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38回国会参議院1961/03/23

予算委員会 第19号

発言数
223
登壇者
27
会派数
4
開催日
1961/03/23

会議録

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) これより予算委員会を開会いたします。  まず、委員の変更について報告いたします。  本日、阿部竹松君、北畠教真君及び近藤鶴代君が辞任され、その補欠として小酒井義男君、大谷贇雄君及び小山邦太郎君が選任されました。   —————————————

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 昭和三十六年度一般会計予算、昭和三十六年度特別会計予算、昭和三十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  質疑を続行いたします。山本杉君。

山本杉自由民主党

○山本杉君 池田総理は、このたびの施政方針演説の中で、政治の姿勢を正すということを強調されております。政治の姿勢を正すということは、第一に民生の安定であると思います。いかに福祉国家建設を唱えても、真の民生の安定が得られなければ、それはお題目にすぎません。そこで一番大切なことは、何といっても国民全体の富の増加でございます。このために所得倍増計画が打ち立てられ、国民の物質生活の充足向上と、国の経済成長がはかられております。国民の多くは、国家のこの行き方と世界の経済伸展とが共にあるという期待と喜びを持っております。従って民生を安定する社会保障というものは、階級闘争によって富めるものの富を分配して、それを社会保障に回すとか、なすべき自衛措置などをなおざりにしてその費用を当てるというのではなく、国民個人の創意工夫、努力によって得た自然増収の中から社会保障に回し得る財源を増していく、そして窮貧階層を中産階級に引き上げていく行き方でなければならないのだと思います。ですから、社会保障の根底には国民生活水準の向上ということと、完全雇用の確立ということがなければならないのです。そのためには国民の健康増進確保のための合理化された医療制度と、一方には知能、技術を向上させ、人格を作り上げる教育の徹底が強く要望されるわけです。そこで私は、今日は時代に即応した医療制度の確立について厚生大臣の御意見を伺い、また国民の、ことにその職場においての知能、技術向上のための教育問題の徹底について文部大臣から、また法務大臣、労働大臣などからお伺いしたいと思うのでございます。  そこで、三十六年度の厚生省関係の予算は、皆様も御承知の通り、国の総予算の一二%、これは非常な増額だと思います。また社会保障費の伸びは三四・七%、ところがここに医療費問題というものがクローズアップしてきて、過日、本委員会においても菱山公述人の公述の中でも、大切な社会保障費を医療費に食われたというような、見のがせない発言があったのであります。健全な合理的な医療制度確立のためには、適正な医療費を認めなければならないのは当然でございます。そこで医療費問題についてお聞きするわけでありますが、その前に社会保障費の一部について若干お尋ねしたいと思います。  時間の関係上、要点のみをあげますけれども、第一に、結核の命令入院のワクを広げて、三十五年度より四十五億も増額されたということは画期的なことでございます。結核撲滅の夢を抱いてきた私たちにとりましては、まことに今昔の感にたえません。これならば、十年後に結核がなくなるであろうというようなことも、夢想ではないと思われます。ところで、この命令入院の数でございますが、入院を必要とする開放患者の全部を収容することができるでしょうか、まずその点を一つ厚生大臣にお聞きしたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○国務大臣(古井喜實君) 今回のこの結核の命令入所の問題でありますけれども、これは御承知のように、感染度の非常に強い人を入所させようというわけでありますので、そこの程度の見分けの問題は扱い上起こりましょうけれども、しかし今回の措置で、大体必要と考えられる人はこの扱いができるのだ、そういうふうに考えております。

山本杉自由民主党

○山本杉君 今、大臣は、大体措置で片がつくというふうにおっしゃっておられますけれども、要保護階層の結核罹病率というものは、一般階層の罹病率に比べると十三倍もあるわけでございまして、そうしてこの人たちが命令入院の措置からはずれた場合には、健康保険を持っている者は健康保険で、またそうでない者は国保で入院措置をとってもらうわけでございますが、国保では所帯主が七割給付、家族が五割給付ということにきめられております。それで私が考えますのですが、この国保の財政というものが非常にあやふやで、非常に不確定でございますが、この財政を確立させるためにも、私は国保から結核であるとか精神病とかいうような長期療養を要する病気をはずすわけにはいかないものか、その点を一つお尋ねしたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○国務大臣(古井喜實君) ただいまの国保から結核あるいは特殊なものとして精神病とか、はずしてしまうわけにはいかぬかと、これは今までからも伺っておる議論であります。一つの考え方かもしらぬと思うのでありますけれども、それでは切りかえるというところまでは、きょうのところはまだよう踏み切っていないのであります。ただしかし、お話の中にありました生活保護の関係は、これは国保の中で扱うというのはちょっと無理でありますので、これは生活保護の医療扶助の問題として必要な経費を見る、こういうことになるわけであります。その他の人は、国保の方に結核なども残る、そのときに今度は三十六年度から所帯主だったら七割給付、こういうふうに五割を七割まで引き上げたわけでありますけれども、これは一歩とにかく改善でありますが、はずすという問題はもう少し研究してみた上で結論を出した方がいいように思いますので、すぐそれじゃはずしましょうとか申し上げるだけのところにきておらぬ状況であります。

山本杉自由民主党

○山本杉君 それではただいま御説明のように、生活扶助に回すとおっしゃったのでいざいますが、その生活扶助の方と公的な療養というものとの調整をどういうふうにお考えでございましょうか、そこを一つお聞かせ願いたい。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○国務大臣(古井喜實君) 今御質問の趣旨がちょっとつかみがねましたが、生活保護の関係者の医療扶助でありますね、それと公的扶助とおっしゃいましたが、公的扶助……。

山本杉自由民主党

○山本杉君 公的な場合には全額……。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○国務大臣(古井喜實君) 今の命令入所などのときに全額を見る、それとの関係がどうなるかというお話でありますか。——生活保護の方の関係は、とにもかくにも自力では医療費を負担できないですから、必要なだけはこれは見なければならぬわけでありますから、これはまあその生活保護関係は必要なだけは見る。しかし、生活保護の関係の人を命令入所させた場合ですね。つまり今度は命令入所させた場合、この場合には、命令入所として全額持つ、こういうことになるように思いますが、ここのところは私もちょっと自身がありませんから、間違っておったら専門の者から訂正させますが、命令入所に持っていけば、その扱いになるのじゃないかと思いますが、ちょっと怪しいですから、間違っておったら訂正させます。……間違いないそうですから。

山本杉自由民主党

○山本杉君 それでは、次に生活扶助基準の引き上げについて伺いたいのでございますが、厚生省は、一番最初に二六%引き上げるというような予算を計上して下すって、私ども非常に喜んだのでございますが、結局はこれが一八%しか引き上げられない。まあいろいろな住宅手当であるとか、あるいは勤労控除などを入れませば二〇%になるという御説明でありますけれども、古井厚生大臣は、健康にしてかつ文化的ということが非常によくおわかり下さる方だと私は信じておるのでございますが、この二〇%に満たない引き上げでは、とうていそのような生活がむずかしいのじゃないかと思いますが、これに対して、以後お引き上げになるようなお考えでございましょうか。一つ伺いたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○国務大臣(古井喜實君) 生活保護基 準二六%というものを厚生省が要求しておって一八%に落ちたと、これは何回も皆さん方からどういうわけだいうて、非難かたがたの御質問を受けておるわけであります。一八%でけっこうだというふうには依然として思っておりません。もっと上げたいと思うのであります。ただ、今回の場合は、前前も申しますように、とにかくもとが低かったのでありますから、今までが低過ぎたといえば低過ぎたのでありまして、一八%一挙に上げる、一どきに上げるなどということは、実に大きなことだと思うのです。だから、上げ方は大きかったけれども、上げた現状が非常に完全なものになったかというと、まだ問題は残っておると思うのでありますから、これは今後の問題としてよく検討したいと、問題としてかかえておりますから、御了承願いたいと思います。

山本杉自由民主党

○山本杉君 次に、国民生活水準の向上を完全雇用の面から伺いたいと思うのでございますけれども、日本では、家庭が貧しいということのために、優秀な青年の半分以上が頭脳未開拓の状態に終わって、そのために、低教育と低所得の悪循環で、よい就職をすることができないわけでございます。そこで、今年度は頭脳資源開発という意味だろうと思いますけれども、三十六年度の予算では、育英奨学金の増額が非常に大幅に認められております。大学生八千人、高校生一万二千人というような人に対する奨学金が用意されたようでございます、また、勤労青少年教育の奨励という意味でも、三千六百万円も増額されております。これで私はよいのかどうかということを文部大臣に伺いたいのでございます。というのは、ソ連では、この奨学金制度というものが非常にうまい仕組みになっていて、たくさんの有能な人材が大学教育を受けているということを聞きます。またアメリカのケネディ大統領の就任のときの演説の中にも、特に人材の養成教育ということには力を注ぐということをはっきり打ち出しておるのでございますが、現下の複雑なこの国際競争場裏の中で、日本は教育の上にいろいろな問題を持っておりますが、このような基本的な問題の中で、荒木文相はどのようにお考えでございましょうか、一つお伺いしたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。御指摘の通り、自分の生まれた生活環境が恵まれないがために、持っておる能力が伸ばせない、貧乏なものはいつまでも代々下積みにならざるを得ないと、こういうことはまことに残念なことでございますから、お示しのように、わずかなことではありましたけれども、三十六年度予算においては育英奨学のことに特にウエートを置いて考えたような次第でございます。ソ連、アメリカには簡単にまねのできない要素がございますから、望むべくもない意味合いもございますけれども、今後ますますそういう努力を積み重ねていって、まだ落ちこぼれのある人たちを伸ばしていくという努力をしなければならないかと思うのであります。さしあたり育英奨学の面で青少年の志を伸ばしていく方法が限度がありまする限りは、義務教育ないしは高等学校を終えまして、社会人となる人がたくさん残されるわけですが、その人々の能力に応じて、さらに向学心を満足さしていくという場は、どうしても現実問題としては、職場内における技能教育とあわせた教育、それと相呼応する学校教育——青年学級とか定時制とかいうやり方でもって、今相互協力しながらこれらの青少年の希望に沿いたいというやり方でやっておりますけれども、むろんまだ十分ではございません。もっともっと努力を積み重ねて、こういう青少年の要望にこたえつつ、志を伸ばしてやりたいと、かように考えておる次第でございます。

山本杉自由民主党

○山本杉君 ただいま文部大臣の御説明で、お気持はよくわかったんでございます。そして雇用者の教育、特に職場の中での企業内学級というようなものに対する補助を十分にしていきたいというお気持は、勤労青少年教育の奨励費として四億一千三百万、青年学級の充実振興費として一億二千百万円計上されたことでよくわかる。これは職業学校であるとか、あるいは補助対象学級を増設し、特に企業内学級に対する補助に重点を置かれたことで、十分に政府の意のあるところは理解できるのですが、私は職場の中での頭脳開拓、人間育成について特にお聞きしたいのです。かつて私、ある職場の中に、新生活運動の一環としての指導に当たったことがあるのでございますが、その場合に、未成年者を雇用しているその職場で、生活指導というものを徹底的にしてもらいたい、こう申しましたことに対して、会社側は、これは労務管理の範囲だからというのでそれを拒んだわけであります。未成年者を雇い入れて、職場においてそれを人間に仕立て上げるという建前の場合に、その労働しております勤務時間外だけでこれがりっぱにできるものかどうか。これでは、完全雇用の目的を達するような人間を作り上げることは不十分でもあるし、またそこが不徹底だと思うのでございます。そこで完全雇用ということを考えます以上、その人人を社会人としてりっぱな教養をつけた、また結婚であるとか、あるいは人の親となるに及んで十分な資格を持った人間にまで仕上げなければならない。その点で私は、労働省と文部省とのセクショナリズムと申しましょうか、その行政面でのあれでその教育が不徹底に終わるということは、はなはだ遺憾だと思うのでございます。それで労働大臣にもきょう伺いたいと思いましたけれども、労働大臣はちょっと御用があってお見えにならぬそうでございますから、このことについて、重ねて文部大臣に伺いたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先ほどお答え申し上げたことで、ある程度関連したことを申し上げたつもりでございますが、御指摘のように、職場に入っておって、しかも本人の立場から申せば、先ほど申し上げました通り向学心も満足させるという事柄でございますが、一般に、未成年者がおとなになるについて、満足な技能はもちろんのこと、人間としても満足な人に育つようにということになりますと、職場における技能ないしは職能教育オンリーで考えられておる職場教育では不徹底であろうと、もちろん思います。別にセクショナリズムでかれこれ今まで言ってきておるわけでは毛頭ございませんが、労働省系統の行政から申せば、やはり職場内の技能や職能の教育だということが主眼点になりますし、さりとて、それだけでは十分でないという欠陥がある。そのことが以前から問題にされておったわけでございますが、ようやく三十六年度からは、予算措置としましても、また立法措置としましても、何がしかの前進を見せたいということで御審議を願っておるわけでございますが、一般の人間形成の立場からの教育の系統を乱さずに、しかも技能、職能教育の場も混乱を来たさないで、相呼応して御指摘のような線に持っていこうというわけでございまして、これは職場内における技能教育内において修得します学科目を、高等学校の教育の立場からする教育課程の一部と認めまして、あわせて一本になるような便宜をはかることによって、人間形成の目的も、技能、職能教育の目的も、ともに達し得るような措置を講じたい、こういうことを考えて、いずれまた法律案も御審議願う機会があろうと思いますが、そういう考えでおる次第でございます。

山本杉自由民主党

○山本杉君 次に、ついでと申しましてはなんでございますが、青少年問題について少し伺いたいと思います。戦後、経済市場の進展と同時に、日本の社会が非常な変化をいたしまして、青少年の非行の増加ということは、その年令層の自殺とともに、日本は世界一といわれるような状態となっております。ことにこの二十歳未満の少年犯罪の内容が、年令が低いということ、それから暴力あるいは凶悪性犯罪というようなものが目立ってふえておる。中流家庭の子女が享楽を追求するために犯罪を犯す者が多くなっておる。また、集団によるところの犯罪というものが多くなっているといわれておるのでございますが、この低年令層の犯罪の増加に対して、指導対策としての文部大臣の御意見を伺いたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。青少年の犯罪が件数においても、その質においても、戦前に比べて非常に心配な状態にあることが指摘されるのでありますが、まことに遺憾千万であることはお話の通りと思います。ことに未成年者、十代の青少年の犯罪がきわ立って多くなり、悪質になったということにつきましては、現にたとえば十七歳の少年が何かを犯したという場合の対症療法的な考え方もむろん必要であろうと思いますが、さかのぼれば、十代であるがゆえに、小中学校、高等学校を卒業していきなり社会に飛び込んだとたんに悪いことをするという年令層だと思われる意味において、何としても義務教育あるいは高等学校の教育の場で、十分に非行を犯さないような、いわば人間作りをしなければならない課題だと思うのであります。そこで、高等学校までの教育の場において非常に責任があると思います。非行少年それ自体は、ほめたものでないことは当然でございますが、はたして小中学校、高等学校の教育で、その非行を極力犯さないような教育をやってきたかどうかという反省をする必要がある。私はその意味において、教育者あるいは文部省といえども責任があると思うのであります。それは毎度申し上げますことですけれども、敗戦被害の一種と申せないことはございませんけれども、しかし文教当局の責任だと思うことは、終戦直後の占領軍の指令とはいいながら、何がいいか悪いか、こんなことをしていいか悪いかということすら教えていない姿に放任されて、おととしまでのんべんだらりとやってきたという教育の場の責任が重大であろうと思います。それがようやく一昨年来小中学校において道徳教育というものを特に取り上ぐべきだということになりましたけれども、おくればせながらも御同慶に存ずるのでありますが、さらにこの三十六年度から道徳教育を特設して、小中学校はもとより各高等学校におきましても、倫理の課程に特別にウエートを置いていこうということになりましたが、おくればせながら責任の場にありまして、やれやれというふうな気持がいたすのであります。おととしまでは、日教組といえども教えようにも教えちゃいかなかったという制度の罪、これは青少年に対しまして恐縮千万に私は思うのであります。ただその後、相変わらず、道徳教育絶対反対を唱える人々がおることは遺憾に思う。教育の場にある先生方に、ほんとうに青少年が非行過程をたどらないための魂を込めた教育を切に期待し、説得してもらうことによって、青少年犯罪を将来に向かって絶滅を期したい。同時に、現に社会に出ております青少年に対しましてのおとなのあたたかい思いやり、あるいはこの青少年をめぐります環境をもっと健全にしていくという努力を、あらゆる関係者がいたしますことによって、この青少年非行あるいは犯罪問題等に対処すべきものと存じております。

山本杉自由民主党

○山本杉君 ただいま文部大臣が教育者の側に立っての御反省や、いろいろな御意見は十分にわかりましたけれども、子供がうまく育つかということの一つの温床かと思われる家庭環境でございますけれども、両親のあり方、また、日本の成人としての社会生活の姿というようなものに対して、文部省では何かお調べになっていらっしゃいますでしょうか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。具体的に、計数的にお答え申し上げる数字を今お持ち合わせておりませんけれども、先刻申し上げた通り、子供に対するおとなの責任が果たされていない、なかんずく家庭内における父母が、自分の最愛の子供に対して本気でしつけをするということを忘れたような状態で、戦後今日まできておることは否定できないと思います。それは基本的には、ちょうだいもののデモクラシーなるがゆえに見当がつかない。うかつなことを言って、へ理屈ばかりうまくなった子供にひねられたくないという浅薄な憶病のせいでもあろうかと想像いたしますが、少なくとも自分の子供については、乏しくあろうとも、自分みずからの体験に基づくアドバイザーとしての親の真意がもっとしみ通るような誠意が家庭内に満ち満ちておるならば、ずいぶん私は結果が違うのではなかろうかと思うのであります。そういう意味で、私は、親なりあるいは兄弟というものが自分の子供あるいは弟妹に対して真心をこめた忠言者の立場に立って、自信を持ってはぐくんでいくような環境であってほしい。それにはおのずから近代的な日本人としての自覚が明確でないならば、自信を持って行動できないこともわかりますけれども、みんなが各家庭でそういう気持で努力を積み重ねるならば、これまた青少年犯罪の防止というか、子供が成りそこなわないためのブレーキに絶対の効果があろう、かように思うのであります。御指摘の性犯罪等におきましても、詳しく申し上げる材料を私自身持ち合わせませんので、申し上げかねますけれども、心がまえとしては、そういうことで社会教育、家庭教育という角度から指導助言をして参りたいと思います。

山本杉自由民主党

○山本杉君 時間の関係で詳しく御質問できないのが残念でございますが、ただいまちょっと大臣がおっしゃった性犯罪の問題について、少年院に収容されました少年が、戦後だんだんに性行動の経験率と申しましょうか、そういうものが高くなっておる。これが性犯罪の発生率と合呼応しておるというふうに聞くのでございますが、法務大臣からその面について詳しく御説明を願いたいと思います。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) お答えいたします。性犯罪の増加の問題につきましては、確かにその傾向が近年増加しておるのでありまして、非常にわれわれといたしましても残念至極に存じておる次第であります。昭和三十四年中に家庭裁判所が終局的な決定を行ないました人員の中で、売春防止法違反の人たちが千三百八人ということになっております。これは従来の統計から見ますというと、そう多い数字ではないのであります。しかし、諸外国の報告によりますというと、少女による売春の増加ということが、やはり世界的にそういう傾向にあることが報ぜられております。これはなぜそうなるのか、一般的に、社会の情勢から、成熟の早期化とでも申しますか、あるいは年少者による非行、性犯罪が、社会の風潮からおのずからいろいろの刺激を受けて多くなる、あるいは少年少女等の不純な性交の増加ということが、どうも世界的に多くなっていく傾向にあるということが報じられております。わが国においてもそうした傾向が、統計の上にも現われておるのであります。その原因につきましては、ただいま文部大臣もお答えになりましたように、教育の問題もございます。あるいはことに大事な家庭環境の問題もございます。あるいはさらに社会全体の、社会の環境というものも、これがいろいろな悪い刺激が多分にあるということもございます。こうした問題に関して、われわれもいろいろ心を砕いておるのでありますが、言うまでもなく、対策といたしまして少年少女に対しての教育の場において、関係のある者ができるだけ注意して参らなければならぬ。また、社会環境の問題についてば、これまたいろいろな面から成人のわれわれの立場において十分に気を配って参るという必要があると思います。たとえば映画等におきましても、あまりにもどぎつい看板を掲げて、それが少年少女の目に入るというようなことも、これはよほど考えなければならない。あるいは出版物等においても同様でありまして、こういう問題についても、それぞれの側においてほんとうに健全な良識をもって行動していただいて運営をやっていただきたい、かように考えております。ことに大事なことは、今もお話に出ました家庭の問題でありまして、家庭におけるしつけあるいは監督ということが非常に大事でありまして、これが青少年がだんだん成人して参るその途中において悪に陥る一つの大きな原因になっておるように思われます。しかし、こうした問題についてのいろいろな詳しい調査というものは、なおわれわれの側においても十分ならざるものがある。従って、われわれは非行少年を収容しておりますところの少年院でありますとかあるいは少年鑑別所等において、もっともっと研究もし、原因の探求を行ない、これに対しての適当な処置を早く見つけ出して、これを正常化し、われわれの仕事の範囲においても十分に配慮を加えて進んで参りたい、かように思っておる次第であります。

山本杉自由民主党

○山本杉君 重ねて法務大臣にお伺いしたいのでございますが、少年院等に収容されます虞犯少年、それがどのような割合で将来常習犯罪者になっておるかというようなこと、それからまた、それらの知能程度について資料がございましたらお教えを願いたい。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 少年院に収容されました少年で、常習犯罪者になっておる者はどのくらいあるだろうかというようなお話でございます。少年院に収容されております者ば、ほとんど御承知の通り家庭裁判所でいろいろ一応処分の決定だとか、それぞれの処置を受けた者が、さらに間違いを起こしまして、そうして保護観察の処分等を受けておりますので、少年院に入って来た者のほとんどすべては、ある意味で、広い意味から申しますと、悪い言葉ですが常習的な非行少年であるということが言えるかと思うのであります。ことに少年院を出て参りました者の中で、さらに非行を重ねまして、そうしてまたそれが少年院に送られてくるという者が、昨年末の現在員で申しますと九千七百三十一人の少年院におけるところの総員の中で、二千九十八人というものがそういうような再犯で収容されておるという数字であります。これは全現在員九千七百三十一人の約二割一分がこうした人たちである。なお、このほかに、御参考に申し上げますが、少年院に送られて入っておるのではなしに、少年刑務所に収容されておる者が、これが三十五年度において千百五十八人という数字でございますから、こうした者が非常に、累犯といいますか、何度も何度も間違いを起こす傾向があるということが多分にうかがわれるのであります。  で、こうした人たちの知能の程度等の問題についてのお尋ねがございましたが、これは一般の、特にこういう常習的な者についてだけの調べというものはまだやっておりませんが、在院者全体についての調べをやってみますというと、いわゆるあの知能程度をはかる測定の標準によりますところのあれで申しますというと、八〇ないし一〇〇というのが多数を占めております。全体の数字の中の四割四分が八〇ないし一〇〇という知能指数を示しておるということでありまして、一般の場合よりは一般低いところにあります。しかし、それが非常に低いかというと、それほどでもないような状況でございます。

山本杉自由民主党

○山本杉君 厚生省では三十六年度には、この精薄対策であるとか、あるいはろうあ者に対しては格段の御配慮があったのでございますが、そういうことをひっくるめまして、今、荒木文部大臣からも法務大臣からも、教育の重要性ということは十分にお考えになっていただいていることがわかるのでございますが、また、この知能指数などの関係から考えてみますと、こうした精薄者に近い人たち、しかも、社会悪のもとになるような人たち、これが今の学説では、遺伝もさりながら、妊娠中毒によるそういうふうな子供の生まれる率が多いということでございます。先ごろ厚生大臣は、妊娠中毒の予算をこの次こそは取るとお約束下さったそうでございますが、どうかこういう根本的な面も十分にお考え願いたいと思います。  さらに私が一つだけこの問題について伺いたいのは、純潔教育の問題でございます。性犯罪がふえる、また、こういった面で非常に社会悪が進んでおるのでございますが、こういうことに対処して文部省では、終戦後十年間にわたって純潔教育審議会というものが設けられて、そうして性教育のカリキュラムであるとか、あるいは青少年の育成の基本問題について審議されたのでございますが、その十年間の審議会に一銭も予算がなかった。今日、社会局長の手元でわずかながら細々とそうした面での出版の仕事が続けられている状態でございますが、文部大臣はこの純潔教育の面で予算を、将来その措置をおとり下さるおつもりはございましょうか。一つここで伺いたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。男女間の交際あるいは男女関係に至りまするまでのことを十分に理解させて、いわゆる純潔教育を徹底するということは、きわめてデリケートでもあり、重大であろうと思います。今まで文部省もその面で努力しておりますことは、今御指摘の通りでございますが、これは必ずしも予算の大小にのみ依存すべき事柄でなくて、子供たちに正しい知識を与えるということが第一義であろうと思うのであります。その意味では、新教育課程におきまして、純潔教育の面から正しい男女の相互関係のあり方を義務教育課程におきましても教壇から十分教えることにしよう、さらに社会教育の面でも、今御指摘の通り審議会等に諮りまして、パンフレットその他を通して社会教育の純潔教育を担当するような指導者層に対しまして十分の認識を与えるということから一種の——間接的にでございますけれども、従来努力いたしております。今後もますます性犯罪が多くなる傾向にありますことにかんがみまして、一そうの努力をすべきことは当然と心得ておるわけでございます。

山本杉自由民主党

○山本杉君 なお、お聞きしたいことが二、三ございますけれども、ちょっと時間の関係で医療費問題に入りたいと思います。  この診療費問題、非常に大きな問題になって政治問題化しておりますけれども、この根本原因は何といっても国民生活の水準がまだ世界的水準よりはるかに低いのに、社会保険診療の水準ばかりが高くなったというようなところにそのギャップができて、そうして大へんな混乱が起こったのだと思うのでございます。そこで、その日本の医療保険制度の一番大きな矛盾として指摘されますのは、何といっても、医療保険というものが始まりましてから三十五年もたっているというのに、時代の推移であるとか、医学の進歩であるとかというようなことが思うほど取り入れられない。創始時代のままの構造であるというところに大へんな矛盾があると思います。そうしてあとからあとから種類の違った社会保険ができて、その重複した混雑の中で医療給付の不公平であるとか、あるいは差額徴収の問題とか、地域差の問題だとか、さまざまな問題が起こっておると思う。そこで、この医療問題が今日政治問題になっておりますということを解決するためには、何としてもここで納得のいく、国民が納得する改革の方向というものが指示をされなければおさまりがつかないと思うのです。そこで厚生大臣に伺うわけでございますが、先ごろ党三役と両医師会との折衝で、一〇%以上という含みのあることでどうやらおさまりがついておるようでございますが、これについてはすでにこの場で藤田委員から御質問があり、厚生大臣もその交渉の経過や結果の妥当性は認めるという御答弁でありましたので、私はここで重ねてこの問題については伺いませんけれども、とにかく厚生大臣がおっしゃるその抜本的な改革、その抜本的という意味について、きょうは私は具体的な構想を伺ってみたいと思うのです。まず第一に、中央医療協議会というものが今日までどのような役目を果たしてきたのか、その具体的な御説明を願いたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○国務大臣(古井喜實君) 医療問題については、大小解決すべき問題が山ほどあることは、山本委員が一番よく御承知だと思います。そこで、それからそれまで全部手直しを考えてみなければならぬくらいな状況だと思うのでありますので、これにつきましては、ごく基本的な大事な問題を漏らさぬように取り組んでいってみたいと、こういうふうに思っておるのであります。これにつきましては一つ、ただいまの御質問でもありませんから割愛さしていただきまして、医療協議会のお尋ねの問題でありますが、これは、今まで医療協議会というものが麻痺状態に陥っておりまして、そうして、ことに一昨年の六月以来は全然もう開くことができないことになってきょうに至っておる状況であります。で、診療報酬をどうするかという点なぞは医療協議会にかけなければならぬと法律で縛っておるのでありますけれども、その医療協議会が今のようなわけで動かない、眠った機構になっておるという矛盾が起こっておるわけであります。で、医療協議会ではこの医療を担当する方の側の人、それからこれに対して医療費を負担する支払う方の側の人、また第三者的な公益代表の人、それぞれの人が加わって論議をする建前でありますから、そこで話が十分納得のもとにまとまりますれば、医療費をどうするかという処理は非常に円滑にいくわけであります。ところが、実情はさっき申しましたようなわけであります。過去においては、つまり医療協議会はできそこないであったと思います。しかし、やっぱりこういう関係者、第三者が入ったところで医療費の問題は十分論じて、そして結論をつけるという行き方がどうしても必要だと思うのであります。それを抜きにして、いわば家の外でああだこうだといって一方的に勝手ほうだいを言っておっていいということになったら、医療費の問題は混乱を招くほかはないのであります。ですから、私はこの医療協議会という場に乗せて、そこでこの医療費の問題は将来取り扱うということにしなければ、つまり軌道にはずれたものを乗せなければならぬ、これを根本に考えておるわけであります。ただ、これにつきまして、従来の機構がうまくないという批判の点もありますので、機構を改善したらどうか、構成を改善したらどうかということも今当面考えております。のみならず、ここで論議をするというだけでは医療費の問題は、それだけでは荷が重過ぎる。やはり医療費というものはどういう基準によって算定するかという適正基準、算定のルールというものも確立することを考えませんと、ルールなしで議論をしておると食い違いが出てくるし、話がまとまらぬことがありますので、ルールを確立する上の機構も新しく考えたい。で、それをもとにして具体の医療費の問題を医療協議会で審議するというふうな建前で問題を将来は円満に解決するところに持っていきたいという考え方を持つのであります。過去の実績にかんがみて、どうしてもそういう必要があると思いますので、まあそういうふうなことを考えております。

山本杉自由民主党

○山本杉君 今、厚生大臣は、法律上どうしても中央医療協議会に諮問しなければならぬのだと、こういう御答弁なんでございますが、もちろんそれはわかりますが、そうして見ますと、中央医療協議会の改組が必要になってくる。その改組の問題について、何といっても医療担当者の果たすべき役割というものは、その協議会の中でずいぶん大きなものだと思いますが、これについて、その改組をめぐっていろいろ圧迫だとか、主張などもあると私は受け取っておりますが、厚生大臣として、医師会のその言い分を少しでも入れて下さるようなお気持でございましょうか、非常に具体的な問題になりますが。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○国務大臣(古井喜實君) 医療協議会の改組の内容の問題は、今いろいろな角度からよい結論を出したいと思って検討しておる途中であります。近いうちに一つの考え方を取りまとめたいと思っておるわけであります。そこで、医療を担当する医師会の考えを大きに取り入れるかという意味でのお尋ねでありますが、大きにこれも考えていきたいと思っております。これは、どういつでもお医者さんの協力が得られなければ日本の医療はよくいかないのでありますから、この考え方をよく取り入れたいと思っておりますが、そこで、日本の医療の現状は、御承知のように開業医が担当しておる部分と、それから組織医療、病院が担当している部分とあるのであります。で、この割合がどんなものかというのは、見方もありますけれども、お医者さんの数から見ますると、開業医六割に対して勤務医約四割。四割は病院でお医者さんといっても働いておる。また患者の取り扱いの状況を見ましても、入院患者は、これはほとんどもう病院であります。それから社会保険の療養費の支払い状況から見ましても、病院というものがもう半分以上扱っている。組織医療というものを無視しては日本の医療は成り立たないわけで、このお医者さんのお考えは十分尊重いたしますけれども、組織医療は無視してよいんだという考え方ではこれは天下に通らぬ。開業医六割の考え方が医療の全部だと考えられたら、これは大間違いだと私は思う。両方考えて、やはり日本の医療全体をよくすることを考えなければならぬ。私は医師会のお考えはもう十分尊重したいと思いますけれども、組織医療を無視しろという考え方だったら、これはちょっと問題だと思います。医療全体として両方を考えていかなければならぬ、こういう——これは実態を言っているのであります。扱い上はどうするかこうするかということは今は触れているのじゃありません。扱いの問題、ここは誤解のないようにお願いをしたいと思います。

山本杉自由民主党

○山本杉君 大臣は適正基準というものを確立しないと、ルールのない行き方はまずいとおっしゃった。しかし、三十六年度の予算の中には、もうすでに医療費というものは計上されているんでございますし、また二十一日の朝日の夕刊で、厚生大臣は、これに必要な立法措置を、今週末までに関係法案の要綱をほぼ内定して、四月初めに国会に提出する方針であると、こういうふうに報じられているのでございます。そこで、その適正な医療費でございますが、どこで算定されようとも、まあ物価ならば支持すべき価格、合理性のある物価体系に基づいた価格というものがあるはずでございます。そこで、この医療費の合理性という基準は一体どこにあるんでしょうか。その合理性ということをちょっと伺いたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○国務大臣(古井喜實君) そこで合理的な医療費の基準という問題が、先ほども申し上げましたように、従来その方面の考慮が欠けておったように思うのであります。つまり医療費算定のルールというものが従来確立されていなかった、適正基準というものが設けられていなかったというところが一つの欠陥だったと思うのでありまして、そこで、従来の医療費の扱いの問題は、とかく政治的になりがちであった。こういう種類の問題はごく合理的に——合理的に扱うべきものが政治的に扱われるというのもそこに原因の一つがあったように思うのでありますから、こればさっき申しましたような行き方で改めていきたいと思うのであります。で、きょうのところは、いわばごく素朴な事態のような、たとえば保険者が医療を担当する人と契約をする、請負契約をする場合だというふうなごく素朴なような行き方がまだどっかにまつわっているという——それできまっているとは申しませんけれども、まだきれいに払拭されていないような気がするのであります。この点は今後の問題だと思うのであります。さっき申しましたような道で解決すべき問題だと思うのであります。

山本杉自由民主党

○山本杉君 そこで私はこの医療保険の本質の問題に触れて少し伺いたいのでございますけれども、今日、だれがその意見を言っても、必ず三十五年も前にできたそのままの構造だから、この矛盾を取り除かなければいかぬということは言うのでありますけれども、その矛盾を取り除こうとすれば、どうしてもたくさんございます保険の統合という問題が出て参りますけれども、この各種医療保険の統合というようなことは可能でございましょうか。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○国務大臣(古井喜實君) お話のように、医療保険が次から次とてんでに追加されてできてきたのでありまして、全体から見るとまことに不つり合いであるという点もあるし、全体としては整った姿勢になっていないことは、これはだれが見てもそうだろうと思います。そこで、各種の保険医療というものを全体的に調整する問題は、どうしてもこれはいつの日にかはむずかしくても解決しなければならぬだろうと思うのであります。問題はきわめて困難であります。きわめて困難でありますけれども、とにかくこの問題に解決を与えたいという意欲で取り組んでみなければならないと思うのであります。私も取り組んでみたいと思っておるのであります。ただそれだけが医療問題のすべてじゃございません。先ほどのお話のように、保険というものと、それから保険でどうしても割り切れない、進歩する医学というもの、それから医学の進歩というものが、保険ではどうしても生きてこないのじゃないかというような点とか、あるいは腕がすぐれておるというお医者さんも、保険では腕がふるえないじゃないかというような、そういう自由診料のよさというものが保険では欠けておる、そういう弊をどう改善していくかという問題もなかなか大きな問題だと思います。これも制限診料の撤廃という議論になったり、差額徴収の撤廃という問題になったり、あるいは療養費払いという新方式の問題になったりするもとだろうと思います。そういう問題もあるのであります。たくさんありますけれども、お話のさっきの問題もその中の一つとして、しかも、一番むずかしい、実際上むずかしい問題だと思いますけれども、取り組んでみたい。それにはやっぱり一番低い国民健康保険とか、あるいは日雇労働者健康保険、船員保険、こういうものの低い状況を、どうして高い他の保険とひどく差がつかぬように持ち上げていくかというところから考えてみるのが入り口じゃないかしらというふうな気もいたしておりますが、いずれにいたしましても、どういう結論が出るにせよ、取り組んでみたいというふうに思います。

山本杉自由民主党

○山本杉君 ただいまお話の、一番低い面を高めていくことに重点を置いて改良を進めていきたいということでございましたが、政府がやりますところの国民健康保険というのは、四人以下の零細企業は入れないというような矛盾があるのであります。そこで、こういうふうな面をなくしていくために、私は、もしもできるならば、国民にどの保険に加入することも自由であるというような、そういう自由を与えるわけにはいかないものでございましょうか、その点一つ簡単に。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○国務大臣(古井喜實君) すべての国民に均等な医療をというのが大目標でありますが、ただ、今のばらばらな医療制度を置いておいても、その基礎のもとにあっちにでもこっちにでも自由に入れる、これはなかなかむずかしい。その根底とぶつかってくるので、少しむずかしいのではないかと思うのであります。お話の意味は、ほかのもっとうまい知恵があっての御質問かもしれませんけれども、伺った範囲では、これはむずかしいことじゃないかと思うのであります。

山本杉自由民主党

○山本杉君 大臣は、今保険医療が医療の全部ではない、こうおっしゃったのでありますけれども、今の日本の医療制度の中で、保険医療が八〇%、それから自由診療が二〇%というような比率になってきていると聞いておるのでございますが、この自由診料のよさも認めてやりたい、そういうふうな御配慮の中で、今後六割を占めております開業医というものが、どういうふうな行き方でやっていただけば皆が立つものか。そこには、まあ開業医の願いますような適正医療費というものが出てきて、そしてそれによって生活が保障されるならばいいわけでございますけれども、なかなか日本では思うようにそういう状態になっていないかと思うのです。今労働者の収入を一というふうに見ますと 医療費の所要経費と、それから技術料に分けて、その技術料を社会的な評価をしてみると一・二になるそうです。米国などでは三・六だという。イギリスは一番高くて五・三ということでございます。まあそのような見方で日本の医者の収入というものを考えてみると、どうしても三・九ぐらいなくちゃならぬ勘定になるそうでございますが、こういう面に対して非常に保険の内容を改造していくことが困難であり、むずかしい。そうすると、さしあたって医師のそういう面の問題の解決のために考えられますことは、医療に従事します者の保障という問題でございますけれども、これについて厚生大臣何かお考えがございましょうか。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○国務大臣(古井喜實君) この開業医の方の問題は、やはり困難に陥っているけれども、どうしてこの経済が成り立ち、適正な収入、報酬が得られるか、こういうむしろ経済的な問題に焦的がきているように思うのであります。いろいろ見方はございますけれども、ここに無理もありますししますから、十分成り立っていくように、また、お医者さんとしてのいろいろな勉強だとか研究なども、ある程度できたりしながら成り立っていくようにというところを考えて、これは医療報酬なども考えなければならぬだろうと思うのであります。何とかまず経済的に成り立つように、こういう目安で考えるべきだろうと思うのであります。ただ、そういたしますと、診療報酬ですから、患者の取り扱いに対して払う料金というものがもとになるわけです。病院、組織医療の問題になりますと、患者取り扱いだけが大きな病院などの使命と思いません。もっと別個の使命があると思います。それでは、そういうところではやはり診療報酬、患者取り扱いに対する対価だけでは成り立たぬめんどうな面が実はあると思います。けれども、今の多数の開業医の方の問題は、とにかくりっぱに成り立つようにというところをまず目安において考えていくということが基本だろうと思うのであります。これは非常に大事なことです。今の日本で、医療の現状からいうと、非常に大きな部分を担当してもらっているのですから、ここががたついたり、また、そこで国民が安心して医療ができないような状態が始終起こったりしては困るのでありますから、さっき申すようなところを目安にして扱っていくべきものだろうと思うわけであります。

山本杉自由民主党

○山本杉君 まあ医者の生計が立つように考えなければならぬとおっしゃっていただいて、大へんありがたいのでございますが、現状は、医者の収入が統制された格好にあるのですから、厚生大臣としてそこを十分に御考慮をいただきたいと思います。  次に、甲乙二表の一本化ということを、厚生大臣はどういうふうにしてこれを一本化しようとお考えでございましょうか。その具体的な面について。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○国務大臣(古井喜實君) 一本化という考え方は、まあいわば一致した考え方だと思うのでありますけれども、それでは甲の一本化か乙の一本化かという問題になると、御承知のように、意見は対立している。これでは一本化の考え方を統一するということは言えないわけであります。そこでこの問題はなかなかむずかしいと思うのであります。一本化という抽象論はいいけれども、その次になったら、もう右と左になってしまう、これでは考え方が統一されておらぬ。これについては、やはり病院のような組織医療というものに対する経済のもとは一体どこに置くべきか、これを一つ考えてみなければならぬ。患者の取り扱いに対する報酬というだけで一体病院が立っていくべきものか、一般経済からこれに対してある程度注ぎ込む考慮を払うべきか、そういうことと関連してやはり考えませんと、どっちを中心にして一本化するかというところにくると、もう話が対立してしまってまとまらぬということになってくる。今申しますような面と関連して一本化の問題は考えないと、私は空論になってしまうのではないかというふうに思いますので、簡単におざなりの、一本化けっこうでございますというふうな言葉は、私はどうも気がとがめて申し上げかねるのであります。

山本杉自由民主党

○山本杉君 今その医療行為と経済報酬というものを考えてみたら、どこどこまでもこの問題は平行線でしかないというような御意見でございまして、これについて私も考えてみますと、なかなかむずかしいので、その点少し教えていただきたいのでございますが、今までの医療報酬というものの不適正というものも、その辺から出てきたのじゃないかしらと思います。それで経済というものと医療というものとどちらが優先するかということについて伺いたいのでございますが、さっきもお話がございました開業医の自由診療というような建前は、日本で古くから行なわれてきたあり方でございますが、なんとしても医者と患者との対人関係の中で、これは自由契約の思想というものを取り除くことができない。病気になりますとだれでも思いますことは、まあ金にはかえられないのだ、とにかくお金の問題を無視しても、よい治療を受けたい、こうなりますと、医療というものは生命を救うということが第一義的にそこに出て参ります。しかし、病気がなおってしまって、支払いの段になりますと、今度は少しでも安い方がいい、こう考えるのです。そうすると、さっきまで金銭も法律も入り込む余地のなかったこの問題が、今度は高価な医療費に対して、医療保険があったらいいなと考えるようになる。それから、また低所得者の人たちが、病気をいたしますと貧乏に転落をする。そういう人たちの貧乏を防ぐためには、何としても医療保険がほしいのだということを社会が考える。そうしますと、この医療費に対する経済的な保障というものは、医者と患者との間の医療技術の評価とか、またはその評価を含む医療費の高さ低さではないということになるのでございまして、なかなかこの問題はむずかしい。そこで、これを適正に一つ何とかしていただきたいというのが私たちの今非常に深い願いなんでございます。そこのところを一つ。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○国務大臣(古井喜實君) 病気はどうしてもなおさなければならないのであります。けがをしたら、どうしてもこれはどんな方法をとってもなおさなければならぬのであります。これは根本であると思うのであります。でありますから、病気やけがはどういう道にしろ、なおさなければならぬ、これが医療の根本だと思うのであります。そうしますと、進んだ医学、あるいは腕のあるお医者さんのその力量、これも使えるものなら使ってでも生命は守らなければならぬのであります。そこにやはり診療というものにはワクがないというふうな考え方も生まれざるを得ないわけであります。これは私は診療としてはそういうものだと思うのでありますが、ただその診療に対して公の費用でどれだけを見るか、どれだけを負担するかという問題になりますというと、無制限ということは不可能になってくる。無制限ではできませんから、そこで、あるワクが起こってくる。診療自体を国民から奪うのじゃございませんけれども、保険で負担するにはおのずから限度がある、無制限にはいかぬという他の一面が起こってくるのであります。診療はどんなことでもできる、しかし、公費でみまする保険はこの限界であるというワクがある。これは二つのことを両方考えていかなければならぬ。今日の保険でめんどうなのは、診療自体を保険で縛ってしまう、診療の内容を縛っておる。保険を通しては、どんな方法でも用いるということはできないというところに割り切れぬものが起こっておる。ここをなんとか両方の面を調和する道がないものか、これがいろいろな議論の起こる点で、しかも解決がついていない点だと思うのであります。それがさっきの差額徴収とか療養費不払いというような点が起こる点だと思うのであります。これは根本は、やはり何とか必要なだけの、なおすだけの手当がとれるようにしなければならぬ。しかし、公費で持つのは無制限にはいかぬ、どこに調和を求めるか、両方ともこれは否定できない。問題はむずかしいけれども、調和を見出すということだと私は思います。

山本杉自由民主党

○山本杉君 最後に一つ伺わせていただきますことは、そのような矛盾のやっぱり一つだと思いますが、医者の技術差の問題と、それから病院格差の問題についてどういうふうにお考えですか。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○国務大臣(古井喜實君) 技術差の問題は、現在の保険では技術差を十分適正に見ているかどうか、意見のある事項が幾つかあるようであります。技術差の尊重、これは正しい考え方だと思うのであります。  それからいま一つの点は、ちょっと聞き漏らしましたが。

山本杉自由民主党

○山本杉君 病院そのものに格差がございます。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○国務大臣(古井喜實君) ちょっと病院の格差という意味がはっきりつかみかねたのでありますが、病院の問題は病院全体の体系を整備していく問題があるのであります。今昭和四十五年を目標にしておる十年のラフな計画を持っております。これをもう少し今再検討する、その前期の五年間の計画をもっと具体的に練ってみたいという段階にありますが、体系的な整備をしなければならないのじゃないか。つまり中央病院、それから地方の県の中心的な病院、それから地区の中心的な病院、そういうふうに体系的な整備をし、その間におのずから受け持つ機能の差も出てこなければならぬのじゃないか。その機能の受け持ち分担を考えつつ体系的な整備をやっていく。基本的にはそう思っておりますが、具体の計画を練っている途中であります。

山本杉自由民主党

○山本杉君 いろいろとお聞かせいただきまして、ありがとうございました。私の質問はこれで終わります。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 議事進行。先ほどから実は議事の進行に協力して言わなかったのでありますが、どうも定足数が全くないわけであります。これは今まで言いませんでしたけれども、午後のときは定足数を集めていただかぬと、われわれは権威ある審議ができませんから、その点一つ委員長にも万全のお計らいを願いたい。

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 再開は午後一時二十分として、暫時休憩いたします。    午後零時二十一分休憩    ————・————    午後二時五分開会

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) これより予算委員会を再開いたします。  午前に引き続いて質疑を行ないます。

千田正無所属クラブ

○千田正君 議事進行について。今朝の理事会におきましては、予定のように予算委員会の進行は進みそうもないから、時間を厳守しようと、こういうお約束であったはずであります。しかるに、ただいま一時二十分からの再開におくるること五十分、こういうことでは、この予算委員会の進行の上からいって、十分なる所期の目的は達し得られないのじゃないか。少なくとも与党の諸君は、今日ここに欠席あるいはすぐには出席できなかったならば、差し繰り合って、あるいは委員の差しかえをしてでもこの委員会の運営をやるべきであって、今日のように重大な時期に五十分もおくれて出席するというようなことであっては、はなはだ私は遺憾に思うのであります。委員長としてのこれに対する所信を一応承ってから質問に移りたいと思いますから、お願いします。

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 委員長も、大へん開会の時刻のおくれましたことについては遺憾に存じます。特に自由民主党の委員の諸君には、できるだけ時間を厳守しておそろいを願いたいと思います。また、政府当局におかれましても、開会の時刻には万障繰り合わせて列席されることを切に望みます。   —————————————

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 去る二十日の北村委員の質疑について、農林大臣の答弁が留保になっておりました。この際これを行なうことといたします。周東農林大臣。

周東英雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(周東英雄君) 二十日の北村さんのお尋ねにお答えをいたします。  お尋ねの点は、自治省の行政局長と林野庁長官との間における覚書の中に、公有林野に関する縮小は原則として将来考えていきたいと、こういうふうな覚書があるについて、これは農林業基本問題調査会の答申と違うじゃなかろうかというお尋ねだったと思います。よくこの内容を調べてみましたところ、これは「原則として」と書いてありますように、現在市町村等における直営の林野事業というものが非常にうまくいっておって、地元民のためにもよい場所は、必ずしも直ちにこれをばらばらにするということなく将来持っていこうじゃないか。しかし、一面におきまして市町村有の林野等におきましても、現実にいろいろ入会なんかで地元のためになっておるところもありますので、そういうところを考え合わせて、将来どういうふうな形態にこれを持っていったらいいかということについては、農業基本法の成立後十分にその地元々々の実情に沿いまして、あるいは民間に移してやったらよろしい場所もありましょうし、また、共同経営でやらせたらよい場所もありましょうし、また一面、直営事業として自治体が経営しておって、それを通じて地元民に経済的な好影響を与えるということもできましょうから、いずれにいたしましても、今直ちにばらばらにするという行き方でなくて、原則としてそういう問題を考え合わしていこうという覚書の趣旨のようであります。  以上お答えを申し上げます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 ただいまの答弁では、私はこの了解事項を撤回を要求しているんです。で、撤回をするかしないかということを答弁していただきたいと思ったんですが、今のような答弁でございましたので、私は承服しかねます。従って、この問題については、分科会並びに農林水産委員会等において、再びこの問題をとり上げていきたい、かように思います。時間がございませんので、これ以上の質問は省略させていただきます。   —————————————

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 辻武寿君。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 最初に、公安委員長並びに警察庁長官にお尋ねしたいと思います。  今回警視庁に公安三課ができて、右翼テロ防止に力を注ぐようでありますが、テロのような直接暴力ではなくても、悪質な間接暴力が堂々と衆人の面前で行なわれている事実がある。それは神社、仏閣に対する寄付の強制であります。しかも、敬神崇祖という美名のもとに寄付強制が行なわれているために、ちょっとテロ事件のようには目立たないのでありますが、最近これらの神社、仏閣等の祭礼等に寄付をしないとの理由で、村八分や、おみこしをかつぎ込むとか、そういう警察事件まで引き起こしておる事実があります。相当数全国にあるのでありますが、これは見のがすことのできない大事なことであります。こういう最近の傾向があることを国家公安委員長や警察庁長官は御存じなのかどうか、まずそれを最初にお伺いします。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 御指摘のように、神社、仏閣あるいはお祭等に際しまして、寄付行為が日本の慣習としてあることは事実でございます。まあこれは非常に和気あいあいたる気持の上で、自然に行なわれておりますることには、必ずしもかれこれ言う筋じゃない面もあろうかと思います。お話のような強制になったり、出さなければおみこしをかつぎ込むといったような暴力にわたる、あるいは暴力の気配の感じられるといったようなのにつきましては、従来も相当取り締まりをやっておりましたが、今後も十分に取り締まりまして、いやしくもそういったことのないように気をつけたいと思います。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 言うまでもなく、寄付をするしないということは、各個人の自由であります。あるいは宗教上の信念の相違とか、あるいは経済上の理由とかで寄付しない者もおる。いやしくもこれを強制するようなことがあれば、法律違反は明らかであるし、当然警察が調査に乗り出して取り締まらなければならないと思うのです。ところが、寄付の強制をされて警察官に訴えても、警察官はこれに対して消極的である。しかも、あまり調査にも乗り出さない、かえって寄付は志だから、出しておいた方がよいのではないか、こういうことを言う警官もあるわけです。警察官のあり方はこれでよいかどうか、もっと積極的に乗り出すべきじゃないか、そういうことをお伺いします。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) お話のようなケースが間々あろうかと存じますが、これはもう厳重に今後とも取り締まり、そういうことのないようにいたしたいと存じます。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 これは埼玉県にあった例であるが、神社、仏閣に対する寄付を断わったところが、市会議員や部落の区長または区の消防団長と、肩書きのある役員が入れかわり立ちかわり押しかけて来て寄付を強制した。警察官ではなかなからちがあかない、法務局が乗り出して解決したことがあります。  また、兵庫県では、部落内にある神社、寺院で供養米の寄付の割当をしてきた。一部の人がそれを断わったところが、部落から村八分をされた、そうして水道と有線放送を断ち切られてしまった。これも法務局が手をつけておる。  また、三月になっても、最近です、今月ですから。三重県の熊野市で起こった事件ですが、山の神という神社の祭礼がある。これの回り持ちの当番になった。ところが当番に当たったけれども、この当番をやると一人一万二、三千円もかかるという。自分の信念の相違から、また、経済上の理由から、これを断わったところが、区の行事に協力しない、区の会則に違反したという理由で、部落の決議で除名された。そのため、部落の共有林の財産権を停止されるという結果になった。警察に届けた、駐在所に届けたところが、駐在所では何ともその間手を打っていない。一週間もそのまま放置してある。たまりかねて本署の方にいったところが、署長は、そういうことはうすうす聞いて知っておるけれども、告発していないから手をつけない。それは法務局の人権擁護委員の仕事であって、法務局の要請がなければ動かない、こういうことを言っている。村八分ということは、これは憲法二十条の「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。」という憲法に違反する。それに抵触するばかりでなく、刑法の二百二十二条の違反でもあり、過去の判例を見ても明白なことであるが、当局の見解はどうか、明快に一つ答えていただきたいと思います。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) お話のような事態があるといたしますれば、これは厳重に取り締まったり、また、これを防止しなければならぬと考えておりますし、至急そうやるつもりでございます。ただ、こういった部落の問題等につきましては、紛争が往々にして非常に複雑な原因があったりなんかする場合、一方的に警察の力あるいは治安の力というものだけで解決するのが妥当でないような面も、あるいはあるのじゃなかろうか。こういう点はよく気をつけまして、判断をして処理をいたしたいと思います。

占部秀男日本社会党

○占部秀男君 関連。今の寄付金等の問題は、これは治安関係やいろいろな警察関係の問題のほかに、市町村あるいは県等の地方自治団体のいわば財政上の問題その他の問題も含めて、最近まで、御存じのように、大きな問題となっていたわけであります。たしか一昨年の国会だったと思いますけれども、特に地方財政法の中に、第四条の五として、「割当的寄附金等の禁止」という条項を入れて、PTAの会費あるいはその他の寄付金等をとってはならないこと、かように法律でもきめている問題であります。問題の深さを考えると、これはもうそれぞれの地方における団体の、仕事はしたいけれども金がない、金がないから寄付金をとる、こういうようなところに問題の渕源があるのであって、その根本を何とか処理しなければ問題はあとを断たない、かように私たちは考えるわけでありますが、この点安井大臣はどうお考えになっておりますか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) お話のような事例が過去においてあったことは事実であろうと思います。公共施設をやります際に、地元の受益者が、その法の命ずる通りに、合法的に負担をするという場合もあり得ようかと思いますが、それよりは、単価が足りない分を地元の寄付金で補うといったような問題も相当あったと思っております。これは三十五年度以降相当修正をし、そういうことのないように心がけて参っております。三十六年度におきましても、そういったものの単価是正なり、財政配分をやりますための予算も相当見込んで今度はやっておりますので、だんだんとそういった傾向はなくしていくようになり得るであろうと思います。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 大臣の先ほどの御答弁を聞いておると、複雑な問題がからんでおれば村八分にされても仕方がないようなこともあるのだ、というような意味にもとれないことはない。いかなることがからんでおろうとも、寄付をしないという理由で村八分にするということは、刑法違反ではないだろうか。私は違法だと思うのですが、これはどうでしょうか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 最初申し上げましたように、そういうような形のものは、これは明らかに取り締まって厳重に処分をいたすつもりであります。ただ、一種の民事のような事件として、非常に複雑な問題が往々にしてあって、簡単に一刀両断というわけにはいかない場合もあり得るかと思いますが、御指摘のような場合には、はっきりこれは処理するという方針でおります。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 いろいろな事情で、寄付以外のことで、もし村八分ということがあったらば、それは刑法違反に相当するかしないか、それを当局から返答してもらいたいと思います。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(安井謙君) 保安局長から。

木村行蔵警察庁保安局長

○政府委員(木村行蔵君) お答えいたします。それぞれのケースを詳細に解剖しませんとはっきりした結論が出ませんが、今辻委員が言われたように、寄付しないことによって村八分にするとか、あるいはその他の原因で村八分にするというようなことにつきましては、おおむね刑法二百二十二条の脅迫に当たる場合が多いのではないかと思います。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 そういたしますと、村八分をしても刑法違反にならない場合がありますか。

木村行蔵警察庁保安局長

○政府委員(木村行蔵君) 村八分といいましても実態がいろいろありまして、その内容によって違いますけれども、おそらく、辻委員のおっしゃっているそういうような悪らつな、しかも本人の生活に非常な脅威を与える、場合によっては生命にも危険が及ぶというようなことに至るようなおそれがあるのじゃないかと思いますので、大体村八分の場合は脅迫罪になると思います。しかし、全部が全部ということは、そのケースによって、一々解剖しませんと結論が出ませんので、ここでは抽象的に申し上げるわけであります。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 そういたしますと、村八分事件があって、しかもお祭あるいはお寺の修理等で村八分事件が起きた、そういうときには、警察官が取り締まらなければ、これは警官の怠慢であるというふうに考えてよろしいでしょうか。

木村行蔵警察庁保安局長

○政府委員(木村行蔵君) たびたび申し上げますけれども、ケースによって違いますが、ただいまおっしゃったようなケースを私が想定してみました場合に、その村八分の訴えについて、まず脅迫罪があるのではないかというそういう訴えがあって、それに対して全然取り調べをしない捜査を開始しないということは、若干警察官としては非難のそしりがあるのではないかと思います。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 駐在所にいっても、警察官にいっても、警官がそういうことに対して、それはおかしい、大へんだと、なぜ積極的にすぐ乗り出してこないかということを考えてみると、その裁量をやる場合に、町や村の役員なんかと知り合いであるとか、あるいは飲み友だちの場合もある。そういうことから、一人や二人の村八分があっても、いつも有力な方につく、こういうようなことが考えられるのですけれども、それに対してどうお考えになるか。

木村行蔵警察庁保安局長

○政府委員(木村行蔵君) ただいまおっしゃったように、村の有力者となれ合いで、非常にそういう面においては情実があると。その情実のゆえをもって、村八分の届出があっても全然動かぬということはまことにまずいことでありまして、そういう事実があれば監督をいたさなければならぬと思います。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 とにかく部落は総会を開いて、行政的な伝達事項までも締め出してしまう。そうして理由としては、部落の統一を乱す、また神社仏閣の寄付が、脱会した人の分までもほかの部落民が負担になる、そういうようなことから、よく村八分事件が起きる。盛んに全国の至るところにそういう事件が起きる。私が知っている分だけでも相当な数があるのです。また、そのまま泣き寝りになっている事件も、どれほどあるかわからない。地方の都市や農村においても、氏神やお寺を中心とする封建時代のなごりが、こうした村八分というような形で現われてくると思うのでありますが、こうした事件がどれほど日本の民主化をはばんでいるかわからないと私は思います。どうか公安委員長は万全を期して、日本の民主化のためにしっかり取り締まってもらいたいと思います。希望しておきます。  次に、外務大臣並びに移住局長に対して御質問申し上げます。移民問題で御質問申し上げますが、海外移住は重要な国策であるべきでありますが、歴代の政府はあまり力を入れているように見えない。声だけは大にして、海外政策だとか、移民政策を推進しているというけれども、どうもそういうふうな感じがしない。で、昨年はどれぐらい海外移住した、本年の移住目標は何人か、また現在海外にはどれくらいの邦人が行っているか、それをまずお聞きしたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 海外移住の問題は、非常に重要な国策であると考えまして、政府といたしましてもその推進に努力いたしておるのでありますが、お言葉のように、あまりはなばなしい実績が上がっておらないことは残念に存ずる次第でございます。で、昭和三十二年に七千五百名、三十三年に七千四百名、三十四年に七千六百名でございますが、昨年になりまして八千四百名になりました。これをことしは一万一千名の目標を立てまして、一千名が技術移住、一万名が農業移住というふうに考えております。昨年に至りまして若干伸びて参りましたのは、政府がそれだけの力を入れたということになろうかと思いまするが、計画移住、先方に土地を買って移住をさしていくということに、だんだんこの問題が緒についてきたということであろうかと思います。パラグァイ、ボリビアというようなところにそういう移住者が入って行ったわけでございます。本年はさらに計画移住が進みまするのでございますので、ぜひ一つ一万一千名出したい、こう考えております。なお、農業移住の相手方は、ブラジル、パラグァイ、ボリビア、アルゼンチン、チリ、コロンビア、技術移住の方はブラジル、アルゼンチン、チリ、 コロンビア、ベネズェラ、こういうような国が主となっております。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 移住ということは、従来は単なる人口問題の解決策のように考えられてきた傾向が強いと思うのです。日本は年間八十万余の人口が増加しているのでありますが、海外移住は一万足らず、そういう今の現状なんです。これでは人口の緩和策にはとてもならない。昨年、総理の諮問にこたえて当面の移住問題について審議した海外移住審議会でも、こういう点が問題になったということを私は聞いております。アメリカのケネディは、平和部隊を設けて低開発国へ送り出すと言っておりますが、ケネディには理念がある。日本の移住政策にはどのような理念があるか、まず外務大臣の確信を聞きたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 仰せの通り、この移住の問題は、人口問題の解決とも関連がございまするが、それよりも最近特に私どもとして問題にいたしたいのは、やはりこの受け入れ国というものに対して十分な理解をもってわれわれの同胞が出ていく、そしてその相手国の経済に寄与する経済、技術の面において、われわれの同胞が行ったことによって相手国が利益するということを一つの大きな点と考えておるのでございます。その意味で、従来の農業移住だけでなくて、いろいろ工業的な経済協力という問題を含めて移住問題を取り扱って参りたい、こういうことで特に力を入れ始めておる次第でございます。ケネディ・アメリカ大統領の言われる平和部隊の構想も、私どもの考え方とその点において軌を一にしておるのであります。単に同胞諸君が行って若干の資産を作って帰ってくるというようなことでなくて、移住した人は、移住地に行って、そうして成功されてその国の尊敬をかち得る、そうしてまた本国との、われわれの国との間の、日本との間の経済交流にも役に立つと、こういうことでわれわれ考えておりまして、その相手国の経済開発に役に立つという点においては、ケネディ氏の言われる平和部隊の構想とも相つながるものをわれわれは従来から持っておるのであります。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 今経済、技術上お互いに相手国と利益をはかっていくというお話がありましたが、技術移民ということについて、私は三十一国会で当時の藤山外務大臣にその促進方を希望しておいたものでありますが、技術移民の問題について現状はどうなっておるか、それをお聞かせ願いたいと思います。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) お答え申し上げます。技術移民につきましては、一昨年の暮れごろより実は力を入れ出しまして、最近やっと軌道に乗り出したところでございます。昨年度は、ブラジルにおきます日系の企業であります石川島造船、あるいは豊和工業、その他の主として日系企業への技術移住者を出しておったのであります。最近に至りましては、単に日系だけでなくて、これは主としてサンパウロでございますが、あの地方は今非常な工業化を行なっておりますので、技術を持った日本人を大いに入れたいという声が非常に強うございまして、相当な希望が出ております。それで、一番信頼のできるサンパウロにおける大きな企業会社五つをまず選びまして、先日第一回三十二名の技術移住者の募集を始めましたが、これに次ぎまして、現地からの資料に基づきまして、信用のできる会社の募集を次々と今続けつつあります。  ただ、技術移住につきましては、農業移住と違いまして、ある程度言葉もわからなければいけないし、ある程度技術についても、先方の、案外ブラジルあたりでは新しい機械などでも使っております。そういう点で、技術者の能力について相当厳選をやるという必要がございます。この点につきましては、労働省と緊密な協力をとって、その募集をいたしております。三十六年度の計画といたしましては、一千名技術者を送るということになっているのですが、この調子でいくと一千名出すのはそうむずかしいことじゃないと思います。それから技術移住者について感じますことは、農業移住者と違いまして、非常に収入が大きいのでございます。そういう点で、将来サンパウロあたりには、農業技術者よりもむしろ技術移住者の方が大きく寄与されるではなかろうか。なお、技術移住者につきましては、国際機関でございまするカトリック移住委員会もこれのあっせんに協力してくれておりますし、サンパウロにおきましては欧州移民政府間委員会が現地で技術移住者の訓練その他の施設を持っておりますので、これなんかも活用する話し合いができております。こういうような態勢で着々進みつつあります。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 南米の方へ行くのもけっこうでありますが、現在私たちが考えなければならないことは、東南アジア方面に伸びていかなければならないということだと思います。東南アジアの人たちは、人種も日本人によく似ている、また親しみも感じ、尊敬しております。この東南アジアの方には、どういうふうに移民政策を推進していくか、現在東南アジアには移住しておるか、おらないか、またどれくらい技術者が行っているか、なお将来はどういうふうに努力していくつもりであるか、そのことをお聞きしたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) お話のように、東南アジアの各国とは、特にわれわれ地域的にも親しみ深い立場にあるわけでありまするが、御承知のように、これらの各国におきまして、まだわれわれが入っていくことのできない環境にある国が多いのでございます。そこで、何と申しましても、それが可能になるようにしなければならぬということで、通商航海条約を締結するということに先般来から骨を折っております。昨年度より申し上げますと、マラヤとの間にさような関係ができ、また現在国会に御批准を願っておりますフィリピン、パキスタンの両国ともさような関係をつけたく考えて、調印はいたしておるわけであります。インドネシアとの間にも今話を進めております。さような関係で、同胞がそれらの国に行って仕事ができ、またそこへ入国、滞在ができる環境を作ることから始めねばならない現状でございます。まずこれをしなければならぬ、かように考えております。  なお、先方の事情というものを十分にわれわれは了解することに努めまして、あまり押しつけがましい態度をとることもいけないと思いますので、十分に将来を考えつつ、現状においてできることをまずやっていくということで、通商航海条約を手始めに考えておる次第でございます。なお、御承知のように、賠償その他経済協力の関係におきまして、多少企業の面で協力がなされておりまするが、いずれにしても滞在することができぬ環境にございます。こういう点を打開することが、まずもって急務と存じておる次第でございます。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 海外移住にほんとうに力を入れるならば、私はもっと移住者をあたたかく援護してやるべきだと思うのですが、どうも政府のやり方はもの足らないと思うのです。今海外の人たちが、百八十億の外貨が日本に入ってくる。そして今度の予算は十七億足らずです。それでやっていることは、戦前は神戸からサントスへの船賃は全額補助をしたそうでありますが、現在は戦前同様になっていない。しかもこれを大蔵省に要求しているけれども、大蔵省ではうんと言わないという話を聞きましたが、どういうわけなのか、その点を外務大臣と大蔵大臣と両方からお聞きしたい。   〔委員長退席、理事梶原茂嘉君着席〕

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 現在の状況は、まさに御指摘のように、戦前まで至っておりません。これは終戦後のいろいろの諸事情によるわけでございますが、一歩々々解決を見つつあるのでございます。試みに現状を簡単に申し上げますが、昭和三十五年度から移住者に対する支度金の支給を行ないまして、三十六年度におきましてはさらにこれを増額し、移住あっ旋所入所中の副食費についても、三十六年度から補助することにいたしました。御承知のように、三十五年度には、支度金の補助金がおとなが五千円でございましたのが七千円に引き上げられた。子供一人二千五百円だったものが三千五百円に引き上げられた。三才未満の幼児一人について千二百五十円でありましたものが千七百五十円に引き上げられたのであります。戦前はおとな一人五十円、子供二十五円、幼児十二円五十銭ということになっておりました。それからあっ旋所内の食費でございまするが、これは戦前は食費は全額政府補助でございました。戦後は食費は自弁でございましたが、三十六年度予算から副食費は補助することにいたしております。  それからあっ旋所に集結する旅費でございますが、これは戦前は移住者の郷里から移住あっ旋所までの旅費を半額補助しておりましたが、現在は補助しておちませんのでございます。渡航費につきましては、戦前はブラジルまでの渡航費二百円が全額補助されておりました。戦後は十万二千円の渡航費を二十カ年間の貸付期間で、十年据え置き、あとの十年で年賦償還をしてもらう。利子は三分六厘五毛、ただし据え置き期間は無利子、かようなことになっおりまして、だんだんに大蔵省の方でも増額に同意してくれておる現状でございますが、まだ戦前まで至っておりませんことを非常に遺憾に思っております。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 金額が多い少ないはともかくとしまして、考え方の問題ですが、従来は移住者に対して旅費、食糧というようなのを金額国が補助したという形になっておったそうですが、これが補助というのをやめて助成にいろいろ変わってきたということは、もとは人口問題の解決というような問題のための移住ということに力が入っておりましたので、先方で受け入れる方の施策には国がほとんど金を出さない。こっちから送り出せばいいといったところに力を入れておったということでございますが、今度はそうじゃなくて、海外移住ということは、国際協力という理念の上に立った移住でなければならぬ。従って受入けれ国の要望に合うような質の問題も考えて、そのかわり現地に行ってりっぱにやっていけるような受け入れ側の施策に対しても、国がいろいろのめんどうを見べきだというような立場に立って、今回の予算にもそういうものを、たとえば入植者の営農指導とか、診療所、教育施設を作るとか、農機具の貸与とかいうようないろいろな助成の費用を予算に盛ってあるというようなことで、従来のこの補助というのじゃなくて、要するに行ってりっぱにやっていけるような、現地側の費用も国が出すべきだというようなことから、もしそれがやっていけるとするなら、この渡航費のごときも貸し付けにしておく、十年間据え置きにして、あと十年無利子で、よくなったら返してもらうということでいく方が、あとからまた続く人のためのこれが元にもなりますし、そういう考えでいくべきだというふうに予算の立て方は二、三年前から切りかえたということは承知しておりますが、考え方は、私はそういう方向でもいいと思いますが、現実のその予算の多い少ないというような問題には、まだ十分でない点があろうと思います。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 とにかく海外移住しているその人たちのおかげで百八十億の外貨が入ってくるんです。それで国でめんどうを見ているのは十七億だ。それじゃ私はかわいそうだと思うし、移住者支度金の補助金を見ても、三十六年度と三十五年では、三十六年度の方が少なくなっている。私は、もっと全面的に大蔵大臣もうんと応援してやるべきじゃないかと思うんですが、どうですか。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) 支度金が三十六年度は減っているというお話しでございましたが、実は減っておりませんで、これは三十五年度の繰り越しを加えまして一万一千名分計上されております。実際上ふえておりますことを申し上げたいと思います。とにかく三十六年度実際には三十五年度の繰り越しを加えましてふえていることを申し上げます。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 海外にいる人たちですが、営農資金にしてもまだ援助の仕方が足りない。また移住会社が厳格過ぎて、貸付金がきびしい。国策会社であるから、一般の金の貸し方をもっとゆるやかにしてもいいんじゃないか。たとえば信用貸し担保がなくても貸してあげるというような弾力性のある金の貸し方なんかはできないものかどうか。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) 現行のものが必ずしも十分でないとわれわれも考えておりまして、実情に沿うように、できるだけ弾力性を与えるように、そのつど改善いたしております。現在もさらにこれを弾力的にかつ移住者の必要に応ずるように改良方せっかく検討中でございます。また、三十五年度から雇用移住者の独立資金なんかも新たに復活いたしましたり、相当改善は加えているのでございますけれども、まだ十分でないことは仰せの通りでございます。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 次に、三月十九日の毎日新聞、高木移住局長ですが、「政府はいったん移住者を送り出したら国としてのちのちまで面倒をみる体制を整える必要がある。」と言っています。後後までそのめんどうをみるという体制は、どういう体制であるか、あなたのお考えをお聞きしたいと思います。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) これはさきに大蔵大臣がお話しになりましたように、戦後の移住は戦前の移住と相当考えが変わっております。戦前は主として雇用労務者契約移民を送りっぱなしであったわけでございます。戦後はむしろ自営開拓移住者を中心にして送っております。そして送りました移住者が、現地に行きまして十分発達し、現地の国の経済開発にも協力できる、そうしてその行った移住者が十分発展できて、その基盤において日本との経済関係が緊密化され、そうしてその経済関係の上に親善関係が築かれる、こういう考えでございますので、行きました移住者を送ったらそれでいいんじゃなくて、これが十分発達して、発展して、移住地におきましても、日本人の移住地が単に細々と農業を続けているだけではなくて、これ以上にその移住地が農業におきましても、あるいは農業を基礎とした農業加工なり、あるいは軽工業なり、あるいは商業、貿易というように発展するように海外協会連合会の補助及び、海外移住振興会社の融資と合わせまして援助を続ける体制をとっておりまして、現実にまだまだ十分でないところもございますが、われわれといたしましては、その足らぬところは大いに改めて、今申しました目的が十分発揮せられるようにやりたいと思っている次第でございます。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 現在は海外へ移住していきたいという希望者があった場合に、その人たちはほとんど全部希望はかなえられるようになっておりますか。それともかなえられないか、それをお伺いします。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) この農業移住にいたしましても、工業移住にいたしましても、われわれといたしましては、行く人が適格者であるかどうかということにつきましては、慎重に検討いたしまして、選考した上で出す次第でございます。しかし、この移住地は単にブラジルだけでなく、パラグァイ、ボリビア等、またその適格条件というものも、非常に厳格なのから割合に簡単なのというようなのもございますから、ほんとうに行きたいという人は、大体行きたいという人で、健康で、そうして勤労意欲のある人であるならば、必ず行けるということを申し上げて差しつかえないと思います。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 今、国内においてどのようなPRをしていますか。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) このPRの方は非常に大きな仕事でございますので、まだまだ不徹底であると残念ながら申し上げざるを得ない次第であります。今日まで東京における新聞を通じての啓発、あるいはラジオその他テレビを通じての啓発及び具体的な募集につきましては、府県まで行きまして、府県の地方海外協会及び府県を通じて募集をしておるのでございますが、実際のところ、市町村までの啓発が十分徹底していないということをわれわれ痛感いたしております。そこまで浸透さすために、今後大いに努力せなきやいけないのじゃないか。それからもう一つは、海外移住に関しまして、まだ移住に対する偏見が非常に強うございます。海外へ移住をする人は、地方農村ではまるでその村を捨てていくやつだということで、村八分のような扱いを受けるというような話も聞きますので、こういう点についての間違った考え方を是正して正しい、海外移住、海外発展思想というものを大いに啓発する必要がある、こういう点では、われわれはもっともっと努力せにやいかんと感じておる次第でございます。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 ちょっと海外へ行きたいと思っても、一体どうしたらいいのかというようなことがよくわからない人がまだまだたくさんおると思うのです。で、三大新聞のようなところに、もっとすぐわかるように何度も出してあげたら、もっとPRになるのじゃないかと思うのです。そうして私はうんとPRして、移住希望者をうんとつのって、その中から選抜して優秀な人を海外へ送り出していくように考えなけりやならないと思うのですが、外務大臣考えはいかがですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 非常に同感でございますが、やはり移住というような問題は、この問題にほんとうに情熱を持っておる人が長く同じ場所にいて、宣伝啓発に一身を打ち込んでいくということが必要かと思うのでございます。その意味で、地方海外協会におられる方々の中には、非常に長年このことに打ち込んでおられるりっぱな方が多いのでございますが、どうも現在の形では、若干これが官僚化していると申しますか、役人仕事に堕しておるような感じを私は受けておるのでございます。たとえて言いますと、ある県で海外移住のことだからというので、これが視察に海外に五人の県庁の役人が出た。ところが帰って来たらほかの課へ転勤しちゃったというような点もございまして、やはりこういうのは、こういう仕事はそういうことに打ち込める人をほんとうにこの自分の職務というものを天職と考えて十分にやれるような体制を、われわれとしても考え出さねばいかぬのじゃないかという反省を持っている次第でございます。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 現在外務省のほかにいかなる省が関係しておりますか、この移住に。

高木広一外務省移住局長

○政府委員(高木広一君) まず一番大きく関係しているのは、農林省でございます。農業移住者の募集は農林省が外務省と共管で担当いたしております。それから農林漁業関係以外の雇用移住につきましては、労働省が同じようにこれを担当しております。外務省と一緒にやっております。それから輸送につきましては運輸省、それから移住者の厚生につきまして厚生省、それから教育の関係もございまして文部省、それから技術移住関係ではやはり通産省の関係がございます。移住計画につきましては、経済企画庁、予算の点で大蔵省、各省関係しておる次第でございます。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 今、あなたがおっしゃったように、非常にたくさんの省が関係しているために、なかなか国際感覚が合わなくて、手続の上でもめんどうであったり、やりにくいという点をいろいろ私も聞いております。それで三十一国会に申し上げたのですけれども、移民省でも作ったらどうだということを前の外務大臣に申し上げたのですが、現在の外務大臣はそういうことを考えておらないかどうか、お答え願います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 財政や交通の面で大蔵省や運輸省に関係することは当然でございますが、根本的には、農業移住者と工業移住者、それに関係しまする通産省、労働省というようなものが関係の多いものと思うのでございますが、この関係があるからといって、これをそれじゃ省にしたらどうかというのも一つの御意見かと思いますが、何せ、実体ができないうちに形ばかり作りましても、これはかえって摩擦を激化するものとになろうかと思いますので、まず現在のところで、もっと運用についてつまらぬ官僚のセクショナリズムというようなものをやめて、ほんとうに移住を推進するにはどうしたらよいかということを、虚心たんかいに話し合う必要があろうかと思います。私どもの方は移住地は外国でございますから、海外の事情を調査する上からいいまして外務省が適当であろうということで、閣議決定によりまして外務省が担当省になっておりまするので、この面で今も申し上げたような心持でもっと実態を整理したい。まずこれが第一段階である。その先のことはその上で考えるべきことと考えております。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 とにかく繁雑過ぎるということは、外務省のお役人も、農林省のお役人も、各省のお役人が口をそろえておっしゃっていることです。今度衆院の外務委員会で移住基本法を制定すべきであるという決議がなされたと聞いておりますが、移住基本法についてはどういうふうにお考えになっておりますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 先般も辻委員から御指摘があったのでございまして、非常に移住のよって立つ根拠法が明治二十九年という古めかしいものでございますので、何かこれに現代的な衣を着せて、移住そのものの観念もだいぶ変わってきておるわけでございますから、これにふさわしいような法律を考えたらどうかということで、外務省限りではいろいろ研究をいたしております。さようなことで一つその研究の成果を待って御批判をいただきたいと考えております。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 次に、文部大臣にお伺いいたします。科学技術の振興についてでございます。科学技術の振興は自民党の公約の一つであり、また、所得倍増計画達成のためにも必然的に技術の革新をはからねばならないのであります。国民所得倍増計画に基づく理工科系大学卒業者の需要数は計画達成の最終年度に当たる昭和四十五年度において約四万四千五百人、同年度の理工科系卒業者の供給数は約二万七千七百人、差し引き一万六千八百人不足すると推定され、これをカバーするため文部省は理工科系一万六千人増員計画を立て、七年間でこの要員を充足をする計画であると聞きますが、これによって最小限の技術者は充足することができるかどうか、文部大臣のお考えをお聞かせ願います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。御承知の通り、十年計画の最終年度におきましての理工科系の大学卒業者の数を一万六千人と見当づけまして、大学卒業程度の科学技術者の養成にこたえたいという計画でございます。科学技術審議会の答申の線に沿って計画をしたわけでございますが、施設、設備あるいは教授陣の整備等がなかなか思うにまかせません。特に教授陣の整備に困難がございますので、そういう実情に立脚しまして案画をいたしております。十七万人の十年間における不足数が考えられておりますのに、今一応案画しておりますところでは七万三千人見当が養成できるという見込みでございますが、従って、十万人近いものが不足する、こういうことに相なります。このことは遺憾ではございますが、現実問題として大学課程を終えた姿の科学技術者の供給は困難であるわけでありますが、しかし、実際上の必要に応じまするためには、年々歳々、現に社会に出ております人たちに極力再教育をすることによって必要数を充足していきたい。もとより予算を伴います国公私立大学の充実につきましては、教授陣の一方における整備、努力と相待ちまして、三十七年、八年と年々一万六千人より以上になるような努力は続けていきたいと思います。一応の見通しだけから申しますと、形の上では以上申し上げる通りに相なっております。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 本年一月二十四日ごろの新聞発表によれば、文部省の指摘によると、大学卒の上級技術者は七万人、工業高校卒の中級技術者が四十四万人不足すると言われ、三月十一日に池田科学技術庁長官から勧告を受けたと聞いておりますが、所得倍増計画による上級並びに中級技術者の所要見込み数は幾らですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  先ほどちょっとそれに触れて申し上げたわけでございますが、所得倍増計画によりますと、十年後に所得を倍以上にしたいという政治目標を立てておるわけでありますが、それの実現のためには推算いたしますると、大学卒業程度の科学技術者が約十七万人不足する勘定になる、さらにはまた中級技術者と申しますか技能者は高等学校卒業程度の人が約四十四万人現在のままでは不足する。従って、それに見合う計画を立てて実施していこう、こういうことに相なっておるのであります。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 理工系の学生は一万六千人増員計画を見ると、三十六年度は一番多くて、次々に若干減少しておるが、その理由はどういうわけですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  なるべく早く目標に近づけたいという考え方から、初年度以降所期の期間におきましてなるべくよけいに収容する、そういう考え方が今御指摘のようなことに相なっておるのであります。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 あとになればなるほど設備も増強されるのだからだんだん多くなってもいいのじゃないですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  もちろん御指摘のような考慮も払ってしかるべきわけでございますが、先刻も申し上げました通り、教授陣の充足状況等から考えまして、さらにまた、なるべく早くたくさんの人を送り出す努力をしよう、最終の卒業生の数は一応一万六千人という見当づけでございますので、それに満員になります時期をなるべく早めよう、そうして一年でも早く卒業生を多く出す努力をしよう、こういうことなのであります。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 粗製乱造にならないようにしてもらいたいと思います。  次に、わが国における大学の理工科系と文科系との学生数の比率は、理工科系対文科系が、戦前が、二対八ないし三対七、戦時中が四対六ないし五対五、逐次比率が増加中に終戦となった。東大第二工学部はせっかく成立しかけたものを戦前に戻す意味で、学部をやめ研究所に変わったことは強く惜しまれております。現在戦前と同じく二対八ないし三対七に戻っておる。ソ連では、六対四から、最近では、七対三ないし八対二と逆に理工科系が非常に多い。理工科系の学生数は六十万ないし七十万と言われている。中共では五対一だという。ソ連を上回る急進状態で、二、三年前に、十年にして英をしのぎ、二十年にして米を追い越せというスローガンで若い学徒に国家としての夢を持たせていることは、他山の石として一笑に付すことはできないと思うんです。増員計画を実施して、わが国における理工系と文科系との比率をどの程度に目標を置いておるか、それをお伺いします。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  現在、理工系とその他の学部の卒業生を比較しますと、御指摘のように、おおむね四対六という状況でございます。他の国に比べてその比率が比較的少ないという御指摘でございますが、これはむろん今後の努力によって比率を高めていくことは当然なさなければならぬと存ずるのであります。一万六千人の増員計画が実施されますれば、その程度だけでも相当の比率の向上になろうかと思います。それでもちろん十分だとは存じません。しかし、それはあくまでも科学技術振興、あるいは日本の国民経済の伸展に応じて、あるいはまた、世界的な科学技術の進展のテンポに応じていかにあるべきかということとの見合いの問題でもございましょうが、総合的に言いまして、御指摘のごとく、もっとその比率を高める努力をしていくべきだと、かように思っております。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 では次に、国立大学の校舎のことに触れますが、国立大学は全国で七十四校あるが、その七割が木造で、かつ、その大部分は、昭和十三年、十四年ごろ急造された安普請の旧高専や旧兵舎等の建物を利用したものが非常に多く、きわめて不満なものがたくさんある。   〔理事梶原茂嘉君退席、委員長着席〕 文部省の調査によると、国立大学校舎約六百万平方メートルのうち、四十年以上の老朽校舎が二三%、三十一年度行なった校舎の耐久度調査では、使うのが危険という赤信号の校舎が四十七万五千平方メートル、全体の約八%もあり、終戦後誕生した教育学部と寄宿舎の中には馬小屋同然と調査官すらも驚いたと報ぜられている。あぶなくて実験、研究に支障があったり、また、大切な器材等をビニールをかぶせて雨漏りから防いでいたり、こういうことは文部省でも詳細に調査されたからよく御存じと思いますが、長崎医大の付属病院では壁が落ちて患者を傷つけたこともあったのじゃないですか。三十六年度予算案では、国立文教施設整備費として約七十一億計上されており、これは前年度に比べ約一・七倍と相当大幅に増額されてはいるが、これら国立大学の老朽校舎の緊急整備計画はどうなっておりますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  国立大学の施設は木造が相当多いと、大体六七%が木造のようでございますが、その中にも老朽と考えられるものが十五万坪もあるということを御指摘いただいたわけでありまして、これはまことに遺憾千万であります。今までの努力の足りなかっことを思いますが、さりとてこれを一挙動で解決もできませんので、今後緊急五カ年計画を立てまして、三十六年度におきましては、そのうち一万五千坪、予算といたしましては十三億円を充てまして、着々この老朽建物の解消に努力したいと思っておるところでございます。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 十三億では、私の調査では、危険校舎の十分の一ぐらいにすぎないと思います。優秀な人材の生命に関する問題であるだけに、予算をうんと増して緊急に措置すべきではないでしょうか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 同感でございます。もっとよけいに要求したんですけれども、大蔵大臣にしてやられました。今後の努力に待ちたいと思います。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 大蔵大臣は、そういう人命に関する大事件をほっとくわけですか。もっとしっかり考えて応援してやるわけにいかないですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 国立学校の老朽校舎が大体十一万坪あると、この対策を私どもしなけりゃならぬと思っております。この老朽校舎の解決と同時に、理工系学生養成のための新しい施設費と重なってきております上に、ひとり国立学校だけじゃなくて、公立学校の老朽校舎の問題も出ておりますので、国立については昨年の六億九千万を倍近く十三億を予算に計上いたしましたし、公立の方も本年度は二十六億、老朽校舎の予算としては、合計四十億円を計上しましたが、今申しましたように、ほかに理工系の施設というようなものがございますので、財政上そこらを勘案して、老朽校舎の解決には順を追って当たっていこうという計画でございますが、大体本年度がそうでも、五年計画の全体から見ましたら、この予算措置は私は何とかとれるんじゃないかと思っております。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 とにかく赤信号が出ているんですから、防衛費なんか少しぐらい削ってもこちらへ回してやるべきだと私は思うんです。  次に、技術者養成のための教官の問題についてお伺いしますが、政府は、高等学校の工業教員の速成のため今国会に国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案を提案し解決をはかるようであるが、入所希望者についての見通しはどうですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  一般的にはそう楽観を許さないかとも思いますけれども、極力PRをいたしまして、いい人を確保したいと思っております。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 大学における理工系教授の充足は適任者に困難を来たすことはないか。そういう見通しはあるのか。今度短大が三つできる。学部も新設される。大阪大学では基礎工学部もできるし、東大では船舶機械工学科、京都大学では電気工学第二学科、金属加工学科、また、東北大では化学工学科、そういうふうにたくさん学部も学科もふえるというのですが、適任者に困難を来たすことはないかどうか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  大学における教官は、結局大学院の修士、博士課程の志望者を確保することにあると思いますが、近年民間にスカウトされたりいたしまして、なかなか思うようにいっておらない状況で心配でございますが、そういうこともございますので、要はほんとうに学者として、あるいはまた人材の養成の意味においての情熱を持つような人を吸収するということでなければならぬと思いますが、そのためにはどうしても大学、大学院にそれ自体研究の情熱をつなぎとめ得るような施設設備、あるいは待遇改善等が要請されると思うのであります。そういう問題としましては、御審議願っております三十六年度予算にも、もとより十分じゃございませんが、研究費の増額あるいは設備の充実等を盛り込んでおるつもりでございます。しかし、それにしましても、そういう人々の心がまえが安定しておりませんと、どうにもなるものではございませんので、願わくは私は大学の教授も、さらにはまた大学院の研究員たらんとする人も、じっくり腰を落ちつけて、生涯を通じて研究にいそしもう、あるいは後進の指導に当たろう、ちょっとぐらい月給が高く誘われても、それを振り切ってでもやってもらいたい。だからといって、安い月給でよろしいとはもちろん申し上げないのでありまして、今後ともさらに給与の改善、研究施設の充実に努力いたしまして、相呼応して教授陣の欠陥を生じないように努力していきたいと存じております。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 次に、大学の研究試験設備についてお伺いしますが、一番有力な東大工学部の研究試験設備が明治、大正、昭和——戦前の昭和、戦後の昭和と分けたときに比率が同じである。従って、新設地方大学における研究試験設備は想像にかたくない。これでは科学技術の革新的急進展の渦中にあって、青年学徒指導にまことに心細いと思うのです。三十六年度学生経費予算単価表によると、高校以下では前年度に比べて三〇%増しになっているが、大学、大学院においてはほとんど差がない。しかし、教官研究費及び研究旅行費予算単価表によると、教官研究費において前年度比二〇%増し、研究旅行費三〇%増しと飛躍的に増加され、また科学研究費交付金でも三億円増加されて、充実されている点は了解できるけれども、まだまだ戦前の水準まで達していない、昭和三十三年で戦前の約三分の一だ。これをさらに戦前の水準まで増額できないものかどうか、御意見を承ります。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 御指摘の点、まことにその通りでございます。ただし、三十六年度予算案に盛り込んでおりますものを御決定下さいますれば、大体戦前の三分の二の線には到達するかと思います。戦前に到達したからといって、それでいいともむろん思いません。科学技術教育の内容それ自体が飛躍的に変化をしておりますし、奥深くなっておると推察されますので、最も近代的な研究設備等を備えて、研究旅費や研究費等ももっと潤沢にして、戦前以上に持っていくことによって、初めて先刻申し上げました研究学生のつなぎとめの役も果たしましょうし、一生懸命の努力をせねばならない余地がうんと残されておる、十分とは申し上げませんが段階的にやっていくほかには現実問題としてやれなかったことを遺憾に思っております。今後の努力に待ちたいと思います。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 こういった研究費の配分についてはいかなる考慮を払っておりますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) 一般の研究費の配分につきましては、日本学術会議の検討の結果によりまして、それぞれ個人なり団体等に配分することにいたしております。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 一括して国立高等学校、国立大学へ参りますと、お百度を踏んだ方がうんと取れるとか、あるいは同じ大学を出たからそっちへよけいやるとか、そういうことがあってはならないと思うのです。研究費から電気代もガス代もとられてしまう。実際には一人の単価が出ておってもその数字だけは実際には使えないわけです。そういう点も文部大臣の考慮しなければならないことと思います。  次に、求人難に悩む産業界で会社相互間の技術者引き抜きが目立っている。最近は鉄鋼、電気、自動車等のいわゆる成長産業が官庁の技術者、研究員をスカウトする傾向が強くなっている。特に科学技術庁では昨年中に百二、三十への政府研究員が民間にスカウトされたと聞いております。通産、大蔵、建設、運輸、労働の各省や防衛庁、人事院などでも、技術、事務両方の公務員がまとまって民間会社だ移っている。また、地方の工業試験所においても同様であるが、このままでは国立、公立研究所や役所の運営に支障を来たすと思うのです、特に科学技術庁は百二、三十人ひっこ抜かれておる。長官はどうするつもりであるか、どういう対策をしているのか、お伺いします。

池田正之輔自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(池田正之輔君) 若干抜かれていることは承知いたしておりますけれども、百二、三十人という数字は私承知いたしておりません。しかし、それに対して、根本は要するに日本の科学技術者が足りない、絶対数において不足であるというところに基本的な問題がある、これと並行して今の待遇改善、あるいは環境の改善というような問題がこれを整備していくことによって補うことができる、かように考えております。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 おっしゃるような待遇問題が一番重大と思いますが、民間との試験のズレですね、そういうことも考えなければならないことと思います。まだたくさんお聞きしたいこともありますが、文教関係はそのくらいにしておきます。  次は、法務大臣に青少年問題についてちょっとお伺いします。青少年の犯罪というものは、いろいろな施策を進めているにもかかわらず、だんだんふえていく傾向にある、特に集団犯罪、また年令が低下しつつあるようでありますが、法務大臣は根本対策はどういうふうに考えておられるか、根本原因はどこにあると考えておられるか、お伺いいたします。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) お答えいたします。青少年犯罪の近年における増加の趨勢等につきましては、当委員会においてかつての機会にも申し上げましたが、まことにその増勢が著しいので非常に残念に思っております。こうした問題の防止策につきましては、それぞれこの原因をよく突きとめまして、その原因の除去に努力をしなければならぬと思います。ところが、こうした犯罪の原因がどこにあるかという問題については非常に複雑であり、また多岐でございます。従ってこの問題を単に一法務当局あるいは他の省と一結になってやるといたしましても、政府だけの力ではできませんし、社会全体としていろいろ備えをしなければならぬものがたくさんあるようでございます。そのためになかなかそれぞれの原因除去の施策が十分に緊急に行なうに至っておらないということがまことに今日の姿ではあるまいか、かように思うのであります。で、犯罪少年につきましては、われわれの部内といたしましては、法務当局として少年院でありますとか、あるいは少年刑務所でありますとか、また少年鑑別所等々の役所の内容を充実しまして、そうした犯罪に陥ったその原因がどこにあるかということについての詳細なる研究を鋭意進めておる最中であります。また、先年予算化して今すでにできておりますわが省所管の総合犯罪研究所、こういったところでも特にこの青少年問題について意を用いまして、極力その原因の探求並びにこれに対する対策の樹立に努めておるような状況でございます。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 犯罪がふえておるようでありますが、道徳教育によってその犯罪が減っているか、どうか、そういう点に対して文部大臣の御意見をお伺いしたいと思います。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答えを申し上げます。毎度申し上げていることでございますが、青少年、特に二十才にならない未成年者の、ティーン・エージャーの犯罪の量の増加と質の悪化、まことに寒心にたえないと思いますが、その原因は今法務大臣からも話がありましたが、それ以前にやはり子供のころからの教育というものがよからぬ、そういう傾向があったのじゃないか。戦後新しい教育が発足いたしましたものの、ことにまたデモクラシーという形態において政治が発足しましたものの日本人全体が初耳であった、その未熟のゆに、あるいは有史以来の敗戦のゆえにぼう然自失したということもむろんございましょうが、おとなが自信を喪失した、それが政治の面においても欠陥として現われた、教育の面はむろん当然であった、なかんずく占領政策のゆえに子供たちに道徳を教うべからずといわれた占領中は方法がございません。独立を回復しました直後に考え直さねばならなかったんでございますけれども、これまた政治が憶病であった、おとなも憶病なままにほったらかされて子供たちは最近まできた、これは事実だと思います。遺憾でございますけれども、振り返ってみれば私はそういうところに原因があったと思うのでございまして、せめて道徳教育を始めようというので一昨年の秋から義務教育課程においては開始された。本年からまた新しく教育課程を再検討いたしまして充実した姿で発足しようといたしております。なかんずく道徳教育につきましても、特別の科目を設けて子供たちにものの善悪の判別力をよく教え込もうではないかということになっております。高等学校におきましても倫理課程に力を入れようということになっております。おくれまして子供たちには申しわけないわけですけれども、今から十分にその成果を上げるように、現場の先生方も熱心に情熱を込めて子供たちの一生の幸福のために努力していただきたい。文部当局の責任者たるわれわれもまた相協力いたしまして、教育の場における原因のゆえに青少年犯罪がふえておるとするならば、これの絶滅を期したいという覚悟で臨まなければならないと存じておる次第でございます。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 絶滅を期す覚悟で一生懸命にいろいろな方法をとり、なお道徳教育を推進しておられるんですけれども、これで将来少年犯罪が減っていくという見通しがありますか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。さしあたり私の関係いたします当面のことだけを申し上げたんでございますが、もちろん社会教育の面についても同様の努力が払われねばならぬことは当然でございます。特に私は家庭において子供の親たちがもっと真心を込めた、自信を持ったしつけをしていただきたい。新しい日本の歩みにふさわしい内容を持って、人間として、日本人としておかしくない人間に育てるように家庭でも私は十分の努力をしてもらうこともとより必要だと思います。同時にまた子供たちが社会に出まして接触しますもろもろの社会的な環境が淫猥であったり、あるいは粗暴であったり、一々申し上げるまでもなく国民全部が心配しておりますがごとき悪い環境をよくすることもまた法律制度を待たないで、それぞれの場においておとなどもがりっぱにして子供たちを迎え入れる覚悟と実践が伴わなければ私はいけないかと思います。そういうことを国全体、国民全体として子供たちをあたたかくはぐくんでいくという気持に徹するならば、絶滅を期することは私は難事ではないと思います。

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 辻君に申し上げます。厚生大臣が出席されております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 関連して。文部大臣にお伺いいたします。先ほどのお話の中で、日本人は、おとなたちは自信を失ったと、現在そのおとなたちは自信を取り戻しておるのかどうか、どういう尺度で判断をされるか。それから第二点は、盛んに道徳教育、子供々々というお話であります、これは大臣の所管ですから。しかし、悪いのはどうもお話を伺っていると、おとなたちも、父兄もしっかりしてもらわにゃ困ると、一体父兄の教育は、つまりわれわれに対してどういう御教育をなさる御方針か。何年たてばその教育の効果が現われて、絶滅を期せられる理想境が来るのか、その三点をお伺いします。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。今の御質問の点は、私があえてお答え申し上げないでも常識あるおとなの当然思いつくことの範囲内でけっこうだと思うのであります。たとえば強姦をする、たとえば人をぶんなぐる、いわんや人殺しをするというがごときは、これは法律制度以前の人間常識の範囲である。このごろ言われますところのティーン・エージャーの非行事件等はおおむね今例示しましたことに尽きるように思うのでございますが、あえて文部大臣という立場で、きいたふうなことを申し上げる気持は毛頭ございませんので、もっと人間らしさを考えて、子供たちに親切に機会あるごとにしつけをして下さるならば、ずいぶん違うんじゃないか、社会のおとなが努力して下さいと言うのは、映画にしましても、あるいは雑誌やテレビやラジオ等にいたしましても、そういうものを管理しておられる側で、子供の非行をそそらないように、また、たしなめるようなしつけをするような気持でやって下さるならば、ずいぶん非行事件は減るだろう、相呼応してやるならば絶滅を期し得るであろうということを申し上げた次第でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 関連して。私は法務大臣にお伺いしますが、一昨年から道徳教育をやったというのですね。それから青少年の犯罪はそれと関係してどうなっているか、統計的に、完全な統計の結果は出ないと思うのでありますが、犯罪件数はどうなっているのですか。道徳教育を施してからふえているのか減っているのか、明白なところだと思うのでありますが、これを具体的に数字で示してもらいたいと思います。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) お答え申し上げます。一昨年の道徳教育を施行するようになってから、その後の結果がどうなっているかというお話でございますが、ただいま手元に正確な統計は持っておりませんけれども、三十四年までの統計ですから、去年、一昨年となってしまいます。従って、三十五年がまだはっきりわかっておりません。おそらく私の推定するところでは、まだそれが現実に効果を現わして、減少あるいは横ばいというところまではいっておらない。従って、この教育の効果が一日も早くだんだんと現われまして、近い将来においてこの増加の勢いを横ばいにし、さらにそれが減少の方に向かっていくということを心がけたいというのが私の考えであります。先ほど来いろいろと文部大臣からも仰せになり、私も申し上げましたが、その原因が非常に複雑多岐でございまして、道徳教育も非常に大切なことであり、家庭環境、すなわち家庭における親の愛情、しつけ、監督ということも大事であります。あるいは社会においての一般の社会環境として、新聞その他出版物等についてもいろいろお気をつけ願いたいと思うところがございますし、非常に範囲が広うございますから、これらのものがそれぞれ直ちに適切な施策がとり得るかと申しますと、なかなかそう参らぬ点もあります。従って、これらの問題につきましては、原因の探究に先ほど来申し上げるように一生懸命に気をつけて、そしてその原因の中の大きなものから、ちょっとでも早く手をつけ得るものから手をつけていく、かようになすべきであろうと実は考えております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 私は午前中から聞いておりまして、文部大臣に伺いたいんですが、文部大臣は、道徳教育をやれば今のような問題は解決する、非行少年を少なくすることができると言われておる。しかし、これは非常に形式論じゃないかと思うのですね。道徳教育、道徳教育と言いますけれども、おとなが模範を示しておる。それはもう終戦後幾多の腐敗、堕落の姿がある、それから政治の中にもそういう問題があると思います。造船疑獄のざときはまさにその一つだ。そういうような事実を示しておいて、そして口先だけでりっぱな道徳教育をやるということは、少なくとも批判力を中心として、物事の正しい判断をするという、そういう点に立って終戦後の教育は行なわれてきた、こういう青少年にとっては、私は逆効果を来たすんじゃないか、口でだけうまいことを言って、おとなのやっていることは全く矛盾しておる。そういう悪い例を示して道徳教育、道徳教育といっても、かえって私は混乱するのじゃないかと思うのでありますが、この点、あなたは一体お考えになってこのような問題に対処しておられるかどうか、これは文部大臣にお開きしたい。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。おとなが自信を持って子供にものを言いますためには、新しい憲法に基づく国権の最高機関の定めました法律制度が着実に行なわれるようにということを念頭に置いて指導すればいいと思います。その他もろもろの古今東西のよき徳目もございます。それももちろんでございますけれども、基本的には私は、少なくとも今、法治国たる日本が、共産党の言うがごとき、悪法は法にあらず式のめちゃを言わないだけでも、ずいぶん世間はよくなるのじゃなかろうか、こう思っておるわけであります。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 私は道徳教育もこれは別に悪くないと思うのです。それから保護施設を増強するのも当然だと思うのです。けれども、保護施設をどんなに増強しても、道徳教育をやっても、それくらいの堤防では津波のように押し宿せてくる少年犯罪を防ぐことはできないと思う。もっと何か足らないものがある、根本的なものがある、そういうふうに思います。それをもっと研究すべきじゃないかと思いますが、文部大臣並びに法務大臣いかがでしょうか。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 先刻から申し上げておりますように、私はこうした青少年の犯罪の増加の原因あるいは犯罪そのものの原因というものは、複雑多岐であるということを再三申し上げております。従いまして、複雑多岐な原因をそれぞれ完全に除去する、あるいはそういう原因をなくするということは、なかなか困難であろうということを思うのであります。一例を申し上げますと、たまたま手元に資料があるので申し上げますが、われわれの地方検察庁の一部で、これは全部ではございません。地方検察庁の一部で少年調査票というものを約六千人ばかりについて調べたものがございます。この結果によりますと、家庭というものが、家庭における愛情のある育て方、あるいはしつけ、監督のいかに大事かということがその上に現われているようであります。その六千人の対象少年のうちで、幼児期に父親がなかった者が一四%、一割四分ございます。それから父親も母親もなかったという者がこの六千人の中に四%、両方合わせますと、親がなかったという者でこうした犯罪に陥った者が一八%、二割近くあるわけであります。これは幼児期でありますけれども、しかも幼児期を今度別の面から見ますと、両親はあったけれども、家庭の状況が、調べてみると、どうも不和が多かった、家庭が円満じゃなかったという場合もたくさんあるのでありまして、これは非常な率を示しておりまして、四割、四〇%であります。四〇%はそうした少年の家庭が幼児期において不和であった、そういう場合を実際の統計が示しておるようなことでございますから、いかにこの家庭のいい悪いが非常に関係が大きいかということがわかるのであります。ことにまたもう一つ、これは大事なことですが、統計ですから、まだ完全ではございませんが、なお申し上げますと、十九才の犯罪を犯した青年の中におきましては、家庭の不和が原因になっておるものが十九才台の者では六割一分になっております。ところが、十九才台の者で見ますと六割一分でありますけれども、それが十四才台の者でどうかという調べを見ますと、これはそれよりもさらに大きくて七割七分、七七%、こういう状況になっております。いかに家庭における状況、家庭の不和等が、幼少な青少年に対して悪い影響を与えて犯罪に陥りやすいかということがわかるのであります。しかし、これはほんの一部の六千人だけの調べでございますから、われわれは来年度の予算におきましても、特に予算を御承認願いまして、これを全国的にもっと広く、われわれの部内において手の届く範囲でのこうした原因調査に十分留意してみたいと思うのであります。必ずしもこうした問題は家庭が貧しいから、あるいは家庭が富んでおるからというばかりじゃありません。家庭が非常に富んでおる場合でも、実は犯罪を犯している少年も出ておる例もたくさんあるのであります。こうした問題についていろいろ気をつけて参りたい、かように思うのであります。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。ただいま法務大臣からお話がございましたことは、とりもなおさず、家庭教育ないしは学校における道徳教育の成果が期待されることを裏書きしている一つのことだと思うのであります。私は先刻申し上げましたのは、教育の場における教育のあり方、特に道徳教育の充実あるいは家庭教育、これも実際上は一体をなすことと思いますが、そういう努力がまじめに積み重ねられるならば青少年犯罪が激減する要因になるであろう、また、なるように努力すべきであるということを申し上げたのでありまして、それで現実に絶滅を期するなどということはむろん保証できませんけれども、相当の減少をさせる要因であることは確かだ、また、不幸にして青少年犯罪等が起こりました後の処置、仕方を通じて将来にわたって減少させ、未然に防ぐという措置はそれぞれの分野でとらるべきことも当然でございますが、それらの事柄と一体をなしまして、ともかく子供たちを皆が本気であたたかく取り囲んでいくという心がまえが基本にありまするならば、相当の減少を期待できると信じておる次第でございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 ちょっと関連していいですか。

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 高田君。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 法務大臣から今なかなか貴重な資料をお出しいただいてけっこうだと思います。ただしかし、家庭不和の原因について、諸外国では家庭不和の原因は何かという問題についてはかなり研究をしておる。しかし今の統計の中では、その家庭不和の原因はどこに基因するのかという一番底の問題について御報告がなかった。諸外国の例を見ると家庭不和の原因は、その八〇%が経済的な条件が家庭不和の一番大きな原因を作っておる。従って、その家庭の経済安定ということと家庭の不和という問題とは密接不可分の関係にある、こういうようなことから家庭生活の安定、いわゆる経済安定をいかにするか、こういうことは青少年の対策としてきわめて重要な問題として考えられている。今、大臣からの報告がありましたが、その一番大切な面が欠けておりますから、もしそういう資料があれば、御説明が足らなかったら御説明いただきたい、いかがですか。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○国務大臣(植木庚子郎君) 今お尋ねの家庭不和の、さらにその原因についての調査はあるかということでございますが、ただいま手元にはそれを持っておりません。おそらくこの原因についても詳細な調べをしておりますから分類ができることと思います。ただいま御推定といいますか、お考えになりました、御意見をお述べになりましたような経済的原因が家庭不和の大半をなしていはしないかという御想像でございますが、私も多分にそういう点が当たっておるのではあるまいかと思いますけれども、これは他の機会において、またさらにその内訳を調べましてお答え申し上げることにいたします。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 時間があまりありませんので、青少年問題はこの程度にとどめまして、厚生大臣に今度お伺いをいたします。社会保障の一環として保育所の問題でお伺いしますが、保育所に対して今国で八割ほど、都道府県で一割市町村で一割、そういうふうに補助することになっておりますが、実際はそうでない。東京都の場合なんかは国の基準額は二億一千八百九十七万三百六十七円であります。これに対して国の補助金が一億七千五百十七万六千百九十三円、都の負担率は四千三百七十九万何がしでいいわけですが、実際には一億九千万円も余計に使っておる。国の基準額が低過ぎないか、東京都一例でそうなっておりますが、他の府県でも同じと思うのです。国の基準額が低過ぎるということと、保育所の保母に対する給料が低い、それに対してどういう考えを持っておるか、お伺いします。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○国務大臣(古井喜實君) 保育所の経費に対しての措置が、実際かかる経費からみて不十分だという点についてであります。実際かかる経費が満たされておるかどうか、これは場所によりまして、あるいはこの基準では十分満たしていないところもあるかもしらぬと思います。けれども、だんだん実際の経費が満たせるように、一致さしていく方向に歩かなければいけないわけでありまして、そういう意味では大きな経費である職員の給与などの経費とか、あるいは児童処遇の経費、すなわち給食費とか、保育材料の経費とかにつきましては、だんだんと基準を高めて改善をしていっておる状況でありまして、その食い違いの起こらぬように改善の努力をいたしておるつもりでありますが、なおこれは将来ともに、もっと食い違いがないように周到に検討してやっていかなければならぬと思っております。なお保母さんの給与が安いということが非常な問題でありまして、そこでこれは社会事業の名において悪い待遇を受けておるというのではよくないのでありますから、改善をしなければならないことは申すまでもありません。でありますから、この三十六年度の予算におきましても、昨年の暮に例の公務員と同様に一一・九%の給与の引き上げをしましたほかに、特に保母さんなどの関係では、基礎が悪い、それを是正する意味で七・五%という引き上げを計画しておるというようなわけでありまして、これもだんだん、現に改善の努力をしておるつもりでありますが、なお同じように将来も考えて努力したいと思っておるのであります。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 関連。

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 関連ですか。高田君。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 厚生大臣にちょっとお伺いします。措置費の問題はしばしば問題になるわけですが、今の御答弁では具体的な御答弁がいただけないで、私も伺っていて大へん残念に思います。それはそれとしまして、実際、措置費は払えない、両親とも働きに行っている、どうすることもできない、こういう子供が全国で大体二十万おります。これはほとんどもう雨にさらされ、日にさらされ、全く放置された子供たち、こういう最も不幸な子供たちに対する国の手というものがどういうふうに伸びているか。私はいまだかつて、この二十万の最も救われなければならない子供たちがどういうふうに措置されているのかという、その現状について一度も伺ったことがない。この際、そのどうすることもできない二十万の子供は今どうなっているのか、そしてこれをどうしようとするのか、これを一つ伺いたい。もう一点は、これは季節託児所の予算は本年度の予算では減っておるのです。これは農村の主婦たちが家事労働のために非常に大切な存在です。季節の託児所の増設の問題はかなり多くの婦人から要求されておるところであろうと思うのであります。これに対する計画的なお話もまだあまり伺ったこともありません。この際、二つの問題について、関連で失礼でございますけれども、お答していただきたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○国務大臣(古井喜實君) 保育所の関係といたしましては、例のこの措置費に対する負担の問題は、これは段階をつけておりますけれども、負担のできない人には免除する、全然負担をかけないと、こういうふうなことで、保育所関係では無理を起こさぬように扱いをしておりますから、それはまあそういうふうに御了解を得たいと思います。なお、保育所以外のこととして、そういう不幸な境遇におる子供に対しましては、できるだけいろんな施設、収容の施設とか、また今度も、とにもかくにも児童扶養手当のごときものを考えましたり、考えられるだけは策を講じておるはずでありまして、これは十分とまでは申しませんけれども、そうなおざりにほったらかしにしておるという、全体論として、状況とまでは思っておりません。しかし、なお改善すべき点はそれはないとは申しません。それからなお季節保育所のお話が出ておりましたが、これは季節保育所というこの一時的なものに対しては、補助にいたしましてもきわめて零細になってくるのであります。本格的な保育所の方になるべく仕向けていきたい。このごく零細な補助ということならば、むしろそれよりも本格的な方に向けて、市町村で負担すると、こういう行き方をしたいということと、なおまた別に、僻地などについてはこの本格的な保育所がなかなかできにくい。新しく設置する設置に対して助成をするとかいうふうな方法で、全体としてながめて一番穏当な姿勢を整えていくように保育所の問題を考えているのであります。なお実情等につきましては、ありますればよく検討をいたしたいと存ずる次第でございます。   —————————————

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 大矢正君。

大矢正日本社会党

○大矢正君 私は国際収支の問題とそれから税制の問題、それから最近給与所得の支払いを受けている人々が源泉徴収をされることは憲法違反であるという訴えを裁判所に提起をする、こういう状況がございますので、この点。以上三つについて関係大臣に質問をいたしたいと思います。ただ、国際収支の問題や税制に関する基本的な考え方の問題は、これは総理大臣に来ていただかなければ質問ができませんし、私はちょうど総括質問を最後にやることになっておりますので、国際収支の問題、それから税制問題、特に歳入に対する見積りの考え方の問題、こういう点は最後の総括に質問をすることにして、本日は国際収支の問題と税制問題の具体的な点について質問をいたしたいと思います。  まず最初に、私は企画庁の長官に質問をいたしたいのでありますけれども、政府からいろいろ統計資料が出ております。国際収支に対するこの統計資料は、大蔵省、日本銀行あるいは経済企画庁等、その他も出ておるようでございますけれども、私が大体知っている範囲ではそういうところでありますが、一体この国際収支の内容を発表するのは、どこの省が責任を持ってやっているのか、これを聞いておきたいと思います。

迫水久常自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(迫水久常君) 大蔵省でございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 そうすると、国際収支の見通しというものは企画庁が立てられるわけですね。そうなると、ちょっと私は実際上の問題として困る面が出てくるのではないかと思うのでありますが、それはそれといたしましても、三十五年度の予算編成をするにあたって、当初、企画庁の出した三十五年度の国際収支の見通し、これはかなり最近変わってきておりますね。三十六年度の予算を作るにあたりまして、経済企画庁が出しました三十五年度の実績見込みというものと、三十五年度当初において政府が、特に企画庁の出したこの国際収支の見通しについては、かなり大きな変化が示されてきております。私の聞いておる範囲では、その間にも一時見通しを変えたということも聞いているのでございますけれども、どうもその経済企画庁の国際収支に対する見通しというのは、一年に三回も四回も修正されるのではないかというふうに感ずるのですけれども、どうも国際収支の見通しは経済企画庁はあまり当たらないという今日までの実態のように私思うのですが、企画庁長官はどうお感じになりますか。

迫水久常自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(迫水久常君) なるほど本年度、昭和三十五年度の見通しを立てますときには、それは昭和三十五年の一月に立てたわけでございますが、そのときには経済成長が六・五%ぐらいの成長率を見込みまして立てた国際収支の見積りでございます。それが御承知のように名目上は一三%近い成長をしておるものですから、従って、国際収支の見通しも大幅に違ってきたというのは事実でございます。そこで昭和三十六年度の見通しを立てますときには、できるだけ実質に近いように、過小を見積りはしないようにということで、御承知のように九・二%の見積りを立てました。昭和三十六年度はそう狂わないのじゃないかと思っております。

大矢正日本社会党

○大矢正君 経済企画庁の見通しが狂わないことが本来好ましいことでありますので、私もそれを希望いたします。その面はその面として、大蔵大臣にお尋ねしますけれども、二月の国際収支の状況はどうなったのか。特にこれは通関実績を初めとして、外貨の準備高が幾らになり、さらにまた貿易外の収支が幾らであり、経常収支のしりが幾らで、さらに資本取引の面においては長期がどのくらいで短期がどのぐらいという具体的な細部の内容を二月分について一つお答えいただきたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) これは具体的な数字は明日になるとはっきりすることになっておりますが、それで大体大ざっぱに申しますと、経常取引では先月、この一月に九千九百万ドルの赤字でございましたが、二月はそれよりも赤字は減る予想でございます。それから資本取引の収支でございますが、資本収支は先月、一月に一億七千二百万ドルの黒字でございましたが、この資本収支の黒字も二月の方が少し減る。それで総合収支におきましては大体六千万ドルぐらいの黒字じゃないかと思います。

大矢正日本社会党

○大矢正君 大蔵大臣はあしたでなきゃ二月の国際収支の内訳は言えない。しかも一月の九千九百万ドルの赤字に対して二月はどのくらいかと言っても、これは一月よりは小さいであろうというだけで答弁にならないのですけれども、あなたが前に、だいぶ前ですよ、もう一週間ぐらい前じゃないかと思うのですが、岐阜県に行かれて、それで二月の国際収支のしりは経常収支でもって九千万ドルの赤字である。しかし資本取引の面でこれは入ってくるから、大して心配はない。最終的には年度末においてこうこうこうだと、具体的にあなた数字をあげて岐阜県へ行って記者会見をやって発表されておるのですよ。それを今国会でもって発表できないというばかな話はないじゃないですか、それを発表してもらわなければ質問できないですよ。あるいは新聞では、旅先では九千万ドル近い赤字だと発表して、それで今ここに来て全然小さい数字だということだけで、具体的に全然数字をあげないということはおかしいじゃないですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 岐阜県へ行ったときも、正確なものではございませんでしたので、一月は九千九百万ドル、二月は九千万ドルぐらいじゃないかと言ったんですが、これも正確な数字じゃございませんで、今のところ九千三百万ドル前後になるのではないかと思っております。

大矢正日本社会党

○大矢正君 九千三百万ドルの経常収支の赤字の内訳ですね、貿易で幾ら、それから貿易外で幾らというのを一つこの際具体的に出してもらいたい。それから資本取引の面も同様にこの際出してもらいたい。あした出すと言っても、資料ができ上がって発表するだけなんですから、きょうあなたは新聞記者に発表するのに、国会で発表できないわけはないじゃないですか。九千万ドルでも九千三百万ドルでも、それと前と大して大きな違いはないじゃないですか。大臣、具体的にお答え下さいよ。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 関係省と突き合わせをやっておりますし、日本銀行の資料がまだきょうは届いておりませんので、正確に発表できるのは明日以後という日程になっておりますので、その点は御了承願います。

大矢正日本社会党

○大矢正君 日本銀行の総裁も、けさほどの新聞を見ると、具体的に二月の国際収支は九千万ドル程度の赤字である、経常で。従ってこれから貿易の伸張に一そうの努力をしなければならぬのじゃないかというような発表をされておる。ところが、それでは大臣にお尋ねしますけれども、昨年の三月末の外貨の蓄積高と申しますか、準備高はたしか十三億六千百万ドルですか、このときの短期の資本収支、こういうものを除いて現実に保有しておる手持ち外貨というのは一体幾らくらいあったか、これをお答え願いたいと思うのであります。

渡辺誠大蔵大臣官房財務調査官

○説明員(渡辺誠君) 昨年三月末の外貨資金は十三億強でございましたが、その中の短期支払い繰り延べ関係の数字について申し上げますと、ユーザンスが二億六千六百万ドル、それから石油関係の借り入れ、米国の綿花借款等による借り入れ並びに英ポンドのユーザンス等を含めまして、合計で六億六千五百万ドルでございました。

大矢正日本社会党

○大矢正君 政府はこの技術援助契約に基づいて毎年支払いを対外的にしておりますけれども、そういうものとか、それから長期の借款、外債ももちろん入りますが、こういうようないわば債務ですね、債務の年次別の償還計画、もしくはその返済計画というものがおありになると思うのでありますが、できたら一つこれを発表してもらいたい。

賀屋正雄大蔵省為替局長

○政府委員(賀屋正雄君) お答えいたします。昨日大臣が、三十五年度と三十六年度における技術援助契約の対価、公社債の元本あるいは利子の送金、債務等の数字を申し上げましたが、その先のは一応の見込みでございまして、だんだん若干、たとえば技術援助契約の対価等は、契約件数がふえて参りますので増加していくということは予想されますが、長期にわたってこの見通しを計画的なものとしては、これはただいま用意いたしておりません。

大矢正日本社会党

○大矢正君 衆議院の予算委員会で河野密さんの要求に対して資料を出しておりますね。中長期の外資導入状況という資料で、総トータルとしては九億七千八百八十二万ドルですか、この内訳は、技術援助契約あるいは株式の持ち分、受益証券、社債、貸付金あるいは債券、こういうふうになっております。しかしこの大部分のものは貸付金もしくは債券ということになっておるのであります。私がお尋ねをいたしたいのは、非常に大きい金額である貸付金や債券、こういうものに対する返済というものはある程度きまっておるわけでしょう、年次別返済というものは。ですから、大蔵省としては大体どの程度毎年支払っていかなければならぬのだ。外国から借款する場合には当然返済の期限があるはずであります。ですから、それに従って年次別に償還していかなければならぬのだが、この八億二千万ドルに対する償還の年次別計画というものがあるはずですが、どうですか。

賀屋正雄大蔵省為替局長

○政府委員(賀屋正雄君) お答えいたします。すでに借り入れの契約が成立している分についての償還の数字は、これは大体集計すれば出てくるわけでございますが、今後引き続きいろいろな方面から外資の受け入れをやっておりますので、それに対する元本、利息の支払いがそれに加わって参るわけでございますので、将来の各年度におけるそういった外債の総ワクという的確に数字は作っておりません。今おっしゃいました既契約の分についての支払いが幾らになるかという数字は、これはできると思いますが、ただいま、まだ集計いたしておりませんので、御要求があれば後刻提出いたしたいと存じます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 外国から金を借りたり、あるいは外債を外国に対して発行したりした場合に、具体的に毎年々々どの程度の支払いをしていかなければならぬのか、元本はどのくらいか、利子の分はどのくらいか、こういう計画がないということはおかしいじゃないかと思うのです。国と国との間に金を結局借りるわけでしょう。政府が保証して借りるわけですから、これはたとえば民間のアメリカにおける社債の発行、こういうことになれば、これは話は別かもしれぬが、政府が責任を負って外国から借款をするわけでしょう。その借款が大部分が、八億二千万ドルの年次の返済計画がないということは、政府が国際収支の見通しを立てたり、いろいろな計画を立てる上において非常にそごを来たすのではないかと思うのですが、おそらくあなた方はあってもそれを出さないのじゃないかと思うのですが、どうですか。

賀屋正雄大蔵省為替局長

○政府委員(賀屋正雄君) ただいま申し上げましたように、今後の分が加わってくるわけでございますが、とりあえず、昨年の十二月末までに外資法あるいは為替管理法によりまして、導入を認めました外資につきまして、将来の対外支払いが幾らになるかという見込み、ただいま手元にあります資料によって申し上げますと、元利合計いたしまして、三十五年度は六千九百万ドル、三十六年度が八千万ドル、三十七年度が九千五百万ドル、三十八年度が九千百万ドル、三十九年度が八千六百万ドル、一応三十九年度まで計算いたしました数字でございますが、このままで今後外資の導入がふえてくるといたしますれば、この数字は漸増して参るわけでございます。大体年に一億足らずと、こういう数字に相なっております。

大矢正日本社会党

○大矢正君 大蔵大臣にお尋ねしますが、二月の経常収支のしりは九千三百万ドルの赤字であるということはわかりましたけれども、三月の経常収支の見込みはどうなるのですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 私ども今検討しておる見込みとしましては、四、五千万ドルの赤字であると思います。

大矢正日本社会党

○大矢正君 そうすると、大臣の答弁からいくと、三月は、経常収支のしりで黒字になるというはっきりした見通しがあるのですか。今の二月の現状から推していけば、これは二月は九千三百万ドルの赤ですから、一月末で八千万ドルしか黒字がないわけですね。二月でもうすでに一千三百万ドル赤になっておるわけでしょう。そうすると、三月というものは、これはやはり黒字になるという見通しがなければならないのじゃないですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 三月は今の予想で黒字にはなりません。三十五年度の見込みは、経常収支の一億二千万ドルの黒字でございましたが、これは見込みが違って、一億二千万ドルも黒字ではなくて、若干赤字になる。総合収支におきましては六億ドルの黒字ということを予想しておりましたが、これは全体として六億ドルを相当上回る黒字になるというようなのが大体の見通しでございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 このアメリカの預託証券、これをめぐって前にアメリカでは、アメリカの証券取引所あたりは、この米国の預託証券に対して、日本の外資法や為替管理法の制限が非常にきびしいから、こういうものをゆるめないとなかなか米国の預託証券というものを認めるわけにいかないという話があったんですね。そこで当時政府、特に大蔵省あたりではかなり外資法や為替管理法の制限をゆるめて具体的には今言った預託証券が発行されるような態勢を作るとか、あるいはまた国内においても株式の保有をある程度ゆるやかにすると、こういう方向で政府が積極的に努力するという考え方があるのですがね、今日のように国際収支が経常収支の中で非常に赤字が考えられる段階において、大蔵大臣としてその点についてはどう考えますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 今の問題は、ただ米国において、日本の為替管理がこうなっておるんだということをはっきり投資家に知らせなければいけない。そういう文句を証券に入れることを中心として、手続の問題でつかえておるという状況でございますが、いずれにしましても、為替管理をもう少し自由にする必要はございますので、今私どもはさらにもう一歩緩和する方向で検討しておりますので、近いうちに結論を出したいと思っております。

大矢正日本社会党

○大矢正君 国際収支が逆調になって、特に一億ドル近い逆調が二カ月間も連続続いたというのは、過去においては昭和三十二年の五月、六月でしたか、この二カ月間が約一億一千万ドル経常収支でもって赤字になっている。これ以来二カ月間も続いて一億ドル近い逆調を示したという例がないですね、今日まで。しかもほとんど赤字はその期間、三十三年、三十四年、二年間は国際収支の経常収支の中においても赤字というものはほとんどないわけです。ただ出てきたのは三十六年の一月から経常収支で赤字が少しずつぼつぼつ出てきた、こういう状態なのですね。そこで、九千九百万ドル、さらに九千三百万ドルという、こういうような赤字が非常に急激にふえるということについては、単に一時的なものであるということを私は言いのがれするだけでは、将来に対して大きな禍根を残す結果が出てくるんじゃないかと思うのですが、何か大蔵大臣は、国際収支の今日こういう状態というのは、基調が変化したのではない、一時だけの現象だと盛んに強く言っておられるようだけれども、二カ月間もこういうことが続いたというのはここ三年来ないことだから、明らかにこれは基調的な変化であるというふうに分析せざるを得ないのだけれども、大蔵大臣どう考えますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 私は別にそう心配しておりません。一月の輸出が十二月より落ちたということは、これは十二月が非常に輸出が多かった一つの反動でございますし、落ちたといっても、昨年の一月に比べて輸出が減っているわけではございませんし、二月も同様で、輸出の伸び率というものは、伸び方は非常に少ないということが言えますが、これは国際経済に関係することがございまして、当初から私どもが予想しましたように、下半期にいったら、私どもの今まで見込んでおった輸出は大体その通りいくだろうという見込みは今でも持っておるのです。ただ輸入がここで非常に多くなったということでございますが、これは経済成長に見合った輸入増でありますし、また相当在庫を減らしておりますので、原材料在庫の補充という意味も含まれておりますし、さらに輸入が多くなったのには若干政策的な意味も入っておりますし、自由化に対するために急激な変化を与えないために少し多目に輸入をさせているという政府の政策的なものも若干入っておりますし、これが不健全な輸入かどうかという問題でございますが、思惑が中に入っている輸入とは私ども全然考えておりませんし、そうしますというと、今季節的に輸入期でございますし、輸出は後半期からが輸出期になるのでございますから、そういう点から見ても、今から六月前後まで経常収支の赤字が続くということは、別に基調の変化でもないし、心配することではございません。で、三十五年度の見込みは、今言ったように一億何千万ドルくらいを生じましたが、総合収支においては予想以上の黒字を確保しておりますし、三十六年度、来年度の予想も二億ドルの黒字になる、この黒字基調というものは、私どもは確保できるという今考えを持っておりますので、一時的な経常収支の赤字というものなんかは、そう心配する必要のあるものだとは私考えておりません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 関連して。この国際収支の赤字の原因が主として輸入の増加にあるということは、われわれも大体了承しておりますが、この場合、この輸入増加は高度成長政策に伴う原料、機械等の輸入、これのウエートが圧倒的に多いと思うのです。この基調が、もしずっとこの趨勢が続いていく場合には、三十六年度二億ドルの黒字を確保するためには、それを上回る圧倒的な輸出の伸びがないと、私はそれは二億ドルの黒字達成は可能でないと思う。だから今の段階における大蔵大臣の御説明、よくわかりますが、今後の見通しとして、今の赤字の原因というものは、またアメリカのドル防衛とか、あるいは今申し上げた輸入のこの原料、機械等の高度成長政策による輸入の増加、それを上回る輸出の増加の伸びというものが将来期待できるのかどうか、これから三十六年の後半期七年度にかけてそれが可能であるならば、大蔵大臣の言われるようなことになると思う。しかしそうでないと私は、三十六年度二億ドルの黒字を確保することは非常に困難だ、それが第一点。  もう一つは、かりに政府は今確信を持っておるからそういうことはないと言うが、しかしかりに、万一赤字基調になった場合には、やはり手持ちの保有外貨を若干食いつぶしても高度成長政策を続けるのかどうか、これはちょっと先走った質問になりますけれども、これは多分池田さんはそうお考えになっておると思う。だから問題はそこでストップ令を出して、何らかの手直しをするのか、あるいは若干の外貨の食いつぶしをしても、この高度成長政策は依然として継続していくのかどうか。しかし依然として二億ドルの黒字は絶対確保できるのだ。そんな心配は要らぬという、こういう前提に立つのならば、私の言うことは意味のないことになるのですが、その辺の事情を一つお聞かせいただきたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 今輸出の伸び悩んでいる原因は、やはり世界経済、特に米国の事情を中心としたことから起こったことだと思います。で、ようやくドル流出が最近とまるというようなことになって参りましたし、マルクの引き上げも一応さらに引き続いてあるだろうと、いろいろ当初は予想されておりましたが、そう引き続いた引き上げもなかろうというところに落ちついてきましたので、一応この問題が落ちつきますれば、また国際の流動性というものは強化しますし、それによって世界貿易の量というものが縮小するという方向には行きませんので、これから世界貿易量の拡張という方向へ事態が動き出してくるだろうということも予想されますので、そうすれば当初政府が予想しておったような輸出の確保ということも、私は大体できるだろうと思っております。で、また、私どももこの輸出政策については、これは本腰を入れてかかれば、やる方法もいろいろ考えられますので、私どもは輸出政策については今後本腰を入れて対策を立てるつもりでございます。  輸入の方は、これは高度成長政策をとる以上は輸入の増加というのはこれは避けられません。設備投資が三千億くらいかりに多くなったとすれば、外貨はこれに一億ドルくらいを要するだろうというような見方も行なわれておりますが、不当に設備投資を多くして輸入をふやすということは問題でございますが、必要な成長を確保するための輸入というものは、少しも心配のないことでございますし、昭和三十一年のときの事情を申しますと、あのときには輸入が非常に多かったのですが、しかしそれでも輸入が多いために外貨をなくしても、原材料の蓄積というものが非常にあのとき多くて、六億ドル以上あると計算されておったくらいでございますので、もう少しがまんしていけば輸入がとまって、十月以後の輸出期にぶつかって、国際収支は、あのあとで見られたように完全に直るという見通しを私どもも持ってはおりましたが、あのときの事情の違うことは、日本が外貨をなくしておって、反対に財産は持っておるが支払いに困ったところへきたらという問題がございまして、引き締め政策というようなものをとったのでございますが、今の事情は全く違いまして、この三月末には二十億ドルの外貨を日本が持つという状態でございましたら、不当に経済を膨張させることは問題であるとしましても、今予想している高度成長政策を続けるために、かりに外貨が若干二十億ドルを切るような事態になっても、これは少しも心配することはないのでございまして、そのために外貨を蓄積しておることでございますから、ためておくのがいいんだ、これが能だという考えをとるべきじゃないと思います。ただ問題なのは、日本は明治以来もう外貨がないことでほんとうに皆頭を使ってきていますから、いわば外貨ノイローゼといいますか、ちょっともうなくなったらさあ大へんだと騒ぐ方が先で、そういうふうに今まで頭をもう訓練されておりましたために、いろいろ批判が出るのでございますが、長期的な観点からこの経済を伸ばそうと見る以上は、外貨が必要に応じて減ったりふえたりするということを心配する理由はどこにもないだろうと私は思います。で、一定期間外貨がかりになくなっても、その後に続くのは輸出増になってきますし、一年、二年の期間じゃなくて、少なくとも三年の幅で見るべきだという意見もございますが、三年、五年の幅で見るのなら少しも心配はないのであって、政府の政策がちゃんとしっかりして一貫しておるのなら、私は少しも心配は要らないだろうと思います。ですから、今年の予想は、六月、七月ごろまでかりに経常収支の赤字が続いたって何も心配する必要はない。で、後半期にいって輸出政策をわれわれが本気になってやれば、それで今予想されるとにかく最後の総合収支において黒字を出せるという自信を持っておりますが、ほんとうは高度成長政策をやりながら、年じゅう黒字基調でいくということが、少し政策的にはぜいたくだとすら私は思っているので、もっとなくしてもほんとうはいいのじゃないかとさえ思っているのですが、幸い日本は成長政策を完遂しながら、実現しながら、しかも外貨はどんどんふえていったという非常に幸運なところにこの一、二年恵まれておるということは事実でございますので、私は今の政府の政策でやっていけば、これはもう心配のある、世間が騒ぐような事態に全くならないと思っております。

大矢正日本社会党

○大矢正君 あなたはずいぶん安心したようなことばかり言われますけれどもね。さっきも私申し上げた通り、三十二年以来日本の外貨というものはじりじりと堅実に伸びてきたのですね。ところがこれは三年ぶりで下がり始めてきたのです。実際問題として経常収支の面で見れば、この二年間というものは資本収支で黒字を続けてきたのではなくて、経常収支でもって、言うならば貿易あるいは貿易外のサービスその他でもってじりじりと外貨を蓄積してきたわけなのです。ところが今日はそうじゃないわけですね。初めてそういう現象が三年来今度現われたのですね。しかも、ことしのこの最終的な見通しからいけば、一月の収支じりを見ましても二月の収支じりを見ましても、外貨は確かに表面的にはふえているけれども、ふえた外貨の九〇%以上というものは、九〇%——最終的にはもう一〇〇%になるかもしれませんが、資本収支ですね、しかもその資本収支は長期の資本収支ではなくて短期ですよ。全部ふえているのは、長期の資本収支というのはとんとんですよ。今短期の資本収支、ユーロダラーを中心とした短期の資本収支あるいはユーザンスが昨年来一カ月か二カ月延びていますね。そのユーザンスによって短期の金が蓄積として残ってきているだけであって、現実にほんとうに手がたい金が残っているわけじゃないでしょう。具体的にはあなたもきのうの当委員会で言っている通りに、このユーザンス七億二千万ドルあるいはユーロダラー二億四千余万ドルその他合計十一億八千九百万ドルのいわゆる短期の非常に不安定な金があるわけでしょう。それを引けば、現実的には七億ドルしか残らない、十八億八千五百万ドルの一月末の国際収支でいけば。ですから、あなたが幾ら基調が変わったのではない、変わったのではないと言われても、現実に今までなかったことが今度新たに起きるわけですから、私どもやはり、何といってもこれはアメリカ貿易の停滞はもちろんあります。アメリカとの貿易の停滞もありますけれども、ヨーロッパ方面における各国との貿易の停滞が一つと、もう一つは、やはりこの経済成長というものをあまりにも大きく立て過ぎたために、そういう面で輸入が当初の額よりか大幅にふえた、こういう両面からの私は逆調ではないかと、こう考えるのであります。大蔵大臣どうですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 短期の民間負債があるからこれはきわめて不安定だ、それを差し引いて考えるという考え方は間違いでございまして、短期の民間負債というものと対立して比較しようとするならば、為銀その他の持っている日本の債権を対照してみなければならぬ問題で、それが差し引き勘定からこれが不安だとかなんとかいうことは成り立たないだろうと思います。で、輸入がふえたという原因の中には在庫補充があるということは、過去の設備投資その他のふえ方が急だったというものの一つのしわ寄せとも見られると思いますが、三十六年度は御承知の通り三兆一千億円の投資という見込みでございます。もしこの見込み程度でいくのでしたら、今の輸入増というものの心配はないと思うのですが、問題はこういう政策をとる以上は、民間の設備投資の意欲というものはなかなか強いのです。で、三兆一千億にとどまらないで、もう少し大きい数字になりはせぬかということも考えられますので、これが大きくなるというと、これは国際収支に響くことは——大体どれくらい響くという予想も私どもはつけておるのでございますが、なるたけ今政府が当初に計画した程度の堅実な設備投資に抑えたいということで、企画庁においてもいろいろなそういう指導面における措置というようなものも考えておる次第でございまして、設備投資が予定よりもあまりに膨大にならぬというような事態に政府の指導がうまくいけば、その点については国際収支の心配は私はないだろうと、その点だけを若干今心配しておりますが、心配ない事態になると私どもは考えております。

大矢正日本社会党

○大矢正君 政府はアメリカ貿易の面で、アメリカの景気の回復ということを非常に期待されておるようです。特に下半期はアメリカの景気が回復をしてそのことによってわが国のアメリカに対する貿易というものがふえるから、従って国際収支の面においては不安定な要素がないということを盛んに言っておられるようですけれども、アメリカの景気の回復というものは、今ここ一、二カ月のうちにでなけりゃ、ことしの秋になってから、かりにアメリカの景気が回復してみたところで、ことしの国際収支には間に合わない、秋ごろから国際収支がふえてみたところで現実に昭和三十七年三月までの国際収支としては間に合わないわけですから、それに多く期待をかけるということは、私は非常にこれは考え方が間違っておるのではないかと思いますし、アメリカの景気の回復というものは、必ずしもそう簡単なものではないという説もございますから、そういう面で私は輸出の拡大という問題については、単にアリカの貿易の拡大ということに限定をしないで、もっと一つ積極的に輸出増進の措置を考えるべきじゃないかと思うのでありますが、時間が半分くらい過ぎてしまいましたので、この問題はいずれ総括質問のときに、総理大臣が来てから私はお尋ねをいたしたいと思いますので、国際収支の問題については、この程度にとどめたいと思います。  次に、さっきもちょっと冒頭申し上げましたが、源泉徴収は憲法違反だと、こういう訴えが今行なわれようとしておりますけれども、大体新聞等でも発表になっておりまするし、当然大蔵大臣は、この憲法違反であるということに対する根拠は、今日まで研究されておることと思いますので、大蔵大臣は、憲法違反じゃない、源泉徴収は憲法違反ではないと、こういうように言われておるのでありますから、一つその考え方を、この際聞かしていただきたい。

原純夫国税庁長官

○政府委員(原純夫君) 私今、国税庁の方で行政の方をやっております。一方的な角度かとも思いますが、解釈論でありまするから、お許しいただいて御説明を申し上げます。  源泉徴収が、どうして憲法違反かということについて、実はまだ私正確には、違反とされる理由を聞いておりませんので、新聞紙等でも、近く訴訟を出されるというお話でありますが、私、まだ聞いておりませんので、何分憲法解釈の問題でありますから、その上で慎重に考えてみたいと思っております。ただいまのところでは、それをまだ見ておりませんので、ちょっといかがなものかと思いまするが、私といたしましては、源泉徴収は憲法違反ではないと思っております。  憲法の各条章のうち、給与所得者その他だけが、なぜ源泉徴収を受けるかという意味での平等権の侵害だというお話、あるいは財産権の保障に対する侵害だというようなお話、いろいろございますが、まあ端的に申しますると、税というものは、国民の担税力その他を考えまして、公平に集めるということで、所得税法におきましても、いろんな所得について、それぞれその所得が得られる状態等に応じまして、その控除についても、所得の種類によって控除が違ったり、また税率の適用も違ったり、それから納期についても違ったりしております。これらを、形式的に平等にやるというのが憲法の要求だとは、とうてい考えない、また直接税と間接税というものの課税ないし徴収の形態を考えましても、いろいろなやり方をすると、そういうものが、すべて形式的に一本でなければならぬということは、もうとうてい考えられない、いわば税というものは、それぞれの所得なりあるいは消費なり、そういう課税対象の性格に応じて最も公平な、よろしい工合に仕組むというのが、まあこれは、各国の税制、当然の建前であり、日本も、そういう考え方で立てておるということでありまして、どうも、源泉徴収違憲であるという議論の筋は、ただいま私の申します非常に形式的な画一主義というようなことが中心になっていられるのではないかと、それはどうも、今申しましたような趣旨でおかしいのではなかろうかというふうに思います。  まあその他いろいろ主張になる筋があると思いますが、まだ私の承知しますところでは、はっきりと訴えが出ておらぬというときであり、まあ訴えが出ました場合に、訴えになっておるものを行政官として、どういうふうにこれに対して意見を申すかということは、いろいろ問題あると思いますけれども、ただいまのところとしては、そういうような気持で私は考えておる次第でございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 この所得税の源泉徴収は憲法違反であるという提起の仕方に対して、学者の意見もいろいろあるようですね。しかし、まあ学者の意見の大多数というのは、お互いにこれは言い分のある問題だと、従って国会なりもしくは裁判所なりで明らかにするのが好ましいのではないかというような説もあるようであります。従って、そういう意味において、私はこの際特に国会として、この点について明らかにしておく必要性があるのじゃないかと考えて大蔵大臣に質問しておるわけです。ですから、これは事務当局が答弁してくれるのじゃなくて、一つ大臣から同じことを言ってもけっこうだから、答弁していただきたいと思います。  そこで、具体的にお伺いをしたいのですが、今の税法の建前というものは、申告納税ということになっていますね、戦後昭和二十二年以来。国民は所得があった場合に、自分で申告して納税をするのだと、戦前のように、お前の税は幾らだといって賦課税ではないわけです。自分が申告して納税すると、こういう制度になっておるわけです。  源泉徴収というのは、申告納税なのか申告納税でないのか、まずこれを大臣に聞きたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 申告納税でありません。

大矢正日本社会党

○大矢正君 申告納税でないという場合において、税の立て方が申告納税だと、こういう前提で考えている場合には、これは根本的な趣旨に反するじゃないですか、申告納税でない場合は。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 源泉徴収と申告納税と、これは併用していくのですから、別に源泉徴収があっても、それは違憲ではないと思います。

大矢正日本社会党

○大矢正君 この高等裁判所の、源泉徴収義務を課した所得税法と憲法二十九条との関係と、こういうことで論旨が出ておりますが、この中で「昭和二十二年の改正以来申告納税主義を原則とするに至り、原理的に一大転換が行われたわけであり、源泉徴収の制度も申告所得税を予約させておくという考え方に基いて、所得の源泉に於てこれを徴収するに至ったものである」、すなわち源泉徴収というものは、やはりこれは裁判所の場合においては、あくまでも申告納税である、源泉徴収ではあるけれども、これは申告納税である、こういうことを裁判所はいっているのですよ。  そうすると、大蔵大臣は申告納税とは、全然関係がない、源泉は、そういうことではないということと、裁判所の判例とは、考え方の違いが出てくる。

原純夫国税庁長官

○政府委員(原純夫君) 私から補足して申し上げます。  形式的に申します場合と、それから税法の根本精神というものについて申します場合とで、若干ニュアンスをつけてお考えになっていただきたいと思います。形式的には、この所得税のうち源泉分幾ら、申告分幾らというようなことは、通例、もうそういう形で区分けされておりますので、それから予算の見込みにいたしましても、そういうふうに区分しておりますので、まあ大臣いわれましたところも、そういう意味でおっしゃられたことと思います。しかしながら税の基本的理念と申しますれば、国民が、財政のために必要な金を税という形でみんなが出すということであります。みんなが出すについて、これが単に政府が言うてくるから、その額を力によって取られて出すということでなくて、国民が自発的に出すという建前であるべきだろうというのが、申告納税制度の根本的な理念であります。これは形は形式的に申告所得税といい、源泉徴収という、その形式の溝をこえて、精神として非常に広いものであって、それはかりに間接税が賦課課税であるという面におきましても、やはりそういう精神面はあるのではないかというふうに思います。いわんや直接税、特に所得税、法人税という系列は、今申しました自発性の意味におきまして、申告納税制度という大きな色彩を持っておるということでありますので、源泉徴収といえども、政府が決定して参りまして、それを納めるというのでなくて、各職場職場で支払います給与、あるいは配当等の額に応じて、法律に定められた納税義務というものを計算して、それを納めるということで、納めるまでには、政府が告知するということはないわけであります。ですから、源泉で納めるわけでありますが、自発性、自主性においては、ただいま申しました形式的な意味における申告所得税——申告分の所得税と、何ら変わるところがないというふうに思います。  私、この東京高裁の判決の文書を、その部分をただいま持っておりませんけれども、おそらく裁判所も、そういう理念をとっていられたのではなかろうかというふうに思いますので、形式的に源泉分、申告分という分け方、それからそのもとの理念においては、相通ずるものがあるという点を、お考えになっていただきたいと思います。

大矢正日本社会党

○大矢正君 かりに、給与所得者が税金——所得税を払った場合、払った場合というより、源泉徴収で天引きをされた場合、具体的には、あなたからこれだけの税金を取りましたというそれだけは来ます。それだけははっきりさせますけれども、それを受け取りましたという証拠になるべきものは、一切ないわけですね、普通一般的にはないのですよ、これは。  たとえば私どもが国会で歳費をもらいます。袋の上には、税金を幾ら取りましたとは書いてあるけれども、その中に、税金を幾ら幾ら今月はいただきましたという領収書は入ってないのです、どこの場合だって、そうですね。金を取っておいて、領収書を出さないというのは、これは一体どういうことなんです。

原純夫国税庁長官

○政府委員(原純夫君) 会社その他の職場、配当でありますれば配当する会社、そういうようなところで、源泉徴収で納めますので、その納めました金に対しましては、領収書が出されます。ただしその領収書は、源泉徴収しました会社その他に対して出しますので、その会社が、何千人も人を使っておる、そういう人たちの分だという場合に、何千枚の領収書は出さない。それを周知させるために、その職場々々で、会社が受け取った領収書は掲示して、みんなにこれを周知させるというふうな制度にはなっておりまするが、一人々々にはいかない。  しかし、そういうふうな掲示をして周知させるということについて、一人一人に対して御承知願うということも、つながりをつけておるという制度になっております。

大矢正日本社会党

○大矢正君 これは、本来法律的にだけものを考えるとすれば、やはり源泉徴収というものそれ自身に無理があるのですよ。やはりそこに疑義が生まれてきたりするのですよ。だれも税金を払わないと、こう言っているのじゃなくて、そういうやり方が問題だと、こう言っているのです。特に私は、私自身もこれをしゃにむに憲法違反だと言って、財産権の侵害だと言って、源泉徴収やめてしまった方がいいという前提で、ものを言っているのじゃないのです。私自身も、そうではなくてやはりこういうものを提起する人の意向というものは、憲法違反というものをかちとるよりは、むしろ高い税金——給与所得者は百パーセント捕捉されているのです。農業所得者や一般の事業所得者は、捕捉率が低いけれども、給与所得者だけは源泉徴収で、頭から天引きで、生活がどんなに困ろうが、何と言ったって頭から天引きされますから、今月は生活が苦しいから、来月まで待ってくれと言ったって、これは待ってくれないのです、源泉徴収ですから。  ですから、そういう点で、給与所得者に対する税金というものが、非常に過酷だという点から、こういう訴えも私は提起されていると、こういう問題の方が、趣旨としては大きいのじゃないかと思うのであります。  ですから具体的に、給与所得者に対する控除というものを、もっと引き上げてやるという意欲的な考え方が、大蔵省等にあれば、大蔵大臣にあれば、それは、こういうような問題がごたごたしないで済むのじゃないかと私は思うのですけれども、大蔵大臣、どう思いますか。私は、これはもう法律論じゃないのですよ。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 申告納税でしたら、納税の時期がおくれると、源泉徴収でしたら、もう納める時期が早いという不利があるとか、いろいろそういう問題はございますので、所得控除制度を置いている。今度の税制の改正でも、いわゆる一万円の控除というものを作ったというのも、そういういろいろな均衡を考えた措置でございますが、そういう措置をとることによって、大体天引きされるというような制度が、特に私は不利になるとは思いません。

大矢正日本社会党

○大矢正君 それは天引きされるということは、不利にならないと、大臣そうおっしゃるのですか。ちょっと、捕捉率百パーセントですよ。ほかの事業所得者は、捕捉率は、これは、その人によって、百パーセントの人もあるかもしれないけれども、出すのは、おそらく五〇か六〇でしょう。片一方は、百パーセント捕捉されるのですよ。そのために、それは給与所得控除というものは、二〇%あるじゃないかと、あなたは、そうおっしゃるかもしれないけれども、その二〇%の給与所得控除というものは、単にそれだけの、捕捉だけの問題じゃなくて、非常に多くの要素が入っているのです。しかも税金というものはおもしろいもので、こういう単なる所得税の源泉徴収にしてみたところで、りっぱないい会社に入っている人間は、税金が安くて済むが、小さな中小企業で働いている人間であればあるほど、税金高く取られる。なぜかというと、社宅の提供、電気料、水道料という問題もありましょう。あるいは昼食の提供というものもありましょう。大きな会社が、こういうものを提供すれば、これは税金にならないわけです。ところが、小さい企業というものは、そういうことはできないから、ですから、それを給料にしてもらった場合は、自分で部屋代を払うから、家賃を払うから、全部を収入としてみられて、税金を取られるわけです。  だから、あらゆるところに、こういう矛盾が出てくるわけだから、あなたは簡単に、源泉徴収だからといっても、そんなにきついものじゃないと言うけれども、私は、そんなものじゃないと思うのですがね。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 問題は、給与所得は百パーセント捕捉されるが、ほかの所得は、なかなか捕捉されない。その差を考えろということだと思いますが、これは確かに現実問題としては、差を考える必要があろうと思いますが、よそは大体、この程度脱税ができるのだから、それと歩調を合わせるということになりますと、なかなかむずかしくて、大体不正というものはないように税務署が捕捉する建前になっておりますから、そうしますと、こう所得控除何パーセントにしたらいいかという問題で、これを実際問題として、何パーセントがほんとうに他の捕捉されないものとの均衡がとれているかというのは、これは税制の問題としてはむずかしい問題で、やはり把握し得る実情から、この控除率を何パーセントにしたらいいかという問題の検討は今後する必要があろうと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 関連して。前は、二五%の控除だったのを、なぜ二〇%に下げたのか。その経緯をちょっと伺いたいのですが、それで、二五%にまた復活できないのかどうか、前は、二五%だったでしょう。それを、どうして二〇%に下げたのか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 五%減らしたのは、シャウプ勧告によって二〇%になったということでございます。  で、なぜなったかというと、今言ったように、他との捕捉率の問題だから、あまりほかの方を捕捉できない、脱税部分が多いというのを認めた税制はどうかということが問題になって、シャウプ勧告によって四〇万以下二〇%、こういうことになったのが、いきさつだそうでございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 これは、憲法違反の問題は、時間もだいぶたちましたから、これはいずれ委員会等でやりたいと思います。  次に、税の問題に移らしてもらいますが、今ちょっと大蔵大臣も言っておりましたが、シャウプ勧告以来、日本の税制は、漸次つぎはぎでもって、少しづつ修正しておりますから、シャウプ勧告の税制のときとは、かなり形においては、内容において変わってきたわけですね。  従って、やはりこの時期においては、根本的にやはり税というものに対して、総体的に再検討しなければならない。まあ税制調査会が現在検討しているのも、当然そういう趣旨のもとに私はやられていると思うのでありますけれども、当面、大蔵大臣に私は聞いておきたいことは、直接税、間接税との関係の問題です。間接税というものに対して、どういうふうに考えているのか、直接税と間接税というものに対して、大蔵大臣は、どのような比率が好ましいというふうに考えておられるか、お答えを願いたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 私も、どれくらいの比率が合理的だかという問題、十分わかりませんので、税制調査会に委嘱しまして、今後この間接税の問題にも入っていただくことになっておりますので、この検討を待って、その意見に従った間接税の問題のあり方も、これから考えたいと思っているところでございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 ずるくて、なかなか答弁されないようだけれども、これでやっていると、こっちの方の時間がなくなっちゃうからやめますが、大臣どうですか、基礎控除の九万円ですね、これは月割りにすると七千五百円にしかならないのですよ、七千五百円じゃだれも今日生活はできないのです、一カ月七千五百円では。  そこで、この基礎控除というものは、やはり最低生活費というものは免税にするという一番根本的な考え方からいって、これはやはり基礎控除というものは物価の上昇とともに、当然もうすみやかに変えるべき時期にきているのではないかと私は思うのでありますけれども、三十六年度の予算は、こういうふうに政府が出してきておりますから別としても、三十七年度あたりで基礎控除というものを、もっと大幅に引き上げて、最低生活費は、基礎控除で免除をするという、そういう考え方を打ち出す考え方はありませんか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) なかなかむずかしい問題で、結局国民の最低生活費というものを、どういうふうに、どの程度にみるかという問題でございまして、これは一般の他の国民生活の実情ということからも見なければなりませんし、また税制としては、財政需要という面からの考慮もしなければならぬ、いろいろなことから検討しなければならぬ問題でありますが、もし最低生活費というものが、ほんとうにはっきりするのなら、この生活費をこしたそれ以上の所得者は、当然税を負担してもらわなければなりませんし、その限界点の問題でございますので、これは今の九万円が、これで実際問題としてどうかということは、そう簡単に一概に断定できないだろうと思います。今後のいろいろな国民生活のあり方と関連して考えるよりほかには仕方がないだろうと思います。

大矢正日本社会党

○大矢正君 利子所得については、普通の所得税と分離して、百万であろうが二百万であろうが、分離して、それで一〇%の軽減税率で課税しておりますが、これは、ことしの三月三十一日で期限が一応切れますからね、租税特別措置法で……。本法では、大蔵大臣も知っておる通り二〇%を取らなければならぬ、こうなっておるわけだが、それを一〇%にしている。しかもほかの所得税とは全然分離して、それだけ一〇%取れば、あとは一切総合課税をしない、こういう建前は、従来から非常に非難があるのですね。非難があるのですよ。ちょうどこの三月三十一日で、これは切れるのですから、当然これは、この際やめるべきじゃないか。あるいは配当所得の問題についても同様に、やはり一〇%ということになっておりますね。これはしかも総合所得として計算するときには、二割控除するわけですから、ですから、この間いろいろな本で出ております通りに、配当所得だけで生活する者は、百六十五万円までは一銭も税金がかからないと宣伝をしておるわけであります。週刊誌なんかでも大いに出ておりますね。配当所得だけで生活する人は百六十五万までは一銭も税金がかからない、これは全くけしからぬじゃないかということを盛んに言っております。もちろんこれには法人擬制説とか実在説とか、税法理論的には、そういうことがあるかもしれないけれども、しかし一般の国民の目から見れば、配当が百六十五万あっても、一銭も税金を払わないでいいのに、片や三十八万とか三十九万で五人家族で税金を払わなければならぬというのはおかしいじゃないかという、そういう素直な気持というものがあると思います。  ですから、これは三月三十一日で、一応期限が切れるのですから、当然これは一〇%を二〇%に戻すなり、あるいは分離課税をやめて、総合課税にするなり、こういう方向で、この際思い切って政府はやるべきじゃないかと思うのであります。最近新聞なんかに出ていますのを聞くと、今度三月三十一日で、政府は利子所得に対する分離課税というものが期限が切れますので、金利の引き下げにからみ合わせて、金利の引き下げをやったら利子所得の問題は、従来通り一〇%で認めてやろう、こういう取り引きでもって、三月三十一日をさらに延長されたと、こういうふうに伝えておるのであります。  これは全体として、やはり私は好ましいことではないと思うのですけれども、大蔵大臣やめる意思はございませんか、これを……。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) これは、やめるべきだという意見が税制調査会では強うございまして、しかし租税の特別措置法でございますので、むろん政策的なこれは措置でございますし、その政策的に目的としたことが、もう済んでいるかいないかと申しますというと、今の事態から見まして、まだまだ資本の蓄積の奨励ということは必要なときでございますし、ことに貯蓄者が高額所得者だけではなくて、非常に貯蓄層が、今大衆的になっておるときでございますので、そういう点も考えて、かたがた政府が金利引き下げという政策をとるために、預金金利も下げようと私どもは考えておりましたので、急激に預金者の、そういう預金意欲をなくするような影響を与えたくないという、やはり政策的な考えから、この措置を一年延長することが妥当という判断で、私どもはこの延長をすることにしたわけでありますが、これを一年据え置いてやるから金利を下げろというふうに、金融界と取り引きしたと、そういうような事実は全くございません。

大矢正日本社会党

○大矢正君 大蔵大臣、この利子所得については、銀行の利子その他利子所得については一〇%を、一割だけ税金を取ってあとは一切取らない。こういうのは貯蓄の奨励が目的でしょう、これをやったことによって、どれだけ貯蓄の奨励に効果があったのですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) まだ、その効果は出ておりません。ただ、郵貯の金利を下げるという法案を、この国会に出しましたので、全体の預金金利は、均衡をとって私どもは下げたいと思っておりましたが、郵貯だけは、国会の御承認を得なければなりませんので、この法案を先に出したために、郵貯の金利が、金を預けても下がるんだというようなことで、この一、二カ月、郵貯の伸びが非常ににぶくなってしまったという現象は出ておりますが、まだ、この措置とからんでの現象というのは見えておりません。

大矢正日本社会党

○大矢正君 これは大蔵大臣、私の質問に勘違いされて答弁されている。今の質問の時間は、除いてもらわなければ困る。私は、そういうことを聞いているのではないんだよ。利子所得の分離一割課税というのをやったために、これは貯蓄奨励の目的だけれども、どれだけ効果が上がったのかということを聞いている。それをやったことによって、どれだけ貯蓄がふえたのかということを聞いておる。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) あの措置をとらなかったら、日本の貯蓄がこれだけ減ったろうという推定をするということは、非常にむずかしいことでございますし、別に資料もございません。

大矢正日本社会党

○大矢正君 これはやはり、そういう措置をやることによって、どれだけ効果があるということか、全然わからない措置をやるというのはおかしいじゃないですか。  かりに、よしんば金を一千万円なら一千万円持っている人が、銀行に預金して、定期で入れて、年六分なら六分で、六十万円なら六十万円の金利をもらう。かりによしんばこういう人が、一〇%課税が二〇%課税になったからといって、それじゃ預金してもつまらないから、みんな物を買ってしまうのだといって、要らない物まで買って、家の中にたんすを積んだり、電気器具を積んだりしますか。やっぱりその金は、どこかで回って運用されるでしょう。だから私は、こんなものができたから、貯蓄の奨励になるとか、これがあるから貯蓄してなんとかというしかけのものではない。ありとすれば、銀行家さんが、金集めするために便利なためだという以外にない。大蔵大臣どうですか、それによって具体的に顕著な貯蓄奨励が出てきますか、これがあることによって。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) あることによって、たとえば金集めが非常によくなるということは、それ自身、それがあることによって資金蓄積が事実上可能になるということでございまして、あることがいいということ、そのねらいのために、あらせたというようなことでございますので、これはどうも……。

大矢正日本社会党

○大矢正君 どうも大蔵大臣の答弁は、さっぱり答弁になっておらぬのですが、まあこれは、それ以上やってもしょうがないんで打ち切りますが、租税特別措置の全体を通してみまして、よく聞いて下さい、大蔵大臣、たとえば内部留保の問題で、貸倒れ準備金、価格変動準備金、退職給与引当金、異常危険準備金、こういう準備金があります。あるいは産業助成のための免税の部分がありますけれども、私は、こんな内部留保の問題は、中小企業には必要があっても、大企業には大して必要ないと思いますけれども、よしんばこれを必要だとしましても、これは租税特別措置などといってやるのではなくして、根本的な法律それ自身を変えて、これは実施すべき問題ではないかと思うのです。  そういう意味においては、この租税特別措置という従来の内容は、一回、新らたに整理をする必要があるのではないかと、こう思うのですが、如何ですか。

泉美之松大蔵大臣官房財務調査官

○説明員(泉美之松君) お答えいたします。  従来租税特別措置とされておりますものの中に、ただいま大矢委員のおっしゃいましたように、準備金、留保金、引当金——この準備金、引当金関係におきましても、最近の企業会計の考え方からいたしまして、費用性乃至損金性の認められるものもございます。しかし、中にも価格変動準備金のように、損金性の乏しい性質のものもございます。それからまた、産業助成の関係の措置にいたしましても、産業助成措置と一括してありますけれども、その中に、いろいろ特別措置の性格に濃淡の差がございます。  われわれといたしましては、今後、税制調査会の方におきまして、税法整備の問題を取り上げることになっておりますので、その際におきまして、租税特別措置として措置法の形で規定していくもの、あるいは基本法の中に取り入れていくもの、あるいは整理合理化いたしまして廃止するもの、こういうふうにだんだんと区別していく。それによって税法整備を進めたい、かように考えている次第でございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 大蔵大臣、中小企業に対する税金の問題ですがね、これは特に、法人税を中心にして私お尋ねしたいと思うのですが、今度の措置で、従来の三八%の法人税率というものは、株主に対する配当の部分は二八%に、一〇%減らしましたね。私は、これは非常に大きな企業には、かなりの恩典になると思うのですが、中小企業の面では、やはり私はそんなに大きな影響は出てこないと思うのです。もっと中小企業の点については、税制上措置する必要があると思います。  たとえば中小企業の年所得二百万円以下の場合には三三%の税率ですけれども、むしろもっと軽減して、法人税の普通一般の三八%というのは、この配当に対して二八%まで下げることによって、三八%というのを、もっと四〇%なり何なりに引き上げる必要性があるのじゃないかと思うのですが、私は、やはりこれから所得倍増計画等によって、大企業と中小企業というものの格差が、資本力の面においても、内容的にも、大きく出て参る中で、税法上措置するとすれば、大企業は、ある程度押えて、中小企業に対しては、もっと引き上げるという、税の面からの考慮が必要ではないか。そのために、税収全般は動かさないという立場から、一般の法人に対する三八%の税率は、四〇%なら四〇%に引き上げて、むしろ二百万円以下にすぎない中小企業に対する法人税というのは、従来の三三%から三〇%、二八%に下げるという措置を私はやるべきじゃないかと思うのですが、どうですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) この問題は、非常にむずかしい問題で、税制調査会でも、ほんとうの結論は出ませんでした。さっき申しましたように、利子についての優遇は、資本蓄積の立場から来ますし、配当については、一面自己資本の充実というものと同時に、投資家の意欲をそがないというところ、しかも、その均衡をどうしてとるか、これを中心として、大企業と小企業のあり方というようなものを、この際、やはり根本的に検討したいということでやりましたが、なかなかむずかしい問題でございましたので、今度のような措置でとりあえずいって、さらに引き続いて、この問題の検討をしようということで、こういうふうな措置をとったといういきさつから見ましても、これはむずかしい問題でございますので、私どもは今後、この措置で終わっているわけではございませんで、今回の措置を中心にして、さらにこの問題についての検討を続けていくつもりでございます。

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) 大矢君、持ち時間が終了いたしましたから、御注意申し上げます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 大蔵大臣、私は最近新聞なんかの折り込みを見ますと、非常に派手な宣伝、特に証券会社が一番多いようですけれども、朝、新聞見て証券会社の宣伝文句が出てこないということはないぐらい出るのです。あるいはまた新聞を四分の一面、あるいは半分ぐらい使って宣伝をしたり、これはまあ証券会社だけでなくて、化粧品とか、あるいはまあ酒会社とかいろいろありますけれども、こういった広告宣伝というものに対して、特別極端なものに対してやはり課税をするという方向を考えた方がいいのじゃないかと私は思いますけれども、大蔵大臣どうですか。それから最近の状況を新聞等なんかで見ても、非常にはなはだしいものがありますからね。ああいうものを宣伝をするからには利益をもちろんとろうという前提でやるのでしょうけれども、これは非常に派手なものがありますから、私はああいうような極端な広告や宣伝に対して、やはりある程度課税をするという考え方を持つべきではないかと思うのですが、どうですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(水田三喜男君) 広告についての課税も議論にはなっておりますが、なかなかこれは新聞にしろ、ラジオ、テレビにしましても、非常に抵抗の多い問題でございますし、かたがた税制としてすぐにこれをやはり踏み切ることが妥当かどうかという問題も残っておりますので、この問題も一つこれからゆっくり考えることにしたいと思います。   —————————————

館哲二自由民主党

○委員長(館哲二君) この際、委員の変更について報告いたします。  本日、鍋島直紹君、北村暢君及び辻武寿君が辞任されまして、その補欠として徳永正利君、藤田藤太郎君及び中尾辰義君が選任されました。  再開は六時三十分とし、暫時休憩いたします。    午後五時三十一分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕

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