この点、池田総理並びに労働大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 仲裁裁定が出た場合に、政府として考慮いたします。
○国務大臣(石田博英君) 人事院勧告と仲裁裁定とは、その法律の建前が違います。しかし、公務員及び公共企業体の労使関係を安定させるために、ともに尊重していかなければならぬことは、申すまでもありません。仲裁裁定の場合は、三十一年に法の改正が行なわれましたので、従って政府といたしましては、仲裁裁定の場合は、三十二年以後これを完全に実施して参りました。この方針には変わりはございません。
○岩間正男君 人事院勧告の場合はどうするというのですか。総理にもう一度伺いたい。完全実施するのか、しないのか。
○国務大臣(池田勇人君) 勧告が出た場合に考えます。
○岩間正男君 これは非常に答弁としては不十分だ。それから、今までの政府の、今度の裁定に対して完全実施、完全実施とうたっている。これはおかしいと思う。それで法の建前は違うと言っております。精神では、これは同じでなくちゃならぬはずだ、こういうことでなくちゃだめだ。 第三に、裁定の内容についてでありますが、この内容はきわめて低いと思う。五千円の当然の、要求を三千円に切り下げ、しかもそのうち七百円程度は、当然のこれは定期昇給分であります。従って、実質は二千三百円程度の、しかも下に低い、上に厚い格差賃金です。これも今の物価値上がりから見るならば、早晩これは帳消しになることは明白だと思う。ひるがえって、現在の国家財政の現状を見るというと、五千円程度の要求は容易にこれは実施されると私は思うのであります。この点いかがですか、総理に伺いたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) なかなか容易でないことは、今度の財源で苦慮したことでもおわかりいただけると思います。
○岩間正男君 大蔵大臣、いかがですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 今のお答えと同様でございます。
○岩間正男君 これについてはあとでやります。 第四に、労使の健全な慣行を確立すると言いながら、申しわけ的なベース・アップと引きかえに、一方では大量な首切りを行なっています。これは職場の組合活動家に対する計画的な弾圧であると言えると思う。しかもこの処分にあたって、政府は、使用者側は、不当な組合干渉を行なっています。職場大会をたとえば違法扱いにする。また日常から職制や警察を動員して、情報の収集やスパイ、監視を行なっていることは明白であります。これで一体どうして労使の健全か慣行を打ち立てるなどということができるのか。政府は、当然、労使の慣行を確立するというなら、このような不当処分は即時撤回すべきだと思いますが、この点いかがでございますか。
○国務大臣(石田博英君) 健全な労使の慣行の前提は、法秩序を労使双方とも守るということであります。今回のいわゆる春闘に際して、政府は、しばしば、法律違反の行為のないように警告をし、もった場合には法律の命ずるところに従って処分を行なうことを警告いたして参ったのであります。それにもかかわらず、法律を破る行為が出たことはきわめて遺憾でありますが、政府は、あらかじめ明示した方針に基づいて、各現業当局が厳正な処罰をしたことは当然であろうと考えております。
○岩間正男君 都合のいいところは法秩序、都合の悪い自分のことは、これはたな上げにしている。スパイとか監視とか、こういうようなことが行なわれておることについては、何らこれはあなたは答弁されないのであります。こういうことでは話しにならぬ。 第五にお聞きしたいのは、このような不当処分をあえてする政府のねらいについてです。それは組合を弱体化し、新安保強行の態勢を強化し、ようとするたくらみにほかならない。昨年、安保改定に反対して戦った公務員労働者を骨抜きにし、いやおうなしに日米新安保態勢に基づく池田政策に従わせようとするものであります。そうして、それはまた明らかにILO批准に伴う国内三法の改悪並びに自衛隊の泊安行動に現われておる人民弾圧の態勢、あるいは、このたび出されておる政治暴力禁止法、このような一連の反動政策につながっていることは明白だと思います。政府の裁定の完全実施の陰には、このようなあくどい人民弾圧の意図が隠されて、懐柔と弾圧、これこそは池田内閣の露骨な政策の具体的表現であると思いますが、この点について明白に総理の見解を承りたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 私はあなたのお考えとは違っております。決して、弾圧その他、国家のためにならないことはやっていないと考えております。
○岩間正男君 以上、私は個条書きであなたたちの答弁を聞いておったのであります。十分にこれを反駁する時間もなかったわけでありますが、口先ではうまいことを言っておりますけれども、これは本心は隠されないだろうと思う。財源がないなどというが、財源がないのではない、やる意思がないんだということは、これは私はあとの討論で尽くしたいと思うのです。何といっても、私はここではっきりしておきたいことは、政府のこのたびの給与改訂は、わずかばかりの目くされ金で公務員、労働者の当然の要求をごまかそうとしており、しかも、今度のベース・アップの陰には、二万人近くの労働者の犠牲があるのです。この犠牲によってかち取られたものと言うことができる。これらの名目的な賃上げをえさにし、労働戦線にくさびを打ち込み、弾圧と懐柔をもって新安保態勢の道を切り開こうとしている。このような露骨な政府の意図は見えすいていると思うのです。しかし、先ほど申しました通り、時間がないから、詳細は討論で申し上げることにして、次に外交問題に移りたいと思います。 外交問題で一番先にまず聞きたいことは、これは朝鮮問題です。 第一に、政府は日韓交渉についてしばらく様子を見てからとか、あるいは情勢が正常化してから、こういうことを言って、依然として交渉を再開したいような意向を漏らしているのでありますが、それは政府の本心ですか。この点を伺いたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 昨日もお答えしたように、事態がまだ流動的な状態にありまするから、これを注意深く見ておる、こういう段階でございます。日韓会談につきましては、予備会談は去る十六日以来停止されておりまするし、また、会談のためにこちらに派遣されておった代表団は全員帰国をした、そういう状態であります。
○岩間正男君 今後どうするかということを聞いておるのですが、お答えがないようですが、続けて……。軍事革命委員会は全く非合法的な電離ファッショ集団であることは、今や世界の常識になっておる。従って、これを承認できないことはもちろん、この上に立ってでっち上げられるどのような政権も、私は認めるべきでないと思う。従って、今後一切の交渉を断つべきであろうと思うのでありますが、この点についてのはっきりとした総理並びに外相の見解を伺いたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) これも昨日申し上げたことと同じなんですが、事態が流動的な段階でありまするから、その様子を見守るということが最も、よい。当面の状態について、この段階においていろいろ干渉がましいことを言うことは避けたいと思います。
○岩間正男君 総理いかがですか、——あなたたちはそういうことを言っています。きのうの森議員の質問に対しても、同じような、全くあいまいな態度でありますけれども、そういう立場にはいないのじゃないですか、私は、なぜかというと、次のことをお聞きしたい。 今まで政府は、いわゆる韓国の政府が全朝鮮を代表する唯一の合法政府だということを主張した。そして、その根拠としては、一九四八年十二月の国連決議をあげてきた。この国連決議は、国連監視下における自由な選挙で選ばれた代議制度に立脚する政府であるから、正統で、合法的な政権であるということを、これは強調しているはずです。そうでしょう。本年四月の国連総会で採択された朝鮮統一問題に関する決議では、さらにこのことを繰り返し再確認するとともに、国連に朝鮮問題処理の能力と権利があるということを、つけ加えて強調しているはずです。そもそもこれら一連の国連決議の本質は、アメリカが朝鮮の軍事占領を持続し、その支配を継続する目的をもってでっち上げられたものであることは明らかだ。が、それにしても、このたびの軍事クーデターはこれらの国連決議にすらまっこうから挑戦するものであります。従って、今まで国連決議を支持してきた世界の諸国はもちろんでありますが、池田内閣としても、当然国連の決議の支持者として、その責任を負って、はっきりとした態度をとるべきであろうと思うのでありますが、この点について、国連中心主義をとってきた政府の立場と、このたびの態度をどういうふうに明確に処理するか、明白にお答え願いたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) これはたびたび申しておることですが、一九四八年の国連決議に基づきまして、全朝鮮下に自由な民意を反映する選挙が行なわれるべきであるということでありまするが、これを行なったのは三十八度線から南の韓国側であるわけであります。従って、国連決議に従ってできました合法的な政府は韓国政府であるということでありまするが、しかし、その支配権は三十八度線から北には及んでいない、こういうことを従来から申しておるのであります。で、北の方におきましても国連の決議に基づきます選挙を行なってくれれば、これはもう朝鮮が全部統一されるわけであろう、こういうことになるわけであります。そこで、今回のクーデターにつきまして、いろいろな原因その他の観測が行なわれておりまするが、この基本的な原因は、昨年八月発足した張勉内閣がその懸命なる努力にもかかわりませず、反革命の勢力の抵抗、与党内部の派閥抗争あるいは革新勢力といいますか、共産側から牽制等のため、革命後の混乱した事態の収拾に追われるのみで、施政、九月に至るもなかなか治績が上がらない。そこで、国民大衆の待望した政局の安定を達成して、また経済の繁栄、民生の安定向上というものをぜひ実現させたい、それが実現されないことについての大衆の不満、失望というのが漸次増大した傾向にある。そこで青年将校を中心とした軍部が、この国民の声を代表する気持において今次の行動を起こしたのではないかというふうに思われておるわけでございます。しかし、われわれとしては、この隣邦に起こったこういう非常事態については深い関心を持っておりまするが、かつて五月十二日、外務省の情報文化局長談をもって申し上げました通り、日本政府としては、事態が一日も早く正常化されることを希望いたして、この事態を注意深く見守っておる、こういう段階であるのであります。
○岩間正男君 私は、そういう経過について説明を聞いているのじゃありません。日本は国連の決議を今まで尊重して、国連の決議に従って、そしてまた韓国政府の合法性を主張してきたのであります。ところが、その国連決議に対して、今度のクーデターというものは全く反している、全然挑戦している。これを破壊する方向に動いている。この点について国連決議の支持者として、国連中心主義をとっている池田内閣外交政策の三大方針の一つです、当然これに対して明確な態度をとるべきだ。さっきの答弁を繰り返しておるようなやり方では、まことにこれは国連の権威とか何とか、能力とかいっているけれども、全然国連の権威も何もなくなる。あなたたちその態度をどうするのかと聞いている。これはさっぱり答弁がない。これはやはり最高責任者の池田総理からお聞きしたい。
○国務大臣(池田勇人君) 外務大臣がお答えした通り、今クーデターの結果いろいろ流動的にと申しますか、事態がまだ判然といたしておりません。従いまして、わが国といたしましては、その事態を注意深く見て、そうしていきたいと考えているのであります。
○岩間正男君 こういうことでは国連尊重とか、国連の権威とか言ったって始まらないと思います。地に落ちておる証拠でしょう、あんなのは。こういうところからまたあいまいな態度がとられておる。私ははっきり池田内閣は情勢をよく洞察して明確な方針を立てるべきである。私は今度の事件から、政府並びに池田総理は貴重な経験を引き出して、今こそ朝鮮問題に対する真に正しい解決の道、それは日朝人民の利益に沿う政策を打ち立てることでありますが、その道を選ぶべきだと思います。そうしてその真の解決の道というものを考えてみれば、それはまず第一に、アメリカ軍隊が朝鮮から引き揚げることです。国連韓国統一復興委員会を解散することです。次に、朝鮮問題は南北朝鮮人民の自主的な解決にまかせること、この二つであります。御存じの通り、昨年の四月の革命を契機として、朝鮮では南北をあげて自主独立、平和を目ざす統一の機運が急速に発展しています。朝鮮人民は、その多年の苦しい経験から、アメリカがこのまま居すわっては朝鮮の平和と民族の幸福を維持できないということを身をもって知っているのです。その結果、反米、反張勉、南北統一の民主的闘争は火のように高まっています。これに驚きおそれたアメリカ帝国主義者が背後から手を尽くして、このたびの軍事クーデターを引き起こしたことは、今や世界周知のことです。しかし、どのような陰険な手段と暴略をもっても、朝鮮人民のこの民主的な要求を圧殺するとはできません。アメリカがこの上さらに駐留を続け、軍事クーデター政権を表面に押し立て、苦肉の策謀を続けましても、結局は高揚した朝鮮人民の力によってたたき出されることでしょう。池田政府はこのようなアメリカのお先棒をかつぎ、朝鮮人民の要求を踏みにじり、結局は収拾のつかない泥沼の中にみずからを引きずり込むの愚を繰り返すべきでないと思います。今こそ日本はこれら事態発展の方向を正しくつかみ、南北朝鮮人民の自主独立、平和的統一のための要求、その力を評価して、今や日に日に無力化しつつあるアメリカ帝国主義者の軍事植民地政策と手を切り、アメリカはひいては世界の平和のため正しい進路を切り開くための確固たる政策を打ち立てるべきであると思いますが、この点について訪米も間近い池田総理に明確に私は御答弁を願いたい。
○国務大臣(池田勇人君) 共産党を代表しての岩間さんの御意見でございますから、拝聴はいたしましたが、私は全国民大多数がその御意見に反対だと思います。私もはっきりその意見に反対をいたします。
○岩間正男君 あなたはそういうような、たな上げみたいに安閑としておれば、だんだん足もとがくずれてきて驚くでしょう。 それじゃ、私はあなたの渡米に関して次にお聞きしたい。渡米と関連して……。六月の渡米を前にして、あなたは連休を返上して箱根にこもって対策を練ったと聞いているのでありますが、中国問題、ラオス問題、キューバ問題、国連対策等々、その他の方針が立たれたと思うのでありますが、いかがでございますか。
○国務大臣(池田勇人君) ただいまいろいろ検討中でございます。
○岩間正男君 検討中のことは聞いておりますが、これはニュースの伝えるところでは、対策が全然立たない、非常に混迷しておる。きょうもこれから箱根に行かれるのだと思うのでありますが、最近私はこんなうたを作った。「たまくしげ箱根の山に五日あまり池田こもれど策ならずてふ」どうですか。私はこのように立たない方針をここで聞こうとは思わないのです。しかし、方針が立たないということが一番重大な問題です。そこで私は総理にお聞きしたい。方針を立てるには、その政策の基礎になる世界情勢、特に日本をめぐるアジアの情勢をどう把握しているか、どう評価しているか、この点が一番重大な問題です。この点をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 世界の情勢、アジアの現状等につきましても、十分検討を今加えつつあるわけでございます。
○岩間正男君 まず第一に、私はそれでお聞きしたいのは、中国の問題です。最近、中国は急速にアジア・アフリカ諸国との友好親善関係を発展強化させています。ビルマ、パキスタン、アフガニスタンとの国境問題は解決され、それを土台として相互不可侵あるいは平和条約が結ばれたことは御承知の通りです。また、インドネシアとの華僑問題も円満に解決されました。ラオスにおける戦争の火の手は消しとめられました。南ベトナムでもジュネーブ協定を事ごとに踏みにじっているアメリカとそのかいらい政権の必死な巻き返しにもかかわらず、その基盤は足もとからくずれつつあります。SEATOの中心地たるタイ、ビルマにおいてすら中立化の要求が最近急速に高まっていることは御存じの通りです。これはなぜだろう。なぜか、これこそは中国がかつて提唱し、インド、ビルマ等、中立諸国に積極的に支持され推進されてきた平和五原則並びにバンドン精神が脈々として生き、一そう発展させられている何よりの証拠であります。近く開かれるはずの中立国首脳会議も、またこの現われであります。中国の国際的地位はこうしてますます高まっています。ラオス問題のジュネーブ会議では、アメリカの意思に反して、イギリス、フランスまでが中国の参加を求めています。国連における中国の代表権の問題の解決も今や時間の問題となったと言わなければなりません。アジアはこのように今根本的に変わりつつあります。平和中立の方向へ大きく動いている。これが情勢発展の主要な側面であり、日本をめぐるアジアの大勢であります。このような事態を冷静に客観的に見れば、何人もこれを否定し得ないと思うのですが、池田総理はこの事実を認めていられますかどうか、総理のアジア情勢の評価をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) あなたのような意見のあることは知っておりまするが、反対に、事を好む中国という意見もあるようでございます。
○岩間正男君 なるほどあなたの言うような見方も確かにあるでしょう。しかし、その動きの中心はむろんアメリカです。しかし、あの悪名高いグレス兄弟を中心とした侵略と謀略の政策は次々に暴露され、失敗し、破綻を続けていることは天下周知の通りであります。ケネディ新政権はキューバに火をつけようとして失敗した。ラオスでも失敗している。このような失敗を繰り返し、何とか取り返し、何とか打開の道を開こうと編み出されたのがケネディ新政策であります。ケネディ新政策のおもな特徴は、大軍事力を背景としたゲリラ滲透作戦であります。つまり内部に入って火をつけるというやり方です。アジアではSEATOを背景とし、NEATOをもってそれを補強するために、日本、南朝鮮、台湾等を巻き込もうとしています。日本ではかっての中国での苦いゲリラに対する経験が尊重され、これらゲリラ滲透の基地にされようとしています。そしてケネディ政権は南ベトナムに大量のゲリラ部隊を送り込んだ。次いで南朝鮮にも第一陣として千百人のゲリラ部隊が送られたことは明白です。二月二十五日のことです。その後日ならずしてクーデターが起こったのです。沖繩でもゲリラ訓練が行なわれております。二つの中国を既成事実化するために、アメリカは台湾でもクーデターを起こすつもりだといわれています。このようにアメリカは冷戦の激化と民族解放闘争の圧殺をたくらんでいます。平和中立の方向へ大きく動いているアジアの情勢を、何とか逆転させようとあせっているのです。だが結局は大勢に押されて失敗に失敗を重ね、自分で自分を孤立化させることになるでしょう。これがケネディ新政策の将来であり、今後たどるべき末路であると思います。最近のラオスの事態をごらんになるといいです。最も具体的にそれを示しています。 今アジアには二つの大きな流れがあります。一つは平和五原則とバンドン精神に基づいて平和中立の方向を指向する流れであり、これがアジアの大勢となっています。もう一つはアメリカを中心とする、これに逆行する流れであり、二つは現在渦を巻いています。総理は冷静に客観的に日本をめぐるアジアの情勢を評価できないのも、情勢待ちと称して何らの方策が立たないのも、この渦の中にほんろうされているからであることは明白だと思います。私はこのような動きを明白につかんで、正しい日本民族の行くべき道をはっきり打ち立てるべきだと思うのでありますが、ことにこれから箱根に行かれるあなた、この委員会における一つの情勢把握の問題について明白にあなたの見解をお聞きしたいと思いますます。
○国務大臣(池田勇人君) 情勢把握につきましては先ほど答えた通りで、いろいろ勉強いたしております。
○委員長(館哲二君) 岩間君、持ち時間は終了いたしました。
○岩間正男君 最後に、今あのような非常に不十分な答弁をされた。しかし、これでは私は方策は立たない、方策がない。 私は最後に総理に言っておいて、警告をして質問を終わりたいと思います。何らの方針も立たないでアメリカを訪問したら、その結果は行く前からもうはっきりしていると思います。ケネディ新政策に同調し、そのお先棒をかつぐことを強要され、これを引き受けるぐらいが関の山でしょう。それではますます日本を危険な道に引きずり込み、アジアの平和に新たな脅威を加えるだけであります。私は今から断言しておいてもいい、この危険きわまりないアメリカみやげに対して、安保反対闘争を戦った日本国民がどう反撃するかは言わずも知れたことであると思います。またアジアの諸国民も手をこまねいてこれを見ているとは思わないのであります。はっきりへその緒を締めて、明白に私は日本のいく道をきめてもらいたい、このことを私は最後にあなたに警告をいたしまして、私の質問を終わります。
○委員長(館哲二君) 午後は一時二十分に再開いたします。暫時休憩いたします。 午後零時四十五分休憩 ————・———— 午後一時五十八分開会
○委員長(館哲二君) これより、予算委員会を再開いたします。 午前に引き続いて質疑を行ないます。大矢正君。
○大矢正君 きょうの予算委員会の午後からの質問は私一人でありますから、本来でありますれば、相当時間をかけてゆっくり質問をできるはずでありますけれども、時間が非常に制約をされて十七分という時間しか持ち合わせありませんので、そういう意味におきましては、私は、特に先般木村委員が質問をいたしました経済問題を中心にして政府関係各大臣に質問をいたしますので、今申し上げた通り、時間がないことを前提として、政府も具体的に要領よく一つ答弁をいただきたいと存じます。 まず、私は企画庁の長官に質問をいたしたいと思うのでありますけれども、私は三月の予算委員会のときにも質問をしまして、三十五年度の設備投資の見込みというのは三兆一千億くらいになるのではないかという質問をしましたが、これに対して企画庁長官は、まあ三兆をこえるというような感じがするというような答弁がございました。そこで最近の経済の統計等を見ましても、もちろんこれは三十六年に入りましてからの一−三月は推計でございますけれども、三十五年度の設備投資の実績の見込みというのは、大体三兆をこえたことは明らかになりつつあるようでございますけれども、企画庁長官は、三十五年度の設備投資が、最終的には実績の上においても、三兆をかなり上回るということをお認めになるかどうか、この点まず質問しておきたい。
○政府委員(迫水久常君) その数字は、もちろん終局的には本年末の国民所得白書まで確定しないわけでありますけれども、諸般の関連指標から想像いたしまして、三兆円をこえることになる。かなり上回る、かなりと申されましたけれども、かなり上回るかどうか別として、三兆円を若干上回る状態と考えます。
○大矢正君 次に、三十五年度の大よその設備投資の内容が明らかになりましたので、三十六年度の設備投資というものの見込みというのは大体どの程度になるのか。この点について、三十六年度の予想を企画庁長官からこの際明らかにしてもらいたい。もちろん所得倍増計画その他においては三兆一千億云々という数字はございますが、その数字は別として、とにかく見通しとしてどの程度になるのか。
○国務大臣(迫水久常君) この数字は、ただいま三十五年度の設備投資が三兆円を若干をこえると、こういうことを申し上げましたが、その推定よりももっと非常なる推定をしなければならない現下の段階でございます。いろいろな各企業の希望しておりますところの数字というものがございまして、これを基礎にして、その希望通り実現していけばどうなるであろうかというような想定はできますけれども、的確に大体幾らくらいだろうかと、こういうことはなかなかこれは言いにくいことだと思います。ことに私ども責任あります立場では、それは的確には申し切れない立場でありますが、世上で申しておりますように、三兆三、四千億から三兆五、六千億というようなところになる可能性はあると、こういうように考えております。
○大矢正君 先般通産省が三十六年の設備投資の希望と申しますか、この点について調査をかなり具体的にされたようでございますが、その結果が新聞等によって報ぜられるところによりますと、大体三十六年度の設備投資は、その希望が三十五年度に対しまして三五%程度の希望が出ているようであります。そこでもちろんこの三五%というのは、具体的にはまあ金の裏づけがなければならないでしょう、借入金、あるいはまた、内部留保もあるでしょうし、社債の発行あるいはその他いろいろ増資等もございましょうが、そういう金が裏づけがあってもちろんこれは当然可能なことは申すまでもないことでございますが、事実こういう三五%という三十六年度の設備投資に対する業者あるいは産業別の希望がある限りにおきましては、三十六年度の設備投資も三十五年に比較いたしまして、かなりこれは上昇するのではないかというふうに一般的には私想定できると思いますけれども、この点について企画庁長官はどうお考えになるか、特に通産省の調査との関連についてお答えをいただきたい。
○国務大臣(迫水久常君) 通産省の調査というのは、今お述べになりました通り、各企業の希望でございます。それが内容につきましては、当然各企業体が自分の責任で自分の運命をかけての企業責任の見地から出てきたものでありまするから、それはことごとく水増しされているとはもちろん言われませんけれども、中には若干見通しの甘さというようなものを含んでいるものも相当にあるんじゃないか。そうして、現在幸いにして民間の企業体の中には、企業というものの、企業家の責任と申しますか、慎重にやらなければならぬというようなムードが出て参っておりますので、その希望通りにいく、こうは実は私たち思っておりません。従いまして、その希望に現われた数字のような増勢はもちろんないと思いますけれども、三十五年度に対して三十六年度はさらに相当の設備投資の増加をするであろう。三十五年度と三十六年度では一応一〇%程度の伸びとわれわれは見ておりましたけれども、一〇%程度よりも若干上回る伸びがあるのではなかろうかというふうには想像いたします。
○大矢正君 ただいま私が申し上げました通り、通産省の調査したところによる各業種別その他の調査の内容では、三五%程度の希望がある。そこで企画庁としては、長官としては、三十六年度の設備投資というのが大体どの程度の、三十五年度の実績である三兆もしくは三兆一千億に対比してどの程度の比率の上昇、どの程度の金額が好ましいとお考えになっておられるか。
○国務大臣(迫水久常君) この問題は、好ましいとか好ましくないとかという問題では私はないと思えるし、率直に申しまして三五%三十五年より三十六年の方が希望としては多い。三五%多い中で、どのくらい一体見通しの甘さによるものがあるのか、あるいは何もここであわててしなくてももう少しあとへ延ばしてもいいものがあるかもしれない。もっともその三五%伸びております中には、土地の造成というようなものも含まっておりますし、従って、投資の懐妊期間の非常に長いものもありますので、三五%それ自身の数字で直ちに将来の生産力化する、三五%の増加によって直ちにそれが将来、たとえば三十七年度なら三十七年度において生産力化するものであるとも考えられませんので、そういうことが何パーセント成長したのがちょうどいいところだということは私は言えないと思うのです。結局、資金の関係、あるいはそういうような各般の見通し、情勢の上から言って何パーセントぐらい伸びるだろうかという、その見通しをつけるところであって、それが好ましいとか好ましくないとかいう問題は別だと思っています。私は二割近くの伸びはあるのじゃなかろうかと想像しております。
○大矢正君 企画庁長官、これは先般来、私が直接聞いたわけではございませんが、新聞の報ずるところによりますと、経済界の人たちと会ったりあるいは会合に出席したりして、そのつど、設備投資が過大にわたらないように十分一つ気をつけてもらいたい、こういう発言をされているように承っております。もしこれが事実であるとすれば、あなたはやはり今日の設備投資のあり方について、あるいは先行きの見通しといいますか、先行きといいますか、そういうものについて多少危惧を感じておられるから、あなたは当然業界の方々に対してあなたなりの意思の表明がなされていると私は思うのであります。そこでそういう、それじゃ設備投資が過大にわたっているというならば、一体どの程度過大にわたっているかという根拠が明らかでなければならぬ。たとえばどの程度の設備投資が今日のわが国の経済にとっては一番妥当なんだ、こういう立場があって初めてこれは業界の方々に対して、設備投資はどうも行き過ぎるようだからこの際自粛してくれという話ができると思うのであります。これには私が質問したように、当然好ましい金額はこの程度だ。従って、これ以上は無理ではないかということをあなたは答弁してしかるべきだと私は思うのであります。それから、もしそうでないとするならば、あなたは、いやそうは言ってもこれは全体としてながめてみる場合の問題であって、個々の業種別に見ればちょうどいいのもあるだろうし、あるいはある程度行き過ぎたものもあるだろうというふうな、その業種だけでもこの際具体的にこの際明らかにしてもらいたい。どの業種が一体まあ過剰にわたって設備投資が行なわれているのか、こういう具体的な問題についても一つこの際お答えをいただきたいと思うのです。
○国務大臣(迫水久常君) どういう企業について具体的に設備投資が行き過ぎているか、あるいは見通しが甘過ぎるかというような問題に政府が直接タッチいたしまするのは、通産省所管の産業合理化審議会、その席上でありますので、具体的には通産省がそれを指導して、指導といいますか、意見を述べる機会があると思うのです。私たちが、私が設備投資は慎重であってほしい、そういうムードがほしいということを言いますのは、新聞でも、また一般の専門家でも、みんなが設備投資は何か行き過ぎてている、資金を供給する金融機関でさえも、こう行き過ぎてはこれは少しスピードが早過ぎているのじゃなかろうかと言われますし、私も何となしに成長ムードに浮かされて見通しの甘さ、甘い見通しのもとにやっている部分が相当あるような感じがいたしておりますので、とにかく責任はめいめいの企業が負うので、政府が別に関係したわけではありませんけれども、企業体がみずから慎重にやってもらいたいという、これはふわふわとやらないで慎重にやってもらいたい、空気を起こしてもらいたいということで希望をいたしておりますが、どの程度の設備投資、たとえば三兆六千億がいいのか、三兆五千億がいいのか、三兆四千億がいいのかということは、やはりその内容を結果的に洗わないと出てこないと思うのです。たとえば土地の造成の問題とか、あるいは長く工事のかかるような問題については、それはもう早くからかかっておかないというと間に合わない部分もありましょう、そういうことで、数字的に幾らが正しいということは私はなかなか言えないと思います。
○大矢正君 まあ企画庁長官が言われている通り、最近土地の造成その他によって、投資の効率というものが漸次低下をしてきていることはこれは私も認めます。ただ総体的にこの設備投資が行き過ぎであるか、行き過ぎでないかということを言うことはできないのであるというのであれば、それじゃどの業種が一体行き過ぎているかということは当然あるはずだと思うのです、私は。特に総理大臣もそういう答弁をされているのですが、今日の段階、その衆議院の答弁なんかでもそうですが、たとえば電力を見ましても、今電力は設備投資をしなければ困るでしょう、こういう答弁をしている。従って、業種ごとに検討してみれば過大の設備投資の産業もありますよと、こう総理も衆議院の予算委員会で答弁されている、私は聞いているのです。そうだとすれば、どの産業、どの業種が一体設備投資が過大なのかということは、当然お答えになってけっこうだと私は思うのですが、いかがですか、通産大臣でもどっちでもいいですよ、はっきり答弁していただけるならどっちでもけっこうです。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 設備投資の問題は通産省所管にもありまするが、他の省の所管にもございます。しかし、私の方の所管の、たとえば鉄、電力、あるいは石油化学、出動車、なお三、四ございますが、そういったようなものが設備拡張を盛んに今までやってきておったのであります。それで、三十四年度が前年に比して三二%増、三十五年度が前年に比して三八%増、三十六年度は大体ただいまのところ二〇%増と、こうなって、ピークは三十五年度ということになりそうでございます。それで希望計画を徴しますと、まあいろいろなねらいがあるのでございましょうが、かなり大き目に進んで届けてくるようでありますが、実際問題としては、さて三十六年度という具体的な問題になりますというと、それは相当各企業において、自分のことでございますから慎重にやはり考究をして、そうして設備拡張の具体的計画をする、こういう格好になっておりまするので、そうわれわれの方で強力な行政指導をする必要もないくらいに、かなり慎重な数字におさまってくるわけでございます。ただいまはこれといって非常に、評判ではいろいろ言われておりますけれども、実際問題としてはもっと手がたい需要というものに促されて、そして慎重な具体的な設備拡張計画をやっておる、その合算がほぼ三十五年度の実績に比して二〇%程度の増になりそうである、かように考えております。
○大矢正君 どうもわかったようなわからぬような答弁で不満足ですけれども、これは設備投資をするにしたところで、かりに設備が過剰になって、過剰生産を起こして、そのことのために価格が低落をしたり、あるいはまた操業率が低下することによって利益率が下がったりすることは、業者としては当然考えなければならぬことでありますから、単にそういう理論だけ追っていけば、総理大臣の言う通り、だまっておっても過剰な設備投資が出てくるわけではないです。将来作っておいてもうかるという前提があるから、設備を増大するという論法になると思います。しかし、事実において、企画庁長官も設備投資はある程度過大にわたってきていることは認められなければならぬ段階にきていると思う、今日の段階は。そこで三十四年度に比して三十五年度の今日まで統計が出ている範囲において、設備投資の個人と法人との伸びを調べてみますると、個人の場合は一八%しか三十四年度に比して三十五年度の設備投資は伸びておりませんけれども、法人の場合にはこれが四二%伸びております。それからまた特に法人の場合でも、一億円以上の法人と、一億円以下の法人、資本金が。さらにまた個人とこれを比較して参りますと、一億円以上の法人の場合は、三十四年度に対する三十五年度の伸びは五六%にも及んでおります。しかし、半面これは一億円以下の法人と個人の場合を調べてみますと、二四%しか伸びておりません。従って、こういう数字を基礎にして考えて参りますれば、今日設備投資の過大な傾向というものは、中小企業やあるいは個人の投資にあるのではなくて、大企業を中心とした設備投資によって国際収支の面においては赤字基調を示したり、あるいは輸入の増加を招いたりして、わが国の経済の動向に不安な徴候を現わしているのでありますが、この点について企画庁長官はどうお考えになりますか。
○国務大臣(迫水久常君) 私は言葉を非常に気をつけて使っているので、設備投資過大という言葉は一ぺんも使ったことはない、今、大矢さんは設備投資過大という言葉にすりかえて、私は設備投資過大であると言っているというふうにおっしゃいますが、スピードが早過ぎるということを言っているつもりであって、その割合は今お話しの通りでありまして、中小企業の方においてはまだ、何といいますか、むしろスピードがおそいのではないか、大企業の方がスピードが早過ぎておるんだという、その感じは大矢さんのおっしゃる通りであります。
○大矢正君 当然、設備投資の問題は国際収支の問題と関連して考えなければなりませんから、引き続いて大蔵大臣に国際収支の問題についてただしておきたいと思うのですが、一月から三月までの経常収支は、御存じの通りかなり大幅な赤字を示しましたし、それから二月、三月にわたる予算委員会で、私は大蔵大臣に質問をした範囲におきましては、四月以降にもし経常収支が赤字になっても小幅であろうし、うまくいけば六月ごろには黒字になるかもしれないという安易な答弁がございました。特にこの中で大蔵大臣は、四月から六月までの経常収支の赤というものは、一億から一億一千万ドル程度にとどまるのではないかという答弁は、速記録を調べていただけばわかると思うのでありますが、明瞭であります、こういう答弁をされております。しかし御存じの通り、四月には八千三百万ドル経常収支の面において赤字が出まして、貿易収支で七千三百万ドルの赤字が出て参りまして、さらに四月の信用状収支の赤字の一億二百万ドルという状態や、四月の為替の面における承認等の内容を調べてみますれば、五月、六月におきましても、かなり大幅な赤字が経常収支及び貿易の収支の面においては現われると私は思うのでありますが、しかも新聞等の一部報ずるところによりますれば、五月、六月は単に経常収支にとどまらず、総合収支でもかなり大幅な赤字があるように私は承っておりますが、大蔵大臣は、一体将来、五月、六月の見通しについてはどうお考えになっておられるのか、特に先ほど質問をした通りに、一億ドルや一億一千万ドルの経常収支の赤でおさまったとお考えになっておられるのか。
○国務大臣(水田三喜男君) 国際収支の見通しでございますが、今の情勢で見ますというと、私どもは御承知のように、ことしの上半期の見通しは経常収支の赤字は九千万ドル、資本収支の黒字が一億二千万ドル、総合収支でこの上半期は三千万ドルの黒字というのが大体当初の見込みでございましたが、今の状態でいきますというと、この見込みは相当に狂って、経常収支の赤字は九千万ドルと、相当大幅だと思っております。で、一方、資本収支の方も一億二千万ドルという見通しよりも黒字がまた相当大幅でございますので、この上半期中では総合収支において大体均衡するという程度に落ちつくと思っております。これは九月末でございますので、お尋ねのその半分の四月−六月ということになりますと、その期間には総合収支でも赤字が出る可能性もあると考えられますが、上半期全体を通じてみますと、大体均衡するというのが今の行き方で見る私どもの見通しでございます。
○大矢正君 けさの読売新聞によりますると、国際収支に対する水田構想という非常に大きな看板を掲げて……。
○国務大臣(水田三喜男君) 知りません。
○大矢正君 知りませんか。けさの読売新聞に出ております。大きく一面のトップで……。
○国務大臣(水田三喜男君) 言ったことありません。
○大矢正君 まあそれは質問しますが、そこでその中で、大蔵大臣、あなた国際収支の逆調を解消する道として、一つには貿易の振興、貿易の積極的な推進策をやると同時に、あわせて外資導入を積極的にやることによって総体的なバランスにおける国際収支の逆調をこの際直そうという、こういう考え方が、国際収支の逆調に対する水田構想だと、こういう大体読売新聞のトップ記事が出ております。あなたそういうお考えで今おられるのですか。
○国務大臣(水田三喜男君) あまりそういう構想を述べたことはございませんが、私は国際収支は御承知の通り後半期において日本が輸出期になりますので、このときには相当の回復があることはこれははっきりしておりますが、最初私どもの予想した数字が相当見通しが狂っておりますので、まだ後半期にいっても回復期がずっと来年にずれるという可能性も考えられますし、いずれにしましても、この赤字の原因というものは、国際収支の逆調という原因は、輸入が見込みより多い。しかし、別にこれは不健全な輸入増でもないということははっきりしておりますので、そうしますというと、輸出の当初からの見通しがその通りいかなくて停滞しているということがはっきりしておるのでございますから、この輸入に対応させるための輸出振興策をとるということによって、この一、二年のことを見通した国際収支の改善策ということについては、われわれ十分自信が持てるということを考えているわけでございます。別に最近特別の構想を述べたことはございません。
○大矢正君 国際収支や何かは先行きの見通しのそれぞれ考え方の違いとか何かがございますから何ですが、三十五年度の、特に三十五年に入りましてから三月、四月の対前年の輸出入の増加率を調べて参りますと、三月の場合には対前年比輸入で一七%増加しているけれども、輸出では五%しかふえていない。四月にはこれが輸入の面では二八%増加しているけれども、輸出では九%しか増加していないという統計の数字が出ております。こういう数字の面から見ますると、三十六年度に立てました経済の見通しというものの中に含まれているところの輸出はこれこれ、それから輸入はこの程度という具体的な数字では、為替面で輸出は四十三億二千万ドルですか、それから輸入は為替面で四十一億九千万ドル、こういう数字が輸出の面ではこれを確保することができるし、輸入の面におきましては、現在の経済成長のままでいってこれで押えるということが可能ですか、これはもちろん先行きの見通しですから。しかし、今まで私は大蔵大臣に質問した中で、あなたの見通しとして当たったのが一つもないのですよ。だから、せめてこの一つぐらいこの際はっきりした見通しを聞いておきたいと思う。
○国務大臣(水田三喜男君) 輸入は五%程度、大体高水準である、反対に輸出が五%程度停滞している、この差額が国際収支にいろいろ現われてきているというのが現状でございますので、私どもは国際経済の回復、特に米国経済の回復ということもはっきりしている現象でございますので、後半期の日本の輸出期において、対米輸出そのほかの輸出振興策を政府が十分にやるのでしたら、この取り返しができると思っておりますし、また、輸出の方は経済成長に見合った必要な輸出であって、今思惑的な要素はございませんし、自由化を前にして日本の設備投資に必要な投資はこれは進まなければなりませんので、それに要する輸入増というものは若干加わりますが、これは日本経済成長のために必要な輸入でもございますし、輸入をとめるという方向ではなくして、これに対応する輸出を伸ばすという方向へ政府が努力すればいいのじゃないかと思っております。
○大矢正君 政府は、この輸出の増加については特にアメリカの景気の上昇ということを期待しているようでありますけれども、今日までの統計の示すところによりますと、アメリカの景気が上昇をいたしました際とはちょうど時期的なズレがあって、東南アジアその他後進国の貿易面におきましては輸出の伸びが減るというのが今日までの統計の示すところであります。そうなって参りますと、かりにアメリカ貿易におきまして輸出の増大を多少なりとも期待することができたとしても、東南アジア貿易を合わせた全体的な貿易の面におきまして、私は大蔵大臣や政府当局が考えているような安易なものではないと思うのであります。従って、そういう意味におきましては、現在の政府の輸出増進策という内容の範囲において多くを輸出増進に期待することは私は困難だと思います。そこで、当然この国内の経済政策に関連をしてくると思うのでありますけれども、先般来、政府は公定歩合の引き上げ等は行なわないという発言をされております。もちろんこれはもう今年に入りましてから金利の引き下げをやったのでありますから、当然これは今になってから公定歩合を上げて、あわせて市中金利も再び上げなければならないというような状態に持ち込むことは、これは根本的に政府の施策を直さなければならぬことになりますから、今どきになってから、そんなことをやりますと、私はこれはおそらく言えないと思いますし、日本銀行の総裁が幾ら心配をしても、政府はそれをやらせるなどということに私はならぬと思うのでありますけれども、しかし、このまま推移をいたしますれば、かなりやはり深刻な状態が参りますから、金融面においてある程度引き締めなければならないという問題が出てくると思うのであります。何か話によりますと、買いオペをやることは経済の規模をさらに広げるというような、あるいは業者に対して安心感か安堵感を与えるという意味から、買いオペはやらないけれども、日銀の貸し出しにおいて調節するという話でございますが、しかし、私は今日の経済状況がこのまま推移をいたしますれば、政府も当然金融面において何らかの措置をしなければならない事態になるのではないかと私は思うのでございますけれども、大蔵大臣どう思いますか。それから同時に日銀の貸し出しというものは最近非常に多いのであります。一部におきましては、その銀行の準備率の操作によってある程度調節をしたいという話がございますけれども、日本銀行からべらぼうに、話によると七千億ぐらいになるという話じゃありませんか、これだけ金を借りておいて、それでもって準備率で調節しようというようなことは本筋が私は間違っているのじゃないか、こう思うのでありますが、この二点について大蔵大臣から答弁をいただきたい。
○国務大臣(水田三喜男君) 今民間の資金需要の実態と申しますか、これを一応把握することも必要だと考えて、日銀と大蔵省で、金融機関を通じての資金需要の実情というようなものの調査をしておるときでございます。これによって先ほど来問題になっている設備投資の実際の動向というようなものもわかりましょうし、六月の資金需要の非常に強いときの資金需要の方向というのもあらかじめつかめると思います。そういうことをやって実際に合うよう私どもは善処するつもりで、今いろいろ準備をしているときでございますので、これは十分心配のないように対処したいと思っております。
○大矢正君 これは私は、経済問題の質問の最終的な段階に臨んで、特に総理大臣に一つお伺いしておきたいと思うのでありますが、何か私が聞いている範囲によりますと、最悪の場合はこれは、今のままで推移をすればことしは四億ドルぐらい赤字が出るかもわからない、しかし、かりに四億ドルの赤字が出ても、今の段階で政府は事を荒立てて特段の施策をする必要性はない、ということは消極的な意味であります。積極的にはそれは輸出の増進とか、いろいろございましょう。まあ大蔵大臣が考えたかどうかしりませんが、外資の導入もあるでございましょう。しかし、そういうこととは別に、消極的な策として、金融の引き締めなりその他、具体的に金融の調節なり設備投資の調節なり、そういう消極的な施策は、これは四億ドルになるか三億ドルになるかわかりませんが、かなり大幅な国際収支が逆調になってもそういうようなことをやるというお考えがないかどうか、最後に総理大臣にお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 先ほど来いろいろ御熱心な御質問があり、これに対して丁重な答弁があり、私は、国会でこういうことが議論されることは非常にいいことであると思いまするが、ただ、問題を私は非常に広く見ていかないと、設備投資だけの問題をここで議論しても、結果からいうとあまり大した結論にはならない。設備投資がどういうふうな生産あるいは輸出入に及ぼす影響、それからまた片一方の資金の面で、供給面がどんなになっているかということはあまり議論されないで、設備投資、設備投資、国際収支、国際収支と。日本の経済の実勢がどうなっているか。これはもう三兆円をこえているけれども、去年の実勢預金の増加はいつもの一兆円ぐらいから一兆五、六千億、五割ぐらいいつもより多い。社債とかあるいは株式の発行にいたしましても、三十五年度は前年のそれに対しまして四割ぐらい多いというようなことをずっとみんな考えてやらないと、えてしてしろうとは個々の議論を見てこれは大へんだということになったりするのでございます。(笑声)私は、最悪の場合に四億ドルということは、この四億ドルということは、昭和二十八年には一億九千万ドルぐらいでございます。それから三十二年は、三十二年度でいくか三十二年でいくかによりまして、四億ドルの計算もできますし一億二千万ドルの計算もできます。あのときのとり方を一番広くいたしましても四億ドルの赤字でございます。そうして、そのときの経済の規模というのは今と比較にならぬほど弱かった。だから私は、まあ三、四億ドルの赤字が出ても、そう大して足元から鶏が立つようなことはないと、自分では思っていながら、そういうことのないようにいろいろ施策を講じておるのでございます。だから、早い話が、この輸入の超過も心配事でしょうが、片一方から見ると、輸出の非常な伸びも輸出インフレで心配がある。三十三年度は五億ドルの経常収支での輸出超過でございます。五億ドルの輸出超過というと大へんなことです、一年に。そうして、その翌年の三十四年度は一億九千万ドル、去年は七千万ドルの経常収支、これは動きますので、長い目で見てもらわなければ、私はかえってそれが取り越し苦労になると。私、よくこのごろ、学者やあるいは一般経験を持っている方、非常な進んだ知識と過去の経験を持っている人、若い人、勉強を始めた人、相当勉強した人、相当経験のある人、こうやって見ますと、やはりあの人はと定評のある、これは学者であれ評論家であれ、いろいろな経験をしている人はおおむね、国際収支とか設備投資、経済の伸展というものは長い目で見ていかぬと誤りをするぞということを常に忠告しております。議論はけっこうでございまするが、全般から長い目で見て、そうして誤りのないようにお互いに一つ検討を続けていきたいと思います。従いまして私は、三、四億ドルの赤字が経常収支で出ても、まあ長い目で見ていけばいいんじゃないか。まあ、何でございましょう、各国の状態が、国際収支に対してのあれこれの議論は国内よりも国外の方が早いんです。これは今度はあぶないぞということは、イギリス内におけるより外からの方が早い。幸いに、日本はうちで心配しておる人が多いようですが、外では安心しているということが、これは日本の特例だと思います。しかし私は、そういうことについてどうこう言うわけじゃございませんが、まあいろいろ考えて誤りないように、安定的の成長、安定的高度成長をやっていきたいと思っております。伸びる力をちょっとしたことで押えたりなんかするということは、なかなか結果からいってよくない場合がある。大局を見ながら、何と言いますか、長い目でいろいろ施策をやっていきたいと思っております。
○大矢正君 総理大臣、時おりあなたはしろうとしろうとという答弁をされるんだが、しろうとと言われると、これは私がしろうとかなあと思うんだけれども、もちろん私はしろうとには違いないけれども、しかし総理大臣、それはあなたは経済問題については専門家だけれども、外交問題については案外、まあしろうとよりは幾らかましだけれども、とにかくその程度だとみんなが評しておったけれども、最近の総理大臣の外交問題に対する答弁というのは非常にうんちくを傾けて、実にすばらしいものがある。しろうとでもやればそれぐらいになるんですから、(笑声)私どもも経済問題で実に真剣に取り組んで先般来質問をしているわけでありまして、そういう点では一つ十分考えてもらいたいと思いまするし、単に私がこれを考えてもらいたいと言うだけにとどまらず、総理大臣のあなたの大へんバック・アップをしている経団連の事務局長がこの間、読売新聞かどこかの新聞で談話を発表して、その中でも、池田さんが今ごろになってから国際収支が云々なんと言うのはおかしいと、本来、もっと早く考えて手を下さなきゃならぬのを、最近になってから国際収支が赤字になるのは云々なんてあわてるのはおかしいくらいだという話が載っておりますから、そういう意味で、池田さんのそういう関係の方でも心配をされている向きがあるのでありますから、もちろんこれは政府の経済政策に反対するわれわれの立場からいけば、なおこれは心配しないわけにいかないわけでして、そういう意味でこれから一つ十分検討してもらいたいと思います。 なお、私の質問時間はほとんどわずかしかなくなりましたので、あと……。
○羽生三七君 関連して。ただいまの大矢委員の質問に関連をし、それから、最近新聞等に伝えられる、日銀当局が、今大矢君も指摘したように、若干の金融上の配慮をしなければならない段階にきているというような、そういう表現もあり、また政府の中にも、行政的なコントロールは好ましくないが、しかし、金融界あるいは業界自身の自主的な規制は望ましいと、こういう形で、今政府が積極的に何らかの規制をするという積極的な表現はありませんが、今申し上げたような諸般のいろいろな動きがあるのが現在の段階だろうと思います。そこで、先ほど来の質疑応答を拝聴しておって、私総合的に次の点を承りたいと思うのですが、第一番に、政府は経済の基調には根本的な変化はないと認める、これは私の意見じゃありませんよ、政府がそう考えているかどうかということです。第一番に、経済の基調には根本的に変化はないと認めるかどうか。設備投資ではテンポは若干の早さは認められるが、しかし、それを直ちに行政で引き締めるような段階ではないか、国際収支は経常収支で赤字の状況にあるが、長い目で見て総合的に判断すべきであろう、そういう中で高度経済成長政策はなおかつ変更することなく続けていく、これが大体政府のあるいは新聞なんかでわれわれが承知し得る範囲の総合的な判断だと理解をいたします。そこで私はこの前にも申し上げましたように、国際収支が若干赤字になっても、長い目で見て——長いというのは二年も三年も先を言うのじゃありません。本年度下半期、あるいは来年度上半期等に再び上昇に転ずる、回復に転ずる見通しがあるならば、あえて短期間の数字をもってかれこれ論じることはないという考えを持っておりますが、しかし、なお下期においても確信がない。長い目というのは、もし一年も二年も先のことであって、相当程度——二十億ドル程度の外貨保有に食い込み、さらにアメリカの景気好転も、時間的なズレがありますから直ちに日本に影響してくるとは思えない。また景気が好転する場合でも、輸出競争でそれをマイナスする要因もないとは言えない。さらにまた今の設備投資が、長い目で見れば企業の国際競争力を作っておりますから、おそらく昭和三十八年度ごろにはかなりな国際輸出競争力を持つことになると思うけれども、それには時間的な差がある、そうなってきた場合にこの経常収支で今若干の赤字はとにかくとして、相当今二十億ドルの外貨保有に食い込んでも、政府としては若干の自主規制というようなことは、業界に求めても政府自身は絶対に何らの規制措置は講じない、高度成長政策も変える意思はない、それはわかりますが、それでは実際にほんとうに政府が今の一年、二年先のことはいざ知らず、ことしの下半期あるいは来年の上半期程度に至るまでの間、相当程度輸出なりあるいは全体としての経済の動きに十分な自信を持っておるのかどうか、そこが私は問題だと思う。それがあれば私もそんなわずかな短期間をつかまえてかれこれ言うことはないと思います。もちろん設備投資は過大であって、その反動が相当規模になれば、これはそういう意味で私は問題でありますが、設備投資が過大であるというより、むしろ反動が問題であるので、それをどうしてチェックするかということが私どもの関心事でありますが、それは別として、今私が申し上げているような意味での長いといっても二年、三年じゃないのです。この一年ぐらいの経済について、政府が、今総理大臣がおっしゃったようなことはほんとうに確信を持っておできになるのかどうか、この点を大矢委員の質問に関連して、あらためて総理から一つ御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 羽生さんのお考え、いわゆる自問自答、私は全く同感であります。その通りでございます。しいてつけ加えようとしてもつけ加えることはないのでありますが、根本的に経済の基調は変化がない、ございません。それからテンポが早過ぎるかどうか、早過ぎるが押えることはしないか、これも私は少し自分の考えよりテンポが早過ぎるようでございます。しかし、まだ押える段階ではございません。それから国際収支は長い目で見るということは同感だがと、長い目で見て大体心配ございません。それから二十億ドルにある程度食い込んでも特別の措置をとらぬか、とりません。これでお答えになると思います。ただ経済の根本的基調に変化がないと、こういうことに賛成だと申しましても、今申し上げたような御質問の点が、根本的基調の変化を促すような情勢を作っちゃいないかということになりますと、それはその通りと答えざるを得ません。ただここに御質問なさったときに、そうしてこう思うのだがと——あなたの説と全く同感でございます。私は長い目で見る、これは二十億ドルに食い込んだといっても、食い込みようでございます。これはいつかも申し上げましたように、国際収支は赤でも輸入原材料が非常に多いとか、あるいは在庫投資が相当あるとか、こういう問題はやはり外貨と組み合わさぬければいけません。私は大体あなたと同じような考えで自信をもって進んでおります。
○大矢正君 私は最後に、先般来続きました炭鉱の災害問題に関連をして、去る三月三十一日予算委員会で大蔵大臣は私どもに対しまして、通産省からはたしか三十八億と記憶しますが予算の要求が出ているので、この点については善処をする旨約束されておりますが、今日その内容が単に予備費の中からわずか二億八千万程度の支出しかないという実態に関して、私は一、二大蔵大臣と通産大臣に質問しておきたいと思います。 そこで三十八億円という通産省の要求に対して、大蔵省は二億八千万円しか裏づけをしていない。もちろんこれは大蔵大臣に言わせれば予備費の中から出すのであるから、今これで全部終了したということではなくて、これからも調査の結果や内容によっては、予算を出したいというふうな御答弁をするかもしれませんけれども——時間がありませんから、前もって大蔵大臣の答弁を先に考えておいて質問しますけれども、とにかくそういう答弁をされるかもしれませんが、そうだとすれば、これからも炭鉱の保安の確保に対して、人命尊重の立場から炭鉱保安の完備のために予算措置を十分にされるというお考えを持っておられるかどうか、この際念を押しておきたいと思います。 それからもう一つ、これは今度政府が考えておる中で炭鉱保安設備の完備のために、金を貸し付けるという内容が考えられているようでございますけれども、これの貸し出し金利は聞くところによりますと六分五厘ということになっているようであります。当初通産省は三分程度の低金利でこれを希望しておりましたが、大蔵省は六分五厘と、こういうふうに考えているようでございますが、六分五厘といいますと、今日炭鉱が開発銀行や中小企業金融公庫等から金を借りる、生産をするための金を借りる金利と同様でございます。従ってもしそうだといたしますれば、生産をするのにすら六分五厘の金利の金しか借りない炭鉱が、保安の完備をするために六分五厘の金を借りて完備をするわけがないと私は思うのでありますが、そういう意味におきましては三分ないしは三分五厘という金利を——私も調べておりますがかなり他にもありますが、人命尊重という立場もありますので、三分程度の通産省の要求通りの金利にするというお考えがないかどうか。 それから第三点は、監督官の人員が不足のために十分坑内の調査ができないということのために、保安上ゆゆしい問題が続発をして、人命が失われているという実情にかんがみまして、この監督官増員に対して大蔵省は認めるという意思があるのかどうか、さらにまた今日坑内に入りましても一時間わずか四円という計算にも何もならないというような安い条件しか与えられていない。この監督官の労働条件、特に調査のための入坑その他の条件に対する引き上げを考える意思はないかどうか。そうしない限り、炭鉱の保安に結びつく災害の撲滅を期することはおよそ私は困難かと思いますので、そういう立場から誠意ある大蔵大臣と通産大臣の御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 予算措置は十四億円出しております。それから、さしあたり必要と思われる経費について、予備費を御承知のように三億七千四百万円ですか支出し、十七億程度の予算上、資金上の措置はいたしましたが、このあとは実地調査をやらなければ、はっきりとどれだけの予算措置をしていいかということがわかりませんので、これは実地調査の結果によって、三段、三段の措置をとるというつもりでございます。保安のために必要な人員の増ということも、私どもは十分考えて措置はいたしておりますが、定員法の関係ではっきりと表面に今出ていない問題もございますが、これはそのうち解決することと思っております。 金利は、これは保安設備というものは企業のもう本質的な前提的なものでございますので、私どもは、金利は、全炭鉱に行なっておる最低の金利と同額ということで、六分五厘に決定したわけでございまして、それ以下特別の金利にするということは、なかなか現在の金利体系からむずかしいと考えております。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 大体大蔵大臣からお答え申し上げたのでありますが、金利の問題は、中小企業金融公庫から、中小規模炭鉱に対して、保安施設の充実のために貸し付ける金利は六分五厘でございますが、この保安施設の中にも緊急を要する重要な問題がある。しかし、中小炭鉱の資力の程度ではどうにもまかない切れぬというような部面がございます。これらに対しましては、先般の予算三億七千万円のうちの二億六千万、これを抱き合わせまして、そして無利子でこれを貸し付ける、こういうことをいたしますから、これが二億六千万の占めるウエートは四〇%、それから金融機関から補給をするのが六〇%、こういうことになりますから、大体三分何ぼ、あるいは四分足らずで結局その金が使えるということになるはずでございます。 それから、監督官の充実でございますが、要求は五十数名ということになっておりますが、査定をいたしまして多少下回ると思います。ただし、この下回る人員を、適格者を直ちに発見するということはなかなか困難な事情もございますので、今極力適格者を探し求めまして、そしてできるだけ早くこれを充足して参りたい、かように考えております。 それから、手当の問題でありますが、手当の問題につきましては、相当大幅にこれを改善したいと考えております。 —————————————
○委員長(館哲二君) この際、委員の変更について報告いたします。本日、杉原荒太君及び横山フク君が辞任されまして、その補欠として村山道雄君及び青田源太郎君が選任されました。 次回は、明後日午前十時より開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時五十四分散会