予算委員会 第18号
- 発言数
- 155 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/03/22
会議録
○委員長(館哲二君) これより予算委員会を開会いたします。 まず、委員の変更について報告いたします。 本日、佐野廣君、櫻井志郎君、小酒井義男君、大谷贇雄君、田上松衛君及び井川伊平君が辞任されまして、その補欠として湯澤三千男君、山本杉君、阿部竹松君、白井勇君、田畑金光君及び北畠教真君が選任されました。 —————————————
○委員長(館哲二君) 本日、委員長及び理事打合会において、分科会の取り扱いについて協議いたしましたので、その内容について御報告申し上げます。 一、分科会の数は四つとすること。 二、各分科会の所管分科担当委員数及びその各会派に対する割当は、お手元にお配りしてあります刷りものの通りであります。 三、分科担当委員の選定は、先例によって委員長において指名いたします。なお、分科担当委員の変更については、その取り扱いを委員長に一任する。 以上であります。 ただいま報告いたしました通り取り運ぶことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(館哲二君) 御異議ないと認めます。 —————————————
○委員長(館哲二君) 昭和三十六年度一般会計予算、昭和三十六年度特別会計予算、昭和三十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 質疑を続けます。武藤常介君。
○武藤常介君 時間がないようですから、なるべく簡単に質問を申し上げたいと思います。 私は財政並びにその他二、三についてお伺いいたしたいと存じます。三十六年度の予算についての批判の最大なる問題は、非常な積極主義で、将来困ることになりはせぬかという点であろうと思います。せっかく積極主義で公共投資、社会保障、減税の三大基本政策のほかにも、文教の刷新充実や科学技術の振興など、各般の経費の増加を見ているのは非常にけっこうだが、将来息切れするのではないかという心配が見られるのです。予算に関連して、一時、所得倍増すなわち物価倍増ではないかという批判が上がったが、次第に一般の理解も進んできて、所得が上がれば人件費の部分が上がるのは当然で、機械化などの余地の少ない部分ではコストが上がるのはやむを得ないという考え方がだんだん広がってきていると思うのであります。 そこで、この息切れする心配というのは、外貨の問題と三十七年度以降の財政の問題ということに帰着すると思われるのであります。 まず第一に、外貨の問題について質問いたしたいのでありますが、政府の経済見通しによると、三十六年度の国際収支は、経常取引のしりで一千万ドルの黒字、借金等の資本取引の帳じりで一億九千万ドルの黒字、合計二億ドルの黒字ということになっているようであります。ところが一月の経常取引の赤字が九千九百万ドルと発表されてから、この政府の見通しは甘過ぎるという見方が多いようだが、この点について政府の見方はすでに明らかにされているので、重ねて質問することは避けます。ただ、外貨準備についてお伺いいたします。本来国際収支はいつも均衡させておくことは必要はない、時には赤字になっても外貨準備が十分であれば心配はない。ところで、外貨準備は三月末には約二十億ドルに達するといわれておるが、きのうの新聞では、ちょっとあやしいようでありますが、とにかくそういうふうに発表されておりますが、金額だけを見ると、ずいぶんと余裕があるように見られます。しかし、この外貨が資本取引、言いかえると外国銀行からの預金や借り入れで増加しているのが最近の状態のようでありまして、二十億ドルといっても、借り入れが返済されたり、あるいは外国の銀行からの短期の預け金が逃げ出したりしたときは大丈夫かどうかという心配があるのであります。 そこで二、三お伺いしたいのですが、第一番にユーザンスやユーロ・ダラーなどの短期の債務の残高はどの程度になるかというのが第一であります。それから第二番目には、そのうちで日本の国際収支が悪くなると逃げ出す心配のあるものはどの程度あるかという問題であります。それから第三番目には、このほかに外資導入などで支払わねばならぬものは毎年どのくらいの額に上るか、それから第四番目は、こういったものを差し引いて考えた場合に、外貨準備は、必要な運転資金のほかに、今後の何カ月分くらいの余裕が残る計算になるか、以上の四点について政府の計算を示してもらいたい。その結果いかんでは国民の不安も一掃することになろうと思うのでありますが、以上お伺いいたします。
○国務大臣(水田三喜男君) お答えいたします。最初のユーザンスやユーロ・ダラーなど短期債務の残高でございますが、一月の末における短期債務のうちおもなものは、ユーロ・ダラー二億四千二百万ドル、自由円預金八千六百万ドル、それから外銀の輸入ユーザンスが七億二千万ドル、外銀からの短期資金借り入れ、いわゆる無担保借り入れが一億四千百万ドルでございます。その中で、国際収支が悪くなったら逃げ出す心配のあるものはという質問でございましたが、輸入ユーザンスによる借入金は、これはもう各国の商慣習に従ってわが国の輸入に対して受けているもので、安定性がございますので、国際収支が悪くなったからといって引き揚げられる性質のものではございませんので、これは心配ございません。 そのほかに短期資金はどうかという問題でございますが、これは経済に対する信用度とか、あるいは今度は日本だけではなくて外国の経済事情とか金利情勢というもののいかんによって増減のあるものでございまして、これを左右する要因というのは複雑でございますので、国際収支が悪くなったからこれがすぐに逃げるかどうかという問題は、なかなかこれはむずかしくて、一がいに申し上げられないと思います。特に欧州の今度の問題を見ましても、英国、ドイツの金利が下がったことによっても、ドルが防衛されて短期資金の流入というものがとまっていくというようなことがございますし、またドイツのマルクの切り上げの結果、短期資金がアメリカへどういうように返っていくかというふうなことを、もう少し様子を見なければわかりませんが、日本の今程度の国際収支でこれが逃げ出すような事態がくるとは、今のところ考えておりません。 それから外資導入などで支払わなければならぬものが毎年どのくらいあるかということでございますが、技術援助の対価の支払いは、三十五年度は約八千五百万ドル程度と見込まれております。外債や貸付金等による外資導入に対する元利の支払いは、三十五年度は一億一千五百万ドル程度と見込まれております。両方合わせますと約二億ドルでございますが、今年度の昭和三十六年度の見込みは、一応の見込みでございますが、技術援助契約によるものが昨年よりも千五百万ドル程度ふえて一億ドル、それから外債やそのほか貸付金の元利の支払いは四千五百万ドルふえる、合計で昨年の二億ドルに対して二億六千万ドルという見込みを立てております。 それから最後の御質問でございますが、今の外貨準備が、輸入に対してどのくらいの額になっているかということでございますが、大体一月末の状態で見ますというと、輸入に対して四二%というところでございますから、約五カ月分あるということで、外貨準備としては、他国のこの率に比べてみましても、全く心配のない率だと思います。
○武藤常介君 ただいま伺ったところによると、外貨準備の方は心配がないということで、非常にけっこうなことでございますが、どうもこの一月から二月あたりになるというと、御承知のようにきのうの新聞で発表されたように、だいぶ貿易関係では赤字が出たり何かするのですが、やはりだいぶ国際通貨基金との関係で、日本の経済がだんだんいいというので、昨年きめた自由化ですね、あれよりもっと世界から自由化を促進せよというようなことを要求されるようなことがあるのではないか、だんだん新聞で伺うというと、二、三日前の閣議で大体自由化の方針は決定された、こういうことでありまするが、やはり関係の業者というものはこの自由化に非常に敏感な耳を持っておりまして、非常に心配されるので、やはり自由化というものをはっきりきめて、外国に対してもきちんとした自発的の自由化を決定して発表した方がいいのではないか、かように考えるのでありまするが、これに対しましていかがでございますか。
○国務大臣(水田三喜男君) やはり自由化は、一般にこれを事前にプログラムを示して業界にも準備をさせるという必要がございますので、政府は昨年この自由化大綱をきめて発表して、大体その計画通りに今やっております。経常取引の面における為替の緩和あるいは自由化の問題は、この前も申し上げましたように、三十五年度に予定を立てて発表したものは、ほとんど全部計画通り実施してしまっておるという状態でございますし、貿易の方も今年の四月に原綿そのほかの自由化をやりますし、一応計画を示してございますので、それによった計画通りをやっていけば大体そう摩擦なくいけるのではないかと思っております。
○武藤常介君 次に予算の問題については、三十七年度の予算はどうなるかという点でございますが、歳出の方からいうと、社会保障関係でも本年の膨張した国民皆保険や年金の平年度化で、三十七年度はあまり大きな当然増加はないように見えるのであります。なお給与費の増加も、本年度で給与改定が平年度化するので、三十七年度は本年度のようなことはあるまいと思います。また、義務教育費等も、児童数の増加が大体落ちつくようになったので、全体として歳出には当然増加の要因が少ないように見えるのであります。そこで、三十七年度に当然増加に一なるような経費の大きなものはどういうものであるかということを一応お伺いしたい。
○国務大臣(水田三喜男君) 来年度経費で当然増と思われまするものは、まず三税の増に伴う地方交付税、それから義務教育費の国庫負担、社会保障費、特に結核、精神医療対策の費用、それからガソリン税の増徴に伴う道路整備費、それから防衛庁の経費、こういうようなものが来年の当然増としては一番多く見込まれる主要なものだと思います。
○武藤常介君 ただいま大蔵大臣の御説明で、私も大体同感のところがありますが、なお希望もありますが、それは後刻にいたしたいと思います。 次に、歳入面は経済成長が続けば当然増加するし、本年度の税見積もりも内輪過ぎるという学者の意見も相当あったようでありますから、あまり心配はないと思うのでありまするが、そこで、三十七年度の予算は相当弾力性があると考えるのでありまするが、この点についての政府の御見解を伺いたいのであります。
○国務大臣(水田三喜男君) 当然増と思われるものは、今言ったようなものでございますが、この増加が今までに比べて割に減少すると思われるものは、先ほどお話がございましたように、公務員の給与改定、麦対策をいたしましたいろいろな関係から、食管の赤字とかあるいは国民年金等の社会保障費、ことしの増加よりは減少すると思われる要素もございますので、全体を見ますというと、いろいろな新規施策をしたために今年度の歳出増が急に大きかったということは言えると思いますが、来年度は新規特別の大きい施策をするということにしたら別ですが、そうじゃなくて、今年度の施策の上に乗っていこうという限りは、今年度の増加の仕方より来年度の増加の仕方の方が減ると思われますので、そういう点で財政的に三十七年度以降息をついてしまうというようなさっきの御心配は、私は大体なかろうと思います。
○武藤常介君 私は大へん心配しておりましたが、ただいま大蔵大臣の声明で安堵いたしたのでありまするが、さて、この弾力性がかりにありとすれば、本年減税が不足であるとかあるいは社会保障が不十分であるとか、いろいろな批評がありましたが、大臣は、ただいまそういう方面も拡充する、こういうふうなお話でございまして、私は、それはけっこうだと思います。私の希望といたしましては、やはり社会保障も、あるいは公共事業も、減税も、どうも予算を通じていろいろな議論がありますというと、公共事業の投資が多過ぎるというような議論などもだいぶ出ましたが、私は、まだこの公共事業の投資については十分でない、ことに道路の問題などにつきましては、なるほど一級国道あるいは二級国道、こういうものにつきましてはあるようでありますが、時間がありませんから急いで申し上げますが、地方の小さな道路をやはりやるということが、産業の倍増の線に沿っていくのではないか。二十年たってからできたのでは、産業倍増の力にはならないと思うのでありまするが、これは建設大臣もいないようですから、あとでお伺いすることにいたしましょう。 ただ、ここでお願いいたしたいことは、科学技術の問題が、日本は世界のうちでもおくれておる、こういうことを言うのでありまするが、一体今日まで、文教費ことに国立大学などの経費が少なかった、こういうふうに私は考えておるのでありますが、幸い本年は幾らかふえたのでありますが、これは最も科学技術進歩には基本的な問題でありますので、来年以降は、いま少し急テンポに増額していくことが必要じゃないか、かように考える次第なんでありまするが、これは大蔵大臣にも文部大臣にも関係がありますが、簡単でいいですから、ちょっとお伺いします。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。科学技術教育が必要であることは、もう一般世論となっておるくらいだと存じます。それに対しまして極力予算の増額等も考えたつもりでございますが、なかなかまだ十分とはむろん申し上げかねる次第でありまして、遺憾に存じます。今後前向き姿勢で極力政府としても努力していくべきものと存ずるのであります。三十五年度までの科学技術教育振興という課題にこたえる意味での予算は、現年度が四十七億円、昭和三十六年度には約二十億円を増額いたしまして、科学技術振興ないしは民間学術研究団体の助成、私立大学の助成、理科教育の振興等に振り向けたいと思っている次第でございます。もちろん大学だけでとどまるものでなくて、もっと基本的には小中学校、義務教育課程からして科学技術教育になじませる教育もいたさねばなりませんから、そういう意味では、教育課程それ自体の変更、改善を通じまして、あわせて努力したいと思っている次第でございます。
○国務大臣(水田三喜男君) 来年度の予算は、科学振興については十分考えたいと思います。
○武藤常介君 いま少し徹底して伺いたいのですが、時間の関係でその次に移ります。 外貨準備の増加や国際通貨基金の方針などから、自由化が進むという見通しで、金融機関などは海外渡航の預金を始めておるという話を聞いておるのですが、昨年くらいから相当自由化して、純粋の観光の旅行者以外には自由にしておるようでありまするが、一体海外渡航で現在どの程度の金が要っておりますか、それをちょっとお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 事務当局からお答えいたさせます。
○政府委員(賀屋正雄君) お答えいたします。ただいま正確な数字を持ち合わせておりませんが、大体一億足らず——七、八千万ドルと覚えておりますが、正確な数字は後ほどお答え申し上げたいと思います。
○武藤常介君 それから次に伺いたいのは、このガリオア、エロアの返済について、日本の資金のこの出口は、一体どこの会計から出すのかという点と、また、これはガリオアの返済はドルですることになるのかどうか。それと同時に、また、一時伝えられたところの東南アジアなどへの援助に使うという案は、外貨を使わなくてよいのかどうか、これらの点についてお伺いいたしたいと思うのであります。
○国務大臣(水田三喜男君) ガリオア返済の問題は、今後米国との交渉によってきまる問題でございますので、まだいろいろの具体案がきまっているわけではございませんので、今後交渉によって処理したいと思っております。 それから、ドイツの場合を申しますと、ドイツは、この返済はドルで支払っておりますが、かりにドルで返済するということになった場合でも、国内の円資金調達の問題はまた別でございますので、これはどの会計からどういうふうに払うかという問題は、過日も申しました通り、まだ政府として方針はきまっておりませんが、国民が納得できる方法で私どもは支払いたいというふうに考えております。
○武藤常介君 次に、海外経済協力基金というものがありまするが、これは輸出入銀行からは貸し出せないというようなものに使うというのでありますが、だんだん伝えられるところによると、どうも東南アジア方面に対する適当な事業がないという話なんでありまするが、本年はまた増額されたようでありまするが、単に政策というためにこういう項目を置くのでもありますまいが、とにかく、もしあまりよい事業がないならば、巨額な資金を効果のない方面に使うようなことはあまりよくないと、こういうふうに考えるのでありますが、何か具体的な仕事がございますか、それをお伺いいたしたいのであります。
○国務大臣(迫水久常君) ただいまこういう具体的な仕事がありますというふうにお答えをする段取りになっておりませんけれども、御心配になりましたような、まあ何と申しますか、純粋に政治的なものには決して使わないように特に気をつけまして、経済効果の上がるものに使いたいと思っております。
○武藤常介君 時間の関係で次々といってしまうのですが、先ほど科学技術の問題で御質問いたしましたが、科学技術庁の話によりまするというと、二十年もたてば世界の情勢が一変する、日本の状態もまるで変わった世の中が現出するのではないか、こういうことを聞いておるのでありまするが、とにもかくにも、科学技術のことにはもっと日本は力を入れねばならぬ、かように存じておるのでありまするが、まあ現在の段階におきましては、とりあえず原子力の東海村のあの原子炉の問題、こういうことに絶えず力を入れて、これが実際利用のできる方面に向けていきたい、かように思うのでありまするが、だんだん伺うと、現在は原子炉が二基ある。近くまた四基増設する、こういう話を伺っておりまするが、どうか、この実際を一つお伺いいたしたいのですが。
○国務大臣(池田正之輔君) 四基でなくてこれからやるのは三基の大体予定になっております。
○武藤常介君 こういうふうに、この東海村の原子炉をだんだん増設するということは、非常にけっこうでございまするが、ただ問題は、その隣接地に那珂湊爆撃場というのが、いわゆる駐留軍の爆撃の練習場があるのですが、私は決してこれは反米とか何とかいうので伺うのではないのでありまするが、もはや安保も改定になっておりますので、そういう方面から言うのではありませんが、何せ原子炉がすぐそばにある所であの爆撃をやりまして、よくあやまって投下することが非常に多いのでありまするが、非常に近い関係上、地元の村民は非常な心配を持っておるのであります。そういう心配の所でやるよりは、やはり場所を変えてこれはやった方がいいのじゃないか。これは防衛庁の、あるいは調達庁などの御意見もお伺いいたしたいと思うのでありまするが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(池田正之輔君) 私から一応お答え申し上げます。 この問題は前々からの課題でございまして、特に地元の茨城県の方々は、非常に御心配になられたことは御承知の通りであります。そこで、これは何とかして日本に返してもらって、これをこっちで確保したい、そうしなければ真の意味の安心感というものは与えられないというような見地もあり、また、今後こちらの計画もございますので、これを何とか返してもらいたいというのが、われわれの希望でございます。しかし、この希望を達成するためにはどういう方法をとるかという方法論になりますと、これはなかなかむずかしいので、あまりきつい態度で出て反発されても、けんかになってもいけませんし、と言って、あまり低い姿勢であることもどうかと思いますが、来月幸い茨城県知事、地元の方々がアメリカに直接おいでになって交渉されるということも私聞いております。従って、それらの情勢に基づいて今後返してもらうように手を打ちたい、かように考えております。
○武藤常介君 ただいま科学技術庁の長官のお話を伺いましたが、これは前から美は騒いでおることなんですが、非常に地元民は、きわめて穏健な地元民でありまして、いわゆる反米的な基地返還というのではありませんが、しかし、全くこれは見ておりますというと危険でありまして、万一これが原子炉にでも投下されましたならば、あの地方の重大問題になることは明らかでございます。それで、これをお互いに、演習をする方でも安心ができるように、また原子炉の方も十分できるようにやろうというのが主でありまして、これはアメリカにも平和のうちに日本の立場を了解さして、そうしてこれを何とか変えてくれるようなふうになるんじゃないか、同時に、また、よく調達庁などの御意見を伺いますと、いつでもかえ地がないという一点ばりなのでありますが、重ねて調達庁の御意見をお伺いいたしたいのですが、いかがでございますか。
○政府委員(丸山佶君) お話の通り、この演習場に関しましては、東海村に原子力研究所を置きまして以来、返還に関しまして私どもも取り上げております。この演習場は、米軍にとりまして、この種の演習場としては最も重要なものの一つである状況にありますので、遺憾ながら今日のところ、まだ返還のめどがついていない次第でございます。なお、この原子力研究所の東海村に関しましては、そのような事情がありましたので、東海村上空を飛行機が飛ばないことにする、また、あやまって模擬弾などがその周囲に落ちるようなことを防ぐという意味合いで、一昨年米軍といろいろの角度から検討いたしました結果、標的の一部を海上に移行し、また、飛行機の進入路等の角度も、従来のものを大いに変更いたしまして、その他飛行技術上のいろいろな訓練計画を変更いたしました。こういう使用協定の変更をいたしまして、それ以来東海村の上空は、米軍の飛行機を演習のためといえども飛ばせない、このような措置をとっておる次第でございます。お話の通り、最近におきましても、県庁、地元等の方々からも、原子力工業地帯設定の御要望等に関しまして、返還のお話を承っております。しかしながら、先ほど申し上げたような事情でありまして、速急の返還見通しということは立っておりませんが、今後ともにこの問題については十分な努力を継続していきたいと考えております。
○武藤常介君 この問題は、単に地元民が戦々きょうぎょうするばかりでなく、やはり科学技術の進歩にも、あるいは原子力の発展にも相当阻害される関係になろうと思いますので、どうか政府は誠意をもってこのかえ地をお見つけになるようにお願いしたいと思います。 時間がないから、もうこれで切り上げますが、一つ私最後にお伺いしたいのですが、どうも日本への留学生が、留学しておるうちは非常に感情がよろしいのですが、国に帰るというと、往々にして反日的になり、どうも日本に対する感情があまりよくないのが多いのでありますが、これはせっかく金をかけて彼らのために相当の力を尽しても、そういう結果になるということは、まことに遺憾な次第である。ことに、将来東南アジア方面の開発ということについては、根本の問題は、この有識者が日本に好意を持つということが大切であろう、こういうことを考えるときに、私は、この留学生などが帰ったらば、やはり日本に親近感を持つということが重大な問題であろう。一体日本では留学生に対してどれくらいの金をかけておるか、日本に来る留学生ですね。それからまた、将来何とか日本とお互いに感情のつながるような研究、工夫あるいは政策はないか、こういうことを最後にお伺いいたしまして私の質問を終わることにいたします。文部大臣にお尋ねいたします。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。 現在国費で留学生を招致いたしておりますのをまず申し上げますと、三十六年度において、員数においては百人、三十五年度は七十名でございました。それを地域別にいたしますと、東南アジア、中近東六十二人、現在は二十五人でございます。学部留学生六十二人、研究留学生十九人合わせて八十一名、三十五年度は四十九名。欧米の関係は研究留学生だけでございますけれども、十九人、現在は二十一人おります。合計いたしまして全部で百人、現在は七十名、三十名増を来年度は予定しておるということに相なっております。 留学生待遇でございますが、学部留学生は五年ないし七年、研究留学生は二年、奨学金は一人月額二万円でございます。研究留学生については、来年度から二万円を二万五千円に増額する内容で予算案に計上いたしております。そのほかに、研究留学生には研究旅費を年額約二万五千円支給いたしております。また、日本にやって来ますについては、学部の留学生には旅費を全額支給いたすことに明年度からはいたしたいと思います。現在は半額の補助でございます。まあそういうことでございまして、そのほかに、御承知のインドネシアに対しましては、賠償留学生が毎年約百人ずつ今後五年間やって来ることに相なっておりまして、これは国立大学に六十人、私立大学に三十七人。との経費は、国立大学入学者は一年年額約十五万円、私立大学入学者は必要経費をそれぞれ賠償金の中から支出するようにインドネシア側と了解済みでございます。 御指摘のように、せっかく日本に留学してきても、自分の国に帰って逆に日本に好感を持たないということがいわれておること、私も知っておりますが、真相はどうもつかみかねるのでございます。ただし、昨年文部省からインドネシア方面、中近東に至りまするまで、数名の調査団を派遣いたしまして帰って来ました報告によりますれば、世上とかくのことが言われるけれども、さしてそういう言動をしておるとは見受けられないという調査報告を得ておるのであります。だからといって、むろんいいかげんになすべきことではございませんで、せっかく国費をもって外国留学生を迎えまする以上は、学修の成果を上げますと同時に、日本に対する十分の理解と好感を持ってもらわなければいけないのは御指摘の通りでございます。そこで、来年度には留学生教育協議会というのを作りまして、今お話のようなことに関連しましても、受け入れ態勢の整備、ことに言葉が通じませんために当初非常に不便を感じておるようであります。そういう点につきましても、外国語学校等に依頼をいたしまして現在も日本語教育をやってはおりますが、さらにそういう点に十分の配慮をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○武藤常介君 それじゃ、これで終わります。
○阿具根登君 議事運営について。私どもは理事会で、今の武藤さんにしても三十分やられるということでいろいろと相談をしてきたんです。ところが、まだ十分余っておるんです。やられなかったらなぜ二十分とそのとき言われないんです。ぺてんにかけておるじゃありませんか。一分でも過ぎたら、あなた、一分どころか秒まで数えて、過ぎたやつは差し引きなさるでしょう、何分何秒まで。そういう厳格なあなたが、理事会でやるときは三十分と言っておられて、ここで二十分しかやらないなら、そういう時間こっちへいただいていいですか。私の方は質問したいことがたくさんあるんです。何ですか、この審議の仕方は。あなたは過ぎると十秒でも十五秒でもここに書いてきて、新聞では笑っておりますよ、秒まで刻んだ委員長といって。そしてこれは十分も余っている。こんな余った時間があったら、審議したくてみんな困っている、こういう時間はこちらにいただきますよ、よろしいですね。約束したんですから、いただきますよ。こっちは、あなた方が三十分やられるというからこういうきめ方をしているんです。どうですか。
○委員長(館哲二君) 委員長は、質疑者が質疑の必要な時間をお使いになったので、残りました時間はこれはおそらく自由民主党の方で次の質疑者がお使いになるというようなことになろうかと思います。
○阿具根登君 それでは理事会できめるということは、そういうことでいいんですね。理事会で、きょうは三人なら三人、四人なら四人やるという場合に、だれが何十分やるということをはっきり約束しておるんです。少なくともそれだけの原稿は用意されておるはずです。されていなかったら、なぜ理事会の前に、私のところは二十分しかやりませんとか、十五分しかやりませんとかいうことを言わぬですか。これはぺてんにかけることです。やれなかったら、それは理事会に、きょうの会議が始まる前に、私のところはきょうは何十分ですと訂正されるべきです。そうじゃなかったら、私のところでは、かりに三十分あるんなら、往復で一時間なら一時間、五十分なら五十分かかるだろうということで、資料も集めに行けるわけです。だから、これを三日も四日も前にやれとは私は言わない。きょう理事会があるなら理事会の前に、私のところは何十分というのが、あなた、りっぱなやり方じゃないですか。あなたは、十五秒でも過ぎたら十五秒過ぎた、やめろやめろとおっしゃるでしょう、おかしいじゃないですか。
○大矢正君 関連。阿具根理事からそういう発言がございましたが、参議院のわれわれ予算委員会は、一カ月間予算を審議する、これは憲法上認められているんだから、一カ月間。そこで、自由民主党の方はこれだけの質問をさして下さいと言ってしゃにむに時間を取るわけです。最初計算を作るときには、理事会で取っておいて、そうしてそれを適当に今度終わりごろになったら放棄して、どんどん放棄していって、結果的には、一カ月問われわれ審議できるのに審議できないように仕向けられる、こんなばかなことありますか。最初から質問しないならしないように、私はこっちの方に時間割り当てて一カ月間審議するように予定を組むのがあたりまえじゃないのですか。参議院のわれわれ予算委員がみずから審議権を放棄するというような格好は、これはとうていわれわれ黙認できないです。事実問題として、やらないならやらないように、最初から質問時間取らなければいい。私ども社会党の中だって、まだまだ一般質問の中でも、総括質問の中でも質問したい人がたくさんいる。ほかの無所属その他の会派の方も同様と私は思うのであります。有効的にやはり予算委員会の審議を進めるというのでありますれば、当然私は、最初から自由民主党は放棄するなら放棄するという前提の上に立って時間を知らして組んでいくべきが私は妥当じゃないかと思います。それをみずから審議権を放棄するということはけしからぬ。委員長、一体運営をどうするつもりか。これからまだ分科会もありますし、一般質問もありますけれども、さらに最後の総括質問、みんなこの調子でいくんですか。そうすると、結果的には、われわれ委員会が一カ月間審議できるものが、二十五日か二十六日しか審議できない、こういう格好になってしまう。どうですか、委員長。
○委員長(館哲二君) 委員長の意見を求められたのですが、委員長は、質疑をされます方がその順位で最高限の持ち時間を持っておられるわけです。その範囲内で御質問になります以上は、それを三十分の持ち時間は三十分全部やらなければならぬと強制するわけにはいきませんので、御了承をいただきたいと思います。
○阿具根登君 それは強制するわけにはいかないでしょう。しかし、何十分に削ってくれと、こう強制されているでしょう。何十分に削ってくれと強制されているのですよ。見てごらんなさい。あなた方のところの大谷さんなどは盛んにそれを言われるのです。あなたのところへ来ているでしょう、ちゃんと書類で。私もそれを見ました。総括質問でやってくれちゃ困るから一般質問でやってくれと言ったら、それも削られた。だから、出しておられる。私はそれを見ている。そういうのを削っておられるじゃありませんか。なぜそれをやめませんか。削る方は削っておいてから、それだったら本人がそれは理事会で理事に申し立てるべきです。十分や二十分でやれるのだったら、おかしいじゃありませんか。それは約束じゃないのですか。
○武藤常介君 委員長。
○委員長(館哲二君) 武藤君、御発言ですか。
○武藤常介君 ただいま私が時間を節約したので、だいぶ問題になりましたが、私は少し早く質問したものですから、あえて委員長や理事から時間を強制されたのではありません。私の範囲内でやったのであります。
○阿具根登君 二十分しかやらないなら、なぜ理事会に言わないのですか。三十分やると言ったじゃありませんか。だから、理事会でやったのじゃありませんか。(「やってみなければわからぬ」と呼ぶ者あり)やってみなければわからぬというなら・それは私もやってみなければわかりませんよ。三十分で済むか、五十分で済むか、一時間で済むかわからぬ。それをわれわれとめてやっている。やってみなければわからないから、三十分と約束しているのじゃありませんか。三十分やるからというのでわれわれ三十分認めている。そんな三十分の半分ぐらいだったら、われわれもやってみなければわからないから、一時間も、五十分もやりますよ。時間をきめるのをやめましょうよ。
○委員長(館哲二君) 阿具根君のお話ですが、これは最高限をきめてありますので、まあそれをこしていただくということはいけないということでありますので、私は武藤君がほかから時間を短縮しろと言われたか言われないか、これは私の関知するところではございません。武藤君がまず質問を終了せられましたので、その点は御了承いただきたいと思います。
○阿具根登君 最初から断わりなさいよ、自分でやる気ないなら。これから、時間短縮されたら、みなこの動議出しますよ、私。やって下さいよ。きめた時間はやって下さい。(「それは予定内でやっている。」と呼ぶ者あり)じゃ、その時間こっちへいただけますか。(「それは各党の持ち時間の範囲内においてですよ。」と呼ぶ者あり)
○委員長(館哲二君) 速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(館哲二君) 速記始めて。 —————————————
○委員長(館哲二君) 阿部竹松君。
○阿部竹松君 私の質問は炭鉱災害に中心を置いてお尋ねするわけですが、その前に一点だけ炭鉱災害と離れて大蔵大臣にお尋ねいたします。 昭和二十年の終戦当時、北海道の拓殖銀行の樺太支店あるいは真岡支店等がありまして、そのとき預金が二億円ぐらいあったわけです。預金がですね。ところが、終戦と同時に、ばらばらになってしまって通帳もわからぬというようなことで二億円の、当時のお金で二億円のお金が北海道の拓殖銀行本店に眠っている。もちろん、これは現在政府の直接関係ある銀行ではありませんけれども、終戦当時のことですから。それは一体時効ということになるか、どういうものか、当局の見解をまず承りたい。
○国務大臣(水田三喜男君) 私その問題存じないのでございますが、調べて御返事いたします。
○委員長(館哲二君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(館哲二君) 速記始めて。
○政府委員(石原周夫君) 取り調べました上で詳細を申し上げますが、筋道を申し上げておきますると、終戦のときに外地にございました預金でございまするので、在外預金といたしまして金融機関整備法によりまして一応整理された。二十九年の在外三法の改正ということによりまして、その際に金融機関再建整備法を改正いたしました。内地に引き揚げて参られたような方につきましては、見合い資産のある限り支払いましたわけでございます。従いまして、北拓の場合には、見合い資産が相当あったと思いますが、支払いをいたしたと思います。どの程度の支払いをしたか、これは即刻調べまして御報告申し上げます。筋道はそういうことでございます。
○阿部竹松君 ただいまの答弁ですが、一切決済がついたとおっしゃるわけですか。
○政府委員(石原周夫君) 二十九年当時にございました北拓の外地預金の見合い財産につきましての処理をいたしまして、それは最終的処理になっておりまするから、その見合い財産のあります限りにおきまして払い戻しをいたしております。
○阿部竹松君 私の質問は、払い戻しをせぬ分が当時の金で二億円ございますと、こういうことなんです。払い戻しした分についてはお尋ねしておらぬ。あと残っている分をどうしましたかということなんです。
○政府委員(石原周夫君) 見合い財産のあります範囲内で支払いをいたしましたのでございまするから、あるいはお尋ねの点は引き揚げてこなかった分ということでありまするか、あるいはそういうような在外三法を改正をいたしまして、内地におきまして請求できるということのできなかった分かと思います。その点は、なお数字がどういうふうになっておりますか、二億というお話でございまするけれども、幾らになっておりますか、今取り調べておりまするが、当然、在外三法を直しましたときの経緯からいたしまして、見合い財産のあります範囲内でございますので、預金の元の額に比べましては一部払い戻しをいたしていないという分があるかと思います。
○阿部竹松君 どうも局長の御答弁は私のお尋ねしておることと筋が違うような気がいたしますが、しかし、この問題をとことんまでやりますと私に与えられた時間がないので、これを聞くのが私の主たる本日の目的でございませんので、十分大蔵当局にお調べを願って、大蔵委員会その他でお尋ねすることにして、次に豊州炭鉱……。
○東隆君 関連。
○委員長(館哲二君) よろしゅうございますか。
○東隆君 ただいまの問題は、実は私どもは非常に関心を持っておるわけでありますが、終戦の当時、樺太の島民が拓殖銀行に預金をしておった総額が約二億であります。そのうちの四分の一の五千万円ですか、この程度が島民に貸し出されておった。一億五千万円は、本店は札幌にあるわけでありますからそちらの方に返っておるはずです。ところが、終戦のときに、本店が札幌にあるにかかわらず、樺太から帰ってくる者に当時一千円でありますか、そういうような金を渡すことをしない、そのままそれを放置してある。そういうような形でもって樺太に在住しておった者が非常に問題にして、そして長い間これが解決にだいぶん苦労をしておるようです。従って、いろいろな関係で残金はなくなって参っておるようでありますけれども、樺太の旧町村が預金をした分が払い戻しをされないで依然として拓銀に残っておる。そういうような資金については、この際拓殖銀行も相当利益を上げておるのだから、従って、そういうような金は一つ放出をすべきではないか。しかも、その放出をしたものについて、樺太に関係のあったものに対するところのいろいろな仕事を一つやってもらいたいものだ、こういうような心組みでその話を私どものところにも持って参っているわけです。従って、この関係は相当大蔵省の方で十分にお調べになって、そうして善処をしなければならぬ問題であろうと、私はこういうふうに考えますので、先ほど阿部委員が御質問になりましたけれども、この点は、この会議でもって一つ詳細な御報告を願いたい、こういうふうに考えるわけであります。
○政府委員(石原周夫君) 金融機関再建整備法というもので処理をいたしまする限りにおきまして、東委員のお尋ねのような分につきましては、処理がつきまするかどうか、総額の中ではどうであろうかと存じまするが、十分取り調べましてお答え申し上げます。
○委員長(館哲二君) 政府側において十分調査の上、本委員会に御報告されんことを望みます。
○阿部竹松君 次に、次から次へと、戦後初めての大災害と言われる炭鉱災害が起こるわけですが、二日間の休みをお使いになって、通産大臣がわざわざ現地まで御視察になったわけですが、責任者としてごらんになった結果と事後の対策についてお尋ねいたしたい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) お答え申し上げます。三炭鉱相次いで大災害を起こしましたので、所管大臣として、とりあえず現地に出向きまして、遺族の方その他被害関係の方々に対してお見舞を申し上げ、かたがた現実に目に触れ耳で聞いて、いろいろな状況を取り入れまして、そうして今後の対策に資しようとしたのでございます。期間はまことに短いので、十分に私の目的は達しなかったかもしれませんが、すでに現地において、それぞれの立場から詳細な調査を実行中でございましたが、それらの人々にも会いまして、約二日間の視察を終えて帰ってきた次第であります。 炭鉱によりまして、たとえば上清炭鉱、それから大辻炭鉱、この二つは、いずれもコンプレッサー室から発火しておる、こういうようなわけでございます。しかし、発火の原因は那辺にあるかというようなことについては、まだ結論として終局的に確定しておりません。 上清については、どうもエンジンその他故障はない。おそらくロードがかかり過ぎて、そうして電線が被覆内において過熱したのが原因であろう、その他には考えられぬという現地の責任者から、私、非公式な話は聞いております。 大辻炭鉱の方は、まだ調査報告が届いておりませんが、ようやく死体を収容した程度でございます。大辻炭鉱は、すでに数回にわたって模範保安炭鉱として表彰されており、その鉱業所長の瓜生氏も斯界のベテランでございまして、世間では非常に意外の感を持っているのでありますが、発火いたしまして、やはり訓練が行き届いておったのかと思いますが、全員出坑したのであります。坑内から脱出したのであります。しかし、変を聞いてかけつけた瓜生所長以下の職員が坑内に入ろう、消火のために入ろうというのであったものですから、そのときの脱出者の中の数人がまたそれに従って坑内に入った。その消火作業に向かった人が今回思わざる遭難をいたした。こういうわけであります。上清は、脱出し得ないで全員遭難した。こういう違いがございます。それらの点につきましても、十分に状況を調べまして結論を出したいと思います。 豊州炭鉱は、これとは違って、昨年の秋の大洪水、そのために、気がつかなかった坑内のごく端じっこの、まだ稼行しておらない、そういう点に古洞がございまして、それが川底にちょうどあった、その川底の一部が陥落して大水が坑内に浸入した、そのために遭難した、こういうことでございまして、前二炭鉱とはややその原因を異にしておる。しかし、これらの死体の発掘がまだほんの五分の一か四分の一くらいのところまでしかいっておらないのでありますが、これらの問題をめぐって非常に問題がございまして——いずれにいたしましても、状況はそういう状況でありますが、保安施設あるいは保安の訓練あるいは保安制度そのものというような各般の点について問題が相当にあるように私は考えました。 そこで、対策協議会を設置されておることでございますが、十分に急いで調査をいたしまして、これらに対する対策を結論として出していきたい、こう考えております。
○阿部竹松君 これは、通産大臣と、石田さん、あんたにもお尋ねするわけですが、十日ほど前に、上清炭鉱の爆発当時に、衆議院の調査団が社会党、自民党含めて現地へ視察においでになった。そのときに、自民党の某議員が、もう豊州炭鉱は廃止ですよといって豊州炭鉱へ行って発言された。これはあなたの責任であるかどうかわかりませんけれども^省当局としては、通産省の管轄かもしれぬけれども、労働者の問題ですから、あなたの方にも関係がある。豊州炭鉱の六十七名というものは、当局としてどうなさるのですかということを通産大臣と労働大臣にお尋ねしたい。
○国務大臣(石田博英君) ただいまの、視察団の中で自由民主党所属の議員が発言されたということは、ただいま初めて私は伺うことであります。豊州炭鉱の実情について専門家の調査団が派遣されて事情を聴取しているということは聞いておりまするけれども、その結論は私はまだ伺っておりませんので、通産大臣にお尋ねいただきたいと存じます。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 先般死体収容作業の途中で、その作業に従事しておった組合の諸君から、とてもこれ以上坑内が危険であるからわれわれは安心して作業に従事することはできないというので、その作業を停止しておったのであります。そこで、これを打開するためには、権威のある調査団を編成して、そうして綿密にしかも急いで現地調査をしてもらうことが必要であろうというので、学者、技術者等を編成いたしまして調査をしてもらったのであります。先般その調査を終えまして、結論的報告を受けたわけであります。 きわめて悲観すべき報告でございましたので、その点についてはまだ世間に公表することは差し控えるべきだ。そしてこれを実はしさいに検討中でございますが、その調査団の報告の大要は、従来の速度をもってすればあと四百日かかる。たしか四千尺ぐらいの地下でございます。しかもなお、それは従来の速度をもって、毎日冷々やって四百日。ところが、川底の陥没した所は、今修理して、私が見て参りました。ところが、それ以外の地点において水泡が立っておる。それはおそらく古洞に通じておるものと皆推定しておるのでありますが、そういったようなところがまだございますので、その他の部分についても至って川底が浅い、川底が下の発掘したところと、ひどいところは一メートル二メートルぐらいの程度、まあそういうようなことで、ただいまは水量が少ないからいいようなものだけれども、雨季になると水量が増す。水圧によって再び三たび川底が陥落するおそれがある。のみならず、その下流にダムがございまして、それが灌漑用水を取り入れるためのダムでございますが、ただいまはそのダムを破壊して川の水を少なくしておる状況でございますが、やがてこれは耕作時に入りますと、どうしても下の八十町歩になんなんとする耕地に水をかけなければならない。そのために、また再びダムを再建しなければならないということでございまして、もしそういうようなことになると非常に危険があるから、その雨季の間は作業を休まなければならない。のみならず、その休んでおる間に水がいたずらをして、またせっかく掘り下げたあとを相当荒廃せしめるであろう。その荒廃したやつを、さらにそいつをまたやり直して、そうして先にまた進む。こういうことになると、これはまあいつのことかわからないというようなことでございまして、不可能ではないけれども、きわめて至難でありますという結論が出ておるのであります。 すると、同時に、一方においてその付近にやはり古洞がございまして、それが自然発火しておった。初めは大した火勢でなかったのでございますから、これはこれとして火災対策委員会というようなものを現地で作りまして、いろいろ消火方法を考えたのであります。それで、これはやっぱり剥土作業によって火をつぶしていくという作業を、これは田川市が自治省から特別交付金を受けて、そうして消防の御本尊の省であるからというので、そこへ押しつけておるような状況でありまするが、これは一応予定計画が終わった。終わったけれども、火災は依然として消滅しない。むしろ、何と申しますか、空気が、通気の工合がよくなったせいか、もう以前にも増して非常な火災が激化しておる。そして掘った跡のささえが、炭層の支柱がございますが、その炭柱に火が燃え移っておるというような状況でございまして、これを放置するときわめて寒心にたえざる事態を予想されるというようなことで、この豊州炭鉱の遺体収容の問題が、かような当初予期せざるいろいろな障害が出て参りまして、それとの見合いのもとに最後の結論を急がなければならぬというような段階に立ち至っておるのでございまして、私といたしましても、死体収容は、これはもちろん重要な問題で、同時にまた、第二、第三の災害を新たに招くということ、これは重大な考慮を払わなければならない。いずれにいたしましても、放置すれば火災はますますつのるというような情勢にございますので、この点につきましてはとくと関係者と協議いたしまして、終局の結論を出したいと考えております。
○阿部竹松君 ただいまの通産大臣のお話では、水没した坑道あるいはその付近の古洞に火が出ておるといって、火と水があるからだめですとおっしゃるけれども、ほかから掘ればいいじゃないですか。たとえば縦坑とか斜坑をおろして、必ずそこに六十七名の死体があるのですから、一年もたっておらぬ、半年もたっていないのですから、死体があることは明確なんですから、必ずその坑道をしなければ一それで六十七名の死体を収容するということじゃないでしょうか。ほかで斜坑なり縦坑をおろしても、死体収容できるわけです。これは太平洋で六十七名が沈没船に乗って沈没して、そうしてわからなくなったということなら、これはお金をかけてもだめな場合もありましょうけれども、これは完全なんですから、そういう努力をする必要はないのだから、何もわざわざこちらの方は無理ですよといって、あらゆる方向から取り出すことができるものを、ただ一方的にここはだめですと御心配になってきめつけることはないと思うのです。なぜそちらの方から、あなたの方から政策的に指示することをやらないのですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 私は、坑内を回ったわけではございませんが、とにかく炭鉱の坑内がクモの巣のよう四通八達しておる、そして豊州炭鉱の経営者があの鉱業権を獲得する以前に、明治、大正のころに掘った跡が、意外の場所から意外に豊州炭鉱の坑内に続いておる。それが一本ならず、だんだん発展してきておるのでございまして、その中元寺川という川の川底が大水で陥没した、その水がどっと坑内に一斉に入っておる、こういう状況でございまして、どこからどういうふうに通じておるか、もうほとんど全部通じておるということを考えなければならね。それで、その陥没したところは修繕はいたしました。いたしましたけれども、まだ他の部分が相当詭弱である。私の見ましたのは、水泡が、あぶくがたっている。そういうようなところで、しかもそれに続いたこのやっぱり古洞の通じておるところの面に火災が起こっておる。そうして別の部分の川底にそれが続いておる。炭柱、掘り残した炭をささえにして、地盤がそれによってささえられておるのでありますが、そのささえる炭柱が燃えておる、こういう状況でございまして、みんな続いておるのです。そういうところに非常に複雑な問題が存在しておるということを御了承願いたいと思います。
○阿部竹松君 続いておれば、通産大臣、そこを掘らせなかったんでしょう、あなたの方で、続いておれば。続いておらぬということを、福岡の通産局なり、福岡保安監督部でわかっておるから、それをやりなさいということになったのでしょう。水が出て初めてわかったんですか、そこが一つ。そこ以外の全区域から、斜坑から縦坑から掘れるんですから、百歩譲ってあなたの説をとっても、何も水が出たり火が出たりする方から死体収容しなくても、ほかから収容できるんじゃないですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 鉱業権者も、中元寺川の河底に古洞があって、それが豊州炭鉱の古い坑道に連続しておったということを知らなかったということでございます。これは現に破坑している部分は離れたところでありますから、そういうことで古洞の調査が十分でなかったということをいえば、確かにそれは言えると思います。それで、今度は新しい別に縦坑を掘ったらどうかと言われますが、いずれにいたしましても、縦坑を掘ればやはりどこかに坑道にぶつかる、それが全部通じておる、こういう関係でございまして、専門家の角度から綿密に調査した結論として、とにかくその火炎の問題を抜きにして、調査団としてはきわめて至難なことであるといっている状況でございます。
○阿部竹松君 鉱業権者が知らなかったと、あるいは知っておっても教えなかったといっても、あなたの方は監督官を大ぜい部下に持って、何メートルの範囲で、地下何メートルはちゃんと掘っているということが明細にわかっておらなければならない。鉱業権者は、保安炭柱で石炭を残すのはおしいから、ぎりぎりのところまで採掘するかもしらぬけれども、鉱業権者が知らなかったといっても、保安監督局の責任、ひいては通産大臣、あなたの責任はのがれられませんよ。この点、どうなんですか。
○阿具根登君 ちょっと関連。関連して御答弁願います。通産大臣は、通産省は知らなかったとおっしゃるけれども、自然発火になってから、爆発のおそれがあるから、途中の閉鎖を命じておるのです、通産局は。それからさらに、あの川を渡って川崎で盗掘が行なわれた。御承知と思います。二十トンの石炭を盗掘した。自分の家の庭を掘って、それから炭を出した。その場合に、通産局が立ち会って、そうしてそれを埋めさせて、しかも始末書をとっておる。そのときに、川の底を掘っておることは、十分通産局は知っておる。そういうことをどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) その具体的な事情は石炭局長から申し上げます。
○政府委員(今井博君) 阿具根先生から御質問がありました盗掘の問題は、これは事実でございます。永井渡さんが盗掘をされまして、それはその当時、その盗掘場所につきましては、永井さんの家の下を掘られまして、あの辺の古洞の一部を掘った、こういうことになっております。それは、そのときに監督官の方に始末書が出ておりまして、その始末書に基づきまして、あの辺の、その盗掘されたところを一応埋めております。それから、そのときにこういうふうに掘ったのだという地図が出ておりました。その地図をわれわれも取り寄せまして、いろいろ詳細に検討しました。そのときの地図では、永井渡さんの家屋の直下を、多少家から出ているかもしれませんが、割合小範囲でございまして、川底へは行っているという模様になっておりません。ただ、そのときに、川底にその古洞が行っていることがなぜわからなかったのかという御質問があるかと思いますが、監督官を呼んでいろいろ模様を聞いてみましたところ、これは坑道が非常に崩落いたしておりまして、永井渡さんの家の直下の小範囲しか実は詳細に知ることができなかったということになっておりました。われわれも、あの川底にああいう古洞が直下につながっておったということについては、実は全然気がつかずに発見できなかった、こういう事情でございます。
○阿具根登君 関連ですから、これでやめます。答弁は要りませんが、考えておいていただきたいと思います。局長なり通産大臣は、その盗炭された方にお会いになりましたか。その盗炭された、そのときの状況を考えてみますと、盗炭された方は、すでに中元寺川の底を掘られているということを確認されていると私は思う。しかも、それを今度は埋めたから、埋めたところは普通のところよりも弱いんです。それから吹き出してきたから、そこをもう一ぺん掘り返えした、こういう現実もあるんですよ。答弁は要りませんから、調査しておいて下さい。
○阿部竹松君 委員長、僕の答弁はどうなったのか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) その永井という人には、私会いませんが、通産局長が会ったそうでございます。
○阿部竹松君 大臣を僕はいじめるのは芸でないですから、再発言しますが、これは政府の時間で発言しますよ、僕の時間でなく、政府の時間で。 さいぜんの通商産業大臣のお話によると、古洞その他のことについては、鉱業権者も知りませんでしたとおっしゃっている。そこで私は、それは実際そうかもしらぬ、しかし、あるいはうそを言って、その辺に石炭があるものだから危険を冒して掘ったかもしらぬ。これは鉱業権者がいいか悪いかは別として、それを一切がっさい監督して行政指導するのは、あなた方の責任ではございませんか。鉱業権者が知らぬでも、あなた方が知っているはずである。従って、これは一体だれが責任を負うべき問題か。なくなった六十七名の責任である、こういうことであれば、それでもけっこう。保安監督部の責任なら責任でもけっこうです。一体、だれが責任を負わなければならぬか。六十七名が水没して、家族を大ぜい残してなくなって、ただお気の毒でした、涙流すだけでは済まされない。一体だれが責任を負うべきかということを明確にしてほしい。ここは何も検察庁や裁判所でないから、前科一犯とか刑事犯がどうとかいうことでなしに、これは将来のために明らかにしておかなければ保安行政というものはうまくいかないのではないかという心配があるものですから、そこらあたりの責任は一体この行政措置をやっておられる方々はどうお考えになっておるかということをお尋ねしているわけです。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 古洞の調査は非常にむずかしいのでございまして、これを各産炭地についてすべて明瞭にするということは、これはもう保安監督上けっこうなことでございますけれども、何しろ非常に至難な問題である。できるだけそういう資料、文献等の調査によりまして、その実態を明らかにすることには努めておりますけれども、遺憾ながら十分ではございません。なお、この収容問題あるいは遺族問題等々につきましては、最善の力を尽くして参りたいと考えております。
○阿部竹松君 坑内の状態がわからぬとおっしゃっても、これは大臣も御承知の通りですね、あの有楽町とか銀座、新橋あたりよりも、炭鉱の坑内の方が明確になっているわけですよ。そうでなければ、いつどこで古い坑道に当たるか知らぬ、あるいは古坑道で水のたまっているところに当たるかわからぬ、こういう状態ですから、東京の銀座かいわいよりまだ正確なのがあたりまえなんですよ。そういう危険なところを今なさっているわけですから、あなたのおっしゃるようだったら、これは大へんな問題です。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 採掘場所を中心といたしまして、もちろんできるだけ厳密な調査をしておるのでありますが、いかんせん採掘場所を離れたところの古洞なものでございましたから、その点は十分に調査が行き届かなかったという現状でございます。
○阿部竹松君 次に、若干、上清炭鉱の問題に触れてみたいと思うのですが、坑内の火災で上清炭鉱の火災ぐらい小さい火災はないと私は思う。ところが、災害は戦後最大といわれる七十一名、一回でむし殺しになったんですから、あそこは大体保安排気坑道というものがあったんですか、ないんですか。それとも人道というのはあったんですか、ないんですか。
○政府委員(小岩井康朔君) 上清炭鉱の排気坑道があったかないかというお話でございますが、もちろん炭坑は通気をとっておりますので、必ず一方から送りまして、排気の方に出るわけでありますが、風が通っておりますことは、これは大丈夫通っておったんであります。ただし、災害後監督官の調査いたしましたところによりますと、排気道が傾斜が非常に強い関係で、十分簡単に通行ができるという状態にはなっていなかったようであります。その点、当然現地の監督部もその責任の点について十分追及をいたしておりますので、いずれ明らかになると思いますが、災害後監督官も一応通っております。通っておりますけれども、排気坑道として十分であったかどうかという点については、必ずしも私ども満足いたしておりません。
○阿部竹松君 ただいまの局長の答弁ですがね、これは三十二年に大災害が起きたときに、これはあなたこういうことをおっしゃっている。いいですか、十二月五日の商工委員会で、現在たくさん災害が起きておるが、現行法規上これを守ってもなおかつ災害が起きたという例はほとんどない、私どもは現行法の順法を厳守できるように今後一そう厳重に監督して参りたい、従って、現行法規を厳重に監督して実施すると災害が起きないということを、昭和三十二年十二月五日の商工委員会であんたが答弁なさっている。それから何百人の犠牲者が出ましたか、枚挙にいとまがないでしょう。委員会で答弁しても一つも実施しないというのが現状でないですか。もう少しまじめに、一つなくなっている人、犠牲者のこと、あるいは家族のことを考えて御答弁しなさい。
○政府委員(小岩井康朔君) 私のお答えしておることは事実だろうと思います。私どもも各炭鉱の監督につきましては、でき得る限り厳重にやっておるんであります。上清の場合におきましても、大体二カ月に一回ぐらいずつ監督官が行っております。ただ、非常に残念に思いますことは、坑道の切り広めの点だけにつきましては、各監督官一様に必ず監督のつど申しておるのでありますが、ただ、最初の監督官が行きましたときに注意したところが、直って、また新しく狭い個所が出てきたかどうかについては、現在調査させておりますから、その点わかりませんが、同じ坑道が狭くていかぬ、切り広めをやりなさいということは、各監督官が巡視のつど申しておるところを見ますと、非常にその点強く巡視をいたしまする監督官が非常に痛感しておった点でございます。そういう点も必ずあとトレイスさしておりますから、前の監督官の報告によって、前に指示しましたところは直って、また新しくすぐ次に狭い個所が出てきた、こういうようなことであろうと思います。私どもがお約束をしました点が十二分に実施できませんで、実施いたしておったつもりでありますけれども、災害が次々とこうやって起こりまして、その点どういうふうになっておるかという点につきましては、十二分に調査いたしましてはっきりさせたいと、かように考えております。
○阿部竹松君 十二分に調査するとおっしゃっても、現場がそっくりそのままそっくり残っているのですよ、火事になったと言っても柱が一本焼けて倒れたり、あるいは原形が少しもくずれておらぬのですよ、従って、あれから二週間にもなるのですから、今わからなかったらいつわかるのですか、原因が。それにあなたが排気坑道あったやにおっしゃるけれども、あすこに数百名の従業員がおって、一人もその坑道を通ったという人がおらぬ、あなたの部下でそこを通ったという人あったら、ここへ連れてきてごらんなさい。一人もその坑道は知りませんよと言っておる、経営者は言うかもしれない、あなたの方は監督署の部下の方がおっしゃるかもしれません。しかし、従業員の話を聞くと、一人もここを通った人がないわけです。非常に不思議なんです。こういう点はどうなんですか、あなた方は経営者の話だけ聞くわけですか、そこに働いている人の話も聞くのですか。
○政府委員(小岩井康朔君) 変災後に排気坑道を通ったかどうかという点につきましては、私ちょっと名前は聞いていないのですが、監督官で通った者がいるかという連絡に対して、一人通っているという連絡を現地から受けておりますから、必ず一人は通っているものだと思いますが、その状況につきましては、非常に傾斜が強くてやっと通れる程度という内容の報告を受けております。それからだれも罹災者のうちで通った者がないじゃないかというお話でありましたが、これはたしか藤中係員でしたか、一たん出ましてそれからなお火災の近辺のところまで上がりまして、また再度下がって罹災しておる係員がおるのでありますが、あるいは名前がちょっと違っているかもしれません。その係員が大体残り全員を指揮して、左五片に待避をしたと思われるということが報告されております。それは各人の上着を脱いで煙を防いでいる状態を見ますと、まあそこに籠城して、そうして一応待避しようという係員の指示によってそこでなくなったというように報告を受けておりますので、まあ係員がわざわざ排気坑を通らずに逃げ口を選んだと、かように考えます。
○阿部竹松君 たった一人通られた方があるというわけですから、あとでその方に、この席でなくてもけっこうですから、お会いさしていただきたいと思うわけです。 その次に、炭鉱の災害に対する避難訓練とか、あるいは保安に対するところの訓練をやっておったかどうかということです。たとえば坑道 これが炭鉱の坑道だとするならば、扇風機でこちらから風が入って、この辺で火事が起きたのですから、そのとき扇風機がぴしゃっととめられれば、七十一名一人も犠牲者が出なかったとは言えないとしても、少なくとも四十名や五十名の人は残るわけです。これからあなたどういう答弁をされるかわかりませんけれども、少なくとも、炭鉱の、三井でも住友でも、保安技術者を連れてきて聞いてごらんなさい。火災が起きたと同時に、この一番下に人が入っておるのです。ここで風をどんどん送ったら、働いている現場にどんどん煙が行って蒸し殺しになってしまう。ここで扇風機で風を送らなければ、下に風が行かない。空気は少しは濁るでしょうが、しかし、煙は絶対行かないから、絶対死なないということになる。あなた、これに対して反論があったら反論していただきたいと思うのです。この火事を消すために、下に風をどんどん送って、坑外でバケツを借りてきて水をかけたりしているなんというのは、保安訓練を全然やっていない証拠ですよ。この点はあなたどうお考えになりますか。
○政府委員(小岩井康朔君) 上清炭鉱の場合には、もちろん保安管理者において、連絡を受けまして、直ちに扇風機をとめております。大がい普通の炭鉱でも、扇風機をとめましても、完全に通風が停止するということはございません。まあ炭鉱によって違いますけれども、二割あるいは三割くらいの通気というものは通るわけであります。その辺はその炭鉱の保安管理者が一番よく状態を知っておりますから、従いまして、私どもも、もちろん緊急な場合は当然でありますが、炭鉱保安の一切の責任は保安管理者にまかしてあるわけであります。従って、変災の起こりましたようなときには、保安管理者の処置の善悪は別にしまして、一応管理者の指揮にまかせる、かような方向をとっておるわけであります。 〔委員長退席、理事梶原茂嘉君着席〕
○阿部竹松君 保安局長、そういうことを僕は聞いておるのじゃないのですよ。ここで扇風機をとめた場合に、あの災害に、保安局長として、どういお事態になったかと、こういうことを聞いているわけです。
○政府委員(小岩井康朔君) 私の説明が少し足りなかったかもしれませんが、もちろん扇風機をとめるだけが指示ではございません。上清の場合にも、扇風機をとめますと同時に、各門扉を開きまして、通気を短絡させる。こういう方向を当然とったわけであります。しかしながら、後ほどまたはっきりすると思いますが、現在その後の情報で多少わかっておりますのは、保安管理者として手落ちの点としてはっきり現地から言ってきておりますのは、扇風機をとめて、門扉を開かした、あけさしたという点については、私どもも妥当な方法ではないかと、かように考えておりますが、作業場近く、おそらく切羽近くだろうと思いますが、局扇が二台ばかり動いておった。従って、その局扇がとまらずにおったために、せっかく扇風機をとめて、しかも門扉を開いた、あけさしたという効果があまり出なかったのではないか。まあ、このあけたことに対して逆の方向の結果が出たのではないかという点で、現地でもかなり管理者の手落ちとして指摘しておるようでありますから、そういう点はもう少し詳細にわかりましたら、その間の事情がはっきりするものと思います。
○阿部竹松君 保安局長の今の御答弁ですが、もう少したたなくても、原因は明々白々ですよ。炭塵爆発とかガス爆発とか、坑内が、全然坑道がつぶれてしまったとか、崩落、落盤によってわからなくなったということであれば、私はこういうことは言いませんが、その現状の姿で残っておるのです。ですからこれ以上調べようがないじゃないですか。そうでしょう。新しく今度採炭をやらなければならない、採鉱をやらなければならないので、柱が焼け焦げておるから、柱をかえなければならぬということになったら、ますますわからなくなる、こういうことですが、あなたが扇風機をとめたとおっしゃるけれども、今度は坑内に入って、バケツで水をかけて……時間は相当たっておるのです。どうにもならなくなって扇風機をとめたというのが実態でしょう。保安局長として、そのくらいわからぬものですか。もう少し正直に明確に、きぜんたる態度で、あいまいもこにせぬで言っていただきたい。たくさんの犠牲者が出て、将来の炭鉱がどうなるかという一つのポイントですから、一切がっさい、あいまいもこにしては、将来に備えて、何もできはしないじゃないですか。
○政府委員(小岩井康朔君) 私ども、ここで決してでたらめを申す気持はございません。ただ、現地の監督官が調書その他で裏づけして固めておりますが、調書そのものがかなり……本人もあわてているし、十分に、時間とか、あるいは、したこと、そういった点について非常に大きい食い違いが中にはございますので、一たん調書を受けまして、それをみな裏づけをして、そうしてほかの方との調書の照らし合わせをしまして、違っておる点は、どういう点で違ったか、それをチェックしておりますので、私どもに入りました報告も、かなり大きく順次変わっております。その点は一つ御了承を得たいと思いますが、決してここで私でたらめを申す気持は毛頭ございません。順次訂正されて参ります現地の一番新しい報告に従って御返事をいたしておるわけでございます。
○阿部竹松君 七十一名の犠牲者を出したコンプレッサーの運転士といいますか、番人といいますか、この人は有資格者でなければならぬわけでしょう。鉱山指定労働者でなければならないではないですか。
○政府委員(小岩井康朔君) もちろんそうだと思います。
○阿部竹松君 そうしますと、当時のあのコンプレッサー小屋におった鉱員は、有資格者ですか。指定労働者ですか。
○政府委員(小岩井康朔君) 現在取り調べておりまして、まだそこまではっきり……どちらであったかという点については、まだそこまで報告を受けておりません。
○阿部竹松君 取り調べて……君は鉱山指定労働者かどうかと、こう聞いただけで、一分間でわかるのじゃないですか。いかにお役所仕事といっても、そんなことぐらい、何カ月ぐらいかかるかわからない。この人は犠牲者になっておらぬのですから、通産省の担当官がおったら聞いて御答弁しなさい。
○理事(梶原茂嘉君) 速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○理事(梶原茂嘉君) 速記を始めて下さい。
○阿具根登君 それじゃ、関連して御質問申し上げますが、ただいま阿部委員の質問に対しまして、局長は調査に行っておるわけです。私はこの事件のあった直後、緊急質問をいたしましたときに、たとえば合理化を急ぐあまりに、この保安関係、こういう関係の技術者が少なくなったのではないかという質問に、通産大臣は、少なくなっておらないと言われた。だから、再度質問に立って、それではこういう中小炭鉱に技術者はなかなか来ないのだ、よそに行くのだ、だから非常に質が低下しておると僕は思うがどうかと言ったところが、私は必ずしもそれは適当でないと思いますと、こうあなたは答えておられるのですよ。そうすると、今局長が調べに行かなければできぬような、何にもわからないような、当てずっぽで言われたのですか、局長が調べにいって、あなたの答弁と食い違ったら大へんなことになりますよ。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 保安要員が、その部署々々において最適任であるかどうかというようなふうに私が了解して、必ずしもすべて十分適任者がそろっておるとは言えないというように私が答えたような、そういう気持をもって答えたような気がいたします。
○理事(梶原茂嘉君) 速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○理事(梶原茂嘉君) 速記をつけて下さい。
○政府委員(小岩井康朔君) 上清炭鉱のコンプレッサー室の番人と申しますか、それは指定鉱山労働者でございます。(「名前は何だ」と呼ぶ者あり〕名前は今は聞きませんでしたが、名前はわかっております。
○阿具根登君 それでは、通産大臣は私は必ずしも適当ではないと思うということを答えておられます。指定労働者の資格を持っている人が、どうして適当じゃないのですか。私がああいう質問をしたのは、こういう緊急事故が起こったから質問をしたのです。あなたは何も知らないで答えておられるのじゃないですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 中小炭鉱の技術者は、一般に素質が低下しているのではないかというような御質問だったと思います。ですから、中小企業炭鉱が一流の鉱山会社に比較して、少しも遜色がないというようなことは、私は考えておらないので、だから、必ずしも適当な技術者がないことがあるかもしれんというような意味でお答え申し上げたわけであります。
○阿部竹松君 次に、新大辻炭鉱の災害についてお伺いいたしますがね。さいぜん通産大臣のお話しによりまして瓜生所長、この方はきわめて保安に練達の士であったという御答弁ですね。しかし、私ども常識的に考えて、坑内で事故が起きますと、所長以下全部事故現場に行ってしまう、坑外では右往左往してだれも指揮をとる人がない。こういうようなことをやる人が、はたして通産大臣のおっしゃるように、きわめて練達の士であるかどうかということ、そういうことを通産大臣がお考えになっているのであれば、これは大へんなことだというように考えるわけですが、いかがでしょうか、ああいうことはよろしいことでしょうか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 私は瓜生所長とは一つも面識がございません。ただしばしば、前後五回にわたって保安上優良な炭鉱であるということで表彰せられ、また瓜生所長その人個人も非常な保安問題についてはベテランであって、全くこういったような災害は、どこから起こるのかわからんというようなことを現地の人がみな口をそろえて申しておりましたので、私はそういう人であったということをお伝えかたがた申し上げたようなわけであります。私は直接にお目にかかりませんけれども、確かにそれに値する人であったと思います。ただ、この災害に処しては、日ごろのベテランが、何か一つちょっと間違いがあったのではないかというようなことも、人から言われております。そういう点もこれもまたあり得ることであるというふうに考えておる次第でございます。 〔理事梶原茂嘉君退席、委員長着 席〕
○阿部竹松君 僕は現地の人がどういうことを椎名さんにおっしゃったか、そういうことを聞いているのじゃありませんよ。あなたがどういうことをお聞きになったか私はわからないのですが、大臣の御見解なり御答弁をいただいておるのです。これは速記録をあとでお読みになってごらんなさい。私はあなたの言葉じりをつかまえ、あげ足を取るという気持はごうもない。しかし、あなたたちの考えがそういうことであっては、僕たちはどうも納得いかない。ということは、優良保安鉱であった、こういうこと、それから小岩井さん、どうも現地で、僕は新聞を見て、新聞記事ですから、新聞社がうそを書いたかどうかわかりませんけれども、上清炭鉱などもこうこうで中小炭鉱としてはよろしい方だったということを、これは小岩井さんだけでなく、横田保安部長も九州で言っておる。それは三年か四年前の話ではございませんかということを僕は言いたい。現在がどうかということが問題になる。一体去年からことしにかけて急激に災害が起きる原因を、通産省当局としてはどうお考えになっておるわけですか。それから石田労働大臣にもお伺いしたいわけですが、労働省はまあある部分は労働者のサービス・センターでもあるはずなんです。こういうように次から次へと炭鉱従業員なり、一般工場従業員が負傷し、犠牲になるということについては、重大関心を持っておられるはずだろうと思うのですが、特に通産省に対して、炭鉱問題について勧告を出したやに承わっておるわけです。それで勧告を出したら、どういう文章であったか、あるいは通産省が勧告をもし石田労働大臣から受け取ったとすれば、どういう処置をお講じになったかをお尋ねをしたい。
○国務大臣(石田博英君) 鉱山保安の監督の行政所管が私のところにないということと、労働者保護の一般的責任を負っております私どもの立場とは、これはもう全く別の問題でありまして、事故が起こったことにつきましては、私どもも非常に遺憾にも思い、ひそかに責任も感じておる次第でございます。で、これにつきましては、労働大臣の勧告権を行使いたしまして、三十二年に一度、昨年に一度、通産省に爆発事鶴防止、あるいは出水の防止等に関連をいたしまして勧告をいたしておるのであります。その勧告に基づきまして通産省と協議を進めまして、保安規則の改正あるいは坑内の自動警報設備の完備、その他具体的措置を実施中であったのであります。しかし、この実施の過程において、さらにたびたび事故が頻発いたして参ってきておることは、はなはだ遺憾に存じておる次第であります。 そこで私といたしましては、上清炭鉱の事故の直後に、閣議において特に発言を求めまして、これは中小炭鉱だけではございませんが、一般に中小企業における災害率が、全体の災害率の減少にかかわらず増大をしておるという実情にかんがみまして、特にそれに対する早急な具体的措置を必要とする旨を要望いたしまして、御承知のごとくただいま産業災害対策協議会が設置せられまして、本日もこれに並行して開催されております。漸次各省間の意見の調整を見て結論が出るようになっておる次第でございます。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 相次いで災害が起こりまして、まことに責任閣僚として申しわけないと思っております。これの対策については、先ほど来申し上げたように、万全を期したいと思います。 なお、昨年の十一月のころ、労働省から勧告が参っておるのでありますが、その間の事情につきましては、私、着任前で、十分にその事情に直面いたしておりません。便宜、保安局長から申し上げます。
○政府委員(小岩井康朔君) 労働省から勧告をいただいております内容につきまして、まず、旧坑の把握に務めるようにという点がございます。たとえば旧坑の問題、先ほどからたくさん出ておりますが、旧坑の問題、九州は至るところ旧坑がございまして、特に現在稼行いたしております近辺は、これはもうよくはっきりわかっておるのでありますが、明治、大正の古い時代の採掘の様子がよくわかっておりません。従いまして、三十二年ころにやはり出水の災害が続出いたしました際に、当初、補正予算でこれにかかったわけでございまして、現在、石炭局が中心になりまして、地面の調査、さらにボーリングというふうに、全力を尽くして旧坑の把握に努めておるわけでございます。 その次に、出水のおそれのある点について十分な措置をするようにという点がございますが、これはまあ、私どもも中小の出水災害は非常にたくさんございまして、実はこれも古洞の関係でありまして、従って、少なくとも自分の作業個所近くに古洞のあります所は、直ちに指定をいたしまして、先進さく孔をやらしておるわけであります。この指定の状態も、三十三年の一月、三十九指定がありましたところ、三十四年の一月には百四十四、それから三十五年の一月には百九十四、三十六年一月には二百三十五と、指定坑口を順次ふやしまして、指定をするだけではいけませんので、特にごく簡単に機種をきめまして、その講習も終え、九州に実施をいたしております。従いまして最近どうやら出水の、ごく小さい山の古洞にぶち当たる出水は、豊州のように大きいのは別でありますが、小さいのはとまっておるわけであります。これは手をゆるめずにさらにこれを続けて参りたいと、かように考えております。 それからガス爆発の防止に関する措置といたしましても、これも炭鉱の指定を非常に強めまして、三十三年の一月二百七十八坑のやつが、現在は四百六十一坑、非常にこの点も強化をいたしております。ただ強化をするだけでなしに、こういった危険炭鉱は、予算の許す限り重点的に監督の頻度を高めて、坑内格付表を絶えず変更いたしまして、これらに重点の方法を講じております。 なお、爆発に関係しまして、救護隊の点につきましても最近勧告を受けておりますので、救護隣国つきましては、特に中小の共同救護隊、これの設置につきましては、まあ九州、北海道から、それぞれ大体の予定を立てまして、でき上がることになっております。ただ、救護関係に対しまして一番従来困っております点は、大辻の例もしかり、上清の例もしかりでありますが、いずれも中小炭鉱におきましては外部の大手炭鉱の援助を受けております、救援を受けております。こういう場合に、もし救援者が負傷いたしましたり、あるいは死亡いたしましたりしますと労災の補償が受けられないわけであります。従いまして、この点は労働省の基準局長と十二分に相談いたしまして、大体私どものところでは方法をつげるという点で今下の作業を進めさせております。ごく近いうちに、応援に参りましても、そこの山で負傷したのと死亡したのと同程度の労災が認められるようになると思っております。 それから、緊急時に対する対策、これも最近問題になっております訓練とかあるいは待避、避難、これについても十分に見るようにという勧告でありますが、これも私どもの方で坑内出水あるいは海底炭鉱、こういった点については法律できめてございまして、訓練もそれから警報の伝達等におきましても実施いたしておるのでありますが、上清とか大辻のような一般炭鉱におきましては、従来はやっておりません。そこでこの勧告を受けます前に私どもも何とかこの警報の連絡装置だけは満足なものを置きたいという考えから、担当者には検討させておりましたが、なかなか、私いつも申し上げますように、一方から総待避という連絡だけでは坑内は十分ではありません。たとえばガス突出の場合を考えますと、その場所はともかくとしてもうガスがどんどんほかの個所に流れますから、従ってそういうところにもその場所から連絡をしなければならないという、行きと帰りと両方の連絡がつきませんと完全な警報の装置になりませんので、そういった面について検討を進めておりましたが、ほぼ見通しもつきましたし、また現在、少し高いものではありますけれども、やや私どもの方の検討では理想的とは申せませんけれども、一応どこでどんな変災が起こったというような程度の連絡はできる警報装置もございますので、至急、過般呼びまして、それを直ちに中小の連合会にも責任者にも見てもらいまして、九州の管内でできるだけこれが早急に実施の実現ができますように、さらに実施の運びのおそいような場合には、場合によりましては規則改正を行ないましても、危険炭鉱につきますこういった待避の訓練、警報の装置、こういったものが完備できますように考慮したいと、かように考えておりまして、労働省からの勧告につきましては、鋭意その実現方に努力をしております。
○阿部竹松君 ただいまの御答弁ですが、救護隊をたくさん作って訓練して整備するということには賛成ですよ。ただこれは局長もそうお考えになっておるかもしれませんが、上清の場合でも、あるいは豊州の場合でも、あるいは新しい大辻炭鉱の場合でも救護隊があったら助かったかということですよ。救護隊を招集をかけるのに時間がずれて助かるべき人命を助けなかったところに問題がある。そうでしょう。豊州の場合でも、上清の場合でも、大辻の場合だってそうです。これは大丈夫ですと言って、火を消す方に夢中になって、人を助ける方をないがしろにしたところに問題がある。だからといって、僕は救命器隊、救護隊を整備しなくてよいなんていうことは言わない。ますますやってもらわなければならないが、そういうところに問題がある。それからもう一つ、私のほんとうに聞きたいところは、炭鉱で次々と事故が起きるではないか。特に昨年の北炭で四十二名、あるいは三菱新入で十八名、明治赤池、三井田川と、次から次とそういう災害が起きるのは一体何が原因だ、こういうことをそのものずばりで聞きたい。私の質問以外は答弁してもらわないでもよろしい。それからあなたの答弁中にあった労働省云々の件は、あなたちょっと誤解しておりませんか。これは労働大臣から御答弁をしてもらえばいいので、労働大臣の御答弁を求めますが、三井から三菱に行った人が住友に行った場合、あるいは中小炭鉱に行った場合、もし災害に遭遇しても、救護隊といって、これは労災なり何なりもらえるかもしれないが、業務命令で行くのですから、これは当然対象になる。これは労働省の局長さんもおっしゃっているのですから、あなたは曲解して労働省と交渉中でもらえません、こういうことをおっしゃっているが、これはちょっとあなたの解釈の違いというか、誤解というか、そのあたり僕はもう少し勉強してもらいたい。九州の監督官もそうおっしゃっている。それを違いますよ、という話をしておったのですが、これはこの席で労働大臣から明確に言っていただかなければならないし、どういうわけで災害が起きるかという原因の真髄に触れて答弁していただきたい。
○国務大臣(石田博英君) ただいま御質問の労災保険の支払いの件についてのみお答えをいたします。これはお話の通り、各鉱山から業務命令で派遣せられるのでありますから、従ってその救援隊の作業中に発生いたしました事故については、当然労災保険は支払われるのであります。これは明確にいたしておきます。私は実は今局長の答弁、うしろ側のものですから、明確に聞き取れなかったのですが、ちょっと私自身も不思議に思いましたので、担当の部長を呼んで確かめたわけであります。ただ、実際のケースとしてはほとんどないことでございますけれども、まあ何と申しますか、業務命令を待たずに飛び込むという場合に厄介な問題がございます。ただこれは御承知のごとく、坑内の救援作業というのは、相当に高度の技術を必要といたしますので、実際問題としてはございません。業務命令が出た救援隊の事故に対する労災保険の支払いは当然であります。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 数多い災害の原因は、何か阿部さんの御質問承っておりますと、共通にたった一つあるというようなふうに聞こえたのでありますが、これは原因は個々の災害についてそれは別々であって、その原因を十分に探求いたしまして、そうして将来そういう事故の起こらないように対策を講じて参るという以外には方法はないと思います。すべての災害に共通したただ一つの原因というものは、私はあり得ないと思います。
○阿具根登君 関連してお願いします。通産大臣は非常に逃げておられるようですが、今度西ドイツから帰ってきた人の談話を新聞で拝見になったと思うのです。ごらんになったでしょう。ドイツに行って三年働いてきた日本の労働者が、ドイツでこの九州の災害を見て非常に恥ずかしかった。ドイツではこんなことは考えられぬと言っているのです。たとえば柱を打つにしても、ほとんど鉄柱である。そうして事故が起こらないようにまずして、石炭を掘るのだ。だから日本でこういう事故が起こるのはどういうわけだろうかと、ドイツの労働者は不思議に思っている。日本人として恥ずかしいことだ、こういうことを言っているわけなんですね。ということは、どういうことを意味しているか。保安設備がなっておらないということですよ。そうでしょう。通産省はどのくらいの石炭を出せ、石炭は幾らに下げろ、こういうことは言っておられるけれども、その場合に鉄柱を立てなさいとか、保安第一に考えなさいとは何一つ言ってないじゃないですか。大体あなた方の石炭政策が悪いからこういうふうに出てきているのじゃないですか。経営者は利潤だけを追求して、石炭だけ出そう、人間は減らそうとしているからこういう事故が起こってきているということははっきりしているじゃありませんか。それは個々の原因はたくさんあるでしょう。個々の原因はたくさんあるけれども、その基本線は、総理大臣に言っても生産よりも保安が第一ですということを言っておるけれども、ドイツで実際に日本人で三年働いてきた人が言っている、日本の炭鉱で災害が起こることはどういうことだ、ドイツに来て恥ずかしくてたまらない、ドイツではそれをやっているのです。ところが、そういう施設は一切あなた方はやらずに、そうして日本は値段を下げろ、あるいは重油をうんと入れろ、そういう政策をとるから経営者はそれに便乗して、保安をないがしろにしているじゃありませんか。それが第一の原因だと思いませんか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 炭鉱の合理化は生産面において冗費を省き、能率を上げ、そうしてコストを下げるというのが、合理化の行き方であると思うのでありますが、ただその合理化に名をかりて、保安面の必要な経費まで削減するということは、これは当然の合理化の行き方ではないのでありまして、合理化に籍口して保安命令を怠るその口実に使うというような場合も、それは実際問題としてはなきにしもあらずと考えます。さようでございますから、真の意味の合理化は、決して保安をないがしろにするというような意味のものではないということを申し上げまして、ただ現実の問題として中小炭鉱において増産あるいは経費の節減ということに夢中になって、そうして生産面のらち外を越えて、保安の方までいくような節減をするというようなことであれば、それはもう本来の合理化ではないのでありまして、そういったようなことは十分に指導をもって正して参りたい。それからとかく経済力が薄弱でございまして、保安施設その他において、もし欠けるところがありとすれば、そういう点につきましては、今回の災害にかんがみて今後保安技術の面を強化して参りたい、かように考えるわけであります。
○阿部竹松君 通産大臣の御答弁は、池田さんからも、阿具根委員がおっしゃっている通り何度もいただいておるが、実際面として千名の従業員の炭鉱が七百名人員整理をやる、あと三百名しか残らぬ、次から次へと五年間に三分の一くらいになっている。ところが、三分の一くらいに人員が減っても、石炭を掘る人は減らないのです。従って保安確保のために坑道の修理をやったり、あるいは坑道の維持のために働く鉱員が少なくなってしまって、石炭を掘る人が減らない。ですから個人能率はどんどん上がるけれども、常に坑道については荒れほうだいになっているからこういうことが起きる。どうですか通産大臣、そこに石炭局の方々がたくさんおるわけですから、三年前の数字と今の数字を出して、まあ採炭をやったり直接切羽におるものは直接夫という、それから坑道の修理あるいは維持をやっているものは間接夫というのです。その数字を出してみなさい、一目瞭然です。とにかく石炭を掘る方に全力を注ぐ、そうして保安の場合には全然やらない。戦争が激しくなって飛行機乗りばかりどんどん作って、飛行機の整備士を全然養成しないから、飛行機はあるけれども、全然整備士がいないから飛行機は戦地に飛んで行けないのだ。それが炭鉱の現状なんだ。数字をもってここで明示してみなさい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 御指摘のように、中小の炭鉱におきましては合理化をして値下げをする、コスト・ダウンをはかる、その方法をとかく誤って、そうして保安面にまで食い込んでくる、また保安面を強化しなければならぬのを強化しないというようなあやまちは、私は決して少なくないと考えるのであります。その点につきましては、今回の災害にかんがみまして、十分にあらゆる面において助成もし、指導監督もいたしたいと、かように考えるわけであります。
○阿部竹松君 そういうお話でなく、もう少し実のあるお話をしていただきたいのですが、しからば話をかえて、九州の今回の災害以外に、ここ近年に、北海道で茂尻炭鉱なんというところが一瞬にして六十名犠牲者が出た、太平洋炭礦で三十九名出た、北海道炭礦汽船で去年の今ごろ、二月ですか二月、四十二名も出た、こういうふうなものについて鉱山保安法によれば、保安法の中身を読んでみますと、その鉱物資源に、災害を与えたり危害があったりする鉱業権者に対しては石炭を掘ってはいかぬ、そこをやめなさいと停止することができるわけですよ。ですから、これから次から次へと災害が出て、だれか一つ処罰を受けた人がありますか。いつもとにかく災害ばかり起こす鉱業権者、租鉱権者であるから君はやめたらどうですかというような、通産省の大臣命令でストップしたことはありますか。そのときは困ったね、いや今度は厳重にやりますよというお話は何年間承ったけれども、そういう例を僕は知らないのです。そういう例はございますか。皆そのままのんべんだらりんとして、国会のこういう本会議なり委員会で答弁して能事終われりということになるわけですか。特に通産大臣は、中小炭鉱は中小炭鉱はとおっしゃるけれども、私ども大手を含めての保安問題に対する発言ですから、中小とは限定しておりませんよ。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 保安法第二十四条ですか、それを適用した経験はないようでございます。これは非常に適用しにくい規定であろうかと思いますが、ということは、ただ鉱業権者の怠慢から鉱業権の執行を停止された、これは当然身から出たさびですからやむを得ない。しかしながら、それに働いておる労務者の一体生活をどうするかというふうな問題が、すぐその次に出てくるのでございますから、これらの点に対する十分の準備態勢が整っておらない限りにおいては、これはなかなかむずかしい。またそう簡単にやるべきものじゃないと私は思います。しかし、最近の状況から見まして、何と申しますか、上がり山といいますか、もう残炭が幾らもない、これから経費をかけるのは損だ、掘るだけ掘った方が得だ、こういったような考え方から、とかくいろいろな施設を怠りがちの山が必ずしも少なくない状況でございまするので、そういったような点を十分に考慮いたしまして、買い上げの問題でありますとか、あるいは労働省で主管されておる雇用問題であるとか、そういったような面における準備態勢を十分に整える、そうしてしかる後に活動を必要とするのでなければ、これは言うべくして行ないがたい問題である、かように考えまして、これらの点についても、とくと相談をしてみたいと考えております。
○阿部竹松君 法の適用がなかなかしにくいとおっしゃるけれども、法文には明確なんですね。人情でもからんで適用しなければ別問題ですよ。しかし、これにははっきり通産大臣、書いてあるのじゃないですか。条文の解釈を一つ大臣で工合悪ければ、保安局長からでも承りましょう。どうしてそれができないものか、これだけ災害が起きて、鉱業権者に、あなたはこういう災害を起こして今後やってはいけませんよということを、この法文を見ると、僕は法律家じゃないけれども、できるような気がする。どうしてできないものか、その点を明確に、法の解釈を一つ承りましょう。
○政府委員(小岩井康朔君) 保安法の二十四条は、保安上問題がある場合にはもちろん大臣が停止することができることになっております。ただ、今大臣が御答弁されましたように、非常にむずかしい問題が付随することは確かであります。従来どうしておるかと申しますと、部分的にとめることは、これはもう何回もやっておるのであります。実は三十二年ごろに中小の災害がたくさんありましたときに、調査団を派遣しまして、その調査団がつぶさに見まして、部分的に操業の停止をやりましたのが非常にたくさんございます。これは従来もやっておるのですが、操業全体をストップしてしまうということになりますと、今のお話のように非常に大きな問題が付随いたしますので、この法律を作りますときも、できるだけそういった山については、極力強力な指導によって挽回をはかっていく、どうしてもどうにもならぬというものにつきましてやるという考え方でもちろん作っておるわけであります。しかし、最近のように大災害が続出いたしておりますので、今後は私どももどうしても指導していかれない範囲の山につきましては、操業の停止なり、あるいは鉱業権の取り消しなり、そこまで、最後の段階までいかざるを得ないのではないか、かように考えております。
○阿部竹松君 福岡保安監督所の監督員の方々が、やめてもらいたい炭鉱はたくさんありますよと、こういうことをおっしゃっておる。いいですか、局長、なかなか私どもの言うことを聞いてくれませんと。しかし、私どもは警察権までございませんからねと、こうおっしゃっておるのですが、あなたはそういうことをお聞きになりませんか。
○政府委員(小岩井康朔君) 特に九州におきましては中小炭鉱で非常に保安上悪いというのを聞いておりますが、非常にたくさんこれをやめなければならぬというお話は、部長からは最近受けておりません。しかし受けておりませんけれども、私どももときどき現地にも参りますし、十分九州の中小においては、厳正な法の適用をやれば、かなりとまってしまう山が何山かあるのではないか。これはもうすでに大体の状況をとっておりますが、北海道にも九州にもかなりな山があるということは、一応部長から話は受けております。しかし、そういった炭鉱の処置につきましては、まだ現在のところどうせよというところまでは考えておりませんが、もちろん保安法を厳正に適用すると、操業がストップしてしまうのではないかというふうに予想される山は当然あるように聞いておりますので、それらはごく最近にも再度調査団を編成しまして、機械、電気、採炭、あらゆる面の、労務面のすべての面を総合した、いわゆる総合調査というものをぜひ実施したいという予定にいたしておりますので、その調査の折に、十二分に指摘されて改善ができないという見通しのものについては、断固所期の方針に向かって実現をはかりたいと、こう考えております。
○阿部竹松君 断固処理の方針ということを今ごろおっしゃるのはおかしいと思うんです。山がストップになっても仕方がないんじゃないですか、人命が次々と損傷を来たすことですから。それをやるのが、責めるわけじゃございません。あなた方の責務であり、やっぱり務めなんですよ。何のために、次から次に山がつぶれるからといって、そんなことを遠慮する必要はごうもないのです。それは鉱業権者もいるでしょう。あるいは保安監督官が現地に行って、ここガスが五%ありますよなんと言ったら、全然びっくりして入らないから、あなたの方では組合の職員に全然教えない。これは危険ですから入ってはいけませんよなんて言わない。今度からはこういうようなのは言うようにしてもらわなきゃならぬのですが、しかし、何のためにそういう山をとめないで、情状酌量しておくかわからぬのですよ。これはどうですか。
○政府委員(小岩井康朔君) 特に従来からも決して情状酌量しておったわけではありませんで、操業停止はやりませんけれども、十二分な最大限の指導はやってきたつもりでございます。しかし、最近の大災害の続発で、そういった態度もぬるいというような批判を受けますので、今後は、先ほど申し上げましたように操業の停止はもちろんのこと、鉱業権の取り消しもぜひ、そういった山があるならば、最後の私どもの決意の実現はしたい、かように考えております。
○阿具根登君 関連でお尋ねしますが、そういうような抽象的なことだから困る。「あるならば」、一体どこまでをあると見なさるのか、どこまでをないと見なさるのか、そういう点が一つも明らかになっていないから、漫然と、注意をしました、ああです、こうですというような結果になるわけです。だから、これほどの合理化をしいられるならば、合理化をこれほどしいていくならば、保安設備についてはどういうものをどうすべきだということをはっきり示すべきですよ。たとえば中国等で聞きますと、ガスを知らせるベルが鳴り、あるいは電気がつくとか、あるいは落盤を知らせる電気がつくとか、そういうような新しい機械ができておる。そうして働いておる者全部に知らせる、こういうことも聞いておりますが、そういうものがあるならばさっそく取り寄せてみるとか、あるいは勉強をさせてもらうとか、そういうものをつけなければならないとか、いろいろな方法を講じなければならないはずなんだ。ところが中小炭鉱になればなるほど、御承知のように保安設備がむずかしくなってくる。古い炭鉱になればなるほど穴が長くなるわけです。道が遠くなるのです。経費はかかるのです。それに持ってきて合理化を容赦なくやらなければならぬ。千二百円下げねばならぬ。そういうようになってくると、保安設備がおろそかにならずに、どこに一体手を抜けますか、どうして一体やれますか。そういう設備に対する関心も持たずに、ただ合理化千二百円下げ下げという皆さんの政策がこうなしてきておるではございませんか。たとえば、今度の大辻炭鉱を見てごらんなさい。三十二年には千百三十人おって一五・五トン出しておる。三十三年千百二十人、一四・七トン出しておったわけですね。今日は九百八十四人で一八・八トン出しておる。だんだん切羽は遠くなってくるのに人間は減って、そうして出炭は多くなってくる。そうしてこの中小炭鉱の業界は、私のところにも、皆さんのところにも来ておると思いますが、何と言ってきているかと申しますと、資金が足らないから資金を貸してくれ。資金が足らないから石炭が掘れませんと言うならわかるけれども、資金がないから保安の設備ができないということを裏書きしておるわけです。石炭はどんどん出る。人間がこれだけ減って石炭がどんどん出るとするならば、資金が足らないというのは、保安の設備が機械化できておらない、こういうことになると思う。だからそういう点をはっきりつかんでそういう言葉をお言いになりませんと、抽象的にただ、注意をしました。またこれが繰り返す。あなたがたもそれを一番心配されておる。新聞でも言われた。こういうのは保安だけではできません。また繰り返す。だからあなた方の心配されておるそのままを私も心配しておる。もっとどうすべきであるということをはっきりさせねばならぬと、こう思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) お説の通りでございます。それで特に山にどういう施設が必要であって、それに対してはどういう助成処置をとるかという問題は、これは具体的な行政におまかせ願いまして、保安施設の不十分な点は十分認められますので、この点につきましては、先ほど来申し上げますように保安融資を強化して参りたい、かように考えます。
○阿部竹松君 強化指導という言葉だけでは実際だめなんですね。ですから、さいぜん阿具根委員からドイツのお話がございましたが、やはりドイツでも、日本のように、油に石炭業界が押されぎみだということは世界的風潮ですから、当然のことなんです。ところがドイツの経済相のエアハルトという方ですか、この人はやはり国内産業、国の基幹産業である石炭産業に保護助成を与えなければならぬということで、関税措置で、重油が入るなら入るなり、あとの関税でもって石炭産業を保護している。従ってそういう今日のドイツの状態なんだが、日本は野放しなんですね。重油でもとにかく石炭と勝手に競争させる。これは日本は資本主義国家だからやむを得ないと言えばそれまでですが、しかし、いかに資本主義国家でも、そこに政治のうま味があっていいのではないかと私は考えるわけです。ですから、ドイツのようにやりなさいと言っても、できるかどうかわからぬわけですが、国柄が違うから……。しかし、このまま放任しておけば、いかに通産大臣がここで百万べんお約束しても、これはまた次の国会で、この前は何と言ったかといっていやな論争しなければならぬ。さしあたり、どういうことをするかということについて、このまま放任しておくわけにいかぬのですから、どうするかということについて一つ具体的に通産大臣からお伺いしたい。 それから、労働大臣は、これは労働者保護の立場でどうするかということをお聞きしたい。それから、これは何といってもわが国の米びつですから、大蔵大臣に財政措置について検討する余地あるかどうかということをお尋ねしたいし、それから経済企画庁長官迫水さんは、当初の演説で、物価は上がりませんよと言っている。今問題になっている石炭だけでも、六十三円も六十四円も運賃が上がる。運賃というものは石炭コストに食い入るものかどうか。運賃の問題については、きょう衆議院で盛んにやっているようですから、僕は石炭に限定しておきます。あなたは本会議場その他で、物価は一つも上がりませんよと、そういうこともおっしゃっている。しかし、石炭だけは別なんだ。僕の聞くところでは、一トンに対し六十三円から六十四円のコストが上がるということを聞いている。あれは全然ワク外として経企長官が答弁されたというのだったらいいけれども、やはりエネルギー対策の一環として御考慮あってしかるべきものだと思うのですが、そのあたり、だんだん時間もなくなったので、一つ具体的にずばりずばりと四大臣へお尋ねをしたいわけです。
○国務大臣(水田三喜男君) 産業の一般の災害防止についての金融は、前々から中小企業庁を通じて円滑に実施するようにという指導をしておりますが、炭鉱の問題については、そういう点が十分に今までいっておりませんでした。それで金融面に対する問題は、通産、労働、大蔵三省の事務当局でこの問題について特にきょう相談しておりますので、いずれこの問題についての解決策は早晩できると思います。
○国務大臣(石田博英君) 今大蔵大臣の御答弁にもありましたように、また、私が今までお答えを申し上げましたように、具体策は、ただいま産業災害防止対策連絡会議で考究中でございます。ただ、労働者保護の責任を負っておりまする立場から申しますると、今一般的に、鉱山保安法にいたしましても、労働基準法にいたしましても、要求いたしております範囲が非常に広うございます。この広い中で、直接人命に関係する部門とそうでない部門にまず分けて、直接人命に関係する部門については、これはきわめて重点的に、かつ積極的な監督行政をやる必要があると考えております。そういう点の重点の指向というものに、私は今までの行政上の反省をしてみなければならぬと思っていることが第一点であります。 第二点は、これは炭鉱の場合は、特に中小炭鉱の場合は若干事情が違うようにも思いますけれども、中小企業、特に製造業等におきましては、私どもで監督行政を実施して参ります場合に、結局金がない、これはやらなければならぬといっても、金がないというところにぶつかるわけであります。従って、監督行政は、やはりその世話をするという裏付けを持たないと、なかなか実行の強制がむずかしいのであります。しかし、保安設備、安全設備自体から直ちに利潤を生むものでもない。また生産がそれ自体から直接的に生まれてこないわけでありますから、その金融措置その他については、やはり特別措置が必要であろうと存じます。こういう二点を私は当面の具体的な処理方策としまして、労働者保護の任に当たって参りたいと考えている次第であります。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 大蔵、労働両大臣から申し上げましたことを繰り返すようなことになりますので、まことに恐縮でございますが、実は産業災害防止対策連絡会議における通産省の立場は、なるべく早く具体的に一つ結論を出してほしいという、催促する方の側に実は立っているのであります。十分に御指摘の御趣旨はわかりましたので、今後大いに努力いたします。
○国務大臣(迫水久常君) 運賃の値上げが、石炭合理化計画の中で、流通部門において約百五十円を節約するという、お金をかからなくするということについて、相当重大な影響のありますことはお話の通りでございまして、この点につきましては、今後通産大臣とよく相談をいたしまして、また大蔵大臣にも、運輸大臣にも御相談をして、これは主として通産大臣が表面に立たれるのですけれども、私は十分それに協力して、影響が少なくなるように、なくなるように努力したいと思っております。
○羽生三七君 関連。先ほど来阿部委員、それから阿具根委員からじゅんじゅんと石炭対策、炭鉱問題のお話がありましたが、私は全くのこの問題はずぶのしろうとでありますので、あるいは的をはずれているかもしれませんが、この石炭産業は、このエネルギーの転換と関連をして、日本の多くの産業の中でただ一つ今斜陽産業なんです。この対策については、政府では炭鉱離職者対策費等を計上しております。それは職業訓練費等若干なものにすぎない、根本的、抜本的対策ではありません。あるいは保安施設の問題については単に金融ということだけをいわれている。しかも労働力は、将来高度成長に比例して多くの部門において労働力がむしろ不足をするといわれている。石炭産業だけが大量の離職者を今出そうとしているんです。石炭産業だけが非常な大きな困難と犠牲に遭遇している。だから他の産業との均衡ということもあるでしょうが、石炭産業に限定をして、政府が徹底的な私は施策を行なうべきだと思う。たとえば離職者対策も、職業訓練費というようなことだけではだめであります。たとえば、退職の際の資金の問題にしても、退職金の問題にしても、あるいは新らしく事業を起こす場合の資金の融通にしても、徹底的な、抜本的な対策を講ずる。他の産業にも将来そういうことが起こらぬという保証はありませんが、当面今問題になっているのは石炭産業だけであります。この種のたくさんの人命の損傷、これを見るときに、外国では一人の人が死ぬときでも大へんです。アメリカあたりはある州、国をあげて救援対策を講じている。何百人が死んでも、保安施設がどうだった、こうだったという形で片づけられるということは遺憾だと思う。あるいはこれは総理大臣に言うべきことではありますが、石炭産業に限定して、単なる職業訓練費とか資金の融通なんというこまかい政策だけでなしに、それも重要でしょう。それももとより重要なんですが、別ワクで抜本的な対策を講ずべきだと思う。そのための費用を私は計上すべきだと思う。大蔵大臣の見解を伺います。
○国務大臣(水田三喜男君) 石炭産業に限定したいろいろな特別措置は、現在通産省においてとられておりまして、それから離職者対策についても同様でございますし、またさっきお触れになりました離職者が自営をするという資金というようなものにつきましては、昨年の十一月に大蔵省としては商工中金、それから中小企業公庫、国民金融公庫の、条件について特別な考慮を加えた金融をするようにという通達を三つの機関に出してある、というような措置も現在とっておる次第でございます。
○羽生三七君 委員長、もう一回だけ。 私の言うのは、そういう平板なありきたりなことを言っておるのじゃないのです。もっと根本的に、このために相当な金額を計上して、少なくとも大量離職者が、この何らかの形ですみやかに転業ができ、また保安施設においても抜本的な施策が行なわれるような何らか、少し金融してやろうというような、そんなことでなしに、もっと本格的な問題として取り組む必要があるということを申し上げておる。そんなありきたりのことを言っておるのじゃありません。
○国務大臣(水田三喜男君) 石炭産業に特定したそういう措置は、御承知の通り通産省においてとられておりますし、相当予算措置も強化しておりますが、今後、さらにこれを強化しろというお話でございましたら、私どもも賛成でございますが、措置がとられていないわけじゃなくて、もうこの産業に限定した特別の対策の措置は、今とられております。
○小柳勇君 通産大臣の答弁を聞きましても、保安の確立という問題で緊迫したものを感じませんが・地元の私どもとしては、最近三つの大きな事故があって、保安の確立に非常に緊迫したものを感じておりまするが、保安設備のために、特別の金融をしよう。金を借りる方は、高い利子を出さなければなりませんので、政府の方でワクをきめましても、なかなか借りる人はおらぬかもしれぬと私は思う。 保安局長に質問いたしますが、今、上清炭鉱は、もう操業を開始したのかどうか、開始したとすれば、それに対して、どのような保安設備の改善をされたか、質問いたしたいと存じます。
○政府委員(小岩井康朔君) 上清炭鉱の操業につきましては、現地で、操業を始めるんではないかというような風評も聞いております。しかし私どもの方といたしましては、現地の監督部長に、絶対に操業を始めさしてはいかぬ、この事故の結末がついて、一斉検査をやって、安全な状態になってから操業をさすべきだという指示を与えております。
○阿部竹松君 関連質問でなされた羽生委員の質問で、大蔵大臣、途中で——何だか僕が聞いておって、ぼけたような気がするわけですが、今までもなされておりますよと、そこはわかる。今まで、僕らつまらぬといっても、あなたたち、今までやっておるというお気持だから。しかし、今度新しくこれを契機にして、そうして明確にラインを引いて、抜本的にやるものかどうかということを明確にしていただきたい。
○国務大臣(水田三喜男君) 昨年から、そういう対策はとられておりますが、さらにこのやり方について、強化の必要ありというようなことで、通産省から立案されてきますのでしたら、私の方は、来年度の予算編成においても、十分これは考える用意を持っております。 ただ、先ほど来の話でございますが、この対策の中で、中小炭鉱で成り立たぬものは、もう買収するというような実は対策も含まれておりますが、これが徹底されるんでしたら、またその通りにいくんでしょうが、そうじゃなくて、石炭産業というのは、なかなかむずかしい産業で、少しよくなってきますというと、一ぺん立った案もくずれる、悪くなるとまた急に、いろいろな対策の強化というようなことをやるのが、今までの例でございますが、その間において、これは買収されるというような一応懸念が出てきたというようなものについては、なかなかこの保安設備を完全にしろと言っても、なかなか業界がやらないという問題もあって、金融だけでは、なかなかこれは解決しない問題も、この間に伏在しておると思いますので、そういう点も考えた、もう少し大きい対策の必要もあろうかと考えております。
○阿部竹松君 大蔵大臣の答弁は、買収しそうな炭鉱云々と言っているが、買収と保安維持とは、全然別個ですよ。それは理屈として、あす、あさってこの山を売山するのだといって、合理化事業団に申し込んでおる山に金を貸すといっても、それは無理でしょう。ただ、あなたのお話を承っておると、質草持ってこなければ金出さぬよ、というような調子に聞こえるのですよ。 そういうのではなくて、ここは、こうこうこうしなければ確保しないという大前提に立てばいいでしょう。あるいは一方買収、売山、そういう山に対しては、それぞれの措置を講ずればいいでしょう。買収と両天びんかけてやるから、各炭鉱経営者もそうなんです。これは掘れるだけ掘って、買ってくれないから、保安設備もやらないというところに問題があるから、これには、やっぱり政府の責任として行政指導のよろしきを得てやればいいと思うので、そこは格段の大蔵省当局の強い決意をお願いをしておきます。 その次に、椎名さんにお尋ねをいたしますが、鉱業法の改正ということが、もうここ二、三年来論議されております。高碕達之助さんが通産大臣のときにも、これはやりますよ。明治三十四年ころの根本精神を盛った明治憲法時代の鉱業法であるからということであったが、一向遅々として進まない。この鉱業法の改正ということが一体どうなっているか、あるいは現在、その審議会で審議されて進行中であるかどうか、あるいはまた進行中であれば、いつごろ国会に出てくるかということ。 それから小岩井保安局長にお尋ねいたしますが、この前あなたは現在の保安法規で万全ですよ、これを厳守することによって万全ですよ、こうおっしゃっておる。ところが、なかなか万全でない。現在でも当時のような御心境であるかどうか。こういう点は不備であったということになれば、法律の改正によって炭鉱保安は確保されるとは思いませんけれども、しかし、それが幾らかのプラスになるのではないかと私は考えるけれども、今の心境は、こういう災害が次から次へ起きて、私はあなたの責任とは言いませんけれども、当事者として、どういうお考えであるか、一つお尋ねしておきたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 鉱業法の改正につきましては、ただいま審議会を設けて鋭意研究中でございます。だいぶ作業が進捗いたしまして、もはや時期の問題だと思うのですが、今国会には間に合いかねると思います。次の通常国会以後において提案の運びになることを私どもは目標として作業しております。
○政府委員(小岩井康朔君) 近く鉱業法の根本的な改正も準備が進んでおりますので、鉱業法が大きく変わりますと、当然保安法も変える必要があると思いますので、その点は十二分に考えております。 しかし、鉱業法との関連は別途にいたしまして、最近の災害の続発にかんがみまして、保安法、保安規則の改正の必要な点は、目下中央鉱山保安協議会にも相談いたしております。二十日の日に開きましたが、この会合で、恒久的な対策と応急的な対策と二つに分けまして、当日は、応急の点は後日に譲るということで保留になっておりますが、当然この応急的な対策打ち合わせの際に、保安法の改正を論議するということにいたしておりますので、いずれ鉱業法の改正と相待ちまして、保安法の改正は、現在の心境としても、当然私一緒に考えております。
○阿部竹松君 その次に、これは大蔵大臣と通産大臣とお二方にお尋ねいたしますが、私が聞くところによれば、九州の保安監督部におる職員の皆さん方は、坑内に入って一時間四円、それからああいう火災現場に、もう一命すら危いところに入って、それで保安監督官の一時間当たりは二十四円。東京都の消防署は四百円ですよ。もちろんこれは東京都条例ですから、地方公務員と国家公務員と違うかもしれません。しかし、あれは、防衛庁の飛行機に乗った場合、これは膨大なものですよ、坑内に入る保安監督官は、まことに気の毒ですよ、四円です。火災現場、第一線にマスクかぶって入っても、二十四円です。こういうべらぼうなことは、僕はないと思う。別に金の多寡によって、保安監督官の諸君が動くとは思わないけれども、やはり遇する道を講じてやらなければならぬと思う。これは、通産大臣と大蔵大臣の話し合いでできると思うのです。監督官の谷さんという人は、十人の家族を残して亡くなられた。まことにお気の毒だ。僕らは、監督官けしからん、もう少し、なぜしっかり監督をしなかったのかと言いたいが、お気の毒で、私は言葉がにぶる。なるほど調べてみたら、わずか四円で坑内に入らなければならない、こういうことなので、このあたり、どうなんですか。ここで四円を四百円にしなさいとは言いませんけれども、両大臣で話し合う余地があるかどうかをお尋ねいたします。
○国務大臣(水田三喜男君) こういう問題は、十分実情に沿ってやるべき問題でございますので、あまりに今、おっしゃられるようなひどい問題でしたら、十分検討の余地はございます。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 今の問題は、坑内の深いところは八円、それから浅いところで四円でございますが、これは四円と八円と、食い違うのじゃないかということを私申し上げようとするわけではございません。きわめて報酬としては低額過ぎる、そこで今大蔵省と事務的に協議しております。そのうちに結論を出したいと思います。
○阿部竹松君 そんなことを言うているのじゃない。通産大臣、僕は、こういうことを言うている、よく聞きなさい。東京都条例で、国できめるのじゃございませんけれども、消防手が一回出動したら四百円ももらうわけですよ。しかし鉱山保安監督官の諸君が、坑内に入ったって、一時間四円しかもらわぬというのです。これは普通入って巡回する場合で、それから火災が起きて、一命さえあぶないときに、わずか二十四円です。これをこの委員会で取り上げて大きくやるのはいいか悪いかは別として、これは黙って、あなた方に言っても、何ら処置を講じてくれないでしょう。ですから、ここでイエス・ノーの回答は要りませんけれども、大蔵大臣と通産大臣の話し合いでできるものじゃないかということを聞いておるのです。
○国務大臣(椎名悦三郎君) それは可能でございますから、その前提のもとに、両省の間でただいま検討しております。
○阿部竹松君 時間がきたようですから、これで打ち切りますが、最後に、保安協議会というものがございますね。大臣御存じですか。保安協議会というのがある。それから保安委員会というものがある。このあり方について、保安協議会があっても、さっぱり仏作って魂入れずで、池田さんが通産大臣のときには、これを大いに活用してやりますよということをおっしゃっておるけれども、さっぱり活用なさっていない。それから、それぞれの炭鉱には、保安協議会というものがあって、またその保安委員というものがあるわけです。これがさっぱり活用されておらないような気がする。保安法改正の、あるいはその他の問題を論議するときに、もう少ししっかりしたものを作って、保安というものの確保に万全を期する意向がないかどうか、最後にお尋ねいたします。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 協議会の活用は、御指摘の通りあまり活発であるとは私は思っておりません。最近、年に二回くらいしか開いておらない。これは、もう少し頻度を増して活用したいと思います。また保安指導員といいますか、その活用につきましても、まだ余地がたぶんにあると思いますので、これらの点につきましては、御指摘の通り活用をはかっていきたいと考えております。
○委員長(館哲二君) ちょっと速記をとめて。 午後五時四十四分速記中止 ————・———— 午後五時五十三分速記開始
○委員長(館哲二君) 速記をつけて。 明日は、午前十時より開会、たします。 本日はこれをもって散会いたします。 午後五時五十四分散会