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38回国会参議院1961/05/20

予算委員会 第25号

発言数
100
登壇者
13
会派数
3
開催日
1961/05/20

会議録

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) これより予算委員会を開会いたします。  委員の変更について報告いたします。  五月十五日高橋進太郎君、十七日中野文門君、十九日山本杉君、辻政信君、金丸冨夫君及び小柳牧衞君が辞任され、その補欠として小山邦太郎君、佐野廣君、上原正吉君、市川房枝君、谷口慶吉君及び上林忠次君がそれぞれ選任されました。   —————————————

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 昭和三十六年度補正予算の取り扱いにつきまして、委員長及び理事打合会の協議の内容を御報告申し上げます。  審査は一応本日から二十四日まで、日曜日を除いて四日間行なうことといたしました。質疑時間は四百六十分でありますが、各会派に対する割当は、自由民主党及び社会党各百六十分、民主社会党及び無所属クラブ各四十五分、同志会三十分、共産党二十分であります。質疑の順位につきましては第一回目は社会、自民、民社、社会、無所属クラブ、同志会、共産党とし、第二回以降は社会、自民の順序を繰り返して行なうことといたしました。  ただいま報告いたしました通り取り計らうことに御異議はございませんでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 御異議はないと認めます。   —————————————

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 昭和三十六年度特別会計予算補正(特第1号)、昭和三十六年度政府関係機関予算補正(機第1号)、以上両案を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。木村禧八郎君。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 私は二つの問題について質問いたしたいと思います。  第一は、ただいま議題となっています特別会計、政府関係機関、補正第一号の予算を含めて、三十六年度予算全体の編成の前提条件、生じた変化について質問いたしたいと思います。  第二は、ガリオア、エロアの返済問題であります。外務大臣が所用があるようでございますので、先にそのガリオア、エロアの問題についてまず質問いたしたいと思います。  きょうの新聞の報ずるところによりますと、昨日ライシャワー駐日大使からガリオア、エロアの返済に関する日本政府提案に対するアメリカ側の回答が、文書をもって外務大臣に手渡されたということでございますが、このことは事実でございますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) さようでございまして、先方からこのガリオア、エロア返済に関する考え方を示して参りました。ただ、文書というのは、これは一応申し上げておきまするが、外交交渉をいたしまする場合、相互が言ったことが何らかの、あとの交渉の基礎になる問題については、これはやはり文字に示して交換するならわしになっておりまして、いわゆる文書という日本的な観念で申しますと、何か署名捺印してやるというふうな考え方も感じられるようでございますが、そういうことではございませんで、いわゆるトーキング・ペーパーと言いならわしているものでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 アメリカ側の回答は、さきに日本側が提案しました返済額四億三千万ドル、据置期間がなしで二十年賦、年利二分五厘、こういう日本側の提案に対して、大体五億五千万ドル程度と伝えられておりますが、そうでございますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 外交交渉の常識、一般の慣例といたしまして、交渉中の問題をお互いに公表しないことになっております。従いまして、わが方の提案について今お話しがございましたが、これも公表いたしておりませんし、また、先方の申して参ったことも、これも終結まではお互いに公表しないという慣例になっておりますから、さよう御承知願いたいと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 衆議院においてもそういう答弁をされておりますが、政府はそれで国民に対してこれは責任を感じないのでありますか。それならば私は伺います。これは債務なのですか、どうですか、まずその点について伺います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) なお、先ほどのお話しで、五億五千万ドルという数字があげられましたが、これはもちろん数字は申し上げられませんが、そういう数字ではございませんことだけを申し上げておきます。  それからこの問題について、債務なのかどうかということでございますが、これは従来から一貫して申し上げておりまするように、このガリオア、エロアの日本に対する問題は、われわれは債務と心得ている、その援助あるいは借款というものが、ことごとく債務であるということではないのでございまして、これは外交交渉によって債務額を確定したら、これを国会において憲法八十五条の手続によって御承認を得たそのものが債務となる、債務として確定したいということでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 この五億五千万ドルという金額ではないと言われましたが、それじゃどういう金額ですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) それは申し上げられませんが、そういう金額ではないということだけを申し上げておきます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 数字について議論をしますと時間を空費しますから、先へ進みますが、債務と心得るということになっていると言われるならば、それじゃ確定債務じゃないわけですね。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 確定債務ではございません。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 確定債務でないのに、なぜどんどん額についてアメリカ側と交渉するのですか。債務と心得ると——政府が心得ておって、そうして国会の承認を得て確定債務となった場合に、その額をどうするかということについて折衝するならば、それはわかります。しかし、これは国民のまた税負担になるのでありますし、これについては債務でないという論拠もあるのでありますから、まず国会において、政府がこれまで債務と心得てきた、それがよろしいかどうかということを国会に諮って、それで確定債務ときまったならば、そのときに額について折衝するというのが順序ではないかと思うのです。その確定債務として国会に承認を求める際に、その内容について国会において十分論議をさせる必要があると思うのです。そういう論議をさせないで、政府はどんどん交渉して確定しちゃってから国会に出してきて、そうしてこれを承認を求めるということは、これは私は国民に対して無責任な態度ではないかと思うのですが、どうですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) いずれ交渉が終わりましてから、これは当然国会にかけまして、十分国民の前にその内容を明らかにし、また国会の御承認を得るということを考えておるわけでございます。ただいまは外交交渉中でございまするので、金額の点については、これは発表するわけにいかないと、こう申し上げておるわけであります。大体このガリオア、エロアの法的な性格について、ただいまお話しがございましたから、申し上げなければならぬと思いまするが、これはアメリカから提供されました援助でございますが、終戦直後、御承知のように非常な社会不安、経済混乱がございまして、民生を安定するためには何らかのささえが必要であったわけでございまするが、このときに行なわれましたガリオア、エロアという資金が、非常に日本の経済復興、民生の安定を助けたわけでございまして、政府はこれをもって無償で贈与を受けたものではないと考えております。ただ、いずれ時期が来れば何らかの形で処理をいたして返済を要するものと考えておったのでございまして、その意味においては、ただいまも申し上げておりまするように、債務と必得ておったわけであります。そこで、この問題については、従来から国会でもいろいろ御議論がございまして、お答えを申し上げておりまするように、一九五四年——昭和二十九年に会議が日米相互間で持たれまして、その翌年に重光当時の外務大臣がアメリカに行かれまして、日米間の共同声明の形において、この問題はできるだけすみやかに解決をするということを発表しておるのでございます。その二十九年の交渉当時に、先方がいろいろ資料を出しておりまするが、先方の出した資料、またその後における政府の考え方等について、少し御説明をさしていただきたいと思います。その当時先方の出しましたのは、一九四五年九月二十二日付の降伏後における米国の初期の対日方針、あるいは同年十一月一日付の日本占領及び管理のための連合国最高司令官に対する降伏後における初期の基本方針、それから一九四七年六月十九日付の極東委員会決定の降伏後の対日基本方針、その他米国の政府関係者が議会において証言した証言等を資料として提出しております。要するに、これだけの費用を外国へ持っていって出しまするためには、軍の費用としての支出について国会の承認を得なければならぬわけでございまするので、その証言が行なわれておるわけでございます。この証言の中におきまして、米国予算からの支出は日本の債務となるが、これは日本国内にあるすべての資産に対する第一義的債権として保護されなければならない、援助は慈善行為ではなく、また日本国民も慈善を欲していないというふうな言葉も述べられておるのであります。  わが方の関係でございますが、一九四九年四月十四日阿波丸協定ができたのでありますが、そのときの付属了解事項が日米間に合意されておりますが、これは占領費並びに日本国の降伏のときから米国政府によって日本に供与された信用及び借款は、日本国が米国政府に対して負っておる有効な債務であるということを確認いたしておるのであります。この際に、本院におきまして行なわれました本会議において、当時の吉田首相兼外務大臣は、こう述べておられるのであります。「そのクレジット、或いはいわゆるガリオア、エロア・ファンド、費用と言いますか、或いは日本に対する棉花その他のクレジットというようなものが、恰かもアメリカ政府から日本が種々常に無償で以て貰っておるような誤解を与えておりまするから、この機会に了解事項として、附加えたのであります。」ということを言っておられます。そこで、そのガリオア、エロアの問題は、これは国民が費用を払ってその支給を受けておるのであります。その金は日本政府が受けております。従って、この日本政府とアメリカ政府の関係において、アメリカ政府の側においてもそう言っておりますし、日本政府はいまだかつてこれは無償でもらったものであるということは一度も言ったことはございませんで、一貫して債務と心得ており、常にこの解決をいつの日にかしなければならぬ、かような態度できておるわけでございます。国会においても、感謝の決議がございますのですが、国会における感謝の決議があったということは、当時の経済状況その他からいたしまして、やはりその当時感謝の気分を表明するに適切な背景があったわけでございます。すでに、無償ではない、金を払ってそうした物資を買っておる国民を代表して、国会が感謝の決議をするということは、これはその当時としてきわめて自然なことであったのでありまするが、だからといって、それはアメリカ対日本政府の関係において、無償であるということにはならないかと思うのでございます。さような関係でございまして、われわれといたしましては、終戦後、講和条約発効後十年にもなりますし、適当な解決の時期であろうと、こう判断いたして、この問題を処理したいと、かように考えておる次第でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 ついでに伺いますが、新聞の伝えるところによりますと、池田総理が渡米するのに、その準備のためにライシャワー大使がアメリカへ帰ると、帰任するその前にこれを妥結しておきたいという政府の腹がまえのようであると、そういうふうに新聞が伝えておりますが、そういう心づもりですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) この問題の解決は、もう昨年来いろいろと企てられておったのでございまするが、日米安保条約の審議等もあったり、いろいろのことがございまして、そのうちに予算の審議を願わなければならぬというようなことで、だんだんおくれおくれになっておりまして、予算も通過いたしましたり、いろいろして、もう解決の時期であるということで、交渉が開始されておるわけでございます。まあできるだけすみやかに双方合意に達するような心組みで交渉しようと、こういうことでございます。従いまして、できればこの国会後池田総理の御渡米前にこの問題が結着することが望ましい。といたしますれば、先方の大使がおるうちにできれば、それがベターであろうと、こういうことでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 木村委員に対する外務大臣の長い御答弁に関連して一つだけ伺います。一貫して債務と心得るという言葉でありますが、われわれ日本人にはわかったようなわからないような感じがいたしますが、交渉をもう長くされておる間に、アメリカ側に対して、これはのみ込んでおるのだ、心得ておるのだという言葉を使ってやっておられるのか、それが一つ。  それから、小坂外務大臣は大へん英語がお上手のようでありまするから、債務と心得るというのは英語で何と言うのか、後学のために一つ承っておかぬと、アメリカさんも大へん迷惑すると思うのです、心得ておっただけでは。その二点について伺います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 債務と心得ておるということは、いつか交渉して、債務だと確定して払おうと、こういうことなんでございまして、そういう点は、アメリカ側においても十分了解をいたしておるわけでございます。英語の点は、どうも日本の国会で言うのはどうかと思いますけれども、はなはだ私も英語は上手でございませんのですが、何といいますか、ディームド・アズ・ヴァリッド・デットとか、リガーデッド・アズ・オブリゲーションとか、そういうようなことでいいんじゃないかと思います。要るすに、そう観念していると、心得ておると、こういうことでございます。ディームドとかリガーデッドとか、そういうふうな言葉でいいんじゃないかと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そうすると、向こうには心得てない証拠に、今、条約局長が来て、横文字らしきものを教えたようでありますが、そうすると、心得ておるというような、国会で確保した方針というものは、アメリカ側に外国語で、わかるような言葉で通じてない、やはり債務として交渉しているのだと、こういうことがはっきりわかると思うのです。この点どうですか。  それから向こうがこの交渉を申し入れたのは、二十七年の四月二十六、七日ごろと、及びその年の暮ごろにも、また重ねて申し込んできた。このときの向こうの申し入れの文書と、こちらは二十七年の暮には文書で回答しておるようでありますから、スタートの書類、これを国会に資料として出していただきたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 先方には外交交渉をやって、そしてその金額を確定して払おうということは言っているわけで、これが債務と心得ているということなんでございますから、そういうことを英語で申しますれば、これは十分に先方は了解するわけでございます。その確定する金額も、いわゆるガリオア、エロアの援助あるいはクレジットというものとは合致しないものであることも、先方は十分了解しておるわけでございますし、先例も、いわゆるドイツ方式といわれるものもあるわけでございますから、それはわかっておると思います。  それから後段の資料の問題は、これは国会のおきめになることでございますから、そちらの方で……。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 まだ確定債務でないのに、額についての交渉をするということについて、適当であると思っていますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 交渉しないと、確定するものは出てこないわけでございます。確定するための交渉ということは、これは当然なさなければならぬわけでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 先ほど来、いかにして債務であるかという、いろいろな資料について報告されました。また、われわれにも資料は出しております。しかし、他方において債務でないという論拠もあるのですよ。われわれにお出しになる資料は、いかにして債務であるかということを一生懸命論証するために国会に答弁をされている。そういう資料も出しておられるが、国民の利益の立場に立って、もちろん不合理な主張では参りませんが、日本国民が損にならない立場で、債務でないという論拠があったら、そういう資料もお出しにならなければならぬ。その債務でないという論拠に立って、アメリカ側と交渉されたことがあるのですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) こんなものは全然債務ではないじゃないかというお言葉に対しては、こういう点では債務と心得ざるを得ませんということの意味において、資料は御提出申し上げているわけであります。先方に対しての交渉の過程では、できるだけアメリカ側においても、国民感情とか、日本の経済の状況とか、そういうものを十分尊重するように、われわれとして皆様のおっしゃるようなことをいろいろ言っているつもりであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それでは、債務と心得ざるを得ないというお話があったのですが、その論拠を伺いたいのです。一体対日援助というのは、先ほどお話がありましたが、日本の経済を早く復興させるためというふうな説明がありましたが、一体対日援助の目的はどこにあったのですか、まずその根本から伺いたいのです。真の目的は一体どこにあったのですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 日本と交戦して日本が降伏した。そこで、日本の占領に当たってみたけれども、この日本の生活あるいは日本の経済というものを、やはり十分に引き上げなければ、これはやはり人道的にもはなはだ困る、まずいことでありますのみならず、やはり世界平和のためにならぬ、こう思って対日援助というものは両方の面から行なわれたのだと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それは非常に抽象的な御説明で、あの当時の具体的なあの情勢の事実に立って判断すべきだと思うのです。簡単に日本の経済を復興させるというだけの論拠ではないのです。たとえばロイヤル長官が演説しております。ロイヤル長官は、最初アメリカ軍の占領政策として、徹底的に日本から武力を排除して、日本がアメリカに対する敵対国とならないようにまずするということが、占領政策の最初の目的であった。しかしながら、こういう意味のことを言っているのです。占領初期の政策に基づいて財閥を解体したり、独占禁止法を制定したり、経済力集中排除を行なったり、戦争に責任のある財界人を追放したりしたが、アジアに共産勢力が増大し、根本情勢が変化した今日から見ると、この政策は日本の自立復興をおくらせ、共産勢力に対抗する力を弱める結果となってしまったので、ジレンマに陥った。そうして、その結論として、ロイヤル長官は、われわれは自立すると同時に、今後極東に生ずべき他の全体主義的戦争の脅威に対する制止役として役立つほど十分に強く、かつ、十分に安定した持続した民主政治を日本に建設するという、確固たる目的を固守するものである。そうして、アメリカの対日経済援助を力説しているわけです。当時アメリカ国民は、戦争した日本に経済援助をする、この経済援助という意味は、これは供与というふうにいっておりますが、これは私は返済を予定したものではないと思うのです。アメリカ国民の税金をもって日本にそんなに復興のために使うことは不満だという声が非常にあったわけです。そこでロイヤル長官は、それは日本を共産主義の防波堤にするのだ、そういう必要が出てきたのだ、中国に共産政権が樹立されたので、そこで情勢が一変したので、対日占領政策はそこで転換さしたのです。そこから生じてきたのです。単に日本の経済を復興させるという意味ではないのです。その点はどういうふうに御理解になりますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) いろいろの議論はできると思いますけれども、先方の陸軍省の関係者の名前をあげられましたから、その関係者の言を引いて言いますと、やはり一九四九年の先方の下院の歳出委員会で、ガリオア資金はドイツ経済に対する貸金となる。しかし、それと同様に、これは日本についても貸金となる、こういう証言をいたしておりまして、くれたと言っていないのであります。われわれは、幸いにして戦後の復興がりっぱにでき上がったわけでございますけれども、しかし、人の慈善によって、人のお情によってこれができたということを、いつまでも私はおいておくべきでないのじゃないか、いわんや、これは貸金だと先方が言っている以上、やはり将来の国際信用の上から見ましても、ある額について、先方と合意するものをきめまして、これをやはり貸金だと先方が思っておるなら、そのうち貸金とするにふさわしい額をきめて先方に支払うということは、将来も、日本の発展のために、国際信用を大事にする立場から必要である、かように思っております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 今、ロイヤル長官は、私が述べたようなことを言ってないのですとおっしゃいましたが、ロイヤル長官は、一九六一年一月六日サンフランシスコにおいて演説してるんですよ。その内容を私は紹介したのです。その点、そういうことは言ってないというお言葉、何を根拠にしておられるのですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 私はそう申し上げておりません。いろいろなことが言われておりましょうが、ただ、その責任のある下院の歳出委員会において、陸軍関係者ヴォリーズ陸軍次官補とか、ドレーパー陸軍次官であるとか、そういう関係者が公式の席において申しておることはさようなことでございますということを言ったわけであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 関係者が公式の席において述べたことが、これは債務でないという証言をしておる場合はどうなんですか。あなたが債務であるという、そういうことばっかりを一生懸命に、そういう資料を集めておるんですがね。どこの外務大臣ですか。合理的な立場に立って、実はアメリカは、その日本の経済復興を援助しましたが、決してアメリカは損してないんですよ。日本を共産勢力に対する防波堤に使おうとして日本に投資してるんですよ。それ以外の損でないというものはあります。論拠はあるんですが、ですから、まず、これを債務と心得ざるを得なくなったと言われますが、その心得ざるを得なくなるというその立場ですよ、立場を、どういう姿勢に立って、債務と心得ざるを得ないというふうに考えるか。そこが重大だと思うのですよ。その点、どうなんですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 私も、できるだけこの日本の立場というものは、これは主張すべきものは主張したいという趣旨で先方には申しております。ただこれは、全然ただだということをおっしゃいますから、そうは参りませんということをいろいろ申しておるのであります。これは、資料として差し上げましたけれども、当時受けておりましたガリオア、エロアの実際の配給の過程というものは、先方から指令書が来ておりまして、この指令書には、支払条件その他は、またその経理の方法というものは、後日決定するということが書いてございます。日本の政府は、そうしたものを受けて、そして配給をいたしておるのでございます。で、その受けた政府というものは、国民から金を取っておるのであります。国民はすでに政府に金を払っておる。政府は、その国民が出してくれた金をいつまでもただふところへあっためて、これはもらったもんだ、もらったもんだと、先方は貸したもんだと言っておるにかかわらず、そう言い合っておって、一体日本の信用のためにいいのかどうか、こういう観点から、私は問題を取り上げておるつもりでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 関連質問でありますし、それに、本件については、本予算の際に詳細に承ったので、私は一問だけ総理大臣にお伺いいたします。なぜこのガリオア、エロアに関する資料が公開できないのか。私は、外交のことは何でも公開の席でしゃべっていいとは申しません。たとえば、中国問題にしても、あるいはその他最高度の外交上、政治上の問題を一から十まで公開の席上で説明しろということは、これは言う方も無理だろうと思います。私はそういうことを言っておるのじゃない。そういう高度の政治上、外交上の問題とも思われない、純経済上の問題であるこの対米債務問題、しかもこれは、金銭上で幾ら借りたか、あるいはどれだけが純粋のクレジットであるかどうかという明白な資料に基づいて公表すべきこの種のものがなぜ公表できないのか。少しも秘密を私は要しない性質のものだと思います。また公開されても、それは日米双方に何らの外交上、政治上の迷惑をかける筋のものではありません。全国民を納得させ、また、予算審議をする国会のわれわれの立場にも十分説明のつく、そういう私は性質のものでなければならぬし、またそういう性質のものであると確信いたします。それがどうして公開できないのか。これは基本的な問題です。むずかしいことを申し上げておるのじゃない。国家の機密に属するようなことを私はここで公開しろとは申しません。金銭の貸借の問題です。借りた借りないということは、株式会社でも経理の公開をするでありましょう、株主に対して。同様のことをこの席上で、政府が公然と、これだけの借金があります、いや、これは借金じゃないのだ、そういうことを資料に基づいて明白にお答えをいただくのが私は適切ではないかと思います。この一点だけ、総理の見解を一つ承りたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 羽生さんのおっしゃる資料というのは、多分通産省におきまして、向こうが置いて帰りました資料の集計だと思います。その点につきましては、こちらにおいても十分今検討もしておりますし、また、この資料が金額の折衝の重要な材料だと心得ておりますので、今折衝中におきましては、これを出すことは遠慮したい、しかし、折衝が片づきましたならば、いち早く野党の領袖には私は十分説明いたしたい、こういうことで、衆議院におきましても了承いただいているのでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 この折衝がついて、向こうと妥結する、調印をする、こうしてから公表して、それが何の役に立つのですか、実際問題として。あなたは、国会へきまった金額を出してきて、承認を求めるのです。だから、事前にここで国会に出して、それを十分検討させるのが政府の義務じゃないですか、国民に対する。しかも、これから御質問するように、債務でないという論拠があるわけなんですよ。ですから、確定債務とするにあたって、それを国会にまず諮る必要があなたはあると思う。  それで伺いたいのは、ドッジ氏がアメリカの第八十一国会の下院の歳出委員会で、ガリオア、エロアについて証言している証言、御存じでありますか、外務大臣。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 手元にそれを持ち合わせておりませんが、あらゆる機会において、アメリカ側が、ガリオア、エロアの日本に対する援助は贈与であって債務でないということを言ったことはないというふうに承知をいたします。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それは、ドッジ氏の証言を冷静に読めば、これが債務であるという結論がどうしても出てこない。なぜドッジ氏みたいな有力な人が証言したこういうものを参考にされないのか。時間がございませんけれども、重要でありますから、これから紹介します。  ドッジ氏はこう言っております。対日歳出要求の主要な構成が食糧と綿花とに関連していることは強調さるべきである。現在も将来も、これはいずれも過剰物資であり、商品、金融会社によってすでに買い上げられているが、この商品、金融会社は現行立法によって買わなければならぬものである。その限りで、現在も将来も政府支出の増加を意味しない。対日援助計画の実費はこのように主として要求された資金で購入さるべきものが、過剰物資であるということを十分考慮されるべきである。一九五一年度に日本向けに要求される経済援助総額二億七千百万ドルのうち八七%は、アメリカの過剰物資の購入と輸送に向けられたものであり、その中には、小麦が一億三千百万ドル、綿花の九千九百万ドル、油脂の五百万ドルが含まれている。歳出要求と関連してさらに重要なことは、本年度に日本に与えられる援助は、日本が占領軍に与える費用のドル換算よりも少ないという率直な事実である。本年度の日本に対するガリオア援助資金要求額は二億七千万ドルであるに対し、占領軍のための日本政府支出のドル換算は約二億九千七百万ドルになろう。日本占領のアメリカ軍のため日本政府による支出は、もしそれがなかったら国務省の軍事予算から約三億四千五百万ドルを必要としたことであろう。合理的な適切な援助額は、他の地域と比較して割のよい投資なのである。日本は現在極東におけるわれ一われの既存のインタレストの焦点をなしている。将来も相当期間の間、それは米国の幾つかの重大インタレストの一つになるだろうが、現在では日本は、アメリカが大きな影響力を持ち、かつ、われわれが目的達成に必要な諸要因のすべてに完全な統制力を持っているアジア唯一の国である。過去一年、ことに最近におけるこの地域のできごとの傾向は、日本におけるわれわれの地位を増強し強化する必要を強調するものである。われわれの将来の発展は、極東地域への今後の援助拡張の跳躍台として、また供給源として日本を利用することを必要ならしめるであろう。こう言っているのです。これでは明らかに、かりに債務であるとしても、アメリカの軍事予算をですね、日本の終戦処理費との見合いになってドッジ氏は考えている。だから、日本政府が占領費としてアメリカ軍に支払った額の方が多いんであるということをドッジ氏はここで強調しておるのです。それでアメリカ国民に対して、決してこれは損をしているんじゃないんだと、こういうことを強調しているんですよ。これから見れば、アメリカは、また少なくともドッジ氏は、当然これはグラント、返済を私は予定しているものじゃないと思うのです。また、アメリカ国民が日本に対する援助を非常に不満に思ったのは、これは貸付金で返済されるといえば、そんなに不満は持たなかったと思うのです。これが援助という形、これはグラントという形、贈与という形になるからこそ、ドッジ氏は、これはアメリカ国民の税金からこれを負担しているんだということを強調し、そして今私が紹介したようなことを述べている。こういう論拠があるんですよ。いかがですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) ただいまお読み上げになりましたものからは、これは贈与であるということは出てこないと思います。ドッジ氏の今の話は、結局、アメリカの予算の支出状況から見て新たなる予算の増額を対日援助によって要請される場合は非常に少ない。そうでなくても農産物買い上げのための予算は要るんだから、それでこっちへ回したっていいじゃないかということの趣旨のようにとれます。それから歳出委員会における公式のドッジ氏の証言は、これは役所の資料がございますけれども、これは債務ではないと、日本に対する債権でないということを言っていることは全然ございません。  それから念のために、先ほどちょっと私申し落としましたことをつけ加えさしていただきまするが、このガリオア、エロアのものが日本へ来まするときに、このスキャッピンによって配付しておるわけでございますが、先ほど申し上げたように、この支払い方法について、あるいは経理の仕方については、後日協議すると書いてあります。これはみんな返せとは書いてありませんが、協議すると、こう書いてあります。それを受けました日本の政府が、これは私ども自由民主党だけの政府だけじゃないのでありまして、終戦後は東久邇宮内閣、あるいは幣原内閣、あるいは片山内閣、あるいは吉田内閣、いろいろの内閣があるわけでございまして、これらが、そのときにこれはもらったものだということをはっきり言うてしまっておれば、これは話は別だと思います。しかし、そういうことを書いてあるものもそのままに受けて、あといつまでも協議をしないで、自分の方で一方的にあれはもらったものだ、もらったものだといっておるわけにはいかないということだと存じます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 ヴォリーズの証言というものもあるわけですね。また、このドッジ氏の証言もあるわけです。今私が紹介したドッド氏の証言は、今、外務大臣が言われたような内容じゃないんです。もっとよくお読みになってみればわかります。  それで、一体外務大臣はだれの利益のために折衝されているのですか。これも債権債務とか、あるいは、あれですね、アメリカから慈善的にもらったのじゃないという立場に立っても、アメリカはこれに、ドッジ氏が言うように、援助以上のものをプラスしているのですよ。ですから、そういうドッジ氏のこういう論拠もあるのでありますから、そういう立場に立ってどうして折衝しないのか。今までお話し伺っておりますと、何かアメリカの外務大臣が日本人に対して債務だ、債務だということを一生懸命に説得するように努力している、それでそういう資料をいろいろ集めてわれわれを説得しているように見える。本来ならばあれは債務であるとまた債務と心得るということがあったかもしらぬけれども、こういう論拠に立って債務でないという論拠もあるのだと、そういうことをそういう立場に立ってなぜわれわれに答弁され、また折衝されないのか、私非常におかしいと思う。今まで伺っていますと、何かいかにも債務であるということを一生懸命論証するように聞こえるわけです。で、債務でないというそういう論拠もいろいろあるんですから、そういうことも総合して、これは私は国会に答弁すべきであり、折衝さるべきだと、こう思うのです。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) ドッジ氏の証言その他を木村さんがお引きになりまして、私はドッジ氏とは何年間も、数百回も会いました。しかも、ガリオアの問題も議論しております。申し上げますが、ドッジ氏は議会におきましても、これは贈与でやったものじゃないと、私にも適当な機会にこれは返すべきものだと思うということをこの池田に常に言っておられることを申し上げておきます。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 私は、今の木村さんの御意見に対して、こういうふうに私が思っておるという気持を申し上げたいと思います。私は元来、この外交交渉になっているものについて、実はこういう席であまり御議論をしたくないのです、ほんとうのところを申しますと。これは御質問があるから申し上げざるを得ません。それはなぜそういうことを申し上げるかと申しますると、これはもちろん私は日本の立場においてできるだけのことを言うわけでございます。しかし、ここで木村さんがかりに債務でないのだとおっしゃったことについて一々肯定いたしましたならば、今度はそれが何がしか確定したときに、私が前言を翻したとかなんとかいうことになるのでございまして、やはり私は債務でないとおっしゃることについては、こういう点では債務と心得ざるを得ないということをまた申し上げざるを得ないのでございます。そうかといって、また、それをあまりあなたに説得いたしますと、今度は日本の立場が交渉に当たって非常に弱くなるのでございます。そういうことでございまして、もうわずかのことでございますから、できるだけこの際、この論議というものについては私を御信頼下さって、あまり御質問なさらぬようにお願いできれば、はなはだ私はしあわせと思います。これは強要するわけじゃございませんが、私の心情を申し上げたいと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 わずかなこととは何ですか、わずかなこととは。かりにアメリカ側の日本側に提案として伝、えられる四億三千万ドルでも、これはわずかじゃありません。それは大きい金額じゃございませんか。  それから今、総理大臣がドッジ氏がアメリカの議会においても贈与でない、債務であるということを証言されていると言われました。それでは資料を提供していただきたい。そういうあれがあるなら、なぜわれわれに対して、この資料にそれがないのですか。ドッジ氏がこういう証言をしておるのですから、それからさらにドッジ氏だけでなく、ロイヤル長官、あるいはマッコイ少将のあの当時の証言を冷静にごらんなさい。冷静に見れば、どうしたってこれは贈与と解釈せざるを得ないような、あのころの状況から判断してそういう解釈をせざるを得ないのですよ。ですから、われわれとしては、あの当時の情勢から、またドッジ氏の証言、ヴォリーズ氏の証言等を勘案すれば、債務と心得ざるを得ないという論拠は私はどうしても理解できないのです。そのドッジ氏の国会での証言、ございましたら、それを資料として出していただきたい、そういうものがあるのでしたら……。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 私はもうしばらくのことですからと申し上げたのは、まあ今交渉しておりますから、話がきまりますれば、もう大して時間もかからぬことにもなりましょうからという意味で申し上げた。金額を言っているのじゃありませんから、どうぞ速記録をよくごらんになっておっしゃっていただきたい。  それから今のドッジ氏の証言については、これはもうはっきり申し上げますが、贈与であるなどということは全然言っておりません。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 その資料を、国会で贈与でない、債務であるというふうに言っておる例がありましたらば出していただきたい。そうでなければ、何を根拠にしてそれを言われるのか。これをはっきり出していただきたい。  それから、すぐというのは、金額ではない、時間のことでありましたが、それについても、私はそういう言い方をするのはおかしいと思うのです。すぐなんだからまかしておいてくれ、そこが問題なんであって、すぐだといって妥結しちゃってから国会に出してきたらどうするのか。さっき羽生氏が質問されたように、妥結しちゃってから公表して、そうしてわれわれ幾ら論議したって、これはもう国際信義として、これをもし否決したような場合どうなりますか。そういう点を考えれば、事前に十分にその内容を発表し、そうしてそれに対してわれわれの意見も十分開陳させる機会を与えるべきじゃないですか、具体的に。その点どうお考えですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 木村さんも慶応大学で長く教師をしていたし、私も教鞭をとったことがあるのですから、物を理詰めに進める考え方も承知していないわけでもないのでありますが、とにかく今申し上げたように、交渉中に資料を公開して御議論を願うということもいいのでありますが、これは債務でないという立場をそれによっていろいろおっしゃいますと、私どもは債務であると言わざるを得ないのです。そうしますると、私どもは今あなたのお述べになりましたいろいろなことは十分頭に入れて、非公開を公開するわけにはいきませんが、いろいろ強く主張しておりましても、向こうに対して言いながら、国会に対しては、あなたにお答えをするときには今度はその主張を弱めざるを得ない。日本の立場が弱くなる。そういうことではなはだ交渉に不利であるということを申し上げたのであります。決してあなたと私と日本のためを考えるということにおいて変らないと思います。そういう点は御信頼願えないものかと思うのです。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 関連。ちょっとお伺いしたいのですが、さっきから国民感情、国民感情ということを盛んに言っているのですが、まず私のお聞きしたいのは、先ほどの木村委員の質問と関連いたしまして、過剰物資であるという点ははっきり認められておるのですが、国民感情の立場からいうと。あの物資、ことに農産物は腐った小麦とか、アサガオの種がたくさん入っておる。国民はまぎれもない生活感覚として受け取っておる。そうしてしかもこれは新しいものではない。過剰物資でも、アメリカの農産物会社に融資をする、その融資の条件というものははっきりきまっておる。その融資の条件の中で、一つの明確な事実は、古い腐ったものから出すことになっておると思う。こういうような事実から考えると、あの出されたものはこれは全く日本国民の口に合わないようなものであったことは明白だったと思う。この点で、過剰物資であったかどうかという点についてどういうふうにお考えになっているかということ、それから、当時入れられた物資は何年度の一体産物なのかというようなことを確認されておるのかどうか、こういう点についてお伺いしたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 終戦直後の食糧事情をお考え下さればわかると思いますけれども、あのときは、日本はむろん非常に欠乏でございました。しかし、戦後の世界の全体の穀物の取得額、生産状況はこれはやはり非常に足りなかったのでございまして、終戦直後のあの混乱期に受けました日本への援助というものは、余っていたからただやったというふうなそういう状態ではなかったことは岩間さんも御承知のことだと思います。  それから腐ったものがたくさんあるとおっしゃいますが、そういう悪いものが顕現されれば、引いてもらえることはそれは当然だと思います。しかし、それが一体、全体のどのくらいあるか、あなたは全部腐っていたようなことをおっしゃいますが、もちろんそんなことでないことは明瞭だと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 関連。外務大臣に伺いますが、アメリカ側はいろいろな機会に責任ある当局者が贈与ではないというようなことをいろいろな機会に証言をしておる。しかし、小坂さんも政治家でありますからわかると思うのだが、アメリカというのは、税金については非常にうるさい国民である。そんなに何でもやってしまうのだということでは国会は通らない。だから、対国会用語とし、あなたがちょうど心得るという表現を使うようにそれは贈与でない、われわれの債権と了解しているのだと、こういう態度で歳出委員会その他で話しするのはわかると思う。が、ほんとうの腹はそこに後日協議をするという言葉でわかるように、必ずしもアメリカ国民に言った通りではないのだということが、後日協議するに入っていると思うのですね。それだから、ただアメリカのドッジさんがどう言ったとか、マッカーサーがどう言ったとかいう言葉だけを、そのまま文字通りに解釈するには、少し小坂さん、官僚過ぎるのじゃないかと思う。その点伺います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 債務でないということにはならぬという意味で申し上げておるので、このガリオア、エロアそのものが債務であるということじゃないと思います。ですから、協議決定するということは、決定して適当な金額もきめて、それは日本の国会、アメリカ側の議会、それぞれ承認を得るものが債務として確定せられる、こういうことでございまして、ないのじゃない、しかし全部じゃない、その妥当な額は双方で十分相談してきめる、こういうことでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 いろいろ外務大臣の債務と心得ざるを得ないというのは、論拠についていろいろ伺ったのですけれども、われわれがまた債務ではない、また、かりに債務としても、終戦処理費ですね、終戦処理費を差っ引けば、これは私は、むしろ終戦処理費の方が多くなってしまうのじゃないかと思うのです。そういう終戦処理費をかりに百歩譲って債務であるとした場合、終戦処理費をこれを差っ引く交渉をされているのかどうか。ドッジ氏は終戦処理費とも比較しておりますからね。それから、日本政府が負担した終戦処理費、占領費、これを差っ引けば支払わなくても済む、むしろおつりがくるくらいのものになると思うのですが、この点はどうなんですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 終戦処理費とガリオア、エロア・ファンドとは全く別でございます。日本は、お話のように五千百三十一億円ですか、終戦処理費を払っております。これは複数レートですから、いろいろ換算のやり方はあると思いますが、本院では四十七億ドルということになっている。それだけでももう倍以上になるわけです。差っ引けばむしろ倍以上になってしまうわけです。これはもう全然別でございます。西ドイツの場合でも、終戦処理費六百六億マルク、百二十七億ドルということになりますが、これを払って、しかも十億ドルのガリオア、エロア資金の返済を三十年間で約束をいたしておる。しかも、それをまた繰り上げて、今年度に約八億ドル以上のものを払って、二億ドルを残して、ことしで、八年間でやってしまうというようなことをいたしておるわけでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 どうしても外務大臣の御答弁がわれわれを納得させることはできません。あの当時の対日援助の目的、それからあの当時の情勢等から考えて、どうしても私はこれはグラントである、贈与であると解釈せざるを得ないのです。われわれはこの立場をどうしても変えるわけにいかない。ですからあくまでも債務ではない。債務であるとするならば、確定債務にするためには、まず国会にこれをかける、それから額の交渉をすべきだ、国会でまだ債務ときまらないうちに進めるということは非常な不当であると思う。しかし、また次に重要な質問ございますので、ガリオアの問題については、後日また同僚の森委員が質問されることになっておりますから、私は、この程度でガリオアの問題についての質問は打ち切ります。  次に質問いたしますのは、三十六年度予算の編成の前提条件、これが皮肉にも、三十六年度予算が実施された段階になって、その前提条件が狂ってきている。それで私は、その前提条件について、それがどういうふうに狂ってきているか、そしてこれに対して政府がどういうふうに対処すべきかについて、具体的に質問して参りたいと思うのです。それで、すでに私たちは、この予算委員会において、もうしばしば政府の予算編成の前提条件に対する考え方が間違っているということを指摘してきたわけです。しかし当時は、見通しに関することでございましたから、それを論証する具体的な資料が出てきていなかった。たとえば、物価指数とか生産指数とか、あるいは財政投融資とか雇用の問題に関する資料とかが出てきておりませんでしたが、幸いに、今その資料が出そろってきておりますから、その具体的なデーターをもとにして、それで、政府のこれまでの見方、見通しがいかに間違っていたか、いかに無責任であったかということを明らかにして、その反省を求め、政策転換を要求したいと思うのです。これから五つの点にわたって、逐次政府の見解をただしたいと思います。  まず第一は、税収の見積もりです。大蔵大臣に伺いたいのですが、三十五年度の税収は、結局どの程度の見積もりになりましたか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 三十五年度の税収は、すでに一次、二次の予算補正で御説明いたしましたが、その補正後生じています自然増収の総額は、四月末で九百二十五億円、今後まだ若干の増が見込まれますので、大体九百四十億円前後の自然増ということになると思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そうしますと、三十五年度の当初予算に比べて、どのくらいの増収になりますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) はっきりした集計はしておりませんが、約二千九百億であります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 総理大臣に伺いたいです。総理大臣は、昨年十二月二十日のこの予算委員会におきまして、三十五年度の自然増収は二千九百億になると思う、こういうふうに私が質問したところが、総理大臣はこう答弁しております。「自然増収二千九百億ということは、これはもう間違いであるということは、私ははっきりと申し上げておきます。」、こういうふうに書いてあります。これはいかがですか。当時私は、最初の第一次補正の千五十四億については、これは予算以上の経済成長率であったから、これは狂うのはいたし方ないだろうと、譲歩いたしました。しかし、その後の税収見積もりについては、われわれといえども二千九百億、ぴったり合っているのですよ。そうして総理大臣は、「これはもう間違いであるということを私ははっきり申し上げます」、そういうふうに言われているのです。これは総理大臣、どういうふうにお考えですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) あの当時の状態からいって、二千九百億ということは、私として考え得られなかったから申し上げたのであります。御承知の通り、日本の経済が予想以上の高度成長をしたということは、万人の認めるところであります。従いまして、私は二千億をこえるとは思いましたが、二千九百億ということを、責任の地位で考えますと、私はそういうことにはならぬと思った。ただ、みんなが予想した以上の高度成長が行なわれているので、私の見通しが違ったことは、まあやむを得ないと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 ですから、一番専門の税収の見積もりについてさえ総理大臣は間違っておる。われわれが合っているのですよ。ですから、その他の見通しについても、これは類推できるのではないかと思う。池田総理の所得倍増計画につきましても、これは、どうも税収見積もりと同じような間違いを犯すのではないか。われわれが主張している社会党の長期政策の方が、これは当たるのではないか、正しいのではないかと、こういうふうに思う。その一つの証拠、例証として私は御質問したわけでありますが、そこで、大蔵大臣に伺いますが、約九百四十億、第二次補正後にまた自然増収が出る。これはどういうふうに処理されるのですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) これは、まず見積もり違いの原因でございますが、今、総理大臣からお答えになりましたように、三十五年度の生産の伸びは、当初九・九%と見ておったことは御承知の通りだと思います。ところが三十五年度の実績は、予想外の伸びでございまして、二三・三%、誤差が一三・四%ということですから、最初の見込みより誤差の方が多いというくらいの異常な経済の成長を遂げましたが、従って、これを中心として、生産、物価、雇用、賃金というようなもの、一連の税に関係のある経済指標というものも、全部大幅に見込みが違って参りましたために、それが集中して、こういう自然増の増大を来たしたというのが実情でございます。従って先般補正予算のときに申し上げましたあとで、予想が狂って参りましたおもな税目について申し上げますと、所得税で、源泉所得において、まず年末手当が、当時私どもの予想したよりも五%以上手当が多いということ、それから配当所得の増加、そういうようなもので、あのときから二百億円の見積もり違いを生じております。それから、申告所得税におきましては、所得の増加は、当然ある程度のものを見ておりましたが、これも見方より少しふえましたし、不動産譲渡所得の増加が、特にこれは予想以上のものでございました。収納率の向上というようなことから、申告所得税で百七十億円ぐらい見込み違いをしております。それから、法人税におきましては、更正決定の増差税額の増加とか、あるいは猶予制度があっても、みんな猶予してもらわないで、すぐに払うというようなことで、税収の猶予率が低下しておる。所得率が伸びたり、いろいろなことから、法人税で二百億円くらいのあの当時申しましたよりは見積もりが違っております。それから、輸入が予想外に多いということ、機械の輸入も、非常に当時の見込みよりは今ふえておりますので、関税において約百億円、あのときに私どもは、三、四百億円のまだ自然増は見込めると申しましたが、そのときから狂った数字のおもなるものを言いますというと、税目別に、大体今申し上げたようなことになっております。

大矢正日本社会党

○大矢正君 関連。ただいま大蔵大臣から、三十五年度の一般会計の租税収入の大体の見通し、最終的な結果について公表されたんですが、私は、この三月三十一日の予算委員会の最後の総括質問の際にも、今、木村委員の質問されたことと同様のことを質問しておるはずであります。大蔵大臣もそのときはお答えになっているはずでありますが、私は当時、おそらくこのままの推移で行きますと、三十五年度の自然増というものは、九百五十億円から、ある場合には千億円を超えるということが考えられるのではないかということを私が申し上げたら、そんなばかなことは絶対ないと、大蔵大臣は断言されておる。大蔵省主税局長も、私の質問にそういう答弁をされたはずであります。ところが、今日見ますると、やはり私の言う通りの結果になっているじゃないですか。これは、私はいばるために発言しているのではない。三十一日から今日までの間に、わずか一月ちょっとしか日数がたっておりませんし、しかも、年度末ぎりぎりの三月三十一日になって、当時大蔵省の主税局長は、七百四、五十億円と言っておりましたから、二百億円の誤差がある。三月三十一日になっても、なおかつその年度の租税収入の見積もりが二百億円も狂うような、そういう見積もりをやっていたのでは、これからの租税見積もりは、大蔵省にまかしておけなくなってくる。私は、そういう意味から考えて、当時と三十六年度の租税収入の見積もりは、これは違うのではないか。そういう三十五年度の実績から比較をしてくると、三十六年度の租税見積もりも、これは大幅に変えなければならないのではないかということを言いましたところが、いや、三十五年度の見積もりは七百四、五十億円の自然増だから、そういう結果は絶対に出ないと断言されている。二百億円ここで狂って参りますが、三十五年度の租税収入を基礎にして、三十六年度の租税見積もりというものを、これは変えなければならないというような状態が来るのではないかと私は思うのでありますが、これは、大蔵大臣は絶対に変えなくていいとお考えになっているのでありますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 三十六年度は、三十五年度の見方の狂いをもとにしまして、相当積み上げ計算で慎重を期しておりますが、やはり当初予定しておったよりは、経済指標が少し変わっておるように思いますので、ある程度の自然増は出ると思っておりますが、この見積もりを今変える時期ではないと思っております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 私、まあその三十六年度の見積もりを伺おうと思ったのですが、その前に、この九百四十億ですね。これはどういうふうに処理をされるかということをさっき御質問しましたが、御答弁ないのです。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) これは、財政法の規定に従って、三十五年度の剰余金に充てる。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これは結局翌々年度に使う。半分は償還ですね。あと半分を翌々年度に使うということになるのですね。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) そうです。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 九百四十億もの金を国民から吸い上げておいて、予算以上、しかも第一次補正、第二次補正以上に吸い上げておいて、翌々年度までこれを政府がたな上げしたという結果になるのですよ。こういうようなやり方は、これは私は、金融についても非常に、政府対民間収支についても非常に大きな影響が出てくると思う。引き揚げ超過になるわけでしょう。ですから、実際私は無責任だと思うのです、この点は。われわれといえども、さっき大矢委員も言われましたし、これは見通しがついたのですよ。ですから前の、三十五年度の公務員のベース・アップにつきましては、財源があったのです。社会保障につきましても、大蔵省が厚生省の予算を一八%切り下げているのですよ。財源は十分あった。九百四十億もあったのですよ。われわれはこれを指摘したわけです。ですから、三十五年度の予算の組み方は、全くわれわれが主張した通りに組んでも、財源が十分あったのです。これは、政府は責任を感じませんか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) これは、三十五年度の剰余金でございますし、さっき申しましたように、三十五年度予算編成当初には、当初の見積もりは狂っておりました。それだけ自然増が出て来ましたから、第一次、第二次の補正予算をお願いしまして、これを支出として使ったということでございますが、その後の自然増はまだ多くあるということは予想しておりましたが、九百四十億円もあるという予想はしていなかった。この予想の狂いは、さっき申しました通りでございまして、これは、三十五年度の後半期になっても、まだ私どもは、ここまで自然増が出るという予想は立てておりませんでしたから、別にあのときに、これを予想した予算の補正はやらなかったということでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 私は、非常にその点が意識的であったと思うのです。政府が。まあ第一次補正の千五百十四億円のときには、もちろんわれわれも了解できるが、しかし、それ以後のものにつきましては、これは非常に意識的に過小見積もりをしているように思います。三十六年度についても、同様のことが私は起こると思う。で、総理大臣にちょっと伺いたいのですが、三十六年度の経済成長率は、結局どのくらいになるというお見通しですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 今、大蔵大臣が申しましたように、鉱工業生産が、三十五年度は前年の二三、四%、三十四年度は前年に対して二九%、三十六年度につきましてはまあ大体九、二%で、全体といたしましてやっているのでございます。九、二%と申しますと、大体鉱工業生産が一五、六%ぐらいのところじゃないかと思っております。しかるに、今の現状では、この一、二、三の現状では、去年二三、四%ふえた上に、なお今のところ二〇%程度になっているようであります。この点は、何と申しますか、設備投資の問題、金融の問題等々によってある程度動くかもわかりませんが、この二〇%ぐらいの状況は、まあ動いたにしても続くのじゃないか、ある程度。そうしますと、私が当初考えておった、全体の九、二%ということより相当上回ってくるという情勢でございます、今のところは。しかし、設備投資の問題、金融の問題等々もありまして、いましばらく様子を見ないと言えませんが、私は、昨日も申しましたように、自分の想像している以上に生産が伸びていっているということは事実でございます。もう早い話が、木村さん御承知の通り、十年以内の倍増、あるいは三年の九・二%というときのあの根拠は、三十五年が十三兆六千億の総生産と思ったところが、十四兆二千億になった。これは間違いを起こしたじゃないかと言われますが、木村さんだって、最近になったらぴたっと言われましょうが、政治を預かっている人がなかなかぴたりとはいかず、少しぐらい低目になることは、一兆何千億のうちで二百億とか三百億の違いは、これはまあ見のがさなければいかぬのじゃないか。ただ、今の状態は、私が予定しておったよりもかなり上回っているということは事実です。しかし、これがずっと続くかどうかということは、いま少し様子を見なければ言えぬと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 大体今の鉱工業生産二〇%といいますると、成長率一二、三%ぐらいになりませんか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) まあ二〇%前後ならば、一二%、三%までいきますか。今の二五%程度で、それから農業が相当の豊作でございますときに一三、四%というところでございますから、大体二、二%、低目に見て一一二%じゃございますまいか。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そうしますと、また国民所得もそこで違ってくるわけですね。そうすると、税収も違ってくるわけですよ。予算の編成の基礎が狂ってくるでしょう。大へん違います。そうしますと、たとえば、減税の規模につきましても、あるいはまた、歳出のいろいろな規模につきましても、あるいは、もっと社会保障費も増額してもよかったかもしれません。あるいはまた、日雇いの労務者のあの引き上げの額をもう少しふやしてよかったかもしれません。そういう予算の編成の前提がそこで非常に狂ってくると思うのですね。ですから、税収見積りも、私は、総理大臣、御専門の非常に研究の、いいブレーンをお持ちになっておると聞いておりますから、それで、大体一二、三%と、これは、私は大体そこまで行くと思うのです。ですから、経済成長が達成されるかされないかということを議論しても、三十六年度においては問題にならぬと思うのですね。それから、実際、政府の計画が行き過ぎるということに問題が出てきていると思うのですよ。ですから、それで総理はよろしいと思うのですか。実質九・二%、名目九・八%は一二、三%になるということになると、これは前提が非常に狂ってくるのですよ。いろいろな摩擦が起こってくると思うのです。これはまた、具体的に私は伺いたいと思う。物価の問題にも、国際収支にも、あるいは雇用の問題にも、いろいろなまた影響が起こってきます。ですから私は、そういう観点から、ここで総理は、今までのような姿勢で、立場でやっていったのではいけないのではないか。政策転換とか所得倍増計画を変えなければならぬじゃないかと質問すれば、私は、総理はきっと立場上、変えることができない、変えないと、こういうふうに御答弁になるかと思うのですがね。しかし、それで国会の答弁はお済みになるかもしれませんが、実際問題として、日本の経済をどうするか、総理の誠実さについては、私もよく、立場は違いますけれども、評価しております。誠意を持って日本の今後の経済の問題をよく考え、そうして国民の生活の問題を考えた場合、ここでやはり一二%というのは、私は、実勢として少し行き過ぎで、これは安定的成長の線から遠いのじゃないか。あとで御質問しますが、これは、三十七年度になって、過剰生産のまた反動を起こす要素を作っていくのじゃないかと思う。この点について、総理はどういうふうにお考えか。これは慎重に、私は、お考えにならなければならない時期にきているのじゃないかと、こう思います。率直な御意見を伺いたい。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は、九・二%という結論を出しますときに、実は、私の試算では、一一%という気持があったのでございます。で、今の農業人口の問題なんかも、一一%の計算から出しまして、三分の一とやったわけなんですが、やはり腹八分目というので、私は二%くらい行くのじゃないかという気持がございましたが、九・二%は腹八分目と私はいつも言っております。それは、木村さん御存じの通り、腹八分目で九・二%、こう言っておる。ただ問題は、この御審議願っておりまする公共企業体の職員のベース・アップ、それからまた、春闘の賃金引き上げ、これはみな予想以上に多いと思います。それから、最近の中小企業の伸びというものは大へんなことなんです。私はいいと思います。設備投資なんかにつきまして、中小企業の設備投資は、いまだかつてないようでございます。だから、一がいに設備投資、設備投資と申しましても、私は、中小企業の分はやらなければならない。こうなってみますと、まあ少し高過ぎるんじゃないかということは、私は総理としては控え目を言っておりますが、まあ今のところは大して必配要らないんじゃないでしょうか。私は、一一%くらい行くんじゃないかという気持は持っておったのであります。しかし、九・二%くらい適当である、こう思って指導はいたしております。とにかく非常にいい傾向でございますが、これがずっとは続かないと思います。ですから、ある程度長い目で見ていかなければならぬというのが私の腹であるのであります。今、基調が変わったから、倍増計画をあれするということにはまだいかないと思います。もう少し様子を見なければなりません。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 私は、高度成長自体を否定するわけではないのです。社会党の立場でも、高度成長ということは、雇用問題その他から、これは望ましいことなんです。しかし、今自民党政府のやっておられる高度成長政策は、そこにいろいろな矛盾が伴う。逆に格差が拡大するとか、あるいはまた、計画性がありませんから、国際収支が赤字になったり、あるいは物価が上がったり、雇用の問題に矛盾が出てきたり、そういう矛盾が出てくるわけです。それで、また過剰生産の景気反動が出てきたりするわけです。そこで、そういう矛盾が起こらないように高度成長をやるならば、われわれは賛成なんですよ。しかし、今の自由企業を、原則としてそういう景気反動や何か、そういう矛盾を除去できるかどうか。これは、時間がございませんので、議論になりますので、もっと率直に総理に伺いたいのですが、まず、これから問題になってきますのは、三十七年度、過剰生産の危険が出てくるのではないかと思います。これは私の試算ですが、この前御質問したときは、三十六年度の設備投資三兆四千億を基礎にして御質問したわけです。そのときは、三十七年度における有効需要の不足は、つまり過剰生産の程度は七千三百四十億と推定されていましたが、今度は、三兆六千億と推定しますと、資本係数を〇・七と見て、九千二百三十億です。もし、下村氏のように、資本係数を〇・九と見ると、一兆五千五百億くらいの有効需要の不足が起こります。かりに四兆円の設備投資になると、下村さんのように〇・九ですね、下村さんの一番低いと見ている資本係数を使って計算しますと一兆八千七百十億、二兆円近い有効需要の不足、設備能力の過剰というものが出てくる計算になるのです。そうしますと、ここにまた景気反動の恐れが出てくる。この点について、総理はどういうふうにお考えになっておりますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 前提としての設備投資が三兆四千億なりや六千億なりやというところに第一の問題がございます。そこで、設備投資でございまするが、これは一がいに多いと言われますが、御承知の電力なんかにつきましては、私は、相当やっていかなければ電力不足の場合が起こると思います。だから、設備投資の新規投資も、やはり業種別に見なければならぬと思います。製鉄なんかというものは、ただいまのところ、大体稼働率平均一〇〇%ぐらい行っているのじゃないかと思います。こういうふうなものは産業の基本でございますから、そうむげに押えるわけにいかない、しかし、各社が自分の計画通りやったら大へんなことになります。そういう点を考えながら、そうしてまた、ある方面では行き過ぎの点も私は見られる産業がございますから、そういうものにつきましては、金融家、あるいは通産省その他で一つ話し合いをすべきものじゃないか。せっかく合理化審議会、資金部会の方でただいま念査検討しておるようでございます。で、設備投資はそういう問題。  それから次に、それによっての生産がどうか、〇・七%か、あるいは下村君の言う〇・九%か、これが問題があると思いますが、少なくとも私のあれでは、設備投資による生産の増というものは前よりもよほど率が下がってくべきものと私は考えておるのであります。しからば〇・七%がいいかどうかということも問題があると思います。そういうことで今過剰生産がどれだけになるかということも、これは設備投資とそれから稼働率の問題、生産性の問題でございますので、一がいには言えませんが、繰り返して申し上げますように、私の予想しておるよりも少しピッチが速いということは認められると思います。従って、今の資金部会とか合理化審議会でただいま検討いたしておるのでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 成長率一二、三%と、大蔵大臣にちょっと伺いますが、もう大ざっぱでいいのですが、税収見積もりですね、これはどれくらい当初の予想よりふえる見込みですか。大ざっぱでいいですがね、九・二%の場合と一二、三%の場合と事務当局の方でもけっこうです。大ざっぱでいいです。

村山達雄大蔵省主税局長

○政府委員(村山達雄君) お答え申し上げます。これはなかなか一がいには申し上げられませんですが、かりに従来の弾力性をどう押えますか、一・三八とかあるいは一・五というのを使いますと大体三%ぐらいになるわけでございますから、その程度ふえると思います。ただ国民所得が二%ふえた場合には税収の方は三%ぐらいふえる、こういう計算にはなると思いますが、御案内のように、先ほど大臣が申し上げましたように、なかなか単純に弾力性が使えないということは過去の弾力性からも一章えることでございまして、先ほども大臣ちょっと申し上げましたように、経済指標とは関係ない増収要因が相当あるわけでございます。と申しますのは、先ほどもちょっと申し上げましたが、今度の非常な増収のうち実は資金関係からきた面が相当多いのでございます。所得税におきまして三月十五日の確定申告で資金繰りがいいために期限内納付率が非常に上がったとか、あるいは法人の方で五割はその納期を越えまして三カ月以内の徴収猶予ができる制度になっておりますが、——これはもちろん利子をとるわけでございます。資金繰りがよくなりますと、法人の方がその権利を放棄いたしまして、その五割の分の何ほどかを即納をいたす、こういう問題がございます。この辺が弾力性そのものではなかなか出てこない問題でございます。  それから先ほどもちょっと申し上げましたが、生産物価が上がりまして売り上げが上がってくるという問題のほかに所得率の問題がある。利益率がどうなるかという問題が非常に大きな問題なわけでございます。今度の三十工年度の実績を見ますと、対三十四年に対しまして一〇・八%の利益率アップでございます。こういたしますと、われわれもその点は見込みまして第一次、第二次補正を通じて法人税で千億計上したわけでございます。しかし、その上になお先ほど申しましたように二百億出た。この二百億は今言ったような徴収上の問題あるいは所得率がアップしたという問題、さらには調査が行き届きまして更正増がしかも年度内に集中して出てきた、こういう要因がございますので、これらはなかなか経済指標だけをもって参っても出てこない。従って、その過去の弾力性の平均値というものを使いましてもなかなか出てこない問題でございまして、それぞれ個別の税法の制度ごとにその要因をきわめまして積み上げ計算をやらざるを得ないと思うわけでございます。かりに一・五%の弾力性を使えば、二%の所得がふえれば税の方は三%上がると、かような計算になるわけでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 私は、その成長率九・二%が一二、三%になった場合、税収がどうなるかということを聞いたわけではなくして、大ざっぱの額ですね。額を聞いているのです。それからその前提についてのいろいろな御議論は機械的でいいのです。機械的にどのくらいになるかですね。

村山達雄大蔵省主税局長

○政府委員(村山達雄君) まあ三%が当たるかどうかという点は別でございますが、三%かけて算術計算いたしますと五百億弱くらいになるわけであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 私が機械的にやったのは五百五十幾らですが、政府が言う……、それから高木教授が前に公述しましたね。高木教授のはまたばかに大きいのですがね。しかし、高木教授の証言は当たったですからね、前に。これは政府のあれとまた非常な差があるのですね。とにかくこの予算より増収があるということは、少なくとも五百億くらいあると思うのですね。そうなりますと、私は今度の補正との関係でどうしても割り切れない点が出てくるのです。たとえば国鉄あるいは郵便事業ですね。そういうところの賃上げの資金をこの企業内においてまかなっていますね。で、こういう財源があるならばなぜ運賃の方にこれを振り向けないか。運賃をそれだけ引き下げる方にこれを向けないのか。郵便料金の方に向けないのか。そうしてこういう公共企業体なりあるいは特別会計ですか、郵政の。それについてはこれはどうしたって国民に対する公共的な仕事をするのですから、国にこんなにたくさん財源があるならば、これは国が私はどうしてもこれは補助すべきだと思うのです。それから人件費についても私は補助して差しつかえないと思うのです。結局は人件費を補助すれば建設費の方が足りなくなる。ですから、建前は建設費の補助でいいわけです。で、私はその建前からいって、片っ方に国に非常に財源がある。税金を取り過ぎておりながら、片っ方には国鉄運賃を上げる。郵便料金を上げる。これは筋が私は通らないと思うのです、やり方が。三十五年度では九百何十億も税金を取り上げて、そうしてたな上げしておる。この点は私は、今の国鉄の公社、独立採算のやり方ですね。あるいは電電公社等の独立採算のやり方に一つ私は問題があると思うのですね。これははっきりと国がやるべきである。郵政特別会計でもこれは国が——やはりはがきとか封書なんか非常な赤字を出しておるのですから、国がはっきりこれは補助すべきものとこう考えるのですがこれを総理大臣、これは非常に根本に触れる問題ですが、どうお考えですか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 私は、常々から申し上げておりますように、一般会計の収入増につきましては、減税、そうして社会保障、そうして将来の経済発展のための基礎である行政投資、これが私はまず先じゃないか。やはり社会保障制度その他にも相当今後も出さなきゃならないし、やはり独立採算制を原則としていくのがただいまのところはいいと思っております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 減税々々と言いますけれども、国鉄の運賃というものはこれは独占企業でしょう。独占企業の料金というのは一種の税金だと思うのですよ。一種の税金ですよ。しかも選択の余地のない税金、悪質の税金だと思う。で、消費税ならば、税金が高くなれば——たばこの税金が高くなれば節煙することできますが、国鉄の運賃が上がった場合ですね。日雇いの人たちはそれを節約することはできませんよ。ですから非常な過酷な税金と見られる性質と思う。片一方では減税と言って片一方は増税というのと同じものです。しかも所得税を納めることができない人も国鉄運賃の値上げという形の税金を負担しなければならない。こういうことは私は非常に不合理だと思う。ですから、これはそういう公共企業、公営企業に関する経営の形態の問題、これは根本的に私は変えなければならぬと思いますが、議論になりますから、次に物価の問題について伺いたい。  迫水企画庁長官に伺いたいのですが、いわゆる物価白書をお出しになりました。その結論としていろいろ詳細な分析をされ、ああいう試みは私は非常にけっこうだと思います。物価の問題について国民に啓蒙するということは非常に有意義なことだと思うのであります。初めての試みでけっこうだと思いますが、ただ結論において、結局、卸売物価は三十六年度は下がる、持ち合いないしは下がるということになっておるのですが、〇・三%下落。それから消費者物価について一・一%の値上がりと、こういう結論なんです。非常に詳細ないろいろな分析をされておりますが、結論が違ってるわけですね。大体政府から出された物価指数、これで計算してみましたらすでにはっきり違っちゃってるんですよ、これと。予算編成の前提がここでまた狂ってくるわけです。物価について、たとえば卸売物価について見ますと、持ち合いだ持ち合いだ、卸売物価は上がらぬ上がらぬと言いますが、これは三十六年の四月と三十五年の平均とを比較しますと、二・八%上がってるのですよ、四月がすでに。だからこの四月が今後ずっと上がらないとしても、持ち合いとしても、もうすでに二・八%上がっちゃってる。しかも今後木材、鉄鋼等値上がりが予想されるのでしょう。ですから〇・三%も下がるという前提は、はっきり物価指数に出てきておるのですから、四月の——私は待ってたのです、四月の指数が出るのを。はっきり狂っちゃってます。それから消費者物価についても一・一%と言いますが、四月の消費者物価指数、出て参りました。もっともこれは東京都だけで、全都市はまだでございますが、東京都については二・七%すでに上がってるのです。一・一%じゃありません。四月の二・七%の値上がりが、これもずっとこれが持ち合いで続くとしても、二・七%の値上がりになる。一・一%じゃありません。しかも今後さらに消費者物価については、値上がりが予想されるいろんなものについて、少なくとも三%は私は値上がりすると思うのです。この傾向から見れば。そうすると、予算の積算の基礎ですか、編成の前提というものは大きく狂ってくるのですよ。もう実際にそういう指数が出てきちゃってるのですから、これは私は訂正される必要があると思う。なるほどいろいろ詳細な分析はけっこうですが、結論が間違っておったのでは私は画龍点睛を欠くということになって惜しいと思うのですが、いかがですか。

迫水久常自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(迫水久常君) 卸売物価についてはお話の通りでございまして、本年の四月の水準で三十六年度末まで横ばいになるとしますれば、今お話の通り二・九%の上昇になりますので、物価白書に書いてありますように、〇・三%下落するためには今後三十七年三月までの間に、四月の水準から六・三%を下落しなければならぬという計算になるわけであります。そこでこの六・三%の下落が可能であるかどうかという問題でありまして、この二・九%というふうに、四月の時点において上がっておりますのは、異常なる下昇、たとえば鉄鋼価格が一時的変化をして上がった。それからことに木材が非常に高かったというような異常なる状態が含まれておりますので、かりにこのまま横ばいをするということは考えられないのではないか。つまり将来においては卸売物価というものは横ばいでなしに下がってくる傾向を示すものとこう考えております。問題はこの六・三%というものがどこまで下がるのか。六・三%の下落があれば〇・三の下落になるんですけれども、六・三%の下落がそれほど下がらなければややそれよりも高目になりますけれども、この下がる傾向にあるということは私たちそういうふうに一応考えておる次第でございます。  なお、消費者物価につきましては、三月の水準で今後一年間横ばいにいくとしますというと、前年度対比は一・七%の上昇になる、こういう考えでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 今の迫水長官の御答弁は、この物価白書を見ましたが、どうも物価に対する理論的な把握が不十分でないかということを、そこから見通しと実際とが違ってくるのじゃないかというふうに感ずるんです。特にこれは総理大臣にも私は御質問したわけですが、今後卸売物価が下がっていく、下がっていくと言われますが、私は設備過剰の問題を問題にしておりますけれども、しかし、今の独占が非常に進んでおりますが、御承知のフル・コスト原則というものが、これが作用するわけなんです。ですから、これが下がるというのは私はおかしいと思うのです。実際問題としてフル・コスト原則ですよ。それは原料費、賃金その上に必ず一定率の利潤というものを加えて計算してくるんですから。それでこれに書いてある需給関係によってきまるというものじゃありません。今の独占の段階において物価が需給関係においてきまる、そんなものじゃありません。そこに私は考え方の間違いがあるんじゃないかと思うのです。今、今後の物価が下がると言われましたけれども、どうして下がるという根拠が出るのか卸売物価について。  それからもう一つ。消費者物価との関連で、卸売物価はどうしても上がらざるを得ない、どうしても上がる。今私はその転機に来ていると思うのです。これから卸売物価の騰貴は出てくると思うのです。むしろ賃上げによるその分を今度はコストに含める。それをフル・コスト原則で価格の方にこれを転嫁していく。あるいは生産制限という形で価格の低落を押える。そうしてこの価格を維持する、あるいはどうする、そういうようなことがあるんです。ですから下がるというならもっと具体的に何が下がり、どういうわけで下がるか。私はどうしても下がるとは見られません。卸売物価についてこれから卸売物価は上がる転機にあると思うのですよ。消費者物価も私は下がらない。もっと政府の言うよりは、まだ三%くらいどうしても上がらざるを得ないと思うのです。この点はいかがですか。

迫水久常自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(迫水久常君) 四月の時点におきまして、二・九%という非常に卸売物価は高い水準にきていることは事実でありますけれども、この原因を探求してみますと、木材がほとんどその八割の要因を占めておると思います。そこで木材につきましては、農林省とも御相談をしまして、政府総がかりでこの問題に対処いたしておりまして、すでに御承知の通り、木材の値段というものはむしろ下がる傾向を見せておりますので、その他一般的に見まして、私は卸売物価は今年は弱含みであるというふうに考えておりますが、木村先生の言われるように、いわゆる独占価格の問題になって参りますというと、これは厳重な監視をいたしまして、それによって下がるべきものが下がらないという、独占価格のために下がらないということについては、厳重な監視をして、公取ともよく打ち合わせをして下げる方向に誘導していかなければならない。ほっておけばどうということでなしに、やはりそこに政策的にいろいろな処置をしていくことを前提とすれば、卸売物価は下げ得るものと、こう考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 消費者物価について。

迫水久常自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(迫水久常君) 消費者物価につきましては、昨年は四%上がったのですけれども、今年は昨年に比べるとよほど私は自信を率直に言って持っております。というのは、四%上がりました主たる原因が何と言ってもこれは食料でありまして、ほとんど六〇%程度は食料の値上がりでありますので、この食料の値上がりを防止することによりまして消費者物価が上がることはこれを防止し得ると、こう考えております。そして食料の値上がりにつきましては、肉であるとか、野菜であるとか、あるいは魚であるとか、魚というのは、これはまあとれなければどうにもしようがないのですけれども、これはあとの肉とか野菜は需給調整を農林省とも相談をしまして、現に消費者物価は今のところ下がる傾向の方を見せておるように思っておりますが、これも昨年のように段をつけて上げることは決してない、かりに今のままで横ばいにしても一・七%でおさまる、こういうふうに考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これは非常に私は重大な問題だと思うのですよ、全く。物価の動く原則について、実際問題として私は因子が違っていると思う。だから企画庁の発表と実際とは違ってくると思う。私もいろいろ調査を、物価の動きについていろいろ学者の意見とかいろいろ読んだりしてあれしてみました。ところが、どうも企画庁の物価に対する認識が、これは非常に政治的であるのかもしれませんが、上がらぬように上がらぬように解釈しているのです。ところが、実際に、さっきお話ししたように、二・七%上がっているのですよ、もうすでに四月に、前年度の平均に対して。いわゆる三十五年度、四月から三十六年三月までの一カ年の平均と四月と比較しますと、二・七すでに上がっているのです。一・一%じゃないのですよ、四月がずっと横ばいするとして。ですから、今後一・一%なら何が下がってそうなるのか。  それからこれは厚生大臣にも伺いたいのですが、政府の考え方は、たとえばサービス業、そういうものは生産性によって賃金の値上げが吸収できない。だから、これは価格に反映するのは仕方がないというのが政府の考えなんです。そういう考え方で環境衛生方面を担当される厚生大臣としてそれでいいんですか。そういう物価の考え方で環境衛生関係の値上がりはいたし方ないということを言っているでしょう。それで環境衛生というものに対してそういう考え方でいいのかどうか。それからさっきの全体としての卸売物価も小売物価も政府の言うより上がってきているのですから、一・一%じゃないのです。二・七%すでに上がって、今後は三%くらい私は上がると思う。そうすると、生活保護の基準の計算の仕方、みんな狂ってくるのですよ。社会保険の計算の仕方、これは厚生行政としては私は非常に重大だと思う。少し予算をよけい取っても、そのために実質的には、それは下がってしまう。いわゆる厚生行政の実質的内容が低下するということになるのであります。ですから、厚生大臣も物価の問題には、これは十分関心を持たれる必要があると思う。この点について厚生大臣の御意見を伺いたい。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○国務大臣(古井喜實君) まず環境衛生関係のサービス業の料金の問題でありますが、これにつきましては御案内のように、この人件費の占める部分が価格構成のうちで相当多い部門であります。たとえば理容を例にとりますと約六三%が人件費関係である。他のクリーニング、美容等にいたしましても多いわけでありますので、経済の上昇に伴ってこういう方面の料金も堅実には上昇するのはやむを得ぬことだとこれは思うのであります。ただ、手放しに上がっていいと申すのじゃありませんけれども、価格構成の内容から言ってもそういう面がありますので、一がいに押えるだけというわけにもいかぬと思うのでありますが、しかし、実際問題は御案内のように、この種の関係では今までが過当競争の結果料金が不当に低くなり過ぎておるという場合が相当多かったのであります。そのために衛生的な設備も不十分だというような弊害さえありましたので、それで適正化法によってあるいは中央で審議会で消費者代表などまで加わったり、こういうまあ関係の人が加わって適正な基準を立てましたり、また、それをもとにして地方の適正化審議会で料金の基準をきめるというような関係者、消費者まで加わったところで十分論じてきめておりますので、これは手放しにぐんぐん上がるというふうな事情ではないのでありまして、従来むしろ過当競争の弊さえあったということ、そういうような手続で料金基準をきめるなどということでありますので、実際問題といたしましては、そうこれがひどく上がっていくことにもなりますまいし、また、上がっていいんだという考え方も手放しにしておるわけでもないと思っておるのであります。  なお、それから物価の値上がりとこの生活保護の関係でありますが、御案内のように、生活保護と申しますうちには生活扶助と住宅扶助、教育扶助あるいは医療扶助等たくさんあるわけであります。そこで住宅とか——住宅の関係は本年度は二倍上げました。それから教育扶助の関係も約五割増しに上げたのであります。一八%とか申しますのは生活扶助の問題なんであります。他の方は、むしろ生活扶助の関係でありまして、一八%というのはずっと上げたのであります。そこで生活扶助だけをとってみました場合に、物価の関係がどう響くか、これはいわば衣食の関係でございますから、生活扶助は主食はどうなる、野菜がどうなる、魚介類がどうなる、衣服類がどうなる、こういう点を考えますと、ひどくこれが影響を受けて顕著な誤算を生ずるということもないように思うのであります。そういうわけでひどい結果にはまずこの全体的に見てならぬのではなかろうか。影響がないとは申しませんけれども、そういうふうに考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 厚生大臣の考え方違っていますよ。今まで上がったことは、予算をふやしたことはいいのです。しかし、ふやした意味がなくなるじゃないかと言うのです。何のために、何を根拠にしてふやしたか、一八%上げたについては根拠はあるのですよ。物価が上がっちまえば、その実質が伴わないということになるのです。  時間がございませんから次に伺いますが、この企画庁に前に階級別の、階層別の物価の影響、これを伺ったのですが、経済白書、これが出ております。これはいい白書だと思うのです。しかし、実際を反映していないと思います。高額所得者層も、低額所得者層も同じような、大体総合して物価の上昇率は約三・七%程度である、こうなっておりますが、実際は違います。これは学者の調べたもの、東北大学の助教授の鈴木光男氏が調べたものであります。これによると、昭和三十一年を一〇〇として低額所得層の物価騰貴率は三十五年八月が一二八・三、高額所得層が一〇八・三であります。ものすごい開きがあります。これは消費構造を勘案してウエートをつけたものです。大体高額所得層の消費というものは、下がってきているのです。自動車とか、あるいはテレビとか……。低額所得層の買うものは上がっている。パンとかそばとか、そういうものは上がってきているのです。ですから消費構造から見ますると、この物価騰貴の影響が非常に違っておる、階層別に。ところが、そういうことは捨象してしまって、総合的に三・七%前後である、こういうふうに出しておりますが、これではせっかく階層別の調査をやられても、私は実際を反映していないと思うのです。これでは結局高度成長の過程において高額所得層の物価上昇の影響は少ない。低額所得層は物価の上昇の影響が大きい。階層は、同じ割合で所得が上昇したとしても、物価上昇を考えた場合には、実質的所得上昇率は低所得層は高所得層に比してずっと小さい。そうなると、池田総理の言われる所得格差というものは、高度成長の面からかえって格差が開いていってしまうのですよ、この物価構造からいいまして。逆ですよ。そうでないというなら理論的に解明していただきたい、実際そうなっているのですから。

迫水久常自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(迫水久常君) ちょっとその前に先ほどの回答ですが、私が一・七%と申しましたのは、全都市の三月、この全都市の三月水準を前提として申し上げておるのでありまして、木村先生のはおそらく東京都の分をお取りになっていらっしゃるかと思うのですが、それは数字の取り方の問題でありますので、私の方は全都市の三月の水準で議論したということを申し上げておきます。  なお、ただいまの所得階層別の影響でございますけれども、この表でごらん下さいますように、住居の点においては、確かに低所得者の方が影響をよけい受けております。しかし、食料等に至っては、やっぱり下の低所得者層の方が影響を受けることが少ないようにわれわれの研究では出てきておるのでありまして、これに対して反対のいろいろお考えはございましょう。よくそれを伺いまして、勉強して比較検討して、正しい答えを出したいと思うのですけれども、ただ単純に、自動車は下がっておるから、高所得者層のものは有利だけれども、パンは上がったから低所得者層には不利だ、こういうことでは答えが出てこないのじゃないか、これは、それに対する一つの研究を物価白書でいたしましたものを発表したわけでありまして、これに対していろいろ御批判がありますならばよく承りたいと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 おそらくそう答弁されると思いまして、私は全都市について一応試算してみました。まだ四月は出てきませんが、三月を計算してみますと、大体わかります。二・四%です。そんなに違っているのです。一・七%じゃありません。  それから経済企画庁が消費者物価指数を九月から変えるように聞いておりますが、それでその変える内容について、聞くところによりますと、なるべく消費者物価が上がらぬように、たとえばカメラとかテレビ、電気冷蔵庫とかミシン、こういうものを加えて食料費の占める比率を下げていく、そうすると、そういうような内容にどうも変えていくように伝えられておりますが、それは事実かどうか、この点お伺いいたします。

迫水久常自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(迫水久常君) 消費者物価指数の構成のあり方が、少し基準を、パターンを古いところでとってあるものですから、だんだん生活の様式が変化いたしまして、たとえば同じ繊維品にしても、木綿の分量が少なくなり人工繊維の分量が多くなる、いろいろの点がありますので、総理府統計局で、目下、今研究はいたしておりますけれども、これは消費者物価指数がなるべく上がらないような方法でそれを改訂する意図を持っておるのでは決してありませんので、現実の消費パターンを近代的にしようということで、総理府統計局で今研究しております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 時間がなくなりましたので、最後に、労働大臣、どうも大へんおそくなって恐縮でしたが、簡単に一つだけ御質問したいと思います。  これまでこの予算編成の前提条件としていろいろそれが間違ってきた——政府の間違っている点を質問してきたのですが、税収の見積もりの間違い、物価の見通しの間違い、設備投資、経済成長率に対して、最初の予定が非常に狂ってきておる。国際収支についてもお尋ねしたいと思いますが、これは時間がございませんから、同僚大矢委員からまたあとで質問していただくことにいたしますが、最後の雇用についても、そこにフリクションが出てきているわけです。予定より非常に経済成長が高いために、大企業にどんどん労働者がとられてしまって、今、中小企業では、ことに零細企業は非常に困っておることは、労働大臣よく御承知の通りです。そういう矛盾がここに出てきているのです。それでいわゆる自民党の一番基礎である中小企業は、非常に自民党を恨んでいますよ。それから物価が上がって、農村は現金収入が少ないから、農村でも恨んでいる。こういう政策をとっていますと、自民党の基盤は崩れてきますよ、御忠告しておきますがね。われわれが有利になりますから、大いにそういうことをやっていただきたいのですが、そういうことをやられると、かえって農民や中小企業者が困りますから、これは対策を十分考慮されなければならぬと思うのですが、労働大臣、この点について御所見を伺いたいのです。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) お話のように、中小企業の方面における求人充足率というものが、大企業に比べて非常に低下いたしておりまするし、その低下の傾向が著しいのであります。その原因は、やはり中小企業の労働賃金を中心として労働条件が悪いということ、それからやはり経営者側における、何と申しますか、労務管理その他についての理解が低いために、就業規則その他のないところもある、労務管理上不利な点が多いというようなことがあげられると思います。前段の問題は、これはもう中小企業の生産性そのものと結びつくわけでありますから、中小企業の設備の近代化その他について、各省の施策を待ちますると同時に、いい、安定した労働力を供給すること自体、これはやはり中小企業の生産性を向上するゆえんでもありますので、私どもは最低賃金制あるいは中小企業退職金共済制度、あるいは失業保険、災害保険あるいは健康保険等、社会保険の小規模事業場への適用というようなことを推進いたしますとともに、労働条件の向上に努めておるわけであります。  全般に申しまして、三十三年から三十五年を比較いたしますると、中小企業等は、いわゆる規模別賃金格差というものは、大した数字ではございませんが縮小の過程をたどっております。三十四年ではいわゆる中企業は鈍化いたしましたが、三十五年になりまして小企業においても、中企業においてもまた格差を縮小する方向へ漸次向かいつつあるわけであります。しかし、これは主として年少労働者の求人難から招来いたします年少労働者の賃金が上がった影響でありますので、まだ本質的なものとは言えないわけであります。これを本質的なものにするように努力をしたいと思います。  それから後段の原因を排除いたしまするためには、労務管理講習会を全国で開きまして、各企業に労務担当者を置くように、また、その労務担当者に対する教育の普及に努めておるのでありまして、昨年度は全国で約二万人、本年度はそれよりさらに上回る人員を対象として行なって参りたいと存じております。また、職業紹介の面におきましても、集団就職のあっせんをいたしまして、各企業ごとに、あるいは協同組合ごとにそれぞれ労働条件を調整いたしまして、その労働条件の順守を私どもの方で責任を持ち、あるいは監督をするというようなことを前提として、広域職業紹介による集団就職のあっせんをいたしておりまして、ただ昨年までは、これは主として第三次産業に限られておりまして、本年度からは第二次産業にまで拡大をして参りたいと思っておる次第であります。御指摘のことは事実でございますが、しかし、その事実を克服をいたしまするためには、やはり何と申しましても労働条件の向上と労務管理の改善を指導することにあると考えておりますので、所要の措置を推進いたして参るつもりであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これで終わりますが、最後に、これまでいろいろ三十六年度予算の編成の前提条件についていろいろ伺って参りましたが、見通しと非常に狂いが生じているわけです。  最後に、総理大臣に所得倍増計画というものを、また、その政策を転換させなければならぬ時期に来ていると思うのです。その転換させる意思があるのかどうか。これまでのように、いわゆる高姿勢一点ばりでやっていくのかどうか。そういう矛盾がすでに出てきているのですから、この高姿勢のままで行ったら、私はこの矛盾が物価の問題でも、雇用の問題でも、国際収支、あるいは設備投資等々に出てくると思うのです。そういう点で、ここで政策転換をお考えになっているのかどうか、最後にこの点を御質問して私の質問を終わります。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(池田勇人君) 経済政策は、国内の事情また世界の情勢を見て弾力的に行なわなければならぬことは当然であります。私は、今いろいろの場面が考えられ、また起こっておりますが、ただいまのところ、今年度の予算並びに財政金融政策につきまして変えるという気持はございません。もう少し長い目で——経済基盤が強化され、また、日本国民をりっぱな大国民として、おうような長い目で見ていきたいと考えております。   —————————————

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) この際、委員の変更について報告いたします。  本日上原正吉君が辞任されまして、その補欠として山本杉君が選任されました。  次回は、明後日午前十時より開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時四分散会

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