予算委員会 第21号
- 発言数
- 9 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/03/30
会議録
○委員長(館哲二君) これより予算委員会を開会いたします。 昭和三十六年度一般会計予算、昭和三十六年度特別会計予算、昭和三十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 これより各分科会における審査の経過について、各主査の報告を行ないます。第一分科会主査小酒井義男君。(拍手)
○小酒井義男君 第一分科会における審査の経過を御報告申し上げます。 第一分科会の担当は、昭和三十六年度予算三案中、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府(防衛庁、調達庁、経済企画庁、科学技術庁を除く)及び法務省所管並びに他分科会所管外事項であります。 本分科会は、三月二十七日より本日まで四日間にわたり、各所管予算につき説明を聴取し、質疑を行ない、慎重に審議を重ねて参りました。 以下質疑のうち、おもなるものにつきまして、その要旨を簡単に御報告申し上げます。 まず、皇室費に関しまして、明年度内廷費八百万円、皇族費五百四十万円がそれぞれ増額されているが、増額の理由は何かとただしたのに対し、宮内庁次長より、人件費が三年来据え置きになっており、さらに昨年公務員給与のベース・アップも行なわれたことも考え合わせ、給与引き上げの必要があるのと、近年皇室関係の内外の御交際も多くなっている実情も考慮し、皇室経済会議の決定を経て予算に計上した旨の答弁がありました。 次に、国会関係の予算につきましては、国会図書館の建設は大へん長くかかっているが、完成の目途はいつか、また、利用する者の立場からすると、立法活動の記録、ことに議事録、会議録の索引が必要であるが、作成する考えはないかとの質疑がありました。これに対し国会図書館副館長より、明年度予算一億余万円を合わせ、総額二十五億円の工事費で、本年七月末に第一期工事が終わる予定であり、八月に移転、十月から閲覧を開始するつもりである。議事録等の索引は前から作りたいと考えていたが、明年度予算で作成の費用も確保できたので、さっそく着手したい旨の答弁がありました。 裁判所所管につきましては、裁判官の報酬は他の行政官に比し高額であるべきだが、最近この原則が犯されているのではないか。裁判官については、憲法の規定にも相当額の報酬を受けることになっており、司法権の独立を確保するためにも、また総予算に対して裁判所予算の比率が低下していることから考えても、財政法に基づく二軍予算の請求を行なう必要はないのかとの質問がありました。これに対し最高裁判所事務総長より、裁判官の報酬は裁判官としての品位を落とさない生活を維持できる収入を確保すべきである。現在必ずしも十分高いとはいえないが、単に報酬の問題だけでなく、社会的にも裁判官の地位に対する認識に欠けている点もあり、裁判官の希望者が増加していない現状には切実な気持を持っている。二重予算については、場合によっては裁判官会議の決定に基づき行なうこともあり得るが、その場合何といっても国民の裁判所に対する理解が先決である。総予算に対する比率が低いのは、いろいろ財政上の理由があるためと思うが、一%程度確保できるようにしたい旨の答弁がありました。 次に、会計検査院所管予算につきまして、人件費が五千八百余万円増額されているが、定員は増加されたのか、また、実地検査はどの程度行なっているか、検査旅費の予算が不足して実地検査が行なえないような事態はないのか等の質疑があり、これに対し会計検査院事務総長より、定員の増加は常勤労務者の定員化九名だけであるが、調査官を十二名増加させ、検査の質の向上をはかっている。現在実地検査は三〇%程度行なっており、大きい部局については全部検査している。検査旅費は現在の人員で検査をするのにはほぼ支障はない旨の答弁がありました。 次に、内閣及び総理府所管のうち、北海道開発の問題につきまして、農家所得の増大をはかるにあたって、北海道では他の地域と違い未開墾地が広いのであるから、農地開拓に重点を置くべきではないか。最近のパイロット・ファームの入植者は比較的恵まれているが、戦後直ちに入植した地域には極度の営農不振に陥っている者もあり、その差がはなはだしい。政府の補助金、貸付金の額も差があるようだが、不振地区に対する対策はどうかとの質問があり、これに対し北海道開発庁長官より、北海道の農業は、今後の成長部門である畜産等が中心で有利であり、積極的な開発に重点を置く方針である。パイロット・ファームの入植者に対する補助金、貸付金は、それぞれ三百万円、二百五十万円であるが、一般の入植者にはその二割にも達しないので、中には営農不振になっている者もあるが、排水溝の整備、土壌改良等の建設工事、開墾工事、営農規模の適正化、また借入金の整理等の諸施策を行なっており、場合によっては有利な地域への移植も考慮しているとの答弁がありました。 また、沖繩に対する援助費四億六千余万円につき、それが技術及び医療援助、沖繩模範農場の開設、本土−沖繩間マイクロ回線の設定援助等に使われることは、沖繩住民のためまことに時宜に適した措置ではあるが、沖繩の現状は、米国が施政権を持っているのであるから、沖繩の経済発展、住民の福祉向上の第一次責任は米国が負うべきものと考える。日本政府も米国政府にその旨を強く要請すべきではないかとの質疑があり、これに対し、総理府総務長官より、施政権を有する米国が、これらの施策に努力すべきは当然であり、一九六一年度の沖繩に対する米国の援助は一千三百七十八万ドルに上っているが、これで十分とは考えられないので、政府としても沖繩住民の福祉増進に協力するとともに、米国の一そうの努力を強く要請していく旨の答弁がありました。 法務省関係の予算に関し、非行青少年の矯正保護が最近特に重要視されているが、明年度観察官一名の増員で十分であるか、また保護司の実費弁償費百九十円を二百三十円に引き上げたとしても、これはあまりに経済観念を無視して低過ぎるのではないか、さらに全国の登記所の光熱費等が渡し切り費で年間九千円であり、地方法務同等に勤務する職員の宿日直手当が年間十日分しか予算に計上されていない。これらの問題について二年前人事院がその引き上げを認めていたにもかかわらず、明年度も据え置かれたことはどうしたことか等の質疑がありました。これに対し法務大臣及び関係政府委員から、予算要求の際には保護観察官二面四十名の増員を要求したが、他との振り合いもあって百名にとどまった。その他に非行青少年対策の人員増が四十名認められている。保護司の実費弁償、登記所の渡し切り費の問題、法務局職員の宿日直手当の問題は、一つ一つまことにもっともな御意見で、ことに人事院の判定が尊重できなかったことははなはだ遺憾に思っている。御意見のうちで、予算実行の過程で措置できるものは、財政当局とも打ち合わせ、早急に処置し、さらに残余の分については、三十七年度予算の際に御趣旨が実現されるよう格段の努力をする旨の答弁がありました。 このほかにも各所管事項にわたって熱心な質疑が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。 以上をもちまして第一分科会の担当予算全部の審査を終了いたしました次第であります。 右、御報告申し上げます。(拍手)
○委員長(館哲二君) 第二分科会主査塩見俊二君。
○塩見俊二君 第二分科会における審査の経過を御報告申し上げます。 第一分科会に付託せられました案件は、総理府のうち、防衛庁、調達庁、経済企画庁、科学技術庁並びに外務省及び通産省の各所管に属する昭和三十六年度予算でございますが、本分科会は三月二十七日から四日間にわたり、これら各所管につきまして、慎重に審議を重ねて参りました。以下その概要を御報告申し上げます。 まず、通産省所管につきまして申し上げます。貿易の問題につきまして、最近国際収支における経常収支の悪化がはなはだしく、しかも明年度第二四半期までは赤字が続くと見込まれているが、このような経常収支の悪化、ことに輸入の増大と輸出の伸び悩みは、単なる一時的現象ではなく、貿易の基調的な変化と見るべきものではないか。三十六年度の輸入四十一億九千万ドルは過小見積もりで、実際にはもっと多くなるのではないか。また対米輸出を初め輸出面にも問題があり、はたして四十三億二千万ドルの目標を達成できるか、などの質疑がありました。これに対し、椎名通商産業大臣及び政府委員から、最近における輸入の増大は、主として在庫補充による一時的な現象であって、貿易の基調的な変化とは認めない。輸入の増大は、在庫補充の一段落とともに、七月以降には横ばいに転ずるものと思われ、よしんば三十六年度の実際の輸入が政府の見通しを超過するとしても、それほど多くないものであろう。輸出についても、努力次第で目標を達成することが必ずしも困難ではないとの答弁がございました。 また、石炭の問題につきましては、石油に圧迫されて、俗に斜陽産業といわれる石炭産業に対する政府の基本的な対策はどうか。石炭の需給関係はどうなっておるか。昭和三十八年度までに千二百円の炭価引き下げを目指して合理化に努力している際、国鉄運賃の引き上げが炭価に及ぼす影響を、どのようにして防止軽減するつもりであるか。最近頻発しつつある炭鉱災害に対して、抜本的な対策が、この際ぜひとも必要と思われるが、政府の方針はどうか、などの質問に対し、エネルギー資源の中心が石炭から漸次石油に移りつつある趨勢のもとで、石油が次第にエネルギー供給の最も大きな部分を占めるようになることは当然であるが、しかし石炭産業は、雇用問題等の点からも、依然としてきわめて重要な産業であるから、極力合理化に努め、その安定をはかりたい。国鉄運賃引き上げの炭価に及ぼす影響については、予算が成立した後においても、国鉄総裁の権限で、可能な範囲内において、実質上過重負担とならないよう善処したい所存である。炭鉱災害対策につきましても、成立予算の重点的運用による監督の強化、中小企業金融公庫等を通ずる金融措置などにより対処すべく、せっかく検討中であるとの答弁があり、その他、日中貿易、アラビア石油会社、防衛生産の現況等の諸問題についても質疑が行なわれたのであります。 次に、防衛庁及び調達庁につきましては、防衛庁予算のうち、防衛本庁という項は、一項で千四百億円の膨大な金額を計上しているが、これはあまりにも過大であるばかりでなく、同一項内の目は、大蔵大臣の承認により彼此流用が可能であるから、国会に対し責任を負う意味でも、もっと項を分割すべきではないか。所得倍増計画は、全然防衛費の問題に触れていないが、第二次防衛力整備計画や、防衛生産のわが国経済に占める地位は、どうなっているか。陸上自衛隊の十三個師団への改編は、自衛隊の治安行動に関連があるのではないか。また、二万二、三千人もの欠員がありながら、千五百人の増員を行なうのは無意味ではないかなどの質疑に対しまして、西村防衛庁長官及び政府委員から、防衛庁は、その行政目的が比較的単純であるため、予算上、項の数も少なく、また一項の金額が多いが、国会に対し責任を明確にするという見地から、防衛庁の特殊性をも考慮しながら、項を新設した方がよいと思われるものにつきましては、大蔵省とも相談の上、でき得る限り増加することにしたい。陸上自衛隊を十三個師団に改編するのは、日本の地形等にかんがみ、師団を小型にして機動力を増した方が、自衛隊本来の使命達成上、適当と認めたためであって、治安目的とは直接の関係があるわけではない。自衛隊に欠員はあるが、今回の手五百人の増員は、それとは別に、建設部隊を拡充するためのものであるとの答弁がありました。 その他、自衛隊の海外派遣の能否、並びに要請による治安出動の要件、新安保条約による事前協議の対象等の語問題につきましても、質疑が行なわれました。 なお、駐留軍及び自衛隊の飛行場周辺の小中学校に対する騒音防止対策を、もっと強化すべきではないかとの質疑に対し、西村防衛庁長官から、防衛庁及び調達庁とも、予算を大幅に増額して、防音対策に努力しているが、同時にこの問題は、民間航空にも共通の問題であるから、防衛庁、調達庁ばかりでなく、関係各省を含め、政府全体として幅の広い飛行場周辺の環境整備対策を強力に推進する必要があると思うむねの答弁がありました。このほか、労務基本契約の改定問題についても質疑が行なわれました。 次に、科学技術庁につきましては、同庁監督のもとにある原子力研究所等、四つの機関で技術研究に従事している職員に対する待遇を改善する必要があるのではないか、これら四つの機関の理事者と職員組合との交渉が妥結した場合には、これをどのように取り扱うつもりであるかとの質疑に対し、池田科学技術庁長官から、予算等の関係もあり、待遇改善が思うようにできないのは遺憾であるが、交渉が妥結した場合には、その線に沿ってできるだけの努力をしたいとの答弁がございました。 次に、経済企画庁につきましては、政府は所得倍増計画、あるいは三年間九%成長政策等の公約に拘泥するのあまり、情勢の重大なる変化を無視して、これらを無理にでも押し通そうとしているのではないか。設備投資の増勢は依然衰えないが、三十二年の失敗をまた繰り返すのではないかなどの質疑に対し、迫水経済企画庁長官から、政府は最近における国際収支の悪化等を基調的な変化とは見ていない、三年間九%成長政策は、三十五年度の国民総生産を十三兆六千億円と推定し、それから、年九%の成長率で、三十八年度に十七兆六千億円となるであろうことを公約したのであるが、三十五年度の国民総生産は、すでに十四兆二千三百億円であるから、目標達成のため、何ら無理をする必要はないわけである。設備投資は、政府の見込みより若干多くなる可能性が強いが、所得倍増計画に比し、あまりに大き過ぎることは好ましくないので、すべての面で目標を、あまり離れ過ぎないように、倍増計画のアフター・ケアを実施したい考えである。前向きの対策を講じていけば、三十二年のような急激な変動なしに成長を持続していけるとの答弁があり、また、国土総合開発法制定以来、すでに十一年を経過したにもかかわらず、いまだに全国総合開発計画ができていないのは、あまりにも怠慢ではないか。全国計画は所得倍増計画に不可欠なものと思うが、いつ作成するつもりであるかとの質疑に対しましては、国土総合開発は、当初食糧増産や電源開発等に重点が置かれ、特定地域の計画はできたが、全国計画は、諸般の事情でまだできていないのは遺憾である。全国総合開発計画は、国民所得倍増計画とも密接な関係があるので、地域間格差の是正をも中心課題の一つとして、できるだけすみやかに策定したいとの答弁がありました。 なお二十九日には、本分科会の審議に資するため、山際日本銀行総裁に参考人として出席を求めたのでありますが、国際収支を中心とする金融情勢、金利の引き下げ等についての委員の質疑に対し、同総裁から、大要次のような意見が開陳せられました。すなわち、日銀としても国際収支の動向を注視しているが、その動向の背後には、きわめて複雑な要因があるので、これらの要因について十分なる分析を行ない、その上で個々の対策をとっていく必要があろう。現在のところ、基調的な変化を見込むことはできないので、政策の転換を行なうような必要はない。ただ、若干行き過ぎた部分もあるので、そういうものは押え、逆におくれた部分は促進するなど、弾力的な態度で対処することが望ましい。情勢を十分に分析した上で、個々の対策を積み重ねていけば、必ず全体としてよくなると思う。そのために多少時間がかかるが、それに耐えるだけの日本の国力は十分にあるはずである。また今回の金利引き下げは、三十二年以前の水準に戻しただけであって、国際収支の赤字や設備投資の行き過ぎに結びつくほど大きな程度のものではないということであったのであります。 最後に、外務省所管につきましては、福島国連代表の、中共と国府のジレンマを、最終的に解決する方法は二つの中国を認めることだと信ずる、との発言は、きわめて重大であり、国際的に及ぼす影響もすこぶる甚大であるから、政府はすみやかに、これを打ち消す措置をとるべきではないか。「二つの中国」論に対する政府の見解はどうかとの質疑に対し、小坂外務大臣から、福島国連代表の発言は、新聞記者に同氏個人の気持を語ったもので、もとより公式なものでもなければ、政府の正式見解でもない。何か措置をとるかどうかということは、事情をよく調べた上でなければわからない。政府としては、台湾は、平和条約で放棄したものであり、その帰属については、とやかくいうべき立場にないという、従来からの基本的態度を変えていないとの答弁があり、またわが国も加入している後進国開発援助グループの問題に関連して、西側は東西経済援助競争に負けないために、後進国開発援助について商業ベースを無視した政治的な考え方が強いが、日本の経済力は、先進国とは比較にならないのに、先進国並みの採算を無視した政治的な経済援助に巻き込まれるおそれがあるのではないかとの質疑に対し、後進国開発援助は、現下の世界的要請であるから、わが国としても、当然協力する必要があるが、しかし実行可能な、かつ無理のない方法及び範囲内で行なうことはもちろんであるとの答弁がありました。その他ラオス問題、日韓交渉、ことに財産請求権の問題、日中関係の問題等についても質疑が行なわれました。 以上が、本分科会における質疑の概略でございますが、その詳細につきましては、会議録によって御承知を願いたいと存じます。 かくて本日をもちまして、本分科会に付託せられました案件は、全部の審査を終了いたしました。 右、御報告申し上げます。(拍手)
○委員長(館哲二君) 第三分科会主査武藤常介君。
○武藤常介君 第三分科会における審査の経過を申し上げます。 本分科会は、昭和三十六年度予算三集中、農林、郵政、建設及び運輸の各省所管の予算を担当し、三月二十七日から三十日までの四日間にわたり関係大臣から説明を聴取し、質疑に質疑を重ね、慎重に審議を行ないました。以下、質疑のおもなるものについて、その要旨を申し上げます。 まず、農林省関係におきましては、農業基本法を中心とした質疑が行なわれ、所得倍増計画によると、政府は平均二・五ヘクタールの自立経営農家を十年後に約百万戸育成するというが、現状では、兼業農家は農地を手放さないので、二・五ヘクタールは実現困難ではないか。生産条件の全く異なる農家の場合、政府のいう協業化とは、具体的にどんな内容を持つものか。自立経営と兼業経営と、どちらを主とするのか。自立経営下における協業化とは何か。零細農家は沈むにまかせるのか。政府の積極的な指導がない限り、所得倍増計画の達成は困難と思うがどうか。各年度の予算においては、自主的な措置をとらないと計画倒れとなるおそれがあるが、政府は、その確信があるのかとの質疑がありましたが、これに対して周東農林大臣並びに政府委員から、二・五ヘクタールの自立経営農家の育成は一つのめどであって、零細農家が農地を手放すかどうかは、農家の自主的意思にまかせる考えであり、政府としても、零細農家が手放す農地だけを対象として考えているのではなく、国有林野の払い下げ等の計画も持っている。協業化については、三十六年度は、先駆的な九十二地域に、事業計画の樹立指導助成を行ない、五百地域には、予備調査を実施するが、その結果により長期計画の見通しを立て、協業化計画の施策を示し、誘導していく形をとりたいと思っている。農家経営については、実態に即した個人的な家族経営を理想とし、零細農家は沈むにまかせるのかということであるが、あくまで農家の自主的意思に基づいて協業化し、零細経営から脱却させるという、両立の施策を行ない、日本の農業を近代化して行きたい。政府が実施した施策については、国会に報告し、批判を仰ぎ、新しい具体的な施策は、すべてこの報告に基づいて予算に織り込まれるのであるから、強い拘束力を持つものと思う旨の答弁がありました。 また、農業基本法は、新しい農業の方向についての憲法とも言うべきもので、問題は、これに基づいて、いかなる施策がいかなる方法で具体化されるかにある。ところが政府が、今国会を通じてとろうとしている新しい麦対策、新しい大豆対策等、現実の施策は、基本法を提案する構想に逆行しているではないかとの質疑に対しては、農林大臣からそうした心配のないように施策したい旨の答弁がありました。 次に、郵政省関係におきましては、郵便料金の改定を中心とした質疑が行なわれ、今回の郵便料金の改定は、何が一番の原因であるか。また、今回の改定料金は、政策料金とも言われているので、公正な料金決定の原則を確立する必要が痛感されるが、政府は、どう考えるか。今後五カ年間は、料金改定をやらないかどうか。簡易保険、郵便貯金等の事業によって集まった金の運用権は郵政省が掌握すべきであるのに何ゆえ掌握するような努力をしないのか。郵政省に運用権が返れば財政上どのくらいプラスになるのかとの質疑がありました。これに対して、小金郵政大臣並びに政府委員から、郵便料金の改定は、二年前から郵便物の利用形態に著しい変化が起き、小包や第五種の郵便物が激増したため、要員並びに施設を拡充する必要に迫られたこと。仲裁裁定を見越した人件費を確保する必要があったこと等のため、独立採算制を建前とする郵便事業特別会計が収支相償わなくなったため、郵政審議会の答申に基づき、公正に行なわれたものである。公正な料金決定の原則の確立については検討しなければならないと思う。今後五カ年間は料金改定を行なわないかどうかは、今回の裁定に伴う人件費等を考慮して、果たして今回の料金改定で収支均衡がとれるかどうか、再検討してみないとわからないが、少なくとも三年くらいは改定料金のままでやっていけると思う。保険並びに貯金等によって集めた金の運用については、根本的に再検討を加える段階に到達しているものと思う。保険事業の運用金については現在のところ運用範囲が制約されているので、利回りの向上をはかることができないが、運用法の改正案が通れば三十七年度で十七億円、十年後には四十八億円の増収が期待される。郵便卒業の運用金については、運用権が返ってきても財政投融資等に低利資金を融資するとすれば、運用利回りとしてはほとんど従来と変わらない旨の答弁がありました。 次に、建設省関係におきましては、建設省は今国会に公共用地取得制度特別措置法案を提出するという方針だというが、どのような内容のものか。国民の権利の侵害ではないか。何ゆえ現行の土地収用法を活用しないのか。また最近の交通地獄の解決策として、建設省は何か具体的な構想を持っているかどうか。内閣に交通対策本部があって調整しているというが、今のようなばらばらな組織で調整ができると思うかどうか。交通地獄のため年間六千億円の損害があるといわれるが、トラフィック・エンジニアを置く考えはないかとの質疑がありましたが、これに対しては中村建設大臣並びに政府委員から、公共用地取得制度特別措置法案は、公共用地取得制度調査会の答申に基づき目下作成中であるが、その内容には公共事業の種類を限定し、審議会の議を経た上で認定し、P・Rを行ない、収用委員会の本裁決の前に仮裁決ができるようにする。また買収地内に居住、営業する者に対しては、現物補償や行き先に困らぬよう配慮する等、一歩進んだ措置を織り込む考えである。現行の土地収用法は時間がかかり過ぎ十分活用できない。交通地獄の解決策としては、立体交差等の事業を推進して、交通上の隘路を取り除きたいと考えている。内閣に交通対策本部があるが、掘り下げた施策にまで及んでいない。トラフィック・エンジニアについては研究してみたいと思う旨の答弁がありました。 次に運輸省関係におきましては、今回の鉄道運賃の値上げを中心として質疑が行なわれ、国鉄経営のあり方については、公共企業体と独立採算制との関連においてどのように考えているか。今後の経営増は運賃値上げでカバーしていくのか、それとも一般会計からの繰り入れを期待しているのか。ベースアップが三十六年度計画にどのような支障を及ぼすのか。また新五カ年計画については事業の手直しをするのか、それとも事業分量を減らすのか。運賃再値上げを行なわない期間は、どのくらいの見通しを立てているのかとの質問がありましたが、これに対しては木暮運輸大臣並びに国鉄当局の方から、国鉄は公共福祉の増進を目的とする二面、公共の名はあっても企業体であり独立採算制を建前とする限り、能率的な経営を行ない、公共福祉の増進にたえるだけの力を持っていかなければならない。将来の経費増に対しては、利用者負担にも限度があり、一般会計からの繰り入れば期待できないので、経常の合理化に力を入れ、公共福祉の目的を達成していきたい。仲裁裁定によるベースアップは二百億円を上回る見込みであり、その対策については目下検討中である。新五カ年計画の事業については、経営の合理化、借入金の増加等によって必要な資金を捻出し、事業の完遂に支障のないようにしたい。また運賃の値上げは、新五カ年計画を遂行する間は行なわない考えである旨の答弁がありました。 このほか飼料問題、蚕糸業問題、農業近代化助成資金の問題、開拓問題・有線放送の問題、軍事郵便の問題、有料道路の料金問題、中央自動車道の問題、国鉄予算問題、港湾整備の問題 質疑は細部にわたりましたが、各委員の御熱心なる御質疑の状況につきましては、それぞれ会議録によって御承知を願いたいと存じます。 以上御報告申し上げます。(拍手)
○委員長(館哲二君) 第四分科会主査東隆君。
○東隆君 第四分科会の報告をいたします。 第四分科会に付託されました案件は、昭和三十六年度予算三案のうち、大蔵省、文部省、自治省、厚生省及び労働省に関するものであります。 分科会では去る二十七日から本日までの四日間にわたり、各所管の予算につき、関係大臣の説明を聞き慎重に審査を行ないました。質疑は相当広範多岐にわたりますので、その詳細は会議録によってごらん願いたいのであります。 まず第一日の大蔵省所管では、国際収支の見通しにつき、本年三月の経常収支の赤字は大体四億五千万ドルというがその根拠はどうか、また現在の貿易状況からすると、国際収支の赤字は四−六月になるとさらに増大するのではないかとの質疑がありました。これに対し水田大蔵大臣及び大蔵省政府委員から、輸出入の従来の例ないし最近の傾向からみて、三月の貿易じりは三、四千万ドル程度の赤字となり、それに貿易外取引で約一千万ドルの赤字が見込まれるから、結局経常収支で四、五千万ドルの赤字となる。しかし、総合収支では五千万ドルをやや上回る黒字になる見通しである。また四−六月の赤字が大幅になるかどうかは、アメリカの景気、東南アジアの情勢変化によって違うが、西欧向け輸出が逆に伸びておるような事実もあるので、赤字がそう大幅になるとは思わない旨の答弁がありました。 また、最近の公社債に対する投資ブームに関連し、これが預貯金への影響はどうか、またこの際、証券業者の届出制を認可制に改める意思はないかとの質疑がありましたが、これに対しては、大蔵当局から、市中銀行の預貯金は、二月も順調に伸びている、ただ、郵便貯金の伸びが予想を下回っているが、これは必ずしも公社債投信の影響とは言えない、証券業者の開業については、十分身元調査もし、指導、取り締まりもやっているわけで、今直ちに、これを免許制にする考えはないが、不健全な証券業者による一般大衆の被害の点も考えられるので、この点、ただいま証券取引審議会に諮問しており、その答申を待って、あらためて結論を出したいと思うとの答弁がございました。 このほか、輸出入銀行の貸付に対する問題、専売益金、特にたばこの売り上げに関する専売公社の経営上の問題を初め、用地費をめぐる予算計上の仕方の問題、建設共済組合の掛金問題及び終戦時に樺太に在住した住民の北海道拓殖銀行への預金の問題等、大蔵省所管の各般にわたって活発な質疑がありましたが、その内容は省略をさせていただきます。 第二日は、文部省と自治省所管を並行審査いたしました。 文部省所管では、昭和三十七年度以降、中学卒業生が激増するが、これに応ずるための高等学校の新設ないし学級増に対する予算措置がほとんどとられていない。これでは、現在でも狭き門になっている高校進学が、いよいよ困難なことになる、足らないところは、地方自治団体の自主財源でやれといった態度をやめて、もっと一般高校に施設補助をする考えはないか、また、この予算案では、小・中学を通じ、一学級に五十一名以上の生徒を持つ、いわゆるすし詰め教室が、全国に八万学級もあることを確認しながら、これが改善のための教員の充足がなされていない、五カ年計画で、すし詰め教室を解消すると言いながら、三年目になって足踏みをする、そんな計画があるかとの質疑がありました。これに対し、荒木文部大臣並びに文部省政府委員からは、三十五年度は、高校入学希望者百六万七千人に対し、百二万二千人、九六%が就学している、この進学率は、三十六年度以降にも確保したい、施設整備費を三十六年度だけで見ると、幾分少ないかもしれぬが、今回は、工業高校に重点を置いたわけで、一般高校に同じ程度の助成金を計上できなかったことは遺憾であるが、起債財源をつけたこと自体、施設整備の能力を地方に与えたという意味で、合格点はもらえると思っている、政府としては、三十六年度から三十七年度と、引き続きあらゆる努力をして、中卒急増対策に遺憾なきを期するつもりである、また、すし詰め学級問題については、今年は、中学生が約百万人ふえた一方、小学生の数が減っているので、教員数の増を八千五百六十六名に押えた次第で、こうした差引計算は、今回に限らず、昨年もやったことである。要は、五カ年間で、すし詰め学級をなくする考えで、来たるべき三十六年度には、小・中学とも、一学級五十名編成の実現を必ずやり遂げるつもりであるとの答弁がありました。 さらに、学校給食について、最近、地方では給食普及率の後退が見られ、また、給食の内容が質的に低下するおそれがあるが、政府はこの際、学校給食を、法律による義務制にする考えはないかとの質疑に対し、政府側から、給食の普及率は、小学校六七%、中学校一一%、夜間定時制高校二二%で、年々漸増の傾向にあること、また給食の義務制については、文部大臣から、気持としてはそうしたいが、法律によるには、まだ時期尚早だと思うので、さしあたり小学校での普及率六七%を一〇〇%にまで高めるよう、自治省とも連絡をとりながら、行政指導によって実効を期したい旨の答弁がありました。 このほか、国語審議会のあり方と、国語、国字の改革問題などを初め、幼稚園と義務教育の関係、戦災校、危険校舎の復旧並びに盲ろう校の施設改善、小・中学校教職員への超過勤務手当支給、育英資金、教材費、研修旅費の増額及び僻地教育の振興等、教育現場から見た各般の切実な質疑のほか、教育基本法に対する理解の問題、文化財保護に関する問題など、文部行政の全般にわたる質疑があったのであります。 次に、自治省関係の質疑といたしましては、最近地方議員の間で、退職金制度を作る動きがあるが、自治省において、この際これを立法化する考えはないか、またこの問題は、地方財政に影響があると思うので、国会議員の場合のように、互助年金制がよいと考えるがどうかとの質疑がありましたが、これに対し安井自治大臣から、国会議員に互助年金があり、地方公務員に退職年金制がある以上、地方議員にも、この種の年金があっていいと思う。自治省としては、自治体に迷惑のかからない互助年金の形がよいと考えるが、立法化の点では、地方財政を将来も圧迫しないよう、なお検討したい旨の答弁がございました。 第三日目は、厚生省所管であります。まず医療内容の改善に関する問題でありますが、健康保険、国民健康保険等、各種医療保険の現状から見て、医薬分業制度は、いろいろな点で矛盾をはらんでいる。すなわち現行制度によれば、重症患者や重大処置を要する症状に活用されることが比較的少い反面、売薬で事足りるような小額の支払い方面に使われる向きが多く、医療が低い面に食われる形になっている。これでは医薬分業の意味がないから、売薬で済むような病気を保険からはずす等、根本的に再検討する考えはないか。また患者としては、最高の治療を受けたいのが念願と思うが、厚生大臣の所信はどうかとの質疑がございました。これに対し古井厚生大臣は、医療保険が十分に活用されていないのは、健保や国保の患者負担率が半額負担になっているため、容易に利用できないからだと思う。この点、保険財政への影響も考えた上で、給付率の引き上げなど、医療内容の改善につき研究しているが、まだ結論を申す段階にはなっていない、また、病気は何としてもなおさなければならぬわけで、これが医療の根本だと思う。従って、このことと保険財政の限度をにらみ合わせて、いかにすれば国民の医療を質的に向上できるかを検討したい旨の答弁がありました。 また、助産婦の不足対策をめぐって、現在全国に保健所が八百カ所あり、そこに百七十人からの助産婦が働いているが、最近は助産婦の志望者が減少し、死亡したりすると、その補充がつかない、助産婦養成所も、この一年間に十八カ所から二十三カ所にふえているが、卒業生が逆に減っているありさまである。さらに開業助産婦の場合は、平均年令が五十六才で、若い婦人には助産婦になりてがない。それは、助産婦の待遇が悪く、生活の見通しがつかないからだと思うが、緊急に対策を講ずべきではないかとの質疑がございました。これに対し厚生大臣は、わが国の新生児、妊産婦の死亡率が欧米諸国に比べて高いこと、また、助産婦の養成がきわめて必要な点をあげて、その待遇改善並びに人員の補充策を真剣に検討中である旨の答弁がありました。その他小児麻痺及び結核、精神病の予防対策、病院の統廃合問題、国民皆保険体制の今後の見通し及び公衆衛生、環境衛生の問題等、厚生行政の全般にわたり質疑が行なわれたのであります。 第四日目、すなわち本日は、労働省所管についてであります。現行の業者間協定による最低賃金制を改定する考えはないかという質疑であります。質疑の趣旨は、政府のいう最低賃金二百円は一カ月二十五日稼動と見て五千円であるが、これは生活保護法による生活扶助費にも満たない少額であり、しかも二百円以下のものが、現に最賃法の名のもとに、地方の労働基準局で認められている事実すらある。さらにまた、業者間協定で、最低賃金を二百円で押える結果、親会社と下請業者、あるいは下請業者同士の間で、二百円以上には協定できないという事態が起こっており、そのため中小業者にあっては、求人に悩み、倒産する者も出る状況であるから、この際、最低賃金をせめて一律八千円程度に引き上げる必要があるというのであります。これに対し、石田労働大臣並びに労働省当局は、現行の最賃法は、最低を二百円と定めているが、政府としては、これを二百五十円に引き上げるために、また、現在の適用人員五十二万人を、今後三カ年のうちに二百五十万人に拡大するために努力している。二百円は、あくまで最低であって最高ではない。それゆえ親会社と下請業者の双方で、二百円を基に不当な拘束をし合っておるとすれば、他の措置で処理せねばならぬと思う。また現行法は、十五才で二百円を最低賃金としているが、十五才から十八才までの間の昇給率は、二九・五%が普通であるから、十八才で大体八千円に達するわけで、社会党の最賃法にいうところと、実質的に同じレベルになる。政府としては、以上の点を目標に、最賃制そのものの理解を一般国民に深める努力を進めるとともに、その過程において、現行法が改定されることを期待しており、その達成時期は、おおむね昭和三十八年度を目途に考えている旨の答弁がありました。 そのほか職業訓練と就職の問題、失業対策と失対賃金の問題並びにそれとPW及び生活保護との関係、その他労災保険における給付問題、雇用促進事業団、ILO条約、労災病院ストなどなど、幾多の質疑がございましたが、その内容は、会議録に譲りたいと存じます。 以上をもちまして、第四分科会に付託されました案件全部の審査を終了した次第であります。 右、御報告申し上げます。(拍手)
○委員長(館哲二君) 以上をもって、分科会の報告は終了しました。 本日は、これにて散会いたします。 午後九時四分散会